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1956-02-27 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十七日(月曜日)    午後二時六分開議  出席委員    委員長 山本 粂吉君    理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君    理事 保科善四郎君 理事 宮澤 胤勇君       受田 新吉君       大坪 保雄君    大村 清一君       小金 義照君    薄田 美朝君       田村  元君    辻  政信君       床次 徳二君    福井 順一君       眞崎 勝次君    粟山  博君       横井 太郎君   茜ケ久保重光君       飛鳥田一雄君    石橋 政嗣君       稻村 隆一君    片島  港君       西村 力弥君    細田 綱吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一夫君         防衛庁参事官         (人事局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (経理局長)  北島 武雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 亀夫君  委員外出席者         防衛庁課長         (長官官房法規         課長)     麻生  茂君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 二月二十七日  委員小金義照辞任につき、その補欠として花  村四郎君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員花村四郎辞任につき、その補欠として小  金義照君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十四日  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二五号)(参議院送付) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁説置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四二号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  四三号)     —————————————
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を続行いたします。受田君。
  3. 受田新吉

    受田委員 先回委員会におきまして、防衛庁計画しておられる兵力増強装備の拡充について伺いましたが、さらに質問を続行したいと思います。  防衛庁は今回陸上一万の増員計画をお立てになられ、さらに海空とそれぞれ適当な数字をお示しになって、増強たわれわれにお諮りになっておるのでありますが、ここで一つはっきりと、防衛庁防衛計画というものを、機密にわたる部分があるならば秘密会とし、機密にわたらざる限界のところを公開で御答弁願いたいと思うのです。防衛計画の中に、軍の機密に属して、この委員会において答弁をするのに困られる限界点はどこであるか、まずお尋ねしたいのであります。
  4. 船田中

    船田国務大臣 わが方の防衛計画といたしましては、特に機密にしなければならぬというものはございませんけれども、御承知の通り、アメリカ共同防衛責任を持っておりますし、また多くの飛行機艦船、火器、装備品等アメリカから供与されておりますので、この関係における機密を維持しなければならぬという問題は多々ございます。限界と申せば、そういう点に限界があると存じます。
  5. 受田新吉

    受田委員 しからば日本部隊には機密がないということになるならば、一つ思い切ってその防衛計画をお示しいただきたいのでありますが、今日本に用意されている兵力をもって、まず陸上部隊は今回増員される一万を加えて、かつ現に保有されている兵器をもととして、いかなる防衛計画が立てられているかについて、次の私のお尋ねする部面に、それぞれ具体的な御答弁を願いたいのであります。防衛庁のお示しになっておられます日本陸上防衛重点が北海道と九州に置かれている。それについては先般ある程度の御答弁をいただきました。ところがこの陸上部隊兵力をもってどの程度防衛力を打つかという点であります。たとえば直接侵略という言葉が自衛隊法に初めて表われて出まして、自衛隊任務として第三条にはっきり書かれておるのでありますが、直接侵略に対する防衛計画をお示し願いたいのであります。
  6. 船田中

    船田国務大臣 ただいま受田委員の御質問は、これは主として自衛隊任務関係し、また防衛の大きな計画にも関係すも重大なことでございますが、概括的に申し上げますと、今の防衛計画を実行いたしまして陸上において十八万の自衛官を持つというようなことになりますれば、これによりまして直接の侵略に対して、日本上陸作戦に対してある程度防衛を相当時期にわたってすることができる、こういうことになるかと存じます。もちろん侵攻して参りまする侵略軍兵数ということにも、非常な関係がございますが、今まで部分戦争等に現われてきておりまする経験から見まして、今想定されるような侵略——自衛隊といたしまして、特に仮想敵国を持つておるわけではございませんけれども、しかしある程度侵略軍が入ってくる、上陸作戦をやってくる、こういう場合におきまして国土防衛をある期間守ることはできる、こういうようなところに目標を置き、またそれだけの実力を備えることができると考えております。
  7. 受田新吉

    受田委員 今世界の情勢を見ますと、単に直接侵略ある程度部隊を率いて上陸してくるとかいうような、なまぬるい戦争はわれわれとしては考えられないと思うのです。少くとも原十兵器を用い、あるいは現に政府がいろいろ意図しておられる誘導弾等が用いられると思うのです。こういう新兵器による直接侵略に対する防衛計画というものを、具体的に御説明願いたいのであります。
  8. 船田中

    船田国務大臣 この問題については、先般も答弁申し上げておきましたように、いわゆる原水爆をもってする第三次世界大戦のような大規模戦争が起ったという場合に、現有のわが国の整備しつつありまする自衛隊の力をもって、これを有効に防備するということは困難であると存じます。この場合におきましては、何といっても日米安保条約によりまして、アメリカ側援助を受けなければ、とうてい国土防衛ということはできかねると思います。また原水爆に対してどういうような防衛体制を整備するかということにつきましては、わが方といたしましては、現在持っておりまするレーダーあるいはその他の新兵器研究をいたしまして検討を加えまして、そしてその災害を最小限度に食いとめるという程度のことを研究し、またその訓練をするだけでありまして、それ以上向う原水爆をもってするから、こちらもそれに対抗してこれを有効に撃退するという、あるいは報復をするというような、そこまでの大規模原水爆戦に対する防衛ということは困難であると存じます。
  9. 受田新吉

    受田委員 誘導弾の方はいかがですか。
  10. 船田中

    船田国務大臣 誘導弾につきましても、できるだけの検討を加えつつある状態でございます。
  11. 受田新吉

    受田委員 できるだけの検討ということがどうもはっきりしないのですが、向うから無電誘導ででもたまが来たときに、われわれはたまを受けて、そしてそれを防衛するだけで戦いはできないわけです。すでに自衛のための戦争ありと鳩山総理はこの間言われたわけなのですが、自衛のための戦争ありということであるならば、こちらは向うの空襲を受けて立つだけで、被害を防ぐだけの問題で解決できるとお思いになりますか。少くとも敵の飛行機がどんどん撃ってくるときに、その基地を壊滅しなければ、こちらに来る飛行機を迎え撃つだけでは、これは自衛戦といいながら絶対片づかないことだし、また誘導弾が大陸からでもやってきたという場合に、誘導弾発射地を何とか壊滅しない限り、たまが来るばかりであって、向うには人的被害はないのでありますから、どんどん誘導弾でこちらへ侵略してきた場合には、これはたまを迎え撃つというわけにはいかないのですが、この場合には一体いかなる見解をお持ちでありますか。
  12. 船田中

    船田国務大臣 今の御質問の御趣旨は、敵の基地までやってしまうかどうか、こういうことでございましょうが、今の自衛隊はそこまでは考えておりません。原水爆をもってする攻撃に対しては——今御質問にありましたようなことが起るということは、要するに第三次世界大戦が起る、こういう事態であろうと思いますので、その場合におきましては、何といってもアメリカ協力に待つ以外に道はないと存じます。また誘導弾にいたしましても、最近ソ連側でもずいぶんいろいろな宣伝が行われているようでありますが、いわゆるIBVとか、ICBMとか、そういう大型の、しかも長距離を飛来する誘導弾というようなものが参ります場合に、これをいかにして防ぐかということは、これは日本の今日の自衛力では、とうてい日本の独力をもって防ぎ得るものではございませんので、わが方といたしましては、これまた日米安保条約趣旨に従いまして、アメリカ協力アメリカ防衛体制、この力を借りるという以外に道はないと存じます。ただGMあるいは航空機につきましては常に研究をいたしておりまして、そういう今お示しのような危険な状態に対して、いかに国土を防御するか、攻撃的な兵器わが国に及ぼす損害、人畜に及ぼす損害、あるいは施設に及ぼす被害、それをいかにして防ぐかということについての研究は着々進めておる、こういう状況でございます。
  13. 受田新吉

    受田委員 これと関連して海上あるいは空軍を全部含めてお尋ねをしますが、一体日本海上部隊というものはこれはどの限界線まで防衛計画の中に入れられてあるのか。日本海、太平洋、あるいは東シナ海等について、具体的な御説明を願いたいと思います。
  14. 船田中

    船田国務大臣 大体海上自衛隊任務といたしましては、まず第一に海上交通路の確保であります。それから主要な海峡、水道、港湾の防備、第三には主要水路の掃海、第四に沿岸の哨戒、こういう任務をもって海上自衛隊平素訓練を積んでおる次第でありまして、どこまでも自衛隊の範囲内ということでございます。
  15. 受田新吉

    受田委員 韓国が今日本をなめておる。従って海上における漁業権の侵害を受けて、日本西部海岸漁民たちは非常に困っておる。このときに韓国のそうした横暴に対して、日本海上兵力はこれをあなた方の立場からするならば、鎮圧するほどの力があるかないか、率直に御答弁願いたい。
  16. 船田中

    船田国務大臣 ただいまの御質問はまことに微妙な問題でございまして、日韓関係は、当席におきましても私が前に答弁申し上げてありますように、どこまでも外交折衝によりまして、日韓会談を再開して、そして何とか友好関係を取り戻すようにいたしたいということで、政府としては努力をいたしておるのでありまして、ただいま御質問のようなことについては、今日の段階といたしまして私どもは考えておりませんので、この点は答弁を申し上げることを差し控えたいと存じます。御容赦を願いたいと思います。
  17. 受田新吉

    受田委員 そうすると政府考えておられる直後侵略ということになりますと、韓国海上部隊が侵攻してくるとかいうような、私たちは軽い立場の場合を考えておったのでありますが、いかなる場合になるのですか。具体的に言いましたら、どこの国がどういうふうにやってくるという形になるのでございましょうか。
  18. 船田中

    船田国務大臣 この問題につきましても、しばしば御答弁申し上げておりますように、わが国といたしましてはどこの国を仮想敵国としておるというようなことは考えておりません。
  19. 受田新吉

    受田委員 しからば韓国海上における横暴に対して、外交上の努力をなぜしないかとわれわれはしばしば言うたにかかわらず、これに対して何らの手が打たれていないわけなんで、この不安を一掃するために政府はいかなる解決策を御用意されておるのですか。
  20. 船田中

    船田国務大臣 韓国と限らず、もし海上におきまして自衛隊法規定しておりますような直接侵略が起って参りました場合に対しましては、海上自衛隊をもって十分これを防衛するだけの覚悟はしておるわけであります。
  21. 受田新吉

    受田委員 直接侵略という場合、わずかな部隊を船に乗せて上陸するというような場合をこの時代に考えられますか。
  22. 船田中

    船田国務大臣 今の御質問の御趣旨はどこに重点が置かれたのかちょっと理解しがたいのでありますが、必ずしも第三次世界大戦のような大部隊をもって攻撃してくるという場合でなく、小部隊をもって侵攻してくるという場合もあり得ると存じますので、そういう場合に対しましては、十分自衛隊実力をもって国土防衛に当るという計画を立てて、またその訓練を平素やっておる次第であります。
  23. 受田新吉

    受田委員 大部隊という場合でなくて、小部隊という場合を考え防衛計画を立てるという御意見のようでありますが、私はこういう問題を考えなくちゃならぬと思うのです。少くともこれから先の戦争ということになるならば、開戦条約規定されたような開戦宣言とか、あるいは条件付開戦宣言とかというようなものを、事前にかつ明瞭に通告して戦いを始めるというような、そういう形式で戦争が起されるような場合を日本考えて、それを直接侵略という意味に解して、こちらがこれを防衛するというような場合を政府としては考えておるのかどうか、この点を明瞭にしていただきたいと思います。
  24. 船田中

    船田国務大臣 われわれの自衛隊任務といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、急迫不正の侵略に対してわが国の安全と独立を守り、国土防衛に当る、こういう考え方でありまして、先ほど私が答弁申し上げましたときに、小部隊侵略に対してというふうにお考えになられたといたしますれば、それは私の答弁が足らなかったわけでありまして、決して小部隊侵略だけが予想されて、大部隊侵略が絶対にないというようなことは考えておりません。ただ受田委員がしばしば引用せられましたように、原水爆あるいは誘導弾、ことに非常な長距離を飛ぶ誘導弾をもって侵攻してくる、こういうような場合に対しましては、これはわが国の現在の自衛隊の力ではとうてい防ぎ得ませんから、どうしてもそういう場合においては日米安保条約精神によりまして、アメリカの力を借りるという以外に日本防衛の道は立ち得ないと存ずるのであります。
  25. 受田新吉

    受田委員 そうすると、日本防衛計画日米安保条約を中心にしてやっていく関係上、すべての責任の最終的なものは、常にアメリカに転嫁されるというような印象を多分に受けるのでありまして、日本自衛軍としての権威というものは果してどこにあるかということを、私は先ほどからの大臣の御答弁を聞いておると、あまりにもだらしのない自衛軍であることを考えざるを得ないのでありますが、これはいかがでありましょうか。
  26. 船田中

    船田国務大臣 これは日米安保条約及び行政協定、それから平和条約平和条約に付属する諸協定によっても示されておりまするように、わが国がまだ自衛体制を整えておりませんので、従って暫定処置として日米安保条約を結び、その他の協定を結んでおるのでありまして、将来日本が独力をもって自衛体制が整備されてくるということになりますれば、ヨーロッパ諸国にありまする独立国と同じような条約を結んで、そうして防衛問題につきましてりっぱに自主性を持つことができるようになると思います。しかし現在におきましても、わが国自衛隊は急迫不正の侵略に対して国土防衛する、しかもある期間、ある程度防衛は自主的にできる、こういう体制であり、またその体制を整備することに努力をしておる、こういうわけなんであります。
  27. 受田新吉

    受田委員 ある程度防衛というその限界点はどこに置いておられるわけでしょうか。
  28. 船田中

    船田国務大臣 陸上自衛隊について申しますれば、ある期間日本国土を守って、そうしてアメリカその他自由諸国から主としてアメリカでありますが、アメリカ援助を待つということになると存じます。海上におきましては、わが国食糧その他の輸入をしなければならぬということに対しまして、護送船団を持つというような任務があるわけであります。しかしその侵略軍が非常な大規模なものでありまして、わが国自衛隊あるいは海上護送船団ではとうてい間に合わないという場合におきましては、これはまたどうしてもアメリカ協力を得るという以外に、国土防衛をし、また食糧輸入を確保するというわけには私は参らないと思います。
  29. 受田新吉

    受田委員 すべてをアメリカ援助に求めておられるので、私は日本自衛軍自主性どこにありゃということを、今お尋ね申し上げておるのであります。私ここで関連して申し上げますが、日本の今の自衛隊の内容を見ると、アメリカ軍隊服装をし、訓練を受け、装備を有して、全くアメリカ模倣軍隊です。(「傭兵だよ」と呼ぶ者あり)これは日本自衛隊としてはまことに糖成のない話なのであって、少くとも日本独自のあなた方の立場をもってするならば、訓練目標もなければならぬ、服装なども日本独自のしっかりしたものをやられて、初めてあなた方政府考えておられる日本自衛軍としての権威が保たれると考えるのでありますが、この点いかがお考えになりましょうか。
  30. 船田中

    船田国務大臣 これは主として財政経済に非常に大きな関係があると思うのです。とにかく今約一個師団を装備するとすれば、少くとも一億ドル、まず七、八百億円というものがかかるだろうと思います。今までわずか五年半の間に、今日のこれだけの自衛隊が整備されたということは、何と申しましても、やはりアメリカ供与艦船兵器あるいは装備品等があったために、これだけになったのでありまして、もし日本財政力経済力において非常な余裕を持っておりますれば、それは日本独自のものができるかもしれませんけれども、今日の場合において速急に自衛体制を整備しようといたしますれば、どうしてもやはりアメリカ艦船飛行機装備品等供与を受けて、従ってまたその使用法等についてもアメリカから適当な指導を受けるということは、私はやむを得ないと思います。だからといってこの日本自衛隊が決してアメリカ傭兵になっておるものではなくして、やはり自衛隊日本精神をちゃんと持っておるのでありますから、決してアメリカ傭兵になっているものではないと私は信じます。
  31. 受田新吉

    受田委員 日本自衛隊日本精神を持っている、こういうきわめて明快な御答弁をいただいたのでありますが、服装装備訓練と、いずれもアメリカ模倣をされている場合に、精神だけ日本精神を打ち込むということができるかどうか、明快なる御答弁を願います。
  32. 船田中

    船田国務大臣 われわれは洋服を着ておってもすべてが欧米人の思想ではないのですから、その点は十分自信を持って私は申し上げますが、アメリカ式洋服を着たからといって、決してアメリカ傭兵になったとは私は考えません。
  33. 受田新吉

    受田委員 あなたは今田の財政経済の実情が許すならば、今にでも日本独自のものに訓練装備服装等も切りかえたいという希望を述べられたわけでありますが、さよう了解してよろしゅうございますか。
  34. 船田中

    船田国務大臣 現在までに供与を受けておりまする艦船飛行機あるいは装備品等につきまして、日本的に改良すべきものは決して少くないと思います。しかしだからといって、日本の独自の装備あるいは艦船飛行機を作るということは今なかなかむずかしいのであります。従って今の場合はアメリカ供与品を受けて、できるだけ早く自衛体制を整備するということの方が、今日の日本防衛体制を整備する上においては適当である、かように考えまして、アメリカ供与品も受けておるわけであります。しかしたびたび申し上げますように、アメリカ供与品を受けたから何もかにもアメリカの寸うなりになっておるというようなことは絶対にございません。
  35. 受田新吉

    受田委員 アメリカ供与品を受けないで、予箕の許す限度日本の独自のものに切りかえる準備をどのように具体的に進めておられますか。その限度内における御答弁を願いたいのです。
  36. 船田中

    船田国務大臣 今アメリカから直接指導訓練を受けておりますのは主として空の方でありまして、陸上及び海の方におきましては、大体日本独自の考え方で、従来の日本的な訓練をいたしておるのでございます。
  37. 受田新吉

    受田委員 私また元へ話を戻しますが、日本と米国との両方の軍隊が今あるわけなんですけれども、直接侵略に対してこの双方の共同作戦はどのように構想されておるのでしょうか。
  38. 船田中

    船田国務大臣 わが国防衛体制の整備につきましては、こちらも計画を立てて検討を加え、またアメリカはなるべく早い機会に駐留軍を撤退させたいということで計画を立てておりますから、そういう点につきまして密接な連絡をとっておることは事実であります。しかし共同作戦というようなことについての研究をいたしておる事実はございません。
  39. 受田新吉

    受田委員 今回の自衛隊法改正案の中に「需品貸付」なる項目が出ておりまして、その中には飛行場使用便宜を与えたり、あるいは給水その他、適正な対価をもらって便宜供与するという規定がされておるわけです。こういう点は日米両軍の共同作戦というようなものは配慮されていないわけですか。
  40. 船田中

    船田国務大臣 共町作戦というようなことは現在やっておりません。これは念のために申し上げておきますが、もし非常の場合が起ったらどうするかといえば、行政協定の二十四条によりまして共同措置をとるということになるのであります。ただいま御指摘になりましたような点は、主として訓練関係するものでありまして、作戦の問題とは全く違っておるのであります。
  41. 受田新吉

    受田委員 この訓練における米軍への便益供与という問題は、これまでは全然やっていなかったわけですか。
  42. 船田中

    船田国務大臣 これまでも便宜多少やっておった事実はあるようであります。
  43. 受田新吉

    受田委員 それはいかなる法規に基き、いかなる根拠に基いてなされた措置でありますか。
  44. 北島武雄

    北島政府委員 御質問自衛隊法の一部を改正する法律案と結びついておりまして、このことの正確なる御認識をいただきますればおのずから氷解すると思いますので、一応自衛隊法の一部改正法案につきまして、ごく簡単に御説明申し上げます。需品貸付の問題と給水その他の役務を適正な対価で提供する問題であります。第一の百十六条の二の改正は、自衛隊法航空機以外の航空機、この中にはもちろんアメリカ軍航空機も入りますし、日本民間航空機も入るわけであります、その航空機が、自衛隊飛行場にいわば不時に着陸した場合におきまして、他から入手する道がないと認めるときは、次の飛行に必要な限度において、かつ自衛隊任務遂行支障を生じない限度において、液体燃料等需品を無償で貸し付けるという規定でございます。それから付則の十二項のところでございますが、これは安保条約に基きまして日本に駐留しておりますところのアメリカ合衆国の軍隊が、自衛隊と隣接して所在する場合におきまして、他から入手する道がないと認める場合には、自衛隊任務遂行支障のない限度において、自衛隊のために設けられておる施設による給水その他の役務を、適正な対価で提供することができる、この後者の方は、たとえばこういうようにしてあるのでありまして、従来アメリカ軍一つ区域として全面的に提供せられておりましたものを、そのうちの一部を解除して、そして自衛隊におきましてこれを使用するというような場合、その解除せられて自衛隊使用するものに全体の区域に対するところの給水その他の設備がある、こういう場合におきましては、便宜自衛隊におきましてこれを適正な対価アメリカ軍給水してやるという考え方であります。そういたしませんと、実はこういう問題のために提供解除一つ支障になっておりまして、一部解除してもいいけれども、しかしあとのこういうサービスはどうなるんだろうというような問題が今までございました。たとえば昨年の松島基地解除のときにもだいぶこういう問題がございました。そのために松島のときにおきましては、きわめて臨時ではございますが、将来の法律改正を考慮いたしまして、一応給水施設自衛隊で提供いたしております。これを法律面におきまして適法にいたそう、こういう趣旨であります。先に申しました、液体燃料その他の需品を無償で貸し付けるという点につきましても、あるいは御質問が、将来日本アメリカの前進基地となるのではないか、こんなふうな御懸念があるやに私承わるのでありますが、これはその点はございませんので、臨時に自衛隊飛行場に着陸して、しかも次の飛行に必要な限度において他から入手するような道がない場合に、ガソリン等を無償で貸与して、あとで返してもらう、こういう規定でありますので、何とぞ御了解願いたいと思います。
  45. 受田新吉

    受田委員 これは法案に規定された事項に関する質問に触れているわけなのでありますが、現に便益を供与していることを合法化したという意味の御答弁だと思うのですけれども、向うが非常に困って、そこで待機しておるような場合に、自衛隊任務遂行支障がある場合には、これは絶対に関与しないという建前ですか。その限度はどの程度ですか。
  46. 北島武雄

    北島政府委員 この法律に明らかに規定しておりますように、自衛隊任務遂行支障を任じない限度においてでございます。任務遂行支障を生ずるような場合には、この法律はもちろん適用にならないわけであります。
  47. 受田新吉

    受田委員 この任務遂行支障があるかないかの判断の最高責任者はだれになりますか。
  48. 北島武雄

    北島政府委員 一応これは、総理府令——大体の常識概念はあるわけでありますが……(「常識じゃいかぬ」と呼ぶ者あり)大体の基準につきましては、総理府令によりましてこれを規定いたしたいつもりであります。もちろん自衛隊訓練支障を生ずる、すなわち自衛隊任務遂行支障を生ずるようなやり方はいたさせません。
  49. 受田新吉

    受田委員 その総理府令に盛らんとする内容について、構想を持たずしてこの法案を出されるということは、非常にそそうであると思うのですが、この総理府令はいかなるものを出そうとしておるか、用意されたる内容をお示し願いたいと思います。
  50. 北島武雄

    北島政府委員 法規課長から、今総理府令で規定いたさんとする内容を説明いたさせます。
  51. 麻生茂

    ○麻生説明員 今総理府令で規定いたそうと予定しておりますのは、どういうものにこれを貸与するかというそういう貸し付ける対象、それからどういう条件で貸すか、たとえばいつ返還するか、返還の場所をどこにするかというようなこと、あるいはそれを貸した場合どういう伝票をもって扱うか、またその伝票について必ず記載しなければならぬというような事項、そういうようなものを一応予定しております。
  52. 受田新吉

    受田委員 そり場合に、この法案にはあらかじめ大蔵大臣と協議すると書いてあります。これはいかなることを示すもりか、御説明願いたい。
  53. 麻生茂

    ○麻生説明員 この総理府令の対象になりますことは、物品の管理に関する問題でありまして、物品の管理に関する主務大臣は大蔵大臣と考えられるわけであります、従いまして大蔵大臣と協議をしてやって参りたい、こういう考え方であります。
  54. 受田新吉

    受田委員 私は質問をもとへ戻して、日本と米国との共同防衛という問題に触れたいのでありますが、今船田国務大臣防衛庁長官としての立場から、日本自衛軍をもってしては独力で防衛の任に当り得る限界はきわめて限られておる、従って大部隊がやってくるとすぐアメリカ軍協力を求めるということになるのだ、こういうまことにたよりない、自民党の政策をもってしてもまことにたよりない御見解があったわけなんでありますが、私は、韓国軍隊よりは強い、そのほかの強い国には負けるくらいの軍隊というような程度考え防衛庁長官としてお持ちでないか、かような印象を受けるのであります。非常な大部隊が来るときは、日本自衛隊じゃ間に合わぬが、ちょっとした部隊ならやれるんだというこのお言葉は、これは非常に微妙なものがあると思うのでありますが、大体私が今お尋ねした程度考えで、小さな国の軍隊がやってくる場合は日本自衛隊たちまちやっつけるのだ、大国がきた場合にはアメリカにお願いするのだという意味でございましょうか。
  55. 船田中

    船田国務大臣 日韓関係は、先ほども申し上げましたように、非常に微妙な関係にございますので、韓国を対象としてわが国自衛隊実力がどの程度であるかということは、私がここに公開の席上において申し上げることは差し控えた方がよかろうかと思いますから、御遠慮を申し上げますので、その点はどうぞ御了察を願いたいと思います。ただ、急迫不正の侵略に対しまして、わが国国土防衛をある期間するということは、現在の自衛隊実力をもってしてもできるのであります。しかし先ほど来御質問にありましたような、大陸間を飛ぶようなICBM、IBVというような大きな誘導弾だとかあるいは原水爆弾をもってするとかいうような攻撃は、たとい急迫不正でありましても、これをわが国の独力で防衛するということは困難でありますので、そういう場合におきましては、日米安保条約規定によりまして、アメリカ協力を得て日本防衛を全うするようにいたしたい、かように考えるのであります。
  56. 受田新吉

    受田委員 非常な偉大な効力を有する新兵器によって攻撃を受けた場合には、アメリカの力を借り、また非常な大部隊がやってきたときにはアメリカ軍にお助けを願い、また今の財政計画立場から十分まかない得ない部隊装備訓練等については、アメリカのお助けを願う、こういうことになりますと、これは日本自衛軍としての、繰り返し申し上げますが、権威は失われると思うのです。われわれはこの軍隊にはっきりと反対をしておるのでここで申し上げるというわけじゃなくて、高い立場から見ても、あなたがお考えになられているようなたよりない自衛軍を持っているということは、これはその最高指揮官でいらっしゃる——最高指揮官は総理大臣ですが、その次の指揮官としての防衛庁長官としては、はなはだ心もとない自衛軍だという印象をお持ちでございますまいか、この点を御答弁願いたい。
  57. 船田中

    船田国務大臣 私は率直に申しまして、過去五年半の間にこれだけの自衛体制が整備されたということは、むしろ世界的の驚異であると考えるくらいでありまして、決してそんな弱い、つまらないものではないと、私は相当強い自信を持っておるのでございます。
  58. 受田新吉

    受田委員 あなたの強い自信は空と海においてはほとんど失われておる、陸においてのみある程度自信が持てるという御見解に解釈してよろしゅうございますか。
  59. 船田中

    船田国務大臣 陸上におきましては一番早くから出発をいたして訓練を積んでおります。ところが海におきましてはそれがおくれております。ことに航空自衛隊につきましては、一昨年の七月初めて発足をいたしたのでありますが、それにもかかわらず、この一年半余の間に、とにかくジェット機を、三月一日にはF86を飛ばすというところまで進んできておるのでありますから、相当空の力もできつつある。訓練を積んで参りますれば、日本防衛に大いに役立つという自信を持っておるわけであります。
  60. 受田新吉

    受田委員 先ほど日米共同作戦に触れたわけでありますが、行政協定二十四条「日本区域において」云々というこの問題は、いかように解釈すればよろしゅうございましょうか。
  61. 船田中

    船田国務大臣 これは非常の場合におきまして、行政協定二十四条の規定があるわけでありまして、その場合においては日米の間においていかに防衛するか、これに対処するかということの協議をすることになっておるわけであります。
  62. 受田新吉

    受田委員 協議だけで戦争はできないわけでありますが、その際に共同作戦というものが当然起ってくるわけじゃないでしょうか。
  63. 船田中

    船田国務大臣 この二十四条はもちろんそういう場合の規定でありますから、その場合においては共同作戦をとるということになると存じます。
  64. 受田新吉

    受田委員 私は直後侵略という場合は非常の場合だと思っておる。先はどから直接侵略、直接侵略としばしば申し上げるのは非常の場合です。その際に大臣はそういう場合でも日米は別に共同作戦考えないなどと、私に答弁されたのですが、私は先ほどから全部直接侵略を前提とした話を申し上げておるのであって、間接侵略とかその他の問題にはまだ触れてないわけなのです。
  65. 船田中

    船田国務大臣 それは受田委員が少し誤解しておられるようでありますが、平素共同作戦考えておるかというお尋ねでありましたから、平素共同作戦ということはやっておりませんということを申し上げたのでありまして、ただいまあらためてお示しのありましたように、急迫不正な侵略が起った、こういう場合においては行政協定の二十四条が発動されまして、日米で協議し共同作戦を立てるということになるわけであります。
  66. 受田新吉

    受田委員 私の質問日米共同作戦を、平素と限定した御解釈があったわけですが、そういうふうな聞え方をされたとしたならば、私の質問の仕方が悪かったかもしれません。私は日米共同作戦の場合はいかなる場合かという立場でお尋ねしたので、平素と非常の場合と分けて御答弁いただけば筋がはっきりしたわけです。そこで非常事態に対応する場合の日米協議による共同作戦という場合に、その際の協議にもよりましょうが、これは日本軍がアメリカ軍の支配下に属するという公算が、現実においてははなはだ大となるようなお気持がいたしますか。
  67. 船田中

    船田国務大臣 これは行政協定二十四条によりましてそのときによって決定するということになるわけであります。
  68. 受田新吉

    受田委員 現実に日本軍の劣勢を御承認になっておられる長官としては、アメリカ軍の偉大なる兵力に屈従して、アメリカの支配下に属する日本自衛隊という形になるという傾向が、多分にあると御想定にはなりませんか。
  69. 船田中

    船田国務大臣 これはそのときに上っていずれから司令官を出すかということが決定されるのであります。
  70. 受田新吉

    受田委員 私は今の日本自衛軍があまりにも幼稚で、すべてアメリカの力を借りなければならぬという長官の御答弁をもってすれば、今後日本自衛軍は事実上アメリカの傭丘的な立場に置かれて、アメリカ作戦計画の中に適当に挿入せしめられて、かつ海外派兵等が当然アメリカの司令官によって起る。仮想敵国は、今ないとおっしゃったのでありますが、そういう自衛戦の場合には敵があるわけでありますから、その敵の航空基地あるいは誘導弾の発射基地日本飛行機あるいは日本軍を派遣するその支配下に属せしめられるというようなおそれが多分にあると私は思うのでありますが、長官、さようなことは絶対ないという自信が持てますか。
  71. 船田中

    船田国務大臣 わが国自衛隊は現行憲法のもとにおいて任務を遂行するのでありますから、ただいま御心配のような点は、私はないと信じます。
  72. 受田新吉

    受田委員 ここで一言自衛権の解釈について関連してお尋ね申し上げたいと思います。自衛のための軍隊自衛というのは急迫かつ不法なる攻撃に対して正当防衛をする、こういうふうな解釈をもってするならば、正当防衛というのは向うの攻撃を加える方の側の航空機発射基地というようなものが潰滅されざる限りは、この正当防衛ということの目的を達し得ないと思うがいかがでございましょうか。迎えて討つだけで正当防御が全うできるかどうか。
  73. 船田中

    船田国務大臣 理論的に申せば、今受田委員が仰せられたようなことまでも正当防衛ということに入るかもしれませんけれども、現在の自衛隊は現行憲法のもとにおいて憲法の許す範囲内においてこれを整備し、わが国防衛体制を整え、またその訓練をいたしておるのでありまして、これによりまして海外派兵というようなことは全然考えておりません。
  74. 受田新吉

    受田委員 飛行機に乗って敵の空襲部隊基地を襲う場合は海外派兵と考えられますか。それは一時的な作戦現象であって、海外派兵とは見ないとお考えでありましょうか。
  75. 船田中

    船田国務大臣 これはたびたび申し上げます通りに、自衛のための最小限度の反撃ということはあり得ると思いますけれども、今想定された御質問のようなことは、まず起らないのではないかと存じます。
  76. 受田新吉

    受田委員 こちらの基地から向う基地を撃って空襲部隊の根源を潰滅するという場合、もちろん飛行機によって向うへ着陸するわけではないのでありますから、すぐ戻ってくるわけです。こういう場合は海外派兵というか、あるいは派兵とはいわないか、その解釈をしていただきたいのです。
  77. 船田中

    船田国務大臣 ただいま御質問のような点は、厳密な意味においては、海外派兵とは区別さるべきものだと私は考えます。
  78. 受田新吉

    受田委員 政府自衛のための軍隊を持つ。これは直接侵略に対しての正当防衛である。その正当防衛限界を逸脱して不法行為、過剰防衛にはならぬのだということを今仰せられたが、今大臣の御答弁は、正当防衛の範囲を逸脱して敵の空襲基地を襲うということは、過剰防衛にはならぬかどうか、一つ答弁いただきたいのです。
  79. 船田中

    船田国務大臣 これは現実の場合に当ってみませんと、ただ空に、どの程度のことが自衛であり、どの程度を越えたならば過剰防衛であるかということは、今ここでにわかに判断はできないと思います。
  80. 受田新吉

    受田委員 長官のお言葉をもってすれば、外国へ出かけて、敵国の航空部隊の根拠地を襲うことは、海外派兵でないということが今大臣によってはっきり言明されたわけでありまして、飛行機による敵の基地空襲は海外派兵でないという、かかる大臣の御言明をもってするならば、今後日本自衛のための戦いは、飛行機によって敵の空襲基地を襲うことがあり得る。海外派兵ではないのだ。それはだんだんと解釈が進んできたわけでありますが、海外派兵はしない、自衛のための軍隊は持つ、こういうことになれば、今後日本の持つ自衛軍というものは、現行憲法をもってしても、海外における敵の空襲基地を襲うために飛行機部隊を派遣して、どしどしと戦って帰っても、これは憲法違反にならぬということになると思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  81. 船田中

    船田国務大臣 海外派兵という場合には、これは何らかの武力行使を行う目的を持って、外国の領土に上陸することを含む概念であると考えられます。そういう海外派兵ということは、現行憲法のもとにおける自衛隊にはできないし、またやらないと存じます。しかし敵の基地をたたかなければ自衛ができないという場合におきまして、この自衛限度があり、他に方法がないと場合において敵の基地をたたくということは、先ほど申し上げました海外派兵とは区別さるべきものだと存じます。
  82. 受田新吉

    受田委員 自衛権の解釈がきわめて明瞭になってきたわけでありますが、しからば現在のところ空軍ははなはだ劣勢であるから問題はないわけでありますが、行政協定二十四条に基いて日米共同作戦が展開された場合に、適当な訓練を受けた日本の軍人があちらの飛行機に乗らされて、大爆撃機によって敵の基地を空要するという場合に、共同作戦によっては何が展開されるかはわかりませんが、そういう場合に、日米の協議によってそれを納得し得る場合があるかどうか、御答弁願いたいと思います。
  83. 船田中

    船田国務大臣 仮想の御質問では、ちょっとお答えのしようがないのでございますが、行政協定二十四条の発動を受けるというような場合は、非常な事態でありまして、わが国が急迫不正な侵略を現実に受ける、あるいはその脅威が目前に迫ったという場合に、初めて行政協定二十四条が発動されまして、日米共同合議、共同作戦ということになると存じます。その場合に、どの程度の反撃ができるか、あるいは自衛のために敵地を攻撃することができるかということは、現実の問題として考えなければなりませんが、まず、そういう場合におきましても、現在の憲法のもとにおきましては、他に自衛の方法がない、そうして敵の攻撃が非常に熾烈であって、どうしても敵の基地をたたかなければ自分の方が危ないという場合に、ある程度基地をたたくということはあり得ると思いますけれども、これは海外派兵の問題とは全く別個の観念であると存じます。
  84. 受田新吉

    受田委員 大東亜戦争の緒戦において、ハワイの空襲をやりましたが、これは海外派兵であったか、どうであったか。いかなる御解釈をされましょうか。
  85. 船田中

    船田国務大臣 結局、ハワイ攻撃が自衛のためであったかどうかということの判断による以外ないのでありまして、これもこの席上からたびたびお答え申し上げておる通り、公正な史家の判断を待つ以外になかろうと思います。
  86. 受田新吉

    受田委員 そういうお考えを持たれた防衛庁長官が、今陸海空三軍の兵馬の権をお握りになっておられる現状を考えますときに、現実において、もし非常急迫の事態が起ったならば、行政協定二十四条の発動がされるわけです。そうすると、あなたは防衛庁長官として兵馬の権を握られる権能を発揮されて、きょうにでも非常事態が起ったならば、内閣総理大臣の指揮を待って、直ちに自衛戦を起させることができる法律が定められておるのです。そうしてあとから国会に承認を求められることになるのであって、国会の承認を求めてゆっくりと戦争をするような、そんなのんびりした自衛戦などというものは、とうてい考えられないと私は思うのであります。結局あなたの御意見いかんによって、日本の陸海空三軍は自由に駆使し得る段階に達しておるのです。こういう大事な責任者の防衛庁長官が後世史家の批判に待つなどというような、なまぬるいことで——真珠湾攻撃をやったような場合は、防衛庁長官としてはそういうことをおやりになるかならぬかという大事な問題にもこれは関係するのである。今の防衛庁長官の御発言をもってするならば、敵国から大部隊が空襲してきた、この正当防衛を裏づけるためには、敵の基地も撃ちにいかなければいかぬという場合には、飛行機でその基地も撃ちにいかなければならぬというような見解が、今明らかにされたのでありますから、そういう御見解をもってするならば、ハワイの空襲なども自衛のために、海外派兵ではないが、ハワイの基地を撃たなければならぬという御解釈をされるおそれがあるのです。この点、後世史家の批判ではなくて、今祖国三軍の兵馬の権を握られる船田防衛庁長官は、少くともそういう際に、後世史家でなくて、あなたが今責任者なんです。あなたが今自由に三軍を発動し得る実権を握っておられる。今日でも、今大空襲部隊がここに来たとしたならば、ここにおられてもすぐ今から指令を出さなくちゃならぬ、そういう立場に置かれている。法律でちゃんとあなたには偉大なる権限が与えられているのですから、総理大臣が予算委員会におられても、あなたはすぐ協議されて、すぐ措置をしなければならぬというときに、あなたが後世史家の批判に待つというような考えで、こういう前例を御判断になったとしたならば、私ははなはだ心もとない防衛庁長官でいらっしゃると思うのですが、少くともこの際明瞭に、三軍の最高責任者として前例に対しても鋭い批判をもって、この限界まではこうだ。仮想の問題に対してはどうだとさっきおっしゃったけれども、仮想じゃないのです。そういう事態が想定できるじゃないですか。仮想でなくて、そういう場合があり得るのですから、そのあり得る場合の御意見をもう一度明瞭に御答弁願いたい。
  87. 船田中

    船田国務大臣 第二のパール・ハーバーなどということは考えておりません。
  88. 受田新吉

    受田委員 考えておられないということになると、これは自衛のための空襲ではなかった。そうしてこれは海外派兵と思われて、自分としてはあれは賛成できないのだという、三軍の責任者としての船田さんのお言葉でしょうか。
  89. 船田中

    船田国務大臣 パール・ハーバーの問題につきましては、私は遺憾であったと思います。ああいうことのなくて日米関係が正常化されることを希望しておりました。
  90. 受田新吉

    受田委員 ああいうことがなくて日米関係を保ちたいという気持であった、遺憾であったということになるのでありますと、結局あのハワイの空襲は、これは海外派失であり、かつ自衛権の発動でなくして侵略であったとお認めになるわけですか。
  91. 船田中

    船田国務大臣 私は日本人のやったことが全部悪いというふうには考えておりません。それらの点につきましては、後世の史家の公正な判断を待つ以外にないと思います。
  92. 受田新吉

    受田委員 日本人のやったことは全部悪いとは考えていない……。ただハワイの空襲に私は限定してお尋ねしたわけでありまして、ほかのところは問うていないのです。ハワイの空襲はこれは後世史家の批判に待つ、これは日本人としてやったことは悪いことはない、こういうお言葉であるのですが、最初はあれは遺憾であったとおっしゃって、最後にはあれは日本人として悪いことではないのだということで、これははなはだあいまいであります。私どもは少くともこういう大事な問題を討議しようとするときに、その責任者がはっきりした見解を持って三軍を指揮していただくということを期待しておるので、こういうことは絶対いかぬならいかぬで、はっきり言うていただきたいのです。
  93. 船田中

    船田国務大臣 真珠湾攻撃の方法あるいは時期、そういうことについては私は遺憾であると申したのであります。やり方等については遺憾である。ああいうことなしに日米の間において十分話し合いがついたんじゃないか、また話し合いをつくべきではなかったか、こう思います。しかし太平洋戦争全部が非常に悪いことであって、そして日本人の今までやったことが何でもみな悪いのだというような考え方には私は同調できません。
  94. 受田新吉

    受田委員 大東亜戦争がみんな悪いということには同調できない……。これは真珠湾攻撃はやむを得なかった、日本人として当然のことだ、という考え方にも解釈できるわけです。これは今後われわれが心配しているのは、この自衛軍というものがその時の政府によって、内閣総理大臣と防衛庁長官が話し合いをして、どっちにでもいくのです。今度の法律には明らかにここへ防衛出動の事項が出ておるのです。この防衛出動をなし得る限界線というものは、総理大臣と防衛庁長官が協議してやることができるようになっているのです。そういう大事な防衛出動の実権を握っておられるあなた方が、自由にこれは自衛権の発動だというふうにお考えになられて、自衛権を逸脱した行動をなさる、不法行為に突入されることが起り得るという、非常に危険な問題があるので、私はここでこれを明らかにしておいて、国民の前に政府が意図する自衛権の解釈はこうだ、政府考えている自衛権というものはこういう性格を持っているのだということをはっきりしておかなければならぬ。私は今の御答弁で、大臣として今後一そう御研究をいただいて、いずれ国防会議の構成法案も出ることでありますから、その際残余の質疑はさらに大きな輪郭のもとにお尋ね申し上げることにいたしまして、この問題について一応終ります。  次に、日本自衛隊の持つ性格の中に一つ考え直していただかなければならぬ規定があると思うのです。それは第三条に「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び関接侵略に対しわが国防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」とこういう規定があるわけでありまして、この点につきまして、最後の間接侵略はもうきょうは質問をやめますが、「必要に応じ、公共の秩序の維持に当るもの」という点について、自衛隊はいかなるお仕事をしておられるか。ある程度具体的な例をお示しいただいて、災害復旧その他に貢献している以外に、どういうことをやっているか等についても、お答えを願いたいのであります。
  95. 船田中

    船田国務大臣 これは自衛隊法の命ずるところによりまして、治安出動もできるわけでございます。しかしそれには、御承知の通り、厳重な条件がついております。自衛隊はまだ治安出動をやった例はございません。今までやりました出動は、大体災害出動でございます。災害救助の出動をしておる例はありますけれども、治安出動をいたしました例はございません。
  96. 受田新吉

    受田委員 災害出動ということについては、国民も自衛隊の活躍に対して非常に感謝して、その災害復旧をすみやかならしめたことに対しては、私もこれを明らかに認め、それに関与された方々に感謝したいと思うのですが、ここで一つ日本自衛隊というもののあり方をそうした災害復旧などの特定の場合を除いて、もっと生産的な方向へこれを協力させる。非生産的な仕事ばかりでなくして、もっと国土総合開発事業とかいうようなことにも協力させるような体制に持っていく必要はないか、ことに大臣によく認識していただきたいのでありますが、われわれ社会党はこの再軍備に反対をしているという立場から、わが社会党内閣が成立した場合において——今でも自民党が大スキャンダル事件を起して倒壊した、解散はできないで総辞職したという場合には、われわれはいさぎよくあなた方のあとを引き受けて内閣を作らなければならぬ。そのときには当然われわれも防衛庁長官を出さなければならぬから、一応防衛庁長官を出しますが、そこではっきりしていることは、まずわれわれの内閣は自衛軍増強しないという目標を持っていることは、われわれの政策ではっきり御承知の通りです。われわれの内閣は増強しないという原則を守るために、まず日米間の外交交渉に大いに努力して、安保条約その他の改訂に努力していって、増強を現状でとどめていく、でき得べくんばそれを縮減する方向へ持っていきたいという政策を現実の立場からとろうとしている。大臣も反対党の防衛計画については、十分御研究いただいていると思うのであります。このわれわれの内閣は、従ってこの自衛隊任務として、ある程度生産に協力させるという考えを持っている。現に中共においては多数の軍隊が准河の治水工事等に協力して、ブルドーザーその他を動員して盛んにそうした公共事業に貢献して、軍隊そのものが生産に協力しているという実をあげている。社会党はそうした自衛隊を生産隊に切りかえようという考えを持ち、生産軍として当面は考えようとしている。そういう政策を持っている反対党が日本にあるんです。反対党にそういう考えがある以上、現内閣が交代しても大きな変革がないようにするためには、現在の防衛計画において反対党が考えている生産に協力させるというようなところを十分取り入れて、自衛軍というものを考え直す必要はないか。従ってかかる場合には自衛軍の仕事の中に、ここに最後に掲げてある「必要に応じ」というところを特に強くうたって、防衛のための軍隊であるとともに、国内の産業振興に十分協力できる軍隊として、国民から感謝せられ、そうして日本国民の軍隊に対する信頼を深めて、そうして今こそ自衛隊をほんとうに愛すべき自衛隊だと国民が感謝してくれるような方向に、保守党内閣といえども、社会党に近づけることに努力をする必要がないかと思うのでありますが、大臣の御答弁を願いたいのであります。
  97. 船田中

    船田国務大臣 中共に生産軍というようなものがあって、兵隊が土木工事その他生産に従事しておるというお話でございますが、そういう意味の生産軍を現在の自衛隊に持ち込むということは、直接、間接の侵略に対して国土防衛ということを主たる任務といたしております現在の自衛隊としては、私は適当ではないと考えます。しかしながら自衛隊法の百条にございますように、「自衛隊訓練の目的に適合する場合には、国、地方公共団体その他政令で定めるものの土木工事、通信工市その他政令で定める事業の施行の委託を受け、及びこれを実施することができる。」こうなっておりまして、従来もできるだけのことはいたしておるのであります。昭和二十九年度におきましては受託件数が百件、昭和三十年度、これは三十年四月二日から三十年の十二月末までございますが、九十五件、これに稼働延べ人員が八万五千人、申入者の負担金額合計が三千八百万円、こういうことになっております。昭和二十八年度におきましては、受託件数六十一件、請負の換算推定の金額にいたしますと、約一億五千万円の仕事を引き受けております。二十九年度においては、さっき申し上げましたように、百件で、約二億五千万円の仕事を引き受けておる。それから三十年におきましては九十五件、約一億三千万円の仕事を引き受けておる、こういうことでございまして、これは道路の整備、あるいは小学校の校庭の地ならし等、部隊訓練に差しつかえない限り、できるだけ一般の御要望に応ずるようにいたしておりますし、今後もできるだけのことをいたしたいと考えて、せっかく努力いたしておる次第でございます。
  98. 受田新吉

    受田委員 現に第百条に基く公共事業その他への協力の具体的例をお示しになられたのでありますが、これはある程度貢献していらっしゃることを確認して敬意を表しますけれども、今申し述べられましたように、三十年度に九十五件、一億二、三千万円程度の仕事しかしていないということになるならば、これはまことに焼け石に水であって、国民に感謝されるのには前途なお遼遠であるといわざるを得ないのであります。従って今後訓練の目的に最もかなうということを広く解釈して、広くこれが訓練だというところで、そうした事業にどんどん貢献していく。そして今治水工事、あるいは海岸の改修が、何日たっても依然としてまだ災害のあとが片づいておらぬというような地区に対しては、りっぱな機械を持っておる自衛隊が出動して、早くそういうところの復旧工事に協力してあげて、国民から自衛隊に対する大いなる感謝をされるような、もっと積む極的な施策をとる御用意はないかどうか、御答弁を願います。
  99. 船田中

    船田国務大臣 これは先ほども答弁申し上げましたように、自衛隊訓練支障のない限り、できるだけのことはいたしたいし、いたしつつあったのでございます。ただこういうことも考えなければならぬのは、一部業者でございますけれども、自衛隊施設部隊がかような作業をするということに対して、非常な反対をするものもあるのであります。ですからそれらの点もよほど考慮していかなければなりませんので、主として自衛隊訓練支障のない限り、また公共的な仕事に協力をするということで、今後もやっていきたいと考えております。
  100. 受田新吉

    受田委員 今大臣は訓練支障のない限りという言葉を出されたのでありますが、支障ない限りでたくして、訓練の目的にかなえばやってよいということになっているのでありますから、訓練そのものがそうした協力になるわけで、別に御心配の趣きはないわけです。  そこで今御答弁の中一つ聞き捨てならぬお言葉が出た。土建業者などで反対するものがある。私は自衛隊がその持つ装備を最高度に利用して、そうした国民のためになるような公共中業に協力しようとするときに、もうけ仕事が取り上げられるからというので、それに反対するような業者は断固処分すべきだと思う。自衛隊のそういう協力に対して反対するような業者が汚職や疑獄を起してそうして日本の国政を乱している。私は勇気を持ってそういうでたらめをする業者に弾圧を加えて、信念を持って訓練の目的に合致するこうしたりっぱな仕事に協力する熱意を、大臣は持っていただきたい、このお気持を大臣によって答弁を願いたいのであります。
  101. 船田中

    船田国務大臣 先ほど私が一部に反対があると申したのは、確かにそういう事情のあることを申し上げたのでありまして、ただいま受田委員の仰せられたがごとくに、一般公共のためになる仕事、しかもそれが訓練支障のないばかりでなく、そのこと自体が訓練の一部になるようにできるだけのことをいたして参りたいと存じます。
  102. 受田新吉

    受田委員 さらに根本にさかのぼりますが、自衛隊任務というものを、現出のような政治情勢のもとにおいては、一大政党の対立の緩衝地帯としてその摩擦をできるだけおさめていくように考え直す必要はないか。従って保守党内閣から革新内閣へと政権が授受される場合においても、また革新内閣から保守党内閣へとそうした政権が移される場合におきましても、内閣のかわることによって、自衛隊そのものが直ちに国土開発隊になったり、また自衛隊になったりというよりな急激な変革がないようにするためにも、常に町の政府は、反対党が何を考えているか、また反対党もある程度現実を重視して、理想に走らないというような努力をしていって、そうしてその政策の転換に国民をして迷わせぬようにさせる努力が要ると思うのです。再軍備に反対をして、しかも国内の治安確保のためには、ある程度の警察力を充実することを用意し、かついつでも内閣が来たならば、さしあたり保守党内閣から自衛隊をそのままそっくりいただきまして、外交交渉によって増強を押え、漸次できれば兵員を減少していくようにしたい、こう考えている反対党がある場合には、それに政策を接近せしめるために、自衛隊任務におきましても、でき得べくんば第三条の「必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」というところを、もっと強い言葉で表わすような法の改正にまで心を配るほどの熱情があってこそ、これぞ時局を背負ううに足るところのりっぱな政府といえると思うのでありますが、防衛長官にはこの点にいかなる御見解を有せられるでありましょうか。
  103. 船田中

    船田国務大臣 ただいま受田委員の仰せになられましたことは、大体私もさように考えております。急激な変化を来たすということは、私は国策遂行の上において、国民のこうむる損害は非常に多いと思います。ですから、われわれといたしましては、社会党の諸君の御意見も十分承わって、そうしてできるだけこれを施策の中に取り入れて参りたい、かように考えております。ただ私がここ三年半も同じ内閣委員をいたしておりまして、今防衛庁責任者となって、ここから社会党の諸君の御質問を受けますと、何かアメリカのやり方に日本がいつでも追随して、そして何でもアメリカの手先になってやっておるというふうに、お考えになっている点が多いのじゃないかと思うのですけれども、私どもは決してそんなふうな考えでやっているのじゃありません。ただ先般も申し上げましたように、今日わが国で、この経済力、この財政力で防御体制を整備しようといたしますれば、どうしてもこれはアメリカ側の相当大きな援助を受けなければならぬのでございまして、従ってアメリカからもある程度の忠告も受けるというようなことはありますけれども、決して私どもは自主性を失っておるものではございません。  最後に仰せられたことにつきましては、十分私どもも考慮いたしまして、急激な変化の起らないようにいたしたいと思います。どうぞ自衛隊の育成についても御協力をお願いいたします。
  104. 受田新吉

    受田委員 自衛隊の育成に御協力をいただきたいというありがたいお言葉をいただいたのでありますが、われわれはこれはもうきわめて明瞭な態度を持っていることは大臣御承知の通りなんで、ここで——委員長、出席状況が悪いですよ。うしろ向かぬでおったが、たまたまうしろ向いたらこういう状況ですから…。それで大臣、一つここで問題が起るのです。それは社会党の諸君はいつもアメリカをまねる、まねると言っておしかりを受けるが、これは少し考え違いじゃないかというお言葉があったわけですが、われわれは今現実に日本自衛隊というのを見ていると、考えてみて下さいよ、自衛隊服装から、訓練から装飾から、全くアメリカじゃないですか。これでアメリカでないと言えますか。従ってアメリカと申し上げるわけなんです。だから、もっと自主性を持って日本自衛隊をお作りになるということであるならば、私はこれは保守党の立場をもってしてうなずけるところがあるのです。そこなんです。つまり今さしあたり財政経済の都合で軍隊の育成には非常に困っているので、あちらから応援していただいておるんだ、軍事顧問団も来て訓練指導もしているんだ、兵器の使い方も教えてくれておるんだということでは、これは日本独立国でありますから、日本権威に関する問題なんです。ここを大臣がお考えになられて、できれば日本軍らしい軍隊を、あなた方の立場もってしてもお作りになるべきだ、かように私は申し上げたのです。この点を誤解せられないように……。しかも、今回の法案にまた帰りますが、この防衛庁設置法の中身を見ましても、最初に掲げられてありまする兵員の増強計画は、十五万から十六万になっておる。こんなに人間ばかりいたずらにふえておる。いたずらに人間がふえて、そうしてその中身は非生産的な仕事をして、国民全体には大した効力はない。しかも原子爆弾がやってくることに対しての作戦上の計画もない、誘導弾に対しての作戦上の計画もない。将来わずかな部隊海上から直接侵略するなどということは、これはナンセンスであると私が今申し上げたのだが、ちょっとした部隊が国家の意思に反して勝手に行動してくるというのは、これは戦争じゃないのであって、ただ海賊みたいなものが来るのであって、そういうものを相手にこんな軍隊を作るというにしては、軍隊の持ちようが多過ぎる。従って日本軍隊の持ち方は、もっと国民に役に立つような軍隊を持つべきであり、いたずらに兵員を増員することのみ、アメリカの指示をいただいてはやるやり方を改めて、昭和三十五年に十八万の陸上部隊を持ちたいという計画であるならば、ことし十五万だから五カ年にこれを割ると六千人ずつでいいんだから、ことしは六千人の増強にしよう。昨年は二万人増強したのは多過ぎた、ことしは定員の増加を遠慮しようというような配慮が、法案改正の上に現われてきてしかるべきじゃないでしょうか。私はこういう点につきまして、あまりにも現実の直接侵略に対しても役に立たぬような軍隊をいたずらに増強するやり方を考えておられる政府の施策に対して、非常に大きな疑義を持っておるのでありますが、御見解はいかがでありましょうか。
  105. 船田中

    船田国務大臣 この問題につきましても、すでに何回か答弁申し上げたんですが、日本自衛隊、ことに陸上自衛隊を整備するというのにつきましては、アメリカ陸上戦闘部隊の一番先に引いていくという、この事情も勘案して参らなければならぬと存じます。従ってそういうことも考えますと、陸が少し多過ぎるじゃないかという御批評はあるかと思いますけれども、しかしこれは現実の事態に最も相応したような自衛体制を整備していくという考え方からいたしまして、陸上に多少多くなるということは、これはやむを得ないと思うのであります。それから五千か六千ずつの増強にしたらどうかというお話も、一応ごもっとものようでございますが、しかしこれまた先日の答弁で申し上げたことでございますが、陸上につきましては、マン・パワーというものが中心になります。従いまして、ある総合した勢力ということになりますので、そこで一万、すなわち三十一年度におきましては六千人ほどの混成団を一つ新設する、それとともに総合した部隊を持つということからいたしまして、一万という数になるのでありまして、これを五千、六千と区切ってやるということは技術的にできがたいし、またそれではマン・パワーを中心とする陸上部隊の整備としては、適当な方法でない。従いまして三十一年度においては一万、三十年度においては二万、かような数字になっておるわけであります。
  106. 受田新吉

    受田委員 マン・パワーの問題を今ここで繰り返してお尋ねしておるのじゃなくして、部隊増強をあまりお急ぎにならなくてもいいんじゃないか。つまり五千、六千という単位では部隊ができないのだということをおっしゃったようですが、これは大臣としては非常に失言じゃないかと思います。とにかく部隊を急いで増強しないで、できるだけ国民の経済力考え——アメリカ関係まで持ち出されたから私も申し上げるのですが、アメリカに対しても十分交渉されて、日本の経済カから五千なら五千の単位で増員計画をお立てになれば、ゆっくりできるのです。混成団を作ることを来年回しにされてもいいわけですから。こういうことをお尋ねしておるわけです。  もう一つ混成団という言葉が出たからお尋ねしたいのです。混成団というのは昔の混成旅団に当るものだと思うのでありますが、この混成団の性格は、この法律によりますと、管区に属する旅団と方面隊ですか、それに属する旅団と二つあるようでありますが、この旅団の性格について御答弁願っておかないと、質問ができないので、御答弁を願います。
  107. 林一夫

    ○林(一)政府委員 混成団の性格でございますが、これは独力で戦闘能力を有する総合部隊でございまして、その点から申しますと管区隊と同じでございます。管区隊と違いますのは編成が達っておる、と申しますのは、人員が違う、あるいは中の部隊編成、装備関係が少し違っておるのでありますが、いずれも性格は同じで、その射撃力と機動力をもって地上のあらゆる行動をするという総合部隊であることは同じでございます。  もう一つは今度の混成団は方面隊に所属していないというお尋ねであったかと思いますが、そうでございますか。
  108. 受田新吉

    受田委員 今度は第十条第一項中に「管区隊」の下に「混成団」を加えるというのが出たのですが、従来あった混成団との関係はどうですか。
  109. 林一夫

    ○林(一)政府委員 従来ありました混成団は御承知のように第七混成団は北海道にございまして、北部方面隊に所属しまして北部方面総監の指揮を受ける、第八混成団は九州にありまして、あそこにあります第四管区隊とともに、西部方面隊に所属しまして、方町総監の指揮を受けるということになります。三十一年度に設置をお願いしております混成団は東北にありまして、東北には方面隊はございませんから、長官直轄の部隊として方面総監とは別個の指揮を受けるということになります。
  110. 受田新吉

    受田委員 昔の独立混成旅団ということになるのですか。
  111. 林一夫

    ○林(一)政府委員 昔の混成旅団と称して差しつかえないと思います。中身は管区隊と同じで、昔の師団と同じようにあらゆる種類の部隊を包含しておるわけであります。
  112. 受田新吉

    受田委員 直轄の混成団と管区に属する混成団という二つの内容の違う混成団ができている。これを二つ並べるということは立法技術の上においていかがですか。
  113. 林一夫

    ○林(一)政府委員 もちろん、先ほど申しましたように、混成団としての性格は、方面隊に所属するのも今度直轄部隊として東北に設置するのも全然同じでございまして、同じ戦闘力を持っておるのであります。なぜ別々に一方は方面隊に所属させ、一方は直轄部隊としたかと申しますと、たまたま北海道に防衛上の見地から混成団を置きましたので、他の管区隊とともに北部方面総監の指揮下にするのが適当であるという考えで、これは北部方面総監の管轄に加えたのであります。今回東北に設置するのは方面隊があそこにはございませんから、これは長官の直轄部隊として別個設置する。九州は従来管区隊がありまして、あそこに混成団を一つ増置しましたものですから、これを総轄指揮するために方面総監の指揮下に入れたのであります。
  114. 受田新吉

    受田委員 また部隊編成について突っ込んでお尋ねしなければならぬことになったわけですが、今方面隊を置かない地区に漸次方面隊を置く計画は、どのようにされているのでしょうか。
  115. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在のところはまだそのようなことは計画いたしておりません。さしあたり東北地区に増置する必要があるものですから、そこに増資したのでございますが、方面隊がな  いから長官直轄にしたわけであります。
  116. 受田新吉

    受田委員 防衛計画において現在のところ方面隊を置く計画考えておらぬ、たまたま混成団をあそこにお作りになったというようなまことにあいまいな計画のようですが、少くとも政府をもってするならば、祖国の防衛をになうというような重大な御計画があるのに、方面隊に対する構想もない、混成団もたまたまそこに置くようになったというような考え方は、まことにずさんきわまるやり方ではないかと思うのであります。御見解を表明願いたい。
  117. 林一夫

    ○林(一)政府委員 部隊の設置の方針と申しましょうか、ルールにつきましては、先日も受田委員にお答え申しておきましたが、やはり防衛、治安、その他訓練、演習の便宜等、いろいろな点を考慮しまして設置するのでございます。混成団を別に東北に置いたのは、たまたま置いたというわけではなく、そういう地見に立ってあそこに置いたわけであります。
  118. 受田新吉

    受田委員 これはいずれ国防会議法案がでますから、防衛の大綱、具体的計画というものは、あらためて御質問いたしますので、十分御用意を願っておきたいと思います。  私は最後に一言、あとに質問者も控えておられるので、これで終りたいと思いますが、これはこの間から当局が御心痛されましたところの、例の不用不急の品物を買った、あるいは不正の取引きがあったりしたとかいうような、そういう会計検査院の報告苦に基く問題について、その根源がどこにあるかということを機構の上からお尋ねしたいと思います。それは片島君も引き続き政府に対して強力なる究明の用意をされておるようで、私は数字の上の究明は片島君に譲りますが、機構の上で一つお尋ねしたいのであります。防衛庁の中に調達実施本部というのがあります。これは今度法律の中にも出てきておりますが、この調達実施本部というものは現在の防衛庁の機構としてはどういう姿の仕事をしておるのか、ごくかいつまんで御答弁を願いたいと思います。
  119. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 調達実施本部は防衛庁の付属機関でありますが、簡単に申し上げますと、各幕僚監部、陸海空の幕僚監部の経理局から予算の示達を受けまして、その予算の範囲内で調達要求の個々のもの、何を何個、単価幾らで、いつまでにほしい、それに仕様書、規格をつけまして、もちろん年間にまとめて一度、あるいは三・四半期に一度、計画はもちろん連絡いたしまして、その上で個々のものの調達要求を各幕僚監部から調達実施本部へ出すわけであります。調達実施本部ではその個々の調達要求書を受けまして、具体的な契約の相手方の選定、契約方式の決定、原価計算等をいたしまして、調達実施本部の契約担当官は契約を結ぶ、その契約に従ってそれぞれの納期に各部隊その他へ納入する。こういう仕組みになっております。
  120. 受田新吉

    受田委員 ここに問題にされておる調達実施本部の大きなミスは、一体今の御説明になられた調達実施本部のいろいろのルートの中のどこに一番大きなガンがありますか、そうして今回政府が処断されて罷免し、あるいは辞職勧告、あるいは戒告、譴責といろいろな措置をとろうとしておる職員はどのルートの上に乗った人が多いのか、御説明願います。
  121. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 これは今回批難を受けました個々の件名によって実は違うのでありますが、調達関係については主として多いのは規格仕様のきめ方があるいは研究不十分ということのために不用あるいは不急のものを買った、規格仕様のきめ方が悪いということと、もう一つ不用、不急の問題は主として漫然と装備定数表にあるから、それに必要なたとえば元になる設備を部隊等が十分確認されないで調達されたといったような件数が比格的多いのであります。これにつきましては、主として調達要求をいたします幕僚幹部の側に実は責任があるわけであります。原価計算を誤ったというような場合、あるいは指名競争にすべきを随意契約にするといったようなことが、調達実施本部の責任になるわけでありますが、そういった関係については御批難を受けていることは少いのであります。ただ一部今回の批難事項の中にある検査の方法等について、もっと検討の余地があるのではないかといったような問題につきましては、調達実施本部に責任があるわけであります。
  122. 受田新吉

    受田委員 われわれは会計検査院の報告されたもの以外にも、まだいろいろな巷間のうわさも聞いている。うわさであるからわれわれはここで取り上げませんが、その調達実施本部の職員の中にも例の業者との間においていろいろないまわしい風聞をわれわれは聞いておる。このうわさによって政治が動かされるということは、われわれは残念でありますから申し上げませんが、しかし御警告だけはしておかなければならないのは、こうした不正事件のほかに、その地位を利用した、いわゆる将来における約束をしているようなお役人もおるということが伝えられておる。すなわち退官後においては家を作ってあげるとか、何してあげるからというような、業者との黙契のもとに便宜供与しているような人がおるといううわさが非常に濃厚なんです。そうなってくると、このうわさが実を生むということで、これがまた燎原の炎のごとくやがて燃え上る日もなきにしもあらずと私は憂えておるのです。従ってここで大臣を初め各参事官の方方に申し上げておきますが、防衛庁は発足後まだ間もないお役所です。従ってこれの発展のためにずいぶん御苦心をされていることは了承できます。しかも船田さんを初め各局長さんはいずれも善良な方で、私がここであまりおとがめするのは痛々しい限りであります。(笑声)しかしながら、国民の中には今日飢えに泣いてその日の仕事を求めようとしている失業者がおる。多くの子をかかえて食うことができなくて鉄道自殺をしている不幸な人がおる。われわれは毎日々々幾多の事例を新聞紙できょうもきょうもと暗い気持で読んでおります。こういう社会に、お互いが血の涙で納めた税金を一部特権階級が壟断ずるようないまわしいやり方をしたならば、これは断じて許すことができないのである。私たちはここに防衛庁がお役所として新しいがゆえに、そのやり方にもいろいろとむずかしいところもあったであろうという点の同情は別として、厳正なる行政の実施という点において防衛庁に対して責任を追及したいわけなんです。国民の名において責任を追及するのであって、私個人が責任を追及しておるのではありません どうぞそういう点におきまして、機構の上にまずいところがあるならば、規格仕様のきめ方がまずいとか、あるいは原価計算の上に誤まりがあるとか、装備定数表がどうとかいう非常に問題になるところには、特にしっかりしたお役人、技術者を置いて、一貫した体系のもとにこの調達実施業務が遂行できるような御研究をされないと、さらに憂いを重ねる心配があると思うのです。少くとも皆さんは、ここに警察予備隊より保安隊へ、保安隊より自衛隊へとたくましい発展をされ、今長官からもわが日本自衛隊はまことにたくましく発展したというお言葉があった。その誇られた自衛隊の蔭に、こうした日々の生活苦にあえいでいる大衆の血の涙の税金を不当に使われておる、不用不急のものが大急ぎて買われているというこの現実に対しては、絶対に許すことはできないと思います。調達実施本部の機構の上でこれを今後どういうふうに改めたらいいか、お役人の任命方式をどういうふうにしたらいいか、あるいは役人にはどういう人を、技術的にどういう人をこれに充てたらいいかというようなことについて、今回のこの悲しき事件に対する反省の上に立った政府の施策の一端をお示し願いたいと思うのであります。
  123. 船田中

    船田国務大臣 ただいまお示しのように、防衛庁の経費の使い方について不当なものがあったということは、私はまことに遺憾に存じます。従いまして、私就任後間もなく幹部を集めまして、その点は厳重に要望しておいたのであります。一銭一厘たりともむだづかいのないように、きわめて効率的に使用するようにということを、厳重に要望いたしておきました。ただ今仰せのように機構の上から改善すべき点がありはしないか、まことにこれはごもっともでございまして、そのために調達実施本部というものを作りまして、ただいま装備局長が説明申し上げましたような機構で、現在調達をやっておるのであります。この機構をまた改革をし、あるいはこれを動かすということはどうかと思いますので、その点につきましては十分過去の実績を検討いたしまして、間違いのないようにやっていきたいと考えております。今直ちに機構を改革するということはかえってよくないかと考えます。
  124. 片島港

    ○片島委員 今調達実施本部の問題が出ましたから関連して一言お尋ねいたします。調達実施本部では陸、海、空の用品等を総合的に調達をしておられると思うのであります。ところが三十年の二月に海上自衛隊、航空自衛隊用として、四トンのロッカー八両を三千万円以上で買っておるのであります。これは陸上の方にはずいぶん余りがある。定数が百両で、予備の十両だけとりましても、なお九両の余りがあったにもかかわらず、陸上自衛隊のその余った分を海上と航空の方の要求の八両の方に回さないで、九両はそのままにしておいて、八両をは新たに三千万以上出して買うておる。さらにまた陸上自衛隊で無線機が定数より四十三台も余っておる。これは買うたものもありますし、アメリカからの供与もありますが、定数より四十三台も余りがあるのに、空の方からの要求によって二十九台を四千四百万円くらいでまた新たに購入しておる。前の軍部時代に、陸軍と海軍の間に非常な競争といいますか、摩擦があって、それぞれセクトに立てこもってやっておったことは、皆さん御承知の通りであります。それで現在こういう陸海空のそれぞれ勝手にやっておるような、陸軍省の経理局、海軍省の経理局といったようなことではなくて、これを一本とした調達実施本部というものを設けて調達をしておられるのでありますが、それを陸が打っておるものを海には回さない、陸が持っていて余っておっても、海の方から要求があれば、それを新たに購入する、もちろん防衛庁は非常にお金持ですから、余ったものをそのままにしておいても経理上は買うものは幾らでも買っていいというのかもしれませんが、しかし調達実施本部の仕事としては、当然陸海空といったものの要求を調整するのも、また非常に重大なる任務であると思うのでありますが、この陸海空の要求を調整するだけの権能はないのか、また陸海空が非常に強いためにどうしてもその要求をいれなければならぬのか、この点、こういう情勢が生れてきましたいきさつについて、明確にしておいていただきたい。
  125. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 ただいまの調達実施本部の機能なり責任から申し上げますと、陸海空を調整する権限なり機能は持たせておりませんので、先ほど申し上げましたように、各幕僚幹部は予算の範囲内で具体的な調達要求を、仕様書をつけて要求いたします。調達実施本部は原価計算をいたしまして、もっと安くあるいはもっと高くかかる、予算を増額してくれといったようなことを各幕と協議の上要求いたします。また各幕の仕様の統一ということはできるだけやりますが、空で使っているものと陸で使っているものと仕様が違いますために、わざわざ別の高いものを買うことのないようにといった調整は、責任をもってやっておるわけであります。しかしながら、ただいま御指摘にたりましたような問題につきましては、それは陸に余っているから買わなくてもいいのではないか、こういう機能は持たせておりません。これは内局で調整するという建前になっております。この場合、御指摘の二件につきましては、第一の件については、もちろん陛にこれだけのものがあるということはわかっておったのでありますけれども、当時もう二月でございまして、大体来年度の情勢もわかっておりますので、すぐに来年度から陸幕の予算をつけなければならぬといったような事情もございまして、次の予備に充てるということで、この点は遺憾であることは申すまでもありませんが、そういった判断で空の分を別に買いました。  第二の通信機の件については、これは空で買いましたものは百五十万円程度のものでありまして、一方陸で余っておりましたものは、代価にいたしまして約五百万の相当出力の違う、片一方は五十ワット、片一方は五百ワットというものでありまして、こういった非常に能力の高いものをそういうものに使うのはもったいないということで、陸の調整に充てる、あるいは予備に充てるということで、そういった判断をいたしました。これについてももちろん遺憾な点はあったと思いますが、初めの御質問に対しましては、調達実施本部といたしましては、仕様以外には数量についての調整の責任は今日では持たしておらないということでございます。
  126. 片島港

    ○片島委員 そうしますと、調達実施本部は調整する権限はないが、どこがそういう権限を持っておるのですか。
  127. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 これは内局の経理局並びに装備局において行うものと考えております。
  128. 片島港

    ○片島委員 調達実施本部がやらなくても、当然経理局なり装備局においてそういうのをやらなければならぬのじゃないですか。来年のこと来年のことといいますが、それならばそれは幾ら買ってもいいのです。あなたの方はいつでも予算が何百億円も余るのでありますから、幾ら買ってもいいけれども、しかし余るにしても、やはり前もって——今現実にある場合には、それを一応回しておいて、次にまたすぐほかの陸の方を補充する、こういうふうな権限は当然なければいかぬ。調達実施本部でなくても、長官がおるのでありますから、長官のもとでその調整ができなければならぬが、その調整を全くしておらない。来年度になってまた要るであろうというような、そういうゆとりのあるような考え方では、物資の調達について国民の税金を使う立場にある人としては、私はあまりにも無責任考え方だと思う。それは経理局や装備局においてはどういうように調整をしておられますか。
  129. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 確かにおっしゃるように、各幕あるいは調達実施本部では自分のところだけしかわからないということでありまして、内局が予算の示達あるいは装備の要求というところで全体の調整をするということでなければならぬわけでありまして、当時の事情といたしましては、御承知のように、内局は大綱を預かるということで、こまかいこと一つずつは必ずしもやっていないというような事態もありましたので、率直に申し上げまして、この点は一つの盲点であったというような感じも実はあったわけでございます。この点につきましては、確かに片島委員おっしゃる通りに、調整の不十分な点もございましたので、今後におきましては、需要装備については内局で細密に調整をするということにいたしたいと思っております。
  130. 受田新吉

    受田委員 私の質問はこれで終ります。まだあとで細田委員から質問を要求されておりますので、これだけにしてあとは譲ります。  いよいよこの防衛二法案が近く通ろうという段階において、防衛庁の不正事件の糾明について納得できる御説明をいただかなければ、われわれは国民の名においてこの防衛二法案は通せないと思う。これは団長の名において大事なことである。つまり、大事な防衛予算を大量に食うこの法案に対して、その予算の使い方がでたらめであったり、あるいは盛んにこの予算を残していったりする、こういうところに問題があるので私はいま一つお尋ねしたいのだが、毎年のごとくここに繰越金が出てきている。二百八十億とか、二百五十億とか、二百三十億とか、繰り返しこの繰越金が出ていることについて、今まではなぜ出たかという質問に対して、機構の上における欠陥がこういうものを生んだのだというような御答弁を私は聞かなかったと思うのでありますが、たとえばこういうような繰越金が多数数字で出てくるということは、防衛庁の機構の中に他の役所と違った大きな欠陥があるのではないか。これだけ二百億も三百億も予算を残すようなお役所はよそにはないのです。しかもこの莫大な国家予算をぶんどっておいて、それを実際に最後には使わない。そうして年度末になると大急ぎでこれを使おうとあせるけれども、案外使えないで最後にはとうとう残るのだというような印象を多分に受けるので、これはどこかに大きな欠陥があるのではないか、それは調進実施本部の機構の上か、あるいは他の省とは違った独得な珍しい妙案をお考えになるお役人があって、こういうようなものができるのか、ここに国民の大きな疑惑があると思うのです。この点を明らかにしていただかないと、防衛二法案をお通し申し上るげことは、国民の名において賛成できないのでありますが、一つこの点明らかにしていただきたい。
  131. 船田中

    船田国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、防衛庁の予算の繰越額が相当多額に上っておるということは事実でございます。しかしそれだからといってこれを乱用するようなことになりましたら大へんでございますから、本年度の予算の執行につきましてはきわめて慎重に、しかもなるべく年度内に十分消化のできるように今努力をいたしておるのであります。ただ従来繰越金が相当多額に上っておりました大きな原因は、次のようなところにあるのであります。繰越金を生ずるのはその大部分が器材費、それから施設費でございますが、この器材費について申し上げますと、自衛隊装備品で調達を要するものの大部分は、一般市販製品と異なって特殊の規格性能が要求されており、従来わが国での製作経験が乏しいため、これが調達に際しては、規格の決定、仕様書の調製に慎重を期するとともに、少数の試作による性能試験の結果を見て発注するよう努めてきておるのであります。従って、これらの一括発注までの準備段階に相当の日時を要するため契約が遅延した、こういうものが多いのであります。なお購入器材の中には輸入に依存するもの、たとえば航空機の修理部品、電信関係の部品、計器類でありますが、そういうものがあり、これらは輸出国側の生産事情、輸入手続き等のため不測の日時を要した場合が多いのであります。  第三に、艦船燃料及び航空機用油につきましては、その貯蔵施設の整備が、用地の選定難のためおくれておりまして、燃料油の貯蔵に間に合わなかったため、契約はしたものの受け入れが遅延した、こういうような場合がございます。  四番目に、技術研究所の試作品については、その性質上、わが国においては未開拓の研究分野が多いため、その要求性能の決定及び設計に相当の長期間を要し、かつ試作過程において技術的困難が伴うので、勢いその完成がおくれて繰り越しを生じた、こういう原因がございます。  五番目に、以上の要素に加えて、従来調達業務を相当する機関は各自衛隊に分散しており、中央調達を一元的に行う調達実施本部はようやく一昨年七月スタートしたような状況でございます。この点が受田委員の仰せられた機構上の問題に関連するわけであります。このため調達担当職員の充実もおくれ、契約業務はややもすると円滑を欠く傾向がございました。  次に施設費のことでございますが、そのうちの施設整備費について申しますと、第一には演習場、航空基地、弾薬庫等の用地選定に当っては、地元民の納得を得ることが困難な場合が多く、また地元民の納得を得ても補償額、たとえば漁業補償等を含むのでありますが、それらの折価に長期間を要することが多いということが一つの原因。次に米軍施設の返還を受けてその活用を計画していたものが、米軍側の事情によって返還がおくれ、従って工事の着手も遅延するというような場合が多いのであります。それから施設費のもう一つの大きな問題でありますが、艦船の建造費であります。これは先般も予算委員会で吉田賢一委員から非常に強く御質問がございましたが、それについて申しますと、第一に防衛庁艦船の発注は、戦後の空白期間を置いて初めて開始されたものでありまして、このため要求性能の決定及び基本設計の作成に意外の日子を要したということがございます。それから第二の原因として、新造艦の搭載武器の大部分はMDAPに期待いたしておりますが、その引き渡しがおくれたために、船体等の細目の設計が確定せず、契約がおくれた、こういう場合が多いのであります。それから第三の原因といたしまして、艦船の建造費は相当に多額の予算でありますので、業者の選定及び契約価格の決定には慎重を期したため、予想外の日子を要した、大体ただいま申し上げましたような事情で、御指摘のように繰越金が従来相当多額に上っておりましたので、これも先ほど来御説明申し上げましたように、調達実施本部というものを一昨年の七月に置きまして、そうしてそれ以来の調達業務につきまして、万全を期するようにいたしております。また本年度の予算の施行については、以上のようなことをよく検討いたし勘案をいたしまして、誤まりなきを期しつつある次第であります。
  132. 受田新吉

    受田委員 詳細な御説明によって繰越金が多額に上る理由の解明をされたわけでありますが、御説明があった関係上、私は御質問をせざるを得なくなったので質問を続行いたします。  この防衛庁の特殊事情、これは国民が納得しなければいけません。防衛庁だけがなぜ繰越金が多いかということは非常に国民は疑惑を持っておる。この疑いを解くために、防衛庁としては国民に対してその理由を開陳しなければならぬ。今、国会を通じてその理由の開陳があったのでありますが、その開陳の中でごもっともという点について了解をするならば——これはわれわれの立場からごもっともではないのですが、たとえば演習場を作るのに地元民との折衝に手間取ったとかいうような、こういうようなことがその一つくらいで、あとは米軍施設の返還がおくれたというくらいなもので、あとは防衛庁がその機構をりっぱに運営していくならば、他の省と別に違った不利な条件があるわけではないと思います。ことに特殊の規格や性能を持つそうした兵器などがある関係上、そこに非常にめんどうが起るというような場合も、ほかの省だって同様なんです。これは決して特殊な困難とか予算上の措置に影響があるわけではないと思います。それで、今網羅されましたこれらの防衛庁独特の事情を解決する方法として、どういう具体策を持っておられるか、これは大事だと思う。つまり誤まっては改むるにはばかることなかれという古人の教えを、この際防衛庁として十分お考えになられて、この大きな欠陥を埋めるために、今羅列せられましたいろいろな問題の処置について、いかなる用意をされておるか、おそらく御相談されておると思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
  133. 船田中

    船田国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、機材、施設等において特殊の事情があるということを申したのでありますが、何と申しましても防衛庁は新しい役所でありまして、技術陣営におきましても十分整っておりません。しかしそれは先ほど申しましたように、一昨年自衛隊になりましてから、調達実施本部もでき、また技術研究所等もだんだん整備されて参り、技術陣営が整って参りましたので、従って機材その他につきましての注文、いわば青写真を作ることも非常に進んで参りましたから、今後におきましては、だんだんこういうことは少くなると存じます。また少くするように努力いたしておるわけであります。
  134. 受田新吉

    受田委員 少くするように努力するためには、機構をある程度考え直す必要があるのではないかと思いますし、またその機構にすわっているメンバー、スタッフを考え直していくという必要がある。非常な専門家がおって、誤まりなきを期するような人ばかりおればいいのですけれども、ある程度そういう適格条件を欠いておるような人がなっておるということで、こういう問題が起るので、やはり人と機構を一致させる用意が欠けていたと思う。この点ある程度機構について反省する必要はないか。特殊の事情にある関係上、なお念を入れるために一元的な統制をはかるような、内部の機構を改める必要はないか。またもう一つは信賞必罰をはかるべきであって、長官の在任中の事件でなくして、以前の事件だからといって、これを逃避すべきでなくして、直ちにそういうことに対しては、責任者を明らかにして処断すべきだということで、その責任者の処断というようなものはいつ発表するのか、そういうことについても、もう相当御研究されておると思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
  135. 船田中

    船田国務大臣 これは会計検査院の批難事項がありまして、自来部内におきましては十分検討を加え、実情も調査いたしております。ただいま御指摘のように、機構上において悪い点がありますれば、これを改めて参りたいと思いますが、調達実施本部は、置かれてからまだそう長い時間たったのではありませんから、これを今直ちに変えるということは考えておりませんが、各幕僚監部における下部組織その他につきましては、調達上間違いのないようにしていくために、さらに検討を加え、十分改善はいたし、あやまちを再び繰り返すことのないように努めて参りたいと考えております。またこれまでの責任者につきましては、すでに処分をいたした者もございますが、なおこの実情を十分調査いたしまして、近いうちに適当な処置をとりたいと考えております。
  136. 片島港

    ○片島委員 関連して。私はこの前の委員会で、現在責任のある方々の処置がどういうふうになされたかということは資料として要求してあるのであります、先ほど局長からは資料はでき上っておるという話がございましたが、大臣の答弁では、今から検討して、これからやるということであります。二十九年度の分でございますから、今ごろまで処分問題が残っておるわけはないと思うが、いかがですか。
  137. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 二十九年度の決算事項に対する会計検査院の批難の責任者の処分でございまして、実は会計検査院から正式に通達を受けまして、以来実情を調査し、つぶさに具体的に検討を加えておるわけでございます。資料の御要求がございましたが、その際にも片島さんからまだ処分ができていなければよろしいという御発言もございましたので、私ども、まだできておらないことを申し上げたはずであります。ただいま大臣が仰せられたように、具体的に検討しておる最中でございます。
  138. 片島港

    ○片島委員 私が申し上げましたのは、処分しておらなければ資料を出そうにも出しようがないということであります、しかし処分がしてあれば、その資料はここに出せるわけであります。それでしてなければそれは出そうにもないのでありますが、しかしながら決算委員会におきまして、各省庁の決算報告を審査いたします場合に、その委員会に対しまして、各省から処分しておる状況の調書が必ず出るのが慣例であります。これはどこの省でも、その委員会の審議をするときに出しております。防衛庁だけがおそらく決算委員会にも出さないというわけには参りますまい。しかも決算委員会では、順序から言いますならば、今国会中きわめて早期に防衛庁関係の審議の順番が来ておるのであります。それでほかの省からはすでに出ておりますのに、あなたの方だけはこれがまだできないというのでありますか。
  139. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 ただいま申し上げました通り、近日処分をするつもりでございますが、若干具体的な事実の調査につきまして、念を押すところが残っておりますので、ただいままだ発表する段階に至っておらないのでございます。数日中には出せると思います。
  140. 受田新吉

    受田委員 調達実施本部のそれぞれの責任者において、責任分担が明らかにされていない。この調達実施本部の組織事務分掌というようなものを見ると、責任の分散がはかられているような印象を受けざるを得ないのであります。こうした事件が発生した場合における責任の所在、重点的な責任者というようなものを十分考えられる措置がとれますか。あるいはあらゆる人々が関連をして、漠然とした責任になって、その責任追及に勇気を欠くというような不安はないか、この点、防衛庁調達実施本部の機構の責任分散的な姿を見て、いざさか不安であると思う。この点を明瞭にしていただきたいと思うのです。
  141. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 確かにお説の通り、現在の調達実施本部の機構は、ある意味で責任を分散した組織であります。たとえば契約担当あるいは原価計算あるいは検査というふうに。もちろん全体では調達実施本部長がやっておりますし、中心をなします契約については契約担当課長を置いてございますが、確かに責任分散でございます。もう一つ責任分収になっておりますのは、先ほど申しましたように、調達要求は幕僚監部からやっておるわけでありまして、先ほど長官からも申されましたように、調達実施本部を作りましたのも、調達要求側、つまり仕様書を作る側と、現実に契約するところとは別にする方が、先ほど御指摘を受けました点についてもむしろ公正を期しやすいのじゃないかというようなことから、責任分散主義になっております。しかし具体的な個々の不当事項等につきましては、原価計算であるとか、調達要求であるとか、検査であるとかいうことで、それぞれ責任の所在は明瞭になっております。ただそれを総括する責任者、あるいは監督等の責任ということはありますが、一応それぞれ明確になっておると思います。
  142. 受田新吉

    受田委員 防衛庁長官として、部下の職員があやまちを犯したその行為に対して責任を追及する場合、泣いて馬謖を切る場合、この事件の責任局長はだれであるか、また防衛庁長官そのものに責任があるかないか、こういう問題について御答弁をいただきたいと思います。
  143. 船田中

    船田国務大臣 私の就任後検討を加え調査いたしたところでは、局長もしくは前長官に責任の及ぶような事件はございません。
  144. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、今久保局長より御説明になりましたように、調達実施本部は総務担当、契約担当あるいは検査担当というようにいろいろ分れておる関係責任が分散しておる。私の心配した通りの御答弁をいただいたのでありますが、責任が分散しておるということになると、最終責任者というものは今回の事件については調達実施本部長ですか。
  145. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 今回指摘を受けておりますものは、これは個々の案件によって違いますが、大部分はむしろ調達要求の側に手落ちがあったということでございまして、これは主として幕僚監部の中の責任の問題になるかと思います。調達実施本部との直接の関係につきましては、あるいは検査が疎漏ではなかったかというおそれのあるものが一、二件出ておりますが、これは検査担当の係官ということで責任はきわめてはっきり独立いたしておりますから、明瞭に責任が追及できるわけであります。
  146. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、これは陸海空それぞれの幕僚監部に責任が及びますか、いかがですか。
  147. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 その事件の内容にもよりますが、たとえば陸上幕僚監部の担当班長または課長等が責任当事者となることもあると思います。
  148. 受田新吉

    受田委員 責任の所在が明らかにされてきたわけでありますが、今後こうした陸上海上、あるいは空軍それぞれの立場で陸海空三軍の幕僚監部が責任を負わなければならないような事件になるということになれば、これは士気にも影響すると思います。われらの上司は非常な不用点をやって、その血税の使い方が悪かったという責任を追及されるというこのことは、指揮命令系統のきわめて明瞭な防衛庁にとっては、非常な打撃だと思うのです。これに対して、陸海空それぞれの幕僚長にまで責任の一部が及ぶということはないかどうか、そこまでお尋ねしておきたいと思います。
  149. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 責任者の処分でございますが、ただいま受田委員のおっしゃった通り、われわれもその点につきまして深甚な注意を払わなければならぬと思っておるのであります。今回の会計検査院の批難事項に関する責任者の処罰といたしましては、ただいま調査しておりますところでは幕僚長まで及ぶものはございません。
  150. 受田新吉

    受田委員 今後防衛庁が国民の期待にこたえるために、この際思い切った信賞必罰によって国民の疑惑を一掃して、新しく発足した清潔な防衛庁として国民の前に現われんことを希望いたしまして、約二時間半にわたる私の質問を終る次第であります。
  151. 山本粂吉

    山本委員長 次は細田君。
  152. 細田綱吉

    ○細田委員 船田防衛庁長官はわれわれの大先輩でありまして、戦争前にすでに令名さくさくたる、きわめて頭脳の明晰な方だと私は今もって信じております。ただきょうの受田委員質問に対しての御答弁を伺えば伺うほど、私の頭が悪いせいですか、どうもわからない。三、四の点をお伺いしたいと思います。  ただいまの受田委員質問への答弁を伺っておりますと、いかに国土防衛するか、早急に自衛体制を整備するためにはというような言葉が、ひんぴんと出ておる。そうすると、何だか早急に自衛体制を整備するような国際情勢のもとに今日本が置かれておるのかどうか、この点一つ長官の御意見をお伺いしたい。
  153. 船田中

    船田国務大臣 国際情勢をどう見るかということは、私は大体において外務大臣が外交演説において述べられておるところを前提といたしておるわけであります。すなわち繰り返して申し上げれば、原水爆をもってするような第三次世界大戦といったようなものが、今直ちに起るとは考えられません。しかし、さればといって部分戦争なり冷戦が全く終ってしまったということは、これまたそれだけの確信を持つわけには参らぬのでありまして、国際情勢を見て参りました場合におきましては、わが国の国力及び国情に沿う防御体制をできるだけすみやかに整備することが必要である、かように見ておる次第であります。   〔委員長退席、保科委員長代理着席〕
  154. 細田綱吉

    ○細田委員 直ちに第三次戦争には移行しないが、冷戦が直ちになくなるとは思えないということですと、結局何だか抽象的なお言葉ですが、国際情勢の緊迫しておる状態、言いかえてみますと、日本自衛隊の出動を要請せられるような間接あるいは直接の侵略が、ここ数年の間、あるいは十年の間にあり得るとお思いになるかどうか、この点を一つ伺いたい。
  155. 船田中

    船田国務大臣 私は国際情勢全般を見渡し、ことに極東の情勢を見ましたときに、今仰せられたような侵略が絶対にないというわけには参らぬと思います。従いまして、これもたびたび申し上げたことでございますが、真空状態を作らぬようにしていくことがわが国の平和と独立を守るために必要である、かように考える次第であります。
  156. 細田綱吉

    ○細田委員 絶対にないという保証ができてない。ここ数年の間には保証はできないというと、国際情勢はかなり具体的に進んでおる。少くとも数年の間に、十年以内にそういうことがないと保証し得ないというならば、国際的な緊迫状態は具体的に進んでいると思うのですが、もしその侵略がありとすれば、どの方面でございましょうか。
  157. 船田中

    船田国務大臣 自衛体制の整備につきまして、特定の国を仮想敵国というように持っておるものは何にもございません。
  158. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると、少くとも日本自衛体制の置かれておる国際的な地位並びに日本の置かれておる国際的な環境は、言いかえてみればきのうの形、きょうの形で日本自衛体制は十分ではない。あなたの言われたように具体的なものが何にもないとするならば、さらに将来これを強化して、日本のきわめて窮屈なこの財政の中からなおかつ膨大な自衛費の増強を必要とするほどには、日本の置かれておる国際関係は緊迫していないのではないか、こう考えるが、どうでございましょうか。
  159. 船田中

    船田国務大臣 私は今直接侵略なり間接侵略の危険が迫っておると申しておるんじゃございません。しかしながら、国際情勢全般を見、ことに極東の情勢を見て参ります場合に、部分戦争なり冷戦が全然起らないと保証はできない状態でございますから、従いましてわが国といたしましては、国力、国情に沿う自衛体制を整備することが必要である、かような見地に立って自衛体制を整備しつつあるわけであります。
  160. 細田綱吉

    ○細田委員 部分戦争がなきを保しがたい、これはだれもそうだと思うのです。しかし日本について何か部分戦争の危険が予想されるかどうか、この点を伺いたい。
  161. 船田中

    船田国務大臣 今具体的に部分戦争の危険が迫っておると申しておるんじゃございませんが、しかし部分戦争が起らないと保証はできない。従いまして、日本の平和と独立を守るためには最小限度防衛体制を整備しておくことが必要なり、かように考えるのであります。これは過去の歴史やわれわれの体験からくることでございまして、具体的にどういう方面からどういう危険があるかということは、私ここに申し上げかねますけれども、しかし全然その危険がないということの保証は立ち得ない状況である、かように国際情勢を判断いたしまして、防衛体制を整備しつつあるのであります。
  162. 細田綱吉

    ○細田委員 一国の独立と平和の体制の保障を担当しておられる防衛庁の長官の心がまえとしては、一応私もわかる。しかし日本についての、かりにそれが部分的な侵略であっても、あるというようなことは、私はおそらく日本の何人も考えていないと思う。長官の説明を聞いておりますと、早急に自衛体制を整備する必要があるというように、先ほど受田委員質問にずいぶん答えておられましたが、ちょうどそのお考えは、戦前前の日本の軍部が、皇国の危機はまさに本日に迫っているとか、内外の情勢はまさに一触即発にあるというようなことをいって、自己陶酔だけでなくて国民をかり立てて、御承知のように戦争をした。もし日本部分戦争ありとするならば、米ソの対立の何か余波にかり立てられた一つ部分戦争であるとしかだれも考えられない。日本が一一つの主導的な立場に立っての部分戦争というようなことは気違いでなくては考えられない。そこで先ほど受田委員とあなたは何か質問の応酬をされておったのだが、あなたの御答弁を聞いていると、兵隊をよそに上げない限りは侵略戦争部分に入らない、飛行機が行って爆弾を落して帰ってくるのは侵略戦争じゃない、こういうような広い考えを持っておられると、ちょうどマッカーサー司令官が北鮮と南鮮の戦争に、満州をつけといって物議をかもして、遂に退職せられたあの考えが、ちょうど防衛庁長官の頭を支配していると思う。もしそうだとするならば、あなたが侵略戦争でない、自衛戦の範囲だというならば、領海圏の外から軍艦がそこの基地に対して大砲を打ち込んだって、これはやっぱり自衛戦争の範囲だが、かなりあなたけそれを広く考えておると同時に、少しそこにはっきりしたあなたのお考えがきまっていない。言いかえてみますと、アメリカから訪われたらいつでも出なくてはならぬというような意向がありありとわれわれには、ひがみかもしれないが感じられる日本の気持じゃなくてアメリカさんが共同作戦の建前から誘われれば、日本もいつでも飛び出していかなくてはならぬというふうな考えで、あなたは答弁されているのだなという印象を私は受けた、この点はいかがでございますか。
  163. 船田中

    船田国務大臣 私は、アメリカから誘われて日本自衛戦争を起すたどということは、考えたこともありませんし、またさような趣旨答弁をしたことも絶対にございません。今までのよその国の歴史やわれわれの体験からいたしまして、独立国である以上においては、やはりその国力に相応する自衛体制を整備いたしまして、真空状態をなくすようにしておくことが必要である、かように考え防衛計画を立てて、これを着々実行に移しておるというわけでございます。
  164. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたは真空状態、真空状態と言われるけれども、現在の日本には十五万の陸上勤務隊とでもいいますか、丘隊さんがおる。あるいは海上にきわめて少いけれども約二万人ばかりがおるというふうに、現在の日本の少くとも日本を中心にあなたの言われる部分戦争、起きるであろうかもしれない部分戦争には十分これでこたえていくことができると私は思うのです。特に御承知のように、戦争後これが全く空白状態になったので警官をかなり増員した。ところがそれがいわゆる警察予備軍という名前で自衛軍が発足して、この方面がどんどん増員されるけれども、警察官の減員ということをわれわれは聞いていない。これはかなり国内治安の乱れた当時、あの警察官の増員されたあれでできておるのに、なおかつ部分的な間接侵略とか、あるいは直接侵略をさされるかもしれないが、現在の丘員の程度でなおかつ不安だといわれるならば、具体的にわれわれに御説明を願わないと納得ができない。その点はいかがですか。   〔保科委員長代理退席、委員長着席〕
  165. 船田中

    船田国務大臣 陸上自衛隊が十五万おる、従ってこれで安心じゃないかという仰せのように受け取ったのでございますが、陸上増強につきましては、先ほども受田委員の御質問に対して答弁申し上げましたように、日米安保条約規定によりまして、とにかく日本は真空状態になっておる、従ってアメリカが一時これの防衛に当る。しかしこれは暫定の措置でございまして、本来独立国である以上においては自衛軍備を整えるということが当然なのでありまして、そういうことを前提といたしまして日米安保条約もできておることは、御承知の通りでございます。しかもアメリカ側の一番先に引いて参りますものは、何といっても陸上戦闘部隊が一歩先に撤退をしていく、こういうことで着々それが行われつつあるわけであります。従いまして、その空白を埋めていきますためには、これは必ずしも米軍の撤退と見合ってということは申し上げかねますけれども、とにかくそういう情勢がありますから、ます陸上自衛隊をある程度に整備するということに力を尽しておるわけであります、もちろんそれに伴いまして海空の方も整備していかなければならぬのでありますけれども、海空につきましては、とにかく相当な時間がかかります。従いまして、海の方は多少前にできましたけれども、空の関係におきましては、一昨年の七月以来発足いたしたのでありまして、まだ満二年にもならぬという状況でありますので、今後において漸次これを整備し、また訓練も進めていかなきゃならぬ、かように考えておる次第でございます。しかしそう一朝一夕にできるものでありませんから、できるだけ日本の国力国情に沿うように、財政の状況、経済の事情等も勘案いたしまして、整備を進めていくということをやっておる次第であります。
  166. 細田綱吉

    ○細田委員 必ずしも在日米軍の撤退と見合うわけではないというが、そうするとあなたの計画は、日本の真空状態を満たすためには、現存の自衛隊プラスの米軍兵力、そこまでやはり拡張しないと日本自衛責任は負えない、こういう御趣旨でございますか。
  167. 船田中

    船田国務大臣 これはある程度日本自衛体制が整備されますれば、その後日米間の協力によりまして、あるいは米軍の撤退ということもあり得ると思います、しかしそういう場合におきましても、今日日本だけの力で日本自衛ができるかといいますと、これはなかなか困難なことでございまして、やはり集団安全保障という考え方に立たざるを得ないのではないかと任じます。
  168. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると、あなたのおっしゃる空白を埋めるという点は、どこまで現実に海上は幾ら、陸上は幾ら、航空機は幾ら打つというところまでいかれるのでしょうか。
  169. 船田中

    船田国務大臣 防衛庁の試案といたしましては、大体陸上自衛官を十八万名、昭和三十五年度を最終年度といたしましてそれだけ整備いたしたい。艦艇におきまして十二万四千トン、哨戒の飛行機百八十機、それから航空自衛隊におきまして、訓練機をも含めて約千三百機、これを一応の目標といたしております。しかしこれもたびたび申し上げておりますように、防衛庁の試案でございまして、国防会議が設置されましたときにおいては、国防会議の諮問を経て、政府において防衛長期計画を確立するようにいたしたいと考えておる次第であります。
  170. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると、たとえば陸上兵隊についての数字ですが、去年二万、ことし一万というのは、あなたの三十五年度までに十八万にされるというところを見ると、少しテンポが早過ぎると思う。今あなたがおっしゃった三十五年度までに十八万、われわれの開いておるいわゆる六カ年計画に合致する数字を伺ったのでありますが、そうすると、さらに来年、再来年はどういうふうに増強されるのでありましょうか。
  171. 船田中

    船田国務大臣 それらの点は、国力に相応して漸次増強をして参りますが、三十二年度以降の増強計画につきましては、先ほども申し上げましたように、国防会議が設置されましたならば、その国防会議の諮問を経て、政府案として確立をするようにいたしたいと考えておるのであります。
  172. 細田綱吉

    ○細田委員 国防会議はまだできていないのです。現実に責任者としてはきょうの具体案を持っておられるだろうと思う。国防会議というまだ未知数のものに対してあなたは言われるけれども、きょうの防衛体制計画は持っておられるだろうと思う。従って国防会議が成立しないきょうの建前として、あなたは三十五年までに十八万というけれども、三十年、三十一年の二カ年で三万ふえてしまう。これでは三十一年から二年の間にできて、さらに三十五年末でには二十万か二十九かやって、アメリカさんのいうように三十二万五千から三十五万という膨大な数字をだんだん出してくるのではないかと、国民は危惧の念を持っておるのです。国防会議のできない現在の責任者としてのあなたのいわゆる増強計画はどうなんですか。
  173. 船田中

    船田国務大臣 先ほど申し上げましたのは、三十五年度の最終年度における目標を申し上げましたので、それに至る年次計画は、防衛庁の試案としてもまだできておらないのであります。三十二年度の予算の編成に当りまして、もし御指摘のように国防会議ができなかったという場合におきましては、もちろん防衛庁責任において年次計画を立てて予算の要求をしなければなりませんけれども、まずその前に、私どもは国防会議ができるものと期待いたしておりますので、その国防会議に諮問をいたしまして、防衛に関する長期計画を立てるようにいたしたいと考えておる次第であります。
  174. 細田綱吉

    ○細田委員 国防会議は諮問機関でございますね。
  175. 船田中

    船田国務大臣 内閣総理大臣の諮問機関でございます。
  176. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると、諮問機関である国防合成が原案を出すはずはないのだから、あなたの方の原案は、来年はどういうふうに、再来年はどういうふうにという、あなたのいわゆる三十五年度までの増強計画はどういうふうに立てておられるのですか。
  177. 船田中

    船田国務大臣 これから検討を加え、調査を進めるのでありまして、各年度の年次割というものはまだ防衛庁としては持っておらないのです。
  178. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたが防衛庁長官のいすにおられる限りは、十八万以上は三十五年までに増強しない、先ほど艦艇は十四万四千トンでしたか、航空機は何機でしたか。
  179. 船田中

    船田国務大臣 千三百機でございます。
  180. 細田綱吉

    ○細田委員 千三百機、これ以上は三十五年までは増強しない、こういう御予定でございましょうか。
  181. 船田中

    船田国務大臣 先ほど申し上げました数字は、最終目標でございまして、それを年次計画でどういうふうにやっていくかということは、これから検討を加えるのでありまして、三十一年度の予算につきましては、すでに予算書に明らかになっておりますような造成計画を立てておりますが、三十二年度以降につきましては、これから検討を加えまして、国力及び国情に沿うように適当に立案をして参りたいと考えておる次第でございます。
  182. 細田綱吉

    ○細田委員 その国情並びに国力にマッチするような数字を出していきたいというのは、三十五年までには、たとえば陸上十八万というこの数字の範囲内で計画を立てられるわけですか。
  183. 船田中

    船田国務大臣 防衛庁といたしましては、最終目標が、先ほどお示し申し上げたような数年でございますので、その範囲内において漸次増強をしていきたい、かように考えておるわけであります。
  184. 細田綱吉

    ○細田委員 そこで国防会議の点でちょっと伺いたいのですが、国防会議議員と申しますか、これには民間人は採用しない、こういうような裁断を鳩山総理がしたと、きのうかきょうの新聞で拝見したのですが、どういう人が国防会議の議員として適格であると推定されておるでしょうか。
  185. 船田中

    船田国務大臣 国防会議等の構成に関する法律案は明日閣議において決定いたしまして、決定いたしましたら直ちに提案することになりますので、すぐに御審議を願うことができるようになると思いますが、新聞にありますように、民間の議員は人れない、すなわち第二十二国会において衆議院において修正可決されて、参議院においてまさに可決されんといたしましたあの案を、原案として提出するということに、明日の閣議の決定がなるであろうと思います。
  186. 細田綱吉

    ○細田委員 砂田長官の当時、顧問会議を持たれたのですが、そのときはずいぶん古い陸軍の大将、中将を並べたものだと思って、古色蒼然たる顧問会議を拝見したのですが、やはり国防会議の構成はそういう方に御推定になっておりましょうか。
  187. 船田中

    船田国務大臣 砂田前長官のときの防衛庁の顧問というものと、今計画いたしております国防会議における議員とは全く別のものでございます。
  188. 細田綱吉

    ○細田委員 どういう人が政府から推薦せられる国防会議議員でございましようか。
  189. 船田中

    船田国務大臣 国防会議の構成等に関する法律案の第四条におきまして、議員は次に掲げる者をもって充てること、内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣、これは副総理であります。それから二が外務大臣、三、大蔵大臣、四 防衛庁長官、五、経済企画庁長官、以上が議員でございます。
  190. 細田綱吉

    ○細田委員 日本の国情並びに国力に相応して漸増の方針をきめるというのですか。われわれ伝え聞くところのアメリカが要求しておる、そこまでは長官は全然考えておられないのか。あるいは場合によっては、国力相応なりと考えれば、そこまで進める御予定なのか伺いたい。
  191. 船田中

    船田国務大臣 アメリカ側からの要求というようなものを私は聞いておりませんし、またそういうものはないと信じます。
  192. 細田綱吉

    ○細田委員 それでは経理の方について伺いたいと思いますが、先ほど受田委員と片島委員からも御質問になったが茨木県の土浦に武器補給処がある、ここであなた方のいう常識から見て長い間保管させておいた——実は雨ざらしですが、保管させておいた兵器と申しましょうか、機械器具と申しましょうか、たとえばトラックその他ですが、これは何をどの程度の数量、何年何カ月くらい保管させておいたのでございましょうか。
  193. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 霞ケ浦の武器補給処のお話だと思いますが、ただいまお話のありました野ざらしと申しましょうか、トラックを中心にいたしまして、ごく最近ぼつぼつ出ておりますが、ちょっと正確な数字はただいま資料を持っておりませんが、大体千七、八百両、トラック、ジープ等を屋外に保管いたしております。そのほかに若干部分これを梱包いたしまして、シートをかけて保管いたしております。この車両を保管するようになりましたのは二十八年から二十九年度にかけまして、ことに昨年の年度末ごろに相当大量に米側から供与がありまして、ちょうど国産品も入りかけておったころでありまして、おととしの秋ごろから相当多数保有するようになったのであります。部品等につきましては、昨年の春から夏にかけて、重量にいたしまして一万数千トンのものが一ぺんに入って参りまして、保管設備が不足いたしましたので、梱包のまま、あるいはシートをかぶせて屋外に保管したものが一部ございます。ことに車両につきましては相当大量保管しておりますので、その保存措置については非常に神経質に気を使っておりまして、たとえばグリースを塗るとかあるいはシート・カバーをかけるとか、また定期に手入れをするとか、そういった処置をとって万全を期しております。
  194. 細田綱吉

    ○細田委員 車両は千七、八百両とあなたは言われますが、かつては二千両を突破しておったと思うのです。これを霞ヶ浦武器補給処かに送り込んだのはいつですか。
  195. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 これは国産の分と米軍供与がございまして、正確に何台が何日ということはここで資料を持っておりませんが、国産の分が入りましたのは二十九年の年度中ずっと入っております。それから米軍供与の分が特に多く入り出しましたのは、やはり二十九年の秋ごろから昨年の六月ごろにかけて相当大量に入りました、その間に屋外の保管量がぐっとふえたわけであります。
  196. 細田綱吉

    ○細田委員 米軍供与の自動車は二十九年には幾らで、それから二十九年度に買われた国産の自動車は防衛庁全体で何台ですか。
  197. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 二十九年度には、いわゆる普通の型のジープ、それから四分の三トン武器運搬車、二トン半のトラック——これは最も普通のトラックでありますが、二十九年度はそういうもののうち特殊車以外は全然発注いたしておりません。二十八年度に発注いたしましたのは、二十九年度中に入って参りました。こういうことで、二十九年度に国産車として発注いたしましたのは、今の二トン半のトラックの特殊なものと、それから四トン、六トン等の大型車、こういうものはちょっと数字は覚えておりませんが、数百両あったと思います。それから米軍のトラックは二十九年の春から、秋、それから先ほど申し上げました、昨年の夏ごろまでに相当まとめて入っておりまして、総計いたしますと、その期間には万に近い数が入っておると思います。
  198. 細田綱吉

    ○細田委員 二十八年度に国産品を幾らくらい入れているのですか。
  199. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 予算の年度区分と正確に合うかちょっと自信がございませんが、ただいま記憶しております数字は、二十七年度から八年度にかけまして、たとえば四分の一トン・ジープでございますが、約四千数目両発注いたしております。それから二トン半、四分の三トンを合せますと、五、六千になるかと思います。
  200. 細田綱吉

    ○細田委員 アメリカ日本にトラック、自勤車を供与するということの公文書を通達されたのはいつでありましょうか。それから日本の、ただいま二十八年度約四千五百両注文されたという、主たる注文先はどこでありましょうか。
  201. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 米軍から供与を受けましたトラックにつきましては、御承知のように、二十九年の夏の初めに、MSA協定ができ上りました。それまでは便宜米軍から貸与を受けておったという形でございまして、それにつきましては、公文と申しますか、そういう形にはなっておらないのであります。ちょうどMSA協定のできる前あたりは、ほとんど供与は受けておらなかった、MSA協定ができましてから大量に入って参ったわけであります。これは先だっても冬服の件につきまして申し上げたごとく、ことに、ことに昨年の六月までに参りましたのは、いわゆるMSA協定によったものでございますが、極東軍が予備品として持っております分を便宜渡してくれたというような関係もありまして、現品のあるなしによって非常に違いますので、毎回ほとんどこれだけのものを必ずどこの米軍補給処で渡すというときまで、数量がはっきりしなかったという面があったわけであります。それから国産品の発注のおもなところは、四分の一トン・ジープは新三菱重工、それから四分の三トンの武器運搬車は日産とトヨタ、それから二トン半がトヨタともう一社、ちょっと記憶いたしませんが、それから四トンと六トンの大型のトラックは、これは日野ヂーゼルと三菱日本重工ということでございますが、大体こういうふうなことになっております。
  202. 細田綱吉

    ○細田委員 それは直前までわからなかったといわれるから、これはやむを得ないが、現在に至るまで、一千両近い自動車が約二カ年にわたって実際野ざらしになっておる。先ほど来から同僚委員質問しておるように、自衛隊の予算は余っておる、ずいぶんぜいたくなものだという印象を見る人はだれでも受ける。しかもあれだけたくさんのものがだれも見えるところへ、倉庫へしまっておくわけにはいかないから、二カ年置いてある。しかも今局長の言われるように、保管の金がずいぶん使われている。しかしこれも、アメリカがただくれたのが、そのときまでもわからなかったといえばしょうがないのですが、金額はそう大したことはないのですが、自動車のエンジンの冷却水が寒いと凍ってしまうのは当りまえで、いわゆる不凍液を注文されたところが、これはちっとも不凍液にならなかった。先ほど受田委員並びに片島委員質問されたように、これはいろいろ特殊な技術があってどうとかという弁解がありましたが、もうこんなことは、アメリカ軍だってしょっちゅう使っているし、この前の第二次大戦でも、欧州各国がずいぶん使っているし、また日本だって、満州においてずいぶんこういう問題を処理していると思う。きわめて金額は少い。少いと言っては大へん語弊がありますが、千五百万円くらいなものであったかもしれませんけれども、あまりといえばあまりにもこれはずさんな注文をされたと思うのです。この不凍液の受注に対してどういう点が間違っておって、こういうむだをされたのですか。あるいはその賠償についてはどういう処置をとっておられるか。その点を一つ伺いたいと思います。
  203. 北島武雄

    北島政府委員 ただいま御指摘のございました不適格な不凍液ということについてでありますが、これは実は現場において抜き取り検査いたしましたときには何ら支障がなかった。規格に合っていた。ところが、それが実際にそれぞれ指定の場所に納入されましたときに、すりかえられたのが真相であるように考えております。この点は特に不都合な会社でもあったわけであります。ただその場合に、従来の検収方法で申しますと、大体において納入者の工場へ参りまして、そこで抜き取り検査をいたしまして、納入させるのが通例でございます。そしておおむね従来それによって支障はなかったのであります。ただいかにせん本件の場合におきましては、今から考えますと、納入者に非常に悪意がありまして、あとでこれをすりかえた形跡がある。それでは、どうしてそのような検収方法を講じておったか。たとえば実際に使用するところの部隊等へ納入さして、そしてそのところでもって現実に検収したら、こんなことはなかったのじゃないか、こういうことも言われるわけでありますが、そういたしますと、実は運搬費その他において原価が相当かさむこともございますので、従来そういう現場において抜き取り検査をして検収する方法によりまして、何ら支障はなかった、それでこういう方法でいたしたわけでございます。本件につきましては、まさに任務不履行による損害賠償の請求権ありと認定いたしまして、法務省と十分打ち合せいたしまして、目下法務省において提訴方手続中でございます。
  204. 細田綱吉

    ○細田委員 私の質問はこれで終りますが、最後に先ほどどうも納得のいかなかった点だけ一つ。ずいぶん受田委員からも質問応酬があったのですが、パール・ハーバーの襲撃は後世史家の批判に待つ。さらに繰り返すことですが、後世史家の批判に待っておったのでは防衛庁の現在の責任者としては間に合わない。われわれ後世史家の批判に待っておったんでは国の防衛ができないし、また海軍においては当時の海軍の山本次官が在任されておったら、ああいうばかなことはなかったと、これはいわゆる後世史家は批判している。陸軍においても、うしろにおられる辻先生なんか、当持参謀でしたが、有名な辻参謀として、上海かな東条のところに厳重な抗議の電報を打って激怒を買ったというふうに、陸軍の中でも乱暴を指摘されている人たちがずいぶんあった。これほど顕著な真珠湾の攻撃を、あなたはただ後世史家の批判で、日本人のやったことは全部悪いとは思わぬということは、これは防衛庁の長官として実に危いものだ。軍においても、十分これは批判済みなんです。ばかなことをやったものだ、きわめて露骨な侵略をしたものだ、またむちゃな戦争を始めたものだと思っているのに、あなたは、これは後世史家の批判に待つべきで、まだ日本責任者としては、そういうことは考えておりませんということでは、こういうことはまた出てきますよ。特にアメリカとの共同作戦の過程においては、ずいぶん出てくると思う。日本が参加していい場合と悪い場合と、ただアメリカさんの御都合だけに従っておっていいということにはならない。従って、将来こういうような場合が多く出てくると思う。あなたはやはり後世史家の批判に待つべきであって、まだ日本人のやったことだからいいとも悪いともわからないというふうにお考えになっておりますか。最後に私はこの一点を伺っておきたいと思います。
  205. 船田中

    船田国務大臣 真珠湾攻撃というようなことで戦争が始まったということは、まことに私は遺憾だと存じます。日米関係というものは、もっと他に方法があったのじゃないかと存じます。また私は防衛責任者といたしまして、かようなことが再び起るとは考えておりませんし、またさようなことの計画は全然持っておりません。わが国自衛隊はどこまでも現行憲法の範囲内における自衛のための部隊でありまして、他国を侵略するなどということは考えてもおりませんし、またそれだけの力も持ってはおらないのであります。今後におきましても、同様にその自衛の範囲内において整備して参りたいと存じます。しかし太平洋戦争が果して自衛戦争であったか、正義であったか、不正義であったか、こういうことは全体として後世史家の批判に待つ以外にないのでありまして、われわれの先輩、租先のやったことが、何もかも悪いというようなことを考えておるものではないということを申し上げた次第であります。
  206. 山本粂吉

    山本委員長 残余の質疑は、明日午前十時より開会し、続行することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会