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1956-05-25 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十五日(金曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 山中 貞則君 理事 吉田 重延君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       櫻内 義雄君    渡海元三郎君       灘尾 弘吉君    丹羽 兵助君       古井 喜實君    堀内 一雄君       山崎  巖君    加賀田 進君       川村 継義君    五島 虎雄君       櫻井 奎夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         行政課長)   角田礼次郎君         総理府事務官         (自治庁行政部         振興課長)   宮沢  弘君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 本日の会議に付した案件  町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四七号)(参議院送付)  新市町村建設促進法案内閣提出第一三四号)  (参議院送付)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  まず町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきさきに質疑を終了いたしておりまするので、本日は直ちに討論採決に移ります。討論通告がありますのでこれを順次許します。渡海元三郎君。
  3. 渡海元三郎

    渡海委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま上程になりました町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案に対しまして賛成討論を行わんとするものであります。  町村職員退職年金並びに退職一時金に関する事務につきましては、昭和二十二年に地方自治法上の一部の事務組合といたしまして、各都道府県ごと町村職員恩給組合が結成され、それによって処理されたのでありますが、昭和二十七年本法が制定されるに至りまして、町村職員恩給組合の法的並びに財政的な裏づけができ、職員福祉のために寄与してきたことは皆様御承知通りでございます。しかしながら、その間の組合経理運営にかんがみ、その事業の本来の目的にも照らしまして、改正すべき点がございますので、今回政府はこれらの点について所要改正を行わんとするものでありまして、まことに時宜に適した処置として、われわれは賛成の意を表せんとするものであります。すなわち、その一は、組合財務規定に関してでございますが、会計適正化を期するため、本組合運営の本来の趣旨に適合するごとく、地方自治法上の財務制度の特例といたしまして、特に企業会計と同様の原則を打ち立てんとするものであります。その二は、従来監査制度におきまして、監査委員設置任意設置となっておったのでございますが、会計の適正を期するために、今回は必置制度にこれを改めんとするものでありまして、これまた適切なる措置と考えるものでございます。  なお本組合運営に関しましては、保険数理に基いて、将来の給付に充てるための積立金が相当額積み立てられることは御承知通りでございます。これらの責任準備金運用職員福祉のために利用する道を開いたのでございまして、これは現実にも行われている点を、特に法をもって整理せんとするものでございまして、適正なる措置と考えるものでございます。  なお、町村合併に伴いまして、町村区域、全部もしくは一部が、市、区域に編入された場合におけるこれら退職年金並びに退職一時金に関する事務の引き継ぎにつきまして、昭和二十八年十二月の町村合併促進法の一部を改正する法律案施行前の規定は、これが不備でございまして、明確を欠く点があったのを、この法律によって的確を期せんといたしたものでございます。  以上が大体本法改正趣旨でございますが、いずれも組合運営の経験に基きまして、時宜を得た適切なる措置であると存じ私は賛成の意を表するものでございます。  なお、本法審議過程におきまして、公聴会におきます参考人供述等によって見ましても、本法運営に当りまして町村負担しております負担金が、相当多大の額に上っておることは事実でございます。このために、保険数理に基きます経理基礎を、本法運営に当りましては唯一の基礎といたしておるのでございますが、これらの実情にかんがみまして、将来ともにこれが負担の軽減をはかるごとく努力し、行政指導に当られるのが当然とわれわれも考えるのでございまして、これらに対しましては後ほどわれら共同しての附帯決議が出るそうでございますので、これらの点もあわせまして、私は本法全面的賛成の意を表明いたすものでございます。(拍手
  4. 大矢省三

  5. 中井徳次郎

    中井委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になっておりまする町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案条件をつけまして、賛成の意を表したいと思います。  町村職員恩給組合につきましては、問題がいろいろございます。特に重要な点は、あまりこの運営を堅実に堅実にと考え過ぎました結果、今や実に百三十億にも上る余裕金を持っております。しかるにかかわらず、町村負担金は実に高額でありまして、この高額の比率を現在においてもそのまま持続をいたしておるということであります。すなわちたとえば月百万円の人件費を要する町村におきましては、十二、三万円もこの恩給組合法に対する負担金を出さねばならぬというふうなことは、日本の他のかかる制度に比較いたしまして、まことに過大に失しておりまして、このことは全国町村の経費の負担に大問題になっております。しかしながらこのことは実は法律の問題ではなくして、行政措置において何とかするというのが、政府の御答弁でありましたので、私たちはまずこの点を附帯決議として付するという条件をつけまして、自民党各位におかれても御賛成を得ましたので、それがまず第一点の私どもの希望いたしたいところでございます。  第二に申し上げたいことは、これははなはだ素朴な原則論的な意見でございますが、町村職員恩給組合法内容を見ますと、これは実は恩給というものに当てはまる内容のものではございませんで、年金でございます。従いまして私ども社会党といたしましては、この際できればこの名称一つ変更をしてもらいたいという希望を持っておったのでありますけれども、この点も単に名称の問題だけでございますから、他日改正の機会でいいというふうなことで了承をいたしました。従いましてこの町村職員恩給組合法につきましては、今申し上げましたような二点の大きな欠陥を持っておりまするけれども、この点は政府におかれてもとくと将来御勘案を願うということにいたしまして、そうして今度の改正案内容を見ますると、やはり百三十億に上りまするこの金を何らか町村職員——社会福祉の面において町村職員のためを考えての改正であるという点において、やはり一歩前進であるという意味におきまして、私どもは今回のこのことに賛意を表します。  ただしかし従来とかくこういう積立金運用につきましては、何といいまするか、これを野放しにいたしますると非常にずさんな経理が行われる。そして大切な各個人々々の積立金が、最初計画は非常にりっぱであったが、行われておって五年、十年たつと、抜きさしならぬような大穴をあけておるというような形が、これまでの日本の実績において、しばしば見られる次第でありますから、この点は特に私ども留意をいたしまして、政府の案におかれましても、いわゆる単式簿記複式簿記に直していく、企業会計にやっていく。企業会計になすにつきましては現在の事務をとっておりまする人たちが、その点ではなはだふなれであるという点においても、一るの危惧の念があるのでありますが、この点は法案実施までに政府が極力これが指導をし、この運営を全からしめるように努力をするというふうなことでありましたから、その点においてもわれわれは附帯決議をつけるという、自民党皆さんも御同様の賛成をいただきましたので、この二つの附帯決議条件といたして、私どもは本法律案賛成を表する次第でございます。(拍手
  6. 大矢省三

    大矢委員長 これにて討論は終局いたしました。  次に採決をいたします。町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案賛成諸君起立をお願いします。     〔総員起立
  7. 大矢省三

    大矢委員長 起立総員。よって本案全会一致をもって原案通り可決することと決しました。(拍手)  北山君。
  8. 北山愛郎

    北山委員 ただいま決定をしました町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案につきまして、私は自由民主党及び日本社会党両党を代表いたしまして、次のような附帯決議を付する旨の御提案を申し上げます。  最初決議案を読みます。   町村職員恩給組合事業運営に当っては組合本来の目的地方財政の現状に鑑み、特に左の諸点につき、所要処置を要望する。  一、第四条の三に掲げる組合事業中、施設の経営及び財産の取得、管理、貸付等は必要の限度に止め、資産を不当に固定しないよう留意すること  二、将来に於ける退職金制度改正貨幣価値その他経済事情変動等を考慮し、積立金制度検討を加え、速かに町村負担金を大巾軽減するよう適当な行政指導を行うこと  右決議する。  決議内容は以上の二点でございまして、すでにこの二点につきましては、委員会における質疑並びに討論の中にも詳しく述べられておる通りでございます。  すなわち今回の改正によりまして町村職員恩給組合事業範囲が拡大をせられまして、福祉事業をやり得るようになったわけでございますが、これも本来は組合の自主的な活動運営に待つべきものでございますから、あまりにも統制が行き過ぎるというようなことは、もちろん慎まなければなりませんけれども、しかし各組合とも相当な資産を持っておりますので、その資産運営する場合に、福祉施設を不当に買い込んだりして、資金を固守するということが行き過ぎてはならぬのでございまして、組合の自主的な運営を妨げない範囲内において、やはり政府においては所要指導をしていただきたい。  それから第二点は、町村負担する町村負担金が現在非常に大きいのでございまして、これは将来における組合給付額というものを確保するためにとられてきた措置でございますが、しかし社会経済あるいは政治の諸制度が、どんどん変更されるような事情にありますので、二十年も三十年も先のことをあまり見通して、そうしてその上に立った積立金というものを過大に徴収するということは、やはり一定の制限がつけられなければならぬではないか。現在では共済組合その他の職員給与関係負担金が非常に多いのでございますから、それらの点も考えまして、政府におきましては法律の条項に従って組合運営について、市町村負担金をできるだけ引き下げるような指導をしていただきたい。これがその趣旨でございます。  以上簡単でございますが、理由の要点を申し上げまして、皆さんの御賛成を得たいと存じます。
  9. 大矢省三

    大矢委員長 ただいま北山君より本案に対する附帯決議を付すべしとの動議提出せられましたが、これについて意見なり質疑があればこれを許します。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大矢省三

    大矢委員長 なければ、北山君の提出動議について採決をいたします。本動議賛成諸君起立を願います。     〔総員起立
  11. 大矢省三

    大矢委員長 起立総員。よって北山君の提出動議ごと本案附帯決議を付することと決しました。  この際政府から発言を求められておりますから、これを許します。太田国務大臣
  12. 太田正孝

    太田国務大臣 政府附帯決議の御趣意を尊重いたしまして、遺憾なきを期したいと存じます。
  13. 大矢省三

    大矢委員長 お諮りいたしますが、本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければ、さよう取り計らいます。     —————————————
  15. 大矢省三

    大矢委員長 次に、新市町村建設促進法案議題として質疑を行います。質疑通告がありますので、これを順次許します。中井君。
  16. 中井徳次郎

    中井委員 新市町村建設促進法案につきまして、先般来大臣以下関係各位からの御説明を伺ったのでありますが、私はこの法案について、原則的なもので一、二お伺いをいたしたいと思うのであります。  町村合併促進法施行されましてから、ちょうど二年数ヵ月になるわけでありますが、この法律案は議会におきましては満場一致でございまして、また政府におかれましても大いにこの法律案趣旨に沿って御活動をいただきましたので、日本の内政のある意味においては革命とさえ言われるものが、私どもの見るところによりますと、客観的には数字的な比率におきましては、まあまあ進捗模様が非常によろしいというふうなことである。これだけの大事業でありますから、そう簡単に政府がさらに欲を出して考えておるほど進むべきものでもない。これは法律や何かでもってそう規定すべきものではないのであって、住民の自由なる意思というものを十分尊重いたしまして、そうしてその人たちの論議の中において施行さるべきものである、そういうふうに考えております。もちろん具体的なこまかい点につきましては、先般も徳島県の事情等について、民自党の生田君でありまするか、いろいろ御質疑がありました。あのような事情はおそらく全国たくさんあることと思いますけれども、それはやはり大事業を遂行いたしまする過程にありましては、当然のことであって、そういうことについてあまり神経質になるということはどうであろうか。私ども考え方から言いましたならば、これはまあとにかく二年半でこれまでできたのであるから、あとそういう問題の個所がありましても、これはできれば本年九月三十日までの施行期日になっておりまするものを、さらに半年とか一年とか延ばすことによって、そうして円満なる解決をはかっていくというのが、ほんとうの政治の姿ではないか、かように考えるのであります。  しかるに、今般政府は、追い討ちをかけるようにいたしまして、この新市町村建設促進法案というものをお出しになった。この点はどうも私ども政治現実で、あまり事を荒立てて、そうして急ぎ過ぎて、すでにもう新市町村建設促進というからには、町村合併というものは一応済んでおるというふうな、非常にあわてふためいた法律案のように思えてならないのでありまするが、そういう点についてなぜ政府が急いでこのようなものを出したのであるか、その根本的な考え方がどうしても納得できないのであります。鈴木次長から一つこの新市町村建設促進法案を提案なさいました政府の気持というものを伺っておきたい。特にこの点は、私は大臣よりも事務当局皆さんの熱心なる主張によって、このような法律案が出たと了解をしたいと思うのでありまするが、そういう意味において特に次長の率直な見解を、まず第一点で一つお尋ね申したい、かように思うのであります。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 町村合併促進法施行期限が、本年の九月三十日をもって一応本来的な期限が切れるわけでございますが、これをさらに期限を延ばすことによって、いま少し従来と同じような方式の期間を延長し、もっと円滑にゆっくりやったらいいではないかというような趣旨お尋ねのようでございます。そのような考え方も私どもも、もちろん十分考えたのでございますが、やはり本年の九月三十日までということを、一つめどにいたしまして、過去二年半にわたりまして推進して参った町村合併でございますので、当初政府なりあるいは法律が意図いたしておりましたその趣旨を突き詰めて考えて参りますと、やはり一定期間内に町村合併に関する措置を終了するということを、一つめどに考えておったわけでありまして、このような町村合併に関する問題が、さらに今後だらだらと長く引き続いて参るということは、地方団体行政自体の安定を害すると申しますか、そういうふうに思いますので、やはりでき得ますならば、一定期間内にこれを解決をしてピリオドを打つということの方が、その期間内では若干無理があるかも存じませんけれども、将来の基礎を早く固めることになるのではないだろうかというふうに考えたわけでございます。もちろん町村のことでございますから、合併仕方等によりまして、将来に若干しこりが残るようなこともあるわけでございますが、しかしそういう点を考えましても、私どもといたしましては、一定の当初予定いたしました期間内に措置を完了して、それからさらに今回の案では、来年の三月三十一日までの間に今までの計画を再検討をして、手直しをし、それを最終的には住民投票できめていく、こういうことでピリオドを打ちたい、こういうのが私ども見解であったのであります。
  18. 中井徳次郎

    中井委員 今の次長の御答弁を伺っても、私は新しい町村促進法案をお出しになるはっきりとした理由がつかめないのであります。ただ言われることは、だらだらといつまでも延ばすことはどうも工合が悪い、気分を転換するというようなことでありますが、何も私どももだらだらと長くいつまででも延ばせということを言うのではありません。大体あの法案が成立のときには、三年というような時限立法の形になりましたけれども、三年たって現実に残ったものをどうするかという場合に、皆さんとしては、そのときにはあらためて考えてみる、気分としてはまあ年限を少しでも延ばしたい、一年ないし二年延ばすというふうなことで、片づけていくというふうな御答弁があったように、私どもも記憶をいたしておるのであります。従いまして今のお話ではどうもわかりません。それと今の御答弁をまるで逆に裏書きしておりますように、この新市町村建設促進法案というものを拝見すると、この建設促進法案の最も大きなめどは、これまでどうも合併がうまくいかなかった面について、これを強力な力によって合併をさせてしまうのだという、いわゆる強制的な内容がありまして、合併した町村に対する内容を充実するというふうなことは、実は二の次になっておるように私どもには考えられる。そういう点についてどうもこの促進法案をお出しになったわけがよくわからない。もっとはっきりいえば、政府が熱心にあの促進法内容をそのまま推進をされましたならば、今日の事態を惹起しなかったと考えられる面が非常に多いのであって、しかもその原因のうちの最も大きなものは、町村側にはなくして政府の方にある。政府がこの法律案実施に非常に不熱心である。特に客観的に見ますと、自治庁だけは熱心であるけれども農林省や大蔵省や他の省においては、はなはだ不熱心であるというふうなことが、この合併促進を非常に阻害いたしておる。具体的な例でいいますと、起債の面におきましても、あるいはまた例の国有林野市町村への払い下げの問題にいたしましても、どうも他の省が不熱心であるという点に原因があるのであって、ちっとも町村側にあるのではないというふうに考えられるのであります。あなた方はピリオドを打つといわれるが、そのピリオドをあわてて打つと、迷惑するのは実は住民の側である。もう少し辛抱して、政府部内の町村合併に対して不熱心である各省に向って働きかけるということこそ重要であろう、かように思うのでありますが、その辺のところをもう一度はっきりと御答弁が願いたいと存じます。
  19. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘になりましたような問題が存在することは、私どもも確かにその通りと思っておるわけでございます。それで、来年の三月三十一日までを一つの終局の期限として、この間に今までの各都道府ごと合併計画の不合理な点を是正して、残された町村をいかに合併いたしますならば合理的な合併となるかということを、やはり最後の締めくくりの段階として、いま一度再検討して、合理的な実行性のある計画をこの際いま一度作ってもらう。それに基いて三月三十一日までの間に最後の手段を尽して参る。しかしこれももちろん勧告でございますから、強制的なものではないわけでございますが、勧告がありましたのに、なお処置しないというときに、さらにその勧告に基く合併が適当であると知事が認めた場合には、建設促進審議会意見を聞いて選挙人投票によってきめるというようなことで、最終的には住民意思によって来年の三月三十一日までの間に結着をつけたい、そういうふうに考えておるわけであります。当初に立てました合併計画が今日の段階として、ことに必ずしもすべてが当初の計画通りいっておらぬわけでありますから、取り残された町村については、どういうふうに合併するのが最も合理的であるかということを再検討すべき最終段階に達しておるわけでありまして、そういうようなことも考え合せまして、来年の三月末までの間に、最後措置を一度やっていきたい、こういうのが根本の考え方であります。もちろん御指摘のように、各省との関係も非常にあるわけでございますが、これは要するに、合併によってでき上った新市町村育成強化が、必ずしも初期の目的通りいってないということに帰すると思うのでございます。これは一つには、新市町村建設計画というものが、理想を強く描くあまり、またそれにすみやかに到達したいことを念願するあまり、非常に早急な計画を立てておるという点もあるわけでございまして、それと現実政府各省の組織、考え方というものとが、あまりにも開いておるというようなところが、非常に新市町村に不満を起させておる点があろうかと思います。そういう点はまさに御指摘通りでございます。しかしこれは同時に、建設計画それ自体を、もっとその団体財政力に即して、またその実情に即して、実行できるペースに引き直してもらうということを、一方において考えますると同時に、政府各省のこれに対する態度をさらに改善し是正をしていくということが、確かに御指摘のように必要な点でございます。今回のこの新市町村建設促進法の立案の際におきましても、農林省の林野庁というような方面とは、特に長期にわたりましていろいろと折衝をし、交渉をいたした経緯もあるわけでございまして、だんだんと農林省方面におきましても、問題の実態に対する認識を改めて参ってきております。国有林野関係につきましても、私どもは従来とは相当面目を異にした考え方になってきておるというふうに考えておるのでございます。もちろん法律の上にいろいろ規定を設けただけでは足らないと思いますが、しかし法律基本考え方を明らかにすることによりまして、さらに政府としましても、その考え方を強くとっていく、またその線に従って伝達を受けてやっていく、こういうふうに思うのであります。要するに合併によってでき上りました新市町村育成というのは、合併すること自体のように、短かい年月のうちに直ちに目的を達するものではないわけでございまして、やはり今後の育成というものは、相当腰を据えて長期にわたって建設を持続していく、こういう考え方でなければならぬと思うわけでございます。そういう意味におきまして、やはり建設に関する基本方針を明らかにし、今後長きにわたって新市町村建設の基準というものを法律の上においてうたって、政府地方もその線で事を進めていくということをいたしますことは、やはり有意義なことであろうと私どもは考えておるのであります。
  20. 中井徳次郎

    中井委員 どうも御答弁を伺っていると、私も抽象的なお尋ねをしておるから抽象的な御答弁ではありましょうが、新しい法律を出す必要がとんと私どもにはわかりません。先ほどから促進法案については、非常に理想的なものであるから、中には雄大に過ぎて行われがたいものもあるというふうな御意見もありましたが、根本は何といっても、どうも自治庁だけの合併促進法案になってしまって、ほかの各省賛成を得ない、協力を得ないこの立場が変りません限りは、幾ら法律出しましても、同じことであろうと私は思うのであります。どうして新しい法律を出されるか、また理想的なことを言い過ぎたからとおっしゃるが、今度出ておりまするこの法律案を見ましても、相かわらずそういうものは載っておりますよ。たとえば第十三条です。私はきょうこれをずっと読んでみたのですが、十三条には非常に雄大なことが書いてある。「新市町村建設計画実施を促進するため、法令及び予算の範囲内において、事情の許す限り、新市町村建設計画に掲げる次の事項に係る財政上の援助について、新市町村のために優先的な取扱をするものとする。」こうありまして、それが一項目から十項目まである。病院から、診療所から、公営住宅の整備から、道路から、あるいは第八項には有線放送施設その他の通信施設の整備というようなことまでありまして、こんなものは幾ら書いても、現実の面で過去二年の間、町村合併促進法案でほとんど絵に描いたもちのごとく行われなかった。     〔委員長退席、亀山委員長代理着席〕 あなたはそこで新しい法律出してこれを締めていくというが、その締めるなわが、やはり前の法律案と同じような内容をだらだらと書いておるのじゃ、一向にどうも……。前の町村合併促進法が空文になるのならば、今回のやつも空文になる。問題はかかって法律ではなく行政力だと、私どもは考えておるのであります。そういう点において政府は次から次と法律出して逃げ込んでいこうという考え方については、どうも賛成ができませんが、あなた方はこの十三条の公営住宅の整備、あるいは病院、診療所、隔離病舎、水道施設その他の衛生施設の整備、あるいは八の有線放送、こういうことについては、ほんとうに国として大いに優先的に扱うと言われるが、具体的にどういうことを考えておられるのですか。こんなことができますか。新市町村建設促進法案ですか、これに実際当てはめてみますと、町村におきましたは旧町村の姿のものはほとんどありませんから、全国にわたるということになると、こういうものを書いても書かなくても実質上はほとんど差がないのであります。どうもおっしゃることと実際の法案とは違うように私は思えてなりません。こういうものを出さないことには、国としてどうしても動きがつかないのであるか、この点をさらに伺っておきます。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この十三条の規定趣旨は、要するに各市町村建設計画におきまして取り上げる場合において、こういうような問題は国が予算の範囲内において事情の許す限り財政上の援助について、優先的な取扱いをする項目として取り上げたわけでありまして、ただいま御指摘のありましたたとえば公営住宅、こういうようなことについても、たしか前の町村合併促進法におきましては規定がなかったかと思いますが、特にこういうものは建設省の方面においても入れてもらいたいというくらいな熱意を、今回は示してきております。また有線放送施設につきましては、補助金を自治庁としても考えておりますし、また第一の学校の統合につきましても補助金があるわけであります。もちろんこれらのここに列記してございます一から九までのすべての施設を、すべての市町村が早い期間にやるということは、とうていできないことでありまして、従来の建設計画においては、このような各種の施設をすべて一定期間にやる、それも相当早い期間にやるというところに理想と現実の開きがあって、計画として非常に無理であるというところに、やはり問題があったのであります。このような幅のそれぞれの計画について、新しい市町村として、自分の市としてはぜひこういう施設を完備したい、自分の町村としてはこういう施設をぜひ完備したい、そういうものが特別にあるはずでありまして、そういうものを市町村財政力市町村民の負担能力というものを考えつつ実現をしていく、こういうことでありまして、それを実現するについては、国として財政上の援助について優先的な取扱いをする、こういう趣旨を明らかにしたわけであります。もちろんこういうふうに法律に書きましたからといって、一挙に望んでおる新市町村建設というものができるわけではありません。やはり歩一歩進まなければならぬのでありますが、しかし同じような条件の場合においては、国としては新市町村建設ということを優先的に考えて処理する、こういうつもりでございます。
  22. 中井徳次郎

    中井委員 今のお話はどうも現実の姿をよくごらんになっておらぬ。特に十三条の一項には「小学校又は中学校の校舎の新築、改築又は増築その他教育文化施設の整備」とありますが、特に教育関係につきましては、町村合併の以前に六・三制その他で日本の教育施設、特に義務教育の施設というものは非常な変動があったのです。その変動をさらにまた十三条の一で手直しをする、そういうことでありましょうが、どうもこの点なんかは自治庁当局は、はなはだ不認識である。一応六・三制その他で整備をされて、今全国の各町村は、はっきり言えばほっとしたところなんです。それをさらにまたこういうものを出しますと、また一ついじくるということになって参りまして、問題をさらに混乱さすだけである、そういうふうにさえ考えられるのであります。その点について私どもは、どうもあなた方の甘さといいますか、法律を何でもかんでもどんどん出して明文にしておけば、そのうちに何とかなるだろう、大きく五十億とふっかけたら、五億でも三億でもくれるであろうというふうな考え方に基く法律案、これならばもう元の促進法そのままを強力に押していった方が、私は実効が上るように思う。そういう点においてさらに次長の御答弁を願いたい。  あなたに御用があるのでありましたならば、もう一点他の条文についても伺っておきます。今回の促進法案を拝見いたしますと、新しい町村でもこれを推進をいたします審議会を作るというふうなことになっております。中央において審議会を作り、あるいはまた県においてお作りになるということは私どもわかりますが、町村において作る、その内容を見ますと依然として学識経験者、農業委員会というふうなもの、各種委員会の委員というものが入っておりますが、これはどうですか。これは私は地方議会にまかすべき問題だろうと思う。合併するまでは、これは全住民の関心のもとに行われねばならぬのでありますから、あのような委員会を作ることも私ども賛成でありますが、一たび合併をしてできたものであります。その民意を代表いたしますのは地方議会であります。この議会の最も重要な仕事を、新市町村建設審議会なるものによって強力に牽制をする——内容を拝見すると諮問機関だそうでありますが、町村の実態を見れば諮問機関といったって、これはもうほとんどその諮問通りに私はなると思う。これは非常大きな法律上の問題があろうと思のであります。県や中央はよろしい。しかし地方においてこういうものを作る。理事者及び議会を相手にして、県や中央は折衝すればいいのである。その意思によって行うべきである。必ずや新しい町村の議会人は、新しい町村の議会人として建設意欲に燃えて出ていったのであろうと思う。それをさらに実質をとってしまうような、こういう審議会を作るということについての自治庁考え方はわかりません。これについて一つ明解をいただきたい。基本的な問題であります。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第一の学校統合についてでございますが、この点は私どもといたしましても、新制の教育制度を戦後施行いたします時期と、町村合併というものを、このように全面的に行います時期とがもしも同時でございましたならば、当初から合理的な計画のもとに新しい中学校ができ、学校の施設の配置というものにつきましても、もっと合理的な措置ができたろうと思うのであります。しかし遺憾ながら現実の歴史はそうでなくて、今日に至っているわけでございますが、さりとて一たん合併をいたしました以上は、やはり学校の配置ということについて経済性を十分考えまして、学校の経営を合理化するということを考えていかなければならぬと思うのでありまして、そうなりますならば、どうしても貧弱な形の併設のようなものよりも、やはり全体統合されまして、先生の陣容も、また教科のいろいろな施設も充実した、統合された中学校を作るということが、やはり趣旨に合致すると思うのでございます。その面で若干経済的にはロスがあろうかと思いますけいども、古い今までの学校というものを公民館とか、その他の村としての公共的な施設に使いまして、学校というものを統合し、さらにこれを拡充整備していく、こういうことは合併市町村としても、ぜひ考えるべきものだと思うのであります。そういう意味で第八条の方に小学校、中学校の統合に関する規定を設け、第十三条の一項には先ほど申し上げましたような規定もあるわけでございます。そういうふうに私どもは考えておる次第でございます。  それから第二点の新市町村建設促進審議会というものを、市町村議会のほかに設けるということは不適当ではないかという点でございます。この点はひとりこの新市町村建設だけではございません。たとえば今度の新農村建設等につきましても、同様な考え方で、一つの協議機関を考えておるわけでございますが、従来新しい施策をいたします場合に、やはり直接関係のある者あるいはその方面に深い造詣のある人たちに集まってもらって、基本的な考え方をこらして、そこで出ましたところの一つ考え方というものを、そのまま市町村が実行するというのでは、議会との関係は必ずしも適切ではないと思いますが、この案におきましては、審議会の意見を聞いた上、さらにこの建設計画を調整するような場合には、議会の議決を経てこれを行うという建前にいたしておるわけでございまして、議会が議会としての本来的な地位はもちろん持っておるわけであります。ただその前の段階におきまして、建設審議会の意見も聞いて市町村長が案を作る、こういうことでございまして、基本市町村長と市町村議会という市町村の二つの柱の建前を変えるとか、あるいはそのうちの議会を軽視するという考え方ではない、かえってこの方が実態に即するのではないかというふうに考えたのであります。
  24. 中井徳次郎

    中井委員 今の後段の点ですが、これは全く屋上屋だと考える。皆さん地方自治法改正で、市町村や府県の機構をなるべく簡素化して経費の節約をはかるというので、全国の議会の猛烈な反対にもかかわらず——私どもは反対しましたが、今参議院に行っておる、あの精神とこの十条の2とは全く背馳しておると思うのですがどうですか。そしてせっかく新しい町村で張り切って出てきました議会の議員の権限を実質上剥奪をいたしております。金がかかるだけであり、問題をさらに騒がしくするだけでありまして、こういうものを作るということは、政府のこれまでの考え方と全く逆であると思います。きょうは時間がありませんから、この点は少し保留しまして、他日またやります。  それから今御答弁の中にあった新農村建設です。こういうものもあれは農林省の御計画か何かしりませんけれども、新農村の計画こそ新市町村建設に線を合わさなければいかぬ。しかるに全くあれは別のものであって、しかも経費の面その他におきましては、財政部長などの質疑で明らかになりましたが、全然財政計画の中には自治体としてこれを援助するというふうな経費も計上されておらぬ、実質は非常に密接な関係があって、この新市町村促進がどんどん行われました。行われましたから、ああいうことが起ってきたとさえ考えておる。にもかかわらず全然別個のものであって、あれは経済的なものだといいますが、断じてそういうものではございません。農村の姿を考えて参りますと、この町村役場というものと、ああいう新農村建設経済的なものとは密接不可分であって、私どもの考えによれば、農協あたりが非常にふるわないのは新市町村に即した大きな団体を作らない。依然として変な部落根性から五十戸や百戸でもって農協だと思っておりますから、今の農協はうまくいかない。そういう本質的なものに目をつぶって思いつきで、十七億あるから一つこれでもって農村対策をやれ、農民を喜ばしてやれということでは納得ができるできぬじゃなくて、あまりにも思いつき的なことであって、私どもはむしろ噴飯ものでもあろうと思うのであります。しかもあれが行われましたら、必ずや町村に対して非常な負担になるのでありますが、自治庁はそういう問題についてどう考えておりますか。私はこの点だけきょうはお尋ねいたしまして、あと四、五点ありますが、火曜日に譲りますけれども、この審議会の問題、さらに新農村建設計画と新市町村との相関関係、こういうものについて政府見解をただしておきたいと思います。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 新農村建設計画と新市町村建設計画との関係でございますが、これは御指摘のように、市町村という自治体の社会を考えて参りますならば、新農村建設計画と新市町村建設計画というものは、実質的に一つのものでなければならないと思うのであります。新市町村建設計画の中の農業面を担当するものが、新農村建設計画であるというふうに私どもは理解をいたしておるわけであります。農林省とのいろいろの交渉の過程におきまして、当初の案等にありましては、ただいま御心配のございましたような新市町村建設計画と、農村建設計画とが遊離するように見えた面も確かにあったのでございますが、これはいろいろ折衝いたしまして、新市町村建設計画と農村計画とは必ず調整して、両者にそごを来たさないようにするということを特に明らかに向うの計画の中にもうたうようにいたしたのであります。ただこの新農村建設計画は、市町村が行います場合と農業団体が行います場合と両方あるわけでございまして、そこらに若干施行団体が違う点から違う面があるのでございますが、基本計画におきまして、そごすることがないように調整するということを明らかにいたしております。  それからまたこれに関連して地方市町村がどの程度の負担をするかということでございますが、これは今ここで私数字をはっきり記憶いたしておりませんが、今回の地方財政計画におきましても、その点を見込んでおるわけでございまして、全然根拠なしに農林省関係で勝手にやっているというものではないのであります。十分この点につきまして連絡をいたしておる次第でございます。
  26. 中井徳次郎

    中井委員 今の答弁は二点において少しおかしいですよ。財政計画の中ではそういうものは考えておらぬというのが、これまでのあなた方の答弁なんです。その点を一つ確かめて下さい。それから調節をするようにやるといいますが、調節をするように現実にはやられておりません。といいますのは、五百ばかりの団体を考えておるようであるが、私どもの考えでいきましたら、その五百というのは全国町村——農村も含めて市町村単位にやるのならばよろしい。ところがその中のある一部の農協だけにやるということになりますと、現実にはちっとも調節になっておらぬ、その点を一つ具体的に御説明願いたい。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第一点はこの前たしか川村委員からもお尋ねがございまして、私もその際出席をいたして、おりまして、お答え申し上げたように記憶しておるのでございますが、地方財政計画の上では農業団体施行する新農村建設計画の面のものは、これは見ていないわけでございますが、市町村負担をいたして行います新農村建設計画の部分は、財政計画の上に見ておるわけでございます。ただその際にお話のございましたのは、そういう形式的には区分があっても、実際問題として地方団体に農村建設計画負担をしいられるような結果になるのではないかというお話があったように記憶いたしますが、それはそういう面も若干あろうかと思いますけれども、しかし今の建前の上では、私申し上げましたように財政計画上見ております。それからなお新農村建設計画の場合に、施行の地域を市町村の地域と全く一体にとる、これが一番望ましいわけでございますが、しかし市町村によりましては、農村部と都市部、また農村部によりましても全然反対側に存在するというような地域の分れておるような場合もあるわけでございまして、そういうような場合に常に全市町村区域を一体として考えなければならぬかどうかということになりますると、場合によればむしろ分けた地域において問題を考えた方ががいいという場合もあろうと思うのであります。しかしそういうことはそれぞれの当該の市町村あるいはその実際の指導に当ります府県におきまして、合理的な農業地域のとり方、建設計画基礎のとり方というものを考えてもらうという建前に立っておるわけであります。
  28. 中井徳次郎

    中井委員 今の御答弁は前の答弁と多少違いますが、そうしますと町村単位に農村計画をやるというのに、財政計画の中で一体幾ら計上しているのですか。金額を知らせて下さい。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の点は間違っているといけませんので、後刻数字を申し上げます。
  30. 中井徳次郎

    中井委員 わずかばかりの数字をはじき出したって、ものの用には立たぬと思う。農協と町村と別の場合に、一つの農協に対する助成金としては、川村君の質問にもあったが、三百数十万円だったと思います。貧弱農村にとりましては非常に多額な金でございます。こういうものについて政府機関から自治体を通ぜず、すぐ農協に金が回るということは非常に危険だと思う。こういう点について自治庁としてはどういうふうな考えか、それも知らぬ顔の半兵衛でいくのであるか。あるいは市町村を通ずれば逆に市町村は経費はかかるかもしれません。しかしこれは一つの村にとりましては、きわめて大きな問題です。たとえば五つの部落があって、その一つだけはここ二、三年の間三百数十万円の補助金が毎年出る。他の四つの部落には全然出ないというふうなことになると、村の平和はごちゃごちゃになってしまって、私どもは裏から見ると、これは町村合併促進法に対する農林省のささやかなる抵抗であるとさえ考えたいのであります。そういう点について農協と農業団体町村との関連あるいはその経過において、そういうものを通じていくのであるかどうか。そういう面においてあなた方はおそらくまだ折衝してないと思うのだが、今後農林省と折衝されるならばどのようにやりたいか、また大いに折衝したいのであるかどうか、ちょっと見解を聞かしてもらいたい。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 農協が行います場合においては、その補助金を市町村を通じて交付するようにするかどうかという点は、確かに重大な問題でございます。今の建前といたしましては、必ずしも市町村を通じないでいい。また通じてもいいという格好になっておるわけでありまして、現実にこれを通ぜしめるかどうかということは、府県がどのような方針をとるかということにかかっておるわけでございます。実際農村建設計画の方をやっているものとしては、直接農協に補助金を交付したいという考え方がございますし、もちろん市町村全体の立場を考えているものとしては、市町村を通じて農協に交付した方がよろしいという考えに立っておるわけでございます。現実の府県の実際の状況を見てみますと、どちらかと申しますれば農協に直接補助金を交付するという実態になっている場合が多いようであります。私どもといたしましては、これは市町村を経由して農協に交付する方が全体の計画との調整もやりやすくなるのではないかというふうに考えられますので、その方を望んでいるわけでありますが、今までの建前といたしましては、今申し上げましたように府県の実際にまかせているような格好に相なっております。
  32. 中井徳次郎

    中井委員 その点について、農林省方面と今後折衝する意思がないかどうか、その点を伺いたい。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私どもといたしましては、全く中井先生と同じような考え方をもっていろいろ折衝をいたしてきておったのでありますが、いろいろ会計経理上の問題、従来の慣例の問題等もありまして、今申し上げましたような形に相なっております。
  34. 中井徳次郎

    中井委員 あと二、三お尋ねしたいことがありますが、きょうはこの程度にしておきます。
  35. 北山愛郎

    北山委員 今の計画の問題ですが、計画というのは、国の方にもたくさん総合開発計画とか、特定地域の計画あるいは地方計画、いろいろあるのですが、一つもそれが実施の方と結びついておらない。実際の裏づけがない。こういうことは地方に対してもやらしているわけです。たとえば今の新農村建設のためのいろいろな新しい措置についても、表面だけを新しくしたものであって、従来やっておったものを、ただレッテルを張りかえて出しただけです。農業については、それ以外にすでに数年前から農業委員会の農業振興計画なる膨大なるものがある。それからまた今度の町村合併については建設計画がある。また赤字団体については、財政再建促進法の再建計画がある。いろいろな相矛盾するような計画が出てきて、それが少しも実施できるような裏づけがなされていない。計画が宙に浮いているというのが、国と地方を通ずる現在の一つの傾向とまで、あるいは政府の方針のように見えますが、従来の市町村建設計画なるものを、自治庁としてはどういうふうに扱うつもりか。体裁のいい理屈は幾らでもつくでしょうが、現実の問題として配付された資料によると、二十九年度の建設計画事業計画並びに実施額というものを見ると、事業費のうち総体の計画額は三百九十三億、実施に百八十四億の財源がそれぞれ書いてございます。ところが三十年度になると計画の方だけが載っておりまして、七百二十七億というように計画額は倍くらいになっている。三十一年度も六百五十六億です。その財源の方を見ると、昭和二十九年度のたとえば国庫補助金、その方の実施額は三十九億、地方債が四十六億ということになっている。そこでお伺いしたいのですが、この国庫補助金なり地方債は、おそらく今年度の予算等を見れば、二十九年度と大差ないのではないかと思う。そうするとかりに三十一年度の事業費が六百五十六億で、そのうち国庫支出金を引き当てているものが百七十億もある。地方債を充てているものが二百四十二億ですか、膨大なものがあるのです。そうなると、二十九年度の実績から見ると、国庫補助金と地方債を合せて八十五億くらいにしかならぬ。これが一体三十年度、三十一年にふえるのかどうか。もしも横ばいないし減るというような傾向にあるとするならば、ますます計画と財源とのギャップがひどくなるのじゃないか。こういう点は一体どういうふうに考えておられますか。
  36. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 三十年度はまだ決算が出ておりませんので数字がわからぬのですが、決算がはっきりすれば直ちに資料を作ってお配りいたすようにいたします。ただこの計画と実践との間におきましてはギャップのあるのは事実でございます。われわれといたしましてもこのギャップをできるだけ縮めていかなければならぬ。その面におきましては、積極的な国の援助、自治体の自主的な財源の問題が一方にあるとともに、計画自身の実施計画にもやはり実情に合わぬ無理な面もものによってはあるのじゃないか、ここのところの考え方が非常に問題だろうと思いますが、そういう面は確かにあるのでございます。そこでわれわれといたしましては、やはり計画は実際の財政力に見合った着実な計画を立てるということが一面において必要でありまして、そうしてその計画を合理化したものを基礎にして国も府県もできるだけ援助する、両方から寄せていく必要があろうじゃないか、それが今度の建設計画の調整という言葉で、いろいろ御意見がございますが、用いたゆえんでございます。実施計画でございますから、実施計画というものはやはり現実に作っていく必要があろうと思うのでございます。そういう意味実施計画は着実に考え直すべきものがあれば、一つ考え直したいという考え方でおるわけでございます。
  37. 北山愛郎

    北山委員 今のは一般的なお話ですが、私は数字をあげてお伺いしておるのです。とにかく三十年度になると計画としては七百二十何億なので、財源の方はどうなるか。三十一年度は計画は六百五十億ばかりになると思う。それを財源としてはどう考えておるか。こういう総体としてのめどがつかなければ、調整ということも単なる言葉の問題じゃないかと思うのです。しかも建設計画なるものは、地方が勝手に作ったものではなくて、一応法律の根拠に基いて作って、しかも内閣総理大臣提出をしているのです。だから、それはただ受け取っただけだと言えばそれまでですが、なぜそれならば建設計画を作ったときに、それは過大であるとか言って、そういうふうに調整をその当時においてしなかったか。地方団体はそれが合併のときの旗じるしなのですから、それがまずできるものとして一応出しておるのです。その計画によれば膨大な数字になっておるわけなのです。しかもそれに対する財源措置というのは、今度の建設促進法においても、やはり財政的な援助であるとかあるいは特別な配慮であるとかいうような、いろいろな規定があるにもかかわらず、ギャップがあまりにもひど過ぎる。そうでしょう。だから私の伺いたいのは、今度の合併市町村に対して二十九年度の実績、国庫支出金と地方債の実績は約八十五億である。しかし三十年度はわかっておるはずなのです。どのくらいが充てられているか。大体の計画があるはずなのです。三十一年度についても大体見当があると思うのです。一体幾らぐらいを国庫補助金と地方債において合併市町村について見込んでおるのか、二十九年よりも多いのか少いのか、それらの点がわからなければ法律は作れないのです。それはわかっておるのですか。
  38. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは二十九年度より当然多いと私は考えております。数字は今の町村のそれぞれの建設計画の積み上げでございますから、実績もそこから積み上げなくてはわかりませんので、現在手元にございません。町村の決算がきまり次第、われわれといたしましてもそれを集計いたしたいと考えておるのでございます。これは予定があるはずじゃないかという仰せでございますが、これは昨日もいろいろ議論がありましたが、結局新町村に対する補助とか助成とかを、起債のワクにおいて別ワクを作っておけば、そういう数字は当然に規定されるのでございます。そうじゃなしに、それぞれの事業費の補助費つにいて合併町村を優先に扱う建前をとっておりますので、それぞれの経費の中で、新町村にどれだけ流れたかということを実際押えなければ、正確な数字が出てこないのでございます。そういう点を一つ御了承願いたいと思います。
  39. 北山愛郎

    北山委員 しかし、今度の促進法によって、この合併市町村建設計画の調整については、市町村及び府県の段階それから国の段階においても調整の基準を示すとか、いろいろな規定があるわけですね。ですから、これは当然考えなければならぬ。従って、三十年度の七百二十何億、あるいは三十一年度を例にとれば六百五十六億というのを、どの程度に調整しなければならぬか。これは財源全体の見通しがあるはずですから、一体どの程度に圧縮をすればいいのか、一体建設計画なるものはどの程度に伸ばしたらいいのか、それくらいのお考えがなければ、法律の中に中央において審議会を作って云々というような規定は出てこないと私は思う。ただ漠然と調整するのだというのではまことに無計画で、地方団体が迷惑するわけです。だから、三十年度の七百何十億というのは、今までの状況において、少くとも国庫補助金及び地方債については決算を待たないでも、すでに配当しているのですから、国の方で大体のめどがつくはずです。今出なければあとでもいいのですが、昨年と比べてどういうふうに変ってきているか、それに基いて三十一年度は大体どの程度になるのか、これは少しばかりの開きならいいのですが、計画について非常な食い違いがあるから、今の建設計画を何分の一に縮めろとかいうことのめどが出てくるはず。ですこれは重大な問題ですよ。だから自治庁としては当然こういうことを検討して、今の建設計画は大体どの程度にこれを調整をし、そして五年計画ならばこれを十年にするとか何とかめどがあるはずです。それについてはどういう御計画、御方針を持っておるのかお伺いしたい。
  40. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今おっしゃいました通り、それが非常に大事な問題でございまして、前の合併促進法におきましては、一応総理大臣が報告を見て、それを基礎にして、各省みないろいろ問題を考えてもらっておったのでございますけれども、これはいわば地方で作ったものを、そのまま集計した形になっておるわけでございます。それで、それぞれの団体財政力とか、あるいは国の財政の現況にもかかわらない計画ができておったわけでございまして、現実町村の財政の実態あるいは国の財政の実態に合わせなくちゃならない。そういうことで調整の問題を考えたのでございます。  そこで、この調整につきまして具体的の案があるかと申されるわけでございますが、われわれとして今直ちに数字的な案まで持っておるわけでありません。それで法律にも調整または実施に関する必要な基準を定めることができるという規定を置いたのでございます。一応建設促進審議会においてそういう問題を審議いたしまして、具体的な基準も示したいという考えでございます。
  41. 北山愛郎

    北山委員 審議会で審議をしてからというわけですが、一体審議会で何をめどにして調整すればいいのです。たとえば市町村審議会で、まあ委員が集まって何をめどにして一体建設計画を調整するのか。府県においてはどうなんです。委員なんか全体の財源なりあるいは将来の財政事情なりの見通しがないから、調整のしようがないじゃないですか。やるべき仕事はうんとあるが、これを何ヵ年でやるかということをつけるめどがないじゃないですか。しかも各審議会ではおそらく府県なら府県の事務当局——市町村でも、国でも同じですが、事務当局が大体案なり資料なりを持って、そうしてそれに基いた答申をするのです。そうすれば、審議会をいかに開いてみたところで、どういうふうな程度でどういう基準で調整していいかわからないということになれば、この建設計画なるものは、この調整によってどこへ行くのか行き先がわからないということになる。一体何を基準にして自治庁は調整されるであろうということを想定しておるのですか。
  42. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 それでございますから、中央におきましても調整の必要な基準を考える必要はあるのでございます。そこでそういう規定も入っております。それぞれの町村におきましても、おのずから町村財政力、財政の規模というものはわかりましょうし、財政の規模の伸びというものもわかりましょう、そういうもので一応のめどというものはあり得るのでございます。その上でつまり国としての財政上の援助なり、あるいは起債のワクなりという問題にからんでくるわけでございます。そういう全般の問題がございますので、それで各省も参画をした必要な基準を考えたい、こういうふうに存ずるのであります。
  43. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、かりに一つ合併市町村で赤字を出して再建団体になろうとしておるものがあれば、その再建計画の中へ入っちゃうのですね。それが基準だ、それ以外の、それに矛盾するような建設計画を、いかに調整して新たに作り直しても、結局再建計画というワクの中へ入っちゃうでしょう、赤字市町村の場合は……。だから結局建設計画即再建計画ということになるでしょう。そういうことを一つの基準というようなお話ですが、それでいいのですか。
  44. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 赤字団体を考えれば、建設計画は結局年度別の実施計画を前提にして考えますから、それは当然町村の財政計画と、うらはらをなすべきものでございましょうから、財政再建計画とはほとんど不二一体の関係において、少くとも再建期間は考える必要はあろうと思います。
  45. 北山愛郎

    北山委員 そういうことになってくると、赤字市町村のみならず、こういう建設計画をするための地方の財源というものは、国の補助金と地方債と自己資金と三つしかないわけです。そうするとそれが昭和二十九年度では百八十四億ですから、そのワクよりおそらく広がるわけはないと私は思うのです、実際の現実から見れば……。そうすると七百二十何億という三十年度の計画も、やはり二十九年度と同じように精一ぱいいっても、大体百八十億というところに圧縮されてくる。おそらく三十一年度もそうでしょう、それよりももっと圧縮されるでしょう。こういうような見通しを立てておりますか。
  46. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは割合はどうなるかわかりませんが、数字の絶対額はそうはならぬのでございます。二十九年度は合併町村が非常に少いのでございます。大体二十八年度にできた合併町村が中心でございましょうから……。三十年度になれば二十九年度の末にずいぶん町村ができておりますから、絶対額は当然ふえた数字になって現われます。計画実施の割合はどうなるか、これは実績を見ぬとわかりません。そういう意味合併町村がだんだん累増していきますものですから、それぞれの年度を押えて実績をつかまえなければ、正確な数字はわからぬのでございます。
  47. 北山愛郎

    北山委員 合併団体がふえたから三十年度、三十一年度の事業計画がふえたと言いますけれども地方債の方がそれに応じてふえておるならば、あるいは伸びがあるのではないかと思うのですが、しかし三十一年度なんか一般事業債を三〇%も切っておるわけですね、公営事業はふえておるけれども……。そういうことになれば、やはり合併市町村についても、地方債の伸びというものが、計画額の増大に比例してふえるということは期待されないのではないか、こういうふうに考えられる。従ってこういうふうな国庫補助、国庫の財政援助の現状からすれば、実質的には建設計画というものは、もうほとんどたな上げせられて、ある団体については全く再建計画に置きかえられてしまうというような結果にならざるを得ないと思う。名前だけが建設計画として残っておって、実質は従来と同じ、あるいはそれよりも減る。だから学校の建設にしろ、あるいは道路なり、橋梁なり、その他社会福祉施設というようなものも、町村合併が出てきて初めて行われた事業ではないのです。合併前からやはり公共事業なり、単独事業でやっておったのです。その程度の事業しかやれないのではないですか。こういう事態になってくれば、建設計画を立てて市町村建設を促進するということは、従来やりきたった普通の事業以上に、計画的に五年なら五年の計画で、従来よりスピードを上げて建設を促進するということで、初めて建設の促進ということになると思うのです。それが町村合併以前と同じレベルで、同じ施設でやっていくならば、これは建設の促進ではないのです。だから従来やっておったものをただかき集めて、それに建設計画という名目を張るにすぎない。今度の新市町村建設促進法のような精神でいくならば、これは合併促進法の場合の建設計画の実質的なたな上げであると言わざるを得ないのですが、どうですか。
  48. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 たな上げということにはちっともならないと思うのでありまして、それはただ計画実施のパーセンテージというものは十分ではない、これはこの間から繰り返して申し上げておるのであります。それでは合併前と百パーセント一緒かというと、そういうことにはちっともならない。新市町村になればおのずから各種の施設事業につきましても、新しい地域を基礎にして合理的な計画が当然できるはずでございます。それから合併をやれば合併をやったで、それだけの行政上の余力、財政上の余力というものは当然できるわけであります。そういうものをも総動員して、なおその上に国や県におきましても、その新市町村計画基礎にして、それぞれ助成の手を伸ばすわけでありますから、それは従来とそのままであるということはありようがない。ただその伸び方が非常に顕著であるか、それほどでないかといえば、えらい顕著だということは、とても言えるだけの自信は私はございません。しかし逐次そういう方向に進んでいくし、また進みつつあるということだけは、私は言えるだろうと思うのでございます。
  49. 北山愛郎

    北山委員 進みつつあるとは言えないですよ。というのは、ことに合併市町村の中の有力なものは新市が多いのですが、新しい市の大部分というものは赤字を出しておる。そして赤字団体というのはやはり公共事業を、従来よりも二割五分も切ってしまわなければならない。しかも赤字を出しておれば単独事業なんかなかなかできません。起債のワクも減っております。そうなれば結局従来よりも事業ができないのではないか、昭和二十八年なり二十七年当時よりもできない。建設計画というのは、何も従来のそういうふうな合併以前からやっておった仕事に新しいものを加えておらない。ただ合併で新しく生じた事業といえば、例の部落電話をつけるとか、あるいはスクール・バスを通すとか新しい役場庁舎を作るとか、そういったところが合併に伴う新しい事業であって、それ以外の新制中学校の建設であるとか、道路の改修であるとか、そういうことは前からあったことなんです。何も合併に伴って新しくできた事業じゃない。しかもこの合併に伴って新しくできた部分についての補助金なりは、全体のウエートからすればほんのわずかなものです。だからこういうふうに市町村事業を考えてみると、建設計画ができて建設を促進するといいながら、実質は従来よりも後退しておる。これは現実ですよ。合併市町村ばかりじゃない、普通の市町村もそうですが、仕事ができなくなりつつある。それでは建設促進とはどうしても言えないのじゃないかと思う。だからむしろ法律としては従来の合併促進法はまだいいのであって、正直なのであって、今度あらためて建設促進法というのは、これは実態に合わない。中身を見ると建設計画実施促進じゃなくて、調整の方にウエ—トが置かれている。調整する場合には補助金を出すということになっている。調整ということは言葉はいいのですが、要するに建設計画のたな上げですよ。それを切ってしまう。今の率でいえば七百何十億あるいは六百何十億というような膨大な計画なんです。財源がないから、これを切らなければやれない。補助金もふえないし、地方債もふえない。自分の一般財源の回し得る分も少い。赤字団体が多いのだから。そうなれば、その範囲にこの何百億という計画を圧縮することなんです。これは建設の促進じゃ断じてない。だから、こういう新市町村建設促進法というのは、むしろ逆だと思う。ごまかしだと思う。実質上建設促進になっていないじゃないですか。後退をしておるじゃないですか。たな上げじゃないですか。
  50. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 だから、それは結局事業の分量がどれだけ計画通りふえるか、合併前よりも後退か、合併しなかったのと同じ状態かどうかというところに問題があるのでございます。今の赤字団体などは大きな赤字をかかえておりますから、これは合併の有無にかかわらず赤字というものはあり得るわけでございまして、赤字があれば、赤字の範囲において事を考えるよりしようがない。しかしながら合併したがために、ともかくも数町村の力を合せることによって、そこにやはり強化された力というものがあるのであります。赤字団体なら赤字団体なりに力があるわけでございまして、その力を合理的に発揮していこうというのが、新町村建設の問題だろうと思うのでございます。それでございますから、合併前より事業が減ったじゃないか、ふえたじゃないかということだけでは、これは比較にならぬのでありまして、合併しなかった場合には一体どうなるか、合併することによって、しなかった場合よりも積極的に仕事の展開をはかっていくということが、私は大事な問題の着眼点だろうと思うのでございます。そこで今の合併促進法のままでもいいじゃないか、それは一つ考え方だろうと思いますが、合併促進法は字のごとく要するに合併を促進するという建前でできておる法律でございまして、今日の段階におけば、合併はともかくも大部分進んできたのでございますから、合併促進法ということはおかしいのでございまして、われわれといたしましては新しく生まれた新市町村の経営を推進していくという考え方で臨むのが当然だし、当事者の新市町村といたしましても、新市町村建設育成という形で迎えられるのは、これはもう当然の要求だろうと思うのでございます。それだからこそ新市町村側も、こういう趣旨の立法を要求したのだろうと思うのでございます。これを作ったからといって、とたんに国の財政が倍になるわけでもないし、一倍半になるわけでもございませんから、直ちに膨大な国の助成というものは期待できない、これはもう当然だろうと思います。町村だってとたんに財政力が倍になるわけでございませんから、それが立ちどころにできぬことも、これはまたやむを得ない次第であります。しかしながら、こういう措置によって着実な計画を作って、それについて国も府県も市町村も相協力をしていく、こういう態勢を整えて逐次建設目的を実現をしていくということは、これはだれが考えても必要だろうと思うのでございます。そういうところがこの法律のねらいでもあり、われわれとしてもそういう考え方でぜひ行きたい、こういうふうに存じておるわけでございます。
  51. 北山愛郎

    北山委員 建設ということは、やはり実際の建設ができなければ建設にならぬのですよ、ただ計画だけでは。国の総合開発計画もそうだが、計画だけはみな膨大なものができておるが、それがちっとも進捗しておらない。だからみんなが失望するのです。ただ計画という名で住民がごまかされるわけですよ。合併したときには非常に景気のよい建設計画で、そしてこれはちゃんと政府にも出さしておいて、あとになってこれは調整だ、財政力を考えろ、再建計画だ、こういうことに後退してしまうのですよ。だからこの十一条には、国は、新市町村建設計画の調整を促進するため必要があるときは、予算の範囲内で補助金を出すと、調整の方に重点が置かれておる。要するに一応出さした。夢を見さした。これは不要になったから今度はたな上げしろ、それはたな上げの奨励なんです。だから地方民の立場からすれば、これはだまされたということになる。だから法の一つのねらいが、もしもほんとうに建設の促進なら、それはなるほど初めの七百億なり六百億という計画はあまりにも膨大である。これは調整の必要もあるでしょう。しかしそれに対する国の補助なりあるいは地方債のワクというものはできる程度にふえなければならぬ。地方の方でも調整をしろ、しかし国の方でも建設の促進のためにはいろいろ助成を考えてやる。だから、あなたは今これは町村団体等が希望していると言うのですが、町村会等においてはこの規定にないようなことを希望しているのです。助成計画を作ってくれ、建設促進のほんとうの基本計画を作ってくれということを言っておる。この中にはそういうものはないのですよ。ほんとうに実のある助成をする気はないのです。地方団体の今までの夢を合理的に上手にカットさせよう、そのために審議会を作ろう、こういうわけなんです。だから私はこの法案一つのねらいは、建設の促進ではなくて、むしろ従来の夢を合理的に後退をさせて、そうして圧縮してやろう、こういうところにあると言わざるを得ない。もしもそうでないとするならば、建設のために、国がはっきりとした具体的な財政上の起債のワクなり、あるいは補助金なりを出てくるならこれはわかる。それがないのですよ。むしろ去年よりも減っておるのです。そういうような事態において、ただ言葉だけで建設促進法というものを出してみたところで、これは羊頭狗肉なんです。そうじゃないのですか。
  52. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは十一条があることは事実でございますが、十一条だけが全部でもないのでありまして、今おっしゃいました通り、それは計画が非常に堅実に着実にできておるところも現にあるのです。そういう形で初めからできておるところもあるし、そうでないところもあるのでありまして、そうでないところはやはり堅実な計画に立て直してもらう必要がある。それからまたいま一つの問題は、合併前五カ村なら五カ村で、ばらばらに考えた立場と、一つ町村になって、一つの意識で考えた立場とは、やはり問題も違うし、問題の取り上げ方も違ってくるのでありまして、やはり一つの意識になって、もう一ぺん新市町村のあり方というものを考え直していくことが必要だろうと私は思うのでございます。そういう意味で調整ということが必要になってこようと存じております。そこで、それならば国だってそれに対して援助計画というようなものを作るべきではないか、町村会のそういう要望も知っております。しかしながら新市町村建設といえば、これは新市町村事業全部をおおうておるのでありまして、事業全部をおおえば市町村に対する各省事業が、全部そこに入ってくるわけでございまして、いわば市町村計画といって国の援助計画を考えれば、まさしく国の財政計画と申しますか、国全体の各種の事業の総合計画になってしまうのでございます。そういうものは実際考えようとしても、これはなかなか国の立場でできるわけのものではないと思います。それぞれ水道整備計画とか、道路整備計画というようなものはございますが、そういうものを新市町村基礎にして総合的に運転とていくということを考えるよりほか仕方がないと思うのでございます。ただしかしながら市町村としても、その計画を立てる大ワクの考え方なりそういうものにつきましては、当然何らかの指導の基準というものはあってしかるべし、またなくちゃいかぬ、そういうのでこの計画の調整あるいは実施に必要な基準を定めることができるという規定を入れまして、中央でそうした意味の立て方に対する考え方というものを示したい、こういうふうに存じておるわけでございます。
  53. 北山愛郎

    北山委員 時間が一時になったからやめろという話でありますが、とにかく十一条では調整に対しては補助を出すと言っている。そのほかにもいろいろ建設事業について、財政上の援助とかについて優先的な取扱いであるとか、あるいは特別な配慮であるとか、そういう言葉はございますよ。けれどもそれは各省関係しているから思うようにならぬとかいうけれども、そんなことは言いわけにならぬですよ。地方から見れば国は一つなのだ。それは各省のやつをかき集めたって大したものにならない。ですから言葉の上での優先的な取扱い、特別な配慮、こういうことであって、調整のところだけは調整促進のために補助金を出す、こういうことであるから、これはどう考えても調整の方に重点が置かれておる。従来の建設計画、これはもう地方民を合併の方へ引きずっていくだけの役目は果したから、今度はその夢を続けていけばこれは有害だから、一つ現実的なものに圧縮をさせようというねらいであるとしか考えられない。そうでないとするならば建設の促進について具体的な裏ずけというものを、これだけ用意しているということをはっきりと示して、しかもそれは合併以前と比べてこれだけふえているんだということを示さない限りは、これは私の言うことは正しいと私は考える。けれどもきょうはこの程度にいたしまして、また次会にやります。
  54. 亀山孝一

    ○亀山委員長代理 他に御質疑がなければ本案に関します本日の質疑は、この程度にとどめておきます。次会は来たる二十八日午前十時半より、太田国務大臣の御出席を求めて開きますので、御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四分散会