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1956-11-01 第24回国会 衆議院 逓信委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月一日(木曜日)     午後二時一分開議  出席委員    委員長 松前 重義君   理事 秋田 大助君 理事 橋本登美三郎君    理事 廣瀬 正雄君 理事 松井 政吉君    理事 森本  靖君       愛知 揆一君    宇田 耕一君       小山 長規君    平野 三郎君       山本 利壽君    井手 以誠君       伊藤 好道君    佐々木更三君       八木  昇君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局第二         課長)     小川平四郎君         外務事務官         (条約局第二課         長)      瀧川 正久君         郵政政務次官  上林山榮吉君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社理事         (業務局長)  吉澤 武雄君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 十一月一日  委員竹内俊吉辞任につき、その補欠として小  山長規君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小山長規辞任につき、その補欠として竹  内俊吉君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵政事業に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件     ―――――――――――――
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  郵政事業に関する件、電気通信に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  まず日本電信電話公社事業計画について発言の申し出があります。これを許します。橋本登美三郎君。
  3. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 電電公社の本年度事業は、仄聞するところによりますと非常に好成績のようでありますが、本年度の大体の事業情勢と、続いて来年度予算についても、すでに交渉が進められておると思います。かっまた電電公社自体にもその計画予算といろものは持っておられるだろうと思うのですが、この機会に大体の全貌をお話し願いたいと思います。
  4. 梶井剛

    梶井説明員 ちょっと遅刻して参りましたので御質問を聞き漏らしたのでありますが、ただいまのお話は、本年度状況と来年度予想というお話だと思いますが、本年度におきましては、進捗状況はややおくれております。しかし加入電話開通並び市外線開通につきましては、できるだけ急いでおりますので、開通そのものにつきましては少しもおくれておりません。工事の手配が多少おくれたといろ関係上、金の支出がおくれておるという状況になっております。従って先般通信局長会議を開きまして、十分この後半期において促進するようにいたしましたので、多分年度内には大部分は終了するという状況にございます。収入状況から申しますと、本年の四月以降一般景気がいいせいもありまして、予定収入よりは各月とも多少好転しております。従って本年度の正確な数字はまだ得られないのでありますけれども年度末においては予定収益よりもある程度増収が出てくるという見込みがついております。  それから来年度予算につきましては、これは十月になりまして郵政省に出しまして、大蔵省の方に対して目下その内容について御説明をしておる程度であります。従ってこまかい点は何らきまっておりませんですが、大体の意向といたしましては、一般加入者を三十年度同様に十八万五千、市外線を四十五万キロ拡充する考えであります。そのほか公衆電話を一万二千並び農村方面拡充を多くするために、農村方面に約一万二千くらいの加入者をさらにそれにつけ加えようという考えでおります。それから無電話部落というようなものにつきましては、本年度はあまり多くをやりませんでしたが、来年度においてはもっと力を入れてやりたいという考えでおります。無電話部落は全国で約一万八千ございます。これを解決するのに大体六カ年で全部解決したいという考えでおりますが、本年度資金関係で約四百の無電話部落を解決いたしまして、来年度はできまするならば三千ばかりやりたい、六カ年でちょうど全部を解消してしまいたいという考えでおります。それから町村合併の方は、予算では金額が少かったのでありますが、本年度途中におきまして余裕資金ができましたため、そのうちから五十一億だけ予算を追加いたしました。その五十一億のうちから約四億くらいですか町村合併の方に回しまして、極力推進しております。そういうようなわけでありまして、来年度予算そのものにつきましては、いずれ大体のめどがつきましたらば詳しく御説明をする方がいいかと思っております。
  5. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 三十一年度収入状況は、ある程度増収状況にあるというようなばく然たるお話がありましたが、四月、五月、六月、七月といいましょうか、上半期の大体の成績はおわかりだろうと思いますが、わかっている範囲内から類推いたしまして本年度は大体何%、金額にして何十億程度増収になるか、この点のお見通しを承わりたい。
  6. 秋草篤二

    秋草説明員 三十一年度すなわち本年度収入状況につきましては、目下半年分くらいの実績につきましては調査済みであります。概略的に申しまして、年度内にこのペースをもってすれば六十億ないし七十億くらいは確実に増収になるのではないか、従ってそういう前提のもとに来年度予算も今のところ編成しております。しかしごく最近の傾向では、その傾向はややまたよくなっているように感じられるのであります。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体本年度増収見込額は六十億ないし七十億円は間違いないというお話であります。そこでせんだって行政管理庁の調査で、電電公社は非常に増収をしておる。この増収をしておる結果から、それらがいわゆる厚生方面に乱用されておるのではないか、こういう意見が出たようでありますが、この六十億ないし七十億円の増収原因一つは、もちろん最近における経済界の活発なる数量景気、そういうことにもちろん原因があると思いますが、三十一年度予算編成方針について、その前年度実績から見て、前年度が比較的増収が少かったといいましょうか、増加率があまりよくない。そういうことからして三十一年度予算編成に当って収入過小見積りをした結果が、一つにはこういうふうに現われているのではないか、こう考えるのですが、その点当事者としてはどういう工合にお考えでありましようか。単なる数量景気、いわゆる産業界の活発なる活動、これが最大の原因であって、予算編成上の過小見積りはなかったのだ。われわれは相当見積っておったのだが、なおかつこういう増収が出てきた、こういうお考えなのか、それとも私が考えるように、もちろんこれは数量景気による電話利用度増加ということもありましょうが、一面において予算編成について非常に厳格にまじめにやり過ぎた結果過小見積りということがあって、そこでこういう結果が出てきたのではないか、こういうような見解もとられるわけですが、これについての御意見一つお伺いいたします。
  8. 秋草篤二

    秋草説明員 その辺の判断はなかなかお答えしにくいのですが、ただいまの数字が六、七十億と申しましても、パーセンテージにいたしますと全体の収入の三彩ないし三・五彩程度でございまして、私ども収入一般産業収入見積りに比べれば、ずいぶん手がたい確率をもって算出できる恵まれた収入だと思っております。そこで年々多少予算が食い違って参るのでありますが、昭和二十九年度におきまして初めて予算を割った年がございます。これは約四十億でございました。あとは大体予算よりもいつも増収になっております。そこで三十一年度収入をちょうど一年半ほど前に実は見積ったわけでございますが、二十九年度のデフレのかなり減収影響を頭に入れておりますので、非常に早くから見積りのデータをとっておりますので、多少そういう根拠がございまして、結果から見れば少し手がたかったかというような感じがいたすのであります。しかし何分にも昨年度の半ばから今日まで非常な好景気が続きましたので、割合とすればむしろこの方が影響が大きかったのではないか。過小であったか、あるいは好景気によったかということは一がいには判断できませんが、パーセンテージから見ればわずかな誤差でございます。今のところはそんな程度判断いたしております。
  9. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私がこの点をお聞きしますゆえんのものは、三十二年度予算編成に当って、これは参考になるだろうし、かつまた参考にしなければならぬ事項でありますが、大体三つ理由があるのじゃないか。いわゆる産業界好景気一つ、第二は予算編成上における昭和二十九年度減収から考えて、比較的に堅実なといいましょうか、手がたい予算収入の見方をしたということが一つ、第三には、この点は将来問題になると思いますが、最近急速に即時通話地域がふえてきている。しかも収入の多い地区即時通話にかわってきております。近距離もしくは長距離等の大きなケーブルのところでありますが、これらは規定上に従って従来の普通通話の八割ですか、そういうような特定料金によって収入を得ておる。そういうところを見ますと、大体においてそういうところは予定よりも収入が上回っておるようです。この三つが急激にといいましょうか、三五%の増加、これはこういうようなきまった事業としては比較的多い方の増加を来たしておるのですが、とにかくこの三つ理由がいわゆる大幅の増収を来たした一つ原因だろうと思うのです。そこで来年度収入をきめる場合において、過去の何カ年間かの実績を基本にして収入をおきめになるのか。それとも来年度においても即時通話区域なり、そういうものが増加せられると思いますが、そういう点を勘案して、いわゆる予定収入をお考えになりますか、あるいはまた今第三番に申しました即時通話地域料金の問題、これは相当考えざるを得ない一つの問題でもありますが、これらを将来どういう工合考えていくか、こういう点を勘案しておられるだろうと思うのですが、これらのことについての基本的問題ですが、今直ちに実行するという問題でありませんけれども、いわゆる料金の調整、こういう問題についてはどうお考えになっておりますか。総裁から一つお答えを願いたいと思います。
  10. 梶井剛

    梶井説明員 収入予想というものにつきましては、非常に困難でございます。しかし翌年の予想というものは、大体前年の収入実績根拠を置いて見るよりほかいたし方ない。それで三十二年度に対しましては今予算編成期において、四月から六月までの実績参考にいたしまして収入予想見積りました。もちろん今の即時通話関係がございまして、これはわれわれの予想が多少違ったのでありますが、即時通話にいたしますと、待時通話のときに対して非常に通数がふえるのでございます。このふえる割合というものは区間によってかなり違っておりますが、平均しますと即時通話にしたその瞬間に四、五割通話数がふえる、それが自然増収になってしまいます。最近ではそういうことも見当がだんだんついて参りましたので、即時通話区間そのものにつきましての増収というものは、現実実績の上にも現われておりますし、従ってその実績根拠にやりますと、翌年の収入予想にも大体そう大した狂いがなく出てくるわけであります。そういうわけで、収入は現状は予定収入よりもふえておるというふうになっておりますが、しかし今までやりました即時通話は、多くは長距離即時通話が多いのであります。ところが現実の問題といたしまして、そういう区間が大体完了いたしますと、勢いだんだん近距離の分も即時通話にしなくてはならない。ことに大都市並びにその周辺通話というものが、意外に時間を要しておりますので、これに対しての非難も相当ありますから、われわれとしましては来年度におきましては大都市周辺の、いわゆる衛星都市大都市との間の即時通話を実行しなくてはならぬ、こういうふうにいたしましてはさほど通数長距離においてはふえない、そうしてまた増収も従って多くは見積り得ないというわけでありますから、今後第二次五カ年計画に対してのわれわれの予想といたしましては、加入者がだんだん普及するに従って、いわゆるビジネスの電話よりも住宅電話の方が普及していく、従って各電話機当りの呼び数というものは今日のように多くならない、むしろ一加入当りの呼び数は減る傾向を持っておる。従って平均収入は現在よりもむしろ下りぎみになってくる。ですから将来に対してわれわれは今日のような収入を見ることはきわめて危険であるということを第一に考えております。それからこれは余談でありますけれども、私どもは今日までの建設資金といたしまして、加入者社債を持ってもらいます。また公募社債を募集しておるわけであります。これは加入者社債十年、公募社債は七年という期限をもって償還しなければならない。遠い将来のことを考えますと、第二次五カ年計画においては、第一に公募債償還期が参ります。続いてその三年反に短期社債償還が参ります。その償還する財源というものを一応われわれが頭の上に描いておらぬことには、そのときになって方法はつかぬのではないだろうか。ことに短期社債については借りかえというが全然ありません。どうしても自分らの収入のうちからこれを償還していかなければなりません。また公募債については借りかえの方法はつきますけれども、しかし借りかえと同時に、その年にまた拡充財源としての公募債を募集するということになりますと、今日のワク程度では済まない。その倍というようなものを募集しなければならない。その際に金融機関情勢として、これが消化し得るやいなやということも考えなければならないので、やはり公募債もできるならば、償還期限がきたならば償還するという方法考えなければならない。それらのことを考えますると、今われわれは余裕資金が――余裕資金というよりも、つまり予定以上の収入か上っております際に、できるならば減債基金制度を実行して、そうして将来償還すべき資金を年々積んでおいて、期限が来たときには無難に償還ができるような準備をしなければならぬ、こういうように考えておるわけであります。
  11. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 設備の改善あるいは償還等の問題は、総裁のおっしゃる通りであって、もちろんこれは十分に考えていくべき性質のものと考えます。ただわれわれが国政調査で調べました結果によりますというと、中距離地帯、大体において五十キロ以上百キロのもの、この中距離即時通話地域は一五%ないし二〇%くらい収入の面においても増加を来たしております。もちろんこれは短距離の区間、二十キロないし三十キロ程度のものは、大体においては通話数というものはふえておらぬようでありますが、中距離区間というものはかなり増加をしておる。そこで考えますのは、多分即時通話料金規定認可料金と思いましたが、現在の普通料金に対して八割掛の認可料金考え方が、当初と、現実に実行してみてかなり差異が出てきておるのではないだろうか。というのは、一つにはそういうところかう電話が来ます場合には、従来急がなければ普通通話でやっておつたものが、今度は急ぐと急がないとを問わず、かければ八割掛の料金を取られる、こういうことになっておりますので、中小企業に対してある程度の負担も増加しておるようであります。従って、私は全体として電電公社収入を下げるという考え方を持っておりませんが、そういう特定料金制度によって、いわゆる特殊の増加を来たしたる面については、その基礎算定の上においての考え方にも、多少の誤差がありはしないか。そういう場合においては――もちろんこれは一、二年の最近の傾向でありますからして、それをもって直ちに判断を下すことは困難ではありましようけれども、一応従来は、たとえば五十円であったものが今度は八割増しの九十円を最低だれでも取られる。こういう特定の状態でありますからして、できるだけ中小企業等のためを考えても、その料金自体が特殊な増加を来たしておるとすれば、これに対してのすみやかなる是正というものは、部分的でありまするが、やはり必要じゃなかろうか。こういう考え方から御質問申し上げたわけでありますが、一応御参考に願いたいと思います。  なお本年度六十億ないし七十億の増収がある予定であるようでありますが、とれをどういう工合にお使いになるのか。先ほどの総裁お話では、そのうちの十億円くらいは町村合併にお使いになる予定である、こうおっしゃっているようでありますが、その他なお相当の金額が残るわけであります。これらはどういう方面にお使いになる予定でありますか、大体の方針をお聞かせ願えれば大へんけつこうだと思います。
  12. 梶井剛

    梶井説明員 実際の収入を査定いたしますのは、来年六月ごろ決算をいたしまして初めて査定するわけであります。今日のは見込みでありますかう、それを当てにして三十二年度予算に直ちにそれを反映せしめるということは、それは困難であります。三十年度予算におきましても決算いたしました上で、予定よりも収入の上りました分をさらに設備拡充に充当するということで、約五十一億を大蔵省並び郵政省お話をしまして、そして承認を得てそれを追加して、予算は五百五十五億でありましたものを五十一億追加して、六百六億として工事を進行しているわけであります。でありますかう決算しました上で、同じような状況が出て参りましたならば、さらにそういう措置をとりたいとは思っております。しかし同時に先ほども申し上げましたように、われわれとしましては将来の社債返還のことをも頭に置いて、その場合に必要な処置考えなければならないだろうというふうに考えております。  なおまた料金問題につきましては、これは私どもこの前料金値上げをお願いしました際に、ただ過去の料金を平均しまして二割上げたという格好になっております。従ってその当時料金そのものの改訂について、十分にわれわれは検討いたしたのでありますが、これが過去における経過から漸次上ってきておるということだけで、根本的に検討された跡がないのであります。従って私ども料金の公平な措置を講ずるためには、根本的にこれを検討しなくちゃいけない。従って、それから後引き続いて各サービスに対する原価計算的な料金算定を今やっております。そういうものをさらにいろいろな角度から検討いたしまして、料金合理化というものをやらなくちゃならぬということを感じておりますので、その成案を得ました暁におきましては、御承認を得て実行したいというふうに考えておる次第であります。
  13. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 三十一年度状況についての質問はその程度にいたしまして、三十二年度予算計画といたしましては、大体内容についてのお話がありましたかう、それを基準にしてお聞きしたいと思います。来年度予算総額はお示しになっておりませんが、大体電電公社の場合は基礎収入がありますからしてあまり大した変化なく、大蔵省当局郵政省当局の了承が得られるだろうと思いますが、この場合の予算収入増加と申しましょうか、総額はどれくらいになりましょうか、その点を一つ説明願いたいと思います。
  14. 梶井剛

    梶井説明員 来年度事業収入予想といたしましては、約千四百六十億と見込んでおります。そして支出との差引の上におきましては、収支の差額は百六十三億、そのうち二十億を債務償還に充てまして、残額百四十億を建設勘定に繰り入れるという考えのもとに予算編成しております。
  15. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この千四百六十億円というのは、本年度事業収入に対してどれくらいの増加を見込んでおりますか。
  16. 梶井剛

    梶井説明員 三十一年度予算収入と比較いたしまして、約百六十億の増加となっております。
  17. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 市外通話増加並び加入者増加等がありますからして、本年度予算収入増加に加えるに来年の拡張工事におけるところの収入増加、こういうものを加えて百六十億円になるわけであります。そこで国政調査の上でいろいろ問題があったのですが、その一つは、先日千葉県下を調査したのですが、農村方面電話が不十分であるところかう、最近簡易電話といいましょうか農村連絡電話、そういう施設が非常に増加しつつあります。当事者関係から聞きますと、なかなか電電公社地方普及が困難であることが一つ、もう一つはなかなか高い値段であるからしてとうてい農村としては買いにくい。われわれとしては一日二通話か三通話しか使わないかう、できるだけ安い方法によってやることが適当なのだ、従って現在やっておるところの有線放送にぶう下っておる放送で当分間に合っておる、こういう見解であります。しかしこれらの有線放送施設が、われわれはこれを簡易農村電話と言っておるのですが、その地区においてもぜひとも市外通話を使うために、優先的に電電公社加入電話を入れてもらいたい、こういう意向が強いようであります。先ほど総裁の御説明の中の、農村方面の一万二千人の加入者というのはそういうものも含めての数でありますか、それとも、従来のたとえば交換局を持たない電話局に対して交換局を設けるとか、あるいは十加入のものを二十加入にするとか、こういう方面に限られたものを農村加入者数と言われたのか、または簡易農村電話が施行されておるところに公社電話加入する方面も加えておるのか、もしくはそれは無電話部落方面も入っておるのか、その点の区別がおわかりでありますれば、大体の御説明を願いたい。
  18. 梶井剛

    梶井説明員 先ほど農村方面に約一万二千名の加入をやりたい、こういうことを申しましたが、これは今お話通り、無電話部落の分も含まれておりますし、それから今のような簡易有線電話でございますか、そういうものの地域に対して加入者をふやしていくという目的にも合っているわけです。両方を含んでいるわけであります。われわれとしましては、現在電話がないからこそ農村でそういうふうな処置をしておられるのだろうと思いますかう、もう一そう便宜をふやすためには、そういう地域市外線を持ってくる、そうして電話をつけるということをしなければならぬと感じておりますから、今の一万二千名の中には相当そういうものが入っておるわけであります。しかし農村とかこういう土地における電話というものは使用度数がきわめて少いのでありまして、従ってできるならば共同電話というような方法によってもらいたい。その方法をいろいろと研究いたしまして、多数共同電話をやれるような工夫をいたし、そしてそういう土地の方へ電話を入れさせていきたいという考えであります。なおこのためには場合によりましては、小さな交換機によって簡易な交換事務開始もしていきたいし、また群衆電話と申しまして大ぜいの電話を集めてやっていくとか、あるいは多数共同電話というような、いろいろ農村に適合した方式によって電話普及を進めていきたい、こう考えております。
  19. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと、無電話部落のいわゆる来年度三千個ふやすということは、農村方面の一万二千名の中に入っておるようなお話でありますからして、これは合計で一万二千、こういうことになるようであります。そこで無電話部落というのは本年度から本格的に始めたようですが、各方面において非常に評判がよろしいのです。無電話部落は本年四百に対して来年三千ですから、約十倍に近い数をやるわけでありますから、非常に画期的な数にはなりますけれども、六年で無電話部落を解消するという考え方ではなく、できれば三年くらいでもって無電話部落を解消する。全然電話がないというのですからして、これは六年もまだ電話がないことを待たされるのは非常に苦痛だろうと思うのです。ですから六カ年でこれを解消するという考え方は少しゆうちょう過ぎはしないか。費用もこれはもちろん相当かかることでありますし、しかも収入がないようでありますから、公社としては非常につらいわけではありまするが、公共企業体として、かつまた独占事業として、少くともそういう方面には積極的にサービスをする、こういう建前から、この六カ年計画を少くとも三カ年計画くらいにして、解消してもらう。しかも、本年度のごとく相当な収入増加予想されるのでありますから、それらの金を有効に使うためにも、この方面にそれらの金が振り向けられる、こういう考え方でこの六カ年計画を三カ年計画くらいでやるお考えがあるかどうか。これが一つ。  それから農村方面電話施設ですが、もちろんこれは普及度が少いということから、ああいう簡易農村電話ができつつあるのです。しかしながらこれはまた普及度が少いということばかりではなくして、費用の関係も大いにあるようであります。しかし公社がやるということになれば、もちろん全国に電話がつなげる建前上、電話を引くのでありますから、現在行われておるような、有線放送協会等のやっておる簡易農村電話では話になりませんから、あれと建設費を勘定することは困難だろうと思うのですが、考え方として、公社としては何か特殊な、いわゆる技術基準によるところの簡易な施設、こういうことをお考えになったことがあるか、あるいはお考えになっておるかどうか、あるいは公社本来の建前上、この点については考えておらないか、いずれかお考えがあろうかと思いますが、この二点について一つ説明願いたいと思います。
  20. 梶井剛

    梶井説明員 先ほど私が申し上げましたことに少し誤まりがございますので訂正をいたします。無電話部落に対して公衆電話を三千と申しましたが、この三千は先ほど申しました一万二千の中に含まれておらない、合せて一万五千ということになるわけであります。従って一万二千の方は一般農村のものばかりではなく、今の簡易有線電話の分も含んでおる、こういう意味であります。  それから市町村合併に伴いまして、実は三十年度に約五億、三十一年度に十四億という金を投じたわけでありますが、これは先ほど申しました五十一億の余剰資金をもって町村合併の金を十四億までふやしたわけであります。たしか予算が十億だったのを十四億にふやしたのであります。それから無電話部落の分は、当初二億でありましたのを四億にふやしたのであります。ありますから、もし三十年度の決算の上で、さらに相当な余剰資金ができましたならば、その命をもって無電話部落並び町村合併その他農村方面拡充にできるだけ資金を投じていきたい、こう考えておりますから、現在どれくらいという確実な数字は申し上げかねますけれども、私どもはさような恵まれない地域にできるだけ便宜を供与したいという考えでおります。  それから、今度ごらんになりました簡易電話でございますか、との方の施設は、私もかつて見たことがありますが、実際問題としましては経費が非常に安くやられておる。しかしその施設を見ますと、きわめて不完全なものでありまして、電柱のごときも、その辺の立木を切り倒して、ただ地面に立てる。そして碍子をつけて線を張り回す。一つの回線でもって電話機が三十も四十もぶら下っておる。それにラウド・スピーカーが一緒にぶら下っておるというわけでありまして、電話ができないわけではありませんけれども、きわめて不完全なもので、そのようなものを一般公衆通信として市外通話を通じて他の地域電話通話せしめることは、非常に困難ではないだろうかと思います。でありますから、できますならばかような簡易電話をその地域だけでやらぬで、一般市外通話にも接続するためには、もう少し技術的に向上せしめる必要があるのではないだろうか。少くとも技術水準をもう少し向上せしめなければならぬ。しかしさりとて、農村方面におきましては回線も少いのであります。また実際問題としてその利用度もきわめて少いのでありますから、大都市等のごとき技術水準をもってやる必要があるかどうかということについては、われわれも考慮しなければならない。やはりその土地土地に向いた程度においてやってもらわなければならないだろう。けれども現在簡易電話の保守その他も部落の人がよろしくやっておるというふうでありますから、運営の費用も比較的少くなっておりますので、将来そういうことを考えまして、われわれもやはり部落の人の協力を得て、その人たちにある程度技術的知識を与えて保守に協力してもらったならば、われわれの方の負担も少くなるのではなかろうか。そういう意味から申しまして、技術的水準というものを別途に――われわれとしましては、こういうふうに向らの技術水準を上げてもらうと同時に、私の方がこういうところにやる場合においては一大都市と同じような技術水準をもってやる必要はないのではないかと与えております。しかしこれは過去においてGHQがいわゆる基準を作ってあてがってしまったものですから、その筆法でやっておるわけでありますが、特殊の事情に対しては特殊の考えをもって技術水準を下げることも必要なことではないかと考えます。
  21. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体私は第一バッターですから、大ざつぱにお聞き申しまして、あと各委員からこまかい御質問がありましょうが、今の点について、私はせんだって見て参りまして、その関係をもう少しはっきりしておく万が、将来公社のためにもよろしいのではないかと思います。それは見ましても、有線放送としてはかなり特殊な役割を持っておる。連絡電話の方は全く、ほんとうの身のまわりのことを簡単に連絡するだけで、平均に申しますと一日二通話しか使っておられない。こういうのでありますから、いわゆる電信電話公社のやっておる公衆電話とはかなり性格の差異がある。こういう意味で、特殊な形態、特殊な目的を持っておるのでありますから、その間、電話の連絡という方面にも使われてはおりますが、なお別な需要を持つおる関係上、これらはこれらとして適切に助長発展せしめて、公社はやはり公社として、従来の本格的ないわゆる公社電話の疎通という点から考えていくことの方がはっきりしてよろしいのではないか。いつか総裁が何かの新旧等でお話しになった、これは新聞でありますから間違いがあったかもしれませんが、あれには公社としてはこれらの接続等についてもお考えになっておる、こういう談話を見受けたので、そこでそれらについての御意見をお伺いしたわけであります。なお最後にお聞きしたいことは、きのうも全電通の定期大会があったそうですが、いわゆるベース・アップ等の問題が起きておるようであります。非常にもうかっておるものですから、これは従業員の努力ももちろんあずかって力ある問題でありますから、そういうことから一つの権益があろうと思いますが、もちろん従業員の待遇改善は常にお考えになっておるとは思いまするが、最近の現況及び公社の将来等から考えて、この待遇改善に対するお考え方を、抽象的でけっこうでありますが、お漏らし願えれば大へんけっこうだと思います。
  22. 靱勉

    ○靱説明員 職員の給与の改善につきましては、ただいま橋本委員がおっしゃったように、われわれとしましても常に検討を進め、できればざらに改善の実が上ることを希望いたしておる次第でございますが、これは御案内のようにこの三月に、官公労と申しますか、調停等にかかりまして、公社にも一案が示されたわけであります。そのときにおきまする公社側の回答と申しますのは、ベース・アップについては、調停委員会におきましても今直ちにということにはなっておりませんで、しかしながら一時金その他いろいろ給与の関係等につきまする万般の問題等については調整する、あるいはいわゆる期末手当と申しますか、そういうものについて措置をするようにということになっておりまして、公社といたしましてもそれに対しましてはなお全体的な情勢のでき上るのを待ちまして、さらにこの問題については検討いたしたいというような態勢にあるわけであります。最近組合におきましても、これは単に電電公社だけではないのでありますが、全面的に二千円アップの賃金改訂をいたしたいというようなことで要求されておりますが、これらにつきましては、私ども三月以来の諸般の状況を考慮しまして、いかに対処しますか、ただいまのところベース・アップ自体につきましては、まだこれをベース・アップするというような結論にはなっていない。しかしその他いろいろ給与の本給に入れるべきもの、あるいはその他付加的な給与につきましての是正等につきましては、組合とも大体の話し合いもついた次第でありますが、これは最終的には組合側の同意を得られないで、現在そのままになっておるという態勢でございます。
  23. 森本靖

    ○森本委員 三十二年度計画の大綱の骨格等については、あとで同僚の松井委員の方から本格的に質問があると思いますので、私は今の橋本委員質問をしておりました問題に関連をしてちょっとお聞きしたいと思いますが、例の簡易電話の点であります。この点は、総裁はまだ見ておらないから云々というように言われましたが、実はわれわれもそういうことを考えて、これは与党の委員の諸君とも話し合いをした上において、当時総裁か副総裁か、どちらかでも一緒に行ってみればよくわかるだろう、こういう計画を持っておったわけでありますが、その当時ちょうどいろいろの事故でお二人とも行けなかったわけでありまして、非常に残念に考えております。  そこでこの簡易電話については、確かに見た目においては、外線の工事その他についてはきわめて粗雑な格好に見えますけれども、これは市外と連絡した場合にその感度がどうなるかは別として、われわれが直接――これは最高が八キロか九キロだったと思いますが、市内電話通話の感度は比較的いいわけであります。しかもこれが単線であるにもかかわらず、かなりいい感度で通話ができるわけであります。しかもこの経費が一個当り三千円というふうな、至って廉価な経費で行われておる。もっともこれは総裁が言ったように、すべての労力その他については村の青年団等が協力をしてやっておるので、電電公社の現在のやり方でいくと、これに太刀打ちすることはとてもできない。しかし技術水準は全く違つておるということは御説の通りであります。しかしこれをこのままほうっておきますと、特に私の国の四国のようなところとか山岳地帯になりますと、農村にこういう簡易電話がどんどん普及していって、われわれが考えておるような電話普及と違った方向に行くのではないかという心配もあるわけであります。  そこで橋本委員の方からの今の質問では、この電話についてはこの電話として、別途の方向にこれを普及さす方法考えて、それとまた電電公社電電公社として別途に、今までのはっきりした任務を持った電話事業普及ということで考えていったらどうか、こういうような御意見でありましたが、ある程度そういう御意見についてもわれわれとしては賛成ができますけれども、できればこういう電話の問題については、やはり電電公社がこれと一応太刀打ちのできるような格好にして、あえて電電公社の技術水準を下げてまでこれにマッチをするようにしろとは私は申しませんけれども、何かここのあたりで電電公社がこの問題に対する対策というものをやはり考えてしかるべきじゃないか。それがためには単に無電話部落に対して六カ年計画で一万八千計画をするくらいが関の山ということでなしに、具体的にそういう技術問題、今の簡易電話がどういうことに使われておるか、これに対抗して対抗というのはおかしいのですが、それも電電公社電話事業の中に含めてやっていくというような考え方を真剣に検討してもらいたいと思うわけでありますが、この簡易電話について電電公社当局としては、もう少し突っ込んだ検討はしておらぬわけでありますか。
  24. 靱勉

    ○靱説明員 先ほど総裁からお答え申し上げました通りでございまして、私どもとしましては農村電話普及ということにつきましては、当然の任務だと心得ております。そこで先ほど橋本委員からもお話がありまして、たとえば無電話部落の解消に六カ年かかるのはおそいじゃないかというような御意見も拝聴いたした次第でありますが、来年度のことはどうなりますか、私どもが出しました案といたしましては、町村合併もかなり農村関係影響のある問題でありますが、町村合併としましてはおよそ三十億程度、それから農村電話部落としましては二十五億程度、両方で五十五億という相当大きな額を農村あるいは地方町村の電話施設拡充整備のためにやりたい、こういう形になっておるのであります。従いまして公社としまして、この方面に対する電話の整備というものに消極的であるということにはならないのでありまして、御案内のようにここ四年間、毎年二十方程度電話施設普及をやつて参りましたが、依然として毎年四十万ずつ残ります。この壁はいつになってもくずれない。すなわちどうしても充足率というものは需要に対しまして大体三割程度しか充足していない。これがもっと五割になり六割になるというような情勢がこの四年間に見られないのでありまして、第二次五カ年度におきましても、これを解消するわけにはいかないというような情勢であります。しかも電話局で一本もつかないというような局、そういう状態に詰まってくる局が、三十二年度末におきまして二百数十局ということになっておりますので、私どもはやはり全体的に調和のとれた電話施設拡充整備をやらなければならぬ。第二次五カ年計画の前半期におきましては、かなり大都市中心主義でやって参りましたが、今後中都市あるいは農村等に対しましても、バランスのとれた施設普及をやらなければならぬ、こういうような情勢で、本年度はある意味においては、電話事業始まって以来の大予算で、六百億という建設資金になったわけでありますが、三十二年度におきましてもそれを若干上回ったものをぜひお願いしたいというような考えに立って、予算を作っておるような次第であります。そこで今森本委員の御質問放送兼用の私設電話に対して、公社が技術基準を下げるとかいうことでなく、もっと突っ込んだ対策がないのか。根本的な対策は私どもとしましては、先ほど総裁からも御説明申し上げたように、農村につきまして若干その規格を落すというと語弊がありますが、できるだけ安い経費におきまして、これは単に建設だけの問題ではなく、運用につきましても、比較的経費が安く済むような格好で、農村の利用が全般的にできるような要するに料金体系と申しますか、建設資金すべてのコストを安くしたような規格を考えなければならぬというので、目下それの検討をいたしております。従いまして先ほど御紹介しました公衆電話とか、あるいは無人局の設置とかによりまして、経済のコストを安くしていくということで、一般の利用者の方に利用できるような態勢にしていきたい。と同時に無電話部落と申しましてもいろいろとり方があるわけでございますが、現在全くないところには優先的に公衆電話を一個でもつけて皆さんに御利用を願うということは、六年あとまで待つということではなくして、最小限度一個ということになっておりますから、これを六カ年に延ばしますと一個では足らぬというようなことから考えておりますので、橋本委員の御心配のようなことでなく、三年、四年後にはかなり無電話部落というものは解消する。ただしそれではとてもその利用する者としては十分な量ではないのでありますから、数も増していかねばならぬ、こういうことで一応六カ年というような計算を経費の点等から考えておるのであります。そこで現在の私設有線放送と兼用のものにつきましては、やはりこれは特殊の放送と兼用でございますので、または経費の負担等につきましても共同的にやつておられますので、これは郵政省の方におきまして、この法規の改正整備ということも御検討になっておられるのでありまして、私どももそれに対しまして意見を申し上げているような次第で、これはこれとして発達していくと同時に、その地域にやはり加入電話なり公衆電話を入れていくことによりまして、一般公衆通信系統の連絡ということもかなり便利になりますので、結論的に申しまして、今発達しつつあるものを全面的に公社が取り入れて、これをかわってやるというほどのことまでは私ども考えてないのであります。ただいま申したように公社施設拡充整備をはかり、そういう私設電話のあるところにも公衆電話なり加入電話もだんだん延ばしていきまして、両々相待ちましてその地方の通信事業を充足していくのが今考えられる方法ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  25. 森本靖

    ○森本委員 私らのお聞きしておるのは、そういう点についてはこの前のこの委員会においても、橋本委員と電気通信監理官との間においてかなり突っ込んだ質問が行われて、これは郵政当局の方も、その問題については法的に研究をいたします、こういうことにはなっております。なっておりますが、そこでこの問題は単に農村々々というふうに言われておりますけれども、これがかりに法制化されてどんどん発展をしていくということになりますると、これは農村だけに限らぬと思います。ある千葉県下における発達の状況を見た場合においては、これは単に農村だけに限らず、漁村においても、あるいは場合によりましてはちょっとした村落においても発達していく可能性があるわけです。それが法制化されて、今日は一応有線放送業務に関するあの法律で行われておりますので、これは非常に法的に疑義があるわけでありまして、これ以上の発達の問題については、これは法的にも疑義があるわけであります。しかしこれが一たび法的に整備をされて、たとえば漁業協同組合、農業協同組合あるいは地方公共団体に限り、その町村内におけるこのものを法的に認めるというような形になりますると、場合によっては市内通話というものが今後発展をしていって、かりに公社の方がいわゆる公衆電話というものをさらにさらに増置をするという格好になっても、この設置料の点からいって、実際に二千五百円か三千円で、そうそう大して用事はないけれども、日に二回か三回くらい連絡すればいいというくらいのところであれば、この簡易電話方法をとりかねない。そういうことになりますと、これは最初にこの簡易電話を始めた形のものと違った方向に行く懸念もあるわけでありますが、そういう点について電電公社としては実際にどういう突っ込んだ検討をして、どういう意見を持っておられるのかということを私はお聞きをしておるわけであります。それに対するところの対策としては、単に無電話部落が全国一万八千あるので、来年三千行うと、これは昨年四百の四億から見ると、三千であるから二十五億ということになると、予算的にはかなり進歩したあとは見られるわけであります。しかしそういう予算的に進歩して無電話部落が解消されるということは見えるけれども、しかし今私が心配しておるのは、そういう法的な整備がかりにできた場合に、一体この電電公社の市内電話の場合と簡易電話の場合と公衆に選ばせた場合においては、そちらの方に優先的に行く可能性が多分にあるわけです。そういう点も電電公社としては実際的にどうお考えになっておるかということを私はお聞きしたいわけです。
  26. 靱勉

    ○靱説明員 この郵政省の方でお考えになっておりまする法律の体系がどうきまりまするか、いずれこの委員会でも御審議あることと存じますが、それがともかく何らかの形で公認されるということになると、非常にこれが発達してくるのじゃないかというお見通しのようでありますが、私どももこれきりでとまるということは毛頭考えておりませんが、そういう公衆通信と相競争して発達していくというふうには実は考えていないのであります。これは非常に楽観説と言われるならばそうかもしれませんが、私どもは必ずしもそう考えていないのであります。結局問題は私は農村等におきましては、経費負担の問題というものはかなり大きいと思います。今御指摘のように片方が三千円で片方はあるいは負担金を取られるかもしれない、こういう形になりよすと、つけるときにちょっとちゅうちょする。ところが非常に発達したと申しますか、施設がかなり整備されて、七キロでも八キロでも相当明瞭に聞けるというような施設になって参りますと、これはある意味におきまして相当通話も――一個当り二、三通話と申しよしても夜中等もありますので、その人件費も考えねばならぬというような形になってきまして、現在そういう点が現われて、私ども聞いておる範囲におきましては、あるいは月額経費二百円というところもあるやに聞いております。そうなりますと、公衆電話あるいは相当多数共同加入あるいは住宅電話電話料金ということになりますと、やはり二百円前後でどこでも、夜中でも通ずるというような形になりますと、通話も相当数確保できる、そういうことになって参りますれば、私設有線放送兼用のものが非常に高度の発達をしてきます。それはやはり同じ材料を使い、同じ機械を使うということになりますれば、公社だけが高いということは言えないと思います。そこらでおのずから一つの私設電話の限度というものもあるかと存じますので、私どもとしましては先ほど申し上げたできるだけ安く、しかもサービスにおいてはそう大都会――農村では、なかなか通じないというようなところがないような態勢で、皆さんに御利用願うということにいくのがいいのではないかというふうに考えております。
  27. 森本靖

    ○森本委員 総裁にもちょっとお聞きしますが、この問題についての詳細な報告が総裁、副総裁に参っておりますか。
  28. 梶井剛

    梶井説明員 報告は出ておるそうであります。しかし私はまだ十分に読んでおりません。
  29. 森本靖

    ○森本委員 報告が出ておるとするならば、今言ったような楽観的な答弁は私はできないと思う。これは私たちが現実に今その経緯を行って見てきて、ここで私が質問をしておるわけでありますので、それはあなたが言われておりように非常に通信の度合いが高い加入者ならば、それはやはり電電公社の場合を望むと思います。しかし料金が安ければやはり電電公社の方を望んで、市外でもどこへでもつなげる通話の方を望むと思うが、しかし日に二回か三回しか必要がないという方であつて、しかも市内の通話の感度が一通り良好でできる、しかもその設置する経費が三千円程度で済む、それから通話料金についてもせいぜい一通話五円というところもありますが、しかしまた五円取っておらなくして、月額百五十円なら百五十円という維持費を取っているところもあるわけです。そういうところで、案外これまたその一、二の中に、あなたが今言った交換手は夜通しいるそうです。その交換手の夜通しの経費はその中に含まれて行われているわけです。そうなって参りますと、比較的通話度数の低いところの加入者には、今日の電電公社電話と、それからこの簡易電話と比較した場合に、どちらを選択するかということになりますと、今日の段階においては、この簡易電話については法的整備もなし、それからそういうところの保護もない立場になっておりますので、この指導者として陳情しているわけです。しかしこれが一たび協同組合なりあるいは地方公共団体でやってもよろしいというふうに、かりに法的に整備を受けた場合においては、副総裁が言われるような楽観をすることは、決してこれは容易なことではないとわれわれは考えているわけです。だからこそ電電公社としてはこの問題についていま少し真剣に検討してみたらどらか。それから有線放送業務ということにおいて、今日の法律においては、これが法違反の形式になっているので、かりに地方公共団体あいるは農業協同組合、漁業協同組合が正式にこういうふうな通話を取り扱ってもよろしいということに法的に整備をせられるということに対して、そういう法案が出た場合は、いずれ公聴会なり何なりを開いて、それぞれの意見も出てきますから、今これが問題になっておりますので、そういう法的な整備ができた場合に、電電公社側としてはどういう御意見であるかということを特に総裁にお聞きしているわけです。
  30. 梶井剛

    梶井説明員 先ほど副総裁から答弁をしましたから、引き続いて副総裁から答弁してよろしゅうございますか。
  31. 森本靖

    ○森本委員 質問内容は、副総裁が答弁したことに対して、私がその副総裁の答弁でまだこういう実情に沿わぬ点があるということをお尋ねしたわけです。電話事業の発達ということを考えた場合、そういう点で法的な整備ができたときには、公社としてどうお考えになるか。またそういうような法的な整備をされずに、従来のように有線放送業務一本においてやるのがよろしい、そして電話通話というものは、やはり法の本来の建前からいって電電公社で全部やっていくのが正しいのか、そして電電公社の方はなるべく可急的すみやかに、一万八千ということでなくして、具体的に多数共同電話のやり方においてもそういう方向においてやっていった方がよろしい、そういうふうな法の整備をずる必要が何らない、そういう意見であるかどうかということを聞いているのです。これは非常に重要な意見になると思います。
  32. 梶井剛

    梶井説明員 私の考えといたしましては、現在ありますところの簡易有線電話は、これはもともと発生が有線によっての放送の共同聴取から起っているわけであります。従って電話はその後に付帯的にぶらさがってしまった。それも全然通信の便利のないときに、さような便法によって、ある狭い地域においてそれを共用している。ところがお話通りにそれが非常に安く建設されて、しかも運用の費用が割合少くて済む、非常に便利であるといろ観点から、だんだんその地域が広まりつつあるという今情勢にあるわけであります。われわれとしましては、本来その発生が放送の共同聴取にありまするから、放送の共同聴取にある限りにおいては、われわれは全く関係はない。それからその共同の放送聴取が第二段階として進歩したときに、一種の指令電話になっております。そしてその部落なら部落の長から部落の人にいろいろな指令を出すときにそれが使われておったらしいです。それが第三段階になって、今度はその部落の人々がお互いに話したり、あるいは部落の長と電話を交換したりするように発達してしまった。こうなりますると、いわゆる電話の交換と同じような状況になる。その場合に従来の有線電気通信法から見ましてきわめて疑問が生じてくる。しかしもう一つの問題は、電電公社がさような場所に通信の便宜を与えておらないという場合においては、これはある程度やむを得ないと認めなければならない。しかし将来そこへ電電公社の通信施設が行った場合におきましては、もはやそれは有線電気通信法に触れることになるわけであります。でありますから、だんだん区域が拡張されたり、あるいは通信の施設をやったにもかかわらず、なおそれと同様なことがやられるというようなことは、これは法の作られますときに十分に考慮してしかるべきではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。
  33. 森本靖

    ○森本委員 私はこの問題だけになりましたが、私たちが立法に当る際に、電電公社意見が非常に重要なものになってくると思うので、特にお聞きしておるわけです。総裁は現物を見ておらないので、何か頭の中で考えておる点がありはしないかという気がするわけです。これは総裁も御承知のように、一本の線に三十も四十も電話がスピーカーと一緒にぶら下っておるわけでありますので、かりにこの一万八千というものが全部計画をされても、その場合に、その部落なら部落に一個しかつかないことになりますので、一応は有線放送の共同聴取ということでやっておるけれども、実際は通話を目的にして初めから作っていくという格好に現在はなりつつあるわけです。そういう場合にこの法的な整備がされるということは、あなたは電電公社設備が行き届いたところについては、そういうことをやる必要はないと言われるけれども、部落に一個電話ができてもその場合は全然違うわけです。だから今法的に非常に疑義があるので、これを法的にはっきりやってもよろしいという形にしようという御意見もあるわけです。しかしそうなった場合には、私か先ほど説明をしたように、電電公社電話との関連が出てくるわけです。そこで電電公社としてそういうものを法的に整備するということについての御意見を私は聞いておるわけです。もしこれは重要な問題だから、今直ちにそういう問題についてよしあしの回答ができないというならそれでけっこうであります。いずれ日をあらためて公社当局のはっきりした意見をお聞きしたい。
  34. 梶井剛

    梶井説明員 私も今お話通り、いろいろな場合における簡易有線電話を見ておりません。共同聴取の分は見ました。それからまた部落の長から各人に指令を出すような制度になっているのも見ました。しかし電話交換までしているというのは見ておりません。ただそこを通りながら見ました。実際線の張っておるのを見たが、どの程度の交換をしているのか、どの程度の便宜があるかということについてはよく知りません。この問題は国会議員の方にお供をして、私どもの方の業務局長が現場を事実見ておりまして報告を出しておりますから、十分検討しまして、郵政省で変更される際にわれわれの立場から十分意見を開陳したいと考えております。現在のところはまだそこまで行っておりませんので、いずれそういうことが十分検討された上でお尋ねお答えいたします。
  35. 井手以誠

    ○井手委員 農村電話に関して一言お尋ねいたしたいと思います。各方面から要望されておる無電話部落の解消例題について、聞くところによりますと、特別加入区域をその恩典から除かれておるようでありますが、実際はとうなっておるのか。特別加入区域であっても、農山村でここ当分見込みのないところはちょうど盲点になっているかと思われるのでありますが、この点についてどのようにお考えになっているかお尋ねいたしたい。
  36. 靱勉

    ○靱説明員 特別加入区域におきましても電話がなかなかつかぬ、あるいは距離が遠いということのために、相当家が集まっておって電話の便のないところは、やはり公衆電話等をつけることに計画されております。何々市という市内にも私どもの言っているいわゆる無電話集落がありますので、それらを対象として考えたいと思っております。
  37. 井手以誠

    ○井手委員 大体それでよろしゅうございますが、本年度は間に合わぬでしょうが、明年度からは実行なさいますか。
  38. 靱勉

    ○靱説明員 本年度やったところもあるかと私ども考えております。と申しますのは、やはり通信局におきまして計画する場合に、市内で全く電話の便のないところには、公衆電話を取りつけなければ申しわけないということでやっております。明年度ももちろんその方針でやる考えであります。
  39. 松井政吉

    松井委員 まことに恐縮ですが、時間の都合で長い質問をしてもおられませんので、要点だけ質問いたしますから、お答えも要点だけ明瞭にお願いしたいと思います。  最初に、今までの実績に基いて三十二年度予算の骨格が検討されつつあると思いますが、ここでその中身は御説明いただかなくてもけっこうですが、歳入歳出の規模、歳出の中の建設勘定と経費の関係の規模が、三十一年度に比べてパーセンテージでどれだけ増になっているか、御説明をお願いしたい。
  40. 秋草篤二

    秋草説明員 三十二年度予算の規模につきまして、まず第一に損益勘定でありますが、先ほど総裁からもちょっと申し上げたと思いますが、収入は千四百五十六億でありまして、昨年に比べまして百六十三億ほどふえております。昨年は千二百九十三億であります。従いまして支出の方のスケールも大体それと同様でありまして、損益勘定だけの支出は千三百億というふうに相なります。そこで差額がございます。収支差額と申した方が早いわけですが、百五十六億ほどの黒字が立つわけです。これを資本勘定に投入いたしまして、一部を債務償還に充て、一部を建設勘定に持っていく、こういうことであります。そこで建設勘定の方のスケールを申し上げますと、来年度予算の構想は六百三十五億であります。本年度すなわち三十一年度は御案内のように五百五十五億成立いたしましたが、本年の五月だと思いますが、郵政、大蔵両大臣の認可を得まして、弾力条項を五十一億加えまして、現在予算現額六百六億になっております。そこで。パーセンテージを実は正確に申し上げられないのですが、その程度で一応よろしゅうございましょうか。御質問がありましたら追加いたします。
  41. 松井政吉

    松井委員 パーセンテージじゃなくて数字で御説明願って、私の方は実は遠慮しておったのですが、けっこうだと思います。  そこでお伺いしますが、本年度の六百三十五億の建設勘定の原資獲得の内容一つ聞かして下さい。
  42. 秋草篤二

    秋草説明員 建設勘定財源計画でありますが、三十二年度につきまして目下政府当局にお願い申しております構想は、まず大ざっぱに申して外部資金と自己資金というふうに分けていただきます。外部資金は二百十四億、自己資金は四百二十一億、そこで外部資金は、御案内のように法律に基くところの、つまり負担法に基き加入者からいただきます債券の負担金、これが九十八億ほどございます。それに財政投融資と申しますか、公募債八十五億に運用部資金の三十億をちょうだいしたいという構想を持っております。そのほかわずかでありますが、地元の御好意に甘えた受益者債券を一億ほど加えてございます。これで二百十四億ほどになります。次に自己資金でありますが、自己資金で一番先に申し上げなければなりませんのは、たただいま申しました収入支出の差額、つまり利益剰余金の分が百三十六億ほどございます。建設繰り入れに投入する分であります。それから減価償却費の引き当ての社内保留金が二百五十八億、その他は非常に雑物でございまして、装置料の十二億、わずかな額でございますが、最後に十五億の現在保有しております手持ちの保有金を放出しまして、来年度予算に十五億充当しよう。これを資産充当とわれわれ予算用語で言っておりますが、十五億持ち出そう。こういうような計算になって六百三十五億が構成されております。以上であります。
  43. 松井政吉

    松井委員 それでは六百三十五億の建設勘定の中身は、三十一年度の中身と同じ形で進める方式でこういう数字になるのか、それとも去年と同じようなものにプラス施設建設関係が加えられて規模が増となって出るのか、この点の中身を、概括でいいのですがお聞かせ願いたい。
  44. 秋草篤二

    秋草説明員 ただいまの財源を用いました建設計画内容のこまかい点は、計画局長も見えておりますので、局長から御質問にお答えしたいと思います。ただいまの三十一年度と二年度の比較は、御案内のように三十一年度は、国会で承認されました成立予算との比較であります。それから今私が申し上げました三十二年度は要求額でございますので、多少そこに食い違いはあろうと思いますが、三十二年度予算編成の構想と申しますのは、五カ年計画の最終年度でございますので、これは一つ根こそぎ片づけようという構想を持っております。特に基礎設備その他につきましては、前から残ったものはやってしまおう。それからサービス工程と申しまして、加入者の増設、それから市外線のキロ工程、これは昨年度と変りございません。ただ変っておりますのは、先ほど総裁、副総裁が御説明したような町村合併に伴う経費、あるいは去年まで無電話部落対策と称しましたが、今年はやや意味を広げまして農村漁村対策と称した経費、これが約五十五億ほど入っております。昨年も相当額要求いたしましたが、国会で承認された最終の私どもの成立予算というものは、それよりはるか下回った十二億でおさまったわけでありますが、そこらが大ざつぱに言いますと昨年と少し違う。こまかい基礎工程の内容、あるいは分局をどうするか、それから局にいたしましても、大中小それぞれの局の数がどうなっているかということにつきましては、多少の変動はございます。それからマイクロウエーブの問題につきましても多少のものは変動がございますが、詳細は御質問がございましたら計画局長からでも御説明させていただきたいと思います。
  45. 松井政吉

    松井委員 原資の問題についてちょっとお伺いしたいと思うのです。債券の九十八億は確実だと思うのですが、公募債の八十五億は、経済情勢もありますし、それから公債市場の関係もありましようから、これはやってみなければわからぬことです。しかし預金部資金の三十五億というのは当てになるのですか。
  46. 秋草篤二

    秋草説明員 当てにするつもりでおりますが、これは政府の方でなさることなので、極力援助していただくようにかけ合うことになりますが、まだ盛んに大蔵省は事務的な作業をやっておりまして、査定すらも片鱗が見えておりませんので、今のところ私から申し上げられないのであります。
  47. 松井政吉

    松井委員 しかし従来の例から見て、どうもなかなか容易でないと思うから私は聞いたのですが、これは仮定のことでありますから、検討中なら検討中でもいいのですが、一応わかっている範囲だけ聞かせていただきたいと思うのですけれども、もしこれが不可能だとなれば、六百三十五億の建設勘定見込みが六百億になって、三十五億減るわけです。減ってきた場合に――これは仮定の議論になりますから、正確なるお答えと私の方も解釈しませんから気楽にお答え願いたいのですが、そうなった場合に、建設関係で使おうとする今問題になった町村合併の節分並び農村電話等の部落が減るのじゃないか、結論において。基礎関係の方は減らすわけに参りますまい。そういう形を想定されると、これは予算獲得上のいろいろな内部の事情もありますから、明確にお答えをしていただかぬ方がいいかもしれませんけれど、も、しかしやはり公共企業体だから、金がかかってもうからない農村にも電話を引かなければならぬ義務を負わされておるし、町村合併の跡始末もしなければならぬのですから、そのためには預金部資金、こういうことになろうと思いますが、その辺はお答えしにくいだろうし、私の方も聞きにくいので、今正式にはっきり聞こうとはしないが、三十億が危ないと見た場合にどの部分にしわ寄せがくるか、そういう点を、わからなければわからぬでけっこうですが、わかっていたら一つ……。
  48. 秋草篤二

    秋草説明員 正直なところ、農村電話について非常に莫大な金をかけることは予算に余裕もございませんでしたので、おしかりを受けるかもしれませんが、今日の段階ではやや消極的であったということは反省しておるわけであります。しかし本年度は、先ほど橋本委員の御質問のように財政的にもやや基礎ができましたし、それからまた都市の方も今固まって参りましたので、どうしても中小都市、農村の方に還元する、これは基本的な方針として考えておるわけであります。しかし今具体的に預金部の三十億が減れば機械的に農村関係の方が落ちるのだという気持は毛頭持っておりません。ただ政府当局の御方針もございますので、これは通信政策をどうするかというような御方針に従わなければならぬと思いますが、多少農村電話にも影響はあろうと思います。しかし農村電話だけで三十億のしわ寄せを背負っていく、そういうことはあり得ないのじゃないか、こういうふうに私ども主張し、また考えておるわけであります。
  49. 松井政吉

    松井委員 その辺はやめておきましょう。なかなか予算折衝のまつ最中だろうし、戦略戦術もありましようから、私の方でこわすような質問をしたら困るからやめておきますが、もう一つお伺いしたいのは、損益勘定の面の経費の部分に属する分ですね、勢いこれは損益勘定の費用が三十一年度より三十二年度は経費の面で膨張してくるわけですから、益の方もそういう形で膨張した形になろうかと思いますが、合理化を進めておると思うが、合理化の結果の益金を一体どれだけ考慮にななったのか、それが一つ。  それからもう一つは、要するに本年度は結論的には非常な成績を上げると思いますが、増収ということは損益勘定の益の方がふえるということになりますから、そういう場合の利益金はほとんど建設勘定の方へ回して、債務の返済と建設に充てるのみであるのか、それともほかの方に使おうとするものの考え方予算の骨格を考えたのか、この二つの点について御説明を願いたい。
  50. 秋草篤二

    秋草説明員 三十二年度予算の中で、合理化としての経費の差額がどれくらい出るかという点は、よく御質問を受けるのですが、実は合理化の面の増収と局舎工事その他施設増加に伴う収入増との実際上の区別はちょっとしできないのではないか。ただ大ざっぱに申せるととは、非常は昨今施設増が激しい、約二十万増設ということが年々歳々出されるわけでありますが、それにもかかわらず物件費が節約されてきております。これは何と申しましても、技術が新しくなりまして、特に保全関係の活動が非常に活発になって障害も少くなり、保全レベルも非常に高くなって、物件費の消耗度が非常に少くなってきておる。それにもう一つは、実際上の要員の活動も従業員が非常に努力されて下さいますので、人も昔でしたら施設増に伴ってどんどん付随的に増加してきたのですが、こういう点が機械の進歩とともに割合増加が少くて済むようになった、こういう点は明らかに言えるのではないか。過去二カ年ほど続けまして予算に比べて決算がいつも物件費が相当下回っておる、十億ないし二十億くらい下回っておるという現象が決算に現われております。ただ人件費だけは一応給与総額がきめられておりますので、これをほとんど使い果すといいますか、全体的にはやはり相当な合理化が行われておるということが言えると私は思っております。その区別を分けてみろと言われましても、ちょっと出てこないのであります。
  51. 松井政吉

    松井委員 そこでお伺いをいたしますが、大体物件費の節約が一番経費節減から浮く基金となっておる、それから技術の進歩、機械の進歩とともに人員の増が割合に少い、こういう形の御説明、私もその通りだと思います。そうなって参りますと、必然的に起ってくるのが、物件費が節約されて割合成績を上げたり、それから能率が上るにも人間がふえない、こういうことになれば、給与総額で押えられておるからということで、また御答弁なさろうと思いますけれども、当然待遇改善の問題になって参ります。ただこれはコーポレーションであって給与総額が押えられておりますから、勝手にはやれないけれども、民間の企業体なら当然起ってくる理屈だと思います。そういうことについて御考慮を払ったことがあるかどうか、それから考えられて、給与総額のワクくらいは財務経理の中で幾らかだけでも自由にしたいという構想のもとに折衝されたことがあるかどうか、そういう三つの点についての解明を願いたい。
  52. 秋草篤二

    秋草説明員 先ほど松井委員の御質問一つだけ落しましたので、まずそれにお答えいたします。それは結局ただいまの御質問の御参考になってしまうのではないかと思うのですが、合理化の改善と収支差額の黒字は全部建設に投ぜられるか、あるいはそれ以外に投ぜられるかということですが、これはほかには投ずることはできませんで、建設勘定の増設その他債務償還に充ててあります。その証拠には、政府から許可を得まして昨年も五月ごろ弾力条項を発動して建設償還に回しました。  そこでただいまの御質問のお答えになるのですが、給与総額というものについて、少くとも私は――今ここに総裁も副総裁もいらっしやいますし、監理官もいらつしやいますから、あるいは訂正されるかもわかりませんが、一応電電公社としましても給与総額制度というのはいろいろ理論的に、また実際上、過去公社法実施以来運用して参りましたが、やはりいい制度ではないということを、少くとも私は公けの席上で常に主張しております。しかしこれは政府当局はまたいろいろな別の見方もございますので、なかなかむずかしい問題でありますが、少くとも理論としては私はその点を貫こうという気持を現在の段階では持っております。
  53. 松井政吉

    松井委員 考えはわかったが、そう考えたならば折衝したことがあるかということと、それが考えられるならば、要するに公社の内部だけでもそれとからんで財務経理全般の法的な改正要綱というものについて検討したことがあるかどうか、全然検討していないのかどうか、そういう点について一つ聞かしていただきたい。
  54. 秋草篤二

    秋草説明員 そうした理論的な気持を持っておりまして、法的な改正を提案したことは――これは法的かどうかわかりませんが、昭和二十八年度だと思うのでありますが、公共企業体合理化委員会におきまして、私どもは六カ月の間いろいろな制度を検討していただいたのでありますが、少くとも電電公社としましてはこの問題を提案し、強く委員の方々に主張したことを申し上げることはできます。その他予算折衝上、この点は法律改正あるいは法案を提案して折衝するまでには至っておりませんが、予算折衝上いつもこういう点は話題には出ているのです。そこで現在の段階でそうした制度ができてはおりませんけれども、厳然たる給与総額制度によって私どもは行なっておるわけでありますが、これをこの範囲において、私どもは実際上運用では従業員の対策というものをやりくり算段してみますときには、やはり給与総額の範囲内で、予算措置で少しでも給与を考えるということにならざるを得ないわけであります。それはどういう点かといえば、おのずとおわかりと思いますが、やはり現在員と予算要員との間の差額によってある程度の給与の額の余裕を作って、それを従業員の給与に還元するということはどうしても許していただかなければ、この公共企業体の能率的な経営には沿わないのじゃないかというようなことは、常々政府なり郵政省なり大蔵省にも申し上げており、現に監理官もいらつしやいますが、そういう点は承知の上である程度のお目こぼしはしていただいております。
  55. 松井政吉

    松井委員 これはここだけの分じゃなくて、電電公社法、公衆電気通信法、それから全般の法律上の問題について郵政当同からお答えを願いたい。というのは、幾たびかわれわれの委員会の調査にもはっきり出てきましたように、公社そのものの性格とその定義づけられた公社というもりに関する財務経理の法的な矛盾があるわけなのです。これが第一点。それから今の問題とからんで、その問題について郵政当局は主管省として検討したことがあるかどうか。  もう一つは公衆電気通信法に基く電話、電報の定義をして取扱いをきめております。その取扱いの中に問題になっているのは、さっき言いました電話とは何かといえば、有線放送を規正する法律の中で電話が行われているというこの現実、それも一つの部分になります。それが公衆電気通信法の中に定義されている電話であるか電話でないか、放送かどうかという問題について。  第三点は御承知のように電話そのものの権利というか、それが質権の対象になるかならぬかということは、相当当委員会で議論してきております。そういう部分、それ以外の部分を含めて、全体の公衆電気通信並び電電公社法を改正する必要があるという立場から検討したことがあるかないか、検討したが必要ないとおっしゃるのか、その点の明快なるお答えを願いたい。
  56. 松田英一

    ○松田説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問になりました点の第一点、いわゆる公社としての性格ということになると思いますが、公社がほんとうにその能率を発揮して、公社として負託せられた使命というものをやっていく上に、現在のいろいろの制約と申しますか、取り扱われ方というものが、現行のままでいいかどうかということは、私どもも常にいろいろな事柄の取扱いと関連いたしまして、頭の中で考え、検討している問題でございます。ただ何分公社が出発いたしましてから現在までまだ数年ということでございまして、今の段階においていきなりこのところをこういうふうに変えてこうすればいいじゃないかという、具体的な結論にはまだ到達していない状況でございます。ただ考えられますことは、現在の公社の行き方といたしまして、確かに公社がもっと能率的に動くために、もっと自由な形で動いていく、あるいはもっと自主的な形で動いていける体制というものを考慮すべきでないかという点は、一面の真理だとは私は思います。しかしそうは言うものの、公社や大きな企業体、ことに電信電話事業という公益性があるものを扱っております事業体といたしまして、ただ自主的に動けばいいというだけのものではなくて、それが国の経済あるいは国全体の労働政策というものと関連する点が非常に大きくございますために、そういうものの中で公社の占める地位が大きければ大きいだけに、やはりそういうものとの考え合せもそこに盛り込まれねばならないだろうという点で、その調整をどうするかという点には、現在まだ私どももこうするのが一番いい方法であるという結論までは到達していないわけでございます。  それから第二点の電話というものの考え方についてでございますが、従来は大体電話というものの考え方は一応割り切って考えておりまして、従って有線電気通信法なりあるいは公衆電気通信法なりの関連において一応考えておったわけでございますが、先般来問題になりました有線放送利用の電話というものの実際の使われ方の状況から考えまして、やはり電話というものについてはある場合によっては、若干ニュアンスを考える必要もあるのではないだろうか、従って現在有線放送利用による電話というものが違法ではないかという御質問を受けまして、私どもまことに答弁に窮したわけでございますけれども、実体はやはりそういうものもあり得るのであって、そういうものはそういうものとして、場合によったら一つのまとまった考え方として一つの概念を作り上げることによって、ほんとうの実情に沿う解決方法ができるのじゃないだろうか、そういう意味において、現在有線放送利用の電話というものについての法的規制を考えますときに、その結論を見出していきたいというふうに考えておる次第であります。  それからもう一つ最後に、現在の電話加入権というものは、公衆電気通信法の中では質権の設定というものを認めていない格好になっております。この点は本質的に考えますと確かにいろいろと問題を含む点でございますが、しかし国の立法政策といたしまして、当然それが担保権の対象になるというものもございますけれども、あるものによりましては、いろいろの見地から考えて、それに担保価値というものを法的には認めていかないという立法政策もあり得るのではないかと思います。それで現在の公衆電気通信法では、そういう意味でいろいろ公社の将来の電話の発達の問題、あるいは公社の内部の取扱いの問題、あるいは公社の経営上の問題、そういうことをいろいろ考え合せられました立法政策の結果として、質権の設定を認めていないという結論を現行法において出しているのではないかと思いますので、それはその限りにおいては一つの行き方である。従ってそれ自体が悪いとは言えないのじゃないか。しかしそれが現在の状況において一体そのままで果していいかどうかということは、やはりもう一ぺん立法政策のもとに振り返って、それでいいかどうかということを考えてみる必要がございます。しかしその場合に、当然現在禁止されている依拠となっていると思われる事柄というものは、やはり現在も解消してはいないし、今後もその必要性は当然起ってくるということから考えれば、たとい認める必要がありとしましても、ただいきなりそのものずばり質権を認めていくということではなくして、何らか両方の要求――一方に質権設定を必要とする経済的理由ということと、公社の経営、あるいは電話普及発達ということを考え合せた点で調整した一つの何らかの点において、その問題が解決されるということであるべきではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。  大体三つの問題につきましてはそういうことでございますが、なお私どもこれ以外に、現在の公衆電気通信法につきましては、若干こまかい点において検討して修正する必要もあるのではないかという点も考えられますので、その点はまだ具体的に結論は出ておりませんが、今考究中でございます。
  57. 松井政吉

    松井委員 考え方はよくわかりましたが、注文を一つつけておきます。日本の公社で完全な公社三つございます。そのほか公社らしきものが一つか二つあろうと思いますが、公社というものがどんなものかという定義から割り出すと、やはりいろいろな法的矛盾かあります。給与総額の問題についても、建設資金の獲得の方法についても、国全体の経済の関係影響のあることは――金の動きというものは私企業だってあるのですから、それと同時に政府関係の、国がやっているものとの関連も当然あります。ありますけれども、正しい定義に基いて正しい立法をするというのが建前でなければいかぬと思うから、これは一つ本腰を据えて、公社というものはどうなんだということを検討していただきたいと思うのです。そうでなければ、日本の公社というものはほんとうに発展していく道が、法的矛盾から押えられてくる。これは私は非常に嘆かなければならぬことだと思いますから、郵政省当局は真剣に検討を続けてほしいと思うのです。検討したがだめだということではなくて、続けてもらうことを注文しておきます。  その次にお伺いをいたします。簡単でけっこうですが、三十二年度合理化計画方針といいますか、方法といいますか、それについて一つ公社側から伺いたい。
  58. 靱勉

    ○靱説明員 合理化計画と申しますと、なかなか広いのでございます。電信電話事業合理化の最も根本的な問題は、私はやはり技術の研究、技術の発達の問題であると思います。これは御案内のように技術研究所をさらに来年度におきましても実施していきたい、こう考えていたのです。それからあとは、機械を使いまして施設していく場合におきます計画合理化といいますか、これはまあ工程というものが割合に平準化されて施行されていく、あるいは資材の調達等も平準化されまして、産業界にもいい影響を与えるということも、まだ十分でないので、これも推進していかなければならぬという考えもございます。それからいろいろな計画工事の平準化という問題もありますが、計画自体どういう種類の技術を採用していくか、これらの問題につきましてはいろいろ問題がありまして、在来その方向で進んでおりますが、今後ますますその方向については推進いたしていかなければならぬと思います。それから事務管理の合理化と申しますか、これはなかなか大きな問題を持っておりますが、大きな問題だからといってわれわれは消極的な態度をとらぬで、積極的に合理化を全般的にやらなければいかぬと考えております。合理化全体といいますとなかなか長くなりますので、はなはだ足りない答弁でございますが、これで……。
  59. 松井政吉

    松井委員 冒頭に申し上げたように、合理化計画の中身、並びに給与総額をめぐる諸問題についていろいろ聞きたい点がございますけれども、私の時間の関係で、他の委員の諸君から聞いていただくことにいたしまして、私はやめておきますが、もう一つお伺いしておきたいのは、減価償却は逓減法ですか。
  60. 秋草篤二

    秋草説明員 定額法でございます。
  61. 松井政吉

    松井委員 それで大体建設原資の中身はよくわかりました。  最後に一つお聞きしておきたいのは、海外通信の関係において国際電電との間における施設の接触個所、並びにそれに伴う作業の接触個所、たとえば海底電線を含む部分につきまして、おわかりになったらお知らせ願いたい。
  62. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 御質問の点が全部お答えできるかどうか存じませんが、大体ただいま国際電信電話、それから公社との関係施設の共用部分というのはあるのでございますが、それは双方に賃貸の契約でやっておるわけであります。たとえば国内におきまして、国際電報なり電話が通達するというのは、公社の回線を専用的に賃貸している、こういう関係です。また公社が国際の設備をお借りしている、こういう場合があるのでありまして、一例を申しますと、沖縄の通信につきましては、電話は国際の無線局を借りて、そうして向うに運営していただいているという一ので、ほとんど大半は国際の電信、電話公社が委託を受けている部分が多いのでありますが、間々先ほど申したような沖縄の問題、そういうような点については公社から向うに委託しておる、こういうような関係でございます。今の海底線の問題は、おそらく日韓ケーブルの問題が重要な問題と思うのでございます。これは国際的な問題でございまして、この所属をどういうふろに分割するかということは、日韓政府の間における外交交渉が成立しないとはっきりしない、そういう関係におきましてただいまは公社において運営をやっておるわけであります。従って公社の所有ということになっておりますが、今後これを国際の方におきまして、国際通話としてやる場合、どういうふうに公社から賃貸料を取るか、その点につきましては、問題はやはり公社、国際だけできめ得ないのであります。朝鮮における米国の駐留軍、こういう関係もございまして、一応交渉過程にありますが、なかなかはかどっておりません。以上簡単でありますがお答えいたしました。
  63. 松井政吉

    松井委員 まだ中身を聞きたいのですが、他の委員から聞いていただきます。  もう一つ、政府当局と公社側と両方からお答え願いたいのです。設備負担の問題について、御承知のように通信関係、電波関係は別だと思いますが、電話関係においてはどんどん建設が進み、成績を上げて、増収の一途をたどっておるわけです。その場合に負担法によれば省令で中身を変えることができることになっていますが、いまだ省令を改正して加入者の負担を軽減する時期でないと考えられておるのか、そろそろ考えなければならぬという程度考えをお持ちなのか、これは両方から一つお聞かせを願いたい。
  64. 靱勉

    ○靱説明員 この前負担法関係の御審議がありましたときに、私どもは拝聴しておりましたが、できるだけこれは早く軽減していかなければならぬと思っております。第二次五カ年計画も今せっかく立案中でございますし、昨年から増収の点はございますが、ただいまのところいろいろ経理局長から政府の方へお願いしております予算案において説明したように、一応三十二年度におきましてはあのままでお願いいたしたいということをお願いに上っておるような次第であります。
  65. 松田英一

    ○松田説明員 この前の国会におきまして負担法の延長をお願いいたしましたときにいろいろと御要望を承わりまして、その筋で考えていかなければならぬことは私ども重々承知しておりまして、その後も検討はしておるわけでございますが、ただいま会社の方からも御答弁を申し上げましたように、いろいろとまだ第一次五カ年計画の仕上げというようなこともございますし、さしむき今のところ政令の改正をもって下げるというところまでは考えていないわけでございますが、この問題に常に関心は怠ってはいないつもりでございます。
  66. 松井政吉

    松井委員 関心を持たないという御答弁はできないでしょうからよろしく願います。  それでまだこまかいことで重要なことがありますが、勝手ながら私のほかの会議がございますので、一渡りしただけで中途半端でもありますが、あとは私の方の同僚委員から内容等については質問を続けますので、そこで一つ明らかにしていただきたいと思います。私の質問は以上で終ります。
  67. 松前重義

    松前委員長 八木昇君。
  68. 八木昇

    ○八木(昇)委員 だいぶ時間がたちましたので、できるだけ簡潔に二、三だけ御質問をいたしたいと思います。どうも私どもも知識が乏しくてよくわからないのですが、来年度予算面で計画をしておられる従業員の人数についてお伺いしたいのです。これはいろいろな方面で、特に電通の関係は機械化が進んでおって、いわゆる生産性向上というようなことが進んでおる。従って最近は人員が極度に能率的に運用されておる、こういうようなことを聞くわけでありますが、そこで来年度予算上本年度に比べて総体的にどのくらいの人員の増加になるのか。と申しますのは、本年度の増員が幾らで、そうして退職数は来年度どのくらい見込み、そうして来年度はこれだけの人間を入れるという、大ざっぱな数字を教えていただきたい、こう思うのです。これはどなたでもけっこうであります。     〔委員長退席、森本委員長代理着席〕
  69. 秋草篤二

    秋草説明員 結論的に申しますと、昨年度予算定員と比較しまして約六千五百人の要員増加を要求してございます。この六千五百人の根拠を申し上げますと、三十一年度すなわち本年度の成立予算の要員を全部定員に換算しますと、十八万二百二十九人ということになります。ことしはそれが十八万六千八百九人というような計算の根拠になって、六千五百人の要員がふえる。そこでその内訳は、それぞれ営業関係、これは窓口から運用まで含めておりますが、それに保全関係、機械の保守をする者、それから一般の経理、庶務、その他の要員、そういう区別はございますが、これはそれぞれの施設増加に伴いまして、三十年度、三十一年度、三十二年度――これは予算技術からそうした慣習をとっておるのでありますが、施設増加なりあるいは取扱い部数の増加というものをそれぞれ差し引いて――必ずしも減るものばかりではないのでありますが、たとえば保全関係などは、先ほど申しましたように相当保守の水準がよくなって参りまして、減員を立てるものもあります。しかし何と申しましても、運用関係のオペレーターは現在非常に足りませんので、こういう点はふやす。こまかく申しますとわずらわしくございますが、大ざっぱに申しまして、その程度に差し引きまして六千五百名の要員増加を要求しておるのでございます。それから退職の点は、ちょっと今数字がございませんので、後ほどまた調べさせまして御説明いたします。
  70. 八木昇

    ○八木(昇)委員 なおこまかいことを少しお聞きしたいとも思うのですが、ちょっと時間がございませんので、これはあとで総裁なり副総裁なりにできれば端的にお答えをいただきたいと思いますが、生産性の向上というようなことで非常な努力をしておられるということになってくれば、結局働く労働者としても、いろいろな面で苦労もふえてきておるだろう、こういうふうに思うわけです。そこで、先ほど松井委員の御質問に対してのお答えでは、給与水準についても上げたいと思っておるけれども郵政省当局あたりとの折衝においてなかなかうまくいかない、端的に言えばそういうような感じに私は受け取ったのです。受取方が間違つておれば訂正をしていただきたいと思うのですが、電通それ自体としては、来年度の給与水準については、一体どのくらいにしたいというお考えを持っておられるか。それは三十一年度に比べて、パーセンテージにして平均何%くらい上げたいというような表現の仕方でもよろしゅうございますし、金額面で表わされてもけっこうでございますが、電通それ自体としてはどういうお考えをお持ちであるかということを、端的に御意見を承わりたいと思います。
  71. 靱勉

    ○靱説明員 これは非常にむずかしい御質問でございまして、組合との間にも現在団体交渉あるいは給与の専門の委員会と申しますか、そういうものを持ちまして検討しておるような次第でございます。従いまして来年度どうなるか、これは先生も御案内のように、私どもやはり給与総額は国会の御承認を得るという形になって、予算としてきまってこなければ、それ以上私ども給与総額を増すということは勝手にできない。一定の条件で若干の能率向上等に対する特別給与というものは、予算総則において認められているのは御案内かと思いますが、それ以外においては、結局終局におきましては、国会において電電公社の給与総額をいかにするかということをおきめになるわけであります。予算御審議の際にそういうような問題がどういうようになりますか、私ども現在の給与関係を調べてみましても、来年度そういう増員もありますし、また当然昇給という問題もございますので、それらの昇給も完全実施というような形をとるとしますと、四十数億の給与総額がそれだけで増になるという計算も立っております。今私から来年度どの水準にすべきかということは、ちょっとお答えしにくい点でございます。
  72. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それは非常に遠慮されたような言い方では、あるいはそうかもしれないと思うのです。ところがどうもこれは必ずしも同一の条件でない、いろいろな制約があることはわかるのです。たとえば国際電電とか電源開発会社とか、あるいは電力会社にしたってそうでありますが、これらは民間企業ということではありましょうが、事実上はほとんど電通あたりと同じように公益的な仕事に携わっておる、こういうようなところは企業努力をして能率を上げて、その成果が上る場合には、給与の問題について、労働条件の諸問題について、何がしかの制約は受けるとしても、さしたる制約を受けず、どんどんやっておる。ところが電通の場合にこれを考えると、その点どうも非常に納得のしにくい面が相当出てきておる。そこで最近の電通の状況としては、相当に能率は向上したものとお考えになっておるか、あるいはさらにまた企業努力の結果というものがどんどん具体的な成果として上ってきておる、こういうふうにお考えになっておるのか。もしそういうふうにお考えになっておられるとするならば、これは少し議論になるかもしれませんが、もっと積極的な立場でみずからの主張をなさるべきではないか、こういうふうに考えるのですが、その点の御見解をあらためてお伺いしたい。
  73. 靱勉

    ○靱説明員 企業努力あるいは職員の能率というものは、私どもいろいろな面から見ておりますが、確かに上昇しておることは事実であります。従って現在の法律体系と申しますか、予算体系から申しますれば、先ほど申し上げましたように、あくまで給与総額というものは予算で、国会の議決によるということになっておりますから、民間会社あるいは国際電電のごとく、自由に給与総額を今度は一割増そうというわけにはいかないのであります。これは法律自体の問題であります。ただ私ども公社法を制定される際におきまして、当時の委員会におきましてもその点はずいぶん問題になった点でございまして、そこでかなり弾力条項的なものが書かれてございます。たとえば期末手当等におきましても、私ども一応今の給与総額におきましては、一般公務員より三公社五現業というものは〇・二五カ月分少くされておる、これらについても、そういう点につきましては毎年予算折衝の際に私どもの主張を申しております。と同時にさらに予期以上の成績が上げられたという場合には、予算総則に書かれております弾力条項におきまして、特別給与ができるような形になっております。現に昨年、度におきましても、郵政省の認可を得まして給与総額に対する若干のプラスというものはあったわけであります。職員の能率向上によって非常に収益があった、あるいは企業努力によって経費の節減があったというようなものにつきましては、私どもこれに対してできるだけの範囲におきまして若干の給与を出すというような態勢になっておりますし、それを現在まである程度給与に実施しておるわけであります。先ほど経理局長が個人的意見だと言っておりましたが、わが国のいろいろ経済情勢あるいは全体の公務員その他給与の関係というものがどういう形になりますか、やはり給与総額というものを予算でがっちり押えられるということがよいかどうか。私ども給与総額についてもう少し自主的な面があっていいというような考えで、その点はあるいは公共企業体の審議会等におきましてもずいぶん主張して参っておりますが、これは法律自体の問題でありまして、私どものそのままの意見が通うないようないろいろな条件があるということも私ども承知いたしておるような次第でございます。
  74. 八木昇

    ○八木(昇)委員 これ以上公社側にいろいろ申しましても、ある意味ではいたし方のないようなことでございますが、なお少しく念を押しますと、結局電通の従業員に対する給与問題については、国会の議決を要する予算面からの制約があるというその点から、どうしてもこれ以上の優遇措置ができぬのだ、こういうふうに理解していいのでございましょうか。公社それ自体としては何とかやろうと思えばやれるし、またやりたいという気持はあるのだ、こういうふうに理解していいのですか。
  75. 靱勉

    ○靱説明員 やればやれるということではございませんで、何と申しましてもこういう公共企業体としまして政府機関の予算に準じまして国会の議決を経るような法律体系、予算体系でございますから、それはそのままにされておかれまして、お前たちできるだけやれとおっしやられましてもそれには限度がありまして、それは根本的に法律、予算体系の問題でございますと、とう申し上げるよりほかないのでございます。
  76. 森本靖

    ○森本委員長代理 ちょっと委員長から質問申し上げます。その点は、先ほど来松井委員より強く要求されておりますように、今日の給与総額の制度に矛盾があるわけでございます。そこで本年度収入についても百五十六億という収入がある。それについては来年度予算の際にはこれもすべて建設勘定債務償還に振り込まなければならぬ。これだけ収入があるにもかかわらず、それが従業員のいわゆる給与引上げには全然ならない。その反面、電電公社はオートメーション化をどんどん行おうとしておるし、労働強化もかなり激しくなってきている。そういうふうな増収がある、それにもかかわらずこの従業員の待遇改善ということができないということの一番の根本は、この給与総額の制度にあるわけであります。この給与総額の制度については、過般の公労法の改正の際に若干修正はされたといえども、これは根本的に全然改正はされておらぬわけです。その点は公社当局としてはなるべくそういうことを改善をしていきたいということは、先ほど来経理局長並びに靱副総裁の方からもそういう発言でございますが、これはつまるところ政府当局がこれに対する積極的な改正の意見があるかどうかということになってくるわけです。これは公社事業運営からいたしましても相当の矛盾があるわけです。そういう点について公社当局としては極力そういう点について改善をして、従業員の待遇の改善にも回していきたい、こういうような答弁も先ほど来行われておりますが、これに対する政府当局のはっきりした見解をこの際一つ御答弁を願いたいと思う次第であります。
  77. 上林山榮吉

    ○上林山説明員 この問題は非常に重要な問題でございますので、郵政省だけでここでどうするという言明をすることはいかがかと思いますので、大臣を通じて政府全体の問題として検討していただくように進めていきたいものだと考えております。
  78. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それはそういうふうに言われれば、いつまでもそういうふうでとどまってしまいますので、それぞれの関係の各省というものが積極的な動きをやるときには、十分に筋の通る話だと思います。私はそんなにこれはむずかしい問題ではないと思います。むずかしくしておるのは当局それ自体ではないかと、こういうふうに思うので、そこでさらに少し具体的にお伺いするのですが、結局こういうことであれば、盛んに生産性向上運動であるとか、あるいはいろいろな機械化の増進であるとか、あるいはいろいろなことの各方面にわたって各公社が――単に電電公社のみならず、それは専売の場合でもあるいは国鉄の場合でもそうだろうと思うのですが、非常に能率を上げて努力をしても、さっぱり努力しがいがないという結果となってはね返ってくる、こういうことになってくるのじゃないかと思うのですが、そこでそういう意味において郵政省それ自体としては、最近電通の能率化というものは、非常に向上したというふうにお認めになっておるかどうかをざらにお伺いしたいと思います。
  79. 上林山榮吉

    ○上林山説明員 全面的に能率が増進されたとは考えませんが、部分的には確かに能率が増進した点があると私どもは存じております。
  80. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それでは現在の郵政当局はそういった給与水準問題について、電電公社それ自体と相当の話し合いを今続けておられるところでございましょうか。
  81. 松田英一

    ○松田説明員 現在続けているかといわれますと、いまだ具体的に給与水準の引き上げについての話は公社から承わっておりませんし、むしろ今年の三月のときのあの問題の妥結のときといいますか、あの線の限りで動いているということになると思います。
  82. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それでは郵政当局としてはお考えは別段ないのでございますか。今の御答弁によると、まだ電通と話し合いを具体的に進めておるというようなこともないということだそうでございますが、郵政省それ自体としてはいかなるお考えでございましょうか。まあ昭和三十一年度と同じように据え置くべきであるという考えかということであります。
  83. 松田英一

    ○松田説明員 結局その問題は来年度予算の問題をどういうふうにきめるかといろ場合に最終的にきまる問題でございまして、私どもとしては今公社から一応の予算説明を承わりまして検討中でございますが、この問題につきましては、大蔵省当局とも相談をしなければならないことになっておりますし、現在としては結論を得ておりません。
  84. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それでは最後に一言だけ希望を申し述べて終りたいと思いますが、確かに設備拡充面におきましては、私どもしろうとが見ておりましても、電電公社の努力というものは漸次拡大をしつつある、こういうふうに思うのですが、しかしその面にのみ力がとられ、しかも今度は従業員関係の能率の向上、生産性の向上という面にのみ力をとられて、それに当然並行すべき従業員それ自体の努力に対する報奨、報酬というような面についてはきわめて冷淡である、ころいろ印象を受けざるを得ないのでございますが、これは今後来年度予算につきまして、さらに具体的な話が進められていく段階にあろうと思いますので、そういった点につきましてはまわりを見るという態度ではなくて、これは一つ積極的に努力をしていただきたい、そういうことをやっていただかなければ、これはやはり従業員もなかなか今日考えておられるような進め方だけではだんだんに納得ができませんし、将来のいろいろな業務の運営という面におきましても、必ず私は大きなマイナス面が出てきて、ある時期にはそれが爆発的なことにもなりかねない、こういうふうに思いますので、その点一つ積極的な御努力をいただきますことを一言要望しておきまして、私の質問はこれで打ち切ります。
  85. 森本靖

    ○森本委員長代理 他にもいろいろ電電公社の点についても御質問があろうかと思いますが、時間の関係で次に移りたいと思います。よろしゅうございますか。  それでは次に日中郵便物協定の問題について橋本委員より発言の申し出がありますのでこれを許します。橋本委員
  86. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 外務省からはどなたが見えておりますか。
  87. 森本靖

    ○森本委員長代理 外務省からはアジア局第二課長小川氏、条約局第二課長瀧川氏、この両名が見えております。
  88. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 外務省の方には長時間お待たせして、はなはだ恐縮でございます。実は長い時間でもないので、最初に外務省の方の質疑を終って、それから電電公社の方に入りたいつもりでおったのでありますが、おいでが少しおくれたためにあと回しになって、かえっておくれてお待たせして恐縮でありました。  本日お聞きしたいことは、せんだって以来当委員会におきまして、日本と中共との間の郵便物の取扱いについて、再三再四討議が行われたのでございますが、これに関しまして外務省当局の御意向をお伺いしたい。  最初に条約関係でありますから、条約局の課長さんの方から御答弁願いたいと思います。これは純粋の条約論になるわけでありますが、国交関係が正式に樹立をされておらない場合、たとえば日本と中共のような場合でありまするが、こういうような国交の樹立されておらない両国の間で、個々の条約または協定などを結ぶということがあるかどうか、この点についての御意見一つ承わりたい。
  89. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 ただいまの御質問の要点は、国交のない国との間に国際条約というものがあったという前例があるかどうかというふうに承わったのでございますが、二国間の条約としてはそういうものがないように存じています。ただ多数国間条約でございますが、この場合には多くの国が条約の当事国になっておりまして、その中には、お互いには国交を持っていないという関係になっておる例がかなりあると思います。そういう例はありますが、二国間条約については私は承知しておりません。なお私が今申し上げましたのは広い意味の条約でございまして、協定も含んだ意味で申し上げたのであります。
  90. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまの御説明によりますと、国交回復ができておらない場合は、協定を含めた広い意味での条約が両国間ではできない。ころいろような御答弁と承わってよろしいのでございますか。
  91. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 必ずしも戦争中だからできないということはないと思います。つまり戦争中に働く条約もあるわけであります。戦時関係の条約であつて、平時は意味をなさないのでございますが、戦争になりますと、その目的のために作られたのでございますから、戦争の規則を守るという規定が働いてくるといろ意味では、むしろ戦争中に二国間で作られた条約もあるわけでございます。中共の場合はそういうことではないかと思いますが……。
  92. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 戦争の場合にはそういうことで国交を断絶しても条約は残っておるのでしようね。戦争に必要のある条約、つまり今伺っておると郵便物とか電信電話の協定等がありましょうが、そういう協定は国交が行われておらなければできないのかどうかということをお聞きしたいのです。
  93. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 戦争関係よりも、むしろいずれが正統の政府であるかという、御承知の台湾、北京両政権の関係がございますので、この点がむしろ協定を結ぶ上においての問題になっているように私は承知しております。
  94. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 どうも形式論からいくからめんどうになるのですが、今の場合の御答弁は、台湾との間にそういう協定はもちろんできるはずである。そうすれば、今の日本と中華民国との間の条約は、当然本国にも法律的には適用されておるのだ、こういうお話だろうと思います。しかしわれわれの言うところの国民政府あるいは台湾政府というものと、中共の北京政府というものは、現実の問題としては別個の政府の独立関係を持っておるのです。そこで現実の上から申しますと、日本は台湾政府といいますか、国民政府との間で、国際条約で郵便物協定を結んでいるから、それをそのまま中共で実行されておればよろしいということになるわけですが、現実の問題としては中共政府が台湾政府を認めないのであります。こういう建前から台湾政府の結んだ条約を自分のところに実施しようとしておらない、そういうことでいわゆる国交に関する外交関係が樹立しておらないということなんです。中共との問題を言うからめんどうになるのでしようが、たとえばソ連でもけっこうなんですが、日本とソ連との間のそうした特殊の協定というものは、外交関係が正式に回復しておらなければできないのかどうか。たとえば郵便物協定だとかあるいは文化協定とかいろいろありましょうが、とにかく私の言いたいことは国交の回復、正式な外交関係がないということで、政治的ないろいろな大きな問題が起り得るわけであります。しかし国際社会の生存の上から考えて、人類としてそういうこととは別に、基本的にお互いに有無相通じなければならぬものがある。たとえば郵便物のごときも同様だろうと思うのです。政治的な義務も何もない、そういうふうな人類社会といいますか、国際社会の生活から見て最低の必要なそういうような事柄がある。そういうものについて、純条約論的に考えて、国交回復がないから協定ができないのかどうか、それとも国交回復がなくても、そういうような世界共通の問題については、そういう協定を結んでも国交回復とは別個の問題であるから差しつかえないのかどうか、こういうことを聞きたいのであります。
  95. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 今の御質問の要点はわかったのでありますが、国交関係がないという場合には、普通戦争状態がある。戦争状態が平和関係に移っていないという意味の国交回復じゃないというふろにおっしゃっているのではないかと思いますが、まず中共の問題は別にして考えますと、お互いに独立国でありますれば、それはその国として条約の締結能力はもちろん持っておるわけであります。しかしその国家間の関係は、やはり戦争関係あるいは休戦関係というのが基本的になっておりますので、平和関係に移さなければできないことはあるわけでございます。条約でもそれと矛盾するような、つまり平和関係がなければ、それを前提としなければ結べないような条約というものは成り立つのでありまして、そういうものは結べないという程度であります。ただ戦争中あるいは休戦中でございましても、ある意味での条約、一種の平和関係に準ずるような条約を結ぶような場合はあるわけであります。たとえば捕虜交換というようなことは、敵国同志の間におきましても約束を結んでやるということはできるわけでございます。そういう意味では全然約束ができないかといえばそうではない。一種の人道的なものでございますが、そういうのは非常にまれな例であって、多くの場合においては条約は普通できないのだというふうに言った方が適当かと思います。
  96. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体原則論としてはわかりましたが、そこでこの捕虜とはだいぶ性格が違いますが、郵便のごとき――あるいは電信電話、含めてですが、郵便のごとき国際的な融通性を持たなければ意味がない、しかもこういう郵便物協定というのは一種の国際協定になっておる。相互協定、集団的な協定といいますかね。そういうような協定になっておる。そういうような性格のものは、その国と国交回復の状態になくとも、そういう国際的な社会生活の上において、最小限度必要な事態に対しては、しかもそれが万国共通の郵便協定等によって結ばれている場合、これがもし国交回復のない両国であっても、その間において正式の協定が困難だとすれば、何か実際上には運行に差しつかえないような一種の非公式的な協定といいますか、そういうようなものが可能ではないかと私はしろうと的に考えるのですが、その点に対する見解はどうですか。
  97. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 先ほどちょっと私が申し上げましたのですが、中共の問題ということになりますと、これは国交関係がないということのほかに、中国を代表する正統政府はいずれであるかという問題があるために、別な要素を含んでおるのだと思います。従って普通の場合、その関係は入らないのでありますが、正統政府の問題がそこに加わってきますと、問題が非常に複雑になりまして、他方の政府を承認しておるのに、それと別な政府と条約を結ぶということはできないということになって参りますので、国交がないということに加えまして、政治問題その関係で非常にむずかしいというふうな考え方を持っております。
  98. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そこでそういうような条約論といいますか、形式論からいうと非常にむずかしいことはわかるのですが、たとえば日本と中共との間に民間で、議員も入っておりますが、中日貿易協定というのを結んでおる。これは相手が国営事業であっても、日本側から民間事業であるからできるわけです。ところがこの郵便物――電信電話等でも同様ですが、国際電信電話の場合は民間事業と言えますけれども、それがいわゆる国営事業である。その当事者が国家公務員である。官吏である。こういうことのために、非公式の協定もできないというところに、私は実際上の矛盾がありはしないかと思う。今国民政府といいますか、台湾政府と日本との間に通商航海条約がある。日本は台湾の国民政府をもって正統政府として条約ができておる。にもかかわらず一方においては国会議員が入り、また民間人が入って、中共との間に中日貿易協定というものを結んでおる。そこには政府は正式には参加しておりませんが、ある程度の便宜を与え、これが決済等も行っておる。もちろんそれでは十分でありませんので、最近はもう民間における中日貿易協定の限度は来ておるようでありますけれども、とにかく一方においてはそういうことが行われておる。これは郵便事業というものが、日本の場合国営事業である、国家の機関として行われておるが、もしこれが民間の機関として行われておれば、あなたの方の条約解釈でいってもできるわけなんですね。そうすると、こういう問題をそうかたくなに解釈せずして、国交の一端である、一形式であると考えずに、国際社会に人が生きていくために、最小限度の生活の一つとして、たとえば貿易協定のごとくに、国民の精神的な貿易である、こういうような点から考えるならば、何かそこに便法があり得るのではないか、こういう工合考えるわけですが、これに対する御見解をお聞きしたい。
  99. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 それはおっしゃる通りだと思います。便法が何であるかということを研究するのが一つの大きな仕事でございまして、それは私の方よりも郵政省の方で研究をおやりになっておると連絡を受けておるわけでございます。つまり形式的な国家間の条約というようなことでなくても、何か便法というものも、事実上そういう必要はあるのですから、郵便業務が円滑に行われるようにするということは、これは何ら反対するどころか、むしろ積極的に推進すべきで、ただ今の承認問題などがからみますからむずかしいのでありますが、この問題は外務省といたしましても形式問題ではないので、むしろアジア局の方からお聞き願いたいと思います。
  100. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 一応形式論をお聞きしたのは基本的な方式を、どういうものがあるかないかを伺うために、まあ形式論から入ったのですが、実際問題はアジア局の方の問題だと思います。大体今の質疑応答を聞いて、アジア局の課長さんの方でもおわかりと思いますが、もっと外交なり政治というものを幅広く考える。これはお役所の方としては一応法律なりに基いて行なっておりますから、なかなかその考え方が困難と思いますが、これは私の見解を申し上げますれば、今政府で――政府はもちろんでしようが、党内の一部にも社会党の一部でも、いわゆる中共との早期国交妥結論についてはその時期でないという意見を持っておる人があります。しかし国交回復というものは、もっと広げれば厚くなるものではないか。いきなりここで条約ができたから、どことどこの国とは仲よしになるというのではなく、それにはいろいろな要素が加わって、お互いの親善関係、国交回復という実質ができ上るのだ。単に条約ができたから、それで両国が国交関係ができた、形式はそうだけれども、日本とエチオピアとの間の国交回復がかりにできたといたしましても、その国交回復というものより、ただ一つの民間協定であっても、日本と中共との中日貿易協定の方が、より日本の民族にとっては重大な関係を持っているということは言えるだろうと思う。日本と中共との関係は民族的に考えても、また地域的に考えても、これは非常に重要な関係にある。早期妥結のできない一つの大きな理由は、もちろんこれは形式論からいえば日本がすでに国民政府を承認して、それが中共といいますか、大陸地帯も主権下にあるという解釈のもとにあの条約を結んでおるということでありますが、実際は違っておる。もう一つ理由は、ことに外務省等にはこの見解が強いのですが、全部ではありませんが、党内にもこういう見解はあります。朝鮮事変によってアメリカ人が失った人命、これが大きな原因で、アメリカには当分の間中共を承認しようという民族的な感情が起きてこない。であるからして、今日本が、中共と日本との実際のあり方から見れば、アメリカ貿易というものを除けば別ですけれども、これを除いていけば、日本と中共との関係で、両国民の立場から見れば、これは一日も早く国交回復をしなければいけない立場になっておる。けれども実際問題としては、そうしたアメリカ人の対中共の民族的な悪感情、こういうことで非常に阻害されて、もし日本が中共と近づくようなことがあれば、おそらく日本とアメリカの関係が悪化するであろう、こういう意味からして、かなりこの早期妥結に対しては、そういうような実質論から一部に反対論もあるわけであります。もちろんこの点はよくわかります。けれども私たちは、――私たちというよりも私個人ですが、両国間の国交回復というものは、単にペーパーに書いた条約のみによって国交回復が実質的にできるものではない。形式論としてはそうですが、もちろん国民の民族感情、あるいは地域的な関係、あるいは歴史的な伝統、こういうものが積み重なって両国の親善関係なり国交回復ができるものである。であるからして、少くとも正式の国交の回復をするまでの間に、あるいは最近行われておるようなお互いに文化の交換なり、――この間梅蘭芳が来ましたが、文化の交換なり、あるいは民間中日貿易の促進なり、そういう幾つものものが、正式の国交回復に先行されて行われて何ら差しつかえがないと私は思います。日本とシナの将来から考えるならば、行うことが当然政治家の任務じゃないかと思う。単にアメリカのそうした中共に対する悪感情にのみわれわれがこだわって、そうしてあらゆるところに消極的な態度をとるならば、日本としては将来アジアにおける地位を非常に困難ならしめるのではないか、こういう点から考えて、もちろん形式論からいって直ちに中共と日本との間に、こういう郵便物協定を作るということは条約違反であり、規定上できないという立場であるならば、当然何かそうした総合的な観点から考え、日本の東南アジアにおける、あるいはシナにおける将来の立場等から考えても、あらゆる方法によって両国間のいわゆる連携というものができていくことが、日本の将来のために必要じゃないか。そこでアジア局のお考え方として、そういう非公式な方法として何らか私こまかい点はわかりませんが、何らかの形でこういう素朴な人類社会、国際社会の生存に必要な協定といいましょうか、協定というと非常に誤解を生ずるのですが、いわゆる非公式な取扱い方で積極的に進める、こういう考え方を持っておられるかどうか。それともそうした日本と国民政府との関係及び中共との関係またはアメリカとの関係からして、消極的にこれを扱うべきだというお考え方か、それとも今私が申しましたような大局的な見地からして、協定としてこれを実現することは困難であっても、これを何らか非公式な方式で、そうして両国民の一歩々々の前進を進めていく、これがアジア民族のあるべき姿である、こういう考え方からして、いわゆる協定、条約論には触れない範囲内においそういう道を尽す方法があるかどうか、またそういうことについてのアジア局のお考え方一つお述べを願いたいと思います。
  101. 小川平四郎

    ○小川説明員 ただいまお話のございました中国大陸と日本との関係、先生りおっしゃる通りだと私どもも観察しております。またアメリカ方面の中共に対する悪感情も、おっしゃった通りに私ども見ております。それから形式的の関係も、先ほどから御問答がありましたようなことがあります。そこで私どもといたしましては、中国大陸と一本との関係というものは、おっしゃった通りに歴史的にも、地理的にも非常に近い関係である、この間に実際に必要なことが起れば、先ほどの形式的な要素に触れない限りこれは当然やっていくべきではないかと考えております。そこでただいまの郵便の問題でございますが、これは郵政省の方からも御説明を受けまして、実際上にどういう必要があるのかということも十分にわかっておりますので、今先生の最後におつしやいました形式はともかくとして、実際上不便のいかないような何らかの措置をする必要があるということは、私どもも痛感しておりますが、これを先ほど申しました形式との間にどのように、抵触しないように、しかも実務がうまくいくかという点を現在郵政省とも連絡いたしまして研究中であります。いずれその御意見もよく承わりまして、その辺の、何と申しますか、形式的にうまくおさまるような格好で、冊とか実施できるようにしたいと思って研究を続けております。
  102. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 基本的な考え方としては、私の考え方に御同感のようでありまして、私も意を強うするわけであります。もちろんいかにしてこの非公式的な方法としてやるかという問題は、私はしろうとでありますからして、郵政省当局からあとでお伺いいたしますが、たとえば現在中共貿易に日本の船が相当に行っております。これは日本国籍の船が行っておる。途中で国籍をはがして参っておるようであります。こういうのはこそくな手段ではありますが、それでもなおかつ日本の将来から考えてやらなくちやならぬ。もちろんこれは外務省は認めておらないだろう。おそらく毎日七、八隻の船が行っておるそうであります。こういうようなことはやはり日本民族の生存の上において、ことに国際関係における中共と、国際関係の実情から考えても、地理的に非常に近い唇歯輔車の関係にある日本と中共との間が、いわゆる形式論にとらわれてそれらの地帯が認められないということになれば、将来において非常なハンディキャップができるであろう、こういうことからして民間の諸君は、もちろん外務省なり関係省にも一応了解を求めて、そうした方法でやっておられるようであります。なるべくそういう手段でなく正式にやりたいのですが、今申したような条約論の立場からして不可能であるといたしますならば、一刻も早くそうした便法によって、こういうだれが見ても文句の出ない、国際社会の生活上最小限度必要なこういう地帯が、いわゆる形式論でもって戸惑っておるという現状は、まことに遺憾千万でありまして、何とか具体的にこれを打開して進める方法を御研究願いたい。たとえば郵便物のある会社を作ってやるならば、形式論には触れないということになる。要するに日本では国営事業、向うでも国営事業でしようが、国営事業であるがためにできない。そこに私は非常な矛盾があると思います。そういう点十分に御研究願っておられると思うのでありますが、とれに対する郵政当局のお考え方について御意見を承わりたい。
  103. 松井一郎

    松井説明員 お答えいたします。先ほど来の橋本委員からのお説、私たちも全く同感しておるわけでございます。郵便につきましては、これは万国郵便連合の中において、いろいろな政治的な考え方が、かりに正式な国交がなくても、でき得るだけ相互に郵便の交換をするということこそが、本来人類の大きな目的に合うということで、郵便の立場からいえば世界のどんな国とも円満な交信をしたいということは言うまでもないと思います。ただ先ほど来問題となっておりますように、かりに中共との間という問題をとりますると、そのやり方、その形というものが、いろいろと考えなければならない点が多々あろうと思います。そこで私どもは外務省の方と相談いたしまして、考えられるいろいろな形、こういう形、こういう形、こういう形、そういう形で、便宜の形であれば現在の状況において差しつかえないかどうかということをあれこれ打ち合せしておりますのが、現在の段階であります。これがまだどの形をとるかというところまでは、残念ながらきまっておりませんが、至急にそういう形を検討いたしまして、適当な形において今後実現のために最善の努力をいたしたい、かように考えております。
  104. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体質疑は終了いたしましたが、最後に要望を申し上げておきたいと思います。  大体私の申し上げました点で、十分アジア局並び条約局においても御了承願ったと思いますが、あえて郵便問題のみに限らず、ことに中共問題は非常に重大問題であって、私個人の考えからすれば、日ソ協定のごときはまだ将来でもよろしいのであって、より早き日中国交回復の方が日本の将来のためには当然必要であったのではなかろうか。もちろん日ソ国交はできてしまったのですから、今さらどらという問題ではありませんが、それほど重大な日本の民族の将来に大きな影響のあるこういうものが、日本の現状からいっていろいろな点から制約を受けておりますが、しかしそういう形式のことは一応たな上げにしておいて、できるだけ両国民族が、非公式的でもけっこうでありますが、あらゆるルートを通じて、他の諸外国との関係に劣らないようないわゆる密接な関係が一日も早く樹立せられるように、政府当局においても十分にお考えおきを願いたい。もちろん政府自身がこれを行うことはできませんからして、いろいろの面を御援助になるでありましょうが、できるだけこういう大きな観点に立って、一つ積極的に助成あるいは御助力を願えることを心からお願いを申しまして、私の質問を終ります。
  105. 森本靖

    ○森本委員長代理 委員長からちょっと。この点はこの前の委員会で明らかになっておりますが、まず郵政省当局にお聞きしておきたいのですが、今日日本と中共との郵便物は香港を経由して直接行っておるわけです。そして今日一番問題になっておるのは、この香港経由になった場合には非常におくれるわけであります。今これが中国との間に直接の協定を結んだ場合においては、塘沽なり大連なり上海を通じて行なっていくならば、今よりも郵便物が早くなる。満州、北支に対しても早くなる。こういう面からわれわれは郵便協定を望んでおるわけです。そこで今日香港を経由して中共へ郵便物が行っておる根拠はどこにあるのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  106. 松井一郎

    松井説明員 郵便物の中で、いわゆる小包とかそういうものを除いて、一般の通常郵便物といっておるものにつきましては、なるほど中共は今のととろ正式に加盟国の形としては入っておらない格好には一応なっておりますが、イギリスが大体中共を承認した格好になっており、香港と中共との間には正式な郵便物交換の道が開けておるわけであります。そこで日本としては、香港の郵政庁に中共向けの郵便物を託送する。そうすると香港郵政庁は自分のところの郵便物として日本から来た郵便物を一括して中共に渡す、かような格好になっておるわけでございます。
  107. 森本靖

    ○森本委員長代理 それで今の中共と日本の郵便物の交換が明らかになったわけであります。そこで問題は、この形式をどのように行なっていくかということで、直接にこの塘沽なり大連なり上海に陸揚げができるような形の協定をわれわれは今望んでおるわけであって、これがかりに協定あるいは条約ということでなくても、直接塘沽なり大連なり上海というところに陸揚げするならば、中共と郵便の交換が直接できる、こういうことになるわけで、それをわれわれはねらっておるわけであります。実質的に郵便物が向うへ行っておるものを、さらにこの時間を早めるという面においての協定をわれわれは望んでおる。この辺に着眼をせられて――外務省としては、先ほど来の質疑応答では形式上の問題を非常に言っているわけでありますけれども、しかし実質的にはすでに郵便物が交換をされている。その実質的に交換をされているものをさらに公衆の利便をはかるために、国民の利便をはかるために、これをもう少し輸送の時期を早める、こういう意味のねらいがわれわれあるわけでありますので、その辺は何か便法的な問題というふうに言いましたけれども、これはかりに向うと国交回復がされておらないにいたしましても、従来郵便は万国共通であるという点から郵便物だけの協定を結ぶということも、いわゆる条約上においてもこれは可能でないかと思うのですが、これは全然不可能ですか。
  108. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 今の中共との関係は例の承認問題が一つございますので、国交回復をしていない国の場合とはまたちょっと違うのです。国交を回復していない国との協定、こういうものをどうするかということにつきましては、理論上の問題でございますが、あるいは可能だという説があるかもしれません。普通にはやはり国交ができてからというのが一応の常識的な考え方だろうと思います。しかし今そういう説もめるかと思いますが、中共の問題は先ほどから申し上げますように、国交関係だけではありませんからちょっと……。
  109. 森本靖

    ○森本委員長代理 だから私の質問をしている点は、その点が明確でなかったので、国交が回復しておらなくても、この郵便のように万国共通という場合においては、これと双務協定を結ぶということもあえて条約上不合理ではない。ただ今日の中共と台湾政権との承認問題にからんで、これが不合理だというような政府当局の見解であるか、この辺を明らかにしておいてもらいたい。そういうふうに解釈をしてよろしゅうございますか。
  110. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 これは保留させていただきたいと思いますが……。
  111. 森本靖

    ○森本委員長代理 それではさらにもう一つ、今一番問題になっているのは、ここで国民政府、いわゆる台湾政権が万国郵便条約に加入している。これに対して中共政府が無効宣言をたしか行なっておらないはずであります。そういうところの宣言をかりに中共が行なった場合においては、この場合にそれでは日本が直接中共とこの郵便物の双務協定を結ぶということが条約上可能かどうか、その点について外務省当局としても明らかにしておいてもらいたい。
  112. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 結局同じ問題に帰着すると思います。先ほどから申し上げております通り、中共側がかりに中国の入っている万国条約を認めない、そのかわりに別のものを作ろうということを言ってきた場合にできるか、こういう御質問だと思うのですが、それはやはり承認問題とからんでおりますので……。
  113. 森本靖

    ○森本委員長代理 もう一度、質問の要旨がわからないようでありますが、万国郵便条約に加入しているのは国民政府が加入している。これに対して中共が一方的に無効宣言を発して、そうして中共と国交回復をしておらないところと、日本に限らず郵便の双務協定を行おうという場合に、かりに日本でないところの他の国交回復していない国が郵便物の双務協定を結んだ場合に、そういう結ぶという可能性は条約上あり得るわけですね。その点を明らかにしておいてもらいたい。
  114. 瀧川正久

    ○瀧川説明員 一方的に条約関係を、つまり中共からみますと、万国郵便条約というものは多くの国が入っておりますから、一方的に廃棄すると申しましても、条約関係というものは、台湾政府の方も中国でございますね。他の国との間にできておりますので、ほかの国がそれを認めなければ、一方的に宣言だけで廃棄して結ぶということはちょっとできない。向うの他の国も万国条約から脱退して新しく中共と結ぶということなら別でありますが……。そういうふうに考えております。
  115. 森本靖

    ○森本委員長代理 それではまだいろいろお聞きしたい点もありますが、時間もたちましたので、最後に、郵政省当局意向は、この前の委員会において、早急に何らかの形において、協定、条約は別として、直接交換を行えるようにしたいという意向を当委員会においてはっきりしたわけであります。外務省当局としてはそういうふうに直接交換を行う方法を何とか考究したい、こういうことははっきり言えるわけですね。
  116. 小川平四郎

    ○小川説明員 その通りでございます。
  117. 森本靖

    ○森本委員長代理 他に御発言はございませんか。――なければ本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。     午後五時八分散会