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1956-03-03 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月三日(土曜日)     午前十一時三十分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    生田 宏一君       遠藤 三郎君    奧村又十郎君       吉川 久衛君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    内藤 友明君       中村三之丞君    丹羽 兵助君       福田 赳夫君    古川 丈吉君       坊  秀男君    前田房之助君       宮澤 胤勇君    山本 勝市君       山村新治郎君    有馬 輝武君       井上 良二君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    横錢 重吉君       横山 利秋君    石野 久男君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         食糧庁長官   清井  正君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁間税部         消費税課長)  松本 十郎君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 三月二日  委員山本勝市君辞任につき、その補欠として松  本俊一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松本俊一辞任につき、その補欠として山  本勝市君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員大平正芳君、加藤高藏君、川島正次郎君、  中山榮一君及び保利茂辞任につき、その補欠  として丹羽兵助君、中村三之丞君、徳田與吉郎  君、宮澤胤勇君及び渡海元三郎君が議長指名  で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月一日  ビール税率引下げに関する請願矢尾喜三郎君  紹介)(第一〇二九号)  釣竿釣用具に対する物品税撤廃に関する請願(  森清紹介)(第一一〇二号)  積雪寒冷地帯に対する所得税特別控除等に関  する請願渡邊良夫君外四十名紹介)(第一一  三六号) の審査を本委員会に付託された。 同月二日  造幣局広島支局存続等に関する陳情書  (第二一六号)  補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法  律の実施に関する陳情書  (第二二二号)  国民金融公庫資金増額に関する陳情書  (第二三一号)  国民金融公庫津山支所設置陳情書外一件  (第二五〇号)  在外資産補償に関する陳情書  (第二七三号)  国際観光宿泊施設整備のための長期低利資金融  資に関する陳情書(  第二八五号)  テレビジョン受信機に対する物品税軽減に関す  る陳情書  (第三一四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八号)  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第一九号)  租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第三九号)  大蔵省関係法令整理に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第三号)(参議院送  付)  在外公館等借入金返済準備に関する法律を  廃止する法律案内閣提出第四号)(参議院送  付)     ―――――――――――――
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案砂糖消費税法の一部を改正する法律案関税定率法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案大蔵省関係法令整理に関する法律の一部を改正する法律案並びに在外公知等借入金返済準備に関する法律案を廃止する法律案の六法律案一括議題として質疑を続行いたします。有馬輝武君。
  3. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 このたび砂糖消費税法の一部を改正する法律案提案されておりまして、その砂糖の取引の実情に即するような徴収方法に改めることになっております。私、本日はこの中で第一種甲類のいわゆる黒砂糖徴収方法についてでありますが、その提案では農業協同組合その他をいわゆる集荷機関として委託することができるというような形に提案になっておりますが、私はこのような形に改めるだけではなくして、この砂糖消費税課税客体である農家実態について、相当基本的に考慮しなければならない面があるのではないか、こういうふうに考えます。そういった面から、この砂糖消費税法の第一章の総則で、租税客体としてこの黒砂糖業者輸入砂糖と一緒に考えられた根拠についてまずお伺いしたいと思うのであります。
  4. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 御承知だと思いますが、砂糖という商品に消費税課税するというような建前をとります場合におきまして、国内産砂糖輸入砂糖との税負担を違えるという点につきましては、輸入砂糖関税を課する国内のものについては関税課税しない、こういう区分は一応可能でございますが、国内消費税課税する場合におきまして、輸入の分について国内消費税課税する、同時に国内の分についても課税する、こういったようなことは、やはり平等な扱いをいたしませんと、通商航海条約とか、いろいろ各種の条約におきまして内外人を平等に扱っていくというような制約がございますので、黒糖につきましても、関税輸入砂糖国内砂糖との負担区分は可能でありますが、国内消費税につきまして、たとえば輸入のものは高くする、国内のものは安くする、こういったような区分は、われわれとしてはちょっとできないのではないか、かような建前をとっております。
  5. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 それでは、食糧庁長官にお伺いしたいと思いますが、少くとも国内産黒砂糖は、ほかの換金作物と同じような形で、たとえば私の県であります鹿児島県等におきましては、ほかの菜種だとか、ラミーだとかコウゾーとか、そういったものと同じような形での生産をいたしておりまするし、またそれ以外に方法がないのであります。そういった面から、このサトウキビの生産については、農林省としてどのような保護といいますか、生産奨励を考えておられるか。この点についてお伺いしたいと思います。
  6. 清井正

    清井政府委員 ただいま御質問のありました黒糖生産奨励関係でございますが、私どもその方面の直接の担当はいたしておりませんが、お話し通り特殊農産物、特にわが国の砂糖需給状況からいいまして、また特に黒糖国内における需要の特殊性から見まして、黒糖国内における生産をさらに増強するということは必要であるという観点から、振興計画の一端として取り上げまして、農林省といたしましては地域的における国内黒糖増産を奨励いたしておる次第でございます。今後も引き続き諸般の施策を講じまして、国内糖の、ことに国内黒糖生産増強に資して参りたい、かように考えておる次第であります。
  7. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次にお伺いいたしたいと思いますが、今年の砂糖消費税収入見込額五百三十一億の中で、国内産黒糖課税相当額はどの程度見込んでおられるか、その点をお伺いいたします。
  8. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 黒糖全体といたしまして百三十五万ピクルの数量を一応考えておりまして、税額としまして、十八億考えておりますが、この分には輸入黒糖が入っておるわけでございまして、輸入黒糖国内黒糖との関係につきましては、今係が資料を持って参りますので、もうちょっとお待ちを願いたいと思います。
  9. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その点につきましては、あと資料を出していただきたいと存じますが、少くとも先ほど申し上げましたように、国内産砂糖製造業者実態というものは、ほかの場合とその基本的な性格を異にするのであります。本日の御提案趣旨の中にも、第一種甲類砂糖については、その製造場がきわめて小規模であるという点は認めておられまするが、さらにこの製造業が小さい、多数であるというだけではなくして、先ほど食糧庁長官にも申し上げましたように、ほかの換金作物が作れないからやむを得ず県糖製造しておるというのが実態であります。たとえば種子島におきましては、一軒当りの砂糖による収入というものが年間二万円を下るような状況であります。こういった点について、先ほどあなたのお答えの中では、やはり課税の率によって区別して、基本的にはこれを考慮の外に置くという点については難点があるということでありましたけれども、問題はほかの作物と同様なケースがあるという点について、いま一度考慮すべき余地が残されておるのじゃないかというふうに考えるのでありますが、この点はどうでしょうか。
  10. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 国内黒糖につきましては、われわれの方といたしましても課税その他につきまして——これは、農林省の方の政策の問題は別問題といたしまして、われわれ税の方を担当しております者としましての問題といたしまして、相当配慮をしてきておるつもりでおります。その一つは、御承知のように、現在は百斤四百円という税率になっておりますが、この税率は、砂糖消費税が数回にわたりまして引き上げられた機会におきましても、実はそのまま据え置かれてきておりまして、これは引き上げておらない。一つは、やはりそうした点も考慮の中に大きく入っておるわけであります。それから昨年の砂糖消費税法改正におきまして、いわゆる自家消費の分については納税をするのをやめよう、こういうような配慮、これも従来はそうしたことはなかったのでございますが、これもいたしました。昨年の改正におきまして、引取課税移出課税に改めた機会におきまして、多少現実の行政というものについてわれわれの勉強がまだ足りなかったせいもありまして、従来引取課税の場合でございますと、引取者が税を納めればいい、たとえば農協なら農協が一括して納めればいいということにできたのでありますが、移出課税のためそれができなくなったということで、これはどうも工合が悪いというので、今度の改正をお願いしているわけであります。さらに今後砂糖消費税を上げるにつきまして、一体どういう点を考えていきたいかということを考えました場合、国内黒糖税率を下げておきますと、結局輸入黒糖税率消費税の場合におきますとそれだけ、干るわけであります。それで、その競争関係において国内黒糖業者の方はかなり苦労しているようでございます。そういった点もありますので、むしろ関税を上げるということで、これもそう十分とは言い切れないと思いますが、一応輸入黒糖は他の白い砂糖と同じように関税がかかるということで、国内黒糖輸入黒糖とを差別して扱う、こういうような考え方も入っているわけであります。われわれも、われわれの方で考えておりますその分だけで十分だとは言いかねるとは思いますが、一応税の方を担当しておりますわれわれとしましては、できるだけの配慮はしている、かように申し上げていいと思っております。
  11. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今お話しのありましたように昨年度の税法改正に当りまして、引取課税制度移出課税制度に改めたという点についてでありますが、少くとも消費実態に即応して課税する本法律案趣旨からいたしますると、今申し上げたような立場から、むしろ逆な現象が出てきやしないかということを考えるのでありまするが、この点はどうでございましょうか。
  12. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 ちょっと御質問趣旨がよくわかりかねるのですが、従来は引取課税という格好をとっておりまして、そして引き取りをする人が納税者になって納税義務を負う。それが、昨年の改正によりまして移出課税に変りまして、移出する人が納税者になる、そこでだいぶ仕事の実態が変ってきたわけでございます。大島鹿児島等における黒糖業者関係を見ますと、むしろ昔の姿の方が手続的にも便利であり、工合がいい。そこで今度の改正は、引取課税に改めるわけではございませんが、一応受託者製造者とみなすということによりまして、引取課税の分にある程度集中して、組合なら組合が引取人になっていた、それと同じことが今度の改正ででき得るようにした、こういうふうにわれわれは考えております。
  13. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の点についてでありまするが、国税の課税対象者といたしましては、生産者というよりも、むしろ消費実態に即応して保税していくというような点から、今のお答えのように、この問題については、将来その消費者に近いものに課税するというような立場から御考慮を願いたいと思うのであります。  次に、この罰則についてでありまするけれども、記帳義務その他について、これは、先ほど申し上げました農家実態に即応するものであるかどうかという点で、私は一つの疑問を持つのであります。製造場から移出する際に、その記帳すべきいろいろな点がこの則でうたわれております。しかもこれは、この記帳義務を怠った場合には相当の罰を加えることになっておりまするが、この点について、国税庁としても所轄の税務署としても、果して現在までこういった記帳義務について実態を検討されたことがあるかどうか、この点についてお伺いいたしておきたいと思います。
  14. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 記帳義務は、御承知のように課税を確保するという意味において設けられたものでございますが、同時に、その記帳義務を負う人人にどれだけの記帳の能力があるか、こういう点は十分考えてみなければならぬ問題であります。従来におきましても、一面記帳義務ということを全然無視するわけにはいかぬけれども、同時に、その実態に即しまして、無理なお願いをしないようにといった配慮は十分にしていると思っております。
  15. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の点について、無理な配慮をしないようにということでありますけれども、少くとも各農家がほとんど製造業者である、それに即応した形で、この記帳について実際に綿密な検討がなされておるかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  16. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 具体的な、現在どういうことをやっているかということは、国税庁から課長が来ておりますから、課長の方から答弁いたします。
  17. 松本十郎

    松本説明員 農家記帳義務について申し上げます。現在の砂糖消費税法では、法律の三十一条に記帳義務がございまして、農家ではそれをやるわけでございますが、現在の製造者の中で、大部分は非課税適用関係がありますので、申告義務記帳義務もないわけであります。それから一部の納税義務者につきましては、記帳義務もあるわけでありますが、そういうものにつきましては、まだ農家記帳になれておらないというので、十分指導に力を入れまして、そのために罰則を適用するというような例はほとんどまだやっておりません。
  18. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の点でありまするが、罰則を適用するというようなことじゃなくて、指導の面に力を置いているということでありまするけれども、製造農家にとりましては、この罰則規定というものが非常に大きな負担になっておる。何とかしてこの趣旨に適応しなければならないということで、実際の製造に当る一面、これに対する労力というものは非常なものであります。そういった面から、将来この記帳義務簡素化、あるいはその他の面について現在考えておられないかどうか、この点についてお伺いしたいと存じます。
  19. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 記帳義務を全然なくしてしまうということは、課税の上からいいまして、私どもちょっとどうかと思っております。記帳内容を、農家実態に即してできるだけ簡素化するということは、これは国税庁としても十分に考えて参りたいと思っております。
  20. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 理事会の申し合せの趣旨もございますので、それに御協力申し上げるということで、私要点だけを二、三簡単に御質問申し上げたいと存じます。  先ほども申し上げましたような観点から、この国内産黒砂糖に対する課税については、もちろん輸入課税問題等と関連しまして、これを保護するという建前がありますけれども、それ以上に、さらに消費者に対する課税というよりも、むしろ生産者に対する課税の様式が濃くなっておりますから、将来、たとえば所得税におきましては、いろんな特別控除というようなものが認められておりまするが、こういった点について何らかの措置を講ずる考えがあるかどうかという点について、お伺いいたしたいと存じます。
  21. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 砂糖消費税転嫁の問題が多少ございまして、従って、それが製造者負担になるという問題が全然ないとは言い切れませんが、何と申しましても消費税であり、まあ転嫁を前提としているものでございますので、国内砂糖についてだけ特に税率を軽減するといったようなこと、たとえば規模が小さいからとか、いろんなことで軽減するとかいったことは、税法建前から言いまして困難じゃないかというふうに私は考えています。ただ、そういったような内外無差別課税といった原則に反しない限度におきまして、できるだけ無理のいかないような課税をしていくということにつきましては、先ほども申しましたように、自家消費の分につきましては、大島とか、ああいうところで砂糖を作ることを業としている場合におきましても、課税をしていかないといったようなことも考えております。せっかくのお話でございますから、今後も検討してみますが、ちょっと消費税建前から言いますと、無理な点があるんじゃないか、かように考えます。
  22. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最後に希望しておきますが、先ほども申し上げましたように、一つは、少くともこの課税対象が、消費実態についてなされなければならないという立場から、現在の黒砂糖はほとんど今生産者課税にあるというような面もあるかもしれないというお話でありましたけれども、実際現在の移出する状況等から見ますると、ほとんど生産者課税といわざるを得ないのであります。そういった面と、いま一つは、他に換金作物がほとんどないという実態の中で、冒頭でも食糧庁長官にも申し上げましたように、この黒砂糖は、他の換金作物と同じような立場で取り扱わなければならない。こういった二点からいたしまして、またいま一つは、所得税に加算されているという点、これはほかの場合にも同様でありますけれども、やはり農家実態に即応して、この点については税率引き上げというよりも、むしろ免税の方向へ持っていく、そういった面から生産を保護していく、また農家経済状況を高めていく、こういう面からぜひ御考慮を願いたい、このことを希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  23. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 ちょっと一言だけ申し上げておきますが、現在黒砂糖転嫁ができないとか、いろんな問題で苦労をしているとすれば、結局輸入黒砂糖との問題だと思っております。結局どうも大島鹿児島等における黒砂糖コストが高い。これはいろんな理由があると思います。従いまして、総合的な政策において、そのコストを何とかして下げるという問題がまず第一だと思いますが、この税金をたとえばゼロにしてみましても、輸入黒砂糖がやはり同じようにゼロになりますがゆえに、農家のふところにとってみますと、あまり工合がよくない。どうもやはりむしろ別の面からこの問題は解決していかなければなるまいといったところで、われわれはこの問題に取っ組んでいるわけでございますが、それにしましても、税率があまり高くなるのは工合が悪いというので、先ほども申しましたように、数次の砂糖消費税引き上げの場合におきましても、黒砂糖税率は四百円に据え置く。しかし四百円に据え置きましても、相変らず輸入黒砂糖の方が比較的値段が安く入って参りますために、どうも農家の方がそれだけの恩恵をこうむらない、こういったこともございますので、今度の税制改正におきましては、輸入のものだけに課税が可能であるという関税引き上げという方法をとったわけでございまして、さらに、いろいろ御意見の点につきましては、今後われわれも研究して参りたいと考えます。
  24. 松原喜之次

    松原委員長 次に、石村英雄
  25. 石村英雄

    石村委員 砂糖消費税について、二、三ごく簡単にお尋ねいたしますが、われわれはこの砂糖消費税提案されたとき、うかつであるというか、御説明で、従来われわれは税金徴収をもっと縮めろといって、こういう主張をしておったのに対して、その通りになって、今度は平均一カ月半くらいになる、大へんけっこうな改正だ、こう考えおりましたが、この法案をよく読んでみ、また参議院の大蔵委員会での説明をよく聞いてみますと、なるほど一カ月半には現在現実の問題としてはなるかもしれないと思うのですが、やり方がずいぶん変っておる。例えば、今度は従来の引取課税移出課税に改めたから、翌月の月末において納税すればいい、そうして猶予は一カ月ということになっております。この一カ月も、しかし政令で定められたら適用しないということになっておるから、平均一カ月半ということになると、従来の二カ月から十五日短縮された、こういうことに結果においてはなると思います。それだけにおいては大へんけっこうですが、しかし従来は二カ月といっても、この二カ月に担保を出さなければ、二カ月の延納は認められなかった、こういうことになるのですが、今度の改正によって、平均の一カ月半というものは無担保でやられるということに大きな変化が税法上においてはある。担保を出さなくてもいいという形で一カ月半になる。従来は担保を出すことによって二カ月であった。だいぶ内容、性質において違ってきておる。こう考えるのですが、御説明によりますと、移出課税にしたからこういうようになったのだ、酒税なんかもその通りに扱っておる、こういうことなんですが、移出課税にすればなぜ一カ月半、翌月末ということにしなきゃならないのか、酒税がそうしておるから砂糖もこうするのだというだけでは、ただ今までの例がこうだというだけで、そう改める理由というものが積極的に示されていないわけなんです。そこの理由を御説明願いたいと思います。
  26. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 大体消費税の形といたしまして、引取課税の場合と移出課税の場合と一応従来二つの型をとってきていることは、御承知通りであります。昨年移出課税にしましたときは、実態引取課税と納付に関する限りでは同じにしておる、こういったような考え方をとりまして、移出の日に納税義務が発生しまして、それから必要に応じて一カ月、二カ月、三カ月まで徴収猶予ができる、こういう一応の制度をとってきたわけであります。それで実際問題といたしまして、御承知のように二カ月徴収猶予を現在はしているわけであります。二カ月の徴収猶予につきましては、いろいろの御批判もございまして、もう少し短縮してもいいじゃないか、こういうような御批判もありますので、その線でいろいろ検討してみたのでございますが、現在御承知のように、酒の税金につきましてはそうやっておりますし、入場税のように割合に日銭の入るものにつきましても、前月分を一括しまして翌月末日に納めさせている。いろいろな事務手続などを見ましても、引き取りのつど納税義務が発生し、そのつど納税告知書を出す、こういったやり方と、一カ月分をまとめて納税告知書を出すのとでは、あとの方がよほど手続簡略化にもなりますし、しいて従来のやり方を踏襲するほどのこともないだろう。同時にこの際におきまして、そうすることによりまして、納期の関係も一カ月半に短縮されますし、むしろこういう方法でいった方がいいんじゃないかというのが、現在御提案申し上げている案のできた理由でございます。
  27. 石村英雄

    石村委員 どうも御説明では、積極的な理由というものははっきりいたさないわけなんですが、しかし、現在砂糖製造業者というものは、非常にお金をもうけて景気のいい会社だから、担保を出す出さぬということは、現実には別にない。ただ十五日短縮するだけ政府としては有利だということになるかと思うのですが、しかしそういうことなら、なぜ昨年移出課税に改められたとき、同時にそういうような改正をなされなかったのか。ことしになって、一年おくれて、税法に詳しい渡邊さんが、去年うっかりしておったということは、どうもわからないのです。
  28. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 去年うっかりしていたとは私は申し上げません。昨年移出課税にかえますとき、制度としてあまり大きな変更をしないままで、とりあえず一応移出課税の方向で全文を書き直してみるということでやったわけでございまして、昨年同町にいろいろわれわれの方で出した結論としましては、まあ二カ月くらいの徴収猶予も必要だろう、その辺を急に変える必要もあるまいといったような考え方をしておりましたので、一応昨年はそういった意味での御提案を申し上げましたのですが、しかしその後の実情を見ますと、もう少し納期を短縮しても差しつかえない。同時に、それなら移出課税という形が大体一つの型ができておりますし、その型の方向に全体を持ってきてもいいんじゃないかというので、本年の改正になった。本年の改正の動機は、どちらかと申しますと、徴収猶予の期間を短縮しようというところから問題が出発して参ったのですが、その辺から出発して参りますと、それならもういっそのこと、酒の税金と同じような考え方でいった方がいいんじゃないか、こういう結論が出まして、ただいま御提案申し上げているような結論を出したわけでございます。
  29. 石村英雄

    石村委員 結局御説明を聞くと、しいて翌月末というように改めて、無担保で一カ月半税金をとることをやめるという積極的な理由もないようですが、何かわれわれが考えると、三十一年度の予算は、財源をひねり出すために、こうすることによって十三カ月分の税金を取り上げようというお考えであるんじゃないかというように邪推もいたしますが、それはやめにいたしまして、一つ法律の解釈でお尋ねいたします。  附則の4の「六月以内」というのは、常識的な解釈によると六カ月になると思うのですが、あれは六月という意味ですか、六カ月という意味ですか。
  30. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 これは、従来の政府提案します条文の約束といえば約束でございますが、一月以内に出せとか二月以内に出せとか、たとえば法人税の場合ですと、申告書は事業年度が終了してから二月以内に出せ、こういうふうに読んでおりまして、常識的にいえば二カ月というのを二月、六カ月というのを六月、こういうふうに書いておりますので、その例を踏襲したわけでございますが、その場合に読むのは、今の御質問でございますれば六カ月以内、こういう考え方でおります、
  31. 石村英雄

    石村委員 そうしますと、これを六カ月というように長く延長された理由はどこにあるのですか。
  32. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 一月半に短縮されますので、ちょうど五月の納税分が一月だけダブるわけでございます。御承知のように、本年は一月ダブりますから、歳入が十三カ月入っております。そのダブる一月分をそのまますぐ一カ月の間に二カ月分納税させるのは少し酷じゃないか、こういう考え方がわれわれの方にございましたものですから、この重なる一月分は、半年くらいの間にならして納めていくことを認めることによりまして、本年十三カ月分の納税をしていただく、こういう結論を出したわけでございます。
  33. 松原喜之次

    松原委員長 井上良二君。
  34. 井上良二

    ○井上委員 時間がだいぶ迫っておるようでございますし、本日税法関係の数件を採決されるそうでありますから、最後に二、三要点だけ質問しますから、要点だけ御答弁願います。  三十一年度の税制改革をわれわれが見ますと、この税制改革の基本方針は、給与所得者の過重負担を軽減する、こういうことでございまして、表向きはまことにそういうようになっておるようでございますが、一体他の低額所得者はどうするつもりですか。たとえば、農業とか中小企業の低額所得者は全然除外しているじゃないですか。
  35. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 昨年におきまして、御承知のように一応の減税をやりまして、そして本年度も、それが平年度化することによって相当負担軽減ができるわけでございますが、同時に、そうした各種所得の間の負担のバランスにおきまして、給与所得の負担が重いのじゃないか、こういう声が非常に高いわけでございまして、その意味におきまして、その負担のバランスを直すという意味においての考え方でございますので、今回の税制改正においては、給与所得の控除の引き上げだけにとどまっております。将来におきまして、さらに租税負担をどう軽減していくべきか、特に直接税の負担をどう軽減していくべきか、その問題につきましては、われわれとして将来の問題として考えていきたいと思いますが、本年におきましては、昨年の減税のあとを受けておりますので、特に負担が重いという批判ががございます給与所得者だけを抜き出して控除率を引き上げた、こういう次第でございます。
  36. 井上良二

    ○井上委員 今回の改訂で勤労控除を引き上げる、そのことによって低額所得者の一部負担が軽減されるのでございますが、その穴埋めに間接税の増徴をはかっているが、この関係はどう説明をされるのですか。
  37. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 本年の改正におきましては、昨年の減税による負担軽減の平年度化といいますか、それによって、国の歳入の面から見ると減収という姿になりますが、これが三百億ほどでございますので、自然増収を財源にしまして負担軽減をすることはちょっと無理じゃないか。そこで、少くとも各種所得の間で特に重いと認められている給与所得につきましては、場合によっては間接税の増徴、まあこれは一般的な負担になりますが、そういうことをしても下げたらいいのじゃないか、これが臨時税制調査会の一応の答申であったわけであります。従いまして、減税といっても、全体の負担から見ますと、お説のように片方で増徴し、片方で減税しておりますから、全体の負担が軽減されたとは今度の改正では言い得ないと思っております。むしろ相互の間の負担をどう調整するかという点に今度は重点があった。その意味におきまして、たとえば退職引当金などは、多少われわれ行き過ぎだと思っておりますが、これについて限度を設ける、あるいは交際費の課税をする、こういうことで財源を捻出するのとあわせまして、砂糖関税引き上げる。ただ、これもさらにもう一歩進んでみますと、昨年御承知のように、砂糖の差益を特別利潤として徴収するというような案も一つあったわけでございます。しかし、それがどうもあまりいい結果にもならぬようでありますので、これを関税に振りかえた。そのかわり差益徴収はやらない。これでいきますと、大体砂糖の値段も七十五、六円くらいであればいいわけであります。そういうことを考えて参りますと、確かに税としましては、軽減した分は片方で増徴になっているわけでありますが、全体として見ますと、この辺でおさめればそう無理のないところにいくのじゃないか、かように考えております。
  38. 井上良二

    ○井上委員 負担の均衡ということを中心にしてやったというのですが、これは主税当局としては重大な錯誤がある。御承知通り、税をかけておる人の減税をするということは、負担の均衡の上からは考えられますが、税をかけていない人に、片一方の間接税の増徴によって負担が増していくということにお気づきになりませんか。免税されておる国民には、間接税による増徴がはかられていることにお気づきにならぬはずはありますまい。現にあなた方は、物品税の全廃に刺激されて、特に大衆生活や日常生活に必要なものには毎年減免の措置をとっております。しかるに、一方間接税の増徴をやられたのでは、何をしておるかわからぬことになるじゃありませんか。税をかけられる能力のある人の不均衡を是正することはいいのですが、かけられぬ者に増徴するというようなばかな話がありますか。そういう税のとり方が一体どこにあります。こういうべらぼうな話がどこにあるのですか。それを説明しなさい。
  39. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 税をどういう格好で負担していくかという問題は、いろいろあるかと思っております。これは現在の姿を一つの既成事実にしてみれば、おっしゃるような点もあるわけでございます。現在全体として、直接税として負担されている部分が多過ぎる。特に給与所得についてはそういう問題もある。そうなりますと、結局自然増収を充ててその分を減税していくという方向なら、井上先生のおっしゃるようになるのでございますが、しかし今年においては、それもできないということになりますと、全体として、間接税の方にもう少しウエートを置こうじゃないかという考え方が出ておるわけでございまして、その場合におきましては、お説のように、従来直接税を負担しなくても済む人は、あるいは砂糖関係において値段が高くなるというような問題も結びつけば、人の関係で、自分の負担が多くなるという問題も出て参ります。しかし税の体系をどういうふうに持っていくか、あるいは税負担をどういうふうに持っていくのが均衡を得るかということになれば、単に一つの既成事実だけをもとにして片方が上り、片方が下るというだけに考えるのもいかがか。むしろでき上った姿において一つの均衡を得れば、それが一番望ましいものじゃないだろうか、かように御提案申し上げておるわけでございます。
  40. 井上良二

    ○井上委員 税金は、担税能力のある者からとるという建前になっておる。そこで所得税間において不均衡のあるものを是正するというその方針はいい。担税能力のないところに、間接税によって増徴していくというやり方は、その方針と根本的に反する。そういう点を全然考えずに、直接税をあまり増徴したのでは大衆の負担が高くなるから、そこで大衆の気づかない間接税で増徴していこうという考え方が強まっておるようであります。これはもってのほかの考え方であります。従って政府は、直接税、特に給与所得者の低額者の税額を軽くしたと一方においては大々的に宣伝をやっておきながら、片一方においては、砂糖関税引き上げるというようなことをしておいて、それで税金は負けたなんという宣伝はやめてもらいたい。そんなべらぼうな税金の負け方が天下どこにありますか。少くとも、税の専門家であるあなたがさようなことを平気で言うようなことではだめです。しからば、政府の方針を伺いますが、今後は直接税の増徴をできるだけやめて、将来の徴税の方針としては、間接税に移行していこうという方向ですか、一体政府はどちらをとるのですか。
  41. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 われわれとしましては、事柄もはっきりしておるのですから、別に今度の税制改正税金の絶対的な意味においての負担軽減になるんだというようなことは、実は申し上げたつもりはございません。砂糖の値段が、これも先ほど言ったような特別利潤の問題がからみ合っていますから、従来より急にそうでたらめに上るとは思いませんが、それはとにかくとして、消費税がふえただけ砂糖の値段がよし上ったとしましても、給与所得者の、特に従来税金のかかった人たちだけの話でありますが、これは負担軽減になるということは言い得ると思う。しかし今申しましたように、片方で間接税の増徴とかで財源をかせいで、それで片方の負担を下げるというだけでございますから、国民全体の上から見まして税金が軽減になる、そういうようなことを考えた、あるいは申し上げたつもりは全然ございません。ただ今度の税制改正は、こういう趣旨でわれわれとしてはやりたいということだけを申し上げておるわけです。  それから御質問にございました、将来の方向において間接税の方に移行するつもりかどうかというお話でございますが、これは、間接税の方にもっと移行した方がいいじゃないか、それが現在の日本の実情に合うのじゃないか、こういう御意見がずいぶんございます。われわれとしても、一応そういう御意見もわからぬのではございません。しかし、そう簡単に間接税に移行するという結論をすぐ出すべきものであるかどうか、これは、われわれとしてはよほど慎重に考えていくべきもので、臨時税制調査会においてずいぶん御論議を額っておる点は、そういった点を問題の中心としておるわけでございます。一応税制調査会の御論議の結論を待ちまして、われわれの方としては最後の態度をきめたい、かように考えております。
  42. 井上良二

    ○井上委員 それは、政府としてはまことに無責任きわまる答弁です。問題は、租税は担税能力のある者からとるというのが建前なんです。その原則をくずしてもらっては困るのです。税を納める能力のない者から税をとるという考え方は、これは何としてもやめてもらわなければなりません。従って、税を納める能力のない者に間接的に、本人が知らぬうちに税をとるというようなだまし討ち的な税のとり方はやめなさい。
  43. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 私は、だまし討ちの税のとり方だとは思っておりません。だまし討ちの税のとり方でないという証拠には、砂糖関税引き上げるのはけしからぬじゃないかという御意見が、ここで一応いいにしろ悪いにしろ論議されるということだけにおいても、決してわれわれが知らぬ間に別に何も納税者に御迷惑をかけているわけじゃなくて、国会のオープンな場所で御論議になって、そうしてそういう方法がいいか悪いか、結局そういうことでおきめ願うのですから、われわれはだまし討ちという言葉はどうかと思います。われわれは、その御判断に待つべきものだと思います。  担税能力の問題でございますが、担税能力の問題にしましても、井上さんのお話を伺いますと、直接税を負担する者だけが担税能力があるというふうに考えられますが、間接税そのものがやはり一つの担税能力とみて考えておるわけなのでございまして、担税能力に応じて、直接税と間接税と両方を負担するのも一つの担税能力とみての話、間接税だけを負担するのも担税能力とみての話、従いまして、間接税をどういうふうに持っていき、直接税をどういうふうに持っていくか、このこと自身が、やはり全体として、私は担税能力を考えながら税の構成をいたしていくべき問題だと思っております。
  44. 井上良二

    ○井上委員 ただいまの主税局長の答弁は、国民をごまかすのもはなはだしいと思う。一体政府が間接税の増徴について、またとり方について、国民にどう趣旨を徹底さしておるのですか。たとえば、ここにたばこがあるけれども、このたばこは、製造原価がなんぼ、税金がなんぼと書いてありますか。あるいは酒を小売店で売らしておるが、酒一升に対しては、原価はこれこれで、酒税はこれこれかかっておるということが書いてありますか。砂糖でもしかりではありませんか。大衆は販売価格によって買うてくる。その販売価格の中には、税金が含まれておるのです。大衆は、税金がなんぼかかっておるということを知らずに買うておるのです。これが、もしこの中にこれだけの税金がかかっておるということが価格表示されており、税額を表示されておればよいのですが、間接税は一つもそういうことをしておりませんよ。そういうことをして、税を払う能力のない者まで税を負担させておいて、そうして当然税をかけなければならぬ分については、いろいろの抜け道をぎょうさん設けて、そうして体裁のいい負担の均衡だとか言うて、いかにも減税をしたように言うて、そうして声なき声の、税金をかけることのでき得ない人から税金を取るなんという考え方は太いことです。だから、これは相当問題になる意であります。  また政府は、来年度の税制改正を考えておるそうでありますが、その点に対しては、政府としても、今後の税の取り方に対しての基本的な態度をきめるべきであります。そういういいかげんなことを言うておいたら、それでいいやろうなんて考えて、しかも与党が多いから、まあそこらでいいかげんにしておけば通るだろうなんと考えたら、大きな間違いですよ。  さらに、ついでだからお伺いいたしますけれども、ただいま石村君から質問いたしておりました砂糖消費税の一部改正に関連をいたしましても、あなたの今の答弁を聞いておると、全く実情に沿うていませんよ。今までの行政措置でやれることを、何ゆえに法的改正をやらなければならぬのですか。実情は、現金取引がほとんどじゃありませんか。たばこや酒やその他の例を引いてきて、それに右へならえという考え方に立っておるようだけれども、税は、現実にとれるところからとっていくということが建前じゃないか。現実に現金取引がされておるのに、何ゆえに法律改正を待たなければならぬかということが、ここの議論の中心ですよ。それは、取引関係ですから、手形その他の関係もあろうし、精算もあろうから、まあたかだか二週間なり一カ月は認めてやらなければなるまいということは、大よその意見であります。それを、法律の規定によって動きのとれぬようにする必要がどこにあるのですか。そういうむちゃなことをしてはいかぬですよ。それは、あなたはもう少し実情を把握してやっておるといいながら、抜けてばつかりいる。これははっきり申し上げられる。  なお私は、所得税法その他の改正案の各項についてたくさん質問の要項を持っておりますし。なお関税引き上げに関しての問題について数点質問をいたしたいのですが、ふだんめったに出てこない与党の人々が大勢出てきて、はなはだ時間をせいておるようですから、私の質問は後日に譲りまして、この程度にとどめておきます。
  45. 松原喜之次

    松原委員長 お諮りいたします。ただいま一括議題となっております六法律案に対する質疑は、これにて終了いたすに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって六法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
  47. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま質疑を終了いたしました六法律案のうち、所得税法の一部を改正する法律案砂糖消費税法の一部を改正する法律案大蔵省関係法令整理に関する法律の一部を改正する法律案及び在外公館等借入金返済準備に関する法律を廃止する法律案の四法律案につきましては、討論を省略して直ちに採決されんことを望みます。
  48. 松原喜之次

    松原委員長 ただいまの藤枝君の動議に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  まず大蔵省関係法令整理に関する法律の一部を改正する法律案及び在外公館等借入金返済準備に関する法律を廃止する法律案の両案を一括して採決いたします。  お諮りいたします。両案を原案の通り可決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって両案は、いずれも全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  次に、所得税法の一部を改正する法律案及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。両案に対し賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  51. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって両法案はいずれも原案の通り可決いたしました。
  52. 松原喜之次

    松原委員長 次に、関税定率法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の両案につきましては、討論の通告がありますので、両案を一括して討論に付します。横山利秋君。
  53. 横山利秋

    ○横山委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、租税特別措置法等の一部を改正する法律案並びに関税定率法の一部を改正する法律案に対して、反対の意見を申し述べるものであります。  まず、租税特例措置法の反対の理由を申し上げます。  租税に対する世界各国のあり方については、いろいろの形があり、またいろいろの原則があります。しかし、その中で何人も普遍的な常識をもって理解いたしますのは、担税能力の問題であり、所得に応じてこれを納める公平の原則であります。公平の原則こそは、多くの原則のうちでその中枢的な原則であります。これによってこそ、納税者たる国民諸君の納得は得られ、税務行政に携わる税務職員の苦労は、飛躍的に物心両面において軽減されると確信するのです。私はこの公平の原則が、そのときの経済的な政策の上の要請に基いて、ある例外を示す場合のあることを否定するものではありません。しかしながら、それはおのずから限界があるものであります。何となれば、一つは、これにより恩恵を受けない人々の犠牲負担によってその恩恵がもたらされるからであります。同時にこの特別措置が、結果的に見て補助金を出すと同じような結果となる場合が少くないからであります。すなわち補助金支出が批判の的となることを考えて、これをくらますために、容易に考えられやすい課税上の特例によってごまかすというようなことは、為政者として心から反省をしなければなりますまい。  今やこの特別措置は、例外であるべきはずのものが、実体的には原則の一つとなり、平年度々おける減収は、利子所得の非課税百億を初めといたしまして、配当所得税及び証券投資信託収益課税の特例五十億、配当控除の特例六十億、交際費の否認十五億を見ておりますが、さらに輸出所得の特別控除三十五億、法人増資の登録税減税八億、航空機用ガソリン及び通行税七億、貸し倒れ準備金百億、価格変動準備金百億、退職給与引当金百五十億、異常危険準備金二十億、特別修繕引当金百二十億、概算所得控除が八十億、外国人課税の特例が六億、渇永準備金十二億、違約損失、補償準備金二億、外国技術使用料課税六億等々、全く枚挙にいとまなく、二十九年度においてもまさに九百八十五億の巨額の金が、取るのがほんとうだけれどもこの際負けておくということに相なり、まさに租税理論は逆転しておる結果となっております。しかもこれらは、形の上では中小企業にも幾ばくかの恩恵を与えておるように見えますが、その実態は、大資本、大企業、大口所得者のみに奉仕する減税措置でありまして、数年来にわたって日本社会党が糾弾し、円滑なる納税の危機となるであろうことを警告し、その根本的な刷新を絶叫してやまなかった次第でございます。しかし、今やこのことは、国民各階肩の知るところとなり、中小企業各団体も決然としてその根本的廃止を唱え、農民、労働者は申すに及ばず、政府の諮問機関たる臨時税制調査会においてすら、この十二月の答申をもって、現存する税制上の各種の特別措置は、それぞれの政策的効果をねらって設けられたものにせよ、経済の正常化に伴い、漸次これを整理し、税制の簡素化負担の均衡化に資すべきであると主張するに至りました。  今回政府のとった措置は、これに対してわずかに交際費の損金不算入で十億と、他に多くの第一義になさるべき幾多の廃止問題があるにかかわらず、労働者に間接的に悪影響をもたらすおそれある退職給与引当金の制限による七十八億を取り上げ、しかも航空機用揮発油及び地方道路税の免税を三カ年継続し、八億円の減収とし、また有価証券取引税の一部を改正して、公社債並びに貸付信託の受益証券等の譲渡による取引税を現行の二万分の三、一万分の七から、それぞれ一万分の一、一万分の三にさらに減税しようとするものであります。われわれはかかる不公平に絶対反対をいたします。われわれは予算組みかえ案を通じてこの租税特別措置法に根本的メスを加え、正常な形に戻すことによって六百四十四億円を捻出し、これをもって中小企業、労働者農民に真の減税をするように提案をいたしました。しかるに自民党は組みかえ案を否決したのであります。この際われわれ国会議員は、過ぐる総選挙に当って、国民の声にこたえて全国津々浦々でわれわれが党派を超えて主張したことを想起すべきでありましょう。鳩山内閣の組閣の際の公約を想起すべきでありましょう。それは低額所得者の減税であり、中小企業の減税であり、税の簡素化による国民の納得でありました。勤労者に幾ばくかの減税が行われました。しかし今市町村津々浦々に起っているトラブルは、国税が下って市町村民税が上ったという不満であります。さらに固定資産税、軽油税、都市計画税等続々と生まれようとする増税であります。参議院選挙が済みますると、政府与党は、おそらく運賃の値上げをしようとする意図もまた明らかであります。本年度国税五百億、地方税四百億の増税があります。中小企業に何がされましたか。税の簡素化の公約に逆行して、複雑な概算所得が行われ、目的税は続々と生まれようとして地方財政の弾力性を圧迫し、軽油税は、用途別免税によってますます複雑にして犯罪者の温床ともなろうとしているのであります。政府与党は、一体これに対していかなる言いわけをしようとするものでありますか。  先般、一萬田大蔵大臣は当委員会で、私はそう税理論に自信がないとはしなくも告白されました。問題はここにあるのであります。金融の大家、日銀の法王たりし大臣が、税に対して数々の公約をしながら、全力をあげて遂行しましたことは、何とみずからの古巣の銀行を擁護する預金利子の免税にほかならなかったのであります。それは、税の大原則に逆行するもはなはだしいものでありまして、そして根本的改正はあげて延引を重ねて、今や三十二年度に押しやられようとしております。この際大臣は、率直にみずからの欠陥を認識し、税に全力をあげるべきでありまして、出直すべきであります。  今日、勤労者は、国税、地方税ともに天引き課税のもとに、数年来ふつふつとたぎる怒りを押えることができなくなっておるのであります。中小企業もまた実行されない公約に怒りを禁じ得ないのであります。  私は、昨年当委員会において税制の採決に当って、フランスのプジャードの反税運動に例を引いて警告をいたしました。めぐる一年、プジャードは総選挙の機会を得て、国民の怒りのもとに五十数名の議席を得、ためにフランス政界はますます混迷の度を加えつつあるのであります。二大政党の対立は、明白な責任政治の実現にあるのであります。政府与党は、その言に忠実でなくてはならず、われわれもまた監督する責任を国民から負っておるのであります。目ざめつつある中小企業と労働者、農民の怒りは、いつか爆発することを銘記すべきでありまして、この危機を警告し、このごまかしの法案に反対するものであります。  この際、所得税についても若干の敷衍をいたしたいと思うのであります。この場合一五%を二〇%にすることのみについてみますれば、二十二国会当時のわれわれの主張を、ようやくにして政府がのんだ点については了といたします。しかしシャウプ勧告以前は二五%であったし、地方税の増徴という点を考えまするときは、まだまだの感があります。われわれは、大臣が本措置は暫定措置であると言ったこと、税制調査会の根本的改正に待つと言ったこと、また主税局長がついに二〇%の根拠を示し得なかったことは、今後の実態調査による結果に待つこととして、今後さらに一層前進させる意味で、一応本案に対する賛意を表しますが、しかし所得税改正は勤労控除にとどまるべきではございません。  私どもは、この際、組みかえ案において計上いたしました標準家族五人を基準とし、年収三十万円までは免税とし、基礎控除を十万円に、扶養控除をそれぞれ三万円と一万五千円に、青色申告税控除を十万円に、事業所得者の所得金額計算に当っては、必要経費以外に特別勤労控除を行うこととし、課税率を総所得額の一〇%、最高限度四万円にし、期末手当中それぞれ五千円を非課税とすることを企図するのであります。  かくして、所得税法に対する政府予算は、百五十一億一千二百万円の減税となりますけれども、昨年に比べれば六十億の減税でしかありません。租税全体からいうならば、昨年に比べて五百二十八億八千七百万円の増税であります。地方税を含めますならば優に一千億の増税となるのであります。  私どもは基準年次の昭和九年—十一年の国税、地方税の総額が国民一人当り二十七円であったことを思い出します。よしや物価の倍率が三百五十倍といたしましても九千四百五十円であります。しかるに三十年度においてすら、われわれは一万四千二百三十円を生まれたての赤ん坊すら負担しておるのでありまして、まことに脅威の重税といわなければなりません。何がゆえにこそかくなるのでありましょうか。どうしたらよいのでありましょうか。私どもは、国民のほうはいたる重いということ、不公平ということ、税金がむずかしいということ、この三つの声に率直でなくてはならぬ。その意味においては、われわれの主張する再軍備の予算を根底から修正すること、租税特別措置法の根本的改正をして、国民の声にこたえる大原則を実行することを重ねて主張するものであります。私は、この際われわれの主張に一歩前進という意味において、所得税に賛成はいたしますが、これはより高い戦前水準を目ざす意味を持っておるということを付言いたすものであります。  次に、関税定率法の一部を改正する法律案について反対理由を明らかにいたします。  近来政府は、重税にあえぐ国民の声に対して、これを遮蔽するべく間接税の増徴、増税によって大衆課税転嫁をしようとしております。かかることは、新たなる不公平を起そうとするにほかなりません。直接税の公平は直接税で解決すべきであって、大衆の目を瞞着できるこの間接税増徴に断じて転嫁すべきものではありません。いわんや砂糖は主食の転化物であって、準主食ともいうべきであります。今回砂糖の関税率を、原砂糖は一キロ七円六十二銭程度を十四円に、精製糖については、一キロ十七円一銭であるけれども、これを一キロ二十四円に引き上げ、その他の引き上げをはかっております。かくして六十二億の増徴です。われわれは、従来から砂糖会社の余剰利益について糾弾を試みてきました。昨年二十二国会末において、河野農林大臣不信任案を上程せんとしたのも、砂糖にからまる問題であったのであります。従って、砂糖小売価格を上げないで関税を上げ、これを中間超過利潤から吸収するというならば、多少恕すべき点はあろうと思います。しかし本法案は、これに対する何らの保障もないのでありまして、依然たる業者擁護に根底が秘められ、国民の生活負担にしわ寄せをやる危険を持っておるのであります。六十二億の増税はどこにしわ寄せされるか、働く国民の立場から反対せざるを得ません。砂糖消費税法の一部を改正する法律案は、ある意味においては、一歩危険が少いと判断されるところも相当ございます。しかしこの法案については、今後の経過を監視しつつ賛成はいたしますけれども、関税定率法の一部を改正する法律案については、断固として反対の所信を表明いたしまして、討論を終ることにいたします。
  54. 松原喜之次

    松原委員長 石野久男君。
  55. 石野久男

    ○石野委員 私は租税特別措置法の一部を改正する法律案並びに関税定率法の一部を改正する法律案に、小会派クラブを代表して反対をいたします。  まず租税特別措置法の問題について申し上げます。この政府の税に対する基本的な問題は、いわゆる最近まで資本蓄積に非常に重点を置き過ぎているという点にあると思います。私たちは、源泉課税と申告税の不均衡を、今度の税制ではどうしても是正しなければいけないという考え方を持っております。われわれは、この租税特別措置法については、国の経済の実情から見て、ある時期においてはその必要性を認めます。けれども、今日政府は、日本の経済が正常化の段階にきているということを盛んに主張している時期において、もうこの処置はすでに廃止さるべきであろうというふうに考えております。私たちは、特に大企業が膨大な利潤を生んでおるときに、こういう特別措置法をなお依然として続けていこうというということに対しては、徹底的に反対をしなければいけないと思います。先ほど同僚委員の質疑の中にもありましたように、政府は、税制の問題では直接税を極度に軽減する過程の中で、間接税にそれを転嫁していこうという考え方を持っております。この間接税に持っていくという形は、期せずして、低額所得者に対して税をそれこそだまし討ちでかけようとする魂胆であります。私たちは、こういうことは、国の経済の再建の立場からいっても許されないことだと思います。先般渡邊局長は、二十九年度におけるところのいわゆる特別措置における免税所得額というものは、年間約千四百億あると言っておりました。われわれの調査によりましても大体千八百億あるのです。こういうものに対してもしわれわれが二割の税をかけるならば、少くともそこでは三百数十億の金が出てくる。三割の税をかけるならば、五百億に及ぶところの税の徴収ができるのであります。そういう問題が全然等閑視されて、あとに述べられるような関税定率法寺によっても、いわゆる砂糖への課税だとか、あるいは間接税の課税へこれを持ち込もうとしておる。私たちは、こういう考え方に対しては徹底的に反対しなければいけない、こういうふうに考えます。先ほど上程された所得税の問題についても、政府は勤労者に対して、いわゆる二〇%の控除率を上げるというような言い方で、きわめて巧妙に大衆を欺瞞しております。私たちは、少くとも所得税に対するいわゆる免税の点というものは、どうしてもシャウプ勧告以前の二五%以上に後先することが、いわゆる国の経済が正常化しているという建前からすれば当然だと考えるのであります。それにもかかわらず、この二〇%のもので大衆を欺瞞しようとしておる。そしてまたわれわれは、この地方税との不均衡の状態から見れば、少くともこれは三〇%まで控除すべきである、引き上げるべきであるというように考えておるのであります。そういういろいろな問題が全然考慮されずに、大企業に対する特別措置だけが依然として残るということに対しては、これは実に国民に対する欺瞞工作であると同時に、大資本擁護の考え方である、そういう意味でわれわれはこれに反対いたします。  関税定率法の一部を改正する問題については、先般横山委員からも言われたように、この問題は将来に対して、国民にいわゆる大衆課税として転嫁されることを防ぐ何らの措置がなされていないのであります。われわれは、今日の問題は、そうすぐに大衆に転嫁されるというふうにはならないことも知っております。けれども、これはいわゆる超過利潤の確保をむしろその面でとるべきであって、こういう形でやるべきでないのだという主張をわれわれは持っております。そういう意味合いから、われわれもこの関税定率法に対しても反対であります。  以上二法案に対して、反対の理由を申し上げました。
  56. 松原喜之次

    松原委員長 これにて討論は終局いたしました。  それでは、次に両法案を一括して採決いたします。両法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  57. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって両法律案はいずれも原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は来る六日午前十時より開会することとして、これにて散会いたします。     午後零時五十一分散会