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1956-03-10 第24回国会 衆議院 商工委員会重化学工業に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十日(土曜日)    午前十時三十二分開議  出席小委員    小委員長 小平 久雄君       小笠 公韶君    椎名悦三郎君       中村庸一郎君    長谷川四郎君       多賀谷真稔君  出席政府委員         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務         官         (鉱山局長)  松尾 金藏君  小委員外出席者         通商産業技官         (重工業局製         鉄課長)    田畑新太郎君         通商産業技官         (地質調査所         鉱床部長)   佐藤 源郎君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月二十八日  水谷長三郎君同月二十五日委員辞任につき、委  員長指名で小委員に補欠選任された。 同月二十九日  椎名悦三郎君同月二十七日委員辞任につき、委  員長指名で小委員に補欠選任された。 三月五日  椎名悦三郎君、田中龍夫君、前田正男君及び水  谷長三郎君同月三日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  鉄鋼業及び機械工業に関する件     —————————————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き鉄鋼業及び機械工業に関して調査を進めます。まず当局より鉄鋼関係資源調査状況等について説明を求めます。佐藤鉱床部長
  3. 佐藤源郎

    佐藤説明員 別に準備もしておりませんけれども、大体のことを申し上げます。  日本砂鉄につきましては、実ははなはだ調査が不備でございまして、特に埋蔵量数字の問題になりますと、資料不足というよりもほとんどないというに近いくらいでございます。どうしてそういうようなことになっているかと申しますと、いろいろな理由が考えられますが、私ども立場として考えますことは、元来国内砂鉄鉱業というものが非常な中小企業である。特に海岸波打ちぎわに少しずつ蓄積されておりますいわゆる浜砂鉄、これが鉱区としては全国的に一番多いのでございますが、その浜砂鉄になりますと、もともと浜砂鉄鉱区規模が小さい。従いまして、そういう小さいものに大きな資本を持った事業家が乗り出すことはとても相談にならない。従って、その辺の漁民とか農民たちが、片手間に副業的に、生産コストをできるだけかけないような、きわめて幼稚な原始的な方法でやっておる。それでちょっと地表をひっかく程度仕事をしまして、そのあといろいろな事情でやめてしまう。一体そこに賦存しておる量のどのぐらいを掘ってしまったか、あるいはどのぐらい残っているのか掘り尽してしまってやめたのか、あるいはまだ残っているのに何かほかの事情でやめたか、いろいろな事情もございますが、要するに徹底的に鉱床の全貌を把握したあと仕事をするということになっておりません。そういう片手間仕事をしておったし、また現在でもほとんどそうなのでございますが、鉱床実態がいつまでもわからないままでおる。また浜砂鉄鉱床のもとは現在の波打ぎわから若干沖合いの方にございまして、それが波の作用で少しずつ鉄分を波打ちぎわに持ってくる。それ炉繰り返し現在でも行われているわけでありますが、特に暴風などが吹きました場合には一ぺんに多量に集まる、そのあとをねらって副業的に仕事をする、そういうことを繰り返しているのが多い。そのために、埋蔵量というものは初めからきまっていないようなものでもありますけれども、また現実に目の前にあるものを徹底的に調べ上げることは誰もやっていない。もう一つ、そういうふうな小規模副業的作業ということも原因いたしますが、要するに開発の用具が非常に幼稚なもので、深いところまで探るような設備ができておらない。従って、水平的な分布はもちろんのこと、垂直的な分布もほとんど確められておらない。そういったような浜砂鉄あいまい模糊として国内海岸線にずっと分布しておるわけでありますが、これはどこへ行ってもしっかりした資料を持っておらない。私ども地質調査所鉱山局などと相談いたしまして、未利用鉄資源調査を開始して今年度で満二年を終ろうといたしております。五カ年計画でございますからあと三年ございますが、今までだれも把握しておらなかった、そういった砂鉄鉱床実態をまず把握して資源数字的な根拠をできるだけキャッチしていきたいということが一つであります。御承知のように、砂鉄はそういう浜砂鉄以外、いわゆる山砂鉄がございます。海岸からかなり入り込んだ一むろんそう高い山脈の上の方までは考えられませんけれども海岸段丘と申しますようなちょっとした小高い丘のところにも相当埋蔵されていることがわかっております。これは昔の砂鉄鉱床陸地に上ってしまっておるということで、多少規模の大きいものも入って参ります。あまり専門的なことは省略いたしますが、かなり古い時代砂鉄鉱床が現在山砂鉄として陸地にもございますが、そういったものは、やはりその運搬の不便とか交通不便などに災いされまして開発もほとんどよく行われておらないのが多いのであります。そういったものもねらって今調査しておりますが、大体二年を経過いたしましたので、そろそろ調査の取りまとめの方向に向わねばならない。この砂鉄と同時に未利用鉄資源磁磁鉄鉱資源調査もやっております。それと並行して五カ年間で一応の結論を出したいのでございますが、磁硫鉄鉱のことは今触れません。砂鉄につきましても、大体浜砂鉄山砂鉄両面にわたっての調査を進めておる次第であります。二年を経過して振り返ってみますと、浜砂鉄のうちでもきわめて小規模なものは鹿児島県その他瀬戸内海の沿岸などにもございますが、そういうものは大体調査のめどもついておりますので、現在では大体東北地方北海道の方に調査重点を置こうかと考えております。こまかい点は御質問でもございましたらなんでございますが、現在問題になっておりますのは、北海道噴火湾地帯とかあるいはオホーツク沿岸のところとか、それから東北でいいますと青森県の海岸地帯とか、それからごく最近では千葉県の非常に東京に近くて便利のいいところでありますが、千葉県の数カ所においても情報がございまして、その千葉県につきましては、先般ほんの概略調査をやっております炉、そのうちの一カ所、銚子から入りました飯岡地区は、今まで全然私どもも気がついておりませんでしたが、それは現在の浜砂鉄のすぐ背後にありますいも畑だそうでございますが、その下に現在の浜砂鉄と同じようなものがそのままずっと続いておる。それがどのくらいの範囲についておりますか、その面積埋蔵量などは、数字的なことはまだこれからの問題でありますが、まずまずそんな便利なところにまだ資源が隠れておったということが、むしろそういう意味で重大なことではないかと考えております。そういうふうに今まで気のつかないものも多少全国的にはあるはずでありますし、東北とか北海道になりますと、従来の地理的不便の点もありまして、大きなものもそのまま残されており、少くとも実態が把握されないままに捨て置かれておる。そういうものにつきましては、私ども重点的に今後の調査をやらねばならぬ、かように考えているわけであります。砂鉄鉱業の基礎をなします砂鉄鉱床実態埋蔵量の問題は全くわからないと申し上げましたけれども、しいて数字をたどりますと、大体私ども地質調査所の手元にあります資料、これが先ほど申し上げましたように信頼すべき程度がまちまちでありまして、ほんの一応の数字だというのが多いのでございますけれども、しかしそれはやはり現場一つつを曲りなりにも当りまして、それを積み上げていった数字でございますから、その点では根拠があるのであります。その数字は大体のところ二千七百五十六万トンという数字が出ております。一方アメリカのいわゆる進駐軍の天然資源局、NRSが自分の手で各鉱山業者からデータを集めました数字は、三千七百七十七万トンということになっております。これも一応こまかいところから積み上げていった数字ということで、そういう点で意味はありますけれども、これをこまかく吟味いたしますれば、その中でいわゆる確定鉱量もしくは推定鉱量程度がどのくらいかということは、なかなか一がいに言えない。と同時にまた全然今までだれも知らない、手をつけておらないという未開発資源が、まだまだ今の千葉のような例も全国的に十分考えられますので、今後調査をしっかりやって参りますれば、この数字はまた逆に相当ふえるものではないか、かように考えておる次第であります。  大へん雑駁な御説明でありますけれども、一応これで終らしていただきます。
  4. 長谷川四郎

    長谷川(四)小委員 お尋ねいたしますが、非常にはやりっ子と言おうか、時代の波に乗ったウランという点について全力が傾注されておる、こういうことなんで、こういう方向に向っての調査まで回りかねるというのが現実調査所の姿ではないだろうか、私そういうふうに考えるのであります。そうかといって、はやりっ子ウランだけがいかに調査されてみたところで、やはり今お話のようなものが伴っていかなければならないはずなんだが、いかにチタンというものが重要であるかということは申し上げるまでもないのだけれども、そういう点からいって、民間事業会社が発表している今お話しのような、たとえば千葉にあったとか、あるいは東北に新しい鉱床が見つかったとか、いずれもこれは山砂鉄だと思うのですが、こういう点について、今チタン鉱業をやっているのは、大きなメーカーとして幾つございますか。
  5. 松尾金藏

    松尾政府委員 現在大きな産出量を示しておりますのは東邦チタン大阪チタニウム製造日本曹達の三社でございますが、そのほかに若干ございまして、大体五社ということになっております。
  6. 長谷川四郎

    長谷川(四)小委員 今度東北砂鉄炉新しく鉱床を発見して発表している数字、それから千葉でもって今度は新しい鉱床を見つけましたという数字、これは非常に大きな数字なんですが、私は今佐藤さんがおっしゃる数字くらいしかないという、こんな程度のものではないだろう、砂鉄だけは相当私は確信を持っているのだけれども、それは専門家の皆さんの見る目がほんとうなんで、われわれはただそうではないだろうかというくらいのところなんですけれども、こういう点にもっと調査をしなければならないということになっているのは当然なので、そこでこういう面にも両面、たとえばウランならウランの面も調査する、一方こういう面も調査するということになっていくと、予算に非常に関係があるわけなんで、ことしの予算ではとうてい海面作戦というわけにはおそらくいかないのじゃないか。従って人間というものはそこにも限度があるので、ウランの方へいっていて、またこの方向に向けていくということも困難だと思うので、もしそれを本格的に調査をするということになると、現在の予算の何倍くらいが必要かということと、それからもう一つ人員程度というものがどれくらいなければならないかという、その点はどうでしょう。これは佐藤部長から一つ
  7. 佐藤源郎

    佐藤説明員 本日ちょうど所長が病気のために参りませんので、私一人で参ったわけでございますが、所長から御答弁申し上げるのが順序でございましょうけれども、ただいまのお話でございまするが、私どもは毎日その問題で頭を痛めておるのでございまして、まあ、卑近な例が今の未利用鉄資源調査につきましても鉱山局鉄鉱協会その他現場を見ていらっしゃる方々から砂鉄磁硫鉄鉱調査になぜもっと協力しないのだ、あまりにも冷淡ではないかという非難がごうごうという現状でございまして、そうかと申しまして今現在の人員ではどうしても手が回りかねる。予算も足りないのでございまして、この点は実際に何人いたら十分な仕事ができるかということは、数字では急には申し上げられないと思いますけれども人間の頭数から申しまして、現在予算定員が四百四十人ばかりございますが、やはりそういう鉄の問題でも、ウランの問題でも、あるいは金、銀、銅、鉛のようなよくわかっていると見られておりますものも、あるいは天然ガスとか、あるいは今度問題になっております海底資源調査とか、あるいは地熱開発とか、工業用水調査とか、あらゆる地質調査に関連を持っております広い意味での地下資源調査を、皆様の御要望におこたえできるだけの調査をいたしますためには、地下資源の面だけでも今の三倍くらいは必要でありますし、そのほかに今の地熱とか水の問題とかいろいろな意味のものも含めますと、またさらに人手が足りない、全部で五倍程度のものはどうしても必要なのではないか、予算もそういう比例でふえていないと十分な仕事ができない。もっとも私ども非常にくやしく思っておりますのは、地質調査所創立以来国の試験研究所といたしましては最も古い歴史を持っておりまして、創立七十五周年がもう近いのでございます。それほど長くやっていながら、まだ地下資源一つ二つのものについても何もやっていないじゃないかという御非難方々から来ておりまして、この点は私ども立場としてじだんだを踏んでいるところでございまして、その点で皆様の御協力で今後私どももまた活発に仕事ができるように何分の御協力をお願いしたいと考えております。
  8. 長谷川四郎

    長谷川(四)小委員 全く政治というものがどういうところに考えを置いたかということが今日に至って——ただいま部長の言う通り地質調査所ができたの炉明治十七年、以来今日まで続いて、これだけのネコのひたいだけのものが調査し切っておらない。内地において大体三分の一程度しか調べられておらない。つまりその三分の一を調べて、たとえば半分を調べたとしても、その調査したときと現実というものが大いなる相違を来たしておる。ということは、調査方法とあらゆる現代的な機械というものに相違が来ているということである。こういう面において、日本という国が、やっと終戦後十一年たった今日においてすらも、いまだこれらに刮目するところがなかったということは、日本政治というものがかくのごときものであるということが明らかだと私は思う。そして日本自立経済を行うことができるか、国内資源の活用なくして自立経済ということは成り立つはずがないものである。それは今日の日本政治自立経済自立経済といって、あらゆる面から反撃し、あらゆる面からこれを政府にタイ・アップしていこうとしているけれども、その基本をなすところの国内資源調査ができなくて自立経済というものは絶対にあり得ないということは断言をしなければならない、こういうときに当ってまだこの姿である。従って今日やっと乏しい予算の中、人員の少い中にもよくもこれまで地質調査所苦労をし抜いた、ここ三、四年間の苦労というものは一通りではなかったろうと思う。これまでよくやったと私はただ感謝をするだけであります。地質調査所に対してはそうだと思う。従ってわれわれ政治を行う者が、品に自立経済を唱える以上はもっと根本に触れての政治が行われていかなければ、日本の将来というものの見きわめを立てるためにはいけないだろうと私は考えております。予算少い面で云々言うことは日本政治の力が弱いところを示されている通りであります。  そこでもう一つ聞いてみたいんだけれども松尾さんは磁硫鉄鉱、たとえば不二越工業といいましたか、何かドイツとアメリカから磁硫鉄鉱脱硫脱銅の機械を二台入れてみて、一社は御存じのような工合になって、そのあとの一社が磁磁鉄鉱脱硫だとか脱銅だとかいう点を完成して、そうして今日はこの磁硫鉄鉱に目を向けて、日本の現在の鉱業がどの程度まで進んでいるかというところを一つ聞かしてもらいたい。
  9. 松尾金藏

    松尾政府委員 磁硫鉄鉱扱い方処理につきましては、ただいまお話がございました技術の導入によりまして不二越技術的には成功したようでありますが、経営面その他の問題がありまして、そのときの経営企業の実績としては必ずしも上らなかったようでありますが、その後御承知のように日本鉱業岩国の河山の鉱山における磁硫鉄鉱選鉱処理のために岩国選鉱設備計画中でございます。また東北におきまして御承知赤金鉱山、現在藤田興業がその開発をやっておるわけでございますが、ここでもかなり大きな鉱量埋蔵が現に確認をされております。その開発につきましてもかなり大きな規模計画が進んでおるようであります。全体といたしまして磁硫鉄鉱は従来未利用資源として十分な扱い方を受けていなかった特殊な鉱物であるのでございます。先ほど来お話のございました砂鉄と同じく、磁硫鉄鉱につきましても従来概査を進め、またこのために多大の国家資金も投じてその探査を進めてきたわけでありますが、今後このような概査の結果で有望なところにおきましては、それぞれの企業がさらに精査を進めていきまして、磁硫鉄鉱処理につきましてはすでに技術的な問題はほぼ解決をしておるわけでございますので、この開発は今後急速に進めて参りたいというふうに考えております。
  10. 長谷川四郎

    長谷川(四)小委員 これの、たとえば日本鉱業でやっている岩国にしても赤金にしても製品はどうです。
  11. 松尾金藏

    松尾政府委員 磁硫鉄鉱からの選鉱、その後の扱いについて、もちろん当初には懸念があったと思いますが、現状ではそのような懸念も十分解消いたしました。それぞれの資源として選鉱の結果の利用については、技術的にも問題は解決しておるという状況に相なっておるのであります。
  12. 長谷川四郎

    長谷川(四)小委員 御承知のように、日本という国は硫黄というものがたくさんあると同時に、こういう鉱物硫黄が含まれておる。それが多いのが欠陥となって鉄類が少いのです。わが国には資源が乏しいという言葉は、そういうところに端を発してきているのだと思うのであります。幸いにしてたまたまこういう脱硫脱銅を完全に行うことができて、製品も何ら劣らないという、ただいまの鉱山局長の御答弁を聞いてもその通りであるので、こういう点にもっと重点を置かなければならないということは当然である。従来は原鉱を他国からのみ仰いでいたということであったが、たまたまこういうような機械が発明されたと言おうか、そしてその機械が取りつけられていくということによって、よその国から鉄の原鉱を持ってこなくても、国内磁硫鉄鉱を持ってきても相当の量がある。これはただいまお話のように、砂鉄と比較してみれば砂鉄よりもっと目に見えてそこらにたくさんあるというほどのものだと称されておるのですから、こういう面に十分と一つ目をお開きになって、幸いこのような委員会がある以上は、委員会中心となってこれらに向っていっていただきたいと私は念願をするものでございます。きょうはほかの方に質問がたくさんありますから私は省略しますけれども、ぜひこういう面に政治が集中をされて、日本国内資源の探求はしかり、さらになおそれによって日本経済のあり方というものを根本から変えていかなければならないのだ、私はそういうふうに考えて今日まで進んできておるのでございます。同僚各位はしかりであり、さらに委員長になられたところの小平大先輩も大いにこの方面一つ頭を注いで邁進をしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終らしていただきます。
  13. 小平久雄

  14. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 私はちょっと今の問題に関連してお尋ねしたいと思います。私の聞いた記憶が少し間違っておるかもしれませんが、ソビエト・ロシヤが第一次ですか第二次ですかの五カ年計画の初めのころに、大々的に国内資源調査をいたしまして、あの広大な土地について、もう北極に近い方面までほとんど調べておるという話であります。この膨大なる面積についての調査をいたしました人員が、技術者及び技術者の補助という人員も入れてでありましょうが、地質関係技術者と称する者がたしか十五万人あったという話を聞いておる、あるいはこの数字が間違っておるかもしれませんが、非常な覚悟、努力、情熱を傾けて国内資源調査に当った。今聞くとたった四百人の地質調査人たち全国を相手にしてやっておる。これでは七十五周年を迎える今日においても、いろいろな調査上のまだ残しておる面があることは当然でございまして、ただいまの鉄の問題を一つつかまえてみても、世界的に今鉄源が非常に足りない、日本鉄鋼業がいろいろな不利な諸条件にかかわらず、今は非常に活気を呈しておるというような状況であります。そこで鉄源の補給ということが日本としても非常に大事な時期において、米利用資源として砂鉄及び磁硫鉄鉱国内に今確定鉱員でもないが、とにかく二、三千万トンの埋蔵量があるということであります。これは人によっては、ただ調べてないだけの話で、現地に行って見ればどんどんこの数字は十倍、二十倍あるいはそれ以上にもふくれ上る数字であるということを確信して疑わない連中がたくさんあるのであります。そういうようなときに、どうも人手不足調査が及ばないというようなことでは、まことに心細いような感じがするのであります。もちろん埋蔵量はこれ以上なくてもよろしい、企業するにはこれで十分だという数字もあるだろうと思う。しかしながら砂鉄であれ、また磁硫鉄鉱というものについて特に腰を入れた開発をするということについては、やはり相当まとまった埋蔵量というものが、ある地点にどれくらいあるか—— 全国中にただ散布されておったのではいけない、まとまった場所にまとまった大きな資源があるということを確認しなければ、従来のようじでほじくるような小さな規模はそれでやれるかもしれぬが、ほんとうに腰を入れた大規模開発というものがあるいはできないかもしれない。そうするとこれは急いで確認をする必要があると私は思うのであります。そこでできないことを持ちかけてみたところが仕方がないので、今四百人余りの職員を急に二倍にしろ、三倍にしろといったって、これはあめを延ばすようなわけにはいくものではありませんから、これは無理でありましよう。無理でありましょうが、地質調査の役所の中にはこの数しかおらぬかもしれぬが、広く天下に地質学者なり地質上の技術を習得しておる人を求めるならば、相当な数になるだろうと思う。しょっちゅう忙しい用事をしておる人もあるだろうし、あるいはたまたま手をすかせておる人もあるだろう、とにかく熱意をもってこの問題の確認をしようとするならばこれ以上のことはできないというものでなく、私は必ずできるものだと思うのでありますが、そういうことはどうでしょうか。私ら門外漢のたわごとであるか、それともやればやれるという性質のものであるか、その点を一つ伺っておきたい。
  15. 松尾金藏

    松尾政府委員 ただいまお話しのございました点はごもっともでございまして、先ほど御指摘のありました通り現在地質調査所なり、あるいは何らかの政府機関探査をやると申しましても、おのずから限度があるであろうと思います。もちろん直接国の機関なり政府機関だけでなくて、県なりあるいは各大学なり研究所の手を借りてそれに若干のプラスもできると思いますが、それにしてもやはり国なり政府機関なりこれに準ずるものの探査なりにはおのずから限界があろうと思います。ただ現状におきましては、あるいはまた今後の考え方といたしましては、つまり企業の採算といいますか、それぞれの需要が伴う限りにおきましては、一般に資源探査と申しますか、それは進められておるわけでありますが、政府なりその関係のものがやるものは、きわめて一般的な、いわゆる概査と言われておるところに、おのずから探査範囲も限定せられるであろうと思うのであります。先ほど来問題となっております砂鉄あるいは磁硫鉄鉱等につきましても、やはり一般的な概査中心にしまして地質調査所なり何なり国の関係のものがやるのでございまして、さらに埋蔵量にもう少しつつ込んだ調査なりいわゆる精査の段階になりますれば、当然各企業なりあるいは現在は企業化していなくとも、そういう鉱業権取得を目的として、それぞれの人が一般的な探査を進めていくのだろうと思います。政府が一般的にこれを独占的な探査なり何なりをやるわけではございませんので、その点は政府概査中心として、できるだけやると思いますが、同時にただいま御指摘がございましたような政府以外の公共団体なり、大学その他のところの協力を求めますし、さらに一般的には経済界全体の協力資源開発を進めていくほかはなかろうと思います。
  16. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 それでは問題をもう少し限定して一つお尋ねしてみたいと思います。  北海道それから青森の砂鉄資源でありますが、この一千七百五十六万トンの中で、主としてそういう方面に賦存するものはどれくらいでありますか。
  17. 佐藤源郎

    佐藤説明員 実は先ほどちょっとお話しいたしました北海道なり東北地方の青森なりに重点を置いて現在調査をやりつつありますが、埋蔵量の集計までは参っておらないのであります。なお先ほど申し上げました数字は実は古い数字でございまして、ただいま調査中のものはおそらくそれにプラスになるのが大部分と考えております。調査が進みますれば進むだけ、埋蔵量は次第にふえていくということは、方向としてははっきり今でも申し上げることができると思います。
  18. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 ただいまの青森、北海道資源に依存しておる砂鉄製練の規模は、そう大きなものじゃないと思うのであります。今後資源が相当膨大なものであるということが確認されて、日本の鉄資源の本格的な補給をするという場合には、ただいまの状況のままでいいのか、それとも今研究されているような新しい方向に進んでいかなければならぬというのですか、どっちですか。
  19. 田畑新太郎

    ○田畑説明員 今お話しの点は、事実日本鉄鋼業砂鉄及び硫酸滓といったものを利用いたしましたいわゆる電気銑企業というものは、非常に零細な企業でございまして、最近われわれも考えておりますし、また企業そのものも、その方向方向転換しておるものが非常に多くございまして、大体鉄鋼業の今後の国際的な原価引き下げ方向に追従するために現在進めております。国内資源利用いたしました電気銑の企業は、非常に合理的な線に沿う大体動いておりまして、従来原価といたしましては電気銑メーカーはほとんどトン当り二万円以上の生産コストであったのが、今の計画ではほぼトン当り一万五千円前後の生産コストになりつつございます。そのおもな原因は、まず電気炉が非常に容量が大きくなったこと。それから一方には電気炉から出ますガスを化学工業その他に売却するということ。また一方には副産物としてのチタン・スラグを売却するという、どちらかを採用いたしまして、生産コストの引き下げに当っております。この生産コスト引き下げが、ほぼトン当り五千円前後という非常に大きな変革を一応見込んでおります。
  20. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 それは現に行なって陥るのか、それとも行いかけておるのか、その辺の事情を詳しく一つ…。
  21. 田畑新太郎

    ○田畑説明員 現在すでに完了いたしましたのは生産設備としてまずフェロアロイの関係で成功したのが日本鋼管の工場でございます。またすでに数年間の経験を持っておりますのが矢作製鉄の工場でございます。ともに電気炉といたしましては変圧器が五千キロボルト・アンペアー程度の、一応世界的に認められる規模を持った電気炉でございます。これに引き続きまして現在計画中のものが、東北鉄鋼業日本高周波鋼業、北越電化、新報国製鉄の各企業が大体これに該当いたします。高能率の生産設備を整備いたしまして、砂鉄資源並びに硫酸沖を活用するという方向に進んでおります。こういうような生産設備でできます銑鉄は、原価が引き下がるとともに、従来製品に相当むらがありまして、とかくの批評があったわけでございますが、大容量の変圧器によります製品は、非常に品質が均一になりまして、これらの設備からできました製品は、今後非常に大きな期待を寄せられるのじゃないかと考えております。特に特殊鋼その他の部門における鉄源の供給といたしましては非常に重要なものでございまして、現在この計画が進むに従いまして、この電気銑の供給先を特殊鋼の生産用に大部分振り向ける予定でございます。
  22. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 大体方向が明らかになったように考えられますが、従来砂鉄というものは、特殊鋼の原料というような観点から取り扱われておりました。そこで規模の点において、品質の点において、あるいはコストの点において、いろいろな難点があったのでありまして、これを直ちに電気銑にするという着眼が成功して、しかもただいまお話しでは、原価は非常に低下し、品質もまたきわめて良好であるということでありまして、もしそういう状況であるならば、これは多々ますます弁ずべきものである。特殊鋼に電気銑を薬のように使うというのでなしに、もし資源の賦存が許すならば、大大的に日本鉄源を補給し、そして全体の鉄の値段を下げる、特に優良な特殊鋼を作って世界の市場にどんどん進出するという可能性が、ここに出てきたわけ。あると考えるのでありますが、なおかつ、そういったことが明らかになっているにかかわらず、いまだにこれが世間の注目の舞台にほんとうに乗り出してこないのは、一体どういう原因なのか、その点を詳しく承わっておきたいので、あります。
  23. 田畑新太郎

    ○田畑説明員 現在最も険路になっておりますのは電力の供給面でございます。ただいま申し上げました合理化計画にのっとります数社の計画も、本年度電力の供給が確実であると、一応の公益事業局その他の保証を得ましたのは、東北鉄鋼業計画でございます。なお日本高周波の新計画につきましては、来年度の電力の増加に伴ってこの生産が可能になるようにしようじゃないかというようなことでございます。  なお電気銑の現在の生産能力は、日本では全部を合せますとほぼ三十万トンになります。それが昨年度はほぼ十五万トンの生産を上げております。この生産が能力に対してほぼ五〇%しか稼働していないということも、ほとんどその原因が電力の供給いかんにかかっております。電力の開発が促進され、また砂鉄の供給が順調に流れて参りますと、この数字は逐次二十万トン、二十五万トン、三十万トン、場合によっては相当高い数字が考えられる。この電力の問題につきましては、現在電気銑用の電力のキロワット・アワーに対するコストが、国際的にいえばほぼ二円五十銭前後のところが一応水準になっております。これ以上高い電力になりますと、どこの国でも電気を使う製鉄業はあきらめまして、溶鉱炉に転向しております。従いまして日本といたしましても二円五十銭という電力が供給され得る諸条件を備えた工場、またそれに伴う電力の増加が可能であるというところを中心にいたしまして、今後進めていきたい、こういう考えであります。
  24. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 ただいま電力条件のよいところは東北地方ということになっておると思いますが、そうすると電力の価ということなのか、それとも電力量そのものが不足だというのですか、どういうのですか。
  25. 田畑新太郎

    ○田畑説明員 現在は東北地方北海道ほとんど二円五十銭以下の電気が供給されております。従って現在の価格で、電力が供給される限りにおいては、国際競争力において、すべて日本の新鋭設備は持ち得るということでございます。従って現在の電力の絶対量の供給がまだそこまでいっておらぬということではないかと思います。
  26. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 椎名委員質問の中から、地質調査所人員が非常に少い、こういうので結局十分な探鉱ができていない、そういうことに発展をしたようですが、その際に高度な知識、技術を要するので、簡単に人員を集めようとしてもある限界がある。こういうお話であったと思うのです炉、現在これは別個の立場ですが、インテリ層の失業対策というのが全く手がないのです。それで終戦直後にもあるいは昭和五、六年にも若干国勢調査をインテリにさせたという例はございますけれども、それも十分な効果がなかった。ただ適当な仕事炉ないというのでその後打ち切られたままであります。東京都では若干仕事をしておるようですけれども全国的には国としての施策ではない。そこで今お話がありました地質調査、地震探鉱なんかのフィルムを見るのはとてもしろうとにはできないけれども、そのアシスタント的な役割がかなりあるのではなかろうか。そうすると、こういうものをかなり動員して、この際徹底的な探鉱調査を行う。こういうことになると大体現在どのくらいの人員が動員されるか。これは予算は一応別にして、どのくらいお考えになり得るか、これはまだ調査ができてないと思うのですけれども一つ失対という面から見ても、この際大きく取り上げる必要があるのではなかろうかという気持がいたしたわけですが、何かそういうような調査をなさったことはないか、お尋ねいたしたい。
  27. 佐藤源郎

    佐藤説明員 ただいまのお話につきまして、私ども地質調査所では具体的にしっかり当ったわけではございませんけれども、たとえばウラン調査などは非常に急がれております関係上、当って見たことがございます。一口に申しますと、地質専門家中心でなければならぬと思いますが、地質調査専門家は現在遊んでいるといっては語弊がありますけれども、それほど忙しくない仕事をしており、またもっと活発な仕事をしたいという希望を持っておる人はかなりおるはずであります。そういう人たちは、たとえば今度のウラン調査などこつきましては、うんと働かしてもらいたい。年らかの形で活用してほしいということをすでに申し入れがきておるのであります。これはむろんウラン調査に限らず、一般の地下資源の問題なり、あるいはほかの地質調査が一切国のために役立つという仕事には喜んで協力しようという人はかなりいるはずでございます。この数字は今お話のように具体的にはむずかしいのでありますけれども、大体地質専門家の養成状況全国の大学、ことに地方の大学がたくさんふえましてから、いわゆる地学教室で地質学とか地理学とかを一緒に授けているところもあります。また従来の帝国大学には全部地質学教室が独立してありますが、そういうところから、現在の状況で一年間に何人くらいの地質専門家が巣立つかということでございますが、大体七、八十人くらいは毎年巣立つ勘定になっております。それが現在ではなかなか全部の就職がむずかしい。そのためにやむを得ず大学に残っているような人もおりますし、さらに一応会社なり官庁なりで勤め上げまして、後進に道を譲ってなお現にかくしゃくとしておる人も若干おりますので、そういう人たちを動員すれば、現在でも大体百五十人くらいは一人前の調査のできる専門家を集め得るのではないかということを考えておる程度でございまして、実際具体的には当っておりませんけれども、見通しとしてそういうことを考えております。
  28. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 地質調査専門家すら遊んでおるという状態で、さらに新たに百五十人程度は動員できるそうでありますから、さらにそのアシスタントをつければかなりの動員ができるのではなかろうか、こう考えておるのです。実はいろいろ国の政策をやっております場合に、案外しろうと考えがそのまま政策に乗ることがあるわけです。それは最初われわれが失対事業で組んで新らしい企業の政策を行なったらどうかその省に予算がなければ失対の事業とマッチさせてそれを強力に進めたらどうか、こういうことを言ったことが就労対策になり、あるいはまた今度の川崎線になってきた。こういうことを考えますときに、知識層の失対事業というもの炉全然ない。そこでアシスタントあたりは労働省の失対事業の中に入れる、これは賃金その他の面で必ずしも今までの失対事業のようにはいきませんけれども、これを特殊な失対として扱って、単に通産省の予算だけでなく労働省の方から予算の移管をしてやり得る可能性がある、かように考えるのでありまして、私はしろうとですけれども、一応こういう研究を一つ進めていただきたい。そうすると、知識層の失対事業というものが若干でも推進される。これは政府としても手がないのですから、そういう面からでもなるべく人員を吸収していく、こういう面が出てきはせぬかと考えるわけです。  そこで続いて質問に移りますが、例の鉄くずを必要としない転炉の話をわれわれいろいろ聞いておるわけです。これは具体的にはどういう計画が進められておるのか、さらに国としてはどういう援助を与えられんとしておるのか、これは一つお聞かせ願いたい。
  29. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 ただいまの御質問の点は、例の上吹き転炉の問題かと思います。この前実は参考人にいろいろ御質問があったときにお聞きと思いますが、大体われわれの承知しております政府計画では、現在とりあえずやりますものは日本鋼管と八藤が二基ずつ平炉を増設いたします。それ以後おもな高炉会社がそれぞれしかるべき規模の転炉を増設する計画になっております。計画としましては、おそらくこれは数字が問題でございますが、大体年間百五十万トン程度の生産をあげる予定でございます。大体そのようになっております。
  30. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 規模と、それから一基がどのくらいなのか、資金がどの程度要るのか。さらに開発銀行を通ずる融資とか、そういう方面については国はどういう援助をしておるのか、それをお聞きいたします。
  31. 田畑新太郎

    ○田畑説明員 大体一基の生産能力は、現在日本銀行と八幡の一回製鋼能力が四十トンの転炉を二基ずつ置くことになっております。それに必要な資金といたしましては、二基とそれに付随いたしました酸素の発生装置を入れまして、ほぼ十億から十五億円くらいの資金を必要といたします。二基でございますが、実際に稼働いたしますのは常にそのうちの一基でございまして、その一基に必要な酸素の発生装置を、バランスをとって付加いたします。他の一基は一応常に予備炉として稼動する。そういう場合に、一基が一年じゅう生産を続けるといたしますと、年間にはほぼ八千回出鋼することになりまして、四十トンの炉の八千回といいますと三十二万トンになります。片方が予備炉になります。結局八幡において四十トン一基の外が稼働いしますと、ほぼ三十二万トンになる。それから日本鋼管においても三十二万トンになる。かような一対の設備が逐次ふえていく。現在転炉の生産が、日本鋼管に古い転炉がございまして、これの生産能力がほぼ四十万トンでございます。それが百五十万トンになるほで、ほぼ百十万トン前後の設備がこれから逐次ふえていくという計画を織り込んでおります。それからこれに対する政府の援助といたしましては、開銀資金その他によって応援することにしております。
  32. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 海外の鉱山の、具体的な現在の開発進行の状態、それからその計画、それに国の援助はどういうようになっておるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  33. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 この前の小委員会でお配りしました資料の第十六ページに、「鉄鉱石需給」というところがございます。これが大体五カ年計画できめております鉄鉱石の需給関係でございます。それから第二枚目の第二表としまして、「昭和三十年度鉄鋼原料需給表」というのがあります。昭和三十年度の実績予想から見ますと、日本の必要とします鉄鉱石が九百八十四万トンになっておりまして、この中で先ほど来御議論になっております国内鉱石あるいは硫酸滓、砂鉄その他を引きまして、大体六百二十九万トンが輸入に依存してあるわけでございます。今後日本の製鉄の五カ年計画によりまして、高炉の生産が六百七十二万トンというようなベースになりますと、現在所要しております九百七十万トンの鉄鉱石が、千二百四十八万トン所要されるわけであります。もちろん国内の未利用資源開発とか、そういうようなことでできるだけ努力はいたさなければなりませんが、やはりこういうふうな大きな規模になりますと、どうしても海外の鉄鉱石に大量に依存しなければならない、こういう状況でありまして、現在の大体六百万トン程度の輸入鉱から、ここに書いてあります約八百万トン程度の輸入鉱を必要とするわけになっております。現在その地域別計画は、フィリピン、マレー、、ゴア、インド、香港、朝鮮、それから北米その他の新規開発地域、こう分けてございますが、現状ではここにございます通りフィリピンに百六十万トン程度、マレーにも百六十万トン程度を期待いたしており、ゴアに五十九万トン、インドに九十万トン、香港その他にそれぞれ依存しておるわけでございます。従いまして、今後所要の約二百万トン以上の増加をいたします輸入について、どういう対策を打つかということについて研究中でございます。フィリピンあるいはゴア、そういった方面では、この前もお語いたしましたが、日本の鉄鋼メーカーが現地に協力いたしまして、あるいは設備の供与とかそういうふうなことでいろいろ協力態勢をとりまして、これらの計画が進められておる状況でございます。  それから今後の問題としましては、インドから相当大量の鉄鉱石の輸入を仰ぎたい。こういう計画でございまして、これは今日本政府とインド政府との間にこれらの交渉が進捗中でございます。この交渉の目的は、大体年間二百万トン程度の鉱石をインドから日本が供給を受ける、こういうことを目標にいたしまして、大体鉱山開発丁、でき得れば鉄道の開発等についてアメリカよりの資金の援助を得たい、こういうふうな頭をもちまして今交渉をしておるわけでございます。大体さような点炉現在の鉄鉱石の現状であります。
  34. 小平久雄

    小平委員長 今の多賀谷君の質問に関連して、将来どこからどれだけ入れようという数量的な見通しは一応この表でわかりますが、現在どの会社がどこの開発にどれだけ投資して、それがまたどういう工合にいっているとか、今後それぞれの提携先の山がどういう計画仕事をやっていくとか、そういうことを一つ概略を書いて資料として出していただきたい。
  35. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 資料として整えまして提出いたします。
  36. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 インドの話が出ましたが、高碕さんがずっと計画されておったと思いますが、例の目印合弁の製鉄会社の問題はその後どういうようになっておりますか。全然立ち消えになってしまったのか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  37. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 そのお話は数年前のお話かと思いますが、現在はその話は立ち消えになっております。
  38. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 どういうふうに立ち消えになったのか、その経緯がわかりましたら概略でけっこうですから、どこに隘路があったのか、そういう点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  39. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 私その当時の経緯をよく存じ上げておりませんので、製鉄課長から知っておる限りのことをお説明いたします。
  40. 田畑新太郎

    ○田畑説明員 当時の計画で一番問題になりましたのは、日本から製鉄設備を供給してそうして工場を作るということでございましたが、その後いろいろ検討して参りますと、日本から供給し得る機械また耐火材料、こういうものが向うの要望にこたえ得るだけのものが供給し得る確信がだんだんなくなって参りました。これが日本から資金を供給して設備及びいろいろ耐火材料、設計といったものがアメリカないしドイツから供給されるということになりますと、日本として得るところはほとんどただ金を貸したということだけになりますので、結局のところインド開発のメリットがほとんどなくなってきた。それが最大原因でございました。当初高碕さんがお考えになりました、日本技術者によって日本のあらゆる機械メーカーから供給いたします製鉄の機械及び耐火材料というものによってインドに製鉄所を作ろうという意図が、そういった原因によって裏づけられなくなりました。それが最大の原因であります。
  41. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 どうも話を始めた方の側から、よく研究してみたら技術的に設備を供給する力がなくなったという、ふに落ちない話なんですが、資金の面について、インド側で外資の導入関係でこれ以上のパーセンテージでは困るというのも破談の原因になったと思うのです。そういう原因はないのですか。
  42. 田畑新太郎

    ○田畑説明員 日本からの資本の参加の比率をとりわけ日本としては高くして、日本の将来の地歩を確立したいという意図もございました。それ以上に問題は、やはり設備機械、そういったものに対する日本として輸出し得る具体的なものがなかったということがまず最初に出まして、それに今のお話のような点もありましてだんだんうやむやになった、そういうことでございます。
  43. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 海南島の鉄鉱石は入ってくる見込みはないのかどうか、この点についてお伺いします。
  44. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 現在のところはまだそこまでいっておりません。
  45. 長谷川四郎

    長谷川(四)小委員 関連して聞いておきますが、多賀谷君のお話にあったように、あなたのところは人員が少いから、たとえば失対というような面も考えられるじゃないかというお話があったが、私は不可能だと思う。なぜならば人間の問題じゃないのです。要は近代的な機械が入るか入らないかという問題が最も重要な要素でなければならない。すべて世をあげてもうオートメーションという時代に入ってきている。従って探鉱という面に対しましても、各国と比較してみていかに大きな相違があるかということを考えなければならぬ。たとえば英国が数年間のうちに全国調査を二回もやって完了した。日本は全然調査してない。してないから、今日人間の手によって旧来の日本にあったような機械で探鉱してみたところで全く無価値だと思う。ただ金を使うだけのものだと思う。今日のようなすべて新しい近代的機械によって探査さるべきときにおいては、近代的な機械を購入し、それに全力を尽していくことが一番重要な問題だ。従って人間不足という点もこれによって補われる。人間不足していることも事実だが、第一番に考えなければならないのは、もう一歩進んだ近代的な機械をいかにして地質調査所に備えさせるかということでなければならないと考えます。そういう点について、人をふやしていりてみても機械がなくては役には立たない、思いますが、あなたのお考えはどうですか。
  46. 佐藤源郎

    佐藤説明員 ただいまの長谷川先生の御意見はまことにごもっともでありまして、私ども平生からそれを考えております。先ほど私の言葉の中で触れなかった点は手落ちでありました。仰せのごとく人間ばかりでは解決のつかない大きな問題があります。ただ逆を言いますと、世はオートメーションの時代でありますけれども現場と取り組み、大地と取り組んで基礎的なところから突っ込んでいかないと、上すべりの機械的な調査ではだめだということも言えるのでありまして、たとえて申しますと、昨晩の一部の新聞にも出ておりましたように、地質調査所では今度千三百万円もする海底重力探査機をアメリカから輸入して、この春から海底資源調査に試験的に乗り出そうとしておりますが、そこまで計画が参りますまでに精密な地質調査が前提となっておるのでありまして、これは日本のある一部で大体めどがついたということと、なお海底資源開発の機運が高まってきたということとを結び合せて、今そういう近代的な設備の一部が整ったわけであります。もちろん海底資源に限らずあらゆる地下資源について、物理探査の新しいまた近代的な機械設備もしくは深いダイヤモンド・ボーリングをやって、従来手の届かなかった下の方までも的確に探る機械設備は必要なのであります。ただそれをマネージいたしますオペレーションも、普通の工場におけるように、年の若い人が機械的にボタン一つ押せばどうにもなるというようなマス・プロダクション的なものとはちょっと違うのでありまして、一つ一つ地質的な地下資源の真髄をのみ込んでいる者が中心になってやらないと、機械負けしてしまうというようなこともある。従いまして大体百五十人程度人間が必要ということと並びまして、近代的な設備は適当に備えなければならない。言いかえると、人の問題と同時に経費の問題が非常に重要なフアクターを占めておるのでありまして、この点補足的に説明いたしますと同時に、お答えいたしたいと思います。   〔小委員長退席、椎名(悦)小委員長代理着席〕
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 次に特殊鋼の具体的な対策をお聞かせ願いたいと思います。
  48. 田畑新太郎

    ○田畑説明員 特殊鋼につきましては、まず第一に原料対策から始めるのが原則と考えます。先ほどからだいぶ問題になりました砂鉄を原料にして非常にりっぱな電気銑を生産し、それを特殊鋼工業に振り向ける、これが第一であります。特殊鋼に向ける電気銑の計画は、現在の特殊鋼用といたしまして、三十年度が四万トン電気銑が供給されております。三十一年度は五万トンになっております。三十五年度になりましては十二万トンにまでふやしていきたい。これがただいまの原料対策のまず第一点でございます。  その次には、特殊鋼の製鋼設備が現在やはり電気銑と同じように零細な企業からなっておったために非常に小さな電気炉があちこちにございます。最近の特殊鋼の方向といたしましては、比較的大きな電気炉で多量に溶解したものをかつ非常に大きな銅塊に注入する方が品質もよくなりますし、また非常にコストも安い。また国際競争力に耐え得る国際的な高水準の規格に適合する生産方法として必要になってきます。逐次電気炉の大型化を進めていくのが第二点でございます。  なお鋼塊が大きくなって参りますと、これは現在の圧延設備では圧延できません。最初大きな鋼塊から一つの鋼片まで圧延する分塊圧延機の新設もこれと同時に進めていかなければならない。これが第三点であります。  ただ特殊鋼企業は非常に小さな生産規模でもって成り立っている企業がたくさんございますので、これらの小さな工場がそれぞれ大きな電気炉やまた鋼片の圧延設備を新設いたしますということは小可能でございますので、一部は現在の普通鋼工場にございます分塊圧延機を利用いたしまして鋼片の圧延を委託圧延させる、こういうような便宜措置も講じたい。また現にそういう方法を関東地区では一、二の工場でやっておりまして、非常な成果を収めております。こういう日本において可能なあらゆる方法を推進してみたい、そう思っております。
  49. 小平久雄

    小平(久)小委員 私は砂鉄の問題と関連して重工業局長にちょっとお尋ねしたいのですが、御承知のようにこの国会に東北興業会社の起債について元利を政府が保証するという法律が出て、先般衆議院においては建設委員会とわれわれの商工委員会で合同審査も行われました。その際いろいろ論議が出まして、東北興業が計画しておるセメントの生産というものは諸般の事情から必ずしも適当ではないのではないか。特に商工委員の各位の中にそういう声が強かったのであります。このことはひとり委員間にそういう意見が強かったばかりでなく、その審議の際の通産当局の説明等にも、何かセメントの新規の生産ということについて必ずしも賛成でないような説明が行われた。これが問題に関連しての事情でありますが、一方また聞くところによると、ただいま問題になっておる砂鉄利用ということについて、今度東北興業が計画しておる十四億かの資金を投入するならば電気銑が約十万トンくらいできるのじゃないかと、私よくわかりませんが、言われております。そういうことを考え合せると、東北興行の使命というものは、言うまでもなく東北開発ということでありますので、必ずしも利益が出なくとも国家的に非常に有益である、かつまた東北の振興にも資するということであればわれわれはむしろ双手をあげて賛成したい、こう思っておるのですが、それやこれや考え合せると、こういった一つ開発といったようなことこそ日本ではむしろ重要なんであって、相当需要を満たしておるセメントの生産を新たにやるというようなことはむしろどうかというような、私個人としてもそういう気がするのです。そこでお尋ねしたいのは、ああいう問題が起きた場合に、なるほど東北興業の、その主管省は建設省でありましょうが、その事業については少くとも通産省とも協議というか御相談はあったらしいのですが、あの際においてこの砂鉄利用というようなことをあなたの方なりあるいは鉱山局関係、どちらか知らぬが、そういうことについてのお話が出なかったのかどうか、これを一つお尋ねしておきたい。
  50. 松尾金藏

    松尾政府委員 東北興業の内容や業態を私必ずしも十分には承知していないと思いますが、東北興業が東北地方のセメントの需要にこたえてセメント事業をやりたいという話はかねがね承わっております。私どもの内部では軽工業局が直接にその方の仕事を担当しておるわけでございますが、軽工業局の方から私の方に東北興業として南北地方に非常に特色のある産業として、砂鉄なり、あるいはそれから引き続いて電気銑の事業ということが考えられるだろうかというようなことが、これは決して公式とか何とかいう問題ではなくて、内部的な話はわれわれも聞いております。ただ私どもの方の、直接には砂鉄鉱区関係、特に将来かなり大きな期待も持てるのじゃないかと言われる山砂鉄鉱区関係から申しますと、もうほとんど大部分の鉱区が現在鉱業権者があり、新しい鉱区の設定ということはかなりむずかしいといいますか、むしろ鉱業権、鉱区の設定はやっておりながら、その鉱区の中に埋蔵鉱量確認が必ずしもできていなというような状態に置かれておるのではないかと思います。そういう状態でありますので、従来そういう砂鉄あるいはそれに関連する産業に全然触れたことのない企業が今後新しく出るということは、これは鉱業権の問題なりあるいは技術上の問題なりその他いろいろなむずかしい問題があるであろうというよりなことはわれわれ内部では話し合ったことがある、その程度のことであります。
  51. 小平久雄

    小平(久)小委員 今鉱山局長の御説明を聞いて、私はどうも消極的なというか、これほど砂鉄利用ということを重要な問題として一方において取り上げて、これは省議もあるようでありますが、そういう際において、もう少し積極的に砂鉄利用かつまた皆さんがお作りになった省議の決定の線に沿って積極的な御研究がなされなかったものかと実は残念な気がする。一口に何かやるというとすぐ金が足らぬ、人が足らぬという話が出るのであります炉、本件の場合などはとにかく東北興業に十四億か何かの金を使わせようということは政府も腹をきめておるわけです。しかも今砂鉄利用について東北興業が何かしろうとだからというようなお話しもありましたが、セメントについても東北興業はしろうとなんです。これも新規に始めるということです。しかもセメントの方は、各委員からも論議されました炉、現在は必ず上も東北に作らぬでもいいのじゃないか、新規に作る必要はないのじゃないかという説がむしろ多いくらいなのです。そういう際に、十四億からの金をとにかく東北開発のために投入しよう——一方にはこういう直接的な国家的な事業があるのですから、これは御相談を受けたのではないかもしれないが、そういう金こそ一つ活用して、国家的にもほんとうに必要とされておる事業に投入するように主管局長として大いに積極的にがんばってもらいたかったという気がするのであります。このことは必ずしも時期なおおそしと言い切れない面もあるのじゃないか。その点は詳しくは申し上げませんが、御承知のように先ほど申した法案の審議に当りましては商工委員会の方からの希望を建設委員会もいれて附帯決議もついております。それは表からセメント工業を否定はいたしておりませんが、しかし最も全般的な総合開発という点でよく考えて有効的にやってほしいという趣旨の附帯決議もついておるのです。法案は別にセメント工業をやるとはなっていないで、ただ説明のときにセメント工業をやるという話し合いだけのことですから、これは実を結ぶか結ばぬかは別問題としても、この際主管の両局長にもう少し徹底的にこの問題を検討していただきたいということを一つ希望として申し上げておきます。  それから先般業界の代表の人の話を聞いたのでありますが、その際に、三十五年度には現在よりもさらに百五十万トンの銑鉄の増産を考えている、それには高炉を五本程度増設が必要だ、それに要する資金は一本当り附帯設備とも約百億円だ、こういう説明がありました。これについては当局はどういう考えを持っておりますか。それから資金的な援助額などについてもどういう計画になっておるのか、この際御説明を願いたいと思います。
  52. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 実は五カ年計画の目標に到達するためのいろいろな設備計画については、今業界の方でもいろいろ計画をしているわけであります。まだ具体的な問題としてはわれわれの方に詳しい計画は出ておりませんが、とりあえず今年度としましては昨年度の意向を受けまして、新しい設備としましてはある程度のことを考えております。大体従来の経過を申し上げますと、第一次合理化計画が千百億円を投下してそれで終り、大体去年から今年度にかけましては第二次合理化計画が推進される予定になっております。それでただいまお話の点の高炉の問題とか新しく高炉を相当作るという問題、またそれに伴なって海外の鉄鉱石の開発の問題、またそれに伴なって鉄鉱石を運んでくる専用船の問題、こんなことがこの前お話があったと思いますが、こういうふうなものににつきましてはいろいろ各方面にわたる計画がございますので、目下われわれといたしましては慎重に検討しておる段階であります。
  53. 小平久雄

    小平(久)小委員 そうしますと、まだ当局としては、この点については具体的な決定というか省議の決定に至っていない、こういうことでございますね。そこで、今のお話の中にもありましたが専用船の問題です。本日ここにちょうだいしたこの業界の新聞などによりましても、海外から入れる鉄鉱石の価格の半分からが運賃だということで、これを今後どう処置するかが鉄鋼価格の引き下げのキー・ポイントのように報じられております。そこで鉄鉱石の専用船の問題ですが、もちろんこれは船ばかりではなく、港湾施設などの問題も当然同時に考えなければならぬでしょうが、この問題ももうずいぶん長いこと話題に上っておると思うのです。それがいまだに一向解決しない。解決しないどころじゃない、緒につかぬような気がするのですが、この間の事情等について一つこの際承わっておきたいと思います。
  54. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 専用船の問題につきましては、実は従来から話題になっておりまして、二十八年、二十九年、それぞれ、純粋な専用船ではございませんが、準専用船というようなものを一隻ずつ作った、昨年、度は大体われわれとしては、計画に入りませんでしたが、三十一年度は一万五千トン級くらいのものを一つ考えております。大々的にやる問題につきましては、実は昨年もちょうど春にこういう問題が起りまして、いろいろ計画を考えたときがございまして、専用船の型をどういうふうにするか、あるいはそれをやる形をどんなふうに持っていくということで、業界でも議論されたわけでございますが、まず何といっても先決は海外の資源開発の地点とかその港湾状況とかいうことを慎重によく調査した上で、船の形とかあるいはそういうものをどういうふうにきめていくべきかということについて慎重を要しなければならぬのじやないか、こういう議論がありまして、急速にというよりも、むしろ慎重に研究していく、こういう態度がずっととられてきたわけであります。そこで今後の、問題は、先ほど申し上げました原料開発ということがどうしても大きな問題でございますし、また鉱石を安くするという見地から、新しい計画でできるだけこういう問題を大きく取り上げていきたい、これは今後の研究としてできるだけ強く推進したい、こういうふうに考えております。
  55. 小平久雄

    小平(久)小委員 その問題と関連して、かりに専用船を作るといった場合は、当局の考えとしては、各製鉄会社にいわば自家用的に作らせてやる、それの資金なら資金のあっせんをするとか、その程度の構造なのか、それとも何か各社共通の用に供するために別個の組織等を作って、専用船をそこに持たせてやらせるお考えなのか。そういう点は、まず大体でよろしゅうございますが、どんな構想をお持ちになっておりますか。
  56. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 その点については、まだ構想としてはきまっておりませんし、また、これもなかなか慎重を要すると思います。海運関係鉄鋼関係の問題でございますので、この点についての結論は実はまだ出ておりません。先ほど申し上げました去年の春問題になったときの一つの話題は、研究題目としては、イギリスでやっておりますように、海運会社と鉄鋼関係の合同の会社というふうなものが一つの考え方で鉄鋼会社の間では議論されておりました。しかしこれは議論だけでありまして、今後これをどういうふうにするかということについての業界の考え方自体もきまっておりませんし、また政府としてもまだ構想としては何ら決定しておりません。これは十分研究していきたい、こう考えております。
  57. 小平久雄

    小平(久)小委員 別に言葉じりをとらえるわけではないのですが、これから十分研究していきたいというようなお話でありますが、数年来問題になっておることなんであるから、大体やるとすればどういう形態でいくのがいいとか、少くともそういう点について相当検討されているんだが、資金なり何なりでできないというなら話はわかるんですが、これから検討していくということでは、はなはだどうも心細いような気がするのですがいかがですか。
  58. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 どうも私の言葉が尽せませんが、もちろん熱心にやっていくつもりであります。   〔椎名(脱)小委員長代理退席、小平   小委員長着席〕
  59. 小平久雄

  60. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 さっき電力量の問題が砂鉄製練の将来を決するネックになっておるというお話でしたが、それはそれで了承いたしますが、大体この電力量の問題は御承知通り、只見川の開発その他全国的に主要なる電源の開発に当っておるような状況でありまして、東北地方の今後の毒気事情というものは、大体計画によって将来はどうなるか、来年はどうなるか再来年はどうなるかということがわかっておるわけであります。そのわかっておる見通しの計画に基いて、一体この鉄鋼の長期計画というものによれば、ただいま九百万トンくらいの全部の鉄鉱石のうち、二割程度ですか国内でまかなっておるにすぎない、ほとんど八割は海外から高い運賃をかけて持ってくる。それでこれを千二百万トン程度に将来五年なら五年後にしなければならぬが、その大部分は依然として高炉というものによって、そして高炉の原料として国内のものは使えぬから海外から持ってくるんだということのようでありますが、電力事情はただいま申し上げた通り年々条件炉改善して参る。ですからお先まっ暗ではないのです。電力の問題は先は明るい見通しがあるのであります。それに調べれば調べるほど、ほとんど無限に使える国内資源というものがある。この際に長期計画にどういうふうに一体これを考えておるのか、またもし研究不十分で今後考えなければならぬということ、そして五カ年計画の追加をするという必要炉あるならば、どの程度までこれを引き上げて考えなければならぬか、そういったような問題について研究なり調査なり下地があるだろうと思いますから、その点をよく承わっておきたいと思います。
  61. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 ただいま御質問の電気銑の今後の目標でございます炉、昨年実は通産省におきまして一応電気銑の育成方針を決定いたしました。その考え方は現在、先ほど来申し上げております年産電気鉄が大体十五万トンでございます。三十五年の目標を倍にする、三十万トンに持っていく。そして電気銑の特色は何といっても良質な特殊鋼その他の原料を作ることが一つと、それからこれをチタン工業との関連において育成する、それから第三番目はガスを利用する化学工業との関連、これはいずれも立地的にも問題炉あるわけであります。それらの関連において伸ばすというふうな観点から、十五万トンを三十万トンまで伸ばす、こういうふうな結論で、これに対しまして、今申し上げました通り設備の合理化あるいはそういうふうなことについて資金等のあっせんをしている、こういう状況でございまして、大体この三十万トンになると、これに所要します砂鉄が約五十万トンでございます。そうしまして、電気銑以外に高炉に使います、あるいはその他に硬います砂鉄を入れますと、製鋼業で百万トンの所要というふうに考えております。これを現在のところでは大体目標としておりますが、将来また、先ほど来御説明申し上げました通り、いろいろ国の砂鉄その他の高炉の増加ということがはっきり見込まれてきますれば、これらについてはさらに検討いたしまして、これらの計画をさらにふやすということは研究いたしたい、こう考えております。
  62. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 ちょっとさっき聞き漏らしましたが、五カ年計画でただいまの十五万トンを三十万トンにする、そうすると十五万トンの増加ということになりますが、これに要する所要資金はほぼどのくらいですか。
  63. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 ちょっと正確な数字を今持っておりませんので、後ほど調べましてお答えさせていただきたいと思います。
  64. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 大体どのくらいですか。
  65. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 どうも正確なことを申し上げられないのでありますが、十五億か二十億程度と思います。
  66. 椎名悦三郎

    椎名(悦)小委員 転炉一つ作るにしても相当な金が要るわけでありますが、いやしくも調べれば数億トンあるいはそれ以上にも上るであろうという砂鉄資源というものに対して、識者は相当にやかましいことを言っているわけでありますが、それにしてはその規模といい、これにかける金額といい、まことにどうも微々たるものであるように考える。果してそれでいいか悪いかということは別にここで勝負をつけようというわけではありませんけれども、この点は一つ十分に考えてほしいと思うのであります。よく言われる通り日本の農業は古来の日本の農法によってずっとやってきている。あとの大半の工業はみな世界のまねをしている。鉄について申しましても、大体各国はみな高炉方式でやっている、これには塊鉱が必要である、それからこれには強粘結の石炭が必要であるというようなことで、この点からいうと、日本は今支那市場と絶縁状態に近い御承知のような関係でありますから、非常に遠隔の諸外国からそのすべてを輸入しているというような現状であります。それでもしも日本鉄源を自給する必要があるということであるならば、今度は世界の各国の先進国のまねをしないで、日本の与えられた条件下においてとにかく切り開いていかなければならぬと思うのであります。それでこの高炉法による大資本を相手にしておったことから見ると、中小企業のしがない連中を相手にするとか、資本も、今までひなたに向っていったものが、今度は日陰の方に向っていくような気がするので、何となく従来の関係者というものが気が進まないような気がするかもしれません。これは私の少し言い過ぎかもしれぬけれども、農林省あたりで日本の食糧というともう一にも米二にも米、安い小麦が、米が非常に高いときにも、三分の一くらいの値段で米国、カナダ、豪州等から入るにもかかわらず、やはり日本は米の国だということで、あまり米を追っかけ回すものだから、おしまいには黄変米というようないかがわしいものまでつかんでしまう、いわば壁に頭をぶち当てたような格好で、それは日本の食糧当局はみな米で鍛え上げられておる、何かといえば米のことしか考えない、そういうような状況であったように思われます。だんだん最近は情勢に目ざめてきておるようでありますけれども、それと同じように、やはり今までやってきたものは何かいいような気がするし、いわばイージー・ゴーイングそういうような、情勢になれるということもありましようし、その方がやりやすい。あんまがつえを取られても、歩きなれた道はもうから手で歩けるというような点もありまして、何となくそういう方におもむきやすいのであろうと思いますが、やはりそれではいかぬのじゃないか。そこでこの際、そういうつまらない談義はやめますが、何といっても私は皆さん関係当局が一つ奮発して、そうして特別の勉強をして、国内資源開発のためにどうすればよろしいかということについて、一そうの御研究、努力をしていただきたい、こう思うのであります。問題は砂鉄ばかりじゃない、日本に存する磁硫鉄鉱、これまた数億トンと称せられておりますが、この問題についても先ほどから伺うと技術的の問題はほとんど全部解決しておるということであります。それであるならば、この方面にも相当の政府の施策というものを向けて、そうして一日も早くその方面を助長するということに万全の力を尽していただきたい。どうもでき上った計画を見ますと、ほとんど日の目を見ないようなすみっこの方に押しやられておって、そうして一方においては自立経済とか、いや国内資源開発をやるとか、いろいろなことを言われておるけれども、全然パラレル・ラインで、やっている方は一向無関心でおるという状況はまことに困ったものだと私は考えるわけであります。小委員会でありますが、これは記録に残して、そうしてこの点を十分に大臣等にも御報告を願いまして、ぜひわれわれの要望の線に沿うて努力せられんことを望みまして、私の質問を終ります。
  67. 小平久雄

    小平委員長 他に御質疑もないようでありますから、本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることといたします。  これにて散会いたします。    午後零時二十四分散会