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1956-03-16 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十六日(金曜日)     午後零時十五分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    安藤  覺君       生田 宏一君    臼井 莊一君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    川島正次郎君       吉川 久衛君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       中山 榮一君    夏堀源三郎君       二階堂 進君    濱地 文平君       保利  茂君    前田房之助君       山本 勝市君    山本 猛夫君       有馬 輝武君    石山 權作君       平岡忠次郎君    横錢 重吉君       横山 利秋君    石野 久男君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         外務事務官   小林 春尚君         外務事務官         (経済局次長) 西山  昭君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 三月十五日  委員坂本泰良辞任つき、その補欠として井  上良二君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員遠藤三郎君、小西寅松君、福田赳夫君、坊  秀男君及び山村新治郎君辞任つき、その補欠  として山本猛夫君、濱地文平君、二階堂進君、  安藤覺君及び臼井莊一君議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  賠償等特殊債務処理特別会計法案内閣提出第  一三号)  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇三号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第七一号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一五号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  内藤委員より議事進行について発言を求められておりますので、これを許します。内藤友明君。
  3. 内藤友明

    内藤委員 昨日のこの委員会におきまして、春日委員から動議が出ました。それは、衆議院規則第百六条の第二項によりまして「会議中に前項の定数を欠くに至ったときは、議長は、休憩を宣告し、又は延会しなければならない。」これによりまして昨日は休憩いたしまして、そのまま開会するに至らなかったのであります。これはちゃんと法規にあるのでありますから、いかに反対いたしましても仕方がございません。われわれは快く服従いたした次第であります。ところが本日でありますが、公報には、大蔵委員会は十時三十分第十委員室において開くというのが出ております。しかし本日は出席が悪かった。ところがだんだんとよくなりまして、十一時七分には、委員長を含めて二十三人の出席となったのであります。衆議院規則第百六条には定足数規定がございますが、この定足数規定によりまして、成規の人数がそろったということでございます。そこで、委員から委員長開会を催促いたしたのでございますが、委員長お開きにならない。ようやく十二時十五分になりましてお開きになったのであります。社会党は、かねがね、漏れ承わるところによりますと、順法闘争をする、こういうことでありまして、これはけっこうなことでございます。何らこれには異論はございません。その通りであります。そうおっしゃる松原委員長が、成規の手続に従っておるにもかかわりませず、開会を一時間以上もおくらせられた理由はどこにあるのか、一応この議事を進められる先に承わっておきたいと思うのであります。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 ただいまの内藤委員の御質疑について、私からお答えをいたしておきます。  内藤委員のおっしゃる通り定足数以上の委員がそろわれたのでございますけれども、たまたま社会党代議士会が開かれておりまして、委員長以外は一人も社会党出席炉ありませんでした。そこで、一党だけで委員会開会するということは、慣行上やはり穏当を欠くのではないか、かかる判断のもとに、私は社会党出席を極力督促いたしておったわけでございまして、ただいま社会党の方から出席者がありましたので、それで開くことにいたしたわけでございまして、どうかこの点は御了承をお願いいたします。     —————————————
  5. 松原喜之次

    松原委員長 次に、賠償等特殊債務処理特別会計法案国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の四法律案一括議題として質疑を続行いたします。横錢重吉君。
  6. 横錢重吉

    横錢委員 前日に続きまして、賠償問題その他についてお伺いをいたしたいと思います。今ビルマとの賠償が終結し、新たにまたフィリピンとの賠償が緒につこうといたしておるわけであります。これらの問題に関しまして、賠償物国内からの買い上げ方法、あるいは種類、あるいは価額、こういうような点はどういうふうに実施されておるのか、あるいはまた実施しようとしておるのか、この点について一つお伺いいたします。
  7. 山手滿男

    山手政府委員 その点につきましては、外務省の方からお答えをさせます。
  8. 小林春尚

    小林説明員 ただいまの御質問は、賠償物資をいかにして調達して、これを向うに渡すかという御質問かと思いますが、これは、ビルマの場合がただいま実施の運びになっておるわけでありますが、ビルマの方から賠償ミッションがこちらに参っておりまして、直接業者とビルマミッションとの間で、大体は入札の方式でもって調達するという形になっております。
  9. 横錢重吉

    横錢委員 具体的な国内買い上げ方法価格種類、そういうものについて伺っているのです。
  10. 小林春尚

    小林説明員 物資種類は、協定に従いまして、主として資本財中心になっております。それから若干の消費財も、これをビルマ日本との間で協議してきめることになっておりまして、目下その点につきましては、日本側ビルマ側とで相談中でございます。  それから価格の点につきましては、大体国際価格等も参考にいたしまして、ビルマ側日本側と話し合いまして、両方の納得のいく点で価格をきめたいと考えております。
  11. 横錢重吉

    横錢委員 私の聞いておるのは、この価格日本ビルマとの間できめるという点も一つあると思います。それからまた、国内商品買い上げる場合もありますね。この価格は、一体どういう価格買い上げるかということです。市場価格買い上げるのか、あるいは当局の方で価値というものを認定した上で、価格をきめて買い上げるのか、この点はいかがですか。
  12. 小林春尚

    小林説明員 原則として市場価格でございます。
  13. 横錢重吉

    横錢委員 そうすると、今これからの賠償というものは、先日伺ったときに、約七千億あると言われたのですが、これは全体どうきまるか、もとより予測を許さぬと思うのですが、ともかく相当の数が出てくる。この場合国民としては、この七千億以上のものを血税の中から払つていかなければならない、これは大へんな仕事です。十年も二十年もかかってこれだけ払うのだから……。この場合、払う方の国民というものは、税金を負担しなければならぬ。これを納める方では、この資本財買い上げてもらう。そのことによって相当利益が出ますね。国内において、賠償物資をめぐって、利益をおさめる者と、その血税によって塗炭苦しみをなめる者と、二つが出るわけです。この点をそのまま野放しにして賠償物件処理に当るということは、少し不穏当じゃないか、この点はもう少し用意がなければならぬと思うのです。何ら用意がないのですか。
  14. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 お話の点につきましては、われわれの方でもいろいろ検討はしてみましたが、結局賠償物資つきましても、今お話しになりましたように、市場価格で売るわけでございまして、従いまして、もちろんそこで商品が売れるということにつきましては、確かに利益がございます。しかし値段としましては、普通の国内市場あるいは輸出の場合の値段と比べて、賠償なるがゆえに特別に大きな利益があるというものではない。もちろん賠償がなかったら、それだけの商品が売れる市場はあるいはないかもしれません。その点においては、確かにおっしゃるような面はあると思いますが、しかし一応個々の会社について見ますれば、やはり通常利益が得られる程度のものであります。従いまして、もちろん通常の税は、これは納める。  それからもう一つ、われわれの方で考えて処置しました点は、これはあまり大きな問題でもございませんが、現在輸出を奨励する意味において、輸出所得控除という特別なフェーヴァを与えておりますが、賠償に関する限りにおきましては、一応一定の金額が国内で売れる、国内から当然買っていく、このことは一応わかりますので、この分についてまで輸出を促進するための特別なフェーヴァを与える必要はない、このフェーヴァ賠償関係のものについては与えない、こういう措置は講じましたが、特に賠償物資なるがゆえに利益を得るということがない限りにおきまして、その分について特別な税金を負担させる、これはいかがかと思いまして、現在としては、そういうことは考えておりません。
  15. 横錢重吉

    横錢委員 賠償物件を払うということは、日本にとっては初めてのことだと思うのです。そうしてまた、実際に七千数百億払って、これがきまるというと、年間には東南アジア地域だけでも約一億ドル、この程度賠償物を払う。実際に東南アジア地域貿易として日本輸出しておるのが約一億ドル、一億ドル輸出して、また一億ドルの賠償を同時に払っていく、こういうふうなことになると思うのです。こういうような場合に、国内においては賠償のために塗炭苦しみをなめながら、税金を払わなくちゃならない者が出てくる、これは多数の国民です。と同時に、この製品を納める者は相当利益を得られる。しかもこの相手は、確実なる政府です。この問題をふだんと同じような考え方処理するということは、これから始まる問題だけに、やはり当局としては考えるべきじゃないか、こう思うのです。まだ当局の方で考えておられないならば、この点は一つ何らか御考慮をいただきたい、こういうふうに思います。  次に、インドネシア等に戦後相当物資を送りまして、これらが焦げつきになっておる、こういうふうに聞いておりますが、この焦げつきになっておる価額を、今度はインドネシアの方では、これを賠償清算の中に入れてもらいたい、こういうような話も来ておるやに聞いておるのですが、この辺の点はいかがですか。
  16. 西山昭

    西山説明員 インドネシアつきましては、御指摘の通りに、相当額焦げつき債権がございますが、現在賠償問題につきましては、まだ具体的な交渉の段階に入っておりません。従いまして、価額の点でどういうふうな結論を得るかというような問題については、まだ何ら具体的に話が進んでおらない状況でございます。
  17. 横錢重吉

    横錢委員 これは、日本商社を通じて向うに売買したわけですね。商社を通じて売買したものが、焦げつきという形になっておるが、現在どういう形で、だれ炉責任を負っておる格好になっておりますか、またその総額もわかっておると思うが、この点いかがですか。
  18. 西山昭

    西山説明員 インドネシア日本との間におきましては、一九五二年に清算勘定協定が締結せられまして、その以前の占領時代協定に基きます貿易の結果、約六千万ドルの貸し越し炉あったわけでございますが、それと、その後の清算勘定に基きまする協定の貸し越しの結果、現在におきましては、支払い期限が到来いたしましたものとして、約一億ドルの債権が累積しておるわけでございます。これは、勘定政府間の勘定でございまして、商社の面におきましては、通常貿易に基きまして、この債権責任政府にあるわけでございます。
  19. 横錢重吉

    横錢委員 これは、今政府責任を負っているようになっておるようですが、売るときには商社向う商社との間で売っておるわけです。そして、売ったものが今度は焦げつきになった場合、日本外銀の操作によって政府がしょい込む、政府が保証に当ったというか、こういう形をとっておるのじゃないのですか。そうして、商社の方に対して特別の損害のかからないような措置を講じた、こういうふうに聞いておるのですが、この点いかがですか。
  20. 西山昭

    西山説明員 協定に基きます取引は、民間立場から申しますと、通常清算勘定に基きます通常取引でございまして、これの帳じり会計は、政府間の勘定で行うような仕組みになっております。従いまして、不幸にして貸し越しが残りましたけれども、これを民間責任において政府処理するということは妥当でありませず、また清算勘定方式と申しますのは、御承知通りに、通常貿易帳じり政府間の勘定で行うものでございまして、これは政府政府との間の問題であり、直接民間利益政府焦げつき債権の形でしょい込んだという性格のものでないと存じております。
  21. 横錢重吉

    横錢委員 これは、日本政府から向う政府に対して売ったものではないわけですね。こちらの商社向う商社に対して売って、その清算勘定が残っておる、こういうことだと思うのです。その場合に、こちらの商社が売り込んだのが何かの都合で焦げつきになった、それを簡単に日本政府がしょい込んでいるのじゃないのですか。そのしょい込んでおるというのは、商社に対する政府の思いやりだ、あるいはまた政府が保証してインドネシアとの間の貿易をやらせたのだから、これは当然なのだ、こういうふうな考え方のようにも聞えるのですが、しからば、大体どこの国に対しても、外国との問題に対してはそういうような非常に温情のある政策を政府自身がとっておるのですか。
  22. 西山昭

    西山説明員 戦後の過渡期の時期におきまして、相手国が交換可能の通貨を十分に持ち合せませず、さればといって貿易の拡大を必要とします日本事情から申しますと、何らかの形で、そのような困難を克服して貿易を拡大する方式が望まれた次第でございまして、この意味におきまして、現実に外貨の手持ちがなくても、貿易を拡大する方式としまして清算勘定方式が比較的広範囲に行われたわけでございまして、これは日本のみに限りませず、主要の世界の貿易国も同様な方式をとっておったわけでございます。日本つきましては、インドネシア、タイ、あるいはブラジル、アルゼンチン、その他の数ヵ国と清算勘定方式を用いたわけでございますが、たまたまインドネシアとの関係におきましては、賠償問題等がからみまして、政府間の勘定としての焦げつきが起ったような次第であります。
  23. 横錢重吉

    横錢委員 輸出振興を叫ぶことはいいと思うのです。これはやらなければならないと思う。しかし、輸出振興をした結果が焦げつきになる、焦げつきになったものは、今度は政府がしょい込む、政府がしょい込むということは、とりもなおさずこれを国民税金でまかなうということです。そうすると、物を売った方の商社というものは、焦げつをになろうとなるまいと、自分のところの利益は一向かかわりなくとれるわけです。だから、相手信用状況がどうなっておるか、あるいはまた支払い状況がどうかというようなことをおかまいなくどんどん売られて、そして、その売られたものは、政府国民税金という形でしょい込んで迷惑をかける。それが今度また賠償という問題の中に出てくる、こういうことは不明朗なやり方だと思うのです。現在こういう非常に不明朗なやり方貿易その他が各国と進んでいるのですか。
  24. 西山昭

    西山説明員 政府といたしましても、何ら見通しなしに、焦げつき債権が累増することを放任して、輸出を野放しにしておるわけではございませんで、何らかの形でこれを回収したいということを、数年来鋭意努力してきたわけでございますが、さしあたり早急な解決が見込めませんので、一昨年から輸出の調整をいたしておりまして、現在におきましては、輸出の超過ということはないような仕組みにいたしておる次第でございます。
  25. 横錢重吉

    横錢委員 次に、韓国の問題について少し承わりますが、戦争が終った結果韓国独立したわけです。そして、その独立に伴っていろいろな問題が派生をしておる。この派生の中において、韓国における日本人財産は一体どういうふうになっておりますか。
  26. 小林春尚

    小林説明員 韓国は、御存じのように、今度の戦争の後に米軍ソ連軍占領をいたしまして、それぞれ米軍及びソ連軍の軍事的な当局のもとに、韓国にありました日本ばかりでなく各国財産が一応処理されたわけでございます。その後平和条約ができまして、日本韓国との間におきましては、この占領軍当局によって、韓国に残っておりますこうした財産の問題につきまして、最終的には平和条約及び日本韓国との間の今後の新しい条約関係考慮に入れてきめるという環境に置かれているわけでございまして、そのため日本側といたしましては、特に日韓関係の親善の必要を感じまして、この問題につきまして韓国側十分納得のいく話し合いをして解決しようという心組みで、従来日韓会談に臨んでいる次第でございますが、まことに遺憾ながら、現在まで最終的な結論に至っていない次第でございます。
  27. 横錢重吉

    横錢委員 第一次大戦のときに、ドイツからポーランド割譲されて、独立した例があります。朝鮮の場合も、これは日本との間は交戦国じゃない、いわんや相手連合国でもない、戦争中は日本の一部であって、条約の結果独立をした、こういう立場に立つわけですね。これはポーランド割譲の場合と大体似ておると思うのです。そして、この場合における日本のいわゆる政府機関軍事機関に対しては、いろいろ見解もまたあろうと思いますが、ただ私有財産に対しては、国際法の例からいって尊重される、あるいは代償なしにこれが処分されるということは、聞いておらぬわけです。ところが、この問題に関して、朝鮮の場合においては、まだ結論が出ていないようにも、あるいはまた日本代償を求めずに放棄したようにも見られておるのですが、日本のこれらに対す請求権というか、一体どういうふうに考えておられますか。今のあなたの御答弁になかったのですが、私有財産尊重という点については、どういうに扱われていますか。
  28. 小林春尚

    小林説明員 ただいまの問題は、現在日本政府といたしまして当面しておりますむずかしい問題の一つでございまして、特に朝鮮ばかりでなく、いわゆる国民在外資産の大部分を占めるものが、朝鮮とか、あるいは日本の近辺の元の支那大陸方面とか、そういうところにだいぶございまして、従いまして、この問題の取扱いにつきましては平和条約趣旨並びにただいまおっしゃいましたところの従来の国際法上のいろいろな原則とか慣例とか、そういうような点と、それからまた特にどうしても関連して考えなければなりませんわが国の財政事情、いろいろな要素が非常に多岐にわたっておりますので、この問題につきましては、政府の方で在外財産問題審議会というものができまして、学識経験者等のお集まりをいただいて、そちらの方でこの問題につきまして御検討をいただいておるという状況でございます。
  29. 横錢重吉

    横錢委員 この平和条約の第二条によって、これは韓国に対するものを放棄しているのですが、この原則は領土の割譲ということだと思うのです。ただ第四条のb項によっては、特別取りきめということになっておる。従って、この特別取りきめの条項で、日本人私有財産というものはどう扱われるかということを当局と結ばなければならぬ、日本政府と結ばなければならぬようになっておる。そこで、アメリカが確かに軍政令三十三号でもって処理をしておる。ただこの処理をしておる問題は、同時に無対価でもって日本人財産韓国に引き渡すということには私はならぬ、こういうふうに考えておるわけですか、そこでこの三十三号によって買却したもの、あるいは売り残ったもの、あるいは賃貸したもの、こういうふうにいろんなふうにに出ておりますが、これら点のについて、当局はどのように把握しておられますか。
  30. 小林春尚

    小林説明員 私の存じております範囲におきましては、現在のところ、正確な資料は持ち合しておらないと存じております。
  31. 横錢重吉

    横錢委員 それは資料がなければ、米軍から韓国に引き渡した場合の日本財産価値というものは、これは帳簿価格で引き渡してあるのか、あるいはそのときの時価で引き渡してあるのか、この点についてはいかがでしょうか。
  32. 小林春尚

    小林説明員 われわれといたしましては、そういうような情報を全然入手しておりません。(「怠慢じゃないか」と呼ぶ者あり)先ほど申しました通り米軍朝鮮当局との間において行ったことでございまして、当方としてそういうような情報を持っておりません。
  33. 横錢重吉

    横錢委員 それでは大蔵省はどうです。
  34. 山手滿男

    山手政府委員 その終戦直後のそういうあれについては、よく調べてみなければわかりませんけれども、情報は持っておらないと思います。
  35. 横錢重吉

    横錢委員 これはよく調べてみなければわからぬ、あるいは外務省が知らぬという、これは重大な問題ですよ。現在ここに関係のある問題が議案として出ているでしょう。日本人韓国にあったところの財産というものをどういうふうに処理するかという案を、大蔵省自体が出しておる。これは、当然外務省も知ってなければならぬはずです。ところが、あの当時だからわからない、アメリカの方が軍政令三十三号で渡したのだからわからないということでは困るじゃないですか、そのことをはっきりとつかんでなくて、あなたどうして法律が出せますか、そんなばかなことはないでしょう。何とか答弁しなさい。
  36. 山手滿男

    山手政府委員 この特別会計法案は、御承知のように、文字通り特別会計を作りまして、別個に経理をいたしまして明らかにしようということでございまして、直接には、そういうこととは関係ないと思っております。
  37. 横錢重吉

    横錢委員 それはとんでもない間違いだと思うのですよ。大体日本人財産というものは、日本人のものである、これが日本人に対して代償を払われずに他の国で処分されるということはないわけです。これは、国際法の先例でないじゃないですか、あなた方もその点は研究しているでしょう。どこでそんな、日本人私有財産各国の例においてただでもって取られているような例がありますか。それも、しかも帳簿価格でやったのか、あるいはまたそのときの時価でやったのかも全然知ってない、そんなばかなことがありますか、何とか答弁しなさい。
  38. 小林春尚

    小林説明員 確かに国際法におきましては、私有財産尊重というような原則もございますのは御承知通りでございまして、外務省の方といたしましては、条約局中心といたしまして、そういう点も十分検討いたしまして、あらゆる見地から韓国側とこの問題の円満な解決をはかるように準備しております。
  39. 松原喜之次

    松原委員長 議事進行について発言を求められておりますから、これを許します。小山君。
  40. 小山長規

    小山(長)委員 ただいまの横錢君の御質問は、ごもっともな点もありますけれども、問題は、賠償特別会計法を作るか作らぬか、こういうことなのでありまするし、そしてただいま御質問中の朝鮮に関する問題は、いずれ当委員会議題になります閉鎖機関令等の際にも触れることのできる事項でありますから、この特別会計を設置するかしないかということの点に質問を集中されるように希望いたしたいのであります。そのように委員長議事進行をお取り計らいを願いたい。
  41. 横錢重吉

    横錢委員 それでは次へ進みます。  次に、韓国日本に対して賠償請求権を出しておるようにも聞くのですが、一体韓国は、日本に対して賠償を請求する権限ありとあなた方はお考えになっておるかどうか。また、来ておらなければこれはよろしいのです炉、来ておるとした場合には、これに対してどういうふうに考えておられるか、この点お伺いしたい。
  42. 小林春尚

    小林説明員 賠償請求権と申しますと、これは、通常問題になっております場合は、平和条約との関係において問題になっておるわけでございますが、そういう意味韓国は、先ほどお話しになりましたように、非常に特殊な事情日本と離れたわけでございまして、そういう意味賠償請求権の問題の範囲外であると思います。
  43. 横錢重吉

    横錢委員 来ておるのか、来ていないのか。
  44. 小林春尚

    小林説明員 今申しましたような意味賠償請求権ということは、問題になっておりません。
  45. 横錢重吉

    横錢委員 それでは、今のこの第一のところで私伺ったんですが、日本人財産がどういうふうに処分をされたかよくわかっていないということは、きわめて大切な問題になってくると思うのです。そこで現在この賠償と密接な関係にある問題で、閉鎖機関令の問題が出ておる。ところが、この閉鎖機関令というのは、御承知のように終戦直後アメリカ日本に対して、日本の経済界の破壊とか、あるいは軍国主義的なものの粉砕とか、日本の今まで持っていたいろいろな関係というものを断ち切るために一応出してきたところの、日本人として見たならば、これは耐えがたいような命令だった。これらの意思が今日までもつながれておるわけですが、終戦直後に出されたようなこういう考え方というものを、直す意思炉あるのかないのか、この点いかがですか。
  46. 山手滿男

    山手政府委員 閉鎖機関の問題でございますけれども、御承知のように、終戦直後ああいう命令炉出まして、指定をされて、閉鎖機関として清算をしてきたのでございます。その後順次清算をいたして参りまして完了をいたし、もう今日では最終的な段階にきておるわけでございます。
  47. 横錢重吉

    横錢委員 それでは、この問題に関連して、国内にある財産から社債の全部を清算する、こういうようなことを出してありますが、これは経済界におけるところの、完全な清算行為の問題として取り上げていないと思うんです。しかも賠償問題で聞けば、日本人私有財産というものはどういうふうに処理されたのか、簿価によったのか、あるいは時価によったのか、これらの点も明らかにされていない。しかもこれらが、今度は経済界の清算行為というものを無視して、社債を全部国内にある財産の中から取るというように考え方をお持ちになって改正案を出してありますが、こういう考え方は、この問題との関連性においてはっきりとしたものがないにもかかわらず、出しておるという点はどうですか。
  48. 山手滿男

    山手政府委員 先ほども申し上げましたように、この特別会計に関する法案は、特別会計を作りまして、政府賠償等を支払った場合には、こういうふうに経理をするということで、経理内容を明らかにするために設けようとするものでございまして、これはいわゆる事務的な法案であって、そうした韓国との関係について、今御質問のありましたような案件については、終戦直後のどさくさでございましたので、いろいろ分明でない政治的な複雑な問題も多くて、なかなか簡単に刷り切るわけには参るまいと思うわけでございます。この法案は、そういう事項とは直接関係がないことはございませんけれども、これは事務的な経理を明らかにしようという法案でございますから、その点は御了承願いたいと思います。
  49. 松原喜之次

    松原委員長 ちょっと横錢君、閉鎖機関令の法案は、まだあとに残っておりますので、それらの点については、さらに外務省当局者等も来ていただきまして、その点を明らかにするということにして、この問題は保留しておいた方炉いいと思うんですが、どうぞそう願います。  次に、春日委員より関連質問の申し出がありますので、これを許します。春日君。簡単に願います。
  50. 春日一幸

    春日委員 それではお伺いをいたしますが、賠償等特殊債務処理特別会計の歳出と歳入、これを簡単に御説明願います。
  51. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 歳入といたしましては、一般会計よりの受け入れが百億、一般会計決算上の剰余金の受け入れが百二十億、そのほかに雑収入において十万円見ております。歳出といたしましては、賠償等特殊債務処理費といたしまして百五十億予備費といたしまして七十億、さらに賠償償還払い戻し金といたしまして十万円ということに相なっております。
  52. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、この歳出の明細につきまして、確定した債権に基いてそれぞれの支出が行われようと思いますが、確定債権、すなわちこの二百二十億の支出を予定いたしております確定した債権の各項目並びにその所要額、これを一つお示し願います。
  53. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 歳出につきましては、詳細細目にわたって全部が確定しているわけじゃございませんが、ただいままで確定いたしておりますものといたしまして、ビルマ賠償関係が七十二億・タイとの戦時中特別円協定を結びまして、軍費支払い等に充てておりました関係で債務を持っておりましたのが、昨年の目タイ協定によりまして協定が成立いたしまして、三十一年度十一億円を払うことになっております。そのほかフィリピン沈船引揚げ関係といたしまして九億円、連合国財産補償関係で三十億円、米国からの余剰物資並びに英豪車からの余剰物資の払い下げ代金等において三億円、その他前年度からの債務のズレ等を考えまして、百五十億円を歳出として立てております。予備費につきましては、歳入と見合いまして七十億円を計上して、これによってフィリピン賠償協定等が整いますれば、その中から出すことにしております。
  54. 春日一幸

    春日委員 そこでお伺いいたします炉、国が債務を背負うときには、憲法八十五条で、国会の議決を必要とするということになっておりますが、そういたしますと、今支出を予定されております各項目、これは私どもの記憶では、ビルマ、タイ、フィリピン、連合国財産補償、それらの事柄については国会で承認を与えた記憶がありますけれども、今お話しの米軍放出物資代金、英豪軍放出物資代金、これは相当巨額にわたって支出が予定されておりますが、これはいつごろ、いかなる形態によって国会の承認を得ておりますか、この点をお伺いいたします。
  55. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 御指摘の英豪軍並びに米軍からの余剰物資の払い下げ代金につきましては、これは国会の協賛を経ておりません。払い下げ物資の代金でございますので、当然これは支払うべきものと考えておりまして、それぞれ米占領軍の余剰物資つきましては一九四九年五月三日、並びに英豪軍の物資つきましては一九五一年六月十五日に協定をいたしまして、毎年度こういうふうに支払っていくという協定によって支払っているものでございます。
  56. 春日一幸

    春日委員 私は、この対米関係、なおこの対英豪関係の放出物資については、重大なる疑義炉あると思うのであります。と申しますのは、第十七国会におきましても大へん問題になっておりましたのは、イロア、ガリオア資金、これらに対する解釈でありますけれども、これは、国会が一ぺんも承認を与えたことではないから、これを債務として理解するかどうかということについて活発な論議が展開されて、結論を得ておりません。こういう放出物資は、単なるコマーシャル・ベースで日本が買ったというものではなくて、やはり向う占領政策上、ある意味においてはこれは贈与したものも相当含まれており、それに対して国会は、それぞれの機関において感謝したこともあり、これは必ずしも明確に債務として国の機関がそれを確認したという過程は何ら経ていないのであります。私は、こういう問題については、やはりただいまお話しになった四項目が国会の議決を経ていると同じように、他の二項目についても、国会の議決を経なければ支払い得ないと理解いたしております。債務を背負うといいましても、その当時これはもらったものという理解の上に立っておりまする分も相当量含まれておるのでありまして、全部炉そうとは言いませんけれども、あるいは価格を付してそれぞれの商業ベースで売買の行われたものもあり、もらったもので後日それが単価を計上されて、異常にこれ炉巨額に上ってきたもの等もあるわけでありますし、売り買いならば、やはりその当時向うのきめた価格について高い安いの相談があり、品質の好きこのみ等もあって、当然売買が行われていいものでありましょうけれども、ただ向うが漫然ときめて、しかもその価格が後日一方的に向うから計算されたもの等もありまして、これが国の債務として、今回この賠償特別会計の中からの支出項目として予定されることについては、重大なる疑義があると思うのであります炉、この問題に対する山手次官の御見解はいかがでありましょうか。
  57. 山手滿男

    山手政府委員 その問題は、確かにいろいろ問題があると思います。終戦直後食糧等の非常に不足をいたした当時でございまするから、日本側は混乱もいたしておりましたし、何はさておき、とにかく物がほしいというふうなことで飛びついたような形もありますし、はっきりこれはこうだということで、品質なり数量なり価格なり、そういうものを一つ一つ確かめて話し合いをつけて受け取るというふうなわけにいかなかったような時代もあったわけでございまして、いろいろ問題はあろうと思います炉、ともかく物質を受け取っておることは事実でございまするし、ガリオア等の問題については、ドイツ等についても、向うが総額について考慮をするというふうなことで、日本側においてもいろいろ主張すべきものは主張をいたしつつございまするし、お説のことは今後ともよく考慮をいたしますけれども、一応宮川次長から説明をさしたような工合に処理をいたしておるわけでございます。
  58. 春日一幸

    春日委員 これは重大なる疑義があると思うのであります。次官等も御記憶でありましようけれども、当時放出された物資の中には、コウリャン等でとても人間が食えなくて、鶏や牛馬の飼料にしたもの等もあったり、全然要らないものがもらえたり、読んで字のごとく、名も放出であります。これは日本に売却をしたものではありません。放出されたものにそんな一方的な対価でわれわれが債務を負うということについては、まことに了承いたしかねるところ炉あろうと思います。しかしながら、この問題は本法律案特別会計設定という事柄とはなお離れておりますから、後日の問題として、いずれ他の機会に質問をいたしたいと思います。  なお関連いたしまして伺っておきますが、イロア、ガリオアに対する債権債務の関係は、その後外交交渉はどのように進められておりますか、ちょっと伺っておきます。
  59. 西山昭

    西山説明員 私は直接の担当者ではありませんので、こまかいことを存じておりませんが、その後交渉は若干停頓しているように了解しております。
  60. 春日一幸

    春日委員 いずれ後日、この問題は別の機会に質問を続行することにいたしまして、私の質問を終ります。
  61. 松原喜之次

    松原委員長 石野君。
  62. 石野久男

    ○石野委員 賠償等特殊債務の処理に関するこの一般会計から分離しようという法案、そういうような特殊会計を設けようということの前提となる賠償の問題について、やはり私たちは、一応この機会に当局からお聞きしておきたいと思います。  最近フィリピンに藤山特使が、政府を代表して賠償の問題を交渉するために行かれた、こういうふうに聞いております。この問題については、いろいろと巷間うわさされるもの炉あるので、われわれとしては十分突きとめられませんが、しかしこの中で、特に八億ドルのうち二億五千万ドルが商業的借款だというようなこと炉いわれ、これは完全な民間の交渉になるもので、政府責任はないというようなこともいわれておる。本日の新聞に、そういうような問題についての岡崎元外務大臣の話など出ています炉、この一億五千万ドルの商業的借款というものについての政府考え方、特にそれがもし達成されない場合にはどういうふうに責任を持つかということについての政府考え方を、ちょっとお聞かせ願いたい。
  63. 山手滿男

    山手政府委員 その問題は、相当デリケートでございます。現在最終段階にございまして、いろいろこれが不成立に終ったらどうなるかというふうな議論にまで発展いたしますと、重要な答弁にもなりますし、ことに最終段階にあって、向うとの関係もあろうと思いまするから、あらためてこれは、フィリピンの賠償問題を外務委員会か何かで外務大臣からお聞きを願うということの方が、私は適当であろうと思います。
  64. 石野久男

    ○石野委員 ただいま次官からのお話では、重要だから外務大臣から聞いてもらいたいという、その通りだと思うんです。非常に重要な問題なんです。今度のこの特別会計を設けるという問題は、事務的な問題だからというようなお話であるけれども、しかし事実は、やはりこういう問題を含んでの特別会計の設定というものが出てくると思うのです。われわれにとっては、やはりこういう問題は非常に重要であるし、特にこれに対する責任の帰趨の問題等によっては、先ほど横錢氏からも話があったように、賠償炉将来のわが国民に及ぼす影響というものはきわめて重大になってくるわけです。だからこういう問題については、もし必要であれば、当然ここへ外務大臣に来てもらって、われわれに一応話をして聞かしてもらうべきだと思う。今、次官からはそういうような御答弁がありましたけれども、次官自身も、そういう問題については相当論議を加えており、参画しておるものと思うので、いま一応そういう問題に対する大体の考え方だけでも示してもらいたいと思います。
  65. 山手滿男

    山手政府委員 賠償交渉が最終段階に立ち至っておりまするし、今私がこの場合に、これがうまくいかなかったらどうだとかいうふうなことにまでなる発言をすることは、あまり適当ではないと思いまするから、あらためまして外務大臣そのほかから、その内容その他についてはお聞き取りをいただきたいと思います。
  66. 石野久男

    ○石野委員 それでは、この問題は他日外務大臣から聞くこととにいたします。しかし、そういうこまかい問題は別といたしましても、今度のフィリピンの賠償の問題については、先にこの問題を解決しておりまするビルマとの関係も出てくるわけですし、そして特に今日の毎日新聞に岡崎元外務大臣はこういうふうに書いている。「日比賠償は一応片づくとして、これから問題となるのはインドネシアおよび、ビルマである。既に比国に対してはなはだ過重な賠償を約束した以上、インドネシアに対しても、やはり相当過重な負担を甘受しなければ、問題は解決しないのではあるまいか。そうなれば一度きまったビルマ賠償も、再び改定しなくてはなるまい。」こういうようなことを言っておりますが、そういうことについて、次官はやはりそのようにお考えですか。
  67. 山手滿男

    山手政府委員 ビルマの問題は、すでに協定が成立をいたしておりまして、確定をいたしたわけでございまするから、私どもは、そういうふうな事態は起きないものと考えております。またインドネシアつきましての、インドネシアとの賠償の話は、単純にインドネシアとの関係でございまして、すぐフィリピンと賠償の話が成立したから、自動的にインドネシアの方でこうしなければいかぬということでもないと考えております。
  68. 石野久男

    ○石野委員 この賠償の問題については、先ほど次官から、他日外務大臣にという御答弁があったので、ここでは深くは申し上げませんが、もう一つだけ考え方の点としてお聞きしておきたいと思うのです。フィリピンとの問題点の中に、加工費一〇%については、これをやはり比島の輸入商が九〇%で輸入をする、一〇%だけは比島の輸入商が比島の政府に入れる。それから日本輸出商に対しては、政府から一〇%の分は払うのだ、こういうことで、現金賠償という問題は、その点では非常に軽くなっているのだというような説明が一般にいわれております。政府はそういうふうに考えておりますか。
  69. 小林春尚

    小林説明員 その情報は、どこでお聞きになったか存じませんが、私どもといたしましては、その点は、まだそういうふうにきまったというお話を聞いておりません。なおそういうような問題も含めて、今後フィリピン側と交渉することになると思います。
  70. 石野久男

    ○石野委員 私は、賠償の問題については、他日やはりこれらの問題を含めて、この委員会炉外務大臣をここに呼んで、詳しくそういう問題を討議するということを留保いたしまして、一応この問題に対する質問を終ります。
  71. 松原喜之次

    松原委員長 次に横山利秋君。
  72. 横山利秋

    ○横山委員 簡単に質問をいたしますから、一つさっぱり答弁をしていただければ、時間がかからないと思います。先ほど春日委員から御質問がありました、この賠償の歳出の問題について話を承わりますと、あと予備費が七十億しかないのであります。フィリピン賠償が成立をいたしますと、初年度どのくらい要りますか。
  73. 山手滿男

    山手政府委員 まだはっきりはいたしませんけれども、ビルマの例を見ましても、そう多額のものが今年中に実行されるとは考えられません。その詳細については、まだはっきりしておらないというのが真相でございます。
  74. 横山利秋

    ○横山委員 概算をいたしましても、ビルマの初年度はたしか五十億ですね。本年は七十二億、それに匹敵をいたしますフィリピンが五億五千万ドル、それを二十年払いにいたしますと、本年度どのくらい要るかは見当がつくだろうと思います。五十億の数字がぎりぎり一ぱいのような気がいたします。残っております額というものは、ほんの少しであります。これが予算を超過いたします展望ははなはだ大きいと思います。予算を超過いたしました場合の措置はどういたしますか。
  75. 山手滿男

    山手政府委員 フィリピンとの賠償の話は、今御説明を申し上げましたように、今年はこの予算額程度で大体全部支障なしにいける、今度調印がされましても、初年度でそうたくさんのものを持っていくようなことはないと思いまするから、そういう事態は起きないと考えております。
  76. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、そういう事態はないという次官のお言葉を信用しておきます。  次に、旅費に関する問題でありますが、日当及び宿泊料が三割上ります。これの予算の増加は相当の額に上ると思うのであります。この増加に必要な経費は、本年度予算の中で計上されておりますか。
  77. 山手滿男

    山手政府委員 今度の旅費の改正でございますが、今度の旅費に関する規定の改正は、ざっくばらんに申し上げますと、従来は汽車賃が比較的優遇されておりました関係で、汽車賃で、悪く言えばかせごうとする。そうして宿泊料が非常に安いものですから、それを汽車賃で穴埋めをしようというふうな潜在意識か、心組みなんかで出かける人が非常に多くて、そのために行かぬでもいいのにずいぶん遠くの方に、九州とか北海道の方にまで無理して行くというような旅行などが相当あるように見受けられるわけでありまして、それはいかにも不合理でございますし、不経済でございますから、今後は、汽車は大体このクラスの人はこの程度のものに乗ればいいという程度の等級に乗ってもらって、そうして現実に用件のあるところで宿泊をいたします場合には、その宿泊料については、不足することがないように十二分に見よう、こういう意図に基く改正でございます。従ってこの案が通りますると、今まで不必要に長距離に出たり、方々に行っておりましたのが、順次自粛もされるし、旅費の総額においてはそう変らずにいけるのではないか、そのかわり、出張した場合には十二分にその個人にめんどうが見れる、こういうふうになるものとわれわれは解釈をいたしております。
  78. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官は、どうも常識的にものを言っていらっしゃって、旅費の実態についてあまり御存じないようであります。この間あなたに一つお願いしておいたものが、今や採決の寸前においても資料が出ていないのでありますが、これはどうしました。
  79. 岸本晋

    ○岸本説明員 せんだって横山先生から御注文のございました資料は、たしか等級でもらっている運賃の等級の資料を示してほしいというお話であったと思いますが、現在の旅行は、六級なら六級で二等をもらう、それは先渡しでございまして、実際何等に乗ってきたかということは、問題にいたしてないわけでございます。証拠書類としてそういうものが残っておりません。ただ実際旅費を担当いたしております各省会計課長の官職なり、あるいは私どもの周囲の実例を見まして、大体そういう傾向に相なっておるということを確信いたしまして、ああいうことを書いたのです。資料として提出できませんでしたので、まことに恐縮でございました。
  80. 横山利秋

    ○横山委員 いやしくも政府が提案理由を印刷して配付して、公けの場所でそれを政務次官炉お読み上げになる中に、どうも二等の人が三等に乗って旅費かせぎをしている、これは不工合だから直す、こういうばかばかしい提案理由はあろうはずがないのであります。もしそういうことをほんとうにやっておるなら、資料を出してくれ、こう言って私は頼んだ。それが出ない。そういう提案理由の実情というものは私はないと思う。もしもそれ炉あるならば、実費支弁で三等の旅費をやればいいのであって、やれなかったあなたの方が怠慢なんであります。この点は、提案理由を説明されるときに、よくあなたも翫味をして答弁をやってもらわなければ、あなたの体面を傷つけるのでございますから、御注意申し上げます。  それから、時間がございませんから、注文だけ一つ申し上げておきましょう。日当及び旅費を増額することによって、一般の職務旅費は当然に引き上げらるべきだと思います。これについては、私の質問が終ったら全部御返事を願いたい。一般のお役人が、上の人たちの旅費が上って、下の方の旅費は上らない、こういうばかげたことはないと思う。  それから、たとえば五級の人と六級の人が一緒に宿屋へ泊る。同じ宿賃であるにもかかわらず、旅費は六級の人が多く、五級の人は少い。飯も同じものを食って、サービス料も同じように出してもらう銭だけが違うというばかげたことはない。これは区分をつけるにしても、今後は区分は大まかにして、政府案のようなきちきちっとしたやり方でなく、実際に同じ宿屋へ泊る人に妙な印象を与えぬようにしてもらわなければならぬ、こう考えるわけであります。  それから同じような問題で、おまわりさんが国鉄の無賃乗車をして、今問題になっておるわけであります炉、これは旅費は払っておるらしいんです。そうしてパスで動いているらしい。こういう点なんかは、どんなふうにお考えでありましょうか。  それから最後に、政務次官は、旅費を割安に使っていると言うが、割安に使っているのは上の方です。下の方は、旅費が回らぬのであります。従ってどんな弊害が出ておるかというと、本庁のお役人の中には、旅費がないというので、業界に旅費を出させておる事実というものを私どもはしばしば聞くわけであります。従って、旅費の予算というものはやはりある程度出して、そしてこういうことのないようにさせなければならぬ、こう考えるわけです。  以上について、簡単に一つ見解を明らかにしておいてもらいたいと思います。
  81. 岸本晋

    ○岸本説明員 御指摘の第一点の職務旅費でありますが、これは、業務上常時出張いたします職員に支給される日額旅費の問題だと思います炉、日額費は、研修の旅費でございますとか、普通の巡回旅費でありますとか、あるいは現場の監督旅費とか、多種多様にございまして、また内容炉複雑でございます。たとえば車賃を主としておるもの、あるいは日当を主としておるもの……。
  82. 横山利秋

    ○横山委員 上げるか上げないか、それだけ言ってくれればいいのです。
  83. 岸本晋

    ○岸本説明員 こうしたいろいろな構成の要素を検討いたしまして、なおそれぞれの日額旅費に即しまして、現実的な取扱いをいたしたいと考えております。  それから各級ごとの旅費の分け方が非常にこまか過ぎる、もう少し荒くしてはいかがかという御意見と思います炉、この点は、貴重なる御意見といたしまして、将来の研究の材料にいたしたいと思います。  次に巡査の問題でございますが、これはまことに申しわけないのでございますが、旅費をもらっておることは確かでございます。しかし、それが無賃乗車をしておるかどうか、その点については、実はまだ私ども調査不行き届きでございまして、かりにありといたしますならば、これは警察当局においてもいろいろ今後注意すべき事項だろう、かように考えております。  最後の、旅費予算をできるだけ適正に計上いたしまして、そうむやみに人に迷惑をかけないようにしたらいかがかということでございますが、その点は、私どもまことに同感に考える次第でございます。
  84. 松原喜之次

    松原委員長 この際御報告いたします。国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、各派共同提出の修正案が委員長の手元まで提出されておりますので、これを印刷して諸君のお手元に配付いたしておきました。この際修正案について提出者より趣旨の説明を聴取いたします。黒金泰美君。
  85. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいま議題となりました国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、その修正の趣旨を弁明いたします。  修正案の内案はきわめて簡単でありますので、案文の朗読を省略させていただきます。  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案におきましては、従来商船管理委員会がその職員に対し支給する旅費についても、この法律を適用することといたしておりましたが、商船管理委員会は昭和二十七年に解散を命ぜられ、現在すでに存在いたしておりませんので、今回これが字句整理を行なっております。他方別途政府から提案されました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案におきましても、住宅金融公庫の役職員の地位を国家公務員でないものにすることに伴い、その附則で、国家公務員等旅費に関する法律の改正を行なって、住宅金融公庫関係規定を削除いたしておりますが、このように同一条文に関する改正をそれぞれ別個の法律案で行うことといたしておりました関係上、両法案の施行期日が、前者は公布の日とあり、後者は昭和三十一年六月一日とありますので、このままでは法文の上に食い違いを生ずることになります。そこで、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案中の商船管理委員会関係の改正規定つきましては、これを昭和三十一年六月一日から施行することに修正いたしまして、この間の調整をはかることといたしたものであります。  以上が本修正案の趣旨及び内容でありますが、何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  86. 松原喜之次

    松原委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終りました。
  87. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっております四法案つきましては、その質疑も大体尽されたと存じますので、この程度にて質疑を終了し、討論を省略して、直ちに採決されんことを望みます。
  88. 松原喜之次

    松原委員長 ただいまの藤枝君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決に入ります。まず国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。初めに本法律案に対する各派共同提出の修正案について採決いたします。お諮りいたします。本修正案を可決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。お諮りいたします。この部分を可決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は全会一致をもって修正議決いたしました。  次に、賠償等特殊債務処理特別会計法案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の両法律案を一括して採決いたします。両法律案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  92. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって両法律案はいずれも原案の通り可決いたしました。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  93. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって本法律案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によりまして委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時二十七分散会