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1956-08-10 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年八月十日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 藤枝 泉介君    理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    大平 正芳君       加藤 高藏君    川島正次郎君       吉川 久衛君    杉浦 武雄君       内藤 友明君    中山 榮一君       古川 丈吉君    前田房之助君       横川 重次君    石山 權作君       竹谷源太郎君    平岡忠次郎君       横錢 重吉君    横山 利秋君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君         大蔵事務官         (管財局長)  正示啓次郎君         中小企業金融公         庫理事     國府田守登君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融に関する件  国有財産に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件、外国為替に関する件及び国有財産に関する件について質疑を許します。石山權作君
  3. 石山權作

    石山委員 銀行局長に聞きますが、私は大蔵当局日銀日本経済に関する見方がいつでも統一されておればよろしいのでございますが、ある観点が、金融というような面から見て異なる場合もあると思う。しかし大蔵当局の中でおのおの考え方が異なるということはゆゆしい。ことに最高の大臣と、それを補佐しなければならない次官の周に意見相違がもしかりにあるとすれば、私はこれはあまりいい傾向ではないと思う。日銀大蔵当局の場合はたまにあってよろしい。しかし大蔵当局の中でかりにそういうものの見方相違があって、事ごと対立し、発表などもされるとすれば、私は行政機関としてまずいことだと考えております。先ごろ大蔵大臣東北を視察されておりますが、そのとき青森で発表されているのですが、最近、銀行貸し出し増加をしている、これは日銀では非常に憂慮しているようでありますが、大蔵大臣は、短期決済ならば何らこの増加に対して心配はない、こういう楽観を述べているわけなんです。たまたま新聞などを見ますと、日銀総裁平田事務次官がこの貸し出しに関して、貸し出し方を抑制する、こういうように意見が一致しておるやに報ぜられております。ここら辺を銀行局長がどういうふうに見ているかということを、まず第一にお聞きしたい。
  4. 東條猛猪

    東條説明員 ただいま、大蔵省の中で、いろいろ政策方針についての意見食い違いがあるとすれば、望ましいことてはないではないか、こういう御趣旨からの御質問であったと思います。私は金融に関する方針につきまして、何ら大蔵省の中に意見食い違いとか、不一致というものはない、こう考えております。  最近における日本銀行なり、あるいは市中銀行貸し出し趨勢に関する判断の問題でございますが、申し上げるまでもなく、第一・四半期あるいは七月の財政関係国庫収支関係相当揚超に相なっておるわけであります。当初の予想に比べまして相当揚超になっております。日本の根本的な経済活動にマッチした日本銀行券流通高というものは考えられるわけでありますが、さような財政的な資金の波がある場合におきましては、結果的には、これが日本銀行からの貸し出しの増減になって現われて参るということも自然のことであろうと思います。ただ問題は、日本銀行貸し出し数字と申しますよりは、むしろただいまの御質問はそちらの方が中心かと思うのでありますが、最近の市中銀行貸し出し趨勢についての問題であろうと思うわけであります。これにつきましても、私から申し上げるまでもなく、すでに御高承の通りでありまして、最近のいわゆる設備資金需要趨勢、あるいは各種の季節的な資金需要というものに基きますところの銀行資金貸し出し活発化ということが考えられるわけであります。しかしまた同時に、昨年の秋以来銀行手元資金が、御承知の通りに比較的潤沢でございましたので、貸し出し方針が比較的積極的な方針がとられた、これが銀行内部におきましても、末端にまでそういう方針が反映と申しますか、何と申しますか、そういうことに伴いますところの貸し出しの積極的な銀行態度というものが見られるわけでありますが、問題は、そういうふうないろいろの事情を反映いたしました市中銀行貸し出し趨勢というものが、果して不健全なものがあるかどうかということだろうと思いますが、いろいろ貸し出し内容等を目下われわれ日本銀行とも、あるいは市中銀行とも分析を行なっておるわけでありますが、現状において、市中銀行貸し出しの中で不健全だというものがそう大きなウエートを占めるかどうか、私どもはむしろ設備資金需要なり、あるいは季節的な需要なり、右にも申し上げましたような積極的な銀行貸し出し態度、ことに中小企業方面につきまして、相当市中銀行貸し出しが伸びておりますから、さようなことで、現在の貸し出し趨勢が直ちに不健全であるという結論には相なるまいかと思います。これらの見方に関するいろいろの見解の相違は、理論的にはあり得るわけであります。そこで態度に関しても、いろいろの微妙なニュアンスがあり得るわけでありますが、大蔵省内部におきましては、先ほど石山委員仰せのように、むしろ貸し出しを抑制するということを事務次官が何か申したというような趣旨お話がありましたが、むしろまだそういう貸し出し内容について慎重に検討中だという段階でございまして、これがもし先ほどお話しのありましたような、たとえば期末の決済資金というような短期のものであるならば、むろん不健全なものとは申せないと思いますが、さような意味におきまして検討中でございます。何ら私ども市中銀行貸し出しにつきましても、大蔵省内部における方針不一致はない、かように存じておる次第でございます。
  5. 石山權作

    石山委員 私は現われた面のみを言っておるのではなくして、ことしの春から大蔵省人事問題等をめぐってしきりにこういうような金融機関、あるいは行政機関に非常にある種の恐怖を与えております。特にそれが当面の責任者である大蔵大臣事務次官人事の問題で対立があった。そういう点から、現われた政策も、見方によってはというふうにあなたはおっしゃっていますけれども、私は相当大きなものがあるのではないか、某新聞では、日銀総裁と一萬田蔵相との宿命的な対立などという言葉も使っておるほど、ものの見方に両者には相当対立がある。これをめぐって、そこに事務次官が顔を出して、そうして現われた結果が、一つ金融財政に対するものの考え方相違がある。これではあなたが局長として一生懸命がんばっても、上の方でそういうものの見方対立しているとするならば、金融行政というものはうまくいかないのではないか、私はこういう心配を持ってお聞きしたのでありましてあなたがそういうふうな対立は決してない、こういうふうにおっしゃれば、私はあえて追及はしません。  ただ次に考えられることは、日銀では例の支払い準備金制度、これは日銀政策委員会の存廃の問題ともからみまして、実は重大な問題になるのではないか、前国会におきまして、この法律の通過に当って、一萬田蔵相は、政策委員会は廃止してもよろしいというような発言があったと私は記憶しております。参考人として呼ばれた日銀総裁は、どうしても必要である、活用の面が多いというふうに言われておりましたが、この支払い準備金制度は、どの程度金融制度調査会で進めているか、あるいは担当者としてのあなたは、どういう腹案を持って今臨んでいるか、それを一つ御説明願いたいと思います。
  6. 東條猛猪

    東條説明員 御了承いただきましたことでありますので、くどく申し上げることはかえって失礼でありますけれども事金融制度その他全般方針につきまして、大蔵省内部に何ら意見の不統一、対立はございません。その点は御承知いただきたいと思います。  それから支払い準備金制度の問題でございますが、これは、ただいま石山委員からもお話しのございました、国会で御決定をいただきました金融制度調査会は、ただいままで実は三回開いております。先般、今月六日でございますが、第三回の金融制度調査会を開きまして、それまで第一回、第二回と、現在の日本金融制度にどういう問題点があるであろうかということにつきまして、私ども大蔵省問題点として考えておりますこと、調査会の各委員が問題としてお考えになっておりますこと、すべてを一応総ざらい的に問題点をあげましたわけであります。そうして第三回目の金融制度調査会では、およそ問題点はかようなことであろうと思うが、しからばどういう順序でこの問題点調査会といたしまして審議検討して参るかという序列の問題になりまして、金融制度調査会といたしましては、まず第一にいわゆる預金の支払い準備という問題を検討しようということに相なりました次第でございます。検討しようという意味は、もちろん白紙の立場において、つまり支払い準備制度を創設すべきであるから、その具体的内容はどうかという段階ではもちろんございませんで、支払い準備制度を創設すべきかどうか、日本の現在あるいは将来の通貨調節の機能として、支払い準備制度をどう考えるべきかということについてこれから検討して参ろう、こういうことに相なったわけであります。私どもといたしましては、もちろんこの調査会の進行に応じまして、いろいろ資料その他を準備いたさなければならぬわけでありますが、とりあえずは、九月上旬に第四回目の金融制度調査会を開きまして、そのときには支払い準備制度に関しますところの諸外国の法制あるいは仕組み、それから日本においてそういう通貨調節問題を考えて参りますのに必要だと思われますいろいろの経済資料、その他のデータ、また日本における支払い準備制度に関する問題点という、主観的な判断を加えません客観的なデータを集めまして、そうして調査会の各委員に、それぞれ見識ある立場から、どう考えるべきかという御審議を願っていきたい、そういう運び方で進めていくべきであろうというふうに考えております。つまり支払い準備制度の問題につきましても、当初から大蔵省あるいは政府考え方はこうであると思うというような案を御審議願うという態度ではなく、やはり客観的ないろいろな資料を整えまして、各委員が自由な立場からいろいろと御審議を願い、御判断を願う、そうしてだんだんと回を重ねれば方向も出て参ろう、かような運び方にいたすべきであろう、こう考えている次第でございます。
  7. 石山權作

    石山委員 通貨調節の問題とからみ合わして私ら考えているのは、日本産業の回転に当るところの資金の運用、工場設備の問題、こういうふうなものがやはり一つ役目を果すと考えております。今の場合は、市中銀行では相当金がだぶついている。それと同時に新しく起きる特に化学産業部門には、一つの人絹、化繊の工場設備いたしましても、二十億以上の金がなければ一つ工場ができない。そうしますと、私はにらみ合いとしまして、日本生産産業日本現状金融というものは、今までの度合いとは違いまして、非常により大きい調節役目を果すのではないか、こう思っておりますが、これは大蔵省の管轄にはならぬといいますれば、それまでかもしれませんけれども、特に新しく起きる原子力になりますと莫大な金も使うのでございますから、いずれにしても、これからの工場というものはたくさんの金を使う、そうした場合において、自己資本において、いわゆる株式相場においてこれを調達さす、これもやはり私は一つ通貨調節役目をなすと思っておりますが、あなたの方ではそういうふうな点をにらみ合してこの問題を研究しているかどうか、それをお聞きしたいのです。
  8. 東條猛猪

    東條説明員 いろいろの企業、特に今後の新しい業種企業について、株式等自己資本による資金の調達についてどういうふうに考えておるか、こういう御趣旨でございますが、私も新しい業種といわず、現在の企業資産構成あるいは資金構成を見てみますと、まだまだ自己資本他人資本に対しまして割合が少いというのが一つの問題である、この点はお話し通り考えます。ごく大ざっぱなことを申し上げまして恐縮でありますが、現状は大よそ自己資本四に対して他人資本六ということになっておりまするが、正常な戦前の状態においてはこれが逆でありまして自己資本が六、他人資本が四というようなことであったと記憶いたしております。前国会でもおきめになりましたいわゆる資産再評価、かようなことも、何とかして自己資本を多くして参るというお考え一つの現われだろうと思っております。また私どももいろいろな機会におきまして、そういう自己資本増加をはかることが必要であるという考え方で当って参っておるわけでございまして、たとえば都市銀行と申しまするか、大銀行につきましては、おおむね本年度の上期に実は相当大きな割合増資が行われたのでございます。そういう場合に、私の方にもいろいろ事前の相談があるわけでありますが、本年はぜひこの増資をやっていく年である、日本企業全体として増資をやっていく年である、銀行はやはり一つ企業の典型であるという意味において、増資という態勢をとっていくのが望ましいことであるというようなことで賛成をいたしたのでございまするが、石山委員仰せ通りに、いろいろの問題、特に金融資本の問題を考えていきます場合において、自己資本の充実ということは決して忘れてはならぬ大事な事柄であるということでもって処理いたしておるつもりでございます。
  9. 石山權作

    石山委員 今通産省で立案されているといわれる家庭用品月賦販売、これはあなたに金融に関する限り発言してもらいたいのでございますが、ああいうふうな、たとえば月賦販売をやりまして多額な国家予算を取る。こうした場合に与える影響はどういうふうに考えているかということを私たち心配するわけなんでございますが、そういう点では、大蔵省としてはまだ取り上げておりませんですか。
  10. 東條猛猪

    東條説明員 石山委員ただいま仰せの、通産省方面月賦販売の問題を具体的に取り上げており、それがまた河か財政との関係において相当重要性があるような考え方をしているのではないかという仰せでございますが、そこまでの具体的な案につきましては、実は私ただいま承知いたしておりません。ただ一般的に、月賦販売は申し上げるまでもなく、信用基礎になる仕組みでございますので、信用制度というものが出て参ればそういう仕組みが発達する、これは自然なことでありますが、同時に、いろいろ行き過ぎにならないように、慎重に判断すべき問題であろう。抽象的なことで恐縮でありますが、具体的な通産省の案はただいま私承知いたしておりません。
  11. 石山權作

    石山委員 貸し出しの過多の点につきましてもう一つお聞きしたい点は、日銀で今度高率適用をして調整をする、こういうふうに踏み切るというように確定したのかどうか、そこまで知りませんが、そういう意向である。それについて大蔵当局では、あまり乗り気ではないこういうふうにいわれていますが、乗り気にならない見方について一つ御説明願いたい。
  12. 東條猛猪

    東條説明員 大蔵省として乗り気でないというと、実はちょっと語弊があると思うのでありますが、先ほど来申し上げましたように、現在の市中銀行貸し出し趨勢心配すべきものであるかどうか、非常に不健全なものが中にあるかどうかということを、ただいま私どもといたしましてはいろいろ検討いたしております。いわゆる高率適用制度問題自体の是非と申しますよりは、この高率適用があるかどうかということは、申すまでもなく日本銀行市中銀行に対する貸出金額によって左右せられる問題でありまするし、さらに市中銀行一般に対する貸出金額によりまして、間接的にはきまって参ると申しますか、左右せられて参る問題であります。そういう意味におきまして、高率適用改正自体の適否の問題と申し上げるよりは、むしろその根本にありまするところの、現在の情勢における市中銀行貸し出し情勢検討がぜひとも必要でありまたそれをどう判断すべきかということに実は重点を置いておる。その点を今慎重に検討中でございますので、ひいて高率適用改正の問題につきましても、大蔵省としては今日までのところまだ結論を出しておらないということでありまして、乗り気でないというお言葉でありますと、反対であるとか消極的であるとかいうふうに聞えますが、実はちょっと感触が違うということを申し上げる次第であります。
  13. 石山權作

    石山委員 町ではお金も余っている、物も余っているから月賦販売をしなければならないというふうに、何か日本の国が大へん豊かなような感じを一応受けるわけなのですが、私先ほど九州を回りまして、金融などを調べさしてもらったわけなのですが、私の身近な東北その他を見てみましても、お金がだぶついているように見えながら、さっぱり中小企業部門には流れていないようでございます。たまたま財務部あるいは財務局から出される資料を見ますると、非常に政府機関などの貸出率がいいように見えますが、窓口で第一回の整理をしてしまう。窓口で整理されたあとですから、当然貸出率需要供給の面もいい率で現われてくる。だから、中身は本物でないということがはっきりわかります。そういう点は、数字基礎にしなければならない銀行金融でありながら、集められたデータが個々のその局部内、あるいはその部内によって違うとすれば、これはわれわれ何を相手にして——、主観主観のまじり合い、テクニックテクニックのまじり合いで、何をもって論議をすればよいか、非常に残念に思いました。こういう点は、やはり一律な方向で指導していただかないと、熊本に行ったら熊本福岡に行ったら福岡という、内容のおのおの異なったデータであったら私はおかしなものであると思う。こういうふうなやり方でそういう計数の集め方を指導しているか、それを一つお聞きしたいと思います。
  14. 東條猛猪

    東條説明員 昨年の秋以来の金融資金の需給の緩和という傾向に伴いまして、中小企業向け貸し出しにつきましても相当好転してくるということは、計数的に申し上げられると思います。たとえば銀行相互銀行信用金庫、信用組合、商工中金、中小企業金融公庫国民金融公庫、これらの金融機関中小企業向け貸し出し残高は、たとえば三十一年の四月末——五月末はちょっと信用組合計数が不足でございますので、四月末をとって申し上げますと、一兆九千七百三十八億ということに相なっております。これを昨年の同期、四月末と比較いたしますと、一兆六千五百四十一億ということでございまして、貸し出し残高をごらんいただきます限りにおきましては、三千二百億円貸し出し金額増加しておるということは、客観的な数字として申し上げられると思います。もちろん私どももこれをもって足れりとしてはおりません。中小企業向け金融につきましては、なお行き届かない面が多々ございますので、十分今後とも努力をいたして参らなければならないと思います。  それからなお各財務局財務部等におきまして、統計の取り方、あるいは数字のまとめ方等におきまして不行き届きの点があるという御指摘でありますが、よく実情を取り調べまして、そういう食い違いのないように今後努力いたしたいと思います。
  15. 石山權作

    石山委員 全般からいって、今の場合、日本資本主義体制からしては、やや皆さん努力である軌道に乗ったと私は見ております。けれどもこの乗ったというのは、数字全般からして言い得ることであって、恵まれる者と、恵まれぬ者の差というのはいまだ埋められておらなく大きい谷と高い山、低い谷底を幾分でも目の当るように、なだらかな線を描くというのがわれわれ政治家任務であると考えておるのです。あなたお知りになっているかどうか知りませんが、お金がだぶついていながら、十万円のお金中小企業が借りるとき、どういうふうにして借りるか、大体一割から一割五分近くのコミッションみたいなものを出すか、ごちそうするか、何か贈りものをするかというふうなことが通常行われているのです。そこへ目をふさいで、全般業務だけで、大きな数字だけをいじって、それで可なりとするならば、これはやさしいものだと思います。そういうことをあなたお知りでございますか。
  16. 東條猛猪

    東條説明員 最近は事情はよほど好転したと私は思っておりますが、今御指摘のように、相当の手数料というようなものを払わされておるという実例があることは、私どももしばしば耳にいたしております。
  17. 石山權作

    石山委員 それをあなたたちが、新生活運動でなくても、特にこういうふうな時代において金融関係人たちがルーズなまねをしたら、日本経済はおさまりがつかぬですよ。汚職の問題の根源になってしまう。これはやはり皆さんにも考えていただきたいし、自粛もしなければならぬと思っておりますが、小さい十万の金さえもそういうことが通常行われている現状を見ますと、まだまだ根がたくさん張っているのではないか。これは会計検査院からも指摘されているように、われわれの政府機関の中でもそういう点があるように見受けております。これは非常に嘆かわしいことです。これが大きくなりますと、刑事問題とかいろいろになると思いますが、たしかその中にある。こういう点はあなたの方では知っておらないのですか。
  18. 東條猛猪

    東條説明員 一般のたくさんの金融機関の中に、中間の人その他に相当程度の口銭を払って現実金融を受けておる実例がありますことは、先ほど申し上げましたように耳にもいたしますし、これが是正につきましては、及ばずながら努力をいたしておるつもりでおります。それから、政府金融機関の中にさような事例現実にあるではないかということでありますが、私どもは、中小企業金融に当っております中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫という両公庫につきましては、さような事例はないと考えております。
  19. 石山權作

    石山委員 銀行局長に自信を持ってそういうふうにお答えしていただくと、疑心暗鬼の中でも、ややわれわれ安心を得られるのでございますが、銀行業務としてこういうことはどういうのでございましょう。たとえば、ある銀行に金を預託した、これは銀行預託しても銀行のものではない、個人財産だ。しかるに、その人が手形を出した。例を出しますと、三十万田の預託をして三十万円の手形を出した。しかし、その三十万円の預託をする場合に、私の許可なくしてこの手形は割ってはいかぬという約束をした。そうした場合に、銀行としては勝手に手形をば割り引いてはいかぬはずなんでございますが、そういう点はいかがですか。
  20. 東條猛猪

    東條説明員 具体的な問題になりますと、どういう契約の話し合いのものであるか、それを私具体的に十分承知いたしませんと、あまりいいかげんなことを申し上げては失礼でありますし、相当影響が大きくても困ります。具体的な事案をまた別途にでも伺いまして検討の上お答え申し上げたいと思います。
  21. 石山權作

    石山委員 それでは一般の通念のお話をしまして、答弁をいただきましょう。たとえばこれは、私の聞くところによりますと、勧銀の中にあった問題のようでございます。私ある人から陳情を受けまして、大へんたくさんの書類を持ってこられて、こういう内容であるが、銀行個人財産権の問題で非常に迷惑を受けておる、大金融、大組織の前に一個人権利がじゅうりんされる、それを見のがしていることは皆さん任務でないだろう、こんな言い分でございます。その書類を調べてみますと、たとえば銀行に確たる信念があって、権利義務がすっかり果されているとするならば、この問題は簡単に短期に片づくと思うのです。私の陳情を受けた事件は、昭和二十五年からかかっていまだ解決がつかない。金融機関にそういうことはあり得ないと思うが、権利義務の問題に関して、昭和二十五年度の問題が今日まで延びている。どこにその原因があるか。これは日本の現在の金融のひもつきとか、汚職とか、あるいは政党による威力とか、こういうふうなものが介在してこういうことになったのではないか。不正融資という言葉が普通よく使われておりますが、不正融資もこういうところにあるのではないか。わずかのことに因縁をつけて、ある種の威力を使って多額の融資をした。それが焦げつきになった。現われた結果が不正融資である。こういうふうに見られない節もないのでございますし、一般の通念からして、私は一般金融機関における権利義務の問題は、個人銀行の貸借においては短時日に片がつくと思う。それは事情によってはつかないというふうにあなたは御答弁なさるかもしれませんけれども、つけなければならない筋合いのものだと思う。普通の手形の問題からしましても、それが銀行の責任であるならば、銀行が払えばいいのだし、銀行の責任でなければ、昭和二十五年から今日まで延ばすという必要はごうもない。それを延ばしてきた。そうしてそこに知名の人が幾人も介在をしておる。あなたが銀行局長になる前の銀行局長も口をきいておる。こういうことであっては、私は正常の金融の状態でないと思うのですが、あなたはどういうふうに今までこういうことを見てきましたか、それを一つ聞きたい。
  22. 東條猛猪

    東條説明員 お話しのように、金融機関信用を旨とするものでありますので、その行いますところのいろいろな契約というものは法律関係あるいは権利関係が疑義のないように明瞭であるということが本来あるべき姿であろうと思う。ただその具体的な事案を私も承わりませんとちょっとわかりませんけれども、おそらく昭和二十五年から未解決でいろいろ係争になっているということでございますと、そういう本来あるべき正常な権利義務、あるいは債権債務の関係が、律するに相当疑問の点があるという遺憾なことのために解決が長引いているのではなかろうかと思います。しかし本来金融機関というものは、そういう不明瞭な、明瞭を欠く債権債務の関係が発生しないような、しかも自分の社会的な信用機関であるという公共性に立脚した考え方で経営さるべきだと思うのであります。抽象的でありますが、かように考えております。
  23. 石山權作

    石山委員 こういう問題に関しまして、私は大蔵省銀行局では、相当取締り権限と申しますか、指導する義務といいますか、そういうようなものがあると思う。そうでなくて、財務局とか財務部などというものがただ統計集めであるならば、主管はむしろ県に移行してもいいものである。正常なその土地、その部局の経済の指導の任務もその中にあるものだ、こういうふうに理解してわれわれはあの機関を容認しているわけなのでございますがそういうことに関しては、残念ながら逆な働きをしている場合があるのであります。起債の面であれあるいは銀行に関する面であれ、むしろ悪い面が最近出てきておる。これは非常に残念に思っております。本来の任務からすれば、こういうふうな問題は、たとえば高知県から始まっておるのだから、高知県で問題の解決をつけろとか、あるいはこの人は青森県の居住であるか一ら、青森県で早く解決をつけてやれというように、何かが私はその間にあってもいいものだと思う。それをほったらかしておいて、あるときは賛成してみる、あるときは反対してみる、一貫した指導の精神がないものですから、ずるずると何かまだ残っておる、何かまだ恩恵があるというような関係で、ずるずると——私はこれは金融機関として非常に恥ずべきことだと思います。これはやはりはっきりきめるような指導方針がある場合は必要なのではないか。特に銀行の場合は、先ほど申し上げたように、お金がたくさんあるように見せかけておいて、いざ十万円のお金を借りる場合に、一割か一割五分のコミッションを出さなければ借りられないというような現実を否定し得ないところから見ますと、私はまだまだ皆さん努力が少いように思います。地方の財務部の方々は、そういう点を十分にやる必要があるのではないか。いたずらに地方の自治団体に対してお目付役みたいに、起債を許すとか許さぬとか、そんなところに温存されて、ひっくり返っているだけが能ではない。まさにそういうところが、いわゆる普通の新生活運動の一端をなすものかもしれませんけれども、そういうことはもうやめなければならぬ時代ではないか、自粛しようではないか、こういう切り出し方が私はそろそろあってもいいのではないか、それを一つあなたに御要望したいのです。
  24. 東條猛猪

    東條説明員 もちろん具体的ないろいろな案件がありました場合には、私どもの手元でありますとか、あるいは財務局長でありますとか、そういうところへ、いろいろこういう困った事件があるということをお申し出になる向きが相当ございます。その場合におきましては、もちろん私どもは、第一にほんとうの実情がどうであるか、実際がどうであるかということの事実を調査いたします。それがためには、財務局あるいは財務部にももちろん調査してもらうことがあります。その結果、役所の行政の限度というものもあるわけでありますが、その範囲内において、こういう処理方法が適当であろうと考えます場合におきましては、金融機関に対しましても、指導と申しますか、あるいは適当な言葉でないかもしれませんが、実情を聴取し、考え方について再考の余地はないかというようなことをいたしております。しかし場合によりまして、その案件がいろいろの事情から、いわばわれわれの行政の範囲を越えているという場合におきましては、遺憾ながら当事者間の話し合いに待つとか、あるいは裁判所の決定に従わざるを得ないというようなことも少くはございませんけれども大蔵省といたしましても、与えられた範囲におきましては、及ばずながら力をいたしておるというのが実情でございます。なおしかしながら、いろいろ至らぬ点もあると思いますので、今後とも十分注意をいたしたいと思います。
  25. 石山權作

    石山委員 私今申し上げている点は、おそらく氷山の一角という言葉を許されれば、そういう現象に当るだろうと思います。ですから、ほんとうからいえば、この問題を提出してだんだんお話を進めていくと、日本の今の金融状態が正常なように見えながらも、非常にいびつで乱れているというようなことが出てくると思います。しかし、それであっては時間が大へんかかりまして個人の名前なども往々にして出てくる要素もあるし、また委員会として取り上げるには少し刑事的な面もある。こうなると皆さんにも迷惑がかかると思いますので、私は後ほど局長なりあるいは担当の課長なりに、この事実を調べていただいて早くこういうごたごたしたことは一つの行政上の問題として処理する、こういうことも残されている問題だと私は思いますけれども局長に関しては私は終ります。繰り返して申し上げますけれども数字上から見ればいい結果が生れていると私は認めます。しかし個々別々に調べていってみますと、まだまだかゆいところにほど遠い段階にあるということを指摘したい。これはわれわれもこれからの仕事でありますが、総体的に、これはあなたたちの仕事でもあるというふうに私は考えておりますので、一応これで局長に対しては終ります。
  26. 松原喜之次

    ○松原委員長 淺香委員より関連質疑の要求がありますので、これを許します。淺香忠雄君。
  27. 淺香忠雄

    ○淺香委員 今石山君から、地方の財務局中小企業に対する監督なり注意が非常に行き届かぬということを指摘されて、局長に対して質問されておったわけです。ところが局長さんとしての答弁は、その責めを果しているかのような御答弁のように私は聞きました。私も石山君と一緒にある方面へ先般国政調査に参りました。ところが一例を申しますと、私どもが参りました局で、普通銀行以外に、中小企業者が取引するところの相互銀行、あるいは信用金庫等々の資料を求めましたところ、その資料がないのです。たまたま商工会議所で調製した資料を出してもらえた。ところが手元に資料が全然ないのかといえばある。出された資料がまちまちなんです。従ってわれわれ国政調査におもむいた者に対して財務局から出された資料というものは、ならぬとまで委員が口をそろえてその不信用をなじったわけなんです。従って今局長が答弁されるのと違って、地方の方が中小企業者に対するところの金融に対して、非常に無関心であるということは事実なんです。そこで局長に伺いますが、地方の財務局は、おそらくこれは普通銀行ばかりでなく、相互銀行信用金庫等々に対しても、もちろん信用組合等に対しても、これは平素から当然指導し、監督してやらなければならぬものだと私は確信をしておるのですが、あなたのお考えはどうなんですか。
  28. 東條猛猪

    東條説明員 財務局で至らぬ点がございました点に対しましては、私も深くおわびを申し上げたいと思います。ただ財務局の権限として、ひとり地方銀行に限らず、相互銀行あるいは信用金印に対して当然監督の立場にあるじゃないかという点につきましては、もうお話し通りであります。それで、私ども財務局に、実は金融の監督、指導の相当の権限は委譲してございます。特に相互銀行信用金庫につきましては、店舗の問題でありますとか、あるいは具体的な指導の問題につきましてあるいは検査の問題につきましても、現実に実は権限を本省から委譲いたしましてこういうことをやってよろしい、またやるべきだというふうにいたしてございます。その意味におきまして、地方の財務局あるいは財務局長の骨内の金融面に関する責務は、地方銀行も重いのでございますが、中小企業を相手にいたしておりますところの相互銀行信用金庫にむしろ重点が実は置かるべきでありまするし、私どもといたしましては、当然そういうことで目々の処理をいたしてもらっておる、実はそう考えておったのでございまするが、ただいまの御注意でございますので、十分反省を促したいと思います。
  29. 松原喜之次

    ○松原委員長 なお横錢委員より関連質問の要求がありますので、これを許します。横銭君。
  30. 横錢重吉

    横錢委員 関連して一点だけ伺いますが、現在銀行に対する監査を実施する場合に、大蔵省の監査と、それから日銀の監査との間に連絡がとれておるかとれていないか、この点について伺います。
  31. 東條猛猪

    東條説明員 大蔵省の検査は、もちろん銀行法に基く、主務大臣の監督に基きますところの検査でございます。それから日本銀行の審査は、日本銀行の取引先の業務状況、営業状況を審査するという立場から行われておるのでございます。片方は検査であり、片方はそういう業務上の審査であるという意味におきまして、その根拠なり、また角度も相当違っております。従いまして、どこの銀行についていつ審査をする、いつ検査をするということの具体的な個々の打ち合せば、実はいたしておりませんが、日本銀行が審査をいたしました場合におきましては、その審査報告は私どものところに参ります。従いまして、自後私どもの方で検査の計画を組むとか、あるいは検査の参考にするという意味の連絡をとっておる次第でございます。
  32. 横錢重吉

    横錢委員 従来のやり方は、大蔵省が行けば翌年は日銀がやる、こういうようなことで交互に行われておって、その間に大体支障がなかった。今回北海道、東北の方を回って参りましたところ、大蔵省がやったそのあとすぐに日銀が来る。その間に一、二ヵ月しかたっていない。そのために受ける方では大へんな時間がかかって、しかも費用がかかる。おそらくその報告を聞けば十分だと思うのですが、そのあとにすぐ日銀が来る、こういうようなことでは、どうも受ける方の立場から見て、日銀大蔵省との間には十分な連絡がとれていないのじゃないかというふうにみんなが見るのは、当りまえだと思うし、こういうような重複を避けて運行していただきたい、こういうような要望がありますので、質問とともに申し上げておきます。
  33. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に石村英雄君。
  34. 石村英雄

    ○石村委員 先般北海道から東北にかけて金融事情その他の調査に行って参ったのですが、金融関係で特に問題になりましたのは、中小企業金融公庫などの貸付金が非常に少いという問題でございました。特に国民金融公庫のある所長の人の話によりますと、自分たちで審査して貸し付け得ると判断したものの半分程度が資金関係上貸付ができない、こういうような実情のお話もあったわけですが、これについては、国民金融公庫なり中小企業金融公庫資金計画等の問題になってくると思いますから、これは明日大蔵大臣の御出席のもとでお伺いしたいと思うのですが、まず中小企業金融公庫についてお尋ねします。今年度の資金計画は三百億になっておりますが、年度途中ではありますけれども、大体こういう資金計画は円滑に進んでおりますか。資金運用部で百三十五億、あるいは自己資金で百六十五億、合計三百億、こういう計画になっておるようですが、これは大伴うまく計画通り運んでおりますか。
  35. 國府田守登

    ○國府田説明員 今の中小企業金融公庫資金計画は順調に参っております。あるいは回収が順調でございますので、資金としてはこれ以上貸し出しができるかと思っております。
  36. 石村英雄

    ○石村委員 ところでたしか青森県だったと思うのですが、青森県における中小企業金融公庫の第一四半期のワクは、第一四半期の三分の一程度に減らされた、あるいは二分の一だったかと思ったのですが、その程度に第二四半期には減らされて、非常に弔っておるというお話を開いたのです。この事実におそらく間違いはないと思いますが、一般的にそういうことになったのですか、青森県だけにそういう現象が起ったのですか、いかがですか。
  37. 國府田守登

    ○國府田説明員 第二四半期の資金計画といたしましては、第一四半期は七十五億のワクを代理店に配分いたしたのでありますが、第二一四半期は、当初において確実なる資金において割り当てましたので、六十二億を割り当てておるわけであります。しかし六十二億というものも、資金の回収、貸し出しの回収が順調に参りますれば、相当大幅に貸し出しができるのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。今御指摘がありました青森県についての具体的の数字を今持っておりませんけれども、青森県全体としてこういうふうに大幅に減っておるようには、従来からのやり方から見て考えられないのでありますが、また青森の方からのいろいろのお話もございますので、増額をする場合には、資金の余分ができました場合には、実情に即して、十分その凹凸をならすように考えておるわけであります。
  38. 石村英雄

    ○石村委員 全体的にも第二四半期は減っておるようですが、青森県が極端に減ったということは、何か中小企業金融公庫の貸出方針の結果、そうしたことであるいは減ったのではないか。五月ですか、中小企業金融公庫貸し出し方針に対する要領として、輸出産業、生活必需物資産業及び重要産業の関連産業に重点を置く、こういう閣議の方針が了解事項として決定されておる。従って、これによって中小企業金融公庫としても計画をお立てになったと思うのです。銀行局長にもお尋ねしますが、青森県とか、東北、北海道のように輸出産業のあまりないところには、こういう方針を決定されると、勢いワクを減らさざるを得ないということになるのではないか。こういうことが論理的に予想されるわけなんです。こうした閣議の了解事項が影響して、青森県における三分の一というようなワクの減少というものが、あるいは起ったのではないか、こういうように私は想像しておるのですが、この間の事情を、銀行局長なり中小企業金融公庫理事の方から御説明をお願いしたいのです。
  39. 東條猛猪

    東條説明員 実は私も、はなはだ恐縮でありまするが、青森県の具体的な金額についてはただいま記憶ございませんが、全般的に、ただいま仰せの閣議了解の影響で、そういう輸出産業に比較的縁の薄い地域への削減が行われたかどうかということは、私はそういう事実はないと思っております。中小公庫で第一、第二、第三、第四四半期という一応の資金の配分計画を立てられまして、それに、さらに回収の増加した場合においては、プラスをして貸し出しに回すという一般的な方針もとっておられるのでありまして全体として資金が十分でないというようなことでありますると、それはやはり全般的に影響を受ける。そういうことでありまして、特に今のお話方針があるがために、特定の地域にウエートをつけてふやしてみたり減らしてみたりするというような方法は、とっておられないだろう。また私どもも、さようなことを公庫には申し上げておらない、さように存じております。
  40. 國府田守登

    ○國府田説明員 今銀行局長から御答弁がありましたように、私の方といたしましても、地域的にあるいは業種的に、まんべんなく私ども資金が行き渡るように考えておるわけであります。輸出産業の方を優先させる、こういうことは、特別のじき貸しというような場合に特に考慮するようなわけで、代理店を通ずる場合は、まんべんなく行き渡るように指導しておるわけであります。その点御了承願いたいと思います。
  41. 石村英雄

    ○石村委員 ただいまの御答弁では了解しかねるのですが、中小企業金融公庫理事のさっきの御説明だと、七十何億が六十何億に全般的に減った、十億、二割程度減った。こういうのですが、それでは青森県では三分の一になるということは説明がつかない。やはりこういう貸出方針、輸出産業に重点を置くということから、その輸出産業の多いところに、勢い中小企業金融公庫としては資金のワクを回さざるを得ないということが、必然的に起るのではないか。もしそんなことはないということなら、この閣議の了解事項は何のために作ったかということになる。また青森県でなぜそんなに極端に減ったかということの説明が、ただいまの御答弁ではつかぬと思うのです。中小企業金融が非常に潤沢であるなら、それはやってみて、あとで足りなければまた回すということがあるのですが、全般的に中小企業金融公庫資金も不十分だということは、これはだれが考えても常識的にわかっていることなのですから、青森県で特に減ったというのは、やはりこういう閣議了解事項、貸出方針というものが影響してきたんだ、こう想像せざるを得ないと思うのです。どうも銀行局長の御説明や理事の御説明では、青森県に特に減ったということ、ワクが減ったという事実に対する説明にはならないように考えるのですが、いかがですか。
  42. 東條猛猪

    東條説明員 青森県におきましては、中小公庫の直接貸付でなく、もっぱら代理貸しによって行われておると思います。代理貸しの場合におきましては、御承知の施行令の第一条の業種に該当いたしまする限り、代理貸付業務を扱っておりますところの金融機関において、まんべんなく貸付事務を行なっておるというのが私は実情であると思います。中小公庫の支所が設置せられまして、そこで直接扱いをいたす場合におきましては、輸出に関連をいたしました産業に重点を置くという取扱いが行われておるわけでありまするが、代理貸しの場合においてはさような取扱いになっておらない。ただはなはだ恐縮でありまするけれども、青森県の具体的な事例において、それがどういう事情で三分の一になったかということを、この席で私といたしまして即答できかねる点が御疑問をいただいておる点でありまして、その点は恐縮でありますが、以上私が申し上げておりますることは、実情であるというふうに考えております。
  43. 石村英雄

    ○石村委員 公庫の方の御説明をお願いします。先ほどの御説明では、どうも青森県で特に減ったという理由はのみ込めない。
  44. 國府田守登

    ○國府田説明員 ただいま銀行局長から答弁がありましたごとく、地域的にへんぱに資金を分けるということは、私の方の公庫方針としてもやっておりませんことでありますが、三分の一に減っておるかどうか、その事実を今私持っておりませんけれども、私の方の資金の配分といたしましては、まず代理店から御希望を聴取するわけであります。代理店に、七月と九月の間には、代理店の方では幾らお使いになりますかということを一応お聞きいたしまして、それを全国的に調査いたしまして、それに私の方の資金を按分して、大体不公平のないようにお渡ししておるわけであります。私の方も来週月曜日から支店長会議を開きまして、仙台支店長も参るわけでありますから、とくとその間の事情を聞きまして、もしそういうような、何かのことで資金需要があるにかかわらず、一応の全体的のバランスを破ることがありましたならば、それを十分補正するつもりでおります。どうか御了承願いたいと思います。
  45. 石村英雄

    ○石村委員 どうも納得できないのですが、一つ調べて、そういうことの起らないようにやっていただきたいと思うのです。ただ地方から申し出があって、それによって割り振りということになって按分比例で分けると、申し込みをたくさんした方がよけい回るということになりかねないのですが、そういうことがないように注意願いたいと思います。  そこで銀行局長にお尋ねしますが、この中小企業金融公庫に対する閣議了解事項の、中小企業金融公庫による設備融資については、輸出産業、生活必需物資産業及び重要産業の関連産業に重点を置く、こういう了解事項ができて、中小企業金融公庫に指示があって、それがこの雑誌にも載っておるわけなんです。中小企業金融公庫とすれば、こういう方針貸し出しをなさると思うのですが、中小企業金融公庫にこの輸出産業に重点を置かせるということは、私は問題ではないかと思うのです。輸出産業は、今日日の当る産業として、むしろ一般銀行なんかが貸す部面ではないかと思うのです。一般銀行が貸さないところに貸すのが中小企業金融公庫の使命であるわけなんです。それを輸出産業に重点を置かせる、こういうことをされては、日の当らぬ産業に従事しておる者は、中小企業公庫が何のために国で作られたか、その意義がなくなってしまう、こういうように考える。この閣議了解車項というものは、一体どういう判断でお出しになったか。何もそれなら中小企業金融公庫を作らなくてもいいと思う。銀行局長の閣議了解事項に対する御説明をお願いしたいと思います。
  46. 東條猛猪

    東條説明員 中小企業全体に、いろいろの方法によりまして金融的な便宜を供与しなければならないということでありますが、その中でも、やはり輸出に開通をいたしたという場合に、しかもそれが一般の普通の金融機関の融資の対象にならないという場合におきましては、補完的な役目を持っておる中小公庫として、やはりそこに重点を置いて考えるのが適当であろう、もちろん中小企業の中で日の当っておりまする、そして一般金融機関で融資の対象になっておりまする分につきましては、一般金融機関によって融資が行われるわけでございまして、中小公庫の補完的な役割というものはいわば出る余地はない、しかし一般金融機関では金融が十分に届かない、そういう分野の補完的な融資につきまして、そういう場合において、輸出関連産業というものに重点を置くという考え方があっても適当であろうというふうに考えておる次第でございます。
  47. 石村英雄

    ○石村委員 そういう輸出産業に重点を置いて悪いということは、一般的にはないと思うのですが、しかしやはり中小企業金融公庫の根本使命というものを考えると、こういう通達を閣議了解事項として出すということは、私事は不穏当だと思う。こんなことは、中小企業金融公庫判断にまかして一おいてけっこうなことだと思う、こうした処置をとられるから、結局青森県とか北海道というような輸出産業に縁の薄いところの中小企業というものは、ワクを減らされてどうにもならないという結果が生まれてくると私は考えるわけです。どうかこういう点は、十分銀行局としても検討していただきたい。中小企業金融公庫は、日の当たらぬ産業に対しての金融が重点であるという根本使命を、大蔵省ももう一度考え画していただきたい、こう考えます。私はこれで終ります。
  48. 松原喜之次

    ○松原委員長 春日委員より関連質疑の要求がありますので、これを評します。春日君。
  49. 春日一幸

    ○春日委員 今石村君の指摘された問題は、私は非常に大事な問題だと思うのです。申すまでもなく、中小企業金融公庫法の第一条の中には、普通の金融機関で融資のつきがたいものを、この公庫資金によって融資をするということが明確にうたわれておる。輸出産業に対して融資がつきがたいかどうかということは、今さら申し上げるまでもなく、金融準則の中でも第一位にこれを取り上げておりまするし、あるいはまた輸出入銀行等専門金融機関もあるし、あるいは為替銀行等を通じてその円資金の裏づけ等いろいろな特別操作が行われておって、これは中小企業金融公庫法の第一条がいっておりまする、一般金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。そういう困難性というものは、こうもないわけなんです。その困難なところにウエートを置くという閣議了解ならば、この法律の精神にはっきりと合致することであろうけれども、閣議決定といえども、何ものいえども、この法律に違反する、あるいは法律の精神に逆行するような、そしてまた法律の効果を弱めるような、そういう閣議決定は断じて許されてはならぬと思う。閣議決定といえども、もとを言えば、東條さん、あなたの方からこれは起案されて、そうして誤まったそういう資料に基いて、大臣がそういう処理を進めたと考える。こういう意味で、私は東條銀行局長の責任は重大であると思う。こういうような閣議決定によって公庫一般資金が、今石村君指摘通りに減らされてきておる。これはおそらく全国的な傾向であると思う。輸出産業については、とにかく年間二兆円ですか、そういう大きな融資で、各部面において相当のパーセンテージを占めておる。私はこの閣議決定は取り消さなければならないと思うが、この点についてどういうふうに考えておられるか、もう一ぺん明確にされたいと思う。
  50. 東條猛猪

    東條説明員 申し上げるまでもなく、今御指摘通りに、一般金融機関が融通することが困難な場合の、特に中小企業方面に対する補完的な役割を中小企業金融公庫が持っておるわけであります。そこで、一般金融機関金融が困難な業種もまたいろいろあると思います。そういう中小企業を全体として見ましてこの施行令第一条の各業種において、輸出関連産業の、しかも下請その他の中小企業であって、一般金融機関からの融通が困難な場合においては、それを重点的に取り上げるという趣旨で、ございまして、中小公庫法第一条の趣旨に決して背馳するものではない、私はかように存じております。
  51. 春日一幸

    ○春日委員 それは違っておりますよ。輸出産業を対象とし、その輸出産業の中においても、なかんずく融資が困難な輸出産業、こういうことなら、あるいはあなたの釈明はそれで了承できるかもしれないけれども、これは読んで字の通り解釈しなければならない。それはあなたの言われるようには書いてないのです。五月一日の閣議了解として、輸出産業、生活必需物資産業及び重要産業の関連産業に重点を置きつつ、というふうに書いてある。こういうふうに重要産業に重点を置いて、そうしてこの産業のうち、一般市中銀行において融資のできないものに重点を置く、こういうことならわかる。けれどもあなたが今説明されたのは輸出産業の中においても、なかんずく融資の困難なものに重点を置くということなら、補完的役割を果すでありましょうけれども、この閣議了解事項の通達そのものを読んでわかるところは、結局輸出産業、生活必需物資産業、重要産業というもの重点を置くという形になっておって、普通の輸出産業のみならず、生活必需物資産業でも、あるいは重要産業、その関連産業、こういうものは、すべて一般市中金融機関金融のつくものなんです。そういうもののうち、なかんずく市中金融機関によって金融のつかないものということは書いてありませんよ。もう一ぺん御答弁をいただきたい。
  52. 東條猛猪

    東條説明員 これは閣議決定にいたしましても、通牒にいたしましても、法律が大前提になっておるということは明白なんです。従って春口委員からも御指摘通りでありまして一般金融機関が融通することが困難なものという大前提があるのです。その大前提のもとに、そういう中でどういう順位で考えようかという立場であります。これは中小企業金融公庫理事からお聞き取りを願った方が、現実の事務としておわかりになるかと思いますが、中小企業金融公庫が申請を受け付けまして、実際の審査をいたします。そういう場合には、これが一般金融機関から融通がつくかつかないかということを考えて、中小企業金融公庫では審査をいたしまして、一般金融機関から金が出ない場合に初めて融資するということを、現実の事務処理といたしましてはいたしておるわけであります。私の申し上げたい趣旨は、中小企業金融公庫法の第一条の精神は、これは事理の当然でありまして、その前提のもとで公庫の事務処理が行われて知る、かように御了承をいただきたいと思います。
  53. 春日一幸

    ○春日委員 この閣議了解による通達は、相手に大きな誤解を与える。よってもって、ただいま石村君が国政調査日の結果、青森県においては、現実にいろいろな障害が発見されてきておるのですが私はこういうような通達が、現実に相手に誤解を与えておると思うのです。第一条の一般金融機関ではなかなか金融ベースの対象になりがたい、こういうようなものをその融資の対象にするのが、公庫の使命である。この大前提は明確である。今あなたの言われたのは、それならばその中でどれをとろうかということになると、輸出産業、生活必需物資産業、重点産業をとるのだ、こういう工合に言っておられます。けれども、法律を審議するときに、だれもそんなことを審議したことはない。これは十八品目というものをその中に制限列挙して取り上げておるのであって、第一順位から第一、第三という順位があるということはだれも了解していない。本委員会においては一回も審議されたことはない。それが生活必需産業であろうと何産業であろうと、十八品目というものを制限列挙したのは、これを機会均等に、公庫の融資対象の中において平等に見る、こういう了解の上に立っておるのである。輸出産業、重要産業、生活必需物資産業ということは、われわれが法律を審議したときにも十分考慮に加えられておるのだけれども、しかしその中で、この十八品目は必要であろうということで、これを対等の立場において取り上げて法律事項にしておるのですよ。それをその後においてそういうわれわれの決定と公庫の融資使命に大きな誤解を与え、相手に錯覚を与える、そうして資金がそういう方面に大きく食われてしまって、輸出産業とか生活必需産業とか重要産業のない地域に対して、その資金源をはなはだしく圧縮していくというような結果を及ぼす通達は出すべきではない。これは法律の違反です。法律に違反するような閣議決定とか了解とか、そんなものはなし得べきものではない。これはすべからく取り消さなければならぬと思うが、取り消すことができないとするならば、何らかの誤まりの訂正なり、何らかの方法を講じて、公庫がその法律に基いて当然にして公正なる任務を遂行するような手を打たなければならぬと思う。これはあなたの誤まてる建言によって一萬田君は大へんな失態をした。これをどう考えられるか。このままほっておくつもりであるか、それとも何か手を打たれる考えであるか、この際責任ある答弁を願いたい。
  54. 東條猛猪

    東條説明員 私は決して閣議決定が法律に違反し、また国会の御方針や法律にお定めになっておるところと違ったものではない、こう考えております。先ほど青森に関する具体的な御指摘がありましたが、その点につきましては、支店長会議なり、そういうところで具体的に調べまして、もしほかの地域と非常に不均衡に、資金需要があるにかかわらずそのワクがきゅうくつになっておるということであるならば、訂正をするということも、公庫責任者が申されておる通りであります。従いまして、その閣議決定のゆえに、現実資金の配分その他において間違ったことにはなっておらない、こう考えておりますが、青森の事例もございますので、具体的によく事情は調奪いたしたいと思います。
  55. 春日一幸

    ○春日委員 それでは答弁になりません。では伺いますが、第一条の目的を達するために、いろいろと検討を加えて、融資対象になる業態を一つ追加されて十九品目をあげられたが、この十九品目は何らか順位があるものかないものか、それを一つお伺いいたしたい。
  56. 東條猛猪

    東條説明員 私は厳格な法律解釈といたしましては、資金に限度のある場合、そのときそのときの情勢に応じましてウエートをつけるということも、法律違反ではない、こう考えておりまする。
  57. 春日一幸

    ○春日委員 どういう工合にウエートをつけられるか。この第一品目から十八品目ですか、この品目は何らその資金に対して条件がない。この間追加された映画興行業に対するもの、これは衛生とか防火とか付帯的な条件がつけられておるけれども、当初定められた十八品目については、何ら条件が付せられてはいない。限られたその資金の範囲内において申し込みが多かった場合は、どういう順位でこれを取っていくかということについては、本委員会においては何ら検討されていないけれども、しかしこの際伺っておきたいことは、第一、第二と第十八に至るまでの間、その順位は、今ここに指摘されているように第一番が輸出産業であり、第二が生活必需産業であり、第三が重要産業である——重要産業もまた、抽象的な表現ではあろうけれども、そういう工合になっておれば、あなたの答弁とあるいは偶然一致するかもしれないけれども、そうでなければ、あなたの答弁と大へん食い違いが生じてくるわけです。牽強付会は許されないと思う。私は、やはりその法律ができた当時の情勢に従ってできているんだから、情勢が激変してくれば、その法律は改正しなければならぬ。ただ単なる閣議了解なりあなた方の即興的な着想で、そんな根本的に法律がゆるがされるような通達をされては、重大問題だと思う。この際明確なる御答弁を願っておきます。
  58. 東條猛猪

    東條説明員 第一に製造業、第三に土石採取業とありますが、製造業といいましても、その製造業の業種あるいは用途によりまして、たとえば輸出に関連していますとか、あるいは重要産業でございますとか、そういう製造業の内容において判断ができるものであると考えます。そうして資金のワクが十分でない場合におきまして、どういうウエートをつけるかということは、やはりそのときそのときの全体の情勢に即して判断すべきものであろうと考えております。
  59. 春日一幸

    ○春日委員 それは違っている。法律で十八品百を定めているのですから、十八品目というものについての重点のつけ工合は、そういう工合につけるのではない。それは逆なんです。というのは、十八品目の中の大前提となる、すなわち市中銀行から融資の受けがたいもので、その困難性が多ければ多いほどそれを最優先にやっていかなければならぬ。もとよりいろいろな生産業がある。輸出産業もあるであろうし、極端に言うならば、パチンコ製造業というものもあるだろうけれども、そういうようなものは融資の対象の中には当然入っていない。だから十八品目あげられている業種業態の中で何を優先的にやっていくかということになると、これは見ようによるけれども、輸出産業や生活必需産業、重要産業のように、普通の金融機関から容易に融資の受けられるようなものはあと回しにされて、通常の金融機関から融資が受けられないような弱小産業というか、日陰産業というか、そういうものに公庫資金が流されるべきものである、こういうふうにわれわれは理解し、法律はその条文を明確にうたっていると私は思う。あなたが答弁されていることとわれわれが理解していることは、まさに正反対である。だからこういう結果が生じていると思う。この点はどう理解されているか、あらためて答弁を願いたい。
  60. 東條猛猪

    東條説明員 どうも正反対のことを申しあげているつもりはないのでありますが、法律の第一条でもって、一般金融機関が融通することが困難なもの、そういうことは大前提でございます。そういう一般金融機関でできないものの補完をするのが中小公庫である。これは御指摘通りであります。そうして業種としては、一から十八まであげているわけであります。ただ資金のワクが遺憾ながら必ずしも十分ではない場合におきまして、それではその一から十八までのうちで、全然ウエートをつけられないかと申しますと、私が申し上げております趣旨は、たとえば一の製造業の中でも、輸出に関連したものがあり、あるいは非常に重要な産業がある。しかもそれは、大前提といたしましては、一般金融機関からは融資が受けられないものであることは当然でありますが、さようなそのときの経済情勢に応じたウエートのつけ方は、法律違反ではあるまい、かようなことを申し上げておるのであります。
  61. 春日一幸

    ○春日委員 それでは伺いますが、輸出産業とか生活必需産業、重要産業、こういうものは金融順位の中ではどこに位しておりますか。
  62. 東條猛猪

    東條説明員 私はこの第一条の一から十八のうちで、おのおのについて、やはりそういう事例があり得ると考えております。
  63. 春日一幸

    ○春日委員 そうだといたしますれば、一から十八の中に、ひとしくそれはすでに含まれておるとする。そうすると、あなたが言われたように、一から十八までの間において、おのずからそのウエートというか、優先順位というものがその場合浮かんでくるのだというようなことはあり得ないではありませんか。いずれの中にでも含まれておる、そうじゃありませんか。
  64. 東條猛猪

    東條説明員 さようでございますから、たとえば資金のワクが十分でない場合に、製造業の中で輸出に関連いたしました製造業の融資の申し込みと、それから比価的緊要度の低い業種の融資の申し込みのありました場合に、輸出に関連した方を優先せしむべきではなかろうかということを申し上げておるわけであります。
  65. 春日一幸

    ○春日委員 それでは伺いますが、一般金融準則ですよ。私は中小企業金融公庫金融順位をお伺いしているのではない。いわゆる金融準則というものが戦争中にできて、その後だいぶ改正されては参っておりますが、現行金融順位の中で、輸出産業とかあるいは生活必需産業、重要産業というようなもののランキングは一体どこに位しておるか、これを伺っておるのです。
  66. 東條猛猪

    東條説明員 実は具体的な融資の順位表を持って参っておりませんので、大へんあいまいなことを申し上げて恐縮でございますが、相当優先度は高く置いてあります。あるいは規定の仕方が、今御質問のような規定の仕方になっておったかどうか、これは私はちょっと御返答申し上げかねます。
  67. 春日一幸

    ○春日委員 それは銀行局長とか大蔵委員会というものは、常識的に知っておることなんです。輸出産業とか生活必需産業とか重要産業金融の最優先順位を占めておることは、常識なんですよ。だからそういうようなものは、金融行政の万般を通じてあまねく庇護されておることなんです。特に輸出については、輸出入銀行という特別銀行を設けるとか、そういう輸出資金に事欠かさないためのあらゆる手を打たれてあるのです。そうして中小企業金融は、そういうような問題とは全然関係なくして、日本中小企業のこの困難を打開するために、長期資金をいかに調達していくか、これは一般金融ベースでは調達ができないので、財政資金によってこれを調達していこう、こういうことでこの金庫ができておるのですよ。だから私が申し上げるのは、今、日本金融政策の中において、あらゆる優遇を受けておるところのそういう輸出産業や、あるいはまた生活必需産業や重要産業だけを最優先に置くという根本的な考え方は、この法律の精神並びにその目的に徴して明らかに違反をしておる。違反をした了解の通達がされておりますから、末端において大きな混乱を生じてきておる。すなわち輸出産業や生活必需産業や至要産業のないところの地方の中小企業が、その資金をそちらに蚕食されて、よってもってこの法律の正当なる執行がゆがめられて行われておる。そこにわれわれの指摘があるのですよ。あなたの考え方は、根本的に間違っておるんだから、よく検討されて、そうして私の申し上げることに十分お気づきになったら、これは一つ検討を願って、この通達については、あらためて何らかの具体的な行政措置を講じられなければ、あなたは法律を曲げるとか、あるいは法律の精神をじゅうりんするとか、大へんな罪悪を犯した形になるのです。これを十分に御検討されて、緊急に善処されることを強く要望して、私の質問を終ります。
  68. 石村英雄

    ○石村委員 ただいま銀行局長が非常に形式論をなさったのですが、形式論ではああいうことも言われるかと思うのです。しかしこの中小企業金融公庫の従来の仕事ぶりについては、世間では非難が相当あるわけなんです。この中小企業金融公庫法の一条には、一般金融機関から融資を受けることができないものということにちゃんとはっきりなっておるのですが、このことは、やはり具体的にはなかなかきめにくい問題なんです。世間の非難として、銀行、特に大銀行なんかに代理貸しを認めた関係から、大銀行が本来やれるところを中小企業金融公庫に肩がわりしておるのだという非難が、世間には相当強いわけなんです。中小企業金融公庫の当事者としては、そういうことのないように注意はしておられると思うのですが、なかなかここははっきりわからないのですから、悪用されるおそれは一方で多分にあると考えなければならぬ。そうして世間では、その悪用されておるという非難が事実あるわけです。そこに持っていって、輸出産業に重点を置けという通牒を出されると、輸出産業はとにかく目の当る産業である。従って、これは一般銀行が融資の対象になし得るはずのものが、ともすればこの方面に、中小企業金融公庫の方の資金を余分に食うというおそれが自然に起ってくるわけです。その点を、形式論でなしにわれわれは問題にしたいと、こう考えておる。事実また青森県等のような輸出産業のないところに、資金のワクが第二四半期ではうんと減ったというようなことから考えて、こういう通牒というものは、やはりもう少し事実に対して検討を加えてやってもらいたい、こういうことを申し上げておるわけであります。一つ十分実情なり何なりをお調べになって、そしてそういう日の当らぬ産業に対する融資が、中小企業金融公庫の根本使命であるということを、もう一度よく考え直していただきたいということを申し上げておるわけなのであります。
  69. 東條猛猪

    東條説明員 御趣旨よく承わります。
  70. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に横山利秋君。
  71. 横山利秋

    ○横山委員 国有財産の適正な管理と処分ということについては、先年来国民の非常に注目をいたしておるところでありまして、行政管理庁もこれについて、過ぐる国会の前でありましたか、勧告を与え、大蔵省もこれに対しては、いうなれば恭順の意を表して、着々検討されておるところであります。これについて最近伝うるところによりますと、国有財産処理の方針について特別会計を設定する、こういう方向がきまったようであります。ただその内容とするところを見ますと、国の財産を処分して、それによって収入を得て、この収入をもって官庁の営繕に充てる、こういう立場の独算制をはかるという趣旨があるのであります。これは一つの見解だとは思うけれども、今日までの失敗を逆の意味で繰り返させる、こういう結果が出はしないかと私はおそれるのであります。その一つは、官庁の営繕がいろいろと叫ばれておるけれども、そういう一つの狭いワクで、官庁の営繕が縮みはしないか、また収入を得るために、国の財産の処分についてまた逆の意味の問題が起りはしないか、こういうことを私はおそれるのでありますが、どういう目的をもって特別会計を設定し、どういう方向で国民の非難の的となっております、国有財産の適正な処分と管理をなさろうとするのか、まず第一にそれをお伺いしたい。
  72. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げます。ただいまお話しのように、国有財産の管理処分につきまして、前国会以来非常に国会でも御心配をいただき、また政府といたしましても、非常にこの問題は重要でございましたので、閣議におきましても、この問題をいかにするかということにつきまして特別の御了解を得まして、政府部内に国有財産審議会を設置いたしまして、白来審議会におままして、この国有財産管理処分の基本的な問題並びに重要な処分につきまして審議をわずらわしておることは、ただいまお話し通りでございます。その屡次にわたる審議の結果、ただいまお話しのように、将来国有財産の管理処分を行いまする機構問題、あるいは会計制度の問題等につきましても、ただいま中央審議会の企画部会におきましてせっかく御審議中でございます。しかし、これはまだ何ら結論的なものには到達いたしておりませんので、いわばこの審議会におきまして、各委員から自由にいろいろ御意見が表明されておるのでございますが、その意見の一部等が新聞その他に伝わりましてただいま横山委員お話しのように、特別会計を作るというふうな方向にもあるかのごとき報道もあったことは事案でございます。しかしこれは、審議会において申し上げた通り審議中でございまするので、ただいま私どもといたしましては、どういうふうに御答申をいただくか、この御答申を待ちました上で、政府といたしまして、この御答申を重要な参考といたしまして慎重に結論を出さなければならぬ問題かと考えておるのであります。ただいまいろいろ具体的に御指摘の点は、まことに傾聴に値するりっぱな御意見でございます。特別会計を作るに際しましても、どのような仕組みにいたしまするか、この会計の歳入をもちましてどのような経費を支弁していきまするか、これはお話の中にもございましたように、官庁営繕費用をこの会計で支弁していくかどうかという点は、まことに重要な問題でございまするので、これまた審議会の御答申等も十分参考にいたしまして、政府としても部内でなお研究を要する問題かと思うのであります。ただいまのところは、私どもとしては、さしずめ本審議会が発足いたしました基本的な事由でございましたところの、国有財産の管理処分の適正化という点に最重点を置きまして、機構の刷新なり改善、また会計制度の改善なりについてお考えをいただくというふうな期待を持っておるのでありまして、ただいま御指摘のような点につきましては、なお今後の検討に待ちたい、かように考えております。
  73. 横山利秋

    ○横山委員 特別会計が設定されば、いずれは当委員会においてその根本的な、あの一方について審議するわけでありますから、私はそれに譲るといたしましても、最も今言いたい点は、そういう委員会を作り、あるいは民間の御意見を拝聴するということはもっともなことではあるが、しかしあれだけ国民から非難のあった国の財産の処分について、そういう会議で小田原評定をしているような格好で、現実の処理について非常に不満な点が多いのであります。先般来毎日新聞でありましたか、「白アリは巣食う」とか——あなたの方にも言い分はあろうけれども、例らの発言もせられておらない。国民一般は、国有財産の管理並びに処分というのはああいうものかというふうに  認識をしておる。それに対するあなたの方の答弁は、今会議を開いて一生懸命に協議しておる最中でありましてという状況で、これでは国民を納得させるわけにはいかぬのであります。現実的な処理として、方針がきまるまでの間においても、国会の決議なり、あるいは国民の批判を受けて適正なる管理処分をしなければ相ならぬ、こういうふうに考えておるわけです。  その具体的な問題として私がただいまから質問をいたしますのは、先国会の当委員会において修正決定をいたし、ただいま実行中の国有機械の交換業務であります。過ぐる三月でしたか四月でありましたか、当委員会においてあなたに質問をいたしました。長時間質問をして、政務次官がそれを聞いておられて、初めて私はこの実情を聞きました、質問応答を通じて、私も一驚いたしました、誠意をもってこの国有機械の交換業務に尽力いたしますと、端的ではありますけれども、政務次官がきっぱりとおっしゃったところであります。ところが先般調べてみまする、今日の交換は、交換用機械概算一万五千台ありますところ、六月末現在でわずか二千四百四十五台しか交換が行われていません。約一割六分にしか当らないのであります。国会がこの法律案を通しまして、すでに一年に相なっております。その間私は二回にわたって質問をし、先ほど申し上げましたように、政務次官も、少し待ってもらいたいという答弁をしておるわけですが、どうしてこんなにおくれておるのか。私は先般来国政調査で東海地区を回って調べてみました。下郷の諸君の言い分は、もっともな点もございます。しかしどんなにもっともな点があろうとも、下部の諸君が一生懸命に働いておろうと、これはまさにその方針を決定され細目を実行せられるあなたの責任であるといわなければなりません。なぜこういうふうにおくれているのか、まず第一にあなたの見解を承わりたい。
  74. 正示啓次郎

    ○正示説明員 国有機械の交換につきましては、ただいま御指摘のように、前国会におきましても御熱心にいろいろ御討議を願いまして、私どもこの制度ができまして以来のことも十分承知をいたしておりますので、せっかく努力をいたしておりますが、ただいままでの成果は、今おあげになりましたように、非常におくれておりまして、まことに申しわけないと思っております。これは前国会でも申し上げましたが、選別をまず非常に厳重にやらせまして、その次にスクラップ——これはただいま金融関係でもいろいろ御議論かあったのでありますが、何しろ限られた人数で、限られた予算と時間のもとにやりますので、何もかも一度にやっていきたいという気持はあったのでありますが、どうしてもそうは参りませんので、とりあえず機械のスクラップ化に非常に力を入れまして——これは前国会でも申し上げましたように、大体九月を一つの最終の期限に切りまして九月までにスクラップ化を工部完了するようにということで全国を督励いたしまして、この方はただいまお話がなかったのでありますが、相当成果をあげておるわけであります。一方機械の方につきましては、交換に適する機械の選別は全部終っております。ただ、東海地区等におきまして、一部さらに追加をいたしたようなことの権限と申しますか、事務を処理する道は十分ついておるのでありますが、さてこの機械をどういうふうに引き取っていただくか、これの対価として、交換の対象としてどういう機械を出していただくかというふうなことをやります場合に、県あるいは同業組合等に非常にお力をいただいておるのでありますが、この話し合いに相当の時間を実はとっておるようであります。先ほど申し上げた国有財産審議会等には、個々の機械の交換というふうな問題は一々わずらわす必要はない、国会で法律を認めていただいておりますし、選別等に十分力をかけておりますので、こういうのは事務的にどんどん進めて参るというような考えをもちまして、そのつもりで第一線にお願いをしているのでありますが、今申し上げましたように、いろいろの仕事が重なり合いまして、まず選別からスクラップ化、これの一段落を待って交換を一斉に進める、こういうふうな段取りでございますので、ただいま六月末の数字をおとりになりますと、仰せ通り非常に成績が悪いように見えるのでございますが、九月、すなわち来月をもちましてスクラップ化も全部完了いたす予定になっておりますので、あとは一瀉千里にぜひ交換を進めていきたい。特に国政調査で御調査を願いました東海地区につきましては、この機械の交換のために特別の班を作りまして、機動的に動く態勢もとっておりますので、今日現在におきましては、御満足をいただけない状態でございますが、まずスクラップ化を完了いたし、なお今いろいろお話し合いを願っておりますような関係の向き等とも一そう話を促進、させまして、近く一斉に交換の事務につきましても能率を上げることを期待いたしておるような次第であります。
  75. 横山利秋

    ○横山委員 そうい御答弁は、もうすでにさきの国会であなたからいただいておる。ただ一つ違う点は、話し合いに、よって時間がかかっているということである。これは私は、まことに遺憾千万な御答弁だと思う。この交換については、本委員会が全国の中小企業に対して、政府提案と相まって与えた一つの善政ですらあると思っている。中小企業はこれに対して、娘一人婿八人のようなかっこうで殺到して希望しているわけです。いわゆるあなたのおっしゃる話し合いの時期というものを早くしてくれ、早くしてくれというふうに中小企業の方は待っておるわけです。従ってあなたの方の準備態勢さえあれば、この話し合いはとっくに済んでおるのであります。それが、本委員会で行われました附帯決議の趣旨が十分生かされておらないために、画一的な話が行われておりますために、あなたの方から言う立場の話し合いというのは、なかなか行われていないのであります。中小企業の方の話し合いの態勢というものは完了いたしておる。この点は十分間違えてもらわぬようにしなければならぬ。あなたの方の事務が渋滞して、一年たってわずか一割六分しか交換が行われない。業者の方からは全く殺到している今日において、伝えられるところによりますと、大蔵省内部において、この市場価格、交換の価格を改訂する準備がある、こういう話が伝えられておるのであります。そういう話が伝えられたら、今度はよけいに各地の中小企業は、自分のところの順番がこないうちに市場価格を変えられるという話があったら、おそくなったら大へんだというので、またこれに殺到しておる。私はその話を聞いて、そんなばかなことはないであろう。そんなことを大蔵省考えるのだったら、自分の不始末をたなに上げておいて、そしておそくなった人には値段を高くいたします、こういうふうな結果になる。こういうふうなことはないと思うけれども、一ぺん一つあなたの明確なる所見をいただいて、今日この段階において、評価価格を変えるというふうなことはないという答弁を、一つここでいただいておきたいと思うのです。
  76. 正示啓次郎

    ○正示説明員 ただいまの点でございますが、この評価につきましては、大へん横山委員のいろいろお知恵を拝借いたしまして、私どもとしましては、さきの立法に当りまして当委員会でいろいろ御審議をいただいた点は十分取り入れておるつもりであります。最近市価調査をいたしたことはございますが、これは値段を上げるとかいう目的ではございません。先ほど申し上げましたように、スクラップ化を多少無理だといわれるような態勢のもとに進めました次第も、今日鉄鋼価格は非常に御承知のように暴騰いたしておりまして、国内にスクラップ資源が非常に払底をいたした。これに対する緊急対策の一つといたしまして、私どもは非常の措置としてやった次第であります。その趣旨からも当然申すことができますように、この機械の交換を少し高くして、国がもうけるなどというけちな考えは毛頭ございません。今日物価問題が非常に経済的に重要視されておるときでもございますから、私どもといたしましては、最初に申し上げました通り、本立法がされました当時、この委員会におきましていろいろ御議論のありました点、並びにその後実施の過程におきまして、評価等につきましても十分いろいろ検討を加えたのでありますが、その基本線をくずすつもりはございませんので、今後はただいま申し上げましたように、いろいろの事情で今までおくれておりましたが、ぜひともこの機械の交換ということに、動産関係の職員の全力を上げさせまして、既定の方針に従って、予定通り事務を進捗させたい、これだけを考えておるのでありまして、今御指摘のような市場価格を再検討して、交換価格を引き上げるというふうな考えは毛頭持っておりません。このことを申し上げます。
  77. 横山利秋

    ○横山委員 了承いたしました。この点については、かえってこれが、交換業務が今殺到しておるという一つの原因でもありますから、一つその趣旨を徹底させるように御配慮を願いたいと存じております。  それと関連をして、この中小企業に対する一つの措置が必然的に当時も議論されましたが、メーカー側からの反発があるであろう、あるいは機械商からの反発があるであろうといわれております。伝えられるところによりますと、機械商の諸君が、この交換の業務が促進されることによって、自分たちはとても打撃を受けるということで、この交換対象機械を競争入札にしてもらいたい、あるいは自分たちも仲間に入れてもらいたい、あるいは交換に出された機械を自分たちもほしい、こういう運動がなされておるように伝えられているわけであります。この点についても、私はおそらく今までの基本線は、法律を乱し、あるいは通達の方向を変えておやりになることはないと思うのでありますが、端的でよろしゅうございますから、この点についても言及をしていただきたいと思います。
  78. 正示啓次郎

    ○正示説明員 機械につきまして、今お話しのようなことは、私まだ直接耳にいたしておりませんが、器具につきまして、ある程度そういうお話がございまして、これは、特殊な操作を要するものにつきましては、その操作をすることを決定をいたしたことは御承知の通りかと思います。機械及び器具を通じまして本措置、これは特別措置法を御改正をいただいて認めていただいたのでありますが、その根本趣旨が、中小企業の機械の多少でも近代化と申しますか、合理化と申しますか、そういう線にあることは十分承知をいたしております。また一方スクラップ化ということはこれはもう先ほど申し上げましたように、国内のスクラップの供給の一つの源泉として、急いでこれを処理するという点にあったことも承知をいたしておるのであります。従いまして、今御指摘のように、この機械をさらに一部機械メーカー等の利益になるようなやり方に変えていくということは、本来の趣旨から申しましてとうてい考えられないのであります。これはぜひとも、いわば最終需要者と申しますか、機械を現実にお使い願いまして、それが中小企業設備の多少でも近代化、あるいは合理化という線にマッチいたさない限り、この趣旨の根本を生かすことにはならないのでありますから、そういう点から、ぜひとも私どもとしては既定の方針に従いまして、これをやっていきたいと考えております。これはただいま突然のお話でありまして私あるいは一部の動き等についてなお承知をいたしておらないかもしれませんが、この基本線というものをくずすつもりは毛頭ないことをはっきり申し上げておきます。
  79. 横山利秋

    ○横山委員 そこで今度はこまかい点で三つお伺いしたい。一つは、これを一体いつまでに完了するつもりで準備をしておるのかという点であります。先般十一月というふうにあなたの方の通達がございました。ところが現地調査をしてみますると、たとえば豊川では、現在の態勢ならば三十ヵ月かかるということです。これは私も、そんなばかなというわけでいろいろと今日までの処理状況、今後の見通し等を推算いたしてみますると、やはり三十ヵ月は多少多くても、二十五ヵ月くらいはかかるという感じがいたすわけであります。今特別班なりを設けてやる、あるいはそのほかの措置をするとおっしゃっておられるのだけれども、今年中にあなたがやりたいという措置は、気持の上の問題でかりに許されても、現実問題としてはとうてい許されないことだと思うわけであります。あなたが今年中にやるというならば、それに対して特別な措置を配慮する必要があると痛感するのであります。こういう観点に立って、一つただいまあなたに具体的な措置を要求するわけではございませんが、非常に全国においても促進を要望されておるところでありますから、お言葉通り、今年中に一つ完了いたしたいという気持を現実の行為として表わしていただきたい。そのために具体的な措置を一つとってもらいたい。こういうことを私はこの際強く要望いたしておきます。これは三度目に当る問題でありますから、もしも今年中にできなかったら、私は少しあなたに強い立場をとらなければなりませんから、これを一つ警告をいたしておきます。  それから第二番目に、この交換機械の対象になっている以外の問題で、たとえば学校にこれをやるとなっておって、まだやっていないもの、あるいは自衛隊にそうなっているもの、あるいは米軍にそうなっているもの、ないしはやっておっても使っていないもの、そういうものがたくさんございます。この点について、一つ検討なさる用意があるかないかという点を第二番目にお伺いいたしたい。  第三番目には、工具類の問題であります。工具類については、すでに調査の結果は千五百万点あるようであります。もちろんこれは選別をされるという話でありますが、まだいかなる出張所も選別をいたしておりません。すでにこの問題については、通達の中に出ておるものではありますけれども、一体これをどうなさるのか、この点についてすみやかに、直接需要者に対して、これを産業の発展のために資される用意があるかないか、それらの三点についてお伺いをいたします。
  80. 正示啓次郎

    ○正示説明員 第一の期限の点でございますが、これは前々から年内を目標にいたしまして、ぜひやりたいということで参っております。御指摘のように、豊川あたりは先ほど申しましたように、手数百台追加をいたしまして、この点につきまして多少例外的に考えなければならぬかと思っておりますが、これまた東海財務局等におきましては、先ほどお答え申し上げたような特別措置も考えております。なお本省といたしましても、ぜひ現地に協力をいたしまして、場合によりますと人手も出していきたい、こういうことで、目標はぜひ年内、まかり間違っても年度内にはぜひやりたいという気持でやっておるわけであります。  それから所管がえ等を決定したが、なお実行されていないものについて再検討の必要があるのではないかというふうな点でありますが、これは各省その他と十分連絡をとりましてきめたのでありまするから、今のところ再検討の気持はございません。しかしこの所管がえをいたしましたものの引き取りその他は極力推進をいたしまして、なお相手方がその後の事情の変化等で、どうしてもこれは再検討を要するという事態が生じた場合は別でございますが、今日のところはさようには考えておりません。  工具は、御承知のように非常に膨大な数量に上っておりますが、これにつきましても、各局それぞれ知恵をしぼりましてただいま御指摘のように、一日も早くお役に立てるということを目標にいたしまして、鋭意やっております。これまた私御指摘趣旨をよく体しまして、今後一層努力をしていきたい、かように考えております。
  81. 横山利秋

    ○横山委員 私の申し上げた第二番目は、あなたの御答弁通りといえば、あなたの御答弁の通りになる。けれども、当時の実情を考えてみますと、機械がある、官庁か学校か、どこかで使うところはないかといったら、さっと殺到してきて、とにかくかかえておけばいいだろうという個所が現にあるわけであります。そういう保管がえをしたもの、ないしはする約束で実行してないもの、こういう点について実情を再検討されてこれだけ中小企業需要が多い問題だから、一刻も早くそれらの使える機械で、日本産業の発展に少しでも貢献ができるものであったならば、最も必要なところに向けたらどうか、つまり実情を検討されたら、ずいぶんそこにむだがあるということを、私承知をいたしておるのです。従って、そういう点について、保管がえをしたから、約束をしたからといってそれを実行することが私どもの務めということでないように、一つ検討を願いたいというように言っておるわけであります。  それから問題を少し変えまして、最近防衛庁が全国各地の国有財産に目をつけて、そうしていろいろと折衝をいたしておるようであります。ところがそのやり方たるや、まことにけしからぬ話だと私は考えておる。二、三の例がありますが、たとえば鷹木工廠の例をとってみましょう。防衛庁はあなたの方の地方出張所である財務局に一言の話もなく、春日井市会に対して、これを十二万坪私の方によこせ、こういうように折衝をした。そうして正式書面は財務局に何も行っていないのです。春日井市会がこれに対して七月末ですか、われわれの方としては、地方財政の健全化をはかる建前において、そういう何か新編第十混成団本部が置かれるという予定だそうでありますが、そういうものが来ても、年間二百万円くらいしかものにならない。それよりも基本線である工場誘致をいたしたい。従ってこれはお断わりという決議をいたしました。そうして防衛庁の本部に行ったら、言うことがいい。あなたの方がどんなに反対しても、私どもは必ずこれを接収いたしまして混成団を設置いたしますから、さよう御承知願いたいと言ったそうであります。言語道断なことと私は言わなければならぬと思う。さすがの財務局も怒りまして、防衛庁に電話をかけて、一体あなたの方は何たる差し出がましいやり方だと言ったところが、あわてて正式書面を持ってきて、何とかこれをよろしく頼む、こう言ってきたそうであります。一体そういう点について、国有土地の管理に当っておりますあなたの方としては、この国有土地の適正なる処分、それから管理——処分といえども一つには国の政策ということも関連をするでありましょう。もう一つは、地方のその住民なり自治団体の希望というものを尊重しなければならぬと思う。ただでさえ赤字財政の地方自治におります地方都市が、地方財政に何にもならぬ、かえってマイナスになるのであるからこれはお断わりだという立場を堅持しておりますのに、まん中に入っておる、それを管理しておるあなたの方としては、こういう実情についてどういうふうな立場をおとりになるものか、それを一つ伺っておきたいと思います。
  82. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の点並びにその他一般に国有土地建物等につきまして、まず防衛庁その他政府の部内でこれを必要とする場合、これは従来政府部内のことでありますので、政府だけできめておってそれが地元の御希望とかあるいは今申されましたような地方財政関係等に十分配慮されていないのではないかという点は、まことにごもっともでございましたので、これらの点も、今回の国有財産審議会におきましては非常に重要な審議項目といたしまして——御承知のように、各地の審議会には、その県の知事その他各界の方々に御出席を願っておるわけであります。ただいまの点につきましても、当然最終的にはそういう地元の意向というものを十分織り込みまして、最終的な処分をいたすということに相なろうかと思うのであります。今の鷹木の問題は、実は最近名古屋の方から連絡がありましたが、お話しのように、手続等において普通の場合と非常に違っておったようでございますので、これらの点は、ただいま財務局が防衛庁との間に正式の手続として、今申されたような点について十分先方の意向も聞く段階にまだあるわけであります。いまだ本省までは来ておらないような次第であります。一般的な方針といたしましては、先ほど申し上げましたように、防衛とか、産業の振興とか、あるいは地方財政の見地というようなあらゆる点を総合いたしまして、役所の方でも十分研究をいたすわけでありますが、最終的には審議会の意見も聞き、慎重に検討を加えた上で結論を出すことに相なるわけであります。従って防衛庁の要求というふうなことが、今お話しのような点について十分考慮されていないような場合、これ行財政関係の深い大蔵省において、また今申し上げたような審議会の主宰者としての大蔵省において、よく関係の向き向きの意見を聞きまして、遺憾なきを期していきたい、こういうふう考えております。
  83. 横山利秋

    ○横山委員 何かこの点に関して、正示さん、あなた非常に回りくどい答弁をされておるのでありますが、事は豊川に自衛隊を設置するといって、豊川が反対した。そうしてあなたの方としては、豊川には置かないのだと先般御答弁なすった、あの一件と全く同じ性質のものであります。しかも鷹木の春日井市は、これについてはもうすでに名城大学からも希望が出ておる。あるいはほかの工場からも希望が出ておって、今日の段階として、自衛隊をもしあなたの方で許可されるというようなことになると、地元の意向も全く無視し、地方の学校とか、あるいは関係企業の意向も全く無視することに相なるわけでありますから、豊川と全く同様のケースでありますから、今あなたが、審議会に籍口して答弁をされておる意味がよくわからないのであります。率直にいって、防衛庁の意向を尊重しなければならぬような事情があるのかどうか。地方の意向はもうはっきりわかっておるところでありますが、そういう点についてこの際明らかにしてもらいたい。  それから、さっきも言ったように、防衛庁のやり方は、このごろ全くひどいやり方なんです。これは主管の大蔵省としても少し態度を鮮明にして、管理はわれわれの責任であり、われわれがそれを決定する立場であるのに、われわれも通さずにいきなり自治体に言うことはけしからぬではないかというて、あなたの方としても、もう少しきぜんたる態度をとってしかるべき問題ではなかろうか。少しばかにされているのではないかとすら私どもは思っておるわけであります。その点は立場立場だけれども、地元においては非常に不安に思っておるところでありますから、言葉を濁さずに明確にしてもらいたい。
  84. 正示啓次郎

    ○正示説明員 私言葉を濁したわけではありませんが、率直に申しまして、実はまだ防衛庁の当局から中央レベル、本省のレベルにおいて何ら話を聞いておりません。そこで名古屋の東海財務局の方に聞き合せましたところを今お伝えしたわけでありますが、東海財務局としても、今申し上げたように、なお正式の話を受けてどういうふうにするという案を作っていないような状態でありますので、いわばお話がございましたから、十分そういう点を考慮に入れて、今後慎重に事態を調査いたし結論を出したい、こういう趣旨でお答えを申し上げたのであります。地元の反対が非常にお強いし、また防衛庁のやり方が、いわば正規のルートに従っていないという点については、私ども十分その点を調査いたしまして、今後東海財務局において結論を出す場合等についても、そういう点は十分考慮に入れていきたいと思います。また防衛庁に対しましては、そういう正規のルートを逸脱したようなやめ方、これは厳に改めていただくように、こちらから申し入れたいと思います。いずれにいたしましても、お話し趣旨を十分体しまして、今後この問題の実情をまず調査してみたい、こういう段階でございまして、今私がここでこの問題にどうするというコミットを申し上げるような準備も、実はまだないわけであります。また知識もないわけでありましてそれを率直に申し上げたのであります。あるいはそれを非常に言葉を濁したようにおとりになつたかもしれませんが、全然そういうことはございません。全く私としては白紙の状態でありまして、今後の調査を徹底的にやっていきたい、それだけを申し上げておきます。
  85. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、その意味においては了解をいたしました。春日井市会は、すでに全国各地に委員を派遣して調査の結果の結論でありますから、防衛庁から今ごろ正式にというのはおかしな話でありますが、もし正式に話がありましたら、十分その点を御勘案下さって決定されるように希望しておきたいと思います。  最後に、小さな問題でありますがお伺いしておきたいのは、物納で政府のものになった土地、建物、この国有財産をあなたの方が売却されるときに、直接にはお扱いにはなっていないようですね。第三者を経由してその土地、建物を売却をする、こういうお話だそうでありますが、それは事実でありますかどうかということと、そういう第三者の土地ブローカーなり銀行なりを経由しなければ、この土地、建物をお売りにならぬというのはいかがなものであろうか。しかもそのまん中に立つた会社なり銀行なりは、あなたの方からも五分の手数料をとり、土地、建物を買いたいという人からも必ず五分の手数料をとる。合せて一割のもうけを独占的に許されておるような話であります。こういう点は、私はまことにけしからぬことだと思います。もしそれがサービス業として許されておるとしても、独占的に許されてよいはずはございません。本人が財務局へ行って、この私の住んでいる土地は国有地でありますが、一つ私に売っていただきたいと言ったら、なぜ財務局としては直接に扱わないのか。もちろん人員や予算の問題があなたの方ではありましょう。しかしそれは理屈にならぬのであります。国民の立場から言うならば、私の方はお断わりです、あの会社に行って下さい、あの銀行を経由して申し入れて下さいということは理屈になりません。従って、調査してみますと、法律上は直接扱えるようになっているそうでありますが、実際問題としては全部お断わりしておる。そうしてよほど手に負えぬときに話に入ります、こういう話だそうであります。ますます不可解千万なことだと私は思うのであります。こういう実情について、それが事実かどうか。事実としたならば、一体どういう見解を持っておられるか、伺っておきたいと思います。
  86. 正示啓次郎

    ○正示説明員 ただいま御指摘の点は、いわゆる不動産会社等に物納財産の処分を委託をしておる、この制度についての御質問でありますが、これは現実に、全国とは申しませんが、関東その他一部の財務局においてやっておるのが実情でありまするこれは非常に問題がございまするので、実は今日国有財産審議会の企画部会において、十分この点を御審議願っておるのであります。お話しのように、委託者たる政府、それから現実にお買いになる民間、この両方から手数料をとるというような非難がございますので、本来そういう機関というものが、営利を目的とする機関であっていいのかどうか、これは私は非常に疑問に思っております。ただ現実は、今お話もありましたように、処分を何とか急ぎたいという動機から出ておるのでありまして、役所の方でやっておりますと、先ほどもお話しがありましたように、とかく時間がかかるというふうな点がございますので、財務局におきましてよく関係の会社の実情等を調べまして、信用のおけるような会社を選んで委託をいたしておるようであります。これは決して一社ではございません。大体財務局で、確実な会社を数社選びまして委託しておるようであります。しかしこれは、制度的によく今申したような検討を加えた上でやったのではなくて、いわば財産の処分という必要に迫られてやむを得ずとっておるようなやり方でございまするから、申し上げたように、ただいま根本的に一度検討してみたいという考えを持っております。まあ一つの理想的な形といたしましては、そういうこまごました処分は、役所でやらずに、何か手軽に、ほんとうに信用のおけるような、しかもあまり手数料をいただかないで済むような公的な機関を作るということが理想かと思うのであります。この点について、審議会で私は十分議論をしていただくつもりであります。これを役所へ一々おいでいただくということも、またまことにお気の毒な場合があるのでありまして、そういう場合に、ほんとうに民間の方の利便の点からいいまして、どちらがいいか、これを一つよく研究してみたいと思っております。現実には確かにそういうところがございます。しかしこれは、どこまでも役所の委託を受けた限度においての問題でございますから、お話しのように、法律上の責任は全部役所にあるわけでございます。従ってその会社等において法令その他に違反するようなことがあったり、また現実に民間の方に御迷惑をかけておるような点がございますれば、これは全部の責任が役所にあるわけでございますから、財務局財務部等において全責任を持って問題を処理しなければならぬということを指導いたしておることは、今さら申し上げるまでもございません。従いまして結論といたしましては、現在は必要上やむを得ずそういう制度が行われておりますが、これらの点については、弊害のないように十分配慮さしてやっておることでございます。従ってもし何か問題等がございますれば役所が全責任を持って処理する態勢のもとにやっておるということを申し上げる以外にないのであります。
  87. 横山利秋

    ○横山委員 少くとも現在直ちに行われるべきことは、その土地、建物を買いたい人から五分の手数料をとることをやめることであります。官庁がその会社なり何かに委託をいたしておるのでありますから、その委託の手数料をやむを得ざる意味において官庁が払う、こういうことなら私は話がわかる。それから第二番目に独占と私が言いましたが、これは確かに数社ございます。しかし地域的にある意味においては独占しておるのであります。分割して、この地域はあなたのところ、この地域はあなたのところというのでありますから、そういう意味からこれは独占であります。その意味合いにおいてこれはいかぬ、こう言っておるのであります。それから第三番目に、かかる制度でなくて、官庁自体で直接やってよろしいという道を開くべきだと思う。それがなくて、たとい一地域複数制でありましても、官庁と直接やっては悪いということはないのでございますから、直接に折衝する道を必ず開いておくべきであります。そうすればブローカーも妙なことをしないで、サービス本位にやろうということに相なるから、この点については御勘考を願いたいと思う。さしあたってこの三点については、すみやかな処置をとってしかるべきであろうと思う。根本的にはこれらの存在を許し得るかどうか、あるいはどういう措置がいいかということについては、いろいろと審議会においても御勘案をされるでありましょうが、さしあたりこの三点については、すみやかな措置をとられるよう要望いたしたいと思います。  私の質問はまだたくさんあるのでありますが、大筋としての局長のお考えもわかりました。私に対する答弁もあらかた了承できたのであります。問題は、今後のあなたの具体的な行政措置によるべき点が多いと思いますから、大筋としての質問はこの辺で終りにいたします。委員会散会後に、一つ当局の見解を承わりたいことがありますから、よろしくお願いいたします。
  88. 松原喜之次

    ○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十一日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時十二分散会