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1956-04-17 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十七日(火曜日)     午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       中山 榮一君    夏堀源三郎君       坊  秀男君    前田房之助君       横川 重次君    有馬 輝武君       田万 廣文君    平岡忠次郎君       横錢 重吉君    横山 利秋君       石野 久男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 四月十二日  委員横路節雄辞任につき、その補欠として平  田ヒデ君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員平田ヒデ辞任につき、その補欠として横  路節雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十六日  租税特別措置法の一部を改正する法律案(小林  政夫君外五名提出参法第五号)(予) の審査を本委員会に付託された。 同月十三日  軍用水道を米子市に移管の陳情書  (第五四一号)  租税特別措置法等の一部改正に関する陳情書  (第五四二号)  弦楽器用牛腸製ガット弦等に対する物品税撤廃  に関する陳情書  (第五五九号)  在外資産処理促進に関する陳情書  (第五九五号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四七号)  関税法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一一七号)(参議院送付)  金融制度調査会設置法案内閣提出第七六号)     ―――――――――――――
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案及び関税法等の一部を改正する法律案の両法律案一括議題として質疑を続行いたします。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 委員長にお願いしてお遂ますが、岸本課長にお伺いするかたわら、政務次官に一つ伺いたいことがありますので、出席で遂るように取り計らわれたいと思います。もし出られなければ、政府を代表してどなたか
  4. 松原喜之次

    松原委員長 大臣が間もなく見えます。
  5. 横山利秋

    横山委員 それでは国家公務員共済組合法の一部改正に関する法律案について御質問いたします。  最初に伺いたいのは、この法律改正する必要がほんとうにあるのかないのかという点であります。それと申しますのは、過般共済組合審議会答申をいたしましたその答申内容を熟読いたしますと、明らかにこれは改正する必要はないのではないかという大前提に立っておるように思われるのであります。     〔委員長退席石村委員長代理着席〕 つまりこの答申の一項の(イ)に、「今回の健康保険法改正案における一部負担が、主として政府管掌健康保険赤字補填目的とするものであることは、否み難い事実と認められる。」「共済組合における短期給付経済は現在均衡を得ており、また従来その支出増は、原則として、保険料率の引上げによって賄つて来た。従って今回の政府案の如き一部負担導入することには、その趣旨からみて賛成し難い。」と言い切っておるわけであります。もとよりその次に「しかしながら、」云々が書いてはございますが、これは政府の機関としての審議会である以上、政府の政策的な見地におもねざるを得なかった節があるように見えてなりません。もしもそういうことでありまするならば、本来この共済組合短期給付黒字であつて、赤字理由とする健康保険法改正に同調する必要がないといっておることについては、多分に傾聴に値する点があるかと存ずるのであります。この点についてまず政府側意見を拝聴いたしたい。
  6. 岸本晋

    岸本説明員 共済組合法改正が必要なかったのではないかという御質問でございますが、今回の改正法に盛られております一つのポイントは、健康保険法改正措置に同調いたしまして、共済組合法でも一部負担制を拡大する、こういうことでございます。それで今横山先生がお読み上げになりました審議会答申、これは確かにそうした字句もうたっておるのでございますが、答申内容におきまして、今度の健康保険の一部負担制実施赤字補てん目的とするものであることに、必ずしも政府側は同調いたしておるわけじゃないのでございます。この点は、この答申をお読みいただかけますと書いてございます。政府は今回の健康保険改正をもって赤字対策とは見ておりません。現在収支均衡を得ておりません健康保険制度を将来健全に発展さしていく、そのためにいろいろな施策を講じておるわけでございますが、その一つといたしまして、今回国会に御提案申し上げました程度の一部負担制はやむを得ない、こういうことで実施いたしておるわけでございます。従いまして、政府管掌健康保険赤字克服、それだけの意味ではないという見解とつておるわけでございます。このことは、今回の健康保険法改正におきましても、単に政府管巽健康保険ばかりでなく、現在赤字でございません組合管掌健康保険にも同じような一部負担制を実施するようなことをいたしております。この点についてみても明白だろうと思います。共済組合にいたしましても、なるほど現在は赤字でございませんが、やはり社会保険制度の健全なる発達をはかるための一部負担制、そういう意味社会保険制度全般について行われることでありますから、共済組合についてもこれを実施いたそう、こういう気持でございます。なお制度上の問題として申しますと、共済組合も、現在は法制上健康保険の被保険者という建前をとられております。従いまして、健康保険法の適用を受ける方々に対して全般的に一部負担制を今回拡充されることになりますと、同じ健康保険の被保険者であります共済組合のものについても、同じ方針をやはりとらざるを得ない、かように相なるわけであります。
  7. 横山利秋

    横山委員 赤字対策のみではない。確かに答申案の中にも、政府側委員はこの点に同調しなかったという文字がございますが、しかし政府側委員以外の全員が、「健康保険法改正案における一部負担が主として政府管掌健康保険赤字補填目的とするものであることは、否み難い事実と認められる。」こういうふうに認めているわけであります。政府が、いや、そうではございません、これは赤字補てん目的とするものではございませんと言っても——客観的な判断をする全部の人がそうだと言い切っておるのに、政府が、いや、そうではございませんと言っているのは、白々しいお話だと思うのであります。もしかりに百歩譲って、あなたの言うように、そうではない、共済組合の健全なる発展をはかるためというならば、今日共済組合独自の立場において不健全な状態があるのかどうか、その不健全な点を健全にする、それがこの措置であるというのか、その点を一つ明確にしてもらいたい。
  8. 岸本晋

    岸本説明員 私の申し上げたのが、あるいは言葉が足りなかったのかもしれませんが、共済組合に不健全な点があるからそれを直すのだ、もちろんこういう意味ではないのでありまして、保険医療に関する社会保険制度全般を通じまして、今日の国民経済から見まして収支バランスがとれていない。これを健全なレールの上に乗せる、そして現在の給付水準をできるだけ維持していく。維持しながら、収支バランスをとりつつ、健全な制度に持っていこう、そういう意味で行われているのが今回の一部負担制の拡充であります。従いまして、そうした広い意味では共済組合も同調せざるを得ない、そういう趣旨であります。
  9. 横山利秋

    横山委員 全体の収支バランスをとる、そのために黒字のところはもっと金を出せ、こういうことに相なるわけですが、収支バランスだけでいったら、それぞれ独立しております共済組合は、短期給付においては黒字であって、しかも従来その支出増については、原則として健康保険料引き上げによってまかなって参ったものであり、そして今収支状況においては黒字であるのにかかわらず、片方が赤字だからそのおつき合いをしろといって、そして全体的なバランスというのは、これは当を得ない議論だと思うのです。その点についていま一度明確に答えて下さい。
  10. 岸本晋

    岸本説明員 単純なる赤字対策としてこの一部負担制を取り上げたのではもちろんないわけであります。現在の日本の医療保険制度におきます一つ給付水準といいますか、高度の給付水準を維持しながらも、しかもこの保険制度を健全に運営していこう、そういう意味で取り上げられた制度でございます。そういう意味で、単に現在赤字である、なるほど政府管掌健康保険赤字でございますが、単なる赤字克服だけという意味ではない、つまり社会保険制度医療保険制度全般を将来とも合理的に発展させていこう、こういう意味で取り上げたわけです。従いまして、共済組合黒字をほかの赤字に持っていってバランスをとらせる、そういう意味では毛頭ないわけであります。
  11. 横山利秋

    横山委員 単なる赤字ではない、こうおっしゃるわけです。審議会委員政府側を除いたすべての委員は、何と言おうと、それは赤字補てん目的とするものであることはいなみがたい事実であると言っておる。あなたは出席された政府側委員と少し見解が異なり、単なる赤字ではないと言うて、赤字という問題も多少は含めていらっしゃるわけでありますが、私の聞いているのは、かりにあなたの意見であるとしても、それじや一体どういうことかと言うと、あなはきわめて抽象的に、医療保険制度を合理的にするためだ、こうおっしゃるわけです。そこでそうだといたしましたら、もう少し具体的に明快に答えてもらいたいところなんです。健康保険法並びにこの共済組合制度はかかる政府のやり方によってどうして合理的になるのかという点を、明快に一つ答えてもらいたい。
  12. 岸本晋

    岸本説明員 健康保険制度改正自体内容につきまして、私どもあまり差し出がましく申し上げるのは、いささか権限外のことになるのでありますが、共済組合にこれを導入するという場合に、どういう考え方をとったかという点を御了解いただきたいと思います。少くとも今日の健康保除法改正の中で、組合管掌健康保険について一部負担制が実施されているこの事実は、つまり一部負担制というのは、単なる赤字の補てんが目的ではないということは、はっきりいたしているわけであります。そういう意味で、同じ健康保険の被保険者建前をとられております共済組合についても同じ制度を実施していきたい、こういう意味導入いたしたわけであります。
  13. 横山利秋

    横山委員 一向要領を得ないのでありますが、健康保険法改正の本質に触れてここで議論しようとは、私も必ずしも望んでおりません。しかし今共済組合法改正に当って健康保険と同調しなければならぬ理由というものは、どういうところにあるか、この共済組合法を審議するに当って非常に必要なことであり、従ってどうしてもこれが右へならえをしなければならぬ理由というものを明確にしてもらいたい。世間一般は、また審議会委員は、これが赤字補てん目的とするものであるということはいなみがたい事実だと客観的にいっているのだが、あなたはそうではないと言っている。しからば、そうでないならば、そのそうでない理由というものをもう少し明確にして、共済組合法をかくかくのごとき理由で右へならえをしなければならぬのだという点を、条項をあげて明確にしてもらいたい、こう言っているのです。
  14. 岸本晋

    岸本説明員 今回共済組合法に、一部負担制健康保険並みにした。これは今申し上げました通り、第一は、共済組合にも健康保険の被保険者である建前がやはりとられておるわけでございます。その場合に、現在健康保険の被保険者である政府管掌以外の組合管掌健康保険におきましても、同じような一部負担制が実施されているということは、つまり一部負担制ということは、財政の赤字黒字を問わず、将来の保険制度を合理的に発展さすための手段として取り上げられておるわけであります。そうなりますと、同じ健康保険の被保険者である建前をとられております共済組合についてこれを否定するということは、理屈の上では相成り立たないというわけなんです。  それからもう一つ理由といたしましては、この審議会でも取り上げておりますが、手続き上の問題といたしまして、共済組合品だけ違った制度をとるということは、基金とかあるいは保健医に対する関係でむずかしいのではないか、こういう手続上のことも審議会で取り上げておられます。そうした意見も参酌いたしまして、共済組合に今回の一部負担制を実施した、こういうことでございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 第一に、一部負担制がほかでもとられておるから、共済組合法においても必要である。第二番目に、手続上ほかの方がやっりておるのにかかわらず、これをやらないとお医者さんその他のところでこんがらがる、あなたのおっしゃるのはこの二つの理由でございますか。
  16. 岸本晋

    岸本説明員 さようでございます。
  17. 横山利秋

    横山委員 わかりました。そこで、この一部負担制が必要だという問題であります。従来とも健康保険法経済については、原則として保険料引き上げによってまかない、しかも均衡を得てきたのが従来の方向であります。今この方向を逆転をさして、一部負担制にして被保険者負担を増すということは、従来の共済組合法立場と根本的に変ったことになる。ほかの方が一部負担制んやっておるから、こちらの方もやらなければならぬと、どうしてもこう言い切られるものであるかどうか。また審議会で、一部負担制導入することについては賛成をしがたいといっているけれども審議会も、しかしもしどうしてもやらなければならぬならば、組合管掌健康保険船員保険、その他の保険が全部これに同調するならば、おつき合いもやむを得なかろうといっておるのです。そこのところが僕は大事なことだと思うのでありますが、ほかの保険が、全部これに対して一部負担制導入について右へならえをいたしておるのですか。
  18. 岸本晋

    岸本説明員 一部負担制を今回実施いたしておりますのは、これと健康保険、それから市町村の共済組合も、別途地方行政委員会に出ておる法案によって実施いたそうということになっております。私学共済組合についても同じであります。そのほか船員保険法につきましては、一部負担制内容は若干違うのでありますが、従来船員保険法になかった一部負担制導入する措置がとられております。また日雇い健康保険、これはまた若干性格が違いますが、これにはとられていません。
  19. 横山利秋

    横山委員 しかしながら、この審議会のいっておりますことは、全部の保険がこれに同調するならばやむを得ないといっておるわけであります。日雇いの方はまあ黒字であります。黒字だから、去年も改正をいたしましたが、ことしも改正の提案がなされておるわけであります。あなたのおっしゃるところによれば、ほかの方は一部はこれを導入しておる、一部は導入してない、こういう実情である。そういう点であるならば、審議会の言うように全部がこれに右へならへをするならば、この共済組合法もやむを得ないけれども、しかしながら、片一方だけ導入をして、片一方導入をしない。そういう状況の中で、審議会答申を無視して、今ここに一部負担制をどうしても導入をしなければならぬという理由が、今日の共済組合法運営下においてはにおいては私は見当らないと信ずるのであります。どうしてもこれをやらなければならぬ、共済組合法が一部負担導入をしなければやっていけないという理由がありましようか。
  20. 岸本晋

    岸本説明員 第一点に、審議会答申におきまして、組合管掌健康保険その他がこれに同調するならばということがありました。この点御指摘になった。ほかは全部やっていないじゃないかという御質問だったと思います。この審議会答申の内幕のようになりますが、ここに書いてございますのは、やはり健康保険であるとか共済組合であるとか、こうした大どころの、つまり社会保険の中で非常に大勢を占めているところがこれに同調するならば、こういう意味でこれは書かれておるわけでございます。性格の違ったほかの保険のことは、ここでは触れてないという建前でございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 それは少しあなたの勝手な解釈に過ぎると私は思うのであります。第二番目のこの手続上の問題が、お医者の方その他のところでこんがらがるから、これはおつき合いをしてもらわなければ困る、こういう議論であります。そちらの方でこんがらがるということであるならば、また逆の方で新しい問題が発生してくることは、すでに岸本さんも御存じのところであろうと思う。なぜならば、これで政府の案を理解をしても——一部負担で銭をとっても、何かの形でこれを返すといっておるのであります。この審議会の言うところによれば、「今回新たに加わる一部負担は、原則として当人に還付さるべき筋合いである。もっともその額が実際にどの程度になるか、またそのためにどのくらいの手数を要するかは、今直ちに見通しを樹て難い。もし還付が困難であるならば、附加給付などのような形で、別途実質的に組合員に還元する方法を講ずべきである。」従って患者さんから、あなた今度一部負担だから、銭十円か二十円か三十円か、とにかく出せと言って取り上げておいて、今度はまた患者さんに、この間もらった金は返すと言って返すことに相なるのであります。これほどばかばかしい、わずらわしい手数をしてまでおつき合いをしなければならぬものであるか、それともあなたの方は、取った銭をもう本人に返さぬというのであるか、その点、取つた銭の行方について、政府考え方一つ明確にしてほしい。
  22. 岸本晋

    岸本説明員 先ほど申し上げましたように、共済組合健康保険並みの一部負担制をやる、これは大体組合管掌健康保険に準じた考え方をいたしております。従いまして、この一部負担で払った金を戻す、この措置は、組合符掌健康保険に今度規定されております。やはりそれと同じような措置を、共済組合についてもやりたい、かように考えております。
  23. 横山利秋

    横山委員 宰議の明確になる意味からいって、どういうふうにそれがなるのか、共済組合法改正とつた銭は、どういうふうにそれを還付をしていく方向になるのか、ないしは附加給付になるのか、政府立場を明確にしてほしい。十円、二十円、三十円とどんどん患者さんから取り上げた銭は、どこにいくのか、それを明確に、この立場を明らかにしてほしい。
  24. 岸本晋

    岸本説明員 一部負担本人が支払いますと、それだけ組合余裕財源が出て参るわけでございますが、それをどういう処理をするか、これは今回の法案で、負担金の払い戻しその他の処置で大蔵大臣の定めるもの、こういうふうに書いてございます。原則としては、組合管掌健康保険並みに、本人還付するというのが一応筋が通って、おるわけでございますが、ただいろいろ、共済組合は民間の組合関係健康保険と非常に違いまして、全国的に散在いたしておりますから、必ずしもそれがやり切れない場合もあるいはあるかと存じますが、その場合には、あるいは掛金率を引き下げる、あるいは附加給付とか、いろいろな方法があろうかと思います。しかしながら、その中のどの方法をとるかということについては、これは共済組合の内部でいろいろ不均衡が出ても困りますので、各組合に徹底をして、つまり最大公約数として実施できる、こういうような案を考えたいと存じておるわけでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 お話によれば、一部負担で、一番今苦しんでいる病気の患者さんから銭を取り上げて、その取り上げた銭は、赤字ではないから、それを埋める必要はない。だからその取り上げた銭は、また患者さんのところへ返してやる、ないしはそれで掛金を下げる。全員の被保険者掛金を下げる、ないしはほかの附加給付一つ作る、こういう三点に帰一するようであります。どの点を考えてみましても、あなたが言った改正の第二点である、手続めんどうだから、お医者さんのところでめんどうだから右へならえして、一部負担導入するというのだけれども、そのそちらの方のめんどうをカバーした結果においては、もう一度新たなめんどうが出てきます。取り上げたところへもう一ぺん返すというばかばかしいことをする必要が一体本質的にあるでありましょうか。また病人から取り上げて健康な人に銭を分ける必要があるでありましょうか。また今どうしてもやらなければならぬ附加給付が現にあって、被保険者全体からこういう附加給付を作ってほしいという切実の懸案の問題があるでありましようか。どの点についても、今日首肯し得る理論というものはないのであります。そういたしますならば、結局健康保険法を変えたから、健康保険法赤字を埋めるために変えたんだから、こちらもついでにおつき合いをしてくれということに尽きるようであります。しかりとするならば、健康保険法共済組合法とは一緒にどうしてもやらなければならぬという問題があり得るのかという、最初の問題にもう一ぺん帰ってくる。しかも片一方日雇い労働者健康保険については、これはもう今なおやられない、そういうのであります。しかも黒字があるからこいつはまだまだ、こういっておるのであります。まさに宙ぶらりんになって、今回の共済組合法改正については、とても論理が筋が通っていない、こういうふうに私どもは考えざるを得ないのでありますが、私のこういう見解について、あなたは間違っておるならば間違っておると、明確に一つ反論をしてほしい。
  26. 岸本晋

    岸本説明員 先ほど申し上げましたように、今回共済組合法に一部負担制導入いたしますのは、やはり健康保険制度全般にそういう制度をとられるということが理由でございます。(「大臣が来ている」と呼ぶ者あり)
  27. 横山利秋

    横山委員 いや、大臣に今まで聞かなかったのは、少し岸本さんとの質疑応答を聞いておってもらって、それから大臣に開こうと思ったからであります。今私が申し上げておる点は、大臣、おわかりになったのではないか。あまりこういうこまかいことについては、大臣御存じない点が多いと思いますから、こまかい点は申し上げませんけれども、今世間で非常に問題になっておりますこの健康保険法改正について、与党からも修正案が出て、今参議院に送り込んであるわけでありますが、それとおつき合いをする意味において、この共済組合法改正がなされておるわけであります。しかしおつき合いをしなければならぬという理由はないのであります。なぜならば、第一にこの共済組合経済黒字であります。第二番目に、今岸本さんのお話によれば、この手続上の問題があるというのだけれども、そちらの方のお医者さんの手続のわずらわしさをなくするために、新しい手続のわずらわしさというものが、ここに二点も三点も生まれてきておるのであります。どっちの手続を解消するか、どつちの手続をうまくやるかということについては、やはりこれは筋を通して、今日までの共済組合法原則というものを通していくことの方が難がない、こういうふうに言わなければなりません。従って大臣は、健康保険ないしは——いや保険制度といえば、ネコもしゃくしも一緒だと思っておられるかもしれませんが、それぞれの財政的な独立の状況を保ってきておるのでありまして、ここに共済組合法をおつき合い改正をせぬならぬという理由はごうもなく、またそのおつき合い改正したために、新しいいろんな問題が発生してばかを見る。せっかく取り上げた銭をまたもとに返すということも考えられておるという、ばかばかしい話でありますから、これは大臣、最後にはんこをおつきになったとき、どういう気持で一体はんこをおつきになったのか。ほかの話をしておって、まあええと思ってはんこをお押しになったのじゃないかとも思いますが、一ぺん大臣から、改正の気持について御答弁が願いたい。
  28. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 健康保険法の場合におきましては、とりあえずは赤字が出て赤字の対策、さらにまた今後の健康保険の発展のためとありますが、赤字がないのに、患者のあれでは、被保険者の一部負担をするというのは、どういうわけかということでありますが、私は、その点だけお取り上げになると、その点だけからはごもっともではないかと思うのであります。しかし、これはやはり社会保険といいますか、社会保障全体のあり方の問題になるのではないかと考えるのです。そういうような広い社会保険のあり方という点から見た場合に、共済組合においても、赤字がないからあるからということでなくて、一部負担をする、そうしてさらに保険の今後の充実発展をはかつていくということが十分考えられるのじゃないかと考えております。なお十分御納得のいくように、具体的な理由政府委員から答弁させます。
  29. 横山利秋

    横山委員 やはり大臣はあまりよく御存じないようでありますが、大臣がこまかいことを御存じなければ、かえって私は、常識的にあなたと質疑応答ができると思うのであります。ほかの方は、赤字があるから、これをお医者さんにやらせるか、患者にやらせるか、政府負担をするかというけんけんごうごうの議論がある。それはそれで、あなたの言うように、患者さんに少しは負担してもらわなければならぬということは、私どもは反対ではありますが、しかし、それは議論の余地として大いに議論がし得るのであります。ところが、こちらの方は黒字なんです。黒字のところへ今赤字議論を持ってきてやるということ自体が、根本的に間違いがあるのです。しかも健康保険法改正と違って、こちらの方は患者さんからだけ取るのであります。今一番給料の入ってくるのが乏しい患者さん、生活に困っている患者さん、また政府も今後特別にめんどうを見てくれない患者さん、そういうところからだけ取るということに相なるわけでございます。しかも政府原則審議会原則は、患者さんから取った銭はもう一ぺん患者さんに返してやると言っているのですよ。おわかりになりましょうか。一番苦しいところから、一部負担患者さんから取った金は、もう一ぺんあなたに返してやるから出してくれと言っているのですよ。そういうところが常識的にちょっとおかしいじゃないかとお考えになりませんか。岸本さん、あまり耳打ちしないで。
  30. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 別に知恵を授かつておったわけではございません。私さっき御答弁申し上げましたように、常識的に考えて、今御指摘のような、その点だけをとると、私もやはりいかにもごもっともと思うのであります。ただしかし、社会保険、あるいはまたさらに広く社会保障全体のあり方というものに関連してこの措置がとられている、そういう意味においてこういうふうにやるべきだと考えております。
  31. 横山利秋

    横山委員 その社会保険全体ということになると、いきなりぼやっとしてしまって、何を一体質問したらいいのか、私にはよくわからぬような気持になるわけでありますが、結局これは、大臣、私の言うように、常識的に考えて、常識的に処置した方が妥当だと思うのです。おつき合いも確かに常識であります。健康保険法改正したのだから、そのおつ遂合いにやるというのも常識であります。しかしながら、その常識を展開して参りました措置というものが、患者さんから一部負担で取り上げて、もう一ぺん患者さんに返してやるから、患者さんはそう心配せぬでもいいじゃないかという議論でないと、患者さんを納得させるわけにはこの状況の中ではいかぬと思いますが、そういう二重の手間をしなければおつき合いができないものであるかどうか、そういう二重の手間をせぬでも、現状のままでよろしいのじゃないかということが考えられるのであります。先ほど岸本さんは、患者さんに返すか、あるいは健康な人々に集まった銭をばらまくか、あるいは附加給付として特定の人にそれをやるか、いろいろな意見があるけれども、それは審議会におまかせしたいとおっしゃいましたが、審議会は、原則として本人還付さるべきが筋合いであると言っているわけであります。審議会も、その前提として、こんなことはほんとうはやりたくねえと言っておるのであります。しかりといたしますれば、一番常識的に、そんなややこしいことをせぬでもいいじゃないか、現状のままでいいのではないかということが考えられるが、もう一度大臣に、そのすなおな感じ、もののあり方についてどうお考えになるかということを聞きたい。もう一つは、かりにこの法律が通って、審議会で金はどう使うかという場合に、健康な人にやるか、患者さんにやるか、あるいはほかの特殊な附加給付をやるか、あなた自身としてどういうふうにお考えになるか、その点を一つお伺いしたい。
  32. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから御答弁した通りでありまして、それ以上つけ加えるものもありません。お尋ねの点は、非常に具体的な点であるようであります。従いまして、政府委員から十分答弁があると思うのであります。なお御納得のいくまで一つ質問願いたいと考えております。
  33. 岸本晋

    岸本説明員 具体的に、最後の締めくくりにどういう措置をとるかというお尋ねでありますが、本底からいえば、払い込みの際一部負担金本人に返すが筋合いであろうかと存じます。ただいろいろ事情を異にしている共済組合が三十近くございまして、その中には、一部負担は返してほしくない、附加給付でもほしいというようなものもあります。そういういろいろな各組合意見の調整をいたしまして、また審議会意見も尊重いたしまして、最大公約数で、皆さん御納得いただける措置をとりたいと考えております。
  34. 横山利秋

    横山委員 政府側としては、この法案はどうしても通してほしいというような意見に聞えるのであります。今日本法案について採決の段階にあるわけでありますが、ただ一つ考えなければならぬことは、そのおつき合いの根本になっております健康保険法が、ただいま与党側から修正案が出ておるけれども、根本の健康保険法自体が参議院においてまだどういうふうになるかもわからないというような状況にあるわけであります。この点について、政府側としては、参議院においてまた修正がなされた場合における本法についての態度をどうお考えになるかということである。聞くところによると、二十三日に共済組合審議会が行われるようであります。審議会は、この答申の中でも、こういうことを言っているわけであります。なお本法に関する政府案は、その最終決定までには相当の修正を加えられるとの見通しが伝えられ、本会としてもここに決定的な意見を述べがたい事情にある。ゆえに国会提案に際しては、その意のあるところをくみ、弾力性ある法文化を要望するとともに、状況の推移いかんによっては、さらに意見を申達する予定であるから了承されたい。こう書いてあるわけであります。政府としては、この審議会を尊重して、さらに審議会がここで言っておりますところの、状況の推移によってさらに意見を申達する余裕を持って臨んでおられるものであるかどうかという二点をお伺いをいたしたい。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 法案は、大蔵省としては最善を尽して出しておるのでありますが、しかし審議会その他で御意見が出ますれば、これまた私は尊重いたすべ遂であろうと考えております。
  36. 石村英雄

    石村委員長代理 この際御報告いたします。国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案に対しまして、黒金泰美君外二十五名提出修正案委員長の手元まで提出されておりますので、これを印刷して諸君のお手元に配付いたしてお遂ました。この際提出者より趣旨の説明を聴取いたします。黒金泰美君。
  37. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいま議題となりました国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を弁明いたします。  修正案の案文につきましては、便宜朗読を省略さしていただくことを御了承を得たいと思います。今回の改正案中、健康保険法改正に同調した部分につきましては、別途健康保険法改正案の修正が行われることとなりましたので、これに伴い本改正案におきましても、医療機関等に対する「立入検査」とありますのを改めて、単に「検査」とするとともに、医師等に対する罰則が「罰金」となっておりますのを改めて、「過料」ということに修正をいたそうとするものであります。  以上が修正案趣旨及び内容でありますが、何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。
  38. 石村英雄

    石村委員長代理 これにて趣旨の説明は終りました。
  39. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっております両法律案につきましては、その質疑も大体尽されたと存じますので、この程度にて質疑を終了せられんことを望みます。
  40. 石村英雄

    石村委員長代理 ただいまの藤枝君の動議に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 石村英雄

    石村委員長代理 御異議なしと認めます。よって両法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  討論の通告がありますので、両法律案並びに恨金泰美君外一十五名提出修正案を一括して討論に付します。横山利秋君。
  42. 横山利秋

    横山委員 私は日本社会党を代表いたしまして、関税法等の一部を改正する法律案に賛成し、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案並びに本案に対する修正案に反対いたします。  なぜならば本来国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案は、先ほどの質疑で明らかになりました通り、健康保険法の改悪によって起ったものであります。この健康保険法については、ただいまも参議院において審議をされておるわけでありますが、今や健康保険法に関する世論というものはごうごうたるものがございまして、私も昨日某県においてお医者さんの会合で聞いてきたのでありますけれども、いかんせん、この社会保障の充実という問題については、昨年の総選挙の際においても、保守と革新とを問わず、すべての候補者もすべての政党人も、この問題について強調いたしたところであります。しかるにもかかわらず、その先頭に立つた鳩山内閣が、今日いずくんぞはからん、この健康保険法の改悪を企図いたしまして、片や窮乏に泣く病人に、片や医師に、そうして政府はほんの少しの一部負担によってこの社会保障の後退を招こうといたしておるわけでありまして、どうにもわれわれとしては納得のいかぬところであります。その健康保険法の改悪に右へならえをいたしまして、ここに国家公務員共済組合法の一部改正が本委員会に提案をさ、れてきておるわけであります。しかしながら、かりに健康保険法改正が、この国会で涌過をいたすその独自の理由があるといたしましても、それに右へならえをする理由というものは、国家公務共済組合法にはないのであります。なぜならば、片一方が問題の焦点が赤字であると言われましても、こちらの方には経済的に赤字というものはございません。従来その支出過度に対しましては、原則として保険料引き上げによってこれを補い、健全なる財政状態を続けてきたものあであります。この点については、共済組合審議会もこれを肯定いたしまして、政府案のごとき一部負担導入することについては、その趣旨から賛成をしがたい、こう言い切っているわけであります。言い切って、なおかつ審心会は、政府の機関として多少の遠慮をもって、かりににこれに右へならえをするにいたしましても、条件がある、その条件というのは、共済組合管掌の健康保険船員保険日雇い保険等の数種の保険がこれに同調して改められるというのであるならば、これはやむを得ないと言っているのでありますが、その条件をも相入れませず、ここに共済組合法改正を右へならえをするということは、どうしても納得のできないことと、言なければなりません。しかも、なおかつその理由として数えられる右へならえの理由が、手続上お医者さんが困るのではないか、片一方は二十円、片方は十円では手続上困るのではないかという意見であります。その点については、肯定するにやぶさかではございません。しかしながら、その議論を整理しましてここに改正をすることは、新しい複雑さを増してくるのであります。と申しますのは、政府の答弁を聞遂ましても、結局この審議会答申を、その点については、あとの方の部分を尊重いたしまして、原則として本人に返しましょう、こう言っております。取り上げられる病人のもとに返すというのであります。ないしはそれを、もしいろいろな意見がございますならば、健康な人に返しましょう、こう言うのであります。病人から取り上げて健康な人に渡すということも、これまた理由の立たないことと言わなければなりますまい。そうでなければ、附加給付を作ろうと言っております。附加給付を作ることに私は反対するものではございませんが、しかし作るにしても、今生活に困り、病床に泣いている病人から取り上げてそれを作ろうということは、これまた当を得ないことと言えるのであります。どちらから考えましても、この共済組合法の修正というものは当を得ないものだと私どもは信ずるわけであります。従いまして、私どもはこの根本であります健康保険法の改悪に対しましては、国民とともに断固として反対をいたすものでありますが、同時に、それに対して右へならえをして、ここに提案をされております国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案に対しましても、その根本的な立場から、ないしはそれ独自の立場から、ここに反対の理由を明らかにいたす次第であります。
  43. 石村英雄

    石村委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。初めに、本法律案に対する黒金泰美君外二十五名提出修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  44. 石村英雄

    石村委員長代理 起立多数。よって修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。この部分に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  45. 石村英雄

    石村委員長代理 起立多数。よって本法律案は修正可決いたしました。  次に、関税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。お諮りいたします。本法律案を原案の通り可決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 石村英雄

    石村委員長代理 御異議なしと認めます。よって本法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につ遂ましては、先例によりまして、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 石村英雄

    石村委員長代理 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
  48. 石村英雄

    石村委員長代理 次に、金融制度調査会設置法案を議題といたします。  この際参考人招致の件についてお諮りいたします。本法律案審査のため、横錢委員から、日本銀行総裁の出席を求め、意見を聴取いたしたいとの要求がありますが、御承知の通り、従来とも日本銀行総裁は参考人の資格で出席を願つておりますので、明後十九日の委員会に、参考人として日本銀行総裁新木榮吉君の出頭を求めるよう取り計らいたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 石村英雄

    石村委員長代理 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  次会は明後十九日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十二分散会