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1956-05-31 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月三十一日(木曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中井徳次郎君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       灘尾 弘吉君    丹羽 兵助君       古井 喜實君    山崎  巖君       加賀田 進君    川村 継義君       坂本 泰良君    門司  亮君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         行政課長)   角田礼次郎君         総理府事務官         (自治庁行政部         振興課長)   宮沢  弘君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 五月三十日  委員赤路友藏君辞任につき、その補欠として坂  本泰良君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新市町村建設促進法案内閣提出第一三四号)  (参議院送付)  町村合併促進法の一部を改正する法律案北山  愛郎君外十名提出衆法第六三号)  地方公務員思想調査に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  北山愛郎君外十名提出にかかる町村合併促進法の一部を改正する法律案、及び政府提出にかかる新市町村建設促法案の両案を一括議題として、まず北山愛郎君外十名提出にかかる町村合併促進法の一部を改正する法律案について、提案者より提案理由説明を聴取いたします。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 今回提案されました町村合併促進法の一部を改正する法律案について、提案者を代表して、その趣旨説明いたします。  まづ本案内容について申し上げます。第一には町村合併促進法有効期間を四ヵ年とし、明年九月まで延長するものであります。第二点は、法第十五条による地方交付税法特例措置を五ヵ年から十ヵ年に延長し、また法第十七条による国有林野払下げ代金償還年限を、十五年から二十年に延長する等合併市町村に対する特例の配慮を拡大しようとするのであります。第三点は、町村合併に関する調査、諮問の機関として、自治庁国会議員等三十人以内より成る町村合併中央審議会を置いて町村合併の実績を検討し、適正な合併推進審議機関たらしめようとするものであります。  町村合併促進法施行以来二年余、町村数減少は五千三百余に及び、表面上その成果は順調に上っているように見えますが、果して法の目的とする町村規模適正化行政能率の向上、住民福祉の増進に寄与しているかどうか、疑いなきを得ないものがあります。全国至るところ町村合併に伴う、無数の深刻な紛争、混乱を生じ、建設計画実施は停滞し、減税の公約は裏切られ、赤字団体が続出し、住民不満失望を招き、再び分町村の運動が生じていることは、地方自治育成のため、無視することができません。その原因は、第一に政府町村数減少のみに重点を置き、無理な三ヵ年計画を立て、都道府県を督励して拙速主義合併指導を行なった結果、合併趣旨住民に浸透しないままに、いわゆる指導者合併となり、真の住民合併とならなかったこと。第二に都道府県合併計画が地勢、産業、交通、文化等地域生活圏に合致する市町村行政単位に関する合理的基準を欠いていたこと。第三に合併市町村建設計画策定によって住民に夢を与え、建設意欲を刺激しながら、他方建設実施を可能にする財政措置に冷淡で住民に大きな失望を与えたこと。第四に国の地方行政政策が当を得ないため、地方自治体全面的財政窮乏を招き、合併市町村の多くが建設よりも財政再建の窮境に追い込まれたこと等であるが、最も、よくないのは政府当局がこれら町村合併の現実を率直に認めず、独善的態度に終始している点であります。  この度、政府提案の新市町村建設促進法の骨子は、新市町村建設計画調整縮小と未合併町村の半強制的合併の強行であります。内閣総理大臣合併勧告を受けても合併しない町村には小規模町村であることにより行われる国の財政上の援助措置は行われないこともある旨おどかしの規定を設けているがごときは、地方自治本旨に違反するものと言わなければなりません。  町村合併に対して国民が抱いている不信と失望をそのままに放置して、千数百の未合併町村に対し合併を強要することは、今日、政府国会のとるべき態度ではないと信じます。われわれは、謙虚に国民の声に耳を傾け、町村合併実態検討し、市町村規模の合理的なものさしや、事務配分関係等を慎重に審査し、市町村の行くべき正しい道を発見することが最も必要であると思うのであります。従って、暫定的に町村合併促進法期限を一ヵ年延長し、その間に中央審議会の十分な審議の結果を待って、恒久対策を立てることがこの際適当であると考え本案提出したのであります。各位においても、町村合併実態に深く思いをいたされ、われわれの提案に御賛成を得たいと存ずるのであります。(拍手)
  4. 大矢省三

    大矢委員長 それでは次に、両案について質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。
  5. 川村継義

    川村(継)委員 自治庁の方にきょうは概括的な問題を二、三点お尋ねいたしておきたいと思います。  私たち社会党考えております町村合併問題については、ただいま北山委員から提案いたしております考え方で進みたいということでありますので、各委員の皆さんも御了解願えると思うのでありますが、政府案について、どうしてもお聞きしておきたいところがありますので、お尋ねするわけでありますが、政府提案の新市町村建設促進法案につきましては、これまでもわが党の委員からもいろいろ質疑がなされたのであります。あるいは一、二重複するようなところもあるかと思いますけれども、この際あらためて確かめておきたいのであります。  第一点は、新市町村建設促進法案提案理由等を見ましても、私たちにはどうして政府が今この法案提案しなければならないかという根拠がどうしてもまだはっきりしない。政府言葉を借りて申しますならば、これも行政部長あたりのお言葉にもあったと思うのでありますが、つまり今まで九千六百にも上る町村町村合併促進法によって四千三百町村ばかりになった。二千に近い新しい町村が生まれた。今やこの合併態勢は、町村合併促進から新市町村建設段階に入ったと考えるということが、主なる理由のようであります。ところがその言葉を吟味して考えて参りますと、町村合併促進から新市町村建設段階に入ったということでありますが、果してそうであろうかというような疑問が残るのであります。今まで実施されて参っております町村合併促進法が、ただ単に町村合併促進する、二つの村をくっつける、三つの村をくっつける、そういうねらいを持った法律ではなかったかと私は考える。言葉促進法という言葉が使ってありますけれども、適正なる市町村規模を確立して、合併と同時に新市町村建設に向って進ませるねらいが中心であったと思うのです。ところが今回提案されておりますお考えを聞いて参りますと、今までのやつはただ単なる合併への促進的措置であって、これからが新しく建設段階に入るのだというようなお考え提案されているように受け取れてなりません。私はそこに少し自分で考えております考え方と、政府提案されておりますお考えの中に隔たりがあるように思う。くどいようでございますけれども、今日まで町村合併促進という名前は使って進められて参りましたが、それはやはり新しい村作りであって、二ヵ町村なり三ヵ町村なりが合併したならば、新しい村作りに向って、すでに建設の歩みを進めておると解釈しなければならぬ。そうなりますと私といたしましても、今の促進法精神をよりよく生かすことが適宜な処置であると思う。今までの町村合併の跡を見ましても、いろいろ不平があるし、不満があるし、どうもその建設という意味に向っては確かに手落ちの点が多い。そういうところを考えていくと、何もこの際政府が取り急いで新市町村建設促進法というような新しい角度から取り上げていかれるのは、内容等考えてみて少し早いのではないかという考えがしてなりません。その辺の点をもう一つ明快に御説明願いたいと思うのです。
  6. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今、川村委員らいろいろお話がございましたが、町村合併促進目的は、今仰せられました通り必ずしも合併をすることにあるわけではないのでございまして、規模適正化することによって自治体の基盤を固めて、新市町村町作り村作り推進するということにあることは明瞭でございます。それから町村合併促進法におきましても、そういう趣旨のことは明らかにされております。また事実新しく生まれた数十の町村は、町作りのために鋭意力を尽していることも疑いのない事実でございます。従ってわれわれとしては、相当新しく生まれた町村建設を一そう推進促進することがわれわれの務めであると存じておるわけでございます。そこで町村合併促進法のままでも、もちろんそういう趣旨でございますので、ある程度の役割は期待できます。またむしろそこに書いてある措置が十分に政府で行われなかったといううらみがありまして、その点をさらに政府として責任を果すべきだという批判は当然成り立つと思います。合併促進にはさらに大きな目的があるわけでございますが、町村合併促進法は一応合併を直接の建前にいたしておりまして、規定全般におきましても合併ということが表面に出ていることはおおいがたい事実なのでございます。合併促進法は一応この九月に有効期限を終ることになっておりますが、このままで措置を打ち切るということは、実際の合併の状況から考えましても、合併後出てきました町村育成実態から考えましても、とうてい容認することはできないのでございます。それでございますから、何らかの立法的な措置をして、この問題を解決しなければならぬことだけは、何人も異論のないところだと思うのでございます。そこでそれに対する措置をいかにするかという問題になりますと、町村合併促進法基礎にして、その有効期限を延長することが一つ考え方であります。しかしながらい一つ考え方は、町村合併はなお残された非常に困難ないろいろな問題がありますけれども、すでに八割何分というものの合併を完了いたしておりまして、合併すべき町村の大半が合併が終りまして、新しい町作り村作りに努力いたしております。そういたしますと、全国大観して問題を考えれば、大きな合併の峠を半ば越しつつありまして、でき上った町村育成、助長することに政府として力を注ぐことが、むしろ基本的であるべきではないか。またそうすることが未合併町村というものの今後の合併を円滑に推進するゆえんではないか。このことは常に町村合併の話をする場合に聞かれる問題でございまして、促進法措置で新しくやるよりも、でき上った町村育成について、もっと政府が手を入れるべきではないか。そうすればいわずして問題が解決するという趣旨の発言もきわめて多いのでございます。それでございますから、そういう問題もいろいろ考えまして、この際新しく立法措置をする以上は、ただいたずらに合併促進法を延期するよりも、むしろ新市町村育成建設というものを強化、推進していく、そういう基本的な目標、理想を掲げまして、それに必要な立法並びに行財政上の措置を加えていくことを進めることの方がより適切ではないか。これは現に関係町村長会町村議会方面ばかりではなく、市町村全般を通ずる強い要望でございまして、この強い要望にこたえて、われわれといたしましては、むしろ新市町村建設促進することを主体にいたしまして、その主体にいたしました場合に、従前の町村合併促進法でもいろいろ考えられておりましたそうした点は、もちろんことごとくこれを摂取吸収いたしまして、なおそこでいろいろ不十分な点があったと認められるものを、この際できるだけ解決するためにもまた所要の措置を講じまして、その建設促進して参りたい、こういう結論に達したのでございます。しかしそれ以外にも、残された合併につきましても今後の推進考える必要もあります。さらには、合併はしたけれども、いろいろ分村その他の問題につきましても論議のあるところが多いのでございまして、そういうような紛争も合理的に解決する合理的な方法を検討する必要がある。そういう意味紛争に対する合理的な解決の手段というものを、ここにあわせ考えることにしてこの新しい法律提案することにいたしたのでございます。これにつきましては、この前の国会参議院の方でもそういう趣旨の院の議決もございましたが、そういうこともわれわれといたしましては尊重いたしまして、この法案を立案することにいたした次第でございます。合併促進ほんとう精神ほんとうに実現するためにふさわしい装いを名実ともに盛らなくちゃいかぬ、こういう考え方でこの法案ができておることでございます。
  7. 川村継義

    川村(継)委員 いろいろ今御説明いただきましたのに付随して、条章的に、項目的法案内容につきましても、あとでまたお聞きしなければならぬと思いますけれども、先ほど申し上げましたように大ざっぱなことを初めにお聞きしたいと思います。  今行政部長から説明いただいたことはもちろん了解できます。ところが、わが党の北山委員やらあるいは中井委員あたりからも先日いろいろ指摘されましたように、内容そのものについて果して今行政部長説明されたような法案としてこれが生きてくるかということになると、やはりそこにこの法案精神から考えて、どうも疑問が残らざるを得ないのであります。今お話のように、今度の法案全体を見て参りましても、国や都道府県としても合併いたしました新市町村に対して、相当強力な援助措置を行う、あるいは協力援助をしたいというようなことを盛り込んでありますけれども、この法案に盛り込んでありますようなそういういろいろな事柄は、どうも促進法を見ましてもやはり同じようなことが盛り込まれておった。ところがなかなかそれがうまく実現できませんで、大方の合併市町村が非常に落胆をしておる、あるいは不満の声があるということはいなめない事実だと思います。われわれの住居いたしております郷土にも、いろいろな町村合併をいたしましたけれども、どれ一つとして満足な声を発しておるところがない。これは私が申し上げるまでもございません、結局促進法によって当然措置されなければならない一切の国や県の援助というものが台なしになったというようなことが、大きな起因ではないか。合併に当っていろいろ建設計画を作ってそして県や国に対して承認を受けて、あるいは合併いたしました町村発展のためにいろいろな建設的な計画は作ったけれども、何一つといたしまして今日に実現されていないというようなことが、やはりその大きな原因ではないかと思うのです、ただ単に九月三十日で促進法が切れるからという理由だけでは、新しい法律を作っても結局有名無実のものに堕するおそれがあるのじゃないか。新しい法律を作るにいたしましても、やはりそういうような過去の一切の町村合併あるいは合併町村にこれらの検討を加えて、ほんとうに国としてあるいは都道府県として、合併町村がある緯度の満足のいく援助措置が強力に行われなければ、同じようなことを繰り返すのじゃないかということなど、われわれとしては心配させられるわけです。  この提案理由説明の中にも、「新市町村建設基本となるべき事項を明らかにする」というような言葉が述べられております。これももう少し明快に御説明願いたいと思いますが、「新市町村建設基本となるべき事項を明らかにする」ということは、一体どういうことであるか。たとえば法案の条章に書いてあるように、何々せねばならないとか、これこれやらねばならないとかいう言葉で結んでいる、そういう表わし方が基本を明らかにしているのであるか。そういうことについて自治庁としてのお考えを詳しく御説明願いたいと思うのです。法文の中を見て参りましても、新市町村建設基本という条項で、三条四条にわたって、今申し上げましたように、ずっと言葉を並らべて、「能力に応じてその建設計画的かつ効果的に進めなければならない。」「建設に努めなければならない。」「建設に当らなければならない。」というように、ちょうど教育基本法みたいな教え、さとすような言葉で条文を結んであります。こういう条項を味わってみても、今の政府自治庁考えておられる新市町村建設基本となるべき事項とは、一体何であるかどうもはっきりつかめない気持がいたします。その点を先の御説明とあわせて一つ説明いただきたいと思います。
  8. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今お話の問題でございますが、もちろん新市町村建設促進法だけを作ったからといって、直ちにどうこうなる問題ばかりじゃないのでございますけれども、仰せの通り建設促進していくためには、国と県との行財政上の措置が不十分だということが合併町村における最大の声でございます。ただ、政府といたしましても、従来の措置が必ずしも十全のものでないということは重々認めております。国全体の財政上の制約はございますが、その制約の範囲内において最大限の措置をする必要があるのでございます。そこで、新市村建設促進法案を作りました際におきましても、不十分のそしりは免れないかもしれませんけれども、本年度の予算におきまして、この新しい法律の成立を予想いたしまして、それを前提にして不十分ながらもいろいろな合併関係経費を組んでおるわけでございます。いつも申し上げます通り、新市町村仕事というものは自治庁だけの問題ではないのでありまして、いわば内政全般をおおっておる仕事でございまして、各種の建設事業をやっていくためには、それぞれの各主管官庁における活動が、市町村育成という一点に集中統合されるということが必要でございます。そこでこの予算といたしましても、各省事業費の上においてそれぞれ考えられる必要があるし、またその使い方の上において考えられる必要があるわけでございます。そのために従来の立法だけでは不十分な面もありまして、この新しい法律基礎にいたしまして、たとえば学校の統合経費とかあるいは郵便局統合経費とか、電信電話局統合経費等につきましても、各省のできるだけの協力を願って参った次第でございます。その点を御了承願いたいのでございまして、この予算がこの法律前提にして組まれておる、経費も必ずしも少いわけでもないということを御了承願いたいのでございます。それからこの提案理由におきまして、新市町村建設経営基本となる事項について書いたと申しておりますが、今御指摘のように第一章の総則の三条四条におきまして、「新市町村建設基本」という見出しのもとに、新しい市町村経営建設基本的な考え方を書いてございます。このうちの四条に書いてありますことは、実は町村合併促進法にもこれと同じ趣旨規定があったのでございまして、町村合併促進法では、たしか二十六条かに「新町村建設計画実施」という名前のもとに、関係団体が相協力をして一体的な意識を持って建設に当るべき趣旨を、実は書いてあったのでございます。しかしながらそれだけではむしろ新市町村経営建設土台になる基本的な意識がはっきりしないので、特に三条を設けまして、新市町村というものはあくまでも基礎的な地方公共団体として十分の機能を発揮させる。そして住民福祉を顕現実現するというところにほんとうの使命があるのでございまして、それがためにはあくまでも統合された、広域化された新市町村の特質というものを基礎にいたしまして、その土地の地域的な特性というものを基礎にして建設を総合的に、計画的に考える必要があるのじゃないか。そういう意味で新市町村建設計画というものも、やはり場合によっては再検討をしてみる必要もあるのでございます。いずれにしろこれは地域団体でございますから、地域団体経営というものはその地域の持つ自然的あるいは経済的、文化的等特性基礎にして総合的、計画的に進めらるべきことは申し上げるまでもないのでございまして、特に新しい町が生れて新して経営建設をやっていこうというときには、もう一ぺんその地盤というものを振り返ってみて、そして総合的な計画を立てて仕事をやっていく必要がある。そのことをまず考えたわけでございます。しかしながらその仕事をやっていくためには、あくまでも市町村としての一体性と申しますか、一つという意識が根本でございまして、そういう意識を確立するために必要な計画考えぬといかぬし、仕事考えぬといかぬし、仕組みを考えぬといかぬ。それとともにその仕事を実現していくためには、あくまでも自治体自体の内部の組織、運営というものを合理化して、市町村みずからが新しい建設をやっていくという意識のもとに、その態勢を固めて、まず自主的な意識と気魄でもって建設を進めていくということを基本としなくてはならぬのであります。これは自治体である限りは当然の話でございまして、そうした自治体自体の自主的な合理的な建設意欲建設態勢というものを土台にして、国も府県もあらゆる限りの協力援助を惜しまない、そうして中央地方一体となって市町村の合理的な経営発展考えることによって、ほんとう市町村住民福祉が実現する、施設経営ができる、こういうふうに述べられるわけであります。そうした市町村基本的な考え方にのっとつて、市町村がそれぞれの経営計画というものを具体化されることを期待いたしたいのでございます。
  9. 川村継義

    川村(継)委員 お考えの方向はよく了解できます。ただ基本を明らかにするなどと申しましても、これは地方自治体自治本旨から考えましても、また促進法の第一条等の趣旨らいたしましても、今さらそれを云々する必要はなくて、当然明らかなことであったと私は考えるわけです。今そのような考えに立って新しくこの法案をもって出発しようということは、変な言い方なんですけれども、今日までの町村合併推進に当っては、結局そういうことがなおざりにされておった、考え方が十分でなかった、そういう考え方に立って進められてこなかったというようなことが出てくるのではないか、こういうことに思われるわけです。     〔委員長退席中井委員長代理着席〕 そこでこれは一つの例なのでありますが、先ほども申し上げましたように第三章等で、いろいろ国援助あるいは都道府県援助等をうたってあります。しかしこの裏づけとなる確たる予算等がはっきりしておらなければ、促進法の場合の合併町村等不平不満を抱かせるような結果に陥るのではないかというようなことなどを心配するわけです。その中で一つの例を申し上げますと、税金の問題で市町村住民一つの誤解があるわけなんです。固定資産税の中の農地等に関する課税評価問題等で、これは何も町村合併をしたから云々でなくて、たまたま町村合併の進められておるときにそういう問題が出てきて、非常に合併に対して地方住民不満を爆発させておるという事実もありますので、そういう点もやはり考えてもらわねばならぬのではないかと、今でも思っておるわけです。昨年の二十二国会のときであったと思うのですが、農地の、特に水田等に関する評価額というようなものは、たしか全国平均で三万五千六百円程度じゃなかったかと思います。ところが、それが私たち合併いたしました町村でちょっと申し上げますと、三ヵ町村合併いたしましたが、一つの中心になっております町の平均の——これは何段階かあるわけですが、町の平均の反当りの評価額全国平均をはるかに上回って四万五千九百八十二円と出ております。それから海岸寄りの、これは潮害を受けたり、ちょっと水が出ますと、たんぼがつかってしまうというような土地もたくさんあるわけですが、そんな土地でも三万八千二百三十二円という評価になっております。それからもう一つの村では、反当りが五万三千七百六十六円という平均が出されております。全国平均は後藤財政部長の説明では三万五千六百円程度じゃなかったかと思いますが、このような農地に対する固定資産の評価額が出てきておるのであります。隣の合併してない町村評価額は、だれが見ても一番上等な条件を持っておる地域でありますが、そこがかえって低い。合併したがためにこういう形をとらざるを得なかったというところもあるようであります。そうなりますと、これは何も町村合併の問題ではありませんけれども、住民の間から町村合併によってこういう数字が出てきた、税金が高くなった、そのほかいろいろ税金関係で相当の不満があって、結局分村騒ぎまで起ってきた、あるいは町村合併に対する非常なる不平が爆発してくるという一つの例があるわけです。そこで、このような例もありますけれども、結局私が先ほど申し上げましたように、町村合併をするときには、必要な建設計画を立てまして、そして知事の承認を得る、いろいろ理想的なといいますか、自分の町村の力に応じ得る計画を立てて出しておりますけれども、ほとんどそれができておりませんで、新しく生まれました町は、申しわけ的に道路に砂利を敷いてみたりするくらいで、建設計画をみな濁してしまっておる。そういうところに非常に今日の合併に対する問題が残されております、私はそう考えております。  そこで新しいこの法案がかりに通過いたしましても、そういう点がやはり大きな問題となって出てくるでありましょうし、国や県の援助の強化といっても、援助措置といっても、ただ単に法文に盛られたからといって、決して実効が上るものではない。そこでわわれれといたしましては、あとでも出て参りますように、合併しない町村には、たとえば国の補助は出さないとかいうようなこと、あるいは強制的に合併させるとかいうことで、かえって地方自治体本旨をゆがめたり、あるいは混乱を生ぜしめることは、いかがなものであるかというようなことを考えざるを得ないわけです。従って今の促進法が九月で切れるというならば、そういう点の反省、検討に立ってこれを一年延期するなど、そのような国の打つべき手を十分打つということが先決であるのじゃないかということを考えるわけですが、その点についてどのような御意見であるか、お聞かせおき願いたいのであります。
  10. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の仰せの点でございますが、この固定資産税の問題がいろいろ問題になっておることは、この前の委員会でも中井委員がおっしゃいましたところでございまして、その評価の問題が合併と結びつけられているい誤解を受けておる、これはわれわれ自身も中井委員からもおしかりを受けましたが、十分な啓蒙宣伝というか、広報活動において欠るけところがあったのでありまして、これは一そう今後注意いたしたいと考えておる次第でございます。  それと、もう一つ税の問題で問題になっておりますのは、つまり税率が合併関係町村によって違っておる場合でございまして、税負担に急激な変化を来たしたくないというところは不均一の課税をやっております、こういうところはそのままの姿でございますが、そうでないところは、なるべく一つになったら統一した方がいいのでございまして、統一しておるところはたいていの場合は中間をとっておる。税額全体にあまり影響のないようにして税率をきめておりますから、そういうところでは、郡部の、まわりの町村が税率の低かったところはおそらくはかえって下っております。そういうところも実はあるのでございまして、私は合併によって税金が特に高くなったということは、下ることはあり得ても直接上るというようなことは、通常事例が少いと思っております。  これは別問題といたしまして、この新市町村建設促進法をわれわれが考えましたのは、結局現在のいろいろな国の財政上の措置というものは、やはり立法的な裏づけがなければなかなかやれない。昔は単に予算措置ということでいろいろなことをやっておりますけれども、現在の法治制度の考え方のもとにおきましては、そういうものにつきましても立法的な裏づけをした方が、財政上の措置というものも国の財政の建前からいってもやりやすいし、またやるのが常道だというのが一般の考え方になっておるわけでございます。そういう意味におきましても、従来の合併促進法のそれぞれ必要な措置をなお一そう講じなればならないし、そういう趣旨規定はもちろん全部こっちに引き継いだのでありますが、それだけではなお不十分だ、これ以上進んでやるためには、それはやはり何らか法的措置が要る、こういう考え方が現にあるのでございまして、そこでそういうものを全部今度取り入れて書こうじゃないか。たとえば小中学校の統合経費とか、郵便局統合経費とか、電電公社についての統合経費などにつきましても、そういう意味では積極的な規定を実は入れたわけでございます。こういう規定が入ったがために、それぞれ国におきましてもこれを見越して財政上の措置をある程度やることにいたしたわけでございます。それは先ほど申しました通り、その金額は決して十分とは私も申せません。しかしながらこういう立法をやることによってそれがある程度可能になり、さらに将来それがなお充実されていく可能性と申しますか、道がより合理的に開かれる。そこのところが非常に意味のあることでございまして、単に合併促進法をそのまま延期することによっては、直ちにそういう効果の期待できない面があることを、一つ御了承願いたいと思うのでございます。  それからなおそれに関連いたしまして、それはこの前北山委員もいろいろお尋ねになった問題でごごいますが、自治庁といたしましても、この間の資料では、二十九年度の実施計画についての資料しか正確なものは求めておりませんのですが、起債だけの問題ならば自治庁調査が可能なのでございまして、それは概算でありますから、正確な数字とは申しませんが、ある程度合併関係の三十年度のものを急遽取りまとめたものができたのでございます。それを見ますと、建設計画全体としては三百十九億になっておりますが、そのうち起債が現実に認められましたものが百六十八億という数字でございまして、これはパーセンテージにしますと五三%、二十九年度のときは四七%という数字でございましたが、これ以上に、五三%に上昇しております。これでもなお半分じゃないかという御批判は、これは当然あろうと思いますが、ともかも国の許す限度において、できるだけ新市町村に力を注いでおるということを御了承願いたいのであります。この起債から逆に測定いたしますと、事業費全体の面においては、ほんとうの概算ですが、八百億あまりの建設計画に対して大体四百九十八億、そういう程度の仕事が三十年度においてでき上っておるのではないだろうか。これは推測でございますが、そういう数字もとりあえず出すことができたわけでございます。こういうわけで、それぞれ各省も新市町村育成強化の必要性は十三分に考えておるのでございまして、できるだけの限度におきましては、みな協力をいたしましております。その協力をさらに積極的に進めさせたい、それがこの法律を作った念願でございます。その点もこの前もちょっと申し上げましたが、従来町村会あたりでは、従来の合併促進法は議員立法だから、自治庁は別として、各省はあまり協力せぬのじゃないかという——そんなばかなことはもちろんないのでございますが、議員立法であろうが政府立法であろうか、その点は同じでありますが、ぜひ政府提案で新市町村建設促進法を作ってもらいたいという意見もありまして、それは町村側の要求ももっともだろうというので、この法律を作ったときは政府提案といたしまして、関係各省とも十分なる話し合いをつけ、各省の希望によって入れた規定もずいぶんあるのであります。各省もこの法律基礎にしてできるだけそれぞれの仕事を伸ばしたいという、ほんとうの話を申しますと、そういう気持もございまして、そういう部分も入れて、この法律は作ったのでございまして、これを作ることによりまして、より一そう各省協力も期待できれば、国全体としての財政上の措置に歩を進めるということが期待できると思うのであります。
  11. 川村継義

    川村(継)委員 お話予算措置をするには、立法措置がなければならない。それは当然だと思います。今説明の中にありましたように、促進法でやってみて工合が悪かった。そこで一歩前進するために、新しい建設法の中に盛り込んだという点で、小学校のことや、あるいは電電公社のことがありました。促進法でどうしても工合が悪いので、今度の建設促進法で国の措置あるいは県の措置として取り上げたという点が条章の中にありましたら、その辺何も具体的例でなくてよろしゅうございますから、どれとどれがそうなったんだ、たとえば小学校または中学校の校舎の新築ということとか、そういう一つの例示をしていただきたいことが一つ。  それからこの建設促進法案の成立については市町村長あたりも相当望んでおられるというようなことがありましたが、それはそうだと思います。ねぜかというと、今の市町村長さんたちは大部分が昨年改選なさった方が多いのです。促進法ができまして合併をした。ところが先ほども出ておりますように、いろいろの喜ばしい建設計画は作って出したけれども、全然それがうまくいっていない。新しく就任された市町村長さんたちが、その市町村の行政をなさるときに、常にそれらが問題になってくる。ところが県やあるいは自治庁の承認を受けている建設計画では、もうにっちもさっちもいかないので、結局そういうものを一応たな上げをして、新しい角度から出発しなければならないというお気持が多分あるのじゃないかと私は思う。そういうのか、あるいはこの法案の中に新市町村建設計画の調整というようなことで、結局今までの建設計画というものを一応調整させて、あるいは幅を広げるということはおそらくなくて、それを縮小したような意味において推進させていこうというねらいが出てきているのじゃないか、こういうことに考えられるのです。  そこで、調整するというようなお考えは、当初合併町村が作った建設計画をあくまでも中心として、それを推進するように進めていくのか、それに対する国や県の援助措置考えてやるのか、しかしそれはもうだめだから、新しい立場に立って、結局審議会等を作るようでありますけれども、そういう審議会等の意見を聞いて、新しい立場で合併した町村はさらに計画を立ててやっていけということになるのか、そこのところを御説明おき願いたいと思います。
  12. 小林與三次

    小林(與)政府委員 新市町村建設計画の調整という言葉が、われわれの言い方も悪かったせいもありましょうが、いろいろ誤解を招いておる点があろうと思うのでございます。これは第五条にもはっきりと書いてございますが、新市町村建設計画の調整というのは、「新市町村建設計画実施のための年度別計画の変更又は作成をいう。」こういうのがこの法律趣旨でございます。われわれといたしましては、合併前にそれぞれの合併関係町村が協議によりまして、新しい町作り村作りの理想として描き出したものは、あくまでも土台であり、基本であります。あくまでもそれを実現していくのが、合併精神であることは、もう一点の疑いがないと思います。  ただ、しかしながら、そうしたものが、要するに合併前五つの村なら五つの村で、ばらばらで考えておったそれぞれの計画も、一つになって、一つ意識考えてみれば、実施段階においてなお調整を考える余地があるのでございます。たとえば支所、出張所の場合を取り上げましても、支所、出張所の問題は、旧役場からいえば、そのまま残った方がいいかもしれませんが、新しく一つになったならば、中心の役場を中心にして、あとはどうしても要るところは駐在員なり、あるいは部落電話なり、放送施設なり、あるいは機動力を利用するなりして、一つ考え方が成り立つのであります。そのためには中心の役場を十分に充実することは必要でありましょうが、そうしたところでやはり考えてみる必要がある。それから学校にいたしましても、それぞれの旧町村ではばらばらで、いずれも老朽に入った学校を建て直したいという気持は当然で、それがみな計画に出ておる場合があるのでございます。しかしながら一つになって考えてみると、小学校は通う関係もあるから別問題といたしまして、中学校ぐらいになれば、むしろ施設も整備した、教員も整った中学校らしい中学校をきちんと作ったらどうだ、こういう考え方も当然に出てくるのでございまして、そういう場合は、やはり一つになってみなければその気にもならぬし、そういう計画も具体化しない場合がしばしばあるのでございます。そういうことで、一つになった意識でその実施段階を、もう一ぺん考えてみる必要があり得る。これは全部が全部必要だと申しません。初めからの通りでいい計画だということもありましようし、そうでないこともあり得るのでございまして、そういう場合には必要な実施上の調整というものは、私は考えられてしかるべきものだと思うのでございます。それがそもそも従来の協議による建設計画実施するための、最も合理的な方途だろうと思うのでございます。それでございますから、何か建設計画を作っておいたやつをみなこれで押しつぶしてしまうのだ、縮小するのだ、餌でつっておきながら、合併してしまったら、あれはやらぬぞという式の誤解があります。これは全然そういう趣旨ではないわけでございます。それぞれの建設計画ほんとうに合理的にやっていくために、確実な実施計画を編成して、その確実な、合理的な実施計画基礎にして、国も府県も十分に協力してやっていこうというのが、この趣旨なのでございます。  それから、ちょっと落しましたが、前の促進法と違った規定を入れましたのは、第十一条は委員会でいつもおしかりを受ける規定でございますが、これは別問題といたしまして、十二条の規定が新しいのであります。支所、出張所の統廃合に伴う通信連絡施設の整備、それから小中学校の統廃合のための経費、それからまたそれに伴う必要な道路とかあるいはスクール・バスとか、そういうものを運転する経費とか、これは全然新しい経費でございます。それから十三条に至りますと、これは小さい話でございますが、公営住宅の整備などというのは、建設省の希望で特に入った問題でございます。それから郵便局、電話局統廃合の——十四条でございますか、行政区域の規定一つございます。それから十六条は公共企業体の電電公社電話局等統廃合の規定でございまして、計画的に統廃合を推進していくこの規定なども、郵政省の強い要望もあって入れたのでございます。学校の統廃合の問題は、文部省も強く要望しておりますし、現にこのためにもっと強い立法を作ったらどうだという要望も、これは皆さんのお手元にもきっと企てられていることがあるのではないかと思っております。これだけではまだ不十分ではないかというくらいの強い意見も、新市町村の中にはあるわけでございます。  それからなお入れましたのは、地方交付税法特例でございます。二十三条です。二十三条地方交付税法特例は、ごらん願いますとわかりますが、新市町村については、合併に伴う新しい行政需要というものが当然にありまして、それに必要な財政需要というものを考えていく必要がある。そこで地方交付税法特例を設けまして、合併補正と申しましょうか、補正というものを考えて、交付税というものの配分を考えたい。これが二十三条でございます。  それから二十五条の国有林野法の特例でございまして、この償還期間を十五年を二十年にするというのは、社会党から提案さ回ました案においても考えられておりますが、それだけでは足らないのでございまして、問題はこの二十五条の七項以下の規定が、これまた非常に重要な意味を持っているのでございます。と申しますのは、これも前に委員会で一度申したと思いますが、林野の問題は新市町村に新しく払い下げが少い、その払い下げを促進するという問題と、払い下げてもそれをやつていけるような、払い下げ条件を緩和する問題と、さらにもう一つは、国有林野整備臨時措置法によりまして、従来町村が国有林の払い下げを受けたのが、たしか十万町歩をこしている広大な面積に及んでおるものがあるのでございます。その払い下げを受けた国有林につきまして、その後木材需給の事情が変りまして、その償還条件が非常に短かくて、大てい短かいのは五年くらいで償還することになっております。その利子も六分五厘という非常に高いものです。それで返すのに町村が非常に苦労をいたしておるのであります。何か条件を緩和する道がないか。そうして町村は大てい合併いたしておりますから、新町村でもあるわけであります。そこで、これはもっともでございまして、なお積極的に払い下げを受ける問題とともに、従来の払い下げを受けた林野の払い下げ代金の合理的な償還の道というものも考えてやる必要があるわけでありまして、そこで新しく条件を緩和するとともに、その緩和した規定をみんなさかのぼって適用させよう、こういうので、林野庁に特別にお話をいたしまして、それは約束したのだから、今さら変えられはしないじゃないかという理屈もいろいろあったのでございますが、これも八項でございますか、規定を入れまして、遡及させることにいたしたのでございます。こういう規定も新市町村にとりましては、実質上非常に要望されておりまして、喜ばれておる規定なのであります。大体合併関係で積極的に入れたような規定の概略は、以上申し上げたような次第であります。
  13. 川村継義

    川村(継)委員 大へん詳しく説明をいただきましたが、ついでに今の問題につきまして、ちょっとここでお聞きしておきたいと思いますのは、合併促進法には農地法の特例があったと私は思うのですが、今度の新しい建設促進法の中には、それが見当らないようですが、それが必要ないということになりますと、その理由はどこにあるのか、御説明願いたい。
  14. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはごもっともな御疑念でございますが、合併促進法の二十条の農地法の特例は、促進法の適用があれば、この農地法の適用期間だけは、促進法がなくなりましても、これは附則でございましたか、その町村合併については、そのとき以後もなおその効力を有するということになっておりまして、無限に——二十条に時間的な制限がありませんので、無限じゃありませんが、合併した者とその者の一般承継人につきましては、時期のいかんを問わず効力があることに、現行法ではなっているわけであります。それだから、これは九月に特別の立法措置をするまでもなく、その者及び一般承継人についてはこの特例が働くのでございます。そこでこの規定立法的に要らない、特に入れるまでもない、こういう結論に達したのでございます。  なおこの際申し上げますが、実はこれにつきましては、根本的にこの二十条の規定だけではわれわれは実は不十分だと考えているのです。「その者又はその者の一般承継人」とある、その一般承継人という意味が、その次の一代限りということになっているのであります。一般承継人は無限に続くのでなしに、その次の時代だけということに実はなっておりまして、これはわれわれといたしましては、むしろもっと根本的に延ばすべきじゃないかというのが考え方でありまして、これは農林省ともいろいろ折衝したのでございますが、今日の段階で話し合いがつかなかったということは、農地制度というものの根本にも触れる面もありますので、とりあえずこのままで行こうじゃないか、その者一代が入るんだから、ここ五年、六年の問題じゃない、なおそれは根本的に将来検討しようということで、その問題を将来に残したという点はございます。これは今度の改正と関係がないのでございますが、一応この問題点は将来問題になり得るので、御考慮をわずらわしておきたいと思うのでございます。
  15. 川村継義

    川村(継)委員 今度新しい法律ができますね。これによって未合併町村が九月なら九月に合併したとします。あるいは九月で期限が切れますから、この新しい法律によって今年の十一月なら十一月に合併いたしますね。そうするとこの農地法の特例を適用しなければならぬ事態も起るかもしれない。そのときはどうなりますか。
  16. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは私今申し上げるのを忘れましたが、九月以降の合併の問題につきましては、二十七条の十二項、これは分村の場合の規定でしかありませんが、二十七条の十二項にこの規定を準用するという規定がございます。それからなおそれに関連して、二十八条の四項、それから二十九条の規定に基く場合は七項、いずれもこの法律でやる場合もやれるように措置してございます。     〔中井委員長代理退席、委員長着席〕
  17. 川村継義

    川村(継)委員 まだいろいろこまかなところでわからないところはお聞きするときがあると思いますが、最後に分村等の問題でありますが、これについて一つお聞きしておきたいと思います。それは主として市町村の境界変更に関するあっせん、調停の問題に関する事項でございますがいわゆる分村問題が起ることもあるだろうし、現在そういう問題で非常に紛争が激しくなっているところもある。ところが今度の新しい法律でその適用を考えてみると、町村合併をした、ところがさっき私からも申し上げましたような税金問題とか、その他いろいろの問題で分村騒ぎを起している。そういう立場から考えますと、この法律ができるとなると、その合併町村は、もう絶対あの分村は認めない、こういう立場に立っているところもあるでしょう。そうなると、今町村は、その一部落なら一部落の分村は認めない、これは認める何らの理由がない、こういう立場に立っているのに、この法律適用によってその分村の騒ぎをさらに油をかけてやるということにもなるのではないか。一面から考えると、分村問題はやはり住民の意思を中心にして考えるべき問題でありましょうから、この分村問題を円満に解決してやるということはいいことであります。そのところに相矛盾したところの問題がかもし出してきているわけですね。それを法適用によって一体正しくさばけるかというと、やはり疑問が残って参ります。これは非常に実例もありますので、また次の機会実に例等をもって御説明願いたいと思いますが、その問題についてこの法の見解を御説明おき願いたいと思います。
  18. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはごもっともでございまして、これにつきまして、今川村委員のおっしゃいました通り、二つの考え方がございまして、もう合併をしたのだから、あとはそのままほったらいいじゃないかという考え方一つと、しかしながらやはり合併の際にもいろいろ条件がございまして、ともかくも一応合併するが、その後部落民の意向によっては考え直した方がいいじゃないかというような条件つきのものも相当あるのでございます。それからまた地域的な実情から考えまして、やはりこれだけの広範な合併をやるのでございますから、端の方は他の町村に行った方が、客観的にも合理的だと思われるものも、これは一部あるのでございます。そこでこの始末を立法的にどうするか、現実の問題といたしましては、この分村をめぐる問題が全国的に相当深刻な事態を呈しておるのでありまして、これは何としてでも何らかの形で解決する方法を考えざるを得ないと思うのでございます。それで現行法の町村合併促進法におきましても、この分村についての知事の勧告規定と、勧告からさらに投票に発展するという規定が実はございます。それでございますから、これは促進法をそのまま延期しても、同じ形でその規定が延びるのでございますが、私はやはり分村の問題はいつまでも尾を引くということは、必ずしも適当じゃないと思うのでございます。そのかわりに、どうしても無理のないものは、なるべく早い機会にできるものならば調整をしておいた方がいいのじゃないかというのが、基本的な考えなのであります。そこで第二十七条におきましては、その趣旨をもちまして、それが直ちにすぐ勧告だ、すぐ投票だというのも、こういう問題のさばきをつけるのには、必ずしも適当じゃないのでございまして、むしろ関係部落民なり関係町村の間において十分協議、あっせんをするということが必要でございまして、そうすることによってお互いに話し合いがつく事例も少くない。そこでそれを単に現在のように地元にばかりまかしておいてもいかぬので、その紛争を合理的に解決をする何らかの方法を考えた方がいいのじゃないか。その方が現行法ではやはり不備でございまして、そこを考えたい、そういう意味で、この二十七条はあっせん、調停の規定を入れたのでございます。そんならこのあっせん、調停によって問題が全部解決するかと言われますと、それは私は百パーセント解決するとも言い切れません。しかしながら、最後にはそれは住民の総意できめるんだという住民投票というものを基礎にいたしまして、そのどこにも偏せない中立的な公平無私のあっせん、調停機関ができまして、そこで話し合いを進めましたならば、私は話し合いがつく部面も相当多かろうと思うのでございます。そこでそういう制度をとって、合理的に問題を処理したいというふうに考えておるわけであります。しかもそれも先ほど申しました通りいついつまでもずるずるやっておっては、これはかえって紛争を長引かせる。そこでこの期間が適当かどうかという議論はありましょうが、一応三十二年三月三十一日まで、六ヵ月でございますが、大体争いのあるところは従来からずっと争いがあるわけでございますから、大よそ問題はわかっておるだろうと思うのであります。そこで一応これまでの機関にあっせんを行わせるなり、調停に付するなり、一つの手を講じまして、そして一応の打ち切りをやりたい。そのあとは普通の自治法に基く境界変更の手続で、それぞれ自主的に話がつくものは自主的につかせるが、とにかく合併に伴うものはこの限度で一応のめどをつけさせた方が一番いいんじゃないか、こういう趣旨で二十七条の規定が設けられているのでございまして、これは今日の分村をめぐる分村争いについての一つの有力な解決手段になるものと信じているのでございます。
  19. 川村継義

    川村(継)委員 またあとで他の委員からもいろいろ質疑があると思いますので、私はこの辺で終りたいと思いますが、政府案に対する大へんけっこうな御答弁だけいただきまして、こまかな問題もまたあとでお聞きしたいと思いますが、後日時間がありましたらまた伺うことにいたしまして、今日はこれだけにしておきます。     —————————————
  20. 大矢省三

    大矢委員長 この際お諮りいたします。先刻川崎末五郎君より、地方公務員に関する問題について質疑をいたしたいとの申し出があり、鈴木次長の出席があるまで保留されておりましたので、両案に対する質疑は一時中止して、同君の質疑を許すことにいたしたいと存じますが、よろしゅうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければさよう決定いたします。同君の質疑を許します。川崎末五郎君。
  22. 川崎末五郎

    ○川崎(末)委員 私はただいま委員長から許可を得まして、この際地方自治、ことに地方公務員のことにつきまして、簡単に自治庁当局の御所見を伺、いたいと存ずるのでございます。  地方自治の円満な進展をはかるためには、自治体理事者あるいは議会の議員、また一面この自治行政を管掌し、また指導し、相談役となっております地方府県の関係職員との間に常に円満に意思が疎通し、感情が融和しているということが、これまた必要なことと思うのでございます。かような意味から申しまして、はしなくも京都府下におきましてこの四月にはなはだおもしろくない事件が起きまして、府政上の問題にもなったような事件があったのでございますが、地方自治の上から申しましても、私ははなはだこれを遺憾に存じている次第でございます。  今申したことの事実は簡単でございますが、その概要を申し上げますと、京都府の宇治地方事務所所長渡辺正という人でございますが、その事務所では、本年の二月末ごろから、府が行なっております新生活運動推進の参考資料にするためと称しまして、自己の管内の宇治市、久世郡の各所に所員を派遣いたしまして、管下の各種団体の役職員等につきまして、その経歴とか、行動あるいは思想その他の調査を行なったのでございます。その調査の対象といたしましては、管内の市町村長、同議会の議員、農業委員会、地区会、町内会、青年団、婦人会等の役職員を対象といたすということでございまして、そうしてその調査の項目といたしましては、それぞれ関係者の略歴、関係団体、支持政党、派閥、最近の各種選挙などの際におきましてどの候補者に投票したか、縁故関係、その人の性格、交友関係、事業に関係しておるならば、その事業の利害関係など、かような各方面にわたる多数の項目について、それを調査したようでございます。そしてその調査の対象は、管下のそういう地方有力者あるいは各種団体の役職員のほとんど、約五百人に対してこれを調査いたしました。その結果、一覧表は幅六十センチの方眼紙に図解式で書き込みまして、その長さが六メートルにわたるというような膨大な調査を行なったというのでございます。しこうしてこの調査につきましては、朝日新聞の報道するところによりますると、同事務所は、この調査は府の企画文書課長の指示によったもので、他の事務所ではでき上っているのに宇治事務所はおくれていると催促されたので、あわてて二通作って、一通は府へこれを進達した。府下の十一事務所、一事務局のうち、調べていないのは、木津、宮津等で、その他の事務所は自分の事務所と同じようにこれを調べた、こういうことをある記者に漏らしたということでございます。またこの事件に関しまして問題となりまするときに、渡辺宇治事務所長は、これは府政の参考資料にする程度のものだから、管内の各種団体長のかわった場合には、その都度府へ報告しておるのであって、これに要した特別の調査費用などというものは府費からは出ていない、こういうことを言明したそうでございます。なおくだらぬことでございまするが、その調査内容の一例を申し上げますと、たとえば久世郡の某町の農業協同組合長の調査の結果の記載を報ずるところによりますると、その人の支持政党は何か、自民党である、前回知事選挙には某氏に投票している。性質といたしましては、物質欲強く、絶えず態度がふらふらである。現町長派である。また某町長の欄におきましては、支持政党は自民党である。場当り政治をやって見えすいている。青年団、婦人会を懐柔することに努力している。某府議につながりを持っているというような、たわいない記載もあるのでございます。また調査方法の一例といたしましては、私の直接耳にしたところによりますると、四月上、中旬ごろ宇治事務所の民生課の某課員が、管下の久世郡御山町御牧池坊の某氏の宅におもむきまして、あなたは政党に入っておるかどうか。さきの府会議員の選挙にはどちらに味方をしたか、親類に革新系の人があるかなどを尋問したそうでございます。なおこういう調査をいたしておりまする間におきまして、宇治事務所では、この調査に非協力的であったという某課長が突然転職したのでありまするが、これはそれがために左遷されたといううわさが流布されているような仕儀であります。  なお、この事件がなぜ府政上の問題となったかという経過と結果を申しますると、今申しましたように、この思想調査のことが、はしなくも朝日新聞で四月十八日に報道されましたが、これが府政上の問題として取り上げられた動機でございまして、この問題が起きますると、蜷川知事はさっそく府政記者団に対して会見を申し出まして、事務所長が管内の実情を客観的に把握することは必要であり、またことしの政府スローガンの婦人青年たちの暮らしの向上運動のためにも、団体員の名簿を作っておく必要があると言っておるが、政治的な動向まで調べるように指示したことはない。カードまで配付して調査したというから、さっそく係員をして調べさせるが、公務員の中立性を疑われたり、住民に不安を与えたことには責任を痛感する。今後こうしたことがないうようにしたい。問題のカードも取り寄せて焼き捨てると言明したということが報道されておるのでございます。また渡辺事務所長は毎日新聞の某記者に対しまして、自分が就任して、各課に関係団体の役員名簿が整理されていないので、九月——これは昨年の九月ですが、九月に整理するように指示したが、二月になっても庶務担当の教委関係人名簿ができないので、その怠慢を責めた。五百名のうち二百名くらいは趣味、支持政党、略歴などをメモしたのであるが、府の指示によったものでなければ府に提出しない、こう申しておるのでございます。かようにして問題になったのでございまするが、府会の一会派は府の関係当事者について事情を調べましたところ、吉谷公室長は、宇治事務所で人名簿を作成したことは聞いたけれども、調査カードを破棄したことは知らないと言い、また大橋企画文書課長は問題のカードは破棄したと公室長から聞いた、こういうように両者の言明が一致しないので、府会議員団は数名の者を現地事務所に派遣いたしまして調査したのでございまするが、その結果所長の答弁によりますと、大体次の事項が明らかになったのでございます。すなわち思想調査は事務上の参考として調査作成せしめたが、これは府の上司の指示によらず、自発的に作成せしめたのであるが、問題となったので、四月十八日に調査カードは独自の立場で焼棄した。十八日の午後公室長から、この部屋で、なぜ思想調査をしたか、カードは今どこにあるか、どうして外部にこの調査のことが漏れたかという三点の質問を受けたということを申しておるのでございます。なお選挙の背景等まで調べたのは、各種会合の場合にそれぞれ出席者と話の合うようにするための資料としたものである等の説明があったということであります。なお最後に所長は議員団に対しまして、なすべからざることをやったことについては自責し、府の上司の指示に反して、あえて独断でカードを処分した、府民に迷惑をかけたことを深くおわびしたい、こう申して了解を得ようとしたということでございます。  これが大体今回の京都における宇治事務所の思想調査の概要でございまするが、今この問題を諸般の事情から総合して私自身として判断しますのに、宇治事務所長が管内の有力者の略歴調査をなし、またはなさしめたということは、これは動かすべからざる厳然たる事実でございますが、調査が府の指示によったのであるか、あるいは事務所長独自の立場で行なったのであるかという点は不明でございます。現在においては府の知事以下当局者はすべて、これは府の指示によらず、事務所長の独自の考えでやったにすぎないということを申しておるのでございますが、しかしながらこれは諸般の事情から考えますると、この点はまだ不明であって、むしろ私は何らかの意味において府の機関から事務所長にその意思が通じてあったものであると思わざるを得ないのでございます。  これは余談でございますけれども、私がかつて京都府の居村の村長に在職いたしておりました際におきまして、私の同僚の者からこういうことを言われた。蜷川知事は座右に有力者、公職者の名簿を備えつけ、訪問者がある場合には名簿によってその人の経歴、政治上の立場など調べて応待の参考にした。君は札つきだから、つまり政党色がはっきりしているから村政上、府と関係のあることについて交渉する場合には、よほどその点を注意してやらなくちゃならないという注意を受けたことがございました。私は当時そんなばかげたことがと思って、これを一笑に付してあえて顧みなかったのでございますけれども、こんなこともあったということから考え合せましても、今回の宇治事務所の思想調査というものが、府の指示によるかようなかったかということについては、さきに申したように疑わざるを得ないのでございます。しこうしてこの思想調査のごときは、終戦前の場合を思いますれば、当時はこんなことは尋常茶飯事のことであって、あえて取り上げて問題にするほどのことでもない、取り上げられることでもないと思われますが、しかしながら時勢の変った現在のごとき、新憲法下各人の思想及び良心の自由が絶対保障されておる民主主義に徹底した自治行政下におきましては、問題たらざるを得ないと確信するのでございます。かかる思想調査を行うことは、ややもすれば行政を関係者の人物あるいは政党政派のいかんによって、へんぱな措置に出られたり、不当な処分をなさしめる原因、動因ともなりかねないと思うのでございます。またかような調査に当りまして、当該関係者に不当な不安、疑惑の念を抱かしめるおそれもある。また現に今回の事件に当りましては、その事実のあったことを私自身耳にいたしておるのでありますから、はなはだ好ましくないことと思うのでありまして、憲法の保障する思想及び良心の自由の本旨から見ましても、地方公務員法の趣旨から見ましても、公務員の中立性を害する非常に不当な行為であると言わざるを得ないと私は存ずる次第でございます。つきましては、この点につきまして自治庁当局といたしましてはどういうお考えを持っておられますか。もし私と同様な御意見であれば、適当な機会に府当局に対し、あるいはまた府当局を通じて当該関係所長、吏員等に対して、公務員の服務、職務執行上、今後について注意を与えるなり警告を与える等、適当なる御措置をとられる御意思がありますかどうか、この点を伺っておきたいと存ずるのでございます。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま川崎委員から、具体的の事実を引かれまして、京都府の宇治地方事務所管内におきまする思想調査の問題についてのお話があったのでございます。この問題につきましては、私どもといたしまして具体的の事実につきまして、なお明確に承知いたしておるわけではございませんが、ただいま川崎委員の仰せになりましたことが事実であるといたしますならば——地方事務所の所管に属します活動の前提として若干の資料が必要な場合があろうかと思いますが、ただその資料を徴します方法、あるいは資料として調査をいたします範囲等につきましては、ただいまお話のございました通りの事実であるといたしますならば、若干行き過ぎがあるのではないかというふうに、私どもにも考えられるのであります。もちろん地方公務員の政治的な中立性ということは地方公務員法の保障するところでございますし、また公務員に対して要求する義務でもあるわけであります。また憲法のいう思想なり良心の自由、あるいは選挙法で定めておりますところの投票の秘密の厳守というようなものは、やはり地方公務員が執務をいたします場合におきましては十分注意をしていかなければならぬ点だろうと思うのであります。具体的の事実が果してどうであるかということは、私ここでつまびらかにいたすことができないのでございますけれども、そういう点に触れることがないようにいたさなければらなぬ、これはもう地方公務員につきまして申すまでもなく当然のことであろうと思うのであります。その点に関しまして、自治庁として特別に地方に通達を出す意思があるかというような意味お話であったように思うのでありますが、この点につきましては自治庁といたしまして特にそのような通知をこの際出しませんでも、いわば自明の理としてそれぞれの地方公務員なり、また地方の当局の人たちなりが日々注意していただかねばならぬことだと思っておるのでありまして、今ここで特にそのことのために通達を出さないでもよろしいのじゃないかと考えておりまして、当然自明のことと存ずる次第でございます。
  24. 川崎末五郎

    ○川崎(末)委員 ただいまの次長の御答弁によりまして大体私も了承いたします。また同感の次第でございます。私自身もさような思想調査と申しますか、調査をすることが絶対いけないというのではありませんけれども、周囲の環境なり、また調査の項目なり範囲なりによって非常に行き過ぎたり、あるいはそれがために思わない自治行政上の支障を来たし、また調べられた関係者においても不必要なる疑惑を招き、不安、脅威の念を感ぜしめるということになれば、非常に遺憾に思うというのでございます。同時に通達というような点は、これは少し広く御解釈願ったようでありますが、私はさような意味で一般に地方公共団体というような意味で言りたのでなく、適当な機会があれば必ずしもこれをわざわざせよというのではありませんで、これはお互い良識でわかっておる。適当な機会があった場合において、あるいは懇談会の機会あるいは当局者が上京したような場合、あるいは地方自治庁からあちらまで行った場合に、関係者の間において、今後かような事態が再び起らないように、関係者と申しますか、今私は多少具体的に指示いたしましたが、公室長であるとか、企画文書課長であるとか、あるいは渡辺事務所長、またそれに使われて直接当面の衝に当ったとわれわれが推測される方々に対して相当な注意を喚起し、警告を与える。そういう意味でなく、適当な機会に矯正し、是正し、反省する機会をお与えになることが望ましい、こういうふうに思って申し上げた次第であります。私の質問はこれで終ります。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点は自治庁といたしましても十分今後の適当な機会におきまして話をする機会を持ち、事情を聴取し、かく御意見を申し上げたいかように考えております。
  26. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の川崎さんの御質問、大へんいい御質問だと思って拝聴したのでありますが、御答弁を伺っておりますと、事情がわからぬからでもありましょうが、適当な注意というようなことでありますが、これは別に政党政派というようなことを離れまして、私は基本的に非常に重大なものを持っておるように思うのであります。その第一点は府県が市町村とかあるいは農協というような団体を、ある意味においては下部機構のように心得てそういうことをやるというところに問題がある。もう一つは先ほどのお話の中で、私も初耳でありまして、従ってどの程度のことかよく存じませんが、前の選挙にだれに投票したかなどということは、これは私は憲法違反だと思うのであります。こういう点はおそらく私は想像いたしまするに、府庁の幹部連中はそこまで要求してない、それを下の連中が調子づいてやってしまったということではなかろうかと思います。そんな調査内容までこまかくやったわけではないでしょうから、おそらく下の事務所長あたりでそこまでやってしまったと思うのです。そういう点はやはり厳格に自治庁としては私は指導をしてもらいたい、ただ単に注意という意味じゃなくて、そういう例があればよく御調査をいただいて、これはやはり全国的に内容によって、たとえば経歴だとか、職業だとか、年齢だとか、そういうものはけっこうでありましょう、しかしながらいわゆる思想の中に入りますと、これは自由党とか民主党とかいうことを問わずに厳格にやってもらいたいと思うのです。そこで私はそういう点をはっきりと今後やるかどうか、念を押しておきたい。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま特に御希望になりましたところの投票に関する陳述の問題でありますが、これは御案内のごとく、公職選挙法の中にも何人も自分の投票した選挙人の名前を言う必要がないということが、はっきり書いてあるわけでありますから、もちろん地方公務員といたしましては法令に基いて仕事をしなければならぬのでありますから、そのようなことは当然の事理と考えておるわけでございます。ただそういう一つ一つのことにつきまして、自治庁として特別に通達を出すという行き方が、私どもといたしましては必ずしも適切と考えておりませんので、先ほど川崎委員に申し上げたような御答弁を申したわけでございますが、そのこと自体が適当でないということは申すまでもない自明の理だと私ども考えておるのでございまして、しかるべき機会におきましてはこの趣旨は当然だと思いますが、念のためにさように申したわけであります。     —————————————
  28. 大矢省三

    大矢委員長 それでは先刻に引き続き、両案に対する質疑を継続いたします。通告順によりまして北山愛郎君。
  29. 北山愛郎

    北山委員 新市町村建設促進法案について御質問を申し上げますが、この法律案は、町村合併法の延長みたいなものでございますが、町村合併実態については、実は私ども相当関心を持って参ったのであります。これは参議院の議員立法として二十八年に出て参ったものでございまして、その当初から合併促進法の運営そのものについて、どういうふうにこれを運営していくべきかというような点について、私どももある程度懸念を持っておったわけであります。従ってその合併が進捗するに従って、それぞれの機会に町村合併実態等についても、できるだけ委員会等で調査をいたしたい、こういう努力を続けてきたのでありますが、昨年及び一昨年の通常国会は、御承知のように、警察法の問題あるいは地方財政の問題が中心となったために、町村合併ということがお粗末に扱われて十分な審議をしないで今日に至った、この点は非常に残念に思っております。  ところで合併促進法が始まって二年何ヵ月かたちましたが、どうも町村合併に対する関係住民考え方が批判的で、あるいは否定的である。こういうような印象を実は最近ますます強く受けるわけでございます。従って一体町村合併というものを国民がどのように受け取っておるかといういわゆる世論、これはわれわれとしても深く考えてみなければならぬと思うのです。ところが今日までこの世論調査等を実は私ども見る機会がなかったのであります。ところが一昨日自治庁の方で世論調査の結果を集計したものを印刷中である、そして明日でもこの世論調査の結果を正式に委員会にお出しになる、こういうお話がございましたが、一体このお出しになる調査はどこが計画し、どういう方法でこれをやったものであるか、これをまずお伺いしておきたい。
  30. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはこの前もちょっと申し上げたと思いますが、世論調査、これは従来総理府に世論調査所というのがございまして、そこで実は政府機関ではございましたが、調査をやっておったのです。これが今なくなりまして、民間の機関になっておるのがございます。それにつきましては、各省のそれぞれの行政の施策に関係して世論調査をする必要がありますのを、総理府の審議室が中心になってまとめまして——世論調査につきましていろいろ専門的、技術的な知識が要ります。問題点とかその聞き方とか、そういういろいろなものを各省と打ち合せて、そこでまとめまして、そして今は社団法人中央調査社と言っておりますが、そこに委託をして調査をやっておるのでございます。この調の方法は普通の世論調査と同様に調査の対象者というのを、一応町村を選びまして、その町村の中からサンプル調査でございますが、サンプルを、市部、郡部とそれぞれ分けまして、人口に応じましてそういうものを選んで、この方法はちょっと技術的で私ども詳しいことはよく知っておりませんが、そこで集めたものを集計し、それの整理分析も、そこでみなやってもらっております。、この中央調査社の結果を、私の方でもらったものを印刷に付そう、こういう考えでございます。
  31. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、その印刷物は明日いただけるわけですね。
  32. 小林與三次

    小林(與)政府委員 明日お配りできるはずでございます。
  33. 北山愛郎

    北山委員 実はこの前もお話を申し上げたのですが、月曜日でございますか、委員会でそういうような世論調査がまだできておらぬようなお話があったのであります。ところが今お話がありましたように、実はもう印刷に付しておるということで、このお話が若干矛盾をいたしておりまして、何となく納得ができないのであります。ところが時事通信という通信には、自治庁調査の結果を発表した、こういうふうに書いておるわけです。これが小林さんのお話によると、発表したのではなくて、印刷か何かの過程において盗まれたといいますか、スクープされたのである、こういうお話でございますが、いずれにしても、私の手元にある今お話調査なるものを、これは非公式な通信でございますから正確でないかもしれませんが、それを基礎にして二、三お伺いをしておきたいのであります。というのは、まず第一に、合併した市町村住民合併をしてよかったと思うか悪かったと思うか、この住民の感情、これが調査項目の中にあるのです。ところが統計によりますと、合併をしてよかったと思っておる者は約三割であります。合併当初においては、合併に賛成だったのが五割五分くらいある。合併当初においては、その町村合併に五割五分くらいの人が賛成をしておったのが、合併後においては、よかったと思っておるのは三割で、二割五分というのは悪かった、合併してよくなかった、あるいはいいのか悪いのかわからないという範囲に変ってきておるわけです。世論調査の結果はそういうふうな結果が出ている。そこで、私は何回もこの委員会で申し上げているのですが、合併に期待を持ってやった住民がこれに失望し、相当不満を抱いておるのだ、これは相当顕著な傾向であるということを申し上げたわけです。この世論調査の中にもその数字がはっきりと出ておる。二五%も合併失望したという数字が出ておるのです。こういう世論の動向については自治庁はどのような御見解を持っておるか、これをお伺いしたい。
  34. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは今までも申し上げたと思いますが、合併によって非常に期待が大きいと申しますか、そういう部面を住民全体が合併について持っておった場合が多いと思うのでございます。そこで、おそらくは所によっては、合併によってすぐにああなるこうなるというふうないろいろな問題点が並べられておったことも想像されるのでございます。大体この調査は、二十九年八月までに合併の行われた市町村につきまして、三十年の暮れに行なったはずでございますが、そうした合併直後の町村におきまして、自分たちが言っておった通りに、直ちに施設その他がよくなったということが見受けられなくて、それほどでなかったので失望を抱いておる住民がかなりあるということは事実だろうと思います。いわば悪くなったというよりも、合併はしたけれども、期待したほどのことができなかった、その失望の現われがそういう調査の結果になったのじゃないか、こういうふうに存じておるのでございます。
  35. 北山愛郎

    北山委員 私のお伺いするのは、そういう世論調査というものが出ておることに対して、一体自治庁はどういうふうに考えておるか、この世論というものを尊重するのかしないのかということです。どうも新市町村建設促進法というものは、そういう世論の動向には全然無関心でどんどん合併を進めていくというような形に見える。ですから、こういう世論を尊重するとするならば——そういうふうに合併に対する不満失望がそれほど顕著に世論調査の中に出ておる。そういう統計に出ておるばかりではなくて、われわれが耳にし、見るものにも、また同じようにこれを裏づけるものが無数にあるわけです。従って、普通の常識的な人間であるならば、町村合併そのものの今までのやり方を反省してみるのが当然の常識じゃないか。行政官はまた別個かもしれませんけれども、この新法案を作る際に、一体どういう考えで世論調査というものを参考にしたかしなかったか、それをお伺いしているわけです。
  36. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これもたびたび申し上げたつもりでございますが、その合併が期待通りの効果を発生しておらぬということで、国民のうちには深い不満とあきたらない気持があることは、われわれも率直に認めておるのでございます。それでございますから、できるだけそうした不満にもこたえるために、できる限りの努力をして新市町村建設促進し、その不満を除去することに努めたい、それはもうわれわれの念願でございまして、今度の新市町村建設促進法は、そういう趣旨に立脚いたしておりまして、われわれの日常やっておりますこともできるだけその方向に努めたいという一心でございます。
  37. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、そういうふうな動向については十分承知をしている、従って今後われわれは、新市町村建設のためにその不満を緩和するような努力をしたい、これが新法案趣旨である、こういうあなたのお話なんですが、建設計画に対する不満もあるでしょうし、あるいは税金に対する不満もあるかもしれないが、その不満を緩和するということはどういうことなんですか。建設計画をできるだけ実行さしていくということが、この不満を緩和する方法だと私どもは思うのですが、今度の新市町村建設促進法は、その建設計画を改変し調整するといっても、実質上はこれは縮小ですよ。一たん作り上げた建設計画を圧縮し、仕事の量を減らすということが、住民不満失望を緩和することになるかどうか、これはどういうふうに考えるのですか。
  38. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これも今までしばしば申し上げたのでございまして、われわれは建設計画をできるだけ実現するように努めなくちゃいかぬと思っております。しかしながら、団体自体も思うにまかせず、国も府県も思うにまかせぬ部面がありますから、その考えが直ちに全部充足されることは、今日の情勢では不可能だろうと思います。しかしながら、それを少しでもでき上るようにスピード・アップするような方策を考える必要があろうと思うのでございまして、それが今度の促進法基本的な考え方でございます。ただその際に、新市町村建設計画の調整という言葉の問題で、結局建設計画を圧縮させることによって理想にこたえ得るかということでございますが、現実の実施計画というものを着実にして、一つ一つ片づけていき、そこにスピード・アップを考えていく、しかも片づけていくために必要な合理的な内部組織の運営等につきましても、合理化すべきものは合理化していき、そうしてまた国におきましても府県におきましても、合理的な計画というものを土台にして力を注いでいく、こういうことによってそれを可能ならしめ実現せしめるということが根本でございます。ほんとうに実際の成果を上げていくために必要な面を、町村自体と国の面との両方の面から考えていく必要があるのじゃないか、こういうことがこの基本でございまして、計画そのものを圧縮するとかしないとかいう趣旨ではないのでございます。新しい市町村の立場で必要なものは、もっと積極的にやっていいのですが、しかもそれがことごとく市町村の能力とか組織とかいうものが基礎にならなければいかぬのでございまして、夢のようなことを言ってもできることではない、あくまでも市町村合併によって強化された行財政能力というものを土台にして、その上に計画的な組織的な仕事の作業を進めようという趣旨でございますから、終局においては住民要望にこたえ得る結果を実現するものと信じておるのでございます。
  39. 北山愛郎

    北山委員 ただいま、当初の建設計画が夢のようなものというようなお話でしたが、これはただの夢じゃないのですよ。再三申し上げるのだけれども、合併のときに関係町村が議決をして作った計画です。しかもその関係町村だけで作ったものじゃないのです。これは府県知事の意見もあるわけです。そうして内閣総理大臣までその夢を提出さして、その夢を内閣総理大臣は関係行政機関に通知をしているのです。一体なぜその夢を今までほったらかしておくのか。夢を認めているのじゃないですか。むしろ夢を見さしたのが町村合併である。夢を見るときには黙ってその夢を容認しておきながら、今に至って、そんなことは夢だ、夢のようなことを言ったってしょうがないと言って、結局はこの建設計画は繰り延べか圧縮ですよ。こういうところがタイプとしては私は受け取れないわけです。  それで申し上げますが、建設計画の問題もありますけれども、合併して悪くなったという意見の中にはいろいろあるのです。税金が高くなったというのが一番多い。それから町村の運営がうまくいかない、経費がかかる、合併してもよくならない、合併の約束を実行しない、不公平だ、不便になった、役場が遠くなった、役場の仕事が合理化されない、何となく悪くなった、いろいろあるのですが、税金が高くなったというのが一番多い。これを私が再再この委員会で、合併の新市町村が税金が高くなったぞと言うても、不均一課税のような話ばかりで、そういうことをお認めになりません。またその点については資料も提出されておりません。ところがこの世論調査を見ると、税金について、合併する前の税金と合併後の税金と安くなりましたか高くなりましたかという問いに対して、安くなったというのは六・二%しかない。ところが高くなったというのは五三・四%、変りはないというのが三二・八%です。ですから高くなったというのは圧倒的な数字だ。安くなったというのは六%しかないのですよ。ちゃんと統計が示しておるし、税金を払う住民が言うことですから、うそではないと思うのです。これについてはどういうふうなお考えですか。
  40. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはこの間から中井委員からも御注意になった問題でありまして、住民は要するに納めておる実額がふえるかふえぬか、こういうことで議論しておるだろうと思いまして、これはわれわれといたしましても説明が行き届いておらない一つの問題だと思います。われわれも税金が高くなったという声はしばしば聞いております。北山委員がおっしゃるまでもなくわれわれも聞いておりますが、それは基本的には、今いろいろ話が出ました固定資産の評価が変ったので、実額がふえておるのでございます。それでこれは合併と直接関係はないのだけれども、時期的にいえば、新市町村になって税金が上ったということは事実でございます。だからそういうことを十分分析してみなければ、ほんとうに高くなったか安くなったかわからない。合併しなくても同じ効果が現われておるわけでございますから、その点は一つ御了承を願いたいのであります。ほんとうに高くなったということは、結局合併したがために税率が上るということが根本でありまして、税率を合併によって上げたということはきわめて少い、全然ないとは申しません。先ほど申しました通り不均一をとっておらぬところで、中心の町が通常は税が安くて、まわりが高いときには、それをならすために中間をとっておるという事例があるということは、われわれも聞いております。これはさっき資料がないじゃないかというおしかりでございますが、実は全府県市町村の従前の税率と新しい税率を、それぞれの税について調べなければならぬものですから手間がかかっております。おりますが、われわれの方といたしましても、その関係ははっきりさせる必要があろうと考えて、調査はいたしております。ただわれわれが今まで特に調べなかったのは、何も合併によって税率をふやしておるものがあるはずはないから、そういう前提で調べてもらわなかったのでありますが、せっかくの御注文もありますので、そういうものを全市町村について、合併前の税率をみな調べなければいかぬものですから、そういう意味で手間がかかっておるので、これはまことに申しわけないが御了承願いたいと思います。
  41. 北山愛郎

    北山委員 とにかく私は世論調査、これが住民の感情なんです。合併後高くなったというのが圧倒的に多いのです。従ってそれが町村合併の結果高くなったのではないというのならば、そういう資料を出して啓蒙するのがほんとうだと思う。これは直接には町村合併の結果じゃないのだ、町村合併をやらなければ、もっともっと高くなったであろうというようなことを証明しなければならない。ところが先ほどもちょっと触れられたのですが、町村合併の結果住民税のとり方が第一方式から第二方式に変るとか、いろいろな関係で、合併後において高くなった例が多いのです。私はもちろんただ町村合併だけでそうなったとは思いません。けれども合併を契機としてそういうことになった。少くとも安くなっておらないのですよ。だからこれは失望落胆する。それは無理もない。町村合併をすれば税金は安くなる、その他いろいろ数字を示して、経費が安上りになるからというようなことで、安くなるという啓蒙宣伝をしたはずなんです。結果は真反対、真反対だから失望するのはあたりまえですよ。だからもしもそういう不満失望というものを緩和すると言われるならば、税金のことだからこれはやはり高いものを安くしなければ解決にならないでしょう。高いのはこれは町村合併のためではないんだと言われてみたところで、こんなことは何もならないですよ。もしも不満を緩和しようとするならば、税金をやはり高くしないこと、あるいは上げた税金を安くすること、こういうことが失望に対処する道だと思う。  それから役場が遠くなったという反対理由があるのです。ところがこういう世論が相当あるにかかわらず、今度の新市町村建設促進法では、支所、出張所を廃止し、統合しよう、こういうふうな方向をとっておる。これはどういうわけですか。
  42. 小林與三次

    小林(與)政府委員 支所、出張所は、われわれの考えらいたしますれば、なくて済むものはできるだけなくしてしまった方がよかろうと思います。役場はできるだけたくさん置けば便利だということはありましょうが、そのかわりに、そのためにずいぶん行政費がかかるということも事実でございまして、それがなくても、できるだけ簡素な駐在員制度のようなものを置けば、その駐在員でさばきがつく、現にそういう例もあるのでございまして、合併によって役場が遠くなったか、近くなったかというと、近くなったという事例もあります。それはやり方の問題でございまして、健在員の制度を置いて、それが毎日部落の中の注文を全部聞いて、役場へ出かけて行って書類その他を全部整備して帰って、そして自分でみんな配っちゃうというようなやり方を現にやっておるところもございます。それでございますから、これは町村合併の効果というものは、町村行政全般を総合的に、合理的に考えて判定をしなくてはならないのでございまして、住民が多くて連絡が非常に不便になるようなところでは、必ずしも支所、出張所をやめておるわけではございません。それぞれ簡素な形で置いておる。あるいはいろいろな機動的な方式を考えたり、ぐるぐる中から出張して回る方式を考えたり、そこは新町村といたしましても知恵をしぼって、そして全体として行政が合理的に動くように、私は考えるべきものだと存じております。
  43. 北山愛郎

    北山委員 私は世論調査基礎にしてお話するのですけれども、支所、出張所を廃止されては困るというものがやはり多いのです。廃止されてもやむを得ない、少くなってもやむを得ないというのは一四%しかないのに、それは困るというのが三四%以上もあるわけです。こういうふうにはっきりと世論調査の中に出ておるのです。だからこの法律の中で支所、出張所というものを統合、廃止の方向へ持っていこうというのは、一般的にいって支所、出張所はなくても済むというような、何かのものさしがあった場合に、そういう指導ができるのであって、なくて済むものならない方がいいというのは、あたりまえの話ですよ。そんなことで一つの方針を立てられては困る。たとえば議会だってなくて済むのなら、なくてもいいという理屈も出てくるかもしれない。そういうものじゃないでしょう。助役もなくて済むものならば、ないようにしろという方針がそこで出てくるとは限らないでしょう。だから一般的になくする方が好ましい、そしてそれが現実から見て可能でもあるというような、あるいは世論にも、住民の感情にも合致しているというようなところで、初めてそういう政策を打ち出すべきであって、世論調査ではっきりとこういうふうにやめては困ると言っておる人たちがたくさんおるのに、それをこの法案の中では支所、出張所を廃止統合するという方向へ方針を打ち出しているのは、これは世論を無視するものではないか、住民の感情を無視しているものではないかどうですか。
  44. 小林與三次

    小林(與)政府委員 支所、出張所を廃止して、住民一般の利便をはなはだしく害する、こういうことはもちろん考えなくちゃいかぬのです。はなはだしく害するというよりも、金がかかってもそこに人を何人か置いて、全部店を張った方がより住民のためになる、こういう場合には当然置いてしかるべき問題だと思うのでございます。しかしながら一般的に考えまして、こういう役場の機構というようなものはなるべく統合して——しかしながら地勢、交通その他の事情でそうなっては著しく利益を損うということはあり得ることでございます。そこらはそれぞれ具体的な実情を判断すればいいのでございまして、五ヵ町村合併したが、相変らず旧態依然として五ヵ町村それぞれ旧来の役所そのままの形で、支所、出張所をそのまま惰性で置いておくということは、合併の成果を上げるゆえんではない、ほんとう住民福祉を実現させていくゆえんではないのでありまして、がまんできるものはがまして、それによってむしろ住民が直接欲するようなサービスを積極的に展開することを考えるべきだろうと私は思うのでございます。それで七条におきましてはそういう趣旨を明らかにいたしまして、住民のサービスの低下にならぬような措置をあわせ考えながら、できるだけ簡素化するものは簡素化する、このことを明らかにいたしたのでありまして、またおしかりを受けるかもしれませんが、これはしごく当りまえの配慮じゃないかと思うのでございます。
  45. 北山愛郎

    北山委員 これは小林さんの方では当りまえの配慮かも知らぬけれども、少くともこの住民の統計がうそならば別だけれども、数字としてそういう数字が出ておる以上は、やはり方向としては住民の意思、要望に反する方向じゃないか、これは個々のことを言っているのではないのですよ。一般的な政策としてなるべく支所、出張所をなくそうという方針なんです。ところが住民はそうじゃない。だから少くともそういう方向が相反しているということは事実なんです。それからこれは単なる住民要望だ、住民はそんなことを言っているけれども、やはり支所はなくして、その金をよそに回せばいいのだ、こういう理屈なのかもしれない。しかし事業の方は圧縮されているのですよ。これは疑いもない事実です。建設計画の圧縮、それから国の地方に対する起債のワクというものが減るにつれて、今度の財政再建についても、従来の事業を七割くらいに圧縮しろというような指導要領までちゃんと出ているのですから、仕事はない、税金は高くなった、そして役場は遠くなったということで、町村合併にますます失望していくのではないですか。その失望がこんな方法で緩和できるのですか。
  46. 小林與三次

    小林(與)政府委員 それは今申しました通り失望というか、不十分だという不満があることは事実です。それをどうしたら改善していけるかという問題でありまして、今まで通りほっておいたらいいのか、そこのところが具体的な政策の問題であります。ほっておいていいものなら一向にかまわないのでありますが、ほっておくわけにいかぬわけでありますから、少しでもこれを解決していく具体的の策を考えなければいかぬと思います。税金の安いことは、これはみな欲しておるのでありまして、あに市町村のみではないのでありまして、われわれだって安い方を欲しておるのであります。しかしながら、片一方ではやはり仕事をしてくれることを欲しておるのでございまして、結局現実の住民のお力を基礎にしそ、新市町村が全体の力をできるだけ総合的に合理的に発揮して、そうしてサービスを合理化していくということを考えなければいかぬのでありまして、この点は北山委員もおわかり願えることだろうと思うのです。ただ残念なるかな国民全体の経済力も足らない、住民全体の経済力も足らないから、全部の要求が立ちどころには実現できない。実現できないが、それではほっておいたら実現できるかというとそうじゃない。それをスピード・アップして合理的に一日も早く実現できる措置考えなければいかぬ。その間具体的の方途をどうしたらいいか、それがわれわれの考えでは、この法律によって、この方式によってやっていくのが最も適切な措置であろう、こういう考えに立っておるわけであります。
  47. 北山愛郎

    北山委員 どうも小林さんの合理的だという意味と、私の合理的だという意味はちょっと違うと思う。私は一般的な見解として合併した町村育成するという考え方には同感ですよ。ただしかし、それはやはり当初要望された税負担を軽減し、そうしてできるだけ仕事は合理化してふえるということでなければならぬ。ところが現状をごらんになれば、税金は高くなり、仕事は圧縮され、役場は遠くなって不便になるということでは、これは何としても私は住民としては納得しないと思う。それが合理化なんですか。一体それを直すのにはどうしたらいいのですか。やはり税金を軽減するなり、仕事をふやすなりしなければなりませんよ。ところが仕事は国の財政力でふやすことができないということならば、やはり私は町村合併というものを、もう一ぺん振り返ってみる必要があると思います。そうではなくて、今このままでは黙っておれぬから、先の方にどんどん進んで、まだ合併しない町村がたくさん残っておるから、これもどんどん合併させようという方向がおかしいのじゃないか。未合併町村もまた今まで合併した町村と同じような境遇に追い込まれるのじゃないか。今までの市町村がよくなった、多少とも税金が安くなったとか、あるいは便利になったとか、あるいは事業がふえたとか、そういう実績が出ておるならば、それでは未合併町村はまだ合併しないのが悪いのだから、そっちの方に合併するように進めるということはよいかもしれませんが、そうじゃないのです。実績で住民からほとんど全面的な反対、批判を食っておるときに、さらに合併を進めようという意図はどこにあるかというのです。私はそんなことは合理的な行政じゃないと思うのですが、この点ば小林さんより早川政務次官からお伺いした方がよいと思います。大体今までの経過でおわかりと思いますから、あなたの方から率直な御見解を承わりたいと思います。
  48. 早川崇

    ○早川政府委員 お答えいたします。北山委員の申されるように、合併町村住民が百パーセント合併というものに失望を感じておるとすれば、これはむろん反省もし、再検討しなければならぬ問題だと思います。ただし先ほど部長からお答え申し上げましたように、税金の面におきましても合併それ自体の問題からくる増税というものではないのでございまして、また合併をいたしましても過渡的にいろいろな不便があり、期待が大きければ大きかったほど実は期待の通りにはいきませんので、その間の経過をわれわれはもう少し再検討する必要があるかと思います。いずれにいたしましても、非常に小規模町村というものは、現在の地方自治全般の合理化の線から申しまして、実は合併という結論に達したわけであります。  なお北山委員の指摘されました点はさらに詳細に検討いたしまして、改むべきものは改めますけれども、われわれといたしましては、この町村合併をさらによりよく所期の目的を達するようにいたしたい。これがこのたび新市町村建設計画法案提出いたした理由でございます。根本はそのように考えておりますので、いろいろな御批判は自治庁といたしましても、十分検討の対象にいたしたい、かように考えておるのでございますので、御了解願いたいと思います。
  49. 中井徳次郎

    ○中井委員 今北山さんから非常にいい質問がありまして、私の質問はあとに譲りたいと思いますが、関連して一点だけ、政府の見解を伺っておきたいと思うのであります。今度の新しい法案を拝見いたしますと、相変らず、こういうことをやるときには政府が大いに助成をするというふうな規定がたくさんあるのです。今の役場の支所の廃止の問題、さらにまた村で、有線放送施設をするときには、そういうものを補助をするという。私どもは総合的に考えまして、町村合併促進法というあの法律は、案外うまくいった。しかしながらその通りりっぱではございませんで、ずいぶん内容には整理すべきものがあるし、行き過ぎた面もあるし、まあちょっと手直しをすべきだ、こういうふうに考えておる。その行き過ぎ、手直しの最も重要なものは、政府があの法律に忠実でなかったということなんです。今の町村合併で問題があるならば、町村側は熱心にやったんだが、政府の方は法律の出しっぱなしで、その裏づけをしなかったことで、これをやるのが私どもの国会としての義務だと考えております。ところが新法案を見ると、それの上塗りをやっておる。変な例でありますが、株式会社を作って仕事を始めた。どんどん資金が要って赤字だけれども、五年たったら黒字になるんだから、ここでもう一ぺん増資をしてやれというのが今の法案だろうと思うのであります。これは非常に行き過ぎのあわてくさった法案だ。どうして今の法案でしんぼうできないんだ。五年たったならば黒字になるならば、ここのところでしんぼうをして、そうして今の資本金でがんばっていくというのが、私は町村合併に対する政府の方針でなくちゃならぬと思う。特に申し上げたいのは、農林省だとか建設省だとかいうところは、一向に応援をしない。最もひどいのは電信電話会社、それからさらに郵政省でございます。まことにどうも、新しい村ができたけれども、支所に電話をかけるのに半日かかってさっぱり仕事にならぬ。数十万円か出せば簡単にできるのに、電電公社は、法律にはっきりあるにもかかわらず、そういう金がないという。それで今度はあなた方は、この法律によってさらにそれをできるようにと言いますが、これまでの法律でさえ行われておらぬようなものが、今後こんなものができましてもどうしてやれますか。二、三年前に天下を騒がしたあの自転車操業のいろいろな無尽会社のようなものができましたが、私は何かあのような形のように思えてならない。この点について政府ほんとうに自信を持っているんですか。どうしてこんな法案を出されたか。これまでの九月三十日というのを、われわれの修正案のようにあと半年ないし一年延ばした。そうして中央がそれをにらむ必要があるならば、中央審議会を設けて整備にかかって、これまでの悪いところは直していく、これでもって十分であろうと思うんだが、新町村建設しようという、さらに金の要るようなこと、さらに立法の要るようなことをやるというようなことは、これは実現しそうにないからまたやるのであります。同じような法案でさらに上塗りをするこの点についてどうですか。自治庁の政務次官としての率直な意見を私は伺いたいと思います。
  50. 早川崇

    ○早川政府委員 中井委員の手きびしい御批判でございますが、先ほど申し上げましたように、やはり分散の過程をある程度統合いたしまして——会社の場合を例にとられましたが、財政的に非常に困って参ったときに増資をして資本力を強めるというのは当然のことで、それは委員の言われましたように困ったことではないのでありまして、町村の場合におきましても、適正な財政力の統合によって、いわゆる増資的な財政力がつくというなれば、それは新市町村促進法にいわれます程度の町村単位というものがわれわれは適当と考えております。むろん明治以来の画期的な、いわば革命的な町村合併でございますので、期待が大きかったがゆえの失望もあろうと思う。さればこそ従来の法律の不備を改めまして、たとえば国有林野の払い下げにいたしましても、従来よりも安い利子で、しかも長期で、しかも農林省の了解と確約のもとに新市町村育成していく、こういうようなことも必要でございましょうし、その他、新市町村育成についてのいろいろな内容をこれに盛っておるわけであります。まだ合併日が浅いのであります。御指摘の欠陥は十分この法案によって補いまして、新市町村育成をはかっていきたい、かように考えておりますので、いま少し時日をかして御批判を願いたいと思います。
  51. 中井徳次郎

    ○中井委員 私は、いま少し時日をかしてというならばこの法案を出さぬ方がよろしい、こう言うのである。あなたは増資の必要もあると言うけれども、そんな乱暴な経営はだめなんでありまして、これまでできた合併について整理をして、十分先の見通しをつけて前進する。その見通しもないのに、もう一方においては、まだ合併しておらぬところと、わあわあけんかをして、一方には建設計画というて、さらに絵にかいたもちを二重に与えていくというようなことでは、私はどうも納得できない。先ほどもお尋ねしたように、二年前の町村合併促進法でさえ政府は実行しておりませんよ。その経済力において、こんな法案を出してできますか。この点をまず伺いたい。自信のほどを伺いたい。私はあなたの御答弁だけではこれはできぬと思うけれども、まあしかし自治庁の決心だけでも伺っておきたいと思います。この前のあの法律内容さえ、政府はちっともやれなかった。あなたが言った国有林の場合でも、幾ら金利を下げたって、農林省が払い下げしないんだから問題にならぬのですよ。根本を払い下げしないんだから……。そういうことでは何ともならぬのでございます。その前の段階さえ措置ができぬで、ここでまたあわてて次の法案を出すのはどうかと思うのですが、この点どうです。
  52. 早川崇

    ○早川政府委員 御存じのように、法律におきましては行政的な、電信電話をあれするとか、あるいは国有林野の払い下げというようなところまでは大綱を示す程度でありまして、これは行政上の問題でございます。それをさらに演繹いたしますと、自治庁長官の行政能力なり農林省との問題と、こういうことになろうかと思うのであります。御指摘の国有林野の払い下げ問題等につきましては、われわれといたしましては実は十分な確信を持って折衝をいたしました結論から出ておるのでありまして、八万町歩近いものはぜひ一つ市町村育成のために実行いたしたい。電信電話またしかりでございます。今御指摘のようなことは、少くとも自治庁が責任を持って今後推進いたしたい。ただこの法案が多少合理的にいくためには、町村その他の行政が簡素、合理化するという利点に関しましては、並行的に御審議願っております停年制をしき得るという法律も、私は重大な関連があろうと思っております。特に、老齢でもう行政力も非常に低下している人たち合併いたしましても、従来停年制がないためにいたずらに高給の老齢者をかかえなければならぬという実情も、市町村長としてずいぶん御経験を積まれておりまする北山、中井両先生十分御存じだと思います。どうか一つ地方公務員法をこの機会にお通し願いまして、合併市町村住民に喜ばれるように御配慮願いたいと思います。
  53. 中井徳次郎

    ○中井委員 まことにもってけしからぬ答弁です。町村合併法案は、今の御答弁と結びつけるということは無理です。私が言いたいのは、ちょうど今の合併法案でも政府がやれないところは行政力の問題だと言うが、今その行政力がないのです。その行政力のないような政府に、さらにまた法律だけで幾ら求めても、これはまるで空文になる、これを心配するのです。町村合併法案さえできない。それじゃ社会党が政権をとったからといって、すぐできるという問題ではないでしょう。それで私は冒頭に申し上げたように、これだけの犬事業でありまするから、いろいろ問題がありましょう。従ってその跡始末にあと三、三年の時をかして、そしてゆっくりやってから、一応掃除ができてからどうしてこれをやらないか。ほうっておいてやるのでは傷はそのままであります。その傷がだんだんうんで参りますよ。それでは非常にいけないということを聞いておるのであります。  特に申しますが、そんな経費の節減で停年制をしいたら、かえって経費のかかるような町村がたくさんありますよ。現在でも大体五十前後にはもうやめてもらうということを、内規的にやっているところだって幾らでもあるのです。あの問題とは別であります。あの問題は理事者は事を行う場合に、自分でいろいろ勘案して、それこそ行政力でやるべきものを国の法律にすがって逃げようという、国家公務員と地方公務員の間に区別をつけようという、われわれから言わせると非常な悪法であります。そういうものとは関連がありません。
  54. 早川崇

    ○早川政府委員 少し中井委員には誤解があろうと思うのは、このたびの新市町村の新しい法案は、前の法律の悪いところを実は補充する意味を持っておるのであります。従って国有林野の問題にいたしましても、学校の補助にいたしましても、御案内のように電信電話の問題にいたしましても、期限が切れまするあの法案の欠陥を補い、それを助成せしめる法案であるという点は、どうか一つ御了解願いたいと思うのでございます。さらにこれを恥の上塗りをして悪くするというものでは実はないのでありまして、御指摘の点はこの法案自体の問題というよりも、結局国家の予算財政能力の問題にかかるわけでございまして、その点は本年度予算その他あるいは新税の創設、交付税の引き上げ、あるいは三公社課税等を全般的総合的にこの法案と併行して新市町村を充実していく、こういう必要があるのでありまして、その場合に、組織法としての新市町村育成法案は、財政の合理化統合によりまして、よりよき受入れ態勢を作る法案でございますので、御指摘のように私は北山委員が百パーセント失望しているというのは、実はどういう御根拠か——それならば重大な問題でございますが、私の知っておる和歌山県におきましては、合併によりまして住民は大部分非常に喜んでおるところが多いのでございます。欠点もございますけれども、今御指摘のように恥の上塗りではなくて、悪い面を補充する法律案であるという本質だけは一つ御理解願いたい。さらに失望の大きい点というのは、これは国家財政なり地方財政全般財政力の問題に、相当部分の原因があるということを一つ考えいただきまして、総合的にこの法案に御賛成願いたい、かように考えておる次第でございます。
  55. 北山愛郎

    北山委員 私は私見を申し上げておるんじゃなくて、今まで政府の方でお作りになった世論調査基礎にして申し上げたわけです。だから何も町村合併を百パーセント反対だというわけじゃないのです。賛成者が五五%当初あったものが三〇%くらいに減っているということなのです。合併してよかったというものが二五%も減っているのですよ。そういう数字を言っておるのです。これは私の印象と相合致しておりますから申し上げておるのであって、私の私見でものを言っているんじゃないのですよ。政府の資料によって申し上げておるわけです。それから、たとえば農業団体の統合にしても、世論調査はなかなかいい結論を出しておるのです。農業委員会の統合に対してはあまり反対がない。しかし農業協同組合の統合に対しては反対の方がずっと多い。反対の方が六一%、賛成が一八%、こういうことになっております。だから町村合併ができたからといって、農業協同組合については必ずしも一市町村単位でいくということが正しくないという結論を、ここに住民の意思としては出しておるのですよ。農業委員会についてはそうじゃない。農業委員会と農協は、同じ農業団体でありながら性格が違うということは、ちゃんと住民は知っておるのです。だからこの農業協同組合については、市町村合併に伴って機械的に市町村単位に農業協同組合を合併するような指導方針をとるべきではない、こういうふうに考えておったのですが、実際は府県においてはそういうふうな指導をやっているんじゃないですか。どうですか。
  56. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の農協の問題はお話通りでございまして、農業団体でも、農業委員会、農業共済組合などと性質が違いまして、特に生産農協などというものは、それぞれの現場を基礎にしてできておるのでございますから、そういう実情に合わなかったら進めておりません、この点は農林省も同じ方針でございまして、農林省の意向を基礎にして実際に合うようにやっておりますから、これは御心配は要らないと思います。農業共済組合は、これは一市町村に一共済の方がいいだろう。これは農林省もそういう考えでやっておられまして、これはそういう方向で進めております。これも進めさしておるのも事実でございますが、農協の方はそういう点はございませんから御安心願いたいと思います。特に今度それに関する規定が、農林省の諮問もあって、第九条ですか、公共団体等の統合につきましても、ただし書きが入っておりますが、これは主として農業協同組合の問題を基礎にしておるのでありますから、この点は御安心願いたいと思います。
  57. 北山愛郎

    北山委員 中小学校の統合ですが、これなんかについても、必ずしも意見は一致しておらないので、その住民の世論調査らいえば大体半々です。しかもその世論調査の問いの出し方がなかなかずるいのです。たとえば、こういう問いをしておる。中学校もなるべく小数にまとめて生徒の数をふやし、りっぱな中学校にした方がよいと思いますか、そうは思いませんか、そういう問いですから、りっぱな中学校にするということを前提にしているのですよ。統合したからといって、りっぱになるとは限らないでしょう。ところが統合したら必ずりっぱになるんだ、その方がいいと思いませんかどうか、こういうふうな問いでありますから、これはほんとうに正しい世論調査の問いの出し方ではない。ちゃんと誘導的に出しておる、それでもまとめた方がいいというのが新町村部においては四五・八%です。新市部においては三九・一%です。よいとは思わないというのが、新町村部においては四三・二%、新市部においては四六・七%、こういうことになって、多少まとめた方がいいというのが少し多いのですが、大体においてつり合っておるのです。そこでお伺いするのですけれども、これは文部省も小学校、中学校を統合するという御方針のようであります。それに対して若干の補助金も出しておるようでありますが、一体中、小学校の規模としては、どの程度の規模考えておるのですか。
  58. 小林與三次

    小林(與)政府委員 この小、中学校の統合の問題は、具体的には文部省の御指導を基礎にしてわれわれもやっていくつもりでございまして、これには合併に伴う中、小学校の統合基本方針を明らかにしておこう、補助金も今お話通り、少いかもしれませんが、文部省の経費で三億円計上になっておるのでございます。それで学校の規模につきましては、文部省の考えによりますと、大体中学校では十五学級程度が合理的な編成じゃないかという考えのようでございます。しかしこれは今お話通り、市街地と違いまして、郡部では通学距離の方が基本的な問題でありますから、雪の降るところ、降らないところ、通学が可能なところ、可能でないところというような実情を基礎にして問題は考えられるべきでありまして、単に学級別によって問題ができ上るものではなかろうかと私は思うのであります。それで、根本的には小学校は時に小さい児童でございますから、これはおのずから限度がございますが、中学校になれば、昔の中学校を考えてみれば、一郡に一つか、一市に一つしかなかったのでありまして——何もその通りにしろという気持は一つもございませんが、先ほどこの問い方が誘導的でけしからぬじゃないかというお話がありましたが、中学校というからには、看板だけ出しても中学校にはならないわけでございまして、やはり相当な施設を持ち、相当な教員組織を持って組織的に学校を経営しなければ、学校の立場からいっても適当ではない、単に管理を合理化するという面だけでなしに、教育効果を上げるという面を中心に考えても、必ずしも従来の中学校では適当だとは言えない面があるのでございます。そういう趣旨でこの問題を考えていきたいと思うのでございます。
  59. 北山愛郎

    北山委員 先ほども申したように、この設問の商いの出し方が間違っているのです。中学校もなるべく少数にまとめて、生徒の数をふやして、りっぱな中学校にした方がよい——生徒の数がふえればりっぱな中学校になるがごとき表現を用いておる。私どもの子供のときもそうでございました。おれの小学校には千何百の生徒がいる、おれの学校は大きいぞと言っていばったものです。ところが教育の理念とかあるいは教育技術の方からいえば、やはり中学校も教育のためということを中心にすれば、その大きさについてはおのずから基準があるはずだと思うのであります。それをただ生徒をふやして、りっぱな中学校にするというような設問を出す設間者の頭が、もはやどうかしておるのではないか、こういうふうに思うのですが、一体中学校についてはどういう基準なのか。それからこの補助金を三億円とか用意しているそうでありますが、二分の一の補助だそうであります。そうすると、従来の中学校でそれぞれ補助金をもらった、これを統合するというような場合には、その前もらった補助金の分は別で、新しく建てる分についての坪数についての補助金をもらうのですか。それとも、前もらった補助金は差し引くのだ、こういうことであるのか。ちょっと話はこまかいのですが、ついでですからこの点も確かめておきたい。
  60. 小林與三次

    小林(與)政府委員 御質問ありがとうございました、これは従来のものは全然考えませず、新しい統合基礎にいたしまして、児童数とその規模に応じてやることにいたしております。これは従来の方式では、統合の問題でよく補助金の問題が出ましたが、今までの老朽校舎とか、義務教育関係の補助の立法では、北山先生のおっしゃいましたように、一ぺんやったものを差し引く、こういうことになっていて、どうしても事が合理的に進まないのでございます。ですから、学校の統合という問題は、賛否の結果が現にある程度出ております通り、いざ具体的の問題になれば、学校が少しでも遠くなる方が、たいていの場合反対する人が多いのでございまして、なかなか簡単な問題ではないのでございまして、どうしても住民みなの協力を得て納得しなくちやでき上る問題ではございません。しかしほんとうに学校の教育というものを恒久的に考えれば、そういう難問題をある程度まとめた方が教育効果のためにもよいと考えられるのでございまして、これは何も数の多いほどいいという問題じゃないのであります。市街地ならばそういうふうに三十学級あるとか、何十学級あるという問題がありましょうが、町村ではそういうわけではないのでありまして、やはり適当なところでまとめた方がよかろう。さようなためには、補助金もどうしても新築の校舎というものを基礎にしてやっていくべきじゃないか、それで新しい法的裏づけも要るじゃないか、こういうことでこの八条の規定が入ったのでございます。そういうようなわけでございまして、従来の促進法ではカバーがつかなかった。しかしながら新しく市町村要望の強い問題でぜひわれわれは解決したい、これはこれで百パーセントじゃありませんが、少くともそういう方向に問題を持っていきたいというので、いろいろなものを実は取り上げたのでございます。このあとは財政的な裏づけという問題でございまして、これはわれわれといたしましてもさらに馬力を入れまして、できるだけ財政上の裏づけが可能になるように一段と力を注ぎたい、こういうふうに存じております。
  61. 北山愛郎

    北山委員 小林さんは先ほど昔の中学校を引用せられて、質実剛健なる昔の中学生に戻したいがごとき、復古的なお気持の片りんを現わされたようでありますが、支所、出張所なんかの廃止についても、昔は村民なんかはわらじばきで何里も歩いたから、役所だって少しぐらい遠くったってよいのじゃないかというようなお考えが、何となく出ておるのじゃないかというように思うのです。先ほどその世論調査の点もございましたが、さらに東京市政調査会の研究員で星野光男という人がおりますが、この人が各地の調査をされてそのことを書いておりますが、むしろ支所は強化すべきであるという結論を出しておられます。その中をちょっと見ますと、私はここで、支所は統廃合ないし縮小するよりむしろ強化せよと言いたい。もちろん、支所のすべてを統廃合してはならぬというのではない。ただ机上で四キロ圏の円を引いて、これを統廃合していくような愚はやめるべきだが、これとともに、社会的、経済的な各村の性格を比較検討して、若干の統廃合は行われても支障はない。こういうふうに言っておるのでございまして、やはり支所、出張所というものを機械的に統廃合するというようなことは好ましくないという見解を持たれております。私も同感であります。  そこでお伺いするのですが、この法案の中には、新市町村建設計画等を調整するというような場合と、中央の方でその調整の基準を示すというようなことがございます。従って支所、出張所の廃止、統合等についても自治庁としてはその基準について何らかのお考えがあるのではないか、かように考えますが、どうでございましょうか。
  62. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今御引用になりましたように、何キロ以内はどうとかとそういうようなことはあり得べからざることでありまして、それぞれの道路交通、その他の事情を考えて、こういう問題は考えるべきだと思います。そこで、先ほど調整の基準の問題になりましたが、私の方では、この支所、出張所だけの問題でなしに、全般的な具体案を今持っておるわけではございません。この法律が早く通れば、必要な審議会を作りまして、そこにお諮りして、御納得のいくようないい案を作らしていただきたいというように考えます。
  63. 北山愛郎

    北山委員 きょうのところはこの程度にいたしたいと思いますが、今のことに関係するのですが、町村合併促進法ができましたときに、合併基本計画を作って、各道府県においては合併を指導した。そのときに一体どういう基準で合併をさしたかというと、何でも四町村一つにするというようなことを基準にして、おやりになったように聞いておるのですが、大体四つの町村一つにするというような基準を示したことがございますか。
  64. 小林與三次

    小林(與)政府委員 四つの町村一つにとか、そういう意味の基準を示したことはございませんで、例の促進法に、人口八千を基礎にしてというようなことが書いてありますが、それだけでございます。これにつきましては、これはきっと今までもお配りしたかと思いますが、町村合併推進本部におきまして、町村合併基本方針というものを作ってお配りいたしたのでございます。それにもそういう画一的な何町村とか、幾らというようなことは、もちろん書いてありません。それは町村によって実情がみんな違いますから、そういう意味のことは全然考えておりません。
  65. 北山愛郎

    北山委員 これに関する問題はたくさんございますが、時間もおそくなりましたから、きょうのところはこの程度にしておきます。  それでは世論調査の正確なのを——私のきょう言ったのは、非公式なもので、不正確かもしれませんから、正確なのを、あす出していただきたいということを要望しておきまして、これで終ります。
  66. 大矢省三

    大矢委員長 それでは、両案に対する本日の質疑は、この程度にとどめたいと思います。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十三分散会