○小林国務大臣 ただいま議題となりした
厚生省設置法等の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案の
理由を御説明申し上げます。
この
法律案は、厚生省の付属
機関であります、未帰還
調査部を縮小いたしまして、これを本省の内部部局に編入いたしますとともに、引揚援護局に現在置かれています次長二人のうち一人を減じ、この減じました次長一人を保険局に置くこととし、あわせて、本省の付属
機関であります国立予防衛生研究所及び国立衛生試験所の所管事務について、所要の調整を行いますことをその内容といたしておるのであります。
まず第一の
改正点であります未帰還
調査部について申し上げますと、御承知のように、引揚援護業務の推捗に伴いまして、引揚援護局
関係の職員は、
昭和三十一年度におきましても、引き続き縮減されることとなっておりますが、反面、現在なお
調査究明を要する未帰還者は六万数千名に上っておる実情でありますので、未帰還
調査部は、今後なお
相当長
期間にわたりまして、複雑かつ多量の業務を継続して処理しなければならないものと
考えられます。従いまして、次第に縮減される人員をもって、これらの業務のより能率的、効果的な処理、
運営をいたしますためには、本省の付属
機関から内部部局たる引揚援護局未帰還
調査部に改組いたしますことが適当でありますので、これを行わんとするものであります。
改正の第二点は、保険局に新たに次長を設けようとすることであります。御承知の通り、保険局は一面において中央行政
機関として、健康保険、
国民健康保険、厚生年金保険その他各種社会保険の諸
制度について企画し、その総合的整備をはかることをその所管事務といたしておりますが、他面
政府管掌の健康保険、日雇労働者健康保険、船員保険及び厚生年金保険の各事業について保健者として実際の業務を処理する任務をになっておるのであります。しこうして、近時、医療保障を中心とする社会保険の充実強化を要望する声が特に高く、
政府におきましても、
昭和三十五年を目途といたしまして、全
国民に医療保険を普及させる決意を固めておりますので、社会保険の整備につきましては、この局を中心として格段の積極的施策を講ずることが要求されているのであります。しかるに他方この局においてその業務の
運営に当っておりまする健康保険及び船員保険の事業は、累増する赤字のためはなはだしい財政難に襲われておりまして、一たび
運営を誤りますときは、医療保険の一大支柱をなしておりまするこれらの
制度そのものを破綻させる危険さえもはらんでいるのであります。かかる条件のもとにおきまして、内、その管掌する社会保険諸事業の
運営に万全を期しつつ、外、
国民皆保険を目ざして医療保険の一大飛躍をはかりますためには、さしあたりの対策として局長を助けつつこの困難なる業務の一半を分担処理する次長の設置を不可欠とする次第でございます。しこうして、これに伴い新たに次長一人を増員いたしますことが諸般の情勢上許されませんので、比較的に事務量の減少して参りました引揚援護局次長二人のうち一人を減じ、これを保険局に新たに設けられまする次長に充当しようとするものでございます。
改正の第三点は、国立予防衛生研究所と国立衛生試験所についてでございますが、これらの付属
機関におきまして、医薬品等の検査、検定に不可欠な標準品を製造することができる
根拠規定を明確にしようとするものでございます。
以上が、この
法律案を
提出いたしました
理由でございます。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第でございます。