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1956-02-09 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月九日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 山本 粂吉君    理事 高橋  等君 理事 保科善四郎君    理事 受田 新吉君 理事 下川儀太郎君       大坪 保雄君    大村 清一君       小金 義照君    薄田 美朝君       田村  元君    辻  政信君       床次 徳二君    林  唯義君       福井 順一君    古川 丈吉君       眞崎 勝次君    宮澤 胤勇君       栗山  博君    横井 太郎君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       石橋 政嗣君    稻村 隆一君       片島  港君    西村 力弥君       細田 綱吉君    森 三樹二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         内閣官房長官 田中 榮一君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      眞子 傳次君         人事院総裁   淺井  清君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   大山  正君         専  門  員 安倍 三郎君 二月八日  委員眞崎勝次辞任につき、その補欠として楢  橋渡君が議長の指名で委員に選任された。 同月九日  委員北れい吉君及び楢橋渡辞任につき、その補  欠として古川丈吉君及び眞崎勝次君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  調達庁に関する件  自衛隊に関する件  公務員給与に関する件
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  昨日提出の石橋君の動議を議題といたします。討論の通告がありますからこれを許します。保科君。
  3. 保科善四郎

    保科委員 私は自由民主党を代表いたしまして、昨日の板付飛行基地移転に関する石橋君の動議に対しまして反対討論をいたすものであります。  この飛行基地は、御承知のごとく、日米安全保障条約によりまして、日本防衛の重要なる任務を遂行しておる場所でございます。従って直ちにこれを内閣委員会決議といたすことは適当でないと考えるのでございます。  何となればこれは関係各部、特に実際にこれを使用して防衛任務を遂行している米軍との十分なる折衝も必要であります。またその代換地等に対しても十分なる見込みをつけてそうしてこの問題を扱うべき性質のものと考えるのであります。従ってこれを動議として直ちに決定することなく、十分に委員長より政府善処方要望すべきものと考えるのであります。すなわちこの報告了承するということにいたしまして、委員長から政府に対し着処方要望されんことを希望いたしまして私の反対討論を終ります。(拍手
  4. 山本粂吉

  5. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この決議案賛成討論を行うものであります。  去る一月十一日から十五日にわたる五日間の現地調査の結果に対する御報告自民党眞崎勝次同僚委員から詳細に述べられたのであります。この詳細な御報告を、きのう本委員会においてお聞きになった少くとも日本人としての国会議員であるならば、私はあの内容に対してだれ一人反対できるものではなかろうと思うのであります。私は派遣団員として現地に参りましてつぶさに実情調査いたしました。現地における市長以下全官公庁の代表者、あらゆる団体の代表者、そうしてまた市民、あるいは学校関係、その他五十四万市民のあらゆる階層の代表者市会議場にあふれまして、それぞれの立場から非常な熱意のある反対意見が、述べられたのであります。これを聞きまして私どもは、もちろん社会党といたしましては基地の設定それ自身反対ではありますけれども、今回の調査といたしましては、内閣委員会から、移転の申請に対する調査でありますから、移転ということだけに限っていろいろな調査をしたのでありますが、これはまことに言語に絶するものがあるのであります。しかも福岡市民基地反対して、この基地日本からなくせというならば、あるいは自民党諸君日米安保条約その他に日をかりておっしゃることもわからぬではございませんけれども、これは移転でありまて、あの五十四万市民のまっただ中にある基地を適当な他の地区へ移転してもらいたい。それもかえ地があるなしにかかわらずわれわれは絶対にというのではなくて、適当なかえ地を探して、しかもそのかえ地に移転をしてもらいたい、こういうのであります。従いまして私どもは、今保科委員がおっしゃったように、日米安保条約に対する違反でもなければ、またあの四十三航空師団日本防衛するということをいっておりますが、私に言わせると、あれは決して日本防衛のためではありません。はっきり言うが私はアメリカの第一線空軍基地と思っている。しかし百歩譲って、いわゆる四十三師団日本防衛するということにいたしましても、移転でありますから、移転するまではあの地におることを決して福岡市民反対しているのではありませんから、何ら防空上に支障のある点はないのであります。しかも、昨品もちょっと触れましたが、私ども現地師団長に会って、師団長の意をよく聞いたところが、師団長福岡市民反対の中であの基地におることは、決して防空を完全に行うゆえんではない。全市民反対の中では、一たん事あった場合には防空を担当する司令官として、とうてい完全な防空責任は負えぬということをおっしゃっておる。そうして、自分たちとしてもほかに適当なかえ地があれば移転してもよろしいし、さらに移転することを上司に上中いたしましてそうして皆さん方の御意向に私どもは決して追随するのにやぶさかでない、こういうことを言っておる。どんな観点から考えましても、私はこの決議案反対する理由がないと思うのであります。特に私が指摘したいのは、これは内閣委員会から配付されました基地問題に関する資料でございますが、米駐留軍は都市の周辺から撤退するとの外務省発表がちゃんと出ておる。その中で、その使命の遂行に支障なき限り、原則として陛軍び空軍都会地外に撤退するという話し合いができております。さらにまたきのうの委員会において自民党福井委員はこうおつしゃっておる。以上述べましたように、福岡の地元といたしましては、何としても今までの甚大なる損害に対する補償、防音施設というものをすみやかに徹底してもらうことは言うをまたないことでありますけれども、もう一つ抜本塞源的に、とにかくこの航空基地を可及的すみやかに移転してもらいたいという要望でありますから、重ねて私が要望いたしますことは、本委員会といたしましては、可及的すみやかに移転すべしという議決をしてもらいたいということであります。」こういうふうに自民党福井委員ですらおっしゃっておる。こういったことからいたしまして私どもとして、この際今すぐにここで目もかさずに移転しろというならば別でありますが、決議案文にもありますように、私どもといたしましてはまとに譲歩を重ねた決議でありまして、政府に対しては決して無理を言っているとは思いません。従いまして私はどのような観点から考えましても、これはすみやかに移転すべき諸般の情勢を政府責任をもって整えて、そうして五十四万福岡市民のあの血の出るような要望に対してこたえることが至当であると思うのであります。特に私は一言つけ加えたいのは、私どもは決して個人で調査に行ったのではございません。昨年の暮れ、福岡市よりの移転に対する調査方を上申してやつた。そのことを内閣委員会がとらえて正式に調査方を決定したというのは、何らかの結論を出して委員会責任においてこれを解決する努力をするという意志があったからだと思うのであります。その内閣委員会の意思によって行動した調査団が、しかも調査の結果全員一致決定した結論であります。特に福岡市において私どもの五日間における調査に対して、福岡市民のすべてがこういうことを言っておる。われわれは今までたくさんの国会からの調査団を迎えたが、もちろん今までの調査団がふまじめであり、仕事を遂行しないとは言わないけれども、今回の基地調査団ほど真剣に、しかもまじめにあらゆる観点から市民要望にこたえるような調査をして下さったことは初めてである。われわれは本調査団に全市民をあげて満腔の敬意と謝意を表するという新聞発表すらしておるのであります。このような真剣にしてまじめな、しかも徹底した調査の結果生れました全会一致結論に対して、本委員会が何の理由があってか——私は保科委員自民党を代表して言われたあの反対理由は何ら了解することができないのであります。かような意味において自民党諸君も、この全福岡市民の、しかも福岡市議会から自民党の全市議団一同決議案決定要望の電報を受けております。また同日調査団と一緒に懇談会に列席された自民党の某代議士は、私もこの問題については全面的に移転賛成であるという意見を述べていらっしやる。このようにどの観点から見ましても、私は本決議案がこの委員会において満場一致決定されることはありえても、反対される理由はどこにもないと思うのであります。いろいろ申し上げれば数限りなくございますが、かような意味において、私はいま一度自民党諸君も考え直して、全員一致賛成されることが至当であると思うのであります。  以上を述べまして社会党を代表して本決議案に対する賛成討論といたします。(拍手
  6. 山本粂吉

    山本委員長 これにて討論は終りました。これより採決いたします。石橋君の動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 山本粂吉

    山本委員長 起立少数。よって動議は否決されました。
  8. 福井順一

    福井(順)委員 全国の基地問題は現下日本の最も重要な問題の一つであります。従いまして福岡の板付基地問題もまことにこれは重要な問題でありまして、この問題につきましては慎重にやらなければならない、私はこう考えるものであります。この航空基地日本防衛のために果している役割というものはまことに重大なものであります。またこの航空基地があるために地方の財政に神益しているところもまことに大きいものがある。またもう一つ考えなければならないところは、条約上の義務を果して国際信義を守らなければならないということも考えなければならないことは、こういうことも私ども現地調査に参りましたときに、司令官からもつぶさにその報告意見の開陳があったのでありますが、それにも増して、何といたしましてもこの福岡市というものは、五十四万市民を擁するところの商工業一大中心地帯であり、また文教の府であります。従いましてこれら航空基地によるところの損害というものは、まことに甚大なるものがあるのでありますから、こういうこともよく委員長は勘案されまして、非常に慎重なる態度でもって事を決しなければならない、私はこう思うのであります。幸いにも司令官も、適当なかえ地があれば移転をしてもいいということも言っておるのでありますから、委員長といたしましても、かえ地があれば移転をするという決議をするくらいのお気持で、政府に対しましても強硬にこれが善処方要望していただきたいということを希望いたします。
  9. 山本粂吉

    山本委員長 福井君の発言はこれを了承いたしました。委員長政府に向って強くこれを要望いたすようお取り計らいいたします。
  10. 山本粂吉

    山本委員長 次に公務員給与及び公務員制度につき受田委員より発言を求められておりますので、これを許します。受田君。
  11. 受田新吉

    受田委員 公務員制度及び公務員給与に関しては、すでに政府内部において種々検討を加えて、進展の傾向にあるようでありますが、ここで年も改まったことだし、政府自身行政機構改革案について相当雄大な構想のほとばしりも拝見しておりますので、一応最近における関係の諸点について御答弁をいただきたいと思います。  最初に、官房長官が来られる前に、副長官おいでのようでありますし、なお淺井人事院総裁がおりますので、お二人で間に合う点についてお尋ねしたいと思います。  内閣法規定してあるところの総理大臣と、総理大臣の欠けたときあるいは総理大臣事故があるときに、臨時に総理大臣職務を執行する副総理なるものとの関係についてお尋ねしたいと思うのであります。  内閣法の第九条には、今私が指摘した点が掲げてあるのでありますが、内閣においては、現にだれをもってこの第九条に掲げられたる規定適用者と定められておるのか御答弁を願いたいと思います。
  12. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまは第九条の規定に基きまして、あらかじめ総理大臣から重光外務大臣内閣総理大臣代理として指定してございます。
  13. 受田新吉

    受田委員 重光外務大臣が副総理であるという御答弁でありますが、副総理総理大臣事故があるときあるいは欠けたときその職務を行うというこの規定に忠実なる立場に置かれておるのかどうか。ことにことしの初め鳩山総理は、予算の審議の最後段階において、閣議決定を急がなければならぬという段階において、川奈温泉の方で御静養中、副総理である重光さんが総理にかわった立場で、主として閣議責任者となって、その取りまとめに尽力せられておるのかどうか。事実上総理川奈温泉ホテルで御静養中でありますから、これは事故あるものと認めなければならない。その際における閣議主宰者としての副総理地位いかようにあったかを御答弁願いたいのであります。
  14. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 総理大臣川奈におきまして病気静養されておりましたときのことにつきましては、先般の予算委員会におきまして、総理大臣自身からお話がございましたので、この点は私からお答えを省略した方がよいと存じます。なお総理大臣が病気その他の事由によりまして閣議欠席の場合におきましては、便宜副総理でありまする、内閣総理大臣代理でありまする重光外務大臣が事実上閣議を主宰されております。
  15. 受田新吉

    受田委員 閣議を主宰されておるという確実なる情報を今初めて田中さんからお聞き取りしたわけでありますが、われわれが新聞記事その他でその閣議の模様をうかがうところによると、副総理の夜光さんの存在は全く影を没して、新たなる人物が副総理の格にのし上って、閣議の空気を左右しておるということを伺っておるのであります。これは予算折衝においても、大蔵大臣との予算ぶんどり交渉などに、河野農林大臣のごときは勇敢に飛び込んで、その目的を達成して、その後においては、今度は大蔵大臣との間の連絡調整係として御活躍になっておるというようなことを見ますと、予算折衝においても、副総理格仕事はむしろ河町農林大臣であるということを、新聞記事その他の印象でははっきりこれを受け取れるのでありますが、重光外務大臣みずからが副総理としてその間のあっせんの労をとったということを私は何っておりませんが、そういう問題はいかがでございますか。
  16. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまのお話はどういう意味かよくわからないのでありますが、河野農林大臣は、御承知のように、党との連絡閣僚になっておりまして、予算その他一切のことにつきましては、内閣と党との連絡のためには、河野農林大臣初め他の二、三の閣僚がこれに当っておりますので、さような意味におきまして新聞河野農林大臣の名前がしばしば出るわけでありまして法規上のいわゆる総理大臣代理は、あくまで重光外務大臣になっております。
  17. 受田新吉

    受田委員 日ソ交渉におきましても、外務大臣を乗り越えて河野外務大臣とおぼしき者が総理と直接折衝されて、外務大臣総理大臣との話し合いでは一応の結論が出たごとく印象されたものが、翌日は重光外務大臣が存知しないような結果を新たなる人物が現われて取りきめておる。こういうようなことは外交上においても、副総理地位にどこにあるかという印象国民に与えておるのです。この点内閣法に指定してあるところの第九条の規定は、事実上現内閣においては、重光総理なるものは、外交上においても内政上においても、副総理としての働きをしていない、こういう結論が出ると思うのでありますが、こういう点は、ただ単に事務連絡総理にかわって、閣議の席上においての取りまとめ重光さんがしているというようなことではなくして、実質上、内閣責任者としての副総理働きができていないという印象を与えているのですが、この印象は間違いであるかどうかを御答弁いただきたたい。
  18. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 私ども新聞に報導されたことをそのまま事実としてとるわけにはいかないのでありまして、やはり法規上の点から申しますと、あくまで重光外務大臣がいわゆる内閣総理大臣代理として内閣の公式の一切の事柄取りまとめる、こういうふうにしか申し上げることはないと考えて  おります。
  19. 受田新吉

    受田委員 吉田内閣のときは、今は故人となられた人格者緒方総理が、常に吉田総理を助けて、衆議院における本会議及び委員会答弁等においても副総理としての発言を堂々としておられました。ところが鳩山内閣において副総理としての重光外相の御答弁を私は残念ながらまだお聞きしておりません。この点におきましては、重光総理吉田内閣における緒方総理のような形式、実質ともりつぱな総理としての資格が与えられていないという印象国会議員のみならず国民一般に与えておるのであって内閣法第九条違反であると思うのであります。この点におきまして、少くとも政治的な責任者として内閣総理大臣事故あるときにおける副総理地位がはっきりと確保されるような措置をおとりになる必要があると思うのでありますが、内閣事務の整理をなさる官房といたしまして、いかなる御見解を持っておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
  20. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいままで重光外務大臣は、内閣総理大臣代理といたしまして内閣の全体をまとめるような事柄につきましては、きわめて有力に働いておられます。ただそれが外部に十分に出ていないというだけでありまして、私ども内閣法第九条のこの規定は明確に順守されておるもの、またそういう線に沿うて内閣運営されておるものと確信をいたしております。
  21. 受田新吉

    受田委員 確信をしておられるということでひそかなる御満足のようでありますが、これはすでにあらゆる国会議員を通じ、保守の方も同感でありますし、国民一般重光総理存在は無視されていることを確認しておるのです。これはもうさおさすことのできない大勢なんです。そういう立場内閣内部では内閣法第九条に規定する規定を無視した行動がとられておるという点において、これは重大な問題だと思うのでありますが、少くとも内閣法にはっきりと規定してあるこの規定を十分尊重する措置をとられることを一応要望いたしておきまして官房長官が来られてから、あらためてさらに鋭く追及することにしたいと思うのです。  次は、人事院総裁にも関連御答弁をいただきたいことなんですが、現内閣行政機構改革を徹底的に推し進めたいという意欲を持っておられることは、われわれよく承知しております。ところが昭和二十九年の三月でしたか、政府閣議決定事項として公務員制度調査会なるものを設けられ、その答申を待って改革を推し進めようという意図のもとに、昨年の十月その一応の結論答申案としてお受け取りになっておられると思います。その答申案に基いて、内閣公務員制度調査室なるものが十一月の初めごろでしたか、できたと思うのでありますが、この内閣調査室なるものは、重大な行政機構取りまとめをする、公務員制度の問題を処理する大事な仕事であるにかかわらず、なぜ一政令をもって単なる調査室のごときものでこれを出発せしめようとせられたのか、あまりにも公務員制度調査軽視的傾向があると思うのであるが、御所見を伺いたいと思うのであります。
  22. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 国家公務員法の改正その他公務員制度全般的な改革が必要であるというような声もございますので、政府といたしましては、お説のように、昭和二十九年三月に一応公務員制度調査会なるものを閣議決定に基く事実上の調査といたしまして設置いたしました。自来数十回の合合を重ねまして、ようやく昨年の十月に一応公務員制度改革に関する基本的な答申ができ上ったのであります。そこでこの答申につきましては、まだ若干十分に検討を要すべき点もございますので、政府といたしましては、昨年の十一月一日に、お話のように、政令根拠に基きまして公務員制度調査室を設けたのでございます。そこでかような重大なものをなぜ法律に基かずに政令でやったかという御質問でございます。ごもっともな点でございますが、政府といたしましては、早急にこれを実施する必要があり、もちろん法律根拠に基いて置くのもけっこうでございますが、要はこの公務員制度調査室の構成並びに運営でございます。またこれに充当さるべき人の問題、こういう点がきわめて重要な問題でございますので、法律としなくとも政令根拠に基く公務員制度調査室を作り、これが運営を適正にすることによって十分に効果を上げることができるであろう、こういう観点から、一応政令根拠に基きまして公務員制度調査室を設けたのであります。この公務員制度調査室は、三十一年度の予算にも人員の拡充を要求いたしておりますように、今後相当拡充強化いたしまして、この公務員制度改革というのは、公務員百数十万の大きな問題でございますし、政府といたしましても、今後の行政事務能率を上げる上においても重大な問題であり、かつきわめて重要な施策の一つと考えておりますので、今後この公務員制度調査室を拡充いたしまして公務員制度調査室におきまして、昨年の十月に公務員制度調査会から答申をされました答申内容を、具体的に十分に検討いたしまして、そうして確信を得次第、これを逐次法文化するような準備を着々進めております。しかし公務員制度の全般にわたる非常に広範な問題でありますので、残念ながらこれを早急に立案することは非常に困難でございまして、ただいまいろいろと資料を集め、また調査をいたしまして、これが法案の作成準備に取りかかっておるような次第でございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 政府は、公務員制度調査会答申をもとにしてのみ制度改革を行わんとしておられるように見受けられるのでありますが、公務員制度及び公務員給与等国家公務員に関しては、人事院なるものが政府機関として独立してある。この機関存在はあたかも忘れ去られたかのごとき御発言でありますが、人事院存在については公務員制度調査会答申とあわせてどのような御所見を持っておいでになりますか、御答弁をいただきたい。
  24. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいま私が申し上げました調査検討を加えておるという場合におきましては、人事院はもちろんのこと、関係各省、それから特に現業等を持っておられる官庁意見等も十分に取り入れまして、現に公務員制度調査会には人事院の有力なる職員の方が入っておりますから、等甲案を作る場合におきましても十分に意見を開きまして、その上で作くられておるわけであります。  それからなお、今後これを法律案として立案をする過程におきましても、人事院はもちろんのこと、関係官庁意見をさらに聴取いたしまして、なるべく実情に即したような制度改革をやりたい、かように考えておりますので、非常に慎重な態度でやっておるわけであります。
  25. 受田新吉

    受田委員 人事院をある程度尊重されているということは、公務員制度調査室長人事院任用局長を迎えられたという点で一応私は了承をするのでありますが、しかしここに問題があるのけ、人事院という機関は、いずれの政党の内閣であろうと、常に公正な立場公務員制度給与規定しようという筋の逝った機関です。国家公務員法に基くこの人事院なる機関が、今度公務員制度調査会答申あるいは政府部内の意向等を通じては軽視される傾向にあることは、副長官も十分御了承になっておられると思うが、漸次人事院の権限をもぎ取って、あるいは内閣に人事局なるものを設けて、新しい構想を進めようというような意向もあるようでありますが、人事院を現在の機構より漸次権限を縮小するという方向にあることは、間違いない政府意向と了解してよろしゅうございますか。
  26. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 政府といたしましては、特に人事院を軽視するとかいうような意向はないのでありますが、ただいろいろの行政改革全般から考えまして、現在の人事院のあり方について再検討したらどうか、この形のままでいいのであるかどうか、あるいはこれをもう少し改革したらどうであろうかというようなことは、現在論議されております。従いましてすでに答申案は——ごらんのことと存じておりますが、公務員制度調査会答申案の末尾には、やはり人事院改革について若干意見が盛られております。  それからなお現在行政審議会におきましても、政府全体の行政機構改革を今目途にいたしましていろいろ検討を加えております。これは大きな立場において行政機構を鋭く批判いたしまして、相当大きな行政機構改革をいたしたい、こういう見地から全体の行政機構改革を取り上げております。その中にもやはり人事院のあり方についていかにすべきであるかということは当然出てくるのでありまして、この点につきましては今後行政審議会の答申がどういうふうになりますか、そういう点も答申を待った上でなければはっきりした政府態度はきまらぬと考えております。
  27. 受田新吉

    受田委員 政府が意図する人事院改革については、改革ということになれば改めてよくされるという考え方でわれわれは解釈をしていたのでありますが、人事院制度を縮小するという形に改められるという意向がこの答申業を見ても見られるし、また政府人事院廃止とかあるいは骨抜きの制度を残して内閣に人事局を置くというような発言をしばしばされておる。こういうことになれば、少くとも人事院の機構は縮小される傾向に持って行こうという意図があると了承してよろしいのでございますか。
  28. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 問題は公務員給与その他非常に重要な問題でありますので、単に人事院を縮小するというのではなくして、公務員制度の能率増進のための改革並びに給与に関する待遇改善という点は、これはひとり人事院だけではなくして政府部内の機構といたしましても、当然取り上げなくてはならぬ問題でありますので、人事院を廃止するのではなくしてそれにかわるべき機構を政府部内においても持つ、そうすれば人事院が現在の形でなくとも縮小してもよろしい、こういう考え方であります。単に人事院だけを廃止してしまったらよろしいという考えではないのでありましてやはりそれにかわるべき機構を政府部内に持って、より能率的な公務員の活動を期待する、こういう見地からただいま検討されている次第でございます。
  29. 受田新吉

    受田委員 人事院にかわる機構を政府部内に持って、そしてなお人事院をそのまま残すということははなはだ変な話なので、人事院にかわる機関政府部内に新たにできるならば、人事院が骨抜きにされることは当たりまえの話なのです。この点、屋上屋を重ねる機関をお作りになる意図か、あるいは人事院を骨抜きにしてこれにかわる機関政府部内に作る意図か、そのいずれかでなければならないと思うのでありますが、二つの機関を並立するような行政機関の複雑化をはかるとは、私は解し得ない。要するに私の後者の見解に一応御賛成いただけますかどうですか。
  30. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 冒頭に申し上げましたごとくに、人事院の今後の取り扱い方につきましては、政府としてまだ正式に決定はいたしておりませんので、私からその結論を申し上げることはできません。ただ現在の人事院につきましては、改革した方がよいという意見が大体の世論のようでございます。これを縮小して存続するということは、単に今までの沿革があるからこれを存続するのだというのではなくしてやはり存続する以上は、その機構としての十分な働き政府としては期待しているわけであります。もし人事院が縮小した形において存続されるとすれば、人事院としての任務を十分に果し得るようなことにおいて、存続されるのであろうと思います。また廃止されるとするならば、当然これにかわるべきものを政府としては考えなければならぬと考えている次第であります。従いまして、ただいまのとこるはっきりした結論をここで申し上げることばできませんので、この点はあしからず御了承願いたいと思います。
  31. 受田新吉

    受田委員 政府代表者としての田中さんの御所見で、人事院は廃止するかあるいは骨抜きの機構として存置するかという方向におもむきっつあるという印象を受けたことは、私だけではないと思います。その点は政府の意図がはっきりいたしましたので、ここで一つ淺井人事院総裁に御所見を伺いたい点が起りました。  それは、終戦後多難な国政の中で人事行政を担当してこられた淺井人事院総裁とされては、感無量なものがおありだと思うのでありますが、政府自身において今公務員制度調査会答申に基き、あるいは政府内部における改革論者たちの意見を総合すると、人事院を漸次機構縮小の方向へ持っていこうという意図が察知されるのです。しかしここに厳たる国家公務員法によって人質院を政府部内における独立機関としての価値づけがされている以上は、あくまでも人事院総裁としてはその仕事をお進めにならなければならないのですが、そのお進めになられる大事なお仕事の中に国家及び政府に対する勧告権があります。その勧告権の中で、すでに国家公務員退職年金法なるものの素案が勧告されております。また給与準則たるものが同様の立場に立たされておりますが、これらの勧告されたものがその後どのように政府部内で処理されておるかについて、人事院総裁としてはいかなる御見解を持っておられるか。勧告のしつぱなしということは人事院責任においてとるべきではないと思うのでありますが、これらすでに勧告済みの諸問題についてのその後の御所見をお伺い申し上げたいと思います。
  32. 淺井清

    ○淺井政府委員 受田さんにお答え申し上げますが、申すまでもなく人事院といたしましては、勧告いたしたものを実現いたしたいということは当然のことでございますが、ただいまお示しの退職年令法なりその他の問題につきましては、これを受けました内閣側におきまして、すべて公務員制度調査会に付議せられ、その答申が出ておるわけでございます。次いで、これをどう取り扱うかということを考慮中の現状のように考えておりますので、その占につきましては、どうぞ内閣当局の方に御質疑を願いたいと思います。
  33. 受田新吉

    受田委員 人事院総裁の御答弁で、内閣側に責任が転嫁されたわけでありますが、この国家公務員退職年金法の人事院勧告の処理、給与準則の処理等については、政府公務員制度調査会答申を持つというようななまぬるい問題ではなくて、すでに昭和二十八年にこの勧告がされておるので、三年になっておるわけでありますが、いかようにお考えになっておられるのか御答弁をいただきます。
  34. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 お話のように、昭和二十八年の一月十八日付をもちまして、人事院から国家公務員法第二十三条及び弟六十三条の規定に基いて、一般職の国家公務員給与準則を定める法律の案を内閣及び国会に提出せられたのであります。さらに同年の十一月十七日に国家公務員法第八条第四項及び第二十三条の規定に基いて、国家公務員の退職年金法の案その他恩給制度に関する研究の成果と意見を、内閣及び国会に提出せられたのであります。それを受けまして、政府側といたしましては、この給与準則並びに現在の恩給制度改革、これを退職年金制度に変更するということにつきましては、予算関係、財政の関係等もあり、またいろいろ他の恩給等の関係もございますので、この点につきましては慎重に検討を要すべきものと考えまして、この点をただいま申し上げました公務員制度調査会の方に、政府としてその検討方を諮問いたしまして、その諮問に基きまして、昨年の十月に調査会から答申が出ているわけでございます。従って政府といたしましては、この答申に基きまして、公務員制度調査が中心になりまして、各省並びに人事院とも十分に連絡を密にいたしまして結論を得たい、今こういう段取りになっておる次第であります。
  35. 受田新吉

    受田委員 公務員制度調査会答申を待たれたり、公務員制度照査室にそのあとの始末をさせられたりして、誠意を示しておられるという御答弁でありますが、今国をあげての問題としてとかく議論されていることに、恩給亡国論というようなこともあって、恩給法そのものに対する批判はすこぶる手きびしいものがあるのです。こういう際に、いわゆる恩典的な退職後の給与であった恩給法の精神を改めた、人事院が勧告した国家公務員の退職年金法なこは、前進のものであるとわれわれは思っている。この一前進したこの法案を取り扱うのについては、これは実情に即して、国民年金への発展としてわれわれは野党の立場からも考えておるわけですけれども政府としても、少くとも恩給法という古い印象を受けるようなかかる法案を逸脱して、新鮮の感覚を持つこの国民年金的な性格に発展している退職年金法のごときものを、何らかの形で急に取り上げるということは、これは国策の中心でもあらねばならぬと思うのでありますか、恩給法を改めて、こうした年金制度への切りかえということについては、政府としては十分御賛成をいただいておるのでありますか、御答弁いただきます。
  36. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 先ほど申し上げましたごとくに、非常に関係するところが広範であり、またいらいろ財政上の関係もあり、また従来の沿革もございますので、この点につきましては、政府としましても、まだ結論に達しておりません。今後十分に検討した上で措置しなければならぬと、こう考えております。
  37. 受田新吉

    受田委員 全くだらしない御答弁ですね。この大事な問題すらまだ全然結論が出ておらぬということでは重大な問題だと思うのです。少くとも恩給法というこの法律は、国民年金的な性格のものへ発展させる過程に世界の流れがあるということは、副長官も御承知であろうと思う。従ってそうした法律改正に対する政府の真摯な態度というものだけは、国民の期待にこたえねばならぬと思うので、恩給法をそのまま存置するか、あるいはこれを改革するか、まだその結論が出ないということでなくて、その方向に今進められておるという政府の方針くらいは、私はもうあっていいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。全然まだそういう方向さえも見定めない、波のうねりのまにまに流されておるのでありますか。
  38. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 お答えいたしますが、退職金制度というものは、われわれの考えでは、現存公務員制度調査会から答申された案につきましては、きわめて妥当なものとは考えております。ただ実際のいろいろの事情からして、これを直ちにこのまま採用できるかどうかということは非常な困難な点がございますので、この点は今後の研究に待たなければならないということだけを、一つ了承願いたいと思うのであります。
  39. 受田新吉

    受田委員 どうも、また日を改めて御質問申し上げたいと思いますが、大へん足りない御答弁でして、政府の信念というものも伺えないし、日本の国政を担当する内閣官房長官としては、もっとはっきりしたものがほしいと私は思うのです。まことに力ない御答弁で、私質問を続けることが非常に退屈になりましたので、(笑声)この問題を終りたいと思うのでありますが、一つ大事な問題でありますので、やはり行政管理庁の事務当局の方ではむずかしいからと思いますが、ここで一つだけ最後にお尋ねしておきたいことがあるのです。それは、国の行政上のいろいろな実態を常に観察して、その誤りなきを期する必要がある。そのために、総理府の外局に行政管理庁というお役所があります。このお役所は、その長官に国務大臣をもって当てるということになっておりますので、非常に重要な役所になっておるわけでありますが、行政管理庁の業務と、内閣の調調室がやっておるところの情報収集の業務と、あるいは公安調査庁がやっておる業務、あるいは情報を収集する機関としては、外務省の国際局のやっておる仕事というような、いらいろのものがあるわけです。こういうような情報を集めたり、あるいは業務の監察をしたりするというような機関が各省にばらばらに分れておるのでありますが、こういうものを、たとえば監察業務であるならば、会計検査院の決算に対する監察、あるいは各省の内部にそれぞれの部内観察機関がある、こういうようなものを、行政管理庁と一本にした大きな——単なる総理府の外局というような存在でなくて、もっと大きい立場で、会計検査院的な機関として、行政監察をする機関を置くとかいうような御意見はないのでございますか。実際に運営されて、そういうものがほしいなというようなお考えは持つておられませんか。
  40. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 行政管理庁と会計検査院の権能は非常に異なつておりまして、会計検査院は国家経費の経理の関係につきまして適法であるか不適法であるかということにつきまして、独立の立場におきまして検査をする機関でございます。それから行政管理庁は、もちろんそういった経理のことも含まれると思いますが、主として現在各省並びにその出先機関その他におきして行政の事務を取り扱っておりますが、この行政の運営について実質的に不適当なものがあるかどうか、あるいは決律違反の事実があるか、あるいはまた通牒違反の事実があるか、あるいは政府の施策に反したような点があるか、あるいは経理上非常な乱費の事実があるかどうか、こういつた主として行政の監査の点に重点を置いております。  それからまた情報収集の機関でございますが、なるほど内閣調査室にもあり、また公安調査庁にもあり、また外務省の情報文化部においてもやっておるのでありますが、その情報収集の目的がおのずから違っております。これらのものはそれぞれの立場におきまして、内閣調査室におきましては相当高度の情報を取り、また外国情報につきましては、外務省が現地機関からの報告等を徴しましてやる。それから公安調査庁におきましては、破防法の関係によるところの情報を収集するというように、それぞれ情報収集の目的等が若干異なっておりまして、そういう点からこれらの情報の機関があるわけでありますが、これらはいずれも必要なものでございますので、内閣調査室等におきまして、適当な方法によってこれを取りまとめて、国家としてこれを施策の上に十分に参考資料として利用しておる、こういう状況でございます。
  41. 受田新吉

    受田委員 それぞれみな必要であるからこういう役所ができておるのだ、一向取りまとめる必要がないのだという御意見でありますが、取りまとめるのは内閣で適当におっておるのだ——私が今言ったのは、会計検査院と行政管理庁を、本にせよという意味ではなくて、会計検査院のような機関に行政監察院というような形でもいいから、そういうような機関を、会計の方の検査とともに行政の監査をする国務大臣を置く。管理庁としては総理府の外局というようなものでなくて、もっと高い立場で別の機関として置くべきではないか。そうしなければただ単なる総理府の外局の長官から他の各省の大臣が監察されるということは、行政機関の指揮監督の立場からも非常にまずいところがあると思うのです。この点単なる総理府の一外局の行政管理庁長官が各省に対して勧告をしていったというようなことは変な話なんで、こういう点についても機関地位、権限というようなものを実際は調整できるように御工夫なさる必要がないか、こういうことを申し上げておるのです。
  42. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在の行政管理庁長官は国務大臣がやっております。これはもちろん内閣の外局であります。それから防衛庁も内閣の外局になっております。それから警察庁も、自治庁も内閣の外局であります。従いまして行政管理庁が防衛庁、自治庁、警察庁と、内閣内の一つ行政機構であることは同じ立場になっておりますので、いずれも権限は同等でございます。行政管理庁の、長官は国務大臣がやっておるのでありますから、決して他の諸官庁に対してひけ目を感ずるとか、そういうことはないわけであります。全部権限は同等でございますから、これは当然他の省を十分なる見識をもつて監督監査ができるわけであります。
  43. 受田新吉

    受田委員 総理府の一外局が他の省と同等などとおっしゃることは、これは行政法の建前をよく御承知ないものであって、たまたまこの長が国務大臣であるからというので、国務大臣としての立場発言ならば私は了承しますが、行政管理庁長官なるものは総理府の一外局の長官なんです。その総理府の外局の単なる是官が、省の行政長官に対しての監察をするということになると、ここにある程度矛盾が発生するから、行政監察を各省取りまとめて、もっと大きな、各省ににらみのきく機関として新発足せしめる必要がないかということを私申し上げておるのです。
  44. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 昨年の二十二国会におきまして行政管理庁の規定を改正いたしまして、行政管理庁としましては相当公団公社にも監督権が伸びることになりましたし、それからまたあるいは勧告を行い、また意見を徴するというような相当大幅の権限強化の規定が改正されたわけであります。現在としてはこれによって十分運営ができるものと考えております。
  45. 受田新吉

    受田委員 いま一つ内閣調査室なるものは一体どんな仕事をしておるのか、仕事の内書を御答弁いただきたいと思います。
  46. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 内閣調査室は現在、先ほども申しましたいろいろな情報の収集をいたしましたり、それからまたいろんな基本的な調査をしたり、さようなことをやっておるのであります。調査室総理府本府組織令の五条によって作られておりまして、政府の重要施策に附する情報の収集、調査及びこれに関する行政機関事務についての連絡調整をはかる事務をとっておる、こうういうことになっております。現在やっておりますることは、ソ連、中共との修交政策に対する動向と、国内各界各層の動向についての情報の収集並びに調査、それから政府の施策に対する各各層の反響についての調査、それから国民道義の高揚のための基本的及び社会風潮の調査及び東南アジアの実態、その他対日動向等の調査、こうした公安調査庁とかそういうところの情報とは違った、もう少しハイ・レベルの情報を聴取いたしておるわけであります。収集もしておるような状態でございます。
  47. 受田新吉

    受田委員 そうすると、特にソ連、中共等に対しての情報聴取を今掲げられておられたのですが、ソ連、中共、東南アジアの経済とかいうふうな、こういう限定した地区に対する調査に重点が置かれて、ほかの国々のものは一般的な調査ということになるわけです。特にソ連、中火を指摘しておられる理由はどこにあるのでございますか。
  48. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在アメリカ、その他イギリス、インド、そうした方面の情報ももちろん収集いたしております。ただ現在のいろいろな日ソの交渉とかそういう方向の交渉等も進捗いたしておるわけであります。それから最近におきましては日共との交通等も相当頻繁に行われておるし、またそういう点からソ連並びに中国との情報というものはわれわれとしてもぜひ知っておかなければならぬもの、こういう考え方で現在これらの情報を収集しております。
  49. 受田新吉

    受田委員 そうすると内閣調査室は情報収集局、いわゆる緒方構想にあった情報局の性格を持っておるものと解してよろしゅうございますか。
  50. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 内閣調査室としましては情報の収集並びに現在政府の行なっておりまする政策が国民にどういうふうに反響しておるかといったような世論的な調査もやっております。それからまたいろいろな、たとえば諸外国の経済情と申しますか、どういうふうな経済情になっておるか、こういつたようなことも現在いろいろ調在をいたしております。情報の収集以外にいろいろな調査を相当広くやっております。
  51. 受田新吉

    受田委員 その調査の結果は国会にもお示しいただけるように資料が出されますか。
  52. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 最近におきまして内閣調査室におきまして調査いたしました資料は、中にはつまらない調査もございますが、中には相当よい調査もございますので、今度予算を取りまして、これを国会議員の皆様方にも一つごらんを願いたい、こういう趣旨でただいま予算を取っておる次第でございます。
  53. 受田新吉

    受田委員 内閣調査室内閣審議室の関係、審議室の仕事一つお示し願いたい。
  54. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 内閣審議室は現在各省で具体的にやっております諸政策が、特に意見が衝突い「たしましたり、あるいは各国競合したり、そういう場合においてその調整をやっております。また各省で取りまとめのできないような事柄は便宜内閣審議室が中心になりまして、事務取りまとめをやっております。あっせん役といいますかそういう役割をやって、おりまして、これはむしろ現在の行政事務連絡調整という点に重点を置いております。
  55. 受田新吉

    受田委員 これで質問を終ります。またあらためて伺いたいと思います。
  56. 細田綱吉

    ○細田委員 関連して。ちょっと一言伺いたいのは、日本の各省は、これは歴史的か制度の上か知りませんが、世界各国に例を見ないおのおの強い権能、権限、それから沿革を持っておる。そのためにいわる各省割拠主義ですか、セクショナリズムが非常に強い。内閣審議室でいろいろ調整はされるでありましょうけれども、とにかくそういう弊害が日本の各省の制度の上にあるということはお認めになっておりますか。
  57. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 お説のように、各省はいわゆる積極的権限争議、消極的権限争議——積極的権限争議というのは仕事の奪い合いといいますか、消極的権限争議というのだと、お互いに仕事を押しつけっこするという傾向は若干ございます。そういうような場合におきまして、できるだけ調和をはかり、調整をとるという役割を現在内閣審議室において行なっておるわけであります。
  58. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほど審議会と調査室のことについて受田委員から質問がありましたが、先ほどの公務員制度調査会というのと行政機構審議会というのはどういう違いがありますか。
  59. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 公務員制度調査室でございますが、これは現在公務員制度改革を目標といたしまして、昭和二十九年の三月に公務員制度調査会というものが内閣の諮問機関として設置されました。この調査会で政府が諮問した事項につきまして答申を作りまして、昨年の十月に政府公務員制度はかく改正すべきであるという答申が出されたのでございます。この答申に基ますと、公務員制度全体に関する非常に広範なものでありますので、現在の国家公務員法を改正するには非常に大がかりな仕事になるわけであります。そこで政令根拠に基きまして公務精度調査室が設けられて、そして国家公務員法の改正に必要な準備事務をとるのが公務員制度調査室でございます。それから内閣審議室は、今申し上げましたように、各省との連絡調整をはかるための事務をとるのが、この内閣審議室の主たる任務でございます。
  60. 細田綱吉

    ○細田委員 私の伺ったのに、いわゆる行政機構審議会のことを伺っておるのです。
  61. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 行政審議会は内閣に設置されました一つの諮問機関でございまして、政府行政機構改革につきまして政府から諮問がございまして、その諮問に応じまして審議会で検討して答申する、このような任務を持っております。これは民間の学識経験者その他二十名の方々に委員を御委嘱いたしまして、現在運営されており、ただいま申しました政府行政機構の全体についての検討を行なっている一つの諮問機関であります。
  62. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると行政審議会と公務員制度調査会とどこに違いがあるのですか。人の問題だと言われるかもしれませんが、人の問題も行政機構の問題も同じです。どこに違いがありますか。
  63. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 一口で申しますと、公務員制度調査会は人に関する問題であり、行政審議会の方は行政機構に関する問題でございまして、人に関する問題は全部公務員制度調査会の方にまかしてあります。
  64. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると人の問題は人の問題で別に進めている、機構の問題は機構の問題で別に進めているのかということを伺っているのです。機構の問題が定まって人の問題が続いていくと思うのですが、人の問題と機構の問題を別々にして行政審議会の方の仕事ができますか。またこしらえたところが何にもならぬと思ますが、その点どうですか。
  65. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 もちろん人の問題と機構の問題は関連性がございます。しかしながら公務員制度調査会の方は、公務員給与の問題、任用の問題、それから今お話がございました退職年金の問題等、待遇とか、給与とか、そうした問題がおもなる問題でございます。それから行政審議会の方は現在の政府機構の問題でありまして、人の問題とは少しかけ離れた問題、しかし必ずしもこの何者が全然関係がないかというと、決して関係ないことはない、やはりある程度の関係は持っておりますが、おのずから研究の目標が異なっておりますので、やはりこの二つの調査会というものが必要であると考えております。
  66. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほどの受田委員の御質問で、内閣人事院というものが縮小の傾向というか、そういう構想を持つて進められているという印象を受けた。また今まで新聞に報道されたところを見ても、全国民がそういう印象を受けていることは間違いないと思います。そこで先ほどあなたが言われたように、日本の官署というものが、いろいろ積極的にか消極的にか知らないが、とにかく世界に類例のないほど強いものであって、歴代内閣がしょっちゅうもてあましていることも御承知の通りである。現在予算局を大蔵省からとるということも、なかなか河野農相が難航していることは、あなた御自身が御承知だと思う。日本行政機構改革は各省の割拠主義がとれるかとれないかということにかかっている。各省が勝手に人間を一人でも多くかかえたい、多くの仕事をやりたいということでばらばらにやっているから、国費がずいぶんむだになっておる。決算においても同じ仕事を同じ場所で、農林省もとっておれば、建設省も災害復旧のためにとっているという例がずいぶんあって問題になっておることは御承知の辿りです。これはみんな各省割拠主義の現われなんです。これを除いては行政機構改革というものは意味をなさぬ。そこで考えられることは、人事院ができて超党派的に、また各省に根を持たない超然とした立場でこれをコントロールしていくというところに、終戦後の日本政府の一歩前進があった。ところがこれを縮小してしまうならばまた戦争前のような格好に戻るのじゃないか。人事院存在というものは少くとも一歩前進である。ところが今どき割拠主義が強いのに、これをまた縮小して内閣の外局に移してしまうということになったら、これはさらに各省の割拠というものは強くなる、この点はどうお考えになりますか。
  67. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 行政改革に仰せの通りに割拠主義を除くということも、私は大へんけっこうだと思うのでありますが、それと同時にやはり能率の増進と申しますか、そういう点にも重点があるわけでありまして、もちろん今後行政機構改革をされる場合におきましては、各省の割拠主義を可及的に少くする、それから能率を向上させる、こういう点に重点が置かれるものと考えております。
  68. 細田綱吉

    ○細田委員 そうするとあなたのおっしゃるいわゆる能率を増進させるということは具体的にどういうことでございましょう。国費が二重に出たりあるいは各省のなわ張り根性によってずいぶん能率を下げておる。結局そこにメスを入れない限りは能率なんというものは上っていかないのです。あなたの言われる能率を上げるということはどういうことを具体的に目標にされているか御説明願いたい。
  69. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 能率増進につきましては非常に広範でございますから、私からここで具体的に申し述べることは避けさせていただきたいと存じますが、いろいろ行政機構改革いたしますならば、各般の法令等も相当少くなる、また権限を明確化いたしまして、従来許可等が競合しておる場合にはこれを単一に直すとか、それから上たいろいろな申告申請等につきましてもできるだけ簡素な手続をとらせる。こういった主として国民の便宜をはかるという点に重点を置き、かつまたそれによって権限争いを防ぎ、また公務員の能率を増進する、こういうことであろうと思います。では具体的にどういう点か指摘しろ、こうなりますと、まだ行政機構改革案というものが全部できておりませんで、ただいま検討の過程でございますので、私から具体的に申し述べることはちょっとできないのでありますが、目標はそういう点じゃないかと考えており…。
  70. 山本粂吉

    山本委員長 細田君、ちょっとお願いですが、あなたのは関連質問なんで、他に質問通告がございますので、どうぞ御簡潔に願います。
  71. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたの言われる行政機構改革案には全く失望しました。能率の増進ということを言われるが、その能率の増進というのは、ただいまの御答弁では、せんじ詰められは重複した法令の整理、結局そんなことくらいのものです。そんなことだったら行政審議会とかあるいは公務員制度調査会などというものを置いて、大げさにやらなくてもいいと思う。先ほど受田委員が言ったように、同じものに二重に予算を出していたり、あるいは同じような人間を使ってみたりするということは、結局各省がなわ張り主義で勝手に仕事をすることにあるので、これを調整することが必要である。とにかく行政簡素化ということが今、日本の政治に一番必要なんです。たとえて言うならば、話は違うが、権力の乱用の点でいきますと、検事や警察における監督は上司しかないでしょう。上司しかないから、上司の者は下の者が悪いことをしても、それを摘発すると自分が行政処分を受けるから、そんなものは伏せて隠しておこうとする。こういう行政機構の監査機構をもっと強化する、それから外省の割拠主義をなくする、日本行政機構改革は、この二つをおいてはないのです。あなたの御答弁を聞くと、全くその的をはずれてしまっておる。言いかえると鳩山内閣の鳴りもの入りの行政機構改革の中身はそれなのです。あなたはまだ構想だけで結論は出ていないと言われるけれども、あなたはそれでいいと思ってやっておられるかどうか、最後に聞いておきます。
  72. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまお話のような点を十分考慮いたしまして最善の努力をいたしております。御了承願いたいと思います。
  73. 森三樹二

    ○森(三)委員 先ほど人事院総裁は、人事院がかって勧告したもろもろの実施については、ぜひとも政府に対してこれが実現することを要望する、つまり人事院人事院としての権威に基いて勧告したものであるから、これが実現についてはもちろん希望するということを言われた。これは当然過ぎるほど当然の御答弁だと思う。そこで政府委員にお尋ねしたいのですが、この公務員制度調査会答申案の組子制度の中に書いてありますところの勤務地手当の問題であります。この勤務地手当の問題につきましては、すでに一昨年の七月二十一日だったと思うのですが、勤務地手当に関する人事院勧告がなされた。しかるにその後われわれは衆議院の各種委員会におきまして、この勤務地手当の実現に努力し、そして昨年の一月衆議比の委員会においては通過し、本会議に上程したのでありますが、解放になって、遂に流れてしまったのであります。そういうような沿革もあるわけですが、この勤務地手当の答申案を見ますと、勤務地手当は将来これを廃止することを目途として、できるだけこれを簡素化すること、すなわち勤務地手当はさしあたり二段階程度として、勤務地手当支給地域は、なるべく人口等による客観的基準によって指定すること、こういうようにさしあたりとか、二段階程度として支給するとかいうようなことがあるのです。私は一昨年人事院が勧告した勤務地手当の勧告が、実施されておるといないとによって、公務員の受けるところの給与上の利益、不利益というものは大きな差があると思うのです。これを実現しなかった政府責任は非常に大きいと思うのです。公務員の受けるところの損害は莫大である。しかも公務員制度調査会答申には、さしあたり二段階程度として勤務地手当を支給するという明確な線が出ておる。しかるに昭和三十一年度の予算には、何らこれに対して予算化していないということは、政府の怠慢もはなはだしいものであると思うのですが御所見をお伺いしたいと思います。
  74. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 勤務地手当の改正につきましては、官公労組からもしばしば陳情がございますし、われわれも現行勤務地手当制度が必ずしも万全なものであるとは毛頭考えておりません。昭和二十九年の五月、人事院から勤務地手当の全面的な改正につきまして勧告がありましたことはお説の通りでありまして、その後政府といたしましても鋭意勤務地手当の改正につきまして検討を加え、また公務員制度調査会におきましても、特に勤務地手当につきましては十分に御検討をわずらわしたいということで、各委員の方々にも熱心に御検討を願いまして、十分ではございませんが、すでに答申が届いておるのであります。この答申をそのまますぐ実現できるかといいますと、いろいろな財政上の関係、また現に勤務地手当を支給されているものの立場も考えまして、すぐこれを廃止するというようなことはできないのでありますが、政府としましては、やはり勤務地手当はできるだけこれを廃止して、それにかわるべきものを支給することが正しいのではないか、こういう目標は立てておるのであります。何分にも技術的に非常に困難な点があり、今申し上げましたように、職員の利益にも密接な関係がある問題でございますので、現在これについても結論は出ておりませんが、できるだけ早急に何らかの改正案を作りたいと考えておりまして、ただいま検討いたしておりますので、その点ご了承願いたいと思います。
  75. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいまの御答弁を聞きましても、政府にこの答申案を実施する熱意の全くないことを、私は非常に遺憾に思うのであります。とにかく、先ほども申しましたように、一昨年のあの勤務地手当の勧告というものが何ら予算化されておらない。これによって公務員の受ける損失は私は莫大なものだと思うのです。しかもこの勤務地手当は、現に受けておる者が多数あるのです。しかも受けていない所といる所では、物価の指数とかその他生活の水準からいって非常にでこぼこができておる。それを是正するために人事院が勧告をしたのでありますから、一日も早くこれを予算化することは当然過ぎるほど当然なんです。これを本年度予算に入れないことは、前回も言った通り非常に遺憾でありますが、政府はこれに対してできるだけ早い機会に補正その他の方法によって、公務員制度調査会答申案を基準としてわれわれはもちろんそれ以上の国会で修正した案を持っているのですから、あくまでもその修正した案を実現するために、当委員会においても今後努力したいと思いますけれども政府政府責任において、この答申案を基準とした予算措置をしなければならぬと私は思うのです。これをしないことは政府の非常な怠慢だと私は思うのであります。この点を十分考慮していただきたいということを申し添えておきます。  ついでに、石炭及び寒冷地手当は総合的に整備し簡素化することとあります。しかしながら、石炭手当及び寒冷地手当というものは、やはり東北、北海道等の特殊な地域における特別な手当で、これは実際要するのです。現在石炭は三トン支給されておりますが、三トンでは足らないというのが実情なんです。少くとも四トンなければ越年できないという実情であります。これを総合的に整備、簡素化するということは非常に危険な形になるのじゃなかろうかと心配しているのですが、内容はどういうふうにお考えになっておるのか、御答弁を願いたいと思います。
  76. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在の寒冷地手当、石炭手当につきまして、これをいま少し改善するという点でございますが、この点は今検討しているそうでございます。
  77. 森三樹二

    ○森(三)委員 とにかく検討で濁されても困るのですが、もう少し責任を持って実情調査されて、われわれから言うならば、この石炭手当は、金額からいってもトン数からいっても、足りないので増額してもらいたいのです。また寒冷地手当についても同様でありますから、その点一つ十考慮して、次回に明確な語答弁を願いたい。一応これでもって質問を終ります。
  78. 山本粂吉

    山本委員長 ジェット機墜落事件について西村委員より発言を求められておりますので、これを許します。西村君。
  79. 西村力弥

    ○西村(力)委員 外務省の当局者に来ていただく予定でありましたが、見えられませんので、内閣の担当でいらっしやる田中さんに一言お尋ねをいたしたいと思います。今月の三日ですか、新小岩に米軍のジェット機が墜落しましたことは新聞で御承知と思うのです。その現場に私も行って見ましたが、ちょうどアメリカ軍のトラックが来まして跡片づけをやっておりました、密集した住宅地帯に墜落したのであって、その状況はまことに惨たんたるものであり、かつまた周辺の人々に与えたショックというものはまことに大きかったのであります。困ったことだと思っておりました。ところが翌日の新聞には、米軍が東京上空で演習飛行中にこの事故が発生したのだ、こういう記事が出ておるのです。これはわれわれにとって実に重大なことではないか。八百万も密集しておるこの上で演習飛行をやられたんでは、いつどんなことで事故が発生し都心に墜落するかもしれない。これは日本国としても認められないことであり、またアメリカ軍としてもこのようなことのやれないのは当然なことだと思うのです。ところが実際にやっておる。やっぱり広島や長崎に原爆を落したようなああいう気持がまだ残っていて、日本の都心上空においても演習飛行を平気でやっておるではないかと思う。まことに残念ですが、これについて政府としては実情調査し、アメリカ軍当局にこういうことは再びないように抗議をなさる、あるいはなさっておる、そういうことがありますかどうか、この点をお尋ねしたいと思うのです。
  80. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 ただいまお話の通り、本月三日葛飾区小岩町へジェット機が墜落いたしまして相当の被害を出しまして、被害者の方々に対してはまことにお気の毒に存じております。ジェット機を使用して大都市の上空で演習あるいはそういったことができるかどうか、そういうことにつきましては、私の方の担当ではございませんので、私から御説明申し上げるわけには参らないのでありますが、被害状況を私の方で調査いたし、またそれに対応した適切な補償の措置、そういったことを私の方で担当いたしておりますので、万遺憾なきようその手続を進めている次第でございます。
  81. 西村力弥

    ○西村(力)委員 被害者に対するあたたかい補償というものは当然やらなければならぬ。もっと急いでやらなければならぬ。そうしてもっと大きな算定をしなければならぬ。今までのあなた方のやり口は実に事務的であり、全くアメリカ軍の利益のためにやっているような傾向が見える。これは私の個人的見解になるでしょう。あなた方は何か基準に基いてやっているんだ、こう言われるでしょうが、それを聞いているのではない。田中さんにお聞きしているのは、こういう工合に都市上空で演習をやられたんじゃかなわない。こういうことは事実発生したのですからね。去年の九月には八王子で墜落事故があって、死者五人、被害者三十人、こういうことが起きている。あるいはきのうは板付飛行場の報告もありましたが、あの板付においてもしょつちゅう事故があって、死者も十三人ほど出ているというのが陳情書として私たちに来ておる。そういう工合にだんだんと都心に演者が拡大されて、事故が都心に発生するというようになることは軽々に見のがしておくわけにはいかぬじゃいか、政府のその見解を私はただしている。事務的なそんなことを聞いているのではない。その見解はどうであるか、またこのことについて実情調査し、また抗議するような、そういう諸準備をやっておるかどうか、こういうことをお聞きしておる。
  82. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまの御質問に対する答弁はむしろ専門の外務省方面からお答え願った方がいいと思うのでございますが、内閣側としての考え方としましては、現在の行政協定上に、米軍が必要な飛行演習、訓練をするという区域は、両国政府におきまして大体合意するところによって明確に定まっているわけであります。従ってこの行政協定の上におきまして、両国政府の間の合意によって定まった以外のところでもし訓練をしたということになりますと、これはやはり日本側としましても米軍側に対しまして、こういう地域におきまして、そうした爆撃演習とか射撃演習といったものは、当然危険を伴うことでございますし、こういう点は一つ十分に注意を喚起しなければなるまい、こう考えております。
  83. 西村力弥

    ○西村(力)委員 担当外務省が来ないことでございますから詳しいことはおわかりにならないと思うのですが、しかし日本政府としてはこ事態は見のがせない。注意を喚起したいというよりも、やはり日本国民の身体、生命、財産を保護する、これは当然政府責任として、強くこういうことを排除する措置をとらなければならぬのではないか、こう思うのです。今のところ東京都上空におきまして訓練していいか悪いかということはあなたは知らないようであるし、また今回の事件については何ら積極的な交渉なり処置をやっていない、そう私は受け取るのですが、その通りですか。
  84. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 この点につきましては、さらに内閣側から外務省に一つ早急に連絡をとりまして、何らかの措置をとろようにいたしたいと思います。
  85. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その何らかの措置に対する心がまえ、これは強く抗議をして、今後一切こういう悲惨事が起らないように措置するという腹がまえでおやりになるということを、一つこの際御明言願いたい。
  86. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 お説を十分了承いたしまして、連絡いたしたいと心います。
  87. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に調達庁関係でございますが、小岩のことについてもさっそく東京の調達局がかけつけておりまして、名刺を二、三枚私も見て参りました。まことに機敏でけっこうでございます。ところが実際にその被害者が食うに食えないというような人、あるいは療養に事を欠くという人があるにかかわらず、いろいろな事務的な関係、ことに最も障害となるのは、米軍の同意が得られないというような事情によって、実際に補償されるのが非常に時期をおくらしてしまうというのが実情なのです。これはあなたの方でも十分御承知と思う。小岩の件につきましてどこまで調査が進んでおるか、あるいは被害を受けられた方々の療養やあるいはその住居の復旧、こういうことに対して応急的な措置をあなたの方ではどういう工合になさっておるか、どの辺まで進んでおるか。これは小岩の事例を申し上げましたが、被害を受けて泣き寝入りをしなければならぬ、しばらくの間非常に苦しい思いをしなければならぬのが、事故発生の従前の例ではすべてなんです。だから小岩の例一件をあげてあなた方の措置進行等を願いたいというわけなのであります。
  88. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 御質問ごもっともなことでございまして、本来ならば私ども希望するところは、被害が発生いたしましたならば、直ちにその個人に対して、見舞金とかあるいは慰謝料とかあるいは治療費とか、そういったものを差し上げたり、あるいはその他物品を提供し、もしくはいろいろの救護の措置かとりたいところでございますけれども、実際問題といたしましては、私どもの与えられておるいろいろな規則、基準等がありまして、そう簡単に思う通りに参らないので、被害者の方々に気持の上でも非常に御不満を持たれておる点もあるかと思います。しかしながら私どもは、規則を越えてということはございませんが、規則にないことでも、私どもの個人的な気持からできるだけ救恤の方法をとり、また被害事実の調査につきましても、できるだけ親切な態度をとりたい、こう思って参っております。この小岩の被害につきましては、私の方では即日東京局から担当官が参りまして親しく被害者の方々にお見舞を申し上げまして、その翌日になりましたけれども、その夜のうちにいろいろ手配をいたしまして、東京局から毛布三十五枚、ふとん四十三枚を貸し下げいたしまして、なお区役所からは、これは私の直接のあれでございませんが、私どものできないところを、区役所の方と東京都当局とのお力添えを願いまして、区役所から米一斗、木炭一俵、現金三千円、その他町会等からもいろいろこまごましたものを差し出していただきました。そうして軍側の方とこの被害につきましてさっそく連絡をとりました。その当日は夜おそくなって初めて私の方でも海軍の厚木基地から出た飛行機による損害だということがわかりましたので、その方と通経をとりまして、翌日には厚木航空隊航空司令官、米海軍基地司令官、海軍航空隊第一軍司令官、れのおの少将二人、大佐一人の方、それから厚木基地のリーガル・オフィサーの少佐の方が見舞に行かれ、そうしてそれぞれお見舞申し上げられまして、さしあたりこれも軍の規則ではありませんが、向うのお気持だと思いますが、見舞金として百ドル、毛布七十四枚、マット二十五枚をお貸し下げ下さいました。それからなお軍から角形テント四棟各九坪、折り畳みベット二十五個を無償で貸与されまして、上平井中学校校庭にそれを設置しました。また松永病院に入院中の重者の一人に対してリーガル・オフィサーから見舞品として電気ベットが送られた次第でございます。私どもの補償事務の処理計画といたしましては、当局として基礎調査にさっそくかかりまして、その被害事実に基く被害者の補償申請の指導を進めまして、これが二月三日から二月八日まで大体かかりました。それで今明日中に申請書を受理いたしまして、それぞれ今後の補償を与える手続を進行いたす予定でございます.
  89. 西村力弥

    ○西村(力)委員 日本語にはいろいろの敬語の使い方がございますが、ただいまの言葉の端々をお聞きしまして、私非常に奇異な感じを受けておるのですが、それはとにかくとしまして、まあそこまで努力せられたことに対して何ら私は依存があるわけではございませんが、ただ補償申請書が出た、これを今度健際に交付する手続を急ぐ、こういうことでありますが、補償申請が出てあなたの方でそれを認められたならば、直ちにそれだけを内払いというか、概算払いというか、そういう形で支払うということはできないのかどうか。そうして後になってアメリカ軍の合意を求めて、完全に精算する、こういう工合にはいかないのか。それができるとすれば、いつごろそのことはできるようになるか、その点を一つお尋ねしたい。
  90. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 私どももそういった内払いといったようなことでもなるべく早く被害者の救恤措置をとりたいと思うのでございますが、現在の法規の建前といたしましては、全部調査が終らなければ算定がつきませんで、全額お払いをするのは相当おくれることに相なるのでございます。しかしながら今度の場合、何らかもっとわれわれの方でも工夫を加えようと思いまして、不動産、動産に分けまして、不動産の方はいろいろな調査その他でおくれますので、動産だけでも調査を終えて、その分だけ先に弁償するという手を打ってみよう、こういう考えでおる次第でございます。全体の弁償が終りますのはどうしても三月二十日ごろ、いろいろ書類調査、軍との連絡、協議等考えてみますと、とうしても三月二十日過ぎる、三月下旬には終るんじゃないか、こういうふうに考えております。
  91. 西村力弥

    ○西村(力)委員 動産については先払いを一つ考えようということでありますから、これはあなた方の何らかの便法措置によって可能だということになるわけですが、不動産についても皆さんが指導なさって、補償の申請をされたのですから、大体においてあなた方の了承せられる程度の申請だろうと思います。動産と不動産、先払いできるできないの問題は、確実に査定ができるかできないかというところにだけかかっている。これは何としても法的にというか、便法をいか講じても不動産の場合にはできないという理由ではないように聞いておる。療養補償なんかについては、療養期間はなんぼかかるかわからぬし、それがなおったあとの固定的な身体障害というものも出るか出ないかわからないのでありますから、これは療養の進行の都度に応じてやらなければならぬということになるのですか。動産と不動産は一緒に取り扱うということは可能ではないか、あなたは動産については便法を考えようというのだから、不動産についてもそういう便法をとる方法があるのではないか、そう考えるのですがいかがですか。
  92. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 私は今一つ間違えましたので訂正させていただきます。実は本件の被害の場合は、不動産の方が調査がしやすいので、これが早く終るそうでございまして、動産の方をあと回しにするというと誤弊がありますが、これがひまが要りますのでおくれまして、不動産の方を先に弁償を終える見込みを立てております。そういう次第でございますが、両方とも物的のこういう損害についてはもちらん、傷害者の治療費等、なるべく早く補償いたすように努力いたしたいと思っております。
  93. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今回のは、見込みとし三月二十日ごろまでに完済したいということでありますが、従前の例からいいますと非常に早い、こういう工合に見えるわけです。今までの例としては非常におそいのでありますが、ひどいのになると半年もかかるという事例があるわけですが、そういう場合の、最後的な決定をして、支払いをするまでに相当長期間を要するあなた方のおもなる障害と考えられる点は、どこにあるかということをお聞きしたい。
  94. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 やはり被害の調査、補償額の査定、これが一番手間がかかります次第でございまして、その次にば米軍折価が相当かかります。これは起案して翻訳をする、あるいは交渉に参りますのも、また交渉に参りましていろいろ折衝いたしますにも、言葉その他で内地の役人同士で話し合うというように参らないという点も多々ございますので、そういったことでおくれる次第でございます。今度の下小松町の事案は東京都二十三区内では初めて起ったジェット機の墜落事故だそうでありますが、しかも非常に繁華な所で、まことにお気の旗な気持がわれわれにもありますし、東京局と私どもの連結、ま軍との連絡につきましても、東京局と軍との連絡あるいは本庁からさらに軍への連絡といったような連絡関係が、割合にスムーズにいけたように思っております。全体に行政協定十八条の補償関係から申しまして、自動車事故とかあるいはこういつた飛行機の墜落事故とかいったようなのは、比較的被害調査等に時日を要しませんから、われわれの努力が幾らかでも芽を出すのでありますが、農業被害とかいうものになりますと、非常におくれまして、そういった被害に関連いたしますと、全体の補償もおくれるということはやむを得ないのでございます。
  95. 西村力弥

    ○西村(力)委員 船田大臣は忙しいそうでありますので、いろいろ質問したいことがありますが、はしょって、あとは後日に譲っていきたいと思いますが、あなたの方として十分考えていただきたいのは、不動産の調査が簡単にできて、動産の調査ができないということですが、そういう技術的な困難を克服して先払いができるということでありますから、最大限に先に弁償する措置をとっていただきたい。  それからもう一つは弁償額の問題でございますが、福岡の板付の例なんか見ましても、老父母と病弱の夫と子供三人を残して、農家の支柱であったおかみさんが一挙に吹っ飛んでしまって死んだ。「それに対する補償が、二十万円だ。そういうようなことではとうてい完全なる補償とは言い得ないという実例も出てきておりますし、その賠償額の引き上げ、そういう点については、今後相当の努力を調達庁としてはやっていただかなければならぬ。砂川の基地をとり、小牧の基地をとるというときには、法律をこえて協力謝礼金を生み出そうとして、あなた方努力しておるのだから、こういう被害者に対する完全補償ということはもう少し誠意を持って努力せられんことを望みます。  この場合に船田国務大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、自衛隊がこういう被害にあった場合には、損害賠償を要求せられるかどうか、あるいは自衛隊の庁舎がそういう被害に——飛行機の墜落や自動車がぶつかったとかいうそういう被害があった場合は、あなた方は要求せられるかどうか。
  96. 船田中

    ○船田国務大臣 これは国有財産同士の関係でございますが、特別なものはないと思います。
  97. 西村力弥

    ○西村(力)委員 自衛隊員は国有財産というとおかしいですが、隊員がそういう被害にあった場合、自衛隊の建物が被害にあった場合はどうですか。
  98. 船田中

    ○船田国務大臣 自衛隊員につきましても、一般の市民と同様に扱うことになっております。特別なものはございいません。
  99. 西村力弥

    ○西村(力)委員 一般国民と同じように補償を要求せられるわけですね。
  100. 船田中

    ○船田国務大臣 公務員と同じように扱っておるということでございます。
  101. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると補償を要求しない行政協定の第十八条一項と二項ですか、ああいうところに準拠してやられるわけでしょうか。あそこには当事者双方の軍隊あるいは公務員とあります。だからこの行政協定そのものにも私たちは非常に疑いを持つのです。当事者双方の軍隊あるいは公務員による被害、こういう場合には請求権を放棄する、こういうことになっておるので、日本には軍隊がはっきり存在するという前提のもとにあの行政協定を結んでおる点において、私は非常に疑問を持つのですが、軍隊という意味ではなく、公務員として請求権は放棄する、こういう御趣旨でございますか。
  102. 船田中

    ○船田国務大臣 これは行政協定で相互に放棄するということになっておるようです。
  103. 西村力弥

    ○西村(力)委員 だから軍隊というわけではなく、日本公務員、の立場で放棄するのかどうか。
  104. 船田中

    ○船田国務大臣 今お話しの通り、公務員としてでございます。
  105. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連庁にもう一つお尋ねしたいのですが、朝鮮事変、あるいはヴェトナム戦争、そういう場合には日本に駐留する米軍がその戦闘に参加したということは事実なんです。アメリカ軍が戦闘行為をやっておるときごに、日本国内において事故が発生したこともあると思う。そういう場合の損害補償はどうなっておるのですか。
  106. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 行政協定十八条によりまして、戦闘行為に伴うそういった被害については、補償をいたさないことになっております。
  107. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると日本自体も戦闘行為に参加したということになるかどうか、この点はあなたに開いてもしようがないが、それに困ったことである。かってに戦争されて爆弾かかえて飛び立った、あるいは重いから燃料タンクを途中で落っことした、それが日本のわれわれの同胞に当った、こういう場合にも、彼らはかってに戦争をやっておるのに、受けた日本人は、戦争に参加もしていないのに被害が補償されないというふうなことはとんでもない話だ。この点なんかについても、日本実情に私たちはしみじみと悲しみを覚えざるを得ない。その点はあなたに聞いてもしようがないと思いますので、これだけにとどめますが、一つ資料としてアメリカ軍が公務中にやったというそういう事故、それの例をすっと出してもらいたい。どこで何の事故で、被害がこうこうで、それに対する補償がこうこう、こういう工合に、そして補償を最終的に支払ったのは事故発生から何カ月あとか、これを全部まとめた何件で何ぼというのではなく、一つ一つ全部やってくれても大したことではないと思いますので、これを一つ資料として御提示願いたいと思う。  私は以上をもって終ります。
  108. 山本粂吉

    山本委員長 海上自衛隊店地問題につき石橋委員より発言を求められております。これを許します。
  109. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は防衛長官に長崎県の大村に作られようとしております海上自衛隊の航空基地関係いたしまして、質問をいたしたいと思っております。地元の報道陣も連日取り上げておるのでございますが、突如海上自衛隊が大村湾の大村市に属する地域、あるいは水域に、水上機の基地を作るという計画を立てて、その準備を進めておるということを聞いた地元関係者が、非常に憤慨いたしまして、今猛烈な反対運動をやっておるというわけであります。最も関係するのはこの水域において操業いたしておる漁民でございますが、漁業協同組合の情報によりますと、計画されておる大村の水上機の基地は、大村市漁業協同組合の地先漁業権内に設けられる。それは幅四百メートル、沖合い三千メートル、そのつながりに三千メートル平方の飛行場、発着場を設置する、こういうふうな計画らしいのであります。もしこのような計画が実際に実行しされますと、非常に問題が大きくなってくる。この誘導水路を含む以北の地域で操業が不可能になってくる、もしもこの誘導水路が航行制限でもされるようなことになりますと、こちらの漁業基地から北の方の漁区に操業しようと思いましても、片道六時間、往復十二時間というのでは、実際上操業が不可能になってくる、そういうことになると、現在の水産水揚量はほとんど八割方減ってしまうというようなことから、非常に反対をしておるようなのでありますが、こういつた不安を除去するためにも、海上自衛隊で計画されておる内容は、詐細本委員会において発表されることが必要なのじやないか。あまりにも突然、地元に何ら相談なしにこういう基地計画を立てて準備をされたということについては、われわれも大いに不満を持っておるわけです。従って飛行場として使用するこの範囲は一体どういうところなのか、これに伴う予算がどれくらいであって、またここに配置される飛行機の機種あるいは機数、兵員数というようなものも、できるだけつまびらかに御説明を願いたいと思います。
  110. 船田中

    ○船田国務大臣 ただいま石橋委員の仰せられました海上自衛隊として、大村に水上機の基地を持ちたいという計画は持っておるのでありますが、しかしただいまお示しのような詳細な数字を、今ここに用意いたしておりませんから、それにつきましては海上自衛隊の者を呼びまして、なお十分それを調査いたしました上で、ここで御説明申し上げるようにいたしたいと思います。
  111. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私はもう一週間前から質問の通告をして、質問する要旨についても知らしてあるわけなんです。それを今になってまだ調べてないからというのはどういうことなんですか。あまりにも私は怠慢過ぎはしないかと思う。地元では連日のように陳情もやっておる、また市長も防衛庁にやってきて海上幕僚長にも会って、一応の計画というものも聞いておる、それを本委員会で取りしげるから一応調べてきてくれということを申し入れてあるわけなんですが、それを長官は全然聞いておらないというのですか。
  112. 船田中

    ○船田国務大臣 今石橋委員の仰せられたことにつきましては、私の下元に今詳細な資料を持つておりませんので、十分調査をいたしまして、ここで御説明申し上げるようにいたした方が正確ではっきりしてくると思いますから、さようにいたしたいと思います。
  113. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まことに私としては遺憾にたえないわけでございます。内部連絡が悪いのかどうか知りませんが、調べておらないということであるならば、具体的なものはあとで知らしていただくことといたします。私はこの問題は非常に大切だと思うわけなんです。  それでは最初に、大村に海上自衛隊の水上機の基地ができるということを長官は知っておるかどうか、その点を確かめておきたいと思います。
  114. 船田中

    ○船田国務大臣 大村に水上機の基地を持ちたいという計画を持っておるということは昨日伺いましたが、詳細なことは私、まだ承知いたしておりません。
  115. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 防衛庁の中がどういうことになっているのか知りませんけれども一つの大きな海上自衛隊の水上機の基地ができるというような計画が、もうすでに地元においては一カ月も前から荒々と進められておるのに、長官はきのう報告を聞いた、そういうのだとちょっと納得がいかないわけでございますけれども防衛庁と海上自衛隊——この場合は海上幕僚長関係になるかと思いますが、それとの連絡はその程度のものなのですか、まずそれを確かめておきたいと思いいます。
  116. 船田中

    ○船田国務大臣 私が大村の基地について御質問があるということを伺ったのは昨日でございまして、その資料はここに下僚の方から示されておりますが、それにはただいまお示しのような詳細なものがございませんので、これを至急に取り調べましてここでもつて御説明ができるようにいたしたいと思います。
  117. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは地元の地方総監部あるいは海上自衛隊の長沢海上幕僚長あたりの、新聞によって報道されている談話といったものを中心に、質問をとりあえずいたしたいと思います。  先ほどもちょっと申し上げましたように、もし地方総監部あたりで考えているような計画が実行に移されますと、非常に地元の漁民が困る。農民の面にも若干の利害関係があるようでございますけれども、特に強い反対運動をしておりますのは漁民関係であります。一体大村に水上機の基地を作らなければほかに適当な基地がないのか、大村のあの沿岸でなければ絶対にいけないものであるのかどうか、この点から先にお尋ねしておきたいと思います。
  118. 船田中

    ○船田国務大臣 私の聞いておりますところでは、ただ候補地として計画を持っておるということでございまして、ただいま示しのような、具体的にどの範囲に水上機の基地を設けるかということについて、確定的な案を持っておるということは聞いておりませんので、なおもう一度よくその点を詳細に調査いたしまして、ここで申し上げたいと思います。
  119. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その点は実際に地元で進めようとしているところと若干矛盾があるのでございますが、言葉の上だけでいきますと、地方総監部における発言と一致しているわけです。西日本新聞にも出ているのですが、佐世保地方総監部の各部長が説明に当って「離着水の場合、旧基地の都合もあって現計画ができているので、ここが特別に漁民にとって悪条件となれば計画区域をずらすことも研究したい。」ということも言っております。今の長官の説明も大体似たようなことでございます。絶対に大村のこの水域でなければならないというようなものでもないということで、一応了解いたしたいと思うのでございます。  次にお伺いしておきたいと思いますことは、もしこの地域に水上機の発着場が設けられるようなことになりました場合に、漁業の地域の中に誘導水路などができるようなことになるわけでございますが、もしそうだとしますとあくまで反対だと地元の人が言った場合に、強制的な法律手段を講じてでも漁業権の使用収用をするというような事態が起ることもあり得るのかどうか、この点を御質問しておきたいと思います。
  120. 船田中

    ○船田国務大臣 この問題につきましても、先ほど答弁申し上げましたように、私の承知いたしておりますのは、大村に水上基地を設けたいという計画があるというだけのことを聞いておりますので、これに間違いがあってはいけませんから十分調査をして、どの程度に計画が進んでいるのか、あるいは地元の者との交渉がどうなっておるかということを、詳細に取り調べた上で御返答申し上げる方が間違いなくてよかろうと思いますから、さようにいたしたいと存じます。
  121. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まことに私は心外なのです。きのう聞いたばかりだということを何度も言うのですけれども、私の方は一週間前から通告して、防衛庁からわざわざ何をお尋ねになるのですかと、質問の要旨を聞きに来ているのです。私もそのときにちゃんとこういうことを聞くのだと言っておりますのに、それを長官に言わない。委員委員会に出席を求めてどういうことを質問するのだということを事前に話もしているのに、なおかつ準備ができないということは、全くもって怠慢もはなはだしいと思う。委員長からも、委員会の権威を守る意味において、十分に注意をしていただきたい。しかし、ここでこの問題だけ言っておりましても、何も知らないという一点張りでは質問にはならないわけでございますから、それでは基本的な問題として、地元の利害関係者、こういう人たちが絶対にそういうものを作っては困るというときにおいて、どんな強制的な手段を講じてでもこれを使用なり収用するというようなことはやらないという腹がまえだけは、長官持っておられるかどうか。少くとも基地などというものは住民の協力なくして、百パーセントの効果を発揮すると考えません。そういうことを考えた場合にも、あくまでも話し合いで、納得ずくでこういう問題は処理すべきだと考えるのですが、長官はその点について同様の見解を持っておるかどうか。これだけをただして、あとはあすにでも質問したいと思います。
  122. 船田中

    ○船田国務大臣 この問題につきましては、今もお話がありましたように、十分地元の方々の御了解を得て納得ずくでいくようにいたしたいと思います。しかし先ほど申し上げます通りに、計画がどの程度に進んでおるか、地元との交渉がどうなっておるかということを、私承知いたしておりませんので、間違ったことを申し上げてはかえって私は御迷惑かと思いますので、十分取り調べた上で返答申し上げることが適当と存じます。
  123. 山本粂吉

    山本委員長 政府委員に御注意申し上げます。一週間も前からそうう通告があって、この委員会発言があっても、的確な資料に基く答弁ができないようなことでは、委員会の審議がおくれるばかりでございますから、いろいろの御都合もあったでしょうけれども、きょうのところはやむを得ないとして、今後は的確な資料に基いて、要領よく簡潔にお答えができて、委員会の審議が進むように御協力を特にお願い申し上げます。
  124. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいまの船田長官の御答弁を聞いておりますと、長官防衛庁の中でたな上げされておるのではないか。私は長官をけなすのではなくて、防衛庁の中で制服が横行し出してきたのではないか、そういうことが感ぜられるのです。そういうことがあったら困ったことであります。もちろん優秀なる船田長官は、そういうことはないと思うのですが、がっちりとこの武断政治、武家政治にいかないように旺盛な上気を掌握していただきたい。そういうような感じを受けましたので、私としては、長官にはしっかり制服何ものぞというような気持で防衛庁の掌握を希望したいのであります。
  125. 下川儀太郎

    ○下川委員 だいぶ、船山防衛長官はいじめられたようでございますが、ただいま西村君が武断政治に物言わせるなというようなことを言っているけれども、私たちの日から見ると、これは武断政治以上のことを船田長官はやっておられる。それは事態が非常に重大な問題でございまして、質問が量後になりましたが、本来ならばこれは緊急質問をして、しかも船田防衛長官の不信任案を出さなければならぬというような重大な意図をはらんでおる質問でございます。これは言うまでもなく、今日労働組合が、新聞ではいわゆる春季闘争と称しておりますが、生活権擁護のために、あるいは賃上げ闘争をやろうとしておる。そのときにきのうの東京新聞、その他の新聞を見ますと、防衛長官がこの労働組合の経済闘争に対しまして、自衛隊を出動するということを発言しておられる。また作品の自民党の総務会の席上において、この春季闘争に際して、もし警察力が足りなければ自衛隊を出動させてもいいということを言明しておられる。これは非常に重大なことで、ただ単にこれは委員会だけの問題でなくて、いわゆる国民全体の問題でなかろうかと思う。そもそも自衛隊の出動ということに対しましては、われわれは自衛隊法を審議するときに、国外出動の場合あるいは国内出勤の報合においてのいろいろな限界を追及した。国内出動の場合は、おおむね暴力革命の場合をさしておる、あるいは災害等の場合をさしておる。とこるが労働組合が自主権を擁護し、賃上げ闘争をするに際しまして、いわゆる自衛隊と称する軍隊を出動するなどということは、およそこれは考えられないことだ、軍閥時代ならいざ知らず、今日民主主義的な政治の中において、軍隊をもって労働組合の生活権養護を圧迫するような声明を出されることは非常な越権行為じゃなかろうかと思う。なかんずくあなたが防衛長官であったとしても、自衛隊を出動させる場合は議会の承認を経なければならぬ。その前に総理承認を経なければならぬ。これ明らかに自衛隊法の中に載っておる。それをどういう資格か知りませんけれども、労働組合の経済闘争に際して自衛隊を出動するなどという言葉を弄することは、明らかに国会無視でもあり、あるいは自衛隊法に対する考え方が、あなたははなはだ間違っておりはせぬかと思う。あなたはどういう考え方からそういうことを発言したのか、それをまず伺っておきたい。
  126. 船田中

    ○船田国務大臣 ただいま下川委員から、私が自衛隊を出動させるという発言をしたという前提に立っての御非難でありますが、私はそういうことを発言いたしておりません。これははっきり申し上げます。むしろ自衛隊の出動というようなことのないようにいたしたいということを昨日の自由民主党の総務会において話はいたしておりますけれども、ただいまお示しのようなことに私は申しておりません。これははっきり申し上げておきます。
  127. 下川儀太郎

    ○下川委員 おそらくそういうふうに御答弁なさると思っておりましたが、しかしこれは新聞紙上にも昨日伝えられたことでございます。しかもその他の人々から自民党内におけるあなたの発言等々がわれわれの方に十分伝えられてきておる。ただこの場をごまかすために、その言動を避けられる形においての答弁のように私たち考えておりますが、いやしくも防衛長官というものは、極端に言うと、武力を持っておる。その掌握者なるがゆえにその発言というものは重大でございます。ましてや過去における日本でも、議会が開かれて今日まで、軍隊を出動せしむるなどという発言をした陸軍大臣もなければあるいは防衛長官もなかった。また自衛隊法の審議に当っても、われわれは重々それを忠告申し上げた。それが新聞に出ておる。そうすると、新聞に出ておることがほんとうなのか、あなたの発言しておることがほんとうなのか、われわれわからない。いやしくも東京新聞は大新聞一つであり、あるいはまた産経時事にも載っておる。新聞記者の書いたことがうそであって、あなたが言ったことがほんとうだというならば、これは新聞記者自身と対決してみなければならぬ。問題は事が重大なんです。自衛隊の行動いかんが労働者の経済闘争を圧迫する、あるいは自民党の総務会において、あなたが話されるということは、自民党というものが資本主義を基盤とした政党なんだから、資本主義を擁護するために自衛隊を私したことになる。公平を欠いたことになる。そうなってくると、あなたの職権、あなたの防衛長官というものの立場の重要性というものは——もっと極端に言うならば、これは国内的な問題だからまだいい、国外出兵ということになってくると、より以上にあなたの言動は国民を不安に陥らしむる。ただ単に労働組合の闘争ではない。これから農民組合あるいはまた中小企業の連中も、やはり生活権擁護のための戦いをするかもしれない。そういう場合に一々それらを鎮圧するということは、自己の権力を擁護する、自民党政府を擁護するための一つの手段としてこの自衛隊の出動を用いられるとするならば、これはゆゆしき大事であります。民主主義の破壊でもあり、議会制度の破壊にもなって参ります。なかんずく国会の承認を経ず、総理の承認を経ずして、ただ個人のあなたがそういう発言をするということは、個人でなくて防衛長官だけに重大な責任を持ってくると思う。一体新聞記者の言うことがほんとうなのか、あなたの言うことがほんとうなのか。しかしいやしくも大新聞がそんなうそを書くとは思わない。この点はどうなんですか。
  128. 船田中

    ○船田国務大臣 私は先ほど申し上げましたように、昨日の自由民主党の総務会におきましても、自衛隊を出動させるなどということは、一言半句発言をいたしておりません。これははっきり申し上げます。
  129. 下川儀太郎

    ○下川委員 春季闘争を控えての重大な折でもあり、いわゆる政治闘争ではなくして、あくまでも労働者の賃上げ闘争でございますから、今後そういう自衙隊の出動というようなことは、これはあくまで革命に用いる以外にはそういうことは使えないというようなあなたの言葉を、そういう言明を私たちは欲しい。そうでないと承知できない。言っても言わないということもでき得る。ですから、自衛隊の目的というものを——われわれこれに反対でありますが、しかし自衛隊というものの今後の行動いかんが非常に人心を動揺せしめ、健全な労働組合のその戦いに対して、いわば弾圧して、強権発動という形にこれを置きかえられることをわれわれおそれるのでありますから、あなたが言わないというならば、この際自衛隊というものはゆるがせに使うべきものではない。やはり労働組合のそういう賃上げ闘争などはその自主性にまかして、あくまでも自分はそういうことをあえてしないということをこの際言明していただきたいと思います。
  130. 船田中

    ○船田国務大臣 昨日の自由民主党の総務会においての問題は、治安対策でありまして、ただ治安対策と労働争議の問題とがたまたま議題にたっておったことは事実であります。しかし私も労働問題と治安対策の問題とを混淆するほどそれほど私は思想的には混乱いたしておりません。治安問題は治安問題として考え、また労働問題につきましては労働問題として、はっきりその間は区別していくことを私も心得ております。従いまして、労働争議が起ったら自衛隊を出動させるなどということは、私は絶対に申しておりませんし、また自衛隊の出動の場合には、自衛隊法の命ずるところに従いましてこれをやって参る、成規の手続をとってやって参るのでありまして、あらかじめどういう場合に出動させるというようなことを私が言うはずはございませんし、また私は申しておりません。
  131. 下川儀太郎

    ○下川委員 ただいまの言葉がそれが真実なれば、これはわれわれとしても一応了解いたしますけれども、しかし自衛隊出動の場合において、国会に承認を得るということ、この一つがあるということははっきりしておりますが、しかも春季闘争はこれは国会開会中にあるのでありますから、当然これはどんな言明をする場合においても国会にはからなければならぬ、あるいは国会のいろいろな意見を聞かなければならぬということは、これは明らかになってくる。新聞記者諸君がきょうおりますけれども、あなたが新聞記者の前に立って、そういったことは発言しない、治安といわゆる労働問題に対しては、十分区別して考えておるということをおっしゃっておるが、あなたの言う治安とは一体どういうことなのか。国内治安のそれを一つ分析してお話し願いたいと思います。
  132. 船田中

    ○船田国務大臣 私は今下川委員と治小問題について論争しようとは考えておりません。自衛隊を出勤させるという場合におきましては、御承知の通り、自衛隊法にはっきり明示されております。その条件が整った場合においては、その条件のもとに、ある制約のもとにおいて出動させるということになるのでありまして、あらかじめ今度の労働争議があるからどうこうするというようなことは、私は今申してはおりません。
  133. 下川儀太郎

    ○下川委員 防衛にも限界があると同じように、治安にも限界があると私は思う。ですから、労働組合が闘争する、しかもやむにやまれない過程において衝突する場合がいろいろあるのでありますが、その一つ一つの労働組合の運動というものを治安というワクの中において取り締られたら、これは根こそぎ治安になってしまう。だから、治安とはどの程度をさすのか、その限界が明確にならないと、治安という名目のもとに自衛隊の国内出動をやられたら、これは弾圧以外の何物でもないと私は思う。だから、治安というものの限界を私は一応承わっておきたいと思います。
  134. 船田中

    ○船田国務大臣 先ほど答弁申し上げましたように、自衛隊法の明示するところに従って行動するのでありまして、それを逸脱して、権力を乱用するというようなことは毛頭考えておりません。
  135. 下川儀太郎

    ○下川委員 この問題は、あなたは知らないと言うし、それから新聞社の方はこれを発表しておられる、あるいはそうしたいろいろなニュースが伝えられてきておるので、われわれはその真偽を確かめて、もしあなたが言ったとするならば、これは徹底的に私たちは追及いたします。しかしこの問題に対してはわれわれの同僚議員が多数の意見、質問を持っておられるようでありますから、私は一時打ち切って、他の同僚議員に譲りたいと思います。
  136. 山本粂吉

    山本委員長 ちょっと御相談ですが、何か一時から臨時閣議があるそうですから、どうぞそのおつもりで。——稻村君。
  137. 稻村隆一

    ○稻村委員 事重大ですか、一言御質問申し上げますが、今あなたは下川委員の質問に対して、むしろ自分は自衛隊を出動しないようにしたい、出動するようなことはないようにしたい、こういうことを言ったと言われましたが、それならば、一体あなたは憲法に保障されたストライキというものを、暴動とかそういうふうなことをあらかじめ予想して考えておるのですか。それをお尋ねしたい。
  138. 船田中

    ○船田国務大臣 先ほども申し上げましたように、労働問題と治安問題とは別に考えております。決して労働争議が起ったからそれですぐ治安出動をしなければならぬ事態になったというようなことを考えてもおりませんし、私はそういうようなことを申したことは絶対にございません。
  139. 稻村隆一

    ○稻村委員 それならば、春季闘争にからんであなたがああいうふうな自衛隊の問題に触れられた、それが誤解を生んで新聞に出たのかもしれませんが、そういうことをあれすることがそもそも間違いです。いつでも労働運動に対する理解のない人、たとえば明治憲法のもとにおいては民衆に言論結社の自由が全くない。労働争議というものは悪であるというふうな考えを持っておる人が政治家には多い。私はあなたも長い間の政治生活をしておるから警告を申し上げますが、私ども長い間民衆連動をやって弾圧されてきておるけれども、いつでも善意によって権力を乱用し、特に軍隊を動かした、そういうふうな臆病で、暗愚な政治家というものが、ロシヤ革命を見ても、フランス革命を見ても、革命の原因をなしておる。特にこれは自民党の声明などを見ても、労働争議そのものが悪であるという前提に立っておる。そうしていつでもそういうものが何か治安を乱す、暴動にでもいくように考えておる。そういうことからそういうふうな自衛隊の問題が誤解を生んだと思う。明治憲法のもとにおいてすら、軍隊を一つの暴動にでも出すことを拒否しておる。現に私も資料を持っておりますが、寺内内閣の米騒動のときに、上原元帥のごときは、最後まで軍隊を出すことに反対しておる。そうして警察から言われてしかたなくて出した。それは明治憲法のもとにおいて、軍閥専制政治の時代においても、軍隊は非常に慎重にやっておる。それをいやしくも今日の政治家が、かりに総罷業といたしましても、労働争議をつかまえて、それを直ちにある種の暴動とか危険を予想して、そういうふうな問題にからんで誤解をするような言動をなすということは、私は実にけしからぬと思う。これは要するに、今までのあなたもそうですが、お互い私ども反省しなければならぬと思うのだが、明治憲法のもとにおいて習慣となってきた、人人が、人間の自由とかあるいはそういう問題を非常に軽く見る。そういうことで私は誤解を生んだと思うのです。あの記事は決して軽々に見逃すことはできないと思う。そういう点に対して大臣はどう考えるか。これは誤解であると幾ら弁明しても、弁明にならぬと思う。現に自衛隊を出すような事態にしたくないということは、すでにそういうふうな労働争議に対して間違った見解を持っておる。必ずそれは暴動とか、悪であるというような観念に立っておるから、そういうことを言うので、それに対してあなたの考えはどうですか。
  140. 船田中

    ○船田国務大臣 それはたびたび申し上げております通り、労働問題と治安問題とは区別して考えております。ただいま稲村委員の仰せのような、労働問題についてすぐこれを治安問題とごっちゃにして弾圧するなどということは、毛頭考えておりません。
  141. 稻村隆一

    ○稻村委員 どういうわけで記事に出たのです。新聞記者はでたらめを書くことはないですよ。そんなばかなことは常識上ない。何かそれにからんで労働争議を弾圧する、自衛隊を出す云々の話が出たのでしょう。でなければその記事が出るわけがない。あなたはそういうことはないと言明されておる。僕は新聞記者がいかに非常識でも、そんなでたらめを書くわけはないと思う。
  142. 船田中

    ○船田国務大臣 新聞記事については、私は責任を持つというわけには参りません。
  143. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今新聞記事について私は責任を持つことはできないとあなたは述べられておりますが、しかし現実に新聞に出て、それが大ぜいの人に影響を与えておるということは定定できないと思います。新聞を見ますと、あなたが特に出席して「「デモ隊に対し警察力で足りなければ自衛隊をいつでも提供しますから」とこれまた大へんな鼻息」とこう書いてあります。これが非常な影響を日本の全労働者の上に及ぼしたということは、これはあなたの責任であるなしにかかわらず事実とだ思うのです。もしそれがあなたのお説のように事実でないとすれば、こういう影響をあなたはこれからどう除去されていこうとするのか、この問題を伺いたいと思います。新聞が勝手に作ったデマだからどんな重大な影響を労働者の上に及ぼそうとおれは知らないといわれるのか。あなたの労働問題と治安問題とは別個であって、不当な弾圧はしません、こういうお説を正しく日本の全労働者に伝えるための努力を、どういう形かでなさるお心持があるかどうか、これを伺いたいと思います。
  144. 船田中

    ○船田国務大臣 それがすなわちこういう国会における論議を通じて、その真相を国民諸君にお伝えするということが一番適当であると思います。
  145. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 国会の論議という形だけで、一度新聞に出ましたものがぬぐい去られるとは私は考えないのです。あなた自身の側から積極的に新聞社に対して解明をせられるなり、態度を声明せられるなりして、全国の労働者諸君が安心して正しい権利行為としての労働争議を行うようにと、声明をせらるべきだと考えるのですが、どうでしょうか。
  146. 船田中

    ○船田国務大臣 御高見十分承わっております。
  147. 西村力弥

    ○西村(力)委員 言った言わないの論議で、長官は言われない、ただし自衛隊を出動するようなことはないようにしたいという発言はなさった、こういうことでございますが、忽然としてそういうことが出るわけはございません。だれかから質問かなんかあって、話のいきさつから長官答弁がそういうふうになったと思うのです。長官がそういう言葉を出されるまでのいきさつはどういうことなんです。忽然と自衡隊を出すようなことはいたしませんとおそらく言うはずはないと思う。そのいきさつを一つお知らせ願いたい。
  148. 船田中

    ○船田国務大臣 昨日の自由民主党の総務会における内容をここに詳細御報告することは適当でないと存じます。しかしただいま西村委員の仰せになりましたようなことは、私現在においても決して治安がそれによって乱れるようなことにならぬことを欲しておるのでありまして、そのどういういきさつであったかというようなことを、ここに詳細申し上げることは、私は差し控えたいと思います。
  149. 西村力弥

    ○西村(力)委員 差し控えたいと言われますが、とにかく大臣として発言されたことは非常に重大な影響を持つものでありまして、私たちは大臣が発言されたそのいきさつのあらましを知りたい。総務会においてどんな内容の決定をなさったとか、そういうことは一個の政党の内部事情でありますから、知ろうとは思いませんけれども、総務会で自衛隊を掌握する大臣が発言されたことは、やはりその発生事情を一応知る必要があると思う。詳しいことを申されないならば、総務会の構成員のだれかから長官に対して要請があったのか、こういうことはできないかという質問があったのか。それがなければ、長官が狂ったわけじゃあるまいし、ひょこっと言うわけはない。それだけは一つお知らせ願いたい。あなた方の内部の御決定などを知ろうというわけではない。事重大ですから、そうでなければ、自衛隊を出動すると言わないと言ったって、また自衛隊を出動させろようなことはないと言ったって、納得できない。内部ではかみそりをといでいるんだ。銃にたまをこめて今まさに発射しようという意気込みでいるんだ。このことはどんなに取り消されても、そう受け取らざるを得ない。これは労働組合だけがあの言明に影響されているんじゃない。日本の民主主義を願うすべての人が、あの新聞記事を見て非常な怒りを覚えているのです。だから私は聞くんです。そのくらいわれわれにお知らせくださっても、一向おかまいないと思うのです。お願いします。
  150. 船田中

    ○船田国務大臣 ただいま重ねての御質問でございますが、私は自由民主党の総務会においても、自衛隊を出動させるなどということは全然申しておりません。これは本日ここにおいてはっきり申し上げておきます。
  151. 山本粂吉

    山本委員長 本日はこれにて散会いたします。  法務委員会との連合審査会は、本会議散会後に開会いたしますので、御了承願います。    午後一時二十八分散会