運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-04-04 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月四日(水曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    唐澤 俊樹君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       灘尾 弘吉君    丹羽 兵助君       堀内 一雄君    山崎  巖君       加賀田 進君    川村 継義君       五島 虎雄君    櫻井 奎夫君       西村 彰一君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         国家消防本部長 鈴木 琢二君         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君  委員外出席者         総理府事務官         (国家消防本部         総務課長)   横山 和夫君         総理府事務官         (自治庁税務部         府県税課長)  細郷 道一君         総理府事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 鎌田 要人君         参  考  人         (全国町村会         長)      関井  仁君     ————————————— 四月三日  遊興飲食税免税点引上げに関する請願五島  虎雄紹介)(第一七七五号)  軽油引取税の一部を市に交付請願野田卯一  君紹介)(第一七七六号)  娯楽施設利用税の一部を所在都市交付請願  (野田卯一紹介)(第一七七七号)  国庫補助金並び起債わく決定促進に関する  請願野田卯一紹介)(第一七七八号)  都市監査委員制度整備拡充に関する請願(菅  野和太郎紹介)(第一八二二号)  私鉄に対する事業税改正に関する請願田中角  榮君紹介)(第一八二四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)(参議院送付)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六九号)  消防団員等公務災害補償責任共済基金法案(内  閣提出第一四二号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は参考人として町村会会長関井仁君の御出席を願っておりまするので、まず本案について関井参考人の御意見を聴取することにいたします。関井参考人
  3. 関井仁

    関井参考人 御指名をいただきまして、恩給組合法の一部を改正する法律案に対しまして、恩給組合連合会会長といたしまして、また町村会会長といたしまして陳述を申し上げたいと思います。常日ごろ地方自治団体のために非常に御理解ある御審議をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。  なお今回の恩給組合法の一部改正法律案でございまするが、町村恩給組合の経過を申し上げますと、当初互助会という名目で、昭和十八年四月一日以前は施行しておったわけでございますが、十八年四月一日に公益団体設立を命ぜられまして、一部事務組合恩給組合を各県で結成したわけでございまして、二十二年まで一七五の掛金のうち八八を国と県から補助をちょうだいしておったわけであります。その補助を条件にいたしましてこの組合が結成をされたのでありまして、自治庁の御提出になりました調査書には、補助をもらっておったというふうなことの調査が出てないのでございまするが、補助をちょうだいしておったわけであります。それから二十七年四月恩給組合法が出るまで、県の交付税として県へ一応交付になりまして、県から恩給組合の方へ直接補助の八八をちょうだいしておったわけでございます。二十七年四月以降法律改正後は、一切町村責任を負いまして、一部事務組合としてその後運営をしておるわけでございまするが、補助金が打ち切られたわけでありまして、この補助金復活を今日まで非常に自治庁お願いをして運動してきておったわけであります。これが市町村交付税の中へこの八八の補助が入っているんだという自治庁の御説明でございまするが、しかし不交付団体等もありますので、特別交付税交付団体に入っているということになれば、補助金恩給組合に対して一組合当り幾らあるということが認定されるわけでありますが、それがありませんので、いろいろ追究いたしますと、結局この補助というものはあいまいになっておるわけでございまして、私ども補助はもらっていないと考えているのでございます。その補助復活運動を今日まで続けておったやさきに、この一部改正が出たわけでございます。われわれ恩給組合といたしますれば、これは寝耳に水でありまして、われわれの要求するものは一切何も通らない。しかも非常に過重なものが今回仰せつけられるということになりまして、ろうばいをいたしまして、急遽都道府県恩給組合長会議あるいは事務局長会議を招集いたしまして、その対策を講じたわけであります。  もちろん経理の面におきまして、近代複式簿記を採用するとか、いろいろ理由はございますが、自主的の一部事務組合として発足をいたしておるわけでございまして、しかもこの条例によりまして、模範規約というようなことで、監査委員も設置をいたしまして、県の監督も受けておるわけでございます。非常に厳密な監督を受けておるわけでありまして、単式簿記でありましても、恩給組合性質上、特別会計による基金会計というようなものがありまして、結局予算経理で行いましても、従来支障はなかったわけでございます。四十六都道府県組合の中では、人の問題で一、二不正と見られるような問題が起ったことが従来あったのでございます。これは四十六都道府県の全職員のうちでございますので、そういう問題も従来の長い期間の間には一、二はございましたが、運営全体としては問題はなかったのでございます。適正を期されておると、かように御報告を申し上げて差しつかえないのでございます。そういう状況で、特に複雑な簿記処理をするために経費を増大するというふうなこと、あるいは特に厳重な監督を受ける。しかも一部事務組合としての自主性というものを相当生かしていただかねばならぬという要望を持っておりますので、一応そういう点で基本的の問題として修正あるいは反対的の意見が出たわけでございますが、しかしこれはあくまでもこの問題で反対をしようということは考えていないのであります。基本的の問題がそこに出発しておりますので、従来の補助金をもらうべく——従来あった補助金でございますし、そういう点であらゆる責任が一切一部事務組合のわれわれに負担させられ、しかも経費が非常にかかる、監督だけが厳重になるというようなことで、非常にそこに感情的にも問題が複雑になったわけでございます。  それからこの恩給組合法の一部改正によりまして、第四条の三に福祉事業任意事業として規定しようとしていますが、結局恩給組合退職後の福祉のための施設であります。現職員に対する福祉というようなことは、現在共済組合が発足いたしておりまして、この共済組合の方でこれをやっております。あるいは今後やる性質のものでございますので、これだけはぜひ一つ——この社会福祉事業任意事業として行うことができるという規定がありますと、結局これはやらざるを得ないことになると思うのでございます。そういうことになれば、二重投資あるいは二重の経費をかけるということになりますので、結局これをあえて行うならば、現在町村財政が非常に緊迫いたしておりまして、納付金軽減ということが全職員によって叫ばれておるわけでございますので、基金運用合理化、それから経費節減によって近くこれを節減し、負担金軽減しようということで、申し合せて研究いたしておりますので、そういう面へ振り当てまして、経費節減をして納付金を減額しよう。福祉事業を行うよりそういう方面へやった方が、直接町村職員に喜ばれるのではないかということを考えておりますので、ぜひ第四条の三の福祉事業の方は削っていただきたいということをお願いをするわけでございます。  また経理その他につきましても、われわれとしましては、さような必要はない、かように従来の経験からして考えておりますけれども、しかしその点につきましては見解の相違でございまして、事実複式簿記を採用しますならば、日々刻々財産状況等も出るというような点もありまするので、あながち否定はできないわけでございますが、しかし恩給組合性格上毎日の財産を知る必要はない。これは事業をやっておるのではないから、事務経費は非常にささいなものでございます。結局は基金の管理、それからその組合恩給給付でございますから、特別会計で実施ができるわけでございます。現在四十六都道府県の総資産の基金が、二十九年度末で百三十七億八千万円でございます。一年間に約三十億ずつふえております。給付が年間に十二億円でございます。この基金の率を申し上げますと、保険数字に基く準備金蓄積率から見まして、五一・四%というわけでございまして、まだ十分な基金ができていないわけであります。自治庁で示されました安全率というような点から見ますると、五一・四%でございまするから、なお基金増高を企図しなければならない状況でございます。ここでいろいろ福祉事業あるいは経費の増大を示すところの経理状況の改変ということにつきましては、賛成ができないという立場をとっておるわけでございます。しかし終局のお願いとしまして、第四条の三の福祉事業の項を削っていただきたい。できれば経理の原則であります複式簿記というような複雑な経費のかかる方法を採用いたしまして、複雑化するような必要はないのではないかという意見を持っておりますので、陳述はこの点だけ申し上げさせていただきます。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 次に参考人並びに政府に対して質疑を行うことにいたします。
  5. 門司亮

    門司委員 今の町村会長意見は一応はっきりしたのですが、これに対する自治庁見解はどうですか。手つとり早く言えば、そんなことをやってくれるなというのですが、四条以下の問題は自治庁はどうです。削っていいのか。
  6. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今会長さんからいろいろお話がありましたが、会計経理の問題はやはりきちんとすべきで、これはやっていただきたい。新しく勉強せんといかぬじゃないかという問題はありますが、現に共済組合が似たような職員でやっているわけでありますから、大いに勉強していただけばできるのじゃないか。ぜひこういうものはきちんとすべきだと思います。  それからもう一つ福祉事業の問題は、現に共済組合についても私はきのうだいぶ申し上げましたが、主として雇用員長期給付仕事であります。しかしながら仕事をやっていく以上は、吏員一般の問題であって、もしどうしてもやりたい、やり得るのならば、同じ方式考えるのがいいのではないか。それでやる必要がなければもちろんやる必要もなし、やる意思がなければやる必要はありませんが、道だけは開いておく必要がないか。現に似たようなことをやろうとしているところもないわけでもないのです。でありますから、いま一つの、それによって負担金がどうとか、掛金がどうとか、これは基本的なもので、われわれとしては負担金掛金も下げられるだけ下げて、あと資金運用の問題としてやるわけでありますから、そこでもしやりたいなら、道だけは開いておくことが、何もどうこうという問題じゃないじゃないか。これはお考え願った方が、むしろ組合員も喜ぶんじゃないか、こういう気がいたします。
  7. 門司亮

    門司委員 共済組合の問題は、これを入れると、三つに問題がなるんじゃないか。一つは、共済組合の問題は、要するに働く人の福祉を増進するという形からいけば、当然雇い主のある程度の負担において厚生施設が行われるということが一つ一つはみな組合を持っておりますので、労働組合一つ厚生事業としてのものの考え方からくる自主的のものが一つ、この二つが社会通念としては一応考えられる。その場合に、自発的に行う組合等厚生施設に対して使用者側が幾らかの補助あるいは援助をしていく、あるいは便宜をはかっていくということも、一つの問題である。ところが今度の場合は、一つ目的を持った事業に付帯して事業を行わせるという行き方で、私は実際はどうかと思うのです。なぜそういうことを言うかというと、労働組合自体が行う場合には、労働組合が当然行うべき自分たちの生活を防衛するという形の上において行う。これに当局が援助しあるいは便宜を与えるということは、雇用者使用者との間における一つの問題だと私は思う。これはやればやれるし、またやっていいと思う。しかしこういうほかに大きな目的を持っているものが、たまたま経理を非常に厳重にしなければならないような特定の仕事をするということは、往々にして間違いをこしらえるもとをこしらえてやるようなものじゃないかということを危惧せざるを得ない。従って自治庁としては、せっかく親心で何とかしてやろうというお考え方かもしれないが、どうも少し世話をやき過ぎるような気がするのであります。もし自治庁がほんとうに地方公務員諸君の利害を考えるならば、こうした考え方でなく、ほかに使用者雇用者の間において自主的に出てくるものについての援護その他ある程度の便宜をはかっていくということなら、それはいい。しかし、こういう法律の中にそういうものを入れるということについては、まだ多少の疑義が残るわけであります。政府の意向は、やってもいいのだから法律に書いても差しつかえないのだというが、法律ができるとそれを使用したがるものです。なければ気がついておってもなかなか容易に腰を上げない。そしてそこからくる問題が起った場合の責任の帰属がどこにできてくるかというと、やはり法が非難される。法の尊厳をできるだけ保つ意味においては、間違いの起る懸念のあるような法律をこしらえることはあまりょくないと思う。こういう意味において、もう一度当局意見を聞いておきたい。
  8. 小林與三次

    小林(與)政府委員 重ねてお答え申し上げます。これをやるかやらぬかは一つの問題でありますが、これは恩給組合の問題だけではない。共済組合全体の問題として考えなければいけない。御承知の共済組合制度ではやはり長期給付が基本であり、その他短期医療給付主体にやっておるわけでありますが、その資金運用一つ方法として組合員福祉のために仕事をやっていい場合があるのではないかということで、従来国家府県市町村共済組合でも、この福祉事業をやり得る道を開いてきておるのでございます。それでたくさんやっておるかといえば、それほどやっておるとは私は申しませんが、それぞれの組合組合員要望に基いてやりたいところは便宜やってきておるわけであります。それにつきましては、当然今の資金の基本的なワクがあるし、運用一つ方法としてやるわけでありますから、これがそれぞれ組合員のために役立つ方式として運営されているものならば、あながち否定する必要は一つもない。現にうまくやっているわけです。そこで今度の恩給組合につきましても、同じ趣旨で、組合員のために一つ長期給付資金として積み立てておるわけでありますから、その資金運用一つ方法として雇用員長期給付方法をそういうふうにやっておるのだから、吏員組合だってそういうふうに一緒考えてよい、むしろそれこそ雇員と吏員とを一緒考え市町村における公務員全体の制度として統一した方式の方がいいじゃないか、こういうことで制度をとろうというわけでありまして、これによって何か全然新規の仕事を新しく制度として取り上げるわけじゃないのであります。ほかの制度においてとるものをそのまま右へならえしてやった方が、むしろこういうものの制度としては適当じゃないだろうかということなのでございます。それでありますから、むしろこうした方が制度としての格好もつけば、組合員福祉を必ず進めるゆえんじゃないだろうかという考えをいたしておるわけでございます。
  9. 中井徳次郎

    中井委員 今の質問にも関連があるのですが、関井さんにちょっとお尋ねいたします。実はあなたが今陳述なさった第四条の三の問題についてきのう私どもからも質問いたしました。どうも非常に危険である、仕事を広げる可能性が非常に多い、小林君は実に上手にこれは任意であるからと言われますけれども、現実にはああいう条文ができると広げるおそれがあるというふうなことを再三申し上げたのでありますが、今関井さんのお話もやはり同じような御趣旨の御心配があったように伺うのです。そこでちょっとお尋ねいたしたいのは、現状におきまして、各府県単位団体でどれくらい恩給組合に関して人を使って仕事をなさっておるか、そしてまたその組合に従事しております人は、大体どういう人で構成されておるかというふうなことについて伺ってみたいと思うのであります。
  10. 関井仁

    関井参考人 お答えいたします。各都道府県恩給組合事務構成というものは非常に簡素化されておる組織でございます。特に普通の事業は何もやっておりませんで、恩給基金を守る、一時退職金あるいは長期給付を行うということに専念をしておるわけでございます。先ほど小林部長健康保険組合から転進してきました共済組合のものと混同してお考えのようでございますが、私はその点が基本的に違うのじゃないかと思うのでございます。恩給組合は、退職後の恩給を守るべく努力をしておるのであります。共済組合健康保険と同時に現役の職員全体の毎日の健康に対する療養費医療費を保障しておるわけであります。それに対しまして、駆虫薬とかあるいはいろいろの強壮薬とか、そういうものもいわゆる健康を守る予防運動としてやっておるわけであります。それから施設といたしましては、療養所あるいは保養所、旅館のようなものもやっております。そういうものも恩給組合一緒に同一にやらせるという小林部長考え方そのものに非常に錯誤があるというふうに私は考えるのであります。自治庁では何でもかんでも自分考えたものは通そうとする。われわれ町村吏員とこれは非常に密接な関連を持っておるのでありますが、最近どうもわれわれに何の相談もなしに抜き打ち的にこういうことを考えるというので、各都道府県では非常に不満を持っておるわけでありますから、幾分一つ考え直していただきたい。  それと、この構成につきましては、事務局長収入役主体でございまして、あと組合吏員でございます。もちろん組合長並びに副組合長はございますが、すべて無給でございます。町村組合にしましても恩給組合にしましても町村会にしましても、すべてこれらは無報酬でございますから、役員は報酬はとっておりません。この事務局長収入役でございますが、この収入役も、現在責任者だけで正式の収入役がないところがあります。あと事務員といたしましては、四人から五人、多いところで北海道は十人以上ございますけれども、普通は五、六人の構成で膨大な基金を確保しておる。これは銀行へ預金しておけばそれでいいわけですし、しかもこれは県の方から非常に厳密な監督を受けておりますから、複式簿記を採用するというのは、どうもわざわざ仕事を作り複雑化させるというふうにわれわれは考えるのでございます。健康保険共済組合のように何千人という対象が毎日病気になった、医療費だ、何だかんだという複雑な処理ではございません。町村合併が終りまして、退職する者は非常に少いのであります。最近は非常に複雑で、合併退職する者があったわけでございますが、今後はそういう支給面で複雑するようなことはないのでありまして、あえてこういうことを考え出すというのは、仕事仕事にするという以外に何ものもないと思うのであります。  それから恩給組合事業面でありますが、福祉事業ということがありますと逸脱をすると思うのであります。組合長によりましては、自分のいろいろの立場あるいは政治的の考えから、五億も六億もある基金のうちですから、組合会議員が承知すればいいのですから、一億も二億も金を持ち出せるという危険も——まあそういうことはないと思いますが、場合によってはあります。最近保養所とかそういうものを作ることが非常に流行しておるのであります。一面いい面もありますが、何がためかさっぱり効果がわからぬような点もございます。そういう点につきまして、恩給組合恩給基金を確保するということに専念すればいいと思うのでありまして、余力がありましたならば、負担金軽減掛金を極力減らすべきである、そういう点につきまして自治庁の方で御研究をいただきまして、ぜひ掛金を引き下げるように、そういう保険数理を出して、一つ御指導をいただきたいと私ども考えております。
  11. 中井徳次郎

    中井委員 ただいま関井さんから詳しいお話を伺って、私どもが心配しておりましたことがどうやら事実のようにも思うのでありますが、しかし見方を変えますると、これは大へん恐縮で、個人的な見解になるのですが、私は変った意見を持っておって、市町村自治体経理複式簿記にせよというふうな考え方の男でありますが、簿記という面につきましては、はっきりと申し上げると、この事務をやっておる人、収入役事務局長さん、すべて過去の自治体に直接間接御関係のあった向きの人が多かろうと思いまするので、ふなれであるという点で、今の御意見も十分に私はわかるわけでありまするが、どうも自治庁考えておりますることが、その通りいいというふうに考えますると、恩給という名前がぴったりこない。小林君の説明を聞いておると、これはもう恩給法の一般的な概念じゃございません。非常に広くなって、自治庁は共済的な非常に広い野心を持っておると私は思うのであります。その野心については私はとやかくは言いませんけれども、そういうお気持ならば、もう少しこの法案を慎重に御検討なすって、性格から変えていかれた方がいいように私は思う。実はこれは雑件というふうなことでありましたので、私ども軽い気持審議を始めたわけでありますが、今関井さんのお話を伺ってみますると、やはり思いつき的な危惧でありましたが、それが事実であるように思いまするので、こうなりますると、この法案も私どもとしては十分研究さしてもらわないと、簡単に、それならちょっと附帯決議でもつけて通しておこうかというわけにはいかないように思うのであります。  そこで、きょうは私はこの程度にしておきますが、最後にもう一点だけ関連して伺います。関井さんが非常におっしゃっておりましたように、自治庁がどうでもいいことまで干渉する、要らぬことまでやってくれるなという面でありまするが、こういう面からいいますと、自治庁は、こういう法案をお出しになった上からは、どうなんですか、事務費くらいは明年度からでも徹底的に補助をして、人件費その他運営経費は国が出すというふうな考えをしておられるのかどうか。金は一文も出さぬが法律はどんどん直すというのじゃ、町村側も大へん迷惑だろうと思うのでありますが、そういう点についてどういう考え方でありまするか、ちょっと伺っておきたい。
  12. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今のにお答えしますが、関井さんのおっしゃいましたことにちょっと誤解があるかと思いますので、その点だけ申し上げておきます。  と申しますのは、共済組合の話が出ました。共済組合というのは、先ほど申し上げた通り健保だけの仕事をやっておるわけじゃないのです。それならば健保でよかったのです。そうじゃなしに、雇用員にも長期給付の年金制度をやらぬといかぬじゃないか、こういうので、御承知の通り長期年金制度を確立するために共済組合をやる。しかしその場合に、短期——従来健康保険でやっておりますけれども、ばらばらでやっておってはかなわぬから、なるべくまとめてやろうじゃないかというので、国や府県制度にならって市町村共済組合制度を作ったわけでございます。  そこでその市町村共済組合制度は、国家公務員府県公務員共済組合に全然右へならえしたわけでありますが、その制度では、昔から一貫して、主体はそういう雇用員長期給付それから保険給付でありますが、その資金運用上ゆとりがある場合は、そのゆとりのある範囲で福祉事業をやってもいいじゃないか、こういうことで、従来から福祉事業をやる規定がずっと入っておるのです。そして、それぞれ適当に利用されています。それはしかし資金のワクというか、限度というものはみなコントロールされておりましてその範囲内において、やり得るということになっておりまして、これは何も特別に奨励する必要はありませんが、資金運転の方向にゆとりがあるならば、組合員のためになるべく有利に、喜ぶように使ってやることは、これは一つ考え方だろうと思うのでございます。さっき門司委員が、そういう仕事はむしろ民営でやったやつについて補助でも考えたらどうかとおっしゃいましたが、これはそういう筋よりも制度としてきちんとしてやるのがむしろ考え方であるべきではないか。しかしあとは、個々の仕事はそれぞれの組合の自主的な判断で、自主的な道でやるようにだけしておいたらどうか、こういう法人組織ですから権限を書いておかなかったら何もやれません。それで一般的な道だけをやろう、こういう趣旨でございます。その点を一つ頭に入れて御審議お願いいたしたいと思うのであります。恩給吏員についての制度で、吏員退職後のためにある、これは明瞭でありますが、その資金のゆとりの運用一つ方法として、運転できるものなら、共済制度一緒考えていいじゃないか、これだけの問題でございます。  それからなおこの補助金の問題が、今も中井先生からお話が出ておりましたが、最初はやはり補助金があったわけですが、恩給組合法を作るときに府県補助金は実はやめまして、そして一般の財政のうちでまかなうように交付税に切りかえたわけです。実はこの恩給組合法を作るときにもいろいろ議論がありまして、市町村側と府県側と意見が分れまして、こういうものを作って府県補助金制度に書くなら府県側は反対する、私は筋はそうだろうと思います。それぞれの自治体の建前からいえば、それぞれの自治体吏員の基本になる給与でございますから、そういうものは自主的にまかなう体制を作るべきであって、それをほかの府県補助金を出すという考え方は、やはり制度の筋としてはおかしい。あとは自主財源をどう樹立するかという問題がありますが、そういうことで問題の筋を立てていくべきではないか。ともかくも恩給組合法はそういう経緯もあって、それから本質的にもそういう理由もあって、今のような形で発足して運営されておるわけでございます。  さらに事務費につきましての補助金の問題でございますが、これはこれによって特別にたくさんの金がどうこう要るという問題では私はなかろうと思うのでございまして、実は特に共済組合について、この事務費補助についての強い御要望があるのでございます。これはわれわれといたしましても、できるだけその方向で努力したいといって、大蔵省といつも折衝しておるのでありますが、今まで残念ながらそこまで至っておりません。しかし一般吏員のこういうものについてまで特に補助金考えるというようなことになれば、これはいかがなものだろうか。われわれといたしましてできるだけ補助金を整理して、そして一般財源を充足したいという自治庁の基本の考えからいいましても、その点はいかがなものだろうか、これは率直な話でございますが、そういう気がいたすのでございます。ただ共済組合事務費につきましては、従来健保でやっておったときに、健保に対する一般の補助としてすべてのものに出ておったのが、この制度に切りかえになったためになくなった、こういう問題がありまして、そういう沿革的な事由もあるものですから、これはできたらぜひわれわれとしてもやってもらいたい、こういう気で実は努力をいたしておるのであります。そこらの点を一つ御了承を願いたいと思うのであります。
  13. 関井仁

    関井参考人 ちょっと申し上げたいのでございます。共済組合の方は健康保険事務を引き継ぎまして、健康保険の分と、恩給組合に入れない学校とか町村役場の小使という雇用員長期給付と二つ合せたものでございまして、健康保険雇用員も一般職員も総じてこれは基本的に全部取り扱っておるわけでございます。長期給付分だけが雇用員の分を長期給付を行うのでありまして、健康保険でやる、いわゆるその疾病に対する保障は、基本的に全面的に行なっておるわけでございますので、当然病気の予防、あるいは伝染病の防遏というような面に、いろいろ経費を使うので福祉施設も必要になってくる、小林部長考え方が私は基本的に違っておると先ほど申し上げましたが、恩給組合運用しまして、今から恩給組合福祉事業を行うのだという考え方は私は違っておると思うのでございます。先ほど小林部長が申されましたが、その答弁がまた私は違っておると考えます。  それから、恩給組合に対する自治庁の腹も今わかったわけでございますが、恩給組合は従来補動をもらっておったわけでございます。ところが今小林部長は、恩給組合補助は必要ないのだというふうにお考えのようでございますけれども町村職員は国の委託事務を行なっておるのが非常に多いのでございまして、町村自体の事務よりも国や県の委託的仕事が多いのでございます。また最近国や県の財政が非常に窮迫しておりまして、負担金あるいは寄付金はやらぬということになっておりますので、国や県が押しつけてくるのであります。警察がいい例でございまして、警察では寄付はもらわぬと言うけれども現在やっておるのでございます。地方が法外負担をしなければ警察力はとまってしまう、自転車もオートバイも自動車も、駐在所も官舎も全部市町村で持っておるのでございまして、畳代から電燈料、炭代、一切を市町村の方へ押しつけてくるわけであります。あるいは県立の学校あるいは法務省関係、農林省関係事業などは全部地方財政にしわ寄せてきておるのであります。そういう状況から町村職員が国の欠陥、県の欠陥を補っておるわけでございますので、われわれは幾分恩給につきまして当然助成があってしかるべきだという信念を持っておるわけでございます。そういう点で、どうぞ一つ将来恩給組合に関する問題、それと補助の問題もお考え願いたい。  それから小林部長一つ質問をしたいのです。(笑声)小林部長は結局共済組合福祉事業の例を開いたのだから、恩給組合ももちろん福祉事業をやってしかるべきだ、しかしこれはやらなくてもいい、やってもいいということなのでありますが、われわれからいえば、こういう法律ができますれば必ずやるようになるということをおそれておるわけでございます。  町村職員は何を望んでおるかといいますと、いいかげんな福祉事業、どこへ使うかわからぬ福祉事業、そんなものよりも、現に毎月納めている負担金が〇・五%でも引き下げになるということを非常に期待しておるのであります。町村職員が期待しておるものは掛金の引き下げでございます。これは現実に毎月響くわけでございますから。それがこの福祉施設ということで一部の人が利用するというようなものへ多額の金をつぎ込むということであれば、適正な運営ができないと、被害あるいは問題が非常に起るわけでございます。  町村職員が均霑するということは引き下げでございますから、小林部長が全市町村職員が希望しておる引き下げの問題、補助金の問題、これらを解決しないで福祉事業をやれと言うのは、私は自治庁としてどうも片手落ちじゃないかと思うのですが、この点一つお答え願いたいと思います。(笑声)
  14. 大矢省三

    大矢委員長 関井参考人に申し上げますが、質疑討論は自治庁の中でやってもらいたい。ここは参考人ですから……。
  15. 中井徳次郎

    中井委員 関井さんの御意見は十分わかります。大体私どもが心配しておりました点と同じであります。  そこで、さっき小林君から概括的な回答があったが、いろいろ話を進めておりますと、私もちょっと触れましたが、大体この恩給という概念はどうも少しおかしい。町村恩給というのは一体何ですか。あなたのような改正案なら恩給じゃありません。国の恩給とだいぶ違います。恩給とは一体どういうことなんですか。その辺のところをもう一ぺんはっきり御回答を願いたい。
  16. 小林與三次

    小林(與)政府委員 恩給とは何ぞやと言われますと私はちょっと閉口するのですが、地方公務員法では退職年金、退職一時金という観念で実は来ております。ところが従来の経緯からいうと、これは町村職員恩給組合法という名前で発足をしておるわけであります。中身は要するに国家公務員恩給の実体と同じものを府県市町村にもやろう、こういうことできておるわけでございまして、事は恩給という言葉がいいかどうか、それは御議論がありましょうが、国については恩給という言葉を使ったから、この法律を作るときは町村職員恩給組合と、従来そういう名前で言いならわしておったから、そのまま使ってきたのだろうと思います。実体は全く恩給法の中身と一緒です。退職年金とか、障害年金、遺族年金、遺族一時金、こういう中身でございます。
  17. 中井徳次郎

    中井委員 中身は一緒だとおっしゃるが、そういうことになれば、国の恩給法にはやはり福祉事業をやってもいいとか、慰安施設を持ってもいいとか、そういうものがありますか、何もないじゃありませんか、国の方は。どうもおかしい。それからそういうような事情ならば、私はもっと慎重に研究してもらって、こんなものは何も本国会でぜひやらなければならぬという法律案ではありません。これは昭和十八年に、戦時中の国家主義のはなやかなりしまつ最中に作ったから、恩給という名前になったのであって、こういうことになれば、あなたの方のお考えをすなおにすっと解釈すれば、もう恩給という概念には当てはまらない。それから国がそれまで御親切にお世話をなさるのならば、いろいろ助成というような面がありますが、この点についてはどうですか。交付税の中に入っておるというような御回答だが、交付税ではどれぐらい見ているのですか。この点を、小林さんではわからぬかもしれませんから、どなたか部長さんからでも御答弁願いたいと思います。
  18. 小林與三次

    小林(與)政府委員 国の恩給法との比較がまた出ましたけれども、今の給付の建前が、御承知の通り国は予算制度でやっておりますからこういう問題は起りようがない。しかしこれは積立金方式をとっておりますから、結局積立金である程度の基金ができる。その基金はいろいろ運転をする、長期、自給、安全というような考え方を当然とってきますし、その運転の一つ方法としてそうした福祉経理もやり得るのではないか、こういう考え方だけなのであります。みんなそこへそそぎ込んで穴をあけるという問題ではないのでありまして、それぞれ自給自足というか、経理がとんとんになっていくような形で、福祉事業というものは運転をしていくという考え方でできているので、それで今の共済制度全般につきましてはその問題になるようなことなしに円滑に行われているわけでございます。その点からいえば厚生年金でもやはりそうでございまして、厚生年金基金というものがあって、やめたあとで年金をやる。この資金運用一つとして、たとえば住宅の方に運転するということが当然考えられるのです。それだけ資金があれば、資金の運転をなるべく市町村のために、あるいはその基金を納めた職員のために運転し得ることも考えられてしかるべきじゃないかということでございますから、その点を一つ御了承おき願いたいと思います。  それから交付税の算定ですが、今の恩給については退隠料その他として三十一年度の財政計画では二十八億五千二百万円と一応算定されております。
  19. 中井徳次郎

    中井委員 そうすると国の恩給町村恩給は、給付の現実の数字あるいは年限、そういうものは同じだろうと思いますが、一方は予算措置であり、一方は積み立てということになっておって、そういうことになればこれはもう国の恩給と基本が違うわけです。ですからやはり町村恩給法改正というのでは、どうも私どもよく納得がいかない。この名前にこだわるようでありますが、やはり名前はすべてを規制をいたします。従ってあなた方のようなお考えならば——あと半年ばかりして、町村会会長さんあたりの意見を最高度に取り入れて、黙ってやってしまうのではなくて——あと説明をして納得してもらったという、きのうかおとといの小林部長の話であったが、きょう伺うとちっとも納得されておらぬ。こういうような次第でありまするから、よくその間の調節をとられまして、この案をあらためてお出しになるというのがほんとうであろう。これは町村吏員自治庁の関係であります。そう天下の大勢をどうこうするという法案ではありません。従って、政府はさらによく研究し直しますといって、これを引っ込めても別に政府の面子にかかわるというほどのことでもないのでありますから、この点はどうぞ一つもう一度考え直してもらいたいと思う。私は簡単に考えておりましたが、なかなか問題があるようでございまするから、きょうはその点だけを申し上げまして、次の質問者と交代をいたします。
  20. 北山愛郎

    ○北山委員 きょうは大へんお忙しいところを関井会長に来ていただきましたが、久しぶりで生きのいいところを聞かしていただきまして大へん参考になりました。どうもありがとうございました。自治庁町村会の間も大へん仲のいいところを見せていただきました。  ただいまの質疑によって、大体私どもが今までお伺いをした点の裏づけといいますか、いろいろ参考になりましたが、関井さんにお伺いいたしますが、そういたしますと、この第四条の三のいわゆる福祉事業という事項もいろいろ種類があるわけなんです。いろいろな保養施設とか旅館とか教養の施設という点と、それから職員の貯金の受け入れ及び運用、それから職員の臨時支出に対する貸付、これらの事業があるわけなんですが、そういうものはすべていけないという意味であるか。私どもはこの第一号と第二号の分については、これは先ほど来お話があったようないろいろな施設資金を固定してしまう、二重投資の懸念もあるというふうに思うのですが、第三号ないし四号、貯金とかあるいは資金運用をやってそれをほかに回すと同様に、職員等にも貸付をするというふうな点は、同じ福祉事業でもちょっと違うんじゃないかと思うのです。従って一号、二号は適当ではないが、三号、四号の仕事は適当だとお考えになっているか。これは区別して考えてもしかるべきじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  21. 関井仁

    関井参考人 福祉施設のうちの三号、四号でございますが、これは北山先生のお話のように一応必要性も考えられるのでありますが、この事業としましては非常に検討を要する事業だと思うのでありまして、不用意に出発するよりも、もう少し検討を加えましてやったらいいんじゃないかと思います。ことにこの貯金の受け入れ、あるいは信用組合のような仕事は非常に複雑性もありますし、貸付等につきましても現在は町村の財政面が非常に困っておりますので、つなぎ資金恩給組合から出しております。直接この交付税が決定いたしましてまだ入ってこないとか、補助金がまだ入ってこないとかいう、責任のある見返り資金のあるものは恩給組合で出しております。ただ一時的に金がないという時貸しは絶対貸さないわけでありまして、そういう見返り資金として、完全に国の方からあるいは県の方からひものついたものだけは立てかえてつなぎ資金を出すわけでございます。それから県と恩給組合が連合いたしまして、茨城県のごときは県が三千五百万、恩給組合が三千五百万、たとえば七千万円の基金を作って、それを知事の責任におきましてつなぎ資金に三カ月の期限で貸すわけでございます。恩給組合単独に貸す場合もございます。ですから職員といいますと数千人、たとえば多いところで一万二千人、少いところで五、六千人がこの対象になるわけでございます。これは相当大きな仕事だと思うのでございます。性格から見まして相当研究を要するものではないかと思います。町村職員にはこういう施設が必要でございます。また要望しております。そこでこういう問題は、町村職員を守る意味におきまして、あらためて何とか考えたいと思っておりますが、ここで簡単に自治庁の思いつきくらいでやられたのでは、実際事務を担当する町村恩給組合としてはいろいろ支障があると思うのでございまして、もう少し検討をし、自治庁のお教えを願いまして、そうして間違いのないような方法でやりたい。こういうふうにちょこっとやられましては非常に不用意じゃないかと思うのです。重要法案山積のときでもありますから、あってもなくてもよいようなことで、非常にお忙しい議員さんをわずらわすことはよくないと思います。
  22. 北山愛郎

    ○北山委員 それから、先ほども関井さんからお話がありましたように、この恩給組合について、職員負担もそうですが、特に町村側負担金の率が非常に高いので、これを何とかして幾らかでも安くしたい。それがほんとうの希望だというようなお話があったのですが、町村側負担金、この率がことしはたしか千分の百十五ですか、そういうふうになっておるというお話でございます。この根拠は、何かこちらから政令等で基準を示しておるわけですか。
  23. 小林與三次

    小林(與)政府委員 現在の負担率はそういう法令の根拠はありません。今のそれぞれ規約できめるわけですが、ただ、しかしそれは精密な保険数理を必要とするものでありますから、全国連合会の方と自治庁の方と相談をして専門家によって得た数字を基礎にして、事を進めておるわけでございます。
  24. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると千分の百十五とか何とかいう数字は、技術的に言えばその専門家のそろばんの都合によってきまってしまう、こういうふうな結果になっておるのではないかと思うのです。そうすれば、とにかく自治庁としては規定の根拠に基いて、全国的にことしはこういう率でやるようにという基準を示すのでないというようなお答えでありますから、これは極端に言うならば、組合でありますから、組合が自主的にこの料率を下げるということは可能ではないか。特に前にいただきました資料によってみますると、自然保険料率は第一年度の昭和三十年度で千分の五十一という数字が出ておる。以下これから今後五年間あたりまでは六十から七十、五年目には七十くらいになるわけです。ですからこれを一つ思い切って千分の六十くらいに下げてみたらどうですか。そんなことはできないですか。
  25. 小林與三次

    小林(與)政府委員 もう一度念のために申し上げますが、そういうものは制度だけを申し上げますと組合規約事項になっております。規約事項は町村で一部事務組合ですから、知事の承認事項になっておるわけです。そこでこういうものは幾らにするかということは、これは保険数理の問題でもあるのだから、この法律でそういうものについての保険数理に関する調査研究は連合会の仕事になっておりまして、連合会の方にも専門家がおられます。自治庁の方にも国の共済組合その他の制度をやっております関係で専門家がおりまして、そこでいつも相談をしてどうするかという数字を出しておるわけです。これにつきましてはきのうも資料で申し上げましたが、国の各種の共済組合はたくさんありまして、そういうものがみなそれぞれ一つ考え方、プリンシプルで数字を出しておるわけです。これは当然保険数理というものはそういうものでありましょうから、各団体ばらばらのものであるべきではないと思うのであります。そういう一つ方法で同じ考え方で数字を出しておるわけです。しかしながら現実の決定は組合規約ですから、どうでもきめ得るわけです。結局その組合運営管理というものをどういう考え方でやっていくかという、その基本の考え方次第で私は不可能な問題じゃないと思います。それで私も今の状況はやはりどう考えても少し高過ぎはせぬか、しかしながらその高過ぎるという問題は、こういう考え方できてそうなっておるわけでありますから、その考え方そのものについて何か調整を加えるかあるいはこの考え方の上に立っても、なお技術的に下げ得る余地があるかという両方の問題があろうと思います。いずれにしろその両方の問題そのものについて、もう少し検討の余地がありはせぬか、その点はみな同じ考えでございまして、そういう方向でもっと進めたい。しかしながらこういう年金制度の基礎を危うくすることは、われわれ自身一時の個人的な気持で危うくしては将来の運営に支障がありますから、その点はある程度の見通しと判断をつけなければ年金制度などぶっこわしてしまうということで大へんなことになりますから、そういう問題点は基本的にございますが、私はもう少し積極的に考え得る余地があるのじゃないか、そこの方向だけは協力して見出して道を進めたい、そういう考えでございます。
  26. 北山愛郎

    ○北山委員 年金制度の基本になる保険数理の原則をくずせば、大へんなことになるというのですが、現に国家公務員については保険数理は問題にしておらぬのです。結局三十年度においても国の恩給費は歳出において必要額だけの百六十三億の予算をおいて、そうして掛金の収入分は七十九億ですか、これを収入にしている。ただ地方団体は団体の数がばらばらで、たくさんあるというだけの違いであって、これを一体化すれば同じことなんです。もしも年金についてはそのような厳密な保険数理に基いて三十年も五十年も先のことまで考えて積み立てをしていかなければならぬというならば、国家公務員だって同じです。国は積み立てていかなければならぬ。どこに違いがあるのですか。そうすれば結局町村恩給組合の場合には保険数理の専門家を救済するというわけじゃないでしょうけれども、その御意見に唯々諾々として従っておるにすぎない。しかも保険数理の専門家は保険数理についての専門家かもしれませんけれども、社会制度の変化であるとかあるいは貨幣価値の問題だとか、そういう問題についてはあまり考えておらぬじゃないかと思うのです。来年のことを言っては鬼が笑うのですけれども、今この三十年五十年の先のことを考えて、現在の掛金負担金の率をきめていくということは、少し実態から遠いじゃないかと思うのです。それまでには社会保障制度の変革なりあるいはまた貨幣価値等の変動があるわけでありますから、こういうことを考えるならば保険数理の専門家から聞くべきところは聞いても、やはり保険料率をきめる場合には、この際別な角度から当分自然料率だけをとるのだ、もう積立金も百五十億あるのだから、積立金はこれ以上あまりふやさないで、とりあえず必要額だけを掛金でとっていくんだ、そうするならば五年くらいは千分の六十くらいで十分これをやっていける、そういうふうな決定がなぜできないんでしょうか。これは関井さんの方で決定すれば、自治庁意見なんかふっ飛ばしてやればやれないことはないようですから、関井さんのお考えを聞きたいのです。
  27. 関井仁

    関井参考人 引き下げにつきましては目下検討中でございます。そういう面で自治庁でも、特に監督官庁でございますので、一つ御努力を願いまして、福祉事業あるいは貯金の受け入れとか貸付とかいうのはその後の問題にいたしまして、そういう面を御研究いただいてお教えをいただきたいと思います。
  28. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今国の恩給方式につきまして、これはごもっともな御議論でありますが、要するに考え方が二つありまして、府県も現にそうなっておるわけです。大きな市も加入しておらぬところは毎年予算方式で、何と申しますか、自然保険料式とか言っておりまして、要るだけのものを毎年出していく、それと積立金の方式をとっておるのと二つあるわけです。厚生年金とか一般の共済制度とか、これはそういう積立金の方式をとっておる。これは平準保険料式とか言っているそうですが、要するに保険を将来長期にわたってならしてしまおうという考え方の基本が出ておるわけです。どうせ退職金ですから、退職者がふえていけばふえていくほど上っていくことは明瞭です。それでありますから国の恩給負担金が現にだんだんふえて毎年増加する一方になって、恩給費をどうするかという問題があり得る、そうしますと今使った人の負担を、将来の住民に転嫁させるという形に理論上なってくるわけです。そういうことはいかがなものだろうかというので、この平均料率負担率というものを長期にわたって均分させようという建前でこれはできておるわけでございます。それでありますからこれも一つ考え方だろうと私は思うのです。しかしそこまで考え方を極端に割り切っていくところに、私はやはり少し疑問がありはせぬか、そこらのところをもう少し折衷していく考え方というものがあり得はせぬか、そういう意味で今の負担金というようなものを、もう少し根本的に考えてみたらどうだろうかというわけでございます。それで保険の技術者をどうこうというお話のことはもちろん考えておるわけではありませんが、要するにほかにもたくさん共済制度もありますし年金制度もあります。そういう制度全般の最高の技術をわれわれはこの制度にも運用していくことを考えるべきだろうと思うのです。ただ自治団体という特殊な性格もありますから、そういう事情になるべくあてはめて、自治団体の実情にも合うようにその方式を調合していくということを考えるべきではないかというのが私の考え方でございまして、これにつきましては一つせっかく研究をいたしたいと思っております。
  29. 北山愛郎

    ○北山委員 さっきの関井さんのお話ですと、自主的にやるというより監督官庁が自治庁としてあるのだから、そちらの方でもお考え願いたいということですが、やはりこれは監督官庁の御指示がなければできないというのか、その辺の関係はどうなのですか。  それからもう一つは、ただいまのいろいろなお話補助金等のお話を聞いても、自治庁としてはこの町村恩給組合には補助金を出さないというような方針のようです。補助金を出すかわりに負担金の料率を下げてやる、そういう手もあるのです。補助金を積極的に出さなくてもいいから、とりあえず料率を下げるように指導する、これは予算を要せずしていい方法じゃないか。こういうふうにいろいろな角度からこの料率がもっと検討されてしかるべきだと思うのです。これは小林さん、担当部長としていろいろお考えのようでありますが、やはりこの恩給組合の問題は重大な問題だと思うのです。従ってこの問題については、私は財政経済学者である太田自治庁長官の御所見を聞きたい。この案件は俗に雑件と言われますが、決して雑件ではない。少くとも百五十億という積立金を持った一つの団体なんで、町村職員恩給という重大な問題を扱っておるものです。しかも今言ったように今後何十年かの生活保障の政策というような非常に重要な内容を持っておるのですから、この問題は重要性において少くとも遊興飲食税の公給領収証制度の比ではない。だから公給領収証について政府与党が最高首脳会議をやるならば、この恩給組合についても十分慎重に扱ってもらってしかるべきではないか。決して雑件ではないという意味から、この際私は太田自治庁長官に来ていただいて、この恩給組合に対する大臣の方針なり所見なりを承わらしていただきたい、これを一つお願いいたしまして、一応私の質問を終ります。
  30. 大矢省三

    大矢委員長 それでは本案に対する質疑はこの程度にいたしておきます。     —————————————
  31. 大矢省三

    大矢委員長 それでは次に消防団員等公務災害補償責任共済基金法案を議題といたします。本案に対する質疑は昨日終了いたしましたので、これより討論に入ります。討論の通告はございませんか。——通告がないようでございまするから、それでは直ちに採決いたします。  消防団員等公務災害補償責任共済基金法案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  32. 大矢省三

    大矢委員長 起立総員。よって本案は原案通り可決すべきものと決しました。
  33. 唐澤俊樹

    唐澤委員 この際私は自由民主党、日本社会党両党を代表いたしまして、ただいま議題となりました基金法案に対しまして附帯決議を付する旨の動議を提出いたしたいと存じます。まず案文を朗読いたします。     附帯決議   政府は左の事項の実現に努力すべきである。  一、本制度運営については、中央集権的弊害に流れざるよう努めること。  一、共済基金に対する国の補助金については、基金運用を充分ならしめるようすみやかに予算措置を講ずること。  一、水防団員等に関しても本法と同様の措置をすみやかに講ずること。   右決議する。  第一の「中央集権的弊害」の点でございますが、このたびこの法案が成立いたしますれば、中央に基金が設定される次第でございまして、もしその運営が中央集権的に流れますると市町村も非常に迷惑いたしまするし、本基金設定の趣旨にもそむく次第でございまするから、十分この弊害の除去に当局として注意しなければならぬと考える次第でございます。  第二の「国の補助金」の点でございますが、法文にはただ国が補助金を出すことができるということが書いてあるだけであり、三十一年度の予算にも計上されておりません。これでは基金の将来の運用について多大の危惧の念を抱かしむるわけでございますから、政府はすみやかに予算措置を講じなければならぬということでございます。  第三の「水防団員等に関しても」の点でございますが、火災の際は大体これでよろしゅうございますが、水防に当りまして今日消防団員でない純粋の水防団員だけが全国で二十四万人もあるということでございまするが、これらの人々の災害についてはこの基金の補償が及んでおりません。また臨時の協力者につきましても同様でございます。火を防ぐことと水を防ぐこととは従来並んで考えられて参っておるのでございまするが、この水防の際のこれらの人々の災害にこの補償が及んでおらないということは、いかにも片手落ちでございますから、政府はすみやかにこれらの災害についても同様の措置を講じなければならぬということでございます。この三点につきましては、小委員会におきまして委員の方々全部から非常に御熱心な御主張がございました。これに基きまして私はこの附帯決議案を緊急動議として提出いたした次第でございます。
  34. 大矢省三

    大矢委員長 ただいま唐澤俊樹君より本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。これについて御意見なり質疑があればこれを許します。——質疑がなければ唐澤俊樹君提出の動議について採決をいたします。  本動議について御賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  35. 大矢省三

    大矢委員長 起立総員、よって唐澤俊樹君提出の動議のごとく本案に附帯決議を付することに決しました。  本案に対する委員会の報告書作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければさように取り計らいます。午前中の会議はこの程度にいたしまして、午後は一時半から再開することにいたします。  暫時休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後二時二十九分開議
  37. 大矢省三

    大矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題として前会に引き続き項目別に質疑を行います。それでは事業税に移ります。亀山君。
  38. 亀山孝一

    ○亀山委員 事業税につきましては、この際基礎控除を考えて、零細な事業の方々のことも大いに考慮すべきものであると思うのでありますが、修正をされなかった点につきまして、自治庁当局から一つお話を伺いたいと思います。
  39. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 個人事業税の課税標準は事業者の所得をとっておるわけでありますが、所得税の場合には基礎控除のほかに扶養控除その他の諸控除がございますために、所得がありましても納税者の範囲はかなり限定されて参るわけであります。これに反しまして個人事業税の場合には基礎控除だけでございますので、所得税を納めない人たちも事業税をかなり広範囲に納めて参ります。その結果零細な事業者に対して負担が過重になっているのではないか、こういうふうな意見が多いわけでございます。  こういうふうな点にかんがみまして、先年、事業税の物税的な性格を持っておるものでありますにもかかわりませず、あえて基礎控除の制度をとることにいたしたわけであります。この基礎控除の額をしかも年々引き上げて参ったわけでありまして、二十九年までは基礎控除の額は合せまして七万円にしたと記憶いたしております。それをさらに昨年の改正におきまして十万円にまで引き上げたわけであります。その際にこれを逐次引き上げていくという趣旨のもとに三十一年からはさらに十二万円に引き上げる、こういうような改正を同時に行なったわけであります。従いまして昭和三十年分の事業税につきましては基礎控除額が十万円であったわけでありますが、昭和三十一年分については基礎控除額が十二万円にふえるわけであります。言いかえれば、零細事業者の負担緩和の措置を三十一年分につきましてはすでに前年において措置をしたのだ、こういうことになるわけでありまして、この結果納税義務者の範囲も若干減って参るわけでありますし、一般に自然増収が見られるわけでありますが、個人事業税につきましてはこの改正の影響が現われて参りますので、三十一年につきましては三十億円近い減収になっているわけであります。所得税の基礎控除額が八万円でございますので、十二万円ということになりますと一倍半に定めているわけであります。この程度まで基礎控除の制度を拡張すれば個人事業税としては無難なところまでいくのではないかというように思っております。  戦前の事業税のあり方と今日のあり方と比べて参りますと、従来の営業税といった時代でありますが、基礎控除の制度はございませんでしたので、税率も異なっております。これと比較いたしますと、たしか年所得百八十万円以下の人は負担が戦前よりも軽くなっております。それ以上の人は逐次所得がふえるに従いまして負担が重くなっていく、こういう姿でありまして、戦前よりも合理化された姿になって参ったと考えております。
  40. 亀山孝一

    ○亀山委員 もう一つ伺いたいと思うのでありますが、主として自家労働をもって営む大工、左官、板金、植木業、こういう人たちに対する事業税に対しては非常な陳情も多いのであります。小委員会でいろいろ御議論もあったと私は聞いておりますが、これに対しての奥野税務部長の御所見をはっきりとお伺いしたい。
  41. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 いわゆる大工、左官の職を行なっている人たちが単に賃金をもらってやっている限りにおきましては、事業税の課税対象にはならないわけであります。このようないわゆる一人親方といいましょうか、そういう人たちでありましても、ときには請負的な事業もやるわけであります。規模が小さくても請負的な形態を伴う仕事のやり方をいたします場合には、請負業として事業税の対象になって参るわけであります。この請負業とみなされる部分について、所得税で申しますと給与所得じゃなしに事業所得とみなされる部分がありました場合に事業税の対象になってくるものですから、そこにいろいろな問題が起って参ると思うのであります。請負業のうちでも、その請負業のあり方によっていろいろ分けるということになりますと、同じような物品販売業一つをとりましても、百貨店を営んでおりますのも物品販売業でありますし、露店に物を並べて売っておりますのも物品販売業であるわけであります。こういうように請負業でありましても物品販売業でありましても、その経営の姿で線を切るということは非常に困難な問題でございます。しかし零細な自家労働を中心とする事業につきましては、あとう限り負担を緩和していかなければならぬと思うのでありまして、これをどういう形でやるかといいますと、やはり基礎控除額をある程度まで引き上げて、こういう制度を通じて零細な所得者の負担を緩和するという道をとるよりいたし方がないのじゃないか。そういうようなところから事業税が物税だと観念されてきた今までの考え方からいきますと、基礎控除制度をとること自体が非常に問題があったわけでありますが、あえてこれを踏み切りまして、所得税の場合の基礎控除額の一倍半まで高めるというような措置をとって参ったわけであります。  さらに一人親方の所得を、給与所得、要するに雇用契約に基きまして賃金を受けている所得と、請負と見られる事業所得とこれをどう振り分けていくかということについても一つ問題があったわけであります。そこで昨年来国税庁との間でいろいろな話し合いをしてきたわけでありまして、大工とか左官、トビ職とか、こういう人たち——店舗を設けていわゆる事業場としてやっておる場合には、これは事業所得になってくるわけでありますが、むしろ雇用契約に基いてやっている他面に請負に類する所得もあるのだ、これをどう振り分けるかという場合には、一応報酬額が三十万円以下の場合には、収入額の多い度合いに応じましてその一定割合を給与所得にかかる収入額とみなす、自余のものを事業所得にかかる収入額とみなす。この部分からさらに必要な経費を控除しまして事業所得を算定する。そうしますと請負業に属する所得とみなされる部分が非常に小さくなってくる。これから基礎控除を落して参りますと、事業税の対象になるものがむしろ例外的になって参るわけであります。これをさらにもう少し範囲を広げたらどうかということで、年収額が三十万円までの部分についてこういう特別な取扱いをして参ったわけでありますが、国税庁と話し合いをいたしまして、五十万円まで広げる、五十万円のものまでこういう簡易なやり方で事業所得とみなされる収入額の範囲をきめる、こういう行き方をすることにしたのであります。もとより正確に事業所得を区分すればそれはそれでけっこうでありますが、そうでない点につきましても、こういう緩和措置をとることによって負担の緩和をはかっていこうというようにいたしたのでございます。  しかし、なおいろいろ御意見もあり、今後ともこういう問題につきましては負担軽減の道は研究していかなければならぬ、ただそれがために事業税を納める人たち全体の間に非常な不満をもたらすようなこともしてはいけないと考えるのでありまして、総体をにらみ合せながら、国会でいろいろ御意見のありますことは十分しんしゃくする努力を払って参りたいと考えておるわけでございます。
  42. 亀山孝一

    ○亀山委員 だいぶ御理解のある御答弁でありますが、どうかすみやかにこれの立法ができるように国税庁との話し合いもできるだけして、こういう零細な勤労者のために一つ御配慮を願いたいと思います。  それから最後にお尋ねしたいと思いますが、公衆浴場に対する事業税についてですが、これに対してはどういう緩和の方法考えられるのか、一つお伺いしたいと思います。
  43. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 公衆浴場のうちでも特に大衆的な経営のものについては、国会の中で第一種事業から第三種事業に移すことによって負担軽減をすべきだ、こういう御意見の多いことを承知いたしているわけであります。先年クリーニング業とともにこの公衆浴場業が事業税から特別所得税に移された、今で言いますと、第一種事業から第三種事業に移された、そうすることによって適用税率の引き下げがはかられたことがあるわけでございます。その後特別所得税と事業税とを統合しまして、事業税に一本化したわけであります。その際に公衆浴場業もクリーニング業もともに第一種事業にしたわけでありますが、クリーニング業が一昨年でありましたか、国会の方で第三種事業に移されたわけであります。それとの関連もございまして、さらに公衆浴場業も第三種事業に移すべきだという意見が台頭して参つたと思うのであります。その辺の事情は政府におきましてもなお十分検討を加えまして、公衆浴場業の大衆的な性格等を検討して、できる限り国会においていろいろ議論なさっておりまする点の解決をはかれるように努力して参りたいというふうに存じておるわけであります。
  44. 中井徳次郎

    中井委員 事業税のことにつきましてはいつも国会でいろいろと問題になるのですが、私はこの際政府事業税に対する基本的な立場といいますか、態度、そういうことをあらためて伺っておくことが必要じゃないかと思うのであります。  この事業税については毎年々々、先ほどから御説明もありましたようにだんだんと基礎控除を上げたりなんかいたしましたが、数年来非常に議論がありまするが、政府としましてはこの事業税を将来廃止の方向に持っていくというふうな考えをいたしておるか、あるいはまたこれは当分持ち続けていかねばならぬというふうに考えておられるのであるか、最初にこのことを伺っておきたいと思うのであります。
  45. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 私たちが地方税制を考えます場合には、やはりこれらの制度によって収入を得ておりまする地方団体の性格といいましょうか、あるいはこれをどう持っていくかということもあわせて考えていかなければならない、こういう考えでおるわけであります。地方制度一つの基本をなすものが税制だというふうに思うわけでございます。そういう場合に事業税は現在府県の財源になっております。府県というものをどう考えていくのか、もし自治団体としてその発展をはかっていくといたしまするならば、自治団体がいろいろと施策を講じていく、発展策をはかっていくという場合に、それに伴いまして相当の収入も府県にもたらされてくるというふうな税種が必要ではないか、こう思うわけであります。そうしますと地方団体の施策に伴って事業の繁栄ももたらされて参るわけでございますので、事業に対する課税というものは府県の税制としてぜひ将来とも続けていかなければならないのじゃないだろうかというふうに考えているわけであります。その場合に事業に対する課税に当って課税標準を何に求めるか、これはいろいろ意見のあるところでございまして、そういうようなことから明治年間におきましては従業者数を使いましたり、売り上げ金額を使いましたり、あるいは間口をとりましたりいろいろやって参ってきております。その後国税に移された後、大正年間に入ってから所得税の補完税的な役割も考えまして、収益、純益というものを課税標準にしたわけであります。その後二十二年からまた府県の独立税になったわけでありまして、そういたしましてから一そう応益的な課税のあり方というものは事業税の課税標準の中に持ち込んでこなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。それがまた事業税のあり方を改正してシヤウプ勧告において付加価値額を課税標準にしたらどうだろうか、その場合に税の名前をどうしたらいいだろうか、事業税にしたらいいか、付加価値税にしたらいいかといろいろ考えたのでありますが、課税標準が変ったのでありますから、事業税のあり方も変ったのだということを明確にするという意味において付加価値税と名前をつけよう、こういうことに私たちは当時考え、国会でも御賛成いただいたと思うのであります。ところが付加価値税に変えますと負担の激変を来すものでありますから非常に大きな問題にもなり、結局従来の所得を課税標準とするあり方を続けていこう、負担の激変を避けよう、こういうことになったわけであります。こういうような経緯を経て参っているわけでありまして、課税標準の取り方についてはいろいろ今後も意見はあろうかと思うのでありますが、府県を自治団体として進めて参りまする以上は、事業に対する課税というものを府県の税として持ち続けていかなければならない、かような考え方を持っておるわけでございます。
  46. 中井徳次郎

    中井委員 今の説明で大体気持はわかりました。しかしながら大蔵省あたりにおきましては、この際もう事業税をやめてしまったらどうだというような基本的な考え方があるやに伺いまするし、さらにまた府県が存立する限りはこういう税金は必要であるというが、現実にはきのうも門司委員からお話があったと記憶いたしておりまするが、府県の自己財源というものはもう六〇%、五〇%とどんどん減って、非常に多いというふうなところはもう東京、大阪、ごくわずかな府県で、あとは非常に少い、そういうことはあまり問題にならぬくらい少い、交付税の方がうんと金額は多いというような実情であります。そういう面からいいましても私はまた事業税についていじるのじゃないか、改善の方に向うならばいいのでありますが、一挙にこれは国税に移管をするとか何とかそういういろいろな議論が起ってきはしないかということをおそれましたのでお尋ねしたのでありますが、これはどうですか。税の性格から見て相当幅がある、景気、不景気によって大いに事業税の収入についても幅があるという面から見ますると、私は自主財源としては非常におもしろいと思うのでありますが、現実にそういう面からいいまして昭和三十年度、三十一年度、いつも申し上げまするが去年の七、八月ごろから意外に貿易が伸び、また一応国民経済総体としての所得も上っておるというふうな形になっております。そういうものとの関連においてこの事業税は昭和三十年度において予算と決算でどのくらいの相違があったのか、あるいはまた三十一年度においては八百六十九億くらいの一応の予定をされておるらしいのであるが、これは現実にはもっとふえるのではないか、私は財政計画上の自然増収百億は少な過ぎるということをいつも言っておりますが、この事業税のごときはどうも今回は一番大きな変動があるのではないかと思うのであります。こういう点について、現実の運営の姿において去年と今年と非常に幅がある、伸びがあるということが言えると思うのでありまするが、政府において資料があれば最近の傾向を一つお聞かせをいただきたい、これがまず第一点であります。  第二点はいつも問題になるのですが、事業税というのは中小企業を中心として取られておりまするので、おれたちだけこういう税金を取られるというような意味合いから、農業事業税というふうな話が——いつも引っ込みはいたしまするが、予算の編成の時期になると、ちらほら顔を出すのであります。  なお事業税について、原始産業に事業税を課するというふうなことについては、私ども社会党といたしましては、これはいただきかねるのではありますが、理論的にいえばそういう話がいつも出て参る。こういうことについて政府の今の考え方を伺っておきたいと思うのであります。
  47. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 事業税として、地方財政計画を立てる場合に、見積った金額と実績との関係がどうなっているかという問題でございますが、二十九年度地方財政計画で見込んでおりました収入額が、八百十六億九千百万円でありました。徴収実績は八百八十六億六百万円でありますから、六十九億一千五百万円だけ増収になっております。  三十年度の問題はまだ年度の途中でございますので、実績はまだわかりません。三十一年度につきましても、別に特に事業税を甘く見たとか辛く見たとかいうことじゃございませんで、できるだけ実際に近づける工夫をしながら、見込みを立てておるわけでございます。  なお原始産業に対しまする課税の問題でございますが、原始産業でありましても、畜産業でありますとか水産業でありますとかいうようなものは、課税の対象になっているわけでありまして、現在課税から特にはずしておりまするのが農業と林業でございます。農業の場合には、法人の行う農業に課税しているわけでありますが、林業の場合には、法人の行う林業も課税からはずれておるわけでございます。農業課税をどうするかということは、これは大きな政治問題でございますが、しかしながらそれと同時に、食糧政策をどうしていくかという問題、あるいはまた所得税などの関係をどうしていくかというような問題も、あわせて考えていかなければならないんじゃないだろうかというふうに思っているわけであります。たとえば米価について統制を行なっております際に、事業税の負担を加えて参りますと、それだけコストが高くなって参るわけでございますので、買い上げ米価なり、あるいは消費者米価なりをどういうふうにするかという問題が起って参るわけであります。  もう一つの所得税の問題について申し上げますと、青色申告をしていれば家業専従者につきまして、一人八万円ずつの控除がございます。青色申告をしておりませんと、このような控除が認められないのでございます。たしか私の今の記憶では、農業者のうちで青色申告をしているのは五%前後じゃなかったかと思います。商工業の場合にはたしか六割くらいが青色申告じゃなかったかというふうに思っております。たまたま青色申告をしていれば、家業専従者一人について八万円ずつ控除していく。白色の場合には控除されない。私自身は税制のあり方として非常な疑問を持っております。国税の関係者も私は疑問を持っておられる人が相当あるだろうと思います。そうすると、事業者全体について、青色申告と白色申告とにかかわらず、家業専従者について八万円ずつの控除をしたらどうであろうか。これは私個人の考え方でありますが、もしそういうような制度がとれるならば、その場合に農業課税ということも考えられるのではないだろうか。もとより納税義務者が非常に少くなって参るわけでありましょう。その結果、自家労力をもって事業に当っている者は、納税者から大幅にはずれていくということになるわけでございましょう。こういうふうに所得税のあり方の問題なり、あるいは食糧政策の問題なり、そういうものと総合的に考えなければならないんじゃないだろうかというふうに思っているわけでありまして、そういう意味で将来にわたる研究問題じゃなかろうかというふうに存じておる次第であります。
  48. 中井徳次郎

    中井委員 今のあなたの答弁の中で、昭和二十九年度の事業税の決算は八百八十九億で間違いないですか。
  49. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 徴収実績は八百八十六億六百万円であります。
  50. 中井徳次郎

    中井委員 その内訳は、個人と法人に分けてどういうことになっておりますか。
  51. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 徴収実績は個人分が二百四十七億一千五百万円で、地方財政計画よりも八億六千六百万円の増であります。法人分が六百三十八億九千一百万円でありまして、計画よりも六十億四千九百万円の増であります。
  52. 中井徳次郎

    中井委員 私ども地方財政計画においてどうも自然増が少な過ぎるということを申しましたが、ところが政府におかれては、決してそうではない、非常に確実に見ておるけれども、そう大した開きがないというのがこれまでの御答弁であったが、今の奥野君の答えを聞くと、地方財政計画を直してもらわなければならぬと思う。三十一年度の地方財政計画は八百六十九億で、二十九年度の決算を下回ること二十億になっておる。そうして個人は百七十八億というふうな計算をしておるが、二十九年度で、もうすでに二百四十七億、——もちろん基礎控除は上りました。いろいろと税体系の変更もありましたけれども、特に法人におきまして二十九年度が六百三十八億で、三十一年度は六百九十一億、ほとんど変りがない。去年から法人関係は、これまで非常な赤字で苦しんでおったところでも大いに黒字に転換しつつある。今造船関係などは、配当の復活でもってもみ合いをしておるというふうな状況から考えて、どうしてもこの点は納得がいかないのです。この数字はもちろん制度改正もありましょうが、どういうふうになっておるか、もう少し詳しく御説明を願いたい。
  53. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 二十九年におきまして、事業税でかなりの増収がございました。二十九年は御承知のように国が一兆円予算をとりまして、デフレ政策の転換をはかった年でございます。しかし後半におきましてかなり景気の持ち直し等もあったりいたしまして、国税地方税を通じまして、当初考えておったよりも、あるいは政策が非常に効果を奏したということになるだろうと思うのでありますが、増収を得て参っておるようでございます。三十一年度につきましては、三十年度の財政計画上の数字が法人分では六百九億二千四百万円であるのに対しまして、六百九十一億三千六百万円と、八十二億一千二百万円の増を見ておると思いますが、そういたしますと一四%程度の増となります。ただ個人分につきましては、先ほど亀山さんの御質問に対してお答えをいたしましたように、基礎控除額を引き上げておりますので、十九億八千四百万円の減を見ておるわけであります。従いまして差引いたしますと六十二億二千八百万円ということになるわけであります。これはやはり一種の制度改正の関係による減税分を差し引いておるからでありまして、法人分につきましては御指摘のように、かなり大幅な自然増収額を見込んでおるわけであります。
  54. 中井徳次郎

    中井委員 説明は予算の比較だけであります。三十年度の計画と三十一年度の計画——計画はそうであるが、決算はすでに二十九年度において、法人について約四十億も開きがある。三十年度の計画よりも二十九年度の決算が四十億多いのです。私はこれだけ見ても、今度非常な問題になりました軽油引取税だとか、あるいは三公社の納付金だとか、あれだけ大騒ぎをして皆さんがお出しになったものが、総計百二十億であります。そういうものを比較いたしますと法人の事業税だけで四十億、三十年度の計画よりも二十九年度の決算の方もふえているのです。従って私は、これは財政部の関係かもしれませんが、こういう確実過ぎるほど確実を見て、そうしてまた新税を設けていくということについては、どうも納得がいきません。あなたは三十年度の計画と三十一年度の計画だけを比較すれば一四%増になるのでありましょうが、しかし現実は決算であります。三十年度の決算ならまだですよ。二十九年度の決算において四十億ですから——これは二年ずれておるわけです。二年ずれておるのですから、私はもうこれだけで百億くらいは違いはせぬかと思います。この点どうですか。
  55. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 もう少し詳しく御説明すればよかったかと思うのでありますが、二十九年から附加価値税を完全に廃止いたしまして、事業税を存続することにしたわけでございます。この附加価値税を実施しますのは一月一日から切りかえる、こういう形にしておったわけでありまして、それを二十九年の一月から事業税に切りかえてしまったわけでございます。四月一日から切りかえるのですと、ちょうど一年分なんですが、二十九年はそういう関係で一月から事業税に切りかえて、その収入が二十九年度に入ってくるわけでございますので、二十九年度分の事業税だけは異例的に十三カ月分入っているのでございます。これが一点であります。もう一つは、二十九年に事業税を恒久化するのに伴いまして、十二カ月決算の法人につきましては、六カ月済みますと中間で申告納付しなければならない義務を課したわけでございまして、従って十二カ月決算の法人は、従来の制度でいきましたならば、三十年度に納めるものまで二十九年度に納付させることにしたわけでございます。  この二つが入ってきておりますので、普通の一年分の収入よりは、実は多くなっているわけでございます。三十年、三十一年は普通の十二カ月分の収入額を見込んでいるわけでございまして、そういう意味で、単に二十九年度の決算よりも三十年の見込み額が少いから過少な見込みだという結論をお出しいただくことは、困るのじゃないだろうかというふうに思っております。ただ事業の推移を見ていかなければなりませんのですが、法人所得なんかにつきましても、三十年の実績を基礎にいたしまして、それにある程度の増加割合を見込んで、法人税の場合と同じベースで、法人事業税の三十一年分の収入額を見込んでいるわけでございます。三十年の実績を基礎にして見込みを立てておるわけでありまして、地方財政計画の数字を基礎にしてはいないわけでございます。
  56. 中井徳次郎

    中井委員 なかなか上手な説明ですけれども、どうも納得がいきません。それならば二十九年度の財政計画における事業税の法人分というのは幾らであったのですか。私は今手元に資料はありません。三十年度以降のものしか持っておりませんが……。
  57. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 二十九年の法人分の実績は、先ほど申し上げたような六百三十八億九千百万円でございます。
  58. 中井徳次郎

    中井委員 計画は……。
  59. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 計画は五百七十八億四千八百万円でありました。これは先ほどちょっと申し上げましたように、一兆円予算との関係もあって、非常にデフレ的な影響を多分に帯びてくるのじゃないだろうかというふうに予想しましたのが、非常に明るい姿が後半になってから出て参ったということの食い違いであろうと思っております。
  60. 中井徳次郎

    中井委員 予算の食い違い——デフレになるであろうと思ったところが実際はよかったという、そのよかった姿が、その後二年続いているのです。ですからもういいかげんにそれは修正された方が私はいいと思うし、制度の変更はあっても、その二十九年度の予定と決算で六十億も違っております。三十年度は一カ月分よけいとったとおっしゃるけれども、一カ月分くらいではおっつかないほど、おそらくこれは増収になっていると思う。従ってことしの一月からも、大いにデフレでもってこの法人あたりの所得がうんと減るという傾向は別にいまだ見えておりません。きのうからきょうあたりにかけましては、株式の取引なんかも、終戦後初めてのように大量になっておるのでありますから、私は今の姿は何も正常だとは言いませんが、現実の姿はこういう形ですから、それは税務当局としてはお固く御判断なさること、これは事務当局としてはそうでありましょうけれども、あまり離れ過ぎておるということになりますると、苛斂誅求というふうなことに一方いわねばならぬと私ども考えるのであります。  この点は総括的なことでありまして、この程度にいたしておきまするが、この事業税に関連いたしまして、ちょっと小さいことでお尋ねいたしたいのだが、外形標準でいくか所得でいくかというふうなこと、これもいつも議論になったのでありますが、ちょっとそれに関連いたしまして、あるいは直接関係はないかもしれませんが、この委員会でも問題になりましたが、労働金庫や信用金庫につきまして、これまで特にその積立金が四分の一に達するまでは、特別な配慮をするような法令になっておりましたのが、昭和三十一年度からはこれが廃止になる。今度の改正案には出ておりませんが、あれは去年でありましたか、そういう改正をいたしたと思うのですが、その辺のところはどうでございましたでしょうか。
  61. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 協同組合事業につきましては、その基礎が強固になるまでは事業税の負担についても緩和措置をとろう、こういうような趣旨で、積立金が出資総額の四分の一に達しないものについては、負担緩和の制度を規定しておったわけでございます。その後、法人税につきましても同様な趣旨が取り入れられることになったわけでありまして、両方とも、積立金が出資総額の四分の一になるまでは負担緩和の措置が、その内容は違っておるわけでありますけれども、とれることになっております。その場合に、地方税法の場合には法定積立金と規定しておりました。法人税につきましては、あらゆる積立金を合計して、その積立金の額が出資総額の四分の一になるまでのものについて、負担緩和の措置をとっておったわけであります。所得の計算につきましても法人税に合せることになって参ったわけでございますので、基礎が強固になっているかまだなっていないかという認定の基準につきましてもこれを合せることが穏当ではないか、こういうような考え方のもとに、昨年法定積立金としておりましたのを、単にあらゆる積立金を含めました法人税の場合と同じ積立金という言葉を使うことにしたわけでございます。その結果、信用金庫等におきまして、いろいろな積立金を特に比較的多く持っておる、法定積立金は少いが、その他の積立金をかなり多く持っておる、従いまして今までの恩典にあずかれないものが非常に多く出てくる、言いかえれば普通の課税を受ける、そういうようなことから、大へん問題にされて参ったわけでございます。ところが法人税の場合には、一般の協同組合につきましては、特別な緩和措置をとっておるわけでありますが、信用金庫につきましては、そういう措置がとられていないわけであります。これが信用金庫につきまして法人税と事業税との間において今後もなお食い違っていく点でございます。なお信用金庫につきましては、法人事業税の場合につきましても、一二%の税率を使いませんで、特別法人として八%の軽減税率を使っておるわけであります。これはもちろん今後もその通り続けていくわけであります。そうしますと、積立金について、法定積立金だけを基礎にして考えていくか、あらゆる積立金を基礎にして考えていくか、純理論的にはやはり積立金に付しました名称のいかんで区別することは穏当ではないと思うのでございます。その場合に貸し倒れ準備金のようなものがいろいろ議論になるわけでありますが、これは貸し倒れ準備金に対しまする繰入金につきましては、限度はございますが、損金に算入することができます。こういうものは幾らふえましても、四分の一になっておるかどうかという判断に用います積立金には入れないのでありまして、益金処分で行なっておりまする積立金でありまする場合には、かりに名前は貸し倒れ準備金といたしましても、それは四分の一になっておるかどうかという計算の中には入れる、こういうことでございます。
  62. 大矢省三

    大矢委員長 今、大臣が四時までということで御出席になっておりますから、大臣に対する質問を先にやっていただくことにいたします。中井君。
  63. 中井徳次郎

    中井委員 今ちょうど質問の途中でありますが、これも大臣に一度お尋ねいたしたいと思っておったのであります。問題の内容は事業税です。事業税の中でことしの改正案にはないが、ことし当然改正されるというふうなものの中で、全国の信用組合あるいは労働金庫に対する特別の免税の措置を今度からやめたものがある。ところが信用金庫とか労働金庫といいまするものは、これは大蔵省の銀行局あたりでありましょう、まことに厳重な統制が御存じのようにしかれておりまして、たとえば預金の七割以上は絶対貸し出しをしてはいけない、あるいはまたこの預金はどことどことに預けろ、その預ける比率もかくかくのごとし、あるいは持つならば公債、地方債はこういうように制限しろとか、非常な厳重な統制のもとにやっておるのであります。これは庶民金融でありますからやっておるのであります。そこで特に積立金をふやさなければいかぬというので、法定積立金が四分の一になるまでは特に国家的な庇護がある。それを今度はずしてしまったということになりますると、——私はある信用金庫の首脳部から詳細に聞きました。きょうはここに資料を持っておりませんが、大体五億程度の預金のありまする信用金庫、そういったものは全国にたくさんございます。これは最近やはり財閥復活等の影響を受けまして、預金が十大銀行にほとんど集中をしているというふうな関係から、全国で一、二カ所もう二、三億の信用組合では立っていけないというので、銀行局の慫慂などがありまして、他の信用金庫と合併したりなんかしているところが、ぼつぼつ出始めておるのであります。この際五億、六億程度の預金を扱っておりまするところの信用金庫について計算をいたしますると、今度事業税で大体五十万円から六十万円も税金がふえる。そうなりますと率直なところが、貸付の金利を一厘くらい上げなくちゃそろばんがとれていかない。預金を融通無碍に運営できるならいいが、そうはいきませんから、七割以内のものでまじめにやっても二銭何厘か知りませんが、これを一厘でも上げなくちゃいかぬ状態なのでございますか。三億くらいの貸し出しでそうして金利を計算いたしまして、五、六十人の従業員でありましたら、計算をいたしまするとどうしても一厘高になる。今日金利引き下げの傾向にあるときに、特にこういう政府の施策のために逆に金利を上げていかなくちゃならぬというようなことであっては、とてもたまりませんというのでございます。この点は私は事務当局にお尋ねをいたしましてもなんだと思いまするが、大臣としまして国策の一環として、金利低下の傾向にあるのに、やむにやまれず金利を上げなくちゃならぬということに追い込んだ税制について、これは早急に修正をするとか、それはこれまで通りでいく、さらに延ばすというふうなことについて、私は大臣の率直な見解を伺ってみたい。この点はきょうのこんなところでの問答だけでは時間の関係がありまするからできませんですけれども、私はそういう話を聞いて参りました。率直に言うとその通りであります。銀行の経営でありまするから、他に特別のうまい汁も考えられないわけであります。そういう次第でありますがどうですか、この点について奥野君はああ言えばこう言うというような次第で、先ほどから大臣の来るのを待っておるのですが、これは大きな問題で、特に地方の中小都市におきましては中小企業を防衛する建前からいって、大問題だと思うのであります。意見一つ伺ってみたいと思います。
  64. 太田正孝

    ○太田国務大臣 中井委員の御質問は最も適切なる今の庶民金融についての問題でございまして、私もそのことを承知しており、また金利低下の現状におきまして金制を上げなければならぬという情勢も、これは悪いことと思います。ただいまの所得主義によってかけておるとはいいながら、かような重大な役割を持っておる庶民金融といたしまして深く実際を調べまして、そうして実はいろいろ私の頭の中に、現状における地方税というものが、皆様方の御質問の中にも出ておられた言葉を考えまして、十分考えなければならぬという問題がたくさん出た、そのうちの一つといたしまして信用金庫の問題も考えたい、かように感じております。
  65. 中井徳次郎

    中井委員 今の御答弁ではお気持はわかりまするが、これはさっそく一つやってもらいたいと思うので、十分考えるという程度じゃなくて、最も近い機会に政府としては善処をしてもらいたい。社会党はもちろん修正案を出しまするけれども、そういう意味において、もう少しはっきりとした御見解を承わりたい。というのは、今までも問答しておりましたのですが、事業税は非常に伸びのある税金でありまするから、実は大臣はあまり御存じないかもしれませんが、二十九年度の決算、おととしの決算がことしの地方財政計画の総計とあまり変りはない。これはもう私は五十億や百億は離れると思う。これだけで自然増収百億しか見ておりません。非常に少いということを私は申し上げたその一つの例なのであります。この百億の中に増加分も入っておるのですが、それでそんな次第でありますから、多少の税制の改革もその間にはありましたけれども、特に法人関係におきましては三十年度の財政計画は六百九億、二十九年度の決算が六百三十八億であります。それは十三カ月分とったといわれましても、それをそのまま受け取りましてもあまり相違はないということになりまするとこれはだいぶん現実に開きがある、そういう面からいって、地方財政は非常に困難でありまするから大臣は大いに努力をされて、悪評高い中に大いに新税を創設されたり交付金、納付金をおやりになった気持はわかるのでありますが、その中にこういうものが上手に隠されておる。市町村府県理事者にとってはそれはけっこうかもしれませんが、国民にとってはやはり迷惑だ、かようにどうしても考えざるを得ないのです。その一環として今、小さなことですがお尋ねしたのであります。この信用金庫、労働金庫も同じようなものでありますが、これにつきましてはようやく始まったところ、あるいはようやく基礎が固まったところであります。最近これに似たような金融機関として、相互何とかいうのも銀行になりましたし、また信用組合という名前のものもあります。ありますがやはり歴史のある信用金庫が一応信用されて堅実だと見ておられるわけで、それについて金利が上るというのは、どうも国民に対する影響でどうしても私どもには納得できませんので、これは十分何というか、近い機会に改正をするというふうな御言明がいただければ非常にけっこうだと思うのであります。
  66. 太田正孝

    ○太田国務大臣 もちろん地方財政の建前からいたしますならば、収入という問題が考えられます。また他の一面課税を受ける国民の立場からいえば、その負担が公平であって強くないということを考える、これは当然なことでございまして、実は現状の地方財政及び地方民の負担というものは、収入主義と公平主義のまん中に立って非常な苦しい立場にあることは、中井委員の今申された通りだろうと思います。私は現状における地方財政も心配しております、同時に地方民の負担も心配しております。特に事業関係におきまして、庶民関係に属するものについては少からざる注意を払っております。どっちにいたしましても、今回の御審議を願いました問題と離れまして、最も早い機会にかかる問題を全部処理していきたい、できるだけ自分の力によってやっていきたい、かように申し上げる次第でございます。
  67. 川村継義

    ○川村(継)委員 今の大臣の答えに関連して一つお聞きしておきたいと思います。今の大臣の言葉にもございましたが、いっかの大臣の答弁の中にも、税制問題は三十二年度を期して根本的に対策を立てたいというような御意見があったと思いますが、今大臣の言葉を聞いておりまして、大臣として現在の税のあり方について御不満なところ、あるいは将来こういうところはこういうふうに変えたいというふうな構想がありましたら、この際少し具体的にお聞かせおき願いたい。
  68. 太田正孝

    ○太田国務大臣 全部集めて私の考え方を今申すところへ来ておりませんが、収入主義からいたしましても、地方財政のために考えなければならぬという問題もいろいろあると思います。またこの小委員会等の御議論も承わりまして、公平の原則から直さなければならぬ点もあろうと思います。そういうような御指摘も賜わりつつ、また自分も勉強して、今の収入主義と公平主義二つとも立って納めやすい、しかも市町村の財政を満足さすように、こういう意味考えております。もちろん問題は国税にも関連いたしますので、税制制度調査会は開きますが、私はそれとは別に地方財政及び地方民の負担という立場からすべての問題を考えていきたい。何の税をどうする、この税をどうするという具体的な案を申し上げるまでには私はなっておりません。しかし先般来のいろいろな小委員会の御議論なども承わりまして、一生懸命勉強しております。かような意味におきまして、具体的な案をというお話でございますが、それを今申し上げるところまでは参っておりません。
  69. 川村継義

    ○川村(継)委員 大臣がお考えになっております将来の構想というものを具体的にお聞きできないのは大へん残念に思います。今度政府の方で地方税の改正についていろいろ提案されておりますが、どうもこのままでは賛成できないような問題点が非常に多いようであります。今大臣のお言葉にありましたように、地方住民の負担をなるたけ軽くするということも、一つの大事な方向であろうと存じますし、また地方団体相互間の税負担の均衡をとらせるということも必要だと思われますし、それにはまた国税関係等いろいろあると思いますが、ただ今後の審議の都合上、たとえば将来こういうような方向に改正したいというような大臣の構想を一つでも具体的にお聞かせいただければ、大へん審議の上からいたしましても参考になるんじゃないかと思ったわけですが、具体的に聞き得ないことは遺憾に思います。くどいようでありますけれども、今の地方税の税務の上から見ても、あるいは国税関係のつながりから見ましても、大臣が考えています点を、できたら今度の提案されておりますような問題と結びつけて、一つでも二つでも具体的にお聞かせ願えないものか、こういうように思うわけですが、重ねて一つ
  70. 太田正孝

    ○太田国務大臣 いろいろ小委員会等において御議論をなすった点も考えておりますが、そのほかにもあるいは旧軍港等における固定資産税の問題なども交付税関連しまして考えるべき問題だと思っております。しかし一つだけあるいは二つだけとらえて、ここでこういうやり方でやろうということを申し上げましても、一体としての地方財政を考えなければなりませんし、また一体としての国民の負担考えなければなりませんので、思いつきの点はあるにいたしましても、今ここで私の立場から申し上げることはできない状況であることをお許し願いたいと思います。
  71. 川村継義

    ○川村(継)委員 大へんくどくなりますけれども、たとえば今度三公社の課税の問題が出ておりますが、これについては、鉄道関係であったら、鉄道運賃等は引き上げないというような一応の言質は述べられているようであります。しかしもしもこの三公社の課税において、国有鉄道等の固定資産の課税によりまして、それが影響いたしまして、いわゆる乗車運賃等の引き上げというようなものが現実に出てきた場合に、あるいはそういうものをさらに将来検討して撤廃するというようなこともあり得る、結局大衆に大きな負担をかけていくようなものは取り去っていくというようなことは考えられませんか。
  72. 太田正孝

    ○太田国務大臣 税を新たに起す場合でございまして、三公社の課税につきましては、すでに地方制度調査会等の御答申もあり、一般的の議論として私どもは取り上げたのでございます。この際において、鉄道の収入がどうなる、こうなるということはもちろん注意はしておりますが、作ってすぐやめるという考えをもってかような提案をいたした次第ではございません。
  73. 中井徳次郎

    中井委員 どうなんですか。大臣が来たから税種目にかかわらずにやるのですか、それとも税種目によってやっていくのですか。
  74. 大矢省三

    大矢委員長 大臣は他の委員会の関係であまりここに出られないそうですから、それに限らずできるだけ広くやって下さい。
  75. 中井徳次郎

    中井委員 きょう、あすかかると思うのですが、あしたも大臣、出てこられないのですか。地方税法の仕上げに際しても大臣が出てこられないで、事務当局を相手にコンニャク問答をしておってもしようがない。大臣どうですか。
  76. 大矢省三

    大矢委員長 あしたの三時ごろから出られるそうです。
  77. 中井徳次郎

    中井委員 それはけっこうです。大臣も小選挙区の法案でお忙しいと思うが、あんなところでつるし上げを食うよりも、こういうところで少し本来の仕事に専念されることも、——これは変な表現ではありますが、実際問題としてこの税法関係では、私ども社会党の案も出ますし、二、三日で片づくわけですし、この地方自治法の一部改正法案は重要法案ですから、そういう意味においてけじめだけはつけていただきませんことには、一体地方行政委員会は何をしているのだということになってこようと思うので、その点一つ委員長からも要請していただきたい。明日は何か党大会に出られるそうですから、その期間は退席されてもけっこうだと思うが、二時からでもやはりここに出てきてもらいたいと思います。
  78. 大矢省三

    大矢委員長 北山君。
  79. 北山愛郎

    ○北山委員 久しぶりですから何からお伺いしていいか……。(笑声)まず第一に、この税法の問題の中で、例の遊興飲食税の公給領収証の改廃の問題であります。これはこの委員会で、昨年の十一月から公給領収証を実施したその成果というものを自治庁の方からいろいろ報告をいただきました。大体この制度をやりましてから順調にいっておるというような御報告であったわけであります。ところがこの地方税法の修正につきまして、政府及び与党の幹部が——その中には大臣もおられたわけでありますが、協議をしまして、何でも次の国会にはこの公給領収証制度を改廃するというようなことを天下に公約したといいますか、そういうふうなことを外部に公約をされておるように承わっておるのですが、それについて一つ経過並びに大臣のお考えをお聞きしたいのです。
  80. 太田正孝

    ○太田国務大臣 公給領収証の制度は行われてから四カ月になりますが、その経過については皆様方に数字的に事務当局からお話し申し上げたことと思います。税がこれでいいか悪いかということは、やはり一年の経過を必要といたします。たとえば前年よりふえているところと減ったところとあって、平均で少しふえているというのが、私の頭に入っておる遊興飲食税の現状でありますが、やはり景気のいいときにああいう税がどうなるか、不景気のときにどうなるかということを考えなければならず、短い期間で判断することは非常にむずかしいことだと思います。今までの経過においては相当の成績を示しておると思いますが、他の面におきまして税のとり方あるいは非常に繁雑なる徴税方式であるということの非難も承わっております。税率その他にも問題があると思います。私といたしましては根本的にこの問題を考えたい、こういう考えを持っております。党との関係において党の御要求も承わりましたが、結局その他の税の問題とくるめまして、一緒に実現してどういうような方法でいくか、どういうようにするかということは、これからみっちり勉強してきめたいと思っております。もちろんこの問題を取り上げまして、そして納税者に都合のいいような、あるいは税の収入としてどうなるか、こういうような問題は、私の平素申します収入主義と均衡主義と二つの面から見てやっていきたいと思っております。最も早い機会にこれが実現するよう、また世間一般の御要求も十分くみつつ決定していきたい、かように考えておる次第であります。
  81. 北山愛郎

    ○北山委員 次の国会で改廃をするということにつきましては、大臣も御賛成なわけですか。
  82. 太田正孝

    ○太田国務大臣 税制につきましては、国会を通さなければならぬ関係もあり、最も早い機会において税の問題は片づけたい、かように考えております。
  83. 北山愛郎

    ○北山委員 そういたしますと、何か現在の公給領収証制度に欠陥が明らかに現われておる、これを今直したいのだがという党の方の御要請であったようであります。これに対してもう少し時期を待て、その結果、次の国会でやるというようなことについて大臣が御了承になったとすれば、すでに現在公給領収証制度についての何らかの欠陥について大臣はお考えがなければならぬ。これがいいか悪いか、そのお考えがあってそういう改廃をするという——将来にしても次の国会ということになれば、大体においてその時期を約束したような格好になる。これは世間に対する約束なんです。その根拠を一つ聞きたいのです。ただ三、四カ月たっただけじゃ欠陥がわからぬというのなら、そんな約束はできないはずなんです。すでに現在までのところで何らか欠陥が出て参った、だから今すぐとは言わないけれども、次の機会に改廃するということならわかるのですが、現在までのところではわからぬ、しかし次の国会では改廃をするということでは、どうも筋が通らぬじゃないか、どうなんですか。
  84. 太田正孝

    ○太田国務大臣 私は改廃するとも何とも返事をしておりません。党の御要求をちゃんと承わりまして、その要求の線をよく調べて善処したい、かように考えておる次第であります。
  85. 北山愛郎

    ○北山委員 党の要求というのは何ですか。
  86. 太田正孝

    ○太田国務大臣 幹事長の名において発表された文字をさして申し上げた次第であります。
  87. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると領収証をやめるということですか、あるいは任意制のものにしよう、こういうわけですか。
  88. 太田正孝

    ○太田国務大臣 その点については詳しく発表しておらないように記憶しております。
  89. 北山愛郎

    ○北山委員 とにかく領収証制度を、今の公給のものを使わなければならないということを改めよう、部分的にせよ、きまった一定の領収証を使わなければならないということをやめよう、あるいは任意の領収証でもいいということにしよう、こういうような内容のものではないのですか。
  90. 太田正孝

    ○太田国務大臣 改廃という言業を使われておるように承わりましたが、私としては遊興飲食税は根本的に考えたいと思っておるのです。単にこの領収証問題だけでなく、遊興飲食税のあるべき姿というものをもっと掘り下げて根本的に考えておるわけでありまして、ある意味におきましては、私の考え方の方が広いのでございます。
  91. 北山愛郎

    ○北山委員 非常に雄大なる構想をお持ちのようでございますが、ただ掘り下げて考えるというだけでは、どうもわれわれはわかったようなわからないようなわけであります。で、これは大体どういう方向において掘り下げるのか、たとえば遊興と飲食とを分けて飲食についてはかけないのだとか、あるいはまた遊興飲食税は、今特別徴収義務者からとっておるので、実際の担税者というのは消費者になるわけなんですが、特別徴収の義務者、料理店等からとっておるそういう形がどうも徴収上非常に困難がある、そこでそのとり方を変えるとか何とか、大体の方向があると思うのですが、全般にわたって掘り下げるというだけでは、ちょっと大臣の言葉としては足らないように思うのですが、その点もう少し詳しく御説明願いたい。
  92. 太田正孝

    ○太田国務大臣 申し上げるまでもなく、まだ実行して日も浅いことでありますし、改廃ということのめどをつけたにいたしましても、じっくり各方面のことを調べなければならないことは、北山さんも御了解願えることと思います。ある税を起そうとか、ある税を減らそうとかいうような問題になりますと、いろいろな方面に関係を持っておりますので、一つの税だけを取り上げて、先ほども中井委員にも申し上げた通り、私といたしましては、その問題一つだけで自分考えを申し上げることはできないのでございます。どうぞその点はお許しを願いたいと思います。
  93. 北山愛郎

    ○北山委員 私も非常に抽象的に申し上げておるわけなんですが、ざっくばらんにいえば、なぜ一体今度の公給領収証制度の改廃問題が出てきたかというと、これは業者の中の料理店あるいはキャバレー等の一部の業者がやめてくれという陳情をしておるからなんです。そのために改廃問題が出てきたのじゃないのですか。これが全般的に、一般の大衆飲食店等においてもやはり公給領収証制度をやめてくれというのであれば、まだしもわかるのですが、そうじゃなくて、一部の業者がこれをやめてくれという陳情を執拗にやっておる。ところが一方には、むしろこの際またもとへもどって公給領収証制度がやめになって、また昔のように割当制度にでもなれば、やはり組合のボス等がいばり出して、小さい業者に負担がよけいかかるということを心配して、むしろ公給領収証制度を維持したいというような業者の陳情も、要望もあったように私は思うのですが、そうじゃないのですか、ざっくばらんに言えば……。改廃問題が出てきた根拠は、これは世間で言っておることです。その点一つざっくばらんにお答えを願いたいと思います。
  94. 太田正孝

    ○太田国務大臣 私自身も陳情は受けておりますが、陳情によってすべてを私は決定しようとは思いません。私の良心に訴えて——良心ではありません。租税意識に訴えました限りにおきまして事をきめたいと考えております。
  95. 北山愛郎

    ○北山委員 それならこれに関連して奥野さんにも大臣にもお答え願いたいのですが、領収証制度というものは好ましいことでないことはわかっておる。あんな紙きれはなければない方がいいにきまっておるのです。だけれども今の遊興飲食税を続けておる限りはその税額決定の根拠がなければならぬ。だから徴税上において今までのようなばく然とした見込みあるいは割当というような課税はむしろ税法そのものにも違反するものだからというのでいろいろ工夫されて、自治庁内部で考究されたのが公給領収証なんです。だからもしこれが根本的に考えられて廃止するということになれば、これにかわり得るもっと公正な方法がなければならぬと思う。もしあるならここでお示し願いたい。
  96. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 現在のところまだいろいろと研究している過程でございまして、今これが一番いいというような案も持っていないわけでございます。
  97. 北山愛郎

    ○北山委員 とにかくこの遊興飲食税の今度の領収証問題については、まことに世間に不明朗なものを感じさせておる。また政府与党部内に不統一があるのです。一方では従来の課税の仕方が悪かったというので公給領収証制度というものを考えて、一応これが軌道に乗った。反対者もあるには違いありませんが、とにかく軌道に乗っておる。そしてねらった結果というものもいい面が現われておるというようなときに、これをやめよう、やめるという者もあれば、この成績がいいという意見もある、こういう不統一な格好なんです。しかもその動機においては一部の業者の陳情、運動によって政府首脳部が動かされておるというような非常に不明朗なものがあるのです。そこで一つ大臣にお願いしたいのは、少くともこのような遊興飲食税に限らず、税制についてこういうような不明朗な印象を世間に与えるようなことは断固として避けてもらいたい。ああいうような声明は政府の声明ではない、与党の声明だから政府としては直接関係がないと言えばそうでありますが、今伺った点についてだけ見ても、どうもちぐはぐなんです。次の国会では改廃する、しかし現在ではまだその理由がわからぬというような、あの問題をめぐって不明朗なものがありますので、一つその点は十分御注意を願いたいと思います。と同時に、現在の遊興飲食税というものをやめてしまえば別ですが、やっていく以上は、課税金額というものを徴収の場合に査定するようなよりどころがなければならぬ。だから私は領収証そのものに賛成ではないけれども、これは自治庁としてもいろいろ工夫し苦心してなかなかいいものを作った、こういうふうに考えておるわけでありますから、一つ妙な勢力に動かされないで進んでいただくということを要望しておきます。  それから実は午前の委員会で大臣にお伺いしたがったのですが、税の問題とちょっと離れますけれども、現在も委員会にかかっておる町村恩給組合法律があります。事務的な改正でございますが、ただその内容をいろいろと伺ってみますと、町村恩給組合の実態は大臣は御承知と思いますが、今各府県ごとに町村組合でもってやっておるわけです。自主的にやっておりますが、保険数理の理論に基いて五十年、三十年という、ずっと先の方まで見通して相当な積立金を持っておる。百五十億円くらに上っておるわけです。ところが職員本人の掛金は千分の二十、それから町村負担金は千分の百十五でございますか、相当高い。町村当局はこれ以外に共済組合負担金も負っておる。だから広い意味でいえば給与関係費でございます。普通の給与費以外に共済組合負担金、それから恩給組合負担金というものを負担しておりますので、この負担金を安くしてもらいたいという希望がある。ところが今申し上げたように千分の百十五というような高率なものでありますからこれを下げられないかということで、いろいろ論議をしておるわけであります。御承知のように、国家公務員恩給については掛金を収入の中に入れて、そうして毎年度必要額を歳出の中に置いておるわけです。そういう積立金というものを持っておらない。ですからそれに近いようなやり方でいくならば、それほど高い負担金を負わなくても千分の六十——半分くらいに負担金を下げ得る。こういうふうに私ども考えるわけなんです。もうすでに百五十億も積立金がありますから、これをさらにどんどんふやして五百億、六百億というふうに積み立てをしないで、そうしてその年その年の所要額を負担金として出していくというやり方の方がいいのではないか。いわゆる国家公務員の方のやり方と同じようにした方がいいのではないか、こう思うのですが、こういう点について大臣はどのようにお考えですか。
  98. 太田正孝

    ○太田国務大臣 大へんな負担がかかっているということを聞いておりますが、なるべく下げるように指導していきたい、かように考えております。
  99. 北山愛郎

    ○北山委員 その恩給組合法律の内容というものを詳しくお話していかなければならぬのですが、積み立てていくという考え方と、国家公務員のようなやり方でいくという考え方、二つのやり方があると思うのです。地方公務員については個々の団体が一つの企業体のようにして、ずっと先のことまで考えて積み立てをしておる。国の公務員についてはそうじゃなくやっておる。こういう二つの行き方のどちらがいいかということになると、三十年、五十年の間には国や地方の行財政の制度というものも相当変ってくる。それから社会保障の制度も変ってくる。でき得るならば——でなくてわれわれの理想からいえば、きわめて近い将来において、単に公務員だけが恩給をもらうというのではなくて、一般の国民もやはり老後における生活保障の年金、こういう制度に普遍化しなければならぬということは、これは大勢だろうと思うのです。それは五年あるいは少くとも十年以内にそういうことをわれわれは目途としておる。ところが地方公務員恩給組合法においては三十年五十年先までやつぱり同じような積み立てをしていくというような考え方なんです。だから考え方としては非常におくれておるのではないか、こういうように思うのでありまして、国家公務員の方向に切りかえる方がいいのではないかということが一つと、もう一つは長い間の保険数理を基礎にして積み立てをしておりましても、貨幣価値が次第に下ってくる。そこで初めは十分な金額として積み立てをしておりましても、何年かたてばまるでそれだけでは足らぬというような格好になってくるということは、今まででもあったことなんです。そういうことを考えるならば、やはり現在の町村恩給組合の行き方というものを考え直して、一つの原則的な考え方の変更といいますか、国家公務員のような方式にするということがいいのじゃないかと思うのですが、その点を一つお伺いしたい。ただ下げるというだけでなく……。
  100. 太田正孝

    ○太田国務大臣 問題は、国家公務員の関係と見合いまして、財政にも関係があるし、また恩給制度全般にも関係があると思います。お言葉の趣意はよく了承いたしましたので、検討いたしましてこの問題を処理していきたい、こう考えております。
  101. 北山愛郎

    ○北山委員 次に、大臣の先ほどのお言葉の中に、収入主義と公平主義というお言葉があったわけなんです。それを再々お使いになるわけですが、収入主義と公平主義が、地方税の場合具体的にはどういう問題について言われておるのであるか、これをお伺いいたします。
  102. 太田正孝

    ○太田国務大臣 たとえば外形主義でやっておるところの事業税などにおきまして、いろいろ陳情その他を承わっております。いろいろな問題がありまするが、そういうものを、まず地方税の全面的と申していいのじゃないかと思います。あるいは社会政策というと少し大きくなりますが、大工や左官の事業税の問題でありますとか、お湯屋の事業税の問題でございますとかいろいろ考えられます。また私鉄の鉄道事業関係も考えられます。全部が実はこの問題に関連しておりますので、どの税、どの税と今個別的に申し上げることはできませんが、地方税の中で私の一番問題になりまた気づくのは、外形主義でやっている税が収入関係及び公平関係から見てどうかというのが、私の一番頭に強くきている問題でございます。
  103. 北山愛郎

    ○北山委員 収入主義というのは、ある程度の収入を確保しなければならぬという意味だろうと思うのです。公平主義というのは公平でやらなければならぬ、現在の不公平を直すということだろうと思うのですが、もう一つ問題があるんで、それは何といいますか、地方税制の中に国の産業政策だとか、そういうものがまぎれ込んでいるのです。たとえば電気税なんかについて、一定の業種の使ういわゆる製造用の原料として使う電気には課税してない。これが約九十億円くらいに上っておる。膨大なものです。こういうものは公平主義からいうと、やはり取った方がいいのじゃないかと思う。一般の家庭の電気料金というものは、非常に高い上に電気税がかかっている。ところが製造工業の方は、一部の業種ですが、そういうものは電気税もかからぬし、電気そのものも安いわけです。公平の原則からいえば、それはかける方がほんとうだと思う。それはそういう業種の作っている品物のコストを下げようという一つの産業政策といいますか、そういうことからかかっておらないのです。その金額が九十三億というのですから、これは相当大きな税源です。こういうものをほかにも、たとえば発電所の固定資産税を下げるとか、そういうふうにコストを下げるための産業政策上、国策上のものがまぎれ込んでいるのです。ところがそれだけ苦労しておきながら、必ずしも商品がコストが下っただけ実際に下るかといえば、何らの保障もない、そういう点はお直しになる気持はないのですか。
  104. 太田正孝

    ○太田国務大臣 お言葉の点もよく勉強して、よく検討して参りたいと思っております。
  105. 北山愛郎

    ○北山委員 どうも大臣は今後勉強ばかりされるようでありますが、これは委員長お願いしておきますけれども、大臣が勉強なさるのは書斎でやられたのでは困るんで、やはりこの委員会に再々おいでになって、ずっと一貫してお話を聞けば、お互いに勉強になると思うのです。今まで地方税の問題あるいは地方財政の問題にしましても、さっぱり出席してもらえない。そこでこの季節はずれにぽかっといろいろの問題が聞かれるというようなわけで、あとで検討してというようなことになって、一向お互いに審議にならないのです。今後においては税法の問題あるいは地方財政の法案あるは地方自治の関係の法案、これが残っておるのですから、もう少し規則正しく大臣も御出席なさるように、そしてお互いに勉強ができるように、委員長一つお取り計らいをお願いしまして、私はきょうはこれで終ります。
  106. 中井徳次郎

    中井委員 大したことではないのですが、先ほどの北山君の御質問に関連するのですが、遊興飲食税の公給領収証の廃止の問題を次の国会で修正をするということであります。この点ちょっと私ども気にかかりますのは、次の国会ということになると、私は必ず臨時国会が開かれるのじゃないかと思うのですが、そういう点についてどういうように政府と党の間でお約束になっておるか。ちょっと念のために伺っておきたいと思います。
  107. 太田正孝

    ○太田国務大臣 臨時国会という意味か通常国会という意味か、そういうところまでは参っておりません。次の近い国会、こういう意味でございます。また現状におきまして何と何の問題が臨時国会を開くべき議題になるかということは、今予見しておりませんので、おそらく党で発表した意味も、次に開かれる場合にはと、こういう意味と御了解を願いたいと思います。私はそう了解をしております。
  108. 中井徳次郎

    中井委員 そういうことになると、私は非常に問題だろうと思うのです。きのうも実は大蔵省の主計局長が参りまして、数日前に通りました予算について近く補正を組まなければならぬでしょうということをぬけぬけと言っておりました。従ってこれは必ず通常国会の前に臨時国会がある。そこで次の国会は臨時国会であるということになれば、あなたが先ほど言われましたように、公給領収証を実施してわずか三カ月、少くとも税制というものは一年やってみなくちゃわからない、私はこれは至言だろうと思うのです。一年やってみて改正をするということになれば、私どもは次の国会というのはどうしても通常国会になるだろうというふうな考え方を実はいたしておるのでありまするが、その辺のところはどうですか。
  109. 太田正孝

    ○太田国務大臣 私は税の比較というものは一年でやらなければ完全なことにならぬ、ことに景気、不景気というような要素のある場合にはそう思われると申し上げたのでございまして、もう日をたたずとも判断し切るという問題もないじゃないと私は思います。
  110. 中井徳次郎

    中井委員 どうも私は今のはやや詭弁だろうと思うのであります。それはやはり実績を見ないことには、税制を予想でちょんちょん変えていくというようなことでは、大混乱が起ると思うのですが、財政学の大家であられる大臣、どうですか。三カ月や六カ月でもって簡単に変えるということは——どもは率直に申してあなたのさっきの御答弁で、遊興飲食税について大なたを振ったということは大賛成でございます。大賛成であるからこそ、とにかくもう少し慎重に御検討願ってやっていただきたい。簡単に直す、次の国会となっておったから臨時国会で一つやるというようなことで——まあ遊興飲食税は総額にいたしましても、地方財政全般から見ますと大した問題ではないのです。私どもはこのようなことではあまり問答をしたくないほど、全体から見ますると小さなことであろうと思うのでありまするが、そういうものにひっかかって臨時国会にわざわざまた修正案をお出しになるということになれば、社会党としまして、これは国政全般から見て一つ大いに考えなければならぬと思いますので、念のためにこれをお尋ねしたのですが、どうですか。臨時国会でお出しになるというようなそんなお気持なんでしょうか。
  111. 太田正孝

    ○太田国務大臣 国会を開くというのは重大問題でございまして、私の個人の立場から申し上げることはできませんでございます。重要な必要がある場合でなければできないので、いわんや補正予算を組むというようなことになりますると、財政上の大きな問題になりますので、軽はずみに私の口からは申し上げられないのでございます。
  112. 中井徳次郎

    中井委員 率直に私は大臣の気持を聞いておきたいので、その責任を追及しているわけではありません。こういう地方税の改正案などという問題を、臨時国会で年度の途中でじゃんじゃんやられてはたまりませんので私は言うておるのです。それについてのお気持一つ聞いておるのです。
  113. 太田正孝

    ○太田国務大臣 御注意のほどありがとうございました。
  114. 中井徳次郎

    中井委員 御注意ではない。あなたの意見を聞いておるのです。
  115. 太田正孝

    ○太田国務大臣 たびたび申し上げておる通り、国会を開くということは非常に大きな問題でございますので、政府考えた上に党ともよく相談をしなければなりませんし、また客観的にいろいろな事情も考えなければなりませんので、私がここで言い切るというような大それたことは私としてはできません。
  116. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっとおかしいのですよ。地方税制、いわゆる税制を年度の途中で変えるというふうなことは、大臣としてどうですかということをお尋ねしておるのであります。
  117. 太田正孝

    ○太田国務大臣 税法を扱いまして、これを実行する場合に、年度の途中になるかどうかということも、その法案を作るときの関係でございまして、今いつになってどうするというようなことをはっきりと申し上げることは、ちょうど臨時国会をいつ開くか、あるいは通常国会に持っていくかということのわからないのと同じでございます。
  118. 中井徳次郎

    中井委員 そんなことはないですよ。
  119. 大矢省三

    大矢委員長 大臣に申しますが、先ほど来委員の御希望もありましたように、重要な税法を最終的に討議しておりますので、どうか一つ勉強して出席していただきたいと思います。  事業税はまだございますか。
  120. 中井徳次郎

    中井委員 大体いいですが、最後にちょっと。先ほどの大臣の答弁では、収益課税が公平だというようなお話がありました。それに関連いたしまして、事業税は外形標準でいくか、所得でいくかという問題については、もちろんまだ学説もいろいろあるし、結論も出ておらぬのでありまするが、今のような大臣のお気持でいきますると、やはりガス事業とかあるいは地方鉄道とか、そういうものにつきましても逐次収益課税の方に転換していきたいというふうな気持のように私どもは受け取れたのでありますが、この点については事業当局はいつも反対の立場をとっておられたように記憶いたしておるし、私も事業税の本来の性格からいきますると、事業税が絶対額において下っていくからいいじゃないかというような意味において、われわれはいやいや賛成しておるのであるが、事業税という性格からいきますと、どうもこの点な解せない面があります。そこで、こういう大臣の意向でこの外形標準をどんどん収益の方に転換していく気持であるのか、事務当局意見をこの際伺っておきたいと思います。
  121. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 大臣がお話しになっております公平課税の原則、これは税というものは、むしろ重いことよりも、ひとしくない場合には国民から非常な反感を受けることになると思うのであります。これは税全般にわたる通説的な考え方だと思います。従いまして、事業税でありましても、同じように電気事業を行なっていながら負担が変ってくる、あるいはガス事業を行なっていながら変ってくる、これは当然避けなければならない問題だと思います。しかし事業税につきましては、あらゆる業態を問わず全部課税標準が同じでなければならないというまでのことはないじゃないかというふうに思うわけでありますし、大臣が今おっしゃっている考え方もそういうことじゃないかというふうに私たち了解しておるわけであります。ことに公益事業になりますと、料金が統制されておるわけでありまして、利潤追求自体を目的にさせないという国全体で大きな規制を加えている事業でございますので、そういう事業につきまして利潤を課税標準にすること自体が、事業税としては適正を欠いているのじゃないか。地方税を負担してもらわなければならない、そういう場合には、料金の基礎に算入しなければならないから、算入されたものは地方税として納めてもらうべきではないか、こういう考え方を持っておるわけでございます。
  122. 大矢省三

    大矢委員長 それでは次に不動産取得税について審議を行います。
  123. 中井徳次郎

    中井委員 今度多少修正されました不動産取得税につきまして、これはどうですか。これは修正することによって、やはり税源を確保するというふうなことで、だいぶ金額は小さいでありましょうが、実質上何百万円程度は増収になるというふうなことでありますか。これに対する考え方をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  124. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 不動産取得税についての改正は、税収入の増減について何ら顧慮しておりません。全く税務行政の規律を明確にするという意味だけでございます。
  125. 大矢省三

    大矢委員長 よろしゅうございますか。——それでは次に娯楽施設利用税の質疑を行います。
  126. 北山愛郎

    ○北山委員 パチンコですが、パチンコについてはこの前、去年でしたか改正をいたしまして、毎月免許制みたようにしてとるというようなことにして、それからまた税金もたしか月一台百五十円というものを基準にしたと思いますが、その後の経過、実績はどういうふうになっておりますか。
  127. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 先年御改正をいただきました結果、徴税の成績は非常によくなりまして、納税者と府県との間の円滑化も保持できるようになったと思っております。パチンコ場を経営しております業者間におきましても、納税に対しまして非常に非協力な人もあったのでございますけれども、免許制になりましたために一〇〇%に近い徴税成績を示すようになったのであります。ただ警察行政の関係から連発式を禁止して参ったものでありますので、百万台くらいありましたパチンコが六十万台くらいに減って参っております。これは税の改正とは別個の問題でございますけれども、そういう面からの影響が出てきております。
  128. 北山愛郎

    ○北山委員 現在パチンコ関係の娯楽施設利用税の実績はどのくらいの実収入になっているか。それからパチンコとか、ああいう娯楽施設で使われる金というものは千五百億円くらいあるというふうに言われているわけですが、ああいう施設が今どういうふうな傾向にあるか。一時は非常にふえたわけなんですが、また減ったというような話も聞いておりますけれども、どういうふうな傾向にあるか。どんどん栄えて、そうしてああいう施設に流れる金が多くなり、またそこから出てくる利益が多くなれば、いわば不健全な産業の方に資本が蓄積されるというような結果にもなると思うのですが、全体の傾向としてはどういうふうな傾向ですか。
  129. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 娯楽施設利用税全体で十三億九千万円見込んでおるわけでございます。そのうちでパチンコに対します徴税見込額が八億九千五百万円という予定をいたしております。その課税見込み台数は四十九万七千台、先ほど六十万台と申しましたが、パチンコをスマート・ボール等に変えているところがあります。スマート・ボールが七万二千五百台。パチンコは一時百万台を越しておったわけでございます。それが連発式の禁止の関係から減って参りまして、スマート・ボール等の類似のものが若干ふえて参ったわけであります。どちらかと申しますと非常に凋落してきた。ところが最近また若干持ち直してきているのじゃないかと私たち見ているわけでございます。
  130. 大矢省三

    大矢委員長 それでは次に移ります。遊興飲食税……。
  131. 加賀田進

    ○加賀田委員 遊興飲食税の徴収方法が少し緩和されたというか、改正されておりますが、遊興飲食税の全部または一部を受け取ることができないというような場合に、三カ月間の猶予期間を設けてあるわけですが、公給領収証は料金を支払ったときに発行するのじゃないのですか。利用したときに発行するのですか。そうすると料金を支払ったときには税金も含まれて要求するのですから、発行したと同時にそれは特別納税義務者にすでに渡っているということになるのですか、どうなんですか。
  132. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 行為のありました際に、もしまだ料金をもらっていません場合には、公給領収証となるべき書類に金額を書き入れておく、こういうことになっているわけでございます。従いまして売掛であります場合には領収証が残っているわけでございまして、金額だけが書き込まれている、こういうことになるわけでございます。
  133. 加賀田進

    ○加賀田委員 そうすると、行為を行なった場合には、そういう帳簿に載せまして、あらためて遊興費を支払った場合には遊興者に対して公給領収証を渡すということで、三カ月間の期限を置くということ、これは多分個人的な問題よりも、会社を相手とした接待費とかいう問題が非常に多いと思うのですけれども、三カ月に限って猶予期間を置いたということは、三カ月を経過すれば遊興料を支払う、あるいは受け取りの有無いかんにかかわらず税金をとってしまうという形になって、これは業者負担という形になると思うのですが、その点はどうなんですか。
  134. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 三カ月以上たちまして、かりにまだ料金が支払われていない場合には、立てかえて税金だけを納めておくという問題が起ります。あるいはまた逆にそれは全然売掛になって、将来回収の見込みがないんだから免除するという問題も起って参ります。大体その辺でけりをつけるべきものではなかろうかと考えておるわけであります。
  135. 北山愛郎

    ○北山委員 さっきも私、大臣にお伺いしたのですけれども、公給領収証にかわるような任意の領収証にするというような案があったように私ども聞いておるのですが、任意の領収証にすれば領収証などを使う意味がないと考えるので、結局任意の領収証によってもよろしいということになれば、これは公給領収証制度を廃止したと実質上同じような結果になるのじゃないかと思うのですが、その間の技術的なことを一つお伺いしたいと思うのです。
  136. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 公給領収証制度は、それ自体は目的じゃなしに私たちは手段であると考えております。遊興飲食税負担というものを合理化したい、合理化するについては、合理化された後に遊興飲食税制がその通り実行されるようにならなければならぬじゃないか、その実行を裏づけるものとして公給領収証制度考えた、こう思うわけであります。その場合に、公給領収証制度というものは、消費者が受け取ってくれなければならぬ、受け取ったものがあいまいなものではなくて、正確なものが受け取られるということでなければならない、こういうふうに思っているわけであります。従いまして、同時に閣議決定ではありましたが、公給領収証によっていないものを法人等で損金経理をしている場合には、それを念査していくというふうな並行的な措置も考えておるわけでございます。公給領収証制度になりましてから今まで、料理屋に何万円プラスしてつけておいてもらいたい、こういうふうな形のものがずいぶん多かったけれども、公給領収証制度になってからそのことがかなり困難になった。業者としましても、売掛をふくらましますと所得税の問題にも関連してくるのでございますから、それは辞退する、全く任意のものならば従来と同じようにいくらかでも金額をふやせると思いますし、またその場合に、必ずしも所得税は売り上げ金額に持っていかない。それを発行しなかったと言えばそれまででございます。もちろん任意制の場合にも、任意制の仕組みがあろうかと思うのでありますけれども、そういう意味で私は公給領収証制が全く任意の領収証制になると、公給領収証制の眼目が失われたと同じではないかというふうに考えております。
  137. 北山愛郎

    ○北山委員 さっきお伺いした点は、公給領収証制度にかわるような別なもっと合理的な方法ということについては、まだ何も成案がない、こういうお話でありましたが、一体そういう方法が生み出せるかどうか。この制度よりももっとよい制度なら、それはそれに越したことはないと思う。しかしいろいろ工夫をしてこれは興野さんが中心になっていろいろやられたと思いますが、こういう制度考えられたその過程においては、いろいろ研究したと思うのですが、もし公給領収証というものを廃止した場合に、別な方法といえばどういう方法考えられるか、おそらくなかなかないじゃないか、遊興飲食税でも廃止すれば問題解決ですが、そうでもない限りは現在のように遊興あるいは飲食の利用者というものが負担するのだ、実際に納めるのは料理店等が納めるんだというような形を続ける限りは、これよりもよりよい方法がちょっとわれわれとしても考えがつかぬのですが、その検討の過程において、ほかに方法を発見し得る見通しがあるかないか。よくおわかりと思うのですが、その点を一つお話し願いたい。
  138. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 昨年、事務的に遊興飲食税の立て直しを検討しておりました際に、業界の方の御意見もずいぶん伺っておったわけでございますが、その間のいきさつを率直に申し上げてみたいと思います。  御承知のように、業者の立場から見ますと、遊興飲食税をお客さんからもらいにくいというよりも、お客さん自身が遊興飲食税の存在を知らない。何かもらいやすいようにする方法はないものだろうかということが一つあったわけでございます。それについては消費者の啓蒙ということになりましょうが、もし領収証に税額も記入するということになれば、それを通じて遊興飲食税の存在が十分認識されるようになり、飲み食いすればその額において必ず遊興飲食税負担するんだということが一般常識になってくるだろう、こういうふうなことが、領収証制度がいいんじゃないだろうかという結論になってきた動機でございます。この間に、業界の方で青色申告をしているんだから、青色申告をした場合には、売り上げ金額も明確になってくる、その売り上げ金額で遊興飲食税の額を決定するわけにはいかないものだろうか、こういう話もございました。これにつきましては、青色申告の制度そのものが恩典的に考えられている。青色申告を義務づけられているんじゃなくて、青色申告をすれば更正決定等の場合にも帳簿を調べた上でなければしないし、家事専従者控除、その他の恩典もある。従って青色申告で申請しておきながらまじめな経理をしていなければそれが取り消される、こういうことにもなるわけであります。ことに遊興飲食税になりますと、毎月々々納めてもらうのですが、法人税や所得税になりますと、一年たたなければわからないということになりまして、それはどうしても取れないのじゃなかろうかということから、結局領収証制度がいいのじゃないか。税負担合理化していく上から公給領収証制度、ことに現在の商慣習において領収証を出すことは当りまえではないでしょうか、こういうようなことを業界の方々からも裏づけられまして、結局事務的にはこういう案でいくのが一番いいんだろうと相談しながら結局ああいう案にまとめたわけでございます。その後いろいろ反対も聞かされるようになったりしまして、政府としては改正の提案を思いとどまったわけであります。今申し上げましたようにそういうような経緯もございますので、何が何でも公給領収証制度でなければならないというような考え方は私も持っておりません。しかしそれじゃ遊興飲食税の今の負担関係をこのままにしておいていいんだろうかどうか、こういう問題になってきますと、私はなお遊興飲食税負担関係を一歩合理化に突き進めなければならないんじゃないか、こういう問題もあると思います。そうしますとさらに一歩合理化した場合に、それを支えるものは何があるのだろうか、公給領収証制度以外に何があるんだろうか、こういう問題にもなるだろうと思います。要するに遊興飲食税の問題につきましては領収証制度の問題もございますし、税率の問題もありますし、課税方法の違いもありますし、そういう問題を全部ひっくるめまして——また他にいい方法があればけっこうでありますが、そういう全体の問題をひっくるめて十分検討しなければならないのじゃないだろうかというふうに思っておる次第であります。
  139. 北山愛郎

    ○北山委員 そうするとその方向というのは、まあ飲食については遊興と切り離して逐次免税点を上げるとか、飲食については課税しないというような方向べ近づけていく、こういう方向でありますか、それとも全然遊興飲食税というものを取り払ってしまって、たとえば一部で言われておりますように酒とかビールとか、一定の場所で消費される、そういうものを基準にしてかけるというような方向へ一躍行くのであるか、どちらがいいか、この問題をお聞きいたします。
  140. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 これは事務的に考えました考え方、それをさらに政治的にどう判断していくかという問題——あるいはまた政府案なら政府案を作ります場合には当然与党の意見も聞かなければならないというふうに思います。ただ税務部長個人としてどう考えておるのか、こう問われますといたしますならば、私はやはり税負担合理化に一歩前進させるべきではなかろうか、たとえば免税点の引き上げということも当然考えていいのじゃないだろうか、こういう気持を持っております。また同時に高級的な面を取り上げましても花代については三〇%課税する、その他の遊興的な行為については一五%課税する。これは今の芸妓の存在というものがどういう姿になっておるか、ただ芸妓という名前を押っつけさえすればそれが三割であって、従ってまた裏口営業的な面もずいぶん出てきておりますし、キャバレー、カフェー等との間の負担の不均衡も生じてきているのじゃないだろうか。そうすると花代だけ目のかたきにして三〇%という税を残しておく必要があるかどうか、こういうことは税負担の公平という見地から考え直す必要があるのじゃないかという気持も持っておるのでありまして、大衆的な面につきましても高級的な面につきましても税負担を一歩前進させるべきである、こういうふうな考え方を持っているわけでございます。
  141. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると大衆飲食店等で免税点を二百円から三百円にしてもらいたいという要求が最近あったわけでございますが、われわれもそのようにしたいと思います。ただ免税点はちょうど新年度から二百円に上ったばかりですからまだ実施もしないうちにさらに三百円にするというのもおかしいという考え方でありますけれども、大体われわれの考えと奥野氏の考えとは一致しているように思います。それからまた花代についても、まあ私もあまり花代のお世話になる、払う方の身分ではありませんが、しかし確かに奥野氏の言う通りだと私は思うのです。これはせんだってまで十割だった。十割が三割に下ったわけです。しかし芸者といえどもこれは労働者です。着物だけはきれいな着物を着ておるけれども、労働者というふうに私ども考えまして、この前の社会党の修正案におきましても芸妓の花代は十割から三割に下げるというような案を出したわけであります。ところで十割から三割に下げて、問題は芸妓の収入にどういうふうに響いておるか。これが別なところでその分が取られてしまったりして実際の芸妓の負担——芸妓の負担では実際はないわけなのですが、お客さんが払うわけなのですが、しかし実質上は芸妓の収入にやっぱり関連がある。これにどういう影響を及ぼしたかという点について、奥野さんは御研究がありましたならお示しを願いたい。
  142. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 従前の遊興飲食税はもちろん、花代につきまして十割という規定はあったわけでございますが、しかし現実には割当課税的に行われておったわけであります。従いましてまた芸妓がどれだけ働いて幾らの収入があり、その収入の幾らがどういう格好で配分されておるか、こういうことがよくわからなかったのであります。税が高いんだ、税が高いんだというので大まかに差っぴかれておったという向きがずいぶん多かったように聞いております。従いまして十月から公給領収証制度になりまして芸妓が自分の働きから、お客さんの払った金額が幾らであり、それが税に幾ら持っていかれるかというのが非常に明確になったわけであります。明確になりましたので、この際にかなりあちこちでいさかいがあったようでありますが、いさかいがあったということはその関係で、芸妓の手取りの関係が非常に明瞭になった、明朗化されてきた、こういうふうに思っておるわけでありまして、その機会に若干実質的な手取りが少くなったところも例外的にはあるかもしれませんが、全体としてはむしろはっきりして幾らかずつでもふえてきておるという傾向にあるように承知しております。
  143. 北山愛郎

    ○北山委員 最後に、遊興飲食税について、公給領収証についていろいろ業者の方々から意見をわれわれも聞いたのですが、大体において露店営業あるいは甘味喫茶とか大衆的な飲食店については昨年の改正以来喜んでおる、歓迎しておるわけです。ところが旅館の中に賛成する人もありましたが反対する人もあるというふうに聞いておるのですが、この公給領収証についての賛成反対の業者の分野いかん。特に旅館についてどういうものが反対をし、どういうものが賛成しておるか。キャバレー、カフェーあるいは高級料理店、これは大体において反対だろうと思うのですが、旅館について一つその分類をお伺いしたい。
  144. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 旅館にはいわゆる割烹料理といいましょうか、兼業的な旅館もございまして、そういうところでは芸妓の出入のあるところもございます。またそういう関係が一切ありません普通旅館もあるわけであります。私はあまり今度の問題につきまして、特に賛成的な意見とか反対的な意見とか多く伺ったわけではございませんので詳しいことは承知いたしません。ただ普通旅館の向きにおきましては公給領収証制度賛成である。どちらかといいますと領収証制度がなくなってしわ寄せが業態の非常にはっきりしている旅館に持ってこられちゃ困るのだ、こういうような意見を述べておられたわけであります。日本料理の関係の方々でありましても、もちろん積極的に公給領収証制度賛成だという意見を強く持っておられた方も相当あったようでございます。従いまして旅館の中で割烹旅館は反対だとか賛成だとか、こういう区分は私としてはいたしかねるわけでございまして、よく存じておりません。ただ普通旅館の方々は公給領収証制度賛成だ、こういう意見をお持ちになったということは申し上げられるのではないかというふうに思います。もとより、しかし何も領収証を義務づけられる、そのことを満足に思っておられるわけじゃないと私も思っておるわけであります。一方税負担をなお合理化してもらいたいとか、あるいは業界相互間の負担がなお一そう均等化するように持っていってもらいたいとか、そういうふうな注文があろうかと思いまして、その注文が達成されるためには、こういう制度もやむを得ない、こういう考え方ではなかろうかというふうに推測いたしておる次第でございます。
  145. 川村継義

    ○川村(継)委員 私一つ税務部長にお聞きしたいのですが、この遊興飲食税について考えられております三カ月の徴収猶予期間の規定であるとか、あるいは免除規定であるとか、これは現実としては当然考えなければならぬ問題だと思いますけれども、これが実際の場合には悪用されるというような懸念はありませんか。それがあったらどういうような防止法を講じなければならぬかという問題も出てくると思います。われわれは不平にして、こういうかいわいの実際問題を広く知りませんからわかりませんけれども、われわれの少い経験でも見聞でも、どうも公給領収証がうまく切られておらないということをよく聞くわけです。発行していない、あるいは実際はその店では領収証を切っておるかもしれぬけれども、切った内容がどうなっておるか、お客さんは全然そういうのは手にとっておらないというようなことをたくさん聞くわけです。これはそういうことはないと思うのでありますけれども、悪く想像すると、相当やはり脱税傾向を来しておるのではないか、そういうような不明朗な脱税等をある程度防止するためにこれを設定されたという一つのねらいがあるのに、実際はそういうおもしろからざる状態も出てきておる。それにこういうような緩和規定を作ると、これに便乗してかえってそれが悪用されるという方向に行くんじゃないかということがちょっと憂慮されるわけです。そういう懸念はないか、あるいはあったらどういうことを考えていかなければならないか、その点一つお聞きしておきたい。
  146. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 川村さんのお心配になるのはごもっともだと思うのでありまして、そういう意味でまた徴収猶予なりあるいは課税免除なりにつきましては、課税団体にゆだねる。要するに徴収猶予をすることができる、あるいは課税免除をすることができるという規定にいたした次第であります。さらに言いかえれば、公給領収証制度を忠実に履行しておる店については、売掛金は全部徴収猶予したらいいのではないか、貸し倒れのものは課税免除したらいいのではないか、そういう点については、全体が不明瞭でありますので、必ずしもその通りにいかないのではないかと思っておるわけでございます。
  147. 五島虎雄

    五島委員 大臣はさっきこの公給領収証の問題から地方税一般について抜本的——といっても、これは臨時国会からずっと言っておられるので、抜本的が口ぐせになっておると思うのです。ところがこの公給領収証の問題については、これまた抜本的に考えていかなければならぬというようなことを言われておる。奥野部長もやはり免税点の引き上げあるいは遊興飲食税というようなもの、大衆飲食というようなものについては、これを発展さしていく方が至当であろうというような意見を出されたわけです。この公給領収証の問題をめぐって、遊興飲食税の問題について公給領収証が発行されると、その後至るところに地方では、料理店、バー、その他のところは納税率は百分の十五だ、ところが旅館、飲食店になると百分の十ないし百分の五だということで、地方で料理店を開業して、そうして旅館、飲食店に変更しているというようなところがある。そうしてその内情は実質においては料理店と少しも変っていないという現象があるやに聞いておる。ところがさっき奥野部長は裏口営業だということをちょっと言われた。従って料理屋から税率の低い方向へ改業しているような例は、全国的にどのくらいあるか。十一月から公給領収証制度が実施されて、非常に徴税が円滑に行っているということで、これは自治庁意見が二十二国会で通過して公給領収証の実施になったわけですが、その後地方遊興飲食税の対象関係はずっと変動しているのではないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  148. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 遊興飲食税の税率が業態によって異なっているわけでございます。その結果実質的には料理店営業をやっているのだけれども、看板は旅館にしておった、こういうのがずいぶん多かったわけであります。従いまして業界の中でもまず料理飲食営業の業態整備をしてもらいたい、そうして実態に即して相当の税率が適用されるように運営してもらいたい、こういう意見がずいぶん強いわけでございます。それじゃ公給領収証制度をとるようになったから、そういう傾向がふえたのかどうかということになって参りますと、私はそれはないのではないか、こういうふうに思っているわけでございまして、また同時にこの制度が十一月から施行されたわけでありますが、その機会に警察当局とも話し合いをいたしまして、風俗営業取締法の規定の対象になる店を、つまり市町村自治体警察の関係から市町村間で区々になっておったのを、府県を通じて同じような基準で指定されるようにしようじゃないか、こういうふうな話し合いもいたしたわけでありまして、業界の希望しております業態整備という問題も、逐次進んでいるのではないかというふうに存じております。この点につきましては、将来とも努力していかなければならないのではないかとこう思うわけでありますが、それじゃ税負担がどう変ってきたのかという御意見になりますと、税率もそういうような意図で改正したわけでございますが、普通飲食の方はずっと減って参ってきております半面に、遊興的な部門の税額はずっとふえて参ってきております。しかし総額においては一割余り増収だというふうな結果を示して参ってきているわけでございます。
  149. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、今後許可だけを旅館にして、実質は料理屋と変らないというようなことについては、奥野さんたちはどういうような対策を持って臨んでいかれるか。
  150. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 大体風俗営業取締法の規定の適用を受けるような店におきまする行為につきましては、税率は高く定めているわけでございます。これは警察の方で許可を受けさしているわけでございますので、この部分につきましてはおのずからそれに相当する税率を税務当局でも適用していけばよろしいと思います。それ以外の部分につきましては、警察の取締りの範囲からはずれまして、保健所の衛生関係の取締りだけになっていくわけでございます。これにつきましては、それに相当する低い方の税率を適用していけばよろしいと思うのでございます。業態の整備が完全にできた暁には、これらのいずれの法律の適用を受けているかということで、適用税率を定めればよろしいと思います。しかしながら現状におきましてはなお十分ではございませんので、税率適用の場合には、現実に行われている業態の実態に即して、高い方の税率を適用するか低い方の税率を適用するか、税務当局の方からその業者の方に連絡をする、こういう方針にいたしているわけでございます。将来両方協力し合いながら、一致する方向に持っていかなければならない、かように考えております。
  151. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、風俗営業取締り関係の対象業者は非常に種々雑多だろうと思うのです。それで私としても、全国的に遊興飲食一本でこれを数種類に分けていくということは、非常に公平の原則を欠く業種別が多いと思うのです。それでこの問題については、良心的な業者の方でも段階をつけるというような意見も持っているようですが、自治庁の方でも、さっきからの言葉の内容、説明の内容からすると、今も自治庁太田長官の言われたように、昭和三十二年度において抜本的な改正を行うということですが、奥野さんの方でも、これを抜本的に、よく業者の実態を見て、段階的に整理、統合したいと思っておられるわけですか、それは実際公平に分けられる自信がありますか。
  152. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、業界の中で、それぞれの店の業態をはっきり実態に即して区分してもらいたい、こういう意見が強く出ております。もう一つは領収証制度の問題についても強く意見が出ておりました。いずれにしましても、遊興食飲税は業者の方々に徴収事務を代行していただくわけでございますので、十分満足して遊興飲食税運営に力を尽してもらうようにしていかなければならない、こういうふうな考え方を基本的には持っているわけでございます。従いまして、いずれの問題につきましても、総体的に十分研究を尽していきたいものというふうに思っております。ただ私、先ほど免税点の問題についてちょっと触れたわけでございますけれども、できるだけ課税対象になる店から零細なものははずして、ほんとうに負担してもらうことが国民常識からいって至当だ、こういうふうな店に限るように持っていくことが、遊興飲食税を設置した目的にかなうのではないか、こういうような考え方をいたしておるわけでございます。そういう意味で、財政状況が許すかどうかという問題と、もう一つ遊興飲食税の全体のあり方をすっきりさせるという両方から見まして、免税点引き上げの問題を考慮すべきじゃないか、かように考えているということを申し上げたわけでございます。風俗営業取締法の適用を受けている店でありましても、場末でおかみさんが娘さんを相手に零細な商売をやっている、そういうものにつきまして、どこまで奢侈性あるいは遊興性があるかというような問題もあるわけでございますので、かりに風俗営業取締法の適用を受けている店でありましても、カウンターから外へ出てサービスするわけでもないような店は、奢侈遊興のために金を使う店とはしない。こういう方針で税務当局に対しましては指導いたしてきているわけでございます。
  153. 五島虎雄

    五島委員 大衆飲食に関する免税点の引き上げ、すなわち拡大等々については努力しなければならないという抱負はわかったわけです。ところが現在においては、非常に物価も高くなったり、物価の指数も非常に高率になったりというような問題から、遊興と飲食という問題を切り離して、大衆に直接関係あるような飲食に対して一歩進んで税を全免する考えはないかということを、はっきりここで聞いておきたいと思います。
  154. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 私は、遊興飲食税はやはり消費税であって、そこに遊興的な部面については重課する、こういう考え方のものと考えています。この考え方はやはり将来とも続けていくべきものじゃないだろうか、遊興飲食税を残しておきます限りにおきましては、やはり消費税が原則であって、遊興部面については重課する、こういうやり方をすべきであって、遊興部面とそうでない部面を完全に分離することは、実際の業態から見て不可能に近い。また遊興税を課税すべきであって、普通飲食であればいかに高額なものであっても課税対象にしてはいけないのだという理屈も成り立たない。やはり消費税だから、普通以上の飲食をしてその金額を支払えるような人たちには、そのつどある程度の税負担をしてもらってしかるべきじゃないかというふうに考えております。
  155. 五島虎雄

    五島委員 奥野さんに対する質問と答弁の中から、まあ将来の課題にしておきたいと思うのですが、大衆の生活に直接影響あるもの、それからその中の遊興という意味を加味するものの限界というのは、ここではっきりつけられないと思うのです。従って大衆の生活に関連する遊興飲食、その中の飲食の問題については、遊興を伴うものであるか、伴わないものであるかという限界を今後よく検討してもらって、さっきの質問の内容の通りに今後自治庁として努力してもらいたい、こういうように言いまして質問を終ります。
  156. 加賀田進

    ○加賀田委員 今奥野さんの答弁の中で、いわゆる風俗営業取締法が適用されていても、カウンターを出ないで女子のサービスのないところは、できるだけ一般の料理店あるいは貸座敷、バー等の千分の十五からはずしたい、そういう指導をしているというのですが、事実そういう例があるのでしょうか。実際各府県でその点が大きな問題になっていると思うのです。従来風俗営業取締法の適用されなかったところでは、警察官はそうしたなわのれんの大衆飲食店に行って、風俗営業取締法が適用されなくては、営業時間が大体十一時に制限されてしまうから、どうしてもそういう範囲に入ってもらいたいということでいろいろ勧誘いたしておりますし、もしそのことが拒否されると、営業時間が十一時に制限されて、実際には営業できない。しかしそのために風俗営業取締法が適用されると、今申し上げた百分の十五という税率が適用されるから困る、こういう二つの矛盾の中にあって、非常に零細ないわゆるなわのれんの大衆飲食店は困っているという状態がここに起っているわけなんですが、この前提は各府県が条例できめることになっておりますから、条例では風俗営業取締関係の飲食をやっているところは大体百分の十五が適用されることになっておりますし、法の範囲ではどうもそのことが困難だということが各府県で叫ばれておるのですが、この点はどうでしょうか、うまくいっているでしょうか。
  157. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 市町村警察でありました時代におきます風俗営業取締法の適用範囲は、市町村間において非常に区々であったようであります。積極的に適用を受けさせないような方針をとった市町村もございますし、御指摘のように何でもかんでも適用を受けさせるように持っていったところもございます。たとえば東京都の警視庁管内で申し上げますと、銀座のレストランが軒並み適用を受けておった、こういう事例もございます。それが公給領収証制度を実施した機会に適用からはずれていった、こういう事例もございます。また現実に宮崎県で、小さい店で特に婦人がサービスしているというのでもないのだが、風俗営業取締法の適用を受けさせることにした。しかし税務行政上は、実態から見て、そこまでの遊興性はその店について認められない。従っていろいろいざこざもあったようでありますが、高い税率を適用することをやめた、こういう問題もあるわけでございます。その辺のところでなお業態整備を一歩進めなければならないのじゃないかというふうに私たちも考えておるわけでございます。ただ警察当局が昨年の十一月前後に通達を出します際に、先ほどカウンターから出ないような店については低い税率を賦課していきたい、こう私は考えたわけでありますが、その部分も風俗営業取締りの適用の中に入る通達になったことがございます。従いまして、その点は食い違いがなお残っておるわけでございます。なお旅館か、名目は旅館であるが料理店営業であるか、ここに今日一番大きな眼目があるわけでありまして、旅館営業と風俗営業取締法との関係をどうするか、こういう問題でございます。これらにつきましてもなお努力をしていかなければならないというふうに思っております。
  158. 加賀田進

    ○加賀田委員 旅館の問題が出ましたが、もぐり旅館といいますか、低い税率の対象になっていながらも、やはり十一時過ぎまでも——これは家の中ですから、外部から見えませんから、うまく営業できると思うのですが、小さな、親子二人くらいでそうした飲食店をやっているところは外からすぐ見えるわけですが、風俗営業取締りの店でないと、十一時になったら警察の方ではやかましく営業してはならないということになる。しかし十一時で店をしまってしまうと、ほんとうに商売にならぬ。そうするといやおうなしにこの適用を受けなければならぬ、適用を受けると高い税率の方に回らなければならぬという矛盾が各個に起っておりますから、今後ともこういう問題に対しては、強く地方公共団体の方にそういう矛盾のないように御配慮願いたいと思います。
  159. 門司亮

    門司委員 大臣に聞こうと思っておったのですが、大臣がお帰りになりましたので、奥野君にお伺いいたしたいと思います。きのう軽油の問題をお話ししたときに、五大都市は知事から分けてもらうことになるのだが、この方式は今の揮発油譲与税というようなわけにはなかなかうまくいかないのではないか、知事が認定することになっておるので、従って何か知事に対して、たとえばこういうことがありはしないかという懸念がある。この問題の経緯から考えて、実際の税金はこれよりよけいとれるだろうということは、実際上考えられる。そうすると、よけいとられるであろうと考えられるところは使用料が多いであろうということ、使用料が多いということは大体大きな都市であるということがいえる。従って大府県にこの税金は相当に出てくると思うのですが、その場合にもう少しはっきりした規定を設けておかないと、知事が裁定をして分配をするということになると、その間に何か数字上の間違いでもあったら困ると思うのですが、その点何かチェックする場所がありますか。
  160. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 五大府県と五大市との関係につきましては、道路面積で按分するようにいたしております。その道路面積は地方交付税の基準財政需要額を計算します場合にも使っておるわけですから、それに合せることによって、結果的には自治庁の方で数字はにらんでおるわけでありますから、両方の間でいざこざが起ることはない、かように考えておる次第であります。府県が勝手にきめるわけではございませんで、その計算の仕方は法律なり命令なりで、はっきり規定をいたすというふうに思っております。  なおきのうの御質問でちょっと補足をいたしておきたいと思うのですが、一つは道路整備の費用の問題であります。五カ年計画で二千六百万円ということを申しました。さらに建設省では長期道路整備の計画事業費を算定しておるようでございまして、その数字によりますと、一兆七千八百八十億円、従いまして現在遂行されております道路整備五カ年計画は、建設省の現在の事務当局案からいえば、七分の一くらいの数字になるわけであります。これは建設省の事務当局だけの数字でございます。  それからもう一つ、車両の制限の問題でございますが、道路法の第四十七条で、「道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両についての制限に関する基準は、政令で定める。」ということになっております。この政令を建設省が昨年作ろうとしたわけでありまして運輸省との間でいろいろと問題があったわけでございます。結果、どうもお話し合いがつかずに政令を出す段階に至らなかったようでございます。
  161. 門司亮

    門司委員 私が聞いておるのはそうではなくて、はっきりいえば、たとえばかりにさっき言ったような経緯があって、税金がよけいとれるのだという見通しになれば、その税金の全額を基礎にして割り当てればよいが、その間に知事の査定なんだから、知事がごまかすということがあり得る、可能性があると思う。県だって赤字なんだからそうむやみに出せないという可能性が出てくるのではないか、そういう場合にそうさせないという何かはっきりしたものがあるかどうかということです。
  162. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 税目別の金額を地方団体がかりにごまかせばわからなくなるじゃないか、こういう問題になるのではないかと思いますが、やはり決算書を作ります場合にも、税目ごとの金額が計上されて参るわけでございますし、またそれらの問題が、普通税でありますと、基準財政収入額に算定されるということにもなって参るわけでありますので、自治庁の方でも、おのずからよく見ていかなければならないというふうになるわけでございます。法律に明確な規定を置いておるわけでございますので、地方公共団体が法律の規定をもぐってやるということは想像したくないという感じを持っておるわけでありまして、万一にもそういうような事態が起った場合には、それに応じた処置は当然考えるべきであろうと思います。現在はそういう事態を想像したくない、地方公共団体は、法律に書いたことは着実に守ってくれるものというように期待しておるわけであります。
  163. 門司亮

    門司委員 もう一つお聞きしておきたいと思いますのは、問題は主要市道の問題であります。主要市道の問題は、奥野君は県道に持っていけばよいのだということですが、こんなことをやってはとんでもない。自治庁がそんなことを言うのはよけいなことだ。私はけしからぬと思っておる。地方自治体の道路をめんどくさがって、修理がめんどうなら県道に持っていけばよいというものの見方は、非常に誤まりだと思う。と同時に、これはとんでもないことである。主要市道というものは、ある場合においては県道よりももっと重要な仕事をしておる。御承知のように県道というものは、一つ自治体自治体との間をつなぐ、連絡する一つの大きな道路であることは間違いない。ところが主要市道というのはそうではない。市内の交通情勢に応じてつけておる。たとえば、横浜にしても神戸にしても同じだと思うのですが、工場地帯に行ってごらんなさい。ほとんど県道なんかありゃしない。あの大きな道は大てい市道になっておる。これは県が考えなくても市が勝手にやらなければならない仕事である。従ってこの主要市道と県道との比較を市別に調べてごらんなさい。主要市道の数はかなり大きな数字になると思う。従って県道しか出さぬということになって、主要市道の問題がないということになると、五大市その他については、せっかく道路のこういう法律ができても、割合に手入れをしないものができ上りはしないかというふうに考えられる。だから、かりに配分の方法にしても、今の揮発油税の形で国が出すというなら、この主要市道を入れなくても、今のようなことは当然できると思うのです。これを県がとって、県が配分するということになると、主要市道ということは全然考えられなくなると思う。その辺を一体自治庁はどういう形でやるつもりなのか、もう少しはっきりしておいてもらわないと、せっかく五大市にやると書いても、事実上はその割合が少いのではないかと思うのですが、もう一度聞いておきたい。
  164. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 形式的には市道を県道に直せばおのずから五大市にいくという意味を申し上げたのでありまして、別に慫慂しておるわけではありません。もう一つ申し上げましたのは、補正係数の定め方によって、五大市によけい配分できるであろうということを申し上げたわけでありまして、もし主要市道をはずしても、本来五大市に譲与してしかるべきものまでも譲与されないというふうなことになります場合には、なお補正係数をさらに高めるような研究は、当然いたして参りたいというふうに思います。
  165. 永田亮一

    ○永田委員 さっき加賀田先生が御質問になった三カ月徴収猶予のあれは、三カ月たってもどうしても金が入らないという場合が起きたときにはどういう処置をとるか。業者が何か証明を持ってくるのですか。どうしても入らないということを届け出る方法というのはどういうことをやるのかお聞きしたい。
  166. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 公給領収証制度のもとにおいては、売掛になっております部分につきましても、公給領収証となるべきものに金額を書き入れておくことになっております。現実に支払いが行われました場合にはこれを渡してしまうわけであります。従いまして公給領収証制度を忠実に履行しております限りにおいては、売掛になっておるものがその公給領収証となるべきものに記載されております金額を通じまして明確にわかっておるはずでありますので、これを基礎にして徴収猶予なりあるいは納税の免除なりの処分をすればよろしい、かように考えております。
  167. 永田亮一

    ○永田委員 私の伺ったのは、そういうふうに徴収猶予をしたときに、三カ月たっても四カ月たっても、金をもらいに行っても払ってくれないという場合に、払ってくれないのだからこれは免除してくれということを、どういう方法で証明したらいいかということなのであります。
  168. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 所得計算の場合におきましても発生地主義をとっております関係上、債権も収益に入れているわけであります。その場合に不良債権だからということでそれを収益から落してしまう、損金に立てる、そういう範囲をたとえば破産とかいうようなむずかしい範囲にすれば限定されるわけでありますけれども、不良債権の範囲をだんだん広げて参っております。こういうものは当然回収不能の範囲に入れてよろしいわけでありますけれども、そういうようなものに準じて不良債権といいましょうかの範囲をきめていくということになるのじゃなかろうかというふうに思います。業者自身も売掛から落していくという問題もあろうかと思うのであります。やはり個々に判断をせざるを得ないのじゃないだろうかというふうに思っております。
  169. 永田亮一

    ○永田委員 その破産をしたというようなはっきりしたものは、何か破産をしたという証拠になるものを持っていけばいいかと思うのですが、破産も何もしていないで、ずっとやっておる会社なんかで、どうしても金を払ってくれないというようなときに、三カ月の期間が来ちゃったというようなときでも、やはり立てかえて払わなければいけないのですか。
  170. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 三カ月たてば必ず全部免除してしまうという趣旨じゃございませんで、さしあたり三カ月間だけは徴収猶予をする。三カ月たってもなお売掛になっておる場合には立てかえて納めてもらう。しかし料金を受け取った場合にすぐ納めるわけではありませんで、御承知のように遊興飲食税は一カ月売掛になったものを翌月の十五日なら十五日に納めてもらう。その間に一カ月内外の猶予期間がありますので、その場合に繰り込むということも起り得るのじゃないだろうかというふうには思うわけでございます。結局個々の実情に即して取扱わざるを得ないのであって、三カ月なり四カ月でいいのか、五カ月でいいのかあるいは半年でいいのかというのは問題があるかと思いますが、売掛になる期間が非常に長くなった場合には、不良債権として貸し倒れ金がどうかという判断になるのじゃなかろうかというふうに思っております。
  171. 永田亮一

    ○永田委員 そうするとその判断は各府県で条例か何かできめてやるわけですか。
  172. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 条例できめるとか規則できめるとか、個々の問題について裁量していくとかいうようないろいろのやり方があるかと思うのでありますが、法律では別にそれは強制はいたしておりません。
  173. 永田亮一

    ○永田委員 そういういろいろなトラブルがもうあったと思うのです。十一月に領収証を発行してから五カ月たっておるわけです。十一月の初めごろにそういう貸し倒れみたいなものがあって、いつまでたっても金を払ってくれない。そうすると業者の方がそれを負担して、結局その金額は損をするというような問題が起きて、ここにトラブルが起きておる問題があるのじゃないかと思うのですがどうですか。
  174. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 十一月から領収証制度が施行されるに当りまして、私どもは売掛になっておるものはできる限り徴収猶予をしていきなさい、こういうようなことを県当局に申しておったわけでありますけれども、県当局もこの制度改正に応じた頭の切りかえがなかなかできませんので、私どもの指導を非常に渋っておったわけであります。しかし領収証制度を実際に運営して参りましてからだんだんとそういうことがよくわかって参ってきておるようであります。領収証制度を忠実に施行している限りは、売掛は原則として徴収猶予すべしという気持になってきておるようであります。しかしその点をさらにはっきりしたものにしておく必要があると考えまして、あえて今度の立法をいたしたわけであります。現在すでに売掛の問題をめぐりましていろいろと摩擦を起しておるという話は聞いておりません。出発に当りましては大体徴収猶予すること自体に府県当局が難色を示したのでありますが、最近になって非常にわかってきてくれまして、さらにこの法律が施行になりますれば制度的にも府県に対して強制されるということになって、業界との関係は円滑を期し得るのではないか、かように考えます。
  175. 永田亮一

    ○永田委員 これからずっと領収証制度を行なっていった場合に、私はやはり売掛の問題で業者と府県当局との摩擦が非常に起きてきやしないかということを心配しておるわけであります。これはどうなんですか、現金が入ったときに領収証を発行するという方法をとった場合にいろいろ不都合がありますかどうか。
  176. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 売掛になったものも売掛分を明確にしておいていただかなければならぬのではないか、現金が入ったときだけその現金が入った部分を明らかにする、それだけでは売り上げの一部しか明らかになっていないのじゃないかというふうに思うわけです。やはり売り上げが全面的に明らかに記載されていく、そういたしますと現金を受け取った部分だけじゃなしに、売掛になっておる部分も明確に記帳していただくという必要も起ってくる、かように思います。
  177. 永田亮一

    ○永田委員 その問題はその程度にして、さっき風俗営業の問題が質問されておったようでありますが、たとえば親子でやっておるとかおかみさんがやっておるとかいうようなおでん屋のようなところで、娘さんが一緒に手伝いしておって出てきてお酌をした、そういうようなこともやつぱり風俗営業に入るのですか。
  178. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 風俗営業取締法の規定では婦女の接待を伴うというのですか、そういう広い言葉を使っておるわけでありますが、そういう意味で警察の方でかなり広い範囲まで入れようと思えば入れられる、現実に入れようとしておるのではないかと思っておるわけであります。その場合でも高い税率を使わないように持っていきたい、こういう考え方で実はいるわけであります。またそういう意味の指導もしておるわけであります。
  179. 大矢省三

    大矢委員長 それでは次に自動車税に移ります。
  180. 川村継義

    ○川村(継)委員 私は税収面についてちょっとお尋ねしたい。軽油取引税が創設されることになっておりますが、軽油引取税の税収見込みは二十四億五千四百万円でしたか。
  181. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 そうです。
  182. 川村継義

    ○川村(継)委員 自動車税として自治庁からもらった資料によりますと、八十九億三千三百万だけ三十一年度の税収見込み額としてあるようですが、その確認は間違いありませんか。
  183. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 自動車税の収入見込額は八十六億三千六百万円であります。
  184. 川村継義

    ○川村(継)委員 八十六億三千六百万円ですか。そうすると、この資料に書いてあります八十九億三千三百万円というのは、誤差はどこから出てくるのですか。
  185. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 軽油引取税の税率を引き下げる結果、それだけの減収になるわけでございます。
  186. 川村継義

    ○川村(継)委員 それでは八十九億三千三百万円というのは、現行法でいった場合ですね。自動車税の軽油関係のものを引き下げるから、改正すると八十六億三千六百万円ということになるわけですね。この軽油引取税については、今まで各委員からも相当論議されてきたわけですが、いろいろ問題が大きいようであります。なお地方税関係の小委員会の結論としてお聞きしたところによると、一応附帯決議というような形で、この軽油引取税についての意見が述べられておったと思うのですが、自動車税の関係で軽油自動車の税率は引き下がる。軽油引取税が、もしも附帯決議等が通った場合は、政府としてもそれに従って善処される結果が出てきて、これがなくなる、あるいは六千円のやつが三千円なら三千円になるということになりますと、相当税収面に大きな影響が出てくると思うのですが、この辺の金額の上からの関係は、どういう結果が予想されますか。
  187. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 軽油引取税の基礎になります軽油の消費量につきましては、いろいろと御論議があったわけでございます。しかし政府としては、その基礎には間違いがないと今日でも確信をいたしておるわけでございます。なおこの軽油引取税は、御承知のように、全額道路に関する費用に充てなければならない目的税でございますので、道路整備の要費の問題も同時に考えていかなければならないだろうというふうに思うわけでございますが、現在のところは、消費量が非常にふえた結果、税率を大幅に引き下げられるという事態は予想されないんじゃないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  188. 川村継義

    ○川村(継)委員 私が今聞きましたのは、軽油自動車の税率を揮発油自動車関係まで下げますね。一方では軽油引取税というものが作られるから、結局揮発油関係の自動車並みに税率を引き下げたということになるでしょう。そうなると、軽油引取税がもしも全廃された場合には、税収面あるいはその他に相当大きな影響が出てくるんじゃないか、それは将来どういうふうにお考えなさるのであるかという意味のことなんです。
  189. 大矢省三

    大矢委員長 おわかりですか。それは軽油引取税がもし減額になったり廃止された場合には、その揮発油の方と同額は下がるものとして、自動車税が下った場合に、税金が非常に少くなるのじゃないか、それに対する対策があるか、こういうのです。
  190. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 軽油引取税昭和三十一年度の見込額は、六月以後の売り上げの分について見込んでおるわけでございますが、平年度としては四十億円に近い収入を期待しております。これに対しまして軽油自動車の税率引き下げの結果起ります減収は、三億内外でございますから、一割にも達しないわけでございます。従いまして軽油自動車税の税率をどうこうするという問題は、地方税収入全体の上には大したことはない。しかしながら軽油引取税の存廃問題になりますと、大きな減収を生じて参るわけでございまして、そういう場合のことは、現在のところ全然考えていないわけでございまして、それは非常に大きな問題になると思います。
  191. 川村継義

    ○川村(継)委員 いま一つ、この軽油引取税の問題について、さっきも申しましたように、小委員会の結論というものがもしも通ったとした場合には、附帯決議という形で出てくる。これが全部廃止になるか、あるいは半額になるかわかりませんけれども、何かの形で出てくる。そうした場合に、かりに軽油引取税が全部なくなったというような場合には、本提案はそういう創設に伴って軽油自動車の税率を下げておりますから、軽油引取税がなくなっても、もう一ぺん軽油自動車の税率を引き上げるということはないわけですね。
  192. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 どうも仮定を置いた御質問でありまして、お答えしにくいのでありますが、軽油引取税はぜひ存続さしていかなければならない、これとの関係において軽油自動車の税率を特別扱いをすることは不適当だということで、やめるわけでございます。ただ軽油引取税がない場合に、自動車税において差をつけるのがいいのか悪いのか、これにもいろいろ議論のある問題でございますので、直ちにこれを復活するという議論になるかどうかは多少問題があるように思います。
  193. 五島虎雄

    五島委員 自動車税を論ずるに当って、やつぱり軽油引取税のことと関連せずには質問ができないわけです。それでこれまでもこの問題については、小委員会でも、あるいは運輸、建設との合同審査会においても、いろいろ問題が出たわけです。ところが軽油引取税が創設されたら、各営業にとって、総支出に占むる割合の五%程度が軽油税に該当するであろうと、従来説明されておったわけですね、そうじゃなかったですか。
  194. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 軽油引取税が自動車業のコストの上にどう響くかという問題につきましては、いろいろな仮定のもとに計算されるわけでございまして、たしか運輸省としては、四%内外という説明をしてきたように私記憶しておりますが、軽油を使う自動車は、トラックでありますとか、バスでありますとかいうふうなことで、いろいろ違ってくるわけでございますが、私たちの方では大体今三%内外というふうな計数をはじき出しております。
  195. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、その場合四%、これは運輸省の説明をとられております。ところが四%でも、奥野さんが説明されたのは、大体コストに占むる割合は五%に該当するであろうと説明されたことを記憶する。どちらでもいいのですけれども、四%ないし五%がコストに食い込んでいく。そうすると貨客の運賃に対するところの影響はどうなるであろうか、というような質問を同僚議員からされたとき、これは企業能率、企業能力においてこれを処理してもらいたいんだというような政府説明であったわけです。果して全自動車業界において、企業能力でこの数パーセントの問題をカバーすることができるだろうかというようなことを、自治庁はどう考えておられますか。
  196. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 自動車業界がそう安易な経理をやっておられると考えているわけじゃございません。またこれらのコストの増加を企業努力で吸収することも、そう簡単なものだとも思っておりません。ただしかしながら現状におきまして揮発油を使っておる車両と軽油を使っておる車両とがあるわけでありまして、むしろ揮発油を使っておる車両が大部分ではなかろうか。揮発油を使っておる車両は、揮発油税と道路税と合せて一キロリットルについて一万三千円負担をしておる。軽油を使う車は今回軽油引取税負担することになるが、税率を半分以下に押えている。一キロリットル六千円にしておるのだから、これは何とか企業の合理化によって吸収してもらえないか、こういう期待を持っておる、こう申し上げてきておるわけであります。
  197. 五島虎雄

    五島委員 企業能力ということは、従来政府は労働問題等々についても言うし、中央労働委員でもよく企業能力という言葉が飛び出すわけです。ところが企業能力といっても、再三同僚委員が言われたように、自動車業界においては今まで軽油の自動車を育成してきた関係から、またこれから発展させていかなければならぬ面から、あるいは自動車事業経営そのものが、自動車業界を見ると非常に逼迫しているということは事実で、かつて永田委員からの質問において、私鉄の収益課税を所得課税にというような質問の際でも、自動車業界は非常に規模が小さいのだ、私鉄は規模が大きいのだという説明をされておったことがある、ところがそういうように規模の小さい、現実には自動車の労働者は賃金だってそう高くはない、それが今度は税金が五%もコストの中に食い込むということになりますと、企業能力においてこれを解決するということは、営業自体に非常に困難性を付加することになるんじゃないかと思うわけです。そういうような面から、将来は何とか、次の国会あたりでは使用量を見越して減額するように自民党の部会ではこれが決定したように思うわけです。その点について、こういうように数パーセントがこれに付加される企業を一体どう考えておられるかというようなことについて、再三今まで説明はあったわけですけれども、各項目にわたるところの最後の質問の機会だと思いますが、この点についてどういうように今後のことについて考えておられるかということをはっきりここで聞いておきたいと思うのです。
  198. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 トラックやバスの運賃をどうするかというふうな問題、これはまた別個の問題としてあろうかと思うのでございます。ただ今度の税負担の関係はトラック、バス全体に影響が及んできたのではなくて、軽油を使っている自動車についてだけ影響が及んできたのではないだろうか、こう考えるわけでございます。そういう場合に、トラックやバスの占める軽油自動車の割合は非常に低いのだ。従いましてほかの揮発油自動車が現行の料金体制でやっていけるとするならば、軽油自動車の方でも何とかやっていけるのではないか、こういう期待を持てるのではないでしょうか、かように申し上げておるわけであります。  なお軽油引取税の問題につきましては、課税除外の範囲の問題と、もう一つは税率の問題と、これが国会における大きな論議になっていると思います。税率の問題につきましてはなお消費状況の推移を見て将来考えろ、こういう御意見もありました。こういう点につきましては十分尊重して、将来検討していかなければならないだろう、こういうふうに思っております。
  199. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、運賃の面とは別個の問題だと言われますが、われわれは大衆にこれが付加されるということが重大な問題だと思っているわけです。ところが三公社の納付金の問題については、国鉄の運賃は上げない、あるいは専売公社の料金は、非常にもうかっておるから、まあ一部の負担くらいはさほど困難ではない、結局値を上げない。それが政府考え方であり、説明であれば、近ごろ新聞にどんどん大きく書き立てられている家賃に影響することもなかろうじゃないか。ところがこの自動車の減税をめぐって、軽油引取税の六千円の創設というようなことについては企業能力でと言われる。企業能力でと言いながら、運賃の問題は別個の問題と言われる。しかし四、五%程度コストに影響するならば、必ず将来は運賃の改訂ということになってくる。もちろん運輸省の自動車関係の方のここに来ての陳述の中には、従来自動車運賃は改訂していないんだから、従って改訂して合理化しなければならないだろうというようなことも言われたことを記憶するわけです。そうすると軽油自動車は、このしわ寄せを運賃の改訂に持ってこなければ、企業能力を解決することはできない、こういうように考えているわけです。そうすると、鳩山さん、太田自治庁長官がおられぬから言ってもしょうがないが、鳩山さんは減税だ、太田さんは抜本的な公平だとか、非常にいい言葉を使われておるわけですが、現実の問題は、どんどん増税になってしまう、こういうようなことはどうかと思われるわけです。そうすると三公社の問題と、そうして鳩山政府考え方は、増税ではない、増税したくないと言われるわけですけれども、運賃には関係はないんですか、これはやはり別個の問題として取り扱いたいという説明をされるわけですか。
  200. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 運賃の問題について私の表現の仕方がまずかったようであります。運賃のことは考えなくともよろしいという意味で申し上げたのではございませんで、トラック、バスを通じて、その中で軽油引取税は軽油を使っておる自動車だけに関係があるんだ、その分量というものは、全トラック、バスから考えた場合には、わずかなものだ、だから軽油自動車については問題は起るけれども、トラック、バスの中の少くとも揮発油を使っておる車については問題は起らないじゃないか、従って大部分のトラック、バスについては問題は起らないじゃないか、こういう意味で申し上げたわけです。  それと、現政府が増税をしない、物価を上げない、こういう政策がとられている。もちろん、私たちは一般増税は避けるべきだ、こう考えるわけでありまして、不均衡になっておる部分がある、あるいはあるものについては課税されない列外が設けられている、そういう例外をなくして、負担の均衡をはかる、従って例外の部分だけをとりますと、増税になっておるかもしれません。それはやむを得ないのではないか。軽油引取税の問題もそういう角度から取り上げられたものであるというふうに、私たち了解をしているわけであります。  ただ運賃の問題につきましては、たびたび申し上げるような意味で、この軽油引取税から直ちに運賃を引き上げるということは避けてもらいたい。また揮発油との関係において、一応そういう期待をしても悪いというわけはないのじゃないだろうかというふうに思っております。
  201. 大矢省三

    大矢委員長 軽油の問題が出ましたからちょっと尋ねますが、これは太田大臣に尋ねるのが適当かもしれぬが、船舶、それから国鉄の使うところの軽油に対しては非課税になっている。こういうような大企業は、輸送交通の重要な国策の上から非課税にしたのだと思うが、ただひとりバス事業、それからトラック、こういうような輸送交通に重要な関係のある弱小な、しかも非常に経営の困難な業者だけにこれをかけておるということは、われわれどうしても納得できない。政府は輸送あるいは交通に関係のあるこれらも同一に扱うべきだ。それなのに、なぜ大きな船舶あるいは国鉄の関係だけはこれを免税にして、トラックあるいはバス事業だけにこれをかけるか。これが今問題になっておる。すべての税金が非常に高いという不平もあるけれども、あれが免税されておるのになぜおれたちだけ負担させるかというところに、私な大きな不平があると思う。国策として当然国が保護し援助しなければならぬこういう事業に対して、しかも民間だけにこれをかけたというところに私は問題があると思う。これはむしろ太田国務大臣に聞くのが当然かもしれないが、幸い早川さんが来ておられますから、一つ……。
  202. 早川崇

    ○早川政府委員 国鉄あるいは船舶、漁船その他が非課税だという意味は、バス、トラックは御承知のように受益者負担の理念を生かしまして、道路にこれを使うわけでございますから、特にトラックあるいはディーゼル・バスに軽油引取税を課した次第でございます。
  203. 加賀田進

    ○加賀田委員 この地方税法の百四十六条で非課税の範囲をきめてあるわけですが、これに関連してちょっとお尋ねいたしたいのです。駐留軍の使っている自動車はやっぱり非課税になっておりますが、これはどこで非課税として規定せられておるのでしょうか。
  204. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律というものが昭和二十七年に成立しております。これに基きまして、合衆国軍隊の所有しております自動車に対しましては自動車税を課さないことにいたしております。
  205. 加賀田進

    ○加賀田委員 そうすると、合衆国の一般人の使用しておる自動車には自動車税はかけているわけですか。
  206. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 軍隊でないものにつきましては課税されます。
  207. 大矢省三

    大矢委員長 ほかに質問はありませんか。——それでは次に市町村民税の項目に移ります。
  208. 北山愛郎

    ○北山委員 この市町村民税などほんとうは大臣のいるところでお伺いしたいことなんです。というのは、大臣は、先ほども公平、公平というようなことを言ったのですが、最も不公平にして問題のあるのが市町村民税なんです。これこそもう数年前から、この委員会ばかりでなくて、勤労者なり一般の評判が非常によくないので、何とか早く直したい、こういうふうな懸案事項なんです。ところが公平主義を唱えておる今の政府がこの市町村民税については手を触れない。特に個々の事業家あるいは農民あるいは勤労者間における不公平もありますけれども、例の徴収方式の第一方式以下五つの方式によって団体ごとに非常な差等があるということはこの前も申し上げたのですが、東京といなかとで方式の違いによって住民税が二倍半も違うというようなことは、公平の原則から言えばやはり許せないじゃないか、これこそ公平主義に基いて手を触れなければならぬ最初の問題じゃないか、こう思うのですが、なぜこういうことをほったらかしにしておくのか、これを承わりたい。
  209. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 負担の公平という問題を市町村内に限局して考えました場合には、国を通じた所得税の場合とどちらがよいか、いろいろ問題があるだろうと思うのであります。所得税に比例した市町村民税の所得割がよいのか、むしろ所得税の課税政策から起ってくる問題をいろいろ除去して、市町村内全体の公平を考えて所得割を課した場合の方がうまくいくのかいろいろ問題はあるだろうと思います。市町村民税の問題はいろいろあるのでありますが、同時に、所得税に問題が多いではないか、こういうふうな感じがしているのであります。ことに給与所得者の負担が重い、そこから給与所得者につきまして勤労控除を引き上げる政策がとられて参っております。同時に、また市町村民税につきましても、第二方式、第三方式のただし書きの場合には、給与額の五%をさらに課税総所得金額から控除するというような政策もとられてきて参っているのでありまして、これらの問題を総合的に考えていかざるを得ないじゃないか、こう思っているのであります。もう一つは、制度上の問題と事業所得を的確に把握するという税務行政上の問題もあると思うのであります。給与所得者についてはずっと以前から的確に把握されております。しかし、インフレ時代を過ぎまして、事業所得者の所得については必ずしも全体を通じ的確な把握が行われていない。漸次それが向上して参ってきておるのでありまして、こういう問題の適正化とも並行しなければいかぬじゃないか、こう思います。市町村民税についてはいろいろ北山さんからおしかりを受けているのでありますが、これはもとより検討していかなければならぬのでありますが、相互的な問題がある点は御了解をぜひいただきたいと思います。
  210. 北山愛郎

    ○北山委員 なかなか了解ができないのです。これは毎国会地方税法改正案が出るたびやっていることは御承知の通りなんです。しかも所得税、所得税と問題をよそへ持っていくのですが、それもよくわかり、もう論じ尽したわけです。しかし、所得税は別にしても、住民税だけでもある程度の改善ができないことはない。たとえば給与所得者の負担が重ければ、それに対して実際幾らかの是正ということはできるのですよ。なぜそれをやらぬのですか。仕方がないからわれわれの方が修正案で今度出すわけなんですけれども、それだって現実にできないことはないじゃないですか。もしそれが正しいとするならば、今までここで論議された給与所得者に対する税負担が重いということを、何とかしたいと思えば、すっきりした形ではないけれども、とにかくさしむきそこに手をつけられるような方法がないわけじゃないのだから、なぜそれをやらぬのですか、それをお伺いしたい。
  211. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 先ほどもちょっと述べましたように、町村民税で第一課税方式をとっているこういう団体については、所得税額が基礎になっておりますから問題はないと思います。第二方式、第三方式を採用している市町村について、北山さんの御指摘の問題があるわけであります。第二方式、第三方式を採用しているほとんど大多数の団体については、ただし書きを採用しているわけであります。ただし書きを採用します場合には、御承知のように給与額の五%をさらに控除するということに昨年修正が行われた。その場合の所得税の勤労控除は、給与額の一五%であって、そして最高額が六万円でありました。それを二〇%八万円まで限度額を上げたらいいじゃないか。少くとも市町村民税の第二方式、第三方式のただし書きの場合には、そこまで上げようじゃないか。こういうことであの五%最高二万円というものを給与所得者に限って、さらに控除したものを課税標準とするという修正になったわけでございます。ところが現在所得税法の改正につきまして、三十一年分からは給与所得者については、給与額の一五%を二〇%に引き上げ、さらに六万円が限度額であったのを八万円まで引き上げる、こういう改正案が政府から提案されて成立したわけです。そうしますと市町村民税について特別に設けております五%二万円の特別控除の制度は、要らなくなるわけでございます。要らなくなるのでございますが、なおそれでも市町村民税の所得割の課税状況が果して公平を期し得ているかどうか。給与所得者とその他との間に問題があるわけでございますので、あえてこの規定は削除いたしませんで、そのまま置いておるわけであります。将来恒久的にどうこうするかという問題は、なお一年研究した上で決定したいと考えておりますが、かりに将来ともこれを残していきました場合には、市町村民税の第二方式、第三方式のただし書きの場合だけ、所得税については勤労控除が二〇%、八万円が限度だが、市町村民税の場合は二五%十万円が限度だ、こういうことになってくるわけでございます。そういうふうにいろいろと配慮はして参ってきておるわけでございますけれども、なかなかいろいろな方面に問題がわたっておりますので、全体に御納得を得るまでには至っていないわけでございます。今後ともそういう意味で検討を加えてみたいと思います。
  212. 北山愛郎

    ○北山委員 今度所得税法が改正になったけれども、しかし五%引くということはそのままにしたということですが、問題は今年から所得税並みに二〇%全部引けないか、そういう方法もあるんじゃないだろうか。なぜそういうことをしなかったか。むしろそういう点を言いたいのです。問題は方式の問題もありますけれども、給与所得者の負担が重い。これはまぎれもない事実なんで、これをさっぱり直そうとしないのです。この数年来さっぱり努力が見えない。これは全くあきれてものが言えないくらいなんです。なぜこれを改正しないか。もし遊興飲食税の公給領収証なんかで、与党の幹部諸君、政府の首脳部が相談するくらいの地方税に対する熱意があったならば、この重大問題で地方税の中では最も問題になっておる住民税について、なぜ政府及び与党は首脳部会議でも開いてそれを改正しないのであるか。これを一つ早川さんからお伺いしたい。
  213. 早川崇

    ○早川政府委員 昨日お答え申し上げた通りでございまして、いまさらつけ加える言葉もないのでありまするが、同時にお考え願いたいのは、勤労所得税という問題が年々改善されておりまするので、従ってそれに伴う市町村民税、所得割というものも変化がくるわけであります。そういう面もあわせ御考慮願いたいと思うのであります。もちろん昨日申し上げましたように税制の改革を年度末に控えておりまするので、今申し上げました市町村民税の不公平、また事業税の問題、あわせてできるだけ御趣旨に沿うように検討いたしたいという熱意を持っておることを御了承願いたいと思います。
  214. 北山愛郎

    ○北山委員 当然そうあるべきだと思うのですよ。先ほど奥野さんが言われた勤労者のしかも第二方式をとるものについて五%勤労控除をふやすという措置も、これは政府の提案じゃないのですよ。参議院修正なんですよ。去年参議院で幾らかでも不均衡を是正したいというわけで、政府の提案にはなかったものを修正したのであって、政府はこの前の国会でも、今度の国会でも何ら住民税の不均衡に対しては手をつけておらない、そこで今の早川さんのお答えは当然だと思うのですが、少くとも遊興飲食税どころではなくて、まず第一に住民税について次の国会において必ず勤労者に対するこの不均衡を是正するのだ。それからもう一つは、課税方式の第一方式、第二方式というような点についての市町村間の不均衡というものは、やはり是正をするのだということをはっきりと言明してもらいたい。その他の遊興飲食税の公給領収証なんかについて与党の幹事長談話なんかを発表しておいて、そうして住民税は何も考えておらぬというようなことは、どうしても認めない。だからその点についてこの住民税の是正を次の国会ではやるのだというくらいな決意をここで示してもらいたい。そうでなければ、早川さんが言えなければ、一つ自治庁長官にでもそういう決意をはっきりしてもらいたい。そうすればおそらく今まで長い間不公平に苦しんであった勤労者は、大きな期待と喜びを持つだろう、こう思うのです。そういうことを早川さんができるならば、ここではっきりとしてもらいたい。
  215. 早川崇

    ○早川政府委員 この問題は、私も地方へ参りましていろいろの座談会その他でも強くいつも言われておりまするので、この改正の必要は痛感をいたしておりまするので、先ほど申し上げましたように、全般的な税制改革をやるわけでありますから、その成案を得ましたときの国会においてできるだけ御趣旨に沿うように是正をいたしたいと考えております。
  216. 門司亮

    門司委員 今の政務次官の答弁は、大臣の答弁と承わっていいですか。
  217. 早川崇

    ○早川政府委員 その通りでございます。
  218. 門司亮

    門司委員 では一つあらためて聞いておきますが、それは一体時期はいつですか。
  219. 早川崇

    ○早川政府委員 私が申し上げましたのは、全般的な税制改革というものが本年度末に控えておりますので、その点あわせて考慮いたしまして、成案を得ましたならば御趣旨に沿うように最善の努力をする、こういう意味でございますから、その御解釈は門司さんの御自由でございます。
  220. 門司亮

    門司委員 私の自由だという答弁はないでしょう。その時期はいつごろだと聞いておるのだから、その時期を言ったらいい。私が心配しているのは、少くとも与党が、今の内閣が一体何年続くか知らないが、この次の議会になんということで、委員会をのがれようとすることは、最も卑怯なことだ。だからその時期はいつかということを聞いている。解釈は自由だとはとんでもない。
  221. 早川崇

    ○早川政府委員 私の申し上げましたのは、税制の根本改革というものはむろん三十二年度を目当てにしての本年度末の税制改革でございます。税制改革について成案を得まして出すということになりますから、昭和三十二年度に間に合うように検討いたしたい、こういう意味でございます。
  222. 門司亮

    門司委員 それならその場合聞いておきたいのは、市町村民税の性格並びに市町村民税というものがどういう形で取られるのが一番正しいと考えるか、この点を一つ聞いておきたい。
  223. 早川崇

    ○早川政府委員 昨日もお答え申し上げましたように、一般の中小企業者、独立商売人と勤労者のアンバランスをどう見るかという問題について、今ここで成案を得ておるというわけではないのであります。ただそういった面の不均衡の声が多いものでありますから、そういった全般的な問題をひつくるめまして一般の御要望に沿いたい、こういう意味でございます。御了承願いたいと思います。
  224. 門司亮

    門司委員 そういう技術的な問題を聞いておるのじゃないのです。技術的は問題は簡単に直るんだ。市町村民税の本質とこれからくる性格と、これに沿う税法の立て方をしなければ、どこまでいっても不平は起るんだ。だから税の性格をどこへ持っていくのかといことを私は聞いておるのです。市町村民税の現在の税の性格をどこへ持っいくか、性格に合わないからそういう問題が起っておる。性格を直さない限りは技術的に幾ら直してもこれは直りっこない。この税金が性格とぴったり合わぬ取られ方をしておるからこういう問題が起ってくる。その性格をどこへ持っていくかということを聞いておるのです。
  225. 早川崇

    ○早川政府委員 もちろん応能的にその能力に応じて市町村自治の費用を負担していくというのが、この市町村民税の基本性格でございます。
  226. 門司亮

    門司委員 その応能的というのはどの範囲を応能的と称しておるのですか。
  227. 早川崇

    ○早川政府委員 構成員全体がその能力に応じてという意味でありまして、同時に事業税というものも負担しておるところもございます。また固定資産税というものもございますし、そういったものもあわせ考慮いたしまして、総合的に自治体の費用というものを負担していくという広い意味での応能的税金である、こう考えて差しつかえないのではなかろうかと思います。
  228. 門司亮

    門司委員 税金はすべて応能性を持っております。応能性があるから税金であります。応能性のない税金なんというものはだれも納めません、よけいな税金であります。日本に住んでいるから国税を納めるし、自治体に住んでいるから自治体の税金を納める、これは当りまえのことです。私の聞いておるのは、そういうばく然としたことを聞いておるのじゃない。今日の市町村民税の中の最も大きな欠陥は、その応能性というものを完全に把握しておらない。そこにこの税金の欠陥がある。この欠陥を是正しない限りはどんなことを言ってもこの税金は直らない。事業税は事業税の性格をちゃんと持っておる。固定資産税は固定資産税の性格をちゃんと持っておる。その税率が高いか安いかということは時の情勢で多少違うのである。税金が高いと言われても国にたくさん費用が要るとき、また市町村にたくさんの費用の要るとき、これはやむを得ない。しかしそれが高いか安いかということでなく、その税金の性格に相反する税金の取り方をしておると、税の高い安いでなくて不平が出てくるのであります。税金を納める前に一番大きな問題はそこにある。高いか安いかということは第二義的の問題です。この税金を取っていいか悪いかということが問題です。だから今の市町村民税というものは、市町村民税自体のあり方というものについて私は非常に疑問を持っておる。間違いであると考えております。だからどこまでいってもこの税金には不平が出てくるわけであります。だからこの性格からくる税金のかけ方をされるかどうかということです。単に事業所得者と勤労所得者との間の不均衡なんということは技術的の問題であって、これは幾らでも変えられるが、性格は変えることができない。だから市町村民税自身の持っておる性格に沿う税金の取り方をするかしないか、その方法はどうかということを聞いておるのです。
  229. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 現行地方税法の建前から申し上げて参りますと、市町村民である限りは全員何がしかの経費を分担し合おうじゃないか、さらに所得の多寡に応じて経費を分担し合おうじゃないか、その場合に国税とか府県税とか市町村税、国、府県市町村経費の分担もあるわけでありますので、課税総所得金額の七・五%を市町村のそういう意味の財源として利用していこう、こういうことになっておるわけであります。ただ課税技術上の問題もあるわけでございますので、第一方式の場合には所得税額を課税標準とするということにいたしております。七・五%の範囲で市町村にきめさせる。その場合に税率区分を市町村にゆだねているわけであります。もう一つは、決定につきまして事業所得、給与所得との間の税務行政上の均衡の問題、そういうことからもいろいろな問題があり得ると思うのでありまして、北山さんに、そういう問題を総合的に解決をはかっていきたい、こう申し上げたのであります。
  230. 門司亮

    門司委員 私はそんなことを聞いているのではないのだよ。この税金は新しい税金ではないだろう。いつ根本的に改正されたか。それ以前にこの税金はどういう性格を持っておったか。税というものを三百代言の小手先だけで考えているから税金の不平が出てくる。この税金の応能的の性格というものは一体どこにあるか。税金の応能的の性格というものは、今奥野君が言ったように、住んでおれば全部が納めるのが当りまえだということが、一つの理論になっておる。だから頭割をかけておる。しかし納められない人に納めさせるわけにはいかぬから、所得のある人、納められる人に納めてもらうという形になっている。そういう形が出てくる。それはそれでいいことである。同時に所得に対する税金のかけ方もそれでいいのである。それが多いか少いか、不公平であるかということは、技術的な問題で、税の性格からすれば別の問題だ。この二つはいいのだ。そのほかに忘れたものがありはせぬか。この税金の最も重大な性格というものは、地方自治体の恩恵を受けているということ、地方自治体の保護を受けているということ。税金はすべてそうなんです。地方自治体の恩恵を受けている、国家の恩恵を受けているから、税金を納める。国家の保護を受けているから税金を納める。安住して住んでいるから、お互いが安住して住むことのために国家社会の秩序を維持しなければならない。制度をこしらえなければならない。このために税金を納めている。この税の本質論からくる性格に相反した税金を取っているから、こういう問題が起る。はっきり言ってみましょうか。地方自治体の恩恵というのは、教育の問題がある、道路行政の問題がある。これらはすべて地方自治体が教育行政をやっている。子供はみなそこへ通って、教育上恩恵を受けている。道路行政上の恩恵を受けている。そういうことのために税金を納めるのは当然なんだ。しかしながらその恩恵を受ける度合いというものはおのおの違う。これが忘れられているのですよ。たとえば横浜は総合大学を持っておる。大学の生徒一人に十万円かかる。少くとも一人一年十万円の金をかけなければ大学は出られやしない。教育は憲法で平等になっておる。しかしこの市立の大学に通える者はだれかということです。一般の庶民階級の子供はそこに通えますか。高等学校へ通えますか。教育の恩恵自体をとってみても、金をたくさんお持ちになっている方がよけい受けられるにきまっているのである。道路の改修によって便益を得る者はだれであるか。道路が改修されることによって、一般の市民は交通が便利になるというだけである。両側の土地をお持ちになっている方は、地価の値上りがするでしょう。これは固定資産税をかけているというかもしれないが、これらの問題はすべて自治体一つの恩恵を受けていることである。警察の保護にしても、消防の保護にしても、そうでしょう。特に消防税という税金は今日ない。これは市民が平等に負担するという形になっているからこういう形が出てくる。私は市町村民税の性格というものはそこになければいかぬと思う。お互いが納得する——単にこれを所得だけにものを考えていこうとすれば間違いが出てくると思う。昭和二十四年まであった税金は一体どうなっておったか、はっきり言っておきたい。昭和二十四年までは、この税金は住民税として取られておったでしょう。住民税のときのパーセンテージを調べてごらんなさい。どうなっておるか。東京都の分を調べてみればすぐわかる。一〇〇の中で一三%は資産割で取っておるでしょう。三三%は法人割で取っておるでしょう。残りの五〇%が各個人の所得と頭割にかけられておるでしょう。それが昭和二十五年のシャウプの税制勧告によって資産割りをかけてはならない、法人割りをかけてはならないという形が出てきたことのために、一般住民に非常に過重になった。これからこの税金の不平が出てきたのでしょう。それまでこの税金に不平がありましたか。数字的にもっとはっきり申し上げてみましょうか。昭和二十四年まで三越はたしか四十六万円の税金を納めております。帝国銀行は七十六万円納めておるはずだ。調べてごらんなさい。それが昭和二十五年の税制改革で二千四百円で済んでいる。そうしてそのときに都民税がどれだけふえたか。この税金はこういう経緯を持っている税金ですよ。そこに不平があるのだ。駅長であるとか校長であるとか、いなかにおけるこれらの諸君は辞令一本で飛んでくる人である、また辞令一本で行く人である。しかしもらっている給料が多いからといって村のいかなる資産階級よりもよけいに税金を払っている、ここに不平があるのだ。だから税の本質から考えて一体改正される意思があるかないかということを聞いているのです。税の本質から来る税制の改革をやるということがいい。税金が高いとか安いとかいうことは別の問題だ。みんなが平等に高ければいい、平等に納めておれば不平が出てこないはずだ、平等に納めていないから不平が出てくるのだ、一つ一つの税金をただ技術的だけで高いとか安いとかいって議論しているのは住民は災難なのです。区役所や市役所へ行ってごらんなさい、理解できますか。隣りにこんな大きな財産家があるのに市民税は私たちの方がよけい納めておる、一体どういうわけだといわれて答弁できる議員がおりますか。これが今日不平が起る原因でしょう。だからこの税金を直そうとすれば税の本質までずっと掘り下げて、そうして不公平のないように——高いとか安いとかいうことではない、高ければみんな高くていい、安ければみんな安くていい、無理な税金じゃないかということを聞いておるのです。新しい税金をきめたわけじゃないのです。こういうものの考え方に対して政府は一体何を考えておるか。少くとも国家権力によって取っていこうという税金ですから、やはり公平でなければならないのだ。何度も申し上げますが、高いとか安いとかいうことはそのときの国の情勢、地方自治体の情勢、お互いの社会を持っている以上はそういうことはあり得ると思う。しかしその中にそういう不公平があってはならぬということです。税に不公平があるということは国の乱れるもとでしょう。われわれはそういうことを考えているから聞いているのであって、小手先がどうのこうのを聞いているのじゃない。税制改革をやるならこの市町村民税はそういう一つの本質論に戻って考えておるかどうかということなのです。政府もその方針に従ってずっとやっている以上、あなたは実際はそう言えばいいのだ。昭和二十五年から法人は十億の法人も二十万円の法人もすべて二千四百円で済んでおる。それがだんだん不平が出てきて、最近は所得の百分の十五なりあるいは百分の十三にふえているでしょう。政府もこの原理に押されてここまで来たということです。この原理の透徹が足りない。これを完全にやるかどうかということなのです。一方においては国税であった例の財産税を廃止したでしょう。財産を持っている者からの財産税を廃止する、財産を持たざる勤労者についてはただ所得割りがこうなっているから頭割りがこうなっているからというのが問題なのです。私はそういう点を聞いているのであって、今の税法の中の数字がどっちにどう動こうとか、そういうことは時の情勢によって変る、だからそういう点について自治庁はどう考えるかということを聞いている。もし答弁ができるならば、はっきりここに聞かしてもらいたい。
  231. 早川崇

    ○早川政府委員 門司さんの御意見わかりました。すなわち見立て課税とか、いわゆる資産を持っている人に所得がない場合にも、勤労者その他は納めているのだから、不公平のないようにという御趣旨かと思うのであります。これは非常に重要な問題でございまして、片一方は固定資産税を納めているということも考えなければなりません。また財産税が廃止になったという税体系全体の問題ともからみまして従来の戸数割りというような問題にまで及び問題でございまして、先ほど北山委員に申し上げましたのは、中小企業者、商売と俸給取りとどちらが重いかという問題に私は限定いたしましたが、さらにそこまで問題が広まるわけでありまするから、さればこそ本年度末におきましては、税制全般の改革のときにあわせて考慮いたさなければならないという結論になるわけでございまして、その際税体系全体の問題とひっくるめまして、できるだけ総合的に税負担の不公平のないように、われわれはその方向で再検討いたしたい、こうお答えいたした次第でございます。
  232. 門司亮

    門司委員 今のせっかくの答弁ですが、私はもう少しお話をしてお考えを聞き直しておかぬと、誤まりが出てくると困るので聞きますが、固定資産税を納めているあるいは事業税を納めていると言われておりますが、一体固定資産税の税の性格はどこにあるか、同時に事業税の性格はどこにあるか、われわれが市町村民税とこれらの税金とを区分しなければならない限界は一体どこにあるのか。事業税自体については一つの営業というものをやっているということは間違いない、そのことのためにいろいろな問題が生じ、同時にこれは収益税であります、収益税と、こういう一つの応能的の性格の強い税金とが同じに考えられたら私は非常に迷惑する。固定資産税に至ってはやや今次官のお考えのようなことがあり得るかと考える。しかしこれも今度の税法改正を見てごらんなさい、公共団体である国あるいは地方の団体が固定資産税相当額を納めるようになったでしょう。これらのものは一体だれのものか、市民であると同時に県民である、県民であると同時に国民である、しかもその事業を持っておる自治体というものは一体だれの財産であるか、ここまで税が伸びております。従ってその税金のはね返りは使用者課税になろうとしておる、これはあなたによく聞かなければならないと思う。なぜ一体そういうものができるか、これはこの税金が市町村民税と性格を異にしておるから政府はそういうことを考えておる、また性格が違っておるのは間違いがない、そういうことであるいは見立て割りもいいかもしれない、廃止の当時による見立て割りができるならそれもいいかもしれない。しかし見立て割りでなくても財産その他というものはざっとわかっているはずだ。私は都市全体の考え方からいうならば、さっき申し上げましたようなやはり地方の税金の一つ性格になった税金を取ることがいいのである。事業税でも非常に不平があるということは、収益課税であるべきものが収益課税でない。そこに問題がある。たとえば鉄道、私鉄というようなものは外形標準でかけている。しかし事業税ならばこれは収益課税であるべきはずなのです。これが外形標準でいいということはない、やはりそれらの問題が出てくる、収入のないところに税金をかけようというところに無理がある。しかも事業を営んでいるからという。事業を営んでいなければこの税金はかからぬのか、事業には収益がついているのです。おのおの税の性格というものを政府がはっきりわかって——とりにくいところもあるかもしれない、やりにくいところもあるかもしれない。しかし税制改革を少くとも早川政務次官のお考えのように来年変えるというなら、そういう点まで十分考慮されて、そうして不平のない税金にわれわれはしたいのである。高いとか安いとかいうことは、さっきから何度も申し上げておりますように、その当時における国民の負担なんだからやむを得ぬことだ。しかし税の根本に考え方の誤まりがあったのではどうにもならない。役人は机の上ですることは、何でもやれるかもしれない。しかし実際に納める者の気持というものは、そういうところにある。だからこういう点を一体政府はほんとうに考えて、万遺漏のない処置をとられるかどうかということを私は聞いているのです。もう少し率直に、親切に御答弁をお聞かせ願いたいと思います。
  233. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 市町村民税についてもいろいろな考え方があろうかと思うのであります。ただ私は先ほど実体法のもとにおける考え方を申し上げたわけでございます。門司さんも御指摘になりましたように、昔戸数割時代におきましては、大体戸数割が町村経費の大部分をまかなう。そのかわり戸数割を課しまする場合には、いろいろな状況を総合的に勘案して金額がきめられておった。言いかえれば所得を基礎にしてからも、資産の状況を加味して課税をしておったわけであります。そういう意味においては等級をきめたりいたしておりました。その後この戸数割の弊害といいますよりも、むしろ過重負担かもしれません、この戸数割が昭和十五年から全く均等割的なものに変えられてしまった。その後この均等割的なものに変えられてしまったものに、だんだん所得割的な重みを加えて参りました。そして二十五年には現在の地方所得税的なものに切りかえられたわけであります。シャウプ勧告で切りかえられた際には、法人に課税せられていなかったものを、二十六年からは法人税割もそこに加味するようにして参ったわけでございます。戸数割がかりに今あったとすればどうだろうかという問題を考えて参りますと、私たちは戸数割があった当時と今の経済界と非常に違っているのじゃないだろうか。昔であれば、土地や家屋を持っている人たちが大資産家であったでありましょう。しかし現在は、あるいは株式を持っている、その他の預金を持っている、あるいは権利を持っている、そういうような問題にもなりまして、簡単に資産の状況を加味するといいましてもいかないのじゃないか。またそれよりもむしろ負担します場合に、もうけが非常にあれば税金をよけい納めるけれども、そのかわりもうけが少くなれば、その年においては税金は少くする、こういうような考え方も成り立ち得るわけでありまして、世の中が複雑になってくればくるほど、単税制度が複税制度に発展いたしていく。どうしてもそういう行き方をせざるを得ないので、一つの税金であらゆる人たちに満足してもらうということは非常に困難になるのじゃないか。そうしますと、市町村民税はどうしても所得を中心にして納めてもらうのだ、こういう方向に行かざるを得ないのじゃないだろうか、こういうように思うわけでありまして、現行法に関しまする限り、私は市町村民税は地方所得税だ、こう考えているわけでございます。居住の状況をそこに加味するという要素は何ら入れておりません。これは門司さんのおっしゃるようにそうすべきではないか、こういうような御議論もあることは十分承知しておるわけでございますけれども、必ずしもそういうことがいいのだという結論は容易に出せない、こういうふうに私たちは思っているわけでございます。ただ所得そのものにつきまして、国の所得決定と地方の所得決定との間に相違するような方式は好ましくないのじゃないか、こういうような考え方を持っているわけであります。
  234. 門司亮

    門司委員 今の最後のところを聞いておりますと、地方市町村が、国が所得を決定すると同じような能力を持っておりますか。税法の中にはなるほどあなたの言うように書いてある。必ずしも国の所得によらなくてもと書いてある。市町村が独自の決定をしてもいいと書いてある。しかしそんな徴税機構ができ上っておりますか。もし町村で税務署の持っているだけの機構を持っていたら、それはやれるかもしれない。しかしそれはできないでしょう。法律に書いてあるからと今そんな言いのがれをしたって、できはしない。それなら聞いておくが、市町村民税の不平はなぜあるか、何によって弁解するか、それから先に聞いておきましょう。何であんな不平が出てきているか、どうしてああいう問題が出てきているか。もし勤労者の言うような線まで引き下げてしまったら、一体町村の財政がどうなるか、どれだけの減収になるか、こういう点ははっきりしてもらいたい。もし今の百分の三十まで控除を認めるという場合に、どれだけ税が不足するか、この点がはっきりしておりますか。どのくらい減収になるか。いわゆる基礎控除を百分の三十なら三十まで認めて、地方税においても国税と同じようなものを認めるということになったら、どれだけの減収になりますか。
  235. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 第一方式だけでいった場合と大体同じに考えていただけばよろしいと思います。そうしますと九十三億の減収になるわけでございます。私たちは所得を決定する場合に、市町村の税務当局市町村の税務当局で別な角度で調査をする、国は国で調査をする、そういうことは納税者として煩にたえないのではないだろうか。むしろそれよりも、いろいろな角度から見て所得決定が適正に行われる必要があるのではないだろうか、こういうような考え方のもとに、所得計算というものは一つにしてそれによっていく。従ってまた国で決定した場合にはそれにそのまま乗っかっていく。しかしその決定の仕方が行政が非常に悪い場合には、市町村が独自の算定ができる、こういう道を開いているわけであります。従ってまた事前に税務署に対しましていろいろな面において協力はしていると思っておるわけでございます。一たん国が決定したものを、別な角度から市町村がまた違った数字を出すということは、非常に問題を投げかけるわけでございますので、そういう点に至らないようにできる限り協力をやっている、またそういうような指導もして参っているわけでございます。
  236. 門司亮

    門司委員 そうすると大体九十三億くらい減収になればいいということになるのですか。そうすると税の不平をなくしようとするには、九十三億の市町村に対する税収が減ればいいということになる。だから次にあなた方が考えている税制改正では、この九十何億というものが減るということにならなければ、私は不平はなくならぬと思う。そういうことを考えていますかどうか。それでなければ私がさっき言った税の体制を変えるかどうか、本質に沿う税金の取り方をするかどうか、そして税収は現在と同じように確保するかどうか。
  237. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 九十三億減税すれば、それで問題が解決するのだというふうには毛頭考えておりません。所得税額を課税標準にして全国同じように金額を定めていけばどうなるか、こういう意味で、その場合には九十三億減るでありましょう、こう申し上げたわけであります。しかし所得税自体につきましても非常に問題があるわけでありまして、ことに国の所得税をそのまま地方の所得税に切りかえた場合には、配当控除その他の問題が国の政策面で取り上げられておりますので、一そう大きな問題を投げかけていくと思うのであります。ただ所得税額ではございませんで、所得決定額、この基礎の所得額を課税の基準に使っていく、その点につきましては当然それに乗っかるべきであります。そうしますと、その場合の税率の刻み方その他によりまして、同じ所得者でありましても、市町村間において若干食い違いが生じて参ると思います。これは食い違いがあってしかるべきではないか。ただ今の食い違いの仕方というものが、中所得者のところでかなり激しい面が給与所得者その他を通じて起っている。これが私は大きな不平の問題だ、こう考えたわけでございます。
  238. 門司亮

    門司委員 これは早川さんにはっきり聞いておくが、私はそんな技術的なことを聞いているのではない。今奥野君の言うようなそんなことはわかっていることなんです。だから問題は不平をなくするにはどうするかということです。かりに百歩譲って、私がさっき言ったようないろいろなことを加味しなくても、現行法でいくとしても、今の勤労者が非常に所得税の割合が高い、所得割が高い、この不平をなくするには、少くとも国税と同じような基礎控除を市町村民税に設けるかどうか、そういうことをしなければ勤労者の不平は絶えないということなんです。取り方がいいとか悪いとかいうことではない。それでどのくらいの減収ができて一体どうなるか、その減収の補てんを一体どうするかということです。問題はそこに限られている。不平をどうしてなくするかということです。一人々々の納税者は君らみたいに部長ではない。商売じゃないのですから、税体系がどうだとか何がどうだの言ったって、そんなことはわかりっこない。そんなことがわかればそこらでまごまご働いていやしない。政府のしかも役所の首脳部の諸君のものの考え方と同じように理解と了解が得られるなら、それは君の言うことでわかるかもしれない。しかし実際上の問題として、さっき言ったように、勤労者の負担は非常に重たいのだ。だから一般の市民の諸君と同じような一つの税金を納めるようにしてくれということになれば、そこにおのずからそういう問題が出てくると私は思う。所得の面にもいろいろ問題が出てくると思う。同時にその次にくるものは何がくるかというと税金と生活でしょう。お互いがずっと市なり村なりに住んでいるのだから生活状態、生活環境というものは大体わかるのだ。生活を離れて税金があるとすれば、これは重要な問題ですよ。そういうところに不平があるのだ。私はこれだけの給料しかもらっていないのでこれだけの生活しかできない、しかし市民税はこれだけ取られる。一方はどういうわけかしらないが、あれだけの生活をしているのだ。生活をしている限りにおいては収入がなければならぬ。これらの問題を比較して非常に税金が重たいということが言われている。同時に源泉徴収で差し引かれていることも一つの問題かもしれない。しかし税金を百パーセント納めたからといっても、これは手柄でも何でもない、何もいばることではない、当然だ。しかし人間の感情としてはなかなかそうではない。理屈としては百パーセント税金を納めることは当りまえなんだ、何もいばることでもなければ、自慢にもならない。しかし人間の感情としては、一般の市民の徴税は六〇%か七〇%しかない、そこに一つの問題が現実として出てくる。こういう現実の問題の不平をどうなくするかということなんです。問題はそこにあるのです。自治庁市町村民税に関する今日の不平を、どうなくしようとしているのか、その点を一つ具体的にはっきりして下さい。
  239. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 一つ地方財政が非常に窮乏しておるものですから、得られる限り税負担の増徴を求めていく、こういうような傾向があるのじゃないかと思います。これは地方財政全体の改善をはかっていかなければならないのでありまして、今回かなり思い切った改善がはかられておると思っておるわけでございます。  もう一つは、給与所得者とほかの所得者との間の所得決定に、必ずしも均衡を保持していないのじゃないか、こういう心配を持っておるわけなのでありまして、私ども市町村民税の負担を通じまして、その欠陥を痛切に感じているわけでございます。そういう意味でまた国税当局に対しまして、自治庁の方から勤労控除の率を引き上げてもらいたい、こういうことは機会あるごとに言って参っておったわけでございます。幸いにして今回そうした考え方政府の案として取り上げられまして、勤労控除が、一五%、六万円の限度から二〇%、八万円の限度まで引き上げられたわけでございます。なおその上先ほど北山さんにお答え申し上げておりますように、現行地方税法の中に勤労控除を若干引き上げる措置がとられているわけでございますが、国税の今回の措置で、その問題は解消したわけでございますが、なおその規定を存続して、将来この問題を一層深く掘り下げて考えて参りたい、こういうふうに思っておるわけであります。  第三は制度の問題を離れて、税務行政上の問題があろうかと思います。経済が混乱しております際には、なかなか個人別の所得の把握が困難でありますけれども、安定するにつれまして、また税務職員の教養の問題なりあるいは努力の問題なりを通じまして一層的確に把握していく、これは国、地方を通じまして協力態勢をなお一層強化いたしながら努力していかなければならないと思っております。そういう方法を通じまして、いろいろと不平、不満があります問題を解決していきたいというふうに思っております。
  240. 門司亮

    門司委員 今の答弁ですが、われわれが考えていることは国の基本的な所得税をどうこう言っておるのではない。市町村民税の中の不平をなくそう、所得税の方でかげんしたから片一方はいいという理屈は成り立たないと思う。これはどこまでいってもそういう差が出てくる。従って国の税金は国の税金で、それでよろしいと思う。しかし地方税の中にも同じような処置が当然加味されなければならぬと思う。国税においても同じことですよ。地方税においても同じことなんです。所得に課税するという現象は同じなんです。それを国税の方でかげんしたから地方税の方はいいんだということになれば、地方税の方はどこまでいっても不平が起るのはさまっておる。だから地方税法の方で市町村民税をどう一体あんばいしていくかということなんです。国の税金がこうなったからそれでいいじゃないかという理屈は成り立たないと思う。国の方はここまで下げたから、その影響がこっちにきているからそれでいいのだ、あるいはそういう作用をするからそれでいいのだというのが、あなた方の物の考え方だと思う。しかし国税が地方税に作用するからそれでよいのだというのではなく、地方税は地方税で、独立している一つの税金なんだから、国と同じような処置がこっちでとられれば納得がいく。これは何べん言っても同じなんです。そうならなければ工合が悪いです。国税でやっておるから地方税の方はそのままこれを移行するのだということでなくて、税金の中のこまかい問題であるが、かりに不当な所得の決定が出れば、地方市町村でも変えることができることは法律の中に書いてある。ちゃんと独立して税金として書いてある。それであるならば国税に基礎控除を設ける、あるいは免税点を設けるというなら、同じような性格を持っている、所得にかけた税金なら、地方税にもそれと同じようなものを持ってくるべきものではないか。だから今の地方の実態ですが、問題になるこの税金の不平というものは、今のような答弁だけでは除かれないと思います。これを除こうとするにはさっき言ったような税の根本の制度からくる一つの物の考え方によって、この税金を納得させる、あるいは基礎控除なら基礎控除について、国税の所得税の基礎控除額、地方税の基礎控除額を設けるべきだということで、おのおの独立した税金として納得のいく制度を打ち立てていくか、それ以外に方法はないと私は考える。われわれはしじゅうそう考えておるが、政府はどうもはっきりしないので、来年のことを言うのもどうかと思うが、せっかく来年の四月までに税の改正をするというのなら、そういう点をこの際明確に承わっておきたい、そうしないとただ改革をする、改革をするでは、何を改革するかわからぬ。時期もわからなければ、どこをどう改革するかもわからぬということでは、それを承知するわけに行きません。だから今の奥野君の答弁のようなことでなくて、一体地方市町村民税についてはいろいろ今不平もあるものをかりになくしようとするには、私は今言ったような二つの方法しかないと思う。地方税に対しても基礎控除なら基礎控除を明確に認めるかどうか。所得税の方はこれは人間の所得、いわゆる収益にかけた税金である、収益によって人間が生活をしている。だからその生活の限度を八万円と見るか、あるいは十万円と見るかということ、もう一つは勤労者の税負担分というものは非常に重たい、同時に徴税は完全に行われるというような徴税上のいろいろなことが勘案されて、ここに基礎控除、勤労控除を設けるということはこれは当然だと思う。もしそうだとするなら、八万円の基礎控除というものは、これは所得税という税の性格論から考え一つの処置である。次の勤労者の控除というものは、徴税上の勘案からきた処置だと私は考えておる。同じように徴税ができて、同じようにやれるなら、それから同じように収益が把握できるなら、これは何も勤労者に特にこんなことをしないでもよいと思う。勤労者にこれを設けなければならぬという理由は、一般事業者は勤労者と同じようなすべての収益の把握が困難だ、そこに不均衡が生まれてくる、これはいなめない事実です。だから国税においてそういうことをやっておるなら、八万円の全体の基礎控除額、これは市町村民税には全然適用しない。これは一応考えて除外してもよい、いわゆる勤労控除を国税で認めるというなら、地方税にも同じ理論でこれがあってしかるべきだと私は思う。国の税制が地方に適用するからそれでよいのだという考え方は私は誤まりだと思う。だから聞いておきたいのだ。税制改革をされるというのなら、そういうことをされるかどうかということなんです。
  241. 早川崇

    ○早川政府委員 先ほど申し上げましたように、そういう不平のあることは十分承知しておりますが、今勤労控除を引き上げる、国の措置と同じようなものをまた住民税でやるという結論にもなっておりませんので、不平のあることは十分承知しておりますから、本年度の末における税全般の再検討のときに、検討いたしたい、かようにお答えするよりないのでございます。このことが税体系全般に関係する重大問題でありますから、今ここで結論を申し上げるわけには参らないのでございます。
  242. 北山愛郎

    ○北山委員 住民税について今のように非常に激しくお伺いをするというのは、これは長い間の懸案なんです。今までのところでは、どうも一番問題のある住民税の改善について、一向政府には誠意が認められないということがわれわれの言いたいところなんです。それだから激しく言うのですが、われわれの言葉はむしろまだ上品なんで、実際に納税をして不公平を見ている人にものを言わしたら、もっとひどいことを言うだろうと思うのです。われわれは上品な言葉でものを言っているつもりなんですが、それだけうっせきしているということをお考え願いたい。それと同時にそういうような勤労者なら勤労者の不公平な取扱いを受けているもの以外に、この住民税の是正については町村会等からも陳情があるはずなんです。これは注目すべきことだと思うのです。というのは町村理事者というものは税を取る立場なのであって、税を取る立場からいえば幾らでも税収が多い方がいいのです。そういう立場にある人から見ても、勤労給与所得者に対する住民税というものが、非常に過度に重いということを実際の実務から考えるために、この制度を変えてもらいたい、そういうふうな要望町村会の方から出ているはずなんです。そういう側から出ている声というものを一向聞いていないということなんです。この住民税だって、先ほど所得税の方は勤労控除が二〇%になったと言いますけれども、これは住民税にはね返るのは、全面的に適用されるのは来年からでしょう。ことしからすぐ勤労控除二〇%というものが住民税についてもそのまま全部今の制度で適用できますか、それをお伺いしたい。
  243. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 現在は御承知のように第二方式第三方式の場合だけ国の勤労控除額にプラス五%、二万円の額があるわけでございます。三十一年分の市町村民税は三十年分の所得を基礎にいたします。従いまして三十年分について適用された国の勤労控除額が働いて参るわけでございます。これにプラス五%、二万円ということになりますから大体国並みになるのじゃないだろうか、三十二年度からは国以上になるのじゃないか、こういうふうに思っております。
  244. 北山愛郎

    ○北山委員 だからその点についても所得税の方は二〇%になった、そういう恩典といいますか、それを住民税についてもやりたいというなら、やはりことしからやれる措置はあると思うのです。それを今の制度では、しかも政府提案じゃない、修正案による第二方式、第三方式についてのみの制度をことしはこのままで間に合わせておく、来年度から全面的に所得税の改正の影響を受けるようになるというような至って消極的なことでなく、ことしから全面的にやれるような措置を当然考えるべきなんです。そういう面から見ても住民税の問題点についての改善についてはどうも冷淡きわまる態度じゃないか。政府の方からこの住民税を改めるというような積極的な意図あるいはそういう誠意が認められない。今まで何回かの国会で何もやっておらぬでしょう。それは鳩山内閣ばかりではないでしょうが、とにかく今住民税が問題になっておる点、そしていつも国会で論議される点、この問題について一つもやっていないといっても過言でない。むしろ第二方式のただし書き等が拡大していくということによって、市町村の間に非常な不均衡ができておる。それをさも普通の姿であるがごとくこれを是認しようとしておる。東京といなかの住民税を見てみると二倍半も違う。こういう不均衡をそのままに認めていこうとしておる。一体それでいいのですか。それは不公平じゃないのですか。東京の勤労者といなかの勤労者で二倍半も住民税が違うということはやはり不均衡じゃないか。多少のものはいいでしょう、しかしそれは限度がある。そういうふうに開いてもいいと思っておるのか、それはやはり不公平である、そんなに開いている今の行き方、傾向というものを是正しなければならぬというふうに思っているのか、その辺のところがさっぱりわからない。その点について一つ明らかにしてもらいたいのです。これは給与所得者のみならず、地方的な不均衡をどうするか、この方針を一つ明らかにしていただきたい。
  245. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 第一点の問題は、地方税法の上で今日起っている住民税負担の不均衡の問題についての解決を何ら考えていないじゃないか、こういうことでございます。この点につきましては非常に異論があるのでありまして、私たちは非常に努力をしてきているつもりでおります。ただ所得決定というものが国の場合と地方の場合とで食い違いを起させる、これは非常に不穏当ではなかろうか、こう思っておるのであります。現行法の建前も所得の計算は国の場合の所得の計算と同じやり方にするのだ、こう書いてあるわけでございます。そういう意味から所得税の基礎になる所得計算においてアンバランスをなくすようにしていかなければならないのでございまして、その場合には勤労控除を引き上げる、これが事業所得と給与所得とのアンバランスを是正する一つ方法であります。この面につきましては相当の努力をずっと払って参っているわけであります。この文書にしましてもいろいろと公にし、またその結果は政府案としても連年勤労控除の引き上げが提案されて参っておるわけでございます。なおまた所得決定につきましては国は国だけでやるのだ、これだけではどうしてもうまくいかないと思うのでありまして、国と府県市町村との協力態勢ということを昭和二十九年来やかましく言って参っております。国税当局もその気持になっておりますし、地方当局もその気持になりつつあるわけでございます。具体的なやり方につきましては逐次通達等で地方団体等を指導して参っておるわけでございますが、漸次成果を上げてきているのじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。なおわれわれの努力が十分でないというおしかりは、将来一そう努力をすることによってお答えをしなければならぬと思いますが、何もしていないんじゃないかというのは、少しひど過ぎるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  第二番目は不均衡の問題でございますが、これは同じ給与所得者が市町村を異にすることによって二倍半も違いがある、これは大へんおもしろくないことだ、こういうふうに思っておるわけでございます。基本的に同じ所得者の間で所得割額が若干違う、これは自治庁が認める以上は当然のことじゃないか、そう思っておるわけでございます。しかしながらどの角度から考えても同じ所得の人について、たまたま市町村を異にするだけで二倍半も違いがある、これは大へん好ましからざることだと思っておるわけでございます。その解決の問題としては単に税制だけの問題ではなしに、地方財源全体の問題でもあるのではないでしょうか、こういうことを先ほど申し上げたわけでございまして、相待って今後なお一そう解決に努力していきたいという覚悟でおるのでございます。
  246. 北山愛郎

    ○北山委員 ほとんど努力をしていないということは、あまりひど過ぎるというお話ですが、私の言葉は少しもひど過ぎないと思うのです。何をしておったのですか、一体。住民税についての昨年の修正だってあれは国会修正ですよ。政府提案じゃないのです。ことしだって所得税の控除率が一五%から二〇%に上ったというだけで、しかもこれはできればことしから全面的に住民税に適用ができたものを、この地方税にはそれは入っておらぬ、ただ前の国会修正をそのまま踏襲したにとどまる。一体自治庁は、数年来国会の中でこれほど議論のやかましい、しかもだれも一様に不公平だといっておるこの住民税についてほとんど手を打っていない。そして先ほども申し上げた通り、キャバレーや料理店の言うことは聞いてそれを取り上げて、政府や与党の首脳部が会談しておるのに、この住民税のことは一向問題にもしておらぬ。こんなばかなことがあるか、こういうふうに言いたくなるのも当然じゃないでしょうか。ひど過ぎるのでしょうか。私は従って今度の修正案も、いろいろ足らない知恵をしぼって、何とかしてこの不均衡を若干でも直したいというつもりで、ことしから全面的に二〇%の勤労控除をすべての住民税に適用するような工夫をしてみたり、あるいはまた今の地域的な不均衡をある限度に押えようというような修正を考えてみたりしているんです。だからやればできないことはないんです。  それからもう一つあとの問題として奥野さんは、これは財政的な問題であって、地方財政計画なり、そういう面で考えなければならぬ。税制だけの問題じゃない——まあ、その通りだと私は思うんです。しかしそれならなおそういう針で進むべきだと思うのです。たしか自治庁としては当初は、やはり住民税は第一方式が原則がなければならぬということを、強く言っておったはずなんです。数年前は言っておった。ところがだんだん第二方式あるいはただし書きも、それぞれ相当な理由があるんだというような御説明をなされる。たしか先だってあたりそういう説明をしたはずなんです。第二方式あるいは第二方式のただし書きというものが、どんどんふえていくという事態は好ましくないというならば、これを直すだけの努力がなければならぬはずですが、そうじゃなくて、むしろこれを是認するような説明をしておる。こういう点で私はどうも納得ができないんです。ですからこれはこの場でとっさには無理でしょうが、とにかく遊興飲食税の公給領収証並みの取り扱いをしてもらいたい、こういうことをあしたは太田さんも来られるそうでありますから、一つはっきりしたところをお伺いしたい。
  247. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 基本的には地方財源を充実しなければならないと思いますし、そういう方向に努力を続けるつもりでございます。ただ北山さんの御指摘になりますように、所得の段階に応じて今後市町村が異なっても大体似たりよったりの負担になる。それを眼目に置いて法律を規定いたしますならば、第二方式、第三方式のただし書きの場合におきましても、標準税率を所得段階に応じて定めるのがよろしいんじゃないか、こういうことになると思うのであります。しかしそれだけでは済まされない今の所得決定の状況じゃないか。どうしても地方も国と協力をいたしまして、もう少し全体的に公平な把握が行われるように努力していかなければならないんじゃないか。しかし運営だけでもいかないから、制度の面で勤労控除を引き上げることも一つ方法じゃないか、こういうことにわたってこれまた努力を続けて参っておるのです。こう申し上げているわけです。  基本的には地方財源の充実、他の面においては、一つ制度面では勤労者の経費と見る勤労控除の率を引き上げる。他面には、運営上協力態勢を強化していく、こういうことじゃなかろうか、こう考えているわけでありまして、地方税法の条文をいじることが解決になるのだ、こうは私たちは思っておらぬのであります。しかしいろいろ御意見もございますので、将来なお一そう研究を重ねていきたいと思います。
  248. 五島虎雄

    五島委員 さっき門司さんから、市民税の均衡が非常にとれてない。戦前戦後を通じて勤労者の税金が非常に過重である、——私たちもそう思っておる。そうして生活の度合いから税負担による生活の苦しさを痛感せざるを得ない立場に立っているわけです。結局月給取り、勤労者、すなわち労働者は、自分たちの給料の中から税率の一〇〇%を徴収されておるわけです。そうして五大都市あるいは中小の都市の労働者は、すべて国税と同様に、会社において源泉徴収されておる。そうすると月給をもらった瞬間に税率の一〇〇%は徴収されておるのですから、職場の労働者は一〇〇%納税していることになるわです。参考書を見ますと、市民税の個人負担は八五%の前年度の徴収見込みで出しておるわけです。こういうことからしても、月給取りすなわち労働者は、各地方団体における住民税は一〇〇%納税しているわけです。戦前百円までの月給取りは少しも課税されてなかったというような状態の中から、今や数千円に及ぶところの国税、それからその一五%を第二方式、第三方式によって納税しなければならないというような、生活のバランスが、戦前と戦後においては格段の相違が現われておるわけです。ところが不均衡の問題については、今門司さんや北山さんが言われた通りでありますが、私はちょっと法律の読み方について聞いておきたいと思います。  三百二十一条の「個人の市町村民税の納期前の納付」ということについては、納期前に納める場合は、昭和二十五年のシャウプ勧告案に基くところの税制の改正においては、納期前の納付については一%の手数料でしたか、還元することができるということになっていたと思いますが、三百二十一条を読みますと、納期前の納付に対しては、条例をもってきめて交付することができるということに、二項によるとなっておるようです。そうすると各地方団体はこういうふうな条例をもって交付しておるところがありますか。大体どのくらいのパーセンテージをもって交付しておるのでしょうか。
  249. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 大部分のところはこの報奨金制度を採用しておると思っております。その場合の率は一月一%、従いまして六カ月先まで納めますと六%というふうな計算で、報奨金額を算定いたしております。
  250. 五島虎雄

    五島委員 そうすると十二カ月では一割二分の還元をしておるのですか。それは非常に金の余った人で、これは納期前に全額納めなければ一割二分の還元はしないということになり、労働者は納期前に一年分払ったりなんかはできっこないわけです。労働者で納期前に全額納めるような者は一人もないと思う。ところが現実においては毎月毎月税率の一〇〇%を納付しておるということで、労働者はこの三百二十一条の適用は全然受けられないということになるのじゃなかろうかと思う。ところが地方団体の市民税、住民税の納付に——協力非協力という問題は別問題として、このように一〇〇%納めていて、地方団体の財政をまかなっておる大きな原動力となっていると思うわけです。ところが勤労者は毎月々々源泉徴収されているわけですから、第二方式、第三方式のところは違いますけれども、毎月々々源泉徴収されているところは三百二十一条の適用は受けられないということになるのですね。そうすると、片方は一割二分の交付がある、労働者は一〇〇%納めても一つも恩恵はない。従ってこういう法律の読み方を納付前じゃなくて、一〇〇%当該機関に納めるところの個人に対しては、条例に基いて幾らかの交付が行えるのだというように改正されるつもりはありませんか。
  251. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 源泉で特別徴収いたします場合には、十等分いたしまして月割で納めていくことになるわけでございます。従いまして普通徴収の場合とはだいぶ事情が違うのじゃないかと思っております。納期の定め方によりまして短期間に全部納めるということもあるわけでございます。なお一〇〇%納付した者について相当報奨金を出す制度を設けたらどうかということにつきまして、私たちは納税というものは住民の義務と考えていきたいわけでありまして、一〇〇%納めることが普通であって、納税は完全に義務を遂行してもらいたい、こういう考えは続けていきたいと思っております。
  252. 五島虎雄

    五島委員 納税ということについて、納税しない——反税という思想を私たちは言ってないわけです。ただ金が楽な人には毎月一%程度のものが条例できめられている。条例ですから奥野さんとは関係ないかもしれない。これは三百二十一条で条例で突っ放すのですから各地方団体がやればいいのだということになるかもしれません。ところが大体地方団体は徴収義務者ですが、徴収義務者に対しては手数料として還元しているだろうと思うのです。手数料還元の規定があったのですから——もうこれはなくなったのですけれども、事実そういうようなこともやっているのじゃないですかね。ところがこれは月給を取って生活している人には直接いかないわけです。月給取りは一〇〇%取られっ切りということですね。だからたとえば一年について四期の納付の場合、ほんとうに余った給料をずっと計画して、この月は特にほかの費用に要ったから翌月に回すというような計画も何もできないわけです。できなくて、有無を言わさず徴収されているから非常に地方団体としては楽なわけなんです。これが一〇〇%徴収されるところの唯一の財源になるわけです。あまりパーセントとしては多くはないのでしょうけれども、そういうような勤労者の源泉徴収をし、あるいは四期に納付する労働者が一〇〇%納めるというような場合は、国としてはそういうような者にはこの条例をもって定めることができるというような規定を一項設けるべきじゃなかろうかと思うのです。あなたが言われるように一〇〇%納付するのが国民の義務だということは当りまえなんです。ところが千葉県の某所に行くと、今北山さんが言われたように第二あるいは第三方式を採用しているものですから、労働者だけが納めていて、あとの人たちはほとんど納めないというようなことが行われていて、第一方式にこれを変えることができましょうかというような質問をしてくるところもあるわけです。それであとは借入金をもって回さなければ仕方がない、住民税は全然入らないのだというような現象の村があります。このことを具体的に言うと、村長さんや村会議員さんたちにも悪いでしょうから名前は発表しませんが、第二方式、第三方式の高率な税金をかけて、そして入らないということはもう少し税を落すかあるいは勤労者に対する一〇〇%の税率に対してある種の恩典等をつけていくことが、あるいは国民の義務を果させるための国としての考慮になるのじゃないでしょうか。八五%見越さなければならないのを、実際は税金だから一〇〇%取るといって、われわれに説明されるときには一〇〇%として三十一年度には七十億入るのだというようなことを説明してもらいたいわけだ。それを八五%程度に見越さざるを得ない。数年前は七五%とか七〇%見越されていたわけです。しかし今は一〇%上って八五%見越すことができるということは国民の生活もだんだんよくなってきたということを意味するわけなんですけれども、これを一〇〇%徴収すれば徴収できるという上からこうなるのだ。ところがやはりその中には把握できない住民の所得等々もあるでしょうが、そうすると完全に一〇〇%把握できるところの勤労者、全額納入というような人たちに対しては三百二十一条で何らかの考慮を条例をもってできるというような工合にすると、自治庁地方団体の財政状態を締めくくるというような観念とは別個に、やはり納税率も高揚される、そして商人あるいは中小企業家でも完全にきちんと納めた人たちにはある種の交付ができるというようなことにすれば、地方団体の税の徴収の奨励にもなり、ひいては一〇〇%納めた国民の誇りにもなろうかと思うわけです。だから三百二十一条は金を持っている余裕のある人たちだけの恩典であるが、しかしこれを飛躍して五%あるいは数パーセントでも交付ができるということになるならば、一〇〇%納めても何らそこに不平がない。そして税率の公平化をさっき言われたように努力していくならば、住民は喜んで賦課される税金を一〇〇%納めて何ら不平がない。こう私は思うのですが、どうですか。そういうような考慮をされたいとは思いませんか。
  253. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 お気持はよくわかるのでありますけれども、非常にむずかしい問題だというふうに思います。お気持のようなことを、たとえば三年なり五年なりにわたりまして、納期内に完納してきた者につきましては表彰をするというふうなやり方をやっているところがございます。ただ源泉で特別徴収する人につきましては、これは月割りで月給をもらいますときに源泉で差し引いていくものですから、自動的に納められていく、そういう部分につきましての表彰というふうな制度は承知しておりません。しかしそういうこともかねまして、労働者に対する施設を充実していく、そういうふうなことが現実の問題になった団体があるように承知しております。それはけっこうなことじゃないかというふうには思っておるわけでございます。ただ税金を納めればお返しするという考え方だけはぜひ避けていきたい。ほうびをもらわなければ税金を納めないのだということになっては困るという考えは持っております。それからもう一つ徴収義務者に対しまする取扱い費の交付の問題、これは従前あった制度をなくしたわけであります。国税もなくしたわけであります。これは所得税と関連するものでありますから、地方税だけでどうこうす名わけにもいかないんじゃないだろうかというふうに思っております。相当な財政負担にもなることを一緒考えていかなければならないのじゃないかというふうに思うわけであります。
  254. 北山愛郎

    ○北山委員 今の話ですが、これは例の報奨というか、表彰といろか、やはり町で実際やっているので、たしかどっかでせんだって問題があって、奥野さんはラジオかなんかで違法は違法だというようなことで突っぱねたようなお話をしておったのですが、そうすると、税金をくっつけないで報奨というような形でやるならば差しつかえない。何%入ったらその何%納まった税金の何%を返すというふうな条例では困る、しかし一応形としては切り離して、そうして報奨条例というようなことならば差しつかえない、こういうふうに解釈していいですか。
  255. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 納税義務者のあり方、これは普通徴収の場合においては、自主的に税金を地方団体に納付してもらうわけでございますので、その違いが出て参るわけでございます。そういうような自主的な努力を期待する意味において、報奨という問題があるのじゃないだろうか。しかし源泉徴収の場合においては、自主的な努力とかいう問題がないんじゃないだろうか。その結果はまた逆に五島さんが指摘されますように、強制的に徴収されておるんじゃないか、それをどう考えるかということになってくると思います。ただいま北山さんの言われました報奨という問題を考えますと、自主的な努力がどの程度なされているかという問題から報奨という問題が起るのであって、源泉徴収の場合はそういうことは起らないんじゃないだろうかと思います。
  256. 北山愛郎

    ○北山委員 これは源泉徴収だから当りまえの義務であって、かりに一〇〇%やっても当然だというようなことは、これは理論であるかもしれませんが、しかし実態とは非常に離れていると思います。やはり地方団体においては何もそんな報奨金を出したくないのですよ。出したくないけれども、その方が実態に合うから何とかしてリベートを出したいと思っている団体がたくさんあるわけです。それが実態なんです。だからそれを、まともから法律にぶつかるといかぬけれども、合法的に、たとえば報奨というような形でやるならば自治庁としては大目に見るかどうか。率直に言えば、たとえばほかの問題として工場誘致条例なんかも違法だという御回答を得ている。そうしてそういう通達が出ておるはずです。ところが実際にはその通達によって、工場誘致条例によって誘致された企業の固定資産等については、税の減免をやっていることをほとんどやめておらぬでしょう。実際に違法をやっている。だから、それもまたそれぞれの地方における一つの実態といいますか、要求があるということからそうなっているのだと私は思うのですが、今のリベートの問題も、やはり実際の必要というならば、まっ正面から法律の条項にぶつかるならこれは別ですけれども、もしもそうではなくて、報奨とか、そういう形において規定に抵触しないような形式でやるならば、これはあながちとがめない、こういう御方針であるかどうか。これを一つ伺っておきたいと思います。
  257. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 普通徴収の場合の報奨でありましても、納めた税額の多寡に応じて割り戻しをしていくような報奨、これは不穏当だというふうに思っております。そうじゃない今行われておるような通常の報奨、特定の会合に招待をしていくとか、あるいは演劇会を催すとか、そういうようなことはあると思っておりますが、こういう意味で、たとえば特別徴収に骨折ってくれました者の報奨をするとか、あるいはまたこれに協力しました源泉徴収される者、こういう協力に対しまして感謝の意を表する、これはけっこうなことじゃないかというふうに思います。ただ税額に応じまして割り戻しをする、これは不穏当だというふうに考えておるわけでございまして、もしそういう余裕があるならば、労働者全体の施設に還元したらいいじゃないかというふうに私たちは思うわけでございます。
  258. 中井徳次郎

    中井委員 だいぶおそくなりましたが、先ほどから熱心な議論を拝聴しておって参考になりましたが、私は北山君あたりからもうお尋ねもあったのじゃないかと思うのですが、先ほどの問答を伺っておりますると、三十一年度、ことしの暮れから始まる通常国会において税制の大改正をやるというふうなお気持のように私は承わったのでありますが、その通りであるか、もう一つ念を押しておきたいことと、それからそれに関連をいたしましていろいろと問答があったようでありますが、要するに地域的の不公平ということ、それから同じ地域の中にあって、職業別といいまするか、階級別といいまするか、これの非常に不公平、特に後者に対しましては、ほんとうに勤労者、中小企業の皆さん、あるいはまた農民の皆さんとの間に、住民税を中心とした税の不公平を原因といたしまして全国の府県、特に市町村の間に相剋摩擦が五年ほど前から起って、そうしてこれが最大の原因になっている。これは今の自治体運営の一番大きなガンであるというふうに考えておるわけでありまするが、この点について抜本的な改正をするというふうなお返事であったように伺うのです。むずかしい内容のことについては省略いたしますが、そういうふうに了解をしてよろしゅうございますか。政務次官よりちょっと伺いたいと思います。
  259. 早川崇

    ○早川政府委員 たびたびお答えいたしましたように、三つのそういった各市町村のアンバランス、また業種別のアンバランス、さらに今のような方式で所得のあるところに課していくというやり方、資産のある人との問題、この三点はすべてこれ税の基本問題にも触れる重要な問題でございます。従って、税制の根本的改革の中には、当然これを入れまして再検討いたしまして、不公平ありと断定されました結論が出ますれば、その線に沿って三十二年度においては考慮する、こういうことでございます。
  260. 中井徳次郎

    中井委員 それで、その改正の時期は通常国会において改正案をお出しになるのでありますか。
  261. 早川崇

    ○早川政府委員 まだ税制全般の調査会の結論は出ておりませんが、結論が出れば当然三十二年度ということになります。
  262. 中井徳次郎

    中井委員 そういうことになりますると、実はあなたが御出席になる前に遊興飲食税の公給領収証の問題で大臣と問答をしたわけであります。与党におかれましては公給領収証の廃止の問題を次の国会に、というふうな文句を使っておるのであります。私どもはあなた方の御意見と同じであります。税体系というのは総合的に判断をしていかなければならぬという観点からいくと、次の国会というのは通常国会であるというふうに私どもは了解をしたいのであります。そうあるべきであると考えておりまするが、その点について次官の率直な御意見を聞かしていただきたいと思います。
  263. 早川崇

    ○早川政府委員 この問題に関しましては、昨日私も御答弁申し上げましたように、党の幹事長談話で拝見したわけでございまして、これをどういうふうに修正するか、どういうふうに再検討するか、政府といたしましては、是非を論ずるわけには参らないのであります。
  264. 中井徳次郎

    中井委員 政府としては是非を論ずるわけには参らぬのならば、政府の提案として次の国会で修正をする、臨時国会で修正をするというふうな考え方は断じて持っておらぬというふうに了解してよろしいですね。
  265. 早川崇

    ○早川政府委員 臨時国会を開くということもむろんきまっておりませんし、また公給領収証をよりよく改正する案が出れば、むろんこれは政府としては異存はないわけであります。われわれは昭和三十一年度のただいま提案いたしました予算の中には、修正はいたさぬということでございまして、将来の問題は何とも申しかねます。
  266. 中井徳次郎

    中井委員 おかしいじゃありませんか。あなたは先ほどから税体系というのは総合的に判断をしなければならない、これは当然だと思うのです。従って年度の途中や何かでそうごたごた変えられては困る。こういう点から言うと、私がお尋ねしましたこのことに——別に私はひっかけているわけじゃない、当り前のことだと思うのです。党がきめたら、それくらいの抵抗を政府がようやらぬのですか。私はそれで政府から改正案はお出しになる意思はない、こういうふうに受け取ってよろしいのかと申しておるのでありまするから、私はその通りお返事をいただいても、別にどうも差しつかえないように思うのですが、どうなんですか。
  267. 早川崇

    ○早川政府委員 たびたびお答え申し上げましたように、われわれは今国会に公給領収証の案が出ましたが、これは困るということで拒否をいたしましたが、将来どういう案を党で出してくるか、実はその内容も関知をいたしておりません。従ってこれについて今ここで是非を論ずるわけにもいかないし、また臨時国会を開くということも聞いておりません。もし通常国会にそういうことをやるとなりますと、当然昭和三十二年度ということになります。従ってただいまは是非を論ずる段階ではないと申し上げたのが真意でございます。
  268. 中井徳次郎

    中井委員 そんな党の事情などを聞いているのじゃないですよ。党の案がいいとか悪いとかいうことを聞いておるのではありません。政府がお出しになる意思はないのであろうと私どもは信じておるが、その通りでいいか。政府考えです。
  269. 早川崇

    ○早川政府委員 ただいまは、むろん公給領収証の問題を改正する意思は持っておりません。
  270. 中井徳次郎

    中井委員 それからこれは先ほど五島さんからもお尋ねがあり、また北山さんからも関連して質問がありましたが、報奨金の問題あるいは表彰の問題についてでございます。これはこういうことがどうして起ったかというと、やはり非常に不公平であるから起ったのでありまして、一応法律的には一定の率によって払い戻しをするなんということはいけないというのは、その通りであろうと思います。またそのことは、全国の市町村長及び議会においてはよく私は存じておると思う。税金を百とって六つ返す、七つ返すんなら、初めから九十三とっておけばいいじゃないか。わかりきったことであります。にもかかわらず全国においてはこれはもう数多く行われておる。中にはこのために背任罪で訴えられまして、今裁判しておる。これは佐倉宗五郎にみんななっておるのです。全国の市町村長は、現実は佐倉宗五郎になっております。私は実績に徴するに、おそらく半数以上やっておるのだろうと思う。形はいろいろあります。先ほど奥野君の話のように勤労者に施設として返す人もありましょう。しかし何か法律的には禁止されたかもしれぬが、源泉徴収の事務を扱っている人につけ届けをしてみたり、あるいは中には一ぺん集めて一ぱいごちそうしてみたり、あるいは初めから所得を目をつむって二割天引きしてあとの者にかけてみたり、いろいろのことを私はやっておると思うのだ。ですから、今度の改正案のときには、この関連については、ぜひとも私はきれいな整理をしてもらいたい。抜本的な改正をなすって、今のような不公平がなくなりましたら、こういうものはもちろんなくなりますよ。これはいわゆる必要悪なんです。この必要悪をこのままにしておかれるかどうか、私はこの点についてあなた方のお考えは実に甘いと思う。具体的に例を御存じだと思うが、広島県の三原の市長が三年ほど前に訴えられました。今第一審が有罪かなんかで第二審で争っている。そこで三原の市長は非常に悪いことをしたやつだからというので、その次の選挙に落選するかというと、ゆうゆうと当選している。これはもう非常に強敵を相手にしてやりました。当人はまだほかにも一、二そういう事件があったにもかかわらず、この佐倉宗五郎のために、大いにあれは偉いやつじゃということになって、ゆうゆうと当選しているということがあるのです。私は、こういうことについてはあまり正面切っての法律通りの御回答をなさっておっては、どうも問題はあとに残るように思うのでありますが、そういう意味において、もし来年やるというならば、こういう問題はぜひとも率先してやってもらいたいものであると思います。こういう点について政務次官の政治的な判断を聞いておきたいと思います。  これはもう一つつけ加えますが、政務次官の出身の和歌山県から三年ほど前に、これをやってはいかがでございますか、これをやっても違法じゃないと思いますが、どうですかという問い合せが、県の総務部長から自治庁に来ております。自治庁は、それは違法であるという返事を出して、その写しを全国の府県市町村に流しまして、全国の府県市町村はまことにそのことのために大弱りをしている。みなきょうから佐倉宗五郎になったなということなんであります。そういう事実についてはもっと正確に把握なさって、私は政府としても対処をしてもらわねば困ると思うのでありますが、どうですか。
  271. 早川崇

    ○早川政府委員 こういった問題は、国税の所得税には起ってないわけでありまして、地方税に起っているという問題でありますが、先般来申し上げました税の不均衡という問題とあわせ考慮いたしまして、そういう問題は再検討いたしたいということをここに申し上げておきます。
  272. 中井徳次郎

    中井委員 きょうは時間がありませんから、この程度にして、あしたまた続きをやりたいと思いますが、奥野君にちょっと申し上げておきたい。この間私がお尋ねしたときも、きょうも、オプション・ワン、ツー、スリーのいろいろな関係でどれくらいよけいに税金をとっているかといえば、九十三億という回答がありました。私は九十三億は実際少い、もっとうんとあるのではないかと思う。ちょっと見ましても、個人の所得割だけで四百二十九億という数字であります。これから考えまして、私はせいぜい五割、六割くらいの差であるというふうにきのう申し上げておいたのですが、先ほど北山君の意見なんかを伺いますと、東京都などに比べると二倍半になっているということになれば、私は九十三億は少い。従って住民税に手をつけられる限りは、もう少し正確な資料をお持ちになっておやりにならぬと、またまた市町村の税収入に大きな穴があくんじゃないかということをおそれますので、ちょっとお尋ねをいたしますが、確かに九十三億でいいですか。
  273. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 北山さんが二倍半とおっしゃいましたのは、極端な市を引かれた、こういうふうに思っております。事実例外的にはそういうところがございます。それが一般的だということはございません。なお九十三億で第一方式による場合よりも六割以上増徴している、こういうことになるわけでございます。五大市を初めとしまして、所得税額の非常に多いような大都市におきましては、第二方式、第三方式を行なっておりませんので、団体の数からいいますと、第二方式、第三方式が多いのでありますけれども、税額としては大体半々だと考えていいと思います。そうしますと、結果においては六割の増徴をしたというようなことになるわけでありまして、そう大きな開きは実績にはないのじゃないだろうかと思っております。
  274. 中井徳次郎

    中井委員 私もそのように考えまして、なるほど四百二十九億もあるけれども、大都市の百分の十八が多かろうと考えたのですが、今の御返事のように、これは半分にいたしましても二百億ということになる。どうですか、それの六割というと百二十億ということになりまするし、どうもこの点はあなた方少し甘いのじゃないか。これは議論じゃありません。事実のことについて申し上げるのです。何も私は九十三億が間違っておるという御回答を得ても、それ見ろというふうな気持でお尋ねしておるわけではないので、もう少し正確にお調べをいただいたら、案外多いのじゃないかと思う。そこでいよいよ昭和三十二年度で大改正をやろうと思ったが、この壁にぶつかって、そうはやれないというふうなことになってはまことに困ると思うので、ちょっとお尋ねをいたし、なおお尋ねしたいことがありますが、きょうは何ですから、明日に一つ延ばしていただきたい。
  275. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 第一方式によりますものは税額で半分、その他のものが半分と、こう考えておりまするが、第一方式によりまする分の徴収見込額が百五十億三千三百万円であります。それから第二方式、第三方式によりまする分の徴収額が二百四十三億三千七百万円、合計いたしますると、三百九十三億七千万円になるわけでございまして、このほかに前年度から滞納になって繰り越されておる分がございます。この分の徴収額が三十四億六千八百万円、総計いたしまして四百二十八億三千八百万円と、こう見込んでおるわけでございます。
  276. 大矢省三

    大矢委員長 それでは本日はこの程度として、明日は午後二時から開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後七時二十三分散会