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1956-05-11 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十一日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 鈴木 直人君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中井徳次郎君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    熊谷 憲一君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       灘尾 弘吉君    丹羽 兵助君       古井 喜實君    山崎  巖君       青野 武一君    加賀田 進君       川村 継義君    五島 虎雄君       坂本 泰良君    櫻井 奎夫君       門司  亮君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         参  考  人         (徳島県知事) 原 菊太郎君         参  考  人         (新潟県知事) 北村 一男君         参  考  人         (福岡総務部         長)      山本 兼弘君         参  考  人         (福岡県議会副         議長)     三原 朝雄君         参  考  人         (福岡県議会議         員)      小宮市太郎君         参  考  人         (門司助役) 角銅 利生君         専  門  員 円地与四松君     ――――――――――――― 五月十一日  委員森清君及び中村高一君辞任につき、その補  欠として熊谷憲一君及び青野武一君が議長の指  名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十日  災害復旧事業債元利補給等に関する陳情書  (第六四六号)  公営住宅等に対する国有資産等所在市町村交付  金及び納付金免除に関する陳情書  (第六四七号)  積雪寒冷地方寒冷補正系数適正化等に関す  る陳情書(第六七  七号)  地方財政再建に関する陳情書  (第六九一号)  北海道の公営住宅に対する国有資産等所在市町  村交付金免除に関する陳情書  (第六九二号)  駐留軍関係施設所在市町村に対する特別交付金  交付に関する陳情書(第  六九三号)  地方自治法の一部を改正する法律案の一部修正  に関する陳情書  (第六九四号)  同  (第七二二号)  地方公務員停年制法制化に関する陳情書  (第七二一  号)  地方交付税率引上げ等に関する陳情書  (第七二三号)  新市町村建設促進法制定に関する陳情書  (第七四一  号) を本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方財政に関する問題について参考人より実情  聴取     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する問題について調査を進めます。本日は本問題について参考人より実情聴取することになっております。御出席になっておりまする参考人は、ただいま皆さんのお手元に配付いたしました名簿の通りでございます。  参考人皆さんに一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙のところ、本委員会のために御出席になったことを、厚く御礼を申し上げます。  それでは順次これから意見の開陳を願います。まず福岡県知事原菊太郎君。
  3. 原菊太郎

    原参考人 私は徳島県の知事原菊太郎でございます。二十九年度の赤字は大体九億になっておりまして、その後三十年度に引き続きの、何といいましょうか、債務に対する元利償還の金が大体の原因になりまして、十三億ほどの赤字になっております。県の収入は七億円ほどでありまして、はなはだ困難な状態でありますので、このたびの再建整備促進法によりまして、再建の案をただいま立てて参っておる次第でございます。それによりますと、大体十六年ないし十七年くらいをかけまして、今までの赤字解消することにしております。  この赤字解消のために、私は去年就任いたしましたが、七百五十名ぼどの人員を減少いたしまして、さらにまた経費の点について、従来より一億円以上緊縮いたしまして、できるだけ再建の趣旨に沿うて、確実に早く消却するつもりでおりますが、何分徳島県は、商工業の非常に盛んならざる県でありまして、大体が農業県であるために、どの県もそうであろうと思いまするが、御承知通り農業の所得の大部分は、その町村と国とがお取りになりまして、県ははなはだわずかな金しか入っておりませんのにかかわらず、県全体の公共事業なりその他は、ほとんど農業を対象としておりまして、それの補助金が半分ないし三分の一というようなことで、これの起債を許してくれるというのに安んじて、相当多額の累積ができまして、ただいまでは六十五億が起債総額になっております。これにはことに五十億以上の公益事業がありますが、それを除外してそうなんでございます。こういうわけで、今後とも緊縮の方針でありまするが、何とか時流におくれないよう程度で、解決をはかって参りたいと思っておる次第でございます。はなはだ長期を要する債務償還のことを遺憾としておりまするが、そのうちにまたいろいろな事情によって変更して、なるべく早くやりたいという考えで参っておる次第でございます。  はなはだ簡略な申し上げ方でありまするが、御承知を願います。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 それでは、次に新潟県知事北村一男君。
  5. 北村一男

    北村参考人 新潟県の財政再建計画につきましては、お手元に印刷物をお配り申し上げているのでありますが、これにつきまして補足的に説明を申し上げたいと思います。  元来新潟県は赤字などがそう多く出べき県ではないと私は考えておるのであります。御承知ように米は五百万石もとれ、それから石灰石天然ガスというものは日本一の資源を持っており、山林の面積も相当多いし、今後残された電源開発の地点の数から申しますれば、私は日本で有数であると考えております。こんな赤字が累積して、全国で三本指の中に数えられるような県に落ちぶれてしまったということは、要するに財政計画を立てない、局に当る者が公私にわたる行動が公正でなかった、こういうふうに考えておる次第でございます。しかし前任者の批判は私は控えますが、そういうことで赤字が累積いたしまして、昨年私が県政を引き継ぎましたときは、二十九年度までの赤字が二十四億七千万、それから三十年の予算を何ら努力をせず、対策も講ぜず執行しましたならば、さらにその上に十四億の赤字が累積する。三十年末には合計して三十八億七千万円という巨額の赤字が出べきはずであったのであります。それに対しまして、これは後刻申し述べますが、県民あるいは執行部とも協力いたしまして、全力をあげて赤字解消努力いたしました結果、十五億七千万円の赤字を圧縮することができた。三十年単年度に出べき十四億の赤字は出さずに済みましたし、その上に、前任者から引き継ぎました二十四億七千万円の赤字は、二十三億に圧縮いたしたというようなところにこぎつけた次第でございます。  しかしながら二十三億という数字は非常に大きな赤字でございますので、私はどうしても、国会におかれて御審議の結果成立いたしました地方財政再建促進特別措置法適用を受けまして、できるだけ早く健全財政にしたいということで、適用申請をいたしまして、四月一日に再建団体という指定をしてもらいまして、ただいま再建計画につきまして、自治庁の内審査を受けている段階でございます。いかように御決定になるかということはわかりませんが、私どもは誠意を尽して御説明申し上げ、案もでき得る限り手がたく見積ったつもりでございますから、私ども考えとしては御承認がいただけるのじゃないか、かよう考えておる次第でございます。  そこで再建期間は、ここにもございますように、九年間でございます。それから融資をお願い申したい再建債赤字債発行希望額は十八億九千万であります。  そこで昭和三十年度におきましてどんな対策をとったかということがその次に書いてございまするが、地方事務所が十五ございましたのを全廃いたしまして、支庁を三つ置きまして、これにかえることにいたしました。また部は八つございましたが、三つの部を部長兼任といたしましたし、それから課を七つ減しましたから、部は事実五部になったと考えられるわけでございます。それから行政委員会事務部局はそれぞれ一課ずつを廃止いたしました。  それから給与条例をきめまして、昇給の延伸ということは今全国的の傾向になっておりますけれども、私ども昇給を延伸することはいかぬということで、条例をもちまして今まで支給すべき期間を五割ずつ延べる、こういうよう条例を制定いたしましたり、宿直料日直料を三百六十円から二百二十円に引き下げました。これで年間一億ぐらいの節約に相なります。それから旅費も切り下げました。  職員の定数の縮減をはかりましたことは、ただいま徳島知事の御説明になった通りでございまして、私どもは七百三十二名だけ縮減いたしました。  それから歳出の節減といたしまして、超過勤務手当を減しまして、その金額はみんな下に書いてございます。  それからただそういう消極的の対策ばかりでなくて、積極的に歳入の増加をはかりました。この計画の中に織り込まれておりまする税収入増加につきましては、ただいま徳島知事工業工場はないと仰せになりましたが、新潟はただいま申し上げたように、石灰石天然ガスが非常に貴重な化学工業の原料となりまして、     〔委員長退席永田委員長代理着席〕 今数十億を投じまして、相当たくさんの工場新潟建設されるということになって、計画あるいは建設進行途上にございますので、そういうよう税収も手がたく見積りまして、将来の税収はこういう姿になる、こういうことを計上いたした次第でございます。地方交付税につきましては、これは算定基準による額といたしまして、でき得る限り手がたい額を見積っております。今徳島知事仰せになりました、これからの県の一番の難関は、公債費元利償還額が非常にふえておる。しかも累年増加しまして、政府からの借入金をことし現に新潟県は全部充当いたしましてもなお一億数千万円あるいは二億近く持ち出さなければ元利償還ができない、こういうところに今後地方財政のガンがあるのじゃないかと考えております。さような点を考慮いたしまして、新規の起債はでき得る限り抑制する、こういうよう措置をとっていくよう再建計画を組んでございます。それから使用料、手数料につきましては、政令の限度額を勘案しまして、でき得る限り引き上げて参りたい、こういうよう考えでおるのでございます。それから県有の土地、建物、不動産などは不用なるものは全部処分してしまう。でき得る限り増収をはかる。  私は予算がすでにでき上って一カ月進行したところで、事務の引き継ぎをいたしたのでありますが、私の微力をもってしても、銭勘定考え県政を担当すれば、今日までに一億二千七百万の県の計画外の金をとっております。でありますから、私は新潟県の再建計画というものは、まだ若干の余裕を残している、これから努力しますれば、計画外収入相当上げ得る、また現に上げつつある、こういうふうに考えております。  それからその他歳出につきましては、人件費物件費とも節約をはかって参りたい、いろいろの措置を講ずる計画を立てて実行に移しつつあります。大体ここに書いてありますのは、そういうことを書いてございまして、それを裏づける数字を添付してございまするから、あとでごらんをいただきたいと思うのであります。  最後に、この財政問題は、全国的の悩みでないかと考えますが、私ども特に国会の御認識を深めていただきたいと存じますことは、政府のお立てになる基準財政需要額というものは、必ずしも地方実情に合っておらぬ、この基準財政需要額に検討を加えていただきまして、実情に合うよう地方財政計画をお立て願いたいということが一点でございます。  第二点といたしまして、先ほどから申し上げておりまするように、公債元利償還というものが、これから地方財政の重圧の一番の材料になってくると存じまするので、この公債費元利償還につきましては、国会におかれましても特に意をお用いいただきまして、何らかの対策を立てていただきたい。私どもも一生懸命に研究いたしまして、いずれまたお聞き取りいただきまして御配慮をわずらわす考えでございますが、これは特に一つお願い申し上げておきたいと思います。  第三といたしましては、今度の再建計画で、融資を割り当てていただくまでの段階におきまして、自治庁でも相当精細に御調査をなさいまして、いろいろの書類をおとりになったり、あるいは説明を御聴取になつたりして、私どもとしては実に微に入り細をうがって御検討下さったと思うのでございまするが、承わるところによりますれば、大蔵省ではさらにこれと重復するような、しかしてまた非常にめんどうな資料を出さなければなかなか進行しない、こういうことで、赤字府県赤字市町村の中には、その非常にめんどう繁雑であることをおそれて、申請を差し控えている向きが相当あると思うのであります。同じ政府でおやりになることでありまするから、私ども自治庁のお調べをもって一応政府のお調べが済んだものといたしまして、御処理願って、高利の金を借りてようやく県政を運営いたしているよう実情でございますから、でき得る限り早く低利の御融資を賜わるようにお願い申したい、こういうことを特に委員会の各位にお願い申し上げておきたいと存じます。  御質問があればまたお答え申し上げまするが、とりあえず以上申し上げます。
  6. 永田亮一

    永田委員長代理 次に、門司助役角銅利生君にお願いいたします。
  7. 角銅利生

    角銅参考人 門司市は実は財政的には余裕のある市でございます。しかしながら戦災を受けましたそのあと痛手と、国際港湾都市として発展しておりました門司市が、終戦後その機能が全くなくなったという点、この二つのために相当財政的な痛手を受けて参ったのでございます。しかしながら順次この財政的な痛手も回復して参りましたやさ遂に、昭和二十八年に大きな水害を受けました。これは皆様も御承知の九州を襲いました非常に大きな水害でございますが、本市は特に大きな水害を受けまして、そのための復旧費に膨大な費用を要することに相なったのでございます。こういうことが原因となりまして、二十九年度末におきまして相当赤字が出る状態になったのでございますが、事業執行その他が完了いたしませんために、結果といたしましては昭和三十年度末にその結果が現れてきておりまして、大体財政規模は従来十二億ないし十四億ぐらいで収支の、バランスをとってきていたのでございますが、水害契機といたしまして、昭和三十年度末には三億五千六百万円の赤字が発生いたしたのであります。この赤字は市といたしましては、もし将来財政規模自分収入に合せて組んで参りますと、必ずしも平年には発生する赤字ではないのでありまして、ただいま申しますような、災害その他の関係によりまして赤字が発生し、さらに災害復旧を通じてふくれました財政規模が、ほかの面にも影響いたしまして、非常にふくらんで参ったのでございます。そこで今回の再建法が成立いたしましたのを契機といたしまして、この法律適用を受けまして、ただいま自治庁申請中でございますが、五年間でこの赤字解消するという案を審議願っておるのでございます。赤字原因がただいま申しますよう戦災に引き続き水害と、こういう災害復旧するためにふくれました財政が、災害復旧の面だけでなしに、ほかの面にもこれが影響して財政規模が大きくなっておったのでありますが、今回は五年間にこの分をすっかり解消いたしまして、昭和三十六年度以降におきましては、健全な財政に立ち返るという自信を持っております。  ただただいま新潟県の知事さんからもお話がありましたが、現在の市の財政から申しまして大遂なウェートを占めておりますのは、やはり公債費元利償還でございます。しかしこれは考えようによりますと、自分で借金したのだということにもなるのであります。将来健全財政の建前をいたしましましたときに、十億の予算門司市はなりますが、その中で一億四、五千万円の公債費が計上されることに相なるのでございます。  それからもう一つ本市にとりまして大きなウェートを占めておりますのは失業対策費でございまして、これは現在一億一千万円になろうとしております。十億の予算の中で一割以上の予算を失対に使わなければならないということが、やはり本市の財政の将来にとりましても大きな影響を与えるもの、こういうふうに考えております。この点につきましては、政府の方で失業者多発地帯につきましては、高率補助適用するという話でございますが、門司市のごときはぜひこの際高率補助適用していただきたい、こういうよう考えておるのでございます。  その次に人件費相当膨張しておりましたが、これは今度の再建計画におきまして、ある程度適当な線にまで下っていく見込みが立ったのであります。と申しますのは、門司市の職員構成を見ますと、非常に高齢者が多いのであります。高齢者と申しますと、従って二十年、三十年、四十年の勤続者が多いのでございます。先般希望退職を募りまして、このうちの若干にやめてもらいましたし、さらにただいまこちらの方で御審議を願っております地公法が改正になりますと、停年制の実施も行われるのではないかと考えておりますが、そういうことによりまして適当な線にまで、自然にこれは切り下っていくであろう、こういうふうに考えております。  以上が門司市におきまするところの赤字発生原因と、今後におけるその解消計画内容でございます。
  8. 永田亮一

    永田委員長代理 これで再建整備法関係の三人の参考人の御意見が終りましたので、次に福岡県の関係の問題に移ります前に、ただいままでの御意見をお述べになりました参考人に対する質疑を行うことといたします。発言の申し出がありますので、順次これを許します。中井徳次郎君。
  9. 中井徳次郎

    中井委員 私はごく簡単に徳島県、新潟県、門司市などについてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず最初徳島県の知事さんにお伺いをいたしたいのでありますが、大へん熱心に赤字解消に御尽力なさっておることを承わったのであります。先ほどの御説明によりますると、赤字解消計画はたしか十五カ年計画一何年計画でございましたか。
  10. 原菊太郎

    原参考人 十六年でございます。
  11. 中井徳次郎

    中井委員 十六年といいますと、ちょっと考えると、十年一昔というので、終戦後まだ十一年しかたっていませんが、私は単に徳島県だけじゃなくて、地方財政赤字解消に十六年もかかるというふうなことは、これはどうでございましょうか。やはり幾ら知事さんが御努力なすっても、現在の地方自治体の赤字にはもう一定の限度があって、やはり大きな国家的な支援といいまするか、施策がなければ一十六年というふうなことになると、知事さんずっと引き続きおやりになって、四期おやりになることになるのですが、私どもはとてもこういうことではいけないと思う。やはり基本は、再建整備法案とかいろいろなものができまして、内容等も先ほど伺いましたが、六十五億円も起債があって、どうこうというふうなことでありますが、これは一府県の問題ではなかろうと思うのです。そこでこういうものを、もっと抜本的に、少くとも五年程度で何とか片をつけるというためには、政府が国家的な面からどういう対策を講ずべきであるかというふうな点について、私は知事さんの率直な御意見を伺ってみたいと思うのであります。私ども、将来に対する地方財政赤字を、一刻も早く解消するということのための参考にぜひ伺っておきたい。実はお願いをいたしましたのは、徳島県、佐賀県、新潟県などという非常に一般的に見まして中流と言いまするか、ややそれから下回るかもしれないといったような県でもって十六年かかるというようなことは、私はこれはかかって政府施策に基本的に欠陥があるように思えてならないのであります。そういう点から、どうぞ率直な御見解を伺いたいと思います。
  12. 原菊太郎

    原参考人 私の方の県の赤字は、お説のように、再建整備の案といたしましても非常に長過ぎまして、私自体としても恥かしい次第なのでございます。ですがこれ以外に、今の制度のままで解決するとしたら道がありませんので、また赤字に対して借金をいたしたいために、どうしてもこういうようねところへ入って参ったのです。これは根本から申しますると、純農業県に対しては、もっと国の方でおやり下さるか、また県負担というようなものに対しましてお心を加えていただきたいと存ずるので、他の工業に転化できるところはよろしいが、あらゆる公共事業海岸地帯の防波堤の築造のようなものにいたしましても、河川の問題にしましても、すべてが、私の県はほとんど農業が目的になっておるようなんです。これに対する負担金が累積いたしまして、今日のような一番最初起債を許されるという安易感でむやみにこれをいただいてきたという感もありまするし、また徳島県といたしましては、そういう仕事をしなくちゃいかぬという実情に追い込められておるということも事実なんでございます。しかしまた一面に、前々知事阿部五郎氏の時代には臨職も二百六十人くらいでありましたが、前の知事がおやめになるときには一千名を越しておりまするし、同格の能力のある他の府県に比べまして、いろいろな仕事を倍以上の予算をもらってやっておって、ああいう県としましては一番大きな、六十億以上の債務県になっておるわけなんです。これらに大方の原因があると思います。佐賀県に比べましても、佐賀県はおおよそ十億円ほどの県の収入がありまするが、私の方の県では今七億円ほどなんです。しばらくするうちには、私の方の償還額は、県税全体を入れてもなおかつ及ばぬように、もう近いうちになるわけなのでございます。これは一つ、まことに虫のいい話ですが、農業県で他の工業収入を持っていないところは、もう少し考えていただかなかったら、こういうことを繰り返すのじゃなかろうかと思います。また一面に削減すべき点があります。たとえば定時制高等学校日本第一に発達しておるといって賞賛せられておりましたが、これくらい金を食うものはありませんで、これは赤字相当原因になっております。また教育方面全体に対しても二億六千万円ほどの赤字が出たわけなんです。これはいろいろみんなの努力を得まして、ただいまでは一億円あまりのことになっておりまするが、赤字をカくするためには、どうしてもこういう方面のことにも力を入れなくちゃならぬと思います。御質問外になるような話なんですが、三十年度の現計予算総額基準財政需要額と比較いたしますと、警察費においては三十年度に七千九百万円の赤字が出ています。道路費において九千六百万円の赤字が出ています。橋梁費において千七百万円、それからその他の土木費におきまして四億四千万円というようなわけでありますし、小学校では五千五百万円、中学校では二百万円ほど、それから高等学校で一億二千四百万円というよう赤字を生んでおります。また社会福祉方面におきましても千七百万円、衛生費において七千四百万円、労働費におきまして九百万円というようなことになっております。その他まだたくさん赤字があります状態にございます。こんな状態で三十一年度にはだいぶこれを減少し得るという見込みで減して参っておりますが、まだ十分これを払拭することができない実情にあります。以上でございます。
  13. 中井徳次郎

    中井委員 今けっこうな御意見を承わりましたが、農業政策を中心にいたしまして、まだ節約の面もあるというふうなこと、さらにまた基準財政需要額と現計予算とだいぶ隔たっておるということを伺いましたが、そういう点をだんだん伺ってみますと、私はもうちょっとやそっとの整理案では、これはなかなか現実の問題として立ち直らない。先ほどのお話ではすでにもう七百五十名ばかり整理をなさったということでありますから、これ以上の整理も、これは実際問題として県政を運営していく上に困難であろうと思うのでありますが、知事さんは実は私記憶いたしておるのでありますが、徳島の市長をおやりになって、そうしてかなりの実績をおあげになったということを伺っておるのでありますが、私どもこうやって審議をいたしておりまする過程で、いつも思いますることは、県、一市町村とも非常に赤字で困っておりますが、特に府県にお遂ましては、基本的な面で先ほどおっしゃったように県の収入が七億しかない、いわゆる収入の面が市町村と比べまして、自己財源といいますか、これはもう初めから非常に少い、ここに今回の府県赤字の一番大きな原因があるのではないか。そこでちょっとやそっとの細工では、やはり十五、六年かかると思う。ここで一つ抜本的な施策を講じないことには、なかなかはっきりしたものが出てこないというふうな気持を持っております。そこでお尋ねいたしたいのは、市町村と府県との体験を両方お比べになって、そうしてもっと思い切った、はっきり言えば自己財源を徹底的にふやす、あるいは交付税その他においても計算の基準一これは新潟県の知事さんも先ほど第一に御要望なすって、私どもごもっともだと思うのでありますが、これも徹底的に洗いまして一しかしそれは結局洗っても総額において国の予算が同じであれば、どっちかに回ってくるというふうなことになるのでございまして、従って私どもは結論としては、もっと交付税の率を上げていくというのでないと片、つかないというふうに考えておるのでありますが、そういう点について、さらに一つ意見を伺いたいことと、それから今の十六年の御計画で、しかも運営をなさって今折衝中と承わりましたが、やはりその中には増税だとか、あるいは人員整理だとか、そういうものもあろうかと思いますが、その内容もごく簡単にお聞かせいただきたいと思うのであります。
  14. 原菊太郎

    原参考人 今の制度といたしまして、工場がたくさんあるところは比較的赤字が少いようで、純農業県というところは相当赤字が多いと思いますので、工場の誘致に力を入れております。ただいまのところ日清紡績とか東亜合成化学とか、あるいは東邦レーヨンの増設とかいうのを見て、これが平常に操業されましたならば、一億円とか一億五千万円とかいう収入がふえるだろうと思っておるのでございます。それから教育の方面におきましても、ただいま山間の僻遠の地とかあるいは市内で夜学を志す熱心な人には、定時制の学校を置かねばならぬと思いますが、日本第一に発達したというようなこの定時制の学校は、相当削減をしてもらって、市立の学校にかわっていただくようになるべくやって参りたいと考えております。それから人員の減少につきましても、おのずから限度がありまして、これはむやみにできませず、今日失業に追い込むようなことも慎しむべきことだと思っておりますが、多少はやむを得まいと思っております。それから新しい税金を考えねばならぬと思いますが、これはむやみに多額の経費の要る種目をこしらえても仕方がありませんので、なるべく簡単にして少しの率でやっていくべき時期がくればやらねばならぬという考えでおります。ただ私の方で計画しておる十六年の間というものが、いかにも両手をうしろに縛られたような感じで、思いきつた仕事をできないのを遺憾としておりますので、県民は、県税を納めるのはただ国に対する今までの借金の利子を払うためにやっておるというのならば、県庁はむしろ抹殺してしまいまして、政府で直接やっていただいた方がいいじゃないかというような感じを持っておりますが、こういう実情に追い込んだことにつきましても、徳島県は十分その責任を感じて修正をしなくちやならぬと思いますが、あまりにも商工業の方に中心を置き過ぎた今の政治の余弊も多少はあるだろうと思いまして、ここらの点につきまして御研究を加えていただきましたら、恵まれざる県は幾分の生気を復活するだろうと考えておる次第でございます。
  15. 中井徳次郎

    中井委員 今のお話で大体徳島県の考え方は、私伺ったわけでありますが、ただ工場誘致をなさいましても、原さんの御意見ように、そう簡単に徳島県の赤字解消するとは考えておりません。特に農業県がひどいことはよくわかりますが、工場の誘致をしましても、やはりこれは事業税の分だけということになりまして、よほど大きな工場でありませんと一固定資産税その他は市町村の方に参ります。そういうことも考えますと、先ほどお話の、もう県をやめて一つ頼んだらどうかというふうな率直な御意見もあったわけでありますが、そういう点につきまして新潟県の知事さんに、最初基準財政需要額の方は実情に合わないというようなこと、それから今徳島県の知事さんにもお尋ねいたしましたが、私どもは今のよう政府考え方ではなかなか赤字は、事務的な細工を幾らいたしましても限度があるように思います。赤字解消にはならない。そうして結局地方民がここ数年間は、いわゆる内政の面において非常にしぼられるというふうなことを考えるわけでありますが、そういう意味で新潟県の知事さんの現在やっております施策について、私ども将来研究します参考といたしまして、実際の実情を把握しておられる知事さんの率直な御意見を、重ねて一つ新潟県の知事さんからも伺ってみたい、かように思います。
  16. 北村一男

    北村参考人 ただいま中井先生から根本的なお尋ねがございましたので、私の所見について申し述べてみたいと存じます。今徳島県知事仰せになりましたように、農業県は宿命的に赤字にならざるを得ないような今の制度でないかと考えております。それから徳島にもございますそうですが、新潟県も全国一の地すべり地帯であります。こういう他府県にあまり例を見ない災害的なものがございますので、これにも非常に金がかかる。こういうようなわけで新潟県も相当不利な条件にある。そこでただいまの交付税が今の状態でどうであるかというお尋ねに対しましては、もちろんこれは私どもは増してもらわなわければいかぬ。増してもらわなければなりませんが、基準財政需要額を上げていただきませんと、交付税の率をお上げになっただけでは解決がつかぬ問題ではないかと考えておりますから、この点は特別の御配慮を賜わりたいと思うのであります。それから一番困難なことは、県民サービスを落さないで、どうして再建していくかという問題でないかと思いますが、確かに今お話にございましたように、再建法適用を厳格に順守していかなければならぬとすれば、県民サービスの低下はある程度免れぬと思うのであります。私どもは先ほど申し上げたように、でき得る限り計画に盛られない収入をあげまして、それをつけ足して国から一つ仕事を許してもらいたい、こういうふうに考えております。私ども新潟県は四千百橋がありますうち、千三百は腐朽橋になっておりまして、交通制限、交通禁止、重量制限、こういうふうな状態になっておりますので、こういうもの一つをとらえましても、再建団体になったとはいえ、必要な橋梁のかけかえなどをしなければ、人命財産の保障はできないというよう状態になりますので、そういう意味からいたしまして、県民サービスをあまり落さないで、これと並行して再建をやっていきたいというところに、非常な困難性があるのではないかと考えています。工場誘致についての中井先生の御批判がございましたが、これは一応ごもっともでございますけれども、私の県におきましては日本軽金属初め日本瓦斯化学あるいは帝国石油、東洋高圧あるいは三井化学なども天然ガスを原料といたしまして、非常に進歩した製品を作る、こういう計画を立てて、いずれも三十億以上五十億見当の巨費を投じまして、今工場建設にかかっておりますから、この点は私は将来固定資産税の面におきましても、あるいは事業税の面におきましても相当どもに貢献してくれるんじゃないかと考えております。  お尋ねのように抜本的の対策といたしましては、公債費について何分の御配慮をお願い申すことと、それから基準財政需要額の引き上げについて何分の御配慮をお願い申す、こういうことであわせて交付税の増額をお考えいただく、この三点が県財政のガンを除く近道でないかと考えております。
  17. 中井徳次郎

    中井委員 いろいろと伺いましたが、非常にそういう面を百。パーセントおやりになって、なお七年とか十四年とかかかる、大へんなこれは大問題と思うのでございます。  そこでちょっと後藤君に伺いたいのでありますが、徳島県あたりの十五年もかかるというふうな計画自治庁として、そのままお認めになるのですか。これをもっと早く何とかしょうというふうな示唆を与えられるのか、その辺のところを伺っておきたい。これは新潟県においても同じだと思います。新潟県は大県でありますから二十数億の赤字であろうと思いますが、やりょうによりましてはもっと早く解消さるべきものである。またそうしなければならぬと私ども考えるのでありますが、その点についての自治庁の今のあなたの見解を一つ伺いたい。  それから第二点は、先ほどもちょっと触れられましたが手続が非常に繁雑になっておる。また始まったかという印象をわれわれは受けるのでありますが、特に大蔵省あたりに同じような資料を出していくというようなこと、これは今のうちに私は、はっきりとした方針を政府でお立てにならぬと、この再建計画なんという、こういうものでは片づかないと私どもは思っておるが、一応通った法案でありますから、これを忠実に実行する上においても手続が非常に繁雑で、もう東京との往復に首脳部は疲れ切る、精魂使い果すというようなことでは、とうてい私は地」方自治の進展なんというものは考えられないと思うのでありますが、その手続の点等についてどんな考え方をしておるか、これを二つ伺っておきます。
  18. 後藤博

    ○後藤政府委員 まず再建期間の問題でありますが、県によりまして赤字の額と、それから現に赤字要素を相当持っておるところの団体でありますれば、従来の赤字をたな上げするだけでなくて、相当期間やはり赤字が連続して出るのであります。その連続して出る赤字もついでに消さなければならぬということで、非常にその計画赤字解消額がふえていくわけでございます。徳島の場合はたな上げする赤字は十数億でありますけれども、先ほどお話がございましたよう財政構造自体から出発した赤字炉毎年出てくるのであります。一番大きな要素は起債の償還費であります。償還費炉どんどんふえて参ります。その上に他の財政需要も伸びて参りますので、大体そのままにして参りますと十数年の間に七十億くらいな赤字が出て参ります。その七十億を再建期間中にどう消すかという問題になってくるのであります。その消し方につきまして、通り一ぺんの方法をもってやりますれば、先ほどお話のように普通の方法でやれば十六、七年かかるというのが出てくるのであります。さらにそれを圧縮する方法として考えられるのは、やはり歳入の増強以外に私はないと思っております。歳入の増強ができ得れば、やはりその期間は圧縮できる、その額だけ圧縮できる、こういうことになるわけであります。従って私どもとしては期間が長過ぎるということであれば、歳入の増強の道はないものかどうか、もっと端的に申しますと、新増税の方法というものが考えられるかどうか。この要素を考え、話をしておるのであります。従ってもしもそれができれば期間は短縮できます。しかしそれができないとなれば、通り一ぺんのものになりまして十数年かかる。これも私は県の事情からしてやむを得ない。これは大蔵省は金を貸します場合にいろいろ問題があると思っております。しかし県内の情勢からして、それ炉現在税の増収が予定されないとすれば、やはりそれはやむを得ないのではないか、かように私ども考えておるのであります。圧縮する方法はないことはございません。歳入の増強の方法等炉考えられる。それに伴って特別なケースを考えて、借りかえ債を後年度に大きく見るということも私は可能ではないか、かよう考えられるのであります。そういう要素を入れていきましても相当かかりますが、徳島県の場合にはどんなにしても十年より短かくなりません。十二、三年にはどうしてもなりはしないか、こう私ども考えております。よその団体は三十年度に大体黒を出しておりますので、そういうところは財政構造はある程度直っておるということが言えます。従ってその赤字の消し方が割合い簡単であります。新潟県の場合には今まで赤字要素が非常にありますが、知事さんのお骨折りで三十年度は一応黒にしておる。従って財政構造は改善されておりますから、将来の計画はやはり短くて済む、こういうことになるのであります。赤字の絶対額はそれは相当ございます。そういう違った要素でありますので、やはりその県その県の実情と、財政構造と、赤字要素を含んでいるかどうかということによりまして、期間が短かくなったり長くなったりする、これはやむを得ないのではないかと思っております。  それから第二点の手続の問題でありますが、実は再建債の対象になる赤字の額そのものにいろいろ問題がございます。従ってその辺を確かめると同時に、計画内容自体につきまして実際にやれるかどうかという問題を検討いたしまするので、われわれとしては相当ひまがかかる場合があるのであります。特に再建の困難な団体におきましては、何回も何回も計画案を作りかえて、そして期間中に出てくる赤字要素を消していく方法もいろいろ相談をいたします関係で非常にかかります。そのきまったものを、今度は大蔵省の方で金を貸す場合に同じような方法でやるというよう考え方があるようでありますので、そういうことをしてもらっては困る、こういうので厳重に申し入れをいたしております。まだはっきりしたものは向うは申し出ていないのでありますが、やかましく言っておりますので、これも早晩解決をいたしまして、地方団体の手数がなるたけ省けるように私どもはいたしたいと考えておる次第であります。
  19. 中井徳次郎

    中井委員 私どもはこの再建整備法案が出ましたときに、そういうものを出す上は将来赤字が出ないようにするということがまず大切である、そうして過去の赤字をたな上げするのでなければ意味がないじゃないかということを、この委員会を通じてやかましく申したはずであります。しかるに今の説明を聞きますと、やはりわれわれの予想通り赤字が将来起きる、それをそのままにして再建整備、こういうことであるので十五年もかかる。これは私どもの予想がぴったり当ったという証拠だと思う。  それからもう一つ、さらに公債費のことにつきましては、社会党は品をきわめて公債費を何とかしないことには、地方財政赤字解消にはならぬということを言いました。徳島県でも新潟県でも両知事さんを初めとしまして、みんな同じような御意見であります。この点も私どもが強く主張したこと通りになっておると思うのでありますが、政府はどうですか。きょうは大臣が見えぬで、あなたに聞いても仕方ないかもしらぬが、しかし三十二年度においてこのような姿で、たとい一つであろうと二つであろうと、日本の国内で十五年も赤字解消にかかるというふうなこと、これをほっておくつもりでありますか。私は三十二年度には、政府はやはりき即いね掃除をぜひなすべきであると思うが、そういう点についての事務当局としての見解を伺っておきたい。
  20. 門司亮

    門司委員 関連して。今の中井君の質問ですが、非常に重大な質問であります。事務当局の意見も必要とは思いますが、大臣も政務次官も次長も出てきておらない。従って、問題の核心に触れて、これをどうしようということは、私は委員会の構成からいってきわめて不見識だと思う。従って、委員長はすぐ大臣なり政務次官なり、政府の責任のある人に出席を求めてもらいたい。きょうはせっかく遠いところ来ていただいておりますが、われわれだけがお話を伺い、さらに会議録を見るだけでは、私は割合に効果は少いと思う。少くとも政府の責任者が出席して、直接地方の声を聞いていただいて、これをいかに処置するということを、われわれとともにやはり検討していく必要があるのでありまして、地方財政の問題に関する限りは与党とか野党とかいうものは私はないと思う。これを一体どう処置するかということが、現在われわれに課せられた一つの大きな問題である。そういう問題であるから、ぜひ委員長から政務次官なりあるいは大臣なりの出席を即刻要求してもらいたい、このことを要望いたしておきます。
  21. 永田亮一

    永田委員長代理 ただいま大臣の出席を要求いたしました。
  22. 後藤博

    ○後藤政府委員 公債費の問題、これは地方財政の残された一番大きな問題だろうと私ども思っております。従って、でき得べくんば三十二年度の財政計画の前に、この問題の解決をいたしたいと考えておりますが、しかし、これは一挙に解決するか、いろいろな方法があるのでありまして、一ぺんに解決する方法というのは、そうないのではないかと思います。たびたび申し上げますように、国債に振りかえる問題とか、利子補給をするとか、借りかえをしていきますとかいう方法が、私ども考えられるのでありますが、その一つだけをその中からとるということでなくて、いろいろなものを組み合せていかなければならないと考えております。これは地方団体によりまして非常に変っておりまするし、従来起債を多くやりましたところだけが、非常に利益をこうむるというやり方でもいかぬのであります。一般財源を用いて事業をやったところと、それから起債をたくさん持って参りまして仕事をしたところと、その間の公平の問題もあるのであります。起債が多いから、その起債の問題だけを片づければ、それで問題は解決するということではないのでありまして、起債をあまり多く望まないで、一般財源でもって苦しいながら仕事をやってきた団体につきましては、その恩典がないのであります。従って、そういうところまで考え起債の問題を片づけなければ、ほんとうの解決にはならぬ、かよう考えております。しかし、重大な問題でありますので、来年の計画の前には、はっきりした方針をきめたいと考えておる次第であります。
  23. 門司亮

    門司委員 今の答弁ですが、どうも政府はそういうことを言って逃げるのです。地方の個々の実態に当ってみなければわからないとか、全部やればどうなるとか言う。大蔵省もそういうことを言う。ものの考え方がそこにあるから、いつまでたっても解決がつかない。それならば聞いておきますが、事務当局で、かりに赤字原因が各府県あるいは市町村ごとに地方自治体に帰属するものがどれだけで、国の責任に帰属するものがどれだけだということの算定ができますか。できないことを言っていたずらに日にちだけを延ばしていくということでは、地方は非常に迷惑する。だから、一応そういう理屈はあるかもしれない。あるかもしれないが、その理屈だけをいつまでもこねておっても、見通しがっかなければどうにもならない。だから事務当局に聞いておきますが、これだけは地方の責任に帰属する赤字だ、これだけは政府の責任で始末すべきものだというようなことが現実に一体できますか。できればあなたの言うようなことも、あるいは可能かと思うが、できないことを言って日にちだけを延ばしては困る。三十一年度でやる、三十二年度でやる、と年度ごとに説明している。内閣総理大臣の施政演説を聞いてごらんなさい、毎年そういうことを繰り返している。来年度になればまたはっきりやるとか言うでしょう。事務当局でそういうことができるのかできないのか、一体どうなんです。
  24. 後藤博

    ○後藤政府委員 たびたび門司先生からお話がございますように、地方団体と国との間の責任の問題を分解するということは、これは数字的にやりますことは不可能だと考えております。またやりましても、この段階ではそう意味がないのでありまして、やはり国の責任が相当ある。だから国も財源的な措置をしなければいけない、こういうことで突っぱっているわけであります。しかし、それだからといって、地方団体  に責任がないということは言えない。これは個々の団体によりまして、その団体の責任の非常にウエートの大きいところもございます。それから少いところもございます。従って、押しなべて率がどうのこうのということはできないと思っております。しかし、全体的な財源措置というものは、三十年度の措置で大体今までの問題点をある程度解明したと私ども考えております。残された問題はやはり公債費の問題である。その公債費の残った問題を、何とか解決する方法を三十二年度の場合に考えよう。これは三十一年度のときにやらなかったのではないのでありまして、相当やったのでありますが、なかなか解決しなかったというのが私ども考え方であります。
  25. 門司亮

    門司委員 今の事務当局の考え方はどうですか。知事さんでも助役さんでもどなたでもけっこうでありますが、今問題になっております中央に帰属するもの、あるいは地方の責任において解決すべきものというようなことが、公債費の中で区別ができますか。自治庁は、非常にむずかしいのでやるようなやらぬようなことを言って今日まで延ばしている。あなた方の方ではっきりこうできる、だからこうしてもらいたいという結論が得られれば非常に参考になると思います。どなたからでもよろしゅございますが、もし御答弁ができましたらお願いしておきたいと思います。
  26. 原菊太郎

    原参考人 はなはだ困難な問題でありますが、数字の上から見まして相当はっきりしていると思いますのは、基準財政需要額と実際に要るやっとの間に相当の食い違い炉ある。政府が何ぼ持ってくれるといっても、われわれの方で払わねばならぬ。政府のお認めになっているもので、ごく一部ではありますが、その一部のやつは当然計上すべきものを計上していない。そういうのがありますし、また所によりましては、私の県に吉野川という大きな川があります。香川県のはごく小さい川で、われわれの方は河川が大きいので、橋一つかけるのにも相当ね負担が要った。あるいは台風のときには、徳島はその受け入れ態勢が非常によくできておりまして、吉野川の方へ向きまして風が力一ぱい吹いてくるので、その被害、それから海岸の被害、それから先刻お話のありました地すべり地帯のことあたり、最近注目してくれ出したのですが、国の方が見てくれなかった問題、こういうようなことが類例をあげますと、たくさんあるのでございます。ですから、はっきりしておるものとはっきりしないもの、漠然として正確でないものと正確に申し上げられる分とがあるわけでございます。
  27. 川村継義

    ○川村(継)委員 徳島知事さんにお尋ねしたい。先ほど指摘されましたように、あなたの県は十六年間の計画を作っておられる。おそらくこれは知事としても、そういう長い計画でおやりになるのは不本意だろうと思う。できたら短かい年限に再建をやりたい。この審議の過程におきましても、前にいろいろ問題になったわけですが、知事さんや今の県会議員の方々があと四期もそのまま県民の負託を受けて出てこられるということならいざ知らず、いつ変るかもしれない、そのと遂に知事県政の方針が変っていきますならば、せっかく十六年間の計画をお出しになっても、そこに混乱を生ずる事態がくるのじゃないか、こういうことを考えますと、実に大問題だと思うわけです。十六年間も長い計画をお立てにならなければならぬということについては、いろいろ国の力が加わっているのじゃないかと考える。聞くところによりますと、徳島県では相当大幅な人員整理をなさった。ことしもまたそういう御計画がある。しかも再建計画の中には人員整理であるとか、あるいは公務員の昇給、昇格のストップであるとか、あるいは期末手当等の全廃であるということなども考えになっている。ところがそういう計画を持ってこられましても、事業税をもう十%引き上げろとかあるいは県民税の均等割を二百円に上げろとか、これを上げなければ結局借りかえ債を認めてやらぬぞ一大蔵省には聞いておりませんが、そういうようなことで、不本意な炉らも遂に計画を立てて赤字を消していくためには、十六年間も引延ばしてしまった。こういうような事情があったのではないかと推測するわけですが、率直にお聞かせいただきたいわけです。
  28. 原菊太郎

    原参考人 私の方の計画が十六年間にも延びたというのにつきまして、自治庁から圧迫があったというようなことはありません。私は自治庁の圧迫くらいでは、こたえぬ男だと自分では思っておるので、そういうことはありません。しかしながら大蔵省の方は依然として伝統的な御性格を確立せられておるので、はなはだむずかしいところだという印象を受けております。圧迫とか何とかありませんが、地方の者といたしまして、知恵のない場合にはいろいろサゼスチョンをいただくとか何とかいうことはありました。それは単なる相談で、圧迫などはちっともありませんでした。
  29. 永田亮一

    永田委員長代理 ちょっと報告いたしておきますが、大臣、政務次官が選挙制度の委員会出席いたしておりまして、どうしても抜けられないそうで、鈴木次長が間もなく参る予定であります。
  30. 川村継義

    ○川村(継)委員 もちろん自治体としては四年とか五年とかに縮めてやらせられますと、増税したければたらめ。いろいろ犠牲が大きくなりますから、できたら期間が長い方がゆるやかな再建ができて、それはいいという考え方もあるわけです。そこで財政部長にちょっと関連してお聞きしたいのですが、今の徳島の場合に結局二十九年度の赤字を消していか血ければならぬ。このままずっと計画の年度を考えていったら、約七十億くらいの赤字炉出てくる。それをどうして消すかという問題が出てくる。従って十二、三年というところになっていくということですね。ところがこれについては大きな問題があるわけです。というのは二十九年度の赤字を消すということで、再建促進法というものができた。大体国は四百億程度再建債を出すようにしてある。わずかそれくらいの再建債で二十九年度の赤字を消して、地方財政再建整備をやらせるということで五年も六年も七年も、十年も先に生ずるであろう赤字に対する施策というものは考えていない。いわば再建債をえさにして、ずっと長い間縛りつけて拘束していくということについては、大きな問題が起るのじゃないかと思うのです。財政部長としてはその点をどう考えますか。
  31. 後藤博

    ○後藤政府委員 お話のよう再建期間が非常に長くなりますれば、その窮屈な期間が長くなるのはこれはおっしゃる通りであります。従って窮屈な期間を短かくし、短かい年度に再建計画を立てるというのは、私どもの望むところなのであります。短かいところを無理をして長くしろというようなサゼスチョンは全然いたしておりません。むしろ長いところを短かくして再建期間をで送るだけ詰めて、早く正常な財政運営をしていくよう状態に返す、これが一つの基本的な考え方であります。しかしその財政構造の内容を検討いたして参りますれば、やむを得ず期間が長くなる場合があるのであります。しかし期間が長くなります場合でも、府県の場合にはせいぜい十二年くらいという目安をつけております。しかし十二年でどうしても徳島の場合はおさまらないのであります。先ほど申しましたように、財源の増強というものを、現状から判断いたします関係からいたしまして、そういう大きな税収の伸びというものは期待できません。それから交付税の伸びも現状を基礎にして、徳島の場合には特別にその交付税のふえていく要素を考えて一これは交付税の法律の改正のときに申し上げましたように、態容補正を変えますので、その関係から相当伸びていくことが予想されます。従って筒一ぱいまで私どもは見て計画の中に織り込んでいこう、こういうことでほかの県とは違った財源の考え方をしておるのであります。それでもなおかつ十六年とか十七年とかたたなければやれない、こういう格好になるのであります。やはり財政構造中の赤字は、相当期間たたなければ消えていかないのであります。そこに悩みがあるのであります。普通の団体でありますれば赤字要素は大体消えた状態にありますので、たな上げ債を消していくということで大体やれるのであります。その辺がつらいところでありまして、別に私どもは長いことを望んでおるわけではございません。従ってできるだけ短かくしたいのでありますが、あまり無理をして短かくするということもできません。これは物件費を切る場合にいたしましても、人件費を切る場合にいたしましてもやはり限度があるのであります。その限度以上に切るということになりますと、全体の機能が停止することになりますし、府県といたしましては府県の機能があり、その活動はあるのでありますから、その活動力を減殺しない程度において節約をしながらやっていくことになりますと、長くなるのであります。乱暴なことをやれば短かくなります。たとえば期末手当とか勤勉手当を削れば、徳島の場合でも二十五億から三十億くらいのものが再建期間中に消えて参りますが、そういうことは申しましてもできないことであります。また現在の法制の建前からいたしましても、それを全部切ることはできないのでありますから、それを認めたりする格好になりますと、やはり年限が長くなるという方向に行かざるを得ないのであります。
  32. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 私は新潟県の知事さんにちょっと御質問を申し上げたい。配付になりました「『地方財政再建促進特別措置法』の適用について県民の皆様にうったえる」という。パンフレットを見ますと、その中に「これからどうしたら赤字はなくなるか」というところで、この促進特別措置法によって新潟県は赤字を克服していくのだといって、そのあとにおいては明るい夜明けが来るというようなことが書いてありますが、この特別措置法によって新潟県の赤字が果して完全に解消されると、知事さんは考えておられるか、この点をまずお聞きしたい。
  33. 北村一男

    北村参考人 お答え申し上げます。私は赤字解消できると考えております。
  34. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 この赤字の克服の基本的な考え方につきまして、先ほど中井委員質問に対して、知事さんの基本的な考え方は、今の政府のやり方を、もう少し改めない限りなかなか困難であるというふうなことだろうと思うのです。それで現在まで新潟県は大体十五億七千万円程度のものを消してきた、こういうふうにおっしゃっておられるし、実際あなたの就任以来、非常な赤字克服に対する努力といいますか、熱意といいますか、そういうものは新潟県民も認めておると思うのであります。しかしそのやり方を見ますと、ここに配ってあります。パンフレットを見ましても、やはり非常に無理をして赤字を消していこうというようなことが見える。たとえば給与条例を制定なさって、昇給の延伸をはかっておられるのでありますが、こういうものはやはりあくまで避けるべきものではないかと思うのです。職員昇給というものは、これは国家公務員法及び地方公務員法ではっきり規定してあるのでありまして、そういうものを条例で曲げていって、たとえば六カ月昇給のものを九カ月に延ばすとか、九カ月のものを十二ヵ月に延ばしていく。こういう弱いところにしわ寄せをして赤字を克服していこうという知事さんの考え方には、われわれは承服できないわけでありますが、一体この昇給の延伸というのは、この再建計画期間中実施されるつもりであるか。あるいは、これは昇給をもとに返すという御意思であるか。その点を一つお聞きしておきたい。
  35. 北村一男

    北村参考人 櫻井先生の御質問にお答えする前に、私が、昇給の延伸、宿直料の引き下げなどという一連の人件費節約を企てましたゆえんは、職員諸君の給料を確保したい、そうでありませんと私が就任しましたときのように月給を払う財源が何にもない。これではいかぬから月給の支払いを確保したい。それには各府県昇給の延伸措置をとっておられますが、私は、そういうようにやみで昇給の延伸をはかることはいけない。これははっきり条例にうたいまして、県民皆さんに知ってもらって、表裏とも昇給延伸をするんだということをはっきりさせたい。私は、ほとんど全国的に昇給の延伸をやっているのではないかと思うのでありますが、そういうことをただ行政措置としてやることに対しましては、これはいかぬと思う。どうしても条例ではっきりした方がよろしい。こういうことで条例措置をとった次第でございます。従いましてこれはあくまでも、職員の将来の給与を確保したい、生活を確保したいという一念でございまするので、大体におきまして延伸を二回・繰り返す。二回を限度といたしましてあと復旧したい、こういうよう考えでおることを御了承賜わりたいと思います。
  36. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 もう一つお聞きしておきたいことは、実は先ほど知事さんのお話にちょっとあったと思うのでありますが、新潟県の今日の赤字原因はいろいろありましょうが、前の岡田県政の非常に放漫であったということも、重要な赤字原因一つであるということは争えない。従って去年の選挙において今の北村さんが赤字克服という大きなスローガンをもって当選されてきたわけであります。しかし現知事赤字克服の鬼だとみずから称されるほど、赤字克服に非常に熱意を示しておられるわけでありますが、その熱意の余りだいぶん無理な考えを持っておられる面があるのではないかと私はおそれるわけです。その一つといたしまして、知事さんは今盛んに県内を遊説しておられますが、その中に、地方公務員法が実施されるならば、新潟県は条例で四十五歳の停年制をしこう、こういうことを言っておられるようであります。私も停年制を実施しておる世界各国の例を調べてみましたけれども、たとえばアメリカにおいても、イギリスにおいても、西ドイツにおいても、四十五歳なんという停年制をやっておるところはありません。日本においてもおそらくないと思う。こういう世界にまれな停年制をしこうということを、一体本気で考えておられるのかどうか、これは非常に重大な問題だと思うのです。この点を明らかにしてもらいたい。
  37. 北村一男

    北村参考人 御説のように停年は大体日本では五十五と考えられておるのでありまして、四十五の停年制というものはあまり聞かぬのでありますが、今櫻井先生の御指摘になりました米、英、独のように経済力が充実した国においては、さよう措置をとられてもよろしいと思うのでありますが、しかし日本特に新潟県のように、大きな赤字をかかえた県においては、ただよそがやらぬから新潟県だけこういうことをやることはいかぬというふうに考えることは、いかがであろうかと思うのであります。私が四十五の停年制を提唱するゆえんは、単に財政的に助かるというようなことだけでなしに、人を惜しみ人を愛するという観念に出発いたしておるのであります。御指摘のように、私は県内四十六カ所を県政報告をして回りましたが、これは各地で私の言うことを了承してくれておるのであります。そのわけは、五十五になっても、もう人間の寿命炉延びたのでありますから、もう十年ぐらいは私は働けると思うのであります。ところが五十五の人を昨年から私は、ここに書いてありますように、七百三十二名やめました人の就職のあっせんをしてみますると、五十五の人を紹介すると、そういう大人物は私の会社に要らぬとかあるいは団体に要らぬ、こういうことを答えて敬遠するのであります。これは大人物というのでなしに、五十五になれば足腰はきかなくなるし、口は達者になるし、月給は高くなる、とたんに大人物になる、そういうことで断わられてくる。四十五ぐらいの人だと、あまり役人は歓迎しないのでありますが、私みたようにやり出すと言ったら必ずやる知事に反対すると、どこかでかたき討ちされる、こういうことをおそれて四十五才の人なら大体採用してくれる。でありますから四十五才の人が就職しまして二十年も働いて、あとは人生の休養に向ける方が人を愛し人を惜むゆえんである、こういうふうに私は解釈をいたしております。いろいろ批判もあります炉、四十五の停年制というものは、私は県内で多数の共鳴者を得たと確信いたしておりますから、これは一つ県議会に諮りまして批判を請いまして、そうしてそれがよいとなったら実行に移して参りたい、こういうふうに考えております。
  38. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 もちろん先ほど申し上げましたアメリカや西ドイツあたりと、日本の国情とは違うのでありますから、これは一概に申されませんが、しかし日本にも日本独特の国情があるのであります。今わが国の一番大きな問題は、雇用の問題が一番大きな社会問題として出ておる。知事さんのお話によると、五十五才はだめだけれども四十五才なら、まだ就職の可能性炉ある、こういうことでございますが、私は十年間くらいこれを短縮したところで、この四十五才で首切られた人を、あなたが全面的に責任をもって就職させること炉できるかどうかということは大きな問題だろうと思います。そういう何ら生活を保障する見通しもなく、やたらにこういう条例を出されたら、これは使われておる方にとっては非常に重大な問題です。おそらく、こういうことを実施する県があれば、赤字に悩んでおる県が苦しまぎれにこれに右へならえすることも考えられる。これは一つの国家的な大きな問題となってくるのでありますが、こういうことは、人を愛するがゆえにと、あなたはおっしゃっておるけれども、果して四十五才の停年制をしいたと遂に、それらの人を全部あなたは生活を保障することができる、そういう確信を持ってやっておられるのかどうか、このことも一つ聞いておきたい。
  39. 北村一男

    北村参考人 お答え申し上げます。私は大体相当の成算を持って申し上げておるのであります。と申しますのは、すでに日本軽金属において百人、人間を引き受けております。それから県内に八つ、先ほど申した三十億ないし五十億の巨費を投じて工場ができようとしておる。そういうところに話をいたしますれば、これはやはり、時の知事が頼むことを退けると、どこかでかたき討ちをされますから、(笑声)必ず採用をするのであります。  そういう点もございますし、それから、月給取りが必ず月給を取らなければならぬということはないと私は思います。いろいろ私もアドバイスして、やめた七百何人の中には、新しい個人の仕事をやりまして、たとえば魚箱を作る仕事をやるとか、あるいはノリの栽培をする仕事をやる——私も事業家でありますから、事業をやりたい者には相当の力を貸し、協力してそういう方向に進めておりますから、私は相当の成算を持ってこれを提唱いたしておるのであります。  なお四十五の停年制につきまして、樫井先生に一つ御了解を願っておきたいのは、私は四十五になったら全部やめろと言うのじやありません。四十五になった者のうち、技術員というようなものは大体残していく考えでございます。今各官庁とも事務職員が余っておるのじゃないかと考えております。そこで四十五になりましたら一つテストをしてみたい。そうしてほんとうに仕事ができ、あるいは県のために有用であるかどうかということを、審議会のようなものを作って審査をしまして、そうして、私は四十五になった事務員のうちおおむね四割は勇退してもらいたい、こういうふうに考えておるのでありまして、四十五になったら全部やめろというのではないわけであります。これをつけ加えますと、県内が絶対私を支持しておりますから、この点も……。
  40. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 だいぶ自信満々のようでございますので、ここであなたとお話をしても水かけ論になると思いますが、県内をあなたが回られて、県民が絶対支持しているというのは、あなたの、何といいますか、気魂ですね。大きな会社さえ、この知事の言うことを聞かないとかたき討ちされるというような、あなたの非常な強引さに県民が黙っておるのであって、あなたの言うことを県民が全面的に支持しておるというふうに解釈されるのは独断もはなはだしい。沈黙の反抗、大衆の反抗ということも、為政者としてはよく考えておかなければならない。あなたの時代には、あるいは四十五の人を就職させることも可能かもしれないが、条例として一たび制定されれば法律になるのですから、社会不安を巻き起さないかどうか、そういう先のことも十分考えて、もしこういうことを実行される場合は、各方面意見を十分聞いて、赤字克服のためにあまりに急なる、あまりに人権を無視するようなことのないように、私は御注意を申し上げておきたいと思う。
  41. 北村一男

    北村参考人 適切な御忠言で、深く参考にいたしますが、しかし私の考えを曲げる意思は、ただいまのところ持っておりません。
  42. 五島虎雄

    ○五島委員 今櫻井君から質問をされましたことに少々関連があると思うのです。あの昇給制の問題で、延伸二回でとどめたい、そうしてあとはもとに復するというよう知事説明があったわけですけれども大体財政再建計画の中に、職員給与の昇給原資は若干見込んでおられるようであります。しかしこれを不足分をどうするかというような問題が疑問になってくるわけです。ところが自治庁の従来の説明によりますると、赤字県があっても、定期昇給は完全に実施することが望ましいんだと説いて参りました。そうして去年でしたか、自治庁は地公労と覚書を取りかわしているのです。そうして自治庁の方から各県に通牒となって出ておることを承知しておるわけですが、この通知と定期昇給の延伸というようなことについて、どういうような関連をもって、新潟知事は了解されておるのかということを聞いておきたいと思うのです。それからまた定期昇給については完全にやるといって、倉石労働大臣も国会で言明されたことがあるのです。ところが今の説明によると、延伸をするというようなことです。そこで二回の延伸でとどめるということは、三回目にこれをもとに復するという、いわばこの延伸された二回の分も十分三回目にはプラスして、そうして三回目には二回の償いをしようと思っておられるのかどうかということを、まず第一点に聞いておきたいと思います。
  43. 北村一男

    北村参考人 これは県会におきましても非常に問題となって、この延伸措置については社会党の議員諸君が非常に反対されましたが、県の実情では、どうしてもかくせざれば、多くの職員の給与の確保ができない、こういうようなことの説明を一応考えられたわけでございます。そこで県会を通過いたしたのでございますが、その場合に二回分を三回目に考慮するかどうか、ただいまのところ考慮する意思は持っておりません。
  44. 五島虎雄

    ○五島委員 ただいま櫻井君の質問に対して、知事は非常に自信たっぷりなことを言って、地公法が改正されたら、四十五才で停年制をしきたいというようなことを言っておられるわけですが、この財政再建計画内容を見てみましても、大体七百三十九名の希望退職を一般職員からつのるんだというようなことを言っておられる。それから聞くところによると、自然退職を年間百五十名ばかり見込んでおられるというようなことです。そうして再建計画の一部の内容としておられるようですが、これは自然退職ですから、自然の退職は例年の標準をとって、百五十名というようなことが、その計画の中に盛られているとも思われるわけなんですけれども、退職があったかないかということは、過去の問題に属するのですから、そうすると、希望退職といっても、あるいは自然退職といっても力をもって首切るということではないというふうに、こちらでは了解されるわけなんですけれども、これがもしも七百三十二名が希望退職がなかったとか、百五十名の自然退職がなかったとかということになりますると、八カ年においての再建計画というものが、非常にぐらついてくるわけのものになると思うんですけれども、そういうことになった場合は、この再建計画について大きな影響がございませんか。
  45. 北村一男

    北村参考人 お答え申し上げます。七百三十二名はすでに退職してしまったのであります。百五十名は、従来の実績から申しますると三百五、六十名から四百名くらいの自然退職者がありましたものを、すでに七百何名の退職者が出たから、今後はその半分以下に見積ることが妥当であろう、こういうことで見積りましたので、大体この標準は無理なくしていけるものであると信じております。
  46. 五島虎雄

    ○五島委員 そうすると当初の計画では大体職員の数は四千八百名ばかりに見込まれて、給与等々の計算が行われたんだというようなことを聞いてもおります。ところが現在もやはりそうであるとするならば、大体四千八百名程度職員で、新潟県におきましてはほんとうにこれからも確信を持って行政がつかさどられていけるものであるというような自信がございますか。そうして四千八百名ということになれば、標準の職員数よりも大体一千名ばかり少いのじゃないかというようにも考えられますけれども、一千名も少い人員で行政が確実にやっていけるかどうかというようなことを、参考までに聞いておきたいと思います。
  47. 北村一男

    北村参考人 お答え申し上げます。これはみんな各自認識に相違がございますので、私の考えをしいて申し上げるような意思は持っておりませんが、私は役人は働けばまだ働き得るものと考えております。今精一ぱい、額に汗して働く愉快というものを、まだ自覚しておらぬのじゃないかと考えております。私が就任しましてから、ほんとうに一生懸命に働く愉快ということを役人に吹き込んでおりますが、最近一年ばかりの間に、非常に公務員諸君が働いてくれるようになりました。私の個人的見解を申し上げますならば、まだ人間が多過ぎると思っておる。人間が多いから県民サービスが向上するとは限っておりません。ことに新潟県の人件費は歳入の五割七分になっております。あとの四割三分で県民サービスと申しましても、先ほど申し上げたように私は人的サービスと物的サービスがあると思いますが、何ぼ人間が多くおりましても、ぴたっと橋がかかった例はございません。そこで私は五割七分の人件費をもって県民サービスを高めていくということはなかなか至難である、こういう点から私をして率直に私見を申し上げることをお許し願えるならば、まだ人間が多過ぎる。一生懸命に働けばまだ少くて済むのであります。こういうふうに考えておりますから、かりに四千八百名という数でありましても、県政運営には絶対支障がないと確信をいたしております。
  48. 五島虎雄

    ○五島委員 そうすると優秀な新潟職員は非常に多過ぎて、多過ぎるがゆえに仕事をあまりしていないんだ。自分の配下であるところの新潟職員の労働者は、ほんとうに遊んでいるんだと県知事がここで暴露されたような気がして、何んだか変な気がするわけです。  それからこの計画書の中に公共事業費のことが大体書いてある。言うならば後進性であるから、公共事業等々は発展さしていかなければならないめだ。ところが財政が非常に赤字で欠乏しているから、これから再建ができるまで、公共事業を七五%程度に押えていくのだという説明内容に含まれているわけですね。東北のように一東北というところも、言ってはおかしいですが、少々ばかり公共事業の面等々について、幾らか関東あるいは近畿というようなところに比べて後進性を持っている。そうするとその後進性があるということが確認されたら、なお公共事業は発展さしていく方向をたどることが当然であろうと思うわけです。ところが昭和三十八年度までは公共事業を七五%程度に押さえていくということは、なお後進性に対するところのプラス後進性という意味を持つのじゃないかと思うのです。努力が必要であるにもかかわらず七五%にして、今後はその後進性というような意味をどういうように打開していくか。この八年間は後進性にプラス二割五分程度を県民にがまんさして、そうして公共性というものを押えに押えて、そうしてこの県民に対する書を読んでみた、その末文では、八年間黎明の前夜である、夜明け前である、八年間夜明け前を待たせるというようなことについては、何だか矛盾があるように思われますが、新潟県あたりの公共事業に対する後進性の意味を、どういうふうに打開していかれる気持があるか。七五%程度を盛り込んでおけば、やはり夜明け前であるというようなことで、県民に対する希望を与えることができるかどうかということについて質問しておきます。
  49. 北村一男

    北村参考人 ごもっともな御質問でございまして、自分の部下が遊んでいるとは申しません。部下の中にも優秀な者と、さまで優秀でない、玉石混交していることは、いずれの社会でも当然のことであると考えております。新潟県でもかなり玉が多いのでありますが、石がないとは私は保証いたしません。でありますから私の申し上げたのはその石の分を申し上げたのでありまして、玉の分は私はきわめて重要視しまして、これからもうんと活動してもらいたい、かよう考えて、待遇もそのよう考えていっておる次第でございます。決して新潟県の県の職員諸君がみんな石ころばかりだなんということを申し上げる意思はございません。  いま一つは、後進性の問題につきましては、今五島先生の御指摘になったことは、県会でも多分に問題になった点でございます。しかし七割五分というのは一応再建法の中にきめられたと申しますか、さような制限を受けるということになっておりますので、七割五分ということをやっておりますが、私はこれはワク内の仕事である、ワクをかけられたその内部の仕事が七割五分である、でありますからワク内があればワク外があったって、一向不思議のことでありません。それですから私はワク外に一つ後進性払拭のためにできるだけ政府から仕事をもらって、県費つけ足しのために、私が先ほど申し上げたように、私個人でも昨年一億二千七百万円という増収を上げているのであります。県の計画外にこれは公共事業をやりたいから、県費に迷惑をかけないで、これを県費に充当して仕事をやりたい、こういう願望からやっておるのでありまして、今後も、あの大県の新潟県でありますから、地位と知識、熱意と努力があれば、必ずワク外の金を相当上げ得るものである、こういうふうに考えておりますし、現にまた上げつつありますから、県民は安んじて私に信頼いたしております。
  50. 五島虎雄

    ○五島委員 その自信は非常によろしいと思いますし、新潟県民は非常に幸福だと思います。それで再建計画の中の最後の表を見ると、税金の問題については大体金額が変っていないように思われるわけです。従って増税というようなものは、新潟県では考えられていないと思うわけですけれども、何か聞くところによると、増税をしないかわりに市町村の方から大幅に分担金等々を徴収するのだというようなうわさが、新潟県では飛んでおるようにも聞き及ぶわけです。そうすると、一方では増税をしないのだと県民に安心させながら、一方では分担金でこれをまかなうのだというようなことならば、増税しないということは、ごまかしになってしまうように思われるのですが、分担金なんかのお考え方について、どういうようにお思いになっておりますか。
  51. 北村一男

    北村参考人 お答え申し上げます。これは御説の通りで、分担金というものは、できるだけ避けなければならぬと私は当初から主張いたしておるのであります。遺憾ながらただいま橋をかけてくれ、道を直してくれといえば、若干の負担金をもらっておることは事実でございます。これは国でも同じでありまして、本来ならば公共事業は国でおやりにならなければならぬのを、地方がぜひやってくれというものでありますから、起債でめんどうを見て地方の借金になる、こういうようなこと同じことであります。私はこれは避けなければならぬと思う。避けなければならぬと思えばこそ、新潟県の財政を充実しなければならぬ、そのためには再建法適用を受けなければならぬ、こういうように三段になるわけでありまして、私は再建法適用を受ければ地方負担は、今後絶対とは申しませんが、漸減していって、しまいにはなくしたい、こういうことを県民に約束いたしております。
  52. 五島虎雄

    ○五島委員 最後に一点、門司助役さんに伺いたい。水害それから戦災を受けられて、ほんとうは赤字が出るような市ではない。私も門司をよく知っておるのですが、そこでその再建の方に非常に期待をかけておられるのは、人件費に金を非常に要したのだ、そこで定員の幾ばくかの減員をしたい、それからまた地方公務員法の制定があって停年制がしかれる、この改正がこの国会で通過すればそれにプラスしていって、それも幾分やさしくなっていくというよう説明が一部にあったように記憶いたすわけですが、この公務員法改正案というものは通るか通らぬかわからぬ。通過しなければその再建計画に影響があるのじゃないですか。
  53. 角銅利生

    角銅参考人 人件費の問題でありますが、私の方の赤字克服の大きな問題は、必ずしも人件費だけではないのでありまして、先ほど来申しますよう戦災契機にし、あるいは水害契機にして、端的な言葉で申しますと、かなりの身分不相応の事業をやってきておる。たとえば公営住宅につきましては非常に小さな市で、終戦後八億の金をかけております。これは前任者の非常な英断でありまして、今日門司市全世帯の約一割が公営住宅というような全国まれに見る公営住宅、すなわち住宅政策をやってきておるわけでありまして、特に水害後におきましては、この住宅に非常に重点を置いて参っております。それから一時火の消えたようになっておりました港湾施設、これの回復にも相当の経費を注ぎ込んでおります。こういう面で一応今の段階におきましては、ある程度従来のよう事業量を持つ必要もない、再建期間中におきましては、ある程度押えてもいいのじゃねいかということで、いわば臨時にやった仕事を、ある程度押えていくということを、赤字を消していく最大の手段にいたしておるのであります。人件費はもちろんふくれておりますし、それから内容的に見まして若干修正すべき点がありますので、やるといろ程度でございます。
  54. 永田亮一

    永田委員長代理 他に質疑はございませんか。一他に質疑がなければ、三人の参考人に対する質疑は、これにて終了いたしました。  参考人の皆様には遠路本委員会のために御出席をいただき、ありがとうございました。  なお福岡県よりお見えになりました参考人の分が残っておりますが、これはだいぶ時間も経過いたしておりますので、一たん休憩し、再開後にいたしたいと存じます。  それでは午前中の会議はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。     午後零時四十六分休憩     午後二時二十一分開議
  55. 大矢省三

    大矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方財政に関する問題について、参考人より実情聴取いたします。福岡総務部長山本兼弘君。
  56. 山本兼弘

    ○山本参考人 福岡総務部長をいたしております山本でございます。午前中徳島県並びに新潟県両県の知事さんから、最近の地方財政の実態ということにつきまして、再建整備法との関係等を御陳述になったのでございます。福岡県といたしましては、従来、本県はいわゆる大府県という部類に入れられまして、ほかの中小府県と比べまして、税収その他の財政力という点につきましては、相当のゆとりがあった。事実そのようであったのでございます。近年に至りまして、特に午前中門司市の参考人の方からお話がございましたように、昭和二十八年の大風水害以来過去の財政上の蓄積財源等を、ほとんど投入し尽しましたために、さらには二十八年災害によってこうむりましたところの諸般の財政負担がかさんで参りましたために、昭和三十年度から急激に財政事情が悪化いたして参りました。ただいまの土屋知事が昨年就任されました当時・二十数億円の赤字が予想せられるという状況であったのでございます。幸いにいたしまして国会議員の御理解と御支援によりまして、昨年は地方交付税の特別措置等も行なっていただきましたこと、あるいはその他の諸般の措置をいただきましたことによりまして、二十数億円の年度当初見込まれておりましたところの数字もだんだん圧縮いたして参ったのでございます。今年の三月末の現在の状況はいろいろな措置を講じたのでございますが、遂に完全に収支のバランスを保持するということができ得なくなりました。総金額約十四億円ばかりに上りますものの繰り越し措置をいたしまして、昭和三十年度単年度といたしましては、赤字の出ないよう措置をいたしたのでありますが、実質的には赤字を包蔵いたしましたまま昭和三十一年度に繰り越し、あるいは執行の停止と申しますか、支払い繰り延べ等の措置をせざるを得ないというふうな状況にございます。特にこれらの措置を行わぎるを得なくなりました理由といたしましては、前知事時代に編成せられました昭和三十年度の予算におきまして、県税七十三億円の税収を見込んでおりましたものが、相当の見積り過大というふうなことで七十億程度しか徴収ができないというふうなこと、さらに公共事業等の財源に見ておりましたところの起債の未承認額というふうなものが発生いたして参りまして、十四億円ばかりの中に約七億ばかりの赤字を含みまして、昭和三十年から三十一年度に繰り越し措置をするというふうな状況になったのでございます。そのよう昭和三十年度の財政事情を受け継ぎまして、昭和三十一年度の当初予算の編成につきましては非常に困難をいたしたのでございます。いろいろ中央の御方針等も承わりまして予算の編成に手間取りましたがために、とうとう自治法の規定にありますような、三十日以前に提案をするということができなくなりました。昭和三十一年度当初予算審議いたします三十一年三月のいわゆる定例県会は三月二日に招集をいたしたのでございます。そして議会運営委員会におきまして、同月の二十七日までの会期をもちまして、定例県会を開催することに日程がきまったのでございます。しかしながら先ほど申し上げますように、昭和三十一年度の当初予算の編成は、いろいろ財源の見通し等の困難性その他諸般の情勢からいたしまして、二日に招集いたしまして、一部の議案を二日に提案をし、予算案につきましては同月の八日に提案をするということにいたしたのでございます。この過程におきましては、もちろん県議会各交渉団体、各会派の党首の方にお集まりいただきまして御了解を得たつもりで実はおるのでございます。そのようないきさつをたどりまして、八日から昭和三十一年度の当初予算案の審議に入ったという実情でございます。この予算案の編成につきましては先ほど申し上げますように、三十年度の収支のバランスもとり得ないという状況でございます。特に福岡県といたしましては、例年教育費の問題が非常に大きな問題になっておりまして、ほとんど例年の恒例といってよいほど、教育費の問題が議会でやかましく論議せられるのであります。今三十一年度におきましても同様論議がかわされたのでございます。その間の詳細のことは、後ほどまた御質問等でお答え申し上げことにいたしまして、県議会がどういうふうにして進行いたしたかということについて簡単に申し上げますと、八日から予算審議を始めていただきまして、二十七日を最終日ということで、いろいろ審議を願ったのでございます。その過程におきまして、やはり一番問題になりましたものは、教育費の予算であります。特に小学校、中学校の教職員の定員の問題、高等学校の全日制並びに定時制の定員の問題という問題が大きく取り上げられました。特に県教育委員会当局から、知事が提案した予算原案に対して附記をいたしまして、県議会に送付するという事態がございましたために、県議会とされましても非常にこの取り扱いに苦慮されたのでございます。三月二十七日が最終日の予定であったのでございますが、とうとう二十七日の予定日までに終了いたしませんで、三十一日までさらに期限を延長いたしました。そうして四日間の会期の延長をして、教育費その他歳入面等について慎重に審議吾重ねられ、特に教育費の問題については、県議会とされましても非常に心配されまして、何とか県教育委員会当局から出ておりますところの対立予算案の取り扱いにつきまして、知事側と県教育委員会側双方の間におきまして、話し合いによるところの妥協はできないかというふうなことでございまして、知事側と県教育委員会側とにおきまして、数次にわたって折衝を重ねたのでございますが、最後の段階に至りまして、とうとう妥協と申しますか、調整がならずいたしまして、県議会の各会派の中から修正案が提案されまして、三十一日に至りまして、予算特別委員会並びに条例特別委員会で修正案が可決せられて、本会議に持ち込まれました。それが三十一日のほとんど十一時半ごろだったと思います。本会議の最後の採決の段階に入ったのでございますが、少数意見発表の過程にお遂まして、とうとう時間切れになりまして、当初百三件の議案を提案しておったのでございますが、そのうち十四件が前日の三十日に議決になっておった関係で、十四件だけ成立いたしました。あとの八十九件、これは全部審議未了に相なったというふうな事態に立ち至ったのでございます。施行の責任を負いますところの知事といたしましては、直ちに四月一日からの県政運営面に支障を来たしますことをおもんばかりまして、審議未了になりました八十九件のうち、四十七件を専決処分をいたしまして、当面の県政運営に支障なからしめるように処置いたしたのであります。特に審議未了になりましたもののうち、昭和三十一年度の当初予算につきましては、諸般の情勢を考慮いたしまして、年間予算の専決処分をなさるということに、結果はなっておるのであります。専決処分をいたしました予算案は、当初知事側の原案といたしまして、県議会の方に提案をいたしておりましたものをそのまま取り入れまして、専決処分をしたということであります。この場合暫定予算等の問題もあるのでございますが、暫定予算編成のいとまなくして、遂に年間通年予算を専決処分をしたのでございます。先ほど申しました中で、もう一点落しておりますことは、この三十一年度の予算案は、人件費その他義務的な経費を主体といたしましたいわゆる骨格予算でございまして、知事施策等盛り込みました単独事業費は一銭も組み込んでいないというふうな状況でございます。さらにはまた十二月十五日に支給いたしますところの年末の期末勤勉手当も、とうとう財源の見通しなくして、組み得なかったというふうな状態予算案でございます。そのよう予算案を編成をいたしまして、議会に提案せざるを得なかったということは、冒頭にも申しましたように、今日福岡県の財政も極度に悪化いたしておりまする一つの例証でございます。  委員長からのお示しは、現下の財政一般というふうなことで陳述するようにという趣旨でございましたが、若干本県の財政事情並びに三十一年度予算案の県議会におけるところの審議状況というものをあわせまして、ごくかいつまんででございますが、一応申し上げました。詳細は御質問等にお答え申し上げたいと思います。
  57. 大矢省三

    大矢委員長 なお県議会副議長及び県会議員のお二人が見えておりますが、質疑によっていろいろ御意見を伺った方が便宜かと存じますから、一応通告順によって質疑を行うことにいたします。山崎巖君。
  58. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 今日遠方から御出席をわずらわしておりまする参考人のお顔ぶれを見ましても、今日この委員会で私どもが伺いたい問題は、福岡県の財政一般という問題よりも、むしろ県の昭和三十一年度の予算を専決処分をされましたその案件が、最も重要な課題でないかと思います。従いまして私はこの問題にしぼりまして、参考人各位にきわめて簡単に質問をいたしたいと思います。  昨年の四月に、県知事の土屋香鹿君が知事候補として立候補せられました場合に、その県政上最も重要な政策として選挙民に公約せられましたのは、県財政の立て直しであったと思います。また県民も、福岡県は御承知ように、全国でも財政的にも従来富裕県と言われるような県であったのであります。しかるに社会党知事の八年の施政の間一これはもとより石炭界の不況を初めといたしまして、財界の変動に基く点が多々あったことは、私どもこれを認めるものでありまするけれども、何と申しましても過去八年の社会党知事の時代に大きな赤字が出た。このままで行ったならば福岡県の財政は破綻をするだろう。ここに選挙民が思いをいたしまして、ついに保守政党が支持いたしました土屋君の当選を見たものと確信をいたしております。この県民の要望にこたえまして土屋君は、知事就任以来県政、ことに財政の立て直しには、日夜非常に勉強されたように私は見ております。三十一年度の予算編成前にも、いろいろ県の財政の立て直しのために努力されました跡は多々見るべきものがあると思います。三十一年度の予算編成につきましては、この基本方針を堅持せられまして、できるだけ早く均衡財政を確立したいという方針のもとに三十一年度の県の予算を編成し、県議会に提出せられたことは参考人の皆様もおそらく御承認下さることであろうと思います。  そこで私がお尋ねしたいと思いますることは、この三十一年度の予算につきまして、私ども承知している限りにおきましては、通常県議会におきまして、ほとんど教育予算以外の問題につ、ましては、この知事の方針を県議会におきましても認められ、他のたとえば産業の関係委員会あるいは建設委員会、その他の委員会におきましては、予算の面につきましても一予算は一体でありまするから、むろんそれだけの予算をどうというわけには参りませんけれども、問題がなかったように伺っております。問題は、今山本総務部長寿からお話がありましたような教育予算が問題であったように伺っておるのであります。その点につきまして、それが私の申し上げる通りであったかどうかということを、簡単にお示しをいただきたいと思います。
  59. 山本兼弘

    ○山本参考人 山崎先生からお尋ねございました、予算審議の過程における最も論議の重点になり、しかも予算特別委員会並びに条例特別委員会において修正議決のありましたものは、教育費関係だけでございます。
  60. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 そこで具体的な問題を御質問の材料として伺っておきたいと思いまするが、県で提出されました教育費内容と対立予算として県教育委員会から出されました予算の相違について、ここに人員等を中心にしてお示しいただきたいと思います。
  61. 山本兼弘

    ○山本参考人 知事原案と県教育委員会当局から出されました対立予算案の相違点につきましては、小学校、中学校、全日制高等学校定時制高等学校そのほか通信教育等でございます。意見の食い違いと申しますものの大きいものは、小学校並びに中学校、それに定時制高等学校でございました。総人員から申しますと小中学校並びに高等学校を合せまして、知事原案よりも対立予算として出されましたものの超過いたしております人員は千九十二名、これが内訳は小学校におきまして五百七十八名、中学校におきまして二百四十七名、高等学校におきまして百七十二名、定時制高等学校におきまして九十五名という数字になっておりました。合せまして千九十二名というのが対立予算といたして出されましたものでございます。
  62. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 そこわたしは三原副議長さん、小宮県会議員さんにお尋ねしたいのであります。この予算審議の過程におきまして、小宮さんの率いておられます社会党の県議団は、県教育委員会の対立予算を全面的に支持されたものと私は伺っております。また三原さんは、県知事の出しました予算と社会党の支持する対立予算との間に何らかの調整をはかりたいということで、最後まで非常な御尽力を願ったように私は伺っております。そこで小宮さんは、どういう根拠で県教育委員会が出した対立予算を支持せられたか、また三百原さんは、どういう根拠で妥協案を出されましたか、その根拠たりまたお二人の主張されました理由をここで明らかにしていただきたいと思います。
  63. 小宮市太郎

    ○小宮参考人 簡単にお答えをいたします前に、一言申し上げておきたいことがあります。国に二大政党ができまして国華系を喜んでおりまする現在の国会の状況に比較いたしまして、福岡県議会は、自民党二十六、社会党二十六、八十二名のうち中間が残余の三十という数字を示しておりまして、きわめて特殊な議会の事情でございます。しかしながら私ども知事原案と教育委員会の対立予算というものが二つ出ましたので、それを足して二で割るというような行き方ではなく、今申し上げますような複雑した情勢下に県政をスムーズに運営することは一つの眼目でございますけれども、そうした調整ばかりではなく、積み重ねられました資料に基いて、教育の実際上の低下を来たさないという立場から、両者の原案を検討いたしたわけであります。私どもが出しましたところの修正案は、知事執行部と教育委員会とが昨年の十一月一日に共同調査をいたしましたところの学級数なり生徒数なりあるいは先生の定員というようなものを基礎にいたしまして、それを先ほど総務部長の説明にありましたように、土屋県政財政立て直しと申しまするか、健全財政の維持上できるだけの協力をしてもらいたいという立場から、与えられました資料によって検討いたしました結果、数字を申し上げてみまするならば、最終的には小中学校、高等学校を加えまして、知事原案よりも三百九十一名の増、予算にいたしまして県費支出面が四千二百万円程度であります。総予算二百三十億ばかりの福岡県の当初予算に対しまして四千二百万円増というよう数字でございます。従って税収面でそうした増収をはかることに努力をするという立場から、今申し上げますようなところで修正・案を出しまして、何とか教育の順調な運営とともに、三万に達しまする先生が喜んで教育に携わってもらうという立場からきますプラスというようなものも考慮いたしまして、そういう点で修正案を出した次第であります。簡単ではございまするが、提案の理由を御説明申し上げました。
  64. 小宮市太郎

    ○小宮参考人 今の山崎先生のお尋ねは、社会党の県議団が教育委員会の解散をどうして固執したか、その点について答えろ、こういうお尋ねでありますが、その前に、山崎先生がおっしゃった、福岡財政が今日非常に窮迫している、これは八年間の社会党の県政が放漫な政治をやったというようなはっきりした言葉ではなかったけれども、そういうことが含まれておったのじゃないか、こういうふうに思うのです。そこで私はその問題について若干お答えをしたいと思います。  山崎先生も御承知ように、昭和二十五年と二十八年の災害は、福岡県においては未曽有の被害でございます。この被害によってこうむった福岡県の財政痛手は非常に大きなものであった。これも財政貧困の大きな理由であるし、なお端的に申しますならば、三十一年度の地方財政計画によりましても、税収入において、あるいは雑収入において、約十億の増となっておるのであります。わが県においてはそういうものも見込まれないというよう状態でございます。こういう端的な問題を出しましても、さっき午前中に徳島県の知事さんあるいは新潟県の知事さんがおっしゃったように、地方財政計画そのものが実情に合っていない、こういう点も福岡県の財政を今日のような非常な窮迫に陥れたものだ、こう考えております。そのほかにも、言われるように、たとえば人件費の増とかいうものも若干はあると思いますけれども、大きな見地から考えるならば、やはりそういうものが総合されて、こういう財政的な窮迫がきたのではないか、こういうよう考えます。  それはそれといたしまして、私は今の直接のお答えをいたします。私たちは教育に関する限りは教育委員会法による教育委員会の教育行政を、まず信用してかかるという点に立っておるわけであります。特に今数字をあげて総務部長さんが御説明になりましたように、小、中、高等学校合わせて一千九十二名、金額にいたしまして約三億五千九百万円くらいの差があるようでございますが、こういうものを検討いたします、その検討の土台になりましたものは、一学級の生徒数を何名にするかという問題でございます。従来は福岡県では小学校において五十八名を一クラスの人員として割り当てております。それから中学校においては五十四名、こういうことで学級を編成して参ったのであります。以前はその数はもっと少なかった。そういう編成によってやりますと、今年度生徒の自然増が小学校において約三万四千名、中学校において一千九百名見込まれる。そういうものを考えまして、さっき申しましたような一学級当り小学校において五十八名、中学校において五十四名という数によって学級を編成いたしますと、こういう数字が出て参るのであります。そういう点から検討いたしまして、教育委員会数字あるいは教育委員会考えております教育予算は正当である、こういうよう考えたのであります。もちろん教育委員会が出した教育計画といいますか、こういう予算に対して、完全に私たちは満足しているわけではございません。新教育は非常に幅広い個人教育、個人の尊重を基本にした教育でございますので、教育基本法あるいは教育委員会法に出て参っております教育の内容は、少くとも一学級五十人を最高とするような教育がしかるべきであるというように言っております。そういうところから、私たちはもっといい教育が行われることを希望するのでありますけれども、何分財政的な問題もございますし、なお教育委員会が十分調査の上に出した資料でございますので、これを支持して参ったわけであります。
  65. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 三原さんの御答弁によりまして、県会の分野が今日保守、革新おのおの二十六名でありますか、その他中間的の政党が散在しておる。従って、中間的の立場にある政党としては、その間に適当な妥結点を見出すことが一つの使命である、そういう意味の御答弁は私もよくわかるわけであります。  そこで、小宮さんになおお尋ねしたいと思いまするが、私は先ほど過去八年社会党知事の時代に福岡県の赤字が出たのは、知事が全責任を負うべきものであるということを申し上げたつもりはございません。先ほども申し上げましたように、石炭界の不況を初めとして、御指摘になりました二十八年度災害の問題もございましょう。しかし、とにかく過去八年の間社会党知事の施政において、二十数億という前古未曽有の赤字が出た事実だけは否定はできぬと思う。これはその知事に絶対の責任なしという断言を何人ができましょうか、私はできぬと思う。その点ははっきり申し上げておきます。  なお小宮さんの私の具体的な質問に対してのお答えでありまするが、県議団としては事教育に関しては、予算の面においても人事の面においても、すべて教育委員会のやるがままにまかせるという御方針でありますか、その点を伺います。
  66. 小宮市太郎

    ○小宮参考人 私たちは、議会の一員といたしまして、まず予算においては、知事予算の発案をいたす、知事の独占権だと思っております。しかし、教育予算に限って、教育委員会法五十八条によりまして議案の送付、いわゆる対立予算ができると考えております。そこで、執行部から出されました原案と教育委員会から送られました教育予算とを比較検討いたしまして、そうして議会がこれを決定していく、こう考えるわけなのであります。従って私たちは一応この教育委員会から出されました対立案は、教育の立場からしかるべきものであると考えるわけであります。しかし、私たちは私たちの勢力も考えております。さっきも申し上げましたよう福岡県においては、今のところ自民党と社会党とは同数でございますが、中間派がございます。従って、私たちが幾ら押しましてもそれが成立することは非常に困難でございます。従って、あくまでも教育委員会の対立案そのものは適当なものであると考えておりますけれども、成立を見るためには、やはりわれわれも若干考慮しなければならぬ、こういう点から最終的には中間派がお出しになりました修正案に対して同調いたしたわけであります。そういうことであります。
  67. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 なお抽象的に伺いたいと思うのでありますが、三原副議長さん並びに小宮県議さんは、今日でもこの三十一年度の予算の専決処分につきましては、近くおそらく県議会にかけましょう、そうして県議会の承認を得なければならぬことは、地方自治法の明文の示す通りであります。おそらくそういう機会が私は近く来るだろうと思います。そういう際に、この三月三十一日の日にとられました態度を、今日なお堅持して参られるつもりでございましょうか。すなわち三原さんは前に出されました妥協案をさらに推進するというおつもりか、小宮さんは初めに出しました県教委の対立予算案を支持されるというお考えか、その点をはっきり伺っておきたいと思います。
  68. 三原朝雄

    ○三原参考人 私は中間派の控室におるとともに副議長という立場でもございます。県政の円滑なる運営という面についても、十分考慮を払わなければならない立場でございます。従いましてなお先ほどお答えの際に申しおくれましたが、修正案を出すにつきましても、最後まで考慮をいたしたつもりであります。知事執行部と教育委員会との両執行部間において妥結の線を話し合い、成立の線を出してほしいということに終始努力して参ったつもりであります。修正案も、従いまして最終日にやむを得ず出したと言う事情であります。なお修正案につきましては、重ねて申し上げますけれども、昨年十一月一日の知事執行部と教育委員会とが共同調査の上で作り上げました資料に基いて出したものでございますので、私どもは両執行部を信頼をして、そのデータに基いて作ったものである、従って今日資料そのものが両執行部間において変更を来たされるようなことがございますればいざ知らず、やはりそのままの状態でございますれば、私どもが作りました修正案は適当であると考えております。しかし目下両者において検討が進められておりますので、私どももその検討の結果を注視いたしております。なおまた私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、議会の円満なる運営ということでございますので、そうした立場からもこの問題を処理しなければならぬと考えます。
  69. 小宮市太郎

    ○小宮参考人 私たちは教育委員会から出した修正案をいつまでも支持していくのか、こういうことだと思いますが、これは支持するということと、決定するということとは違っております。支持はいたしましたけれども、最終的には中間派の出しました修正案に同調いたしまして、決定したわけであります。それは議会の特別委員会審議いたしまして、そうして修正案を採決に問われたわけです。その際二十九対二十三という比によって決定いたしました。修正案が決定したわけであります。それとうらはらにあります条例については、十四対十一という比でもって、修正案が可決いたしました。そういうわけで私たちは議会においては修正案に賛成いたしまして、それを決定した。従いまして私たちはその修正案を支持いたしますし、今後もそれを決定していきたい、こう考えます。
  70. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 それでは私はさらに突っ込んでお尋ねをいたしたいと思いますが、専決処分のあとで、県当局と県の教育委員会におきまして、教育の実態調査が行われておりますことは、これは事実であろうと思います。しかもその実態調査の結果は漸次もう出てきているはずであります。おそらく今日もう大体結論が出る時期に来ていると思います。私ども手元に参ります地方の新聞を見ましても、その確実性のいかんは、多少は異論はございましょう。しかしながらある市においては、ある郡においては、児童の数が、いわゆる水増しと申しますか、幽霊人口といいますか、相当数に上っているような記事を私どもはまま見るのであります。きょうの西日本新聞の私の郷里の筑後版を見ますと、ある郡の実態調査の結果が出ている。この数を私は集計いたしますならば、相当数に上ることを予想しているわけであります。おそらく万を越えるでございましょう。二方を越えるという人もあります、あるいは一万五千という人もありますが、まだ実態調査の結果が出ておりませんから、その数をここではっきりするわけには行きますまい。しかしながら何と申しましても、市町村の教育委員会から県の教育委員会に報告されましたその報告に非常な誤まりがある。私は不正とは申しません。非常な誤まりがあるということだけは事実である。そういう事実が漸次明瞭になってきております今日、三十一年度予算を出されましたあの審議の議論というものは、おのずから私は変ってこなければならぬと思う。従いましてただいま三原さんなり小宮さんが、自分たちは前に出した妥協案を支持して、それを推進したいというような意味の御答弁がありましたけれども、実態調査の方向というものは、地元にあらわれます三原さんにしても小宮さんにしても相当わかっているはずである。それにもかかわらず今の御答弁では私は納得ができかねるのであります。もう一度その点をお聞かせ願いたいと思います。
  71. 三原朝雄

    ○三原参考人 私の答弁と山崎先生のお話とが食い違っているようであります。あらためて申し上げますが、私は先ほども申し上げましたように、知事執行部と教育委員会が共同して調査しました結果に基いて、それを検討して、しかも知事財政立て直しという立場も顧慮しながら、積み重なったデータによって参ったものであります。架空なものではございません。今回両者において検討が進められております。従ってその検討の推移を注視いたしております。従ってその結論が出ました場合に、なお検討を加えなければならぬということでございます。なおまた先ほどもっけ加えて申し上げましたように、きわめて複雑した県政状態にございますので、ただ単に行政事務的な調査ばかりでなく、県政の円満なる運営という面からも、この解決は考えて参らなければならぬということを考えている、そういう事情でございます。
  72. 小宮市太郎

    ○小宮参考人 ただいま実態調査をしているので、その結果がいろいろな状態になっている、その結果がわからなければわからぬじゃないか、その結果によっては今まで妥協案を支持しておったのだが、何か考えるのか、こういうことだと思うのです。私たちは議会の議員といたしまして、出てくる原案あるいは対立案について検討をいたすわけでありますが、実態調査が済んで、それがなければ議決はできぬというようなことは考えておりません。あくまでも私たちは昨年の実数、その前の実数、そうして今度の三十一年度に出てくるであろう諸般の状況、実数、こういうものを参考にいたしまして議会では決定する、こう考えているわけであります。そういうことで私たちはこの決定をいたしたわけです。ところが特別委員会で決定いたしましたものの、本会議は午後の十二時過ぎになりましても、やはり反対の方の反対意見がございまして、流会をいたしました。私たちは議会におります者としては、議会の意思がこうであるから、当然執行部としてもその意思を尊重していただきまして、三十一年度の当初に当っては、議会の意思を十分尊重してやって行ってもらいたい、こういうよう考えておりましたところ、知事さんが最初出されました三十一年度の予算、四月一日から三月三十一日まで、年間を通しての専決をされたということに対しては、まことにわれわれ議会人としては不満に思っている次第であります。
  73. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 ただいまの小宮さんのような御答弁を私は求めておるわけではありません。今現に実態調査が行われて、もう近々結論が出るのであります。その結論によれば、おのずから県の教育予算というものは変ってこなければならぬと思う。新聞の数字がどれほど正確かは、先ほど申したように私は自信がありません。ありませんけれども、何といっても相当の水増しの児童があり、それに伴う水増しの職員がある。それがあることは事実である。そういうことになりますと、前の調査を基礎にした三十一年度予算、ことに教育委員会から出しました予算というものは、私は相当修正を要すると思う。実態調査がはっきりするならば、あなた方の考えを変えるのが当りまえじゃないか。それでも変えぬとおっしゃるのですか。その点をはっきりしていただきたい。これは重大な問題です。
  74. 小宮市太郎

    ○小宮参考人 今、仮定の問題について議論をしているのでありますので、その仮定の問題について議論はできませんけれども、実際において、たとえば去年の十月に調査した場合と、それから十二月に調査した場合、あるいは二月に調査した場合、あるいは四月には調査した場合、それぞれ人口動態がありますので、変化があると思うのです。その一例を端的に申しますならば、私は大牟田ですが、大牟田の四山に小学校があります。そこで調査をしてもう三日目には四、五人入ってきて、そして学級が六十何名になるから困る、こういった陳情もあるくらいであります。そういう途中の、過程においては、今私は何とも言えないのであります。
  75. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 そこで私は結論的に小林行政部長に伺いたいと思いますが、今の質疑応答によりましても、土屋知事が三十一年度の教育予算について、相当の自信を持って出しておられることが、大体私はわかると思います。実態調査の結果に待ちますならば、おそらく今の知事の出されました予算すら、少し膨大過ぎるくらいじゃないかと思います。従って知事がこの予算に自信を持って、最後までこれの通過に努力するということは、当然知事の責任上必要なことであろうと私は考えます。そういう観点から、知事が最後まで暫定予算ということを考えずして、自分の出した原案に自信を持って、この通過に努力した。それが不幸にして三十一日の時間切れで通過を見なかった。こういう場合に地方自治法の百七十九条でありますか、これによって専決処分をすることは、私は何ら違法でないのみならず、不当でもないと思いまするが、その点について自治庁の行政部長から明確なお答えをいただきたいと思います。
  76. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 問題は、知事の年間予算の専決処分に対する判断の問題だと思います。これは知事は、どうせいろいろの事情を考えて、自分の責任において判断をされたところでございまして、これはあらためて県議会においてその責任が明らかにされるところだと思います。法律上は、もちろんそれは違法ということができないのであります。その判断の問題は、あと知事の政治責任、議会の判断、それによって明らかにされる、こういうふうに考えております。
  77. 北山愛郎

    ○北山委員 私はあまりこまかいことはお伺いしませんが、ただこの地方財政に関連いたしまして、やはり知事の専決処分という、地方自治法に関連する重要な問題が出て参りましたので、そこでお伺いをしておきたいと思います。話を聞きますと、知事が年間予算及びこれに付帯する何十かの議案というものを専決処分をしなければならなかった、こういうことだと思います。そこで私は、現在の地方自治法というものは、地方自治にとっては憲法だと思いますが、この憲法のよう地方自治法の条章から考えますと、やはり議会というものは予算及び条例を議決する機関だ。これが本来の建前です。それから執行機関というものは、その議決したものを執行するのが建前です。これは自治法上根本的な、基本的な原則だと思います。ところが福岡県の場合には、執行機関であって、議会の議決した予算というものは執行しなければならぬ知事が、どういう事情かわからぬけれども、これを専決処分をして、しかも議会の方では、あと増額修正というわけにも行きませんし、提案権もないというわけで、結局年間の予算というものは知事が一方的にきめてしまい、これに関連した条例その他の議案をきめてしまうということになれば、地方自治法の第九十六条の議会の予算議決権、議会の権能というものが、福岡県に関する限りは、もう本年度はない、まるでほとんど無にひとしいものになったということであって、これは重大な問題だと思うのです。そこでこの専決処分というのは、これはあくまでも例外的に、そういう議会と執行機関のそれぞれの権能というものの、基本的な原則というものを害しない範囲において認められる例外規定でなければならぬ。こういうふうに考えるのですが、まずこの点について小林行政部長のお考えを承わりたい。
  78. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは今お話の通り議会の議決事項は、当然議会の議決をもって成立せしむべきものだと心得ております。しかしながら不幸にして議決すべき事項が議決されない場合、これはあり得るのであります。その事柄も、直ちに執行を要しない場合と執行せざるを得ない場合と、これは両方あり得るわけでございまして、執行を要しない場合は、もちろんあらためて議会の議を経べきだろうと思いますが、議決にならなくてどうしても放置しがたい問題があれば、やむを得ず専決処分をせざるを得ない。それがためにやむを得ざる規定として百七十九条が設けられているわけで、今回の場合は、まさしくそのやむを得ない場合であるか、場合でないか、こういう御議論だろうと思います。
  79. 北山愛郎

    ○北山委員 私も、わざわざ好んで知事が専決処分をしたいと思っているというふうには考えませんので、そういう立場に立ったという事情を究明したいと思うのです。そこで先ほど来お話があったいわゆる中間派といいますか、それから修正案が三十一日に提案されて、特別委員会は議決をした。これがもしも三十一日の本会議を通れば、何も専決処分なんな要らなかったと思う。なぜ特別委員会で通過したその修正案というものを、本会議で議了することができなかったか、この事情を一つお伺いしたい。
  80. 三原朝雄

    ○三原参考人 この点は、先ほど来申し上げましたように、福岡県議会のきわめて特殊事情が介在をしていると思います。知事を力強く支持されます自民党の動きというもの、それに社会党、二派というものの複雑な動きがあると思いまするが、私どもは修正案を出します前に、議長、副議長は何とか執行部両者において妥結の線をはかりたいということで、最後まで努力して参りましたが、妥結の線が出たと思った瞬間に、最後的な不成立に終るというような事情もございまして、ついに修正案を出したという事情でございます。そういう面から見ると、修正案が委員会で採択され、本会議におきまして通れば、知事が、そこまで来ておるならば、何とか修正案をのまれはしないかという皆様方の御想像も成り立ち得ると思いまするけれども、そこにきわめて県議会の特殊事情がありまして、当時正副議長で相談をいたしましたが、これが本議会にかかっても、多分再議に付せられて、ついには両案とも不成立に終るという結果になるのではないかというような事情もあった次第でございます。そういうような状況下において時間切れに会ったという事情でございます。
  81. 北山愛郎

    ○北山委員 私の聞いたところでは、三十一日において与党一といってはおかしいですが、自由民主党の方々が引き延ばしをはかったのだ、その結果ついに三十一日の十二時までには議了ができないで、そうして流産してしまった。与党の人たちが引き延ばしをするのは国会の方でもこのごろ、はやっていますが、果してそういう事情であったかどうか、これを重ねて副議長からお伺いします。
  82. 三原朝雄

    ○三原参考人 特別作為的に引き延ばしたということは考えられませんけれども、少数意見の開陳に際しまして、そうした懸念が見受けられましたので、議長は文書をもって、簡単に説明を終るように注意をいたしました。全般的に議会開会以来、引き延ばしをという情勢ではなかったと思いまするけれども、最終に至ってそうした感を抱かれるような点を見受けたというようなことになりましょうが、全般的にはそういうことではなかったと思います。最後まで慎重審議が続けられたと思います。
  83. 北山愛郎

    ○北山委員 それではとにかく与党がそういうふうな慎重審議の態度を最終日のぎり、きりのときにとったのですから、当然知事としては、その事情をよく御承知であろうと思うんです。そこで知事はおいでになっておりませんが、知事のかわりにお伺いしますが、そういう事態になって、この予算が議了できないという見通しに立った場合に、一体知事としては、これは専決処分で行くか、あるいは何らか暫定予算でも作るか、そういうようなことをどういうふうに考えておったか。これは総務部長にお伺いしたいと思います。
  84. 山本兼弘

    ○山本参考人 知事といたしまして、何らかその間の事情を察知して、暫定予算の準備なりあるいはそのほか必至なる措置考えなかったかということでございますが、先ほど副議長からお話がございましたように、正副議長からの申し出によりますと、あくまでも予算修正等の方法でなくして、円満なる妥結、いわゆる県執行部と県教育委員会双方の間の何らかの了解点に到達することによって、問題自体を収拾してもらいたいというふうな御意向でございました。これは私は当時の情勢から見ますと、八十二名の議員の方々のほとんど全部の御意向でなかったかと拝察いたしておるのでございますが、そういうふうな空気でございまして、知事といたしましても、極力予算修正というふうな事態に持ち込まないで、県教育委員会当局との話し合いによって解決したいということでございます。  これをもう少し具体的に申し上げますと、当時正副議長さんからの話もございましたので、いろいろ県教育委員会の正副委員長さんと知事側と話し合いをいたしまして、きわめて局面をしぼりまして、問題の焦点を圧縮いたしまして、話し合いを続けたのでございますが、その話し合いの中で、知事が提案いたしました予算案のうち、教育費関係予算案編成の基本方針、プリンシプルと申しますか、小中学校を例にとってみますと、先ほど小宮参考人からお話がございましたように、小学校におきましては、一学級当りの最高収容児童数を、昭和三十年度に比べまして、五十八名から六十名にいたし、一学級当りの教員の定数を、従来昭和三十年は一・〇八九という数字を学級数に掛けて、教員の予算定数を出しておったのですが、その一・〇八九の〇〇九というところを削りまして、一・〇八ということで、各学年ごとの児童数を六名で割ったものに一・〇八を掛けて、小学校教員の定数を出しているのでありますが、その出し方につきましては、いろいろ県議会の正副議長さん等のごあっせんもございまして、ほとんど異議がなかった。残るところの問題は、事実認識の問題と申しますか、当時教育委員会との間で論議いたしました問題は、先ほど来話が出ております昭和三十年十月現在の小学校の生徒数と、二月現在の生徒数の開きが、約千数百あったかと思いますが、それが県の教育委員会の方では、ふえるのじゃないか、だからそのふえた分の教員の定数を増すということ、そのほかに四月一日から既存の学校から分離独立いたしまして新設いたしました学校、新設校に伴うところの教員の定数の異動、それから狭隘教室に伴うところの学級編成のしわ寄せを、しわ伸ばししてもらいたいというふうな、ごく事務的なこまかい問題に集約されまして、ほとんどもう問題が片づいていました。要は、一応知事原案で県議会で承認を求めまして、それらの事務的なこまかい問題は、県議会終了後、実態をよく調査をして、しかる後措置をいたそうというふうなことに、ほとんど結論はなっておったのであります。それがとうとう最終的に話し合いがつかないで、中間三派の提案されましたところの修正案、約三百九十一名という修正案が条例並びに予算特別委員会を通過したというふうなことでございます。知事といたしましては、三百九十一名の予算増額修正に対しましては、歳入面につきまして責任を持ちきれないというふうなことで、再議に付する考えは持っておったのですが、予算審議未了になるというふうなことは毛頭考えていなかったところでございます。
  85. 北山愛郎

    ○北山委員 知事がそんなことしか考えていなかったとするならば、私はやはり知事として、県の一般的な行政運営については少し偏狭過ぎるのじゃないかと思うのです。私のお伺いしているのは、そんな教育委員会がどうのこうのというよう執行機関同士の問題ではなくてもはや議案が県会にかかって、とにかく修正案丁ごいうものが出て、それが多数で議決をされたなら、知事は、かりに自分の味方の提案ではなくても執行すべきものなんです。その点はちょっと国会と格好が違うと思うのですが、そういう点を虚心たんかいに考えて、この修正案が通ったらそのままこれは執行しなければならぬし、もしもこれが与党との情勢を考えてみて、不成立になるという場合にどうするかというような討議会の問題、それから予算が成立をしなかった場合の問題、こういう問題について、通らなかったらもう専決処分で行くのだという腹をきめておったのか、それともそういう万一の場合を考えて、やはり暫定予算を考慮しておったのか。私はこういう事態になった場合に、与党だとか何党に属するというような党派を別にして、知事としてはやはり自治法の原則を守るという立場からしまして、やむを得なければ三十一日になって、三十年度予算についてはやむを得ないから専決処分もしかたがないかもしれない。しかし三十一年度、新年度の予算の全体について専決処分を避けるという考慮が知事としてあるべきだと思う。これを考えたかどうか。また私は、この状況のもとで考えるべきだと思うのですが、考えたかどうか。それから知事としてはこの際どうするべきであったかということについての小林行政部長の御意見を聞きたい。
  86. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは知事考えにつきましての意見ですから、私も非常に困るのでございますが、問題は、要するに、予算審議が終末に近づいて、それについての修正意見が出ておる。それでそいつをどう見通すかという問題でございまして、知事といたしましては、自分の原案について以外、予算執行の責任を持てない。かりに三百何十名かの増員で、収支その他のバランスを考えて、どうしても執行ができない、責任を持てない、こういう判断を持つこともあり得ると思います。それでありますから、減額修正の場合ならこれは格別として、増額修正の場合には責任を持てぬ。かりに多数決で通れば執行が不可能だから再議に付する、こういう政治的な決断を下しておる場合もあり得るだろうと思います。それからまた、そうでなしに、その修正は相当理由がある、理由があるが今すぐ最後の結論が出ないから、とりあえず暫定予算を組んで、あらためて審議をして議会と相談をしよう、ころいう場合もあり得ると思うのでございます。これは両方の問題でございまして、今回の場合は、知事としてはおそらく前者の判断の上に立ったのじゃないか、これはそれぞれ知事の政治的判断の問題だと思うのであります。
  87. 山本兼弘

    ○山本参考人 大へん地方行政の末梢的な問題を申し上げまして恐縮でございますが、なおもう少し申し上げませんと、当時のいきさつ等御理解願えない……。
  88. 北山愛郎

    ○北山委員 教育委員会の案がどうだとか、実態調査がどうだとか、そんなことまでやったら、何日この委員でやってもしようがない。しかも先ほど来の質疑をお伺いしていると、これは将来の問題であって、今いかにここで突っ込んだって、ばかばかしい話である。そこまで地方団体の内容国会が触れるべきではないと思うのです。また場合によっては触れてもよいかもしれませんが、そういう段階ではないと思う。一番の問題は、われわれが自治法というものを扱う場合に、こういう特殊なケースが出てきた。そこで自治法に欠陥があるのか一知事が年間予算を専決処分をするというような事態は避けなければならぬと思うのです。これは地方自治の本旨から考えてみまして、やはり避けなければならぬと思う。この点小林さんははっきり言われませんが、同感であろうと私は信じている。そういう意味から、法律の方に欠陥があるのか、あるいは福岡県自体においてそういうことが避けられなかったかどうか、あるいは当事者がそういうことを避けようとしなかったのかどうか、こういうことをお伺いしているのです。その取扱いをお伺いしているのです。これが重大です。内容については、教育の問題であり、いろいろの問題でありましょう。これは後日機会があればお伺いしますから、その際において知事は、修正案は絶対に通さない、これはじやまする、もしも予算が成立をしないということになれば、専決処分で行くのだという腹でおったのかどうか、そういうことを伺いたい。
  89. 坂本泰良

    ○坂本委員 私はほかの委員会に行っておりましたから、あるいは聞き漏らしたかもわかりませんが、本日は参考人として知事のかわりに総務部長炉来ておられるのです。従って、参考人としての御説明なり御答弁は、やはり知事の権威においてやっていただきたいと思います。小さいことをあれしないように。われわれのお聞きしておりますのは、年間予算を専決処分をした。これは自治法に違反しているではないか。今小林行政部長のお話では二つのことを言われましたが、私は、政治的にも地方自治体の運営の上においても、年間予算の専決処分ということは、自治法の違反ではないかと思うのです。こういうよう考え方に立って、参考人に来ていただいたわけですから、あと知事の来られなかった理由をお聞きしたいのですが、希望としては、やはり知事のかわりに来ておられるのですから、そういうつもりで御答弁をお願いしたいと思います。
  90. 山本兼弘

    ○山本参考人 大へん申し上げることがくどくなりまして恐縮でございます。これからなるべく簡単に申し上げます。例の教育費の問題が、予算県会の問題になりましたことは冒頭に申し上げました通りでございます。今年はぜひそういう紛議が起りますことを避けたいというつもりで、予算編成の経緯におきまして、学校の実態調査をやりたいということで実はやりかけたのであります。とうとう教員組合等から異議が出まして、やり得ないで、結局先ほどお話がありました三十年の十月現在の生徒数を基礎にして出発せざるを得なかった。そもそもの問題はこの予算積算の取り方にあるわけでありまして、私どもといたしましては、予算を積み上げて参ります場合の基礎数字自体に疑問があるということになりますと、あくまでもこれは徹底的に究明いたしました上におきまして、その結果の上で県費を計上していく、県民の貴重な税財源を投入いたすことでございますので、あくまでも堅実な積算の基礎の上に、予算を編成しなければいけないという考え方からいたしまして、先ほど申し上げましたような態度をとったのでございますが、ただいまの御質問の点につきましては、もちろん知事といたしましては、専決処分等を敢行すると申しますか、原案を執行するということを当初から考えて、そういうふうな措置に持ち込んだなどということは毛頭ないのでございます。当時暫定予算等の準備もなかったのでありまして、やむを得ず年間予算を専決処分にしたということでございますが、専決処分をいたしました予算案は、最初にも申しました通り人件費その他の義務的な経費を計上いたしました。義務的な経費のうちでも特に年末手当等は計上できないような超骨格予算でございました。しかも先ほど山崎先生からの御質問に御答弁いたしましたように、教育費を除きましては問題のなかった、いわゆる修正意見等のなかった問題で、論議の尽された予算案であったというふうなことから考えまして、教育費を除きましては二十数日間にわたりまして審議をせられた予算案であります。専決処分と申しましても、これは県議会の皆さんの息吹きのかかった予算案である、いわば民主的な予算案であるというふうな考え方からいたしまして、暫定予算の準備がなかったということと兼ね合せまして、知事原案を専決処分にしたのでございます炉、もう一点申し上げますならば、なるほど予算特別委員会並びに条例特別委員会では、三百九十一名の増員修正があったのでございます。最初から申し上げておりますように、知事考え方といたしましては、一応原案を承認していただいて、しかる後に疑問のございます実態をよく究明した上で、手直しすべきものは手直しをしたいということで、態度を堅持いたしたのでございますが、かりに先ほど来話が出ておりますように、三百九十一名の増員というふうなものを織り込んだ修正キいたしますということは、実態を究明いたしました場合において、なお知事原案より教員定数が不足しておるというような場合は問題がないのでございます。なお知事原案が過剰定員を含んだ査定であるというふうなことになりますと、減員しなければならないというようなことにもなるのでありまして、ただいまの状態ではむしろそのあとの方の事態が予想されるような状況下にありまして、もしかりにその増額修正というようなものをのみ込んだ専決処分といったようなことを行いました場合におきまして、不当な混乱を招くというふうなこともおそれたのであります。かれこれ諸般の事情を考えまして、知事原案を専決処分いたしたのでございますが、御質問ように当初から何かそういうことを予想して、専決処分したのじゃないということでございます。毛頭そういうことはございません。なお知事といたしましては、あくまでも円満妥結ということで、最後まで努力いたしたのでございますが、その努力が及ばなかったという状況にあるのであります。
  91. 北山愛郎

    ○北山委員 話し合いで円満妥結というのですが、議会の方の意思としては、本会議では正式にはきまっておらぬけれども、とにかく委員会においては一応修正の案が可決されておるのですね。そうすると、それについて知事はどう考えるのです。その修正案は認めない。それについて話し合うというのじゃない。一応本会議は時間切れでもって間に合わなかったが、委員会としてはその意思が一応決定しておるのですね。これは無視しておる。そしてあらためて自分考えでやる、こういうようなお考えですか。そうするとやはり議会を尊重しておらぬのじゃないかと思う。知事としてはいろいろ個人的というか、自分の立場の考えがあるにせよ、やはり議会がきめたことを執行するというのが知事の後日じゃないか。そうだとするならば、やはり特別委員会において一応通過をした修正案を、政治的に見て尊重すべきじゃないか。そういう一尺についてはあなたは知事でないからちょっと困るかもしれぬが、どういいうふうに考えるべきであるか。
  92. 山本兼弘

    ○山本参考人 この議会のいわば内部意思と申しますか、特別委員会の意思決定の段階で、結局審議未了になったということでございます。最終的に県議会の意思が確定していないということでございますが、執行機関といたしましての知事は、議決機関の意思を尊重することはもちろんでございますが、反面また執行機関といたしまして責任を負担しておりますことは、地方自治法等の規定から申しましても申すまでもないところであります。執行上責任を持ち得ないというふうなことでございます場合には、再議に付するというふうな権限も与えられておるわけであります。執行機関たる知事が議決機関の議決にあくまでも盲従しなければならないということになりますと一地方自治法執行機関としての知事の立場を、反面再議権等を与えまして擁護しておるというように、私ども考えておるのでございます。
  93. 北山愛郎

    ○北山委員 だから議会との関係において、自治法上成規の手段を尽してやるということなのであって、この際はらよつと特殊な環境というか、事態に置かれて時間的な制約があったというようにとれます。従ってもしも議会の意思も尊重し、自分考えも織り込んでいくというならば、一応時間切れの議会はそれとしても、臨時議会を招集をして、そこで一つ問題を処理するというようなお考えはないのですか。
  94. 山本兼弘

    ○山本参考人 臨時県会の招集あるいは会期の延長というふうな、問題が当然考えられるのでございます。なお現に福岡県におきましては、審議未了に終りました県議会の直後・臨時県議会の招集請求を受けておるのであります。臨時県議会の招集請求の案件といたしましては、市町村立学校教職員の定数条例並びに県立学校の教職員の定数条例について、しいうことで招集の要求を受けておりますが、知事といたしましては、問題の争点になりました中心は、あくまでもこの学校の教職員の定数はやはり生徒数等の実態を究明しなければ結論が出て来ないということで、その実態調査の結論が出ました上で、臨時県議会の招集をいたしたいということで、現にこの二十五日、臨時県議会を、専決処分その他の案件の承認を経るべく招集いたしたのであります。
  95. 北山愛郎

    ○北山委員 どうも福岡県の知事さんは、教育費の問題について、児童数については非常に関心を持っておるようだが、一学級当りの基準児童数についてはあまり考えておられない。要するに教育そのものの内容を上げるということよりも、生徒の数がほんとうかうそかということばかりほじくることに非常に関心を持っておる、私どもはそういう印象しか受けないのです。そういうこともあるいは問題かもしれない。しかしながら一学級の児童数は五十人がいい、理想的であるというときに、その数をどんどん上げていって六十人にするというようなことは、やっぱり教育の低下ではないか、そういうことをさせないよう努力するのが、やはり知事の役目ではなかろうか、こういうふうに考えるのでございまして、そういうことをあまり考慮しないで、児童の数がほんとうだとかうそだとかほじくり回すことに興味を持っておられる知事をいただいておる福岡の県民は、非常に不幸である、こういうふうに言わざるを得ないのです。お話を聞いておりますと、そういう印象を受けるのですが、とにかく私は、先ほど申し上げましたように、そういうことにはあまり触れたくないのです。触れるべきでない。  そこで問題は、年間予算丁とこれに付帯した何十の案件を、知事の専決処分にせざるを得ないという悲しむべき事態を何とかしてなくすべきじゃないか。これはやはり知事だってそういうふうに思っておられると思うのです。できるだけそういう事態を避けよう、これが知事の役目であり、議会の役目であろう。また自治庁の役目でもあると思うのです。そこでこういう事態になったことは一体妥当であるかどうか。先ほど申し上げた自治法の議決機関と執行機関との建前からいっても、こういうふうに年間予算を、しかもかよう予算に比較的関係の薄いと見られるよう条例案まで、専決処分をしなければねらぬということは、どうも行き過ぎじゃないか。こういうことは極力避けるべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、小林行政・部長はどういうふうにお考えになりますか。
  96. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今お尋ねの通り、年間予算の専決処分というのは、これはまことに異例な措置でございまして、われわれといたしましても、こういうことは極力避けぬといかぬと思っております。これはもう間違いのない事実であります。これは知事の問題とか議会の問題とかいうことでなしに、自治体の行政全体の運営上、こういうことは避けぬといかぬ。こういう不幸なことが起ったことは非常に遺憾としなければならぬと思います。しかしながら問題は、そういう過去の問題についての判断ということになれば、これはいろいろ議論があり得るのでございまして、議会から原案に対して修正意見が出そうなときに、知事としては絶対にそれに従えない、従っても責任は持てない、こういうことも実は不幸にしてあり得ると思うのであります。そういう場合には再議に付するという決意をもって問題に臨む、そういう場合が当然あり得ると思う。委員会で修正案が通ったからといって、直ちにそれが通る前提で暫定予算考えるということに、すぐ結びつけるわけにもいかぬ。ここはその実態に即しての知事の政治的判断の問題だろうと思うのであります。特に今回の場合問題になったのは、要するに知事の原案に対してどれだけプラスをするか、こういう問題で、原案そのものについてはおおむね異議がない。そうすれば結局プラスをどう扱うか、そのプラスについては事実の認識を基礎にしてプラスを考えよう、こういう考え方に立っておるのでございますから、異議のないところは、ほとんど骨格予算で義務的な経費だから、とりあえず知事の責任で専決処分をした、こういうことだろうと思うのでございます。それでありますから、全然議会が反対の議決をしたような場合に、議会の意思を押し切ってやったというようなことになれば、これは実質上またいろいろ議論があり得るだろうと思いますが、こういう場合については、そういうこともやむを得なかった場合口もあり得る、こういうふうにも考えられるのでございます。
  97. 門司亮

    門司委員 ちょっと今中座しまして、最初から十分議論を聞いておりませんから、はっきりしたことはわからぬのだが、今の議論を聞いているとおかしい。小林君の議論もおかしい。自治法はそういうことは規定していない。それから県議会というものは一予算はいわゆる予算であって、責任の帰属がどこにあるかということについては、予算執行する過程においていろいろの問題が出てくる。たとえば修正予算が出て、それが増額予算であるという場合に、今基礎を確かめなければならぬという議論をされておるが、しかむ知事の出したものが実行予算として万全を期したものではないと私は思う。やはり知事の出したものでも、自分の方の見積りが低くなれば追加予算を出さざるを得ない。議会の承認を得なければならぬ。そういうことを考えると、そのこと一つにこだわるというのは何か政治的配慮がありゃしませんか。もし政治的配慮があるとすれば重大問題ですよ。問題は予算である。しかも、これは小林君に聞いておきたいのだが、増額予算をするにはちゃんとワクがはめられておる。知っておるでしょう。予算の基礎をくずさない範囲で出せということになっている。増額予算ということについては、無制限にできないよう法律にちゃんと書いてある。だから増額予算はけしからぬ、実態調査もしなければならぬという理屈は必ずしも通らぬのである。もしこれが骨格予算をくずす大修正であるならば、知事はこれは認めるわけには参りませんという法律的根拠を持っておるはずです。今の問題は、私はその法律的根拠というものは何も考えられ念い、ただ政治的配慮だけで、ものを片づけていこうとするところに問題があると思う。こうなってやしませんか。自治法にちゃんと書いてあるだろう。議会から増額予算をする場合には骨格をくずしてはならないというワクがはめられておる。議会においてはそのワクの範囲内においてのみ増額修正ができるのである。このワクをこえない範囲における増額修正であるならば、これを知事が拒否するということは、知事考え方が少し自治法自体を尊重せざる考え方ではないか。自治法を尊重しないということだけではない。われわれが自治法を作ると遂に一体なぜその権限を議会に与えたかということである。これは自治体の執行機関と議決機関とが対等の立場において仕事をしていくという、いわゆる従来の、知事が原案執行権を持ち、内務大臣が県議会の解散権を持っておるという事態を改めて、地方住民の自覚と責任に基いた行政を行なっていこうとするには、やはり行政機関と議決機関とが対等な立場に立って、すべての仕事を話し合いでやっていくというのが自治法の根本なんです。ではあるが、予算に関する限りにおいては、修正は、減額の修正もできるが、増額の修正については、対等の立場に立たしておくとはいっても、県議会が執行のできないような無理な修正をするということを避けることのために、ワクがちゃんときめてあるのです。増額修正はできるが、その増額修正は、何度も繰り返して言うようだが、根本の予算をくずさない範囲において、これを行うことができるとちゃんと書いてあるはずです。自治法はそこまで配慮をして、一応対等な立場に立たしておるのです。なおまた知事が気にいらなければ再議に付することもできる。再議に付してなお知事の原案が通らなければ、県民に信を問うということで議会を解散することもできる。議会の解散権が知事に与えられておる。戦争までの議会の解散権は内務大臣が持っておったでしょう。知事がちゃんと議会との間に対等な立場に立っておるのである。自治法の精神というものから、ずっと条文を読んでごらんなさい、今日どういうことに結末がならなければならないか。私は内部にどんな事情があるかわかりません、県議会の複雑な事情だと三原さんは言っておったから。どんな複雑な事情があろうとも、われわれはそれには触れようとは思わない、またそれを批判してみたところでしょうがない。ただわれわれが今考えておるのは、こういう事態が往々にして県の内部的紛争のもとに今日行われるということになって参りますると、県議会というものの存在の真意がなくなってしまう。知事は一方的にやれるのだ、要するに与党をひっぱっていけば一方的にやれるのだということになると、議会の存在の意義がなくなるでしょう。県議会の議員やあるいは議長はそこまで考えなければならぬと私は思う。同時に知事といたしましても、議会が通らぬということになれば、暫定予算を組むこともできるし、また会期の延長もできるはずである。そうして円満に議事を遂行していくことができるはずである。それを、どうしてもそういうことができなかった、同時に議会を開けと言われても、実態調査がわからなければという御答弁が今あったようでありますが、それも実にけげんな話である。福岡県の予算というものは一銭一厘違わない完全なる予算とは言えないでしょう。増減が必ずあるでしょう。増減のあるたびに県議会を招集して、あるいは追加更正予算をしなければならない、余ったものは翌年度に繰り越さなければならぬ。これは幾らでもやれるのです。だから法律の範囲をこえざる県議会の要請であるならば、さっきから何度も申し上げておりますように、予算の根底をくずすような大修正でない、法律の範囲で認めた予算であるならば、これは予算として議会を開かれるということは当然だと私は考える。要求した額が多ければむだづかしいさえしなければ繰り越しになるでしょう、余るでしょう。知事の査定が低かった場合には追加予算を出されるでしょう。理屈は同じです。だからそこにこだわられるということは、何か一つの大きなわれわれが察知することのできない政治問題でもあって、そういうふうに拘泥するのかというふうに私は考える。だからこれ以上私は何もあなたにものを聞こうとは思いません。  そこで自治庁に聞いておきたいと思うのは、こういうことが方々に起るということになってくると、さっきから申し上げておりまするように、自治法自体がくずれてしまうと私は思うのです。こうなってくると、どうしても議会が知事のそういうものについては、たとえば原案執行権とかいうようなものについても、あの条文を削らなければならない、どこまでも予算については県議会でやるというようなことに、あるいはしなければならないかもしれない、自治法の改正をしなければならないかも上れない。その次に出てくるものは議会の要求があった場合には、何日以内に開かなければならないというような規定を設けなければならないかもしれない。この前も国会で私は申し上げたのでありますが、われわれが法律をこしらえまする場合に二つのものの考え方炉ある。一つは現在の刑法のまうに対象になる者が悪人であるというものの考え方に立って法律をこしらえようとするならば、それはもう全部罰則をつけて、こうしたものにはこういう罰をする、こうしたものにはこういう罰をするということで、これをがんじがらめに縛らなければならない、また悪いことのできないよう法律を作らなければならない。これは対象が悪いことをする者であるという考え方からそういう法律ができる。自治法なんという法律は、相手は県知事であり、市町村長である、住民から選ばれた議員の諸君であると同時に住民から選ばれた行政委員会の諸君である。しかも地方の自治体はあくま、でも住民の意思によって、その運営を決定すべきであるという見地に立ってこしらえた法律でございまするので、どこまでも話し合いの余地が法律の中で与えてあるわけだ。私どもは新しい自治法を今日まで検討してきたときには、そういう考え方で、どこまでも話し合いの場所を与える、そうしてお互いの良識によって、話し合いによって議会というものがスムーズに行われていくということが自治の本来の姿である、こう考えてこしらえた法律である。これが今のようなことが行われるとするならば、知事の権限にも法律で制約を加える、議会にも法律で制約を加える。そうすると住民の意思は一体どこで円満に取り上げられるかということになる。法律がこうだから仕方がない、法律がこうだから仕方がないということになると、争いが今度起ってくる、私どもはこういう見方をしたくないのであります。あくまでも現行法のできておる精神に基いて、県会の運営をしなければならぬと考えておる。従って自治庁としては、これは小林部長に聞くことはどうかとは思う、大臣に聞かなければならぬと私は考えておるのだが、もし事務的に答弁ができるなら答弁をしてもらいたい。この自治法の中には指揮、監督、命令をすることはできないが、自治庁長官はある程度の勧告を行うことができるようにちゃんと書いてあります。こういう事態について自治庁としては、ここにただ遺憾であるという意思表示だけでなくて、知事あるいは議会に対して、そのこと自体はきわめて遺憾であるというような勧告を行うことが、この際全体の日本の自治行政を律する上に必要ではないか、こういうよう考えるが、自治庁考え方を一つはっきり聞いておきたい。
  98. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今お話の通り議会と長との関係門司委員のおっしゃいました通りの前提で法律が作られ、またその前提で法律が運用されることを、われわれも期待いたしておるわけでございます。それで今回の場合は私もまことに遺憾だと思います。議会といたしましては、あの問題炉会期中にけりがついておれば、修正案が通ればもちろん知事はそれを執行するに違いない、あるいは再議に付するかその二つの一つだろうと思います。今回の場合は会期も延長にならない、会期の延長は昔と違いまして議会の権限でございますから、議会として必要ならば会期を延長して、何らかの始末をつけるべきだったと思います。それが不幸にして会期が切れてしまいまして、すべて炉審議未了になった、そして知事とじてはどういう措置をとるべきか、こういう問題で、これは知事の自主的判断の問題だと思いますが、今回のよう措置をとったということになるだろうと思います。今のそれが暫定予算でなしに年間予算であったから、そこにもいろいろ論議が起るのでございまして、われわれといたしましても年間予算の専決処分ということは、こういう事態のないことを切に希望いたしておるわけでございまして、全地方に対しても、そういうことのないことをわれわれは希望しております。またそうあり得るはずもないと私は考えております。そこで今回の場合がああいう形で行われたのを、どう考えるかというと、これはもう政治的な判断の問題であって、あの事態でああいう形でやったのは、あるいはやむを得ぬという判断も成り立ち得る、しかし非常に遺憾だという判断も成り立ち得るのでございまして、それは来たるべき今夏の県会で県自体が責任をもって判断されるべきことだろうというふうに考えております。
  99. 門司亮

    門司委員 これはここだけではございませんよ。たとえば奈良県の柳生村などみたいなことがある、私もはっきり報告を受けたわけじやありませんが、書類を読んでみると、三月三十一日の午後八時ごろ予算を出したというのです。福岡県の場合も三十日前に出ていないという話でしょう、知事は一週間おくれたというのでしょう。予算の提出の時期というものは法律で日限を一応あらかじめ定めておる、それについて罰則を何も設けていないということは、さっき私が申し上げましたようにそういうことはなかろう、お互いは紳士だ、何も悪いことをするものだと考えてこしらえた法律でないのであれには何も罰則をつけておらない、それをいい奇貨にして議会の審議期間を短かくするというものの考え方は、明らかに議会軽視と言われてもしよう炉ないでしょう。もしそれまでに予算が間に合わなかったとするならば、私は能率がきわめて低下している県だといわなければならぬ、もし今の小林君のよう意見だとするならば、自治法の改正の中に、もし知事が一ヵ月前に出さなかったならば懲役にするというような罰則でもこしらえたらどうでしょう、そういうふうにすれば出すでしょう。そんな法律がこしらえられますか、出せないでしょう。常識的に出せないからといって非常識にものを行う方がいいのだという理屈は、私はこの際成り立たないと思う。私は福岡県に関する限りにおいて、これは私の郷里ですから、あまりやかましく言いたくないのです、ないのだが、どうも今の扱い方がそういう自分たちのやっておるということ自体については、法律に定めた日限から一週間おくれて出して、議会の審議権といろものを一週間縮めておる、よくても悪くても縮めておる形になっておる、そうして最後に  おいてこれが延ばすことができなかったというよう知事の裁断というものは、考え方の上に少し考えてもらわなければならぬ、法律がこれを制約していないからです。だから小林君に聞きたいのは、私が今考えておりまするよう政府法律を直すという意思がございますか、もし政府にあるとするならば、われわれもがんじがらめに縛ってしまってにっちもさっちもいかないようにしておかなければ、勝手なことをする知事が出るということになると、これは知事の行為を制約しなければならない、これはきわめてまずい話です。しかし今の小林君の答弁のように、一体煮えたか煮えないかわからぬようなことになると、これはそういう修正案でも出さなければおさまりがっきません。これ炉全国に広がってごらんねさい、どんなことができるかわか、りませんよ。だからこういう際には、いろいろな配慮もあるだろうけれども自治庁としては福岡県に対して、こういう勧告がもし政治的に困難だと嘱するならば、百歩を譲って、自治庁は始終いろいろな雑誌、いろいろな新聞に意見を書かれておりまするし、また自治庁次長の通牒として全国の自治体に対して、こういう事態はきわめて遺憾である、できるだけ円満にこういう問題が起らぬように処理すべきであるという通牒ぐらいは出せると私は思う。どうなのですか、それぐらいのことは出せませんか。
  100. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今お話の通り福岡県の済んだ過去の事件に対してとやかく申すことは、もちろん差し控えたいと思います。一般的に議会の運営、予算の運営としては、こういうことははなはだ遺憾である、こういうことのないことを切に希望いたしておりますが、それを通牒まで出すほどの心配が一般的にあるかといえば、私はそんなことはそうないと思っておりますが、それはなお必要なら考えたいと思っております。
  101. 門司亮

    門司委員 小林君はいつもしっぽを逃げるから工合が悪い、それはあるかどうかというのだけれども、ことしもうすでに実際は二つあるのですよ。そうすると、来年あたりになってくると、もうぼつぼつやっていいのだということになると、だんだん出てくると思うのです。この委員会で、こういうことを御苦労をわざわざ願っておるのは、何も福岡県の県議会の中のトラブルを、ここで糾明しよう考えるのでもなければ、それがいいとか悪いとかを判断しよう考えておるのでもない。問題が問題だけに、いかにも議会軽視のはなはだしい一つのケースである。もしそれでいいということになると、県会議員というものは要らないということになる。審議権を十分与えぬということですから、そのことのためにわざわざお出でを願って、内容をお聞きしておるのであります。だから非常に遺憾であるということは私は間違いないと思う。だからやはり必要があるとかいうことだけでなしに、一現実にあったのだ、なかったわけではない。これから起ればどうするかという問題ではないのです。起っているのだから、自治庁としては全国の自治体に対して、こういう事態が起らないように、一つ善処してもらいたいという次官通牒くらいは出せると思う。自治庁はわれわれが考えてよけいなことだと思うことまで通牒を出しておると思うのです。必要であるというようなことについては、自治庁も思い切ってこういう紛糾の起らないようにしておいてもらいたい。そうして議会の品位なり、あるいは知事さんの人格なりをお互いに認めていくという立場で、私は正常な姿に戻すことがこの際必要だ、そのために委員長初め来ていただいたと思う。一つ自治庁はぜひ次官でない、大臣でないから、直接私が通牒を出すわけにいかぬというまた答弁をするかしれぬが、そういうことでなく、はっきりしておいてもらいたい。
  102. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 そのことにつきましては十分相談いたしたいと思います。ただ非常に異例な事件が一つあったために、一般的にそれぞれの団体について出す必要があろうかというのが  私の疑問でありますが、御趣旨はよくわかりましたから、十分検討いたしたいと思います。
  103. 大矢省三

  104. 青野武一

    青野委員 山本総務部長にちょっと御質問しておきますが、今の御説明の中で、たとえば副議長それから小宮議員あたりの答弁を聞いておりますと、臨時県会の請求がなされておるというが、臨時県議会はその要求によって開くのかどうか、開くとすればいつごろこの問題解決のために開くのか、御質問を申し上げる順序として御説明を願いたい。
  105. 山本兼弘

    ○山本参考人 県議会の議員の方々の中から臨時県会招集の請求を受けております。請求の理由でございますが、これは学校教職員の定数条例の改正に関する件ということに実はなっておるのであります。従いまして定数条例の改正という問題になりますと、私ども執行部考え方といたしましては、六月の県議会に持って参りたい。さしむきは専決処分をいたしましたもの、あるいは三月の県議会で審議未了になりました専決処分をしなかったもの、これらのものを県議会に御審議を願いたいというふうに、目下のところ考えておりますが、二十五日の日に臨時県議会を招集いたしたいと考えております。
  106. 青野武一

    青野委員 その点については明瞭になったようでありますが、これは小林さんとそれから副議長の三原さんにお尋ねしておきますが、いろいろ県教育委員会予算と、知事の出した予算との対立関係が、こういう問題を起しておることは、はなはだ遺憾であります。来年は総務部長はこういう摩擦のないように、十分双方円満に話し合い町の上で、スムーズに事を運びたいと考えておりますと、御答弁の中に、そういう御発言があったことをお聞かせ願ったのでありますが、御承知通り、これは全国的な一つの傾向でありますが、県の教育委員会と教育予算について、毎年対立するような問題が起るとすれば、これはやはり今年の問題のようなことがまた来年、再来年起らぬとも限らぬ。児童の数がウナギ登りに上ってくるのは、福岡県だけではありません。小学校の児童、中学校の生徒、そういう数字はだんだん日本全体の人口増加に伴って増加してくることは当りまえである。従って下校の増築、修築、校地の買収あるいは職員の数、それに伴う給与あるいは夏季手当、年末手当、そういうものが今年より来年、来年より再来年と、それらに伴う予算が増額することは当りまえなんです。先ほど山崎さんの質問を聞いておりますと、いろいろふに落ちぬ点と了解できぬ点もありましたが、そういう問題がずっと累積せられておる中に、社会党の杉本知事が八年知事の重職にあって県政を担当しておる。その結果三十数億円という赤字ができた。こういうようなお話でありまして、石炭界の不況ももちろんその原因一つであったというお話しもありましたが、小宮参考人の話を聞いても、私が直接関係したのではありませんが、二十五年、二十八年度の台風、水害の際には、これはわれわれの予想することのできない大きな損害を受けた。それらの再建復興費に福岡県では、からの財布の中から非常に苦しいやり繰りをして、復旧費のために財政上の負担をした。それが結局積り積って、社会党の知事が八年間県政を担当しておると遂に二十数億の赤字が出てきた最大の理由であり、原因であると私は今でも思っておる。県政を担当する上に赤字が出てはならないというような、そんな県政のあり方というものはあり得ません。人口は累積する、学校の先生は増加する。学校の修繕費は要る、校地の買収費は要る。それに伴うていろいろな経費の上ってくることは初めからわかっておる。ばかでない以上は、だれでも常識のあるものはわかっておる。従ってある年は均衡予算でいく場合もあろうし、またある場合は何年間かは赤字覚悟で、県政を担当していかなければならぬ場合もある。そうすると今度の問題が門司委員おっしやいましたように、臨時県議会で双方話し合いの場で、十分胸襟を開いて話し合いがつけばよいが、もしつきそこなったような場合、感情問題を来年に持ち越しまして、三十二年度の予算の問題の起りましたときに、またこういう問題が起らぬとも限らない。そこで小林行政部長にお尋ねしておきたいのですが、福岡県の問題はもう済んでしもうたことであるから、あまりさわりたくないというような御答弁をしておられるが、この問題を中心にして、こういう問題が起っては大へんだ、われわれが給料をもらって働いておる自治庁というものが要らなくなるではないか、また福岡県に関する限りは八十数名の定員を持っておる膨大な県会議員をかかえておるが、事実上結果から見るならば県会議員は必要なくなるじゃないか、こういう点を考えて、こういう問題が全国的に例を引かないように、自治庁は今門司君が言ったように次官通牒とかあるいは大臣通牒とかで、はっ遂りこういうことは非常に遺憾である、再びこういう問題の起らないように善処していただきたいというような正式の公文書の通牒を出すべきが当然である。何も福岡県の問題をほほかむりして黙認する必要はない。これが中心になって、そうしてこれが例になっては困るからということで、一つそういう基礎の上に立って、そういう通牒を全国の自治体に出していただきたいことを私はお願いしたいのです。そういう点について具体的に大臣あるいは次官にでも相談なさって、適当な方法をお講じになるかどうか、この点を一つお聞きしておきたい。  それから三原副議長に対しては、この臨時県会で当然あなたが議長、副議長の重責にあって、県政の円満な運営の中心にすわっておられる方でありますから、この問題について何らかの確信を具体的に持たれておるかどうか。そうしなければおそらくまた将来の問題になる。とにかく社会党の県知事が八年おるときには、しゅうとめ、小じゅうとめで常識はずれのずいぶんむちやくちやな反対行動をとったことを私どもは知っておる。だから保守派の知事であるなら反動的な政策をとって立ち向ってくることは明瞭でございますから、われわれの同志も二十五、六名おることでありますから、もし不正なことをする、あるいは正当でないときには盛んに私どもは攻撃せざるを得ない立場に立っておる。この間まで私は県連の責任者でけしかけた一人であります。土屋知事がきよう出て来たら思い切って質問をしようと思って待っておったが、とうとう出てこられない。総務部長が知事のかわりに出席するということで、ちょっと期待がはずれたのですが、何でも廊下の方で聞いてみますと、土屋知事は東京に来ておることは来ておるが、松沢病院に入院しておるそうであります。おそらくただでは済まぬくらいな問題がきょうは起るはずなんです。あまりにも無責任であると考えますから、帰ったらしっかりとこの点を伝えてもらいたい。これら二つの点について三原副議長に、ちょっとお考えを聞いてお遂たいと思います。
  107. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 私へのお尋ねは結局問題か二点あると思います。  一つは、この問題が起った発端は教育費の算定の問題で、教育委員会知事との間において意見が食い違って、これをいかに円満に調整していくかという問題が一点、それともう一つは、原案執行専決処分というような不幸な事態が起ったのに対して、そういう形の中身のいかんを問わず運営をしないようにしたらどうかということだろうと思うのであります。教育費の問題は、おっしゃいます通り児童がふえていくことはここ一、二年、数年の間何人も認めておるところでございまして、児童がふえれば教室がふえる。教室がふえれば学校も要れば教員も要る。これは間違いのない事柄だと思います。それでただ率直に申しますれば教育費の予算につきましては、全国で児童何十万ふえるから教員何人というものではいかぬので、それぞれの県によって、学校、地域によってふえ方も違うわけですから、ほんとうにふえて学級数をふやさざるを得なければ、当然理屈なしに先生が要ることはきまり切っております。教室もきまり切っておる。そういうものをはっきりと下から積み上げて、それに必要な数字というものは当然出すべきもので、正確な事実さえ基礎になれば、その上にただ標準学級数を幾らにするかという判断はあろうと思います。その判断を適当におつけさえ願えれば、当然に数字が出てくるだろうと思うのでございまして、そういう点で県も教育委員会もぜひ御協力を願いたい、私は基本的にそういうふうに考えております。もっとも根本的には教育委員会の二重予算をどうこういう議論がありまして、これは教育委員会法の改正の問題にからむと思いますので、今私がここでとやかく申しません。  それともう一つの問題は、議会の運営で不幸にして議会が期間中に議決すべきものを議決しなかったので、年間の専決処分となった、これは非常にわれわれも遺憾に思っております。特に予算ようなものは当然慎重に審議すべきであって、議会運営の最大の仕事でもあり、自治体の最も根幹になる仕事でございますから、当然議会の議決と知事の意思の合致で事が進むべきものだと思うのであります。それで現に自治法でも何十日以内に予算を提出するようにしろという基本の趣旨も明らかにされておるのでございまして、その趣旨に従って運営されなければいかぬ。不幸にして議会の期日が足らなければ会期延長なりその他の手段によっても、議会としての議決の責任を果さなければならない問題だと思うのでございます。この点は間違いない問題でわれわれといたしましては、当然そういう形で将来運用されたい。しかしながら予算だけは金の問題でございますから、議会の意思があったからといって、知事は当然に常に従うかといえば、予算執行の責任というものがございますから、そこで収支に関し執行不能という場合の再議もあれば、予算についての政治的判断の相違から再議に付するということも、法律上認められておるところでございまして、それぞれ法律の定めるところによって議会の責任と知事の責任とが円満に果されて動くことを期待するわけでございます。今度の事態を基礎にして、これを私のところの次長なり何なりの名前で、全国的に通知を出すか出さぬかという問題は、年間予算の原案執行というのは非常に異例な事件でございまして、自治庁の通牒は一般の府県、市町村について運営上一般にあり得る問題について従来一般的に出しておったのでございまして、今のような異例の事件が一つ起ったからといって、直ちに出す必要があるかといえば、私は非常に疑問だと思う。しかしいろいろ御意見もありましたから、その点はなお相談いたしたいと思いますが、一つ事件があったからそれっという必要は、私は万々ないのじゃないかと思う、そういう考えでなお検討いたしたいと思います。
  108. 三原朝雄

    ○三原参考人 簡単にお答えいたしますが、福岡県議会における今回の事態に対しまして御心配をわずらわして、まことに恐縮に存じております。私ども正、副議長といたしましてもああした結果に至りましたことにつきましては、まことに遺憾であるという反省をいたしております。なおただいま青野先生の申されます将来の問題につきましては、私どもといたしましても、議会対知事との関係でございますが、議会の威信を軽視しあるいは無視するよう考え方なり処置というものが、将来ございますれば、知事に対してははっきりした態度で、議会全体をあげてということを明確に議長から知事に申し入れをいたしたようなわけでございますが、毅然たる態度で臨まざるを得ないということを通告いたしております。過去の問題につきまして知事が議会軽視をしたか無視したかという点につきましては、いろいろの見方もございましょうけれども、今後の事態につきましてそうしたことを、はっきり知事に申し入れをいたして進む態勢をとっております。御了承願いたいと思います。
  109. 青野武一

    青野委員 最後に小宮県会議員に簡単に伺います。二十六人の社会党の県会議員の諸君は、党議によってあるいは議員全体会議の決議によって県教育予算を全面的に支持して、その態度で進んだけれども、最後に中間派の諸君が非常に熱心に県政の円満、県会の運営のためにいろいろな相談を行われた結果、遂に修正案に同調したというお話、またそういうことを私も福岡におるときから知っておりました。御承知通り年間予算というものが知事の専決処分になった、それ以上に八十九件が審議未了になって、そのうち四十七件が専決処分になった。こういった年間予算が専決処分になったという例は、おそらく全国でも福岡県が初めてではないか。小林さんどうです。おそらく私は初めてだと思うのです。個々の一件々々についての専決処分といったようなものは、あるいはその地方自治体でたびたびあったかわかりませんが、年間予算の専決処分といったような例は、おそらく私の知れる範囲では今までなかったと思っておる。でありますから、こういうことが四十六都道府県に飛び火し、あるいは市町村あたりにも飛び火して影響を及ぼすようなことを考慮すれば、どうしてもそういうことのできないようなはっきりしたけじめをを、その解決に当ってはしなければならぬ。それには三原副議長の御協力も求めなければなりませんが、事実上社会党の議員団の幹事長を勤めておる小宮県会議員がそれらについて人一倍の努力をしなければならぬ立場にあるのではないかと考える。そこで知事が八十九件の審議未了のうち、四十七件の専決処分をした中に年間予算を含んでおる。これが大きな問題になって国会で取り上げられた。こういうことは全国に例のないことである。知事はそれに対してどういう考えを持っておるのか、あるいは政治的にどういう責任をとるつもりか。ここまではっきりしてこの問題解決のために、努力をしていただくのが本筋ではないかと考えますが、こういう点について、何か具体的にお考えになっておることがあれば、この機会に一つ臨時県会を前に控えて、おそらく臨時県会は開くでしょう。開かなければならぬはずです。だからその臨時県会を前にして、それぞれの対策を立てる必要上、そういうはっきりした点をやる。とにかく盲目的に自民党の諸君は、知事自分たちが応援した知事だから、そして当選したんだから、ネコに紙袋をかぶせたような格好で、何でもかんでも悪いこともこれを掩護をしていこうという発言が、次から次に行われておる。私はもってのほかであると思う。こういう知事は少くとも三百八十六万の県民を擁する福岡の県知事に不適当である。即刻辞職さすべきである。こういうことを私ども考えておる。そういう点をこの問題を解決するためには、明瞭に具体的に一つ主張すべきものは主張して、そして解決のために努力していただきたい。具体的なお考えがあれば、この機会に聞かしておいてもらいたいと思う。大体ここらで聞いておる自民党の諸君はあまり頭のいい人はいませんから、遠慮なしにやって下さい。
  110. 小宮市太郎

    ○小宮参考人 今三原副議長が申しましたように、われわれはあくまでも議会を円満に解決するために、三派の修正に同調したわけであります。これは土屋県知事になってから初めて起った問題じゃございません。昨年、杉本知事が最後の予算を作るときは、やはり同じような対立案が出たのであります。この際やはり修正になりまして、そしてお互いに了承し合ったわけであります。今回またそういうことが起ったのですが、その前の問題をわれわれは考えてみまするに、どっちかと言いますと、社会党の方が教育予算については高く主張した。もちろん自民党の方々は低く評価された。しかし私たちは、あとでは社会党系になりましたが、杉本知事のときには与党でございますので、あくまでもこの与党の立場に行かなければなりませんけれども、しかし県民の要望もありましたし、教育の問題については超党派的な考え方で行こうじゃないか、こういうことで、あるいは地方教育委員会の方々の御意見も聞いて、そうして円満に解決するような方策をとって、修正妥結というような方法をとって参ったのです。今回も私たちは無理押しにこの教育委員会の案をあくまでも押し通したわけではなくて、三派の方々の研究資料を十分検討いたして、そしてこれに同調いたしたわけであります。しかし結果としては、ああいうように流会いたしました。流会の際は自民党の方々の中には万歳を唱えられるというような光景もあったので、非常に残念に私たちは思っております。議会の会期末に流会さして万歳をするという与党の諸君があったことは、まことに私は遺憾に思うのです。私たちは今後はこういうことがないように、これはまことに福岡県として恥を申し上げて相済みませんけれども、今後は成長いたしまして、一つやりたいと思うのですが、さっきからいろいろ御意見がございましたが、教育の問題に、ついては、何かしら、ことさらに目のかたきのようになさる傾向が多分にあるわけであります。それで私たちもこの点については、始終福岡県の教育のために胸襟を開いてやっていこうじゃないか、こういうように申し上げているわけです。今までいろいろお聞きいただきましたが、それでは教育予算以外のものは、何でも賛成でスムーズに通ったかといえば、決してそうじゃございません。土木予算にいたしましてもその他の予算にいたしましても、非常に少い予算でございますから、文句は大ありでございます。しかし将来追加ということがあるので、この際暫定的な骨格予算みたいなもの、これは大いに不満であるけれども見のがしたというところでございます。ただ教育予算におきましては、予算の大骨が人件費でございます。すなわち当初から学校の先生というものは少くしておいて、少しずつ出していけるというようなものではございません。教育というものは当初に何名という予算でもって、きちっと出発しなければならぬ、こういう性格の事業でございますので、そこに問題があったのでございます。これだけは明確にしたいというのが議会の意思でございます。それがそういうようになったわけであります。  そこで青野さんのおっしゃる問題ですが、これは私たち今後良識をもちまして、むちやなことをやられるならば、確固たる考え方をもって県民に訴えたい、かよう考えております。
  111. 大矢省三

    大矢委員長 ほかにございませんか。一それではこれにて参考人に対する質疑は終りました。参考人皆さんにお礼を申し上げます。遠路わざわざ本委員会のために御出席をいただき、長時間にわたって御意見を述べられたことに対し、厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
  112. 門司亮

    門司委員 私はこの際に委員長に厳重な抗議があるのです。それはこの委員会地方自治法審議に当って、先月の二十七日に一応の質問を打ち切られた。その後与党である自民党の方から、修正案を出すから待ってくれという話で、今日までえんえんとして待っている。一体いつまで待てばいいのか。私はこういうことは議会の議事の運営上きわめて遺憾な先例を開くものであると思う。従って議会の権威と議会の将来のために、もし出す意思があるならば、すみやかに与党の諸君に出してもらいたい。そうしてものをきめていかないと、これは将来私はこの問題がガンになると思毛争いの種をまくようなものだと思う。従って委員長はこの点について、しかるべき処置をこの際とつてもらいたい。
  113. 大矢省三

    大矢委員長 それじや与党の方に申しますが、今お聞きの通りですし、すでに二週間も質疑を打ち切って経過しております。さらに明後日は日曜でございますから、明日自治法に対する、また関係法案に対する採決をしたいと思いますから、ぜひとも一つおまとめを願って、明日採決のできるような運びを、私からも特にお願いしておきます。  それじや本日はこの程度にして、本会議もあることですから、これをもって散会いたします。どうもありがとうございました。     午後四時三十八分散会