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1956-05-25 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十五日(金曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 黒金 泰美君 理事 小山 長規君    理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    大平 正芳君       奧村又十郎君    吉川 久衛君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    夏堀源三郎君       坊  秀男君    前田房之助君       山本 勝市君    横川 重次君       有馬 輝武君    井上 良二君       竹谷源太郎君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    横錢 重吉君       横山 利秋君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         国税庁長官   阪田 泰二君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    白石 正雄君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      村山 達雄君         日本専売公社理         事         (販売部長)  石田 吉男君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 五月二十三日  委員竹谷源太郎辞任につき、その補欠として  山下榮二君が議長の指名委員に選任された。 同月二十五日  委員加藤高藏君及び山下榮二辞任につき、そ  の補欠として山本勝市君及び竹谷源太郎君が議  長の指名委員に選任された。 五月二十四日  北海道における国有の魚田開発施設等譲与等  に関する法律案佐々木秀世君外一名提出、衆  法第五九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一四三号)  専売事業に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  まず税理士法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。石村英雄君。
  3. 石村英雄

    石村委員 まず渡邊さんにお尋ねいたしますが、税理士法によりますと、ああいう業務税理士でなければできない、こういうことになっておりますが、その業とするという意味ですね。たとえば計理士というようなものがある会社、あるいはある個人会計整理委託を受けていろいろやっておる。従って当然に税務署へ出す税金についての書類を、本人委託によって出さなければならぬ、こういうことになった場合、それはやはり税理士法による業とするものということになるのですか。これは計理士としての業をしておる結果付随的に起ることでして、何も税理士法に禁じられる業務ではないように考えられるのですが、その点、どういう御解釈ですか。
  4. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 計理士の人の話だと思いますが、計理士の人は、会社経理を見るというところに本来の仕事の本質的なものがあるわけであります。従いまして、税務署との折衝というようなことを業とするという方は、これは税理士仕事だ、こういうふうに思います。従いまして、計理士の人はいわば会社経理の方を中心考えていかれるわけでありまして、それにたまたま付随して、税務署にいろいろ説明に行かなければならぬとか、そういう場合ができてくることはあり得ると思いますが、しかし税務署書類を出し、税務署と話し合うということを本来の業にする方は、これは税理士仕事だ。従って計理士としては、それを業としてやっていくことはできない、かようにわれわれは考えております。
  5. 石村英雄

    石村委員 そこが微妙なんで、何も税理士仕事を業としておるわけではない。会計帳簿整理、記帳なんかを、何も会社でなくても、個人でもかまいませんが、委託を受けてやっておる。従って自然、税金を納めなければならぬとすると——税金を納めなくてもよければいいのですが、納めるということになると、自分が整理した帳簿によって確定申告でも書いて出してやらなければならぬということに、これは自然なってくると思うのです。看板税務相談に応じますとかなんとかいうことを書いては、それは問題でしょうが、会計経理の業をやっておって、付随的に税務署に行かなければならぬということは、これは何も会計士でなくたって、一代理人でも、だれかの代理——私でも、これはちょっと確定申告書の書き方がわからないから書いてくれと言われれば、書いてやる。そうすると、それは税理士業務であるなんて言われたら大へん困るわけなんです。広告なんかをして、税務相談に応じますという看板を書いてやれば、それは業とするということになるでしょうが、会計の兼務に従事する、従って当然税務書類も書かなければならぬ、そうして本人代理人として税務署へ行ってお答えもしなければならぬ、説明もしなければならぬということが起る場合、これは税理士法で禁じられておる業務ではない、こう考えるのです。が、いかがですか。
  6. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 計理士の方の業務というのは、それだけ本来の限界が一応あるわけですが、それに付随しまして、たまたま計算書を作られた、その計算書について税務署説明する、そういったようなことにつきましては、これは税理士業務というものにそれが入って、従ってそれは税理士法違反だ、こういうふうにはわれわれは考えておりません。
  7. 石村英雄

    石村委員 それから次にお尋ねいたしますが、今度の改正で、四条の七号で「税理士登録を取り消された者」の「当該処分」ということに改正になって、以前の「税務代理士会から退会処分を受けた者」というのは削られたのでありますが、この税務代理士会から退会処分を受けた者云々というのは、税務代理士会というものがなくなって三年以上たって、こういう事件は事実上ないということから削られたわけですか。
  8. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 その点はおっしゃる通りであります。
  9. 石村英雄

    石村委員 ところで、改正前の税理士法がでたきときのことを問題にいたしますが、以前には税務代理土会から退会処分を受けた者ということがあって、この税理士法ができたときには、税理士会から退会処分を受けた者ということが入らなかった。税務代理士のときにはこういう退会処分が問題になったが、税理士法のときにはこの退会処分が問題にならなくなったのは、税理士会税務代理士会性質が違うということから当然起きてくるのかと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 その点もおっしゃる通りであります。
  11. 石村英雄

    石村委員 これは結局、おっしゃる通りじゃ簡単過ぎた答弁ですが、税務代理士会のとき退会処分ということが起ったのは、税務代理士会強制加入団体であったということから、当然、退会処分を受けたら業務ができなくなるということになるのだと思うのですが、税理士法をお作りになったとき、税務代理士法時代代理士会強制加入団体にしなかった理由はどこにあるのですか。税務代理土法時代にはこれを強制加入組織として置いておいて、税理士になったら、そんな会は強制加入の会として置く必要はないとお考えになったのだと思いますが、そういう考え方の変更の理由はどこにあったのでありますか。
  12. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 当時の一般的な考え方としまして、特に強制加入にするにつきましては、よほどのことでなければ強制加入制度というのはどうだろうかといったような気持もございましたし、従いまして、税務代理士会といったような格好の強制加入制度税理士になりましてそのまま存置することが果していいだろうか悪いだろうか、かなり議論があったところでありまして、結局当時の考え方といたしましては、やはりそれを強制加入的な会にし、そこに持っていく必要もないだろう、そうでなくても何とかやっていけるのじゃないだろうかという考え方中心だったと思いますが、その当時におきましては、現在のように、強制加入制度を持った税務代理士会にかわる税理士会というものは作りませんで、結局社団法人としての税理士会ということでやっていけばやっていけるのじゃないかということで、現在のような法案になっていると思っております。
  13. 石村英雄

    石村委員 社団法人税理士会で、政府とすれば十分だ、いろいろな税理士の問題、教養の問題なんかで、国税庁なり大蔵省との連絡についてのことはこれで十分とれる、こういうお考え強制加入のような強力な団体は必要はない、こうお考えになったのだと受け取ったのですが、そういう状況は現在でもなお続いているとお考えなんですか。また強制加入団体を作るということは憲法の問題にも触れるという懸念も同時にあったのではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  14. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 その点につきましては、最近、強制加入というのは多少言葉として言い過ぎかもしれませんが、とにかく税理士である者はぜひ税理士会に入ってもらうようにしないと、なかなか税理士会の活動も十分に参りませんし、同時に税理士切瑳琢磨といいますか、あるいは素質の向上といいますか、そういった意味におきまして、ぜひ税理士たる者は全部一つ税理士会に入るようにしてほしいというふうな希望の声はかなり強うございますし、われわれの方といたしましても、その後すでに五年たったあとの姿を見て参りますと、やはりそうした希望が出てくるのも無理からぬことじゃないかという感じは持っております。  それから憲法問題につきましていろいろ議論があったというふうにも私も聞いておりますが、この点につきましては、はっきりこれが憲法違反だという結論が出ているほど定説的なものとも聞いておりませんし、最近におきまして、そうした形の立法が一、二なされているということは承知しております。
  15. 石村英雄

    石村委員 そうしますと、政府とすれば、強制加入的な組織ができても、現在ではできるということも必ずしも反対ではない、こう受け取ってよろしゅうございますか。
  16. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 さようでございます。
  17. 石村英雄

    石村委員 憲法関係はどうもはっきりしないということですが、それは主税局長としてですか、大蔵省として、憲法違反とかなんとかいうことはないというお考えですか、まあまあ大体大丈夫だろうというくらいのお考えですか。これは再軍備問題ほどじゃないと思いますから、率直に……。
  18. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 憲法違反の問題というのは、われわれもそれぞれの専門の人たち意見もいろいろ聞いてみたのですが、いわば職業の自由という面から見てどうであろうかというふうな話も、必ずしもないこともございませんが、しかし一応のそうした制度を作ってみても、それがすぐ憲法違反だというわけのものじゃあるまい、こういう話もございますし、われわれとしましては、それがすぐ憲法違反だというふうな結論を出すべきものじゃないという考え方で現在おります。
  19. 石村英雄

    石村委員 どうも憲法上はかなり異論がある問題で、政府提案では、こういう強制加入というものはかえって回避されたのではないか、こう考えるのです。大蔵省としては、強制加入的な団体を作りたいという御意見があるかないかということをはっきり知りたいのですが、憲法違反はその次の問題として、強制加入的な団体を必要と大蔵省は判断していらっしゃるかどうかということです。
  20. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 現在の政府考え方としましては、まだはっきりした一本の結論が出ておるわけじゃございませんが、強制加入と言っちゃ多少言い過ぎかもしれませんが、全部の税理士が入る税理士会を作るという必要性は、なるほど伺ってみると相当ごもっともである。ただ政府提案としましてそうした案を出すというまでの結論は出ませんでしたわけで、われわれの原案におきましては、そういうものを入れてなかった、こういう次第でございます。
  21. 石村英雄

    石村委員 そうしますと、かりに議員提案強制加入のものを出した場合に、大蔵省としては、それは現実の問題として、また憲法上の問題として、これは困るというお考えはない、こう判断してよいのですか。
  22. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 その点につきましては、われわれの方としまして、一応そのこと自体についても相当の理由があるわけでございますので、反対するというつもりは別にございません。
  23. 石村英雄

    石村委員 その問題はまたあとでゆっくり聞くことにいたしましょう。  次に公認会計士税理士との関係ですが、公認会計士は、この税理士法を見ますと、当然、登録さえすれば税理士仕事ができる、こういうことになっておる。つまり能力能力において公認会計士というものは税理士業務を行う能力がある、こう判断なさっていると思うのですが、そうなんですか。
  24. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 公認会計士につきましては、その業務としましては、これは石村さん御存じのように、公認会計士法に一応の規定があるわけでございまして、税務代理といったような性質のものは全然その中に入っておりません。しかしお話しのように、公認会計士というだけの仕事をしている、その資格があり、能力がある方は、税理士仕事もまたやろうとすれば、仕事の性格からいいましてできるわけでございます。しかし公認会計士であるままにおいて税理士仕事をするというのは、これは公認会計士法から見まして、そういう業務が入っておりません。従って現在の制度としましては、そういう資格のある人は、登録をすることだけで税理士仕事ができる、こういうふうな制度にして両者調整調和をとっておるわけでございます。
  25. 石村英雄

    石村委員 ところが弁護士は、何も税理士登録をしなくても、同じ税理士業務を行うことができる、こうなっておるのですが、しろうと考えから言うと、公認会計士弁護士よりもまだこういうことには明るいんじゃないか、こうも考えられるのですが、そうすれば、弁護士公認会計士との取扱いが不公平なように考えるのですが、弁護士についてこういうことを認められたときに、公認会計士についてなぜ認められなかったか。弁護士法において税理士業務を行うことができるという規定を置いたと同時に、公認会計士法のときに、そのことをなぜやらなかったかということが、ちょっとしろうとではわかりにくいのですが……。
  26. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 実質的に、公認会計士の方は一応税理士である資格を持つじゃないか、このお話は、私もその通りだと思いますし、同時にそれなればこそ、公認会計士であれば、登録をすることによって税理士仕事ができる、こういうことになっているわけでございますが、法律論的に、一応見て参りますと、弁護士の場合と公認会計士の場合には、それぞれの法律規定している業務内容といいますか、職務内容にかなり違った規定があります。これはもう御承知だと思いますが、弁護士法の三条を見てみますと、弁護士職務というところに「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び訴願、審査の請求、異議の中立等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」さらに第二項に、「弁護士は、当然、弁理士及び税理士事務を行うことができる。」こういう規定があるわけでございます。これに対しまして、公認会計士法業務というものを見て参りますと、「公認会計士は、他人の求に応じ報酬を得て、財務件類監査又は証明をすることを業とする。」それから第二項でありますが、「公認会計士は、前項に規定する業務の外、公認会計士の名称を用いて、他人の求に応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。但し、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りではない。」こういったふうに、一応公認会計士業務規定してあるわけでございます。従いまして、公認会計士法でこの業務規定を、さらにどういうふうに直す直さぬという議論はあり得ますけれども、現在の場合におきましては、弁護士法の方におきましては、弁護士職務の中に当然それが入っており、公認会計士法を見ますと、税務代理といったようなことは、その職務の中に入っていない。従って税務代理という職務を行うについては、それは公認会計士資格においてするのではなくて、税理士資格においてしてもらう、その意味において登録を必要とする、こういうような考え方になっておるわけでございます。
  27. 石村英雄

    石村委員 それは現行法律説明であって、現行法律ではそうだろうと思うのですが、税理士法を作るときに、なぜ公認会計士にその能力ありと認めたらやれるようにしなかったかということを聞いている。何も今の法律の御説明を求めているわけじゃないのです。
  28. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 二十六年のときでございますので、私詳しくこまかいことまで知りませんが、公認会計士法によれば、一応公認会計士のそういう業務が今きまっているわけでございます。従って公認会計士法そのものを一応直していくといいますか、公認会計士職務内容そのものを再検討していって、弁護士と同じように考えていくかどうかといった問題が一つあるんじゃないかと思います。しかし公認会計士の本来の業務というのは、業務監査なり監査証明なり、それが本来の仕事なのでありますから、従って税務代理のような仕事をその中に取り込むよりも、むしろ税理士仕事税理士仕事で別に作って、同時に、しかしそれだけの能力のある人たちですから、資格は与えることにして、登録さえすれば税理士になれる、従って公認会計士税理士、これを兼業することをちっとも禁止しているわけでもございませんから、従ってそうした二つの肩書において、それぞれ公認会計士の場合においては公認会計士仕事税理士仕事税理士仕事、そういうことをすることによって、その人たち仕事においても十分支障なくやっていけるのじゃないだろうか、そういう考え方のもとに、現在の法制の建前としましては、一応調教ができている、かように考えております。
  29. 石村英雄

    石村委員 だいぶわかりましたが、そうしますと、弁護士というものは、税理士であろうが何であろうが、そういう広範な業務が当然本来の弁護士業務としてあるわけで、公認会計士については、会計士本来の業務としては、税務相談のようなものは本来の業務に入っていないのだということから——弁護士法も、税理士法ができたときその条項はお入れになったのだろうと思うのですが、公認会計士については、それを入れなかった理由は、本来の業務が、片方は非常に包括的なものであり、公認会計士法は根本が限られたものであるということから、そういうことになったのだ、こう理解してよろしゅうございますか。
  30. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 弁護士法の力にある、当然弁護士税理士仕事ができるという規定、これは税理士法ができる前から、実はこういう規定弁護士法に入っておったわけでございます。従いまして、この税理士法のできた機会に弁護士業務を制限するということをするのもおかしなわけでございますので、従って弁護士としては、本来の仕事として税務代理仕事はできる、公認会計士の方は、先ほど来申し上げておりますように、本来の仕事というものに税務代理は入っておりませんので、しかし石村委員のおっしゃっているように、その人たち資格能力からいえば十分できるわけでございますので、従って特に別個の試験をするとか、やかましいことを必要としないで、単に登録をすることによりまして税理士たり得る、こういうふうなことで両者調整をしている、かように考えております。
  31. 春日一幸

    春日委員 ちょっと一つだけ明らかにしておきたいと思うのです。今石村委員質問によって大体明らかになったのだが、公認会計士、これはその職能からいっても、実力からいうても、税理士仕事を行う能力がある、そしてまた関連事業としても、この税務代理業務を行わねばならぬ面が多いので、登録によってその資格を付することはさしつかえたい、これでおおむねいいと思うのですが、ところが公認会計士計理士との能力の問題です。公認会計士は、一億円以上の会社財務書類作成ということについては、特に公認会計士という形になっておると思うのですが、一億円以下の会社については、単業計理士で、そういう会社同一内容を持つ書類作成をすることができるわけですね。そうすると、税務関係仕事についても、公認会計士にただいま御答弁になったような趣旨で、登録によってその資格が付与されるというのであるならば、同一の理解が単業計理士に与えられてもしかるべきものだと思う。公認会計士と普通の単業計理士との差は、一億円以上の会社決算書類作成についての云々という制限以外にそう大した差はないと思うのですが、その点はどうなっておりますか。
  32. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 公認会計士につきましては、監査証明制度があり、これは計理士はできない、それだけに公認会計士資格につきましては、計理士資格に比べまして、かなりやかましい一応の資格があることは御承知通りでございまして、そういった意味におきまして、現在の考え方といたしましては、一応公認会計士の場合におきましては単純な登録でよかろうが、計理士の場合におきましては、ちょっと逢うのじゃないだろうか、こういうような考え方で来たわけでございます。しかし今春日委員のおっしゃっているようなことも、これはいわば程度の問題でございますから、いろいろあるわけでございます。従いまして、今度の政府提案におきまして、一応実務経験が十年以上ある方におき策しては、これはただ単なる登録ということは少しいかがかと思いますけれども、やはり実務経験を尊重した意味の特別な試験を行うことによって、税理士になる資格を付与しよう、こういったような考え方でいるわけでございます。
  33. 春日一幸

    春日委員 公認会計士が一億円以上の会社財務関係書類作成するという形になるわけで、それに付随して税務関係書類仕事も行なっていいし、行う能力もあるということなのだが、一歩進んで一億円以上の会社税務関係という形になると、これは単業計理士ではあるいはその資格能力に疑義があるかもしれないけれども、一億円以下の会社税務関係書類作成その他の仕事については、単業計理士でも従来の経緯にかんがみて必ずしも資格能力を欠くものではない、こういう解釈もなし得ないわけではない。従って、従来の法律上の変遷のつど、その経過措置として、選考によってその資格が付与されたいきさつ等もあるわけです。だから、この点はいずれ後刻その趣旨によっての処理がされると思いますけれども、その点を特に重視されて、実際の運営面に当っては、この単業計理士立場が十分保護されるように一つ考慮していただきたい。と申しますのは、なるほど国家試験国家試験ということがずいぶんやかましく言われたようでありますけれども、現在税理士法に基いて資格を持っておりまする数千名の中で、実際に税理士としての国家試験を受けた者は何%くらいに当るのであるか、この点を一つ解剖願えば明確であろうと思うのですが、今全部で五千名くらいあるのです。その中で、たしか六百何十名くらいしか国家試験を受けてその資格を得た者はないのじゃないかと私は思うわけであります。すなわち現在の税理士資格を得ておる者が、必ずしも国家試験というものによってその資格を生じたものではなくして、結局いろいろな選考やその他そういう業歴等によって資格を付与された者が、ほとんど多数を占めておると思う。こういう平信等も参酌されて、現在残存しておりまする計理士立場についても十分重視されたい。これは実際の運用面において十分にこの趣旨を尊重されたい。  それからもう一つ伺っておきたいことは、今石村君の質問の中にありました組合に対する強制加入の問題ですが、法律によると、各国税局について一つということが限定されておるわけです。——まだ出ていないそうでありまするけれども、これは後刻修正案として出されると思うのだが一つを置くということにして、当分の間は二個以上のものもこれを認めるという修正案か出された場合、この当分の間というものを、あなた方が運用する場合は一体どういうふうに運用していくのか。この問題は憲法の企業自由、それから独占禁止法の立場等から非常に疑義のある問題でありますから、この点をあらかじめ伺っておいて、修正案に対するわれわれの見解を明らかにしなければならぬと思う。これはどういうふうになりましょうか。
  34. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 修正案はまだ御提案になっておりませんし、われわれといたしましては、お話しのような点につきましては修正案の御提案者の趣旨、同時にこの委員会の御決議の趣旨を千分伺いまして、それを尊重して運営して参りたい、かように考えております。
  35. 春日一幸

    春日委員 この問題については、いずれ修正案が提案されるでありましょうから、提案された後に、その修正案について政府並びに提案者の御意見を伺うことにいたしまして……。
  36. 松原喜之次

    ○松原委員長 この際御報告いたします。税理士法の一部を改正する法律案に対しまして黒金泰美君外三十九名提出、すなわち各派共同提案にかかる修正案委員長の手元まで提出されておりますので、これを印刷して諸君のお手元に配付いたしておきました。この際提出者より趣旨説明を聴取いたします。
  37. 春日一幸

    春日委員 議事進行について。ただいま各派共同提案という形で委員長から宣告されましたが、この問題について、わが党の意思決定はまだそれぞれ機関の審議を経ておりません。従いまして、これは各派という形ではなく、この修正案作成に主として当られましたのは、申し上げるまでもなく自民党でありましたから、この際としては、黒金君外自民党かれこれということで、社会党は、その提案についてはまだ正規の機関の決定を得ていない事情にかんがみまして、削除しておいていただきたいと思います。
  38. 松原喜之次

    ○松原委員長 それでは、ただいま春日委員より議事進行についての御発言がありました。その趣旨にかんがみまして、先ほどの宣告の一部を訂正いたします。すなわち、黒金泰美君外二十五名提出にかかる修正案と訂正いたします。黒金泰美君。
  39. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいま議題となりました税理士法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨説明いたします。案文につきましては、お手元に配付したものがありますのでごらんいただくこととして、その朗読は省略させていただきます。  この修正点の第一は、国または地方公共団体の税務職員で税理士になったものについて、業務制限を強化したということであります。すなわち現在の法律の第四十二条におきましても、こうした業務制限の規定がありますが、これをさらに拡張いたしまして、離職後一年間はその離職前一年間に占めておりました職の所掌に属すべき与件について税理士業務を行なってならないことにいたしたのであります。ただし、個々の具体的な事情を調査して何ら弊害を生ずるおそれがない場合には、国税庁長官の承認を受けました場合に限り、この例外を認めておる次第であります。  第二点は、税理士法の施行状況にかんかみまして、業務の執行をより適正にいたしますために、税理士会に入会しない者は業務を行うことができないことといたし、なおこれに伴いまして、税理士会等に関する規定を整備することにいたしたのであります。現行法における税理士会は、民法第三十四条の規定によって設立せられた公益法人でありまして、従って任意加入の団体であります。しかしながら税理士の使命及び職員にかんがみますときは、税理士会税理士義務の順守及び税理士業務の改善進歩に資するために、会員の指導及び連絡に関する事務を強力に遂行することが、きるようにいたしますことが必要と考えられます、従って、今回これを税理士法上の特別法人ということにいたしまして、税理士会に関する規定を整備することにいたしたのであります。ただし、税理士会弁護士公等と異なり、表向き強制加入制をとっておりませんか、税理士会に入会しない者は税理士業務を行うことができない、かような規定を入れまして、間接的に強制加入側をとることにいたしたのであります。  なお、税理士会は国税局の管轄区域ごとにただ一個を設立しなければならないことにいたしました。現に同一の国税局の管内におきまして二個以上存するものについては、これが経過措置として、当分の間二個以上の新税理士会の設立及び存続を認めることにいたします。これらの新税理士会は、なるべくすみやかに合併または解散して、一個の新税理士会とならなければならないことにいたしております。  次に、現行法における税理士会連合会も、税理士会と同じく民法上の公益法人となっておりますが、以上のような税理士会改正に伴い、税理士会連合会も税理士会が当然会員となる特別法人ということにいたしました。  最後に、修正点といたしましては、公認会計士たる税理士につきましては、税理士会に入会していない場合におきましても、国税局長に通知することによって、依頼された事件にかかる税理士業務を行うことができる、かような特例を設けることにいたしたのであります。  以上がこの修正案趣旨及び内容の概略でありますが、何とぞ満場一致の御賛成あらんことをお願いいたします。
  40. 松原喜之次

    ○松原委員長 本修正案について御質疑がありますれば、これを許します。
  41. 石村英雄

    石村委員 提案者にごく簡単にお尋ねします。  四十九条で「税理士は、国税局の管轄区域ごとに、一個の税理士会を設立しなければならない。」こうありますが、これは、どうしても税埋土というものは国税局管内に一つ税理士会を作らなければならない、作ることを強制しておる、こう考えられるのですが、しかもそれは一個ということになっておるが、それはどういう趣旨なんですか。結局できておれば、一個の税理士会にどうしても入らなければならぬということが四十九条で当然出てくるわけなんです。五十三条なんかにまた関係の点もありますが……。
  42. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいま石村さんの御質問通りであります。税理士会は各国税局の管轄内に一個は作らなければいけない、かような考え方であります。
  43. 石村英雄

    石村委員 一個というのは、国税局の中にただ一つという意味なんですか。二つ、三つ複数でできてもかまわぬというのですか。この一個に限定した一個という意味です。
  44. 黒金泰美

    ○黒金委員 四十九条では、国税局管内全体をその地域にいたしまして一個作る、かような考え方であります。
  45. 石村英雄

    石村委員 そこで念を押すのですが、複数じゃいかぬという意味ですね。
  46. 黒金泰美

    ○黒金委員 その通りであります。
  47. 石村英雄

    石村委員 一個の税理士会を設立しなければならないというのですが、もし作らなかった場合はどうなるんですか。
  48. 黒金泰美

    ○黒金委員 そういうことになりますと、そこの管内におります税理士の方は業務ができなくなるので、いわばちょうど自殺的な行為であるので、当然お作りになるものと考えます。
  49. 石村英雄

    石村委員 税理士業務ができなくなるというのは、それは四十九条から当然帰結されることなんですか、それとも五十二条の税理士会に入会している税理士でない者というのは、本文の五十二条の「税理士ではない者は、この法律に別段の定がある場合を除く外、税理士業務を行ってはならない。」というところは「税理士会に入会している税理士でない者」はということになるわけですね。従って、税理士会ができないと、この五十二条の修正によって、これはあなたの言われる自殺行為になる、こういうことなんですね。そうすると、これは憲法関係はどういうようになるんですか。
  50. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいまお説の通りで、五十二条の関係によって間接的に強制される、かような趣旨でございます。  なお、憲法の問題については、先ほど主税局長からも御答弁がありました通りに、いろいろな議論がございますが、この程度の営業の自由の制限は、これによって相当受けますが、税理士業務の素質の向上、従って国の税務行政がうまくいく、この公益との比較考量の問題だと思いますが、なお先例といたしましては、弁護士法弁理士法に、こういったもっときびしい強制加入規定がございますし、また今回の国会におきまして、皆様の御賛成もあって通過いたしました司法書士法なり土地家屋調査士法、これもやはりこのような間接強制の規定をこの国会で異存なく通しておりますので、従いまして、こういった程度のものは、まあ憲法違反にならぬだろう、こういう一つの慣例と申しましょうか、立法上の解釈ができておるもの、かように考えてこれを立案いたした次第であります。
  51. 石村英雄

    石村委員 どうしてこれを直接強制なさるのですか。直接強制でもけっこうじゃないですか。もしそれなら、はなはだ陰険なやり方をとっている。憲法をごまかしているというように考えられる。せんだって国会で成立した司法書士ですか、何かの例もあるというお話ですが、そんな間違った例は何も踏襲しなくったっていい。誤まったところは次の機会に直ちに訂正しなければならぬ。憲法に違反するような法律を、一たん前に間違ったから、続けて憲法を犯そうなんということは、これはまさに不届きな考え方で、直ちに改めなければならぬと思います。
  52. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいまの御質問でありますが、間接強制にするか、あるいは直接的な強制にするかは、いろいろ議論がありましょうが、先ほども申し上げましたように、とかくの論議もありますので、同じ効果を発生するならば、比較的おだやかだ方法でいったらよいだろう。同時に先例から申しましても、皆様も本御賛成になってこの国会で通りました、司法書士あるいは土地家屋調査士の例におきましても、直接強制でもってこの国会を通っておりますので、一番近い先例の解釈に従うのが最も適当であろう、かような考えでいたしたような次第であります。
  53. 石村英雄

    石村委員 もしこういう法律ができて、憲法違反だとして、どうしても入らない者が出て、そうしたら税務署はそれを相手にしない。そこでこの法律が出たら、訴訟を起すという問題もあるいは起り得る、こう考えるのですが、いかがでしょうか。
  54. 黒金泰美

    ○黒金委員 これは裁判所の判決を見なければなりませんから、私ども軽々に予測することはできませんけれども、私がかりに弁護士ならば、これは勝訴になり得る自信を持っております。
  55. 石村英雄

    石村委員 そうすると黒金さんは、これは積極的に憲法違反ではないというお考えだ、こう理解してよろしゅうございますか。
  56. 黒金泰美

    ○黒金委員 その通りであります。
  57. 春日一幸

    春日委員 いわば疑義だけを明らかにしておかなければいかぬと思いますが、少くとも税理士国家試験を受けてパスした者、その他いろいろな条項を設けて資格を得た者が、結局この税理士業務をなし得るわけです。ところがそれだけでは税理士業務ができなくて、そうして雑則によって……。(「本文だ」と呼ぶ者あり)第七章の雑則なんだ。第七章雑則と書いてある。第七章雑則として「第五十一条の次に次の一条を加える」として、第五十一条の二となっているから雑則でしょう。少くとも本法で資格を得た者を雑則で……。(「本法だよ」と呼ぶ者あり)いやそんな資格の根本義に触れるような重大な条章は、すべからく法の体系としても独立の章を設けて、その事柄を厳粛に規定するのでなければ、やはり法律の構成、体系の上からいうても、これは全くへんちきりんなものだと思う。国家試験を受けて、税理士法によって資格を得た。ところが組合に入らなければその業務を行うことができないというようなことは、これは憲法上り疑義もさることながら、法の体系として、また国家試験の権威そのものをも、私は相当そこなうような立法ではないかと、非常に疑義を持たざるを得ないわけです。問題は憲法論、立法論各般にわたってあまりに本重大な疑義があるのだが、特にそういうような重大な問題ならば、これにもう少し検討を加えて——。そこで私は政府にお伺いするが、一体政府はどういう考えを持っているのですか。実際問題として、今石村君からもお話しがあったように、これは憲法上疑義もあるし、独占禁止法からいうても釈然たらぬものがある。独占禁止法並びに憲法二、それからまた法律の構成の上において、少くとも権威ある国家試験をパスして資格を得た者が、さらにこの組合に加盟する加盟しないというそんなことによって、その資格に制限を受けるとか、全然資格が発生することができないというようなことについては、何ら疑義をお持ちではないのかどうか、この点、一つ主税局長から御答弁を願っておきます。
  58. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 税理士資格というのは、国家試験を受け、あるいはその他の一応の要件を備えて登録することによってあるわけでございます。今修正案の出されております趣旨は、結局税理士会に加入していないと業務を行い得ない——お話がたくさんこんがらがっておりますが、雑則というのは、これは春日さんもよく御承知のように、本文の中の一部であります。そこで現在においては、税理士でなければ税務代理業務を行なってはいかぬというのが、今度の修正案では、税理士会に入っている者でなければということを入れているわけでして、これは法文の位置からいいまして、現在でも雑則に入っている事柄でありますから、そのこと自身が、私は別におかしい規定の仕方とは思いません。われわれとしましてはこうしたほど、いわばそれだけの強い制限を作るのがいいだろうかどうだろうかという点については、中でいろいろ議論がありましたが、議論がまとまりませんでしたので、この国会においてわれわれの方から政府提案として出すということはしなかったわけであります。ただ提案者の立場とされましては、やはりこの国会にこういう修正案を出す必要があるというふうな御意見であったと思いますが、修正案がなされたわけでありまして、政府としても、内部にそういった程度のことはやはり考えていいじゃないかという意見も相当あるわけでございますので、委員会としてこれを御可決になるならば、政府としては別に異論のないことである、かようにお答え申していいと思います。
  59. 春日一幸

    春日委員 それでは黒金君にお伺いをいたしますが、たしか弁護士会は一個以上の会を認められておると思う。第一弁護士会、第二弁護士会、東京はたしか第三弁護士会まであるのじゃないかと思います。それで弁護士会の職務権限、こういうものは、税理士のそれよりもさらに広範な域にわたっており、その職務内容もやはり国民生活に大きな影響を持つものだと思うのです。そういうような弁護士会ですら、複数の会を認めておるのに、特に税理士会一個とずいぶん思い切った立法をせんとしておるが、その複数であってはいけないという理由は一体どこにあるのか、この点をお尋ねいたします。
  60. 黒金泰美

    ○黒金委員 春日さんのお話もさることでありますが、まあ統一した団体がある方がいいだろうと思います。われわれの社会でも保守合同がありましたりいろいろしますように、やはり一本になっていく方がはるかに能率も上りますし、統制もできますし、また監督の方から申しましても非常に便宜でありまして、現在実行上から申しましても、大体の地区におきましては、一個の税理士会でやっております。数個の税理士会のある場所もありますけれども、これはやはりいろいろな沿革上そうなってはおりますものの、どうも運営上は工合が悪いようであります。そこで根本の建物といたしましては、一個の方が望ましい。ただし附則でごらん願いますように、現在二個以上のものがありまして、そうして今かりに非常に強力にこれを一本にしましても、いわば同床異夢のような格好になってはやはり工合が悪いのでございますから、そういうものに対しては、できるだけすみやかに一本になるようにという規定を置きまして、そうして当分の間複数を認めていこう、かような考えでおります。なお先ほどお話しございました弁護士法の方でありますが、弁護士会につきましても、これは一本が望ましい、そうして附則の中でもって二個以上のものを認める、かような規定になっております。
  61. 春日一幸

    春日委員 ただいまの黒金君の御答弁によって明らかであります。だから立法は、その責任態勢を明確にしておかなければならぬと思うのです。  さらに疑義の問題についてお伺いしたいのだが、弁護士会は、附則の中において明確に二個以上の会が存在することを恒久的に認めておるのですよ。ところがこの税理士法においては、当分の間二個以上のものがあってもいいが、これはなるべくすみやかに合併もしくは解散というて、処理することを規定しておるわけなんです。結局弁護士会は、特に二個以上を認めなければならないだろうという諸般の情勢から、憲法論、あるいは立法論、あるいは仕事の実情、分布の実情等から考えて特にそういうことを必要としたことを、今回の税理士法の立法においては否認しようとしておる。これは何ら前例にはなり得ないのだが、特に弁護士会の附則における恒久的な認定のあり方から考えて、これは当分の賜であり、しかもその当分の間おるものは早期に解散、合併ということをこの附則できめておる。はなはだ過酷であると思うが、この点は、どうですか。
  62. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいまの点は、当分の間を一体どれくらい認めるのかという実際問題、それから業界内部のいろいろな事情、こういう点から判断しなければならぬと思いますが、この程度でもって、実情から申しましてそれほど過酷ではないというような、私ども検討の結果結論が出ましたので、当分の絹今あるものだけは認めていこう、そうしてこれがだんだんに融和して一本になる方が望ましい。この一本になる方が望ましいという見地に立ちまして、漸次に一本化していこう、こういう考えをとった次第であります。
  63. 春日一幸

    春日委員 弁士会は恒久的に二個以上のものを認めておる。これは理論的に認められておる。この辺の解釈はどうでありますか。
  64. 黒金泰美

    ○黒金委員 弁護士法の制定のときの事情を私よく知りませんけれども、今まであったものはなお続けて認めるという書き−方を附則でしております。従って、これも今後二つ以上もっと数がふえるということを予定しておるものでなく、今まであったものをしばらく認めていこう、当分という制限がついていないという点の違いでございます。こちらの方は当分ということで時間を切っておる。それから一本になるようにという、いわば訓示的な規定がついておるという違いがありますけれども、これは春日さん、正直にいって、できれば一本で統一されておる方がいいのじゃないでしょうか。私どもはそう考えますもので、順次にそちらに持って参りたい、かような考えをここで表明しておるわけであります。
  65. 春日一幸

    春日委員 団体ができますと、そこにいろいろな新しい力が発生してくる。具体的にいうならば、その団体のボス的な勢力が、その組合員に対して法律で規制されております以外の事柄にも影響力を与えて、そこから新しい弊害が発生しないとは限らない。そういうような意味から、複数制であります場合は、その団体のいわゆるボス的勢力をいさぎよしとしない者はその団体から脱退して、他の団体、すなわち民主的に運営されておる団体をみずから選ぶという方法もとれて、よってもってその団体の民主的な運営の完璧を期し得る、こういうようなこともあり得ると思う。しかしこの一個の団体という形になると、そこにボス的勢力が恒久的にその座を占めて、そうして運営の面において、これこそ最も大きな影響力を与えると思うし、これは法律が予測し得ないところの弊害がそこから発生することを最も憂うるわけであります。この一個であるか一個以上であるかというところにわれわれがかく重大な関心を持つゆえんは、そこにあります。もう一つこの際伺っておかねばならないのは、今回の法律改正によって、公認会計士税理士仕事ができる。ところが公認会計士は、すでに一個の団体を持っておる。そこで公認会計士諸君が、自分たちは自分たちのグループによってその団体を結成して、局の認定を得て、雑則に定められた資格を得ようとする場合もあり得るであろうと思うし、さらに一歩進んで、計理士の諸君が一個の団体を結成して、そうして将来共通の利害の上に立って、ここで定められておるいろいろな問題を処理していこうという機関にまで発展していくかもしれない。こういう意味で、今回のこの法律の修正に当っては、一つ弁護士団体だけで一つ税理士団体を作るかもしれない、それから公認会計士だけで作るかもしれない、それから税理士で作るかもしれない、計理士で作るかもしれないというように、いろいろなその作り方があり得ると思うのです。そういう意味で、私は一つはその団体の民主的な運営、これによって公正なる税理士としての職務を、団体がさらにまた指導連絡によって完璧を期していくというあり万を可能ならしめるためには、これは単数がいいか複数がいいかということは重大な問題だろうと思うのです。そこでこういうような問題は、今や衆議院におきまして会期もまさに至らんとして重要な段階にあろうかと考えます。特に本法が数国会にわたっていろいろと論議されておりまする経過にかんがみまして、この際できるだけ疑義をなくすることによって、できることならば年来の懸案を解決されなければならないと考えますので、この際他の委員からも御発言がありますので、暫時休憩されて、これらの疑義について一ぺん隔意なき懇談を遂げられ、そうして意見調整をはかってからもう一ぺん会議を再開されたいと思います。こういうような意味合におきまして、委員長においては、この際暫時休憩されるようお取り計らい願います。
  66. 松原喜之次

    ○松原委員長 この際暫時休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ————◇—————    午後零時五十七分開議
  67. 松原喜之次

    ○松原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。黒金泰美君外二十五名提出修正案につきましては、理事会において協議の結果、提出者から内容を訂正するために撤回いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって撤回を許可すことに決しました。  黒金泰美君外二十五名より新たな修正案提出されましたので、この際提出者から、便宜上前の修正案との相違点について説明を聴取することといたします。黒金泰美君。
  69. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいまあらためて提出いたしました修正案について、前案との相違点を申し上げたいと存じます。  新しい案におきましては、前の案において、従前にありました税理士会二個以上国税局の管内にありましたものが、当分の間存続でき、しかもこれができるだけ早く一個の新税理士会になるようにと、かような規定がありましたのを、なお存続することができるようにいたしまして、そうして一個の新税理士会にできるだけ早く統合しなければいけない、その規定を改めまして、なお存続することができるというだけにしたのであります。ただこれらのものも、将来合併または解散で、一個の新税理士会になる場合も予想されますので、一個のものになることができる道を開いたような次第であります。大体は弁護士会の先例によったような次第でありまして、何とぞこの点を御替成あらんことをお願い申し上げます。
  70. 松原喜之次

    ○松原委員長 本修正案について何か御発言はありませんか。——石村君。
  71. 石村英雄

    石村委員 大蔵省当局にお尋ねいたしますが、この会則は、大蔵大臣が認可することになると思うのですが、この会則中除名というような問題は、相当税理士自身の生命にも関係する重大な問題だと思うのですが、除名事項というようなものは会則には入れないように、御指導せられる御意思があるかどうか。
  72. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 お話しのように、会則は大蔵大臣が認可することになっておりますが、除名ということは、今度の改正後の税理士法によりますと、非常に重要なことになっておりますので、会則の中に除名の規定を作るということは、われわれも穏当を欠くように思います。従って、そういった規定の入るようなことのないように、われわれとしても考えていくべきだと考えております。
  73. 石村英雄

    石村委員 五十一条の二で、公認会計士たる税理士が、税理士会に入会していない場合、税理士業務を行うその際、国税局長に通知する、こうなっておりますが、この通知は、発信主義だと解釈しておりますが、その通りでございますか。
  74. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 その通りでけっこうでございます。
  75. 松原喜之次

    ○松原委員長 他に御発言がなければ、本法律案及び修正案に対する質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたすに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  これより税理士法の一部を改正する法律案について採決いたします。初めに本法律案に対する黒金泰美君外二十五名提出修正案について採決いたします。お諮りいたします。本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本修正案は可決いたしました  次いで、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。お諮りいたします。この部分を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は全会一致をもって修正議決いたしました。  この際春日一幸君より税理士法の一部を改正する法律案に対する各派共同提出の附帯決議について発言を求められておりますので、これを許します。春日一幸君。
  79. 春日一幸

    春日委員 ただいま修正議決されました税理士法の一部を改正する法律案に対し、質疑中に種々問題となりました計理士等に関する措置につきまして、この際以下申し述べますような附帯決議を付し、これらの取り扱いに関する当委員会の意思を明確にいたしておきたいと思いますので、ここに附帯決議を付するの動議を提出いたします。  案文を朗読いたします。    税理士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  一、税理士法施行の際、計理士及び税務職員に対して優遇措置がとられた経緯にかんがみ、特別試験の合格者を定めるに当っては、経験年数の参酌を重視せられるとともに過去の業績をも参考とせられたい。  二、計理士が、その関与し、若しくは作成した企業の財務書類又は記帳し、若しくは整理した帳簿書類に基き当該企業が所得税又は法人税の申告書を作成した場合においては、当該計理士は、税務官公署の職員に対し、その関与し、若しくは作成した財務書類又は記帳し、若しくは整理した帳簿書類に関し、その質問に応え、又はその書類につき説明する限りにおいては税理士法に抵触するものでないとする現行の取扱については、今回の改正に伴い変更を生ぜざるよう政府において特に配慮せられたい。  三、税理士会への強制加入制度は、税理士の品位並びに社会的地位の向上を図ることによって、納税者の権利を擁護し、税務行政の適正化を期待するのを本旨とするものであることにかんがみ、その運営が中正かつ民主的に行われるよう、政府並びに税理士会において格段の措置を講ぜられたい。  右決議する。  以上が附帯決議の案文であります。何とぞ諸君の御賛同をお願いいたします。
  80. 松原喜之次

    ○松原委員長 ただいま春日一幸君より提出されました各派共同提出の附帯決議について採決いたします。本附帯決議を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって附帯決議は可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成提出手続等につきましては、先例によりまして委員長に御一任願っておきたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  83. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に専売専業に関する件について質疑を許します。横錢重吉君。
  84. 横錢重吉

    横錢委員 専売行政について若干お伺いいたしたいのですが、四月からいこい等のたばこが発売されてから、新生あるいはバット、こういうような下級たばこの品不足という声がちまたに出ておる。このことはおそらく専売局においても御存じのことと思うのでありますが、この間の事情について、少しくお承わりいたしたいと思います。
  85. 石田吉男

    ○石田説明員 新生とバットにつきましては、昭和二十九年度ごろからだんだん売れ行きがふえて参りまして、特に昭和三十年度におきましては、相当販売数量がふえて参りました。ところが御承知のように、私どもの方で新生なりバットなりを作りますときは、日本産の葉タバコの下級原料を使っておりますが、昨年度は下級原料をかなり無理をいたしまして、私どもの方で早食いといっておりますけれども、本来でありますと、昨年とれたものを一夏越して今年になって使うというのが、たばこの作り方の常道なのでございますけれども、昨年度は原料が不足になって参りましたので、その早食いをいたしまして、原料の面で相当窮屈になって参りましたので、三十一年度ではその販売数量、結局製造数量になるわけでありますが、その数量を相当落しております。そういうふうなことで、一方には需要がやや上向いている、そこへ持ってきて販売数量がやや落ちてきているという関係から、全般的に新生、バットがやや窮屈な状態になっております。
  86. 横錢重吉

    横錢委員 今の御説明だと、国内におけるこれらの原料の不足から、こういうような状況を来たしておるというような御説明なんですが、ちまたの声としては、要するに高い品を売って専売利益を上げようとしておる当局の考え方ではないか、従って新生を買おうとする者に対していこいを押しつける、こういう官僚的な意図からこれが出されておるのであるということが、これはぬぐい得ないところの疑義となって出ておる、こういうふうに思うのです。さらにこの点の解明のために、二十九、三十年度の製造の実績、それから三十一年の製造計画、こういうものについておわかりならば一つ承わりたい。
  87. 石田吉男

    ○石田説明員 二十九年度の新生の販売実績は三百九十億本、それからバットが二百八十七億本であります。合計いたしまして六百七十七億本錢であります。それから昭和三十年度は新生が五百十億本、それからバットが二百四十五億本、合計いたしまして七百五十五億本でございます。それから三十一年度の予定は、新生が四百三十二億本、バットが二百四十億本、合計いたしまして六百七十二低木、それが三十一年度の予定でございます。それで製造数量の方は、原料がたくさんありますときですと、大体販売の予定に応じて製造する。それから今度のように新生、バットが窮屈になりますと、原料の許す限り手一ぱいの販売をする、製造したものを販売するというふうになっております。従いまして、製造数量、販売数量というものは、大体同じというふうにお考えいただいてけっこうであります。
  88. 横錢重吉

    横錢委員 今これで三カ年にわたるところの製造計画がわかったわけです、が、これを見ると、本年度の新化は、数量が著しく落ちておる。これに対していこいはどの程度ですか。
  89. 石田吉男

    ○石田説明員 いこいは三月の末から発売いたしましたが、三十年度に売りましたのはわずか八億本でございます。それから本年三十一年度の予定が百五十億本でございます。それで新生、バット、いこい、これだけを合計いたしますと、三十年度では七百六十三億本、三十一年度では八百二十二億本、こういうふうになっておりまして、いこいを合計いたしますと、従来よりも全体の本数はふえておるというふうに計画してございます。
  90. 横錢重吉

    横錢委員 ちまたにあるところの新生、バットのいわゆる下級たばこの数がなくなってきたというのが、具体的に製造計画で減っておる。しかもこの分がいこいにかわってきた。従って十円だけ高いところの価格でこれらが売り出されておるというところに、専売益金をねらったというちまたの戸が必ずしも当を得ていないというわけにはいかないだろうと思います。そこで問題となるのは、値段が高い、安いということも問題であるが、大体たばこというものは嗜好品であるから、これを好むものに対して供給するという態度をとるべきだと思うのですが、今行われているのは、ややもすれば専売益金をねらう、あるいはまた当局の考え方を国民に押しつける、こういうような構想が出てきたということに対するちまたの反発が出ておるのではないか、こういうふうに見るのですが、この間に対して、何か嗜好調査その他が行われておりますか。
  91. 石田吉男

    ○石田説明員 私の方では、毎年一回ずつ全国的に世論調査というものをやっております。そのほかに各地方局、それから出張所がございますが、それぞれの管内で小売の店舗を通じたり、あるいはごく少部分でございますが、消費者の意向を聞いたりして、常時需要の傾向、あるいは消費の傾向、そういうものをいろいろ調べて、それを資料にして計画の作成に使っております。
  92. 横錢重吉

    横錢委員 政府の方の計画は、大体これで専売益金を予算に合わせていると思うのですが、さらに世論調査の結果とか、あるいはまたちまたにおける新生、バットを要求する声がいこいよりもさらに強くこれを求める。あるいはまた他のたばこよりも新生、バットを求める、こういうようなことであったならば、製造計画を変更をし、あるいはまた新生、バットを増加する用意、あるいは変更に応じ得る態勢、こういうような点はございますか。
  93. 石田吉男

    ○石田説明員 ことしは先ほど申し上げましたように、下級原料が窮屈でございますので、現在よりもちょっと楽になる見込みがないのではないかと思っております。ただこの計画を立てますのには、ことし収獲いたします葉タバコのうち、下級原料をある程度早食いをしなければいけませんので、本年の作柄を大体平年作と見込んでおりますが、ことしの作柄いかんによっては、多少増加すること、が可能になる。原料を早く使ってふやすということは可能になると思いますけれども、それほど大きな典同はできないのではないかというふうに考えております。
  94. 横錢重吉

    横錢委員 今言われた下級原料の不足という点ですが、これはタバコの品種は一体どういうふうなものをお使いになっておりますか。
  95. 石田吉男

    ○石田説明員 タバコのことを御承知かどうか存じませんが、私どもの方で分けておりますのでは、葉タバコの在来種と称するものと、それから黄色種という二つの区別がございます。その中で在来種と申しますのは、従来から日本にありました種からできた葉タバコでございますし、それから黄色種と申しますのは、アメリカのヴァージニアの種を入れまして、それを日本で栽培しているものでございます。私ただいまちょっとその割合を持っていないのですけれども、内地の黄色種の作柄が一番これに影響があるわけでございます。それで、実は二十九年というのは、相当作が悪うございまして、三十年度には新生、バットの原料が足りないので、インドの非常に安い葉を買って埋め合せをいたしました。それからインドネシアからやはりこれも相当悪い葉を買って埋め合せをしたのでございますが、本年の状況では、そういうインドの一番安い葉もほとんどさらってしまったような格好で、その補充がつきません。それからインドネシアの葉の方は、値段が非常に上って参りまして、これを使ったんでは新生バットの方で採算がとれなくなるというふうなことで、どうしても内地産の原料だけを使わなければならないというふうな状態になっておりますので、そういう原料事情から、かなり窮屈になって参ったわけであります。
  96. 横錢重吉

    横錢委員 今原料の窮屈になってきた点を承わったのですが、公社の方の考え方は、在来種の方はどしどし減らしていく方針で、黄色極の方だけをふやしていく方針をとっておられると思う。これは作付の計画を毎年立てられておって、そのもとに行われておるので、大体こういうような原料をどの程度ふやそうか、あるいはまた減らそうかということは、公社の方の机の上で毎年立てられるものだと思うのですが、その計画を見ると、これは、いわゆる安い原料というのは減らしていくという構想を持っておる。そうすると、これは単に安い葉がなくなったというのではなくして、安い葉を減らす方針をとっておる、そして高いものをよけい売るような方針に切りかえているというように見るのです。そうすると、これは人為的なものであって、新生、バットの供給をやはり少くしようとする考え方から出ておるのでありますか、その点いかがですか。
  97. 石田吉男

    ○石田説明員 一反歩当りの収納金額からいたしますと、在来種の方が黄色種よりも安いのが多いのでございますが、下級原料と申しますのは、在来極という意味ではございませんで、同じ在来種の中でも葉タバコの等級がございます。そのうちの下の方の等級のものを下級原料と称しております。それから黄色種の中でも、同じように葉タバコに等級がございまして、一番上が優等、一番下が八等というふうに等級がございますが、その下の方の等級の原料を使うというわけでございます。  そこで従来は、一時在来種が余りかけまして在来種の反別を押えたことはございますが、最近では黄色種の方を抑えまして、むしろ在来種の方は増産を希望出しておるというふうなことで、在来種の反別をふやすように努力しておるところでございます。在来種だから下級原料だというわけではないのであります。
  98. 横錢重吉

    横錢委員 在来秘だから下級原料でないとすると、在来極の中ではどういうものをまぜておられますか、何級品をどのようにまぜるというふうなあれがありますか。
  99. 石田吉男

    ○石田説明員 私製造の方の担当でございませんので、正確には申し上げにくいのでございますが、多分六等以下くらいから使っていると思います。黄色種につきましても、六等くらいから以下のものを使っていると思います。
  100. 横錢重吉

    横錢委員 在来種の方の一等と、それから黄色種の方の一等とでは、大体買い上げ値段からしてそもそも違うのでしょう。在来種の方は初めから安い値段で、安い方のたばこに使われる、こういうふうな傾向を持っているはずだと思うのです。これは製造のときにそういうふうにわかっておるし、また在米種の方はどしどし減らして、各耕作面積は黄色秘の方に切りかえてきておる、こういうふうにわれわれは見ておるのです。そうすると、やはり新生やバットをもう少しよけい売ってくれというちまたの声に対しては、公社の方の製造計画は、逆にこれを減らしていくという方向をとっておるということになると、この食い違いはますます激しくなってくるのじゃないか。これに対処するには、相当何かの機会に、これはやはり製造計画というものは検討されなければならないと思うのですが、こういうふうな点については、どういうふうにちまたの声をお考えになっておりますか。
  101. 石田吉男

    ○石田説明員 公社の原料の使い方を概括的に申し上げた方がいいかと思うのでありますが、御承知のように、日本でできます葉タバコは全部公社で買い上げます。そういたしますと、上級原料と中級原料と下級原料、それぞれ相当の分量が出て参りまして、下級原料を使ったたばこだけが売れて、その下級原料だけを使ってしまうということになりますと、中級原料の方は残って参ります。これをかりに新生、バットに使わなければ、新生、バットの製造数まというものはふえないのでございますが、そういう高いタバコを使えば、結局新生、バットの原価が上って参りますので、やはり専売事業としては、ある程度の財政収入を確保するというふうな意味から、コストの方をそういうふうに上げるわけに参りません。そこで、ある一定の限界を考えて原料を使うといたしますと、中級の方が残る。従いまして製造計画としては、やはり上級も中級も下級の原料も平らに減っていって——とにかく毎年できるものでありますから、各その原料が片寄らないということが必要なのでありまして、大体そういうふうに、原料の片寄らないように使うということが主になっております。一方販売の方の状況も、たとえば昭和二十七年、八年ころですと、ピース、光というものが非常に売れました。二十九年から上級品がガタ落ちになってくるというふうなことで、特に光なども相当減ってきております。そんな関係で、中級原料を消化するという意味でいこいを発売したわけでありますが、決して作為的にどうこうしておるということよりも、そういう原料面の制約がかなり響きまして、なかなかお話しのようにすぐ需給に合わせるということができない事情にございます。その点御了承を得たいと思います。
  102. 横錢重吉

    横錢委員 それではついでにパール、それから光、ピース、これらの製造計画を承わっておきたいと思います。
  103. 石田吉男

    ○石田説明員 三十一年度の製造計画では、−販売計画でございますが、ピースが六十一億二千万木、光が四十八億、パールが八十六億四千万本、いこいが百三十八億、新生が四百八億、バットが二百七十四億四千万本、これが年度当初の予算に計上いたしました計画でございますが、予算を作りますときはまだ三十年度の実績がはっきり出ておりませんので、その後二カ月ごとに実情を考えながら実行計画というものを別に作成しております。従いまして、ただいま申し上げました年度計画よりもある程度変ったものが実行計画になって出て参ります。先ほど申し上げましたのは、新生は四百三十何億でございますが、それとこれとは違っておりますが、多少の差はございます。
  104. 横錢重吉

    横錢委員 今製造実績並びに計画をお聞きしたわけですが、率直に言って、現在の下級たばこの減少に対しては、評判はよくないように出ておる。またこれを専売益金だけを目当てとして当局が立てておると、これに対する反発は必ずたばこの専売制を廃止して、民営にしろという民営論の台頭を再び見ることになると思うのです。またそういうような台頭を許さないためには、当局がやはり積極的に世論を調査し、嗜好を調べて、これに応ずるような需給計画を立てて、専売益金はそのあとについていくというのが当然の措置ではないか、こういう、ふうに考えておるわけであります。この点に対して当局の方でさらにまた御検討していただきたい、こういう点を申し上げて質問を打ち切ります。
  105. 松原喜之次

    ○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十九日、火曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時二十八分散会      ————◇—————