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1956-02-22 第24回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十二日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 愛知 揆一君 理事 秋田 大助君    理事 小泉 純也君 理事 廣瀬 正雄君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 松井 政吉君    理事 森本  靖君       竹内 俊吉君    濱地 文平君       山本 利壽君    志村 茂治君       原   茂君    八木  昇君      橋本登美三郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  上林山榮吉君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉国 二郎君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社理事         (営業局長)  吉沢 武雄君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 二月二十日  委員森本靖辞任につき、その補欠として田原  春次君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員田原春次辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。 同日  理事森本靖君同月二十日委員辞任につき、その  補欠として同君理事に当選した。     ————————————— 二月二十日  簡易保険診療所増設等に関する請願川村善  八郎紹介)(第七五五号)  簡易保険及び郵便年金積立金融資範囲拡大に  関する請願川村善八郎紹介)(第七五六  号)  簡易保険保険金最高制限額引上げ請願(川  村善八郎紹介)(第七五七号)  北海道地方簡易保険及び郵便年金加入者ホー  ム設置請願川村善八郎紹介)(第七五八  号)  日本電信電話公社法の一部改正反対に関する請  願外一件(赤城宗徳紹介)(第七五九号)  中津川郵便局電話切換器設置請願池田清  志君紹介)(第八一二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  小委員補欠選任  電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第三一号)  電気通信事業に関する件  放送に関する件     —————————————
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。一昨二十日、理事森本靖君が本委員辞任されましたのに伴い、理事が一名欠員となっております。この際その補欠選任をいたしたいと存じますが、前例によりまして委員長においてこれを指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松前重義

    松前委員長 御異議ないようでありますので、本日森本靖君が再び本委員となられましたので、森本靖君を理事指名いたします。  次に電波及び放送に関する小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。小委員森本靖君が本委員辞任せられましたのに伴い、小委員が一名欠員になっておりましたが、同君を再び電波及び放送に関する小委員指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松前重義

    松前委員長 御異議ないものと認めまして、森本靖君を右小委員指名いたします。     —————————————
  5. 松前重義

    松前委員長 次に電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案及び電気通信事業に関する件、放送に関する件を一括議題として審査を進めます。  この際テレビ受像機物品税の問題について、秋田委員より発言を求められておりますので、これを許します。秋田大助君。
  6. 秋田大助

    秋田委員 前会の本逓信委員会、すなわち本年二月十一日に開催されました本逓信委員会におきまして、私が発議いたしまして、テレビジョン受像機に対する物品税の低税率適用期限延長に関する申し入れの件という議題を、全会一致をもって可決をいたしまして、現在低率適用を受けておりまする十四インチ受像機以下その他の低税率適用期間を、なお当分の間延長してもらいたいという意向であるということを、大蔵委員会に申し入れることを決議いたしたのでございます。その趣旨について申し上げることは省略いたしますが、その本旨に従いまして、本日は大蔵省主税局の御意向を承わっておきたいと思います。承わるところによりますと、大蔵省側においては、十四インチ受像機以下の受像機その他の低率適用期間が本年の六月末日をもって終了する機会に、七月以降これを十七インチの受像機以上のものと同等に、税率三〇%にするという御意向があるように承わっておりますが、さようでございましょうか。
  7. 吉国二郎

    吉国説明員 テレビジョンブラウン管十四インチ以下のものを使用するものについては、本年の六月三十日までに製造場から移出をいたしましたり、あるいは保税地域から引き取りましたものについては、本則にかかわらず一五%の軽減税率適用いたすのが、現行法でございます。従いまして六月三十日を経過いたしますと、自後は自動的に本則適用になりまして、三〇%の税率適用になるわけでございます。御承知のように最初テレビジョン課税をいたしましたのは、二十九年の四月でございます。その出時テレビジョン生産台数は、たかだか月産二、三千であったわけでございまして、テレビジョンを早急に普及して電子工業育成をはかるという意味におきまして、これを全部三〇%課税するのは若干無理があるという意味におきまして、十四インチ以下のブラウン管を使用するテレビジョン並びにその部分品については、一年間一二%の軽減税率適用することにいたしたわけであります。その後テレビジョン生産台数もかなり上昇して参りましたので、昨年の改正において、昭和三十一年六月三十日までは軽減税率を一五%として、一年間据え置くということにいたしたわけであります。当時の生産台数は、大体において八千台程度になっておったわけでございまして、かなり生産軌道に乗って参ったというところで、税率の若干の引き上げをいたしたわけであります。そこで本年六月になりますと、この特別な経過規定が終了いたしますので、どうしてもそのままにしておけば、三〇%という本税率適用になるわけであります。現在の生産の状況は、御承知通りすでに十一月においては二万台程度生産が行われております。量産の計画もほぼ軌道に乗ったという判断ができるように思われるのでございます。しかしながらテレビジョン普及という点から申しますと、なおこのままいきなり三〇%の税率適用することは無理ではないだろうかという点もございますし、それと同時に他の課税物品との権衡考えますと、電気器具については、原則的には二〇%の税率課税いたしております。その中でさらに高級なもの、たとえば電気冷蔵庫のごときものについては、大型は四〇%、小型は三〇%、あるいは電気蓄音機のごときものについては三〇%という特別の税率適用になっております。ただ五球以下のラジオ、このような大衆の普及品となっておるものにつきましては、逆に五%というような税率になっておるわけでございますが、一般的に申しまして、電気器具は二〇%程度税率が平均的なところであるわけであります。そういう関係で、ここしばらくの間は、十四インチ以下のテレビジョンに対しては二〇%の軽減税率適用しようという意味税法改正案をまとめまして、現在それで進みたいと考えておるようなわけでございます。
  8. 秋田大助

    秋田委員 そうすると、十七インチの受像機以上のものは現在三〇%であるが、そこまで上げることは少し酷だと思うから、一般電気機器、たとえば電気掃除機とか洗濯機と同様二〇%まで、すなわち現行の一五%から五%上げたい、こういう御意向だと今承わりました。あらためてこの際、それではなぜこれに課税するか。私どもはこれは課税すべきものではないと思う。英米においてこそ課税されておるが、その他わが国と国情を同じゆうするところの西独あるいはイタリアその他のヨーロッパ諸国においては無税である。にもかかわらず、わが国においてこれに課税をするということは、われわれの理解しがたいことでございますが、財政上の必要ということも考慮して、われわれは過去において一二%、あるいは昨年の措置によって一五%課税というものをやむなく了承して参ったのでありますが、この際なお上げなければならぬ、あるいはこれに課税しなければならないという大蔵当局側の御意向を、この際あらためて承わっておきたいと思います。その御返答いかんにつきましては、これに課税すべからずという根拠について詳細にわれわれの見解を申し上げて、大蔵当局の蒙を開きたいと思いますが、この点について大蔵省側の御見解を承わりたいと思います。
  9. 吉国二郎

    吉国説明員 諸外国の課税の例はいろいろございますが、西独イタリア等におきましては、御承知のように一般売上税という形で広い流通税を取っております関係で、わが国のような物品税に該当するものはきわめて少いのであります。そのような関係で、テレビジョン一般売上税以外の間接税がかかっていないということは、租税体系上の問題があるかと思うのであります。イギリスにおきましては現在六〇%の課税をいたしております。アメリカにおきましても、製造者消費税課税しております。フランスにおきましては付加価値税課税しております関係で、一九・五%の課税をいたしております。ただいま御指摘のありました、なぜテレビジョン課税するかという問題でございますが、現在物品税は、いろいろ批判もございますけれども、大体におきまして奢侈品という範囲からかなり広くなっておりまして、御承知のようにかなり大衆的な物品にまで課税いたしておるわけであります。従いまして他の課税物品との権衡考えます場合に、テレビジョンのような比較的消費能力の多い層が使用するものにつきまして課税しないということは、物品税課税権衡上非常に不都合がある。現にオールウエーブのラジオにつきましては、あるいは六球以上のラジオにつきましては二〇%の課税をいたしておるわけでございます。二〇%の税率適用を受けておりますラジオの中には、一万数千円というものもあるわけでございまして、それよりテレビジョンの方が税率が安いというためには、テレビジョン生産段階においてまだ未熟であって、非常に育成を要するというような強い理由がなければならぬと思います。そういう点で、もちろん現在テレビジョンが新しい生産段階にあることは間違いございませんけれども、先ほど申しましたように、現在異常な早さで量産が行われておりまして、昨年六月に一五%に上りましたときに予想をいたしました当時の生産台数よりも、実績は十一月当時においてすでに予想生産を上回っおるようなわけでありまして、そういう関係から申しますと、現在揺籃期にある産業育成するという意味において、軽減税率適用するということを強く主張する根拠はかなりなくなっているのではなかろうか。現に昨年の九月におきましては、テレビ生産の総価額は、あれほど盛んになっておりますラジオ生産の総価額を凌駕しております。そんな関係におきまして、少くとも六球以上のラジオ権衡をはかるという意味におきましても、二〇%程度課税はやむを得ないのではなかろうか。同時に、現在は一二%にいたしましても一五%にいたしましても、一年限りの特例にいたしておりますが、二〇%の税率適用するといたしますと、当分これを継続しても差しつかえないのではないか、それで一年限りということにはいたしませんで、当分のうち二〇%というような規定になったと考えておるわけでございます。これによりまして、現在テレビジョン量産に従って課税価格は漸次下降いたしております。昨年の六月ごろに比べますと、現在大手各社では一割ないし一割五分程度ずつ課税価格、つまり製造価格が下ってきております。そういう点を考えまして、当分税率を据え置きますならば、業界としても値下げについて目途がついて、思い切った値下げもできるかと思うのであります。もし値下げをして、そのあとで三〇%に上るとかいうような問題があれば、思い切った値下げも躊躇せざるを得ないが、現に現在相当な量産が行われて、今値下げの行われる段階にあるように思われますけれども、この問題が片づくまでは思い切った値下げもできないのではなかろうか。そういう意味におきましては、当分の間二〇%という税率適用すれば、その点においての不安定というものは除かれる、かように考えておるわけでございます。
  10. 秋田大助

    秋田委員 現在の物品税が必ずしも奢侈品課税するという趣旨からではない、従って類似的の他の品目との均衡上二〇%くらいは量産態勢もほぼ整ってきておるからこの際適当ではなかろうかという御趣旨に承わりましたが、あらためてお尋ねいたしますが、それではテレビ受像機というものは奢侈品であるとお考えになっておるか、おらないか。
  11. 吉国二郎

    吉国説明員 奢侈品という定義は実は非常にむずかしいのでありまして、現在物品税につきましても二様の議論が行われております。一方においては奢侈品に限って課税をする、その場合に奢侈品とはどの程度のものをいうか、実は各人各様といってもよいような形になっております。テレビジョン奢侈品と言うか、あるいはそれ以外と言うかということは、非常にむずかしい問題だと思いますが、少くとも現在物品税課税されている物品と比較して見れば、それ以下のものではない。奢侈品と言えるかどうかは大きな問題であると思いますけれども、現在物品税課税されておる物品に比べて、それよりも奢侈性が少いとは申せないというふうに考えております。
  12. 秋田大助

    秋田委員 現在物品税が課せられておる品目と比較して、奢侈的な性格がより少いとは考えないとおっしゃるのでありますが、私どもはこれはラジオと比較して、ラジオと申しましても六球以上の高級なものは除いて、五球以下の普通家庭で使用されておるラジオ受信機と比較いたしまして、本質的に奢侈性が多いか少いか、その点についてあなたの御見解を伺いたいと思います。
  13. 吉国二郎

    吉国説明員 奢侈性という問題につきましては、相対的な問題があると思うのであります。本質的にそのもの自体考えるということにも一つ考え方がございますけれどもそのもの一般消費水準で容易に得られるものであるかどうかという、一つの大体の需要というものとにらみ合せて判断することが必要であると思うのであります。そういう意味におきましては、現在の五球以下のラジオよりも、テレビジョンの方が奢侈的であることは間違いがないと思います。
  14. 秋田大助

    秋田委員 私のただいまの質問の言葉が足らなかったかと思いますが、よくお聞きになっていなかったかと私思うのでありまして、誤解をされておるようであります。おそらくこれを買い得る消費者階層の点を考えられまして、より奢侈性が高い、こういうふうに考えられての御答弁と思いますが、私のお尋ねしたのはテレビ受像機そのもの本質からお尋ねしておる。普通一般家庭で使用しておる五球以下のラジオ受信機と比べてみて、本質的に奢侈性が高いものであるかどうかということをお尋ねしておる。
  15. 吉国二郎

    吉国説明員 本質的にと申しましても、私よくわかりかねるのでございますが、おそらく家庭で見る場合に、テレビジョンを見るということと、ラジオを聞くということは同じ程度のものではないか、こういう御趣旨であると思いますが、その点は、私も先ほどは誤解しておったかと思いますが、テレビジョンについては同時に一定の社会の文化的、経済的水準というものが前提になって考えられると思うのであります。ラジオにつきましても、初期におきましてはまさに奢侈品であったわけであります。現在一千三百万くらい普及をいたした今日においては、これはラジオを聞くということはもう奢侈品でも何でもない。ところが大正十二年ごろに初めてラジオができましたころは、ラジオは最も高級な娯楽品であったわけであります。そういう意味におきましては現在のテレビジョンはやはり奢侈品段階、と言ってはどうかと思いますけれどもラジオ本質的に同一だということは私は考えられないのじゃないかと思います。
  16. 秋田大助

    秋田委員 ちょっと向きを変えてお尋ねいたしますが、あなたのうちはそれではテレビ受像機をお持ちかどうか。
  17. 吉国二郎

    吉国説明員 私のうちはラジオは備えておりますが、テレビ受像機は備えておりません。
  18. 秋田大助

    秋田委員 それではあなたはテレビ受像機を備えたいというお考えがあるかどうか。あなたはもしないとしましても、お子さんあるいは奥さんがぜひテレビ受像機を備えたいというようなことが、日常御家庭で暖炉の炉辺でお話が出ないかどうか伺いたい。
  19. 吉国二郎

    吉国説明員 そういうお尋ねでございますと、率直に申し上げましてやはりテレビジョンを備えたいという気持はございますけれども、どうもその中に入っております考え方は、遺憾ながら野球が見たいとか相撲が見たいということの方が強いように思っております。
  20. 秋田大助

    秋田委員 それは非常な誤解だろうと思う。確かに普通のラジオ受信機においても娯楽、嗜好を満足させる大きな効用があります。しかしその本質はそういうものではないと思う。そう理解すべきが少くとも優秀な大蔵官僚であるあなたの当然とるべき態度であろうと思う。今日あなたないしはあなたの御家庭の皆様がテレビ受像機を備えたいという場合、それはちょうどラジオというものが初めて普及したときと同じだと思う。本質的には少しも変りない。いなむしろもっとより高い文化的使命を持っておる。百聞は一見にしかずという言葉がある。ラジオ民主政治の高揚のために、憲法でわれわれが目ざしておる文化国家建設のために、その他文化教育のために一日も欠くべからざるもの、これは奢侈品ではございません。われわれが現在生きていくためには食物と同様に、ある意味においてはそれ以上に必要な文化的生活必需物資なんです。放送の面において、普通のラジオ受信機以上にテレビというものが高度のものであるということはお認めになるだろうと思う。それだけ効用が多い。これによって子供が勉強しなくなるというような、いろいろな弊害等も世上云々されておるけれども、その持つところの本質的な文化的な使命というものは、そういうところにあるのじゃないか。これを健全に発達させる、テレビ放送内容あるいはラジオ放送内容を高度に持っていくということは、国家の高度なる文化政策から出ていくことであって、そういうふうに導いていかなければならない使命を、お互い国会議員としても政府としても持っておる。あなたの御家庭でこれをぜひとも備えたいというのは、そこに根ざしておると思う。だから本質的には奢侈品じゃございません。国家がりっぱな文化国家として成立し、また今日まだ未発達の状態にあるわが国民主政治というものを向上させていくには、必要欠くべからざるもの、ラジオ受信機以上に必要なもの、ただ今日これが高いというところにネックがある。それだから奢侈品的な感覚を持つ、それは誤解なんです。これを安くして、あなたは大蔵省課長さんかもしれないが、少くとも課長級でもすぐ買えるということにしなければならぬ。それが本委員会使命なんです。政府として、大蔵省もその使命を同じくになうべきです。この点をよく一つ考えていただきたい。ただ税収入を上げればいいというだけでは足りない。いたずらに高くすることによって、少くとも値段を上げないかもしれぬが、量産体系を整え、その趨勢を早め高め、そうしてテレビ受像機価格というものを引き下げようという傾向を鈍化せしめるような措置をとるべきかとらざるか、税収入の面から考えてみましても、上げることが必ずしも予期の税収入を上げるかどうか大いに疑問だと思う。むしろこれを上げるよりは下げるくらいの覚悟を持ってもらいたい。それによって量産体系がうんと整う。あなたがさっきおっしゃったところの電子工業というものは、それによって発達する。これは日本の今の時代の要求であるところの科学思想水準を高めるということに当然役立ってきます。防衛産業育成しなければならないという国家的要請もある。社会党の方々においては、これはただそのまま額面通りあるいは受け取らないかもしれぬけれども、この面におきましてもこの電子工学発達させることは十分必要です。電子工学発達させるにはどうしたらいい。テレビ受像機生産体制を整える。テレビ工業生産体制を整えるにはどうしたらいい。今テレビ受像機に対するところの民衆の要求の中心は何であるか。十四インチの受像機であります。だから十四インチの受像機生産体系を整えるということが、すなわち電子工学発達させ、日本科学水準を高め、ひいてこれの関係しておるところの諸産業を盛んにする。やがて受像機製造業が盛んになることによりまして、これの生産費が低下すれば、豪州にこれが輸出できるということはみんな言っておる。貿易振興ということがわが国産業経済政策上重大な使命であり、政策の要諦であることはあなたも御承知通り、その一助をこれはなすわけです。この点から考えてみても、これを引き上げていくということはどうも考えられない。どうで、ございましょう。
  21. 吉国二郎

    吉国説明員 仰せの通りテレビジョン文化的使命を持っておりますこと、電子工業発達の上に非常に有力な手段であるということにつきましては、私ども決して考えていないわけではございません。ただ先ほど来申し上げましたように、現在の一般消費水準から考えまして、他の物品課税権衡を維持できないことになっては、これは物品税自体一つの大きな危機に遭遇するわけであります。税収入自体ということよりも、課税物品権衡ということ、公平な課税ということが問題だと思う。その意味におきまして、これらの文化的使命その他を考え合せまして、本来ならば法律の現在の建前からいたしますと、一年に限って一五%の軽減税率適用するということは、事情の変化のない限りは期限が経過すると同時に、本来の税率に返るという精神だと私は理解しておるわけですが、それでもなお無理がある、その点をいろいろ勘案いたしまして、文化的使命もあり、電子工業発達もあり、現在の量産体系を阻害しない程度考えるために、再びもう一回軽減税率適用しようというわけでありまして、むしろ税率を引き上げるというよりも、私ども税率を引き下げるという気持でいるわけでございます。
  22. 秋田大助

    秋田委員 引き下げる気持でおられるものが、一五%から二〇%に現実に上げようとしておる。こんな矛盾はない。それからほかの物品税品目に対する課税率との均衡が問題だとおっしゃる。それではお尋ねいたしますが、テレビ受像機生産費を安くして、普通の五球以下のラジオ受信機のように、あまねく各家庭にこれを備えさせたいというお考えはないかどうか。
  23. 吉国二郎

    吉国説明員 その前に、今ちょっと申し上げました引き下げるということは、三〇になるのが法律建前であるのが、それを二〇にするという意味において、私どもは引き下げるという考え方で、法律改正をやっておる。引き上げるという感覚ではないということを申し上げたので、誤解のないように釈明申し上げます。  それから各家庭に備える、これは私のようなものがそういう口幅ったいことを申すのは恐縮でございますが、各家庭テレビ普及することは、私どもももちろん望ましいと考えております。
  24. 秋田大助

    秋田委員 望ましいばかりでなく、そうあるべきであるとはお考えにならないですか。
  25. 吉国二郎

    吉国説明員 国民生活がそれを許すほど水準が高まることは、そういう意味においてそうあるべきだというふうには存じております。
  26. 秋田大助

    秋田委員 今あなたはテレビ受像機十四インチ以下のもの、その他部分品を現在の一五%から二〇%に引き上げたいという御意向だ。電気掃除機電気洗濯機が大体二〇%、そうするとわが国の経済あるいは政治の目ざすところの文化生活あるいは文化国家の完成という観点から、あなたは電気掃除機あるいは電気洗濯機があまねく各家庭に備えつけられるということを、当然理想として要求されるであろうが、どちらの要求が現在熾烈であるか、どちらの要求をまず先に達成すべきものであると考えられるか。わが国政策として、文化的使命という点から、どちらを先にすべきものとあなたはお考えになるか。
  27. 吉国二郎

    吉国説明員 この問題は物品税の問題から若干離れると思うのでありまして、現在物品税がそれらのものを一括して扱っておりますのは、現在の消費水準考えておるわけであります。消費水準がさらに引き上げられた場合におきまして、どちらを先に普及せしむべきかということになれば、これはまた別の問題だと思うのでございまして、現在の二〇%という前提でどちらかということになりますと、私も何ともお答えができないと申し上げるよりほかございません。
  28. 秋田大助

    秋田委員 物品税の問題と私が今お尋ねしたことは、多少かけ違った問題だと思うというようなお考えでございますが、これは大きな間違いだと思うのであります。物品税税率考える場合に、大きな国家の施策というものを度外視してはあり得ない。ことにラジオとか今問題のテレビ受像機に対する課税考える場合においては、物品税税収入を上げたいとか、あるいは他品目との均衡ということを考える際には、この文化的な使命というものを千分お考えにならなければ、国家の施策として私は間違いだと思う。そこにテレビ受像機に対する物品税について、大蔵当局考え方の間違いがあろうと思う。あなたも心中はなるほどとほぼ納得されておるのではないかと私は思いますが、どうでございましょうか。
  29. 吉国二郎

    吉国説明員 私が申しておりますのは、長期的な一つの経済政策というものを前提にしてものを考える場合と、現在の消費需要の現状で、物品税なら物品税課税物品均衡考える場合とは、若干の差異があるであろうということを申しておるわけであります。長期的にたとえば十年先、十五年先ということであれば、仰せのことももっともなことだと思うのでございますが、現状をごらんいただきまして、テレビジョンラジオというものをお比べいただく場合に、税というよりは現在の消費水準、消費体系というものを考える上におきましては、現在の課税物品権衡考えざるを得ない。物品税はいつまでも同じ税率でいないことは当然でございまして、社会の消費水準、消費性向が変って参りますれば、それに応じて税率は変るわけでございます。現在の段階におきましては、今申したような税率は適当であると考えておるわけでございます。
  30. 秋田大助

    秋田委員 あなたはまだまだテレビ放送あるいはテレビ受像機というものに対する国家的な重要性というものの御認識が足りないように私は思って、まことに国家のために遺憾にたえたい。もう少し洗脳の必要があろうと思いますが、それ以上深くは追及はい介しませんが、ほかにこの物品税でこの際引き上げようとされておるものがございますか。
  31. 吉国二郎

    吉国説明員 物品税につきましては私もいろいろ申しましたが、実は課税品につきまして始終生産状況は変り、消費状況が変ります関係で、税率を変えるという必要は毎年起っておるように思います。本年におきましても、各方面からいろいろと改正の要望があるわけでございますけれども、本年は御承知のような財政状況でございますので、また税制改正につきましては、大蔵大臣も申しておりますように、とりあえず勤労控除の引き上げを行う。しかもそのためには法人税の若干の修正による増税と、砂糖の関税の引き上げをもってまかなうというような情勢にございますので、一般的な税制改正は三十二年に取りまとめて根本的に考え直すという形になっておりますので、現在事務的には物品税はさわらないということに考えておるわけでございます。ただ物品税をこのままさわらずにおきますと、テレビジョンが十四インチ以下も三〇%に上ってしまいますので、この部分だけさわりまして直したというのが正直なところでございます。
  32. 秋田大助

    秋田委員 物品税は大勢はいじらない、ただ十四インチの受像機だけ上げていく、何たることかと思う。テレビというものの使命、それが文化に及ぼす影響、教育に及ぼす影響、民主政治に及ぼす影響を一つ今夜帰ってよく床の中で考えていただきたい。そこで十四インチ以下その他の部品を二〇%に上げることによりまして、三十一年財政年度テレビ課税における総額税収入をどのくらい上げようという御予定でございますか。
  33. 吉国二郎

    吉国説明員 現在のテレビジョン生産状況から勘案いたしまして、五%の引き上げ——引き上げと申しますか、三〇%を二〇%にしますと引き下げで、それによれば、一五%据え置きの場合に比べては約三億程度の増収になると存じます。
  34. 秋田大助

    秋田委員 テレビ受像機に対する十七インチも全部含めて、総額幾らだということを聞いておるのです。
  35. 吉国二郎

    吉国説明員 全部を含めますと、これはかなり多目に見ておるかもしれませんが、四十二億程度になります。十七インチを含めまして全額でございます。
  36. 秋田大助

    秋田委員 それではそのときにテレビ受像機が大体何台出ると推定されますか。
  37. 吉国二郎

    吉国説明員 これは少し多目だと思いますが、テレビ受像機が累計で三十三万台程度でございます。
  38. 秋田大助

    秋田委員 その三十三万台程度のうちで、十四インチ以下のもの及び十七インチ以上と分けて、どういうふうになっておりますか。
  39. 吉国二郎

    吉国説明員 十四インチ以下が二十一万五千台程度、十七インチ以上が十一万五千台程度考えております。
  40. 秋田大助

    秋田委員 この三十三万台というのは少し見積りが過大ではないでしょうか。
  41. 吉国二郎

    吉国説明員 この見積りは現在の生産がほぼ継続をしていく、その間若干の伸びがあると見ておるわけでありますが、その伸びが来年度末にはもうなくなる、最初は若干まだ今の趨勢で伸びておりますが、その後は、だんだん生産台数がふえるにつれまして伸びなくなりまして、年度末には伸びがなくなるという形で推定をしたものでございますが、あるいは若干多過ぎるかもしれないと思います。
  42. 秋田大助

    秋田委員 私どもは理想といたしまして、今大蔵当局から御発表のありました数字、その程度受像機普及することは望ましいと考えております。またそうなければならぬ、またそれ以上にしなければならぬ、それがためにも税率の引き上げというものは、やってはならないのだと考えておるのでございます。そこでこの十四インチ受像機というものの製作が、テレビ製作工業の中心をなすものであるということは先ほど来申し上げた通りでございますが、これに現在以上の五%課税率を上げることによりまして、生産意欲を相当減退せしめ、ないしは購買力に対して悪い影響がある、むしろこれを現状に置いておいた方が、生産量なり購買力をさらに向上せしめまして、税収入をよけいにすると私どもは見ておるのでありますが、この税収入を予定し、あるいはテレビ受像機の販売量あるいは生産量を予定するにつきましては、相当低目に見ていくことが、財政の健全性を維持する上においても私は必要だと思います。われわれの見通しよりもむしろやや上回ったところを見ておられますので、数字的にこの点を立証するのに論点がまるで食い違いますから、数字的に申し上げることをこの際取りやめますけれども、われわれの見解によりますれば、現状に置いておいた方が税収入の面からいっても初期の目的は当然達せられるはもちろんのこと、より以上のものがあるということをわれわれは確信をしておるのでございます。こういう財政上の税収入という見地から見ましても、この十四インチ受像機以下その他部品に対するところの物品税税率は引き上ぐべきものじゃない、引き下ぐべきものであるが、財政上の要求に涙をのんでわれわれは現状に据え置くことを了承する。これを引き上げるということはもってのほかなんです。しばしば申し上げました通りテレビ放送の持つところの国家的な文化使命というような点から考えまして、もってのほかであると考えております。テレビ受像機は奢侈的本質物品ではございません。ラジオ受信機に準ずるところの、いなそれ以上の大衆の日常生活の文化的必需品である本質を備えておるということを、一つよく認識していただきたいと思うのであります。従いまして一般大衆のこのテレビ受像機に対する購入意欲というものは、他の高率課税物品に比してより大なるものがあることは、もうあなたの御家庭の実例によってもわかる通り、各地において大衆が零細な金を貯金してテレビを買うためのテレビ貯金として積み立てている。そうして地方でもってテレビ放送局ができることを待ちわびておるわけなんです。今ここでもってこの率を上げますと、ようやくテレビが東京だとか、名古屋だとか、大阪だとかの大都市から、今度は広島であるとか、岡山であるとか、福岡であるとか、松山であるとか、仙台であるとか、引き続いて北海道、北陸地方、こういう地方の中小都市あるいはその周辺の農山村に普及しようというときになりまして、こういう地方の方々がテレビを買う場合に、低率課税の恩典というものは大都市だけに厚く与えたということになる、この点はどうお考えでありますか。
  43. 吉国二郎

    吉国説明員 先ほども申しましたように、一二%課税時代より一五%課税時代の方が、テレビの小売価格が安くなっております。それから今度二〇%という税率適用いたしました場合におきましても、おそらく小売価格は下るであろう、というのは昨年の六月当時一五%にいたしましたときの庫出価格に対しましては、現在十二月までに大手の製造者が納めております物品税課税標準価格、つまり製造価格は、一割以上下っております。従って税を含めましても、現在では当時の六月よりも値段が下っておる。しかもこの九月から十一月にかけて量産態勢が整って、飛躍的にテレビの台数はふえております。おそらくこの間に値下げが行われるはずである。しかも値下げを行うために、この六月三十日限りで税法は自動的に三〇%税率適用されるということになりますと、値下げを今やっておくことはなかなかできない。そういった関係がございますが、おそらくこの点がはっきりすれば、現在の実情に応じた価格がきまると思うのであります。その場合に現在よりも高い価格が出てくるということは、ちょっと想像ができないのが現実ではないかと思います。
  44. 秋田大助

    秋田委員 テレビ受像機の小売販売価格がだんだんと低下しておることは、御説明を待つまでもなくわれわれは常識として知っておる。また今後そうさせなくちゃいかぬ。しかしながら十四インチのものについて税率を上げることによって、高めはしないとしても、少くともその低下の傾向を鈍化せしめるということは、十分言えると思う。問題は小売価格が安いからというよりも、その税率の恩恵の均霑化ということが私は問題だろうと思うのです。大都会におけるよりも地方の中小都市あるいは農村における購買力の低いことは申すまでもない。この低い購買層に普及の波が及びつつある。そこにテレビ放送の持つ文化的使命からいって、当然もっともっと安いテレビ受像機普及し、享受せしめなければならないという観点からいって、この際税率をますます上げていくということは、この税率の恩恵の均霑化という点から見ても、私は国家としてとるべき政策ではない、こう考えるのであります。この際テレビ受像機に対して高率な課税を行うということは、今後受像機を購入する階層が漸次低額所得者に移行して、これを推進することが必要であるにかかわらず、これに支障を与えることになり、また国家としてほかに有効なテレビ受像機普及の助成策のない現在、その価格は場合によっては多少一時期は上るかもしれぬが、また少くとも低下の傾向を鈍化して、せっかく芽ばえてきた購入意欲を押えて、最近上向きにきた普及の趨勢にいささかでも悪影響を与えるというようなことは、メーカーの生産意欲をそぐような結果になるばかりでなく、先ほども申しました通りわが国電波工業の発達、その他ラジオあるいはテレビの持つところのほんとうの国家的な文化的な使命ということに対して、非常な悪い影響を与えるということを一つよくお考え願いたい。あなたの心中においてはもう御了解願っておることと思います。今日の論議の模様をどうぞ局長なり大臣によくお伝え願って、一つ即刻大蔵省の態度は間違いであったということを上司に上申をされまして、少くともこれは一五%に据え置くべきものであるということを、あなたは国家のために上司に上申あらんことを私は国家のために熱望をして、今日はこの程度で質問をやめておきます。
  45. 山本利壽

    ○山本(利)委員 関連。私はこの方面にはまことに知識がございませんので、いろいろの点についてお教えをいただきたいと思うのでございます。本日の委員会で先ほど来秋田委員からいろいろ御質問があって、それに大蔵当局からお答えになったことで、ちょっと私のまだ納得のいかないところがございましたから、その点についてお教えをいただたきたいと思います。  まず質問や答弁によって第一番に私の得たことは、テレビ受像機効用というものがラジオに劣らないものである、だから文化の進展という点からいい、あるいは電子工学の発展という点からいっても、これはますます今後普及すべきであるという点をおっしゃったように思うのです。私もまことにそうだと思う。けれども、今度の税金を上げることによって、ことにその上げる場合の見積りが、十四インチ以下は二十一万台とか見積られておる。これは秋田委員の話によると過大であるという。そのほとんど過大であるというくらいまで最大限度に生産量も見積って、それに対して今度は税金を五%上げていくというその態度は、テレビがますます国家的、文化的にいっても、あるいは当局のいろいろな点を浸透させる点からいっても必要であるという点に対して、それは国家をあげて、各省をあげて、政府全体としてこの点の普及をはからなければならぬのに、その点についての考慮が少しも払われていないように思うのであります。大蔵当局がこの税額を上げようとする努力はもっともだと思う。国家収入を上げなければ、それが各方面に使われるのでありますから、それはもっともだと思う。けれども、片方において国家的にテレビ普及するということは自然の趨勢でもあるし、必要なことであるというならば、それを普及させる方向への努力もなければならぬと思う。それが少しもないように思うのでありますが、この点について大蔵当局はいかにテレビ普及させることについての考慮を払われたか。先ほどの答弁の、ほっておけば三〇%になるのを二〇%に下げるのだから、その考慮を払ったということは、これは私は理由にはならぬと思う。そうおっしゃっては困るから先にそれを申し上げておくのですが、そんなばかなことはないので、この普及をどんどんはかりながら、一方では国家税収入が困るからこの程度上げたというならば、そこのかね合いということもわれわれはまた考えるのだが、今までの答弁によっては、少しもこれの普及発達に対しての御同情と、それに対するところの政府としての思いやりがないと思う。その点についての御答弁をまず伺っておきたいと思う。
  46. 吉国二郎

    吉国説明員 ただいま普及について大蔵省は何も考えていないのではないかという御質問があったわけでございまして、また三〇%に上るのを下げたというのでは理由にならぬという仰せがあったのでありますが、問題は、このテレビジョン課税いたしましたときに課税物品として、当時の状況から申しますと、三〇が適当であるということで国会にお考え願ったわけでございますが、それではあまりに高くなり過ぎる、従って生産が伸びない、そうしておけばいつまでたっても生産が伸びなければ値段が下らない、従って普及ができない、普及ができなければいつまでたってもまた税金を改正することもできない。いわば一種の悪循環が考えられたわけであります。そこで安い税率適用して、それによって普及を進める。同時に、その普及によって値段が下ってくれば、それによって生産価格の引き下げによって税率を正常化することに可能性が出てくる、こういうのが現在のテレビに対する軽減税率考え方であったと思うのです。従って一二%から一五%に移り、そうして一五%に移った場合におきましても、一年間で大体その段階に達するであろう、従って一年たったならば三〇%になるということを予想して法律ができておるわけであります。しかし現在相当値下りはいたしておりますが、一五%からいきなり三〇%に上ったのでは、これはおそらく最初一二%の課税をいたしたとき以上の影響がある。と申しますのは、各社とも現在相当に生産台数がふえて競争状態にございますので、相当やはり値は下げてきておりまして、一五%の上昇はこたえるという意味におきまして二〇%という税率で、また新しく当分軽減税率を置いていこう。これは私どもとしては決して普及に対して無関心であるという意味ではなく、その意味によって二〇%を置い  たのであるというふうに私は思っておるのでございますから、その点は私どもが全然テレビジョンをこの際かまわないという考え方でいるわけではないということを、おくみ取りいただきたいと存ずるわけでございます。
  47. 山本利壽

    ○山本(利)委員 この点は少し時間をとって恐縮ですけれども、これは非常に大切なことだと思うから一つお許しを願いたいと思うのですが、私は農村出身の議員でございまして、まだテレビはございません。テレビはだいぶ伸びた伸びたとおっしゃるけれども、私は山陰ですが、まだ一台もありません。一つもないのです。東京にはあっちこっちにあるかもしれぬが、この伸び方も少いと思う。先ほどあなたは、とかくテレビを置いても、これは相撲とかスポーツだとかというような娯楽を見るためのように思う、だから税金を取ってもいいというような言い回し方であったけれども、私ども農村の議員としては、農家に一軒々々、場合によってはせめて部落に一台は置いてテレビを見せてやりたい。百姓たちは娯楽がありません。東京ならいつでも映画を見ることができましょう。芝居を見ることも、あるいは野球を見ることもできます。けれども朝から晩まで一生懸命に働いておる彼らに向っては、娯楽は必要であります。その意味においては私は、このテレビというものはまことによいものだと思う。しかも政府はいろいろな施策をするけれども、そのことはとかく徹底いたしません。東京だとかなんとかいうところならば、われわれが街頭に立って演説してもたくさんな人が集まってくるが、このいなかの山間部の者には、政府でお考えになったよい政策もなかなか徹底しないのです。だからその点においてはどうしてもテレビ普及さして、ラジオとともにこれを普及さすことによって、私は国策を浸透させることができると思う。しかも娯楽を与えることができる。このことについては国家をあげてこれの普及をはかる必要があると考える。だからこれは今伸び盛りなのです。伸びようとするところに水をぶっかけるような態度というものは、私はよいことではないと思う。この五%を上げることによって三億円ばかりの税金がふえるとおっしゃるけれども、今の政策の浸透やら、あるいはいなかにおいて、このごろはだんだん危険な思想が入ってくるといって国民たちは嘆いているけれども、この思想善導という意味からいっても、健全な娯楽を与えるという意味からいっても、この三億円の税金を取り上げるよりは、それにかける費用の方がよほど多いのじゃないか。だからその点においても私はこの点をつちかわなければならぬと思う。大蔵当局においても、ほかの方から三億円ぐらいの税金をしぼり出すことを考えても、このことについて私は何とかお考え直しを願いたいと思うのです。これは単にテレビの税金ということよりも、国策という意味においても、このテレビ普及ということは必要だと考える。私の言っていることが、大蔵の方からおいでになっておる課長さんにおわかりになりますでしょうか。単なる詭弁に思われるでしょうか。その点について一応御感想を承わりたい。
  48. 吉国二郎

    吉国説明員 農村にテレビジョン普及させたいという御質問は、まことにごもっともだと思います。ただ御承知のように、農村にもテレビ以外にあらゆる文化施設が必要であるわけでございますが、これには相当程度物品税がかかっておりますので、それとテレビジョンとが権衡のとれたものであるべきであるというのが、このテレビジョンに対する税率の問題であるということを申し上げておきます。
  49. 松前重義

    松前委員長 山本君に申し上げます。ただいま要請書が出ております。愛知揆一君、竹内俊吉君、橋本登美三郎君、松井政吉君から、テレビ物品税に関しまして、大蔵大臣または代理者、通産大臣または代理者をなるべく早い機会に当委員会に招致されたい。こういう要請書が参っておりまするから、次の委員会におきましては大蔵大臣または代理者、通産大臣または代理者を、責任をもって答弁される方を本委員会に呼びまして、そうしてこの質疑を続行したいと思いまするので、今事務当局とやりましても、これ以上進展しないものと思いまするから、いかがでございましょうか。
  50. 山本利壽

    ○山本(利)委員 今のお答え、ちょっと私の納得のいかなかったところがありますから——ちょっと委員長にお尋ねいたしますが、今のお話で、今度は責任のある者が来るとおっしゃったが、きょう見えておる政府委員は責任のない方でありますか。その点だけ承わっておきます。きょうお見えになった方は責任を持たない方ですか。
  51. 松前重義

    松前委員長 大体において質疑を承わっておりますると、これ以上いろいろ追及しても事務当局には私は無理だと思う。従って政府委員あるいはまた大臣をここにお呼びするよりほかに、あなた方の御議論に対する解決は得られない、こう思うのです。
  52. 山本利壽

    ○山本(利)委員 しかし実際にそろばんをはじかれるのは、その課長さん、部長さんの級なんです。そこで根本的な思想にちょっと誤まりがあっては困るので、私はその気持からですから、悪意ではありません。時間をつぶして恐縮でありますけれども、もう一つ簡単に質問いたしますが、六球以上のラジオの場合です。五球以下なればこれは非常に安いのです。ところが六球以上は一万数千円する。これと比べてラジオの値が高いから、六球以上のラジオにこれこれの税金を課するのだから、それと対照してこれくらいだというふうな御答弁がありましたが、ラジオの場合においては五球以下において非常に普及させるところの余裕がとってある。ところがテレビの場合においては、その下の十四インチのところを上げようというのだから、私は五球以下に対するところの考慮がないように考える。この点と、そうしてもう一つの点は、二〇%として二十一万台というのを、もしこれを一五%としたら、さらに伸びる率があると思う。この点については先ほど秋田委員からもお話があったかと思いますけれども、聞き漏らしましたから、これを下げた場合においてはさらに伸びる可能性は私はあると思うので、ここらの見積りの数字をこのテレビ関係の電電公社あるいは郵政関係の方からも一つ承わりたいのと、先ほど言った六球以上云々ということに対する御答弁は、非常に矛盾があったように考えるので、もう一度御答込願いたい。
  53. 吉国二郎

    吉国説明員 ラジオにつきましては原則は二〇%でございまして、五球以下のものにつきましては五%、かなり引き上げた軽減税率でございます。これは本則でですが、テレビジョンにつきまして、現在の一五%がいわば軽減税率として使われている。しかしこれは経過的のものでありまして、従って本則としては三〇%一本になります。その点は一つ問題があると考えますので、今度の改正で二〇%にいたしますに際しましては、これをかなり永続的な、本則に近いものにするという意味におきまして、当分のうちということになっております。暫定で、とは申しても期限を切らないもの、そういう意味において三〇%と二〇%という率が並立して残っているというようになっております。それから一五%にした場合と二〇%にした場合に伸びがどの程度か、これは非常にむずかしい問題だと思います。と申しますのは、現在のテレビ価格は、大体十一インチにおきまして五万円前後、従って五%の上昇は二千五百円程度しか響かない。小売価格になりますと、現在小売マージンが量産によって漸次下っております。二千五百円がどの程度響くかは、ちょっとわれわれも見当がつきませんので、あるいは相当伸びるかもしれないし、あるいはそう大差がないかもしれないというように考えております。
  54. 松前重義

    松前委員長 このテレビ受像機物品税価格に関する問題につきましては、本委員会においてはすでに全員一致をもって、現在の一五%を継続すべしという決議をいたしまして、大蔵委員会にこれを出し、大蔵大臣にも一応出してあります。今日の質疑討論を伺ってみますと、あなたの立場からするならば、これ以上は御説明できないかもしれませんが、ただいま申し上げましたように、大蔵大臣あるいは代理者、通産大臣あるいは代理者の責任ある方々と次の委員会におきましてこれを討論し、そうして結論を得たいと思っております。しかし全会一致をもって本委員会が決議いたしましたことにつきましては、事務当局としても十分の考慮さるべきものであると思うのであります。この点につきまして郵政大臣の見解委員長として承わりたいと思います。
  55. 村上勇

    ○村上国務大臣 いつもしかられますが、国の財政全般から考えて、いろいろ大蔵当局においても苦しい税の取り方をしようとしているのでありましょうが、私は常識的に判断いたしましても、今まで十三万あまり受像機を購入しているのですが、今までの人たちは比較的裕福な人たちであったと思います。これから求めようという人たちは、全体がそうではないでしょうが、大体において中産階級以下の人に——というとどこで何を標準としていいかわかりませんが、少くともテレビを求めたいという、先ほどの話の家族会議でも開いて、そうしてあらゆる貯金を引っぱり出してでもテレビを買いたいというような、そういう人たちが多くこれから求めようとするのではないかと思います。従って私の立場から申し上げますれば、テレビ受像機を今年は相当普及して、国民の文化向上をはかりたいと思っておりますので、できるだけ安価に求められるような税率にし、またメーカーにおいても勉強していただいて、一般国民が一人でも多くこれを求め得るようにいたしたいというように考えております。しかし二十七インチとか二十一インチというような非常にぜいたく品のように考えられるものは、これは税率が少しぐらい上ってもさほど……(「ぜいたく品じゃないですよ」と呼ぶ者あり)ぜいたく品じゃないでしょうが、とにかく高給な人の求め得るようなものについては、今の日本の国情からいえば、二十一インチについては多少税を高くされてもやむを得ないのじゃないかと思いますが、ともかく十四インチ以下のものについては安価に求められるようにいたしたいと思っております。
  56. 松前重義

    松前委員長 本委員会においても大蔵、通産両大臣に対して次会において要請いたすつもりでありますが、大臣も一つ大いにがんばってやっていただきたいと思います。  次の質疑の通告がありますので、これを許します。松井政吉君。
  57. 松井政吉

    ○松井委員 電話設備負担金の臨時措置法についてはちょっとお伺いいたしますが、いわゆる電話受益者の負担する債券の返済の期限と、それから負担金はおそらく法律では加入者が負担しっぱなしだと思いますが、その通りであるかどうか、この点を最初に明らかにしていただきたい。
  58. 松田英一

    ○松田政府委員 債券の償還期限は十年ですが、ただし発行の日から五年を経過したときは抽せんによって償還することができるというふうになっております。それから負担金の方は、納めましてから五年以内に電話をやめたときにはお返しいたしますが、それ以後はしないということになっております。
  59. 松井政吉

    ○松井委員 もう一ぺん負担金の場合の扱いを聞かしていただきたい。それから受益者債券の償還は十年だが、抽せんによって五年で償還するということですが、その抽せん方法——抽せんの場合は申し入れか何かするのでございますか、その取扱いの方法についてこまかく説明していただきたい。
  60. 松田英一

    ○松田政府委員 債券の場合でございますが、五年間は据え置いてそのままでおくわけです。それから十年たったら全部償還する。五年と十年の間というものは、抽せんを申し出るのではなく、公社の方で抽せんをいたしまして、毎年四%ずつ返していくということになります。それから負担金の方は、これも戦災電話の復旧の場合と普通の場合と違うのでございますが、戦災電話の復旧に際して納められた負担金は、これはその加入者がやめられれば五年という期限を切らないでいつでもお返しする。普通の加入電話については五年の間におやめになればお返しするが、それ以後になりますとお返ししないということになっております。
  61. 松井政吉

    ○松井委員 そうすれば負担金の場合は五年内にやめれば返す、五年後になれば取りっぱなし、こう解釈してよろしゅうございますか。債券の場合は五年目から返し始めて十年までには全部返す、こういうことでありますか。
  62. 松田英一

    ○松田政府委員 そういうことでありますが、先ほども申し上げましたように、四%ずつでありますから、途中では少しずつ返して、十年目にぼっとたくさん返す、そういう格好になります。
  63. 松井政吉

    ○松井委員 そういたしますと、今年の三月で最初のものは法律ができてから五年になるわけですね。それで本年度の予算にはその償還の額がうたってありましようか。
  64. 松田英一

    ○松田政府委員 償還の額はもちろん予算に計上してございまして、たしか六億となっております。
  65. 松井政吉

    ○松井委員 その六億はどのくらいの数に対して四%返すというのですか。それからもう一つ伺いますが、本年度予算に計画しております受益者の債券歳入五十五億三千万円、それから負担金四十三億四千三百万円、こういうことでありますが、これは債券の場合、やはり負担金の場合もそうだと思いますが、都会と地方とでは違う。東京の場合だと加入者の負担金が三万円で、債券が六万円と承知いたしております。その率でいくと債券の方は倍になっておる。ところが本年度予算で見ると五十五億三千万円と四十三億四千三百万円でありますから、この開きが一体地方と都市とでどういう工合に把握しておるか、この内容について御説明を願いたい。
  66. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 お答えいたします。大体債券、負担金の見積りでございますが、年間どのくらい架設するか、それを大都市では何個、何級局は幾ら、こういう予定のもとに架設することになっております。そこで今お話のごとく、債券も負担金も都市によって額が違うのであります。大体架設する数とその都市で負担する債券及び負担金とを考えまして、これを合計しますと以上のような大体の見込みが立つのであります。そこで負担金は地方でも最低二万円はみな負担してもらう。ところが社債となりますと、七級局以下は全然社債をいただかぬことになっております。そういう意味で積算いたしますと、大体以上のような見込みになるのであります。
  67. 松井政吉

    ○松井委員 今度は法律を提出した理由についてお伺いいたします。存続を必要とする理由書をいただいておるのでありますが、この理由には、御承知のように電話増設の必要性とそれから建設資金を獲得しなければならないということだけがうたってあるわけであります。これは公社の立場に立てば当りまえだと思う。当然のことです。ところがこの企業体は御承知のようにやはり公社なんです。公共性を持たなければならぬのです。そういうことになりますと、こういう公共性を持たなければならない、しかもコーポレーション組織の企業体の設備資金、たとえば建設資金並びにサービス向上のための増設資金等を、加入者だけが負担しなければならないようなことが正しいという理由がつくのかどうか、この点については理由書には一つもうたっていないのです。この点について大臣の見解をお伺いしたい。
  68. 村上勇

    ○村上国務大臣 これは受益者負担の立場からそういうふうにしておるようでありますが、いつまでもこうしておくというつもりはないという考えております。
  69. 松井政吉

    ○松井委員 いや、そういうことを聞いておるのではないのです。いつまでもこうしているかいないかという問題については、臨時措置法でありますから、あとで質問いたします。あなたの方がわれわれのところに提出になりました存続を必要とする、五カ年間延ばさなければならない理由書というのがございます。その理由書の中には、電話増設の必要性だとか、それから農村、漁村等もやはり公共性の建前から延ばさなければならない。それからそのための建設資金が現状では不足しておるということしか書いてないのですよ。これは理由にもなりますけれども、僕の聞いているのは、公共性の企業体であるから、もうかるもうからぬにかかわらず、不便な農村、漁村に当然電話を架設しなければならぬ、企業体の本質から、あるいは公社法の建前からやらなければならぬのです。要するにそういう公共的な施設、それから設備、国民へのサービスをしなければならない建設資金を、加入者にのみ負担をさせなければならないような建設資金の仕組みでいいと考えておるかどうかという本質を聞いておるのです。
  70. 村上勇

    ○村上国務大臣 電話事業の本来の性質から申しますれば、公社は自己資金または一般の公社債によって、これらの加入電話の設備拡充をはかるということが当然であろうと思いますけれども、加入申し込み等も非常に多いのでありまして、それを満たしていくためには、一応そういうような措置もまたやむを得ないことだと思っております。
  71. 松井政吉

    ○松井委員 そうすると、やはり本質的にはこれではいけないという考えを持っておるのですね。
  72. 村上勇

    ○村上国務大臣 本質的にはこれは私ども必ずしもいつまでもこういうことでやるべき筋合いのものではない、こう思っております。
  73. 松井政吉

    ○松井委員 それならば法律の中身を当然御検討なされたと思いますが、建設資金の百億というもののみにとらわれてこの臨時負担の性質について御検討なさったのか。検討なさるならば、東京に例をとって申しますれば、負担金の三万円、債券の六万円、従来五カ年間続いてきたそのままの額で、また五年間出そうというような考え方は出てこないはずです。負担金も債券も性質が違うのです。それを従来のまま五年延ばそうとしてくるというのは、それは百億というものにのみ考えが至ったのかどうか知りませんが、ただいまの大臣の考え方とは矛盾撞着せる法律の内容が出ておるのです。この点について明らかにしていただきたい。
  74. 村上勇

    ○村上国務大臣 大体二年間は今までと同じような負担になっておりますが、それから先は少しずつ軽減されるようなことになっておるように解釈しております。
  75. 松井政吉

    ○松井委員 中味をはっきりしていただきたい。
  76. 松田英一

    ○松田政府委員 お答え申し上げます。この法律案の第一条によりまして最高額だけをきめておりまして、その中身は政令に譲っておりまして、負担金とか債券の額はそれぞれ政令できめておるわけであります。それでこの法律昭和二十六年にできまして今年の三月三十一日で終るわけでありますが、五カ年計画はその途中から始まっておりまして、大体この法律によります負担金あるいは債券というものをその考えの中に入れまして五カ年計画を立てておりますので、五カ年計画が今後三十一年、三十二年と二年間は継続していきますから、その二年間というものは、この法律によってきめております政令の中に書いてある金額を変更すれば、五カ年計画そのものに影響を来たすわけで、これは変更できない、またすべきではないというふうに私ども考えるものでございます。しかし二年間たちまして、またさらに第二次五カ年計画が立てられると思いますが、その場合にはもちろん国会でも議論になると思いますし、私どももいろいろ検討いたしまして、そのときの情勢によって、あるいは場合によれば、そのときにはこの法律によります負担を軽減するという方策も考えなければならないかとも考える次第であります。その場合に、それではその措置がとれるかということになりますと、これは先ほど申し上げましたように、この法律の第一条で最高限度をきめてございまして、その範囲内で政令できめるようになっておりますので、政令によりまして適当な額がきめられるというふうに考えております。
  77. 松井政吉

    ○松井委員 最高額をそうきめたということで、今までの臨時措置通り法律が出されておる。内容は政令できめる、二年間ぐらいは従来通りいきたい、こういうところまではわかりますが、それならばなぜ五年間という法律案を出しましたか。従来通り二年間でよければ二年間でいいのです。これは臨時措置法ですよ。それをなぜ五年と出したか。政令できめるならば、その政令の中身なしにしてこの法律は出せないのです。二年間は従来通りで、三年目になったらどのくらい軽減しても自己資金で間に合う、そういうプランがなければ、この法律の中身はないことになる。その政令の中身を明らかにしてもらいたい。ないとするならば、二年間で出すのが当然です。何のために五年間としたか。これは大臣から答弁してもらいたい。
  78. 松田英一

    ○松田政府委員 その点につきましては、実はこの法律のできましたときも、まだはっきりとした五カ年計画というようなものはできておりませんで、ただ当時電話が非常に困っておったという状況……(松井委員「そんなことは、この臨時措置法を作るときここで審議したのだ、何を言っているのだ、冗談じゃない」と呼ぶ)五カ年計画は二十八年度から始まっておりますので……(松井委員「われわれは二十七年度に五カ年計画を論議したのだ」と呼ぶ)ですから、法律は二十六年から施行されておりますので、二年間の食い違いというものが、実はこの法律と五カ年計画の間に出ておるわけであります。(松井委員「財政投融資が少いために、政府が五カ年計画を変更したじゃないか、何を言っているのだ、当時のことを聞いているのではない、当時のことは君より僕の方が知っているのだから」と呼ぶ)それで私ども考えましたのは、とにかく二年間というものは従来の五カ年計画の継続で参りますが、もちろんそこで将来の長期計画というものを考えなければならない。しかしその場合に、長期計画を立てるに際しましても、その財源について、負担金とかあるいは加入者の引受債券というものがとれるかとれないかということが全然はっきりしない。二年間で計画の方も終り、法律の方も終るということでは、将来の計画について非常に不安定な要素ができるのではないかというわけで、とにかく一応とれることはとれるのだ、ただしその額については、その計画とあわせて考えることができるようにということと、それから前にとにかく五年間という法律ができておりまして、途中から五カ年計画が始まっておるという経過とにらみ合せまして、とりあえず一応五年間延ばしたらどうかということで法案を出したわけでございます。
  79. 松井政吉

    ○松井委員 大臣の見解を聞きましょう。
  80. 村上勇

    ○村上国務大臣 私も大体事務当局の趣旨と同じであります。とにかく計画したそれまでに公社の資金その他の関係がうまくいけば問題はないのですが、その需給の関係等からも考えまして、非常に当初の考え通りにいかなかったという点から、やはり今回のこの臨時措置法による延期をお願いすることになったと思うのであります。
  81. 松井政吉

    ○松井委員 みんなお答えの見当がはずれていますよ。要は最初の法律ができたときには、すでに五カ年計画というものはわれわれの論議になっておったのです。ところが運用部資金の金を毎年出していたものが、逐次減らされて、それでは戦後における電話の建設ができないから、臨時措置法によって、加入者の負担によって増設をしようということになったのです。ところがその臨時措置法に基く加入者の負担金、債券の方は、公社の努力もあったでしょうが、成績を上げてきているのです。それが従来の建設資金のかなりのウエートを占めてきた。ところが公共企業体であって、もうかるもうからないを問わず地方にもサービスをしなければならない事業であるにもかかわらず、加入者の方の成績が上ってきたというので、政府の方からは預金部資金を見放してしまったわけです。そこで今度は五カ年計画遂行のための資金の枯渇を見たわけです。そこで五カ年計画の中身の変更のやむなきに至ったという従来の経過があるので、僕の聞かんとするところは、そういう従来のいきさつを聞こうとしておるのではないのです。そうではなくて、今大臣その他が説明されておるように、二年間は従来の通りであって、二年後はこの中身について政令で変更する、そういう臨時措置法が法体系としてあるかどうかということです。従来通り二年間でよければ、これは二年で出すべきです。政令で変更しなければならぬときには、再び立法措置によって国会の審議を経てからそれをやるべきなんです。それをなぜ五カ年間こうやって、あと三年目から政令ということで法律の中身を隠しておくかということです。それならば、今度は永続的に公共企業体でありながら加入者の負担のみによって建設するということになれば、公共性が失われてくる。勢いそこに持ってきて、もう一つわれわれが承服できないのは、そういうことで加入者にどんどん負担をさせて建設をやりながら、固定資産税に該当するものを公共企業体から取るとは一体どういうわけですか。たとい七億円の納付金でも加入者の方を減らすべきです。もし三万円の負担金を一千円減らし、二万九千円、二万八千円にするとも、納付金を取るならば、これは加入者の方のサービスの額を減らすべきです。公共企業体というものはそういうものだと思う。にもかかわらず、五年間ということで中身を伏せて法律を出したというのは、一体どういうわけかということです。これはやはり閣議にもかかっただろうし、おそらく十分に論議されて出されたものと思うから、そういう意味において、これを五年間の臨時措置法で、五年間続けなければならないという法律を出した、その基本的な根拠と、公共企業体の建設資金というものはどこから取るのがほんとうであるか。この二つの問題について解明をしてほしいと、こういうのです。
  82. 村上勇

    ○村上国務大臣 お答えいたします。すでに納付金の問題については、松井委員も過日のこの委員会におきまして、関係各省当局を呼んで、十分論議が尽されておることでありますので、私はこれを繰り返すことはどうかと思いますが、なるほどこの資金につきましては、原則としては公社自体でみずからの力でやるのが当然でありますが、御承知のように、戦後電話がほとんどめちゃめちゃとは申されませんが、あのような状態になって、それから膨大な需要を満たすためには、どうしてもここに相当な負担をしてもらわなければいけないというような立場で、私どもも大体三年くらいでいいのではないかというようなこともずいぶん論議いたしましたが、三年ではまだ相当困難ではないか、どうしても五年くらいに延長していただかなければ、ほんとうの見通しがつかないような気持がいたしまして、慎重に相談した結果、かようにお願いしておる次第であります。しかしこれもどうしても五カ年では御納得ができないというようなことになりますれば、われわれも十分また検討もいたしてみますが、この場合はどうしても五年くらいは延長していただきたい、こういうような気持でこの法案を出しているのであります。
  83. 松井政吉

    ○松井委員 そういう考え方でくるならば、よけい五年としたのはおかしいのですよ。三年とは思った、しかし五年くらいの方がよかろう、そんなばかな話はございませんよ。公社法をよくお読みになっても、こういう法律を出して、加入者に建設資金の負担をさらに臨時措置法で——これは臨時措置法の体系からいったら、そんなことはできるものじゃないですよ。それをあえてやろうとするならば、まず公社法における経理、債務の条項の改正からかかってこなければ、筋が通らないのですよ。電電公社はコーポレーションですよ。だから経理、債務に関する公社法の条章の改正を行なって、あなたのおっしゃる自己資金でまかなうことが理想だとするならば、独立採算制でいける態勢、さらに大蔵省から給与総額等のワクをはずすところまで改正考えて臨時措置法でいくというなら、われわれは反対だけれども、それならば理論的な筋が通るのですよ。そうじゃなくて、五年間にしておけば、公社の方では加入者負担で建設資金をかせいでくるだろう、そうすれば政府の方では公募債のワクも今までは運用部資金は全然はずしておるが、公募債もめんどうを見なくたって電電公社でやっていくだろう、そうしてやっていったところが大蔵省の方で経理、債務の実権を握っているのだから、電電公社の経理、債務をしっかり押えておけばかまわない、こういう考え方できているのですよ。それならば公社そのものに対する定義から論争しなければ解決つかないのです。簡単なものじゃないのですよ。そこまでお考えになってこの法律案をお出しになったかどうか、そこまで考えないで、とにかく政府は運用部資金を出さない、そうすると五カ年計画は困る、建設資金が不足しているから、何でもかまわないからこれを五カ年間延長せよというその場限りの考え方で、場当り式の考え方で出したとするならば、これはわれわれは十分論議を尽さなければならないと思う。この辺の見解はどういうことなんですか。今の公社法に基く公社そのものの性格、それから公社法に基く経理、債務の関係、それとこの関係、この三つについて一つずつ区切りをつけてはっきりと御説明を願いたい。
  84. 村上勇

    ○村上国務大臣 私の言葉が足りなかったと思います。決してそういう三年なら間に合うのだそうだが、五年にしたのだという、そういうものではありません。私ども慎重に事務当局とも検討いたしまして、この五年間の延期をお願いしておる次第であります。詳細につきましては事務当局から答弁させます。
  85. 松田英一

    ○松田政府委員 おっしゃるところまことにごもっともな点もございますが、現実に公社というものの性格からいたしまして、これが国との関係においていろいろ制約を受けて仕事をしていかなければならないということは、これはむしろ公社なるがゆえにやむを得ない性格になっておると思います。そこで現在までの実績というものを考えてみました場合に、今までの公社の拡張資金というものが、本来公社として考えました場合にはそういうことでなく、いろいろ希望するところもあるわけでありましょうけれども、現実の問題として自己の資金と、それに対して公募債というものを持っていって、それ以外に国のいわゆる財政資金というものを出してほしいということは、たびたび要求したわけでございますけれども、これは大蔵省の方針としては、そこまでは電電公社の現状においてはとても出せない、つまり赤字が出るような場合に考えるとすれば別として、現在の公社のような経営状態ではとても出せないというようなことで、財政資金は今まで一ぺんももらったことがない。しかし公募債においては、ある程度のワクというものは年々認められてきておりますし、またそれを郵政大臣の努力あるいは公社の努力によりまして、最近はふえてきておるという状況でやっておるわけであります。その場合に、当然そこに法律というものがございまして、その法律による負担金あるいは債券というものが財源として当てにされておりまして、それと見合った上で公社としての来年度の建設計画は、これくらいであるべきであろうというふうなことで毎年きめられていく、こういう格好になっておるわけでございます。そういう現実の公社の進み方という点から考えまして、今後の電話の状況というものを将来予測いたしますときに、それがここで根本的に考え直されて、別な形に変るということはわれわれとしては予測できませんが、しかし一方公社の電話をふやしていかなければならない事情の方は、お手元にお配りいたしました資料によりましても明らかであるように、ここ五年間ぐらいは決して現在の状況よりも緩和されるということはないという状況とにらみ合せまして、結局毎年の建設計画というものはこういうふうになっていくであろう、そうすればその間に予定すべき自己資金あるいは公募債としてとれるものということを考えていけば、やはり負担金あるいは債券というものは当然必要になってくるということで、五年間の延期ということをお願いしたわけであります。
  86. 八木昇

    ○八木(昇)委員 関連して。だんだんあとの方になってくると、話が曲ってきたように感じておるのです。それで先ほどの政府委員のお答えの中で、ちょっと私疑問を感じたのですが、今後二カ年はただいままでの五カ年計画の線に基いて、現行の政令による実施内容の変更はできない。しかし二カ年経過後においては、負担金についても加入者の債券引受額についても、これを軽減する余地があるいはあるのじゃないか、こういう意味の御答弁だったと思うのですが、そうだといたしますならば、昨年あるいは本年程度ぐらいの電話設備費に対する資金運用部あたりの金の出し方が今後とも引き続く、これがふえない。この程度のまま引き続くとしても二年たった後には、これは加入者からの負担金の取り立てというようなものは幾らかでも減らし得る、こういう見込みでたければ、先ほどのようなお答えは出ないはずだと思うのですが、その辺のところをもう少しはっきりしてくれませんか。
  87. 松田英一

    ○松田政府委員 ただいま申し上げましたのは、お手元にお配りいたしました資料にもその片りんが出ているわけでございますが、この二年間というものは従来進めておりました五カ年計画、その五カ年計画においては当然現在のままの負担金あるいは債券というものを予定して財源として考えておりますので、これをいじることは直接五カ年計画の成果に関するというわけで、この間は現在の政令による額そのものを出していただくということにならざるを得ないと思うのです。その後におきましては、実は今のところはっきりした固まった計画というものはないわけでございまして、それをここ来年、再来年のうちに固めなければならない。その固めるときに、もちろん財源の内容等もいろいろその場合に予測いたしまして、その次の五カ年計画というものを固めるわけでございますが、そこでわれわれとして現在考えておりますのは、二年間たったあとで、一体電話の需要がどうなるであろうかということについての予測だけは、現在してみたわけでございます。それはお手元にお配りいたしました資料にもございますように、今後二年間たったあとで現在通りの負担金あるいは債券を続けていけば、こういうふうな加入申込者の数字が予測されるだろう、たとえば債券を半分にすればこういう数字が予測されるだろう、債券を全部なくしたらこういう数字が予測されるだろうというようなことでもって、いずれにしましても加入者の要望というものは現在のままでいくといたしましても、とにかく相当なものであるというような点から、とりあえず一応現在のままの態勢で五年間延ばしていくことにお願いいたす。しかし措置というものは政令によってやるわけですから、次の第二次五カ年計画というものを考えますときに、当然どういう加入者の増加の予測でいくかというようなところは、あるいは債券の額のきめ方なり何なりによって違うわけですから、それと両方考え合わして、第二次五カ年計画を考えていきたいというふうに考えております。
  88. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それではただいまの御答弁によって、一にかかってこの問題はやはり政治力の問題である、こういうふうに思うのです。それで今のような格好のままであれば、今後五年たとうが十年たとうが十五年たとうが、極端にいえば二十年たとうが、結局加入申込者からの負担金の取り立て、債券引き受けの強要というようなことは、一向なくなるときがない、今のようなお話であればこうなりはしませんか。それで政府としては、まあ三年くらいで何とかなるのじゃないか、またそのようにしたいという先ほどの大臣の御意向のようであったとするなら、これはやはり電話の架設とか設備というようなことは、あくまでも公益的立場に立って公社が国家的見地からやるわけですから、従ってこういうふうな今の加入者に負担をさせるというようなことは、臨時措置として最初から時限立法として出されたわけです。ですから、やはり国家が三年程度たてばこういう悪法は解消したい——極端に言えば悪法ですね。そういうことならば、やはり政府として何らかの措置を政治問題として考えざるを得ないということになるのじゃないかと思うのです。たとえば資金運用部の金を年間五十億なり百億なりこれへ回す、あるいはほかの方法を講ずる、こういうふうな準備はもちろんしておられるわけでしょうね。そうでないと、これはいつまで臨時措置法が続くかわからないあやふやな考え方のままに、こういう問題に対して、われわれはイエスともノーとも答えられないですよ。
  89. 村上勇

    ○村上国務大臣 ただいま政府委員からお答えいたした通りでございまして、私どもとしては加入者にこういう負担をかけるということを、いつまでも無期限に引っぱっていくということは、これは最も好ましくないことでありますし、また公社としての建前から申しましても、そういうことはあってはならないのでありまして、それは御指摘の通りであります。しかし今日の電話のいわゆる追加の激増というような点からにらみ合せてみますと、三年後、五年後というものを見ましても、相当大きな需要でありまして、政府がそのうちに財政が立て直って、そこにお説のような五十億でも百億でも出し得るような状態になりました際にはこれはまた別でありますが、今日の状態を勘案しますれば、どうしても五年間ぐらいはこういう状態が続くのではないかというようなつもりで、このような法案を提出してお願いしている次第であります。
  90. 八木昇

    ○八木(昇)委員 もう一点、抽象的にいろいろ言われましたが、もう五年間だけ延長したいという御提案だけれども、しかし五年後にはこういうのはもうやめてよろしいというような科学的な根拠は、何らお示し願えないわけですね。一応五年延ばすのだが、五年後はまたどうなるか、一向わからないというわけですね。
  91. 松田英一

    ○松田政府委員 御指摘の点ははなはだ申しわけない次第でございますが、五年間はぜひ要るということは私ども言わなければならない点なんでございますが、そこでやめ得るという自信は実はございませんので、そのときにどうなるかということについての数字も、実はまだはっきりしないわけであります。
  92. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 時間がないから簡単に関連質問としてお聞きします。この法律案は、これは大体ばか正直な法律案じゃないかと私は思うのです。そこで松井君の御質疑の要点の一つは、こう解釈していいと思うのです。その点政府の方がはっきりしておりませんが、政令で内容をきめる、こういう考え方が従来の措置法の建前から考えてもおかしいじゃないか、不穏当じゃないか、国会無視じゃないか、これがまず第一。それから第二は、臨時措置法であるからしてこれはもう暫定なんだ、それが暫定ならずしてまた第二回の延長をするというのは、何か根拠がなくちゃいかぬのじゃないか、これが第二点だろうと思うのです。実は今私速記録を持っておりませんが、われわれ前からこの問題をやっておったのですが、私はこう解釈するのです。これは大臣をとがめるわけじゃないので、一つ関係当局の方で御答弁願いたいのですが、御承知のように設備資金は昭和十年前後ですか、今の物価の基準になっておる当時は三百円だったと思うのです。それから物価の値上りを計算して、当時臨時措置法によらざるいわゆる設備資金としてこれを計算すれば、相当の金額になる。当時の終戦直後の日本の情勢としては、これをいきなり吸い上げたならば加入者の方に非常に不利益じゃなかろうか、困難じゃないか。そこで実際上にかかる経費の一部を公債によってこれを買ってもらって、この公債を受益者の方で適当に処理することはけっこうだが、それによって利益者の方にも、受益者の方にもある程度の便宜をはかる、同時にまた政府当局としても、当時膨大なる設備資金でやっていこう、こういうような意図から本法律ができたと私は思うのです。従って資料としてお聞きしたいのは、当時どれくらいの設備資金でまかなわれておったのか、これを現在の物価の上昇率と比べて、終戦当時三百円もらったものは幾らもらわなければならないか。その金額というものを、必ずしも設備資金によらずして、実は臨時特例法によるところの公債を引き受けるという形で持っていった分がどれくらいになっているか、その点数字上明らかになっていればお聞きしたい。
  93. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 的確な資料がございませんから御回答は十分でないかと存じますが、今お話のごとく、かつては必ず電話をおつけする人に対して、設備費としてお金をちょうだいしておったのです。それが大正十四年からそういう制度になりまして、当時御存じのごとく大震災後でございます。東京を例にとりますと、一千五百円という設備費をちょうだいしております。自来当時におきましても電話の拡張を計画的にしようというので、あるいは五カ年計画、あるいは三カ年計画のもとに、この設備費をできるだけ下げていこうという意図のもとに計画を立てたのですが、当時の財政事情及び諸般の情勢から、計画は中途で挫折したわけです。しかし設備費はだんだん下る方向に行きまして、それから終戦まで続いたのです。その最終の、終戦後の昭和二十二年四月でございますが、そのとき東京におきましては九百円の設備費をちょうだいしたのです。三百円というのはございませんでした。そこでこれを昭和二十二年に廃止いたしまして、設備費等は一切とらないことにして、装置料一本でいこうという方針に変えました。その装置料がその当時千五百円、しかし千五百円ではとうてい需要をまかない切れないのは当然でございます。そこでこれに対しましていろいろ考えた結果、電話公債というものをちょうだいしようというので、当時は十五年の償還で年利四分の電話公債、これは政府の公債です。それをもって三万六千円、全国いずれの土地の方でも三万六千円均一に持っていこう、これをやったのです。これが一年の寿命でございました。これは当時の非募債政策によりまして一年間でやめたのです。その一年間どのくらいこれによって資金を得たかと申しますと、約四十億の資金を得たのです。そこでこの電話公債はなくなりまして、それから二年の間を経過しまして、依然として電話需要が多いものですから、何かの従来の設備費あるいは電話公債にかわる受益者の負担をお願いしていかなくては、とうてい電話がふえない。かつまた当時の事情としまして、非常に電話の要求が多いのです。従ってある程度受益者として金を納めても、電話をこの際つけてもらいたいという声がまことに熾烈でございまして、そういう意味で今日の臨時負担法ができたと思うのであります。当時しからばどのくらい電話をつけたかと申しますと、これは的確なものはございませんが、大体昭和二十四年、二十五年におきまして、加入者にしまして十二万もしくは十三万程度しかつけなかったのです。以上のようなことで、詳しい資料はございませんが、一応概略の記憶に残っておる程度でお答えを申し上げた次第であります。
  94. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今の装置料千五百円ですが、それを現在の物価上昇率に比べて考えると、どれくらいの金額になるかということを聞きたい。
  95. 靱勉

    ○靱説明員 千五百円といたしましたのは終戦直後の問題でございまして、その後四千円という装置料の値上げをいたしております。しかしこれの根拠というものは、要するにケーブルから各加入者宅につけまする引込線の経費というような観念でやっているのでありまして、橋本委員の御指摘のかつての、あるいは三百円というようなお話がございましたが、そういう時代の設備費とは性格が全く違っております。そこでわが国の電話事業というものは元来、先ほど営業局長がお話ししましたように、千五百円というのは、それで市内の電話設備がほとんど全部できる経費となっております。ところがこの制度のために非常に電話というものは特殊なものになって発達している。そこで占領下におきまして、電話というものにそういう負担をかけるわけにいかぬというので、一切そういう負担はかけない。従って引込線の装置料ぐらいは四千円ということにきめられたわけでございますが、これは私どもの理想でありまして、外国においてはそういう形態で発達しているのです。遺憾ながらわが国においてはそういう形態にできなかった。そのかわりわが国におきましては特殊な形態がある。そういう負担金をちょうだいいたすかわりに、電話の売買譲渡ができるという、これまた世界にちょっと例のない形態をとってきている。そこで理想をもって貫くならば、売買譲渡は禁止して、それで四千円なり五千円なりの装置料でいくというのが本来の姿かと思いますが、何としましても電話の売買というものは過去の問題でありまして、しかもこれにはかつての加入者の方は相当の資本を出している。こういう状況もありますし、しかも負担金が、あるいは電話公債というのも発行いたしましたが、費用の何%しか充足できなかった。それならやはり経済の自然に従って、必要のなくなった者はより必要な人に売買のできるということが、むしろ一般の利用者の方の希望じゃないかというので、再びあれほどポツダム政令でできていましたのが自然消滅して、自由に売買できるようになった。こういう経過をとって今日に及んでいるわけでございますが、公社の性格として、あくまでこれを外部資金をみずから集めて、あるいは政府の御援助を得て施設してやる。これの利子も払い、あるいは元金の償還もできるような料金体系を作って、できるだけ新規の加入者に対してはこれを充足していくというような態勢をとるべきでありますが、今のところの私どもの見通しといたしましては、そこまでの理想に一挙にまだ到達できない。しかも五カ年計画を第三年度までやって参りまして、来年度の予算の御審議を願っている次第でございますが、かつて計画しました五カ年計画の実施によって、大都市等においては自由に電話がつくようになったと思ったところが、ますます需要がふえて参りまして、積滞の壁というものは絶対に減ってこない。すなわち申し込んでから、申し込んだものの三〇%程度しか在来消化してないのでございますから、三年たたなければ電話がかからぬ、こういうことになるような状況でございます。そこで、これは国の財政としましても限度があるので、電話に一千億も直ちに出すということはとうてい行かないわけでございますから、そこらを勘案いたしまして、またこれは各個人のお宅につく電話回線というものは、あの間はほとんど占有されてしまう。電灯のように共通ではない。こういうような点から、需要の非常に大きいというところは、金を少し貸してやってもいいから早くつけてもらいたいというのが、国民の希望でございます。そういうところをにらみ合せて、この負担法というものができた。これは松井委員、橋本委員、皆さん御承知通りでございますが、そこで今度は五カ年間さらに延長するとは押しが太いじゃないかということでございますが、これは先ほど来、政府当局に五カ年間の見通しについて御質問がございますが、私ども五カ年計画を完成しましてもまだかたまりは解けなかった。さらに第五次五カ年計画をやりましても、このかたまりは容易に解けない。一方においてはこれを国民の利用に供していかねばならぬわけですけれども、何としましても現在需要が非常に高い。従いまして私どもとしてはできるだけこれは軽減していくべき方向に行かなければならぬわけでございますが、今後五カ年間の見通しとしましては、やはりそういう制度の存置を必要とする。その際におきましてもちろん政府資金がたくさん投下できれば緩和ができる、こういう考えであります。それで負担金の三万円という点につきましては、自動電話の場合におきましては大体二十万から三十万の投下資金を要するのでございますから、そのうちの三万円というものを負担金として、五年間はお返ししますが、五年後はお返ししない。あとはまさに借金でございまして、これは六分五厘の利子をつけて必ずお返しするというお約束のもとにできておるのであります。これがいつまでもそういうふうでは、わが国の電話の発達のためにはおもしろくないことでございますが、たとえば先般御質問のありました水道、ガスあるいは電気等におきましても、相当受益者的負担の性格のものがあるのでございます。そういうような点から、非常な需要があるその要望に対してできるだけつけていきたいというような要請と相待ちまして、こういう法律ができておる次第でありまして、公社の立場を申しますれば、ある程度資金に安定を得まして、毎年五百五十億か六百億程度の拡張計画というものがフラットに、今後さらに五年ぐらいできていくことを非常に熱望しておるような次第でございます。
  96. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 それでだいぶわかりましたが、そこで政府が五年間の延長をした基礎的数字——先ほどはその資料が十分に整っていないということでありますが、しかし一応の大綱はできておるだろうと思いますから、次の委員会で資料を整えてもらいたいのですが、こういう考え方があるのじゃないですか。つまり五年間のうち、二年か三年か知らぬが、政令できめる。その前まではどうしても従来の負担金並びに公債を買ってもらわなければ、現在の五カ年計画はできない。その次の期間においては、その機会において料金の適正な改正を行なって、従来考えられておった設備資金を持たせないという原則に近いものを、その二年後か三年後か知りませんが、そのときには料金体系の全体的な体系を出していく。その場合になれば、当然残りの二年か三年か、その法律措置についても、従来通りの負担金もしくは公債引き受けということを考えなくとも、その料金にマッチしたものに変えることができる、こういう一応の基本的な資料の上に立って、五カ年延長ということが考えられたのだろうと思うのです。これを、きょうは時間がありませんけれども、次の委員会においてはその法案の内容になった数字を出してもらいたい。それからもう一つは、この問題はまた委員会で質疑をいたしますが、私はそう言いましたが、これは容認するわけではありませんが、果して政令でもってその内容を適当に変更することが妥当かどうか、それを事前に法律によって承認してもらっておくということが果して法的な扱い方であるかどうか、その法的根拠一つ十分に御研究おきを願いたい。この二点について資料を要求しておきますから、次の機会に十分に資料を整えて、この法律案の基礎となった数字を明らかにしてもらいたいと思います。本日は私はこれで終ります。
  97. 松井政吉

    ○松井委員 一つ公社側にお尋ねいたしますが、今の副総裁の答弁で従来の関係はいろいろ明らかになりましたし、考え方もある程度明らかになりましたけれども、これが政府考え方であるか、公社の考え方であるかということは、われわれ別問題だと思う。しかしとにかく、法律政府が出してきておるのだから、責任は政府になければならない。これだけははっきりさせておきます。そこでかりに政府資金を使った場合、それから加入者に債券を負担させた場合、この場合における利率の関係一つ説明願いたい。
  98. 靱勉

    ○靱説明員 現在加入者に引き受けていただきます社債におきましては、六分五厘という金利になっております。政府資金を拝借しますと、大体が六分ということになりまして、その間五厘の差がございます。
  99. 松井政吉

    ○松井委員 そうしますと、政府委員がおるからあるいはお答えできないかもしれませんが、公社側に重ねてお尋ねしますが、公社としては政府資金を出してもらった方がいいのですか、加入者に負担させた方がいいのですか。
  100. 靱勉

    ○靱説明員 社債の点につきましては、社債を変えて政府資金にしていただくならば、もちろんけっこうなことだと思います。ただし受益者の社債につきましては、これは非常におしかりを受けるかもしれませんが、毎年、たとえば十九万ということになりますと、どういうところにつけるかが計画に載りますので、資金源というものがはっきりいたすのであります。私ども昔からの電話事業について一番困ったのは、常に財政の変動によって需要とは関係なく、電話の予算というものが変動するということであります。政府資金に依存しますとそういう点はかなりある。理論上はともかくとして、実際上におきましてはそういうようなことになるわけであります。この点は私どもできるだけ安定した資金をちょうだいいたしたい、こういうふうに考えておるのであります。
  101. 松井政吉

    ○松井委員 公社の立場は大体明らかになりましたが、そこでお伺いいたしますのは、またこの法律に戻りますが、先ほど来橋本君も八木君も関連質問をいたしておりますが、明瞭な答えが出ていない。というのは、五年間としてありますね。二年間は従来通りとする。そうして三年後から政令できめると、こう言っております。その政令の中身というものが想定されていなければ、五年間という法律は出せないわけですね。それをさっきから聞いておるけれども、関連質問で橋本君も聞いておるが、明瞭な答えがない。だから三年後は政令でするが、その政令の中身は、たとえばそのときの状況において政府資金の投下可能と見るか、それとも加入者の負担金を続けなければならないと見るか、それとも政府資金の投下なくしていけるという問題に見るか、これを明らかにしてもらわないと、この五年間というものを出した法律の内容について了解ができない。これは私は全員がそうだと思います。その点を明らかにしてもらうことが一つ。  もう一つは、そういう形でいきますと、かりに五年たって——政令の中身をまだ伺いませんけれども、本年度からは四分で六億返していかなければならぬ。そうすると五年間のあれでもって十年たつと、最初加入したものについては全額を返していかなければならぬ一そういうことになりましょう。そのときのパーセントと、今度は二年後から十年後にかけるいわゆる建設資金の獲得計画というものが当然裏づけとなってこなければ、この五年間という法律は出てこない、そういうことについてつまびらかな計画というものができておるか。つまびらかな計画数字を立っても、これは想定ですが、想定なくして法律案は出てこない、その点が答弁によっても明らかにならない。  第三に、だから橋本君のように基本的に、要するに臨時措置法というものはあくまでも臨時措置法であって、政令でやるには工合が悪いから、法律としての臨時措置をとる。これが臨時措置法の大体の建前であります。だから臨時措置法できめておいて、また政令で出す。こういう形というものは法体系としては工合が悪いと思うが、それでよろしいとお考えになるかどうか。  もう一点は、その場合に臨時的な措置として臨時措置法を出しながら、さらにそれをかみくだいて政令を出すというときの政令というものは、扱いの手続をきめることが政令の本質であって、加入者負担に対する額の変動まできめることは政令の本質じゃないのですよ。そういうことまで研究されて五年と出されているのかどうか。  この一点から四点まで、具体的に大臣が御答弁なさるなら一番けっこうだが、大臣でなければ起案者、当該責任者でもよいから、この四点について明らかにしてもらわなければならぬ。政令の本質、臨時措置法の本質、臨時措置法と政令との関係、これはこの法律に対して非常に重要な問題なんです。
  102. 松田英一

    ○松田政府委員 ただいまの御質問でございますが、最初に、今後二年間たったあとの計画はどういうふうになるのかという御質問でございます。私ども現在考えておりましたのは、三年後においても電話の需要状況は非常に詰まっている。従って、当然これに対して拡充計画というものをやっていかなければならないだろうと考えまして、お手元にも資料を届けたわけでございますが、それが具体的に資金の面からながめてどうなるかということにつきましては、今手元にその資料がございませんので、別にそういう御趣旨に従って考えるということにさせていただきたいと思います。
  103. 松井政吉

    ○松井委員 考えておるがきょうは資料がないというのですか、あらためて資料を整えてくるというのですか、それとも今から考えるというのですか、どっちですか。
  104. 松田英一

    ○松田政府委員 大体のいろいろな想定というものはやっておるわけでございますけれども、それを一体どういうふうにまとめるか、あるいは一応どういう数字に考えるかという点では、まだはっきりしたものができておりません。ないというわけでもありませんが、しかし確実にこれだというものがございません。大体そういう程度でございますが、ある程度の構想というものはもちろん持っておりますから、それはすぐお出ししたいと思います。  その次に、債券の償還の問題もやはりそれと同じことになると思いますので、その際に別に資料を出したいと思います。  それから政令についての考えでございますが、これは私、先ほどちょっと言葉が足りなかったかと思いますが、現在最高限を法律にうたっておりまして、それ以下でいろいろな種類の電話あるいは各級局別の額は、すでに政令できめられておるわけでございます。従いましてそのことは、現在の法律がそういうふうにやっておるものですから、そのまま延ばしていくだけのことであって、それをさらに今後変更するということは、最高限の範囲内において政令できめているものの変更でございますから、当然政令でやっていっていいだろうというふうに考えまして、もし必要が起れば適当な時期に五カ年計画というものと考え合せていろいろ議論になると思いますので、そういうときに種々議論が尽された結果、やはり政令でやる道はあるというふうに考えておる次第であります。  臨時措置法の性格につきましては、先ほど来負担金あるいは債券の負担というふうな性格につきまして議論がなされておったときのように、結局私どもとしては、この格好というものは本来の姿としては望ましくないのであるけれども、しかし現在の電話の需要が非常にたくさんあるという現状と、なかなか事業がそれに追いついていかないというふうな状況から、やむを得ずこういうふうにしてやっていくことも必要であろう、やむを得なかろうという工合に考えましてやっておるわけです。だからそういう考えは永久的に続くということで立法していくべきではないと思いますので、臨時的に措置をするという法律になっているのであります。
  105. 靱勉

    ○靱説明員 公社側からお答えすることだけお答えいたします。実は先ほどの御質問に対しまして、来年度の予算におきまして六億を見込んでおるという御答弁がありましたが、それは誤まりでございます。まだ七年になっておりません。それから一般公募の方は別としまして、十年ということで、まだ五年になっておりません。この法律はもう五年近くたつておりますけれども、二十八年から社債を募つて受益者の方に持っていただくということにいたしましたので、まだ五年たっておりませんから、来年度におきましてはそれを見込む必要はないのです。ただ公募債におきましては、一部マイナスを見込んでおります。それから公募債の性格は七年で、毎年翌年からすることになっておりますが、それからあとの負担金の返還は、ごらんに入れてありまする調書に出ておりまする通り、一億五千万円いただいております。  それからただいまの御質問の今後どうなるかという点でございますが、加入者に御負担願っております社債につきましては、これは借りかえとかなんとかは絶対にきくものではございませんので、これは返していただくということで計画をいたしておるわけでございます。公募債につきましては、あるいは一部借りかえという手もあるかと思います。また政府の方にお願いしまして、資金運用部資金でそれを借りていくというように、今後第二次五カ年計画の末期からさらに第三次にかけましては、政府の方にたよる点も非常に多いかと思いますが、もちろん建設費も技術の発達によって安くしていかなければなりませんし、要するに電話の利用というものがもっと安くできるように考えていかなければならぬ。そうしますと料金体系その他から考えまして、これをどういうふうに改正していくかということは、技術の進歩とにらみ合せますと、必ずしも今日的確な資料を出すことはできません。従って現状のまま推移するといたしまして、第二次五カ年計画の末からかりに外部に社債を仰ぐといたしますと、百億ではなくて二百億程度仰いでいかなければならぬだろう、こういうような計算になるのでありまして、それでは今後五年たってもなかなかいい状態にならないではないかというようなお考えに立たれるかと思いますが、その点につきましてはまさにそうでございますけれども、一方第二次五カ年計画におきましては、毎年十九万程度はぜひ加入者をつけていきたいというような考えに私ども立っておりますので、現在の負担金、社債を負担できない一般の装備をだんだんと拡張していかねばならぬ。そういう意味合いにおいて、一応五年ということですが、できれば、第二次五カ年計画の推移にかんがみまして、ある程度これを減額して、さらに他の分野におきましても金が入れるようにしていきたい。ともかく五年の見通しとしましてはやはり社債、負担金というものは残存する、こういうような見込みをせざるを得なかったのでございます。その点を申し上げておきます。
  106. 松井政吉

    ○松井委員 五カ年たって返還する六億が本年度の予算に載っておる、その中身を調べてお伺いしたい、こう思っておりましたけれども、今の説明で六億の返還が間違いであることが明らかになりましたから、きょうはおしまいにいたします。  ついでに一言、副総裁は、その段階になって外部資金が百億ではなくて二百億必要だ、こうおっしゃいましたが、これは負担金と加入者の受益者債券が百億であって、外部資金は百八十三億になっております。これはやはり現状は百億で、その段階になれば二百億必要だということは、ちょっと誤解じゃないかと思いますので、ちょっと指摘しておきます。
  107. 靱勉

    ○靱説明員 外部資金の言葉の使い方を間違いまして、一般公募の社債を申し上げたのでございます。
  108. 松前重義

    松前委員長 時間もだいぶ経過いたしましたので、本日はこの程度といたし、次会は来たる二十四日金曜午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十三分散会