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1956-03-01 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月一日(木曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君    理事 古井 喜實君 理事 吉田 重延君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       青木  正君    唐澤 俊樹君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    堀内 一雄君       山崎  巖君    川村 継義君       五島 虎雄君    櫻井 奎夫君       門司  亮君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   栃沢 助造君         参  考  人         (地方財政審議         会委員)    荻田  保君         参  考  人         (私鉄経営者協         議会事務局長) 足羽 則之君         参  考  人         (横須賀市長) 梅津 芳三君         参  考  人         (大阪町村会         長)      広瀬  勝君         参  考  人         (大阪税務         長)      播磨 重男君         参  考  人         (熊谷市長)  鴨田 宗一君         参  考  人         (日本トラック         協会常務理事) 小野 盛次君         参  考  人         (全国石油協会         会長)     森平 東一君         参  考  人         (全日本通運労         働組合組織部         長)      伊藤 久夫君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 三月一日  委員小澤佐重喜君、山崎巖君及び横山利秋君辞  任につき、その補欠として堀内一雄君、林唯義  君及び坂本泰良君が議長の指名で委員選任さ  れた。 同日  理事北山愛郎君二月二十七日委員辞任につき、  その補欠として同君が理事に当選した。     ————————————— 二月二十九日  市町村公平委員会存置に関する請願山口丈太  郎君紹介)(第九一八号)  私鉄に対する事業税改正に関する請願小西寅  松君紹介)(第九一九号)  同(松田竹千代紹介)(第九二〇号)  同(小笠原八十美紹介)(第九二一号)  同(久野忠治紹介)(第九二二号)  同(坊秀男紹介)(第九二三号)  同(南條徳男紹介)(第九二四号)  同(西村榮一紹介)(第九二五号)  市町村職員共済組合法の一部改正に関する請願  (木原津與志君外三名紹介)(第九二六号)  木材引取税撤廃に関する請願山本幸一君紹  介)(第九二七号)  同(纐纈彌三君紹介)(第九二八号)  同(三田村武夫紹介)(第九五〇号)  地方税法の一部改正に関する請願堤康次郎君  外四名紹介)(第九二九号)  同(高村坂彦君紹介)(第九三〇号)  同(塚原俊郎紹介)(第九三一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  小委員補欠選任  連合審査会開会に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六九号)について参考人より意見聴取     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  本日は、地方税法の一部を改正する法律案について参考人より意見を聴取いたします。  御出席になりました参考人は、ただいま各位に配付した名簿通りでございますが、なおお手元の名簿の午前中の部に漏れておりまする横須賀市長梅津芳三君も参考人として御出席をいただいております。  参考人皆さん一言委員長よりごあいさつを申し上げます。各位には遠路御多忙にもかかわらず本委員会のために御出席下さり、まことにありがとうございました。実務に携わる皆さんの御意見は、本案の審査の多大な参考になるものと思いますので、忌憚なき御意見をお述べ下さいますよう、ごあいさつかたがたお願いを申し上げます。  それでは順次御意見を承わることといたします。日本放送協会経理局長栃沢助造さん。
  3. 栃沢助造

    栃沢参考人 NHK放送事業発展につきまして、委員各位の深い御理解と御支援をいただいておりますことを、この際厚く御礼を申し上げます。つきましては、当委員会において御審議中の地方税法の一部を改正する法律案並びに国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案によりまして、三公社並びにNHK業務用施設全般について固定資産税が課せられる御趣旨のように承わっておりますが、この点につきまして、NHK立場から御意見を申し述べたいと存じます。  NHKは、御承知通り放送法によりまして、公共の福祉のために日本全国においてあまねく受信できるように放送を行うことを目的とする公共企業体でございます。過去三十年にわたりまして、全国市町村に百十局の放送局を設置して、その電波全国の九九%をカバーして、都市といわず、農山漁村とを問わず、各地域社会文化向上発展に寄与して参ったのでございます。  さらにテレビジョンにおいても、一日も早く全国普及をはかる目標で、まず東京、大阪、名古屋に開局いたしまして、近く広島、福岡、仙台、この三局も開局する運びになっております。なお来年度におきましても、札幌、函館、静岡、岡山、小倉、熊本、鹿児島、松山の八つの地区にもテレビジョンの開局をするように着々計画を進めておるのでございます。このNHKの膨大な置局計画は、国会テレビジョン放送実施促進決議と、全国民の大衆皆様要望にこたえんとしておるものでありまして、またNHKは全国民大衆基盤の上に立つ公共放送でございまして、その番組一つ一つ全国民の日常生活に密接に直結し、国民文化発展向上に尽す使命責任をになっているからでございます。NHKがこのような法律上の使命責任を持っておりますので、NHK現行地方税法において本来の業務施設については固定資産税が課せられない、非課税事業体として除外されておるものと考えるのでございます。しかるに今回地方財政赤字補てんのためにNHK業務施設全般課税されようとすることは今後のラジオ及びテレビジョン普及発達の上から見ても、国民文化向上促進という点から見ましてもはなはだ遺憾に存ずるものでございます。とは申し上げましても、NHKは当面の地方財政の窮乏に目をそむけるものではございません。むしろNHKのよって立つ基盤全国市町村であり、また全国受信者皆様でございますので、その基盤健全化については全力をあげて協力を申し上げていることは申し上げるまでもないのでございます。  つきましては今回の地方税法改正により、NHKに対する影響を申し上げますと、NHK固定資産所在市町村全国約五千市町村のうち約百十カ町村でございまして、これら市町村に納税する額は初年度二千百余万円、平年度は四千二百余万円程度のものでございます。この額は見方によりましては大した額とは申せないと考えられますが、御承知通りNHK運営財源は、全国世帯数一千七百九十五万世帯の内約一千三百万世帯受信者皆様から支払っていただいておる税的性格受信料でございます。この受信料によって全国放送網が整備されて、NHK電波全国の九九%をカバーしているのが現状でございます。NHKといたしましては、この一千三百万世帯受信者皆様から支払われる受信料が、たまたま放送局設置立地条件に該当して設置された所在市町村にのみ、今回の地方税法改正による固定資産税が徴税せらるる法律改正の建前に疑問を持っておるのでございます。私どもの気持といたしましては、税的な受信料は支払っていただいている一千三百万世帯受信者要望に基きまして、全国的な置局増力計画を進め、そのよい電波でよい番組を送って公平にお返ししなければならないものと考え事業運営に当っておるのでございます。またテレビジョンにおいても、国の政策として当面の地方財政赤字救済を急ぐのあまり、一国の最も大切な文化政策を等閑に付して地方文化向上の芽をつむ方策はとらるべきものでないと考えておるのでございます。  この意味において、NHKといたしましては、NHK財政の許す限り、一日も早く地方農山漁村のすみずみにまで明るい楽しいNHKテレビジョン電波が普及するようテレビジョン置局計画を進めているのが現状でございますので、たといわずかでありましてもNHKに対する固定資産税を免除してNHK財政力を強化するようにお力添えいただくことがひいては地方財政健全化する近道になるのではないかと考えておるのであります。従いましてNHKといたしましては、NHKに負托されております使命責任から、今回の税法改正の際においてもNHK非課税事業体としていただきたいと考えるのでございます。もしかりに課税される場合においても三公社に対してとられんとする資産範囲評価基準非課税物件税率及び賦課期日等については同等の条件をそのまま地方税法中の関係条項に特例を設けていただきたいと存ずるのでございます。  このような考え方に立って、NHK要望いたしたいことは、まず第一点といたしまして、現行地方税法においてNHK等非課税事業体と指定されております理由と今回の地方財政赤字補てん実情とを考えあわせて、この措置を当面の地方財政救済のやむを得ない措置であると認めるにいたしましても、今回の措置は当然その緊急必要性のある時限的なものでなければならないものと考えざるを得ないのであります。  第二点といたしましては、NHK施設はすべて電波効率的使用立場から全国的な普及計画のもとに設置されておりまして、放送は、放送局の設置されたその所在市町村のみを対象とするものではなく、広く電波到達範囲市町村対象として設置されているのでございます。従いまして所在市町村にのみ納税することは、さきにも述べましたように受信料を支払っていただいている広い受信者の側から見ましてもはなはだ矛盾するものでございまして、この意味においてはNHKが納税するにしましても一括納付の方法をとって、その配分はわずかなものにはなりますが全国市町村受信者数基準として公平に配分されることが理論的にも正しいのではないかと考えるのでございます。このことは、NHK固定資産所在するわずか百十カ町村赤字救済のために、それ以外の全国赤字町村受信者の支払われた受信料か納税されるという、法律改正の意図とは全然反対な現象が現われるのでございます。  第三点といたしましては、NHK施設無線工学進歩発達により新陳代謝の激しい機械設備を中心とするものでございまして、常に近代化をはかる必要性がございますので、施設の性質から見た適正な耐用年数に基いて順次更新されており、これが評価は、毎年度決算において、財産目録貸借対照表に掲げ、会計検査院の審査を経て国会の承認を経ているのでございます。従いまして、NHK固定資産課税範囲及び課税評価額はいずれもNHK財産目録貸借対照表に掲げる正味資産とすべきものと考えるのでございます。また税率は、三公社を百分の一・四となさるならばNHKも当然百分の一・四であるべきであって、三公社と何ら差別する理由がないものと考えておるのでございます。また全国受信者の支払われる受信料性格から見て、単に所在市町村側の条例の決定の仕方により、百分の一・四から百分の二・五と全国的に差別がつくことは納得できないのでございます。しかも、百分の二・五の高率を決定しておられる市町村は、その地方要望国家目的から放送局を設置したものであって、全然採算のとれない地域が多いのでございまして、その採算のとれない点を全国採算運営している実情からみましても、はなはだ当を得ないものではないかと考えておるのでございます。  第四点といたしましては、NHK技術研究所文化研究所並びに職員養成所は、広く学界、無線工業界放送界発展のためにその成果を公開し、または利用させる研究機関教育機関でございますので、当然非課税物件として免除さるべきものと考えております。  第五点といたしましては、NHK決算法律により三月三十一日と定められております関係上、賦課期日につきましても、三公社と同じように、前年の三月三十一日現在の当該固定資産の価格を、一月三十一日までに当該市町村に申告するようにしていただきたいと存じます。  以上申し述べましたように、NHKといたしましては、NHKがその基盤とする市町村地方財政救済の必要を、対岸の火災視して傍観したいと申しておるのではございません。さきにも申し上げましたように、むしろ積極的に地方文化向上させることによって、明るい楽しい市町村を作る方向に向って、皆様とともに協力いたしたいのでございます。このためには、わずかな課税をするよりは、国の文化政策として、一日も早くNHKラジオネットワークが整備されること、慰安の少い農山漁村にもNHKテレビジョン電波が見えるように、ネットワークの完成をさせるべきでございまして、これがまた地方受信者皆様の耳であると考えるのでございます。  以上をもちまして、固定資産税に対するNHK意見を申し上げる次第でございますが、何とぞ私ども意見をおくみ取りの上、御審議のほどをお願いいたす次第でございます。
  4. 大矢省三

  5. 荻田保

    荻田参考人 この地方税法案並びにその他の点につきまして、私の考えまけところを申し上げたいと思いますが、全体といたしまして、現在御提案になっております考え方に私は賛成でございます。従いまして、この中に含まれることについても申し上げたいと思いますが、そのほかに二、三これに関連しまして、多少法案自体範囲を逸脱するかもしれませんが、つけ加えることをお許し願います。中身は非常に多岐にわたっておりますが、幸いちょうだいいたしました地方税制改正案要綱というものがございます。その第一に改正方針というのがございまして、四つの方針を掲げておりますので、この項目につきまして申し上げます。  まず第一に、ここに非課税規定範囲の縮小ということをうたっておるのでございますが、これは私としましてまことに賛成でございます。これはひとり地方税だけでなく、国税一般を通じて考えるべきものだと思っております。こういうことを申すのは何でございますけれども財政学の本などを見ますると、租税原則として初め言い出したころは、平等の原則ということが、租税について非常に大事だということが言われております。これは当時の封建政治貴族政治にあっては、特権階級としてこの租税を払わない者があった。これがいけないんだということを民主主義を打ち立てるために強調したのが、民主主義財政原則の大きな現われであると思います。そういうことを現代においていうのは、いかにもとっぴのように思われまするが、実は逆にこの民主主義と申しますか、こういう傾向になったがゆえに、かえって非課税規定がふえているということは、これは非常に租税を乱すものであって、おもしろくないと思います。もちろん産業政策上、国民生活上いろいろ考えなければならぬ点があると思いますが、そういう問題は、これは租税とは離れて別に実行すべきであって、租税に対してそういう問題を入れますことは、これを非常にあいまいにすることでありまして、いわゆる、昔の租税平等原則ということを非常に強調しなければならない時代ではないかという感じがするのであります。具体的に今回免税規定の整理が相当なされて、その一つとしまして、国の財産及び公社等に対する税、これは税という名前を避けているところもありますが、私はまことに賛成でございます。  その理由としましては、一般的に税を負担するということは当然のことでありますが、ことに地元地方団体との受益関係ということを強調しなければならないと思います。この受益関係を強調するということは、次の項目にも、受益者負担制度を拡張するというような考え方が出ておりますが、多少違うかと思いますけれども、そういう思想をもっと入れなければいけない。そういう意味におきまして、この三公社課税あるいは国有財産に対する課税のありますことは、適当だと思います。こういうことを引き合いに出して恐縮でございますが、ただいまNHKの方の説明によりますと、何か赤字補てんのために、赤字の犠牲になっていかがかというようなお話でありますが、私はそういうふうには解釈しない。地方団体赤字財政で困っておれば、これを救済するために課税するというのじゃなくて、そもそもこういう三公社等に対しては、課税するのが筋合いの問題だと思います。従いまして、簡単にその点を表現するならば、かりに、ここに課税したから地方財政赤字でなくなって金が余っておれば、それはそのほかの一般大衆の税を減税すればいいのだと思います。たとえば今回の措置で、平年度において百億の課税になっておりますが、かりにこれを一般大衆の税に考えますと、たとえば市町村民税にいたしまして約二千万人くらいの納税者があるのでありますから、一人当り五百円程度の減税ができる。逆にいうと、これを課税しなければ五百円程度均等割——均等割で取るのがいいとか悪いとかいうことは別として、五百円程度のものが負担になるわけでありますが、そういう比較の問題において考えるべきであって、単に赤字救済の手段に使うというような考えではいけないと思います。  それからもう一つ、やはり受益ということを考えなければいけないのでございまして、その意味におきましては、そういう事業が存在する団体において、そのためにその団体が特に財政上、行政上の負担がかかっている。こういう意味において課税するのでありまして、たとえばラジオならラジオに対しまして消費税を取る、つまりラジオ税を復活する、あるいは鉄道でありますれば通行税を取る、こういう考え方ではなくて、やはり地元団体との受益関係考えるのでありまして、これは何らか関係のある——単に聴取者があるという意味ではなくて、その公社等受益関係のある団体が取るべきだ、こう考えます。従いまして、これは地方税という形になるのがよいと思います。今回の案では、いわゆる交付金納付金というような形をとっておりますけれども、これはいろいろな関係もありましょうが、むしろ地方税というすっきりした形にした方がなおよかったのではないか、こう思うわけであります。  その他、これだけ整理されますと、かなり前から問題になっておりました点、金額の上において大きな問題になっていた点が解決するのでありますが、そのほかにもいろいろ問題があると思います。一般的な産業上の見地その他いろいろな点から免税になっているという点もたくさんありますが、なお今回の三公社あるいは国有財産関係しまして、この範囲内においてもまだ問題があるのじゃないか、こういう感じがします。それは、政府一般行政用財産について、今回は含まれていなくて、なお地元に対して相当影響のあるもの、これは過去において、軍港地におきまして海軍助成費というものが出ておりましたが、これも一つのそういう考え方だと思います。従って、そういう性格のものがあってもしかるべきではないか。従いましてたとえば自衛隊の関係あるいは国連軍関係、こういうところに対しまする一つ課税あるいは課税に相当する措置というものがあってもしかるべきではないかという考えを持っております。第一はこれで終ります。  第二は、受益者負担的な税収入増加、これはまことにけっこうであります。都市計画税、それから軽油引取税これもけっこうだと思いますが、この法案以外ではございまするけれども、一昨年から揮発油に対する目的税的な、これは譲与税の形のようになっておりますが、これができております。これも道路受益ということから考えまして、適当と思いまするが、ただその国と地方側との分配という点につきましては、もっと地方分をふやしてもいいのじゃないか。御承知のように、道路に対する経費の支出というものは、国と地方とを考えましても、たとえばこの揮発油税だけの割合よりははるかに地方団体負担分の方が多いのであろうと思いますから、むしろこれは公平に歳出の量に応じて分けるように、もっと地方分をふやすべきではないかという感じを持っております。  それから次の税務行政の規律の明確化、これはまことに当然なことでありまして、シャウプ勧告によりましてできた税制は、ある程度こういう考えを持っておりましたが、何分にも日本実情に合わないというようなことで、適当でないところがありましたので、たしか二十九年の改正以来、こういう面におきまして着々改正になっておりますのは、よい方向だと思います。ことに一番地方税で問題でありました遊興飲食税につきましても、昨年以来公給領収書制度がとられましたことは、これも非常にけっこうなことだと思います。ただまだ施行後日浅いから、多少そのための適当でないところがあるかと思いますが、そういうところは直すことによってこの制度はぜひ維持されるべきだと思います。今度の法案の中にも、制度の上においてもある程度の手直しと申しますか、徴収猶予制度等ができておりますが、こういう制度の面において是正するとともに、運用の面におきましても、関係者協力してこの制度を盛り立てるというふうにいくのが適当ではないかという考えを持っております。  それから四番目の財源調整機能を強化するということでありますが、これがわれわれ聞いておりますところによりますと、この政府案としてここに提案される前に、相当いろいろなことが考えられたようでございまするが、私は根本的に、この現在程度税制のもとにおいてあるいは財政状態のもとにおきまして、非常に富裕団体があって、そういうところの税収入を取り上げてほかへ回すのがいいのだ、こういうふうな考え方については全く反対でありまして、現在程度におきましては、あるいは中には二、三例外があるかと思いますけれども原則として今非常に超過団体であって、その金がだぶついている、こういうような団体は私はないと思います。従いまして初め伝えられておりましたような法人事業税も、法人税割も取り上げる、入場譲与税交付税にするというような考え方反対であります。せいぜい今回の案に出ておりましたような程度でけっこうだと思います。  以上でここにあげられておりました方針に対しましての意見を私は申し上げたのでありますが、ついでにこれを離れましてもう少し広い意味におきまして地方税全般について触れさせていただきたいと思います。  第一にこの地方財政の問題はいろいろ問題がありますが、地方税だけにしぼりました場合に、何といいましても地方税の分量が少い。つまり地方歳入中における割合が少い。今度の改正によりまして昨年よりは多少増加になっております。私の計算では去年が三六%ぐらいだったのが、三八%ぐらいまでふえているようでありますから、その方向に向くのでけっこうでありますが、私はなおもっとこれが増加するような措置考えなければならぬのではないかという感じを持っております。その場合にどういうふうな改正の必要があるかということでありますが、これは一つは、そもそも地方税でふやすだけ国民負担をふやすということ、いわゆる地方税を通じての増税でございますが、これはおそらく現在の国民負担の現況から見てもできない相談であろうと思います。従いまして国税と地方税との割り振り、割合ということを考えて、つまり国税を減らして地方税に持ってくる、そのかわり地方の歳入中のいわゆる国庫からもらっているような依存財源的なものを減らす、そういう形において改正すべきではないかと思います。先ほど申しましたように、全国的には税収入の占める割合は三八%になっておりますが、これが後に申します税源の偏在のために、むしろ多くの団体はこれよりはるかに少い比率を占めている。こういうことでは自治団体としての行政と申しますか、そういう面から見ても自主性がありません。また財政的に見ましても、やはり財政節約、財政の効率化ということを考えるには、何と申しましてもその金を使う人、つまり行政を行う人が自分でもって税金をとる苦しみを知った上で金を使う、この考え方が強くなければ、私はとうていこの財政膨張は避けられないと思います。そういう意味におきまして現在地方財政中にこの税収入の占める割合が少いということは、そういう財政的、行政的両面から見まして、非常な欠陥だと思う。従って税収入をふやすべきだ。その場合に直ちに起りますことは、今申しました偏在の問題であります。私は、現在程度においては偏在して、超過団体は非常に少いと思いまするが、これを相当大幅に増加するということになりますると、ここに超過団体というものが出てくると思います。従いましてこういうものに対する措置は何らかの方法を考えなければいけないだろうと私は思います。逆にこれを、超過団体が非常に出てくるということをおそれて、税収入をふやさないといたしますると、かりにわかりやすく具体例を申しますれば、四十六都道府県をつかまえましても、おそらく超過しているのは東京、大阪の二つ、あるいは神奈川が多少あるかもしれませんが、その程度の四十六のうち二つか三つの問題の方を頭に置いてこれに合うような税制ということで考えていきますれば、あとに残ります四十三の団体につきましてはきわめていびつな形になる。すなわちこれは逆に考えましてその四十三の数の多い方に適応するような税制を作って、そこで二つか三つか四つか、幾つかわかりませんが、多少出るいびつというものはほかの方法で直すという方向に行くべきではないかと思います。その場合増加する、つまり国と地方との割合において地方税増加する場合に、どういう税種になるかということでありますが、これは結局のところ、わが国の国税、地方税を托じまして所得税系統のもの、つまり国税、所得税、法人税、府県民税、市町村民税、それと酒、たばこに対する消費税、これでもって大体税の中の七〇%の部分を占めております。従ってこの比率というものはそう動かせるものではない。従って相当大幅に地方税をふやそうとすれば、結局この税、具体的に言いますれば、所得税系統におきましては、府県民税、市町村民税増加という形になる、それから酒消費税、たばこ消費税増加という形になります。ただ酒につきましては、おそらく課税技術的になかなかむずかしい点があると思います。結局、そうなりますると、今の府県民税、市町村民税あるいはたばこ消費税の増額の問題になってくると思います。  次に税増額内部における負担均衡の問題であります。これはいろいろの問題があると思いますが、一つは直接税、間接税の比率ということがあります。現在の税制につきまして、直接税の比率が割合重過ぎる、従って直接税を下げる、そのかわり間接税をふやすという案があることが言われております。その場合、間接税をふやそうとする場合に、結局のところ、一般売上税的なもの、取引高税的なもの、そういう流通税的なものを新しく作ったらどうか、こういうことが言われております。この考え方はまことに一理あるのでありまするが、ただそういう税を課する場合に、結局この地方税中の信実税との間の不均衡をどうするかということが大きな問題だと思います。従いましてこれはいろいろ申したいことがありますが、時間もありませんので簡単に結論を申し上げますれば、やはり事業税を外形標準的なものにしていく、あるいはもとの附加価値税、附加価値税を全部入れることができなければ何らかの折衷的な方法、あるいは売上税的な色彩を入れる、こういう方法によって改正していくのがいいのではないかと思います。そうなりますと、現在の事業税が昨年でございましたかの改正から、課税標準を前のような純益課税ということに性格的にきめないで、純益または売上金額、こう二つにしておりますのは、この方向に向っていくべきだという考え——全体を改正するのは当然よいと思いますけれども、その場合におきましても、現在二、三あります外形標準課税はそういう意味において維持していくべきではないか、こう思うのです。  それからもう一つ、最近問題になっております負担という面から見てでありますが、農業の税負担は軽いから、これを増加するような方向をとる、そこで具体的に農業事業税ということを言われておる向きがあります。私は今の形の事業税において、単に商工業だけではなくて農水産業の方面に課税するということも一案だと思いますが、これにはいろいろ問題がある。結局農業に対する課税については、むしろそれを考える前に、現在所得税あるいはそれに基く府県民税、市町村民税、その基本になる所得の査定というものにもっと国税関係——承知のように府県民税も市町村民税もすべて国税で決定したものを移用しておりますから、国税の方の課税を的確にすることが大事だ、これを的確にしないでかりに事業税を取っていっても、この負担を是正することはむずかしいように思います。それと、もう一つ固定資産税評価、農業に対する税は土地に対する税、こういう考えから、固定資産税評価が時価の何分の一にしかなっておりませんが、これを徐々に伸ばすという方法によって解決できるものではないかという考えでおります。  以上取りまとめて、問題になっております地方税、及びこれ以外の地方税の問題について所見を申し上げました。
  6. 大矢省三

    大矢委員長 次に私鉄経営者協会事務局長足羽則之さん。
  7. 足羽則之

    ○足羽参考人 私は私鉄経営者協会の足羽でございます。私鉄事業税につきまして陳述の機会を与えられましたことを御礼申し上げます。  地方鉄道軌道、いわゆる私鉄でございますが、これの事業税につきましては、現在その収入金額に対して課税をされております。これを所得課税にしてもらいたいということは昭和二十五年の地方税改正以来私鉄全体の非常に強く希望しておる点でございまして、いろいろな機会にその意見を申し上げて、その実現を希望しておるのでございますが、現在までのところその実現を見ていない次第でございます。今回の地方税法改正に当りまして、ぜひともこのいわゆる外形標準課税から所得を基準とする課税にしていただきたい、こういう点についていろいろ御審議をわずらわしたいと考えているわけでございます。なぜわれわれがそういうふうに考えているかと申しますと、私鉄に対する外形標準課税は他の一般企業に対する所得課税と税負担の点において非常に均衡を失し、かつ負担が過重ではないか、こういうことをわれわれはまず第一点として考えているわけであります。私鉄に対して外形標準課税をとられる理由としてまずあげられております点は、地方税制度としては、ただいま荻田さんもちょっとその点にお触れになったようでありますが、外形標準課税がなるべく望ましい、ことに私鉄は大企業であって、その所在している地方公共団体から受ける便益も大きいから、従って収益があるないにかかわらず、ある程度負担はがまんしてもらいたい、こういう点が私鉄が外形標準課税としてその収入を標準にして課税されておる点のようでございます。しかしそれに対してはわれわれ非常に異論があるのでございます。いろいろ外形標準課税をとることについて御議論はあると思いますが、一体なぜ限られた業種だけにこれが採用されているか。私鉄とその他二、三の事業がこういう事業税を課せられているわけでございますが、私鉄は必ずしも全体として大企業でもございません。非常に小さい施設がたくさんあるわけでございます。かつ業績も必ずしも良好でない。そういう点から考えます場合に、水揚げを基準にした現在の事業税というものは、他の事業に対する収益課税と比較して非常に負担の公平を欠くということができ、かつ負担が過重であるということが言えるのではないか、こう考えているわけであります。昭和二十九年の収入なりあるいはその所得を基準にいたしまして法律上の税額で計算いたした数字をお手元に参考までに差し上げておりますが、収入金額を課税標準とした税額は約八億六千万円の事業税になります。これが所得を課税標準といたす場合には四億二千万円。従ってこの差額は四億四千万円でございます。所得課税の場合に比較して約二倍の税を負担している実情でございます。  次に収入課税であることと所得課税であることとの意味について御注意願いたいのは、総収入に対する純益率がよい場合、具体的に申しますと、その純益の率が一割二分五厘以上の場合には、実は外形標準課税の方が有利でございましてそれの率より低い場合は外形標準課税の方が不利なわけであります。ところがたくさんの中小私鉄は収益率が非常に悪い。従って、全部の私鉄に共通する問題でございますが、ことに経営状態の悪い自動車との競争なんかに苦しんでいる中小私鉄にとっては、外形標準課税であることは税の負担の公平を失する。先ほど申し上げたように、実際においても所得課税に比較して収益率が悪いほど負担が過重である、こういうことを申し上げたいと思うのでございます。しかもそうした地方の中小私鉄というものは、それぞれの地方の特殊事情がございまして、やめようと思ってもなかなかかってにやめられない、地方の特殊事情によってどうしてもその地方になければならぬという私鉄が非常にございまして、そういう点から事業税が所得課税となることを非常に多くの私鉄が熱心に希望しているわけでございます。  それから第二点としてよく説明されます点は、私鉄の運賃をきめる場合にいろいろな経費それから税金も含めてきめられる。私鉄の運賃は認可制度であって、いわゆる料金統制が行われて、その税金は利用者に転嫁できる、必ずしも事業者の負担にならぬ、こういう点で外形標準課税私鉄に課せられてもいいのではないか、こういう御意見があるのでございます。しかしながら、私鉄は決して独占事業ではないのでございまして、よく御承知いただいておると思いますが、国鉄あるいは自動車など、ほかの交通機関との関係で、運賃をきめられる場合に必ずしもその事業税が運賃の中に織り込んで外部に転嫁されるということはなく、事業者の負担になるというのが実際の実情でございます。従ってその意味でこういう性格事業税が私鉄にかけられてもいいじゃないかという議論は必ずしも貫き得ない。まず申しますれば完全転嫁はできない。ある場合に不完全転嫁はできるかもしれませんが、完全転嫁はできない。事業者の負担でこの税金を支払わなければならぬので、そうした意味での御意見も、われわれとしては必ずしも納得しておらぬわけであります。  それから第三点は、実情でありますが、この前の地方税法改正で自動車に対する事業税は、外形標準課税から収益課税に変ったのでございます。その際にもやはり私鉄のこの主張は非常に強くお願いをしたのでございますが、不幸にして自動車と一緒に所得課税にならなかった。地方のいろいろな実際の実情は、自動車と鉄道とは非常に競争関係に立っておる場合が多い。運送機関で片方が所得課税であり、片方が外形標準課税であるということは、われわれとしてはどうしても納得ができない。理屈から申しましても、あるいは感情的にも何か同一取扱いがしていただきたいという気持が非常に強い。また地方のそれぞれの私鉄はバスを兼業しておる場合が非常にたくさんあるのでございますが、同一会社が双方の専業を兼業しておって、片方は所得課税であり、片方は外形標準課税であるという点について、非常に強く割り切れぬものを私鉄関係の者は感じております。  以上の点はなはだ簡単でございますが、そういう点からぜひ私鉄の外形標準課税である事業税を所得課税にしていただきたいということを、この事業税の改正の機会に、私鉄関係意見として申し上げまして、御審議をわずらわし、ぜひ実現していただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  大へん簡単でございますが、以上のことを申し上げる機会を与えられましたことを厚くお礼を申し上げます。
  8. 大矢省三

  9. 梅津芳三

    梅津参考人 私ども旧軍港四都市におきましては、振興協議会というものを作りまして、いろいろ関係のことにつきまして相談をし合っておるわけであります。四旧軍港は御承知通り横須賀、呉、佐世保、舞鶴であります。私は四市を代表いたしましてこの機会に皆様のお耳をけがしたいと思います。  新たに創設せられることになっております市町村交付金、並びに納付金制度、この制度全般を見ますと、これは確かに地方制度さらに広めまして税制全般におきまして相当な進歩であると考えます。私ども利害関係の一人としてだけではなく、一般的にこのところまで国の方でお進めいただきましたことに非常に敬意を払うものであります。しかし私ども現実の立場かついろいろ考えましてせっかくそれだけのよいお考えを運んでいただきますのに、竿頭一歩を進めていただかなければ、せっかくこれだけのことを盛り上げていただきましたのに、所期のところに到達しないのではないかということを私は心配いたしておるのであります。今回の改正の基礎になりました税制調査会あるいは地方制度調査会の答申等によりましても、私がこれから申し上げますようなことを一つやっていただきませんと、ほんとうのところまでいかないのではないかというふうに考えますが、以下法案に触れながら二、三の点を申し述べてみたいと考えます。  旧軍港市の実情という点から私は具体的に申し上げてみたいと思います。それはまず横須賀そのものについて申し上げてみたいのであります。この新しい法案の第二条第三項によりますと、その六号に、いわゆる駐留軍の分は除外するということに相なっておりますが、こういうことになりますと、まことに私ども実情には沿わないのであります。もし私ども考えといたしまして、課税の外にあります財産とそれから市民が納めております固定資産税、そういうものとの割合が大した開きがないと申しますが、相当なもので、市民の方に対する比率が小さいものでありますれば、私はしいてこういうことは申し上げないのでありますが、その比率は非常に大きいのであります。お手元に差し上げておきましたのですが、横須賀市の内部についてかりに見ますと、全市の敷地が二千八百八十二万坪あります。そのうちで平坦地であって、多少ゆるい傾斜地で住居もしくは農耕そのほか商工的なものに使う、そういうようなものが半分足らずの千三百五十八万坪ございます。市街地の面積は七百五十万坪でございます。それで駐留軍の使っております土地が二百七十八万五千坪、それから防衛庁の使っておりますのは約三十万坪ございます。そういうふうな数字を拾ってみますと、総面積に対しまして駐留軍の使っておりますものが一割でございます。それから一般の利用するつまり平地のところに対しては一八%余りでございます。それから市街地に比べてみますと約三割、これだけが駐留軍が内部関係におきまして使っておるようなことになっておるのであります。これをかりに他の方面から考えまして、全国的に基地の方からながめた場合にどんな割合になるかという点を調べてみますと、日本から基地として提供しております総坪数は、昨年の四月で四億一千万坪ございます。そのうち国有地が二億三千万坪、その他は民公有地であります。その四億一千万坪のうちで三億一千万坪は演習地であるということであります。横須賀のごときは演習地に関係ございませんから、この三億一千万坪を除きましてちょうど一億坪、そしてこの一億坪のうちで国有地が五六%あるということでありますから、これを計算しますと五千六百万坪になります。これに対しまして横須賀では約二百七十八万坪を使っておりますから、割合を見ますと百分の五でございます。全国の国有地から比べてみまして、それだけのものが横須賀の中で基地が占めておるのであります。それから建物についてみますと、さらに大きいのでありまして、建物の全国の比率から見ますと、横須賀の駐留軍の使っております建物は延べで三十二万坪ございますから、計算してみますと、一割ちょっとのものを横須賀で駐留軍が使っておる、こういうような実情になっております。  それからもう一つ、他の方面から考えまして横須賀市が市民に対して賦課しております固定資産税課税標準額ほどのくらいになっているかと調べてみますと二百十一億でございます。市内にあります駐留軍が使用しております固定資産評価額を拾ってみますと概算において三百五十億でございます。これだけのものがありますので、この三百五十億に相当するものが市のふところには入ってこないことでございます。これを税金の方から申しますと市民が負担しております固定資産税は二億九千万円でございます。かりに今申し上げました三百五十億に固定資産税と同じ比率で、今回の制度によりまして交付金を受けるといたしますと四億九千万円になるのであります。これだけの高率のものが横須賀市において課税の外にある、こういう実情でございます。呉についても、佐世保につきましても大体この傾向は同じであることはほとんど御推察にかたくないと考えます。このような歳入の大きい欠陥を持っております私どもといたしましては、幾ら努力いたしましてもなかなか市の行政運営していく上において困難を免れません。従ってこのような状況で参りますと、結局市民に対するサービスをどこまでも下げていく、自治体の本来の機能に大きい障害を来たすというところまで行っておるのであります。従って今回この新しい法案に出ておりますように、駐留軍の分に対しましてこれを除外いたす、これに対しては交付金がもらえないということになりますと、この状態が何ら改善されないのであります。私どもはせっかくここまで政府でもお考えになっておるのに、もう一歩進めていただきまして、この点についての工夫をしていただきたいのであります。それからもう一つ、私どもがたまたま申すことについてはいろいろな批判をお聞きするのであります。それは駐留軍のものであれば駐留軍の方から支出させるのが穏当じゃないかというようなお話もあるやに聞いております。これは私は見当違いだと思います。相手は国と市町村との関係でございますから、駐留軍の方には全然関係のないことだと私は解釈いたしております。この法律考えから申しますと、使用者税的なものでないと考えますので、こういう議論は成り立たないのではないかというふうに考えます。しからばこの四市の場合について一体どれだけの交付金が計算されるのかということを総計してみますと、約九億余りでございます。しかしこれは駐留軍のことに関しましては、御承知通り四市に限っておるわけではございません。全国各方面にたくさんございます。それらのものをかりに私ども確実な数字ではございませんが、いろいろな方面から計算してみますと、およそ税額にして二十億くらいじゃないかと私は考えております。従ってもしここで二十億程度財源について御配慮願いますならば、全国、市にいたしまして六十幾つでございますか、そのほか町村等もございましょう。みなこの恩恵に浴するのではないかというふうに私は考えておるのであります。それからもう一つは、これはちょっと変った考え方でありますが、そういうふうに地方にある国有財産的なものに対して課税をするなら、東京都はどうなるのだということもちょいちょいお話を伺います。しかし私考えますのに東京には確かに膨大な国有財産がございます。しかしながらその反面民間におけるいわゆる固定資産税を払っている固定資産というものは、これまた非常に大きい数字であると思います。もし東京都における民間の方の固定資産が少ければ私はいさぎよく自分の考えを撤回しようとまで考えておるのでございます。  それから法案に関連いたしまして、以上のような趣旨からこの六号を削除していただくということ、それからさらに進んで同じ趣旨を貫徹するために、五条の頭打ちに関する規定はできるならばやめていただきたい。もしどうしてもこれが合理的でないということであれば、十万以上ぐらいの都市につきましては除外するということにしていただきたいと私は考えておるのであります。なおこれに関連いたしまして、法案によりますと十六条という規定もございます。これは五条に直接関連を持っておる規定であるようでありますが、これも私が申し上げた趣旨において変更していただくということにありたいと考える次第であります。  大へん雑駁なことを申し上げましたが、私に所見を申し述べる機会をいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。
  10. 大矢省三

    大矢委員長 これにて参考人意見は終りました。  次に委員諸君より質疑の通告がございますので、これを許します。堀内一雄君。
  11. 堀内一雄

    堀内委員 私は最初にNHK栃沢部長にお伺いしたいと思います。担任の業務でないので即答がができない場合には書面においてでもお答えを願いたいと思います。  それは、申すまでもなくNHKは国家機関であり、しかも聴取料というものは税金と同様な取り立てをしておるということは、あなたの御説明の通りでありますが、世上伝えるところによりますと、NHKの職員の中には相当赤がおる、共産党の人間が相当入っておる、そうしてそれがいわゆる文化運動なる場面において、ことに主婦の時間だとかいうような番組の編成の方面の中には、そういう者が相当おるというようなことが言われておるのであります。そこで先ほどあなたの言った明るい楽しいというお話ですが、赤い市町村を作ることになるというようなことになってははなはだ困るのでありまして、そういう意味からNHKにおいて職員の採用の際に思想問題等においていかような措置をいたしておるかということをお伺いしたい。
  12. 栃沢助造

    栃沢参考人 非常にむずかしい問題でございますが、職員の思想傾向につきましては一々調べるということは非常にむずかしい問題でございます。しかし終戦後の労働運動が非常に高まりました際に、党に所属しておるということがはっきりした時期がございます。そのときにいろいろな角度から協会の職員として適当であるかどうかという観点から、やめていただいた者が相当数ございます、か、その後今おっしゃいましたようにある数がいるんじゃないかというふうにも巷間いわれておりますけれども、私たちの手元には正確な資料はございません。しかし業務面において、その党の活動なりその持っておる思想が仕事の上に反映しておるとは考えてはおりません。もしそういうようなことがございましたならば、中正公平であるNHK番組がゆがめられることになりますので、番組面におきましては、それをチェックする機関もございます。もしそういう傾向のある人がその番組を担当しておりましても、番組の上には反映しないように万全の用意をしてございます。
  13. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまの回答は、あなたのお立場からあるいは回答が困難かもしれないと思いますが、この点につきまして、私どもの方でも現在そういうような立場からあなたのところの放送については関心を持って調査もいたしておるのでございますが、そういう意味から正確な回答をお願いしたい。
  14. 大矢省三

    大矢委員長 それでは北山君。
  15. 北山愛郎

    北山委員 荻田さんにお願いいたします。いろいろ適切なお話を伺ったのですが、私ども現在の地方税制度の中で困っておる問題は、住民税であります。住民税のとり方がたくさんの方式がありまして、市町村ごとにその住民の負担が非常に差が出てきておるというような傾向にあるわけであります。これは御承知のように、当初は所得税を基準として、それの一八%というのが基準であったようでありますが、それがいつの間にか実質の比率が二〇%以上ということになっておりまして、私の計算では、昭和三十一年度の見込みを見ますというと、国税、所得税に対しまして、均等割を入れまして、二四%くらいに平均がなっておるのではないか。金額が住民税、府県民税も入れまして二四%、そういう事態が問題であると同時に、この市町村の第一方式をとるか、あるいは第二方式をとるかによって、非常に住民の負担率の差が大きい。ある資料によりますというと、オプション・ワンすなわち第一号式をとる市町村の場合は、所得税に比べまして一八%くらいになっておる。ところが、オプション・ツーのただし書き第三方式ですかをとる場合には、五〇%近くなっておるのではないかと思われるような数字が出て参りますが、そういうような点についての荻田さんの御見解を承わりたいと思います。
  16. 荻田保

    荻田参考人 この市町村民税の個人の所得割に選択方式が認められていること、これ自体には私は賛成でございます。やはり市町村の自主的な税収入である以上、その市町村実情に応じて三方式、あるいは詳しくいえば五万式を選択採用する、この制度には私賛成であります。ただこれは制度ではなくて、こういう制度のもとにおきまする実際の運用の問題につきまして、今委員のおっしゃいましたようなことが起っている。これは私非常によくないことだと思います。この事の根源はどこにあるかということでございまするが、これは結局何と申し上げますか、地方財政計画そのもの、つまり政府地方に対して考えております財源付与の基礎、ここに問題があると思う。つまり地方財政計画そのものが、そもそも総額的に不足しておる。従って財政計画上の歳出のワクだけではおさまらないで、どうしても歳出以上のものを地方団体が支出しなければならぬ。そうすると、その財源は与えられていないから、そこに相当の増税をする。こういう意味におきまして市町村民税所得割の税負担が、ただいまおっしぁいました数字、あるいはそういうところもあるかと思いますが、とにかく相当強く不均衡が起っておる。これが一つと、もう一つはそもそも財政計画そのものの中におきまして、第二方式、第三方式によってその第一方式による一三%でございますか、初めから第一方式の標準課税率以上のものを見込んでおる。これも私は適当でないと思います。従いまして結論として申しますと、財政計画をちゃんと正し、そうして財政計画上の歳出がそれに応ずるところの歳入をもって地方財政が大体やっていけるようにすることが一つ。もう一つは、財政計画上に上げますところの所得割というものは、やはり標準税率をもって上げる。従って標準税率をとれば、大体それでもって普通の行政はやっていける。それ以上にぜいたくなと申しますか、それより以上よい行政をしようと思ったら、それは地方の自治で、自分の負担でもってやる、増税をするという方法に変えなければ、私はこの問題は解決しないと思います。従いましてもう一度繰り返して申しますと、この制度そのものが選択制を認められていることは適当でありますが、その財政計画と申しますか、これをめぐる一般の財源付与という一点に遺憾がありますので、そういう結果になっているんだと思います。
  17. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、政府財政計画の立て方が、結局幾つかの方式のうち税金のとれる方向へ逐次移動させるような財政計画政府が作っている。逆をいえば、財政計画地方に逐次こういう方法によって増税を余儀なくさせるような方向に今までの財政計画は組まれている、こういうふうに了解していいと思うのですが、それにしましても、今の三つなり五つなりの方式の選択できることは、制度としてはいいといいましても、御承知のように第二方式のただし書きとかそういうものは、扶養控除その他の控除をしないというようなことで、しかも税率のきめ方が頭打ちになって、結局中堅層以下のものに重くかけざるを得ないような方式になっていることは御承知だろうと思うのですが、こういう方式の方へ逐次移動して、大部分の市町村がそういう方式をとってきているという傾向については、荻田さんどのようにお考えですか。
  18. 荻田保

    荻田参考人 逐次なってくるとおっしゃいましたけれども、私の見ますところでは、確かに三十年度までは御承知のように地方財政の問題は非常にそういう方向になりましたが、おそらく三十一年度の今度の一連の改革案、あるいは国の予算関係、こういうところを見ますと、三十一年度はある程度その点は緩和されるんじゃないかと思います。
  19. 北山愛郎

    北山委員 その点は意見になりますから申し上げませんが、それにしてもかりに三十一年度財政計画が相当りっぱなものである、こう仮定しても、すでに何百億かの赤字を背負っている。その赤字を消すためには、財政再建団体になるといなとにかかわらず、やはりある程度の税の増徴をしなければならぬ、こういうことになるんだが、その面からして、私はこの方式の問題については、第二方式なり、そういうよけい税金がとれる方向へ移動するという傾向は直らないじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点については一つ奥野さんからも承わりたい。
  20. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 将来どういう傾向をたどっていくかということにつきましては、先ほど荻田さんからもお話がありましたように、地方財政の状態がどういうように改善されていくかという問題と深く関連を持ってくるのじゃなかろうかというふうに思っております。  なお市町村がいろいろな仕事をするために増加財源を得たい、その場合有力な税源は、御承知のように市町村民税固定資産税であります。どちらに販源を求めるかという場合に、どうしても所得に基礎を置いたような税の方が負担をしてもらうのに、してもらいやすいのじゃなかろうか、こういうような感じがあるのじゃなかろうかと思っております。そうしますと固定資産税に増収を求めるよりも、増加財源を必要とする場合には市町村民税に増収を得たい、こういう傾向が近来の一つの傾向として出てきているのじゃないかというふうに思っておるのであります。もう一つは、第一方式でありますと、国の所得税の結果にそのまま乗っかっていくおけであります。国がこの所得税についてどういう政策をとっていくか、国の政策としては十分容認されることだけれども市町村としてはなかなかそのまま基礎にしていったのじゃ住民相互間の納得が得られない。たとえば配当所得につきましては、その三〇%所得税額から控除いたします。こういう問題につきましては住民税にそのままそれを使っていったのじゃ、資産所得者がかえって軽いじゃないか、こういうことになってきて、乗っかりにくいと思います。所得税そのものについて国がどういう政策をとっていくか、これがまた、市町村がどういう課税標準を採用するかという傾向に、大きな影響を及ぼしてくるのじゃないかというふうに思っております。
  21. 北山愛郎

    北山委員 その点、詳しくはまたあとの委員会の機会にお伺いしますが、少くともある町村においてはその所得税額の一八%でいい、ところが他の町村は五〇%、所得税額の五割近くもまた住民税を払うというようなことは、税負担全国的な均衡があまりバランスを失するのじゃないか、こういろ点についてはどういうようにお考えになっておりますか。
  22. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 お話のように第一方式を採用していく場合と第二方式のただし書きを採用していく場合と、同じような所得の人でありましても、市町村民税の所得割の額が、はなはだしいところは二倍以上の開きがある。そういろ事例はございます。これはもっぱら第二方式のただし書きの場合に、累進税率をその市町村がどう刻んでいくか、そこから起ってくる問題でありまして、第一方式の場合の負担と全く同じような姿で累進税率を刻んでいきますならば、第二方式のただし書きを採用した理由がなくなってくる市町村が多くなるのじゃないか、こういうふうに思っております。従いましてどのような累進の刻み方がいいかということにつきましては、それぞれの市町村考え方があってもやはりいいのではないか、こう思うのであります。ただおっしゃいますように、もっぱら増収をはかるための手段で第一方式の場合よりも非常に高い負担をしいていく、これはできる限り避けるべきだと思うのであります。ただ所得のどの段階をとるかということによって、場合によって二倍にも二倍半にもなっていく、そういう場合があることは必ずしも悪いことじゃないのじゃないか、こういうふうに思っております。御指摘の点はよくわかるわけでありますが、どの所得の段階をとるかということによりまして、第一方式よりも多い場合もあり、ある場合には低い場合がある、それは市町村間において違いまして毛、市町村の実態が違っているのだから、国の税金を基礎に置いた場合には比較上相違が生じてくる、それはある程度容認してもいいのではないか、そういうふうに思っております。
  23. 北山愛郎

    北山委員 その点はあくまである程度ということでありまして、それでは制限税率というものを設ける必要がないわけです。その市町村に都合のいい税率をその事情に従ってきめるのが妥当であるとするならば、最高限をきめる必要がないのですが、住民税の場合今申し上げたように、方式のとり方によって非常な違いがあるということは、これはやはり好ましくないと思うのです。これが隣接をしておる市町村の場合には、ことに通勤の人ならば、その村におるのと、それからよそへ納めるのでは大きな違いがある。これはどうも所得税附加税的な形を持っておりますから、なるほど町村によって事情は違うとしましても、少し限度を越しているのではないかと思われるのですが、この点はあとにします。  それからもう一つだけお伺いしておきますが、今度の地方税法改正におきましても、非課税というものをできるだけ整理するというようなお話があった。ところが今度の国会でこの委員会に、事業税その他についてこの税金は特に安くしてくれというような陳情がたくさん参っておるわけなのです。応接にいとまのないほど来ておるわけです。ところがこの非課税はなるべくやめる、公平にやるのだといいましても、すでに固定資産税その他におきましても現在の制度そのものの中に大きな課税上の特典を与えておる、特殊な産業には非常に安くしておるというようなことをやっておるのですから、こういうような陳情が参っても、正直に言えば実は断わり切れない、こういう実態なのです。たとえば固定資産税につきましても、発電所とか船とかいうようなものは相当額安くなっておるのです。あるいはまた電気ガス税につきましても、ある種の産業については電気ガス税はかからぬというようなことを残しておいたんじゃ、やはりいつまでたっても、この種の陳情がどんどん来てもこれは断おるものさしがないのじゃないかというふうに考えるのですが、今の発電所に対する固定資産税の軽減あるいは電気ガス税の特別措置というようなものについては、荻田さんはどのようにお考えになりますか。
  24. 荻田保

    荻田参考人 私は全く同じ考えを持っております。現在いろいろありますために、そこの境というのが非常にあやふやなわけでございます。従いましてこれは少し理想論になるわけでございますが、一切免税、非課税というようなことはやめる、とるものは全部とる、そのかわり国家的に援助する方は援助する方で別に出すという、そういろ方法であるべきだと思います。たとえば今例示されました電気施設に対するところの固定資産税も、元来からいえばこれは全部とる、そのかわり電気事業に対する補助金なり何なり、その他しかるべき方策を考える、あるいは電気ガス税につきましてもこれは一切全部とる、そうしますればおそらく現在全部の負担しているところの一〇%というものはむしろ下げられる、パーの税率になればおそらく相当下げられるのではないか、そういう方法の方がよいと考えておきます。
  25. 北山愛郎

    北山委員 この点について奥野さんにもお伺いしておきたいのですが、先ほど奥野さんは住民税について、それは国の方の所得税に対するいろいろな政策上の減免とか、そういうものにやはり住民税が影響を受けるということは好ましくない、こういうお話であったのです。そうだとすればやはり固定資産税についても、今の発電所あるいは船舶等の軽減措置、あるいは電気ガス税のごとき、そういうものについてはやはり国の政策として、そういう産業保護の政策のために地方税が巻き込まれておるのだ、だからあなたの言っている同じ理屈によってやはり好ましくないのじゃないか、こう思うのですが、この点奥野さんいかがですか。
  26. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 市町村民税につきましては、所得割について国のきめました税額をそのまま基礎にする場合には、市町村の実態に合わない場合が出てくるということは申し上げました。しかしその市町村民税の所得割で違った方式をとります場合にも、たとえば第二方式のただし書きを採用する場合でも、基礎控除額だけ必ず控除したものを課税標準にしなければならない、これもやはり一つの国の政策だと思うのです。そういう意味においてあまり市町村実情を無視した国の政策をしゃにむに押しつける、これを避けなければならないと思うのでありますが、いかに市町村の税でありましても、国の立場からある程度の規制はやむを得ないのじゃないだろうかというふうに思っておるわけです。租税政策立場から見て参りました場合には、もとより非課税というものはない方がよろしい、こう思っております。しかしながら租税政策産業政策との間の調整をどこかではからなければならない、そういう場合にはある程度課税の規定を設けざるを得ない、あるいは負担軽減の規定を設けざるを得ない、そういうことばやむを得ないのじゃないだろうかと思います。最小限度にとどめたい、そういうことは私も強く考えておるわけでありますけれども、妥協することは一切いけないのだ、こういう考え方はちょっと持てないのじゃないかというふうに思っているわけでございます。
  27. 堀内一雄

    堀内委員 私は足羽参考人にお伺いしたいと思います。  ただいまのお話並びにいただきました資料等を見ますると、収入金額に対する所得金額の割合というような表の中に、一割二分五厘をこえるものが十九社、一割をこえるものが五社というようなことがあり、それからまた五分以下の配当をしておるものが合計で百十七社、赤字のものが四割強といったようなことになっておるのでございますが、この一割以上の利益を占めておるという二十四社、これは地域——たとえば大都市の近傍とか、または業種別にしまして、ケーブル・カーをやっておるとか、特殊の何かほかの仕事をやっておるとかいうようなものが含まれておると存ずるのでございますが、この辺に対する内容をお伺いしたい。
  28. 足羽則之

    ○足羽参考人 ただいまの御質問は、お手元に差し上げました参考資料の二ページの四のところに対する御質問と思いますが、十九社と五社、二十四社のうちで、都市の近所の大きな電鉄が二札入っております。それからケーブル・カーをやっております会社が五社ございます。そうすると残りが十七社でございますが、十七社は、あるいは鉱石を輸送しております会社が相当たくさんございます。つまり特殊な地方の、あるいは石炭とか、セメントとか、硫化鉱とか、そういうものを運んでおる会社を親会社として持っておるような会社があり、あるいは小さな会社でございまして、実はそこまでは調べてないのですが、たまたまこの年度に特別な事情で、あるいは収入が上っておる、こういう会社だと思います。あとはみな小さな会社でございます。それがここの——同じくお配りしていると思いますが、収入別所得別会社数調べというのが、あるいはお手元になかったら失礼でございますけれども、この二十四社のうちで収入が一億以上の会社が七社でございます。それから収入が一億以下の会社が十六社でございます。二十四社あがっておりますが、大部分は収入のスケールから見ましても小さい会社であり、また業態としても特殊な会社というふうに申し上げられるかと思います。
  29. 堀内一雄

    堀内委員 そうしますとこの表の中で、一割以上の利益を上げておる会社で、ほんとのいわゆる鉄道プロパーという会社は、大体大都市の付近の二社くらいで、あとはケーブル・カーだとか、鉱山をやっておるという、特殊のものだというふうに判断していいんでございますか。
  30. 足羽則之

    ○足羽参考人 鉄道プロパーと言われるとちょっと困るのでございますが、貨物をやっている会社もやはり鉄道をやっている会社でございますが、しかし特殊な関係があって貨物をやっているような会社が多い。なお地方の小さな会社で鉄道プロパーの、今お話の主として旅客を運んでおって成績のいい会社と申しますか、ちょうどこの一割以上に上っている会社もございますが、しかし全体として相当大きな私鉄としてわれわれの目に映ずる会社としては三社くらいしかない、こういう意味にお聞き取り願いたいと思います。
  31. 堀内一雄

    堀内委員 そうすると終りの方に赤字のものが六十一社とある。百四十八社の中の四割強が赤字ということになっておるのでございますが、これらの会社は主として地方の会社でございまするか、また何か特別の事情があるのでございますか。
  32. 足羽則之

    ○足羽参考人 そっちの方はちょっとその内容をよく調べて参りませんでしたが、収入金額から見まして、大体この六十一社のうちで一億以下の収入の会社が四十一社ございますから、みな比較的小さい地方の会社とお考えを願って間違いはないと思います。
  33. 堀内一雄

    堀内委員 その次に独占事業云々という問題でお話があったのでございますが、戦前においても、地方鉄道というものは非常な困難な状態になって、補助金その他の制度があったのでございますが、それが戦後一時好況を得ておったように聞いておるが、さらに今非常な困難になっておるという原因は、バスの並行路線云々というようなものがおもでありますか、先ほど国有鉄道との並行云々のこともありましたが、ことに地方の小鉄道において何がおもな原因になっておるかということを伺いたい。
  34. 足羽則之

    ○足羽参考人 それに対する的確な資料を持って参りませんでしたので、きわめてぼんやりした御説明しか申し上げられないと思いますが、私鉄の業績は全体としては、二十五年度以降くらいから見まして、ほぼ少しずつ伸びてはおります。ただしかしそれは全体の数字でございまして、地方の中小鉄道を対象にしての現在の御質問では、私鉄の旅客の伸びが、昨年くらいから全体の傾向としてはとまっております。ことに地方の中小私鉄は旅客が横ばいの状態になり、あるいは絶対数が減少しておる会社も相当ございます。それらの原因が、経営状態にあるのかどうかというお話でありますが、地方の中小私鉄は必要に応じて時々運賃の値上げは実際はいたしておるのでありますが、しかし運賃の値上げも、その地方の経済事情なりあるいは対抗運輸機関等の関係から見て、なかなかそう簡単に、実情に合う運貨の値上げの認可を受けるというわけにも参らない。つまり運賃の値上げの行き悩みということが実情でございます。ことに旅客の減少の大きな原因は、対抗の運輸機関であるバスの交通量が非常に増加した、こういう点がいえるかというふうに考えておる次第でございます。つまり対抗運輸機関の進出あるいは運賃の行き悩み、そういったことが原因で、業績は必ずしも良好ではない、こういうふうにいえるかと思います。
  35. 堀内一雄

    堀内委員 奥野税務部長にお伺いしたいのですが、先ほどからの足羽参考人の御説明の中にも、大都市付近の鉄道はいいというようなこともあり、同時に現在の税制におきましては、減税の処置というようなことも出されておるようでございますが、この減税の処置というのは、大都市の場合の方がそういうことを考慮されておるか、地方の府県等がそういう点において考慮されておるか、この辺の状態はどんなふうになっておるかということを伺いたい。
  36. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 御指摘になりました問題は、地方鉄軌道に対して、収入金額を課税標準として事業税を課するようになった、その場合に所得課税課税した場合よりも負担が重くなるもんだから、ある程度その負担を緩和していく。しかし将来には法律通りの収益課税に乗せる、一種の税金緩和と申しますか、そういう処置をとっておるのが大都市周辺であるかどうかということでございましょうか。
  37. 堀内一雄

    堀内委員 そうではありません。現在の外形課税の場合において、普通に各府県でもってそれに減税処置をしているようになっておるのではないかと思いますが、その点足羽さんの方でわかっていたら教えていただきたい。
  38. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 お話の問題は、地方鉄軌道で赤字経営に陥ってしまった。企業自体の立場考えるならば解散してしまいたい。しかしながら国の立場から見た場合にはどうしてもその事業を継続さしていきたい。そういう場合には国の方である程度の補助金も出そう、こういうように運輸省の方で指定する制度が設けられております。こういう事業につきましては国のそういう立場もありますので、収入金額課税を行いませんで、所得を課税標準にして課す、言いかえますれば赤字でありますから事業税を課さない、そういうような処置をとっております。これはどういう地方に多いか、ちょっと覚えておりませんが、大きな鉄道会社にはそういう例はないと承知しております。
  39. 堀内一雄

    堀内委員 私の質問しておるところとは食い違っておるのでありますが、現在あなたのおっしゃるようなものは全国で八つの鉄道がそれを受けておる。それは特殊の鉄道でございますが、そういうものを受けない鉄道であっても、一例を言えば一億二千万円くらいな小鉄道であって、運輸省に対する連帯運賃が九千万円も遅滞しておるといったような状態の会社があるのでございまして、現に国鉄に対して連帯の運賃の遅滞が全部で二十三億に及んでおるというようなことが現在の地方鉄道の状態なのであります。そういう点から考えて、地方鉄道の、また同時にこれは企業が成り立たないからというてすぐ撤廃するということもできない性質のものである。かたがたもって先ほどからのお話の中で純理論としては一応納得できるのでありますが、地方鉄道の現状というものを見たときに、そういった純理論が果して適当であるかどうかということをまず荻田さんに一つ
  40. 荻田保

    荻田参考人 先ほど申し上げましたように事業税につきまして全般的な外形標準的な課税が課されておりますが、現在は大部分が所得税になっておるときに、一部外形標準課税があるということ、ここが確かに一つの例外で、しかもその例外のためにこの一部のものがかりに負担が過重になるということでありますれば適当でないわけであります。しかしながら全般的に見ますると必ずしもそれだけが——課税個々の業態につきましてはいろいろ差がありましょうけれども、全体としましては大体所得課税と均衡のとれた率になっておると思います。そういう場合にはやはりこういう性格のもの、これは初めの立法当時から同じ理由でございますが、一つの大きな統制価格式の料金がきまっており、しかも負担の転嫁関係性格のはっきりしたものについては外形標準でやった方がいい、こういうことで鉄道、電気その他にあるわけでありますが、この程度のことは、私はむしろこういう公的事業におきましては、まず例外としてこういう外形標準課税をとっておってもよいと思っております。
  41. 堀内一雄

    堀内委員 例外というのが、業種別として例外ということであれば何ですが、現在百四十八社の中の約百社以上のものが例外の中へ入るわけでありましてそういうような関係から私はもう少しこの方面を御研究願いたいと考えておるのであります。ことに先ほどから申しますように、鉄道というものは自動車の競争その他がありまして、決して独占のものではないということはもうすでにおわかりのことと存じますが、なおこの際その方面を研究していただくということと同時に、足羽さんにお伺いしたいのでありますが、この陳情書の中にも定期乗車券のことがいろいろ書いてございます。現実において定期乗車券は減価償却を割っておるというようなことが書いてあるのでございますが、この定期乗車券の問題についてお伺いしたい。
  42. 足羽則之

    ○足羽参考人 定期乗車券は最近非常にふえて参りまして、現在の実情では、はなはだしい会社では定期の旅客の数が全体の乗客数の七割をこえているような会社もございます。おそらく私鉄全体としましては六四・五%、六割少しから七割近い数字が定期乗車券の乗客の数字だろうと思うのでありますが、定期乗車券の運賃は通学の学生に対する割引では大体九割前後、九割くらいな割引をいたしておる。普通乗車券の定期にいたしましても六割四、五分、七割近い割引を最高はいたしております。従って普通の乗車券で乗る人に比べると非常な低廉な額でいたしておる。もちろん運賃改正の申請をいたします場合は、定期乗車券の乗客数なり、あるいは普通運賃の普通の乗客の数をいろいろ想定を書いて、その相互関係を考慮して検討をするわけでございますが、しかし予想以上に定期乗車券の客が常に伸びておりますので、非常にそれが原価を割るという結果に実際問題としては常になっておるのであります。
  43. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまのような状態が私設鉄道の困難な状態と存ずるのでございますが、この私設鉄道というものが日本の交通上においていかに重要であるかということは申すまでもない、そういう立場からいたしまして、自治庁といたしまして今日までこの外形課税のことに対してどんなふうに考えておられますか、奥野さんにちょっとお伺いしたい。
  44. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 一つの問題は事業税の本質をどう考えるか、従ってまたそこから将来事業税をどういう姿に持っていこうとしているかという問題が大切だと思うのであります。その場合に事業税の課税の根拠は何かといえば、やはり府県が事業を行われておりますと、それに対しまして衛生設備でありますとか道路敷設、教育施設でありますとか、いろいろと施設を講じておるわけでございます。その施設から事業受益している。受益しているから経費の一部を分担すべきではないか、こういう考え方になっておるのであります。事業がもうけているから府県の経費の一部を分担するけれども、損をしていれば職員の経費は出すけれども府県の経費は分担しないというのは、それは適当ではないのではないか、こういう考え方でございます。事業税は営業税に沿革を持っているわけでありますけれども、わが国においてずっと昔からの沿革をたどってみましても、やはり外形課税のきらいが多いようであります。ことに府県の独立税となって参りますと、やはり応益課税に根拠を求めなければならい。そういたしますならば、自然何らか外形的な負担をすべきではなかろうか、こう思うわけであります。市町村に対しましては固定資産税という形で負担をいたしております。府県に対しましては事業税という形で負担をいたしております。いずれも経費のうちから払われる税金だろうと思うのであります。経費のうちから払われる税金について損をしているから固定資産税負担を軽くする、あるいは事業税の負担を軽くするということではなしに、やはり一定のものは市町村の経費あるいは府県の経費の分担の責めに任じていく、こういう行き方が望ましいのではないかと思っております。  もう一つは、現在の事業税が相当部分所得を課税標準にしておりますので、所得税や法人税、それから府県民税や市町村民税、それから事業税というふうに所得に累積して課税をしております。事業が利益を上げればそれだけ税金によけい持っていかれるのだ、それよりはもう少しゆったり経費を使っていこう、こういうことになって参りますと、資本の蓄積という見地からは望ましくない。だからなるべくやはり事業税は事業税の本質に即したような課税の仕方を考えていくべきではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。しかし課税標準を変えるということは事業負担に激変を与える。事業の基礎が強固であればよろしいのでございますが、そうでない場合には激変を与えることはできる限り避けていかなければならないと思うのであります。従いまして、今直ちにこの事業税の課税標準を全国的に変えていくということは、附加価値税にすでに先例がありましたように、この際としては避けるべきではないだろうか。しかしながら現にそういう課税をやっているものについては特別な事情の起らない限り、むしろこれは維持していきたいし、また同じようなものがありますれば多少とも範囲を広げていきたい、こういう考えを実は持っておるのであります。
  45. 堀内一雄

    堀内委員 現在の税法がアメリカの占領政策として、日本弱体化のために計画されたものであるということはもう申すまでもないことでありまして、かってのそのシャウプ勧告なるものを基礎として論議するということが果して適当であるかどうか。もし税制改革の検討の問題が起ってきてすでに御研究になっておられることと存じまするが、私は先ほどからもいろいろお話のありまするように鉄道というものがバスや自動車と同じように独占的なものであるか。またそれらと別な、いろいろな事情があって鉄道が非常に経営が困難になっておる。そうすると、この鉄道の存立ということが非常に怪しくなってくるということになるのでございまして、これについてはなお十分研究していただきたいと存じますが、次にさらに奥野さんにお伺いしたいのですが……。
  46. 大矢省三

    大矢委員長 ちょっと堀内さんに申し上げますが、政府委員にはしばしば質疑の機会がございますから、参考人に主として願いたいと思います。それから一時から本会議があるそうですから、そのつもりでお願いいたします。
  47. 堀内一雄

    堀内委員 それでは政府委員にお伺いするのはまた後の機会に譲ります。
  48. 永田亮一

    ○永田委員 関連して。今の問題で荻田さんにちょっと御見解を伺いたいと思うのですが、荻田さんが先ほど一番初めにおっしゃった租税原則ということの中で、平等の原則というものが一番大切なものだということをおっしゃいました。これはその通りでありましてこれは申し上げるまでもなく昔からアダム・スミスの租税の四原則の一番初めに書いてあるわけでありまして、その点は私も全く同感であります。  それでこういう見地からいいますると、先ほどいろいろ質疑応答を繰り返されておった私鉄の問題でありまするが、大多数の事業が所得課税になっておる場合に、私鉄その他二、三のもののみが外形標準課税になっておる、こういう点がはなはだ説明がしにくいんじゃないかと思います。  さらにもう一つ一番手近な問題で平等でないと思われることは、バスと私鉄が違った課税方式をとっておるということであります。御承知のようにバスは二十九年から所得課税に直っておってしかるに鉄道のみが外形標準課税に残されておるということは、これはバスと私鉄がほとんど同じような仕事をやっておるにもかかわらず、この区別をするということは納税者の側からいいますると、平等の原則に反しておるんじゃないかと考えます。なおその言いわけとしてあるいは私鉄が大規模であるということを言われるようでありまするが、今堀内君からも申されましたように、私鉄には非常に小さいものがたくさんあるのであります。私なんかもある小さな私鉄にちょっと関係をもっておるからよくわかるのでありまするが、全く赤字で四苦八苦しておるような、ほんとうに小さな私鉄全国には数十社ございます。バスの中にな非常に大きな規模のものもある、こういうことを考えますると、バスと私鉄を区別するということは私は荻田さんの原則に反するのではないかと思うのですが、こういう点についてまずお答えを願いたいと思います。
  49. 荻田保

    荻田参考人 確かにおっしゃいましたようなことになるわけでございますが、一昨年でございますか事業税が改正になりましてから、そもそも所得課税と純益課税とは並行してどちらをとるかという事業税そのものの性格を変えておるわけで、きわめて形式論になりますけれども、それには外形標準課税をとるということが例外にはなっていない。どちらをとることを原則とするか、そういう税にかえておるのでございます。  それからまた実質的に考えましても、逆に、先ほどから免税規定のお話がありましたけれども、やむを得ないものは例外として免税規定を置く。それと同じように事業税の中におきましても、実質的に業態の数としましては少いのでありますけれども、その方がよいという理由があれば一般の所得課税と違う課税をしても差しつかえないと考えておるのであります。  それからバスとの均衡の問題でございますが、御承知のように従来まではバスは外形標準課税だったと思いますが、それがあとで改正になりまして純益課税になりますと、私鉄との間の不平等ということが出てくるわけでございます。バスをどちらに見るか、つまり私鉄と見るかあるいは普通一般交通関係と見るか、どちらに均衡をとるか境目のところになりますので、おかしなことになっておると思いますが、その点バスも前の方がよかったのではないかと考えております。
  50. 永田亮一

    ○永田委員 荻田先生は学者であられるのでそういう原則論を出されるのはけっこうだと思います。しかし現実の問題になってきますと、バス会社を一度所得課税に直してこれをもう一ぺん外形標準課税に直すということは不可能なことなのであります。そういう点から言いましてバスと私鉄を区別するということは現実の問題になってくるので、荻田さんの原則論ではあるいは説明ができにくいかと思いまするけれども、実際にはバスと私鉄が競争しているところがずいぶんある。そうするとバス会社のみが所得課税になって、私鉄だけ標準課税になっておりますと競争ができないわけです。バス会社は所得があればそれに応じて課税をするが、私鉄は所得があってもなくても外形標準課税されるということになってきますと、私鉄はつぶされざるを得ない。しかしこれをつぶしてしまうわけにもいかぬ、こういう苦しい立場におるわけであります。これは実際の問題になってくるので、先生の原則論とはかけ離れておりまするから、しいて御答弁を求めようとは思いませんけれども、現実はこういう状態になっていることを御記憶願いたいと思います。  それからさっき奥野君が事業税というものは応益的な原則で解釈していくべきだという話がありました。これも原則としては私、反対ではないのであります。ただ私鉄のことについて考えてみますと、私鉄がその地方から利益を受けていることは事実でありますけれども、私に言わせてもらうと、むしろその地方の住民、地方団体というものがそういう交通機関によってさらに多くの応益を受けているのじゃないかと考えるのです。その度合いが、私鉄が応益を受けている以上に地方の方がそういう交通機関によって利益を得ておると思う。かりにそういうものがないとしますと、その地方の住民は非常に困る。私はこういう見地から考えまして荻田さんにお伺いしたいと思います。そういう見地に立って事業税を地方税でなくて国税に引き戻すといいますか、法人税なんかによってこれをとる方が理屈に合っているのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
  51. 荻田保

    荻田参考人 ちょっと御趣旨がわかりかねたのでございますが、国からの受益ももちろんありますし、府県、市町村からもそれぞれ受益がありますから、それぞれの受益に対して税で返すという考え方があります。ただその場合に、国の方におきましては、やはり全国的な大きな行政という観点から考えて個々の受益的な関係のものはやはり地元地方団体に回す方が筋だ。従いましていわゆる応益課税原則によっておると思われます事業税が府県、固定資産税市町村、こうなっておるのが適当ではないかと思います。事業税をかりに国税に移せば、その穴に何を持ってくるか。かりに所得税なりを持ってくるとして、所得税と事業税とどちらが地方税として適当かといいますれば、やはり応益原則の強い事業税の方がいいのです。もっとも普通受益課税としますれば、住民税的な法人税割でも同じことにはなりますけれども、建前といたしましては事業税の方が府県税としてはふさわしいのではないかと思います。
  52. 永田亮一

    ○永田委員 先生は学者としてりっぱな御議論をなされる。私も先生の「地方財政講義」という本を尊敬して読んでおる一人でありますので、こういう点で別にたてつくつもりはございませんが、現実の問題を少し考えていただきたいと思うのです。これは私の思いつきなんですけれども、この私鉄の問題についてたとえば資本金が幾ら以上とか何かそういう一線を引いてそれ以上の大規模のものについては外形標準にし、それ以下のものについては所得課税にしたらどうか、そうすればある程度平等にいくのではないかという考えがいたすのでありますが、いかがでございましょうか。
  53. 荻田保

    荻田参考人 これは非常に抽象論になります、現実を知らないものですから。原則としましては、やはり同じ状態は一つのものがいいのではないかと思います。ただ、先ほどお話のありましたような特例ということで、おのおの地方々々の実情により自治としてこれを救う道があるのではないかと思います。
  54. 永田亮一

    ○永田委員 同じようなことになりますからもうやめます。それでは奥野さんにちょっと……。言葉じりをとらえるようで恐縮ですが、先ほど、わが国の税の歴史をずっと考えてみても、事業——前は収益税といっておりましたが、そういうものの中で所得を標準にした時期は少なかった、収益を標準にした時期が長かったというお話であります。これもやはり荻田先生の御本を読みますると、たしか大正十五年からだったと思うのですが、収益税が所得課税に直されておるのです。明治時代の古い考え方では外形標準課税であった。ところが時代が変って参りまして、資本主義が発達して今日の時代になって参りますると、外形標準課税というものは不合理だということがはっきりわかってきたために、大正十五年以来は所得課税に直っておるということが書いてあったと思います。それがさらに昭和十五年以来、所得の課税によってこれを全額還付税として地方に交付し、別に附加税をつけたということも先生の本で私拝承しておるのであります。それが昭和二十五年になって——これはおそらくシャウプの勧告でこういうことになったのだと思うのでありますが、昭和二十五年以前においてはすべて所得を標準にすることが公平だという見地に立っておったと思うのです。昭和二十五年からこの附加価値税の議論が出てきまして、国会でもいろいろ議論があったのですが、どう考えても現実に合わないということで遂に日の目を見なかったのは御承知通りであります。だから今日の税の考え方からいきますと、事業税は所得を中心にしてなすべきだという考えが支配的であると私は思う。これは明治の初めからずっと通算してみると、あるいはその年間の数において、大正十五年までは収益税としてあるいは外形標準であったかもしれないけれども、特に近代においてはそういう考えはなくなったということを私は申し上げたい。奥野さんはどういう標準でそういうことをおっしゃったか知りませんが、私が荻田先生の本を拝読したところでは、所得課税ということが近代における考え方である、こういうふうに思っているのですが、いかがでしょうか。
  55. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 今の事業税は営業税に沿革を持っているわけであります。営業税は最初府県の独立税として生れて参りました。その後規模の比較的大きいものは国税に移し、そのかわり地方はこれに附加税を課する、規模の小さいものは府県の営業税という形で進んで参ったわけであります。それが御指摘のように大正十五年でしたか十三年でありましたか忘れましたが、所得を課税標準にすることにして、名称もまた営業収益税に改め、収益税体系を国税に整理してかかったわけであります。要するに所得税の補完税に持っていったわけであります。所得の種類によりまして資本利子についての課税であるか、あるいは地代収入についての課税であるか、あるいは勤労収入についての課税であるか、そういうことによって税率に差等と設けて参ったわけであります。それがその後ずっと続きまして、昭和十五年においては収益税体系が最も整備された時代だと思います。その後昭和二十二年に三収益税と言われておりました営業税、地租、家屋税、これが府県独立税に移管されたわけであります。府県の独立税になりますと、もはや所得税の補完税ではないわけでありまして、府県の独立税としての意味を持ってくるわけであります。そういう意味からはやはり応益課税に基礎を置かなければならぬではないか、こう考えられるのであります。  それからもう一つ収入金額課税地方鉄道軌道等に取り出しましたのはシャウプ勧告に基くものではございませんで、日本政府独自の考え方からで、昭和二十三年からであります。その場合事業税の課税の根拠もあったのでありますが、もう一つ料金政策関係から本来府県の収入になるべきものが全然収入になって来ない、こういうような問題を解決しようという考え方も、そのときにはあったのであります。
  56. 永田亮一

    ○永田委員 それではちょっと荻田さんにお尋ねしたい。附加価値税の考え方がよいということをおっしゃいましたけれども、この附加価値税というものができる前提には、やはり他に転嫁できるということがなくちゃいかぬと思うのです。これは先生の本に書いてある。ところがこの附加価値税の最も大きな欠点は、私鉄などは転嫁が簡単にできないということである。私鉄などは簡単に料金の値上げができないのです。これは公益的な考えが大きいものですから、そう簡単に上げたんでは国民が因る、こういうことで簡単に転嫁ができない。そうなってきますと、私鉄などの事業は附加価値税的な考え方では解決ができないではないか、収入に応じて課税するのが穏当ではないか、私は先生の本から演繹してそういう気がいたすのですが、いかがですか。
  57. 荻田保

    荻田参考人 この事業税というのは、転嫁という言葉を使ってもよろしいのでございましょうが、それよりさつきちょっと私も言いましたように、利益勘定といいますか、利益の中からどうということでなくて、やはりそういう事業のコストとして考えるべき性格の税、従って法人税からも引かれておる。そういう意味においてやはり事業税というようなものは、本質的にむしろ外形標準的な事業分量を現わす、利益がどうであるというよりも、事業分量を現わすようなものを課税標準にとった方がいい、こういうふうに私は考えているわけであります。
  58. 大矢省三

    大矢委員長 それでは午前中の会議はこの程度にいたします。  参考人皆様委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。本日は長時間にわたりましていろいろ有益な御意見をお述べいただきましてありがとうございました。各位の本日の御意見は今後本案の審査の上に多大な参考になることと存じます。厚く御礼を申し上げます。  なお午後一時から二時まで本会議があるそうですし、きょうはあと六人参考人がお見えになっておりますから、二時になりましたら会議を開きます。どうぞそのつもりで委員の諸君は御出席を願います。  暫時休憩をいたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後二時四十七分開議
  59. 大矢省三

    大矢委員長 それでは午前に引き続き地方税法の一部を改正する法律案について、参考人より意見を聴取いたします。  なお町村会長の中野参考人が急病のため出席ができないとのことでありますので、大阪府箕面町長広瀬勝君が町村会代表参考人として御出席になっております。  参考人皆さん一言委員長よりごあいさつを申し上げます。本日は非常に予定の時間がおくれまして、申しわけございません。各位には遠路御多忙にもかかわらず、本委員会のために御出席下され、まことにありがとろございました。実務に携わる皆さんの御意見は、本案審査に多大の参考になるものと思いますので、忌憚なき御意見をお述べ下さるよう、ごあいさつかたがたお願いを申し上げます。  それでは順次御意見を承わることといたします。町村会長代表広瀬勝君。
  60. 広瀬勝

    ○広瀬参考人 ただいま御紹介にあずかりました参考人の広瀬でございます。今回政府の提案になりますところの地方税法の一部を改正する法律案につきまして、全国町村を代表いたしまして意見を申し述べたいと思うのであります。  その意見の骨子は、お手元に二月十七日付の文書で御要望いたしたところでございますが、総括的に言うなれば、今回の改正は、非課税範囲の圧縮と三公社等交付金制度の創設などで、総額百二十億、平年度におきまして百八十四億の増徴を見込んでおる点等、ある程度地方要望に即する改正が考慮せられておるのでありまして、この点につきましては賛意を表するとともに感謝をする次第であります。  しかしながら政府みずから常々言われておるように、根本改革は昭和三十二年度まで見送ることとせられまして、われわれの基本的主張でありますところの地方独立財源の充実、税負担の均衡化などきわめて不十分と言わねばなりませんが、これらを中心といたしまして、町村実情等を簡単に御説明申し上げたいと思うのであります。  本会のかねての主張は地方税制の抜本的改革と照応いたしまして、府県民税の廃止、市町村自主財源の充実などの根本的改正要望しておるのでございますか、これは地方住民への増税を意味するものではなくして、制度改革と関連して国、地方の税源の合理的な配分を内容としておるのでありまして、従って今回の改正のごとき新税の創設は、特殊なものを除きまして一般的には賛成しがたいものであります。  要望書の第一項に、たばこの消費税の増額は第一次の地方制度調査会の答申以来の懸案でありまして、本会もまたこれが国民負担を増大せしめざるところの地方財源の充実であるという点から、たばこ消費税の増額を要求しておるわけなのであります。  さらに本会は、人口割で分配するという要望を続けて参っておるのでありまするが、現行法におけるところの近在町村民の消費量の一部が中心都市の税収となってしまうということは、具体的な例といたしまして私の町なんかはその影響が非常に著しいのでありまして府県民税がなかったならば大へんいいのでありまするが、府県民税のためにとられまするところの額が一千三百七十万円でありまして、反対にたばこの消費税によって還元するところのものが四百五十万円程度でございますので、差引九百二十万円程度というものが、これがために地方財政の不足を生じてくるというような形になっておるわけでございまして、大阪市のごときはたばこの消費税と府民税とのつり合いを考えてみますると、府民税は徴収せられることになったが、たばこの消費税によって入ってくるところの額というものが、年額府民税をオーバーすることが五億というような数字になるわけでございます。大阪におけるところの大都市周辺の町村にはそういう傾向が非常に多うございまして、約十七町村というものがそういうような私の町と同じような事情のもとに置かれておるようなわけでございます。  少し余談になりましたけれども、われわれはできるだけ税源を普遍化することが必要であるというような考え方を常に持っておるわけでございまして、われわれは、今日の地方の税源の現状から考えますると、ある程度譲与税方式を採用するのはやむを得ないと考えておるものでございます。  第二に、今回国鉄等三公社に対しまするところの固定資産納付金制度についてでありまするが、この趣旨は本会が従来から主張してきましたところの点でありまして、まことに適切な措置と存じておるわけでございますが、これらの経緯につきましては当初固定資産税課税の観念から発しましたが、途中で政府の一部においてはこれを一括的に納付金制度として調整財源に繰り入れたらというような意見も出まして、結局現在のような案に落ちついたと思うのでありますが、われわれはこれを他の一般企業との均衡上、あくまでも所在市町村の直接課税方式を徹底せしむべきものだ、かようにこの点は主張いたしたいのでございまして、現改正案では評価、配分ともに関係機関、自治庁の協議決定により定められ、納付率も一・四というように固定せられているため、かりに他の固定資産に超過税率を課する市町村ができました場合においては、均衡上まことに好ましくないような状態も起りますし、また評価等も他と著しい差の生ずるような場合もあり得ると考えるわけでありまして、しかもこの三公社等につきましては、別途に納付金算定基準額に特例をもって軽減措置も講ずるというようなことになっておりますので、市町村の直接課税といたしましても、その特殊性は十分に保障されることでありますので、どうかこの点は市町村が直接に課税できるような工合にお考えおきを願いたい、かように考えるのであります。  第三点は、住民税の負担均衡化でございます。今日の勤労所得と事業所得にかかる課税不均衡の問題は皆様よく御承知通りでございまして、町村では近隣住民の間で直接対比をするわけでございますけれども納税者に対しまして非常な悪影響を及ぼしております。従って税務行政の上において障害となっておるところでございますけれども、こういう点は今さら申し上げるまでもないと思うのでありますが、町村会で調査いたしましてもずいぶんおもしろい比率が出ておるわけでございまして、ここに参考として掲げてございますが、納税義務者の源泉分が六〇・三%で、申告分が三九・七%というような工合になっておりまして、税額につきましても今度六四%ばかりが勤労所得に相なっておるというようなことでございますので、昨年の地方税改正で、かかる点が国会で修正せられまして、ある程度是正せられましたことにつきましては、まことに感謝にたえぬところでありますが、また今回の所得税法の一部改正法案においても勤労控除の引き上げ等も予定せられておるようでございますが、どうかこういうような不均衡がはなはだしくないように、地方税におきまして勤労所得の控除制をさらに拡張せられるように、特に御配慮を願いたいと思うのであります。  第四番目には、全市町村の問題ではありませんが、関係市町村としては非常に大きな問題がございますが、それはどういうことかと申しますと、大規模償却資産に対しますところの課税の限度を再検討をお願いしたいと思うのであります。幸いにして昨年度地方税法の一部改正で三ヵ年間急激な変化を緩和する措置をとられたのでありまするが、現行法の建前はそのままなので、平年度には関係町村の大部分は、基準財政需要額の一二〇%という低いところの収入で押えられておるわけでございます。これは市町村にとりましてはせっかく大きな課税の客体があるにもかかわりませず、それを十分に利用できないというような実情にございまして、さらにまた金額で人口制限等で押えられておる関係上、新たに客体が出て参りましても大して町村の収入にならないというような措置になっていることは御承知通りだろうと思いまするが、これらを何とか適切に御緩和を願いたいと思うのでございます。しかも今度三公社課税等の新規な税源が開拓せられるようになっておるわけでございまするので、特にこの点は御留意を下さいまして、できるだけ町村の収入増をお考え願いたいと思うのでございます。  最後に懸案の府県民税でありまするが、冒頭にも申し上げましたように、地方制度の根本改革ともからんで、府県民税はすみやかに根本的な御検討を願いたいのでございます。近く地方制度の調査会も府県制度等についていろいろ御検討せられることと存じまするが、少くともその方向は、今日の府県を完全自治体として強化せしむるものではないだろうということはわれわれも予想いたしておりまするが、この際府県民税制を放置して、ますますその基礎を固めるというようなことは検討を要する点ではないかと、かように存ずるのでございます。また現行法で実質的に増税を可能ならしめているというようなことも妥当とは存ぜられないのでございまして、これはぜひ近く廃止をしてもらいたいということをこの機会にお願いするわけでございます。御承知のような工合に法人税の方では府県民税は百分の六というように抑えられておりまするけれども、個人のものになって参りますると何ら押えがありませんので、府県民税がほとんど——無制限と言っては弊害がありまするけれども、相当大幅に府県民税は徴収せられるというようなおそれもございます。どうかこの点特に御配慮を願いたいと思うのであります。  以上まことに簡単でございまするけれども、五項目にわたりまして、全国町村会といたしまして今日まで主張して参りましたことを、要約して申し述べた次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。
  61. 亀山孝一

    ○亀山委員 議事進行について……。今まで参考人のお方のお話を伺いまして、あとでまとめていろいろ御質問申し上げたのですが、きょうは国会の都合でこんなにおくれましたので、皆様もさぞかし御都合もあろうかと思いますので、もしわれわれの方に質疑がなければ、適宜お帰り願うということにする方がいいと思いますので、一つ委員長のお取り計らいを願います。
  62. 大矢省三

    大矢委員長 それでは、関係があると思いまするから市長会代表の鴨田さんに一応願って、質疑かなければお帰りを願う、こういうことにいたしたいと思います。それでは鴨田宗一君。
  63. 鴨田宗一

    ○鴨田参考人 全国市長会を代表いたしまして、熊谷市長鴨田宗一が地方税法の一部を改正する法律案に対しまする公述人といたしまして御参考までに意見を申し上げまして、格別なる御高配をお願いいたしたいと思います。実は昨年末臨時国会以来、地方財政に対しましては格別なる御高配を賜わりまして、われわれ末端の市町村といたしましても急に明るい見通しがあるように存ぜられまして、この点深く諸先生方に感謝を申し上げる次第であります。  今、国、地方の税収を比較いたしますると、昭和三十年度の予算におきまして国の租税及び印紙収入は全歳入の約八〇%を算しておるにかかわらず、地方税の収入見込額はわずか三七%である。これに地方交付税を加算いたしましても五二%という、ほんとうに自主性のない財源が与えられておるにすぎないのであります。こういうふうな関係から、市といたしましても必然的に超過課税あるいは法定外課税をしなければならない状況に追いやられておりますので、この点地方税源の絶対的な不足と事務量のかさんで参りますることが、地方財政赤字の大きな原因じゃないかということを、私たち常日ごろ痛感をしておる次第でございます。  幸い地方制度調査会並びに税制調査会がこの点を御指摘して下さいまして、昭和三十二年度におきましては国、地方を通じまする抜本的な税制の改革を行なっていただくというふうなことが期待されておりますので、この昭和三十一年の改正案も、さだめし三十二年のこの根本的な改革を前提といたしましての改革であるというふうに、私たちは解釈をしておるのでありますけれども、しかもまた三十一年のこの法律案に対しまして、全国市長会といたしましては、これから申し上げまする二、三の点につきましてぜひ一つ皆様方の御高配をお願いいたしたい、こういう考え方意見を申し上げる次第でございます。  すなわち本会がもう長い間主張して参りましたたばこ消費税税率の引き上げの問題につきましても、御承知通り私たちの要望しておりまする点とは非常に異なっております。差等のあります限度にまだ引き上げていただいておりませんので、ぜひ自主財源の強化という点からも昭和三十一年度におきましてこれを改正案に加えていただきたい、こういうふうな考え方でおります。  さらに先ほども町村会代表の町長さんからお話のございました三公社固定資産に対しまする所在市町村課税権を認めていただきたいということでありますけれども、御承知通りこの三公社にいたしましても他の固定資産にいたしましても、これは応益の原則に従いまして地方自治体独自の立場課税権を持つというところに、地方自治体の税制の体系というものができているのではないか、こういう考え方から、ぜひ一つ市町村におきまして自主的に賦課徴収するように改正していただきたいということをお願い申し上げる次第であります。  次は大規模の償却資産にかかわりまする固定資産に対する課税上の制限を緩和していただきたい、こういうふうなことでありまして、これは先ほど町村会からも強い希望がございました通りに、特に第二十二特別国会におきまする皆様方のこの行政委員会の御決議の趣旨にのっとりまして、所在都市財政需要を十分に補償し得るような課税上の制限を一つ緩和していただきたいということを、市長会としては強く要望する次第であります。  三番目は非課税規定の整理を徹底して下さいという要求でございます。少くとも信用保証協会や信用金庫、さらに、各種の協同組合の倉庫にも一つ課税できるようなお取り計らいをしていただきたい。また特に最近におきまして全国市長会といたしまして強く要望しておりますることは、駐留軍の固定資産の問題でございます。実は我田引水になりまするけれども、私の方の土地に毛駐留軍の基地がございまして、非常にその点につきましては他の固定資産を維持管理するのと同じように、あるいは道路、橋梁、こういう方面におきましても非常に使用する面が多い。また火災の面であるとか、水道の面でも市独自の財源を要する問題が出て参りますので、この点いろいろ国際的な協定もあるでありましょうけれども、駐留軍の使用の固定資産に対しましては、一つ固定資産税を課するような税制を作っていただきたい、実はこういう考え方でおる次第であります。  以上三十一年度に対しまする地方税法の一部改正法律に対しての市長会といたしましての希望意見でありまするけれども、さらに三十二年度におきまして地方税制の改正に当りましては、ぜひ一つ次の二点の実現方を要請するものでございます。先ほど申しました通り、現行地方税の総収入中に占めまする割合が非常に低く、地方債を一部財源に充当しておりますが、同時に間接税の比率というものが国税に比較いたしまして非常に少い。比重が二十一%であります。こういうふうな観点から、普遍性、伸張性を持ちました間接税によるところの地方税一つ作っていただきまして、国税との調和をはかるために次の処置をとっていただきたい。イとしては、われわれ市長会として長年の主張でありまするたばこの消費税の引き上げ、現在におきましては昭和三十一年におきまする府県分の百分の八、市町村百分の九、こういうふうなことでございますけれども、私たち全国市長会といたしましては、長年お願いいたしております通り市町村におきましては百分の二十、府県におきましては百分の十以上、こういうふうな線までぜひ一つ引き上げていただきたい。さらにまた市町村税につきまして砂糖の消費税一つ創設していただきたい。次に給与所得、事業所得のアンバランスをこの際ぜひ是正していただきたい。こういうふうな希望意見を申し上げる次第でございます。どうぞ今後委員会におかれましても、私たち全国市長会の皆様方に対しまする希望の筋を御勘案下さいまして、格別なる御高配を賜わらんことをお願いいたしまして、全国市長会を代表いたしましての公述を終りたいと思います。
  64. 大矢省三

    大矢委員長 それではお二人の参考人に対して御質疑がありましたらどうぞ。
  65. 亀山孝一

    ○亀山委員 まず町村会代表であります箕面町長さんにお伺いしたいと思います。先ほどのお話の中に府県民税廃止に関連して、私の聞き違いかもしれませんけれども、府県というものの自治団体としての性格がどうも弱まりつつあるというような意味に拝聴したのですが、そういう理由で府県民税を廃止すべしというようにお伺いしましたが、そういう意味ですか。そのところをもう少し敷衍して御説明願いたいと思います。
  66. 広瀬勝

    ○広瀬参考人 ただいまの御質問にお答えいたしたいと思います。私ども考え方は、府県というものを完全自治体とは考えておりません。それで府県民税の創設というようなことが方向といたしまして、府県を完全自治体として強化していくような方向に進んでいくのじゃないかということをおそれるわけであります。府県というのはあくまでも補完行政立場でやってもらいたい、こういうことを私は考えておるわけであります。府県民税というものをなくしますると、そういうような方向にさらに拍車をかけるような傾向が多少でも防げるのじゃないかと思います。府県民税を創設せられ、やっていかれる過程におきましても、県というものが完全自治体であるがごとく将来発展しはせぬかということを、私はおそれておるわけであります。
  67. 亀山孝一

    ○亀山委員 そうしますとお考えは、自治体としてはもう府県は要らぬというようにお考えのように思いますが、もう一度念のために伺いたい。
  68. 広瀬勝

    ○広瀬参考人 府県というものには大体補完行政一つやってもらいたい、市町村だけでやれないところのいろんな仕事があるものでございますから、そういうことをやってもらいまして、あくまでも完全自治体としては市町村でやる、その市町村の足らないところを補うような意味における補完行政的な府県の性格を私ども考えておるわけでございます。
  69. 亀山孝一

    ○亀山委員 次に市長会の代表であられます鴨田参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほどお述べになりました中に租税負担の均衡に関連して、非課税規定を極力整理すべきものとして少くともというので、信用保証協会と信用金庫及び各種協同組合等の倉庫、こういうふうにおあげになりましたが、まだ相当にあるやに思います。もしお差しつかえなければどういうものがこの他にありまするか、参考になると思いますので伺いたいと思います。  もう一つ最後に、三十二年度の御希望の中に給与所得者、事業所得者間における租税負担の不均衡を是正する措置、このおもな点を簡単に一つお示しを願いまして私の質問はこれで終りま  す。
  70. 鴨田宗一

    ○鴨田参考人 先ほどの給与所得者、事業所得者における負担の不均衡を是正するというところから起った御質問だと思います。実は先ほどもちょっと触れました通り、総所得に対しまする給与所得者の所得税は大体計算してみますると総所得の六%、また農業者の総所得に対する課税が大体〇・七%、事業者に対しまする課税が三・六%というような数字が出ております。結局極端な例を申しますると、昨年初めて施行実施されました例のお米の売り渡しの予約の問題、これにつきましては、予約数量の一部を税から差し引くというような規定もあるようでございまして、こういたしますると、結局給与所得やあるいは事業所得というふうなもののアンバランスがさらにさらに高まってくるのじゃないか、これを一つ是正して各三者ともみな同じような給与所得、事業所得についての課税のバランスをとっていただきたいというふうな希望で実は申し上げた次第でございます。  さらに第一の質問でありまする非課税規定の整理を徹底することとして、信用保証協会、信用金庫と各種協同組合、こういうふうなものの例といたしましては、ただいま頭にすぐ浮んでおりません。また一つ調べまして、お答え申し上げたいと思います。
  71. 亀山孝一

    ○亀山委員 もう一つ……。ただいまお述べになりました給与所得者と事業所得者間の不均衡の問題では、あなたのお考えでは農業事業税をかけるべしというような御意見ではないのでございましょうか。
  72. 鴨田宗一

    ○鴨田参考人 そういう意味ばかりではないのでございます。
  73. 大矢省三

    大矢委員長 ほかに質疑はありませんか。——それではないようでございますから、どうも御苦労さんでした。なお本日、本会議関係もございまして非常に委員が少うございますが、御趣旨の要点はプリントをもってよく通知いたします。  それでは次に大阪税務長播磨重男君。
  74. 播磨重男

    ○播磨参考人 私ただいま御紹介を受けました、大阪府の税務長の播磨でございます。本日は参考人として、地方税法改正の問題について意見を申し述べる機会をお与え下さいましてまことに光栄に存ずる次第でございます。  今回政府から提出されております地方税法の一部を改正する法律案は、府県税として軽油引取税の創設、市町村税としていわゆる三公社等固定資産に対する課税並びに都市計画税の創設等、幾多重要な内容が盛られており、初年度において百二十億三千九百万円、平年度において百八十三億八千四百万円に及ぶ地方税の増収が期待されるものでありまして欲を申せば、府県税は軽油引取税だけでありまして市町村税に比較していささかさびしさを覚えるのでありますが、いずれにいたしましても地方税の充実が一歩進められるということに変りなく、地方税財政現状に照らし、まことに適切な措置であると存ずるのであります。私はこれまでの案を取りまとめられた関係各位のなみなみならぬ御苦労に対し、あらためて敬意を表する次第であります。  ことに今回提出されております改正案を拝見いたしますると、さきの臨時税制調査会の答申にありましたような、税源偏在の是正、地方財源の調整といったような名目のもとに、地方税の一部を国税に移管し、これを地方団体財源として再配分を行うがごとき、あたかも、戦時中に行われたいわゆる配付税方式のごとき財源調整意見を排除し、地方税制本来の建前を堅持するとともに、地方税源そのものの充実に一歩を進められましたことは、まことにありがたい仕合せであると存じます。なかんずく私どもの最も関心事でありましたことは、法人事業税の一部国税移管をめぐる問題であったわけでありますが、府県税総額の四三%の税額を占め、府県の自主税源として最も重要であり、起債の償還、赤字の解消に充つべき唯一の貴重な税源である法人事業税の一部国税移管を阻止していただきましたことは、これによりまして府県財政の自主性が確保せられ、地方税体系そのものを破壊から防止し得ることにもなりますので、この点私どもといたしまして大へん喜んでおるような次第でありまして、どうか諸先生におかれましてもこの上ともよろしくお願い申し上げたいと存じます。  それでは法案の内容にわたり、特に府県税に関する一、二の事項について簡単に申し述べてみたいと存じます。  一、不動産取得税において住宅の定義を「人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分」とすることについてでありますが、この点は大へんけっこうな改正かと存じます。従来いわゆる店舗住宅等に対する課税につきまして、主として居住の用に供する家屋ならば税金は要らないが、主として店舗の用に供する家屋であれば、まるまる課税をしておるのでありますが、実際問題になりますとそのどちらに該当するかの認定に困難がありまして、困った事例が往々にあるわけであります。従いまして改正案のように居住部分と店舗部分とを分けて課税することになりますと、課税上の疑義が一掃せられ、実際に即した課税ができるようになりますので、ぜひともさように改正を願いたいと存ずるのであります。  二、遊興飲食税につきまして徴収猶予に関する事項と、納入義務者免除に関する事との二つの事項があげられておりますが、いずれもけっこうな改正と存じます。第一の遊興飲食税徴収猶予につきましては、大阪府におきましては公船領収証制度の実施と同時にすでに実施しておるのでありまして遊興飲食費が売掛となって申告納入期限までに収金ができなかった分は、申告期の翌月末を限度として徴収猶予を認めることにしております。すなわち行為のあったときから計算しますと、行為のあった月と、その翌月と、もう一つその翌月一ぱいまでが徴収猶予期限であります。その期限を過ぎますと。もう一ぺんこれを延長するということは認めておりません。この点につきましては例外的に問題があるようでありますが、際限なく徴収猶予を認めることは大へんな事務的手数を要するばかりでなく、そこに弊害が起ることも予想せられますので、しかく締めくくりをつけておるのであります。第二の遊興飲食税の納入義務免除につきましては、実は業界からも要望があり、大阪府といたしましても検討をしていた問題であります。これは遊興飲食費が税金とも掛倒れになった場合等の免税措置がねらいであろうかと思いますが、これが乱に流れますと、非常な弊害の起ることも予想せられますので、実際の運用にはよほど注意を要する事柄であります。しかし公給領収証制度のもとにおいてかっちり税金を徴収する以上は、元ごと掛倒れになったものを、税金は別だからあくまで徴収するということは無理なことでありまして、さような無理な税金のとり方をいたしておりますと、今度は公給領収証を正直に書いてもらえなくなるおそれもあるわけであります。従いまして公給領収証制度を存続いたします以上は、この納入義務免除の規定はぜひとも必要なことであると考えております。  なお遊興飲食税につきまして、一言づけ加えて申し上げたいと存じます。それは特別徴収義務者に対して、徴収交付金あるいは報奨金といったものを支給する規定を設けていただきたということであります。御承知のように公給領収証の発行により遊興飲食税の特別徴収義務者には非常な事務的、精神的負担をかけておりますので、納税額に対し何%程度かの報奨金を支給することは当然必要なことではないかと痛感をしておるのであります。しかしかかる事柄は法制化していただかないことには、適不適の問題が残りますし、また実際問題として予算措置に困難を伴いますので、これが法制化につきお考えを願いたいのであります。  三、自動車税について、所有権留保付売買があった場合の納税義務者についてでありますが、この点の改正もしごくけっこうかと存じます。大阪府におきましても月賦販売の自動車で、販売者が所有名義を留保したまま登録するものが沢山あるのでありまして、従前はすべて名義人である販売業者から税金を納めてもらっていたのでありますが、昨年度末ごろから買受人を便宜の納税代理人とし、買受人から税金を納めてもらうことにいたしておるのであります。しかしこれはあくまで便宜の取扱いでありますから、課税上の問題が起きたときには困るのであります。従いまして、このような場合売主と買主とを共有とみなす規定を設け、双方に納税義務があることといたしますれば問題が解決するわけでありまして、そういたしますれば実情に即して適正な課税ができるようになるものと存じます。  次に軽油引取税でありますが、これにつきましてはいろいろと免税規定がありまして、この免税規定の運用にかえって問題が残るのではないかと思います。すなわち軽油がどのような方面にどの程度使用されているかを具体的につかむことは、非常に困難なことであろうかと思われますし、まして免税証明書の要求を受けた場合、その適不適を判断して、誤まりのない証明書を発行するがごときことは、実際上ほとんど不可能に近いことではないかと思われるのでありましてその間、間違いを引き起すおそれもありますので、この点につきましてさらに十分の御検討をお願いいたしたい。私どもといたしましては、むしろ負担の均衡上免税規定はできるだけはずしていただいて、低率全面課税の方式をとられることが望ましいのではないかという考え方を持っております。  次に入場譲与税法の一部を改正する法律案に関連して一言申し上げたいと存じます。同法案はすでに審議を終えられたそうでありますが、地方税制度の根本的理念あるいはその今後のあり方にも関連する問題でもございますので、この機会に私ども考え方を述べさせていただき、各位にもお聞き取りを賜わりたいと存ずるのであります。  さきに入場税が国税移管となり、入場譲与税制度が創設せられたのでありますが、私は地方税の一部を国税に取り上げて、これを地方団体に再配分をするといった方式、今日ではこれを税源偏在の是正、地方財源の調整といったまことにもっともらしい呼び方が行われておるのでありますが、かかる地方財源の調整は終局的には地方税そのものの圧縮削減であり、地方財政の自主性を冒涜するものであって、根本的に誤まれる考え方であると思うのであります。すなわち地方税財政の基本原則は、あくまでも地方自治法にいう住民の負担分任の義務、この理念に立脚する地方税の税源を可及的に充実することにあり、しこうしてなおかつ財源の不足する団体に対しては、地方交付税を交付してこれを補っていくということでなければならない。しかるに昨今は、この最も大切である自主税源の充実について深く考慮することなく、むしろかえって税源偏在の是正、地方財源の調整といった美名に藉口し、自主税源を圧縮し削減しても、要は財源を補ってやりさえすればよい、もらいさえすればよいといったようなまことに嘆かわしい考え方がなされておりますが、これでは地方財政はいつがきても救われないばかりか、地方財政みずからが墓穴を掘る結果になるであろうことを憂えるのであります。さきに入場税が国税に移管せられ、入場譲与税制度が創設せられ、大阪府のごときは二十数億円の入場税が取り上げられて、財政上の深い痛手を受けたのでありますが、入場税収入に比して入場譲与税が多額に譲与せられることとなった府県におきましても、多額に譲与せられた額だけは地方交付税を減額せられて、差引いささかもプラスにはならなかったのであります。今回またこの入場譲与税法の一部を改正して、不交付団体に譲与すべき入場譲与税の一部または全部を、その他の団体に再譲与する法案が提出されておりますが、これは地方交付税税率を二五%からわずかに一%ないし〇・五%の引き上げを行うごとによって、かかる無理な改正は行わずして済んだはずであります。すなわち税源偏在の是正、地方財政の調整は一部地方団体財源を取り上げることによって、これを地方交付税財源と肩がわりせしめ、国みずからの負担をそれだけ免れようとすることにほかならないのでありまして私はかかる意図に対しましては、あくまでも反対であると申し上げざるを得ないのであります。  さきの臨時税制調査会の答申におきまして、府県税中の法人事業税を国税に移管するという項目が掲げられていたのでありますが、法人事業税のごときはいずれの府県におきましても、府県税収入の四〇%ないし六〇%を占める最も重要な税源でありまして、今日いずれの府県にいたしましても、赤字の解消、起債の償還に引き当てる唯一の貴重な税源として、その今後の伸びに大いなる期待をかけておるのであります。わが大阪府といたしても、年々歳歳急激な財政需要の増高を余儀なくしているのでありますが、この財政需要の急激な増高をまかなう唯一の財源は、この法人事業税の伸びに期待するほかはほとんど見るべきものがないというのがその実情であります。もし臨時税制調査会の答申のごとく、税源偏在の是正、地方財源調整の名のもとに、法人事業税の全部または一部を国税に移管するがごとき措置がとられるとすればどうでありましょう。これは大へんなことでありまして、大阪府といえどもたちまち財政に破綻を生じ、にっちもさっちも行かなくなることは明かでありまするし、まして赤字をかかえ起債の償還に困っている府県の財政は、いよいよどうにもならない事態に追い込まれるであろうことは想像にかたくないのであります。私はかかる税源偏在の是正、地方財源の調整なるものは、それこそ角をためて牛を殺すのたぐいであって地方財政の健全性を保持し、その自主性を貫いていく上から考えまして、断固排撃しなければならないものであると信ずるものであります。  なおまた何ゆえ税源偏在、地方財源の調整といったことがやかましく言われるに至ったかについて考えてみますると、東京都や大阪府にはあり余った財源がある、だからこれを財源が不足して因っている他の団体に回してやれば、それでみなが助かるという考え方から出発したものではないかと思うのであります。ところが大阪府にとってみますると財源に多少余裕があったというのは昭和二十六、七年のころでありまして、当時は朝鮮ブーム、繊維ブームのおかげで税収が予定よりも二十億も三十億もよけいに入ったという夢のような話もあったのであります。ところがその後当時の繰越金をだんだんと食いつぶして、それでやっとのこと赤字を食い止めてきたのでありますが、早くも本年度のごときはいよいよ行き詰まって知事、部長の旅費まで二等に引き下げ、せっかく割当を受けた公共事業費も三割方返上して、いかにして赤字団体への転落を食いとめるかについて必死の努力を傾けておるというのが、今日の偽わらざる実情であります。  なるほど地方交付税の算定に用いる基準財政収入額と、基準財政需要額との対比におきましては、基準財政収入額に幾分かの余剰のあることは事実であります。しかし地方交付税の算定に用いる基準財政需要額は、地方団体の最低限度における財政需要額を測定したものである上に、地方交付税の総額の不足からしてさらに多くの圧縮が加えられたものであって、各地方団体の実際の財政実情とは著しい隔たりを生じております。その証拠に地方交付税の交付を受ける府県の大部分は巨額の赤字に悩んでおるのであります。特に大阪府のごとく近代産業地域を形成し、四年間に七十万人もの人口が激増するような府県の財政需要額の測定については、その行政の内容が複雑多彩であり、その規模が大きいだけに、なお多くの問題がそこに残されておるのであります。さき地方制度調査会がその答申において指摘したごとく、基準財政需要額の地方実情に即する合理的な算定がなされますならば、大阪府といえども基準財政収入額に余剰のあるがごとき結果は出てこないはずであります。どうか大阪府の財政につきましても御認識を賜わりたいと存じます。  最後にいま一つお願いを申し上げておきたいのでありますが、それは税制の根本的改正といったようなものはあまりたびたびしていただかないことであります。毎年のように税制の根本的改正なるものが行われますと、地方では財政計画が立たなくなりますし、徴税事務につきましても、職員が事務に習熟するひまがなく、手数ばかり多くかかることになります。ことに今日の場合税法をいかように変えましても、納税者たる国民の経済力が疲弊しているときに、そんなに多くの税収が期待できるはずがない。税金を納めるのは国民であり住民であります。そうたびたび税法が変るということは、国民にとっても迷惑ではなかろうかと思います。税法を変えなくても国民の経済力さえ充実し向上すれば、税収もこれに伴って増加いたします。それまでは国の財政地方財政も苦しいことに違いない。しかし税金を納める側の国民なり住民なりは一そう苦しいことに違いないのであります。今国会税法審議がまだなされている最中に大蔵省では早くも昭和三十二年度税制改正がもくろまれております。もっとも現在の税法の建前を建前としてこれに改善を加え、できるだけ負担の均衡、負担の軽減をはかっていくということは望ましいことでありますが、聞くところによりますと、大蔵省では中央、地方を通ずる税制の根本的改革をやるということで力んでおられるそうであります。そうたびたび税制の根本的改正をやられましては、地方団体もまた国民もたまらないと思いますので、そこのところはよろしく御勘案を願い、善処方をお願い申し上げたいと存じます。  大へんまとまりのない勝手なことを申し上げましたが、御容赦を願いまして、私の申し述べることは以上でとどめておきたいと存じます。ありがとうございました。
  75. 大矢省三

    大矢委員長 播磨参考人に対して御質疑はありませんか。——亀山君。
  76. 亀山孝一

    ○亀山委員 ただいま播磨参考人の御説明を伺いまして非常に参考になりましたが、一つお伺いしたいと思います。今お触れになりました遊興飲食税の問題で、私ちょっと不在で失礼いたしましたが、ここで今問題になっておるのは公給領収証の問題であります。これについてどういうお考えをお持ちになりますか、一つ率直なお考えを拝聴いたしたいと思います。
  77. 播磨重男

    ○播磨参考人 遊興飲食税の公給領収証制度の廃止についてどう考えているかというお尋ねでありますが、これが税のただ徴収事務を担当いたしておりますものといたしましては、この制度が実施せられまして以来今日まで、いかにしてこの制度を軌道に乗せ、成績を上げるかについて日夜努力を払っておるところであります。従いまして今これを廃止することについて賛成であるというものはおそらくおらぬのじゃないかというふうに考えます。知事会におきましても公給領収証制度の廃止には反対である旨の決定を見ておることは御承知通りでございます。  そこで大阪府の今日までの実情をちょっと一つ申し上げさしていただきたい。まずこの制度を実施してよかったと思われます点を申し上げてみたい。一つは、毎月の税額決定に当って、従前のように負けろ、負からぬといったような業者とのいざこざがほとんどなくなった。税額の決定がスムーズに進み、明朗化いたしました。一つ、客から税金を預かっておいてこれを納めればよいということになったので、従来のような出血納税ということがほとんどなくなって、納税も非常にスムーズになり、成績が向上いたしました。一つ、税額も飛躍的に向上を見まして、大阪府は従来遊興飲食税をよう取っていないじゃないかといわれていた汚名を返上することができました、等の諸点をあげることができると思います。大阪がどの程度上ったかといいますと、十一月分では前年度同期に比しまして五〇%増、十二月では七〇%増、一月では一一%の増というふうに、非常に飛躍的に税額も上っております。しかしこれをやるにつきまして、いろいろと業者の側に立って見てやりますと、次のようなことが心配になるわけであります。一つは、これだけ売り上げがはっきりすれば、遊興飲食税そのものはいたし方がないにしても、国税の所得税がむやみと高くなる。他の業種との税負担に著しい不均衡を生ずるのではないかという点、一つ税務署が所得税の査定に当って公給領収証を手がかりとし、この上いろいろと追求してくるのではないか、その結果客にまで迷惑を及ぼすような事態も起るのではないか。一つ、従来遊飲業者の所得査定に用いる所得率というものはかなり高率となっております。この所得率を相当引き下げてもらわないことには、所得税が一躍二倍にも三倍にもなって、結局店の経営をするものが立ち行かないことになるのではないかといったように、むしろこの後門のオオカミとしての所得税の問題で、業者としては深刻な不安にかられております。私もこの点につきましては業者の側にも立って心配をしておるのが実情であります。  これが制度の廃止につきましてどうであるかということでありますが、大阪の業界としましては、この制度ができます際にあげて反対をしてきたのであります。もう全国の業界の急先鋒になって反対をして参りました。ところが、いよいよこれを廃止するということが新聞紙に伝えられまして、まだ業界としてまとまった意見は私は聞いておりません、ただ一部の人々の意見をいろいろと聞いておるのでありますが、これには相当自重論者も出てきております。どういうことであるかといいますと、一つは、公給領収証が廃止になっても府当局は今までの税額を引き下げるようなことはしないだろう、ところがこの制度が廃止になれば客は遊興飲食税そのものが廃止されたような錯覚を起すであろうし、そうでなくても客から税金をばんぱんもらえなくなる。そうするとまた出血納税が従前にも増してひどくなるのではないかということが一点。もう一つは、公給領収証制度は実施後まだ日が浅い。まだ軌道に乗るところまでは行っていない。従って業者間の負担にもアンバランスがあり、このまま廃止をすれば、このアンバランスの状況が業者の実績となって今後も持ち越されていくのではないか。そうだとすれば、いずれ廃止するにしても、せめて一年ぐらいは実施するのがいいのではないかというような相当自重論の空気が動いております。また一部の大衆旅館業者からこれは私のところへ来たのでありますが、公給領収証制度廃止については税務長として絶対に反対をしてもらいたい、がんばってもらいたいというたような申し出もございましたような次第であります。おそらく業者としましては、こちらへ出てくる代表的な声としてはこれは廃止ということが強く出てくると思いますが、大阪府も今日まで私が聞いておりますところは、ただいま申し上げましたように相当自重的態度というようなものも強く出てきておるのではないか。  最後に、私としまして、税を取る側からいいますと、先ほども申しましたように非常にすっきりして参りました。いやな感じを残さず、非常に明朗になったということでありますので、私ども立場から、今これを廃止していただくということにはちょっと待って下さいと言わざるを得ないような事情でございます。そこのところ一つ御了承願いたいと思います。
  78. 亀山孝一

    ○亀山委員 よくわかりました。私けっこうです。
  79. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの遊興飲食税の御説明ですが、増収になった、相当な増収でありますが、やはり業態によって料理店やカフェー、キャバレーあるいは大衆飲食店等では違うだろうと思うのですが、大体において大衆飲食店の方は軽くなって料理店の方が重くなるというふうな結果に聞いておるのですが、大阪の場合はどうですか。
  80. 播磨重男

    ○播磨参考人 北山さんの御指摘の通りでありまして、特に非常に税額の上りましたのは高級料理店及びキャバレーであります。それから大阪府におきましては旅館業という看板でやはり料理行為をやっているものが多くありますので、この旅館業という業態についても、一般的には減っているはずでありますが、大阪府はさほど減っておらぬ。ところが大衆の飲食店あるいは喫茶店といったようなところは、これはもうがた減りで減っております。非常に減っております。特に目立って減りましたのは婦人あるいは子供の利用する百貨店の食堂あるいは汽車の食堂、そういうところは非常に目立って減っております。
  81. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、まさかこの制度によって税金が減ったところが反対をするというわけじゃないでしょうから、やはり反対をしているのは高級料理店とかキャバレーだ、こういうふうに考えます。せんだってある喫茶店に入りましたところが、領収証制度をと聞いたら、あんなものは廃止になりましたよ、ラジオでそういっていました、こういう話なんで、実は私が変な顔をすると、税務署の人じゃないかというふうに疑われまして驚いたのです。この制度のねらいというのはいろいろあったわけでありますから、その領収証制度のねらいが実際に実現しているかどうか、こういう問題はただいまのお話を聞いて非常に参考になりましたが、さらに自治庁の方から全国的の制度実施後の成績を資料として出していただきたい、これをお願いしておきます。  それから播磨さんにお伺いします。が、この委員会あるいは参議院でも、例の大工、左官、板金業者の事業税についていろいろと問題があったわけであります。要するに労務と営業というのが区別がしにくいような業態であります。そこでいろいろ重ねて陳情が参っておるようなわけでありますが、これらの板金あるいは左官、大工、こういう業者に対する事業税のとり方について播磨さんから実際の状況をお聞きしたい。
  82. 播磨重男

    ○播磨参考人 ただいまの御質問の大工職、左官職、板金職、これらに対する事業税の賦課の問題でございますが、これらの職人に対して事業税を賦課しておる。これをしかも大体他の営業者と同じ率において賦課しております。これにつきましてはその関係者が再々私のところに見えまして、これは不当じゃないかと言う。われわれ職人の多くは勤労をもって所得を得ている。いわば勤労所得である。にもかかわらず事業税をとることはおかしいじゃないかということでございます。それで私としましては、勤労所得相当部分は大蔵省へ行って事業所得と分けてもらいなさいということを申し上げた。そうしてまた大蔵省の方へ行きまして、総売上額が五十万円までのものは何%とか、これは勤労所得とみなすという取扱いを受けておるようであります。しかしそれでは総売上額が五十万円までという区切りがございますしするものですから、これではまだ実際多くの者が救われないということが出ております。私考えますのには、昔営業税の時代にはそういう税金はかかっていなかった種類のものであります。でありますから、それらの人々のそういう申し出というのは私は同情的に考えております。これは確かに理由があるものである、よほど御検討願う価値のあるものである、こういうふうに考えております。
  83. 吉田重延

    ○吉田(重)委員 ただいま播磨さんのお話のうちに、報奨金の制度を法制化してもらいたいというような御希望があったようでございますが、具体的な御希望の案でもございましたら、どの程度かということをちょっと伺いたい。
  84. 播磨重男

    ○播磨参考人 実際にこの公給領収証制度をやってみまして、業者がこの制度の運用について、どれだけ困っておるかということはよく見ております。従いまして普通なら徴収交付金なんかを出すということは道がはずれておるといわれるのですが、こういうふうな特別な義務を負担させておる、それから事務的にも相当煩瑣なことをしておる点から考えまして、どうしてもこれは報奨金的なものを法制化してもらう必要がある。実はその報奨金の程度でございますが、百分の一程度出しておるところもございます。また百分の三程度を出しておるところもございます。大阪あたりは、私税務長としまして要求したいのが、百分の三程度は何とかしてやってもらいたい、こう思うわけでございます。他の府県それぞれ財政の事情がありますので、あまり高率なことを申し上げますと他の府県から怒られますので、その点御了承を願いたい。
  85. 永田亮一

    ○永田委員 公給領収証の問題ですが、さっき聞いていてわからなかったのですが、十一月には五割くらい上ったというのですね、それからだんだん減ってきたのですか、十二月、一月はどうだったのですか、そのことをもう  一ぺん伺いたい。
  86. 播磨重男

    ○播磨参考人 十一月には五〇%の増、十二月には七〇%の増、一月には五一%の増でございます。そういう実績になっております。
  87. 永田亮一

    ○永田委員 大体そのくらい上るのは普通だろうと思うのですが、前はたしか話し合いか何かで全国二割になっておったのを大阪では七分か八分とっていたじゃないですか。
  88. 播磨重男

    ○播磨参考人 公給領収証の制度が実施になります前は、二割課税のところは大体一割見当のところでやっておりました。これはそういうふうにやれというのじゃなしにそういうことになっておったということでございます。
  89. 永田亮一

    ○永田委員 大阪のことをあまり詳しく聞くと言いにくいだろうから聞きませんけれども、大体全国平均で二割のところは一割くらいだろうというわけですね。そうすれば今度一割五分になったんだから当然これはふえるのが当りまえだということになるわけです。ところがこれが二月くらいになってきて少し減ってきたということを聞いたのです。まだ二月の資料は出ておらぬと思いますけれども、そういう傾向があるということをちょっと聞いたのです。それはやっているうちに相手もいろいろ脱税の方法を考えてきた。初めはおっかないものだから相当忠実にやっていたけれども、だんだん時がたつに従っていろいろあの手この手と考えてきてもう二月、三月くらいになってくると大分減ってくるのじゃないかと私は思うのです。私なんかもたまに料理屋に行きますが、私は社用族でも何でもないので自分で金を払うわけです。そうすると領収証を出しましょうかと言う、それは当然じゃないか、こう言うと、少し高くなりますよと言う。それで私も考えちゃう。そういうことがあるのです。それからそういうふうにして要らないという人がもしあれば、それを集めておいて売っているという話も聞くのですが、大阪あたりではどうですか。この間実はこういうことがあった。私がある会社の経理部長と一緒に食事をした。そうしたところが、そのとき冗談か本気か知らぬけれども、書いてある額面の五分くらいで買うと言って交渉しているのです。そういうことがあり得る。お客さんは、その領収証を上げますかわりに少し高くなりますよと言われると考えますから、それが余ってくるのがあるはずです。そうするとこれをやみで売るというようなことが大阪あたりでは出てきておりませんか。
  90. 播磨重男

    ○播磨参考人 二月時分には減ってくるのじゃないかというお尋ねでありますが、実は十一月、十二月は私ども非常に張り切ってやったわけです。それで十二月は七割という実績を上げたのですが、一月には減るということをもっぱら言われておった。ところが一月にも五一%増というやはり強めの成績が出ました。二月は、これは一般的に減ってくるということは言えると思います。これは遊興飲食税の従来の実績に徴しまして、二月の月は非常に減る。三月の下旬からぽかぽか暖かくなってからまたお客様が多くなるわけでございます。あの手この手も考えられておると思いますが、われわれ税金を取る方もだんだん賢うなりまして、あの手この手をただいまのところ考えておるような次第でございます。ただ、御心配の公給領収書が転売せられておるような事実はないかということでございますが、私ども実はその点一番心配をしております。まだそういう事実は存じておりませんが、実は小さい店屋へ交付してある場合に夜逃げをする、領収書がどこへいってしまったかわからぬようになる。あるいは落しました、なくしましたという場合には、その都度警察の証明をつけて届出をさせ、われわれは広報に無効の公告を出しております。非常に厳重な取扱いをやっているわけでありますが、しかしなくしたというても消えてなくなるわけじゃございませんので、それらのものが今後どういうふうに悪用をされるかという点も実は心配をしておるわけであります。でありますので、たとえば新年度からは用紙の色刷りでも変えて、そうして新しくまたそういうことのできないように作っていくということも考える必要があるんじゃないかと考えております。いろいろなことが憶測もせられ、また宣伝もせられしておりますので、私どもとしましては非常に実は神経を悩んでおります。たとえばこういうことで下の者が非常に偉そうにするようになった、けんたいに飲み食いもしかねないような態度が見えるというようないろいろなことがありまして実はこれをやっておるというと神経衰弱にかかるほど私自身は心配をしております。しかし私が幾ら心配でありましても、従来の税金の取り方から比較いたしますというと、まず大局的に見ますというと、スムースになった、非常に明朗になったといいます。か、そういうことを申し上げることができると思います。
  91. 大矢省三

    大矢委員長 ほかにございませんか——それでは播磨さんどうも御苦労さんでした。  それでは、次に日本トラック協会常務理事小野盛次君。
  92. 小野盛次

    ○小野参考人 私は日本トラック協会の常務理事の小野盛次であります。本日軽油引取税につきましてわれわれの考えておることをこの委員会において述べさせていただく機会を得たことをまことにありがたく厚くお礼を申し上げます。  軽油引取税に関しましては、お手元にお届けしてあります公述書の内容に述べておりますが、時間の関係上ごく概要について意見を述べさせていただきます。  軽油引取税につきましては、御承知通り新聞論調も相当に強く反対をされております。私ここに記事の切り抜きを持っておりますが、まず大きなものを取り上げますと、一月二十三日の朝日新聞の記事に、「ちぐはぐ」という題で軽油引取税の矛盾をついております。一月三十一日の日本経済新聞においては、「軽油引取税反対」という記事が掲げられております。さらに二月一日、日本経済は「難問はらむ軽油引取税新設」「逃げ道多数あり」という見出しでいろいろな御意見が述べられております。二月三日の東京新聞は吉野運輸大臣と太田自治庁長官との意見の相違ということで、軽油税率の記事が出ております。二月十八日の朝日新聞には、私が今述べようとするような内容について、ディーゼル自動車工業と軽油の問題について詳細に出ております。本日の日刊工業新聞はさらにこれを詳細に解説してこまかく論説が出ているようなわけで、新聞界においても大きく取り上げておられるように思うのであります。  私たちは軽油引取税は絶対反対だということを表明しておるものでありまして、日本自動車会議所を中心とする自動車関係二十五団体で結成いたしました軽油引取税反対同盟という名前で、もうすでに国会に三回陳情いたしております。私も実行委員としてこの面で先生方にいろいろお願いしている一人であります。なお石油の精製元売りの業者の協会で石油連盟また石油の販売店の協会である全国石油協会、昨日衆議院の面会所で労組の代表と議員との懇談会をいたしました。全国自動車産業労働組合、全日本交通運輸労働組合、全国石油産業労働組合等の労働組合四団体は強く反対をいたしまして、すでに国会請願、陳情等もいたしておるようなわけで、こまかい点についてはもうすでに請願書、陳情書でるる述べておりますので、私は今まで申し上げなかった点、なるべく重複を避けて簡単に意見を述べさせていただきます。  第一に今回軽油税の新設の原因となった昨年十二月八日に出された臨時税制調査会の答申についてであります。臨時税制調査会は各委員、ことに一橋大学の井藤半弥先生あるいは東京都民銀行の頭取の工藤昭四郎先生とも私はお目にかかりまして二十八年十一月十二日に税制調査会から答申された当時のことを詳細に説明を申し上げたのであります。これは木暮武太夫さんが会長であられて、揮発油との関係から軽油税はかけられないが自動車税で調節しようというようなことでありましてそしてその答申が参考資料に明記してありますが、ごく簡単に書かれておるのであります。二十八年十一月十二日の答申書は、「自動車の性状、揮発油税負担等を考慮し、高級大型乗用自動車及びガソリンを使用しないバス、トラック等について相当大幅に引き上げることが適当である。」これは自動車税の引き上げの調整をするということであります。それと同じように三十年の十二月八日の臨時税制調査会会長原安三郎さんの答申は、「揮発油との均衡を考慮し、自動車用軽油に対し消費税課税する。」とあります。かように二十八年の十一月十二日の税制調査会の答申に基きまして、二十九年の第十九国会におきまして自動車税を特に軽油自動車、ガソリンを使わない自動車の税率を約五〇%上げるということが御決定になって、私は二十九年の三月三十日、地方行政委員会でこの件について公述しておるようなわけであります。その当時の模様を申し上げますと、揮発油は二十九年に一万三千円に改正されまして、三十年に揮発油税を一万一千円、地方道路税の新設によって地方道路税二千円ということで、実質においては一万三千円そのままになっておるのであります。揮発油の価格が上ったならば今回の税制調査会の答申も一応うなずけるのでありますが、揮発油価格が地方道路税を含んで一万三千円同額であるならば今回の答申というものはわれわれは納得できない。前の税制調査会の答申並びに第十九国会での決議というものを無視された、国会意見というものを尊重しなかったのじゃないかというふうに、私たちは多少ひがまざるを得ないのであります。  自動車税について申し上げますならば、昨年の十二月十八日と記憶しておりますが、私が大蔵省の主税局長を訪問いたしました際に、今度の税制調査会の答申ははなはだおもしろくない。しかるに大蔵省は軽油税を六千五百円、揮発油税の半額程度に上げるというようなことを新聞が報道しているのは事案かどうかということを申し上げた際に、税率はまだきまっておらないが、あなたの言うように十九国会で一応調節したのだから、軽油自動車税をガソリン並みに下げることは自分も考慮しよう、こういうことのお話があったのであります。それで今回の法律改正にも、軽油自動車税は引き下げてガソリンと同率にするということがうたわれておりますが、この点においては私たちも全く同感であります。しかしこのたび出された軽油引取税一キロリッターにつき六千円というものはどうしても納得できない。ことに軽油引取税につきましては、自動車のみにしわ寄せをされて、非課税部分と課税部分と二つに分れたということは、後ほど申し上げますが、この徴税操作において非常な問題点が残されておるのであります。政府のお話によりますと、課税する軽油の量が約六十五万キロリッター、非課税の分が三十五万キロリッター程度だと承知しておるのであります。われわれは軽油税が創設されたということで、どうしても自動車税を一応揮発油並みに落してそして税において一応バランスがとれた。しかし軽油税をここに新設するというならば、第十九国会でもみにもんできまった五割の増徴というものが、大体において軽油自動車の一両当りの平均の税率が年間一万円、軽油自動車の消費量は、車の大きさあるいは使用状況によって多少は違いますが、運輸省自動車局の調査による平均は、年間十キロリッターでありますから、一キロ千円として年間一万円、かようなことで、軽油引取税の額をきめますと、一キロについて一千円、そうして年間二万円くらいで大体軽油自動車税と揮発油税との関係がここで調節がとれる。従って六千円という課税は非常な暴税、暴率であるというふうに考えます。  ことに第三番目に申し上げたいのは、軽油自動車というものについての御理解をいただきたい。わが国の軽油自動車というものは、戦後急激に発達いたしまして、現在においては日本の気候、風土あるいは輸送状況等が盛り込まれて世界的に公認されておる、むしろ世界の水準を越している性能を持つということで、輸出産業としてますます発達の道程にありますし、年々輸出量はふえ、本年度におきましては少くとも千五百万ドル程度の外貨が獲得できるというところまで発達しておったのであります。この点につきましては参考資料に運輸省から述べております意見書、軽油税については軽油税の創設は取りやめるべきだとか、あるいは燃料政策、軽油自動車は育成すべきであるとか、経済六ヵ年計画においても軽油転換工作を奨励し、燃料使用の合理化と節約を推進しようとしておる等、軽油自動車に対する運輸省自動車局の意見がすでに述べられておるのであります。しかるに軽油自動車を御理解ない、御理解ないということははなはだ言葉が過ぎるかもしれませんが、徴税の手段として一キロについて六千円の軽油引取税を課した場合においては、揮発油の価格と軽油の価格とが非常に接近して参ります。そうしますと、軽油自動車を使うということがだんだん少くなる。従って生産量の低下による生産コストが上ってくる。生産コストが上りますと、輸出の自動車としての外国との競争入札において非常に苦しくなる。現在においても価額においては紙一重の間にあって、私たちからいえばスペインの今度の輸出あるいはビルマの輸出等においても量がたかだか二百台、四百台程度でありますので、これのサービスのために大きな費用もかかる。いわゆる出血輸出をいたしましても、輸出産業としてどうしても外貨を獲得しなければならぬという、血のにじむような汗とあぶらの結晶でディーゼル自動車工業が発達しておることを、ぜひ本委員会においてお認めを願いたい。ディーゼル自動車の普及をはばむようなことがあったならば、これは国策としてはまことに残念な問題であり、またこの輸出については、一月三十日の鳩山総理の施政方針演説の中にも輸出振興について述べられておるので、われわれはこの自動車工業との関係と、軽油自動車については何とかここで御調整を願いたいということをお願いするのであります。  余談ではありますが、政府といたしましては外国人の日本の観光誘致のために、国際観光協会に対して昨年度八千万円の補助金を出しておる。それに対して昨年観光客が日本に落したドルは幾らかというとたかだか四千万ドルであります。だから一千万ドルについて二千万円程度の補助金を出しているということになるのであります。私たちは政府に自動車工業のために補助金を出せというようなことはとうてい不可能でありますが、少くとも国内の普及、奨励、育成というような点においては通産省あるいは経済企画庁、運輸省と十分お話し合いをつけて政府としてこの問題は何とか御援助を願いたい、こういうふうに考えるのであります。また軽油自動車についてはいろいろの問題があります。奥野部長の前で申しわけないのですが、二月の二十四日に自治庁から大蔵委員会に出された資料を見ますと はなはだどうも私納得のいかない点がある。ディーゼル自動車の修繕費がガソリン車よりも安いということになっておる。こんなばかばかしいことは私はないと思う。ガソリン車の一キロ当りの修繕費が八円四十一銭で、ディーゼル自動車の修繕費が六円八十二銭という表があるのでありますが、これは何か数字のとり方についての誤まりではなかったかと思うのであります。一応この際先生方に私の調べた点を申し上げますと、修繕費としてとる場合においては、車の新しい、古い、それから積載量の同じものをガソリン車と比較しなければ、これは比較にならない。七トン車もあり、七トン半の車もある。五トン車もある。五年も使った車と二年使った車とでは修繕費が違う。そこで私たちがいろいろ現場の実情を調べてみますと、五トン車として車齢が三年の場合を比較しますと、一キロ当りの修繕費は軽油自動車が六円八十九銭、揮発油車が三円七十銭、車齢が二年の場合においては、軽油車が三円十九銭、揮発油車が二円二十七銭、こういうふうに修繕費は軽油車の方が高くなっておる。また運輸省の意見書の中にも、軽油車の修繕費は揮発油車より一・五倍ないし二倍高いということを述べております。これは参考の書類としてこれに添付いたしておきましたから、あとでごらん願うとありがとうございます。また全体の経費といたしまして五トン車を一応比較いたしますと、燃料費において一キロ当りガソリン車が十円六十四銭、軽油自動車が四円十銭、それから修繕費においてガソリン車が三円七十銭、軽油自動車が六円八十九銭、償却費、これが問題であります。ディーゼル自動車は、五トン車を一応比較しますと百六十万円、ガソリン車の場合には百二十二万円から二十五万円、従ってこれの償却費が違って参ります。ガソリン車ならば十一円、ディーゼル車の場合は十四円、この燃料費、修繕費、償却費だけを合計いたしますと、ガソリンが二十五円三十四銭、軽油が二十四円九十九銭、もし軽油一リットルについて六円の値上げをいたしますと、一キロについて一円三十六銭の値上りをいたしますために、二十五円三十四銭の揮発油車の経費に対して軽油車の経費は二十六円三十五銭、一円一銭軽油車の方が高くなる、かようなことは一つの例ではありますが、今発達をさせよう、そして日本においては燃料の節約をしなければならぬ。同じ外貨で輸入する石油が、軽油の場合は揮発油の場合の三分の一で済む。揮発油の価格が税込みで三万三千円と仮定しまして一リットル当り三十三円、揮発油車においては一リットルの走行距離が大体三キロで、軽油車の場合は四・五キロも走れる。三十三円に対して、現在の東京渡し値段で軽油は十六円ぐらい、揮発油の価格の半分で、走行キロははるかに延びる。こういうことは燃料の消費節約、外貨の節約の上からも軽油自動車が大きな役割をしておる。用途別によっては、軽油車でない乗用自動車などを軽油車にすることはまだ早いとしても、バス、トラックの長距離輸送は将来軽油車に転換しろというふうに運輸省も通商省もこれらに対するいろいろの育成方法を考えておられる際に、軽油の引取税が大幅に引き上ることは問題が大きくなってくるのであります。  第四に、揮発油税軽油引取税でありますが、これは三十一年度の予算はもうすでに国会において、衆議院においては成立いたしまして、参議院もおそらく通過すると思いますが、そのうち揮発油税収見込額は三百七億二千万円、これは先生方御承知通りでありますそれに二十九年度の自然増の分で三十一年度においてこれを繰り入れるというのが五十五億四百三十三万円、合計しますと揮発油税の収入は三百六十二億二千四百三十三万円、この三百六十二億に対して、道路整備五カ年計画の三十一年度の年次割は、道路費としては二百九十億、これは法律七十三号で二十九年から三十三年の間に千四百三億という年次割ができておる。この三十一年度の二百九十億を差し引きますと、余剰金がここに出てくる。この余剰金が七十二億二千四百三十三万円となるのであります。これは先生方十分御承知のことであります。また一応国税としてとりますが、地方譲与税として揮発油からとる地方道路税が七十四億二千万円、今度新設される軽油引取税の三十一年度分が二十四億五千四百万円、自動車税が八十六億三千六百万円、これは自治庁関係で数字も出ておる。かように計上されておりまして、私たちは軽油引取税などを創設しなくても、余剰金をもって地方道路の改修に充てたらどうだろう。これは二月二十一日の大蔵委員会において一萬田大蔵大臣が横山議員の質問に答えられたものを速記録でいろいろ見ましても、軽油引取税については大蔵大臣もしどろもどろの答弁をされておる。速記録がここにありますが、最初は、これは地方財政赤字を相当に考えて織り込んだものだ、こういうことを言われております。そうしてその次には地方道路費にも充てなければならぬ目的税だ、これは今度の法案にも目的税と出ておりますが、その他に対しては間接税として、これは業者がいろいろ反対するが、利用者の負担へ転嫁していけばいいじゃないかと、暗に運賃改正を認めたような、改正しろと言わんばかりの御答弁をされております。そこで横山委員とくどくど問答をされておる点を見ましても、政府としてもこの点においては御確信がないのじゃないか。さような意味で、私たちはこの余剰金を全部地方道路費と同じように地方へ交付したら一番すっきりしやしないかというふうに思うのであります。ことに二月二十四日建設委員会において道路公団の問題で参考人を呼びました。金子源一郎、私の所属しておる日本トラック協会会長の小野哲、橋本元三郎の王氏が揮発油税道路公団に持っていくのは反対だ。揮発油税というものは法律七十三号ではっきりしている。第三条において、揮発油税収額は道路の整備費に充てなければならぬということをやる、これは一般無料で使用する道路をさしておるので、道路使用料をとる有料道路にこの揮発油税を持っていくということは二重課税になる、われわれはかように考えたのでありますが、これはすでに二十九日の衆議院本会議で可決されておりますから、今さらどうにもならないのであります。これに対しては法律改正をおやりになるそうでありますが、これも理論的にいうならばおかしなものだと私たちは考えるのであります。もし私たちが要望するように、余剰金を持って地方道路費に充てることにするならば、道路公団にもうすでに二十億は交付することにきまったが、まだきまらない分が五十二億ありますから、これを何とか御検討願えればまことにありがたいのであります。道路利用者会議においては、これに対して一月の十二日にこういう陳情文を出しております。大蔵省はこの余剰金を特別失業対策事業費予算に持っていくように説明しておりますが、真実は私は承知いたしておりません。ただ道路利用者会議から、そういうことははなはだけしからぬということで、陳情書が出ておるので、私もこの道路利用者会議の陳情書を拝見いたしまして、また大蔵省がとんでもないことをおやりになる、われわれは、法律改正するならばいつでも国会でできるのではありますが、多数の与党の先生方の力によって、何でもかんでも法律改正をして、そうして都合のいいような税収、あるいはその費用の使い方をする前に、もう少し一般の世論というものも聴取していただくべきではないか。本日私たち関係者をお呼び出しをいただいたのも、そういう意味ではないかと思うので、はなはだ失礼な言い分でありますが、この税の問題はほんとうに国の政治として正しい方向にお取り上げを願いたい。先刻播磨参考人の申された通り、軽油税についても私たちと同じような意見を述べられておるのでありますから、私たちは今度の法律において自治庁がいかにお苦しみになっているかということも、十分お察しができるのであります。また自民党の政調会においても、私自身も幹部の方々にお目にかかり、いろいろ御意見を申し上げ、そうして自民党でも御承知のように一応全面課税ということで内定されて、農林水産用それぞれのものは、用途別にこれを分ける、道路のものは道路整備費に充てるという理屈のついた案が出されたのでありますが、ある非常な圧力のために、これが急にわれわれ自動車関係のみに課せられるということになったことは、返す返すも残念であり、また民主政治の国会において多数の力によってゆがめられていくということに対しては、私たちは重ねて先生方の御検討をお願いしたいのであります。  第五に軽油引取税と運賃コスト、これは大蔵大臣も言われておるように、コストが上れば運賃を上げていけばいいじゃないか、何も泣き言を言う必要はないというようなことを、ガソリン税のときに再三言われたことを私は体験しておる。しかし運賃というものは政府の認可するものである。しかもトラックにおいては現在認可されている運賃の七割、よくても八割程度の徴収しかできない実情にあるのであります。これを申し上げると本論から多少横道に入りますので、御質問がありましたらお答え申し上げますが、認可運賃を取れないほど、今自動車界、ことにトラック業界というものは苦しんでおるのであります。従って会社の経営もほとんど赤字会社で、倒産寸前にあるということもたびたび申し上げている通りであります。この実情から、今度自動車関係の労組の諸君が立ち上って、この軽油税に反対されておるのも、後刻伊藤参考人からお話があると思いますから、ここでその件については省略させていただきます。  時間もたちましたので、ここで私は要望を三つお願いいたしたいのであります。税率云々を一応申し上げましたが、揮発油も軽油も動力源であります。この動力源に対して不当な課税をするということは、われわれどうしても納得できない。取れるから取るというようなことでは、これは税の公平を欠く。ことに揮発油税とダイヤモンド々比べてみますと、ダイヤモンドでは物品税法第二条において定められており、奢侈品であるダイヤモンドが小売価格の二〇%、芸者の花代は地方税法の百十五条で遊興料金の三〇%、しかるに揮発油税が約六五%、今度軽油税が新設されますとこれが約四〇%、ぜいたく品であるものの物品税その他の税金よりもはるかに高い。これはもう数字で明らかになるのであります。ことに電気ガス税が現在一割でありますが、地方鉄道軌道においてはこれは非課税になり、国有鉄道が今課税になっておりますが、今度の法律案でこれも非課税にしようということになった。国有鉄道のごとき余裕のある経営のところに電気ガス税を無税として、われわれに軽油税を四〇%もかけるなんということはいかがなものか、どうしても私たちはこういうことには納得ができない。ことにこの法律案の中に、国有鉄道の旅客、貨物の輸送をするものに対しての非課税ということを云々している。国有鉄道が貨物や旅客を運ぶものと、自動車が運ぶものとどれだけの差があるか、かような点から私は税のいわゆる均衡というものが、われわれに課せられている諸種の税、たとえば揮発油税地方道路税、自動車税、道路損傷負担金、道路協力費、また強制的にやる道路くじ、その他あらゆる税が自動車にみんなかかってきていることは、先生たち御承知通りであります。ですから、ここに第一要望したいのは、揮発油税の余剰額をもって地方税に譲与して、道路の整備費に充てていただきたい。これは公団に二十億交付するから残りが五十億余りであります。五十二億二千四百三十三万円はまだ手がついていない。これを特別失業対策事業に持っていかないで、これを自治庁の関係道路整備費に使っていただきたい。軽油引取税は前に述べましたようにキロリットル当り一千円程度にしたいというのを理論的に申し上げたのでありますが、三十一年度の予算がすでに衆議院を通過した今日において、予算の組みかえはできない、かような点からこの二十四億五千四百万円の政府予算の軽油引取税地方交付税にしていただけないか。そうして道路の費用は余剰金でいって、一般の地方財政赤字の補てんに利用していくならば一番いいじゃないか。その場合には、播磨参考人の申された通り、これは全面課税で、この点につきましては御列席の奥野税務部長も国会で主義としては賛成だというふうにも速記録で拝見いたしておるのであります。ただ閣議決定を見て今日に至った立場から、政府委員としてはいまさら閣議決定、ことに法律案が出された以上この国会においてどうこうということは、御意見は非常にむずかしいと思いますが、私は自治庁の興野部長、細郷府県税課長などはまことにりっぱな方で常に尊敬しておるものでありますので、どうか国会においてこの余剰金の使途を地方道路費に向けていただけば、そして二十四億五千四百万円を地方交付金として一般財源地方財政赤字補助の見返り財源に持っていっていただきたい、かように二つをお願いする次第であります。  終りにわれわれ自動車関係の税が毎年国会に提案されて、二十八年から今年まで私はもうすでに八回国会参考人として出ておるのでありますが、かように毎年々々税で苦しんでおる一人であるのでつくづく考えるのであります。またこの税は下るということはない、上る一方である、こういうようなことで播磨参考人の言われたように、恒久性のある課税方法を何とかお考え願いたい。こういう三つの点をここにお願い申し上げまして公述を終らしていただきます。どうもありがとうございました。
  93. 大矢省三

    大矢委員長 それでは次に関係もございますから、全国石油協会会長森平東一君にお願いします。森平参考人
  94. 森平東一

    ○森平参考人 私は全国石油協会会長森平東一でございます。本日はこの委員会出席させていただきまして販売業者の立場から、この税金の問題につきまして意見を申し上げたいと思います。  先ほど来参考人からるる軽油引取税の問題につきまして御説明を申し上げましたが、われわれ販売業者と申しますと、この税法による指定徴収義務者たる特約店及び販売業者の立場から考えますと、この税法を実際に施行した場合にどういうふうな状態になるかということをつぶさに御説明を申し上げたいと思うのであります。  一言で申しますと、この税法はそれぞれ御当局の御調査御研究によりまして、まことにりっぱなものができ上っておりまして、私ども敬服しておる次第であります。ところがこれを実際に当てはめて実施いたしますと非常な欠陥がある、また不正行為の温床となる問題が多々あるのであります。そこで何ゆえにそういうことになるかと申しますと、まず一点を申し上げますと税率が非常に高いということであります。御承知のごとく燃料油は一つの形態をなしておりまして、軽いものから重いもの、具体的に申しますとガソリン、それから灯油、軽油、A重油、B重油、こういうふうになっております。これがすなわち一体をなしておる、その中で軽油だけに税金をかける、軽油の定義は税法によって比重が明らかにされておる、また政令等によって、蒸溜試験等によって明らかにきめられておる。そこで軽油はどういうものであるかというと明らかになるのであります。ところで今までの経済価値として商品価格がございますが、大体ガソリンが一番高い、次に灯油、それから軽油、重油、こういう系列になっておるのであります。そこで六千円かけますとどういうことになるかと申しますと、現在全国で平均いたしますと軽油がキロ当りまず一万八千円、それから灯油が二万円程度、これは小売価格でございますが、この軽油に六千円かけると二万四千円という値段になる、灯油よりも四千円高くなるわけであります。でありますから現在は軽油の方が二千円安いのだけれども税法が施行されると今度は灯油よりも四千円高くなります。一キロ四千円というと相当な値開きになるのであります。そこで消費者の方から見ますと、軽油を使うのが一番いいのだけれども値段が高い、そうすると経営上非常に困るということから、これの代用品でございます——ということは軽油と灯油のすそ物はすれすれの線にでき上っております。ある場合には軽油に代用が十分できるという品物です。また下の方から申しますと軽油の代用品としてA重油が使われる場合があります。またA重油と灯油とまぜて使うこともできる、ですから使用者の方はおそらくこういうことを考えまして灯油のすそ物を使いあるいはA重油を使うという事態が非常に発生するだろう。そこで問題は販売業者の立場から言いますと、消費者はお得意様でございますから、このお得意様の要望に従って軽油がほしいといえば軽油を上げる、けれども値段が非常に高い、灯油よりも四千円も高くなる、そこで消費者の方は灯油をまぜて使いたいあるいはA重油をまぜて使いたいという場合に、これは消費者の要望によって販売してあげなければならない。ところがこれは税法から申しますとおそらく違法行為ではないだろうかと思うのであります。ところがたまたまこういうような事情でありますから、あるいは軽油に灯油をまぜて売るというような場合ができてくるのじゃないか。またA重油もちょっとまぜて売るようなこともあるんじゃないかという——実はわれわれ販売業者の立場からみますと、全部が神様ではないのでありますから、たまたまそういう行為があるということになると、どうもいたずらに罪人を作るようなことになりはしないか、こういう心配がそこに非常にあるのでございます。その点が第二点であります。  それから次に免税措置の問題でございますが、これは往年こういう関税の免税措置が講ぜられたのでありますが、おそらく今回の軽油の免税措置も、そのときと類似している方法で行われるのではないかと思います。御承知のごとくすでに軽油の消費者には、お得意様としてみな特約店なり販売店がくっついております。その場合にまず消費者であるお得意は、関係の特約店なり、あるいは販売業者に向って、おれは免税の軽油を使う資格があるんだ、ついてはかくかくの方法によって申請をしなければならぬという場合に、往年の制度におきましてもほとんど業者がこれを代行してやる。そうして各都道府県へ申請いたしまして許可証をもらう。そうするとその許可証は一応免税申請者でありまする消費者のところにおりて参ります。それは直ちにその関係業者の方に手渡されましてそれに基いて免税軽油を引き渡すことになるのでありますが、そのときに大体従来の状態から申しますると、その申請をするとすぐ消費者の方では、どうかもう免税の申請をしたんだから安い軽油を渡してくれ、非課税の軽油を渡してくれという要求をいたすのであります。これは当然起ることなのであります。そうするとお得意様の要望であるから、サービスとしてもどうもそれを聞いてあげなければならない。もし聞かないとほかの方へ行ってしまうかもしれないというような心配があるために、その特約店あるいは販売業者は消費者の要求に応ぜざるを得ないということになる。そうすると免税の許可証のおりない前に前渡しをするということになって、これは一つの違法行為であります。  それからまた従来の例によりますると、免税軽油の申請に当りまして、どうしても水増しということがある。自分のところは十キロ使うんだが、しかし消費者の常といたしまして、あるいは一キロ余分に水増しを申請するというような行為がどうしても行われる。そうすると結局一キロ余る。まだそれが余っている間に次の申請の許可がおりてくる。そうすると余分のものができる。これを何とか処分したいという考えが起ってきます。その場合にこれを消費者みずからが処分するならば、販売業者の方とは関係ない。けれども必ず販売業者の方に相談してくるのであります。そうすると販売業者の方は、これに対してどうもお得意先であるから、そんなことはできないと言って断わることが人情からいってできないことになる。そうして余儀なくその不正行為の中に巻き込まれてしまう。  それからまたこういう例もある。たとえば一運輸会社がありまして、その会社は軌道を走るところのディーゼル・エンジンを動かしておる。また軽油税の対象となりますところのディーゼル自動車を動かしておるという場合においては、二つ使う道がある。それで免税の方は当然当局に向って申請をする。それはいいのですが、そうするとどうしても余分に申請をするようなことになるのじゃないか、そうして免税許可証がおりますと、余ってくるものは今度はディーゼル自動車の方に使うというようなことになってくる。この問題にもやはりそこに供給しております販売業者が巻き込まれてくる。厳正な意味からいいますと、販売業者はこういう場合に敢然として、そういう行為には応ぜられないと言って断わることができるかというと、商売からいくとこれはなかなかできないことであります。その場合にどうしてもその中に巻き込まれる、すなわち誘惑の手にひっかかるということになるのでございます。  こういうような問題が非常にありますので、どうもこの軽油引取税の実施は実際の面に当って非常に欠陥があり、穴があり、不正行為の温床であるということは言い得ると思います。先ほど播磨大阪税務長さんが免税の処置は非常に困る。その当局の方においても、これを区別してやることはなかなかむずかしいのだ、というお話でしたが、まことにその通りでありまして、この点十分お考えを願いたいと思います。  そこで、私は第一段に税率が六千円は高過ぎると申し上げましたが、これが安かったらばどうなるかと申しますと、安ければかりに免税措置が講ぜられても別段そういう免税品を余分にとって売るとかなんとかいうような行為はあまりないでありましょうし、また代用品を使っていくというような行為も少いだろうと思います。それから現在の価格の動きから見ますとどういう傾向をとっておるかと申しますと、御承知通り三十年度におきまして、通産省では石油の外貨を非常にふやしたのであります。その関係で石油製品の値段はどんどん下っております。すでに揮発油におきましては二千五百円くらい下っておる。軽油においても値段が下って、昨年の九月と現在を比較いたしますとキロ千円下っておる。なおこの値段の下る傾向は今後も続くと思うのであります。そうしますと軽油の値段は安くなる。おそらくさらに千円くらいは安くなるだろうと想像されます。その場合におきまして、かりに税率を六千円もかけると、消費者の方から問題が出るのであります。この税率が安ければそう問題は起らない。石油製品の値段は常に変動しておりますから、おそらく一ヵ年の間に千円あるいは千五百円の変動はあると思う。そこで昨年の九月と比較すると、現在は千円安くなっておる。そこで六千円かけるとここに問題が起るのです。かりに三千円以下くらいの税率をかけたならば、そう問題は起らないと思う。昨年の九月ごろの価格の軽油を使っておりましても、別段零細漁民からコストが高くなる、非常に困る、とかまた運輸業者の方においても、軽油は別段そう高いという苦情もなかったのであります。そういうことを考えますると、どうも税率を安くしていくならば、免税措置をとらなくても済むのではないか、こういうふうに考えられます。それでもし免税措置をとらないとすれば、それだけ税額は余分に上ってくるわけです。そうすると、われわれ販売業者が非常に困る問題もなくなるし、また免税を主張している農林方面あるいは運輸方面においても別段そう強く主張しなくて済むのではないか。とにかく六千円をかけるというと非常に問題が起る。こういう点を十分御研究を願いたいと思います。それから、次に販売業者から申しますると、税金は月の初めから終りまでに売ったものに対して税金をかける。そうして翌月の十五日に納税をしなければならぬ。われわれは軽油という品物は元売会社から仕入れるわけです。それから税金は各都道府県庁の税務課でございますか、そこへ税を納めるという形になる。そこで翌月の十五日に締め切りまして、そうしてこの税金を納めなければならぬ。ところが軽油を売る場合どのくらいのサイトで回転して参るかと申しますると、まず九十日はかかるのです。そうしますると、販売業者の方では軽油代金を立てかえなければならぬ。それで、法案によりますると六十日の延納を認めている。ところがわれわれの見るところでは、六十日では足りないのであります。これはどうしても九十日ぐらいに延ばしていただかぬと、常に商品代金とともに軽油税が立てかえになる、こういう結果になるのであります。それで、なお法案によりますと、延べ取引に対しては担保を要求されておる。ところが悲しいかな販売業者におきましては全く担保を出す余裕のある者は一軒もないのであります。それは大企業の中にでも入りますものが小売業者をやっている場合は出せるかもしれない。けれども、全体から見ますると、資本が非常に減っておりますので、元売会社の取引に対して担保を提供している。また銀行その他の金融機関から相当に金を借りておる。その場合にやはり担保を提供しております。でありますので、ほとんど全部の販売業者というものは、自分の持っているところのありとあらゆる財産を担保に提供しておるのであります。でありますので、法案によるところの延納による担保を出せといっても、出せるものはおそらくほとんどないと思います。でありますので、この担保を出すということは免除してもらいたい。遊興飲食税の場合においては延納を認めておるけれども、担保を取らないように聞いておるのであります。でありますから、われわれ販売業者の場合におきましても延納は当然のことである。これを九十日に延ばしまして、そうして担保はとらないようにしていただかぬと、おそらくこれは実行が不可能ではないかと考えるのであります。それがゆえに、協会等に対しまして、各方面から、とてもこの徴収義務者という仕事は手に負えない、だからごめんこうむるというような陳情も参っているわけでございます。  それから徴税及び免税というものを実行する場合におきましては、法案によりますと、厳重な帳簿等を備えまして、それで一々みな出入を明らかにしておかなければならぬ。これは往年の鉱油免税制度のときと同じようであります。これを実行するには相当の人手を要するわけであります。現在中小企業者でありまする販売業者といたしましてはこの負担にはなかなかたえられないということであります。この点もどうかお考えを願いたいのであります。  それからガソリンもそうでありますけれども、軽油の場合も、まだ経済状態が安定しておりませんので、非常に取り立て不能のものがある。おそらく販売業者の中にひっかかっていないものは全然ないのであります。おそらく百万、二百万、あるいは一千万、数千万の取り立て不能勘定をみな有しております。その場合におきまして、法案を見ますると、求償権を認めるというが、ただ求償権を認めて下さるだけではわれわれは安閑としてやれない。そこで遊興飲食税の場合におきましては、もしとれないというような実証があがった場合にはこれを還付してくれるということですが、私はまことにもっともな次第と存じます。そうしないと、結局われわれ販売業者が軽油をひっかぶって、そして納税義務者にかわって納めるということになる。これは現在ガソリンがそうなっている。これも考えてみるとずいぶん無理な話であります。でありますので、せめて軽油の場合におきましては、求償権ということでなく、もし取り立て不能の場合におきましては税金を返していただく、こういうような規定を設けていただく必要があるじゃないか。  それからなお法案の中には、ときどき税務の係が御出張になってお調べになる。それでもしその質問に対して答えをしないときは五万円の罰金を課する。これも実に私は乱暴な規定ではないかと思います。それは主人公あるいは手なれた者が店あるいは倉庫におりますればよろしいのでございますが、なかなかそうはいかない。あるいは労務者であるとかあるいは小僧ばかりであるとか、そういう場合においでになって税務の係の方が一々聞かれても返答ができない。それでこの店に対しては五万円罰金を課するということでは、これはみなふるえ上ってしまうのであります。御承知のごとく、最近は税務署が非常にやかましゅうございまして、販売業者一同警察よりか税務官吏の方がおそろしいといって実はふるえ上っております。そういう場合において、今度は軽油引取税の問題に関しましておいでになって調べる、一々調べてこまかい点まで掘り出されるというようなことがありはしないかというので、実は非常に心配をしておる次第でございます。  こういうようなわけでございまして、われわれは根本問題としては、先ほどの公述人が申し上げた通り、できることならば、この軽油引取税はやめてもらいたい。それで、なお聞くところによりますと、七十二億余円のガソリン税の余剰金がある。それで、軽油引取税は、冒頭において地方債の赤字を解消するためである、けれども、しまいの方におきまして、この税金は道路以外に使っては相ならぬぞと書いてある。そうすると、やはり道路の方にお使いになる。そうすると、道路関係におきましてガソリン税が七十二億円も余っておるのですから、それをこの公述人の申される通りに、地方交付税として交付する、そういうことにいたしますと、本年度財源というものは相当にございますから、税金は三千円よりかまだ安くても相済む、あるいは千円でもいいんじゃないか。おそらく千円をかけるならば、先ほど申し上げたような問題も全然起らない。もし千円でいけなければ二千円でも問題は起らない。と申しますのは、灯油と軽油の開きというものが大体において今二千円です。そうすると、軽油の方に二千円かければ大体値段が同じになる。そうすればお使いになる方も、何も不適当であるところの灯油を使う必要もない。同じくらいの値段ならば軽油を使っていこう、こういうことに相なると思うのであります。あれやこれやを考えまするというと、どうもこちらに奥野さんもおいでになるようでありますが、どうもこの税金は私どもから見ますると、悪税であるということを申し上げなければならぬ。まことに遺憾にたえない。そうでありますので、国庫の財政ということもわれわれはむろん考えなければならぬ、すでに衆議院は予算を通過しておる、こういう建前から考えますると、その徴収方法において改めていただきたい、こういう結論に到達するわけです。それはどういうふうにしたらいいかと申しますると、まず税率を低率にすること、できることならば一千円、もしできなければ二千円、少くとも最高三千円どまりとしていただく。それで七十二億というような余剰金の地方交付税がなかった場合に、三千円といたしますれば、予算に組まれているところの税額はおそらく上ってくるんじゃないか、でありまするので、その税率を安くされるということをお考え願いたい。それから税率を安くすれば、免税処置をとらなくても相済むと思うのです。でありまするから、免税措置はとらないで、全面課税にしていただきたい。それでもしできることなら実は国税としてとって、地方交付税として交付して、各都道府県に分けるというような方法をとっていただけば、われわれ販売業者としては、非常に好都合なのでございます。  それからなお先ほども遊興飲食税の問題で出ておりましたが、税金を徴収するに当りまして、徴収義務者にただ義務のみを負わせたんでは、とうてい私はうまくいかないと思う。現在の税法を見まするというと、徴収義務者に対して、非常に大きな義務を負わせておる。極端に申しますと、罪人を作るような結果も生まれるというようなことでありますが、われわれ販売業者が喜んでこの税金の徴収に協力するという態度をとっていくのが、一番賢明ではないか。その場合にどうするかと申しますると、先ほど播磨大阪税務長がお話になった通り、報奨金というようなものをお払いになれば、非常にいいじゃないか。三%くらい出して下さると、この税金は非常にやっかいである、手数もかかる、人手もかかるんだけれども、これだけ出してくれたならば、幾らか店の費用のたしにもなるというようなことから、協力態勢をとることができるんじゃないかと思います。この点も十分お考えを願いたいと思います。  以上申し上げましたのでございますが、結論といたしましては、税率を安くするということ、すなわち三千円以下に持っていく。国税として徴収する。全面課税として免税処置をとらないということにしていただくことを、われわれ販売業者は総意を持ってこの委員会にお願いする次第であります。どうかこの税金の裏をよくごらんになりまして、そうして穴及び不正行為の温床とならないように徴収方法を改めていただきたい、こういうふうに考えておる次第であります。  以上をもって私の公述を終ります。
  95. 大矢省三

    大矢委員長 では最後に全日本通運労働組合組織部長伊藤久夫君。
  96. 伊藤久夫

    ○伊藤参考人 私全日通運労働組合の伊藤でございます。今回の国会政府から提出されておりますところの軽油引取税の創設について、関係労働組合を代表いたしまして、反対意見を申し述べたいというふうに存じております。私ども関係労働組合というのは、全日本の交通運輸労働組合と、それから全国自動車産業労働組合連絡会議、それからさらに全国石油産業労働組合協議会、この三つの団体が相集まりまして、実は三者共闘会議というものを作りまして、そしてこの軽油引取税の創設の反対について今日まで実は戦って参ったわけであります。私といたしましては、この引取税の問題につきまして、これら三つの団体を代表して、労働組合としての意見を申し上げたいと考えるわけであります。  まず第一番目に、この法案をながめて考えますことは、基本的に政府が今日まで国民に公約して参りましたところの減税という問題、それから国内産業の振興という問題、これからさらに進んでは海外貿易の発展という問題、こういったような政策については、いわゆる選挙のときだけの公約であって、選挙が終ってしまってからの政策というのは全然違うのかという点について、率直に申し上げてみたいと思うのであります。特にこの法案を見た場合におきましては、こういったようにして政府の公約している減税や国内産業の振興あるいは海外貿易の発展、こういったものをむしろ阻害しているのではないかと考えざるを得ないわけであります。こういう観点に立ちまして、またこれらの問題が私ども労働組合に対してどのような影響を及ぼすか、こういったような点等からも、私ども労働組合としては逐次反対意見を申し述べてみたいと考えているわけであります。  そこで今石油産業の経営者の方と日本トラック協会の経営者の方からも言われたわけでありますが、まず第一番目に、この用途別免税という問題について私どもは非常に疑問を抱いているわけであります。特にこういう用途別免税という問題については、技術的に非常に困難があるということと、さらに法案自体の内容をいろいろと検討してみた場合におきましては、今森平さんの方からも御指摘がありました通りに、こういう形でいくならば、おそらく罪人を多く作るような結果になるだろう、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。ということは、御承知通りに軽油の需要範囲というものが非常に広いわけであります。特に自動車と船舶、水産、鉱工業、こういったような工合にいたしまして、その需要の範囲は広いわけでありまして、これを自動車だけに課税する、結局用途別によって税金をとったりとらなかったり、こういう結果になるということになりますと、これは大へんな問題が起ってくるのではないかと考えるわけであります。特にこういう用途別免税ということになりますと、そこには必ずいわゆる免税切符というようなものも発行されなければならない、こういったような結果が出てくるのではないかと思うわけです。そうなりますと、いわゆる免税軽油需要者と、それから軽油販売業者、それから自動車業者、こういう三つの間におきまして、それぞれ免税切符と免税軽油の横流しというような問題が生れてきはせぬか、こういうことが考えられるわけであります。そういったような点からいたしますと、結局はこの法律そのものは、いわゆる用途別免税という問題については、結局結果的には罪人を多く作り上げるというようなことになりはせぬか、こういうことを私どもとしては非常に心配をいたしておるのであります。特に今さら私が申し上げるまでもなく、いわゆる法律というものは罪人を作るための法律であってはならないと思うし、罪人を減らすための法律でなければならぬというふうに考えるわけであります。もちろんこういったような問題につきまして、政府自体としても、この法律によって罪人を作るのだといったようなことは考えていないというふうに、私は善意に解釈をいたしておるのでありますけれども法案の内容をいろいろと見ました場合におきましては、罰則の条項というものが非常に多い。こういうような点からいたしますると、何か政府自体が、この法律が施行されたならば罪人がたくさんできるぞ、こういったようなことをはっきり承知をして出しているのではないかといった感じも実は受けるわけであります。こういったようなことで、政府自体といたしましても、このような形のものについては十分にお考えをいただきたい。善良なる国民を罪人にしないようにしていただきたい、こういうふうに私ども労働組合の立場から申し上げたいと思うわけであります。  次に、今石油産業の経営者の方々からもいわれたわけでありますが、この石油の販売機構といったような問題等についても、いろいろ石油労働組合の方々からも伺ったわけでありますが、たとえば元売会社とか特約店、副特約店、小売店といったような機構になっておりまして、その機構そのものもきわめて複雑であるということを私どもとしては聞いているわけであります。特にこの法律が施行されるということになりますと、販売店はいわゆる納税者という形になって参ります。こうなりまするというと、いろいろ先ほどから御指摘なされております通りに、用途別免税というようないろいろな点からいたしまして、税務署とのいざこざという問題がここにまた発生もしてくる、こういったような結果が生まれてくることと、それから事務的には非常にえらい費用がかかる、こういう問題と、相互間の売買もあり、課税品と免税品の区別が非常に困難であるといったような問題、需要者が金を払うまで税金を販売店は立てかえなければならない、こういったような問題が起ってくるだろうと考えるわけです。先ほどの森平さんのお話にもありました通りに、今日末集金勘定といいますか、そういうものを百万円、二百万円、あるいは一千万円、三千万円といったような形で、それぞれの販売店においてかかえている、こういったようなお話があったのでありますが、こういう点をいろいろ考えてみますというと、さらにそれにプラスされて、納税の問題について販売店がかわって支払っておかなければならない、こういったような結果が生まれてくる。こういうことは、いわゆるその企業そのものを一そう経営的に苦しめるものだというふうに考えるわけであります。それから税務署との折衝でもって、非常に問題が起ってくるだろうということも考えるわけであります。このようにいたしまして、とにかくきわめて繁雑なことが予想される法律だというふうに考えるわけです。  さらにいろいろ油の問題につきましては、私どもしろうとでありまして、全然わからないのでありますが、労働組合の方々からいろいろ聞くところによりますと、この油の区別ということは、非常に厄介なものだそうでありまして、いわゆる燃料油の製造という問題については、原油に含まれる各種の炭化水素の混合物を、沸点の差を利用して分離をする、こういったようなことからいきまして、揮発油とかあるいは灯油、軽油、重油、この各油の区別というものは、絶対的なものではないそうであります。ことに軽油と灯油の区別という問題については、しろうとにはそう簡単に判断ができないという状態であるそうでありまして、従って灯油と称して軽油を販売するようなことが、当然に六千円も値上げするということになると出て参りまして、いわゆる不当利得とかあるいはまた悪徳業者というものを作る、こういったような結果になるのではないかというふうに考えるわけであります。  なお現在の軽油と灯油の料金の問題でありますが、軽油は一キロリットル当り約一万七千五百円、灯油は約二万一千五百円、こういったような工合にいたしまして、約四千円の開きをもって軽油の方が安いわけであります。ところが一キロリットルに対しまして軽油は六千円の税金がかかる、こういうことになりますると、二万三千五百円という金額に相なるわけであります。そうすると結局は軽油を使うところのディーゼル自動車という問題に非常に大きな影響を来たしてくる、こういったような結果になろうと考えるわけであります。かような点からいたしまして、それではディーゼル自動車にどのような影響を及ぼすか、という点について申し上げてみたいと考えるわけであります。御承知通りに、軽油自動車つまりディーゼル自動車は今から二十年前に、ドイツの高速ディーゼル機関の研究製造を習得いたしましてアメリカその他の巨大な国々よりも日本はいち早くディーゼル自動車の一流生産国となっておるわけであります。このことは石油資源に恵まれない日本現状からいたしまして軽油を燃料とするディーゼルの自動車は性能が優秀であることと、燃料消費量がきわめて少くて済むこと、それから今申し上げました通りに、石油資源に恵まれない日本といたしましては、外貨の節約になる、こういうような点からいたしまして、終戦後におきましては、政府みずからディーゼル車の普及を奨励して今日に至っておるわけであります。そういう点で昭和二十六年以来、業者も転換をいたして参っておるのでありまして、経済五ヵ年計画でも、この問題については強く推進されておる問題であります。先ほど私が冒頭に申し上げました通りに、いわゆる政府政策のやり方、こういったような問題について海外貿易の発展あるいは産業の振興を阻害していうのではないか、こういうことを私申し上げたのでありますが、こういうような点について、この軽油税というものが創設せられまして、ディーゼル車にこれだけの税金がかかってくるということになりますると、どういう結果を産業と海外貿易の面に及ぼしてくるか、こういう点についてこれから申し上げてみたいと思うのであります。  今日、大型バスあるいはトラックはほとんどディーゼル車になっております。この技術的な水準にいたしましても世界に認められるというような状態になっておりまして、このことが反映されて、輸出も快的なテンポでもって伸びております。今日ではドイツとかあるいは英国に伍して互いに市場を競い合い、南米とか東南アジアの諸外国に輸出をいたしまして、日本の今後の繁栄を密接に結びついておるわけであります。こういう輸出状況を数字的に申し上げてみますると、昭和二十七年におきましては百七十三台を輸出いたしております。昭和二十八年におきましては三百五十四台、二十九年におきましては三百十九台、三十年におきましては四百五十二台、年々輸出は増加の傾向をたどっておるわけであります。さらにこのディーゼル自動車の生産実績について、トラックの面について申し上げてみたいと思うのでありますが、昭和二十二年におきましては五百九十二台の生産であります。昭和二十五年におきましては三千四十三台、昭和二十七年におきましては四千三百三十一台という数字になっており、二十八年においては五千六百三十台、三十年におきましては七千三百十三台という生産実績をあげて、今日に至っておるわけであります。こういったように、いわゆる海外輸出と相待ちまして、非常な生産の増加をいたしておるという現状であります。このような生産や輸出が増加をしておる最中におきまして、いわゆるディーゼル車に軽油引取税を課するならば、トラック一台当り一ヵ年の軽油消費量が約十一キロリットルでございますが、これの税金は一年間で六万六千円の税金がかかる、こういうことに相なるわけでありまして、そういうことになりますると、結局は国内市場はディーゼル車に背を向けるという結果になりはせぬか、こういうことが考えられてくるわけであります。当然の結果といたしまして、生産の減という問題が出てくるし、コスト高となってはね返ってくる、こういう問題が起って参りまして、せっかく海外での競争入札をいたしましていろいろ今日まで輸出の増加のために努力をいたして参っておる現在におきまして、結局海外での競争入札からは落伍しなければならぬという結果も生まれてくるし、輸出産業としての自動車はその芽をつまれてしまう、こういったことになりはせぬか。特にこの問題につきましては、いま一歩で日本は世界一になるんだということを言われておるわけでありますが、こういったような重大なときに当りまして、このような税金を課するということになりますると、国家にとってもきわめて大きな打撃であろうというふうに考えられるわけであります。この意味におきまして、政府の公約をいたしております産業の振興という問題と、海外貿易の発展というような問題等につきましては、わずかばかりの税金をとるというような観点からではなくして、もっと大きな目でもってこの問題を見ていただきまして、これらの軽油引取税の問題がもしも国会を通過いたしまして実施をされるという形になった場合におきましては、具体的にどういうふうに日本産業なり今後の発展という問題に影響をもたらすか。こういう点について十分に一つ考えていただきたいと考えるわけであります。もちろんこれらの問題というものはただ単に業者やあるいは経済界にだけ与える問題ではなくして、当然にそこに働いております労働者に対して、労働条件の問題につきましても非常に大きな打撃を与えるという形になって参ります。こういうようなことになりますれば、当然労働組合に対するしわ寄せという形におきまして、労働者の首切りという問題が発生をしたり、あるいはまた賃金の切り下げという問題が発生をしたり、そういったようないろいろな労使間の紛争を惹起せしめるような事態が起ってくるということに相なりますので、私どもとしてはこの点についても十分にお考えをいただきたいと考えているわけであります。  次にバス、それからトラック輸送業界に及ぼすところの影響と、そこに働く労働者に与えるところの影響はどうか。こういう点について若干申し上げてみたいと思います。政府はこの法律で、地方財政赤字補てんのため、これを地方道路の経費などに投入をするんだ、これが目的である、こういうことを言っておられるのでありますが、それでは現在まで道路に関しまして、一体自動車は全然税金を納めてきておらなかったのか、こういう問題が出てくるわけでありますが、そうではなくて今まで自動車税という税金、それから揮発油税という税金、地方道路税、それからそのほかに道路受益負担金、あるいは有料道路の料金といったような工合にいたしまして、道路に関しましては自動車関係として今日まで多くの税金を払ってきておるのであります。そこへもってきてまたこの軽油引取税というものを新設いたしまして、これによって業者からまた税金をとる、こういうことになりますと、一体どういう結果を招来してくるのだろうか、この点について私どもは非常に遺憾に思うわけでありますが、現在国内における運輸関係の問題、業界の状態を見ますと、かりに通運事業法といういわゆる駅構内でやっております運送業——特に私は日本通運の出身でありますから通運事業に一例をとって申し上げますと、戦争中におきましては御承知通り日本通運株式会社法という法律によって、通運事業といたしましては一駅一店という独占的な姿で今日まできておったわけですが、いわゆる占領政策によりまして、日本のあらゆる機構が戦争遂行に適合しておるので、これらの機構を民主的な基盤に再編成しなければならぬといったようなことで、独占禁止法とかあるいは経済力集中排除法とかいった法律によって行われまして、通運事業そのものについても今までの一駅一店という形ではなく、複数制という形がしかれたわけであります。ところがこの通運事業法の目的といたしますところは、いわゆる公正にして自由な競争ということを掲げておるのでありますけれども、その後の状態というものをずっと見てみますと、公正にして自由な競争どころではなくして、現在の姿というものは不当競争という様相を呈しておるのであります。その不当競争のしわ寄せというものは、今日すべて労働者にしわ寄せされておるというのが現在の実態であります。これはただ単に通運事業だけの問題ではなくして、港湾運送事業におきましても、また一般自動車運送事業におきましても、こういったような状態が続けられまして非常に競争が激しい。こういったようなことで、私鉄の運賃とか、あるいは都市交通の運賃とか、こういうものが全部十円払わなければ電車に乗れない、十五円払わなければバスに乗れない、こういうような企業と違いまして、私どもの場合におきましては荷主さんからも料金を負けてくれというものがたくさんあります。そういうような点と、それから需要と供給のバランスがどうもとれてないように私どもとしては判断するのでありますが、運送業者も非常に多いというような点からいたしまして、この料金の問題についてはせっかく定額料金というものがきめられておりますけれども、それが全然守られていないというような状況が現在の日本国内における運輸業界の姿であります。こういったようなことになりますから、必然的に申し上げるまでもなく、先ほど日本トラック協会の小野さんからも言われましだように、現在の運送業というものは非常に苦しいのです。赤字の経営を続けているんだ。そこへもってきてこの軽油引取税なんかを課せられることになったら、これはたまったものではない、こういうお話があったのでありますが、まさにその通りでありまして今日総評が中心になりましていわゆる春期賃上げ闘争をやり、政府の弾圧やあるいはまた資本家階級の弾圧に抗しながら激しく抵抗して戦っておるまっただ中におきまして私ども軽油引取税関係する労働組合だけが、何か経営者とアベック闘争をやっておるようにお考えになる方もあるかもしれませんけれども、この今日の輸送業界の姿というものを見た場合におきましては、やはり経営者自体が労働組合の力を借りてでもこの問題については反対をしなければならない、こういう気持については私どもといたしましても十分に理解ができるのであります。そういったような工合にいたしまして、企業経営の内容というものがそういう状態になってきておる。そこへもってきてそういうようなことからこのしわ寄せというものが勢い労働者の労働条件にかかってくることは理の当然であります。しかも現在のこういったような状態からいたしまして、そこに働いておる労働者の賃金という問題につきましても、よその産業と比べてみた場合にきわめて低い劣悪な条件に置かれております。そしてまた終戦直後のように賃金の遅配とか欠配とかいうようなこともいろいろ起っておるわけであります。そういったような状況の中でありますから、この軽油引取税を課せられることによってさらにそれに拍車をかけるようなことに相なると考えられますし、そのことによって一そう労使間の紛争を惹起する、こういうことが生まれてくるだろうというふうに考えられるわけであります。そういったような意味合いからいたしましても、この軽油引取税の問題につきましては、私どもといたしましては根本的に反対をするという立場をとっているわけであります。そのほかいろいろここで申し上げたいこともあるのでありますけれども、時間的な関係もありますので、あとは省略をいたしますが、こういったような立場からいたしまして、私どもとしては企業防衛、それからさらには生活権、労働権を守るという意味合いからいたしまして、この点についてはまさに悪法であるというふうに言わざるを得ないと考えておるわけです。またこの問題について現在こういうことを私聞いておるわけであります。この軽油引取税がこのままかりに国会を通過したということによって一キロリットル当り六千円の税金を取られる、こういうことになったら、バスは値上げをすればいいのではないか、こういうことをバスの業者の方が言っているということを耳にしておるわけでありますが、このことがバスだけにとどまるならいざ知らず、必ずやこれは国鉄運賃の値上げその他の問題になって発展をしてくるだろう。こういうことになるならば、この軽油引取税を新しく創設することによって、より一そう国民大衆に大きな負担をかけなければならない、こういう結果が必然的に生まれてくるのではないか。このような意味合いからいたしましても、私ども労働組合といたしまして、断固としてこれに反対をする、こういう立場をとっておるわけであります。  以上きわめて拙劣な内容でございましたけれども、私は全日本交通運輸労働組合と、全国自動車産業労働組合、並びに全国石油産業労働組合協議会を代表いたしまして軽油引取税の創設について反対意見を申し上げた次第であります。よろしくお願いをいたしたいと思います。
  97. 大矢省三

    大矢委員長 これにて参考人意見が終りました。委員各位の御質疑がありますならば承わりたい。——質疑がなければ、この程度で終りたいと存じます。  参考人各位に、委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。本日は長時間にわたって各位から有益な御意見を述べていただき、ありがとうございました。各位の本日の御意見は、今後本委員会の本案の審議に多大の参考になることと存じまして、厚くお礼を申し上げます。御苦労様でした。     —————————————
  98. 大矢省三

    大矢委員長 次に、連合審査会開会に関してお諮りいたします。すなわち現在本委員会において審査中の地方税法の一部を改正する法律案について、運輸委員会より連合審査会開会の申し入れがございました。同委員会と連合審査会を開会するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なければ、地方税法の一部を改正する法律案について運輸委員会と連合審査会を開会することに決定いたしました。  なお、連合審査会の開会日時につきましては、同委員会委員長と後刻打ち合せて決定いたしたいと存じます。     —————————————
  100. 大矢省三

    大矢委員長 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち理事でありました北山愛郎君が、去る二月二十七日委員を辞任いたされました。二十八日再び委員選任されました結果、理事が欠員になっておりますので、その補欠選任を行わねばなりませんが、これは先例に従って委員長に一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 大矢省三

    大矢委員長 それでは委員長より、従前通り北山愛郎君を御指名いたします。     —————————————
  102. 大矢省三

    大矢委員長 次に小委員の辞任及び補欠選任についてお諮りいたします。すなわち地方税法改正に関する小委員でありました森清君より小委員を辞任したいとの申し出がありますが、これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なしと認め、同君の小委員辞任を許可いたします。  なお同君の辞任並びに渡海元三郎君、川村継義君及び西村彰一君がそれぞれ一旦委員を辞任せられた結果、その補欠選任を行わねばなりませんが、これは先例に従って委員長より指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なければ、委員長より    永田 亮一君  渡海元三郎君    北山 愛郎君  西村 彰一君 をそれぞれ小委員に御指名いたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会