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1956-05-15 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十五日(火曜日)     午後五時二分開議  出席委員    委員長 大矢省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中井徳次郎君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       櫻内 義雄君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    灘尾 弘吉君       丹羽 兵助君    古井 喜實君       堀内 一雄君    山崎  巖君       赤路 友藏君    有馬 輝武君       加賀田 進君    川村 継義君       五島 虎雄君    櫻井 奎夫君       中村 高一君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君  委員外出席者         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 五月十二日  委員熊谷憲一君及び青野武一辞任につき、そ  の補欠として森清君及び中村高一君が議長の指  名で委員に選任された。 同月十五日  委員坂本泰良君及び西村彰一辞任につき、そ  の補欠として赤路友藏君及び有馬輝武君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月十七日  交通事故防止のための信号機設置請願(平塚  常次郎君紹介)(第一九五一号) 五月十二日  地方財政再建に関する請願愛知揆一君紹介)  (第二一三八号)  同(床次徳二紹介)(第二一三九号)  私鉄に対する事業税改正に関する請願山口丈  太郎君紹介)(第二一七五号)  駐留軍関係施設所在市町村に対する交付金交付  に関する請願福田赳夫紹介)(第二二〇八  号)  たばこ販売業に対する事業税撤廃に関する請願  (野田卯一君外一名紹介)(第二二二一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一一号)  地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う  関係法律整理に関する法律案内閣提出第一  二五号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案の両案を一括議題といたします。両案について、すでに質疑は終了いたしておりまするので、これより討論採決を行いたいと存じまするが、ただいま委員長手元に、鈴木直人君外十八名より地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されておりますので、まず本修正案について提出者より説明を聴取いたします。鈴木直人君。
  3. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして御説明をいたしますが、その案文はお手元に印刷物といたしまして差し上げてありまするので、朗読は省略さしていただきます。  修正案は三つからなっております。その第一点は、政府から提案されました改正法案の中には、二百三条に第二項が新しく加えられまして、「普通地方公共団体非常勤職員に対し、報酬を支給しなければならない。」ということになっておるのでありますが、その非常勤職員に対する報酬につきましては、「議会議員以外の者に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。」というふうに、政府案では相なっておるのであります。これに対しましてただし書きを加えまして、「但し、条例で特別の定をした場合は、この限りでない。」ということを入れたいというのが、私の修正案の第一点であります。二百三条の第一項には、非常勤職員の例示がなされておりまして、その非常勤職員に対しては報酬を支給するということになっておりまして、今まではその報酬は日給であるとか、あるいは勤務日数に応じて支給するというような区別がなかったのでありますが、政府案によりますると、すべてが勤務日数に応じてこれを支給するというふうに改められたのでありまするが、この非常勤職員のうちにおきましても、たとえば教育委員会委員とか、選挙管理委員会委員とか、人事委員会委員とか、公安委員会委員とか、あるいは地方労働委員会委員とか、農業委員会委員というような、主として執行機関に属しているところ委員会委員も、この非常動職員のうちの職員となっておる次第であります。もちろん常勤委員もあると思いますが、非常動のこれら委員につきましては、勤務日数に応じてこれを支給するようになるのでありまするが、これらの委員方々は、主として特別職に属する方々でございますので、特に府県市町村等地方公共団体において、条例をもって勤務日数に応じて支給する方法と別の方法をもってこれらの報酬を支給する方法定められた場合においては、その条例によるものであるというようなただし書きをここに挿入することが適当と存じまして、ただし書き規定いたした次第であります。  第二の修正点は、二百四条の第一項でありますが、これには普通地方公共団体常勤職員に対するところの給料及び旅費を第一項において規定しておるのでありますが、今度政府の案によりますと、第二項に新しく規定を加えまして、これらの常勤職員に対する手当を列記いたしまして、この列記いたしました以外の手当普通地方公共団体は支給することができないというふうになった次第であります。ところが先般衆議院を通過いたしました法律によりまして、薪炭手当国家公務員に支給されるようになった次第であります。この法律衆議院を通過いたしまして、現在参議院審議されているのでありますが、これがかりに参議院を通過いたしました場合におきましては、国家公務員に対して薪炭手当を支給するということに相なる次第でございます。そうなりますと、この国家公務員との比較の上におきまして、地方公務員にも同じく薪炭手当を支給することが妥当だと考えまして、新しく薪炭手当という手当を加えた次第であります。ただしこの薪炭手当は、「国家公務員に対して薪炭手当を支給することを定め法律施行される日から施行する。」というただし書きのもとに、これを加えた次第であります。これはまだ法律として施行されておらない現在でございますので、念のためにただし書きを加えた次第なのであります。  第三点は、地方自治法の一部を改正する法律昭和二十三年法律第百七十九号の一部の改正であるのであります。この要点を申し上げますと、昭和二十三年の自治法改正によりまして、第二百十三条に第二項の規定が新たに加えられまして、特に重要な地方公共団体財産について、十年を超える独占的な使用許可をしようとするときは、住民投票に対して過半数同意を要することになった次第であります。また同時に改正法附則第三条が加えられまして、その法律が実施される改正法施行の際に、現に許可になっている財産については十年以内、すなわち昭和三十三年七月一ぱいまでに、住民投票によって過半数同意を得られないときには、そのとき以降は使用許可が効力を失うという規定が、附則第三条に加えられた次第なのであります。ところが現に造林の目的で地方公共団体より土地使用許可されている者が、全国的に調査をいたしてみますと、相当の数に及んでいる実情でありまして、これらの者は、昭和三十三年七月末までに住民投票によって過半数同意を得られないときには、同年七月一ぱい土地使用権がなくなりまして、適正伐期に達していない立木でも、三十三年七月末以降におきましては、伐採せざるを得ないような羽目に陥るように相なっておるのであります。かくのごときことは実情に沿わない規定でありますので、この際附則第三条にただし書きを加えまして、これを救済しようとするのが、この修正案内容でございます。  以上三点が修正案内容でございます。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 次に、本修正案について質疑があればこれを許します。
  5. 北山愛郎

    北山委員 この地方自治法改正案質疑を終了して以来、ちょうど十八日ばかりになるわけでございます。その間、与党の各位はこの修正案作成についていろいろ御苦心をなさっておられるわけであります。まずもってこの長い期間における修正案作成上の御苦労に対しまして、心から敬意を表する次第であります。しかし本案の質疑の際におきましては、私ども与党の方から修正案が出るということは、実は期待しておらなかったのであります。というのは、やはり現在の議院内閣制におきましては、法案提案される前に、すでに案の作成過程において、与党政府との間では十分な意見の交換がなされ、その結果として今回の政府原案が出されてきた、かように考えておりましたので、実は修正案与党の方から出てくるというようなことは予期しておらなかったのでありますが、しかしかような修正が出て参った経過につきまして、しかも十八日間というような異例な長時間を要しましたその経過につきまして、まずもってお伺いをしておきたいのであります。
  6. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 この法案政府から出されたのでありますが、その後、与党ではありますけれども委員会といたしまして、委員会陳情請願等がありました問題をいろいろ検討をいたす必要があったわけでございますが、われわれ委員の間に相当の論議がございまして、さらにこれ以上多く修正をしていという強い御希望を持っておられる方がつい先ほどまでございまして、ようやくわれわれ修正する十数名の間において議が一決いたしましたのが、この議場に入る寸前でございまして、非常に長くかかりましたのはまことに申しわけなかったのでありますが、やはり議員がなる常任委員の数等におきまして、最後まで何とかしなければならぬという主張をされまして、ようやく一決いたしまして、ただいま修正案を提出するような状態になったのでありまして、非常に長くなりまして申しわけなかったのでありますが、以上のような経過でございます。
  7. 北山愛郎

    北山委員 この地方自治法改正案についての修正与党修正でございまして、ほかにも与党修正はたくさんございますが、やはり一つの異例なケースとしていろいろな問題を考えさせられるわけであります。これは一面から言うならば、先ほども申し上げましたように、現在の政府というものが、多数党である与党を擁して、そうして政策を立案し実行していくという点におきまして、少くとも提案をされる以上は、その案について責任を持つというお考えで、与党考えを十分に反映した案を政府提案するという、いわゆる今の議院内閣制度における責任ある形態をとっているんじゃないか、こういう点から考えるならば、このように一旦政府が出したものを、どしどし与党の方で修正をやっていくということは、責任政治という点からは、どうも好ましくないような気もいたすわけであります、これは古くさい考え方かもしれませんが、従来であればやはりこれは大きな責任問題であろうかと思う。政府責任あるいは与党責任、その所在はいろいろあるでありましょうが、ともかくそういうような形は政府としてもぶざまではないか、かように考えるのですが、また一面から考えるならば、与党であろうが、野党であろうが、悪い案であれば、国会審議過程においてこれをどんどん改善していく、どしどし修正案を出していくということは、またけっこうなような気もするわけであります。そこで一体今後においても、このように、もしも政府原案というものが悪ければ、与党であろうが、野党であろうが、どしどし修正案を出すという方がいいとお考えになるかどうか、それを一つ政府並びに提案者の方からお考えを聞いておきたい。
  8. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 実は今回の修正内容は、ただいま御説明申し上げましたように、政府から提案されました自治法改正案根本に触れるものは一つもないのでありまして、全く、何と申しましょうか、この自治法審議過程において、委員会委員としての審議権もありますので、地方行政委員として陳情、諸請願をいろいろ検討いたしました結果、与党ではありますけれども委員会にかかってからは、委員としての考え方を一切発表することはできないという程度のものではありませんので、やはり地方行政委員として、陳情請願をいろいろ検討いたした次第でございまして、その結果、この三点は自治法の中にもなかったものでございます。ことに薪炭手当のごときは、議員立法として先般衆議院に提出されまして、衆議院を通過いたしましたような次第で、ございまして、その審議過程に、この国会でこれを修正しておくことが、当然これはなさなければならないものなんで、ございまして、これは与党とか野党とか、修正するとか修正しないとかいう議論とは別の、まじめなやり方考えて、薪炭手当規定を追加いたしたような次第でございます。また非常勤職員に対する日動制の問題にいたしましても、これはやはり審議過程において与党ではあっても、これを修正することが正しい行き方ではないかというような考え方でやりました。また伐採期になっておるところの森林の問題につきましても、聞くところによると、三十三年になりますと、これは強制伐採されるというので、適正伐採期になっていない立木を、今どんどん切ってるというような事情が、ございまして、この会期中に修正をさせていただくのが、やはり国民のためになるだろうというような考え方から、三点を追加いたしたような次第でございまして、ただいま御質問がありましたような、根本に触れるものではないと考え提案しておる次第であります。
  9. 太田正孝

    太田国務大臣 ただいまの北山さんの御質問お答え申し上げます。かような修正案与党から出たことについて、ただいま鈴木委員から提案理由と同時に御説明がありましたが、自治法根本に触れる問題でなく、かつこっちの案で足らざるところを補う、こういう意味において私はこの趣意に賛成し、この修正案を実行に移すように期待いたしたいと思うのでございます。
  10. 北山愛郎

    北山委員 この修正扱い方につきましては、またほかの委員からも質問があろうかと思いますが、ただいまの提案者の御答弁によりますと、原案の欠陥のある点は、与党といわず野党といわず、修正するのが妥当であると考えて、今回の修正案を出したというお話でございまして、私も大体納得ができるのであります。そういたしますと、今後においてもやはり同様なお考えで、どしどし修正をする。それからまたその際において、野党修正案を出すという場合も当然ある。むしろ野党修正案を出す方が原則だと思うのですが、野党修正案を出すという場合に、今回のように十八日といわなくても、五日なり一週間なり、ちょっと修正案を検討したいからお待ちを願いたいという場合に、野党のいわば修正権というものを、提案者としてはお認めになっていただけるかどうか、これを一つ将来のためにお伺いしておきたい。
  11. 太田正孝

    太田国務大臣 もちろんけっこうな御修正でありまするならば、これを入れるに謙虚なる態度をもってすべきものと思います。
  12. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 私も自治庁長官と同じ意見であります。
  13. 北山愛郎

    北山委員 そうあるべきだと私も思います。従いまして、われわれ野党としても、この自治法については御遠慮申し上げて修正案提案いたしませんでしたが、ほかの法案等につきまして、陳情その他によりましてこれを適当に修正をしなければならぬ、こう考えました際には、修正案を出す機会もたくさんあろうかと思うのであります。その際には一つわれわれ野党修正権を十分お認めをいただいて、その際に多少の時間がかかりましてもこれは尊重していただきたい。これは互譲の精神だと思いますので、その点を一つ御了承願いたいと思います。  それから内容につきましては、実はこの三点とも大体妥当な修正だと私は考えます。ただ二、三点お伺いしておきますが、この二百三条の第一項のただし書き条例で特別の定をした場合は、この限りでない。」ということは、日当制は一応原則として認めておくが、やはり従来のような月割なり、あるいは年額で報酬をきめるというような制度も、条例できめた場合にはそれでやるという御趣旨だと思います。そういたしますと、この条項を提案した政府考え方に多少食い違いができてくるんじゃないか。ただいま資料をいただきましたが、これによると、非常勤職員制度のこの改正によりまして、財政経費相当額節減されるというような計画をお持ちのようであります。すなわち平年度においては非常勤職員報酬切りかえによりまして四億七千二百万円、三十一年度においては二億七千六百万円、こういうように、非常勤報酬やり方変更することによりまして、財政需要額変更をすることを期待されておると思うのです。従いましてこのようにただし書きをつけて、従来の方式でもよろしいということになれば、これは当然経費増減に多少食い違いを生じてくるんじゃないかと思うのでありますが、この点について提案者並びに政府としては、どのようなお考えでございますか。
  14. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 これは政府の調べもそうでありますが、私たちといたしましては、一応政府が調べられたような数字になるかもしれませんが、実際各府県市町村委員報酬を調べたのでありますが、日勤制にいたしましても、あるいは月幾らというふうに報酬をやりましても、総額に差異は起らないだろうと、実は私たちとしては考えておるわけであります。この点はあるいは政府の調べられたのと若干違うかもしれませんが、提案者といたしましては、現実の場合においては、これを日勤制にしたから今までの月報酬をずっと下げるというようなことは、この月報酬の額を各府県市町村全部見てみますと、きわめて少いです。ですからこの程度のものを日動にしましても、そんなに経費節約ということにならないのじゃないかという私は見通しを持っておるのであります。従いまして、地方財政の一兆四百五十億から見ますと、これをただし書き修正いたしましても、地方財政には全く関係はないものだ、こういうふうに見て提案しておるわけです。
  15. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの修正の点でございますが、政府といたしましても、この御修正条例で特別の定めをした場合に、初めてものが動いてくるわけでございまして、それも定め方の内容によりましては、全然動かないということもあろうかと思うのであります。勤務日数単位報酬を、月単位報酬にいたしましても、その額のいかんによりましては全然経費の上では動かないということもあり得るわけでございます。従って特に財政計画上問題にいたすほどのものではないだろうと考えておる次第であります。
  16. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの提案者の御説明は、私どもにも実際にはそういう結果になるんじゃないかという気がするのであります。すわち日当制にしましても、このような修正をいたしましても、実際問題としてはそれほど現実には食い違いがないだろうということは、大体御観測の通りじゃないかと思うのです。ところ政府の今の御答弁は、そのことを認めておいて、しかも財政計画上において多少の節減額現実に見ておるんじゃないか。これは矛盾ではないか。少くともこういう制度の切りかえによって二億も三億も財政需要額経費が減ることを予定することは今の御答弁とは矛盾するんじゃないか。もしも御説の通りであるとするならば、そういう節減額を見込むことは間違いじゃないかと思われるのですが、いかがでしょうか。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府改正案の全部を削除するということでございますと、そういう御観察もできるかと思いますけれども先ほど申し上げましたように、条例で特別の定めをした場合に初めてその当該の団体において、また選挙管理委員なら選挙管理委員についてだけ所要の変更が加えられるわけでございまして、しかもそれを勤務日数単位のものを月額に直すということだけでございますならば、額の上においては増減がないわけでございます。そういう点を考えますと、その結果といたしましてはそう大きな変更はない、こういうふうに考えるのであります。
  18. 北山愛郎

    北山委員 しかし非常勤職員報酬の切りかえに伴って、これだけのものが浮くんだということを現実に見込んでおる。ところが今の規定の解釈であれば、違いがないんだというけれども、今までの報酬やり方日当制にしたことによって、これだけ減るんだということを見込んだでしょう。もしも今のお話通りであるならば、初めからそういう節減額を見込んだこと自体がおかしい、従来通りのことになる。だから私はお伺いしているんですが、その疑問に対してはお答えになっておらないように思うのです。いかがでしよう。
  19. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 確かにただいまお手元に配付いたしました書類としましては四億数千万円のものを、節減額として見込んでおるわけでございますが、これは政府原案のもとにおいて考えられた数字でございます。今回の御修正案によりますれば、そのうちの特に条例を設けました団体において、勤務日数単位で支給いたします報酬よりも、より多くの報酬を支給するような定めをいたしました場合においては、それだけの願が減るべきものが減らないことになるわけでございますから、四億数千万円が全部減ることになるのではないのであります。ですからこれは若干の出入りはあろうかと思いますけれども、総体の計画において特に調整を要するほどのものではないだろう、こういうふうに観察をしておる次第であります。
  20. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 実は数字の点ですが、私の提案しております条例によってやろうということを申し上げたのは、先ほど申し上げました執行機関たる委員会委員のある者のうちに、条例定め地方公共団体においては、これを適用するという考え方のもとに修正をいたしておるのであります。ところ非常勤職員のうちにはもちろん議会議員も入っておりますし、委員のほかにいろんなたくさんの非常勤職員が第一項に列記されております。そのほかにいわゆる一般職非常動職員も第一項に入っておるのでございますが、こういうようなものはそれは勤務日数に応じてやれば四億程度節約はできるかもしれませんが、ただし書きによるものはその一部分でありまして、委員会委員一部分でございますから、決してこれは政府考えられた全部の節約額ではないので、その一部にすぎない、こういうふうに私は考えておりますから、自治庁から出された四億程度、これと見合いになるものではないと私は見ておるわけであります。
  21. 北山愛郎

    北山委員 少くとも先ほど鈴木次長の御答弁通りであれば、やはり実行してみなければわからぬわけであります。従いまして特別の定めをして、従来通りのことをやるというところが、どのくらい出てくるかという実際を見て、その上で必要とあれば財政計画なり、そういうものを実行するというふうに、お答えをいただければけっこうだと思いますが、いかがでしょうか。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特に変更しなければならぬような結果が起りますならば、そのときは考えなければならぬかと思いますが、私どもはこの際としましてはそういう事態にはならないものと想像いたしておる次第でございます。
  23. 北山愛郎

    北山委員 次に第二の点でございますが、薪炭手当についてはこの前委員会において、今回の自治法改正によって地方公務員に対する給与がいわゆる法定主義になった、この自治法の中に列挙された給与以外のものは支給してはならぬというように、いわゆる法定主義になった結果として、その審議の際に御指摘を申し上げた点でありますから、今回この修正案の中に薪炭手当が追加されるということについては、私どもも大体賛成ができるわけであります。ただし国家公務員に対する薪炭手当法案衆議院を通過いたしまして、現在参議院に回っておりますが、それが通れば地方公務員についても同じような趣旨で、薪炭手当が出るということになるわけでありますが、そういたしますと、施行地域とかあるいは程度とか、そういうものについても大体国家公務員に対すると同様の措置、提案者としては地方公務員についても支給することを期待しておるかどうか。施行地域についても実は国家公務員の分は、内閣総理大臣の指定する地域ということになっておりまして、まだ範囲が確定しておりません。従ってその指定によってこの国家公務員についてもきまると思うのでありますが、これがきまればやはりその地域における地方公務員については、同様の措置を期待して、こういうような修正をお出しになったのであるか、これをお伺いしておきたいのであります。
  24. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 その通りであります。実はこの薪炭手当の問題は北山委員から御注意がありまして、ごもっともだと思いまして、実は取り入れた問題であります。陳情請願によるものではなくして、これは北山委員の発案を取り入れたものであります。その点敬意を表する次第であります。
  25. 北山愛郎

    北山委員 どうもそう言われると質問ができなくなるのですが、そういたしますと、これは当然相当額の財政需要というものが生じてくるわけであります。国家公務員に対する薪炭手当は大体今の五級地を対象といたしますと、八千万円くらいと思いましたが、もしも同地域に、地方公務員に対して同じような措置をするといたしますならば、大体その需要額というものはどの程度に達するのであるか、また同時に、この法案通りましたならば、やはり自治庁としても、政府としても、地方自治体に対してはこれを財政需要額として見込む必要があろうかと思います。この点について政府並びに提案者のお考えを聞いておきたいのであります。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 薪炭手当に関する法律施行になりますれば、自治庁といたしましては所要の財政需要額の計算をいたしまして、交付税算定の基礎にも入れますし、また将来の財政計画の上におきましても、これを計上するようにしたいと考えております。
  27. 大矢省三

  28. 中井徳次郎

    ○中井委員 どうもみんなお急ぎのようですから、私は簡単に、今の北山君の御質問と重複しないようにしまして、ただ、ただしておくものはただしておかなければいけませんから、二点だけお尋ねをいたします。  第一点は、修正案の三つありますうちの第一でありますが、委員会の日当について今一般論がありましたが、この間から審議過程において、委員会日当制ということは困る。面子のこともあるが、現実に困るものもあるというふうなことで、私ども方々から陳情を受けましたが、その内容を検討しますと、これは公安委員会あるいは選挙管理委員会また人事委員会、こういうものでありまして、今の修正案を拝見すると、非常勤職員全部について、条例でもって自由にできるというようなことになっておりますので、こうなりますと逆に非常に範囲が広くなって、政府が最初意図しておりましたことを右といたしますと、今度の修正案はずっと左でありまして、陳情はまん中、こういう形のように思えてならないのであります。そこでいわゆる行政委員会、こういうものだけについては、条例をもって日当制は困るというふうなことに修正をされるのではないかと私ども考えておりましたが、今出ておるのを拝見しますと、そうじゃなくてうんと大幅になっておりますが、この辺について提案者のこれまでの審議経過なり、御意見なりを承わっておきたい、かように存ずるのであります。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この修正案を最後にかくのごとく結論づける過程におきましては、先ほど御指摘の通り相当の日数を経過いたしまして検討の結果、こういうふうになった次第でございますが、ただいまの御意見の行政委員会につきまして、委員だけにこれを限定するという方法も一応実は過程において検討いたした次第であります。行政委員会につきまして委員ということになると、今度の改正案の百八十条の五でありますが、このところに列記されておるのでありますが、これは相当たくさんの委員会になりまして、この委員会全部にこれを適用するということを法制的に明記するのも乱に過ぎるということも考えまして、そうかといって、ただいまお話のありました公安委員会選挙管理委員会人事委員会——委員会のことはございませんでしたが、そういうふうな三委員会だけに限るということも、現在の実施している状況から見ますると、実情に沿わないということも考えられまして、また教育委員会等におきましてもそうでございますし、そういうふうに考えますと、元来こういうことは自治体自身が決定すべきものであるから、法律にあまり委員会などを列挙することをやめて、条例で特別の定めをした場合、いわゆる自主性を尊重して、地方公共団体の自主的判断にまかしてやることが、終局的に一番よかろうということで、この結論が出たわけであります。もちろんこういうふうになりましたために、ただいまのお話のように、いわゆる出勤日数に応じて支給しなくてもいいものまでも月給というふうになりはしないかというお考え、これはもっともでございますが、この点はわれわれはただし書を加えた修正者の意思を十分尊重されて、地方公共団体においても一つ十分自粛していただきたい、こういう考えでおるわけです。
  30. 中井徳次郎

    ○中井委員 大体修正者のお気持はわかりましたが、私はできればはっきりとそういうふうなけじめを加えていただきたいということをこれは私の見解でございますが、最後に申し上、げておきます。せっかく政府が非常な馬力でやったわけでありますが、私ども反対でありましたが、それは経費節約という面が、この線でくれずてくるということを非常におそれるわけであります。  もう一つのお尋ねをいたしますが、これは最後の点であります。造林を目的とする土地使用許可についてでありますが。この修正案のただいまの提案者説明を承わっておりますと、これを加えないことには若木を伐採してしまって非常に困るというふうな御意見でありましたが、私はどうも頭が悪いので、おかしいかもしれませんが、森林法にはちゃんと書いてあるわけであります。どうして若木を切ってしまうことになりましょうか、その辺のところがわからないのでお尋ねしたい。この修正案を出さないことには若木を切ってしまうということは、どうも私にはわからないのでありますが、どういう理由でありましょうか、御説明が願いたい。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 切ってしまうというものもあるということを申し上げたのでありますが、この修正をいたしましたのは、切ってしまうものを防止するためにやったのではありませんで、三十三年七月一ぱいになりますと、地方公共団体から借りている土地が、そのまま地方公共団体のものになってしまう。そこでその前に住民投票をしなければならぬ。住民投票によりますと、大体地方公共団体はおそらく将来は貸さないというようなことになる傾向が非常に多いのじゃないか。そうすると、三十三年七月一ぱいになりますと、これは自分の木はもう切らなくちゃいかぬというような考え方を、現在の所有者はみな持っているというのが実情でございまして、それなら今切ってしまう方がいいというので、切るものもあるということでございまして、今からこういう規定を作っておきますと、それは適正伐期まではだいじょうぶなんだ、こういう安心感をもって手入れをよくするというようなことも考えまして、こういうふうにあらためて安定をさせるという意味で、こういう修正案を出した次第であります。
  32. 中井徳次郎

    ○中井委員 どうも今の御説明を聞くと、最初の御説明と少し変ったようでありますが、私は森林法を厳格にやれば、何も切るという問題は起らないと思うのであります。そういたしますと、今のお話によれば、これは造林を目的とする土地使用者を格別に擁護するということであって、それ以外の何ものでもないということになるのじゃないか。これは住民投票をいたしまして、勝つか負けるか、それはやってみないとわからない、そうでしょう。そうして負けた場合には、その使用しておる人々と今度は貸しておる側と損害その他について、そのとき初めていろいろの折衝は起るかもしれませんが、木を切るとか切らぬとかということについては全然関係がない。森林法を厳格にその法律通りやれば何も影響がない。従ってこの第三項は私はどうして必要なのかよくわかりません。それからもう一つこれと関連しまして、そういうことを言えば、土地使用許可その他は単に森林だけではございません。ほかに建物もありましようし、土地そのものもありましょうし、そういう場合にこれだけ特に保護するということはどうしても出てこない。前に切ってしまうというのなら森林法違反です。それを取り締ればいいのであって、この第三項目の修正をする必要は、どうもないように思うのですが、どうですか。
  33. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 森林以外の土地の問願もいろいろ検討いたしました。しかしこれを検討しますと、相当広範にわたるものになりますので、容易に結論が出ません。この問題は造林ということに関係しているものでありますから、この範囲内におきましてはこのようなただし書きをやって、そうして造林の意欲をなくしないようにすることが、地方あるいは国のためになると考えまして、こういうことをしたのでございまして、決して個人のそういう利益を擁護するというような考え方からやったのではありません。造林意欲というものをなくしないようにしてやっていぎたい、こういう考え方から修正したわけです。
  34. 中井徳次郎

    ○中井委員 どうも今の説明は私納得できないのですが、国及び地方というが、地方のためなら地方の自由意思に、住民投票にまかすのが一番地方のためになるだろうと私は思うのであります。何か特別な事情がほかにあるのじゃないですか。私は森林法さえまじめにやれ、ばそれでいいのであって、立木の所有権が変るとかなんとかいうことはありましても、それは別に国には影響はない。逆に地方は自由に判断をする権利をこの法律で与えられておる。その権利を今度は剥奪して、森林業者といいますか、森林所有者といいますか、そういうものを特に保護する修正案のように思うのですが、どうですか。
  35. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 森林を持っている個人というよりも、適正伐期までこれを丁寧に育て上げていきたいという、立木をよく育てようという考え方から出発いたしておるのでありまして、従って適正伐期を過ぎてしまった場合においては、この法律の適用はないのであります。適正伐期までは安定をせしめて、そうしてこれを大切に育てていくことが森林の保育上必要である、こういう考え方からこういう暫定的なものをいたしたわけです。三十三年七月一ぱいになりますと、何らかの結論を出さなければならぬというようなことになりまして、森林の育成という点に非常に関心が薄らいできているという現実を見まして、それをなくしよう、こういう考え方でございます。
  36. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の御説明だと、私に言わしむれば、住民と業者が直接まじめな折衝を今後やりまして、そうしてこういう事情になるから一つ認めてくれというふうなことをやるのは、非常に手続が煩瑣で、また経費もか、かるので、これは大へんだ、この際法律で一挙にやつてしまえということ以外には、どうも判断のしょうがないのでありますが、どうですか、そういうふうな住民の権利を、こういうもので剥奪してしまうということについては、どうも私は納得いたしかねるのですが、ほかに何か理由はないのですか、今御説明になりましたそれだけですか。それからなおこの点について、政府の見解を鈴木君でけっこうですが、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この修正の御趣旨は私ども承わりましたところでは、自治法の十年を超えるような期間にわたる独占的な使用許可について、自治法施行の際におきまして、使用がすでに十年以上の期間にわたるものとして行われておるものについては、今後一定の期間内にその投票を行なって、それができなければその効力を失う、こういう建前になっておっわけでございますから、特にその場合に造林につきましては、普通の土地とかそういうものの使用許可と違って一定の生育を長期間にわたってしなければならぬものでございますので、造林に関する独占的な、長期にわたる使用許可についてだけ、今回このような特例を設けたい、こういう御趣旨のように拝聴したわけでありまして、確かに造林に関するものとしからざるものとの間には、一線を画し得るような理由があろうかと考えるわけであります。もちろんお話のように森林法の規定の適用もあろうかと思いますが、使用権につきましての効力があるかないかということも、やはり造林意欲に相当影響があろうかと思うのでありまして、その点に着目して御修正をなさろう、こういうお考えのようでございますので、政府といたしましても特に異存を持っていない次第でございます。
  38. 中井徳次郎

    ○中井委員 この点はくどいようですから、もうやめますけれども、これはどうもおかしいと思います。森林法をまじめにやれば問題にならぬ。しかも地方住民の利益を擁護するという基本的な考え方に立ってこの内容はささいなことであるかもしれません。全国的に見れば……。しかし法の精神というものは私はりっぱなものだと思うのであります。それをどうも。パルプ業者その他が、こんなことをやっていたって何ともならぬ、一つ法律を直して簡単にやってしまえという声、私は皆さんに御批判を申し上げるわけじゃないけれども、簡単にそうか、そうかというふうにお引き受けになったのではないかということを非常におそれる次第でございます。そのことだけを申し上げまして、この第三項に関する質問を終ります。
  39. 大矢省三

    大矢委員長 加賀田君。
  40. 加賀田進

    ○加賀田委員 ちょっと鈴木さんにお尋ねいたしたい。相当長期にわたって審議をされた内容で、三点が大体提出されたのですが、特に鈴木さんにお尋ねしたいのは、この法案審議される冒頭に、鈴木理事は大都市に対する条例の中で、御存じのように十六項目が委譲することになっております。これは法律によりますと、全部または一部を政令できめるということで、大体自治庁としての成案があるのではないか。そういうことで成案があるならば資料として提出してもらいたい。これは委員会の総意として自治庁に要求されたのですが、いまだにその資料が提出されていない。聞きますと、この修正をするときにも論議されたように私は聞いたわけですが、この不明確な十六項目の内容に対して、審議過程において、これを修正しようとする議があったかどうかをお尋ねいたしたいと思うのであります。
  41. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 五大市の所在しておる府県の事務のうちで、十六項目にわたるものを五大市に委譲する、その委譲するその委譲する内容につきましては、政令によってこれをきめるというような自治法でございますが、これにつきましては、実は私も自由民主党を代表しまして、先般自治庁長官質問をいたした次第でございます。すなわち、その政令の内容を、この法案討論採決をするまでに成案を得て、この委員会に示していただきたいということを申し入れた次第であったのであります。本日までこの委員会には示されておりません。そこで今の御質問のこの修正案をいろいろ検討する過程において、何らかその間に検討したかどうかという点でございますが、私たちといたしましては、政令の方針なり内容につきまして、実は検討を加えました、自治庁からの案も実は見ました。正直のところまだ各省間において話し合いができておらないような事情でございます。従って、これより以上討論採決を延ばすということもできませんので、私たちといたしましては、この会期の終りまでには、その政令の内容をはっきりと一つ政府においてきめていただいて、われわれもそれを見たい、こういう方針を確認いたしまして、本日の討論採決まで間に合わなくともこれはやむを得ない、討論採決の方をこれ以上延ばすわけにはいかない、こういうことで本日に至ったような次第であります。私たちの方針といたしましては、この委譲につきましては、五大市につきましては、都道府県とあるを五大市と読みかえるものとすぐらいの考えをもって、五大市に委譲したい、こういう方針をもっておるわけでございます。この点については実は自治庁長官の方針も聞いておきたいわけでございますが、そういう考え方でございます。
  42. 加賀田進

    ○加賀田委員 鈴木理事はなかなか明確に答弁されたと思いますが、実は修正しょうと思えば、「全部又は一部」がはっきりすれば簡単だと思うが、内容が不明確だったので修正に触れなかったということでありますが、すでに討論採決もあと数刻に迫っておるような状態で、十六項目にわたる内容政府として態度をきめられないというようなことは、実にずさんきわまるものじゃないかと思います。私は今度の改正案に含まれたところの昨年の改正案もこの項目が含まれていたわけで、以前は十八項目でありました。だから政府としては、今度は十六項目出そうということは、すでに一年半前に、大体基本的な態度がきまっていなくちゃならない。それにもかかわらずまだ各省との話し合いがきまっておらないし、しかも与党を代表して資料を要求されて、二ヵ月たってもまだ出してこない。こういうことでは、実際問題として、われわれの審議に非常に支障を来たすと思う。そこで、鈴木理事としては熱意を持って、政府に要請されたということは私も了承いたしますが、太田長官として、こういう事態に立ち至ってどういう態度をとり、どういう考えを持っておるのか、この際ついでに明確にしていただきたいと思います。
  43. 太田正孝

    太田国務大臣 できるだけ早く提出するようにいたします。
  44. 加賀田進

    ○加賀田委員 できるだけ早く提出するというのじゃなく、今鈴木理事も申された通りに、府県を五大市と読みかえるというような、完全委譲というような与党の御意見もございました。そういう意見の中で、長官として、資料を提出する時期を早くするというのじゃなくして、責任を持ってその内容をこの際明確にしてもらわなければならぬと思う。そうでなくては、この法案を最終的に態度を決定すると同時に、採決まで持っていくこと自体、われわれとしては危惧しなければならぬ。この点一つ大臣としての態度を明確にしていただきたいと思います。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの問題でございますが、遺憾ながら実は政府各省間の話し合いがまだついておりませんので、これを原則として、事務を市に委譲するという方針のもとに各省とすみやかに話をつけまして、案を提出いたしたいと考えております。
  46. 加賀田進

    ○加賀田委員 それでは修正案を提出されました鈴木さんにお尋ねいたしますが、今鈴木さんの答弁では、完全委譲をしたいという希望のもとに修正案に対していろいろ論議をしたけれども政府の態度がまだ明確でないので、この際修正に至らなかったという御説明であったと思うのですが、どうでしょう、それは与党全部の御意見であるか、鈴木さん個人の意見であるか、その点お伺いいたします。
  47. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 大体そういう意向でもって進んでおります。
  48. 大矢省三

    大矢委員長 門司君。
  49. 門司亮

    ○門司委員 私はあまり時間もございませんから、ごく簡単にいたします。最初に、二百三条の修正ですが、これは今中井君から言われた通りでありまして、これをこのまま書いておきますと、結局二百三条の関係で、各種の委員会にこれが適用される危険が出てくることは否定できません。なぜそういうことを言うかというと、今日の、たとえば選挙管理員会だけを見てみましても、全国の各市で——大体四百以上ありますが、この市の中で、日給制をとっておりますのは、茨城の土浦と石川の輪島と長崎の平戸、宮崎の日向のこの四つだけでありまして、あとの市は——府県はもとよりでありますが、これは全部日給制をとっておらない。従って、もしこういう規定になって参りますと、結局ただし書きが物を言って、やはり従来と何ら変りのないものができ上ると私は思います。自治庁長官は、この法律案説明のときに、こういうものを節約して行政費の節減をはかりたいということを言われておる。資料に基きますと、このことのために二億七千六百万円ですか、節約ができるように書いてある。そうすると、大臣の意図と食い違ったものが必ずできてくると思うのです。大臣は、これに対する政治責任はどうおとりになりますか。
  50. 太田正孝

    太田国務大臣 これは別の委員会でも申し上げたことでございますが、この点につきまして先ほど次長から申し上げました通り、そのことの関係におきましては、特別の定めを容認した場合と大差ないんではないかという見込みもありましたので、しかし改むべき点につきましては、他の委員会において門司委員お答え申しました通り、改むべきであろう。ただ、日当という名前は非常に変でございますから——たとえば原子力委員会の有名なる博士に対しましても、やはり日当という名前を使っております。これを見まして非常に妙だと思いましたが、国家公務員非常勤のものに対する関係で、かようにしたわけでございまして、実質的にこの節約がどうなるかということは、条例定め方によるのでございまして、私はそう大したことはないんじゃないか、実績とはそう違わぬのじゃないかとも考えております。
  51. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、この修正も、改正案も必要がなくなってくる。現行法にもやはり報酬、費用弁償等は条例定めることがはっきり書いてある。ここまで直されるのだったら、この条項は削った方が一現行の自治法の方がはっきりしておるし、先ほどの中井君の質問のようなものがなくなると思う。こういう修正をされて、ただし書きができてくると、現行の自治法よりも私は悪くなると思う。それで大臣に聞いておる。現行の自治法を読んで、こらんなさい。これよりもよほどいい規定がちゃんと設けられている。この二百三条の三項に、「報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。」こう書いてあります。ただし書きができたことによって、現行法よりも悪くなると私は考えるが、この点はどうです。
  52. 太田正孝

    太田国務大臣 国家公務員給与関係及び地方公務員給与関係はなるべく同じようにいきたいというのは当然なことでありまして、国家公務員非常勤に対する定めは現状のごとく日当制であります限り、これにならうというのでございます。しかし各種の自治体におきまして、そうしない方がいいという考えの場合に対しまして、このただし書きを加えられたことと思うのでございます。
  53. 門司亮

    ○門司委員 大臣は国家公務員ということを盛んに使われておりますが、国家公務員にいたしましてもこれは実はいろいろありまして、先ほどお話が出ておりましたように、国家公安委員は決して日給ではございません。これは国家公安委員というきわめて重要な職責によりまして、絶えず警察行政の運営管理に当らなければならないという職務によって規定されていると私は思う。従って非常勤委員会だからといって、おのおのその職責とその事務内容というものによって、私は当然差があってしかるべきだと思う。そういたしますると、ただし書きを加えられたことによって、さっき申し上げておりますように、現行法よりも悪くなるというふうに、私には心配が出てくるのであります。この点を大臣は一体どう考えられるかということであって、何でもかでも国家公務員がこうだから、これにならうのだということになりますと、今申し上げたように、非常勤の公安委員は決して日当制ではございません。これは職務の性質と、事務内容によって、こういうことがきめられておる、こういうことはどうなんですか。
  54. 太田正孝

    太田国務大臣 国家公安委員常勤でございまして、ここに問題になりましたのは非常勤の場合でございます。
  55. 門司亮

    ○門司委員 私は常勤非常勤ということも、一応さっき申し上げておりますように、国家公務員がこうだからこれにならうというのではなくて、同じ委員会であっても、国家公安委員会常勤にされておるが、地方の公安委員も同じことでしょう。やはり警察の事務をつかさどっておることには間違いがない。私はそういうことでなくて、さっき申し上げておりますように、仕事の内容と事務量によって、こういうものは常識的に定むべきものであって、何でもかでも一律にこれを行おうとするところに無理が出てくる。無理が出てくるところに満足な行政が行われない。こういう心配をするから、こういうただし書きを入れられるなら、私は現行法の方がまだものがはっきりしておる、こう申し上げておるのでありまして、ただしゃくし定木に国家公務員がこうだから、ああだと言われることについては、全く地方の行政事務の内容を十分お知りにならない大臣のしゃくし定木といわなければならぬのであります。地方の自治体で選挙をいたします場合に、ことに選挙管理委員会であり、あるいは教育委員会というような仕事は、ほとんど出ていなければならないことは、今日の地方の自治体を見てこらんなさい、当然だと思う。国家公務員あるいは非常勤であるというような何々調査会、何々委員会というものは何日やっておるのですか。私も政府法律機関である地方制度調査会の委員をやっておりますが、一年に何回やりますか。一年に三日か四日しかやりゃしないでしょう。こういうものはほとんど国の非常勤というものが大部分であって、地方の自治体は今申し上げましたように、実際選挙の啓蒙、教育の方針等を諮っていきまする際には、非常に大きな努力をしておる。また努力してもらわなければならないのであって、その事務内容を全く考えないで、そうして国家公務員と同じだというなら、大臣は地方自治の実情をお知りにならないと思う。私はここでこれ以上約束の時間もございますので追及しようとは思いませんが、大臣の全く地方の自治体の実情をお知りにならない結果が、そういう御答弁をさせておると思うのです。  それから次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、先ほどいろいろ議論がございましたが、この問題は非常にやかましい規定を実は設けておりまして、もしこういう形でこれを修正されるということになって参りますると、その前に一つこれには大きな問題が実はありはしないかということが考えられるのであります。それは先ほどからいわれておりますように、森林法は少くとも定期の伐採期にならなければ切ることができないことになっております。この法律は十年であります。従って最初借りたときから木を植えれば、十年後には今鈴木君の答弁だと切らなければならない樹令に達していることは最初からわかっておる。だからこの問題を解決しようとするならば、重要な財産の中から森林を除くとか、あるいは森林法についてはこの限りでないというような修正をされることの方が、私は修正としては意味があると思う、最初からわかっておるのですから。十年以上貸してはならないと書いてある。それ以後は住民投票をやらなければならぬ。森林法では伐採期にならなければ伐採することはできない。それは二十五年ないし三十年ということになっておる。この食い違いをなくそうとするならば、こういう法律改正でなくて、森林法の適用を受ける森林についてはこの限りでないというような、あるいは森林法の伐採期が来るまで一ぺん貸したものは当然これを認めるというような改正の方が私は正しいと思う。この点についての提案者の御感想をこの際承わっておきたい。
  56. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 実はこの法文の書き方につきましては三案ばかりありまして、ただいまお話になったようなこともいろいろ検討をいたした次第でありますが、法制局等におきましては、こういう書き方が一番趣旨に合致するというようなことでありましたので、このような法文にいたした次第なのでありますが、結局私たち修正しようと思いますのは、適正伐期まではこの立木を育ててやりたい、従ってそれまでは土地を取り上げられるというような不安を持たないようにして育てていくようにしたい、こういう考え方から法案考えたのでありますが、この書き方につきましては、三つばかりいろいろ検討した条文があったのでありますが、実はこれが一番いいという法制局の考え方もありまして、このようにした次第でございます。
  57. 門司亮

    ○門司委員 それは見解の相違でありますけれども、私は修正されるならば、森林は伐採樹令に達するまで一度貸したら、それを保存するということの方が筋が通るし、またそれなら鈴木君が心配することもなくなる。その次にあらためて貸すときに住民投票をすればいい。これは見解の相違といえば見解の相違でありますが、私はそうした方が鈴木君の修正よりも少し親切だったと考える。  それから自治庁長官に聞いておきた旧いのですが、これは従来私ども考えておったのでありますが、町村合併の促進法には、町村の合併をするというきわめて大きな問題を、議会の議決にゆだねてあります。この場合は、まず重要なる財産、建物というようなことになっておりますが、これは住民投票に問うということの重要性から考えてみると、私は町村合併の方が重大ではなかったかと思う。町村合併ですら議会の議決でこれを行われるようになっておる場合に、これを住民投票にするということは、私は法の建前からいって一体どういうふうに考えられるか、この点を一つ伺っておきたい。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 町村合併の場合におきましても、重要な財産または営造物の処分というものにつきましては、地方自治法二百十三条の適用によりまして、これを選挙人の投票に付する、あるいは議会が特別に三分の二以上の多数の議決同意がなければ処分できない、あるいは十年以上独占的な使用許可ができない、こういうふうに定めることができるようになっておるわけであります。ただ実際問題といたしまして、この規定を必ずしも具体的な合併においては処分等の場合に用いていない、こういうことはあろうかと思いますが、法律上はそういうことがちゃんとできるようになっておるわけであります。
  59. 門司亮

    ○門司委員 私はそれを聞いておるんじゃなくて、町村合併は議会の議決でできる。町村合併は財産も全部含んでおりますから、土地の住民たちにとってはきわめて重大な問題です。この場合は、財産の処分だけが住民投票に付されることになっておる。従ってものの重要性からいえば、財産の処分も重要であろうが、条例定めた場合には三分の二以上の議決が必要だと法律で書いてある。町村合併ですら、議会の議決を行なっておるときに、私は非常に不均衡じゃないかと考えておる。その点をどう考えておるかということを聞いておる。
  60. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御見解のようなことも、もちろん考えられると思います。ただ現行法では町村合併につきましては、議会の議決だけに相なっておりまするものでございますから、今回の新市町村の合併の場合におきましても、その建前を踏襲したわけでございまして、理論的には合併についてもそういうことを考えろということは、一つの御見解だと私は思います。
  61. 大矢省三

    大矢委員長 他になければ、これにて修正案に対する質疑は終了いたしました。  次に両案及び修正案を一括して討論に付します。討論の通告がございますので、順次これを許します。木崎茂男君。
  62. 木崎茂男

    ○木崎委員 私は自由民主党を代表いたしまして、地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案及び修正部分を除く政府原案、並びに地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案につきまして、賛成をいたしたいと存じます。現行地方自治法は憲法第九十二条に規定する地方自治の本旨を基調とするものであり、団体が自主、自律的にその住民の意思によって地方の実情に即して地方行政を行わんとする基本的原則に立っていることは、私が今さら申し上げるまでもないところであります。この地方自治法の本旨、すなわち団体自治と住民の自治の原則はいかなる事情が将来生じましても、あくまでこれを守り抜かなければならないと信じておるものでございます。しかしながらその行政運営の面においてわが国の実情に照し、現行地方自治法の実施の経過にかんがみて、今日若干の改善を要する点のあることも、またこれを認めざるを得ないと思うのであります。このことにつきましては、すでに昭和二十八年十月に地方制度調査会が答申におきまして端的に指摘をされておるところでございます。今回政府の意図されておる地方自治法改正案も、この基本的な地方自治の原則を守りながら、民主的でしかも合理的な自治の運営を期するために、実態に即した必要なる改正を行わんとするものでありますので、私がこの案に賛成をいたします第一の理由もここにあるわけであります。  他面現下の地方自治の確立のために最も大切なことは、赤字に苦しみ、危機に頻した地方財政根本的再建を、いかになすべきであるかということであると思うのであります。政府並びに与党におきましては、第二十三国会以来地方財政再建のために、国の責任におきまして措置すべき幾多の施策を相次いで断行いたして参ったのでございますが、これらの諸施策の実現とともに、最も必要な問題は地方自治自身の力によっても行政運営の改善を積極的に推進をしていただかなければならないということでありまして、このような観点から本法の改正を基本的に賛成をいたしますところの第二の理由があると考えるのであります。  この二つの基本的な考え方の上に立ちまして、地方行政機構を簡素合理化し、経費節減と行政効果の充実をはかり、そうして真に住民の福祉の積極的向上を期そうといたしますことは、まことに機を得たる適切なる措置というべきで、私どもといたしましても双手を上げて賛成をいたす次第でございます。  なおただいま鈴木委員から提案せられました修正案につきましては、修正箇所はいずれもまことにごもっともな点であると存じますので、これに対しましても心から賛意を表する次第でございます。  以上、私は簡単でございますが、理由を申し述べまして賛成の討論といたします。(拍手)
  63. 大矢省三

    大矢委員長 加賀田進君。
  64. 加賀田進

    ○加賀田委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする地方自治法の一部を改正する法律案に対して、自民党の修正案に賛成をいたしまして、修正部分を除きまする政府原案、並びに本法に伴っての関係法律整理に関する法律案に対して、反対の討論を行わんとするものであります。  この法律は今次国会で初めて提出された法案ではございません。いわゆる政府が一貫して地方自治法改正をねらい、しかもこの改正に基いて中央集権への道を、何とか切り開きたいという野望の上に立っての三回目の提案でございます。しかし最初一昨年の十九国会におきましては、御存じのように、警察法の改正のあおりを食って、とうとう廃案となってしまいました。昨年の二十二国会におきましても、地方財政再建特別措置法案のあおりを食って、しかもそのときには地方団体議会側はもとより、理事者側も、執行機関も、こぞってこの法案に対しての反対を行いました国民的な反撃の背景の中で、この法案がとうとう廃案といううき目を見たわけであります。  このたび出して参りましたこの地方自治法改正は、昨年よりも少し緩和されておるとは思いますけれども政府の一貫してねらっているその中央集権への道を切り開こうとするねらいに対しましては、やはり依然として同じ態度をとっておるというところに、われわれとしては軽視できない問題があると思うのであります。しかも地方自治体に対しこの行政面その他に対する圧迫と議会に対する運動への圧力というものは、一貫してこの法案の中に流れております。  まず第一に、今度の改正の中では、内閣総理大臣が地方公共団体の事務の処理その他経費の不当な支出等の理由のもとにいろいろな必要な措置を講ずることを命令するという規定が出されております。現在の法律でも、国の委譲事務につきましては、不正行為があればこれを救済するという処置が規定してあるにもかかわらず、あらためてこういう法律を設けますと、国の委譲事務ではなくして、地方公共団体が自主的に独自の権限に基いて行ういろいろの執行面に対して、総理大臣みずからが魔の手を伸ばすというような危険性がこの中にあるわけでございます。委員会質疑の中で、政府は特に顕著なものに対してのみこれを発動するといっておりますけれども、従来の政府の自治体に対するやり方を見ておりますると、私たちは安心してこれをまかし得ないと思うのであります。もしこの法律内容を悪用いたしまして、一々地方公共団体に対して内閣総理大臣の手を通じて中央の政治権力が地方自治体に入ったとするならば、地方自治体の自主性というものは一体どこに行ったか、全く私はなくなると思うのであります。しかもそうした規定の上に立って、今度は内閣総理大臣が直接地方公共団体にこうした処置を命令できない場合、あるいはしょうとしない場合には、都道府県の知事を通じて市町村にこういう魔の手を伸ばそうといたしております。これは本法が提出せられましてから市町村議会側も、あるいは執行機関も、これらに対して知事の権能を拡大強化することは、知事官選のおそれがあるから反対だと強い陳情のあったことも、御存じの通りであります。われわれといたしましても、そういうことは単なる臆測ではなくて、従来政府が知事官選の道を切り開こうとするねらいがあるのではないか、こういうことについて危惧をせざるを得ないのであります。なお執行面におきまする部局の制限につきましても、現在の法律におきましては単なる基準を設けまして、あとは条例に基いてこれを制定するという全くの自主性を持っているわけであります。御存じのように、都におきましては十局、道におきましては九部、その他三段階に分けまして各部局を設けることになっております。しかし今度はこういう部局を改めて増加する場合には、内閣総理大臣と協議をせなくてはこれを設けることはできない。現在でも住民の要望や政府の委任事務の煩瑣のために、どうしてもこの基準以外に部局を設けなくてはならないので、全国で約百以上の部局を制定いたしておるのでありますけれども、これをこの法律の中で規制をいたして参りまして、もし増加する場合には内閣総理大臣に協議をしなければならない、協議とは双方の意見の一致を見なければこれが実施できないということであります。そういたしますと、実際の現実に基いて部局を増加いたしたいと思いましても、内閣総理大臣がこれを拒否いたしますと、そういうことができないというような、全く政府の支配権がそういう執行面の機構の中にまで入ってくるというおそれがあるのであります。しかもこの法案通りますと、三ヵ月以内にこの法に基いて部局の整理を行わなくてはならないという規定があります。現在地方公共団体は、赤字を解消するために、財政再建のために、みずから自主的にこの部局の整理に努力をいたしていることは御存じの通りでありますけれども、この部局の整理を最も阻害しておる力は何であるか。それは地方公共団体の内部にあるのではなくしてこの部局を減少いたそうとするのに対して、圧力をかけるのは政府であります、政府と地方団体との直接不可分の関係にある各省の高級官僚であります。もしそういうようなことなら、内閣総理大臣と協議をしなければ部局の増加を認めないというような政府の支配の規定を設ける前に、政府内部におけるいわゆる獅子身中の虫に対して、みずからが断を下すことが私は正しいと思うのです。そうでなくては、私は単なる権力に基いて、地方自治体の現状を無視するような部局の整理というものはなすべきではないと信じております。  なお、地方議会におきましても、あらゆる面で制約を受けております。たとえば議案の提出権におきましても、修正動議の提出権におきましても、議員総数の八分の一の賛成がなければこれを提出することはできない。現在の議員の数は、多いところで百二十名、少いもので十六名の議員を有しております。こういう大きな幅のある議員数に、単に八分の一という一つの定数を設けて議案提出権あるいは審議権を実質的に奪うということは、地方住民の代表である議員審議権を抹殺するものだと思うのです。特にこういうように八分の一ということを規定いたしますと、地方議会における少数派の実質的な審議権を抹殺するというおそれがあって、ほんとうの民主議会の運営というものは困難になってくるのじゃないかと思うのです。  なお問題になって参りますのは、今度の修正案の中でも、与党の方で相当論議が重ねられたと聞いておりますけれども、いわゆる常任委員会の制定の問題であります。常任委員会に対しましては、各人口一割りにおきまして都道府県市町村常任委員会の数を規定しております。こういうことになりますと、その行政の大きさ、範囲におきましてこの常任委員会というものを決定しなければならないにもかかわらず、単なる人口割りのみに基いてこの問題が制限されて参ります。本委員会においてもいろいろ論議されて参りましたが、一例を申し上げますと京都府の問題があります。京都府は百九十万の人口を有して、この部が六部しかできません。同じ京都府におきます京都市におきましては、人口百十万で、百万をこしますとこの部局が八部できます。こういうようにして、広域にわたる事務を処理しなければならない府が六部であって、その地域の中に含まれている市が八部で運営をするという矛盾がこの中に起っております。こういう問題をるる申していきますと、地方議会における権限というものは、従来より以上に抹殺されるということは、火を見るよりも明らかだと思うのであります。このように、この法案政府のねらいは、当初申し上げました通り地方自治体の育成発展ではなくして、地方自治体に対する政府の中央集権の道が、この法律改正の中に現われているということに対して、社会党としてはどうしても承服することができないのであります。  なお最後に、私は大都市制度に対する十六項目に対して一言触れておきたいと思います。これは今の質疑の中で申し上げた通り、昨年の二十二国会においてすでに提出されました。しかしこのことは、政府として将来の市町村の育成発展の基礎的な計画の上に立って出されていないというところに、問題があるのじゃないかと私たちは思います。いわゆる政府のいつも言う政治折衝によって、政治的な考慮のもとにこの事務委譲というものが出されてきたということなんです。御存じのように、警察法の改正に基いて市町村警察が府県に委譲されましたが、その経過措置として、五大市におきましては、昨年の三月三十一日まで存続することを認めてきたわけです。いわゆる昨年の四月一日以降五大市の市警も府県に委譲しなければならぬという現状の中で、当時五大市は、せめても自治体警察として五大市だけは認めてもらいたいという強い運動をいたしましたが、そのときに政府としては、そういう圧力の中で調整が困難なために、五大市の警察は府県に渡すが、しかし何とか十六項目の事務を委譲するということをやったわけであります。そういう過程で昨年の改正においても五大市は猛烈な運動をいたしましたが、政府といたしましては幸か不幸かこれが流れました。引き続いて今次の国会において同じような法案が出ましたが、こういう法案の中で、警察制度は府県に委譲されましたが、おさまらないのは府県側です。府県側は御存じのように太田長官に再三この十六項目委譲に対しての反対の陳情があった。そこで政府としては、十六項目を五大市に渡すことが将来の市町村の発展強化の基礎の計画の上に立って出されたのではなくして、これもまた政治折衝として一を与え一を奪いとっていくというやり方をやったわけであります。だから逆に五大市に対しましては、十六項目の事務は委譲するけれども、従来しばしば問題になっておりました特別市制問題は全部抹殺するという形をとってしまったではありませんか。今も質問の中に明らかになったように、政治折衝によって十六項目が委譲されたために、十六項目の内容の中で、どの点を五大市に委譲するのか、どの点を残すのか、全部委譲するのか、さっぱり今でも自治庁としては明確にされないじゃないか。審議されて二ヵ月間、その資料を要求したにもかかわらず、今なお各省の話し合いがつかないから——各省の話し合いがつかないような法案をなぜ出したか、そんな権威のない出し方をわれわれとしては承服することはできないのです。  最後に私は、今北山委員も申された通り、この審議過程の問題に対して、本委員会は非常に悪例を残したということです。この法案は三月十五日に提出されまして、三月二十二日に提案理由説明があったわけです。それから約一ヵ月問われわれは審議をいたして参りまして、四月の二十七日、全会一致で質疑が打ち切られました。質疑が打ち切られましたときには、与党の諸君も喜んで、肩をたたいて、どうもありがといございましたとわれわれに言った。ところが数刻を出ずして修正案を出したいから、二、三日時間的な猶予をくれ、われわれは良心的に四、五日の時間の猶予を与えました。ところが現在まで十八日間もそれが出てこなかった。聞くところによりますと、二十七日にはどうもいろいろ審議が進行いたしまして、本日質疑が打ち切られるのではないか、質疑が打ち切られたら困るから、打ち切られないように、注意をしてもらいたいと、太田長官は理事に要請をした。早川政務次官は質疑の打ち切りがなされたと聞いたら、とたんに顔面蒼白となって、同僚に暴言をはいたとわれわれは聞いております。一体政府責任で出された法案で、その法律を通過さす責任を持つ太田長官と早川政務次官並びに与党諸君が、法律審議を引き延ばすような政策は、国会史上かって見ない珍事態だと思うのです。今後われわれも与党のこの戦略を模範といたしまして、質疑打ち切りせられた法案に対しても、さらに修正案を提出するから、時間的な余裕を要求いたしたいと思うのです。  最後に、与党諸君が出された修正案に対しましては、十八日間の審議ではあまりに少い修正案でございますけれども、この点半歩前進したものと私たち認めまして賛成をいたしたいのであります。  以上、社会党を代表いたしましての討論を終ります。(拍手)
  65. 大矢省三

    大矢委員長 これにて討論は終局いたしました。  次に採決いたします。まず鈴木直人君外十八名提出地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案について採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  66. 大矢省三

    大矢委員長 起立総員。よって本修正案は可決せられました。  次にただいま可決いたしました修正部分を除く地方自治法の一部を改正する法律案原案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  67. 大矢省三

    大矢委員長 起立多数。よって修正部分を除く原案は多数をもって可決されました。これにて本案は修正議決せられました。
  68. 大矢省三

    大矢委員長 次に地方自治法の一部を改正する法律案施行に伴う関係法律整理に関する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  69. 大矢省三

    大矢委員長 起立多数。よって本案は多数をもって可決するものと決しました。  なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました両案に対する委員会の報告書作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければさよう取りはからいます。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十三分散会