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永田委員 さっき質問した中の答えが抜けているのもありますが、たとえば
私鉄が大
規模であって
バスが小
規模だというために、
私鉄のみを
外形標準課税にするという
議論は、私は当らないのじゃないかという点を質問しました。その点の御答弁をまたあとで願います。
それから
事業税が
応益的な
原則によってやるべきだという一応の
原則は、私はこれを全然否定するわけじゃございません。
応益原則によって
事業税を納めるべきだということについては、一応の理屈があると思います。今
奥野さんの言われたように、
所得税とダブルじゃないか、あるいはさらに最高の額において、つまり累積
課税が非常に行われておりますから、上の方を考えてみると、
所得税でうんととってまた
事業税で
所得課税をすれば、非常な加算になるというような
議論もわかっております。しかしそればかりで私はものことを判断できないと思う。特に
応益原則に対して
応能的な考えを持つべきだということを私は言いたい。それはもう先ほどからたびたび申しましたが、
赤字でにっちもさっちも動かなくなっている
会社が
相当ある。この前ちょっと調べてみましたが、全国で
私鉄百四十八社について調べてみたところが、もう
赤字で
配当もしないし、非常に困っておるところが六十一社あります。そしてその六十一社はほんとうに
赤字で困っておるので、その
企業者
たちの中には何とかしてこれを挽回しようというので、
バスなどをあわせて
経営しておるものもあります。
バスが昨年
所得課税になったために、さらに
バス事業をあわせてやる、その
私鉄の
赤字をカバーしょうという考えを持つて
バスと両方やっておって、
私鉄の
赤字をなくしていこうと努力しておるものもあります。しかし
バスと
私鉄と両方やって、しかも
赤字の
会社が三十五社もあるのです。私はこういうことを考えてみたときに、
応益原則ばかりを振り回して、机の上でなるほど税の体系として
事業税が
応益原則のみによって行うべきだということを言うのはけっこうでありますが、現実に当てはめてみた場合に、担税能力も何もないようなちっぽけな
赤字の
会社にまで、
外形標準課税を押しつけるということではもうやっていけません。そういう
会社はつぶれてしまう。先ほど
奥野君も
収入の点を言われましたが、応一益
原則によって
外形標準課税によれば、これこれの増収があると言われましたけれども、もしも
赤字で困っておる
会社に、さらに
事業税をどんどんかけていくということになりますならば、
私鉄は
経営をやめてしまうだろうと思うのです。そうすればこれは元も子もなくなるのでありまして、増収が幾らあるといっておっても、
私鉄が
経営をやめてしまえば、
収入が
一つもなくなるのでありますから、ゼロということになります。こういう点も考えてみて、増収がこれだけになるという点からのみ
応益原則を適用するということは、大きな損をすることになる。こういう点を特に考えてもらいたいと思うのです。
それから日本の
私鉄企業というものは、外国の例なんかと比べてみても、定期券というものを出しておる。この定期券というのは外国なんかにあまりないのですが、これが非常な割引をやっておるのです。特に学生なんかが通学するのに、あるいはサラリーマンが安い月給で
会社へ通うのに、その
負担を軽くするという
意味でこれは日本独得のものなんです。定期券によって半額、さらにそれ以下にも
料金を負けておる。こういうことは日本の
私鉄がやっておることで私はいいことだと思うのですが、こういう点にもし
しわ寄せが来るならば、
私鉄は定期券というものをやめてしまうかもしれない。そうすると通学しておる学生などが普通の
料金を払い、倍以上の学費がかかるということになるのです。さらに安月給のサラリーマンなんかが
会社へ通うのに交通費が非常に高くなってくる。こういう点も考えてみて、私は
応益原則のみを振り回すということが、社会情勢から見て適当かどうか。今の情勢から考えてみて、
私鉄をこういう面でいじめることばかりが能ではないと思うのです。
私鉄も営利
会社でありますから、つぶされる前にはいろいろなあがきをすると思う。そういう点をよく考えてみて、しぼれるところからはしぼった方が得だという考えをやっておったら、結局は大きな損をするということを申し上げたいのであります。
それからさっきの
バスと
私鉄を区別するということは、私はどうも納得がいかない。その点ももう一ぺん御
説明を願いたいと思います。