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1956-05-09 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月九日(水曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 鈴木 直人君 理事 永田 亮一君    理事 山中 貞則君 理事 吉田 重延君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       櫻内 義雄君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    灘尾 弘吉君       加賀田 進君    川村 継義君       坂本 泰良君    櫻井 奎夫君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大麻 唯男君  出席政府委員         国家消防本部長 鈴木 琢二君  委員外出席者         総理府事務官         (国家消防本部         総務課長)   横山 和夫君         総理府事務官         (国家消防本部         教養課長)   土田 兼孝君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 五月七日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として片  山哲君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員片山哲辞任につき、その補欠として坂本  泰良君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  消防に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  日程に入る前にお諮りをいたします。地方財政に関する問題について参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  なお日時は明後十一日午前十一時三十分といたし、御出席をお願いする参考人は、両党の申し出に基いて次の方方を一応予定いたしておりまするので御了承を願います。すなわち徳島県知事原菊太郎君、新潟県知事北村一男君、福岡県知事土屋香鹿君、福岡県議会議長小林喜利君、福岡会議員小宮市太郎君、門司市長柳田桃太郎君、以上の六名であります。     —————————————
  4. 大矢省三

    大矢委員長 次に消防に関する件について調査を進めます。質疑の通告がございますので順次これを許すことといたします。なお政府側より大麻国務大臣鈴木本部長、それから総務課長横山説明員教養課長土田説明員、以上の方々であります。それでは順によりまして、門司君。
  5. 門司亮

    門司委員 あとで私はこれは資料についての説明をいたしていただきたいと思いますが、その前に一応聞いておきたいことは日本消防現状です。新聞あるいは雑誌というようなものからわれわれが考えて、さらに示唆を受けておるのは、日本消防設備というのが完全である不完全であるかという一つの点であります。いろいろな問題を総合してみると、一つの問題として考えられるのは、都市構造が結局不燃焼都市構造であるかないかということが一番大きな問題になると思う。しかし都市を不燃焼構造にするということは、日本現状としては非常にむずかしい問題であって、そう簡単にはいかないと思う。簡単にいかないと思いますが、いずれにしてもそういう方向都市構造が進んでいくことが、火災予防その他の関係からして望ましいと考えておるが、この点に対して消防関係の方では、大体どういう構想方針で進まれておるかということを、先に聞いておきたいと思います。
  6. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 火災予防方法といたしましては、ただいまもお話がありましたよう都市計画を実施すること並びに防火建築建築を不燃化すること、それから消防力増強すること、この三つの点が考えられるわけでございます。そのうち都市計画関係のことは、これはもう根本的な問題として重要なことではございますが、何分にも財政上その他の関係から、全国的に速急にこれを進めることは困難な状態にございます。これに比べまして消防力増強ということは、比較的少い財源で急速に充実ができる種類のものでございますので、われわれといたしましては、もちろん両々相待たなければならないわけでございますが、消防力増強ということに努めたいと考えておる次第でございます。  消防力現状はざっと申し上げますと、全国的にこれを見ますと、基準消防力から申せば半分にも足らないと申してもいいような劣勢な状況にございますので、これの増強について国も援助し、県、市町村にも努力していただいてこれが増強に努めたい、さよう考えておる次第であります。
  7. 門司亮

    門司委員 私の聞いておりますのは、そういうことと同時に一体そういう構想があるかどうか、単に都市計画が大へんむずかしいという問題でございませんで、私は少くとも消防は、やはり都市不燃化焼については何らかの構想計画があるはずだと思います。これは金がかかって非常にやりにくいことはわかっています。わかっていますが、私はある程度これをやればやり得るのだという考え方があるのであります。それは都市計画の上で道路を広げることのために金を使う、あるいは都市燃焼させないということから、建築物でそれを補っていくという、二つの方法があると思う。日本ような土地の狭いところは、やはり道路を広げるということも一つ方法ではあるが、少くとも不燃焼家屋建設によって、ある程度火災予防はできるという道を、一応選ぶべきではないかということが考えられる。その際に都市計画に基いた例の不燃焼建築物に対する補助金その他の考え方はありますが、これはある程度実施されておると思う。しかしこれは一小部分に限られておる、と同時に大都市に限られておって、中小都市にはほとんどこの補助金は行っていないと思う。問題はこの辺の考え方です。これを一体どうするかということです。具体的にはっきり言えば、中小都市でわれわれが考えても、この問題では非常に危険がある。たとえばどこかに大きな防火地帯としての高層の不燃焼建築物がほしいのだ、そういうことでもしておいたら、ある程度そこで食いとめることができはしないかという考え方が一これはもう熱海火事を見てもかわると思う。熱海火災は大きな火災であったのだが、一つの大きな建築物にぶつかってそこでとまっておる。やはり都市構造の上ではそういうことが考えられると思う。これに対して消防庁はどう考えておるかということです。私の考え方からいえば、都市計画に対する消防庁意見というものは、きわめて微弱ではないかと思う。もう少し消防庁意見が強ければ、ある程度政府意見を動かし得ることができるのではないか。金の少いことはわかっております。少いこともわかっておりますが、少いのもそうした見地に基く十分な消防庁意見都市計画に入っていないのではないか。これは建設省その他地方自治体との間で、もう少し強く押してもらったら容易にこういうことが防げるのではないか。これは大臣一つ相談があるのですが、こういうことを考えていきますと、たとえば今ここに資料として出ておりますいろいろな都市がある。いずれにしても中都市あるいはそれ以下の都市ですが、こういう都市には高層の大きな、防火になりそうな建築物はほとんどなかったと私は思う。だから一なめになめられたと思う。だからこういう都市には、一定の区域を限って、そういう一つ計画的な防火線というものを建築の上で引かれることがこの際望ましいのではないか。それには相当の金もかかるでしょう。従って消防庁としてはそういうものを計画して、そうして各自治体との間に都市計画を進められるということが、大臣考え方としてどうでございましょうか、一つ相談はできませんか。大臣から一つ強く言ってもらえば、閣議でもある程度自治庁長官大蔵大臣もやれるのではないか。今の消防庁の力では、地方行政幾ら言っても、今の組織から言いまして私は力が弱いと思う。だからどうしても、これは主管大臣から強く言ってもらうことが必要ではないかと考えられるのです。従ってこの際大臣のお気持を一つ聞いておきたいと思います。
  8. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 ただいまのお話都市計画その他の関係について、私からお答え申し上げたいと思います。最近の連発します火災状況から見ますと、お話よう中小都市大火に見舞われているわけでございますが、中小都市は元来一般的に申しまして消防施設があまりよくない。その上に市街地構造道路が狭かったり、建物が密集していたりして、大火になりやすいということで、非常に危険にさらされておるわけでございます。お話ようにこれらの都市に対して、十分な都市計画あるいは道路を拡げる、防火地帯を作るということは、一番大事なことと考えられるのでございますが、現在都市計画に関しましては、建設省が主管いたしておるのでございますが、消防といたしましては建築基準法に基く防火地域あるいは準防火地域指定に当りましては、建設大臣がこれを認可するに当りまして消防本部長意見を聞くことになっております。また防火地帯指定につきましては、耐火建築促進法に基きまして同じく建設大臣国家消防本部長に相談することになっております。一般的に都市計画につきましてはそういった規定はないのでございますが、都市計画法に基きます都市計画審議会令におきまして、各都市都市計画を立てるに当りましては審議会にかけるわけでございますが、その審議会構成員として、その市の消防長が大体参画いたして、消防測の意見を申し述べておるよう実情でございます。われわれといたしましては建設大臣がこの審議会意見に基きまして、都市計画の決定をいたします際に、国家消防本部長に協議した上できめてもらいたいということを強く希望いたしておるのでございますが、現在におきましては、いまだその実現の運びに至っておらないよう状況でございます。
  9. 大麻唯男

    大麻国務大臣 この消防に関しまして、火事があったときにはみんな注意をしていろいろあれしますけれども、とかく日がたつに従いまして忘れるわけではございますまいけれども防火に対する熱心の度合いが多少減っていくようなことは、これは人情でいたし方ないかもしれませんが、そういう弊害は確かにあると思います。今門司さんの御注意の点は、まことにごもっとも千万でございまして、実情消防本部長から申した通りでありますが、私といたしましては関係当局、たとえば自治庁であるとか建設省であるとか、もっと突っ込んで一つ相談をしまして、消防について万全の策を講じたいと考えております。それにつきましても、皆様のよう消防につきまして非常に関心をお持ちになっておりまする有識者の方、あるいは議会の有力な方々がこれに鞭撻を加える、御協力を下さることが最も必要であると思いますから、どうぞ一つこの上ながら御鞭撻協力をお願い申し上げたいと思います。
  10. 門司亮

    門司委員 大臣から協力してくれと言われてもあまり協力のしょうが実際ないのでありまして、むしろ私は国会で取り上げる前に、こういう行政上の問題についてはもう少し政府みずからが、私は閣内で相当に大臣等の力で動き得るような施策を講じてもらわなければとうていできないと思う。  その次に私が突っ込んで聞いておきたいと思いますることは、われわれが普通考えて、火災があって消火能力といいますか、それを収めるだけの能力を持つ都市というのは、大体普通であれば五大都市くらいのものがその能力を持っておるにすぎない。あと中小都市に至ってはほとんどその施設が十分でないというようなことが考えられるのですが、この点について何か消防庁としてお考えになったことがありますか。消防の現在の現状についてこれでいいか悪いかということ。私どもから考えると、今申し上げたようなことで五大都市あるいはそれに次ぐ都市くらいが、やや消防設備が完備していると言い得る程度であって、その他の都市はいずれも、火災があればみな水道がなかったとかあるいは水利が悪かったとか、ポンプが足りなかったとか、古かったとか、その弱点を暴露しておりますが、そういうものについて何か調査されたものがあるか、あるいはそういうものについての消防庁としてのお考えがあるなら、この際一つ示しておいていただきたいと思います。
  11. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 お話のごとく現在消防力が大体まあまあという程度の力を持っておるのは六大都市あるいは十大都市程度のものでございまして、それ以下の中小都市先ほどもちょっと申し上げましたが、まことに消防力が微弱でございまして、基準消防力から申せば半分程度というところが大部分と申して差しつかえないよう現状でございます。従いましてわれわれがたとえば国庫補助考えるにいたしましても、また日常各般指導をいたすにつきましても、中小都市重点を置きまして従来ともやって参ったわけでございますが、今後なお一そうその方針で、中小都市重点を置いて指導をしていきたい、さよう考えておる次第でございます。
  12. 門司亮

    門司委員 その指導をされることはわかります。そうすると次に聞いておきたいと思いますことは、地方予算との関係です。どんなに指導してみたところで、指導だけでうまくいかないのです。各都市の総予算に対する消防施設その他に対する費用の割合は、消防庁統計がございますか。
  13. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 全国の市町村消防予算は、大体二百億程度でございます。それは市町村の全予算に比較いたしますと、大体四%程度でございまして、われわれの考えておりますのは少くとも十%の消防費はほしい、かよう考えておる次第でございます。
  14. 門司亮

    門司委員 そうしますと、きょう自治庁長官が来ておりませんから、自治庁にこの問題を聞くわけには参りませんが、消防庁としての考え方は、今のお話ように十%くらいまでこれを上げることによって、大体の消防力基準に到達するであろう、こういうことですが、これは一つ基準であって、この基準の中には、ただ単に機械力あるいは人力による人為的の消防活動をさされておるのか、あるいは水利その他までもこの中に含まれておるのか、この点はどうなのですか。
  15. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防施設全部についてのことでございます。すなわち消防ポンプ水利並びに通信施設、大体この三点に重点を置いておる次第でございます。
  16. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、最近の非常に火災の多かった点についての考え方ですが、大体日にちからいえばここ二月くらいの間と思いますが、実にたくさんの火事が出ておると思います。これは一つの珍しい傾向だと私は思います。この調子でことしじゅう火事があったら、大へんなことになると思いますが、何か消防庁にはこれに考えられる原因らしい原因がございますか。ただ偶然に起ったというようなことか、あるいはその原因について多少人為的にも避け得られるようなことがあったというようなことがございますか。
  17. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 大体春の三月、  四月、五月、特に四月は毎年非常に火災の多い季節でございまして、年間を通じてピークになるよう状態でございます。これは終戦後の統計を見ましても、火事の少い六月、七月等に比べますと四月は大体四倍以上の火災件数になっております。一般的に四月、五月、特に四月は火災が多いわけでございますが、ことしの四月、五月は三月以来三、四、五月にかけて非常に火災が多いのでございます。これの特徴は中小の市、町であることと、それから比較的東北北海道に多いということでございます。これはいろいろな原因があるかと思います。先ほども申し上げましたように一般的に中小の市や町は、非常に大火になる危険性が多いという一般的な問題もございますが、ことしのよう東北北海道が大部分を占めておるというような、非常にその方面に件数が多かったのは気象関係、特に風と湿度関係一これは小さな台風がちょいちょい来る関係もあったかと思いますが、強い風が比較的長い間続いた、しかもそれに湿度が非常に低いという点で、非常に延焼の条件を備えたよう気象状態であったということが考えられるわけでございます。それに東北北海道に多かったということは、ことしの御承知のよう気象状況で、非常に暑かったり寒かったり、いつまでも寒さが続いておる関係で火を使う率が多かったのじゃないか、それから一般的に寒冷地帯家屋構造等にも大きな原因があるのじゃないか、さよう考えております。
  18. 大矢省三

  19. 北山愛郎

    北山委員 毎年四、五月ごろは火災が多い。と同様に国会の方でもそのころに火災の問題を取り上げて、いろいろと火災原因等について御説明を聞くわけでありますが、しかしどうも適切な対策というものについては少しも前進しておらない。これは私ども非常に残念に思うわけであります。たしか去年もこの問題が取り上げられまして、当時の瀧野本部長は一生懸命になってやります、こういうふうに言われた翌日本部長をおやめになったので、あぜんとしてしまったようなわけですが、とにかくいろいろな事象から考えまして、消防それ自体の脆弱な点、それから火災に対して建物の弱い点、その原因については、おそらくもうだれしも常識のようにわかっておると思うのです。なぜ中小都市が、しかも東北中小都市に大きな火災が多かったかということは、火を使うというような問題もございますが、東北建物条件が非常に悪いということと、ちょうど中小都市消防組織設備等において一番弱いという点が、実際の現象の中に現われておるのじゃないかというふうに思うわけであります。消防組織の弱いという点は単はポンプが足りなかったということではなくて、やはり消防団でいくかあるいは常設消防でいくか、こういうようなことが一つのポイントじゃないかと思うのです。中小都市常設消防を持っておらないところが相当あります。従って出火の場合の通報等においても迅速を欠くわけです。それから出動についても常設消防がある都市に比べまして、その出動がおそい。そうすると初期消火というものがおくれてくるわけであります。これが強い風の場合におきましては大きな火事原因になっておる。これは明瞭だと思うのです。従って国家消防本部としては一体、中小都市以下においては消防団というものが大部分を占めておるこの日本消防組織というものを、将来どのように持っていくお考えであるか、これは大きな方針であります。現在消防職員は三万人、消防団員の方は圧倒的に多くて二百万人に上っておりますが、そういうふうな形を一体どういう方向に持っていくか、この方針一つきめていただかなければ問題の解決にはならぬと思うのです。日本消防組織というものをどういうふうに持っていくか、その辺についてお考えがあれば一つ承わりたい。
  20. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 お話よう常備態勢でいなければ、初期消火に間に合わないということは明らかな事実でございます。従いまして私どもといたしましては、市制施行地には特に常備消防を置いてもらいたい、市制施行地でなくても、これに準ずる相当な市街地を持っておる町におきましては、消防署を置いて常備態勢を整えてもらいたい、またそこまでいかないにしても、消防団常備を置いて初期消火に当り得るよう態勢を整えてもらいたい、こういうよう方針で進めておる次第であります。何といいましても火事の起った当初の消火活動が一番大事でございますので、お話にもありましたが、常備態勢を完全に整えられないよう財政状態でありましても、せめて消防団機関員だけでも常備しておく、火災が発生しましたら直ちにポンプが飛び出せるよう態勢を整えておくという程度のことは、ぜひともやってもらいたい、こういうよう方針指導いたしておる次第であります。
  21. 北山愛郎

    北山委員 そういう御方針は当然だと思いますが、その方針を実際に行政の面においてどういうふうに具体的に現わしておるかということが問題だと思うのです。地方都市に対して、市町村に対して、そういう方針でいってもらいたいということだけでは、これはその方へ進まないわけです。常設消防を置くなら置くだけの金も要るし、財政の裏づけが必要であるし、それは交付税の問題もいろいろあると思うのですが、そういう御方針であるならば、それを従来どういうふうな形で具体的にこれを進めていっているか。これが伴わなければ、そういう一本の通牒くらいではどうにもならない。また現実に、たとえば人口十万の都市でありながら、消防団員の方は四百名しかおらぬ。人口が五万くらいでありながら、消防団員が二千何百もおるというような、今度の町村合併による新しい市ができたことによって非常に消防組織というものが、いろいろまちまちな形になる。消防団員の数が多くて困っておるというような場合も相当あるのです。そういうことについての一定方針と、それを具体化する行政措置がなされなければいけないと思うのですが、それについての具体的な方策については、どういうふうにお考えであるか、これらについてお伺いいたします。
  22. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 昭和二十三年以来都市防火診断をいたしまして、これはその都市の地勢の状況市街地構造、あるいは各種の設備状況というようなものを勘案いたしまして、防火診断をいたして、都市等級をだんだんときめております。これは全国的に一斉に行いたいのでございますが、予算や人員の都合で、なかなか一ぺんにこれをやるということはできませんが、二十三年以来引き続き防火診断に基いて都市等級をきめております。この都市等級のきまった、すなわち防火診断をやった都市につきましては、どういう程度設備が必要だということを、一々具体的に指示いたしておるわけでございます。また都市等級防火診断をやっておらない都市につきましても、大体似たよう都市に比較して、この程度設備をしなければいけないということは判断できるわけでございますので、今後もこの点を十分進めていきたい、さよう考えておるわけであります。さらに市町村財政の問題につきましては、今日のよう市町村財政窮迫状態でございますので、なかなか消防設備を充実するということは、各都市とも非常に困難なわけでございますし、さらにまた場合によりますと、火事が少いところでは消防がむしろ財政の逼迫した際のしわ寄せになるおそれも多分にあるというよう現状でございますので、自治庁と十分連絡とりまして、交付税交付金等も十分考慮していただくことと、さらに消防施設強化に関する国庫補助金を増額していただくということに、われわれは努力いたしておる次第でございます。
  23. 北山愛郎

    北山委員 都市防火診断お話を承わりましたが、そういたしますと、各都市についてやはりあるべき消防組織、すなわちこの町であれば常設消防一つ消防団員幾らというような、やはり一応等級によってそこに必要最小限一つ基準というものが示されなければならぬと思う。そして地方交付税の配分上の財政需要額というものが、それに応じて算定をしていかなければ、実際に具体的になってこない、実施されないわけです。そういうふうな措置をやっておるのかどうか。ただ消防費というものが、人口割によって一人幾らということでは、そこに実質的な差異が出てこない。従っていかに方針としてはそういう方針を示されても、各都市とも財政的には苦しいのであるから、そういう方向へは進んでいかない。だから従来自治庁と打ち合せをされたというのですが、交付税基準財政需要額算定上、やはり常備消防を置けるよう需要額というものを算定していく。それがこの防火診断と相マッチしたこの消防基準財政需要額というものを、交付税算定の場合に採用していくというような方式、そういうふうな具体的な点について自治庁と折衝しているのかどうか、これを承わりたい。
  24. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 地方交付税消防に関する単位費用は、実は非常に実際とかけ離れた低い単位になっております。二十九年度の当初予算から単位費用を割り出してみますと、二百七十九円余りになっておるのでございますが、実際に自治庁で計算しております三十一年度の単位費用は、百七十六円六十九銭という非常にかけ離れた数字になっております。それで私どもといたしましては、自治庁に対して、特別交付税交付金について十分考慮してもらうようにということを折衝いたしておる次第でございますが、なかなかわれわれの希望通りには現在至っておらないよう現状でございます。
  25. 北山愛郎

    北山委員 それから今お話し申し上げた点に触れて、町村合併等によって非常に消防団員の定数、基準の問題、これは消防組織法によれば、やはり市町村ごとの条例でその状況に応じてきめるということになるわけですが、この町村合併の結果ある程度は整理しなければならぬというような事態が起ってきても、なかなか市町村だけの政治力ではこれがうまくいかないということで、消防団市町村当局が対立をしたりして、いろいろトラブルを起しておる例が相当あると思うのです。従ってその整備について、消防本部としては何らかお考えになっておるかどうか。これは合併市町村のみならず、全体についても必要だと思いますが、常備消防消防団員との比率といいますか、そういう問題の根本的な点からしましても必要だと思うのですが、町村合併と関連してやはり実際問題が起きてきておりますから、これらの点についてはどういうふうなお考えを持っておるかお伺いしたい。
  26. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防職員並びに消防団員の設置基準につきましては、昭和二十八年に一応指示いたしておるわけでございますが、お話ような最近の町村の合併の結果これによる変動が相当あると思いまして、一応町村合併に伴う消防団の編成基準につきまして指示をいたしております。しかしさらに根本的に町村合併全体の状況を見まして、消防職員の設置基準、あるいは消防団員の定数あるいはさらに消防施設の設置基準というようなものをさらに再検討いたしたい、さよう考えておる次第であります。
  27. 北山愛郎

    北山委員 それから消防本部としては、現在の消防法についてはどういうお考えを持っているか、消防法というのはなかなかよくできているようでございますが、これは実際に適用する場合に非常に弱い点がある、実行が困難な点が相当あると思うのです。たとえば火災警報の通報なのです。これは気象台の警報に基いて、気象台あるいは測候所の方から都道府県の知事の方へ通報があって、知事からまた市町村長に通報があって、それに基いて火災警報を市町村長が発するというような形にたしかなっておると思うのです。しかし規定はこうであっても実態には合わないと思う。そういうことをやっているのは、ほとんどないと思うのですが、各府県の知事が市町村長に火災警報の通報をやって、それに基いて市町村長が警報を出すというようなことをやっていますか。これは実態に合わないと思う。そんなまごまごしたことをやっていたら、もう警報の事態がなくなってしまう。警報を出さなくてもいいようなころに警報を出すというような結果になりはせぬか。
  28. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 ただいまお話消防法二十二条の火災の警戒の問題でございますが、これは実際問題として今お話ように気象台から市町村長を通じてさらにそれが消防団長なりあるいは消防長に連絡するということで非常に時期を失する、時間がおくれるという問題があるのでございますが、これにつきましては機会あるごとに直接の折衝によって、この法規による連絡は連絡として、直接消防責任者に気象台から連絡をとってもらうようによく打ち合せておけ、こういうふうに指導いたしております。さらに二十二条の第三項によりまして市町村長は通報を受けなくても「気象の状況火災予防上危険であると認めるときは、火災に関する警報を発することができる。」ということになっておりまして、市町村長が独自で火災警報を発することができるようになっております。
  29. 北山愛郎

    北山委員 とにかくこの二十二条なんというものは、実際を知らない人が作った法律なのです。気象台の方から府県知事の方へ、府県知事から市町村長に通知をして、それから市町村長が警報を出すなんということをやっておったらもう風がやんでしまう。警報を出さなくてもいいようなときに警報が出てしまう。そうじゃなくて、やはりこんな規定は実際に合わないから市町村長としては気象台なりラジオ等で警報が出た場合に、自己の判断によってやるというのが実際なのです。だからこういう規定は実態に合わない。こういう点も私は非常に欠陥があると思うのですが、それ以外に消防法の第五条ですか、防火対象物の位置、構造設備等が危険であるような場合にはその改修、移転、除去、使用の禁止等を命ずることができる、こういう規定があって大へんけっこうな規定なのですが、これをやるのには補償というものが伴うのです。ですから実際にはできないのです。市町村はこの建物が危険だと思いながらも、これを除去しろというふうな命令を出そうと思っても、その補償費を自分の負担で出さなければならぬというようなことになれば、これはもうやめてしまいますよ。一体この五条を適用している例がありますか、消防本部は知っていますか。
  30. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 お話ように第五条の実行は非常にむずかしい問題でございまして、あまりたくさんの例は、ございませんが、二、三回これによって処置した例がございます。先ほどお話がありましたよう消防法全体が非常に不完全な点がございまして、火災予防の面につきましても建築関係のことにつきましても、あるいは危険物の取扱い等につきましても、どうも標準がはっきりしない、あるいは市町村の条例にまかせておるために、市町村によってまちまちな取扱いをするというような不便を来たす場合がございますので、これらのものを整備いたしまして、もう少しすっきりした法規にいたしたいという考え方から、ただいま研究いたしておる次第でございます。
  31. 北山愛郎

    北山委員 消防法の法規がまずいというよりは裏づけがないのです。第五条でも六条、七条でも規定としてはいいのですが裏づけがない、補償し得るよう財政力があれば市町村はどしどしやります。けれども市町村の負担において補償を覚悟で命令を出さなければならぬということになれば、東京とか財政力のよほどあるところでなければやれませんよ。そういうことがわかっておって条文の体裁だけこういう規定があるのだからということで、消防法の方は体裁はいいのだけれども、実態に合わないあるいは裏づけがないということなのです。それを承知の上で消防本部はやっておられるのですが、今のようにほったらかしておいて、その間国会は数回開かれているわけなのですが、改正案の出たことはないのです。こういう点は消防本部としてはやはり怠慢じゃないかと思うのです。それから第七条についても、これは建物の新築、増築、改築等の場合に、消防長あるいは消防署長の同意、例の消防法第七条の同意という相当問題になった事項でございますが、これをまじめになってやろうとするならば、いろいろ矛盾が起きてくるのです。消防としてはこれでいろいろなトラブルが起きた例がございます。規定としては一応あるのですがなかなかその通りはいかない。それから危険物についてもお説の通りでありまして、市町村の条例にまかしておるような格好なので、これはその他の衛生法規あるいはそれ以上にやはり法律でもって危険物の基準というものをきめるべきだ。しかも市町村は自分でもわけのわからないような内容の条例を準則によって作っていく、ところがこれを実施するだけの技術的な能力がないのです。それだけの専門的な知識を持った職員を置くだけの財政力がないのです。そういう問題もあるわけでありますから、この問題がいろいろ発生しておって放置されておるのは、一つには消防法をほったらかしておいた消防本部にも大きな責任があるのじゃないかと私は思うのです。また従って市町村の条例できめたことをそのままには行われておらない、貯蔵所でもまたこの規定が実際に合っておらない、一々届けるなんということはしないですよ。だから違法がどんどん行われてもこれを監視する方法がない、こういう非常な欠陥を持っておるのです。  それからこれに関連してお伺いしたいと思うのですが、映画館あるいはその他の場所における映画の映写の場合に発火することがあるわけなのです。これについては一応一定の資格を持った映写技術者でなければならぬというふうになっておるのですが、私どもから言うならば、現在の状態ならば、もうフィルムというものを全部不燃性でなければならぬというふうに規定した方がいいと思うのですが、その間の問題につきまして消防本部の御研究がありましたらお知らせを願いたい。
  32. 横山和夫

    横山説明員 お答えいたします。御指摘のようにこの消防法におきましては緩燃性でない、つまり速燃性のフィルムの場合における制限を加えておるわけですが、最近の傾向といたしましては、いわゆる緩燃性すなわち不燃性のフィルムがうんと普及して参っておりまして、本日も実は午後映画に関する審議会が総理府中心で行われまして、そのおもなる議題も不燃性のフィルムに対する対策ということになっておるわけであります。われわれの方といたしましても、抜本的な方法として不燃性フィルムが行われ、従ってこの本条に関するような取締りの必要もなくなるという方向にいくべきだと思いまして、その線の研究と助長に当っておるわけであります。
  33. 北山愛郎

    北山委員 これは非常に危険なことであって、正規の映写室でやる場合であれば、一応ある程度の防御はできます。しかし地方では学校とか、公民館とか、そういう映写室のしっかりした設備のないところで、可燃性のフィルムをやっている場合があるのです。事故を起さないように映写技術者がうまいことやっているから起りませんが、たまたま起きると大きな事故を起す。せんだってもどっかで発火した例があったようですが、そうなると、火事で焼け死ぬというよりも、混雑によって圧死するというようないろいろな犠牲がたくさん出る。出てから騒ぐのです。現実にそういう危険なことをどんどんやっているのですが、これは一体不燃性のフィルムにすれば、フィルムはどれだけ高くなるのですか。あるいはまた現在の日本で使っておる日本映画あるいは外国映画について、不燃性のものがどのくらいあり、可燃性のものがどのくらいあるかという調べがございますか。
  34. 横山和夫

    横山説明員 今ここに持ち合わしてないでありますが、映画に関する審議会で数回調製いたしました資料もありますので、この次に準備いたしまして、お手元に差し上げたいと思います。
  35. 北山愛郎

    北山委員 こういう文化の進んだ段階ですから、映画のフィルムも、不燃性のものがないというなら別だけれども、相当ふえて大部分不燃性になったはずです。最近は三十五ミリでも大部分は不燃性になったはずです。だから思い切って不燃性にするというよう措置一つ進めていただきたい。そういうことになれば特別な設備をしなくても、映画というものが至るところで見せられる、こういう大きな便宜があるわけでありますから、一つ映画というものは不燃性にするという建前で促進を願いたいと思います。  それから山林火災の問題でありますが、今年も私どもの方の郷里で大きな山火事がございましたが、山林火災原因は、私もよく知りませんが、春先に火入れをするという慣行がございます。火入れは市町村長の許可によってやるということになっておりますが、この火入れというものは一体禁止できないものか、どういう御見解を持っておりますか。
  36. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 実は火入れの慣行については私も詳しくわからないのでございますが、大体春先の火入れというのが慣行になっているようでございまして、農林省当局もあるいは現地の市町村も、火入れの実施については相当厳重な指導なり警戒をやっているようでございますので、この点農林省とも十分連絡を密にいたしまして、将来において研究いたしたい、かよう考えております。
  37. 北山愛郎

    北山委員 火入れについてはいろいろ見解があると思うのです。私個人的な見解からすれば、火入れというものはその土地についても決してよくないものだと私は考えております。これはいろいろ研究の余地があると思いますが、とにかく火入れということによって、山で火を使うという場合に注意を欠く一つ原因を作っていると思うのです。ちょっと火をつける、野火をつけるというような癖がついてしまっている。しかも火入れの許可をする当事者から言えば、相当注意をするといいながら、朝のうちはその日は風がないように見えておりながら、火入れの途中になって急に風が出てくるというふうな気象の変化が出てくる。ですからこれは非常に危険なものであります。そういうことが発端になって山火事が起るという場合も相当あるようでありますから、火入れなどについてもやはり消防本部は十分研究してもらわなければならぬ。もうとうの昔にこれは研究しておらなければならぬのですよ。こうやってみると、消防なり防火に関する必要な問題について、どうも消防本部は不勉強なんです。一体消防本部は全国の農村の家屋構造、くず屋根といいますか、草ぶきの屋根がどのくらいあるかということを御存じですか。
  38. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 火災原因あるいは延焼の程度というような観点から、建物構造一般と火事との関係は研究いたしておりますが、日本全国にわら屋根が何戸あるかというようなことは遺憾ながら調査ができておりません。
  39. 北山愛郎

    北山委員 これは建設省でもそういう調査がない。いささか驚いているんですが、住宅の問題といえば、畳の数と戸数、坪数くらいしか考えておらぬらしくて、私は残念だと思う。火災の見地からいえば、農村の火災大火になる場合は、屋根の構造が非常に脆弱なものですから、そこでだんだん何百メートルも次から次へと飛び火をする、これが大火事になるのです。だから当然これは問題にしなければならぬ。こういう点についても不勉強だと思う。これはまじめに研究の対象にしなければならぬ。この委員会におきましても、たしか一昨年だったと思いますが、何とかして農村の草ぶきの屋根を解消しようじゃないかということを、与党の方でも加藤精三さんあたりから言い出して、そして消防委員会を作ったことがございます。ですからすでにもう二年も前からの話なんです。だから、こういう問題とまじめに、真剣に取っ組んでもらいたい。  それからお伺いしておきますが、消防本部には消防研究所があって、消防機械器具等についての検定をやっており、手数料を相当お取りになっているようですが、これはどのくらいの収入があるものですか。
  40. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 大体検定手数料収入は二千万円程度であります。
  41. 北山愛郎

    北山委員 二千万円は相当な金額でありますが、国としては消防についてたしか今年は二億五千万ですか——消防の器具機材等についても補助金を出している。いずれにいたしましても、消防組織法の中にも市町村消防についての補助金という規定があるのです。それがほとんど実行されておらない。そうして器具機械の検定等につきましては、割合に進んでおって、その収入も二千万円というように相当上っておるのですから、その二千万円を使って、今まで申し上げたようないろいろな研究を進めて、あらゆる角度から日本火災に対抗するというような大きな熱意をもってやってもらわなければならぬと思うのです。消防本部の仕事は、単に消防団員とかそういうものが対象ではない。日本における火災という大きな災害に対抗する中心の本部なんですから、あらゆる角度からこの検討をし、また先ほど門司さんからもお話がございました耐火構造の問題、耐火建築促進法等が行われておりますが、今のスピードでは今計画している防火線を作るだけでも百年を要するといわれておる。そんなスピードでは何ともしょうがないではないか。ですからこれを建設省にまかせないで、消防本部が推進をするということでなければならぬと思う。それには財源が要るでしょう。その財源の点についても御検討をいただきたい。金は探せばあるはずなんです。建設省はいろいろ仕事があって、都市計画ないしは耐火建築というのは仕事の一部にすぎない。消防本部はその全部なんです。だからこれを推進する中心とならなければならない。私は今までいろいろな例を申し上げたのですが、消防組織法にいたしましても消防法にしても、その法律そのものを直して、いろいろな角度からやるべき点はたくさん残されておるのです。どうしても今度お伺いしたいろいろな点から結論づけることは、やはり相変らず国家消防本部は不勉強であると結論せざるを得ないのであります。どうか一つここで思い直して、一大躍進をしてもらいたいと要望して、私の質問を終ります。
  42. 大矢省三

    大矢委員長 川村君。
  43. 川村継義

    ○川村(継)委員 一つお尋ねしたいと思うのでございます。消防組織法の中に消防研究所を設けることとなっておると思いますが、消防研究所のやっておられる実際の仕事面をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  44. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防研究所の仕事は、消防関係の器材それはポンプとかホースとかいった器材もございますし、消火材料、薬品の研究、さらには火災燃焼原理の研究といったごく学問的な研究もいたしております。いずれの研究にいたしましても、もちろん実際の一線の消防に直接関係のあるような事項について万般の研究をいたしておる次第でございます。さらに先ほどお話いたしましたよう消防器材についての検定も行なっております。
  45. 川村継義

    ○川村(継)委員 できましたら研究所で取り上げておられます研究の仕事別の資料でもいただけたらと思うのです。われわれが地方におりまして、たとえば消火機械あるいは小型のポンプ、そういうものでも、果してこれが消防本部の指導を受けた機械であるか疑われるものがあるわけなんです。率直に言って大体地方に参りますならば、こういう機械を購入するにも相当の金が要る。大体一戸負担たとえば五千円とか三千円という負担によって購入させられるその機械が、どうも地方の一部顔役の業者とのなれ合いによって、ただ購入させられるというようなことも考えられる節が多いのです。そういう点につきまして消防機械、あるいは消火機械については、権威ある消防庁の検定あるいは研究を経たものが使われるようになることを、われわれは望んでいるわけです。  いま一つの例で、私の頭の中に浮かんでくるのを申し上げますと、建築防火の塗料は非常によく使っているわけです。完全な防火塗料はおそらくまだできていないのではないかと思いますけれども、相当進歩した塗料が研究されている。しかし何といってもまだそれが使用される場合に、今までの業者の間における取引関係、あるいは情実というのですか、そういうものが幅をきかせておって、新発明になった塗料などが十分宣伝され、それが使用されてない向きがあるのではないかと疑われることもあるわけです。そういう塗料等につきましても、消防庁の研究所あたりで十分その度合いを研究されまして、どのよう建築には、こういう塗料を使うべきであるというような推薦等をなさるというような権威ある指導が必要ではないかと思うことがあるわけです。せっかく最高責任の消防本部として研究所があるならば、そういう実績がぜひ生まれてくることを望むわけです。これはおそらくやっておられるとは思いますけれども、そういう点につきまして、いろいろと研究所でやられたことについて資料がいただけるならば、またいろいろ研究してみたいと思っております。その点はぜひ一つお願い申し上げたいと思います。
  46. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 各市町村ポンプを購入する場合には、国家消防本部の検定を受けたものを購入するようにすすめておるのでございますが、この検定が義務的検定でないために、間々先ほどお話のありましたようないろいろな筋で検定を受けないものを購入するよう市町村がないでもないわけであります。われわれとしては、必ず国家消防本部の検定を受けた権威のあるポンプを買うように慫慂いたしたいと考えている次第でございます。なお防火塗料につきましても、研究所におきましてその性能の研究をやっておりますので、これらの資料につきましては後刻取りまとめてお届け申し上げたいと存じます。
  47. 大矢省三

    大矢委員長 永田君。
  48. 永田亮一

    ○永田委員 いい機会だと思いますのでちょっと伺いたいのですが、公営の火災保険の問題であります。このごろ公営の火災保険がだいぶはやってきたように思います。たとえば消費生活協同組合法でしたか、あるいは中小企業等協同組合法というようなそういう法律に準拠して、こういう火災保険事業をやることが、あちこちでだんだんふえてきているように聞いているのですが、こういうことをやっている団体が全国でどのくらいあるか、それを一つ伺いたい。  それからもう一つ、そういう団体が火災保険の事業をやった場合に、県であるとか市であるとか、そういうところがかりに大火事があったときに、その保険料を払えないといけないというので、県や市の中で、予算外の事務負担の保証をしておるところがあるように聞いておるのですが、そういうところが全国でどのくらいあるか、わかっておったら、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  49. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 市町村が主体となりまして一般的に火災共済組合を作っておりますのは、名古屋とか京都、神戸、金沢、岐阜等数都市でございます。これについて、市町村がこの共済組合を作るに当りましては、市長あるいは市会等におきまして、積極的にこの制度を設けたところが大部分でございますので、大体において市においてこれの保証をするという形をとっているのが多いと聞いております。
  50. 永田亮一

    ○永田委員 狭い範囲なものですから、かりに大火が起きて非常に被害が多かったというような場合に、たとえば今言ったよう市町村が保証するというようなことになっておると、どうも私たちは地方財政の立場から考えて、地方財政を非常に危うくするのじゃないかという心配があるわけなのです。そういう点は消防本部の方はあまり関係ないかもしれませんけれども、私たちの考えからいきますと、予算外の事務負担なんかの保証をどんどんやって、それで火事がずっとなければいいですが、大きな火事が起きたという場合には、どうも地方財政が今でも赤字で困っておるのに、非常に困ることが起きるのじゃないかと思うのです。こういう点を私は非常に心配をしておるのです。それは別にあなたにお聞きしようとは思っておりませんけれども、こういう問題に関連して、この前能代で大火があった。あのときに、こういう団体がやっておる火災保険事業が保険金が払えなくて、支払っておらぬというようなことが、たしか秋田県の何とかいう新聞に出ておったのですが、その真相はわかりませんか。
  51. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 能代市の場合私詳しく聞いておらないのでございますが、あれはいわば頼母子講的な共済組合でございまして、能代市一円にわたる組合ではないように聞いておるのであります。従ってそれに支払いができなかったということが、直ちに市の財政の負担になるというような結果にはならないような性質のものではないか、そんなふうに聞いておるわけであります。
  52. 永田亮一

    ○永田委員 普通の火災保険会社であると、全国的に大きな組織を持っていますから、責任準備金というものを相当たくさん積み立ててあるわけなのです。新潟でもどこでも、部分的に大火であっても、全国的に積み立ててあるから、そういう不都合は起きてこないと思う。ところがこういう狭い範囲でやっておると、往々にしてこういう危険があると思うのです。そういうことで、地方の小さい団体がこういう事業をやるということについて、消防本部の御見解をちょっと伺いたいと思います。
  53. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 小さな都市で市一円の火災共済組合を作っておるところはあまりないのでございますが、ただ、やりたいという話はちょいちょい私どもも聞くのであります。これの許可の所管庁は、厚生省あるいは通産省でございますが、そういった話の出ておる都市につきまして、われわれ消防の観点から見まして、大火になる危険性が非常に多い、もしも大火になったら、とてもこの組合は存立できない、その都市財政に非常に大きな打撃を与えるというような見通しのつくものにつきましては、われわれ直接その市町村民に対して、消防の観点から注意を与えるようにいたしております。
  54. 永田亮一

    ○永田委員 こういう地方の団体がやっているのは、非常にはやってきているのですが、これの原因は大体料金が安いということらしいのです。一般の火災保険の会社のかける料金は、たしか千円について四円五、六十銭だったかと思うのですが、こういう地方団体は平均どのくらいでかけているのですか。わかりませんか。安いということが、一つのえさになってみなここへ入ってくるだろうと思うのです。わからなければいいのです。たとえば、地方団体がやる宝くじとか競馬とか競輪とかいうものは、必ずもうかるように仕組みができているわけですね。初めから幾らもうけるということをちゃんときめてやっているわけです。ところが、こういう火災の場合なんかですと、そういう保証は何もないわけです。火事がなければもうかるし、大きな火事があった場合には地方団体に大きな赤字ができてしまうわけです。こういう点を、われわれは地方財政を憂うる立場からいうと、もう少し取り締るべきじゃないかという気がするのです。そういう点について重ねてちょっとお伺いしたいのです。たとえば料金が安いという問題ですが、なぜ安いかというと、消防署の公務員が、公務員として月給をもらっておりながら募集をして歩く、こういうことで料金が安くても引き合うという、そろばんになるのじゃないかと思うのです。しかし私ども考えると、どうも公務員は公務員なんだから、一般の仕事をやってもらわなくちゃならぬ。そういう火災保険の募集に専念されることは、一般の県民、市民にとっては非常に迷惑な話だと思うのです。私は、神戸で消防署の職員が、消防署の制服を着たまま勧誘に歩いているということを、ちょっと聞いたことがあるのですが、そういう事実を認められますか。
  55. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 ただいまお話の神戸市の火災共済組合につきましては、消防吏員が非番の際には私服で勧誘に歩いているという事実は聞いております。ただ私ども考えから申し上げますと、消防職員が正規の手続をとって、こういった仕事に当ることはもちろん制限するわけには参らないのでございますが、ややともすると地方公務員の規定に違反するよう危険性がある。さらにはまたよほど勧誘に歩く際に連絡をうまくとっておきませんと、たとえ非番であっても、特別な事故が起きたときには出動をしなければならぬわけでありますから、消防業務に支障を来たすことがあってはならないという、そういう観点から十分注意を与えておるよう状況であります。
  56. 永田亮一

    ○永田委員 願わくはそういう消防職員は、休みのときにはゆっくり休んでいただいて、いざ火事があったときには大いに働いてもらう、こういうことが本来の消防職員の勤めであろうと思うのです。休みの日まで、私服であったにしても、そういう仕事をやられるということが、後に本職に差しさわりがあるということがあったのでは、これは本末転倒するわけですから、私は私服であってもなるべく慎んでもらいたいことじゃないかと思います。それから消防職員だということがわかると一市民の人々から聞いたのですが、断わりにくいというのですね。勧誘に来られて断わると、どうも火事のときに消してくれないのじゃないかという心配もあるし、断わりにくいのだ、こういうことを取り締ってほしいという希望を聞いたものですから、この際ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  57. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 私どもも御同様な考えを持っております。
  58. 永田亮一

    ○永田委員 もう一つだけ、この機会に消防施設税の問題について、ちょっと消防庁の御意見を伺いたいのですが、保険料を課税標準にして、こういうものをやろうというようなことが確か調査会案にあったと思うのです。ところがこういうものは結局保険契約をしておる人に転稼されると私は考えておるのです。私は消防施設税を設けるということは、消防庁の立場からいわれれば、それはけっこうだと思うのですけれども、会社に余裕があったら、保険料金をなるべく引き下げるという方向に持っていきたいと考えておりますが、その点について伺いたい。
  59. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防施設税の問題は、実はお話にもありましたようにわれわれ消防の立場から申しますれば、消防財源がふえるという観点からだけ申し上げれば、これは大へんありがたいことなのでありますが、しかし特に保険会社からだけそういう税金を徴収するということは、一面には保険行政の面からと、一面には税体系の問題から、いろいろ疑問があるの、研究しておるのだというふうに話を聞いております。ただ現在わが国の保険会社は相当利潤を上げておることは事実であろうと考えられますので、従来も消防に対してはある程度損害保険会社が保険協会を通じて消防協力いたしておるのでございますが、なお消防に対して保険会社が強力に、もっと強く協力するよう一つ進めたいと考えておるわけでございます。
  60. 大矢省三

    大矢委員長 中井君。
  61. 中井徳次郎

    ○中井委員 私あとで入りまして、はなはだ恐縮ですが、重複する点は御指摘があれば避けますが、一、二申し上げたいと思います。この間から資料もいただき、今も火災の記録をいただきましたが、大体終戦後の火災状況を見ておりますと、これは大胆な推定ではあるのですが、大体大都市においては、一応あの戦災以後大きな火災はない、片づいておるような形で、毎日ぼや程度のもの、あるいは二、三戸というのはずいぶんありましょうけれども、大体ない。従って大火というと、大体現在では中小都市の方に移っておるようであります。そこで消防本部がそういう面について、一応過去の実績から見て、統計をお出しになって、どこに重点を置くかというふうなことについては、私はもう大体できておらなければならぬと思うのです。そういう点についてどこに重点を置いて、どういうふうにしてやるかという基本的な考え方がもうできているのか。それから私も実は非常に苦労をいたしましたので、経験があるのですが、中小都市火事を防ぐというのは、そうむずかしいことではないと考えるので、現実には金の問題であろうと思います。金と努力の問題、そういう面についてあなた方はどういうふうな考え方をしているか、水道を完備する、あるいは自動車ポンプを大量に仕入れて、それが通れるような道をがっちりと考えていく。非常に簡単にいくように思うのです。それから木造ばかりの密集地帯については、特に注意を喚起するという点において、あなた方はこれまで何をしておられたのか。どうも基本的な指導について非常になおざりである。それから日本全体の地域から見ましても、大体裏日本に多い、あるいは北海道の函館、小樽等はたびたびあるわけですから、こういう地域については、特に国家的にそういう地域でも設定して徹底的にやるというふうなお考えがないのか、この基本問題について、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  62. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 お話のごとく大都市におきましては、ほとんど大火はないといってもいいくらい消防施設その他都市計画等もだんだんと完備されております。従いまして大火危険性があり、また事実大火があるのは中小の町でございます。先ほども申し上げたのでございますが、中小都市財政的にも十分消防施設が整っていない、さらに町の構成が延焼しやすいような、また消火しにくいような構成になっているという点から、どうしても中小都市大火危険性があるという観点から、従来もそうでございますが、今後も消防施設の充実につきましても、また個々の指導につきましても中小の市、町を中心にここに重点を置いてやっていきたい、さよう考えております。統計から見ましても今申し上げたよう中小の市なり町なりが、非常に焼失坪数が多いという点は、統計上もたとえば六大都市をとって平均してみますと、一件当りの焼失坪数が火災一件につきまして十坪七ということになっております。中小の町で連櫓地区の多いところは、火災一件当り七十七・三坪というふうになっております。この統計から見ましても、中小都市が非常に延焼率が多い、大火になる危険性があるということが言われますので、今後も中小都市なり町に重点を置いてやっていきたい、さよう考えております。
  63. 中井徳次郎

    ○中井委員 統計説明だけで御答弁になっていないと思いますが、それでどういう対策を立てておられるかということをお伺いいたしたい。私の方から誘導尋問ですが、たとえば消防の起債なんかについては、あなたの方で承認するのでしょう。毎年どのくらいの起債を承認されているか、その内訳がありましたら説明していただきたい。
  64. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防起債の許可は自治庁並びに大蔵省において所管いたしておりまして、われわれの方からはむしろ自治庁なり大蔵省に要求する方の側に立っているわけでございますが、今日までの実績を申し上げますと、なかなか思うように要求が通っておりません。三十年度は起債総額一億九千八百万円、それに損害保険会社が引き受けました公募債が一億三千万円ございます。合せて三億二千八百万円ということになっています。そのまえのの昭和二十九年は総額三億六千四百万円余り、その前の二十八年は非常に成積がようございまして、六億二千三百万円の起債額になっています。これは毎年のことでございますが、各市町村から出てきます起債の要望額の約一割程度に当っております。まことに少いのでございまして、われわれも極力これの増額について、自治庁並びに大蔵省に折衝いたしておるよう実情でございます。
  65. 中井徳次郎

    ○中井委員 起債の内訳は二、三年前が一番多くて、だんだんそれが減っておるようなことにはなっておらぬと思います。それがまず第一。あなたは大蔵省と自治庁がやると言っておったが、大蔵省と自治庁が折衝すると、これは消防庁でみなチェックしてもらうのだということで、消防庁でチェックする。それは書類が回っておる。あなた方の力が私は足りないと思うが、少くとも十億くらいやらなければいかぬ。私は実は被害者だから言うのです。消防ポンプ五台買って、個人の名前で判を押して、去年ようやく終りました。そんなばかなことはない。そうしてそれを全国的に見ると、あなたの方は結局のところは、どこからもやかましく言うから平均一割、そういうことでは火災は防げません。もう十分完備されて、財政の豊かなところは辛抱してもらうとか、あるいは火災の多いところは、あなたのところは何号というような表があるのですから、そういうもので強力な措置をしてもらいたいと私は思う。それで今承わりますと全部合せて三億ばかり、そんなことではいけないのです。これは一度けったら、五年や十年は要らぬのですから、毎年々々二億、三億と、言っておるが、要るなら、一年十五億もやったら、少しずつ五年やるのより、効果は五倍になって、実際の額は同じだ、こういう形なんですから、私はこれをほかの普通の起債と同じような列で考えてもらっては困ると思います。こんなものは毎年々々違うわけはありません。それからさらに群小都市においても、できるだけ常備消防を置くこと、それからできればタンクを持っておる消防車を置くこと、そんなことは常識です。だれでもわかっている。そんなものをどんどん奨励してやれば、私はこんな大火は少くとも半減すると思います。そういう意味において、もっと積極的な施策を、具体的なものを出してもらいたい。きょう急に返事をしてくれと言ってもできないだろうと思いますが、これは一つ本年中にでも日本全国の群小都市防火対策というものを、消防の観点から、がっちりやってもらわなければならぬと思います。こんなことを毎年やっておったら、議論しておっても意味はないと思いますが、どうですか。
  66. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防財源の問題につきましては、私どもも常に苦労いたしておるのでありますが、今後御趣旨にのっとりまして、十分努力いたしたいと考えております。
  67. 大矢省三

    大矢委員長 それでは本件に対する調査はこの程度にいたして、なお散会後自治法の改正の問題について、京都府の議会から陳情がございますから、どうぞそのままにお残りを願います。  それでは次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、これをもって散会いたします。     午後零時四十五分散会