運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-02-28 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十八日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 山本 粂吉君    理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君    理事 高橋  等君 理事 保科善四郎君    理事 宮澤 胤勇君 理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    大村 清一君       小金 義照君    椎名  隆君       薄田 美朝君    田村  元君       辻  政信君    床次 徳二君       林  唯義君    福井 順一君       眞崎 勝次君    粟山  博君       山本 正一君    横井 太郎君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       石橋 政嗣君    稻村 隆一君       西村 力弥君    森 三樹二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一雄君         防衛参事官         (人事局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (経理局長)  北島 武雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 亀夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   吉村 真一君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 二月二十七日  委員田村元辞任につき、補欠として野田卯一  君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十八日  委員北れい吉君及び野田卯一辞任につき、そ  の補欠として椎名隆君及び田村元君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一郎を改正する法律案内閣提  出第四二号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  四三号)     —————————————
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一打議題とし、質疑を続行いたします。飛鳥田君。
  3. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 まず防衛分担金に関して少しお伺いしたいと思います。先般予算委員会勝間田君の質問に対しまして、重光外相は、防衛分担金については日米折半だという御説明がありましたが、この御説明にその後変更がありますかどうか、これから伺いたいと思います。
  4. 船田中

    船田国務大臣 防衛分担金の問題につきましては、実は外務大臣から御答弁申し上げることが適当と存じますが、私が承知いたしておりますところを率直に申し上げますと、一月三十日の共同声明に書いてありまする通りの経過で妥結いたしておるのでありまして、アメリカ側分担しておる防衛関係費用日本分担しておりますものが、全く二分の一ずつということにはなっておらぬと存じます。これはもうすでに御承知のことと思いますが、今回の合憲によりまして、昭和三十二会計年度を起点とし、日本政府防衛増強努力に応じて、在日米軍のための日本側分担金を毎年削減していくための一般的方式が、樹立されたということになっておるのであります。この方式のもとにおきまして、米国は将来日本防衛庁費及び米軍軍用施設費予算合計額増加分を均等に負担することを約束し、かくて究極において日本側防衛分担金をゼロならしめようとするものであります。すなわち各会計年度分担金額は、かかる防衛目的のための日本側予算合計額増加分の半ばにひとしい金額を、その前年度防衛分担金の額から差し引いたものとなる、こういう計算になるわけでありまして、すなわちわが方の防衛に関する費用が増加いたして参りまして、前年度に比較いたしまして増加分の半分を防衛分担金から減らす、そうして防衛分担金は最後にはゼロになるということを期待いたしておりまして、言いかえれば日本防衛体制がだんだん整備して参りますれば、防衛分担金はゼロになるということでございます。しかし防衛分担金がゼロになったときに米駐留軍が全部撤退するかといえば、これはたびたび答弁申し上げておりまするように、必ずしも防衛分担金がゼロになる時期に全部撤退するものではない、この米軍撤退ということにつきましては、日米合憲によって撤退をするものである、しかもそれはただいま申し上げましたように、防衛分担金がゼロになったときに必ずしも見合うものではない、こういう意味を先般来申し上げた次第でございます。
  5. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、折半原則というのはくずれたということですか。一月三十一日の本会議勝間田氏に対して、重光外相は「日本防衛は、今日、日本米国軍との共同責任でやっております。そこで、半分ずつ増加分に対して分担をいたすということでございます。」というふうに答えられて、折半原則は依然として堅持せられているという答弁をなすっているように思うんですが、今お話を伺うと折半原則がくずれたような印象がするんですが、この点依然として折半原則堅持をせられているのか、堅持をせられた上で交渉が行われているのかどうか、これを一つ説明していただきましょう。
  6. 船田中

    船田国務大臣 今飛鳥田委員の御質問の御趣旨が、ちょっと私の了解するところと食い違っておるようでございますが、この一般方式によりまして、わが方の防衛努力が進んで参りまして、そうして防衛関係経費が増加して参りますれば、前年度に比較した増加分の半分ずつを防衛分担金から減らしていくというこの方式は変らないのであります。ただ飛鳥田委員のおっしゃることが、アメリカ駐留軍駐留に必要な経費を、日本アメリカとが折半負担しておるという御質問であるといたしますならば、それはむしろアメリカ駐留軍負担しておるアメリカ側負担分の方が相当多くなっておりまして、必ずしもその半分を日本負担しておるということではないのでございます。
  7. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 現実を聞いているのじゃなくて、原則として折半原則の上に立ってやっておられるのかどうかということを伺っているわけです。
  8. 船田中

    船田国務大臣 それは防衛関係費用が増額する場合におきまして、前年度に比較して増加分の半分ずつを減らすというのが一般方式になっておりまして、米駐留軍費用の必ず半分ということではございません。むしろ米駐留軍費用はわが方で負担しておるよりもアメリカ側負担の方がはるかに多いと存じます。
  9. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 船田大臣お話はわかりました。  それでは大蔵省の方に伺いたいと思うのですが、今駐留軍経費日本負担をしているものよりも多いだろうというお話でありましたが、それではどの程度にどの部分にどう使用しておられるか一つ説明をいただきたいと思います。
  10. 吉村真一

    吉村説明員 御説明申し上げます。米駐留軍駐留経費と申しますと、いろいろな意味でまぎらわしいのでございますが、それを要約いたしますと、日本側防衛分担金に見合う駐留経費というものと、それよりも広い意味の、米軍日本国内において使っておる金というふうに分けられると思います。その場合に日本側防衛分担金に見合いまする米軍駐留経費と申しますのは、まずどういうアイテムがあるかと申し上げますと、米軍日本国内を維持するためには、たとえば米軍人俸給でありますとか、あるいはその食料費とか制服等の被服あるいは飛行機、自動車を動かします燃料とか、そういったものがいずれも要るわけでございますが、今述べましたようなアイテムにつきましては、これは本来米軍がどこにおろうと持つべき金であるという意味合いから、日本側防衛分担金パラレルに考える場合には除外して考えております。それで残ります経費はどういうものかと申し上げますと、米軍日本国駐留するために日本人労務者を相当使っておるわけでございますが、これの労務費でありますとか、米軍軍人あるいは物資国内において輸送するに必要な輸送費、これは大部分鉄道費でございます。それから国内通信費暖房用の石炭でありますとか、若干の備品がいるわけでありますが、こういったものが大体日本側から向うへやっております防衛分担金パラレルに考えられる要素でございます。  それから米軍日本側からもらいました防衛分担金を、どういうふうにしておるかといいますと、今あとのカテゴリーで申し上げました経費が、日本側からもらった金と、それから日本側からもらう金ではまだ足りないものでございますから、米軍がそれにアメリカ側ドル予算を加えまして、その合せたものでやっておるわけであります。合せたものをたとえば二で割って、それが日本側からやっておるものよりも多ければ、日本側は半分よりも少く持っておるというようなことになっております。それでは米軍がどれくらい日本防衛分担金に見合う金を出しておるかということは、これは米軍予算執行状況でございますから、わが方では正確にわかりませんが、大体われわれが米軍からのいろいろなデーターや何かから推測いたしまりと、二十七年度におきましては二億二千万ドルないし二億六千万ドルくらい、向う防衛分担金に見合うような費目についての経費ドルで出しておるわけであります。二十八年度におきましては一億二千万ドルないし二億五千万ドルとわれわれは推測しております。二十九年度が一億八千万ドルないし二億ドル、本年度はこれはまだ年度が終りませんが、大体一億六千万ドルないし一億八千万ドルくらいになるんしゃなかろうかと考えております。念のために三十一年度の分を申しますと、正確にはわかりませんが、三十年度よりも若干減りまして、大体一億四千万ないし一億五千万くらいはドル向う負担するんじゃなかろうかというふうに考えております。
  11. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 先ほどお話俸給とか良種とか燃料とかいうものは、これは当然基本経費ですから防衛分担金の対象にならないことは歴然といたしております。こういうことは私は伺っておりません。そこで折半方式あるいは双方で出し合うとか見合うとかいう言葉を盛んに使っていらっしゃいますが、見合うものとしてのアメリカ軍負担部分、これがどういう工合に使われているかということを今お伺いしたわけです。トータルにおいて二十七年度は二億三千万ドル、あるいは三十年度において一億六千万ドルくらいだろうということはその後にお伺いするつもりですから、一つ部分々々について今お話労務費通信費通信費移動費需品費というものについて、日本米軍に交付したお金ではなしに、米軍がどれだけのドルを使っているかということを明白にしていただきたいと思います。
  12. 吉村真一

    吉村説明員 お答え申し上げます。実は米側ドルで出すものにつきましては、こまかいアイテムで幾らという報告はむろん日本側には出ておりませんので、どういうふうな費目に幾ら使われたという正確な資料は、われわれは公式には持っておらないわけでありまして、ただトータルにおきましてその程度であろうということをただいま申し上げたわけでございます。
  13. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それではお伺いいたしますが、防衛分担金について行政協定の二十五条に、これに基いて防衛分担金負担するということになったときに、日米合同委員会分担金についての経理方式というのを明確に定めておられるはずなんですが、この経理方式はその後変更をせられておりますかどうか、この点を最初に伺います。
  14. 吉村真一

    吉村説明員 お答え申し上げます。行政協定発効当時に、米軍に渡します金の関係経理手続が定められたのでございますが、これはその後明文をもっては変更はされておりませんが、ただその後両者の了解といたしまして、当初行われておりました中で今行われておりませんのは、支出負担行為——要するに債務を負う行為についての報告がその後途中からやめられております。それ以外は当初の手続通りやっておるわけでございます。
  15. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 日米合同委員会のきめた経理手続を、勝手に変更してしまうということに非常に疑問があるわけです、年々何百億というお金をこちらからも出し、アメリカも出し、これを駐留米軍の派生的な経費に充てていくわけでありまして、国家予算の上に両国とも非常に重大な意味を持っておる。従ってこれに対して厳格な経理手続を定めるのは当然であります。そうしてこの経理手続はその後発表せられております。国民もまたこれを知っておるわけであります。ところがこれについて明確な協定あるいは国会への報告、こういうことなしに、勝手にこれを取り消してしまったり変更してしまったりすることができるのかどうか。そうしてそれを変更するという合意があったとすれば、それは何年何月何日の第何回の日米合同委員会財政部会決定であるか、これを伺わしていただきたいと思います。
  16. 吉村真一

    吉村説明員 これはむろん公式議事録には書いてないのでございまして、公式議事録に書いておる事項を変更したのではございませんで、一般経理手続に載っております部分について、合同委員会において両者で了承の上で、今言ったような格好になっておるわけであります。
  17. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 公式議事録でこの経理手続を定めたはずであります。これを変えるには公式議事録によって定めなければならないはずですが、結局うやむやに変えたということですか。
  18. 吉村真一

    吉村説明員 公式議事録には、アメリカ側ドルにつきましての分については載ってないように記憶しておるのでございますが……。
  19. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もし公式議事録に載っていないとすれば、経理手続の前文と申しますか、それの第六項に、合衆国駐留軍は、毎月日本政府に対し、ドル勘定支出負担行為明細表を送付する、ドル勘定支出負担行為明細表日本政府駐留軍の用に供した金額に対応して、合衆国駐留軍支出負担行為の形式により行う……、こう書いてあるので、米側負担金額についてもドル勘定支出負担行為明細書を毎月もらうのでありますから、政府は明確にこれをとらえられるはずであります。もしとらえられていないとすれば、これは政府の明らかな怠慢行為だといわなければならないと思うのですが、この点についていかがでしょうか。あなた方は、規則規則できめた。きめたけれども、そんなものは守らないでいいんだ、こういうことですか。
  20. 吉村真一

    吉村説明員 お答え申し上げます。本件につきましては二十七年の行政協定発効後、アメリカ会計制度変更がございまして、各契約に対する支払いが、アメリカ日本側に負っております預金口座があるわけでありますが、その勘定から支払われるのか、それとも日本側から交付金勘定で支払われるのか、アメリカドル勘定から支払われるのか、そういうものが支払い段階にならないと明確にならないということになったものでございますから、従って支払い前の段階であります支出負担行為段階においては、どの金をドルから出し、どの金を円から出すかということは、アメリカ改正後の会計制度においては、事前にわからないという状態になったものでございますから、米国の法規の変更に伴ってやむを得ないものと認めまして、日本側においてもその明細表を提出することを現在やめることを了承しておるわけであります。
  21. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 やむを得ないとかやむを得るとかいう話がさんざんありましたが、防衛分担金負担については折半原則が貫かれているとしばしば大臣方も言明をせられている。あるいは折半でないにしても、ここにも今読み上げましたように、日本側支出円に見合うと、こう書いてあります。すなわち日本側が出す日本米軍交付金とほぼ見合うものをアメリカ軍支出するというのが前提になっているわけです。もしアメリカ単がどのくらいのドルを使っているかということが明確にならないとすれば、見うとか折半するとかいう言葉はほとんどナンセンスになってしまう。本年度も三百億からの防衛分担金を出すわけです。あるいは米軍が五億円しか使っていないとすれば、われわれは二百九十五億円を、一つの例ですが、むだに使っていることになるわけです。国の財政が足りない足りないといっている最中に、そんなことがあり得るはずはない。われわれは日本国民の血税を防衛分担金として支出しているんですから、見合うか見合わないかということを常に知っていかなければならぬはずです。しかもそれを知るための経理手続がちゃんとできている。大蔵省は当然ドル勘定支出負担行為明細表アメリカ軍に要求する権利があるわけです。そしてまたそれのみに限らず、米軍側支出金がどの程度に出され、どの項目にどう出されているかということを少くとも知らなければならない義務大蔵省にはあるはずですが、この義務をなおざりにするというのは、非常に私たちとしては解しがたいものがあるわけであります。この点について米軍会計手続変更になったとあなたはおっしゃる。なるほど米軍会計手続変更になって、米国防衛分担金にすべきお金、その他米軍基本的経費を払うお金、あるいはいろいろなものをまぜて、米軍預金として日銀口座に総括払い込んでこられる、こういうことは私たちも承知しております。しかし米軍会計規則が変ったからといって、日本政府日本国内で現に行われている支出を知ることができなくなってしまうなどという理由がどこにあるのですか。それでは米軍法律が変ったからということで、日本国内の一切の手続が否定せられるという結果になるのですか。そんなばかな話はないと思う。日本日本の独自の権利として与えられている行為を行うことができるはずです。一体ドル勘定支出負担行為明細表をとらないということは、いつから始まったのですか。そしてそれはいかなる大臣の御決定に従って、そういうふうに定まったのですか。大臣は、日米合同委員会できめられた経理手続、これは日本人権利です、この権利を行使しない、怠慢行為をなすった、こういうことになるのでありますから、どうぞ一つ明確にお答えを願いたいと思います。
  22. 吉村真一

    吉村説明員 お答申し上げます。いつからかと申し上げますと、ちょっと今はっきりと記憶はありませんが、たしか去年の初めころからではなかったかと思うのであります。もし間違いがございましたらあとから訂正さしていただきますが、たしか去年の初めころだったと思っております。
  23. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 経理手続がきめられた当初から、ドル勘定支出負担行為明細表をとらないんじゃないですか。
  24. 吉村真一

    吉村説明員 いや、それまではとっておりました。
  25. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、大体この明細表に基いて米軍日本防衛分担金に見合う支出金使途項目などというものは、ほぼ推定できるんじゃないですか。
  26. 吉村真一

    吉村説明員 米軍が現在使っております項目は、日本側向うに渡しております。たとえば来年度でございますと三百億でございますが、これと大体同じ項目に使っておりまして、具体的に申し上げますと、労務費輸送費通信費需品費、こういったものに使っておったわけでございます。それはドル勘定支出負担行為明細表が出ておった当時から使っておりますし、現在におきましても米軍年度当初に、大体支出予定といたしまして、こういう項目にこれくらいは使うというような見積りを出してくることになっておりますが、まだ三十一年度については出てきておらないわけでございます。
  27. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今までのお話を総合いたしますと、アメリカ側が半分、日本側が半分、そうでないにしてもこの金額は見合うものだ、こういうことで説明をせられておりました。ところがアメリカ軍の使っていく経費、いわゆる防衛分担金というものが、一つも正確にとらえられていない。向うに山をかけられてあなた方に報告をされれば、あなた方はそれに対して反駁をすることのできないずさんなものしかわからない、こういうことが明らかになって参りました。それでは一体防衛分担金というものがどういう役目を果しているか。そこでお伺いをいたしますが、あなた方が今述べられた昭和二十七年度の二億三千万ドルないし二億六千万ドル、このお金の中に国連軍としての米軍経費行政協定に基く日本駐屯軍としての米軍経費、こういうものを双方含んでいるものということになりますか。それとも国連軍としての米軍経費は、基本的経費であれ、派生的な経費であれ、一切この二億三千万ドルの中には含まれていない、こういうふうに述べられるのですか。
  28. 吉村真一

    吉村説明員 その金額の中には、米軍駐留経費の中で日本防衛分担金と同じような項目に使うローカル・コストといいますが、そういった金を米軍の使いました金の中からそれ以外の要素を除きまして、こちらで推測した数字でございます。
  29. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、米軍預金振り込みとして日銀口座の中に一括して払い込まれてしまう。そうしてその下にはB勘定C勘定Y勘定というような米軍独特の勘定ができて、その中からB勘定米極東軍軍事予算であって、C勘定日本側防衛分担金円勘定である。Y勘定余剰物資になっている。さらにこのB勘定の中から、各地に米軍支出官駐屯をして、立川とかあるいは横浜とか東京とかいうふうに駐屯をして、かってに小切手を振って使っている。さらに海軍の場合には、日銀を経由しないで米国在日銀行預金が振り込まれてしまう。そしてその中から防衛分担金も、国連軍としての米軍経費も、支払われていく、こういうことに私は承知しておるのですが、一体、おおよそ分けてみてとか、推定をしてみてとかいうお話でありますが、こういう勘定の中から現地官によってどんどん支出をせられていくものが、ドル勘定支出負担行為明細表をとらずに明確に分けていけるものかどうか、特に技術的な点にタッチしていらっしゃるあなたに伺いたいと思います。
  30. 吉村真一

    吉村説明員 これは飛鳥田委員の御質問の御趣旨のように、確かに日本側としても、非常に現行の制度ではわかりにくいところがございます。現在二十七年にできました経理手続改正日米間で話し合い中でございまして、たまたま米軍予算統制官が転任になったものでございますから、決定がおくれておりますが、いずれ米軍の使っております経費の中身がはっきりするような様式の報告を求めることになっております。米側も現在基本的にはその線を了承しておるようでございますから、その線に沿って善処したいと思っております。
  31. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今ごろ気がつかれるのは、もう私はおそいと思うのです。昭和二十七年度から今までの間に、合計数千億の金が防衛分担金として出ていってしまっている。もし向う支出金日本支出金が見合う、あるいは折半だということならば、向うを一ぺんもとらえていないのですから、果して折半であるか、日本の出したお金が見合うものであるかはわからない。そうすれば、われわれは防衛分担金という名において、実は莫大な五百億のむだ使いをしておったのではないか。僕に言われて大蔵省方々は、いや絶対に五百億はむだ使いしておりません、こういうことを断言できるわけですか。こうなりますと、米軍防衛分担金支出を明確にとらえようとなさらなかったあなた方は、国民に数千億のむだ使いをさせておったと言われても仕方がないのではないか。今ごろ気がついたのではもうおそうございますよ。現に米軍の使う防衛分担金を正確に捕捉していなかったからこそ、防衛分担金削減交渉において、こちら側の政府方々一つも明確な根拠をもって削減交渉ができなかったのではないでしょうか。僕はこういう点を、別にその部門の担当であられるあなたに非難をするのではありませんが、大蔵省全体として、いかに国民の利益を裏切っておるかということを、私は聞きたい。どうでしょう。
  32. 吉村真一

    吉村説明員 防衛分担金と、アメリカ負担しておりますそれと同じような項目に使うような金が、どちらが多いか少いかということにつきましては、われわれ事務当局といたしましても、分担金交渉に際しましては綿密に——綿密にと言うと語弊がございますが、できる限りの努力を払いまして、向う側の負担とこちら側の負担、そういったものを検討いたしまして、むろん日本側負担よりもアメリカ側のそれと同じような項目負担が少くなることがないようにという意味で、検討はずっと続けてきておるわけでございます。遺憾ながら、報告の形式が、先ほど以来述べましたような事情で、現在不備になっておるものでございますから、これは昨年以来その改正を検討中でございまして、いずれさらに正確な資料の提出を、米軍に求めることができるようになると思っております。
  33. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 遺憾ながら不備であったとおっしゃるが、不備でなく、できたのではないでしょうか、経理手続を厳格に要求なされば……。私はこの点についてドル勘定支出負担行為明細表向う側から徴収しないようになすったということは、重大な過失だと思うのです。当然経理手続の中でそういうことを要求する権利日本政府は持っていらっしゃるはずですが、その権利を行使せられなかったということを今御説明になりました。そうして片一方においては遺憾ながら遺憾ながらと繰り返されるのは、実に不可解千万です。私はそういう点で遺憾ながらというのは、あなたが申しわけありませんがという意味に伺わざるを得ないのですが、しかしこれは申しわけありませんでしたでは済まない。相手方が半分ずつ出し合いましょうといって、相手方が出すお金が幾らであるかを正確に捕捉できないなどというなら、これは半分ずつ出し合いましょうという理由にならぬのじゃないでしょうか。私はそういう意味で、米軍に対して明細表を要求せられるだけではなしに、日銀に設ける勘定科目についても、日本の側から計算をしいいように要求する権利があるし、義務がある、こう思うわけです。この点についてどうでしょうか。
  34. 吉村真一

    吉村説明員 これは先ほどの明細表をとらなかった経緯につきましては、簡単に御説明申し上げましたが、もう一度御説明さしていただきますと、アメリカ会計制度が当初できました当時とは違って参りまして、それまでは契約のときに、ドル勘定すなわちB勘定から払うのか、あるいは日本から渡しました金の勘定でありまするC勘定から払うのか、ここが契約当時からきめられておったわけでございますが、米国会計制度変更に伴いまして、その区分が現実の支払いのときに行うということに変ったのでございますから、従って支出負担行為段階におきまして、ドル予算をどの程度使うという明細表を出せなくなったわけでございます。従って日本側といたしまして、米国国内法の変更に伴いまして、技術的に不可能になったわけでございますから、その会計制度改正以後日本側としては、これにかわるものを何か出してもらいたいということをずっと今まで交渉しておるわけでございます。
  35. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それでは繰り返してお伺いいたしますが、まず第一に、米側会計制度が変ったからという理由で、日本アメリカとが合意で定めた経理手続が全然役をなさなくなってしまうのですか。それならば、アメリカ法律が変れば、日本法律も全部その影響を受けて変らざるを得ない、こういう形になると思うのです。これが第一です。  第二には、米側会計手続変更したのは、きのうやきょうではありません。変更したときから今に至るまで少くとも一年以上を経過しておると私は思います。その間にあなた方は何をなさっていらっしゃったのですか。
  36. 吉村真一

    吉村説明員 米国国内法規が変ったことによって、日本側としては当然その国内法規に縛られるわけではありませんが、報告を出します米軍がそれに一応拘束される。そういう関係になっておりまして、日本側としてはそういうことがないように、それ以前の状態のドル勘定支出負担行為明細表を出してほしいということをずっと交渉したわけでございますが、技術的にどうしても不可能だということでございまして、しからばやむを得ないから、それにかわるものとして、何かドル予算をどの程度何に使っておるかということがはっきりする様式の報告をほしいということを、ずっと現在向う交渉中であるわけでございます。
  37. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それでは伺いますが、なるほど米軍は自分の国内法規が変れば、その国内法規に縛られると今あなたがおっしゃるのはわかります。ですが、米軍は決して米国国内において行動しているわけではありません。しかも日米合同委員会の双方の委員が納得をした経理手続に基いて日本で行動しているわけです。そうだとすれば、米軍国内法規が変ったということを米軍はあなた方のところに情報として言ってくるのはかまわない。だがしかし、手続が変りましたから今後は経理手続を履行できません、こういうことを言ってくる権利米軍にはないと思うのです。少くとも日米双方合意の上できめたものには縛られる。われわれは国内法規が変ったからといって外国と結んでいる条約を破棄することはできないでしょう。それともできるという御見解なんですか。
  38. 吉村真一

    吉村説明員 その点につきましては、むろん米側として一方的に国内法が変ったから出さないということを言う権利はないわけでありますが、おそらくそういう報告を出すということは、日米両国政府の間の合意ということできまっておりまして、従って米側といたしまして日本政府にその合意の変更を求めてきたわけでありまして、日本側としては検討の結果やむを得ないものとして一応今報告の提出をやめることを了承しておるわけであります。
  39. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 くどいようですが、もしやめれば向うが幾ら使っているかというのが全然わからなくなってしまうのですよ。それなら、あなた方の方でやむを得ないと認めた場合には、それにかわるべき、明確にわかるような代案を作って、それと引きかえでなければそれをやめることはおかしいんじゃないでしょうか。それとも、やめて下さい、はいかしこまりましたで、それから一年も一年半も全然向うがどういう金を幾ら使っているのかわからない状態でのんびり腕を組んで寝ていらしたのか。このことを先ほど第二番目の問題としてお伺いしたのですが、どうなんですか。
  40. 吉村真一

    吉村説明員 その件につきましては、むろんそれをわからすための、それにかわる方法を、両方でどういう様式でどういうふうにして出すかということを今検討中であるわけでございまして、その代案をこういうふうにしてくれということをきめないで、それまでのドル勘定支出負担行為明細表の提出をやめることを了承した格好にはなっておりますが、これは向う側のそういった国内事情によります原因に基きまして、事実上その経理手続にきめられました様式の報告が出せない、国内的に不可能な状態になっておりまして、やむを得ないような状態になっておるのです。
  41. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 くどいようですが、アメリカ国内的な事情にばかり同情をせられますが、現に私たち防衛分担金として本年度でも三百億出すんですよ。一番多いときには五百八十五億も出しておるはずですよ。こっちの五百八十五億出したり三百億出したりするのはやむを得ないなどという不確かな事情の上に立って出していいのですか。
  42. 吉村真一

    吉村説明員 防衛分担金は当初一億五千五百万ドルというものをきめますときには、その当時において終戦処理費の状態から推測いたしまして、大体半分々々というふうなことできめられたような経緯であるというふうに聞いておりますが、その後の分担金交渉におきましては、分担金折半ということ、要するに米軍で使いますそういった派生的な駐留経費折半していくということには現在なっておりませんで、もっぱら自衛力の漸増に伴いまする減額という線で、現在までずっと進んできておるわけであります。
  43. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 御説明を聞くとだんだんおかしくなるんです。それじゃ一月三十一日に重光外相勝間田氏に対して答えた答弁は大うそだということですか。さっきの船田長官のお話を聞いておりましても、一応原則として折半をしてそういう基本額が出て、その上であなた方の防衛努力が認められた分だけは特別に扱っていく、こういうふうに聞こえたんですが、そうすると折半原則というものは初めからなくて、重光外相は本会議において空うそをつかれたということですか。これは大臣一つ答えて下さい。
  44. 船田中

    船田国務大臣 先ほど私が申し上げましたのは、こういうことを前提としてお考え下さればいいのでございます。行政協定の第二十五条、軍費の負担というところに、その第二項のBでございますが、「定期的再検討の結果締結される新たな取決めの効力発生の日までの間合衆国が輸送その他の必要な役務及び需品を日本国で調達するのに充てるため毎年一億五千五百万ドルに相当する額の日本国通貨を合衆国に負担をかけないでその使用に供すること、」その当時の交渉の経緯におきましては、ただいま説明員から御説明がありましたように、わが方の負担アメリカ側負担とが大体半々になるようにということで、一億五千五百万ドルという金額がきめられておるわけでございます。すなわち五百五十八億円。ところがその後におきましては、先ほど私が申し上げましたように、もちろんこれは推定を含みますけれども、大体米駐留軍の使っておる金は必ずしも日本防衛分担金折半になっておるということではなくて、むしろ向うの方が日本駐留のために多く負担している。そうして五百五十八億円というものは、御承知の通り、二十九年度において二十五億円、三十年度において百七十八億円というものを減額いたしました。ところが昨年の八月末に外務大臣が渡米をせられまして、そうして国務省とあるいは国防総省とも相談の結果、一般方式が望ましいというような共同声明も出まして、そうして暮れから正月にかけて交渉の結果、共同声明にありますように、わが方の防衛庁費千二億円、施設等提供費百億円、防衛分担金を三百億円、こういうことにいたしました。そうして今後三十二年度以降におきまして、わが方の負担すべき防衛分担金については、防衛関係費用が増額をされまして、前年度に比較いたしまして増額分の半分だけを前年度防衛分担金の中から減らしていく。すなわち三十二年度以降においては三十一年度の三百億円を基準といたしまして、もし防衛関係費が二百億円増額すれば、それから百億円を減らす、こういうことをもって一般方式とする、こういうことに取りきめができたわけでございます。
  45. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今米軍日本駐留するために使っているお金は、日本側防衛分担金よりもよほど多いだろうという御説明でしたが、しかし多いか多くないか計算する根拠がないことは今政府委員説明せられた通りです。具体的に一つも正確な数字をつかんでいないで、それでなおかつ多いだろうとおっしゃるなら、あなたも大臣として私におっしゃる以上は責任を持って言えるでしょう。その一つ一つの明細な数字を示して下さい。これが第一です。  第二には、今のあなたのお話を伺っておっても、認められた防衛努力の半分だけは減らしていく、こういうお話なら、原則としてその基礎となるべきものは折半原則じゃないか、こういうふうに私には考えられるのです。折半原則を基礎として、その上で、半分ずつなんだけれども防衛努力がこれだけあるから、これだけ削ってあげようという話になるのじゃないでしょうか。これが第二のお伺いしたい点です。
  46. 船田中

    船田国務大臣 防衛分担金の基準になりますものは、行政協定第二十五条で、先ほど読み上げましたものが基準になっておるわけであります。そのときには大体わが方の負担するものと米側負担するものとが見合うということで、一億五千五百万ドルという数字がきめられておる、かように私は承知いたしておるのでございまして、その後の米側駐留軍負担しまた使っておりまする費用が、果してどれだけになっておるかということは、先ほど来説明員が申し上げましたように、推定の域を脱しない、正確な数字はここにあげるわけに参らないというのが実情でございます。
  47. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 どの公文を見ましても、何を見ましても、見合うという言葉が必ず使われております。日本側支出円に見合う米軍負担金というふうになっております。ところが米軍が果して幾ら使っておるかを正確に把握できないなどと、少くとも責任ある方々がこの議会の中で放言せられることは、言葉は悪いかもしれませんが、実に国民に対する反逆だと私は思うのです。国民は一銭でも安からんことを願っております。この問題について、米側支出金がどのように使われてどういうふうな金額になっているかということを把握できない政府の態度について、一つ長官の所感を伺いたいと思います。
  48. 船田中

    船田国務大臣 わが方の分担しておりまする防衛分担金についての使途の報告は、先ほど来説明員が申し上げておる通り、これは報告が来ておるのであります。ただ、今お話のように、米側が米ドルでどれだけ駐留軍に使っておるかということは、その正確な数字はわからないということを申し上げたのでありまして、この防衛分担金につきましては、もし今まで二十九年度、三十年度及び三十一年度においてやりましたような削減がないといたしますれば、先方が同意しなければ行政協定の第二十五条の原則に返るということになるだけのことでございますから、それはわが方としてはまことに今日の財政状況、経済事情等から見ましてつらいことでございますので、米側にも話をいたしまして、防衛分担金の削減を交渉し、わが方の意向をいれてあの共同声明になった、こういう経緯でございます。
  49. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 米軍米軍としての行動に基いて勝手に使っている金額を私はお伺いしておるのではありません。行政協定に基いて双方で出し合おうといういわゆる日本側防衛分担金アメリカ側防衛分担金について伺っているので、それがわからないなどというお話はちょっと解せないのです。ところが現実にわからないからこそ、防衛分担金削減交渉においてアリソン氏に、折半原則をとれば日本側が六十億損になりますぞというようなことを言われて、それ以上にとんでもありませんと反撃をする資料をあなた方は持っていらっしゃらないじゃないか。そんなことで国民の銭をそう簡単にむだ使いをされてはたまらない、見込み支出をされてはたまらないということを私は再々申し上げておるわけです。これについて、米軍防衛分担金支出について今後明確にとらえられるように努力いたしますというくらいの御所感は、私はあると思ったのですが、仕方がない、やむを得ない、こういう御説明だけで終ってしまいました。一体今後どうなさるのですか。勝手に米軍の使うものはしかたがないのだ、それに見合うお金は出します、こういうことで、今後もぐずぐず、科学的な根拠、数字なしに三百億ものお金支出していかれるつもりですか。長官にお伺いします。
  50. 船田中

    船田国務大臣 これにつきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、もしアメリカ日本との間に防衛分担金についての話し合いがつかないということになりますれば、行政協定第二十五条の原則に返る以外に道はないわけでございまして、行政協定は両国間において協定いたしておるのでありますから、これを守らないというわけには参らぬと思います。ただ、先ほど来飛鳥田委員の仰せられておるように、アメリカ側でどのくらいの金を米ドルで使っておるかということの正確な資料があるということは、まことにわが方としても、適当に処置する上において必要なことでございますから、今後においてもそういう資料の得られますように努力はして参りたいと存じております。
  51. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もうこれ以上あなた方を責めても、日米合同委員会できめられた経理手続日本側権利を、日本人が一向行使しておられないということについて話は進まないと思います。そこで、今の言葉じりを抑えるわけではありませんが、日本側支出をしている分担金については明細わかっていると長官はおっしゃった、それではお伺いいたしますが、経理手続の第一部「行政協定第二十五条に基き日本政府より提供された資金の支出」という項目で、B項を拝見いたしますと、合衆国会計検査院の要求する基準に従うものとする。合同委員会日本側委員は、政府専門家の助力と合衆国当局者の協力をえて、この特別勘定を監査することができる。」こう規定されておるわけです。当然この監査をなすっていらっしゃると思いますが、この監査の概況及び監査報告を御提出いただきたいと思います。明確になっているというお話ですから伺います。
  52. 吉村真一

    吉村説明員 私からお答え申し上げます。監査につきましては、現在までに二十八年度に一回やっただけでありまして、その後はやっておりません。
  53. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 だって、何百億というお金を出しているのですよ、われわれの税金の中から。これが正当に支出をせられたかせられていないか監査する義務政府にあるはずです。しかも、日米合同委員会経理手続に従って監査できるとちゃんと書いてある。会計検査院というものがあって、日本の諸官庁の会計については全部厳格なる監査を付している。そして国民お金が銭でもむだに使われないように努力しているはずです。ところが、三百億もの——本年度でも三百億、一番多いときになりますと五百五十八億などというお金が出されて、それの使途が少しも監査をせられていない。こんなばかなことを日本政府はやっているんですか。どこの国の政府ですか。私はそれから伺いたいと思います。
  54. 吉村真一

    吉村説明員 先ほどの監査、これは日本側から向うに渡しました円交付金についての監査でございまして、これにつきましては、現在証憑書類とともに、毎月支出済み額の報告が参っております。それを大蔵省と調達庁におきまして共同で審査いたしまして、不審の事項があれば監査を行う建前になっておりますが、現在のところ円交付金の使途につきましては、証憑書類の上で別に不審の点がございませんので、その後は行なっておらないのでございます。
  55. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 証憑書類について不審の点がないとおっしゃるのですが、ないはずはないと思うんです。どの官庁だって不審の点がないように努力をせられておっても、なおかつ会計検査院が調べれば、相当の件数が出てくるわけです。何百億円というお金が出ている以上、当然監査をなすって監査報告書を作って、国会にこれを提出せらるべき義務が私はあると思うんですが、こういうことを一つもなすっていらっしゃらない。アメリカ方々の使いほうだいですか。こういう点をなぜ監査報告をしないのか。あるいは今後監査を厳重にして、その監査報告書を国会に提出するお約束をしていただけるか、これを伺いたいと思います。
  56. 吉村真一

    吉村説明員 現在のところ、先ほど申し上げましたように、不審の点がございませんのでやっておりませんが、この監査と申しますのは、日本の会計検査院が国内官庁に対して行いますものとは、多少性格が異なりまして、防衛分担金の使途と申しましても、こういった範疇の経費は使えるという了解に違反することがないのかという見地からやっておるのでございまして、その点から見ますと、現在不審な点はないということで、むろん今後毎月出てきます証憑書類につきましては、不審の点があれば確かめます。監査というほどの成規の手続ではございませんが、証憑書類の計算間違いとか、それから科目の間違い、そういったものは常に米側の担当官と連絡して、これは訂正を求めておるわけでございまして、大がかりに両者が共同して監査を行うというほどの不審な点は、現在ございません。今後もし起れば、もちろん政府としては疑問の点を追及する考えでおりますが、現在のところないと申し上げておきます。
  57. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今後監査報告書を作って、国会に出していただけるかどうか。
  58. 吉村真一

    吉村説明員 現在のところ、常時検査をやるということは、むろん日米の合意が必要なのでございまして、それについてどういう方針で臨むかにつきましては、私ちょっと答えるだけのものはまだございません。
  59. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 日米の合意は必要としない。現に経理手続の中で、日本側委員は、政府専門家の助力と合衆国当局者の協力を得て、この特別勘定を監査することができるとちゃんと書いてあるわけです。何もあらためて合意を得なければ監査できないなんという条文解釈が、どこから出てくるのですか。
  60. 吉村真一

    吉村説明員 先ほど合意と申し上げましたのは、その規定の中にございます向う側の了承でございます。これは米側の施設区域内の立ち入りを含めての了承でございまして、その点について米側の了承を得る必要があるといり意味で申し上げたわけであります。
  61. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 出して下さるかどうか。
  62. 吉村真一

    吉村説明員 その点につきましては、私はまだちょっと答えるだけのはっきりした方針を持っておらないのであります。
  63. 船田中

    船田国務大臣 ただいま大体説明員から御説明申し上げましたことで、御了承いただけると思いますが、これは日米の相互信頼に基いてやっていることでございますので、それについての非常な不都合があったというようなことは、従来もございません。しかし今後におきまして、先ほど来御質問もございましたように、アメリカ側ドル資金をどれくらい使っているかということは、わが方としてもこれを知っておく必要もあると存じますので、この点は防衛庁の所管ではございませんが、大蔵大臣とよく協議をいたしまして、ただいま御質疑のような御疑問の起らないように、善処して参りたいと思います。しかし、元来が日米の相互信頼によってできていることでございますから、その点は重ねて御了承を願いたいと思います。
  64. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 日米の相互信頼ということを言い出せば、何も手続は要らないわけです。信用いたしましよう、それですべてが終ってしまうわけです。この経理手続の中で監査できると書いてあるのですから、当然なすったらいいじゃないですか。米軍側としても、向うが同意をして作った経理手続に従った行為を、日本政府がするということについて、反対する理由はちっともないと思うのです。相互信頼というようなぼけたことを言わずに——相互信頼はけっこうです。だがしかし、きちっと定められた手続だけは厳格にやっていただいて、米軍がどういうことをやっているか、そして日本人の税金はむだに使われていないか、こういう点を、はっきり国会に御報告をいただきたいと思います。  それでは続いて伺いますが、たしか昭和二十九年から、米駐留軍に勤めている労働者の、いわゆる労務費が、ドル支出から円支出に大部分切りかえられたはずですが、これはいかなる合意に基いて、いかなる経緯に基いて行われたのか伺いたいと思いします。
  65. 吉村真一

    吉村説明員 お答え申し上げます。日本側から交付しました金を何に使うかということは、行政協定の第二十五条の二項(b)一般的な規定がありまして、それに当る費目であれば使える。それからさらに各年度の使用に当りましては、米軍が、こういう費目日本側から交付された円交付金を使うというエスチメートを出すことになっておりまして、これが先ほど申されました、二十七年は労務費には使わない、物品費の系統、輸送費の系統に使う、そういう見積りであったわけであります。それがその後、たしか二十八年の半ばだと記憶しておりますが、それから労務費にも使いたいというエスチメートを出して参りまして、それに従って現在労務費について、日本側の円交付金が相当出ているわけであります。
  66. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ドル資金から出ておったものを、日本側の円資金に振りかえるということをやれば、実質的には、先ほど来申し上げているように、米側支出金額の正確なる額をとらえていない以上、日本支出金だけがふえて、米側負担部分が減るという形に結論としてならざるを得ないと思うのですが、この点についてどうでしょう。
  67. 吉村真一

    吉村説明員 米軍駐留経費を二つの部分に分けまして、トルの部分と円の部分と仮定いたしまして、こういう費目は円から出す、こういう費目ドルから出すということになっているわけでありまして、それが円とドル支払い区分が変ったということでございまして、別に総体において、円から労務費が出るようになったから、米軍ドル支出が減ったということにはならないと思うのでございます。
  68. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 だってあなた方は米軍支出金が明確にわかっていないんでしょう。わかっていれば減ったかふえたかというのはわかるのですが、わかっていないのですから、従って僕の申し上げるように、ドル資金から円資金に振りかえることによって、案外米軍支出が減っているかもしれない、そういう場合も想定できるんじゃないでしょうか、これが第一です。  第二には、負担区分はやはり日米合同委員会できめているはずです。すでに労務費が米ドルの側から払われるという決定が一たんなされているのですから、それを今度円資金に振りかえるについては、同様日米合同委員会の決議が必要だと思うのですが、それはいつ、何回目の合同委員会で行われたか伺わしていただきたい、これが第二番目です。
  69. 吉村真一

    吉村説明員 円、ドル支払い区分の変更によるドル支出の分の減少ということは、その制度支払い区分の変更に伴って減るということはないと考えます。  それから第二の点につきましては、どの部分ドルで出し、どの部分を円で出すかということは、合同委員会できまっておるわけではないのでございまして、それは一般経理手続米軍が前年の十一月のたしか十日だったと記憶しておりますが、十日までに翌年度経費日本側からもらう金の支払いは、こういうふうな項目に使うという見積りを出すことになっておりまして、それに従って米側はやっておるわけでございます。それで当初の二十七年度におきましては、米側労務費についてはすべてドルで出すという見積りになっておりまして、その後二十八年度に至りまして、これは原因は何かと申しますと、米国会計手続変更が行われまして、従来の円、ドル支払い区分では、米軍の内部の会計手続が非常に煩瑣であるというふうなことで、これはどうして煩瑣かと申しますと、その当時から米国が海外において金を出します場合には、従来は現地通貨の一つのワクでそのまま使っておったわけでございますが、二十八年の会計手続変更によりまして、それをすべて財務省の歳入に入れまして、支払い資金としましてはドルと円すなわち現地通貨と二つに分れますが、予算の歳出権限といたしましては、それを合せた予算を国防省から海外の派遣の部隊に令達になったわけであります。そうして現地通貨を使います場合には、平たく申しますと、一々財務省から現地通貨を買いまして、かわりにその予算の権限を返すというふうな手続支出のたびに要るというふうに変ったわけでございます。そうなりますと、常時支払います経費の系統は、毎日そういう手続を繰り返さなければいけないということになりまして、その経理手続が非常に煩瑣になるから、なるべく支払い回数の少いものに現地通貨を使いたいということになりまして、その結果労務費が——これは大体月に恒常的に一回というのが原則でございますから、それに使うというふうに変更してくれという申し出がございまして、従ってその見積りの変更をして、その後労務費を円交付金から払うということに変ってきたわけでございます。
  70. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 どうもよくわからないのですが、またここでもアメリカ会計手続が変ったから、それに合せて労務費米軍支出金から日本政府支出金に移したというお話しですが、米軍の内部事情が変ると、いつでもこっちはそれに対応していかなければならないものなんですか、こういう点にも非常に疑問が出て参ります。もっとこの点を一つ明確にして、労務費に関しては文書で私に教えていただきたいと思います。  この防衛分担金の中の米軍側の支出金について、まだたくさん伺いたいこともあるのですが、ほかの質問者もありますので、これは続けて別の日にやらしていただくといたしまして、最後に一つ防衛庁長官にお伺いをしたいと思うことがあります。  それは、日本防衛庁は日本を中心とした軍手情報をどのようにして集めておられるのか、自衛隊は米軍と独自な方法で情報収集をなすっていらっしゃるのか、こういうことを伺いたいと思います。
  71. 船田中

    船田国務大臣 わが方といたしましては、日本独自の立場において諸情報を収集いたしております。
  72. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 日本独自の立場でというお話ですが、それはどういう形ですか。
  73. 林一雄

    ○林(一)政府委員 情報の収集は、現在のところ、各種公刊の資料あるいは外務省の在外公館より絶えず情報を入手しております。また御承知のように、アメリカに外務省員の資格において防衛駐在官というものが行っておりまして、アメリカ国内情勢はこのような方面からも参ります。
  74. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 公刊の資料、町の資料は僕らでもやれます。少したんねんに図書館ででも調べれば、僕らでもつかめるわけです。そのほかに在外公館の資料というお話でしたが、それでは在外公館に対してどの程度情報収集のための予算を自衛隊として出していらっしゃるのか。
  75. 林一雄

    ○林(一)政府委員 アメリカにおきまする防衛駐在官の資料収集費といたしましては、調査費というものは実はきわめて微々たるものでありまして、アメリカ大使館に割り当てられておる予算の範囲内において活動しておるわけであります。
  76. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 アメリカ以外の各大使館、公使館に配属をせられ使われている防衛庁の情報費は幾らですか。
  77. 林一雄

    ○林(一)政府委員 ただいま申しました防衛庁の駐在官は、外務省員の資格において行っておるのでありますが、これはアメリカだけでございまして、その他の国々にはそのような駐在官はないのであります。アメリカ以外の各国におきます情報は、先ほど申しましたように、在外公館の一般情報収集、その集められた情報を外務省を通じて提供を受けておるわけでございます。その情報を集める活動にどのくらいな費用が与えられておるかということにつきましては、ちょっと当庁においては明確でございません。
  78. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、結局アメリカ以外の在外公館には、防衛庁としては情報収集のための予算も出していないし、防衛庁としての特別の官吏も行っていない、またアメリカにある日本の外務省関係方々、あるいは防衛庁から行っている人にも、情報収集としての費用は微々たるものだ、こういうお話になりますが、そういたしますと、情報は大部分アメリカ側から提供せられた情報という以外には解釈できないのですか、そう解釈してよろしいでしょうか。
  79. 林一雄

    ○林(一)政府委員 先ほども申しましたように、わが方の情報はただいままでに申したような各種の方法によって集めておるのでありまして、アメリカからもらう情報が多いとかいうようなことはないのであります。わが国独自の方法によって今までの情報は集めておったのであります。
  80. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 独自心々とおっしゃるが、今伺うと町の新聞や何かに出ている、雑誌に出ている資料、それから具体的な方法として伺いますと、各在外公郎の情報、こういうお話ですが、在外公館は武人ではありません。従ってその方面についての知識は非常に貧弱なはずです。そこから集まってくるもの、しかもそれに対して特別の予算を出していない、こうなればわが方独自ということは、ひっきょうするに町の軍事評論家程度のわれわれの知識と大差ないということですか。
  81. 林一雄

    ○林(一)政府委員 在外公館はやはり各国とも相当の情報は集めておるのでありまして、このような情報は経済的な面、あるいは政治的な面、あるいは軍事的な面も相当各国とも集めておるのであります。わが方の在外公館も相当の情報を集めておるのであります。ただ公刊されている新聞とか雑誌のみの情報ではないのであります。できるだけの方法によって情報は集めておるのであります。(笑声)
  82. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 だいぶお苦しいようですが、それでは端的に伺います。そういうものから集まってくる情報の精密度はどうでしょうか。
  83. 林一雄

    ○林(一)政府委員 これはその事柄によって精密度、確度というものはいろいろ違うのでありまして、在外公館から集まってくるのはおおむね精密度は高いものと考えております。もちろんその中でも事柄によって非常に程度の高いものもあるし低いものもあるし、情報というのはそういうものでありまして、高いものばかりではないと思います。どこが高いかということは、こちらの従来の情報を総合して判断すべきものでありまして、一がいには申し上げられないと思います。
  84. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 なかなか御名答で、情報というものは本来そういうものでしょう。それならば自衛隊としては米側から提供される情報というものをどう取り扱っていらっしゃるか、そして米側から提供される情報の自衛隊としての全情報の中に占める重要性についてお話いただきたいと思います。
  85. 林一雄

    ○林(一)政府委員 米側から提供される情報ということはちょっと了解しかねるのでございますが、特に米側から軍事情報をもらっておるというようなことはないのであります。私が先ほど申しましたのは、米国に駐在しておる防衛庁の者、これは外務省員の資格において行っておるのでありますが、これらの者がアメリカにおける情報を集めておるということであります。米側から特にまとまった情報をもらっておるというのではない。もちろん非公式に意見の交換その他をやっておるのであります。そういう意味においてある程度の情報は入っておるのであります。これは微々たるものでありまして、おおむねわが方独自の情報網と申しましょうか、情報収集手段によって集めておるわけであります。
  86. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 この前から自衛の問題について、長官はもし外敵が攻めてきた場合というようなことを答弁されておりますが、それならば一番われわれに近い中国及びソビエトに対する情報をどこからとっていらっしゃるのか、情報収集機関を防衛庁の内部において持っていらっしゃるのか、これを教えていただきたい。
  87. 林一雄

    ○林(一)政府委員 先ほどから申しましたように、いろいろ公刊資料が出ておるのであります。各種年鑑あるいはその他の雑誌、新聞また出先にあるところの在外公館、このような方面からいろいろな情報を集めておるのであります。別に特に中国あるいはその方面に人を派して情報を集めておるというようなことはやっていないのであります。その程度の方法より現在のところはないのであります。はなはだ遺憾には思っておるのであります。
  88. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そんなことで、外敵が来たらとか、防衛とか自衛とかいうことをおっしゃるのは、少しおかしいのじゃないでしょうか。私は少くとも何ものかがあり、それに関する情報がわかっているからこそ自衛の必要も出てくるし、あるいは侵略の必要も出てくるでしょうし、あるいは何々をする必要も出てくるということなんだと思うのです。相手方の情報が全然わかっていない、まあせいぜい公刊物、年鑑とか、こういうものでわかる程度で、あなた方が十八万も十五万も軍隊を持たれるというのは少し無責任だと思うのです。当然あなた方は米側なりその他の友邦諸国からいろいろな情報を受けられ、それを検討し、初めて自信を持ってそういうことをやっていらっしゃるのだとばかり私は思っておりましたが、ちょっと驚きました。それでは伺いますが、米側はいろいろな会談を通じて三十五万の軍隊を日本に要求している。これは日本政府が聞く聞かないとは別ですが、そういうことを言っておられるはずです。そうした場合になぜ三十五万の軍隊が必要かということは、向うが当然説明をするはずです。やみくもに、何でもいいからかんでもいいから三十五万軍隊を持てばいいと言うはずはありません。向う側の提供する情報、資料、観測、こういうものをあなた方は当然受けられて、今年度も自衛隊の増強を計画せられたはずだと思うのですが、そんなことは全然聞いてないのですか。
  89. 林一雄

    ○林(一)政府委員 三十五万を持てということをアメリカから言われたことは別に存じておりません。情報につきましては、先ほどから申しましたように、いろいろの方法で集めておるのであります。米国からの情報につきましては、これはしょっちゅうもちろん意見の交換、折衝はやっておるのでありまして、その過程においてできるだけ情報の提供を得ておるのであります。もちろんその分量が全般においてどのくらいのパーセンテージを占めるかというようなことについては、一がいには申し上げられないのであります。あらゆる方面からの情報を集めて計画を立てるということになるのであります。
  90. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 どうもくどくてお気の毒ですが、先ほど来伺っておって、米側と始終意見の交換もしているというところは私もよくわかるのですが、それ以外にあなた方が具体的に情報を集められる経路というものは、在外公館とか、公刊物とかいうようなお話だけで、わからない。しかも中国及びソビエトに関する情報というものについては、その手足を全然持っていらっしゃらないということを今あなたはおっしゃった。もしそうだとすれば、自衛隊が自分たちの態度をきめるについて一番重要な資料は米国から流される情報あるいは提供される意見、こういうものだと私は解釈せざるを得ないのですが、この点どうでしょうか。
  91. 林一雄

    ○林(一)政府委員 やはり情報と申しますのは、特定なものに限るということは非常に危険であるのであります。あらゆる方面から集めた情報を総合的に判断するということが大切だと思うのであります。でありますから、特に米側から提供された情報というものに重点を置くというようなことはないのであります。総合的に判断して考えていかなければならない、こういうふうに考えておるのであります。
  92. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 総合々々とおっしゃるけれども、米側から提供せられる資料を是正すべき、あるいはそれに対して第三の角度から検討を加えるべき具体的な資料をあなた方が持つ、そういうような機構もなければ、そういうようなチャンスもないことを今までの答弁で大体お認めになったと私は思うのですが、もしそうだとすれば、日本防衛力を強化させるために、危機が切迫してもいないのに切迫しているような情報をアメリカから流され、あるいは敵も危険もないのに防衛力だけ増強するというような形に、向うから追い込まれる危険がありやしないかということを私は感ずるのです。あらゆる方面を総合してと、こうおっしゃるならば、もっとあなた方は自信を持って、どういう機構を持ち、どういう調査をいたしており、どういう予算をこれに費しておるというようなことを述べられなければ、ほとんどこれはコンニャク問答に終ってしまう、こう私は思うのですが、ともかくあなた方は日本防衛力を増強させるために、米軍から危機が切迫していないにもかかわらず切迫しているような情報を流され、あるいは戦争もないのに戦争がありそうな情報を流されておる。そしてそれによって防衛力増強計画を立てられているという事態がありはしないか。そうでない、こういう保証をどこにあなたは提出をせられるのか、こういうことを伺いたいわけです。保証とはすなわち具体的に——くどいようですが、どれだけの予算を使って、どういうふうに科学的に、どういう方面にどういう機構を持って、情報を収集しておるかということをお示しいただくことだと思います。
  93. 林一雄

    ○林(一)政府委員 ただいまも申し上げましたように、情報と申しますことは、一方面から入った情報に片寄るというようなことは非常に危険なことでございますので、各方面から入った情報を総合的に判断して考えていくということが大切であると思うのであります。現在われわれが考えております情報機構は、先ほどから申し上げましたように、現在のところでは入ってくるところのあらゆる資料、あるいは在外公館から入ってくる資料、あるいは米側とのいろいろの折衝の過程において入ってくる情報、まあこういうものが主なるものでございまして、これらの情報を総合判断して決定しておるのでございます。ただもちろん在外公館の情報と申しましても、飛鳥田先生は、調査費がない、つまらぬものだというようにお考えになっておるようでありますが、一がいにそうではないのでありまして、やはり相当の大使、公使、高官が相当行っておるのであります。相当の出先を使って収集をやっておるので、このような情報も大いに利用し得る情報だと考えておるのであります。現在のところはこのような機構でやっております。もちろん将来といたしましては、米国に派遣しておりますところの防衛駐在官のようなものを、ヨーロッパ方面にも常置したいというような考えは持っておるのであります。現在のところはそういうような状態であります。
  94. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もう時間もありませんから、この程度で打ち切りますが、最後に大蔵省の方に、続けて質問をさせていただく都合上、資料としてこの次までにお示しをいただきたいと思います点を数項目あげてお願いをしておきます。  防衛分担金米国側が支払うドル通貨は、毎年幾らぐらいになっているのか、年度別に一つ明確にしてほしいと思います。先ほどちょっとお話がありましたが、一億三千万ドルないし二億六千万ドルというような、三千万ドルも開きがあるのです。三千万ドルも開きがあるということでは、私たち正確な質問をすることができません。もう少し明確な数字を、三千万ドルも開きがあるような大まかなものでないものをお示し願いたいと思います。これは文書で教えていただければ、それに基いて次会に質問をさせていただきます。それからそうした金額について米駐留軍がどのような項目別に使っているか、これもできる限り正確な数字を示していただきたいと思います。  第二には、ドル勘定支出負担行為明細書を一時でもおとりになったというお話でしたが、昭和二十八年ですか、昭和二十八年のドル勘定支出明細表一つ僕らに資料として出していただきたいと思います。  それから第一のことに戻りますが、今まで米側負担金の金額について、二十七年度と二十八年度は大体推定金額を御発表になっております。ところが二十九年度以降全然発表なすっていらっしゃらない。これはなぜ発表していられないのか、そのなぜという理由を一つ教えていただきたいと思います。  以上のことを教えていただいた後に私の質問を続行させていただきます。
  95. 山本粂吉

    山本委員長 次に石橋君。
  96. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 長官に質問をいたすわけでありますが、まず第一に昨日の受田委員質問に対する答弁の中で、非常に重要な問題がありましたので、この点を確認しておきたい、このように思っております。と申しますのは、けさの新聞にも相当大きく報道されておるのでございますが、自衛のためならば敵の基地を飛行機をもって爆撃することもできるというふうな見解を昨日表明されておるわけであります。これは私非常に危険きわまりない言明であろうと考えております。御承知の通り、われわれはもちろん自衛隊は憲法に違反するものであるというふうに考えておりますが、鳩山総理は、最初はそう思っておった、しかしそのうち考えが変って、自衛のためならば自衛隊は持っても憲法には違反しないと思うというように変った、こう言っております。これをさらに発展させて、自衛の範囲を広げられて、自衛のためならば、今度敵の基地にまで爆撃を加えることができる、こういうような新解釈が昨日発表されておるわけで、これは私さっきも申し上げたように、まことに危険きわまりない、このように一度自衛のためであるという前提のもとにであろうと軍備が認められるならば、次々に自衛というものの解釈が広げられて、それが自衛か侵略かわからないような限度ぎりぎりのところまでいくことは、きのうの答弁一つとってみても明らかなんです。長官は、特にパール・ハーバーの問題についても直接これを批判することを避けようとしておられる。大東亜戦争が侵略戦争か自衛戦争かということについても、後世史家の判断に待つということを言っておる。そういうあいまいさの裏に、やはり自衛と侵略との限界が非常にむずかしいということをみずから示しておる。特にきのうの考え方というものは、攻撃は最大の防御なりといったような思想にもつながっておるのじゃないかと思う。この点は非常に大切な問題であり、国民の重大関心事であると思いますので、私は特にもう一度自衛のためならば敵の基地を爆撃してもいいというきのうの言明に間違いがないかどうか、確認をしておきたいと思う。
  97. 船田中

    船田国務大臣 昨日私が自衛権の問題につきまして答弁申し上げたことは、従来政府がとっておる方針をくつがえしたものではございません。石橋委員も昨日お聞き及びの通りに、受田委員から敵が誘導弾あるいはジェット戦闘機、そういうようなものをもってどんどん攻撃してきた、こういう場合において、その基地はたたけないか、こういう話でございました。従いまして私はそれに対しまして、もしわが方に対して急迫不正な侵害がある、そうしてしかもこの急迫不正の侵害を排除するために他に防衛の手段がない、こういう場合においては、必要最小限度において敵の基地をたたくということもあり得るであろう、そうしてしかもそれはいわゆる海外派兵という問題とは全然別個の考え方であるということを申し上げた次第でありまして、従来の解釈を変更しておるものではございません。
  98. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私の再度の質問に対して確言されております。事実速記録を私持ってきているのですが、その中でもそういうように答弁されております。今長官はこの点は別に従来の考えを変えたのじゃないということを言っておられます。異なことを承わると私は思う。昨年の六月、二十二特別国会におきまして内閣委員会で同僚の議員から鳩山総理に質問があったときに、その点をはっきり打ち消されておる。参考のために速記録をお読みいたしましょう、これは江崎さんの質問のさ中でありましたが、川村君が関連質問として、きのうの受田さんと同じような質問をされておるわけなんです。どういうふうに書いてあるかといいますと、「自衛ということになれば、外国から攻められる、外国から攻められる場合にそれを撃退するだけが自衛であるのか、そうするとあたかも楠木政重の千早城になってしまうのであります。これは籠城であります。そうでありますから外国から攻められた場合、相手の基地までこちらが爆撃して、後顧の憂いをなくするということまでをもって自衛とされるのか、そういうような意味においていろいろと御答弁を願いたい、とにかく自衛の定義というものをもう少し率直に申していただかないと、われわれは審議に入れない。」こういうふうに言っておるのに対して鳩山総理ははっきり否定しております。「自衛のためということは、先ほど杉原君が言いましたように、国土を守るということでございますから、国土を守る以外のことはできないと私は思うのであります。あなたのおっしゃったように、飛行機でもって飛び出していって、攻撃の基地を粉砕してしまうということまでは、私は今の条文ではできないと思います。」明らかに鳩山総理は本委員会で明言をいたしております。あなたは別に従来の政府の考え方を変えたのじゃないというけれども、総理の言明とあなたの昨日の答弁、今申された答弁との間には明確に食い違いが出てきておる。しからばこの半年の間に、いかなる時期にいかなる情勢の変化に基いて、このような憲法条文の解釈に食い違いが出てきたのか、明確な答弁を願いたい。
  99. 船田中

    船田国務大臣 私はここに繰り返して申しますが、急迫不正な侵害がわが方に向って起ってきた、そうしてその急迫不正の侵害を排除するためにどうしても他に手段がない、そうしてしかも昨日申されたように、誘導弾あるいはその他の新兵器をもってどんどん攻撃してくる、そういうときに敵の基地をたたくということは、自衛権の範囲内において最小限度許さるべきことである、私はかように考える次第であります。
  100. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 この昨年の内閣委員会の質疑の内容というものは、前後をよくお読みにならなければわからないと思うのでございますが、やはり当時問題になったのも今の問題なんです。自衛々々というけれども限度があいまいじゃないか。自衛のためにと言って攻撃も行われ得るのだ、そういうふうな例を幾つかあげられた。飛鳥田議員も当時述べておりました。日本の領土内でないどこか外国から誘導弾のようなものが飛んできたときにどうするか、こちらからも誘導弾を飛ばすのか、あるいは飛行機を持っていって爆撃するのか、そういうふうな論議が尽された中で、鳩山さんは、幾ら自衛のためでも飛行機を飛ばして基地を爆撃するなどということはできませんということを明確に述べておる。あなたは自衛のためならばできると言っておる。この間に明らかに食い違いがあるわけなんだ。私はあなたが今の答弁を訂正されないならば、本委員会に鳩山総理に来ていただいて、鳩山さんの見解が変ったのか、あなたに同調されるのかどうかということを確かめなければ、この重要な審議を進めるわけにはいかないと思うのでございますが、もう一度お伺いいたします。
  101. 船田中

    船田国務大臣 ただいま申し上げましたように、わが方に対して急迫不正な侵略があり、そしてその侵略を防ぐために他に手段がない、こういう場合におきましては、自衛のために必要最小限度の、この急迫不正の侵害を排除するための防衛手段というものが他にないというような場合におきましては、敵基地をたたくこともあり得ると私は考えます。
  102. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 直接防衛庁長官として任じておられる船田さんがそういう見解を述べられている。明らかに鳩山総理との見解に食い違いができてきておるわけだ。そこでもう一点だけお伺いしますが、総理もあなたの考えに同調されるというふうに考えておられるのかどうか、この点御答弁願います。
  103. 船田中

    船田国務大臣 私は大量の飛行機が出ていって爆撃するというようなことを申しておるのではありません。敵の基地をたたくのに他に方法がないという場合において、敵基地を反撃するということも、これは自衛の範囲内においてはあり得るということを申したのであります。
  104. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 鳩山総理の見解とあなたの見解とは現在において一致しておるかどうかということを伺っている。
  105. 船田中

    船田国務大臣 総理の答弁されたことと私は矛盾しておらないと思います。
  106. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それは少くとも当時の審議の状況を知っておられる内閣委員の諸君ならば、あなたの今の答弁では絶対納得いかないと思う。総理はそういうふうな見解を述べておらなかった。幾ら自衛のためといえども結局敵のことだからといって、基地に行って爆撃するというようなことはできないということを、明確に答弁している。ここで総理と担当長官との間にこういう重要問題についての見解が異なっている以上、非常に大切な問題であり、国民の関心も大きな問題であろうかと思いますので、私は総理の出席をお願いいたしまして、この点についての明確な答弁を願ってから質問をいたしたいと思いますが、この点はぜひ明確にしておく必要があると思いますので、一応休憩して、この点理事会で取り扱いをはかっていただきたい。
  107. 山本粂吉

    山本委員長 暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ————◇—————    午後一時十一分開議
  108. 山本粂吉

    山本委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会