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石野委員 保証を求めておる内容には、支払いをすべきものはせよ、それからすべきものをするなというような政府の干渉なり、制度上の立場からする干渉を排除するために保証を求めてきているということは、あるかもしれないと思います。あるけれ
ども、それよりもっと大事なことは、実際問題としてこの清算勘定というのは、日本の政府が好むと好まざるとにかかわらず、相手国の方ではそれを要求しているわけです。それでもちろん日本が、そんなことは必要ないんだ、いやならやめときな
さいと言い切れるならいいのです。言い切れるのならこの問題は出てこないのです。言い切れないところに問題があるわけです。日本と中国との貿易の
関係は、政府がなんと言おうと、日本の
業者は貿易をやらなければならない、現に鉄鋼材は非常に不足してきているわけです。日本の鉄鋼の
需要は、アメリカの鉄鉱石や石炭だけではとても追いつかないと思う。中国からの開らん炭が入らなければ、大冶からの鉄鉱石が入らなければ、日本の鋼の
需要を満たすことができないというのが、
現実において日本の鉄鋼の
業者の
意見です。そうなれば、当然甲類物質として出せなかったものを出さざるを得なくなってくるのです。こういう見通しをしているかということなのです。結局決済の問題については、今までは非常に輸出が少くて輸入ばかりが多かったということで、出し分だけが多いからいやだいやだということ言っておったのが
実情だったと思うのです。それにもう
一つ政治的な
意見が加わっておったということだと思うのです。ところが今の経済的な面においては、だんだんと見通しは明るくなっておるし、しかも日本の国内の
事情とココムの世界的な問題というものとが、だんだん従前とは違ってきております。おそらくアメリカの大統領選挙が終った
あとにおいては、ココムの禁輸緩和というものは、ものすごく広がってくるだろうと思うのです。こういう場合になってくると、当然あすにでも将来が開けてくるのです。従って決済の
関係なんかについても、従来のような立場とはまた逆になる面も出てくると思います。これは見通しの問題ですから何とも言い切れませんが、少くとも従来懸念されたような、経済的に一方的な負担の過重ということにはならないで、いわゆる相互平等の互恵の
関係で成り立っていく可能性を持つておると思います。そうなってくると問題に残るのは、政治的な問題だけになるのですが、ここでは、おそらくそう政治的な問題を論ずることはできないと思いますから、それはよろしゅうございます。ただ決済の問題で、あなた方が今
考えられているような点で、どうしてもそういうことだけ強行されますると、貿易の量がふえていかないし、契約が結ばれなくなるのです。現在三千万ポンドの双方におけるところの契約が結ばれているけれ
ども、
現実に日本の輸出入貿易の
商売をやつている人は、こんな小さなワクではだめだ、六千万ポンドの量を必要としていると言っている。それが
実情であるのに、政府はどういうふうに見ているか。こういう
実情に対して、今あなたがおっしゃられるような線でそれにマッチしていけるかという見通しを、私は
一つあなたから聞かしてもらいたい。