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1956-04-25 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十五日(水曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 山本 粂吉君    理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君    理事 高橋  等君 理事 保科善四郎君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    北 れい吉君       薄田 美朝君    高瀬  傳君       田村  元君    辻  政信君       床次 徳二君    福井 順一君       眞崎 勝次君    山本 正一君       粟山  博君    横井 太郎君       茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       井手 以誠君    稻村 隆一君       片島  港君    西村 力弥君       細田 綱吉君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鳩山 一郎君         外 務 大 臣 重光  葵君         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         内閣官房長官 田中 榮一君         法制局長官   林  修三君         検     事         (法制局第二部         長)      野木 新一君         防衛庁次長   増原 惠吉君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 四月二十四日  未帰還公務員に対する恩給法改正請願(並木  芳雄君紹介)(第二〇二九号)  同(濱野清吾紹介)(第二〇三〇号)  同(眞鍋儀十君紹介)(第二〇三一号)  金鶏勲章年金復活に関する請願臼井莊一君紹  介)(第二〇七五号)  薪炭手当制度化に関する請願井出一太郎君紹  介)(第二〇八六号)  長野県下各市町村の地域給指定等に関する請願  (井出一太郎紹介)(第二〇八七号)  元満州国日本人官吏恩給法適用に関する請願  (保科善四郎紹介)(第二一一四号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国防会議構成等に関する法律案内閣提出第  八七号)     ―――――――――――――
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  国防会議構成等に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。通告がありますので、順次これを許します。  この際、質疑される各位にお願い申し上げますが、本日の総理に対する質問通告者は五人もありますし、また総理は午後零時十五分より外国使臣とお会いになる御予定もありますので、御一人の質問時間は三十分以内に結論づけられるよう、御協力をお願い申し上げます。石橋君。
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 委員長の御注意もございましたし、あまり時間もないようでありますから、なるべく法案の実体に触れながら、簡明に質問をいたしたいと思いますので、総理の方の答弁一つ直截にお願いいたしたいと思います。  第一にお尋ねいたしたいと思いますことは、国防会議を何のために作るかということであります。大体、法案を制定するに当りましては、おのずから法律目的というものがあるはずであります。本国防会議構成等に関する法律案につきましても、なぜに国防会議を作るのかということがやはり十分に説明されなくちゃならないと思うのでありますが、残念ながら今国会におきまして、その点に関しての十分なる説明が、提案理由説明の際にもございませんでした。法案の中にも盛られておらないわけでございます。閣僚だけでこの国防会議構成するということ、結局一種のインナー・キャビネット的な形をとったということ、これは先回も私、指摘したのでございますが、屋上屋を重ねるような二重手間になる見方もできるわけでございます。ところがそういうような形であっても、なお必要であるというからには、われわれはもちろん、国民全般が十分納得するだけの目的というものがなくちゃならないと思うのでありますが、この点について一つ明確に御説明を願っておきたい、このように考えます。
  4. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 防衛庁設置法にありますごとく、内閣総理大臣諮問に答えて、国防基本方針防衛計画の大綱、防衛出動可否国防に関する重要事項に関して、広い視野から総合的に審議をして、わが国の国防施策について万全を期しようとするものであります。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 国防会議設置目的は、それだけでございますか。
  6. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 そうです。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 昨年の二十二特別国会におきましては、総理はもっと親切にいろいろの目的を並べておられます。それを今度は、それだけだというのはどういうわけでございましょうか。昨年はあなたは少数内閣であった。だから国会に対しても親切な答弁をしたが、今度は絶対多数で、その上にあぐらをかいて、その程度のものでごまかそうというわけでございますか。私はもう少し親切にこまかく御答弁を願いたいと思う。  少くとも昨年あなたが本委員会におきまして説明されました際には、もっとたくさんの目的を並べております。まず第一に、六月の二十七日でございましたが、「国防会議設置目的は、昔のような軍閥ができないようにするため、政治力が支配的になるようなことを目的としたものと考えております。」と政治優先の大原則を、明確に国防会議設置目的として述べておられる。これは事実非常に大切なことなんです。そのほかにも六月の十七日には「どうしても国防会議を開いて根本長期計画を立ててもらわなければなりませんから、国防会議法を作らなければならぬと考えた」こういうふうにも言っておられる。現在日本が当面する重要な問題として、長期防衛計画というものをあげておられる。これを策定するためにも国防会議を一日も早く作らなくちゃならないんだということを、第二にあなたは目的としてあげておられる。それで第三に、今おっしゃったようなことを述べておられるわけなんです。どうなんでしょうか。私は結局二十二国会において述べられた軍事政治がいかにして押えていくか、ここにこそ国防会議設立の一番大きな目的があると思うのでございます。この点についてのお考えは変っておられないと思いますが、いかがでしょう。
  8. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 政治優先原則がどういう形で行われておるかというような御質問をあなたがなさったと記憶しております。それでそれに対して、政治優先原則は、民主政治原則としてあくまで堅持すべきものだということを、国防会議によってその目的を達成したいと思うという返事をしたような記憶があります。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今の答弁でやや納得するわけです。最初にも申し上げましたように、一つ親切な答弁をしていただきたいと思います。国防会議を設ける最大の理由は、今おっしゃったように政治がいかにして軍事を押えていくかということにあると思うのです。このほかにも過度権力集中を排除していくということもこれと関連して考えられなくてはならぬと考えます。極端な表現をここで用いさせていただきますならば、われわれは国防会議構成に関する法律審議するに当って、この一点だけを念頭に置いて検討を加えてもいいと言い切っていいくらいの重大性を持つものと私は思うわけであります。ところが果して本法案にこういった大原則を実際に生かしていくための考慮が十分に払われておるかということになりますと、非常に心配で、憂慮にたえないような気が私としてはするわけであります。結局軍事政治がいかにして抑えていくか。これを完成するために、一つには構成ということに点を置いておかなくてはなりますまいし、もう一つ事務局組織というものに三点を置いておかなくてはならない、このようにわれわれは考えておるわけです。法案の名称も国防会議構成等に関する法律案となっており、この構成が本法案の生命であります。決してだれをもってしてもかまわないというようなものではない。私たちは事かように構成というものに市大関心を払っておる。国家一年の大計を誤まりなからしめるために、この点に関しては慎重に慎重を重ねていくべきだと考えておるわけでございますが、どうもふに落ちない。それは何かといいますと、昨年同じ鳩山内閣のもとで提案されました本法案構成を見ますと、民間人が、五人以内という範囲に指定されておりますけれども、入っておった。それが同じ鳩山内閣が出されました今回の法案からは取り除かれておるという一点であります。一体これはいかなる理由によるのか、どうもわれわれは納得いかない。先ほどから申し上げておりますように、旧改進党、引き続いての旧民主党、この党といたしましては、政治優先の大原則を生かすためには、そうしてまた総理過度権力が集中することを排除するためには、あるいはまた国防基本方針とか防衛計画というものが、内閣がかわるたびにぐらぐらしないようにするためには、どうしても民間人を加えておく必要があるという確固たる信念に基いて党議を決定されておった。その決定に基いてあなたも二十二国会では民間人を加える法案を出しておられた。それを今回になってあっさりと扱いてしまうという理由がどうしても私たちはわからない もともと本法案にわれわれは賛成いたしかねるものでございますが、いずれ作られるものならば、政治優先の大原則を生かして今までのあやまちを再び繰り返さない国家百年の大計をはかるために、民間人を入れていった方がいいではないかという気もするわけでございますが、このようにあっさりと民間人を除かれた理由がどうしても納得いきませんので、再度明快な御答弁を願いたいと思います。
  10. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 政治軍事に対する優先は、あなたと同じように私も非常に重要なポイントだと思っております。民間人を入れませんために決してこの大原則が破壊せられるとは思いません民間人を入れない案が昨年の国会で通ったものでありますから、本年はその審議を尊重いたしまして抜いたのであります。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういう責任を回避するような答弁はごめんこうむります。あなたは、二十二特別国会衆議院意思民間人を除くことにきまった、だから衆議院意見を尊重するんだ、こういうふうにおっしゃっている。船田さんも、先回の私の質問に対して同様の答弁をなさっている。これは責任回避ですよ。なぜかといいますと、当時は自由党野党の立場にあった。そこであなた方がどうしても国防会議法案を成立させようと思えば、自由党意見無視することはできなかったでありましょう。だからやむを得ず同調するということも考えれます。しかし今は保守合同の結果旧自由党人たちもあなたの統制下にある。あなたが、民間人を加えることが正しい、国家のために誤まりない百年の大計を確立するためには絶対に必要不可欠の条件だと考えるならば、その説得をすることも可能な範囲にみなおられる。その努力をあなたはなさっているのですか。自分の考えが変ったというのならまだしも、衆議院意思民間人を除くことに決定されたからそれを尊重するのだというような言葉は、一見非常に民主的に見えて実は責任回避だと私はいわざるを得ない。その証拠を私はあげましょう。なぜかといえば、この構成と負けず劣らず重要な問題として、私先ほど事務局をあげましたが、この事務局の点については、しからばあなたは前二十二特別国会における議決を尊重されないのですか。事務局は明らかに拡充しているじゃありませんか。法文上におきましても異なった表現が用いられております。二十二国会に出されましたのは、国防会議事務局として、第十条に、「内閣総理大臣官房国防会議事務局を置き、国防会議事務を処理させる。」と書いてありました。今度の法案には、国防会議事務として第八条に、「国防会議事務は、総理府の国防会議事務局において処理する。」このように変っております。予算面におきましても人員配置につきましても、昨年は兼務の職員を合せて十名内外のほんのお茶くみ程度の仕事をさせるのだと杉原さんはおっしゃって、四十数万円の予算しか組んでおりませんでした。ことしは不満足ながら一応専従職が十五名、そのほか兼職の者を合せてとりあえず三十名くらいで発足する。予算も一挙に、これもわれわれとしては十分とは考えられないけれども、昨年の比でない七百十九万二千円というものを組んでおられる。事務局の面においては昨年の衆議院意思決定通り従わずに、民間人を除いた点だけ衆議院意思に従ったのだというような、そういう卑怯な御答弁はおやめになっていただきたい。考えが変ったら変ったと率直に認めていただきたい。
  12. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 事務局構成についても、衆議院意思を尊重したつもりでございます。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私が今法の条文を読み上げあるいは人員予算というようなものを例示してあなたに言っても、なお尊重したというような脆弁を弄される。おかしいじゃありませんか。それではもっと端的な例をあげましょう。四月十一日の本委員会におきまして、船田長官は何と言ったか。私はそのまま読み上げます。「今日国防会議法案を出すにつきましては、去る二十二国会において提出いたしました案と違いまして、この事務局を相当拡充いたしております。」と胸を開いて言っているじゃありませんか。あなたは今同じだと言ったが、船田長官は違うと言っている。明らかに違うという言葉を使っておる。この食い違いは、それではどうなりますか。
  14. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は衆議院意思を尊重したという点が同じだ、事務局構成についても衆議院意思を尊重したと申したのでありまして、あなたのおっしゃるような意味で言ったわけではございません。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 もう少しごまかしなしに答弁をお願いいたします。構成ということと事務局ということが二つのささえになっている。いいですか。この法案の二大支柱は、この構成をどうするかということと、事務局をどういう程度のものにするかということ、この二つです。これが二大支柱になっている。この二つを除けば、この法案意味はなくなる。そうしてまたこの二つがいかに軍事政治が抑えていくかという根本にもなるわけです。二十二特別国会においては、あなたの方では民商人を入れるという案を出した。そして事務局お茶くみ程度のうんと小さいものにするという案を出された。それが当時町党にあられた自由党諸君の強硬な意思によって、民間人は除くというふうに修正されたけれども、事務局をどうするというようなことは修正されておりませんよ。それを、衆議院意思決定だからといって民間人を除いておりながら、事務局は明らかに拡允しておるではありませんか。船田長官もはっきりと本委員会において、「二十二国会において提出いたしました案と違いまして、」と言っておる。だから、あなたが衆議院意思を尊重したのだというのは詭弁だというのです。そういう責任のがれを言われるべきじゃない。民間人を除いた方が正しいのだ言われるならば、そういうふうに考えられるならば、一つ考えが変ったなら変ったのだというふうな端的な御答弁を願いたい。
  16. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 事務局組織につきましては、前国会衆議院賛成討論の際の趣旨を尊重したのであります。   〔「それは自由党民主党も一致し   ておった」と呼ぶ者あり〕
  17. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは形の上で一致しておらない。それは意見としてはあったかもしれないが、それを直ちに院の意思というふうにあなたは勝手に御判断なさるわけに参らないと思う。少くとも衆議院意見を尊重すると言われるならば、そのままそっくり持ってきてこそ筋が通る。それを片一方だけ取り入れておいて、片一方は変えておいて、そうして衆議院意思でございますなんというのは、私は責任回避だと思う。民間人を入れたり、出したりまた入れたり、あなたが自由党に入ったり出たりまた入ったりしたのと同じじゃありませんか。全く信念を喪失しておるといっても過言でないと私は思います。これは、おわかりだと思いますけれども、非常に大切な問題なんですよ。どうして軍事を押えていくか。過去の日本のあやまちはここから出発しておるということを鳩山総理は一番よく知っておるはずじゃありませんか。党内で相当の反対意見があったとしても、あなたが、民間人を入れていくことが、日本のために正しいのだ、過去のあやまちを再び繰り返さないようにするためには、絶対に不可欠の要件だとお考えになったならば、あくまで説得努力をすべきです。それが今度達成され得なかったならば、達成される時期まで待つという方法もあるはずです。それをただ単に逃げ口上のような表現を使われるのは、私はどうしても納得がいかない。だから、みんなの意見をその後よく聞いてみたら、やはり入れない方がいいというように考えが変ったというのなら、私は一応その意味において納得するけれども、責任を他に回避されるようなやり方では納得いかない。あなたの信念がないのだ。あなたのその弱い性格日本の国を誤まらせる原因をここで作るかもしれないということを憂うるがゆえに、再度お尋ねするわけでございますが、それだけの努力をなさいましたか。また今後その努力が実を結ぶまで待つというくらいの気がまえはないのでございましょうか。その点をお尋ねいたします。
  18. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 民間人を除きました案が衆議院を通過したことは御承知の通りであります。それを尊重するのは当然だと私は思っておる。民間人を除くこととはいたしましたけれども、第六条によって関係者として必要に応じて適当な民間人出席を求めまして、その意見を聞くことにしましたから、運用上はその目的は達成することができると私は考えております。
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 関係国務大臣等出席というような項目は、何も今度の法案だけに出ておるのじゃありません。それは昨年の法案にもちゃんと出ております。それで間に合うものなら、なぜ去年は民間人を入れましたか。あなたのおっしゃることはおかしいですよ。去年の速記録をもう一度読み起して下さい。あなたは民間人を入れるということについて相当強固な信念を吐露しておる。一、二速記録を読みましょうか。「ただいまのところでは国防会議を威力あらしめるのには民間人を入れておいた方がいいというふうに考えたのであります。」こういうようにも述べておられる。また他の際には、「練達堪能な人を入れた方が会議が、よく運用できるものと思ったのであります。」というふうにも言っておられる。非常に強い信念に基いて民間人を入れておられた。それを除くからには、もっとわれわれを納得させるだけの心境の変化なり、これが正しいのだという理由説明が吐露されてしかるべきです。院の決議を尊重されることもよいでしょうけれども、それが一番大切でありましょうけれども、先ほども申し上げたように、当時は自由党諸君野党だった。あなたの統制の及ばぬところにおられた。しかし今は保守合同の結果統制の及ぶところにおられる。あなたが民間人を入れることが正しいと思われるならば、十分に納得させ得る手近なところに皆さんおられる。その努力をなさったか。私はこれをお尋ねしておるわけです。
  20. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は現在のこのたび提出した法案最善法案考えました。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、今申し上げましたように、昨年の民間人を入れたということが当時は信念であったが、現在は民間人を入れないということがあなたの信念だ、そういうように解釈して差しつかえございませんか。
  22. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 現在のこのたび提出した法案最善のものと考えております。
  23. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私が尋ねておる形でそのまま答弁願いたいと思います。去年は民間人を入れたのが最上のものだとあなたははっきり委員会において答弁なさっておる。今は民間人を除いたものが一番正しいというふうに述べておられる。これはもうはっきりだれが聞いてもわかりますように、明確に興なっております。結局あなたのお考えが、ここ一年間たたない間に、民間人を入れた方がよいという信念が、入れない方がよいという信念にお変りになった、その通りですか。
  24. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 衆議院意思を尊重したのであります。
  25. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 全くもう話にならないわけです。こういう大切な問題について、あくまでもあいまいな答弁で一時を糊塗されようとしておる。少くとも衆議院意思を尊重するならば、事務局の方も当時の程度にとどめておくべきじゃありませんか。それをなさずして、そうして構成の方だけ変えるというのは、あまりに勝手過ぎますよ。事務局の問題について意見もあったけれども、院の意思がどういうふうに決定されましたか。そういうでたらめな答弁はやめていただきたい。しかしあなたをこれ以上追及いたしましても答弁なさらないというなら、時間がありませんからしようがありません。  次に移りましょう。それは何かと申しますと、総理大臣の諮同機関である国防会議議長は、あなた、総理大臣なのです。これは一体どういうことか、まことにもってわれわれ了解に苦しむ。そこのところを一つよくわかるように御説明願いたいと思う。
  26. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 諮問機関である国防会議内閣総理大臣議長となるのは当を得ないとのお話でありますが、議長として直接会議に列席をいたしまして各議員意見を開くことは必要と考えております。諮問機関総理大臣が会長をやるような先例は他にもございます。
  27. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ私は具体的な例をあげて一体こういう場合にあまりにも不見識ではないか、そういうふうに考えますので、ちょっとお尋ねします。国防会議においてあなたが議長の席に清いて審議をされる。意見が一致しない。そこで多数決で物事を決したといたします。ところがこれを閣議に持ってきたら少数意見の方が通ったというふうな場合に、あなたが議長をやっておられる国防会議では少数意見であったが、今度あなたが議長をやっておられる閣議においてはそれが多数意見になったというような場合、あばたは矛盾をお感じになりませんか。崎山さんの性格なら矛盾感じないかもしれない。しかしこれはおかしい話ですよ。もっとひどい例もあります。それは何かというと、国防会議においし可否同数という場合があって、議長のあなたが裁決を下した、ところがその多数意見閣議においてひっくり返った、こういう場合もあり得ることになるわけですが、一体こういうことが認められていいものでしょうか。あまりにも不見識だと思いますが、どうですか。
  28. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 今あなたがおっしゃいましたような場合は生じないとは言えません。国防会議諮問機関でありまするから、諮問した案が内閣において変更を受けるということはあり得ることです。
  29. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 あなたもお認めになりました。確かにあるはずです。物事が緊迫してくる。事件が重大であればあるほどみんなこの国防会議構成議員として真剣に議論を戦わすわけですから、寸秒を争って結論を出さなければならぬというときに当然そういうことはなくちゃならぬと思う。そういう場合に、総理であるあなたと議長としての総理意見がこういうふうなあいまいな形でもてあそばされることは、私は決して当を得たものではないと思う。だから心配しているわけなのです。少くとも民間人でも入っておればまだ理屈が立ちますよ。しかし国防会議閣僚だけなのです。その閣僚だけで構成された国防会議意見と、そして閣議意見とが食い違ってくる。しかも両方の議長を勤められるあなたが食い違ったものを認めざるを得ないようなことになってくるというのじゃ、形式論としてはそういうことはあってかまわないということになるかもしれませんけれども、実際にこの大切な問題をまかせておる国民としては全くもってたよりないということになると思う。そういう総理に事をまかしておくことはできないというような感じをもし持つようなことになったら、これは民主主義の危機でもあると私は思う。この点について、絶対にあなたは御懸念がないというようにお考えになりますか。
  30. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 実際の上においてそういうことがあり得るということを申したのでありまして、あり得るということを事実上あるとしてしまうわけにはいかないわけです。考えの上ではそういう事実はあり得ますけれども、実際の事実でそういうことがあり得ないように努力をしなくてはならないと思います。
  31. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ急迫した事態に審議をしておって意見がまとまらなければどうしますか。あなたははっきり多数決をとるとおっしゃっておるじゃありませんか。だから実際にははっきりあり得ると断定して差しつかえないと私は思うのですが、いかがですか。
  32. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 国防会議としては、多数意見少数意見両方出るわけですが、その多数をとるか、少数をとるかを内閣において決定すべきものと考えます。
  33. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 国防会議意見がまとまらないときは多数意見少数意見とをともに閣議に報告するというわけですか。
  34. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 そういうことは考えられる話だというわけです。
  35. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 明確に答弁して下さい。意見国防会議においてまとまらないときには、どういうふうな形で閣議に報告されるのですか。
  36. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 諮問機関ですから、諮問機関としての多数の意見と少数の意見、両方の意見内閣には報告せられるはずであります。
  37. 山本粂吉

    山本委員長 石橋君に御注意を申し上げますが、予定の時間になりましたので結論にして下さい。そうでないと、あとの質疑者の時間がちょっと予定より短かくなって、迷惑になりますから、重ねて御注意申し上げます。
  38. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今ちょうど約束の時間ですから……。諮問機関だからといっても、この間の選挙制度調査会だって諮問機関でしょう、あれは多数決でやっているじゃありませんか。国防会議の場合には、意見が一致しない場合にはどうするのか。
  39. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 諮問機関としては多数意見の報告と少数意見の報告もすることがあるでしょうし、多数意見だけを報告する場合もあるでしょう。それは国防会議の自由だと思います。(「議長の良識に基くものだ」と呼ぶ者あり)
  40. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 あなた方は何もわからないからそういうことを言っておられるのだ。私は昨年の速記録を調べてきている。  鳩山さんは、昨年六月二十七日、本委員会において「この国防会議は議決機関ではございませんで、全く意見を聞きただす諮問機関でございますから、国防会議意見というものは多数決できめるものと思います。」と言っておられます。今の答弁と違うじゃありませんか。「多数決できめるものと思います。」と、はっきり言っておられる。そうすると多数意見というものが国防会議から閣議に当然報告されるわけでありましょう。
  41. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 少数意見を出して、どうして悪いのでしょう。
  42. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 明快に答弁して下さいと、私言っているのです。
  43. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は多数意見を出す場合もあるし、少数意見もともに傾聴すべき場合においては閣議に報告するのが正しいと思います。
  44. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ去年は明確に多数決できめるとおっしゃっておりますが、この点はちょっと言い過ぎでございますか。
  45. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 会議は多数決できめるのが当然なことです。諮問機関であろうが、どんな機関であろうが、その会の意見というものは多数できめていくより仕方がないと思います。
  46. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ時間がありませんから、残念ながらこの程度でやめなければならぬのですが、もう一言だけお聞きしておきたいと思います。私がさっきから一貫して心配しておることは、いかにして政治軍事を押えていくかというこの一点だけなんです。それが構成の点についても、事務局の点についても、今言ったような採決の問題についても、非常に心配されるから聞いているわけなんです。それと関連した一つの問題として、最近衆議院の決算委員会で制服の諸君に証人として来て説明をしてくれという要請があった。そのときに防衛庁当局は、そういう先例を作ったら再び制服が政治に関与してくる、国会とのつながりを持つことはそういう意味からも非常によろしくないという懸念で、これを拒否したいという意向を明らかにしておられますが、非常にこれは大切な問題だと思います。総理はこの問題についてどのような信念を持っておられるか、これも国を誤まらしめることのないようにするためには非常に大切な問題であると思いますので、最後に一つお伺いしておきます。
  47. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 政治軍事優先するということは大切なことです。しかし詳細のことは防衛庁長官から答弁をいたします。
  48. 船田中

    船田国務大臣 防衛庁の機構をごらんになればおわかりのように、内局の者が責任を持って説明をしておるのでございますから、従いまして制服の者が直接国会出席をして答弁に当らなければならぬということの必要はまずなかろうと存じます。しかし私が先般決算委員会で申しましたのは、制服の者を絶対に出さないと申したのではございません。事実を究明するためにどうしても制服の者が出なければその事実の真相がわからない、こういう場合においては、最小限度において制服の者を出してもそれは差しつかえございませんが、しかし政治優先という建前から申しますれば、内局において責任を持って答弁をしておるのであります。従って制服の者が委員会に出まして、そうして答弁をしなければならぬという必要はまずないと存じますし、またそれは適当でなかろう、こういうことを申したのでありまして、今後もなるべくそういうふうにしていただくことが国会運営の上において適当であると存じます。
  49. 眞崎勝次

    眞崎委員 石橋君の質問に関連いたしまして一言総理にお伺いいたしたいと思います。戦争は政治目的を達するために戦うのでありますから、統帥に政略、政治優先することは当然な話でありますが、一たび戦い出しますと、戦争に勝つために、また戦闘に勝つために、統帥に政略が従わなくてはならぬことも起ってくる。またそれよりも考えなくちゃならぬことは、政治優先することは当然であるが、軍事を戦争の具に供するようなことがありますとさらにより危険であることは従来の歴史が示しておる通りでございますが、この点について総理の御所見を伺いたいと存じます。
  50. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 眞崎君の言われる通りに、政治軍事優先するというのは、戦争すべきか戦争すべからざるかというような判断をする場合をとらえて言っておることでありまして、いかなる方法によって戦争をするかというようなことは軍事がすべきものだと私は考えます。
  51. 眞崎勝次

    眞崎委員 政争の具に供する点を一つ……。
  52. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 いかなる方法によって戦争をするかというようなことが政争の具に供せられるようになっては、その国はもう滅びるより仕方がないと思います。
  53. 山本粂吉

    山本委員長 飛鳥田君。
  54. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 国防会議目的について、今まで国防大綱の策定、あるいは軍需生産の計画、防衛出動可否、こういうことを自主的に決定するのだ、こういう御説明がありまして、そのまま僕らはすなおに受け取っておったつもりであります。ところが昨日のわが党の井手委員質問に対して、総理及び船田長官説明をしておられるところを拝聴いたしまして、実はあぜんたらざるを得なかったわけです。なかんずくそこで強調せられましたものは、日本が防衛六カ年計画を策定し、実現していく上に当っては、米国からの武器の供与あるいは部品の貸与、無償譲渡、こういうようなことを十分に受けなければやっていけない、こういうことを再々船田さんは強調をせられました。防衛六カ年計画を国防会議で自主的に策定していかれるという口の裏から、アメリカさんから物をもらわなければ、アメリカさんから武器を渡してもらわなければ、この六カ年計画は実現できないということを言われるのでは、一体自主的にとか、わが国独自にとか、こういう言葉はどこへ行ってしまうのでしょうか、この点をまず伺いたいと思うのです。
  55. 船田中

    船田国務大臣 わが国が長期防衛計画を立てるにつきましては、もちろんわが国力、国情に相応する最小限度の自衛体制を整備するということでございまして、これはどこまでも自主性を持ってわが方において決定すべきことでございます。しかしその防衛力をいかに実現するかということにつきまして、アメリカ側の供与を受けるということは、何も自主性を失うことにはならないと存じます。従来も初度調弁に属します兵器、艦船、飛行機等につきましては、アメリカからの供与を受けております。しかし何と申しましても、日本の防衛生産が十年の空白を持っておりますので十分に整っておりません。そこでできるだけ防衛生産をだんだん育成強化して参りまして、将来、これは何年先になるかわかりませんが、日本のほんとうの実力でもって、独力で防衛のできるような体制に持っていきたいということで、たとえば技術の導入あるいは資材原料等の導入、そういうようなことに力を尽して漸次防衛生産を強化して参りまして、そうして完成兵器、あるいは飛行機、艦船等の供与はだんだん少くして参りたい、防衛生産力を育成して、ほんとうの日本の力によって国土を守ることができるような自衛体制を整備することに努めるべきである、こういう方針で進んでおるわけであります。
  56. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 どうも防衛庁長官はたくさんうまそうなことをおっしゃいますが、しかし現実に日本の六カ年計画を作っていくのについて、アメリカの供与兵器を無視しては何質もできない状況である。このことはあなたも私たちも少しも異論のないところだと思います。新聞などで拝見をいたしますと、防衛庁は三十一年度自衛隊増強計画に関連して、米国からの供与兵器期待額の検討を行なっていたが、このほど三十一年度増強計画を遂行するために、陸海空軍合計で五百三十五億円に上る航空機、戦車、艦艇の供与を受けるとの方針を決定した、こういうふうに報道せられております。五百三十五億、これだけのものを供与を受けるのであります。本年度の防衛庁の予算は千一億でありますから、半分以上の金額に相当いたします。これだけのものをもらうことを計画の中に入れて六カ年計画を立てていくとするならば、もしこれがもらえなくなった場合はどうなりますか。自主的にということは、これは言葉だけであります。言葉はどうお使いになろうと、それはお一方の自由でありますが、しかしそれは個人の場合でありまして、こうした政治の中枢の場において無責任言葉をもてあそぶことは、私はあやまちだと思います。自主的に、こう言われる限りには、それだけの裏づけをもってしなければならないはずであります。一体これだけの供与兵器を受けながら、なおかつ日本の防衛六カ年計画というものが自主的に行い得るものかどうか、これを伺いたいと思います。現にアメリカから供与を受けられるとあなた方が期待をなすって、計算の中に入れられておった幾つかの兵器で、現実には供与を受けられなくなったもの、引き渡しのおくれているもの、こういう例がたくさん存在いたすのであります。その一つの例をあげてみましても、P2Vなどという飛行機については、供与を受けられそうもないから国産化しよう、こういう計画さえ現実にお立てになったような話も聞いております。もらえるつもりでいたらもらえなかったから国産化しよう、こういう御方針であるが、こんなことで一体国防会議というものが自主的にやっていけますか。この点はっきりした御答弁総理から承わりたいと思います。
  57. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 日本国防日本が自主的にやっていくということを理想とすることは当然なことであります。けれども、現在におきまして、日本の独力をもって日本国防目的を達成することができないのは事実なんです。それで安保条約を結んで、アメリカと協力をして日本の防衛をしておるわけなんであります。その過程においてそういう事実が生じても、これはやむを得ざることだと私は考えます。
  58. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 日本国防会議というものは、現在の段階においては、自主的に日本防衛計画を策定していくことはできない、現在の段階としてはアメリカにいろいろな問題を関連をつけられてもやむを得ないと今おっしゃったのでありますが、もしそうだとするならば、今後どのような形でアメリカからの自主性回復という方向をとっていかれるのか、その点について明確な御答弁をいただきたいと思います。現実に供与兵器の問題その他を見て参りますと、ますますその従属的な関係が深まっていくというのが実情であります。ジェット飛行機についても、何についても、すべて生産協定を締結せられて、向うの特許権を拝借する、あるいは無機で使わしてもらう。かえって向うの企画の中にどんどん落ち込んでいくというのが実情であります。あなたのおっしゃるように、これから自主性を回復していくという方向への足取りは少しも見られていない。具体的にはどういう方法で、どういう形でやろうと考えておられるのか。
  59. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は、現在において、日本国防計画というものに自主任が失われておるとは思いません。武器の供与を一部受けるということによって、日本国防の自主性がなくなったとは考えないのです。
  60. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 けっこうです。今あなたは日本の兵器の一部をアメリカから供与を受けると言われましたが、一部というのは何パーセントですか。今の自衛隊の中で日本が直接に作った品物かどのくらい使われていますか。(「人間だけだ」と呼ぶ者あり)人間だけじゃないですか。タンクでも、飛行機でも、潜水艦でも、大砲でも、みんなアメリカからもらったものですよ。それをあなたは一部と言われる。日本語では、一部というのは他に大部分が残っている場合を言うのです。こういう点をあなたはなおかつ一部と言われるのならば、あなたが説明をせられなくてもけっこうですから、防衛庁長官かり、日本が現在自衛隊の中で使っている飛行機のうち、アメリカの供与を受けざるもの、アメリカから譲渡を受けざるもので、日本で独自に生産したもりがどのくらいあるかを説明してもらいましょう。
  61. 船田中

    船田国務大臣 わが国の防備生産が十分でないということは、先ほど答弁申し上げたときに御説明申し上げてお通りでございまして、従いまして、自衛隊を急速に整備するにつきましては、初度調弁に属しまする銃火器類あるいは艦船、飛行機等につきまして、アメリカの供与を受けておりますことはこれは事実でございます。しかし、艦船につきまして、あるいは通信機材等につきましては、漸次これが国産化されて参りまするし、またジェット・エンジンの飛行機につきましても、すでにT33A及びF86Fの戦闘、実用機につきまして、その生産が、最初はただ組み立てだけでございましたが、漸次わが国産をもって部品を充てるというようなことにいたしまして、国産化の度合いを高めて参ることに努力をいたして、またその期待は十分持てることと信じておるわけであります。
  62. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 兵隊以外、人間以外はっきりとこれは日本のものでございますとあなたの言われたものは一つもないではありませんか。今現に飛行機も、ジェットF86Fも国産化と言っておりますが、ほんとうの国産化ですか。そういう言葉のまやかしをなさるから話が横道にそれていってしまうのであります。これは生産協定をあなた方がお作りになったのですから、私があえて繰り返して説明をする必要もありませんが、なるほど日本で組み立てます。そうして、その部分品についてはあるいは今後日本で作るでしょう。だが、しかし、これはアメリカの特許をそのまま使わしてもらい、しかもその生産の過程においてアメリカの監督を受けているではありませんか。これをはっきりとあなたが国産化と言って国民に報告できるものであるかどうか。少くとも軍隊というものは、その武器を他の外国から何らの制肘を受けずして持ち、これの供給をすることができる段階に立ち至ったときに初めて自主性を持つと言い得るのであります。こうした状況を目の前に置いて、こういう現実の上に立って国防会議だけをいたずらに作らしてみたところで、その国防会議は、終局においてはアメリカに従属をしている国防会議だといわざるを得ないのであります。こういう点について私は第一の疑問を持っております。しかし、この問題についてあまり水かけ論をしておりますときりがありませんので、続いて伺いますが、日本の自衛隊は大戦争の場合に当って、たった日本だけでの戦闘行為能力を持っておりますか。
  63. 船田中

    船田国務大臣 この問題も、たびたび御答弁申し上げておる通りに、もし日本の区域に侵略が起った攻撃が加えられたという場合におきましては、行政協定の二十四条によりまして、日本政府とアメリカ政府との間においていかなる共同措置を講ずるかということにつきまして協議をすることになっております。その場合におきまして、もちろんわが自衛隊といたしましては、憲法及び国内法の法規に従って最善の防衛体制を整えて実力を行使する――自衛の実力を行使する、こういうことになっております。
  64. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 結局日本の自衛隊は独自の作戦能力を持っていない。米軍と共同作戦をするときにだけその効用を発揮できるということは、今あなたのお認めになった通りです。その場合に、なおかつ防衛出動可否あるいは戦闘の展開、こういう問題について国防会議は独自の判断能力を持っておりますか。私はこの点をあなた方に伺いたいと思います。
  65. 船田中

    船田国務大臣 もちろんわが国は独立国でありまして、わが国の防衛につきましては自主性を持っておるわけであります。自主性を持っておるということと、全く日本の独力で日本の国土を守るということの観念は私は違うと思います。自主性を持っておればこそアメリカの協力を受けるのであります。アメリカの隷属ではないのであります。もしこちらが自主性を持っておらぬということでありますれば、全部アメリカの指図通りになるわけでありますが、日米安保条約及び行政協定によりましても御承知の通り日本が独立国であり、日本が自主性を持っておるということを前提といたしまして、ああいう条約及び協定ができておるのでございます。日本は決して自主性を失っておりません。
  66. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 自主性を持っているというのは他からの援助あるいは向う側の制肘をはねのけてもなおかつやっていける場合を自主性を持っていると言うのであります。気持だけいかに意気壮なりといえども、心持だけでは自主性を持っているということにはなりません。やはり日本の現在の段階において武器の供与の程度――程度というよりは日本の自衛隊はほとんどアメリカの武器によってまかなわれているといっても過言ではない程度、しかも大戦争に対してその持っている武器が単独行為能力を持っていないという、単にこういう点も考えてみますならば、これはアメリカの付属軍としての価値しかないというのは世界の客観的な評価であります。その中でいかに、自主性をといばってみたところでそれは言葉だけ壮なりということでありまして、こういう場合に国防会議が米軍なりその他の国からの圧力なしに、それこそ思った通りのことをやっていく自信があるかどうか、議長一つはっきりお答えをいただきたいと思います。ただ言葉だけいたしますというのではだめですよ。
  67. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 日本は独立国でありまするから日本国防会議がアメリカの意見に左右せられるということは断じてございません。
  68. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 あなたとお話をしておるとついしりとりをやりたくなってしまうのであります。アメリカによって左右されることはないということを言いながら、実際あなたの政府は現実にP2Vという飛行機をもらえるつもりでいたら、もらえないので仕方がないから国産化の計画を立て直したという事実があるのであります。アメリカによって左右されているじゃありませんか。私は別に言葉のあげ足をとろうとは思っておりませんが、しかし現実にそういう事実がどしどし進行しているにもかかわらず、あなたがここで単に幼い希望だけを繰り返して述べておられるということでは、日本政治は前進いたしません。この点について、あなたの方が私よりもはるかにお年寄りでありまするから、こんなことを申し上げることは無礼かもしれませんが、やはり国民の一人としてはっきりあなたに申し上げておかないわけには参りません。どうぞ事実の上に即した現実の答弁をなさっていただきますように繰り返してお願いをいたしておきます。  そこで、それでは武器の上からいってもあるいは作戦の段階の上からいってもなかなか自主性を持ちにくい、しかもアメリカとのいろいろな関係を持たざるを得ないこの国防会議について、総理にお伺いをしておきたいと思いますことは、日本に今ありますところの米軍の軍事顧問団、この軍事顧問団と国防会議とはどのような接触を狩っていく覚悟であるか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  69. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 別に関係はないと思います。
  70. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それでは事のついでに重光さんが前回アメリカにいらっしゃったときにダレスさんと話をしまして、軍事混合委員会というようなもりを作って、日米相互の防衛計画について語り合う、こういうことを約束してこられたそうであります。その後一向政府はこれについて発言をせられませんでした。総理重光さんがダレスさんと話し合って参りましたこの軍事混合委員会というものをお作りになる意思があるのかないのか。そしてもし作られるとするならば国防会議とどのような関連性を持たせるつもりなのか、これを伺いたいと思います。
  71. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は外務大臣からそういうような話を聞いたことございません。
  72. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 軍事混合委員会を作るというようなことについて重光さんかり全然話を聞いたことはない、こういり御答弁ですが、それでは今後アメリカと日本との間には、先ほど船田さんその他の方々が御説明になっているように、非常に深い――私たち言葉をもって言わしむるならば従属的な関係が存在しておりますから、この点についてアメリカと日本との間に防衛計画あるいは防衛産業の育成計画について、何か定期的に連絡をなさるような機関設置なさる意思があるかどうか。
  73. 船田中

    船田国務大臣 ……。
  74. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 これは総理一つ……。
  75. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は知らないから……。
  76. 船田中

    船田国務大臣 この点につきましては、今具体的にどういう委員会を作るというようなことはございませんが、日本の区域の防衛ということにつきましては、日米安保条約、行政協定によりまして、日本とアメリカとが共同して防衛をいたしておるわけでございますから、日本の防衛につきましては随時アメリカ側とも話し合いをいたします。また防衛生産のことにつきましては、アメリカ側としてももちろん、日本の方では強い希望を持っておりますので、それに協力をしてもらうことで話を進めておりまして、現に現在外務委員会にかかっておりまする技術協定というようなものもございまして、なるべくアメリカの技術を導入いたしまして、日本の過去十年の防衛生産上の空白を埋めてこれを育成するようにし、できるだけ早い機会に日本の力によって日本の防衛生産ができるようにして参りたい、かように努力をいたしております。またアメリカ側もこれに協力をしてくれておる次第でございます。
  77. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 私のお伺いしておりましたのは、恒常的なそういう機関を設ける意思があるかないかということを伺ったのであります。これを、私は知らないから、こうおっしゃるのは少しおかしくないですか。少くとも知る知らぬの問題ではないはずです。日本とアメリカとの間に防衛ないしは防衛生産に関して連結をしていくところの、恒常的な機関を設ける意思があるかどうかということを私は聞いたのですよ。それを私は知らないからという御答弁はちょっとおかしい。これは総理からはっきりしていただきましょう。
  78. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 知らないという意味は、ただいまはそういう考えは持っていないという意味でもって申したのであります。
  79. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 どうもあなたとお話をしていると、また始まりますが、知らないからということはそういう意思はないということだという新しい日本語のヴォキャブラリーができ上りました。  そこで今度は国防会議構成員の問題について伺いたいのでありますが、なぜ通産大臣が入っていないのか御説明をいただきたいと思います。
  80. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 関係のある議題につきましては、第六条の規定によりまして、通産大臣等の出席を求めて意見を開陳してもらうことができます。実際の運営によって十分にその意見を尊重することもできると考えております。  なお経済産業問題については、経済企画庁長官がメンバーの中に入っておりますから、一応これによって代表ができると考えているわけであります。
  81. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 必要があれば出てもらうからそれでいいだろう、こういう意見なら、議長一人あればたくさんじゃないですか。必要があれば船田さんにも出ていただ、いたらいいでしょうし、必要があれば大蔵大臣にも出ていただいたらいいでしょう。(「平素から責任を持たしておくんだよ」と呼ぶ者あり)平素から責任を持たしておくという必要があるならば、通産大臣というものは六カ年計画の通常について、実に重要なものを持っているはずです。江崎君のお答えに僕はまたからむのはおかしいのですが、とにかく通産大臣を入れないで防衛六カ年計画というものがはっきりできるという理由が少しおかしい。軍事と産業というものは並行をしていくべきもののはずであります。軍事の形だけをとっていわゆる防衛産業の方をおろそかにするような形は、どう考えてもこれはびっこだと思う。こういう点でなぜ通産大臣を入れなかったかということについてのただいまの御説明は、国民を納得させません。もう少しあなたの深慮遠謀のあるところをお聞かせいただきたい。
  82. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 産業関係の大臣は通産大臣以外にたくさんありまして、経済企画庁長官はメンバーになっておるのであります。それで十分だと考えました。
  83. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それでは時間もありませんから、最後に一つ伺っておきたいと思いますが、世界の情勢はいろいろ変って写ります。次第に平和の方向に向きつつあることは、先般総理もここでお認めになったはずだと思うんですが、そこにまた一つの新しい事実が出て参りました、と申しますのは、ソビエトにおいて第二十回大会が行われまして、ここでフルシチョフあるいはミコヤン氏の演説が行われたのであります。これは世界の各国に対して相当なる反響を及ぼしつつあると考えております。このことについていまだに日本政府の正式な見解が表明せられておりません。この際総理にフルシチョフ及びミコヤン両氏の演説に対する御所見を詳しく述べていただきたい。そうすることによって、日本国民に対して総理が何を考えているかを明らかにしていただきたいと思います。
  84. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私はソ連は今第三次世界大戦をやる意思はない方に傾きつつあると思っております。イギリスにブルガーニンやフルシチョフが行きまして非常な歓迎を受けております。自由主義諸国においてももちろん戦争をする意思はないと思います。戦争ということは、いつでも戦争しようと思ってしかけてくることはないのです。戦争はばかばかしいということを知りながら、突然に戦争ということが始まるものですから、戦争はないということにきめてしまって、日本の自衛問題を放棄するわけにいくまいと考えております。
  85. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そういたしますと、フルシチョフ及びミコヤン両氏の演説をお読みになって、世界は第三次世界大戦からますます遠ざかりつつある、戦争はなくなる方向に一歩を進めたとお考えになった、こういうのがあなたの御感想なわけですな。
  86. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 そういうわけです。
  87. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 けっこうです。
  88. 山本粂吉

    山本委員長 次に西村君。
  89. 西村力弥

    ○西村(力)委員 昭和二十七年に吉田総理のfによって日米安全保障条約が結ばれたわけですが、この日米安全保障条約あるいはそれに伴う行政協定なるものが、真実日本の安全を守ってきておったかどうか、総理はこの点に関してはどうお考えでございますか。
  90. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 安保条約に基く米軍の日本駐留によって、外部からの侵略の意図を未然に防止することに役立っておると私は考えております。現実に日本が安全であるということがその具体の例だと私は考えます。
  91. 西村力弥

    ○西村(力)委員 確かに日本の安全が守られた、こういう工合に御判断なさるとすれば、安全が脅かされるというような実際の具体的例はどのようなことがあったか、これを一つお聞かせ願いたい。
  92. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私が何べんも申しました通りに、私は仮想敵国というものを考えたくないのです。仮想敵国というものは考えませんけれども、自衛のできない、防備力を持たない国はよく侵略を受けておるのでありますから、そういう先例が起きないようにすべきことが必要だと考えております。
  93. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私はそのことを聞いているのじゃなくて、安保条約による米軍の駐留によって日本の安全が守られたというならば、あのときは確かにこうであったがこう守られたという具体的な例がないか、こういうことをお聞きしているのです。安保条約には無責任な軍国主義というものが存在する、その無責任な軍国主義の手による直接あるいは間接の侵略に対して日本を守るんだ、こういうような考え方に立って結ばれておる。だからあの安保条約が有効であったということは、結局無責任な軍国主義の存在を肯定することになる。その軍国主義が日本に侵略の脅威を与えたということがあった、そういうものを排除し得たという事例をどこに認められておるか、こういうことについてお尋ねしているのです。
  94. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 現に侵略の憂いがなかったということが事実だと思います。
  95. 西村力弥

    ○西村(力)委員 侵略の憂いは全然なかったということになれば、安保条約は何も日本の安全に寄与する実際的な効果はなかった、こういうことに相なるのではございませんでしょうか。
  96. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 未然に防止する効果はあったと認めざるを得ますまい。
  97. 西村力弥

    ○西村(力)委員 未然に防止し得たというならば、明らかに形は出てこないけれども、やはりそういう動きはあったはずだということになるわけですが、それは結局あの安保条約の前文に書いてある無責任な軍国主義ということになるのですか。それを対象としてやはり未然に防止し得た、こういう工合に考えざるを得ないと思うのですが、それはいかがでございますか。
  98. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は戦争がばかばかしいものだというように世界の人が全部信念を持つようになるのは、まだ遠いことだと思うんです。それですから、防備をしておかなくてはならないという結論になるわけです。その防備力がなければ――やはり戦争が起きるかもしれないわけですから、安保条約によって未然に防止されたといって差しつかえないと考えます。
  99. 西村力弥

    ○西村(力)委員 未然に防止されたと考えるならば、どこかがやろうとしたことを未然に防止した、こういう工合になるのではないですか。そこのところはやはりはっきりしてもらわなければならぬ。そうでなければ、今日本全国に基地がたくさんある。また近く政府では、アメリカのお小言をいただいて、五大飛行場を強権をもって拡張しよう、こういうことをやろうとしている。それに対して、地元民はもちろんのこと、平和を守り生活を守ろうとする日本国民が、政府は日本の政府であるかどうかということに対して疑義を持って、非常な強い反撃態勢をとっておるのです。だから安保条約があり、行政協定があり、日本の安全が侵される場合を未然に防ぎ得たということ、そのことは確かにかくかくのときそうであった、あるいはかくかくなる無責任なる軍国主義がこうやろうとすることを押えたのだということを明確にしていかなければ、国民は納得しないのではないか、こう思われるのであります。その点はいかがでございますか。
  100. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 世界のいずれの独立国も、みな兵器を持ち、自衛力を持っているのです。やはり兵力を持っていることによって、未然に侵略を防止するものだと私は思います。その必要があればこそ、世界中で軍備を持っていない国はないのだと思います。日本も同じように独立国となった以上は、やはり防衛力を持たなくてはならないと思います。自力でできない場合においては、アメリカとの共同防衛をする、これもやむを得ないことだと思います。
  101. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ダレスのせとぎわ作戦というものが発表されて、国際的にもあるいは米国国内においても、非常な反撃あるいは非難を受けているわけですが、あのダレスのせとぎわ政策というものが肯定される、こういうことになるとすれば、日本に駐留する米軍も、やはりそういう立場でおるのだ、こういう工合に考えざるを得ないわけであります。あの朝鮮の李承晩が北鮮や中国の捕虜を釈放した場合とか、台湾海峡の問題が発展して原子爆弾を搭載したものが出動した場合、あるいは仏印におけるフランス軍が徹底的に絶望になった場合の米軍の出動、そういうようなダレスのせとぎわ政策が成功したということが、やはり日本の安全を未然に防止し得た、アメリカの日本に駐留することを含めた極東政策の勝利であった、そのおかげであった、そういう工合にやはり総理考えられておるかどうか。いかがでございますか。
  102. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は、とにかく独立国がある程度の防衛力を持つということは必要だと考えております。
  103. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いや、私の質問はそうではなくて、日本に駐留するも、アメリカの利益のために彼らは駐留している。日本に恩恵を与えるために、日本がかわいいと思って駐留しているのだというふうには私たち考えない。それはアメリカの軍事顧問団が参りまして、武器を供与してその使途を監視する、すべてアメリカの利益のためにやっておるわけであります。だからそういうアメリカの利益が、極東政策として一連のものである。その中に日本の駐留も入っているはずです。それがせとぎわ作戦でもってアメリカの威力を保持し、また極東に対する戦争回避の実効をおさめた、グレスはこう言っている。だからあなたが言うのは、結局安保条約、行政協定によって日本に駐留することによって、日本の安全は未然に守り得た、こういうように考えたとすれば、そこにダレスの言うせとぎわ政策そのものが、ああいう動きが全部日本の安全を守ったのだ、こういう工合に考えられておられるかどうか、こういうことを私は質問しておるのであります。
  104. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 せとぎわ政策というのが正しいかどうか私はわかりませんけれども、現在世界戦争のないというのは、やはり力のバランスだと思います。力のバランスがなかったならば、やはり第三次世界大戦というものは起り得ると思います。
  105. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私の質問の焦点にどうも合わないようですが、たまたま力のバランスという言葉を言われましたが、日本の自衛力増強をどうしてもやられるという意思、これは独立国として自衛力を持つという誇りのためにやるのだ、そして力のバランスをもって日本の平和と安全を守るのだ、こう言われますが、そのバランスというものは相手がある。力の均衡であるとするならば、対象である力があるはずです。それはどこに求められるか。
  106. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 仮想敵国は持っておりませんが、やはり自由主義とか共産主義というものが、互いに争っておるのは事実なんですから、その間に戦争の起らないように各国が協力するということは必要だと思います。
  107. 西村力弥

    ○西村(力)委員 仮想敵国という名称で持たないにしても、力のバランスを唱える限り、対象としての力をどこかにやはり考えておられなければ、これははかりはつり合わない。仮想敵国でなくとも、バランスの対象、こういう軍事力をあなたは想定されておるでしょう。想定されておられますか、おられませんか。
  108. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は日本が自衛力を持つことは世界の平和を持ち来たすゆえんになると思うだけでありまして、どの国と戦うというために準備をしておるわけではありません。戦わないために兵力を持ちたいと思うのです。
  109. 西村力弥

    ○西村(力)委員 戦わないために兵力を持つのだ、そのためにバランスをとるのだといったら、これはバランスというものは、お星様のようなもので、四方八方、前後左右から牽制があって、大空が安定しておるのでしょうけれども、現実の世界の情勢、人間社会では、そういう安定ということはちょっとあなた方の考えでは出てこないのじゃないか。やはり力のバランスといえば、対象となる軍事力というものを考えて、このバランスを築き上げていく、これが平和を守る道であるから、われわれは国防会議を持ち、自衛力を増強していくのだ、こういう工合にならなければ、私たちはとても納得できないのじゃないか。
  110. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 仮想敵国を持ちましてどの国との間に戦争が始まるというようなことは考えておりませんが、とにかく一国として一国の防衛力を持つということが集まって、世界の平和を持ち来たすことになると私は考えます。
  111. 西村力弥

    ○西村(力)委員 どうもなかなか意識的に御答弁のようでございますが、しかし自衛力の増強が米軍の撤退と相関的な関係にある、それは総理はお認めでございましょう。
  112. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 日本が急迫不正の侵略に対して防御し得るような自衛力を持ちましたならば、アメリカ軍は撤退の一つの条件ができると思います。昨日外務大臣が言っておりました通りに、それに国際情勢というものも考えなければ、撤退の条件が具備しないというような話をしておりましたが、それも理屈だと考えます。
  113. 西村力弥

    ○西村(力)委員 だから総理はとにかく日本の自衛力増強が米軍撤退と相関関係にあるということは認められた。すなわち米軍という米国の極東における意思というものは、日本の自衛力増強によって代替されるのだということをはっきりお認めになった。だから日本の自衛力の増強というものは、どこの軍事力を対象としてバランスをとろうとするのであるか、この点明白になってくるではございませんか。とにかく米国としては力の誇示による平和ということをまだ唱えておる。その最先端が日本の基地となって現われ、米軍駐留となって現われている。それを撤退するということは、結局日本の自衛力増強がアメリカのそのような意思の代替となっていくのだということをアメリカ自体が承認することによって撤退していく。だから日本の自衛力の増強、軍事力の対象というのはおのずから限局されてくるではないか、こういうことが考えられる。この点はいかがですか。
  114. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 アメリカの利益のために日本の兵備を整えるという意思は持っておりません。日本日本を守るだけの力を――これは集団保障でなければ今日ではなかなかむずかしいことでありますけれども、急迫不正の侵略に対して一時的の防衛力を持ちたい、それによって日本は防衛できる。世界大戦を避けたいというのがすべての国の人が持っておる意思だと思いますから、暫時の間でも日本を防衛して、そうして集団保障によって完全な防衛を考えるという考え方を持つよりしかたがないと私は思っております。
  115. 西村力弥

    ○西村(力)委員 安保条約にも個別的なあるいは集団的な自衛力の増強ということを期待されておるわけですが、集団保障といってSEAT〇にはどうも加入しないと、きのうあたりも答弁なさっておるが、それ以外の機構も私たちは予想しておる。それはアジアの東北関係の集団保障の機構を予想しておるのですが、その点に関しては総理はどういう見解を持っていらっしゃるか。
  116. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ただいまそういう考えは持っておりません。
  117. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは次にお尋ねしますが、自衛力の増強を相当の国費を使って、あるいは日本の憲法を改正してまでも本格的に整備していこうという考えでありますから、やはりどうしてもその努力国民に承認させるには、日本の自衛力増強によって日本の安全が確実に守り得るのだという確証、それから真の日本の独立の姿が完成される、すなわちこの不名誉な米軍の駐留を確実に解消し得られるのだという保証を国民総理大臣としては出すべきだ。私は総理に言いたいのは、九千万の国民があって、これが一つの一定路線に向って全エネルギーを結集せられるような政治総理はやるべきだと私は思うのです。今の国内事情では、総理の今のような御答弁では、国民が全エネルギーを国の方針に向って結集するというようなことは絶対に出てこない。だからかりに今自衛力増強を国民が承認するということに持っていくためには、少くとも不名誉な米軍の駐留を解消し得られる、そのためにこうやるのだという確証を一つ示してもらわなければならない。私は総理にこの席でそういう確実な答弁を願いたい。
  118. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 独立国として自衛力を持つということは私は当然だと思うのです。わが国として国情に見合いまして自衛力の整備をはかることを基本方針としていることは、たびたび政府としては申し述べましたが、このことは国民においても了解をしてくれるものと思っております。
  119. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それはとうていだめじゃないかと思うのです。自衛力を持つといっても、先ほど飛鳥田委員その他から指摘されましたように、国防会議を持ったって、そのあとに軍事顧問団というものがはっきり存在しているというようなこと、あるいはシリアに武器輸出をしようとすると、アメリカの方からそれに対するワクがはめられてくる。すべてそういう工合に日本の現状がなっている過程において日本が自衛力を増強して、これで独立国の自衛力であると言い得るんだということはだれも承認はしないのです。だからそのことがほんとうに血税を使ってやる現政府の方針として正しいのだということを証明するには、どうしてもこのことによって日本の独立のほんとうの第一歩である米軍の駐留排除ということをし得られるんだという証明を出してもらわなければ、国民がどうしても納得しないであろうと思う。納得させないで、そして権力でもって、あるいは多数の力でもって押し切ったって、九千万のエネルギーはあなたに結集しませんよ。私はそれを憂えるのです。中国は、それはもう政治形態は違うでしょう、あるいは文化水準、生活水準が低いでしょう。しかしあそこの五億の国民というのは、今大きく全エネルギーを結集している。総理たるものは、こういう大きい気持で国民の勢力を結集する。それだけの何というか、大きな、しかも断固たる立場を持ってもらわなければならないと思うのです。アイスランドはあんなちっぽけな国であるけれども、原水爆の実験下の現在において議会全体において米軍基地の撤退を決議している。こういうような状況を見ましても、もう少し日本政府ははっきりした態度でもって現在の政策を国民に納得させる方法をとらなければならぬではないか、まことにその場その場の言いのがれ的な御答弁にすぎないように私には思えてならないのです。どうか一つはっきり総理の確証、確言を願いたい、こう思うのです。
  120. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 世界の平和をこいねがっていることは、世界の国民ひとしく同じだと私は思うのです。世界の平和を維持していくのには、各国がそれ相応の自衛力を持つということが要件になってくると私は思うのです。それで日本も最小限度の自衛力を持ちたいという考え方で今政治をやっているわけであります。すなわち平和を実現するのには自衛力が必要なのだと考えているのです。
  121. 西村力弥

    ○西村(力)委員 どうしてもこれは言えないだろうと思うのです。この間も戦術空軍司令官のウェイランドとかいう人が日本に来たのですが、あのときの、状況を見ますと、やはり日本には少くとも十五年は駐留しなければならぬということを彼は言っているのだから、やはり日本の自衛力の増強というものは米軍撤退のその目的を達する手段であるということは、総理としては思えないということになるだろうと思うのですが、これではとうてい国防会議法案を作って本格的な軍備をやろうとすることに対する国民の了解といりのは立たないのではないか、われわれもとうていこれはできない。しかも総理の頭の中を去来するのは、米ソの対立だけ、こういうことになるのではないか。私たちが今日本国民として目を向けなければならぬのは、アジアの各国ではないか。アジアの各国は、去年バンドン会議を開いて平和と、独立と経済の発展、これを望んで、大きく世界に自分たち意思を表明した。経済発展にはもちろんその基礎となる植民地的な性格を払拭するのだ、こういう状況、植民地的な性格を払拭しつり経済力の充実をはかっていくのだ、その基礎としてやはり平和を求めなければならぬ、こういう考え方に立っておるそのときに、アジアの各国は決して自衛力の増強が平和に寄与するのだというようなことはだれ一人言わない。アジアの植民地的な性格の一切を払拭することが平和への道だと言っている。そういうアジアの各国に対する目というものをもっともっと大きく総理は開かなければならない。米国から、次から次にえらいのだかえらくないのかわからぬ人が来るが、それは常にソ連の武力侵略の脅威のみことさらに強調しておる。総理はそれだけに目を奪われて、米ソの対立だけに自分の関心を集中しているのじゃないかと思うのです。アジアの各国に一体どうやって総理日本の国を理解させようとするりか、フィリピン賠償を今度やろうと下るようですが、フィリピンの賠償だって、賠償金を予算に組もうとすると、自民党の諸君の火事どろ的なぶんどりによって予算は削られる、こういうような状況になっておるでしょう。そういう線から、アジアに対して一体どういう考え方を持ち、そうして今後問題をどう持っていこうとするのか。国防の基本というものはそういう立場にはっきり立っていなければできないはずだ。米ソの対立にだけ関心のすべてを置いて、そうしてアメリカの先端の基地にある日本が、日本の人力というものをそれに供与することによって、世界の力のバランスをとるのだということを名誉とするような国策であっては、日本のほんとうの発展はとうてい不可能じゃないかと私は思うのです。そういう考え方がしっかりしなければ、国防会議基本方針なんというのは日本をとんでもない危機に陥れるものだと私は思うのですが、この点についての総理のお考えを伺いたい。
  122. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 東南アジア諸国とは、賠償問題を解決しつつ経済の関係を密にしていきまして、相互に国民生活の向上をはかっていきたいと思っております。それによって東南アジア諸国とは平和と共栄の目的を達成できると考えております。
  123. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう賠償に誠意を示すというのはわれわれも大賛成ですが、それとともに日本の現在の行き方の基本を、国防会議考えているような工合に力のバランスをとるのだというふうな立場だけに定めておったんじゃ、東南アジア各国は日本の立場をすなおに受け入れないだろう、こう思うのです。高碕経審長官は去年バンドン会議に行かれたが、日本の立場は残念ながらお客様扱いであった、しかしながらバンドン会議に集まった色の黒い、黄色い人間の独立への叫びあるいは平和への叫びや雰囲気に、高碕長官も同調せざるを得なかったといって平和憲法にまで言及しておる。そういう世界の新しい状態に対して、私たちは賠償という金銭的なものを越えた新しい考え方を考えなければならない。日本はかつてアジアの一番先進国だとか、アジアを解放するといって侵略したことは事実だ。これに対して、金銭的な賠償以外に新しい行き方をとっていくことが賠償の本質であると私は思う。そういう立場を総理はどう考えられるか。
  124. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 東南アジア諸国は日本を恨んでおるという形はございません。日本が賠償問題を解決していけば、最も日本を信頼して協力をしてくれる諸国だと思っております。
  125. 西村力弥

    ○西村(力)委員 日本を恨んでいないとあなたは言われますが、そんなことで東南アジアとの友好、日本のアジアにおける地位というものは確立できない。恨みとは思わないけれども忘れないという。それはどこでもそうです。そういう言葉を恨んでないなんてそんなに簡単に受け取るのはおかしい。これ以上総理にこの点に関する質問を行なってもしようがないが、そういう立場で政治をやられるとすれば、日本はますますアメリカの尖兵としておだてられるでしょうが、われわれは決してアジアの平和への望みと独立への戦いに一緒に行くことはできないと考える。私は総理のお言葉は、とても総理として託するに足りないまことに危険しごくだという結論を出さざるを得ないのであります。残念ながらこれはやむを得ないことでありますので、以上申し上げまして私の質問を終ります。
  126. 山本粂吉

    山本委員長 薄田君。
  127. 薄田美朝

    ○薄田委員 私は総理質問申し上げたいと思います。自衛隊は最近非常にすくすくと成長しているように思います。私は警察予備隊、保安隊の当時からいろいろの状況を見まして、このごろは大へんいい状態であると思っておりますが、しかしながらまだまだ民間の人が自衛隊にどうも親しまない。例をいえば、演習の場合なんかにもいろいろ文句を言って妨害をするというふうな状況でありまして、どうかして自衛隊と一般大衆とを親しませたい、こう思うのであります。一般が自衛隊に対してそういうふうな態度をとっておりますから、自衛隊の隊員も何となくいくじがなくなって、自分たちがほんとうに防衛しておるというふうな考え方が少ないのであります。そういうふうな状況下におきまして、私は再々経験したのでありますが、たとえば小学校における運動場なんかの整備の際に、自衛隊のブルドーザーが出て数日の間に運動場を整備するというような状況、あるいは水害とか大火の場合などに自衛隊がいち早く出動いたしましてずいぶん貢献しておる。そういうことにおきましては非常に自衛隊と一般との間が親しくなって非常にいい状況であります。そういうことから考えまして、私は前にも防衛庁長官にそんな質問をしたのでありますが、自衛隊では現在膨大なる施設部隊というものを持っておるのであります。この施設部隊が今は自衛隊の演習やいろいろの行事に差しつかえのない程度において応援するのでありますが、この施設部隊というものをもっと大幅に、道路の建設とかあるいは農地の改良とかいうふうな方面に、今のような消極的な程度でなしに、国全体に大幅にやって行くということによりましてこの関係が非常にうまく参る。同時に道路の建設関係や大きな施設の進捗にも貢献する。この問題はただ防衛庁長官だけの考えではなかなかそうはいたされないと思うのであります。この際政府が一つの大きな方針を立てて、そうして自衛隊の施設部隊が従来よりも大幅にそういう問題にある程度の精力を集中していくというふうなことにいたしましたならば、自衛隊と一般大衆との間の融和の点も非常によくなって参ります。一方におきまして国の建設に貢献するというふうなことで、一石二鳥といいますか、非常に効果が上ると思う。こういう問題は一つ総理にしっかり考えていただいて、総理からそういうような方策を各省の方に徹底させるというふうなことが、非常に大事ではないかと思うのであります。総理大臣の御意見並びに御決意を一応お聞きしたいと思っております。
  128. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ただいまの薄田君のお話は非常にもっともなことだと思います。自衛隊は災害の際の派遣のみならず災害の際の派遣は御承知の通りに北海道の岩内にも、能代にも派遣いたしました。派遣のみならず土木工事等につきましても、部外からの要請があった場合はできる限りこれに応ずることとしておりますから、あなたのおっしゃるような方針でやっておると船田長官もただいま申しております。今後もその方針でやっていきたいと考えております。御趣旨のように平常時にあっても自衛隊を広く国土建設のために役立たせることも必要と思うのでありますが、さらによく検討いたします。
  129. 薄田美朝

    ○薄田委員 今の総理のお話を承わって非常に安心いたしましたが、どうか総理はもう少し――自衛隊だけじゃなかなか思うように参らぬ点があるのであります。政府全体としてそういうふうな空気に持っていっていただきたいと思います。  第二には本委員会でも、アメリカからあるいは船とか航空機とか武器なんかの貸与を受けるとか譲与を受けるとかいうふうなことについていろいろ質問がございます。そのものは大体アメリカの古いものでございまして、今の戦争、今の防衛力には十分に効果を発揚しないというふうな質問が再々あったのであります。私はそれは当然じゃないかと思うのであります。というのは艦船とか航空機とかいうふうなものは最新式のものでありまして、外部に漏洩し得ざるものが多いのであります。しからばわが国におきましてはそういうふうなものの譲渡を受けるとか、貸与を受けた場合に受け入れ体制が十分か、こう思いますと、私は十分じゃないと思う。というのは、そういうふうなものに対する昔の軍機保護法とか、要するにそういうふうなものに対する法規が十分でない。公務員につきましてはそれぞれ公務員の規定によっていろいろの制約があるのでありますが、一般に対してはそういうふうなことに対する取締り法規がない、そういうふうな状況ではいかにこちらがいろいろ向うに相談しても、向うとしては最新式のものをこちらに譲与するとか貸与するとかいうことは非常に困難じゃないかと思う。私はこういう際にまことに大事でありますので、ことに今スパイ活動というものが非常に大幅に行われておるのであります。政府といたしましてはこういうふうな問題について何らかの法規を制定して、そういうふうな軍機といいますか、そういうふうなものを防衛する、防ぐというふうなことについての法規的な措置を考える必要がないかどうか、そういうふうなことにつきまして総理の御意見を承わりたいと思います。
  130. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 現在は日米相互防衛援助協定等によりまして、米国から供与されておる兵器等で秘密のあるものは、秘密保護法によって秘密の保護の措置を講じておるのであります。この法律によって十分やっていけると考えております。御趣旨の点はさらによく検討させたいと思っております。
  131. 山本粂吉

    山本委員長 関連質問だそうですから、一問だけお許しいたします。受田君。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 今の薄田さんの秘密保持に関連してお尋ねいたしますが、この国防会議構成法案の第五条にあるところの、私昨日お尋ねしたことに関係して議員が秘密を破った場合、処罰する規定がない、罰則がない。ことに、あなたが心配して民間人を入れなかった理由は、秘密が漏洩するからだとわれわれはしばしば聞いておるのです。民間人がこれに入ったために秘密が漏洩するというが、第六条のその他の関係者会議出席させることについては、船田さんから石橋君に対して民間人を含むという答弁があった。そういう民間人が入ったために秘密が漏洩する場合の責任はどうなっておるのか。罰則規定もないし、またそれらに対する何らの措置がされてないようなこの法文をどう処理するかを御答弁願いたい。
  133. 船田中

    船田国務大臣 本問題につきましては、会議出席された方の良識に訴えるという以外に道がございません。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 はなはだ不手ぎわなことであって、秘密漏洩を心配して民間人を入れないという理由にもこれはならぬと思うのでありまするが、もう一つ続いて、防衛出動決定をする順序は、まず国防会議諮問される。それから内閣総理大臣閣議に諮りまして、そうして総理大臣が出動命令を出すという順序、国会が開かれておるときなら国会に諮るということになるのですが、国会が開かれておらないとき、直ちに総理大臣が特権をもって出動命令を出すということでなくて、早急に臨時国会を召集するという手続をとって、国会意思を尊重する手続をとるかどうか、総理に御答弁願いたい。
  135. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 今あなたのおっしゃるように、国会はできるだけ召集して、国会の承認を得たいと思っております。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 国会の承認を得るために、国会閉会中は直ちに国会の召集手続をとるという今の総理の御答弁で、国会意思を尊重して、国会の承認を得てなるべく出動したいという意味をあなたはお考えというふうに了解してよろしゅうございますね。――しからば国会に承認を事後に得る場合、たとえば一度出兵した、国会では承認されなかった、直ちにこれを引き揚げるというときに、行政協定二十四条によって、あちらさんとの関係で縛られた場合に、こちらの部隊だけ引き揚げることが共同作戦でできますか。
  137. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私はそういう場合を想像してちょっと答弁しかねます。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 想像して答弁しかねるということでありますが、もう一つ、自衛隊法の七十六条には、武力攻撃のおそれある場合というのが一つ入っておる。七十七条には防衛出動待機命令を出すということが書いてある。こういうおそれある場合とか七十七条の待機命令というものも、当然この国防会議審議の対象になると思うのでありまするが、防衛待機命令の場合の方は入るか入らぬか、これもあなたの今度作られる国防会議ではどうですか。
  139. 船田中

    船田国務大臣 ただいまのような場合は入りません。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは防衛出動を命ぜられる特権を握っておられるのです。今度の法律により、また今までできた法律により、あなたは非常に大きな権利を握っておられるのでありまするが、あなたの命令一下日本軍の全部もしくは一部が出動した。そういう全部の出動と一部の出動の二つの場合があるわけでございますが、その出動した場合に、今あなたはそのことは答弁の限りでないと言われた。アメリカ軍との共同作戦の場合以外に、あなたの単独命令でこの七十六条の出動をなし得る場合がありますかどうか。
  141. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 それはあり得るでしょう。仮定の質問に対しての答えは非常にむずかしいのですけれども、そういう場合はあり得ると思います。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 七十六条により総理総理の権限をもってアメリカに何ら了解を得ることなく、行政協定二十四条の規定によることなく、単独に外部の武力攻撃に対してあなたの命令一下、国防会議の承認を得て、出兵をし得ると今御答弁になったわけであります。外部からの武力攻撃に対する出兵の場合は、行政協定二十四条の束縛を受けないのですか。
  143. 船田中

    船田国務大臣 そういう場合は行政協定二十四条によりまして、日本政府とアメリカ政府との間において、いかなる共同措置をとるかということにつきまして協議をすることになるわけであります。
  144. 山本粂吉

    山本委員長 受田君、どうぞその辺でおしまいにして下さい。
  145. 受田新吉

    ○受田委員 これで終ります。総理大臣、あなたは近ごろ非常にお元気で、にこやかにしておられるから、きょうあなたは少々おしゃべりになったが、この法案の審査にはもう御出席にならぬでしょう。ならぬから今の一つ疑義があるところをお確め申し上げておきたいのですが、今船田さんは行政協定二十四条の束縛を受けるのだと仰せられておる、あなたは自衛隊法七十六条において、あちらさんの何らの干渉を受けることなく、あなた一人の命令で外部の武力攻撃に対して防衛出動をなし得る、外部の武力攻撃に対して、あなた一人の命令で日本の自衛隊を出動せしめ得ることを、あなたは明言されたのでありますが、この点船田さんとの見解に相違がありますが、いかがですか。
  146. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 防衛出動日本だけでやれると私は思います。
  147. 受田新吉

    ○受田委員 船田さんもいいですか。
  148. 船田中

    船田国務大臣 ただいま総理大臣の御答弁になった通りでございまして、防衛出動総理大臣が命令し得ることになるわけです。
  149. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは外部からの武力攻撃という場合には、日本の領域に外敵の侵略があった場合においては行政協定二十四条の束縛を受けませんか。受けないということではっきりしてくれれば私は安心だと思うのです。
  150. 船田中

    船田国務大臣 そういう場合におきましては行政協定二十四条によりまして、日本政府とアメリカ政府との間において、いかなる共同措置をとるかということについて協議をすることになります。そうして日本の自衛隊はただいま総理大臣が御答弁になりましたように、日本の憲法と国内法規に従って出動もされあるいは有効なる防衛手段を講ずる、こういうことになると思います。
  151. 山本粂吉

    山本委員長 暫時休憩いたします。午後は二時より再開いたします。    午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十二分開議
  152. 山本粂吉

    山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。茜ケ久保君。
  153. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 きょうはおもに外務大臣に質問する予定でありましたが見えませんので、まだたくさん長官に御質問することがありますので、その中の一、二点を外務大臣が見えるまでお尋ねいたします。  防衛庁は試案ではありますけれども、長期防衛計画を御発表になりまして、この委員会でもたびたび問題になりましたが、それと関連して私が長官にお聞きしたいことは、長官は防衛庁担当になられましてあと、私ちょっと雑誌の名前忘れましたが、長官自身の私案というようなものを御発表になっておるようであります。いわゆる三・三・三の比率と申しますか、陸軍十万、海軍三十万トン、空軍三千機、こういった発表を月刊雑誌にしておられますが、防衛庁の長期計画等はもちろんこれは関係のないことだと思いますけれども、防衛庁の長期計画日本の現在置かれた国際的な立場あるいは日米安保条約等による問題、さらに経済等の観点から、一応非常な制約下にあってのあるいは試案と考えますが、ここに発表されました船田長官のいわゆる三・三・三、陸軍三十万、海軍三十万トン、空軍三千機といったようなものは今でもやはり長官として諸般の情勢が許せば、こういった一つの目標が日本の防衛責任者として至当とお考えかどうか、承わりたいと思います。
  154. 船田中

    船田国務大臣 今御質問の点は、これは月刊雑誌に発表したものでも何でもございませんが、おそらくどこかの通信社に行って話をしたときに、諸般の情勢を見、かつ日本独力で日本を守るということにつきましては、かなり前から日本においても各方面で研究されておりまして、経済団体連合会とかあるいは日経連とか商工会議所、あるいはその他の防衛に関心を持っておる人たちの研究もございます。そういうようなものを大体見て参りますと、今お話のように、陸上三十万、あるいは海上艦艇三十万トン、飛行機三千機というくらいのところが常識になっておるようだ、こういう話をしたような記憶を持っております。私がそれを確信を持ってこれならば日本の防衛はできるとか、あるいはそれを達成したいとかという趣旨において述べたというよりも、むしろ大体方々の研究を総合するとそこらのところが目標になるのじゃなかろうか、こういう意味において申したように記憶いたしておる次第でございます。
  155. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 長官の防衛担当責任者としての確信の持てる数字ではない、一応一般的な、いわゆる第三者的ないろんなところで話し合われ発表されておる数字である、こういうふうに聞きました。それが一応常識的には日本の防衛力の一応確信を持てる点であろうということでありますが、そういたしますと、現在防衛庁で試案としてお出しになっておるものとは大体倍程度のものと思いますが、こういうものが長官の確信でないとしても、一応世間で、しかも経団連とかあるいはそういったような日本の経済界の首脳者たち考えている一つの線とすれば、これは大体日本の国力その他を勘案して話し合われ、またこういった検討がされたと思うのでありますが、長官としての、その自分の私案としての責任という立場でなくて、今ここにはからずもこういった数字が出ているのでありますが、長官としてはこういった出ております数字に対して、責任のということではなくても、大体日本の現在の状態から考えて、このくらいの数字ならばやや、現在政府がお考えになっている急迫不正の侵害等が起った場合でも独力で防衛し得る限度であるというようなことを、これはあまり防衛庁長官として絶対的な責任という意味においては答弁できないと思いますから、これは私も遠慮申し上げまして、軽い意味でこのくらいのところならば大体責任を負えるのではないかといったようなことが長官自身言えるかどうか、一つ軽い気持でけっこうですが、この点お聞きしたいと思うのであります。
  156. 船田中

    船田国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、経団連とかその他の経済団体あるいは防衛に非常な関心を持っておる方々の研究を見ました場合に、そこらが大体一応の目標になるのではなかろうかというようなことで申したのでございまして、それで果して日本の防衛が独力でできるか、あるいはそれを私として達成する考えを持っておるかというようなことの御質問でございますと、私はそれについては、それならよかろう、そういうことを達成したいということを申し上げるだけの確信はないのでございます。
  157. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 私もこの点についての長官の御答弁は無理にお聞きしようとは思いません。軽い意味でもしおっしゃれればと思ったのですが、それは無理ないことです。そういたしますれば、私どもが考えますと、これは御承知のように、申し上げるまでもなく自衛隊の増強、再軍備の線は絶対反対でありますから、一兵たりとも必要とは考えませんけれども、現に政府は自衛隊を増強され、参議院も通過しまして着々三十一年度の増強計画が進行するわけであります。そこでたびたびいろんな形で質問がなされたのでありますが、まだ残念ながら防衛庁の立場から、いろいろな経済的関係もございましょうし、いろいろな対外的な問題もございましょうけれども、あるいはまた国防会議ができてからそれに諮ってということもありましょうけれども、それはそれとして、防衛庁当局として日本防衛の責任を一応日本自身において担当する。憲法調査会の点等につきましても、自民党の諸君や政府御当局は常に独立した日本ということを御強調なさるのでありますが、また私どもにもそれに対していろいろな論議がありますけれども、自民党あるいは政府の立場で、一応独立した日本とおっしゃる以上、また防衛の責任がどうしても必要だとおっしゃるならば、あくまでも独立日本にふさわしい日本独自の防衛体制を持つことがそういう建前から正しいと思うのであります。そういたしますと、やはりここらあたりで日本は最小限、しかもこれならば一応確信が持てるという防衛力の限界というものをお示しになる必要がある。防衛六カ年計画を出したとおっしゃるけれども、あれでは幾ら質問申し上げても、日本独自において防衛するという責任のあるものではないということになります。私どもは少くとも独立日本と呼号され、憲法すら独立した日本にふさわしい憲法に変えるとおっしゃる以上は、防衛もまた独立日本にふさわしい、いわゆる日本独自の防衛のできる一つの線というものをここに明示される責任と義務があると思うのであります。数字は別として、ここらあたりで船田防衛庁長官から、経済上の問題もありましょうし、いろいろな情勢もございましょうが、防衛担当責任者としてこのくらいの防衛力が一応最小限度の限界だという、一つのアウトラインをお示し願うことが大へん好ましいと思うのです。これは一つ御遠慮なさらずに、はっきり構想を御明示願いたいと思うのですがいかがでしょうか。
  158. 船田中

    船田国務大臣 防衛計画の目標及び限界をなるべく早い機会に国民の前にはっきりさせるということは、私もその必要はあると存じます。さればこそ長期防衛計画というものを立てまして、それを政府の確定した案として国民の前にはっきり示すことのできるようにいたしたい、こういうつもりで努力しておるわけであります。そこでその目標はしばしば問題になっておりますいわゆる昭和三十五年度に達成すべき最終目標、これが一応今日立てます目標であり、また同時にそれ以上非常な大きなものを考えておるのでないという一つの限界にもなることと存じます。もちろん政府案としてこれを確立するまでには、国防会議にもかけまして、十分あらゆる方面から検討を加え、慎重に考慮いたしました上で立てて参らなければなりませんが、しかしそれができますれば、一応これでもって昭和三十五年に達成する限界というものがはっきりするわけでありまして、むやみやたらに国力に不相応の防衛力を持つものでないということも、国民にそれによって理解していただけることと存ずるのであります。
  159. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 きのうの鳩山総理の御答弁を聞いておりましても、国民の総所得の二・二%をこえざる防衛力ということをおっしゃっていましたし、いわゆる経済的な面から一つの防衛力の限界をおきめになることも、国民感情に訴える上から私はわかるのであります。しかし防衛力をある程度持たなければ独立国としての体面が保てぬとか、あるいはまた急迫不正の侵害が起った場合に、これを何とか処置するための用心のために持つ程度のものであるならば、私はそう急いでやることもないと思う。先般船田長官に私がソ連や中共というものをアメリカは当面の仮想敵国としている、日本の場合はどうかと聞いたのに対して、日本の場合にはそう思わぬということであります。そうなりますと、私どもが考えますと、どうしても日本が今急いで戦力を持たなければならぬという現実性はないように思いますけれども、政府ではそれを強行されようとしている。やはりこういった防衛力をお持ちになる以上は、もちろん経済力の問題もありましょうし、国民感情もありましようけれども、こういった事態が起る可能性があるから、これに対応してはどうしても防衛力を持たなければならぬという一つの根底によって防衛力を増強なさるのでありますから、国民に安心感を与える、これだけの兵力を持つならばどんな侵害があっても日本を安全に守り得るという確信のあるものがなければ相ならぬと私は思うのです。私ども立場は違いますけれども、やる以上はちゃんとやっていけるという確信の上に立ってやってもらわなければいかぬと思うのですが、今までお聞きしたところではそうしたものがない。その裏には日米安保条約、日米行政協定によるアメリカの援助というものを大きく期待されているようでありますが、この点に対しては外務大臣に別個少しくお尋ねいたしたいと思います。それであるならば、日本人がだれしも要望しておる日米安保条約の廃棄ないしは駐留軍の完全撤退ということは、ほとんど永久的にできないという現実に逢着するわけであります。片方では駐留軍を撤退させ、あるいはアメリカとそうした立場で縁を切って日本が独立国にふさわしい防衛力を持ち、どこから見ても日本は完全な世界の独立国であるという一つの体制を整え、またそういった具体的なものを作るということを言い、自衛隊を増強されておりながら、片方においてはアメリカの海軍、空軍等が、ほとんど永久的に日本を占領状態に置くということは、私は日本の大きな悲劇であると思います。ところが今の状態で参りますと、私どもの非常に憂える点が現実に現われつつある面があるのであります。そこでこれ以上長官にお尋ねしてもおそらく的確な御答弁もないと思うのでございますが、責任を持って防衛の任にお当りになる防衛庁長官としては、国民に対してはっきりと、任のとれる防衛力の限界点と、これに対する確信のある計画を発表して、国民に信をお問いになることが必要であると思うのであります。これが誕生した暁にはぜひそういったことをお立てになることが望ましい。これは一つの要望として申し上げておきます。  きのう防衛計画のいろいろな費用の点が論議されましたが、私ちょっと中座しましたので、もしだれかの質問がございまして、それに対する答弁がありましたらこれはけっこうでありますが、現在防衛庁で用意されている長期計画が三十二年度に一つの第一次目標を終るわけですが、それが終るまでのいわゆる三十二、三十三、三十四、三十五あと四カ年間に対する経費の総額というものは、今物価の変動等もございましょうけれども、現在の経済情勢から推して三十五年度、いわゆる一応試案が完成するまでの計画の経費の総額がわかっておったら一つお示し願いたい、こう思うのであります。
  160. 船田中

    船田国務大臣 ただいま茜ケ久保委員の御質問の点は、実は昨日井手委員からも詳細な御質問がございましてそのときにも総理及び私からもお答え申し上げておったのでございますが、三十五年度に防衛庁試案の最終目標を達成するときに、どれだけの防衛庁費になるかということは、これはそのときにもお答え申し上げましたが、たとえば艦船あるいは飛行機等につきまして、その種類、数量等がまだ具体的にきまっておりません。それから初度調弁に属します兵器類、艦船、飛行機、その他の装備品につきまして、相当多くのものをアメリカ軍の供与に待つことになっておりますので、それらの点を十分検討いたしませんと、はっきりした数字ができておりません。遺憾ながら現在におきましては、三十二年度から今お示しのような三十五年度に至る年次計画及び最終達成目標の内容について、具体的にまだ数字がきまっておりませんので、従って総額においてどれだけかかるか、また年次計画において三十二年度、三年度の経費がどれだけになるかということは、今のところまだ申し上げ段階に達しておらない、これから十分検討して参りたいと存じます。
  161. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 防衛庁長官への質問は、またあとで与えられた暗闘がありましたらいたしますが、外務大臣にお尋ねいたします。  外務大臣には、防衛計画と日米安保条約並びに行政協定の点について、私は第二十二国会においてもいろいろお尋ねしたのでありますが、第二十二国会から今国会に至りますまでに、国際情勢の変化もありましょうし、さらに日本の自衛体制の強化も寿々政府の御予定になっておるように進んでおりますが、当時防衛計画の遂行と日米安保条約の内容であるアメリカ駐留垣の撤退等についていろいろ御質問したのでありましたが、やや最近になりまして、その様相もだんだんはっきりして参りましたし、特に船田長官のたびたびの御答弁によりますと、昭和三十五年度長期計画が一応完了した際には、アメリカ駐留軍の撤退する基礎ができるというような御答弁もあったのであります。私どもはたびたび指摘しますように、日米安保条約というものに対してはもちろん反対ではございますけれども、厳としてあります以上は、これは一日も早く撤廃されることを希望しておりますし、撤廃されないまでも、やはり国際情勢の変化と日本の自衛体制の強化が相進行する過程において、いわゆるあの日米安保条約を締結された時代とは非常な差異がございますので、私は一応この辺で日米安保条約並びに行政協定、特に軍事基地等の非常に重大な関連のある行政協定等は、一応内容を検討して改訂する時期に到達しているのではないか、このように思うのでありますが、外務大臣はその点いかようにお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  162. 重光葵

    重光国務大臣 私はこの問題については、ずいぶんたびたび、この委員会ではなかったかもしれませんが、私の意見を申し上げました。元来安保条約、行政協定なんというものは、私は日本として十分に独立を完成し国の力ができるならば、これは改訂しなければならぬ問題であると思います。またそういう頭をもって進めていきたいのでございます。しかしながらこれは、そういう準備ができなければやるべきことじゃございません。国防の全体から言ってみても、これは慎重に考えなければならぬ。そこで目下はその準備を急いでおる時期でありますから、今日直ちに改訂の時期が来ておる、こう私が判断して申し上げるわけには参りかねるのでございます。
  163. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 外務大臣として、現在まだ日米安保条約ないし行政協定は改訂の時期でないとおっしゃる。それは国力の充実、それにはおそらく防衛力の充実もあると思うのでありますが、そうしますと、たびたびお尋ねするように、また今も私は船田長官お尋ねしたのでありますが、日本が独立国として体裁を整え、また防衛の責任も負うというのは一体どこでそれをきめていくかということをお尋ねすると、なかなか確信のある御答弁を得られない。今外務大臣に日米安保条約並びに行政協定の改訂についての御意見を伺うと、国力が充実しなければならぬとおっしゃる。ではその行政協定あるいは安保条約の内容を変えるだけの基礎的な、あなたのおっしゃる国力というものは一体どこにあるのか。ただ国力々々とおっしゃっても、やはり具体的な一つの基礎がなければ、どこまで行ってもまだできない、まだできないでは国民は困るのであります。ある一定のめどがなければならぬ。そのめどというものをお示しいただかぬと困るわけです。私どもはもちろん反対でありますから、これを廃棄しなければならぬと思います。しかしそれは私どもの一応の言い分でありまして、ちゃんとある現実は無視できないのですから、そこで第一段階として、至急にこの内容を変えていって日本が一方的な負担を感じるような、現実には経済面もありますが、政治的な負担が非常に大きいのであります、こういう面を幾らかでも軽くし明るくするだけの努力がなければならぬと思う。それには今あなたのおっしゃる国力というものを具体的にお示しになって、どのような日本の国力ができた場合にそういう段階に達するのか、これはやはりお示しにならぬと困ると思うのであります。ただ無責任にまだ国力が整わぬでは私はいかぬと思う。この辺外務大臣としてのお考え、日米安保条約の内容の改訂を日本がアメリカに対して申し込み、これにアメリカが応じて、この実現ができるというための日本の国力はどういう状態か、という具体的なあなたのお考えを承わりたい、こう思うのであります。
  164. 重光葵

    重光国務大臣 そういう問題に政治根本に関する問題であります。国力が一体どういうところまで来れば安保条約を改訂すべきか、日本国防方針を変えるかということは、これは政治根本の問題であります。これはどこできめるかいうと、私は国論によってきめるべき問題だと思います。今、私がそれでは幾ら兵隊ができたならば、こうすべきだということを言ってもこれは私見にすぎません。それがそのときに果して、日本国民全体としてもう国防計画を変えるべき時期だといって認めるかどうかはわかりません。それはそのときにはっきりと政治家も国民も力を合して判定をして、このくらいで国防関係を変えていくべき問題だ、こういうふうにいくべき問題だと思うのでありまして従って結局その判定は全体の政治の問題として、きわめて概括論になるべきものだと思います。その概括論を今日これにあてはめていけば、私は今日はまだその時期ではない、こう申し上げておるのでございます。そういう時期がきましたならば、国民的判定によってこれはきまり得る問題だと考えております。
  165. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 外務大臣の答弁はちょっと私どもにはうなづけない言葉をおっしゃるが、国民的な意見とおっしゃいますが、外務大臣のおっしゃる国民意見というのは何で判定するのか、国会国民の代表であり、政府はそれを代表する機関であります。政府が一応判定をし、これの基礎を作って出さなければ、国民の大半がそんなことを言っておるということはありません。それはあなたおかしいと思う。責任をもって政府が判断をし、ちゃんと基礎を持っておるのだから、それによって作ってやらなければ、国民の何かばく然たる考え方ないしは意見ということはおかしいと思う。その点は、外務大臣は副総理である。内閣責任者ですから重大な責任を負っている外務大臣がそれではおかしいと思う。もっと確信をもってはっきりしたものをお出しになる必要があると思う。どうも最近重光外務大臣はなかなか国会答弁がお上手になられたという評判で最近ばかに質問をおぼかしになる。それでは困ると思うのです。私どもはだんだん長くなると少し変になりますから、ことに重光外務大臣の上手な答弁にごまかされがちになってしまう。今の御答弁では困ると思う。国民の世論とおっしゃるが、それはだれがきめるかはっきり具体的にお示し願いたい。
  166. 重光葵

    重光国務大臣 おほめをいただいたような、おしかりをいただいたような御質問でございました。しかし実はさような大きな問題これは根本の御質問です。そういう根本の問題について、それならば国力は一体輸出入がどれだけになり、兵力がどれだけになってどうなるということを今かりに申し上げたとしても、私はそれはお答えにならぬと思います。今日は安保条約を改訂すべき時期ではないと判断する。主として外交的に判断する。こういうことは御参考になると思います。何となれば私の答弁責任大臣であるからでございます。しかし安保条約を将来長い間を見るというと、これは改訂の方向に向けていかなければならぬ問題だと思います。それをどういうときにやるかということは、今日なおそれを数字的に言わなくもいい問題だ。それは概括的に国力が充実しなければだめだ。準備ができた上でやる。その準備を急ぐのが今日の方針でなければならぬ、こう申し上げておるのはいわば常識的のお答えじゃないかと考えております。御批判をどうぞお願いします。
  167. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 ここで重光外務大臣の御批判をしても始まりませんが、私は今の御答弁では不満であります。不満でありますが、これ以上言ってもあなたもおそらく同じことを繰り返すだけでありましょう。今同僚の方からも関連がありますからやめますが、そこでお尋ねしたいのは、私どもは日米安保条約を、アメリカが非常な好意をもって日本を防衛するために作って、しかもそのために駐留軍が日本におるとは考えておりません。これはたびたび指摘した通りです。鳩山内閣並びに重光外務大臣はまことに日米安保条約を金科玉条のごとくお考えになって、何かアメリカが日本を非常に大事にして守ってくれるような、非常にありがたい、昔の勅語みたいにお考えになっておるようです。おそらく日本人としてそういうことを本気で――外務大臣としてアメリカがほんとうに親切に、あくまでも日本を守ってやるという親心から日米安保条約を作り、しかもそれに基いて日本をあくまでも守ってやるという立場で、駐留軍がおるというふうに答弁その他ではおっしゃっておるが、重光外務大臣は今でもやはりそういうふうなお気持でいらっしゃるのでありますか。日米安保条約はほんとにアメリカが親切心から、日本を守っててやるために作り、そのためにまた駐留軍が六百何十個所という膨大な基地を持ち、四億一千万坪というまことに膨大な土地をアメリカ駐留軍は使用しておる。ほんとうに日本がかわいくってああいうふうにおるというふうに重光外務大臣はお考えになるのかどうか。この点はどうも私は何べん考えてみてもわかりませんから、ここでもう一ぺん重光外務大臣から、アメリカのそういったものをどう考えておるか、お答え願いたい。
  168. 重光葵

    重光国務大臣 国際関係を論ずるに当って、他国がかわいいからどうだというようなことが基礎になる、そういうことが問題になるということは私は実は了解いたしません。むろん国家間のことでございます。国家間のことでございますから、今の国際関係においては利害関係が骨子となることは当然のことでございます。
  169. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 私のお聞きしておるのは、いわゆるアメリカと日本の立場、さらにまた防衛問題となるソ連との問題――はっきり申し上げて、私どもはもちろん自民党の諸君考えるようにソ連一辺倒でもなければ、ソ連と何ら関係もございません。ただアメリカに対するいわゆる自民党あるいは鳩山内閣の立場に対しては批判を持っております。ソ連にも批判を持っておる。私がお聞きしたいのは、日本がかつて日満議定書を作りました。満州事変から満州国を作って日満議定書というものを作りました。これは外務大臣よく御承知だと思う。この日満議定書というものを作りまして、今までは満州軍というものを満州に置いて日本が防衛いたしておりましたが、だんだん困ってきたので、満州事変を起して満州国を独立させて、日満議定書というものを作ってきた。この自満議定書は、おそらく重光さんも日本人が満州国を作って、満州国の国防を担当するために関東軍を置いていたのではないと思うでしょう。私どもはそう思っていた。あれは日本防衛の第一線であろうために関東軍をあすこに置いたので、決して満州国を守るためではない。ちょうど日米安保条約は昭和七年当時の日満議定書と相通ずるものがあると思う。むしろ内容から言ったら、日満議定書による日本と満州の立場よりも日米安保条約によるアメリカと日本の立場はもっと深刻だと思う。こういう点から考えると国民はもう日本人という血によってアメリカの野望を知っておる。しかし政府はいかにもアメリカが日本を――これはあなたは外交上そういうことは言えぬとおっしゃるかもしれぬけれども、親切から日本を守るために日米安保条約を作ったとは思っていない。それを政府はいろんな言葉でごまかしていらっしゃる。そこで私はこの辺がはっきりしてくれば、あなたがさっきおっしゃった日米安保条約、行政協定を改訂し廃棄する、国力を充実する一つ国民的な力もまた反面沸いてくると私は思う。ところがあなた方はすべてをごまかしてきていらっしゃるから国民には何もわからぬ。わからぬから依然として敗戦当時からの国民的な感情がそのまま来ておる。この辺で私はいわゆるあの目満議定書当時のことを思い出して、アメリカと日本の立場をはっきりして、そして国民がここで日本民族のさらに発展への基礎を作る時期じゃないかと私は思う。そういう意味で私は先ほどからこの日米安保条約の改訂について御質問しておるのでありますが、これをあなたから私が無理にお聞きすることはできないでしょうが、そういった観点から日米間の今の状態、ただアメリカありがたいといったことでなくて、アメリカ自身の日本に対するいろいろな実態をはっきりさして、その実態を知らして、国民自身の良識とそして日本人としての一つの立ち上りを盛り上げる時期ではないか、私はこう思うのでありますが、外務大臣としてはいかようにお考えになっているか、この点お聞きしたいのです。一つごまかさずに。
  170. 重光葵

    重光国務大臣 初めからごまかしと断定されるなら私はお答えする必要はありません。私は重大な国家の問題として議論をするわけでございます。私は先ほど申し上げた通りに、アメリカが日本がかわいい、いかにもネコの子でもなでるようなつもりで日本国防を負担をしておる、そういうことではないと私は思う。これは日本から見ればもちろんのことでありますが、アメリカから見ても利益になることであります。利害関係の一致することがこういうことになっているのだと私は考えます。そうであるとするならば、日本をその利益のおもむくところによってこれを評価して忠実にそれを処理していくということは私は国家の利益だ、こう考えます。そこで安保条約などは先ほど申す通りに、私はこういうものは日本の力と申しますか――語弊があれば御了承願いたいのでありますが、すべての準備が独立国としてのりっぱな体制を備えていくことができるときにおいてできるだけ早くかような条約は変えるべき問題だと思う。しかしそれには準備を要します。どれだけ長い間の準備を要するかということは、日本努力に関係するわけでありますから、今はっきりと判定を申し上げるわけにはいきません。一つ一生懸命に努力してみて早くその域に達するようにすることが今日の政策の大きな要諦である、こう私は考えておるのでございます。早くその時期を持ち来たすべく努力しなければいかぬ、それによって国民努力、力が沸いてくる、私はそう考えます。
  171. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 外務大臣なかなかいい御答弁をなすったのでありますが、そこでお聞きしたいのは、日米安保条約並びに日米行政協定によるアメリカの利益、そういうものを私は具体的に、アメリカが日本と安保条約を結び行政協定を結んでおいて、アメリカがどのように利益があるのか国民は知らないですよ。あなたは利益があるとおっしゃった。アメリカは日米安保条約並びに日米行政協定において利益を得るとおっしゃった。しからばアメリカはこの安保条約、行政協定によってどんな利益を具体的に受けるのか、この点を御明示願いたい。
  172. 重光葵

    重光国務大臣 それはきわめて明瞭であります。日本を直接間接の侵害から守るということはアメリカの基礎的に利益とするところであると思います。
  173. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 そうすると今まで自民党の諸君も政府も国民に対しては日米安保条約はあなたはアメリカがかわいがることは外交上のことで――それはどうでもいいでしょう。しかし非常な好意によって、アメリカ自身莫大な犠牲を負いながら日本に駐留軍を置き、日本を守ってくれるのだ、このようにおっしゃっていた。今初めてアメリカが駐留軍を置くことは、日本を防衛することはアメリカ防衛のためであるということをおっしゃったのだ。これは私は重大問題だと思う。私もそれは今まで常に主張していた。アメリカの駐留軍は日本を守るためではない、日本を守るということはアメリカを守るための一つの方途であるから、日本は完全にアメリカ防衛の第一線であるということを主張してきた。ところが今まではそれを否定していた、自民党の諸君も否定していた。しかし今外務大臣ははっきりといわゆる日米安保条約、行政協定に基くこの利益は、明らかに日本防衛ということはアメリカ防衛のためであるから、アメリカには利益だとおっしゃった。これは重大なことである。私どもが主張したことと同じだ。従ってそう言うのなら日本が日米安保条約の前段によって日本防衛の責任を負うということを言ったならば、当然日米安保条約は廃棄すべき時期が来たと思うのですが、こういう点をさらに重ねて外務大臣から一つはっきりお答えしていただきたい。
  174. 重光葵

    重光国務大臣 どうもごまかすのは私じゃないような気がします。そこであなたは今二点言われました。第一点は日本がかわいいかわいいと言って、好意で日本の防衛をやるのだ、こう今まで言っておるが、好意だけではないじゃないか、もしくは好意ではないじゃないか、利害関係じゃないか、それはお前の言うのがほんとうだ、こう言われることが第一点、その点から申し上げます。簡単に申し上げます。私は好意であると思います。しかし利害関係を背景に持っておるから好意が出るのであります。これが国際関係の普通の状態でございます。  それからアメリカは日本の防衛をやっておるんじゃない、アメリカの防衛をやっておるのだ、安保条約、行政協定でお前はアメリカの防衛をやっておる、こう言ったじゃないか、こう言われる、私はそうは申しませんでした。安保条約、行政協定等によって日本の防衛をやるということは、アメリカの利益であると私は申しました。日本を直接、間接の侵害から守るということはアメリカの利益である。しかしそれが日本の利益でないということは言いません。日本の利益と合致するのであります。そこにおいて日米安保条約が出ておる、それで共同防衛の責任ということがここにできておるわけであります。そこでこれは両国の利益が完全に一致するからこういうものができておる。それが一致する間は保存しておかなければならぬ、また必要のある間は保存しておかなければならぬ。今日これの変更を具体的に考えるということはその時期ではないと私は申しました。早くそれを準備すべきで、これが国民の力となって出てくる、こう私は申し上げたのであります。
  175. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 だいぶ今までの外務大臣の答弁とすると発展してきたと思います。その点は、すでに利益論が出てきただけ、私はやはり日米安全保障条約に対する政府のはっきりした態度が出たと思う。そこで先ほどのも質問とも関連してくるのでありますが、私どもはどうしても納得のできぬことは、国防会議のことでもそうでありますし、防衛問題の点がそうでありますが、政府の答弁の中には、急迫不正の侵害といったような、まことにばく然とした抽象的な言葉が出てくる。にもかかわらず、私どもが何か質問すると、仮定の質問には答えられないとおっしゃる。これでは私は困るのでありましてあなた方は自分たち物事をする上には、いろいろな仮定や抽象論を持ってきて、それで具体的なことを進めていらっしゃる、これは重大であります。私どもが質問すると、抽象論や仮定の問題にはお答えできないとおっしゃる。今の外務大臣のお答えでも大体わかります。わかりますけれども、国民としては、この日米安保条約というものは、明治初年の不平等条約よりももっとひどいものと思います。それはあなたから言わせれば、日本も利益を受けるということをおっしゃる。けれども、私どもはそうは考えていない。これは利益どころか、えらい軍事基地がたくさんございまして、国民もこれは非常に困っておる。私どもは利益とは考えませんが、あなた方は利益と考えていらっしゃる。こういうものは、やはり一日も早く改訂することは、外務大臣も御希望なすっていらっしゃると思うのです。ただ国力その他の関係で簡単にいかぬとおっしゃるけれども、これはきょうここでお答えを得ることはむずかしいと思いますから、なるたけ早い機会に政府としてはこれだけの国力になれば、あるいは防衛力の面からいえば、これだけの防衛力を持てば、日米安全保障条約の内容の改訂ができるという確信に到達していただくことが必要だと思います。われわれはいつまでも、そういったあなたの御答弁や政府責任者の御答弁では満足できませんから、きょうは私もこれ以上追求いたしません。従って要望といたしまして、一つできるだけ早い機会に国民の前にそういった具体的なものを示して、これだけのものができれば、一応日米安全保障条約の廃棄は不可能であっても、内容の改訂はできるという、一つの確信ある具体的なものをお示し願いたい、こう思うのであります。この問題についてはいろいろまだ質問も用意してありますが、外務大臣も用がおありでありますし、同僚から関連質問があるようでありますから、そちらに譲ります。また機会を改めて  この問題はもう少し防衛力との関連においてお聞きしたいと思いますが、きょうは以上の要望を申し上げまして、私の質問を終ります。
  176. 井手以誠

    ○井手委員 関連してお尋ねをいたします。実は国防会議については、相当外務大臣は関連が深いので、いろいろお尋ねいたしたいのでありますが、本日はただいま茜ケ久保君の質問に関連いたしまして、一点だけお尋ねをいたします。  それはただいま外務大臣は安保条約の改訂について、改訂しなければならぬと考えておるけれども、今はその時期ではないという御答弁でありました。そこでお尋ねいたしますが、時期ではないけれども、改訂の必要はお認めになっておるようであります。どのようにお考えになっておるか、どの辺をどういうふうに改訂なさった方がいいとお考えになっておるのか、その点をお尋ねいたします。
  177. 重光葵

    重光国務大臣 私今そういうことを申し上げたのは、一般的なことを申し上げてきました。安保条約によって、日本の防衛それ自身が米国との間の共同責任になっております。理想をいえば、日本がこういうことは単独責任でやるべきことだと思います。さような意味においてどういう階段になりますか、全般的にこれは日本の国力が進むとともに改訂すべきものだ、こう思っておることが申し上げたわけであります。
  178. 井手以誠

    ○井手委員 私がお尋ねしておりますのは、時期ではないけれども、改訂しなければならぬ、こういう御答弁でございましたので、それではどのように改訂する必要があるのか、現在はこのように悪いから、こういうふうにしたいというお考えがなくては、そういうお答えが出ないと思います。外務大臣としては直接その衝に当っておられますので、痛感されておることと思います。そこでどのように改訂する必要があるのか。ただいまおっしゃったように、単独責任においてやるということになれば、廃棄ということも考えられるのでありますが、改訂ということであれば、また事は違うわけであります。どのように改訂なさろうとお考えになっておるのか、それをお尋ねいたします。
  179. 重光葵

    重光国務大臣 私はそういうわけでありますから、一般的に考えておると申し上げたのであります。これは必要がなくなったら、廃止するのも一つのやり方でございましょう。しかしそれも極端に言えば、改訂の一つの態様と言っても差しつかえはございません。それに行く道として、いろいろな方法も考えてしかるべきものだと思います。しかし今第何条をどうしようというような御議論ではございませんので、私は一般的にお答えをしておるわけでございます。
  180. 井手以誠

    ○井手委員 私は第何条をどのようにということまで詳しくお尋ねしておるのではございません。改訂の必要があるとおっしゃいましたから、それでは全般的にどのような工合に改訂を希望なさっておるかということを、概括的にお尋ねいたしておるのであります。改訂のことについては、政府においても、あるいは自民党内部にも、それぞれ意見があると思う。ただ改訂は何かしなければならぬだろうというようなばく然たることではないはずであります。大臣はせっかく改訂しなければならぬ必要をお認めになっておりますので、その理由一つお聞かせいただきたい。
  181. 重光葵

    重光国務大臣 私はそれでありますから、概括的にお答えをしておるのでございます。これは将来は日本の防衛責任というものは、日本が独立を完成する以上は、日本の負担が少くとも大部分を占めなければならぬ、こう考えておることをさっきから申し上げておるわけであります。
  182. 井手以誠

    ○井手委員 概括的に私はお尋ねしておるのであります。今の安保条約がどのように工合が悪いからどういうふうに改訂をしたい、おそらくその概括的なことは腹にあるだろうと思うのです。何もなくして改訂の必要を認められるわけはないと思うのです。安保条約の全体としてどういうふうに日本にとっては工合が悪いからどういうふうに改めたいという希望なり意見はあるはずであります。
  183. 重光葵

    重光国務大臣 でありますから概括的にお答えをしておるわけであります。それが概括的であります。それじゃ何かあなたはどういう答えかを予期されておるようでありますから、それをはっきり言って下さい。それならそれでまたお話しします。概括的と言われるから概括的にお答えしておるのです。
  184. 井手以誠

    ○井手委員 予期したわけではございません。何も他意があって申し上げておるのではございません。今改訂の必要があるとお認めになっておりまするので、改訂しなくちゃならぬというその工合の悪い点を御指摘願いたい。またどのように改めたいとお考えになっておるか、その点をお示し願いたいのであります。
  185. 重光葵

    重光国務大臣 今申しました通りに、日本が自分の国防を自分で負担するように少しでも持っていきたい、こういう意味でこれは改訂したい、こう繰り返して申し上げるわけであります。今行政協定のごときは、これは条文についていえばいろいろまたありましょう。しかしそれは今は議論の問題じゃないと思いますから、私はお答えいたしませんし、また私も検討を要します。概括的にそういう工合に私は考えるのであります。
  186. 井手以誠

    ○井手委員 それでは安保条約については日本の国力がある程度に達すれば廃棄してもよろしいというお考えでございますか。
  187. 重光葵

    重光国務大臣 それは程度にもよりますし、そのときに研究検討して、そうして情勢に適応した決断をすべきだと考えております。
  188. 井手以誠

    ○井手委員 そこで先刻お触れになりました行政協定についての改訂と申しますか、改善と申しますか、この点についての外務大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  189. 重光葵

    重光国務大臣 行政協定は、あれは安保条約の細目みたいなふうにしてできております。でありますからいろいろまた改訂すべき点が検討すればあろうかと思います。それはしかし今私にはどの点どの点ということをお答えする用意はございません。
  190. 井手以誠

    ○井手委員 具体的にはお聞き申しませんが、すみやかに改訂した方がいいというようにお考えになっておりますか。
  191. 重光葵

    重光国務大臣 たびたび申し上げました通りに、その時期のくることを希望しますが、その時期はいつくるかわかりません。
  192. 井手以誠

    ○井手委員 おっしゃる時期というのはどういうふうな意味の時期でございましょうか。国力とか自衛力とかいろいろなことがございましょうけれども、どの点でございましょうか。
  193. 重光葵

    重光国務大臣 これも繰り返して申し上げる通りに、日本の国において十分準備のできるとき、すなわちその点は国力の点もございましょう。防衛力の点もございましょう。そういう意味でございます。
  194. 井手以誠

    ○井手委員 これで終りますが、安保条約の改訂について先日あなたの横にいらっしゃる船田防衛庁長官は、憲法の制約があるからなかなかできないということを言われたのであります。これは速記録にはっきりしております。外務大臣その点はいかがでございましょうか。やはり現在の憲法の制約がある、憲法を改正してから改訂するというお考えは外務大臣お持ちでございましょうか。
  195. 重光葵

    重光国務大臣 私はその点はまだ防衛庁長官と十分打ち合せをいたしておりません。どういう法理関係にあるかをよく検討いたしておりません。しかしながら憲法も占領中の憲法は幾多改訂しなければならぬことがございましょう。さようなことを進めていくことが一つの準備となることだと思います。
  196. 井手以誠

    ○井手委員 お打ち合せの必要もなかろうかと思います。外務大臣自身が直接当っておられる安保条約の問題について現在の憲法下に制約があるかどうか、その点だけ率直に御意見だけをお聞かせ願いたいと思う。
  197. 重光葵

    重光国務大臣 憲法の制約と申しましても、それはどの点にどう制約の問題があるかということを、ポイントを伺わなければちょっと返答がむずかしゅうございますが……。
  198. 井手以誠

    ○井手委員 それでは参考までに、防衛庁長官はこのようにおっしゃいました。「安保条約の改訂ということが彼我の間に全く同じ責任、義務を持つ、こういうことでありますと、現在の憲法の制約を受けておりますわが自衛体制においては、なかなか問題が起ると存じます。ですからそういう点を全く問題のないようにして、いわゆる双務的に協定を結ぶといたしますれば、やはり私は憲法改正というようなことが必要になってくるのではないかと思いますが、」このように御答弁になっておる。従って外務大臣はどのようにお考えになっておるか。その点をお尋ね申し上げておるのであります。
  199. 重光葵

    重光国務大臣 重要なことでありますから、よく船田長官と協議をいたしまして私の意見をきめることにします。
  200. 井手以誠

    ○井手委員 それではこの点並びにその他の諸問題については後日あらためて外務大臣にお尋ねすることにいたします。
  201. 山本粂吉

    山本委員長 外務大臣、どうぞ時間の都合でお帰り下さってけっこうです。
  202. 井手以誠

    ○井手委員 主として船田長官にお尋ねをいたします。国防会議事務局構成については大体お聞きいたしましたが、先日石橋委員からも申しましたように、この法律案の重要な柱になっております。そこでこの国防会議構成に関する法律案の政令に関する要綱、あるいはそういうような要綱はすでに私はまとまっておるものだと信じておりますので、この際お示しを願いたいと存じます。
  203. 船田中

    船田国務大臣 国防会議事務局につきましては大体のことは従来答弁申し上げておるのでありますが、政令によって規定しなければならぬのは各省から兼務で出します職員の関係、ことに幹事を置くというようなことについてだけ政令に規定しなければならぬことでございますから、そのことにつきましては、これはまだ政令の案はできておりませんが、国防会議法案通りますれば、これは直ちに手配のできることでございます。
  204. 井手以誠

    ○井手委員 それでは現在のところ政令の要綱はできておらないわけでございますか。ここに提示されることは困難なわけでございますか。
  205. 船田中

    船田国務大臣 国防会議の幹事に関する政令につきましても大体の要綱はできております。一、国防会議に、幹事を置く。二、幹事は、関係各行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。三、幹事は、国防会議審議事項について、議長及び議員を補佐する。四、幹事は、非常勤とする。大体こういうような要綱で政令を作りたい、かように考えております。
  206. 井手以誠

    ○井手委員 何かそこにプリントにしたものがございませんか。政令に盛るべきものは幹事だけでございますか。幹事だけでありましても、聞いただけではわかりにくいようでございますが、何かプリントにしたものがございましたらお示しをいただきたいと存じます。
  207. 船田中

    船田国務大臣 これはプリントにしたものがあります。何も秘密にする必要がございませんから、差し上げます。  それから政令案として用意しなければならぬものはほかにはございません。
  208. 井手以誠

    ○井手委員 どの法律案審議を行う場合においても、政令の要綱については質問を予想して提示されることが多いのであります。特にこの法律案においては国防会議事務局構成がきわめて重要であると私どもは考えております。そこですみやかにその政令案をこの席にお配り願いたいと存じます。
  209. 船田中

    船田国務大臣 今の御要望はその通りにいたします。
  210. 井手以誠

    ○井手委員 ただいま政令案の要綱を拝見いたしました。私は読んだばかりでよく研究する余裕もございませんが、幹事というのは大体どういうふうな役目を持つものでしょうか。
  211. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 一応私からお答え申し上げます。今回の国防会議議員となる大臣を出しておりまする各省並びに直接間接に国防会議に関係があると認められるような各省の次官級の職員の方を幹事にいたしたいと考えております。
  212. 井手以誠

    ○井手委員 その幹事には官房長官か副長官がお入りになるのかどうか、また幹事の役目はどんなものであるか、その点もお示しいただきたいと思います。
  213. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 内閣側からも幹事が入るものと考えております。  それからその職掌は、先ほどの政令案にございまする通り議員たる大臣を補佐いたしまするし、また議員にあらざる関係大臣の国防会議に関する議事その他に関しまして、参加する場合におけるこれが補佐役といたしまして、また各省の連絡機関といたしまして、これらの次官級の方々が幹事として参加することになっております。
  214. 井手以誠

    ○井手委員 午前中石橋委員から尋ねておりましたが、昨年の事務局構成よりも今度の構成はずっと大きくなっておるようであります。昇格したような格好でございますが、それはどういう事情であるのか、その点を一つ長官の方からお願いしたいと思います。
  215. 船田中

    船田国務大臣 御承知の通り、二十二国会におきまして、その法律案が修正可決されますときの討論におきましても、大部分の方々がこれを御要望になっておられたのでありまして、午前中に総理大臣答弁申し上げましたように、その衆議院の御論議を十分尊重いたしまして、今度そういうことにいたしたわけでございます。
  216. 井手以誠

    ○井手委員 いや、その国会の多数か一部かの意見を取り入れてということはわかっておりますが、あなたの方で確信を持って出された事務局の機構の拡大について、大きくなったその役割の点をお尋ねいたしているのであります。
  217. 船田中

    船田国務大臣 これは国防会議議員閣僚でありますが、しかしそこに事務局がつくということによりまして、国防会議の機能を十分に効果的に発揮することができると思いますので、整備することにいたしたわけでございます。
  218. 井手以誠

    ○井手委員 事務局の中に参事官を置かれるそうですが、参事官というのは十五名の者を全部参事官になさるのでございますか。そのうちどれくらい参事官になされてどういう役目を持って  いるのかお尋ねいたします。
  219. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 参事官は、そのうち大体二名程度にいたしたいと思います。あとは事務官でございます。それから参事官の役目は主として事務官  の上に立ちまして、分担いたしました事務を取りまとめるという役割をいたすのでございます。
  220. 井手以誠

    ○井手委員 事務局の機構は大体それでわかって参りましたが、これから一つ性格についてお尋ねいたしたいと思います。この点については政府部内においても、防衛庁内部においても、自民党内部においても、いろいろ意見があったように承わっておりますが、この拡大された事務局国防基本方針長期防衛計画などを立案するところでございますか、調整するところでございましょうか。
  221. 船田中

    船田国務大臣 事務局といたしましては、関係の大臣からいろいろ要望、原案があると思いますが、それらの一ものを調整、取りまとめをいたしまして、そうして議長たる総理の決裁を経て議案を国防会議にかける、そうして国防会議決定いたしました答申をまとめて、これを内閣の首班たる総理大臣に報告する、そういう事務的のことを事務局が担当する、こういうことになると思います。
  222. 井手以誠

    ○井手委員 国防会議自体の原案というものは事務局がお作りになるはずだと思うのですが、その立案をやるのでございますか。ただ防衛庁を初め各関係官庁から出て参った資料をそのまま一緒にしてお出しになるものでございますか。
  223. 船田中

    船田国務大臣 事務局でもちろん取りまとめをいたしまして、議長たる総理の決裁によってその議案が諮問される、こういうことになるわけであります。
  224. 井手以誠

    ○井手委員 長官から何回もお話があったように、議長が決裁をするというのは、原案、いわゆる立案されたものを、これならば出してよろしいという決裁であると私は考えるのであります。各省から集まったものを、これがどこのもの、これがどこのものといってそのまま付せんをつけて出すものじゃないと私は思うのです。いわゆる基本方針あるいは長期防衛計画というものは、国防会議事務局において原案をまとめて、それを議長の決裁を経てから諮問する、こういうふうになるのでございますか。会議にかけるということでございますか。
  225. 船田中

    船田国務大臣 もちろん事務局において調整をいたしまして、そうして諮問案を作成し、議長たる総理の決裁を仰いで提出をする、こういうことになるのであります。
  226. 井手以誠

    ○井手委員 それではたとえば、防衛庁から持ってきた計画を大蔵省あるいは経済企画庁などの資料とにらみ合せて、国力に見合う防衛計画というものを事務局でお立てになるわけでございますか。いわゆる防衛庁そのままの案ではなくして……。
  227. 船田中

    船田国務大臣 それはもちろん諮問案が出まして、そうしてそれを十分国防会議において討議をいたしまして、それをどういうふうに調整し、またまとめるかということは、もちろん国防会議議員が十分自由な立場で論議をするわけであります。そのまとまったものを答弁する。これも総理大臣が申しておりますように、場合によっては多数の意見がこうである、あるいは少数の意見がこうである、大体はこういう結論が出たが、これについては少数のこういう意見もあるというようなこともあり得ると思います。そういうようなことを一切事務的にはからって参るのが事務局の仕事である、こういうふうに考えております。
  228. 井手以誠

    ○井手委員 それではこういうふうに理解してよろしいのでございますか。防衛庁あるいは大蔵省その他から集まった資料を事務局で調整して、長期防衛計画あるいは国防計画の大綱というものは、一応事務局で作って型もそのときそのときによっていろいろ違うでしょうが、大体の筋としては案を作って議長の決裁を経る、そうして議事にかけるということになるわけでございますか。
  229. 船田中

    船田国務大臣 要求原案は、関係の省庁が出してくると思います。それをどういう形で諮問をするかということは、もちろん事務局において調整をいたします。そのためにこそ先ほど田中副官房長官から申し上げたように、各省の幹事もそこに人っておるのでございますから、事務局でそれらの点を調整いたし、そして諮問案を作りまして、総理の決裁を経て国防会議諮問に付する、こういうことになると思います。
  230. 井手以誠

    ○井手委員 そうなりますと、大臣の補佐役として事務月に参加するいわゆる次官級の幹事と申しますか、その幹事は、国の長期防衛計画を内定する、内定するといえば言葉がまずいかもしれませんが、それを作る非常に重要な役目を持っておると考えるのでありますが、さようでございますか。
  231. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 私からお答えいたしますが、事務局といたしましては、諮問されました案に対する答申案を作成いたすわけでございます。その答申案を作成する場合におきまして、いろいろ財政的の見地あるいは産業的の見地等、いろいろな見地からこれを検討する必要があるかと思いますが、その必要から関係の次官級の職員がこれに事務的に参画いたしまして、十分に綿密に検討いたしまして、その結果答申案を作成して、一応事務的な案を作成する。それを国防会議の議にかけて、そうしてそれを総理大臣に答申する、こういう過程になろうかと考えます。
  232. 井手以誠

    ○井手委員 議長の決裁を経て会議にかけるということであれば、議長である総理が、決裁する必要ないろいろな書類を整備されねばならぬと思う。かけられるだけの相当のものを出さなくちゃならぬ。そういう場合に、簡単に各省次官級の話し合いでまとまるものかどうか、その点の見通しはいかがでございましょうか。
  233. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 これは話し合いではございませんで、これらの次官級の者は幹事という一つの職務がございまして、幹事が幹事会を開きまして、その幹事会の席上におきまして、いろいろ資料を持ち寄って検討いたしまして、これでよい、悪いという点を検討いたしまして、何回も審議いたしました結果、これでよろしいという一つの結論を得まして、それを事務局案として各大臣の承認を得ました上で、国防会議の方に答申案として提出する、事務的に申すとこういうことになります。
  234. 井手以誠

    ○井手委員 最初から答申案をかけるわけではないでしょう。最初はどうなりましょう。最初議にかける時分は、議長の決裁を経て会議にかける場合には、どんなふうになりましょうか。一つ事務局案というものは幹事会で作り上げ、それを議長の決裁を経て会議にかける、それもそのようになるわけでございますか。答申案のように……。
  235. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 諮問案といたしましてかける場合においては、いろいろの場合があろうかと考えております。たとえばここに法令の上で出ておりますような、長期防衛の基本方針あるいは防衛計画の大綱等といったような、具体的なものをかける場合もございましょう。それからさらにまた一定の問題を指示いたしまして、本問題について国防会議としての検討をしてもらいたいというような、総理大臣としての諮問案もあろうかと思います。かような場合におきまして前者の場合におきましても、一応防衛計画の大綱案というものが、総理大臣の手元にその関係の省からくると思います。そこで総理大臣といたしましては、その直属の国防会議事務局に下げまして、国防会議事務局といたしましては、さらにこれを諮問として議長たる総理大臣に提出をいたします。そしてその間に、もちろん事務局といたしましても、これを諮問案とする場合におきましても、いろいろ必要なる資料をつけたり、あるいは所管の省とも十分緊密な連絡をつけまして、そしてこれで諮問してよろしいというときになって、一応議長たる総理大臣のところへ提出いたしまして、それを諮問するかいなかを決定いたします。これでよろしいというときに、さらに議長たる総理大臣がこれを国防会議諮問をいたします。諮問いたされましたならば、その案をさらに国防会議にかけまして、いろいろ検討願うわけでございますが、その検討願う過程におきまして、いろいろ資料も必要でありますし、またこれに関するいろいろな討議も必要でございます。その際に次官である幹事が補佐役として各大臣を補佐いたすわけでございます。そこで決定した場合におきましては、これを直ちに事務局において取りまとめて答申案といたすのであります。そして議長に提出いたしまして、議長がさらに、同一人でございますが総理大臣に提出する、こういうことになるわけであります。
  236. 井手以誠

    ○井手委員 ただいままでの御説明を聞いておりますと、関係閣僚あるいは幹事が中心でございましょうが、諮問すべき事項、答申などについて十分打ち合せをして、話し合いがまとまったところで諮問を出す、こういうような御説明でありました。そうなりますと、結論は早く出てしまって国防会議でいろいろ論議される余地もなかろうと思うのでありますが、そのようなことになるわけでございますか。
  237. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 答申案につきまして幹事会におきまして十分に検討いたしまして、その案ができましたならば、もちろん内部的には幹事が関係の大臣と打ち合せをいたしまして、その了承を求めまして、その了承を求めたところでまとまった案を国防会議にかけまして、そうして国防会議としてこれを答申として決定して内閣総理大臣に提出する、こういう建前になっております。
  238. 井手以誠

    ○井手委員 当局の大体の考え方はわかりましたが、あらかじめ大臣の意思をくんで関係各省の幹事の方が折衝して案をまとめられるということになるわけですか。
  239. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 もちろん幹事は補佐機関でありますから、やはり各省を代表した関係大臣と十分なる連絡をとりました上で最後に案を提出する、こういうことに考えております。
  240. 井手以誠

    ○井手委員 形式的には、正式にはさようでございましょう。話し合いがまとまるためには、幹事が大臣の意思をくんで各省と折衝して案を作って、そのときに国防会議意思として大体きまるのであります。そうすれば国防会議においてはそういういろいろな論議があろうとは考えられないのであります。もちろんそれは各省を代表してのことでありますから、意見はありましょうけれども、根本的な違いはなかろうと思いますし、また関係各省の次官が幹事となって折衝されるのでありますから、国防会議においてはほかの人の意見を聞くというその重要性も非常に薄くなってくると私は考えるのでありますが、そのようにお考えでございましょうか。
  241. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 その諮問されました案件によりましていろいろ性質が異なりますので、一がいにそのほかの人の意見を聞く必要はないとは私は断定しがたいと思うわけであります。いろいろな広範な問題も中にはあろうかと思います。
  242. 井手以誠

    ○井手委員 ただいままでの御説明によりまして、幹事会というものが非常に重要性を持っておることはわかったのであります。  そこで続いてお尋ねいたしますが、案によりますと、関係の国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者会議出席させることができるというのでありますが、「その他の関係者」というのはどういう者を予想されておるのでありましょうか。関係者というのはそう広い意味の関係ではないでありましょう。税金の関係があるからといって、国民一人々々が関係者とはいえないのであります。先般大臣は民間人も含めるということでございましたが、法律はさように広く解釈すべきものではないと私は思う。税金を納めているから関係者だということはいえないと思う。やはりそこに国防ということを前提として重要な関係がなくては関係者とは私はいえないと思う。その辺の関係者範囲はどういう人を予想されておりますか。
  243. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 やはりこれも付議せられました案件の内容によりましておのずから異なると考えますが、やはり国防会議にかけられた事案でございますから、国防基本方針あるいは防衛計画の大綱その他国防の計画に関係があるような産業の調整といった問題が諮問されると思います。そういたしますと、やはり一般の学識経験者、あるいは産業の場合におきましては相当有力なる産業界の方々の意見も聞くということになろうかと考えております。
  244. 井手以誠

    ○井手委員 それでは長官にお尋ねします。長官は元法制局長官として非常に権威のある人でございますから、長官答弁を信用したいと存じます、学識経験者というのは、これは先般売春法のとき、副官房長官はよく御存じでしょうが、学識経験者ということでいろいろ話がございましたが、私はそうした者は関係者ではないと思う。国防の基本計画、長期防衛計画、出動の可否についての関係者、こういうような重要問題についての関係者というのは世にいう学識経験者ではないと私は思う。従ってこの場合の関係者とはどういう方面をさしておるのか、これは自民党の内部で民間人の問題が出ましたから関心があるかもしれませんが、私はこの中には民間人という人は入らないと思う。元法制局長官船田長官はいかがな見解でございますか。
  245. 船田中

    船田国務大臣 その関係者という中に民間人を含むかどうかということですが、これは民間人を含むと解釈して差しつかえないと思います。この関係者とは意見を聞くに値する人ということでありますから、関係者という中には民間人をも含むというふうに考えて差しつかえないと思います。   〔委員長退席、保科委員長代理着   席〕
  246. 井手以誠

    ○井手委員 もしそういうことであるならば、学識経験とかそういった文字を使うのが私は普通であろうと考えます。関係者ということでありますならば、たとえば防衛生産について特別の関係のある者は一応関係者といえるでしょう。しかし民間人である者、何も防衛計画あるいは防衛生産などに関係のない者まで関係者であるとは私は考えられないのであります。長官はなかなか答弁がうまいのですが、この関係者というのはそう広く解釈すべきものではないはずであります。国防計画の大綱、長期防衛計画、出動の可否などについての諮問をする場合に意見を聞くのに、だれでも関係者であるなどとは私はいえないと思うのですが、長官の何人も納得できる法制的な解釈をこの際若干承わりたいと思います。
  247. 船田中

    船田国務大臣 関係者の中に民間人を含むかどうかということで答弁申し上げたのでございますが、もちろん関係者というからには、関係のある者でなければならぬわけでございまして、そこに列挙してありますように、関係のある国務大臣あるいは統合幕僚会議議長その他、こうなっておりますから、そういうような意味におきまして、防衛計画国防基本方針あるいは防衛生産の調整をはかる上において、この諮問事項に関係のある公務員あるいは民間人ということになりますから、それはおのずからだれでもかれでもいいというので、無制限に呼び立てるということではございません。もちろん関係の深い、そしてしかも意見を聞くに値する人を会議に呼び得るということでありまして、呼ばなければならぬということではないのでありますから、その点は今質問者が御心配になるような点は私はなかろうと思います。
  248. 井手以誠

    ○井手委員 この点は重要点でございますから、もう少しばかり聞かしていただきたいと思います。この関係者、これはただいまだいぶ具体的になって参りましたが、防衛生産に関係の深い責任のある人、これはわかります。最後におっしゃったその他の民間人という意味が私はわからないのであります。あの人は少し考えを持っておるようだ、経験もあるようだというようなことで、この国防会議あるいは防衛庁、そういった国の行政機関に関係がある、あるいはこういう列挙された重要問題についての関係者とは、私は言えないと思う。それでは具体的にお尋ねいたしますが、元職業軍人は、今は自衛隊でございますから全然関係ないはずでございますが、そこはいかがでございますか。
  249. 船田中

    船田国務大臣 かつて軍人であったというがために、特に関係があるとも考えませんが、しかし、さればといってそういう相当経験を持ったものを全然排斥するという必要もなかろうと私は思います。必要があったらば呼んでその意見を聞くということも決して排斥すべきことじゃなかろうと思います。しかし、特に旧軍人であるがゆえに関係のある人ということにはならぬと思います。
  250. 井手以誠

    ○井手委員 元軍人が国防会議、防衛庁などについての関係者だとは、私は言い切れないと思うのです。もし関係がなければ呼べないことになるわけでございますが、その点はいかがでございますか。また敗戦の元職業軍人に聞かれることはおそらくないと思うのですけれども……。
  251. 船田中

    船田国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、その人の意見をこの諮問事項について聞くことが適当である、聞くに値する人である、こういう人の意見を聞くためにこの規定があるのでありまして、何でもかんでも関係があるからといって、呼び立てて意見を聞かなければならぬという意味じゃありません。
  252. 井手以誠

    ○井手委員 それは必要があってお呼びになるのでしょう。その点は私はかまわぬと思うのです。ただ私は、その他の関係者とはどの程度範囲であるかということをはっきりこの際お示しを願いたいと思うのです。民間人も含むというが、私は関係者ではないと思うのです。この列挙された重要項目について何人も理解できる関係者、防衛生産の連合会長と申しますか、そういった人は一応考えられますが、個人としては関係者はないはずだと思うのですが、いかがでございますか。
  253. 船田中

    船田国務大臣 これはたびたび同じことを申し上げるようで恐縮でございますが、この第六条に特にこういう規定を設けましたのは、この前の第二十二国会におきましても、当時政府から御説明がありましたように、国防ということは何も防衛を担当しておる防衛庁だけの仕事じゃございません。広く財政、経済、民生、あらゆる方面を勘案し、また特に外交問題をも十分考えて、そして適当な案を立てなければならぬのでございますから、従いましてその諮問する事項に特に関係がある、しかもその人の意見を聞くことが国防会議の機能を発揮する上においてきわめて大切である、こういうときに聞き得るという規定になっておるわけでありまして、関係者範囲をはっきりどこどこといって具体的に線を引いてしまうということは、私はかえってこの条文を殺すことになってしまいやしないかと考えます。
  254. 井手以誠

    ○井手委員 意見を述べさせるということについて私はとかやく申しておるのではございません。この字句についてはっきりさせておきたいから繰り返しお尋ねしておるのであります。その関係者というのはおそらく関係ある団体の代表者でなくてはならぬ。個人ではないと思うのですが、その点はいかがですか。
  255. 船田中

    船田国務大臣 多くの場合は、ただいま御指摘になりましたように、たとえば、防衛生産については防衛生産の協会かあるいは何か民間の代表者の意見を聞くということになりましょう。あるいは経済問題について、特に金融の問題等につきましては日本銀行総裁の意見を聞くというような場合もあると思います。多くの場合はそういう何か団体なりそれに類するようなものの代表者ということになりましょうが、しかし代表者でなければならぬと限る必要は私はないと思います。従って、この条文の解釈から申しますれば、意見を聞くに値する人ということで御了承を願いたいと思います。
  256. 井手以誠

    ○井手委員 私は、その点はせっかくでありますが了承しかねるのであります。いやしくも国の機関に、必要があるからといって、国防国民のものだからといって、たれでも呼ぶわけにはいかないと思う。広く民間人というわけには参らないので、それぞれの立場にあればこそその意見が有力であり、信頼ができるはずのものであります。個人の意見であるならばどんなことも言えるでしょう。その点についてはただいま法制局を呼んでおりますからあらためてお尋ねいたします。  次に、先刻の事務局の問題から進みましてお尋ねいたしますが、今予算の編成で一番重要なのは、防御費をどの程度にきめるかということであることは長官も御存じであろうと思う。防衛を中心として関係各省が集まって国防の大綱をきめる、あるいは長期防衛計画を立てて、少数の関係大臣が集まってこういう重要な決定をいたして参ります。もちろん形式的には閣議決定でございますけれども、国防会議関係者が集まってきまったことを閣議でくつがえすことはなかなか困難でありましょう。そうなって参りますと、かつての五相会議のごとく、閣内のいわゆるインナー・キャビネットと申しますか、そういうことになりまして、国会に対して連帯意思責任を負うべき各大臣の中で、国防会議に参加しない人々の発言が非常に弱まると私は思う。閣議の価値が非常に下ってくると思う。防衛のきまり工合によって民生の安定その他のものがきまって、この段階におきまして、おそらく将来はますますその重要性が増して参るでございましょうが、その場合に、国防がまずきまって、あとは少いものを分け取りをするような予算の編成というようなことを考えますと、この少数内閣制ともいうべき国防会議内閣制に大きな影響を与えると考えるのでございますが、いかがでございましょうか。長官の御所見を承わりたいと存じます。
  257. 船田中

    船田国務大臣 ただいま御懸念のような点は、私は、結論的に申し上げればないと思います。ことに今日は、御承知の通り議院内閣制でございまして、衆議院における多数派が内閣組織し、そして党と内閣というものが全く一体化して政治の運営に当っておるのでありますから、従って、少数の防衛関係の深い閣僚国防会議組織いたしまして、防衛問題について特に諮問を受け、それについて意見を述べるというようなことがありましても、それによって閣議の価値を下げるものではないと存じます。むしろ今日は非常に問題がたくさんございまして、閣議にかかる付議事項が非常に多い。そして事実上においては今もなお問題ごとに関係の深い閣僚の間において話をいたしまして、そうして意見の調整をしてから閣議にかけるというのが普通のやり方でございますが、防衛の問題のようなきわめて大切で、しかも各省にわたる大きな問題でございますから、それらについて一応関係の深い大臣の間において意見の調整をいたしまして、その後に閣議にかけるということが実は実際問題として運営上その方が便宜だ、かように考えるのでありまして、国防会議ができたから内閣の権威を失墜するというようなことは全然考えられないと思います。   〔保科委員長代理退席、委員長着   席〕
  258. 井手以誠

    ○井手委員 形式的にはおっしゃる通りでございましょう。しかし実際は私はだいぶ違うと思います。先般石橋委員質問に対して長官は、ほかに外貨関係の閣僚審議会がある、だからこんなものがあっても差しつかえないという御答弁があったのであります。それとこれとは非常に趣きが違うと思います。今の予算で一番大きなウエートを占めておりますのは防衛費であります。防衛費のきまり工合で民生関係の費用がきまっていく。その一番重要な防衛費が先にきまっておいて一もちろん形式的には閣議できまるでしょうけれども、一応関係者できまったものをくつがえすわけにはいかない。長期防衛計画を立てたものをくつがえすわけにはいかない。そうなって参りますと、あとは残飯のぶんどりと申しますか、私は非常に閣議の重要性と申しますか、価値が下ってくると思う。そうなって参りますれば、国会に対して連帯して責任を負っておる今の内閣制においては、この国防会議というものが私は大きな影響を及ぼしてくると思うのです。ほかの審議会その他とは違うと思うのですが、いかがでございますか、重ねてお尋ねをいたしたい。
  259. 船田中

    船田国務大臣 今御質問の中にありましたような御懸念は、全く私はないと思います。防衛関係費も全予算の一三・六、七%ということであり、国民総所得に対しても二%強という程度でございます。しかしこの防衛の問題は、今御指摘もありましたように、相当重要性を持っております。ことに現在の日本といたしましては、防衛生産がまだ十分整っておらないのでありますから、そういう点を研究して参り、長期防衛計画を立てるというためには、関係の深い大臣の間において十分意見の調整をはかって、しかる後に閣議決定をするということが順序として、また政治の運営としてきわめて適当である、かように考えます。しかしさような手続をとることによりまして閣議の権威を失墜するということもなく、またインナー・キャビネットとしてそれが閣議を指導していく、従って閣僚が連帯して国会責任を負うという、この政治運営の基本を誤まるという心配は私は毛頭ないと信じます。
  260. 井手以誠

    ○井手委員 長官のお説の通りでありますならば、国防についての下話をしておいて閣議できめていこう、十分審議してきめていくという程度であるならば、わざわざ国防会議という機関を設ける必要はないと考えるのでありまして、私はこの国防会議というものはさように楽に考えられるような内容のものではないと思うのです。相当閣議を拘束するものであると思う。それは意見も出て参りましょう。意見は出て参りましょうけれども、その意見に反対するものは罷免もできる。首長としての権限を持っておる総理は罷免もできるわけです。一たん国防会議できまったものは強行されるでありましょう。そうなって参りますと、先刻来申し上げておるように、閣議審議というものは非常に重要性を低下してくる。これは争えないことだと思う。もしお説の通りであるならば国防会議の必要はない。もし実質的に国防会議が重要性を持っておるとしたならば、閣議の質を低下していくということになりますが、いかがでございますか。再三でございますが、重ねて御質問を申し上げます。
  261. 船田中

    船田国務大臣 防衛に関係する問題は、長期防衛計画を立てるにいたしましても、あるいは防衛生産の調整計画を立てるにいたしましても、これは相当重要なことでございます。しかもこれは相当専門的な知識を要し、またそういう資料も必要になってくることでございますから、従って国防会議というものを設けて、そこで十分討議をいたしまして、しかる後大体意見のまとまりましたものを閣議にかけるということがきわめて必要である。ただ一防衛庁の仕事として防衛計画を立て、そうしていきなり閣議にかけて議論するというよりも、むしろこの国防会議において十分審議をいたしまして、広い見地、高い見識をもって検討をいたしまして、適当なる答申を総理大臣にいたし、そうして内閣の首班たる内閣総理大臣閣議にこれを諮られる、再び閣議においてそれを十分検討する、こういうことになることが政治の運営上きわめて大切であり、また必要である。しかしそういうことをやることによりまして内閣責任制を左右するようなことは毛頭ないと思います。  これは少し余分なことを申し上げるようでありますが、今御懸念になっておるのは、おそらく戦前の統帥権独立というようなことを御心配になっておる余りそういう御質問があるのではないかと思いますが、今日は官僚内閣でもなく、また統帥権の独立というようなこともございません。天皇主権というようなこともないのであります。民主的に行われておる政治でございます。しかも議院内閣制でやっておるのでありますから、今質問者の御懸念になるような点は、私は毛頭起らない、かように考えます。
  262. 井手以誠

    ○井手委員 かつての戦前の場合は、非常時を推進するために五相会議などというものが設けられた。今度は再軍備を増強するために国防会議が設けられる。私どもはその前途を非常に心配しておるのであります。ただいま長官予算については十何パーセントとおっしゃいましたが、義務経費にこの防衛費というものが大きく食い込んでおることは御承知の通りであります。決してそのパーセントの数字は低いものではございません。防衛費のいかんによって予算が左右されることは十分長官も御存じであろうと思います。しかしこれ以上インナー・キャビネットについての質問をいたしますことは、議論にわたりますので、この程度でやめたいと存じますが、私はどうもその辺の懸念が多いのであります。  次にお尋ねいたしますが、昨日お尋ねした続きになります。それは昨日私の質問に対して防衛六カ年計画は国力に応じてやらなくちゃならぬが、アメリカの供与兵器によって調整することができる、必ずしも予算の、あるいは経済五カ年計画通りにはいかない、供与兵器が多くなれば楽になる、こういう御答弁でございました。そこでお尋ねいたしますが、防衛六カ年計画にアメリカから供与されると予定されておる兵器はどの程度のものでございますか、いわゆる八千何百億円の中にどのくらい入っておるのか、あるいは外であるのか、この機会に承わりたいと思います。
  263. 船田中

    船田国務大臣 防衛六カ年計画を実行いたすにつきましては、これもたびたび申し上げたことでございまするが、初度調弁に属しまする火器類、ことに火器類、それから艦船、飛行機等につきまして大部分を米軍の供与に待つというものがございます。しかしそれが具体的に、どれだけ供与を受けなければ防衛六カ年計画が達成されないかということにつきましては、今検討を始めておるところでございまして、これはたびたび申し上げますように、年次計画及び最終年次における機種あるいは艦種の決定がまだできておりませんので、従ってこれが幾らの金になるか、また米軍に供与を仰ぐものは具体的にどれだけのものであるかということは、まだはっきりした数字がわかっておりません。これは今後検討して参らなければならぬと思っております。
  264. 井手以誠

    ○井手委員 試案としてでき上っておる防衛六カ年計画には、アメリカの供与兵器も入っておるということでございますが、その通りでございますか。
  265. 船田中

    船田国務大臣 先ほど申し上げましたように、初度調弁に属しまする火器類、艦船、兵器等について、相当大きなものを供与を受けるということを期待いたしております。
  266. 井手以誠

    ○井手委員 相当大きなものを期待いたしておる、八千数百億円の所要経費の中の相当大きな部分が供与兵器の代価である。こういうようになって参りますが、それがどの程度のものであるか。私はあえて機種とかあるいは艦船の種類などを問おうとはいたしませんか、何割くらいのもの、何%くらいのものを向うから供与を受けるという計画があるか。それはなくてはならぬと思う。なくてはアメリカに対しての相談もできないと思います。またあなたの方でよく新聞で報道されておるように、予期通り入らないということは、計画あってのことだと私は思うのでありますが、年次計画は問いません。そういう詳細なことは問いませんけれども、総体の何割くらいを供与に期待されておるか、その点をお示し願いたいと思います。
  267. 船田中

    船田国務大臣 ただいま御指摘のありました八千数百億円いるということにつきましても、その数字が確定しておるわけではございません。防衛庁の試案が金額に見積った場合にどれだけになるかということは全くきまっておりません。これは先ほど来申し上げておりますように、初度調弁に属する兵器の相当部分をアメリカの供与に待つということになっておりますから、従ってその最終年次の目標を達成するのに、どれだけの金がかかるかということがはっきりしないわけでございます。またアメリカの供与兵器につきまして、あるいは飛行機等につきまして、御指摘のように多少時期がおくれておることは事実でございます。しかしながら具体的に全くこちらの期待と違ってしまったということは、今までのところございません。従いまして多少時期はおくれ、あるいは最初期待しておったものと違ったものを供与されることもありましょうけれども、さればといってこちらの計画がそのために非常に大きなそごを来たすということは、今までの経験においてはないのであります。
  268. 井手以誠

    ○井手委員 全く期待がはずれるということがあっては防衛庁としては大へんでしょう。いずれにいたしましても、試案であっても計画を立てた以上は、どの程度を供与に待つ――今兵器類の大半とおっしゃいましたが、大体どのくらいでございましょうか。総経費の中で、供与される兵器の代価は大体どのくらいお考えになっておるのか。お笑いになっておりますけれども、陸上十八万、海上十二万トン、飛行機千三百を作るというのならば、練習機その他のいろいろな機種の点もありましょうけれども、これに大体どのくらいの費用がかかる、またそのうちに飛行機はどのくらい供与を受ける、戦車はどのくらい供与を受けるという計画があっているはずであります。それがないくらいなら防衛庁はいらぬでしょう。計画もいらぬでしょう。まあ子供じゃありませんから、どうぞ一つ安心して御答弁を願いたい。あるはずでございます。
  269. 船田中

    船田国務大臣 やはり一応の目標がなければ計画は立ちません。しかし計画通り寸分違わずに実行できるかというと、これは計画経済、計画政治をやっておるソ連や中共でも、なかなかその通りにいっておらぬのであります。いわんや自由主義の国におきましては、計画を立てたから計画通りにいくというわけには参りません。今の長期防衛計画につきましては、今後の供与を期待いたしまする兵器、艦船、飛行機等につきましては、具体的にこれから案を立てましてアメリカ側と折衝をするということになるのでありまして、それがきまりませんと総金額がどれだけになるかということもはっきりしないわけでございます。
  270. 井手以誠

    ○井手委員 艦船十二万トン、飛行機千三百、その数字を出された以上は、大体機種はこのくらい、練習機はどのくらい、戦闘機はどのくらい、その中で供与はどのくらいということはわかっておるはずだと思う。その証拠には、新聞によく書いてあるじゃありませんか。予定の百何十何機に対して何機しか入らない、種類別にちゃんとあるはずです。現にあなたは目標はあるとおっしゃいましたが、その目標を示していただきたい。
  271. 船田中

    船田国務大臣 三十五年度に達成する目標は今お示しのように概数を申しております。しかしその概数の内容が具体的にどうなるかということにつきましてはきまっておりません。従ってその総金額についてもどれだけの経費がかかるということは今申し上げかねるわけでございます。
  272. 井手以誠

    ○井手委員 飛行機千三百の中に幾ら供与される目標がございますか。
  273. 船田中

    船田国務大臣 それらの点がまだ具体的にきまっておりません。ただ千三百機のうちの大体半分は練習機ということは、前々から申し上げておるわけでございます。しかしその他の機種が、F86Fを何機持ち、C46を幾らもらうかというようなことについて、そういう具体的な期待供与の飛行機の機種、数量というものはこれから検討して参りたいと思います。
  274. 井手以誠

    ○井手委員 そのときの国際情勢にもよりましょう。また詳細通りにいかないことも私は十分承知をしております。しかし今度はこの国防会議構成法案が通過すれば、国防会議に長期の防衛計画諮問されなくてはならぬ。防衛計画の大綱をかけなくてはならぬ。また今日まで防衛庁に、警察予備隊、保安隊から成長してもう長い年月を経ているのであります。今から検討するのじゃ、これは納得がいかないわけであります。そう遠慮なさらぬで、その目標というものをお示し下さい。私はそこに一機や二機違ったとて何とも言いません。千三百機のうち、大体七百くらいはアメリカから供与を受けるつもりだ、戦車はどれくらいだ、全部の費用の大体五割くらいはアメリカのものだということはわかっておるはずです。それがわからぬはずはございません。機種がどうの、今後の情勢がどうの、そんなことじゃ計画は立たぬですよ。防衛庁がそんなだらしのないことじゃいけない。あれだけの機構を持ち、あれだけの優秀な人間がおって計画が立たぬ、あるいは目標がはっきりしていないということはないはずであります。今にも国防会議で計画を立てる必要があるからこの法律を通してくれとおっしゃっておる、そうであるならば案があるはずであります。今から考えますではいけませんよ。どうぞ遠慮なく内輪ですからお示しください。
  275. 船田中

    船田国務大臣 長期防衛計画の実行につきましては、先ほど来申し上げておりますように、初度調弁に属する重火器類とかあるいは艦船、飛行機のかなり多い部分を米軍の供与に待たねばならぬということでございまして、ただその数字は具体的にまだきまっておりません。しかし大体の方針といたしましては、これまたこの委員会でもたびたび申し上げておることでございますが、日本の防衛生産をだんだん育成して参りまして、そうして日本で飛行機も作れるようにして参りたい。すでに艦艇につきましては昭和二十八年度に予算を御決定願ったものが昨年の暮からずっとできつつあります。そういうことでだんだん艦船、通信機材というものについては、割合に早く復興いたしておりますので、国産のものができております。しかし艦船に搭載する兵器になりますと、なかなか日本の今の生産状況ではできません。しかしアメリカから供与を受ける、こういうことになっておるわけでありますが、漸次日本で国産のできますものは日本で国産を進めるように防衛生産の方を育成し、これを整備するということに参りたいということで努力をいたしておるのでございます。
  276. 井手以誠

    ○井手委員 そうしますと、兵器類の大部分は供与を受ける計画であるということをおっしゃいました。半分以上、七割ぐらいに当るかもしれませんが、大体何割ぐらいでございましょうか。
  277. 船田中

    船田国務大臣 総金額がわかっておりません。それは先ほど来御説明申し上げた通りでございます。従いまして、その何割を供与に待つかということにつきましても、今ここに具体的の数字を得るに至っておらない、まことに遺憾でございますが、今後十分そういうことを検討して参りたいと思います。
  278. 井手以誠

    ○井手委員 兵器類はわかりましたが、装備はいかがでございますか。それも大部分向うの供与に待つことになっておりますか。
  279. 増原惠吉

    ○増原政府委員 装備という言葉で呼んでおりまするものには火器類も入っておるわけでございますが、装備品甲、乙という分け方をしまして、火器を甲、車両を乙としております。現在までのところでは車両も米国からの供与によったものが相当あります。ジープなどは若干は日本で作りましたが、大体向うからもらっております。大体において将来は装備品乙に属しますものは、直接殺傷火器類でないと常識的にお考えを願ってよいわけでありますが、これは高度の技術を要して日本でまだ作れないというようなものはやはり供与に待つ以外にないと思いますが、そうでない装備品の乙は大体日本で生産をして装備するというふうにして参りたいと思います。
  280. 井手以誠

    ○井手委員 それではこの点についてはあらためてお尋ねする機会があろうと思いますので、この程度で打ち切りますが、そうしますと、防衛六カ年計画の中では装備の今おっしゃいました乙の分は、今後はなるべく国内でということでありますけれども、一番重要な火器類などについては、アメリカの供与を主体として日本の防衛六カ年計画の試案が立っておる、このように理解してよろしゅうございますか。
  281. 船田中

    船田国務大臣 初度調弁に属しまする重一火器類については、大部分をアメリカの供与に待つということで計画を立てて参りたいと思っております。
  282. 井手以誠

    ○井手委員 それではただいま法制局からお見えになっておりますから、法制局の方にお尋ねをいたします。今審議されておりまする国防会議構成等に関する法律案の第六条に「議長は、必要があると認めるときは、関係の国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者会議出席させ、意見を述べさせることができる。」という条文があるのであります。この中にある「その他の関係者」ということは、国防会議の重要使命である国防計画の大綱、長期防衛計画、防衛生産、防衛出動など、国防の重要な問題についての関係者であると私どもは解釈をいたしておるのであります。法制的に一つ答弁を願いたいと思いますが、従来、関係者とはやはりそこに機関的な有機的な関係がある者とか、そういうような代表者をさして関係者と解釈されておると私どもは今まで理解しておりましたが、この「関係者」とはどういうものでございましょうか。
  283. 野木新一

    ○野木政府委員 実はこの国防会議構成等に関する法律案につきましては、その審議に関係いたしたのであります。その際の議論につきましては、「その他の関係者」というものは、必ずしも今仰せになりましたようにある関係機関の長というように限定的には解しておりませんでした。要するに議長が、国防会議の議題になる、あるいはそこで議される事項について何か意見を徴したいという場合に、その意見を徴するに足ると認められるような意味で関係を持っておるというならば、広くこの「関係者」に含ませて解して差しつかえない、そういうような趣旨で考えておりました。
  284. 井手以誠

    ○井手委員 従来法制局では、「関係者」というのはどういうふうに解釈なさっておるのですか。国民であれば関係者だ、何か意見を持っておれば関係者だ、片一方がその人は大事だと思うからというので関係者だ、そういうのが「関係者」でしょうか。そういう場合には、学識経験とかいうような文字が私は今まで入っておったと思う。関係者であるならば、やはりそこに常時関係を持ったもの、関係があるもの、そういう機関の代表者というように私は限定さるべきものだと思うのでございますが、従来いかがでございましたか。関係者といえばそう広いものではないはずですよ。
  285. 野木新一

    ○野木政府委員 もとより「関係者」とありまするから、一般国民というのと違いまして、何らか限定があることはおっしゃる通りだと存じます。しかしこの「関係者」というのは、おっしゃる通り何か機関や団体の長に限るというようなことは出てこないのではないかと存じます。従いまして、しいて何の関係があるかといえば、国防会議で議せられる議題なり何なりに何らかの関係を持っておる者、そういう者であれば必ずしも団体の長でなくたってかまわないし、また役人でなくても、民間の人でもかまわない、そういうことになるのではないかと存ずる次第であります。
  286. 井手以誠

    ○井手委員 「関係者」の「者」というのは、私はこの際個人はささぬものだと思う。たとえば防衛生産について、防衛生産の業者の代表者、そういったことであれば理解ができるのです。しかしあの人は未見を持っておるから、あの人はもとは職業軍人であったからというようなことが、私は「関係者」には該当しないと思うのです。そういう個人、民間の個人は関係者ではないと思うのです。
  287. 野木新一

    ○野木政府委員 実際問題として考えますと、団体の代表者という場合は関係者に入ってくることが多いと思いますが、おっしゃる通りそれのみに限るかといいますと、この文字から申しましてもそれに限る、団体の代表者というものでなければだめだというような結論にはなってこないのじゃないかと存ずる次第であります。
  288. 井手以誠

    ○井手委員 それでは「関係者」というのはどういうことで書いたのですか。従来の法制上から申しますならば、その他知識を持っておる者とか何か書くべきものではございませんか。関係者であるならば、何か常時何人も、あれは関係があるというふうに思われる。団体の人でなくては私はならぬと思うのです。ある人が意見を持っておるとか、かつて職業軍人であったかりといって私は関係者ではないと思うのですが、政府が法制上でいう関係者というのはそんなに広く解釈すべきでしょうか。
  289. 山本粂吉

    山本委員長 政府委員に御注意申し上げます。関係者くらいの問題で、そう何回も答弁しなければならぬようでは、まことに審議上困るから、立案せられた関係上、もっとはっきりお答え願います。
  290. 野木新一

    ○野木政府委員 国防会議で議しようとしている議題に何らかの関係を持っておる人、必ずしも団体の代表者というものに限らないと存ずる次第でございます。
  291. 井手以誠

    ○井手委員 それでははっきり聞いておきますが、法制上関係者というのは、関係があると考えれば国民の中であればだれでもいいというように解釈してもいいのですか。政府の法律用語において関係者というのは、関係があるとたれかが認めれば、議題に関係がある、意見を持っておるからあれも関係がある、そういうものも関係者というふうに全般的に解釈してよろしゅうございますか。
  292. 野木新一

    ○野木政府委員 この条文においてはそのように解釈して差しつかえないと存じます。
  293. 井手以誠

    ○井手委員 おかしいではございませんか。この条文については解釈していい、あの条文については解釈していけないということはできないと思います。関係者という用語には一定の基準がなくてはならぬはずです。きちっとワクにはまるようなものではございませんでしょうけれども、関係者というものはどの程度のものであるくらいの大きなワクはあるはずです。
  294. 船田中

    船田国務大臣 これは御相談です。が、私が先ほど答弁申し上げて――これは責任大臣として答弁申し上げておるのですから、それで一つ御了承を願って、意見の違うところはどうもやむを得ませんが、ここに関係者というのは、この諮問する事項に関係のある者であって、それは団体の長という場合が多いかもしれません。しかし個人を排斥するものではな、ということを申し上げておるのでありまして、関係のある人であってしかも諮問するその人の意見を聞くに値いする人、こういう意味ですから、そこで御了承がいけると思いますがいかがでございましょうか、一つ責任大臣として……。
  295. 井手以誠

    ○井手委員 それではやはりこの関係者の中には元職業軍人は入らぬでございましょうか、いかがでございますか。これはもとあるいは戦争に関係したことはあったでしょうけれども、いかがでございましょうか。
  296. 船田中

    船田国務大臣 これも先ほど申し上げましたように、元軍人であったからといって特に関係者だというふうには考えません。しかしさればといってかつての軍人は全然その人の意見を聞く必要なしというふうにも私は解釈いたしません。この諮問十項についてその人の意見を聞くことが適当であると議長考えた場合には、旧軍人であろうと旧軍人でなかろうとその人の意見を聞くことは差しつかえないと考えます。
  297. 井手以誠

    ○井手委員 私は今の答弁に非常に不満でございますが、せっかく長官からの御相談でございますから、関係者のことについてはこの程度にとどめておきたいと思う。しかし一国の法制をあずかる法制局として、そんなあいまいな解釈であってはならぬと思う。いくら野党といえども、解釈については変わらぬはずです。今回この条文においては、この関係者民間人もいいのだということはできないはずだ。今まで私どもの浅い経験ではありますけれども、関係者ということは、たとえば役所に参りましても、関係者というのは非常に窮屈に解釈されて許可も認可もされた。あれはこれについては意見を持っているから、考えを持っているから、必要があるからといって呼ぶわけにはいかぬはずだ。第九条の解釈と同じでありますが、確固たる信念と基準をもってこういう用語を表してもらいたいと思う。要すればあなたの方で修正したり訂正してもらえばいいのですが、これはあなたの方の良識に待つといたしまして、私は不満の意を表してこの関係者の問答については打ち切ることにいたしたいと存じます。  次に進みます。午前中鳩山総理より、防衛出動については、国会が閉会中の場合といえどもなるべく臨時国会を召集して決定してもらいたいというきわめて重要な発言があったのであります。これは侵略とかそれに類した危急の場合でありましょう。その場合には事後承諾ということもあるでありましょうが、総理大臣のその解釈をもっていたしますならば、侵略のおそれがあるときは、まだ時間的余裕があるはずであります。おそれがあるようなときに一々総理大臣考え方で命令されてはたまらぬのであります。おそれがあるときには臨時国会を召集するが、武力行使が始まったときにはいたし方がないから後日国会審議に待つというふうにするのでなければ、総理意思を尊重したとはいえないと思います。おそらく船田さんもそういうお考えであろうと思いますが、大事な点でありますから、このときには臨時国会を召集して国会の議決を待つ、武力行使の場合はやむを得ないから後日事後承諾を得る、こういうように一つはっきり御答弁を願いたいと思います。
  298. 船田中

    船田国務大臣 防衛出動ということはきわめて重大なことでございまして、これにつきましては、午前中に鳩山総理大臣から答弁申し上げておりますように、国会の議決を経るということが原則でございまして、政府としては、その原則に従って防衛出動可否国会審議を願ってしかる後に決定する、こういうことにその原則をどこまでも守るように努めていきたいと考えております。
  299. 井手以誠

    ○井手委員 その原則で参りますならば、侵略のおそれがあるというときには、必ず臨時国会を召集して国会の議決を待つというふうになさいますか。そうでなければならぬと思いますが、武力行使の始まったときにはやむを得ぬでしょうけれども、おそれのあるときには、総理の言明からいたしますならば、当然臨時国会が召集されなければならぬと思いますが、そのお考えでありますか。
  300. 船田中

    船田国務大臣 ただいま御質問のようなことが普通であろうと思います。政府としては、この七十六条の防衛出動ということにつきましては、いやしくも非難を受けるようなことのないように、また将来に悔いを残すことのないようにして参らなければならぬと存じますので、どこまでも原則に従ってやるということでございまして、総理の午前中に答弁されたのも、その趣旨において答弁されておるのでございます。
  301. 井手以誠

    ○井手委員 重ねてですが、大事な点ですから……。おそれのあるときには当然原則に従って臨時国会を召集して議決を行なってもらう、そういうことでございますか。その点は回りくどくじゃなくてはっきりお答え願いたいのですが、おそれのあるときには、少々の困難も排除して、臨時国会を召集する、そういうことでございますか。
  302. 船田中

    船田国務大臣 どこまでもそれは原則に従うように努めて参りたいと存じます。
  303. 井手以誠

    ○井手委員 なかなか答弁がうまいから……。原則に従っていくということでは例外があるわけでございます。そこで、なお明瞭ではございません。これが明瞭だなどとおっしゃるなら、ことだと思う。これは重大な問題でございますから……。おそれのあるときには必ず臨時国会を召集する、さように解釈してよろしゅうございますか。国民も非常に関心を持っておりますが、閉会中に総理大臣が一々命令する、たまったことじゃない。あとで事後承諾を受けるなどということは、戦いですから、あとじゃどうにもなりません。当然私は臨時国会を召集すべきだと思うのですが、はっきり一つ原則に従ってでなくて、原則でございますから、必ず召集しますということをおっしゃって下さい。
  304. 船田中

    船田国務大臣 これはいろいろな場合も、具体的には起ってくるかもしれませんが、政府といたしましてはどこまでも原則に従って、七十六条の乱に流れることのないように努めて参りたいと存じます。
  305. 細田綱吉

    ○細田委員 関連。あなたの言うのは、今井手委員の言われた例外という場合、できるだけ原則に従っていくというのですが、例外はどういう場合なんですか。あなたは、大事なことだからできるだけ原則に従っていくと言うのだが、原則である限りは当然井出さんの言うように例外がある。その例外はどういう場合が想像できるのか、その点を一つ伺っておきたい。
  306. 船田中

    船田国務大臣 例外ということはきわめてまれなことだと思いますけれども、いきなり急迫不正の侵略が行われた、こういう場合には例外になると思います。しかし先ほど来申し上げておりますように、ただ単に侵略のおそれがあると申しましても、そのときの情勢によって、ただ政府がどうも心配だからというような単純なものではなくして、ここにそれがあるということは、どこまでもその急迫不正の侵略が非常な脅威を持つ、そしてそれが客観的の事実として現われてきておる、こういう場合でございまするから、いかなる場合におきましても、この七十六条の原則に従ってやっていくということで御了承願いたいと思います。
  307. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると、たとえて言うと、この前の朝鮮事変ですが、御承知のように、満州が基地となって、南鮮の米軍が攻撃を受けていた。あなたのいわゆる基地をたたくというのは、あの場合においても想像ができるのですが、ああいう場合、やはりあなたのいわゆる客観的な脅威にさらされたという事例に当てはまると思います。確かにあの場合は、客観的にいうと、何回も何百も、おそれどころじゃなくて、すでにもう十分に危険にさらされておったが、満州の基地をたたくということは、御承知のように、マッカーサー司令官に対して結局許可がなかったのですが、あなたのいわゆる客観的に危険にさらされた状態というのはどういうことですか。たとえば今のような場合はどういうことになるのですか。
  308. 船田中

    船田国務大臣 ただいまおあげになったことは、いわゆる海外出動の場合を想定されておられるのじゃないかと考えますが、政府は海外派兵とかあるいは海外出動ということは絶対にやりないという方針で今後進んで参りたいと考えております。ただ先ほど、例外はどういう場合かと言われました。これはきわめてまれな場合だと思いますが、どうしても国会を召集するいとまがないという場合が絶対ないとはいえないと思います。そういう場合におきましては、これは例外としてただし書きの適用を受けることになりましょうけれども、政府としてはあらゆる手段を講じて、原則に従って実行していく、こういう方針でいきたい。また総理大臣答弁されておるのも、その趣旨で答弁をされておるわけでございます。
  309. 受田新吉

    ○受田委員 関連。今のあなたの御答弁の中で、国会が現に召集されておる、しかし非常に急迫しておるので、国会会議にかけることができぬで、直ちに出動を命ずるということがあり得ますか。
  310. 船田中

    船田国務大臣 国会召集中に今のような事件が起るといたしますれば、もちろん国会の御審議を願うことになるのは当然でございます。
  311. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、国会召集中は、非常に緊迫してすぐ手を打たなければならぬ、国会の本会議を開くひまがない、その前にぱっと撃ち込んできた、すぐぱっと行く場合、そのときも国会に必ず相談するという確約をいたしますか。
  312. 船田中

    船田国務大臣 政府としてはあらゆる手段を講じて国会の御審議を願うということに、最善努力をして参りたい、そうして原則に従って防衛出動の問題は決定をして参りたい、かように考える次第でございます。
  313. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、七十六条のただし書きは、国会召集中の場合には適用しない。すなわち国会が開会されておる間は、ただし書きは適用しないということになりますか。
  314. 船田中

    船田国務大臣 それは侵略の様相によって違うと思います。しかし多くの場合においては、今受田委員のおっしゃる通り国会開会中におきましては、その原則に従って国会の御審議を願って、そうして防衛出動のことを決定する、こういうことになると思います。
  315. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは先ほど国会が召集されておるときは、もちろん国会に相談していかに急迫の場合でも出動するんだと仰せられた。また今は、まれには、国会の召集され、開会されておる場合でもお諮りしない場合があり得るような発言があったのですが、これは私ははなはだ解せないのであります。最初お答えになったのが正しいのか、しまいのまれにはある場合があるという方が正しいのか、どうですか。
  316. 船田中

    船田国務大臣 私は違った意味で申しあげておるわけではございません。国会召集中には、今御指摘のように、国会に御審議を願うということになると存じます。
  317. 受田新吉

    ○受田委員 必ずなるのですね。今の御答弁であるならば、この規定を、「但し、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」これに(国会開会中は除く)、こうやれば筋が通るのです。あなたの御説が正しければ……。そういうカッコして入れることはどうですか。
  318. 船田中

    船田国務大臣 国会開会中に急迫不正の侵略が起った、日本の区域に攻撃が加えられた、こういう場合においては、もちろん原則に従って国会の御審議を願うことになると存じます。またあらゆる手段を講じてそうしなければならぬと存じます。国会閉会中において、手段を講じても国会が召集できないという場合に、その例外の適用があるのが普通だと思います。
  319. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、この七十六条は、「自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」但し、国会閉会の場合において、特に緊急の必要がある場合、こうしておけば、あなたの御趣旨が満足できるのではないのですか。
  320. 船田中

    船田国務大臣 条文を今御指摘のように改める必要は私はないと存じます。また改めなくとも、政府の方針としては御心配になるような事態は起らないと思います。
  321. 受田新吉

    ○受田委員 はなはだしく危険を感ずるのです。あなた方が今度国防会議をお作りになろうとする御趣旨は、国防会議で出動の可否をおきめになる、そうして総理が命令して出動させる、こういうことになるのですが、国会は開会中であれば当然召集できるのですから、国防会議構成員が集まる余裕があれば、直ちに電報ででもそこへ集めてやればいいのですから、国分開会中においては国会の承認を得なくても出動できるなどという規定は、筋としては削除すべきだと思います。私の主張が正しいか、あなたの主張はどうか。(「自然休会ということもある」と呼ぶ者あり)休会は除いてもいいから、国会開会中の場合だけはどうか。
  322. 船田中

    船田国務大臣 今受田委員の御懸念になっておるようなことは政府としてはやらない。すなわち原則に従って国会の御審議を願って防衛出動をやる、この原則をどこまでも貫いていくように努めて参りたいと思います。
  323. 井手以誠

    ○井手委員 議事進行で一言。この防衛出動については非常に重要な問題でございます。この少数の委員をもって審議するにはあまりにも重大である。すでに時間も相当経過いたしておりますので、委員長において適当にこの際おはからい下さることをお願いいたします。
  324. 山本粂吉

    山本委員長 受田君の関連質問だけ承わりましょう。
  325. 受田新吉

    ○受田委員 そこで私がここで非常に心配しているのは、内閣総理大臣が独断で防衛出動をなし得る規定がここにあることなのです。従って国民もこれに非常に危険を感じておるのだから、少くともその危険が少しでも軽くなるためには、国会が開会されているときは必ず国会の承認を得て出動する。そして国会が開会されていないときは、きょう総理が言われたように、臨時国会を直ちに召集して出動する、こういうことがはっきりしておれば国民は安心すると思うのです。従って、国会開会中における防衛出動は、必ず国会の承認を得て行う、とはっきり明文化させていただくことが筋が通ると思うのであります。御所見はいかがでございましょう。
  326. 船田中

    船田国務大臣 政府は先ほど来申し上げておるように、原則に従ってやるということを申しておるのであります。しかし法文といたしましては、七十六条の現行法文を変える必要は私はないと思っております。
  327. 受田新吉

    ○受田委員 これもまたあす十分討議をすることになるのでありますが、もう一つこれに関連して大事な問題は、国防会議構成員の中で、第四条に五名ほどあげられておるのでありますが、総理大臣は事故がある、また内閣法第九条の国務大臣も重症のためにそこに出てこない、また重光さんは二つ兼ねておるのでありますが、重光さんも事故があった、総理も脳溢血のために倒れた、大蔵大臣も重態だとか、あるいは海外旅行中であるということになって、ここにあげてある構成員があなた一人というような場合が起ったときはどうなさいますか。
  328. 船田中

    船田国務大臣 国務大臣が海外に旅行するとか事故があるとかいう場合には必ず代理が置かれるのでありまして、防衛庁長官だけが勝手に一人で防衛出動をきめるというような場合は全く起り得ません。
  329. 受田新吉

    ○受田委員 これはまた議論すれば切りがないのですけれども、その代理も事故が起るという場合が起るのです。たとえば国務大臣が自民党の党勢拡張のために全国に遊説に出ておった、そして重大な事態になっても集まってもらうことができぬという事態がやはり起るはずです。そういう場合のことを考えると、この国防会議出席者が幾人いれば会議が開けるのか、そこが明文化されておりませんが、御所見を伺います。
  330. 船田中

    船田国務大臣 国防会議の議事規則というものは別に法文化されておりません、しかしこれは従来の会議の常識に従って会議を開くのであります。また国防会議はあくまでも諮問機関でございますから、従って最終の決定閣議によってきめられるということになり、また内閣総理大臣内閣の首班として責任を負うということになるわけでございます。
  331. 受田新吉

    ○受田委員 これは非常に危険があると思う。結局国防会議を開こうとしても、大臣が地方へ旅行してなかなか開けないというようなことを考えた場合には、当然国会の開会されているときには国会に必ず諮って出動させるということが可能だと思う。会議を開くほどの時間的余裕があるならば、国会議員は東京にいるのが当りまえなんですから、電報一本で国防会議構成員が集まるよりは、国会議員の集まる方が早いかもしれません。そういう場合に国防会議の答申がなければ内閣総理大臣の発動はされないのでしょう。そういうことがあるならば、国会議員の本会議召集をやってそこで諮る時間的な余裕は必ずあるのです。この点はきわめて明瞭なんで、国防会議構成員の召集と国会の本会議召集とが時間的にはほとんど違わないと思うのでありますが、一つこの際七十六条を改正する、今私たちが指摘したところをのみ込んで御考慮願うということを、明日までに緊急閣議を開いてでもお願いいたしたいと思います。  それからもう一つ、七十六条の防衛出動は、これは外部の武力攻撃でありまするから、当然行政協定二十四条の日米の協議事項の中へ入りはしませんか。
  332. 船田中

    船田国務大臣 これも午前中に御答弁申しましたように、日本の区域に攻撃が加えられたという場合には、日米協定によりまして、日米両国政府においていかなる共同措置を講ずるかということについて協議をいたします。協議の結果、日本の自衛隊も出動するというようなことになりましょう。その場合におきましては、もちろん憲法及び国内法規に従って自衛隊は行動する、こういうことになるわけであります。
  333. 受田新吉

    ○受田委員 そうするときょう午前中に総理の言われた、日本自体において防衛出動を単独になし得るという場合はないのではないですか。
  334. 船田中

    船田国務大臣 これは理論的にはあり得ると思います。それは日米両国政府においていかなる措置を講ずるかということを協議いたしますから、その協議の結果日本だけが自衛隊を動かすという場合もあり得ましょう。それは理論的に、法文の解釈上はあり得るわけであります。しかし実際問題としては、日本の区域に攻撃が加えられたという重大な場合におきましては、もちろん日本とアメリカの両国政府が共同して日本の防衛に当っておるのでありますから、その場合においては日本単独で行動するということはなかろうと思います。
  335. 受田新吉

    ○受田委員 あすもう一ぺん重ねて御考慮いただく種を御提供申し上げておきます。日米の協議の結果日本だけが出る場合も理論的にはあり得るということでありますから、そうした場合に、一度出動したが、第七十六条の三項の国会の承認が得られなかったという場合、そのときには「直ちに、自衛隊の撤収を命じなければならない。」こう書いてあります。そのときに日米が共同で防衛出動しているが、国会はそれに承認を与えなかったという場合、日米の約束によって国会自身はその撤収を命ずる、承認を与えないという自由が束縛されるかどうか、ここを一つお聞きいたしたい。
  336. 船田中

    船田国務大臣 どうも防衛出動というものを、海外出動のようにお考えになっておるかと思いますが、海外派兵あるいは海外出動ということを考えておるのじゃございません。日本の区域に攻撃が加えられたときに、防衛出動をするというだけのことでございまして、もしそれが急迫不正の攻撃が加えられて、そうして国会の承認を経ずして出動したというような場合に、あとになって国会がそれに不承認を与えた、こういう場合には、国会意思に従う以外にないわけでございます。
  337. 受田新吉

    ○受田委員 私は、今海外出動のことを言っているのじゃない。防衛出動のことを言っておる。防衛出動を命ぜられた、そして国会が不承認をしたという場合に、国会そのものは、今日米の共同作戦で自衛隊が出動しておるのだから、アメリカによってこれが束縛を受ける心配はないかということです。国会の不承認ということが断固できる、そうしたら日米共同作戦はくずれはしませんか。
  338. 船田中

    船田国務大臣 行政協定二十四条によって、両国政府が共同措置を講ずるということについて協議をいたしますが、その協議をするときには、もちろんわが自衛隊は、憲法及び国内法規によって行動するということが前提になるわけであります。ですからその場合において今御懸念のような点は私はなかろうと思います。
  339. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この防衛出動に関しまして、ずっと質疑応答を聞いておりますと、いつも船田長官は、アメリカとの関係において、行政協定の二十四条に従って事前に協議をする、協議をするから、いろいろ国内で問題になるようなことはないんだ、事前に協議をしてやるからないんだというように答弁されております。これはちょっと条文を読み誤まっておられるのです。共同措置をとるということが先なんですよ。それであとで協議をするということになっているわけです。これは当然でありましょう。こういうふうな不正の侵害があったとか、武力の攻撃がなされるときには、やはり先に共同措置をとるというようなことにしておかなくちゃ工合が悪いだろうと思う。行政協定もそのようになっているのです。あなたは相談を先にやられるといつも答弁されておりますので、私はそのうち伺おう伺おうと思っておりましたが、たまりかねて関連をさしてもらいますけれども、その点誤解のないように一つお願いしたいと思います。だから受田委員が指摘されたような事態も十分にあり得るわけです。その点あなたの考え違いじゃございませんか。
  340. 船田中

    船田国務大臣 これは、私は何も強弁するわけでも何でもございませんが、行政協定の二十四条をお読み下されば、その点ははっきりするのではございませんか。「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」どういう共同措置をとるかということについて協議をするわけでございますから、その協議をするときには、もちろん日本の自衛隊はどういうふうにするか、どういう防衛措置を講ずるかということを相談をしてきめるわけであります。そのきめるときには、もちろん日本の自衛隊は憲法及び国内法規に従って行動する、そういう憲法の制約のあることを前提として協議をするのでございます。従って先ほど私が答弁したことは、何ら間違ってはおらないと思います。
  341. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 強弁するのじゃないとおっしゃいますけれども、それじゃ私の日本語とあなたの使われる日本語と違うわけです。「日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」となっている。協議の方が先だというようにあなたは御解釈になるわけですが、これじゃ決して協議の方が先になっておりませんよ。少くとも並列もしくは共同措置の方が先だという条文になっております。これは明らかにあなた強弁ですよ。
  342. 船田中

    船田国務大臣 なるほどこの日本文をお読みになると、句読点の点からそういうことを御懸念になるかもしれませんが、この原文たる英文をお読み下されば、その点ははっきりしております。
  343. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、日米行政協定の成文は、英文の方が優先するというわけですか。
  344. 船田中

    船田国務大臣 これは、「日本国政府及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、」それらのことについて「直ちに協議しなければならない。」こういうふうに読むべきものなんです。それは法制局の方でお聞き下さってもはっきりわかります。
  345. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 法制局にはあとで聞きます。あなたは強弁じゃないと言われるから、私は強弁だと言っているわけです。また質問をそらしておられるが、行政協定の解釈をするに当って、結局英文の方が日本文の成文よりも優先するというようにあなたはお考えになっておられるのですか。
  346. 船田中

    船田国務大臣 英文と日本文と両方が成文になっております。
  347. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、英文が優先するということにはならないわけです。成文は日英両語をもってなされているはずです。われわれは日本人です。日本国民日本の国会議員です。少くとも日本語の方を中心に論議したいと思う。私はいつか言おうと思っておりましたが、あなたはきょうだけではございません。いつも、いかにも協議の方が先であって共同措置があとであるかのごとく、この問題に関しては常に答弁されてきている。速記録を読まれたら、お気づきになるだろうと思う。ところが日本の成文ではそういうふうになっておらない。現に今あなたが読まれた通りになっているわけです。そうしますと、これは重大な問題ですよ。少くとも先ほど申し上げたように、協議と共同措置は並列であるか、あるいは共同措置の方が先であるということになると私は思う。また実際他国から武力攻撃でもあったような場合に、相談が先だというようなことは、ちょっと考えられないということも、理屈としては成り立つと思う。だから私としては、少くともそういう意味でこの条文はできているのかと思っておった。ところが大臣はいつも協議が先だ先だと言うけれども、協議が先のようにはなっておりませんよ。日本文では、これはどなたがこれを読まれても、この条文によって協議が先だというように解釈されるような方は、少くとも日本語を知っている方にはないと思いますが、どうでしょうか。
  348. 船田中

    船田国務大臣 それは質問者と全く解釈が別だと思います。この条文をお読みになれば、「日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、」それについて「直ちに協議しなければならない。」こうなっているのでありまして、「執り」の下に句読点があり、「且つ」の下に句読点があります。しかしこれは別個の条項ではなくして、そのために「直ちに協議しなければならない。」こういうふうにかかるのです。これは、こういう私の解釈していることの方が正当な解釈でありまして特にあなたがそういうふうにお読みになるというのが、かえって間違っているのじゃないかと思います。
  349. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は絶対に承服できません。これは幾ら読んでみたって、あなたが言われるようには解釈できませんですよ。そういう意味なら、何でそんなややこしい日本語にするのですか。それは英文を翻訳したからだとおっしゃるにしても、もう少しわかりのいいように、そういう意味にとれるようにすべきである。協議をして、その後共同措置をとるべきであるという日本語もちゃんとある。なぜそういう言葉を使いませんか。少くとも「日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、」とあれば、もうすでにとれる。そして「且つ、」とくれば、その共同措置をとると同時に、あるいはそれ以後にというふうに解釈するのは、これは日本語の常識ですよ。これは重要問題です。今になってこういう問題がここで大きく論議されるというのはおかしいというくらいのものですよ。私は慎重にこの点の明快な結論を得たいと思いますが、今ここで続けるのじゃなしに私たちの方としても対策を立てたいと思いますので、私の発言はこれで終らしていただきたいと思います。
  350. 受田新吉

    ○受田委員 きょうは日暮れに迫ってから非常に重大な問題が相次いで発生したのですが、これはさらに私御検討いただいておかなければならぬ問題を追加して、明日の委員会までに御検討願っておきたいと思います。すなわち今申し上げた七十六条の規定をある程度、今申し上げたように国会尊重の方向に改めること、それから今の接続詞の前後の関係の問題、あわせてこの法案そのものにおいて第五条で、議長及び議員が非常勤としてあります。この議長及び議員は、当然非常勤で勤務すべきものであって、国務大臣がやっておるのであって、ほかの民間人が入っておるわけではないのです。こういうことを別に摘記すべきほどのものではない。民間人を入れてある場合においては非常勤ということも考えられるであろうが、国務大臣は当然本職の国務大臣があるのであって国防会議構成員である場合には、常勤であるはずがない。また六条の関係、国務大臣等の出席の点、これも議長議員だけに秘密保持の原則が与えられておって、当然会議出席して同じように、ただ採決だけやらぬけれども、意見も十分述べて秘密を十分知ることのできるところの関係国務大臣、他の国務大臣とか統合幕僚会議議長とかその他の者は全然第五条の秘密保持の義務がないというようなところが、法文の上で一つ問題になると思うのです。こういう問題もあわせ御研究を願って明日御回答を願いたい。そして私はさらに事務局の問題は、あらためてお伺いすることとして、第十条に予定されている政令が何であるかということも、あすは非常に忙しい段階じゃないかと思いますので、どんどん資料を出してもらいたい。  それから今から資料要求をさしてもらうのでありますが、日本の兵器で日本人のからだに合わぬ兵器がたくさんあることは飛鳥田君がきのう言われた通りでありますが、第一に日本の自衛隊の隊員は身長はどのくらいを基準にしておるか、アメリカはどのくらいの身長になっておるか、それの差がどのくらいあるか。それによって小銃、戦車、艦船その他あちらさんの割り当てられた兵器に対して、日本の兵隊がこれを利用する場合に、小銃であれば握りぐあいとかあるいは大砲を撃つ場合からいったら照準をする場合の高さ、一時背を伸ばすか、台を敷いてやるかというような問題、これはわれわれは非常に憂慮しておる。このようなことに対して心配がないということをはっきりあなた方が言われることができるならば、そういうものに対して身長の差による兵器の利用に対する対策、そうした外国兵器を利用するについてのそういうものを全部御提出をいただきたい。  もう一つは、昨日私が提議いたしました中古エンジンの問題、この中古エンジンの驚くべき高価買上げについて明日までにお願いを申し上げたいことは、私昨日指摘しました応募の艦船課長に直接確かめた談話によれば、これは新品である、それをただ部分品を取りかえて中古にしたという、いわゆる工作をした実態をわれわれは伺っておる。それからマリン・エンジンそのものが最初松庫商店、三友産業あるいは間組と転換をしていったときに、払い下げをしたときの価格が何を基準にされたかという問題、それから購入したときの価格は何を基準にしたかという問題、これらは決算委員会でさらに論議されると思いまするが、これは決算委員会の論議がややおくれると思いまするので、こういう問題を十分用意いただきまして、明日これらについて具体的に質問をさせていただきたいと思いまするので、それらの答弁をしていただく用意をお願いを申し上げておきたい。  それからもう一つ、私たちは今防衛庁のなしておられるところのいろいろな艦船その他の兵器の注文に対して非常な疑惑があり、またその取扱いに疑義がはさまれておるということにおいて、これをこの際一掃しておかないと、国防会議法案というものの通過をさせるのには、われわれとしては良心的に納得できませんので、こういう問題を少くともこの国会で十分話して、これを通過せしめるというあなた方の御意図も、われわれは検討さしてもらいたいと思います。従って、今度は委員長ですが、委員長におかれましては、こうした兵器そり他の取扱いにおきましてわれわれかまだ十分検討をなし得ない武器がある。従って何らかの機会に実態調査をやらせていただいて、あした防衛庁が出されるであろう資料に基いて、日本人に適当でない兵器の利用をしておる日本としては、これはわれわれ国会議員として十分検討ができるような機会を与えていただくことをお願い申し上げ、この法案の審査に万遺憾なきを期せられるよう御処置相なりたいことを要望し、委員長答弁を要求して私はきょうは質問を一応終りたいと思います。
  351. 山本粂吉

    山本委員長 委員長から船田国防大臣にお願いを申し上げておきます。先ほどの御答弁石橋委員質問との間に、まだ食い違いがあるようであります。この問題が明日また問題になるようだと、こういう法文の解釈で長時間審議の時間をつぶすことは、大へん迷惑だと存じますから、大体委員長としては了承しておりますけれども、日米直ちに協議のあとでなければ、必要な協同措置をとることはあり得ないといりふうに解釈されているというならば、そういうふうに解釈する根拠と説明理由とを付して、明日この委員会ではっきり、一言でわかるように御説明を願えば、この問題が解決すると思います。どうぞさよう一つ御了承願いいたいと存じます。
  352. 船田中

    船田国務大臣 一言申し上げておきますが、この行政協定の審議につきましても、それから自衛隊法の七十六条につきましても、すでに国会でもって御審議を願って決定しておるわけであります。その解釈についてまた昔に返ってそのときの論議をここで何べんも蒸し返すということになりますと、それは、委員長の御心配のようなことがございます。それは一応解釈がそうきまっておるものについて、二度も三度も同じことを私答弁しないで済むようにお取り計らい願いたいと思います。
  353. 受田新吉

    ○受田委員 船田先生の今の御答弁の中で、七十六条も国会できまって法律になっておる、解釈がきまっておるのだと今仰せられたんですが、今回は国防会議法律ができて、国防会議が新しくできるのです。従って国防会議の議を経なければ内閣総理大臣も出動を決定し得ないように、中間に一つの大きな機関ができたのです。その機関ができて、それに諮って総理がきめるということになった以上は、当然七十六条も国会に諮るということは、国防会議を招集するという余裕があるならば、国会を召集することもできるのですから、事態は変っておるのです。この点、昔と同じ事態ではないのですから、新しい事態に即応してこの法律改正の要が発生したとわれわれは確認しておるのです。その点も一つお含みを願いたい。
  354. 山本粂吉

    山本委員長 速記をちょっととめて下さい。   〔速記中止〕
  355. 山本粂吉

    山本委員長 速記を始めて下さい。  ただいま受田委員よりの御注文については、いずれ理事会で御相談を申し上げることにいたしますから、さよう御了承願います。本日はこれにて散会いたします。   午後五時五十三分散会