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1956-09-11 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年九月十一日(火曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 小山 長規君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君       淺香 忠雄君    生田 宏一君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    内藤 友明君       中山 榮一君    古川 丈吉君       坊  秀男君    前田房之助君       山本 正一君    山本 利壽君       石山 權作君    木原津與志君       平岡忠次郎君    横錢 重吉君       横山 利秋君    石野 久男君  委員外出席者         大蔵事務官         (財務調査官) 大島 寛一君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君         大蔵事務官         (為替局総務課         長)      佐々木庸一君     ————————————— 九月十一日  委員横川重次君及び遠藤三郎辞任につき、そ  の補欠として山本利壽君及び山本正一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員山本利一君及び山本正一辞任につき、そ  の補欠として横川重次君及び遠藤三郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融に関する件  外国為替に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件及び外国為替に関する件について質疑を許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 きわめて簡単に二つほどの件をお聞きしたいと思います。銀行局長にお聞きしますが、最近非常に金融が緩慢になっているとは言うけれども、やはり中小企業者に対しては、それほど金融の面ではゆるやかなものがあるとは思われない。これらの点は、銀行局長自身がよくおわかりになっていると思います。ことに年末を控えて、第三・四半期金融の面になりますと、いろいろな点で憂らべきものがあると思います。こういう年末を控えての金融について、特に中小企業に対する情勢はどういうふうになっているかということを一応ここでお聞きしたい。特に政府機関である中小企業金融公庫とか、あるいは国民金融公庫あたり貸し出し事情や、それに対する需要の面における今日の事情がどういうふうになっているかということを、一つ御説明願いたい。
  4. 東條猛猪

    東條説明員 今お話しのございました通りでございまして、最近の金融状況資金需給関係から、私どもいろいろ計数的に検討いたしますとだいぶん中小企業万両にも銀行貸し出しもふえておりますし、また逐次いわゆる金融正常化のいい影響中小企業方面に出て参っておる、こら存じますが、ただいまお言葉通りに、もちろんこれでもって十分ではございませんで、今後中小企業金融改善方策につきましては、従来いろいろ考えて実行いたしておりますこととともに、さらに改善研究いたしまして実施して参らなければならない、かような考え方をかたく私どもはいたしておるわけでございます。  年末にかけましての情勢は、まだ多少の時日もございますし、今日的確に第三・四半期あたり金融情勢がどうなって参るか、これは御承知国庫収支関係その他をもう少ししさいに検討いたしませんと、全般的な金融情勢を的確に申し上げることは困難かと存じますが、柴木といたしましては、最近の金融資金需給関係が、この六月以降やや窮屈になっておりますが、大勢としては、第三・四半期に入りますと緩和してくるのではなかろうか。一部にいわれますように、金融の基調に変化があったのではないかというような見解は、私どもは当らたい、第三・四半期になりますれば、資金需給関係はもう少し緩和して参る、かように考えておるわけでございます。  さようなことでございますので、中小企業方面につきましては、現在のような比較的いい効果は、第三・四半期におきましても引き続き持続できるであろう、こら考えております。特に政府関係機関についてどらか、こういう点でございますが、やや計数的になりまして恐縮でございまするが、国民金融公庫中小公庫について申し上げて参りますと、一応ただいまのわれわれの考え方では、この第一・四半期、第二・四半期年度頭初計画におきましては有数億、この実施計画立てて参りますと、第一・四半期、第一丁四半期は一十億を若干上回るということに実績がなっておりまするし、それから第三・四半期にいたしましても、もちろん見込み立てております。はなはだこまかいのでありますが、国民公庫、これは通常普通貸付と申し上げているのでありますが、第三・四半期は、今もお言葉がございました通り、年末を控えいろいろ節季の金融が要ることでございますので、これは累年の足取り等がございまして、相当第三・四半期には、今の戸数億ないし百十億という数字を、思い切ってふやさなければならぬのじゃないかということで、ただいま私どもの力でもいろいろ検討いたしておりまするし、公庫の方でも検討いたしております。この第一・四半期、第二・四半期に比べまして、五割程度は増額の必要があるのじゃないかという目当てのもとに検討いたしているような次第であります。  中小公庫の方でございますが、これも御承知通りに、本年度の当初の計画では、第一・四半期が六十七億、第二・四半期が八十三億というようなことでございますが、実績におきましては、中小公庫資金貸し出し相当伸びております。第一・四半期実績は八十六億、第二・四半期見込みは約九十億、こういう見当をつけております。第三・四半期におきましては、これは国民公庫ほど資金の増量ということは望めないと思うのでありますが、それでも相当の傾斜をつけて増額するというふうに考えている次第であります。  くだくだしく申し上げるのでありますが、相当いい影響が現われていると思いますけれども、なおかつ今後いろいろな方策を講じて参らなければなりませんので、その一つの現われとして、国民公印あるいは中小公庫貸し出しにつきましても、当初の計画よりは、今申し上げましたようにおのおの伸びておりますし、またこれは伸ばすべきである。それから第三・四半期には、季節的な需要をも考えまして、相当ウェートをつけた計画立てる必要があるであろう、こういう方向で検討いたしているような次第であります。
  5. 石野久男

    石野委員 年末の金融について、第一、第二・四半期に比較して、特に国民金融公庫あたりは五〇%増のめんどらを見るということを考えていること、また中小企業金融公庫はそれほどでもないけれども、やはりその必要があるということは、われわれにとっても非常に明るいニュースですが、ただしかし現状から申しますと、どの公庫へいきましても、特に国民金融公庫あたりへいきますと、ちょっと貸し出しがとまっているような傾向になっていると思うのです。これは今第二・四半期から第三・四半期への切りかえのときでもあるので、それがあると思いますが、この貸し出しのとまっている理由は、結局は資金がないからだということになると思うのです。そういう問題は、早急にやはり処置されなければならない、われわれは外からこう見るわけです。これに対しては、具体的に何か処置をなさつておられるか。またその実情は、私が想像するように、資金難からきておるのではなかろうかと思うけれども、それはどういう事情なのか、そういう点を一つ御説明願いたいと思います。
  6. 東條猛猪

    東條説明員 特にお話国民公庫の方が重点であろうと思います。中小公庫の方は、資金繰りにおきまして、国民公庫に比べますと、これは相対的な言い方でありますが、もう少し楽だろうと思います。そこで国民公庫状況でございますが、これは御承知のように、本年度のいわゆる財政投融資計画におきまして百二十五億円資金運用部から融通を受ける、こういうことで資金計画ができておるわけであります。しかしこの百二十五億というのは、もちろん皆さん方の御賛成をいただきました金額でありまして、相当巨額な金額でありまするが、現状におきましては、この金額が必ずしも十分でないということが、特に第二・四半期にはちょっと現われて参つております。そこでこの百二十五億の金額は、これは資金運用部の問題、全体の財政投融資の問題でございますので、私どもはこの百二十五億でもって、今年度資金をまかなっていくという計画に立っておるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、やはりウェートを第三・四半期にかけざるを得ないという実情でございますので、その結果、国民公庫資金源泉は、第二・四半期の途中で実は相当窮屈になっておる、これは事実でございます。しかし二両におきましては、これも決して回収を急いだとか、回収を急がせたとかいうことではございませんけれども、御承知のように、多少中小企業方面の景気と申しますか、そういう関係もございまして、回収が当初予想いたしましたよりも相当ふえております。回収のふえました分は、これは申し上げるまでもない当然のことでありますが、新しい資金源泉に遅滞なくつぎ込ませるという措置を講じております。特に国民公庫につきましては、本年度四カ所でございましたか、ちょっと計数は忘れましたが、支所を増設いたしております。そこで四カ所支所を増設いたしましたところにつきましては、これは制度をうまく動かしていくという観点から、これも相対的な話になりますが、相当豊富につぎ込んでありまして一、相当仕事が軌道に乗っておる。そういう新しい支所につきましては、新しい金のつぎ込み方が十分でない実情がありますのは、遺憾ながら事実でございます。季節の変り目と四半期計画の継ぎ目ということも事実としてございますが、これは率直に申し上げますが、おもなる理由は、資金源泉において資金需要に応じ切れないというのが、お申し込みがありましてもお待たせせざるを得ないという実情でございます。ただ申し上げたいと思いますのは、ことしの第一・四半期の一十億という数字でありますが、去年は八十一億であります。第二・四半期は百十二億という数字見込みでありますが、去年は九十八億でありました。そういうあんばいでありまして、第一・四半期、第二・四半期、それぞれ非常に熾烈な御要望があるに限らず御迷惑をかけておるということは、私ども率直に認めますが、しかし資金の総額におきましては、今お聞き取りいただきましたように相当ふえておる、これは御了承いただけると思います。私どももなるべく国民公庫金融重大性にかんがみまして資金繰りの問題でお待たせすることのないように、公庫もわれわれも努力しておる現状でありますが、率直に申し上げまして、現実資金繰りでお待たせしておる事情があるということは事実であります。
  7. 石野久男

    石野委員 確かにあちらこちらに、資金繰りがうまくいかないで、実を言いますと、第二・四半期貸し出し現状ではとまっておって、第三・四半期にならなければ金が来ないから、調査は済んでおるけれども出せないというのがだいぶあると思うのであります。これは、第三・四半期相当傾斜的にその資金繰りをめんどうみようという考えであるならば、一月間貸し出し手持ちぶさたで待たせておくということをさせないで、何か仕事を運んでいくのが実情にも沿うし、また現状からいつても、その方が中小企業の、特に零細な企業者諸君に対しての将来をよくするのではないかというふうに考えるのですが、そういうような点について、何か局長措置をするというような考えはありませんですか。
  8. 東條猛猪

    東條説明員 実は国民公庫に対する資金需要が、年月を経るに従って伸びてきておる。そこで今のお言葉のように、もし第三・四半期の申し込み、あるいは貸付の増からいたしまして、第三・四半期相当の余裕があるということが予想いたされます場合におきましては、もとより第三・四半期資金を第二・四半期に繰り上げて使うということも考えられるわけでありますが、私どもの見ておりますところでは、むしろ第一・四半期は、今度は季節が年末を控えまして、相当需要があるのです。今五割程度ふやすという予定にいたしておりますが、これとても、資金需給関係−から見ますと、必ずしも十分でないということがそのときおそらく出てくることであろう。さよういたしまするならば、まあいろいろの面で努力はいたしておりますが、第三・四半期のものを繰り上げて今流用いたすということは、必ずしも適切ではあるまいということで、一応百二十五億の資金配分につきましては、やはり第三・四半期にウエートをかけていく、そうして回収の面なり、あるいは支所代理所に対する資金配分ですか、その配分の仕方を合理化することによって上資金ロスを減らす。従来ロスが多かつたということを申し上げる趣旨ではありませんが、資金配分をより合理的ならしめるというように、あまり目には見えませんが、相当努力をいたしまして当面の第二・四半期資金難を切り抜けて参るということが適当ではあるまいか、かように考えておるわけであります。
  9. 石野久男

    石野委員 今の局長考えについて、私ちょっと考えが違うのです。なるべく資金配分の公平を期するために今の資金をうまく使いたい、第二・四半期と第三・四半期との間の関連性の問題についても、第三・四半期相当殺到するから、今予想する以上のものが必要であろうというその観点は、私も同じです。しかしながら第三・四半期に必要なものに対して第二・四半期に入れた金が全然それとの関連性がないかというと、そうではない。やはり第二・四半期と第三・四半期はくっついておるものである。従って第二・四半期に入れたものは、第三・四半期にも効果はずっと残っていくものだというように考えます。それからいつは、第三・四半期相当多額貸し出しをしようとすれば、おのずから公庫の人数の関係作業関係が出てくるわけです。これは、とてもまかないきれないものがそこに出てくると思うのです。もちろんその一件の貸し出し金額が五割増し、あるいは十割増しというようなことでふえれば、件数は少くて済むのですが、おそらく国民金融公庫の本町からいえば、そういうことはできないので、大体貸出額というものは平均がとれておると思うのです。そうしますと、五〇%の貸し出しの増というものは、少くとも作業冠においては三〇%の作業量が増加するものと考えられる。そうなつてくると、わずか第三・四半期という三カ月の間にやる仕事としては、非常に困難を来たすことになる。こういうことは、銀行局長はよくおわかりになっておると思う。そういうようなことを考えましたならば、あと半月か一月のことでありますから、この間の事情をやりくりをすることくらいは、何でもないことではないか。ことに貸し出しについては、調査は済んで、貸し出し手続だけだというふうになると、むしろ今の時期にそういうようなことを処理しておいた方が、第三・四半期になって殺到する業務を緩和する意味からでも非常によろしいのではないか、こういうようにわれわれは考える。ただ銀行局長資金を出す場合に、それがインフレ的傾向だとか、なんとか、そういう金融の面でのいろんな考慮がかりにある、とするならば、これは別ですが、そういうものでなく、ただ国民金融公庫それ自体としての業務、特に中小企業に対する金融面の緩和ということを考えるならば、むしろやはり局長が言われることよりは、もうあと一月か二月のことですから、財源支給の繰り上げということをやって、仕事を早くさした方がよい、こういうように考えるけれども、これはどういうことなんですか、局長意見一つ聞きたい。
  10. 東條猛猪

    東條説明員 国民公庫資金繰りの問題を判断するときに、金融情勢全体の判断から、国民公庫日体判断はこうだが、それはこういうように修正しなければならぬだろうという点はあるだろう、私はそういうように考えておりません。国民公庫——まだこれは研究不足かわかりませんか、当面の国民金融公庫の問題は、やはり中小企業金融の問題なんで、それに優先を償いてやはり考えるべきだ。全体の金融情勢判断から、その観点からかれこれあんばいしなければならぬというふうにまで考える必要はない、私はそう考えております。そこで石野委員の、第三・四半期事務長考えてやはりむしろ第二・四半切に繰り上げておいた方が、事務のとり方からいって適当ではないかという御意見でありますが、これもお話しのように、第三・四半期金額がふえるといいましても、その五割増の金額を一件当りの金額にふして、国民公庫本来の建前から冷静に判断をしてできるだけ効率的に金を使っていくということは当然でありますの一で、業務量が第三・四半期相当ふえるということは事実だと思います。ただ、もう一つちょっと申し添えておきたいと思いますけれども現実は現在の公庫の陣容、人員でもってさばききれないかどうかという問題でありますけれども、私どもは今公庫からは、第三・四半期なりあるいは日常の事務をとる場合手薄漏るということは実は聞いておりません。むしろ公庫といたしましては、この第三・四半期程度業務量であるならば、忙しくはありましょうが、十分現在の人員をもってこなしていけるというふうに聞いてもおりまするし、またそう考えでおります。そういう場合に、果して第三・四半期、目先に年末を控えて、いろいろの需要のあることが百の前に見えているにかかわらず、第二・四半期の現在手持ち需要を果すがために、第三・四半期の金をある程度使ってしまうということが適当かどうかということは、お言葉でありますけれども、なお私どもの方で検討するにやぶさかではございませんが、今までいろいろの実情を聞き、またわれわれ考えましたところでは、いろいろ各方面にお待ちを願うということは、まことに恐縮でありますけれども、むしろ第三・四半期の申込みなり、これの貸付ということに重点を置いて考えるということが、こういう与えられた条件のもとにおいては——またこれを変えてしまうということは一つの行き方でありますけれども、与えられた条件のもとでは適当ではなかろうかというように現在では考えております。
  11. 石野久男

    石野委員 考え方はいろいろあると思うのです。ただ実務上、特に公庫自体仕事の量のことよりも、中小企業者金融の面をどのように考えてやるかということが重点だろうと思いますから、そういう面で、やはり貸し出しを要求している諸君に対して、しかも貸し出し可能な諸君に対しては、一日も早くその資金を出してやるということが、店によっては、あるいは中小企業者によっては、半月早く入るのと入らないのとではえらい仕事の違いが出てくると思う。そういう仕事の実態を考慮して、なるべく調査済みになったものを寝かせておかないでも貸付ができるような配慮、資金繰り一つ考慮してもらいたい。これを特に私はお願いしておきたいと思います。  もう一つ中小企業の問題で、恩給担保でいろいろな貸付を公布はしております。それを、最近車中で恩給担保立てかえ貸付ということが出ていることは、よく局長も知っているだろうと思うのですが、恩給貸付立てかえ貸付という看板まで出してあっち、こっち広告しております。これは非常にきついやり方をしているわけです。これらについても、やはり取締りというか、何かそういうものについて考慮しているかどうか、これを一つお聞きしておきたい。これなどは、恩給担保にして大体月三分で貸付をしているようです。それに対して手数料なんか何しますると、三カ月で大体一割二分くらいかかるらしい、そうすると、年間四割八分くらいの利子をとられていくわけであります。利息として、やはり恩給担保貸付を受けたものはとられるわけです。こういうような−やり方を、たまたま国民金融公庫恩給貸付をやるということをいいことにして、それをつけねらって、こういうふうに詐欺的な、高利貸しよりもっとひどいやり方貸付をしておる業者があちこちに見える。こういうものの取締りについて考慮しているか、またこれらのものについてどういうふうに考え、ておるか、一つ意見を承わりたい。
  12. 東條猛猪

    東條説明員 恩給担保貸付でございますか、これはなかなか具体的な法律関係をしさいに検討いたしませんと、恩給法違反になるということは、相当慎重に事実関係を調べてみないと言えないと思います。はなはだ断片的なことを申し上げて恐縮でございますが、中国地方のある県に、恩給担保ではありませんが、恩給を受けている権利を代理で受領するということで資金融通をするという、県から認可と申しますか、あるいは後援でございましょうか、法律関係認可ではないわけでありますが、県の賛成を得まして、現に事業を営んでいる団体がございます。実は先般私どもの方へ、相当低利な金でそういう貸付を従来やってきておるということで、その資金繰りその他について、何とか特別の考慮はできないだろうか、県なり、あるいは大蔵省の出先機関なりから十分監督を受けますし、条件については適当なことをやるからということで、私どもいろいろ御相談に応じたという場合がございますが、この場合は、恩給局その他とも法律関係を取り調べましたところ、いわゆる恩給担保でもありませず、恩給法違反事項にもならないという事例でもありましたし、またその貸付条件、かれこれから考えまして、むしろ一般的な大衆的な金融機関の一助ということで適当であろうということを思いまして、資金のある程度のあっせんをしたということもございます。今石野委員の御言葉はそういうものでなくてむしろ法外な金利をとる町の金融機関があるという御指摘であります。はなはだ恐縮でありますが、また具体的にどういう法律関係に立ってどういうことをやっているか取り調べてございません。御注意がございますので、いいかげんな推定を申し上げて恐縮でございますが、御承知通り貸金業者届出でもって商売ができるわけです。法律の最高の利率の制限もございますけれども、あの限度内におきましては、貸金業者として届出が出ております限りにおきましては、これは違法ではないわけでありますが、どの程度利率でもって、またどういう法制的な手続をとって商売をしているか、事実を取り調べてみないとわかりませんが、しいて想像するならば、あるいはけしからぬ場合もあるかもわかりませんが、ある場合においては、一応合法的な貸金業としてやっておる事例もあるのじゃないかと思います。いましばらく時間をお借りいたしまして検討いたしたいと思います。
  13. 石村英雄

    石村委員 関連して。ただいまの御答弁中、第二・四半期国民金融公庫資金繰りがかなり窮屈だったというお話があったと思います。窮屈だったということは、何か資金需要に対して窮屈という意味ですか。それとも当初計画資金源に狂いがあって窮屈だったという意味ですか、どちらかはっきりさせていただきたい。
  14. 東條猛猪

    東條説明員 第二・四半期の当初計画は一応百八億でございます。それに対しまして、現在実行しております計画では百十二億でございます。それで当初の計画に比べますると、むしろ金額的に楽になっております。楽になっておりまして私ども言葉が足りませんでございましたが、資金繰りが窮屈になっているという意味は、資金需要に対しまして供給が伴わないという趣旨のことを申し上げたつもりであります。
  15. 石村英雄

    石村委員 それからせんだっての委員会で東北、北海道のことでお尋ねしましたが、特に青森県の中小企業金融関係が、第一・四半期に対して第二四半期が特に減ったという理由、これはどういうことになっているのか御答弁をお願いします。
  16. 東條猛猪

    東條説明員 あのときには、御即答できませんで恐縮いたしました。私どものところで取り調べましたところによりますと、第二・四半期に当初約七割、第一・四半期に比べて資金配分をやった。その後いろいろと各支店の資金配分計画を検討いたしまして、中小公庫といたしましては、当初計画八十三億を今九十一億の計画でやつておりますが、青森県につきましては、大体第一・四半期より落ちない資金配分は実行しておるのであります。つまり第一・四半期通り貸付計画が行われておる、かように思います。
  17. 石村英雄

    石村委員 そうすると、第二・四半期計画が修正されたということなんですか。
  18. 東條猛猪

    東條説明員 当初に比べまして、追加して修正せられたということでございます。
  19. 石村英雄

    石村委員 あそこが減った、青森県を代表的に言っただけなんですが、あのとき私が、輸出関係重点を置く貸し出しをさせるのだという五月か六月の附議の了解事項が影響しておるのではないか、こういうようにお尋ねしておるのですが、その関係は全国的に今どうなっておりますか。
  20. 東條猛猪

    東條説明員 あのときもさんざんやかましく申し上げて大へん恐縮なんですが、融資の重点はああいうことで運用されております。実際は中小企業でありますから、全般的に、閣議決定に基く運用方針というものは、各支店の資金配分の問題であるとか、各業種であるとか、そういうところにそう大きな影響はない、こうお考えいただいてけっこうでございます。
  21. 石野久男

    石野委員 これは為替関係のことと、銀行関係にもどっちも関係しますが、最近中国との貿易の関係が非常にひんぱんになってきていることは、もうすでに当局もよくお認めだと思います。中共関係の貿易展は、昨年に比べて本年は、特に六月の実績などを見ますと、輸入の面ではかえって減っておるし、輸出の面では約六〇%から七〇%近く増加しておる。そういう事情で、最近船会社ではどんどんどんどんと中共向けの配船を多くしてきております。従って中共との間における原料買いや何かで、ほかの船会社もどんどん入ろうという状況が出ておるわけです。こういう実情になって参りますと、今まで政府が中共との貿易の問題にとっておった態度についても、やはり考えてもらわなければならぬ点が相当出てくると思います。中国との間における貿易の関係については、さきに中国との間に、百中貿易促進議員連盟並びに国際貿促の両者が、二回ほど協定を結んできておるわけです。この中で一番問題になるのは決済の問題です。当初いろいろ決済問題でやかましい問題がありましたけれども、今回第二次の実業団が向うに行ったところの話や、それから輸出入組合の高見氏が向うに行ってきてからの話によりますと、決済については、中国側も非常に条件を下げてきておるわけです。こういう観点から、先般衆議院の商工委員会に高見氏が来たときなどの話を聞いても、決済条件は非常に歩み寄ってきておる。ということを言っておる。そこで決済問題について、特に為替関係の担当である皆さんや銀行関係の立場からする御意見一つ聞きたいのですが、今一番必要なのは、中国の方ではやはり国と国との決済関係条件を結ぶということを希望しておるわけです。しかし日本の実情はそれを許さないので、やむを得ないから、民間為替銀行と中国側との取りきめをするということも仕方がないだろうということにきております。ただ今日の場合では、中国の側からすると、ただ一つの民間為替銀行との間の取引を取りきめするということは好まない、複数でやつていきたい、しかしながら政府がもしそれに対して保証するなら一行でもかまわない、こういうことを言ってきているわけです。こういう条件のもとで、為替操作の問題、あるいは決済の問題等について当局では今どういうようなお考えであるか。それからまた向う側としては、複数の為替銀行との話し合いをする場合にも、やはり日銀の保証か、あるいは政府の保証が取りつけられることを望んでいるわけです。それらについて、銀行局長さんはどういうような考え方を持っておられるか、この点について一つ当局の御意見を承わりたい。
  22. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 日中の決済問題についての御質問でございますが、現在中国との間の決済は、御承知でありますようにポンドを使いまして、ロンドンで決済しておるわけでございます。この決勝の方式つきましては、まだ政善を要する点があるということはいろいろいわれておりますので、手続の簡素化その他については検討いたしたいというふうに考えておりますが、国と国との間、ないしは中央銀行との間において清算勘定を作るという問題については、中国との場合おきましては、外交上の問題ないしは承認出題を含んで参りますので、現在のところでは、これはできがたいという状況にあるわけでございます。この政治上の問題を離れまして純粋に為替取引の問題、貿易の決済問題として取り扱いました場合でも、二国間の清算勘定のようなものはなるべくやめるというのが世界の趨勢であるように思います。やめて無差別的に自由な取引をすることが、貿易を拡大するために望ましい。日本政府もまたそのプリンシプルにのっとりまして清算勘定を廃止するように逐次やって参っておるわけであります。経済上の問題といたしましては、清算勘定を新たに作るということけ、むしろ望ましくないのではないかと考えておる次第でございます。ただロンドンを通ずる取引につきましては、一々の電報が一回ロンドンにいってから日本にきている。ロンドンを通じてからでないと中国に届かぬという状況につきましては、これはまつすぐ日本と中国との間で電信の受け渡しができるような銀行間の関係を作り上げていくという点については、政府側としても異存のないところであります。
  23. 石野久男

    石野委員 今のお話によると、両国との間の決済の関係、特に今ロンドンで何しているやつを両国間でなるべく通信関係を簡単にやれるようにすることを政府も考えているということ、これはわかりました。ただしかし、清算勘定を作るという建前は、今の趨勢ではないのだということについては、これはそういう傾向はあると思います。しかし現実においては、中国との貿易はどの国もみな清算勘定になっていることは、よくおわかりだと思います。またそれでなければ、おそらく中国との貿易の道が開けていけないだろう。日本はそういう関係でだんだんと貿易量もふえてきているわけです。この問題は、おそらく世界市場におけるところの将来の日本商品の位置の問題を規定する上において、非常に大事な問題だと思います。ここ数年におけるところの中国と日本との貿易の関係は、非常に変化が多うございます。しかも政府の側からいえば、いろいろな制約を受けて積極的な態勢をとれない実情もあったことはよくわかります。けれども現実に日本の実業界並びに商社筋の方向というものは、最近だんだんとそっちへ向いてきていることは、あなた方もわかっている。またやはりメーカー自身がそういう方向へ向いてきているわけです。また一般世論としても、今では中共の市場というものは、ただ単に共産圏という意味ではなくて、世界の市場である、こういうふうに規定づけても、決して間違いはないというふうにいわれていると思います。ことに日本と中国との間の貿易の量は、ふえこそすれ決して減るという実情ではない。そういう間に、各国との競争が非常に激しくなっているときに、世界各国が中国と取引している状態を無視して、それとは別個な形で、好まないからということでは処置ができないと思うのですよ。それは、あなた方はそういうことで好ましくないでよろしいと思うけれども現実商売をやっておる連中にとっては、たまらなく不便なんだ。そういう問題についてあなた方何も考えませんか。またそれに対しての処置についてどういうふうに——先ほど答弁した通りなんですか、どうですか、もう一ぺん御返事願いたい。
  24. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 御指摘のありましたように、いわゆる非自由主義国家との間に中国が清算協定による決済をしておることは、たしかその通りだと思います。しかし自由主義国家との間に清算勘定があるかという問題にひるがえって考えますと、大体われわれの見ましたところ見つからないという状態であります。もちろんイギリスのように、ボンドを使っているところもございます。従って必ずしも清算勘定の必要があるというものではないように思われます。しかし中国が自由主義諸国家との間にスイス・クランを使って貿易をしているということになりますと、清算勘定が必須の条件であるというふうには考えられないと思います。  それから質問のありましたのを一つ落したのですが、中国側の考えのうちには、清算勘定ということによって政府の保証という問題、支払いを確実に行うという問題が中共側のために確保されるという観点があるかと思われます。この問題を若干中共側が譲歩いたしまして市中銀行とたとえば中国銀行における取りきめでもいいけれども、これについて日本側の銀行が確実に払うとい保証を要求するという問題が提起されております。この問題につきましても、日本の銀行が弱い間は日本政府は日本側の銀行の支払いについて保証しなければならぬという情勢にありましたけれども、最近これをすべて撤廃することにいたしました。貿易の自由化のためのは、銀行が自分で自主的に仕事をやることが原則であるのでやめたばかりでありまして、原則を元へ戻すこともはなはだむずかしいのではないかと考える次第でございますが、自由主義諸国家と中共との取引につきましては、外国がそのような清算勘定ないしは政府の保証ということなしに、今のところやはり取引が円滑に行われているのではないかと見られます。
  25. 石野久男

    石野委員 あなたが今おしゃられる何では、自由主義諸国との間における清算勘定は全然行われていないというお話のようでありますが、そういうことはないと思うのです。たとえば今のポンドを使わしておるという問題を一つとっても、英国がそれをやっておるわけです。それはともかくとして、それよりももっと大事なことは、その清算勘定をやっているかいないかというよりも、貿易量がふえるために役立つか役立たないかということになるのではないですか。あなた方はただ形式だけをとうとんで、貿易の実量が減っていく方向も、形式が好ましくないからそれでよろしいのだという考え方ですか。為替局というのは、そういうものの考え方をするのかどうか、僕はちょっとおかしいと思うのだが、その点はっきり言って下さいませんか。
  26. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 石野委員が言われましたように、貿易量を拡大することは最も望ましいと考えている次第でございます。しかし貿易を拡大する場合に、決済土も含めまして非常に障害になるのは、甲乙丙のいわゆる商品分数ではないかと思います。そこで甲類は甲類、乙類は乙類ということで、金額で見合わなければならぬ、こういうところがむしろ貿易の円滑化を阻害しているように思います。もとより貿易の量を拡大するために、決済問題がデッド・ロックになっておるというふうには考えておりません。
  27. 石野久男

    石野委員 今決済の問題と甲乙丙の分類とは別個なんです。これをごっちゃにしてはだめだと思うのです。これは商売の問題なんですね。取引するかどうか、決済の問題は、その結果として出てくる清算の問題でしょう。それを一緒にしちゃっちゃ困ると思うのです。ですから、今度の中国と日本との貿易の問題の場合に、いろいろ困難な要素がたくさんあるわけですが、その要素の中に、分類の問題もあるし、あるいは今言った決済の問題もあるし、通商代表の問題もある。そのうちの決済の問題を、これだけ個別に聞くというわけではありませんが、関連性を持っておると思うのです。あなたの方のような論立て方は、間違っておるということははっきしりいっておかなければならぬ、混同しておる。決済の問題一甲乙百丙の分類の問題とは関係ありません。ただ商品をやるかどうかという問題なんですから、そういうようなことはやめておいて下さい。そうして今の決済の問題について、貿易量をふやそうという考え方であるのか、それとも清算勘定というのはよくないから絶対にやらないというのか、どっちなのか、はっきり言って下さい
  28. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 初めの方について御議論を申し上げておるつもりは全然ございません。私が混同しておるという御指摘につきましては、異議があるのです。つまり甲類は甲類同士見合わなければならぬという建前で決済問題をやります場合に、どういうふうに織り込むか。乙類のものは乙類でなければならぬ。そういう取引をどういうふうに決済に織り込むか。それがはなはだむずかしいがゆえに申し上げたのでありまして貿易の問題と決済の問題を切り離して考えることは、はなはだむずかしい問題じゃないかと思います。  なお貿易の拡大の問題について好ましくないと思っておるかどうかという御指摘につきましては、私どもはもとより好ましいと思っております。これを中心にして進めなければならぬと考えております。
  29. 石野久男

    石野委員 甲に対しては甲でなければならぬという意味は、これは二年前のことなんです。今はそうじゃないんです。今は総合バーターの時期になってきておるのです。もう少し為替局の諸君は、今の情勢の話の進め方を勉強しておいてもらわなければならぬと思うのだ。向うはもう個別バーターのことを言っておりやしない。今総合バーターの形で、実際問題として仕事が進んできておるではありませんか、もちろん向うは甲を主張しますよ。しかし実際の商売はそうではないのです。あなた方は1年前、二年前のそういう実情のもとで論を立てておっては、時代におくれてしまう。商売をやろうとするものは、商売ができなくなってしまう。そういうことではなくて、現在の実情の中で日本の商社がそれを要求しておることに目を向けないで、ただ方式としてまずいという考えで、依然として今後ともやり切っていこうとする考え方であるとするならば、これは重大なことです、これは大へんなことです。だから、そこのところをもう少しはっきり言って下さい。もしあなたが説明できなければ、上の人に言ってもらわなければ困る。
  30. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 総合バーターの方向に向いて、いることは確かございますが、しかしその中でも、甲その他の分類は、私どもはかたいものと考えておるわけでございます。そこのところは、あまり御議論を申し上げるつもりはありませんが、しかし決済方式につきましては、先ほど申し上げました通り、私ども手続の実際的の面におきましては、できるだけ簡素化ないしは円開化をはかりまして取引の促進をはかりたいと思っております。これははっきり申し上げることができると思います。
  31. 石野久男

    石野委員 今総合バーターの時期になっても——それは甲乙の何はある、それは確かにその通りです。しかし世界の各国は、特にあなたの盛んに言われるところの自由主義諸国は、中共との間の貿易取引の面で、ココムの問題を無視しておる段階に来ておる。あなた方が一番気がねをしておるところの自由主義諸国、特にイギリスやフランスなどではもう現実に機関車を出してこようとしておるし、トラクターも出してきておるし、いろいろなものを出してきておる。そういう問題は政策の問題になるからどうでもよいのですが、ともかくわれわれが仕事をしていく面で、今あなたが為替の決済の問題についても、甲乙の分類の問題をここに引き出してくるということは、ここではそんなにこだわらなくてもよいわけなんです。それにこだわらずに、決済問題自体として清算勘定の問題はどうなのか。それをはっきり言って下さい。それについて、どうしても清算勘定であってはならぬというあなた方の考えだとすると、日本の国の貿易の問題については、非常に大事なことになってくる。そういう意味から、あなたは日中の間におけるところの貿易量の増大ということについては全く無関心で、ただ形を整えた決済条件、それだけを追っかけておるというふうにしか見えないわけなんだけれども実情がそうでないということに目を置いて、そこであなた方はこの問題をどういうふうに考えられるか。あなたの意見は去年の意見なんです。それからまたおととしの意見は、それでよかったと思う。今はそれではいかぬと思うから、今の状態はどうかということをあなたに聞いておるので、今の状態についてあなたの考えを言ってほしい。それからこれから後のことについても。
  32. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 高見専務理事がお帰りになりましたお話その他を伺いましても、われわれは、なおポンド現金決済の方法を差しあたりはとっていく方向がよいのではないかと考えております。つまり、清算勘定というような非常に融通件のないものでなく、多角的な双一にも使い得る現金決済の方法をとっていくことが、今の状況においてはいいのではないか、そういうふうに考えております。
  33. 石野久男

    石野委員 率直に申しますが、そうすると、消却勘定については全然考慮してない、こういうふうにお伺いしてよろしいのですね。
  34. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 いろいろな清算勘定——清算勘定と申します場合に、どういうものを清算勘定と考えますかに上りまして、いろいろ議論があろうと思いますが、しかしいわゆる国と国との間の協定の形によって、政府間ないしは中央銀行間の取りきめによる清算勘定というのは、今のところ適当ではないのじゃないかと考えております。
  35. 石野久男

    石野委員 話を取り違えちゃ困る。僕が君に言っていることは、こういうことなのだ。国と国との問題については、なかなか日本の国は承知しないので、いたし方ないから、長岡の銀行と向うとのの取引をするというふうに問題つているわけなのだ。だから、その問題についても清算勘定はだめなのかということを聞いているのだ。
  36. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 市中の銀行との間の清算勘定ということは、一体どういうふうに考えたらいいか、これははなはだむずかしい問題であります。市中の銀行同士が取引をします場合に、お互いに記帳上の振りかえによりまして決済をやっていくという方式が考えられないことはないと思います。しかし片方が受取超過になりました場合、現金決済をどうすればいいかというふうな問題につきましては、なおテクニカルに非常に困難な問題だと思います。従ってすっぱり現金で払ってしまった方が、いろいろなたまってしまった預金の問題をどうするかというより楽じゃないか、その方いすっきりいっていいのじゃないかと今のと、考えております。
  37. 石野久男

    石野委員 国と国との間の清算勘定ならはっきりするけれども、向うは国の形になるわけですが、こっちは民間だとしたら、清算勘定というのはなかなか成り立たない、それは一応の理屈は成り立つと思うのです。ただ日中の間には協定を結ぶわけだ。本来ならば、国と国との間の協定を結ばなければならないのだけれども、正本の方ではそういう体制をとれないから、仕方がないから、日本の民間の間で政府の代弁をするような協定をするわけだ。その協定の中から清算勘定という形か出てくるわけだ。そういうものとして協定が結ばれていくわけです。しかも、それはおそらく政府にもまさるといっちゃ悪いけれども、実質的には、動かしていく力としてはそういう力で今まで、協定を結んできた。そうすると、その間決済をするのに、民間の銀行が携わらざるを得なくなるから、従って向うの銀行と政府の代弁をさせるところの銀行との間における取引の中で決済の自由が出てくる。そこで清算の勘定が出てくるわけです。そういうような意味で、中華人民共和国というのは、銀行の形態にしても、やはり一つの国家の銀行の形になっている。日本の方は民間ですから、これは社会構造が違っている、これは政治形態が違っているからいたし方ありません。けれども向うとしては、銀行は国家を代弁するような形になってくるし、日本の方ではそういう形にならないので、そこでおのずから銀行としての裏づけを必要とするわけです。そこで政府なりあるいは日銀なりの裏づけをほしいと言ってくるのは向うの理の当然なことなのです。ことに日本の実情からいって、必ずしも世界的にそう日本の——それは日本から言わせれば、銀行にも力も出てきていると言われるかもしれませんが、しかしそうばかりは言えない、対外的に外国の方から見れば、信用の度合いというのは、こちらがそう思つているほど向うが百パーセント受けるわけでもなかろうと思うのです。従って協定を結ぶ間に、その協定に参加する銀行——銀行団じゃないけれども、複数の銀行に対してそれぞれの保証の取りつけを要求してきているのが現状なのです。そういうものに対して、政府はどういうふうに考えておるということを僕は聞いているわけなのです。
  38. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 石町委員のおっしゃいますことよくわかりましたが、中共側との話し合いにつきまして、いろいろ御連結を受けましたときに、こういうふうに考えております。日本の銀行の信用力に対して疑いがあるから政府が保証しろという問題につきましては、日本の為替銀行については、政府は十分な監督を加えております。従ってそれは、十分信用されてもいいのじゃないかということを強調していただいております。ところでなお制度との問題が残っております。つまり日中間に国交が開かれていないということに基いて、私的債権債務関係みたいなものの実行が拒否されることがありはしないだろうか。つまり日本側州が中共からあるものを輸入しまして、代金の決済の債務を負う、これにつきまして、政府が払うなと言って止めることがあるのじゃないかしらというところに、もう一つ保証の意味があるように思います。このあとの点が、向うでかなり問題があったのではないかという気がいたします。この点につきましては、およそ外貨割当をやりまし、政府が輸入を許可いたしたものにつきましては、これの支払いは絶対にとめることはないのですということで説明をしたいと思っております。つまり保証を求められることによる二つの問題、銀行の信用力につきましては、これは各国との取引その他を見ていただいても、日本の為替銀行は、かなり信用していただいていい状況になっております。各国はそうやって扱ってくれておるわけです。第二の、制度上輸入をさしておい、代金の支払いを政府がとめるようなことがないか、つまり国交関係が開かれいないことに基く制度上の不安という問題につきましては、政府が外貨割当をして輸入を認めた以上は、物を入れておいて支払いをとめるという問題は絶対生じません、こういうことで申していきたいと思っております。
  39. 石野久男

    石野委員 保証を求めておる内容には、支払いをすべきものはせよ、それからすべきものをするなというような政府の干渉なり、制度上の立場からする干渉を排除するために保証を求めてきているということは、あるかもしれないと思います。あるけれども、それよりもっと大事なことは、実際問題としてこの清算勘定というのは、日本の政府が好むと好まざるとにかかわらず、相手国の方ではそれを要求しているわけです。それでもちろん日本が、そんなことは必要ないんだ、いやならやめときなさいと言い切れるならいいのです。言い切れるのならこの問題は出てこないのです。言い切れないところに問題があるわけです。日本と中国との貿易の関係は、政府がなんと言おうと、日本の業者は貿易をやらなければならない、現に鉄鋼材は非常に不足してきているわけです。日本の鉄鋼の需要は、アメリカの鉄鉱石や石炭だけではとても追いつかないと思う。中国からの開らん炭が入らなければ、大冶からの鉄鉱石が入らなければ、日本の鋼の需要を満たすことができないというのが、現実において日本の鉄鋼の業者意見です。そうなれば、当然甲類物質として出せなかったものを出さざるを得なくなってくるのです。こういう見通しをしているかということなのです。結局決済の問題については、今までは非常に輸出が少くて輸入ばかりが多かったということで、出し分だけが多いからいやだいやだということ言っておったのが実情だったと思うのです。それにもう一つ政治的な意見が加わっておったということだと思うのです。ところが今の経済的な面においては、だんだんと見通しは明るくなっておるし、しかも日本の国内の事情とココムの世界的な問題というものとが、だんだん従前とは違ってきております。おそらくアメリカの大統領選挙が終ったあとにおいては、ココムの禁輸緩和というものは、ものすごく広がってくるだろうと思うのです。こういう場合になってくると、当然あすにでも将来が開けてくるのです。従って決済の関係なんかについても、従来のような立場とはまた逆になる面も出てくると思います。これは見通しの問題ですから何とも言い切れませんが、少くとも従来懸念されたような、経済的に一方的な負担の過重ということにはならないで、いわゆる相互平等の互恵の関係で成り立っていく可能性を持つておると思います。そうなってくると問題に残るのは、政治的な問題だけになるのですが、ここでは、おそらくそう政治的な問題を論ずることはできないと思いますから、それはよろしゅうございます。ただ決済の問題で、あなた方が今考えられているような点で、どうしてもそういうことだけ強行されますると、貿易の量がふえていかないし、契約が結ばれなくなるのです。現在三千万ポンドの双方におけるところの契約が結ばれているけれども現実に日本の輸出入貿易の商売をやつている人は、こんな小さなワクではだめだ、六千万ポンドの量を必要としていると言っている。それが実情であるのに、政府はどういうふうに見ているか。こういう実情に対して、今あなたがおっしゃられるような線でそれにマッチしていけるかという見通しを、私は一つあなたから聞かしてもらいたい。
  40. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 日中貿易が非常に拡大しますことは、もちろんわれわれも望むところであります。従いまして、日中貿易の拡大に対して、外貨資金という面から制約が出てくるだろうかという問題につきましてわれわれの立場を考えました場合に、さしあたりのところ、今日本は十分な外貨を——あまり十分というのを強調し過ぎてはいけないかと思いますが、かなりの程度の外貨を持っているわけです。従いまして、これを中国側に支払いまして決済を済ますということは、かなりの程度でできるのではないだろうか。その外貨を、輸出しました場合にまたこちら側に払い戻してもらうというような形で動かすことは、外貨資金の面から申しますれば、十分可能であります。しかし、銀行手続に入りまして非常に恐縮でございますが、そこらの関係銀行内にお互いに、日本のAという銀行に中国銀行の勘定を開きまして、日本から受け取ったものをその勘定の中に入れて、日本からの輸出の支払いはその勘定から落して、日本側に振りかえることによって行うというような形の決済などは、私は現金決済に非常に互い患いますから、十分考えられることと思います。
  41. 石野久男

    石野委員 それは、あなたの考えとしては非常にいいことだと思うのですよ。しかしいずれにしても、やはり中国から日本銀行に預金させなければいかぬわけだね。それは、あなたとしては非常にいいかもしれないけれども、向うはそうはいかないだろうと思うのですよ。それは、意見としては私はお聞きしますけれども、そのことはなかなか困難だと思います。それよりも、やっぱり外貨資金事情が非常にいいということ、それはなるほど今の日本の実情からいえばよろしいです。よろしいけれども、この事情だってそう簡単にいつまで続くとも限りません。われわれとしては、むしろやはり不安定な状態の中よりも、互恵で協約して相殺できるような形をとるのが一番よろしいと思う。ただその間に、お互いが保証するという形だけで相殺できれば一番いいわけです。問題は、先ほどあなたがおっしゃられたように、品別の問題で、甲、乙類の甲の問題が出てくるから、どうしてもびっこになつちゃうわけです。このびっこになる事情も早晩払いのけられるだろう。それは外部的の事情もあるし、内部的の事情もあるわけです。国内の事情もあるのです。日本の経済を広げる上からも、そうなってきているのです。そういうようなことを考えますと、私はむしろ互恵平等の立場における両者の今までの貿易協定を、やはり拡大していく方向がだんだん育ってくると思うのです。これは、あなたが希望しないでしょうけれども、そういう実情は育ってきます。そういう実情の中に、どうしても決済の問題については、向うの意見についても、こちらの受ける立場が十分にならなければならない。それをあなたのおっしやるような立場だけだと、これは受ける対象ができてこない。従前と同じなんです。そうすると、商売が非常に不利なんです。向うはそれでも決済しますよ。今までのロンドンを通じてのやり方をやりますけれども、それでは非常に不十分なんです。向うが不自由するよりも、日本の商社が不自由するから、この問題を何とか考えてくれというのが実情なんです。そういう日本の業者の立場からする意見としても、やはりあなたは今のような意見でございますか。
  42. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 自説を固執するようではなはだ恐縮でございますが、現状において日本が外貨を十分計上してこれを割り当てておる限り、日本側が輸入する場合支障はないと考えております。日本側が輸出する場合におきましても、特に支障はないというふうに考えます。もちろん今よりも決済方法が簡単になるということが望ましいということは、御指摘の通りでございます。先ほど私が申しました例は、日本側にあまり身勝手過ぎるという御議論でございましたけれども、その点は、互恵平等の精神によっていろいろ検討を加えることにいたしたいと思いますけれども、実質的に考えましても、決済方法が民間ベースの清算勘定になる場合、私はそれに近い形になるのではないかと思います。その点から一例を申し上げました。いろいろなお検討いたしまして、研究を続けていきたいと思っております。私どもも、もちろん日本の輸出が伸び、貿易が拡大することを望むわけでありまして、これが望ましくないという観点から決済問題をいろいろ進展させないようにするというつもりでは全然ございません。
  43. 石野久男

    石野委員 これは、僕は技術的な問題より、もっと政治的な立場でこの問題を御答弁いただきたかったのです。従ってやはり大臣、次官の御意見も聞きたいのですが、ただあなたの今の意見から聞きますと、考慮はするという話があとにあったのです。それにもかかわらず、なおやはり向うから言ってきておる清算勘定などというものは、一顧にも値しないのだ、こういうふうに感ずる面が非常に強いわけです。そうなんですか、それとも、もう少し何か考慮するという線が考えられているのかどうか。向うからきたものについても、従前注そうだったけれども、今の段階では何か考えなければならぬという線があるのかどうか、その点簡単でいいですから答弁していただきたい。
  44. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 いろいろ帰られました方のお話を伺いまして検討いたしましたけれども、両方に満足のいくような方法というものは、なかなか見出しがたいという感じを持っておりますので、改善は研究いたしたいと思っておりますけれども、今のところ両方が満足する方法はないというふうに考えておりますことを御了承願いたいと思います。
  45. 石野久男

    石野委員 銀行局長にちょっとお尋ねいたしますがこういうような問題について、向うは政府なりあるいは日銀なりの保証の取りつけを要求しておるわけです。なるべくそうしてほしいというような意見があるわけです。そういうような場合に、今為替局の総務課長さんからもお話がありましたが、銀行局長さんの立場からされれば、どういうような御意見でしょうか。
  46. 東條猛猪

    東條説明員 日中の決済の問題につきましては、非常な重大問題で、為替局もいろいろ慎重に検討した結果だろうと思います。おそらく今佐々木総務課長が言っておりますことも、検討中という言葉でわかりますように、それは貿易拡大のためにできるだけの努力はしなければならぬけれども、いろいろ今まで検討したところでは、さしむきのところ、ああ申し上げるよりないというのが実は結論だと思います。私もちょっと為替局におりましたので申し上げますけれども、清算勘定という言葉意味なんですけれども、これは国家周、あるいは中央銀行間の場合には非常にはっきりしております。私今第三者の立場でお話を承わっておりますと、今度は当事者が民間の銀行になってしかも清算協定とか清算勘定という話になってきておるので、そうしますと、お互いの為替銀行相互の間でいわゆるコルレス契約を結びました場合には、ある程度までは民間のベースでも借り越し限度というものは認めます。これは一定の場合に信用を供与することは普通のことなんですね。そこで民間ベースになったときに、そういう信用ベースの場合と清算勘定とはどうコンバインすることになるのだろうか。考え方によれば、民間でも、コルレス契約を結んで、ある程度の信用供与をお互いにやるというようなやり方になりますと、これは言葉の使い方の問題かもしれませんが、相当清算勘定方式的な色彩があるというようなことも言えるということを、私は実はお話を伺って個人的に考えるわけです。そういう意味で、為替局の方でも、当事者が為替銀行ということであって、しかもどういうことにやった方が両方の主張が一番貫徹に近いところにいって、しかも貿易の拡大ができるだろうかということを、ほんとうに検討しておるというのが今の現状だろうと思います。  それから日本銀行の保証というようなことはなかなか問題だと思いますが、政府の保証ということにはやはり二つの問題があってこれは、政府が乗り出すということは、現在ではいろいろな外交関係と申しますか、そういう関係からどうだろうかという話が一つと、それからもう一つは、今まで為替局あるいは大蔵省全体でとって参りました、民間の為替取引について、政府がうしろにおって取引を保証するという態勢はもうやめなければならぬという考え方と、どう調和さすべきか。これはそのときそのときの情勢によって、為替局も弾力的に考えますけれども、為替川としても、石野委員と同じような気持で、どうやったら日中間の貿易が拡大するかということを真剣に考え——表現の仕方お答えの仕方で、やや適当でない点があったかと思いますけれども、そういうほんとうの気持でやっておることだけは、私も保証をさせていただきたい、こう思います。
  47. 石野久男

    石野委員 もう一つ。これは違った何ですが、朝鮮の関係なんです。特に朝鮮の関係は、南と北とに分れておるわけです。南との間には公使の交換もありまするから、これは、案外にいろいろな問題の解決はそうむずかしくはないだろうと思いますけれども、北の方は、現在のところ交渉が断たれておる。ところが現在在日しておるところの朝鮮の人は、非常に多いのです。この諸君の日本におけるところの生活の事情というものは、非常に苦しい事態になっておる。それとまたもう一つは、これらの人々の生業が非常に苦しい状態になっておる。生活が苦境に陥っておるというために、相当程度の社会保障的な保護を受けてきておるわけです。ところがこの保護を受けておる諸君に対しても、最近は法令の改正等で、なかなかやはり従前の通りにいかなくなってきておる。こういうような面に対して、実は在日しておる朝鮮人に対する、主として教育の問題についてですが、学資などを北の方から送りたいという意見を、ちょうど私どもが昨年朝鮮に参りましたときに、そういうことを金目成氏から聞いておるわけです。この問題はなるべく善意な意味において、日本におけるところの朝鮮の諸君の生活とか教育の問題について、どうしても考えてやらなくちゃならない範疇に入るだろう、こういうふうに思っておるわけであります。ところがどのようにして向うから日本に金を受けるかということが、非常にむずかしいようであります。これらの問題について、何か当局の方で適当なつえ方があるだろうか、また現状はどうなっているのだろうかというようなことを、一つお聞かせ願いたいと思います。
  48. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 石野委員の御指摘になりますように、南鮮との関係につきましては、これは少し前からありますように、清算勘定があって、日本側の銀行と向う側の銀行とは、手がつなげるようになっておりまして、従つて送金の方法はあると思います。ところが北鮮との関係につきましては、銀行間で手をつなぐ道が確立されておらぬわけでありまして、送金が行われると申しましても、一国の通貨をほかの国の通貨にかえる問題でございますから、そこらの通貨の交換というものが銀行手続を通じてつながるようになっていかなければ、なかなかうまくいかぬのであります。隣の中国につきましては、中国銀行というものがロンドンまで出ておりまして、手をつなぐ道がついておるという感じがいたしますが、北鮮の場合は、どうもそういう手だてがないような気がいたします。そこを何とか向う側で工夫をいたされなければ、送金は実行方法というものがなかなか見つからない、こういう感じを持っておる次第であります。
  49. 石野久男

    石野委員 今北鮮との間には、銀行間の関係が全然確立されてないからできない、それは確かにその通りだと思います。それでもしこれを、たとえば日本と取引のある一国を通じてそういう関係ができるという場合は、これを受けることができますか。
  50. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 送金の方法はあるわけであります。
  51. 石村英雄

    石村委員 関連……。しろうとがそばで聞いておるだけで、あるいは間違いがあるかもしれませんが、ただいま佐々木総務課長の御答弁だと、日中関係の貿易については、向うが為替決済について政府保証を求めておるということが大きな問題になっておるというように聞いたのですが、そうなんですか。
  52. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 石野委員の御指摘になりましたところでも、向うの議論はそうであるというように伝えられております。
  53. 石村英雄

    石村委員 そうして答弁を聞きますと、最近日本政府は、為替銀行に対する政府保証をやめた、そういう関係もあって、中国からの要求にはなかなか応じにくいというような趣旨のように受け取ったのですが、そうなんですか。
  54. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 日中関係につきましては、先ほど東條局長からもおっしゃられましたように、第一段に承認問題というような、政治問題を含む問題が起きる余地があります。第二段目に、純粋経済問題として考えました場合にも、日本の為替銀行に対して政府が保証しなければ取引ができないという状況から早く脱却して、自主的に取引ができるようにという政策を押し進めて参りまして、政府が保証するということをやめて参りましたので、その関係から申しましてただいまのところは、日本の銀行が独立して取引するような方向に向けるのが望ましいのではないかと考えておるということを申し上げたのであります。
  55. 石村英雄

    石村委員 あるいはそういう方針かもしれません、その方針が妥当かもしれませんが、今まで国交が回復されてい、国についても、最近まで政府保証はやっておったわけです。この三月ですか、四月にやめたのですが、ところが中国は、御説のように国交が回復していない。かっては国交の回復しておる国に対しても、貿易については為替を政府保証をしておった中国は国交が回復していないという現状において、これを拡大するというなら——国交の回復している国に対する貿易関係の処理については、政府保証の問題をやめる、純粋商業ベースでやらせるということはわかりますが、相手の国との関係が、国交が回復していないのだから、国交の回復している国に対する処置と、回復していない国との処置とは、これは区別があっていいのじゃないか。政府がもし日中貿易を、国交の回復しない現状において促進をはかろうという気があるならば、かって国交の回復している国に対してさえ保証しておったんだから、その方の国との関係と現在の方針との違いがある、矛盾があるというようなことは問題にならないじゃないか。やはり中国関係については、政府保証をしても一向差しつかえないじゃないか、こうしろうとはそばで聞いておると判断してくるのですが、どうなんですか。
  56. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 先ほどのことをもう一回繰り返すようではなはだ失礼でありますが、私どもはこう考えております。およそ保証しろという場合に二つの問題があります。取引の相手方が、日本の銀行の信用状態が悪いから保証しろということが一つ。この問題は、日本政府が保証したくても外国が取引に応じてくれるということからして信用問題としての保証問題というのは解消した状態になるのではないか。そう言い切りますことは疑問ありということになるかもしれませんけれども現状においては、政府保証なしに取引できるところまできております。従って日本の銀行の信用状態が悪いからということに基く保証要求というものは、解消したと考えていいと思います。  第二番目に、国交が回復していないがゆえに保証しなければならぬという問題がもしありとすれば、日中輸出入組合の方々が申されますように、両国間の正常な法律関係というものが成立しない場合の保証であります。輸入を認めておいて代金決済だけ押えるというようなことを、日本側がやりやしないだろうかという疑いを持っておられるようなことを聞かされておりますが、もしそうだとすれば、日本は為替管理法ないし外貨予算の建前で、外貨を割り当てまして輸入を認めましたものについては、物が入ってから支払いをとめてしまうということは絶対ありませんということを、御説明できるだろうと考えております。
  57. 石村英雄

    石村委員 あなたの考えはわかるのですよ。ところが相手はそれを信用しないのです。だから保証を求めておるのじゃないか。銀行の信用状況については、それは商売上から見て、これは信用がある、そう見るかもしれぬ。ところが国交が回復していない結果、いつ差しとめを食うかもしれぬというようなことが、やはり相手国としては当然あるんじゃないですか。そうするとあなたの説明では、外貨割当をしているのだから間違いございませんということでございますが、間違いがないものなら、あっさり保証したって一向差しつかえないことになるわけです。国交が回復していないからこそ保証する必要がある、また相手がそこに疑惑を持つ、疑念を持つということも無視できないことでないか、自分たちは間違いありませんからこの通りに信用しなさい、こう一方的に言ったって話はつかないのです。国交が回復していないという現状に立脚すれば、そうしてそのものとで貿易を拡大しようという気があるのなら、保証して差しつかえないことだし、保証すべきことではないか、こう思うのです。
  58. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 国交が回復しておりません外交上の関係から、政府が保証するという法律関係をもとにいたすことは望ましくないというのが、政府の方の考え方であります。そこが、外交関係の点でわれわれ縛られておるところがあります。その前提に立ちまして考えましたときに、保証をしなくても、今まで十分取引をやって参りました実績を向う側が見てくれるならば、支払わないというふうな懸念はないわけであります。ただほかのものにつきまして、外貨割当で輸入を認めましたものは、全部支払えるように措置しております。その点は、日本が現在やっております現実を見ていただきたいと思います。
  59. 石村英雄

    石村委員 そうすると、外交関係上の国交を今回復するわけにはいかない、回復していない現実の問題ではなしに、回復するわけにはいかない。ところが保証すると、事君上回復したと同じことになるから、外交上の制約を受けてそれはできないのだという御説明なんですか。
  60. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 国交を回復することができないというような判断のところは、私は御説明申し上げるつもりはございませんでした。もしそう申したら訂正をいたします。ただ国交回復し得ない、その承認問題を含めて、それがあり得ない状況にありますがゆえに、従って保証ということはできがたい状況にあるという現状を御説明しておるつもりでおります。
  61. 石村英雄

    石村委員 不満足だが、説明だけはわかりました。
  62. 松原喜之次

    ○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十月十日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時三十二分散会