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1956-04-24 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十四日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中山徳次郎君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    古井 喜實君       堀内 一雄君    山崎  巖君       加賀田 進君    川村 継義君       五島 虎雄君    坂本 泰良君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君  委員外出席者         專  門  員 圓地與四松君     ————————————— 四月二十四日  委員茜ケ久保重光君辞任につき、その補欠とし  て坂本泰良君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月二十三日  新市町村建設促進法案内閣提出第一三四号)  (参議院送付) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一一号)  地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う  関係法律整理に関する法律案内閣提出第一  二五号)  新市町村建設促進法案内閣提出第一三四号)  (参議院送付)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  新市町村建設促進法案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。太田国務大臣
  3. 太田正孝

    太田国務大臣 ただいま、議題に供されました新市町村建設促進法案につきまして、提案理由並びにその内容概要を御説明申し上げます。  皆様の格段の御努力によりまして町村合併促進法が制定されましてから二年数ヵ月になったのでございますが、幸いにして、国民各位の理解と協力によって、町村合併歴史的事業は全国的に着々として進捗し、すでに計画の八割五分を達成し、約九千六百の町村が現在では約四千三百町村となり約五千三百余町村が減少し、その間に二千に近い新市町村が誕生したのであります。今や大勢は、町村合併促進から新市町村建設の段階に入ったと申してもよいのであります。  申すまでもなく町村合併の本旨は、町村規模を適正ならしめてその基礎を強化し、市町村が時世の進運に応じて基礎的地方公共団体としての機能を十分に発揮し、住民福祉を増進することにあるのでありまして、新市町村が新しい地域基礎としてすみやかにその一体的態勢を確立し、町村合併によって強化された行財政能力を活用してその建設計画的かつ効果的に行い、地域社会発展向上に努め、国民生活の充実と国民経済発展基礎を固くすることが深く期待されるのであります。従いまして、新市町村自身がその建設に自主的な努力をするとともに、国、都道府県等においても協力援助をさらに適切に行い、新市町村建設を着実に進めて参りますことは現下の要務であり、町村合併歴史的事業の成果を全うするゆえんであると存じます。よって、町村合併促進法がこの九月末に三年の有効期間を終えようとするのにかえまして、この際、新市町村建設基本となるべき事項を明らかにするとともに、これに対する国または都道府県協力援助措置を明らかにすることによりまして、新市町村建設促進し、その健全な発展基礎を固めるために必要な立法措置を講じようとするものであります。なお、新市町村建設と関連いたしまして、町村合併に伴う争論を合理的に解決するためにあっせん調停等制度を設けるとともに、町村合併促進法有効期間中に合併が行われない小規模町村に対する合併推進についてもあわせて必要な措置規定し、町村合併完遂とこれをめぐる争論合理的解決を期そうとするものであります。  以下、法案内容につきましてその概要を申し上げます。  第一は、新市町村建設と経営の基本となる事項についてであります。すなわち、新市町村は、基礎的な地方公共団体としての機能を十分発揮して住民福祉を増進するために、その基盤となっている地域の自然的、経済的、文化的その他の特性に即して総合的にその建設計画を進めることを基本として、新市町村計画計画的効果的に実施されるよう必要な調整を加え、特に支所出張所の廃止、統合、小、中学校統合その他新市町村一体性を確立し、組織及び運営合理化に努めるとともに、新市町村建設推進力とするために新市町村に新市町村建設審議会を置くことができる旨を定めようとするものであります。  第二は、新市町村建設計画実施促進に関する国、都道府県及び公共企業体協力援助に関する措置についてであります。すなわち、国は、新市町村に対して、その新市町村建設計画の合理的な調整促進するための補助金及び支所出張所並びに小、中学校統合に伴う補助金を交付するものとするほか、おおむね町村合併促進法におけると同様に、財政上の援助、起債の許可その他国の行政機関の行う処分について新市町村に対し優先的に配慮すべきものとするとともに、郵便局等国地方行政機関所管区域と新市町村区域とが適合することとなるように措置するものとし、都道府県におきましても国の行う措置に準じて必要な措置を講ずべき旨を規定しようとするものであります。日本電信電話公社等も、新市町村建設に資するため電話加入区域変更等措置を行い、国は、これを行うために必要な資金の融通措置を講ずるものとし、新市町村住民の便益をできる限りすみやかに確保しようとするものであります。なお、内閣総理大臣及び都道府県知事は、新市町村建設計画調整または実施に関して必要な基準を定め、または助言、勧告をすることができるものとし、このため及び未合併町村町村合併推進に関する諮問機関として、国に新市町村建設促進中央審議会を置き、都道府県に新市町村建設促進審議会を置くことができることといたしたのであります。  第三は、新市町村建設計画実施促進するための諸法律特例についてであります。すなわち、現行町村合併促進法と同様に、新市町村は、新市町村建設計画に掲げる事業については地方債を起すことができ、また合併関係町村相互の間の公平を保持するための不均一課税をすることができることとし、国は、新市町村に交付する地方交付税算定に当り合併に伴い臨時に増加する行政経費について特別の補正を行うことができるものとし、なお、小、中学校統合に伴い必要な経費についても配慮するものとするほか、国有財産払い下げ特に新市町村基本財産を造成する目的で行う国有林野払い下げについてその条件につき特別の措置規定することとしたのであります。  第四は、町村合併に伴う争論の処理及び未合併町村町村合併推進に関してであります。町村合併をめぐり、新市町村の名称、役場位置等に関して当事者間に協議が進まず、時に争論の因となっている場合もありますので、その円満な解決をはかるため、都道府県知事が新市町村建設促進審議会委員中から町村合併調整委員を命じて、これにあっせんまたは調停を行わせ、さらに特に必要があるときは裁定することもできるものとし、町村合併に関する争論の適切な解決をはかって新市町村の円満な運営に資することといたしたいのであります。  また、いわゆる分村問題が町村合併をめぐる最も著しい問題点一つでありますので、同様に町村合併調整委員あっせん調停制度を採用し、町村合併促進法におけるとほぼ同様に、都道府県知事の請求に基く選挙人投票による境界変更の手続について規定を整備し、分村問題の合理的な解決をはかりたいと存じております。  なお、町村合併促進法が効力を失った後においてもその規模が適正を欠き、町村合併を行うことが必要であり、かつ可能である町村合併を行わないものがあるときは、都道府県知事は、新市町村建設促進審議会意見を聞き、内閣総理大臣に協議して町村合併勧告をするものとし、これについては、都道府県知事が特に必要があると認めるときは、選挙人投票に付することができるものとするとともに、都道府県知事申請により、内閣総理大臣においても町村合併勧告をすることができる旨を規定し、もって町村合併完遂を期そうとするものであります。このほか、男村合併に関して関係市町村申請があるにもかかわらず、都道府県知事処分が行われない場合の内閣総理大臣処分等について現行町村合併促進法に準ずる規定を設けることといたしたいのであります。  最後に、この際町村合併に伴う議員の任期の延長の特例を人口五万未満の市の町村合併に準用することとし、また都道府県知事勧告を受けて市町村を編入する十五万未満の市についても町村合併促進法を準用すをこととするほか、この法律施行に伴い必要な条文の整理を行うために町村合併促進法の一部をこの法律の附則で改正いたしたいと存じております。  以上、提案理由並びに内容の概略を御説明申し上げました。なお参議院においては、町村合併促進法施行前に合併した市町村にかかる地方交付税算定に関する特例期間を、同法施行後に合併した新市町村と同様に取り扱うものとするほか、若干の規定に関する整備をはかる旨の修正が行われました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 それでは本日は説明聴取にとどめ、質疑は後日に譲ります。     —————————————
  5. 大矢省三

    大矢委員長 次に地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案の両案を一括議題として質疑を行います。質疑の通告がありまするので、順次これを許します。北山君。
  6. 北山愛郎

    北山委員 いよいよきょうから地方自治法改正並びに新市町村建設促進法、すなわち町村合併関係地方自治関係法案審議に入るわけでございますが、この際自治庁長官にお伺いしておきたいのです。今御承知のように選挙法審議が行われておる、それから自治法審議が並行して行われる。担当大臣としては同じ自治庁長官がその所管になっておるわけでありますが、一部では、この公職選挙法改正法案のために、地方自治法の方はどうも審議が困難じゃないか、また一部では、政府方面では地方自治法のこの国会における成立はもうあきらめておるというような説も行われておりますので、その点について、一体太田自治庁長官は、公職選挙法地方自治法と、審議上競合しておるこの二つの重要な法案について、どちらを優先的に考えておられるか、一つお伺しておきたいのです。
  7. 太田正孝

    太田国務大臣 ただいまお言葉のように、選挙法自治法とが並行して審議される立場にありまして、どちらを優先するかということでございますが、私としては両法案成立することを望んでおります。特に自治法につきましては私が申し上げるまでもなく、法律が作られて八年になり、しかもこれを改正しようとして二度まで円満にいかなかった、こういう事実を考えると同時に、何といたしましても自治体の今日の姿のままではいけない、あるいはその事務の上におきましても、議会の関係におきましても、執行機関関係におきましても、給与あるいは恩給の通算等関係におきましても、私は急を要する問題と思います。地方財政関係に対していろいろな措置を講じましたが、私の見るところにおきましては、こういう自治法根本的な建前を変えるということは、金額としては地方財政に響く点は少いにいたしましても、根本的にこの行政とこの財政とが並行していかなければならぬものでございまするから、この際皆様方のお力によりまして、自治法が必ず成立するようにお願い申す次第でございます。
  8. 北山愛郎

    北山委員 私ども審議協力するという建前からいたしまして、実はこの国会でも税法及び地方財政に関する法案は、これは予算関係でありますから優先的にというか、順序としては先に審議をして、先週においてすでに財政関係等法案を上げたわけでありますが、今までの状況を見ておりますると、大臣の御出席がこの委員会に対して非常に少いのであります。それがやはり審議が遅延する一つ原因になっておる、こういうように考えますので、今お話の通りに地方自治法のこの国会における成立について大臣の御熱意を承わったのでありまするから、選挙法の方もあるいは大事かもしれませんが、そのために地方自治法が犠牲にならないためには、どうしても自治庁長官が極力この委員会出席をしていただきたい。自治庁長官が非常に多忙であって努力をしておられるということは十分承知しておりますけれども、この法案重要性等にもかんがみて、一つ今後の審議におきましては、特に今までのようなやり方ではなくて、やはりこの委員会にはぜひとも出席をしていただいて、そうしてこの法案審議を進めていただくように、政府としても協力してもらいたい、これを希望しておくわけであります。  それでただいま選挙法とそれから自治法との重要性というようなことを申し上げましたが、私どもから見ると、大臣のお説のように、自治法については、確かにその内容についてはわれわれいろいろ議論がございますけれども、少くとも両三年以前からの懸案でございます。地方制度根本的な改革ということは、これは今日緊要な問題だと思うのですが、それに比べまして公職選挙法の方は、今出されておる政府の小選挙法案なるものは、どうも緊要性がさっぱり感じられないのです。ですから、あわせてこの点に触れてお伺いをしてみたいと思うのですが、今度の政府公職選挙法提案の大きな理由として、政局の安定ということを自治庁長官も申されておるのですが、そうなりますと政局が安定した状態というものは、どういう状態を一体さして長官は考えられておるか。これを一つ大臣にお伺いしたいと思います。
  9. 太田正孝

    太田国務大臣 もちろん申し上げるまでもなく議院内閣制度でございまして、政府の安定した力によりまして国会における運営が円満にいくということが姿であろうと思います。現在におきまして両党が二大政党となって、小会派もございますが、動いております。けれども選挙の過去の結果から見ましても、中選挙区下においての状況でございますので、私どもとしては政局の安定をするのに、選挙の方式といたしまして、小選挙制度によることが最も適切であると考えたからでございます。なおお言葉の中にもございましたが、自治法についても、重要性ということにつきましては、もちろん私はこれを強く考えているのでございまして、財政関係の法規が通ったといたしましても、根本の問題は、何としても基礎になる自治法にあると思うのでございます。従って質の上においての問題もあるかもしれませんが、私の所管する仕事としては、選挙法と並んでともに重要なものである、かように考えておる次第でございます。  なお出席の悪かったことについては、私の不徳として、また不手ぎわとしておわび申し上げておきます。何としても一つのからだでございますが、しかし私としては精一ぱい努力をいたして皆様方の御恩顧に報いたい、こう考えております。
  10. 北山愛郎

    北山委員 ただいま政局安定のために小選挙法案が必要である、こういうお話ですが、私のお尋ねしておるのは、政局安定のための選挙法改正である、そうしますと、一体政局の安定というものは、どういう要件を備えていなければならぬか、大臣はどのようにお考えであるか。それからあわせて現在の政局としては、一体不安定であるのか、あるいは安定しておるのであるか、不安定であるとするならば、どの点が不安定の原因であるか、これを一つ御認識は十分あると思いますから、伺っておきたい。
  11. 太田正孝

    太田国務大臣 現在における二大政党対立しておるという姿は、これは申し上げるまでもございません。しかし中選挙区下においての対立でございますので、今までの中選挙区が私どもの観念するところにおいて個人本位であって、政党本位でなかった。これはことに選挙制度調査会答申にも第一項目として掲げている問題でございまして、どうしてもこの点を改めなければならぬ。かりにここに今までの中選挙制度をやりましたならば、またもとの四つの、社会党左派、右派、あるいは自由党、改進党等と分れておったときのような関係になっては困る。安定をするのについては、選挙制度にまず第一にその手段を求めなければならない、こういう状況にあると思うのでございます。私はこういう意味におきまして、小選挙制度こそ、かような状態を適正化する手段である、かように考えておる次第でございます。
  12. 北山愛郎

    北山委員 私のお聞きしておるのは、現在の状態政局が安定しておるのか、不安定であるのか。不安定であるとすればどこが不安定であるのか。ことにこの選挙法提案理由の中に、政局を安定して多数党が政府を持って、いろいろな政策を実行に移していくということを言われておるのですが、今は多数党が内閣を組織してそうして政策を実行していく、このために何か障害でもあるのかどうか、それをどしどしやれるような事態ではないというのか。私どもからいうと、現在政局が不安定だ、安定しなければならぬという事情が、どうも選挙法の中にはないように私は率直に申して考える。ですから小選挙法案を出したその根本の大きな目標というものの緊急性というものについて、私は率直に申して疑わざるを得ないのであります。この点を明らかにしておいていただきたい。
  13. 太田正孝

    太田国務大臣 過去数年来の政治の動きは今さら申し上げるまでもございません。小党分立いたしまして、政局が不安定でございました。苦々しい事件さえ国会に起ったことの記憶も残っております。その当時からそれにつながって世間一般に言われたのが、政局の安定という言葉でございます。従って政局の安定しなかったこの数年来の事実が二大政党成立という形になったが、選挙法は中選挙時代選挙法でございまして、将来これが安定していくという意味におきましては、この際にどうしても緊要性をもって政局の安定を、この数年来忘れることのできないような不安定の事態を、また苦々しい国会における事件も起ったようなあとにおきまして、世論は小選挙制度をもってすべし、よって選挙制度調査会においてもその趣旨における答申があった次第でございます。従って政局安定、かりに今二大政党になっておりましても、選挙法基礎というものは中選挙区になっておりますので、将来におきましてこの点を考えてみますと、この数年来起った政局不安定、それにこたうべき選挙制度としては、小選挙制度をもってすべしというのが、私の聞いた、選挙制度調査会答申もしかりであったし、世論もそうであった。政府はこの意味におきまして、今回小選挙制度提案した次第でございます。
  14. 北山愛郎

    北山委員 くどいようですが、私のお聞きしておるのは、現在の政局は安定しておるのか、あるいは安定していないのか、これをお伺いしたいのです。
  15. 太田正孝

    太田国務大臣 現在二大政党成立しておりますが、その成立基礎が中選挙制度にあります限り、また再び個人本位選挙が行われてはいけない、こういう意味から考えられたのでございます。
  16. 北山愛郎

    北山委員 中選挙制度のもとで二大政党対立というような、これは人によっては意見が違うかもしれませんが、いわば待望しておる姿が現出をしたわけなのでしょう。だから中選挙区制のもとにおいて、現在の選挙制度のもとにおいて、いわば二大政党対立というような姿が現出できるのです。実際にこれは証明されておるわけです。しかもこの国会の初めあたり、いわゆる昨年の秋に保守合同ができ、社会党の統一ができて、いわゆる保守対革新の二大政党対立時代になったときに、世論は何と言ったかといえば、今後はこれは政策によって争うのだ。三つの勢力が政策本位でやるのだということを言って、この国会の初めあたり言論機関はこの両党の政策対立ということを中心として取り上げてやっておった。ところが今度政府が小選挙法案を出すと、がぜん政策などはどこかにふつ飛んでしまった。行方不明になってしまって、この選挙制度というものが中心になって、逆に政局が不安定になってきておるじゃないか、むしろ政局としては安定したものを、小選挙法案なるものを出すことによって、政局の不安定を起させようというふうに、皮肉ではありますが、実際の現実動きを見ておりますと私には、そうしか見えない。しかも小選挙法案がもしできたとすれば、あるいは公認候補と非公認候補二つ候補にそれぞれの党がなるのかもしれないのですから、そういうようなこともこれは理論的には言えるのであって、必ずしも小選挙制度になったからといって、政局の安定あるいは二大政党対立という形が約束されるとは限っておらない。そういう証明はどこにもないのです。むしろ現在までそういう制度ではなくて、実際に国民の政治意識なり、あるいは政党人の自覚なり、そういうものからここまで持ってきたものを、ぶちこわしにしてしまう、私はそうしか考えられいなのですが、一体現在政局が安定しておるのか、不安定であるとすればどこを直せばよいか、これをお伺いしたいのです。
  17. 太田正孝

    太田国務大臣 だいぶ私とは意見が違うようでございますが、二大政党のでき上る前のときに世論は何と言ったかといえば、やはりこれを支持して国政を発展していくためには小選挙区でなければならぬというのが、私の見た世論であったと信じます。お言葉の中に政策云々ということがございましたが、これこそ小選挙制度のねらいでありまして、今までの個人本位、人を主とした選挙——党を掲げましても、その党の中で、同じ選挙区において一人でない、数の多い候補者が立ちまして、その候補者の人を主として選挙が行われました。今お言葉にあった政策本位というのは、これこそ今度の小選挙制度の最も大きなねらいでございまして、かかるがゆえにこそ政党に対しまして選挙運動をいたしますとか、あるいはその他の点につきましていろいろな問題を加えております。ただいま御指摘になりました公認候補の問題につきましても、今までにない新しい方策によって小選挙制度の骨とし、それを中心の柱としてやっておる次第でございます。私は現状におきましての問題と同時に考えねばならぬのは、安定というのが選挙方策によっていかに出るかということが、選挙区制の問題であると信じます。その安定が今までの小党分立した過去の現実なり事実におきまして、中選挙区においてのことと、これからわれわれの見ようとする小選挙区、しかも大正八年のときに行われました小選挙制度と違いまして、あの当時におきましては、政党の力というものが選挙法上においては強く出ておりませんでした。原内閣の有名な小選挙制度でございますが、実質上は非常に違っておるのでございます。今回の選挙法政党を主とした、政党に主力を置いた選挙法であります点も、政策ということに中心を置いていきたいのである。ただ二大政党ができたという現実の事実がございますが、これが発展育成していくためには、政党そのものにおいても御研究になる英知が働かれることと思います。同時に今の選挙法、中選挙制度のもとにおいて、再び小党分立の日が来ましたならば、これこそわれわれの最も憂うるところである。従って選挙制度を改めることが、しかも各国の現状におきましても、これはもちろんその国の体制とか、あるいは習慣性とか、民族性等がありまするが、どこの国におきましても、比例代表制、大選挙区もしくは中選挙区によったものに小党分立がある。小選挙区によったものにおきまして、このことの憂いが少い、こういう事実を見まして、私どもは歴史的事実といたしましても、日本の現状といたしましても、かりにある二大政党というものが、将来ますます二大政党として発展していくためにも、小選挙制度が必要である、かように考えておる次第でございます。
  18. 北山愛郎

    北山委員 私のお伺いしている点には直接にはお答えにならなかった。私は今度の選挙法提案理由の大目的であるいわゆる多数党が内閣を組織して、そしてその責任において政策をどしどしやっていくという形、それは現状でなぜできないのか。できるんじゃないか。今三分の二に近い多数を擁して、その与党をもって掲げている政策をどしどしやるのに何の差しつかえがあるか。どんどん政策をおやりになっていけばいいじゃないか。これに対して野党である社会党は、その政策をどんどん国民に訴えていくということで、政策の面で対決をしていくのに何の差しつかえがあるのか。何かじゃまがあるのですか。何かできないことでもあるのですか。
  19. 太田正孝

    太田国務大臣 重ね重ね私が申します通り、二大政党の育成発展のためにも、現在の選挙制度においては、いつの日において安定するかという憂いをだれも持つことと思うのでございます。現状においても、政策についてはもちろん相争うことでございましょう。私の見る二大政党とは、もし政変がありましたときには、野党たるものがいかなる政策を持っているということを国民が率直に判断して、政局の転換ということが楽に行ける制度こそ小選挙区制であると、私はかように思っているのでございます。選挙制度というものは、こういう意味において確固たる政党動きというものをきめなくてはいけない。この点は私は確く信じているのでございます。
  20. 北山愛郎

    北山委員 私のお伺いしているのは、現在の勢力分野において、政府が多数党であって、政策もちゃんと掲げている。それをどんどんやっていくのに何の差しつかえがあるか。また二大政党がそれぞれの政策において国民に訴え、政策中心として活動をするのに、今の選挙法で何のじゃまがあるか、そういうことをお伺いしているのです。
  21. 太田正孝

    太田国務大臣 現状におきましては、両党とも互いにしのぎを削って政策を議論するでございましょう。また政府としては思うところを実行したいと考えるでございましょう。しかし選挙制度という国の制度の方式につきまして、この際考えておくということは、二大政党がますます発展して、ますます育成していくためにも必要であるということは、当然の議論であると私は思います。
  22. 北山愛郎

    北山委員 どうも私の質問にまっ正面のお答えがないのでございまして、その点は非常に残念でございます。私は現在の政局の不安定の原因は、選挙制度にはなくて、むしろ与党の内部、あるいは政府の内部にあるもの、たとえば今の鳩山総理が暫定的な総理であり、近いうちにはやめるということが予定されているような総理を頭にいただいている。そこに政局不安定の大きな原因がある。あるいは政策の行き詰まりがある。あるいは内部の不統一がある。そういうことが政局の不安定だと思うのです。それを選挙法改正によって補強していこう。いわゆる公認制度をとることによってやっていこうというところに、このねらいがあると私は思うのであって、そういうことになれば公認、非公認というようなことで、政党の内部規正というものを法の裏づけによって補っていこうというようなやり方は、政策とは遠いですよ。公認になるか非公認になるかというようなことは、人事関係であって、そこには親分子分の関係、いろいろな情実因縁というものが支配して公認、非公認がきまっていくのであって、そういうふうな党になれば、これは政策の党ではなくて、一つの利益集団であるという政党の今までの悪い点がますます助長されていく、こういうふうに思うのですが、この問題は選挙法の問題でございますから、あまり深入りはいたしません。いずれにいたしましても、私はこのようなばかばかしい小選挙法案のために、地方自治法あるいは町村合併等の法案審議が阻害されるということに対しては、どうしても反対をしなければならぬ。そういう意味において、今後どしどし自治法関係審議を進めることに協力をして参りたいと思います。  ただいま新市町村建設促進法説明がございました。あわせて地方自治法の一部改正提案されているわけでありますが、私はこの地方自治法改正の前提として、町村合併の今までの実績というものをその根底に置いて、今後地方制度をどうやっていくかということを検討する前に、その前提としてどうしても町村合併というものがこの二年半の間に進んで来た実績を、ここで検討してみる必要があると思うのです。いわゆる基礎的な団体である市町村合併が、一体成功したのか失敗したのか、これをどう評価するかということが、まず前提とならなければならぬと考えているわけでありますが、自治庁長官は今までの町村合併というものが成功であったか失敗であったか。これは世論の方もあまりほめたような議論はないのです。いろいろごたごたが起って、マイナスの面の指摘が相当ありますが、これはうまくいっているというような世論をあまり聞かない。そこで私は大臣にお伺いするのですが、一体大臣は今までの町村合併がうまく行われ、これはプラスであるというふうにお考えでございましょうか。
  23. 太田正孝

    太田国務大臣 町村合併の問題は、いわば地方自治における革命の問題と申してもいいかと思います。この意味におきまして、町村合併促進は、全国に展開されまして、数字におきましては八割五分という数字を示しております。しかしうまくいったかどうか、こういうことにつきましては、お言葉のような非難も承わっております。私といたしましては、八割五分という数字よりも、実体的にこれがなわ張りを広げただけでなく、中身が沿っていかなければならぬ、こういう意味におきまして、今回新市町村建設ということをねらいとして、なわ張りの中の中身をつけていく、それをりっぱなものにしていく、こういう建前におきまして、従来の三年間においてなわ張りだけはできたが、どうも悪いという点などを改めてもいきたいし、すくすくと伸びて自治の基本政策を固めていく、こういうことを望んでいる次第でございます。現状に対しまして、なわ張りは広がったが——八割五分という事実でございますが、これを直すにつきましては、あるいは財源の問題もあり、あるいは調整の問題もあり、各種の問題もあるわけでございます。今回御審議をお願いたしますのも、その育成ということ、建設ということがねらいでございますが、私は、現状が、ただなわり張りは広がったが、まだ十分でないという事実も、北山さんと同様に認めなければならぬと考えております。なおこまかい事情につきましては、行政部長から御説明申し上げることにいたします。
  24. 北山愛郎

    北山委員 町村合併は、ただいまお話の通り量的には非常に進んだわけでありまして、量の方の成果を上げようとして大いにがんばった。自治庁の事務当局としては、これは成功だと考えておるかもしれぬ。しかし残念ながら町村合併をやったところの新しい市町村住民あるいは理事者も議会も幻滅を感じておるというのが、私は実態ではないかと思うのです。いろいろの話を聞いておりますけれども合併してよかったというような話はほとんど聞かない。初めは合併すればいいのだということで、いろいろたきつけられてやってみたが、すっかり失望したというのが全国的な傾向ではなかろうか。この前この委員会で自民党の生田委員お話もありましたが、合併したところが、そういうふうな住民が、この町村合併について不信と失望を持っている。この事態については、大臣はどのようにお考えですか。
  25. 太田正孝

    太田国務大臣 長い慣習と長い生活環境にありました町村合併するということは、なみなみならぬことであると思います。八割五分、ここまでこぎつけたとはいいまするが、私が申し上げるように、なわ張りがそこまで行ったのでございまして、中にまだ苦情がある。あるいは分村問題とか村の名称問題とか、一ぺん入ったがまた別れ話をしようとか、幾多の事実も私は聞いております。けれども明治年間から始まって、長年のこの町村を直すという問題につきましては、やはり精魂をかけて一生懸命にその内容を充実し、本来の目的に進まなければならぬと私は考えるのでございます。
  26. 北山愛郎

    北山委員 ただいまのお話でございますが、なぜ一体住民が失望し、不満であるか。これは何もただ長い用の伝統の町村がなくなった、新しくできたのだからそこに当然不満と失望が起ってくるのだというわけではなくて、やはり一つ理由のあることだと思う。たとえば新市町村建設計画というものを作るように、前の促進法にございましたし、合併関係市町村が一緒になる協定条約、それを目標として、夢として、その旗じるしのもとに合併をしたのです。ところがさっぱりその建設計画が行われておらない。渋滞している。また税金が安くなるのだ、これも一つ理由だったのです。合併すればいろいろなむだな経費が省けて、税金が安くなると思って合併したところが、逆に税金が高くなった。合併した結果が赤字がふえた。もとあった財産はどんどん処分をしてしまって今までよりも赤字がどんどん表に出てくる。それ以外人事上の争い、勢力争い、いろいろな紛争問題、ごたごたが至るところに無数に発生しているのです。こういうふうな事態を見たときに失望する方が当然だと思うのです。その失望がそういう理由によって起ったとするならば、大臣はやはりその失望なりあるいは現在の合併した市町村住民の絶望に対して考えなければならぬ。ただ前に進めていくだけでは足らぬと思うのです。それに対してはどういうふうに措置するお考えですか。
  27. 太田正孝

    太田国務大臣 三年間の実績は八割五分でございますが、何と申しましてもまだなわ張りをきめたばかりのものもございますし、この問題は広くいえば、日本国内の府県、市町村あるいは道州制の問題にもからみまして、交通の発達あるいは文化、経済あらゆる面からいいまして、新しい日本が立っていくにつきましては、この合併というものは必須な条件であると思います。その条件があるのにもかかわらずうまくいかない。先ほど御指摘になりましたような税はどうだとか、よくもならないじゃないかといういろいろな問題がございます。現状におきまして、たとえば議員の数を一緒にして減らしたにいたしましてもまだ相当ございますとか、あるいはこれを実行するについての機関の問題もまだはっきりしておりません。あるいは農業団体の問題もありましょうし、幾多の問題がありましょうが、やはり日本の基底となるべき市町村基礎を固めなければならぬという事実に基きまして現状の悪い点はどこまでも直していかなければならぬ、かように考えております。われわれの考えました今回の建設のための方法も、こういう意味において前進していこう、こういう考え方でございます。
  28. 北山愛郎

    北山委員 新しい市町村建設していくためには、このようないろいろなごたごたとかマイナスのものはこれを打開していかなければならぬというのですが、大臣は一体市町村をどういうふうに持っていくお考えですか。これは町村合併促進法が昭和二十八年に参議院発議で審議をされた当時からの疑問なんです。というのは、その新しい市町村というもの、特に町村は大体人口が七千ないし八千くらいを標準として、そこのところまで弱小町村を引き上げるのだというような七、八千という言葉がございますが、これは昭和二十五年でしたか、地方行政調査委員会議のいわゆる神戸委員会の結論に基いたものだ。ところがその後の合併は必ずしもそのものさしによっていない。多々ますます弁ずというわけで、どんどん大きな市町村ができてくる。一体どういうふうな基準をもってすれば最も合理的であるかということについて、大臣はどのようなお考えか。どこに持っていくお考えか。
  29. 太田正孝

    太田国務大臣 御質問の趣意は新市町村規模というようにもとれましたが、基本的の考えといたしましては、自治の精神にのっとって民主政治がしっかりと地について行われる基盤になるのは、何としても市町村でございますので、その文化、経済、社会の立場から申しまして、適当なる程度でいこうと初め八千という企画が唱えられたのでございますが、だんだん合併していった経過を見ますと、一万二、三千見当が現在の状況ではないか、かように見ております。なお私の数字も少しはっきりしませんから、行政部長からちょっと説明させていただきたいと思います。
  30. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 市町村規模をどう考えるかという問題は、きわめて基本的な重要な問題でございますが、今お話の通り、町村合併促進法の考え方では、とにかく八千に満たぬようでは現在の町村行政を十分に果し得ないのではないかという基本的な考え方で考えております。そこでそれに満たぬ町村を合理的に再編成しようということで合併が行われているわけでございまして、今お話のように、おのずから市町村としてみればその地勢、産業、交通、人情その他いろいろな客観的な諸条件がそれぞれの地帯にあるわけでありまして、大きければ大きいほどいいというものでもない。自治団体としてのまとまり、一体的な気持というものは当然必要であろうと思うのでございます。それで、現実合併計画は、ところによっては二、三千多いところもあり少いところもありますが、そういう形で合併が進められておるのでございます。そこで地勢その他の関係でほかに統合のしようがないという地帯も現実の場合としてあり得るのでございまして、そいううところはもう少し大きな規模でまとまっておる。特に新市などはそういう形で大きくまとまっておるところもあるだろうと思うのでございます。これはそれぞれの市町村一つの客観的な条件を基礎にした結びつきでございまして、われわれといたしましては、現在の市町村行政上の現状基礎にいたしまして考えますれば、おおむね今の全体の動きは妥当な線で動いておるのじゃないか。個別的にはいろいろ問題があり得るものはございますが、大筋といたしましては適正な考え方で、少くとも規模の上におきまして進んでおるのじゃないか。多々ますます弁ずというような形式的な考え方ではわれわれは物事を考えてはおりません。
  31. 北山愛郎

    北山委員 大臣の御答弁も行政部長の答弁もどうも一向にものさしがない。単に市町村規模はその土地における地勢なりあるいは産業、文化、交通等の客観的な条件にはまらなければならぬということをおっしゃったのですけれども、それ以外にあると思う。やはり財政能力もある。それから一体市町村はどういう事務をやっておるか、その事務配分の問題があるでしょう。そういう性格からくる限界もあるはずなのです。そういうこともあわせ考えて市町村はどういう規模が適正であるかというふうなことに対する基準がない。そして基準がないままに指導している。指導が実際にはできない。できないから、現実の紛争が起ってきたときに、たとえば神奈川県の泉地区あるいは名古屋の場合、政府の方に問題が持ち込まれてきたときにも、こうすればいいのだという裁断が下せない。これはみんな町村合併でごたごたが起きたところでは言っている。これは県の合併計画だから合併せよと言われる。しかし合併すればいいのか悪いのかという意見を聞けば、こういうわけだからいいのだということを言ってくれる人がない。県の地方課へ行ってもそんなことを言ってくれない。自治庁に行ったって、まあまあ両方の納得の上にというようなことを言っているので、できたものが正しいという非常に現実論、リアリズムなのです。ものさしがない。ものさしがなくて指導することができますか。今度の新市町村建設促進法案でも、内閣総理大臣勧告するなどというようなことを言っておりますが、勧告する以上はものさしがなければできないはずなのです。何も合理的な基準なしに、ただ権力的に勧告をするというよなことは、合理的な行政ではないのじゃないですか。
  32. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 合併に合理的な基準がないとおっしゃいましたけれども、それは団体ですから、一万でなくちゃいかぬとか八千でなくちゃいかぬという形式的な基準は必ずしもあるべきものでもないと思う。しかしながら町村合併促進法に大体町村合併の基準をはっきり書いございまして、今の三条にございます市町村規模、それをわれわれといたしましてはものさしの基準にして、物事を進めているのでございます。しかし現実町村合併をする場合に、かりに四千の町村二つ並んでおるとは限らぬのでありまして——そうなれば合せて八千になりますが、五千のものもあり六千のものもあり得るのでございます。そこで実際の基準をそこに置きながら具体的な合併計画を現地に即してやれば、ところによっては一万数千になるということもあり得ると思うのでございます。われわれといたしましては、そうした基本的な考え方で、現地の実態に即するような合併計画を具体的、現実的に作るということで参っておるのでございます。泉の例とか名古屋の例とかおっしゃいましたが、これはそれぞれ特異な事例でありまして特異な事例につきましては特異な事例に即するように事を考えるべさものだと存じております。合併について利弊があるとかないとか、聞きにいってもわからぬとおっしやいますけれども、これは必ずしもそうじゃないのでありまして、そういう具体的の非常に問題のあるところにつきましては、抽象的には話がつかぬこともありましょうけれども現実合併の利弊につきましては十分に——といえば語弊があるかもしれませんが、だんだん理解され、納得され、それで現に合併が進められている。先ほどいろいろ新市町村について問題があるとおっしゃいましたが、問題があるところもあるのは事実ですが、りっぱな成績を上げておるのも事実でありまして、着々と建設の歩みは進められておる。これをさらに積極的に進むべしというので、われわれは物事を考えておるのでございます。
  33. 北山愛郎

    北山委員 小林さんにちょっとお尋ねするのですが、この町村合併のいろいろな実績についての資料を、私は数回要求しておるのですけれども、さっぱり出してくれない。たとえば、合併市町村の赤字の状況はどうだ、税金の変遷はどうだ、あるいは財産処分状況はどうだ、分村の問題はどうだ、いろいろ資料を要求して、出すとお約束になったはずです。それがなぜ今まで出てこないか。建設計画についても資料をお願いしたはずです。なぜ出してこないのですか。
  34. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 促進法の審議も始まりますし、みな手元にあるものはそろえて印刷して、差し上げます。
  35. 古井喜實

    ○古井委員 今日は私お尋ねしないでおこうと思ったのですが、先ほどの北山さんの一般論に関連しまして一、二点伺っておきたいと思います。非常に基本的なことなんでございますが、今新市町村建設促進法案が出て参りました。また地方自治法の一部を改正する法律案内容等を拝見いたしますると、どうも私出さずもがなという気がしてしようがないのでございます。町村合併促進法というのは、参議院の議員発議で出しまして、衆議院が満場一致で賛成いたしました。その内容といいますと、国民主権というか地方自治を尊重して、あくまで新しくできる合併問題についても、住民の自由意思であるという考え方がずっと貫かれております。そして、これが実施されましてから新市町村ができまするが、約二年半でございます。大体最初は三年ということでありまして、九月の終りでありまするか期限がくるのでございますが、御説明を伺っておると、八割五分までできた、形においては私は非常によく進んだと思っております。大成功だと私は考えております。よくも二年半でこうまでできたと実は考えておるのであります。それに追い打ちをかけるようにして、どうしてこういう法案が必要であるのか、どうも政府のやり方を見てみますると、これはおしかりを受けるかもしれぬが、百の事象がありまして、そのうち一、二件非常に問題になる。そうすると、その一、二件を大きく取上げて制度改正をやる。どうも立法と行政の混同じゃないかと思うのです。私ども議員からこういう法案を出すならなんでありますが、行政といたしましてはあの通りました町村合併促進法について、もっと努力して、これまで非常によかったのでありますから、さらに努力する。九月三十日でいけなければ、少し延ばしていくという形が望ましいのじゃないか。どうも最近は何でもかでも法律でやってしまう。これは考えようによりましては遺憾な現象だと私は思うのでありまして、行政的な措置ができないために、すぐに立法に振りかえる。これもいろいろあります。この問題については言いたいのでありまするが、まず第一にこの点についてなぜ太田さんはあわてて新市町村建設促進法案というものをお出しになったのか。八割五分までいったらけっこうです。私はそういうふうに考えるのですが、どうでございますか。
  36. 太田正孝

    太田国務大臣 お言葉のように、自治体の発展というものは、自主的にやっていかなければならぬ。それがまた自治の本来の面目であろうと思います。それならば、八割五分いったところで、なおこのままでやっていっていいじゃないか、従って法律などによらずに待っていたらどうか、こういう御意見もございますが、私どもその点につきましては相当練りまして、うっちゃっておいてはずるずるになる傾向もあるではないか。またさりとて法律によってむやみに国家の権能を現わしてやっていこうというような考えはございません。あるいは今回の自治法におきましても、あるいは建設促進法におきましても、総理大臣の権限がどうとかいうような問題はございますが、これがよくいくようにという意味でございまして、いわゆる国家の権力をもってどうこうしようという意味ではないのでございます。それでこの法律におきましても、あるいは補助の問題とか、あるいは国有林野をどういう財源に使うかという問題は、どうしても法律事項でなければならないので、そんな点につきまして、しかも各省とも関係の多い仕事でございますから、名省の了解も得まして、自治を押える意味法律でなく、自治を伸ばしていくという意味におきまして、法律事項の必要なる部面を抜きとって、今回法案にしたわけでございます。ゆっくり待っていくのがいいじゃないかというお考えも私は拝聴いたしましたが、現状におきましては、どうしてもいろいろな面におきまして、この法案の中に盛り込まれておるような程度においては、少くとも自治の発展のために、合併町村を育成、建設していくために必要な事項を盛ったにすぎないのでございます。
  37. 古井喜實

    ○古井委員 今のお話は少しおかしゅうございますよ。私が申し上げたいのは、そういうことならば、現在のあの町村合併促進法案をまず政府が責任を持っておやりになったらどうですか。あの中には政府の予算に関係するものがたくさんございます。それはちっとも政府が出さぬからうまくいかない。例の国有林野の問題なんかそうでございます。それさえできずに、行政力の弱さ、まずさをすぐに立法に振りかえるというこの建前について、私はお尋ねをしておるのです。これは地方自治法でもそうです。何百万以上の府県においては、部はなんぼ、百五十万以上の府県はなんぼ、こんなところまでどうして政府が干渉するのです。これは住民が自分の判断でやればよろしい。そういうふうに乱暴をやる知事なら、この次の公選のときにそれを落せばいいのです。私はやはりそれを待たなければならぬと思う。今町村合併で八千だとか何だとかいう議論が大へんありましたが、八千などというのは理論的な根拠がないことは、この前の討論のときにも明らかにされました。大体常識的に八千というのであります。しかし昔の市町村を見ますと、何百万の市から、神奈川県の足柄郡では非常に小さい村もあります。それでも六十年そのままやっておるのです。そういう住民の自由意思を十分にそんたくしなければならぬ。二年半やって、あれはできぬ、工合が悪い、また法律でやったらどうかというのは、私は裏から見ると、功名心というふうなものもその中にちょっと入っているんじゃないか。民主主義、自由主義というもっと基本的な立場に立って考えてもらいたい。私はこの二つ法案について特にそのようなことを考える。最近法律でやれば何でも民主主義、自由主義でいいと言いますが、私は実際は必ずしもそうではないと思います。あの一九三三年にドイツでヒトラーが天下をとりましてから、二、三年の間に何百という法律ができました。そうしてこれこそ民主主義だというので、みんな法律でどんどん押えた。内容を見ますと非常にこまかいことまで規定をしておる。私は最近の政府のやり方を見ますと、毎年議会に百数十の法律を出します。そうして法律が通ったから、法律が通ったからというので、民主主義、自由主義の基盤をどんどん変えていく、それをゆすっているという形が見える。人の判断というものは間違いもありましょうから、町村合併ができかけたら、また意見があってガタガタなったという分村騒動、それはあります。それは一万近い町村であったのですから、百や二百はあっても当りまえだと私は思うのですが、そのためにまた法律を変えてしまうというふうなことはどうか。これは非常に素朴な質問なんですが、こういう形でいきますと——しかもそれが議員から出す法案でありましたなら私はいいと思います。政府がその点についてどうだということならいいと思います。政府が自分でやるのですから。ただ二年半——あなたは先ほど革命と言われた。革命でもけっこうです。しかしそれならもっと時間をかけるべきだ。二年半で欠点があるからまた直していこうというのは、どうも私は基本の点においてわからない。われわれの立場からすると、町村合併促進法案のあの内容をそのままもっとすなおに政府にやってもらいたい。あのままで努力をしてもらいたい。不自由な面があってもそれをやるというのが、行政機関の責務だろうと思うのであります。これは法律案を出してすぐ直すというふうなことでは、議会があるごとに、一部改正法律案、一部改正法律案ということでいろいろな改正が出てくることになる。地方自治法の一部改正法律案でもそうであります。中を見ますと玉石混淆であります。こういう形は実際どうでしょうかね。私は自治庁なんていうものは非常にひまであるのが、日本の政治がうまく行われている証拠だと思います。自治庁が忙しいというのは少しおかしいのであります。ほんとうの姿でない。そういう面から考えて、なぜこういうものを急いでお出しになるのかわからぬ。特にきょう御説明になった新市町村建設促進法案というものについては、私はこんなものは要らないと思う。これがないとどうしても困るのだということがどこかありますか。人口四千の村を四年や五年残しておいて日本がどうして困るのです。その住民の判断に待ったらいいじゃありませんか。私はこういう画一主義というものについては政治の基本から考えて大いに議論がございます。その点についてさらに太田さんの意見を伺っておきます。
  38. 太田正孝

    太田国務大臣 私は法なき世の中が一番いいと思います。ことに私は法律の方は非常に未熟でございまして、法三章の世の中をこそ昔から考えておるのでございます。法なくして行けることはけっこうでございますが、なぜそれでは議員提案でなく政府の方でここまで手を加え法律を作ったか、こういうようなお言葉だろうと思いますが、私は促進法そのものも、合併促進する法律というものと、できたものを建設するという問題とは、これは二段に考えておったのでございます。合併したものを建設していくという意味におきまして、今回御審議を願うつもりでございますが——もちろん人口四千の村はうっちゃっておいてそのまま行ったらいいじゃないかということも、これは合併問題の根本になりますが、この前の法律は、私がちょうどまだ国会におりませんときですが、この法律そのものにおいても、「おおむね八千人以上の住民を有するのを標準とし」とありまして、しまいの方においては「その規模をできる限り増大し」となっておりますので、見ると、矛盾というよりも、発展性を大いに考えた法規になっております。こういう点につきまして、手を加えて大きさをきめようというのでなく、大体目安をしたことだと思います。その目安をしたものに合併促進法がありましたが、そのできたものをさらに伸ばしていくために、建設のための法規を作るということは、目的とした、合併してできたものが、すくすくと伸びていくために私は国が考えてもいいじゃないか、かように信ずるのであります。本法案を出した理由もまたそこにあるのでございます。決して法律でもってあるいは権力をもって自治という尊いものを汚そうとか、そういう意味では断じてないのでございます。こういう意味において、促進法には建設に必要なものは吸収しておりますが、建設のために国家としてやるべき点を考えたにすぎない、かように思うのでございます。なお詳細は部長よりお答えいたします。
  39. 古井喜實

    ○古井委員 今のお話で私わかりましたが、長官町村合併促進法案の内容を十分にそしゃくされておらぬのではないかと思うのであります。あの中には、新しい町村ができましたら、それを育成するための条文もちゃんと入っているのです。たいえば役場を一つ作ると、そのためにはときに起債を設けるとか、道路をその間につけるためには優先的に考えるとか、あるいは私がいつも申しまするように、電話の統合だとかなんとかいうものについては、電電公社が優先的にやるとか、郵便局の集配区域変更等についても郵政省は極力努力するというのがちゃんとある、やっておらぬだけなんです。ですから私はこういうことをお導ねするのです。これが一つ。  もう一つ、私は民主主義というのはそう能率的じゃないと思う。これは民主主義の基本的な欠陥なんです。だからといって、その能率的でないそのものをやはり忘れてもらっちゃ困ると思うのです。これは能率的にする方がいいんですよ。いいことにきまっていますが、そのために民主主義の基盤がゆさぶられるようなことがあっては大へんだと私は思うのです。そういう意味で、何でも国会で通れば、府県も市町村も——民主主義というのは、やはり下から積み上げていかなければいけない。市町村議会、府県議会、そういうものに十分な議論もさし、十分な機会を与えてやらなければいかぬのに、何でもかんでも上から勧告しろ勧告しろといってしまうというのは、私は非常に危険だと思います。もちろん四千の村をそのまま永久に残して置けとはいいませんが、残りたいという町村については十分審議期間を与えて、四年、五年放っておいたら、やはり大きい方がいいわいというふうな判断をするように、時を与えないといけないと思うのであります。中には断食をされる方もありましょう。私は今の政府のやり方は——この間実はこういうこっけいな話があったのです。ちょうど今特定郵便局長が政治活動ができるかできぬかというような問題がありますので、それに関連して私は申し上げるのですが、特定郵便局は日本全国で何千とあります。その中でかぎをだれが持っておったかということが、犯罪の一つのキイ・ポイントになりまして、そのかぎをだれが持っておったかわからぬために犯罪がはっきりしないというので、郵政省がかぎ授受簿というのを作れという何か政令か規則を出しまして、そこで三等郵便局長さんは、外出するときに奥さんにかぎを渡すのに、かぎ授受簿に判を押してから町に出るのです。そういうふうな規則的なも  のが最近非常に多い。私はこの自治法についても新市町村建設促進法案内容についても、そういうおせっかいが非常に多いように思うのです。一万近くの村を三千か二千にしようというのですから問題はありまよ。しかし行政上のしんぼうと忍耐でよく説得してやるべきであって、たった二年か三年たって——まだ九月の三十日まであるのです。私どもに言わせれば、時限立法みたいなものは、半年なり一年なり延ばすというのがせい一ぱいである。それをすぐ追い打ちをかけてくるということについては、どうも基本的にわかりませんがどうでございますか。
  40. 太田正孝

    太田国務大臣 合併するについて、起債であるとかいろいろな法規があることは私もよく承知しておりますけれども合併するための法規でございまして、それが建設という方面につながっておらないのでございます。それだけで切っていいかという問題もございますが、私はそういう意味において、今の合併促進法と今回の建設促進法とは質も違っておりますし、せっかくできましたこの新市町村を健全に伸ばしていくためには、ただいま申しました現状合併法規だけでは十分でないと考えたのでございまして、この中にある経済あるいは財政に関した事柄を私がうっちゃっておいて、新たなる方向に向けたという意味では、ございません。また無理に残っておりたいという村をどうこうするということは、こっちの権能ではございません。ただ勧告だけが入っておりまするけれども、それもやはり自治体の自主力によっておきめになる問題であると思います。お言葉の通り私はさっきも申しましたが、法律を作ることが目的でなくて、この新市町村が伸びていくために必要な限度において考えたのでございます。もちろん高いところから命令してやっていくというような戦前のような状況、あるいは御指摘になったヒットラーの時代のようなことは、毛頭私は考えておりません。
  41. 古井喜實

    ○古井委員 今のお言葉ですが、前の町村合併促進法案で合併するときもこの状況だとおっしゃったが、それは間違いでありまして、合併してからあとのこともちゃんときめております。しかし合併するときのものだと、あなたのお言葉通り信用しても、それさえできないのです。それさえできない政府がこんなものを出してできますか。実際この促進法案というのは少しあわてておる。どう考えても何か早く締めくくりをつけて、これだけやった、どうだ、ということをやりたいという事務当局のあせりがここへ出てきていると思う。本質的にあんなものはあせらんでいいというのが私の見解ですが、どうでございましょう。
  42. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 ちょっと促進法の問題に触れておりますので御答弁させていただきます。  今度の促進法は、今お話の通り、従来の促進法をそのまま延期するという考え方は私はあり得ると思うのでございます。しかしながら現実合併が八割以上も済みまして、むしろでき上った市町村をどう育成強化していくかということが今後の問題じゃないか。そうすれば単に合併促進を前提にしておる促進法だけよりも、むしろ新市町村育成という育成の基本方針を明らかにし、その方向に新市町村が活発な経営をやっていくという考え方をとる方が、市町村のためにも一番ふさわしいのじゃないか。こういうことが現に去年、参議院で決議にもなっております。町村当局もそれに強い要望がありましたので、政府といたしましては、やはりその方向をとることが適当だろうという考え方をとったのでございます。前の促進法にもいろいろ育成の規定がございますが、規定の上からいっても不十分なものもある。規定を裏づける財政上の措置も十分でないものもあったことも事実でございます。そこでそういう問題をさらに積極的にやるような下地というか、基礎をやはり作らぬといかぬ。立法的に改正しなければ動きのつかぬことになる。国有財産払い下げの問題、交付税の扱いの問題、そういう問題も当然法律的な規制を要します。  そこで前提としまして新市町村建設という態勢で今後の問題を推進していった方が、一番適当だろうという考え方に立っておるのでございます。ただあとに残る幾つかの未合併町村の問題がありますので、これは何とか始末をつけるというか、調整をするという意味の問題もあわせて考える必要があるじゃないか。それから合併に伴うて多少の紛糾が現にあるところがありますので、そうした紛糾も早く合理的に調整をしたい、その調整をする仕組みくらいは考えた方がいいじゃないか、こういう考え方に立っておるのでございまして、われわれといたしましてはあせるというよりも、でき上った市町村をほんとうに堅実なものにこれから育成していこうという基本的な考え方で立案され、またそういう趣旨で内容が盛られておるのであります。その点を一つ御了承願いたいと思います。
  43. 古井喜實

    ○古井委員 関連質問でありますからこれでやめますけれども、今の小林部長の説明を伺っていると、早く始末をつけてしまいたいというような考え方なんです。このようなことは非常に簡単な表現でありますけれども、私は重大だと思います。そういうことであってはならぬ、重大事件でありますから、あくまで住民の意思を——相当紛争がありましても、政府もしんぼうをし、現地もしんぼうしまして、これは練りに練って片づけていくべきものであるということが一つ。それから先ほど北山君らからもご質問がありましたが、重要な法案が山積をしておりますときに、さらにまたこういう法案を出して、政府の皆さん、あるいは大臣あたりがとうぞ早く審議をしてくれとおっしゃるが、こういうものがたくさん出て参るということは、どうしても地方自治法なり何なりおそくなる原因なんです。政府としては取捨選択されて、今日のように重要な法案が山積しておるときに、新市町村建設促進法案なんというものを、あえてこんなところにお出しになるということについてはどうも私合点がいきませんので、そのことだけを申し上げておきます。しかも問題が非常に多うございます。多うございますから、お出しになった以上はわれわれは慎重審議をさせていただかなければならぬ。そうなるとまたほかの法案にも響いてくるということだけを申し上げて、私の関連質問を打ち切ります。
  44. 北山愛郎

    北山委員 町村合併関係はいずれ法案審議の際に申し上げることにしますが、大臣に伺います。今度の地方自治法内容等その他伺いますと、政府としては国の場合と地方の場合といろいろ矛盾したことをやっておる例が相当あるわけです。たとえば国の公務員についてはないところの停年制を地方公務員にしこうとしておる。また地方議員の数は縮減しようとする方針であるけれども、今度の選挙法によりますと、衆議院議員の方は三十名定数をふやそうとしておる。それから行政整理につきましても、国家公務員は最近数において漸次ふえるような傾向にあるのに、地方公務員の方は大幅な行政整理を企図しておる。その他ございますが、この地方の政治についての国との矛盾した政策というものをいろいろ感ずるのでありますが、これらの点について御説明をいただきたい。と同時に政府は小選挙区制を衆議院の場合にとられるか、地方議員の選挙等につきましても、やはり同じように小選挙区制をおとりになるお考えであるか、それをお伺いしておきたい。
  45. 太田正孝

    太田国務大臣 三点の質問であったかと思います。第一が停年制、第二が地方議会の議員の数の問題、第三が小選挙制度を地方にしくか。第一の停年制の問題につきましては、今国会に御審議を仰いだわけであります。地方だけやって国の方がやらぬという問題につきましては、かねがね御答弁申し上げたと思いますけれども、地方の方にのみこれをやろうというのではございません。まず地方に手をつけたのでございますが、公務員制度の改革ということを全面的に今考えておりますのと、すでに部分的ではございますが、あるいは検察、あるいは防衛隊、大学の教授その他に必要な分は相当にやっておるわけでございます。現行法があるのでございます。しかも新陳代謝と申しますか、国家公務員側におきましては相当に進んでおるというような事実もございまして、そろってやらないという点については御指摘のようでございますが、これを捨てておくという意味でなく、国家の方においても公務員制度の全面的改正とともにやっていきたいという考えでございます。  それから第二の地方議員と衆議院議員との関係でございますが、県会等につきましては人口の増加によって当然に伴うというような規定もございます。現実におきまして相当の数があることはだれも認めるところでございます。本質的に申しまして、衆議院議員の数というものは大正八年のときに四百六十四人にいたしまして、その後に何十年かの間にたった二名増しまして、さらに奄美大島によって一名増して、現在四百六十七になっておるので長年の間ほとんど手をつけなかった問題であります。それを人口統計を主といたしまして、各国でもこんなにうっちゃっておいた例はないのでございますが、しかしそう申してむやみに増すことはできないので、今回三十名増したのでございます。衆議院議員と県会等の議員の関係等は、かような事情を異にしていることを御了解願いたいと思います。  それから地方議会におきまして小選挙制度をしくかということでありますが、問題は、県会議員の選挙区域よりも今度の選挙区域の方が小さいところがございます。しかし県会議員は、今度の新選挙区よりも広いところがあるにいたしましても、数名の者が出る関係からいたしますと、これを地割りしてみましたならばやはり小さくなっておるのでございます。しかも議院内閣制をとるという衆議院議員選挙根本と違いまして、政府を作るところではございません。かようないろいろな点を考えまして、ただいまのところ府県制におきまして小選挙制度をもってしようとする考えは、こざざいません。国の政治と地方の政治とが互いに協力し、互いに結び合っていかなければならぬことは御指摘の通りでございます。私もちぐはぐな形でいっていいとは思いません。国と地方公共団体地方公共団体相互の間の調整こそ最も必要なことであると思います。  以上の三点につきましは私の申し上げた点を御了承願いたいと存じ上げます。
  46. 北山愛郎

    北山委員 停年制の問題について、国家公務員については検察職員あるいは自衛隊あるいは大学の教授等々についてあるというようなお話でございました。これはやはりそれぞれの職種についてそれに伴う職種の性格上の問題があろうかと思うのです。従って同様に考えるとするならば、地方公務員についてもやはり同じように、停年制等についてもかりにやるとしても、職種についてそういうふうな差等というか違いがあるべきはずだと思うのです。ところが今度の地方公務員法等については単に条例で定むるところによりということでありまして、そのものさしがないのです。こういう点について何らかものさしを作る方がいいとお考えにならないかどうか。  それから地方議員の定数の問題でありますが、これは御説ではありますけれども、人口の問題は地方議員でも同じだと思うのです。それは人口の問題ではどうも説明がつかないではないか、一々これは反駁というか議論しても始まらぬので、以上申し上げた点についてお答えをいただきたい。  次に今度の自治法の中でいろいろ特徴的なことがございますが、先ほど申し上げた事務配分の問題はあとにしまして、大都市の制度について大臣はどのようにお考えであるか。大都市というものは今までは特別市制というものが法文上あったわけですが、それが今度は削除されておる。そこで大都市というものは将来どういうふうに持っていったらいいか、この点について大臣はどういうふうにお考えでありますか、この点お伺いします。
  47. 太田正孝

    太田国務大臣 第一の停年制の問題につきましては、申し上げるまでもなく長い間のと言っていいほどの要望もあったことを私は記憶するのでございます。職種についてきめたらというその問題はお言葉にもありましたが、条例によってその自主的な英知によりまして定むべきものと考えております。  第二の地方議員の数の問題でございますが、合併等によって自主的に減らしたのはございますが、これを制限しようとかなんとかいうような考えは持っておりません。  それから第三の大都市問題でございますが、特別市というものを今度削るように出しましたが、将来におきましてもだんだん伸びていく大きな町と、それからしからざるものとの区別はあろうと思います。こういういう問題につきましては、根本的に言うと、東京の都制という問題なんというものも考えられるのでございますが、国家、国家というよりも中央地方を通ずる大きな制度の問題にも関連いたしますので、地方制度調査会の答申等を得て、根本問題として解決したいと思います。ただ現状におきまして五大都市が他の都市、たとえば次に来たる福岡等と比べましても、最低の神戸がたしか九十六万で、福岡が五十万をこしておっても、規模において違うことと、財政能力においても違いますので、五大都市だけは別の取扱いをし、今回事務配分をしようとした次第でございます。
  48. 北山愛郎

    北山委員 停年制のことはあとでまたチャンスがあろうかと思いますが、英知ということになりますと、英知があると行き過ぎをしたりすることがあるわけなのです。実際にある県の知事のごときは、停年制の年限を四十五才にするというようなことを強硬に言っている英知のあるお方もあるわけでありますから、この点は考えなければならぬ問題だと思う。  それから大都市制度について私がお伺いしたがったのは、大都市というものはやはり府県との関係において、府県より独立をして、府県と同格なくらいなことをその事務内容としてやれるだけの能力を持っておる、従って将来は府県から独立をさせるようなことが適切ではないかと私は考えるのですが、大臣はそのような点についてどのようにお考えになりますか。
  49. 太田正孝

    太田国務大臣 停年制の問題につきまして、人間のからだも衛生関係などからだいぶ長生きするようになりましたし、また能力につきましても、職種によって専門的なものは、かえって年とっていいものもございますので、一律でなくやっていけばいいという私の考えから、またこれを英知に基いて自治体が自主的にやっていただきたい、かように申したのであります。年令の点というものは非常に微妙な問題でございまして、たとえば自衛隊の一番下の者がたしか三十五才であったと記憶いたします。最高裁判所の判事の七十才とかなんとかいろいろな例を考えていきますと、考えさせられる問題が多いと思いますが、私は一律にやってはいかぬ、こういう意味が私の考え方でございます。  それから大都市問題につきましては、私は必ずしも府県と分離するという期待のもとに、あるいは希望のもとにこれを考えているのじゃございません。全体といたしまして、日本の地方制度のうちで府県あるいは道州にわたる問題などについては、ほんとうにこの際考えなければならぬ問題と思っております。一列にこの問題を一括して考えなければならぬときであると考えます。ただ府県と独立していけばいいというように、簡単には私は考えておらないのであります。
  50. 北山愛郎

    北山委員 時間が迫っておりますが、私の印象ではどうも今度の地方自治法改正案の中から、特別市制度をとってしまったということは、やはり五大府県の方の反対を押えるために、取引の道具に使ったのじゃないか、こういうふうな印象を受ける。一部の事務を大都市に委譲するそのかわりに、将来特別市のようなことが予想されないように、その制度をとってしまうというふうに、取引に使ったというように伝えられているのですが、そのことはまことに適当でないと思う。予算なんかをよく取引に使うことはありますけれども制度を取引に使ったのではまずいじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  51. 太田正孝

    太田国務大臣 地方制度調査会の答申の方も、事務配分をしたらいいということの答申になっております。特別市を廃止せよということは入っておりませんです。これを取引したか、こういうことでございますが、私としてはそういう考えは持っておりません。
  52. 北山愛郎

    北山委員 どこで取引したかよくわかりませんが、どうもそういう印象はぬぐいがたい。これはあとでまたお伺いしたいと思います。そういう特別市制ということの重要な削除をやっておきながら、問題は将来の問題だといっておきながら、しかも府県と市町村の間に重大な変更をする規定を、この自治法内容は持っておりますので、次には一つ事務配分の問題についてお伺いしたいと思いますが、私は今の質問はこの程度にしておきます。
  53. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 一点大臣にお願いしたいと思っている点があるのであります。それは資料の提出であります。今北山委員から質問がありましたが、第十一章に大都市に関する特例という規定があります。それによりますと、大都市において十六項目にわたって事務が府県から市に委譲されるようなことになっておるのであります。その十六項目のうちに、いかなる事務が委譲されるかという点については政令で定めるようになっております。この政令をきめる場合には、これは各省に関係をいたしておる問題であります。一方今も問題がありましたが、特別市の規定が削除いたされておるような点もございまするので、私はこの地方自治法が採決に至るまでの間においては、政令の内容をはっきり政府から資料として提出していただきたいということを考えておるわけであります。その点を一応大臣にお願いしたいと思います。
  54. 太田正孝

    太田国務大臣 確定した政令案となるとむずかしいかと思いますが、大体の筋だけは資料として提出するようにいたしたいと思います。
  55. 門司亮

    ○門司委員 この機会に大臣にちょっと聞いておきたいと思うのです。あとでまた内容についてはどうしても御質問申し上げたいと思いますが、この地方自治法の一部改正審議するに当っての一つの重要な問題として考えなければならないのは、今政府が考えておりまする行政機構の改革の中に、地方制度をどうするかということが非常に大きな問題になっております、いわゆる内政省にするかどうかということです。この問題は地方自治法改正と切り離して考えるわけには私はいかないと思う。従ってこの問題が今政府でどういう取扱いになっておるか。毎日新聞の四月六日付を見てみますと、一時保留になったというような報道をいたしておりますが、その後これはどうなっておりますか、一応大臣から聞いておきたいと思います。
  56. 太田正孝

    太田国務大臣 内政省を作ろうという問題は閣議決定いたしまして、二、三日のうちにはもう上程する運びになっております。もう閣議は決定いたしまして、法案もきまりまして、ちょっと日の点だけが何ですが、ほんの近い、きのう聞いたところではあるいはきょうなんという説もございましたが、非常に近い時期に提案することになっております。
  57. 門司亮

    ○門司委員 そうだといたしますと、これは非常に大きな問題が出てくると私は思う。政府の意向が那辺にあるかということは、これから聞かなければわからぬのでありますが、今までの政府内部の意向並びに与党内部の意向を大体考えてみますると、これが一応二つに区分されると思うのです。一つ行政並びに財政等の考え方、特に地方財政の今日の状態を考慮して、これを官僚的に見て、そうして地方公共団体の監督を強化することが一つの重点になっておるということが考えられる。もう一つの考え方は、国土開発を中心とした一つのものの考え方から内政省をこしらえたらどうかという二つ意見政府部内にあったと私は思う。いろいろほかの意見もあったと思いますが、今日までわれわれ新聞その他をずっと通じてみますと、そういうことになっておる。同時に、行政審議会の答申案もその通りに書いてあると私は思う。この二つの問題を自治庁の大臣としてはどういうふうにお考えになって閣議でものをきめられたか、その点をこの際一つはっきりしておいていただきたいと思います。
  58. 太田正孝

    太田国務大臣 第一の自治法関係においての監督という問題はございますが、今度の内政省を設けるという意味におきましては、特別にその点は取り上げておりません。ただ、現在の自治庁と建設省その他経済企画庁の中にある国土関係のものが移るというのが大筋でございまして、そのうちの国土計画につきましては、大体におきまして、経済企画庁関係は大筋としての日本の大きな国土計画を立てる、あるいは不似合いな例かと思いますが、経済五カ年計画を立てる中に、予算問題がありますが、その予算を作るのは大蔵省でございますけれども、経済五カ年計画の中に財政の大筋をきめるというような意味においての大筋をきめる関係だけが経済企画庁に入っている。それと、ただいま現実にやっておる建設省の中の国土計画の分を一緒にいたしまして、いわば三つのものが一緒になってやっていく、こういう形になっておるのでございます。
  59. 門司亮

    ○門司委員 一応の考え方、現在進行しておる状態は、この法案提案を見ることによって、私どもは一応わかると思いますが、もし行政機構の改革の中に、この内政省という問題が具体化してくるということになって参りますと、これの審議にも私は相当抵触する部面ができはしないかと考えております。従ってこの際、この次の機会でもよろしゅうございますが、内政省設置の要綱案ぐらいは、この委員会一つ資料として出していただきたい、こう考えておりますので、これを一つぜひお出しを願いたいと思います。  それからこの場合にもう一つ聞いておきたいと思いますることは、今の大臣の答弁は、行政機構改革に対する一つのいわゆる地方行政機構を改革していくという問題のあり方についてのお話のように承わっておりまするが、大臣の率直な意見をお伺いしたいと思いますることは、審議会の答申案は、この答申案そのものを読んでみますと、自治庁の権限を強化して、これを省に昇格する、この際建設省都市計画部局、首都建設委員会及び南方連絡事務局をこれに統合するということが一つ、もう一つは、建設省(首都建設委員会を含む)及び自治庁を統合して内政省を新設する、という二つの項目があげてあります。そうしてその理由として前段に書いてありますのは、地方行政は、国家の行政において重要な地位を占めているにもかかわらず、その機構がこれまで一外局として弱い形に残されてきたのは占領政策の行き過ぎと断ぜざるを得ない、この結果はすでに放漫な地方財政に現われている、この際これを正常の姿に引き戻すことはきわめて必要であるが、その措置については左の二案があるとして、さっき申し上げましたような二つの要綱が掲げてあります。従ってこの審議会の答申案を大臣はそのままお受け取りになっておるかどうかということを、この機会にもう一度はっきりしておいていただきたいと思います。
  60. 太田正孝

    太田国務大臣 第一の自治庁だけを強化するという案ではございません。お言葉の中の第二案に当るのでございます。しかも第二案の答申案には、先ほど申し上げましたように、経済企画庁関係の問題が織り込まれておらなかったのでございますが、今回の政府案においてはその点も一部分織り込んでいるわけでございます。
  61. 門司亮

    ○門司委員 もしそうなって参りますと、現在の地方自治法の二条は非常にたくさん個条書きで書いてありますが、地方自治法改正案はこれらとの関連性はかなり密接なものが出てきはしないかと思うのです。そこでおそらくこの委員会にかからないでしょう。いわゆる機構の問題でありますから、内閣委員会に必ずかかると私は思いますが、今出されております地方自治法の一部改正法案審議に非常にめんどうなことが起りはしないかという気が私はするのでございますが、大臣の気持はどうなんです。これはこのまま審議しても差しつかえない、片方の法案成立しても何ら差しつかえない、そのまますぐこれを変えなければならぬというようなことが起らないというふうなお考えがございますかどうか。
  62. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 ちょっと私から申し上げます。自治法と今の設置法とは直接われわれは関係ないと存じております。これは地方公共団体の組織、権能、特に今二条をおあげになりましたが、二条は県と市町村の地位、権能をどうするかという問題でございまして、内政省は要するに中央における自治関係事務をどう扱うかという官庁上の問題でございます。それでかりに全然関係ないと申しましたが、内閣総理大臣というのが自治法上たくさん出てきますが、その内閣総理大臣を内政大臣にするかせぬかという問題が技術的にあり得るだけで、自治庁の実態とは全然関係ございません。
  63. 門司亮

    ○門司委員 関係がないというお話でございますが、私は大きな関係を持っていると思う。内政省ができてくれば、必然的にその省の受け持ついわゆる仕事の分野が変って参ります。それから仕事の量が変って参ります。ちょうど今の建設省のやっている仕事と地方の自治庁のやっている仕事が変って参ります。それからここに問題になって参りますのは、権限の強化です。今の自治庁は、この答申案にもありますように、権限の強化をしなければならないというが、事業自体に対する監督権その他を実際上の問題として自治庁は持っておりません。一つ事業認可というものについても、これは都市にことに必要である都市計画であるとか、あるいは区画整理であるとかいうような都市行政と最も関係のあるものについては今の自治庁は権限を持っておりません。これはやはり建設省が持っている。それから水道その他についても、起債その他の関係は自治庁が関係をいたしておりますが、事業認可その他はいわゆる厚生省であり、建設省がこれを持っている。こういう形からいいますと、行政の再配分が市町村に行われるということがこの自治法に一応書いてある。今度の改正ではそれを明確にしている。それに関連をいたして参りますそういう行政上の監督権というものが一応一緒に考えられて来なければ、内政省というもののほんとうの姿は現われて来ない。もし内政省をこしらえて都合がいいところがありとするならば、この自治庁の持たざる権限を今度は自治庁が持って、いわゆる監督の強化という言葉が使ってありますが、これを監督の強化という言葉を使わず、行政上の円満なる運営ができていくという言葉に直すことができれば、そういう面だけが、あるいは一元化してくるということは私は言い得ると思う。従って、この地方自治法改正との関連性がないということには私はならないと思う。それでこの際大臣に聞いておきたいと思いますことは、この内政省をおこしらえになりまする基本の条件は、今申し上げましたように、私から考えて参りますと、どうしても自治庁の権限を強化するという以外に方法はないと思う。それがまた一番大きなねらいだと思う。その通りに解釈しておいてよろしゅうございますか。
  64. 太田正孝

    太田国務大臣 平たい言葉で申しますれば、建設省と自治庁が一緒になって行く方が、ただいま門司委員の言われました統一的な協力関係が非常になめらかに行く、またそれは結果として強い行政力となって現われる、かような意味でございます。  それから、委員会内閣委員会でやるように聞いております。多分そうなるかと思います。  なお、先ほど御要求になりました資料等につきましては、なるべく早くお手元にお届けいたしたいと思います。
  65. 門司亮

    ○門司委員 時間もあまりありませんので、これ以上このことについての質問は避けたいと思います。この自治法の一部改正大臣説明書をずっと一応拝読をいたして参りますと、自治法自体の根幹に触れておるきらいがあるようでございます。従って大臣意見をこの際承わっておきたいと思いますことは、大臣は地方自治の本旨をどういうふうにお考えになっておるかということが、この問題を左右する一つの大きな問題だと思います。私がこういうことを聞いておりますのは、何もこの自治法の一部改正だけではございませんで、次に来る内政省の設置等に対して、いわゆる地方の権限が統一されるということになれば、一応聞えはいいのでありますが、実際は権力の強化になってくる。権力の強化になってくるということは、少くともやはり憲法の九十二条に規定いたしておりまする自治の本旨というものと背反した規定が必ず作られるというように考えておりますが、この点に対する大臣のお考えがございますならば、この際聞かしていただきたいと思います。
  66. 太田正孝

    太田国務大臣 自治制に関する最も基本的な問題でございます。憲法には、自治の本旨といって、説明も何もありませんので、私どもといたしましては、権力的に地方に力を伸ばしていくということは、最も自治に深い干渉をすることになりますので、ただいまのところでも、助言とかあるいは協力とか勧告という程度にとどまっております。今回の改正におきましても、その点は十分留意したつもりでございまして、自治の発展ということ、しかもそれは民主政治の基盤であり、国民生活の基盤でもございますので、それが自力によって伸びていくという建前を尊重していきたい、こう考える次第でございます。
  67. 門司亮

    ○門司委員 そういうことを私が聞いておりますのは、大臣説明書の三にちゃんと書いてある。国と地方の機関で、国の機関の権限を強くする、同時に国の権限で府県、市町村に対してはこれを委任することができるのだということを説明されておる。これは昔の内務省そっくりなんです。形は公選の知事でありますから、昔とは違うのだと言えば言えるかもしれませんが、ものの考え方の上においては昔の内務省とそっくりなんです。大臣は今自治の本旨に対しては非常にあいまいであってわからぬと仰せになっておりますが、九十三条、九十四条、九十五条を通じてみますと、大体九十二条の精神が現われて参ります。あくまでも地方の自治体の住民の意思によって決定する。ことに九十五条のごときは、国会で発案して、それを地方の住民の意思を通して初めて法律としての効果があるように書いてある。私はこういう点をずっと総合して参りますと、やはり九十二条の自治の本旨というものは説明されていないから、どう解釈してもいいのだということにはならないと思う。ところがこの法律改正案を読んでみますと、どうも大臣説明は昔の内務省とそっくりの形である。こういう形でいくと、これをもう少し具体化していきますと、これはどうしても知事は官選でなければ都合が悪いということになってくる。いわゆる大臣の権限を知事に委任しようとすれば、少くとも知事は大臣意見を十分そんたくしてやり得る地位に置いておかないと、ほんとうのことはできないと思う。だからそういう点が大臣の考え方にあると私は考えておるのだけれども、そういう考えはございませんか。なければこういう考えは出てこないと思う。
  68. 太田正孝

    太田国務大臣 たとえば今回の法案の中におきましても、自治体におきまして法令に違反したものがあるとか、やるべき義務を怠ったというような場合、それが著しく国民福祉に影響するというような場合に、総理大臣が反省を求めるというようなことは、書いておりますが、昔の内務省がやったような、上から押える考え方は私は持っておりませんのでございます。また法律意味するところも、決してさようなものでない、かように申し上げておきます。
  69. 大矢省三

    大矢委員長 それでは午前中の会議はこの程度にして、午後二時から再開することにいたします。  暫時休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ————◇—————     午後三時十七分開議
  70. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  本会議の都合上、これにて散会いたします。     午後三時十八分散会