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1956-06-02 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年六月二日(土曜日)     午後零時三十七分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 黒金 泰美君 理事 小山 長規君    理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       川島正次郎君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       夏堀源三郎君    古川 丈吉君       坊  秀男君    前田房之助君       有馬 輝武君    竹谷源太郎君       田万 廣文君    平岡忠次郎君       横山 利秋君  出席政府委員         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         大蔵事務官         (大臣官房長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (主計局法規課         長事務代理)  中尾 博之君         郵政政務次官  上林山榮吉君         郵政事務官         (貯金局長)  成松  馨君  委員外出席者         議     員 佐々木秀世君         外務事務官         (アジア局第一         課長)     針谷 正之君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 六月一日  委員古川丈吉辞任につき、その補欠として加  藤常太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤常太郎辞任につき、その補欠として  古川丈吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  北海道における国有の魚田開発施設等譲与等  に関する法律案佐々木秀世君外一名提出、衆  法第五十九号)  外国為替に関する件。     —————————————
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  外国為替に関する件について質疑を許します。春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 この際政府にお伺いをいたします。それは先般の委員会並びに委員懇談会におきまして、沖縄に在住いたしておりまする日本国民が保有をいたしておりまするいろいろな制限、なかんずく郵便貯金、それから在外預金引揚げ当時所有をいたしておりまして、上陸の折税関に預けてあるところの現金、これらのものの請求権を、国民法律の前に平等であるという観点から、国内に居住いたしておりまする日本国民がかって享受したところのそれぞれの処遇をこれらの人々にも及ぼしていただきたい、こういう陳情にこたえて、政府においてそれぞれ御調査を願ったのであります。これらの問題に対する政府の最終的な御方針がもはやすでに御決定されたと思いますので、これらの問題についての政府の御方針をこの際的確にお示しを願いたいと思います。さらにはこの引揚者は、国内において国民金融公庫機関を通じて更生資金貸付を受けている。ところが沖縄に在住いたしております引揚者は、この特典、恩恵を受けておりません。申し上げるまでもなく沖縄全土は戦火のちまたとなって、ここに在住する日本国民は全部が戦災者でありますので、いずれもその戦災地に引き揚げた引揚者生活の窮乏の状態は推して知るべきものがあろうと思うのであります。従いまして、この更生資金貸付等に関しましては、引揚者であります限り、おおおむねその適格条件を具備していると考えますので、国内に引き揚げて参りました日本国民が、かつて国民金融公庫を通じて借り受けました更生資金を、この際沖縄大衆金庫でありますか、そういうようなしかるべき金融機関の手を通じてこれに貸し与うべきである、こういう主張の上にわれわれは立って、政府善処方要望して参ったのであります。これに対しても政府において十分検討されたところがあろうと思いますが、この際これらの要望にこたえて、政府はいかにこれを処理する方針であるか、この点についてもその方針を明らかにいたされたいと思います。  なお相願わくば、これは大蔵省所管ではございませんでしたけれども沖縄は人口がはなはだ稠密でありまして、そのことによって生活困窮状況はまさにその困窮度を深めております。アメリカ一定予算措置を講じて沖縄民海外移住について何らかの措置を講じておる様子ではありますけれども、しかしこれによって、問題は的確に解決を見てはいないのであります。従って、この際日本国政府におきましても、それぞれブラジル移民、あるいはカンボジア移民、その他移民計画がありますので、この移民計画の中にやはり沖縄に在住する日本国民を入れてもらいたいという陳情等もあります。この問題については、大蔵省を通じて政府関係協議等の機会にそれぞれ担当官庁の意向を確かめて、本委員会を通じてこれまた政府の見解をお示しいただくようにお願いをしてありましたので、その問題についても、検討されたところがありまするならば、あわせて御報告を願いたいと存ずるのであります。  なおもう一つは、先般外務委員会その他内閣委員会等においてそれぞれ意見も述べられ、わけて外務委員会等においては、委員会決議等も行われておりますが、すなわち連合軍によって接収されておりますところの軍用基地として使用された土地に対する補償、これも日本国日米安全保障条約、その他講和条約等関係において、債権請求権を放棄した立場において、これまた国内法によってのみ解決がし得るというこの現状の上におきまして、この接収されたる人々に対する日本政府としての補償の問題、これを御検討を願うことに相なっておりましたが、検討されたところがありましたならば、これについても大体の方向をこの際お示しを願っておきたいと思います。  以上の数点について、この際政府の御方針を伺わしていただきたいと思います。
  4. 石原周夫

    石原政府委員 ただいま春日委員からお尋ねのございました数点につきまして、大蔵者関係をいたしておりまする事柄についてお答えを申し上げます。  第一の、沖縄方々が引き揚げられました際に税関でお預かりをいたしておりまする物件、これの返還につきましては、原則としてお返ししてよろしいと考えております。なおその具体的な手続といたしまして、適当な方が一括をして引き取っていただくというような便宜方法の御相談をいたしたいというふうに考えております。  第二の市外預貯金銀行預金並びに閉鎖機関預金でありますが、これにつきましては、内地におりまする適当な者に預金債権譲渡を行うという方法を一これはいろいろな方法があると思うのでありますが、便宜一括して取り扱うというような方法を御相談をいたしまして、それを通じまして支払いをいたすということにいたしたいと思います。郵便貯金につきましては、郵政省の方からお答えがあると思いますので、第一次の官庁である郵政省の方でお答え願います。これらと関連のありまする為替管理法の問題でありますが、為替管理法の問題といたしましては、現在沖縄がいわゆるドル地域に属しまする関係上、為替管理法そのものの適用をしないということは、これは現行法の建前上できない。しかしながら現在の法の運営の面におきまして、先ほど申し上げました在外預貯金払い戻しというようなものを向う側にお持ち帰りになるというようなことにつきましては、十分実情に即して支障のないように運用いたしたいと考えます。  次に、国民更生金庫引揚者に対しまする更生資金の貸し出し、これに類似をしたような一連援護措置関係であります。これらの援護措置に関しましては、これは国際間の関係にも相なりまするので、よく外務省相談をいたしまして、できる限りのことをいたしたいと思います。そのうち遺族国債の点でありますが、遺族国債につきましては、これが内地に送り届けられるという方法が講じられますれば、支払いの道があるわけでありますが、内地におきましては、民生委員という人たちの詮議の道がありますので、それに、はずを合せまして何らかの手続を考えまして、この援護国債買い上げ措置というものにつきましては、具体的な方法を考えたいと思います。その他の援護措置につきましては、先ほど申しましたようなところからいたしまして、よく外務省と御相談をいたしてからということに相なると思います。  次に移民関係でございますが、これもまだ外務省とは十分に御相談が済んでおる段階ではございませんが、ただこういうことだけは、現在申し上げられるわけであります。それは、沖縄の方が何らかの方法をもちまして内地おいでになりますと、その内地おいでになってからの扱いといたしましては、内地で持っておりまする移民割当の数の中におきますところの運用というものは可能だ、こう申し上げていいと思います。それ以外の点につきましては、なお十分に御相談してからでないとお答えをいたしかねます。  最後に軍用地の点でございまするが、これも現在のところ、外務省においていろいろ御心配を願っておる筋だと思いますので、そこら辺のところの模様も見まして、われわれとしても調査研究いたしまして善処いたしたいというように考えております。
  5. 成松馨

    成松政府委員 沖縄に住んでおられる方々郵便貯金につきましては、当然内地に在住している人々と同じように支払いをしなければいけないというように考えております。ただこの問題につきましては、大蔵外務等関係各省とも相談をしてみたのでありますが、やはりアメリカ政府に一応話をする必要があるだろうということになりましたので、外務省方面で一日も早くアメリカの方と話をしていただくことを希望しておる次第でございます。
  6. 針谷正之

    針谷説明員 ただいま郵政当局の方からお答えいたしましたように、郵便貯金につきましては、奄美群島に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定第三条第三項に、「南西諸島のその他における日本国政府郵便組織戦争前の資産及び債務考慮に入れて、後日合意されるとおりに決済しなければならない。」という項目がありますから、この線において何とか決済をすることにいたして参りたい、これについてはいろいろ技術的にも込み入ったものもございましょうから、十分この線に従ってアメリカ側話し合いをつけて、満足な解決をはかりたいと思って、すでにアメリカ側折衝開始申し入れどもいたしております。
  7. 春日一幸

    春日委員 大蔵省理解の深い御努力が重ねられて、とにもかくにも現金はすみやかにまとめて返す。それから在外預貯金については、これまた債権譲渡の形式で一括払い戻しを行なっていく。これらに関連いたしまする為替管理上の制約については、やはり便宜措置を講じて、実際送金の可能な方途を講ずる、こういうことで、少くともこの三点について一応の解決を見ましたことは、今沖縄に困難な生活をいたしておりまする諸君のために、いささか愁眉を開き得たと存ずるのであります。しかしながら申し上げたいことは、ただお役所仕事で、これだけの結論に到達するまでに少くとも数年間をけみしておるという実績にかんがみまして、この法律が決定されて、その実務が処理執行されるというまでには、さらに相当の時日がかかるのではないかということを私どもは最もおもんばかるのであります。従いまして、決定されましたこの二つ事柄につきましては、政府は緊急に適切な措置を講じられまして、これらの要望は彼らのすでに久しきにわたりまする要望でありまする点にかんがみまして、すみやかにその実現をはかられんことを強く要望いたすものであります。  そこでこの郵便貯金払い戻しに関しまする問題につきまして、特に郵政省外務省に申し上げたいのでありますが、特に大蔵省理解ある協力をなされなければ相なりません。問題は、この現金在外預貯金と、その本質はそんなに隔たるものではないのでございまして、当然沖縄に在住する日本国民日本国に有する債権をいかに処理するかというところにあると思うのであります。三つの要求の中で二つがかなえられて、一つだけ、すなわち郵政省所管の問題だけが解決されないということは、私は郵政省において勉強、努力が足りないのではないかと考えざるを得ないのであります。沖縄に在住する日本国民日本国に所有するところの債権を支払う他の二つ案件がかくのごとく妥結点に達し、その処理を見ようといたしまするとき、郵便貯金に関してのみさらに今後の折衝に待たなければならないということは、私は断じて承認し得ないのであります。先般の懇談会等においても、われわれは強く郵政省に指摘したところでありましたが、こういうような問題は、さきに奄美大島における郵便貯金の問題の処理等もありまして、当然関連事項として、日米交渉を通じて早期に妥結されてしかるべき問題であり、そんなことはやろうと思えばやれる問題である。金額も伺えば何か六、七千万円とかであって、何十億とか何百億とかいう大きな問題ではない。これは当然やってもらわなければならぬ。  そこで外務省にお伺いをいたしますが、この南西諸島に対する日米の取りきめ、これは合意点に達すれば支払って差しつかえないということなんだが、一体この問題は今まで一ぺんもアメリカとお話しになったことはないのであるか。少くとも郵便貯金を早く払ってくれというこの要請は、大蔵省といわず、郵政省といわず、外務省といわず、これは積年の陳情である。その陳情を受けて、今まで日米間においてこの協定に基いての話し合いというものは一ぺんもしなかったのであるか、あるいはしたのであるならば、どういうようなところに困難性があってその交渉は進捗しないのであるか、この点を一つありのまま御答弁を願いたいと思うのであります。
  8. 針谷正之

    針谷説明員 はなはだ遺憾なことですが、今までアメリカとこの交渉をやったことはないようであります。
  9. 春日一幸

    春日委員 一ぺんその協定の——要するに話し合いをして合意に達すれば支払いができるというその協定の題目と、その該当条項をここで読んで下さい。
  10. 針谷正之

    針谷説明員 「日本国政府は、奄美群島におる郵便組織のすべての金融債務を負うものとする。血美辞岳における郵便組織南西諸島のその他の島における郵便組織との間の勘定は、日本国政府アメリカ合衆国政府との間で、奄美群島における郵便組織のその他の資産並びに南西諸島のその他の傷における日本国政府郵便組織戦争前の資産及び債務考慮に入れて、後日合意されるとおりに決済しなければならない。」以上であります。
  11. 春日一幸

    春日委員 その協定はいつ成立したのか。
  12. 針谷正之

    針谷説明員 昭和二十八年十二月二十五日に……。
  13. 春日一幸

    春日委員 そういう協定があって、しかもその協定は今から三年も四年も前に協定が締結されておる。そうしてこういう陳情本ずっと前から陳情されておる。その陳情に基いて、こういう協定があるのだから、その協定に基いて交渉をして、妥結をすれば、払おうとすれば払えるのですよ。どこに困難な問題があるかということは、交渉しなければわからない。一体交渉もしないというそんなばかなことがあるか。郵便貯金債権債務関係を明らかにするために協定ができておるのでしょう。だとするならば、その協定に基いて交渉を開始しなければだめではないか。一体なぜ今まで陳情もあり、そういう協定もできておるのに、そういう協定に基いて交渉をしないのか、そのわけをもう一ぺんここで一言ってみなさい。
  14. 針谷正之

    針谷説明員 この同順につきまして、どうして今までアメリカ交渉しなかったかということにつきましては……。ちょっとここで申し上げる理由が十分ございませんので……。
  15. 春日一幸

    春日委員 一体こんな連中に国の外交をまかしておいていいのでしょうか。ここには与党の諸君もおられるけれども、これは超党派の問題として、祖国の民族のために全く深憂にたえない。琉球におる八十万の同胞が人質にとられ、わしらはつらい、せつないと訴えておるのですよ。そういう協定でもって、合意に正すれば支払うことができるとアメリカも言っておるのです。合意に達するか正しないかは、交渉を開始しなければわかりはしない。それだのに、そういう協定を締結しておきながら、三年間も四年間も一ぺんも交渉していない。しかも沖縄連中は、乏しい金をさいて、何べんも何べんも日本に来て、政府にも国会にも陳情しておるのです。こんなばかげたことが許されると思うのですか。先般漁船再保険の問題について、本委員会外交上の問題についていろいろ質問したときにも、何もかにも見当がつかないで、こんな連中、まるで給仕にも劣るような連中相手に話をすることはできないと言って、われわれが激怒したことがあったのですが、実際もう少し職責を尽してもらわなければ困る。そこで郵政省は、木協定こそは郵便貯金債権債務に関する処理方式を一応きめておる、そのことに御存じないはずはない。にもかかわらず、外務省を督励し、あるいはまたみずからそういう折衝をなぜ向うとやらなかったのか、あるいはやったのか、その点一つ明らかにされたい。
  16. 成松馨

    成松政府委員 先ほど外務省課長からお話し申し上げました、奄美群島のこちらへ行政権が戻ってきましたときにできました協定につきましては、奄美群島郵便組織南西諸島郵便組織についての貸借決済関係でありますので、非常にいろいろ努力をいたしまして数字を固めるようにしておったのでありますが、かなりその数字を固める努力のために、非常に郵政省側として時間がつぶれたために今日までに至ったわけでありまして、非常に私どもの怠慢だと感じております。従いまして、こちらの手続がおくれたために、外務省側にいち早く交渉してくれということまでに至らなかったのであります。
  17. 春日一幸

    春日委員 六千万円か七千万円か知らないけれども、少くとも郵政組織で三カ年も四カ年もたって、それだけの数字の計数が出ないということがありますか、あなた方は一体どこから月給をもらっているのだ。少くともあなた方の膨大な、十何万か二十万をこえるか知らないが、そんな大きな組織を持っておって、そしてこういうような協定ができて、奄美大島の前例もあるので、あるいは交渉すれば支払いができるかもしれない、あるいは陳情にこたえて支払おうという決意があれば、向うでそれを新聞にでも何にでも掲げて、郵便貯金関係請求権のあるものは申し出よということをやれば、そんなものは二月、三月で集計できないことはないと思う。あるいはいろいろな貸し借り関係だって、やる気があれば、どんな困難なことだってやれないことはないと思う。今大蔵省関係においては、現金在外預貯金の問題については解決がついたのだから、一連の問題として、コンビネーションではないけれども、一緒に陳情をしているのですから、陳情者たちが、国会が終るのを待って国へ帰って、それぞれの関係者に報告しようとしているこの際、報告できぬということがありますか。少くとも六千万円か一億くらいのことだったら、しかも彼らが預けた自分の金ではないか、そんなものを本日回答ができぬということはありません。大体この問題が頭を出したのは、きのうやきようではなくて、少くとも国会の会期中に政府の最終的な方針というものをこれらの陳情者に明確に示し得るという時間的スペースを持って、われわれあなた方にこの調査研究とを日にちを限って、その最終的方針を明らかにされることを要望して、今日まで参ったにもかかわらず、本日、まだこれから交渉しなければならないという、そんなばかなことがありますか。委員長郵政大臣を呼んで来なさい。私は本委員会で、何もこういう困難な問題について、あなた方を相手にああだこうだと文句を言うのを目的にしているのではない。問題を解決して、この八十万の難民たちの期待にほんとうにこたえようと思って、真剣に研究している。特に先回の懇談会なんかは、お互いにこういうような公式のしゃくし定木な理論応酬をすれば問題の解決に到達しないかもしれないと、ことさらにおもんぱかって、われわれは速記をとらない自由な懇談で、少くともきのうの一日までに回答してもらうようにということで、われわれは本日を心待ちにしてきた。それを本日同じような回答をするとは何ごとだ。委員長、この際郵政大臣に出てもらって、政治的責任のある回答をしてもらわなければ、国会はあすもうこの委員会が開かれるか開かれないかわからないのに、こんな中途半端な解決では、陳情者要請にこたえる形にはならないと思う。この際、願わくば緊急に郵政大臣を呼んで、郵政大臣も同じような答弁であったなら、申し上げることがわれわれはまだ多々あると思う。こんなことでは、本委員会はその審議の職責を尽しがたいように思うので、すぐに郵政大臣を呼んでもらいたい。その間ほかの話をいたしたいと思います。  それは遺族国債ですが、これはやはり民生委員が、当該者生活困窮者であるかどうか、これはやはり認定するか副申するか何かしなければ、現金にかわらないような規定があると思う。ところがこれは沖縄であって、その担当者はやはり管轄外であろうと思う。それが生活困窮者ということを認定することが困難であるというような、そんな理由なんかによってもしもこの支払いが渋滞を来たすようなことになっては、せっかく到達した理解というものが実現できない心配なしとしない。そこでこの民生委員にかわる認定をどのような方式によるか、また法律関係はどういうように検討されたか、この点を明らかにしていただきたい。
  18. 石原周夫

    石原政府委員 南方連絡事務局長からあるいは補足していただいたらいいかもしれませんが、今のところまだ結論に到達しておりませんけれども方向といたしましては、琉球政府の方で何かこれにかわる認定をしていただくというような方法で考えてみたい、そういう線で至急結論をしたいということで、相談をいたしているわけであります。大体そういうようなことで筋道がつきますならば、それで結論になるかと思います。
  19. 春日一幸

    春日委員 これも一括債権譲渡というような形をとられるのか、あるいはこの分については、国庫買い上げという形をとられますか。この点の方針がきまっておりましたら、この際お示しを願いたい。
  20. 石原周夫

    石原政府委員 内地では現在郵便官署で扱っておりますが、沖縄ではそれがどういうような形になりますか。これは南方連絡事務局とも連絡してきめたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、もし買い上げ方法でいかないで、まとめて内地へ送った方がいいということでございますれば、その方法でもいいでございましょう。そこらの点につきましては、まだ最終的な結論に到達しておりません。
  21. 春日一幸

    春日委員 更生資金の問題の一部分は、そういうような方式によって解決ができると思いますが、彼らの要請は、局限されたものではなく、当然日本人として日本国内に居住したかってのフェーバー措置をひとしく受けたい。そして生活困窮度は、内地と同じであり、ことに彼らの居住地全面的戦災地である点にかんがみまして、困窮度はさらにひどい。こういう立場から、政府一定財政措置を講じて、おくればせではあるけれども困窮状態が何ら緩和されていないので、この際更生資金貸付をしてもらいたい。すなわちこの項目における陳情のウエートはそこにあります。遺族公債買い上げというような措置を講ずるだけでは、彼らの要請にこたえることに相なりません。従ってこの問題については、当然政府首脳部においても相当考慮が払われ、検討されたと思う。しかし財政措置を必要とする点において、本国会においては、これをどうこうすることもできないでしょうが、少くとも次期国会においてこれに必要なるところの予算措置立法措置をお講じになる意思がおありであるのかないのか。この点も大体御検討されたところがありますならば、この際明らかにされたいと思う。
  22. 石原周夫

    石原政府委員 先ほどお答えを申し上げましたように、一般の援護措置につきましては、国際間の関係にも相なりまするので、この点についての御相談外務省といたしておるわけであります。従いまして、そういうような線においての研究はいたしておりませんが、目下上司ともよく相談をいたしておりますが、次の国会法律案を提出するというようなところまではまだ参っておりません。御了承願います。
  23. 春日一幸

    春日委員 それは極力努力を願うことを強く要望いたしておきます。  そこで、問題はだんだんと解決をして参りまして、残るところは、この郵便貯金払い戻しに関する一点に集約されて参ったかと思うのであります。ところが、この協定その他覚書によりまして、南方連絡事務局沖縄に置かれておりまするその目的の一つは、この中に郵便貯金払い戻しに関する日本政府との交渉の書類の収集ということがあるわけであります。ところが先般伺ったところによりますと、これらの事務は、おやりになっておる様子ではあるけれども、いろいろな関係において、なおはかどっていないということであります。そこで、外務省郵政省との現状については今お聞きの通り。そこで問題は、結局郵政省に対するその政治的責任は、今大臣が来てから、私からその責任を問うことにいたしまして、結局その衝に当る者はあなたの所管にあるのではないかと思う。南方連絡事務所というようなもの職掌はそんなに広いものがあるわけではないし、行政権が向うにあります限りにおいて、あなた方の活動の分野というものは局限されておる。局限されておるわずかの中の一つが、この郵便貯金処理の問題であるということを一つよく銘記されなければならぬ。そういう意味で、あなたはこの郵便貯金処理が困難な状態にあることにかんがみて、今後郵政省外務省を督励しつつ、なお大蔵省理解を深めて、この問題の解決のために努力が当然されるであろうが、大体あなたの見通とししては、一体どんな状態にあるのか、南方連絡事務局長としての責任ある見解を伺いたいと思います。
  24. 石井通則

    ○石井(通)政府委員 郵便貯金の問題に関しましては、前から現地の要望を聞いておりまして、関係各省には従来からもお話を申し上げておりましたが、いろいろ計数整理等で時間もかかったのでありますが、いよいよ外務省から交渉を開始されたというように聞いておりますので(春日委員外務省は何も交渉しておらぬと言ったじゃないか、その場限りの答弁をするな」と呼ぶ)開始されるというお話を聞いておりますが、(春日委員「自分がその渦中に飛び込んでやるべきだ」と呼ぶ)もちろんそのときにおきましては、いわゆる外交折衝の下の段階になる現地折衝も、相当必要であるというふうに考えておる次第であります。そのわれわれがやるべき点につきましては、万全の努力を払ってこの問題を解決したい、こういう考えでおります。
  25. 春日一幸

    春日委員 沖縄の行政長官は極東軍司会官ですね。そして琉球の司令官がその副長官。だから、この協定に基いての外交交渉は、実際やろうと思えば東京でやれるのです。そういうような意味で、今郵政大臣に来いと言うたけれども、時間的にも多少ずれましようし、時間が時間だから、本委員会から各党代表などが郵政大臣と会って督励することにいたしまして、やろうと思えばこれは東京でできる、ワシントンでどうとか、ロンドンでどうとかいうような遠くの問題ではないのです。そしてまた金額についても、日本国が払うだけのことであって、アメリカの金をどうこうというようなことでもないんだから、こんな問題が解決できないというようでは、少くとも国民の血税による禄をはんで、みずから恥かしいと思うところがなければならぬ。もしもあるならば、これは少くとも大臣その他責任者を督励して、東京においてすみやかに交渉して、これはきょうでもあしたでもいいから一つ交渉されて、せっかく沖縄から陳情にきておられますところのこれら難民の代表諸君に、国へ帰るときにまとまった報告ができるように、少くとも日本国会、日本国政府のあたたかさをかの地において困難な生活にさらされているその人々に伝えることのできるよう、に極力情熱を持って努力されることを強く要望いたしまして、私の質問は終ります。
  26. 松原喜之次

    ○松原委員長 郵政大臣は外出をいたしておりますので、政務次官があとで参ることになっております。  それから関連質問の申し出がありますので、これをし許ます。石村君。
  27. 石村英雄

    ○石村委員 大蔵省にお尋ねしますが、例の講和条約の発効までの占領軍によっての沖縄住民の損害に対する補償と申しますか、この問題が出ておるわけなんですが、これは当然お払いになることだと思うのですが、払うとすると、これは補正予算を組まなければならぬのじゃないか、こう考えますが、いかがですか。
  28. 石原周夫

    石原政府委員 先ほど春日委員のお尋ねに対して申し上げましたように、今のお尋ねの軍用地の問題につきましては、外務省の方で御折衝になるというふうに承わっております。そういうような段階において処理すべき事柄かと考えております。大蔵省といたしまして、今これに対します財政措置を考えておりません。
  29. 石村英雄

    ○石村委員 ちょっとと開き取れなかったのですが、大蔵省としては、講和条約発効までの損害に対して、払うべきものだという考えがまだきまってないのですか。
  30. 石原周夫

    石原政府委員 大蔵省としてこれを日本の予算でと申しますか、支払うというような結論を出しているわけではございません。
  31. 石村英雄

    ○石村委員 この問題はどうしてそういうことになるのですか。そこの説明を願いたいのです。しろうとが考えますと、講和条約発効後は、当然アメリカ政府の方でそういう補償なんかはすると思いますが、融和条約発効までの問題については、やはり日本で払うよりほか払うものはいないのではないか。講和条約でも、日本がこれに対する請求権を放棄をいたしておる関係がありまして、アメリカ政府に払えと言ったって、おそらく払わないだろうと思います。そうすると、沖縄というものが終戦とともにもう外国になってしまって、日本は全然関係がないのだというお考えですか。それとも、それは講和条約によって初めて沖縄国際的地位というものがはっきりしたわけであるが、それまではやはり日本の領土として、日本国民として、日本政府措置を講ずべきだ、これはしろうと的な常識的な考えなんですが、特にやはり疑問があるのです。
  32. 石原周夫

    石原政府委員 詳細の点は外務省あるいは法制局の方からお答えを願ったらよろしいかと思うのでありますが、御承知のように、内地におきましては、講和前、占領時代におきましても、二重統治と申しますか、日本政府がございまして、日本政府連合軍のたとえば指令を受けて措置をいたすというような形になっております。従いまして、日本の場合におきましては、占領当時におきまして、御承知のような終戦処理費からの仕組みによりまして処理をいたしたわけであります。沖縄におきましては、そういうような筋合いになっておりませんので、従いまして、沖縄の講和発効前における土地につきまして、日本側がこれを引き受けてやらなければならないというような筋道ができていないわけです。講和条約の十八条の解釈につきましては、私から申し上げるよりも外務省から申し上げた方がよろしいと思いますが、筋合いといたしまして、ただいまのように考えております。
  33. 石村英雄

    ○石村委員 これは法制局というか、外務省にはっきりした説明を願いたいと思います。もちろん占領行政について、内地沖縄が違っておったということは、私も承知いたしております。しかし沖縄の地位が確定したのは講和条約だと思うのです。講和条約のできない前に、沖縄というものが行方不明になったということではないはずなんです。だから、やはり問題は相当あるのではないかと思うのです。単に占領地行政のやり方が内地沖縄が違っておったから、もう日本政府とすれば知ったことでないとは言えないのではないかと思います。この点、もし大蔵省が不適当なら、外務省なり法制局からはっきりとお教えを願いたいと思います。
  34. 中尾博之

    ○中尾政府委員 この問題につきまして、法制局あるいは外務省の条約局あたりと大蔵省の方とも相談をいたしております。その法律関係を明らかにするべく努めておるわけであります。しかしながら今ここで政府の見解——こういうものは見解と申しましても、要するに法律的な検討の結論になりますが、これにつきましては、まだ必ずしもはっきりいたしておらないのであります。ただいま石原官房長から御答弁申し上げました程度のことは一応申し上げられ得るのでありますが、さらに法律的には、いわゆる行政分離の命令が終戦後出たわけであります。それ以後日本の法域の外にあった、事実問題としてあったのみならず、そういう法律の体系になりまして、そういうことの関係から、あとは技術的に現在のような状態になっておるわけです。その際沖縄の方に、もちろん国民としての国籍もあるわけであります。領土もまだ日本に潜在的な主権があるという点は、講和条約を締結する際におきましても、口頭で確認せられておるところであります。しかしながら、それの積極的な内容がどの程度のものであるかということにつきましては、こういう問題に当面いたしました場合にそのつど検討をいたしませんと、なかなか明確でないようでございます。要するに沖縄の地位というものは、国際的に見ましてきわめて新しい形の地位である関係上、国際法的に見ましても、これに対する結論はなかなかむずかしいというような様子でございます。なお平和条約の十九条の関係でございまするが、この関係につきましても、これが沖縄という特殊な地帯に対してこの条文をこれに合せて考えました場合に、どういう適用関係になるものであろうかという点につきましては、先日来数次関係官の間で会合いたしまして検討を進めております。なお国際的な外国のそれに似たような取扱いで資料を収集して、さらに検討を進めるという段階にございます。端的に申しまして、十九条のいわゆる請求権の内容であるとか、あの条約に申しまするところのいろいろな領土の範囲であるとかいったような技術的な問題につきまして、いろいろ検討すべき点がございます。ただいずれにいたしましても、当時の日本行政権の外にございまして、日本の憲法以下の法体系の適用の地域外にあった、従って法律的意味における補償という問題は、当時の段階では出てこないということは、今官房長から申し上げた通りであります。十九条の法規関係についてどういう筋合いになるか、これは平和条約全体のいわゆる賠償とかなんとかいう問題にもからむのでありますが、十九条の沖縄に関する限りは、また特別にいろいろな複雑な検討を必要とするもののように考えております。なおこの点につきましては、さらに検討を取り進めておる次第でございます。
  35. 石村英雄

    ○石村委員 しろうとには結局わからないのですが、今の御説明を開いても、大蔵省や何かもよくわからぬから検討しているというので、どんなことになるのかさっぱりわからぬような話なのですが、ただいまの法規課長代理の説明では、法律的には払えない問題だというような説明もあったかと思うのです。やはりそういうお考えなのですか。私の聞き間違いですか。
  36. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いわゆる占領時代におきまして、間接占領と申しますか、向うの指令に基きまして主権を日本政府が一度収得いたしまして、これを占領軍に提供しておったという形を整えておりました関係上、先日の懇談会でもお話の出ました、いわゆるポ勅によります土地工作物使用令というものが出ておったわけです。これに基く補償という観念で先日来のお話が出ておるようです。これは、実は当時日本の法令の行われておりました範囲内における、沖縄を除きました内地の分に適用があるのでございまして、その分が直接に沖縄に適用を見るということにならないのでございます。当然日本行政権の外で行われたことでございまするから、その分に関連いたしました論理から参りまする補償の問題というものは、本件には該当しないということに考えております。
  37. 石村英雄

    ○石村委員 これは、もっと国際法なり何なりの理解のある方から質問せられた方がよかろうと思うのですが、答弁を聞いてみますと、常識的にはなかなか納得できない結論のように思われる。法律的にはあるいはそういうことになるのかもしれませんが、一般のしろうとの常識には、なかなか納得のできない御返事のように受け取ったわけです。これが外国人のことなら、それはそれでいいですが、沖縄の人は日本人なのですから、あまり法律に小さなむずかしいことにとらわれて、あれもできぬ、これもできぬでほったらかしにしないで、早く常識的に納得できる解決をしていただきたい、こう考えてます。
  38. 石原周夫

    石原政府委員 先ほど申し上げましたように、軍用地の問題全体につきまして外務省相談をいたしておるわけであります。お気の毒な状態からできるだけ早く立ち直られるように、外務省相談をして努力をいたしたいと考えます。     —————————————
  39. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、去る五月二十四日当委員会に審査を付託されました佐々木秀世君外一名提出にかかる北海道における国有の魚田開発施設等譲与等に関する法律案を議題として審査に入ります。まず提出者より提案理由の説明を聴取いたします。佐々木秀世君。
  40. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 北海道における国有の魚田開発施設等譲与等に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  終戦直後、領土の喪失によって、北海道に樺太、千島より多数の漁民が引き揚げて参り、そのうち大多数の無縁故漁民は、漫然と漁村に入り込む状況にあり、これらをそのまま放置しておくことは、水産資源の減少と漁村秩序の混乱を招くおそれがあり面したので、とりあえず援護対策を講ずることとし、これを組織的に未利用沿岸魚田に入植せしめ、その生活安定をはかる目的をもちまして、昭和二十二年度二百万円、昭和二十三年度公共事業費五千五百三十四万五千円の全額国費をもって、共同住宅五十四棟、給水施設三カ所、漁船十五隻を新設または購入して、引掛漁民の組織した生産組合に使用させ、関係市町村に管理させることとしたのでありますが、御承知のように、当時は戦後の混乱期でありまして、資金、資材はもちろん、物価変動等の関係から十分な施設とは申しがたく、従って、その後の維持補修は申すに及ばず、管理に対しても各市町村において少からざる支出を余儀なくされているのでありますが、引揚漁民千五百戸余の援護更生に寄与するところ大であったのであります。しかし、昭和二十四年度よりは、当時の連合軍総司令部の示唆により中止のやむなき状態となり、さらに昭和二十六年度よりは国の施策変更により、北海道における魚田開発事業は、補助金制度に切りかえられることとなって現在に及んでいるのでありまして、これらの経緯及び実情等から昭和二十二年、二十三年の両年度の施設につきましては、これを関係市町村に譲与することが管理上最も実情に即する適切な措置と考えられる次第であります。よって、このような趣旨に基きまして本法律案を提出いたしたのであります。  何とぞ満場一致の御賛成あらんことを切望いたします。
  41. 松原喜之次

    ○松原委員長 これにて提案理由の説明は終りました。     —————————————
  42. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。閉会中審査を申し出る案件につきましては、一昨日の委員会におきましてすでに決定いたしておりますが、本日の理事会の協議に基きまして、ただいま提案理由の説明を聴取いたしました佐々木秀世君外一名提出の、北海道における国有の魚田開発施設等譲与等に関する法律案につきましても、閉会中審査を付託されるよう、議長に対し追加して申し出たいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお申し出書の作成、提出等の手続につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  45. 松原喜之次

    ○松原委員長 引き続き、外国為替に関する件について質疑を許します。春日一幸君。
  46. 春日一幸

    春日委員 上林山政務次官にお伺いをいたします。そもそも政務次官の主たる任務の重要なる一つ事柄は、当該所管官庁並びに国会を通じて、国民との間の連絡であろうと考えるのであります。  そこであなたにお伺いをいたしたいことは、たまたま琉球地域に居住をいたしておりまする日本国民が、かって日本国郵便貯金組織に属しておりましたところの郵便貯金債権払い戻してくれという要求を重ねられておることは、御承知であろうかと思います。この問題については、軍町郵便貯金等特別処理法とかいう法律があって、日本国国内に居住する日本国民に対しては、これが逐次払い戻されて参った。ところが戦後の琉球における行政的分離等のいろいろな事情によりまして、琉球に居住しておりまするこれらの人々に対してのみ、この特別処理法の恩典が与えられずして本日に至っておる。従いまして、当然琉球に居住しておるそれらの債権者は、この法律の恩典を、法律の曲には国民平等という立場で主張して参っております。このことを御承知であるかどうか、まずもってこの一点をお伺いしたい。
  47. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 ただいま春日委員から御指摘になりました問題については、最近に至りまして事務当局から経過の報告を受けております。
  48. 春日一幸

    春日委員 実はこの問題については、沖縄に在住しておりまするこれらの諸君が、在外預貯金払い戻しの請求、それから引揚げ当時税関に預けた令を返せという要求、それから引揚者に対する更生資金貸付等事柄関連いたしまして、この郵便貯金払い戻してくれということを重ね重ね強く要望されて、自来数年に至っておるわけであります。従って本委員会貯金局長に対して、すみやかに、今次国会中においてこの解決点を見出せ——と申しますのは、たまたま長い間陳情してきてもなかなか問題の解決がはかどらないので、待ち切れなくなった人々は代表を選んで、すでに一カ月来国会にこのことを陳情して参っております。これらの人々は、これら一連陳情の事項について、会期中に政府並びに国会方針を明らかにしていただいて、帰って沖縄の同胞にこれを伝えたい、こういう切なる要望に基いて、善処方を強く要望して本日に至りました。のみならず、十日ばかり前でありましたか、問題の性質にかんがみまして、これら速記をとった委員会の形式では、円満なる、また十分なる了解に達し得ないようなきらいもあろうと思うので、従って議員の懇談会を開いて、十分国会の意思を政府に反映せしめて、そうして相こぞって問題の解決をはかろう、こういう会議の過程を経て、その回答を昨六月一日、これについて政府から最終的決定の意思表示を得よう、こういうことでありましたが、昨日の事情で本日に延びて参ったのであります。ところがただいま政府からの御答弁によりますと、大蔵省関係の問題は、およそ陳情者要望がおおむねかなえられた。ところがひとり郵政関係においてのみ、問題があいまいもことして、なお今後の交渉に属するとか、交渉したあげくの果てにどういうふうになるのか、皆目見当もつかない、さらにまたその交渉に臨まんとするところの郵政省そのものの決意も、これも端的に表明されたとは言いがたい、こういうようなことでは、貯金局長に対して、国会が一体何のために今までその主張をし、調査を要求し、その陳情を取り次いできたのかわけのわからぬことになってしまう。少くともこの国会の言論というものは、はなはだ軽くあしらわれているというきらいなしとしない。当然この問題は、こういう法律上の、あるいは協定上の技術的な問題ではあるけれども、これは沖縄に在住しておる八十万の難民たちに対する日本国政府並びに国会の援護政策として、これは高度の政策的な問題であろうと考える。従いまして政務次官が、この問題について当局から報告を受けられたならば、これは政治家として当然何らかの決意を持って処理をいたさなければならぬし、されたところもあろうかと考えるが、一体政務次官はどういう決意でこの沖縄諸君要請にこたえんとしておるのであるか。さらに、大蔵省関係において問題がおおむね解決をした現段階において、ひとり郵政関係のみ何らの結論に逃し得ないということは、職務怠慢のそしりを免れないと思う。一体こういうような郵政関係の仕事のやりっぷりで、これで国民の負託にこたえ得ていると思うかどうか。一ぺんあなたの政治家的良心において、そうしてまたこの政策そのものをいかにあなたが判断理解しておるか、この点、一つあなたの御所信を承わりたいと思います。
  49. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 ただい京春日委員が御熱心に指摘せられた点については、私も全部同感だと申し上げたいと思いますが、報告を受けましてから、この問題は大蔵省あるいは外務省当局も関係があるから、よく事務的に調整をとって、できるだけ早く結末をつけた方がいいだろう、こういうことで、事務当局とも連絡をいたしまして、今申し上げた大蔵あるいは外務当局等とも調整をしてもらうように今日までになったわけでございます。しからばこれを払った方がいいのか、あるいはどう考えておるのか、こういう御質問だと思いますが、私は、今春日委員が御指摘になった通り、いろいろ複雑な事情はあろうとは思いますけれども結論としては、誠意をもってこれらの沖縄の難民に支払いをした方がいい、またそうすべきである、こういうような考えを持って事務当局をも鞭撻しておるつもりでございます。御了承願います。
  50. 春日一幸

    春日委員 私がこの際明確にいたしておきたいことは、この問題については、奄美群島に関する協約の締結というのが、日本国政府とダレス国務長官との間に、これは一九五三年十二月二十五日に決定されております。その関連事項としての第三条第三項の話だが、その中で奄美群島における郵便組織南西諸島との関連についていろいろな方針が定められておるのであります。従って、この交渉を始めて合意に達すれば支払うことができるという道が開かれておる。ところが郵政当局は、いろいろな金額あるいは勘定関係等が錯綜してなかなか困難だということで、本日に至るもなおアメリカとの間にその交渉を開始していない。それは外務当局から今そういう回答があったわけなんです。私はこのことに対してはなはだ憤激を禁じ得ない。御承知の通り、いろいろ困難な事情もありましょうけれども政府がその気になってやるということならばやれる。もうすでに軌道は敷かれているのだし、そうしていろいろな勘定を明確にするということならば、大きな郵政組織をもってこれができないはずはない。そこで、今この問題をあなたと私がやり合いをしておったところで解決はつかないし、解決がつかないのでは、沖縄からきて一カ月も滞在して、六月一日になれば政府のまとまった意見が表明されるから、それを一つ待とうといって待っておった諸君の負託にこたえ得ない形になるわけであります。そこで、今大臣に出てもらおうと思ったが、大臣がおらぬので、貴殿に御出席を願ったわけだが、これは一つ払うべきであるとか、払いたいとかいうことでなく、あなたも党内でいろいろな敵もあるようだが、しかしもしも信念をお持ちであるとするならば、この際日本国に居住する日本国民がその特別措置法によって払い戻しを受けた実証にかんがみて、今沖縄に居住しておるところの日本国民が同一のフェーバーを受け得ないという趣旨は断じてない、法律的にも政治的にも疑義のないところである。問題の困難がただ外交関係にありとするならば、それこそはすなわち政府、まずあなたの責任において、行政長官なりそれぞれの責任と権能を持つ者に体当りをして、そうしてこの問題を解決してやらなければならぬと思う。そこであなたにお尋ねしたいのは、やるべきものであるという考えを持っておるとか、あるいは早く大蔵省等々と連絡を持ってどうこうするとかいうことでなく、郵政省の責任において、そうして上林山榮吉の名誉と政治生命にかけてこの問題を解決するということを、この際明確にされて、少くともあなたの方の事務当局の怠慢というか、三カ年有余にわたってもこの問題が解決されていないことに対する補いをされるの意思はないかどうか。重要な項目として三つ、四つの陳情があって、大蔵関係その他についてはおおむね解決をして、重要な残された郵便貯金の問題だけが、これから研究してやるのだというようなことでは、向うから来ておりまする関係代表者が国へ帰って報告することができないと思うのです。なおこの問題は、われわれとしては、この陳情にこたえて、委員会でこれこれの論述をし、そうして政府に強い要請を行えば、おおむね何とかおみやげの解決になるであろうということでやってきたのであるが、一方こういうような関係において、時間が、もうあした国会が終ってしまい、委員会も開かれない、従ってこれが少くともこの問題について論述する最後の機会だ、そういう意味において、あなたが政治家の責任において事務当局を督励し、南方事務局を激励し、そうして大蔵省当局にも大いに懇請、理解を得られて、そうしてこの問題を解決する。すなわち大蔵省がこれらの現金を返したり、預金払い戻しするような時期におくれないように、同一時期に並行的にこの郵便貯金払い戻しがなし得るように全面的に努力する、こういうような御回答がこの際なし得ないかどうか、一つあなたの決意をこの際明らかにされたいと思うのであります。
  51. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 先ほどもお答え申し上げました通り、事務当局の報告を受けて以来、大蔵省外務省等とも調整をとって参りましたが、御指摘の通り、大体調勢ができ上ったわけでもございますし、郵政当局数字も検討いたしまして、数字もここに固まったのでございますから、御趣旨のあるところは十分私もわかっておりますから、その線に沿って大臣とも相談し、その他の行政当局とも相談をいたしまして、早急に実現を期するように努力することをお約束申し上げたいと思います。
  52. 春日一幸

    春日委員 御答弁願うとすれば、そういう形にしかできないかとも思うのですが、最初からこの論議に立ち会っていただければ、もう少し一歩進んだ明確な御答弁も得られようと思うが、初めて本問題に触れてのあなたの御答弁としては、はなはだ微弱ではあるけれども、一応その可能の方向を差し示すものとして、これは了とせざるを得ぬかと思うが、ただわれわれがこの問題を必死に取り上げて、かくも昼飯も食わないで二時京でも論じておるゆえんのものは、ともかくこの戦争によって八十万が向うに人質にとられておるのだ。そうして司法、行政、立法のあらゆる面がわれわれ国会のフェーバーを受けられない、われわれが何と思うてもやれない。そうして彼らが非常に困窮にさらされておる。そうしてそれを訴えて、せめてこれこれと、当然要求し得る最小限度のことをやってくれと言うてきておるので、われわれは超党派的に、この問題は国会の成果として、われわれ国内に居住できる日本国民の思いを込めて、琉球の人質にとらわれておる人々を少しでも楽にしてあげようということで一生懸命やってきた。当然本日郵政当局から、大蔵省当局が回答したと同じような回答が得られると思ったけれども、何だか郵政省では、局長と政務次官がけんかをやったり何かして、こんな問題について何ら的確な処理をしておらぬようでありますが、実際私は遺憾千万にたえない。しかし次官がそういうような決意を表明されたので、その言葉通りが実現されることを強く要望いたしまして、そして熱意を持って、誠実を傾けて努力されることを強く期待いたしまして、私の質問を終ります。
  53. 松原喜之次

    ○松原委員長 本日はこの程度にとだめ、次会は明三日午後一時より開会することとして、これにて散会いたします。    午後一時四十九分散会