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1956-10-18 第24回国会 衆議院 商工委員会 第64号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月十八日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 小平 久雄君    理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君    理事 中崎  敏君 理事 永井勝次郎君       阿左美廣治君    宇田 耕一君       内田 常雄君    菅  太郎君       島村 一郎君    首藤 新八君       鈴木周次郎君    淵上房太郎君       南  好雄君    神近 市子君       佐々木良作君    佐竹 新市君       多賀谷真稔君    田中 武夫君       田中 利勝君    松尾トシ子君       松平 忠久君    水谷長三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房企画課         長)      磯野 太郎君         総理府事務官         (経済企画庁調         整部長)    小出 榮一君         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    大來佐武郎君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君         総理府事務官         (経済企画庁調         査部長)    藤卷 吉生君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 松尾 金藏君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務官         (鉱山局長)  森  誓夫君         通商産業事務官         (石炭局長)  讚岐 喜八君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      岩武 照彦君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 善衞君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部業務課         長)      小川 吉男君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  長期経済計画に関する件  鉄鋼石炭及び電力需給に関する件  中小企業に関する件     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  この際中小企業対策に関し調査を進めることとし、永井勝次郎君の質疑を訂すことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認めます。中小企業対策に関し調査を進め、永井勝次郎君の質疑を許します。永井勝次郎君。
  4. 永井勝次郎

    永井委員 委員会が重要な基本政策についての質疑に入るに先だちまして、北海道凶作金融問題について時間を十分ほどお与えいただきました委員長の計らいに厚く感謝する次第であります。今北海道道議会の代表から開会前に当って陳情がありましたように、本年度北海道凶作実情というものは、開道以来の深刻なものがあります。しかも二十八年、二十九年と累積された被害でありますから、その受けた経済的な打撃というものは、さらに深刻なものがあるわけであります。本日の午後一時、第二便で高碕大臣現地視察に参りますのも、そういった状況の現地からの要望がいれられた結果でありますが、われわれはその視察結果について非常に期待をかけておるものであります。しかしこれは直接被害を受けております。農業関係を主体にしておるのでありまして、これから受ける間接的な経済的影響というものについても、これは見のがすことができないと思うのであります。ことしの被害実額が四百億と推定されておるのでありますが、北海道地区だけで四百億の被害実額というものがある。これは経済的な力の弱い、ことに原始産業の多い北海道といたしましては、これの受ける影響というものは全道的なものがあるわけであります。見のがされがちである中小企業の受ける被害というものは、農業被害と匹敵するものがあると考えます。そこで四百億の被害実情の上に立っての経済的な打撃、ことに農村地帯における経済力の弱い商業関係あるいは農機具販売関係、こういった業者の受ける打撃というものは相当深刻なわけでありますが、これに対しましては、道の方から金融措置によってこの難局を切り抜ける措置をしてもらいたいという陳情がそれぞれ関係方面にいっておるわけであり心す。国民金融公庫から二億、中小企業金融公庫から一億、それから商工中業、その他政府資金の預託というような関係によって六億の資金現地につぎ込んでもらいたい、こういう要望をしておるわけであります。これに対しては、中小企業庁はどういうような考えを持ち、どういうような運びをしておるか。そうしてその運び見通しはどうであるか、これらのことについてお答えを願いたいと思います。このことは年末金融とは別個に切り離して、当面緊急の要件として措置していただきたい。年末はさらにまたこの委員会で年末融資の問題について審議機会があると思うのでありますが、その場合にさらに北海道関係凶作地帯についてはお願いをする機会があろうと思います。当面十億の金融措置についてどのようになっておるか、これを承わりたいと思います。
  5. 今井善衞

    今井説明員 ただいまのお話につきましては、先般現地からやはり参られまして私ども事情を伺いまして非常にごもっとも要求だと思っております。現地の御要求国民金融公庫から二億、それから中小企業金融公庫から二億、それから商工中金その他から六億という御要求でございまして、私どもそれぞれ国民金融公庫あるいは中小正業金融公庫に連絡いたしまして、それぞれの機関から現地の方に指示いたしまして現地事情調査中でございます。事情がはっきりいたしますれ臥、できるだけワクを増額いたしまして、支障なからしめるようにしたい。ただいま現地に対しましては、資金要求があれば中央の方からワクを増額するから、困っておる代理店その他については中央にどんどん申し込んでくれるようにという程度の連絡はしておりますけれどもワクを具体的に幾らふやすというところまではまだきめておりません。しかし事情事情でございますので、できるだけのことをするという前提でいろいろ考え、今後もそういうふうにしたいと思います。ワクの増額だけじゃなくて、非常に長期資金炉お困りであるということでございますので、長期資金貸し出しも優先的にいたしますし、また今までの貸し出レにつきましても回収期限がどうしてりなかなか延びるというものについても、そういう点考慮するようにという仇うなことで、三政府金融機関と話し合っておりますし、またそういうふうに必ず実現するものと思っております。
  6. 永井勝次郎

    永井委員 今振興部長から大へん理解のある答弁をいただきました。金融が必要ならどんどん申し込めという大へん景気のいい話なんですが、申し込みだけどんどん申し込まして貸し出しの方は金融ワクがないからとしぼられたら、これはことしの北海道凶作のように草だけは伸びたが実が入らない。こういう結果になるわけでありますから、そういう結果にならないように、どんどん申し込めといったって、なかなかそう不必要な金は申し込まないと思うのでありますが、十億という要求はもうこれはささやかな、非常に遠慮がちな要求だと思うので、これは最低として確保してもらいたい。さらに今言ったようなどんどん申し込んで上回ればそれに相応するような一つ措置をしてもらいたい。  それからただいま長期金融の問題もありましたし、この連年の凶作のために信用力が非常に低下しておる。これの裏づけの措置というようなものについても御配慮願いたい。どんどん申し込めということで、振興部長は大体どのくらいの額を目途としてそう言っていられるか、一つ安心できるようなはっきりとした答弁をさらにお願いをいたしたい。
  7. 今井善衞

    今井説明員 実は先ほど年末金融ワク等は無関係だ、こういうお話がございましたが、実は第三・四半期におきましては年末金融関係も、ございますので、たとえば国民金融公庫につきましては、第二・四半期に比べて約五割増、それから中小公庫につきましても、第二・四半期に比べまして非常に大幅なワクをとっております。従いましてこれはほかの地区の年末金融といかに調整するかという問題はございますけれどもワク全体といたしましては、第一・四半期等の実績に比べまして相当ふえておりますので、従いましてどの程度現地からの要求があるか、その辺はわかりませんけれども、相当弾力的に運用できるのではないか、かように考えております。     —————————————
  8. 神田博

    神田委員長 前会に引き続き、長期経済計画並びに鉄鋼石炭及び電力需給に関する諸問題について調査を進めます。質疑に入ります。通告がありますから順次これを許します。長谷川四郎君。
  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 石炭局長に二、三お伺いいたします。  私が申し上げるまでもなく標準価格というものがありまして、標準価格石炭鉱業審議会の議を経て決定をすることになっておりますし、またこの中には値下げを勧告することもできるし、また価格を維持するためにはカルテルの結成をすることもできる、こういうようなことが中に含まれておるわけでございます。三十年度決定した炭価は四千九十三円、三十一年度炭価は前年より当然低くなければならないことになっておる。そこで三十一年度石炭需要最初考え方よりも少しふえた、たとえば四千五百五十万トンということに考えておったのだが、それでは少し足らぬのではないかというような考え方もあったためか、それをふやしまして出炭壁四千六百二十万トンの見通しをつけたが、その次にもう一度変って四千八百万トンに引き上げた、こういうことになっておるようでございます。標準炭価の新計画によって算出をされる新しい炭価というものは、あなたの方はこの炭価をどのくらいに考えているかということを第一点に承わりたいのでございます。新炭価石炭業者需要者とが納得のいく線で当然きめなければならないということが原則でございます。こういう点についてもお考えになっておられると思うのでございまして、合理化法の建前から現在標準価格より引き下げることは、すなわち申し上げた通り法理論づけられているわけでございますから、あなたのお考え方をまず承わってみたいと思うのでございます。
  10. 讚岐喜八

    讃岐説明員 標準炭価の問題につきましては、もっと早く決定してもらうように取り運ぶ予定でございました。私本年の七月に石炭局長に着任いたしました関係もございまして、私がしろうとであるという点も、これは非常に影響しておるのでございますが、事実昨日も御説明申し上げましたように、需要が伸びて、生産もただいまお話のように四千八百万トンに引き上げることを考慮しているような次第であります。とります資料がときどきに変ってくる、そういうこともございまして、準備が非常におくれて参ったのでございまして、この点まことに恐縮に存ずる次第でございます。炭価の問題は審議会に諮りまして決定されるわけでございまして、私どもといたしましては目下のところ事務的な準備をいたしておる段階でございます。鉄鋼その他資材の値上りもございましてそれに労務費のべース・アップ等もございまして、値上げの要因もございます。また操業率の高くなりましたことによります値下げ要因もございます。目下そういう資料をまとめておる最中でございまして、炭価をどういうふうに持っていくかということは目下のところ私の口からお答えいたしかねるのでございます。御了承願います。
  11. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 どうも局長お答えは不満足であります。法律にきまっておるという当然のことであって、当然昨年よりもことしは下がらなければならないということが決定づけられているのに、まだそういう考えを持っておらないというお答えでは私は納得できません。当然そういう考え方を持って進んでおるというのなら私はごもっともだと考えます。まだどうなっているのだか私にはお答えができないなどという考え方を持って、たとえば価格決定したってどうせこの価格で取引されるのではないから、どうせこんなものは無視できるのだからどうでもいいのだというような業界考え方がないということはあなたは断言できますまい。こういうような点等考えて、石炭合理化法というものは炭価引き下げのために立法したものだというその根本の精神に立脚した御答弁をしてもらわなければなりません。あなたの御答弁は私は不満足であります。もう一度この点の御答弁を願います。
  12. 讚岐喜八

    讃岐説明員 言葉が足りませんでまことに恐縮でございました。最初の御質問はどのくらいに考えているかという御質問で、そのことをお答えして、次にどういう態度でおるかということを御質問になりましたので、今答えるつもりでおりましたが、これは途中で切れたわけでございます。まことに恐縮でございます。炭価をどのくらいに考えているかということは審議会に諮りますので、今申し上げるわけには参らないのでございます。合理化法精神から申しまして、どういうふうに持っていくべきかという根本的な方向につきましては、すでに昨年度合理化基本計画におきまして、将来三千二百円までにコストを引き下げるという計画でございます。われわれといたしましては、石炭鉱業合理化に全力をあげて努力をいたしておりますので、その目標が実現できるように努力しているわけでございまして炭価の問題につきましても基本的な態度としてはそういう態度で参るということをお答え申し上げる次第でございます。
  13. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 業界が過去二年間にわたりましたその不況を救うというのはこれを立法した精神でございまして、その精神というものもこの合理化法を推進をしてなるべく炭価を引き下げていこうではないかということです。そうなると本年度きめたところの四千八百万トンという数字は、日本の現実の姿と申しましょうか、日本石炭をよけい掘るということになると価格は上ってくるのだ、こういうお話だと、それはまことにごもっとものように私は聞いております。しかし四千八百万トンないし五千万トン以内であるとするならば、それは私は考えるわけにはいかない、五千万トン以内の出炭量であるとするならば、当然価格というものはこの精神にのっとって下げていかなければならないのだ、こういうふうに私は考えておりますが、あなたのお考えはどうでございますか。
  14. 讚岐喜八

    讃岐説明員 問題は経済的の出炭ベースの問題になろうかと存じます。四千八百万トンベース出炭考えます場合におきまして、生産上そう大した無理でもございませんので、この問題は確かにコスト引き下げ要因になると存じます。その点は先ほど触れました操業率の問題で、四千八百万トンになります場合は確かにコスト引き下げ要因でございますということは申し上げられるのでありますが、その他に資材労務等要因もございます。諸般の事情を勘案してコストというものが決定されるわけでございます。その点をあわせて申し上げておきます。
  15. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 石炭合理化法というものを制定するに当りましては、一方に非常に大きな犠牲を払わしていることをあなたは知っておられると思うのでございます。すなわち石油でありまして、この重油という面についてわざわざ重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律、こういう長い文句のものを作りまして、一方を規制している。この重油規制をさせた理由というものは・日本石炭業界というものは現在非常に水平線以下になってきた、それを何とかして水平線以上にし、それを保たせよう、すなわち水平線に保たせようというのがこの考え方であったのでありまして、現在では石炭価格という点につきましても、あなたの昨日の御説明は、炭価はそう上ってはおらないというようなお話でありましたけれども、いろいろな事情がありましょう。けれども炭価というものはあなたの考えているような、役所で見ているような炭価ではないということだけは明らかに知ってもらわなければならない。そうなって参りますと、私は一方にこれだけ大きな犠牲を払わせておいて、金縛りにしておいて、そうして石炭を伸ばして、石炭の方にゆるみをつけておいて・さらにその石炭が横暴きわまる行動をとるとするならば、一方に対してどういうような行動をとらなければならないか、どういうような行政措置をとらなければならないか、こういう点もあわせて考えてもらわなければならないのでありましてこういう点について、それでは政務次官にちょっと一言お伺いいたしてみたいと思うのでございますけれども、この重油の問題は、重油ボイラー設置制限をしておるために、日本中小商工業圧迫というものが非常に大きくかかってきておって、昭和二十八年ごろには石炭より重油へという点について、かねと太鼓で宣伝をさせておいていよいよその業界重油利用によって発展の緒につかんとするときに、今度はこれを規制して圧迫を加えている、その圧迫はすなわち石炭育成のためであったと考えております。こういうふうに圧迫を加えておきながら、一方は石炭が今日のような情勢にあるとするならば、重油ボイラー規制法というものは、すなわちこれは十年以内に廃止をしなければならない法律となっている。もうすでに二年を経過しておりますから、本年廃止をする考え方があるかどうか、これは政務次官からお伺いいたします。
  16. 川野芳滿

    川野説明員 重油政府が奨励いたしましてある程度発達したのでございますが、その後石炭関係から重油規制いたしましたことはただいま長谷川委員の仰せの通りであります。しかしこれは石炭産業重要性からそういうことになったのでありまして、この点から石炭産業という面につきましては政府も助成し、また業者もその合理化精神に向って石炭産業の発達をせねばならない、かように考えておる次第であります。そこで今御説のように、石炭産業というものは相当発展に向っておるのでありまして、しかし発展と申しましても、まだまだ重油規制を解くまでに発展いたしておるとは考えられません。従いまして今日においては重油規制を解く、こういう考えは今のところ持っておりません。
  17. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 規制を撤廃することができないとすれば、一方石炭に見るがごとき幾分なりの手をゆるめていくという方法行政でありますからできるはずでございます。その点についてはいかがでございましょう。
  18. 川野芳滿

    川野説明員 先ほど来の長谷川委員の御質問はごもっともである、かように考えておりますから、さらに石炭産業がある程度発展いたすこの過程におきましては、その点をにらみ合せまして石炭値段等につきましても、ある程度石炭業界と話し合って下げさせる、こういう方向に進みたい、かように考えておる次第であります。
  19. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 局長の報告にもある通り、わが国の経済好転によって石炭需要が活発化してきた、また一方大手十四社のストによって二週間の閉鎖をした、こういうようなこと、もう一つ鉱工業生産が非常に好転をしたためなんだ、好調になったから需百要のバラスンがとれなくなってきているような点もあるのだ、もう一方は運輸という面にも欠陥が生じてきたからだと言われております。しかし昨日の運輸省の話におきましても、石炭に対しては相当大きな犠牲を払ってまで各商工業者にとって不足のないような方法をとっておる、こういうような御説明も承わっております。局長みずから運輸省に対しては大いに感謝を表しておったようでございますから、本年度炭価決定にあたりましては、立法の精神を十分に心得て決定をしていただきたいと私は思うのでございます。松永安左工門さんのエネルギー利用という新聞の論壇を見ますと、米国は過去数年間に一億数千万トンの減産をしてまで石油天然ガスエネルギー源転換をした、それがために今日のアメリカ経済が各国をしのぐ経済になった、こういうことを唱えておられるようでございます。私はしかりだと思います。こういう点等十分考慮に入れて行政指導に当ってもらわなければならぬのであります。ところが日本はこれを逆にして重油規制して石炭育成をしたのだ、こういう点をその局に当る局長は十分に頭の中で考えて進んでもらいたいと思うのでございます。一言これを申し上げたわけでございます。  経企庁の方へちょっとお伺いしたいのでございますが、松永さんの意見を私は申し上げるのではないのであって、今日の石炭実情というものから考えてまた二十二国会において石油制限をした、すなわち重油ボイラー制限をした、こういう点、今日の実情に照らしてこれらは私が今まで申し上げた通り撤廃すべき時期がきた、十年以内というんだから十年たたなくても一年でもできるのであるから、すでに撤廃すべき時期ではないか、こういうふうに私は考えております。こういう点について小出さんはどういうようなお考えを持っておられるか、一つ参考のために伺わせていただきたいのであります。
  20. 小出榮一

    小出説明員 長谷川先生の御指摘通り重油ボイラー消費規正を行いました際の考え方といたしましては、一方におきまして石炭対策という面もございますけれども、やはりエネルギー全体の総合的な需給バランスという点が一つ。従いまして石炭なり石油なり、あるいは電力といういろいろのエネルギー全体を総合いたしましてその間の調整をどういうふうに日本として持っていくかという問題がございます。それから特に日本におきましては、石油というものが国際収支に非常に重要な影響があるのでございまして、この点はアメリカあるいはヨーロッパとは非常に事情が違うわけでございます。従いましてそういうような面を勘案いたしまして、十年以内というような期限で一応重油消費規正を行なったのでございます。今長谷川先生指摘通り松永先生論文等にもございますように、アメリカ等石油生産事情が非常に違っておりますので、石炭から石油への転換という問題が非常に強調されておりますし、また西ヨーロッパにおきましてはどちらかと申しますと石炭生産労力不足というような面からむしろ伸び悩んでおるという面もございまして、石油の方に転換しなければならないというような事情がございます。ただ日本の場合におきましては先ほども申しましたように、国際収支関係という非常に重要な問題もございますし、従いまして先ほど通産政務次官からお答えがございましたように、この重油消費規正に関する法律を今直ちに廃止をするというような情勢にはまだ立ち至っていないのではないか、かように考えるのでございます。ただ重油そのものの使い方につきましては、鉱工業生産の拡大なりあるいは海上輸送確保なりあるいは水産業生産確保というような非常に重要な面に対する重油消費確保という面につきましては十分の配慮を行いながら、もう少し石炭需要なりあるいはエネルギー全体なり、国際収支情勢を見きわめました上で、この法律の存否に関する態度をきめるべきではないか、かように現在においては考えます。
  21. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 きのう高碕大臣お話の中にもありました通り、からだが大きくなったので着物が小さくて合わなくなってきたのだ、それほど日本経済というものの進展ぶりを明らかにおっしゃっておりました。それはすなわち自由経済のよいところだ、こういうお話でございます。自由経済のよいところはしかりだと思うのだが、また一方、それほど今日経済実情が違ってきておるということがはっきりとしておるのでございまして、日本経済発展に伴なって日本経済をかくのごとくしなければならない、今日の情勢をもう一段より以上に伸ばさなければならないという、こういう考え方から、すなわち石炭規制をし、また重油ボイラー規制をしてきたのでございます。申し上げた通り高碕大臣はからだが大きくて着物が小さいのだと言う。ですからもうどうしても間に合わなくなってきているということになるならば、私は重油のボイラーの規制法というものは当然この際解くべきなんだ、そうして自由に発展をさすべき問題だ、より以上に拡大さすべきであろう、こういうふうに私は考えているからお伺いしたわけでございまして、申し上げた通り高碕大臣もしかりであります。また石橋大臣も日本経済も非常に正常化している、拡大してきているというお話でございますから、あわせてその点を考えて一日も早く重油ボイラー規制法を解いてもらう。そうして撤廃をしてもらって自由に発展をさせてもらいたいということを私は申し上げているわけでございます。ただいま政務次官もその点はよく知っておるというような御答弁でございますから、政務次官お答えに十分期待を持って私は石炭の問題はこれで打ち切っておきます。  電力の問題でちょっと局長に聞いてみたいのだが、昨日局長より配布の資料並びに局長説明は、三十一年下期の需用予想は、全国平均の〇・九%というわずかの電力不足にとどまっておって、最大不足地域の東北電力地区においても三%でございますから、この冬の水位は非常に見込みがある、こういうようなお話であり、さらにもし出水率が平水率を二、三%上回るときは問題なく過ごすことができるというような、きわめて楽観した見通しのようでございました。こういう見通しの上に立って三十二年度電力不足も、全国の合計二十七億キロワット時の不足ながら、大体五%の不足率にとどまるところであろう、もし七、八%の豊水量となれば電力制限がなくて過すことができる、こういうふうな予想計算をしておられるようでございます。これは昨日のあなたのお話を抜粋したのでございますから、その通りだと私は思います。そこで問題は需用の伸びに対する見解、こういう点はどうかと思うのでございまして、要は今申し上げたように日本経済というものが非常に拡大をしてきている、年々というよりか毎月々々大きくなってきているという、こういうものが計算の中に入っていたかどうかということも一つ承わってみたいのでございます。需用の予想高の見解の相違というか、複雑でございましょうが、こういう点をあなたはどういうふうに考えておられるかをまず一つ聞き、最近全国の貯炭量というものがめきめき減っているように伺っておりまして、昨日も石炭局長から伺ったのですが、電力会社の火力発電用の貯炭の状況という点をどのくらいに見ておられるか、この二点をお聞かせ願いたい。
  22. 岩武照彦

    ○岩武説明員 今長谷川委員から御指摘ありましたように、水が出ればということは直接は申し上げませんでした。計算上はさようになるわけでございます。ただことしのことはある程度水の状況も、現在までもいいようでございますから、昨日申し上げましたように、十二月までは割合水は続くのではないかと考えております。ただ明年、年を越しまして一月の終りから二月になって、あるいは平水もなくて渇水になることもありはせぬかという点を非常に憂慮しておるわけであります。  御指摘のありました電力用炭の貯炭量でございますが、現在百八十万トンをこしておりまして、われわれがことし予想を立てましたものよりも約三十万トン近くふえておる、これは電力業者の努力もございますが、片一方上期は水が出ましたので、石炭を比較的使わなくて済んだということの結果でもございますので、あまり大きな顔をして申し上げることはできませんが、一応ある程度のものは用意した。ただ困りますのは、昨日も石炭局長並びに運輸省当局から申し上げましたように、石炭輸送すらも冬場において相当逼迫して参るという事態が起りますと、これはちょっと電力の方の側といたしましてもそう安心しておられないという状況に相なりますので、この点はもう少し今のうちに貯炭をふやすようにいろいろ手配をさせております。  それからもう一点の需用の増加の傾向をどう見るかというお話でございますが、電灯需用あるいは中小企業に多い小口動力といったものにつきましては、先ほど申し上げましたが、年率電灯で六%、それから小口動力で九%程度の増加率で大体いくであろう。これもかりにそういう率が狂いましても、全体として見ますればそう大きな数量の狂いになりませんので、これは比較的やっていける需用でございます。問題は大口産業の大口動力の問題でございます。これにつきましては、実は明年のおもな商品の生産最を一応目安を立てまして、この数字をはじいております。たとえて申しますると、一応の数字でございますからそのつもりでお聞き取り願いたいと思いまするが、われわれ電気の方から見まして一番よけいに使います硫安でございます。これが三百三十八万トン、それからソーダが、ことに電解法が非常にふえておりますので、これが四十二万トン、これは一例でございます。それから鉄の関係は圧延鋼材にしまして九百万トン近い数量を見ております。それからわれわれ電気の方で一番悲鳴をあげております電気銑でございますが、これも二十五万トン程度生産に達するのであろうという予想でこういう数字をはじいております。この数字の見方がこれよりさらに上回りはせぬかという問題があるかと思っておりますが、その点は実はわれわれも非常に憂慮しておりまするが、まあこれくらいやっておけば大丈夫ではないかと思っております。私の方から見まして一番処理に因りますのは、今までできておりまする工場の消費量の増加といいますものは、これはすでに既成事実でございますから、今後ふえましても何とか電気のある限り供給して参る、これは当然でございますが、新しく工場を作る、あるいは今までの工場の使っている電気の設備の容量をふやすという問題でございますが、これにつきましては、昨日ちょっと申し上げましたが、現在大口の五百キロ以上のものにつきましては受電の認可制をとっております。この趣旨は、電気の供給力に合せて設備の方を作って参りませんと、設備だけふえますと、電気はひとりでに流れますから、そうするとサイクルも下ってくるし、ボルトも下ってくるということになりますので、電気の保安上の見地から供給力の増加に合せまして新しい増加受電を認可して参る、こうなっております。それで明年ことにふえが予想されます東北あるいは北陸地区におきましては、そういう増加受電の予想も相当あるわけであります。これをどういうふうにいたしますか、まだはっきりした対策を立てる段階でもございませんが、そういう種類の電気でございますから、できるだけ今までありまする工場の操業を第一と考えまして、受電増加いたしますものは供給力の許す範囲内で、あるいは深夜の電気をよけい使っていただくとか、特殊あるいは調整電力といった形の、いわば不安定な電気を中心に操業願うということになるのではないかと考えております。その辺の処理につきましては、もう少し各地の供給力を月別あるいは時間別に固めましてから処理して参りたいと考えております。大体概略を申し上げました。
  23. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 昨日の資料の中に、三十二年度の全国の火力発電量は約二百一億キロ時に達し、三十一年度計画量よりも三五%大き場く増加することになっている、こういうふうに出ているわけですが、これに必要の石炭重油の量が示されてはいないのでございまして、おそらく千二百万トンないし千三百万トンくらいのものが必要ではないか、こういうふうにも考えられるのですが、三十二年度の火力用炭としてどの程度消費量を局長は見込んでおられるか、これを一つお伺いしたい。千二百万トン、千三百万トンというこれだけ大量の火力用炭は、現在の石炭不足の気味の状況において炭価というものはこれは勢い、表はどうであっても上昇するということは予想されなければならない。こういう点について供給確保の可能性というものに十分あなたは自信を持っているかどうか、こういう点を一つ、あわせて二つ伺いたい。
  24. 岩武照彦

    ○岩武説明員 火力の方は御指摘のように五十億キロワット・アワーばかりふえる予定をしております。これはロードのつく限り原油の設備をフルに運転するという計算でございますので、必要な石炭量も御指摘のように大体全部石炭といたしまして千二百万トンくらいになるのではないだろうかと思っております。そのうち幾らを重油でまかないますか、目下検討しておりますが、今までの考え方といたしましては、重油はスタートのときの着火用あるいは石炭の助燃用が中心になっておりますので、ことしよりも若干ふえると思いますが、せいぜい五十万キロ前後ではないかと思います。石炭換僚の百万トンになりますが、そうしますと石炭を千万トン前後消費することになりますので、これは石炭出炭の問題もありますが、むしろ海陸の石炭輸送力が一番影響するだろうと思っております。御承知のように大体伊勢湾を中心にして、あそこから西は九州炭、東は北海道炭が中心になっております。これは北海道炭の量も相当ふえますが、結局室蘭埠頭の輸送力が一番の問題になるだろうと思っております。この輸送力、ことに荷役の力を何とかふやしてもらいたいものだと思っております。それから西の方につきましては、これは比較的輸送力が道炭に比べますればあるようでございますが、電力用炭につきましては、新しい火力が大量に消費いたしますので、今までのように雑多な銘柄の炭がばらばらに入りますと、結局着地の貯炭場で混炭しますので、相当貯炭能力も落ちますし、また輸送関係も能率が上りませんので、むしろできるだけ送り出しに近い所で、ある程度泥炭いたしまして、一定の規格に仕上げましてから送りたい、そうして計画的な輸送も配慮したいと考えております。今後そういうふうな銘柄の統一並びに輸送の計画性ということにつきましてもう少し従来よりも配意するように指導いたしたいと考えております。御指摘のように千万トンという石炭の入手はそう楽ではないということは十分覚悟しております。従いまして輸送につきましての十分な対策は今から講じておきたい、かように考えております。
  25. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ただいま局長から室蘭埠頭のお話がありましたが、非常に建設的な御意見が出ているようでございますが、それらに対して局長はどのような手を打っているか、これを一つ伺ってみたいと思います。さらにまた松永さんの案に唱えるごとく、重油というものにもう少し重点を置いて発電をやれ、こういうようなお話もありますが、そういう点について局長はどういう考え方を持っておられるか、これをあわせてお伺いをいたします。
  26. 岩武照彦

    ○岩武説明員 室蘭埠頭のアンローダーは、これは国鉄の用地内の施設でございますから、電力業者が直接どうということは現在考えておりません。いろいろな計画があるそうでありますから、これはその計画が早く参るように、われわれの方も側面からお願いしておるわけであります。  それから将来の火力の燃料として重油をどう考えるかという問題でございます。昨日も今後の電源開発と申しますか電気の供給力の増加のアウトラインを、私見ではございますが一応申し上げておきましたが、ああいうふうに大規模な発電所の建設を進めて参りますと、どうしても水力では時間的に間に合わないという問題と、もう一つはロードの関係で火力をベースに入れて運転するという二つの点から、高能率の大容量の火力発電所を需用地の近くに置くということは必至になって参ります。しかも石炭の方がなかなか——今後の出炭増加もございましょうし、あるいは輸送力の増強もございましょうが、長い今後の五年先あるいは十年先を考えますと、これはとても石炭だけではやっていけないだろうと考乏ております。ある程度重油という問題を入れて考えざるを得ないだろうと思います。ただ、アメリカでもそうでございますが、大容量火力の燃料のたき口と申しますかたく施設は、どこでも石炭一本あるいは重油一本というところは割合少いわけであります。少くとも石炭重油あるいはさらにそれに加えまして、天然ガスというような三つのたき口を持っておる発電所があるわけでございます。アメリカでは、価格関係でどの燃料を選ぶかということが、割合経済ベースの上から考えて選択できるような仕組みになっておるそうでございますが、日本では、値段の関係もありましょうが、むしろそういうほかの、輸送でありますとかあるいは外貨事情でありますとかいうふうな要素で考えざるを得ないのではないかと考えております。あるいは今後、もう少し重油をよけいたき得るような併用装置の発電所も今後の問題としては考えていかなければ、長い将来を考えますと困りはせぬかというふうに考えております。
  27. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうすると、わが国の火力発電所の現状において、石炭のかわりにどのくらいの量まで重油を使用することが可能であるか、こういうことを一つ伺ってみたいと思います。  それから北海道電力の地域におきまして、天然ガス利用してガス・タービンの発電の計画がありまして、近く竣工するというような話もあるが、その状況はどうなっておるか。また九州、中部電力等の地熱発電の近況はどうか、この点をあわせて御説明お願いいたします。
  28. 岩武照彦

    ○岩武説明員 第一点の石油消費能力でございますが、これは実はわれわれ不勉強で勉強しておりません。ただ申し上げたいことは、現状では重油の用途はスタートと助燃に限っておりまして、操業用のタンクを持っておりませんので、かりに相当大きく石油を使う能力がありましても、実はタンクの能力で制限されまして、おそらく使えないだろうと思います。現在タンクの能力も調べておりまするが、目下たとえばこの冬ということでは重油はそうたくさんは使えないだろうと思っております。  それから北海道の豊富の天然ガスの発電所の問題でありますが、あれは二千キロの設備で、遠からず完成すると思っております。ガス・タービンにつきましては、世界各国の例もいろいろ技術者に調べさせておりますが、どうも大容量のものはあまりないようでございます。せいぜい一万キロか二万キロ程度というところでございまして、どういうわけでそうなっておりまするか、いろいろタービンのブレードの関係もありましょうし、あるいは建設費の関係もあろうと思っております。どういう関係でそうなのかわかりませんが、あまり海外に学ぶべき技術も、そう特に進歩したものもないようでございますし、かたがた日本といたしましては、将来石炭ガス等の操業が相当起りますれば、あるいはある程度のこ乏はできるかと思っておりますが、目下のところでは、天然ガスの量も大容量の常時運転になりまするとちょっと確保しにくいのじゃないかと思っておりますので、北海道のこの完成いたしましたのをもう少し勉強いたしましてから考えたいと思っております。  それから地熱の問題でございますが、これは前々から当委員会でいろいろ御審議がございまして、そのつど工業試験所の方でやっておりまする結果を御報告しておりましたが、どうも少し掘り方が悪いのではないかという意見も実は出ておりまするので、ちょうどフランスの技術者がイタリアで相当地熱のボーリングをやりまして、イタリアで、何方キロか忘れましたが、ある程度の地熱発電があるようであります。その技術者を日本に入れまして、所要の地点を見てもらいまして、ボーリングの技術その他を相談してみようというわけで、近く来るのではないかと思っております。そういうふうな海外の技術も少し勉強してみた方がいいだろうと思っております。どうも今までのところ、御承知のように別府の問題も鳴子の問題もあまりうまくいっておりませんので、これは少しよその技術を勉強した方がいいだろう、こう思っております。
  29. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 重油を使用する可能性は日本にはないのだというようにおきめになって考えているようでございますけれども一つもう少し見てきていただきたい。私の見た目では、あなたの御説明では納得がいきません。もう一つ地熱発電に関係いたしましては、イタリアよりも日本の方が条件がいいのだということを、世界の学者が唱えている点も考慮に入れてもらわなければならない。そういう点についてもあなたは一つ考えてもらいたい。  最後に伺いたいのは、新聞発表に上りますと、東北電力の社長が電気料金の値上げをするのだということを言っておるが、電気料金は値上げをするのかしないのか、あなたはどういう考身方を持っておられるか、その点を明らかにしていただきたい。
  30. 岩武照彦

    ○岩武説明員 内ケ崎社長のお話は、電気料金の値上げをしたいのだ、不日申請書を出したいという希望の表明だろうと思っております。東北電力の経理が、よその会社に比べてやや窮屈だということは、もう御承知の通りだと思いますが、幸いにしましてここ二、三年来ずっと水が出ておりますので、その経理の悪い状態が隠されておったわけでございます。この上期の決算もまだ終っておりませんが、いろいろ内報によりますれば、たしか東北はこの上期は一〇九%の出水率で、一割二分の配当はかろうじてできるという程度のようで、ほかの会社に比べますとだいぶ苦しいようでございます。まあこれをどういうふうにさばきまするか、実は来年の融通の問題もございまするし、将来における八戸火力の運転開始の問題もございますので、私の方としましては、もう少し慎重に検討してみたいと思っております。どうも例年平水ベースで赤字だという御説明をしておりまして、実際は水が出て豊水になっておるような結論でございますので、その辺の取扱いも慎重に考え態度をきめたいと思っております。目下は白紙でございます。
  31. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 運輸省にちょっとお伺いします。昨日の御説明を聞きますと、鉄道輸送というものはもう何としてもこれが最高の能力であって、一本の列車もよけいに動かすことはできないような実情にあると副総裁は述べておられました。鉄道がそう限度に来てしまって、これより何とも仕方がないということになると、陸上輸送というものをやらなければならぬ。そうなってくるとトラックを利用しなければならぬ。トラックを利用したくても、現在ではあなたの方ではトラックに対して認可制というものがあって、これがまたいろいろな反対があるとか業界の意見がまとまらぬとかいうので、たとい出しても半年か一年くらいたってからだめだと言ってくる状態なんだ。そうなってきているのが現実の姿なんだから、認可制というものを撤廃して、そうして自由にトラック業者をふやしていったらどうだ。そうなったら現在の輸送力なんというものは朝飯前に片づいてしまうというのがわれわれしろうとの考えだが、あなたのお考えはどうか、一つ伺いたい。
  32. 權田良彦

    ○權田説明員 実は私、鉄道監督局長でございまして、自動車局長ではございませんが、大体のところはわかっておりますので、かわってお答え申し上げます。  昨日御説明いたしましたように、現在のトラック営業者の輸送力というものは、年間輸送力においてはなお余剰輸送力を持っておりますので、さしあたってはこの余剰輸送力の活用に努めたい。このために、昨日も申し上げましたように、各地方陸運局、陸運事務所を動員いたしまして、この手当をいたしたいと思っておるのであります。今お説のございました免許制でございますが、御案内のように、この輸送事業というものが公益事業として、やはり免許を要する事業として、これを規制いたす必要がございますので、免許制を撤廃するということは考えておらないのでございます。この免許制の運用につきましては、道路運送法等によって免許基準がございまして、その地区その地区のいろいろな適格性によって判断をいたしておるのでありまして、最近においては、御指摘の事例のこときも、その処理においては相当進捗いたして、ただいたずらに長く時間をかけておる状況はあまりないと存じまするが、なお一そう留意いたしますとともに、今回の推置といたしましては、この輸送繁忙地帯に対しましては、他地区の貨物自動車を貸し渡すとか、また臨時免許の措置等をも考慮いたしたいと考えるのでありまして、何とぞ御了承を賜わりたいと存ずるのであります。
  33. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 規制するのは何が目的のために規制をしたか。混乱を防ぐということ、補償という点についてあやまちがありはしないかということが原則である。そうすると、このごろはたとえば事故があっても、そのみずからは支払い能力がなくても、補償法というものができておる。これは完全に補償をしておる。そうなってくると、これは届出にして、どんどん営業させていくということになる方が、輸送という問題については一番簡単に問題の解決がついていくのだ、こういうふうに私は考える。ですからあなたの方がその規整法というものを作った根本の精神を今日まだ持続するというところに、考えの間違いが起きてきておる。であるから今日の滞貨ができてきておる。日本の鉄道というものは、私が申し上げなくても、御承知の通り、単線である。複線なんというものは何カ所もないのだから、これをより以上動かそうったって無理だ。この間うちからの事故の頻発の結果から見ると、やはり無理がたたったものだと最後に述べておる。無理がたたっておるのであるから、鉄道はわれわれたよるわけにはいかないのだ。だからどうしてもトラックを利用しなければならぬ。トラックを利用するのには、この免許法というものをなくしてもらわなければならぬ。それを届出にしてもらって、そうして自由潤達に営業さしていくなら、必然的に競争も激しくなってくる。そうすれば今日ある程度損をさせなくてもやっていかれると思う。であるから、どうしても経済の基盤が大きくなるに従って、この規整法というものは当然改正すべきものである。しかるに今日に肇っても出初と同じような気持で、この規整法にたよって、免許を与えるというところに大きな間違いが生ぜられておるのでありますから、こういう点をあなたは直してもらわなければならぬ。そうするとあなた方の毎日のきのうの副総裁の泣きごとみたいなものを聞かなくても、なんぼでも持ってきなさい、鉄道輸送力は、中小企業であろうが、大工業であろうが、どこも困るところは一つもなくなってくる。こんなにたくさんのあなた方の資料をいただいても、そういう点はちっとも触れていない。今免許してあるものをどうにか使う考えだというようなお言葉のようでございますが、新たなるお考えをお持ちではございませんか。新たなるお考えを聞かせていただきたい。
  34. 權田良彦

    ○權田説明員 お答え申し上げます。各交通機関にはそれぞれの特性があることは先生方御承知の通りでございまして、昨日申し上げましたように、具体的にそういう適格な貨物を、できるだけ緊急措置を講ずるのでありまするが、そのものによりまして、やはり鉄道でなければ運べないものもあり、どうしても鉄道で代替できないものもございます。おのおのその貨物の種類なりその運ぶ扱い方なり、あるいはまた取引の関係なり、いろいろな経済的あるいは物理的その他の条件で、それぞれの力に応じて補足し合う限度がございますが、自動車においてそのことごとくはみ出した数字を処理してしまうことは困難かと存じます。従いましてそのでき得る限りの限度において昨日も申し上げ、ただいまも申し上げたような処置をいたしたいと思うのであります。なお重ねて申し上げますると、その自動車の免許のやり方でございますが、御案内のように、自動車がこの世の中に現われて参りました当初には、これはいずれも自由にごく微弱にお使い願っていたのでありますが、その後経済の発達、交通機関の発達によってこういうことに相なったのでありまして、やはり今日でも自家用は、自分の工場なり商業なりの御必要に応じて自分の荷物をお運びになるものと、一般のものを相手にいたしまして、貨物を受け付けてこれを業として行いますものの間には、おのずから区別があるのでございます。これは世界各国におきましても自動車の発達を見ますと、いずれも日本とひとしくなっておりまして、いずれの国においてもこれを自由に放任してはおらぬのであります。やはり公共、公益事業としてこれに適当な規制を加えることは、公共の輸送秩序を確保し、また福祉を確保する上において必要であると存じておりますので、運輸省といたしましては、この際緊急措置としてそこまで根本的な態勢をくずしてしまうごとは、かえって弊害があると存じているのでございます。
  35. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 鉄道でなければ運べないものもある、それはその通りでございます。御説明を承わるまでもないことでございます。自家用車といっても、中小商工業者として自家用車の買えない部分が何パーセントくらいあるか、九〇%もあるのですよ。あなたはそういうお考えをお持ちになりませんか。そういう部面が日本商工業者の中には九〇%あるということを知ってもらいたい。それから現在の規整法が適当云々というようなことを言うが、あなたはきのうの高碕大臣の御説明と石橋大臣の御説明を承わらなかったからまだわからないのです。とにかく日本経済力がどのくらい大きくなったかということをきのうちょっと早目に来て聞いてくれればよかった。そうすると、おのずからあなたの方でもこれは容易でない、であるから、規整法というものは昔の考え方では相ならぬ、こういうことになるのだと思う。ですから、これと日本経済とマッチしないというところにこういう欠陥が生じていることは明らかな事実である。そうであったならば、あなたの鉄道にこれだけの滞貨があるはずはないじゃないか。あなたの方の計画日本経済基盤が拡大されていくのとマッチしないところにアンバランスが出てきたというのが事実です。ですから、そのアンバランスをどういうふうにバランスをとるか。私はあなたのところの総裁のかわりに私が行って今年一ぱいやったら全部そんなものはなくしてしまう。免許法はなくしちゃってどんどん運ばせてやる。そういうふうに幾らか手を加えるということで考えてみる必要がありはしないか。今のたとえば自家用云々、営業用という点についても、営業用をもう少し簡単に免許を与えて、どしどしと運ばせていくという方法考えたらどうか、こういうことなんです。そういうふうにゆるめて認可を与えていく、そして輸送の混雑を一日も早く直していくというようなお考えはありませんか。あくまで昔のままの考え方、よその国もやっているから、おれの方も昔のままだというお考えか、一つはっきり言ってもらえばいいのです。
  36. 權田良彦

    ○權田説明員 御指摘のように、日本経済が非常に発展をいたしましたことは、私どももよく存じております。これは昨日も申し上げましたように、こういった輸送需要が予感以上に伸びましたことは、経済自立五カ年計画で約二・五%の増送を政府として計画いたしたのでありますが、本年に入りましてこれが予想をはるかに上回りまして、九%くらいの増送に相なっているのであります。これに対して国鉄の輸送力が立ちおくれたことは事実であります。これは終戦後におきまして基本輸送力に対する投下資本が過小であったことが、今日ここに輸送力不足で現われたのでありまして私どもは今後新しい五カ年計画によってこの投下資本の増大を期待しているのであります。また他のいろいろ陸上輸送力を活用いたしますことについては、御指摘通りでありますが、この問題は免許制の可否の問題ではございませんで、免許を運用して参る方の問題でございます。今日までの段階において、貨物輸送においてトラック面においては需要供給の関係において免許のないもの、あるいは適格性その他によってないものがありますが、今日といえども、また今日以後といえども需要供給の関係、適格性の関係においては免許をしないということを申し上げているのではないのでありまして、免許制は運用して参るつもりでございます。さよう御了承願います。
  37. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そこでわかったんですよ、あなたのおっしゃることも。免許をしないというても、免許法で、しなければならないという法律が出ているのに、あなたがしないといったってそんなことが通るような法律を作るのは——法律はこっちが作るのです。あなたの方がそんなことがないとするならば、法律を変えなければならない。であるから今の免許法でやるとするならば、もう少しゆるみを持った考え方をもっていかなければ目的を達成することができなくなる。目的とは何であるか。あなたは今、日本経済の拡大を認めたというのだから、認めたのなら認めたような方向にするには免許をゆるめなければならない。それをどういうふうにする考え方を持っているかということなんです。結論はどうですか。
  38. 權田良彦

    ○權田説明員 免許をゆるめるというお言葉をお使いになりましたので、ちょっと了解に帯しむのでありますが、免許というものはそのつどそのつどの経済情勢、輸送情勢に応じて適正にいたしているつもりでございまして、免許基準に適応いたしますものについては免許をいたしているのでございます。
  39. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 どうしても法律というものがあって、これが法律がじゃまになるためにできないのだからというならば、私の方は法律でこんたものを作るのは朝飯前に作りますから、この次の国会は来月始まりますが、来月これを届出制にしたいという私は考え方なんだから届出制にする。ですからそこまですると、今までの規整というものを、あなたの方の考えているものを乱すおそれもある。であるから免許法というものに対しても言葉が悪ければ、手ごころをするということはあなたは大ごとだか知れないから、その点については幾分考慮をする、こういうような考えがあるかどうかということで一つ結論をつけてもらいたい。その通りだというなら私はあなたの御答弁は要らない。それはどうですか。
  40. 中崎敏

    ○中崎委員 関連質問。今の問題は現在の国民経済の段階においては重要だと思う。従いまして統計資料要求したいと思う。まずこうした営業用トラックの申請がどういう程度にされておって、どういう程度においてこれが承認されておって、現在懸案中のものがどういうふうになっているか。そしてそれを許可するところのテンポがどういうふうな状態であるか。さらに一般には申請をしたいのだけれども、なかなか許可を現実にやってくれないから諦めてだめだと思ってやらないものも相当あると思うのだが、そういうようなものの見込みはどういうものか。そういった資料を早急にお出し願いたい。
  41. 權田良彦

    ○權田説明員 了承いたしました。ただ最後に仰せられました、出したいのだけれども今出さないでいるものがどのくらいあるだろうということは当方では遺憾ながらわかりかねますので、その申請件数並びに処理件数、それに書かれましたいろいろな事由、そういうものは資料にして出したいと思います。
  42. 中崎敏

    ○中崎委員 それでいいと思うのですが、長い間一切の許可権、監督権を握っておられると、大体においてそういう雰囲気というか情勢というものはっかんでおられると思うので、そういう参考意見をつけ加えてわれわれの審議の参考になる資料を出していただ去たい。こういうことですからおくみ取り願いたい。
  43. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それでは私が御質問申し上げた御趣旨でよろしゅうございますか。それでよろしいというなら御答弁が要らなくて、おしまいでございますが、御答弁があるのなら、それは一つ答弁してもらわなければならないと思います。
  44. 權田良彦

    ○權田説明員 お答え申し上げます。当初に申し上げました通り、私は鉄道監督局長でございまして、当面の責任者ではございません。従いまして運輸省の幹部の一員としての、原則を申し上げることは可能でございますけれども、免許基準の運開方針については申し上げる責任の地位におりませんので、その点は御容赦を願いたい。
  45. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 運輸という問題は鉄道ばかりではないのでございまして、数字が示している通りであって、今日のトラックというものがどのくらい大きな輸送力を持つかという点、参員長はこの点についてどうしてその責任者を呼んで下さらないのか。委員長お答えを願います。
  46. 神田博

    神田委員長 明日の委員会にお呼びしておきますから、さよう御了承願います。  次は松平忠久君。
  47. 松平忠久

    ○松平委員 私は、昨日の日本経済の非常な発展ぶりについての説明と、またその現在の降路についての説明を承わったわけでありますが、一般的な問題について若干の質問をしたいと思うのであります。  第一は、五カ年計画の内容と現在の経済発展状況というものは、非常にアンバランスになっておったという点についての質問であります。きのうの説明によりましても、主要経済指標の成長率を見ると、たとえば鉱工業においては約二〇%増、その中でも窯業、金属、機械というものは非常な大きな比率で上昇を見ておるのであります。ところが一方、五カ年計画の当初の毎年の増加率というものを見ると、それよりずっと少い。これを比較してみると、たとえば鉱工業のようなものは二・九倍、窯業は三倍、機械は約四・六五倍というような成長率であるのでありますが、こういう工合にこの比率を見ますと、あるものは五カ年計画を一年で達成してしまうというようなものがあるし、またあるものは二年くらいで達成してしまうというようなものがある。ところがその反面においては、電力鉄鋼、あるいはただいまの輸送というものは、これについていけない。ここに、日本経済の五カ年計画に比べますと、非常なアンバランスが生じてきておるわけであります。一体どういうわけでこういうアンバランスが生じておるのであるか。きのうの高碕長官の説明によると、現在のこの経済発展ぶりというものは自由主義のおかげであるといって、非常に自画自讃いたしておるわけでありますけれども、およそ五カ年計画というような一つ計画の目標というものを立てた場合においては、やはり目標は一つの指針でなければならぬし、その指針に近い数字が期待されなければならぬと思うのであります。ところがその指針の二倍にも三倍にもなるということになると、全くこれは指針じゃなくなって、この五カ年計画そのものがほとんどナンセンスなものになってくる。高い金を出して、時間を使ってこの五カ年計画の数字を集めたりして作業をするという努力、それはほとんどむだになってしまうということになるわけでありますが、そういうむだなことはむしろやらぬ方がいいというふうにも考えられるわけだが、一体どうして、五カ年計画を立てる当初に予見できなかったこういうアンバランスというものができたものであるか。このアンバランスは一体どこに原因があるのかということについてまず第一にお伺いしたいのであります。経企長官がおりませんから、大來さんからお伺いいたしたい。
  48. 大來佐武郎

    ○大來説明員 ただいまの松平先生の御質問に対してお答え申し上げます。  昨日申し上げましたように、確かに最近の動向は五カ年計画考えておりましたテンポを上回っております。ただ、ただいまの、三十一年度の四−八月の対前年増加來をそのまま五カ年計画の年率に比較いたしますと、少し事態が大きく出過ぎるんではないか。長期的に見ますれば、一時的に非常に経済が進む場合もございますし、あまり進まない場合もございます。この表にもございますように、たとえば鉱工業生産指数がことしの四−八月は対前年二〇%増となっておりますが、昭和二十九年度は対前年三・四%しかふえておりません。これは世界的に見ましても、やはり昨日お配りしました資料に、たとえば世界の貿易数量指数というようなものが、一九五、五年は対前年八%増加でございますが、ことしの第一・四半期には対前年一%しかふえておりません。そういうふうに、経済の動きには波がございますので、一時の動きで長期を判断することはやはりまた危険な面があるんじゃないかと考えておるわけでございます。しかし、それにいたしましても、長期的に見ましても、昨日申し上げましたように、年率五%に相応した鉱工業生産の伸びというものは、幾分低きに過ぎたのではないか。私どもも今事務的にいろいろな方面から検討を加えておりますが、幾分低きに過ぎたのではないか、もちろん今後の経過を見なければわかりませんけれども、大体そう考えておるわけでございます。一つには、こうなっております原因といたしまして、現在のこの五カ年計画昭和三十年の夏ごろまで、比較的日本経済も苦境でありました時代に用意された、そのためにそのときの情勢にかなり計画当局も、それから一般の委員の方々も影響を受けていたように見えるわけでございます。また反面からいえば、現在の非常なブームで将来をそのまま伸ばすということも、今度は逆の、拡大された誤まりを犯すおそれがあるのではないか。私ども考えといたしましては、この経済計画も昨年初めて正式のものが一応できたのでございますが、しかしこういう計画方法論なり理論につきましては、諸外国でも国内でも研究がございましているいろ進歩しつつある段階でもございます。またデータが、そういう計画という目的で統計その他が十分整備されていないという点もございまして、こういう点を一つ一つ穴を埋めていくことによりまして、もし今後改訂が行われるとしましたら、さらにそういうものを改善していく必要があると考えております。ただ計画と実績が非常に狂う、しかもそれが短期的に非常に狂ったから、計画の作業自体は全然無意義ではないかというようなお言葉もありましたが、これはやはり経済の先行きの姿を、文句ではなくて数字で描いてみる、それから国民総生産鉱工業生産あるいはエネルギー需要、輸送需要あるいは貿易等の関係を数字的に描いてみるということは、経済の各部門間の関連を明らかにするということで、対策の方向を示す働きがあるのじゃないか。そういう意味でいろいろな意義があるのではないか。たとえばいろいろいいことをたくさん考えましても、それを全体やれるかどうかということはやはり数字的に、予僚の面でも結局予算のワクというものがございますが、そういう意味で数字を入れてみるということに一っの大きな意義があるのじゃないか。さらに今後いろいろ改良いたしていきます場合の、大臣も昨日お答えしましたように、ものさしが全然ないよりはあった方がいろいろ物事の判断が具体的になる、そういうふうに考えておるわけであります。
  49. 松平忠久

    ○松平委員 大へん苦しい答弁のようでございますけれども、率直に一つ御意見を伺いたいのであります。確かにこれは一つの指針、ものさしでありますから、あった方がいいに違いないのであって、それなればこそこういう五カ年計画を作ったのであろうと思うけれども、今私のあげました数字は、なるほど昭和三十一年四月から八月までの数字、あなたの方から出されました数字に基いて聞いたのでありますが、昭和二十五年から三十年の数字によりましても、その年率と五カ年計画の年率とを比べてみても、ほとんど軒並みに大体二倍ぐらいの数字になっているということであって、まるきりものさしが、一尺のものが五寸であるというような変なものさしになったわけであります。こういう五寸のものさしを作るために一生懸命今まで作業をやっておったというわけでありますが、これにも国費をだいぶ使っておるわけであります。使っておりながら出てきたものはこういうものである。これでは全く国費の乱用にもなりますけれども、この作業をするに当りまして、一体どこかに重大な欠陥があるのか、何か事務能力というか、事務に非常に重大な不十分なる点があるというか、どこかに大きな欠陥があるのかということを考えざるを得ないわけでありますけれども、率直に言って、どういうところに一体見落しがあったのかということを伺いたいのであります。
  50. 大來佐武郎

    ○大來説明員 確かに過去五カ年間の実績に比べまして、大体あらゆる指標が目標の半分ぐらいになっておるわけでございます。実はその当時私も直接の担当ではございませんでしたが、当時、昨年計画作成の過程におきましては、やはり戦後は設備がある程度あって、それを修復していけば割合能力がふえていく、しかしもう戦前の能力はほとんどあらゆる部門でフル能力になって参り、今後の能力、生産の拡充には新たな工場、新たな設備を作っていかなければならない、そういう意味で資本の効率といいますか、投資の生産力効果というようなものが下ってくる、それだけよけいな資金が要るというような考え方から、今後は過去五年ほどの伸びはないのじゃないか。それで特に二十九年度が、ここの表にもございますように、国民総生産も対前年度三・二、鉱工業生産指数も対前年度三・四、鉄道の輸送量なども前年よりマイナス一・一というような非常に沈滞した情勢のあとを受けておりまして、それが基準の年次に使われておるというようなことで、計画当局あるいはいろいろの委員会の方々も、ややその現状の不況を将来に延ばしたという点。それから国際情勢の判断といたしましても、たと、えぱこの産業総合指数、第一表の別の紙にございますが、一九五四年の鉱工業生産は対前年一〇〇でございまして、伸びがゼロでございます。こういう情勢が国際的にも出ておった、そういう点で国の内外の情勢にやや影響を受けた、これをかなり長期的な情勢と判断したところに一つの大きな誤まりがあったのではないかと思います。なおいろいろな資料について十分なデータが集まっていなかった、ことに海外の資料について十分データが集まっていなかったという点もあるかと存じますが、おもな事情といたしましては今申し上げたようなところにあるのじゃないかと判断しておるわけでございます。
  51. 松平忠久

    ○松平委員 海外の事情資料についての不十分ということについては、それはあり得るかとも思いますけれども、しかしきあうの説明によりましても、イギリス、アメリカその他の国々においてそう大きな判断の違いというものはなかったように思うのです。そこでむしろ内側に何か欠陥があったのではないかというふうに私たちは見たいのでありますが、一体こういうものを策定するときは、関係各省から資料を提供させる、それをあなた方の方で数字的にいろいろ積算してみるということであろうと思いますが、この中で大きく違っているのは、これは天候に支配される——なるほど農林省関係のものは天候に支配されますからちょっと予測できないと思いますけれども、その他のものはある程度予測できるのではないかと思う。そういたしますと、この数字の違っておるところの基礎というものは、通産省から出た数字がもとになっておりはせんかと思うわけですが、一体そこはどうですか。もしそうだとするならば、これは通産省に相当の責任がなければならぬということになるわけなんでありますが、その辺は作業の数字をあなた方は一体どういうふうにでっち上げておられるか。
  52. 大來佐武郎

    ○大來説明員 実はこれは、企画庁と関係各省とはほぼ一体になって作業をしておりまして、基礎データは関係の各省から出していただきます。たとえば鉱工業生産については主として通産省から資料の御提供を願っており、それで企画庁の内部でも検討し、また経済審議会というものがございまして、それに各部会——生産部会とか建設、交通部会とか、そういう部会ができておりますので、そういう部会にも諮りまして一応数字を固めたということになっておりますので、責任と申しますと連帯責任になろうかと思うのです。
  53. 松平忠久

    ○松平委員 連帯責任だということになれば、ちょうど通産大臣もおいでですが、通産大臣はこの数字を見てどういうふうにお考えになっているか。これは主として通産省から出ている数字で、鉱工業関係はほとんど通産省の数字だろうと思うのですが、五カ年計画を立てられたときからその後においてこういう工合に、アンバランスというか、初めの計画以上に非常に伸びてしまったということについては、一体どういうところに一番大きなウエートがあったか、原動力があったか、それをどういうふうにお感じになっているか、率直に御見解をお伺いしたいと思います。
  54. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 なかなかむずかしい御質問ですが、ほんとうの話が、大体将来の予測というものは神様以外にはわからないのです。それが、戦争前においてはそういうことで、結局各企業家が自分の判断でいろいろの企業をやって、それが総合されて全体の経済になった。それが戦後は、いまの、計画をもう少し数学的に、ある機関において統合的に作ろうという機運が世界的に動いてきた。ことにアメリカ影響でしょうが、これは初め日本でやっておったことであって今企画庁の方でも言われたように、大体戦前における経済の伸びというものは、アメリカとか日本とかいう、割合に新しい国が年五%、それから英国とかなんとかいう欧州の少し古い国においては三%というのが常識になっております。五%以上の伸びというものは非常に大きいのですから、一つは常識として、おそらくこれを作ったときには、五%程度というものはかなり大きな考え方ではないかと起案者は思ったろうと思う。そういう点もすでに戦後の、ことに最近の世界の経済の伸びというものについては、その当時ほとんどだれも予測しなかったのではないか、そういう前提の頭があって、従って数字というものが大体小さく小さくと見身、ことにその時分は日本はどうもこんなに人間ばかり多くてどうにもならないというような気分が国民一般に浮かんでいた時代ですから、むしろ小さく見えたんだろうと思います。私はこの計画というものは一応の標準であって、こんなものはむろん突破するのがいいことである、こう初めから思っております。ほかに別段ないだろうと思います。
  55. 松平忠久

    ○松平委員 今の通産大臣のお言葉によると、自由主義的考え方を率直にそのまま申されたわけでありまして、その点がわれわれと非常に違うわけなんだけれども、将来のことは神様でなけ出ればわからない、なるほどそれは抽象的にそういうことが言えるかもしれない。しかしながら計画の目標というものを作るのには、やはりそこに一つの目標があるのであって、その数字をできるだけ正確なものを判断して、それでなければ一体目標じゃない、計画でも何でもない。神様しか知らないというようなものを作るのだったら、それこそそんな者に月給を払って作ってもらう必要は一つもない、こういうふうに私ども考えるわけです。やはり正確なものを作っていかなければならぬ、こういうふうに思うから今までも、今も、また来年もやる、こうおっしゃられたと私は思う。そうしますとやはり計画の基礎になる数字というものを正確に把握することに関係各省の者は努めなければならぬ、こう私は思うのですが、その点はどうも少し考え方が大臣と私とは違うので、それ以上これは追究しないつもりですが、この五カ年計画に関連してお伺いしたいもう一つの点は、物価の関係であります。これを作るときに物価は大体、あの作業の当時の物価よりも引き下げるということを前提として作ったのだということを五カ年計画のあの前文には書いてあるわけであります。ところが物価はそういうふうにして下げなければならぬということを言っておるにもかかわらず、その後の物価はむしろジリ高になっておる。先ほど石炭局長長谷川君の質問に答えたわけですけれども石炭にしてもその他のものにしても、できるだけ下げなければならぬということを前提としてやっておる。ところが最近の物価は鉄鋼なんかの非常な好況ということにも刺激されたということで、七月、八月ともに二・五%程度上っておる。ことに生産財が上ってきて、九月になると百七十円を突破したといって驚いておられる。ことしの一月から九月までの生産財の上り方というものは、企画庁でお調べになっているものでも二二%上っておる。こうやってこのままほったらかしておけば、これは大体一年間に二割も三割も上ってしまうということになると思うのです。そういったら結局輸出も減退するということになるであろうし、一般の経済、国民生活を圧迫するということにもなるわけなんだけれども、この物価高の点については一体どういうふうに考えてこの作業をやられたか、こういうことをまたお尋ねしたくなるのであります。
  56. 大來佐武郎

    ○大來説明員 短期的な物価につきましては私より調整部長の方が担当でございますが、この長期の計画につきましては経済計画の前提の第九条として、物価については極力引き下げの方針がとられるものとするという一項がございます。しかしこれは物価水準という意味よりも、むしろ日本生産物の海外市場の競争力を高める、そのためのコスト引き下げという意味でここに出ておるわけでございます。実は先般日本に参りましたヴォイチンスキーという経済学者もこの日本計画を見せてくれというので、その意見を聞きましたときにも、物価水準を全体として引き下げるということは、政策としてはおかしいというようなことを申しておりましたけれども、ここにありますのは価格、特に海外輸出商品のコストを下げるという点がねらいになっております。表現は確かにその点誤解を生ずるような表現になっておると思うのであります。それからこの最近の動きにつきましてはいろいろ問題がございますが、ただ今までのところ幸いに生計費の方は、消費者物価の方はほとんど動いておりません。卸売物価は、その品物によってでこぼこなんでありますが、主として金属の値上りと建築材料値上りのために物価指数が非常に上っております。もしかりに鉄鋼価格が今後下るということになりますと指数も落ちつくか、ないしは下ってくることになるのではないかと考えるわけでございます。  それから長期計画に物価の問題をどう入れるか、これは実にむずかしいことで、私ども考えあぐんでおるのでありますが、オランダの経済計画では、物価の条件を最後に入れて計算をするという考え方を取り入れております。ただ実際の計算が非常にむずかしいということになるのでありますが、われわれの現在の能力といたしましては一応実質価値といいますか、リアル・ターム、これで計画するよりほかにどうも技術的にやれないのじゃないか。将来もっと研究が進みますれば、できるだけ価格の条件というものを考えに入れていきたいと思っておりますが、今のところは一応実質価値で計画を立てるというやり方をとっておるわけでございます。
  57. 松平忠久

    ○松平委員 原材料が高くて消費物価は安いということを今あなたは言われたが、現在の状況はまさにその通りであって、原料高の製品安ということで今困っておる。このままでだんだん進んでいくと、そこに一つの行き詰まりがきて、消費資材を作っておるものが倒れていくということにならざるを得ない。ただその原因も鉄鋼の増産ができればあるいは下るかもしれぬ、こういうあなたの御説明でありましたが、しかしほかにもずいぶん物価高になる要因があるのであって、たとえばさっきの質問にもありましたが、東北電力で上げなくてはならぬということを言っておる。きのうの国鉄の小倉副総裁の説明によりましても、大体貨物運賃を上げなければならぬというところにすべてのポイントを置いて説明をされておったように思う。そうするとここで貨物運賃が一割五分くらい上っていく。電力も上っていく、ガスも上っていくということになると、そういった関係においてコストは上っていくことになると思う。国鉄の方がおられますが、一体鉄道運賃というものは上げるつもりであるかどうか、それをお答え願いたい。
  58. 石井昭正

    ○石井説明員 国鉄運賃につきましては、私ども三年ほど前から現在の運賃では十分な設備の取りかえ、輸送力の増強に対する設備資金というものが不足いたします。ぜひこれを是正していただきたいという気持で、毎年いろいろお願いしておるのでございます。諸般の事情で今日まで延び延びになっておりますが、本年度はどうやら現状の収支でもってこれをやっていくこともできます。しかしながら設備資金に投ぜられます額が僅少でございますので、当面の輸送力の拡充にも事を欠く次第でございます。ぜひこの際運賃の改正をお願いしたいという気持を持っておるわけでございます。
  59. 松平忠久

    ○松平委員 国鉄の運賃の改正——主として貨物運賃だろうと思いますけれども、今国鉄が希望されておられるところの運賃の値上げというものは、いつから、また一体何%くらい上げたいという気持なんですか。
  60. 石井昭正

    ○石井説明員 私どもは、できますれば一口も早くという気持は持っておるわけでございますが、これは国会の御審議を経てやることでございますので、ただいまのところではいろいろの御都合もございましょうが、おそらく明年度からになるのではないか、かように考えております。それから率につきましては、いろいろと検討いたしておりまして、まだ結論が出ておりませんが、大体二〇%程度ということでございます。
  61. 松平忠久

    ○松平委員 今の物価については保留しておきます。大臣が時間がないそうでありますから、私ちょっと大臣にお聞きしたいのですが、日本の五カ年計画、そういった目標を是正するとしまして、来年度、再来年度、さらに計画を作って経済発展をはかる、こういう行き方であろうと思います。ところが世界の情勢を見ますと、大体広地域ブロック経済方向にやはり逐次進んでいく、私はこういうふうに見ておるわけでございます。きのう大臣のおっしゃいました日本経済の将来の拡張というものを、海外投資等に結びつけていかなければならない。たとえば南米、東南アというようなところに鉄鉱、その他の鉱山を経営するとか、開発するとかいうようなお話があったのでありますが、そういうことに関連しての質問なんであります。私はやはりアメリカそれからヨーロッパ一つの共同の経済地域ブロックというふうな方向に、まず今後十年くらいたてばいくだろうと見ておるわけなんです。それから中共、共産圏というものは、御承知のように十カ年、十五カ年というああいう計画経済をやってきておる。そこでやはりそこに自然と一つの広地域の経済が成り立っていく。お隣の中共におきましても、一つの国においてそういう方向に向う。ところが日本は現在アメリカのひもつき的な経済の範囲内に包含されておるような形になっておるが、これを何とかして輸出面の転換等をはかって、早くアメリカからの独立というか、自立をはかっていきたい、こういう考え方で現在やっておるわけでございますが、この小さい、資源のない日本の国で、貿易によって立国していこうという場合においては、やはり一つの目標をどこかに定めて、その方向に漸次強力なる経済協力態勢というものをしいていかなければならぬ、こう思うのです。そういう場合に南米というような非常に経済の地域の違った方面、距離の遠いところに行くというようなことよりも、近いところに行かなくちゃならぬわけであって、地理的ないろいろな条件からいきましても、やはり日本はどこか近いところに、一つのブロックの中に日本自体が入り込んでいかなければならないというようなことが、十年、十五年後には当然現実の問題として起らなければならない、こういうふうに私どもは見ておるわけでありますが、日本の将来の経済の分野というものを、どこに求めていくべきであるかということについて、大臣は何か御見解なり御感想なりあられるかどうか。日本経済を一体どういう方向に結びつけながら今の発展しておる経済を持続し、さらにこれを発展させて、われわれの生活を向上させていくか、この点について大臣の見解を承わりたい。
  62. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 松平君の今の御質問も非常にむずかしい問題でして、重大なことであります。なるほど欧州はだいぶブロック化する、これは昔から御承知の通り、ずいぶん長い間の縣案であってそれがある程度実現するかのような状況に見えます。それから共産圏というものも、あるいはある程度ブロック化するでありましょう。日本としては、今のところで特に昔のような、戦時中一時行われたような東南ア方面を取り入れた方向経済を作るという考えをわれわれとしては今現に持っておりません。しかし実際上の問題としては、中共の方面の貿易というものもさることながら、やはり東南アジアというものに相当重きを置かなければならぬじゃないか。あえてブロック経済とは申しませんが、東南アジアの地域に力を注いで、経済提携の実を実際上上げていくということにいたしたいと思う。ただ中南米というものも、これは現在においては日本との関係が非常にいいので、そこでかつ資源も相当あります。距離が遠いことが難点でありますが、しかしこれはやりようによっては中南米地域の経済を開発するということは、日本が将来ある程度の資源を得るという上においても、また日本の製品のマーケットを作る上においてはむろんぜひ必要でありますから、中南米という方面あるいは中近東という方面もこれは決して閑却はできない。東南アだけに集中するということは必ずしも利益でない、かように考えておる次第であります。今のところでは特に東南アとブロックを作るという考えではなく、東南ア地域にはむろん大いは力を注いでいきたいけれども、実際問題としてそうなかなか急に進められるものではありません。ほんとうに日本の進出を希望しておる中南米あるいは中近東という方も、日本としては今日その舞台を作る素地だけは相当残しておかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  63. 松平忠久

    ○松平委員 今のお考えによると、大体日本人の行くことを歓迎しておるところはどこでもいい。ただし東南ア方面は地理的関係もあって、相当重要性を持っておるから、それにも相当の力を入れていきたい、こういうお考えのようであったわけであります。そうであろうと私も思っておるわけであります。そういう場合に、やはり一つの配慮と申しますか、日本の行き方としては、アメリカ依存の経済を漸次少くしていって、そういう少くしていくということをもって東南アに行かなければならぬ。アメリカと非常に深い関係を作りながら東南アに行くということは非常に危険じゃないか、私はこういうように見ておるわけです。すなわちアメリカ経済力日本が使って東南アにこれをやっていく、こういう考えは今一部の人が相当考えてやっておるようなふうにも見えるけれども、それはなかなかうまくいかぬ。やはり日本は、東南アなら東南アに溶け込むというような考え方でもって進んでいかなければ、これは一つの限界が来てしまう。バンドン会議方向を見ておっても、あれが一つ方向だろうと思うのですが、あれをもっと具体化していくということに日本もおくれないような態勢が必要だろう。場合によっては、さらに一歩を進めてバンドン会議のあの考え方をもっと具体化するために、日本が一役買うというところまで、日本の態勢を整えていかなければならぬ。内治外交においてそれをやっていかなければならぬ、こういうふうに私たちは見ておるわけであります。それをもっとテンポを早めながらやっていく必要があるということが私たちの考えであります。  これはただ意見を述べただけであって、この上大臣の考えを聞こうとは言いません。大体大臣も同じようなことを——言葉の表現は違うけれども、言っておられるように思う。そういう方向でいくべきだ、こういうふうに一言私の意見を申し上げまして、質問は一時打ち切りたいと思います。
  64. 神田博

    神田委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明十九日午前十時より開会する予定であります。  これにて散会いたします。    午後零時三十一分散会