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山本(勝)
委員 おそらくそういうふうに
考えられたに違いないと私も思うのでありますが、実は先般
予算委員会のときに、私は
法制局を呼んで、すでに
百貨店法案というものが
提案されているのだから、
法制局においてもこれを審議したに違いないと言ったところが、審議したという。そこで、自由の
制限は、
公共の
福祉に反しない限りやってはいけないのに、どういう
意味で
公共の
福祉に反するという
解釈をしたのかということをお尋ねいたしましたところが、
法制局の
局長はほかに用事があって、
部長でありましたか、見えられまして、こういう答弁をされた。それは、
日本における
中小商業者というものは非常に数が多くて、いわば
日本の国の
経済のバツクボーンをなしていると
解釈する、
背骨をなしている、この
背骨を大事にしないと
経済がくずれてしまうから、この
背骨を打ちこわすような力というものを排除しなければ
経済が倒れてしまう、こういう
意味のことで、私らから見ればいささかこじつけと思いますけれ
ども、一応そこで切り抜けようとしておられるようでありました。かりにその
活動が不正不当でなくても、全国で百数十万もあるところの
業者がそれによって倒れてしまう、
国民経済の
背骨が折られてしまうというようなことでありますと、非常の措置をしてでもそれに対する
打撃を排除することは、
公共の
福祉の
立場から十分に
理由があると私は思うのですが、ただ私の調査によりますと、
わが国における全
小売業者の中で、五十坪以下の
店舗の
業者がどれくらいあるかといいますと、全体の九九・六%を占めている。
いなかは、
皆さんが頭でちょっと想像なさってもわかりますが、大てい十坪以内である。
つまり十坪といえば二十畳敷でありますが、二十畳敷あるいは三十畳敷なんという
店舗の店はよほど大きい方です。東京でも
神田から
日本橋にかけて見ましても、
小売業において五十坪以上、
つまり百畳敷以上の
店舗を持っておる店というものはそうありません。ですからこの九九%以上を占めておるものが非常な
打撃を受けておる、
経営困難になっておるという場合にはこれを救済するということは私は必要だと思う。思いますが、これがどうして困難に陥っておるかということで、これを救済するには
効果のある
方法をとらなければならぬ。これは過激な
競争というか、破滅的な
過当競争というものによって
経営困難になっておるのであります。そうしますと、都会において干坪以上、
いなかにおいて五百坪以上の店の
新設拡張を押えてみましても、それ以下のものは全く自由だ、
購買組合も全く自由、それから
中小商業者の
お互い同士の
競争も全く自由だというような、こういう
立法をしました場合に、この
法律によって得られるところの
利益と、この
法律によって失われるところの価値というものとを比較して、果して
プラスになるか、
マイナスになるかということを私は
考えるのであります。
マイナス面としては、御
承知の
通り、自由、
基本的人権というものをやむを得ず押えようということ、これは
憲法の、
民主主義の
一つの
原則に対するある程度の例外をそこに認めようという点も
一つの重大な問題であります。もう
一つは、合理的な
経営をやって
能率を上げてそうして
能率の上らないものよりも成功するものを押えるということは、
経済の進歩あるいは
秩序の
原則に対する
一つの非常に大きな変革でありますから、これもやむを得ず行う場合は
ほんとうにやむを得ないのであって、これも
一つの
マイナス面であります。それと比べて、これらをやった場合に果して全体の九九%余りを占めておる
業者にどれだけの、
つまりそれらの生活ないし
経営に
プラス面をもたらすか。
ほんとうにそれらを助けるということは私も必要だと思うのでありますが、それならば税を安くするとか、
金融の面のいろいろな
めんどうを見るということを別にいたしましても、この
一つの自由を
制限するというやり方から見ましても、千坪以上押えるとか、
地方において五百坪以上押えるというのではなくて、九九・六%を占めておるものを助けるためには、少くともそれ以上のものを、これは
憲法上の基本的な問題ですから、永久に押えるということはできませんが、一時
過当競争をストップさせて、そうして息をつかせる、このための有効な
方法としては、少くとも私は五十坪以上、すなわち百畳敷以上の
店舗を持っておるものを
制限するという方がはるかに
効果があると思う。それが非常に
めんどうだというのならば、もう少し上げて、
地方においては百坪以上、六
大都市においては二百坪以上のものを押えたらいい。小さな九九・六%を占めておる五十坪以下のものの
競争相手というものは、千坪以上、五百坪以上の
百貨店よりも、
地方においてはむしろそれ以下のものが激しい
競争相手になっておる、こういうふうに私は
考えるのでありますが、何
ゆえに六
大都市においては千坪以下を
規制の
ワク外に置いたか、
地方においては五百坪以下の
商業者を
規制の
ワク外に置いたか。
つまり全体の一%か二%より占めていないものを
ワク内において、そうして九九%以上を占めておるものの
競争相手としてそのまま放置することにしたか、この点を伺いたい。