○川村(継)委員 私は
日本社会党を代表いたしまして、わが党から
提出いたしました
地方交付税法の一部
改正の
法律案について賛意を表し、
政府提案の
地方交付税法の一部
改正法律案、それから
地方財政法等の一部
改正法律案について
反対の
意見を表明いたしたいと思います。
まず率直に私は、与党の皆さん方がわが党の
提出いたしました
地方交付税法の一部
改正に御賛成下さるようにお願いをいたしたいと思います。
御承知の
通り交付税の
税率改正につきましては、これは昨年からずいぶん問題になっていた問題でございまして、われわれの
提案いたしております趣旨は、先ほど
北山委員からもるる申し述べた
通りでございます。御承知のように昨年第二十二
国会のころから、二十九年度までに膨大なる赤字をかかえ込んだ
地方自治
団体が、その
財政をどうして切り開いていくか、また三十年度の
財政計画の見通しも立たないという苦境にあったときに、
地方の自治
団体は、あげて
交付税率の三〇%を要望いたしたのであります。三〇%の
交付税率を
政府が
考えてくれるならば、
地方自治
団体の
財政運営はきわめて円滑に持って行けるという趣旨を、この
委員会等にも申し述べてきたことは、すべての者が承知いたしている点でございます。もちろんわれわれも、できれば
税率三〇%にいたしまして、この
地方財政の再建あるいは健全なる
運営に資することが必要であると
考えられたのでありますけれ
ども、これは国家の
財政等との
関係もありまして、なかなか
地方の要望にそのままこたえられなかったというのが実情であります。わが党は二十二
国会からあるいは臨時
国会に至る間、すべての問題を検討いたしまして、国家の
財政状況あるいは
地方の
財政状況等を検討いたしまして、この二七%という線を常に堅持いたしまして、この二七%に相当するところの税額を、当然国の
責任として
地方に交付すべきであるということを
主張いたしまして、この
委員会にも
提案いたして参っておる次第であります。ただいま御賛成いたされました永田委員のお
言葉にあったのでありますが、
政府が今回いかにも大幅に
税率を引き上げられたような御趣旨でありましたけれ
ども、当時永田さんは政務次官をしておられまして、あるいは御存じなかったかもしれませんけれ
ども、
政府与党の皆様方も、二十二
国会においては、今年度は二五%はやむを得ないけれ
ども、二八%にすべきであるといって、法案を
提出されました事実もあるわけであります。なおこの税額の総額からいたしましても、本年度は一千六百億程度の総額になっておりますけれ
ども、これには二十九年度の剰余金も入っておりますし、また三税の税収を多くのんでおりますので、実質的に上昇いたしました税収というものは、そう多くないのであります。今御賛成の
意見にありましたように、大幅な、実に思い切った
税率改正をやられた、こういうふうには受け取れないと思うのであります。この二五%が今日の
地方財政をささえていくのに果して妥当であるかということは、大いに疑問としなければなりません。やはり私たちが
主張いたしておりますように、少くとも二七%に相当するものを
地方の財源として国がその
責任上与えるべきである、かく
考えるわけであります。
地方団体の赤字発生の原因についてるる申し上げる必要はないと思います。私たちも
地方の赤字発生について、決して
地方自治
団体に
責任がないとは申しませんけれ
ども、これは昨年からいろいろと検討されて参っておりますように、その大半の
責任はやはり国が負うべきものであるわけでありますから、
地方の
財政を円滑に
運営させるためにも、
地方の破綻に瀕した
財政を健全化するためにも、国はその
責任上やはり二七%程度の税額は当然与えるべきである、かく
考えるわけであります。従って私は、ぜひとも与党の皆様方もこのわが党
提出の
交付税の一部
改正に対して御賛同いただきたい、かく心からお願いを申し上げるわけであります。
なお、
政府提案の
地方交付税法の
改正案につきまして
反対いたします
理由は多々ありますけれ
ども、簡単に一、二の点を申し上げたいと存じます。今ほ
ども申し上げましたように、
政府の
地方財政再建の構想あるいは国が
地方の
財政を再建するための
責任を負うという角度からは、二五%の財源を与えても、その
責任を十分果したとは言えない、こう
考えるわけであります。申し上げるまでもございませんが、二十八年度末四百六十二億という赤字をかかえ込んだ
地方団体が、二十九年度末には六百四十九億の赤字をかかえ込んでおると言われます。このかかえ込んだ赤字の解消策というものが十分研究されねばならないことは当然でありますが、その後赤字を発生させないような強力な
地方財政に対する施策がなければならないと
考えることは、これは当然のことであろうと思うのであります。ところがこれらの赤字解消の問題に対して、
政府は
地方財政再建促進特別措置法を
提出されて、一応の措置らしきものはできておりますけれ
ども、おそらくあの
法律をもってしても完全にその手当てができておるとは、
政府自身もお
考えになっておられないと思うのであります。将来赤字を発生させないためには、たびたび問題となっておりますように、累増いたしております
地方債に対する
対策をどのように立てるかということが、また
一つの大きな問題にならねばなりませんし、
財政面においても当然第一の問題として取り上げていかねばならない問題だと思います。今回
政府が
考えられました
対策は、非常な御苦心をなさった点につきましては、もちろん
敬意を表するのでありますけれ
ども、たとえば
地方団体に自主的財源を与えるというこの必要を
考えながらも、いわゆる軽油引取税であるとかあるいは都市計画税であるとか、あるいは三公社等を含んでおります交付金、納付金の
制度を設ける新税を創設されております。この新税は、わが党の方からもあるいは与党の人からも
質疑応答のときに出ておりましたように、やがてそれは大衆に
負担させるおそれのある税金であるので、こういう税金は取りやめるべきではないかという
意見を、この
委員会において申し述べて参ったのであります。大衆にその
負担を転嫁させるような新税には、私たちこの際どうしても賛成することができないわけでありまして、自主財源を与えるというのならば、もっとほかに大衆にその
負担が転嫁されない方法において考究さるべきではないか。たとえば
たばこの
消費税率を引き上げて財源を与えてやるとか、あるいは大法人に対する減免措置を処理するとかいろいろな方法で、
地方団体に対する財源付与ということを考究さるべきではなかったか。そういうような点を十分検討されずに新しい税金を立てて、税源の付与あるいは
地方団体の自主財源が確保されたと
考えていくことについては、私たち賛成することができないわけであります。しかも交付
団体が唯一の力と思っておりますこの重要なる
交付税額をわずかに二五%にとどめておかれたということは、あるいは
国家財政云々というような御
意見もあると思うのでありますけれ
ども、これを二七%に上げましても、そう大きな影響を
国家財政に与えるとは思いませんので、やはりこういう点においても、
交付税の大幅なる付与ということに関連して研究せねばならなかった。そういう点で、われわれといたしましては、
政府のこの二五%引き上げた施策に対して、そのまま賛成するわけに参らないと
考えるわけであります。なおこの
交付税法の一部
改正の内容につきましては、あるいは
財政需要額の単位
費用の測定の問題あるいは
収入額の問題等がありますが、すべてそういうような新税創設に伴った
改正でありまして、結局、先ほど申し上げましたように、その基本的な
方向に
反対いたしておりますので、一応内容は別といたしましても、私たちは
政府提案に賛成いたしかねるということを率直に申し上げざるを得ないのであります。
次に
地方財政法等の一部
改正法律案でありますが、この
法律案の
改正要綱の大きな問題は
二つになっておりますが、この中で義務教育職員の恩給費に関する問題を第十条に織り込まれたということにつきましては、まことに賛意を表します。
地方の特に都道
府県の
財政の中で、教育費の問題がよく出て参りますが、しさいに検討して参りますと、義務教育職員の恩給
関係の県
負担分というものが相当高い率を占めておるようであります。各県ともにこの恩給の支払いには相当頭を痛めておったのが、今日までの実情であったと思うのです。それを今回半額の国庫
負担ということでこういう措置ができていくことは、大へん喜ばしいことだと存じます。ただ残念なことは、せっかくこのようなりっぱなお
考えを
法律として作っていただきましたのに、その附則においてこの実施が
昭和三十一年七月一日以後において退職した者、こうなっておりますから、どうも千仭の功を一簀に欠いた気がいたしましたが、こういうものはすべからく今までの者に適用するようにしていただきたいと
考えるわけであります。次に
地方財政再建促進法の一部
改正というものが、大きな項目の
一つになっておるようでありますけれ
ども、この中で
地方再建
団体が
財政再建計画の承認の前に、退職手当の財源に充てるために起した
地方債は、
財政再建債と見なすことができる、こういうふうに規定されておりますが、
地方財政再建促進特別措置法につきましては、わが党は
反対をいたして参ったのであります。特に
反対いたしました
理由の中に、大きな問題といたしましては、退職債というものが昨年度大体六十億くらいあったと思います。われわれがこういうような起債を認めるならば、次から次に
地方公務員の首切りが行われ、とんでもないことになりはしないかというようなことが、
反対をいたした
一つの原因になっておりますが、あるいは
政府の方では御察知ないかもしれませんけれ
ども、たとえば給与が高い、あるいは人的構成が悪い、非常に高年令者が多いということで、今日
地方の
団体では大量の人員整理あるいは昇給昇格のストップということが行われていることは御承知であろうと思います。ところがこの退職債を受けて、いわゆる人員整理をするために
政府から起債を受ける。そしてそこに百人なり二百人なりの人員整理をする。それによって退職金等を支払っていく。ところが実質はその退職させられた者の中から、また再び身分の転換によって採用されていくという事実も、決して見のがすわけにはいかないわけであります。結局この退職債を受けて、当面の苦しい
財政を切り抜けて、あるいは
政府が期待しておられますような新しい
意味の新陳代謝というような形となって現われてこないという結果も
考えられるわけでありますが、しかもこの退職債を受けたものに、利子補給までしようということになると、ますます今日の
地方公務員の人員整理等に拍車をかけていく結果になるのではないか、こういうことをおそれるものであります。従って私たちとしては、こういうような退職債を出すことさえも疑問がありますし、また退職債を出させるような起債額があったならば、それを他の事業
関係のものに起債として見てやるという
方向に
考えていくことが当然のことではないか、そういう
意味におきまして、この
地方財政法等の一部
改正の項目として、そのような退職債に利子補給もつけてやろうというような行き方につきましては、どうしてもわれわれの納得のいかない問題でありまして、
反対せざるを得ないと
考えるわけであります。
私は概略
政府提案の二法案につきまして
反対の意向を表明いたしましたが、今日の
地方の
財政状況、いろいろ
政府としては
努力をして下さいましたけれ
ども、おそらく不十分でありましょうし、特に
地方債等の問題は大きな課題として残っておりますので、わが党
提出の
地方交付税法の一部
改正、いわゆる
税率二七%に引き上げることに、与党の皆様もぜひとも
一つ御賛成下さるように重ねてお願いいたしまして、私の討論を終ります。(拍手)