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1956-05-17 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十七日(木曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    遠藤 三郎君       大平 正芳君    奧村又十郎君       川島正次郎君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       中山 榮一君    夏堀源三郎君       古川 丈吉君    坊  秀男君       前田房之助君    横川 重次君       有馬 輝武君    石山 權作君       井上 良二君    木原津與志君       竹谷源太郎君    横錢 重吉君       横山 利秋君    石野 久男君  出席政府委員         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         大蔵事務官         (大臣官房長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局特殊清         算課長)    岩動 道行君         郵政事務官         (貯金局第二業         務課長)    池本  泰君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 五月十五日  委員有馬輝武辞任につき、その補欠として西  村彰一君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員千葉三郎君及び西村彰一辞任につき、そ  の補欠として古川丈吉君及び有馬輝武君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十五日  旧外貨債有効化に関する請願池田清志君紹  介)(第二二三二号)  企業整備による政府買上げ代金の貸付に関する  請願松岡松平紹介)(第二二四一号)  運動具に対する物品税撤廃に関する請願(上林  山榮吉紹介)(第二二四九号)  岩手県に国立たばこ試験場設置雑用願(鈴木  善幸紹介)(第二二五〇号)  東北製塩株式会社興塩許可に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第二二五五号) の審査を本委員会に付託された。 同 日  小山地先海岸空地払下げ取消に関する陳情書  (第七五四号)  証券対策確立に関する陳情書  (第七六八号)  国の債権管理守に関する法律の一部修、正に  関する陳情書  (第七六九号)  在外資産処理促進に関する陳情書  (第七七二号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物品管理法案内閣提出第九七号)(参議院送  付)  国の債権管理等に関する法律案内閣提出第  一四九号)(参議院送付外国為替に関する件     ―――――――――――――
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  まず外国為替に関する件について質疑を許します。春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 私はこの際沖縄に対する日本法令適用上の諸問題について、政府にこの見解をたださんとするものであります。  第一番にお伺いいたしたいことは、沖縄住民在外預貯金支払いについてであります。これは申し上げるまでもなく、サンフランシスコ講和条約第三条、これによって、沖縄に対する主要立法行政全権脂、いわゆる行政権なるものはアメリカ政府に委譲されてはおりますけれども、しかしながら領土主権というものは、依然として日本に帰属しておる。従ってその住民は、依然として日本国民たることに対しては何らの疑いをいれる余地はない、こういう解釈国際法上の慣例的な一つ解釈であり、また事実問題として、これは国際的にもほぼ了解を遂げられておる問題であると考えるが、沖縄に在住する日本人の問題について、この日本国籍の諸問題を政府はどういう工合規定をしておるのであるか、この際南方連絡事務局長からお伺いをいたしたいと思います。
  4. 石井通則

    石井(通)政府委員 御質問の沖縄における住民国籍の問題でございますが、国籍に関しましては、日本国籍を持っておるというように考えております。ただその主要行政立法が、アメリカが管理いたしておりまする関係から、戸籍等手続については、若干相違がございまして、沖縄におきましては、占領当時の軍の布告によりまして、その当時施行されておった法令が特に変更せられざる限り効力をなお存続するという布告が出ておりまして、旧戸籍法適用になっています。しかしながら、戸籍法の根拠は別といたしまして、平和条約第三条におきましては、何ら国籍の問題について規定いたしておりませんので、依然として日本国籍を有すると解釈いたしておるような次第でございます。
  5. 春日一幸

    春日委員 御答弁によって明らかにされた通り沖縄に在住いたしております日本人は、依然として日本国民たる国籍を有しておる、従ってこれは日本に渡航してくれば上陸上の制限もないと思うし、上陸した上においては、その居住往来についても何の制限もないと思います。  さらにお伺いをいたしたいことは、だといたしますれば、沖縄諸君日本へやってくれば公民権も保有する、従って選挙権被選挙権等を行使するの権限も有すると思うが、この点について、政府はどのように理解をいたしておるのであるか、この点を一つ伺いをいたしたいと思います。
  6. 石井通則

    石井(通)政府委員 沖縄居住者の人が一たん日本本土に入りますれば、全く日本内地に居住しております日本人同一に取り扱われるのでございます。従って、あらゆる選挙権その他の権利義務を負うようなことになるのであります。ただ一般的な選挙法住所その他の規定には制限を受けることにはなりますけれども、とにかくあらゆる面で日本本土居住日本人同一に取り扱われるということになって参ります。
  7. 春日一幸

    春日委員 今御説明通り沖縄は領土的の分離ではなくして、明らかに政治的な、しかも時間的な分離である。従って、沖縄に居住する日本人については、日本国内に居住しておる者と比べて何ら国民として享受すべき権利制限を与えるべきではないという立場から物事を判断いたしますると、現在その行政権アメリカにあるというだけで、この人々が大幅に日本国法律の庇護を受ける権利が制約されておるわけですね。こういうような問題は、現実の問題としてはなはだ不合理である。捨て子してしまって顧みないというようなことをやってはならないので、これに対しては、政府としては十分の措置を講じなければならない。戦争犠牲になったところの、特に沖縄同胞に対して、日本国国民としての法律上の保護、あるいは援護、いろいろなそういう法律適用について、実質的に彼らがそれを享受できるための、いろいろな措置を講じなければならないと考えておるか、これに対する政府の考え方はどうでありますか。  さらに一歩進んでお伺いをいたしたいことは、たとえば属人的な法律、申し上げるならば、恩給法とか、あるいは退職手当法戦傷病者及び遺家族援護法留守家族援護法、こういうような身分的関係で受ける法律は、それぞれ特別の措置を講じられて、沖繩に居住する日本国民がその法律恩典を受けられるようにはなっておる。ところがそういうことができるならば、他の経済的ないろいろな保護立法というものについても、同じ理解、同じ解釈の上に立って、彼ら沖縄に居住する日本人日本国内に居住するところの日本国民と同じ建前において、すなわち日本憲法が示すごとく、法律の前に国民は平等であるという立場において、属地的ないろいろな立法についても、実際的な法律効果が上るような措置が講じられるべきであるとわれわれは確信しておる。これは憲法の条章が規定をいたしておりまする不動の立場であろうと思うわけであります。属人的な法律と属地的な立法とが、同じ理解の上に立って必ずしも同様の処理をなされていないというところに、沖繩に在住する日本人の苦渋があると思うわけです。同一処理を現在までしていないのだが、将来する意思があるのかどうか、この問題について、あなたからでも一つ答弁願いたいと思います。
  8. 石原周夫

    石原政府委員 沖縄におりまする方々在外預貯金処理の点でございますが、この点につきましては、先ごろ来自民党の方からもお話しがございまして、研究をいたしておるわけであります。今日までのところで大体考えておりまするところをお答え申し上げたいと思います。  在外預貯金処理というものは、結局本質的には私的な債権債務処理だというふうに考えられまするが、ただ春日委員示しのように、現在沖縄には日本行政権が及んでいないという状況でございまするので、日本行政権範囲内に入って参りますれば、これは内地におる人たち同一取扱いをいたすことができるという着想であります。従いまして、そういうような着想のもとに、具体的に内地におりまする人と権衡を失しないような処理ができるようにいたしたいと考えております。
  9. 春日一幸

    春日委員 今官房長は、債権債務という単なる経済現象としてこの問題を判断されておるようでありますけれども、むろん形式はそうでありますが、そのような結果を招来いたしました問題は、必ずしも経済現象だけで判断をして結論づけるということはでき得ないと思います。彼らが陳情いたしておりまする関係法律は、閉鎖機関令、それから在外会社令金融機関再建整備法及び軍事郵便貯金等特別処理法等であります。従いましてこれらは、戦争と、敗戦と、沖縄連合軍による占領、それからサンフランシスコ講和条約、こういうような一連の高度の国際的な関係、特に特殊の戦争処理事柄として発生したところの経済現象でありますから、これは単なる債権がある、債務があるというだけの問題ではなくして、むしろ面皮の政策的立場から解釈されなければ、問題の処理ははかり得ないと思うのです。そういう意味から、私は、法律の前に国民は平等であらねばならぬという立場から考えますときに、沖縄に在住しておりまするところの日本人が、これらの限定された法律範囲内において彼らにフェーバーが及ばないとすれば、これは単なる経済現象としてではなく、戦争の惨禍を受けてそういう気の毒な目にあった者を救済することが日本国内に居住する日本人に対して必要なりとすれば、同様の必要性はこの沖縄に居住するところの日本国民にもあらねばならぬと私は確信をいたします。そういう意味で、これらの経済的な法令、これが恩典を享受できるの措置政府が行政的に講じてやらなければ、これはまま子いじめだと思う。戦争犠牲になってあの地にありますところのわけて気の毒な人々に対して、日本国内に居住する者が受ける保護プラス・アルファの保護がなされなければならない立場にあるにもかかわらず、日本国内に居住する者が受けておる保護が彼らに及ばないというようなことは、これは怠慢というよりも、当然なすべきことをなさないという立場において、むしろ政治悪ではないかとすら私には思われる。沖縄諸君がそれを納得し得ないこととして、長い年月をかけて政府並びに国会陳情しておりますることは、当然のことだと思います。これに対して、伺うところによりますと、政府は過般来この問題を取り上げて、特に大蔵省は省議を開いて、各要求の項目について検討をされておるとのことであるが、すでに得られておる結論があるならばその結論を、なお研究の過程であるならば一体その動向はどういう方向に向って処理されんとしておるのであるか、この経過についてこの際明らかにされたいと思うのであります。
  10. 石原周夫

    石原政府委員 春日委員お話しのように、事柄の実質におきまして、私どもこの法律範囲内におきましてできるだけ行政的な取扱い、この点での便宜をはかりまして、実体的には内地に引き揚げて参った人と違わないような結果を来たすように措置をいたしたいということで考えておるわけであります。たとえて申しますれば、沖繩におられて、そういうような在外預貯金を持っておられる方々が、送金小切手なり通帳なりを内地に居所を有する人に譲渡せられる、あるいは信託譲渡せられる、あるいはだれか便宜のある人が持つてきて支払いを求めるというような方法によりまして、現在の在外三法のワク範囲内におきます処理が可能であろうかと考えます。これは、それ以外の保険その他いろいろの問題がございまして、こういう点につきましては具体的の方法検討中でございますけれども、大体の方向は今申し上げたようなところで考えておるわけであります。ただ春日委員のお話の中にありました郵便貯金関係につきましては、これは郵政省関係に相なりまするので、私どもの力ではまだそこまでの検討をいたしておらぬ次第であります。
  11. 春日一幸

    春日委員 それで、私は重ねてお尋ねをいたしたい。立法論といたしましては、沖縄に居住しておりまする日本人に対するそれぞれの法律適用については、これらの当該人が特に日本本土内に居住するとみなすという法律上の擬制規定とでも申しましょうか、そういうような法律上の擬制規定を設けることによって、日本国内日本国民と同じように、その法律恩典を享受できるという効果をおさめるための措置を講ずる、これについては、僕はアメリカ当局交渉すれば、これは、アメリカ軍事管理の上について何ら障害になるものだとは考えられないのみならず、恩給法上あるいはその他援護法上の属人的な法律が、アメリカ了承を得て現実にその支払いが行われておること等にかんがみて、これらの経済立法等についても、アメリカ了承を得ることが私は困難ではないと思うんです。従ってそういうような、たとえば属人的な立法についてアメリカ了承が得られて、実際の効果が現在上つておると同様の精神において、経済立法についてもアメリカ了承が得られないはずはないと思うが、この問題について米軍当局と何らかの交渉をされたことがあるかどうか。この経過について、南方連絡事務局長からでも大蔵当局からでもけっこうでありますが、この際一つ答弁をお願いいたしたいと思います。
  12. 石井通則

    石井(通)政府委員 ただいまのアメリカ側との関係でございますが、この問題につきまして、一体どういう方法をとった方が一番いいのかということに関して、いろいろ大蔵省検討をされておるようなことを聞いておりまするので、アメリカ交渉するにいたしましても、いろいろ具体的な案を持っていけば交渉に応ぜられる見通しもつくんではなかろうかとは思っております。ただ債権債務といたしましても、たとえば郵便貯金等もございまするが、これらの問題について、郵便貯金郵便貯金、あるいはまた在外預貯金在外預貯金と、いろいろ取扱いの最も簡易な、また実質的な効果が上るような方法をとることが一番望ましいではないかと思うのでありまして、在外資産関係を、ただいまお示しのありましたような、そういうみなすというような方法でいくのが一番いいのかどうか、そういう御検討のきまりました上で、南方連絡事務局といたしましては、必要に応じアメリカとは交渉いたしたいと存じております。現在のところ、たとえば恩給を送るとか、遺家族援護金を送るとか、個々の場合に最も適切な方法を打ち合せた結果、それをもってアメリカ交渉いたしておるような次第でございまするので、一応大蔵省あるいは郵政省等結論を待った上で交渉をいたしたいというように考えております。
  13. 春日一幸

    春日委員 そこで、私はこの際明らかにいたしておきたいと思いますことは、この財産法上の属地的な法律上の理解として、アメリカ日本政府との間にいろいろな取りきめが行われておるのでありますが、そこでこういうことがあると思うんです。日本本土沖縄間の渉外的事項処理については、その適正円滑化をはかるため、日米両国間において必要な取りきめを行うことは何ら差しつかえがないとして、いろいろな取りきめが行われておりますが、その中の第三に、前記琉球諸島における日本政府連絡事務所所掌事務に関するアメリカ大使館覚書の中には、日本政府に対する日本郵便貯金勘定銀行預金証券その他明らかな債務に関する琉球住民請求権解決に関し、必要な情報を集め、申請書及び資料を受理して、日本政府に送付し、及び手続をとることをあなたの方の所掌業務とする、こういう取りきめがあるわけなんです。従いまして、財産法上のいろいろな日本国法律の放果を、沖縄在住日本国民に享受させることのために、あなた方は今ここで覚書によって定められておりまする通り、どの程度のものを日本から払い戻しを受られるか、受けたいと彼らが欲しておるか、こういうものを収集して、そうしてその実現のためにいろいろな処理をするということが、このあなたの方の南方連絡事務局所掌事務になっておるわけであります。たとえば財産法上の権利が制約を受けるものであるとするならば、こんな覚書を取りかわす必要はないんです。財産法上の権利沖縄に在住する日本国民に受けさせることのためにこそ、かかる必要があり、その必要に基いて日米間にこの覚書が取りかわされておる。この覚書に基いて、あなたは日本政府に対してどういう交渉をされたか、沖縄に在住する日本国民の利益を代表して、この覚書に基くいかなる執行がなされたか、その結果はどういうものであったか、この際御答弁を願いたいと存じます。
  14. 石井通則

    石井(通)政府委員 ただいま理指摘の条項につきましては、そういう事項が相当発生するであろうというようなことを予想いたしまして、そういう事項を挿入いたしたのでございます。現実におきましては、郵便預貯金関係につきましては、すでに南方連絡事務局設置前に相当調査がされてはおりましたが、その後もなお引き続きいろいろ調査等を集める必要が起って参りましたので、郵政省の御要求、あるいは郵政省と協議いたしまして、いろいろ必要な申告書類その他の調査書類を取り寄せては、郵政省に送っておるような次第でございます。その他の在外資産在外預貯金等に関しましても、いろいろ従来から個別的に抽象的な御要望は出て参ったのでございまして、そのたびにいろいろ関係各省とは打合せをいたしたりして参ってはおるのでございます。ただその他の在外預貯金その他の債権債務のいわゆる大ざっぱな推定といいますか、どの程度の額になるかというような調査でも、琉球政府でやつていただけば、大蔵省その他との交渉上非常に都合がよいがというようなことで、いろいろ琉球政府その他関係者に要望いたしてきておるのでございますが、なかなかその調査が困難な模様でございまして、およその推定も今日まで十分できていないような状況でございますが、これは特に大蔵省におきまするいろいろ取扱いの御方針方向と相前後して調査いたさなければ、現地におきましても非常に迷惑するかと思いますので、今日までいろいろ、大蔵省にはこの問題の解決について御検討を願っておったような次第でございます。
  15. 春日一幸

    春日委員 はなはだ怠慢であると思うのです。財源措置がどうなろうとこうなろうと、あなたはアメリカとの間においてそういう覚書がかわされ、そういうような事柄をも取り扱うということについて了解がすでに得られておることですよ。だから大蔵省の意向が何とあろうとも、そのことは的確な資料を作って、少くとも政府並びに国会がその沖縄住民の声にこたえて処理ができるように、当然それだけの資料を集めなければならぬのであって、すでに南方連絡事務局ができて何年になるか知りませんけれども、長い年月をかけて、わずか七十万や八十万の住民について、その必要な資料がなお本日まだそろわない、そんなばかなことがありますか。とうとい国費をかけて、あなた方は相当の人員をその衝に当らせておると思うのですが、そういうことはすみやかに的確な資料を整えて、この国会に出して、われわれが妥当な判断を決定することができるように一つやってもらわなければ困るじゃありませんか。  そこで、私は官房長に申し上げたいことは、これは当然あなたのお手元にも参っておると思うのだが、沖縄住民の声として陳情が参っております。父よ、身売りしておる子に愛の手を伸ばしてくれ、こんな切々たる文章で彼らの困窮の状態がうたわれておる。これは、私どもは必ずしも身売りしておるとは考えない。強奪されておるのか、人質にされておるのか。いずれにしても同胞沖縄において非常に苦しい生活、窮乏に耐え、困苦欠乏しておるのですよ。この人々がとにかく最もすみやかに救済されなければならぬと私は思う。造船利子補給の問題だってどうですか。あるいはまた最近の中古エンジンの問題だってどうですか。とにかく国費というものはこんな方面に償われるべきものであって、こういう声にこたえて政治を行うのでなければ、これは全然問題にはならぬと私は思う。そこで、私はこの際大蔵省にお伺いをいたしますが、一体大蔵省推定しておるところの在外預貯金、これは巷間伝うるところによると大した額ではないといわれておる、少額であるといわれておるが、一体その内訳はどういう工合になつておるのか。ことに具体的にお伺いをいたしたいことは、台銀関係沖縄諸君要求しておりますのは、戦時郵便貯金とこの台湾銀行預貯金だと思うのですが、この台銀関係については、これは預金通帳税関が抑えておる、預かっておる。従って閉鎖機関令の改正によりまして、この財産処分に当っては、本邦に居住する者に対してのみ預貯金の払い出しがきめられた。ところが沖縄のは、本邦に居住していないというので、号銀清算勘定の中からどういう工合処理されておるか、この機会にお伺いをいたしたい。伺うところによると、税関がこれを取りまとめて、そうして合銀清算勘定の中から、これだけのものを別ワク勘定として政府が確保しておるという話は聞いておるが、果してその通りであるのかどうか。その額は一体どの程度に上っておるか、これを一つ伺いをいたしたい。
  16. 石原周夫

    石原政府委員 こまかい数字になりますので、担当課長からお答えをさせたいと思います。
  17. 岩動道行

    岩動説明員 沖縄在住者台湾銀行に関する預金でございますが、これは、遺憾ながらはっきりした数字は現在わかっておりません。と申しますのは、在外預貯金のうちで、本邦内に住所を有する者は申し立てをする権利がありまして、申し立てをいたして参っておりますので、この方の数字はわかっておりますが、申し立てが全然出ておりませんので、現在のところ、どれほどあるかわかっておりません。また税関に預かりました証書類も、これはどこの在住者であるかというような点が明確になっておりませんので、従いまして、本邦内に住所を有している本来の本邦人と申しますか、そういったものとごっちゃになった数字で、そういったようなものが税関にいまだ未返還で残つておるというようなものがございます。ただそのうちから沖縄人の分がどれだけになるかということは、なかなか現在の実態をつかみ得ない状況でございます。しかしながら、台湾銀行が最終の整理をいたします場合には、そのような税関に保管されております書類に基いた金額は、これはもちろん金額留保して、将来申し立てがあれば、それに対しては金額支払いができるような金額を留保させるというような方針をとっております。なおまた税関関係なく、新しく沖縄人預貯金申し出が出て参った場合にも、これはできるだけ支払いをいたしたい。先ほど官房長から申し上げましたように、本邦人と同様な扱いになるように、清算人もまたその心がまえでありますので、適当な金額を留保いたしたいと考えておるわけでございますが、ただ、これは具体的な申し出を受け付けませんと、その金額が出て参りませんので、今後どのようにしてその金額を具体的に把握するか、さらに検討いたして、いずれにいたしましても万全の金額だけは留保させるようにする方針で者、考えております。
  18. 春日一幸

    春日委員 応急の措置として台銀がこの清算を完了して、その清算事務を終ろうとする事前にその支払い資金を確保したという、その当面の措置としてはそれでいいと思う。けれども、少くとも税関はその重要な通帳を預かって、そうして他の日本国内に居住する日本人は、どんどんと請求して支払いを受けているでしょう。そうして沖縄諸君は結局受けれないわけです。このことはいろいろな便法があると思うのです。あなたの今の御答弁のニュアンスの中にも、たとえばそれらの者が全部その債権を集めて、そうして日本に一週間くらい居住して、それで請求すれば、あるいは支払う道を講じ得るかもしれないというような言葉であったのだが、いずれにしてもこの問題、その閉鎖機関令処理清算状況等もすでに長い期間をかけて進められてきておるのだが、そういうようなことを、ただ単に本人から申請がないから受け付けないというようなことでは済まされませんぞ。一体、南方連絡事務局を通じて、少くともこの税関に預かってあるところの通帳、これを提示して請求すれば払い戻しが受けられるのだ。こういうことを沖縄に在住する日本国民に通達したかどうか。通達したならばそれでよいが、通達してないならば、私はその責任を問わなければならぬ。通達した後において、一体どういうような動きがあるのであるか、この際これを一つ伺っておきたい。
  19. 石原周夫

    石原政府委員 まず税関にお預かりをいたしておりまする証言、あるいは小切手の類でございますが、これにつきましては、今のような方々にお返しをいたすということを明らかにいたしまして、とりにおいでになりました方にお返しをするつもりであります。ただ春日委員のただいまお舌のありましたように、今それのうちからどの程度沖縄関係のものになるかということにつきましての数字は、ただいま岩動課長が申し上げた通り、持ち合せがないわけでありまするが、今のような方法によりまして、すみやかに税関の持っておるものは返しまして、それに基きまして所有者の方々から、先ほど申し上げたような方法をもちまして、すみやかに内地に引き揚げられました方と同様な取扱いができるようにいたしたい、かように考えておる次第でありまして、春日委員先ほど来お話しのございまするような、現在の法規の範囲内におきましてできるだけの配意をいたしまして、できるだけ早く所要の目的を達するようにいたしたいということで研究いたしておるわけでございます。
  20. 春日一幸

    春日委員 そういうことを沖縄に在住する日本国民に知らしめましたか、どういう手続を踏んでそれを処理したか、それを伺いたい。
  21. 石原周夫

    石原政府委員 最近のところで検討いたしまして、そういう結論に相なりましたので、まだそれを明らかにする方法をとつておりません。これからできるだけ早い機会にとるつもりでおります。
  22. 春日一幸

    春日委員 そういうことであるならば、一つすみやかに沖縄に居住する全住民がそういういうことを知らしめて、当然の権利を行使することのできるように一つ示達してもらいたい。  そこで一歩進んでお伺いしたいが、御承知の通り、これらの沖縄におるところの同胞は現在非常に貧困です。郵便案の払い戻しを受けるために、日本へやってくるというような旅費があろうはずはないと考える。また郵便貯金の性格、その他インフレの過程等からいろいろ考えまして、貯金より高くつくというような事態もあろうと思われる。そこで共通の利害の上に立つところの諸君がそれらの債権を一括して、各税関に個々の請求をするよりも、大蔵省に対してそういう集約的な払い戻しの手続をとる、そういう経費も安く、実際的効果の上るような措置を彼らが望むことは当然だと思う。そういうような要求があったとき、政府一は沖縄住民の困難な実情を参酌して、そういう便宜措置を講ずる意思があるかどうか、またそういうことをすることが必要だと私は考えるが、それについて何らか政府の方で検討されたことがあるか、この点を一つ伺いしたい。
  23. 石原周夫

    石原政府委員 お示しのような方法もあるかと思いますが、一つ方法でこれをやろうということをまだきめておるわけでもございませんし、南方連絡事務局とこれから具体的な方法は相談いたさなければなりませんが、沖縄におられる方々内地には御存じの力があると思われますので、内地に居住をしておる人に頼んでやるというのも一つ方法であろうかと思う。そこらの辺のところはあわせ考えまして、どういう方法をとる、あるいは一つ方法ではなくて、複数の方法もあるかと思うのでありますが、そういうふうな方法の具体なやり方につきまして、今後南方連絡事務局と具体的に御相談をして参たい。春日委員のおっしゃるのも一つ方法だろうと思っております。
  24. 春日一幸

    春日委員 なるたけ一つ民衆の彼らの要求にこたえて、問題をすなおに端的に解決できるような措置を講じてやってもらいたい。官房長の言葉によりますと、知人もあるわけだから、個々の自求を受けて云々ということもあるけれども、向うには国会もあり、その他いろいろな民主的団体等もあって、共通の利害の問題を団体的な交渉によって処理されておるという等の実情もあるのですから、できるだけ要求にこたえるような形で、実際的に早くその金が該当者たちの手元に渡るように、一つ敏速にやってもらわなければ私は困ると思う。そこで台銀に対する問題については、ただいまこの質疑応答を通じて明らかになったと思うが、戦時郵便貯金に対する処理はどうなっておるか、郵政省が御出席で、あれば、その方面から御答弁を願いたい。
  25. 池本泰

    ○池本説明員 沖縄の方のお持ちになっております戦前の郵便貯金につきましては、外地貯金あるいは軍事貯金と同様に、まだ現実にお支払い申し上げる段階になっていないのでありますが、私どもとしましては、そういうものをお支払い申し上げる前に、まず必要な計数等をただいま集めております。大体はまとまっておりますが、なお申告漏れ、あるいはその他の事由で私どもが抑えていない計数があると思いますので、万全を期しますために、もう一ぺん現地でお調べ願って計数を固めまして、その上でどういう方法でやったら早く支払いができますかという点につきまして、私どもの省としましての対策を立てまして、そうして関係の各庁と御相談申し上げて一刻も早くお支払いできるようにいたしたい。かように考えておる次第であります。
  26. 春日一幸

    春日委員 私どもの省としてと言っているが、何も君らの省じゃない、これは沖縄に在住する諸君をも含めて国民の省なのだから、大体国の方針国会の意思が、与野党を通じて、これは当為払わなければいかぬのを、そうして今までほうってあったこと自体がけしからぬとすらわれわれはこれを論難しておるのですぞ。少くとも郵便貯金なんというものは、そんな資料集計なんかは、私はもつとすみやかに行われるべき機能を持っておると思っておるまたそれだけの職責を果たすために、要な一切の措置は講ぜしめてあるはずなのです。少くとも南方連絡事務局ができてからすでに数年をけみしておると思うし、こういう要求国会になされてからすでに長い年月経過しておると思う。それなのに、郵便貯金沖縄に一体どのくらいあるか、そんなことがあなた方の方ではまだわかっていないのか。
  27. 池本泰

    ○池本説明員 大体の計数はわかっておる。
  28. 春日一幸

    春日委員 大体わかっておったら、それを答弁してもらいたい。そして一体いつ払うのか、払えない理由があるならば、それは一体何であるのか、それをこの際明らかにしてもらいたい。
  29. 池本泰

    ○池本説明員 ただいままでまとまっております計数を申し上げます。沖縄在住者がおち持になっております郵便貯金は、品数にしまして十八万八千六百七十九口、金額にしまして六千三百三十五万八千七百六十円、かような計数になっております。支払いにつきましては、ただいま申し上げましたように、この計数を基礎にいたしまして具体的な支払い方法、あるいは法制的な措置を要するものがございますれば、そういったものも検討いたしまして、関係の各庁と相談いたしまして、至急やりたいと思っております。
  30. 春日一幸

    春日委員 沖縄諸君陳情は、あなたの手元にもいっておると思いますが、そこの中にも特に痛切にうたわれております。われわれも別途資料によって調査したところによりますと、日本沖縄との貿易関係で、外貨を貿易勘定において年町大体三千ガドル、海運その他の貿易外勘定で四百万ドル、かれこれ一千五百万ドルの利益を得ておる。この数字は、国際収支の関係において、日本アメリカに次ぐ第二位を占めておるといわれておる。この沖縄の八十万に近いところの諸君が、不当に非常な困窮の状態に置かれておる。このことによって、日本国内に在住しておるわれわれが一年間に三千五百万ドル——これは百億以上になると思うが、こういう大きな利益を得ておられるならば、とにかく六千三百三十五万円とか、あるるいは台銀関係におけるわずかな金です。これは恒常的な支払いでなく、一心的な支払いなんです。これだけの金ぐらいは、実績を考えたら、ああでもないこうでもないと、へ理屈をつけた義理ではないと思う。実際戦争で焼かれて、彼らの生産は何もありはしない。そして住居も土地もどんどんと取られてしまっておる。こういうところにおるわれわれの同胞がどんな苦しい状態にあるかということは、わかっておるではありませんか。そのときほしいものは、彼らが海外において粒々辛苦たくわえてきたところの預貯金であるということは、当然のことなんです。こんなものぐらいは、ああだこうだということでなしに、これは当然お支払いにならなければいけない。今申し上げましたように、今、日本の国際収支において、とにかく八十が人というものを人質にとられることによって、現実に三千五百万ドル程度の外貨収入というものを得ておる。だとするならば、何らかの反対給付、これは経済上の問題ではなくして、当然同胞として同患同苦の立場にあるということの理解においても、損があろうが得があろうがやらなければならぬことであるし、現実の問題として、三千五百万ドルの収入をこれによつて得ておるとするならば、こういったような財源をこういう支出に充てるということは、だれが考えてもできることだし、国民だれ一人これに対して異説を差しはさむ人はあるまいと思われる。石原官房長は、大体軍人預貯金をも含めて、一体この問題をいつごろ処理されるのか、政府としての結論が出るのは一体いつごろか。と申しますのは、これらの関係各団体の代表者が、ある者は接収された土地の補償を、ある者はこれらの経済上のいろいろな権利を補償してもらいたいという主張で今国会へみなやってきている。従って、この問題については、結論を与えてやることが彼らの意向にかなうことであろうと思うので、いつまでもじんぜん審議のために日をけみすべきない。いつごろその結論を出されるのか、これらの諸君の心持を参酌して、この際結論を出される目を明らかにしていただきたい。
  31. 石原周夫

    石原政府委員 お話しのごとくに、ほかの方の金融機関、あるいは閉鎖機関の問題につきましての大体の結論を得たのでありますから、これと関連をいたしまして、郵便貯金につきましても、すみやかに結論を得たいというつもりで、大蔵省としても研究いたすつもりであります。しかし主務は郵政省でございますので、私の方だけで先走りまして、いつまでというお約束をしかねますが、私どもの方の所管におきまして、できる限りの早いピッチで仕事の処理をいたすつもりであります。
  32. 春日一幸

    春日委員 こういうことでは困るのです。郵政省大蔵省の承認を得てとか、大蔵省郵政省の考え方を考慮してとかいうことであっては、それは責任のなすり合いだ。そういうようなことになってくれば、困るのは沖縄諸君だけなんです。もう少しあなた方が現実の事態か十分考えていただいて、この問題はお互いの親兄弟の困難におもむくという ほんとうに日本国民たるの心持をもって、この門問題を緊急に、かつ妥当に処理されることを強く要望いたします。  そこで次にお伺いをいたしたいことは、沖縄在住の外地引揚者に対する援護措置が何ら行われていないのであります。たとえば日本国内で居住いたしております外地引揚者は、国民金融公庫から外地引揚者に対する更正資金の貸付が行われておることは御承知の通りであります。内地ですから、引揚者に対しては更、資金の貸付を行わなければならないとするならば、いわんやさらに経済的事情が悪いかの地の日本国民に対して史生資金が必要であるということは、論を待たないでありましょう。だとするならば、前に申しました通り日本国憲法の、法律の前に国民平等の原則を考えるならば、当然沖縄における外地引揚者に対しても同等の排置が談じられなければならぬと思う。そしてまた、そういうことをしてくれということを陳情者は要望いたしております。われらが調査するところによりますと、沖縄には、沖縄大衆金庫ですか、こういうような国民金融公庫の機能に似通うような金融機関もあるとのことであるが、こういうような金融機関に対して適当な所要資金を流して、沖縄に居住する日本国民に対して、日本国内に居住する国民がかって享受したところのフェーバーをかれらにも及ぼす意志はないかどうか、そういう問題について大蔵省はどういう検討を加えたか、この際明らかにしてもらいたい。
  33. 石原周夫

    石原政府委員 先ほど来お答えを申し上げておりますように、在外預貯金関係につきましては、本質的に個人の私的な債権債務の契約の関係日本行政権の中に入って参りますれば、日本内地法令適用が可能であります。それを、できる限り便宜をはかりまして処置をいたすという着想におきまして処理いたすわけであります。ただいま春日委員からお話しのございました問題になりますと、これはまさに行政の問題に相なるかと思われますので、現在行政権がいわば眠っておると申しますか、沖縄に及ばない状況におきましては、お示しのようなことは困難ではなかろうかと考ええます。
  34. 春日一幸

    春日委員 そんなこっぱではなをぬぐったような答弁がありますか。かれらの陳情は、私たちは人質に取られておるのだ、身売りされておるのだ、私たちを、お父さんお母さんよ助けてくれといっておるのですよ。従って、行政権がないのだから、これはわしらは知らぬことだ、こういうことで、あなた方政府の役人はそれで済むかもしれないけれども、われわれ国会は、それでは済まされないのです。私の申し上げたいことは、なるほどあそこは行政的に分離したけれども、これは明らかに日本国民であるし、領土も日本の領土なんだから、戦争によってかれらがそういうひどい目にあっておって、現地の経済情勢においては自力で更生することがなかなかでき得ない、こういう立場にある場合、すなわち彼らに日本国籍が完全に確保されておるとするならば、日本国民としてこれを扱わなければならぬのです。日本国民たる引揚者が五万、三万の更生資金を借り得たとするならば、かれらに対しても、同じその恩典を及ぼすというところに何をはばかるところがありましょう。なるほど行政権が向うに帰属しておるのだから、これはアメリカの責任だといって、アメリカがそれをやってくれればダブってやる必要はもとよりないけれどもアメリカはそれをやってくれない。もちろんアメリカ政府陳情もしたが、アメリカ国会答弁するところによると、これは日本国がサンフランシスコ条約に基いて、すなわち有形無形の一切の損失についてアメリカに対してすべての賠償請求権を放棄するものだ、こういう工合に定められておるから、いろいろな要求があったら、日本政府要求してくれということで、アメリカ国会からみな返ってきておるという話だ。だとすれば、アメリカが捨ててしまう、日本が捨ててしまうということでは、一体この諸君はどうするのだ。私は、そこはあなた方はその方のいろいろ専門的立場にあられるので、問題の処理については相当深遠な考慮を下さなければなるまいけれども、少くともこれらの諸君今も申し上げました通り、この法律解釈についても、全然それは不可能ではないが、しかしその立法論としての擬制的な解釈、すなわちその引揚者は日本国に居住しておるものとみなすとか、あるいはそれらの該当者が一時百品本に来て、そしてその金を受けて更生の場を沖縄に求めるとか、いろいろな擬制的な解釈論によって、あるいは行政的な特別の理解によってそういう措置が講じられないはずはないのです。ただ問題は、この沖縄の八十何万人の諸君の中で、ほんとうにずっと昔から引き続いて住んでおる人々すら困っておる。まして引揚者などは立つ瀬がない、暮していくすべがないと言っておる。こういうような者にも、やはり国民金融公庫をしてなさしめたところの更生資金貸付の方途を、この際日本国政府、また国会が、それに必要なところの立法措置、財政措置を講ずるということは必要欠くべからざることだとわれわれは考えておる。しかしこういうような金額といえども、膨大な金額に上るならば、これはまた別途論議を行わなければならないけれども、しかし大蔵当局がその気になれば、それだけの立案を政府において行なつて、必要な財政措置を講ずるということも不可能ではないと思う。まあこういう問題は、あなたを相手にここでいろいろと話し合ったところで、あるいは結論を得がたいかもしれないけれども、こういう問題について、この沖縄住民陳情にこたえて、大蔵省は何らかの検討をしたことがあるのかどうか、何にもやったことがないのか。この点だけを一つ明らかに願っておきたい。
  35. 石原周夫

    石原政府委員 沖縄方々からの陳情につきましては、従来からもしばしば承わっておりまするので、所管の部局におきましてせっかく研究をいたし、在外預貯金などの問題につきましては、大体赤日委員からお話しのございましたような線におきましての検討を終えまして、方向をきめておるわけであります。ただ現在の法令あるいは現在の建前のワク内でできる限りのことはいたす用意がございますけれども、それ以上のことになりますると、これはまた別の問題に相なりまするので、そこら辺のところは、沖繩方々の御陳情のうちで、いろいろ各個の問題につきましての検討をいたし、そのうちで結論を得て、実施可能なものはできるだけ早く実施に移して参りたいという態度をとっております。
  36. 春日一幸

    春日委員 こういうような政策論議については諸君一官僚を相手に論じても、適当な結論が出てこないということはわかっておる。だからこそ私は、大蔵大臣に出てこいと言ったんだ。ところが大蔵大臣は風を食らって逐電してしまったものだから、重要な政策上の論議が全然できないということはきわめて遺憾だ。従って、この前の法律上の解釈論とか事務上の問題についての御答弁は、私もおおむね了承できる問題であって、ただ問題は、手続を簡素に、そうしてすみやかにその処理がされることを強く要望すればそれでいいと思いますけれども、後段の、沖縄に在住する日本国民に対する更生資金の貸付のために必要なる財政措置、こういう問題は政策上の問題であろうと思うけれども、本日は、あなたは大臣の代理として出てきておられるのだから、一萬田大蔵大臣に対して本員の強い要望と、別途あなたの手元にあるところの陳情書をよく一萬田君に示されて、そうしてこれらの諸君陳情に十分こたえ得るだけの措置一つとってもらいたい。そうして、そうして、それがどういうふうな結果になったか、これは来週の火曜日の本委員会にあなたが一萬田大蔵大臣と一緒に出てきて、そうして政府の態度を一つ明らかにしていただきたい。すなわちこういう問題を含めて、沖縄のこれらの該当者の団体の代表が日本国会陳情に参って、その答弁を待っておるわけでありますから、これは十分省において審議をされて、その結果、本委員会においてこれを明らかにしていただきたい。  それからもう一点だけお伺いをいたしておきますが、沖縄の人口問題についても陳情がされておる。その沖縄諸君日本国政府に対する要請は、この経済上の問題と、それから特に引き揚げ援護に関する問題と人口問題と、三つに集約されております。他にも接収された農地の補償等の問題があるが、これは別個の問題といたしまして、人口の密度が今世界一になった。これは仕事もないし——今軍事基地としての建設工事があるので、当面は細細と暮しはできるけれども、しかし将来は、これの工事が終ればみんなルンペンになるよりしようがないという状況であり、なおかつ現実に世界一の人口密度で、一平方キロ当り四百何十人といつておる。日本内地が人口稠密だとはいいながら三百三十何人といわれているので、非常に人口問題については彼らは深く憂慮いたしております。そうして困っております。アメリカもこの安全保障法で、沖縄住民の米本土移民のために年間八十万ドルですか、何らかの予算措置を講じて、その移民について政策的に恩典を考えておるようでありますが、やはり沖縄住民日本国民であるという立場において、これは純然たる身分上の問題、経済上の問題ではないから、やはり日本国政府の政策として、沖縄の人口密度調節の問題について考慮しなければならぬ。これは、日本のカンボジアかブラジルか、あるいはそういうような方面に対する移民のワクの中にも、当然沖縄日本人も収優先に入れてくれ、こういうことを訴えている。これも、あなたの方の所管ではあるまいと思われるから、あまり専門的な話を申し上げても、馬の耳に念仏だと思うから、やめておきますが、これも一つ政府の所要の筋にお取り次ぎいただいて、これらの問題についても、この陳情に対して的確にお答えあるように、これまた火曜日の委員会に、それぞれの当路よりその対策について御答弁を願いたいと思う。  本日は以上をもって私の質問を終りますが、とにもかくにも第一項の質問、すなわち沖縄住民在外預貯金支払いについては、これは外地関係郵便貯金を占めて、すみやかに的確にこれが払い戻しのできるよう、政府の最善の処置を強く要望いたしまして、私の質問を終ります。     —————————————
  37. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、物品管理法案及び国の債権管理等に関する法律案の両法案を一括議題として、質疑を続行いたします。石山権作君。
  38. 石山權作

    ○石山委員 この法案は、おもにあなたの方で担当して立案されたんですか。
  39. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 さようでございます。
  40. 石山權作

    ○石山委員 先ほど隣席の内藤委員から、社会党はもっぱら官公労の諸君をば非常に甘く擁護している、こういうふうなことが言われておるのでありますが、もちろんわれわれ例の人事院の廃止問題その他にからんで、またそれだけでなく、私たちは官公労に対しては相当擁護をしてきた、こういうことは一般の定説だと思う。それだけ私たちは、いわゆる官吏の善意と申しますか、あるいは良識のある、能率を上げる勤勉な官吏というものを求めているわけなのですが、そういう点から見まして、この法案は、なるほどそういう点では、いい法案の格好だと言えると思うのです。しかし皆さんのお考え方が、私は大へん気に入らないというよりも、準備不足なような感じがしてなりません。ということは、せんだっても私の方の委員から質問が出たのでございますが、つまりこういうふうな法案を作るというのは、官吏に対しての一つの意識的な規制でございます。そうすると、過去に大蔵省関係で行われている事実と申しますか、たとえば井上印刷局長の問題、あるいは中古エンジンの払い下げをした当時の問題、あるいは国税庁関係のいろいろな汚職、あるいは地財のいろいろな利害関係による醜聞、こういうふうなものを一応あなたの方でキャッチされていて、質問の過程で答えるだけの準備がなければ、この法律は出せないと思っておったのです。せんだっても言ったのですが、あなたは、新聞では見ておりますくらいのことを言うのでは、私は官吏のものの考え方の欠点といいますか、盲点があるような気がしているのです。そういうことをお調べにならないでこういう法律を作っても、空文にひとしくなって、いわゆる机上のプランに終るのではないか。実態をお調べになったかどうか。
  41. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 この法律につきましては、もう数年前から準備をいたしておりまして、今回ようやく成案を得て、実は私どももおそまきであったという感じはいたしておるわけでありますが、立案に当りましては、先般も当委員会で御答弁申し上げましたように、会計検査院から不当事項として批難されておる事項を詳細に検討いたしまして、それの調整ができまするように検討いたしたわけでございます。ただいまの御指摘の中古エンジンの問題、井上前局長の問題等につきましては、これはもちろん所管のところで、それぞれ所要の調査をいたしたわけでございますが、たまたまこの法律の成案を得ましたのはその以前でございまして、具体的に申し上げますと、ただいま石山委員の御指摘のありました点については、具体的事実を調査いたしておりません。
  42. 石山權作

    ○石山委員 これはあなただけを責めるのじゃなく、一般の人々の常識的な通論だと思うのですが、今まで官吏の方々で、何かたとえば批難が起きる、新聞にもそれが出る、そうしますと、奇妙なことには、皆さんの方ですぐ何かの法律をお出しになる、あるいは委員会をお作りになる、審議会を作る、何かこう見ていますと、責任を回避するのが法律化であったり、委員会設置であったりする。そしてできてしまって見ますと、その法律は、対民商の場合はなかなか有効適切に運行されます。しかしこの法律のように、対官僚同士の法律になりますと、これは全く見かけ倒しで、責任の転嫁以外にない。一つのその時代の非難の隠れみのに利用するのが、官自体相互同士の規制の法律なんです。全然生きてこない。その証拠には、あなた方で参考書類として出している明治二十二年の会計規則を見るましても、この法律とあまり違っておらない。実際の思想から見れば、菅史のものの考え方から見れば、ちっとも新しく規制づけるものが、何もないと私は考えておる。それを活用すればやり得るわけなんです。ただ一般的に、今言ったように非業高くなってきたから、外部に示すためには一貫された、統一された法文の作成、それからすっきりした管理の方法、あるいは思想の統一、こういうことはまあうかがえるわけなんですが、それを除けば、ほんとうの中身そのものを探求していけば、何らこの法律は新しい点はないのじゃないか。せんだっても私どもの方の委員の中から、この法律は前のとどこが違っておるか、あるいは果してこの法律で取り締れるのかということを極端に聞いておりましたが、そういうことを聞かれても、皆さんに自信がないのではないか。大へん失礼ですが、そういう点、もう一ぺんお答え願います。
  43. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 石山委員のただいまのお言葉でございますが、私どもこの法律を作りましたのは、必ずしも最近の御指摘になった事件を対象として考えたものではございません。すでに先ほども申しましたように、数年前から検討いたしておって調べたものでございます。先ほど石山委員から今までの法律とあまり変らぬではないかというお話でございましたが、先般も申し上げましたように、物品につきましての供用計画を定めますとか、あるいは物品管理官、また供用官、出納官というふうにいろいろ官名を別にいたしまして、それぞれよるべき基準を明確にいたしております。この点は、明治二十二年に制定されました物品会計規則とは非常な差があると思います。また国の債権管理等に関する法律にいたしましても、こういう一般的な債権全体に関する管理規定というものはなかったわけでございまして、これは、私は画期的な法律と考えておる次第でございます。
  44. 石山權作

    ○石山委員 私は先ほど対民間の場合は、新しい法律はなかなかうまく適用されると申しました。しかし官同士の相互の規制になりますと、この法律は二重、三重の監視の目を光らすという巧妙な組み方になっております。この点は法文上なかなかうまく組み立てたと思っておりますが、相互同士になりますと、見ていると、これは、普通指摘されておるのは、なわ張り根性だとよくいわれておりますね。それから責任のなすり合い、こういう点は、官吏のうちの最も欠点だというふうにいわれておりますが、私はおそらくこの法律を作ってみても、問題が起きてくると、これは所在が不明確になってしまって、そして相互が黙認の形になっていくだろう。ましてや最終的な責任者に賠償の責任を負わせる、こういうふうなことを申しましても、これはうやむやになる。その、実例を一つ言うと、大へん気の毒でございますが、井上局長の問題でございます。ああいう悪いことをしながら——悪いことなのかどうか、皆さんから見ると、まだ未決定だとおっしゃると思いますが、私らから見れば、大へんな罪を犯しているように見えるわけなのです。それが依願退職をすれば、大へんに国家の恩恵をそのまま与えるというわけなのですね。それじゃ、私は今のその目前にあった事例を見ても、ごうごうたるこの目前の非難の中でさえも、そういうことをほおかぶり主義に行なっている官吏諸君のことですから、こんな法律があっても、賠償の問題、責任の所在なんかは、二重、三重の監視をやってみてもおそらくだめではないか、こう思うのでありますが、どうでございましょう。
  45. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 法律を作っただけでございますと、確かに石山委員の言われますように、何のためかわからぬような結果に相なると思います。私どもといたしましては、この法律国会の御承認を得ますならば、できるだけ早い機会に政令案の内容を固めまして、各官庁の関係職員を集めまして、よく法の周知徹底をはかり、この法律の精神を生かすように万全の措置を講じたい考えでございます。
  46. 石山權作

    ○石山委員 私は、この法律は下級相互の問題に対してはある規制力を持つと思う。高級官吏になりますと、今の井上局長の問題一つとらまえてみても、うやむやになるわけでございます。そうして既得権だけは何でも取ってしまう。これは空文だからかもしれませんけれども、この問題の取扱いについては、お婿さんであるところの一萬田大蔵大臣は不満であったと言うし、大蔵省はえ抜きの平次官は、これを巧妙に処理して、依願退職の形式をとらせた、こういうふうに言っていますが、それほどその省の中に育った人々はお互いにかばい合い過ぎると思う。ですから高級官僚になりますと、私はほとんど取り締り得ないと思う。この場合は、局長以上の人が担当官になると、この前説明されましたのですが、そこから出てくる同月は、下の方でそろばんをおく、作文を作る、命令された企画立案のそこら辺までは私は規制きると思うのだ。しかしそれから上のいわゆる局長クラスの官僚になりますと、だめじゃないか、こういうふうな印象を私は受けるのですが、どんなものでございましょうか。
  47. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 下級職員のみならず、上級職員もそれぞれの物品責任官に相なりまする場合に、この法律適用を受けますことは同じことでございまして、そういうところを、法の運用が上の職員だけのためにはかることのないようにいたしたいと思いいます。
  48. 石山權作

    ○石山委員 これは、法文そのものに対しては反対しておるのではないのでありまして、ないよりあった方がよかろうということは間違いがないのです。私は、その点を言っているのではない。何ぼ作っても、この法を適正に使う上級幹部の腹がまえが問題だということなんです。新生活運動をやるなら、私は世の中で一番新生活運動をやってもらいたいのは、各省の高級官吏の新生活運動だと思うのです。つまりこれは、腹がまえというか、今までの習慣をなげうって、新しい視野に立ったほんとうの意味国民に対する奉仕としての自分を自覚させる高い一つのとうとい権限を持っておると思う。私はこの権限の問題について一応お話してみたいと思う点は、いわゆる法律を作った場合に、許可を与えるとか、こういう場合には非常によくいく。しかしこれはまた官吏の待つ、今までいわれる汚職の一つの根源にもなっている。いわゆる許可権、監督権、指導権、こういうふうなものが汚職の一つの原因になっております。いずれにしましても、官吏は国民にとって奉仕をする、国家機関に奉仕をするといいながらも、国民自身から見ますれば、非常に強い権限を持った存在に見えるわけなんです。そうした人が国民の国家機構に奉仕をするのではなくして、権威を高めるための一つの法文のみを作るような態度か今まであったわけなんで、こういうふうな官吏相互間を規制するのは、法律としては珍しい法です。私らはむしろ歓迎してよろしいと思いますけれども、いずれにしても、これをうまく、この法文の通り活用されるとすれば、よくやるかやらないかというふうな腹がまえの問題だとよくいわれますが、この法律を立案されたところの考えの通り生きてくるためには、官吏の方々のものの考え方を、いま一ぺん分けの機関に奉仕するものの立場、責任というものと、その反面非常に権威の高いものだ、官吏が一つの汚職を犯せば下のもの、民間のものはそれにならって十くらいのことをやると私は思う。ですから、大蔵省関係の場合には、つらいことでございますけれども、統計上によりますと、去年は一番高いというふうに指摘されておるわけです。第二位が農林省。はなはだ名誉ある第一位をとっているだけに、あなたがこれを立案されて、大蔵大臣のもとにこの権限が集約されてくる。そうしますと、大蔵官僚の監督官の、もっと言うならば大蔵大臣のということになるでしょう、大蔵首脳部のものの考え方によってこの法律が生きてもくるし、相互間のほおかむり主義の盲点になってしまうという危険もあるわけです。同じことを私は繰り返して言いますが、あなたは大蔵省の方だから、得にこういうことを強調しなければこういう法律はむだだ、こういうことを申し上げまして質問を終ります。一つよろしく態度をきぜんとしてやっていただくことを希望いたします。
  49. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 まことにごもっともな御意見であります。全く賛成であります。
  50. 松原喜之次

    ○松原委員長 横錢重吉君。
  51. 横錢重吉

    横錢委員 物品管理法案資料に出ておるわけですが、これは明治二十二年制定のものが古過ぎるから改めたい、こういう趣意だと思うのでありますが、しからば二十二年というならば、これは日清戦争前ですね。これはきわめて古い時代のものが今まで通用しておったということ自体に多大の疑問をもつのですが、こういう点については、現在までその疑問を持たれなかったのかどうか。
  52. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 物品管理につきましては、明澄二十二年以来の法律がそのまま適用されておるわけでございます。最近特に会計検査院等の批難事項が多くなって参りました。私ども、過去五年ほど前からこの法律について検討をして参った次第でありまして、今回ようやく成案を得たような事情にございます。
  53. 横錢重吉

    横錢委員 今回ようやくやったというのは、その点非常に怠慢があったのではないか、こういりふうに考えるのです。そこで、今石山委員からも質問されておったが、要するに物品管理の成功、不成功という点は、一つにはこれに当る者に物品を尊重するという精神革命ができておるか、できていないかということに私は原因があると思う。  もう一つには、直接の責任がとれるかどうか。物品管町上に対してきわめて間接的な主任、あるいはまた物品管理というものの責任はきわめて軽いものであるという、こういうような考え方が現在までの役所の中には流れておるのではないか。従ってこういうような問題を払拭し、改めない限りは、どういうような法律をとっても、これに相応ずるような態勢はできないのではないかというような考え方を私は持っておるのですが、この点はいかがですか。
  54. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 石田委員にお答え申し上げました通り法律を作っただけではだめだと思います。やはりこの衝に当ります官吏の順法精神と申しますか、また公けのために奉仕するというか、公けの物品を預かっておるという考え方に徹することが肝要かと考えております。
  55. 横錢重吉

    横錢委員 その点で、たとえば優秀な成績で物品を管理したというような場合に対してこれに対する奨励の方法等については講じてあるかどうか。あるいはまた日本の教育の中には、公共物を尊重するという精神が欠けておるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。従って、このために、公共物に対する日本人の観念の非常な稀薄が、こういうふうな法案を出してきておる理由の一つにもなっておると思うのですが、こういう面については、あなたはお考えになっておりますか。
  56. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ただいま成績のいい者を表彰することを考えておるかどうかという御質問でございますが、この点につきましては、今までのところ特段どうしようということは考えを待ちません。ただ物品管理あるいは会計にタッチいたします会計職員につきましては、年々研修を施しておりまして、研修成績のいい者につきましては、特に昇給を認めるというような措置を講じておるわけでございます。
  57. 横錢重吉

    横錢委員 私は、そういうところに欠陥があると思のうです。たとえば同じ大蔵省の中でも、貯蓄推進委員会というのがあるでしょう。貯蓄推進委員会なんていうことで多額の費用を払っておるけれども、これなんかは一銭の金も要らない。貯蓄推進なんかやらなくても、現在においてはどんどん貯蓄が言われておるし、貯蓄の重要性、重大性なんていうことは、みんな知っておる。にもかかわらず、こういうようなことに対してはたくさんの費用を投じて、貯蓄が大事だということでどんどんやっておる。ところがこの貯蓄なんかを推進するよりも、実際は物品管理の良好の成績をあげるということの方が、国の費用あるいは国の制度確立という点からいうと大へんな点がある。そういう点については、この奨励方法を何ら講じていない。あるいはまた、ここで二十二年のものを改めて法案にして確立すると言っておるけれども、そういうような従来になかった思想、あるいは物品を大切にするところの思想というもの、これを何らかの方法で植えつけて改革するものを出さなかったならば、私はやはりこの点で画龍点睛を欠くと思うのです。この点について、対策を積極的に講じないということはいかぬのじゃないか。従って、これは講じてないとするならば、今後取扱いにおいて考究願いたいと思うのです。  そういうことを申し上げておいて、次に少しこまかく伺いますが、会計検査院の検査の場合に、物品に対しても、購入であるとか、あるいは払下げであるとか、こういうふうなその当、不当について触れておるが、物品管理が適当に行われておったかどうかという点については、あまり触れていないんじゃないか。たとえばその耐用年数であるとか、耐用年数の十年なら十年というものが、十年以上も使われたか、あるいはそういうものが二、三年でだめになったかというようなこまかい点については、私は触れていないんじゃないかというような感がするのですが、この点はいかがですか。
  58. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 会計検査院の不当事項としてあげられたもの全部を今調べておりませんが、ただいま御指摘になりました点で、保管状態につきまして、たとえば雨漏りするような倉庫に入れておったために物が腐ったというような点については、批難事項としてあげられておるケースもございます。それにつきまして、今回の法律におきましても、やはり保管に当る者が、どうも屋根がこわれてきた、雨が漏って物の保管が十分でないというようなときには、契約担当職に修繕してもらいたいということを申し出なければならぬということにいたしておりまして、その辺に対する規定をしておるわけでございます。
  59. 横錢重吉

    横錢委員 そういう点ですね。たとえば利用効率というような点については、きわめて官庁の仕事というのはずさんなんですね。たとえば水道管が破裂しておっても、何日でも破裂したままで見ておる、それがために地物が腐る、こういうような点について、一体だれに責任があるか、直接自分の所有とか自分の管理に関するものではないから、これは国のものだというふうな観念でルーズになっておる点がある。こういうふうな点については、今後改められる態勢ができておりますか。
  60. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ただいまお答えいたしましたように、その保管に当る者、あるいは供用しておる者が、自分の関係の物品につきましてそういう状態が起って放置しておくと損害が起ってくるというような場合には、修繕を要求するというふうになつておりますので、御指摘の点も相当改善されるものと考えます。
  61. 横錢重吉

    横錢委員 たとえば各官庁の中において、テーブルなりいす一このいすなんかも布が破れてスプリングが出ちゃった。そんなものは、早いうちに直せば使えるものを、直さないで出しちゃった、あるいは足が片方飛んで、そのまま片すみに持っていって、いつの間にか燃されてしまうというふうになっておる。こういうふうな調度物品の問題なんか、小さい問題だといえばそれまでだけれども、国全体から見ると、田においてもそう、それから県や市町村の公共団体においても同じような考え方でもって管理されておる。これは大へんな国費になっていると思うのです。ところがこういうふうな観念に対して、公共物優先の考え方、公共物尊重の考え方が出ていないのです。こういうものはどういうふうに今後直していくか、そういう考え方はこの中に出ておりますか。
  62. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 その点につきましては、供用官が修繕をする必要があるかどうかを見ておりまして、この際修繕しておいた方が有利であるという見地から修繕を契約担当職員に要求する、こういうふうになっておりますので、わずかではございますが、集めますと相当な額になるような、ただいま御指摘のような事態も改善されるものと考えております。
  63. 横錢重吉

    横錢委員 今の答弁ではできそうな気もするのですが、現実には私はむずかしいのではないかと見ているのです。というのは、その点で精神革命が行われていたい。これはもうスプリングが出ちゃった、あるいはいすの足が飛んだ、そうすると、これはもう捨ててしまって今度新しく予算にとつて買うことだけしかやらないのです。これはどこの役所に行つても、どこの団体に行っても、こういう考え方が一貫して日本の中には流れているのです。だから、よほど思い切った措置を講じない限りは、私はこういう点の弊風は改まらないと思う。これをやるならば、たとえばいすにしても机にしても、大きな官庁の中には営繕という修繕の係をきめておいて、これはどんどん直させるべきだ。それをやらないからちょっと破れればもうこわして新しいものを買う。こういうふうな傾向を簡単な考え方でもって直せるというふうに思うことは間違いで、こういうふうなことはほんとうに国費のむだであり、物品管理の欠陥である、こういうふうに考え、徹底的な国是としての態度をきめてやらなければ、私はこれは改まらないと思うのです。その点について、もう少し突っ込んだあなたの御答弁をいただきたい。
  64. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 この問題は単に法律を作っただけ、あるいはその責任の衝に当ります物品管理官が万全の対策を講ずるだけでは不十分でございまして、これを使用いたします役人全体が、物を大事にするという観点に立つことが最も肝要だと私は思うのであります。ただ今回の法律におきましても、ただいま御指摘になりましたように、ちょっとこわれたからといって、これを修繕しないで新しく物を買うというような事態につきましては、今度のこの法律におきましては、物品管理官が不用の決定をした後でなければ処分ができないことになっております。すなわちちょっと直せば使えるというようなものは、不用の決定をするわけではございませんので、ただいま御指摘のような点は、相当私は改善されるものと考えております。
  65. 横錢重吉

    横錢委員 その点、制度として確立させることを推進しなければだめだというふうに私は考えているのです。というのは、実際上物品管理官と使っている者との間には、直接の関係はないわけです。従って今度予算をとる場合には、物品管理官の管理でなしに、新しい方法でもって予算がとれる。そうすると、新しい予算をとってどんどん入れてしまえば、こんなものは自然に不用品となって出てくる。不用品となって出てきたものを、いまさらこれは使えるのどうのと言ってみたところで、そのときに話はできないわけです。そういう点の態勢については、一段とお考え願いたいと思います。  それから次に、日本じゅうを騒がしたところの例の中古エンジンの問題があります。この問題は連日この国会でも審議され、新聞等にも報道されて、大体明らかになってきつつあると私は見ているのですが、これらの問題をめぐってどうしても割り切れない問題は、こういうふうなことに対する大蔵省の物品管理に対する考え方というか、大蔵省はこれに対してどういうような反省を持ったか、あるいはどういうふうな役所としての権限を出したかということ、これが私ははっきりしていないと思うのです。たとえば通産省の方において七万二千円で出した、これは少しも不合理でないということだったとするならば、そして今度千二百五十万で防衛庁が買った、このこともおかしくない正当なことだということになってくると  それはそれでいいのだ、それはそれで一つ一つはいいということになっても、じゃそういう物品管理、あるいは購入ということに対して責任を持っているところの大蔵省としても、これは質問を受け、あるいは照会を受けているように聞いているのですが、このことに対して、いずれも正当だという判断を下したとするならば、これは国民感情として割り切れない。従ってこの場合には、どういうようなことをすべきであったのかということを、大蔵省自身でどう考えておられるか、判断に苦しみますか、国民感情からすれば、七万二千円のものが百七十倍に上ったということは割り切れない。そこに不正があったとするならば、これは事件ですが、そうでなしに、七万二千円も正当、千二百五十万円も正当だということになる、そのことが割り切れない。だから、そういうものに対する払い下げ、あるいは買い上げについては、どういうふうに判断を下したか。そうしてそれらのものが百七十倍にはね上ったとすれば、どこにその判断を下す組織の上の欠陥があるかということだと思う。七万二千円で判断を下したこと自体に私は欠陥があると思う。これは相当の価値のあるものに対して、こういうふうな点で七万二千円で払い下げを許したということ自体に、この問題は欠陥があると思う。その問題に対して、こっちを不当とするか、あるいは千二百五十万の方を不当とするかということに問題が出てくると思う。こういう問題に対して、大蔵省としては物品管理法案なんかを出しておるのであって、直接照会も受けておるのであるから、こういう問題に対しては、どういうふうにすべきだったという反省を持っておると思う。その意見を聞きたい。
  66. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、通産省が払い下げました場合の値段は、当時としておそらくスクラップ価格として払い下げたのではないかと思います。スクラップとして払い下げたあの値段でやることが適当かどうか。それをまた防衛庁が買い上げるときには、一台千二百五十万円になっておるわけであります。これはまた買い入れ価格といたしまして、当時の新品価格で、私聞いておるところによりますと千八百万円くらいかかる、その辺の値段から見まして、適正ではないかというふうに関東財務局も評価したようでございまして、いずれも不当はない。何でこんなに土つておるかということになりますと、確かに私ども国民感情からいたしまして、すっきりいたしませんけれども、この法律でどうという問題ではございませんで、そこが非常にむずかしいところでございます。先般もお答え申しましたように、通産省が払い下げてから防衛庁が買い取るまでに相当期間があるわけでありますが、かりにもう少し早く防衛庁が要るということがわかっておりますれば、この法律にありますように、ほかの省に管理がえする余地があるわけでございまして、管理がえをしておけば、防衛庁で修繕をして、そういう高い値段で買い上げないで使うことができたんじゃないかというふうに考える次第でございますが、どうも的確な御答弁になりませんで恐縮でございますが、さように考えております。
  67. 横錢重吉

    横錢委員 その場合に、たとえば通産省で七万二千円に判断をした、これが不当に安いものであったという結論が出たとして、その場合において大蔵省としては、物参品管理官等は、これらに対してどういうふうな動きをしますか。具体的な監督権というものは通産省限りだけの責任であって、大蔵省の方は関係ないということになりますか。
  68. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 払い下げの場合は、いわゆる契約担当職員でございまして、物品管理官ではございません。従いまして、この法律適用外でございまして、該当の場合は、売り払いをいたしました契約担当職員が、通産省内部の定むるところによってそれぞれの責任をとられる、こういうふうに考えます。大蔵省として別にどうという問題ではないと思います。
  69. 横錢重吉

    横錢委員 それでは次に、自衛隊では弾薬を今買っておる。この弾薬が、ひどいのになると六五%からの不発弾が入っておる。使えるのは三五%しかないというのがありまして、しかもこれは指摘されておる。こういうふうな六五%も不発で使えないようなたまをどんどん買っておる。その実績がわかって指摘をされておるにもかかわらず、その会社からまた大量のものを買い付けておる。こういうような問題に対しては、この法律によってはどういうふうな関係になりますか。
  70. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 それはこの法律の外の問題でございまして、予算執行職員等の責任に関する法律が別にございまして、これは買い入れに当りまする契約担当職員を拘束しておるわけでございます。その方の規定の定むるところによりまして、場合によりまして損害賠償をしなければならぬ。そのほか公務員法上の懲戒処分、かようになるものと思います。
  71. 横錢重吉

    横錢委員 そうすると、使えないようなものを買ったという場合には、その省だけの責任であって、大蔵省の方としては直接関係がない、こういうようなことになりますか。
  72. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 さようでございます。
  73. 横錢重吉

    横錢委員 予算について、大蔵省一つ一つ手を入れて、これは削除する、これは認めるということをやっておいでになりますね。私はそういう点で大蔵省が大まかに、たとえば防衛庁なら防衛庁が幾ら、通産省なら通産省が幾らという点で認めるならばいいと思うのですが、こういうふうなものは買ってもよろしい、このものは買ってはいかぬということは、これは大蔵省が予算の査定に当って一つ一つ認定をして買わしていますね。価格から何から精密な審査を経て、その審査の目をくぐったものをもって許して、それが予算となって私は計上されていると思う。その場合に、六五%もの不発弾が出てきておる。それはたまたまわからなかったというならともかくとして、そういうふうなものが会計検査院にいって指摘をされた。そういうところからなおかつ買っておるというようなことについても、全然これは責任がないということになりましょうか。
  74. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ただいま御指摘の点につきまして、具体的にどうかということは離しまして、一般に大蔵省が予算を査定いたします場合は、もちろん個々の内容に立ち至りまして、どこの会社から買えとか、そういうような問題まではいきませんが、弾薬ならば弾薬一個幾ら、それを数量幾らというふうに計算して予算を積算いたしております。従いまして、法律大蔵省はどうこうという問題ではございませんけれども、会計検査院からいろいろな年々批難されておりますような事項につきましては、一応各主計官にそれを流しまして、予算査定の際に、会計検査院で不当事項として批難されたような事項はまた起らないように、十分予算査定上配慮を加えておる次第でございます。
  75. 横錢重吉

    横錢委員 以上で質問を打ち切ります。
  76. 松原喜之次

    ○松原委員長 他に御質疑もないようでありますから、両法律案に対する質疑はこれにて終了し、討論を省略して直ちに採決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより物品管理法案、国の債権管理等に関する法律案の両法律案を一括して採決いたします。お諮りいたします。両法律案を原案の通り可決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって両法律案は全会一致をもっていずれも原案の通り可決いたしました。(拍手)  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によりまして委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十八日午前十時から開会することといたします。なお明日午後一時からは商工委員会と繊維工業設備臨時措置法案について連合審査会を開く予定になっておりますので、あらかじめ御了承願っておきます。  本日はこれにて散会いたします。   午後零時五十九分散会      ————◇—————