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高村委員 防衛庁長官にお伺いしたいと思いましたことは、社会党の
委員諸君の
質問で大体了解いたしましたが、若干まだ残っていることがございますから、少し
お尋ねしたいと思います。
今回の
砂川の
事件は、われわれは非常に遺憾に存じます。法治国家としてこういった
事態が起きましたことは、将来の政治、
行政の上から
考えましても、その原因を十分究明して、再びこういうことの起きないようにしなければならぬと思うわけでございます。私は今回の
事件が起きました経過を冷静に
考えてみますと、そこにはいろいろな、
考え方の違った問題が錯綜しておりまして、ただいま社会党の
諸君の
お話を聞いておりましても、その間に非常な矛盾を感ずるわけであります。たとえば司法権で今裁判を行なっておるじゃないか、その間に
行政で
執行をするというようなことは、かえって不当だというようなお
考えがございますけれ
ども、これは逆に
考えれば、裁判が確定しなければこれを収用することもできないわけでございますから、従って、ただ
測量してくいを打つというだけなのでございますから、それくらいのことはがまんできないことはないはずである。むしろその収用ができるかできないかは後にきまるわけであります。それを大へんな人がたくさん集まって、われわれ聞いておりますと、そこには、これは政府としてもお
考えいただかなければならぬのでございますが、官公吏までその中に入っておる。それからまた、社会党の党員の
諸君も相当入っておられる。そういうようなことで、いろいろ入っておられますけれ
ども、そういった
考え方がなぜ起きたかと申しますと、私いろいろそういう
人たちの主張を聞いてみますというと、平和のためにやるんだという
一つの主張があるようでございます。土地を取り上げられることが地元民として深刻な問題であることは十分わかります。しかしながら、これがむしろ地元民が百名ばかりに対して、数千名の者がそこに動員されて来ておる。しかも
考え方の非常に違った人が一緒になって来ておるわけでございますが、その点で私
どもが問題として
国民に十分はっきりしなければならぬことは、今日軍事基地を
日本に認めることが、何かアメリカの強要に基いて仕方なしにやってるんだというような感じを、今回の
事件で与えようとしてるような空気がございます。この点は
先ほど来の大臣の御説明によって明瞭になりましたけれ
ども、そういった点についてやはり
国民に、これはやはり
日本の防衛上、今日の国際情勢のもとにおいて必要なんだという、こういう
気持が十分にわかるように、もう少し政府は平素からその点について
国民の了解と申しますか、理解を得るような努力をされなければならぬと思いますし、またこういった
事件が起きた機会でございますから、この点は今後とも十分に
一つ政府のその意図を
国民に、はっきりさせていただきたいと存ずるわけでございます。
それから今回のこの問題につきまして、過般の法務
委員会におきましても、社会党の猪俣
委員から、非常な誤まった前提のもとに発言がございました。と申しますのは、ただいまもある
委員の方からそろいった発言がございましたが、この基地が原水爆の基地になる、こういうことを言われるのです。私はこういった先入主に基くところの宣伝、こういうことが若い
学生たちをかつて、そういう所に持っていくんで、むしろそういった宣伝をした人に、今回の
事件を起した大きな
責任があるようにすら
考えるわけであります。そこで大臣はこの点も大体おっしゃいましたけれ
ども、原水爆の基地になるのではないという意図も、はっきりこの際していただきたいと思います。
さらに今回の
事件について私は
現地においても相当協調的な方もおありのように聞いております。政府としてはそういう地元の人に対しまして、納得のいくような努力を重ねられたと思うのでございますが、しかしこれらの点についての経過等を納得のいくように御説明をしていただければけっこうかと存じます。今回の
事件で私
ども非常に残念に思いますことは、やはり大臣もおっしゃったように、治安の維持ということ、法治国におきましては法の秩序が守られるということは、すべての前提でございまして、これが破れますれば、私はあらゆる問題がそこからくずれてくると思いますので、そういう
意味におきましてはまことに残念な
事件でございましたけれ
ども、今回のこの
事件を十分検討し究明し反省をいたしまして、将来再びこういうことの起らぬように、これは政府としても
考えていただく点があろうと思いますが、私は社会党の
諸君にもこの点は十分御反省をいただかねばならぬと思うのであります。そのことは
新聞等におきましても、各
新聞が筆をそろえてその反省を求めているわけでございまして、われわれ党派を越えてこういった問題について真剣に取っ組んで参らなければならぬと
考えます。
大臣に
お尋ねいたしたいことは、原爆基地になるのであるという非常な宣伝が行われておりますが、この点を明らかにしてもらう点と、政府がこれまで地元を納得させるためにおとりいただきました経過、なおこれに協調せられております人がどのくらいありますか、こういう点を明らかにしていただきたいと存じます。