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1956-02-29 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十九日(水曜日)    午前九時四十二分開議  出席委員    委員長 山本 粂吉君    理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君    理事 高橋  等君 理事 保科善四郎君    理事 宮澤 胤勇君 理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    大村 清一君       小金 義照君    椎名  隆君       薄田 美朝君    田村  元君       辻  政信君    床次 徳二君       林  唯義君    福井 順一君       眞崎 勝次君    粟山  博君       山本 正一君    横井 太郎君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       石橋 政嗣君    稻村 隆一君       片島  港君    西村 力弥君       細田 綱吉君    森 三樹二君  出席国務大臣         法 務 大 臣 牧野 良三君         文 部 大 臣 清瀬 一郎君         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         法制局次長   高辻 正巳君  委員外出席者         議     員 山崎  巖君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  憲法調査会法案岸信介君外六十名提出衆法  第一号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四二号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  四三号)     ―――――――――――――
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を続行いたします。  この際委員長より石橋君にお答え申し上げます。昨日の総理大臣出席の御要望に対しまして、首相出席を強く要求いたしましたが、ユネスコ等関係で外人との先約がありますので、どうしても本委員会出席ができないとの回答に接しましたので、その首相答弁防衛庁長官より代読していただきますことにいたしましたから、それで御了承願いたいと存じます。従って質疑を続行さしていただきたいと存じます。  まず防衛庁長官により、きのうの石橋君の質問に対して、首相答弁を代読願いたいと存じます。
  3. 船田中

    船田国務大臣 石橋委員の御質問に対しまして、十分総理大臣と話し合いをいたしまして、政府を代表して総理大臣から答弁申し上げることでございますが、ただいま委員長から御報告のありましたような事情でございますので、その答弁要旨をここに私から申し上げます。   わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等基地をたたくことは、法理的には自衛範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。昨年私が答弁したのは、普通の場合、つまり他に防御手段があるにもかかわらず、侵略国の領域内の基地をたたくことが防御上便宜であるというだけの場合を予想し、そういう場合に安易にその基地攻撃するのは、自衛範囲には入らないだろうという趣旨で申したのであります。この点防衛庁長官答弁食い違いはないものと思います。  以上が政府を代表して、総理大臣からの本問題についての答弁でございます。どうぞよろしく御了承をお願いいたしたいと思います。
  4. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今総理答弁長官が代読されたわけでございますが、私はそれでは了承できないと申し上げなくちゃなりません。そこでまず最初にお尋ねいたしたいのは、二十二特別国会における答弁は、昨日及び一昨日の船田長官答弁と、食い違いがないというふうに言っておられますけれども、それにはいろいろ付言されております。結局するところ先国会において総理がなした答弁は、いつもの調子で言葉が足りなかったのだ、こういうことなんですか。
  5. 船田中

    船田国務大臣 大体ただいま石橋委員が仰せらるるごとくに、他に方法が絶対にないというような場合におきまして、敵基地攻撃する。しかもその前提といたしまして、私がここにたびたび申し上げておりますように、急迫不正な侵略があった、そうしてこのままにしておれば、ただ座して自滅を待つのみ、こういう場合において他に方法がないというときには、敵地をたたくということもあり得る。またそれは自衛範囲である。かような趣旨におきまして、総理大臣の御答弁と私の答弁は決して食い違ってはおらないのでございます。ただ敵地先制攻撃した方がよかろう、かような場合においては、少くとも現行憲法のもとにおきまして、さような先制攻撃を加えるということはできまいし、また絶対にさようなことは考えておらない。その点におきましては、総理大臣の第二十二国会において御答弁になりましたことも、今日私が答弁いたしておりますことも、決して食い違ってはおらないと存じます。
  6. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 食い違っておらないということを盛んに強調されるわけでございますけれども、聞く方の私といたしましては、はっきり食い違っているとしか考えられない。きのうも一部速記録を朗読したわけでございますが、今言ったような前提のもとに答弁はなされておらないわけです。前後の関係もよくお読みになったことと思うわけでございますが、田村君の発言の中にはっきりと出てきている。結局自衛ということになれば、「外国から攻められる場合にそれを撃退するだけが自衛であるのか、そうするとあたかも楠木正成千早城になってしまうのであります。これは籠城であります。そうでありますから外国から攻められた場合、相手の基地までこちらが爆撃して、後顧の憂いをなくするということまでをもって自衛とされるのか、」こういう質問をしているのに対して、「あなたのおっしゃったように、飛行機でもって飛び出していって、攻撃基地を粉砕してしまうということまでは、私は今の条文ではできないと思います。」とはっきり言っているわけです。この前後のつながりを無視して、自分答弁だけを引っぱり出してきて、あのときの答弁はそういうことじゃなかったのだ、先制攻撃というようなことだけを避けるつもりで言ったんだと言ったって、これはあまりにも言葉が足りな過ぎますよ。一体総理は、ここに来ていただけば直接言いたいところなのでございますが、あまりにも自分言葉というものに責任を持たな過ぎる。二十二特別国会でも、はっきり江崎議員あたり質問に対して、自分見解を変えましたということを、ここで率直に言いました。率直に言うことは正直でいいかもしれないけれども、少くともこういう大切な問題について、そう簡単にぐらぐら考えを変えてもらうということは、まことにもって国民として安心ならぬと私は思う。われわれもここで質問して、総理なり長官なりが答弁をする、それを聞いて安心したり、喜んだり、悲しんだり、怒ったりしている全くピエロみたいなものだと思う。そのときの行き当りばったりの答弁をされてはかなわぬと思う。われわれがピエロじゃない、国民ピエロだと私は言いたい。そのように信念のない答弁国会においてなされるということは、これは重大な問題だと思う。少くとも鳩山さんは、在野当時においては、自衛隊憲法第九条に違反するということをはっきり申しておりました。それを二十二特別国会において考えを改めましたと、「私が野党時代に表明した見解は、その後変えたことは先ほど申し述べた通りであります。」と六月十六日に言っておる。そうしてそのときは自衛範囲というものについて結局籠城ということになるのだ、向うから攻められてもこっちから出ていくということはできないのだと言っておった。これがまた半年たった現在においては向うから来れば出て行くことはできるのだ、こういうことをやっておれば、また一歩進めて来年は、あるいは来年を待たずしてあと二、三ヵ月すれば、先制防禦ということも言い出すかもしれない。一歩々々進んだ解釈をやっておるじゃありませんか。どういう情勢の変化に基いてそういうふうに考えを変えられるかしれないけれども、国民としてはまことに安心ならぬと私は思う。だからこそ直接総理出席を願って、安心のいく答弁を願おうと思ったわけですが、今船田さんがかわりに読まれましたけれども、そういうことでは私納得いきません。少くとも最小限度納得させようと思えば、去年言った答弁と今の考えとの間にはまた違いが出てきておるのだ、私の考えを変えましたと言うなら、そういう意味で私は了解できる。それをこじつけなされようとするそういう態度には私は納得できません。そこで率直に申していただきたい。今私が申し上げました田村君の質問、これは籠城するのか、それとも攻撃されれば攻めていくのかという質問に対してなされた答弁なんです。それと私は食い違うと思うけれどもどうか、再度お尋ねいたします。
  7. 船田中

    船田国務大臣 先ほども私から申し上げましたように、ただいま御懸念のありました点は、おそらく全般的の大きな問題として、総論的にお考えになった点であろうと存じます。その問題につきましては、もちろん現行憲法のもとにおきましては、先制攻撃を加えるというようなことはできませんし、また政府としてはさようなことは絶対に考えておりません。しかしたびたび繰り返して恐縮でございますが、急迫不正な侵略が現実に起って参りまして、そうして誘導弾等攻撃が加えられ、このままおれば自滅を待つのみである、そういうせとぎわになりましたときに、坐して自滅を待つということは憲法の期待しておるところではなかろう、こういう点につきましては、先ほど総理の御答弁要旨を私からかわって申し上げたようなことでありまして、その点におきまして、私の先日来申し上げておることと何ら私は矛盾はしておらない、かように考えられるのであります。ただいま石橋委員の御懸念になられますような点については、言葉の足りません点は十分これを補足いたしまして、ただいま私の読み上げましたことが、政府としての最後的の決定的の意見であることをここにつけ加えて申し上げておきます。
  8. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 きのうから長官は急迫不正な侵略行為ということを繰り返して言っておられますけれども、大体侵略行為そのものに急迫不正なもの以外のものがあるのですか、私はそのことからお尋ねいたしたいと思います。
  9. 船田中

    船田国務大臣 それは今までの歴史を見ますと、いろいろ間接侵略とか直接侵略とかいうものがありますから、これはいろいろそのときの事情によって考えなければなりませんが、私どもの自衛権発動をする場合におきましては、何といってもやはり急迫不正の侵略前提となると考えます。
  10. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 少くとも今私がここで御質問しておる問題は、敵がよそから攻めてきたときの問題なんです。結局直接侵略の問題なんです。その直接侵略という形、これはいつの場合であっても、侵略という以上不正であり、そうしたま急迫状態でなされてくるにきまっておる。そうすると幾らここであなたが急迫不正ということを言おうと言うまいと、侵略行為というものはすべてそれなんです。だからどんなものでも敵が攻めてきた場合ということと何ら変らないと思うのですが、その点再度お尋ねいたします。
  11. 船田中

    船田国務大臣 これは繰り返して申しますが、急迫不正の侵害に対して国土防衛するということでございまして、その場合に他の手段がないというようなときにおいては、敵基地をたたくこともあり得るということを申し上げておる次第であります。
  12. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは急迫していない状態でなされる侵略行為、不正でない侵略行為というものは、どういうものであるか、御説明願いたい。(「答弁答弁、一番大事なところだよ」と呼ぶ者あり)――委員長答弁させて下さい。――私はお尋ねしておるのですが、そこの答弁席にすわっておられる以上、答弁するために来ておると思うのですが、何とか私の質問に対してお答え願いたい。
  13. 船田中

    船田国務大臣 急迫不正の侵害に対して、それを防止する、しかも先般来御質問のありましたのは、誘導弾等攻撃が急迫しておる、そうして他にこれを防止する道がない、こういう場合においては敵基地をたたくことがあり得るということを申し上げておるのであります。しかし、急迫不正でない侵略がどこにあるかというと、これは宣戦布告して侵略してくる場合もあるだろうと思います。
  14. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 非常に苦しい答弁を続けておられるようでありますが、私はそういうことではこれまた納得いきません。  それから先ほど鳩山さんの答弁を代読されたわけでございますが、昨年の田村君が発言いたしましたその翌日、飛鳥田委員質問に対しまして、なお念入りに総理答弁をしておるわけです。それは今問題になりました誘導弾の問題について、はっきりこれが出てきておる。飛鳥田さんの「飛んでくる無線誘導弾侵略だから、これに対して防衛できる。だがしかしその根拠地に行って根拠地をつぶすのは自衛範囲を逸脱している。一体飛んでくる無線誘導弾を空中ででも受けとめようとなさるのか、一つ伺わしていただきたいと思います。」という質問に対して、総理は「私は戦闘のことはよくわかりませんけれども、攻撃する力、出かけるということは自衛の、あそこに書いてある直接の侵略に対して防衛するという範囲外に出るものと思うんですが、それに対して、出ないでもって、こっちも同じようなたまを撃ったらいいだろうと思います。」こういうことを言っておる。「出ない」という言葉もはっきり使っておるのです。誘導弾が飛んできたときに守ろうと思う、たまそのものを守る権利はあるけれども、しかしたまの発射されておる根拠地に出かけいって、その根拠地を粉砕することは今の条文ではできないと思うと、はっきり総理は言っているのです。それではどうするのだということに対して、こっちもたまでも撃っておけばいいだろう、出かけていくのはいかぬだろうが、たまだけ飛ばすのはいいだろうという苦しい答弁を、当日鳩山さんはやっておる。このように明らかに今あなたが特に代読されたものと違う内容のことを言っておるわけです。これをもってなお意見食い違いはないと言われることは、今の急迫不正の侵略行為ということと同様全く言葉のあやというのですか、詭弁だと私は思います。それで総理考えがこの数カ月の間に変ったのであろう。変ったのであるならば私は一応そういう意味で了解する。そこで再度お答え願いたいと思う。
  15. 船田中

    船田国務大臣 先ほど総理大臣答弁を申し上げましたのが、政府としての答弁でございまして、それには先ほど来私が申し上げておりますように、敵の攻撃を受けてただ自滅を待つということが憲法の期待しておるところではないということを、総理も言われておるのでありまして、誘導弾等攻撃が加わりまして、そうしてそれに対して敵地をたたかなければ自滅をする、他に方法はない、こういう場合において敵の基地をただくということは自衛権範囲である、こういうことを申しておるのであります。敵地へたくさん兵隊を持っていって、そうして敵基地をたたくというような、いわゆる先制攻撃を加えるということまでをも含めて申しておるのではないのでございます。その点はあしからず御了承をお願いしたいと思います。
  16. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 現在の鳩山総理考え方というものは、あなたの考え方と一致しておるのかもしれません。しかし少くとも昨年の二十二特別国会当時における鳩山さんの考え方というものは、あなたはわからないはずなんです。だから当時と現在と総理考えが変ったのか、それとも当時から一貫しておるものかということは、あなたには判断つかないだろうと私は思う。だから鳩山さんに来てもらいたいということを言っておるわけです。どうでしょう。この点について御説明が願えないものならば、少くともこの法案は、鳩山さんがこの内閣委員会に出てじきじき答弁なさるまで、私は審議を打ち切らないで続行すべきだと思いますが、委員長見解を伺いたい。
  17. 山本粂吉

    山本委員長 石橋君にお答え申し上げます。今までの防衛庁長官答弁で大体御了承を願えると存じますから、なお質問を続行願います。
  18. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私はこの点につきましては、総理みずから本委員会出席していただいて解明していただくことを条件といたしまして、この問題に関連する他の部分についてそれではお伺いいたします。今抽象的な形でこれが論議されたわけでございますが、しからば一体自衛範囲というものはどういうところなのか、もう少し私は突っ込んでお尋ねをしてみたいと思うわけでございます。  そこで第一の例としてあげたいのは、もしかりに朝鮮動乱が再発する、まあ台湾で問題が起きたというようなことでもけっこうでございます。そういう際にアメリカがこれに介入してきた、そうして朝鮮なら朝鮮に対してアメリカが空襲を加えたというふうな場合、日本基地から飛行機が出たということに対して、敵国が報復的な爆撃日本基地に加えたというような場合に、一体日本自衛隊はどうするのですか。これは安保条約第一条あるいは行政協定二十四条との関連もありますので、実際にやるやらぬは別にして、理論的に今あなたが言われたような、こっちがやられたんだから出ていくという意味合いで、攻撃を加えることもできるのかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  19. 船田中

    船田国務大臣 ただいま石橋委員の御質問の点は、大体海外派兵というようなことになるかと存じますが、海外派兵というようなことは、私は今日の場合におきましては自衛権範囲内にあるとは考えておりません。海外派兵というようなことは全然考えておらいわけであります。
  20. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 海外派兵ではございません。ございませんということはあなたがおっしゃっておる。少くとも敵の基地をたたくために飛行機が飛んでいって爆撃する、これは海外派兵とは区別さるべきでありますということを、長官みずから言っておる。私が言っておるのは、日本自衛隊飛行機がそれじゃ朝鮮報復爆撃に行ってもよろしいのか、実際にやるやらぬは別にして理論的にはできるのかというお尋ねでありまして、飛行機の問題、あなたが現在答弁の中で申しておりますケースの問題でありますから、その点誤解ないように御答弁願いたい。
  21. 船田中

    船田国務大臣 さような場合においては、おそらく日米共同作戦ということになると存じます。そういうような場合におきましては、おそらくアメリカ軍がその任に当るのでありまして、わが方としては敵地攻撃するというようなことは考えておりません。
  22. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 あなたは、日本自衛隊といえども日本国土を不正に侵略された場合には、これを迎え撃つことができる、それのみじゃなしに、こちらから積極的に出ていってたたくこともできるとおっしゃっておるでしょう。そうするとアメリカ基地であろうと何であろうと、これは日本国土のうちである。この日本国土敵国によって爆撃された、そうした場合には日本国土がやられたんだから、当然自隊隊飛行機報復爆撃をすることができるという問題になりはせぬですか。あなたが今はっきりできるとおっしゃっておられる。総理もそういう見解だとおっしゃっておられる。その問題について私はお尋ねしておるわけです。アメリカの問題じゃありません。アメリカ基地がやられるといったってわれわれの国土の中にある基地です。日本がやられることと一つも私は変らないと思います。もう一度私はお尋ねいたします。
  23. 船田中

    船田国務大臣 これは総理の先ほどの答弁の中にもございましたように、誘導弾等による攻撃を防禦するのに、他に手段がないと認められる限り、その基地をたたくことは、法理的には自衛範囲に含まれる、これで御了承が願えると思います。
  24. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 他の手段がない場合というと、この場合は他の手段がある、こういうお考えですか。
  25. 船田中

    船田国務大臣 他に防衛手段がある場合に敵基地をたたくということはないと存じます。
  26. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこで私申し上げておるように、今朝鮮で再び動乱が起きたとする、その場合にアメリカがこの問題に介入してきた、そうして日本基地から朝鮮に対して爆撃をやった、向うが報復爆撃日本国土内にやった、そういうときに、あなたは答弁をそらしておるのでございますが、こういう場合に、それじゃ報復爆撃をしないのですか、するのですか。実際にやるやらぬは別として、理論的にやれるのですか、やれないのですか、明確に一つお答えを願います。
  27. 船田中

    船田国務大臣 他に方法がある場合に、敵基地をたたくということはあり御ないと思います。
  28. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ今私が申し上げている例の場合には、他に方法があるというわけですか。
  29. 船田中

    船田国務大臣 そのときの実情によります。
  30. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そのときの実情によりますといって、他にどういう方法があるのですか、御教示願いたい。
  31. 船田中

    船田国務大臣 日本アメリカとの間におきましては、国土防衛につきまして安保条約のあることは御承知の通りであります。ただいま御質問のような場合は、おそらく行政協定第二十四条の発動によりまして、共同作戦をしなければならぬというような場合になるかと存じます。従いまして、そういう場合において大作戦をするということは、わが国自衛隊の力ではできませんし、また自衛範囲内という問題から、これは問題が起ると思います。さような場合においては、おそらく米国の空下活動あるいは艦船の活動ということがあると思いますので、大体においてさような場合においては、いわゆる他に方法があるということになるかと存じます。
  32. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 米軍日本国土内におるから、米軍がやってくれる、これは他に適当な方法がある場合だから、自衛隊はじっとしておっていいんだ、こういう御解釈ですか。
  33. 船田中

    船田国務大臣 今御質問のような場合は、おそらく行政協定第二十四条の発動される場合だと存じます。
  34. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこで二十四条にはっきり明文があるわけですが、「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」とはっきりうたっているのです。「共同措置を執る」ということがここにうたわれておる、それから「直ちに協議しなければならない」ということがうたわれておる。そうすると、その場合の共同措置というのはどういうことであり、そうして向う側から直接の協力、たとえば日本基地がやられたんだから、お前たちも奮起せよ、日本航空自衛隊もわれわれの飛行機と一緒に朝鮮に向って行こうじゃないかという相談があったときには、一体どういうことになるのですか、この点明快にお答えを願います。
  35. 船田中

    船田国務大臣 それは行政協定第二十四条によりまして、それらの措置をすべて協議することになっておるのであります。
  36. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 一昨日池田委員質問に対しまして、はっきりとあなたは共同措置をとるということを言っておられる。共同措置をとるということは、結局あなたが今言っておられるように、敵からやられた場合には、敵の基地をたたくことも実行することができるということだろうと思って、この点重ねて追及いたしておるわけです。
  37. 船田中

    船田国務大臣 行政協定の二十四条によりまして、それらの点について協議をするのであります。まず協議をしなければ、どういう措置を講ずるかということはここで言明はできません。そのときの事情によることでありますから、その協議をするということがまず必要なことでありまして、おそらくそのときには、わが方といたしましては、わが国憲法初めわが国の国法に従って、できる範囲措置をとる、こういうことになると存じます。
  38. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この問題を私が重ねて質問するのは、非常に重要だからです。自衛範囲というものが、あなたのおっしゃるように広げられていったんじゃ、全くもってわれわれ日本国民は不安でたまらないと思うからこそ、私は質問しているのです。いつも言っているように、少くとも今まで歴史上に、侵略戦争をうたって、はっきり自分のところが侵略するのだというような形で戦争をやったことのないということは、あなた方も御記憶の通りだと思う。この点は保守党の自民党の江崎さんが、やはり昨年の本委員会で、非常に心配して総理答弁を迫っておる。私は自民党の諸君にこの点引用しながら申し上げるから、よく聞いてもらいたい。どういうことを江崎さんが言っているかというと、保守党の立場で非常に心配だから尋ねる、自衛のワクが広げられていくということになると、やがてそれが侵略という形に及ぶかもしれないというようなことを心配して、当時質問しておられる。これは私はもっともなことだと思う。少くともあなたは、大東亜戦争が侵略戦争か、それとも自衛のための戦争かということについての明確なお答えすらしきれないで、後世史家が何とか判断するだろうというようなあいまいなことを言っている。そういう考えの裏には、少くとも真珠湾攻撃自衛のためのものだというような、そういう全く反動的な考え方がひそんでおるのだろうと思う。そういう長官に敵の基地をたたくことができるというような解釈をされて、勝手に自衛隊を動かされるようなことになったら、再び日本がああいう急迫した、ああいう間違った方向に導かれていくおそれが多分にあると私は考えて、突き詰めて質問をいたしておるわけでございます。少くともあなたの今の態度で行きますならば、もし朝鮮に再び問題が起きたというような場合には、おそらく日本もその巻き添えを食っていくというようなことになるわけであります。しかしこの点は一応この程度にいたしまして、それでは法律的に問題をお尋ねいたしたいと思います。  しからば敵の爆撃があった、そこで日本飛行機がその基地をたたくというような場合には、法律的には自衛隊法の第何条を根拠にしてそういうことをやられるのか。おそらく第七十六条の防衛出動の項目が適用されるのじゃないかと思いますが、その点お伺いいたします。
  39. 船田中

    船田国務大臣 ただいま御質問の点は、第七十六条の規定の適用ということになると思います。
  40. 山本粂吉

    山本委員長 石橋君に御注意申し上げます。お約束の時間が参っておりますから、ごく簡単に願います。
  41. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは第七十六条について一応質問をしておきたいと思いますが、それは何かと申しますと、あなたは急迫不正の状態、他に方法のない場合、こういうときにのみ、敵からやられたらその根拠地をたたくのだと、こうおっしゃっておる。しかしそれが認められるということ、それが防衛出動であるということは、ただ単にそういうおそれのある場合にもそういうことがやれるということになるのじゃないか。少くとも第七十六条にはそういうように書いてある。「外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。」とある。そうするとあなたは急迫不正の状態、他に方法のない場合、そういうときにだけやれる、先制攻撃とかそういうような場合には絶対やらないと言うけれども、明文にはっきりと「外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。」とある以上、おそれがあるという口実を設けてやらないという保証はない。その保証がありますか。
  42. 船田中

    船田国務大臣 防衛出動をするような場合におきましては、その最終決定をいたしますのは国会でございます。従って国会において十分論議されてやることになるのでありますから、ただいま御質問になっておりますような心配は私はないと思います。なお私がこの際特に申し上げておきたいことは、自衛権解釈をどんどん拡張しておるというふうにおとりになっておるようでありますが、私はさようなことは申しておりません。
  43. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 国会に諮るのだとおっしゃいますけれども、防衛出動、特にあなたのおっしゃるように、急迫不正の侵入行為があったような場合に、一々国会に諮るいとまがありますか。おそらくこのただし書きでいく場合の方が多いだろうと思う。だからこそ私は心配してお尋ねしているわけなんです。そこで明確に、答弁をそらさないでお話しを願いたい。あなたは敵の基地をこういう場合にはたたくことができるとおっしゃっている。そうするならば、そのおそれのある場合にも、その例はただちに引用されるのじゃないか、そのまま行われてかまわないという理屈になるのじゃないか、明確にお答えを願いたい。
  44. 船田中

    船田国務大臣 この七十六条の場合におきましては、武力攻撃のおそれのあるというのは、急迫した危険というものをも含めておるわけでありますが、しかしこれは防衛出動の命令をそういう場合にも出し得るというのでありまして、現実に武力を行使するということにつきましては、もちろん現実に武力侵略があった、こういう場合において武力行使ができるのであります。また今後におきましても、おそらくそういうような場合において武力行使をするということは、現実に侵略があった場合において行われるものであろうと存じます。
  45. 山本粂吉

    山本委員長 石橋君に重ねて御注意を申し上げます。時間が超過しておりますから、打ち切りを願います。
  46. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まことに心外でありますが、さっきから委員長が時間々々と申されますので、やむを得ません。一点だけお尋ねをいたしますが、少くともあなたがここ数日間おっしゃっておられるように、敵の爆撃を受けるような場合には、その根拠地にこっちからも出かけていってたたくことができるというふうなことが、もし現在の憲法のもとにおいて、自衛隊法のワクの中においてやれるということになりますと、おそらく拡張解釈をされて、ただ単に外部からの武力攻撃のおそれのある場合、こういう場合にただそれだけでおそらくやれるようなことにはならないという保障はないと思う。少くとも今までの鳩山内閣の憲法自衛隊の関連性あるいは防衛というものの範囲についての解釈、こういうものの変遷を見ていくと、おそらくそこまで解釈を広げられるだろうと思う。しかしここであなたは答弁を避けられておりますが、私はおそらくそこまでいくだろうと思う。だから実際にやる、やらぬは別として、そういう解釈がとられるならば、この第七十六条によって、外部からの武力攻撃のおそれのある場合、その場合でもやれるのだということになりはしないか、再度お尋ねをいたします。
  47. 船田中

    船田国務大臣 石橋委員は非常にその点を御心配になっておられるようでありますが、これにつきましては、私の先ほど来申し上げておりますのは、現実に侵略が起って、そうしてこれを防ぐために、他に手段がないというときのことを申しておるのであります。昔の軍部でありましたならば、あるいは統帥権の独立とかあるいは天皇不可侵とかいうようなことがありましたから、従って今御心配のようなことも起り得るかもしれませんが、今日の民主主義の時代におきまして、しかもすべて国会の審議をまって出動するという場合に、自衛権範囲がどんどん拡張されていくというようなことは、私はないと存じますし、また私は決してそのことを考えておりません。
  48. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは結論だけ……。今自民党の江崎委員の方から紳士的な申し入れがありましたので、私はそれを了承して一応打ち切ります。しかしこれは十分納得したというわけではございません。先ほども申し上げましたように、この問題は特に重要でもありますし、総理見解をはっきりと変えてきております。そういう意味であらためて機会を得て総理並びに長官にこの問題についての質問を続けることをここにはっきり申し上げておいて、一応打ち切りたいと思います。     ―――――――――――――
  49. 山本粂吉

    山本委員長 次に憲法調査会法案を議題とし、質疑を続行いたします。  通告がありますので、これを許します。稻村君。
  50. 稻村隆一

    ○稻村委員 憲法第九十六条の問題ですが、清瀬さんにお聞きしたいと思います。これは論じ尽された問題なんですけれども、政府に今度の調査会法案の提案権があるという問題はどうしても納得できないんです。やはり日本憲法の九十六条によって憲法に関する発議権並びに提案権は国会にあると解釈するのが私は至当である、こういうふうに考えておりますが、その点七十二条によって内閣に提案権あるというふうなことは、憲法の歴史及び精神からいって間違いじゃないか、こういうふうに考えるのですが。
  51. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 このことは過日予算委員会においても浅沼書記長よりのお問いに対しまして、私の考えておることを申し上げましたが、憲法改正の手続は――この九十六条に書いてありますことは、国会が各議院の議席の三分の二以上の賛成で国民投票の発案をする、こういうことなんです。でありますから、国民に対してこの憲法を是認するかいなやを発案するのは三分の二の多数をもって議決した国会でやるのでございます。しかしながらその案を国会に付議するのは、初めから三分の二で付議するのではなくして、国会議員の方でも、また一般の法律案と同じように政府の方でも発案の権利はあるということにわれわれは解釈をきめておるのでございます。ただしかしながら、民主政治の理論上、議員提案がいいか、あるいはまた政府提案がいいかはおのおの見るところによると思いますけれども、単純に憲法の文字解釈からいえば、どちらでもできるのである、かように私どもは見ておるのであります。
  52. 稻村隆一

    ○稻村委員 どうしても私はそれは詭弁だと思うのです。実は私は憲法のことは知りませんけれども、衆議院法制局から出ている各国憲法条文をゆうべ読んでみたのですが、大体日本の今の憲法は、アメリカそれからスイス、オーストラリアというふうな国の憲法に似ていると思うのです。硬質憲法だと思うのですが、その憲法を見ても、行政権を支配する政府憲法のことに関与するようになっておると思います。それはすべて議会がやることになっておる。イギリスなどは、むろん不文憲法でそういう規定はないけれども、憲法の実際の規定は議会が一切やることになっている。これは明瞭なことなんです。法律解釈というものは、むろんいろいろ狭義にも解釈するし広義にも解釈するし、人おのおの考え方が違うでしょうけれども、私ども憲法の歴史を考えて、それによってやはり法律の適用を考えなければ、これは問題にならぬと思うのです。私は何もここで知ったかぶりをするわけじゃないけれども、憲法における三権分立というものはやはり学者の学説でなくして歴史的事実だと思うのです。要するに行政権を支配する政府の専制――暴政はトラよりもたけしということがありますが、それをおそれる民衆が結局行政権より立法権、司法権を独立せしめた。それであらゆる法案というものはあらゆる場合において、むろんこれは立法権に属するものであることは間違いないけれども、しかし特に憲法のような場合、狂暴な一つ政府から人民の自由を守るというその歴史から憲法というものは制定されたのであります。そういう主権在民の憲法という精神からいって、私はあくまでも九十六条によって、実際の憲法問題の発議権及び提案権は国会にあると思う。これはほかの憲法、特に日本憲法が今度取り入れたアメリカ憲法でもそうですが、行政権が憲法問題にくちばしを入れることは絶対に間違いだ。行政権ではないけれども、内閣というものは行政権力を支配するものなのだ。それが憲法問題にくちばしを入れることは法律によって禁じられている。個人的に言うとかあるいは調査するとかいうことはかってですけれども、行政権を支配する内閣がこういう法案を出すということは、憲法の歴史からいって明瞭に立法権の侵害である、こういうふうに思うのですが、その点いかがでしょうか。
  53. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 今のお説の、憲法は活字だけを見るのではなく、沿革または周囲を考えろとおっしゃることは私も同意なんです。異存ございません。しかし歴史的に考えると今のこの憲法自身政府が提案しておりますね。だからこの歴史を見て、国会でなければ修正できないというふうにも見えないのでございます。やはり両論があります。あなたと同じような御論が日本の学界にあることも承知して、みな学説は読み、直接学者の言うことも聞きました。しかしやはり一番穏当な解釈としては、ほかの議案と同じく国会への提案件は内閣にも議員にもある、しかし国民に対しレフェレンダムの発案をしようと思えば、九十六条が働いて三分の二の多数をもってやる、こういうように見るのがやはりすなおな解釈であるとわれわれは千思万考の上結論に達したのでございます。
  54. 稻村隆一

    ○稻村委員 いろいろ憲法上の疑義があるのに無理に内閣が憲法改正を前提とする調査会をやる必要はないじゃないですか。
  55. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 これは民間の学者も実業家も入れる会でございますから従前の慣例によってやはり内閣に置く方がいいであろう、国会に特別委員会のような形で国会議員でない者がその構成委員となってやるということの方が疑義が多いと私は思うのであります。
  56. 稻村隆一

    ○稻村委員 国会においても公聴会等において幾らでも専門家の意見も聞けるし学者の意見も聞けるのです。これは意見の相違かもしれませんが、また慣例がどうであったかということは知りませんけれども、主権在民の憲法の制定の精神からいって、国会がやるのが当然である。これに政府が関与するのは間違いであると考えられるのです。政府が無理に学者も入れることができるとか何とか言って、そういうことによって内閣に置く方が便利であるということは、政治上の大きな間違いを犯すものであると考えておるのであります。そのことは幾ら言いましても見解の相違ですからやむを得ないのですが、そこで私は憲法改正を前提とする調査会を提案される清瀬さんでも山崎さんでも、憲法を改正するにはこういうふうに改正したらいいという、その小さなところまでここでお述べになることはできないと思いますので、大まかな考え方がおありだろうと思いますから、その点お聞きしたいのです。  ことしの一月七日の朝日新聞に旧自由党並びに旧改進党の憲法改正草案というものがあります。これは自由党の方ですけれども、憲法第七十二条一第七十三条の内閣の権限の中に「憲法改正発議案の提出を加える。」こういうことがあるのですが、これを見ましてもおそらく私は多くの人は、果して内閣に憲法改正を前提とする、たとえば、調査会ですが、そういうふうなものを提案する権限があるかどうかということがはっきりしていないと私は思う。そういうことが私はこういう内閣の権限の中に憲法改正の発議案の提出を加えるということを言っている理由であると思うのですが、この点につきまして一つ清瀬さん、山崎さんの御見解をお聞きしたいと思うのです。
  57. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 憲法調査会でどういう調査をして下さるかは、これは将来のことでありますが、今お聞きの、私が属しておった前の党派で調べました時分には、憲法改正に関する九十六条の規定自身も振り返って研究しようということに申し合せておりました。この憲法改正の方法は、国会で一ぺん三分の二で規定して、またそれを国民投票に付する、丁重は丁重でございますけれども、あまりにも規定が厳重過ぎるじゃないか。むろん憲法のうちには万世不易ともいうべき基本的の条項もございますけれども、その他の条項については時の必要で変えなければならぬこともまた起るだろう。アメリカ憲法も、あの通り数回修正憲法ができておりますから、九十六条も厳格に過ぎる、これ自身も一つ研究しようという論は起っております。しからばどう変えるという成案は得ずに終っておるのでございます。
  58. 山崎巖

    ○山崎巖君 憲法の改正につきまして提案権が国会のみにあるか、あるいは内閣にもあるかという問題につきましては、過日の委員会でも申し上げましたし、またただいま清瀬文部大臣からお話のありました通り解釈を、実は私どもも持っておるわけであります。自由党時代にただいまお述べになりましたように改正案といいますか、要綱といいますか、作りましたことは、実であります。それは提案権が内閣にもあるかどうかということにつきまして、学者の間にも、私は少数だとは思いますけれども反対論もあるわけであります。そういう点を明確にする意味において、内閣の権限の中にはっきりした方がいいのじゃないか、こういうことから自由党の結論は一応出してあります。ところが今私どもの自由民主党におきましては、さらに憲法調査会を設けまして、党としても諸般の問題について検討を加えておりまして、自由党の結論につきましても、私どもとしましては新たな観点に立って、さらに再検討を今加えておるところであります。またこの法案が両院を通過しました場合には、内閣に調査会ができるわけでありまして、こういう点はこの調査会においても慎重に御検討をいただき、適当な結論を得ていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  59. 稻村隆一

    ○稻村委員 今清瀬さんの御意見は、九十六条もこれは窮屈過ぎる、だからこういう複雑な、憲法を容易に変えることができないような手続は改正した方がいいじゃないか、こういう御意見であります。根本官房長官も、高橋さんのこの二十一日の御質問の中にもあったのですが、秋田県で、やはりまず第一に九十六条の改正を国民投票に問うて、それからほかの方をあれする、こういうふうなことを言っておられるので、これは自由民主党並びに政府の人たちの一致した意見であると私は思うのです。清瀬さんがリベラリストであり、日本の民主主義を制限するとか、あるいはそれをこわすとかいうことはごうも考えておるとは思っておらないし、またしばしば主権在民の憲法はあくまでも守る、これを中心にして憲法を改正するのだ、こういうことを言っておられますから、そのことはむろん私は御信用申し上げます。しかし政権の担当者というのはしょっちゅうかわるのですから、たとえばヒトラーのことですが、ヒトラーは決して暴力で政権をとったのではないのです。ワイマール憲法を通じて政権をとったのです。そうしてほとんど立法府の権限を奪ってしまって一切行政府が法律などの立法権をとってしまった、こういうふうなことはワイマール憲法を通じてやったことなんです。決して暴力だけでやったわけではない。そこで憲法というものは――この点はアメリカ憲法は非常によくできておると思うのです。国民投票はありませんけれども、しかし両院の三分の二できまったものをまた州議会――州議会の三分の二であったか、五分の三であったか忘れましたが、州議会の決定によらなければ、憲法を変えるわけにはいかないということになりますので、手続はなかなか複雑です。私は、こういうふうに憲法をなかなか改正できないようにすることは非常に意味があると思うのであります。これを簡単に変えられるようなことにすることは非常に危険である。議会を通じて独裁者が出て、勝手なことをやる危険性があるのじゃないか、こういうふうに考えるのです。これを変えるということは、民主正義を守る上において重大な誤謬である、ワイマール憲法がそのいい例であると思うのですが、そういう危険性を考えれば考えるほど、この九十六条はあくまでも変えてはいかぬ、それからこの憲法改正に対する発議権並びに提案権というものはあくまでも立法権に属せしむべきである、こういうふうに私考える。それに対する清瀬さんの意見をもう一度聞きたいのであります。
  60. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 この九十六条の現在の法規は、守っていくのが当然でございます。しかしながらこれについても、今度もし御協賛を得れば、できました調査会においては審議して下さる値打はあると思うのです。私も憲法の改正は、一般の法律と同じように、単純多数決でいけ、こんなことは考えておるのじゃないのです。どこの国でもある通り憲法の改正には丁重な手続の行ることは当然であります。各国の改正法規もあのときに研究してみました。イギリスはほかの法律と同じようにやっておるのですが、イギリスを除いた国はみな憲法改正の手続は厳重になっております。しかし今の九十六条はあまりにも厳重過ぎる。一たん衆議院も三分の二、参議院も三分の二、しかもあなた日本国会は衆議院も参議院も国民に選挙された議員ですから、イギリスの貴族院みたいなことはないのです。どっちも人民に選挙された者が三分の二で決議をしておいて、またその上に国民に問え、こういうのはあまりにも厳重すぎやせぬか、幾分どっかで緩和してよかろうじゃないかという説が、私の旧所属の改進党ではあったのであります。それを申し上げたのです。
  61. 山崎巖

    ○山崎巖君 ただいま稻村さんから根本官房長官が旅先で新聞に語られました点につきまして、御疑念があったようでありますが、私も実はあの新聞記事を見まして非常に驚いたのであります。あの新聞記事によりますと、まず九十六条を改正してそれから実質的の改正を別にやる、こういうふうな趣旨のように私見たのであります。これは党の意見でもありませんし、政府意見でもございません。そこで根本長官が帰られましたから、すぐ私は根本長官に会いまして、ああいう御意見をあなたは発表されましたかということを確かめたのでありますが、根本長官のお話によりますと、それは非常な誤解であって、ただいま清瀬文部大臣からお話がございましたように、九十六条は――むろん憲法の改正の問題は慎重の上にも慎重な手続をとらなければならぬけれども、あまりに厳格であるから、この点もあわせて調査会でもできたら調査会で一つ検討してもらいたい、こういうことがああいうふうな記事になって現われたのであって、自分の真意を正確に伝えていない、こういうお話でございましたので、実は安心をしたわけであります。従いまして九十六条をまず改正をして、それからあとの実質的の規定を改正するというようなことは、私の方は全然考えておりません。ただ九十六条につきましての調査会ができました場合には、ただいま清瀬文部大臣からお話がありましたように、この条文もあわせて御検討をいただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。その点をはっきり確めておきたいと思います。
  62. 稻村隆一

    ○稻村委員 これは議論になるのですが、なるべく議論にならぬように私は申し上げたい。ただ九十六条を変えるということは、私の意見としては絶対にいかぬと思うのです。さっき申しましたように、かりに非常に独裁的な考えを持っておる者が出ても、この九十六条があることによって、政権をとっても勝手なことをするというふうなことは食いとめることができると思うのです。そういう意味からこれを変えるということが最も重大な問題で、これを変えることは民主主義を破壊することになると思う。ヒトラーみたいにワイマール憲法範囲内において合法的に政権をとって、そうしてワイマール憲法の廃棄、を宣冒したわけでもないが、一国一党ということになって、多数党横暴ということになった。実際上私は過去の日本の政党を見ても――日本は大体議会政治ですが、アメリカは大統領がやる議会政治なのです。日本は議会政治をうまくやっている国の一つなのです。欽定憲法の時代にも議会政治があって、議会政治はうまくいっている方なのです。議会政治がうまくいっている国はイギリス以外はほとんどないのです。これは最も最良な政治方式であると思うけれども、なかなかうまくいっていない――うまくいったのであるが、多数党が政をとる、たとえば政友会、これが政権をとる。そうすると多数党が独裁をやる。金力と権力選挙干渉をやって政権は必ずとる。こういう歴史を私は知っている。そういうことが日本の今日の悲劇になったと思う。もし制限君主制のもとにおける欽定憲法下においても、こういう多数派独裁のようなことがなかったならば、官僚、軍閥がああいうふうなことをやることを押えることができたと思う。それを私は考えなければいかぬと思う。政権をとったならば少数派を弾圧してもよろしい、こういう考えはあります。階級独裁のような考え方、あるいは一党独裁の考え方、こういう考え方は非常に議会政治を破壊することになるので、議会政治というものは少数派といえども――これはむろんここで私が言うまでもないのだが、意見を尊重して、それと巧みな妥協をして、相手の意見をいれる。もちろん小数派の意見を全部いれるわけにはいかぬけれども、いれるというその巧みな妥協が議会政治なのであって、衆議院から出た内閣総理大臣といえども、衆議院の多数を握って、そうして行政権を支配して、あらゆる多数派横暴をやるというふうなことは議会政治の破壊である、これが日本の経験、ドイツの経験です。そういう点からいっても、憲法第九十六条こそは、そうした行政権を支配したものが、多数派横暴をやる、多数派独裁をやる、こういうことを防ぐところの唯一の規定であると私は思うのであります。これを変えるというふうなことは非常に間違いである。こう思うのですが、いかがでしょうか、清瀬さんそうお考えにならぬでしょうか。
  63. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 そういう点もあわせて、人類の歴史の上においてどうあったかということを十分反省して、必要な研究をしていただきたいというのが私の趣意でございます。憲法を硬憲法といって、固い憲法にしておくということが永続するゆえんか、柔軟性を持った憲法がよいかということも大きな議論なのです。御承知のイギリスは成文憲法はありませんが、マグナカルタ以来、人権宣言等がありますが、あれでも英国自身は通常のマジョリティに解していっている。今度は死刑を廃止しようといったような案でも、これは単純多数でやっているのです。ですから、国によっては憲法を固くしたから、それで永続するということには限らないのです。明治憲法国会には発言権さえなかったのです。それでも敗戦の結果あの通り変ってしまったということがありますが、人間の歴史はたった五千年しかないのでありますから、どれが一番いいかわかりませんけれども、皆さんがその経験なり、勘なり、歴史の教訓によって適当なところに一つ寸尺をきめてもらいたい。私自身の考えを言えば、これはあまりにも固すぎる、その中間くらいの適当なところで憲法改正の手続ができるのではないかというふうに考えております。
  64. 稻村隆一

    ○稻村委員 私は今イギリス憲法の議論を清瀬さんとやろうと思いませんけれども、しかしなるほどこの九十六条は固過ぎるとイギリスの例をとって言われますが、イギリスは、御存じのように、一切の憲法に対する問題というものは議会だけ、立法府だけがやることになっておるわけでございます。それはもう厳重に慎重に慣例として守られているわけですから、私はイギリス憲法というものは、やはりあらゆる点において日本に適していると思うのです。このイギリス憲法をやはり成文化した日本憲法というようなものが、私は一番理想的なものであると考えている。それを今度内閣がそういうふうにあまり固く解釈するのはいかぬと言われるけれども、私が最も不安に思うのは、行政権を握っている内閣が憲法の問題にくちばしをいれるということはいかぬ。これが間違いのもとである。専制政治への道を開くものである。そういう考えはむろんあなたにもないし、今はそういうことはなくても、そういう方向に進むのである。これを私は心配するものです。
  65. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 先刻から申したのは、今ある九十六条の解釈だけを申し上げたので、委員会で成案に近いものができたら、それを法文化して政府が提案するか、あるいは議員の方から提案なさるようにするか、まだきめたのではございませんから、それと区別したお聞きを願いたいのです。あるいは議員の方から出す方がいいということが、世間一般の論ならば、そうすることにやぶさかではないのであります。
  66. 稻村隆一

    ○稻村委員 了承しました。それでもう一つ重要な問題ですが、この間二十一日に、眞崎さんの国家が先か憲法が先かという御質問に対して、鳩山首相は国家あっての憲法である、こう言われた。そこで国家の問題なんですが、この国家というのがくせ者なんです。天皇の問題で、これと関連するのですが、現憲法では、天皇の地位は、国民統合の象徴で、その地位は主権の存する日本国民の総意に基く、こうなっておるのですが、自由党の草案では、日本国の元首で国民の総意により国家を代表する、こうなっている。そこで国家の解釈、国家とは何ぞやということになるのですが、これによって憲法の性格が全然変ってくる。そこで私はこれは山崎さんは自由党の提案者ですから、お聞きしたいのですが、むろんこれは学説としての国家をお聞きしているのではないので法律的に国家とは何ぞや、こういうことに対して、これは重要な問題ですから、お聞きしたいと思うのです。
  67. 山崎巖

    ○山崎巖君 自由党の憲法調査会におきまして、ただいま御指摘にありましたように、天皇の章を改めた一応の結論を出しておりますことは事実であります。その考え方といたしましては、もとより主権在民の原則を破るとか、あるいは制限するとか、こういうことでは毛頭ないのであります。ただ国を代表する地位、外国に対して国を代表するのには天皇を元首と呼ぶのが適当ではないか、こういうことから一応の結論が、ああいうふうに表わされておるものと私は信じております。しかし、天皇の呼称を元首とするのがしいか、あるいは現行憲法のように、国民統合の象徴というような言葉で表わすのがいいか、これは非常に重大な問題だと考えております。従いまして、私ども今新しい党であります自由民主党の憲法調査会におきましても、この点は慎重に再検討を加えておる段階であります。この法案が通過いたしまして、内閣に調査会ができます場合にも、この問題は重要な問題の一つとして、慎重な御検討をいただきたいと考えておるような次第であります。ただいまの御質疑で国家とは何ぞや、これは学問的にはいろいろ問題があると思います。常識的にいいますならば、国柄ということであろうと思います。そこで結局少し先ばしるかもしれませんが、一体日本の国というものはどういう国かというお尋ねではないかと思うのでありますが、そうでございましたならば、その点についての私見でございますが、それを申し上げたいのであります。そこでおそらくお尋ねは、現在の憲法によって日本国は一体どういう国かと申しますならば、学問的にいえば君主国あるいは共和国のどちらに属するか、こういう御質問ではなかろうかと思うわけですが、そうでしょうか。そうであるならばそれについての私の意見を申し上げたいと思います。
  68. 稻村隆一

    ○稻村委員 どうぞ。
  69. 山崎巖

    ○山崎巖君 私は現行憲法の条章をしさいに読んでみますに、日本の国は共和国でもなければ君主国でもない――これは私見でありますが、そういうふうに考えます。共和国と申しますのは、申すまでもなく国の代表者が行政権を持ち、しかもその地位は世襲でなくして国民がだれでもなれる、いわゆるアメリカのような大統領の性格を持ったのが共和国であると思います。また君主国と申しますのは、その一国の元首かあるいは君主が行政権を少くとも把握しておる、しかもその地位は世襲である、こういうのが君王国の定義ではなかろうかと思います。そう考えてみますと、現在の日本憲法では、日本国は君主国でもなければ共和国でもない。天皇の地位は、御承知のように、憲法の規定によって世襲であります。しかし天皇には行政権はございません。従いまして私は日本の国柄の言い表わし方といたしましては、結局国民統合の象徴である天皇の存在は民主国だ、こういうふうにもいわざるを得ぬと考えるのであります。国柄を特に言えとおっしゃれば、憲法の規定からいえばそういうことになるように、私は考えるわけでございます。
  70. 稻村隆一

    ○稻村委員 今の山崎さんの御意見は、日本に天皇はおられるけれども行政権を持っておるのじゃないのだ、普通の君主が行政権力を支配している君主国と違うのだということだろうと思うが、それはむろんその通りだと私は思うのです。そうなると、どうも自由党の草案はおかしいのです。日本国の元首で国民の総意により国家を代表する。それから国防の義務をきめるということがあるのです。現憲法にはないのですが、自由党の草案の中に国防の義務をきめまして、「国防の義務、遵法の義務、国家に対する忠誠の義務を規定する。」こういうことになっているわけです。それが問題なんですが、山崎さんのおっしゃったような解釈なら差しつかえないのですが、「国家に対する忠誠」ということになってきますと非常に問題があるわけなんです。大体日本の国家論というのは、これはいろんなことを言いますけれども、国家というものは最高最良のものだ、最高の道徳であるとか、最高の善であるとか、こういうふうな国家に対する絶対的な善の観念ですね。これはヘーゲルの哲学から来ているプロシャから入った思想ですが、こういうふうな国家万能主義の教育、それによってあなた方が出られた帝国大学を作った。それが官僚の思想であり、それがひいては一般国民の思想になったわけなんです。こういうことを私どもはよく考えなければならぬ。ここでいう国家というのは、私はこれが非常に危険だと思うのですが、ただ国とか家とかいうのならいいけれども、これを法律的にいうときは、結局どうしても国家権力を意味するようになると思うのです。ここに多くの間違いがあったのです。  そこで古いことを言うようですが、戦争中の議会ですけれども、私が議会を傍聴しておりましたとき、近衛公爵が、国民は国家のためにあるのであるか、国家が国民のためにあるのであるかというある議員の質問に答えて、国家は国民のためにあるのじゃないんだ、国民はむしろ国家のためにあるんだ、こういう答弁をしている。これは驚くべき答弁でありまして、これがいわゆる神権説につらなるわけなんですが、これが日本の過去の思想だった。これはプロシャから来ている思想なんです。最近アメリカでアイゼンハワー大統領とイーデン首相が会って、そして何か声明をした。これは多分、英米が全体主義国家と考えているソ連に対する一つの声明だと思うのです。私は、ソ連は全体主義国家と思いませんけれども、英米の政治家はソ連を全体主義国家と規定している。その中に、国民は国家のためにあるのじゃない、国家は国民のためにあるのである、こういう声明をしている。これはいわゆる主権在民の考えからいえば当然のことなんです。国家というものは国民のためにあるのであって、近衛さんの言うように、国民が国家のためにあるのじゃないことは明瞭なんです。それでこの国家というものが非常に問題なのであって、法的に考えて国家は国家権力だと思うのです。これは明瞭だと思うのです。それで、天皇が国家権力を代表するというふうなことになったら、これは大へんな問題になると思う。それから自民党案の国防の義務の中に、「国家に対する忠誠」という言葉が出てきている。これは私どもから言えば非常に危険な思想です。こういうふうなことによって、憲法を思想によって改訂されれば、幾らあなた方が主権在民とか何とかいっても、主権在民は完全にじゅうりんされるのです。そこで私は、この問題ははなはだ抽象的なようであるけれども、重要な問題だから申し上げるのですが、主権在民を守る守るといって、民主主義を守るといっても、要するに帝国憲法に対する郷愁、これはなかなかわれわれ明治教育を受けた者の頭から離れない。国家万能主義の教育、これによって再び国家万能主義に戻る、こういう危険が憲法改正の背後にあると私は思う。特に私は保守党の人にはこの考えは強いと考える。この点に対しまして、清瀬さんや山崎さんのお考えを聞きたいと思う。
  71. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 今稻村さんから非常に根本的なことをお尋ねでございました。国家とは何ぞや、これは非常に根本的な問題でありますが、私どもも、今の政府も、国会も新憲法のもとでこの通り議事を進めておるのであります。改正されるまでは私は新憲法をどこまでも守るつもりでございます。こういう前提のもとにお答えいたしまするが、この憲法、現在日本人の守っておるその理論は、自然法学説の国家観なんです。明治憲法は絶対主義理論でございましたことは、あなたがもとの近衛公爵の演説を引用される通りでございます。まだ日本の代表的の大学である当時の帝国大学もそう教えておった。この絶対主義に対して自然法主義の国家観が一つあるのです。言うまでもなくオランダのグロシャスの説に始まり後にはジャン・ジャック・ルソーによって理論づけられた、すなわち国家は土地と人民と主権でありますが、その主権というものはもともと個人の持っておる絶対人権の一部分を譲渡したものなんです。すなわち国家の持っておる主権は本来人民の持っておる権利の一部分をデリケート、すなわち譲り受けたものである、でありますから、国家の持っております権力にも限界がある、その限界をきめたものがこの憲法なんです。でありますから憲法の限界においては国家は権利を持っておりますけれども、その以外においては個人の方が国家よりはたくさん権利を持っておる。こういう格好であるのが現行憲法の自然法、世間で言うナツール・レヒトというものの考え方となっております。私も若い時分から、日本では絶対主義の理論をとっておるけれども、やはりよくよく考えると自然法学説には侵すべからざる妙味があるとかねて考えておったのでありますが、はからずも今回の憲法は占領中に作られたということそれ自身が、はなはだ納得がいかないんです。国家の権力の一部分をほかの国の人が持っておって、そこでこれをきめるということがそもそも自然法の道理に反しておる、それはともかくとしまして、これに書いてあるところの各種の規定、ことに人権尊重の規定、これらは私は自然法学説にぴったり合うものだ、これはアメリカ人が草案したことはかくれもないのですが、アメリカの現在の哲学は違いますけれども、あの独立の当時アメリカの今の憲法をジェファーソンが作った当時は、ルソーの説、グロシャスの説でやっておるのであります。でありますから日本で法律学を教えようと思えばまず自然法学説をうんと学生にたたき込まなければならぬと思っておるのです。憲法条文それ自身よりも日本国の民主主義を長く保つためには、やはり小学校も中学も日本の大学生も、一つこの学説を日本人の哲学とするということが、憲法条文よりもなおさら民主主義を永続する根底であろう、私はこういうふうに思うておるのであります。
  72. 稻村隆一

    ○稻村委員 法務大臣が御出席になったので法務大臣にお聞きしたいのですが、これは憲法と非常に関係がある問題ですから、どうしても法務大臣にお聞きしなければならぬと思うのですが、この間法務大臣は、十日の朝大阪で日本法律家協会近畿支部の発会式に御出席になったその車中談で、これは二月十日の読売ですが、「そもそも日本の労働運動はアメリカ日本を弱体化するために注入したものであるが、」というふうなことを言っておられるのですが、この点ですね。果して日本の労働運動はアメリカ日本を弱体化するために持ち込まれたのだということを思っておられるのですか。
  73. 牧野良三

    ○牧野国務大臣 思っておりません。
  74. 稻村隆一

    ○稻村委員 どうして新聞に出たのでしょうか。新聞にちゃんとそう書いてあるのですが。新聞はうそを書くわけはないでしょう。
  75. 牧野良三

    ○牧野国務大臣 新聞はうそを書いたのじゃない。冗談か何かを言ったら、それを、おもしろいから書いたのでしょう。新聞はおもしろくなければ書きませんからね。
  76. 稻村隆一

    ○稻村委員 そういうことは絶対に私はないと思うので、これは実はわざわざ御多忙中来ていただいて聞かなけばならぬと思ったのは、総評の問題ですけれども、「今回の総評の闘争は国を危うくする暴動類似の行為である。」こういうふうな――これはアメリカだって戦争中労働争議を平気でやらしておったので、ルーズヴェルトが労働組合に行って演説をしたときに、ナチスが勝てば君たちは争議ができなくなる、だからして労働者の自由のためにも、ナチスと徹底的に戦ってもらたい、こういうふうに演説をしておるのですが、いやしくも主権在民の憲法のある国で、労働運動がいかぬとか、労働運動をすぐ暴動行為だとか――政府は労働運動に対しては中立を守るのが建前です。憲法の建前からいったって、政府というものはそういうものなんです。それをあなたのような自由主義者、しかも私ども最も尊敬している牧野英一博士――自由主義の法律学者で、私ども非常に敬服して、今でも読んでおりますが、そういうふうなことを言われることは、それは全く牧野博士の名誉を傷つけるものじゃないかと思うのですが、むちゃなことを言われると思うのです。憲法の番人が憲法を否定する。憲法第二十八条には、労働運動の自由は認めておるわけですから、これをどこか外国から輸入したものであるとか、あるいはすぐ暴動であるとかいうふうな解釈をすることは、これは重大な問題だと思う。あなたは憲法の番人ですから。それをそう言うことは暴言だと思うのです。こういう考えの人がおる内閣が憲法の改正を云々するというようなことは非常に危険だと思う。その点、御多忙中わざわざおいでを願って、どうしてもお聞きをしなければならぬと思うのですが、全然言わないことを暫くわけはないと思うのです。
  77. 牧野良三

    ○牧野国務大臣 稻村さんの御説、その通り私は同感でございますから、そんな思想は持っていない。のみならず私の学位論文は、弱き者の力を合せた運動を沿革的に科学的に私が著述したものが、私の学位を得た論文の基礎でございます。その点あなた方と同じ考えを持っております。だからそんなことを言うはずはありません。そんなことをあなた方信じてはいかぬ。(笑声)
  78. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して。今自衛隊基地を作る場合、これも土地収用法が適用でさる。これは長官が言われましたが、われわれはそれはできないと思っておるのですが、とにかく米軍基地の場合には土地収用法を適用する。近く砂川の滑走路拡張のためにも基地拡張の土地収用をやろう、こういう工合にきておりますが、大臣は法学者でありますので、この土地収用に関する人民主権の守られ方に対して、大臣の御見解をただしたいと思っておったわけなんです。この土地を収用する場合に、政府側が必要と認めれば使用認定をやるわけですが、それに対して使用認定の取り消しの仮処分をやったとしますと、内閣総理大臣が行政訴訟特例法に基いて異議申し立てをする。そうするとそれは一ぺんでだめになってしまう。それで今度は取り消しの訴訟を起す。訴訟はじんぜん日を長うしていつだかわからない。そのうちに工事が進む。そうして現実的に土地収用委員会にずっとかけられてくるわけです。ところが土地収用委員会においては、これは知事の委嘱する委員によって行われるが、すなわち国民の代表という立場、人民の官吏という立場から、その収用委員会の機能を発揮するわけですけれども、ところがその収用委員会は、この土地収用が収用法に規定される目的、公共の福祉上絶対やむを得ないのだという判定が、正しいかどうかという判定をやる権能を持たない。その収用が補償を幾らにすればいいかという、そういう補償を評価する評価委員会にすぎないということになる。それで土地収用委員会は現実に進んで、評価をきめて強引に取ってしまって、ブルドーザーをかけてしまう。そのあと一年もたって裁判が不当であるという判決をいたしても、原状回復はできない。そこにおる人は家をほかに持っていかなければならない。そうなると土地を持っておるその人の私有権は侵されて、生活権までも脅威されてくるわけですね。こういう工合にまでくる法律のあり方というものは、現在の民主主義というものに合致するかどうか。あなたはこの憲法の基本である人民主権というような、あるいはデモクラチックなそういう立場は絶対に否定しないと言いますけれども、現在そういう工合になっておることに対して、どういう工合にお考えになっておるか。それは民主主義国家においては、国家主権と人民の権利というものは対等でなければならぬ、こう思うのです。ところが現実に今できないのです。だからそういうことに対して憲法をしっかり守られるという立場であるとすれば、どういう見解を持っていらっしゃるか、そうしてどういう方法でもって国民自分の権利を守るために戦えばいいのか、そうして民主主義の国家のあり方というものを備えていったらいいかということについて、大臣の御見解を伺いたいと思うのです。
  79. 牧野良三

    ○牧野国務大臣 西村さん、その問題は私も現実に一つ持っておりまして、非常に困っているんですが、法律論としては、制度の上からは今過渡時代と見るのほかしようがない。そこで実際の問題としましては、収用委員会意見を尊重するということよりしようがないんじゃないかと思うんです。そこで全く対立的な状態になっているんです。でありますから、裁判の結果で前のものをひっくり返されるというようなときの原状回復はとうていできない。ですからやむを得ません。この場合には収用委員会というものを尊重していくというのが、一種のやむを得ない妥協なんですね。私はそいつをもって満足はしておりませんが、もう少し民主主権というものを国民に徹底させるのと、民主主権というものが法制の上にどういうふうに現わるべきであるかということとは、もう少し現在の制度の上において考えなければならぬのじゃないか、こう思うんですが、この点においてはおそらくあなた方と私とは思想的に多少差があるんじゃないか、こう思うのでございます。そこで現実のお話のような基地問題に関する収用法の適用につきましては、どうも収用委員会というものを尊重して、そうしてできるだけこれは妥協でいくよりかしようがありませんな。そんなふうに考えておって、実は私自身も苦慮いたしておるわけでございます。お察し下さい。
  80. 西村力弥

    ○西村(力)委員 思想的に違うということを言いますけれども、国民の権利を守ろうという点においては、一致しておるんじゃないかと思うんですね。それでそういう工合にして妥協せざるを得ないというならば、ずっと前に戻って、国家が発動する使用認定という強硬手段をストップせられるのが正しいんじゃないか、それが憲法に忠実なるゆえんじゃないか、私はそう思うんです。安保条約行政協定などに基く義務履行ということもありますけれども、政府はやはり憲法に忠実なる手段をとるべきである、そうすれば国民の私有権というものをどうしても侵害するんだ、それはどうしても反対だ、それを強引にやらなければならぬということになっては、結局権利の尊重ということにならないから、そういう点はそういう強硬手段を一応ストップして、民主主義の国家の姿というものを守っていこうという工合に国家はやるべきじゃないか、政府はそういう態度をとるべきじゃないかと思う。そういうことがほんとうに正しい、憲法に忠実なる政府のあり方ではないか、こう思うんですね。いかがでございましょうか。
  81. 牧野良三

    ○牧野国務大臣 西村さん、むずかしいところがそこなんですね。私はそうすると条約や法律がみな憲法違反になってしまうと思うんですね。憲法の規定しておる民主主権というものは、そういうものじゃないんじゃないか。そこでどこまでも国民の権利を尊重する、その場合において国民の主権が公けの利益と対立的な関係にあるときはどうするか。法律の規定がある、その法律の規定に従う、条約がある、その条約に従うということになるんじゃないか。そこでそこの主権に民法第一条の新しいものが適用になるんじゃないか。公共の福祉に従うことを要する、権利の乱用はこれを許さず、こういう新しい民法の第一条というものがそこへ適用されまして、いわゆる憲法の民主主権というものとは対立関係がないんじゃないか。そうでないとおよそ国民の権利に対し、公共の利益の立場から立法することができなくなってしまう、そういうものではないのだ、そこが立法のおもしろいところですね。だから私はあなたの説を拡充していくと、民法第一条というものは憲法違反だということにまで議論をしていかなければならなくなるけれども、あんたの思想はそんな偏狭な思想じゃない。対立したときには、やはり人民の方を認めてやれ、こういう御意見は私はわかるんだが、しかしながら公けの利益には国民も従わなければならない、これがワイマール憲法以来法制にきまりました新しい二十世紀の法律文化でございます。でありますから、私どもはやはり民主主義のもとにおいては、どこまでも国民の権利の方が優先するのだという思想ではないのだ、公けと私とが対立する場合においては法律上の規定を要する、条約の規定ならそれに従わなければならないということになるのではないかと思うのです。その点はゆっくり考えましょう。
  82. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは法学博士の牧野先生と論争してもとてもだめですが、憲法に規定されているのを否定するほど私は偏狭ではない。だがしかし自分たちが土地を守ろうとすること、飛行場に拡張させまいとすること、こういうことは何も公共の福祉に反するという工合にお互い考えられないことではないかと思うのです。これは公共の福祉ということには考えられない。だから自分の私有権をがんばって守ろうとすることは、決してそういう偏狭な立場から出ているものではない、こういう工合に私は思うのです。  関連質問を長々とやっても何ですが、ただこういう問題がありますので、政府の土地収用に対する態度というものは、妥協で済むぐらいの簡単な立場で強引に押してくれては困る、その点は十分に憲法に忠実なる立場から、国民の権利を守ろうとする主張には理解ある態度をとってもらわなければならぬのではないか、こういうことを希望しておきたい。
  83. 牧野良三

    ○牧野国務大臣 その点については、ただいまの西村さんの御趣旨を体しまして、きょう昼に関係者に会いますから、収用法に関することは一つよく相談してみます。
  84. 稻村隆一

    ○稻村委員 そこでまた山崎さんにお願いしたいのです。さっきの自由党の天皇の地位の問題、そこに戻りたいのですが、日本国の元首で、国民の総意で、国家を代表する、こういうことになれば、私はやはりこれは天皇があらゆる国家権力を支配することを意味するのだと思う。国家権力の代表ということ、これは国と家を代表するというのならば、法律的な理由にならないから、ここに出ている以上国家権力を代表するということになれば、天皇が再び統治権を持つという意味になるのではないかと思うのです。この点はどうでしょう。
  85. 山崎巖

    ○山崎巖君 たびたび申し上げますように、主権在民の原則をくずすとか、あるいは制限するとか、そういう意図は毛頭持っておりません。自由党の憲法調査会におきまして、元首という言葉を使ったことが適当かどうかという問題は、先ほど申し上げましたように、さらに十分わが党の調査会におきましても、またこの法律案が通過しまして内閣に調査会ができます場合にも、十分に御検討をいただきたいと思っております。自由党の元首という言葉を使いましたのも、今申し上げましたように、決して主権在民の原則をくずすものではなく、また天皇に国家権力を付与するとかあるいは増加するとか、そういう趣旨では毛頭ないのであります。自由党で元首という言葉を使いましたのは、国外に対して日本の国を代表するものが必要ではないか、現在の規定ではその点すらあまり明確でないから、国外に対しては天皇が日本国を代表する、こういう趣旨からその要綱を作ったものと思います。従いましてこういう点につきましても、それが適当であるかどうかということは、今度の調査会におきまして十分御検討をいただきたいと思ったわけであります。くれぐれも申し上げますが、決して国家権力を天皇に付与するという趣旨でないことははっきりここで重ねて申し上げておきたいと思います。
  86. 稻村隆一

    ○稻村委員 そういう意味なら天皇の地位は今のままでいいのです。ところが国家を代表するというふうなことになれば、どうしてもそうはならないと私は思うのです。「国防の義務」のところで、先ほど申し上げましたように、「国家に対する忠誠の義務を規定する。」これがすでにおかしいと思うのです。あなたはそう弁解されるけれども、自由党の人たちの間にはそういうふうな天皇に権力を与えるという考えがどうもあるのじゃないかと疑うのです。それはむろんただ元首であるということだけで、天皇に国家権力を与えるということにはならぬけれども、――たとえばイギリスの国王は元首だけれども、国王は君臨すれども統治せずという言葉があるのです。そういうことであればいいのです。ところが国家を代表するとかあるいは国家に忠誠の義務を憲法で規定するなんということになれば、これは結局明治憲法に還元するようなことになると私は思うのです。これが非常に危険だと思う。あなたはそう弁解されるけれども、「国家に対する忠誠を規定する。」とか天皇は「国民の総意により国家を代表する。」とかいうことになってくると、主権在民の憲法をあくまでも守るということを幾ら弁解されても、そうでないということになるのじゃないかと私は思うのです。
  87. 山崎巖

    ○山崎巖君 自由党でかつて一年くらいかかりまして作りました成案は、今の稻村さんからの御指摘の通りでありますが、私どもは今度の調査会ができました場合に、かつて自由党で作りました成案を固守するという気持は持っておりません。現に新しい党であります自由民主党におきまして、憲法調査会を作りまして、さらに自由党時代あるいは改進党時代の成案について再検討を加えておるわけであります。重ねて申し上げますけれども、決して自由党時代におきましても、主権在民の思想をくずすとか、あるいはまた天皇に権限を与えるとか、こういう思想でなかったことははっきりいたしております。明治憲法の復元をはかるとか、あるいは明治憲法に対する郷愁の結果こういう要綱ができたとかいうことでは絶対ないのでございますから、その点重ねて誤解のないようにお願い申し上げたいと存じます。
  88. 稻村隆一

    ○稻村委員 そういうことが書いてありますと、どうしても誤解するのですよ。これは非常に重要な問題ですから、それはまたあとで私お伺いすることとしましてきょうは留保しておきます。  もう一つ自由党の草案で、「国民の権利及び義務」の中に、「基本的人権」というものがある。現憲法では「この憲法国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」としているわけなんです。それを今度自由党の案では「基本的人権の主要なものを列記して保障の原則を明示する。基本的人権は社会の秩序を維持し、公共の福祉を増進するための法律をもって制限し得る旨を規定する。」これがやはり主権在民の憲法を守る守ると言って、実は守らないようなことになるのじゃないか、そういう考えがあるのじゃないかと私は考えるのです。大体公共の福祉のために基本的人権を制限するということをいう必要はないと思うのです。これは刑法があるのですから、刑法によって個人の無限の自由などというものはあり得ないのです。全体の人の自由のためには個人の無限の自由というものはむろん抑制されなければならぬ。これは当りまえの話なんです。そこでそういうことをわざわざ書くということは、たとえば労働争議などは公共の福祉のために害があるからこれはこうだということになるわけです。あなたが会長で自由党の憲法調査会というものができておったのですが、そういうような議論は、主権在民の立場からいって、根本的に間違っておると思うのですが、その点に対してどうお考えですか。
  89. 山崎巖

    ○山崎巖君 基本的人権の尊重の原則を堅持しますことは、たびたび申し上げたところであります。自由党時代の成案は、実は私が会長時代ではなくして、前任者の時代の案でございまして、私もむろん責任はございますけれども、その点は一つ御了解いただきたいと思います。自由党時代にそういう成案ができましたのは、現在の憲法国民の権利義務の章で第十三条と第二十二条だけには「公共の福祉に反しない限り、」という言葉がございまして、他の条文にはその文句が抜けておるわけであります。そこで他の条文にも全部公共の福祉の問題がかかるという説もあり、また現にそういう解釈のもとにいろいろの法律も出ておるわけであります。そういう点がやや明確を欠くので、各条章について十分の検討を必要とする、こういうことからおそらくそういう結論が出てきたのではないかと思うわけであります。決して現在の基本的人権に制限を加えるとか、この権利を減少せしめるとかいう趣旨では毛頭ないと思います。また私どももそういうことでは絶対いけない、基本的人権はどこどこまでも尊重していく、こういう基本方針のもとに憲法に検討を加えたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  90. 稻村隆一

    ○稻村委員 まだお聞きしたいことがたくさんありますけれども、これで終ります。
  91. 山本粂吉

    山本委員長 午後は本会議終了後直ちに開会いたします。  暫時休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      ――――◇―――――    午後二時五十三分開議
  92. 山本粂吉

    山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  明日午前十時より開会し、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案に関する残余の質疑を続行し、引き続き採決することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十四分散会