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1956-02-16 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十六日(木曜日)    午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 山本 粂吉君    理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君    理事 保科善四郎君 理事 宮澤 胤勇君    理事 受田 新吉君 理事 下川儀太郎君       大坪 保雄君    薄田 美朝君       辻  政信君    床次 徳二君       福井 順一君    眞崎 勝次君       粟山  博君    横井 太郎君       飛鳥田一雄君    石橋 政嗣君       稻村 隆一君    片島  港君       西村 力弥君    細田 綱吉君       森 三樹二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一夫君         防衛庁参事官         (経理局長)  北島 武雄君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 二月十六日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として細  田綱吉君が職長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月十五日  愛知県形原町及び西浦町の地域給引上げ請願  (穗積七郎紹介)(第五七五号)  名古屋市内駐留軍家族住宅移転促進に関する  請願河野金昇紹介)(第五七六号)  京都府綾部市の地域給引上げ請願柳田秀一  君紹介)(第六〇五号)  長野長野市の地域給引上げ請願小坂善太  郎君紹介)(第六〇六号)  東北地方薪炭手当支給に関する請願黒金泰  美君紹介)(第六〇七号)  同(三浦一雄紹介)(第六六七号)  同(楠美省吾紹介)(第六六八号)  元満州国日本人官吏恩給法適用に関する請願  (纐纈彌三君紹介)(第六四八号)  旧海軍特務士官等恩給不合理是正に関する請  願(保科善四郎紹介)(第六四九号)  京都府久世郡下の地域給指定等に関する請願(  川崎末五郎君紹介)(第六五〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四二号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  四三号)     —————————————
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を続行いたします。飛鳥田君。
  3. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 最近東京湾入口で、海上自衛隊米軍協力をいたしまして、東京湾に入って参ります商船に対して、いろいろな検問行為を行なっている、こういう不実があるのでありますが、この点について大臣から御説明をいただきたいと思います。
  4. 船田中

    船田国務大臣 ただいま飛鳥田委員の御質問になりました点については、だいぶ誤解があるように存じます。それは自衛隊員協力をして出入船舶検問をいたしておるというふうに御指摘でありましたが、さような事実は全くございません。ただ米軍観音崎通信等訓練をいたしておりますので、その訓練の上において、出入する船舶船名を夜間尋ねておるというような事実はあるようであります。しかしこれも強制的にやっておるのではございません。これにわが方の自衛隊協力しておるというような事実はないのであります。ただ通信所訓練を受けに行っておりまする自衛隊がございますから、それが混同されておるのではないかと存じます。今御指摘になりましたような事実は、だいぶ誤解があるようでございますので、その点を明らかにしておきたいと思います。
  5. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、観音崎にあります米軍通信所訓練に行っておる自衛隊員は何名くらいですか。
  6. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私からかわってお答えいたします。米軍通信所訓練に行っておるのは三、四名となっております。
  7. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、その自衛隊員訓練に行っております者か、米軍指揮に従ってそういうことをやっているという事実はお認めになるのですか。
  8. 林一夫

    ○林(一)政府委員 あの方面に、たとえばパトロール・ポートとか、あるいはレーダー装置がありまして、この通信所もその一カ所であります。その方面にそのような一般的な訓練を受けに自衛隊員が若干名ずつ行っておるのでありますが、その一カ所として通信所に若干名行って訓練を受けておるのであります。それは通信機の操作というような訓練を受けておるのでありまして、もし船名を呼ねておるというようなことがありますれば、もちろんこれは米軍指揮によって訓練としてやっておるのだと存じております。
  9. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 米軍観音崎通信所で、東京湾に出入する船舶に対して、貴船は何港に向うかとか、積み荷の内容はとか、吃水の深さはどうだとか、あるいは所属する船舶会社及び船名を答えよというような検問を行うことを、あなた方は正しいと考えておられますか。
  10. 林一夫

    ○林(一)政府委員 その点でちょっと申し添えておきますが、米軍が尋ねておりますのは船名だけでございます。それも昼間はわかりますが、夜間はわかりませんから発火信号船名を尋ねておる。それも強制的にはやっていないということでございます。それは船名だけでございます。ただいま御質問のありました積み荷種類とか行く先とかいう点は、米軍はやっていないと聞いております。ただあそこに観音崎の南の方に鳥ケ崎というところがございますが、そこには海上保安庁の港長事務所の出張所がございます。そこでは港長事務のために、あそこに入る船の船名とか行く先とか積み荷種類というようなものを聞いております。また同じ場所に東洋通信社というサービス業者がおりまして、それが船主とかあるいは荷役業者の委託を受けまして、そこを通過する船舶船名とか積み荷種類とかいうようなものを調査しておると聞いております。米軍がそのような詳細な調査をしておるというようなことはないと聞いております。
  11. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 これはここで証人を呼んでこなければ、あなたの方は船の名前を聞いただけだというし、私の聞いた範囲では、船名だけじゃなしに吃水の深さ、積み荷、そういうものまで問い合せている、こういうことなのでありますが、これは証人を呼んでこなければほとんどどうにもなりますまい。ただ米軍がそうしたことを、かりにあなたのおっしゃるように強制的でないにしても、あそこで日本船舶に向って検問をするような行為ができる権限を持っているのかどうか、そしてまたそのことが正しいとあなたは思っていらっしゃるのか、そのことを伺いたいのです。
  12. 林一夫

    ○林(一)政府委員 米軍のそういうような船名を尋ねる法的根拠につきましては、明確ではないように聞いております。そのような行為が正しいかどうか、この点は、強制的ではないにしろ、そこを通過する船名を聞くということは、確かに相手によっては不快な感じを与えるという感がありまして、よく考えますと、そういう点から見まして疑問の点があると思うのであります。そのような点については、今後関係省に注意と申しましょうか、そういう事実がある点をよく申し入れようと思っております。
  13. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ただそれは不快の思いをするだけでなしに、ちょうど観音崎に入って参りますときには、御存じのように、コースを変えるところでして、狭い水域を通るところですから、そういうようなことを米軍名前あるいは海上自衛隊名前で要求せられるということは、不快だというだけでなしに、非常に迷惑になるわけです。もしそうだとすれば、行政協定あるいは安保条約等から見てもその根拠がない。これは私は歴然たる違法行為だと思うのです。かりに訓練にやってあってアメリカ軍指揮下に入っているからとは言いながら、そういう違法行為自衛隊隊員が参加しているということは、これは私は非常に問題だと思うのです。あなた方が自衛隊員に対して常日ごろ正しい教育をなさり監督権を厳重にしていらっしゃるならば、当然アメリカ軍の命令といえども不法なる行為には参加しないという態度をとらるべきだと私は思う。ところが米軍指揮下に入っておりますからいたし方がありませんでは、私は済まないと思うが、この点についてどうお考えになりますか。あるいはそういった違法なる行為をやらせるようなところには訓練に派遣することはできない、至急引き揚げてしまう、こういうお考えをお持ちになるかどうか。
  14. 林一夫

    ○林(一)政府委員 法的根拠なくして船名を尋ねるというようなことについては、法律的にいささか疑問の点がございますから、今後よくその点は検討しまして、もしそれが違法であるというようことがありますならば、十分その点は考えたいと思います。
  15. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今あなたのおっしゃるようなことは現地の方も言っておられるわけです。米軍のやっていることだ、こちらは訓練に参加しているだけにすぎないというふうに言っておられるのですが、米軍訓練にやってあるから、違法行為が行われてもそれは米軍のせいだ、こういうような無責任な態度をとらないようにしていただきたい。誤まったことがあれば即刻そこから隊員を引き揚げるというくらいのきぜんたる考え方をお持ちになりませんと、何でも米軍のさしがねに従えば人殺しでもやりかねない、詐欺でもやりかねない、こういう形になりかねないと思うのです。まあ悪く言えば、自衛隊の傭兵的な性格がここにも現われているじゃないか、こういうふうにさえ私は言い得るのではないかと思うのですが、このことについてどういう処置をとられたか、さらには今後どういう形になさるかということを、一つ後ほど次の次の委員会あたりに伺いますから御報告をいただきたいと思います。とにもかくにもこういう観音崎入口検問行為を行うことは違法だということについて、あなたと私たち意見は一致した、そして今後やらないということについても一致した。それから先は一つ善後措置についての御報告を承わることにいたします。
  16. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま飛鳥田委員がおっしゃいました違法という点につきましては、私の方も違法であるかどうかさらによく検討いたしまして、あとで御返答いたすことにいたしまして、その他の仰せのような点については、さらに十分調査いたしまして、あとで御報告いたしたいと思います。
  17. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 根拠がなければ違法だと思うのです。これは一個人が道を通っておって、すれ違った人に失礼ですがお名前はといって伺うのとは全然意味が違います。一つ軍隊として駐屯しておって、しかも米軍あるいは海上自衛隊という名において、しかも官庁の名において通行する船舶検問するならば、これはそうした通りがかりの人の名前を尋ねるのとは全然意味が違います。従ってそれをよしとする積極的な根拠がない限り、これは違法だと言わざるを得ないと思うのでありますが、ここで議論するつもりはありません。どうぞ十分御検討いただいて正しい処置をしていただくように、再度繰り返してお願いしておきます。
  18. 山本粂吉

    山本委員長 稻村君。
  19. 稻村隆一

    稻村委員 今飛鳥田委員がお尋ねになりましたが、私一言防衛庁長官にお聞きしておきたいのです。これはほかの、委員会でもとっくに問題になっておったかもしれませんけれども、問題になっておりましても私もう一度お聞きしたいのです。自衛隊日本防衛するための自衛隊である、これは日米安全保障条約によってできた、そこでこれは明瞭にいかなる場合でもアメリカ軍隊協力せざるを得ないことになると思うのです。そこで非常に重要な問題があるのですが、アメリカ戦略に私たちはよほど気をつけておかないといかぬと思うのです。というのは、アメリカ戦略いかんによっては直ちに攻撃軍隊になってしまって日本を破滅に導くという結果になることは明瞭なんです。私はしろうとであるから戦略とかそういうことは知りませんけれども、この間ダレス長官ライフの者と話したところによりますと、これは新聞に出ておったのですか、アメリカの方から原子戦争をやろうとしたことか三回あった、一つ朝鮮事変で捕虜を韓国軍が解放したとき、もう一つヴェトナムにおけるディエンビエンフーの陥落のとき、もう一つ台湾海峡のとき原子戦争をやる決意をした、こういうことを言っておるのです。これは実に驚くべきことでありまして、私がここで申し上げるまでもなく、皆さんだれでも知っておる、子供でも知っておるのですが、原子戦争基地爆撃から始まるということは、イギリスのブラケット博士が言っている通りなんでありまして、これをもってしてもアメリカ考え方というものは、日本基地として積極的に中共やソ連を攻撃するという戦略に立っていることは明瞭であります。だからして、日本軍隊をある点まで増強すればアメリカ軍撤退すると言っているが、欺瞞もはなはだしいものです。これはむしろ日本陸上部隊をある点まで増強すれば、アメリカ中共を積極的に攻撃する条件が完備するわけです。それだからむしろ積極的な攻撃へ出る可能性が多いのです。航空母艦からの攻撃中共が参るはずがないから、そういう条件を完備すれば、私はむしろアメリカ中共との間に戦争の起る可能性が多いと思うのです。そういうふうにアメリカ態度によって日本が全く犠牲になる。こういうふうなことに対しては、白米安全保障条約並びに行政協定精神からいっても、断固として私は拒否できると思うのです。軍事基地として片っぱしから取り上げておるが、私は攻撃のための軍事基地であるならば日米安全保障条約によっても断固として拒否できると思うのです。こういう点に対して、今飛鳥田委員質問にあったように、日本防衛庁アメリカの言うがままに無批判にこれと協力している、実に危険きわまることだと思うのでありますが、その点に対しまして防衛庁長官考えを承わりたいと思うのであります。
  20. 船田中

    船田国務大臣 わが国自衛隊の任務につきましては、自衛隊法にもはっきりうたってあります通りに、わが国独立と平和を守り、国土防衛任ずる、そのためには直接及び間接の侵略に対して国土防衛をする、こういうことでありまして、ただいま稻村委員の仰せられるように、これが攻撃侵略的の実力を備えるかどうかということは、結局程度の問題に関係してくると存じます。政府といたしましては、わが国国力及び国情に沿う最小限度自衛態勢を整えまして、外国駐留軍撤退に備えていくようにしよう、これが自衛隊を増強して参ります方針でありまして、決してこれは攻撃的のものではございません。ことに日米安保条約及び行政協定においても条文にはっきり出ておりますように、わが国防衛力が現在はないから、従ってアメリカ日本防衛をやってやろう、日本はそれを受諾する、そうしてその日米安保条約の原則に従いまして行政協定もできておる、こういう次第でありまして、結局今日の自衛隊の陸海空における実力がこの限度であるかどうかということになりますと、これは御判断によるところでありますけれども、私どもは主観的に見ても、決して攻撃的あるいは侵略的な意図を持っておりませんし、また客観的に見ましても、この程度自衛体制というものは決して攻撃的なものではない、侵略的なものではない、断じてさような、ふうには考えておりません。いわんやアメリカ前進基地になるというような考えを持っておるものでは毛頭ございません。これは主観的と客観的と両方から見まして、現在のわが国の持っております自衛体制というものが攻撃的なものでないということは、世界に向って公言してはばからぬところであると存じます。
  21. 稻村隆一

    稻村委員 しかしダレス長官があのように言っておるし、日本には原子攻撃をする爆撃機も来ておるのですから、私はもし中共に対してアメリカの方から積極的に攻撃をするような場合においては、むろんあなたの方は断固としてこれを拒絶するだけの勇気があると思うのですが、その点あなたの考えはどうですか。
  22. 船田中

    船田国務大臣 私はアメリカが積極的に共産圏に向って攻撃をするというような意図を持っておるようには考えておりません。もちろんアメリカが将来におきましてもさような意図を持って、積極的に出るというようなことはないと信じております。わが国といたしましては、もちろん積極的に共産圏に向って進攻して行くというような実力もありませんし、またそんな考えは毛頭持っておりません。この点ははっきり申し上げられると思います。
  23. 稻村隆一

    稻村委員 ダレスがはっきり言っておるじゃないですか。この間のライフ誌記者との会見で、三度原子攻撃をする決意をしたと言っているじゃないですか。そういう具合に攻撃する場合に、日本自衛隊協力を求めた場合には、断固として拒絶するかどうかというのです。
  24. 船田中

    船田国務大臣 ダレス国務長官がいわゆるせとぎわ戦術を使ったかどうかということにつきましては、いろいろ御批評があるようであります。しかしわれわれの知っております、案は、朝鮮戦争にいたしましても、あるいは仏印におけるヴェトナム戦争にいたしましても、これはむしろ共産圏の方から侵略が始まっておる。なるほど表面においては平和攻勢であるとか、あるいは民族の解放であるとかいうようなことを申しておりますけれども、とにかく侵略をしておるのは、先に手を出しておるのは共産圏でありまして、これに対して国連防衛をしたということは、私は歴史上の事実であると思います。従ってこれに対してこれらの過去の歴史、われわれの体験から申しまして、われわれといたしましては、真空状態を作らないようにするということが絶対に必要である。なるほど無防備、中立というようなことができますればけっこうなことでございますけれども、しかしさようなことは今日の国際情勢においてはできがたい状況でありますから、従いまして侵略の起らないように、つまり真空状態を作らないようにする、こういう考え方わが国国力国情に沿う自衛体制をできるだけすみやかに整備するように努めていく、これが政府方針であります。
  25. 稻村隆一

    稻村委員 私は過去のことを聞いているのじゃないので、現在ダレス長官が言っていることを聞いているのです。こっちから攻撃するということを言っているのです。しかも原子兵器局地戦でも使うということをアメリカは積極的に言っているのです。この間空軍長官新聞か何かでそういうことを話しているのですから、そういうことはあり得るのです。過去のことは過去のことで、これはいろいろどっちか侵略したかということはなかなか問題だと思う。私も別にアメリカに悪意を持って言っているのじゃないのだが、あなたはアメリカは絶対そういうことをやらぬとか何とか言っておるけれども、私は公平に見てアメリカ——話は少し横道にそれるかもしらぬけれども、たとえば台湾の問題などは、だれが見たってアメリカは無理ですよ。中共政権中国民衆が選んだ、それをアメリカは実際上台湾を占領している。そういうことはちょうど社会党が政権をとったからけしからぬというので九州をとるのと同じです。朝鮮戦争の最初の段階においてはアメリカあるいは国連は正しかった、こういうことを考えるが、少くともヴェトナムにおけるアメリカ行動、これはアメリカが正しくない。これは主観的なおのおのの考え方の相違だからここで論争する必要はないか、そういうヴェトナムにおける行動台湾における行動を見ても、アメリカが無理をやって、侵略的な立場をやっていないとは絶対にいえない。しかも私は過去のことは言わない。こっちから原子戦をやる、局地戦でも原爆を使うということをはっきり言っておる。共産側が言わぬ前に言っておる。それからダレス氏はこっちから原子戦争をやる決意を三度したと言っておるのだ。これは政治家意図だ。私はアメリカのあのような政策は決して長く続くものではないと思う。いずれはワシントン、リンカーンのほんとの自由の精神に、アメリカ政治は戻るものであると私は信じております。アメリカ国民に対してはそう信じておりますが、しかし政治家の意志というものは常に政治方向、あるいは戦争というものを決定するのだ。ダレスという人、あるいはアメリカの軍人の人たちには、そういう意見を持っておる人がおるのだから、そういう人たちが積極的なこういうことをやらぬとも限らない。ヒットラーという人がおって第二次大戦が出た。東条という人がおって日本は大東亜戦争に出た。だから政治家意思が大事なんです。決してアメリカ国民意思とか、アメリカ政府全体に対してわれわれは不信を持つものではない。アメリカ侵略をやるとは思わないが、政治家意思です。そういうふうな政治家がおる、しかも原子攻撃をやると行っておるのだから、そういう場合にあなたはどうするかというのだ。日米安全保障条約行政協定と何でもかんでもアメリカ行動をともにしなければならぬように考えておる人が多いのだから、あなたは、どういう考えを持っておるかというのです。
  26. 船田中

    船田国務大臣 私ははっきり申し上げますが、アメリカ侵略戦争を始めるなどということは絶対に考えておりません。従いまして私は日本アメリカ侵略戦に加担するなどということは全然考えておりません。
  27. 山本粂吉

  28. 西村力弥

    西村(力)委員 本国会におきまして、予算委員会あるいはその他の委員会において、防衛計画五カ年一計があるとかないとかおっしゃられておりますが、その計画が完成した場合に米軍撤退するかということに対して、それはわからないという答弁を船田大臣はなさっていらっしゃるようでありますが、それはわからないたけで済む問題かどうかと私は思うのでございます。鳩山総理施政方針演説の中にも、日本が現在独立とは名ばかりであって、これから国民の総力をもって独立を達成する方向に進めなければならない。そういうことを述べられておりますが、この独立を達成する方法、計画的に持っていかれる場合においても、どこまでいったならば、この変則的なアメリカ駐留というものを解消することができるかという見通しを立ててないはずはないと思う。それで船田長官に伺いたいのは、防衛六カ年計画を完成しても帰らないならば、一体どこまでわが国軍与力を増強すればできるのか。またその軍事力の増強というものが駐留軍撤退のポイントではなくて、別の方向をとらざるを得ないとわれわれは予期しているが、そういう計画のもとにいろいろ施策を立てるのだ、こういう点がありましたならば、その点もお聞かせを願いたい。私たち国民感情としてアメリカ軍が一日も早く帰ることを望んでおる。それであるから政府もそういう方向であるとするならば、完全撤退の見込みがいつどういう場合においてできるのだという、はっきりしためどをお持ちでなければならないはずだ。この点について一つ率直なるお考えをお聞かせ願いたいと思う。
  29. 船田中

    船田国務大臣 この問題につきましては、先般予算委員会におきましても答弁申し上げておりますように、防衛長期計画につきましては、政府案としてはまだできておりません。ただ防衛庁の試案といたしましては、先般申し上げたように、昭和三十五年度の最終年度におきましては、陸上自衛官が十八万、海上艦艇が十三万四千トン、飛行機百八十機、それと航空自衛隊におきまして、練習機を含めて約千三百機、こういう目標を立てておるわけであります。しかしこの目標が達成されたから、それによって必ず米軍撤退するかということになりますと、これは必ずしもそれに見合って撤退するということを申し上げかねる、こういう趣旨を申し上げておるのであります。米軍撤退するということにつきましては、日米協定によって日米の合意が成立しますれば、これは時間的に申しますれば、いつでも撤退はするということになりますが、しかし日本が先ほども申し上げますように、真空状態である間に米軍撤退されたのでは、日本防衛ができませんから、そこで御承知の通り日米安保条約あるいは行政協定によりまして、日本防衛米軍に担当してもらっている。従いまして、ただいま申し上げたような、最終目標が達成されますれば、米軍撤退の基礎はできるということになります。しかしそれができたとき、その瞬間に米軍撤退するかということになりますと、必ずしもそれに見合ってすぐ撤退するということを申し上げかねる、こういう趣旨で従来答弁申し上げておりまして、今日もなおそのことをここに繰り返し申し上げる次第であります。
  30. 西村力弥

    西村(力)委員 それだから防衛庁試案の完成によって、必ずしも撤退はし、ないんだ、こういう見込みを申し上げているんだというのですが、私は工少前進して、ここまでいけば撤退するということを確実に見通せる、こういう見通しが政府側としては当然あるだろうと思う。自衛隊の増強はここまで、あるいは日本防衛体制がこういう形になるというような見通しをはっきり持って、独立達成に向っていかなければならぬと思う。ただ十八万にふやしても撤退するかどうかわからないけれども、とにかくそうなれば撤退するかもしらぬから、まずやりましょう、こういうようなことでは、政府の政策としては正しくないと私は思う。はっきりこうなれば撤退するという見通しをどこに置かれて、現在自衛隊の増強を中心とするこういう軍備体制の増強によって、日本独立をはかっていらっしゃるか、この点について政府側の見通しをきたいのです。どうですか。
  31. 船田中

    船田国務大臣 先ほども申し上げましたように、防衛長期計画が実現いたしますれば、少くとも米軍撤退の基礎ができるということになります。われわれ政府といたしましては、まずこの基礎を作るということを第一にいたします。それから先、米軍がいつ撤退するかということは、その間における国際情勢とも非常な密接な関係がございますので、この最終目標を達したからすぐにそれに見合って米軍撤退するということは申し上げかねる、かように申し上げておる次第であります。
  32. 西村力弥

    西村(力)委員 何べん言っても同じようですが、私が聞きしたいのは、ただ漠然と、基礎ができ、そうして米軍撤退を期待するというような政策ではうまくない。今の御答弁によれば、十八万に増強すれば基礎ができる、こういう向うからの、明確でないにしても相当の意志表示を得ておるから、、基礎がでたならば、そこに撤退の見込みを立ててあるのだということになるでしょうし、ただ向うから何らの意思表示も、漠然ともあるいは確実にもないけれども、とにかくそこまでやれば何とか一つの前進の拠点というものができるのではないか、こういう漠然たる考え方防衛庁の試案を作っておるということであるとすれば・これはまことに策のない次第ではないかと思うのです。何べんもお聞きするようですが、それでは十八万に増強する防衛庁の試案が完成すれば基礎ができる、こういう御判断の基礎はどこにあるか。これは相手のあることだから、相手の動向を基礎にして撤退の基礎ができたとあなたは御判断になるであろうと思うのですが、それか基礎であるということをあなたが明言せられるその基礎を、どこかに置かれておるか、それをお聞きしたい。
  33. 船田中

    船田国務大臣 政府といたしましては、先ほど来しばしば申し上げておりますように、できるだけすみやかに日本国力国情に沿う自衛体制を整えまして、真空状態のなくなるようにしていきたい、そうしてその間に国際情勢ともにらみ合せまして、今後のアメリカ側との折衝をしていかなければならぬと存じます。しかしそれにいたしましても、まず国防会議法の成立をもちまして、国防会議が設置されましたならば、それに長期防衛計画を審議してもらいまして、政府としてのはっきりした国防計画を立てて、防衛体制を整備する計画を立てまして、そうして米側と折衝をするということになると存じます。従いまして防衛庁といたしましては、国防会議の成立によって、長期防衛計画政府案として確立されることを期待いたしておるような次第であります。
  34. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、この防衛庁試案が達成されると米軍撤退の基礎になるのだということは、向うから何らの意思表示が拠るわけではなく、単にこちらの期待としてだけそういう工合に考えておるのだということに相なるわけでございますか。
  35. 船田中

    船田国務大臣 この問題につきましては、国防会議法ができ、そうして国防会議において長期防衛計画が審議されまして、政府案としてはっきりした長期防衛計画が立ちましたとぎに、米軍ともっと権威ある折衝ができるようになることと存じます。おそらくその場合に至りまして初めて米軍撤退計画も本格的に折衝ができるようになるのではないかと存じますので、われわれといたしましては、先ほど来申し上げておるように、一日も早く長期防衛計画の確立ということに進みたいと考えております。
  36. 西村力弥

    西村(力)委員 どうも私としては政府のやり口は、ここまでいくとはっきり撤退できるのだという向うとの内々の打ち合せというか、そういうものがあって、それに基いて計画が進められているんだ、こういう工合に見たいと思うのですが、そうじゃなく、単にこれだけやればおれたちの発言権が出てくるという状況にあるから、まずなけなしの財布をはたいて防衛努力を進めよう、そしてある程度進んだならば帰ってくれと言う権限ができてくるんだ、こういう工合に言われることは非常に策のないことであるし、また日本の現況としましても、まことに悲しい状況にあると思うようなわけなのでございます。それでは今までアメリカの方において、日本自衛隊育成のためしいろいろ財政的にも、人的にもさまざまな犠牲を払っておるというふうに彼ら自体は考えておるに違いない。そういう状態にある彼らが、日本自衛隊に国防会議が設置されて、日本の判断に基くことができて、そして今度は一人前に口がきけるようになったから帰ってくれ、こう言ったときに、今まで払った人的、財政的努力は、日本がほんとうの一人立ちができるようにするためになしたのだという、こういう割り切り方で彼らがアメリカに帰ることができるかどうか。おそらくそんな採算の合わないことをやる国はないでしょう。個人の場合においても、国際間の問題においても、そういうほんとうに道徳的な割り切り方で帰るようなことはないと思う。それでその場合の見通しはどういう工合に立てておられるのか、これを一つ聞きたい。
  37. 船田中

    船田国務大臣 ただいま西村委員質問の趣旨は、私十分わきまえませんであるいは返答が多少的はずれになるかもしれませんが、米軍の方で今まで日本に対して、日本自衛隊の育成に対しては相当犠牲を払っております。兵器、艦船、飛行機というようなものでも、おそらく金額にいたしましたら三千億円以上のものの供与を受けておると思いますが、それが何らかの対価を求めておるかというような御趣旨の御質問であるといたしますれば、アメリカ側は今日それに対しての対価を求めるというようなことはなかろうと存じます。なお先ほど来申し上げておりますように、米軍撤退ということはわが方の自衛体制がだんだん整備して参りますれば、これは撤退の基礎かできることになりますので、米軍側といたしましても従来責任者がそのことは言明いたしておるのでありますから、日本自衛体制がある程度に整備されたということになりますれば、米軍撤退ということは実現し得るであろうと私は期待いたしております。
  38. 西村力弥

    西村(力)委員 対価を求めることはないであろう、こういう御判断をおっしゃっておられますが、これは常識ではちょっと考えられないところではないか。せっかく自分が手を加えて犠牲を払って育てた自衛隊を、そのままわが日本独自のほんとうの軍隊として手放しにしてこれで日本も一人立ちができるのだ、これはまことに好ましいことだといって、さっと引き揚げるなどということは、常識的には考えられないことだ。対価を求めずに引き揚げるということは、これはあまりにひとりよがりの御判断ではないか、こう思われるわけなのです。そう申されるならばお聞きしたいのですか、何も対価を求めないということは、すなわち今は日米安保条約ですか、これに基いて自衛隊行動というものは、今飛鳥田君からいろいろお話があったように、アメリカ軍行動に対して協力するという建前をとっておるが、これが完全に払拭されて、完全独立軍隊としてやり得るということだろうと思いますが、こういう御判断をなされる根拠はどこにあるか。どういう根拠からそういうことを仰せられるのか。正式にアメリカの方からそういう工合に意思表示があったのか。とにかくあなた方は、日本の国は一人立ちができるような防衛努力さえすれば、あとはわれわれは無条件で引き揚げる、日本自衛隊はもちろん日本の自由意思である、こういうことの言質を得ておるのか。おそらくそういうことはないのではないか。無条件で対価を求めずに撤退をするであろうと仰せられるその根拠、理由はいずこにあるか、はっきりしていただきたい。
  39. 船田中

    船田国務大臣 ただいま御質問のことは、安保条約の規定の中にそのことかはっきりうたってあるのでありまして、米軍駐留ということはもちろん、日本防衛力がない今日の現状に対する暫定措置でありますから、日本防衛力が整備されますれば米軍撤退する。これは安保条約の趣旨がそういうことになっておるのであります。
  40. 西村力弥

    西村(力)委員 安保条約ではそうなっておるということですが、撤退した暁に、日本の自衛の性格というものは全然変らない、今までのままの安保条約で拘束される状態であるということでございますか。そうすれば私はその対価を求めずに撤退をするだろうということは考えられない。あくまでもやはり日本自衛隊というものは、現在の性格そのままの形において存続せられる、米軍撤退してもそのまま存続せられる、そしてそういう存続せられるということは、何らかの方法ではっきりと厳重なる監視、拘束のもとに置かれる、こういうことになることを考えて今の御答弁を求めておるのです。そうすると対価を求めないというのは、完全自立の軍隊日本だけの軍隊ということにはならない状態のままあるのだということになるのでありまして、そうだとすれば対価を求めずに引き揚げるというようなことではない、重大なる対価、このまま強い拘束を二重に残してそうして帰る、それほど重大なる対価はないではないか。金銭によって三千億円なら三千億円というような、こういう要求以上にそれは大きい対価、代償であると思うのでありますが、その通りでありますかどうか、お答え願いたい。
  41. 船田中

    船田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、米軍撤退の時期ということにつきましては、ここにはっきり予想を申し上げることはできませんが、今西村委員の御指摘になりましたように、日本防衛体制が完全に整備されて、そして日米両国の間において米軍撤退の合意が成立した、こういう場合においてはもちろん安保条約、行政協定というものは改訂になる、あるいは廃止されまして、日本軍隊というものはりっぱな日本独自の軍隊になるわけであります。従いまして、そのときにいわゆる集団安全保障体制でいかなる条約を結ぶか、あるいは国連の傘下においてどういうようなことをするかということは、もちろんそのときにおいて日本が自主的にきむべき問題であると存じます。ですからその場合においてはもちろん自主性をもって交渉のできることでありますから、何ら米軍あるいはアメリカの制肘のもとに拘束を受けるというような状態ではない、かように考えます。またそういうことの早く来ることを私どもは期待いたして、努力を続けておるわけでございます。
  42. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう期待はこれは望ましいことでございましょうけれども、実際にそういうほんとうにある程度防衛力ができて、あと日本の独自の立場で交渉して、そして何らその後の日本防衛力というものに対する拘束を受けずに、さあ帰って下さいといって、向うが了承して帰るなんということは、これはだれも本気にはしないことであろうと思うのです。それを本気にさせるには、もっともっと大きな形の国民的な運動というものがこれを決定づけるのであって、今のような方法でもってそういう安易な考え方を成就し得られるなどということは、とうてい私たち考えられないところなのでございます。それは幾ら繰り返しても何でございましょうが、私たち思うには、やっぱり日本自衛隊ができて、アメリカさんも長く日本におってもしょうがないということになって帰るという段階では、日本自衛隊は、やっぱりあくまでもアメリカの世界政策の一環としての拘束力をがっちりと置いて、それからでないと行かないであろう。それに対処する日本の国策というものは、やっぱり立てられなければならないのだ。こういうことをはっきり、保守党のあなた方であろうと、革新政党のわれわれであろうと、真剣に考えていかなければならない。独立に向って、むしろ独立以上の拘束をわれわれが受けていく危険性が多分にあり得るだろうと思うのです。その点を私は、言いたいのであります。  あとこまかい点についてはいろいろお聞きしたい点がありますけれども、私内閣委員会に今回初めて参りましたので、一つ御苦労でも防衛庁の方に資料の提出をお願い申し上げたいと思うわけでございます。その一つは、現在日本の国にある自衛隊——海上自衛隊、航空関係のもの全部を含めて、その演習場、基地というものは全国的にどういう工合に配置されて、どういう工合に人員が配分されておるか、こういう資料が一つ。それから今年度の拡張予定——青森に混成団の本部が置かれると書いてありますが、それとともに、青森だけではないので、そのほか各方面に予定される新規の計画がおありだろうと思う。それを全部提出していただきたい。それから現在の自衛隊の教育計画、これを教育計画の基本目標——昔でいうと何とか典範とか、何とか操典とか、ああいうような基本目標から、具体的にどういう施設で、どういう機構で教育が現在進められておるか、この点が日本自衛隊がほんとうに日本人の誇りにかけた日本防衛力になるかどうかという重要なる意味を持つものであろうと思う。それでその教育計画の全般についての資料を一ついただきたい。以上二点の資料を要求いたします。  それからその次にお聞きしたいのは、調達業務を防衛庁に移管することが、今回の防衛庁設置法の一部改正に出ておりますが、この調達関係は、直接調達、あるいは調達庁を経由しての調達、防衛庁を通しての調達、そういうような工合にあるだろうと思うのでございますが、私たち考えますに、前のあやまった大東ア戦争の場合における日本軍の直接参調達、ああいうようなことを考えた場合に、あるいはその他占領当初のアメリカ軍の調達状況、そういうところを考えた場合において、直接調達ということは相当問題を起すのではないだろうかということを考えられるわけなんであります。現在の調達庁の調達にしても、国民の権利を侵害するという抵抗にあってなかなか困難でありますけれども、防衛庁が調達を行う段階になって、どういう変貌を来たすであろうかということに非常な懸念を持つ者であります。一つ防衛庁の事務というものは、米軍の調達業務に営々として奉仕するというような工合になって、自衛隊の、あるいは防衛庁の任務に性格的な変化を来たすのではないだろうかということ。それからこの調達を受ける日本国民が権利を守るという立場においてあるおそれを感ずるのではないだろうか。日本国民はまだまだ昔の事大主義的な、あるいは権力に対する恐怖、そういうものが大きく残っておる。そういう場合において、調達庁の役人ですとまださほどでもないけれども、防衛庁という、軍隊というバックを持つそれがやることによって、国民の権利を守ろうとする気持に対するある精神的なというか、一つの違った相当の圧迫感を与えるのではないだろうかと思う。そういう調達業務全般が今政府において変えられて、防衛庁に移ろうとして法案が固まっておるようでありますが、今私が申し上げた懸念とそれに対する検討、そういう点はどのようになされて参りましたか。それを一つ長官からでも、あるいは直接担当された方からでもお聞かせ願いたいと思います。
  43. 船田中

    船田国務大臣 方針についてのことを私から答弁申し上げましてあと詳細なことは政府委員から御説明申し上げることにいたしたいと思います。  今回の改正法案におきまして、調達事務を自衛隊の方で扱いますのはごく小部分でありまして、調達庁の仕事全部を、自衛隊あるいは防衛庁の方で引き受けるというような考えは毛頭持っておりません。ただいま西村委員の仰せられたように、米軍に対する労務の提供というような、現在の調達事務と自衛隊の業務というものはせつ然と区別して参りたい。ただ特殊のものにつきまして、この法案にありますように、ごく一小部分の調達関係の仕事だけを、今回防衛庁関係において引き受けるというだけのことであります。
  44. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいま長官から概略御説明がありましたように、今回の防衛庁設置法の一部を改正する法律の中で一つの改正を行なったのであります。その趣旨はアメリカ軍の調達を全部引き受けるのではございませんで、この中で防衛庁に非常に密接な関係がございますところの軍事顧問団関係につきまして、その不動産、備品、需品、役務、ただし労務関係を除きまして、これらの調達、提供に関する業務を行う、こういうことになっております。具体的に申し上げますと、実は現在浜松におきましてアメリカ軍の移動訓練隊の教育をやっております。これらの先生の宿舎につきましては、実はさきに安全保障諸費におきまして、過去の年度におきまして防衛庁の建てました隊舎を宿舎に提供いたしております。この関係は実は現在の設置法から申しましても、防衛庁の先生をとめるという関係で、法律的にも解釈がつくと思いますが、事を合理的に筋道を立てる場合におきましては、やはりこれを設置法の上におきましてはっきりさせた方が筋である。こういう関係で今日そんな意味をもちまして設置法を改正いたすことでありまして、直接外部に対しまして調達庁がやっておりますことには、大きな関係はないのであります。
  45. 西村力弥

    西村(力)委員 軍事顧問団の住宅とか何かだけに限らない、そういう趣旨であるようでございますが、それ以外には絶対に今後も防衛庁の調達業務として拡大しない、これをはっきり明言できますか、それが一点。  次は軍事顧問団というものは自衛隊の先生であるから防衛庁でやるんだということは、これは筋であるということになるのですが、しかし軍事顧問団というのは自衛隊の先生としてきているのか、これはアメリカ駐留軍の一員としてきているものであるかどうかということが、相当問題じゃないかと思う。自衛隊の先生とすれば、たとえば外人教授を昔学校で雇っても、それはやはりその学校の先生だ。ところが軍事顧問団というものは、そういう工合に自衛隊の教官としての所属が明確であるはずはない。あくまでもこれは駐留米軍の一員という工合に考えなければならぬ。単に先生と生徒だから、先生の家を建てるのだ、という工合に簡単に割り切っていくということは間違いじゃないか、こういうことも考えられる。その二点について御答弁願いたい。
  46. 北島武雄

    ○北島政府委員 将来調達事務を拡大していくのではないかというお話でありますが、調達庁と防衛庁に現在分れておりまして、それぞれ権限がございますが、将来調達庁を防衛庁に統合するというような議論もあるようでございますが、そういうことになりましたならば別でございます。現状におきましては、これ以上に事務の拡大になることはないものと私は考えます。  それから軍事顧問団員の身分、資格でございますが、これは日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第七条におきまして、身分がはっきりしております。第七条によりますれば、「日本政府は、アメリカ合衆国政府の職員で、この協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を日本国の領域において遂行し、且つ、この協定に基いてアメリカ合衆国政府が供与する援助の進ちよく状況を観察する便宜を与えられるものを接受することに同意する。」こういうふうに、相互防衛援助協定によりまして、身分がはっきりしておるわけであります。
  47. 西村力弥

    西村(力)委員 身分ははっきりしているのだから、そういうことを単に防衛庁が御都合がいいからといってやるということは、行政のあり方としては乱れてくるのではないか。身分の違うものは、やはり一括した方法においてやっていくことが正しいのではないか、こういう見解を私は持っておるわけなんです。そういうこととともに、現在においては、調達事務をこれ以上に拡大しないというようなこと、これは今事務当局のお話でございますが、大臣もはっきりそのように言われておる。しかし米軍の施設提供その他について、調達庁の仕事がもうなくなった、というようなことで調達庁が吸収される形になるならともかく、現在のように土地提供その他の業務が残ったままにおいて、防衛庁に接収するということは実際にやらない、こういうような方針大臣としては持っていないかどうか。これは大臣から一つお聞かせ願いたい。
  48. 船田中

    船田国務大臣 ただいま西村委員のお話の通りに、現在といたしまして私の力では、調達庁の仕事を引き受けるというような考えは持っておりません。ただ先ほど御説明申し上げましたように、便宜上顧問団関係の一部の仕事だけを、今回の法律改正案におきまして引き受けることにいたしておるだけでございます。
  49. 西村力弥

    西村(力)委員 一部だけということでございますが、法文でその通りに読めるという事務当局の見解を問いたい。今回の改正法文で、そういう仕事は顧問団の施設提供の一部だけをやるのだということが、この改正法案のどこから読めるか。
  50. 北島武雄

    ○北島政府委員 これは防衛庁設置法の一部を改正する法律案をごらんいただけば、たちどころに御了解願えるかと存じます。「防衛庁は、当分の間、第四条の任務のほか、調達庁設置法第三条第四号の規定にかかわらず、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定附属書G第二項の規定によりアメリカ合衆国政府の使用に供せられる」云々、これは軍事顧問団関係であります。その中で用具提供において「不動産、備品、需品及び役務の調達、提供及び管理」こういうことになっておりますので、御了解願えることと思います。
  51. 西村力弥

    西村(力)委員 もっと研究してこれからまた質問に応じていただきたい。  本日はこれで一応終っておきます。
  52. 山本粂吉

    山本委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会