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1956-07-16 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年七月十六日(月曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君       大平 正芳君    奧村又十郎君       川島正次郎君    吉川 久衛君       内藤 友明君    中山 榮一君       古川 丈吉君    保利  茂君       坊  秀男君    前田房之助君       山本 勝市君    横川 重次君       井上 良二君    石山 權作君       竹谷源太郎君    平岡忠次郎君       横錢 重吉君    横路 節雄君       横山 利秋君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君         国税庁長官   渡邊喜久造君         大蔵事務官         (国税庁次長) 篠塚  繁君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 六月二日  委員古川丈吉辞任につき、その補欠として千  葉三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員千葉三郎辞任につき、その補欠として古  川丈吉君が議長指名委員に選任された。 七月十六日  委員竹内俊吉辞任につき、その補欠として山  木勝市君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本勝市君辞任につき、その補欠として竹  内俊吉君が議長指名委員に選任された。 六月二日  接収貴金属等の処理に関する法律案内閣提出  第一四八号)  財政法の一部を改正する法律案内閣提出第一  五八号)  国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第一五九号)  会計法の一部を改正する法律案内閣提出第一  六九号)(参議院送付)  物品税法を廃止する法律案春日一幸君外十二  名提出衆法第一五号)  酒税法の一部を改正する法律案春日一幸君外  十二名提出衆法第一六号)  外資に関する法律の一部を改正する法律案(春  日一幸君外十二名提出衆法第一七号)  銀行法の一部を改正する法律案春日一幸君外  十二名提出衆法第一八号)  昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案石田宥全君外二十六名提出、  衆法第五六号)  北海道における国有魚田開発施設等譲与等  に関する法律案佐々木秀世君外一名提出、衆  法第五九号)  税制に関する件  金融に関する件  外国為替に関する件  国有財産に関する件  専売事業に関する件  印刷事業に関する件  造幣事業に関する件  補助金等に係る予算の執行の適正化に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税制に関する件  金融に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  議事に入る前に、今般大成省人事異動により新たに長官局長次長になられた方々から発言の申し出がありますのでこれを許します。国税庁長官渡邊君。
  3. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 私今度国税庁長官を拝命いたしました。過去三年半主税局長といたしまして大へん皆さん方にお世話になり、いろいろ御指導を受けましたことを、この機会にあらためてお礼を申し上げるとともに、なかなか国税庁長官非常な大任でありまして、私一生懸命やるつもりでございますが、五万の職員を擁しておりまして、末端の税務署、国税局、いろいろな点で改善すべき点が多々あろうと思います。忌憚のない御批判をいただき、同時に御指導と御鞭撻をいただけますならば非常に幸いだと思います。この機会お礼を申し上げますとともに、お願いを申し上げたいと思います。(拍手
  4. 松原喜之次

    松原委員長 次に新主税局長原君。
  5. 原純夫

    原説明員 渡邊さんのあとを受けて主税局をやれという命令を受けました原でございます。大へんむずかしい大事な仕事でありますのに、力も経験も足りない者でございますから大へん心配いたしておりますが、せっかく皆様方初め一般から十分お教えを願いながら、一生懸命やって参りたいと存じております。もともと税金にはずぶのしろうとが、終戦後七年ばかりでございますが、シャウプ使節団が来ました前後税をやらせていただきまして、無我夢中でやってきたというのが実情で、ちょうどその後最近まで三年ばかり、主計局の方で歳出の方の仕事を主としていたして参りました。また税の方に帰るという意味で、いろいろとむずかしさが倍加して感ぜられるというような感じでおります。今後とも何分よろしくお願い申し上げます。(拍手
  6. 松原喜之次

  7. 篠塚繁

    篠塚説明員 ごあいさつ申し上げます。私このたびはからずも渡邊長官のもとで補佐を勤めることになりました篠塚繁と申します。  税金の方につきましては、実は税務署長間税部長をやりまして、その間近畿の財務局長と関東の財務局長を勤めまして、また税務行政の方に戻ることになりました。何と申しましてもやはり職員のことが一番気になりまして、国民に対しまして、ほんとうの民主的な役人といたしまして恥かしくないりっぱなものに仕立てるということが、どうも私の一番大事な勤めのようでございます。つきましては大へん微力な者ではございますが、何とかして誠心誠意努めたいと思いますので、よろしく御指導願いたいと思います。(拍子)
  8. 松原喜之次

    松原委員長 税制に関する件、金融に関する件、外国為替に関する件、国有財産に関する件について質疑を許します。横銭重書君。
  9. 横錢重吉

    横錢委員 金融の問題について若干御質問いたします。六月において銀行貸し出しが異常な数字に達したということが、新聞に報道されておるわけでありますが、その原因となったもの、あるいはまたこれをどういうふうに見ておられるか、この点について一つ説明をいただきたいと思います。
  10. 東條猛猪

    東條説明員 ただいまお言葉のございました通り、六月中に銀行貸し出し金額が顕著に伸びまして、従来の預金貸し出し金額を比較いたします場合におきましては、相当預金金額が上回りまして、いわゆる資金の需給に余裕があるというふうに見られておったのでありますが、六月中をとりますと、全国銀行実質預金、これは御承知手形とか小切手とか、そういうものを除きました実質預金金額は、三百四十五億に相なっております。これに対しまして貸し出しの方の増加額は約三百四十億ということで、従来ないほど貸し出しが伸びて参ったわけであります。これは一部いろいろの季節的な運転資金需要がございましたこと、また六月は御承知のように各種会社の給与、あるいは盆の決済等を控えまして、資金のそういう季節的な要求が多いということがあると思いますが、また一面におきましては、各種事業設備その他の資金需要が増したということも事実であろうと思います。しかしながらこういう預金貸し出し関係が、従来の金融旭調に大きな影響と申しますか、あるいは変化のきざしと申しますか、そういうものがあったかという点になって参りますると、まだ私どもといたしましては、金融基調変化があったということを申し上げるには至らないのであります。今後の設備資金需要、あるいは長期運転資金需要、あるいは長期の成り行きというものにつきましては、十分注視を要すると思いますが、ただいまにおいては、金融基調変化があったということを申し上げる段階ではない、かように考えておる次第でございます。
  11. 横錢重吉

    横錢委員 六月においては、前年度の十倍にも達するような貸し出しが行われたということが大きく取り上げられておるわけですが、ただこの問題は、従来銀行の金が余ってきたということがいわれておったのであります。従ってこの余ってきた金を、銀行がこういうふうに積極的に動き出したとみるべきであろうと思うのです。従ってこれが他の銀行、あるいはまた中小金融機関、こういうふうなものへの影響をどういうふうに見るべきであるか、これは私は正常な姿−と見なければならぬと思うのですが、これを正常な銀行の活動と見た場合には、相当他の金融機関に圧迫を加えてくるのではないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。
  12. 東條猛猪

    東條説明員 ただいま申し上げましたように、全国銀行におきまして、預金に比べまして貸し出し伸び方が著しいということでありまするが、これが直ちに、たとえば貸し出しが伸びたことが他の金融機関影響があるのかということでございまするが、もちろん各種金融機関業務分界がそうはっきり線が引かれておるということでもございませず、都市銀行、地方銀行相互銀行、あるいは信用金庫、それぞれの業務分界がございますが、六月に現われましたようなこういう全国銀行貸し出しの増勢が著しいということでもって、市もに他の金融機関貸し出しの分野に大きく影響があるというまでには考える必要はないのであって、むしろいわば資金需要の方が、従来に比べて相当伸びてきたというふうに考えるべきであろうかと考える次第でございます。  なお私先ほどちょっと間違って御答弁申し上げましたので、訂正をさしていただきます。六月末におきまする預金残高が三兆五千四百五十八億、貸出残高が三兆四千六十一億ということで、実質預金貸出残高の割合が九六%ということになっておりまして、五月に比べますると一・一%上昇いたしております。ちょっと歌学を間違えてお答えいたしましたので、御訂正申し上げておきます。
  13. 横錢重吉

    横錢委員 それでは、続いて最近の金融界の中に話題を投じています第一相互の問題、これは当局としてはどういうふうに見ておられるか、その点について一つ説明をいただきたい。
  14. 東條猛猪

    東條説明員 お尋ねのございました第一相互銀行経営困難化という問題でございますが、まず私ども相互銀行監督立場に立っておりますので、いろいろと注意をいたして参ったにかかわりませず、この相互銀行に困難な問題が生ずるに至りましたことは、監督の責めに当っておる者といたしまして大へん遺憾に存じておるわけであります。今後これらの事態につきましては十分注意をし、またみずからも戒めて参りたいと思っております。  第一相互銀行の問題でございますが、大きな原因はいわゆる導入預金の受け入れでございます。申すまでもなく、この導入金を受け入れます場合におきましては、その預金ひもつきになりまするところの貸付が行われるのが例でございまして、この貸付が固定化し、不良化し、回収がきわめて困難なことになって参る。受け入れました預金むの方は、申すまでもなく定期預金に普通なっております力で、三カ月から三カ月の期限がたちますると、この預金の払い戻しの期限が参る。一面において、これとひもつきと申しますか、関連して行われた貸付回収はきわめて困難であるということから、資金繰りにもいろいろの困難な状態を生じまして、これを打開するために、さらに第二、第三の導入預金を受け入れざるを得ない。その結果また貸付の方もだんだんと不良貸付固定貸付が増加せざるを得ないというのが、この第一相互銀行経常がきわめて困難になりました原因でございます。さようなことでございますので、当面必要といたしますことは、私どもはこの相互銀行が万一破綻をいたすということは、ひとりこの銀行預金者あるいは掛金者に対する影響のみならず、金融秩序全体の問題であるという考え方のもとに、相互銀行全体、あるいは手形交換に当っておりまする大銀行から資金的な援助を求めまして、何とかこの資金対策を講じて参りたい。また預金者の方ともいろいろ話し合いをつけて参りたいということで進んでおる次第でございます。ただいまのところでは、関係方面の協力が得られますならば、最悪の事態に陥らずして収拾できようか、できるであろう、かように考えておる次第でございます。
  15. 横錢重吉

    横錢委員 導入預金というのが新しく登場しているのですが、この導入預金といものは、具体的にそういうような組織をもって行われているのかどらか。ある情報によると、導入預金の背景には第三国人がおるんだというようなこともいわれておったり、あるいはまたこの導入預金というのは、商売にしてやっておる者もいるんだというような者があったりしておるのですが、一体これは銀行にとっては非常に迷惑な存在だと思うのですが、どういうふうに当局としては見ておりましょうか。
  16. 東條猛猪

    東條説明員 いわゆる導入預金なり、これに携わっておりますところの実態把握は困難でございます。しかしながら預金者とそういう預金介在あっせんに当っております者と、まあ二つに分けて考えてみますと、預金者というよりは、むしろその預金銀行預金者との間に立ちましてあっせんをし、いろいろ仲介をするというところに、商売と申しますか、それを専門とすると申しますか、そういう人がむしろ多いのではないか。そらして預金者の中にも、もとよりいわゆる特利と申しますか、裏利と申しますか、そういうものを供給いたしておるのでありますから、純粋な預金であるか、あるいはいわゆる導入預金に近いものであるか、あるいは導入預金に属すべきものであるかということは、わかっておるのでありますけれども、今横銭委員お尋ね組織化、あるいはこれを商売にしているということに重点を置いて考えますと、むしろその中間に立ってあっせん媒介をいたしておる者が、そういうお言葉に当る場合が多かろう、かように存ずる次第でございます。
  17. 横錢重吉

    横錢委員 新聞報道では、この導入預金に対する禁止立法当局考えておるというようなことが報道されているが、果してそういうような準備、あるいは対策を立てておいでになるか。
  18. 東條猛猪

    東條説明員 正常な金融機関経営者でございますれば、今日のような金融情勢になりますと、この導入預金相手にするということは、実は通例考えられないところでございます。その意味におきまして、私どもは従来金融機関経常に当っている者には、常にこの導入預金の取扱いということをかたく実は戒めて参っております。そういうことで行政的にいろいろ勧告もし、警告もいたしておるわけでありますけれども、今後の問題といたしまして、そういう行政的な措置ほんとうに限界があるという結論になりますれば、あるいは立法化という問題も出て参るかと思いますが、今日のところでは、果して従来やっております行政措置を強化して足りないかどうかということをまだ研究いたしている段階でございまして、私どもといたしまして、立法化準備を進めておるということをまだ申し上げ得る段階ではございません。
  19. 横錢重吉

    横錢委員 この問題が起ると、当局としては立法措置あるいは禁止法律というふうなもので対策を立てるのが普通なんですが、経営が正常に行われていないというふうな場合に当面してみるときに、単に禁止措置だけでは不適当ではないか。やはりもう少し銀行に対するところの実質的な援助保護政策、こういうふうなものを打ち出していかなかったならばできないではないか。たとえば第一相互の場合についても、私はあまり詳しく知らないのですが、一たびこの経営が外部にうわさされるというふうな段階になってきたならば、その立て直しというものは相当の長期にわたって行われなくちゃならない。しかもこれは、相当実力のあるものがバックにならなければできないというふうな事情であるし、現在は当局が他の機関に慫慂してこれを行わせるというふうなことだけを行っておるのですが、そうでなくて、もっと当局が具体的に援助政策を打ち出しもあるいはまた日銀をしてこれに当らせる、そういうふうな方法を講ずべきことが必要なんじゃないか。現在の大蔵省のとっておる指導監督ということだけでは、具体的に次から次に出てくるこういう問題に対して対処するのに十全の策とは言い得ない、こういうふうに私は見ておるのですが、局長さんはどういうふうに見ておられますか。
  20. 東條猛猪

    東條説明員 第一相互銀行につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、関係金融機関から資金的な援助を、所要の要件が満たされますならば行わしめるということとともにとりあえず相互銀行協会その他有力銀行から人員を派遣いたしまして、実際の事務を代行いたしております。さようなことで、資金的にも、また経常の態勢といたしましても、現状においてはまず適当なことであろう、かように考えている次第でございます。今度の問題を見ましても、正常な良識のある経常が行われていることでございますれば、こういう事態を惹起するには至らないわけでございまして、もちろん中小企業相手金融機関育成ということには、お言葉通りいろいろ考えなければならない点がございますが、こういうむずかしい問題を生ずる原因は、ただいまのところでは、今申し上げましたような導入預金導入不良貸付というような、いわば正常とは申しがたい経常が行われているととろに根本の原因があるという点をも御考慮いただきたいと存じます。
  21. 横錢重吉

    横錢委員 ただ銀行立場は、いまさら言うまでもなく、内容のいい銀行ほど客を選ぶ。従って経営が悪くなる公算というものは少い。ところが一方においては、本年になっても不渡り手形等は戦後最高を示すというようなことも現実に出ている。こういうふうな中小企業関係の劣悪な経済状況、これが一体どこの銀行にはね返るかというと、これは相互銀行あるいは信用金庫、信用組合、こういうふうなところに現われている。だれかがその悪いところのかすをなめなければならぬ。一方において、戦後最高を示すような不渡り手形があって、銀行が全部健全経営ができるなんというのは、これはおかしい。どっかに出てぐる。どっかに出てくるのをだれが引き受けるかというと、一番弱い組織のところが引き受けている。だから弱いところにかかってきて、金が足らぬから、預金が足らぬからして、導入預金でも何でも出てくるということになるのであって、従ってこういう問題が出てきた場合に感じるのは、大蔵省として指導監督の面だけでは、やはりこの日本の金融政策として十分ではない。従って、どうしてもこれは保護育成政策大蔵省が握っていなければだめだ。肝心り握っているところの日本銀行も、現在なかなか大蔵省の言うことを聞かないような状態になっちゃった。従って当局が打つところの指導監督の面も、日銀を通じてはなかなか行えないような現実段階である。こういうふうなことでは、私はやはり問題があるので、今金融制度調査会も発足をしたことであるので、あわせてこういうふうな問題も考えて、現在当局が握っている方、それ以上のものをやはり考えて、こういうふうな問題が起った場合に対処できるように善処願いたい、とのような点を申し上げて、私の質問を打ち切りたいと思います。
  22. 松原喜之次

  23. 奧村又十郎

    奧村委員 私は、政府昭和三十二年度から実施せんとする税制改正についてお尋ねをいたしたいと思います。国会も終って、政府はそろそろ来年度の予算編成大綱についての腹づもりをなさるはずでありますが、この予算編成税制改正とはうらはらで、直接結びつくものであると思うのであります。そこでもらぼつぼつ税制改正大綱はきまっていなければならぬ。ことしの春以来、至るところで大蔵大臣初め税制改正を口にしておられるのであるから、もうかなりお腹はきまっておられなければならぬ。大蔵大臣は、この大蔵委員会では税制改正のことについては発言しておられないけれども、すでに新聞紙などには盛んに放送しておられる。われわれ委員会としては、これから税制改正の審議のために国政調査をいたしたい、こういう関係からしても、税制改正に対する政府のお考えをすみやかに、またできるだけ具体的にお聞きしておきたい、こういうように思うのであります。しかし、きょうは新任国税庁長官、また新任主税局長を直ちにつかまえてお話を願うということも無理かと思うが、明日は大蔵大臣にお出ましを願うということでありますから、明日でも大蔵大臣の口から御答弁願実ればけっこうです。きょう御答弁を願える分は、御答弁願えればなおけっこうです。  そこで大蔵大臣は、たとえば税制改正では直接税を減らして間接税をふやすという意味のことを新聞に放送しておられるので、それからすれば、税制改正の大体の方向政府でおきめになったというふうにわれわれは感じるのであるが、そういう改正の大体の方向をきめておられるのかどらか。これは御答弁になれるかなれぬかわからぬから、立て続けに私がお尋ねすることをずっと個条書きに申し上げます。それが第一点。  それから税制改正と申しても、現行法を基盤として、現行法の規定で改めるべき点をまず検討してこれを改めていく、こう私は考えるのでありますが、もしそれが正しいとするならば、政府はどういう点を改正すべく検討しておられるか、この点はここではっきりさしておいていただきたい。特にわれわれ国政調査をする都合上からも、これは聞かしておいていただきたい。  それから新税の創設、世上かなり論議の的になっている売上税——実はわが自民党は、この間の参議院議員の選挙に売上税相当損をしている。そういうことをやるかのごとく受け取られたのは非常に残念であるが、こういうことについて、政府はすでに検討しておられるかどうか。それからこの税制改正について、どのような認定方針で事を運んで行かれるかということであります。私ども考えでは、政府税制改正大綱がきまっておるなら、もうここらで世間に発表して、そうしていわゆる税制調査会諮問をするのが順序ではなかろうか。もし売上税などの新税を創設するというのならば、政府がきめてすぐ国会に出すというような——もちろんすぐ国会に出すのもけっこうでありますが、この点はよほど慎重を期さなければならぬのでありますから、大綱がきまったらなるべく早く世間に発表し、あらゆる検討を経なければならぬ。従って、いつごろその方針がきめられるかということ。  それから大蔵大臣は二言目には税制調査会諮問を経てということで、すぐ税制調査会に逃げ隠れてしまう。しかし一体税制調査会とはどういうものか。何ら法律に基いていないない。そこで税制調査会税制改正方針をきめるのか、大蔵大臣がきめるのか。これはもちろん大蔵大臣がきめるべきであるが、大蔵大臣がきめて税制調査会諮問をするのならば、これはなるべく早くかけなければならぬ。ところが税制調査会は、今までたび重ねて会議を開いている。一体どんな会議を開いているのか。どういう趣旨で諮問をしているか。こういうことをここで明らかにしておいていただきたい。  きょうあすにかけて以上のことをお尋ねしたいと思うが、あす大蔵大臣初め皆さんの明確な御答弁を得るために、きょう以上のことを申し上げておきます。
  24. 原純夫

    原説明員 いずれも非常に重要な点をお尋ねになったわけでございますが、実は税制改正の案というものは、ただいままだきまっておりません。鋭意部内でも研究中でありますし、税制調査会にも御研究を願っておるというような状態でございまして、調査会は三月から初めましてだいぶ勉強していただいておりますが、まだまだほんの中途のところまでしか行っていないというような状態でございます。その間どういう点を問題にするか、まだどんな角度で話が進んでいるかというようなことは、いろいろと申し上げねばならぬことがあると思いますが、要するに案というものは別段まだきまっていない。やはりおっしゃる通り政府がその責任において原案はきめるわけでありますが、その際、調査会に限らず、非常に大事な問題でありますから、各方面意見を十分伺ってというわけで、ただいま調査会にも御勉強を願っておりますし、また私ども調査会だけでなく、いろいろな方面から意見を伺うというような腰がまえでおるわけであります。明日大臣をお呼びになっておられますので、ただいま申し上げるとすれば、調査会のただいままでの経緯と申しますか、その中に出てきているいろいろな問題点であろうと思いますが、私の口から申し上げますよりも、大臣から大体申し上げる方がより穏当かといういうにも思いますが、いかがいたしましょうか。
  25. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは明日大蔵大臣から、私がただいまお尋ねしたことをなるべくはっきりお答え願うように——大臣はすでに新聞には生々と発表しておられるので、これは新任の原さんから答弁を得ようとは思いません。大臣からはっきり御答弁を要求いたします。  ついで、国税庁長官の責任ではっきり御答弁を願うことが一つあります。実は当委員会でこれから国政調査をやろうということについて直接関係があるのでお尋ねするわけでありますが、専売アルコールの横流れ事件について、当委員会で前国会中から引き続いて審査をやっておるが、そこで仙台通産局管下の専売アルコールが、今年の二月ごろに、累計して約五百五十本ほど横流れしている。それが大体東京方面へきて、密造のしょうちゅうにばけておるという事件がはっきりしたわけであります。それを具体的に調査を進めてみると、通産局の責任だけでなしに、大蔵省も大きな責任がある。というのは、昨年までは御承知のアルコールの取締りというのは、通産省と大蔵省と共管で取り締っておった。現在も制度としては共管で取り締ることになっておるはずである。ところが仙台通産局を調べてみると、昨年までは大蔵省の役人の方も取締りに来られたが、どういうわけか、去年から大蔵省は来られない。通産省の役人だけの取締りである。ところが通産省の取締りというのは、はなはだもって手抜かりばかりで、ずさんきわまりない。これは申し上げれば切りがない。製造工場でアルコールと混和する過程においては、アルコールのタンクを封緘ておくが、その封緘の紙を夜のうちにはがして、アルコールをすりかえるか、いろいろな手抜きがある。そこで大蔵省監督ならああいうことはおそらく起らぬ。もし大蔵省がそのようなことをやるとするならば、酒税の千五、六百億というものの確保はとうていできるものではない。ところが通産省の方の取締りは非常に手ぬるい。従って五百何十石という、これは密造のしょうちゅうにすれば三千石余りの横流れがある。そこで去年まで大蔵省と通産省が共管で、両方の役人が立ち会うて取り締っておったのを、なぜ去年から大蔵省だけは取締りをやめたのか。おそらくこれは、全国的に取締りをやめられたと思うのでありますが、その取締りをやめたためにこういうふうな不始末になったように思うので、その点はどういう事情によるものか。これからなお私ども広島その他徹底的に調べたいと思うのでありますが、さしずめその問題にぶつかったのでお尋ねしておきたいと思います。
  26. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 専売アルコールの問題が、横流れによって、今お話しのようないろいろな面で弊害が大きく出てくるのでありますが、これはお説の通りであります。従来大蔵省と通産省が両方一緒になって取り締っておったのを、大蔵省の取締りをやめたという点でございますが、私非常に相済まぬ次第ですが、まだ内容を具体的にその辺の理由とかいろいろな点は聞いておりません。至急事務の進行状態とか、いろいろなことを調べまして、適切な対策を講じたいと思っておりますが、従来の理由、経過等につきましては、一応まだ私聞いておりませんから、係の者から聞きまして、その上で従来の経過を明らかにし、しかしこういう欠点があるから将来の対策はどう考えていったらいいか、こういうような点についてのお答えを申し上げたいと思います。現在すぐこの場で、従来の経過はどらだという御質問にお答えできないことを遺憾といたしますが、明日でも一応お答えいたしたいと思います。
  27. 奧村又十郎

    奧村委員 末端のアルコールの横流れ防止の取締りは、大蔵大臣に責任があるというふうに聞いておる。ところが肝心の政府専売アルコールをもとにおいて取り締る責任は、法律上は大蔵大臣にあるはずでありますが、実際は、今大蔵省の役人の方は当っていないといわれる。それでここに大きな欠陥があると思いますので、私どもも、これは一つ全国的に横流れがひどいのでありますから、この際徹底的に調べて、そうして制度が悪ければ根本から改めなければいかぬ、かように考えておりますので、国政調査の際は、一つ国税庁の御協力を得て十分調査をしたいと思いますので、長官も大きな責任はあるわけでありますから、そのおつもりで調査に御協力をお願いした、なおまた私どもも具体案を作って、法律改正なり、制度改正なり、一つ御相談をいたしたいと思いますから、そのつもりでお願いいたしたい。これで質問を終ります。
  28. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 かしこまりました。
  29. 松原喜之次

    松原委員長 次に春日一幸君。
  30. 春日一幸

    春日委員 まず銀行局長にお伺いをいたしますが、先国会金融制度調査会の制度が議決されまして、そうしてわが国の金融制度の抜本根塞的な改革のための検討を加えられる、こういうことになったわけでありすが、その当時その法律案に対しては、本委員会が特に農林水産金融、それから中小企業金融、これを重視いたしまして、と申しますのは、なかんずぐ特に中小企業金融が非常に金融梗塞の状態にあるので、そういうような金融制度が訓育される場合においては、特にそういう問題をも重点的に調査さるべきであるという、かかる観点の上に立って附帯決議がなざれたわけでありますが、その附帯決議の中には、中小企業関係の代表も加えて、十分あまねく意見を尽すように、こういう附帯決議がなされていたと思うのであります。しかるところ、今般その調査会委員の任命がなされたわけでありますが、その名簿によりますると、大体二十名近いところの委員の中で、それに該当いたします者が、全国農業会議事務局長の楠見君、それから中小企業関係といたしましては、大阪中小企業協同組合中央会の藤原会長、こういう二人だけでありまして、当時附帯決議が指摘をいたしておりまする趣旨は、中小企業金融、農林水産金融についても特に十分の審議を尽すようにということであるのに、ただ一人ずつの代表では、私は十分意を尽し得ないのではないか。すなわち附帯決議の趣旨は、この委員の任命に当って十分尊重されていないのではないか、こういう非難的な見解をわれわれとしては持たざるを得ないのであります。私はこの際お伺いをいたしたいことは、特に中小企業金融に専念をいたしておりまする信用金庫協会の代表者、あるいは信用協同組合の代表者、今日信用協同組合といえども、全資金量はおそらくは六百億をこえておる巨大な金融を行なっており、しかもそれは、中小企業に専念しておるという実情にかんがみましても、彼らの意見は十分この調査会の中に反映されなければならぬと思います。かつはそのことをも含めて、委員会の附帯決議がなされておると思うのでありますが、この際お伺いしたいことは、大企業、大財閥の代表、中央銀行、大銀行の代表があまねく網羅されておりまするこのような委員会において、特にその衝に当っておる信用金庫協会代表、それから信用協同組合代表、さらにはまた中小企業については、今回法律によって中央会の制度もできておるが、そういうような中火会の代表、そういうものを特に加えなかった理由は一体何であるか、この際一つその点明らかにしておいてもらいたいと思います。
  31. 東條猛猪

    東條説明員 金融制度調査会委員の構成につきましてのお尋ねでございますが、まず中小企業関係につきましては、金融機関の方におきまして相互銀行の協会の会長、これはいろいろ見方はございましょうが、私どもは、中小企業の金融機園の代表者として適当な立場にある、かように存じます。地方銀行協会も、これはやはり大企業も相手にはいたしますが、中小企業金融機関といたしましては、地方銀行というものの役割も高く評価すべきであると存じます。それから全国信用金庫協会の会長につきましては、これは臨時委員といたしまして御参加を願っておるのでありまして、七月の二円に第一回の金融制度調査会を開催いたしたのでございますが、全国信用金庫協会の会長には御出席を初めからいただいておるということでございまして、金融機関の側におきましても、中小企業金融機関立場を代表できる方々には御参加をいただいておるというふうに考えております。それから産業方面でありますが、春日委員のお考えは存じ上げませんけれども、やはり商工会議所と申しますのは、中小企業の関係に十分配慮し、その政策面におきましても、中小企業の利害というものを相当取り上げておる組織体であるというふうに私は考えております。それから中小企業の協同組合の関係におきましては、先ほどお言葉もございましたが、大阪府の中小企業協同組合の中央会の会長の藤原氏を委員としてお願いしておる次第でございます。農林の方面におきましては、これも先ほどお話しがございました農業会議所の楠見事務局長、それから農林中央金庫の湯河理事長をお願いしております。なお申し落しましたが、中小企業関係金融機関といたしましては、商工組合中央金庫の村瀬理事長をやはり臨時委員としてお願いしております。またその他の方にいたしましても、先ほど来仰せのございました中小企業金融の問題、あるいは農林漁業金融関係には、相当皆さんもとより造詣も深く御関心もあるといろ方でございまして、法律でお定めになりました二十人以内の委員組織するということから考えまして、ただいま申し上げましたように、中小企業の関係におきましても、あるいは農林関係におきましても、十分御決議の御趣旨は尊重いたしましてこの委員の人選が行われておる、かように存ずる次第でございます。
  32. 春日一幸

    春日委員 この際本委員と臨時委員との身分上といいますか、資格上の相違点を一つお伺いしておきたいと思います。
  33. 東條猛猪

    東條説明員 先般当委員会で御審議をいただきました金融制度調査会設置法に、臨時委員は特別の事項を調査審議するため、必要があるときは置くことができるという規定がございます。それから臨時委員の人数は法文に定めがございませんで、人数の制限はございません。委員の方は二十人以内で組織する、かようなことに相なっております。それから委員の任期は一年ということに相なっておりますが、臨時委員の方は、当該特別事項に関して深い知識と経験を有する者から、大蔵大臣が任命いたすのでございまして、その当該特別事項に関する調査審議が終了いたしましたときには解任される、かようなことに相なっております。
  34. 春日一幸

    春日委員 先般来本委員会金融に関するいろいろな論議が行われておりますが、その論議の中で最も重点的に、かつ強く論ぜられておりますことは、本日日本の金融が大企業、大財閥に偏向あまりにはなはだしいので、これを是正しなければならぬ、わけても中小企業金融はきわめて困難な状況にあるから、この面について、やはりその梗塞した状態を打開するための措置がとられなければならぬ、こういうところに集約できるかと存ずるのであります。従いまして、この金融制度調査会においてわれわれが期待をしております事柄の中の重要なる一つの項目が、中小企業金融に関する問題でなければならぬとわれわれは確信をいたしておるのであり、同時にまた深く期待を寄せておるわけであります。そういう状況下に本国会を通過いたしましたこの設置法に基いて、この委員の選任が行われたのでありますが、少くとも今の御答弁によりますと、相互銀行が中小企業金融関係を代表しておるからということでありますが、もとよりこの相互銀行が中小企業金融の衝に当っておるという意味合いにおいて、これは信金もしくは信用協同組合等とやはり共通の利害の上には立つであろうが、しかし時と場合によりましては、競合する面がないわけではないわけであります。そういうような意味合いから、法律に基いて信用金庫があり、信用協同組合の制度があって、それらがともどもにわが国における金融の実務に携わっておる。そうするならば、そういう現場の意見というものも、これは十分徴せられなければならぬと私は思う。ここにわれわれが調査したところによりましても、とにかく日銀副総裁、あるいは全銀連の会長、大阪の大銀行の協会会長、その他産業界の代表といたしましても、経団連の会長、あるいは日商の会頭、大阪商工会議所の会頭というふうに、いずれも大企業、大財閥、学識経験者といえども澁澤氏、山際氏、佐々部晩穂というような人たちは、いずれもこれは大企業、大財閥の代弁者たらざるはないわけであります。こういういうな背景の中において、わずか一名や二名の代表を加えた、とにかく二十分の一か二の代表を加えて、わずかに委員会の附帯決議に形式的な面子を立てるというか、措置をきれるということは、はなはだ私は遺憾にたえないと思う。大企業に対する大金融、普通一般銀行に対する金融制度の根本的な改革も当然必要ではあろうけれども、当面社会的にかつ政治的に、また経済ベースの上においても何らかの措置を講じなければならない中小企業金融について、その衝に当っておるところの代表が意見を述べる機会を与えられないというようなことは、私は明らかにその附帯決議に対してすなおにこれが掛縄されていないと言わざるを得ない。今局長の御答弁によりますと、会議所の会頭がなっておるのだから、会議所の内部においては相当中小企業問題が取り上げられておるという説でありますけれども、これは、あなた方が雲の上で見ておるとそんなふうに誤解されるかもしれぬが、現実会議所の運営がどういう人々によってなされておるか。中小企業金融のごときは、会議所の中の単なる一アクセサリーにすぎないのであって、これはてんで問題にならないくらいのものである。今中小企業金融と大企業とがいろいろ対立的に問題を処理する場合、会議所がいずれの側に立つか、これはとりもなおさず大企業、大財閥の側に立つということは、常識的にだれしも認めておるところであります。私はこういうような意味合いにおいて、とにかくこういうような偏向的な、言うならば十八対二というような形の選任というものは、これはあくまでその附帯決議の精神がこの任命の上に十分に反映されておらない事柄であって、非難せざるを得ないわけである。しかし、これはあなたが任命したわけではありませんから、いずれ明日一萬田大蔵大臣に、その偏向的なあり方について十分糾弾をして、修正をしてもらわなければならぬと考えております。  それはそれにいたしまして、その次にお伺いをいたしたいことは、これは国税庁長官にお伺いいたしますか、あるいは主税局長にお伺いをいたしますか、青色申告制度ですね。これは先月ある一、二の大きい新聞にスクープされたと申しましょうか、青色申告制度がはなはだ普及して参りまして、ために所得税の徴収がなかなか困難になってきたというようなことから、この青色申告制度に与えられておりまするもろもろのフェーバーを近く制限するのではないかというようなことが、いわゆる青色申告制度を、大きくそのフェーバーを削減するというような方向大蔵省の意向が進みつつあるというようなことが載っておりまして、関係当事者たちに対して大きな衝撃を与えておるところであります。この際お伺いをいたしたいことは、果してそういうような情勢にあるのかどらか、なお青色申告制度について何らか斧鉞を加えることを必要とされておる段階にあるのかどうか、この際関係当局の所信を明らかにいたされたいと思います。
  35. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 当時私が主税局長でございましたし、現在国税庁長官でございますので、便宜私からお答えさせていただきたいと思います。御指摘の新興記事はわれわれも見ております。しかしこれはいわゆるスクープというものではありません。われわれとしては、種があって抜かれてこそスクープだと思います。全然種のないところへ書かれたということで、どうもわれわれ自身が実は戸惑って被害をこうむった一人であります。  制度全体についてどういうふうに考えているかといろ問題、もちろんこれは、一応現在税制全体を考えようというときでございますから、検討の対象には入って参りますが、今この際すぐに青色申告制度をどうする、あるいはそのフェーバーをどうするということを特に頭に渇いて検討するということは考えておりません。ただ青色申告制度というのは、できるだけありのままに申告をしていただくというところにそのねらいがあるわけでございますが、数が非常にふえて参りました当然の結論でもあろうと思いますが、その中には必ずしもほんとうに赤裸になって、正確に申告をしていると思えない申告もまじっておるという問題が出てくることは、やむを得ないことと思っております。この点につきましては、青色申告制度を青色申告制度らしく将来発展させていく上におきましても、適当なる指導といいますか、構外といいますか、そういった面によりまして、青色申告制度が青色申告制度らしく発展していくように、将来納税者の方にも考えていただきたいし、われわれも考えたい。この問題は、今すぐに制度そのものをどうこうしていくというようにこの際話題として取り上げたという事実はございません。
  36. 春日一幸

    春日委員 了解をいたしました。鳴りもの入りで宣伝をして、相当の普及が行われておるのに、今度はそれに逆行するような制度が行われるということは異様なことと考えておりまして、いずれこういうような機会を通じて、政府方針を明らかにいたしたいと考えておりましたが、これによって明らかにされました。ただこの際申し上げておきたいことは、青色は青色らしく申告さるべきであるということは、当然のことで異議はありませんけれども、最近末端の税務署では、青色申告によるとなかなか更正決定ができがたいというようなところから、中には青色申告らしからぬものもあるということを前提とした考え方で、これを調査する、その場合に、これは一つ長官に特に申し上げておきたいのでありますが、税務署の署員が青色申告を調査する場合、青色申告はもし調査の結果更正決定をするという形になれば、向う二カ年でありましたか、三カ年でありましたか、青色申告の特典を剥奪される形になる、従って普通であれば、翌日でも青色申告をもう一ぺん申告することができるのだが、青色申告をこの際取り消されてはどらかといって調査にかかる。その前に、他にいろいろな例記があがっておる、材料をこちらは握っておる、調査の結果更正決定に至れば、向う二年か三年か青色申告をすることはできないのだから、この際むしろ自分でその青色申告を取り消して、この調査に応じて、調査が終ったならば、また再び青色申告をすればよかろうというような、言うならば甘言を弄し青色申告を取り消さしめ、普通の状態において調査をする、こういう手が行われておるのであります。これは一つ、二つの例ではなく、われわれが末端の現場においてしばしば陳情を受けておるのであります。こういうようなことは、私は明らかにこの法律をゆがめた行為であって、これでは青色申告というものの権威は、あってもなくても同じ形になってしまう。調査しようと思えばどうかつを加えて、事前に青色申告を取り消さしめて、そうして白色申告と同じような調査を行なってその目的を遂げておる、こういうようなことであってはならないと思うのです。そういうような事例については、必要ならばいずれ長官にも申し上げましょうが、そういうような法律にそれた、あるいは極度にこれをゆがめた調査の内容に対して、一つ十分なる通達を行なっていただきたい、こういうように考えるのですが、これらの問題について御見解はいかがでありましょうか。
  37. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 具体的な事例について——具体的な事例といいましても、どういうやり方を各税務署がやっておるかということについて、私まだ十分聞いておりませんのでわかりませんが、今のお話を伺って参りますと、税務署が青色申告が相当正しくないものであるということについて、ある程度たとえば証拠を握っておるとかいったような場合に、そのままでもって進んでいけば、当然着色申告を取り消さなければならない、取り消せば将来何年間か青色申告ができない、従ってそういうことならば、むしろ自分でもって青色中古をやめるという申請をしておいた方が将来自由がきくのではないか、こういう税務署の意思でやっておるのが法律をまげておる、こういう御趣旨なんでございましょうか。
  38. 春日一幸

    春日委員 この問題については、先般前長官と横山委員との間で応酬がありました。というのは、青色申告の場合は、更正決定をする場合の法律上の要件が明らかになっておって、やはりその青色申告そのものを調査して、それでいろいろな誤謬、あやまち、あるいは違反事項が出てくるのでなければ更正決定をすることはできないとか、そういうことであったと思うわけですが、それはどういうふうになっておるのですか、それをこの際伺っておきたいと思います。
  39. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 青色申告につきまして更正決定をします場合におきましては、どの点が更正決定になったかという点についての事由をはっきりさせる、こういうことが法律上の要件になっておる、こういう点が青色申告の一つの特色であります。
  40. 春日一幸

    春日委員 というのは、具体的にどういうことになりますか。
  41. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 ごく単純にほかとの権衡から見て、この人の所得はこれでは少な過ぎるといって更正決定をするということではなく、具体的に一応事由があって、更正決定をするという事由を明らかにする、こういうことが一応法律的の要件であります。
  42. 春日一幸

    春日委員 そういうような場合、私はお伺いいたしておきたいんだが、法律によれば、青色申告の企業が法律に基いて帳簿が作成され、作成されたる帳簿の中に違反があるかどうかということを、その帳簿とその事業について調査をする。そこで違反を発見した場合は更正決定をすることができると思うけれども、何も証拠がないのにそういう更正決定をすることはできない、こういうふうに理解しておるが、いかがですか。
  43. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 具体的に何も証拠がなくて、漫然他の業者との権衡から更正決定する、これは青色申告の場合にはできないと考えていいと思います。
  44. 春日一幸

    春日委員 そうだといたしますと、これは税務署が青色申告を取り消しなさいというて白色の形に直してしまって、そうして比較的証拠が明確でないような問題について、これについての類推的な所得の課税を行う、こういうようなことがあり得ると思います。青色申告でやっておるものは、あくまで青色申告によって保障されておる法律の各条章に基づいての調査が行われなければならぬのであって、その結果だめになるならばだめで、これは仕方がない。けれども外部のいろいろな調査によって、この内部はいろいろ間違っておるという、脱税が行われておるという類推によって、初めからこの背任申告を取り消さしめて、そうして白色と同じような調査をさせるということは、これは結局法律に違反をしたやり方ではないかと思うが、ほかに証拠があるというちところで、これは本人の帳簿を十分調査しなければその証拠が上ってこないことなんだから、単なる風評だとか、あるいは単なる類推だとかいうことだけで青色申告を取り消さしめる、取り消さしめてから、白色と同じような調査をしてくるということは、これは私は間違っていやしないかと思うかどうですか。
  45. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 私も、いろいろな事例があろうと思いますし、具体的によくまだ聞いておりませんが、帳簿を調べてみまして一番問題が出てきますのは、帳簿自体の中のつけ違いという問題よりも、たとえばいわゆる間接資料とわれわれ呼んでいますが、売却先を調べてみる、仕入れ先を調べてみる、あるいは運送店を調べてみる、そういったような幾つかの間接的な調査をして、そこで売却先を調査しますと、売却先の方からは確かにこれだけその店から買ったという資料が出てくる。ところが納税者の方の帳簿にはそれが載っていない、こういうことになりますと、そこを問題を詰めていけば、売却先の方でもってでたらめを言っていない限りにおきましては、だんだん問題が詰まってくる。従って、そらした場合にその線をそのまま押し詰めていきますと、少くともその分については、当然更正決定できる問題が出てくると思います。従ってその場合に更正決定をする、あるいはそうなりますと、青色申告の取消しの問題が出てくる。そこでその事前にそらした話が出てくる、こういったような問題があるのであります。
  46. 春日一幸

    春日委員 そういう場合はよろしい。そうでない場合、そういう証拠も何も上っていない場合はどうするのですか。
  47. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 証拠も何も上っていなくて、これは青色申告らしくないから取り消せと、もしやるとすれば、いわば役所の権威をかさにした威嚇的な問題であります。こういうようなことは、これは税務行政としては絶対にないようにしなければならぬ・こら考えております。
  48. 春日一幸

    春日委員 明確な問題なんで、私たちが言うのは、とにかくいろいろな傍証を固めて、明らかに違反事項があると思うものについて、親切に青色申告を取り消さしめて、そうしてそれを済度できるような措置をとることについては、もとより異議を持つものではありません。しかし何も証拠がないのに、調べれば出てくるぞというどうかつで、もし取り消されればあとこういうことになるのだ、青色申告の特典は向う三カ年間受けられないんだということで相手に精神的な衝撃を与えて、そうしてみずから進んで取消書に判を押さして白色申告の形に還元していろいろ調査を行うというのがあるのですから、私は最初からそういうことを指摘して、そういうことは行き過ぎであり、権威をかさに着た違反行為であるから、そういうことのないように一つ厳重に通達してもらいたい、こういうことであります。具体的な事例については、いずれ長官に申し上げたいと思いますから、判断されて、違反だと思ったら、全国的にそういうケースはないわけではないと思いますので、十分な御処置をとっていただきたい。  それからもう一つ、ちょっとこれはトピックの問題でありますが、先般ある雑誌によりますと、松平康正という前の式部柱官ですか、この方が神奈川県の某大学の学長を兼ねておって、学校法人の財産処分に関連して巨大な脱税が行われておる、こういうことがその雑誌に報道されており幸した。これを見る諸君に、偉い人は脱税してもへいちゃらなのかという大きな誤解を与えると思います。従いまして、その雑誌に載っておりまするような事実があるのかどうか、あったら国税庁はこれに対していかなる処置を行なってきておるか、明日の委員会までに御調査の上、これまた明確な御答弁を願っておきたいと思います。それでは時間がありませんから……。
  49. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時十七分散会