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1956-04-11 第24回国会 衆議院 商工委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十一日(水曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 長谷川四郎君 理事 中崎  敏君    理事 永井勝次郎君       秋田 大助君    阿左美廣治君       内田 常雄君    大倉 三郎君       菅  太郎君    菅野和太郎君       椎名悦三郎君    島村 一郎君       首藤 新八君    鈴木周次郎君       田中 角榮君    田中 龍夫君       中村庸一郎君    野田 武夫君       淵上房太郎君    前田 正男君       南  好雄君    森山 欽司君       山本 勝吉君    伊藤卯四郎君       加藤 清二君    佐々木良作君       佐竹 新市君    多賀谷真稔君       田中 武夫君    帆足  計君       松尾トシ子君    松平 忠久君       八木  昇君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    大來佐武郎君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      川上 為治君  委員外出席者         参  考  任         (北海道大学教         授)      金沢 良雄君         参  考  任         (日本経済新聞         社論説委員長) 友光 正昭君         参  考  人         (経済団体連合         会常任理事)  堀越 禎三君         参  考  任         (電源開発株式         会社総裁)  藤井 崇治君         参  考  任         (東京電力株式         会社社長)   高井亮太郎君         参  考  人         (東北電力株式         会社社長)  内ケ崎贇五郎君         参  考  任         (関西電力株式         会社社長)   太田垣士郎君         参  考  人         (公営電気事業         経営者会議事務         局長)     弘山 尚直君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 四月十日  委員山本勝市君辞任につき、その補欠として中  山榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中山榮一辞任につき、その補欠として山  本勝市君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として多  賀谷真稔君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  電源開発促進法の一部を改正する法案内閣提  出第一四四号)     ―――――――――――――
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず電源開発促進法の一部を改正する法律案について、御出席参考人各位より意見を伺うことにいたします。  本日は、学識経験者電源開発株式会社電気事業者方々にそれぞれ御出席をお願いしておるのでありますが、御出席参考人方々は、北海道大学教授金沢良雄君、日本経済新聞社論説委員長友光正昭君、経済団体連合会常任理事堀越禎三君、電源開発株式会社総裁藤井崇治君、東京電力株式会社社長高井亮太郎君、東北電力株式会社社長内ケ崎贇五郎君、関西電力株式会社社長太田垣士郎君、公栄電機事業経世者会議事務局長弘山尚道君、以上八名の方々であります。  この際委員長より参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席下さいまして厚くお礼を申し上げます。  申すまでもなく、本法案のおもなる点は、電源開発に伴う増加利益調整に関する規定及び電源開発株式会社社債に対する政府保証規定追加等でありますが、これらは今後の電源開発会社及び電気事業者のあり方にも関係し、また一方電気料金にも影響を及ぼすとも考えられますが、この際御出席参考人方々からそれぞれの立場から本案について忌憚のない御意見を承わり、本案審査参考といたしたいと考えておる次第であります。  御意見御開陳の時間は、一人おおむね十分ないし十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  なお、その順序は、勝手ながら委員長におまかせ願いたいと存じます。  なお御意見御発表の後委員側から種々質疑もあろうかと存じますので、お含みの上お願いいたします。  それでは最初に金沢参考人よりお願いいたします。
  3. 金沢良雄

    金沢参考人 私は、主として本法案改正の問題の中で、下流増利益返還に関する問題について申し上げたいと思います。なおその場合に、主として法律論とでも申しましょうか、そういう観点から申し述べたいと思います。これに対して立法政策論的な立場からの御意見は、おそらく他の参考人方々からいろいろお話があるだろうと思いますので、私は主として法律論的な立場から申し上げてみたいと思います。  そこでまず第一に、下流増利益返還法的根拠ということについて一般的に申し述べまして、第二に、本改正法案における下流増利益返還に関する措置が、どのような性質のものであるかということについて述べ、第三に、本改正法案につきましての立法技術あるいは運営上の若干の問題などについて申し述べたいと思います。  そこでまず第一に、下流増利益返還法的根拠ということでございますが、下流増利益返還ということが当事者の間の契約、つまり話し合いによって行われます場合には、おそらく問題はなかろうかと思います。ところで、この話し合い、つまり契約によらない場合に、その返環がどのような法的根拠によって行われ得るかということにつきましては、大体二つの面から考えることができるであろうと思います。その一つは、民法上の不当利得返還ということに根拠を求め得るかどうかということであります。その二は、公法上の受益者負担ということに根拠を求め得るかどうかということであります。  そこで、まず現行民法正面の解釈から申しますと、不流増利益不当利得と解することはおそらく困難な場合が多いであろうと思われます。というのは、下流増利益不当利得成立要件、たとえば他人の損失による利得とか、法律上の原因のない利得であるとか、そういうような要件を満たし得ない場合があると考えられるからであります。ただここで一つ考え方といたしましては、あたかも不法行為による損害賠償につきまして近時公平の原則に従い、無過失損害賠償責任が認められるように、不当利得につきましても、民法上の正面からの要件に欠けている場合にも、利得返還を認め得るのではないかという見方はあり得るだろうと思います。そして、もしこのような公平の原則に従う利得返還考え方が可能であるとするならば、たとえば鉱業法における鉱害償規定がございますが、このような規定のいわば裏返し的な意味での規定を設けることによって立法的に解決をするのも一つ考え方であろうと思います。ただ今日の状態におきましては、このような措置につきましては判例の裏づけもございませんので、かかる立法的解決をはかることはいささか飛躍に過ぎるのではなかろうかという懸念がいたします。  そこで第二に、受益者負担ということに根拠を求め得るかどうかということであります。公法受益者負担ということは公用負担の一種でございまして、公用負担ということは、御承知のように特定公益性のある事業のために強制的に人民負担をかけることでございます。そうして受益者負担はその上種といたしまして、特定事業から特別の利益を受ける者に対して、その利益を受ける限度に応じて金銭的給付義務を課するものであると解せられております。ところで、公用負担を課します権利国家的公権でありまして、国家に属するものではありますけれども、これを行使しますことは、国家みずからが行うということが必ずしも要件ではないとされておりましてこれを地方公共団体、ときには私企業にも、それが公益性ある事業を行うものに与えることができるとされております。たとえば土地収用法による場合たどでありますが、これは一般公用負担特権といわれているものであります。従いまして公用負担の一種である受益者負担につきましても、地方公共団体私企業にこの特権を与えることも可能であると解せられるだろうと思います。  そこで下流増利益返還について考えまするのに、電気事業公益事業であることはまず申すまでもないことだろうと思いますから、これにつきまして、以上のような意味での受益者負担として下流増利益返還を認めることは、法律論としては一般的に可能であろうと思われます。  そこで次に、第二に、この改正法案における下流増利益返還に対する措置がどのような性質のものとして考えられておるかということでありますが、この第六条の二の、電源開発に伴う増加利益調整に関する規定は、受益者負担として下流増利益調整をはかる立場をとっているものと見ることができるようであります。というのは、そこには 著しく利益を受けるときには、その受ける利益の額を限度といたしまして工事費用の一部を負担しなければならないとい意味規定が設けられているからでありまして、これは、電気事業者電源開発株式会健この受益者負担を課する特権、つまり公用負担特権を与えているものだと解することができるように思われるからであります。このことは、受益者負担を、前に述べましたように解しますときは、まず法理論としては可能であろうと言うことができると思われます。  次に、第三に、立法技術上あるいは運営上の若干の問題に触れてみたいと思います。  第一点は、本案では下流増利益調整は、下流増利益を生ずるすべての場合に適用されるのではなくして、政令で定める一定のものについて適用されるということについてであります。すなわち第六条の二の第四項に規定がございますが、これは受益者負担を課する場合の要件といたしましての公益性ということについて、特にその適用をしぼった立法政策的の立場からの規定であろうと解せられます。そのこと自体は、受益者負担人民に対する強制的な負担であるということにかんがみましてけっこうなことであろうと思うのでありますが、ただこの場合に、政令で定めます場合に、種々事情を勘案いたしまして公平に行われることが望ましいと思われます。  次に、第二点は、負担すべき額は当事者間の協議によって定められるようになっていることについてでありますが、およそこのような場合には、大体協議ができないとき、あるいは協議が成立しないというような場合について、行政機関裁定とかあるいは裁決とかいうようなものによりまして、最終的な何らかの解決をはかることにしているのが通例であります。これによって見ますと、本案にはこのような裏づけが定められておりません。本案ではできるだけ当事者同士話し合いによって事を円満にはかろうという趣旨は十分に理解することができるのでありますが、立法技術的にはいささか不備があるのではなかろうかというふうにも思われるわけであります。  なおさらに関連問題といたしまして、受益者負担としての下流増利益返還上流部施設持ち分及び管理権との関連でございますが、上流部施設につきまして、もし費用振り分けが行われている場合は問題はすでにそこで解決せられていると見られるのでありまして、受益者負担の問題は生じない。従って逆に受益者負担を課せられる場合には、施設持ち分の問題は生ずる余地がないといわなければならないと思います。ただ施設管理権につきましては、これも原則としては施設所有者に属するということになると思われます。従いまして受益者負担を課せられるものは当然には管理権を取得することにはならないであろうと思われます。ただ当事者話し合いによりまして、ある程度管理権を認めることは可能であろうと思われます。ただ管理権が、そのいずれの場合にいたしましても、特に施設所有者が管理する場合につきましては、施設の適正な運営が必要でありまして、この場合には国が十分にその管理権に対して監督を加える必要があろうと思われます。そしてそのためには、たとえば発電用高堰堤規則とか、電源開発促進法による電源開発会社に対する監督規定などが適正に運用せられることが望ましいと思います。  時間が参りましたので私の意見はこの程度にとどめます。
  4. 神田博

  5. 堀越禎三

    堀越参考人 経団連常任理事をいたしております堀越であります。私は財界立場として、下流増の問題が今御提案の中で問題になっている問題だと思いますので、それについて申し上げたいと思います。  財界といたしましては常に電気は良質の電気を低廉にいただきたいということは常に主張しておるところであります。特に輸出を使命といたしております財界といたしましては、この国際競争場裏いよいよ苛烈を加えて参りました現在におきましては、一そう安定した電気がいただきたいのであります。料金の安定、安ければけっこうでありますが、特に現在としては安定しておるものが一番ありがたいのであります。そういう意味におきまして電源開発株式会社が発足いたしました当時、財界としてこれを歓迎いたしましたのは、国家資金を使って無利子の金で低廉な電気が出るということで期待をいたしておったのであります。ところがその後金利のつく金をかなり使わなければならぬということになりまして、かなり当初の期待に反しておるのであります。今度の下流増の問題、財界はとかく具体的にものを考えるところでありまするが、下流増の問題につきまして今後大きく問題になるのは、おそらく電源開発会社がやっておられまする各所の大きなダムについての問題であろうと思うのでありまして、この意味におきましては電源開発株式会社の売られる電気が、できるだけ安くあるべきことをわれわれとしては期待いたしておりますので、その意味におきまして今度の法律案規定せられました下流増の問題について、利益を受けるものがこれを負担するということは当然であろうと考え、またわれわれの期待しておるところだと思うのであります。ただ財界といたしまして、こういう問題は当事者の間において協議してきめるべき問題であって法律にわざわざ規定せられるという点におきましてはいかがなものかという感じはあるのでありまするが、しかし特に大きなダムを作ったときの下流増の問題といったもの、あるいはそれによって受益するものということは、非常に複雑な問題でありまするので、おそらくこの法律規定せられる必要があるのではないかと思います。  さらにそれにつきまして、ただいまも御発言がありましたが、協議がととのわなかった場合にはどうなるのかという問題がありまするが、この場合といたしましては、電気事業は現在国家的な事業として通産省からいろいろ厳重な監督を受けており、おのおの事業法を持っておられるような状態でありまするので、おのずからそこに裁定者がきまるとは思うのでありますが、しかし非常に複雑な問題であり、一般の公平なる基準を作るということも非常にむずかしいので、おそらく裁定という問題を法律規定せられることは、その点において非常に難色があるのではないかと想像いたしておりまするが、しかしこれを何らか公平なる機関に諮問するとかなんとかいうことで公平に裁決する道もなきにしもあらずという感じも受けておる次第でございます。  そういう点におきまして財界といたしましては、とにかく安定した電力、一地区において非常に安く売られましても、また他の地区において高い電気になるといったような不安定な電気は一番困るのであります。ごく安定した電気をいただいて、そうして将来をも見通し得る採算が立ち得るような安定度を確保していただきたいということを強く要望しておる次第であります。  その意味におきましてこの法律案は妥当であるかと存じております。
  6. 神田博

    神田委員長 次に藤井参考人にお願いいたします。
  7. 藤井崇治

    藤井参考人 私電源開発会社藤井でございます。電源開発会社立場から下流増利益に関連する受益者負担の問題について少しばかり意見を申し述べます。  御承知のように、電源開発株式会社は大規模または実施困難な地点国土総合開発、その利用及び保全に関し特に考慮を要する地点、さらに電力地域的需給調整のため特に必要な地点、この三つの目的を持って電源開発を行うために、申し上げるまでもございませんが先年議員立法により設立された会社でございまして、具体的には電源開発調整審議会におきまして、電源開発株式会社開発すべきものと決定された地点につきまして、きめられた計画に基いてその実施に当っておるのでございます。従いまして当社の担当いたしまする工事は、その性質上おおむね大規模ダム建設を伴う貯水池式発電工事でありまして、下流増問題を包含する場合が比較的多いのでございます。この下流増の問題は、従来開発の方式がおおむね流れ込み式であったこと、及び採算的に有利な地点ばかりが開発の対象とされたことから、事実上問題になることが少かったのでございます。従いまして、これがため本来ならば当然法的措置がなさるべきであったにもかかわらず、一般的には今日までこれが放置されてきたものと考えられるのであります。しかしながら、御承知のように旧日本発送電株式会社法におきましては、その事業国家的の性格から、同法の第二十六条に下流増負担の条文が規定されておったのでございます。電源開発の将来を考えますと、当社及び公営電気事業者ばかりでなく、一般電気事業者が行います場合でありましても、大規模電源開発に際しましては、下流増問題を伴うことが往々にしてあることが予想されるのでございます。この際法的措置によりまして将来の紛争の原因を取り除いておくことは、まことに時宜に適したものと考えるのであります。この点につきまして、さらに多少の説明を加えたいと存じます。  第一に申し上げたいことは、過去におきましてわが国水力資源経済性の高い地点から順次開発されて参りました結果、未開発地点として残されておりますものは、第一に技術的に非常に困難なもの、第二に下流増を見込まない限り採算の立たないもの、第三に電力のみの単独目的でなく総合的開発として考えなければならないもの、こういうものが大部分であるのでございます。しかしながら、わが国のように他のエネルギー資源の乏しい国におきましては、天恵の水は一滴のむだもないように利用すべきものであるということは申し上げるまでもないのであります。これがために上流ダム施設者といたしましては、その公共性にかんがみまして常に下流増を考慮することが、責務として要請されるのであります。しこうしてその責務を完全に遂行させるためには、国家といたしましても、法律によって下流増により利益を受けるものの建設費分担義務を定めまして、上流ダム施設者に対し妥当な協力をなすべきであると考えるのであります。この場合下流受益者による工事費の一部負担がなされないといたしまするならば、上流ダム施設者下流増を考えなければ、当然支出しなかったであろう工事費までも負担し一なければならない反面に、もし上流ダム施設者下流増まであわせ考え計画を施工いたしました場合、下流発電所所有者たるものはほとんど労せずして莫大な利益を受けることとなるのでありまして、これは公平の観念に照らしましてあまりにも不合理であるばかりでなく、天与の資源を有効に利用する観点から考えましても遺憾下、あり、同時に電源開発への意欲をにぶらせ、将来国家資源高度利用に支障を生ぜしめないとも限らないと存ずるのであります。特に当社の場合におきましては、下流増受益者であります電気事業者工事費の一部を負担することがなければ、特定下流電気事業者利益のために膨大な国家資金を費すという不合理も生じま上て、また採算を度外視した経営に追い込まれる不都合が生ずるのでございます。  以上申し述べましたように、当社が担当する工事性格上、下流増問題を伴う機会が多いということ、当社国家資金に依存する比重が非常に大きいということ、従いまして当社によって供給される電力は、国民にひとしく均霑さるべきものであるということ、権利義務に関する一般的な基本事項法律によって定めておくべきものであるということなどを考えあわせまして、下流増利益に関連する受益者負担原則はこの際ぜひとも法制化して、将来の電源関発促進造憾なきを期していただきたいと存じましてこの点特にお願い申し上げる次第でございます。  なお今回の電源開発促進法改正の中にもう一つ重要な点は、社債保証の問題でございます。御承知のことく、国家財政事情の変化によりまして当初財政投資の金額が相当多額に見込まれておったのでございますが、逐年減少されまして、昨年度からは三十億円に下ってきたのであります。従いまして電源開発会社の必要といたしまする資金の大部分は、財政融資の面においてまかなわれてきたのでありまして、その大宗は申し上げるまでもなく預金部資金でございまするし、それに政府からいろいろ御配慮願いまして、あるいは余剰農産物の見返り円とか、一あるいは外国映画の蓄積のごときものを利用させていただきまして、今日まで計画を進めて参ったのでありますが、本年度予算におきましては、御承知のことく相当多額社債を発行しなければならなくなってきたのでありますが、申し上げるまでもなく、電力原価は、一にかかって建設費の利息によって影響されるのでございますので、なるべく有利な条件において資金を獲得することが必要なのであります。そういう意味におきまして、政府保証によります社債を発行することができましたならば、いろいろの条件が普通の社債よりもよくなるのでございまして、このことはひいて電力原価を安くするゆえんにもなるのでございます。政府代行機関ともいうべき電源開発会社資金の問題につきましては、さような意味をもちましてまた格別の御配慮が願いたいと存ずるのでございます。  簡単でございますが、私の説明は大体のことをこれで終りたいと存じます。
  8. 神田博

    神田委員長 次に高井参考人にお願いいたします。
  9. 高井亮太郎

    高井参考人 電源開発に伴います増加利益調整に関して、参考人として意見を申し述べよということでございまするが、簡単に要旨を申し述べます。  資源の乏しいわが国といたしまして貴重な水力電源開発に当りましては、他の発電所に対する影響をも考えあわせて当該河川全体の発電水力のなるべく有効完全な利用を確保する方針によって推進するということは、資源活用上当然の要請であると存じます。従いまして特に大規模水力開発に当りましてダム貯水池などを設置し、または改良いたしまする際に、その地点単独経済のみならず、その河川の他の発電施設の効用を増加することを考慮しまして技術的、経済的の総合計画が立てられるような場合におきましては、その達成せられやすいように、電源開発促進の本意にかなう方向に、各関係者大局的見地に立って妥当な協力をなすべきであります。その意味におきましてその計画によって著しく利益を受ける電気事業者は、その利益限度の以内におきまして公平に事業費用の一部を負担すべき・であるということは、理念として当然首肯せらるべきことであると存じます。しかしながら実際問題といたしましては、ダム貯水池等の設置によりまして他に及ぼす利益の内容、上流の場合下流の場合、水を使用する季節であるとか、時間の問題であるとか、あるいはまた利益負担の取扱い方、たとえば経費でいくべきか設備費でいくべきか等の問題、そのほか各場合につきまして、きわめて微妙複雑多岐にわたるのでございます。一方におきまして、本案に対する増加利益調整の業事者は、大体電源開発会社、九つの電力会社、及び公営電気事業者にほぼ限定せられておりまして、その具体的な事例も制約せられた、比較的少数の場合に限られておるのであります。従いましてその間における増加利益調整に関しましては、公益事業者であるところの電気事業者同士が電源開発促進大局的見地に立って、あくまでも自主的協議を重ねて解決することが最も適当であると存じます。以上であります。
  10. 神田博

    神田委員長 次に友光参考人にお願いいたします。
  11. 友光正昭

    ○友光参考人 日本経済新聞論説委員の友光でございます。下流増の問題につきまして私の意見を申し上げます。上流ダムができて、それによって下流の発電所利益を受けたという場合には、その下流の発電所建設費の一部を負担することは原則として当然であろうと思います。その考え方根拠としては、不当利得とかあるいは受益者負担とかいろいろあるようでありますが、私はどちらかといえば受益者負担という意味で、原則的にこれは当然負担をすべきものであると考えます。ことにもしこれを負担しないとする場合にはどういうことになるかと申しますと、すでにほかの参考人の方が申されたようでありますが、総合的な、そしてまた効率的な電源開発というものを阻害するというおそれがある。大きな発電所を作る場合に、下流増ということは当然これを予定して行わなければならない。そうしなければ総合的なまた効率的な開発ということは不可能であります。またこの下流増負担しないとしますといろいろな不均衡が出てくる。たとえば下流の発電所がその上流発電所から電気を買うという場合には、おそらくこれを負担しなければ電力料金の方で負担させられるだろうと思います。しかしもし下流の発電所上流発電所から買わないということになりますと、これはそういうものをいかなる形においても負担せずに済むということになります。従ってそういう場合に不均衡が生じてくる。またよその地区上流発電所で起した電気を売るというような場合には、最近の傾向としますと大規模貯水池式発電所建設費というものはだんだん高くなってくる、水力発電所の新規開発がコスト高を招くということが最近問題になっておりますが、そのため高い電気を買わなくちゃならない。それにかかわらず下流の発電所下流増によって単価は下るというふうな、片方は新しい発電所を作ったために――作ったためにと申しますか、作った結果単価が上り、片方は逆に下るといった点で、均衡を失するというふうなことも起るだろうと思います。そういう意味でこれは原則として下流増というものの利益負担することは当然であると思います。  ただ今回の場合、只見川電源開発会社と東北地方ということがさしあたって当面の問題になっております。そのためにいろいろむずかしい問題も起っておりますが、東北地方の開発ということはこれは重要なことでありまして、私はこの必要を決して否定するものではありませんが、もし下流増によって利益を受けたという場合にその負担をすべきものであるとすれば、その負担をしないで東北地方に安い電気を供給するということは、これは一種の補給金みたいなものであります。従ってこの補給金をある特定会社なり、あるいは結局は会社から電気を買う消費者の負担になるのでありますが、そういう特定会社なり消費者なりがそういう補給金を負担するということは、これはちょっと理屈に合わない。もし東北地方の開発のために何らかの補給金その他の措置が必要であるとすれば、これは他の方法によって行うべきであって、下流増負担をしないで、それによって安い電力を東北地方に供給するというのは筋として少し違ってやしないか、こう思うものであります。  今申し上げましたように、原則としては当然これは負担すべきものである。ただしそれならばこれを実際に、一体その負担額をどういうふうにしてきめるかということになりますと、これもすでにほかの方が申し上げたことでダブるかもしれませんが、これは決定が非常に困難だろうと思います。大体下流の発電所が、上流ダムを作ったためにどれだけ利益を受けるかということは、大ざっぱな計算はできるにしましても、具体的に計算するということは非常に困難である。ことに長期間にわたって――むろんこの利益というものは一年や二年の計算でなく長期間でありますが、その利益を長期間にわたって計算することは非常に困難である。極端に申しますと、将来原子力発電でもできて、下流増というものが、利益でなくて損失になるというふうな場合も、理屈から言えばなきにしもあらず、そういう意味で、長期間にわたって下流増利益というものを計算することは非常に困難であると思うのであります。またもう一つ、下流の発電所を持っておる電力会社が、上流の新しいダム建設費の一部を負担すると申しましても、一体かかったものを、そのままつけ通りに払っていいのかどうか、これはだいぶ疑問だろうと思います。現在行われている各方面の工事につきましても、建設のやり方などについているいろ問題があると思います。でありますから、かりに百億円かかって作ったダムも、やり方によりましては八十億円でできるというふうな見方も決して成り立たないわけではないのでありますから、そういうような場合につけだけを出されて、この何割とか何分の一とかを負担しろといわれても これは困難な場合もあるだろうと思います。そういうふうな点で、この負掛額を決定するということは実際の場合に当って非常な困難がある。従ってこれを法律でその方式を決定するということは、むしろ不可能ではないか。そうなりますと、この法案にありますように協議ということになるのでありますが、負担額を決定することが困難であるだけに、逆に考えれば協議では意味がないということも考えられますが、それは両当事者の良識と申しますか、誠意と申しますか、そういうふうなものに信頼してその協議によって決定するということが最も妥当であると思います。ただその場合、私つおそれることは、それがたとえば電源開発会社と九電力会社のどこか、電力会社間の協議である場合には双方そんなむちゃもまあ言わないだろうと想像し、また期待するのでありますが、片一方が――片一方と申しますか、上流の方が地方公共団体である場合、その場合には私は非常に懸念を持つのであります。現在各地で行われている電源開発というものに対して地方公共団体が、私をして言わしむれば相当えげつないことを言ってせびっている。もしそういうふうなことがこの下流増利益建設費の分担という場合に起りますと、これは非常に話し合いがむずか上くなる。しかも地方公共団体はいろいろ電力会社の首根っこを押えている、それでむちゃを言うという危険を私は非常におそれるのであります。その場合に何かそこで合理的な適正な費用の配分ということをはかる機関が、その場合に限りあるのではないかという気もするのでありますが、その点についてまだ私ははっきり具体的に考え方というものはまとまっておりませんが、ただその場合に非常にもめる心配があるという私の懸念だけを申し上げて、私の意見を終りたいと思います。
  12. 神田博

    神田委員長 次に、内ケ崎参考人にお願いいたします。
  13. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 私は東北電力株式会社の社長内ケ崎贇五郎であります。  電源開発促進法の一部改正法律案のうち、いわゆる下流増の問題について陳述をいたします。その陳述に先だちまして東北電力株式会社の概要をごく簡単に申し上げます。  東北電力株式会社は、昭和二十六年五月電気事業再編成によって発足いたしまして、現在資本金八十億円、東北七県を供給区域といたしておるものであります。昭和三十一年三月末の発電設備は、発電所二百三十七、認可出力約百二十一万四千キロワットありまして、そのほか新増設中の水力発電所四カ所、認可出力十二万キロワットがあります。  次に東北の電源開発について簡単に申し上げます。電気事業の再編成以来、東北電力は急速に電源の開発を行いまして、ここ五年間に認可出力約四十万キロワットの水力発電所建設を行なったのであります。皆様御承知の通り、発電所その他供給設備の建設は、戦後の物価高と、人件費、物件費の膨張と相待って、増高の一途をたどりまして、発電所あるいは供給設備を建設すればするほど、電気料金の原価は高くなる状態となってきておるのであります。私どもは電気事業公共性にかんがみましても、はたまたいわゆる東北地方の文化並びに経済的後進性から脱却するためにも、工業振興の最大の条件である電源の開発をこそ当面の重大使命と考えましてあらゆる路と犠牲とを忍びまして、特に本問題と重要な関連を持つところの只見川の電源開発を敢行いたしました次第であります。只見川の開発に当りましては、たとい下流開発の犠牲が多かったとしても、上流部の奥只見、田子倉の大貯水池建設されることによりまして生ずる下流増を大きな期待といたしまして、東北地方の需用家はもちろん、東北電力といたしましても、田子倉地点の早期開発を待望して参ったのであります。このことは田子倉発電所自体の発生電力並びに下流施設の効用により、豊富にして低廉なる電力を確保することに相なりますので、東北地方の電気料金をして上昇すべき要素を極力抑制いたしまして、豊富にしてしかも安定せる電気を供給して、東北地方の工業振興に資したいとひたすらに念願して参ったのであります。  次に本問題の核心でありますところの下流増につきまして所信を申し述べます。河川の最上流部に大貯水池を設け、これによって下流の施設をして高度の効果をあらしめることは水資源の活用上、最も望ましいことであります。本法案は、同一系統の河川において二社以上の電気事業者が上、下流の関係に立って発電事業を行う場合に生ずる特殊な問題でありまして、上流電気事業者施設したダムの効用によって、下流電気事業者利益を得た場合、その利益限度において、上流ダム工事費の一部を負担せよということだと思いますが、考え方自体といたしましては、きわめて常識的なものでありまして、特に不当というほどのものではないと存じます。しかしながらこれを画ちに立法化の方法によるということは、きわめて危険でありまして慎一屯を期さなければならないと考えるのであります。すなわち立法の基本をなす法概念は、公用負担の一態様である受益者負担の観念をとっているようでありますが、私はしろうとで法律のことはよくわかりませんが、従来の法概念による受益者負担の観念には当てはまらないもの一であるように思われます。もし公平の観念からということでありますれば、この法律の適用を電気事業者にのみ限定した点にも納得しがたいものがあります。  元来電力再編成時における分割方針の建前は、一系統の河川に属する発電設備の管理並びに開発は、一電気事業者の手により一貫して行わしむることとしたことからも、その会社に属する同一河川上流において、他会社が闖入して開発を行うということは通常考えられないことでありまして、このことが許されるのは、ひとり電源開発会社と公爵により行う場合に限られることであります。  この上下流の二者間に限られたまれに生ずる事態をとらえ、従来の法概念や、法秩序を無視して利益返還のための立法をなさなければならないほどの特別の理由と必要があるかというとであります。まれに生じたといたしましても、この種の問題は限られた電気事業者相互間の問題であり、双方の善意と良識によって解決され得る問題であります。このようなものの立法化はそのこと自体に立法上の問題があるばかりでなく、不必要に問題の処理を複雑ならしめるものであって、むしろ電気事業者の良識と自主性にまかせるべきものではないかと思うのであります。  なお法案の内容について見まするに、受益者負担工事費の一部とすることに限定しておりますが、これは電気料金調整してもよいこと、であり、あるいは他に適当なる方法があればそれでもよいのでありまして工事費の一部負担ということに限定しなければならない理由はないように考えられるのであります。また工事費負担利益の総額に対する割合によって定めることになっておりますが、この負担割合はむしろ総収入の比率によるのが妥当でないかと者、えます。原案のように利益の割合により負担することになりますと、総収入から経費を引いて利益を算定しなければならないのでありますが、その経費の内容が妥当のものかどうかの検討をお互いがしなければならないということで、非常にめんどうなことが起きると思うのであります。  さらにこの問題を実態面から見まして、すなわち上流ダムによる発生電力が、下流に設備を有する一社に送電される場合は、きわめて単純に処理し得るものでありますが、下流受益を二社で負担するにかかわらず上流ダムによる発生電力がその一社にのみ流れたり、下流受益を一社で負担するにかかわらず上流ダムによる発生電力が他の会社にも流れたりする場合は、特段の技術と配慮を必要とすることになります。例を田子倉にとりますと、この発生電力は、東京、東北に送電されることと思われますが、この両者の電力事情は、東京は冬季渇水に、東北は夏季渇水に必要とするように、一様でないばかりでなく、毎日の負荷時間も異なるような場合は、下流施設の効用を失うような場合も生じ得るかもしれないのであります。もしこのようなことが生じたといたしましたら、せっかくの水資源の活用は失われ、下流増期待は、その価値を減ずることになるのであります。水資源の有効利用を考えるには、上下流一貫した総合運営によらなければならないのであります。従いまして上流施設の操作は、下流施設の働きを見付いながら行われることが望ましいのてありまして、この目的を果すには、上流ダムの操作管理について共同の責仕を負う必要が生じてくるのであります。従いまして下流増をあわせ考えるようなダム工作物はむしろ利用者間の合意により、ダム工事費を分担して共同管理のもとに高度の利用をはかるべきものと考えられるのであります。また本法案の立法概念が、受益者負色の概念をとるために所有権を認めないとの説もあるようでありますが、本体案は従来の受益者負担の概念によるものでなく、新しい法概念に立脚するものであるとするならば、費用負担相当の持ち分を認めるという新しい法解釈をもってきてよいのではないかと思うのであります。  右屡説のように、立法理念についても従来の法概念を逸脱したものであり、法案の内容についてもなお相当の検討を要する諸点を残上、実態論としても本法案をもってしては処理し得ないものがあるのであります。しかも一方、当事者間の話合いによって解決できないかと申しますと、決して不可能のことではないのであります。従いまして本法案の立法化についてはなお十分慎重を期せられたいと考えますと同時に、政府御当局も電気事業者の自主性を助長育成されまして、この種問題はあくまで当事者間の合意による協議解決するよう御指導を要望いたしまして私の陳述を終ります。
  14. 神田博

    神田委員長 次に太田垣参考人にお願いいたします。
  15. 太田垣士郎

    ○太田垣参考人 関西電力の太田垣でございます。  私は法律専門家でありませんから、法律の専門的のことにつきましては一向不案内でございます。業者としての一般常識から判断いたしまして意見を申し述べたいと思います。  結論的に申し上げますと、私はこの問題は立法化されるほどの問題でなしに、やはり業者間の自主的な交渉におまかせ願えるべき範囲のものではなかろうかと考えております。と申しますのは、この法律の精神といたしまして、受益脅負担という思想が中心になっておるようでございますが、受益と申しましても、たとえば鉄道が引けるとかあるいは幹線道路が引けるとかいたしまして、その沿線の方々が直接にすぐ受益されるというような簡単な性格のものではないのでありまして、この電源開発を要する河川というようなものは、大体その数量であるとか、あるいは落差であるとかいうものは、あらかじめわかっておるものであります。従って下流に発電所建設いたします場合には、一応そういうものも計算に入れて、そして将来上流ダムができたらその水をどういうふうに利用しようかというふうなことまで考えて設計されるのが、今日の一般の常識になっております。たとえて申しますと、私どもの会社で庄川筋の発電所がたくさんあるわけでありますが、その庄川筋の上流に今度電源開発会社が御母衣のダム建設されるわけであります。昨年来、私どもはその下流にたくさん持っておりますが、最近榛原の発電所建設いたしましたし、目下鳩ヶ谷という発電所建設中でありますが、これなんかも、今利用できる水の範囲では大体四万キロの発電所建設しつつあります。しかしながら、上流に最近御母衣ができるということを予想しまして、大体、発電機は別でありますが、他の設備は一応その水がくればそれを利用しなければならぬように、八万キロの設備をして、そして建設をやっておるわけでありまして、こういうふうに大体できたからすぐ簡単に受益するというようなものでなしに、一応設備がされて、しかもそれがその計画によってされておるという、一応簡単な受益でない内容を持っておる受益であるということ、それからいま一つは、もちろん受益に対する還元はいたすといたしましても、その方法においてはこれはなかなか複雑なものでありまして、さいぜん申されましたように、その建設の内容にりいてもいろいろとその場合々々において変化がありましょうし、私どものところで申し上げますと、庄川筋の発電によって出る電気というものは関西の需用家に全部、くわけであります そうしますと今度の下流増による利益というものを負担する際に、できるだけ関西の需用家に対して料金に差しつかえのないような方法をもって受益の負担をすべき一だ、これが私どもの考え方であります。そうしますと、たとえば受益の方法にいたしましても、上流でできた発電所のコストによって、その発電所でできた電気を幾ら幾らの値段で買うがいいか、あるいはむしろそういう値段で買うと関西の料金影響するから長年月にわたって建設費の一部を負担していいかというような問題、あるいはさいぜん申し上げますような建設の内容についてのいろいろな問題、こういうふうな問題があるわけでありまして、従ってこの受益を負担する方法についてもかなり複雑な面がありまして、これはやはりケース・バイ・ケースによって解決しなければならない場合が非常に多い、こう考えるのであります。それからまた一応他の受益者が受益負担をする場合でありますが、たとえば自家発電であるとかあるいはまた下流の灌漑用水に使用される方々であるとかいうようなものがおまじりになって受益者負担をなさるということであれば、一応そういうものの調整上立法化も必要だと思いますが、これはそういう方々の問題ではないのでありまして、上流会社と下流の会社との間の問題であります。これは少し極端かもしれませんが、両者間の内輪の一応道義的な取引ともいうへきものなのでありますから、これはあくまで両者の良識によって自主的に解決し得るものであると考えます。従いましてさいぜん申し上げましたように、受益の内容そのものにおいても一つの複雑性があり、受益の負担の方法についてもかなり複雑な面がある。これを解決する形式についてもただいま申し上げましたようなそういう面がありますので、私どもはこれはむしろ両者の自主的な交渉によって解決を見ることが望ましい、こう考えるのであります。  以上をもちまして私の陳述を終らせていただきます。
  16. 神田博

    神田委員長 次に弘山参考人にお願いいたします。
  17. 弘山尚直

    弘山参考人 私は県営の電気事業をやっております者の代表といたしまして公営電気事業経営会議というのがありまして、それの方の事務局長をやっております弘山でございます。本日は下流増について意見を申し上げるわけでありますが、ただいままでに下流増についての意見が皆様方から出まして、下流増利益を受けるものが負担すべきである、こういうことにつきましては十分意見が出尽しておるようでありますので、そのことにつきましては当然受益者負担すべきであるということを重ねて申し上げることをやめまして、公営の者としての立場から特にその方だけを詳しく申し上げたいと思います。公営の方はただいま経営会議に入っております府県が二十五ございます。今工事中でそのうちに経営会議に入ろうとしておる県を入れますと、二十七になって参りまして、工事計画をやっておりますものを含めますと、三十を越える、こういうことになりますので、県数も将来相当多数なものになるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  さてこの現状におきましては、御承知のように経営会議の方の関係の県でやっております発電事業河川も非常な多目的で使いますところの総合開花でございまして、これが大部分のものでございます。公共事業との関連におきまして発電をする、こういうことか現状でございます。この場合におきまして、この公共事業との関連において電気事業がどのくらい負担するか、こういうことに重大問題があるわけでございますが、これは政令によって方法がきまっておるのであります。その場合におきまして現在までのところ下流で出力が相当に増加する、こういうことについてのはっきりした定めがないために、事業をスタートいたしますときには下流増でこれだけの利益が上るはずである、こういうことで計画を進めておるわけでございますが、その下流からの費用の負担というものははっきりしていない、こういう関係で事業が非常に不安定の状態でスタートする、こういうことが公営としては非常に現在困っておる問題でございます。そういう状態でこの問題はぜひ下流増についての負担をはっきりしたい、こういうことが各県の熱望であります。そこ、でこの負担をいたす方法といたしまして、公営は作った電気を大体その地方の電力会社に売ることになっておるから、そのとき料金話し合いが大体つくのではないか、こういう考え方も一応成り立つのであります。これによりますと、一応のそういう話し合いはつくのでございますが、いろいろの考え方がございまして、県でやっております電力はずっと長い間必ずしも電力会社に全部その電気を売る、こういうふうになるかどうかということもはっきりいたしておりません関係上、ずっと将来のことまで考えますれば、やはり豊田の負担をはっきりしておいた方がよろしい、料金だけでは話がつかない、こういうことがまた一つ考えられるわけであります。  さらに最近の公営におきましては、一つ電力会社に関係があるということだけで済まない例も出て参っておるわけでありまして、作りましたダムの下流に違う電力会社発電所が二つ以上ある、こういうケースも現実に起ってきております。そういう面からも、電力料金では片がつかない、こういうケースが出て参っておる次第であります。以上のようなことで電気事業を公営でやります場合に、どうしても下流増利益負担につきましては、やはりはっきりとしたものにして、将来紛争を残さない、こういうことを熱望しておる次第でございまして、ぜひこの法案を通過させていただきまして、事業経営を安定させたいということを熱望しておる次第でございます。  きわめて簡単でございますが、公営の立場からの意見を申し述べた次第でございます。
  18. 神田博

    神田委員長 それでは質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。小笠公韶君
  19. 小笠公韶

    ○小笠委員 ただいま参考人からまことに貴重なお話を伺ったのでありますが、その御公述の内容を伺いますとき、電源開発促進法の一部改正問題において、問題の焦点でありまする下流増利益負担関係におきましての。法律構成の問題が第一点であります。法律構成の問題に関連いたしまして、先ほど金沢さんから詳しく法理論的なお話があったのでありますが、その際に公法上の受益者負担の理論でいこう、それによって説明ができるのではないかという御陳述があったようでありますが、この公用負担特権によって説明が十分にできるかどうか。たとえばよく聞かれるように、一つの停車場ができる、その付近の商店地区の地価が上るというふうな場合とどれだけの相違を持っているか、そこらのいわゆる公用負担特権の問題として、特に電源開発に関連してのみこの理論で説明できるかどうか、その点をまずはっきり伺いたいと思うのであります。  さらに第二点といたしまして、本問題に関連して問題の焦点になっておりますことは、内ケ崎参考人からお話のように、この公用負担特権を伴う場合においては、法律概念から見て、当然に一つ持ち分権を持ち得るのではないか、あるいはまた持ち分を前提としての上流ダムの共同管理権を持たすべきではないか、こういうふうなお話があったようであります。これに対しまして金沢参考人は、持ち分は当然には生じない、管理権においても管理権自体は当然に所有者によって管理すべきであるというようなお話があったようでありますが、ここらの点につきまして御陳述の相違点があるようであります。こういう点について金沢参考人は、純理論的に見てどういうふうにお考えになるか、この点をお伺いいたしたいのであります。  それから第三点といたしまして実は私個人といたしましては、公用負担特権に新しい経済政策的規模を入れた法理論説明すべきものと考えておるのでありますが、そういう際におきまして、立法技術の問題といたしまして、負担義務を課すると同時に、その負担の問題につきまして当事者協議に待っておる。ここに立法技術士、万一協議不可能な場合、あるいは協議がととのわざる場合等々の想定される規定が足りない、これが立法技術士の不備だと論断されたようでありますが、   〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕 現在の日本の諸情勢から見ます場合に、今日のいわゆる負担義務を基本として、しかもそれを当事者協議に待つんだというような行き方向体、すなわち本法律案のことき形において、立法技術上さしあたりの措置として適当ではないかと私は考えるのでありますが、少くともそこらの点について、技術上非常なミスだというふうにお考えになるかどうか。ここらの点をまず金沢参考人に伺いたいのであります。
  20. 金沢良雄

    金沢参考人 お答えいたします。最初の御質問、つまり受益者負担という考え方で割り切れるかどうかという点でございますが、法理論といたしましては一応割り切れるのではないかと思っております。その点につきましては、公用負担特権地方公共団体あるいは私企業にも与えられるという一般的な考え方からそうだと思います。ただ従来の受益者負担規定の例によりますと、たとえば道路法六十一条、河川法三十三条、都市計画法六条二項というようなものは、いずれも私企業には与えられておらないわけであります。地方公共団体には与えられておりますが……。こういうようなことから考えまして、今度の規定は一応規定の形は私企業にも与えられるような形になっております。発電ということになりますと、そこに多少国家性というようなものが特殊会社として出てくると思いますが、私企業にも与えられるような規定になっております。そこの点がおそらく問題になるのではないかと思います。その点につきましては、公用負担特権一般について私企業にも与えられるという考え方からすれば、理論的には可能である。ただ立法政策としてその点が考慮せられていいのではないかと思います。  第二の管理権及び持ち分の問題でございますが、この点先ほど私申しましたのは、費用振り分けが行われておる場合には、そこで問題が解決するから、受益者負担という問題は原則として起らない、こういうことでございます。受益者負担をなぜかけるかということは、持ち分権がない、持ち分権がないということは逆にいえばその工事所有者としての立場で工婚資を負担しておらないということであります。だから受益者として負担されるという形になっているのだろうと思います。従って法理論といたしましては当然には持ち分権を生じない、こういうことになると思います。それから管理権につきましては、これは現在の考え方といたしましては、河川施設管理権施設所有者が、原則としてはこれを持つ。もちろん多目的ダムなんかの場合に、例外的な考え方が出てくるわけでありますが、原則としては所有者管理権を持つということに建前がなっております。従いまして、当然には管理権受益者負担をする者が持つということにはならない。法理論的にはそうであるということでございます。ただこの場合に、話し合いで考慮するとか、あるいは適当な監督上流タムの施設の管理について行われるとかいうようなことは、もちろん可能だと思います。  第三点の、協議に関する規定だけで、立法上の不備ということでございますが、これも法理論的に申しますると、一応やはり協議がととのわない場合あるいは協議ができないような場合につきましての措置裏づけをしておくのが、その運営のいかんは別といたしまして、むしろ法律技術的には適正であろうと思うのであります。でございますから こうう場合にもしそういう規定がないとすれば、法律技術的には多少不備を免れないのではないかということでございます。従いまして、たとえば協議がととのわないあるいは成立しないというようなことは、実際問題としてあり得ないという議論になりますと、それは事実論でありまして、法律論にはちょっとならないのではないかと思います。従いまして、そこで血法政策的にそういうことのわない場合あるいは成立しないような場合はあり得ないということで押し通していくということになれば、それも一つ考え方かと思いますが、しかし今日私の出て参りました趣旨といたしましては、法律論的に申し上げたいと思います。
  21. 小笠公韶

    ○小笠委員 私は各参考人のお話を伺っておりまして、高井東電社長、それから太田垣関西電力の社長及び東北電力の内ケ崎さんのお三万は、問題の焦点といたしまして、総合的、効率的な水資源の活用上、下流増負担をすることは当然であるが、この問題は、その受ける利益の測定の問題において、またこれを負担すべき具体的な措置について等々、その内容等が非常に複雑であり、かつ電力事業者としての良識からいって、協議によって当然解決さるべき問題である、こういうふうな趣旨の御陳述があったようであります。この点に関連いたしまして、下流増利益負担原則を認めながら、これを立法化することが不適当であり、危険であるというようなお考え方に立つところがいかなる理由によるものであるか、もしも協議がととのわないという場合は、下流増利益負担原則はふっ飛んでも差しつかえないものだ、こう考えていいかどうか、私はそこの点についての協議論、当事者の事実上の協議論でいかれる根拠について、高井さんにお伺いいたしたいと考えるのであります。
  22. 高井亮太郎

    高井参考人 ただいまの御質問でありますが、何か論理の矛盾がありはせぬか、一体どういうつもりなのかと、こういうお話のようであります。それは私からも、また太田垣社長からも実例でもって述べられておりますが、実際問題として下流増――あるいは上流増のこともあるかもしれませんが、さようなものの扱いというものは技術的、経済的に非常に複雑になる、これはお認め願えると思うのであります。そこでこのものの性質がやるべきことであるということがはっきりしておる。それで公益事業たる電気事業者相互でもって法定をして第何条のこの規則によるものであるというので扱うのに適当しない事実であると私ども考えますので、これは当事者の良識ある協議によってやっていくべきものであるということを申し上げた次第でございます。
  23. 小笠公韶

    ○小笠委員 ただいま高井参考人のお話を伺いまして、協議によってやっていくべきものだ、その理由は、内容が複雑であり、多岐であるからだとこういうお話であります。もしも内容が複雑であり、多岐であるとするならば、その負担すべき限度あるいは割合の測定が困難だといたしますならば、すでに下流増負担原則は破れたのであります、それは不可能だということであります。その原則をそれは負担すべきものだと認めながら、一方においてこれを法定することは、今言ったような理由では不適当だという論拠が私は了解に吉上むのであります。そこのところをどうお考えになって、立法化することがどこが悪いのか、その論理的な帰結を再び御説明願いたいと思います。
  24. 高井亮太郎

    高井参考人 ただいまの御質問でございますが、私は下流増利益負担すべきであるということは、それによって破れたりあるいはこれを破ろうとしておるわけでは全然ありません。これはあくまで負担をしていかなければ、やはり大局的に見ては電源開発促進に寄与しない方法だと思いますので、これはあくまで負担すべきものだと存じます。ただこれを立法化いたしましても、先ほど来述べておりますように、非常に複雑、多岐な関係がありまして、もし非常にしゃくし定木的な規定というものができた場合には、逆に非常な弊害を及ぼすおそれがある、法律で簡単に現わせるようなことは非常にむずかしい、従いまして事実をよく知っておる電気事業者同士でもって話をしてこれをまとめていくべきものであるというふうに考えるわけであります。
  25. 小笠公韶

    ○小笠委員 高井さんにお伺いいたしたいのでありますが、御答弁はよくわかるのであります。しかし今日皆様方の御意見を伺っておるのは、政府提出の電源開発促進法の一部改正法律案の第六条の二項、この規定の内容においてなお不適当であるかどうかということを重ねて一つお話を願いたいと思います。
  26. 高井亮太郎

    高井参考人 お答え申し上げます。ただいまどうすることが妥当であるというようなことをお前たちはいっておるけれども、もし法制を立てる、あるいは立てなければならない場合ありといたしまして、そして第六条の二というものをどう思うか、こういう御質問と思いますが、立法をいたすことに反対もありましょうし賛成もありましょう。しかしながら立法府の大勢によりまして立法をする場合に、もし六条の二の原案を出したらどうであるかというお話でありますが、この六条の二の精神は、先ほど来申し上げますように納得さるべき精神であると私は考えます。従いましてどうしても書くという過程に立ちまするならば、その表現は妥当なものであると私は考えます。
  27. 中崎敏

    ○中崎委員 関連して一つだけ高井さんにお尋ねしますが、こうした下流増負担の問題を法制化はしないで、どこまでも当事者間の話し合いでいくへきであるというようなお話のようでありますが、本来から言いますと、下流増利益負担をするかせぬかという具体的な場合、なるべく払う方からいえば払わないで、あるいは金額としても少くしていこうというふうなことがあるのが人情の自然で当然だと思います。しかし国家的見地から見て、払うべきものは適正に払うべきである、その受けるべき利益限度において適正にこれを払うべきものであるというような考え方の上に立つのも不自然ではないと思うのでありますが、その際におきまして、当然法律によってきめる。そうすると、それはこの法律案によりますとどこまでも話し合いでいくというのでありますが、話し合いがなかなか円滑にまとまらない、二年も三年も四年も引きずられるというふうなこともあり得ると思うのであります。それではまた困るので、結局において、たとえば業者の皆さんも加えて一つの諮問機関、審議会とかあるいは諮問委員会とかというふうなものを設けて、そして適正に判断をして、それを今度は関係大臣が参考にして、その意見によって最後決定をするというふうなことがかりにありとすれば、ただこの規定の、どこまでも話し合いでいくのだというふうな不徹底というか不完全というか、そういう規定よりも一歩進んでいるのじゃないか。そういうふうな場合においては一体どっちがいいとお考えになるか、お聞きしたいのであります。
  28. 高井亮太郎

    高井参考人 ただいまの御質問にお答えいたします前に小笠さんからの御質問に対する先ほどの返事が不完全でありましたから、補正をさしていただきたいと思います。第六条の二といわれたとき、第六条の二の一項というふうにぴんと頭に響きましたが、第六条の二というのは一、二、三、四とずっと続いているわけであります。その第六条の二の第一項の精神ですね、これは妥当なものである。ただ「工事の費用の一部」と、これは工事費の方になっておりまして、年経費の案ではないようでありますが、私は法律家でもありませんし、非常に詳しく研究したわけではありませんが、工事費でいくか年経費でいくかというようなことには、これは研究すべき問題があると思います。この第六条の二に掲げてあります精神、これは正しいということに考えて、ただし今のような費用でいくか年経費でいくかということに対しては研究の必要があろうということにお答えをし直しておきます。  それからただいまの御質問は、協議をするといったって、ずるずる果てしがなかったら困るから、何か裁定をした方がなおいいじゃないかという御質問でございますか。
  29. 中崎敏

    ○中崎委員 あんたの方は定めぬ方がいいと言うが、定めざるを得ないという場合には、この案は当事者だけの話し合いでやるということになっているが、それより一歩進んで具体的に、こういう機関にかけて、しかも業者を加えた公けの機関で審議して、それに従って最後決定するような体制をとったらどうか、こういうことです。
  30. 高井亮太郎

    高井参考人 それは電気事業者相互で解決できるということに考えておりますことが一つと、それから法定なり基準なりというものを作るといたしましても、この事件の本質からいたしまして、適当な文句でもって簡単に記載し得るようなことはむずかしいし、またそれによって非常な弊害も出るおそれがあるということに考えますので、私は事業者相互でもって話し合って、実態に即して解決した方がよろしいと考えるということを申し上げます。
  31. 小笠公韶

    ○小笠委員 簡単に最後に内ケ崎参考人にお伺いしたいのであります。内ケ崎参考人の御意見はいろいろございましたが、その立論の根拠は法概念が明確でないこと、受けるべき利益の内容を測定すべき方法、またこれを払うべき方式等がなかなか複雑多岐であるから、こういう問題をはっきり法定することは適当でないというような御趣旨に拝聴いたしたのでありますが、その中で基本的に法律概念が全然なっていない、納得できないからと、こういうところに大きなウエートを置かれているようであります。ただいま金沢参考人から法理論について懇切なる御説明があったようでありますが、この公用負担特権による理論によってもなお御納得ができないかどうか、伺いたいのであります。  第二点といたしまして、友光参考人にお伺いいたしたいのであります。それはお話の中に特に費用負担に関連して、協議でいく場合に第三者的な公正ないわゆるあっせん機関あるいは裁定機関というものがない、その際に多目的ダムのような、経営者が地方公共団体等である場合には、当該地方の議会勢力等の影響もあってなかなかきめにくい困難な問題が起るではないか、こういう御心配の意見を表明せられたようでありますが、そういう趣旨から考えますとき、本電源開発促進法の一部改正負担増の規定の仕方として、木原案の通りで御納得がいくか、先ほど金沢参考人がお話になったような御意見であるのか、その点一つ重ねてお示しを願いたいと思うのであります。
  32. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 先ほども申し上げましたように、私は法律のことは一向とんとわかりませんので、法理論や何かということについてはここであつかましい議論を申し上げるわけには参りませんので、ただ私は先ほど申し上げているように考えておるというだけでありますから、さように御了承願います。
  33. 友光正昭

    ○友光参考人 ただ協議だけではしり抜けである。私もそう形の上で思います。ただ私は電力会社の場合にはそれでも実際問題としていいんじゃないか。また同時になるべく協議して裁定機関や何かに持ち込まないでいきたい。ただ公共団体の場合心配するのですが、電力会社同士の場合でもしり抜けである。他方なるべく両方から裁定機関に持っていきたくない。僕は法律技術のことはよく知りませんけれども、労働争議の場合のように両方裁定に持ち込むという考えが一致した場合においては、妥協的に持ち込むことができるとした方がいいんじゃないかというふうに考えます。
  34. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 先ほど来の質疑応答で、結局この下流増の一番のポイントは両者間で協議ができるのならば法律は要らぬというのと、それから当然の話であるからこの法律が必要だということだと思います。その協議の内容について基本的な協議の問題とそれからこの法律ができましてもその金額の内容についてはお互いに協議せよということになっている。協議に二種類あるわけですが、私はこの感じだけをはっきりお聞かせ願いたいと思います。代表選手として内ケ崎さんと藤井さんとに感じだけをお伺いいたしたいと思います。現在の電気事業者間におきまして、事業者の良識と自主性にまかせられて解決し得るような形で協議がととのうような問題だとお考えになっておるかどうか。藤井さんと内ケ崎さんから、これは協議ができる、話ができるとお考えになっておりまするか、あるいはこれはどうせ話ができぬとお考えになっておりまするか。これは実態に即して判断だけをお聞かせ願いたいと思います。
  35. 藤井崇治

    藤井参考人 お答えいたします。これはむずかしい問題でありますが、電気事業者間の話合いでありますので、そうしてことごとく良識を備えておられる方ばかりでありますので、大部分協議ができると思いまするが、どうしてもできないところが一つある、こう私は考えております。
  36. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 この問題はなかなかむずかしい問題であります。しかし私は必ず解決できると考えております。早い話が最近佐久間の問題でも大分新聞でごらんになっておりますように、なかなか折衝には時間を費しておりますけれども、最後にはやはりきまっております。お互いになかなかむずかしい問題ですからそう簡単にきまるとは思いませんが、最後は必ずきまる。かりにわれわれがきめなかった場合は世論から非常にきびしい批判を受けると私は考える。であるから必ずわれわれの立場においてもきめざるを得ぬような立場に追い込まれるから、わざわざ法制化していただかぬでもりっぱにきめ得ると考えております。
  37. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 この際申し上げますが、参考人の各位は大体一時ぐらいまでに退席したいという御希望です。あと質問者も数名ありますからなるべく簡明にお願いいたします。多賀谷眞稔君。
  38. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 金沢先生にお聞かせ願いたいと思いますが、先生は受益者負担で現在の法概念で律し得られる、こういうお話でございましたが、私は公用負担と一口に言いましても、受益者負担の場合とたとえば不作為の義務を課しておるような場合あるいは公用制限、公用徴収の場合とはかなり違うんではなかろうかと思うのです。たとえば公益事業といいましても公用収用のような場合は、鉱業法による鉱業権者も入っておる。たとえば鉱業用地とかあるいは立ち入り禁止とか、そういうような特権を与えておる。ですから現在の純然たる私企業の鉱業権者、石炭あるいはメタル・マイニング、こういう人も公用負担の中には大きく包含されておる。ところがこの受益者負担といいますと、一品に公益事業といいましても、受益者負担の場合は私はかなり制限をされるのではなかろうか、かように考えるわけです。なぜかと申しますと受益者負担の場合は、少くとも国または公共団体が経済の主体でなくては、受益者負担ということは課し得られないのではなかろうか、こういう疑問を私は持っておるわけです。そこで今先生のお話を聞いておりますと、公用負担ということで一つの概念の中に入れて、その中には受益者負担があるだから受益者負担で律し得られるのである、こう言われることは少し飛躍しておるのではなかろうか、こういう考え方を持っておるのですが、その点一つもう少し詳しくお聞かせ願いたい。
  39. 金沢良雄

    金沢参考人 お答えいたします。受益者負担というのは公用負担一つとして今まで言われておりますところは、特定事業――それが公益性ある事業でございますが、それが運営せられるに当りましてその事業目的を遂行するのに必要である限度においてその事業によって特別の利益を受ける者に対する経済負担だというふうに解せられているわけでございます。従いましてその場合に特にその公益性ある事業が、国以外の場合、地方公共団体あるいは私企業の場合に、その受益者負担を課する特権を排除する積極的な理由がどこにあるのか。公益性ある事業を遂行するその目的のためにということであれば、その受益者負担を課す特権を与えることも可能ではないか、こういうふうに考えております。むしろそれを排除するというような積極的な根拠がどこにあるのかということをもう少し検討する必要があるのではないかと思いますが、現在の私の考えといたしましては、ただいま申しましたようなことで法理論としてもいけるのではないかと思います。ただ立法政策的な問題になりますと、これは別でございます。
  40. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 公用負担特権受益者負担の場合のみ排除する理由がどこにあるか、こういうことでございましたが、私はその考え方の基礎を若干異にするものであります。なぜかと申しますと、先生の方は公用負担という大きな概念を当てはめ、その中にそういういろいろな各立法にまたがるところのものを集めて、公用負担とこうおつしゃっておる。私はむしろ公用制限の原則とかあるいは公用収用の原則とか、受益者負担、こういう一木のものを集めて公用負担というものができ上っておるのだ、こういうように思うのです。ですからたとえば土地収用あるいは土地収用までいかなくても鉱業権者等の収用なんかと同じ場合も個々についてみればこれは妥当だ、しかしこれが受益者負担までいくとそれはとんでもないことになる、こういうように考えられるわけです。たとえばこれはとんでもないかどうかわかりませんが、現在炭鉱の場合はこれと同じ問題が起っておる。なぜかといいますと坑内水が出るわけです。坑内水が出ますと真下にある炭鉱というものは鉱区の関係で比較的少いですが、斜め横にある、そうして下にある場合がある。そうしますと下にある、下層にある炭鉱主がその水を全部揚げる。上層にある炭鉱主は全然水を揚げなくてもいい、こういう英大な費用の問題が出てきておる。これはしかし事前に協議しますから法律化しておりませんが、こういう問題とやはり同じである。これはやはり企業家同士の問題でございます。しかしでは法律にそういう受益者負担の概念でそういうことを入れるかといいますと、これはやはり土地の使用、収用の場合とは非常に違う、こういうように考えられるわけです。これをもし律するなら、これはむしろ公用負担でなくて、公営の原則あるいは不当利得を、今お話がありました不当行為における無過失損害賠償責任のような論を飛躍的に持ってくれば、これはあるいはでき上るかもしれませんが、同じ公用負担の主体となっておる事業といいましても、私はかなり違うのではなかろうか、かように考えるわけです。そこで公用負担というものを一つの概念の中に入れて、受益者負担を排除する理由がないじゃないか、こういうことは、概念をきめてそれの型に当てはめようとする考え方で、行政法というものはむしろそういうことでなくて、個々の問題に処して法律ができ、それを一つの法体系に当てはめたものであろう、こういうように考えるわけですが、その点もう少しお聞かせ願いたい。
  41. 金沢良雄

    金沢参考人 ただいまのお話ごもっともだと思うのでございますが、先ほど申しましたことで大体私の考えは尽きているのじゃないかと思います。なお若干申しますならば、問題はそういう何らかの利得のリターンということをはかる場合に、どういうような考え方を持ってきてそれを可能ならしめるかということだと思います。従いましてその場合に法律論的にいろいろの解決の方法があるわけであります。申し上げましたように、いわば不当利得の観念を拡張して、無過失損害賠償責任の裏返しのような形で解決していくという考え方もとれるわけであります。その場合は問題の解決は私法的な解決になりまして、たとえば鉱業法の鉱害賠償の規定のように、基準は通産局長がきめても、必ずしもそれに従わなくてもよいのだというような形で解決される場合もあると思います。ただしかし受益者負担的な考え方をとるとすれば、その場合には私企業に対しては受益者負担特権は与えられないのだということについては、私はいささか疑問を持つわけで、たとえば土地収用にすれば、その事業公益性があるからこそそこに収用権を与えて、私企業であってもその事業の運営を適正ならしめるわけなのです。それと同じような意味で、その公益性ある事業の運営を適正ならしめるためには、受益者負担を課する特権を与えることも法理論として成り立つのではないか、そういう意味一般論としては公用負担特権地方公共団体または私企業にも与えられるのだ、こういうふうに今までいわれてきておるわけであります。その場合に受益者負担だけは公用負担特権から特別扱いをするという根拠につきましては、私は今のところそれほどの理由が果してあり得るものかどうか、十分にはわからないような気がするわけであります。
  42. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 お話の点で、たとえば私鉄の場合とかその他で土地収用が認められる場合は帝業の公共性がある、こういうお話を承わったのですが、事業公共性といいましても、こういう場合は事業の遂行が不可能なのです。私鉄という、軌道を敷設しなければならぬ事業が、その土地を通さないということになれば事業の遂行そのものが不可能になる。そこで私は土地使用とか土地収用というものが認められておるのだ、かように解するわけです。ですから現在問題になっておる下流増の問題は、ダム建設ができない、こういう場合には公用負担という法理が当然入ってきてもけっこうである。ところが今度は経理、経営上の問題になってきますと、それは経理がどうにもならないからということであれば、私企業では無理だろう、こういう気持を持つのです。なぜかといいますと、受益者負担だけでなくて、たとえば同じ負担金にもいろいろございますし、また夫役現品の、あるいは労務とか物品の負担というような場合もありますが、私は受益者負担というのは従来そういうようにいわれておるとおっしゃいますけれども、美濃部さんあたりの説を見ましても、公用負担の場合は私企業にも与えられると書いてあるけれども、厳密に本を読んでみますと、受益者負担の場合は別の規定を設けられておる。すなわち受益者負担とは要するに負担金ですね。負担金は国家または公共団体の経済に属する特定公益事業、こういう言葉が入っておるのです。普通の場合ですと、同じ公用負担でも公益事業だけを書いてある。特定公益事業を書いてある。ところが受益者負担とかあるいは負担金の場合は、国家または公共団体の経済に属する特定公益事業、こういう制限がある。ですから私はこの点は負担金をとるということになりますと、国または公共団体という特定事業の中に、その制限が必要ではなかろうか、こういうことを考えるわけです。一つもう一回お聞かせ願いたい。
  43. 金沢良雄

    金沢参考人 その点でありますが、つまり土地収用の場合は事業のつまり工事そのものができるかできないかにかかる、受益者負担の場合にそうでない、こういうことでございますが、広く公益事業の円滑適正な運営ということになりますと、工事の場合の問題と事業そのものの運営の問題とについて特に区別する必要はないのではないかという気もいたします。公益的な目的事業を遂行する場合に、その運営上においてそれが円滑な遂行ができないという場合に経済的な負担を何らかの形で課していくということについては、これはやはり受益者負担の場合にも同じことが言えるのではないかと思います。  それから受益者負担を特に国あるいは公共団体に限るという点についてどうかという点でございますが、この点につきましては、いわば法律論的な見解の相違といいますか、いろいろな学説が出てくるかと思いますが、私の考えといたしましては、先ほど申しましたような理由で、特にこれを私的な公益事業について排除する根拠はどうもないような気がするわけであります。
  44. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも見解の相違のようですが、では、鉄道、国有鉄道の場合あるいは地方鉄道の場合でもよくいわれておる、駅を作れば地代が上るじゃないか――これは都市計画法、道路法でも実はその規定がある。土地代が上るという面について吸収するという規定がある。これを受益者負担というわけであります。これは法律ができなければできませんけれども、これもやはり法律でとり得る。法律を作るときに問題がありますが、やはり受益者負担の概念になり得る、こういうようにお考えですか。
  45. 金沢良雄

    金沢参考人 その点につきましては、受益者負担と申しましてもはっきりと一つ事業なりによって利益が生ずるといういわば因果関係とでも申しますか、そういうものが明確でないといけないということについてはおそらくかわりはないと思います。そういう因果関係の点で明確な場合には、法理論としては可能となってくるのではないかと思います。ただその場合に果してそれのリターンを求めることがその事業の運営の公益性ということから必要であるかどうかということは、考えなければならないのでありまして、その点については私鉄の場合の地価の値上りと下流増の場合とでは、問題の考え方を、もう少し具体的に、公益性のある事業の遂行ということにかかってリターンを求め得るかどうかを検討する必要はあると思います。
  46. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 関連して。ただいまの先生のお話を聞いておりますると、公用負担特権受益者負担の問題について、私は疑問を持たざるを得ないことになって参りまするが、これがもし国家または地方公共団体または公益事業のみに限られるということであれば、話はわかりやすいのでありますが、これが私企業にまでも押し及ぼされるということになりますると、本法案の精神は他の場合にも適用されてしかるべきであるという根拠になってくるわけでございます。そこで承わりたいことは、あなたはこの電気事業公益事業であるというお考え方のもとに立っていると思いまするが、あなたのお考えの公益事業の範疇を承わりたいのです。そこをはっきりしておかないと、私は次のような事態が出来するのではないかとおそれるわけでございます。鉄道の敷設のおかげで土地の値上りが生じたという話は、再三出ておりますからそれは省きますが、逆にきょうこのごろ、地方では工場誘致ということを盛んにやります。この工場ができたおかげでその周辺の値上りということは、現在当然起り得ております。またその土地に店舗を張ったものは店の繁栄を来たしている。工場ができたおかげで利益を得た者が周辺にたくさんできておる。こういう実情は先生御存じの通りだと思います。また今度は逆に、鉄道のおかげで周辺が利益をしたのではなくて、周辺のおかげで鉄道が利益を得たという場合もあり得る。それは地方公共団体が土地の切り売りをやっております。そこへ住宅誘致を盛んにやっておる。きょうこのごろのように、国家が住宅を盛んに援助して作っておりますと、それはやがて大きな集団になります。これが大都会へ通勤をいたします。これはやがて鉄道の利益と通ずるものでございます。この場合に、その地方公共団体は鉄道に利益を要求することができるか。これは完全にあなたのおっしゃいました明確な場合でありまするし、運営は地方公共団体の収益ということに相なりまするので、あなたのおっしゃる範疇に属すると思いまするが、そうなって参りますると、地方公共団体の赤字を補てんする意味においてもここに要求するという事態が出来すると思います。こういう点について、先生はいかようにお考えでございましょうか。
  47. 金沢良雄

    金沢参考人 ただいまの御質問でございますが、公益事業というものをどう考えるか、これは御承知のようにかなり大きな問題でありまして、学説その他でもいろいろと言われておりまして、今日はっきりした定説はないと言っていいくらいに複雑な問題であります。特に人類の社会が進歩いたしますに伴いまして、あれも公共性、これも公共性というようなことになってくる可能性が多い。そこでどこへ線を引くかということは、これは今日社会の実態の動き、あるいは考え方の動きに伴いまして、かなり複雑な問題を含んでいるわけであります。しかし最低限の線をどこへ引くかということになれば、それは大衆の日常生活に便益を与えるということがまず最低の線だと思います。その限りにおきましては、いわゆるパブリック・ユーティリティといわれているようなものの考え方がそうだろうと思うのでありますが、そういう点から考えますと、電気、ガス、水道、あるいは交通の中でも特に鉄道とか軌道とか、そういうものが従来最も典型的な公益事業というふうにいわれているわけであります。従いまして、旧公益事業会によりましても、名前からして公益事業会という看板は上げておりますが、その中では特に電気とガス――現在ではガスは別になりましたけれども、電気とガスを取り扱っておった。そういうようなわけですが、そこで今のお話で、もし地方公共団体が住宅をやっている場合に、逆にリターンがとれるか、こういうことでございますね。
  48. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうです。完全にこれは公共団体でございます。
  49. 金沢良雄

    金沢参考人 それはどうもむずかしい問題でございますが、その場合に一般論としてはっきりとした因果関係、はっきりとした一般的な、極端にいえば、抽象的なというと、ちょっと語弊がありますが、そういうような意味で、そこにだれでもが通常の場合に認められるような利益の因果関係が果してあるかどうかということが、一つのメルクマールになると思います。もう一つは、事業についての公益性がどの程度考えられているか、ただ地方公共団体がやるから公益的なものであるというふうに、一がいに言い切れるかどうかということについても、考えてみる必要があるのではないかと思います。
  50. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先ほどの、鉄道ができ、あるいは地方鉄道ができた場合の土地の値上りという問題について、因果関係があるかどうかということが問題だ、ただ電気の場合とは若干違うのではなかろうか、こういう話であったと承わったわけですが、ところが現在の受益者負担というのは、道路法なり都市計画法に基いた受益者負担、これは土地の値上りというものが、その最も大きなものであります。ですから、考えてみますと、若干違うようではございますけれども、現在すでに受益者負担の因果関係というのは、それを認めているのですから、私はこれを区別する理由がなくなる、かように考えるわけです。それが一点と、もう一つは、実は負担金の問題は、公用斜眼とか公用収用なんかの場合とは違う面がある。なぜかといいますと、これは国または公共団体がやる。これは税金でやるのです。事業を税金でやる場合は、その利用者は均一に利用しなければならない、こういう制限、原則があると思う。大体その住民なりあるいは国民は均一に利用ができる。ところがこれによって著しく利益を受ける者、あるいはこれの損壊の原因を作る者、こういう者には負担さしてもいいじゃないか、こういうところに私は負担金の制度というものがあるのではなかろうかと思うのであります。それがなければ税金でとればいいのですから。私は事業の遂行といいましても、これは均一な利用でなくして、著しく利益を得ているというところに、税金とは違う性格のものがある、そこに負担金という制度が生まれたのだ、こういうふうに理解をしたいわけです。そういたしますと、今度の場合は、やはり私企業ということになりますと、どうしても負担金ということでは律し得られないのではなかろうか、こういう疑問を持つわけですが、もう一回この二点についてお聞かせ願いたい。
  51. 金沢良雄

    金沢参考人 第一点についてはおっしゃる通りだと思います。ただどの辺までの地上りが――鉄道が敷けたから、その駅の近傍全部が地上りしていくというようなことが、果して受益者負担としての利益の対象になるかどうかということは、実際に値上りしたから直ちにそれが全部受益者負担の対象になるというふうには考えられないのじゃないかと思います。その程度にとどめさせていただきたいと思います。  それから第二点は……。
  52. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 不均一な利用ですね。同じように利用をするというのが原則だ。ところが非常に利用度の高いというものについてはとり得るというのが、これが負担金の制度ではないか、こういう意味です。
  53. 金沢良雄

    金沢参考人 つまり税金というものをとり得る主体でなければ、受益者負担はとれないということですか。
  54. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうです。
  55. 金沢良雄

    金沢参考人 そこはちょっと私の見解としては、税金との関連において問題を見ていくということには、これは経済的にはそうかもしれません、あるいは財政経済的な問題ではそうかもしれませんが、法律論的には、公用負担の場合にはそうは必ずしも見られないのじゃないか。つまりそれによって著しく利益を受ける者からリターンさして、事業の運営を適正ならしめるというところが主眼ではなかろうかと思うのです。
  56. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 見解が分れておりますので、これ以上これについては触れませんが、もう一つ聞きたいのです。実は県営でやっておる場合ですね。県営は夫役現品の条例ができてそれを課することができる。現実には道路法並びに都市計画法を発動しての受益者負担は、とってないそうです。何でとっておるかというと、この夫役現品でとっておるという話です。実際は法律がありましても、夫役現品の原則でやっておるそうです。そうしますと、県営の電気事業ということになりますと、先ほどから非常に御心配になっておったのですが、県営であれば、公共団体の営造物ですからとれるんじゃなかろうか、こういう気持がするのですが、これはとれるかどうかということと、これから弘山さんにも、とれという意味じゃないのですが、あなたの方はこういうことはお考えになったことがあるかどうか、お聞かせ願いたい。
  57. 金沢良雄

    金沢参考人 夫役現品でやっておって、実際には道路法の負担をとっておらない、こういうことでございますか。
  58. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 公営の事業の場合は、地方自治法の二百十八条か二百十九条で、条例でとろうと思えばとり得るんじゃないかという意味です。――それでは金沢先生、恐れ入りますが、まだほかに急がれる方があるそうですから、あとでお答え願いたいと思います。
  59. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 それでは金沢参考人に対する質問は、あと回しにして下さい。鈴木周次郎君。
  60. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)委員 電発会社の副総裁さんと東北電力の社長さんに伺います。  東北電力の社長さんのお話をお聞きしますと、自主的に解決をするという御希望であります。その結果として財政的に金を出したくない、出さぬともいいというような論理があるように私たちは推察する。一方藤井さんのお話によると、この法律が成立にならなければとりにくいという、ひそんだお考えがあって、ここに食い違いがある。その場合において何らかの機関においてこれを裁定してもらったらどうかというような質問も、他の委員からありましたが、そういうことに対して必要があるらしくも考えるし、また必要でないと内ケ崎さんはおっしゃるが、必要がないという意味は、金を出したくないという意味か、その点をまずお二人からお伺いしておきたいと思います。
  61. 藤井崇治

    藤井参考人 この問題については、いろいろ皆さま方から御議論が出ましたが、私はこの下流増といったものは当然払うべきものだという理屈が是認されるならば、はっきりと法律にうたっていただくのが至当ではないか、これは公的な性質のものであります以上よけいに、法律規定してもらう方がよかろうと思います。なおその場合に両当事者間に協議がととのわなかった場合にどうするかという問題でございますが、これはもちろん申し上げるまでもなく、第三の機関あるいは主務官庁の裁定とか、あるいは特別の委員会等の機関をお作りを願って、協議ができない場合あるいは協議がととのわない場合に、そこで裁定をするという道を講じていただくことの方が望ましいことでもあるし、またその方が法律としても完全なのではないかと存じます。
  62. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 私は先ほど申し上げましたように、結局これは非常にむずかしい問題でありますから、ある形を作るなんということはとうていできませんので、それでその事柄に従って個々の問題についてその当事者が誠意をもって、良識をもって話をするのが解決の道としては一番いい方法である、一番早道である、それをいろいろな規範のようなものを作るとか何とかいうことになると、解決がかえってむずかしくなるおそれがある。お互いの良識に訴えてやることが、一番最上の方法であるというふうに考えておるわけでございます。
  63. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)委員 重ねて内ケ崎さんにお尋ねいたしますが、下流増利益を得ても金を出さぬのも――あるいは下流減になる場合もありますが、金を出さぬでおけば、これも良識だと思う。その最悪の場合を私たちは考えなければならぬと思うし、それをお聞きしたい。そうしますれば、今のお話を考えれば、できるだけ安く上げるということの御意思であろう。一方電源開発会社といたしましては、国家代行機関のようなものでありますので、金の幅をつけ得る、また相当安く見積り得る場合も生じ、また査定する場合においてある機関を使い、あるいは主務大臣の考えによって、東北電力なら東北電力経営状態に対してこれを安く査定する場合もあり得るかもしれない。そういう場合を考慮してみても、この場合は何らかの機関を特に必要としませんかどうかを一応お聞きしておきたい。
  64. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 結論はそういう特別機関などというものはない方が、早い解決の方法であると私は考えておるわけなんであります。先ほどのお話にもございましたように、いわゆる下流増という観念もありますが、また下流の方がかえって被害を受けるということもあり得るわけなんで、そういったようなことをいろいろお互いに胸襟を開いて良識をもって話し合うということ、これが一番いい方法であり、解決の早道である、かように考えるわけでございます。
  65. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)委員 ただ抽象的に話し合いということだけできめられるというような実業界の常識論でありましょうが、立法府としてはそういうことは受け取れないと私たちは思う。この場合におきまして藤井さんにお尋ねしたいのは、かりに下流増の問題で協調する場合において、電力会社に対してできるだけの援助をするとか、また電力の流通の面においてもそれだけのお考えがあるかを一つお聞きしておきたいと思うのであります。
  66. 藤井崇治

    藤井参考人 お尋ねでございますが、もちろん建設はできるだけ安くしなければなりませんし、また下流増を見込んで計画いたしました場合には、当然ダムも大きい規模でやらなければなりませんので、工事費はふえますけれども、ふえた限度においてのみ下流の方の受けた利益の方を御協力願いたい、こういうふうに考えておるのでありまして、特に下流の方から不当に高いものをいただこうという考えは持っておりません。それなら下流増がどれくらいあるかという問題になってきますと、それはその河川、その地点によりましておのおの相違いたしておりますが、ただいまお引き出しになりました東北電力との関係は、近く生ずるであろう地点は田子倉の地点でありますが、田子倉の地点におきましては、一年間に大体一億五千万キロワット・アワーくらい下流の方にふえてくる、これは上流にできます田子倉の方が五億三千万キロワット・アワーくらいでございまして、約三割くらいの増加になるのであります。かなり大きな下流増を伴うのでありまして、私どもの考えておりますのは、この程度の問題で相談を申したい、かように存じておるわけであります。  なお先ほどのお尋ねのときに漏らしましたが、今回の法律改正によりまして、下流増の問題をおきめ願うことになるのでございましょうが、これはもちろん当事者同士協議をすることがまず全体の建前になっております。従いまして、この問題について当事者同士法律がなくても協議すればいいじゃないかということを御是認願うといたしますれば、この法律があればますますベターであって、法律があったら協議してはいけないということにはならないと思うのでございます。お互いに良識があれば、そのうしろだてとしてさらに法律があるということは、その良識をますます強化するゆえんであろうというふうに思いますので、私としてはぜひともこういう立法措置を講じていただきたいと存じます。これは、よけいなことでありますが、重ねてお願い申し上げます。
  67. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 鈴木君に申し上げますが、参考人の方は皆さんだいぶ時間をお急ぎのようですから簡明にお願いします。
  68. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)委員 実は私は福島県の選出でありますが、発電県としては、まず長野県は日本で一番高い電力を供給しておる。しかるに北陸電力の方は日本で一番安い電力を供給しておる。東北電力はその次になっておる。しかし電力そのものは豊富にして低廉で良質ではない、こういうので、今度田子倉によってある程度低廉良質の電力を供給しようとしておる。この場合において、一河川一系統が理想であったが、資金の関係、あるいは全国の電力の統制上あるいは流通上といった関係から電発でやることになりましたが、その結果両者の間に非常な意見の相違があるように聞いておる。片一方は金を出す、片一方は出したくないということで、結論は金額の問題になってくる。それで、それを調整する意味において今度の電源開発促進法の一部改正案が出ておる。そこで東北電力といたしましては、いま少しくこの法律があった方がいいという考えまで――ただない方がいいのだというだけでは済まない時代になっている。ほかの参考人方々は、これは公益牲から当然負担すべきものであるという原則論をお述べになっておる。しかるに東北電力の方たちはない方がいいということで、これは逆に考えれば出さないでもいいのだ、こういうことになってくると思うが、この点いま一応お答えいただきたい。
  69. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 先ほど来いろいろ申し上げましたが、出さない方がいいのだと申しているわけではないのです。これはいろいろ非常に複雑な問題でありますから、よく協議をしてお互いに良識をもって判断して相談をいたします、こう申しておるのであります。
  70. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)委員 そういたしますと、内ケ崎さんのお話は今お開きしたように、良識をもって相当数は出すと承知してもいいのでしょうか、その点をお聞きしたい。
  71. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 先ほども申し上げましたように、これは絶対に取るべきものであるとは考えておりませんから、ある程度のことは考えるというふうに思っております。
  72. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 八木昇君。
  73. 八木昇

    ○八木(昇)委員 非常に時間がおそくなっておりますので、私は簡単に電発の副総裁並びに東京、関西、東北の各電力会社の社長さんに一括して端的にお伺いをいたしますから、それぞれ関係部門につきまして端的なお答えをいただきたいと思う次第でございます。  まず最初は、去年の五月ころであったと思うのですが、新聞で私ども読んだのですが、関西電力の太田垣社長さんの発表で、関西電力は今後二、三カ年は電気料金の値上げの必要がないという発表があったのです。
  74. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 八木君にちょっと申し上げますが、太田垣さんはちょっと席をはずしておりまして二時ごろには戻られると思いますから、そのほかの方にどうぞ。
  75. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そのときに同じく東電の社長さんの所見も載っておったと思うのですが、同じように東京電力も当分電気料金の値上げは不要だという意味の御見解の発表があったと思います。ところが一方におきましては、特に水力電源地帯の東北電力とか北陸電力あたりは、最近の新聞の発表によりますと、三十一年度は、特に特約大品料金、こういうものはどうしても値上げをしなければならぬ、こういう報道がなされておるような状況でございます。そこで私お伺いいたしたいと思います点は、では一体どういうわけでこういう現象が今現われておるのであるか、これはおそらく渇水準備金その他が全国的には戸数十億も余っておるような状況から判断いたしますと、最近やはり非常に苦しいのは水力電源地帯方面に多いのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。こういう御質問をいたしますのは、今度下流増利益工事負担金を取るというような場合に、さしあたっては東北電力がまず非常に大きな影響を受ける、こういうことになるわけでございますから、全体的な電気事業の現在の不合理というものについてわれわれはどういう見解を持つかということについて相当検討をいたしませんと、今問題となっておる法案についても的確な判断を下し得ない、こういう意味合いからお伺いをしておるわけで、東電の社長さんとしては、どういうお考えで新聞発表をなされたものであるか。それから東北電力の社長さんとしてはどういう御見解であるか、こういう点についてお考えをお聞かせいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。これが私の質問をいたしたい第一点であります。  この問題と関係をいたしまして、質問の第二点は、やはり最近松永構想というようなものが非常にやかましく論議をされたのですが、新鋭高能率火力というものがどんどん建設をされて参りますと、これを大きなダムの水力というものと適宜に組み合せをして運転をすることによって、初めて発送、配電の最も合理的な一貫経営というものがなされるわけで、そういう観点からいけば、電気事業の再々編成などということがよく論議されるということも私は理由があると思う。そういう意味合いからしますと、東京電力と東北電力などというものは、純然たる電気事業の合理的な運営、そして需用家の一番利便を受けやすいという観点からすると、こういう二つの電力会社は端的にいえば、もう一本になってしまった方がいいのじゃないか。そうすれば今の下流増の問題にしても、やれ東北電力側は非常に困る、東京電力側は比較的いいだろうけれども、などという論議を生まないのではないか、こういうふうに考えますので、その点についての御見解を承わります。  第三の点は、最初にちょっと申し上げましたが、現在下流増の問題をめぐって、いろいろな論議が出てくるというのは、結局電発会社というものを、今後一体どういうふうにしていくのか、それからこれとの関係において、電力会社をどういうふうにしていくか、新しく当然作られなければならない電気事業法をどういうふうにしていくのかという問題について一向に明確な――これは政府の責任であると思いますが、方針が出ないためにいろいろと議論を生んでおります。電源開発株式会社というものの設立当初の目的が最近ではずいぶん変ってきたのではないか。最初ははっきり電源開発目的であって、作ったところの発電所は譲渡するか貸付をするということに主目的があったにかかわらず、その後はずいぶんこれが変化してきておる。譲渡、貸付ではなくて、これは実際に全部電気の卸売事業を始めておる。さらに送電設備や変電設備もどんどん当初の話とは違って、これが拡大されておる。こういう状況でありますので、この点についても電発会社並びに各電力会社の責任者の方の御意向を承わっておきたいと思うのです。  私の質問したい点は具体的な点であります。佐久間と東京間、それから佐久間と名古屋間、こういうふうに二十七万ボルトですかの送電幹線を作る、こういう御計画電源開発会社の方がなっておるようでありますが、東京電力の方では、佐久間・東京間の送電線の建設については、これは東京電力の方が電発会社の方に、あなたの方でやってくれという要望をされてこうなったものであるか、それともみずから建設をするという東京電力の方の希望であったのだけれども、電発会社の方がこれをやっておるのであるかという点について、電発会社並びに東京電力の方の実情をお話し願いたい。それと同時に、今後田子倉やあるいは奥只見、御母衣、こういうものについて、これらの送電線についてどういうふうにやっていこうとお考えになっておるか。電力会社並びに電発会社側の御意向を参考までに承わっておきたい。これが質問の第三点であります。  あと二点だけお伺いいたします。一つは今度下流増利益に対して上流ダム工事費の一部を負担させる、こういう法案が出ておるわけですが、もしかりにそういう負担電力会社側がするとするならば、当然常識的に考えて、上流に電発会社が作ろうとするダム工事計画工事方法あるいは工事の期間あるいは工費、それから完成後の運転、管理こういうふうなものについても、当然電力会社側は相当の発言権を要求するのが自然の成行きではないかと思うわけですが、こういう点について、電発会社側並びに電力会社側の率直な御意見を承わっておきたい。これが質問の第四点。  それから第五点は、今度の法案電気事業者並びに電源開発会社相互間の下流増の問題についてのみ取り上げてありまするが、実際には自家用発電のためのダム建設をされた場合に、下流増という問題が起きる場合もあろうかと思います。私も具体的実例はあまり詳しくはわかりませんが、たとえば最近のでは昭和電工あたりが青木発電所というのをこしらえて、これは完成をしたというふうに聞いておるのですが、この場合を考えますとこれは信濃川の下流方面で、その下の方には東京電力あたりの発電所が幾らかあるのではないかと私は思うのですが、こういう個々の場合、青木発電所の場合などはやはり下流増という問題が起きておるのじゃないか、こう思います。この点東京電力の社長さんの御見解を承わりたいと思います。ほかにいろいろと問題があるのでございますが、本日は時間がございませんので、主要な点についてのみお伺いいたした次第であります。
  76. 高井亮太郎

    高井参考人 お答え申し上げます。第一に昨年の六、七月ごろでしたか、料金を当分上げないようにがんばって、大体ここ当分上げないでもがんばり切れそうであるという発表は、どういう形でありましたか、とにかくいろいろなところでお話をいたしました。それは何と申しましても公益事業ができるだけのサービスをできるだけ安い料金をもってやっていく義務がある。一方において経営が成り立たぬような低率料金であるならば、やはり結局は拡張がうまくいかなくて需用家に御迷惑も及ぶから、ここに妥当な線というものはあるけれども、とにかくなるべく料金を上げないでやっていくべきであると私どもは考えておる次第であります。戦後だんだんインフレが終息いたしまして、他の物価がかなり安定して参っておるときに、電気事業のような料金を上げていくことは、できるだけのことをやってそれは防止すべきであると考えます。一方において会社の内容もできるだけの合理化を、がんばっていくならばできそうである。そして努力してそうすべきであるというふうに考えましたので、さような発表をいたしました。それからこれに関連せられまして、何か下流増問題のこときも、料金の問題であるとかいろいろなものを考えないと態度がきまらぬというようなお話でありましたが、これは本質的に別な問題でありまして、下流増利益を著しく受ける人がそれをある程度負担するのでありましてそこから何ものをも決して奪ってはならないのでありまして、妥当な線に乗るだけでありますから、これは無関係なものであります。なお料金とか経営の問題は別な立場から見らるべきものでありまして、下流増の取扱い方はやはり電源開発促進の本意にかなう大筋から、道理でもって切り離して扱うべきものではないかと考えます。  第二項の電気事業再々編成云々のお話がございましたが、世上いろいろ流布されていることもあるようでございまするし、水力と火力と緊密に運転をするとか、いろいろな関係から理屈を言い得る部分もあると思いまするが、これは事業経営規模観点もありましょうし、また今おっしゃったいろいろの観点もあり、もし考えるとすればなかなか複雑な問題であると思いまするが、ただいま私どもの会社としてこの再々編成をどういうふうに扱うかというようなことは、特に具体的に御発言のありました東電と東北と合併というようなことについては、ただいま直接に何も考えておりません。これがいいとか悪いとかどうとかということを今ここで申し上げるようになっておりませんことを申し上げておきます。  それから第三、電発の佐久間の送電線云々というお話がございましたが、これは藤井さんの方からもお話があると思いまするが、元来はわれわれで作りたいとも思いましたが、当時のいろいろな経緯がありまして、あれは電発の方で作られることになったのであります。別にぜひ電発で作っていただきたいということを言ったわけではございません。  それから上流下流の問題で、電発が工事をされる場合に、これを受ける普通の電気事業者に対して工事方法、期間、工費等に発言力があるはずであるとかいうお話でありますが、これは藤井さんの方でおもに答えられると思いますが、やはり関連したる大工事の場合には、たとえば佐久間のような場合には、電源開発と中部、東電との間で委員会のようなものを作りまして、主要なことに対してはいろいろ相談やら報告やらもありましたことを参考に申し上げておきます。  第五番の、具体的例として青木発電所の例を申されました。東電に関係があると思いますが、水は東京電力に関係がございます。これは非常にわずかなものでございまして、たしか長野県関係で、あまり詳しく覚えておりませんけれども、このために負担をどうする、こうするというような具体的な話にはたしかなっていないはずだと思います。これがうちにも影響するというようなことはわれわれ考えておりますし、元来は上流下流の問題はあまりこまかいことでなくて、一つダムなり貯水池計画するときに、下に対して考慮して、全体としてこれだけのことができるから、下のことも考えて一つやろうというような、法案の原案にも政令できめることになっておりますけれども、どちらかといえばさようなはっきりした大きなものに適用される考えじゃないかと私は思うのでありますが、理屈から申しますれば、どんな小さいものを作っても観念だけはあり得ることでありますが、そういう小さいところまで一々取り立てていくかどうかということも、これはむしろ問題であると思います。要するに、みんな協力していかなければならぬというように考える次第でございます。
  77. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 第一の点は料金のお話のようでありましたが、東北は今度特約料金の値上げをするというような御発言があったようでありますが、値上げはいたしません。料金の値上げは公聴会にかけて、その後役所の認可事項になっておりますから、料金の値上げはいたしておりません。ただ実質的に料金が高くなるといったことが起るのでありますが、それは特約料金というものの内容をお話しするとすぐおわかりになるはずでありますが、料金はみなきまっております。常時電力、それから第一、第二、第三期間常時電力、それから調整電力、特殊電力といろいろ分れておりまして、その単価がみな違っておるわけであります。それで特約電力というものはそれを組み合せまして、常時電力は幾ら、調整電力は幾ら、期間常時電力は幾ら、こういったものを組み合せてやるわけであります。かりに今度料金が高くなったとすれば、それは質のいい電気、値段の高い方の電気に変った結果であり、かりにそれが安くなったとすれば、それは一部分が質の悪い方の電気に変った、その結果高くなったり安くなったりすることは、これは料金の問題じゃなしに、特約電力それ自体が毎年変り得るわけであります。そういうことでありますから、さよう御了承願いたいと思います。  第二は火力のお話があったのでありますが、松永構想でもそういうことをいろいろ論ぜられておりますが、われわれ自体としてもそういう点には非常な慎重な考慮を払っております。東北電力の方針といたしましては、とにかく安い電気料金をもって豊富に電気を供給するという建前でありますから、原価の安くできるような設備を作りたいというふうに考えております。従いまして、従来は水力だけを専門に開発いたしておりますが、それは火力発電所を作るよりも水力発電所を作る方が安くできるから、安い料金で需用家に差し上げることができるからという建前から、水力を主としてやって参ったわけであります。そこへ参りますと、ほかの地区におきましては必ずしも有利な水力地点がない、かえって火力をやる方が安いといったような事情がありますので、これは九つの電力会社おのおのその立場によって、最も安い原価の電力を作るんだという建前でやつておられると考えておりますが、東北電力におきましては、さような事情からただいままでは水力を専門にやって参ったということであります。しかし今後は、先ほど来いろいろお話も出ておりましたが、水力の地点もだんだんいい地点がない、安く上るような地点から開発をしたのでありますからだんだん悪い地点が残る、従って必ずしも水力が火力よりも安いというわけには参らぬ事態も早晩参ります。従いまして東北電力といたしましても、先般常磐地方に、東京電力並びに炭鉱業者さんが共同して常磐火力発電株式会社を作りまして 一部分火力の開発にも乗り出しております。また今後相当規模の火力を作る必要も起ろうと思います。それはいずれにいたしましても、どれをやった方が安いか、一番安く需用家に供給する電源を作るのだという観点から手をつけて参る、こういうことでありますから御了承願います。  その次は東京、東北両社の合併論というお話でありましたが、ただいま高井社長からもお話があったようでありますが、私どもはそういうことは全然考えておりません。それは、東北の需用家のためになるなら、私社長として、責任者として考えざるを得ぬのでありますが、合併しなければそれほど値上げする必要がないものを、合併することによってかえって余分に値上げせんければいかぬということになるような気がいたしております。ただいまは東北電力は九つの電力会社のうちで大口乙、丙電力、これが普通の電力と称せられておるものでありますが、一番安いのであります。それが高くなるようでは、東北の需用家のためにならぬ、東北の開発に逆行するといったようなことから、それが東北の開発に大いに役立つようなことであれば、それは合併とか何とかいうことも考え得ることと思いますが、ただいまはかえってその逆であるというふうに考えておりますので、そういったようなものには全然耳をかすということはございません。  その次は電発と電力九社間の問題であったようでありますが、電源開発株式会社は今藤井総裁がお見えになっておりますから、人のことをそう申し上げる必要もないのでありますが、お互いに関連がありますので、私の所見を申し上げますれば、先ほどのお話もありましたように、電発はとにかく大規模発電所を大急ぎにやるんだという使命を持って作られた会社承知しておりますので、できるだけ早く電源の開発をやっていただきたい。つきましては、送電線のこときは、これは各電力会社が作りますから、どうぞそういうことはお考えにならぬでもいいから、それよりもそういう金がありましたならば、発電所を一日も早くやっていただきたい、そういう方面にお使い願いたいと私は考えております。何分にも予定よりも早くいかずに、だんだん少しでもおくれて参りますと、非常に支障を来たす。日本の財政が思うようにまかせぬということから、なかなか進行しないようでありますが、そういう面から考えましても、一つ一日もすみやかに発電所を作っていただきたい。送電線はわれわれの方で作ることは何ともないことでありますからというふうに私は考えております。  それから下流増の問題に金を出すなら、発言権を留保するのは当りまえじゃないかという御発言でありましたが、その通りに私は考えておりますので、先ほど来そういうことを私の陳述においても申しました通り、ぜひとも財産の共有並びに操作は、共同管理をやろうといったようなことを申し上げたわけであります。  それから最後は自家用の問題、これは私の方にはあまり関係がございませんし、先ほど高井社長からお話がありましたから差し控えます。
  78. 藤井崇治

    藤井参考人 私の方に関連いたしました問題は、三と四の問題だと存じます。  最初にお断わり申し上げておきたいことは、電源開発会社は水力発電地点等の建設目的であって、ほかには大した目的のないようなふうに受け取れるようなお話でございましたが、さようではございませんので、電源開発促進法第二十三条にはっきりと書いてございまして、これは送電線も変電所も建設でき得るようになっておりますので、これは念のために申し添えさしていただきます。  そこで、電源開発会社はなぜああいうふうな超高圧の送電線を作ったか、また作らざるを得なかったかということを二言申し上げておきたいと存じます。日本では非常に大きな貯水池に適した地点はそうたくさんないのでございます。ことに佐久間のような日本の中央――ちょうど東京と名古屋の二大需用地帯のまん中にある、ああいうふうな非常に大きな地点はないのでございます。こういうような地点は一地方だけの利用に供するよりも、国家大の見地から大きく運用すべきものであるのでございます。特に先ほど来松永構想という話がございましたが、最近の新しい火力設備ができますると、これはどうしても連続運転をしなければなりません。従って新しい火力の使命は大体ベースのロードを目的とした設備になるのでございます。ところが御承知のように需用は季節により時間によって変化があります。すなわちベースのロード以上のものが出たときにどうしてこれをまかなうかという問題なのでありますが、それは今までの方式であれば火力発電所がこれを担当しておったのであります。今後は先ほど申し上げましたように、新しい火力設備は、その機能の関係上どうしても平らに運転しなければならない。そうするとピークの供給に対しましては、どうしても貯水池でこれを調整していかなければならないのであります。従いまして佐久間のような大きなものはピークステーションとして非常な働きをなすのであります。しかもこの電力は先ほども申し上げましたように、私どもができるだけ国家大の見地からこれを運用することが日本全体のために望ましいことである、またそうしなければならないと考えておるのであります。ところが事ここになってくると、議論になりますが、現在電力会社は九つに分れております、佐久間とか、あるいは今建設しておりまする田子倉、奥只見、あるいは御母衣のような大きな地点は、これは今九つに分れて――よほど大きな会社ではあります。けれども、もう九つに分れたのではユニットとして小さいのであります。また地方々々によってピークの出る期間も季節も違って参ります。こういうふうなものを調節する意味におきましても、これを一社のみに利用させるわけにはいかない。そういたしまするとこれを国家的に運用するためには、超高圧の送電線を作って、必要に応じてこれを運転していく必要があるのであります。そういう場合には第三者的な使命を持ったものが運営することが常識として、また技術としても妥当なのでありまして、私は九分割されてから間もなく、国会の手によって電源開発会社が設立されたのは非常に卓見であった、国家百年のために非常にいいことをしていただいたと心ひそかに思っており、今日もかたくそれを信じております。そういう見地をもちまして、そういうふうな大貯水池は必ず超高圧送電線で結んで、第三者的な国家代行機関のようなものがこれを運営するということが、電力政策として最も望ましいのではないかと考えております。さような意味をもちまして佐久間幹線を作ったのでありますが、只見川線等につきましても、私どもはやはり佐久間と同様に考えていった方が国家全体のためによろしいと考えてはおりますけれども、まだ具体的にどうするということの計画は立てていないのであります。  なお先ほど他の方から御発言がございましたが、私どもは決して送電線を建設するために発電所建設をおくらしておりません。送電線は発電所建設に間に合うように計画いたしております。  なお国家資金が欠乏したといわれておりますが、本年度の予算をごらんになればわかりますように、国家は非常に電源開発に力を入れておりまして、私どもの要求した額は大蔵当局はもちろん、衆議院、参議院、両院とも、この膨大な予算をほぼ要求した通りに認めていただいておるのでありまして、予算が足らないために工事がおくれておるということはございません。その点はこの機会に釈明さしていただきたいと存じます。  それから第四の問題でありますが、工事計画なり方法なりあるいは竣工時期といったようなことについての客電力会社との連絡でございますが、これは私ども抜かりなく十分事前に連絡もし、資料も差し上げるようにいたしております。なおでき上りました後の運営につきましては、もちろん関係電力会社と十分打ち合せをいたしまして、先ほどもお話がありましたように、すでに佐久間については三社の間に委員会を作りまして、運営の点について遺憾のないようにいたしております。今後できます発電所についても同様の措置を講じたいと存じております。  なおそれにつけて、下流増負担する以上は、そのダムの所有権といいますか、共有の関係に立つかあるいは管理を共同にしなければいけないではないかというお話がございましたが、これは私どもといたしましては、先ほどのように下流増はどこまでも受益者負担というような公的観念からこれを措置すべきものでありまして、従いましてその結果として、ダムの共有とかあるいは共同管理というようなことは考えておりませんし、またそういうことをやりました場合においては、かえって運営を複雑ならしめまして、技術問題としても好ましくないかと存じておる次第でございます。
  79. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それではもう一点だけお伺いいたしまして終ります。どうも私は八方に八つ当りするようでありますけれども、電力会社の方は電力会社の方で、去年の九月末で渇水準備金は実に再六十五億もたまっておる、本年になるとさらにこれがふえるという、まことに好景気である。そして三割頭打ちの電気料金をきめるときには、これでも電気会社は気息えんえんだというような当時の通産省のお話でございましたが、ところが実際には、私の調べましたのはあるいは正確でないかもわかりませんが、各電力会社は二十九年下期で八十二億の黒字、三十年上期は百二十億の黒字、平均一割二分の配当をしておるという、まことにもってこの不景気時代にわが世の春を電力会社は駆歌しておる、こういう印象を受けておるのであります。これに対しと電発会社の方も、これは昨日も政府に私は質問したのですが、工事費の増高といいますか、これは最近非常に著しい。これをめぐっているいろ評判が立っておるのも事実です。佐久間ダムについても昭和二十八年三月の電発会社御自身の発表では二百三十三億円で全工事費がまかなえる、秋葉ダムの方は八十九億円でまかなえるというお話であって、そのくらいの金でそんなに大きな電源開発ができるのならこれは国家利益であるかうというので、政府はどんどん国民の税金を多額に出資をして、一方金融の措置についても資金運用部あたりからどんどん金を出すというてやったところが、本年三月の電発会社の御発表によりますと、佐久間は当初の二百三十三億の総工事費予算であったのが、実に三百六十億円にこれがふえている。秋葉のこときは当初の予算は八十九億というお話であったのが、これをさらに百億を上回って、百八十五億円となっているというのがあからさまな実情であります。そこでこれに対しまして電発会社の方のお話を聞きますと、それは国鉄関係のいろいろな経費が予想外に要った、あるいはその他の理由が一応述べられておるのでございますけれども、私どもきわめて公平に考えましても、これらは当初から全く予想をされないという事態ではなくて、きわめて突発的な大きな何事かが担ったがためにこれだけ経費が予想外に急激に上昇したというような理由には、根拠が少し薄弱だという印象を受けておるわけであります。そこでこれはまた非常に悪意を持ったものの見方かもしれませんけれども、予想外に金が要った、そこでどうもいろいろと問題が起きてきておるので、電発会社を作るときにはおくびにも出さなかったのだが、この際は一つ下流で利益を受ける電力会社あたりからも相当工事負担金をとっていいのじゃないかという御議論が、近ごろになってどうも起きてきたのではないか、こういう印象がなきにしもあらずであります。これに対して電力会社側は、私をして言わしむれば、おのれは相当の黒字であるにかかわらず、いろいろな意見を言っておられる、電発会社側はまた電発会社側の方で、今のような事情から下流増問題について非常に熱意をお示しになっておるのじゃないか、こういうことが言えなくもないと実は思っておるわけでございます。そういう点から、まあ露骨なものの言い方でありましたけれども、電発の方で、一体当初の佐久間やその他の工事費の見込みが急激にその後ふえたということについての約得のいき得るような簡単な御説明をいただきたいということと、そのことと今度の下流増利益のための工事負担金をとるということとの関係は、あるものかないものかということについての御見解を、藤井総裁の方から伺いたいと思います。
  80. 藤井崇治

    藤井参考人 ただいまのお話でございますが、佐久間の工事費が増加したことは事実でございまして、この最も大きな原因は、最初この計画を立てられましたときに、これは会社ができる瞬間に人が入ってきめたようなものであって、率直に申し上げますが、実際十分に時間をかけて練った案ではなかったのではないかということを、私はあとからいろいろの書類によって推察するのであります。しこうしてそのもとの案なるものは中部電力さんからいただいた資料によったもののようでありますが、そのもとの計画を見ますと、最も大きな差の生じておりますのは補償費であります。ことにこれは昨日主務省の方から御説明があったかも存じませんが、国鉄のつけかえの補償費が非常な金額になっておるのでありまして、これだけで約七十億になっております。これは当初の計画にもありますけれども、当初は全然というのでもございませんが、ほとんど数字に上っていなかったのでございます。その他公共補償といいますか、当初全然見込んでなかったところの湛水地域の護岸道路の問題であるとか、そういったような公共補償が相当な金額を占めておるのでありまして、実は増加した金額のほとんど八割はそういうふうな補償費のためにふえておるのであります。しからば残りの二割くらいの増加は何かといいますと、これは御案内のように外国の技術援助を受けましてそれに十一億ばかり費しております。また副堰堤を作りますために元の案に全然見込まれていない――そういうものを見込んでいなければダム建設できないのでありますが、全然見込まれていなかったその副堰堤の金が五億円要るといったようなことで、予算がふえてきたのであります。その他としてふえましたのは、これは土木工事の通有の問題でございますが、相当念を入れたボーリング等地質調査をやった上に立てた設計でありましても、地中の場合におきましては掘っていくうちにあるいは思わない断層にぶつかるとか、あるいは出水があるといったようなことで燧路を変えなければならない場合もありますし、佐久間の場合におきましてはそれの精細な地質調査は過去において非常に行き届いて調べられておりますが、それでもなおかつ岩盤をいよいよ洗ってみると脆弱な点があるという場合、これは根本的にえぐりとらなければならないのであります。もし予算に縛られていいかげんなことをしておきますと、思わない災害の原因になりますので、こういう点は発見いたしましたならば徹底的に措置する必要があろうと思うのであります。ところがこれを工事の請負に出します場合には、一応わかっておる資料によって設計をされて、それについての見積りをとっておりますので、その後そういう事実上工事の量のふえたものに対しましては、やはり契約で金額を増加することになっております。これは減るような場合はありません。そういうようなことで若干そういう工事量がふえたものはございますけれども、これはごく微々たるものでございまして、途中に妙な――世間ではどういうふうな御批評があるかは存じませんけれども、私どもはっきりと申し上げますが、世間で誤解を受けるようなものは事実上ございません。この点につきましてはもちろん私ども会計検査院を初め政府監督を受けておりますので、さようなことはできない仕組みにもなっておりますから、御了承願いたいと思います。  次に秋葉の問題でございますが、秋葉も同様にこれは長い間国鉄さんが御研究になり御調査になっておったのでありまして八十何億というのは国鉄さんの当時の計画案であったのであります。これまた戦前の計画でございましてそれに物価等を多少補正して一応できたものが八十何億であったのだと思いますが、その後事実問題に当ってやってみますと、そういうものではできないのでありまして、事実上の原始設計と今日の設計とでは非常に変っておりますので、工事費がふえたことはこれまたやむを得ないのでございます。  なおこれはお尋ねではございませんけれども、佐久間にいたしましても、工事費はなるほど当初の原始予算に比べますとふえては参りましたが、それでもなおかつ他の多くの最近建設されている発電所に比べまして佐久間は相当安い原価でできておりますことをつけ加えさしていただきたいと存じます。  それから第二のお尋ねでございますが、電力会社さんのふところ工合がよくなっている、電源開発の方はそういうふうなことも目をつけて下流増の問題に熱を入れ過ぎたのではないかというお尋ねでございますが、これは全然因果関係はございません。私どもそういうことは考えておりません。人さんのふところ工合なんかは考えていないのでございまして、それはすべての上流に作りますダムの場合、具体的に申しますれば、現在すでに工事にかかっております田子倉にいたしましても、まさにかからんといたしております奥只見あるいは御母衣にいたしましても、すべて計画の当初から下流におよそどれくらいな電力がふえる、それをふやさした方がいいという計画のもとにすべての計画を進めておるのでありまして、最初からの計画に、下流をできるだけ増加さして水力を最も有効に使って電力資源の活用をはかりたい、こういうプランに立っておるのでございます。そういう関係で、最初国会で御承認を願ったときに出しております当初の計画よりも、計画自体も相当変っております。一例を申しますと、御母衣の場合におきましては、最初は十四万キロであったのでございますが、前の電力開発審議会におきまして十七万キロに修正されておったのであります。最近いろいろの角度から検討いたしまして、さらにピークステーションの機能を発掘させる必要があると考えましてこれは主たる需用者であるところの関西電力さんともお打ち合せをいたしまして、ことに下流の発電所を持っておられる関西電力さんともお打ち合せをいたしまして、目下二十一万五千キロにこれをふやそうというような計画すら進めておるような状況でございますので、その点も蛇足でございますがつけ加えさしていただきます。
  81. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 鹿野彦吉君。
  82. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私は時間も過ぎてしまったし、非常に簡単に御質問をいたしたいと思います。法理論法律的な立場からの質問は多くの人々によってなされたわけでございますので、具体的な問題について簡単に御質問いたしたいと思います。  私は電源開発藤井さんにお尋ねいたしたいと思います。庄川上流の御母衣の工事完成後、発電設備を関西電力に譲渡するような予定になっておるか、約束ができておるかどうかというのが一点。あるいは関西電力との間に譲渡しないとすれば、どのように一括して充電するような約束ができておるかどうかというような点についてお伺いしたいと思います。
  83. 藤井崇治

    藤井参考人 お答え申し上げます。御母衣の問題につきましては、これが完成後関西電力さんの方に譲渡するという約束はできておりませんし、またそうしてはいけないのではないかと思っております。  それから一括して関西電力電力を供給するかどうかという問題につきましてはまだ話し合いを進めておりませんが、この電力は少くとも大部分は関西電力の系統に入れる必要があると思うのでございまするが、これまた先ほど申しましたように、すべての電力は私の見解といたしましては、ああいうような大きな貯水池国家大の見地で運用できるようなふうにさえなれば私としては満足するのでありましてそういうことに最もいいようなふうにすべてのお話し合いを進めていきたい、かように考えております。
  84. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私は批評家の立場にあられるところの友光さん、あるいはまた学者であられる金沢先生に、これまでの発言の過程において出て参りました問題についてちょっと御意見を承わりたいと思うのでございます。  友光さんのお話の中に、東北地方の後進性の開発の問題は否定するものではない、しかしそれは補給金というような形においてやればいいのではないかというようなお話があったわけでございますが、この問題につきまして、日本が戦いに破れて四四%も国土を失い、九千万人の人間、なお数年後には一億になるであろうことが予想せられしおりまするが、こうした人間がこの狭い国土に生活をいたしまして完全なる経済の自立を達成いたしていくためは、日本の狭い国土を完全に利用しいかなくちゃなら、ない、利用するたのには一部分に人口の集中するのをできるだけ排除していかなくちゃならない、いわゆる人口の分散化をはかるということが絶対の要件だ、こういうふりに私は考えますが、それにつきましては、補給金によって東北地方の開発をするというようなことももちろんございますけれども、実際上はなかなかこれはむずかしい。電源の未開発地底として残された東北の電力が、安く東北地方において開発されることによっていろいろなるところの産業なりそうしんものが誘致されて、自然に人口が分散せられる方向に政策として持っていくということ、こういうことがとらるべき政策として非常にいいのではないか、こう考えますけれども、これに対するお考えを承わりたいと思います。
  85. 友光正昭

    ○友光参考人 東北地方開発の必要ということを私は最初から否定したわけじゃなくて、ただこういうふうな現在具体的に問題になっているような形で行うということは不適当じゃないか、もしやるんだったらほかの形で行う方が本筋じゃないかというふうに私は考えています。
  86. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 いや、あなたの東北地方の開発の必要を否定するものじゃないということはよく私はわかっているのです。ですからそのことはお聞きいたしましたが、東北において、しからば具体的に申しますと、事業の誘致をやるについてどういういい条件があるかということになって参りますれば、電気料金を安く提供するということよりほかにないわけです。すなわち企業は、いろいろなる関連の企業が、あるところに全部集中いたします。ですから、純粋に企業のコストを安くし合理的に経営するということになれば、東京地区、大阪地区に全部の企業を集めていくということが、これはもう一番合理的であることは間違いありません。しかしながら大前提として、日本が世界の中でただ一つ特殊性を持っておるものは、狭い国土にたくさんの人間がどうしても生活しなくちゃならない、しかもわれわれは完全なる独立を達成するためには他国の援助を得ないで日本の経済の自立をはかっていかなければならない、その基本となるものは、国土は狭いとはいいながら、実際的には日本の国土必ずしも狭きにあらず、日本の人口過剰にあらず、日本の資源不足にあらずという、こうしたところの状態をわれわれは作り上げていかなければならないのではないか、こういうことから考えますときに、東北地方におけるところの未開発電力を大いに開発をして、安い料金電力を供給して、産業がそこに集まっていくというような政策をとることが私は考えられるのではあるまいか、こう思うのですが、これに対してのお考えをお尋ねいたしておるわけでございます。  なお金沢先生には、学者であられますけれども、ただ政策的に、御参考までにそうしたことに対するところの御意見を承わっておきたいと思います。
  87. 友光正昭

    ○友光参考人 東北地方を開発するために安い電力を供給する、これは産業がそこべ集まる基本的な条件一つだと思います。しかしそれだからといって、私はあそこでもし安い電力が起るのだったら、これは一番いいことだと思います。しかしかりにあそこで高い電力しか起せないという場合に、これは東北に限らないわけですけれども、それに補給金といいますか、特によそから金をつぎ込んで、よその負担電力を安くするということについては、これは東北の場合を申し上げますけれども、上でできた電力が日本全体にいくというものだったら、これはあるいは考えられるかもしれませんけれども、東京電力べいくということになりますと、これは東京電力の消費者の負担で東北地方の開発を助けるということになりはしないかというふうに考えますので、今度の下流増の問題に限って考えた場合に、そういう方法は不適当じゃないかという意味であります。
  88. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 もう一ぺん言いますけれども、私が申し上げておるのは、日本の経済自立のためという基本があるわけですから、東北地方の開発は東北地方だけのためでなくて、日本全体の、日本経済自立のための開発という、こういう考え方にならないだろうかということをあなたに申し上げてお尋ねしておるわけです。
  89. 友光正昭

    ○友光参考人 簡単に言いますと、その場合には東京電力の管内の消費者の負担でなくて、日本全国の負担においてそういう措置をとった方が適当じゃないかと思います。
  90. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 東京電力の消費者の負担になることはないのでしょう、それは。電源開発につぎ込むところの金は日本全体の国民の負担においてつぎ込むのですから、東京電力だけの負担になるということはちょっとおかしいと思うのです。どういうふうにお考えになりますか。
  91. 友光正昭

    ○友光参考人 もし負担しなかった場合は、電源開発株式会社としては、その電力を高い単価でどこかへ売らなくちゃならない……。
  92. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 そうすると、それは実際の実情がおわかりになっておらないのかもしれません。それで、はけっこうです。そのことについて金沢先生にちょっとお尋ねいたしたいと思いますが……。
  93. 金沢良雄

    金沢参考人 東北の振興ということが日本の経済自立から大いに必要であるということは私もその通りであると思います。その場合に電力料金をより安くして行うか、あるいはその他の方法によるかということにつきましては、私今ここですぐにお答えするわけにも参りませんので御了承いただきたいと思います。方法につきましてはもう少し具体的に検討する必要があろうかとも思います。
  94. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私がお二人に今そのごとをお尋ねいたしましたのは、問題としましては先ほど社会党の八木委員からも話がありましたが、電発の性格が発電だけにとどめるというような場合にはこうした非常なむずかしい問題は出てこない。ところが電発が発電から送電、変電のことまでやるというところにいろいろなむずかしい問題が出てくることになると思うのであります。今後この法律が制定されましても、そうしたむずかしい問題が出てくるだけでなく、その他のいろいろなむずかしい問題も出てくると思いますけれども、そうしたことから電源開発促進法について、この際電発が発電だけをやるというようなことにいくことが妥当てあるとお考えになるか、あるいはまた送電なりあるいは変電なりのこともやつていくことが妥当であるか、これに対するお考えを批評家としての立場からお伺いしたいと思うのです。
  95. 友光正昭

    ○友光参考人 最初は電発はおっしゃったような使命で出発しました。電源開発促進法といいますか、電発を設立することについては、きわめて便宜的な、資源開発をするために、その方が、たとえば政府の金も出しいいというふうな便宜論から賛成したのですけれども、その本旨は、ほんとうだったらあくまでも九電力会社開発をすることがいい、ただそのためには、一番大きなものは財政資金の問題ですから、電発というふうなものをこしらえた方が開発がうまくいくという便宜的な立場から賛成したわけで、その意味では、電発は今後建設が終ったら適当なところに譲る、もしそれが一社であれ、ば一番簡単でありますが、場合によっては佐久間のように東京、中部という両方へ送電するような場合には、あるいは別の会社をこしらえるというふうなことも必要かもしれませんけれども、とにかく電力会社にこれを譲り渡すというのがいいと考えておりました。ただその後いろいろ電力界の事情も、先ほど来お話ししましたように、大規模火力発電とかあるいは原子力発電というようなことも相当近い将来予想されるようになりましてかなり電力事業事情も違ってきたので、現存では今まで考えていたことをもう一度再検討してみたいと僕自信思っておるところであります。まあそう言っては何ですけれども、そう差し迫った問題でないと思って結論までは出しておりませんけれども、最初の考えはもう一度考え直してみたいというふうに考えております。
  96. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 これに対して金沢先生のお考えを聞いておきたいと思うのであります。電発が発電だけやるか、送電、変電までやるか……。
  97. 金沢良雄

    金沢参考人 その点につきましては、この法案ができました、あるいはできる過程においての趣旨としては、おそらくコンストラクションが急がれる。それを使命として最初この法案の胎動期はこういう考え方がかなり強く出ておったように私記憶しております。しかし法案には送電その他のものが出て参った。これはいわば臨時的あるいは一時の便法的な方法であるというようなことも、その当時国会でどなたかから意見がおありになったように思います。こういうことを考えますと、おっしゃいますような、主としてはコンストラクション、それに付随する程度の送電ということになろうかと思います。しかし一方今日及び今後の事情を考えてみますと、たとえば先ほどのような水力発電のピークロードに対する使命というものが、必ずしも一地方に限らないで、全国的な立場からピーク・ロードをどういう工合に処理していくかということについて大きな貯水池について全国的な立場から考えていかなければならないような問題が出ているようであります。そういうような事情から考えて、今日及び今後においては、ある程度はやはりそういう全国的な見地から電発自身が送電設備を持っていくということも必要になってくるのではないかと考えます。
  98. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 それではちょっと申し上げますが、金沢さん、それから弘山さんにつきましては、なお引き続き御質問申し上げたいそうであります。従いまして御迷惑でありましょうが、休憩いたしまして三時から再開いたしますので、御出席を願いたいと思います。  その他の参考人の各位に対しましても、あるいは関連して御質問があるかと思いますので、御都合がつきましたならば、御出席を願いたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後一時十一分休憩     ―――――――――――――    午後三時十八分開議
  99. 神田博

    神田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  電源開発促進法の一部を改正する法律案に関し、参考人に対する質疑を継続いたします。多賀谷眞稔君。
  100. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先ほど金沢先生にお尋ねをいたしましたが、現在においては道路法並びに都市計画法の受益者負担というのは、実際法律を発動してその負担金をとるというのはほとんど皆無だそうであります。現実には地方自治法に定められております夫役現品の法則でとっておる、こういうことをわれわれ建設省の道路局並びに計画局の役人の方から聞いたわけですが、そういたしますと、県営の電気事業上流において発電をし、ダムを作り、そしてそれによって下流増ができる、こういった場合に、上流に県営事業のあった場合は現行法でもこの条例でとり得るではないか、こういうことをお尋ねいたしたいと思いまよす。
  101. 金沢良雄

    金沢参考人 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。受益者負担は現在とっておらないのが実情だというお話でございますが、私が、あるいは事実は誤まりかもしれませんが、聞いておりますところでは、道路法の場合には道路拡張によりまして土地をとられる、その余った土地について地価が上るという場合には、その補償費と受益者負担とが相殺されるような形で行われる場合が多いと聞いております。ですから原則としてとられないというのが実例であるということにつきましては、私確かにそうであるかどうかということは疑問じゃなかろうか、実際にはそういう形で受益者負担金が実質的にはとられていることになる場合があるのではないかと思います。  それから次に、地方自治法の二百十八条あるいは二百十九条の夫役現品の規定下流増利益返還の関係でございます。自治法の二百十八条は、そこにも規定がございますように、道路とか河川の堤防とか、そういうものを非常災害によって、復旧しなければならない場合に、原則的にはその地方の住民の労務あるいはその復旧資材、そういうものをとにかく提供させる、それに対してただ金銭で支払ってもいいという、いわば選択債務を定めたものでありまして、従って下流増のような問題を予想して作ったものでないことは明らかだと思います。またこの規定をそういうものにまで及ぼして適用するということについては疑問があると思います。百二十九条の方はそういう場合に特に不均一の賦課をきめる、つまり賦課の方法について、それの利益を受けたものに対しては不均一の賦課でもよいということを定めているだけでありまして、下流増のような利益返還を予想したものでもなければ、またこれを適用することは不適当だと思います。あえて現行法の規定根拠を求めようとするならば、むしろ河川法の三十三条が多少関係があるのではなかろうかと思います。この三十三条は受益団体の負担になっておりますが、従いましてこの場合も下流増利益返還をすべておおうものではなくて、地方公共団体相互間の場合にのみ、いわば公爵事業相互間の場合にのみ、問題とすれば問題となり得るものだと思います。その程度でありまして、やはりこの下流増利益返還ということは何らかの新しい考え方なりあるいは法的措置によって問題を解決していく方が妥当ではなかろうか、こういうふうに考える次第であります。
  102. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 実は私の言葉が足りなかったわけすが、私は実際道路や、あるいは都市計画によっているいろ改良が行われた場合に、とっていないじゃないか、こういうことを言ったわけではございません。とってはおるけれども、それは地方自治法の二百十八条とか二尉十九条でとっておる、こういうように申したつもりであります。実は電話ですからあるいは間違いがあったかと思いますが、私は建設省の都市計画課に聞いたわけです。一体どういうように実際は都市計画法を発動しておるのか、こういいましたところが、受益者負担はほとんど皆無だ、それで地方自治法の条文まで向うで示してくれまして、これでとっておるのだ、こういうことを言いましたものですから、私御質問をしたわけですが、これは実際役所の行政の運営でございますから、あとから役所の担任の方に聞けばわかるので、けっこうでありますが、実は私は先生のあとの御意見と同じように、こういう条文でもしとっておるとするならば、案外予想してないものを都市計画あるいは道路の場合にとっておるから、これはいわば行政運営としてはいささか行き過ぎではないか、こういうように考えたわけですが、事実としてはこれでやっておる、こういうことであります。これでやっておるならば、今度のような下流増の場合もとり得るのじゃないか、こういうことを手続として申したわけでございますが、理論から言うならば、それは実際とっておるかもしれないけれども、とり得べき性格のものではない、こういうことでそれは理解していきたい、かように考えるわけであります。  そこで問題を元に返しまして、案は私個人の考え方からすれば、先生と意見が違っておるのですが、受益者負担ではないけれども、これは何らかこういう法律を作る必要というのを私自身は認めておるわけなのです。そして公用負担の中でも一番近いのは何かといえば、むしろ施設負担というような関係の方が近いのではなかろうか。施設負担といいますのは、ちょっと普通の場合とは――この関係は当てはまらないのですが、たとえば鉄道は郵便を必ず鉄道で送る義務を持っておる。あるいは一つの切符で国鉄も乗れ、私鉄も乗れる、こういうことができるということを義務づけておるわけですが、しかし施設負担の定義を見ますると、特定公益事業の需要を満たすために、その事業と特別の関係あるものまたはたまたまその需要を満たし得べき地位にあるものに課せられる工事または工事その他の施設をなすべき公法上の義務、こういう定義などから推測しますと、いわばある公益事業事業を起す、そうすると下流にも現実に利益ができるじゃないか、そこでむしろ共同してこの工事を行うべきである、こういう義務づけができるのではなかろうか、これは下流増受益者負担義務とはいささか違いますけれども、むしろそれに近いのではなかろうか、こういう気持を持つわけであります。あるいは産業立法的に経済政策として、一つダム建設する場合に、これは千流増があるのだから当然共同して建設する業務を課す、こういうことも法律論としてはできるわけです。そういう経済立法を別にして公用負担という概念の中に律しても、むしろこちらの方が近いのではなかろうか、かように考えるわけです。しかし法律の条文は全部体裁も違い理論も違ってくるのですけれども、先生の御意見を伺いたいと思います。
  103. 金沢良雄

    金沢参考人 今の点に関してお答えいたしたいと思います。今の施設負担というお答えなのでございますが、これももう少しさかのぼって考えてみたいと思っておりますが、それは結局こういうような一つ施設によっているいろの利益関係者に生ずる場合には、本来ならばいわば費用振り分けをやって共同施設としていくことの方が解決の方法としてはすっきりする形になるのではないかと思うわけであります。現にいろいろの多目的ダムに関しましてはそういう方法がとられているわけでありまして、本来ならばそういうっまりコスト・アロケーションの点で問題を解決していった方がすっきりするわけなのであります。ところでそれができない場合にどうなるかということで、そこでいわばやむを得ずといいますか、受益者負担考え方を持ってくることになるのではないか、ざっくばらんに言えばそういうのが一つのすっきりした考え方になるように思うのであります。ですからもし費用振り分けの点で問題が解決するならばそれに越したことはない、こういうことに私も思っております。ただそれができない場合にどうなるか、下流増の問題に関して言うならば、上の方でダムをこしらえるのは勝手だ、下は下だ、雨で水量がふえようが上のダムのコントロールによって水量がふえようが、それは問題でないというようなことから、アローケーションに入らないということになった場合にどうするかということがまさに問題になってくるとすれば、そこで受益者負担考え方を持ってくるということが一つの見方だと思うわけです。その場合に、最初からいきなり施設の面で、コンストラクションの面で、その費用を出していわば強制的に施設をやらすという考え方を今直ちにとり得るかどうか。それは立法をやればそういうような方法もとれると思いますけれども、法律論として、そこまで強い施設命令的なもの、あるいは施設負担的な考え方を持ってくるのが果して妥当かどうかということについては、もう少し私も考えさしていただきたいと思います。
  104. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 立法政策論としては、むしろ費用負担で、共有した方がいいじゃないか。しかし与えられたる課題に対して忠実というか、これをいかに解釈するかというのが、むしろわれわれが聞きたいところであろうと先生が推測されての議論だと承わったのですが、私その点については、前者につきましては同感の気持を持つわけです。立法者として、こんな無理に概念の非常にむずかしいものを持ち出すならば、一歩手前で解決すべき立法を考えたらどうか、われわれはこういう気持を持つわけです。しかし提案が出たんですから、これについて審議しておるのですが、もう少し解釈的な意見を聞きたいと思いますが、それはたとえば自家発電の場合は、上流あるいは下流の場合も除いてあるのです。そこで自家発電を入れてない、こういうことについてはどういうようにお考えですか。法律を作る場合に、自家発電は必ずしも例が少いとか、あるいは自家発電の場合は下流増が出ない、こういうことでは、立法としてはきわめておかしなことになるので、自家発電の場合はどういうようにお考えですか、これをお聞かせいただきたい。
  105. 金沢良雄

    金沢参考人 自家発の場合でございますが、その場合に、この法案の建前、すなわち受益者負担的な考え方をとっておるということを前提として考えてみますと、自家発の場合は、御承知のように、公益事業会におきましても特別の取扱いになっているようであります。従って自家発自体としての事業ということにつきましては、いわばその公益性というものはかなり薄れてくるのではないかという気がするわけです。ただそれが国鉄とかなんとかいうことになりますと、間接的にそういう公益性を帯びてくるということもあるかと思いますが、そういうように考えてみますと、特に自家発が上流部にある場合は、まずあまり考えなくてもいいのではないかという気がいたします。問題は下流部にある場合でありますが、下流部にある場合には、原則としては同じように受益者負担を課せられてもいいのではないか、むしろそういうことになるだろうという気がいたします。しかしその電力料金の規制とかなんとかいう面で、公益事業会関係で特別の取扱いを受けているというようなことで、いわばその受けておる利益の算定とかなんとかいうことが、自家発の場合にはかなりむずかしくなるのではないか、多少性質が違うのではないかという気もするわけです。しかしそれはいわば計算の問題、あるいは方法の問題として考えれらるのであって、原則としては、下流にある場合には同じように取り扱われるのがむしろ公平ではないかという気がするわけです。ただその方法としてかなり困難な問題が実際には起ってくるのではないかということが想像せられます。
  106. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私もその点については同意見でありまして、むしろ自家発が下流にある場合にこれを取らないということは、政府が提案者ですが、提案者が説明をされた従来の説明からはどうも納得ができない。そこで結局上流に取れないから、下流の場合は取らないのだ、こういうことだろうと思う。要するに、上流の場合は取れないから、下流の場合だけ取るというのはどうもおかしい、こういうことで逃げられているんだろうと思う。要するに上流にも適応し下流にも適応する場合のみを法律で規制したのだ、こういうことになると思うのですが、その考え方を突き詰めますと、結局この問題は電気事業者間――電気事業者間ということになりますと、受益を受ける場合もあるし、利益を与える場合もある、こういうことになって、今は電源開発かもしれないが、あるいは逆になるかもしれない。こういうことになりますと、わざわざ法律でこれを明定しなくてもいいんじゃないか。結局当事者間の問題じゃないか、こういう気持を持つわけです。と申しますのは、上流公益事業ですが、下流の方も公益事業だ、こういうことになりますと、実際に法律としてあまり意味のない法律だ、かように考えるわけです。それはとにかく始終立場を異にする場合になり、プラス、マイナス、プラス、マイナスになっていく可能性がある。これは法律ですから、長い将来を展望してみますと、結局電気事業者間の問題であるものを法律に実施する必要があるか。ことに下流も公益事業だ、こういうことを考えますと、上流公益事業の場合と同じように、下流も結局公益事業的な性格でいきますならば、たとい下流増がありましても、これは料金が安くなる、こういうことに考えられるわけです。その点を、少し法律論と離れるのですが、お聞かせ願いたい。
  107. 金沢良雄

    金沢参考人 今の御質問は、私が本日参考人として参りました立場から申しますと、少しお答えしにくい問題でありまして、ちょっと困るのでございますが、この点は今まで私の申しましたところで何とか御了承いただければありがたいと思うのでございます。
  108. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 受益者負担の場合は、一方は人民といいますか、国民にある、一方は公益事業だ、こういう関係にある。今度は公益事業同士が対立している、こういう関係ですから、どうも法律として少しおかしいんじゃないか。そこで公共事業ということを非常に強調しましても、それだけ下流の方も、今度は逆にいえば、皮算用ではないのですが、すでに上流ダムができるということを予定をして下流の方の料金その他もきめるという場合もあるでしょうし、そういうことを考えるならば、料金の認定は政府がおやりになるのですから、結局何のために法律を作ってやっているのか。あるいは料金は必ずしも原価主義ではございません。政策的な料金も加味されることになっている。ですから、この受益者負担のように、一方は公益事業、一方は人民に課する義務という関係でなくて公益事業者間の義務である。ですから、この点はいささか受益者負担とも、また今までの概念と別個の公共事業か何かということでなく、課せられる方の義務者がだれかという問題については、受益者負担とは違うのではなかろうか、こういう気持を持つのです。
  109. 金沢良雄

    金沢参考人 この下流増問題は、一応受益者負担的な考え方説明がつくということはるる申し上げた通りであります。ただそれを観点を変えまして、今おっしゃいましたような問題になって参りますと、私の一つ考え方としては、一河川の総合開発を最も有効適切に行うということのためには、さらに考え方が変ってくるのだろうと思うのであります。そういう場合にはプラス、マイナス、たとえば下流の利益、下流の損失、そういうようなものを含めまして、いわば理想論的には、河川の水資源の総合開発のための機関でもできましてそういうところですべてコントロールといいますか、調整を加えていくというようなことになれば、それはおっしゃるような目的を達成することができるだろうと思うのであります。たとえばアメリカの連邦動力委員会というようなものが考えられてくれば、それはおっしゃるような方向に進むことも大いにけっこうなことだと思うわけであります。ですから、問題は、そういう地盤が今日あるかないかということを考えてみなければならないということになってくるのではないかと思います。しかし現在の場合におきましては、河川に関する行政は建設、通産等に分れているわけでありましてそういうような根本問題の解決ということになりますと、さらに観点を変えて行政機構の問題をも含めて根本的に考えていかなければならない。場合によっては一河川の総合開発のために、何らかの委員会制度を設けるかどうかというようなことにまで問題は発展していくのでありまして、現在の問題としては、この法案についてそこまで申し述べることはないかと思って差し控えておったわけでありますが、今の御質問によりましてあえて理想論を言うならばそういうような形が問題の解決の仕方になるのではないかという気持は持っております。
  110. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 法律論として義務者の方が公共事業であってもいいのかどうか、なるほどその点は私企業といいますか、法人だから人民といいますか、国民というふうに見るのだ、一方の方では公益事業と見るのだ、こういうような受益者負担考え方ができるかどうか、これを一つ伺っておきたい。
  111. 金沢良雄

    金沢参考人 それは当然にできると思います。たとえば先ほど申しました河川法の三十三条の受益団体の負担はまさにそれでありまして、どちらも公益団体であります。
  112. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 けっこうです。
  113. 神田博

    神田委員長 この際参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ長時間にわたり本案審査のため貴重なる御意見の御開陳をいただき、厚くお礼を申し上げる次第でございます。どうもたいへんありがとうございました。     ―――――――――――――
  114. 神田博

    神田委員長 この際お諮りいたします。中小企業に関する小委員長より中小企業対策に関する調査のため、次回の小委員会において参考人より意見を聴取いたしたいとの申し出があります。小委員長の申し出の通り参考人の出願を求めることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお参考人の選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。    午後三時四十八分散会