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1956-02-14 第24回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十四日(火曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 鹿野 彦吉君 理事 小平 久雄君    理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君    理事 中崎  敏君 理事 永井勝次郎君       秋田 大助君    阿左美廣治君       内田 常雄君    大倉 三郎君       菅  太郎君    菅野和太郎君       椎名悦三郎君    島村 一郎君       首藤 新八君    鈴木周次郎君       田中 龍夫君    野田 武夫君       淵上房太郎君    加藤 清二君       佐々木良作君    佐竹 新市君       多賀谷真稔君    田中 武夫君       田中 利勝君    帆足  計君       松尾トシ子君    松平 忠久君  出席国務大臣         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君         経済企画政務次         官       齊藤 憲三君         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    大來佐武郎君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務官経済部         長)      坂根 哲夫君         通商産業事務官         (軽工業局建材         課長)     川田 博通君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月十日  砂利採取法案(第二十二回国会衆法第四三号、  参議院継続審査) 同日  電気事業公営復元に関する請願山本猛夫君  紹介)(第四六九号)  石油資源開発株式会社への国家投資に関する請  願(池田清志紹介)(第四九九号)  陶磁器燃料用重油対策確立に関する請願早稻  田柳右エ門紹介)(第五一八号)  地域差電気料金設定等に関する請願松平忠  久君紹介)(第五四〇号)  淡路、四国間に架空送電線架設請願山下榮  二君紹介)(第五七一号) の審査を本委員に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  砂利採取法案(第二十二回国会衆法第四三号、  参議院継続審査)  日本経済総合的基本施策に関する説明聴取  私的独占禁止及び公正取引に関する説明聴取     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  まず去る十日本委員会に付託になりました砂利採取法案を議題として審査に入ります。
  3. 神田博

    神田委員長 御承知通り本案は、第二十三回国会におきまして、首藤新八君外六名より発議され、本院の審査を経て参議院に送付されたのであります。自来参議院におきましては、引き続き審査がなされておったのでありますが、去る十日に至り、修正議決の上、国会法第八十三条の四の規定により、本院に送付されて参ったのであります。すでに議案の趣旨につきましては御承知のことと存じますので、御参考までに第二十二回国会衆議院送付案と、今国会参議院送付案相違点のみについて概略申し上げます。  まず第一条、目的でありますが、衆議院送付案では「この法律は、砂利採取事業の健全な経営の基礎を確立するとともに、砂利採取河川保全等との調整を図り、もって公共福祉増進に得与することを目的とする。」となっておりましたのを、「この法律は、砂利採取業の健全な発達に資するとともに、砂利採取河川保全等との調整を図り、もって公共福祉増進に寄与することを目的とする。」と改められております。  次に第五条ないし第八条でありますが、衆議院送付案一の各条中に「採取管理者」とありましたのを「作業主任者」という名称に改められております。  次に第十一条砂利採収の許可方針規定でありますが、これを砂利採取許可等方針規定に改めまして、衆議院送付案では、「河川法その他の法令条例及び規則を含む。)の規定に基き砂利採取業者に対し砂利採取又は払下許可をするに当っては、当該行政庁は、河川等管理上その他公益保持の上に支障がある場合を除き、砂利採取業経営を考慮してこれをするものとする。」となっておりましたのを、「河川法その他の法令条例及び規則を含む。)の規定に基き砂利採取若しくは払下許可をし、又は許可の取消若しくはその効力の停止若しくはその条件の変更をするに当っては、当該行政庁は、河川等管理上その他公益保持の上に支障がある場合を除き、砂利採取業の運営を考慮してこれをするものとする。」と改められております。  この際、本案につきましては、趣旨説明、質疑及び討論を省略し、直ちに採決に入るに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認めます。それでは砂利採取法案について採決いたします。本案原案の通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認めます。よって本案原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。本案に関する報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 神田博

    神田委員長 ちょっと速記をとめて……。   〔速記中止
  8. 神田博

    神田委員長 次に高碕経済企画庁長官より日本経済総合的基本施策に関する構想等について、概略その説明を承わることにいたします。高碕国務大臣
  9. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済計画につきましては、もうすでに経済六カ年計画で発表いたしておりまして、本年これを経済五カ年計画ということにいたしたのでありますが、第一にこの経済計画を立てまして、それを有効に使いますのには、一年やった結果どういう結果になったかということをよく検討する必要がある、こういうのがこの経済計画を有効に利用するゆえんでございまして、昭和三十年度経済計画を昨年一月に立てましたものと、今日二月になりまして、約一年間を顧みた結果を検討いたしてみますと、まずわれわれが十六億五千万ドルの輸出という考えでおりましたところが、今日では大体二十億五千万ドル、計画に対しまして約二四形強ふえておる。また鉱工業生産におきましても、一〇%、農林水産生産におきましても一一%、国民所得が約六%増しておる、こういうふうな工合に、計画を上回っておるという結果でありますが、これをおもむろに検討いたしまして、どういうわけでこういうふうに計画を上回ったのかということも検討いたしたのであります。  そこで昨年の十二月二十三日に、経済審議会の結果によりまして、新たに経済自立五カ年計画を策定いたしまして、そこで三十五年度における目標を作ったのであります。それは国民総生産を九兆六千七百三十億、つまり昭和二十九年に比しまして約三四%増そう、これを目標にいたしたのであります。また輸出目標は二十六億六千万ドル、これが約六六%増、こういうことに相なったのであります。  国際収支は二十九億六千万ドルをもって均衡する、こういう考えで進んでおりますが、就業者総数は四千四百八十六万人、これは昭和二十九年度に比して一二・七%増しになっております。これは労働人口増加率が約一二%でありますから、一二%よりも〇・七%増しということにして、できるだけ就業者の数を多くして失業者の数を少くするというのが目標でございます。  それで五カ年計画の初年度といたしまして、昭和三十一年度経済計画を本年一月二十日に策定いたしましたが、その主要目標国民総生産を八兆二千六百三十億円、これを三十年度に比しますと四・二%増し鉱工業生産はここで昭和九年——十二年を一〇〇といたしますと一九六に達したわけでありますから、三十年度に比しまして七・二%増加する。それから農林水産生産昭和二十五年——二十七年を一〇〇といたしますと、一一四・二でございますが、これは三十年度は非常な豊作でありましたから、三十一年度は平年作と見まして、三十年度よりも五・九%減ずる、こういう予定でございます。輸出は三十二億ドル、これはつまり七・三%増しでございます。輸入は二十二億二千万ドルとして八・六%増しになっておりますが、輸入国民の総生産の一一%ということを大体基準にいたしておりますが、三十一年度は一一%少し上回らしてやっております。  それから就業者総数は四千二百万人でございまして、これが三十年度に比しまして二・二%増し、こういうふうになっております。これがため経済正常化を一そう促進しつつ、安定経済の基調のもとに、生産基盤の強化ということと、輸出振興、それから雇用機会を増大する、この三つを大きな柱として作ったわけであります。  次のディテールに入ります。本年度電源開発計画につきまして申し上げます。三十五年度までは六百万キロ・ワット開発目標として、三十一年度における計画は、継続工事の方が約三百万キロ・ワット新規工事が約八十万キロ・ワット、三十一年度中に完成する発電の設備が約八十万キロ・ワットで、これに要する資金が約千八百二十億円、こういう見込みでございますが、具体的な開発地点につきましては、本年の四月に電源審議会を開きまして、それによって決定したい予定でございます。  なお電源開発促進法につきまして、開発資金として政府資金民間資金に切りかえることに相なりました分を、これを確保するために、社債募集に当りまして、政府社債保証ができるような処置を講じたい、そういうふうに改正いたしたいと思いますが、外資の借り入れにつきましては、政府保証がし得るようになっております。国内の社債につきましては、これは法律上ありません。従ってこの法律を作りたいと考えております。  第三に、総合開発事業につきましては、昭和三十一年度においては各省別に合計六十七億円の予算をもって、各種公共事業を実施することにいたしております。このほかに新たに経済企画庁におきまして、国土総合開発専業調整費として、五億円が計上されておりますが、これは今後各省開発事業年度計画にアンバランスが起りまして、これを調整するためにこの金を使っていきたい。原則といたしましては、各省予算にこの金を移して使用することにいたしたいと存じます。  次に国土調査事業につきまして、三十一年度予算約一億三千万円をもって地籍の調査基準点の測量、水の調査、土地の分類調査等を実施する予定でございます。  第五に、離島振興事業につきましは、離島振興法規定されたものが四十五鳥ございまして、これにつきまして三十一年度においては道路等七項目について約八億円の事業費離島分として計上いたしておりますが、これは何分時限法でありまして、十年間にこれだけの仕事をしなければならぬということになっておりますが、どうも予算が少いものでありますから、この経済企画庁予算以外に、各省に割り当てられました予算の中から、できるだけ離島の方に持ってきて、この金を実際においてはもう少し多く使いたい、こういう所存でございます。  第六に特殊土壌地帯対策について申し上げますと、特殊土ょう地帯災害防除及び振興臨時措置法により指定された地点につきましては、三十一年度予算においては、各省予算に治山、砂防等約十億六千万円の事業費が計上されております。  最後に国土調査について申し上げますが、この調査は、昭和十年にやったきりで、それから行われておりませんが、すべての計画を立てる上において最も必要なる調査だと存じまして、三十年度よりこれを実施いたしておりますが、三十一年度も引き続いて約六千万円の予算を計上いたしまして、三十一年度中に大体の調査を完成して、これを発表し得るのは、三十二年度の中ごろに発表し得ると存じております。  以上、経済企画庁でやっております事業の大要について御説明申し上げました。     —————————————
  10. 神田博

    神田委員長 次に公正取引委員会委員長横田政府委員より、独禁法運用状況について概略その説明を承わることにいたします。
  11. 横田正俊

    横田政府委員 それではお手元に御配付いたしました、昭和三十年四月から十二月までの間におきまする私的独占禁止法運用状況概略と申しまする書面に基きまして、簡単に運用状況お話を申し上げたいと思います。  御承知のように、昭和三十年に入りましてから、業界によりましては輸出振興等によりましてかなり好転をいたしたものもございますが、やはり全体的に見ますと、緊縮政策による影響等からいたしまして、不況傾向が相当見られるのでございます。従いまして、このような状況のもとにおきまして、カルテル、トラスト、あるいはおもしろくない不公正な取引方法というようなものがあちらこちらに見られるわけでございまして、それらの問題に対しまして、公正取引委員会といたしましては、諸般の事情考えながら運用の万全を期して参ったわけでございます。  まず公取仕事の上で、届出制をとっておりまするいろいろな問題につきまして若干申し上げますと、この届出制、たとえば合併、営業の譲り受け等の届出、あるいは役員の兼任等に関しまする届出、あるいは委員会調査担当部門におきまして絶えずいろいろな調査をいたしておりまするが、その調査の結果等を通じまして明らかに看取できますることは、企業集中がだんだん進んできておるということと、それからいわゆる企業系列化と申しますか、そういうものがだんだんと顕著になってきておるということでございます。これは御承知のように、弱小企業が乱立いたしましたその後に当然起ってくることでございまして、ある意味においてかなりけっこうな傾向とも申せますが、しかしこの集中なりあるいは系列化が度が進みまして、全体的に見まして、いわゆる活発な事業活動の拘束を来たすということになりますれば、これはやはり独占禁止法上放置することのできないものでありまして、現在の段階におきましてはまだそれほど顕著な弊害というものは現われておりませんけれども、しかしもしその傾向が進みまして、またその方向がよくない方へ向いて参りますれば、当然われわれといたしましても何らかの手を打たなければならぬということになりますので、この点につきましては、そういう動きをしさいにながめながら今後のわれわれの態度をきめて参りたいというふうに、最近の事情を見て感じておる次第でございます。  それから届出制に続きまして、御承知のように認可制度独禁法の上には若干ございまして、御承知不況カルテル合理化カルテルにつきましては、一定の法律上の要件のもとにカルテル結成が適法化されておるわけでございますが、結論的に申しますと、不況カルテルにつきましてはまだ一件もこれを認可しておりません。これはあるいは法律上の要件が多少窮屈になっておるという点もあるかと存じまするが、現在までのところ、非公式にいろいろ申し出があったものが二、三ございまするが、いまだ正式に認可したものはございません。もっとも最近におきましては、いわゆる麻の業界におきましてかなり不況が見られまして、最近にあるいはこの業界から不況カルテル申請があるのではないかということが予期せられております。この問題につきましても、運用の上におきまして十分の考慮を払いまして、もしこの要件に合致いたすものでございますれば認めて参りたいと考えております。それから合理化カルテルにつきましては、この方はだんだんに事件がございまして、この報告書にもございますように、この年度内におきまして六件ほども認可をしたものがございます。生産品種制限に関するものが大部分でございまして、混紡糸、純スフ糸ベアリング——このベアリング合理化カルテル制度を作ります際に例として御説明を申し上げたようなわけでございますが、これは最近に至りまして結成認可になったのでございます。それから混紡糸、純スフ糸につきましては、その後にさらに変更認可などもございました。大体生産品種制限に関するものが大部分でございますが、御承知の、これと違います鉄くずカルテルにつきましては、昨年春でございますか、これを認可いたしましたが、その後のいろいろな情勢で、そのカルテルではどうもうまくいかないということでございまして、昨年の暮れにさらにこれを更新と申しますか、構想を新たにいたしまして申請がございましたものが、ことしの一月になりまして認可になり、このカルテルによって今鉄くずの問題が業界において処理せられておるわけでございます。  それから独禁法適用除外法といたしまして、中小企業安定法あるいは輸出入取引法等に基きますいろいろな案件がございまして、これは主管庁通鷹省になっております結果、公取としては同意あるいは協議という形でこれに関係しておるわけでございますが、との方の事件も相当件数が出てきております。しかしこの点はこの報告書に比較的詳細に書いてございますので、しの点説明は省略させていただきたいと存じます。それから公取におきますいろいろな調査でございます。これは公取仕事こいたしまして非常に重点を置いておるものでございますが、この中にはいわゆる総合調査——われわれが総合調査と名づけておりますものと個別のいろいろな特殊の企業につきましてその業態を調査いたします区別調査と、この二つに分けておりますが、この総合調査につきましては、最近は流通機構における集中系列化ということをねらいまして、いろいろな調査をいたしております。もう一つは先ほども触れました企業集中傾向そのものをいろいろ調査いたしております。方にも毎年この集中の結果を表等にいたしましてお出しいたしておりますが、まだ準備が整いませんのでお出しいたしておりませんが、いずれ適当な機会にこの集中の最近の傾向を報告さしていただきたいと考えております。なお個別調査につきましては、証券市場における支配集中の問題、国産自動車工業の問題、ドラムカン工業あるいは損害保険料の問題あるいは電線業界の問題等々、十二件ほど調査いたしまして、すでに調査を終ったものもございますが、なお続けて調査中のものが相当数に上っております。  それから最近の公正取引委員会仕事かなり多くの部分を占めておると思われまするものに、いわゆる不公正な取引方法の取締りという問題があるわけでございます。これは御承知のように独占禁止法に根拠を置きまして、公正取引委員会が不公正な取引方法といたしまして指定するもの、その指定がやはり公取仕事になっておりますが、その指定しましたものに基きまして、業界におけるおもしろくない、そういう取引方法を取り締って参るという面にかなり仕事のウエイトが最近では置かれておるのでございまするが、その中で二、三申し上げますと、ます第一に新聞における不公正な取引方法の問題でございます。これは日常御承知のことと存じまするが、新聞業界におきましていろいろないわゆる販売戦がだんだんいき過ぎて参りまして、景品招待つき販売であるとかあるいは新聞社販売店に対しましていわゆる押し紙をするとかその他おもしろくない方法が相当とられておりますので、これは昭和二十八年に公正取引会員会業界等からの申し出もございまして、いろいろ調べました結果おもしろくないと思われるものにつきまして不公正な取引方法指定をいたそうとしたのでございまするが、この際は、有力な新聞社からそういう問題は業界にまかせてくれ、あまり役所の方で手を入れないでくれといって、いわゆる自粛態勢をとるからというお話がございましたので、二十八年には警告を出した程度にとどまったのでございます。業界におきましては、その後いろいろな手段を講じて自粛自戒に努めておったようでございまするが、やはりそこにどうしても自粛だけでは守り切れないものがございまして、特に最近、昨年の暮れでございまするが、御承知大阪読売新聞は二億円の抽せん券景品をつけまして抽せんをするというような、かなりとっぴな手段まで用いるというようなことが出て参りましたので、やはりこの際不公正な取引方法指定をすることが適当であるという——これはむしろ業界の方からそういう要求が出て参りまして、かねがね委員会の方でも考えておったことでございますので、昨年の暮れに公聴会を開きまして指定をいたした次第でございます。これはもちろん新聞中味そのものに対してわれわれがとやこう言うわけではございませんので、いわゆる不正な不当な売り方という、販売方法そのものに対しまして若干の公けの規制を加えようという趣旨でございます。幸いにその後業界におきましては、ますます自粛態勢も整備せられまして、まだ若干問題は残っておりまするが、ある意味において非常に新聞業界がきれいになっております。しかしこれはやはり今後の問題としまして、指定も最近のことでございまするので、今後もこの方面に相当注意を払って参りたいと考えております。  次に百貨店の問題でございますが、これは一昨年の暮れに、ただいま申しました百貨店業における特殊の不公正な取引方法指定をいたしまして、いわゆる返品でございまするとかあるいは卸しの業者納入業者から無理やりに手伝い店員を出させるとか、あるいは景品つき販売をするというようなことに対しまして、不公正な取引方法指定をいたしました。その結果はどうであったかと申しますると、まずこの景品つきの方から申しますると、これはほとんど跡を断ちました。ただわずかに当初から問題になっておりましたものが、これは友の会の問題でございまするが、これも当時行なっておりました友の会のほとんど半数は廃止あるいは停止されまして、残りましたものもいわゆるサービスの限度を公正取引委員会といろいろ打ち合せをいたしまして、今までやっておりましたサービスのほとんど半額というようなところに落ちつきました結果、現在ではこの友の会の問題は、そう皆様のお耳にも触れておりませんと思います。そういうふうに非常な是正が講ぜられまして、この程度ならばまあいいのではないかというふうに私たちも考えている次第でございます。  それから次に手伝い店員指定でございますが、これは指定をいたしました当時は、数字が多少狂っておるかもしれませんが、大体全国のデパートで実に一万三千人からの人を納入業者から提供させておったのでございます。それが一時にこれを整理いたしますることは、いろいろな問題がございまして、特に労働問題にも触れて参りますので、この是正につきましてはいろいろ慎重な段階を経まして、だんだんやって参りました結果、昨年の暮れにおきましては、約三千人にこれが減ってきております。つまりそれだけ納入業者の負担が軽くなってきておるわけでございます。ただこの手伝い店員につきましても、特殊の技能を必要とするものにつきましては、こういうものを派遣して売り込むことが、これは納入業者の利益でもございまするので、この特殊の技能を持ちまする者につきましては除外をしてございます。いかなる者が特殊な者であるかということにつきまして、現在業界といろいろ公正取引委員会と折衝いたしまして、これはデパートによりまして非常に見解が違っておるものもあるようでございまして、そこら辺をだんだんに歩み寄らせまして、どうしてもそういう特殊の者を派遣してもらう必要のあるものに限定いたして参りたい、そういうふうに考えております。しかしただいまの数字だけではどうかと思いまするが、数字から申しましてもそれだけの是正が講ぜられたということは、これは何も私どもの力ではなく、全くこれは業界自身の自粛と、それからやはりこれは一般世論の力というふうに私は観察しておる次第でございます。  それからもう一つ下請代金の問題がございます。これは公取がやはり二十八年当時から鋭意取り上げてきておることでございまして、これはいわゆる特殊指定をしてはおりませんけれども、二十九年の二月ごろでありましたか、いかなるものが支払い遅延になるかということにつきまして、いわゆる認定基準というものを発表いたしまして、大体この認定基準に従いまして取締りをしてきておるわけでございまして、二十八年度、二十九年度、それから三十年度と三回にわたりまして相当な範囲の調査をいたし、しかもその調査の対象となる親企業の数をだんだんふやして参りまして、三十年度には百数十社の親企業、それからその下の何千かの下請企業、これは通産省の中小企業庁とも密接な連絡をとりまして、双方から調べまして、そのうちであまりおもしろくないと思われまする親企業四十社につきましては、さらにきわめて精密ないろいろな調査をいたしまして、その結果なおそのうちの半数ほどに、十数社だと思いまするが、あまりよろしくないものが認められましたので、これには支払いの計画書を提出させまして、現在ではその計画に基いていろいろ是正が行われつつある状態でございます。この点につきましては、公正取引委員会としまして、はなはだ手不足ではございますが、できるだけの力を今後も尽して参りたいと考えております。なお、あるいはこの国会に、公正取引委員会のそういう方面の仕事がやりよくなりますように、またこういう問題の是正に役立ちますようなことを目的といたしまして、下請代金の支払いの遅延の防止に関する若干の法案を提出することに、今準備をいたしております。まだこれはいろいろな方面との折衝が完全に済んではおりませんので、ここで内容をはっきり申し上げる段階になっておりませんが、そういう法令の研究も現在いたしておる次第でございます。  それから、これは不公正な取引方法の問題でございますが、なお御承知のように公正取引委員会事件審査し、それを審判に付して審決するといり、いわば司法的な機能があるわけでございますが、これにつきましては、お手元の資料にございますように、件数ははなはだ少うございます。事件として正式に取り上げられましたものは四十件程度でございますが、なるだけ大きな、また意味のある事件を取り上げる、あまりこまかなものを一々重箱のすみをほじくるようなことをしないという態度で、審査審判の仕事をやっているわけでございますが、その一つ一つを御説明するのは省略さしていただきまして、ただちょっと特殊の事件としてお耳に入れておきたいと思いますのは、野田醤油株式会社に対し、独占禁止法の第三条に基きまして、野田が独占しているということによりまして、最近一年ほど審理をいたしました結果、昨年の暮れに一つの審決をいたしております。これはあまりこまかなことは省略いたしますが、大体御承知のように野田醤油その他四じるしというものは、しょうゆ業界の相当な重要な地位を占めておりまして、しかもその四じるしの中で、野田が絶大な地位を占めているわけでございます。この大きいことそのものは何も現在の独禁法上問題にはならないのでございますが、その力をバックにいたしまして、野田醤油が卸売価格、小売価格を指定をし、これが自然にほかの四じるしもそれにならわざるを得ないというような状態がございました結果、しょうゆの価格というものは生産者価格はもちろん、少くとも四じるしにつきましては、卸売価格も小売価格も全く野田のきめる通りの価格で売られているわけでございます。いわば、野田は物価庁であるというようなこともいわれているようなわけでございまして、これは自然にそういうことになるのならば、もちろん公正取引委員会として取り上げることはないのでございますが、これをそういう下級の段階の価格を指定いたしますと同時に、これは野田の方では単なる希望価格と申しておりますが、実際は希望でも何でもないのでありまして、その価格が守られているかどうかを非常にいろいろな機構を通じまして調査をして、そしてそれを破る者があれば、荷止めをしかねまじき気勢を示すということで、全くこれを破ることは、ほとんど事実上困難であるというような事態が出てきておるわけでございます。これはもちろんしょうゆだけでなく、そういう状態はほかの業界にも、いろいろな点が違っておりますが、多少あるわけでございますので、まず私どもはこの野田の事件を取り上げまして審決をいたす、現在これは東京高等裁判所に訴訟になっておりますので、こういう問題が独占を構成するかどうかということについて裁判所の最終的な判断を仰ぎたいというふうに私どもは考えております。問題は、おしょうゆで、はなはだ小さいではないかとおっしゃるかもしれませんが、しかし私どもの考えておりますのは、実はおしょうゆだけではないのでありまして、同じようなことがいろいろな業界にあり得るわけでございまして、それを一つ一つ今後私どもの監視の対象とし、またこれに取り組んで参りたいというふうに考えておりますので、審査事件の中で特にこの問題を取り上げて申し上げた次第でございます。  以上、はなはだ簡単でございましたが、昨年度におきます公正取引委員会の事務の概況を御報告申し上げた次第でございます。
  12. 神田博

    神田委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明十五日午前十時より通産、企画庁、公取関係全般にわたって質疑を行うことにいたします。  これにて散会いたします。    午前十一時四十二分散会      ————◇—————