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1956-05-23 第24回国会 衆議院 逓信委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十三日(水曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 秋田 大助君 理事 廣瀬 正雄君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 松井 政吉君    理事 森本  靖君       宇田 耕一君    川崎五郎君       竹内 俊吉君    中垣 國男君       平野 三郎君    山本 猛夫君       山本 利壽君    佐々木更三君       杉山元治郎君    原   茂君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  上林山榮吉君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  平山  温君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         郵 政 技 官         (電波監理局次         長)      西崎 太郎君         日本電信電話         公社副総裁   靱   勉君         日本電信電話公         社理事         (職員局長)  山本 英也君         日本電信電話公         社理事         (営業局長)  吉澤 武雄君         日本電信電話公         社         (施設局次長) 佐々木卓夫君         日本電信電話公         社         (建設部長)  関  雅雄君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 五月十五日  委員荻野豊平君、白浜仁吉君、長谷川四郎君、  山本勝市君及び山本友一辞任につき、その補  欠として中垣國男君、川崎五郎君、山本利壽  君、山本猛夫君及び宇田耕一君が議長指名で  委員選任された。 同月二十二日  委員松浦周太郎辞任につき、その補欠として  塚原俊郎君が議長指名委員選任された。 同月二十三日  委員塚原俊郎辞任につき、その補欠として松  浦周太郎君が議長指名委員選任された。     ————————————— 五月十五日  帯広市に地方貯金局設置請願本名武君紹  介)(第二二四四号)  大岩、岩井両郵便局集配事務存続に関する請  願(徳安實藏紹介)(第二二四五号)  有松地区に無集配郵便局設置請願(稻村隆一  君紹介)(第二二七二号)  簡易生命保険最高契約金額現行維持に関する  請願荻野豊平紹介)(第二三一四号)  西神吉村に無集配特定郵便局設置請願吉田  賢一君紹介)(第二三一五号)  電話加入権担保制度確立に関する請願外一件  (中村梅吉紹介)(第二三一六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員補欠選任  郵政事業に関する件  電気通信事業に関する件  電波監理及び放送に関する件     —————————————
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  まず小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。森本靖君及び八木昇君が去る四月二十六日それぞれ委員辞任されましたのに伴い、電波及び放送に関する小委員が二名欠員となっております。両君が再び本委員選任されておりますので、この際森本靖君及び八木昇君の両君電波及び放送に関する小委員指名いたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松前重義

    松前委員長 御異議なしと認め、森本靖君及び八木昇君の両君を再び電波及び放送に関する小委員指名いたします。  この際お諮りいたします。委員の異動に伴う電波及び放送に関する小委員補欠選任の件につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松前重義

    松前委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。
  5. 松前重義

    松前委員長 次に郵政事業に関する件、電気通信事業に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。竹内俊吉君。
  6. 竹内俊吉

    竹内委員 放送法改正に関連して二、三お尋ねしたいと思います。政府現行放送法現状に適合しない点があるとかあるいは足らざる点があることを認めて、放送法改正を決意して、本国会の当委員会劈頭において郵政大臣が発言されて、放送法改正意図のあることを明らかにし、またなるべく早い機会に今国会にでも提案したいということをば付言されたわけです。また一方、臨時放送法審議会を設け、また参考案なるものを公表し、当委員会にもこれを提示したのであります。これら一連の事柄は、放送聴取者つまり国民大衆の非常な関心を呼び起して、言論界においてもいろいろの角度から論議されましたことは御承知通りであります。当委員会としても直接関係のある重要な事柄としてわれわれは非常に大きい関心を持ってきておるのでありますが、今日までこの臨時放送法審議会審議過程がどうなっておるか、またそれに付随して政府は本案をどのように扱うおつもりであるか。会期その他から考えますと、とうてい本国会に提案されるということは不可能であります。また参議院の方においても大臣はその点を明らかにしたようでありますが、放送法改正に関する現在の政府の所信を含めて、今までのそれらのことを総合した御報告を承わっておきたいと思います。
  7. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。放送法改正審議会は、すでに今日まで九回にわたって開かれております。もとより超党派的に十五人の委員にお願いしておるのでありますが、ほとんど毎回十五人全員に近い人たちにお集まりいただきまして、まことに慎重に御審議を願っておるのであります。先週の金曜日に私一応委員会に出席いたしまして、いろいろと委員さん方の審議の様子を拝聴いたしたのでありますが、すでに基本的な線はもう出たらしいのでございます。あとは逐条的に審議を進めていく段階になったようでありますが今国会でこの法案審議されるというようなことはとうてい不可能な状態に立至りましたが、さらばといってこれをいつまでかけてもよいということではないのでありまして、でき得る限り結論が出し得る状態になりましたら、暑くもなりますし、非常に御苦労でもありますから、結論を出していただきたい。しかし必ずしも拙速主義をとうとぶものではありません。放送法重要性にかんがみまして、今日のように慎重な御審議の上で結論を出していただきたいと思います。よけいなことでありますが、政府の従来審議会に御委嘱したいろいろな立法が、多少審議会の御意向を無視した点があるかのようなことで、放送法審議会も、そういうように審議会答申を無視して、政府としては立法措置をするのじゃないかというような御質疑が、参議院方面でありましたけれども、私はこの公共性にかんがみまして、でき得る限り審議会答申を尊重して参りたいと思っておりますので、さよう御了承願いたい、こういうことを申したのであります。私といたしましては放送法審議会委員さんの、今日までの非常な御労苦に対しましては、まことに感謝いたしております。なお今後の審議も相当な時日を要することとは思いますけれども、次の国会までには、どういうことがあっても結論は必ず出るということを確信いたしておりまして、この国会に間に合わないことをまことに私は遺憾といたしまんが、来国会には適当にこの法案を提出して御審議を願いたい、かように思っておる次第であります。
  8. 竹内俊吉

    竹内委員 ただいまの大臣の御説明で大体了承いたしましたが、臨時放送法審議会は、大体六月中で終るだろうということは、一般の見方のようであります。そういたしますと、今の大臣の御発言では、次の国会には間に合う、必ず間に合わせるというように聞いたのであります。その間に審議会答申政府は受けて、これを検討されると思いますが、検討される過程において問題を整理して、法案の性質上、その審議会答申をさらに何らかの公聴会と申しますか、そういうものに手続をとるといったような考え方がありますかどうか。従来の政府考え方としては、審議会答申を得た上は、そういうことはあまりやっていなかったように記憶しておりますが、今度はやるのだということが実は伝えられておるわけであります。その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  9. 村上勇

    村上国務大臣 十五名の全く超党派的な斯界の権威者審議をいたしておりますので、御指摘のような屋上屋を架してやるべきか、あるいはその趣旨を尊重して立法化して御納得をいただくかという点については、ただいまのところ考えておりません。私どもといたしましては、少くともこの権威ある放送法審議会答申はりっぱな答申が出るものと、かように信じております。またそれを何らかの形で再審議するというようなことについては、今何も考えておりません。
  10. 竹内俊吉

    竹内委員 実は今の臨時放送法審議会委員方々は、いずれもりっぱな方々ですが、ただ審議会そのものが非常に文化人と申しますか、そういった方面方々が多くて、技術に関してのいろいろな角度からこの法を見るという点には、欠けていはしないかという点が、技術者方面から意見が出ておるわけであります。そこでお尋ねしたいのでありますが、先般政府考え参考案からわれわれが受ける感じは、その点において手をつけない。たとえば、放送法改正根本基準にある条項を放送法の中に移す、あるいは電波法放送法との関連をそういう点で調整するとかいうことが、この法律にとっては非常に重要な部面であると私は考えておるのでありますが、ただいまの大臣お話では、そこで答申案が出てくれば、あえてその上のことはしない、その答申によって次の法案考える、こういうことであります。局長がおいでになっておりますので、局長から説明を願いたいと思いますが、今申し上げましたような技術的な面において、今の放送法一貫性がないというか、非常に法律立法技術的に考えてもごちゃごちゃになっておる、これを調整すべきだという意見技術畑に相当高いのでありますが、その点とのにらみ合せにおいて、どういうふうな審議会過程を通して印象を受け、どういうふうな考えを持ったか、その点をお聞きしておきたい。
  11. 濱田成徳

    濱田政府委員 臨時放送法審議会委員の中には、技術方面代表者といたしまして丹羽保次郎氏がおられます。今日までのところ、参考資料等についての審議過程におきましては、あまり技術の問題は出ておりません。近い将来においてテレビジョン等の発展を見越して、その技術問題はきわめて重要であろうと私は考ております。この技術問題に関連した審議が、今日の審議会委員の顔ぶれでは不満足だとは必ずしも私は思っておりません。しかしながらこの答申案が出まして、これに関連して技術的な検討がさらに必要であるということが起りますならば、これは郵政省としましては、いろいろな考えをここにつけ加えることもあり得る、しかしながら、改正根本方針には、さほど重大なる影響はあるまい、そう考えておる次第であります。
  12. 竹内俊吉

    竹内委員 この内容についてお聞きすることは今適当でないから、これはお聞きいたしませんが、当局要望しておきたいことは、この審議会が終りましたならば、なるべくその資料——速記録がありますならば、速記録をいただければ一番よろしいのでありますが、あるいは問題を整理した資料等をなるべく早くわれわれに提供していただきたい。われわれは国会の閉会後においても、これらの資料資料として調査もし、次の国会までに十分に国民の声も聞き、自分の考えも練りたいと思いますので、その資料の提出を求めておきます。この問題はまだ審議会そのものが固まっておりませんので、これ以上は申し上げません。次にもう一点だけ簡単に伺っておきたいことは、テレビジョン普及対策についてであります。いただいております電電公社資料をずっとこまかに見てみますると、われわれはテレビジョン普及時代と申しますか、ここ三年、五年の間がきわめて大切なときであると考えておりますが、電電公社資料を見ますると、必ずしも二年、三年あと計画までのマイクロウエーブ建設が明瞭になっておりません。この点はまだ計画が明瞭にできていないのか、それともわれわれのもらっている資料が不完全なのか、いずれにしてもわれわれの受けておる印象ではマイクロウエーブ建設年次計画というものが必ずしも明瞭ではないと思うのであります。またNHK置局計画を見ましても、これもまた条件付計画であって、あるいはマイクロウエーブ建設の度合いとかあるいは資金とか、そういうものとの条件付置局計画であって、これも決して決定版ではないと思うのであります。こういう点から考えて、今日テレビジョン国民から要望されておる声にこたえる政府一つの大きい電波上の文化政策としては、確たる年次計画というものができていないのだという印象を強く受けるわけであります。電電公社なりNHKなりにもいずれかの機会にお聞きしたいと思いますが、郵政省として、このテレビ普及年次計画をどうお立てになっておるのか。この点も私は二、三度質問をしたのでありますが、きわめて抽象的なお答えは得ておりますけれども、まだ確たるお答えに接していないのであります。これは電波行政上の今日早急にやるべき重要な施策であると考えますので、この点資料がありますならば資料をいただきたい。またその資料をこの席で御説明できるならば御説明願いたいと思います。
  13. 西崎太郎

    西崎説明員 最初の御質問は、電電公社マイクロウエーブ計画の問題でありますので、監理官の方からお答えいただくのが適当かと思いますが、私が伺っておるところでは、第一次の五カ年計画に続きまして、第二次の五カ年計画が行われるわけでありますが、その中に当然いまだ計画のできておらない区間のマイクロウエーブ計画が載せられるというふうに伺っております。  それでテレビ置局計画の問題でございますが、実はこの点は、前にも御説明申し上げましたように、テレビの全国的なチャンネルプランの問題ですが、これが御承知のようにテレビ電波の伝わり方については、いろいろまだ未解決な点もありますので、今そういう点をせっかく実験局を作りまして調査いたして、できるだけ近い機会に全国的な置局計画、いわゆるチャンネルプランを確定しようということで作業を進めておるわけであります。その結果を待ちまして、ただいまご指摘NHKも一応の長期計画を持っておりますので、そういう点もよく勘案いたしまして確たる置局計画郵政省としても立てたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  14. 平山温

    平山政府委員 テレビ普及計画について今電波監理局の方の話がありましたが、テレビ置局計画については今お話がありましたように検討中でございます。これに関連したテレビ中継線につきましては、電電公社といたしましては、先般電話設備費負担臨時措置法審議の際に、関係資料といたしまして一応第二次五カ年計画等資料もお配りしたわけでございますが、その詳細につきましては目下検討中であります。それでテレビマイクロ計画につきましては、御承知のように電話市外回線を提供するという目的と、それからテレビ中継をやるという両方の目的を総合的に考えておるものでございます。私どもといたしましては、今公社電話の方の市外線整備という観点から計画しておるものに対して、郵政省としての置局計画がはっきりいたしますれば、それを公社の方に指示いたしまして、それによって今竹内委員からお話がありましたテレビ中継線の急速な整備をはかっていくようにしたい、かように考えております。
  15. 竹内俊吉

    竹内委員 ただいまの御答弁である程度はっきりしたわけでありますが、現状としては置局の計画までの年次計画がまだ立ちがたい状況にある、こういうふうに思うのであります。これは郵政省が主体となって、一つ年次計画を持って、その計画によって実際の仕事をされる電電公社なりNHKなりが動くという形になるのが、電波行政上の建前でなければならぬと思うのに、今日は何か逆になっておるような印象をわれわれは受けるのであります。この点郵政当局に、テレビ文化施策丁としても、電波上から考えても非常に重要だという点にかんがみまして、そういう方針に進んでもらいたいということを要望いたしておきます。  それからもう一つ、先般の委員会で私がテレビ普及、特に地方普及でありますが、普及に関して今の受信機は安くなったといつても、まだ大衆的な値段ではないので、これを全国的に普及せしめるためには、マイクロウエーブとか局とかあるいはその他の附随した施設ができても、受け入れ態勢の方が経済的に恵まれない地方である場合はなかなか普及しない。その場合に国がテレビ普及助成をすることが、今日の文化施策としては適当ではないか、少くとも公共施設の学校とか、そういうものには何らかの助成方法考えるべきではないかということをお尋ねしたのに対して、上林政務次官から御答弁があって、同感である、そうして学校なり、公民館なり、図書館なり、そういう公共施設にそういう助成をして、テレビ普及をはかりたい意向をわれわれは持っておる、しかも具体的にこういうことをおっしゃっておるわけであります。「来たるべき予算等の折衝につきましては、皆様方の御協力を得まして、十二分にこの目的——目的というのはそういう助成目的という意味ですが、「目的を達するように努力するという今下準備をいたしておるところでございます」、こういう御答弁があったのでありますが、これは国民にとっては一つの朗報であると思いますので、下準備をされておるというその下準備程度をどういう具体策を現にお考えになっておるか、その点御説明願いたい。
  16. 上林山榮吉

    上林政府委員 先般当委員会で御質問がございましたので、そういう趣旨答弁をいたしたことは事実でございますが、そういう意向に従って研究を進め、できるものならば、予算関係等もあるから、その方面とも相談をいたしまして実現を期するように努力をいたしたいという、そういう趣旨説明を申し上げたつもりでございますから、御了承願いたいと思います。なお研究段階といたしましては、たとえば小学校、中学校あるいは公共的施設の全部に費用を入れるとすれば幾らくらいかかるか、あるいは何年計画くらい立てればそれを理想に近いものに持っていけるか、あるいはもし補助するとすればどのくらい補助したら果して需要に適するものであるかというような、一般的な研究段階をまだ出ておりませんが、熱意を持って研究努力をしたい、こういろ考えを持っておるということだけをつけ加えておきたいと思います。
  17. 竹内俊吉

    竹内委員 この問題は私は強く要望したいのであります。私の多少調査した点を申し上げて御参考に供したいと思いますが、これは全国に一ぺんに助成をすることにはならないのでありまして、電波の届く範囲内の公共施設から順次やっていかなければなりませんので、一年の予算としてはそんなに多額のものを要しない。ただし、先般政務次官は三年、五年というのは普及時代だ、こうおっしゃったが、私は三年でなくて五年はこういう助成を必要とするのであろう。五年間くらいこういう助成をしたら——年額私の計算でいきますと、大体三十億くらい助成していきますと、相当な施設まで手が及ぶように考えられるのであります。どうぞそういう点で事務的にこの対象の御調査その他をされまして、次の三十二年度の予算編成期においては、これは郵政省がやるべきか文部省がやるべきかという問題もありましょうが、いずれにしましても電波を扱っておる郵政省主導権をとって、さような文化施策を推し進めていただきますように要望して私の質問を打ち切っておきます。
  18. 松前重義

  19. 森本靖

    森本委員 ちょうど大臣が来ておられますので、大臣にお聞きしたいと思います。きのうの新聞で見てみますと、今回の日本放送協会経営員の二名の新しく選任をされる方々についての人名が、記者団を通じて政府の方から発表になっておるようでありますが、これは事実ですか。
  20. 村上勇

    村上国務大臣 事実であります。
  21. 森本靖

    森本委員 今回のいわゆる改選については、次期NHK会長選任ともにらみ合せまして、非常に新聞紙上では論ぜられておりますし、またこの前郵政大臣談話というような形で新聞に載りまして、私の方からそれに対して質問をいたしましたところが、それに対して大臣は、そういうことはないということで、一応了承しておったわけであります。ところがその後の新聞を見てみますと、これは後日場合によっては経営委員長に来ていただいてここで質問に応じてもらったらよくわかると思いますが、経営委員長談話発表いたしまして、会長の人事の問題について、政府があまりにも容喙し過ぎる、そういうことはやってもらいたくないと言っておりますが、大臣のこの間の当委員会における回答と、それからその経営委員長談話発表とでは、その間に非常に食い違った点があるわけであります。私たちはこの新しく二名任命されるところの経営委員任命については、非常に注目しておるところ、であります。そこで特にお尋ねしたいのは、今回の二名の選任については、これは国会の同意を得るということで、 やがて国会の議運にもかかってくるわけでありますが、それまでに当委員会としてお聞きしておきたいのは、今回の新しい委員任命については、どういう考え方においてこれを選考されるのか、この点について一つお聞きしたい。
  22. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。前段の経営委員長新聞談話の、NHK次期会長に対して政府筋から何らかの示唆があったがごとき点を私も見まして、これは私も実に意外に思っておる次第であります。さようなことは断じてないのでありまして、私は経営委員会には就任当時一回だけ出席して、一応就任のあいさつをした程度であります。その後経営委員人たちと一度も会合したこともありませんし、何らの要望もしたことはないのであります。かようにまげて新聞発表されておることは、いかなる意図があってか、まことに遺憾に思っております。この点は、政府あるいはその他の方面から、だれをどういうふうにしてほしいとかいうような希望的な意見あるいは要望等は断じてありません。私は現在も過般森本委員お答えしたあの通りでありますから、その点どうぞ御了承願います。今回の経営委員二名は、本日の持ち回り閣議で大体国会に御承認を願う段階に立ち至っておりますが、この二名の経営委員は、九州地区代表は、福田前委員の任期が参りましたので、しかも今回で三選というようなことにもなりまするから、あまり長期にわたってはどうかという世評を私は尊重いたしまして、九州地区の各権威者に対して、九州地区からだれを出すべきかということをお諮りした次第であります。二、三候補者があがりましたけれども、この人が最もいいだろうということで、私としては多少考えを異にもいたしておりましたが、それは私と同郷であり同姓であるという点についていささか躊躇いたしたのでありますが、同郷であろうが同姓であろうが、何ら関係のないその人がその地区代表適任者であるならば、あえて差しつかえないというような見地から、村上巧児氏を推薦いたしておるのであります。それから関東地区は、これまた非常にいろいろな方面から多種多様な御意見がありましたが、結局多数の意見に従いまして阿部氏を推薦いたしたような次第でありますので、何らその間に、その人たち選任された場合に、次期会長はどうするとか、あるいはどうあるべきだとかいうようなことは断じてありません。むしろその逆かもしれませんから、どうぞ一つ御了承願います。
  23. 森本靖

    森本委員 大臣が断じてありませんとおっしゃいますので、それを信用いたしますけれども新聞では阿部真之助氏を推薦した人と永田氏を推薦した人との意見の調整のために、阿部氏を経営委員長にという思惑で経営委員に送り込んで、永田氏を会長にする、そういうことで政治的にとんとんであるというようなことが新聞には載っておりますけれども委員会において大臣が断じてありませんというように声を強めておっしゃいましたので、その点は信用いたしますけれども、ただここで私はこの経営委員任命の方法と選出の方法について、さらに現在の経営委員会自体のあり方等についていろいろ批判がありますので、この際この問題についてただしておきたいと思いますが、言葉じりをとらえるわけではございませんけれども、ただいま大臣は九州の村上巧児氏ですか、その人を任命するについて、九州地区権威者意見を聞いて多数の意見に従った、こういう御返事がありましたけれども、一体その九州地区の多数の権威者というものは、那辺の権威者をさしておるのか、これはあなた方が限られた一般の権威者意見を聞いて、それを多数の意見であるというふうに考えておられるのか。さらに関東地区は多種多様な意見を聞いたけれども、多数の意見に従って阿部氏を推薦するというふうにきめた、こういうふうな御回答があったわけです。そこで先に九州地区から聞いていきたいと思いますが、九州地区権威者の多数の意見ということは、一体その権威者というのはいかなる人々であって、どういうふうな方法でそういう意見をお聞きになったのか、この点を一つ確かめておきたいと思います。
  24. 村上勇

    村上国務大臣 これは私といたしましては、九州地区のたとえば福岡、博多の商工会議所の会頭とか、あるいはまた業界の代表とか、あるいは政界のおも立った人たちとか、いろいろな名前はここで差し控えたいと思いますが、多くの人たちの御意見を拝聴して、そしてこれが至当なりというところにきめた次第であります。
  25. 森本靖

    森本委員 これは聞いていけばいくほど非常におかしくなると思いますが、たとえば商工会議所の会頭、業界の代表ということになると、これは民放連なんかの代表だろうと思うのですが、ほとんど社長とか、それから商工会議所の会頭ということになると、九州地方の財界の巨頭、そういう人々の意見を聞くことが、九州の多種多様な人の意見を聞くことになるわけであります。私が聞いているのは、一般の広く大衆の意見を聞くということはできないにしても、そういろ大衆団体の代表の意見も聞いて、そういう格好における公平な任命の方法をとらなくして、大臣が言われるところの九州地区権威者あるいはまた多種多様な意見というのは、こういうふうな財界のおえら方ばかりの御意見ですか。たとえば九州地方の学界の人の意見とか、あるいはまた労働団体の意見とか、あるいは民主団体の意見とか、そういうふうな意見、さらに商工会議所の会頭も入れてもよろしいのですが、そういうふうな多種多様な意見を聞いて、初めてこの九州地方の代表として出る資格があるのじゃないですか。大臣が何か旧観念によって商工会議所の会頭か、業界の社長くらいに聞いておけば、それでもう意見を聞いたのは済んだというふうにお考えのような気がするのですが、その根本的な考え方についてお尋ねしたいと思います。   〔委員長退席、松井委員長代理着席〕
  26. 村上勇

    村上国務大臣 これは理想的には全くお説の通りでありますが、私の狭い視野で、私から申しますと多種多様のあらゆる方面に大体お伺いした次第であります。なおその中に組合の人も含まれてもおりますし、いろいろな人に聞いた上で私は判断いたしたのであります。これは今森本委員お話のように、そういろ一つの組織を立てて、組織的に諮るべきことは最も理想だと思いますけれども、さような点も十分考えながら、大体この人ならばよかろうというところを私は選んだ次第であります。
  27. 森本靖

    森本委員 この選任の方法についても私は非常に疑義を持つものでありますが、そのことはまたいずれあとでやるといたしまして、今回のこの任命は、放送法第十六条におけるところの「各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」という建前からいきますと、一体何の分野を代表して出られる方でありますか。
  28. 村上勇

    村上国務大臣 これは私は一般を代表していると思います。
  29. 森本靖

    森本委員 これはここにこう書いてあるのです。「その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」とあって、これが一つ任命の基準になっているわけです。もう一つ任命の基準は、別表によって八人の者を選ぶ。その別表によってというのは、これは地域的なものでありますから、はっきりしているわけです。ところが第一項の「各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」ということが、かなりばく然とした格好になっているわけであります。そこで今回の一般ということはこの中にはないわけでありまして、「教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」とありますので、そこでまず今回の二名の人についてはどういう分野から出されるお考えかということをお聞きしているわけです。
  30. 村上勇

    村上国務大臣 そういう意味から申しますと、産業を代表して出ていると思いますが、この人は大体産業方面を代表してはいるものの、私の考え方では一般も含まれている。一般は、これは関係なければ取り消しますが、率直に申しますと、産業面を代表している、かように考えていいと思います。
  31. 森本靖

    森本委員 それではまず第十六条の定義を大臣からはっきりしていただきたいと思います。八人の委員を「教育、文化、科学、産業その各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」とあるわけでありますが、現在までの八人の委員については、だれが教育で、だれが文化で、だれが科学で、だれが産業で、その他の各分野からどういうふうな構成で選出されておりますか。
  32. 村上勇

    村上国務大臣 最近私就任してから経営委員にお願いしましたのは、先日国会の御承認をいただきました阿部清氏、この人は近畿方面を代表しておりますが、この人は教育代表と考えていいと思います。それから今の村上巧児氏は一般産業を代表していると思います。それから阿部真之助氏は御承知のように文化方面からの代表だ、かように考えていいのじゃないかと思っております。
  33. 森本靖

    森本委員 私が聞いておりますのは、八人のだれさんがどうということでなしに、八人の経営委員というものは、この定義からすると「教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」という条項があるわけでありますが、これをどういうふうに八人の委員に割り振りをしているのか。「教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」ということは、どういうふうに解釈するのか。わずか八人の委員に対してこれを公平に代表させるということはどういう工合になるのかということを聞いておるわけです。
  34. 村上勇

    村上国務大臣 ただいま御指摘通りに、できる限り各種別を尊重して参ることは当然であります。私の就任前の任命につきましては一応お調べした上でお答えいたしますが、私の就任後はそういうような分野に公平に分れておると思います。
  35. 森本靖

    森本委員 その大臣答弁は非常におかしいのですよ。就任後の問題を討議するがためには、就任前の委員任命の割り振りを考えなければ、当然この第十六条の任命の方法が生きてこぬわけです。要するに「教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」とあるわけでありますから、それを公平に考慮するということであるならば、大臣就任前の、五名なら五名、六名なら、六名の委員がどういう分野から出てきておるか、今回新しく任命をするのはどういう分野から任命をするかということが明確になっておらぬと、新しく委員任命ができぬことになるわけです。だから私は、第十六条の委員任命するときの各分野の代表ということについて、大臣はどういうふうにお考えになっておるかということをお聞きしておるわけです。
  36. 村上勇

    村上国務大臣 大体従来の委員の顔ぶれを見ますと、産業方面が少し多いようだから、それを順次改めていきたいと思っております。それは任期のあることでもありますし、その任期のくるたびに十六条の趣旨に沿って改めていかなければならないと思っております。私の就任後はそのようにやって参っておるつもりであります。
  37. 森本靖

    森本委員 「教育、文化、科学、産業その他の各分野」とありますが、この「教育、文化、科学、産業」というのはわかりますが、「その他の各分野」というのは、大まかに考えてどういうようにお考えかということを私は聞いておるわけです。
  38. 村上勇

    村上国務大臣 それはいろいろな方面だというように私解釈いたしておりますが、家庭婦人の場合も家庭を代表する、あるいは労働組合を代表する人も定員があれば出していくというようにも解釈ができるとは思っております。
  39. 森本靖

    森本委員 そうすると、「その他の各分野」には家庭の婦人団体も入るということも出ましたが、日本の働く者を代表するところの労働組合の連合体とかいうものも、各分野のうちの最大なものであると考えるわけです。そういう点を考慮しての人選が今までなされておりますか。大体今までの人選というのは、先ほど大臣がはしなくも言ったように、商工会議所の会頭とか、あるいは業界の代表とかに簡単に意見を聞いて任命をしたという人が多いのじゃないですか。閣僚同士で、あれは一つやってやれというようなことで、政治的に話をした人選が多くて、実際には今大臣が言ったように、婦人の代表とか、家庭主婦の代表とか、あるいはまた広く労働団体の代表とか、そういうふうなことについては考慮されておらぬのじゃないですか。
  40. 村上勇

    村上国務大臣 従来はわかりませんが、私はできる限りそういう線に沿って参りたいと思っております。ただ私の狭い視野で、御納得のいかないような点があったかとも思いますけれども、もしも組合の代表なり、あるいは婦人団体の代表等で、その地区を代表して、この方なら十分推薦できるのだというような方を推薦してくるならば、私としてはこれにお願いすることは何らやぶさかではないのであります。ただここに掲げております「教育、文化、科学、産業その他の各分野」というような点で、一応明文の通りに従って今回は推薦しておる次第であります。
  41. 森本靖

    森本委員 どうもこの十六条についての大臣のはっきりした定義といいますか、権威ある回答はまだないように考えます。私が先ほど言ったように、たとえば労働者の代表とか、農民の代表とか、中小企業の代表とか、非常に大きな広い範囲からいけばかなり意見を聞けるし、しかも代表としてもふさわしいということもはっきり出てくると思うのです。第十六条は、そういうことをおもんぱかって書いてあるのだと思います。だから、この第十六条の趣旨をいま少し明確にしてもらいたいと思います。この第十六条の「教育、文化、科学、産業その他の各分野」というのは、農民の代表なり労働者の代表なり、あるいは一般の婦人団体の代表なり、そういうふうに広く国民の各階層にわたっての代表を選ぶことであるというふうに大臣は解釈をしているのではないのですか。
  42. 村上勇

    村上国務大臣 何と申しましても、九州地区とか関東地区とか、各地区から一人だけで、非常に人数も少いので、結局こういうふうに教育、文化、産業と、ここに明記されているものに重点が今まで置かれてきたのではないかと思います。しかし森本委員の御意見通り経営委員としての十分な適任者をそれらの各代表の中に見出すことができますならば、そういう人たち経営委員にぜひ参加してほしいという気持は私も持っております。ただ全国わずかに八名で、その八名を全国的に採用する場合には、この四つか五つの団体以外に、各農村団体とか労働組合の代表とか、あるいは漁業の代表とか婦人団体の代表とか、そういうようなものを十分尊重してとり得ると思いますが、一地区わずか一人で、しかもそれがこういうように十六条の条文に明記されているのですから、ついそういうことになりがちになるのじゃないか、かように思っておりますが、今後におきましてはこれは私ども相当研究をいたしたいと思っております。またよけいなことになりますが、放送法改正を私どもが順次お願いしていくのには、地区の代表というよりも、全国的にそういう視野から人をとりたい、かように今後改めて参りたい、私ども考えではそういうふうに考えております。
  43. 森本靖

    森本委員 この十六条の改正についての意見は私は別に持っておりますので、その点には触れませんけれども、この第十六条の趣旨というものは、要するに限られた地区だというふうに大臣はおっしゃいましたけれども、これはこういうことなんだと思うのです。これは大臣の解釈も私の解釈も一緒ですけれども、教育なり、文化なり、科学なり、産業なり、あるいは農民の代表なり、労働者の代表なり、一般の家庭婦人の代表というものの中から、この最初に書いてありますように、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる優秀な人物を選ぶ。そうしてそれが一地区に片寄ってはいけないので、現行法では、たとえば九州地区で労働代表をとった場合には、関東地区では教育代表をとる、こういうのがこの法の制定の趣旨だろうというふうに私は考えるわけであります。そういう趣旨からいくならば、各地区に限られておっても、現行の法律においても広く各界各層の人間を代表として出してくるということについてはやれるわけなのです。もっとも改正するにしくはないのですが、その改正は、改正としての意見は別にありますけれども、現行法でもそういう日本の国民の各界各層の代表をここに広く網羅するということは、そういう考え方に立っていくならば、できるはずなのです。大臣はそのことを念頭に置かれて今度の任命についてやられたか。たとえば現在の八名の委員の中に、日本国民の何十パーセントかを占めるところの農民の代表が入っておらず、あるいはまた広く労働者の代表が入っておらぬ。そういう点も大臣が今回の任命についてお考えになったかどうか、私はこういう点をお聞きするわけであります。
  44. 村上勇

    村上国務大臣 大体そういう点について私も十分考えておりますが、今回の場合は、地区の各方面に諮問をいたしましたその結論がかような状態になっておりますので、この点一つ——将来については私ども十分考慮に入れてやっていきたいと思っておりますが、御了承願いたいと思います。
  45. 松前重義

    松前委員 関連して。私は村上郵政大臣の行政運営における非常な公平さを疑わないものであります。けれども、ただいまの質疑応答を承わってみますと、どうもまだ納得がいかぬ点があります。と申しますのは、放送協会の経営委員の選定に当って、経営委員という制度ができました当初においては女性も入っておられたのであります。吉田内閣のと遂にいつの間にか女性は抹殺されてしまって、そして大体事業経営者のみによって経営されるようになって参ったのであります。放送協会は申すまでもなく国民のものでありまして、政府のものではないと私は思うのです。言いかえると、労働者は放送を聞いてはいかぬというものではないと思うのです。労働者も放送を聞いております。だから、その主権というものがあるとするならば、私はこの聴取者であると思う。その意味において聴取者の意向を代表するというのが、経営委員選定の主眼でなければならないと思うのです。ただいま経営委員にどういう方々がおられるか一々は存じませんけれども、この間宇部に参りましたと遂に、宇部興産の社長も経営委員でありました。村上何とかいう方も産業人としての経営委員だそうであります。宇部興産の社長も産業人であります。もう一人、これはどうなったか存じませんが、函館のドックの社長なんかも経営委員だったようであります。こういうふうにして、大体へんぱな聴取者層を代表した経営委員というものが選出されてくるというところに、私は非常な不公平さが生まれてくる、決してこれは聴取者の代表ではないと思う。これはいろいろ御陳弁もありましようけれども、どうも良心的に正しい鏡に照らすときは、大臣のおっしゃることは、この問題に関する限りは私は詭弁じゃないかという感じがいたしますが、いかがなものでございましょうか。
  46. 村上勇

    村上国務大臣 私といたしましてはそういうお考えと全く同感でありますが、今回の場合は、私の狭い視野で、各方面に諮問と申しますか、ご意見を伺った上できめておるのでありまして これが新しく八名なら八名を全国的に求める場合には、私はどこまでも婦人団体とかあるいは農漁村の代表と一か、また労働団体の代表等も、全国的な視野で求めることが当然と思います。各地区でそういう適当な人を見出すことができなかったことは、これは私の視野の狭いところであります。今後につきましては、十分御意見を尊重いたしまして、あらかじめそういう地区のそれらの代表の人たちのお人柄等についても検討いたしまして、適当な方を任命いたしたい、かように思っております。ただ今回各方面意向をそんたくいたしましたところがかような結果になっておる次第でありますから、御了承願いたいと思います。
  47. 松前重義

    松前委員 承わりましたが、まだどうも納得はいきません。が、もうこれ以上追及はいたしません。ただ今まで、経営委員の決定に際しては国会の承認を得ることになっております。そうしていまだかって全会一致でない場合はないのであります。大臣は、全会一致でない場合においても任命されようとされますか、伺いたい。
  48. 村上勇

    村上国務大臣 私としてはできる限りそういうことは避けたいと思いますが、十分御審議を願い、十分御意見を拝聴して、全会一致にまげてお願いいたしたい、またそのように努力いたしたいと思います。
  49. 松前重義

    松前委員 もちろん、今までの大臣のお気持並びに行政の運営上から、当然全会一致を御希望になると私は信じます。けれども、とにかくこのような論議が行われなければならないような選定方法の経過をたどってきた場合においては、それはそういうことにならない場合も想像できると思うのでありましてこの点に対しては、われわれとしても十分今後調査研究をし、また態度を決定しなければならないと思っております。この問題はこの程度にとどめまして、またあとで伺うことにいたします。
  50. 森本靖

    森本委員 私は次に電電公社関係についてお伺いしたいと思います。これは具体的な問題ではありませんので、そのつもりで一つ御回答を願いたいと思います。  公労法の十八条にありますところの解雇という場合には、現在の退職手当、それから共済組合の給付金、そういうようなものは一切出ないことになっておりますが、その点を確めておきたいと思います。
  51. 靱勉

    ○靱説明員 公労法十八条によります解雇の場合におきましては、現在の措置といたしましては、恩給なり退職手当は出ないことになっております。従いまして解雇予告手当と申しますか、その分だけ出る、こういう形になっております。
  52. 森本靖

    森本委員 この公労法の十八条については、過日社会労働委員会で、公共企業体等労働関係法の改正案に関する、委員と労働大臣との間における質疑応答において明確になった点は、第十八条の解雇というものは懲戒免職ではない、いわゆる雇用の契約解除という意味である、だからその他の破廉恥罪等によるところの懲戒免職とか、懲戒解雇という意味ではないということは明確になったわけであります。そこでお聞きしたいのは、そういうように予告手当一カ月分を出すというのは、一体どの法律によってお出しになるのか。
  53. 靱勉

    ○靱説明員 それは基準法によってでございます。
  54. 森本靖

    森本委員 そうすると、労働基準法によって一カ月分の予告手当を出す。それでは退職手当、共済組合の給付金というようなものについて、これを出さないというのは、どの法律によっているのですか。
  55. 靱勉

    ○靱説明員 これは今森本委員の御指摘通り、解釈論としていろいろあるかと思います。もちろんいわゆる公社法によるところの懲戒ではない。しかしながら政府の在来の取扱いというものについては、本件につきましては恩給同等の意見もございまして、一応今の解釈としては、そういう退職に関するいろいろな給付はできないというようなことに、解釈が統一されておりますので、それに従っておるわけであります。
  56. 森本靖

    森本委員 私はちょっとその点はおかしいと思います。これは重大なことですからお聞きしますが、恩給については恩給納付金を、たしか百分の三だったと思いますが、従業員が毎月かけておるのであります。それから共済組合についても、従業員はかけておるのであります。その場合に、破廉恥罪とかなんとかによる懲戒解雇というような場合は別として、こういうような公労法第十八条によるところの雇用の契約解除というような意味の解雇の場合において、そういうことが従来の慣例、解釈によってやられるということは、ちょっとおかしいと思うのですが、何か法律的にはっきりした解釈はないのですか。そういう重大な問題を、単なる申し合せとか解釈とかいうことによってやられるということになると、従業員にとってははなはだ迷惑しごくなことです。
  57. 靱勉

    ○靱説明員 ごもっともな御質問で、単なる解釈でやっておるわけではないのでありまして、考え方としては、今森本委員のおっしゃったような、そういういろいろな考え方があるわけでございます。現在の私どもの解釈としては、ただいまのところできないという解釈になっておりますが、その点について職員局長から、在来のいろいろなこれに対する前例もございますので、御説明いたしたいと思います。
  58. 山本英也

    山本説明員 ただいま森本委員からのお尋ねは二点ございまして、恩給法上の解釈の問題と、もう一つは共済組合法上の解釈の問題でございます。恩給法上の解釈につきましては、前例があると申し上げましたが、恩給法五十一条に、懲戒その他の場合には恩給の受給資格がなくなるという規定がございます。それで昭和二十八年一月二十二日に、恩給局の方から政府の行政解釈を明確にいたしますために、「公共企業体等労働関係法第十七条の規定に違反した日本国有鉄道の職員が同法第十八条の規定により解雇された場合、右の解雇は、恩給法第五十一条第一項第一号にいう懲戒処分による免職にあたると解すべきであるか。」という質問をいたしております。それに対しまして、昭和二十八年三月四日、法制局の方からのお答えがございますが、非常に長いものでございますから、全部読むのを省略いたしまして、最後の結論のところを申し上げますと、「このように考えると、公労法第十八条の規定による解雇は、実質的には懲戒免職の性質をもつものといわざるを得ないのであって、このことは、元来公労法第十七条の規定に違反する行為は、いわゆる組合専従者(公労法第七条)及び休職中の職員(日本国有鉄道法第三十条)を除いては、一般に懲戒事由を定める日本国有鉄道法第三十一条第一項第二号にいう「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合に」該当し(同法第三十二条参照)、従って、違反者は本条の規定による懲戒免職の対象となり得べきものであることを考えあわせると疑問の余地がないといわなければならない。以上の理由により、お示しのように、公労法第十七条第一項の規定に違反したために、同法第十八条の規定により解雇された日本国有鉄道の職員は、恩給法第五十一条第一項第一号の規定により、懲戒免職されたものとして、その引続いた在職については、恩給を受ける資格を失うものと解する。」これが政府の方の行政解釈であります。これが今までございました解釈でございます。それから共済組合法の方は、懲戒処分に当りましたと遂には、長期給付でございますか、そういうようなものを、一定の割合によって給付することになっておりまして、これは法律上全然給付しないということにはなっておりません。禁固以上の刑に処せられました場合には、給付をしないという定めになっております。
  59. 森本靖

    森本委員 そこでこれはちょっと委員長に要求しておきますが、今の行政解釈については、一つ資料として全部御提出を願いたいと思います。と申しますのは、これは労働大臣との間の答弁の食い違いがありますので、私の方でもよくその解釈を研究をして、また当委員会でやりたいと思いますから、その恩給の問題については、資料としてお願いしたいと思います。  それから共済組合の点については、これは支給しないというのは、どの規定によってなるわけですか。恩給の点については、これはその解釈でわかりましたが、この解釈は、労働大臣答弁とはちょっとおかしいと思いますが、共済組合はどうなりますか。
  60. 山本英也

    山本説明員 共済組合の場合は、国家公務員共済組合法の五十九条に「この法律により給付を受くべき者が、故意に給付事由を生ぜしめたときは、給付事由に係る給付は、その全部又は一部を行わないことができる。その者が懲戒処分を受け、又は禁こ以上の刑に処せられたときも、また同様とする。」こういうのがございます。そこでそれに基きまして、その者が懲戒処分を受けました場合、または禁固以上の刑に処せられましたときも同様とするというのでありますから、全部または一部を給付しないことができるという規定になっております。
  61. 森本靖

    森本委員 だから副総裁の先ほどの回答は、共済組合も出しておらぬということだったでしょう。ちょっとその点……。
  62. 山本英也

    山本説明員 これは法律上と申しますか、共済組合の給付をどういう場合に停止するかという解釈の問題だと伺ったのですが……。
  63. 森本靖

    森本委員 いや、この公共企業体等労働関係法の第十八条によって解雇になった者に対しては、共済組合の給付は全然やっていない、こういう御回答だったでしょう。
  64. 山本英也

    山本説明員 ただいま申し足りませんでしたので、つけ加えて御説明を申し上げますと、国家公務員共済組合法第五十九条の規定に基きまして、各共済組合等におきましては、給付制限の規定がございますので、その規定中に定めがございます。日本電信電話公社の場合におきましては、少しこまかく申し上げますと、懲戒処分を受けて免職になった場合には、年金の場合は全額の八割を支給する、一時金の場合も全額の八割を支給する。停職になった場合は全額の九割を支給し、一時金の給付の場合は全額の九割を支給いたします。禁固以上の刑に処せられました場合には、死刑の場合は全額の支給を停止いたします。無期の場合には服役期間中全額の支給を停止いたします。有期の場合は服役中全額の五割を支給いたす、こういう定めになっております。
  65. 森本靖

    森本委員 私が聞いておるのは、公労法第十八条によって解雇になった者については、共済組合の給付金を全然やっておらないかと聞いたのに対し、やっておりませんと回答があったから、それはその通りですかと聞いておるわけですよ。
  66. 靱勉

    ○靱説明員 ただいま私のお答えしましたのは、森本委員から具体的な問題ではないというような前提があったわけでありますから、公社の場合におきまして支給できないということを申し上げたのですが、それらの点につきまして一般論としては今職員局長お話通り。そこで具体的なことについてどうかということになりますと、それが甲種組合員であるとかなんとかいう具体的な例を申し上げなければ、説明にならぬと思います。そこで先ほど一般的に申し上げた次第であります。
  67. 森本靖

    森本委員 だから私のお聞きしておるのは、懲戒解雇と違って公労法第十八条によって解雇になった人に対しては、共済組合の給付は全額支給されるか、こういうことですよ。
  68. 山本英也

    山本説明員 公労法十八条によって解雇されました者は、解雇以後におきましては共済組合員たる資格を失いますから、長期給付以外は給付を受けることはございません。長期給付に関しましては、ただいま申し上げましたように、懲戒処分を取けました場合、禁固以上の刑に処せられた場合、免職停職あるいは死刑、無期、有期というような区別によりまして、全額を支給しない場合というのは死刑の場合だけであります。それ以外の場合におきましては一定率を支給いたします。
  69. 森本靖

    森本委員 だから公労法第十八条によって解雇せられた者に対しては、懲戒免職と違って一般の人間の退職と同じように、これが支給されるかどうかということを聞いておるわけです。
  70. 山本英也

    山本説明員 この点につましても、行政解釈上は懲戒の場合と同じような扱いをするという慣例になっておるようでありますが、十八条違反によって解雇せられたという例はそうたくさんございませんので、一応の主管省の行政解釈というものは、懲戒と同様に扱うという御解釈のようであります。その点は私どもはまだはっきりしておりません。
  71. 森本靖

    森本委員 こんな重大なことがはっきりしておらぬということでは非常におかしいと思うのですよ。恩給法の問題については、先ほどの通達がはっきり来ておるから、その通達によってあなたの方はやられてもそれはやむを得ぬでしょう。しかし共済組合については何もないでしょう。今読まれた共済組合の規定では明らかに懲戒処分か、それから禁固以上に処せられたか、こういう問題だけであっていわゆる契約を解除するという今の第十八条の解雇というものは全然ないわけであって、これは一般の退職と同じように共済組合法上では取り扱うということになりはせぬか。もし行政上の解釈ということになると、その行政上の解釈というものは一体どこからもらってきた解釈であるか。もしその解釈の根拠を示す文書があれば資料として提出をしてもらいたい、こういうことなんです。
  72. 山本英也

    山本説明員 ただいま御指摘がありました点につきまして私が申し上げましたのは、共済組合法上の給付としましては短期と長期がございます。長期の給付を受けるのは甲種組合員であります。甲種組合員が解雇をせられた場合については、わからないのでありますけれども、これはまだ事例がございませんので、私どもの方は研究はいたしておりません。
  73. 森本靖

    森本委員 事例がなくてもそういう共済組合法上の共済組合の一時給付金ですか、そういうものを私は第十八条の場合には一般の退職と同じようにもらえるものかどうかということを聞いておるわけです。私の解釈としては一般の退職と同じようにこれは当然もらえる権利があるというふうに考えておるけれども、あなたの方ではどうか、こういうことを聞いておるわけです。
  74. 山本英也

    山本説明員 ただいま申し上げましたのは、従来の甲種組合員が公労法十八条によって解雇せられたという場合は、実例としてはないようであります。従いましてその問題について公けの行政解釈というものは定まったものはないようであります。
  75. 森本靖

    森本委員 どうもこれは答弁の方が非常にはっきりしませんが、とにかくそれでは次の委員会までに宿題として、公労法の十八条によるところの解雇の場合は、われわれの方としてはこれは懲戒解雇と考えない。いわゆる雇用の契約の解除と考える、これは労働大臣もはっきりそうおっしゃいましたから、そういう意味における考え方に立つならば恩給法上の権利、共済組合法上の権利というものは、一般の退職者と同様に扱うべきであるというように私たちは解釈をしておるけれども公社当局としてもその問題については一つ研究をされて、次の委員会においてははっきりした御回答を願いたいと思います。
  76. 靱勉

    ○靱説明員 次会になおお答えを申し上げますが、私どもとしましてはもちろん不明解な点があれば、なるべく有利に解釈していくといろ考え方に立っておりますが、具体的な問題としましては、甲種組合員でないということで先ほども申したように、要するに解雇予告手当、それだけの支給は明らかにできる、こういうことを申し上げたので、この次なおいろいろ御要求の資料を添えまして御説明申し上げたいと思います。
  77. 森本靖

    森本委員 それではこの問題をおきましてもう国会あとわずかになりましたので、この前私が要来しました電気通信設備工事請負業者の問題についての関係でありますが、いただいた資料をよく見てみますと、たとえば十七ページのところを見てみますと、日本通信建設と協和電設というものが、私がこの前の委員会質問をいたしましたように、件数にすればわずか一一%という件数が出ておりますけれども、金額にすると三六%という、約四〇%近い数字がこのものでは出ておりますけれども、一体これはどういうわけでこういう形になるのか、一つ説明を願いたいと思うわけであります。
  78. 関雅雄

    ○関説明員 お答え申し上げます。ただいまの資料について数字のお話でございましたけれども、この前に提出した資料は三六%でございます。四〇%近くでございますが、特に日本通信建設と協和電設に意識的にそういうふうに発注したというわけではございません。大体資本金で申しますと、全国業者約百十八社につきまして資料にもございますように八億六千万円の資本でございますが、日本通信建設と協和電設と合せまして約一億七千万円、大体二五%ぐらいの率を占めておりますので、いささかそれを上回っておりますが、必ずしも資本金の比例で出しておるわけではございませんが、そう妥当でないとも思えないのでございます。
  79. 森本靖

    森本委員 いや、私が聞いておるのは、件数にすれば二%ということになるけれども、実際の中身の金額にすれば三六%ということになるのは、どういうわけかということを聞いておるわけです。
  80. 関雅雄

    ○関説明員 見当違いのお答えを申し上げまして失礼いたしました。大体日本通信建設と協和電設という会社は大きな規模の工事、つまり一級工事というようなものをやっております。従って一件の金額が多額に上りますので、件数は少うございますが金額は上っておるわけであります。
  81. 森本靖

    森本委員 そうするとこの資料の中にあなたの方で説明書きが加えてありますが、もう一回この一級、それから暫定の一級ですか、これには四級まであるわけでありますが、その請負の金額による内容というものをちょっと説明願いたいと思います。この説明書きではちょっとその説明がわからぬわけでありますが、たとえば一級業者は二千万円以上なら二千万円以上の工事だけであって、それ以下のものは絶対にやってはいかぬ、こういうことになるのですか、その点を一つ説明を願いたいと思います。
  82. 関雅雄

    ○関説明員 お答え申し上げます。工事業種の級別として一級から四級までありまして、それから発注する工事の級別として一級から四級までございます。一応これが対応しておるわけでございますが、一級業者は一級工事だけをやるということにはなっておりませんので、一級業者は、一級から四級までのすべての工事種別について受注できることになっております。同様に二級業者は二級以下四級までの業種を全部受注できます。しかし大体において小さな工事の場合においてはそう牛刀を用いる必要がありませんので、一級業者は指名されるチャンスが少いと思います。たとえば四級工事というような場合には四級業者あるいは三級業者をそれに加えて発注するという方式をとっております。
  83. 森本靖

    森本委員 今度は資材関係の問題でありますが、こういうふうな工事の請負とか器材の発注、そういうことについては電電公社としては電電公社の事業経営という観点と、それから時の政府のいわゆる業界に対する対策、そういうものとをたとえば通産当局は中小企業対策ということをやかましく言っておるわけでありますが、そういうふうな中小企業対策というものも、いわゆる電電公社の事業経営ということと一般の中小企業の対策というようなことと関連をして考えて、こういうふうな工事の請負なりあるいはまた器材の発注ということを考えてやっておられるのか、基本的な問題でありますのでその辺をお聞きするわけであります。
  84. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の点につきましては、もちろんわれわれの方といたしましても十分考慮いたしておるわけでございまして、たとえば請負の関係で申し上げますと、そういったこまかい工事、たとえば四級、三級といった工事は、指名の運用におきましては三級業者、四級業者に指名するように運用いたしまして、あらかじめそういったものを級別業者がどれくらいあり、全体の発注量がどのくらいあるであろうかということの勘案の上におきましてやっておるわけでございます。
  85. 森本靖

    森本委員 そういうふうにやっておられるといいましても、ここの数字が示しておりますように、総額の金額のうちの三六%というのは、わずか二つの会社が持っておるということになると、少くともその他の二級・三級・四級、こういう業者にいくところのものがわずかであるということは、ほぼ想像にかたくないのであります。そこで政府は品では中小企業対策、中小企業対策ということを言っておりますけれども、実際に政府事業であるこういうふうな工事関係を請け負わすについて、やはりそういうふうな中小企業を助成をしていくということを、具体的に考えていく意思があるかどうか。その点を一つ具体的に、二級業者とか三級業者あるいは暫定一級とかいろいろに分けておりますが、工事の請負というものがこういう小さい業者にも公平に分配せられるという原則に立ってやっておられるかどうか。たとえば一級業者については二千万円以上、あるいはまた四級業者については何ぼというふうに、はっきり区切りをつけておりますが、そうなってくると、当然これは上の方が金額の多くなるのは当然でありまして、そういうことでなくして、この工事そのものを中小企業のこういう請負会社にも潤わせていくというような考え方に立ってやっておられるかどうか、その点をお聞きしておるわけであります。
  86. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 大体お説のようにやっておるわけでございまして、いま少し詳しく申し上げますと、われわれの方で工事関係で年間の請負がどの程度出るかということを、年度当初に計画を立てまして、その請負の幅に対して向うの請負側の態勢がどういうふうになるか、つまりこの請負工事会社側の従業員一人当りの受注額というものはどういうふろになるであろうか、あるいはまた資本金に対する受注額がどういうふうになるか、そういったことを級別業者及び地域別の業者につきましても、全般的な考慮を払って、できるだけその間の調整をはかっておるというのが現在のやり方でございます。
  87. 森本靖

    森本委員 そういうふうな形でやっておられるということでありますが、ところが私が調べたところによりますと、たとえばこの日本通信建設なり協和電設というのは、なるほど請負金額なりその量というものは非常に多いけれども、実際は下請をやっておる。さらにその下請をやっておって、またその下請があるというふうに、トンネルが三つか四つあるというようなことを私は聞いておるわけであります。そういうことになると、その従業員数とか資本能力ということによってやる場合に、完全に一つの会社によって、下請に出さずにできるといろ見通しを立てて、そういうふうな工事の請負をやるわけですか。
  88. 関雅雄

    ○関説明員 非常に大きい工事になりますと、この工事全体、ピンからキリまでの仕事を全部受注した会社がやるようには考えておりません。たとえば地下ケーブルの工事というようなと遂に、穴を掘るというようなことは、必ずしも高級技術を要しませんので、これは大体下請に出すことを想定しております。ただし重要な工程まで全部下請に出されては、何のためにそこに発注したかわりませんので、下請禁止工程というものを作りまして、重要な工程はすべて自前でやらなければならないというふうになっております。下請工程につきましては、一々こういうものを下請に出したいということを公社の方に提出させまして、それを承認するような手続をもってやっております。
  89. 森本靖

    森本委員 たとえば東京電気通信局の管内等におきまして調べてみると、あなたの方は今人員の数等はないと言われましたけれども、たとえばこの二つの会社が保有するところの技術力というものは、人員数から割った場合には、その他の各社の全部を合せました二十六社のうちのわずか二二%という数字が出ておるわけであります。だから一概に人員その他内容というものを見てやるということには私は解しかねるわけであります。そういう点から考えてみると、どうも請負工事というものは、大きな会社に片寄ったような格好にいくのではないかという点が非常に疑問になるわけでありますが、何とか二級とか、あるいは暫定一級以下四級までの小さな業者の振興策を電電公社としても十分にお考えになってもらいたいということを強く要望するわけであります。  それからもう一つ、これは労働組合で前に絶対に反対を唱えておりました社給、社検の制度であります。特にこの社給という問題については、人員の削減という形から労働組合側は非常に反対をしておったのでありますが、今日この社給制度をやっておる。これは試みにやっておるわけでありますが、ずっと将来やるつもりでありますか。
  90. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 この社給制度ということが組合側でもいろいろ問題になっているのでございますが、実は工事用物品の一部を公社で持って工事をやるということは、最近始まったことではないのでございまして、昔からやっておることなのでございます。たとえば砂利だとかセメントのごときものは在来からやっております。ただ最近は事情がだいぶ変って参りまして、物品の規格も逐次JISというものができたり、あるいは品質的にだいぶ向上しまして、使う方としては非常に安心ができる、あるいはまたきわめて容易にどこででも得られるといったものがあるわけでございますので、そういったもののごく一部を新たに追加いたしまして、社給という形で工事をやるということをやっておるのであります。
  91. 森本靖

    森本委員 そこで社給という制度は、今日どういう工合にやっておるわけでありますか。すべての工事会社に社給ということをやっておるわけでありますか。今あなたのおっしゃったように、砂利とかその他のものは別として、社給品目の追加目標を見てみると、かなりの品目があるわけであります。そこで社給制度というのは、すべての業者にこういうことをやっておるわけでありますか。
  92. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 お答えいたします。実は工事用物品のわれわれ内部におきます購買準備事務関係から申し上げないとちょっと御了解いただけないのじゃないかと思います。工事を設計いたしまして、これに必要な準備が各現場機関から準備要求という形で購買機関にずっと上ってくることになっております。従いまして工事に必要な物品のうち、どういうものを一部社給にするかしないかということを工事ごとに調整するということは、事務的に非常に困難なわけでございます。そこで現在やっておりますやり方といたしましては、先ほど申し上げましたような市販のもので、どこででも得られるようなものの一部につきまして、調整のきわめて容易な大きなまとまった工事について、この制度を適用しておるというのが現在の段階でございます。
  93. 森本靖

    森本委員 そうするとこの社給というのは、この業者の中では全部一級業者以上ということになるわけでありますか。
  94. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 その制度自体といたしましては、一級業者だけに限定するといろ思想はないのでございますけれども、事務操作といたしまして、勢い大きな工事についてのみの調整しかできない、非常にこまごました工事につきましてその物品の準備要求の事務段階で、これは社給にする、これは社給にしないということは非常に厄介になって参りますので、大きな工事についてのみ現在の段階では試験的にやっておるというのが今日の段階でございます。
  95. 森本靖

    森本委員 そういうふうに故意にやっておるのではない、そういうふうに大きな工事のみにやっておるということであるけれども、現実に社給制度が実施されておるのは二社だけであるというふうに考えておるわけでありますが、そうじゃないのですか。
  96. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 私の方で社給対象工事として指定いたしておりますのは、一級工事だけでございます。従いまして一級工事が事実上現在の一級工事業者だけに受注される場合には、結果的にそういうことになると思います。
  97. 森本靖

    森本委員 この社給という制度は去年度からでありますが、今年度社給によるところの総金額はどのくらいになる見通しですか。
  98. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 三十年度におきましては、全体の購買物品が約三百五十億くらいございましたが、そのうち一億六千万円くらいございます。それから三十一年度におきましてやはり購買物品は前年度とほぼ同額ぐらいだと予想いたしておりますが、そのうちで大体三億二、三、万円ばかりだと思います。
  99. 森本靖

    森本委員 私は毎月送ってくれる通信旬報その他の雑誌を見てみると——これは毎月どこからか逓信委員全部に送ってきております。私はこの雑誌も熱心に読むわけでありますが、この中で見てみると、そういう社給制度というもので当該会社が非常にぼろもうけをするということが、暗に書いてあるわけであります。そこでこの旬報の中に書いてありますことでは、社給制度をやることはよろしい。ところがこういうものは大きなものだけであって、小さいところには一向にもうけをやってくれぬというふうな皮肉まじりのことが、よくこの中に載っておるわけであります。そこで私はこういう質問をきょうは行なったわけでありますが、そういう非難がこの通信旬報の中に出ておるということをよくあなたの方は認識の上において、将来こういろ問題についても十分疑惑のないようにやっていただきたいということを要望しまして、この問題についての私の質問を終ります。委員長の方から質問があるそうでありますので……。
  100. 松前重義

    松前委員 電電公社の問題でお尋ねします。簡単な営業面の問題でありますが、サービスの改善を非常にはかっておられるということは敬意を表しております。けれども、果してそれが徹底しておるかどうかといろ問題に非常に疑問を持つ節があります。たくさんありますけれども、私の体験から申してみますと、朝早く駅に着いて、駅で電話をかけようと思って通話所に行ってみると、がっちりとびらがしまって、だれもいない。時間を持てば来るかと思って八時ちょっと過ぎまでおりましたが、まだあかない。ついにあきらめて次の駅に行ったら、またそこもがっちり締まって、電話の広告だけが出ておる、こういうのでありまして、大衆は非常な不便を感じております。これは私どもが一個人として旅行するときの体験でありまして、電電公社のおえら方が御旅行になると遂にはあまりそういう御体験はありますまい。私ども委員長とか逓信委員とかで旅行するときは、そういう体験はございません。とにかくこういうふうで、通信なんというのはオールデーでありまして、朝から晩までやらなければならぬものであり、また大衆はそういろときであればこそこれを要求するものであると思います。どういうわけで一体ああいうふうに時間切って出勤しないで、四六時中必要な通信のサービスをなさらないのであるか、これは減収になるから、人件費ばかり要ってあんまりもうからぬからやらぬ、こういうのであるならば、これは非常な資本主義的経営といわざるを得ない。そのほか、出勤は午前八時から夕方の五時までだからやれないというのならば、また別問題です。その辺のところをお伺いしたいと思います。
  101. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 御指摘のように、まだサービスの十分でないというところがございますのはよく承知しておりまして、十分その点は注意いたしたいと努力いたしておる次第でございます。今お話のような、駅における電話、電報のサービスが時間的に非常に制限されているのじゃないか、こういうお話でございますが、具体的な問題として伺えば、またはっきりいろいろな御説明もできると思いますが、一般論で申しまして、大体大きな駅に、私の方の電報なり電話の取扱所が設けられております。そこでございますれば、大体四六時中電話も通じます。また電報も打てることになっております。そうでなくて、委託公衆電話、あるいはその他の加入者にそのような事務を委託しておる、こういう場合でございますと、大体赤電話というような表示のものでございます。その場合におきましては、実は赤電話の加入者は、一応営業時間がなるべく長いというようなものを選びまして、そのような約束のもとに赤電話を利用してもらう、こういうことになっておるわけであります。その他、駅のような、あるいは公衆が非常に出入りしますような場合は、赤電話でなくて、なるべく四六時中自由に使えるような公衆電話、いわゆるボックスでございますが、そういうものを設置することを考えております。しかしそれも場所の関係あるいは道路の使用の問題というような関係で十分でありませんので、勢い今日は赤電話でなるべく間に合わしたい、こういうふうに考えておる次第であります。今の具体的な問題になりますと、やや回答が違うかと存じますが、なお御質問を伺いまして御回答申し上げたいと思います。
  102. 松前重義

    松前委員 ただいまの御回答はちょっと見当はずれで、私の説明もまた不十分でした。私は市外電話をかけようと思った。それで市外通話のできるところへ入り込もうとしたら、締まっておる、こういうわけであります。赤電話やその他の公衆電話では市外通話はできません。市外通話サービスがそうであるということです。私どもが外国、ことにヨーロッパやアメリカ等を歩けば、市外通話はどこへ行ってもいつでもかけられる。そういう意味において、市外通話のサービスが非常に悪い。悪いばかりでなく、非常に不便だ、こういうふうに電電公社の現在の営業組織ができ上っているのじゃなかろうかと思われるものですから、それは大阪の例でございますけれども、全国的にそういうことであろうと私は思うのです。神戸へ行ってもそうでした。ですから市外通話に関することを私は申し上げておる。
  103. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 おっしゃる点につきましては、十分私どもその方の市外通話も一般の赤電話でかけられるようにということを研究いたしております。実はその点で機械の方の構造をまず変えてかかろうということでございまして、最近自動式市外接続通話、即時でかか分が非常に多い、従って赤電話のごとき、人がおりまして、市外通話といえば、人がいる限りは、普通に市外通話をかけられる。今のようにボックス式の赤電話でございますが、コインを入れましてそれから通話をするという場合でありますと、今の構造ではかけられないことになっている。ただいま研究中の公衆トレーンというものができるようにいたしまして、大体百円以内区間における公衆電話は自由にかけられる、こういうふうに目下研究いたしまして、早急に実施したいというふうに考えております。
  104. 松前重義

    松前委員 大体わかりましたが、早急に市外通話が、電話を持たなくてもかけられるように願いたいと思います。  ところが、これは別な問題でありますけれども技術的の問題です。電気通信研究所は、日本におけるあらゆる研究所の中で、最大にして最も優秀な研究所であります。あのような大研究所を建設して、とにかく技術の進歩のために寄与しようとしておられる電電公社努力に対しては非常な敬意を表します。しかしながらこの通研を生かすためには、通信研究所の研究成果というものに対して非常な重点を置かれた経営が必要であると思うのであります。ところが通研の内情を探ってみますと、大体電電公社の本社の顔色をうかがい、しかも本社との間に非常な摩擦があるように聞くのであります。すべてのものが私は摩擦があるとは思いませんけれども、私も技術者でありますが、技術者相互間になかなかおれの方がえらいのだという気持もあり得るのでありまして、われわれも体験したところであります。こういうような摩擦の中に通研を存在せしめては、せっかくのあの膨大な組織とあの力が発揮できないのではないか。謙虚な態度をもって通研と接触し、そうして通研を育成する体制をここに作らなければいかぬじゃないか、こういうように思っておりますが、これに対して私はしばしば個人的には申し上げておりますが、いつまでたっても改善されないものですから、副総裁の御答弁を願いたいと思います。
  105. 靱勉

    ○靱説明員 今松前委員のおっしゃった点、私もきわめて重要なことだと存じておりまして、そういうようなことがないように努めて参っている次第でございますが、もちろん公社研究機関といたしましては、主たるねらいというものは、御案内の通りその実用化、それを大いに役立てて使っていくというところを、企業体としては当然第一に考えているのであるから、本社内の別の技術部門との対立で通信技術研究が少しでも阻害され、あるいはその士気を阻喪するようなことがあってはならぬ、こういう考えでやって参っております。そこで実際に使う面と研究面との関係につきましては、一つの機関としましては、現在公社内に技術委員会を設けまして、これは単に部内者だけでなく、ほかの部外の方にも加わっていただきまして、いろいろ技術の発達、それを使っていくという点につきまして、通研の研究人たちも加わっていただいて検討しておりますので、私はその間においては摩擦はないものと存じております。なお実際において今御指摘のような点がありますれば、これにつきましてはさらに対策を講じていかなければなりませんが、なお最近さらに通信技術研究を最も効果的に、さらにこれを発展せしめるという意味合いにおきまして、主として学者を部外から、単に一応の相談役ということじゃなく、かなり通信技術の実態にも参加していただいていった方が非常に効果的であるというように考えまして、次の経営委員会におきましてその規程等を承認願いまして、六月早々に実施していきたいということで準備を進めております。今委員長の御指摘のような点は私どもといたしましても最も遺憾に存じておりますので、今後そういうことのないようにさらに一そうの努力をいたしたいと考えております。
  106. 松前重義

    松前委員 その点は了承いたしました。もう一つは、日本の自動交換機械の一つの試みといたしまして、高崎にクロスバーを入れられた。あのクロスバーは必ずしも私は優秀なものであるとは思いません。これは技師長がおられないからちょっと論議ができないのでありますが、このクロスバーをどうして入れられたか、そうしてまたクロスバーを入れられるとするならば、スエーデンのエリクソンのクロスバーは少くとも優秀なものがあるから、これを将来一体入れられるのか、あるいはまたいろいろな国からいろいろのクロスバーを入れて、それによって新らしい日本的なものを作ろう、その第一歩であるというならばこの試みもわかります。第二次的にエリクソンのものをここに入れ、それでもって新しい日本的なものを作る、こういう試みが一体おありになるのかどうか、ただあれはしり切れトンボであれだけ入れておしまいなのかどうか。基本的な方針がおありになるのかどうか。あるいはまた今通研でやっております電子交換の優秀なものを、本質的な日本的なシステムとしてこれを培養しようとしておられるのかどうか、その辺の技術的な根本方針を私はここで承わりたいと思います。
  107. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 本日技師長が参っておりませんので、かわりに答弁させていただきます。最初のケロッグ・スイッチの問題でありますが、これを輸入しました当時の実情をちょっと申し上げたいと思うのでございます。大正十年以来御承知のように日本の自動交換機といたしましてはステップ・バイ・ステップ方式で、これはジーメンとストロージャーの両方式がございますが、この方式の本質的な問題といたしまして、単なる交換は全国を加入者ダイヤルによって自動的に接続していくという前提から考えますと、いろいろな欠点があるわけでございます。従いまして交換方式として在来ステップ・バイ・ステップからクロスバーあるいはその他のものに飛躍しなくちゃならぬという非常に差し迫った客観情勢になったわけであります。そこで日本といたしましては大正十年以来ストロージャのステップ・バイ・ステップを主として……
  108. 松前重義

    松前委員 簡単に願います。将来への一貫した方針をお持ちになっているかどうかを伺っておるので、経過はよろしゅうございます。
  109. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 そこで先ほどスエーデン・クロスバーのお話も出たのでございますが、これにつきましては目下詳細検討中でございまして、これを国産の段階まで持ち込むかどうかということについては、今日の段階ではまだ最終的な結論は出ておりません。  それから電子管交換機との関連でございますが、これも目下ヨーロッパ、アメリカその他に人を派遣いたしまして、世界的な趨勢をいろいろ調査いたしております。ある程度通研その他で見通しも立てております。この電子管交換機がどういう形で入ってくるかという問題でございますが、これは第一段階といたしましてはやはり交換機全体が電子管化されるという時代は相当将来になるのではないか。その第一段階といたしまして……
  110. 松前重義

    松前委員 一定の方針があるかということを聞いているのです。こまかいことは要りません。
  111. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 そういう形になりますので、目下その辺等いろいろ考えまして検討中であります。まだ最終的こういうようにきまったという段階ではありません。
  112. 松前重義

    松前委員 検討中という話でありますが、いつまで検討されるか存じませんけれども、クロスバーを一ぺん入れらてからあとがしり切れトンボで、何だか次の段階に踏み込むのに非常な時間がかかる。一定の方針があるならばもっとプログレッシブに、次から次と追っていかれるはずであろうと思う。これは大体見通しのつくことでありますから、もうそろそろもっと勇敢に前進される必要があるからこういう質問をしておるのでありまして、今のお話からみれば一定の方針なし、こういうふうに解釈するよりほかに道がないと私は思う。というのは、検討中であるが一定の方針がないということになります。そういうことに解釈してもいいのですか。
  113. 靱勉

    ○靱説明員 お答え申し上げます。クロスバーにつきましては公社といたしましてはこれを国産化して、クロスバー方式でいきたいということで、すでに国内においてもかなり国産化の方向になっております。そこでスエーデン式か、いわゆるアメリカ式と申しますか、それでいくか、その系統といたしましては早く方針を統一しなければいかぬというので、現在におきまするメーカーの状況から見ましても、大体アメリカ式になって参りますので、日本国として採用すべき型を大体今確定しつつある状況であります。同時に電子交換機の問題につきましては当然これは大体外国の話を聞いても、十年後においては相当その方向に出ていかなければならぬということでその準備をしております。その際におきまするクロスバーと電子交換機の関係もかなりそこに若干の関連性もありますので、クロスバーから電子交換機の方向へという方針だけは確定いたしておるような次第であります。
  114. 松前重義

    松前委員 これは非常に電電公社としては基本的な問題になります。あまり確定なさるのも、そう簡単に確定されてはどうかと思います。検討中ということも多少私は敬意を表しながら聞いております。その辺のところは一つ不動の態勢を整えていただきたい。個人的な意見はいずれ個人的に申し上げます。  それで今度は電波監理の問題について御質問を申し上げます。今周波数をいろいろ変えておられるようでありまして、その途上にあるようでありますが、その一々の問題については私は触れません。ただ日本放送協会の大電力放送、それから民間放送とのいろいろ周波数の割当に対する問題、それらに対しては基本的な態度をお持ちであろうと思うのです。大電力放送を実施せしめる。これは当然ソ連あるいはまた近く朝鮮に設置されるであろうといわれておりますあの二百キロの大電力放送、しかも日本向けの大電力放送、外国ではどんどんそういうふうに電波侵略、侵略ではありませんが、電波攻勢をやってきておるから、このようにいたしまして、この大電力放送というものが必要になってきて、かつて私もお尋ね申し上げましたけれども、それに答えられたかどうか存じませんが、とにかくNHKをして大電力放送をやらせようという意図は正しいと思います。この点はわかります。しかしこれと一般のいわゆる民間放送との関連性、そうして上の方の周波数帯、下の方の周波数帯、こういうものの大体日本国内における配置あるいはまた同一周波放送を実施するかどうか、あるいはまた超短波放送というものを認可する用意があるかどうか、これは前から私は長谷電波監理局長時代から主張してきておりますが、まだいまだに具体化していないような感じがするのですが、これは一体近ごろどうなっておるか。あるいは今後におけるテレビ放送、これらに対する認可その他に対してどのような用意をお持ちであるか。あるいはまた電波税の設定——一々申し上げたいのでありますが、電波を使わしてただでおくという手はないと思う。竹内さんは自分でおやりになっておるようでありますけれども電波税くらい国が当然取るべきであって、電波は財産、でないと思っているような非科学的な政治は、これは私は一日も早く払拭すべきであると思うのであります。一体電波税をお取りになる意図があるかどうか、そういうふうな放送法改正をお考えになっておるかどうか、こういうふうな多くの問題で逐条質問を申し上げたかったのでございますが、だいぶおなかもすいてきましたから一括して御答弁願いたいと思います。  御質問申し上げたいのは、まず第一に大電力放送と民間放送との関係、周波数の割当の問題。第二の問題は、同一周波放送についてどういうふうな御計画があるか。第三の問題は超短波放送に対する認可の用意があるかどうか。第四がテレビ放送の認可の将来の方針はどうか。第五は電波税の問題、これを一つ簡単に御答弁を願いたいと思います。
  115. 濱田成徳

    濱田政府委員 いろいろ御質問がございましたが、大電力放送につきましては、この前の委員会でも申し上げました通り、外国電波に対する混信を防ぐために、それから国際条約におきましてきめられましたわが国の権益を維持するために、どうしてもこの際において大電力放送を実施する必要に迫られた、そう考えております。まず日本放送協会をしてこの大電力放送を実施せしめるようにいたしたいという考え方でございますが、もし電波の割当がこのほかにありますならば、また民間放送が希望いたしますならば、民間放送にも実施できるようにしてもよろしいだろう、そう考えております。そういたしまして、この大電力の聴取区域内にありますところの小さな放送局はだんだんこれをやめて、電波資源の蓄積をはかりたい、そういう希望を持っております。しかしこれを直ちに実施いたしますにはいろいろ困難な事情があろうと思います。またこれを使わずにとっておくということは大へん困る。もしも使わないでおきますと、そのすきに乗じて外国にこれを使われるおそれもある。そういうわけでこの大電力の圏内における中小放送局の廃止という問題につきましては、慎重なる考慮を要します。これにつきましては、きわめて慎重な態度をもって臨みたい、そういう考えでおります。  次に第二の問題は、同一周波数放送につきましては、私ども電波を有効に活用するために、なるべくこれをたくさん行いたい、そういう考えでございます。これには聴取上のいろいろな困難がございますので、そう簡単にはいきませんが、なるべくこれを行いたいという所存で、今回のチャンネルプラン等もこの考えを入れて計画を進めておる次第であります。  超短波放送につきましては、中波の放送がだんだん行き詰まって参りまして、もはや手持ちの電波もないという今日の情勢では、なるべく中波によらざるところの放送、すなわち超短波周波数変調方式の放送を実施することも考えられるのでございますけれども、今日急にこれを一般放送として実施することにはいろいろな困難な事情がございますので、急速にはこれを実施しがたい状態であると判断いたします。けれども、これを一般放送でなく、特殊な放送に実施いたしますことは、電波に対する需要が非常に多くなっておる今日、もはやこれを考えなければならない段階にきておる、そう思います。これにつきまして当局研究を進めておる次第でございます。なるべく早く、言いかえますとある時期になりましたならば、なるべくこれを特殊な放送に実施する、それからまただんだん世界情勢等も変って参りましょうから、そういう場合におきましてはこれをいかようにすべきか、かように考えておる次第であります。  電波税の問題でございますが、これにつきましても私どもふだん考えておる問題でございます。電波使用税というようなことも考えております。御指摘のごとく電波国民のきわめて貴重な資源でございます。これをただであるいは営利事業等に使ってもいいというような考えがありますれば、私どもは大いに反対せざるを得ない、そういう考えから電波使用税というようなものを考えるのはやはり理の当然であろうと思います。先ほど放送法改正等に関連して考えたかというお話もございましたが、私どもももちろん考えております。水道の使用税あるいは電気の使用税というようなこともありましょう。それに類似したものであろうと思います。これに対する反対の理由もございまして、そういう意味で、今日のところこれを具体的に放送法の中に入れていくというふうには今のところ考えておりませんけれども、これは十分研究して参りたい。電波を合理的に、そして国民の貴重な資源としてその活用をわれわれは確保していくという見地から、電波税なり電波使用料というものにつきまして、なお今後も研究を続けていきたいと考えます。  テレビの免許方針についてでありますが、これにつきましてはただいまチャンネルプラン計画中でございます。中継ネット・ワーク等の関係もございまして、全面的な計画、言いかえますと何年度にどうなるかというふうな、事業をもとにした計画検討しておるのでありますけれども、遠からずチャンネルプランをきめまして、いかにして日本国民に早くテレビジョン普及を可能ならしめるかというようないろいろな情勢を考えまして、なるべく早く免許をするようにしたい、そういう考えでございます。
  116. 松前重義

    松前委員 大電力を民放に許すと言われた問題につきましては、これは重大な問題だと思います。大電力は、外国のいろいろな電波が日本にじゃまをするといえばじゃまをするから、これに対抗して大電力放送をやろうということはもちろんその一つ目的でありましょう。けれども、大電力放送趣旨なるものは——かつてわが国のアジアにおける文化的なポテンシャルというものは相当に高かった。その遺物が大陸にも相当にある。申すまでもなく満洲や朝鮮などでは、あの長距離ケーブルの保守をやっているときに、朝鮮語と中国語では話が通じないから、満洲人も朝鮮人も一緒になって日本語で打ち合せしてやっておる。これがいわゆる彼らの共通な言葉として使われておるのが現状なのです。日本はせっかくこの言葉の遺産を残しておるにもかかわらず、これに対して全然電波も送らないで、国内だけの小さな電波、それでその辺で何か採算をやってもうかったとかもうからぬとかやっておるようなことではだめだから、大電力放送をやれ、そして海外に対してどんどん日本語を送れ、そうしてアジアにおいて日本語というものを維持せしめる必要がある、こういうふうに私ども考えて大電力放送を主張して参った。もしもそういう大電力放送を実施するならば、これはあまり周波数の低いところではだめであって、短波に近い帯域を使って遠方に飛んでいくようにしなければいかぬ。こういうふうな意味においてやる場合においては、これはやはり日本放送協会が広告放送をやってみたって中国人が聞いて買うわけではありませんし、そういうことで、これはむしろ日本の文化という意味において向うにこういう電波を発射する必要がある、こういうようなつもりで私は今までは申し上げておったわけであります。こういうふうに大電力放送考えてみると、これを民放に許すということは一体どういうわけなのでしょうか。これこそまた資本主義的な力によって、群小の中小の放送局をすっかり圧迫してしまう結論に到達してしまうと私は思う。近ごろその傾向が間々見えるものでありますから、今まで許したものは仕方がないとして、今後の問題としては、この問題についてはこれこそ慎重に検討——どころではない、もう検討する必要がないくらい明白に、私はこの民放にあまり大きな電力を許して、その隣近所に非常に迷惑を及ぼし、一社だけに大きな利益を与えるようなことは、これはどうだろうかといろ感じがするのでありますが、どうも言葉をとらえて文句を言うようでありますけれども、この点は多少意見の相違があるようですが、いかがでしょうか。
  117. 濱田成徳

    濱田政府委員 民放に大電力を許すと大きな弊害が考えられるというようなお話でございましたが、私ももちろんそのことを考えております。民放に大電力を許すという積極的な考えを申し上げたわけではありません。民放といえども、日本の放送という公共事業を担当する企業といたしまして、その性格は日本放送協会と差があってはいけない。そういう意味で大電力をやる資格が十分にあると考えるというふうに申し上げたわけであります。でございますので、日本放送協会だけに大電力を許すという考えではありません。もしいろいろな条件がそろい、また民放の間のバランス等を破らないということが明確でありますれば、その可能性もあるということをただ申し上げただけであります。ある特定の民放に許して、その独占によって資本主議的な弊害を起すというならば、これは厳に警戒をしなければならない問題だと思います。そういう考えで申し上げたのでありまして、積極的に民放に許すという意図を申し上げたつもりでは毛頭ないことを申し上げておきたいと思います。
  118. 松前重義

    松前委員 あなたのお言葉は、もしほんとうに許すという建前でおやりになると、これは行政上大へんな問題が起ってきやせぬかと私は心配します。あなたが非常に苦しまれることを実は心配する。これはだれもかれもやってきますよ。たとえば現在の政府の高官——村上さんはそんな変なことはおやりにならぬとは私は信じておりますけれども、そのほかに変なことをする人があると仮定しますならば、がんと来られると聞かざるを得なくなる、またこっちからがんとくるというようなことになると、民放に大電力を許すという建前は大へんなことになる。これは政治的に見てもなかなか困難であると同時に、むしろ日本放送協会にこそ——国家的負託を負っておる放送協会としては、当然私はこのようなことで海外に電波を、しかも短波に近いような、遠くまで飛んで行く電波で出すというやり方でやるべきではないだろうか、この点につきましては、一ついろいろ——電波監理局長のお言葉をつかまえるつもりはありませんけれども、今後重要な問題でありますので、御研究願って、ただいまのお言葉は消極的な、民放でもいろいろ言うてくるから、どうも全然許さないというようなことを言っておくと、将来にまた困ることが起るかもしれぬからという政治的な御発言だと解釈して、これでこの問題は打ち切ります。  次に承わりたいのは、超短波放送に関してある時期にこれをやりたい、こういうふうなお話でありましたが、ある時期とは、一体来年のことですか、再来年のことですか、ことしのことですか。私はこれを早急にやらなくちゃならぬと思っておりますが、その辺どうですか。
  119. 濱田成徳

    濱田政府委員 話は前にもどりますが、大電力放送につきまして大へん御心配、またいろいろ御注意をいただきました。全く同感でございます。民間放送に大電力を許すような気配があるように大へん憂慮されておるようでありますが、今回のチャンネルプラン等ではそのことはありません。ただこの前の公聴会におきましてその話が出まして、日本放送協会だけに許す理由いかんというような議論がありました際に、さようなことを申し上げたわけでありまして、念のために申し上げておきます。  次に超短波放送の問題であります。時期はいつかというお話であります。私はなるべく早く超短波放送なるものを日本で実現、できるように取り計らいたいつもりで参あります。先刻も申し上げました炉、必ずしも一般放送でなくて、初めのうちは特定な目的放送等に実施いたして参りますならば、だんだん普及の方に向いていくのではなかろうか、そう考えております。
  120. 松前重義

    松前委員 だいぶ腹もへりましたから、簡単に質問いたします。もう一つ、周波数がだいぶ米軍に使われております。大体五〇%以上使われておるのじゃないかと私は考えておりますが、とにかくちょうど日本にこのように軍事基地があるようなものでありまして、四国程度のものが軍事基地に提供されておるという。ところが四国どころではなくて、電波の場合は文明の利器でありますから、アメリカとしてはほしいので、日本の電波領土のほとんど半分前後を使っておる、こういうことになりますと、日本のチャンネルプランもさぞかしいろいろ御苦心のことであろうと思うのであります。これは短波あるいは超短波あるいはその他のマイクロの範囲にまでも及ぶだろうと思うのでありますが、この消息をちょっとお聞かせ願いたいと同時に、これに対してどういうふうな対策をおとりになっておるか。これこそ返還してもらわなければいけません。狭いところでがたがたやっておるから、方々で摩擦が起っておるようでありますけれども、これこそほんとうに郵政省は全力をあげてこの返還をやってもらわなければいけない問題であると思うのです。この間の消息を承わりたいと同時に、現在どういう交渉をやっておられるか、承わりたいと思います。
  121. 濱田成徳

    濱田政府委員 駐留軍の電波の返還問題につきましては、御指摘のごとく郵政省として、電波監理行政上最も重大な問題であろうと思います。いろいろな手を使ってやっておるつもりでございます。仰せのごとく駐留軍が使っております電波は、ある周波数帯においては五〇%以上、すなわち重大なる権益を米軍にゆだねておるわけであります。やむを得ないとはいえ、まことに遺憾に存ずる次第でありまして、一日も早くこれを完全にわれわれの手に戻して、少くともチャンネルプラン等においては、その米軍の影響を局限したいというのが私どもの熱望でございます。及ばずながら、いろいろな手を尽しておる次第でございます。今回の中波のチャンネルプランの設定に当りまして、郵政大臣も私どもも米軍の関係者と直接の折衝を行い、なるべくたくさんの電波を返してもらいたいといろ申し入れをしました。今回は一部の目的が達せられたわけであります。なお十分ではございませんので、さらに努力を続けたいという考えでございます。  テレビジョンにつきましても、御承知のごとく日本に割り当てられました六波のうち、一波を米軍はなお保留しております。この波の返還が、今後の日本のテレビジョン普及に大なる関係があることは申すまでもありません。これにつきましては、すでに非公式に昨年以来しばしば折衝をいたしましたが、最近一、二カ月前に公式にその申し入れを行いまして、先方からも、なるべく早くこれを返還する、北は北海道から南は九州に至りますまで、先方の都合に従いましてなるべく早く返還いたしますといろ確約を得ておりますので、これは逐次実現するものと考えます。かように、できる限りの努力をいたしまして、電波資源の確保に努力中であります。
  122. 松前重義

    松前委員 最後に郵政大臣にちょっとお伺いいたします。ただいま電波の領土の回復ということが非常に重大な問題でありまして、これはもう郵政大臣も次官も御就任後日もおたちになりますから、だんだん御認識いただいたことであろうと思うのでありますが、とにかく電波の領土は見えない領土でありますが、しかしこれは少くとも南千島よりも以上に価値のあるものだと思います。目に見えるよりもこれははるかに価値のあるものだと思います。これに対しまして郵政大臣並びに電波監理局長はだいぶ努力をしてこられたようであります。これは個人的にも承わっておりましたが、今後におきまして目に見える領土の回復はもちろんでありますが、そのほかに目に見えざる電波の領土の回復に対しまして、閣議を通じ、政府として外務省その他を督励いたしまして、政府全体としてどのような御態度をおとりになるおつもりでありますか、伺いたいと思います。
  123. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。ただいま米軍の使用しております電波の返還につきましては、電波監理局長からもお答え申しましたように、私といたしましても、これはできれば一刻もすみやかに少しでも多く返してもらいたい、かように思っておる次第でありまして、過般来先方の責任者とも交渉いたしております。今回はわずかしか返りませんが、逐次返還を強力に迫って参りたいと思います。御指摘の閣議等におきましてこの報告はいたしておりますが、今まで内閣においてあるいは外務省を通じて云々というような具体的な運びにまではなっておりませんが、ただいまの御意見を十分尊重いたしまして、必ず強く政府全体としても関係筋に対して十分な交渉をしてもらうように努力いたし、また私どもといたしましても、御趣旨に沿ってあくまでも目的貫徹のために努力を続けたいと思います。
  124. 松井政吉

    ○松井委員長代理 だいぶ時間も経過いたしましたので、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十八分散会