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1956-10-10 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月十日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    生田 宏一君       奧村又十郎君    吉川 久衛君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       中山 榮一君    古川 丈吉君       坊  秀男君    前田房之助君       有馬 輝武君    石山 權作君       竹谷源太郎君    平岡忠次郎君       横錢 重吉君    横路 節雄君       横山 利秋君  委員外出席者         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    白石 正雄君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         国税庁長官   渡邊喜久造君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      村山 達雄君         日本専売公社理         事         (販売部長)  石田 吉男君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 九月二十七日  委員古川丈吉辞任につき、その補欠として塚  原俊郎君が議長指名委員に選任された。 十月一日  委員有馬輝武辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員塚原俊郎君及び芳賀貢辞任につき、その  補欠として古川丈吉君及び有馬輝武君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  税制に関する件  専売事業に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  参考人招致の件についてお諮りいたします。春日委員より、明十一日の委員会に、外国為替に関する件について、参考人として比嘉一雄君の出頭を求め意見を聴取いたしたいとの要求がありますので、さよう取り計らいたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————
  4. 松原喜之次

    松原委員長 次に税制に関する件及び専売事業に関する件について質疑を許します。前田房之助君。
  5. 前田房之助

    前田(房)委員 臨時税制調査会におきまするその後の審議の経過につきまして主税局長より大要の御報告を願いたいと思います。
  6. 原純夫

    原説明員 前回御報告申し上げましたのは、一月前でございましたから、それからの一月の経過を申し上げたいと思います。  九月の十九、二十日、二十四日、それから今月の三日、四日と、その各日にあるいは半日、あるいは終日、調査会の各分科会が開かれまして、各分科会における議事項目、これはもう先般申し上げたところで御承知の通り項目をずつと研究されました。そしてだいぶ答申希望される時期との関係もございますのでごの段階一つ全員懇談会を開いてどの程度減税をやるかについての大体の勘を合せて、そうして各分科の具体的な結論を出すについての一番大事な前提要件の勘を合そうじゃないかということになりましてその全員懇談会が昨日午後開かれました。各分科会長から各分科会における議事報告、それからおもなる意見参の紹介がございまして、そのあと財政見通し自然増収見通しについて政府側質問がありまして、主計局長、私よりそれに対してお答えを申し上げました。その趣旨は、要するに来年度自然増収は相当あると思います。本年度予算に対して一千億円はあると思う。経済がこのように推移すると、もう少し出るだろう、ただ現在非常に経済情勢動きについて味方のむずかしい時期であり、確たる数字を責任をもって見込むという段階は、もう少し先になってからのことにいたしたいという答え。それから歳出面におきましては、当然増減がいろいろあるということを報告してただその数字は、当然増減といいましても、賠償とか防衛とか、増のファクターがありましても、幾らという数字がなかなか入らない問題がありますので、数字的なことは別段答弁に入っておりません。  そういうようなわけで財政についての説明が終り、次に分科会段階で非常に議論が大きく分れましたのが、地方税分科会におきまして、国税所得税相当額減税しますと、御案内通り交付税がそれだけ減税しない場合よりも減ってしまうから、それを減らないように、二五%の率を逆比例で上げてくれ。同様なことが国税所得税に乗っかって計算しております住民税所得税割についても起るから、これも税率を逆比例で上げて減らないようにしてくれという意見が片方にあり、それに対してそういうことを言うのは、国民の重い税負担の感情から言えば、何も所得税だけが問題なんじゃなくて、住民税あるいは事業税というものを全部含めての問題であるから、しかも直接税の結局受け取る割合は、大体地方がほぼ半分に近くなっておるから、国税だけ減らしておいても、地方の方は滅らない場合と同様の累進税率でうんと高くなったところをそのままとるというのは、税負担の軽減という見地から、それでは半分の効果しか出ないじゃないか、国民は半分だけはいつまでも痛い思いが残るじゃないか。かたがた地方税自然増収も非常に好調ではないか。むしろ国税自然増収を追い越すような状態ではないかというようなことから、そう逆比例で上げてとるということには反対だという意見と、これは鋭く対立しておりましたのです。昨日全員懇談会でその調整が試みられたのでありますが、一時間半余り非常な議論が出まして、その結果、やはり双方譲らずということで、委員さん方は真二つに分れたというほどでもありませんが、かなり強い激しい議論がございました。結局、これは全員懇談会でも調整がつかず、次に持ち越して、なお分科会で練るということに相なりました。  それから先ほど申しました主体の、どの程度減税ワクとして一応考えるかということにつきまして、会長から各委員意見を求められました。その結果、結論として所得税千億ということを前提としてこれで作業を進めていこう。もちろんこれは財源の出方が今後固まっていくにつれて、それがこれよりもよけい出るか、少く出るかによって、事後の調整はするという建前で、やはり一応目標的な、前提的なものがないと作業が進まないからということで、その線を前提として各分科会に持ち帰りまして、直接税分科会はその千億円減税案というものの具体的な形をこれから考えるということ、それから先般来申し上げております、租税特別措置整理によってどれだけ千億円に対して財源を出すか。間接税分科会は、財源の側でどれだけ財源を出すかということ、それから自然増収から幾ら回るかということがついて全般の財源措置になるわけでありますが、それらの点について。それから地方税分科会の方は、ただいま申しました大きなポイントのほか、国税所得税中心とします国税減税に対応して、地方税の側でどうするかという問題、住民税のほか、事業税につきましても、また法人住民税につきましても、いろいろ問題がございますので、そういう点について今後議事を進めるということになりまして、来週水曜日、十七日の午前と十八日午後に直接税の分科会、十九日の午後に間接税、再来週の月曜の二十二日午前、午後に地方税分科会をやろうということに和なりました。その分科会でそれらの点について議論を尽し、大体の腹がまえをされてから、多分月末ごろに再び全員懇談会または正式な総会を開いて、全体のより具体的な形における結論的なものを相談して、それを起草委員に付託するというような段取りになる見込みでございます。  概略、先月申しましてから今までの要点を申し上げました。以上であります。
  7. 前田房之助

    前田(房)委員 現在税金を納めておらぬ低所得階級でありますが、そういう人は何人ほどありますか。
  8. 原純夫

    原説明員 ただいまのお尋ねは、所得税納税人員でお答えすればよろしいと思いますが、三十一年度ベース所得税を納めます納税人員は、一千万人でございます。これの有業人口に対します比率が二六%であったと記憶いたします。従いまして有業人口所得税を納めてない方が約三千万人いる。大体そういうことでございます。
  9. 前田房之助

    前田(房)委員 これは私の個人希望ではございますが、所得税に対して約一千億円の減税ということは、まことにけっこうだと思います。これはぜひ実現を願いたいと思いますが、しかし同時に三千万人の国民税金すら納めない、こういうきわめて低所得階級層と申しますか、そういう人がいる。国民全体の生活から見ますときに、所得税中心で一千億円の減税をなさることはけっこうでありますけれども、同時にこういう税金すら納めることのできない階級層に対して相当額社会保障政策と申しますか、そういう方面を拡充強化して、生活の援護をしてやる必要もあろうと思いますから、これはぜひ大蔵当局としても、減税と同時に、そういう方面も十分に御検討願いたいと思います。これは私の単なる希望でございますが、せっかく御検討を願います。  それから一千億円の財源の一部として何か間接税、聞けば物品税であるらしいのですが、引き上げというようなお話があり、また税制調査会もそういう方針でおられるようであります。これは現在の財政事情から見まして、一方で減税する、一方で増税するという増税は、私はよほど慎重にお考えを願いたいと思うのです。うつかり大蔵省の方針をきめられましても、相当問題が起ると思いますから、これも一つ慎重な御検討を願いたいと思います。これは私個人希望であります。大蔵当局に対してお願いをいたしておきます。
  10. 松原喜之次

  11. 奧村又十郎

    奧村委員 前田委員の御質問に一連してお尋ねをいたします。昨日の臨時税制調査会において、政府委員の方から、来年度租税自然増収が約千億あると申しておられますが、新聞はこれを誤まり伝えて、本年度自然増収と報道しております。本年度自然増収は、これはおそらく誤まりであろう、来年度からの税制改正を審議しておるのであろうから、来年度以後の自然増収お話しになっただろうと思うが、しかし来年度以後の自然増収ということになると、これはずいぶんばくたる問題だろうと思う。現に今官公労がベースアップを運動しようとしておるが、政府はどうそれを取り上げるかわからぬが、もしかりにベースアップでもやろうとすれば、これは税に直ちにはね返ってくる。こういうような予想できない問題もたくさんあろうと思うが、来年度以後において、年間自然増収が千億あるといわれた根拠をもっと詳しくお話し願いたいと思います。
  12. 原純夫

    原説明員 根拠はこういうふうな順序で考えたわけでございます。  まず本年度税収幾らになるかということを見込まなければいかぬわけでございます。これについて、われわれの持っております確実なデータは、八月末の収入状況でございます。八月末で三千七百億一般会計租税収入になっておりますが、これの前年同期に比べましての増収は、四百九十一億という数字でございます。そこで五カ月だから五分の十二するということにいたしますれば、おそらく千二百億くらいになりましょう、大へんな数字になるわけでありますが、この中から、この五カ月の間における収入がもし一時的に入ったものがあるのなら、それと同じことが下半期あとの七カ月でも出ると思うのは間違いである。同時にまた、下半期に一時的に入る収入があるかもしらぬ。つまり割合でやります場合には、割合で五分の十二していいものしかやっていけないというわけにおいて吟味いたしますと、この五カ月の間における収入状況には、相当一時的なものがあるというふうにわれわれは思っております。どんなものがあるかといいますと、一番顕著に現われておりますのは、金利正常化、最近反騰してきましたから、今後はちょっと別になると思いますが、特にこの五カ月の初めの二、三カ月におきましては、金利正常化によりまして非常に金利が下つている。そのために、たとえば三月決算というのは、非常に決算額の多いときでありますが、その五月末の納期におきまして法人税を納めるという場合に、御案内通り半分納めれば、あとの半分は二銭の金利を出せば三月あとでよろしいということになつております。前は五割延ばしてよろしいというのは、四割何分まで延ばしたものであります。それが三月期のときには、二割五分くらいしか延ばしてないのです。非常にたくさんの法人が、二銭の金利を払うんなら、自分の方の借りる金にも、それよりも安い金利で借りられるものがあるというようなことでございましょう。延納の利益を放棄して、どんどん早く納めたのでございます。最近では、それが変ってきておると思います。従って、上期においてよけい入ったというのに、そういう繰り上りの収入がある。これは、法人税の半額、三カ月延納問題だけではなくて、各税とも——各税の場合になりますと、納期を過ぎますと、御案内通り日歩三銭というものを取られるわけですから、それと比べますと、市中金利はもっとずっと安いというようなことから……。
  13. 奧村又十郎

    奧村委員 それは大体知つておるから、簡単にやって下さい。
  14. 原純夫

    原説明員 その結果、五カ月間における課税総額つまり調定済み課税総額が約四千億、前年もそれに近い収入ですが、それに対して収入歩合は、前年は八〇%であつたのが、今年は八五%入っております。これは単に金利影響だけども思えないけれども、相当部分金利影響がある。四千億の五%というと二百億ですか、そういう格好でよけい入つているわけです。そのほかいろいろ景気の動きの型とか、つまり去年の動きにおける四月から八月のカーブとその後のカーブと、今年の四月から八月までと、今後というものを比べましても、若干今年の方がもう今までによくなってきているという要素が強いように思うから、従って倍数をやる場合により慎重でなければならぬというような事情もあると思います。そのようなことから、この四百九十億のうちで、そのような意味で、控除して五分の十二をかける計算をせねばならぬものがどの程度あるか、これは非常にむずかしいので、ちょっと今の金利影響といっても、はっきりはわからぬわけですから、かりに半分とすれば二百四、五十、まあ二百億程度とすれば三百億くらい、それを五分の十二すると、二百五十億で五分の十二といいますと六百億、三百億で五分の十二というと七百億ちょっとになります。それに一時的なものを加えますから、やっぱり総体で前年に対する増収が八、九百億になる。そのうちから、予算が三百六十億ふえているわけですから、これはふえないと歳入欠陥になってしまう。つまり今前年同期の実績と比較しておりますから、予算財政ワクが三百六十億ふえておる。八、九百億から三百六十億という数字をとりますと五百億前後の数字が出て参るわけです。今年の今後も、まだ九月の決算などよく見ないとわかりませんが、一応そんなことをベースにして、来年も若干伸びるだろうというのを、かりに総収入の五%伸びるとしますれば四百四、五十億になります。六%だと五百億ちょっとふえるというようなことですから、それらをなにして、少くともその程度は伸びるだろうと見て、千億程度は行くだろうということを申しておるわけであります。その数字はなお若干出るだろうと私は思います。ただその上幾ら出るかという数字をはっきり申し上げるには、もう少しデータが出て、そして経済の現況に対する判断と態度あたりをもう少ししっかり固めましてからと思って、先ほど申し上げたわけであります。
  15. 奧村又十郎

    奧村委員 要するに千億の自然増収というのは、昭和三十二年度において、今年度予算と比較して千億増収、こういう意味なんですか。
  16. 原純夫

    原説明員 そうでございます。
  17. 奧村又十郎

    奧村委員 しかもこれは、各税種税目ごとに当ってできるだけ考えたのじゃなしに、税収全体の伸びを大ざっぱに計算した、こういうように受け取れるのですが、その通りですか。
  18. 原純夫

    原説明員 私ども、もちろんこういう仕事をおあずかりしている立場でございますから、いろいろ各税収についての計算も研究もいたしております。しかしながら全体として、ただいま申し上げたような時期でございますので、ただいまにおいて各税収から積み上げた全部のことを申し上げるよりも、そうした客観的な見地で見た場合の見込みとして申し上げた方がよろしいと思うて申し上げているわけでございまして、いずれまただんだん情勢、条件が熟しますれば、各税収から積み上げたものについても、はっきりした形でお目にかけるというような時期が参ろうかと思いますが、ただいまのところは、そういう裏打ちといいますか、勉強はいたしておりますが、それを申し上げるのは一応控えさせていただいて、それを総体、概括して、そういう客観的な見方で御判断いただくような筋で申し上げたわけでございます。
  19. 奧村又十郎

    奧村委員 そこで、臨時税制調査会では、所得税中心に約千億の減税をやりたいという大体の方針をきめた模様でありますが、一体その千億減税財源をどこから見つけるかということになると、まだほとんど意見がまとまらぬらしい。そこで一審問題は、ただいま言われる来年度租税全体の自然増収千億の中から、減税財源にどれだけ食うかということの見通しがっかなければ、ほとんど議論が進まない。これは、だれが考えてもそのようになろうと思うのでございます。と申しますのは、この自然増を食わなければ、どこかで増徴をしなければならぬ。政府の大体予想せられるのは、間接税重点増徴考えておられるでしょうが、しかし物品税であろうが何税であろうが、増徴ということになると、これは業界にも非常な摩擦があって、現実にはなかなか困難であろう。おそらく臨時税制調査会でも、いよいよ最後の答申案をきめるということになれば、相当もめるだろうということになろうと思う。そこで、願わくば、この税制調査会立場でいけば、自然増の千億をできるだけ減税に回せば、これが一番楽です。そういう結論に入りやすくなろうと思うんですが、しかし、また来年度予算編成において、やはりこの自然増をどこまで歳出に回すかということが、おそらく一群大きなめどになるんじゃないかと思う。そういうことは、国会なり政府なりできめるんで、そうそういうことを臨時税制調査会であんまりあわててもらつたんでは——そういうことをきめられたつて、政府国会は、その通りにできるもんでもない。そこで、このかんじんな問題を臨時税制調査会はどう考えておるのか。また政府として諮問をかけている以上は、この程度までは減税に回せるめどがあるとかないとか、何かおつじゃらぬと、全部減税に回すということになれば、おそらく議論はなかろうし、そんな答申案では、これは意味のないものになろう。それなら一切おまかせしますというて諮問を受けても、これは半分ぐらいは減税に回すということをにおわしておられるのかどうですか。それをはっきりしておかぬと、諮問そのものの、答申案の権威にもかかわるということになつてくると思うんですが、それはどうですか。
  20. 原純夫

    原説明員 自然増収幾ら減税に充てるかということにつきましての政府側説明は、先ほど申し上げました通りで、歳出のいろんな増に使う必要がどうしてもあります。その項目はこれこれございます、ただし数字は、はっきりわかるものは申し上げられるが、まだほとんどわからないものが多い。まあしかし、三十年度の九千九百十四億ですか、それが三十一年度一兆三百四十九億になつたわけですから、四百三十億くらいふえたわけでございます。そういうマンネリズムで考えるのはいかぬですけれども、やはり各項目で当然増的なものがあるから、とにかくある程度の額は必要であります。なおそのほかに税以外の歳入で、三十二年度には減るのがあります七その額が約二百五十億あります。それにも食われますということを申し上げたわけです。そうなりますと、千億の自然増収の残りは、相当さびしくなることになります。もちろん、それをどれだけ歳出の方に充てるかによりますけれども、千億の大部分減税に使えるということには、とてもならないと思いまする  そういうことを申し上げてそれを受けて調査会での議論はいろいろございました。特別措置整理と、間接税増孜と、自然増収と、三木君をどう調整するかという問題でございますが、なるべく財政膨張をしないで、自然増収をよけい減税に充てるようにしたいという気分は、まあ大半の方持っておられる。しかし他の足もやっぱり必要だろうという。中には、三本足同じくらいの太さでないといかぬのじゃないかという意見もございます。大体それらの問で意見がかわされて、ただ昨日の全員懇談会でその足の太さを一つ一つきめるということは、冬分科会結論をいわばきめてしまうようなことに事実上なりますので、そこまではいっておらない。大体そういう感触を受けて、分科の方でこれから研究するということに相なっております。
  21. 奧村又十郎

    奧村委員 来年度予算編成については、これはいずれ政府なり、またわれわれ自民党としてもいろいろ研究し、話し合いできますが、先ほどお話しのように、新たな政策的なものを見込まずとも、歳出自然増もかなりあるというわけであります。そのほかに、おそらくわが党としては、ぜひ来年度新たな政策的なものを盛り込みたい。先ほどの前門委員お話のように、社会政策的な経費というものは、この際大幅に見積らなければならぬという考えを持っておりますので、自然増なるものは、そういう方に充てていただかなければならぬ、こういうふうに私どもは考えております。  そこで、今の御答弁によると、この自然増をどの程度減税に回せるかということについては、政府としては、何も調査会に言つていない。言うているような、言うておらぬような、一応は言うたが、一切調査会にまかせきりということで、それでは、おそらく調査会諮問案というものは、しっかりしたものは私はできぬと思いますが、これ以上申し上げては少し議論にわたりますから、私の意見として聞いておいていただきたいと思います。  それから政府でも調査会でも、来年度税制改正においては、直接税を減税して、間接税重点を置くということに、大体方向をおきめになった模様であるが、税の理論からいけば、申すまでもなく直接税の方がいい、直接税は所得の基本に、負担能力に応じて適切た課税ができる。できれば直接税の方がいいということは、一般的に認められておる。そこで、今回何がために直接税を減らして間接税重点を置こうとするか、その点は、もう政府考え方はまとまっておられると思いますから、政府考え方をお聞きしておきたいと思います。
  22. 原純夫

    原説明員 おっしゃる通り租税理論におきましては、間接税より直接税の方がよろしいというのが、決定的な議論でございます。にもかかわらず、ただいまおっしゃいましたような、直接税から間接税にウェートを移せという考え方があり、かつその考え方がかなりに広く行われますゆえんは、こういうことではなかろうかと思います。  直接税で非常に無理な負担をかけますと、直接税の中でもいわゆる申告所得税といいますようなものにおきましては、非常に脱税が多くなる。またこれを調べて徴収する場合の税務の執行にも、非常にむずかしい面が入ってくるということ、その結果、税が理論の上では、これはもう所得に厳密に対応して負担能力をはかってやってあるんだということでありますが、実際においては脱税する。また執行の方でも、なかなかそう何十万、何百万という人をきちんと見切れないということから、実際に神様の目から見た負担はどの程度公平かということになりますと、非常にむずかしいことになり得るわけであります。現在やはりそういう問題が相当あると私ども思っています。もう皆さん方も御存じの通り、これは東京でも地方でもそうでありますが、住民税の各戸を並べての負担が、営業者と農業者、勤労者との間に非常に不均衡だということは、もうどこへ行っても聞かされることであります。そこに非常にやはり不均衡がある。それは、そういうグループ別の不均衡だけじやなくて、営業者なら営業者相互の間でも、まじめに納めてる人と、非常に逃げちゃってる人とあると思います。それを考えますと、理論的には、非常にりっぱなものでありながら、現実にはもう落第点だというようなこともあり得るわけです。現にこの税制改正要求され、国民負担に耐え得るようなふうに改正するといいます趣旨も、やはりそういう点が考えられてのことであろうと思います。  しからば、間接税理論的に悪いじゃないかということであります。確かに所得が高くなるのと対応して、負担能力にぴったり合うような累進的な効果はない。むしろ累退的といいますか、逆進的と言われますが、間接税の中で、たとえばまあ砂糖なんていうのは、国内の生産におきましても、完全にほとんど把握される態勢にある。輸入砂糖が完全把握になるのはもちろんのことであります。あれには相当高い税がかかつておるわけでありますけれども、公平という一点においては、この累進とか累退というのは一応ふせて、公平に、一斤の砂糖といえども違う税を納めているものはない。公平に納めているということにおいては、百パーセント公平な税であります。どんな人が砂糖をよけいなめるかどうか、ちょっとその肩幅なんですが、やっぱりお菓子はよけい食うだろうというて、若干完全な累退でもないというようなことを考えますと、血接税における実際の税負担が非常に不公平であるならば、間接税において若干累退的であっても、十点に近い完全さをもって公平に取れる税負担とどっちかという問題が一つあろうと思うのであります。   〔委員長退席、存日委員長代理着席〕 先般申し上げましたように、所得税収入は、基準年次である九、十一年に比べて実に六倍以上の収入になっておりまして、非常にたくさんの人が、ごく普通の庶民的な所得層において非常に高い累進税率を適用されて、その結果苦しみもし、苦しいがゆえに脱税が起り、また税務の執行も困難するという状態でありますんで、その辺を考えて、むしろこの際理論的には後退であるが、実際的にはそういう混乱を整理して、直接税行政をしっかり建て直すと同時に、そのかわりを間接税で、ほとんど完全に公平に取れるという趣旨のもので増強するならば、それも一つではあるまいかという考え方であろうと思います。私はそういうふうに解釈して仕事をいたしております。
  23. 奧村又十郎

    奧村委員 この際国税庁長官にもお尋ねいたしておきたいと思います。それから特に政府委員にお願いしますが、質疑の形でお尋ねしますが、これは、質疑の形で政府委員と討論をしておる場合もあるんで、あまりつけたりをいろいろ言われますと、せっかくの質問の焦点がぼけたりする。どうぞもう少し質問の要点をなるべくそらさずに、それだけにとどめて御答弁を願う。あとから質置者もまだ三人控えておられるようでありますから、そのつもりで要点を簡潔にお願いを申し上げます。  そこで、今大事な質問と思うんですが、直接税を減らして間接税にウェートを置くという理由については、直接税においては、どうしても所得の正確な把握ができないから、こういう理由のように御答弁があったが、それだけの理由ですか。その点お尋ねしておきます。
  24. 原純夫

    原説明員 主としてその理由でございます。まあそれ以外別に申し上げることは……。
  25. 奧村又十郎

    奧村委員 この問題は、シャウプ勧告に基いての税制改正のときにも、ずいぶんこれは議論になったものであって、現行税制というものは、その所得の把握の困難なのを、できるだけ正確に把握するという建前のもとに、この血接税に重点を置いて、今日まで国税庁初め大蔵省がずいぶん努力をしてこられたものと思うのであります。そこで、その税制を今ここで変更しようとすることです。ただいまの御答弁によると、正確に所得を把握しようとして努力してきたが、どうも成績が上らない、今後も自信が持てない。そこで税制の実態からして、これはもうやむを得ない、現実に妥協して間接税にウェートを置こう。こういう非常に便宜的な手段のようにただいまの御答弁は受け取れる。その通りですか。また国税庁の方もそのようにお考えですか。
  26. 原純夫

    原説明員 直接税、特に所得税累進税率が非常にきついために、税務の執行も困難である。従って実際論として、現実の議論としてむしろ間接税を適用すべしということは、今回たまたま私どもが持ち出しておるだけではございません。シャウプ時分、むしろその前からも非常にそういう傾向が顕著でありました。累年そういう考え方はありましたし、時に応じて随時申し上げているはずでございます。ただシャウプのときもそうでありますがその意味での改善が必ずしも徹底的にはできなかったということで、常に問題が残ってきたというふうに考えておのます。
  27. 春日一幸

    春日委員長代理 まだ長いのですか。
  28. 奧村又十郎

    奧村委員 まだ長い。今の答弁によって長くなってくる。
  29. 春日一幸

    春日委員長代理 この際、ちょっと委員側並びに政府にお願いしたいんでありますが、本日は、大体十二時半か一時ごろまでにこの質疑を議了したいという予定でおりますが、なおあとに五名質問の通告があります。従いまして、本日この三名の質問通告を大体終了しようと思いますと、なるたけ一つ質問も簡単に、なお答弁も集約していただいて、計画的に一つ一時ごろまでに終るように御協力願いたいと思うのであります。(「あしたもあるじゃないか」と呼ぶ者あり)明日はまた明日の通告が参っておりますから、きょう一つ五名を終りたいと思いますから、そのように御協力を願いたいと思います。
  30. 奧村又十郎

    奧村委員 委員長の御注意にもかかわらず、ただいまお尋ねしておることが、今度の政府が企図しておる税制改正の一番大事な問題にかかわることと思いますから、重ねてお尋ねいたします。  所得の把握が困難だということは、シャウプ税制のときも、それは十分問題になった。しかし困難だから申告所得税所得把握はいいかげんにするというわけにはいかぬ。あくまでも正確に把握するように政府は努力すべきである。   〔春日委員長代理退席、委員長着席〕 その意味合いにおいて、勤労所得の勤労控除を、それまでの二五%を一五%に切り下げてやっておる。つまり勤労所得の把握と同じように、申告所得所得も把握しよう。こういう精神でやったんであるからして、少くとも考え方としては、正確に把握するように努力しようということで、われわれは理想的な税制として踏み切ったものです。そこで今度直接税を減税しようということは、所得の把握が困難だからという理由ならば、それじっそういう考え方はもうあきらめて、どうせ申告所得の把握は十分正確な把握はできないから、現実の問題として、間接税重点を置こう、こういうお考えですか。私は、把握が困難だから、政心としては新たに把握すべきこういう方法をとるという積極的な御説明があれば別ですが、今の御説明なら、もう把握が困難だから、現実はやむを得ないとして便宜的な態度に出ようとする、非常に消極的な御答弁しかないように思うが、その点どうか。
  31. 原純夫

    原説明員 申し上げましたように、税は何も税務官庁だけが出せ、とるというものじゃございません。納税者が納めて下さるのが建前でございます。従って、申しましたのも、脱税が多くなるということを申し上げたのです。半面、税務の執行も困難になる。従いまして、税務当局としては、適正公平な課税をするために全力を尽しておるわけ場です。もちろん、その方針は将来においても変らぬ。絶対変っちゃいかぬものだと考えております。ただ、あまりに税率がきついということになりますと、脱税が非常に起ります上に、税務の執行においても困難が相当大きいという両面から申しておるんで、これは適正公平に把握しようという気持をなくしてのことではございませんから、一つその辺は、そういうふうに御理解願います。
  32. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまの直接税を減税しようという第一の理由は、申告所得所得把握が困難だからという最初のただいまの御答弁によるとするならば、それじゃつまり申告所得の把握が困難で、源泉徴収の勤労所得の把握は比較的正確だからということになるから、そうすれば今度の減税においては、まず勤労控除二〇%を二五%にする。あるいは最高限度をもっと引き上げる。これは当然理論がそこへついてくるわけです。だから、直接税を減税しようという政府考え方のそのもと、それをはっきりさしていかぬというと、それからあとの問題が引き出されてこない。こういう意味で、私はしつこくお尋ねしておるんであります。  それから、もう一つ私の聞きたいことは、つまり所得の把握が困難だというのは、特に税率が高率過ぎるから困難なのだ。そこで、今度相当税率を引き下げれば、所得把握は、今度は比較的正確になるんだ。従って所得把握が正確になることによって、自然増と申しますか、所得を把握することによる増収が相当見込まれる。その点を積極的に打ち出さなければ、国民は納得しないということであります。これは議論にわたりますが、先ほどの御答弁では、少し私は物足らないので、お尋ねをいたす次第であります。  そこで時間の関係もありますから、もう一つ続いてお尋ねいたしますが、税率を軽減しようということになりますと、これは政府は何と御答弁になりましょうとも、年収五十万以上の、あるいは税率はどういうふうにおきめになるか知りませんが、どうしたって高額所得者には特に有利になる、負担は怪くなる。これはもう当然予想されると思うのであります。で、直接税が一般的にいいと言われるのは、担税力に比例して税収がふえるということがよかった。ところが、このよい直接税を減らす。特に累進の税率を減らすということであれば、高額所得者が比較的それだけよけい助かるのである。そこで今度の税法改正の全体から見ると、間接税で補う場合に、直接税で不均衡のできる面を間接税で補うという考え方がなかったら、これまた国民が納得しないと思う。そこで間接税でも、所得税を全然納めない低額所得者でも、タバコものむし、酒も飲む。そういう大衆課税増徴を見込まれたら大へんであります。しかし、またここではいろいろ議論のためもあろうと思いますが、まさか個人の家庭にテレビはまだ行き渡っておらぬし、あるいは電気洗たく機とか、あるいは高級織物とか、そういうようなものになりますれば、これは国民全体がそういうものを使うとは言えぬので、そういうような比較的高級な、あるいは比較的ぜいたくなものを消費することのできるものに、その購買力に応じて課税をするということによって、直接税で高額所得者に減税した分を、今度は消費購買力に応じて間接税で補いをつけるということなら、これは国民に納得させることができる。従って私は、この直接税の減税と、間接税においては、比較的富裕な、所得の豊かな方に対して補いをつけるような税を実施するということをうらはらに、不可分の関係で提案してこそ意味がある。こういうふうに思うのでありますが、政府はどう考えておりますか。
  33. 原純夫

    原説明員 理論的にはおっしゃる通りであるかと思います。これは、先ほど言うた理論はそうだが、実際はそうでないというような意味で申しておるんじゃございません。ただ間接税についてどうやるかということにつきましては、先般来たびたび申しておりますように、最後の私たちが態度をきめて申し上げるまで、態度めいたことは申し上げない方がよろしいと思いますので、理論的にはおっしゃる通りだというふうに御答弁申し上げさしていただきたいと思います。
  34. 奧村又十郎

    奧村委員 それはいろんな政治的な理由もありましょうから、理論一本調子にはいかぬと思いますが、少くともわれわれ大蔵委員会としては、また政府の税法を立法する当局としては、できるだけ公平理論に基いてやられるのが建前でありましようから、そのおつもりで私はお尋ねしておる次第であります。ほかの委員の御質問もあるようでありますから、私は一まずこれで打ち切つておきます。
  35. 松原喜之次

    松原委員長 次に古川丈吉君。
  36. 古川丈吉

    古川委員 この間新聞で見ますると、たばこ供養ということが行われたようでありまするが、それはどういうふうに専売局として、あるいは総裁の指揮命令でやられたのか、それとも、あるいは東京地方局の意思によってやられたのか、その点はどうか、お伺いいたしたい。それからもう一つは、どういう程度の規模で、どういうような実際のことをやられたのか、それからその目的は何にあつたのか、その点の三つをお尋ねいたしたい。
  37. 石田吉男

    ○石田説明員 立案は東京地方局がいたしまして、私の方に相談がありましたので、大体その催しの内容を聞いて、よかろうということで承認を与えてやらしたのであります。目的は、私の方ではやみたばこの取締りをやりますのに、防犯宣伝ということをやっておりますが、年間全国で、わずか八百万円くらいの宣伝費しか使っておりませんので、はなはだけちな考えなのでありますけれども、なるべく金を使わずに新聞の記事になるようなことをやりたいというふうに考えまして、何かとっぴなことをやって、一つ防犯的な意識を新聞に書いてもらおうというのがねらいでございます。かたがたやみたばこの関係では、外国たばこが非常に多いのでございましてこれについては、日本に駐留しております駐留軍、これの司令官あるいは将校たち、あるいは憲兵関係、そういう人たちの協力を常に得る必要があるのでございますけれども、アメリカ人は割にとつぴなことが好きでございまして、そういう人たちにこういう催しをやるという話をしましたところが、それは非常におもしろいからやってくれというので、そういう担当者も十数名呼んでおります。そういうふうにして、とにか旧くちょっと変ったことやって耳目を引いて、やみたばこの取締りもやっているんだ、趣旨はそういうことで、防犯宣伝になるようにということがねらいでございます。呼びましたのは、大体そういう駐留軍関係、検察庁の方々、警視庁の方々、それと民間の方に防犯委員というものが置いてございますが、そういう人たち、こういう方々を招きまして、たばこ供養と申しますのは、やみたばこでなければ本来国のお役に立つべきたばこが、やみたばこであったために、遂に本来の目的を達していなかったというような意味でやったわけでございます。
  38. 古川丈吉

    古川委員 どのくらいの規模で、どういう種類のものを、どの程度にやられたか、内容を一つ……。
  39. 石田吉男

    ○石田説明員 たばこのことをお尋ねになっているのかと思いますが、あそこでお経をあげながら焼きましたのは、ごく少量でございます。これは、私の方で国税反則取締法というのでもつてやっておりますが、検挙した人から没収したたばこは、私の方で一応通告処分ということができるのでございまして、これは、私の方だけの認定でその人に罰金を通告いたします。ところがその罰金を納めなかった場合には、正式に検察庁に告発をいたしまして、正式の裁判にかかって判決が確定して、有罪、無罪がきまる、それまでの間、証拠品としてたばこを持っていなければならないのであります。それで、その通告を履行した場合、それから判決が確定した場合には、あとこちらのものになりますので、売れるものは——やみたばこみたいな密造のたばこは売りませんけれども、売れるものはこつそりこちらのレッテルを張ったりして、また売り出します。それから売れないで、まだカビのは上えてこないようなものは工場へ回しまして、ほかのたばこの再生原料に使っております。それからそういうふうにも使えないけれども、全然腐ったという状態ではないというのは、くずたばこの払い下げを受けて、農薬を作っているものがございますので、そういうところへきわめて安い値段で売っております。そのあと残ったもの、どうにも使いようのないものは、工場の炉を使いまして焼却いたしております。それで、工場焼却するかわりに、あそこでちょっと焼いて、人を珍しがらせるといいます。か、そういうふうに使ったのでございます。あそこで焼きましたのは、ふだんでも工場で焼いている分でございまして、使えるようなものは全然ございません。
  40. 古川丈吉

    古川委員 僕らに珍しいことだという印象を与えようという会のお話は、まあそのくらいのことだろうと思っておりましたが、その通りだったのですが、新聞あたりが、のめるたばこを焼いてしまったというような印象を与えておるので、非常にもったいないことをしたと、あの記事を見て、国民はみな思っているのじゃないか。それを、どうせ焼かなくちゃならぬような、衛生上から、いろいろな点から見て、売ったり、そのほかの用途で使えないものを焼いたのだ、こういう趣旨なら、われわれもよくわかるのですけれども、新聞の記事では、のめるたばこをむだにただ燃してしまって専売局は、子供が喜ぶように喜んでいるのだという印象を非常に与えていると思う。その点をお伺いしたので、今のようなお話なら、われわれも納得するのですが、そういう誤解のないように——誤解がもし解けるなら効果がなくなるのかもしれませんが、その点は、よほど利益と国民に与える損害と両方考えて将来ともやっいただきたい、こういうようにお願いします。  それから国税庁長官に伺いたいのですが、最近新聞には、いわゆる共産党の反税闘争というものが非常に組織立って積極化してきて、大蔵省の方では、その関係書類を失って、大あわてしておるというような記事が出ておるわけでありますが、この問題は、今に始まつたことではなくて、数年前から、われわれも地域的にはその現状を知つておるわけであります。御承知のように、共産党が一つの大きな政治運動の一環として、反税闘争をやっておるわけでありますが、これは、国民の納税に関する考え方にも非常に影響するので、国税庁としては、この反税闘争をどの程度につかんでおられるのか、またそれに対して将来どういう対策を講ぜられる御方針なのか、われわれも、現実に身近な税務日のもとにある民主商工会の反税闘争を見ますと、御承知のように、役人の中にも共産党の人がおるようだし、またそれに同調するような人もあって、かなりこれが効を奏しておるということになりますと、共産党の目的も達しますし、また国民の納税意識にも非常に影響いたしますので、この点、一つ御説明を願いたいと考えておるわけであります。
  41. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 反税闘争の問題として今一応御指摘になりましたのは、主として直接税関係の問題のように思いますが、直接税関係の反税闘争が一番盛んであり、かなり一般的でありましたのは、二十四、五年ごろでございますか、当時御承知のように、所得税課税がかなり布く、同時に基礎控除、扶養控除も低かったものですから、納税人員も非常に多かった。そういったような関係からしまして、この時代にかなり大衆的な反税闘争が、全国各地に起った時期がございます。この関係は、その後控除が引き上げられましたりした関係もありまして、かなり所得税納税人員が減ったということも、一つの大きな原因だと思いますが、同時に、税負担もだんだんモデレートになってきた。経済自身が、ある面におきましては、だんだん落ちついてきたということが働いていると思いますが、だんだん沈静して、その規模が順次小さくなってきた。その後昭和二十七年の春でございますが、一時火炎びん事件というのが各地に起ったことがあります。税務署をねらいまして、火炎びんを投げつける。この関係は、幸いにしまして私の方でも、私当時東京の国税局長をしておりましたが、情勢が変だというふうな風聞が入りましたので、宿直も、寝ずの番を当時準備しておいた記憶を持っております。一番最初にやられましたのは、川崎の税務署でしたが、幸い寝ずの番がおりましたので、すぐ消した。一ぺんそういう事件が起きますれば、われわれの方も、これは確かに相当やるのじゃないかということで、その後ずいぶん各所に火炎びんがほうり込まれましたが、いずれもほとんど大した損害なしに終った。これが、ちょうど二十七年の宮城広場前事件というあの辺の時期と前後するわけです。しかしこれも、割合にそう長く続かないで、この問題としては終ってしまいました。しかし最近まで、かなりいわゆる民主商工会とか、いろいろな名前におきまして、そう広い地区ではありませんが、各地——大阪の一部で、相当根強い反税闘争がありました。これに対しまして国税庁としましては、やはりそういう部分をほっておくわけにいかない。相当やかましく、更正決定とか、いろいろな手を打っていったのでございますが、その後の一つの現象としましては、昭和二十八年、集団的な訴訟闘争といいますか、法廷闘争、この方にかなり重点一が動いていったものと思います。しかしわれわれの方としましては、それはそれとして、一応訴訟に対しては、もちろん受けて立つ姿をとったわけであります。しかし大阪のある区の一部などに、かなりの数で、申告などやめて低額な申告しかしない、非常に非協力である、それから訴訟もする、こういうものにつきましては、本年の弄の更正決定の時期におきましてあらゆる徴税人員を動員しまして、かなり積極的に調査を進める、こういうことをやりました。最近、そうした過激な人たちの考え方も、従来のような考え方から、多少微笑戦術に移り変ったような向きもありますが、そうしたわれわれの方の強い出方と結びつきまして、大阪のある区の一部にありました、かなりの数の人たちは、相当修正申告をなすった。訴訟も取り下げるとかいった姿になっております。現在におきましては、そうした人たちのいき方は、あまりきわだった姿において対立するというやり方をやめまして、むしろ青色申告をするとか、納税貯蓄組合を積極的に作るとかいったような線に沿いながら、やはりおそらく税金をできるだけ安くしたい、回避したい、こういうような動きになってきているのじゃないかと思いますが、一応表立ったところとしましては、割合に合法的な戦術に近づいております。しかしわれわれとしましては、やはりそれだけでもちろん安心していいものとも思いませんから、よほどそれはそれなりにわれわれとしましては、負担の公平といいますか、税法の適正な執行をやっていくという態勢は、いろいろな角度においてこれを準備し進んでいきたい、こういう次第でございます。
  42. 古川丈吉

    古川委員 最近むしろ下火になつたということで安心したのですが、特にそういうような動き方で闘争をやつたために、税金が安くなったということのないように、厳格に公平に一つやっていただきたい。
  43. 原純夫

    原説明員 かしこまりました。
  44. 松原喜之次

    松原委員長 次に、横山利秋君。
  45. 横山利秋

    ○横山委員 先ほどから与党の委員諸君の質問を承わっておりますと、税制について、非常に傾聴すべき意見がございましたたとえば前田委員からは、納税しない者の社会保障をどうするかという意見の開陳がありました。また増税は慎重にせよという意見がありました。奧村委員は、間接税よりも直接税中心主義であるべきだと言い、かつ徴収の困難をもって云々として、結局は、勤労所得控除をもっと引き上げるべきである、こういう意見結論がされると思います。そういう意味からいいますならば、私のこれから質問しようとすることは、全く同じベースに立つわけであります。かくも与党、野党が声をそろえて今質問の焦点をそこに向けんとする意義は、一体どういうところにあるかということをお考え願いたいと思うわけであります。今日まで臨時税制調査会は、慎重に検討してやってきた。最初は、あなた方は、調査会にすべてをおまかせして、その結論を待って意見をきめるという答弁でしたが、ここしばらく以前から、大蔵省としては、一つの考え方について、かなり態度をはっきりして、その意見に少くともさや寄せを、どちらがするかは別にしても、そういうふうなさや寄せをしている雰囲気が非常に強いと私は見るわけです。従って先ほど奧村委員も言ったのですけれども、すでに主税局としては、片一方では調査会の中に足を突っ込んでしまって、その責任を持っているように見えるし、もう一方の片一方の足は、少し出しておるようだが、このところの姿勢は、一体どういうふうにものを考えておるのか。たとえばこの調査会では、ある程度議論として、法律論として、あるいは均衡論として、こういう立場で案を作るだろう。ところが一方、政府としても与野党としても考えなければならぬことは、国民の感情であり、国民の現状における雰囲気である。と同時に、内閣の政治力が今日ほど弱まっているときはない。そういうときに実現が可能であるかどうか。少くともその案が実施され得るであろうかという政治的判断の問題であります。その判断の問題について局長に聞くのは、いかがかと思うのですけれども、あなたもこの間から今日に至るまで答弁の中で、私が言うように、片足と片足の両方の議論をしておられるようだから、この辺で大蔵省としてのものの考え方を、逐次本委員会で明確にされる必要があろうと思う。そこで第一に御質問申し上げたいのは、調査会の案に対して、どういう立場でこれからなさろうとしておるのであるか。あなたは、調査会に片一方の足を踏み込んでしまって、言葉は強いけれども、それを牛耳っているような雰囲気であるけれども、でき上つた案に対して、大蔵省としては責任をお持ちになるかどうか。その責任をお持ちになるという意味は、今日の政治的雰囲気、それから与野党の各共通した意見国民負担能力の限界というものをお考えなつてどういうふうに善処をせられようとしておられるのか、それをまず伺いたい。
  46. 原純夫

    原説明員 調査会答申がありますれば、政府としては、極力それを尊重して実施に移したいと考えます。もちろんこの税制の立案は、いろいろな条件に拘束されますから、そのままいくということをはっきり完全に申し上げるわけにはいきませんが、極力尊重して参りたいというふうに考えております。
  47. 横山利秋

    ○横山委員 その答弁では不十分なんです。もう少しはっきり一つ答えていただかなければならぬ。結論が出ていないのに、それがそのままできるかどうかということは御返事がむずかしかろうと思うけれども、最近あなた方は調査会において、資料を提出され、発言をせられ、そうして案のようなものまで直接ないし間接に出しておられるようです。従って、調査会に対してあなた方が実質的にそこまでやっておられるゆえんのものは、調査会案を通じて、ここに大蔵省なり政府のものの考え方というものを生かしていって、その案を尊重する、そういう方向でいかれようとするのか。それとも、当初あったように、調査会にすべてをまかして、また全然別の角度で——全然別というわけでもありませんが、政府としての新しい角度でそれを検討されようとするのか、そういうことなのです。
  48. 原純夫

    原説明員 調査会政府との関係最近におきますいろいろな税問題の分析について、私どもの方の出しましたものについてのお話について、まず申し上げたいと思いますが、私ども現在の段階で、政府としてもちろん研究はいたしておるけれども、態度とか決心とかいうものは、言うべき段階でないということで、こちらに対しましても、税問題は非常にいろいろな波紋を起しますから、慎重に検討しなければいかぬという意味で、調査会の御意見を承わってというふうな表現をしてきたわけでございますが、実はああいう資料を出して申し上げるようになりましたのは、当委員会が特に御要望になったわけです。一切言わないのはいかぬじゃないか、私もそうだという面もあると思いましたものですから、データを差し上げて、あのときも、これは決して政府の態度ないし意見を申し上げるものではございません。現在は検討段階であってデータを客観的に御検討を願っておる、その検討は、当委員会においてもやっていただくのは非常にありがたいことだからということで、たまたま意見がましいことを言うたとすればそれは私個人の口が走つたのだというふうに御了解いただきたいということで申し上げたようなわけでありまして、ただいまのところ、われわれが態度を押しつけるというようなことはいたしているつもりはないのであります。もちろん調査会検討段階におきましても、データの読み方について、いろいろとわれわれの考えを申すということはありますが、それは研究の段階で当然のことだろう。その辺行き過ぎがありますれば、私の至らぬところでありますが、極力そういうことのないように、中で特に直接税、所得税の方は、割合全部の方が大へん広い見地で御検討いただける。ところが間接税の方の問題になりますと……。
  49. 横山利秋

    ○横山委員 わかりました。それを開いているのじゃないのです。私の言うことを誤解なすっていらっしゃるようですが、弁解してもらうために私は言うているのじゃない。どちらの立場でおやりになろうとするのかということなんです。あなたのお話を聞きますと、結局調査会には、実質上はどうであれ、自由な討論を求めて、その結論を待って、政府としては新たなる政治情勢その他を判断して、正式な案をぎめるのである、こういうわけですね。それでしたら一つお聞きしたいのでありますが、今日まで鳩山内閣が税制として掲げて参りましたベースを思い出して、そのベースと、今臨時税制調査会結論に到達しようとしておるベースとの間に、かなりの違いが私は発見できると思うのであります。この間あなたのお話を聞きまして、調査会が行きつかんとしておるベースは、大体わかるわけなんですけれども、少くとも今日新たに調査会が到達しようとしておりますところは、たとえば五十万円から百万円の所得層を重点として軽減をするということです。この点については、もう去年の二回の国会において、与党からも野党からも、低額所得者か高額所得者かという議論が常に行われました。あなたの方としても、多少の食い違いはあっても、低額所得者という建前は守られたわけです。今度は明らかにそうではなくて高額所得者ということです。高額ということがお気にさわるならば、中額です。少くとも低額ということじゃないのです。ここに第一のベースの相違があるわけです。第二は、ここのところから発展することは、地方税においても、所得割を一般的にふやせという意見が有力意見として出ておることであります。それから第三には、かねてから言うております中小企業の減税ということで、大蔵大臣も、減税はできないかもしれないが、増税は絶対にしない、こう言うておられるが、それは間接的に聞くところによりますと、ガソリン税の増税となってくる、物品税の増税となってくる、こういう点についても、明らかに政府が今日まで堅持して参りましたところと重大な食い違いを持っているわけなのです。調査会議論を初めからずっと聞いていきますと、なるほどと思うような点もないではないけれども、それを一たん引き直して、政府の今日までの税制についての考え方を考、えますときには、明らかに食い違いがある。たとえば税制の簡素化という道は、一体どこにいきましたか。何にもやつていないじゃありませんか。そういう警告をこの際あなた方に発したいし、与党、野党からも重ねて同じようなベース質問がありますゆえんのものは、十分お考えを願わなければならぬと思うのですが、その点は、答申の際にお考えになるものであるかどうか、それをお伺いしたい。
  50. 原純夫

    原説明員 先月この委員会の懇談会に出しました資料を中心として、最初の点をおっしゃたものと思いますが、あれは、あのとき申し上げた通りでございまして、いろいろな比較のことがございますから、それをどう結論に結びつけるかということは、いろいろ意見があると思います。ただ私どもは、外国と比較すればこうだ、それから過去のある時期と比較すればこうだ、現在の生計費と比較すればこうだということを申し上げたのでありまして、その結果、税率と控除との間では、戦後のこの六、七年においても、相当控除の方が優遇されておりますということがただいまのこととうらはらになるわけでありますが、そういうことを申し上げたわけで、それからどういう意見が立てられるか。ただいま奧村委員からも、またあなたからもおっしゃられる点、私どもとしては十分記憶して、結論を出す場合に考えたいと思いまするが、これはなお十分検討し、各方面の御意見を伺って、はっきりした結論を出したいと考えておるところであります。
  51. 横山利秋

    ○横山委員 重ねてもう一ぺん言いますけれども、あなたの回答は、焦点をはずしているようです。私は、本来政府諮問機関であるそれぞれの委員会諮問をするときに、白紙でどうしたらよいでしょうかというような諮問は、政党内閣のもとにあり得ないと思つているのです。政府がこういう道を踏みたいが、それにはどうしたらよいか、どういうふうに諮問して、実はそれがほんとうではないかと判断をするのです。議論の余地はありましょうが、なぜそういうことを言うかというと、あれほど内閣として、税制についてはこうだと、三たび、四たび旗じるしを上げて参りましたものを、その旗じるしを、委員はそれは知ってはいるでしょう。知ってはいるでしょうが、それにはこだわらず、白紙でやってもらいますということをさせておいて、その行きつくベースが、あなた方のかねてから堅持しておるベースと食い違っていく。この事態については、これは一体どういうことになるのでしょう。それを私は開いておるのです。従って、もしあなた方が、かねてからこの旗じるしを尊重するとするならば、調査会の案ができても、新たなる角度で、この従来の旗じるしの線に沿うべく、これを検討する。議論は、学者の議論議論、権威者の議論議論としてこれを尊重する。尊重するけれども、政党政治としての旗じるしは守る。こういう立場が厳としてそこに存在をしなければうそではないか。こういうことを言いたいのです。今奧村委員も言いますように、結局調査会意見ができても、あらゆる方面の反対もあるでしょう。あるでしょうから、困難なところは削ってしまって安易につく、こういうふうな見通し考えられるわけです。そうすれば、調査会意見も尊重されず、政府のかねてからの立場というものも堅持されず、何だか妥協主義の、あいまいなものがそこに残つてしまうのではないか、こういうことを私はおそれるわけです。従つて、本来ならば、これはもう白紙々々と言うておらず、根本的な柱だけここに最初から鮮明にせられておって、その鮮明にせられておる旗じるしに沿うて、これをやりたいと思うが、どうであろうか。反対の人があれば、それは反対と言うでしょう。賛成の人があれば賛成。私は、その方法は方法である、こういうふうに言うのではないかと思うのです。それを、どうもおかめ八目かもしれぬけれども、腹の中に持っておりながら、それを表面に打ち出さずに、少しずつ向うさんが言うてくれんかしらというような顔をしてたり、資料で出して、そこから先方に言わせるような格好があって、ベースをどんどん違えておるということを、私は強く遺憾に思うわけです。  話が飛びましたが、この点だけは、法案が本委員会に出て参りました一際に、きつくあなたの方の態度を詰問いたしたいと思います。  次に移りますが、次の問題としては、先ほどもちょっと話が出ました五十万円から百万円という問題です。この間の懇談会のときに私もちょっと言うたのですが、従来の比較論、均衡論というよりも、今実際われわれが考えなければならぬというのは、生活実態の中からこの案というものが出てきたことであるかどうかということなんです。あなたの方の資料を拝見いたしますと、そういうものは全然ないようであります。生活実態の中からどこを減税すべきかという議論考えなければなりません。それから国民の納税者の一般的、普遍的感情からいって、五十万円以下の人たちはもう減税をすべき必要がないようであって、五十万円から百万円くらいのところが減税すべき対象であるということは、どんなにいろいろ数字をあげても、常識的ではなかなか納得させることは困難であります。一々それを御説明なさるよりも、納税者がなるほどそうかというふうに、すなおに受け入れるべき雰囲気というものが必要でありましょう。その雰囲気が、この五十万円から百万円のところではどうにも出てこないと思うのですが、理屈でなくして、すなおにこれをあなた方どういう理由をもつてやろうとしておいでになるのか、その理由を簡単に率直に解明をしてもらいたい。
  52. 原純夫

    原説明員 私は五十万円から百万円のものだけを減税すべきだということを言うた覚えはございません。過去のある時期との比較において考えると、その辺の入がその当時に比べると非常に重くなっているということを申し上げました。それからいわゆるだんだん一所得が多くなるに従って限界税率、上積みで所得があった場合の取り去られる税率というものも、御判断いただくような資料を出しました。そういう税率は、相当な高額になれば別でありますが、普通の所得といわれるところで早い累進がありますと、相当げつそりする。給与所得者でいえば、賞与をもらったときにげっそりするということでございます。そういうようなことを資料でお出し申したわけであります。問題は、所得税全般の減税でありますから、重ねて申しますが、五十万から百万だけを減税しようというのではない。ただ過去との比較において、またそういう限界税率の重さの判断において考えていただく場合は、所得階層の程度によっているいろ判断をつけていただくということが必要であろう。なお一つ加えますが、家計調査に基く所得階層別の生計費、その中でどの階級で家計余剰ができてその家計余剰のできた階級が所得税をすぐにかけられるかどうか。かけられたあとのその階級の家計余剰がどのくらいかというような点も、これは先月差し上げました資料の図表の方でない、厚い方の資料に入っております。その辺も御検討いただく一つの資料だろう。つまり五十万なり百万なりというふうになった場合の家計余剰の額、税の額というふうなもの、あるいはそれをより低い三十万、四十万というあたりとも御比較いただいて御検討いただくということであってそれらの資料をいろいろと見ていただいてお考え願うという段階なのでありまして決して五十万から百万だけを何しようというのではありませんから、今は一つそういうデータについて十分御検討いただいて御意見をいただければ仕合せだと思うわけでございます。
  53. 横山利秋

    ○横山委員 私もそんな五十万から百万だけだとは言うておりません。そこに重点が置かれるということの議論をしておるのです。生計の実態から考えますと、あなたのお考えは、たとえば電気洗たく機を買って赤字を出しておる家庭と、家賃をやっとこさっと払って黒字をほんの少し出しておるところと、ごっちゃにしておいでになるような感じがするのです。単なるバランス論でエンゲル係数を拾ってそうして生活水準というものがどういう程度にあるかというところで判断をしてもらわなければ困るということを、私は申し上げたいと思うのです。これは一般的な常識でありましょう。たとえば、あなたは昔との均衡論からいって、この辺の階層がえらいとおつしやるのだが、しからば昔の税制というものが、果して適正妥当公正なものであるかどうかについては、大いに議論があるということをいわなければなりますまい。今では昔と違う点は、納税者というものがおそろしく広まっておることであります。従って昔と一緒にするためには、まず納税者を、昔のように百円までは税金がかからぬというところまでして、なおかつそれからの議論ならば、首肯すべき点がないでもないかもしれません。しかしながら、今あなたの考えの根底にある考え方というものは、電機洗たく機を買って赤字になり、きゅうきゅうしておるところと、それから家賃を払えば何にも買えないで、少し黒字が残ッて、それで一応黒字であるという家庭というものを同じように考えられて、マイナスを出しておる家庭はそういう階層であるというところに議論があると思うのです。もちろん生活水準が上れば上ったで、あれがほしいこれがほしいという人間の欲望はありますけれども、苦しい生活水準のところを引き上げてやる。それがまた、あなた方が従来おっしゃっておられた、低額所得者の減税ということであると私は考えておるわけでありましてこの点は、根本的にものの考え方がお間違いではなかろうか、資料のとり方がお間違いではなかろうか。この点については、もうすでに全国ほうはいとして大いに反発が上っておるところでありますから、答申がもしこのような線で出ました暁においては、公約の建前からいっても、ぜひともお考え直しをしてもらわなければならぬところであると考えています。  それからあわせてお伺いをしたいのは、物品税増徴ということは、そもそも物品税を増税すべき理由があつてなされるのか、それとも財源がほしい、ないしは直接税を下げたい、こういうところから出てきた議論であるものかどうか、それが第一です。第二番目は、一体、それではどのくらいそれを見込もうとしておられるのか。先ほどのお話では、三本の柱の一本として、まだ柱の太さははつきりしないという御意見はございましたけれども、しかしこれも、その理由によつてある程度の規模というものはおのずから出てくるわけであります。本来ならば、もつと物品税の増税をしなければならぬという理由であるならば、もつとこれは明確にこの辺はとらなければならぬ。それから柱の一本として、ある程度まで盛らなければならぬというならば、これは幅があると思うのです。二百億にしたい、百億くらいでできるという話があると思うのです。そのどちらの道から物品税増徴ということをお考えになるのか、これが第二点です。それから三つ日は、御存じのように、私どもは物品税の廃止というものを法案を出しておるわけです。与党の諸君も、年々歳々免税点の引き上げについて主張せられ、われわれもまたこれに同調して、大蔵委員会は年々歳々この方向に向って参ったわけです。これを増税するときに当ってあなたが予測しておられることは、調査会では、この物品税の増税なるものに対してどのくらいの具体的な結論を出すであろうかということであります。一つ一つのものについて議論をするのか、それとも大筋として増税幾ら、あるいは何々の方向、何々の原則に沿つてというふうにするのか、どういうふうな方向でこれが予測されるのか。そしてまた、そのあとをどういうふうになさろうと大蔵省は考えておられるのか、この三つの点についてお伺いしたい。
  54. 原純夫

    原説明員 物品税関係の三点についてお答えいたします前に、中額を見て、低額所得者をあまりめんどうを見ないという点についてちょっと私申し上げておきたいのは、あの際申し上げましたのも、控除と税率を対立させて、そうしてその二つで所得税負担がきまる。この二つを対立させてみる、こういうバランスであります。それから最近においても、控除に減税財源を多く使って参りました。それから、その間われわれとしては、もっと税率に使いたいということを申し上げましたが、どうも政治的なセンスと申しますか、政治面の考え割合に控除を重視するということでありましたというふうに申し上げて参ったわけで、従つて決して低額者を冷遇しようというのではございません。税率を重点にする。税率となりますれば、やはり所得層によって具体的にどこがいいかということを十分検討してやるべきだろうということは考えておりますが、そういう階層別にどう待遇をしようという気持ではないことが一つ。それから従来も税率に相当重点を置きたいということを申して参ったということから、ただいま申された、今までのがころりとひっくり返つたという御非難をまっ正面にお受けするのは、ちょっとつらいということを第二点として申し上げたいと思います。  物品税関係でございますが、これはたびたび申し上げますように、あまり今の段階では、いろいろなことを申したくないと思うのであります。特にどれだけ見込むとか、あるいはどういうものをとるかというようなことについては、十分慎重に扱いませんといけませんから、申し上げたくないと思います。ただこれが税制改正の論議の一環として出てきている意味は、財源論であるのか、あるいは公平論であるのがという点につきましては、主として財源論だと申してよろしいと思います。相当な幅の直接税、特に所得税減税をしようという場合に、財源をどこに求めるかということになりますれば、直接税以外の財源で求める。それから直接税の中で、例の特別措置系統で求めるということになつてきたわけで、その求めます場合に、それじゃどこでもいいかというと、いけないので、やはり間接税なら間接税の中でやるとしたら、問題になるところはどこかというふうに、二段目におっしゃるような公平論といいますか、バランス論といいますか、そういうものも入って参るというように、議論といいますか、検討が進んでおるというふうに申し上げてよろしいと思います。重ねて恐縮ですが、幾らということと、どんなふうにということは、この際ごかんべんを願いたいと思います。まだわかりません。
  55. 横山利秋

    ○横山委員 簡単に最後に、意見になりますからやめますけれども、あなたのお話の点について、そうだろうと思いますけれども、財源論によってこの物品税が増税をされるということは、かねてから本委員会が年々歳々やって参りました方向に、直接の原因でなくて、間接の原因でこの道が阻害されていくことになりますれば、われわれ議員としても、きわめて遺憾なことだと思います。これがやらないで済む方法さえあれば、あなたの方としても、そういう理由であるならば、この物品税の増税ということはやらなくても済むのではないか、そういう点を考えるわけです。物品税が、どうしても上げるべき必然の直接原因があるというならばいざしらず、間接的な原因でやるならば物品税だ、こういうことでありますならば、これは言葉じりをつかまえるわけではありませんが、主としてそういう原因でありますならば、これはお考え直しを願う根拠もまたあろう。  それから先ほど小額所得者の問題については、これは一五%をなぶればあなたの議論もある程度了解できるわけですが、一五%という税率をなぶらずに、結果として五十万円から百万円というところから動くという税率の改正ということに、あなたの食い違いがある、こういうふうに考えるのであります。  あと昼間の方もあるそうでありますから、最後に少しこまかい問題で簡単にお答え願えばいいわけですが、ガソリン税は、調査会では問題になつていないようでありますが、高碕大臣初め多くの大臣が、ガソリン税の増税を言っておられるが、これは大蔵省として確たるものの考え方があって言っておるのかどうかという点が第一点。  それから、先般の繊維機械設備制限の際に、本委員会でも議論が出ましたし、通産委員会でも議論が出ましたが、機械の耐用年数の圧縮をしたい、機械設備の更新をはかるようにという議論が方々で開陳されまして、通産委員会でも附帯決議となり、通産大臣もはつきり言明をし、聞くところによると、大蔵省に対してこの草案が出、わが大蔵委員会においてもたしか一同質問をしたことがあり、ただいま検討中であるという御答弁があったと思いますが、その後の経緯はどうなったかという二点を最後にお伺いをいたします。
  56. 原純夫

    原説明員 揮発油税につきましては、こういう点についての資料を調査会に提出してございます。道路の建設改良が政策上の非常に高い順位に来るような情勢と聞きますので、その場合に、おそらく揮発油税と道路の改良との関係について判断を求められるであろうという前提で、しからば揮発油税を納める負担と、納めた金が道路の改良舗装に使われまして、それでよき道になれば、自動車を運行するものの経費が空くなるという利益がある。その利益を合計したものとがどういう関係に立つかということを調べて申し上げておく必要もあろうというので、そういう資料を提出してございます。その資料は、簡単に申しますれば、利益が相当大きくて、その犠牲をまかなうて優に余りがあるということでございます。ただいままでに私どものやっておりますことの中身は、そういうことでございます。  それから次の繊維機械設備制限措置の耐用年数のお話でございますが、私はこの特定のケースについてのことは、在任日が浅く、まだ、聞いておりませんので、なお調べまして申し上げますが、耐用年数全般についてどうするかという問題が、いろいろ御要望がございます。これについては、四年ほど前でございますが、耐用年数を全面的に——一年半か二年かかりまして検討して、おっしゃるような戦後の経済再建、近代化というようなことも考え、かなりゆとりのあるといいますか、有利な耐用年数にする建前で現在作っておりますので、英米等各国のものと比較いたしましても、耐用年数は若干短か目になっておるかと承知いたしておりますが、同時に、おっしゃるような声が設備機械以外においてもございますので、この点につきましては、なお十分検討いたしまして、どういう措置をいっとるかということを考えて参りたい。具体的には、耐用年数の改訂ということは、経済が大きく動いて参ります場合に、ある時期々々に当然やらなければならぬことで、その時期をいつとするかということであろうと思いますが、私ももう少し勉強いたしましてその点について結論を出したいと考えております。
  57. 横山利秋

    ○横山委員 まことにけしからぬ答弁だと思います。今私は、そういう気持でお伺いしておるわけではないのです。私の質問は、本委員会でも、通産委員会においても、質疑応答の中からはっきりしたことであり、通産大臣も通産委員会において、必ずこれをやりますと言明があり、通産省から大蔵告に対して資料の提出が正式になされ、そして大蔵大臣も、名古屋においでになったときに、この点については承知をいたしておる。先般の委員会のこともあるし、新聞記者会見にも報道され、業界の陳情を聞いて了承したとなっておりますのに、あなたは何か全然御存じないようなお話で、まことに意外千万でありますが、あなたが御存じなかったら、どのくらい事務が進捗しておるかお調べ下さって、明日でも正式に御答弁願いたいと存じます。
  58. 原純夫

    原説明員 承知しました。
  59. 松原喜之次

    松原委員長 次に、春日一幸君。
  60. 春日一幸

    春日委員 鳩山内閣は、組閣以来税制の根本的な改正を公約として掲げて参ておりますが、本日までいまだ見るべき解決がなされていないということは、まことに遺憾に存ずるわけであります。しかしながら、ここに税制調査会を設けて、それぞれの諮問を発しましてとにもかくにも一応現行税制を改正せんとする意図の見受けられることは、まことにけっこうであろうと存ずるのでありますが、その臨時税制調査会の設置に関する閣議決定の冒頭記録を読みますと、それはあくまで現行税刑の合理化、簡素、能率化に特にねらいが置かれておると存ずるのであります。従いまして、いろいろな問題が検討されなければならないでありましょうけれども、特に不合理な現行税制、そして複雑怪奇な現在の徴税制度、こういう問題に触れて問題の解決がはかられなければならぬのでございます。から、こういう点について、果して政府は、重点を置いて検討しておるかどうか。まことに多大の、不安を抱かざるを得ないのであります。そこで私は、この際この趣旨にかんがみまして、今日は時間もありませんから、ただ一つの問題について主税局並びに町税庁の御意見を伺つておきたいと存ずるのであります。それは、現在所得税の中には、勤労所得と事業所得と二つあります。ところが事業所得の中で問題となっておりますのは、この事業から発生いたします所得でありますが、これは資本性企業によって発生する所得と、それから労働性企業とでも仮称しましょうか、それから発生するところの所得があろうと存ずるのであります。ことに労働性企業と申しますのは、これは私がかりにこういう名前をつけたのでありますが、その事業に対する資本の提供と並びにその労働力の提供、この二つをあわせ提供することによって初めて所得が発生してくる、こういうような事業所得に対しては、私は事業所得の中においても、ある程度の合理的な措置が講じられなければならないと考えるわけであります。と申しますのは、いわゆる労働力をあわせ提供することによって初めて成り立つ企業というようなものは、概念的に零細企業が多いのでございます。しかもその零細企業は、実体的にこれをながめてみますと、その零細企業主ばかりの労働力の提供ではなくして、その細君も、おじいさん、おばあさん、子供たちまでも企業参加することによって、初めてこの世帯収入が得られておる。こういうような分析の上に立って参ります場合、この労働性企業に対する徴税行政上の特別措置というものは、この機会に相当その考慮が払われなければならず、またこういうような理解の上に立つて、この際法律によってこれを明確にする、あるいは行政措置によつてこれが適正を期するか、何らかの措置が講ぜられなければならぬと考えるわけであります。  まず最初に私のお伺いをいたしたいことは、現在この問題は、すでに本委員会においても、しばしば私がただいま申し上げましたような理解の上に立って論議をしたところでございまして、特に大工、トビ、左官、板金、植木職というようなものにつきましては、先般来平田さん時代からしばしば通牒が発せられまして法律によらずしてこの通達によってそれぞれの執行が一部行われておるわけであります。この際私は、渡邊長官かあるいは村山部長にお伺いをいたしたいのでありますが、このいわゆる大工、左官、トビ職等に対しまするこの通達が、全国の税務署においてこの通達通り行われておるかどうか、またこの通達が発せられて、その後実際的な効果はどんな工合に上っておるのか、この点についてまずお伺いをいたしてみたいと思うのであります。
  61. 村山達雄

    ○村山説明員 今春日委員のおっしゃられたことは、おそらく昭和三十年の通達、すなわち請負契約によっておるものは事業所得とし、それから雇用契約から生ずる所得を勤労所得とする現行の建前を実際において適用する場合に、雇用契約であるか請負契約であるか、なかなか事実認定がむずかしいものですから、一つの形によりましてこういう形のものは、その収入金額がこの程度であれば、およそ雇用契約は何パーセントというような推定をした通達、この実施以降の実績をお聞きになつておると思うのであります。昨年でございましたか、この実施の成績を全国的に統計をとりました。それに基いてお話しいたしますが、それによりますと、大体われわれが考えておる線が通達通り行われておるように思っておるわけでございます。なお第一線の状況を聞いてみますと、これによって具体的に一々の契約について、それが請負契約であるか雇用契約であるかというようなことを詮議しないで、これが処理できる点は便利である、そういうお話であったことを申し上げておきます。
  62. 春日一幸

    春日委員 実は昭和三十年二月二十二日の平田長官から国税局長あての通達によりますと、勤労所得であるか、あるいはまた事業所得であるか、その区分の明らかでないものについては、次のバロメーターでこれを分離せよ、こういうことが通達されておるわけであります。すなわちその後訂正になりましたが、その通達の基準は、五十万円以下のものについては三〇%が勤労所得、四十万円以下のものについては四〇%が勤労所得、三十万円以下については五〇%が勤労所得あとずつとふえまして、十五万円以下については八〇%までが勤労所得、こういう工合に出されておりまして日雇い職、すなわち労働力を提供することによってその労働賃金を取得し、あわせて請負契約等もやっておるものについては、なかなか記帳も何もしていないの、で、全然わからない。結局業種によって大工、左官、トビ、板金その他の諸君に対しては、五十万円以下はこの区分率で分離課税を行なっていく、こういうことが明確にされていると思うのであります。ところがこの第三項に、店舗、作業場を有し、それから常時一般顧客の求めに応じておるものと、さらに雇い人を雇っておるというような場合、こういうような場合はこの特典を受けることができないというような、いろいろややこしい通達がこれに付随いたしておりまして、従って末端税務署において、これらの諸君に課税を行いまする場合に、あなたのところは店舗がある、あるいは作業場がある、あるいは徒弟を使っておる、こういうような見解から、このせっかくの通達が適用されないで、全部事業所得にみなされて、結局それに対して事業税も賦課される、こういう形になっておると私は思うのであります。  先般来、地方の遊説に参りましても、地方でいろいろとそれぞれの当該団体から陳情を受けますると、税務署へせっかくの通達を持っていっても、あなたのところは店舗があるから、作業場があるから、あるいは弟子を使っているからだめだというようなことで、これが否認されてしまって、ほとんど全部事業所得として課税をされておるという事情でございまして、実際においては、これによっての救済が行われていないのであります。私は、この際やはりこの通達が発せられたからには、この救済が完全に行われるように何らかの措置をとらなければならない段階ではないかと思うのであります。すなわち、通達でこういうような工合に趣旨が徹底しないとすれば、さらに問題点が不明確であるとするならは、この際一つの法律を作ってそうして一切の問題点を切確に制定していく、こういうような必要があるのではないかと考えるのでありますが、この点について長官はどういう工合に——実際この通達を執行する上において、果してこの通達だけで問題がはっきりと解決されておるかどうか、税制調査会税制の簡素化とか、あるいは合理化とか、これをあくまで達成せなければならないとうたつております建前にかんがみまして、この問題についてどういうような考えをお持ちになつておるか、この機会にお伺いをしておきたいと思います。
  63. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 今日われわれの方で通達で処理しております問題は、今おっしゃいました大工、左官、トビ、板金といったようなものにつきまして、給与の所得として考えなければならぬ所得もあるし、同時に請負業の所得、従って事業所得として考えなければならぬ所得もある。これは当然だろうと思います。相当人を雇用してやっているような場合、これは雇用主である本人が働く場合もありましょうし、同時に雇い人が働く場合もある。極端な例を言えば、雇い人だけでやっているといえば、これはまさに事業所得の一つの事例になってくると思っております。先ほどおっしゃったいろいろな関係からいいましても、結局問題は、勤労の所得をどう見るかどいう問題もありますが、現在の法律が考えております給与所得に対する各社の控除というのは、これはもっぱら給与所得なるがゆえに、これは御承知のように収入金額から必要経費も引いておりませんし、いろいろ源泉徴収その他の関係もありますので、そこに根拠があるのではないか。従いまして、われわれの方で通達で処理しておりますのは、結局実態が給与所得と事業所得とまじり合っている、その場合におきまして、それを個々具体的に調べていこうという場合におきまして、納税者の人たちもなかなか帳簿もつけにくいという事情もありますので、そこで便宜こうした一応の基準的な原則、しかしそれにしましても、店舗を持っておる、あるいは雇人を持っておるという場合におきましては、単純に所得の額だけで推定するのもだいぶ事情が違います。雇い人の使い方によつてずいぶん違うわけでございますから、そこで、現在こうして店舗を持つておる場合、あるいは雇い人を雇用しておる場合は、この原則に入らない。現在の税法の考え方からいたしますと、私はこういった考え方は至当なものではないかと考えております。手数からしますと、率でやるのが番手数がかからぬと思いますが、しかしそれはやはり事柄もあまりに大ざつぱに見過ぎることになるのじゃないか、かように考えます。
  64. 春日一幸

    春日委員 これは徴税技術上の問題になって、非常に細部にわたる刑題でありますのでどうかと思いますが、たとえば、その後に追っての阪田長官から国税局長あての通達によりますと、この店舖、作業場に対する定義が書いてあるわけなんですが、こういうような定義を読んでみましても、これは、なかなか問題をこれで的確に解決しておるとは理解できないのであります。たとえば物的設備のある場所で作業をして、そうして常時一般顧客の求めに応じてそれぞれの収益行為を行うと認められるもの、こういうものはだめだ、こういうことになっておるわけなんです。ところが、これは村山部長も御承知の通り、畳屋さんなんかは、現在アパートの中で骨をはがして表がえをするわけにはいかないから、やはり事実上リヤカーに積んで一枚々々うちに持ってきて、その作業場で畳の表がえをして、またリヤカーで持つていく。これは料理屋等においてもそうでありましょうが、そういうような日雇い職、こういうような業種失態によっては、どうしても作業所を持たなけれぱその日尾い労働を提供することができない。自分の個々の作業場を持たなければ、日雇いとしての労働行為を行うことができないというような業態もあるわけなんです。あるいはまた板金なんかでも、たとえばといが曲ったところの精密加工なんか、やはり比較的精密な作業をする自分の作業場を持ってそこでそういうことをやらなければ、相手方の現場々々ではこれをすることができないといういろいろな実情があるのであろうと思う。そういう問題については、この通達では何も解明されてはいないので、従って末端税務署では、文字通り解釈して、畳屋さん、あなたはそこに作業台をお持ちになつていてそこで作業されるから、結局これはだめですよ、こういうことで、表がえの一日雇いというような形の契約のものでも、ただ単に作業場を持っておること自体をもって第三項の適用を受けるごとによって救済を受けられない場合等もあると思う。こういうような事情は、個々に陳情することによって解決はつくでありましょうけれども、しかしそれだけの陳情を行って問題が解明できないような地域、また職種については、結局こういう通達が本来ありながら、なおかっこの区分率の適用を受けることができないで、全額これは事業所得、請負契約というようなものにみなされて、所得税事業税と両方課税されるというような形に現在なっておるわけです。これは、政府並びに国会の共同の責任があることと思いまして、次の国会においてこの問題はどうしても明確にさして税務署員の自由裁量によってこんな大きな取扱い上の著しい較差が、地域的に、職域的にあるということでないように、一つ問題の解決をはからなければならぬと考えておるのでありますが、これは私どもの決意として、政府の方でもあらかじめお考え置きを願うことといたしまして、この際さらに一歩進んで主税局長にお伺いをいたしたいことは、大工、トビ、左官、板金、植木職、そのほかにも追加されて、ここに石工、屋根ふき、塗装工、造園工というものがありますが、純粋に労働力を提供してその報酬を得ておる業種は、こればかりじゃなくて、比較的だくさんあるわけなんです。たとえば八百屋さんなんかも、朝早く起きて、大八車に積んで仕入れてくる。豆腐屋さん、それからさらに洋服の仕立屋さん、時計の修繕工、自転車の修繕工、その他こういうふうにずっと列挙して参りますれば、だんだんと希薄にはなっていくけれども、零細企業たるものは、すべておおむね大なり小なり労働力を提供してその事業収入が得られておる、こういう工合に考えなければならぬ。結論はそこに落ちつくと思います。そういたしますと、労働力を提供して所得を得ておる人々に対する税法上の何らかの優遇措置が必要ではないか、このことは、事業税の関係ともからみ合せて何らかの解決をしてやる必要があるのではないか、こういうところへ問題が集約されてくると思うわけであります。結局勤労所得者に対しては勤労控除があるのであるから、従つてそういう勤労控除の意味合いをも含めて、この零細所得者に対しては、特別勤労控除というようなものを一つ考えてやるのでなければ、税法上勤労所得の控除制度と均衡を逸するのみならず、やはり零細所得者に対する減税という政策目的から考えても、この際何らかの措置を講じてやる必要があるのではないかとわれわれは考えておるのでありますが、これに対して何らかお考えになったことがありましょうか。あるいはまた税制調査会で、この問題に触れて検討されたことがあるかどうか。要約いたしますると、事業所得の中には、純粋な資本性企業の所得と、それからそこの中に労働性を多分に加えておるところの企業の事業所得と、この二つがあるであろうと思うが、今はこの二つのものを一つにして処理をしておりますから、この際この資本性企業に対する課税の仕方と労働性企業に対する課税の仕方に対して何らかの特典措置を講ずるの必要はないかどうか、この点はどういう工合に考えておられますか。
  65. 原純夫

    原説明員 立法論として、御意見としてそういうことがあり得ることはもちろんであると思いますが、ただいまのところ税制としては、ただいまおっしゃいました所得の低い層に対して、それに応じて税を軽減するという意味で、基礎控除、税率あるいは扶養控除といったあたりで、始末をしておる状態でありましておっしゃるようなやり方もあろうと思いますが、そのやり方は、技術的にもなかなかむずかしい面ができると思います。  なお、私もあまり達識でありませんので、十分勉強さしていただきますが、たただいま冒頭に出ました大工等の所得税の今後の取扱いの場合とはちょっと違うのじゃなかろうか、実態的にそうお考えになることはあるかもしれませんが、これらの者が実際に雇用契約で働いて得る収入と、実際に事業で得る収入とを分けて課税する、これは当然現行法の建前でそうなっておる。それの境目を一々記録させてちゃんと区分するのはむずかしいから、便宜ある特定の率でやっておるということだと思いますので、まさにこの取扱いは、現行法そのままの適用を実際上の便宜で分け方をきめておるということで、それが他のあげられた八百屋さんや魚屋さんまでにいくには、ちょっと観念的に動物と植物の違いがあるのではないかと考えます。
  66. 春日一幸

    春日委員 そこで、これは非常に深遠な問題であり、かつデリケートな問題であって、質疑応答の形では、お互いの見解はおぼろげに理解できるとしても、的確なる解決をはかることは困難ではないかと私は思うのでありますが、ただ大まかの理解としては、この村山君が作られた通達は、勤労所得に対しては勤労所得の法則によつて課税すべきものであって、これに事業税のかからないように救済をしていかなければ気の毒である、こういう立場から、勤労所得には勤労所得、事業所得には事業所得をそれぞれ分離課税すべきであるけれども、何にも記帳がないから、従って五十万円以下の零細所得に対しては、このものさしに従って一括処理せよ、こういう考え方でこの通達が出されておる。そうして、それは国会の意思でもあったわけです。ところがただ法律の場合には、国民平等でなければならず、その救済の業種業態から漏れた者には、当然不平があるわけなんです。従って魚屋とか豆腐屋とかというものは、大工、トビ、左官とは違うかもしれないけれども、さらに明確にいえば、たとえば自転車の修繕工とか、あるいは時計の修繕工、あるいはクリーニング屋さんとか、あるいはまた洋服の仕立業なんというものは、きれを持ってきて一着幾らの請負契約ですか、これについても、労働の対価としての賃金を勤労所得課税することができるのであるから、こういうふうにだんだん解釈を広げていけば、帰するところは、零細事業、勤労事業、すなわちおやじが働いて所得を得ておるという勤労事業と、それから資本性事業というものについては何らかの区分をしてやるべきである、これは税の制度上の考え方としても、さらにまた中小企業を保護育成するという立場からも、さらにはまた担税力の低き者に対してはその負担を軽からしめていくという救税理論の原則からも、何らかの措置が講じられてよいのではないか、こういう工合に考える。これは税制調査会諮問をされたその冒頭の記録に、特に税制の合理化、それから簡素化、これがうたわれておるんだが、これら勤労芦業に対する税法の懐疑性といいましょうか、現行では全部が事業所得とみなされて課税されておる問題を等閑に付しては、私はここにうたわれておる合理的な税制の確立とか、あるいはこんなに複雑な通達をもってしてこのままほっておいては、徴税行政の簡素化、能率化ということはてんで問題にならぬと思う。まずこの問題を解決してから、初めて物品税の問題なり、あるいはほかの問題を考えていくべきだと私は考えます。あなたは昔次長であったが、長い間旅をしておられて、税制の問題についてはだいぶうかつになっておられるようだし、この大蔵委員会にもよって来たるいろいろないきさつがありますので、この問題を一つ国税庁で十分検討されてこれは青色申告会の諸君も、勤労所得に対しての分離課税の要望をいたしておりましょうし、特に零細企業に対する事業税の問題も、別の角度から二重課税をかけてくれという強い主張等もある。主張のルートは四つも五つもこの点に集約されておるのです。だから、この問題を解決するために何らかの方途がないか。こんな問題こそ、一つ税制調査会諮問されて、合理的に、かつ簡素、能率化という点について十分検討されたいということを強く要望いたし、本日は私は問題の頭を出しておくということだげで、これに対する問題は後日の論議に移しまして、私の賛同はこれで終ります。
  67. 奧村又十郎

    奧村委員 ちょっと議事進行について……。  ただいま当委員会に社会党の諸君の御提案で、物品税撤廃の法案及び酒税引き下げの法案が提案されております。社会党の諸君は、頭から物品税反対の立場で御質問をしておられるが、それについてこの際委員会としても、社会党の提案者のこの物品税撤廃、酒税引き下げに関する真意を承わりたい。そこで明日の当委員会において、提案者の方に、私この両案に関して御質問を申し上げたいと思うのであります。まさか物品税は全部撤廃ではなしに、奢侈品税に変えるというお話でありましょろが、しかし少くとも物品税を撤廃する法案を国会に提案しておられる以上は、奢侈品税にすりかえるというならば、奢侈品税はどういうものをかけるということを、これは並行一括してお出しになるのが当然であるが、出ていない。その点のお考え方が明確でない。また特にこの根本的な改正をする際において、直接税の改正とにらみ合して、社会党の諸君のこの両案の提案についての真意をよく承わりたいと思いますので、明日一つ質問をいたしたいと思いますから、委員長におかれて善処願いたいと思います。
  68. 松原喜之次

    松原委員長 その点に関しましては、社会党の提案者の諸君と相談をいたしまして、もし事情が許せば、御希望通りにいたしたいと思います。
  69. 春日一幸

    春日委員 私どもの物品税を廃止すべしとの法律案は、第二十四国会に提案をいたしておりまするし、またこの法律案は、今なお継続審議に付せられておると存ずるのであります。従いまして、われわれは幸いに自民党からそういうような御質問がありますならば、全く行いたいことばかりでありますから、その機会に大いにわが党の立場、それからこの法律案を必要とすることを強調したいと考えますので、これは一議に及ばず受けて立つ、進んでその必要を強調する、こういうことで、質問に答えたいと思いますから、委員長においては、一つそのように御配慮を願いたいと思います。
  70. 松原喜之次

    松原委員長 社会党の方でも、ただいまの御発言通りの御意思でありまするから、明日その機会を作ることにいたします。
  71. 松原喜之次

    松原委員長 この際御報告いたします。先般、税制及び金融制度等に関する実情調査のため、五班に分けて各地に委員が派遣されましたが、派遣委員より、その国政調査報告書が委員長の手元まで提出されておりますので、これを会議録の末尾に参照として掲載いたしておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十一日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三分散会      ————◇—————