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1956-02-10 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 高見 三郎君 理事 石村 英雄君       淺香 忠雄君    生田 宏一君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    古川 丈吉君       保利  茂君    坊  秀男君       前田房之助君    井上 良二君       木原津與志君    竹谷源太郎君       田万 廣文君    平岡忠次郎君       横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 鎌田 要人君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    大月  高君         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         日本専売公社総         裁       入間野武雄君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道参         事         (経理局主計課         長)      八木 利真君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  製造たばこ定価決定又は改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第九号)  日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案の二法律案一括議題といたします。まず本日政府より提出されました製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案に関する参考資料に基きまして、本法律案についての補足説明を聴取いたします。大月専売公社監理官
  3. 大月高

    大月説明員 この法律提案理由は、先日政務次官から御説明申し上げたところでございますが、本日お配りいたしました資料に基きまして、若干補足させていただきたいと思います。  この法律案の内容は三つございまして、一つ富士及びピース最高価格をそれぞれ五十円及び四十円に引き下げることであります。第二点は、新製、品のいこい発売することといたしまして、その最高価格を十本当り二十五円に決定することであります。第三点は、昭和三十年十月から試製品として販売いたしておりますパールを、その後の販売状況にかんがみまして、今回正式に価格表に追加することであります。この値下げ及び新製品発売理由について御説明申し上げます。  最近たばこ販売状況は不振の状況にございます。この原因数量全体として、増加率が漸次頭打ちになっておることが第一点でございますが、各品種別に見ましても、富士ピース、光などの上中級品売れ行きが非常に減少して参りました。反面下級品、特に新生売れ行きが非常に増加してきたためでございます。この事情を第一表によって数字的に御説明申し上げます。昭和三十年度予算によりますと、製造たばこ販売数量は一千九十一億本となっております。また金額におきましては、二千百八十三億円となっておるわけであります。その十本当り販売単価は二十円一銭ということは、この表に示されておる通りであります。ところが本年度実績についてみますると、三十年度年間見込みのところにございますように、本数におきましては、一千五十三億本の見込みでございまして、金額におきましては、二千五十七億円の見込みでございます。これを本年度予算と比較いたしてみますと、本数におきましては三十八億本、パーセントにいたしまして三%の減少でございます。金額におきましては、百二十六億円、パーセントにおきまして四%の減少になっております。なおこれを昨年度つまり昭和二十九年度実績に比較いたしますと、数量におきましては、昨年の実績、が一千二十七億本、金額におきまして二千八十五億円であったわけでございますので、差引いたしますと、数量におきましては二十五億本、パーセントで二%の増加金額におきましては、二十七億円の減少パーセントにおいては一%の減少、こういうことになっておるわけでございます。今まで大体過去数年の統計をとってみますと、年々数量におきましては八%前後の本数増加を示しておったわけでありますけれども、この表から見るところによりますれば、本数増加率は二・四%になっておりまして、比較的低調であります。また昨年度に比較いたしまして、数値はふえておりますけれども金額は減っておる、こういうことを示しておるわけでございます。  これを品種ごとに若干御説明申し上げますと、ピースにおきましては、昨年度本数が七十七億本であったわけでありますが、それが本年度におきましては五十一億本でありまして、二十六億本の減少つまり三四%の減少になっております。光におきましては、昨年度の百八十九億本に対しまして、本年度百九億本でありまして、差引八十億本の減少、四二%の減少になっておるわけであります。これに対しまして新生におきましては、二十九年度実績が三百九十億本であったのに対しまして、本年度は四百九十四億本でありまして、差引百三億本、つまり二六%のこれは逆に増加になっておるわけでございます。このように単価の高い上中級品に対する需要が次第に下級品に移行して参っておりますことは、最近経済情勢健全化に伴いまして、消費支出が次第に堅実化して参ったことが根本だと存じますが、具体的には、下級品につきまして、最近品質改善が著しいということ、また消費者の面におきまして、次第に軽いたばこに移行してきておるということ、また上級品価格につきましては、品質に比較いたしまして価格が割高になっておる、こういうようなことが原因になっておると存ずるわけでございます。こういうような状況昭和二十八年度以降について示しましたものが第三表でございます。  この第三表によりますと、販売数量におきましては、昭和二十八年の上半期を一〇〇といたしまして指数をとった表でございますが、ピースにおきましては、昭和二十八年度上半期を一〇〇といたしまして下半期が一一九、二十九年の上半期が五八、下半期が五四、昭和三十年度におきましては、上半期が四二・二、下半期が三三・〇、こういうことでございまして、数量におきまして約三分の一に減少いたしておるわけでございます。また光におきましては、昭和二十八年度上半期を同じく一〇〇といたしまして、これも漸減いたしまして、昭和三十年度下半期で三六・六、これも約三分の一に減少いたしておるわけであります。また逆に下級品新生におきましては、昭和二十八年度上半期を一〇〇といたしまして、次第にしり上り増加いたして参りました結果、三十年度下半期は二二一、つまり二倍強という数字を示しておるわけでございます。これを全体の本数を一〇〇〇といたしまして千分比をとってみたのが、その右にございます構成比という欄でございます。これによりますと、昭和二十八年度上半期におきましては、上級品計のところをごらん願いますと一四六という数字になっております。それから中級品計というところをごらん願いますと、二五一という数字になっております。これを合計いたしますと三九七という数子、おおむね四〇〇でございます。それから下級品の計のところをごらん願いますと六〇三という数字でございまして、おおむね六〇〇、つまり上級品中級品を合せまして四に対しまして、下級品が六と、四、六の割合になっておるわけでございます。これを昭和三十年度の計のところでごらん願いますと、上級品の計が五〇、中級品の計が一五六でございまして、合計二〇六、おおむね二〇〇というところでございます。また新生を含む下級品におきましては、この率が七九四でございまして、おおむね八〇〇、つまり二対八ということでございまして、四対六の割合から二対八に変化してきておるわけでございます。なお参考のために、戦前の平常な時期におきます昭和九年——十一年の平均をとって、これと同じ立場で計算してみ出すと、上級品が二五、中級品が一八五、合計二一〇、下級品が七九〇ということでございまして、最近の傾向とほぼ同じ数字を示しておるわけでございます。  こういうような事情品質が次第に下級に向っておるということを反映いたしまして、一番下の欄にございますように、十本当り単価も次第に下ってきております。二十八年度上半期におきましては二十一円八十三銭でございましたのが、次第に下りまして、現在三十年度におきましては、十九円五十四銭というところに下っておるわけであります。なお合計の欄でごらん願いますと、二十八年度、二十九年度、三十年度と、本数は次第に増加いたしております。九百六十七億本、千二十八億本、千五十三億本という状態でございますが、金額におきましては、二十八年度の二千百十八億円、二十九年度の二千八十五億円、三十年度の二千五十七億円というように、次第に低下傾向を示しておるわけでございます。  こういうような状況を基礎にして判断いたしますと、どうして販売数量を確保しながら製品十本当り単価を引き上げていったらよいかというところに問題が帰着するかと存じます。こういう目的から考えまして、一つ上中級品に対する、需給低下傾向をどうして食いとめるか、第二に、次第に増加して参っております新生に対する需要をどうして上級の他の品種に引きつけていくか、こういうことにあると存ずるわけでございます。これがためにどういうふうにしたらいいかということは、いろいろ考えられると思うのでございますが、戦前価格体系、あるいは最大の財政収入を確保しながら良質かつ安価なたばこを供給する、そういうような公社目的、こういうことを考え合せまして、今回提案いたしておりますように、富士及びピース値下げと新製品いこい発売、これを考えたわけでございます。こういうようにいたしまして、富士ピース需要下降を防ぎ、またさらに、逆にこの販売増加をはかる、同時にいこい発売いたしまして、新生に対する需要を逐次吸収して参りたい、こういう希望でございます。  そういう方策をとりました結果、昭和三十一年度において財政収入がどうなるかというのを見たのが、第二表でございます。この第二表によりますと、三十年度見込みは、先ほど申し上げました通り本数におきまして一千五十三億本、金額におきまして二千五十七億円、こういうことになっておりますが、三十一年度見込みにおきましては、数量が一千九十四億本、四十一億本の増でございまして、金額におきましては、二千百六十五億円、百九億円の増、こういうことになっております。  なお品種ごとに見ますと、ピースが五十一億本から六十一億本へふえます。それに対しまして光は、ピース需要が吸収されるというと、あるいは一部新製品いこいに落ちるいうこと等を考えまして、百九億本から四十八億本に減るというように考えております。またパールは新製品でございますので、今後販売の努力を続けていくといたしますれば、八十六億本の数量に上る。それからいこいは百三十八億本、約一割二分六厘程度売り上げがあるだろう。こういうような結果を反映いたしまして、新生におきましては、本年度の四百九十四億本から四百八億本と、比率におきましては千分の四百七十から千分の三百七十三、約百程度下降を示すであろうということを期待いたしておるわけでございます。こういうようにいたしまして、最終的に財政的に納付金及びたばこ消費税がどうなるかということを示したのが第五表でございます。第五表によりますと、三十年度予算は、先ほど申し上げました通り製造たばこの売り払い代二千百八十六億円、それに対しまして、一番下の欄でございますが、納付金及びたばこ消費税合計いたしますと千五百二十五億円、こういう数字になっております。三十年度見込みは、いずれ補正予算を提出いたす見込みでございますが、製造たばこの売り払い代金におきまして二千六十億円、百二十六億円の減、それから納付金たばこ消費税合計におきまして一千四百五十八億円、合せまして六十七億円の減少ということでございます。三十一年度予算案におきましては、製造たばこの売り払い代金二千百六十九億円を確保いたすことによりまして、たばこ消費税納付金合計いたしました金額は、ほぼ本年度予算並みに確保いたしたい、つまり合せて千五百二十五億円といたしたいわけでございます。ただ、たばこ消費税が本年度の百分の十五から百分の十七に上るわけでありまして、そのために、本年度たばこ消費税三百九億円に対しまして、三十一年度は四百億円ばかりを予定いたしております。九十一億円のたばこ消費税の増があるわけでございますので、一般会計に対する納付金はそれだけ減少する建前であります。ただ昭和三十年度特別措置でございます交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入額が四十四億七千四百万円、これがなくなりますので、その分だけ減少を食いとめられる、こういうことで差引一般会計に対する納付金といたしましては四十六億七千万円の減少という結果になっておるわけでございます。最後にパールの件でございますが、昨年の十月以降、ずっと大蔵大臣の認可を得て試製品として販売いたしておりますが、その販売状況は第四表に示した通りでございます。大体におきまして月四億ないし五億の売り上げを示しておりまして、先ほど御説明申し上げましたように、昭和三十一年度におきましても、相当の売り上げを期待いたしたいと存じますので、正式に法律による価格表の中にこれを組み入れていただきたいというわけでございます。  なお施行期日の点でございますが、富士ピース値下げは三月一日から、いこい発売は四月一日からいたしたいと思っております。これはまず値下げを実行いたしまして、上級品に対する嗜好を増大、あるいは少くとも維持するという方策をとりまして、しかる後に新製品によって新年からの吸収を考える、こういうことでございますので、何とぞよろしくお願いいたします。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 これにて補足説明は終りました。引き続き両法案について質疑を続行いたします。井上良二君。
  5. 井上良二

    井上委員 昨日私が大蔵大臣に質問したことは、専売公社の方に通じておりますか、通じておりますれば、その御答弁を願います。
  6. 大月高

    大月説明員 大臣お尋ねになりました点は、たばこ品質、芳香、あるいはのりづけ、そういうようなことでいろいろ不良品が出ておるが、これに対して万全の措置を講ずるように……(「そんなことを質問していない。本数が足らなかったり……」と呼ぶ者あり)本数の足らなかったことも含むと思いますが、最近新聞紙上にいろいろ伝えられたようなことについて、今後十分注意しろというお話でございましたので、きのうも役員会を開きましていろいろ相談いたしてみたのでございます。
  7. 井上良二

    井上委員 たばこ本数が不足しておったということは、最近新聞ラジオ等で非常にやかましく報道されております。一体どこの工場で、どういう施設でかようなことが起ったのですか、そのことをはっきりして下さい。
  8. 入間野武雄

    ○入間野説明員 先日鎌倉におきまして、ああいう事件ができましたことは、まことに遺憾に存じ、また申しわけないと存じております。製造工場小田原工場でございます。
  9. 井上良二

    井上委員 小田原工場で製造しておる——そんなだらしない答弁がありますか。政府専売品本数が足らないで平気で売られておる、しかも小田原工場で製造したものである——一体、何という答弁なんです、そんな話はありませんよ。
  10. 入間野武雄

    ○入間野説明員 どこで作ったものかとお尋ねであったので、小田原工場であると申しましたが、あのことにつきましては、まことに遺憾に存じております。私どもといたしましては、そういうことのないように全国三十九の工場を督励いたしておりますけれども機械故障等によりまして、たまたまそういうものが出てきましたことは、まことに申しわけないと存じております。なお機械の問題につきまして、だいぶあのときに議論がありましたようでありますが、これはできるだけ将来完備して、消費者諸君の御満足を得るようにいたしたいと考えております。
  11. 井上良二

    井上委員 問題は、不良品が出たのを知らなかった、機械がやっておることだから、人間の能力では限りがあって、やむを得なかった、こういう御答弁のようです。しかし、そういうことが現実に行われておるということは事実なんです。それなら、それに対する改善の方法はこうだとかいうことを具体的にお示しを願って、今後はかようなことは絶対に起りませんということを明らかにして消費者大衆に安心を与えることが必要ではありませんか。
  12. 入間野武雄

    ○入間野説明員 機械がやっておるからいたし方ないというようにお聞き取り願いましたことは、まことに恐縮に存じます。そういうことのないように全従業員に注意いたしております。たまたまああいう事件が起りましたことは、まことに遺憾の至りであります。今後よく従業員にそういうことのないように——機械等におきましては、さまで不完全なところはないと思います。たまたまああいうことがありましたが、結局注意の足りない結果であると存じますので、今後そういうことのないように、従業員にとくと注意いたしたいと考えております。
  13. 井上良二

    井上委員 次に、今度政府富士またはピース価格をそれぞれ値下げすることを要求して参りましたが、私ども先般本委員会ピース等値上げ案が上程されましたときに、この値上げには社会党はあげて反対をいたしました。と申しますのは、財政需要に基いて、特に国民嗜好品であるからということからして、値上げを簡単に考えることは、国民経済の上からも、またたばこの今後の売れ行きの上からも好ましいことではないということからいたしまして値上げ反対をした。ところが政府はそれを押し切り、値上げ案を実施したのでありますが、この値上げ案国会を通過いたしましてから半年たたぬうちに、ピース売れ行きはがた落ちになった。そういう財政需要に基いて、財政当局から強引に、これこれの売れ行きがいいから、これこれのものは上げてもこれだけの財政収入たばこ売上益金において求めることができる、こういう要求がありました場合は、その市況がどうなろうが、消費者のふところがどうあろうが、売れ行きがどうなっていこうが、そういうことは一向おかまいなしに、財政当局要求をそのままあなた方は受け入れて、値上げ案をやむなしとして承諾をしたのですか、どうですか。
  14. 入間野武雄

    ○入間野説明員 私は常に安くていいたばこ消費者に吸っていただきたい、こう念願いたしておりますので、でき得れば、たばこ値上げはいたしたくないと考えておりますが、諸種の事情からああいう結果になりましたことは、私の不徳のいたすところとまことに申しわけなく存じております。
  15. 井上良二

    井上委員 不徳のいたすところというて、それで事が済むならここで議論する必要はございません。わずか半年、一年出ずして再び国会価下げ案を出してこなければならぬような値上げを何でした。今後は、専売局売れ行きがよくなったらまた値上げをするのですか。
  16. 入間野武雄

    ○入間野説明員 たばこ価格の問題は、そのときの事情によりまして多少の変化はあるかと思います。できるだけ値上げ等は避けたいと考えております。そうして私どもの方でも勉強いたしましてできるだけおいしいたばこを安く消費者の手にお渡ししたいということは、常に念願いたしております。あのときの値上げ事情につきましては、いろいろの問題もございましょうけれども、過去のことでもございますので、この辺で御了承願いたいと思います。
  17. 井上良二

    井上委員 おいしいたばこを安く売るというが、この原価は何ぼです。何ぼで売っているのです。むちゃなことを言っちゃいかぬ。
  18. 入間野武雄

    ○入間野説明員 たしか十円未満だと記憶いたしておりますが、結局それ以上の部分は、消費税に相当するものであると考えております。酒などとほぼ同じような割合税金が入っているものと、こう御了承願いたいと思います。
  19. 井上良二

    井上委員 戦時当時は、戦時利得税というものを別にはっきりとここに書いてあった。だから国民は、このたばこはこの値だけれどもほんとう戦争に勝つためというか、戦争に協力するために、やむなく高いけれどもがまんをして買おう、こういうわけですね。はっきりいって、定価が別に書いてあった。それがいつの間にかなくなって、そのまま終戦後消されてし承っておるわけですね。だから、あなたがおっしゃるように、ほんとうに安くてうまいたばこを吸ってもらうというのならば、これが十円そこそこでできているのならば、たかだか一円か二円の口銭をとって、十二円くらいで売るのがほんとうだ、それ以上は財政負担だ。だから、これ以上は国の必要な経費のために出していただいておりますということを書くべきである。——そんなむちゃな話があるか。
  20. 入間野武雄

    ○入間野説明員 どうもおしかりをこうむって恐縮でございますが、酒にしましても、やはり一升幾らという中に、税金はどれだけございますということは書いてないと同じように、たばこにも実は書いてないわけでありまして、戦時中にたばこに書きましたのは、税金ばかりではなく、そのほかの超過部分を書き加えたのでございまして、あれだけが税金になったというわけでもありません。そういうわけで、たばこにもそういう財政負担幾らということを書くことは、いかがかと考えております。予算書に、たしか原価計算は今年度からお出ししてごらんをいただいておるわけでございます。御了承を願います。
  21. 井上良二

    井上委員 ピースを五円下げたら、どのくらい売り上げが伸びるとお思いになりますか。
  22. 入間野武雄

    ○入間野説明員 値ごろもよくなりますので、五割程度ふえるのではないかと考えております。
  23. 井上良二

    井上委員 五円下げたくらいで五割もふえるということになると、現在の新生とか光とか、あるいはパールとかいうものの売れ行きとの関係はどうなるんですか。
  24. 大月高

    大月説明員 先ほど御説明申し上げました計数等を御参照願いたいと思いますが、ピースは五十一億本から六十一億本、先ほどの五割という数字に合っておりませんが、現在の状況が続きますれば、ピースはだんだん悪くなって参りますので、四十億本程度に落ちるのではあるまいか。それを今回の値下げによって六十一億本まで持っていきたい、こういうことでございます。それから光は、今年度百九億本を予定しておりますが、これは減少計画を立てまして四十八億本、こう見ております。これは一部光がピースに、一部はいこいを出すことによって若干下るであろう、こういうことを計算して計数を立てたわけでございます。
  25. 井上良二

    井上委員 私予算書を持ってきておりませんから、調べることができませんが、早い話が、ピースとの比較には光が一番よいのですが、光との製造原価は、そんなに五円も十円も違わぬはずです。それなのにどういうわけでピースを四十円にし、光を三十円にせなければならぬのか。それは財政需要関係でやっておるのですか。元はほとんど違いはせぬのに、何でそんなに開いて売らなければならぬのですか。
  26. 大月高

    大月説明員 ただいま御指摘のように、ピースは総原価におきまして九円九十八銭、光は八円六十一銭で、一円三十七銭の差がございますが、売っておる値段は今度十円の差にしよう、こういうわけでございます。これは原価の少々の差よりも味がはるかにまさっておる、こういうことでございまして、それは四十円のたばこを吸う需要者の立場に立ってみて、四十円のたばこと三十円のたばこと比べてみて、バランスがとれるようにやったわけでございまして、財政当局といたしましては、かりに百円にいたしましてもなお売れるということでございましたら、場合によっては最初から百円につけたかもしれぬと思いますが、味その他品質等のつり合いをとりまして今度は四十円にいたしたい、こういうことでございます。
  27. 井上良二

    井上委員 この四十五円のものを五円下げて五割の売り上げ増を予想しておる。もし五割の売り上げ増ができなかった場合は、もっと下げるのですか。
  28. 大月高

    大月説明員 こういうようにして定価をきめました以上は、できるだけ四十円で五割増、——あるいは私の個人的な感じでございますけれども、これはかた目に踏んでございましてさらにもっとふえるのじゃあるまいか、これは先ほど御説明申し上げましたように、昭和二十八年度に比べまして三分の一にまで減ってきておるわけでございまして、三分の一に五割をぶっかけましても、二十八年ごろに比べて約半分くらいにしかなりません。そういう観点からいきますれば、根っこの本数が小さいために、五割という数字は比較的よいのではあるまいか、五円下げるという魅力は、味もはるかによくなっておりますし、相当のものであろうと考えております。
  29. 井上良二

    井上委員 今度いこいを再び売り出すそうですが、これは新生に対抗さすために売り出すのですか。新生売り上げが下ることを予防するために売るつもりですか。いこいを売れば、また新しく需要がふえる見込みですか。それとも専売公社で手が余ってきたから、こういうものを作ろうというのですか、何の理由によるのですか。
  30. 大月高

    大月説明員 専売公社といたしましては、タバコの本数は、売り上げがふえるほどよいと考えておりますが、そのうちでも特に上級タバコの売れ行きがいいことを希望いたすわけでございます。ただいまの悩みは、新生が非常によく売れまして、全体の本数が約千五十三億本でございますから、千億本のうちで、半分の五百億本ばかりが新生です。これは非常にけっこうではございますけれども財政収入を上げる点からいうと、ある意味では能率が悪い。従いまして、もう少し利益の上る、いい品種のタバコを吸ってもらいたい。そういう意味で、いこいを二十五円にいたしまして、五円分高いタバコを出しますが、新生から逐次このいこいの方へ移ってもらいたい、こういう希望を持っておるわけでございます。
  31. 井上良二

    井上委員 専売公社としては、それはそれでいいかもしれぬけれども国民はえらい迷惑です。あなたと総裁の言うことと違うじゃないか。総裁は、うまいタバコを安く売ろう、こう言うし、あなたは、逆にいいタバコを吸ってもらうようにしよう、値段はかまわぬという。そんなむちゃな話があるか。
  32. 大月高

    大月説明員 総裁のお話は、品質に比べて値段をできるだけ安くして売りたい、こういうことだと存じます。今度のいこいは、新生よりはるかに質のいいものだと存じますので、五円の差をつけましても、相対的に申しますれば、相当安いタバコを売るのだ、こういうように考えておるわけであります。
  33. 井上良二

    井上委員 新生がどんどん売れて、新生本数が多い関係であまりもうからぬ、もうからぬによって一つもうけてやろうというので、いこいを売るに違いない。そうでしょう。それなら、もう少し新生の原料、材料等を張り込んで、その方の品質をよくしてやるということを何で考えません。いいお得意がついたのに、そういう官僚的に高くすればよかろうということでやったらいけませんよ。
  34. 大月高

    大月説明員 実はこのいこい発売を考えます前に、どういうようにして財政収入を上げたらよいかということでいろいろ方策を考えたわけであります。その中に、新生値上げということも実は考えたわけでございまして、質もよくするし、値も上げたらどうだろうかということを検討いたしましたが、タバコの価格には系列がございますので、かりに新生値上げをやりまして二十五円にいたしますと、十五円のバット、それから二十五円の新生、こういうことになり、この間が非常にあきますと、やはり新生需要についていけない人ができる、そうすればバットに落ち込むということになりますれば、全体としての財政収入が上らないことになるだろう。それから、さらに社会政策的な見地から申しましても、下級品の値段を上げる、他の方を据え置くということはいかがであろうかという点もございましたし、そういう点で、新生値上げしないで、しかも上にいこいという、若干値段の高いものを織り込むことによりまして、いこいのお好きな方は一つ吸って下さい。需要に応じてしかも財政収入を上げる、こういうことを考慮いたしたわけであります。
  35. 井上良二

    井上委員 今度のこの値下げ及びいこいを新しく出す、実際は新生値上げするねらいを持ってやった、こういうばかなタバコ行政には私どもは賛成できません。  それからこの際伺いますが、塩専売の赤字はどういうことになっておりますか。
  36. 大月高

    大月説明員 塩の会計は、建前といたしましても、収支とんとんということでございまして、本年度の決算においても、収支とんとんの見込みでございます。
  37. 井上良二

    井上委員 それは、内塩と外塩の関係で調整をとっておるのですか。
  38. 大月高

    大月説明員 輸入いたします外塩は、非常に安うございまして運賃の値上りなどございましたので若干上っておりますが、それでも四千円見当でございます。それに対しまして国内塩の収納価格は一万三千円見当になっております。従いまして、この二つを両方調整いたしまして一つの会計の中でちょうどバランスをとるように売っておるわけでございます。
  39. 井上良二

    井上委員 この外塩を安く入れて、内塩の値段に見合って売って、その利益を内塩の赤字の穴埋めに使うということに対して、この前の本委員会においてもいろいろ問題となりました。といいますのは、この外堀の中でソーダ塩は、ほとんど輸入価格に運賃をプラスしたその価格で払い下げをいたしておるのです。ところがソーダ工業は非常な利益を上げておるということが、一方においていわれておるのです。そういうものに何ゆえに一体そんな安い価格で払い下げをしなければならのぬか。それで、家庭塩その他工業塩が、何でそんなに高い塩を買わされなければならぬか、こういうことが問題になっておるのですが、ソーダ塩はその後引き上げたのですか、どうなったのです。
  40. 大月高

    大月説明員 ソーダ工業塩は、ただいまお話しのありましたように、輸入価格に運賃その他の諸掛りを加えまして、ほぼ原価で売り渡しておるような次第でございます。最近運賃値上りによりまして、従前の価格は、運賃が九ドル三十六セント見当で計算してございましたのですが、最近高いところでは十四ドルを越えるというようなことにもなっております。従いまして、価格を平均いたしまして、十二ドル五十セントを基準といたしまして、ソーダ工業用塩の売り払い価格をきめたわけでございます。その結果、約二割ばかり売り払い価格を上げております。しかし、これも建前といたしまして、原価に見合うというところにやっておるわけであります。これは、ソーダ工業は国際的な産業でもございますし、国際価格関係もありますので、特別の価格を設定いたしておるわけでございます。
  41. 井上良二

    井上委員 ソーダ会社が高利の利益配当をやっておる、高利潤で運転されておるということは、一向おかまいなしですか。
  42. 大月高

    大月説明員 今のソーダ会社の経理は、必ずしも全部いいというわけではございません。ただいま申し上げましたような国際価格の競争がございますので、もちろん会社によりまして非常にいい会社と、そうでない会社とございますけれども、このソーダ工業自体を考えますと、そう特別に利潤が上っておるようにも考えておりません。
  43. 井上良二

    井上委員 その点は、これはやはり専売品ですから、特殊な権益をそれに確保さすということは、国民経済全体の上から妥当にあらずと考えます。少くとも、もう少し政府は本腰を入れて検討してもらいたいと思います。でないと、一般国民の家庭塩、また工業塩は非常に高い値で売られておって、他の特殊産業だけに依然として保護政策をとっておる。しかも、それが採算が合わぬような状態に会社の経営がありますならば、日本のソーダ塩を相当確保してやる必要が政策的にも考えられますけれども、現にソーダ会社の配当を見ても、あるいは利潤を見ても、相当高率に回っておるじゃありませんか。何をもってそういうことをしなければならぬか。そういう点が、私どもとしては何かおかしいじなゃいかという疑いを持っておるのです。専売品で、政府が一手に入手して売り払っておるだけに、その点について、また別の機会に資料を持ってきて私は検討を願いたいと思いますが、本日は時間もございませんから、一そう一つ御検討願いたいということを要望いたしまして、私の質疑はこの程度にいたします。
  44. 松原喜之次

    松原委員長 次に横山利秋君。
  45. 横山利秋

    ○横山委員 総裁にお伺いいたしますが、聞き漏らしかもしれませんが、さっきピース値下げして五割増しだとおっしゃいましたけれども、きょう提出されました資料には、ピース構成比からいって、四・九%が五・六%にしかならぬ。五十一億本が六十一億本にしかならない。二百十億が二百二十五億にしかならぬ。どうして五割上ります。
  46. 入間野武雄

    ○入間野説明員 先ほど大月説明員から申し上げましたように、五十一億本のピースは、来年度になりますと、漸次下りまして、四十一億本くらいになるだろう。それの五割増しでそういう数字を出しておるのであります。ことしに五割ふえるというのではなく、来年の予想に対して五割ふえるだろう、こう考えております。
  47. 横山利秋

    ○横山委員 来年というと、三十二年度ですか。
  48. 入間野武雄

    ○入間野説明員 三十一年の話をしているつもりです。
  49. 横山利秋

    ○横山委員 私にはよくわからぬのですが、ここの第二表にあります数字は、ピースの三十年度見込み、三十一年度見込みを見ているんですから、あなたの言う五割増しという意味がわかりません。
  50. 入間野武雄

    ○入間野説明員 私案は表をよく記憶いたしておりませんが、三十年度見込みは五十一億本。それから、そのままの状態で値下げをしないでおれば、来年度は四十一億本くらいに下るだろう。その百三十一億本をもとにしまして、五割ふえて六十一億本になる、こういう計算をいたしておるのです。そこに一つの仮定が入っておりますので、御了承願います。
  51. 横山利秋

    ○横山委員 わかりました。わかりましたけれども、その五割増しというのはあまり感心しないんで、常識的にいって、ことし売れた五割増しか、こういうふうに考えたんですが、わかりました。  先ほど井上委員が、ピースの点について質問いたしましたが、二十九年の四月に上げたピースについて、あなたは不徳のいたすところとおっしゃったのですが、去年もあなたは葉タバコの問題で、不徳のいたすところとおっしゃるかもしれないと思うのでありますが、あれは一体どういうことなんでありますか。アメリカ製の葉タバコを千五百トンですか輸入をいたしまして、十億円もこれによってあなたの方は思わざる出費が重なったと思うのでありますが、一体その葉タバコの購入する当量者というのはだれでありますか。あなたの方としてはずいぶん反対をしたという話を聞いておるわけでありますが、最近ここ数年来たばこ需要がふえて、専売公社としては好況を見ておる。ところが二十九年思わざるあなたの方の失敗から、非常にこれが下った。かてて加えて、去年はアメリカからの葉タバコの輸入によって十億円くらいの思わざる出費をいたしておる。一年に一回ずつこういうことをしては、どんなに品質改善とかピース値下げをするといっても、経営上失策を免れがたいと思うのです。この点について一つ御説明を承りたいと思います。
  52. 入間野武雄

    ○入間野説明員 私どもの方といたしますれば、アメリカの葉は、あればあるほど仕合せなのであります。実は、外貨事情のために使いたくとも使っておりません。従ってああいうふうに入れることになりますれば、たとえばピースに入れておりましたのは、一昨年あたりアメリカ葉が一七%でありますのを、今度は二二%入れるとかいうふうにして、品物の品質改善にも役立つものである、こう考えております。また十億円の出費でありますが、これはたなおろし勘定で、益金の方とも関係がございませんので、手持ちとして残っている。いくいく使っていく、こういうことに相なるのであります。
  53. 横山利秋

    ○横山委員 しかしながら去年におきましても、あなたでしたか、先般の参議院における説明によれば、当時においては三十三カ月分のアメリカ製の葉タバコの在庫がある、高級たばこもすでに売れ行き減少している時代である、かてて加えて国内の葉タバコの非常に多くできる見通しがあったのである、二割も増産ができる過程にあった、そういうときに、ああそうですが、それじゃお引き取りいたしましょうということでは、専売経営についてあなたは確信と自信がなさ過ぎるじゃありませんか。
  54. 入間野武雄

    ○入間野説明員 確信と自信がないとおしかりをこうむりましたが、私自身としては、自信を持ってやっているつもりであります。この間の余剰農産物の千五百トン、これは日本の産業の一%にすぎないのでありまして、このくらいの葉のこなし方は、いかようにでもできるかと思っております。なお高級品も入っておりますが、そのかわりに、ただいままで入れてなかった光にもアメリカ葉を入れる、こういうふうにして、できるだけ品質をよくして、需要者の御満足をいただきたいと考えております。
  55. 横山利秋

    ○横山委員 品質改善はもっともなことであります。やってもらわなければなりますまい。しかしながら、今専売経営についてどうもうまくいかぬ、たばこも売れていかぬというときに、最初はピース値上げをして思わざる苦汁を飲み、またそこへ十億円の思わざる出費を政府から要請をされて、そうですかといってのむ。今年は工合が悪うございましたといって、ピース値下げする、そうしてやっていくんだということでは、ちょっと筋が通らぬと思うのであります。従って、私の言いたいことは、あなたが総裁として専売の経営に当っていらっしゃる建前からいうならば、やはりみずからの信ずるところを断固としてやってもらわなければだめだと私は思うのであります。先ほど井上委員から、専売の立場と政府の立場と違うところはあろうかと思うと言われたが、一つの経営を担当していらっしゃる以上は、こういう歴年重なる問題について、この際自信を新たにして、断固として経営されることを私は衷心望みたいと思うのであります。この点について重ねて御意見をお伺いいたします。
  56. 入間野武雄

    ○入間野説明員 専売公社政府と別にけんかしているわけでもありませんから、私どもといたしましても、主張すべきことは主張いたしまして、よく監督官庁の了解も得まして、円満に事を運んでいきたいと考えております。必ずしも盲従するわけでもなく、必ずしも反撥するわけでもなく、そこは適当の点において話し合って進んでいきたいと考えております。
  57. 横山利秋

    ○横山委員 それでは政務次官にお伺いいたしますが、今の私の質疑応答で、あなたもおわかりのことだろうと思います。政府は、少し欲が深すぎるのでございます。うまいたばこを安く売ろうという趣旨に反して、専売当局はここに一回、二回、三回と苦汁を飲んでいるわけであります。専売益金から政府財政収入をまかなおうという気持はわかります。しかし、たばこにはいろいろ種類がありますけれども、必ずしも金持ちがいいたばこを吸い、貧乏人が悪いたばこを吸うものとは限らないのであります。ある場合には錯綜をいたします。その錯綜をする場合に、金持ちも貧乏人も同じように税金を納めるという論理が一つあるわけであります。加うるに専売益金の状況を見ますと、基準年次の昭和十一年ごろで見ますと、一般会計の歳入総領と専売納付金の比率を見ますと九・一%にしかすぎない。ところが今日一二%ぐらいであります。従って専売益金から政府に納める納入金というものは、必ずしも基準年次に比べて少いとは言われないのであります。まだまだうまいたばこを安く売らせるという方途は、私はこの点からも可能ではないか、また論理に合うではないか、こう思うわけであります。今日まで政府が専売に対していろいろと注文を出す、その注文はことごとく評判が悪いのでありますが、こういう点について改善をなさる用意はないのであるか、それをまずお伺いをしたい。
  58. 山手滿男

    ○山手政府委員 先ほどからいろいろ御質疑の点を伺っておりましたが、この納付金割合予算の総額に対して多少大きくなり過ぎておるのじゃないかというような御質問でございますけれども戦争前におきましては、いろいろな関係から、国債なども相当多く出して一般会計をまかなっておりました関係もあって、比較パーセンテージを見ますると多少高くなっておるように見えると思いますけれども、実際にはそう多くなっておるとも考えておりません。たばこ嗜好品でございますので、各階層に応じて、それぞれその階層に適応するようなたばこを、高級なもの、あるいは中級、下級なものを作りまして、その程度々々に応じて間接税で出してもらった方が、直接税で取り上げるよりも比較的取りやすいという観点もございまするので、できれば、私どもは所得税そのほかで重税を課するよりも、身分々々に応じたたばこをのんでもらって、知らず知らずのうちに国家の要求に応じていただくというふうなやり方をした方が、徴税そのほかの観点からいたしましても、比較的合理的にうまくいくであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。まあ足りない点は今後改善をいたしますが、その点御了承を願います。
  59. 横山利秋

    ○横山委員 間接税の方が取りやすいという議論については、大いに異論のあるところでありますが、時間もあまりないようでありますから、ここでは申し上げません。ただ私の意図するところは、専売公社に対するものの考え方について、今までの実績を顧みて、少し考えてもらう必要があるのではないかということを、特に念を押しておきたいと思うのでございます。  この際国鉄からもおいでになっておるのでありますが、国鉄と専売の両方にお伺いをいたしたいのであります。  最近固定資産税がかけられるようであります。その固定資産税が専売、国鉄の財政の中でどういう役割を果すであろうかということであります。聞くところによりますと、専売としては、固定資産税を支払う金は経費の中に入ってしまって、それだけ納付金の方が少くなる、だからとんとんであるこういうふうに聞いておるのでありますが、ほんとうにそうでございますか。国鉄の方では、そういう結果は現われるでありましょうか。その点を両方からお伺いをしたい。
  60. 大月高

    大月説明員 専売公社の経理から申しますれば、今般固定資産税がかけられることになりますと、これは経費として落ちるわけでございます。これは納付金という、いわば利益処分的なものとは違うわけでございます。その性格から申しますれば、先ほど御説明申し上げました、たばこ消費税につきましても同様でございまして、これは利益ではなくしてやはり一つの経費である、こういうように考えておるわけでございます。ただ専売公社の実質面から考えますと、たばこ消費税は地方財政に寄与することになりますし、今度の固定資産税も地方財政に寄与することになる、こういうことでございます。その分だけ国の取り分がふえるという結果におきましては同じであろう、こういうように考えておるわけでございます。従いまして、今般一定資産税がかけられますれば、その分だけ経費的にもっと特別会計の納付金が減る、そういう結果になるわけであります。
  61. 石井昭正

    ○石井説明員 私どもの経理は、税金も全部経費で支払わなければなりませんが、それに見合って納付金というようなことはございません。逆に借金をしておるようなわけでございます。それだけの経営費がふくらむということになって、経営上の圧迫になっております。
  62. 横山利秋

    ○横山委員 電電公社はどうだか知りませんけれども、今回固定資産税がかけられる三公社のうちで、そういうアンバランスが生ずることについて、次官はどうお考えでございましょうか。
  63. 山手滿男

    ○山手政府委員 国鉄の力からただいま御答弁がございましたが、私どもも、国鉄の経理の内容につきましては、いろいろ心配をいたしておりまして、収入の増加をできるだけはかりたい、そうしてできるだけ健全な経営をさせたいという考えでおるのでございます。従って固定資産税の問題につきましても、実は今この固定資産税をかけますことは非常に苦しいのでございます。一方におきまして、今年度におきまして地方財政をぜひ建て直さなければいかぬ。地方にも国鉄はいろいろな面でつながりを持っておりまして、地方財政が今日のような状態になっておって、これを建て直すことが焦眉の急であるという段階においては、国鉄は全然何もしないということでもいくまいという議論も非常に強く起りまして、国鉄の内部経理の苦しさとは別個に固定資産税を考慮する、こういうことにいたした次第でございます。
  64. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官は、私の質問にすなおにお答えになっておられないようです。私の言っておるのは、専売から固定資産税をとる、その分は、結果としては国家がめんどうを見るということでしょう。国鉄の方は、あとに私が質問しようとしている借金を延ばしてやる、こういう状況なほど赤字だという。そこから三十六億固定資産税を取るというのですよ。専売の方はめんどうを見たが、国鉄の方は固定資産税を取った分については、取りっぱなしだということはいかがか。だから、法律上もそこにアンバランスがあるではないか、こう言っておるのです。それを、地方財政が赤字だというなら、国鉄からかりに取るならば、取ったように政府としてめんどうを見てやる必要があるのではないか。そのアンバランスをどういうよりに解決しようとされておるかということを聞いておる。
  65. 山手滿男

    ○山手政府委員 専売公社の方の関係につきましても、別に固定資産税を取るからということで、国がすぐそのしりをふいておるということではないわけでございます。
  66. 横山利秋

    ○横山委員 それはそういうことかもしれません。しかし、結果はそうだというのです。結果については、あなたも認められておるところでしょうが、結果論として、あなたは勘定合って銭足らずの議論をしている。結果についてアンバランスがあるが、これをどうするか、こう聞いておるのです。
  67. 大月高

    大月説明員 先ほど私の申しました御説明は、形式的にそうなると申し上げたわけでございまして、実態から申しますと、今度の予算を立てます場合には、固定資産税がかかるという話はあとから出て参りまして、大体三十一年度予算を見通しをつけまして、それできまった後に一億何千万という数字がかかってきておるわけでございます。従いまして、この一億何千万は、公社の経理上の節約、合理化その他によって能率を上げてこれをまかなおう、こういうことでございますので、国鉄の場合と実態においては違わないのじゃないかと考えております。
  68. 横山利秋

    ○横山委員 しかし、それは納付ができかねる議論であります。あとで、今度は国鉄の法律案について御質問いたしますが、さしずめ専売公社の問題につきましては、いささか希望を申し上げておきたいと存じます。  今度のピース値下げと、いこい発売についての庶民の気持は、これで新生を食って、いこいが成長する。将来新生をそれによってだんだんなくしてしまって、ないしは新生値上げしないかという危惧を持っておりますことが注意せられたい第一であります。先ほど新生値上げしない、こういうふうなお話がございましたが、これは解決したものとして了解いたします。  それから第二番目に、たとえば今のお話のアメリカ製薬タバコの混入率をふやして品質をよくする、こういうふうな御意見がございました。これはけっこうなことであります。ただのむ方からいいますと、最近ちょっと味がうまくなったかならぬかということは、なかなか認められがたいところがございます。従って、おやりになるならば、最初からこの混入率をよくしたものを出す、こういうふうな英断をおふるいになりませんと、専売の努力というものは、十分な効果を期しがたいところがあるのではないかという感じが私はいたすのであります。これは少し矛盾するような議論ではありましょう。品質改善を要望する私たちの議論といたしましては、矛盾するような議論ではありましょうけれども、大きな効果をおさめることができないという点について、最初から注意をせられたいところだと思うのであります。  それからパール売れ行きを見ますと、私どもの予想のように、パールはあまり売れないものとして想定されておるようであります。この点は見通しが正しいと思います。パールは、第一箱の色が悪いという評判がございます。たばこのケースの中にずっと並んでおりますと、色合いが非常によくて、青あり、黄ありで目立ちますけれども、独立したパールの箱の色合いというものは、必ずしも私は満足する色合いではないと存ずるのであります。この点は改善の余地があろうかと思います。  もう一つは、両切りは最近一生懸命におやりになっております。ところが刻みについては、ちっともあなたの方は考慮しない。農村においてお百姓さんが吸っておる刻みについて、少し恩恵を与えるということが必要な段階ではないかということを——財源上の問題をあなた方が一生懸命考えると、ここまで目が向きますまい。向きますまいが、刻みについては値下げをするというふうにしなければ、少し不均衡ではないかということが考えられる点であります。  それから少し小売屋さんをふやしたらどうかということを考えるのであります。この点については、ずいぶんきびしい条件をもってやっておられるようであります。もっともな点があるかと思うのでございます。ちょいとした何でもないところへどんどん許可したら、あとで回収もできないという危険性もあるにはあると存ずるのであります。しかしこういう非常に苦しい状況になって、しかもたばこを売りたいという希望がたくさんあるときにおいては、少しそれを緩和して販売増加に意を用いられたらどうであろうか、こういうを私どもは考えるのであります。  以下こまかい点がたくさんございますけれども、実は時間もあまりないことでありますし、特に国鉄公社について質問をいたしたいので、端折って私の希望を申し上げましたが、御意見があればお伺いをいたします。
  69. 入間野武雄

    ○入間野説明員 第一の新生値上げの点は、ただいまのところいたす意思は持っておりません。御了承願います。  それから第二の混入率の点でございますが、終戦後外貨事情が非常に苦しいために、アメリカの葉が十分入りませんので、徐々にふやして参っているようなわけでありまして、お説のように、初めからいいたばこを出せば確かにいいとは思いますが、ただいままでの事情は、外貨に制約されてそういう結果に相なっております。  それから第三のパールの色につきましては、賛否いろいろあります。実は、私もこの色をきめますようなときには参加しているのでありますが、御承知の通りの老人でございますので、近ごろの若い人の感覚がわかりませんから、発言いたしませんで、若い人たちにきめてもらってこの色が近ごろのはやりの色とかいうことできまったようなわけであります。そういうわけでございますから、御了承願いたいと思います。  それから刻みにつきましては、ただいま非常に減退しつつあります。ここのところ多少足踏みはいたしておりますが、非常に減退の傾向にあることは事実であります。従いまして、地方農村で吸うものでございますから、高いものは作れません。安いものにして、利益率などもずいぶん少い割合でやっております。できるだけよくしたいとは考えておりますが、そういう事情もありますので、御了承願いたいと思います。  小売人につきましては、お説の通りごもっともだと思います。私どもといたしましても、あるいはビルディングができるとか、あるいはそこに繁華街ができるとかいうときは、できるだけ許すような方向に進みたい、こう考えております。
  70. 横山利秋

    ○横山委員 それでは国鉄公社に対する質問をいたしたいと思います。貸付金の償還の見込みが立ちがたいから、三十億円の借入金償還を延ばしてくれ、こういう法律案の趣旨であります。この際第一に、国鉄の負債はどのくらいあるかということと、それを今後どういうふうに償還をしたいのか、する計画があるのか、こういう点についてまず第一にお伺いしたいと思います。
  71. 石井昭正

    ○石井説明員 ただいまのところ国鉄の借入金は、全部で一千六百九十九億ございます。その内訳は、鉄道債券が三百一億、一般会計から五百三十四億、これは公社になりますときに、これまでの負債を一般会計に肩がわりしていただいた額でございます。その後資金運用部資金から八百十三億、それから一般会計から、今度の償還延期をお願いしている三十億と、別に無利子、無期限の二十億、合せて五十億というものが私どもの借入金の全額でございます。
  72. 横山利秋

    ○横山委員 私の二つ目の質問は、今後毎年々々起りますこの償還について、償還の計画があるかということであります。
  73. 石井昭正

    ○石井説明員 現在の財政事情では、償還計画というものは完全に立ち得ない状況でございます。ただ、今までやりました措置といたしましては、当該年度に返還すべき金額だけは、予算に計上して返還をいたしております。なお私どもとしては、このために返済基金制度を設けてこの平均的償還の基礎を確立したい。もちろん償還計画と申しましても、債券あるいは将来の借入金の返還が、完全に全額の返還をしなければならない、あるいはどの程度借りかえを予想していいかという問題もございますので、返済基金の額などにつきましては、実際問題としてはいろいろ議論の余地があろうかと存じますが、しかしながら、ただいまのところではそういう計画を立てて、返済基金を積むという財政状態にはなっておりません。
  74. 横山利秋

    ○横山委員 先般日本国有鉄道経営調査会の答申なるものが出ました。それを見ますと、国鉄の昭和二十九年度末現在における借入金及び債券の総額は総額一千四百六十五億円余であってそのうち償還期の到来しておるものが年々累増してきておるほか、年々二百五十億円以上の新規の借り入れ及び債券の発行が予想されるので、これらの利子額のみならず、その返済資金をいかにして捻出するかが国鉄にとって財政上大きな問題となっているというのであります。この大きな問題になっているやさきに、三十億を一年二カ月延ばせ、こういう法律案であります。それだけ借金があるなら、一年二カ月くらい延ばせという点についてはある程度納得できるところでありましょうが、しかしこういうような、大きな借金といっても国鉄の資産全体としてみれば私は必ずしも大きいとは思いません。必ずしも大きいとは思いませんけれども、年々歳々ふえていくものについて問題が投げかけられ、将来国鉄としてこれをどうするかということが問題になっているときに、単にこれを一年二カ月延ばすのだということだけでは納得できないのであります。大蔵省としては、この借金をどういうふうに返させるのか、その点を政務次官に明確にしてもらいたい。その軌道の中で三十億を延ばすのだというならば話はわかりますけれども、何ら将来に当てがなく三十億延ばすのだということでは筋合いが合いませんから、その点を一つ明確にしてほしいのです。
  75. 山手滿男

    ○山手政府委員 その点につきましては、大蔵省でもいろいろ心配をいたして研究しておるところでございますが、一般民間企業、私鉄等において見られますような、相当な負債をかかえ、相当な配当をしつつも、それぞれ独立して経営をやっていっておる私鉄等の実態等を片一方に見て国鉄を見ますと、国鉄はあれだけの膨大な国家資産を与えられておりまして、経営のやり方によれば、まだまだいろいろ道もあるのではあるまいか、たとえていえば、石炭とか鋼材等の材料費にいたしましても、あるいは人件費にいたしましても、いろいろ検討をする余地、合理化する余地があろうともしろうと考えでは考えられるのでありますが、今お話がございましたように、非常に膨大な借金も持っておりまして、国鉄の現在の段階を急激に変えるわけにも行きますまいから、今の段階では、たとえていえば、国鉄の経営自体から見るならば、運賃の値上げども一割になりますか二割になりますか、それは別として、やっていかなければ、国鉄の収支が償い、改善することはなかなか容易ではなかろうと考えます。しかしながら、国民経済全般から考えてみますと、今国鉄の運賃を引き上げますことがすぐ一般物価にはね返ってくるとか、国民生活の安定にいろいろな影響を及ぼすであろう、そういうふうなことを考えますと、安易に今すぐこの段階において、国鉄に運賃を引き上げさして、収入を増加させて借金も返済さす、経理の内容を改善していろいろな工事をやらす、こういうことは好ましくないということで、中に入ってのいろいろこまかい議論はあろうと思いますけれども、よくその点を突きとめようということで研究をいたしておる段階であります。
  76. 横山利秋

    ○横山委員 利子と資金を返済するについては、いろいろな方法がございましょう。あなたのおっしゃるように、私鉄等のやり方も考慮して、一つまあ利益によって生み出すのがほんとうだというような議論もないではありません。しかしながら公共企業の国鉄の中で、運賃の中で利子と借金を返させるのは適当ではないと私は考えておるのであります。しからば次に残る道は、政府が出資をして肩がわりをするということであります。答申のうちでは、公共的投資は国家的投資であるべきだ、また新線開発はこの際待ったらどうだと言っております。それにもかかわらず、政府は、新線を今度開発するのだと言うだけで、三十一年度に五十五億の金を予算の中に計上をしておるわけでありますが、こういう点について、あなたの第一の所論というものは、やはり公共的な性格を国鉄に要求している意味においては、今日の政策の中では当てはまらないのではないか、こう思われるわけであります。従って政府出資によって肩がわりをするということの方が、今日の政府の政策の中ではかえって正しいのではないかと思うわけであります。  先ほど国鉄公社から減債基金の話が出ました。減債基金を設定しろという意見も、長期の構想の中では首肯し得る方法であり、答申の中にもこの点についてはうたっておるわけであります。いずれにいたしましても、今日この三十一年度予算に、利子だけでも百二十二億が計上されておるわけでありますが、今後のやり方についてもう少し明確になさって、三十億を延ばしてくれ、こういうような方向が設定をされることが私は必要ではないかと考えるわけであります。その点について、まだ根本的な方途の見定めがなく、三十億を一年二カ月ちょっと延ばすのだということでは、答申が出たやさきであるだけに、私は政府の怠慢が一般から責められるべき段階にあると思うのであります。答申が出ていなければそこまでは言いますまい。しかし答申が出て、いろいろな方途が明示をされ、そうしてその方途の中でこういう方法はどうかと言われておるときに、政府が将来の定見もなく三十億を延ばすということについては、どうも政府は怠慢のそしりを免れがたいのではないか。一つ答申のこの問題についてのあなたの所見を、もう一ぺん伺いたいと思います。
  77. 山手滿男

    ○山手政府委員 お尋ねでございますが、この答申がありましたこともいろいろ考え合せまして、今鋭意研究をいたしておるとさっき申したのでありますが、この際いたずらに一般会計の方で肩がわりをいたしますとか——ほんとうは国鉄経理の内容から見ますと、もう少し運賃の値上げをやってもいい、私はこういうふうに考えますが、さっき言ったように、輸出等ともずっと関連をいたしますし、物価にはね返る状況等、国民経済全般に与える影響などいろいろなことを考慮いたさなければなりませんから、運賃の値上げも軽々にその断を下すわけにはいくまい。そういうふうないろいろなことがあるわけでございまして、答申があることも承知をいたしておりますけれども、そういう国鉄の経理の内容を改善する方途について、まだ最終的な断を下す状態に立ち至っておらないということであります。
  78. 横山利秋

    ○横山委員 少くとも今日考えなければならぬことは、政府出資で肩がわりをさせていくか、それとも減債基金を設定して返済をさせるか、あるいは運賃を上げてそこへ見込むのか、あるいはその他の方法があるのか、こういう点の大筋だけでも明確になされなければならぬときであります。今日あなたは、将来は運賃値上げだということをおっしゃいました。しかしついきのう大蔵大臣は、運賃値上げはしないのだ、こういうことを言われておるのでありますから、その点はあなたも注意しながら発言をしてもらわなければならぬと思うのであります。そういたしますと、どういう方法にしろ、これだけの巨額の借金なりあるいは利子を返済する計画について、方向を立てなければならぬ、その意味では、答申の言っております、減債基金を設定して健全に借金を返済させる点について、大蔵省としても国鉄に命じてこれをやらせる、そういうふうな方向を明確にしなければ、ただ漫然と延ばすんだ、来年になったらまた延ばすんだ、こういうことになりかねないと思うので、この減債基金の設定について、あなたはお立てになる用意があるか、検討される用意があるか、この点を一つ明確にしてほしいのです。
  79. 山手滿男

    ○山手政府委員 その点については、主計局の方から答弁いたさせます。
  80. 岩尾一

    ○岩尾説明員 御質問は、政府出資その他で肩がわりしてはどうかということ、あるいは減債基金の制度を作ってみたらどうか、あるいは運賃の値上げ等によって、経営の改善によって払ったらどうか、そういう手段についていろいろ検討すべきじゃないかという御質問でございます。第一に政府出資の問題でございますが、国鉄は、公社といたしまして発足いたしましたときに、巨額の現物を、一種の現物出資の形で国鉄に入れ、これを公共性を追求していくという形で運営しておる企業でございます。従いまして、政府出資ということは、結局税金で国鉄の資産なり仕事を援助していくということになります。本来企業として成り立つからには、運賃によってその企業の存立をはかるというのが建前であると思いますので、政府出資ということはわれわれとしては考えたくない、こういう考え方でございます。それから減債基金の制度につきましては、御指摘のように、非常に多額の借金でございますので、これを定期的に減債基金の形で積み立てていくという考え方がございます。あるいはこの積み立てたもので払っていくという考え方があるわけでございますが、現実の国鉄の財政は非常に苦しい状況でございます。その年その年に参る機運だけでも、なかなか払い切れないという状況でございますので、そういった減債基金制度という、長期のしっかりした形のものを考えるには、まず現実の姿がかなり改善された後でないとまずいじゃないか。さらに現在では運用部その他から借金もしておる。片一方では減債基金をして、片一方では借金をするというのも非常におかしな形でありますので、それらの点をなお検討いたしまして、ある機会にはそういった会計上の制度を作らねばならぬと思いますが、現在のところは、とりあえず現実の国鉄の財政から見て、減債基金制度の採用は控えておる、こういう現状でございます。
  81. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの御答弁は少しおかしいと思うのですよ。なぜならば、あなたの答弁をずっと肯定をしていくと、運賃値上げをするのである、こういうふうな御答弁になってくる。ところがその点については、きのう大蔵大臣はしないのだ、こういうわけです。また借金をしながら、減債基金を設定するのはおかしいじゃないかとおっしゃるけれども、借金をしながら減債基金をきちんと立てて、返済計画を立てるというのがほんとうじゃないかと逆に私は感じております。従って、減債基金については御検討を将来せられるにしても、すみやかにそれをして、そうして借金を返せる計画をきちんと立てる、こういうことが、この法案が通過するために必須の要件でなければならぬと私は思うのであります。  政務次官にお伺いをいたしますが、この法案をあなたの方から提案されるということは、国鉄には借金がたくさんあって、返す当てがないからこれを延ばしてやるんだ、国鉄には銭がないんだということを建前としておられる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  82. 山手滿男

    ○山手政府委員 ただ単に金がないからどうこうというふうなことだけでもないわけでありまして、やはり今言いましたように、国鉄の経理の内容を改善いたしますようないろいろな方策は、これは当然何らかの方法で考えなければなりません。さっきから話に出ておりますように、運賃の形においてか、あるいは一般会計で肩がわりするのか、あるいは減債基金の制度に——あなたのおさとしのような方法をとるのか、いろいろな方法があると思いますけれども、そういうことについては、安易にそれらの方法に飛びつくわけにも参らないということでありまして、片一方においては、さらに国鉄の内部の経理の合理化そのほかを徹底をしてやってもらう必要もあろうと思いまするし、ここ一年くらいじっくり腰を据えて研究をした上で、最後的にはそういう結論を下していこう、こういうことだろうと思います。
  83. 横山利秋

    ○横山委員 それならばなぜ——なぜと私は言わなければならぬ、今延期をするのか。借金の計画をこれから腰を落ちつけて立てさせるというときに、なぜあなたは国鉄から三十六億の固定資産税を取るというのですか、まさにその点については、撞着もはなはだしいといわなければならぬわけです。日本国有鉄道法が当初成立をしたときには、国鉄というものは税金はなかったのです。その後どんどんふえていって、今年は巨額の税金を取るというわけです。二十九年度を見ましても、不動産収得税、自動車税、固定資産税、自転車、荷車税、電気ガス税、鉱産税、木材引取税、今度はこの軽油税、都市計画税、固定資産税、合計すれば今年は四十億か五十億になろうと思われるわけです。一方においてあなたはこの延期をさせる、借金のやり方について考えさせる、こう言っているのです。ところが一方は、そういう状態の中からごっそり四十億も税金を取るというのは、矛盾撞着もはなはだしいではありませんか。この点をどういうふうにあなたは御説明をなさるつもりですか。
  84. 山手滿男

    ○山手政府委員 さっきも言いましたように、今度の固定資産税は、地方財政の窮乏を救おうということで三公社に課税をしようということになったわけであります。国鉄だけを目当てにするのでございましたら、三公社課税というのも、あるいはかわいそうだなということで、議論がここまで有力になって実現をするということではなかったろうと思いますが、電電にいたしましても、専売公社にいたしましても、これはもっと企業努力をしてもらう余地もありますし、課税をしても変だということではございません。ただ、ほかの公社は十分担税力があると申しますか、もう少し企業努力をしてもらって——地方ともいろいろなつながりがあるわけでございますし、地方財政にも寄与をしてもらうのに十分な実力があるわけであります。それだからということで、国鉄の経理の内容を知っておる者には、これにもかけるというのは酷のようでございますが、国鉄だけが赤字だから、私の方だけはかんべんしてくれというわけにも参るまい、こういうことでございまして、国鉄の経理内容が非常に悪いということと、今度の固定資産税を三公社にかけて、国鉄が三十六億ばかりかぶることになったこととは全然別個の議論から出てきたわけでございます。
  85. 横山利秋

    ○横山委員 それは当を得ません。先ほどの質疑応答で明らかのように、専売は固定資産税を取っても、結果としては政府の納入金が減るわけです。ところが国鉄は取られっぱなしという格好になるわけです。また先ほど列挙いたしました中の電気ガス税を例にとってみましょう。電気ガス税は、私鉄は全部税金を取られていないのであります。国鉄が取られているのであります。この点は、あなたはどういうふうに御説明をなさるつもりですか。こういうように矛盾もはなはだしい状況の中で、さらにまた三十六億というのは、あなたは公共企業体というものを  一体どういうふうにお考えになるかと言わなければならぬわけであります。この専売の問題と電気ガス税の問題についての御答弁を承わりたい。
  86. 山手滿男

    ○山手政府委員 さっきも申し上げましたように、専売の方から固定資産税を取ることになるから、一億いくらを国の方で特にしりを見ていくというふうなことではなくて、実質的には、やはり専売公社は企業努力をしていただいてその固定資産税を自主的にひねり出していただくということにしてもらうわけでございます。電気ガス税の方につきましては、今度国鉄の方も非課税になることになったのでございまして、この点は問題ないと考えます。
  87. 横山利秋

    ○横山委員 これからはそうなるとおっしゃるのだが、それでは今までその矛盾を犯しておったということは、あなたはお認めになるわけですね。そういうことは、つまり今まで国鉄に対する税金が不均衡であったということを、そのまま政府としてはお認めになるわけですね。従ってそういった状況の中から、もう一つは公共企業体について根本的にお考えになる必要もあるであろうし、先ほどからいったように、こちらから延期してやるのだ、そうして将来の計画はこれから立てるのだというときに、三十六億をとる。これは何も国鉄ばかり例をとるようではありますけれども、専売だって電電だって同じことであります。特に国鉄の金が多く、かつこの法案が出ておるからこそよけい矛盾を痛感せざるを得ないわけであります。今次官からお話が出ましたが、今度からは電気ガス税を取らないということになりましたそうですが、今度三十六億なり何なり取る固定資産税は、大体どういう結果になりましたか。この間何か次官会議等でおきめになったようでありますが、その要綱を、簡単でよろしゅうございますから、項目的一つ報告してもらいたいと思います。
  88. 山手滿男

    ○山手政府委員 その点、自治庁の方が主管でございますので、自治庁が来ておられますから、自治庁の方から説明をいたします。
  89. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいまの御質問の点につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。  ただいまお話がございましたように、三公社に対しましては、最初から固定資産税を課税するという基本方針で参っておったのでございますが、その後におきまして、特に運輸、郵政、こういう関係各省から、固定資産税を課税いたして参るということになりますと、固定資産の評価は、それぞれの市町村が行うということになることは御存じの通りでありますが、そういうことになりますと、全国津々浦々の市町村におきまして評価が区々になるということに伴います負担の地域的な不均衡という問題と、それから税率につきまして、これまた御承知の通りでございますが、標準税率という制度をとっておりまするがゆえに、超過課税ということを、各市町村におきましては財政窮乏の折柄余儀なくされておるものが若干あります。こういうところにおきましては、実質的に一・四%が一・六%になる、あるいは二%になる、こういったような状況において、税率自体においてやはり地域的な不均衡が上ずる、こういった問題、それから末端の個々の市町村のそれに伴いますところの事務の煩雑化という点を理由にせられまして、一括予算に計上した額を政府に納入せられまして、政府におきましてこれを各市町村に適当な配分基準によって配分する方法はどうであろうかという問題になってきたわけであります。ところが私どもの考えといたしましては、これは議論のあるところであろうと思いますが、当初から固定資産税を課税するという建前から参りますれば、そういうことで一括いたしまして、政府に納入いたしまして、それを適当な基準によりまして配分するということになりますと、地方団体の自主財源というものの増強という見地からいたしますと、著しく乖離することになりますので、交付金という制度によって納められるということにつきましては、これはある程度やむを得ないといたしましても、それの評価なり配分なりというものにつきましては、これまた運輸なり郵政なりの御主張の趣旨もございますので、自治庁におきまして一括評価配分しまして、市町村ごとの不均衡、でこぼこを是正したい、かつこれに対しまして適用いたしますところの率は、一・四%の一定率をもってはじきたい。ただその個々の市町村に対しまする納付につきましては、運輸なり国鉄なり、電電なりの出先機関からそれぞれの市町村に納付していただく、こういう形で私どもの方から案を出しまして、それにつきまして、ここ一週間ほど、関係各省の間におきまして意見の調整が行われておりますが、ただいままでのところ、まだ最終的な調整に至っておらないようでございます。
  90. 横山利秋

    ○横山委員 お話しによりますと、あなたの方では、地方財政が赤字だからできるだけたくさんほしい、そのためには、一括納入で、予算で額をきめてやるようなことはやめてほしい、こういうような意見のように聞えるのであります。政務次官の先ほどのお話によれば、国鉄も赤字で苦しいから、ほんとは取りたくないのだけれども、何とか一つ取ってやろうというような意味で、どうも一本で額をきめて予算に計上する、こういうふうに聞えるわけであります。こういうことでは、まことにどうも国鉄としてもおそらく議論のあるところであろうと思います。私が今日まで固定資産税について実績を少し調べてみましたら、今までの固定資産税は、東京あたりでは一・四%、それが北海道に行くとがさっと取られて、二%を越しておるわけであります。勝手ばらばらに地方町村が取っておるならば、それは全く国の公共企業体である国鉄が、ある地方ではたくさん取られる、ある地方では少く取られる、これが、自治法の精神からいうならばもっともだという議論もあるいはあるかもしれませんが、あまりにもそれは公共企業体国鉄、電電、専売という大きな建前から見て、どうもおかしな話だといわなければならない。従って今回一定率の一・四%を取る、そういうことならば、それはけっこうであります。しかし、それと同時に、少くとも今日まで行われてきました固定資産税についても、今までの弊害をなくして、一緒に一・四というふうにすべきが当然のことだと思うのであります。今回からやるのだけは一四%、今までのものは各市町村ばらばらでよろしい、こういうべらぼうな法律なり規定というものはあろうはずがございません。その点について一つ明確にしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  91. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 お答え申し上げます。ただいまの現行制度におきまして、三公社に対しまして課税をいたしておりますのは、三公社におきまして直接その本来の事業の用に供しておらない分の固定資産に対して課税しております。その点は御承知の通りであります。今度交付金の対象に入れております分は、本来事業の用に供する分ということで、一応三公社の資産について、本来事業の用に供しております分と、本来事業の用に供しておらない分とを分けて、取扱いを別にいたしておりますことにつきましては、ただいまのような疑念が生ずることはやむを得ないと思いますけれども、私どもの考え方としては、直接本来の事業の用に供しております部分につきましては、やはりただいま御指摘になりましたような、三公社の公共的な性格といったような問題もございましょうし、あるいはまたその他一般に与える影響等もございましょうし、そういった点を勘案いたしまして、本来の固定資産税という線からはずれて、交付金の範疇に入って参ったわけでありますが、本来の事業の用に供しない部分につきましては、これは他の一般の個人なりあるいは法人なりが負担しますところの、固定資産にかかります固定資産税というものとの均衡上、現行通りやっていっても不自然ではないのではないか、こういうふうに考えております。
  92. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは取るつもりだからそういう気になっておる。しかし全体の姿を見てごらんなさい。片方が交付金制度になるからというので一・四%、片方は固定資産税だからばらばらでよろしい、こういう妙な理論はないと私は思います。少くとも国鉄の固定資産に税をかけるという建前に立って、しかもその基礎になるものは一・四%というものを取るならば、あっちでは二%、こっちでは一・四%、こういうことをなくして、この際それによって自治団体と国鉄とのトラブルがあちこちで起きておるときに、取るならこの辺を取る、取らないなら、取らないのだと明確にして紛争をなくすることが必要だと私は言っているわけです。この点について、あなたは現行規定で、担当の立場からものを言っておられるので少し話が合わないと思います。政務次官はどうお考えですか。
  93. 山手滿男

    ○山手政府委員 さっきも議論が出ましたように、取る方の側といたしましたら、固定資産税でございますから、地方自治体が、市町村が各個に独自の見解で、地域差ができょうが、税率がどうなろうがかけるということを許さざるを得ないということになるかもわかりませんけれども、あなたのお話のように、国鉄は特殊の企業体でもございますし、みだりにそういうふうなことをしておくことは好ましくないし、しかも各地域に上って税率が変ったり、いろいろな条件が変ってくるようなことはおもしろくございません。いわんや、さっきから議論をしておりますように、国鉄の経理内容等につきまして考えてみると非常に憂慮すべき事態もありますので、できるだけ無理をしないように取ってもらわなければならぬということで、初年度は特に四分の一に減額をして、手心を加えて固定資産税を取ろうというふうなことでございますから、その点については、関係各省と十二分によく打ち合せをした上で結論を出したいということでございます。私はまだ最終的な結論が出ておらないと思っておりますが、昨日あたり自治庁と運輸省、あるいは国鉄、あるいは専売公社等々と直接にいろいろ無理のないように取る方法ということで相談をしておりますけれども、最終的な結論はまだ出ておらぬと聞いております。
  94. 横山利秋

    ○横山委員 それでは一つ政務次官にお願いしておきましょう。各市町村で、国鉄と市町村と、今まででもそうですが、固定資産税についての紛争というのは絶え間がないのであります。それが各地であるのだから、しかもこの際固定資産税三十六億は交付金制度になっておるのでありますが、その交付金制度で、一・四にするというならば、一律の税率を使うというならば、今までの紛争もここで終止符を打つというふうにせられることが妥当なことだと思うわけであります。この点についてこの固定資産税については、私は根本的には意見を持っております。しかし政府のおやりになる措置として一つ御注意を申し上げるならば、取るにしても、今日までの紛争に終止符を打って全部一・四にしてきちんとする、こういうようなことが妥当な措置かと思うわけであります。その点について十分一つ、きまっていないならば適当な時期かと存じますから、関係の筋へ御注意願いたいと思う。  それからその次に、今のお話のように、ことしは四分の一だ、来年は半分だ、それは七十二億になるわけであります。こういうふうにことしの三十六億にすら借金は繰り延べるといっておるときに、ことし三十六億に抑えても問題があるのに、来年は倍にして七十二億の固定資産税を取ってますます借金の返済が困難になるということが考えられる。かてて加えて、答申では新線開発はことしはやめたらどうだといっているときに、政府は五十五億国鉄に予算を計上させて、新線開発をやるといっておるわけであります。そういうことで、なぜことし三十六億、来年七十二億と言わなければならぬのか。来年になって倍にして、何かそれに国鉄が返せる目当てをあなたの方としては持っておられるのかどうか。税金が三十六億出ていっても、国鉄としてはやっていけるという考え方をあなたの方としては持っておられるのかどうか。どうもさっきからお二人のお話はちらほら運賃の値上げの方に入っておるようですが、きのう大蔵大臣はそうではないと繰り返し言明をしておるのであります。運賃値上げをするなら値上げするで、この際こういうような借金のことなり、あるいは来年は七十二億だという出資の増加を来たすような問題について、国民に対してまた国鉄に対して、何かはっきりなさる必要があるのではないか、こう考えるわけですが、この点についてなぜ来年は倍にしなければならぬか。なぜことしの四分の一の軽減税率をこのまま通してはならないのであるか。地方交付税は今度は二五%に上りましたが、まだ地方自治団体としては問題がある。二七%なり三〇%という声も今後は出てくるでありましょう。解決の方途はまだほかに方法があろうかと思うのであります。こういうふうに専売も不景気だ、国鉄もうまくいかぬ、こういうときに、ことしは三十六億だけれども、来年は倍にしてやるという決意のほどはどういうことによって裏づけられておるのか。三十六億を取るにしても、なぜこのままずっと将来とも三十六億という四分の一の軽減税事が通せないのか、この点を一つ明確にしていただきましょう。
  95. 山手滿男

    ○山手政府委員 国鉄運賃の値上げにつきましては、昨日大臣からお答えを申し上げました通り、現在の段階においては運賃を値上げしないということでありますが、私はいろいろな客観情勢そのほかから考えてみまして国鉄は企業努力ももう全然できない、あるいはさっきからあなたがお話のようないろいろな方法がほかにもないということになっていけば、この固定資産税そのほかばかりではなしに、いろいろな情勢から、やはり国鉄自体の経営の面から言うならば、当然これは運賃値上げという問題が最後の残された問題になってくるだろうと思うのでありますけれども、しかしさっきから申し上げておりますように、その点については、片一方でまた国家経済全体から、大所高所から見ていかなければなりませんし、そういうところから、さっき主計官の方で説明をいたしましたようなことで、ただいかぬいかぬと言っておるわけにもいかぬのでありまして、あるいはそれは一般会計でしりをふく、たとい税金でしりを見るにしても、税金でしりを見るということが起きるかもわからない。けれども、やはりそれは安易にやるべきではなくて、民間企業とは違って特殊な性格は持っておりますけれども、国家から膨大な固定資産をまかされて独立採算であくまでやっていこうという建前であるし、地方自治体なんかにも相当関連を持って、地方にも税を負担すべき義理合いも理論上はあるわけでございますから、この際国鉄もそれ相当の税を払っていく、そういうこともまたやむを得ない。そういうこと全体を含めて、さっきから申し上げておりますように、もうここ一年ぐらいの間に最終的な検討を済まして結論を出したいということであります。
  96. 横山利秋

    ○横山委員 私の質問にはずれておるわけです。ことしの三十六億を何で来年は倍の七十二億にしなければならぬか、こういうことであります。
  97. 山手滿男

    ○山手政府委員 さっきから申し上げておりますように、国鉄の経理内容が悪いからということと、固定資産税はかけなければいかぬということとは別個の議論なのでありますが、ただ国鉄の経理内容が悪いというだけで、初年度はこういうふうに手心を加えておりますが、来年もその次も同じように手心を加えて下さいと、漫然と国鉄側に言わすべきではないということであります。
  98. 横山利秋

    ○横山委員 それは逆なんでありましょう。あなたのさっきからのものの考え方は、国鉄はえらいから借金は延期してやる、その間にいろいろなことを考える、考える方法については、やりとりの中でいろいろな問題があったけれども、とにかく税金を納めてもらうということになれば、三十六億はえらいけれども一つがまんをしてくれ、こういうあなたの言い方であったはずだ。ところが、来年はそれを倍にするのだというのは、ことしの三十六億は多過ぎるけれども、まあがまんをしてくれというのに、来年倍にしなければならぬという根拠はないではないか、こういうことを私は言っているので、あなたは逆から言っているんだけれども、その逆の理論というのは、前から言っていた議論と全く矛盾するもはなはだしいではないか、私はこういうことを言いたいのですよ。従って三十六億をこのままずっと延ばしていくということが必要ではないか、現に国鉄ばかりでなく、専売にしても電電にしても、非常に強い希望を持っておられることを私は承知しておる。公共企業体の立法のときの経緯を考えてみますと、公共企業体に税金をかけるということは、本来考えられなかったところでありましょう。  それでは税金をかけたら一体どういうことになるかというと、これはあなたの理論では、運賃値上げを必然に招く。そうではなくして、新線開発をやるというのだから、公共的投資というものは国家投資であるべきだ、これが当りまえの筋であります。かりにこれを運賃に求めるならば、汽車に乗るお客さんに地方財政の赤字を負担させるという結果に相なる。一体なぜそこに筋を通していくのかと私は疑わざるを得ないわけです。借金の延期をしよう、そしてそこでしばらくの間に根本的に考えるというならば、三十六億を取るにしても、来年のことを約束する必要はないではないか、こういうことを私は言いたいのです。
  99. 山手滿男

    ○山手政府委員 さっきからいろいろ議論は出ましたが、やはりこの問題は、もう少し根本的に解決の道を見出さなければいかぬのでございまして、ただ単に運賃とかなんとかいうことだけ、あるいは固定資産税だけではなしに、国鉄の性格そのものまで検討をしつつ、この問題は解決をさるべきであろうと思います。  固定資産税についてのいろいろな御疑念につきましては、種々見解もございますから、主計局次長から答弁をいたさせます。
  100. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 横山先生の仰せ、ごもっともでございます。固定資産税の標準税率は御承知のように百分の一・四になっております。ただ国鉄でありますとか、専売公社でありますとか、あるいは電電公社、これは公共企業体の性格にかんがみまして、平年度普通ならば百分の一・四の税率であるべきところを、二分の一にいたそうというのが税法の建前でございます。ただ初年度急激に七十二億という負担をかけますことは、国鉄の経営にも大きな支障を来たすと思われますので、特に初年度は三十六億といたしたような次第でございます。  収入全体二千数百億の中で、平年度七十二億になるわけでございますが、ただいま政務次官もるる説明申しましたように、経営合理化その他いろいろ考えますことによって、この程度の負担はできるのではないか。国鉄の経営の苦しいことは申された通りでございますが、地方財政の再建のために、この点は一つ国鉄の方にしんぼうしていただく、専売公社の方にもしんぼうしていただく、こういう趣旨のものでございますことを御了承願いたいと思います。
  101. 横山利秋

    ○横山委員 二千数百億の中の七十億はがまんができるじゃないかという口裏で、借金が返せないから延ばしておいてやれ、あなた方はこう言っておるのです。この矛盾がどうにも私には納得できぬと言うのです。この借金は返させろという法律ができれば、それならば国鉄はもうかっているのか、それなら固定資産税も出してもいいのだ、こういう議論もできる。固定資産税は取る、借金は延期をしてやる、なぜならば国鉄は苦しいからである、こういう理論はどうにもあなたの方としては筋が合わぬではないですか。この点を一つ明確にしてほしいのです。
  102. 山手滿男

    ○山手政府委員 経営が苦しいから借金を延ばそう、それからもう一つ、地方財政のために固定資産税をかけて、これは負担してもらう、矛盾しているようでございますが、基本的に、公共企業体といわず国有財産といわず、今度は地方財政再建のために固定資産税を目並びに府県において負担せよという制度的なものを創設したわけであります。それがためにいろいろ負担が重なってくる、国鉄といたしましてもたくさん借金を持っている、この借金をどういうふうに整理していくかという問題は、これは根本的な問題として十分検討していかなければならない。その前に、ここで三十億を予定期限通りに払わせることは経営に急激な変化を来たして、収支に影響を来たすであろう、とりあえずこれは一年延ばしましょう、こういう趣旨のものでございます。
  103. 横山利秋

    ○横山委員 ここで大体明確になってきたと思うのであります。借金は延期してやる、固定資産税は国鉄、専売、電電から取る。府県からも取るというと、府県は何を考えるかというと、府県の持っている住宅などの家賃を高くする。府県は赤字だから、自分には担税能力がないから、家賃を高くして負担を転嫁する、国鉄はまた運賃を上げて旅客に転嫁する、こういう結果にどうしてもなると思うのであります。そういう結果になったのでは、政府がかねがね言っております減税だとかなんとかいうことは吹っ飛んでしまって、間接的に旅客なりあるいは国民大衆に対する負担の増加ということになるので、それを心配するのであります。そうしなくても方法があろうではないか、こういうことであります。せっかく府県については交付税の増額を要求して、政府もその必要を認めておる。今回二五%にしたのであるけれども、またそのパーセントをふやす方法があろうではないか。また国鉄にしたところで、借金を延ばしてやるというのであれば、この間固定資産税をしばらく延期してもいいのではないか、延期ができなければ、せめて三十六億一・四%の基本数字を将来にかけてもいいではないか、こういうことを私は言いたいのであります。  やや水かけ論になってきたと思いますけれども、しかしお聞き下さった皆さんにも問題の筋道がはっきりして、しかもあなたの方における延ばす方と取る方との矛盾が明確になったと思うのであります。私はこの延ばすという法律案については賛成はいたしますが、その前提となるものは、やっぱり取る方の矛盾をなくすること、あるいは先ほど言いましたように、地方自治体と国鉄の間における紛争の解決、軽減税率の四分の一を延ばすなり、その方法と相待ってこそ、私はこの法律案に心から賛成ができるのであります。そういうような矛盾をはらみながらやることは、どうも政府としても片手落ち、ないしはこの矛盾のままに国会の審議を求めるという弊害は免れがたいところであります。  この点については、政務次官はよくおわかりになったと思いますから、十分に関係筋に話していただきまして、いささかでも矛盾が解決できるように、次会で御報告願いたいと考えまして、私の質問は終ります。
  104. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十四日午前十階半より開会することといたします。   これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会