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1956-05-22 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十二日(火曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 黒金 泰美君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       川島正次郎君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    古川 丈吉君       坊  秀男君    前田房之助君       横川 重次君    有馬 輝武君       石山 權作君    木原津與志君       竹谷源太郎君    平岡忠次郎君       横錢 重吉君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         国税庁長官   阪田 泰二君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      村山 達雄君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 五月十八日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として三  宅正一君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員加藤高藏君及び古川丈吉辞任につき、そ  の補欠として大橋忠一君及び松本俊一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大橋忠一君及び松本俊一辞任につき、そ  の補欠として加藤高藏君及び古川丈吉君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十二日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として横  山利秋君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十八日  昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案石田宥全君外二十六名提出、  衆法第五六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一四三号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  まず税理士法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 税理士法が今回改正されまして、税理士業務についての若干の是正が行われるわけでありますが、この機会に、一つ政府側にただしておきたいことがございます。それは、根本的に税金の問題について、本委員会で繰り返し言っていますように、税金というものについて政府が持っております徴税権力が非常に強い強制力を持っておるということと、それからもう一つは、政府解釈というものが一番先行するということで、わからないせいもあって、国民の方は税金がむずかしい、しかもびしびしと取られる。また大衆の方は、それに対して力が非常に微弱でございますから、そこにいわゆる警察署税務署に行くのは非常にこわいというふうな雰囲気が今日あるわけでございます。そういう雰囲気から納税に対して快く、これが正しい自分の税金として出すという、そういう心理があまり今日ないと思う。何としてもこのところは、納税国民の義務というものを快く遂行せしめるために、根本的な解決をしなければならぬということがよくいわれておるわけであります。それにはいろいろな方法があるだろうと思う。一番根本的なものは、言うまでもなく税制の根本的な改革、今臨時税制調査会で行われておりますところの根本的な改革が根本的な問題であろうと思う。第二番目には、納税知識、これが十分に向上しませんと、理解を得ることが困難である。それから第三番目に、国民税務署の間にありますところの本法案の税理士等々の人たちが円滑な仕事をしませんといかぬ。今日たくさんのこういう仕事に従事しておる人があるのでありますが、私の知っております限りにおきましても、もぐりで税理士をしておる人がある、あるいはまたこの業務を遂行するに際して、法律解釈なんて言うてるよりも、私は税務署長をよう知っております、私はあの法人税課長をよう知っておりますから御安心下さい、そして最終的には、税務署の人を招いて供応して、理屈はともかくよろしく頼むという、そういう税理士がある。それらの点についてはさることながら、最後には、あまりろくに解決もしないで高額の報酬を不当に要求をしておるという事実もある。こういうような状況では、この税理士業というものが円滑に進まないのはもとより、国民の円滑な納税に対する三つ原則というものが阻害されることおびただしいと私どもは考えておるわけであります。  この際主税局長にお伺いしたいのは、当面のこの税理士法問題点でありますが、今言った税法根本的解決の当面の進行模様、それから納税知識向上についてどういうふうな——単にビラをまいてそれで終わりとしておるのかどうかという点、それからもう一つは、今日の税理士界の欠点についてどういうふうに考えておるかという三点について、まずお伺いをいたしたいと思うのであります。
  4. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 税制につきましては、現在の税制そのものにいろいろな御批判があるわけでございます。何と申しましても、一般的に申しますと、現状において税負担が高いということが、やはり税に対する不平不満、あるいはそれをすなおに納めていく気持というものを阻害するといったような意味において、いろいろな問題があろうと思っておりますが、しかしこの点につきましては、国の財政の規模、あるいは国民経済の伸びといったいろいろな問題がからみ合っておりまして、戦前に比べまして税負担相当重くなっておりますこの姿を、そう簡単に是正していくということはできないのじゃないか。それにいたしましても、政府といたしましても、あらゆる機会において税負担の軽減をはかっていくということにつきましては、及ばずながら努力して参っていると思います。同時に、その前提に立ちまして、税制をどういう姿に置いていくべきか、負担の公平ということが、何と申しましても税の一番基本的な問題でありますし、同時に現状におきましては、いろいろな経済政策的な要請もございまして、それの手段としての税といった問題も、全然無視するわけにも参りませんし、そうした点も考えあわせながら、税制としてどうあるべきか、この点につきましては、政府としても検討しておりますし、同時に今御指摘になりました臨時税制調査会のようなものも作りまして、各界の方々の御意見も伺って、明年度におきまして、その結論の上に立った改正案を御提案申し上げたい、かように考えております。  それから第二の御質問でございます、納税思想の高揚といいますか、税に対する知識の普及といいますか、こうした点につきましては、特に国税庁におきましては、それが一番基本的な問題であるということを考えまして、いろいろ解説的なパンフレットも作りましたり、あらゆる意味におきまして努力はしております。しかしこの問題も、やはり国民ほんとうに税の重要性というものをはっきりわかっていただく、あるいはさらに、現在の相当複雑な税の内容につきましても、相当知識を持っていただく、これも相当の時間をかけて、やはりしんぼう強く努力して参らなければならぬ仕事じゃないかというふうに思っております。一面においては国民に、そうした納めた税金が一体どういうふうに使われていくか、いわば税の行方といったようなことにつきましても十分わかっていただくことが、やはり進んで税金を納めていただくゆえんでもございますので、そういった面につきましても、いろいろなパンフレットを作り、あるいは学校を通じ、あらゆる機関を通じまして努力しておりますが、現状におきましては、まだまだそれで十分だと言い切れない面もございます。今後ともこの面における努力は続けて参りたい、かように考えおります。  それから第三に、税理士あり方の問題でございますが、この点につきましては、いろいろな御批判もわれわれ伺っております。御指摘のような場合がどの程度あるのか、全然皆無とも思いませんし、確かにある程度あると思いますが、しかし全体として見まして、そう多くあるかどうかということは、これは必ずしもわれわれは多いと思っておりません。しかしいずれにいたしましても、そういう事例があるということ自身はおもしろくないことでございます。これはそういった面でなしに、結局税理士といたしましては、納税者利益を代表して、税法に定められた税金を正しく納めていく、その意味において納税者利益を守る、こういった意味のものでなければならないという意味におきまして、税理士方々の素質なり、あるいは心がまえなり、あるいは知識なり、そうした方面につきましては、現在でも税理士会もございますし、さらにこれに大いに活動していただく。政府としましても、一応の監督権を持っておりますので、そうした意味におきまして、あらゆる機会にそうした素質の向上税理士の方方がほんとうにあるべき姿の方向へ大いに進んでいっていただくということにつきましては、政府としましてもあらゆる方策を今後続けていきたい、かように考えております。
  5. 横山利秋

    横山委員 きわめてありきたりな御答弁でありますが、それではもう端的にお伺いをいたしたいと思います。私は、今申し上げた三つの点というものは、今日きわめて重要なこと、必要なことであると思っておるのです。第一番の税制根本的改革について国民が非常に関心を払っていますものは、これによって減税をされるであろうかどうかということであります。減税をするについては、今審議会の中で二つ意見がある、一つは、減税見返り財源として租税特別措置法メスを加えるか、あるいは売上税創設をして見返り財源を作る、この二つ一つだというのが大筋の模様であります。しかも租税特別措置法の恩典を受けます大企業は、今や必死になってそのメスを避けようといたしておる。自然に売上税創設の方へ傾くのではないかという声がありまして、このために、公約であるところの一般減税というものが実現をされるにしても、その肩がわりが別な格好になって参るというような点において、各地方における中小企業、あるいは庶民大衆の中に不安が漂っているわけであります。聞くところによりますと、大蔵省事務当局としては、売上税について、相当の強い気持があると伝えられているのでありますが、こういうようなものが創設されましたならば、なんぼ税制改革根本的改革だと称しましても、それはもう本質的な減税の道ではございませんから、これで税に対する信頼感を伴ってくるということは困難であると私は痛感いたしているわけであります。その点について、税についての三つの当面の重要な問題の第一の問題、つまり売上税をあなたの方ではお作りになるつもりで審議会に働きかけ、審議会もまたこの方向に動いているものであるかどうか、この点をこの際明白にされたい。
  6. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 今われわれの方で、お話の売上税を作るということをすでに一つ前提としてものを考えているという事実はございません。結局、お話しのように、税負担が重い、特に直接税の負担を何とかして軽減したい、こういう場合に、一応考えられるものとしましては、一つは、自然増収財源として減税を行い、それによって直接税の負担を軽減していくという方向一つの可能な方向として考えられる。しかし、この場合におきまして、前提となる問題としましては、それでは来年度自然増収がどのくらいあるだろうか、あるいは来年度歳出の方の規模はどうなるであろうか、こういう問題があるのでございますが、これらの点につきましては、本年度が開始してまだ二カ月立っておりませんので、まだそうした意味の見通しはなかなか困難である。これは税負担全体の問題であります。  さらに税制そのものの内部の問題として、一応どういうふうに検討していくか、この問題が一つあると思います。その意味において、今お話しになりました租税特別措置法という法律にきめられている幾つかの措置などの中には、相当経済政策的な要請でもって取り入れられているいろいろな施策がある、あるいはそうでないものもある。こういったものも、全面的に一ぺん全部見直してみようじゃないか、それを最後結論としてどういう結論を出すかは、これはもう少し先の問題にしまして、全面的に全部見直してみようじゃないか、こういった観点に基きまして、現在税制調査会におきましては、一応関係方々意見を徴しております。これは、一応その人たちの言い分を聞き、同時にまた違った角度からの話も聞き、そしてこれを一体どう処置したらいいかという問題が一つあるわけであります。  それからさらに、これも税制の根本的な検討をする場合におきましては、当然出てくる問題でありますが、間接税において相当財源を上げることができるものだろうかどうだろうか。その一環として、売上税というものも話に一応は検討の材料としては出てきているわけであります。しかし売上税の問題につきましては、これはいろいろな面において相当批判の余地もございますし、過去において一ぺんやりまして、それが一年半足らずでやめたという事例もございますので、よほど慎重に検討をされていかなければならない問題である。そういった意味におきまして、現在におきましては、一応可能な手段といいますか、そうした可能な方向を一応問題として取り上げてみる、それを検討してみる。しかしそれをどういう方向に処理していくかということにつきましては、われわれもまだ全然白紙でございます。税制調査会におきましても、まだ一つ結論を持つとかなんとかという段階には全然至っておりません。ただしかし、やはり一応は検討してみる必要があるのではないかという意味において、この問題を取り上げているということはございますが、それもまだ現状におきましては、一体諸外国において売上税の制度というものはどんなふうになっておるかという検討程度以上には、まだ出ておりません。
  7. 横山利秋

    横山委員 非常に用心深いお答えでございますが、少くとも政府主税局において、あるいは臨時税制調査会において、売上税審議一つのコースに上って重要な課題であるということ自体が、もうすでに庶民大衆の中に非常な脅威を与えておるわけであります。これがかりに実現をされるといたしましたならば、事業税八百億くらい、それから物品税約三百億くらい、これらにかてて加えて、どのぐらいの売上税を見込まれる腹づもりか知りませんが、これがもし創設されるといたしましたならば、一千億を越すことは明らかなことであろうと思います。こういうことは、増税が行われて、片一方にかりに何かの減税が行われたといたしましても、新しい不均衡と物価の高騰なり、あるいはいろいろな問題が派生して、あらためて税に対する不信の念、不安の念を増大するばかりだと私は思う。従って国民大衆に不安なり、税に対する不信なりを起させないようにするためには、この売上税の問題については、なるべく早い機会税制調査会においても結論を得られて、そしてやらないのだったらやらないという立場を鮮明にされることが、今日私は必要であろうかと思うのであります。  第二番の納税知識向上の問題で、最近ちまたに多く話題を投げかけておりますものに青色申告の問題がございます。これは国税庁長官にお伺いした方がいいと思いますが、この間雑誌企業会計」に法人税課長志場さんが法人税雑感という題名でこういうようなことを言っておるのであります。「現実法人の大多数がいわゆる個人会社というか個人類似法人というか、経営在り方なり経理、記帳の在り方からみて個人事業の場合と殆んど違わないような内容にすぎないものによって占められているという事実である。従って、税務調査在り方としては、ともすれば陥りがちな帳簿依存在り方を排し、あく迄も経営実態、真相を把握する点に重点を強く置くことに努めなければならない。このことから、場合に応じ、或はいわゆる反面調査として取引の相手方の調査なり銀行調査なりを積極的に行い、或は現況把握の為に無通告の臨店調査を行い、或は原材料等からのいわゆる歩留り計算を精密に行う等原始的な事実関係を究明し、或は同業者との権衡守からみての推計認定課税を積極的に行うなどの事が必要となる。私は、これらのことは前述のような現段階としては已むを得ない当然の措置と考えるのであって、この方面への努力を更に積極的に行って行きたいと思っている。」と書いておるのであります。このことは、ある面から言えば現実適用だと言うて言えないことはないと思うのであります。しかしながら、このこと自体はきわめて危険な思想である。この方向が推進されますと、めちゃくちゃである。青色申告白色申告も全部ごっちゃにしてしまって、そして青色申告に許されております特権、つまり政府がその調査に当って、所得金額等計算に誤まりがあると認められた場合に限り更正することができる、その更正通知の書面にその理由を付記しなければならぬというその点を限定して、税務官庁の恣意によってみだりに納税者の権利を侵すことのないように拘束を加えております青色申告特権を全く無視いたしまして、そして大体が近ごろの青色申告者というものはろくなやつはおらぬ、こういうやつは原始的に何ぼ帳面が書いてあっても当てにならぬから、とことんまでやってしまえという志場さんの見解なるものは、全く言語道断ではないか、こういうような思想で行われている限りにおいては、政府青色申告の育成と言ったって何にもならぬのではないか、こういうことが盛んにちまたで言われており、現にこういった方向において行われている特調班やり方は、まことに枚挙にいとまがないのであります。この点について、納税知識向上という普遍的大原則に立って青色々々と言っておられた大蔵省の今日の実際の責任者がかかる所見を堂々と雑誌に出し、かつちまたにおいてこういう方向で行われていることについて、一体国税庁としてはいかなる方針を持って仕事をしておるのか、この点をお伺いをいたしたい。
  8. 阪田泰二

    阪田政府委員 青色申告の問題についてお尋ねでありますが、この青色申告につきましては、御承知のように、現在のような自主的な申告納税建前とする税制におきましては、やはりこの青色申告というものを育てていく、助長していく、ふやしていかなければならぬというようなことで、私ども現在におきましても指導してやっておるわけであります。ただ現状について見ますと、御承知のように、青色申告は今非常に普及して参りましたわけですが、これは量的には非常に普及したという数字が出ておるわけでありますが、内容について見ますと、これは非常に誠実な、青色申告の名にふさわしいものもたくさんあるわけでありますけれども、必ずしもそうではないものも、遺憾なことでございますが、中にはあるわけであります。そういうようなものにつきまして、それをそのままにいたしておますと、結局これはまじめな青色申告をしておる者がばかを見るといいますか、そういうふうな誠実な申告者の方から不満の声が出てくる。やはり税務行政建前としましては、税法に従って適正な課税をしていかなければならぬわけでありますから、やはりそういったような、青色申告でありますが、内容的には青色申告になっていないというものを放置しておくことはできないわけであります。それで、ただいま御指摘のありましたようなことも、要するに形式的にそういうことで帳簿をつけて青色申告をいたしておりましても、内容的に見まして、その帳簿が誠実なものでない、取引企業経営実態をそのまま誠実に記帳していない、こういうことがはっきりわかりますものにつきましては、やはりいろいろな方法によりまして、その企業実態所得のさ実額というものを捕捉しまして、課税しなければならないわけであります。またそれが、やはり税務行政としてその使命ではないか。いろいろな方法で脱税をしておるものも、青色申告という形をとっておるものの中に、遺憾なことでありますが、あると思います。しかし、そういう正確な納税をしていないというものを放置しておくことは、やはりできないわけであります。そういう意味におきまして、今の御指摘記事のようなものも、そういったような意味の的確な所得捕捉調査をするということにつきましての税務当局仕事やり方、こういうことにつきましていろいろと述べたものであろうというふうに、私ども考えるわけであります。
  9. 横山利秋

    横山委員 長官、問題の焦点をはずしてもらっては困る。この法人税法上の問題点として、青色申告については誤まりがある、所得金額等計算に誤まりがあると認められる場合に限り更正することができる。あなたの言う、帳簿に誤まりが多くあるからというところまではいいのですけれども、誤まりがあるからというので、その帳簿はもう信用がならぬから原始的なやり方によれ、こういう志場さんの言うことを肯定しておられるとしたならば、これは法律の精神を沒却するもはなはだしいではないか、こういうことに相なるのであります。帳簿が間違っておったならば、あなたが先ほど前段で言ったように、帳簿を直す方に努力をすべきではないか。帳簿に誤まりがある、計算に誤まりがあるとしたならば、そこで初めてあなたの方として、その申告に対して、これはいかぬ、従ってこういうところとこういうところを一つ出してくれと言うことは、これは認める。ところが、帳簿に誤まりがある、この志場さんの見解によれば、大多数のやつはあかぬのだ。従って税務調査あり方としては、ともすれば陥りがちな帳簿依存あり方を排して——排してと書いてある。帳簿依存あり方を排してしまい、原始的にやれ、こういうことを言っておるのはめちゃくちゃじゃないか、こう言っておるのです。どうもあなたはめちゃくちゃじゃない、この志場方式がいいと言っておられるようでありますが、ほんとうにそうなのか、もう一ぺん聞いておきたい。
  10. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいまの問題は、先ほど私が申し上げましたように、やはり青色申告の理想的なあり方、これは税務当局側についても言えましょうし、納税者の側についても言えましょうが、そういった状態現実状態がどうなっておるかということで、やはり対照して考えなければならなぬと思うので、ただいま帳簿信憑性の問題についていろいろ御指摘がありましたわけですが、帳簿がいろいろな事実から具体的に信憑性がないということがはっきりわかっております場合は、その帳簿によりまして計算されました利益とか、所得とか、こういうものも信憑性がないわけであります。従いまして、確実な正確と認められる所得によりまして税法を適用していこうというためには、やはり税務当局としては、何らかの方法によりまして正確だと考えられるものを、できなければ推定してでも出さなければならぬ、こういうことになるわけでありますから、ただいま御指摘の点は、法律に違反するとか、法律通りやっていねいとかいう問題ではないのでありまして、いろいろ現実の事態に即して、税務官吏としては現状において調査を徹底する、公平な課税をするというためにはこうしなければならぬ、こういったようなことをただいまの記事も述べておるのではねいかというふうに私どもは考えておるわけであります。
  11. 横山利秋

    横山委員 阪田君は温厚な人柄であるかもしれぬけれども、声がちっとも聞えぬのであります。やっておることはどうも温厚ではないけれども、言葉は温厚であります。やっておることと同じように大きな声を出して、私の聞いておることに一つ焦点を合して、ぴしっと答えてもらいたい。  私の聞きたいことは、帳簿に誤まりがある場合に限って、あなた方は帳簿に誤まりがある、お前のところは差金が少い、預金が多い、こういうところから、あれを出せこれを出せということで、更正決定をすることができる。帳簿に誤まりがあるということを立証もしないで、銀行預金が多い、やれ何だかんだといってこちらから決定をすることはあかぬでははいか、青色に対してそういうことをしてはいかぬではないか、帳簿に誤まりがあるということを立証をすることが先決問題ではないか、こう言っておるのです。あなたはその帳簿の誤まり所得金額等計算に誤まりがあるかないか立証しなくても、原始計算をしろというのか、やっぱり原始計算をするときには、法人税三十一条でありましたか、所得金額の計算等に帳簿に誤まりがあるということを立証しなければならぬのだという、三十一条の精神を尊重するのかどうか、どうです。
  12. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいまの帳簿について、全然調べないで、こういう帳簿信憑性がない、信用ができないとこれを否認して、全然初めから推計課税等の方法による、こういうようなことは全く考えていないわけであります。帳簿信憑性があるか、帳簿の記載内容が誠実であるかどうか、こういうことについては、これは帳簿について、現物について調べてみることもあります。あるいは結果について見ただけで信憑性がないことがわかる場合もございますが、とにかく帳簿内容について検討しました上で、帳簿内容が誠実でない、信憑性がないのだということがはっきり認められまして、その次に、それでは何によって正確な所得を補促するか、こういう問題が出てくるわけであります。もちろん帳簿内容につきまして全然調査検討いたしませんで、初めからこれによることを拒否して、推計課税方法による、こういうようなことはいたしておりませんし、いたしてはならないことであります。これは申し上げておきます。
  13. 横山利秋

    横山委員 それでは、もしかりに税務官署が、本来白色申告者に対してやるような措置青色申告者に対してやった場合、帳簿に誤まりがある、所得金額の計算に対しまして誤まりがあるということを立証しないで原始計算によってやった場合においては、これは青色申告者に対する権利保護の規定と異なる処分をしたものでありますから、当然これは法律上取り消さるべきであると思うが、どうでありますか。また納税者としても、これに対して三十四条以下の再調査、審査及び訴訟においては、その更正額の額について争うべきでなくて、単に法律の条文をどこで適用したか、この法律の条文の適用についての誤まりについて当否を争うのである、こういうふうに考えますがいかがですか。
  14. 村山達雄

    ○村山説明員 非常に技術的の問題でありますので、私から一口お答えを申し上げます。御承知のように、現在青色申告につきましては、帳簿に誤まりがあったことを確認した上でなければ更正決定してはいけない、こういうことになっております。それにちょうど相対応する規定が白色についてございまして、白色については、資産の増減、生活費の状況から所得を推計することができることになっております。この二つをにらみ合せまして、現在の解釈では、帳簿を調べてはっきり間違いをただした上でなければ更正決定はできない、いきなり推計課税はいけない、こういっておるわけであります。そこで普通帳簿の誤まりを発見する場合、大きく言いまして二つあるわけであります。一つは、たとえば複式簿記であって、帳簿上の操作が間違っておった。つまり記録をたどっていって、自動的にこれは間違いだということがわかる場合が往々ございます。そういう場合には、その部分だけを否認すれば足りるわけであります。しかし今度は納税者の方で、いわば全然架空の計算をやっておる場合には、帳簿自体から誤まりを発見しようといっても、なかなかむずかしいわけで、実際の売り上げを、別の角度からして事実について調べ、あるいは事実について経費を調べて、そして帳簿に載っておる売り上げ、帳簿に載っておる経費を詳査することによって、結果的に違っておるではないか、事実はあなたの方の売り上げはどこどこに幾ら、どこどこに幾ら、こうなっております。にもかかわらず、あなたの帳簿上の売り上げは幾らであります。よって間違っております。いかにしてあなたはその違う計算をしたかということで、一々トレースできる場合があります。これは全く架空にやる場合もあります。こういう場合も、やはり証拠に基きまして、帳簿に記載されたことが間違いであるということが立証される場合でございますので、そういう場合には、やはり更正決定はできる。おそらくその記事は、よく読んでおりませんが、もし青色申告についてその記事があるといたしますと、その記事前提は、その帳簿に、一般的に当然あるべき原始記録がないというような点からいって不信の念を抱いて、そこで売り上げ額、経費を事実についてトレースした場合に、結果的に誤まりが出てくることを予想した場合の調査やり方を書いたものと思っておるわけであります。ですから、頭からこれは帳簿が誤まりだというので推計課税を加える、それで決定するということはもちろんいけません。事実をきわめまして、その結果帳簿と違っておれば、これはもちろん決定ができるわけであります。そういう意味で書いたものと了承しております。
  15. 横山利秋

    横山委員 この間あなた方の青色申告に対する現在の方針をちょっと拝見しましたが、たしかこういうことがあった、青色があまり出過ぎたから、これから青色をふやすことについてはやめてとは言わぬけれども、抑制して、今の青色を整理していこうじゃないか、こういう意味のものが出ておるのであります。私は、どうも問題は根本的にはそこから発しておるように思う。あなた方がちょっと何かに書いたり、しゃべったりしたものは、下の方では針小棒大に極端に受け取って、それでは青色を徹底的に洗ってやる。志場さんのように、大体今の青色はろくなものはおらぬ。帳簿なんていいかげんな脱税帳簿で、そんなものは相手にしないでも原始課税でやればということを、しかも直属の課長が表わしておるのでありまするから、推して知るべしと言わなければならぬ。その点について、私は、根本の精神を忘れるな、注意しろ、こう言っておるのであります。今長官の話で、私の見解に間違いがないということが立証されましたから、これはこれでよろしい。しかしあなたの方で、下の方にあります、現に存在しています間違い、青色申告者に対する、白色と同じようなやり方で、帳簿なんかそっちのけでやっておる、こういう事実に対しましてはどうするのかというのが私の質問でありまして、つまり私の質問は、そういうやり方をやられたときには、これは青色申告者に対する権利を剥奪して、その規定と違った規定を適用したのであるから、これは当然取り消さるべきではないかというのが一つ。それから納税者としては、その決定の額が安いの高いのというのではなく、条文適用が違っていると言って争うのが納税者の正しい立場である。また国税庁税務官庁としても、その異議申請を受けたならば、青色申告者に対して白色申告者の場合の仕事をしたのであるから、この更正は一応取り消すべきである、こういうふうに考えるがどうか、こう質問をしておるのであります。具体的に起っている事実について、今の長官の見解は、どういうふうになさるべきであるか。これが第二番目の質問です。
  16. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいま国税庁の方針として、いろいろ局署等に出しておるものにつきましてお話がありましたが、今お話しのありましたような、青色申告は少しふえ過ぎたからこれを抑制する、数を制限する、そういったようなことは、いろいろ国税庁から出しました通達等にも全然申しておりませんので、これは一つ御了承願いたいと思います。青色申告の数といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、かなりふえまして、個人では五割以上になっております。法人でも七割五分くらい、大体そのくらいのものが青色申告をしておるわけです。それで、青色申告になれないものにつきましては、いろいろ事情等もありまして、これから数を伸ばすということはかなりむずかしいとは思います。しかし積極的にこれを抑制するのだというような考えは、全然持っておりませんので、これから数もふやしたいし、内容も質的によくしていきたい、かように考えているわけであります。青色申告の指導のやり方につきましても、先ほど来申し上げた通りでありまして、青色申告、なかなかこれは、ことに中小企業者等にとりましては、記帳もなかなか技術的にむずかしい点もあります。ひまもないというような点もありまして、そういうような意味からも、なかなか期待通りの記帳ができないというようなことがあるわけでありますが、われわれといたしましては、これはやはり長い目で見て育てていかなければならない。たまたま記帳が十分技術的にできてない、間違いがあるということだけで、直ちにこれを頭から否定してしまうとか、頭から青色申告の取り消しをするのだ、こういったようなことは考えておりませんので、これは十分に一つこれから長い目で育成していくのだというような気持を常に持ってやっていかなければならぬと考えておるわけであります。先ほど来いろいろ御指摘のありましたようなことも、いろいろ誤解を受けるような税務署員の取扱いの仕方、指示の仕方等がございましたら、これは十分に一つ直させるように、これからも指導して参りたいと思いますの、で、御了承願いたいと思います。
  17. 横山利秋

    横山委員 私の質問に答えてないのですけれども一つ私の質問に——二回も言ったのです。現にそういう事実がある。青色申告者に対する保護規定を適用しないで、白色でやった。やった場合に、この現実方々に起っているのだけれども、この点については、これは一応青色申告者に対する保護規定を適用せずに、別の規定を適用したのであるから、一応決定は取り消さるべきではねいか。納税者は、その金額が安い高いということではなくして、条文の適用について争ってよろしいのではないか。その異議申請が出た場合においては、これは一応税務官庁としては取り消すべきではないか、こういう点について質問をいたしておる。
  18. 阪田泰二

    阪田政府委員 具体的事実についてのお話でありますれば、これは、いろいろただいま御指摘になりましたような方法で争うことは、当然納税者としてできることであります。またそういうようなことになるまでもなく、私どもの方へ、事実が明確にわかりますれば、これはどこにでもお申し出願えれば、取り消すなり訂正するなり、法に従って直すことは十分できるわけでありますから、具体的な問題でありますれば、そういうことで一つ御了承願いたいと思います。
  19. 横山利秋

    横山委員 そんな、全国にありますやつを、何町の何それはこうでした、これ町のこれそれはこうでした、なんと言えるものですか。私は法解釈を厳正にただしておるのでありますから、その法解釈の精神に沿ってあなたがお答えなさればいいのであります。どこにどういうことがありましたなんて、この委員会で聞くなんという、そんなやぼなことはやめなさいよ。
  20. 阪田泰二

    阪田政府委員 それでは申し上げますが、帳簿に誤まりがある、帳簿信憑性がないということを十分に正確に調べないで、全然初めから帳簿というものを否定して、推定課税をした、更正決定をした、こういうようなことがありますれば、青色申告に関する御指摘の条文に違反しておるわけでありますから、それに違反しておるということで、審査の請求をされて当然でありますし、それでまたそういう事実が認められますれば、決定も取り消されることとなると思います。
  21. 横山利秋

    横山委員 それでは一つ、こういう声が非常に全国で多うございますが、ただいまの長官のお言葉によって、私は了承いたしました。願わくはその趣旨を適当な機会に、一つ全国に長官の趣旨を徹底せられんことを私は望んでおきます。  大体、このごろ税務署納税者のところを回っていろいろな意見を聞いてみますと、どうもその納税者の記載する青色申告による帳簿よりも、税務官吏の主観の方が実態真相の把握がより正確だ、こういう根本的概念が税務署の中にあるようであります。これは税務職員としても、自信のある仕事をするという立場はわからぬではございません。しかしながら、国民はうそをつく、税務署の職員は常に正しい、こういう概念が税務行政の中に常にありますると、これでは先ほど言ったように、納税知識なり納税に対する理解というものが乏しいのであります。どこにそんな証拠があったと言われると、これだけは私も言えない。しかし感じであります。税務署の人は常に正しいことをやっているのだ、国民の方は常にうそをついておるのだ、こういう概念だけは何とかして、納税の行政並びに納税者に対する態度の中からは、あらゆる方法をもって改めなければならぬと思う。税務署の諸君も、ときには間違いもあるでありましょう。そういう点については、率直にこれを認めるようにしなければならぬと思うわけであります。  話が長くなりましたが、第三番目の税理士の問題について触れてみたいと思います。現在の税理士というものは、身分的に長官に隷属しておるものであります。首を切るという仕事があなたに最終的にあるわけでありますから、どうしてもそこに一つの限界がある。それからもう一つは、法の解釈という問題について、その争いに対して、あなたの方でこうだというと、税理士は、もう法解釈の点については、そこで限界が生ずる、こういうようなところが影響いたしまして、どうも先ほど冒頭に言ったように、税務署に迎合的な人が、税理士なり、税務行政国民との間に立ってやる人々の中に、そういう傾向の人が出てくるような感じがある。それがひいてだんだん発展をして、非法行為を誘発する原因になっておるようにも思うのであります。私は今あえて税理士の皆さんのまずいところばかりあげて参りました。もちろんこれはまずいところばかりではございません。しかしそのまずいところが、納税者に対し、あるいは国民に対し、あるいはあなたの方の監督指導の面において、悪い影響を与えるのでありますので、何とかしてこれを改善しなければならぬと思うから、あえて言うわけであります。これらの点について改善をする道は、もちろん税理士の諸君みずからが切瑳琢磨してよくするというところに、一つの問題があろうとは思います。しかし根本的には、私が今あげました首を切るという権利が——本来税理士とそれから政府というものが、納税者を中心にいたしまして話をして、そうして話をつける、対等の立場に立っていいのであるけれども税理士諸君はあなたに首を切られる立場にある。そうして解釈は、あなたの方の一方的な立場にあるというところに根本的な問題があるのではないか、こう考えるわけであります。弁護士の立場をここで考えてみますと、弁護士法では、基本的人権を擁護し、社会正義の実現を期すとかなんとかという言葉がございます。弁護士が行政に対して争うという対等の立場をここで認め、国民の基本的人権と社会正義の実現をするという高い立場を持っておるに比べまして、税理士法においては、納税義務者を擁護しとありましたか、そんなような言葉に尽きておるわけであります。ここに実は税理士の立場に対して根本的に考える余地があるのではないか、こう考えるわけであります。てにをはを直し、あるいは一部の悪い税理士を、その人がいかぬといってしかったり首を切るということ自体よりも、もう少し高い立場に税理士の地位を置いて、そこで堂々と納税者政府との間に立って、公正な議論、公正な解釈、公正な立場というものを保たせるというふうにすることが、実は根本的な問題ではなかろうか、こう思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  22. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいまお尋ねの点でありますが、確かに御指摘のように、税理士に関する懲戒処分の権限は国税庁に属しておるわけでありますが、しかし、これは懲戒処分につきましても、それぞれ税理士のした行為につきまして、法律に定められた事項に触れるような事実があった場合に懲戒処分がなされる、登録取り消しその他の処分がされるわけでありまして、これは要するに税理士がその職責を守って正常な職務をしておられる限りは、いかに税理士仕事を盛んにやられましても、懲戒という問題は何も関係ないわけでありまして、ただいまのような、国税庁税理士の身分を握っておるといいますか、人事をやっておる、こういったようなものではないというふうに私どもとしては考えておるわけであります。また懲戒処分の権限を使って正常な業務を……(横山委員「雑音もあり、長官が温厚な言葉で述べられておりますので、ちっとも私はわかりません。委員長一つ御整理願います」と呼ぶ)税理士が正常な業務を行なっております限り、国税庁におきましても、これを懲戒権をもってどうしようこうしようという考え等は、もちろん全然持っていないわけでありますから、何かこれで税理士について国税庁が指導するといいますか、支配するといったような考え方は、現実におきましては何もないわけであります。  なおまた法律解釈が、国税庁が通達等できめておるから、これに従わなければならぬ、こういうお話がありましたが、これは国税庁、国税局、あるいは税務署といたしましても、税務行政を執行する官庁でありますから、行政官庁として税法等をどう解釈するか、これははっきりしなければなりません。また税務官署がこう考えておるということは、外部にもはっきりした方が、納税者にとっても便宜なことがありますから、そういうものは発表しておるわけであります。ただこれは、行政官庁の解釈でありますから、納税者あるいは税理士が、これによって何も絶対に拘束されるというものではありませんので、法の解釈につきましていろいろ意見を異にするという場合には、税務官庁解釈に服し得ないという場合には、これはやはり法廷に出て訴訟で争うこともできるわけでありまして、この点は、例に引かれました弁護士の場合と実際は何ら変りないということになっておるわけであります。そのようなことで、われわれといたしましても、いろいろとお話がございましたが、税理士仕事につきまして税務官署で指図しよう、税理士が中正な立場で納税義務者のためにいろいろと仕事をする、努力をするということにつきまして、これから指導干渉しよう、またそういうようなことをされておるような気持税理士に持たせようというようなことは、全然考えておりません。また現実税務署等におきまする税理士の活動状態を見ましても、私どもとしては、御指摘のような事実、御指摘のような感じというものはあまり受けておらないわけであります。
  23. 横山利秋

    横山委員 長官の答弁がよくわからないのであります。速記録を見てさらにこの点はお尋ねいたしたいと思いますが、私の要望に対して、どうもよくわからないので困るのであります。同僚の諸君から、私の観点にやや近い立場から、何かあとで税理士法を改正して、強制加入をするというような具体案が出る模様であります。私は行政官庁の精神というものは、税理士の皆さんの自主的な立場、それから切瑳琢磨して、そうして品位を向上して、ほんとう納税者を擁護して——弁護士法に言うほどでないにしても、基本的な人権と社会正義を守るという方向に一歩でも近づくということであれば、大いに歓迎すべき点があると思うのでありますが、政府として今日まで税理士の立場を、納税者側から見ても一般国民の側から見ても、当然こういうふうに措置すべき段階にあったと思うのでありますが、政府側としては、今日この点についてどういうふうに考えて参ったものであるか、またあとで出ますこの修正に対してどういうふうなお考えを持っておられるものであるか、この点についてお伺いをいたしたい。
  24. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいまの御質問の点ですが、今回修正案が出ておるようでありますが、そういうような点について点…(「まだ出ていないよ」と呼ぶ者あり)質問の趣旨は、ただいまの税理士制度、それにつきまして税理士が基本的人権を擁護する、納税者が……。     〔発言する者あり〕
  25. 松原喜之次

    ○松原委員長 お静かに願います。
  26. 阪田泰二

    阪田政府委員 税理士がただいま御質問のような趣旨で基本的人権の擁護に努める、また納税者利益の擁護に努めるように、そういった意味で、税理士仕事が今後向上するといいますか、やれるように大蔵省としても何か考えておるのか、そういうような御趣旨の御質問かと伺いますが、これにつきましては、今回の改正法にもいろいろと新しい規定を盛ってあるわけであります。税理士が取り扱いました、関与した仕事につきまして証明をするといった制度を設けます等、いろいろ私どもとしても新しいやり方も考えておるわけであります。全体といたしまして、先ほどお答え申し上げましたように、税理士がその立場において、納税義務者の信頼にこたえて仕事をされる、税法に関する知識向上もはかられますし、素質の向上もはかっていく、そういうことによりまして、税務行政もいろいろと便宜を受けることでありますので、それらのことにつきましては、今後とも実際の税務行政の面におきましても十分に一つ考慮して参りたいというふうに考えております。
  27. 横山利秋

    横山委員 それじゃまたあさって御質問することにして、最後一つだけ質問をしておきたいのは、試験をやるというのですが、試験の科目の中へ、私が先ほどからるると述べてきたことからいって、憲法を入れるつもりはないか、唐突のような話でありますが、私は税理士の立場というものは、単に税金法律を知っておるというだけではいかぬと思うのであります。税理士諸君がより高い立場において、そもそも淵源をいたしまする憲法について深い知識を持っておることが、税務振興のためにも、あるいは正しい法律運用のためにもより必要なことであると思うのであります。時間がございませんから、あまりくどくど申し上げるのはやめますけれども、この際試験を施行するに当って、とくと一ぺん根本的に、この税理業務に携わっておる皆さんのよりよき向上発展並びに法運用上の問題点として、憲法を試験の科目の中へ入れるべきであると私は痛切に考えるのであります。御考慮をわずらわしまして、私の質問を終りたいと思います。
  28. 松原喜之次

    ○松原委員長 平岡委員より関連質問の申し出がありますので、これを許します。平岡君。     〔「簡単々々」と呼ぶ者あり〕
  29. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 いやきわめて簡単に質問いたします。  まず最初に、税理士の現況調べのうち、資格認定者がございますが、この資格認定者は、経験年数二十年以上の地方税賦課事務担当者、それから十五年以上の国税行政事務担当者の二つのグループがあろうと思うのですが、その内訳をお知らせ願いたい。
  30. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 その点につきましては、実は私の方で手元にそうした内訳の数字がございませんので、遺憾ながら今申し上げかねます。
  31. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 その点は後日でけっこうでございます。わかりますか。
  32. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 わかりません。
  33. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 次に、実はこの税理士法と直接の関連はございません。むしろ何も関係のないことですが、昨日主税局の方に非公式に申し入れて、善処方を要請申し上げた問題でありますが、ちょうど国税庁長官がおりますので、この際お伺いしておきたいのであります、それは一昨年でしたか、二十国会におきまして通過しました租税特別措置法一つであります社会保険診療報酬に対する特別措置の問題でございます。最近関東信越国税局からの通達と称しまして、各税務署におきまして柔道整復師にかかわる社会保険診療報酬に関して、課税対象を六五%にせよ、こういう通達等がありますことを御承知ですか。
  34. 村山達雄

    ○村山説明員 いや、そういう通達が出たという事実は承知しておりません。
  35. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 承知しておらぬかおられるか知りませんが、現実に柔道整復師の社会保険診療報酬につきましては、課税所得を六五%としてこれに課税すべしというふうに、税務署がこの線で徴税しております。そこで私は、この租税特別措置法を見返してみたのですが、第七条の十で規定されておる租税特別措置は、なるほど医業または歯科医業ということで規定いたしておるのであります。しかしその文理解釈を別としまして、精神解釈ないしは類推解釈からしまして、当然整復師であっても、その診療にお誉まして社会保険診療の分に対しては、やはり同様な七二%を経費とするこの恩典があってもよろしいと思うのでありますが、これが先ほど申し上げましたように、六五%に対しまして徴税されるというのは非常に不合理だと思うのです。この点につきまして、国税庁はどのように御処置するつもりか、お伺いいたします。
  36. 村山達雄

    ○村山説明員 租税特別措置法の規定が出まして、経費を七二%という法律が出ました際に、あの規定の解釈通達を国税庁が出ております。それはおっしやるように、あそこに書いてある医師、歯科医師というのは、やはり医師、歯科医師であって、柔道の整復師であるとか、その他鍼灸あんまとか、そういうものは含まないものであるという通達を出しております。そういう意味で、今のお話は、おそらく関信の方はその通達を受けまして、普通のあの規定の適用がないものの標準率を局限りどういうふうにきめるかという場合の、その標準率をきめたのではないかと思います。もちろん標準率は、それで納税者に押しつけるわけではなくて、他に収支計算が本人ではっきりしていない場合で、税務署でもはっきりしない場合は便宜その率を使う。本人に収支計算がありまして、その率がそれよりもっと高いとか、あるいは安いとかいう明確な場合は、もちろんその実際の所得額によるべきであるが、わからない場合の経費率あるいは所得率の見方を一応きめておる。そういうものとしての標準率をおそらく通達したものではなかろうか、かように考えております。
  37. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 あの措置法のできました経緯は、政府がきめておる単価が、政策単価としまして低位に失しておるというような点が大いに考慮されたと思うのです。従いまして医師なるがゆえ、歯科医師なるがゆえのフェーバーではなしに、社会保険診療に対する政策単価をカバーする意味においての制定であろうと思うのです。ですから、これが勝手にあんまさんとか、あるいは骨継ぎに適用されてはいかぬということもわかりますけれども、逆に六五%をもって課税所得としてみなすような通達が出るというのは、はなはだ納得がいかないところでございまして、この点につきまして、国税庁は関東信越局のこうした通達を是認なさいますか。
  38. 村山達雄

    ○村山説明員 いや、別にその通達を是認するとか是認しないとかいうことはありませんが、御承知のように、あの際あれはたしか議員立法で直ったかと思いますが、あれはその前後におきますところの標準率を見て、それをそのまま法律化したわけでございます。従いまして、そのときの政府がその二八という標準率を便っておりましたのは、厳密の意味で医師、歯科医師に限つられておった。そういう意味から言いましても、また文理解釈から言いましても、遺憾ながら柔道整復師のようなものは入らない、その解釈をわれわれとしてとっておるわけであります。問題は、その六五という率が高過ぎるのではなかろうかという問題でございますが、一般に申しまして、こういうところは常識で考えて五〇から七〇というところが普通の状態でございます。ですから、一般的に六五ということをきめたことが、おっしやるようにすぐひどいじゃないかという感じは卒直に申してしないわけでございますが、そうかといって、少し安過ぎやせぬかという感じもしませんで、その辺はもうちょっと検討しろとおっしやれば、六五という率をきめた根拠をわれわれにおいてよく調べてみたい、かように考えております。
  39. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 実は私が先ほど申し上げた通りに、政策単価に見合って課税上のフェーバーを与え、これを是正すべしというのが立法のいきさつであったわけであります。ところで医師並びに歯科医師が政策単価として十円ときめられておったときに、柔道整復師の場合においては九円でございました。その後十円から、地方によっては十一円五十銭あるいは都会地においては十二円五十銭の政策単価に改正されました場合におきまして、柔道整復師におきましては、そのまま据え置きで九円できておるのであります。従いまして、救済すべきはむしろ柔道整復師の側にあるように私ども当然解釈いたすのであります。ところで今のような二八%を課税対象とする医師並びに歯科医師と比べまして、六五%を課税対象にするというのは非常に権衡がとれておらないと思うのです。そこで文理解釈論としてどうしてもだめだというならば、あらためて立法論として法改正をする必要があろうと思うのです。この点につきましては、類推解釈としてそれを是正するという点で、あなた方はこの問題を処理するか、あるいは法改正としてこれをなお推進していく用意があるかどうか、あなた方はこのいずれかをとられまして善処せられるかをお伺いいたします。
  40. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 六五がいいか悪いかというような点は、国税庁の方でよく調べてもらいたいというふうに思っております。この当時の経緯は、大部分の方が御承知でありますが、あの当時特別な標準率でやっていたのが医師、歯科医師だけで、その医師、歯科医師だけの分について、議員立法でこういうふうな法案が出たということだと思います。柔道整復師の問題は、そのときはあまり議論にはなったと思っておりません。ただ今の六五というのがいいか悪いかは、もう少しよく調べてもらったらいいのじゃないかというふうに思っております。
  41. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 いずれにしましても、非常に不均衡であろうと思います。そういうことですから、この点につきましては、主税局国税庁の方で相談されまして、もう少しこれを緩和する方法において解決してほしいのであります。このことを強く要請いたしておきます。
  42. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に春日一幸君。
  43. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま議題となっております税理士法の一部を改正する法律案関係をいたしまして、私は主として単業計理士の立場について疑義のある二、三の点について、一つ政府の見解を明らかにいたさんと思うのであります。ただいま陳情書を渡邊主税局長の手元にもお渡しをしたと思うのでありますが、これらの団体が陳情しておるところを集約いたしますと、すなわち税務代理士法施行当時は、経歴年数二年以上の計理士はすべて税務代理士の登録の許可を受けることができた。さらにまた昭和二十六年の七月一日、税理士法が施行されて税務代理士法が廃止された際に、税務代理士の登録をしていた計理士は、単に法定の講習を受けることによって税理士の資格を付与されていた経過がある。しかるところ、今回の法律の改正によりまして、附則の三十項以降に、これらの単業計理士が税理士となるためのいろいろな経過措置がここに特例として設けわれておるのでありますか、その規定するところによりますと、明らかに国家試験、特別試験を受けなければならぬということに規定されておるのであります。このことは、結局彼らがすでに得ておりましたところの権利、すなわち国家試験を受けることなくして、彼らの経験並びにその学識にかんがみて、選考によって、この税務代理業務あるいは税理士業務を行うことができる資格を付与されていたところのこの計理士に対して、今回の規定は、明らかにその既得権を剥奪するものである。だから、これは従来の歴史的な経過措置にかんがみても、ぜひ一つその経歴、年数について多少のかげんをすることはやむを得ないとするも、これはやはりその経験と学識にかんがみて、この際選考によってやはり税理士たるの資格を付与されてるように救済されたい、こういう陳情が行われておるのであります。これは、現在その単業計理士が千二百名あり、扶養家族が五千名あり、その雇用人員が三千七百名あって、合計一万名に及ぶ者の死活の重要問題だとして、彼らは痛切にこれを訴えておるのであります。一体今回の法の改正において、政府はどうして過去において、すなわち旧税務代理士法において彼らに付与されておったところのそういう特別の資格を、そういうような工合に格下げされることに至ったものであるか、この点のいきさつについて、政府の見解を一つ明らかにされたいと思うのであります。
  44. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 昭和二十六年に税理士法ができました当時におきまして、当時の一つの経過的な措置といたしまして税務職員の場合におきましては、たとえば十五年でありますとか、それから計理士の場合においては二年でありましたか、当時の状況に応じまして一定の実務経験を持った者につきましては、これは一応の条件付でもって税理士としての資格を与えるということにした、これは御説の通りでございます。同時に、それはその当時のいわば経過的な措置としまして行なったものであります。今お話しの計理士の方々から御希望が出ております分は、その分をやはりこの機会に継ぎ足すことによりまして、あのときと同じように、いわば認定だけでもって資格を与えてほしい、こういう御希望のように伺います。同じような希望が税務官吏の中にも実はあったわけでございます。ただしかし、こういうように国家試験を実行していくということをずっと考えて参ります場合におきまして、そこに一定の実務経験があれば、認定だけでもって資格を与える、それは少しどうも行き過ぎじゃないだろうか。試験制度そのものをこわすような結果になりはせぬか。そこで現在政府として提案申し上げておりますのは、計理士の方々については、一応実務経験十年、それから税務署の場合においては二十年、そうした一応の制限は作り、同時にそうした実務経験を持った場合におきましては、一般の人と異なった試験、特別な試験をすることによりましてその資格を付与する。どの程度までこうした方々を特別のめんどうを見るかという、程度の問題だと思いますが、やはり試験制度というものを一応こわさないで、これはどこまでも堅持しておく。ただしかし特別な試験をするということによりまして、そういう人たちの要望にも一応こたえていきたい。これが現在政府が提案申し上げている案でございます。
  45. 春日一幸

    ○春日委員 特別な試験であると言われても、結局国家試験であることには間違いがないわけで、試験は試験である。ところが、かつてはこれは無試験で資格が付与されたものであり、その当時の所定の手続を踏んだものは、現在の法律の施行に伴うて、やはり税理士たるの資格がずっと与えられている。すなわちかつて国家試験を受けなかった者も、すでに得ておるところの資格というものは、何ら本法の施行によって喪失されるものではない。だといたしますれば、問題はかつて経過措置として講じられてきたところの、これらの二つ段階におけるこの単業計理士に与えられておった資格というものは今回の法の改正に当っても十分重視されなければ、これはやはり機会均等を欠くと思うのであります。政府の方では、あるいはその方は税理士法が施行されました当時、いわゆる単業計理士なるものが四千名おって、すでに二千数百名のものが税理士としての選考をパスして資格を得ておるのだから、残余の者については、もはやその必要はないというようなお考えがあるかもしれないけれども、この団体の陳情しておるところによりますと、その当時許可申請をしたけれども、あるいは戸籍謄本その他が、いろいろその当時社会の秩序が混乱をしておったり、通信がいろいろ紛失したりいたしまして、そうしていつしか期限を経過したものや、あるいは当時病床にあってそれらの処理をすることができなかったもの、あるいは戦争等に応召をして未帰還であって、そういう申請処理のでき得なかったもの、あるいはまたそういうような法律の特例が設けられておるということを知らなかったものたち、こういうよう血ものが結局千二百四十四名という形になって残存しておるのであります。こういうような事態を考えますときに、さらにこの単業計理士なるものは、その後新しく発生したものはない、全部当時登録されたものだけがこの資格を持って仕事をすることができるのであって、新しく発生したものはないわけなのである。この間において時間的にすでに数年間を経ておりますから、当時の経過措置の中に重視されたこれらの人々の持っておるところの経験、あるいはその当時この経過措置が講じられたときよりもさらにプラス数年という、すなわち彼らはより多くその経験を積んできておるわけであります。経験の少かった当時ですら選考によってそれらの資格が与えられたものを、ただいまにおいて、その経験をさらに数年間加えた現在において、選考によらずしてさらに国家試験をするということは、これはやはり理論としても取扱いとしても首尾一貫を欠くものと思う。かってそういう取扱いができて、多数の諸君はその資格が与えられて、当時ただいま申し上げたようないろいろな事故によって選考を受くるの機会を失した諸君に対しても、この際はやはり同様の選考によって資格を付与さしてやることは、何ら差しつかえないことだと思う。関連する事柄として、税務職員に対する取扱い、これについてどうしたものだという御意見もありますけれども、これはかつてそういうような資格が選考によって与えられておったとするならば、先般奥村君等の理論もあるが、そういうような条件を付して、選考によってそういうような資格を付与することは、本法の趣旨、目的、その他機能、性格から考えて、徴税行政の上において、あるいは国家社会の全体的な権衡の上において、私は何らの障害をもたらすものではないと確信するが、この点についていかがでありますか。
  46. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 今お話しになったような計理士の方々を特別な扱いによって、この際その方々の御希望の線に沿うような措置を講じたいという点においては、政府の原案も春日委員のおっしゃっていることと、その線では同じなんであります。問題は、その場合において、どういう条件でもってその方々の御希望に沿うように考えていこうかという条件において、春日委員の今御質問といいますか、あるいはむしろ計理士会の方からの陳情と、一応政府の原案との違いがあるわけであります。そこで、それじやどういうわけで政府がそういうふうな原案を作ったかという点をお答えすることが、あるいは御質問の趣旨に合うのかもしれません。従ってその点について申しますと、二十六年におきましては、一応立法の際で、新しく法律を作った際でございましたから、従ってその場合において、経過的な措置といたしまして、そういう措置は確かに講じました。しかし、そこに一応の条件がございまして、その条件がかなわなかった者は、一応そこで落ちたわけでございます。新しい何らかの措置を講じませんければ、その人たちは普通の人と同じような試験、もちろん科目免除とかいろいろな点はございますが、普通の試験を受けなければならない。それではそういう人たちが少しお気の毒じゃないかという点を考えまして、といってこの陳情書にありますように、全部ただ認定でもっていくというだけでは、二十六年の立法当時はそれが許されたと思いますが、現状におきましては、税理士試験だけでなくていろいろな方々の試験制度もあり、その場合において、全然試験制度をやめてしまうというのも、これは少し行き過ぎじゃないだろうか。そこで、従ってこういう方々においては、こういう方々だけを特に対象とした実務を中心とした特別な試験を講ずることによりまして、普通の試験は受けなくてもいい、ただ特別な試験を受ければいいという、こういう点でこの方々の御希望を全部とは申しませんが、一部を達成できるように考えていったらどうだろうか、これが政府の原案であります。
  47. 春日一幸

    ○春日委員 第二十二国会において、山本勝市君があなたにこういう質問をしておるのです。すなわち、昭和二十六年に税理士法が制定されましたとき、それまで税務代理士法によって認められておった計理士の税務業務、この税務代理士法におきましては、計理士は当然税務代理士を兼ねることが許されておったが、二十六年に税理士法ができて以来、この計理士の税務業務というものは許されなくなった。その際いろいろな手段で、これまでの計理士が自動的に税務業務を続けられているという処置をとっておるけれども、その際漏れた者が相当あるということは御承知の通りだ。これらの者が取り扱い得るように措置をとれ、当時の党の政調会においてもそういう結論になったが、渡邊局長の見解いかんという質問をしまして、あなたの御答弁は、山本委員が言った通りだ。これはわれわれの方でもよく研究してみたいと思っておる。できるだけ山本君の意見に沿うような結論が出ることを希望しておる。こういう工合にあなたが答弁して、それからそこで山本委員国税庁の方へ重ねて聞いておる。答弁者は清野説明員でありますが、国税庁の方では、次の通常国会を期して、ただいま申し上げたような趣旨を織り込んで、税理士法の改正を準備しておるということを聞いておるが、国税庁意見はどうか、こう言うたら、清野君の御答弁は、山本委員からの御発言の線で、われわれ国税庁事務当局としては目下検討中であります。単業計理士についての救済といいますか、これをどんなふうに税理士においても認めていこうかという線での検討をいたしまして、そうしてそういう方向の案を提出いたしたい、かように考えております。という答弁がなされて、ならば異議はないであろうというので、次の国会が期待されて、この質問は終っておる。少くともここで質疑応答を通じて明らかにされた政府の見解が、二十年もたてば客観情勢の大きな推移ということもあり得るであろうけれども、わずか一年たたないさきに——このときにはかってなしたと同じような方法によって、具体的にいうならば、いわば選考によって資格を付与していこうと、あなたはこの場所において答弁をされておる。ところが今回新しくこの国家試験を加えていこうということは——渡邊さんは実は信念の人だと思って、相当高く評価しておるのですよ。現実にわれわれはひそかに敬意まがいのものを払っておる。あなたはこの委員会においてこういう明確な答弁をして、しかも主税局ばかりではない、国税庁責任者も、そういう趣旨にかなうように処理すると言っておいて、一国会を経ないさきに、今回ここに国家試験——特別試験とは言われておるけれども、そのような試験の制度をここに制定せんとすることは、これは何といっても公約違反ということになるか、あるいは食言したということになるか、それともあなた方は、そのつどそのつどでたらめを言っておるという形になるのか、いずれにしても相当責任を問われなければならない事柄であろうと思う。従来の質疑応答の経過にかんがみて、この第二十二国会におけるあなたの答弁と、今次国会における改正法律案のこの条文と照らして、これははなはだしく矛盾するとはお考えにならないか、この点一つ明らかにされたいと思うのであります。
  48. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 私、その御質問に御答弁申し上げたことは記憶しております。ただ言葉の端々において、おっしやるように、もうそのまま一から十までおっしやる通りでございますと言い、同時にその通りいたしますと言ったかどうかは実は記憶しておりません。あるいは速記録でも見ればはっきりするかもしれないと思いますが、ただわれわれの方としましては、趣旨として先ほど申したように、そうした計理士の方々について何らかの特別な措置を講じよう、こういう意図においては、前国会に申し上げたことと、われわれ気持としてはちっとも変っておりません。ただ先ほども申したことを繰り返すことになりますが、その場合において、三十六年に行いましたように、一定の年数さえ経ていれば全然無試験で認定したらどうだろうか、当初はこういう話もあったのでございますが、いろいろ他の国家試験の場合などとにらみ合せながら検討して参りますと、どうもそれでは少し行き過ぎになるのじゃないだろうか、といってこの際として普通の試験を受けろというのも無理な場合もある。そこで、こういう方々については、前歴を尊重し、同時に特別な試験をやることによりまして、一応特別な試験は受けていただくけれども、しかしそうした実務経験は十分尊重した上で、採点などについても考えていく、こういったようなところでこういう方々の御希望を、全部とは言いかねますが、少くとも一部はかなえ得るのじゃないか。従いまして、前国会に私どこまではっきり申し上げたか、ちょっと記憶がございませんが、一応こういう方々について何らかの措置を講じたいという意味においては、その点はお約束は履行しているわけでございますが、いろいろ検討して参りますと、単純な認定というのは、他の国家試験との振り合いを考えましても、ちょっと無理であるという結論が出ましたので、現在のような政府提案になっているわけであります。
  49. 春日一幸

    ○春日委員 私は、政府と国会が新しい法の制定、あるいは既存の法律の改正を行おうとする場合、司法、立法、行政の各般を通じて最も重視すべきは、その経過措置であろうと思う。たとえば司法関係の裁判所においても、最高裁判所の判例とか何とかいうようなものは、法律と同じような効力を存しておる、あるいは国会におけるいろいろな問題等においても、この先例いかんということで、先例というものは、国会法、衆議院規則と同じように重視されて、権威のあるものとされておるのです。こういうような諸般の事情から判断をいたしまするとき、あなた方のとられる道は、かつてこれらの単業計理士に税務代理士あるいは税理士たるの資格をどういうような方法によって付与してきたかというところの先例ですね、この経過措置というものは、やはり今回のこの法律改正に際しても十分重視されなければならぬと思う。特に私が強調いたしたいことは、当時登録されてから新しい登録が許されていないから、新しい計理士というものはないわけなんです。この間少くとも数年間というものは、当時そういう特権を得ておったところの計理士に対してイクスぺリエンスというものがそれだけさらにプラスされておる。すなわち税理士たるの適格性は、その分だけ経験を積むことによって加重されておる。すなわち濃化されておる、こういうわけなんです。だとすれば、かつてそういう特典が与えられた彼らに対して、今回も同様の趣旨に基いてそのような特典を与えることは、こうも差しつかえないことだと思うのです。だから、それをやりなさいということを私は強く主張いたしておるのであります。  それからもう一つは、別の面より解剖して私の意見を申し述べて、あなたの見解を伺いたいのだが、いろいろ他の国家試験だとかいうことを言っておられる。いろいろ試験制度が設けられておるときに、このような計理士に対して無試験でそういう資格を付与することは、他との均衡上疑義がある、こういうようなことも言っておられるが、私がちょっと調べたところによると、この法律の附則に、ずっと書いてあるのだが、その附則のうちの第三十三項に「第三十項の規定による税理士試験の合格者を定める場合には、政令で定めるところにより、当該試験の成績によるほか、」「業務に従事した年数を参酌して」云々と書いてあるわけなんです。これは何ら純粋の国家試験ではない。その国家試験の成績には恪順するのであろうけれども、しかしながら試験成績だけにはよらないで、やはりその業務に従事した年数をいろいろと参酌して、そうして資格を付与するところの認定条件の一つにする、こういう工合にうたわれておって、これは試験制度であるのか、あるいは認定制度であるのか、いずれにしても明確でないと思う。試験がうんと悪くったって、年数が多くて、実際の実務の成績、あるいは社会の信望というものが非常に高い者であるならば、成績が悪くてもこれに与えようというならば、これは実質的に選考というもののウエートが、資格の認否の中において占める度合いは非常に高いわけなんですね。どうです。そういう意味から考えれば、その当時わずか三カ月間の猶予しか付せられなかったので、この短かい三カ月間の中において、これらの選考を受けるための書類を整備することのできなかった諸君、これらの人々を今救済をして、そうして税務行政に貢献させる、あるいは徴税行政の中においていろいろ紛議をかもしておる問題を抜本根塞的に解決するためには、絶好の機会ではないかと考えるのです。それで、これらの人々は現実に長年の経験を積んでおる人々だから、私はそんなに弊害はないと思う。だから、そういうような立場に立って、純粋の試験制度でなければ何もかもいかぬというようなことをだれも言った者もないし、そうしてまた附則の中においても、これは選考というものが相当高いウエートによって効力を持つような規定になっておりますから、伺うところによりますと、せっかく黒金君の方で何か修正案ができておるようですが、しょせんそんなものはずさんなものであろうから、もう一ぺん私の意見も加えて、そうしてこれらの計理士諸君のかって得たところの権利といいましょうか、そうして現在もこれらの諸君が付随業務として税金関係仕事現実に取り扱わなければならないのだから、そしてまたさらに今回の法律の修正案の中にも、公認会計士が通報によって随時そういうことが行われるようなフエーバーも与えられんとしておるのですから、やはり同じような趣旨によって多くの人々の要請にこたえ得る、そういう完璧な法の体系を作る、こういうようなことは非常に意義のあることだと思います。本日はすでに時間もこんな調子になってしまいまして、この問題について十分な結論を得ることはできないでありましょうから、本委員の発言を聞いておられた自民党の諸君も十分心を開いて、一つ問題の解決に資するため最善の努力をされたいということを強く要望いたしまして、またそれでなければ、われら日本社会党は断じてこの法律案を通すものではないということを付言いたしまして、私の質疑を終る次第であります。
  50. 松原喜之次

    ○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十四日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時四十四分散会