○正
示政府委員 ただいまの御
質問は二つほど重要な問題があろうと思います。まずに第一に、今までの
建前ですと、いきなり
株主に分配を受けられたはずであるがという点につきまして一言申し上げたいのでありますが、先ほど申し上げましたように、
朝鮮殖産銀行につきましては、
在外資産と
負債を見ますと、
負債超過になっております。この
負債の中に社債が入っておることは、先ほど申した
通りであります。そこでこの際、従来の
法律でございますと、
株主分配をする前に、
負債超過でございますと、それに対して
引き当て留保をしなければならぬ。そこで実際には四億五千万円余っておりましても、先ほどの
資産と
負債との
負債超過分に対する
引き当て留保をいたしますと、
株主に分配はできないのであります。現行法もできないのであります。これはどこまでも保留をいたして、結局この際、かりにこの
閉鎖機関令の
改正をお認めいただけないということになりますと、
殖産銀行に関する限りは、
在外負債の見合いとして
国内資産の
引き当て留保をしなければなりませんので、どこまでも
株主への分配は見送らざるを得ないというのが、現行法の
建前でございます。まずその点を
お答えいたします。
次に三顧問をお願いいたしましてのこれからの見通しという
お話でありますが、これは、実はまことにむずかしいのでありまして、三顧問の方々にも随時御連絡を申しておりますが、まず第一に
株主との
関係、また社
債権者の中にもいろいろの方がありまして、
話し合いはなかなかむずかしい
事態に立ち至っておるように思います。しかし、どこまでも三顧問の方々は望みをお捨てにならず、根気よく御努力を願っておる点につきましては、私も衷心敬意を表しておる次第でございます。どういうふうな見通しかという点でありますが、実は当
委員会の御審議を通じまして、すでに退職金につきまして、これは本来
国内債務の分でございますが、ある程度の金額に上るものが、最終の重役
会議において所定の手続をとられておるというふうなことも、問答の中であったことは御
承知の
通りであります。そこで、そういうものを支払うという問題もまた出てくるであろうと存じますが、そうしますと、残存したものからやはり従業員
債務、これは当然優先的に支払われることになって参ります。そうしますと、残りの
資産でさらに社
債権者に
支払いが行われる。その
段階で社
債権者に対しまして、当分
朝鮮の
資産の返還ということがすぐには望めないから、何か旧
殖産銀行の
株主としてもどういう仕事を御計画になりますか、何らかの仕事を計画したいというふうな話をなさることになろうかと思うのでありますが、これに対しまして、社
債権者もある程度協力をしていくという形になっていく場合、御
承知のように社
債権者は多く
金融機関等がございます。あるものは
株主でもあり、社
債権者でもあるという形になっております。こういうところから、何ほどかの基本的な計画ができますと、これに対しまして、その他の社
債権者もまたできる限りの、法令によって認められておる限りの協力をしていくという態勢をもちまして、何かこの有意義な仕事ができていくというふうなことにつきまして、三顧問の方々はただいま御努力をお払いになっておるわけであります。今的確にどういう形のもになりましょうか、またどの程度のものになりましょうかということを、私はこの席で断言を申し上げ、あるいは予想を申し上げる時期ではないと思うのでありますが、これはそういう線におきまして、やはり三顧問の方々の今後の御努力に
期待せざるを得ない、こう
考えておる次第でございます。