運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-11-01 第24回国会 衆議院 商工委員会中小企業に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月一日(木曜日)     午後一時三十九分開議  出席小委員    小委員長 中崎  敏君       内田 常雄君    小笠 公韶君       笹本 一雄君    首藤 新八君       野田 武夫君    南  好雄君       加藤 清二君    神近 市子君       田中 利勝君    松平 忠久君  小委員外出席者         商工委員長   神田  博君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   中西 一郎君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         中小企業庁長官 川上 爲治君         参  考  人         (日本中小企業         団体連盟専務理         事)      永井  保君         参  考  人         (全日本小売商         団体連盟組織部         長)      三浦 正義君         参  考  人         (全国精麦工業         協同組合連合会         専務理事)   今井 嘉重君         参  考  人         (東京精麦商         工業協同組合理         事長)     齋藤 廣三君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十月四日  小委員笹本一雄君、鈴木周次郎君、長谷川四郎  君、多賀谷真稔君及び水谷長三郎君同日小委員  辞任につき、その補欠として首藤新八君、中村  庸一郎君、森山欽司君、加藤清二君及び田中利  勝君が委員長指名で小委員に選任された。 十一月一日  小委員島村一郎君、中村庸一郎君及び松平忠久  君同日小委員辞任につき、その補欠として小笠  公韶君笹本一雄君及び神近市子君が委員長の  指名で小委員に選任された。 同日  小委員神近市子君同日小委員辞任につき、その  補欠として松平忠久君が委員長指名で小委員  に選任された。     —————————————  本日の会議に付した案件  中小企業振興対策に関する件  小売商業振興対策に関する問題について参考人  より意見聴取  精麦業に関する問題について参考人より意見聴  取     —————————————
  2. 中崎敏

    中崎委員長 これより会議を開きます。  中小企業振興対策に関し調査を進めます。この際百貨店に関する問題について、質疑の通告がありますので、これを許します。  神近市子君。
  3. 神近市子

    神近委員 ちょっと緊急な御質問を申し上げようと思うのですけれど、この間、二、三日前に百貨店審議会結論出して発表したことを御存じでございますね。それでそれについての大臣決裁が出たというようなうわさがあるのですけれど、それに基いた決裁はもうあったのでございますか、なかったのでございますか。それを一つ伺いたい。
  4. 川野芳滿

    川野説明員 百貨店審議会は去る二十九日に開かれたわけであります。その結論が出ましたので、当日大臣室におきましていろいろ協議いたしました結果、通産省としての確定案がきまりましたので、同日発表をしたわけであります。
  5. 神近市子

    神近委員 百貨店法が前国会審議されましたのは、小売商に対して百貨店資本の圧迫がはなはだしい。それに対してこれを緩和するための法律であったように私どもは理解しているのです。そのことについて特にもう決裁が出ているんでしたら、私はこまかく百貨店法精神あるいは小売商との関係についてお尋ねすることはやめますけれども、これは大体において小売商を保護するという精神であったということは、御存じでございますね。
  6. 川野芳滿

    川野説明員 御説の通りでございます。
  7. 神近市子

    神近委員 そうすれば、具体的な問題に入りますけれども、私の選挙地でございますので、そのために私がこのことに介入するというような印象があると思いますけれども、それは抜いて考えていただきたいのです。六千人に近い四区の小売商が、あれだけ猛烈な反対運動をしているのを、ほとんど百貨店審議会結論を出すと同時にこれを決裁して、ほかのことについてはあまり考慮しないで、そしてこれを決裁しているというようなところに、私どもは何か暗い、何かのためにする努力があったように感じるのでございます。これはこの前の国会で、参議院でもしばしば問題になっておりまして、運輸大臣の吉野さんなんかは相当これは考慮しなければならぬ問題だこいうことをはっきりおっしゃっているのです。私ども国鉄やり方について非常に疑惑を持っていましたので、夫はここかあるいは決算委員会国鉄にその点の考慮を求めるということを弔えていたのですが、ちょうどいろいろ問題が国鉄に起りまして総裁が不在というようなことが多かったので、その機会を得ないうちに審議会結論か出てしまったわけでございます。地元があれほど反対をしている。地区にしまして五百四十七地区が立ち上っている。それを無理に押し切って決裁なさったということに、私どもは何とも納得のできないものを感じるのです。きのうあなたは通産省地元人たつ反対陳情を受けられたはずなのですが、どうもその態度もあまりありがたくなかったというようなことを地元では申しているのです。一体あの決裁をあなたは妥当と考えられて、大臣に進言されたことがあるかどうか。それから石橋氏は、あれについては考慮するということをしばしばおっしゃっているのです。そういうふうなこともからみ合せて考えて、私どもは突如そり決裁が出たということも非常に不満でございます。あなた御自身は、あの問題をどういうふうに考えていられて、きのうもこれに対してどういう返品をなさったのか、それをちょっと伺わしていただきます。
  8. 川野芳滿

    川野説明員 池袋地区百貨店の問題につきましては、いろいろ国会におきましても御議論があり、さらにまた地元等におきましても反対陳情のありますことは、十二分に承知いたしているところでございます。従いましてこの問題の処理に関しましては、通産省としましても慎重な態度でこれに臨んだわけでございます。従いまして前々回の審議会にも、実は池袋地方百貨店の問題が審議会の議題となったような次第であります。しかしただいま申されましたように、地元反対のこと等もございまして、慎重に審議するの必要から、次回の審議会、すなわち先週月曜の審議会まで議論を持ち越しまして審議会においても慎重に検討していただいたような次第であります。また通産省といたしましても、この問題についていろいろな御議論のある点から、しばしば会合いたしまして、この問題をどうするか、こういう点については常に検討をいたしておったような次第であります。しかして東京商工会議所にあります協議会におきましても、この問題については小売商の側の反対がございましたが、百貨店側並び中立委員の側におきましては、四五%の削減、こういうことで丸物百貨店の線も出ましたし、さらに西武百貨店におきましても、四割削減と、こういう点で線は実は出ておったような次第であります。さらに先般の百貨店審議会におきましても、四五%削減、すなわち五五%以下において許可すべし、こういうような線も出て参りましたので、その両決定がなされました関係から、通産省におきましても、その決定の線についていろいろと検討いたしました結果、すなわち丸物においては五〇%削減西武百貨店におきましては四〇%削減三越百貨店におきましては二〇%削減、こういうことで決定をいたしたような次第でございます。
  9. 神近市子

    神近委員 この五〇%以下の削減ということは、丸物にとりましては非常な打撃だと思うのです。それをあえてなさったということは、あるいはなさらなければならなかったということは、あの百貨店があそこへ建つことは非常に無理だということを基本的に認めていらっしゃったわけじゃないですか。私ども憤慨にたえないと思いますのは、これはあなたに申し上げるべき筋合いでなく、国鉄に申し上げるべきことなんですけれども、この基本的な問題としてこういうことを考えていただきたいのです。あの土地は、もともと上越線、信越線等のターミナルにするというのであけたのでございます。しかも、多いのは二十坪も三十坪もございましょうが、気の毒に十坪とか七坪という小さな地所営業している人たちに、はなはだしいのは一坪以下の土地を提供させて広げた地所であったのでございます。上信越線の引き込みによる土地の繁栄とかいうようなことを口実にしてあそこをあけさせておいて、そして今日駅上を利用するというこの新しい構想のもとに——前にあのあき地というものはほとんどないのでございます。東京駅とかあるいは渋谷なんかの状態を見ましても、将来あそこを広くあけるという構想で行われている。池袋は、今ヒンター・ポピュレーションは百九十万とかいっておりますけれども、あれは練馬とか板橋の方角に非常に広く住宅ができる構想があるのでございます。そうすれば、池袋駅の前に車寄せもないというような状態になっておる。そこへ新しく百貨店を作る。たといこれが五割以下になっても、これは非常に無理であるということ。第一百貨店法がこの前通過いたしましたときに、新設は認めないということ、公共建築物の上に百貨店を作ることはほとんど全面的にやめなければならないという附帯決議がついているのでございます。附帯決議の二は、「国、地方公共団体及び公共企業体の所有する土地又は施設を利用して、百貨店業を営むことを、原則として許可しないこと。」となっている。それで、これに基きましてこの前この中小企業小委員会で私ども通産省にこれを御警告したのです。この決議を尊重するならば、あれは審議会にかける前の問題で解決しているのではないか。これはどなただったか、通産省の方が通産省に持って帰って報告するということをおっしゃって、百貨店審議会から抜くべき性質のものだということをそのときの結論印象として私ども記憶しているのでございます。そのことと、それから十九日の中小企業委員会におきまして、あの問題を今のように抜き打ち的に御決定になっては因るということを私ども考えて、委員会にお願いして決裁を延ばすことを決議したはずでございます。そういうふうなことをあなた方は一つも御考慮に人れられなくてあの問題を決裁なさっておしまいになったのかどうか、この百貨店法附帯決議をにらみ合せて、そして妥当とお考えになって決裁をなさったのか、異論があったのをだれかが強力に決裁してしまったのか、そこのところをちょっと詳しく伺わしていただきたい。
  10. 川野芳滿

    川野説明員 委員会におきまして附帯決議をなされましたことは十二分に承知いたしております。しかし丸物の問題は昭和二十五年ごろからだんだんと御計画になり、さらに始まりは百貨店ということではなかったようでございまするが、昭和二十八年ごろから屋上は百貨店を経営するということで運輸省と話が進んで参った、こういうような実情等もございまして、前から、百貨店として経営する、こんなことで国鉄側と話し合って計画を進められて参ったこの問題を、あとからできます百貨店法において全面的にこれを認めないというのもいかがであろうか、かようなところから、決議のございましたことは十二分に承知でおるのでございますが、そういう事情から実はある程度認めたということになったのでございます。なお、決議趣旨もございますので、ただいま申しましたように半分は削減した、こういうわけでございますから御了承を願いたいと存じます。  なお抜き打ち的に御決定になった、こういうお話がございましたが、決して抜き打ち的に決定したのではございません。先ほども申しましたように百貨店審議会においても、実は前町もこの問題はかけられておるのでありまして、先般の審議会において結論が出た、こういうわけでございます。通産省においてもこの問題につきましては前から種々打ち合せをいたし、研究もいたしたような次第でございます。しかして、審議会において最後の結論が出ましたので、通産省首脳部会議を開きましてこの問題をいろいろ検討の結果、審議会の線は五五%以下ということになっておりましたが、五五%まではよろしいということにも審議会意味はとれるのであります。しかし、五五%では適当でなかろう、こういうことで、さらに五%減じまして、五〇%で決定をされたような次第でございます。
  11. 神近市子

    神近委員 五〇%以下に制限をしようということは、これがゼロになることが当然だという考えのもとにそういう制限をなさったのでないか。丸物といたしましても、百のものを五十に切られることにはかなりな打撃を受けるわけです。そのことをあえてあなた方が冒さなければならなかったということは、基本的にはこれは当然ゼロにすべきものだというお考えがあったのじゃないかということを私はさっきお尋ねしたのでございます。  それから、池ビルから丸物に変える、これもあなたに幾ら申し上げてもしようがない。だけれども、申請の中に売り場をつけてあったから、百貨店売り場だからこれは同じものだという考え方で十河さんが御答弁になっているので、私はこれはもう一ぺん十河さんにお伺いしょうと思っていたところなんですけれど、私が申し上げましたのは、この委員会の十九日の決議もあることだし、今まであの審議会は少くとも東京都内の部分は長い間懸案となってきていたことだし、もう少し余裕を置かれなかったかということ、それから、あの丸物建築はまだ基礎工事が完了していなかったのです。それで、基礎工事が終ったものはしかたないという行政措置、それからまだ基礎工事が終らなかったときに、これは変更が可能であるとお考えにならなかったのか、その三点をお尋ねいたします。
  12. 川野芳滿

    川野説明員 審議会の線が、先ほども御答弁申し上げましたように四五%削減、こういう線が実は出ました当時におきましても、丸物といたしましては四五%も削減されますると、あとの経営が至難である、こういうような陳情は実はございました、しかし審議会決定が五五%以下、こういうことにもなりましたし、さらに小売業者反対あるいは当委員会におきまする決議線等もございまするので、この点等も勘案せねばならない、こういうようなことで、実は丸物からはそういう陳情はございましたが、小売業者立場、あるいはまた当委員会における決議線等考慮いたしまして半分に削減した、こういうわけでございます。  なお基礎工事の点でございますが、実はお説のように、十二分に基礎工事ができておったとは考えられぬのであります。しかし百貨店法審議の際に私から御答弁申し上げましたその内容は、旧百貨店法成立の際における百貨店認可の基準は、基礎工事のできておったものを認可標準とした、従って今回もこれを参考にする、こういうことを御答弁申し上げておったと存じます。丸物の問題におきましては、ただいまも申しましたように、十二分に基礎工事ができておらないことは認めるのでありまするが、だんだん内容を調べてみますると、あの工事丸物国鉄に金を出して、国鉄工事をいたしておる。従って国鉄国鉄の線に沿う工事をやっておる。こういうような関係もございます。従いまして、そういう観点等も勘案いたしまして、基礎工事が十二分でなかったのでございまするが、そういう点を考慮いたしまして、ある程度、半分許可するのもやむを得ないだろう、こういうことで許可をいたしたような次第でございます。
  13. 神近市子

    神近委員 そうすると、国鉄予納金を受け取っている。あなたの方では国鉄が困るだろうというので、国鉄の味方をして土地を取り上げた。私ども憤慨にたえないのは、さっき申し上げたように、十坪に足りない地所しか持たない人から一坪取り上げている。あの土地を取り上げられた七十何名かの中に二、三軒一坪取り上げられている。そういう不当な国鉄やり方、いわば欺瞞したともいえるようなやり方で、しかも将来混雑をきわめるだろうと思われるところに、車寄せも作らないで、停車場もなくて、せっかく作ってあった危険防止緑地帯までこわして、そしてこの丸物を上に置くためにその金でやっている。そういうことに対して通産省から、その国鉄やり方を支持するような決裁を今日お出しになったということは、私どもには納得ができないのです。あなた方は、たとえば国鉄に対して自家資本——国鉄のことは今決算の方でもいろいろ問題になっております。けれども自家資本であれをやるということは考えられなかったかどうか。そしてその方がいいというような勧告をお出しになることはできなかったかどうか。七、八万という小売業によって生計を立てている人たちの生活にかかわることを一丸物ボス等のためにあれをやらせるということに、私どもは何としても納得ができないのです。それで伺いますが、答申に対する大臣決裁が出た、その決裁はもう合法的な手続は済んでしまっているのですか、これを一つ伺います。
  14. 川野芳滿

    川野説明員 国鉄に対する土地の問題につきましては、昨日陳情団がお見えになりましたときに承わりまして実はまことに遺憾千万であると思っておる次第であります。しかし私などは国鉄のために今回の百貨店決定丸物決定をいたした、かようなことはございません。すなわち従来からいろいろの計画のもとに丸物百貨店というものが計画された、これをあとからできました法律で全面的に抑えることはどうであろうか、こういうような点も考慮し、さらにただいまも申しましたように、百貨店審議会決定もああいう線が出ましたので、そういう点を勘案して実は半分削減ということで決定をいたしたような次第でございまして、国鉄のためにどうということはございませんことを、どうぞ御了承していただきたいと存じます。  それから先ほども御答弁申しましたように、大臣のところにおきまして決定をいただいて公表したわけでございます。事務的の問題につきましては、目下手続中でございます。
  15. 南好雄

    南小委員 それで本題に入っていただくために、関連して少しお伺いしたい。今すぐ御答弁をいただかなくても、あと文書でけっこうです。  今お話を聞いておりますと、基礎工事の完了しておらぬものについていろいろの見地をしんしゃくして、百貨店審議会答申によって、ある百貨店面積を半分にしたり、二割減らしたり、一割減らしたりしておられるらしい。これは中小企業に対する影響きわめて甚大なものがあるのでありますから、この立法趣旨から見て個人の営業の自由、憲法の保障を大きく制限することもやむを得ないと思います。しかしその半面においては、法は公平でなければならぬ。どういう見地において半分にしたり、一割減らしたり、そういうものさしを当てるような行政めどが出てきたか。およそその売場面積なり営業面積というものは、人口の比率もありましょうし、いろいろ土地の発展の将来を勘案した点もございましょうが、ただ勘でいろいろな事情を参酌して、お前のところは半分でよろしい、お前のところは二割でよろしいということは、百貨店審議会諮問機関でありますので、営業許可行為大臣の全責任であります。そういう面において政務次官答弁はすこぶる納得いかぬのであります。従ってこれは非常に大きな将来の問題でありますので、今度の許可の、そういう勘でなしに、もう少し理論的な、一体どういう許可標準によって、半分に減らしたり、二割減らしたりされるのか。これは行政めどが間違いますと大へんなことになります。これは今すぐあなたに返事をしてくれとは申しませぬが、百貨店営業許可ということは大事なことであり、これは半分にちょん切るんですから、丸物の被害ははなはだしいものがある。かたがた中小企業に対する影響はすこぶる大きいものがある。そこでこの法律が出たときにどういう見地に立って許可をするのかということを再三大臣にも質問したかったのですが、あまり専門的になるので私は申し上げなかった。基礎工事完了後における法の運用と申しますか、これは非常にむずかしい。それでよく事務当局と御相談になって、今後どういう許可標準をもって、百貨店審議会答申をいわゆる行政処分の資料にされるか。各委員も非常に必要であろうと思いますので文書一つ出し下さい。
  16. 神近市子

    神近委員 あれは丸物池物という形で始めた。そして二十八年に百貨店使用変更をした。それであとから出てきた法律だから過去にさかのぼることは、というようなことを今あなたはおっしゃるのですけれども、あの弊害がひどくなったから百貨店法がやっとできたんでしょう。そうすれば、この法律は、たとえば基礎工事の終らないものに対してはこれを認可しないという、そこでも標準ができている。あれは写真がとってありますから、基礎工事が非常にまだ初歩的な段階だったということはよくわかっております。それをあなたは、基礎工事が終ったものとして有利にこの法律を解釈し、決議案を解釈してやっていらっしゃる。そこに私どもは何か疑問がある。たとえば国鉄があれを肩がわりして、予納金でやっているということだったら、国鉄があの駅というものはやるべきじゃないか。そこなんです。その解釈の仕方がどこか少し曲っている。ほんとうに国会決議された、この国会成立した法律精神というものを、あなたがよく理解しておいでになれば、あれは国鉄がやるべき駅舎でありますから、百貨店法が出た以上、この土地人たちを保護しなくちゃならぬという立場から御決裁をなさるべきであったと私は信じます。私はもう何か参考人おいでになるので、長くはおじゃましないことにいたします。けれども、これをもし、あそこで百貨店をやらせないというて、家族を入れれば数万の土地人たちがすわり込みでもやったときに、だれが責任をとらなければならないか。やはりあなた方が、諮問機関のその答申を十分検討する余地を与えないで御決裁になったというところに、私は難が出てきやしないかということをおそれるのでございます。その点再考、あるいは御考慮をなさる余地はもう絶対にないのですかどうか。それを私は伺いまして私の質問を終ることにいたします。
  17. 川野芳滿

    川野説明員 百貨店法成立意味というものは、将来百貨店のできますことを野放しにしておかないという意味と、目下建設中の百貨店をどうするかという、この二つ意味が持たれまして百貨店法ができたものと私は考えるのであります。そこで基礎工事の問題でございますが、基礎工事が完了せねば絶対百貨店を許さないという答弁をしたことはないと私は考えておりますが、これを標準にする——標準にするという言葉を申したと記憶いたしておりますが、そういうわけで、なるほど丸物におきましては一部の基礎工事が完了いたしておらないことは認めるのでございますが、先ほども申し上げましたように、国鉄に金をやって工事をさせておる。従って——自分工事をやっておるならば、基礎工事が完了せねば百貨店認可に非常な影響を及ぼすというので、いろいろと工事を進めるということも可能かもしれませんが、国鉄というところは、いろいろと国鉄の尺度によって工事を進めるというような観点等もございまして、幾分か丸物に対しましても同情すべき点があるのではなかろうか、かような点等考慮に加えまして半分削減ということにいたしたような次第でございます。  なお、実はただいまの御質問大臣に対しての御質問かと考えまして、政務次官としていかがかとも考えますが、すでに大臣において決裁をされました問題でございますから、変更はできないのではなかろうか、私といたしましてはかよう考えておるような次第でございます。
  18. 加藤清二

    加藤(清)小委員 関連して。本問題は非常に重要でございますので、審議会に諮って決定された、その最後決定なるものをぜひ一つ委員会に御報告願いたいと存じます。それはいろいろなトラブルもあることでしょうし、またかりになくても、これはいずれ本委員会審議の対象となることと存じますので、ぜひ一つ結果の一覧表を御報告願いたいと思います。  もう一つ私がこの点でお願いしたいことは、必ずトラブルが起きる、そこで許可するかしないかの境目はどこかということをかつての委員会でお尋ねした場合に、基礎工事完了というところで、大臣も御答弁になっておるはずでございます。そこで私はそのときに追い打ちをかけて、じゃあこの法律が施行される日に基礎工事が完了しているものの一覧表をお願いしたい、こう申し上げましたところ、それはきょうはできないから追って出す、こういうことでしたが、いまだそれが私どもの手元へ届いておりません。そこでぜひ一つ法律施行の日に基礎工事が完了していたデパートといないデパートですね、これをぜひ一つ。加うるに建築許可がいつおりていたか、建築許可の日にちですね、これをぜひ添えて一覧表を本委員会にお出しいただきますよう、重ねてきょう要望しておきます。
  19. 川野芳滿

    川野説明員 今の参考資料の要求は全国的なんですか、丸物だけでございますか。
  20. 加藤清二

    加藤(清)小委員 いや、私が申し上げましたのは、今度決定になりましたでしょう。いずれにしても審議会答申を得て決定になった、それの……。
  21. 川野芳滿

    川野説明員 承知いたしました。
  22. 中崎敏

    中崎委員長 この際小委員長から川野政務次官に、二言申し入れをして、おきたいのであります。何しろ百貨店認可の問題は非常に重要でありまして、ことにこの丸物に関するいわゆるターミナルの百貨店許可の問題は相当に問題があったろうと思うのです。ことに国民の中には国鉄を差しはさんでの何とはなしの不明朗さを感じておるのであります。それはしかも地元民において非常に大きな反対的な動きがあり、実際の生活を脅かされるという多数の中小企業者が現にあるという事実をも考えてみたときに、何か割り切れないというようなもとにおいての、われわれから言えば突然の許可だと言いたいのです。というのは、先般の商工委員会において与党野党の理事が相談し合って、商工委員長に対して、この問題はきわめて重要であるから、百貨店審議会に対して慎重にやるよう申し入れをされるように政府側に要請をして、委員長もその努力をしておったような実情でありますにもかかわらず、われわれに対する何らの了解なりあいさつもなくして、突如として決定されたということは、私としてはいかにも納得ができない問題があるのであります。そこでこの問題は、それらの幾多の問題と関連して、地元において今後幾多の波乱が起きるようなことがあるのではないかということを心配しておるのでありますが、そうしたようなことがないように、未然に一つ通産当局においてもこの問題を考慮されて善処するような余地があるのかないのか、もしないとすれば、一体これについてどういうような対策を講ずるかということについて十分の配慮をされることが望ましいのであるということを小委員長として一言申し上げておくのでありますが、これは大臣ともともとと御相談願って、そうしてこの問題についての対処方を要望してやまないのであります。     —————————————
  23. 中崎敏

    中崎委員長 引き続いて中小企業振興対策について、まず小売商業振興に関する問題について出席の参考人各位より意見を伺うことにいたします。  本問題について出席されておる参考人は、日本中小企業団体連盟専務理事永井保君、全日本小売商団体連盟組織部長三浦正義君であります。時間の関係もありますので、なるべく簡単に、まず永井参考人からお願いいたします。
  24. 永井保

    ○永井参考人 永井でございます。小売商業の振興対策につきましてお取り上げ願いましたことを感謝いたします。現在の小売商業の一般的な状況を一見ますと、総理府の事業諸統計によりますと、昭和二十九年におきましては約百三十八万でございます。それを三年前の昭和二十六年に比較いたしますと、一年に四万六千の勢いで小売商業が、かえておるという状態でございます。今後この小売商業の増加の趨勢は、経済五カ年計画等を拝見いたしましても、相当ふえてくる。ことに職業の安定対策等が画期的に考えられない限り、人口の圧力がこの小売商業の部門に相当影響を及ぼしてくる、こういうふうに考えられるわけでございます。なお現在の小売商業が大体におきましてどの程度の売り上げを示しておるかと申しますと、一営業者当り平均十五万円程度でございます。この月に十五万円程度の売り上げを上げております者が、その中から公課あるいは店舗維持のためのいろいろな経費を支出いたして参りますと、これは独立企業として経営が相当困難な状態になっていくであろう。今後業者がふえ、また百貨店あるいは購買会、消費生活協同組合等、小売商業部門に対する商業者以外の機関の進出が強くなるに従いましてますます零細化と、そうして小売商業の過剰の問題が非常に大きな社会問題となって参るのではないか、こういうふうに、その先行きにつきましては非常に憂慮いたしておるわけでございます。この対策といたしまして、私どもいろいろ考えて参りますと、根本的には小売商業の新規の営業を規制する免許制というふうなものがしかれますならば、これは小売商業者の立場からいたしまして、非常にけっこうなことだと思うのでございますけれども、これはまた社会的にもきわめて重大な影響を及ぼす問題でございますので、私ども実はただいまのところは一足飛ぴに免許制というところまでは考えておらないわけでございます。けれども、けさの新聞を拝見しますと、通産省ではこの臨時国会小売商業の振興法というふうな法律をお出しになるような御構想で、その中にやはり地域と業種にわたりまして適当に考慮を加えながら免許制を推進するというようなことが新聞に出ておりました。政府においてここまで踏み切ってお考えになられますならば、私どもは非常に賛成でございまして、それ以上に何もこまかいあれこれの対策を申し上げることはないのでございます。問題は人口問題と緊密な関係がございますので、免許制がほんとうに国会等で審議せられまして実現するかどうかということにつきまして、実のところ私ども業者の団体でございますけれども、非常に疑問を持っておるわけでございます。その意味におきまして、私どもといたしましては、この小売商業の計画的な配置、あるいはまた小売商業の適限経営に関する指導、こういうふうな小売商業振興についての行政上その他業界の協力態勢によりまして、活発な指導を前提といたしまして漸進的に登録制度をしいていくというふうなことで小売商業における過当な競争を排除しますと同時に、業者が独立企業として安定し、そうしてまた国民生活に直結する配給の機関としての機能を完全に果していくというふうにいたすことが必要ではないだろうか、こういうふうにただいまのところ考えておるわけであります。  なおこれらは小売商業振興の基本的な考え方でございますが、それらに並行いたしまして、やはり現在の小売業者に対する税制の面における改善、低額所得者に対する基礎控除の引き上げ、あるいはまた概算控除の限度を給与者控除並みに引き上げてもらう。これは年に四、五十万円程度の所得の業者につきましては、大部分資本とか設備によります収益でありません。大体勤労者と同じような、要するに店主の働きによるところの収益でございますので、そういう趣旨に基いた控除をお願いしたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それから中小企業の金融のうち、特に小売商業に関します金融は、従来とかくなおざりにされておりまして、商工組合中央金庫あるいは中小企業金融公庫等もございますが、それらの政府関係金融機関におきましては、小売商は協同組合を通じても借りにくいというふうな状態でございますが、今後国民金融公庫あるいはさっき申しました二つの政府関係の金融機関等におきましても、小売の零細な業者に対しましても十分金融の道がつきますように御指導をお願いしたい、こういうふうに考えるわけでございます。  大体以上でございますが、この前この小委員会におきまして組織の問題が取り上げられました場合に参りまして御説明申し上げたのでありますが、今問題になっておりまする中小企業等協同組合法の全面改正といわれます組織法に関連いたしまして、小売商業の適限経営を指導するための組合組織というものが非常に必要なんじゃないかというふうに考えられますもので、小売商業の組合組織については、制度について格別に御配慮をいただくことはもとよりでございますが、その組合の設立指導等におかれましても十分な御配慮をお願いしたい、こういうふうに考えるわけでございます。  簡単でございますが、大体私ども小売商業振興につきましての考え方のあらましを御説明申し上げた次第であります。
  25. 中崎敏

    中崎委員長 次に全日本小売商団体連盟組織部長三浦正義君にお願いい、たします。
  26. 三浦正義

    ○三浦参考人 ただいまの説明と重複しない程度においてごく簡単に申し上げたいと思いますが、まず小売商対策あるいは小売商行政というものを考える前に、この小売商が現在敗戦後の日本においてどういう役割をしているか、役割といいますよりは、どういうウエートを占めておるかと申し上げますと、大体全国の商店数が百六十万店舗ある。ここに働いておる従業員だけでも四百九十二万人もおる。さらにそれの主人並びに家族あるいは子供たちを入れて勘定してみますと、大体家族だけでやっておるというものがそのうち七五%もあるのでございますから、従って八百万人とか一千万人とかいうような日本総人口の十分の一に当る数が、五坪か十坪の売場面積を擁して生活しておる、あるいは生活ができておるということでございまして、これは要するに、日本の国民をこういう第三次産業と申しますか、こういう方法において収容できるものとしては、国家としても非常に好都合なものではないだろうか。そういう意味において、この小売商業対策というものは、流通機構を預かる重要なる役割を果す経済的な機能のほかに、そういう一つの大きな社会的機能を持っておるものだ、従ってこれを生かすか殺すか、あるいはどういうふうな対策をもって臨むか、そういう一つの社会的な背景を考慮にお入れになって、国会並びに政府当局においてもお考え願いたいと思うことが第一の前提でございます。  つきましては、具体的に二、三の点について特にお願いしておきたいのですが、終戦後、非常に忙しかったのでございましょうが、とにかく生産の復興に追われて、金融、税制その他の措置で小売商の具体的対策というものは一体とられただろうかということをわれわれ仲間同士で、十年間の過去の実績について特に慎重に調べてみましたけれども、とにかく思い当るものがない。やっとあるのは一つ百貨店法という、小売商を直接対象にしたところの、助成的といいますか、あるいは保護的な立法が去年、おととしあたりから問題になって、ことしやっとそれが施行された、これが一つのような気がするのであります。もちろん資金の融資等につきましては、中小企業金融公庫とかあるいは中金等を通じて派生的には恩恵を受けているでございましょうけれども、具体的に小売商を対象にしての施策というものは、ちょっと残念ながらわれわれは初めからほかには考えつかないような状態でございまして、しかもその百貨店法が、先ほどの質疑のように、その運用の面においては、社会不安を逆に醸成するような大きな問題にもなりかねないような運用をされておるわけでございます。そういうような点から、この小売商対策というものについては、この辺で、いわゆる生産物を流すところの商業というものに国家的な見地から検討を加えていただきたいということが大前提でございます。具体的に二、三の点について商業の問題を申し上げたいと思いますが、まず第一には、今問題になっておりますところのこの組織法の問題でございますが、これは相当審議されているようでございますので、われわれは一日も早きその結論を望んでおります。  第二の問題としましては金融関係でございますが、この金融の問題は、要一するに融資順位から申しても、今までは商業は常にあとの方に回されてきております。また担保その他の関係からいって、審査の対象から漏れて、表向きは非常に公平ということになっておりましても、事実的に受ける恩恵にはほとんど薄くなっておるのでございましてこれらの点は、今後商業を振興さすという観点から、この組織法と関連して総合的に小売商の振興法をお考え願いたいと思うのでございます。たまたまきょうの毎日新聞には通産当局の御発表もあったのでございますが、その具体的な点で特にわれわれが要望したいのは、いわゆる小売商を一応外からの、圧力から救うために百貨店法とかいうものもできておるのでございますが、内部的にこれをふるい起すという点に重点を置いた法律、特に生産と問屋と販売の小売という縦の関係を秩序立てるということが一つ、また横においては、左側に生協並びに購買会と  いうようなものをどういうふうに今後整理していき、あるいは処分していくかという問題、右側においては百貨店という大きな資本圧力からさらにどういうふうに擁護していくかという問題、それから小売商内部の問題として、無限にふえようとする小売商の増加を、人口がふえるのだから仕方がないのだという無為無策のままに放置しないで、何らかの方法においてこれを規制していくということ、この三つの形において秩序をきちんと立てていただきたいということを内容にし根幹にしたところの小売商の安定並びに振興をはかる法律を一緒に考えていただくように——いや、これはむしろ着想されているようでございますが、非常にけっこうな話でありまして、ぜひ御推進を願いたいと思うのでございます。  それから、最近問題になっておりますところの最低賃金法があるいは議論されると思うのでございますが、これも小売商としては非常な関心と、むしろある人々は恐怖の目をもって見ているのでございますが、これらにつきましても、労働基準法に従って、労働環境、労働条件、職域等も漸次よくしていきたいという考え方をわれわれ企業主としてはいわゆる人間的に持ち合せておるわけでございますが、しかしながら、その基準法並びに最低賃金法が守れるような企業態勢というものを前提にしてお考え願うとともに、一日も早くそういうふうになるようわれわれもまじめに考えるから、そこへ法律が持っていけるという立場を作っていただきたい。これらは総合的にあらゆる施策が伸びてこなければ実行できないことでございますが、先ほど話しました税金の問題、あるいは資金の問題、あるいは組織の問題等にもう少し関心を持っていただけるならばそういうこともみずからの手で解決できると確信いたしております。  以上簡単に申し上げましたが、特に申し上げたいのは、百貨店法を作った結果から見まして、その運用というものが非常にむずかしい。特にこの運用の衝に当る場合において、小売商を一体どうするのか、保護するのかどうかという判断の問題で非常に左へも大きく曲れば右へも大きく曲る。今度小売商の振興等をお考え願う場合においても、いわゆるその辺の根幹となるところを十分に突き詰めておいていただいて、最初に申し上げた日本の人口過剰というようなものから、これを単なる小売商を救済するというような恩恵的なものでなしに、国家の大計として御研究願いたいと思うのでございます。簡単に意見を申し上げた次第でございます。
  27. 中崎敏

    中崎委員長 ちょっとこの際川上中小企業庁長官にお尋ねいたしますが、政府の方でも小売商の振興対策をお考えになっておるようでありますが、その要点について一つこの委員会を通じて簡単に御説明を願いたいと思うのであります。
  28. 川上為治

    ○川上説明員 中小企業の振興の問題につきましては、現在内閣に中小企業振興審議会が設置されておりまして主として今までは組織の問題、金融、税制の問題、この三つの問題に重点を置きまして検討しました結果、ついこの前大体の結論を得ましてこの金融、税制の問題につきましては、一応中間答申案の形で内閣の方に答申がなされておるわけであります。それから組織の問題につきましては、これは一応中間報告という形で報告がなされております。というのは、組織の問題につきましてはいろいろ問題がありましてなおその重要な問題につきまして未解決な問題がありますから、一応こういうような問題について検討し、大体こういうような考えでいろいろ話し合いを進めておるというような報告がなされたわけであります。この組織の問題なり、あるいはその金融税制の問題の中で、特に零細企業であります小売業者の問題につきましては力を入れるべきだというような考え方から、この零細企業であります小売業者に対する、たとえば金融のいろいろな措置でありますとか、あるいはその税制上のいろいろな減免措置でありますとか、あるいはまた組織についても従来は協同組合だけでありますから、協同組合だけではなくて、やはり調整事業を商業者に対しましても及ぼすような、そういう組合組織というものが必要ではないかというようなことで、現在中小商業対策につきましても今申し上げました組織、金融、税制の面からもいろいろ援助するような、あるいは振興をさせるような対策を考えておるわけであります。そういうふうにこの振興審議会におきまして大体そういうような考え方になっておりますので、私どもの方としましてはこれを受けましてさらに組織の問題につきましてはいろいろ検討をいたしまして次の通常国会におきまして中小企業組織法といいますか、そういうようなものでも作って、そうして団体の強化をはかりたい。その団体の強化をはかることによって中小企業の安定と振興策をはかっていきたいというような考えを持っておるわけであります。また一面におきましては、百貨店なりあるいはまた大企業との関係なりあるいは問屋との関係なり、そういう関係におきまして中小商業者について特別な措置を何か講じなければならないのではないだろうかというような意見もありましたが、この問題につきましては、中小企業振興審議会においてまだ十分検討されておりません。これはこれからこの小売商の問題につきまして、特別にどういう措置をとるかという問題について検討をしていただくことになっております。何かきょうの新聞に出たそうでありますが、小売業者についての免許制の問題、これについては先ほどお話がありましたが、私の方からは全然発表いたしておりません。そういうことを私たちはいろいろ研究しておるという段階にあるわけでありまして、この小売業者の免許制ということは、一面におきましては人口問題、あるいはまた常業自由の問題、いろいろな問題がありますので、なかなかそう簡単な問題ではないと思いますし、いろいろきわめて複雑な問題も持っておりますので、われわれとしましては、ただ複雑であるからそれをほったらかしておくというわけにはいきませんので、やはりこの問題についても十分一つ検討して、もし別にそう各方面に支障がない、あるいはこういう方法でやれば問題はほとんどないというようなことでありますれば、私は免許制というものも十分考えられると思いますが、実はまだ検討されていないわけでありまして、この問題も当然振興審議会におきまして検討していただき、またわれわれも一緒になってこの問題を十分検討いたしたいというふうに考えておるわけであります。何かこの際免許制を含めた小売業者だけについての、特別な振興対策という法律を作ったらどうだろうかというような意見も出ておりますけれども、そういう問題についても、さらにわれわれの方としましては検討を進めていきたいというふうに考えておりまして、少くとも次の通常国会までにはこういう一連の問題について、具体的な考え方を十分まとめまして、もし法律出し得るというような状態になりますれば、法律出しましてお願いをしたいというふうに今のところは考えておるわけであります。
  29. 中崎敏

    中崎委員長 永井、三浦両参考人には種々有益な御意見をお述べいただきありがとうございました。     —————————————
  30. 中崎敏

    中崎委員長 次に中小工業振興対策、特に精麦業に対する問題について、御出席の参考人各位より御意見を伺うことにいたします。本問題について御出席の参考人は、全国精麦工業協同組合連合会専務理事、今井嘉重君、東京精麦商工業協同組合理事長、齋藤廣主君であります。それでは最初に今井参考人よりお願いいたします。
  31. 今井嘉重

    ○今井参考人 簡単に私どもの実情を申し上げたいと思います。私どもは大麦と裸麦を搗精しまして、消費者に配給しております精麦の業者の団体でございます。精麦業界が昨年以来非常に疲弊いたしまして、昨年の暮れから倒産に次ぐ倒産を重ねて参っておるのであります。詳しい事情はまた別といたしまして、この倒産いたして参っております事情は、大きな原因は、豊作による米価の下落ということでございます。政府におかれましても、昨年のような豊作によりまして外米の値下げ、配給量の増加ということで、実効価格がぐんぐん下って参っております。反面に私どもの扱っております麦は、政府から一定の価格で原料をいただいておる関係上、お米に対抗して麦を安くして消費者に差し上げることができない。もしそうすれば工場は赤字になって参りまして、いわゆる倒産を招く結果になり、現実にそうした事態が現われておるのであります。業界も仕事をやっております以上は、何とかして消費者のお気に入るようにということで勉強しておりますが、お互いの業界の競争にもよりますものの、そうした根本的の原料価格の是正がないために、そういうことになっておるのであります。麦はただの製粉と違いまして、麦だけで食べるというものではございません。米と一緒にまぜて主食としていただくものであります関係上、米の値段が下ってくれば自然に麦の値段も下げていただかなくては、消費者は米食に転換するのであります。最近に至りましても、従来の麦の生産からいたしましても約三割減をいたしまして、東京とか大阪の大都市に至りましては約三分の一に減って参っておるのであります。戦争中から保健上等いろいろな問題から麦食奨励を政府が行われまして、現実に麦の消費は百万トン、外米の消費が通常七十万トンと申されておりますが、その上にありまして百万トンの麦を消費し、全消費量の約二〇%という食糧が精麦でまかなわれております。こうした事態は私どもの業界のためのみならず、国の一つの食生活の問題からいきましても、豊作であれば米を食え、凶作であれば麦を食えという一貫性のない食糧政策でなく、麦食奨励をやられた政府におかれましては、依然としてその趣旨を徹底させるように、麦食が奨励し得るような価格にしていただきたいというのが私どもの願いなのでございます。  もちろん価格の問題ばかりではございません。私どもの業界は戦争中から政府の委託加工によりまして政府のお仕事をやって参ったのであります。麦は統制でございましたから、政府のお仕事をやって参りましていわゆる政府機関として私どもは仕事をやって参ったのであります。二十七年に統制が解除され自由となりまして、私どもは自由営業をやるようになったのですが、農業政策上の一つの問題からして、麦が非常に高く買われております関係上、政府の赤字のために、米が安くなっても麦を安く売ることができない事情にありまして米の方の行政はおやりになりましても麦の方の行政は取り残されておるのが実情であります。そしてその当時に政府機関としてできましたこの工場が今になりまして、私どものいろいろ不注意な点もございますが、過剰設備を持つようになったのであります。私どもは先般政府のお骨折りで調整組合を作り、業種指定も二十九日にしていただいたのでございます。調整組合も作り、業界の立て直しを今考えておりますが、反面企業整備をやりまして、政府の麦食の方針に沿うような一貫した一つの設備を、いわゆる過剰設備によって業界自体がむだな競争をしないような企業整備をやって参りたいという重大な決意をいたしておるのでございます。農林省の当局に対しましても、また中小企業庁の振興部長の方にもお願い申し上げまして、この説明をるるいたしておるのでございます。ただ私どもは、今までの私どもの設備、いわゆる戦時戦後を通じまして政府の委託加工、政府の御用機関、政府の設備としてやってきましたこの工場が、今企業整備をしようという重大な決意を持つに至りましたので、やはりこの点は普通の中小企業とは違いまして、政府の要請によって作った工場だと私ども考え、またそのつもりで御協力申し上げて参ったのでありますから、この企業整備の転業資金にいたしましても、どうか可及的すみやかに政府の方でごめんどうを見ていただくことをお願い申し上げたいのでございます。私どもも、昨年の暮れは二三%の倒産、休業の工場を続出しまして本年に至りましても、ことしの豊作予想、また外米の値下げ、配給数量の増加ということによりましてどんどん倒産の一途をたどっておるのが現状でございます。どうかこの窮状を十分御了承いただきまして、何分の御審議をお願いいたしますようくれぐれもお願い申し上げる次第でございます。簡単でございますが、実情を申し上げます。
  32. 中崎敏

    中崎委員長 次に齋藤参考人にお願いします。
  33. 齋藤廣三

    ○齋藤参考人 われわれ業界の悲惨な現状並びにその打開策についての業界の要望事項につきましては、ただいま全国団体の専務今井さんから詳細陳情申し上げましたので、私取り立てて申し上げる必要も感じません。何か御質問でもありましたならばその際お答したいと思って補助的に出て参りました。
  34. 内田常雄

    ○内田小委員 ちょっと食糧庁の方にお伺いしてみたいと思うのですが、精麦業者の倒産というのはすなわち価格が合わない。たとえば政府は農民から指示価格で買い上げる。産麦の大部分は指示価格をたよりにして、政府買い上げになってしまう。従って今、今井さんからお話のように、精麦業者が買う原料麦というものは、自由買い入れ数量はほとんどなく、全部食糧庁から払い下げるということになっているわけであります。従って今日のように米の実効価格が安くなって参りまして、麦の対米比価が米に接近してきて、一般の需要が減退してきているように思うのであります。精麦業者としては自分の採算で操作をする余地がないという問題になっていると思うのであります。そこで問題は二つあると思うのであります。きょうこの問題を小委員長がこの小委員会でお取り上げになったことは敬意を表するのでありますが、一つは、休業し、また倒産を続々している精麦業者の整備対策をどうするかという問題と、もう一つはそういう区々たる業者の問題よりもっと大きな問題として、国の食糧需給対策をどうするのだという問題と、二つあると思うのであります。二年続きの豊作でありまして、米が安くなる、従って精麦業者がお困りになるということは、ある意味からいえばけっこうなことかもしれませんが、ところが豊作は二年続くことがないとさえいわれているわけで、幸いことしは豊作のようでありますが、来年、再来年も同じような事態はおそらく許さないでしょうし、従ってせっかくこの食糧需給対策として、食生活改善とか、粉食奨励とか、麦食奨励とかをやって参った今までの努力が、もしここで精麦業者がほとんど機能を停止するということになりますと、今後食糧需給対策に非常に大きな影響を及ぼしますので、その辺が非常に大きな問題になると思うのですが、これらの問題について一体麦価対策を今食糧庁当局ではどうお考えになられておるか。これは小池、中西、両課長でありまして、そういう問題は国会できめてくれと逆に質問されるかもしれませんが、大体政府当局として、農林大臣もきょうお帰りになっておるのでありますが、どういう方向で、少くとも事務当局としてはこの麦価問題の処理を考えられておるのかを御質問したいと思うのです。対米比価が接近しておるから米を上げればいいじゃないかということでは、社会党の中崎委員長みずから消費者米価を上げるというようなことは、お宅の主張にも反するし、一方を上げて一方を下げたらいいじゃないかという簡単なものではない。さればといって財政負担におかまいもなく麦を下げたらいいじゃないかということもいかぬ。もしそれ麦価の引き下げが農家からの買上価格の引き下げを直ちに招来するならば、これまた農家泣かせの問題でありますので、これはむずかしい問題であろうと想像いたしますが、食糧庁当局の大体の方針をお伺いしたいと思います。
  35. 中西一郎

    ○中西説明員 食糧庁当局としまして実は検討は十分いたしておるつもりであります。ただ問題は、今御指摘になりましたようにむずかしい問題を含んでおりますので、結論的な段階までには残念ながら至っておりません。そこでわれわれの検討の概要でございますけれどもお話のように食糧自給態勢といいますか、麦食推進の態勢をこの豊作のもとであと戻ししていく、せっかく進んできた麦食の増加をまたここで停滞させるなり、あるいはまた非常に大きく後退させるというようなことは好ましくないと思っております。ただ非常な大豊作のあおりを受けて、残念ながら現在のところ、先ほど参考人からお話がございましたように、麦食も相当な後退を見せております。しかし長期的に見ますならば、やはり食糧不足国でございますし、麦食を次第に伸ばしていくことを常に考えての食糧行政でなければならないというふうに考えるわけであります。そういうふうな方針のもとで、目下の政府原麦の売渡価格をどうするかということになるわけでございますが、お話のように対米価比ということも一つは大きな問題であります。ただこの対米価比そのものについて、われわれ理論的にいろいろ検討して参りますと、非常にむずかしい問題に突き当ります。と申しますのは、米の値段が変りまして——マル公は変りませんが、ヤミ米が動きまして、従って実効価格が月々相当変動いたします。そのために押麦の値段は変りませんのですが、対米価比は非常に変って参るのであります。そういう形で戦前の一定の年度における対米価比がどうであったかというようなことも見るわけでございますけれども、麦の需給構造がはなはだしく変っておりますし、安定した対米価比の発見ということには実は非常に困難を感じております。いずれにいたしましても、現在の消費者価格をさらに引き下げれば麦食が今より伸びるということは自明のことでございます。ただそこでさらに問題は、現在の精麦加工業が非常に激しい競争の条件のもとにありましてそういう意味先ほどお話のような苦境に立っておられるわけです。その際政府として原麦価格を下げるだけで事が足りるかどうかということを考えますと、原麦価格を下げました場合に、その競争の条件が今と同一で変りがないといたしますと、さらに工場の販売価格は下っていくというような形で、苦しさ自身にはそれほどの変りはなかったという結果になるおそれもございます。そういう意味先ほどお話のあった休業、倒産に伴う企業整備の態勢をとらざるを得ないのじゃないかという考え方が生まれてくると思うわけでございます。ただこれも千何百軒ございます非常に大きな業界のことでございますし、簡単に企業整備ということを口では申せましても、実際上これを推し進めていくためには幾多の難関があると思います。いずれにいたしましても競争の条件を今よりも緩和させることと、それとあわせて原麦の価格を下げていくという、この二つが組み合さる必要があるのではないかというふうに、最近の状況から考えておるわけであります。原麦の価格を幾ら下げるかということについては、なお麦界の人たちとも十分の協議を遂げる必要があると思いますが、いずれにしましても現況は非常に苦しい事情にあるわけでございます。われわれとしましてはじんぜん日を送るわけに参りません。予算を控えておりますし、早急に結論を出すように努力をいたしたい、そういうふうに考えております。
  36. 内田常雄

    ○内田小委員 中西君のお話で、麦価問題については食糧庁としても重大な関心をお持ちになっておるというところまではわかったのですが、あともう一つお尋ねしたいのですが、それは一応留保いたしまして今井さんにお尋ねしたいのです。私もはっきりした数字は記憶いたしておりませんが、精麦業者の設備能力が現状においては多過ぎる。また経営者数も一万ですか、二万ですか、相当あって、設備能力から見てもまた企業者数から見ても、現在動いているものはその何割、五割であるかあるいはわずかに二割くらいしか動き得ないというような状況にあるのですが、その大体のところを、中小企業庁長官もおられるのですから、今後の整備問題についても相当施策を考えてもらわなければならぬものですから、ちょっとあなたからもう一度おっしゃっていただきたい。
  37. 今井嘉重

    ○今井参考人 現状で私ども精麦業と言ってやっておりますものの馬力数と申しますか、能力というのは、十八万馬力と押えております。操業度、これが完全に操業すれば問題ないのですが、大体二五%から三〇%程度の操業をやっておるように私ども考えておるのであります。そうしますと大体四倍程度の能力があると考えておりますが、しかしこれをフルに運転することが一つの産業の完全な行き方かも存じませんが、これは望めないことであります。私どもが大体今考えておりますのは、四〇%を整備したい。いろいろ議論はございますが、大体四〇%を整備すればいいのではないか、こういうふうに考えておるのであります。  企業者の数は、今内田先生から二万とおっしゃいましたが、大体対象にしていますのは二千二百工場でございます。しかし政府からものを買っておりますいわゆる企業的な工場は、約千二百工場であります。動いておりますのは、昨年の暮れに倒産いたしましたのが二百三十工場でございまして今それがやったりやらなかったりしているので千二百工場というのが現状でございます。しかしその工場の中でも二十五馬力、三十馬力の工場に至っては、あまり活発な動きはいたしておりませんが、しかし一応動いておる形をとっております。
  38. 内田常雄

    ○内田小委員 そこで中小企業庁長官にちょっとお尋ねしたいのですが、今言うような状況で、政府の払下麦価が高過ぎるという問題ばかりではなしに、現在の精麦業者の設備能力が、現状においてあるいは少くとも将来麦価が調整された後においてもかなり多いのではないか。これはやはり政府も相当指導をされて強力な整備のあっせんをせられなければ、自発的につぶれるのを待つということも、政府としてはあるべきことではないと思うのでありますが、先ほど今井さんのお話の中であったかと思いますが、中小企業安定法における政府の二十九条命令の発動といいますか、何か政府の指定を得て調整組合を作らせるようなところまではいってきておるのでありますけれども、さらに一歩を進めてあるものは整備させ、あるものは休機といいますか、休ませるというような区分を、業者の自発的機関のもとに、あるいは政府の指導のもとに作らせまして、それに対して助成措置といいますか、助成金等につきましても、政府から相当の財政支出をする、かようなことを来年度予算において考えなければならないということにもならないと、この問題は片づかないように思いますが、どんなことをこの問題については考えておられるか。あるいは中小企業がたくさんありますから、そのうちの一環として今まではそう大きなものでなかったとお考えでしたら、これからぜひ考えてもらわなければならぬ問題だと思いますので、こうしたいということでもけっこうでありますから、お考えをお聞かせ願いたい。
  39. 川上為治

    ○川上説明員 もちろん農林省におきましても、いろいろそういう問題は検討中なんですが、私どもの方としましても、まだそこまで積極的に進めるというところまでは、実はいっておりません。さしあたり中小企業安定法に基きまして組合を作らせまして、その組合においていろいろ調整をする。しかしそれでなかなかうまくいかないという場合におきましては、例の二十九条の調整命令を発動して員外者を統制するという考えで、今のところはいっているのですが、いろいろお話を聞きますと、そういうような措置だけではなかなかうまくいかないので、一歩進めて、戦時中においてやりましたようなそういう措置をとった方がよくはないかということも言われておりますが、実はまだそこまで農林省との間に話し合いをしておりません。私はこれは精麦業者ばかりではないと思うのですが、そういう問題が、いろいろな事業につきまして今後相当出てくる可能性があるのではないか。そうしますと、やはり中小企業者につきましては、一面においてそういう措置もとらなければなりませんし、また一面におきましては、先ほど問題になりました免許制度の問題も考えなければならぬというふうに考えます。しかしこれは一面においては、やはり人口問題なりあるいは社会問題、いろいろな問題がございますので、今後の問題についても慎重に考えなければならぬと思うのですが、そういうことも十分予想して、もっと積極的に農林省とも相談をしまして、検討していきたいと思っております。
  40. 今井嘉重

    ○今井参考人 ちょっと御説明いたしたいのですが、一般の中小企業ですと、私どもはここまでお願いはいたさないつもりなんです。私どもの業界が今困っているということは先ほどちょっと申し上げましたが、私どもは一般の中小企業ではなくて、政府の要請によって作った精麦場でありまして、戦争中、戦後を通じまして、外麦が入れば外麦を加工する工場をどんどん作らせられたと申しますか、作ったのですが、そういうことで、政府の御用工場であったのであります。また、麦は自由にされましたが、全部政府に入ってしまうような価格で麦は取引されておりまして、私どもが生産量の半分でも自由品として買い得られるならば、私ども責任において操業がいいとか悪いということは解決しなければならないのですが、まるで政府に麦が買い取られまして、それで政府の思うような価格——赤字を作らないようなといいますか、今相当赤字を出していただいておるのですが、しかしこれは財政的な問題で、妥当な価格は想定されても、赤字の問題で妥当な価格ができなくて、政府の政策のために私どもは振り回されているというような——ちょっと言葉は悪いのですが、そういうような状態であります。炭鉱がああいう形で政府に買い取られた、私どもも炭鉱と同じではないか、当然政府のカでお作りになった精麦工場だ、所有権は私どもにあるのですが、そういう形で考えておりますので、一般の中小企業と私どもとは少しお考え方を変えて御考慮いただきたいというのが、私どものお願いなんでございます。一口説明をつけ加えさせていただきました。
  41. 内田常雄

    ○内田小委員 今井参考人お話で私どもはよくわかりました。中小企業庁長官お話のように、ひとり精麦業ばかりでなしに、中小企業全体として同じような問題があるかもしれませんので、これは小委員長においてもお取り上げになって、精麦業整備臨時措置法案というようなものを小委員会案として研究されるなり、あるいはまた過剰設備臨時措置法案なりというものの一環としてこういう問題を取り上げるなり、一つ今後も引き続いて協議をいたしますから、御尽力をお願いいたします。  食糧庁の説明員にお尋ねをするのでありますが、今の麦の価格ではやり切れないということをお認めになったことは、食糧庁としての非常な進歩だと思います。私どもが伝え聞いておるところによりますと、食糧庁のお役人もよほど苦しいと見えて、あれで計算は合うはずだということで——おそらく政府で払い下げる麦にもいろいろな規格といいますか、銘柄があるのであります。安い銘柄の数字を国会や米価審議会に持ち出して、こういう値段で払い下げておるのだ、しかるに今度は精麦業者が精麦して売る値段の方については、一番良規格、良品種の精麦の値段をひっぱり出して、売る場合には一番安い価格、それから精麦業者の製品については、一番高い品種のものと比較されて、これこれの差額になっておるのだから、精麦業者の企業努力でやっていけるはずだというような、何かごまかしの御説明でもっぱらやってきたようでありますが、事情がだんだん窮迫しまして、そういうことでもとうてい済まされないと御認識なのか、川上君が麦価の問題について精麦業者はやれないということをお認めになったことは非常に進歩であって、事態の本質を突いたようなことと存ずるのです。そこで私どもが聞くところによりますと、精麦というものは国内産のものもあるのでありますが、輸入の大麦も相当ある。また大麦、裸麦ばかりではなしに、小麦を相当多量に外国から輸入されておる。そこでその小麦について見ますと、外国産の小麦は品質もよいし、価格も安いということで、食糧庁では麦全体としては非常な利益を上げられておる、安い麦を輸入して国内に高く払い下げるという操作のもとに、百二十億ないし百三十億くらい麦の商売で食糧庁がもうけられておるということでありますから、私は、これは麦でもうけっばなしはひどいじゃないか、何も国内の農家から賢い上げる麦の価格を下げなくても、現状価格においても輸入麦の操作で、今申すように、相当利益が上っておるのでありますから、この際麦については精麦業者に対する払い下げ価格というものは計算の上からも相当引き下げる余地があるのじゃないか、こう思うのでありますが、これは精麦業者のみならず、このことは製粉、パン屋さんなどは盛んに言っておることであります。精麦業者のみならず、パン屋や製粉業者も困っておる。ただ製粉の方は大規模製粉がおもでありまして、一年や二年の苦しいことは切り抜けられるという資本蓄積また資本調達があるのでありますから、それは精麦と違うところでありましょうが、大体のところ数字はどんなふうにわれわれは認識したらよいのか。きょうは時間も過望ましたから、こまかいことは申しませんが、あなたの方でもそう言われてみると、実はそう思っておるのだ、麦の利益は米の方にみな回しておるのだが、米の方は米の方としてとにかく財政的にも考え余地もあるのだから、麦については麦の輸入利益なりあるいは大麦、裸麦についても輸入利益があるかどうかわかりませんけれども、麦全体としての利益を精麦に還元してもいいのだというような考えをお持ちになってしかるべきかと存じますが、この点についてお尋ねいたします。
  42. 中西一郎

    ○中西説明員 麦として事態をながめますと、お話のように小麦で、これは予算でございますけれども、約百二十五、六億の益が出るということで予定が立っております。大麦、裸麦、精麦というふうに限定いたしますと、内麦で約三十億の赤字であります。買った値段に政府のコストを加えまして、その価格と現実の売り渡し価格との差額が、大、裸麦について約三十億になります。なお外大麦について申しますと、約八、九十万トンの輸入の実情でありますけれども、今年の会計年度で輸入補給金を約十五億程度出すことになるのじゃないかと思っております。合せますと四十数億というものが、大麦関係で国内に対する補助金並びに輸入補給金という形であります。小麦の益を、同じ麦だから麦に使ったらどうかという御意見、確かに一つの御議論であり、われわれも検討いたしておるわけですが、他方米の方で非常に大きな赤字も出ております。食糧管理特別会計全体としては、実は小麦の益を各方面に使っております。はなはだしい例を申し上げますと、えさの需給安定のために実は飼料に使っております。また北海道のテンサイ糖も使っておる、澱粉も使っておる、その他菜種、大立等についても法律がございまして、取り扱うようになっております。そういうもので出た赤字というものも、一律に米麦並みに処理をする体制になっておるわけでございます。そういうわけで、大きな益を出しておるのは小麦の輸入利益だけでございます。そういうことで、その利益を各方面で使ってなお赤字が出るというのが現実の姿であります。それはともかくといたしまして、現実の政府の売り渡し価格を一体どういうふうに見るかということですが、これについては実は非常にむずかしい問題が一つ二つございます。われわれも結論は得ておりません。いろいろ試算はいたしたことがございますけれども、それぞれに問題がございます。一つの試算といたしましては、一−七月というこの年の前半をベースに置いて計算などもいたしまして、麦界の方々と御相談もいたしておりますが、技術的な難点がもろもろございます。そういう意味で技術的な難点を麦界の人たちともよく協議をいたして、よりすっきりした合理的なものに改めていきたい、そういう方針で今後も作業を急ぎたいと思っておりますが、当面の計算というのは、別段こういうふうになるというふうに申し上げられる段階には、残念ながら至っておりません。
  43. 内田常雄

    ○内田小委員 ありがとうございました。だんだん中西さんのお話を承わりますと、食糧庁としては今の売り渡し麦価というものが、対米価比の関係あるいは精麦業者の実情から見て適当ではないという御判断のもとに——政治的にはどうかというのは、これは中西さんのお答えになる限りではないでしょうが、事務当局としては麦の売り渡し価格というものは幾らに下げなければならぬかということは、麦界その他の関係と研究中だけれども、下げるという御決心というか、事務的にはそういう処理方針を持っておられる、こう判断して、従ってあなたの御発言によりまして、精麦業者は何らかの明るい気持を持ち得たと考えてよろしゅうございますか。
  44. 中西一郎

    ○中西説明員 その点最初に申し上げましたように、ただ工場の採算という関係だけで価格値下げだけをいたしましても、そのこと自身が加工業者の救済にならない場合が予想されます。それがいたずらに国が赤字を出したということに終ってしまっても因ると思いますので、先ほどお話がございました調整組合なりあるいはアウトサイダーに対する命令なり、あるいは一歩進んで企業整備の問題なりとあわせて、全体を修正する必要があるというふうに考えておる次第であります。
  45. 内田常雄

    ○内田小委員 私が心配いたしますのは、工場救済、精麦業者の救済というよりも、今の値段ならば国民が麦を食わない、パンを食わないのでありまして、私の女房に聞きましても、あなたの奥さんに聞きましても、貧乏人は麦を食えと言ったのは昔のことで、金持は麦を食えと言っても食わぬのでありますから、そうなったら、食糧自給対策上一大事ということを私はむしろ心配しておる。精麦業者がそういうことでつぶれたり何かするということは、別の見地から別の処理をしなければならぬ。むしろ農林省、食糧庁には、食糧政策的な大局的見地から事を判断されて、この対策をぜひお立て願いたいと思うのであります。  さらに私が不思議に思いますことは、昭和三十一年度の食糧管理特別会計の予算におきまして、政府の払い下げ麦価は引き下げる計算になって、それだけ政府の売り渡し収入を少く見ておったと思いますが、三十一年度の予算案が成立いたしまして、予算になってからの政府、食糧庁のおとりになった措置を見ますと、最初国会に諮られた特別会計の予算案の通りに麦の払い下げ価格の引き下げをしておらない。四月にわずかばかりの名目的の引き下げをなさったばかりで、従って食管特別会計における麦価の構成の数字と、今日の売り渡し価格とが開いておることは、これは国民を欺罔しておるような杉になりはせぬか、国会を欺罔しておるような形になりはせぬか、かように思いますが、その点についてはどういう御見解で進んでおられますか。
  46. 中西一郎

    ○中西説明員 御指摘のように、予算に組みました政府の売り渡し価格と、現実の政府の売り渡し価格とはギャップがあります。これはわれわれの方の予算編成の場合の想定と、現実に麦価をきめます際における実際の数字との間に差がございます。例年予算通りには麦価のみならず、米価も合わないのでございます。具体的に申し上げますと、麦価の売り渡し価格をきめます際には、われわれは末端の精麦の値段が幾らに売れるであろうかということ、あるいは幾らであればよいか、いろいろな判断をいたします。そのためには先ほど申し上げました実効米価に対する対米価比などを用いて、あとは流通経費あるいは加工賃、副産物の評価というようなことで、一つ一つ節をつなぎ合せて売り渡し価格を作るわけであります。予算を作ります際には、予算を作るごく最近のデータでそれを行います。麦価は大体六月の末に作業をいたしますが、そのときにはまたごく最近のそういう資料を組み入れてやります。その間に現実の事態の振れが最近のように凶作、豊作入り乱れておりますと、やむなく起ってくるわけでございまして、そういう関係で、現実の売り渡し価格が予算と合わないという結果になっておるわけでございます。
  47. 内田常雄

    ○内田小委員 私の質問は一応これで終ります。あまり長くなりますから、一応これで終りますが、これはむずかしい問題でありますことは、食糧庁としても、また中小企業庁としても、十分おわかりであろうと思いますので、ぜひ一つこの問題解決のために、御尽力願いたいということを申し添えまして、また小委員長にもお願いする次第であります。
  48. 中崎敏

    中崎委員長 これは食糧に関する問題であると同時に、中小企業者の現在の行き詰まっておるこの問題をどうするかという問題でありまして、いわば食糧庁と、それから中小企業庁と関連性の深い問題だと思います。幾多問題点が今明らかにされました通りに、一日も早くこの問題について十分の対策を立てられることを要望して、さらに私たちとしても事態のいかんによっては引き続いてこの問題を検討する機会を持ちたいと思います。  今井、齋藤両参考人には種々有益な御意見をお述べいただき、ありがとうございました。  それでは本日の委員会はこれをもって終ります。    午後三時三十分散会