○八巻
政府委員 未
帰還公務員の
公務扶助料につきまして、現在の
恩給法附則の三十条というものの建前が、
公務員の死亡の判明した日から
公務扶助料に切りかわる、こういうようなことになっておるのでございますが、これを現実の死亡した日にさかのぼって支給すべきではないだろうか、こういう
お尋ねだろうと思うのです。この問題につきましては、現在留守家族手当というものが、兵の
公務扶助料と同額の三万五千二百四十、五円でございまして、大体の兵の方々の留守家族につきましては、現実の死亡のときにさかのぼろうと、あるいは死亡判明のときから
公務扶助料に切りかわろうと、その額においては変りがないわけであります。ところがもしも死亡判明のときからということにさかのぼって
公務扶助料ということになりますと、現在相当高額の普通
恩給を受けておる方々、すなわち佐官以上の方々については、逆に今までもらっておった普通
恩給の一部分を返さなければならぬ、こういうふうな、不利になる人が出てくるわけであります。今受田先生のお話によりますと、そうした不利になる人はそのままほっておいて不利にならないようにすればいいではないか、こういうようなお話でございますけれ
ども、問題の筋といたしまして、そういうふうな扱いをするということになれば一律に扱わなければならぬだろうと思うのであります。それからまた
公務扶助料をさかのぼって支給するという問題が起きましたのは、留守家族手当も受けられない、また
恩給法上の普通
恩給も受けられない、こういうふうなエア・ポケットを一体どうするのだ、すなわち留守家族手当の対象にならないような、次、三男を中共、ソ連に抑留されておるような、そうした父母、そういうものは留守、家族手当の対象にならないのだけれ
ども、こういう人は、一体どうするのだ、こういう方々に対しても何らかの処遇を講ずるために
公務扶助料というものを現実の死亡判明のときからさかのぼらせるのがいいのか、あるいはそういう人にまで留守家族手当というものを
範囲を広げるのがいいのか、こういうような問題になってきていると思うのでございます。先ほど申し上げましたように、
公務扶助料をさかのぼらせるということになりますと、一方において逆に返さなければならぬ不利をこうむるというふうな方々が出てくるのでございまして、
恩給法の立て方の上で現在の死亡判明のときからというのをこわしまして、現実の死亡日にさかのぼってやるということについてはいかがか、こう考えている次第であります。