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1956-03-27 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十七日(火曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       生田 宏一君    植木庚子郎君       遠藤 三郎君    大橋 忠一君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    亀山 孝一君       木崎 茂男君    吉川 久衛君       小西 寅松君    杉浦 武雄君       田子 一民君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    中山 榮一君       夏堀源三郎君    福田 赳夫君       古川 丈吉君    保利  茂君       森   清君    有馬 輝武君       石山 權作君    井上 良二君       井堀 繁雄君    木原津與志君       竹谷源太郎君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    横錢 重吉君       横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         国税庁長官   阪田 泰二君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     昌谷  孝君  委員外出席者         大蔵事務官   竹内  勉君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部輸入計画課         長)      丹羽雅次郎君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 三月二十三日  委員星島二郎君及び横路節雄辞任につき、そ  の補欠として古川丈吉君及び井堀繁雄君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十七日  委員淺香忠雄君、川島正次郎君、坊秀男君、前  田房之助君、山村新治郎君及び横川重次辞任  につき、その補欠として亀山孝一君、植木庚子  郎君、木崎茂男君、田子一民君、大橋忠一君及  び森清君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十三日  国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四七号) 同月二十四日  接収貴金属等処理に関する法律案内閣提出  第一四八号)  国の債権管理等に関する法律案内閣提出第  一四九号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第四五号)  余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第四六号)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八四号)  船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八六号)  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四〇号)  国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四七号)  接収貴金属等処理に関する法律案内閣提出  第一四八号)  国の債権管理等に関する法律案内閣提出第  一四九号)(予)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  去る二十三日当委員会審査を付託されました国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案及び去る二十四日付託されました接収貴金属等処理に関する法律案並びに去る二十四日予備審査のため本院に送付され、同日当委員会予備付託となりました国の債権管理等に関する法律案の三法律案一括議題として、審査に入ります。  まず政府側より順次提案理由説明を聴取いたします。大蔵政務次官山手滿男君。
  3. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま議題となりました国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案理由を御説明を申し上げます。  最初に国家公務員共済組合の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、主として次の四点につき改正いたすことといたしました。第一は、健康保険法改正に伴うもの、第二は国家公務員共済組合審査会設置に関するもの、第三は共済組合年金制度合理化しようとするもの、第四は、船員保険共済組合との給付調整するためのものであります。  第一の健康保険法改正に伴う措置といたしましては、まず療養給付についての一部負担制の採用であります。御承知通り国家公務員共済組合療養給付は、健康保険事業を代行するものでありまして、現在は両者とも療養を受ける場合には初診料組合員負担することとなっております。しかしながら今回の健康保険法改正によりますと、被保険者初診料のほか、再診料、入院料等についてもその一部を負担することとなっておりますので、共済組合員につきましてもこれと同様の負担を行うことといたしました。  共済組合健康保険改正に同調いたしましたおもな理由は、共済組合健康保険代行制度であり、かつ、組合管掌健康保険にもこの一部負担制が適用されること、共済組合のみに特例を開くと保険医支払基金等の手数を繁雑ならしめること等であります。ただし、共済組合におきましては、組合管掌健康保険と同様、一部負担金の払い戻しの規定を設けることといたしました。  このほかに、保険医療機関等に関する規定不正受給者等に関する規定等につきましても、それぞれ健康保険法改正に準じて整備いたしました。  次に、国家公務員共済組合審議会設置について申し上げます。審議会は昨年十一月十一日の閣議決定に基いて、大蔵大臣諮問機関として大蔵省に設けられたものでありますが、今回、これを決定しようとするものであります。審議会は、共済組合に関する基本的施策及び組合に関する重要事項調査審議するために、大蔵省付属機関として設置するものでありまして、委員の数は十三人以内といたしました。  第一に、共済組合年金制度合理化について申し上げます。現行法では、組合員であった期間が二十年未満で退職した者が再び組合員となった場合には、組合員であった前後の期間は合算されないこととなっておりますが、この前後の期間を合算すれば年金受給の資格を得られる場合には、これらの期間を合算することといたしました。また廃疾年金を受けている者の廃疾程度が軽減した場合には年金額を引き下げ、また五年以内にその廃疾程度が進行した場合は、逆に年金額を引き上げる等の措置を行うことといたしました。その他、退職年金若年停止を受けている者が廃疾者となったときは、これを解除して退職年金を支給するなど年金関係規定を整備いたしました。  第四に、船員保険共済組合との給付調整について申し上げます。船員保険の被保険者であり、同時に共済組合組合員である者についての組合の行う給付につきましては、現在共済組合法による給付船員保険法による給付とのいずれか有利な給付共済組合で支給することとしておりますが、客観的にいずれか有利であるかを判定するのが非常に困難でありますので、今後は、原則として共済組合法による給付を支給することとし、ただ本人が船員保険法による給付を選択した場合には、これを支給することといたしました。  以上、おもな改正点について申し上げましたが、このほかに防衛庁調達庁等組合代表者をそれぞれ防衛庁長官調達庁長官等に改めるなど、必要な規定の整備をはかっておる次第でございます。  次に接収貴金属等処理に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  終戦後、連合国占領軍は、本邦において政府及び民間から金、銀、白金ダイヤモンド等貴金属等接収したのでありますが、平和条約の発効と同時に、これらの貴金属等日本政府に引き渡したのであります。そこで、政府といたしましては、さきに接収貴金属等数量等報告に関する法律によって貴金属等接収された者から必要な報告を徴し、その内容調査を進める一方、連合国占領軍から引き渡された貴金属等調査を実施し、その状況もおおむね明らかになりましたのが、今回、これら接収貴金属等について返還その他の処理をいたしますため、本法案を提出した次第であります。  以下、本法案概略を御説明申し上げます。  まず第一に、貴金属等の被接収者は、法律施行の日から五カ月以内に、大蔵大臣に対しその接収された貴金属等返還請求することとし、被接収者が右の請求をしない場合には、接収された貴金属等所有者が、法律施行の日から七カ月以内に、請求を行うことを認める等、返還請求手続を定めることといたしました。  第二に、この返還請求に対しまして、大蔵大臣は、当該貴金属等種類形状品位及び個数または重量を、接収の事実を明らかにする証拠等によって認定することとし、認定された貴金属等につきましては、それが政府の保管している貴金属等のうちで特定する場合には、そのものを返還し、特定しない場合には、各貴金属等種類形状品位及び重量のそれぞれの明確度と、各貴金属等が溶解されて変形している可能性、あるいは、その代替物がある可能性に応じて、特定するもの以外の残余の保管している貴金属等を、接収された貴金属等個数または評価額割合により按分して返還することといたしました。  第三に、この法律により返還される貴金属等につきましては、国、公共企業体地方公共団体及び日本銀行所有にかかるものを除き、連合国占領軍から引き渡しを受けて以来返還されるまでの保管費用等に相当する額として返還を受けた価額の一割に当る金額を国に納付せしめることとし、なお、これに伴う課税上の必要な調整措置規定いたしました。  第四に、接収された貴金属等のうちには、交易営団社団法人中央物資活用協会または社団法人金銀運営会が、戦時中、政府の金、銀、白金またはダイヤモンド回収方針に基き、政府委託によって民間から回収したもの、金属配給統制株式会社政府指示に基いて、交易営団または中央物資活用協会の回収した貴金属を買い入れたもの、金銀運営会が、戦時中、政府指示に基き、旧日本占領地域における通貨価値維持等目的をもって金製品を輸出するため、旧金資金特別会計から払い下げを受けたもの、及び軍需品製造に従事していた者が、軍需品製造または修理するため、その材料として、戦時中、旧軍または軍需省から買い入れたものがありますが、これらは、すべて国に帰属させるとともに、これらの者に対しては、右貴金属等を取得し、または加工した際の代金及び手数料等に相当するものをそれぞれ交付することといたしました。  第五に、以上の認定返還その他の重要事項処理の万全を期するため、大蔵省接収貴金属等処理審議会を設けることといたしましたほか、認定等に対する不服の申し立て、虚偽の請求に対する罰則等所要規定を設けることといたしました。なお、国に帰属または返還された貴金属等一般会計に所属するものは、無償で、貴金属特別会計の所属に移して管理することといたしました。  最後に、国の債権管理等に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  従来、国の債権につきましては、会計法その他個々の法令に部分的な管理規定があっただけで、その一般的な管理法規がなく、管理機構もまた整備されていなかったのであります。しかして、その管理に関する事務処理につきましては、一方では官庁内部の連絡が不十分であったことや、担当職員措置が適切を欠いたこと等のため債権徴収不足徴収手続の遅延を来たす等、国に損害を与えた事例を見ますとともに、他方では管理費用に満たない額の債権債務者所在が不明の債権等につきましても一律に処理することとなっていたため事務の能率をそこなうことも少くなかったのであります。  本法律案は、このような情勢にかんがみまして、国の債権管理の適正を期するため、その管理機構及び管理の準則を整備いたしますとともに、履行期限の延長、減免等をすることができる一般的基準を設け、あわせて国の債権発生原因となる契約に関し、その内容とすべき基本的事項を定めようとするものでございます。  次に、この法律案内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。  第一に、この法律は、金銭給付目的とする国の権利、いわゆる金銭債権を対象といたしておりますが、罰金等にかかる債権租税債権、国が保有する資金の運用により生ずる債権等につきましては、その性質上、原則として、この法律を適用しないことといたしております。  第二に、国の債権の統一的な管理組織を確立するため、各省各庁における債権管理事務を担当する機関として債権管理官制度を設けるとともに、債権管理官が行うべき債権の保全及び取り立て等に関する事務処理につき一般的な管理基準を定めて、その的確な処理をはかることといたしております。  第三に、取り立て費用に満たない少額の債権債務者所在が不分明で徴収見込みのないような債権につきましては、内部的に徴収停止として整理を行うことができることとするほか、一般に、債務者の資力その他の状況を考慮して、五年または十年以内の期間において債権履行期限を延長することができる道を開き、また、一定の場合に減免等措置を講ずることといたしまして、債権管理事務の効率的な運営をはかることといたしております。  第四に、債権発生原因となる契約内容につきまして、その基本的事項を定め、発生後における債権徴収を確保するとともに、特に貸付金債権につきましては、あわせて、貸付目的を保全するため必要な諸条件を定め、もって貸付事業の遂行の適正化をはかることといたしておる次第でございます。  以上国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いを申し上げます。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 これにて提案理由説明は終りました。これら三法律案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 松原喜之次

  6. 井堀繁雄

    井堀委員 ただいま議題になっておりまする案件のうち、特に船員保険特別会計法厚生年金保険特別会計法法案関連の深い事項についてお尋ねをいたしたいと思います。  ただいま健康保険厚生年金保険船員保険等々、日本社会保障制度中核をなすべき社会保険について改正をいたそうとする法案が本国会に提案されて、他の委員会審議をされておりますことは申すまでもありませんが、われわれは、この社会保障制度中核をなすこれら重要な社会保険改正に伴いまして、ただいま議題になりました関係法規がこれらと不可分の関係にあることはもちろん、この扱い方がこの法案全体と重大な関連を持つものでありまして、その関係の中において特にお尋ねをいたしたいと思いまするのは、今医療保険関係だけを取り上げてみましても、健康保険には政府管掌組合経営、さらに日雇い健康保険があり、船員保険厚生年金保険、それに国家公務員共済組合市町村職員共済組合、あるいは私立学校教職員共済組合などがありまして、これらの全体の調和とその調整の中に改正が行わなければならぬことは申すまでもありません。この関係の中において、特に私のお尋ねをいたそうと思うことは、健康保険改正の中で、この特別会計法にも明らかにされておりまするように、一部政府予算措置による補助金関係において、国民保険健康保険補助率についてはなはだしく相違しておる点について、どうしてもわれわれの了解のできない点がございますので、この点を数字をあげて一つお尋ねをいたしたいと思います。  国民保険の場合においては、療養費の十分の二、すなわち二割、それに保健婦に要する費用の三分の一、事務費全額国庫負担によってまかなわれることになっておるのに、健康保険に限っては、今回初めて三十億の補助金を支出しようとするのでありますが、このはなはだしい相違について大蔵当局のお考えをまず伺っておきたいと思うのであります。順次お尋ねをいたしますが、その相違点について、一つ数字をあげて御説明いただきたいと思います。
  7. 宮川新一郎

    宮川政府委員 健康保険につきましては、いろいろな種類のものがございまして、これにつきまして、国庫医療費に対する補助、あるいは事務費補助のやり方が個々になっておりますことは御指摘通りでございます。国民健康保険につきましては、二割の医療費補助をいたしております。これは、御承知のように国民健康保険に対しましては、事業主負担というものがございませんので、特に二割の国庫補助をいたしておりまして、健康保険につきましては、何ら医療費に対する補助というものをいたしておらなかったのでありますが、御承知のように政府管掌健康保険につきまして、非常な赤字になっておりまして、財政の基盤がきわめて脆弱になっておるような事態にかんがみまして、今回初めて国庫補助をやる、こういう考え方をとった次第であります。
  8. 井堀繁雄

    井堀委員 健康保険国民保険制度それ自身の共通点については、申すまでもありませんが、ただ補助について、政府考え方が今二つの点について明らかにされました。一つは、健康保険雇い主の一部負担による保険財源を求めておることはその通りであります。いま一つは、保険経済赤字をあげておるようでありますが、この二つ相違のうち、健康保険について事業主負担があるということは、この保険の歴史的な経過並びにこの持つ保険性質が、単に一般国民健康保険と異なり、一種の労務管理を加味しておりますことは当然でありますが、この関係を私ども明らかにしないで、ただ表面上保険財源の重要な部分を一部雇い主負担をしておるからということをもって、健康保険国民保険との補助に対する相違を争うということは重大な関係が令後起ってくるのであります。これがもし大蔵当局のお考えであるか、政府の総合的な意見としてそういう御答弁をいただけるのかは、ただいま社会労働委員会審議をされておりますものと重大な関係がありますから、この点は重ねて念を押す意味でお尋ねをしておきたい。  それから赤字の点については、今日政府管掌健康保険は、その経営は全く致命的な赤字に当面しておるわけであります。この点では五十歩百歩の論議はあるかもしれませんが、第二の理由は、あまり大きな理由にならぬ。もしその理由があるとするならば、片方が二割とするならば、その割合の上において論議されていくべきじゃないか。それならば、その割合についてどういうふうに御判断なさって二割と三十億との差をつけられたかについて、お答えをいただきたいと思います。
  9. 宮川新一郎

    宮川政府委員 国民健康保険法の二割と今回の政府管掌健康保険に対しまする三十億の根拠でございますが、二割につきましては、事業主負担のない国民健康保険の実態を考えまして、すでに二割を補助することにしておったのでございます。政府管掌健康保険事業主負担があり、国民健康保険事業主負担がないからというわけで、一つには二割国庫補助をし、こっちはやっておらぬという建前ではございません。国民健康保険につきましては、今申しましたように、事業主負担がないという事態にかんがみて二割国庫補助をいたしておったのでございますが、その他の健康保険につきましては、これは保険経済として自立してやっていくべきであるという考え方からいたしまして、政府は従来医療費に対する補助という考え方をとっていなかったのでございます。しかしながら、先ほど私は赤字の点を申しましたが、単に政府管掌健康保険赤字があるということだけではございませんで、医療保障の前進と申しますか、発達という見地に立ちまして、医療水準を下げないで健康保険が営まれるようにするために特に補助をしよう、今回三十億をきめましたのは、政府管掌健康保険の本年度の収支予想を見まして、それに対しまして他の保険とのバランス、財政事情等も総合勘案いたしまして三十億をきめた次第でございまして、その間に一貫した思想がないことは御指摘通りでございます。  その他日雇い健康保険、あるいは組合管掌健康保険共済組合健康保険等いろいろございますが、それらの健康保険全体を通じまして、政府国庫補助をどのようにすべきか、また一部負担はどのようにすべきかという点につきましては、今後、特に今年度はそれがための調査費用を計上いたしまして、慎重検討した上で総合的な対策を立てたい、今年はとりあえず政府管掌健庫保険に対して三十億を補助することにいたしたい、こういう考え方に立った次第でございます。
  10. 井堀繁雄

    井堀委員 これは非常に重要なことでありますから、もう少しく、それでは御答弁を願う上に便宜であろうと思いますから、一つ一つについて数字をあげてお伺いいたしたいと思います。今私の申しました医療保険だけに対する政府補助金なりあるいは財政融資なりについて、たとえば政府管掌健康保険組合経営する健康保険日雇い健康保険、あるいは船員保険国民保険については先ほど私が申しましたが、あるいは公務員共済組合市町村職員共済組合、それぞれ政府が支出しておると思いますが、その支出の内訳とその額の相違理由を、大まかでけっこうでございますから、一つ出していただきたい。
  11. 宮川新一郎

    宮川政府委員 健康保険に対しましては、被保険者一人当り百四十二円二十銭で、事務費補助をいたしております。これに対しまして、さらに今回三十億の業務執行に要する費用補助をいたすことになっておるわけであります。  国民健康保険につきましては、医療給付費の二割といたしまして、六十三億六千七百万円の補助をいたしております。そのほか事務費補助といたしまして二十億五千八百万円、さらに直営診療所補助といたしまして二億円、指導監査委託費といたしまして二千四百万円、保健婦設置補助といたしまして一億七千万円、これらを合せまして、国民健康保険助成費といたしまして八十八億一千九百万円を予算に計上いたしております。  船員保険につきましては、疾病部門に対しましては、今回一億円を予算に計上いたして補助をすることにいたしております。その他失業給付年金給付がございますが、これは医療関係ございませんので割愛いたしまして、業務取扱いといたしまして六千万円を補助をいたしております。  日雇い健康保険につきましては二億二千四百万円を補助をいたしております。
  12. 井堀繁雄

    井堀委員 数字については今にわかには困難かと思いますが、あとで資料として提供していただけばけっこうだと思います。もう一ぺん注文いたしておきたい。それは、被保険者一人当りに対する単価はどういうぐあいになっておるか、それから事務費はもちろん別でけっこうであります。国家公務員の場合は、全額国庫負担になると思いますが、そこで私がこういうお尋ねをいたしますのは、一方においては福祉国家を指向する社会保障制度の確立について、政府も高く政策を掲げておるわけであります。このことは、ただそういうスローガンだけでは、われわれはもちろん理解すべき事柄のものではありません。問題は、今私の指摘したものに対して、全体の財源、あるいは国の経済力等を勘案してどこにどうすればいいかという配分の問題もあるかと思います。その配分をいたす場合に、どこに重点を置くべきかということは、立場こそ相違すれ、福祉国家を指向しするものとしては、この点を正確に理解しないで論議することはできないと思う。ことに国の財政を預かる大蔵当局としては、この問題に対して十分な理解なくしては、私は国の貴重な財政を左右するということは許されぬと思うのであります。そういう意味でお尋ねしておるわけであります。ことに今私どもは、健康保険改正なり、あるいは船員保険改正なりについて、非常に重大な段階にあるわけであります。一方においては、医療担当者に犠牲を強要するような改正内容が出てきておる、今日医療保険にとっては、全くその死命を制せられるような、われわれは改悪と言っておりますが、保険内容を改変しようとする、すなわち被保険者負担を増大してこの赤字を補てんしようというような行き方は、これは全く保険の精神をじゅうりんしたものであるといわなければなりません。そういうような改正案が今出てきておるわけであります。よってもってこれが理由としては、保険経済赤字をあげて終始答弁に当っておるのが政府の態度であります。もちろん保険経済赤字をどう解消するかということについて、われわれも協力しなければならぬことは申すまでもないのであるが、そこでその大事な点は、今健康保険赤字理由は、政府指摘しておりますが、大きな理由二つあげられておる、一つは、保険経済の唯一の財源であります標準報酬、すなわち保険料の収入減をあげておる、それに医療費が見合わない、このことをはっきりするために、今他の委員会で論議をしておるのでありますが、この原因をあなた方はどうお考えになっておるかということが大事なんです。一つは、政策を扱う大臣でなければ答弁ができぬと思いますが、一つは、事務当局が答弁ができると思います。その事務当局の答弁のできることについてお尋ねするのですが、それは、あなたも御存じのように、健康保険が急に赤字を出してきたのは、昭和二十八年の暮れから二十九年、三十年度にかけてである。これは一方において政府が緊縮政策、すなわち健全財政という美名のもとに、非常な大幅に財政全体にわたり、あるいは金融経済の全体にわたる政策の転換をはかったことであります。それが金詰まりを来たして、ことに中小企業、零細企業に対して致命的な打撃を与えて、先ほどあなたも指摘されたように、健康保険保険財源のその半ばが、雇い主によって負担されている、その雇い主である——すなわちここでいいますと、健康保険の中でも、組合管掌と政府管掌のその二つをあげてみてもわかりますように、今日組合管掌は九百幾つに上るのでありますけれども、その大部分は、おおむねその保険経済というものはやや小康を保っているという姿で、少しながらも黒字を出している、政府管掌の方が赤字を出している、その理由は、政府もあげておりますが、その被保険者の大半は中小企業、零細企業に依存しているということを言ってているのであります。その通りであります。すなわち同じシステムのもとに経営せられている組合保険が大企業のもとにあり、政府管掌が零細企業や中小企業を対象とするというそのことは、すなわち政府のとった経済政策、財政政策、産業政策というものの一番大きな被害を受けた部分がすなわち労働者の賃金、すなわち報酬実額の減少となって保険経済に響いてきているということは、争えない事実であります。それはこういう政策上の転換から起ってくる社会保険制度赤字というものは、当然他の政策をもって補うことが政府の責任ある措置であり、今日の政府管掌赤字というものは、政策転換によるところのものであるから、当然その保険財政についての赤字補てんも他の政策において行うべきである。言いかえますならば、国の財政の中にこのような金額を見込んでいなければ、それは総合的な政策とは言えないのであります。一般にいわれるように、大企業保護のもとに中小企業、零細企業を如実に圧迫したということを、この面においても自白することになるわけであります。しかもそれが、日本福祉国家を指向する重大な社会保険政策に対して、自殺的な大きな被害を与えたということでありますから、こういう関係からするならば、あなたはさっき国民保険健康保険に対する補助の点について差をあげられておりましたけれども、もしその差をあげるとするならば、私は国民保険健康保険を同率に、その金額においてはいかほどが妥当かということはあとで論議されるべき問題であるが、今日の三十億ということはもってのほかであります。現に社会保障制度審議会、あるいは社会保険審議会は、あげてこの医療費の二割は当然国庫負担すべきことを答申しているのであります。大蔵省はこれをがえんじないで、わずか三十億に減ぜられたということは、この点について私は重大な責任を問われなければならぬと思う。こういう点について、私は他の委員会において資料をわれわれの立場からも要求し、また私どもの調査も明らかにして、以上申し上げたものに対してただ観念論ではなしに、具体的事実をあげて、当然国庫負担すべきことを政府に勧告しているのであります。そこでその財布を握っております大蔵省は、ことにこの特別会計をこの際いじろうとする場合において、こういう根本的な問題に対する考え方が間違っているのではないか、この点に対する問題を明らかにしたいために、私は質問をしているわけでありますが、あなたに御答弁を願える点については、同じ医療保険制度の中において甲乙をつけるというならば、その甲乙については、それぞれりっぱな理由があげられなければならぬと思う。その理由が今まできわめて不明確であります。不明確というよりは、明らかにされていないのであります。この際このことを明らかにする必要があると思うので、さっき申し上げたような資料については、もちろん一つ詳細に出していただく、それによってまたお尋ねをいたすことがあろうと思いますが、一応その点ばお願いしておきます。  それから健康保険に対する補助金を三十億にしぼった。答申案も二割の要請をしており、それが一般の世論になっておるにもかかかわらず、この面に対してきびしいしぼり方をしておる。この点が医療担当者の反撃を受けて大きな社会問題となろうとしております。この問題を部分的に扱うことなくして、根本的には財政的な措置の上に大きな誤まりがあるのでありますから、これに対して、大蔵当局としてはどういうふうにお考えになっておるか、この点に対するお答えを願いたいと思います。
  13. 宮川新一郎

    宮川政府委員 非常に重要な問題でございまして、事務当局の私が御答弁申し上げる問題じゃないかもしれませんが、先ほども申し上げましたように、健康保険につきましては、将来国民皆保険を目途といたしまして総合的に研究調査いたしまして、いかなる国庫負担制度をしくのがいいのかということを検討して参るつもりであります。今回三十億の補助を出すことにいたしましたのは、御承知のように、三千万という人数の人がまだ健康保険の恩典に浴しておりません。こういう点も考えまして、今年度の政府管掌健康保険の収支の状況というものを勘案いたしまして、一部負担につきましては、いろいろ御意見がございましょうが、英国、西独、フランス等いずれも一部負担を実施いたしておりますので、今回一部負担をある程度拡大いたしまして、それとあわせまして国からも補助をして、とにかく三十一年度収支のバランスがとれるというところに持っていこう。まずこれを発足点といたしまして、将来もろもろの健康保険のバランスというものを考えていきたい、かようにみえておる次第でございます。
  14. 井堀繁雄

    井堀委員 私のお尋ねに御答弁にならぬのでありますが、しかし今あなたが指摘されましたように、まだ国民の全体が医療保険の恩典に浴していない。約三千万、政府の統計によりますと、二千九百六十八万七千と発表しておりますが、私はこの数字は重要だと思うし、あなたがあげられましたから明らかにしておきたいと思います。今日健康保険の中においては、その適用範囲を拡大しなさい、すなわち五人未満の零細企業場はこの恩典からはずされておるじゃないか、日本の産業構造の上から見ていきますと、五人未満の事業場というものはきわめて重要な経済的な役側、社会的な役割を果しておるのです。その地位は、侮りがたい大きな力になっておることを、われわれは数字をもって説明することができるのであります。その零細企業のもとに置かれております労働者こそが、この健康保険の保護をまっ先に受けなければならぬ対象になるのであります。この範囲の拡大をしなさいという審議会の答申があるにもかかわらず、その困難な理由として、一つ事務的な操作をあげておりますが、大きな理由は、私は財政上の問題だと思います。だから、こういう点であなたは逃げようとしておりますが、他の国民の大部分、私はそれが二千九百万のうちの約一千万に相当すると思うのですが、もっとになるかもしれません、これを健康保険の中からいきますと、雇用労働者で残されております者が三百七十五万五千と政府は発表しております。しかしこの雇用者は、今いう零細企業の労働者、ことに今問題になっております日本の雇用の分布の中で、政府の統計の中では不完全労働、あるいは不完全就業という言葉で統計の上に表わしております。私どもはこれを潜在失業、すなわち、かつぎ屋をやったり、紙芝居をやったり、露店商をやったり、というふうに、正常な生計費を得るに足らないわずかな収入しか得なくても、その人たちは失業者でない。そうして、これは労働政策の中でも保護を受けない。あるいは三百人未満とか、あるいは一千万円以下の資本金とかいったような一つの線を引いて中小企業というものを規定しておるようでありますけれども、上は規定しておりましても、下は規定してないのであります。でありますから、見方によれば、中小企業という十ぱ一からげの言葉で通産行政の中でめんどうを見なければならぬものかもしれない。そうでなければ、潜在失業ということにして、労働政策の中で保護を加えなければならぬ。どちらにしても、今日の世の中で一番社会保障制度の保護を的確に受けなければならぬという人々がはずされておる、それが今ここに二千九百万おる。でありますから、この拡大は他の方法によって行おうとしておるのであります。帰するところは、財政上の政府負担の問題である。あなたの答弁は逆なんだ。あなたが健康保険に対する負担の増大を考えられるなら、この問題は解消してくるわけであります。さらにあなたはヨーロッパの例をあげて、一部負担がいかにも妥当であるようなまねごとを言っておりますが、これは厚生省が寝言のように言っております。しかし欧米諸国の社会保障制度は、国民所得という社会保障制度考える大前提において、背景がまるきり違うのです。だから、そういう引例を用いて財政支出の負担を故意に否定しようとすることはとんでもないことである。そういう誤まりを改めなければ、私どもは法案審議に当っても、政府の主張を正しく判断することができぬのであります。こういう点に対して、私は御答弁を伺えば伺うほど疑いをますます深くするだけであります。社会保障制度に何らの理解のない当局の措置を、私は非常に憂うるのであります。こういう点を質問しておるのでありますから、今すぐ答弁が困難でありますならば、一つ数字を準備されて御答弁をいただきたい。  ついででありまするから、具体的なものを一、二お尋ねいたしましょう。この法律と直接関係のあるものでは、健康保険勘定と日雇健康保険勘定を再生保険特別会計の中で法律処理しようという行き方をしておる。あるいは船員保険勘定の中で、国家公務員共済組合あるいは市町村職員の共済組合をそれぞれ扱おうとしておるようでありますが、それは、技術上の問題についてはそう格別問題はありません。ただここで重視しなければならぬことは、厚生年金保険の金は、これも社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会等が答申しておりますけれども、一千三百億を突破しているでしょう。その積立金は、当然こういう保険関係にすぐ還元できるような方法の管理が望ましい。それを大蔵省の運用部資金の中に一括投入して、まあ諮問機円はあるようでありますけれども、大蔵大臣の裁量で自由に動かせるというようなやり方、ことにこれは、この前も私は他の委員会で質問して明らかになっておるのでありますが、要するにその原資というものがどういうふうに使われておるかということが重大なのであります。こういう関係がこの問題の中にあるわけでありますから、そこで第一にお尋ねいたしたいと思いますのは、一体日雇い健康保険の勘定と健康保険勘定の中で、また年金勘定も一緒に答弁をいただかなければなりませんが、ここでは、貸付をしてその回収をはかるという管理の問題でありますが、一体こういう積立金の貸し出しの利率がいろいろ違うようでありますけれども、そういうもについて今御答弁が願えるものなら、すぐ御答弁をいただきますし、できないようだったら、数字的な問題でありますから、その勘定項目別に、預かり金に対する利率、それから財政投融資の形で出ていくものもありましょう、あるいは公債その他があろうと思いますが、そういうものに対する詳細な区分けをした受け入れ利率、それを明らかにしてもらいたい。  それからもう一つ、積立金の還元融資と思われるものは、ごく一部が労働者の産労住宅、あるいは療養施設、そういうものにのみしか還元されていない、この問題は非常に重大な問題だと思います。あと二、三お尋ねいたそうと思いますが、その大前提になりますこまかい点はあとで調べていただくとして、大まかな数字について、受け入れ利息の利率は一体どのくらいで、その年額はどのくらいか、それから貸し出しの利息関係の点について数字をお示しいただきたい。
  15. 宮川新一郎

    宮川政府委員 恐縮でございますが、所管が理財局になっておりまして、詳細な数字がございませんので、後日資料として出したいと思っております。預かり利率は七年もので六分、五年もので五分五厘になっておりまして、これの運用利率につきましては、後日資料としてお出しするということで御了承願いたいと思います。  なお先ほどお触れになりました運用の点でございますが、御指摘のように、一千億を厚生年金の方は積立金がオーバーしております。これの運用につきましては、勤労者厚生住宅、中小企業金融、国民金融公庫に対する融資というふうな、主としてこういう中小企業関係、あるいは零細な労働者関係の方に対する融資額というものも年々ふえてきております。運用につきましては、資金の効率的運用をはかるという見地に立ちまして、大蔵省内で一元的に資金運用委員会の議を経てやっておるようなわけでありますが、貸付の方につきましては、できるだけ還元を多くするという配慮を加えておる次第でございます。
  16. 井堀繁雄

    井堀委員 あなたの方の一月末の厚生年金積み立ては一千三百四十八億何がしという数字になっておるようでありますが、これは莫大な金であります。しかもこれは、労働者の零細な永年にわたる積立金であります。また一部雇い主の苦しい負担の中から積み上げてきた貴重な金であります。その金がどこに使われておるかということは、無関心でおられぬわけであります。でありますから、この点に対する詳細な数字をそれぞれお示し願わなければならぬ。今すぐ承わりたいと思いましたが、お答えできぬようでありますので、次に還元融資の点であります。相当大幅な還元をしておりますが、金額でどのくらい、それから支払いと受け入れの利息の幅が何ぼの幅になるか、その点くらいはおわかりになると思いますので、その点一つ承わりたい。
  17. 宮川新一郎

    宮川政府委員 勤労者厚生資金、中小企業金融公庫、国民金融公庫、住宅金融公庫等を通じまして、三十一年度は四百三十億程度貸付を行うようになっておると承知いたしております。利ざやは、恐縮でございますがちょっと資料がございません。
  18. 井堀繁雄

    井堀委員 私のところである程度調査ができておりますが、正確を期する意味で、そちらの資料を出していただいてから質疑をもう少し続行したいと思います。  そこで大体お話しになったところによりますと、一千三百四十八億以上の積立金のうち、四百三十億がいろいろな意味で還元融資と思われると言っております。しかしわれわれからいうと、それが果して還元融資であるかどうかは問題があると思うのです。一応百歩譲って、当局の答弁通りそれが還元融資に該当するとすれば、わずかに四百三十億しか行なっていない。一千三百億のうちで、他の金は還元融資でないということだけは明らかなんです。こういう労働者のための厚生年金でありますから、勤労者のためにこれを大幅に還元融資さるべきであり、活用さるべきだと思うのでありますが、その点に対する大蔵当局の見解を伺っておきたい。
  19. 宮川新一郎

    宮川政府委員 あるいは誤解がおありになったのではないかと思いますが、御指摘のように、積立金の累計額は千三百億くらいになっておりますが、本年度資金運用部資金等と一緒にいたしまして運用いたします厚生年金関係の金は、三百十五億でございます。私が申しました四百三十億も、必ずしも厚生年金をそのままそっちに持っていくのではございませんで、全体を総合しての数字でございます。単純にこの三百十五億と四百三十億という数字の比較は私はできないと思いますが、同時に千三百億と四百三十億の数字も、また単純に比較することはできないのではないか、かように考えます。ただ私今申し上げたいことは、積立金の額は千三百億になっておりますが、今年度運用の原資として見ております厚生年金関係資金といたしては、三百十五億円であるということを申し上げておるのであります。
  20. 井堀繁雄

    井堀委員 これは、数字が明らかになりませんと論議が進みませんから、委員長にお願いしておきたいと思いますが、厚生年金勘定のみではありません、全体の社会保険関係しておりますから、通用部資金の原資全体について、たとえば郵便貯金のようなものもあるでしょう、あるいは簡易保険のような、勤労大衆の零細な金も入っておるようであります。そういう全体についてもっと詳細な数字一つお示し願おうと思います。至急に最も新しい資料を提供していただきたい、この点はあとでまたお尋ねをします。  この際やや抽衆的に流れますけれども、還元融資を行うということについて、何か特別に配慮をしておらぬかどうか、特に私はずっと前からこの問題について政府の意向をただしてきておりますが、半ば明らかになってきておりますことは、還元融資は大幅にいたしたいということは、たびたび大蔵大臣の言明するところであります。そこでその還元融資をしたところで、こういう貴重な金でありますから、確実に回収されなければなりますまい。あまり長期で多額の金を還元することは困難でありましょう。しかしこの積立金は、長期保険の金でありますから、そうとばかりは言い切れぬものがあると思います。その辺の数字を並べて論議をしなければ明らかになりませんが、ここで聞いておきたいことは、一体還元融資はどの方面に行おうとしておるのか、あるいはしなければならぬと思っておるのか、この点に対する考え方だけでも伺いたい。
  21. 山手滿男

    山手政府委員 その点については、今お示しがございましたように、できるだけ努力をして還元をしていくようにいたしたいと考えておりますが、たとえていえば、勤労者厚生住宅のごときものにつきましても、積極的な融資を行なっていく所存でございます。
  22. 井堀繁雄

    井堀委員 これは、たびたび大蔵大臣からも今の次官のような御答弁をいただいておりますから、そのことを念を押す必要はないので、還元融資をやるべきである、ただやるべきであるといいながら、具体的にそれが運ばれなければ意味がないのであって、今日はその具体的な方法をお尋ねしようと思って臨んだわけであります。数字が明確でないから、数字的に議論ができませんけれども、千三百億の積立金のあることだけは間違いない。そのうちのどの程度のものが還元融資できるか、またその融資の範囲はどのくらいかというお考えがあるはずである。それがないとするならば、こちらから具体的にお尋ねすることにお答えできないじゃないですか。しかし、それは当然大蔵当局としては方針を堅持されておるべきであります。たびたび一萬田大蔵大臣は、この委員会でも、還元融資をいたしますということを言っておる。それを事務当局の方は聞いておるわけです。
  23. 山手滿男

    山手政府委員 先ほどからいろいろ御説明がございますけれども、一応数字としては千三百億の積み立てがあるということになっております。その千三百億は、毎年運用計画に基きまして運用をいたしております。今その千三百億の運用計画、そのほかこまかい内容については資料を持ち合せておりません。それではすぐこれだけ還元融資をいたしますと御答弁申し上げる材料を持っておりませんけれども、御質問でございますから、できるだけ早い機会にこの資料をととのえて御返事を申し上げたいと思います。
  24. 井堀繁雄

    井堀委員 きょう大蔵大臣が出席されておりますれば、そういう御答弁では満足するわけにはいかないのです。これは初めてお尋ねするのではございません。こういう貴重な莫大の金をお預かりしておる当局者としては、その管理については常にその方針を堅持され、その使途については明らかにしなければならぬ性質のものだと信ずるのであります。今の御答弁を聞いて非常に残念に思います。一つ委員長にお願いしておきたいのですが、午後の会議でけっこうでございますが、この問題はすでに資料がおありになるはずだと思いますから、整理してぜひ発表していただきたいと思います。  それから次に、船員保険関係であります。さっき大蔵当局は、一部負担の問題について何か諸外国の例をあげて答弁されたのでありますが、もし船員保険の場合においてその議論が成り立つならば、これは非常に重大であります。御案内のように、この船員保険は、健康保険国民保険とは著しく本質を異にするのでありまして、海上労働者の特殊事情から、船員法によってその災害については明らかに補償の道が確立されておるわけであります。すなわち船員法の八十九条で、船員が業務上負傷しまたは疾病にかかった場合においては、その船舶所有者全額その費用負担を命じておるわけであります。ところが今度の改正によりますと、一部をやはり被保険者初診料その他の形において負担して、それを後に船主が支払うという立てかえの方法がとられようとしておるわけです。このことは、筋の上からいえば一時立てかえではありますけれども、実質的には、十分な療養を妨げる結果になることは明らかであります。こういう点については、船員保険勘定においては別な勘定を設けて、もし立てかえの必要があるとするならば、被保険者の立てかえによらないで、前払いの形式でやるなり、あるいは政府は別途の道を講じて、完全医療ができるようにすることが船員法八十九条の当然の趣旨だと信ずるのであります。こういう点については、今回の厚生保険の方の中にも、また船員保険の一部改正の中にも、きわめて不合理な矛盾が出ておるのであります。これに対して、大蔵当局はそれぞれ検討をされたと思うのでありますが、いかなる措置をお考えになっておられるか、この際明らかにしておいていただきたい。
  25. 山手滿男

    山手政府委員 さっきからいろいろ御答弁を申し上げておりますように、厚生保険あるいは政府管掌健康保険、あるいはこの船員保険、いろいろ問題を持っておりますが、政府といたしましては、できるだけ社会保障制度の趣旨に徹底するように、もっと合理的な、統一的な措置に出られるように根本的な改正をし、社会保障制度を推し進めて参りたい所存でございます。船員保険につきましても、政府管掌健康保険と同様、赤字も出ておりまして、この際まことに画一的で、議論としては筋の通らないうらみはございますけれども、一応こういうふうな制度を採用することによって切り抜けていこうということにいたした次第でございます。
  26. 井堀繁雄

    井堀委員 これは、見方によりましては法律違反になるわけであります。船員保険法でその責任を明らかにしておきながら、それを他の法律でということになりますと、そこにも問題がありますが、そのことよりも、きょうの私のお尋ねに対して大蔵当局から一向まともな答弁がいただけませんのを残念に思います。  そこで委員長にお願いしておきたいと思いますが、厚生年金関係の問題、それから資金運用部関係についても、大蔵大臣に前にいろいろ注文もし、答弁をいただくことを他の委員会でも約束しているわけであります。大蔵大臣が出席できればその機会を与えていただき、そこで明らかにしておきたい。それから先ほど来医療保険全体に対する政府負担関係、それからこの勘定科目の中における受け払いの関係については、数字を至急に取りそろえていただきたい。これは各省にあるはずですから、御提示をいただいて、それについてお尋ねすることにして、私の質問はこれで一応留保しておきたいと思います。
  27. 松原喜之次

    松原委員長 次に横山利秋君。
  28. 横山利秋

    ○横山委員 余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案について、お尋ねをいたしたいと思います。  余剰農産物協定も第二次になっておるわけでありますが、この協定の根本的なあり方について、政府としては考えるべき段階に到達をしておるのではないかと考えるのであります。と申しますのは、本来アメリカにおいて余剰であるものが、日本において必要な品であれば必ずしも問題はないのでありますが、しかしアメリカで不必要なものであると同時に、それは往々にして日本に不必要な、あるいは過剰なものであるということになりやすいのであります。もう一つは、最初のころには贈与分がある程度含まれておって、なるほど一部にはありがたいという感じはいたしました。しかしながら最近の第二次協定では、別に細目取りきめはいたしてはおりませんけれども、だんだんこれはなくなっておる、こういうような性格になっているわけであります。従っていろいろなことを考えますと、余剰農産物の輸入が日本の経済にどういう影響をもたらすかという判断をして、この判断を大事にしなければならないと私は考えるのであります。ただ見返り資金日本産業の復興に役立つことができるということだけに重点をおいて、輸入する品物が日本産業を混乱に導く、あまり利益をもたらさないというような状況に転じて参りますならば、これは仏作って魂入れずと申しますか、そんな感じがぼつぼつ濃化してきたように考えるのであります。従って本法律案が、本年度二十億一時借入金をするというところに焦点はありますものの、余剰農産物の今後について、政府はどういうものの考え方をいたしておって、そしてこの借入金をしようとするのか、まずその点からお伺いをしたいと思うのです。
  29. 山手滿男

    山手政府委員 ただいまのお話のように、余剰農産物協定によって余剰農産物を受け入れることにより、わが国の経済界には何ら利益をもたらさないのみならず、混乱せしめるということでございまするならば、もちろん政府といたしましては、こういうものを輸入する意思は全然ございませんけれども、今もお話しがありましたように、多少ともわが国の経済界にもプラスになり、それが相互に好影響を与える結果になるということであれば、せっかくでございますから、できるだけ協定の締結をし利用をするということにしていきたい所存でございますが、その内容、見通し等につきましては、農林当局が出席をしておりますから、農林省側から御答弁をしていただきます。
  30. 昌谷孝

    昌谷政府委員 余剰農産物の受け入れの問題につきましては、国内の需給関係なり、そういった食糧関係についてそれぞれの年の需給計画に基きまして、必要な要輸入量のうちの一部について余剰農産物の受け入れを行なっておりますというような関係におきまして、特に余剰農産物受け入れが必要以上の食糧の輸入を結果いたしておるということにはなっておらぬわけです。なおその需給計画等の詳細について御説明の必要がありますならば、食糧庁の輸入計画課長も出ておりますので、その方から説明していただきます。
  31. 横山利秋

    ○横山委員 抽象的に品物を受け入れた、その受け入れは必要な物資でありましてということでは、全然答弁にならぬと思うのです。もうすでに去年河野さんが向うへ行かれて帰ってきてから、大蔵委員会関係ではごうごうたる非難が葉タバコに集まりました。今綿花も過剰輸入だといわれている。大麦、小麦だって同じようなことがいわれているのです。余剰農産物の小麦四十五万トン、大麦十万トン、綿花十万俵、葉タバコ千五百トン等々については、ほとんどと言っていいほど過剰輸入ではないかという議論が今ちまたにあるわけです。すでに新聞の社説等におきましても、そういうような声が方方に出ておるわけです。あなたは簡単に、いや、これは必要なのでございますと言うならば、ほんとうに必要かどうか、その根拠を一つ示していただきたい。
  32. 山手滿男

    山手政府委員 葉タバコの千五百トン、これは非常に困るというふうなお話でございましたが、御承知のように、たばこの品質の改善をいたしまして、愛煙者にできるだけ品質のいいたばこを吸ってもらおうということで、アメリカ産の黄色種のかおりの高い原料を使って、いいたばこを作って愛煙者の要望にこたえていこうということは、私ども決して意味のないことではあるまいと思います。あるいは綿花の問題につきましても、日本の繊維産業の現況から、十万俵程度のものは十二分にこなし得るという考えでおる次第でございます。
  33. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官が急に発言をされましたけれども、あなたがおっしゃるならば、一つ葉タバコ論争をしてみたいと思います。去年河野さんが持ってきた、そのとき衆参両院で、ことに参議院ではごうごうたる非難が起った、新聞も一斉にこれを取り上げた。そうして専売公社を呼んで聞いたら、専売公社は、ストックが三年分ございますと言った。そんならお前の方は反対したかと言ったら、反対しました、反対しましたけれども、諸般の情勢上、政府の御命令でございますから聞かざるを得ませんでしたと参議院で答弁をしているのです。その間高級たばこの売れ行きはどうかというと、どんどんどんどん減少している。一方国内産の葉タバコは二割の増産で、これまた必要性が乏しいという状況で、去年大もめにもめたのです。そこで、この間たばこの値下げの際、専売公社に質問した。そうしたら、あなたもいらっしゃったかもしれませんけれども、あのときたくさんできたのをどうするかという話から、品質をよくしますという話になった。初めからタバコの品質をよくするという話ではなくして、あり余っておるからよくして、それを利用していくという話であります。だから、これは本末転倒もはなはだしいと思うわけです。従って、ここにまた千五百トン葉タバコを輸入する必要が今日あるとはとうてい考えられない。必要があるといたしましたならば、参議院なり先般当委員会においてお答えいただいた話とまるっきり違うと存ずるわけです。従ってこれはどうしても輸入しなければならないものであるかどうかという点については、政府側としても、腹の中で因ったものだと思っていらっしゃるだろうと思う。事ほどさように、葉タバコばかりでなくして綿花についても、また話をしたければ私の方も言いますけれども、しかし考えなければならぬことは、資金が電源開発なり、農地開発なり、開拓なり、あるいは森林、漁港等に必要なことはわかるのであります。しかしながらこの余剰農産物の協定というのは、コマーシャル・ベースで行われるのでありますから、恩に着せてもらう必要はそうないではないか、なぜもっと日本の経済に必要な品物を輸入しないのかと私どもは言いたいのです。そういう点について、今後過剰輸入の傾向にあるものならば輸入をしないで、もう少し考え方を変える気持が政府としてあるのかないのか、こういって聞いておるのでありますから、葉タバコをもっと輸入をいたしますというようなとぼけた返事をしないで、もっと誠意をもって御返事を願いたいと思います。
  34. 山手滿男

    山手政府委員 葉タバコの議論が出ましたが、御指摘のように、国内産の葉タバコは相当量ストックがございます。その通りでございますけれども、ただ問題は、専売当局といたしましても、原産地の黄色種のような相当高級な原料があればさらによいたばこができるであろうということでございまして、国内産の原料に加えてそういうものを入れますと、ややぜいたくのきらいはございますけれども、さらに良質なたばこができまして、愛煙家の御期待に沿い得るであろう、あるいはどういう答弁を専売公社からしているか知りませんが、私の聞いておるところでは、従来国内産の原料だけを使って組み合わしてよいタバコを作るということに一生懸命になっておりまして、長年外国産の原料葉を使った経験が薄いものでございますから、いきなりそういうものを入れてきてもいろいろ使いでがよくないというふうなことで、二、三異論もあったようでございますけれども、すでに戦争後相当日時もたっておりますから、外国の原料葉もある程度入れて、さらに高級なものを作って愛煙家の御期待に沿うということも、専売公社として意味のないことであるまいと思います。ただ横山委員の御指摘通り、余剰農産物をむちゃくちゃに入れたり、無定見に唯々諾々と入れますといろいろ影響もございますので、今後こういう協定をいたします上においては、関係方面でよく協議の上、遺憾のないように処置をいたすべきであろう、こう考えておる次第でございます。
  35. 横山利秋

    ○横山委員 きわめて率直なお話ですけれども、そういうことは、去年高級葉タバコが輸入されましたとき、政府側から答弁をいただいておるのであります。従って、今後の輸入については、注意いたしますといっても、ほんとうにその言葉通りにおやりになるかどうか疑わしい。それだったならば、去年なぜ同じような答弁をしていながら、今年過剰輸入をしなければなぬかと言わなければならぬ。本来この余剰農産物の制度は、御存じのように、通常輸入の上へさらにプラスするわけですから、あなたがお話しのように、高級たばこも、若干いるのだという点は、通常輸入の上で入ってくるわけであります。三年分もストックがある上にさらにプラス・アルファをするということは、どう考えても納得ができないわけです。去年ストックがたまって、そうしてことしは通常輸入のほかにまたアルファをつけて、そうして専売の高級たばこの売れ行きが乏しいが、国内産の葉タバコは、これは高級ではないにしても増産がたくさんいっている。そうすれば、専売の資産の蓄積というものは、こういう意味では相当行われているわけです。ところが一方において、収支の問題からいって利益が少いということになってくる。最近たばこは安くした。これは安くして、たくさん売ってもうけようということである。ところがこちらの方で資産の増加をいたしますために——この間もあなたに御質問したところ、一向答弁なさらぬのですけれども、専売の調停の話がなかなかつきません。もうからぬからだと言う。もうからぬどころではない、こちらの方で資産を増加しておいてもうからぬというのは、よう言えた義理だと思う。これは少し話が発展をいたしましたからやめますが、この間のあなたの答弁で、専売の調停の問題については、まだたなざらしになっておりますから、今向うで交渉しておるようでありますが、こういう点もお考えになって、単にそろばんづくで金がないと言わないで、諸君のお金で同級葉タバコの増産ストックがあり、国内産もたくさん出ている。従って金が物に変っているんだから、この物分はこれは諸君のかせぎためた金だから、これで少し年度末手当は余分に出す、こういうふうに話をしなければものにならぬのです。その点は一つ十分に御留意を願いたいと思います。  それから今後の問題としては、今申しましたように、この余剰農産物の協定をするに当っては、去年もことしも同じようなことを言っておるわけでありますから、品物の問題については、厳選をされることがどうしても必要だと考えるのであります。それからこの二十億の借入金をするについて、借り入れる予定の資金の受け入れ時期が、船積み完了から日本に到着して輸入業者の代金支払いがあるまで、およそ二、三カ月かかる、ところがその融資先は早く出したがらぬ。だから二十億を一時借り入れをするんだ、こういうふうなわけであります。融資をする先は、まことに至れり尽せりの政府の手厚い援護でありますが、この輸入業者かなぜもっと早く払わないのか、どうして、二、三カ月かかるのか、この点について一つ説明を願いたいと思います。
  36. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 食糧について例を申し上げます。食糧の輸入をいたしますには、食糧庁で輸入の競争入札をやりましてどういう人間がその食糧を日本に運んで参りまして食糧庁に売るかということを、まず第一段階でやるわけでございます。そういたしまして、ほぼ一カ月ないし二カ月半後に積み出すべき食糧を買って、食糧庁に納めます人間を決定をいたします。そうして決定されましたものが現地におきまして通常の輸入でございますれば、向うの外商、あるいは向うのCCCから買うものでありますればそこと契約をいたしまして船の手配をいたしまして、一品本に食糧を運んで参るわけであります。その船の運送期間が約一カ月程度かかるわけでございます。それでそのようにいたしまして、二カ月ないし二カ月半かかりまして、日本の港に物を持って参りましたときに検査をいたしまして、ようやく食糧庁が金を払うわけであります。その払いました金を、外為に輸入業者は積み立てるわけであります。そのような経緯で、輸入商社が食糧庁からこの金を受け取りますまでの間、これを積み立てるわけには参らないわけであります。事前に積み立てるという措置は講じておらないわけであります。
  37. 横山利秋

    ○横山委員 かりにそうだといたしましても、これは方法は私はあろうかと思うのです。先にその輸入業者に一部の金なり何なりの納入をさせる。そうすることによって、この問題の一部の解決は私はできょうかと思います。それからその融資先にしたところが、金を貸してやるというときに、金は入っていないけれども、政府一つまずもって貸してやる、そういうような至れり尽せりの仕事をしなければならぬものかどうか、取り立てる方を、業者から早くその一部なりを取り立てる、そうして融資の方を少し待たせることによって、この問題は解決が可能だと思いますが、それがどうしてもできないものであるかどうか、その理由一つ説明をして下さい。
  38. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 これは、理財局の方から御答弁をいただいた方がいいんじゃないかと思いますが、食糧の輸入というものは非常に多額な金を要しますものでございますから、これを事前に融資するというような措置が講ぜられますれば、おっしゃるような方法も可能であろうかと思います。全般的な問題については、大蔵省の方から御答弁願った方がよろしいかと存じます。
  39. 山手滿男

    山手政府委員 横山委員の御指摘の点は、ごもっともな点もあるのでございますけれども、余剰農産物等につきまして、輸入につきましてもいろいろ時期がずれて参りましたり、いろいろなことが起きます。片一方融資をいたします方につきましては、各年度におきまして、事業関係のあるいは漁港とか、あるいは何とか、いろいろ計画を立てて事業を行おうといたしておるわけでございまするので、その間のいろいろなずれがございます関係上、やむを得ずこういうふうな措置もとろうかということにいたしておるわけであります。
  40. 横山利秋

    ○横山委員 それでは理由になりませんね。今のお話でも大蔵省で少し考えれば、事前に融資をしたらそんなことをしなくてもよろしいと言っておる。あなたの方でこれができないという理由はありますまい。相手は業者です。これは商売でやっておるのです。商売でやっておるのですから、金をほしければ金を貸してやるといえばいい。何も両方にこんな手厚い援護をして、二十億の借入金を作って、両方に政府がいい顔をしなければならぬという理由がどこにありますか。両方とも商売でやっているんだから、商売でやらせるようにしたらどうです。どうしてこんな手厚い援護をする必要があるのか、なぜ事前融資ができないのか。
  41. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま計画課長の方からも説明がありましたように、食糧等につきましては相当膨大な資金量でもございまするし、いろいろ複雑な手続等を要して参ります関係もございまして、現在のところは、事前にそういう融資をつけて、これをやらすということはいたしておらないわけでございます。
  42. 横山利秋

    ○横山委員 そういうことを聞いているのじゃない。現在のところはやっていない、それをやれというのですよ。やれない理由は何か、ほかの方にも融資をやっておる。こちらの方は融資をやらずに、そうして輸入業者が一文も損がかからぬ。片一方は、政府がその間の銭を無利子であっちこっち工合のよいようにするということをしなければならぬ理由があるかといって聞いている。現在までそうであるにしても、これからなぜそうしていけないのか、そういうことを聞いている。
  43. 山手滿男

    山手政府委員 なぜということでなしに、従来からそういうふうなことでずっと支障なくやってこれておったわけでございますけれども、こういうふうにしなければ今日の段階ではいけなくなったから、こういうふうにやろうということでございます。
  44. 横山利秋

    ○横山委員 まだ私の質問に対してはっきりした答弁がないのですが、今までやっておったのが悪い。そんなことまでしなくてもいいというのです。商売でやっているのだから、その前売でやっている人に先に金を融資して、金が払えるようにきちんとしてやって当りまえではないか。そいつを、お前の方が金がなければ、政府でポケットに二十億金を作っておくから、お前はそうすぐに払わぬでよい。こっちのいるときには二十億の金で支払っておくから、そう急いで支払わなくていいということにひとしいのです。そんなことまでやる必要はない。膨大な利潤があるのでありますから、早く輸入業者から代金を支払うように、全部とはいわぬが、少くとも一部ぐらい先に払え、その払う金がなければ、少し利息はつくけれども融資する、普通の問題じゃありませんか。そういうふうに普通のベースでこれをやらしたらいいじゃないか、なぜそれがやれぬのか、今までのことを言っているのではない。
  45. 山手滿男

    山手政府委員 さっきから申し上げておりますように、いろいろな事業は、第一次分から、すぐ貸付計画に従って借り受けをして工事をやっておるわけでございまして、そっちの方は資金の需要が定時にあるわけでございます。ところが第二次の余剰農産物協定は非常におくれて参りまして、物が金になるのが非常におくれます。おくれますから、その間の融資等を円滑にするためにもこういうことをやったわけでございまして、別に他意があるわけではございません。
  46. 横山利秋

    ○横山委員 他意がないかしらぬけれども、政府は少し手厚い援護をやり過ぎる、三カ月でなく、業者にもっと早く払わせなさい、こう言っているのです。直接国が二十億金を積んで、両方に工合のいいようにしてやるほどの何か特別な理由があるのか、なぜそれだけ業者に手厚い援護をしなければならぬかということを開いている、この点はどうもあなたのお話は納得できない。政務次官は何か焦点を御存じないような御答弁ですけれども、もっと私どもに納得のできるような——二十億の仕入金をしなければならぬというのは、私が質問している意味においてはわかっています、あなたの御説明を伺ってわかっていますけれども、それをやらなくても、代金支払いを早くさせ、そうしてこちらの方の予定の融資先に対しては、かくかくの事情で金が入ってこないんだから少しぐらいはおくれるという、両々相待てば特別な措置をする必要はないではないか。融資先の日本の経済開発については、金が要るということはわかりますよ。そちらの方に重点を置くことができなかったら、業界の方からの代金の支払いをもっと督促する、あるいは事前契約金といって金をとる、こういうことは何ら差しつかえないではないか、これができない理由は何かということを聞いている。
  47. 山手滿男

    山手政府委員 第二次の協定は、いろいろな交渉の経緯などもございまして、非常におくれました。それは輸入業者等の側における責任でおくれたとかなんとかいうわけではございませんが、非常におくれました。片一方においては、さっきから申しておりますように、工事等の関係資金が要るわけでございますから、輸入業者にあらかじめ積み立てさせて出さすというふうなことは、必ずしも適当でもないと考えますので、融資そのほかを円滑にするためにこういう措置をしたわけでございまして、それ以上の何ものでもないわけでございます。
  48. 横山利秋

    ○横山委員 それ以上の何ものでもないということをはっきりおっしゃると、それ以上の何ものかがあるような気がする。そんなことを聞いているわけではない、私は業者と政府の問に何かうしろ暗いところがあるといって聞きましたか、聞いてないでしょう。それにもかかわらず、あなたがそれ以上のことはありませんとおっしゃるところに、何かあるような気がする。私はそれを聞いているのではなくして、契約金として金をとったらどうだ、こう言っているのですよ。法律契約金として金をとってやっていけないことはないじゃないか、業界が金がないというなら、農林省がおっしゃったように、それこそ少しの利息はつくけれども融資をしてやる、こういうふうにしていいじゃないか、普通のベースでそれをやりなさい、こう言っている。何も二十億——この二十億の金がほかに回されたら、もっと喜ぶ一般的な問題がある、もっと広範な問題がある、もっと金の必要な場所がある。従って、これは全く画一な取引の問題だと思うのですが、こういうところまでそんなに手厚い援護をしてやる必要はないじゃないか、なぜ大蔵省はやってやるのか、こう向いている。同じ答弁なら必要ありません、あなたの弱みだと思って、私は次に移りますから……。御答弁がありますか。
  49. 山手滿男

    山手政府委員 輸入業者は、普通の手続で、普通通りの取引をやっておるわけでございますが、あらかじめ国の方で融資をしてやってでも積み立てさせろということでございますが、そういうことをやりますと、金利そのほかがつきまして、また価格そのほかにいろいろな影響がございます。そういうことは必ずしも好ましいことでもございませんし、この第二次の協定は、いろいろ交渉のいきさつ等もあって非常におくれたわけでございますから、輸入業者の責任に帰するような理由によっておくれて、この借入金が必要とされる事態になったわけではないのでございますから、こういう措置をとることにしたわけであります。
  50. 横山利秋

    ○横山委員 あまり押し合い問答ですと、時間がとれますから、私はこの辺でやめておきますが、どうしても今のあなたの御答弁には納得できません。これは二次協定がおくれたことから生ずる結果だ、これもわからぬでもない。わからぬではないけれども、おくれたからといって、こんな特別な——結果としてはそうなると思いますが、特別な措置をする必要はないということを特に私は申し上げておきたいと思うのです。  それから今度は金を貸す方ですね。貸す方が電源開発や農地開拓というふうにいろいろありますけれども、これの金を生産性本部へ十億円貸すそうでございますね。十億円貸して、それを生産性本部はどうするのですか。
  51. 山手滿男

    山手政府委員 御承知のように、この金は商中に預託をいたしまして、そうして生産性本部の方にそれを流すわけでございます。
  52. 横山利秋

    ○横山委員 十億円生産性本部へ貸し付ける、生産性本部はそれを商工中金へ預託する、商工中金は中小企業金融にこれを使用する。まるきりピンはねじゃありませんか。なぜそんなことをする必要があるのですか。(「前に聞いたよ」と呼ぶ者あり)これはだれかやったかしりませんが、そのとき私はおらなかったから、私がわからぬのですから聞くのですが、なぜそういうことをやらなければならぬか。電源開発といい、農地開拓といい、多少の問題はあっても、直接にそこがほしいからそこへ融資をするものです。それが一ぺん生産性本部をくぐって、そこへ貸してやるのは四分、それから商工中金へ六分五厘、商工中金は今度は中小企業へ何分で貸すのですか、九分六厘ですか、二回三回そこでピンはねが行われるわけです。十億円、かりに二分五厘として二千五百万円という金を、天下周知の中で一体どうして生産性本部にただやらなければならぬか。どうしてもやらなければならぬものなら、二千五百万円特別に何か支出してやるならばまだ話がわかる。みすみすわかったピンはねを生産性本部へやらなければならぬ理由一つ聞かせて下さい。
  53. 山手滿男

    山手政府委員 御承知のように、商工中金の金利は非常に高いといわれておりまして、商工中金の金利の引き下げを何とか合理的にやろうということを今度の予算の編成の過程においても種々検討をいたしましたが、中小企業の面における生産性の向上ということもございまするし、商工中金の金利の引き下げをいたしたいというふうな当面の具体的な命題にこたえることにもなりますから、ここを十億だけをピンはねと言われましたけれども、金利についてもかせがせようということにいたした次第であります。
  54. 横山利秋

    ○横山委員 ほかにこういうピンはねをやらしておる例がございましたら開かせて下さい。
  55. 山手滿男

    山手政府委員 お示しのように、ピンはねという言葉を使うのは適当じゃないと思いますけれども、二、三あると思いますから、事務当局から御質問をいたさせます。
  56. 竹内俊吉

    竹内説明員 そういうピンはね的なものではございませんが、一応ある機関を通して出すというのは、これとうらはらになっております商工中金の金でございますが、これを運用部から一応中小公庫に貸しつけまして、中小公庫からさらに商中に貸し付けるわけであります。
  57. 横山利秋

    ○横山委員 今のあなたのお話は、例にならないと私は思います。生産性本部それ自体についていろいろ議論がございますが、しかし少くともいい意味において生産性を向上するにしたところで、そこを一ぺんくぐって融資をさせなければならぬものであるかどうか。端的に言って、あなたの方としては生産性本部へ銭をやりたいということなのでしょう。ここをくぐらなければ十億の融資はできないという問題じゃないでしよう。生産性本部へ銭をやりたい、やりたいについては、方法がないからこういうことをやるのだということですか。
  58. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま御説明を申し上げました通り、商工中金の金利の引き下げもぜひやりたいということでございましたし、こういうところへ金利の安いものをつけてやる必要もあったわけでございます。かたがたそういうことによりまして、中小企業全体の金利が引き下る、いろいろなことから生産性の向上にも、中小企業の方にも寄与できるという考え方をいたしまして、こういう措置をとったわけでございます。
  59. 横山利秋

    ○横山委員 商工中金の金利を引き下げるならば引き下げる本道のやり方があるわけです。何もこんな一穴くぐってやらなくとも、もっと根本的にやれる手段が本委員会においても幾らも議論され、あなたの方としても常識的にお考えになっても手段は幾らもございます。それにもかかわらず生産性本部を通じてやるということは、先ほどお伺いしたように、端的に生産性本部に銭をやりたい、やりたいけれども、ほかに方法がないからこういうふうにしてやるのだというふうにずばりとお答えになった方がむしろさっぱりしていいのですが、いかがでございますか。
  60. 山手滿男

    山手政府委員 商工中金の金利を引き下げること等につきましては、もちろん御指摘のようにいろいろな方法はございます。たとえて言えば、金利の補給をするというようなことであれば端的であろうと思いますが、そういうことをいたしますと、金利の補給というようなことは、金融上は必ずしも好ましい方法でもございませんし、そのことがいろいろな方面にまで波及をする等のことが起きまして、いよいよ因った事態になりまして、これは避けるべきであるということで、これは必ずしもいい方法ではないかもわかりませんけれども、限られた資金でございますが、こういう措置までとって商工中金の金利をあえて引き下げよう、こういう意図に出たわけであります。
  61. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官は横を向いているけれども、私が質問していると、向うの課長さんですか、ここへ命をやりたいのだろうというと、あの人はうんうんとうなずいているのです。それにもかかわらず、あなたは、いやそうではないのだという答弁をしておる、また私が質問するとうんうんそうだ、横山さんの言う通りだというふうに何べんも頭を下げている。これは記録には残らぬかもしれませんけれども、政府の意見の不統一であります。私は、少くとも今あなたがおっしゃった商工中金の金利の引き下げについては、とにかくこの生産性本部へトンネルでピンハネをさせるということがみすみすわかっておって、そうしてこれは本来の常道でないということがだれしも考えられる方法をとる必要はない。私どもは生産性本部について多少の疑念を持っているが、政府が責任をもって生産性本部へ金をやるというなら、堂々とやりなさいよ。こんなやり方をして二千五百万円くらいの金貸し業を生産性本部にやらして、何とか理屈をつけようというけちな根性は、私はとらざるところであると思う。従って、この十億円生産性本部へ金をやること自体については問題があるが、同時にこういうトンネルをくぐらなければ、ほかの方法を考えたならばいい。次官の言う商工中金の金利を引き下げるということが本来の目的であるならば、商工中金へもっとすなおにおやりになるべきであったということを、私は特に強調をいたしておきたいのであります。  時間がございませんから、余剰農産物に関する質問はこの程度にいたしまして、次に交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について簡単に質問をいたしたいと思います。これは交付税を二二%を二五%にする、それから譲与税を十分の九を十分の十にするということに尽きるわけであります。お伺いしたいのは、その国税と地方税の関係、地方財政赤字の根本的な問題についてはこれで済んだ、こういうふうにお考えでございましょうか。
  62. 宮川新一郎

    宮川政府委員 御承知のように、三十一年度の地方財政対策といたしましては、歳出の節減、歳入の充実等各般にわたりまして措置いたしまして、交付税につきましても、百分の二十二から百分の二十五にいたすことによりまして、今年度の財政需要額は赤字を出さずに、財源をもって充足される見込みでございまして、少くとも今年度は赤字が出ることはないと存じております。
  63. 横山利秋

    ○横山委員 ちょっとしまいがよくわからなかったのでありますが、今回の措置によって、地方財政赤字は根本的に解決をされ、国税と地方税との関係についてはこれで一応のめどを打った、こういうふうにお考えでございますか。
  64. 山手滿男

    山手政府委員 その点は、今宮川次長が御説明を申し上げましたように、地方財政計画そのほかとにらみ合せまして、大体今年は、この程度措置をいたしまするならば、政府といたしましては、地方には赤字が出ないものと考えておるわけでございますけれども、地方におきましても、もちろん実際の経理をやります上において格段の努力をし、政府側の意図のあるところに御協力を願わなければいけないわけでございます。
  65. 横山利秋

    ○横山委員 非常に簡単な御答弁で、私の聞いておるところでは十分でないのでありますが、今政府は、臨時税制調査会にあらためて三十二年以降の税制の根本的なあり方について引き続き諮問をしておられる。その中における政府のものの考え方——政府を代表してどなたか出ていらっしゃるであろうと思うのであるけれども、政府自体としてのものの考え方として、今後国税と地方税との合理的な再配分ということについてどういう立場で臨んでおられるのか、つまり二二%を二五%にしたことによって、もうこういう問題についてはこれで打ちどめだというふうなお考えで臨んでおられるのかどうか、ことしのことではないので、将来の問題です。そういうことをお伺いしているのです。
  66. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 本年の問題といたしましては、一応今度の改正で、本年度は赤字が生まれないということは政府としては言えると思います。将来のあり方の問題につきましては、これは地方制度そのものともいろいろ連係している問題でございます。それから、国税をどう考えていくか、地方税をどう考えていくか、地方財政の問題としては、公債費が累増していくような問題をどう片づけていくかという問題などいろいろあろうと思っております。それで、全体の検討の機会におきまして、もう一ぺんさらに検討し直すという問題は、まだ残されているというふうに思っております。
  67. 横山利秋

    ○横山委員 もう一つそれに関連して簡単に御質問申し上げますが、今の主税局長のお話ですと、将来の問題としては再検討の段階にあるということですけれども、今の状態でいきますならば、国税はそんなに増税になっていく傾向は出ていない。しかし地方税は、本年度だけでもいろいろな増税措置がなされておる、このままでいけば、地方税はまたどんどん増税の格好になっていく。国税の方で、間接税が多少今の政府の動きで見ますとふえて、直接税が減るというような傾向が多いようであります。総体的にいって、国税、地方税の関連において、国税の方はなるべく圧縮する、地方税の方は膨張するという傾向についてどうお考えになるのか。もうこれは二五%にしたから、国税から地方税への再配分の問題については考えていない。そうして私の今言ったような傾向の方向に根本的に放置していく、こういうお考えであるかどうかと聞いておるのです。
  68. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 税の負担全体として考えます場合におきましては、国税、地方税を通じて負担の増高は避けたい、こういう考え方であります。従って、たとえば片方で国税を減税した場合に、全体としての負担の増加にならぬ限度において地方税をふやすか、こういう問題はまだ一つ残されている問題としてあると思います。その点につきましては、地方税としましては、別に地方公共団体が独立税を持ちたい、こういう要請があるわけであります。交付税であるよりは独立税でありたいという要請が片方にある。ただ別途現在の経済力が非常に偏在的な存在になっている。府県におきましても、非常に富裕府県と貧弱府県とがいろいろ変っている。こういったような面からいたしますと、独立税を作りますと、とかく富裕府県の方に財源がぐっと大きくいってしまいまして、貧弱の府県の方はあまり恩恵をこうむらない。独立税をできるだけ地方団体に与えたいという要請と、財源の偏在する要請とは矛盾するわけでありまして、その矛盾を調整するのが交付税のような考え方でございます。そんなような経緯にあるものでございますから、税負担全体として、国税、地方税を通じて負担をできるだけ低く持っていきたい、これはわれわれ希望しておりますが、同時に、その中で地方税をどういうあり方にし、国税をどういうあり方にするかという問題につきましては、今言ったようないろいろな相矛盾をしながらも、それぞれ相当の根拠のある要請があるわけでございますから、これをどう調整していくか、こういったような問題は、明年度において行わるべき税制改正の際にとっくり考えてみたい、こういう考え方を持っております。
  69. 横山利秋

    ○横山委員 今の主税局長のお話を聞いておりますと、そうなったら二五%でしまいではなくて、地方税の増税の傾向というものは、かえって富裕府県とそれから貧乏府県との間にアンバランスを生じてしまう。従って独立財源を与えるという方法は、アンバランスが生ずるから、交付税という問題が考えられるというふうに、かねて私どもが言っているような意見に近いような気がするわけであります。従って、ことし政府の方では、地方財政赤字は生じないはずであるとおっしゃるのだけれども、しかしそれには前提条件があって、かくかくのことをして赤字にならないのだ。そういう諸条件が完全に満たされるかといいますと、なかなかうまくはいかないと思うのであります。従って諾条件を満たすということが本年度できないといたしまするならば、赤字はさらにふえる。さりとて増税をすれば、独立財源を与えればかえってアンバランスが生ずる。帰するところは、百分の二十五という数字が低いのではないか、もう少し国税と地方税との合理的な再配分をすべきものではないか、こういうふうに考えるのであります。この点につきまして、大蔵省と自治庁との話し合いはどういうふうになっているか、これだけ一つ最後にお伺いをいたします。
  70. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 大蔵省と自治庁との間におきましては、先ほども申しましたように、本年度におきましては二五の交付税の率、これで赤字は生じないように全体を持っていく。もちろんそれにつきましては、地方公共団体の方もそのつもりになっていただき、節減すべきものは節減していただく、協力していただくということがぜひ必要なわけですが、とにかく何とかそうした協力を得られれば、本年度においてはこの問題は片づく、心配したことはない、こういう一応の了解になっております。明年度以降の問題につきましては、先ほども申しましたように、全体的に見直す問題がありますから、従って独立税をよりふやす方向にいくか、こうすればむしろ交付税はあるいは減っていいかもしれない、あるいは独立税をそんなにふやすことができないということのゆえに、大体二五程度にいくか、あるいは場合によっては、これを上げる問題も出てくるかもしれませんが、しかし独立税をできるだけ地方に持ちたい、こういう要請も別途ありますし、この辺をどういうふうに解決するかというその結論と見合いながらこの問題はきめらるべきものである、かように考えております。
  71. 横山利秋

    ○横山委員 国税庁長官にお伺いをしたいのでありますが、私の質問は何をしようとするか、もうすでにおわかりのことだと思います。きわめて意外な感じがいたしました。今日の税務職員の諸君が、非常に結核の罹病率からいっても、昨年度前長官にお伺いしましたところが、各共済組合の中で罹病率が非常に多く、そのとき伺ったのは、一五%でしたか、定員数もなるほど過剰のところはあるけれども、全国的には定員を割って、その中でずいぶん働いておる。しかも税務職員というのは、一般の国民諸君が考えると、警察と税務職員がうちへ来るとぞっとする、こういう声というものは人情として出やすいところでありますが、こういう中で働いておる税務職員が、ここに国鉄が妥結し、あるいは電通が妥結し、そうして年度末の手当をそれぞれ調停案に沿ってもらっておるときに、あなたの方は一文の金も出さないで、たかだか団体交渉をやれといったのに、あなたの方は断わって、会ってもらいたいといって要請しておる人間を、それがけしからぬといって首を切るということは、何としても長官として御反省になるところがあるのではないか、私はこう思う。しかも先般あなたにお会いしたときにも、あなたは、自分としても考える点がある、こうおっしゃった。それに何ぞはからん、突如として、組合の諸君も世間一般も忘れたころになって、何月何日の首切りだ、何だ何だということについては、どうしても私はあなたの、税務職員全般をつかさどる人のなすべきことではないと思うのです。いかなる理由をもって、この年度末手当をまだ一文ももらえない、ほかではもらっておるところがある、その不満たるや察するに余りある諸君に対して、やにわにやみ夜に鉄砲のごとく解雇並びにその他の処分をなさったのか、その気持は一体どういう気持であるか、税務職員に対してどういうお考えをもって行政をやっていらっしゃるか。今話が出ているのですが、マージャンだとかなんだとかやっておるのは高級の人であって、一般職員諸君は、努力をして税務行政に尽瘁しておるわけです。この点について一ぺんあなたの誠意ある答弁をお伺いしたい。
  72. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 税務職員の仕事は、非常に困難なむずかしい仕事をやっておりまして、そういったものに対しまして、いろいろ待遇の面について考えなければならぬということは、私どももかねがね考えておるところでありますが、努力が足りませんで、なかなか理想といいますか、満足するという点まで行っておらないように私としては感じておるわけでございます。ただ国税庁関係の労働組合の問題でございますが、これにつきましては、かねがね、何といいますか、職員の組合としての合法的な正常な行動を多少逸脱するような点が見えますので、この点につきまして、実は昨年来、また本年になりましてからも、再々私どもから組合の方へ直接いろいろと警告と申しますか、むずかしい事態にならないように注意して参ったわけでありますが、それにもかかわりませず、これは御承知と思いますが、先月の二十五日に——ことに私どもから直接に、またその前日に組合にも、こういう不都合な結集が起らないように自重してもらいたいと申し入れをいたしましたが、勤務時間中に職場大会を開催するとかいろいろそういった式の非合法の行為がありましたので、いろいろその問題につきましての処分につきまして、その後実は慎重検討いたしておりましたのであります。まことに遺憾なことで、私どもとしてはやりたくないことでございますが、やむを得ず昨日これらの関係者に対する処分を発令するようなことにいたしたわけであります。ただいまちょっとお話しがございましたが、組合との交渉を拒否して、交渉したいと言ってきたものを処分した、そういったような事実はございません。今まで交渉を拒否するようなことはいたしておりません。組合が正常な形で正常な交渉をするというのに対しまして、もちろんこちらからもできるだけこれに応じて交渉いたしております。私どもがやはり問題にいたしておりますのは、組合の労働運動が正常な合法的な範囲を逸脱する、国家公務員の体面を毀損する、あるいは税務行政にそういった非合法な行為のために支障を与える、こういうようなことにつきまして、私どもとしてもやむを得ず処分いたした、こういうことでございますから、御了承願いたいと思います。
  73. 横山利秋

    ○横山委員 労使の問題について、本委員会で具体的に取り上げるのはいかがかと思います。しかしながら、全国の税務職員の諸君が、本問題において動揺を受けたことは事実であります。そうして限りない不満をあなたに抱いておることも事実であります。従って、今後の税務行政に重大な影響を与えることも、またはかり知ることができると思うのであります。あなたは少くとも今回の問題について、これによって税務職員の不満やあるいは希望を押えることができるという確信を持っておられますか。税務職員といえども、国家公務員法九十八条によって、国体交渉をし得る権利があり、同時にいろいろの自分たちの要求についてあなたと交渉をする権利がある。またそれぞれの局長に対して面会をし、自分たちの主張を提起し、その態度について質問したりする権利を持っておる。それらの権利は当然なことであります。法によって保障されたところであります。あなたは団体交渉を拒否した事実はないと言っておりますが、東京国税局において団体交渉を拒否しておるのであります。それについて、陳情を中に入って読ましてくれというのを、中に入ってはならぬということで押し回答いたしたのであります。そういうことをあなたは知らぬとおっしゃるのだけれども、知らなければあなたの怠慢でありますよ。しかもかりにこれがほかの官公労の諸君のように、働いた努力の中で何がしかの金が出ているならばとにかく、税務職員に対してあなたは何を与えますか。今日までの努力に対して、あなたはこの要求に対して、いかなることに応じたのですか。何もしないで、たかだからょっとの時間がはみ出たくらいで首切りだ懲戒だとずらりと並べて、何人ですか、十名を処分して、他の官公庁に例のないようなことをして、あなたは、私はやりましたと言って得意になっているつもりですか。そんなことで税務職員に対する温情というものはどこにありますか。そういうことではだめですよ。これからどういうふうに税務職員の諸君の痛切なる要求に対して、長としてこたえ得る気持があるのですか、この点について誠意ある気持を一つ聞かしていただきたいと思います。
  74. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまのお尋ねの点でありますが、組合というものは、法律によりまして交渉する権利のあることはお話しの通りであります。また税務署の事情といたしまして、いろいろ組合の方にも要求があろうと思います。今までも交渉いたしておりますし、今後も十分交渉し、聞くべきことは聞くつもりでございます。お話しのような、処分ということによりまして要求をきかない、要求を押える、そういった気持は全然持っておりません。なお先ほどいろいろお話しがございましたが、陳情に行ったのに聞かなかったというようなお話しでございますが、これはそのときの事情がございますので、東京局で、先ほどお話しいたしました、許可されずに勤務時間内の職場大会を開こうとしまして、職員が参加しなかったので開くことができなかった。それにもかかわらず。職場大会の決議なるものを持ってこられて、局長のところにきて読み上げよう、こういう申し入れがありましたので、職場大会は認めていないし、開かれもしなかった、従ってそういうものを聞く必要はない、こう局長が応答したわけであります。おそらくその問題をおさしになっておるのだろうと思います。  なお今回の処分が、職員全体に対してどういう反響を持つかという問題でありますが、これは昨日発表したばかりでありますので、具体的にはわかりませんが、ただ私どもといたしましては、先ほど申し上げました通り、正常な組合の要求はもちろんこれを聞く、交渉に応ずるという気持を持っておりますので、一般の職員、労働組合員も十分私どもの気持を了解してくれるものと信じておるような次第であります。
  75. 横山利秋

    ○横山委員 私は、あなたに法に触れたか触れなかったかということを聞いておるのではありません。それはもっぱら労働委員会に属する問題でもあろうかと思うのです。私があなたに聞いておりますのは、税務行政をつかさどる長として、法に触れたから、あるいは規定、通達に触れたから首切ったということでは済まされませんぞ、こういっておるのです。こういうことは労働委員会で議論いたしましょう。しかし少くとも全国の税務職員を率いて円滑な税務行政をやって、職員から、長官はよくやってくれるという気持を持たれる必要があろう、その立場から考えているのであります。従って今日は時間もありませんから、私はこの際あなたに注文をしておきます。十名の職員に対して何がゆえにこういう処分をしたかという具体的な事実、それから組合及び組合員の諸君がどういう要望をあなたにしてきたか、それに対してあなたはどういう措置をとったかという具体的な事実、これらを次会の大蔵委員会一つあなたから提出をしてもらいたい。重ねてあなたの御出席を求めまして答弁を要求したいと思います。
  76. 松原喜之次

    松原委員長 次に石村君。簡単に願います。
  77. 石村英雄

    ○石村委員 余剰農産物の法案審議はきょうが初めてでございます。こんな、重要なものをろくろく審議しないで通すということは、これは国会の権威にかかわる。なるべく長くやろう、こう思っておりましたが、まあ早く早くということでありますから、ごく簡単にいたしますが、先ほど横山委員の質問に、輸入業者から金を早く払わせればよいじゃないかという趣旨の質問があったのですが、それに対する答弁がはっきりしなかったのです。協定の二条を見ますと、アメリカの方から合衆国ドルの支出の通告を受領したときには日本ですぐ金を積む、こういうふうに二条はなっておるのです。何も輸入業者が金を払ったか、払わないということには関係ないように思うのですが、これは実際問題の扱いはどうなっておるのですか。
  78. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 これは簡単に申し上げますと、アメリカから円で買うわけであります。食糧庁といたしましては、輸入業者に金を払いましても輸入業者は銀行にそれを積んでおくわけであります。一方アメリカから通知が参りましたときに、その数字をチェックいたしまして、アメリカの勘定に入れるわけであります。数字のつき合せのためにアメリカからの書類が参るのであります。
  79. 石村英雄

    ○石村委員 次にお尋ねします。これはこの前の国会でもお尋ねしたのですが、どうもわかるような御説明がなかったのです。五条の関係で、今の二条の関係の通告があったら食糧その他の輸入物資の代金の支払いとして特別勘定に積み立てる、こうなっておるのです。そうしてそれをドルに交換する、そうしてワシントンの輸出入銀行を通じて、今度は日本銀行でそのドルに交換したものを借款として日本政府勘定に入れる、こういうような非常にめんどうな処理が行われておるのですが、ドルに交換する理由、あるいはそれを借款に変える理由、借款にするならするとして、円のままですぐできるのじゃないか、こう思うのですが、こういうめんどうなドル交換という処置を間でとっておる理由はどこにあるわけでございますか。
  80. 宮川新一郎

    宮川政府委員 御指摘のありましたアメリカ合衆国勘定に入りました積立円は、円で計算されておりますが、御承知のように、この借款はドル建てで行うことになりますので、借款相当分につきましては、これを円を外為会計に入れて、外為会計から外貨を借りて国庫一般勘定に入れる、こういう仕組みになっておる次第でございます。
  81. 石村英雄

    ○石村委員 そうすると、農産物の価格を払うということも、結局ドルで払われたことになる、また借款自体もドル借款ということに結論としてはなると思うのですが、その通りですか。
  82. 宮川新一郎

    宮川政府委員 ドル建で計算を行うことになっておりまして、その次の条項にございますように、ドルで返しました場合には利子が低く、円で返すときは利子が高いということになっておりますが、円でも返せることになっております。
  83. 石村英雄

    ○石村委員 これをドルにする理由、なぜドル建にしなければならぬか、そのことの御説明を願います。
  84. 宮川新一郎

    宮川政府委員 建前は円で借りるわけでございますが、御承知のように、長い先通貨価位にも変動がございますので、向うの側におきましてぜひドル建にしていただきたい、ドル建にしますならば利子は特に安くいたします、こういう要望がございまして、協定を締結いたします際に、ドル建の場合はこう、こういうふうにいたすわけでございます。
  85. 石村英雄

    ○石村委員 結局ドル借款になってしまったということから、五条の「支払われた日本円の使用計画に関しては、日本国の経済状態を考慮することに同意する。」こうあるわけですが、支払われた日本円が、元はドル借款であるということから、アメリカがこれを本国にドルにして送金するということもこれで考慮するだろうか、やろうと思えば強行できることになるのじゃないか、こう考えますがいかがですか。
  86. 宮川新一郎

    宮川政府委員 あくまでもドル借款ではございません。円の借款でございますが、先ほど申し上げました事情でドル建でいたしておるわけでございまして、返済のときは円でもいいわけでございます。
  87. 石村英雄

    ○石村委員 ドル借款ではない、円借款だということですが、ワシントンの輸出入銀行からドルで日本政府勘定に付されるわけですか。借款自体はドル借款ではないか。ただこれを返済するとき、日本政府の選択によって、円によって返済してもいいということもあるのですが、基本はドル借款だということが言われるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  88. 宮川新一郎

    宮川政府委員 ドル借款という言葉の意味でございますが、ドルで借りてドルで支払うことが両方はっきりいたしておりますならば、これはドル借款と申せるのでありますが、建値はドルで払いまして、積み上げの円で積み立てる、それを借りた場合に、円で返すかドルで返すか、かりに円で返すことになりますならば、建値はドルでありますが、純粋にはドル借款とは申せない、かように考えるわけであります。
  89. 松原喜之次

    松原委員長 この際御報告いたします。関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対しまして、黒金泰美君外二十五名提出の修正案が委員長の手元まで提出されております。これを印刷して諸君のお手元に配付いたしておきましたが、この際本修正案について提出者より趣旨の説明を聴取いたします。黒金泰美君。
  90. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいまの修正案につきまして簡単に提案理由説明いたします。  案文を読ましていただきます。  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  関税正系法の一部を改正する法律附則第十項の改正に関する部分中「同日以前で政令で定める日」を「昭和三十一月九月三十日以前で政令で定める日」に改める。  以上の修正は、大豆の輸入状況あるいは輸入価格、国内生産量あるいは国内の生産費、こういった各般の事情に徴しまして、政府提出の原案におきましては、来年度末日までに政令で定める日から関税定率法に従って一〇%の課税をしようとしておりますものを、今年の九月三十日までの期限のうちで政令で定める日に短縮いたしたい、かような考えでございます。  何とぞ御賛成のほどをお願いいたします。
  91. 松原喜之次

    松原委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終りました。
  92. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま一括議題となっております五法律案につきましては、その質疑も大体尽されたと思いますので、この程度にして質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決されんことを希望いたします。
  93. 松原喜之次

    松原委員長 ただいまの藤枝君の動議に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決に入ります。まず関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  初めに本法律案に対する黒金泰美君外二十五名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  95. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって本修正案は可決いたしました。  次いでただいま議決いたしました修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。この部分に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  96. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって本法律案は修正議決いたしました。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案船員保険特別会計法の一部を改正する法律案の四法律案を一括して採決いたします。  これら四法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  97. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって四法律案はいずれも原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました各法律案に対する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によりまして委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十九日午前十時より開会することとしこれにて散会いたします。     午後一時二十九分散会寺