運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-04-12 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十二日(木曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 古井 喜實君    理事 吉田 重延君 理事 中井徳次郎君       唐澤 俊樹君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       中嶋 太郎君    灘尾 弘吉君       丹羽 兵助君    堀内 一雄君       山崎  巖君    山中 貞則君       加賀田 進君    川村 継義君       五島 虎雄君    坂本 泰良君       櫻井 奎夫君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 四月十二日  委員原彪君辞任につき、その補欠として坂本泰  良君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  地方財政再建等のための公共事業に係る国庫  負担等臨時特例に関する法律案内閣提出第  八一号)  地方財政法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇八号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案地方財政再建等のための公共事業に係る国庫負担等臨時特例に関する法律案地方財政法等の一部を改正する法律案、各案を一括議題とし質疑を行います。亀山君。
  3. 亀山孝一

    亀山委員 この機会にちょっとお伺いしたいと思いますが、起債の問題につきまして、最低額をたしか七十万円と押えられておるやに聞いておるのでありますが、簡易水道等におきましては、私が申し上げるまでもなくいろんな事情がありまして七十万円より下の起債を要望しておる町村が非常に多いように聞いております。そこでこの最低額の制限をあくまで厳重になさるか、あるいは今のような特殊の事情があれば、七十万円以下の起債でありましてもこれをお認めになるか、その点を一つはっきりとお答えを願いたいと思います。
  4. 後藤博

    後藤政府委員 三十年度の起債を各団体別に、最低限度起債ワクをきめました際に、町村分を七十万円といたしておったのであります。七十万円の場合に、簡易水道がはずれるということでございますので、これはレア・ケースとして一応私どもは七十万円以下でもつけるという建前にいたしたのであります。将来簡易水道等で少額の場合にもやはり同じような方針で行きたいと思います。  ただ全体的に市町村起債最低限度幾らにしたらいいか、こういう問題との関連がございまするので、一般原則といたしましては七十万ないしせいぜい百万くらいを起債の単位にするのが、現在のところ適当だと考えまして、また起債手続等煩項でありますし、償還年限等のからみ合いを考えてみますると、百万円くらいがいいのじゃないか、こういうふうにも考えられるのでありますが、特殊なものにつきましては、やはり特殊な取扱いをいたしたいと思います。災害については五十万円くらいのものもやっております。簡易水道等特殊なものにつきましては、レア・ケースとして取り扱っていきたいというふうに考えております。
  5. 亀山孝一

    亀山委員 そういう御方針であれば、それを各府県並びに市町村に示していただきたい。御答弁だけではどうも不満足です。各町村ではその点を誤解をして、七十万円以下の起債はもう自治庁では認められぬというふうに解釈しているのです。そのようにレア・ケースとして認めるということであれば、その点を地方通達なさる意思があるかどうか、それをお伺いしたい。
  6. 後藤博

    後藤政府委員 それはレア・ケースでありますから、レア・ケースとしての取扱いをいたしたいと思っております。通達で出しますると原則的なものになって、むしろ補助金を少くして負担を少くするという弊害が逆に出てくるのじゃないかと思います。従って補助金はたっぷりつけてもらって負担額を多くすれば、当然起債ワクは多くなるのであります。それがやはり原則的な考え方でありまして、むしろそれでまかない切れないような特殊な場合についての取扱いでありますから、その辺は現在別にそういうふうな通達をする考えはございません。レア・ケースのある地域は大体きまっておりますので、その地域だけに十分話しておけばいいのではないかと考えております。
  7. 亀山孝一

    亀山委員 今、後藤財政部長は非常に要領のいい答弁をされましたが、そういうふうなお考え地方じゃわからないのですよ。七十万円以下の起債自治庁では相手にしてもらえぬ、こういうような工合だから、その点はある程度今の御答弁のような趣旨を、何か適当な方法で伝えていただかぬと、てんで初めからだめだと思って申請しない。それは簡易水道の普及からいえば大へん困るのです。それはおっしゃるように、下手に通達すれば工合が悪いかもしれませんが、何か知恵をしぼって適当な方法で周知せしめていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  8. 後藤博

    後藤政府委員 関係課長説明するような場合にはもちろん申し上げます。しかし通達となりますと、これを読んで参りますと、七十万円以下でも幾らでも起債が認められるということになりますと、今度は逆にそっちの方が原則になって変態な傾向が出てくる可能性がありますので、私どもはそれをおそれておるのであります。それは地方団体からいいますと、たっぷり補助金をつけてもらう方がいいのでありますから、補助金をちびって、負担額も少くして、起債ワクも少くする、こういう考え方にならないような方法でもって、地方指導をしていきたいと考えておbます。もちろん起債許可方針説明する場合には、レア・ケースとしてそういう場合には認めるのであるということを、明確に説明をし、指示いたしたいと考えております。
  9. 亀山孝一

    亀山委員 これに関連して少しいやな問題ですけれども、今年度の水道起債許可について自治庁厚生省とで多少ごたごたしたように聞いているのですが、自治庁水道に御熱心なことはけっこうだと思うけれども、ある程度は主務省である厚生省指導権というか、それを認められる方がいいと思うのですが、その点はどうお考えになりますか、鈴木次長にお伺いしたい。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 水道関係は、事業それ自体につきましては、御指摘のように厚生省あるいは建設省所管をしておるわけでございまして、自治庁としてはそれに対する起債の問題が直接的に関係があるわけでございますが、厚生省との間では、私どもとしてもできるだけ事業所管省立場としての御要望の意見を取り入れて起債許可をするようにして参りたいと思います。ただ水道につきまして、たとえば市町村の合併の関係でございますとか、あるいは財政上の見地でございますとか、そういうものをにらみ合せまして、その事業が実際できる事業であるかどうかということで、自治庁としましては、判断をするわけであります。厚生省の御意見をできるだけ、そういう原則のもとに取り入れて参りたいと考えておるのでございまして、今回御指摘のようなことは若干交渉過程におきましては、いろいろございましたが、最後はよく釈然として、厚生省の意向も私どもといたしましては、十分に反映させたつもりでございます。
  11. 亀山孝一

    亀山委員 これは水道起債だけではありませんが、一体に大蔵省起債許可申請手続というものは実に錯雑なんです。これはわれわれ市町村当局から聞きまして、起債に関する手続が現在のように繁雑というか、窓口の多いことはまことに遺憾千万だと思うのです。それで私は大臣にお願いしたいのでありますが、こういう起債をこの際何とか簡素化していただいて、今の窓口をもう少し整理していただきたい。これはむしろ大蔵当局においで願ってお願いしたいと思うのでありますが、現在は各地方所在財務部出張所それから財務局それから府県自治庁、実に大へんなんです。私ども錯雑というのは事務を慎重にされるということであれば、これはまた別でありますけれども、一種のお参りをさせるようなことになっておる。町村財政というものを知っておるのは自治庁です。それが府県外財務部出張所からまた財務局べ行ってそれからまた東京へ来れば、自治庁大蔵省両方に陳情しなければならぬ。これは大臣もよく御存じだと思いますが、大へん錯雑なんです。そして市町村旅費の大部分を占めているのは起債許可申請のための陳情なんです。これを一つすみやかに是正をお願いしたいと思いますが、大臣いかにお考えになりますか。
  12. 太田正孝

    太田国務大臣 亀山委員のお言葉通りに、私もそのことを痛切に感じておりました。雑談的ではございましたが、大蔵大臣にも、特に大蔵省出先機関などが私の聞いた限りでは、財務局においても半分くらいは起債関係で役人が出てくるということを聞いておるけれども、とんでもないことだ、しかしこっちの方に改むべきものがあれば改めるが、何とかこういう問題は根本的に考えようじゃないかとさえ申し上げた次第でございます。どういうふうにしたならば、いいかという実体の問題を考えまして、この問題を解決いたしたい、こう考えております。
  13. 亀山孝一

    亀山委員 今の大臣のお言葉で私も非常に満足するのでございますけれども、はなはだ勝手でございますが、この国会会期中に一つ大蔵当局お話を願いまして、一応われわれにお示し願えれば何より幸いだと思うのであります。実際これはるる申し上げませんけれども、大へんに繁雑な手続なんです。どうか一つ善処方をお願いしたいと思います。
  14. 太田正孝

    太田国務大臣 お言葉通りに善処したいと思います。問題は行政機構改革関係を持っておりまして、出先機関の問題が先回っておりますが、この間もそのことを閣議の席で申し上げて役所自体の費用の重なることもそうですが、国民全体にいろいろな迷惑をかけることにもなるので、早くやらなければならぬということを主張しておいた次第でございます。ただはっきり期間を切って、この会期中ということはお引き受け申してもできない場合がございますが、私は精一ばいの努力をするつもりでございます。
  15. 門司亮

    門司委員 今の問題ですが、これはつい二、三年前に、実は大蔵省出先のそうしたものを整理をするという法律案を議会に提案しまして、そうして三年くらい前から、実はこれをしないで延ばしておったことがあるのであります。ところが大蔵省からは逆に今度は出先機構を強くするという案を出してきて、法案が二つかち合って両方とも引っ込めないような事情で、長い間この委員会大蔵委員会との間に問題があったのであります。問題は法律行政機構改革のときにこれをなくしてしまうということも一つ方法でしょう。しかし問題は、今亀山委員からお話のありましたように、地方水道一つこしらえようとしても、気苦労が非常に大へんなんです。県なら県の」出張所に先に話すがいいか、あるいは大蔵省出先に先に話すがいいかということまで苦労しておる。先に県の出張所に行くと、大蔵省にやってもらったらいいじゃないかと言う。うっかり県の地方課に行ってそっちの話が進んでおると、起債の額をきめるのはおれの方なんだからおれの方が知らなければだめだと言うので弱っておる。問題になりますのは、行政上の処置としてそういうものについての手続順序です。だから何も大蔵省あとから話をすればいい筋合いのものであって、先に出先が出てきてとやかく一昔う筋合いじゃないと思う。だからできれば当面の処置として手続順序をこういうふうにすれば、大蔵省はこれでいいのだということにでも取り扱いを願いませんと、なかなかこれは片づかぬと思うのです。法律でやめてしまえば一番あっさりしておりますけれども、なかなかむずかしい。大蔵省にもやはり言い分がありまして、こっちで廃止するような法案を出すと、向うから逆に権限を強くする法案を出してきてなかなかまとまらない。そういう点について大臣はどうですか、行政上の処置でそういうめんどうなことをしなくてもいいのだというように、お話し合い事務当局で願えればいいのじゃないかと思う。厚生省厚生省で持っていく、建設省建設省で持っていく、それから自治庁に持っていく、どの役所にどういう話をするかということで、うっかり順序を誤まっておると、方々でべそを曲げられて、いつまでも認可されないというのが実情なんです。そういう場合には、政府内部で全部の話し合いをしてもらって、手続はこういうふうにするのだということで、地方自治体に御迷惑をかけないように行政上の御配慮を願いたいと思います。
  16. 太田正孝

    太田国務大臣 亀山委員門司委員お話は私もそのように思います。ことに御注意は手続問題ということでございますが、金融という立場から大蔵省は実は少し行き過ぎるくらいじゃないかという態度をとられる場合がある。たとえば再建債の問題などについても、なかなかこやかましいといいますか、丁寧といいますか、親切過ぎるようなことがあるようでございます。金融の面からいう監督は、それは必要でございましょうが、実体を扱うところは自治庁であり、あるいはその他の実際にその金を使うところでございますから、総額としての国の財政あるいは金融建前からの点は大蔵省がやってもいいのですが、それをどうも行き過ぎるようなことをする場合もちょくちょく耳にいたしますので、やはり手続はどこまでも実体を取b扱うところでやって、金融の面からだけ考えてもらうようにするのがこの問題の筋道じゃないかと思います。私はそういうふうに心がけておりますが、そんな線で進めていきたいと思います。
  17. 中井徳次郎

    中井委員 今亀山さんから非常によい御質問があって、門司さんからも意見の開陳がありましたが、私は実は体験者の一人でありますので、もう少し念を押しておきたいと思うのです。私は非常に困ったことがあります。率直に申しますと、こういうことなんでございます。昭和二十二、…年ごろまでは、財務局はその当時やっておりませんでした。そのうちに財務局府県市町村の方にも一これは実は大臣にも罪がある。たとえば三千万円の起債が実際にほしいと思えば、五千万円出さぬことには三千万円という査定がこないだろう、おれのところは六千万円出すのだというふうなことがここ二年始まりましたので、はっきり言えば、大蔵省側からそれのあげ足をとられたようなかっこうで、これは調べなければいかぬというので、ああいうものが置かれて、そして前からありましたが、国有財産だとかあるいは金融機関関係でありましたのを自治体にまでこれを及ぼす、そうなりますと、最初一、二年はおとなしかったのですが、そのうち府県が非常に困って参りました。最初市町村が困っておりましたが、府県が困ってきた。そこで一例を申し上げれば関西なら関西財務局ということになれば、今度は府県の間で財務局の取り合いが始まる、そういうふうな状態、奈良県は大阪に行かなければならぬ、京都府は非常に赤字だから大阪より、も少し多く、また兵庫県もどうだということになります。そうなりますと今度は逆にその結果、市町村が非常に困った。と申しまするのは、市町村といたしますると書類を一出しまする際には府県を経由して出します。そうなりますると府県がお互いに自分赤字をどうこうするというので頭を悩ましますから、自分の県のことにつきましては大いに財務局折衝をいたしまするが一自分の管内の市町村については、自分の県がかわいいあまりに財務局の言うままになる。その辺のところは一つ妥協して、おれの県のことだけは一つ頼む、こういうような次第で、そうして末端の市町村になり−ますると、おそらく書類を十通も二十通も作りまして説明に飛び歩かねばならぬ。そのうちに調査に行くというふうなことが始まる。まことに最近の情勢におきましては非常に錯綜したことになっております。私は三年ほど前のこの地方行政委員会でその意見を述べまして、財務局みたいなものは廃止してしまえと、朝こういうところで質問いたしましたら、夜私の宿舎に財務局から十通ばかり絶対反対という電報が来ておりました。なかなかどうも何と申しますか、執拗なことであります。そこで私は筋といたしましては、財務局もこれは必要でありましょう。ありましょうが、そのうちから府県市町村起債部分だけはこれは取ってしまう。写しでも送って、監査はあとでけっこうでございます。けっこうでございまするが、事前にそこまで干渉されましては仕事になりません。これが市町村府県のいわゆる間接費といいますか、旅費だとか折衝費だとか、そういうものが非常にたくさん要るようになりました大きな原因であろうと思います。そうしてそういうことをやりますために、私はさらに言いたいことは非常に正確な、正しい裁定がなされたかということが問題なのです。それがなされておるならば問題はないのでありまするが、結果は非常に錯綜しておりまするから、その間を上手に縫っていった男とか、あるいはまたそんなことをやめて、東京でガンと一発大野伴睦氏に頼んだところがあっさりできたというようなばかばかしいことが、今度はあまり錯綜し過ぎたので、逆に縦の線がずっときちゃったというふうなことになりまして結果として見れば公平どころか、まことに不公平になってしまった。一年たってみれば隣の市はおれは六千万円の水道を一挙にもらってやったのだ、だれに頼んだか、あれはあの人に頼んだのだというふうなことで、一体何のために機構を作ったのかわけがわからぬ。この点、私が今申し上げたのは事実ですよ。これは例を出せと言うなら私は幾らでも出します。そういう意味において、ぜひともやはり自治体内容について、すいも甘いもかみ分けておる自治庁が、これはすらっと東京までで押えて、そうして大蔵省は金額の全体においてやる。私は、これは自慢話ではありませんが、そういうことを感知しましたから、私個人がやっておりましたときには絶対大蔵省関係に行きませんでしたよ。ずいぶん損しています。今も私は大蔵省起債関係でのぞいたことはありません。そのようなばかなことはない、自治庁を通じてあくまでやるべきであるという考え方で来ておりますが、非常に不愉快です。このことはもう自治庁を担当する大臣とされましておそらく大蔵大臣あるいは首脳部の人はそういうことは御存じなくて、逆にいや自治庁にまかせておけばこういうことがあります、ああいうことがありますというような告げ口を、そのまま信じておられるのではないかと思いますが、これはよくお調べになって、亀山さんのお話じゃないが、早急に解決を見出していただきたい、かように思います。
  18. 太田正孝

    太田国務大臣 お言葉、またことに経験から割り出されたお話を傾聴いたしました。私も昔大蔵省の小役人をしていたこともございまして大蔵省のことも気にしておるのですが、やはり大筋は、金融をつかさどる大蔵省自治体的な面にまで入ることに問題があるので、あるいは私ども自治体を取り扱う自治庁として行き届かぬ面があるかもしれませんが、その面に直接当りまして大蔵省とも交渉いたしたい、また根本的な問題も解決いたしたい、かように考えております。
  19. 大矢省三

  20. 五島虎雄

    五島委員 それでは川村さんがきのうの質問に続いてやられるだろうと思うのですが、その前に一点について質問をしておきたいと思います。  先日長官地方公務員の給与の問題について答弁を求めたわけですが、そのときは閣議の決定の線に沿うてi公務員にも賃上げはしないという方針が決定した、従って自分もその線に従って地方公務員に対する賃上げというものはやらないということにしているんだ、しかし公務員にこれが実施される場合は地方公務員まま子扱いにならないように、そうしてあくまで均衡をとった立場において考慮するということを了解してもらいたいというふうに長官説明されたわけであります。ただまま子扱いとか、均衡を欠かないように考えるところの長官気持そのものは了解できるわけですけれども、やはり地方公務員の生活という面からは、十分考慮してもらわなければならないと思うわけです。ところがその均衡を欠かない、またまま子扱いにしないというような長官言葉から類推しても、地方団体が、あるいは地方公務員が非常に均衡を欠いている向きがたくさんある。従ってこのことについて二、三長官意見を伺ってそうして最後にその結論を求めたいと思うわけです。  ただいままだ具体的な審議には入っておりませんが、参議院の先議によって、ただいまわれわれの手元に地方公務員法の一部改正法律案が出ております。これによりますると、国家公務員には停年制はないわけですけれども、この法案によって、地方公務員には今回停年制を実施したいというような内容になっているわけです。ところが公平の原則ということからし、あるいはまま子扱いにしないという長官気持からするならば、こういうように地方公務員のみに停年制を採用するというようなことは均衡を欠いてはいないかというように考えるわけです。私がこう言うのは地方公務員法審議に入るという意味ではなくて、この前答弁をされましたあの公平の原則と、まま子扱いにしないという中からどう考えていかれるか、質問はこれにとどまるわけじゃありません、まだほかにあるわけですが、こういう公平の問題について長官はどう考えられますか。
  21. 太田正孝

    太田国務大臣 第一点は、国家公務員地方公務員と著しく不均衡であるかという問題でございますが、私は、言葉じりをつかむ意味ではございませんが、著しき不均衡とは今考えておりません。  第二点の停年制の問題につきまして、国家公務員にこれを行わず、地方公務員だけにこういう制度をとったということのお言葉がございました。法案審議の場合になお詳しく申し上げることがあろうかと思いますが、国家公務員の方にはいろいろな特殊なもの、防衛庁はもちろんのこと、裁判官、大学教授等ありますが、実態を調べてみましたところでは、戦後において特に役員の動きなどを見ますと、地方公務員関係とは相当違っておるように思うのでございます。もちろん公平に一緒にやるべきことではございまするが、今回その程度の非常に強い地方公務員の方に手をつけたことは、しかも長年の間の懸案としてこれをやったらどうかということは、地方制度調査会にもそのことが出ておるようでございましたので、今回取り上げたような次第でございます。私といたしましては、不公平にならぬという原則のもとにはこの前お話申し上げたような心組みをもって当っておる次第でございます。
  22. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、これらの法律案を提案されたことは、国家公務員地方公務員の著しい均衡は欠かない、従ってやはり均衡立場の中から提案されたと了解してよろしいのですね。
  23. 太田正孝

    太田国務大臣 国家公務員関係につきましても、公務員制度調査会におきまして、今その問題を全面的に考えてる次第でございまして、私の申した線に進んでおることも御了解願いたいと思います。
  24. 五島虎雄

    五島委員 次に、国家公務員は今年度各省の人員から見ると、ずいぶん増加されているところがたくさんあると思います。防衛庁はもちろんのこと、逓信関係その他のところにおいても、定員は整理の中においても逆に増加していると思う。ところが例年の二十九年、三十年、三十一年度の地方財政計画方針からしても、どんどん地方自治体公務員行政整理の面から減員していっている。そして、その地方財政計画の中からも行政整理を要請しているというような方針であるわけです。そうすると地方公務員はつり合いにおいてこれが考えられているのかどうか、この均衡の問題について質問したい。
  25. 太田正孝

    太田国務大臣 国家事務なり地方事務を取り扱う上におきまして、あるいは防衛関係などにつきまして必要なものを増したという事実もございましょう。同時に地方におきましても、教育関係などはむしろ減るよりもふえた数字になっておるかと思っております。それぞれの立場から出たそれぞれの需要に応ずる制度を進めているわけでございまして、地方を特別扱いしょうという意味でやっているのではございません。なお詳しいことを次長から御説明申し上げます。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 大臣の御答弁で大体もうつけ加えることはないかと思いますが、今の小学校、中学校の児童、生徒の増加に伴いまする増員は、本年度七千九百人を財政計画の上では考えておるわけでございます。従いまして、必要な方面には必要な職員は増さなければならぬわけでございますが、反面、財政再建の見地から、それぞれの地方団体において、特に同じような規模なり構成の地方団体において、他の地方団体より著しく職員が多いようなところは、それを現実に再建計画の上で縮減をするということをやっておるかと思います。
  27. 五島虎雄

    五島委員 今教職員の問題が出ましたが、結局一〇%程度は退職を要請していく、また再建促進の問題については六十億円の退職債務を設定していく、そして、がんじがらめのうちにだんだん地方公務員が退職せざるを得ないような雰囲気を作っていくことが、公平の原則に合致しているかどうか。私は、さいぜんから公平の原則とかまま子扱いをというようなことを言っているわけですけれども、これは何も長官言葉じりをつかまえてこういう表現をするのではないわけです。質問はその次にあるわけですから、これは公平の原則に合致しているかどうかということについて、もう一度お伺いいたします。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 中央地方を通じて、たとえば職員の増員の問題とかあるいは給与の取扱いの問題とか、その他財政上のいろいろな問題等については、ことに職員の問題については、公平を失しないようにというのが根本原則でございまするが、しかし、地方に独自の問題については、地方独自の解決をはかるということはあろうかと思うのでございます。一切右へならえ方式というわけには参らぬと思うのであります。もちろんお尋ねの意味もそういう一般原則としての意味だと思います。原則としては、おっしゃる通り考えております。
  29. 五島虎雄

    五島委員 一般原則としては私の言う通りに公平の原則をもって対処するという考えであるわけですね。これは了解しました。  次に、今年の九月をもちまして町村合併促進法が時限立法によって解消し、新しい法律として新市町村建設促進法が出るわけです。ところが、この合併町村が合併された地域は、地方議会の選挙の地域等々についてはそれが吸収されていく、そして逐年地方議会は定員が減少され、あるいは自発的に減少していっておるわけです。選挙法の改正をこの地方行政で論ずるということは、ちょっとどうかと思いますけれども、これは選挙法そのものを論じようとは思わないわけですが、やはりここにも公平の原則を欠いている向きがあるのではなかろうか。従って冒頭に公平の原則ということを出したことについて関連して聞きたいのは、ただいま問題となっておりまするところの国会議員の定数の増加と、そうして地方議会の議員の定数の減少、国では多く地方では少くというようなことが、果して公平の原則に合致するかどうか、非常にばく然たる質問ですけれども、この点について長官考え方を聞いておきたいと思います。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 中央の国会議員、地方の議会の議員、この二つの間で、一方は今回の改正においては衆議院議員の数を増し、地方は議員の縮減をやる、こういうことは矛盾しているのじゃないかという意味のお尋ねのようでございますが、これは過去の沿準を考えてみますと、戦後におきましては貴族院が参議院に変りました際に、大体従来四百人くらいが貴族院の定員でございましたが、参議院はそれがたしか二百五十人に今日なっておるわけでありまして百五十人程度の議員の縮減があるわけであります。衆議院におきましては四百六十六人が四百六十七人ということで、ほとんど変動がないといっていいと思うのでございますが、要するに両院を通じて国会議員の数がどうなったかと申せば、百五十人は減っておるわけでございます。そういう一つの沿革がございます。それから地方の方はどうであるかと申しますと、都道府県の議会の議員につきましては、これは戦後の改革におきまして、最低三十人というのを最低四十人にいたしまして、これは一番下の基礎数を十人ふやしておるのでございます。それから市町村につきましても、議員の定数の基準を若干緩和いたしまして、これも若干ふえておるのでございます。そういうわけで戦後の改革において、地方議会の議員の数がふえ、国の方はむしろ一むしろといいますか、相当減っておるわけでございます。そういう沿革が一つの前提としてあるわけでございますが、今回政府が考えました小選挙区案におきましては、御指摘のように三十人衆議院議員の数がふえているわけでございます。これは衆議院議員の選挙について小選挙区制を採用する、なかんずく一人区制を原則とする小選挙区制を採用するということで、大正八年の際におきましては八十七人でございましたか、相当にふえているわけでございますが、やはり小選挙区制という制度を採用する際には、区割りその他の関係からある程度の増員ということが不可避のようでございます。ことに都市部分はふえますけれども、農村部分は、人口が単純比例で参りますると減って参りまするので、やはり両者の権衡というような点から、減る方は現状を保障するというような考え方に立ちますと、どうしてもある程度ふえざるを得ない。こういうようなことで、今回政府は選挙制度の改正の根本趣旨からいって、三十人程度の増員はやむを得ない。ことに選挙制度調査会の答申もあるものでございますから、それをそのままとったような次第でございます。
  31. 五島虎雄

    五島委員 説明はわかりました。従って国と地方の公平の原則は、普遍的にはそうまま子いじめとか何とかいうようなことは考えられないということですね。それは了解しました。  次に地方団体の予算の編成あるいは議案の提出というような場合、地方団体の長が議会に議案を提出する際、予算を伴うところの議案を議会には提出できないということが、財政法の三条の二項にあるわけです。そして地方自治団体の長の議案の提出を制限しているわけです。ところが政府は予算の歳入の明確に伴わないような法案も出す。こういうように一方では制限をしながら、政府はそういうようなことも超越している。たとえばこの国会でこの問衆議院を通過させたところの消防団員等公務災害補償責任共済基金法案というようなのは、これは明らかに予算の歳入の伴わない法案であった。そういうようなこと等は、一体公平の原則に合致するだろうかどうかということを、非常に執拗だと思われるだろうけれども、公平の原則に関連してここで聞いておきたい。
  32. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 予算を伴う議案、地方で参りますと条例案、国では法律案ということでありましょうが、そういうものは、地方の場合におきましては、これを提案してはいけないというような特殊な制限はございません。現在の地方自治法におきましてはないわけでございます。国の方におきましては、たしかそういう議案を出した場合には、国会法には内閣の意見を聞かなければいかぬということが書いてあったと思いますが、現行地方自治法には、そういう点は書いてないのでございます。今回の地方自治法の改正案の中には、予算の修正等の場合には、特に一般の修正よりも若干議員数を増すということをいたしておりますが、その程度のことを今改革案としては考えている程度でございまして、特別に御指摘のような公平の原則から申しまして、予算を伴います地方の条例案、あるいは国の法律案というものの取扱いの上におきまして、現行制度上は私どもそう大きな違いはない、今申し上げました程度の違いであって、本質的な違いはない、こういうふうに考えているわけでございまして、おっしゃる公平原則にそう食い違っていないだろう、こういうふうに考えます。
  33. 五島虎雄

    五島委員 それでは、これまた国と地方との公平の原則は欠かないだろうということになるわけですね。  そこで地方公務員の昇給昇格の問題についてですが、現在は昇給昇格が実施されていない。ストップされている。ところが国家公務員は昇給昇格が実施されているということです。そうすると、この問題について公平の原則立場の中からどういうことになりますか。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 公務員の昇給の取扱いの問題でございますが、これはやはり予算というものの一般制度建前から申しまして、地方におきましても予算の基礎の上において、国におきましてももちろん予算の定めるところにおいて、その給与の昇給を考えなければならぬと思います。その点は対予算との関係におきましては、何ら差別はないものだろうと思います。
  35. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっと関連して。今五島さんから昇給昇格の話がありましたが、これに関連して公平とか不公平とかいうお話もありましょうが、これはどうですか。ことしの財政計画におきましては、去年から比べまして非常に経営費的なものが十分入れてある、特に昇給の原資としましては、国家公務員並みに四%これを見た、こういうことでありました。私ども財政計画の審議に際しましては、それはまことにけっこうなことであるということでありましたが、具体的に資料や方々からの陳情書を見ますと、現実は各府県市町村において昇給昇格をやっておらぬところが非常にたくさんあるように私どもは聞いておるのであります。  そこでこれはあと大臣に総括的にお答えをいただきたいと思うのだが、まず第一に、現在全国の、市町村の方まではよろしいですが、都道府県で昇給昇格ストップだとか、延期だとか、あるいは定期昇給はするけれども、三カ月は一つ県に寄付をしてくれとか、いろいろな手を打っておるところがあるようですが、そういう県はどのくらいあるか、内容等についてちょっと詳細な説明をお願いしたいと思う。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 給与の関係、なかんずく昇給の問題でございますが、これは御指摘のように、三十年度におきましては、年度の後半におきまして特に交付税を増額するというような措置が行われまして後半におきまして若干改善されたと思うのでございまするが、なお相当苦しい年であったようでありまして、御指摘のように、都道府県の職員の中に、昇給につきまして最低限として定めておりまする昇給期間を、たとえば三ヵ月延ばしまするとか、六ヵ月延ばしまするとかいうような例があったりするのでありますが、その数は大体昨年の十一月ごろの調べでたしか三十県程度ではなかったかと記憶いたしておりまするが、年度末までにそれをさらに調整をして、ある程度改善されておるのじゃないかと思っております。今年度の問題としては、御承知のように、財政計画の中では、従来昇給財源が二・五%でございましたものを、四%にふやしてあるわけでございますが、これは財政計画上の一般給与の単価に基いての計算でございます。それを基礎にして地方に交付税を配分いたすわけでありますが、団体によりましては、その財政計画上の単価よりも、相当上回った給与の単価になっておるところもあるわけでございます。もちろんそういうところでも、職員数が少なければ、その昇給財源で十分にまかなっていけるわけでありますが、職員数も多く、また給与単価も高いというような場合におきましては、現状の職員に対して四%の給与引き上げをするというだけの財源は、交付税の財政需要の算定基礎だけではまかない切れない。そうすると、そういうところでは他の経費からやりくりをしなければそれができない、こういうことになるわけでございます。そういう関係がございまして、必ずしもすべての団体が昇給を完全にやっているという状況ではないようでございます。さらに再建団体におきましても、再建というやむを得ない、通常でない事態のために、人件費、物件費全体を通じまして相当思い切った措置をしなければならぬというような点もございまするので、この点若干昇給規定の取扱いの違っておるところがあろうかと思いますが、これは私どもといたしましては、遺憾ながらまことにやむを得ない結果である、こういうふうに考えております。
  37. 中井徳次郎

    中井委員 今、やむを得ないというふうなお話であるが、先ほどちょっと漏らされた数字を見ましても、昇給、昇格できない府県が、去年の何月ですかに三十県だという。それは全国の府県の七割であります。ほとんど昇給、昇格にひっかかっておる。この最近の正確な数字をちょっと読み上げて下さい。
  38. 後藤博

    後藤政府委員 今次長が申し上げました三十県というものをもう一度申し上げますが、四月、七月、十月の三回の昇給の調べがございますので、それを見ますと、四月昇給は、やらないところが十県、一部実施のところが二県、それから七月昇給は、やりませんところが十六県、一部のところが四県、それから十月昇給は、やりませんところが三十一県、一部実施のところが二県でございます。そういうことになっております。このやらない県が、十月の調査のときには、四月からやらない県が五、六県ありましたが、しかしこれは年度の終りに、財源を見つけてある程度の処置をしたように聞いております。
  39. 中井徳次郎

    中井委員 今伺いますと、やはり相当たくさんな数字だと私は思うのです。十県、二県、十六県、四県、三十一県、二県、これは競合しているところもありましょうけれども、合計しますと、六十県くらいになってとにかくほとんどの府県が昇給、昇格について去年はおどおどいたしておる。こういうことになれば、財政計画というものと現実の府県の昇給昇格というものは全然マッチしておらぬ、こういうことになります。私は、実は一昨日でありましたか、交付税率の問題で少しお尋ねしてまだ途中でありますが、ことしはせめてこれが最低の線であります。これは私は見方はいろいろあろうと思うが、勤労者としましては、自分の権利だと思う。まじめに働いて一年一回の昇給、半年一回の昇給というものは当然の権利であって、そこまで各府県で困っておるのに、財政計画では四%上げて、そうしてことしは非常にゆったりといたしているというようなことでは、どうしても話が合いません。特にまた、先ほどから五島さんが、公平の原則とかいうふうなことでお尋ねでございましたが、ことしは特に自治団体に対する減員計画はそのままずっとあるんです。そうして国についてはむしろ増員になっておる。大臣は公平の原則に努力されておるということはわかりますが、現・実ははなはだ不公平である。こういう姿を政治としては、ほうっておくわけには私はいかないと思うのですが、どうですか。定期昇給や昇格まで押えておるということについては、国としては大臣のせっかくのお気持にもかかわらず、現実は逆であるということについて、何らか手を打たれる必要があるのではないかと私は思う。こういう点について大臣の見解を伺っておきたいと思う。あなたはそこまで御存じないかもしらぬが、現実には減員はずっとあって、減員ストップしているのは警察官だけです。あとは減員であって、減員をやって、残った人には今年は月給をうんとはずむかと思ったら、これも押えておる。そこまで追い込まれておる。これは非常な問題であります。計画は現実とははなはだしく遊離をいたしておるというのが現状であります。これについてどういうふうにお考えであるか。
  40. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほど来昇給の実施状況が非常に悪いという数字を申し上げたようでございますが、これは昨年の十一月の調査でございまして、その後御承知のように臨時国会におきまして特別の予算措置を講じていただきまして、地方に対する財源の増強をしていただきましたわけでございまして、三十年度末までにおきましては先ほどの数字の実態は相当改善されておると思うのであります。それから本年度におきましては、御指摘のように財政計画上相当改善の措置を講じたわけでございまして、今年度におきましては昨年とは相当面目を改めるような実施の結果が生ずるだろうと思うのであります。ただ団体の中におきましては、先ほど申し上げましたように職員数が非常に多く、また給与の水準も非常に高いというようなところ、そういう団体は多く再建法の適用を受けております。また受けようとしておるような団体でございますが、そういうような団体の中では昇給を他の各種の経費とともに若干調整しなければならぬ、再建上やむを得ないことであるという結果になっておるところもあろうかと思いますが、これも原則的にはやはり一般の原則に従って処理されておるものと考えるのであります。
  41. 中井徳次郎

    中井委員 今の次長の答弁は大へんごまかしだろうと思うのであります。給与の水準の高いところもあったと言うが、これは去年の給与の実態の調査を見ますとはっきりしておるのであります。なるほど高いところもありましたけれども、それはおおむね東京とか大阪というような富裕府県でありました。あと自治庁が期待され、自民党の幹部が期待されたほどちっとも高くなくて、逆に町村は安かった。そのことがはっきりしたのです。従ってこの点はあなたの御答弁がちょっと私納得できません。それから去年の暮れからことしの春にかけて改善したと言うならば、どういうふうに改善されたか、現状はどうであるか、わかっておればはっきりと知らせてもらいたいと思います。はっきり言えば、この昇給昇格については全部三十年度の暮れにおいて掃除されておるのであるかどうか、そういうことを一つ伺っておきたい。
  42. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはただいまのところ手元に資料がございませんので、すぐここでこうということを申し上げるわけには参りませんのですが、私の一、二聞いております限りにおきましては、年度末におきまして昇給の調整が行われておるということも聞いておるわけでございまして、先ほど申し上げました数字の実態よりは相当改善されておるものと思っております。  それからいま一点の給与水準が高い、なるほど東京とか大阪のようなところが高い、これは明らかでございますが、県にも、その他のいわゆる交付団体にも、若干高いところがあるわけでございまして、そういうようなところでもやりくりをいたしまして人件費のような性格のものはなるべくこれを尊重して考えるという考え方をとっておるところが多いと思いますが、ただ交付税の算定基準よりも給与費の総額として、職員数が多く、あるいは給与水準が高いためによけい給与費が要るというようなところで、どうしてもやりくりがつかないというようなところが若干あろうかと思うのであります。そういう団体は先はど申し上げましたように多く再建法の適用を受けている団体である、そういうところに若干例外的な結果が現われておろうかと思うのであります。
  43. 中井徳次郎

    中井委員 改善されたと思うが実績はわからぬというのでは、私は答弁にならぬと思うのであります。この点はどうですか。実は昨日あたりから私どもの出身の自治体の職員が三々五々参りまして陳情を受けて弱っておる。おそらくこれは自治庁の方にもいらしておると思うのでありますが、どうですか。最近の資料はわからぬということでは、どうも私どももその人たちに対して返事のしようもありませんし、自治庁とされましてもどうなんです。もとより府県市町村各単位によっておのおのその事情はありましょう、ありましょうけれども、それを総括的ににらんで指導なさるのがあなた方の立場であってこのことは、たとえば国家公務員につきましては、昇給昇格はもとより一時金の問題等についても、三公社五現業などと関連しまして、今大いに問題になっておるにもかかわりませず、地方公務員についてはまだまだその以前の昇給昇格さえはっきりいたしておらぬというふうなことでは、公平の原則なんか実際どこかべ飛んでいってしまっておるのです。この点は大臣はどういうふうに考えておられるか。またこの点についてこのままほっておいて、地方団体のやり方を少し見ておられるつもりなのであるか。この点をはっきり、一つ大臣からお答えをいただきたいと思う。
  44. 太田正孝

    太田国務大臣 先般給与の問題につきまして、業績手当を現業関係の官庁においてきめましたときに、国家公務員地方公務員にはどうするかという問題が起りまして、現業関係と違う立場において国家公務員考える。むろんその問題を考えるときには、地方公務員の方も同様に考える、こういう線で進んでおります。また繰り上げ支給の問題なども出ましたけれども、本則的にはその問題は取り上げない、こういうことで、ただいまのところやっております。だんだんのお言葉によりまして、地方公務員の現状というものはよくなったと事務当局お話し申しましたが、資料等はまだ十分でないようでございます。私としてもこの地方公務員の現状につきましては、ことに再建団体であるというようなことも、それぞれ違った事情でございまして、自治体が自主的にふるまう分もあると思います。国家公務員との関係については十分考えていきたいと思うのでございます。
  45. 中井徳次郎

    中井委員 そういたしますと、今の御答弁で、三公社五現業等につきましては一応の裁定があり、これは経営者側すなわち国家の方でありますが、それも、労組の方もこれをのんだ。しかし一般の国家公務員及び地方公務員についてはこの際はもう少し様子を見よう、しかしやる際には国家公務員地方公務員の間に差別はつけないということは、今の答弁ではっきりしたと思うのでありますが、そのように了解してよろしいですか。
  46. 太田正孝

    太田国務大臣 さようでございます。
  47. 中井徳次郎

    中井委員 そこで第二点でありますが、そういうふうに自治庁としてお考えになったことは、これは当然のことでありますが、実は問題はその前にあると思う。そこまでも行っておらぬというのであります。今大臣が御答弁になりましたが、再建団体と言われましたけれども、再建団体府県の中におきましては、今四十六の中で十二しかありません。先ほど昇給昇格停止の府県を伺っておりますと三十くらいございます。その間に相当な幅があるのでございますが、昇給昇格は、そういう勤めておられる方たちの正当な権利だと思うのですが、その点についてどうお考えになりますか。そんなものは権利じゃない、とにかく財政上やむを得ないというならほっておけ、こういうお考えでありますか。この点を一つはっきりとしてもらいたい。権利であるけれども、まあとにかくもうしばらくしんぼうしてもらいたいと言うのか、その辺のことをはっきりしてもらいたいと思います。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これ賦現行制度建前におきましては、地方公務員法といたしましては昇給の基準は、すべて条例に譲っておるわけでございまして、条例がどういうふうに書いておるかというところに従うことになろうと思うのであります。
  49. 中井徳次郎

    中井委員 そうなりますと、条例で決定しておれば、やっぱりその通り要求するのが私は当然の権利だ、かように解釈したいと思うのですが、それでいいでしょうね。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国家公務員法の場合には、御案内のように昇給するために必要な最低の期間、要するに六カ月以上たたなければ昇給してはいけない、こういう建前で書いてあるわけでございますから、法律論といたしましては、その六ヵ月が九ヵ月になる、あるいは全体の職員のうらの七割とか八割の者だけが昇給していく、こういうようなことも言えるのだろうと思うのでございますが、従来の実際の慣例がどうであったかと申しますると、大体におきまして、人事院規則等で長期欠勤者でございますとか、業績の特に悪い者とかいう定められた以外の者は、その最低の期間で昇給されてきておるというのが従来の大体の実例のようでございます。
  51. 中井徳次郎

    中井委員 従いまして条例によってそういった定めがありまするならば、これは今お話がありましたように、長期欠勤をするとかあるいは事務上の非常な怠慢があるとかいうこと以外は昇給するというのは、これはもうはっきりした事実であろうと思うのです。ところが今自治体はそれさえようできぬところに追い込まれておるというふうなことでありまするが、これについて冒頭申し上げたように、どうしてこういうふうなギャップが出てきたかということについて三十一年度の財政計画においては、私どもは実際この点は政府もよく考えてくれたと思っておったのですが、現実はそれからはるかに離れたものであるということになれば、非常な問題でありますので、三十一年度においてはどうなるか、これは自治庁の見解としてこういう状態は三十年度だけであって、三十一年度の終りまでには全部片がつくはずであるというふうなお見込みであるのかどうか、その辺のところを事務当局の見解を一つはっきりとこの際私はお尋ねをいたしておきたい。もとよりそれは一般論でありますから、あるいは再建団体その他にも関連はありましょうが、しかし私は再建団体の計画、自治庁の御承認になろうとしておられる計画においてさえ、そういう団体は昇給、昇格はストップである、そんな決定はなかろうと思うのでございましてもとよりそういうことは平常に行われるものというところにおける計画であろうし、それであって自治庁は承認されたのであろうと思うのであります。勤労者にとって何年勤めても給料が上らないなどということは、今の世界の常識において考えられないことでありますから、再建団体といえども、そういう点につきましては、人員をふやすというようなことはやめる、あるいは自然退職の補充を二分の一程度に押えておくというふうないろいろな御苦労の跡はあろうけれども、昇給昇格をとめるというふうな再建団体はなかろうと思うのであります。従いましてそういう面につきましても、この際はっきりと一つ答弁が願いたいと存ずるのであります。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体公務員の昇給につきましては、先ほど申し上げましたような法律上の原則になっているわけでございまして、その原則原則的に各地方団体において行われることが、私どもも期待するところであり、それが望ましいと考えておるのであります。  それから第二点の問題は、要するに財政再建団体において再建計画を作る場合に、昇給ができないような再建計画を作っておりはしないかという御心配でございますが、これは再建計画の作り方は自主的に作っておりますから、若干団体においてニュアンスの違いはございますけれども自治庁においてこれを見まする場合には、給与費の総額を一定の限度において押えるというような形をとっておるところもありまするし、あるいは若干これをふやしておるというようなところもございまするが、かりに押えるようなふうにいたしておりますところでも、これはやはり全体の給与費をそういうふうに押えるという意味であって、個々の職員に対する昇給を押えるという意味では必ずしもないのであります。職員数が多いということと、給与水準が高いというようなことが、人件費を合理化いたします場合の一つの目途になるわけでございますが、御指摘のように過去におきまして一般の昇給の原則で申しますならば、一号引き上ぐべきところを二号引き上げたというような事例のところがあるわけでございまして、そういうようなところではその団体の自主的な措置として、そういう特別に高く引き上げられた点を調整していく。あるいは職員の数が他の同様の規模、性格の団体に比べてみて、非常に多いというところでは、それを今御指摘がございましたような欠員不補充とかいうふうな主義によりまして、職員の縮減をはかる、こういうようなことによって浮いて参ります給与費の一部を昇給の方に回すということで、再建期間中昇給をしないとか、長期にわたって昇給は全然やらないというようなことは、私どもといたしましても認めていないのであります。やはりそこに合理的な基礎に立った昇給のことも考えて、再建計画を承認しよう、こういう考え方をとっております。
  53. 中井徳次郎

    中井委員 当然の御答弁でありまして、昇給昇格をやらぬというふうなことは考えられないのでありますが、それは・政府としても当然お考えになっておるところでありましょう。そこでさっき冒頭にお尋ねをいたしました現在のでこぼこの姿です。今年せっかくあなたの方でいい財政計画をお立てになって、昇給率を四彩というふうにお考えになっておるのであるから、これは必ずや全国の府県市町村に及んで行かなければならぬと思う。そうでないとこの財政計画は空なものであります。そういう意味からいって、昭和三十一年度中に、そういうでこぼこが整理されるかどうか、その辺の見通しと、今御説明があったように、昇給昇格なんというものは再建団体にもストップする意思はないということであるならば、なおさらでございます。そういう意味においてお尋ねをいたしておるこの第一の私の質問に対してお答えをいただきたい。
  54. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 本年度の給与の実施状況のもとにおいて、昇給の結果がどういうことになるかということについてのお尋ねでございますが、これは先ほど来申し上げたように、私どもといたしましては今回の地方財政計画においては・給与上問題でございましたところの人件費の財政需要の見方については、昨年度に比べまして格段の改善を加えたつもりでおるわけでございまして、これが基礎になって各地方団体におきまして予算の編成が行われておるわけでございまするから、私どもといたしましては、各地方団体において合理的な基礎に立った昇給の実施が行われるのではないかというふうに期待をいたしておるのであります。これが現実に行われるものであるというふうに私ども考えております。
  55. 中井徳次郎

    中井委員 それは三十一年度中に片がつく見通しであるかどうかということを、私は伺っておるのです。
  56. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 人件費につきましては、例外的な団体のことについて御言及になったものといたしますれば、これは過去において給与政策が必ずしも適当でないようなところがございましても、それを一挙に調整するということは困難でございまして、やはり逐次これを調整していくということのほかないかと思うのでございます。しかしねらいはやはり合理的な基礎に立ったものにできるだけ早い機会に持っていく、こういうことであろうと思うのであります。
  57. 中井徳次郎

    中井委員 あなたは全般論としましては調整があるからということを言われますが、しかし個々の公務員にとりましては去年入った、一昨年入ったというふうな人たちにとりましては、まことにどうもこれは迷惑千万な話で、過去にその団体が一挙二号俸を上げたということの犠牲のために、入って二年も三年も昇給しないということになると、まことにおかしなことで、大体御案内の通り国家公務員地方公務員につきましては、能率が上らないとか、サービスの心が欠けておるとか、どうもたばこばかり吸って一向窓口事務はいけないとか、いろんな話があるのですが、その奥にはやはりこういうような大きな原因があるように思うのです。こういうものをとって行きませんことには、給与は、他の一般の産業なんかに比べまして国家公務員地方公務員は今でも依然として低いのであります。特に町村に至りましては、まことに低いということが、去年の十月のあの調査でわかったのでありまするが、そういう点から考えましても、私はこういうことにおいて、どうも今言われましたような抽象論では、ちょっと納得しかねるのであります。昭和三十一年度中に何とかするかしないか。その点をはっきりと、もう一度お答えが願いたいと思います。せっかくあなたの方でいい財政計画をお立てになって、そうして実際はどうかわからぬというふうなことでは、私ども審議を進める上にも非常に因るのでありまして、この点についてさらに明快な御答弁をいただきますことと、さらに先ほどの三十年度中にいろんなでこぼこがありました、それを三十年度の終りにおいて大体調節したであろう、というふうなことではなくして、どういうふうに調節をされたかというところの資料は、大臣も今御存じではなかったようだ。これは明日の委員会までにぜひとも一つ資料を整えていただきたい。この二つをさらに要望しますが、どうですか。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 財政計画におきましては、先ほど来申し上げましたように、本年度の昇給原資につきまして、私どもは十分考えたつもりでおるわけでございます。そしてまた各地方団体におきましては、御案内のように地方には人事委員会というものがあるわけでございます。給与につきまして、やはり原則が適正に行われまするように給与問題を管理する、こういう責任もあるわけでありまするし、また人件費につきましては、地方市町村当局といたしましても、最も慎重に取り扱うものと考えておりますので、私どもといたしましては、昇給が今年度においては昨年と相当面目を一新して、原則的に規則通りの1規則と申しますのは、規則で定めておる最低限度の趣旨ということになろうかと思いますが、そういう原則的な昇給が国家公務員の場合と同じような趣旨において行われるもの、これを強く期待をい  たし、またそれを信じておるのであります。三十年度末におきまして、昇給  の実施状況がどういうことになっておるかということは、まことに恐縮でございまするが、明日御指摘の期限までには、ちょっと間に合いかねるかと思います。整い次第提出いたしたいと思います。
  59. 中井徳次郎

    中井委員 この点は、私ども今日まで地方行政委員の一員といたしまして、地方財政赤字の状況をよく存じておりまするから、言いたいところを実は黙っておったのです。今のお話を伺うと、どうも皆さんのこの点に対するお考えは少々甘いのでありまして、昇給、昇格というふうな、こういう基本的なものが動いておるが、それ以外にまだたくさんありますよ。たとえば宿直手当だとか、時間外の勤務だとかいうふうなものは、もうここ四、五年は府県市町村に行きますと、ちっとも条例通りに守られておりません。でたらめなんです。私どもはまあまあ目をつむっておりましたが、しかしこういうふうな地方財政計画をお出しになって、そしてことしはこの点は掃除いたしましたと、こういうふうな御説明であって、なおかつそれじゃいつまでに改まるかということになれば、各自治体の様子によってわからぬというふうなことでは、ちょっとこれは私ども満足な回答とはとうてい受け取れないのでありますが、この点は交付税や財政審議の上に、交付税の税率にも非常に関連を持つわけでありますから、さっきの資料については、でき次第でけっこうでございますが、今の昇給、昇格について政府はどういう見通しであるか。三十一年度中に片をつけるか、つけなければどういう処置をとるかというふうなことは、今直ちにというわけに行かなければ、明日の委員会にでも、大臣からはっきりと筋の通った御答弁がお願いした、と思います。
  60. 太田正孝

    太田国務大臣 今のお言葉に従いまして、明日御返事申し上げます。
  61. 加賀田進

    ○加賀田委員 地方公務員の給与に関して、ちょっと関連して大臣にお伺いいたしたいと思います。大臣は先般来の答弁で、国家公務員がベース・アップその他をすれば、当然地方公務員がそれに見習うように努力する、国家公務員に準じて地方公務員の給与問題を解決すべきだというような答弁があったのですが、その性格は別といたしましてそういう考え方で、もし大臣指導されるとするなら、さいぜんから質問のあったように、国家公務員ではやはり定期昇給というものが予算の中に含まれているが、地方公務員は実際問題として、今鈴木次長の申された中にでも、昨年度相当定期昇給をされない地方団体がある、本年度もそういう危険は起っている、こういうような不均衡大臣としては地方団体にどう指導される意思があるか。国家公務員が定期昇給、昇格を実施するにもかかわらず、地方公務員が実施されていない、あるいは今後されようとしない団体があるということを聞いておりますが、その点に対して指導される意思をはっきりと御答弁願いたい。
  62. 太田正孝

    太田国務大臣 お言葉のように進むことがけっこうでございます。もちろん各自治体の自主的にきめるべきことでございますので、かくのごとく行くことを期待すると申し上げるのでございます。また全面的に見まして、国家公務員地方公務員との差の出ないようにという考え方のもとに、自治体が自主的にやっていく点を、さらに政府としてどう考えるかということを心配し、かつ三十一年度の財政計画におきましても、改善の方向にこれを進めているということは、先ほど来次長が申し上げた通りでございます。
  63. 加賀田進

    ○加賀田委員 そういたしますと、大臣としては、国家公務員並みに地方公務員にも、本年度地方財政計画にも含まれているんだから、昇給、昇格をするように努力し、善処するという意味にとってよろしゅうございますか。
  64. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほど来申し上げましたように、現在におきましては国家公務員と同じような基準によって、財政需要を見ているわけでございますので、各地方団体が自主的に決定することでございますから、自治庁としてこうせよとかああせよということはできないのでございますけれども、私どもといたしましては、この原則が行われることを強く期待し、信じておるわけでございます。
  65. 加賀田進

    ○加賀田委員 法の建前は、長官自治庁も、地方団体に命令するということはできないだろうと思いますが、しかし個々の問題においては、やはり通達等において命令に匹敵するようなことをやっているのではないですか。にもかかわらず、給与の問題に対して、それはできないから、ただ期待するという漠然としたことでなくて、国家公務員と同じように、給与その他の問題、労働条件の問題をやはり準じていくという考え方を、ここで発表されるならば、その矛盾が起っているとすれば、国家公務員と同じように定期昇給を本年はすべきだと自治庁としては考えているということぐらいは、明確に言ってもらいたいのでありますが、どうでしょう。
  66. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国家公務員の昇給に対する原則と同じような原則が、地方においても行われますることを、私どもとしては強く期待をいたしているわけでございますし、またそういう趣旨のことは、いろいろの総務部長会議でございますとか、主管課長会議等におきまして、今回の財政計画の趣旨を説明をいたし、そういうことを詳細話をいたしておる次第でございます。
  67. 加賀田進

    ○加賀田委員 もう一点、私は定期昇給といいますか、こういう昇給の性格に対して、どう考えているかということを御質問いたしたいと思います。  いわゆるベース・アップと違って、外部的な影響によって、こういう定期昇給というものが採用されてはならない性格にあるのではないかと私は思うのでございます。経済情勢の変更に基いてベース・ダウン、あるい−はベース・アップしなければならない、あるいは家庭的な事情によってこれを左右するとか、こういう性格のものではないかと私は思うのですが、性格を長官としてはどう考えているか、明確に言ってもらいたいと思います。
  68. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 昇給の性格がどういうものであるかというお尋ねでございますが、私どもとしましては先ほど申し上げましたように、地方公務員法は、昇給の基準というものを、すべて給与に関する条例の中に規定をするように定めておるわけでございますから、従ってその性格も条例がどういう規定をしているかということによって判断をするほかはないわけでございますが、しかしこれは多くは国家公務員法の昇給基準と同じようなものを定めていると思うのであります。だといたしますると、先ほど申し上げましたように、昇給につきまして最低の期間、六ヵ月たたなければ、たとえば何級以下のものは昇給をしない。要するに昇給に必要なる期間というものを定めておるわけでございまして、その必要な期間において大体昇給するのが従来の例でございますが、若干その期間を、六ヵ月というのを九ヵ月にしたというようなことが、昨年度においてはあったわけでございます。それが法律上許されるか許されないかということでございます。これは法律論としては、先ほど申し上げましたように、許し得ると思うのでございます。ただ実際の問題として、なるべくその給与の規則が合理的でありまするならば、規則通りといいますか、最低限度通りやることが、国家公務員との権衡上も適当である、こういうふうに考えているわけであります。
  69. 加賀田進

    ○加賀田委員 今鈴木次長説明されたのは、昇給の性格ではなくして、性格に基いた手段だと思います。六ヵ月とか一年とか三ヵ月で定期的に上げなければならぬ、それは性格に基いた手段方法であって、私の尋ねているのは、性格がどういう性格のものであるか、こうお尋ねしているのであります。
  70. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは給与はよく御案内の通り、基礎的には職員が全勤労時間をあげて公務に従事しておるわけでございますから、その職員及び職員の家族が生活できるようなものを基礎としてまた年々さような生活費というものもふえて参るということで、そこに昇給という制度考えなければならぬ。また職務につきましても、当然その関係考えていかなければならぬのであります。そういう形のものでございますから、これはたとえば他の事業費を削るという趣旨のものとは、違うような意味の性格のものが相当多くある、こういうことを抽象的に言えるかと思うのであります。
  71. 加賀田進

    ○加賀田委員 どうも性格が明確にならないと思うのですが、もちろん生計費がだんだんと増加することも、一つの要素であろうと思います。しかし定期昇給というものは、私はそういうことを主にして決定されたものではないだろうと思うのであります。いわゆる相当勤務いたしておりますと、その勤務に対する熟練度も高まってくる。住民に対するサービスの技術もよくなってくる。こういうようにしていわゆる勤労に対する奉仕の自然的に高まるということが、一つの大きな要素ではないかと思う。だから六ヵ月とか一年というふうに、だんだんとそういうみずからの持つ勤務が技術的にも向上するということが、定期昇給という大きな要素ではないかと思うのです。従って私はそういう問題が、外部的な経済事情に基いて定期昇給がストップする性格のものではないだろうと思うのです。特に民間企業と異なって、民間企業は御存じのように利潤を追求いたしておりますから、利潤の増減に基いていろいろな問題がさらに考えられると思いますが、地方公務員並びに国家公務員のおる公共の団体は利潤追求ではないわけです。だからやはり定期昇給というものは、いかなる状態においてでも、これはやらなければならない義務があるのじゃないかと思います。それにもかかわらず、いわゆる地方団体赤字だとかいうような外部的な情勢に基いて定期昇給をストップしたり、あるいは廃止したりするということは、定期昇給の性格から許されないのじゃないか。そういう性格を私は考えてみるときには、幸いに国家公務員も今度定期昇給の財源を得ているからには、地方公務員においても、従来行なってきた定期昇給のストップをカハ治すると同時に、三十一年度は国家公務員並みに定期昇給をすべき問題だと思うのです。こういう意味で、六カ月のものを三ヵ月にするというようなそういう技術的なものでなく、これは性格的にベース・アップとは異なった性格を持っておるのだから、ぜひとも長官としてもこれに善処してもらいたいと思います。  それからもう一つ長官にお尋ねいたしたいのは、長官国家公務員との均衡国家公務員に準じてという考え方を持っておられますけれども国家公務員団体交渉権あるいは罷業権というものをとられてしまっておる。しかもそのために人事院というものが作られて、人事院は独立の機関となっておりますけれども、政府の圧力に屈服して、実際は独立の価値はない。今度の三公社、五現業の問題のときに、これを支給するならば、国家公務員にも当然支給すべきだということを、人事院が内閣に言っておるということを聞いておりますが、それすらも無視されております。国家公務員はほんとうに手も足も奪われて、だるまのような形になっておる。こういう勤労者の基本的人権を全く奪われておる国家公務員に準じて、地方公務員が勤務状態あるいは給与等を決定されるということになれば、これはゆゆしき問題だと思う。少くとも地方公務員は罷業権は持っていなくとも、団交権を持っておる。当局に対して団体交渉を行なって、給与その他の勤務条件を改善するだけの力を持っておる。またそれが与えられておる。にもかかわらず、長官はそれらの労働の基本権を奪われておる国家公務員に準ずるという思想、これは全然間違っておるのじゃないかと思う。逆に地方公務員の勤務条件その他給与条件に国家公務員が準ずべきが、私は正しい見方だと思うのです。これは全く本末転倒の考え方に基いて、地方公務員の給与を指導されておっては、いつまでたっても地方公務員というものは浮かばれないと思う。一体そういう形で指導されるとするならば、地方公務員の持っておる団体交渉権というものは、実質的にどう発動するのであるか、それはただ形式だけになってしまうのじゃないか。その点太田長官としてはどう考えておられるか、明確にしてもらいたい。
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方公務員法上、御指摘のように、地方公務員につきましては、当局と交渉をするという言葉を使って、話し合いの権利を認めておるわけでございます。従いまして今の昇給の問題などにつきましても、これは現実には当局との話し合いにおいて解決されることと思うのであります。私ども国家公務員につきまして行われまするところの給与上の各種の原則というものが、地方公務員につきましても、少くとも国が直接行いまするところの財政計画の面におきましては、これを必ずやらなければいかぬ、こういうふうに考えてそういう措置を、今回もしてきておるわけでございますが、ただ給与の決定は、これは御承知のごとく各地方団体が自主的にきめるというのがあくまでも大原則でございますから、そこで全国の地方団体を通じまして、すべてが現実の結果として国家公務員取扱いと全く同じようになるかというお尋ねにつきましては、私どもはそうなることを期待するけれども、しかし現実にはそうできないところも今まであるわけでございます。ですから今回財政計画上格段の改善を加戸、ましたけれども、従って実際上といたしましては国家公務員に対しまするのと同じような考え方で、各地方団体にやってもらえるものと私ども期待しておりますが、しかしやれ、こういう意味のことを私どもから、要するに政府としてあるいは自治庁として申すことは、いかがかと考えております。
  73. 加賀田進

    ○加賀田委員 だんだん明確になりましたが、そういたしますと、地方公共団体が労働組合といわゆる団体交渉を行なって昇給、昇格の問題が決定される、それが条例で制定されて実施される、こういう段階になったら、長官としてはそれに対して援助する用意を持っているかどうか。特に教育職員に対する半額国庫負担という問題もありますから、それらの問題に対して、地方団体が独自に交渉を行なって、それを組合の要求に従って定期昇給その他を行なった場合は、長官としてそれに善処して協力をする用意があるかどうかを明確にしていただきたいと思います。
  74. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 本年度におきましては、先ほど申し上げましたように財政計画におきまして基礎を定め、それを地方交付税の算定の基礎に取り入れておるわけでございまして給与関係の経費につきましては、それによって各地方団体もこれをまかなっていく、こういう建前になっているわけであります。そこで今お話のごとく、教育公務員についての財源というものも、他の一般公務員に対しますものと同じように、各地方団体の予算の上に地方財政計画を反映してあるわけでございますから、特にこのために特別の予算的措置を講ずるというようなことは、政府としてはただいまのところできないと思います。
  75. 加賀田進

    ○加賀田委員 大臣にお尋ねいたしたいのですが、閣議の決定に基いて、いわゆる公社、現業員には業績手当を出した。この業績手当に対してはいろいろ将来のベース・アップの財源だとかなんとかいうことがありますけれども、このことは当委員会において論議する必要がないと思いますが、そういう状態の中で、国家公務員にはこれに準じたものを支給しない、こう決定されたと私は聞くのです。そこでお尋ねいたしたいのは、国家公務員御存じのように民間の給与、生計費その他を勘案して給与を決定することになっております。それから地方公務員は国または地方団体の他の職員の給与、民間産業の給与、生計費、この三つを大体の要素として給与を決定することになっておるわけなんですが、この三公社五現業は民間であるのか、あるいは国または地方公共団体の職員という形になるのか、それともこの両方のいずれにも属さない人として見られるのか、その点どうお考えか、一ぺん聞いておきたいと思います。
  76. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 公社の場合におきましては経済性が非常に強く加わってきておりまするが、同時にまた公社である限り、これは公共性を持った団体であるわけであります。それから五現業は、これはもちろん本来的な国家公務員でございまするが、ただその取り扱う仕事が経済性を持っておる、特別会計でまかなわれておるというような点において、本来的な公共性に経済性が加味されておる仕組みになっておるわけであります。そういうふうに私ども考えております。
  77. 大矢省三

    大矢委員長 加賀田君に申し上げますが、今大臣が緊急閣議が開かれておって、どうしても出席しなければならぬというので、それはまだ徹底されておらないから質問がもっと継続してあると思いますが、きょうはこの程度にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  78. 加賀田進

    ○加賀田委員 では、そういうことで私の質問は保留いたします。
  79. 大矢省三

    大矢委員長 それでは午前の会議はこの程度にいたしまして、休憩いたします。     午後零時二十七分休憩     〔休憩後は開会に至らなかった〕