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1956-04-18 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十八日(水曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中井徳次郎君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       中嶋 太郎君    灘尾 弘吉君       丹羽 兵助君    堀内 一雄君       山崎  巖君    川村 継義君       五島 虎雄君    櫻井 奎夫君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 四月十七日  旅館における遊興飲食税撤廃に関する請願(西  村力弥紹介)(第一九三〇号)  地方公務員法等の一部を改正する法律制定反対  に関する請願島上善五郎紹介)(第一九五  四号)  地方財政確立に関する請願島上善五郎君紹  介)(第一九五六号)  町村合併促進法適用範囲に関する請願(小坂  善太郎君紹介)(第一九六三号)  木材引取税撤廃に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第一九九九号)  芸者の花代に対する課税改正に関する請願(中  村梅吉紹介)(第二〇〇〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  地方財政法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇八号)  地方交付税法の一部を改正する法律案北山愛  郎君外十名提出衆法第三八号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  政府提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案地方財政法等の一部を改正する法律案及び北山愛郎君外十名提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題として質疑を行います。  まず北山愛郎君外十名提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案について提出者から提案理由説明を聴取いたします。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 ただいま議題となりました社会党提出衆法第三八号、地方交付税法の一部改正案につきまして提案理由を簡単に御説明申し上げます。  この法案の内容は、地方交付税税率を二七%に引き上げ、地方財源を充実し、その窮迫に対処せんとするものでありまして、われわれ社会党が昨春以来主張しかつ提案して参ったことを昭和三十一年度から実施せしめようとするものであります。新年度地方財政対策としては政府においても地方交付税率を百分の二十五に引き上げる等、若干の対策を用意して参ったその努力については、敬意を惜しまないものでありますが、自治体要求に対してはすこぶる不十分であって、特に地方税及び雑収入において収入を過大に見積り、事業費においては不当に圧縮する等、その地方財政計画には幾多の欠陥を残しておるのでございます。われわれは地方交付税二%の引き上げによって政府案に対し百二十九億円の増額をいたすのでありますが、これは決して十分ではないと存じますけれども、これらの欠陥を当面補てんするための最小限度要求でございます。なお本案に伴う一般会計予算補正及び交付税算定上の技術的な改訂等につきましては、別途この改正を期待いたしておるわけであります。社会党としては国の一般会計予算審議の際も組みかえ動議におきまして、独自の政策を盛り込んだ国、地方を通ずる行財政政策提案いたしましたが、本案はその一部をなすものでありまして、昨年の国会におきまして旧自由党の諸君におかれましても交付税の率を三十一年度から二八%に引き上げるよう提案があったのでございまして、委員各位の中には二七%では不満足であるというふうなお考えの向きもあると存じますが、政府案欠陥を補う現実的な政策といたしまして、ぜひとも本案に御賛成をいただきますようにお願いをいたしまして、提案理由説明といたします。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 本案に対しては、予算関係がございまするので、国会法第五十七条の三の規定によりまして、内閣として御意見があれば、この際承わることにいたします。
  5. 太田正孝

    太田国務大臣 ただいま交付税をもう二%増す問題につきましての法律案がありましたが、申し上げるまでもなく、三十一年度の予算は確定いたしておりまして、財政計画もその線によって作っておるのでございます。もしこれを実行する場合には、補正予算を組まなければならぬ問題にもなりますので、三十一年度の処理につきましては、いろいろの御批判もございましたが、現在の通過した予算のもとに、またこれから御決定を願わんとする地方交付税率のもとに実行したいというので、御趣意に沿って百二十九億に当る補正をするという考えは、政府において持っておりません。
  6. 大矢省三

    大矢委員長 それでは三案に対して質疑を行います。通告がございますからこれを許します。門司亮君。
  7. 門司亮

    門司委員 この際私は大臣にお聞きをしておきたいと思うことは、大臣の今日までの地方財政に関する諸般の議案に対しましての御答弁の中に、地方財政に関しては来年度において税制一般を通ずる改正をしていきたいという意向が非常に強かったのであります。また内閣としてもそういう方針であるように聞いております。従って私はこの際大臣に確かめておきたいと思いますことは、地方財政の将来に対して一つの大きな改革をしようとされる際に、政府は何を根拠にしてこれをなさろうとするのか、その点を一応聞いておきたいと思うのでございます。政府機関としてというよりむしろ国機関として置かれておりますものの中に、御承知のように地方行政に対します調査会一つあります。それからもう一つは、例の、必ずしも政府機関とは言えませんが、税制調査会一つあります。そのほかにもう一つ、何か大蔵省関係税制審議会というようなものがあるはずであります。この三つ団体は、おのおの法律的の根拠に基くもの、あるいは大蔵大臣のプライベートのような形であるもの、さらに閣議によってきめられたというようなものがありますが、いずれにいたしましても、これは地方行財政と国の財政との間における一つのものを、やはり協議しておる団体であることは間違いはございません。従って大臣としては、あるいは政府としては、この三つ団体のいずれの団体意見を一応取り上げるかということは、非常に大きな問題であります。従来われわれが見ておりますと、法律によって定められた地方制度調査会答申案というものは、財政の面では割合に取り上げられておらない。そうして政府の中を非常に大きく支配しておるのは、やはりほんとう法律に基かざるその他の団体の、いわゆる税制審議会であるとかあるいはこの財政関係を持っております委員会等意見がかなり強く反映しておるように見受けられるのであります。従って自治庁大臣としてはどういう角度においてこれを取り上げて、そうして来年度の地方財政計画を完全なものにしていきたいというお考えであるか。その辺をこの機会に聞いておきたいと思います。
  8. 太田正孝

    太田国務大臣 三十一年度の予算及び財政計画がこの通りに進むものとした場合に、三十二年度の問題を考えなければならぬ段階にあることは申し上げるまでもございません。諮問機関として地方制度調査会及び臨時税制調査会というようなものもあります。大蔵大臣の私的なるものは私ここに申し上げる筋合いでないと思いますが、この二つの中にもまた意見が違った場合が今まであったと思います。たとえば入場譲与税等について臨時税制調査会の方は入れておるが、片方は入れておらないといったように意見の喰い違いもあったようであります。今まで三十一年度の予算を組むに当りまして、この二つ答申のうち、門司委員は用いなかったというお言葉であったのでありますが、用いざるものの方がむしろ少かったと私は信じております。あるいは農業事業税でありますとかあるいは目的税としての消防施設税であるとかいうようなものは入れませんでしたけれども、入れることができなかったのでございますが、その他の意見については大筋といたしまして、あるいは三公社の課税のごとき、この調査会意見を織り込みまして、またそれを基礎としたといっていい表現をいたしたいと思うのであります。三十二年度につきましては、もちろん政府部内だけで確信を持って処理すべきものは別でありますが、そうでない、いろいろむずかしい問題がございますので、これらの制度調査会等に諮問してよき案を得たい、こう考えておる次第でございます。
  9. 門司亮

    門司委員 ばく然とした答弁で、はっきりしたものでないと私は思いますが、問題は将来日本地方財政をどうするかという一つの大きな問題にぶつかっておりますときに、今の大臣答弁では、私ども満足するわけには参りません。同時に地方制度調査会におきましても、今大臣お話しになっておりまするもの以外にも、私は地方財政に関する問題で相当いろいろな意見があったと思う。  この際もう一つ突っ込んで聞いておきたいと思いますことは、今大臣お話しになっておりまする地方制度調査会の案を取り入れたという考え方は、新たな税種目を起して、この前の委員会でも話しましたが、国民の犠牲というか、国民負担においてこれを補おうとする考え方でございます。そのほかに地方制度調査会の案の中には、たとえば交付税をふやせとか、あるいはたばこ消費税のごときは三〇%に上げたらどうかというようなことで、現在の税制財政の中で国と地方との按分の関係を、実はかなり強く要請しているわけであります。この点についてちつとも触れておりません。交付税が二二%から二五%になったと言われるが、そこだけは、あるいは改正したといえるかもしれません。従って、こういう新しい税種目によって国民負担を増すようなことでなくして、現在の機構の中で国と地方との財政上のバランスを合せていくという方向に導いていくことの方が、私は実際の財政調整の上から考えれば妥当だと考える。従って、こういう御意思で今後進まれるかどうかということを、もう一応聞いておきたいと思います。
  10. 太田正孝

    太田国務大臣 申し上げるまでもなく、地方財政国家財政とは深い関係を持ち、また交付税というものがそのつなぎになっているのでございますが、門司委員の申される、また今の御提案にもありましたような交付税を増していくという方向につきましては、国家財政とのからみ合いの上、また国家財政立場地方財政の面から考えなければならぬ点がございますので、現在が三大税の四分の一に当っておるというこの厳粛なる事実にも考えなければならぬと思います。たばこ消費税につきましても、また同様な考え方を持っております。もちろん根本論には、かねて申された通り、私どもも申す通り地方事務との関係負担関係等もございまするので、そんな点も国家財政とからんでやるべきものと思っております。
  11. 門司亮

    門司委員 これは実際的な問題として聞いておきたいと思いまするが、地方財政行政について政府は十分に調査されておるとは思いますが、私どもの見聞するところでは、政府調査というものは、地方制度調査会という一つ団体はございますが、これも御存じのように、学識経験者の方がお集まりになって、おのおの御意見を出されておるのでございます。しかし実際上の運営というものは、きわめて微力というか、ほとんどないと言うと怒られるかもしれませんが、事務局も完全なものを持っておるわけではございません。みずからの調査機関を持っておるわけではございません。従って、お集まりになった学識経験者方々経験学識に基く考え方の上にこれの運営がされ、さらに結論が出されております。私はこういう形では、問題を処理することのためにきわめて不便ではないかという感じがするのであります。従ってこの際政府は何らかの形で、みずからの手で、地方財政行政実態ほんとう調査される御意思があるかどうかということでございます。  このことを聞きまするのは、去年の八月、九月から十月に大体調査は終って、ごく最近に調査報告が出されておると思いますが、それは藤田武夫先生などを中心といたしまする学者グループ諸君の、東北地方における実態調査であります。しかしこれも実は文部省から三十万円ばかりの補助金が出されて行われております。そして八人か十人くらいの学者を動員して、相当期間をかけて調査が行われております。これも、費用の点から申し上げましても非常に貧弱であって、私は学者方々がみずからの立場において研究されておることでありますから、費用等についてはあまりやかましくは言われなかったと思います。必ずしも私は十分でなかったと思います。実際を聞いてみますと、実はかなり窮屈な調査をやられたように拝聴いたしておりますが、こういうことは当然自治庁の今日の段階におきましてはやるべき仕事であると思う。地方行財政考えるならば、行財政実態というものをやはりほんとうに把握するという建前がなければならぬ。ところが文部省がただ学問の関係の上においてこれを研究しようというようなことでは、自治庁としての面目がなくなりはしないか。さらに神奈川県におきましても、これを調査するために鵜飼信成先生中心といたしまして、やはり学者各位に御依頼をいたしまして、県の行政実態調査をいたしておるのであります。われわれはこれらのことを考えて参りますと、自治庁ほんとう地方行財政をみずからの手によって改正していこうという熱意がないのではないかと思う。もし自治庁ほんとう考え方があるならば、文部省にまかせるとか、各府県にそういうものをやらせるとかいうよりも、自治庁自身のもとに大きな一つ計画性があって、そうして地方自治体実態をえぐり出していくということが、この際必要ではないかというように考えるのでありますが、これについてせっかく来年度に改革をされようとせられるならば、今からでもおそくないから、自治体実態調査自治庁の手において行わるべきだと思いますが、そういう計画性大臣の方にございますか。
  12. 太田正孝

    太田国務大臣 私は地方制度調査会などのお力尽しについては深甚の敬意を表しております。またその効果があったと信じております。学者といい、諸先生といい、あるいは評論家といい、もちろんこの中に国会議員の皆さんにもお力添え願っておるわけでありますが、ああいう委員会があったればこそ、私の言うことは少し大きいかもしれませんけれども、ずいぶん危うくなりつつあった地方財政を今日持ちこたえて、ここに基礎を築き上げつつあるというのも、ああいう制度調査会のお力尽しがあり、これをとったからであると思います。もちろん責任政府にございまするので、政府といたしましては十分の努力をいたさなければなりません。調べが足らぬから、今申されたような学術関係調査の面においても、もっと広げたらというお言葉もございます。自治庁といたしましては調査官等も派遣いたしまして、実態の把握ということには相当の努力をしておるつもりでございます。私はこういう意味において、責任を持つ政府努力と、また利用し得る制度調査会のお力添えとをかりまして、ここまでこぎつけたと思っておりますが、地方財政の将来の発展ということにさらに努力いたしたい。お言葉学術調査会のごとき調査をやるように努力したらどうかというお言葉でございますが、やはり問題といたしましては地方制度全体にわたる関係もございますので、地方制度調査会に主力を置いてやっていきたい。また調査官の力を自己の行政機構範囲内において精一ぱい働かしていきたい。もちろんそういう有益な御報告に対しましては、われわれもさらにそれを調べて、実際に地方行政の上、財政の上に働かし得ることに努力するつもりでございます。
  13. 門司亮

    門司委員 非常に抽象的な答弁でございますが、実際から申しますと、実態がわかっていないわけはないと思うのです。事実今日行われておりまする制度の中には、当然改革を要すべき行政上の問題もたくさんあるかと思う。それらの問題については、もう少しほんとう調査機関というようなものが自治庁の中に——今自治庁調査をやっておる部面がないわけではありませんが、これなどはほとんど問題が起ったときに主としてこれらの発動を見ておるのでありまして、別に実態調査というものができていないのではないかというのと、もう一つはやはり同じ政府部内において問題のある点、たとえば補助金が非常におそく行っているとか、あるいは補助金関係から、中央から出て参ります役人の数が非常にふえておって、それの接待費に追いかけられて困っておるという点がしばしばある。こういういけない点をえぐり出すためには、私は役人同士の間ではうまくいかないと思う。ほかにはっきりした調査機関というようなものがあって、遠慮なくそういうものを出してくるというような一つ調査がこの際必要ではないか。それには地方制度調査会がありましても、これはさっき申し上げましたように手足を持っておりません。それではここで何を調査するかといえば何も持っておらない。ただ今後の経験とそれを土台にしてのお話をされていると思う。委員会自体としての調査機関は持っておらぬ、こういうことでは実は心配になるのでありまして、今お伺いをしているのでございますが、今の大臣の御答弁をそれ以上追及しようとは思いません。この際実態に即した地方行財政に関する改革のでき得るように政府としてはぜひ一つ努力してもらいたい。そういたしませんと、これはもう政党とか政派とかいうようなものでなく、あるいは感情とかいうものでなくして、地方財政というものは、もうほんとうに困ってきておるのです。地方財政の破壊は日本民主主義の崩壊になると私は思う。だからこの問題についてはぜひ一つ考慮をわずらわしておきたいと思います。  次に、もう一つ質問をしておきたいと思いますことは、実ははっきりしたものはまだ出ておりませんが、私どもの仄聞いたすところによりますると、農林省関係で何か現在の競馬民営に移したらどうかという御意見があるやに承わっております。そうしてこれに対しては過般反対陳情が参っております。私は競馬のよしあしということについてはいろいろ議論があることと思います。そうして地方自治体が賭博に走るような、こういう射幸心をそそるようなことをやってはいけないのだというようなお話も私はあるかと思う。しかしそれなら同じ射幸心をそそるようなものが民間であったらいいかというと、そうも考えられない。悪いものなら両方やめればいい、どっちがどうとも考えられない。従来のいきさつから考えてみますと、やはりこれを民営に移すことによって、いろいろな問題が出てきやしないか。こういうことが一つ考えられるのと、それから現在まで競輪競馬というようなものが、地方財政に対してかなり寄与するところがあったことは、これは認めないわけには参りませんが、これらの問題について自治庁としてのお考えがもし発表できるなら、この際一つ発表しておいていただきたい、こう考えております。
  14. 太田正孝

    太田国務大臣 今府県及び市町村公営している競馬民間の経営に移したらどうかという問題につきましては、門司委員も申されましたが、私も陳情を受けております。しこうして問題の範囲につきましては門司委員の言われた点が、やはり私も取り上げる点でございます。自治体といたしましてはこういう雑入に入っておる金というものは少くないのでございます。競馬競輪、オート・レースなど、の収入は、二十九年度全体はまとまっておりませんが、ざっと大づかみにして六十億円くらいあるかと思います。その中で競馬が約七億円でございますので、門司委員のお言葉通り少くない金額でございます。こういう収入がいいか悪いかということは、今お言葉のうちに射幸的なものは思わしくない、民間であろうとまた公共団体であろうといけない、私もそう思います。ただ地方財政が非常に困っておる関係等がございまして、かような収入を入れているという段階でございます。新生活運動などを唱えられる政府といたしましても、こういうことがいいか悪いかということは、もう申し上げるまでもないことでございますが、何にしても地方財政が非常に窮迫しておる場合に、府県においてあるいは市町村におきまして、この公営をやっておるのでございます。もしこれを民営に移した場合にどうなるか。現実に競馬関係農林省関係と思いますが、まだ私は直接何らの話を受けておりません。それがいかなる農林行政建前からの御主張かは存じませんが、現状における地方自治体財政の上からいけば、射幸的なものといえば、射幸的なものとしても相当の収入でございます。これをもし民間に移すということが右へならえで、競輪に及ぶということになれば、非常に大きな問題になって参るのでございます。私どもとしては、地方財政の面から申しますと、なかなか簡単に処理すべき問題ではない。ただし一応農林行政の上からいかなる御主張があり、いかなる案をお持ちか存じませんし、御意見もむろん聞かなければなりませんが、地方財政といたしましては六十億、そのうちの七億、しかも府県が二億でございまして、たしか市町村が五億くらいには当っていると思います。現に東京におきましても二十三区がこれに関係しておりまして、その金額収入東京の二十三区だけで、ちょうど市町村の半分近い二億五千万円くらいになっているのでございます。こういうものを数字的に調べてみましても、軽々しく取り扱うべき問題ではない。地方財政建前、あるいは農林行政建前から、いかなる御主張があるかということも聞いた上で処理すべき問題である。問題の実質は門司委員の言われましたような、この収入の本質がどうである、また金額がどうである、地方財政建前からどうなるかということについては、私が今申し上げました意味を御了承願いたいと思います。
  15. 門司亮

    門司委員 大体了承はするのでございますが、なおもう一つ突っ込んでお聞きしたいと思いますことは、これらの問題は地方財政にきわめて密接な関係を持ち、今日ではほとんど不可分の関係を持っているといっていいくらいに、実は関連性を持っております。しかしこういうものがたとえば競輪にいたしましても、競馬にいたしましても、これを公営にして、現在のような状態になっておりまする過程をずっと振り返って見ますると、非常にインフレの高進している際でもあり、日本国内情勢が非常に乱れておりました時代においては、これをある程度統制をするといいまするか、公共団体が行うことによって、一つ秩序を保っていくということも、その当時の一つ考え方だったと私は考えております。さらにもう一つの問題は、やはり特定法律特定団体だけが保護をされているというようなこともあまり感心したものではない。従ってこれらの問題はやはりやるなら公営でやった方がいいのではないかという当時の考え方があったと思います。それをやっておりまする間に、だんだん地方財政に非常に大きな関係を持ってくるような現在の段階に来ているのであります。従ってこれらのものを機械的に、あるいは主観的に考えて参りまするならば、もはや社会の秩序が回復し、インフレというようなものも、そう大きな障害にならなくなってきたし、廃止の方向に向う方が国の秩序を維持することのためにはいいのではないかと考えられるのでありますが、地方財政とのからみ合せから考えれば、これらの問題についても現在としては簡単にやめるわけにはいかない。  そこで問題になって参りますのは、将来における地方財政計画の中には、こういうものが考えられないで、地方財政計画というものが立てられる方向が、今日望ましいと思う。政府の今の考え方は、やはりこれらから上って参りまする収入というものは、地方財政計画の中の一つの見積りとして今日入っております。従って大臣はこれを除くわけにはなかなかいかぬと思いますが、将来の地方財政計画の中には、こういうものについてはそう大きなウエートをかけないで、だんだん廃止の方の段階にこれを導いていくということが、私どもとしては政策的には一応考えられるのであります。どうしても財政と結びつけて考えて参りますと、なかなか簡単にやめるわけにはいかない。しかし財政というものを離れた、そういう形において順次これらのものが——やはり社会悪といいますか、悪を利用する一つの善だといえば善であると言えるかもしれませんが、しかしそうもなかなかいかぬと思いますので、今申し上げましたような形で、将来は廃止をするという方向にこれを持っていこうとすれば、地方財政との関係を何らかの形で調整をとっていくことにしないと、急にこの問題が解決するわけにはいかぬと思うのであります。そういう点についての大臣のお考えがもしございますなら、この際一つ承わっておきたいと思います。
  16. 太田正孝

    太田国務大臣 公営がいいかどうかという問題は、結局公正なる競技がフェアに行われるかという問題ともからんでおると私は思います。だいぶ技術的なことになりまして、私の知らない分が多うございますが、今直ちに公営がいけないという踏み切りも私はむずかしいと思います。地方財政立場から、こういう収入でなく、まかない得るということは、まことにあらまほしきことと存じます。もちろん地方財政を健全化していくことにつきましては、門司委員の御指摘の線、すなわちこういう射幸的なものでない収入で埋めていこうという考え方は、御同感であります。
  17. 門司亮

    門司委員 それでは財政当局にその先を聞いておきたいと思うのですが、実はこれらのものが許可されて行なっておりますのは、大体特定の都市であります。要するに戦災その他による都市でありまするが、これらの都市がこういう形において収入を得ておるということ、また得なければならなかった時代も私はあったと考えておるが、社会の秩序というものが今日のようになって参りまして、かりにこれをやめるといたしますと、それだけの収入というものが戦災都市その他に、やはり賦課されてこなければならないと思う。従って財政当局では今からそういうことを考えて、財政措置というものが当然とらるべきではないかと考えるし、もしこれを廃止しようとするなら、その財源だけは何らかの形で見ていかなければ、戦災都市等はなかなかやりにくいのではないか。悪いからといってこれをやめてしまえば、戦災都市の方に非常に財政の困難性が出てくることになって、財政をカバーしていかなければならない。財政当局ではそういう事態になりましたときに、これをカバーする方法が現在の段階であるかどうかということを、この場合にもう一つ聞いておきたいと思います。
  18. 後藤博

    ○後藤政府委員 競輪競馬の収益事業をやっております多くの団体は、大体交付税の参っていない不交付団体であります。そういう団体と、そうでない、交付税の参っております普通の団体とあまり変らない団体とあるのであります。交付税が参っておりませんで、しかも収益が非常に上っておる団体とそうでない団体との間に、将来の問題としても、やはり区分して考える必要がありはしないか、かように私ども考えております。具体的にその財源措置を今から考えて、振りかえ財源を与えるかどうかということにつきましては、これは現在事業収益でやっております事業そのものに関連があるのでありまして、その事業とのにらみ合せで、振りかえ財源の措置をするかしないかということを、きめていくべきではないかと考えております。現在のところでは、その段階まで問題がきておりませんので、まだ詳しくは調査いたしておりませんけれども考え方としてはそういうふうに考えておる次第であります。
  19. 北山愛郎

    北山委員 一点確かめておきたいのですが、地方財政再建促進特別措置法の第二十三条に「地方財政又は地方行政に係る制度改正等により、地方財政基礎が確立した年度以降の年度で政令で定める年度以降においては、」地方債を制限するという規定があるわけです。そこで大臣は、三十一年度の地方財政の、あるいは地方行財政対策としては、いろいろ努力をした、いろいろ改善をした、こういうふうにおっしゃっているのですが、この規定と関連してどうなんでしょう。昭和三十一年度の措置としては、まだこのために再建促進法の二十三条の、いわゆる地方財政が確立するというような条件に、この年度内にそういう時期に到達するとお考えであるかどうか。これは地方団体に対しては、非常におどかしみたいな規定で、いつそういう時期がくるか心配している向きもあるので、その点を一つ確かめておきたい。
  20. 太田正孝

    太田国務大臣 お言葉通り、まだ不十分な点がございます。問題はあるいは公債の利子等の関係もございまするので、三十二年度以降においてこれを善処していきたい、かように考えている次第でございます。
  21. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、三十一年度の政府地方行財政対策では不十分であって、まだこの法の第二十三条の条件を満たすには至っておらない。そしてその不十分な点というのは、特に公債費の問題である。従って三十一年度においては、公債費の負担というものについてはこれを改善していきたい。そしてそういうようなことをやった上で初めて、三十二年度でできればそういう事態が発生するかもしれない、こういうふうに了解をいたします。  そこで今の御答弁で、この不十分な点が地方債、ことに公債費の負担にあるというお話があったわけでありますが、この点について特にきのうも話をしたのですが、公債費の負担というものは非常に大きくなってきている。しかも個々の団体についてこれを見ますと、すでにその団体の税収と、その団体の借金の元利償還が同じくらい、あるいは借金の元利償還の方が税収入よりも多いという団体が出てきているわけであります。従ってこれは全体の傾向のみならず、そういうような非常に状態の悪い団体が出てきておりますので何とかしなければならぬ、こういうふうな事態なんですが、やはり利子補給等でこれをおやりになるというような考えでございます。
  22. 太田正孝

    太田国務大臣 地方債の処理問題は、各方面にあると思います。すでにことしも十分ではございませんが、あるいは公募債の利子の問題、あるいは償還期限の延長の問題、借りかえの問題、また新規の地方債を募るについての方針も、償還財源の関係をよくにらんでやっていきたい。かような点も処理いたします上に、地方債そのもののふえていく方も七十五億円減らしたなどして、借金がふえないように、借金を返すのに利子が安くなるように、期限が延びるように、また新しい借金をふやさないように、こういうやり方をやってきましたが、何といたしましても従来の大きな、四千七百億あるいは五千億に達しているところのこの地方債の処理という問題になりますと、結局は利子の問題にくると思います。これは負担の軽くなるような今の金利低下の傾向に、さらに国策といたしまして進んでいく方法をとっておりますが、それでも及べない部分、やはり何とかして国庫の方にたよらなければならぬ部分が多いだろうと思います。けれどもその金額も相当に大きくなりますので、国家財政とにらみ合せつつ、地方財政の健全化のために公債問題は処理していきたい。ことしとったやり方も、やり得る限りの手は打ちましたが、結局国庫にどれだけ負担さすかという問題だけが大きな問題に残っておりますので、この問題と取り組んでいきたいと思うのでございます。
  23. 北山愛郎

    北山委員 これはきのうも申し上げましたが、実はそういうふうな御趣旨と相反するような政策が若干とられてきたわけです。すなわち、三十一年度においては地方債を減らすというのですが、その減らすのが、公募債の方を減らせばいいものを、公募債の方は、どちらかといえばふやす方向に向って、政府資金の利子の安い方を減らしておる。これは結局現実の政策としては、地方負担を利子の面においても多くしていくというような、今のお話に逆行するようなことがとられておるので、はなはだ遺憾だと思うのです。  それからまたお話の中の地方債のワクをできるだけ減らしていく、これもよくわかるのですが、しかしもしも地方債の金利というものがもう少し安ければ、戦争前のように三分とか四分とかそういうふうに安ければ、地方財政の需要を満たすためには、私は一割くらいの起債財源というものはあってもいいのじゃないかと思う。問題はやはりその金利が高いからだ。従って金利を安くして、ある程度の起債財源というものは確保するというのが、私は正しいのじゃないかと思うのです。ただ単に地方債のワクを減らす、しかもそれは政府資金の方を減らすというのでは、これは矛盾しているのじゃないかと思う。そこでどうしても今までたまっておる四千何百億という分の利子を安くするということと、それから今後における地方債についての利子を安くするという努力が、自治庁としてはとられなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、これについてのお考え。  それからもう一つは、そういたしますと政府資金のいわゆる財政投融資の配分の関係からいいまして、漸次地方債の引き受けるワクが、比率から申せば低くなってきているわけです。昭和二十三年、二十四年が最高で、政府資金の九五%という大部分を地方債に回しておる。それが昭和二十五年から急激に五〇%以下に減って、それが三十年度では四一%というように下ってきておる。要するに政府資金がないのではなくて、それがよその方へ回っておる、産業投資の方に回っておるというような傾向が、ここ数年来とられてきたわけであります。これは基幹産業を育成するというような趣旨でございましょうが、また民間資金が窮屈であったのを補うという意味でもございましょうが、しかし昨今の金融情勢から考えましても、この傾向をまたもとの姿に戻していく時期になっておるのじゃないかと思う。九五%というのは無理でしょうが、少くとも次第に下ってきておる地方債のワクというものを比例的にはふやしていく、政府資金をなるべくよけい地方債に回していく、そして公募債を減らしていく、これは当然の行き方だと思うのです。ところが今年度のやり方はどうもその方向に合致していない。これは非常に遺憾だと思うのですか、今後私が申し上げたように政府資金を確保し、できるだけ地方債は政府資金でまかなう、そしてまた全体の利子を安くする、そのためには利子補給も考えるというふうに努力されるかどうか、その辺のお考えを聞いておきたい。
  24. 太田正孝

    太田国務大臣 考え方としては同じでございます。私率直に申しまして、政府資金と公募債関係の一般金融の扱い方というものが昔と変ったことと、ことし公募債の利子の高い方に多く行ったという事実はおっしゃる通りでございます。国の財政を審議する場合におきましても、実は政府資金の振り合いにつきまして非常な議論がございました。問題は結局政府資金の伸びが、ことに郵便貯金その他の関係からする運用部関係のものが、一般の金融界に集まってくる銀行預金等と比べまして、昨年から非常に変ってきたという事実も認めなければならないので、もちろん地方財政建前からいいますならば、政府資金を大きくしたかったのでございますが、国全体の割り振り上から、政府資金と金融界から集まった金融資金との二つのものでは、金融界の方が非常に多く集まって、片一方の方が財源的に少かったという事情が根本的の理由でございます。だんだん昨年の暮れあたりから、金融の情勢も変ってきつつあるようでございますが、三十一年度の予算及び資金の関係を審議する段階におきましては、政府資金が乏しかった、伸びが少かった、こういうのが根本理由でございます。もちろん政府資金の増すにつれ、その負担の軽い利子の方に地方債を向けていきたいというお考えにつきましては、私も同感であり、また努力すべきものと思います。三十一年度については残念ながら公募資金にたよらざるを得なかったという事情を御了解願いたいと思います。
  25. 中井徳次郎

    ○中井委員 私ごく簡単ですが、先ほどの門司さんの御質問の競馬のことに関連して、ちょっとお尋ねしたいと思います。今地方自治体が主管をして地方競馬をやっております。それを民営にするというふうなうわさを、ちらほら聞くのですが、そのことについての今の大臣の御答弁では、地方財政の現在の難局から考えて、財政面からいって移管してもらっては非常に困るというふうな御意見を承わったが、理由財政面だけでございますか、その辺をちょっと確かめておきたい。
  26. 太田正孝

    太田国務大臣 問題は畜産等の農林政策と、地方財政との二つの問題であろうと思いますが、地方財政に関しましては現在七億円、もしこれと同じような方向でやっていって、競輪等に及ぶ場合におきましては、六十億円に響く問題でありまして、申し上げるまでもなく今年新税を起したりいろいろしても百二十億円くらいで、その半分にも当るような大きな額でございます。これは数字的に、はっきりした事実でございますので、ただ地方財政に関する限りにおいては、かような事実は隠すことのない事実だ、かように申し上げたのでございまして、これを国策としてあるいは畜産の建前から、どうとかいうことになると、私まだ承知しておりませんので、その点は私の申し上げる段階でない、よくいろいろな事情を調べてきめるべい問題だ。東京都内を初め大分陳情の来ておることは申し上げるまでもございません。私もこの点につきまして非常に注意を払っておる次第でございますが、今どっちに踏み切るという問題にならず、ただ地方財政においてはそういう数字になっておる。また門司委員が最後に言われました公営がしかるべきであるという問題につきましては、公正なる競技が行われるかという論点から問題を解決することで、事業自体の問題になろうと思います。また経営を合理化していくという問題もここにあろうかと思います。現在この点については私は研究が足りませんから、十分検討いたしたいと思います。
  27. 中井徳次郎

    ○中井委員 そうなりますと、まだそういう問題について正式に閣議で話し合いになったことは一度もない、あるいは懇談などで話し合ったこともないということに私は了解をいたしますが、しかしそういうふうに財政の面だけということになれば、新しく作ろうとする団体が七億円程度は一つ国庫へ毎年納付をする、自治庁はしかるべくそれを配分せいというふうな案が出て参りますと、自治庁としては今の御答弁だけでは、どうも一向に反対根拠がなくなるように私ども考えるわけであります。そういう点についてどうでございましょうか。
  28. 太田正孝

    太田国務大臣 先ほど門司委員の言われました公営是か非かという問題もここにからんで参ります。それからそういう資金を全然今までのように自治体の自由に使わすかという問題もあろうかと思います。そういう点がはっきりいたしませんので、私はとくと研究したい。閣議においてはこの問題は出ておりません。
  29. 大矢省三

    大矢委員長 他に質疑がなければ、三案に対する質疑はこれにて打ち切りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければ、これにて質疑は終了いたしました。  次に討論に移ります。討論の通告がございますので、順次これを許します。永田亮一君。
  31. 永田亮一

    ○永田委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、政府案に対して賛成をいたし、社会党の案に反対をいたし、さらに地方財政法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成の討論を行わんとするものであります。  このたび政府から提案されました交付税法の改正案というものは、関連しておりますいろいろの法案とともに、みんなわが党の方針にのっとっておると思うのでありまして、地方財政再建のために大いに役に立ちますし、またこれによって地方の自主財源は増強せられまして、その一面において、団体間の財源調整の使命をも果すものでありまするから、地方財政基礎確立の上に、多大の効果を与うべきことは疑問の余地のないものでありまして、今回の政府及びわが党の施策によって、窮迫のどん底にある地方財政というものは、画期的な改善の方途に進み得ると信ずるのであります。ただここで問題になりますことは、それなら交付税税率をどの程度に定めたらよいかということでありまして、これは非常にむずかしい問題であると思うのであります。素朴な原則論から申しまするならば、いかなる団体であっても、自分の存立及び活動に要する経費というものは、みずからの収入財源によってまかなわれるということがほんとうであるかもしれません。地方公共団体が国庫に財政的の依存をしたり、あるいはまた民間の寄付などに多くの期待を持つことのよくないことは申すまでもないのでありまするけれども、今日の地方財政実態というものは、そう簡単ではないのでございまして、国政と地方行政との関係は複雑に交錯しておりまして、にわかに原則論のみをもって割り切れないところに困難性があると存ずるのであります。現段階といたしましては、各般の行財政制度改革とその運営の改善によりまして、できるだけ経費を節約し、また収入の増加をはかって、その実質を見きわめた上で合理的な地方財政計画を立て、それによって必要やむを得ない補充的なかつ調整的な財源を国から付与するというのが順序であり、また実情に即すると思うのであります。こういうような見地から、この際といたしましては、政府案の二五%までの引き上げに賛意を表する次第でありまして、社会党の案には賛意を表しがたいのであります。  社会党諸君地方自治のために常に努力され、その提案地方財政に大いに寄与せんとする趣旨に対しましては、敬意を表するのでございまするが、この際一挙に二七%まで引き上げるということは、責任ある政府のなし得ないところでありまして、他の諸施策ともにらみ合せて、また漸を追って諸制度改革の実績とも照合して調整することが、実際にも即応し、副作用も少いと思われるからでございます。太田自治庁長官は、これ以上交付税率を引き上ぐべきかどうかということは、きわめて慎重な研究を要すると言明されたのでありまするが、私はこの点全く同感でございます。ほかの一切の施策を行わないで、ただ交付税率を一挙に大幅に引き上げるということは、一つの冒険でありまして、責任のある政府のとらざるところと信ずるのであります。  要するに、政府案は実情に最も即しておりまして、公正妥当でありまして、国と地方双方の要請に沿うものでありまするが、社会党案はやや理想に走っておりまして、現実を離れたものと言わなければならないと思うのであります。本年度の予算はすでに成立をいたしまして、地方財政計画も決定した今日におきまして、全国四千七百の地方公共団体も、政府案の成立を予定して、予算を議決しておるのであります。  この際私は以上の理由によりまして、政府案のすみやかなる成立を希望いたし、社会党案に対しては遺憾ながら反対意思を表明いたすものであります。  さらに地方財政法等の一部を改正する法律案でありまするが、この内容におきましても、義務教育職員の恩給に要する経費の半額を国庫が負担する、こういうような点につきましては、地方財政の窮乏を打開し、その再建を促進するものでありまして、その他の点につきましても全面的に賛意を表する次第であります。  以上をもちまして私の討論を終ります。(拍手)
  32. 大矢省三

    大矢委員長 次に川村継義君。
  33. 川村継義

    ○川村(継)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、わが党から提出いたしました地方交付税法の一部改正法律案について賛意を表し、政府提案地方交付税法の一部改正法律案、それから地方財政法等の一部改正法律案について反対意見を表明いたしたいと思います。  まず率直に私は、与党の皆さん方がわが党の提出いたしました地方交付税法の一部改正に御賛成下さるようにお願いをいたしたいと思います。  御承知の通り交付税税率改正につきましては、これは昨年からずいぶん問題になっていた問題でございまして、われわれの提案いたしております趣旨は、先ほど北山委員からもるる申し述べた通りでございます。御承知のように昨年第二十二国会のころから、二十九年度までに膨大なる赤字をかかえ込んだ地方自治団体が、その財政をどうして切り開いていくか、また三十年度の財政計画の見通しも立たないという苦境にあったときに、地方の自治団体は、あげて交付税率の三〇%を要望いたしたのであります。三〇%の交付税率を政府考えてくれるならば、地方自治団体財政運営はきわめて円滑に持って行けるという趣旨を、この委員会等にも申し述べてきたことは、すべての者が承知いたしている点でございます。もちろんわれわれも、できれば税率三〇%にいたしまして、この地方財政の再建あるいは健全なる運営に資することが必要であると考えられたのでありますけれども、これは国家の財政等との関係もありまして、なかなか地方の要望にそのままこたえられなかったというのが実情であります。わが党は二十二国会からあるいは臨時国会に至る間、すべての問題を検討いたしまして、国家の財政状況あるいは地方財政状況等を検討いたしまして、この二七%という線を常に堅持いたしまして、この二七%に相当するところの税額を、当然国の責任として地方に交付すべきであるということを主張いたしまして、この委員会にも提案いたして参っておる次第であります。ただいま御賛成いたされました永田委員のお言葉にあったのでありますが、政府が今回いかにも大幅に税率を引き上げられたような御趣旨でありましたけれども、当時永田さんは政務次官をしておられまして、あるいは御存じなかったかもしれませんけれども政府与党の皆様方も、二十二国会においては、今年度は二五%はやむを得ないけれども、二八%にすべきであるといって、法案を提出されました事実もあるわけであります。なおこの税額の総額からいたしましても、本年度は一千六百億程度の総額になっておりますけれども、これには二十九年度の剰余金も入っておりますし、また三税の税収を多くのんでおりますので、実質的に上昇いたしました税収というものは、そう多くないのであります。今御賛成の意見にありましたように、大幅な、実に思い切った税率改正をやられた、こういうふうには受け取れないと思うのであります。この二五%が今日の地方財政をささえていくのに果して妥当であるかということは、大いに疑問としなければなりません。やはり私たちが主張いたしておりますように、少くとも二七%に相当するものを地方の財源として国がその責任上与えるべきである、かく考えるわけであります。地方団体の赤字発生の原因についてるる申し上げる必要はないと思います。私たちも地方の赤字発生について、決して地方自治団体責任がないとは申しませんけれども、これは昨年からいろいろと検討されて参っておりますように、その大半の責任はやはり国が負うべきものであるわけでありますから、地方財政を円滑に運営させるためにも、地方の破綻に瀕した財政を健全化するためにも、国はその責任上やはり二七%程度の税額は当然与えるべきである、かく考えるわけであります。従って私は、ぜひとも与党の皆様方もこのわが党提出交付税の一部改正に対して御賛同いただきたい、かく心からお願いを申し上げるわけであります。  なお、政府提案地方交付税法改正案につきまして反対いたします理由は多々ありますけれども、簡単に一、二の点を申し上げたいと存じます。今ほども申し上げましたように、政府地方財政再建の構想あるいは国が地方財政を再建するための責任を負うという角度からは、二五%の財源を与えても、その責任を十分果したとは言えない、こう考えるわけであります。申し上げるまでもございませんが、二十八年度末四百六十二億という赤字をかかえ込んだ地方団体が、二十九年度末には六百四十九億の赤字をかかえ込んでおると言われます。このかかえ込んだ赤字の解消策というものが十分研究されねばならないことは当然でありますが、その後赤字を発生させないような強力な地方財政に対する施策がなければならないと考えることは、これは当然のことであろうと思うのであります。ところがこれらの赤字解消の問題に対して、政府地方財政再建促進特別措置法を提出されて、一応の措置らしきものはできておりますけれども、おそらくあの法律をもってしても完全にその手当てができておるとは、政府自身もお考えになっておられないと思うのであります。将来赤字を発生させないためには、たびたび問題となっておりますように、累増いたしております地方債に対する対策をどのように立てるかということが、また一つの大きな問題にならねばなりませんし、財政面においても当然第一の問題として取り上げていかねばならない問題だと思います。今回政府考えられました対策は、非常な御苦心をなさった点につきましては、もちろん敬意を表するのでありますけれども、たとえば地方団体に自主的財源を与えるというこの必要を考えながらも、いわゆる軽油引取税であるとかあるいは都市計画税であるとか、あるいは三公社等を含んでおります交付金、納付金の制度を設ける新税を創設されております。この新税は、わが党の方からもあるいは与党の人からも質疑応答のときに出ておりましたように、やがてそれは大衆に負担させるおそれのある税金であるので、こういう税金は取りやめるべきではないかという意見を、この委員会において申し述べて参ったのであります。大衆にその負担を転嫁させるような新税には、私たちこの際どうしても賛成することができないわけでありまして、自主財源を与えるというのならば、もっとほかに大衆にその負担が転嫁されない方法において考究さるべきではないか。たとえばたばこ消費税率を引き上げて財源を与えてやるとか、あるいは大法人に対する減免措置を処理するとかいろいろな方法で、地方団体に対する財源付与ということを考究さるべきではなかったか。そういうような点を十分検討されずに新しい税金を立てて、税源の付与あるいは地方団体の自主財源が確保されたと考えていくことについては、私たち賛成することができないわけであります。しかも交付団体が唯一の力と思っておりますこの重要なる交付税額をわずかに二五%にとどめておかれたということは、あるいは国家財政云々というような御意見もあると思うのでありますけれども、これを二七%に上げましても、そう大きな影響を国家財政に与えるとは思いませんので、やはりこういう点においても、交付税の大幅なる付与ということに関連して研究せねばならなかった。そういう点で、われわれといたしましては、政府のこの二五%引き上げた施策に対して、そのまま賛成するわけに参らないと考えるわけであります。なおこの交付税法の一部改正の内容につきましては、あるいは財政需要額の単位費用の測定の問題あるいは収入額の問題等がありますが、すべてそういうような新税創設に伴った改正でありまして、結局、先ほど申し上げましたように、その基本的な方向反対いたしておりますので、一応内容は別といたしましても、私たちは政府提案に賛成いたしかねるということを率直に申し上げざるを得ないのであります。  次に地方財政法等の一部改正法律案でありますが、この法律案改正要綱の大きな問題は二つになっておりますが、この中で義務教育職員の恩給費に関する問題を第十条に織り込まれたということにつきましては、まことに賛意を表します。地方の特に都道府県財政の中で、教育費の問題がよく出て参りますが、しさいに検討して参りますと、義務教育職員の恩給関係の県負担分というものが相当高い率を占めておるようであります。各県ともにこの恩給の支払いには相当頭を痛めておったのが、今日までの実情であったと思うのです。それを今回半額の国庫負担ということでこういう措置ができていくことは、大へん喜ばしいことだと存じます。ただ残念なことは、せっかくこのようなりっぱなお考え法律として作っていただきましたのに、その附則においてこの実施が昭和三十一年七月一日以後において退職した者、こうなっておりますから、どうも千仭の功を一簀に欠いた気がいたしましたが、こういうものはすべからく今までの者に適用するようにしていただきたいと考えるわけであります。次に地方財政再建促進法の一部改正というものが、大きな項目の一つになっておるようでありますけれども、この中で地方再建団体財政再建計画の承認の前に、退職手当の財源に充てるために起した地方債は、財政再建債と見なすことができる、こういうふうに規定されておりますが、地方財政再建促進特別措置法につきましては、わが党は反対をいたして参ったのであります。特に反対いたしました理由の中に、大きな問題といたしましては、退職債というものが昨年度大体六十億くらいあったと思います。われわれがこういうような起債を認めるならば、次から次に地方公務員の首切りが行われ、とんでもないことになりはしないかというようなことが、反対をいたした一つの原因になっておりますが、あるいは政府の方では御察知ないかもしれませんけれども、たとえば給与が高い、あるいは人的構成が悪い、非常に高年令者が多いということで、今日地方団体では大量の人員整理あるいは昇給昇格のストップということが行われていることは御承知であろうと思います。ところがこの退職債を受けて、いわゆる人員整理をするために政府から起債を受ける。そしてそこに百人なり二百人なりの人員整理をする。それによって退職金等を支払っていく。ところが実質はその退職させられた者の中から、また再び身分の転換によって採用されていくという事実も、決して見のがすわけにはいかないわけであります。結局この退職債を受けて、当面の苦しい財政を切り抜けて、あるいは政府が期待しておられますような新しい意味の新陳代謝というような形となって現われてこないという結果も考えられるわけでありますが、しかもこの退職債を受けたものに、利子補給までしようということになると、ますます今日の地方公務員の人員整理等に拍車をかけていく結果になるのではないか、こういうことをおそれるものであります。従って私たちとしては、こういうような退職債を出すことさえも疑問がありますし、また退職債を出させるような起債額があったならば、それを他の事業関係のものに起債として見てやるという方向考えていくことが当然のことではないか、そういう意味におきまして、この地方財政法等の一部改正の項目として、そのような退職債に利子補給もつけてやろうというような行き方につきましては、どうしてもわれわれの納得のいかない問題でありまして、反対せざるを得ないと考えるわけであります。  私は概略政府提案の二法案につきまして反対の意向を表明いたしましたが、今日の地方財政状況、いろいろ政府としては努力をして下さいましたけれども、おそらく不十分でありましょうし、特に地方債等の問題は大きな課題として残っておりますので、わが党提出地方交付税法の一部改正、いわゆる税率二七%に引き上げることに、与党の皆様もぜひとも一つ御賛成下さるように重ねてお願いいたしまして、私の討論を終ります。(拍手)
  34. 大矢省三

    大矢委員長 これにて討論は終りました。  次に採決に移ります。  まず北山君外十名提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案に対して賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  35. 大矢省三

    大矢委員長 起立少数。よって本案は否決されました。     —————————————
  36. 大矢省三

    大矢委員長 次に政府提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  37. 大矢省三

    大矢委員長 起立多数。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決しました。     —————————————
  38. 大矢省三

    大矢委員長 次に地方財政法等の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  39. 大矢省三

    大矢委員長 起立多数。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。本日議決いたしました三案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければさよう取り計らいます。     —————————————
  41. 門司亮

    門司委員 これとは別でありますが、かつて本委員会の総意として、今問題になっておりまする教育二法案に対する公聴会の申請があるわけであります。従って現在の状況では、そういう取扱い等についてもいろいろ複雑な問題があるかと思いますが、しかし地方行政の中で教育行政は、ことに町村におきましては過半といっていいか、七〇%くらいまでは大体教育行政である。この教育行政に重大な関係を持っております二法案の審議に当って、当委員会の委員としてこれに何らの意見を申し述べない。さらに当局に質問もしないでこれを放置するということは、当委員会としてはできないことだと私は考える。従って決定されております事項については、一つ委員長から文教委員会の方に厳重に申し入れをしていただきまして、私たちに本問題に関する発言の機会を与えていただきますように、ぜひ御努力を願いたいと思います。
  42. 大矢省三

    大矢委員長 せっかくの本委員会の決定でもございますから、私からも文教委員会の方に申し入れいたしまして、希望通りいたしたいと思います。
  43. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の問題、ほんとうにきのうあたりから相当衆議院の方も、もめておりますし、はなはだ重要なことでありますので、今門司委員のおっしゃった通り、これはこのままでいったのでは、地方行政委員会としては何だかわけがわからぬ。さっそくこの会議の散会後一つ理事会を開いていただいて、よく与党側委員の御意見を伺って懇談をしたいと思います。
  44. 大矢省三

    大矢委員長 それでは散会後すぐ理事会を開きますから、理事の人は残っていただきたいと思います。  それでは次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十一分散会