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1956-05-30 第24回国会 衆議院 社会労働委員会薬価基準等に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月三十日(水曜日)     午後二時十一分開議  出席小委員    小委員長 熊谷 憲一君       野澤 清人君    滝井 義高君       長谷川 保君    山口シヅエ君  出席政府委員         厚生事務官         (薬務局長)  森本  潔君  小委員外出席者         議     員 仲川房次郎君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      館林 宣夫君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 本日の会議に付した案件  薬価基準等に関する問題     —————————————
  2. 熊谷憲一

    熊谷委員長 これより社会労働委員会薬価基準等に関する小委員会を開会いたします。  薬価基準等に関する問題について調査を進めます。まず政府より説明を聴取いたします。森本政府委員
  3. 森本潔

    森本政府委員 先日の委員会におきまして資料要求が六つほどあったと思うのでありますが、私の方で準備いたしましたのが、ただいまお手元に配付いたしました三つ資料でございます。  最初に簡単な方から申し上げます。パス等結核薬製造業者名は、先日の一覧表に載っておりました四種類の薬につきまして製造会社の名前を調査するようにとの御希望でございましたので、ここに書いてありますような会社でそれぞれの薬を作っておるということでございます。  それから次に製薬会社貸借対照表及び損益計算書の提出の御要求がございましたが、御要求の内容としましては、大会社、中会社、小会社について、それぞれ営業成績のいいもの、普通のもの、悪いものというお話でございました。御要求通りのものはただいま準備できかねますので、通常製薬大手筋十社といわれておりますところのものにつきまして、A、B、Cの三社を選んだわけでございます。従いまして中小の会社につきましての資料はございませんので、大会社考えられるもの十社のうちで三社を選びました。この表でごらんになりますように、Aと書いてございますのは、大体成績のいい会社でございます。それからBが普通の営業成績考えられるもの、それからCがその十社のうちで悪いと考えられるものを選んだわけでございまして、A、B、C社それぞれ特定の会社がございます。表といたしましては一応会社名を伏せておりますが、会社名は別にわかっております。それでここにございますような数字でございますので、ごらんを願いたいと思うのであります。この営業成績がいい悪いといろ点はいろいろな観点がございまして、資本の構成が一つ、それから経営の状況一つ、それから営業利益率、およそこの三つ観点から見るのが適当と思います。これらを総合して一つの判定を下すわけでありますが、これは非常にむずかしいことでございますので、結論的に申しますとこの三つの分け方をしましたのは、会社利益率の多いところをAとし、利益率の多い少いによりましてかようなA、B、Cの区別をいたしたわけでございます。わかりやすく申しますと、これは主として配当率になるかと思うのでありますが、A社配当率が二割五分でございます。それからB社配当率一割五分、C社配当なし、大体こんな見当で三つにクラスファイしたわけでございます。  それから次に参りまして、ビタミンB1の生産金額及び数量、さらにビタミンB1の輸出金額数量、この資料の御要求がございました。これについて御説明申し上げます。二十八、二十九、三十年の三カ年を調べました。この剤型別にございますように、錠剤液剤散剤注射液という四つの剤型に分類いたしました。それからその下に原末総量というのがございますが、これはビタミンB1の原末でございます。バルクでございます。その原末総量から注射液散剤液剤という形に転化されてくるわけでございます。なおビタミンB1には純粋のビタミンB1以外に他の総合ビタミン剤あるいは複合ビタミン剤というものに使用されたものもあろうかと思います。それで結論を申しますと、二十八年におきましては生産金額生産数量、これは原末の量で押えますが、十二トン何がしでございます。それから四種類の剤型として、最終製品として出ましたものの金額、これが約二十三億ということでございまして、この十二トンと二十三億というのは正確には対比できるわけではございません。原末の価格ではございませんので、錠剤液剤になった形における価格でございますから、その点一致する数字ではございません。それから二十九年になりますと、生産数量が原末総量で二十八トン、それから金額で十六億、それから三十年になりますと、生産数量が三十八トン、それから金額が九億、もっとも昭和三十年は生産部面調査としましては十カ月分でございます。十一、十二月分はまだここに記載しておりません。二カ月分が漏れておる、こういう状況でございます。かように三カ年毎年相当量ずつ生産量がふえて参っております。金額は若干下っておるということでございます。  それからこの間特に御質問になりました輸出の方はどうかという問題でございます。これは金額にいたしますと、大部分バルク輸出でございますが、二十八年が二億八千七百万、二十九年が六億五千四百万、三十年が八億百万、こういう数字でございます。それからその数量でございますが、これは二十八年は書いておりませんが、約五トンという概算でございます。それから二十九年が約十三トン、三十年が三十トンという量でございます。この三十年の三十二トンという数字は、これはメーカーから報告をとって得たもので、大体間違いないと思います。それから二十八年、二十九年の五トンないし十三トンと申しましたのは、当時の輸出の単価を輸出金額で割りまして数量をはじき出した、こういう数字でございます。  それで結論的に申しますと、生産数量は毎年ふえておる。それから輸出する数量もふえておる、こういうことでございます。これで達観して申しますと、国内需要量は年々増加しておりますけれども、毎年七、八トンから十三トン程度、この辺が大体の国内需要であろう。毎年増加した分は大体輸出に向けておられる、こういうようにお考えになったらいいんじゃないかと思います。  それから恐縮でございますが、ちょっと訂正させていただきますが、昭和三十年の生産金額でございますが、これが九億八千七百となっておりますが、計算違いでございまして、十三億四千何がしという数字に御訂正願いたいと思います。  以上であります。
  4. 熊谷憲一

    熊谷委員長 以上で説明は終りました。発言を許します。野澤君。
  5. 野澤清人

    野澤委員 今の配られた資料で、間違いじゃ血いかと思いますので、ちょっと伺いたいのですが、今のビタミンB1の生産金額及び数量という表の三十年度の原末総量を見ると、三十八トン七百四十三キロになっておりますね。それで輸出の量が三十二トン二百九十五キロになって、差額が六トンしかないのですね。それで国内需要として二十八年が七トン、二十九年が十五トン、これは輸出から差し引くとそういう数字になる。ところが輸出を含んだものが生産数量になるのか、あるいは全然別個に輸出の方は計算しているのか、ちょっと伺いたいと思います。
  6. 森本潔

    森本政府委員 この生産数量総額は、輸出数量を含んだものでございます。それで今お話のように、二十八年は今の見方をいたしますと、国内需要量消費量が七トン、それから二十九年が十五トン、三十年が三十八トンから三十二トン引いたものということになりますが、ここで先ほどももよっと申しましたように、輸出しました三十二トンというのは、間違いのない年間輸出量でございます。それから生産量におきましては、一月から十月まででございまして、あと二カ月分が計上されておりません。大体月間四トンぐらいの生産量でありますので、二カ月分でございますので、八トンさらにプラスされるという見込みでございます。
  7. 野澤清人

    野澤委員 配置売薬等ビタミン耳が入るようになったのはいつごろからでございますか。
  8. 森本潔

    森本政府委員 正確な日をちょっと覚えておりませんが、去年の九月か十月ごろからじゃないかと考えております。
  9. 野澤清人

    野澤委員 そこでこの国内需要の面ですが、配置売薬がふえましてから、非常にビタミンB1の消費量がふえておると思うのです。この間滝井委員からの質問ですと、生産消費とも大体均衡がとれてきたというお話ですが、富山あるいは奈良、滋賀等配置業者の実態から見ると、ここで消費する数量というものは莫大な数量だと思うのですが、去年の九月からですから、まだ正確な帰趨はつかめぬと思いますけれども、このために生産数量相当ふえているんじゃないか。これは粉末にしたり液剤にしたりするものでなしに、原末として相当の契約が成立していると見ているのですが、次会でもけっこうですから、一応御調査願いたいと思います。
  10. 熊谷憲一

  11. 滝井義高

    滝井委員 今のビタミンの表ですが、どうも理解に苦しむのです。それは二十八年の生産数量が十二トンのときに、生産金額が二十三億なんですね。ところが今度は二十九年になりますと、二十八トンで倍以上にふえていますよ。ところが今度はお金の方は十六億に減っておるのですね。それで今度は生産数量が三十年度十カ月問で三十八トンになって、お金は十三億に減っておる。こういうことになると、ビタミン値段というのはどんどん下ってこなければならぬ、そういうことなんですね。ところがこれが下っていない。この前の指数は、二十八年の一月を一〇〇として、三十年八月で九三ですから、下っていない。そうしますと、ビタミン価格が維持されておるということは、やはり外国に対するダンピング以外にないという結論になる。というのは、ビタミンB1の輸出金額がこれで見ると八億円で、ビタミン輸出総額は三十年度十二億円ですね。だから十二億のうち八億円というのはビタミンB1であって、あとの四億円は、その他のビタミンとか総合ビタミンになってしまう。そうしますと、結局ビタミン価格昭和二十八年以来維持できておるというのは、やはり出血輸出だという結論にならざるを得ない。この統計からはそうなるのですがね。
  12. 森本潔

    森本政府委員 先ほどその点を申し上げたわけなのでありますが、結論から申しますと、こういうことになると思います。年々の生産量はふえております。それで大ざっぱに申しますと、生産量中、前年に比してふえた量は輸出に向けられておる、こういうようにお考え願ってけっこうであります。それから輸出いたします場合のビタミン国際価格でございますが、これをちょっと申し上げますと、二十八年ごろはキロ当り百二十ドル、二十九年が百ドル・それから三十年が七十ドルという数字になっておりまして、大体年間傾向はこうなっております。それでこれは、この数字でなければ国際競争に耐えて、国際市場に出せないという数字であります。従いまして、たくさんふえますけれども、外国に出します分については、ともかく安くせなければ売れない、こういう現実の事情があるわけでございます。従いまして、国内のものと外国輸出するものとをプールすると申しますか、それらを合せまして生産者としては生産が可能なのでございます。そういう意味におきまして、出血という言葉はどうかと思いますけれども、輸出向きのものは安くしなければ売れない、その関係上・せっかく増産しましても、国内価格も若干ずつは下って参りますが、著しく下げることは困難だ、こういうことに観察しております。それで、かりに国外輸出をそう安くする必要はないじゃないかというような見解をとって減産することも考えられるのでございますが、これは国際性のあるもの、ことに医薬品としては外国向けが一番多いのでございますから、外貨獲得の面でさようなことを考える必要はない。またはそれを減らした結果国内向けビタミンB1の漸落傾向というものはかえって逆のととも考えられる、こういうととも考えるのでございまして、国際価格推移ごらん願いますと一応今のようなことになると存じます。
  13. 滝井義高

    滝井委員 まぐれ当りかもしれませんが、しろうとの私が勘、で言っておったごとが当った。これはやはり私は重大な問題だと思うのです。結局二十八年にキログラム当り百二十ドルであったものが、現実に七十ドルに下った。約半分とま、はいかなくても、六割程度になってしまっておるわけなんです。ところが、国内のものは依然として同じであるということになれば・やはり日本国民の犠牲において製薬企業が維持されているという格好になっておるととは確実なんでしょう。そうしますと、当然政府としては、他の産業においては、たとえば船なら船を輸出をすると、それに対して今度は外国から帰るときに砂糖なら砂糖を輸入する権限を与えられて、持って帰って日本、でもうけるというような形をとっておるわけなんです。薬務局としては、製薬企業にも・こういう肥料と同じような出血輸出の形じゃねくて、今の段階で何かそこに考える必要があるのではないですか。そういう点今までその理由がわからなかったのでおそらく考えたことはないでしょう。一番国民が多く用いなければならぬビタミンについて、今後これをてこ入れする必要が出てきたと思うのです。この点こういう結果が出てくれば、このまま放置しておくということは私は問題があると思うのです。それで何かいいお考えでも持っておられましょうか。
  14. 森本潔

    森本政府委員 こういうようにビタミンB大量生産ができて、二十八年以降でございますが、二十九年、三十年と輸出できるという状態になった。このことは、昭和二十五、六年ころだと思いますが、ビタミン会社に対しまして開銀融資を行なって本格的な企業合理化を行なった。その結果こういう芽を出したのでございます。かりに当時さような措置を講じなかったとしまずるならば、現在においてもおそらくアメリカあたりビタミンBを輸入しなければならなかった。安く入りますのでそういうことじゃないかと思います。だから、一応過去におきましてさような企業合理化を行なったためにこういうようないい結果になってきておると考えていいんじゃないかということを一つ申し上げておきます。  それから、ただいま肥料の話も出ましたが、肥料におきましても大体同じような開銀融資措置が講ぜられて現在に至っておるわけでございます。現在肥料におきましては、医薬品と違いまして特殊でございます。国際価格日本の方が安いのでございます。肥料日本価格よりも外国に出す価格が高い、こういう状況のように承わっております。これは、肥料というものは輸送の関係上多額の運賃を出します。従いまして、アメリカでありますとかその他の国から東南アジア等輸出する場合には、運賃が高くつくだけ割高になる。従いまして、むしろ日本としては優勢な地位にございまして、国内価格よりも国際価格が高く売れるという非常に有利な条件がございます。しかし、これももとをたずねますれば特別な融資措置が講ぜられた結果であるのでございます。それでこのビタミンB1につきまして今後どんな措置考えられるかというわけでございますが、ただいまのところでは、過去においてさような措置を講じて参った結果こうなっているので、せっかく努力をして参りました努力をいましばらくしてもらうということで参りたいと考えております。ただ、国際的な取扱いといたしまして、輸出をする場合に国内価格より安く七十ドルで売る、それに対して補助をするあるいは補償をする、さような考え方はガット等関係がございまして不可能でございます。結局わが国におけるビタミンB1の企業合理化につきまして、さらに改善する余地があればすることであろうと思います。現段階におきましては、ここ数年間さような努力を払って参りましたので、大体国際的なレベルまで合理化されて価格も下っている。これ以上下げるにはどんな方法があるかというと、現実の問題としては非常にむずかしかろうと思います。ただ、輸出した場合に補償をするとか補助をするとかそういう方法を講ずれば別でありますが、それはにわかにとりがたいというので、いましばらくこの推移を見ていきたいと思います。
  15. 滝井義高

    滝井委員 どうもわからぬのです。何もこのビタミン類だけでなくして、日本医薬品は全体的に外国の他の医薬品と比べても安いのです。これは製薬連合会から出たパンフレットにも書いてある。「わが国の主要な医薬品価格は、市場価格において他の欧米諸国に比し、決して高い水準にあるわけではなく、特に重要視されているパスストレプトマイシン等にしても、米国におけるパス(五〇〇瓦単位)の卸売価格は現在二、五七四円(七、一五ドル)、英国が二、二〇〇円(四四シリング)であるに対し、わが国は一、一七五円という低位にある。ストレプトマイシンも一瓦当り米国の一三〇円(三六セント)に対しわが国では約一〇%に及ぶ高率の特許料を支払いながらも一二五円というが如き現状である。」この事実とビタミンの七の十ドルをキログラムで売っているという事実と思い合せますと、日本パスマイシンもこれを見るとなるほど価格相当下っております。二十八年を一〇〇とすると、現在プロカインペニシリンのようなものは四一になっておる。テトラサイクリンのごときは五四になっている。そうしますと、このビタミンの例から見ると、これらのものも実はもっと下り得る可能性がある。しかし、諸外国より低くダンピング的な傾向で売るために、日本価格はもっと下げ得るものだがこの四〇から五〇の間で実はとどまっているという疑いをもって見ざるを得ないのです。私はやはりこの次、ビタミンのこの表を出してもらったと同じように抗生物質についてもこのような表を出してもらいたいと思う。生産数量輸出数量生産金額輸出金額、これらのものを出してもらえば、そこに必ずぴちっとした状態が出てくると思うのです。これはビタミンについてもそうなんですから、ほかのものもおそらくそうであろうと思う。ビタミンだけが例外ではないという感じがするのです。そこでお尋ねしたいのは、ビタミン日本競争相手は一体どこなのかということなんです。われわれは抗生物質アメリカから輸入しますが、ビタミンB1はアメリカ輸出している。そうしますと、日本が主として輸出をやるところは、アメリカをおいては現在の段階では東南アジア諸国以外には、少くとも欧米諸国医薬品を売るということは非常に少いと思う。アメリカビタミン輸出しておるとすれば、アメリカ以外の国ということになると、われわれの競争相手というものはヨーロッパのどこか。ドイツフランスか、イギリスか、何かそこらあたりしかない。今の一番近代的な技術を必要とする、最近流行のニュー・フェース、ハスやマイシンの類はイギリスアメリカより日本は安い価格で売っている。ビタミンについてももう古くからの薬ですから、技術的にも相当進歩している。そうするとイギリスドイツフランスにはそう劣っていない、どうも私はこういう感じがするのです。主たる競争相手というのは一体どこですか。
  16. 森本潔

    森本政府委員 ビタミンB1に限定いたしますが、現在これの主要な生産国、量から申せばアメリカでございます。日本の十倍くらい作っております。次がスイス、その他の諸国は大体日本程度考えております。  それから貿易といたしましては、どの国もそうでございますが、国内価格と、国際価格というか輸出する価格はいずれも違っておるのでございます。アメリカにいたしましても、国内価格は今のストマイ等の場合でありますれば百三十円ほど、ところが輸出する場合は七十円とかいう製造原価ぎりぎりのところまで下げてやっております。どこもそういう政策をとっておるのであ端事。そうでなければ、結局海外市場は開発できないという現状でございます。従いましてわが国におきましても、海外への輸出考えぬということであれば問題ないのでありますが、ともかく輸出考えるとなりますならば、国内価格と同じ価格で売ったのでは外国との競争ができない。従ってこれは安く売らなければならぬという事実上の問題がございます。安く売るのはやめたらいいじゃないかということになると、国内需要量だけを小さく小じんまりとやっておるということでございまして、これは製薬事業の発展、あるいは産業の育成、あるいは貿易の改善というものからしてとるべきところではなかろうと考えるわけでございます。それからビタミンBアメリカもずいぶん輸出いたします。ただアメリカ需要量と申しますか、これはすべてそうでございますが、大体日本の十倍くらいあるのであります。アメリカ自身日本からも輸入いたしますけれども、輸出も非常に多いのであります。日本から輸出するこの程度の量は、アメリカにしてみれば大した量でも何でもないのでございます。同時にアメリカとしては各国に輸出しておる。現実といたしましては、日本ビタミンB1を輸出するのはシナ・台湾程度でございまして、それ以外はスイスとか、アメリカが優勢な地位に立っておる。今後市場開拓を要する点でございますが、一朝にして解決できない状況でございます。
  17. 野澤清人

    野澤委員 それに関連して国内ビタミン製造業者で、二十八年、二十九年、三十年におもに輸出を契約した会社はどんな会社でございますか。
  18. 森本潔

    森本政府委員 これもさらに詳細調べればわかるかと思いますが、輸出いたします場合にはメーカー自身がやらないのでございまして、その間に輸出業者というのが入りまして、それが集めてやっておるわけでございますので、その辺さらに突っ込んでいけばわかるかと思いますけれども、直接にはちょっとわかりかねる。実情は今申し上げましたように輸出業者が扱っております。
  19. 野澤清人

    野澤委員 これは非常に重要なポイントだと思うのですが、滝井さんの質問された昭和二十八年の百二十ドルから七十ドルに下ったという原因には、生産機構の拡大とか合理化とかという局長の言われることも理由一つには数えられると思うのです。けれども輸出業者の方が引き合いを出す際に、大体百二十ドルや百ドルの価格なら一流メーカー引き合いを受けておるのですが、こういうふうに競争が激しくなってくると一流会社メーカーはおそらく引き合いには応じないと思うのです。従ってマスプロでなしに、大体中程度以下の製造をしていた業者が、現金化される、前金が受けられる、こういうことから原料と技術料とを現金化することに重点を置くために・値段が下っているというのが現況です。厚生省自体として、これだけの重要な企業を監督育成するという過程において、この問題は非常に重要な問題だと思いますので、よくその辺のところを御調査願って、たとえば武田とか第一とか塩野義とかというような一流メーカーが好んでこれを契約しているかどうか。それからまた二流、三流のメーカーが商館の方と契約しているかどうか、これは大体すぐわかると思いますから、一応御調査願って、次会にでもお示し願ったら大へんけっこうだと思います。
  20. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今キロ当り、二十八年百二十ドルのものが三十年七十ドルに下ったわけなんですが、二十八年のキログラム当り生産者価格は内地で幾らで販売されておるか。それから二十九、三十年、これをちょっと教えていただきたい。
  21. 森本潔

    森本政府委員 後ほど調べて御報告いたします。
  22. 滝井義高

    滝井委員 およそ三十年のところは、薬価基準ででもいいですが、ビタミンB1の一キログラムかあるいはその半分の五百グラムが出ていると思いますが、そうすると五百グラムの値段を二つ足したら一キログラムになる。どうせわれわれ買うのもそれくらいになるわけでありますが、それから逆算をしてみれば相当わかるのではないですか。およそのところでいいのですが。
  23. 館林宣夫

    館林説明員 これは結晶ですか、末ですか。
  24. 滝井義高

    滝井委員 いや、末で。
  25. 館林宣夫

    館林説明員 製品、では薬価基準につきましてビタミンB1の散薬が五百グラム、二百二十五円が基準単位当り四十五銭、これが甲地でございまして、乙地が二百三十一円、単位当りやはり四十五銭、こういうの、でございますが、今お話にございます量はビタミンB1の原末の純粋なものの目方かと存じますので、これそのものとの比較はできないかと思います。それからお尋ねのような意味合の結晶から考え単位当り値段は、薬価基準表にはございません。
  26. 滝井義高

    滝井委員 どうもしろうとで、原末のどの程度のものを使えば今言った二百二十五円、五百グラムのビタミンB1の末になるのか、これをちょっと教えていただきたいのですが、どういう割合になるのですか、その割合は。
  27. 館林宣夫

    館林説明員 今申し上げましたのは、一グラム中に〇・〇七ミリグラムの結晶が入っておるものでございます。
  28. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。どうもこれは一々計算しておったのでは質問になりませんから、では次会でけっこうです。二十八・二十九、三十年の日本における取引をされておる原末の価格をぜひ教えていただきたいと思います。  それから薬の値段が非常に下ってきたということについて、二十五、二十六年の開発銀行の融資等を通じて企業合理化ができたためにこういう状態になったということでございますが、そういうことだけでしょうか。四割以上二十八年から国際的な価格が下ったということは、国内価格はとにかく下っていないのですから、何か相手方すなわち競争するスイスとかアメリカビタミン製造技術が非常に進歩をしていったということなんですか。もしアメリカスイスビタミンB1の製造技術が非常に進歩したということであれば、同時にまた日本製薬企業技術も進歩しておらなければならぬと思うのです。ところが、日本国内価格がそれにもかかわらずコンスタントで変っていない。しかし国際価格はぐっと下ってきているということになれば、その技術の改良、企業合理化の影響、恩恵というものが、国内国民生活にはちっとも及んでいないということなんですね 一応ドルをかせぐ面においてはそれは役立ったかもしれないけれども、われわれの税金によって企業合理化されたにもかかわらず、その合理化の影響がわれわれの国民生活に直接に具体的に及んできていないということは、これはやはり政治の上からわれわれ考えなければならぬ問題だと思うのです。三年間国民は汗水たらして働いたけれども、ビタミンに関する限りはちっとも影響を受けなかった。それは全然影響を受けないとは言いません。九三ですから七だけの影響を受けておるのですが、しかしそれにしても国際価格が四割下ったということに比べればあまりにも少いと思うのです。だから、そういう点国際価、格が下らなければならぬ日本以外の原因はどういうところにあるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  29. 森本潔

    森本政府委員 非常にむずかしい問題と思いますが、大体ビタミンB1のわが国国内価格は二十五年から二十七、年の間にかけまして大幅に下りまして、国内価格オンリーで考えますならば、国内需要だけで考えますならば、二十八年の程度価格が底をついた価格だろう、こういう考え方があります。下るものはすでに二十八年までに下ってしまっておるということが言えると思うのでございます。従いまして輸出ということを離しまして国内需要だけで生産していれば、大体横ばいであるという段階であったのであります。それからあと輸出するかどうかという問題でございます。ところが輸出をしようということになりますと、これは外国競争相手があるのでございます。アメリカが六十五ドルで売るというのに日本が七十ドルでとまっておりますと、これは全然売れないわけであります。幾ら作っても売れません。売ろうと思うならば、少くともアメリカの六十五ドルまで持っていかなければ輸出ができない、こういうことになりまして、ともかくこういう競争の激しい商品につきましては、相手と同じ価格まで下げなければいかぬ。それから冒険を冒して、あるいは仕事の内容がよくなったので、もう一ドル下げようということで下げまして、相手を圧倒していかなければならぬ。だから日本国内価格の点だけを考えておりまして、あるいは自分の希望する価格で売ろうということを考えましても、とうてい不可能でございます。そこがいわゆる国際競争であります。七十ドルという数字は、何もわが国として希望する価格でもございません。日本価格より高い価格で売りたいという気持はだれでも持っておる。ところがその価格では売れない。ともかく各国がそれぞれ技術の改善をする、あるいは経営状態を改善していって、少しでも安く売ろうとする競争がありまして、この競争に耐えていくために、やむを得ざる処置としてここまで下げてきたのでありまして、これはわれわれの方として絶対に希望する数字でも何でもありませんが、現実がそうでございますからいたし方ないと考えております。
  30. 滝井義高

    滝井委員 私現実はよくわかるのですが、そこで三十八トンのビタミンB1を作って、そのうち三十二トンを輸出をしておる。しかも一キロ当りが七丁ドル、計算してみますと二万五千二百円くらいですか、一キログラム二万五千二百円で売ります。問題はその企業の採算の問題です。これで輸出するとして、ビタミンB1について、一応純粋な形で問題を取り上げるために伺いますが、それによって企業の利潤というものはどの程度あるのですか。
  31. 森本潔

    森本政府委員 その点になりますと、これは実はさような資料をとっておりませんし、ちょっと申し上げかねますが、こういう見方もあるだろうと思います。今先生のおっしゃいましたように、その企業だけで損することはなしに適正利潤を得てやろうというにはどれだけかという問題が一つあると思います。御存じのように、こういうメーカーになりますと、多くは数百種の医薬品を作っておるわけでございます。でありますから、商業政策といたしまして、あるものについては損をするかもしれぬ、しかしあるものについては相当もうける、それらをトータルいたしまして企業会社というものは経営が成り立っておるわけでございます。こういう事情がございますので、個々のものがどうかという問題も一つあろうかと思いますが、しかしこれは製薬事業の実態といたしまして、また商業政策といたしまして、簡単にそういろ結論を出すのもどうかと思いますが、そういう事情がございますことも申し上げておきます。  それからこのビタミンB自体につきましてはさような調査をいたしておりませんので、何とも申し上げかねます。
  32. 滝井義高

    滝井委員 実はいろいろたくさんの商品について、われわれ検討する時間的な余裕がございませんので、こうして問題がきわめてはっきりしてきておビタミンB1についてそれだけ抽出しみると、非常に問題が浮き彫りされてくると思うんですね。そこでやはり企業というものは、今言ったように一つの商業政策として、作っておる製品全般を考えてその企業の成り立ちがうまくいけばいいということもあると思います。しかしこれは企業家の立場に立ってみると、やはり全体において利潤を得るということは、同時にまた一つにおいても負けてはならぬという考えがあるわけなんです。ビタミンといろのは、現在生産量の多い、しかも今製薬業者にとっては一種のドル箱なんです。国民も一番多く使っており、「わかもと」のようなものでも非常にもうけておるという事実もある。そういうことから考えてみまして、やはり企業という立場に立って考えれば、昭和三十年度については内地で売る六トンと外に輸出をする三十二トンとの総和において損をしない形というものは当然考えられなければならぬ。内地のものと外国へ持っていくものとの総和において損をしないということを考えるが、さらにもう一歩突き進めれば、少くとも内地に売るものでも損をしないで、輸出をするものについても損をしないということを考えるのが当然なんです。だから、それならば輸出をするその一キログラム当り七十ドルで損をしておるか損をしていないかということをまずわれわれは見るべきだと思う。問題はこれで損をしていないということになれば、これは内地においてはうんともうけておるのですからはっきりしてくる。そうしますと、内地で使う薬というものは、ビタミンというものが健康保険でどのくらい使われるか、私は注射液というものは制限されて少くなっていくという見通しをこの前述べておる。私の見通しがあっておる。注射液は十四億円であったものが九億になり、七億になるというふうにだんだん少くなってきております。従ってそういう点から考えて、まず七十ドルで輸出をしておるものでどの程度の損があるか、どの程度の利潤があるかは、当面われわれ小委員会が第一に検討しなければならぬ大問題だと思うのです。これがはっきりしてくれば、すぐに今度は内地のもうけというものがわかってくる。そのためにはこのビタミンの、今ここに三つ会社貸借対照表損益計算書を出していただいておりますが、これじゃなかなかわからないので、どこかビタミンB1だけを作っておる会社がありますか。
  33. 森本潔

    森本政府委員 ビタミンB1のみを作っておる会社はございません。
  34. 滝井義高

    滝井委員 それならばビタミンB1も含めていわゆるビタミン剤というものだけを専門に作っておる会社がありますか。
  35. 森本潔

    森本政府委員 これはなお詳細に調べてお答えするのが間違いないと思いますが、ビタミンB1の錠剤オンリーという会社はなかろうと思います。後ほど調べたいと思いますが、おそらくなかろうと思います。
  36. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この前注射薬のいろいろ生産の過程の数字を私個人的にいただいたのですが、ビタミンB1末の生産過程を原末まで、——どうせこれは原末でいくわけですから、原価計算をどれか一つ出してもらいたいと思うのです。それさえ出してもらえれば問題は解決してくるのです。それは今わかっておれば、おおよそどのくらいだということがわかれば一番早いのですが……。
  37. 森本潔

    森本政府委員 これは前もたしかビタミンB1の注射薬でございましたか、出したと思いますが、今のお話しはビタミンB1の何でございましょうか。
  38. 滝井義高

    滝井委員 大体一キログラム当り七十ドルというのは、これは原末だとおっしゃったのです。だからその原末までの価格を出してもらえば、一番よくわかる。なおちょっと手を加えていただけば、今館林さんからお読みいただきました五百グラムのビタミンB1の末が二百二十五円、こういう数字が出ましたが、そこは原末まで出ればそこはちょっと手を加えれば五百グラム二百二十五円の原価が出てくると思うのです。これは包装代と粉をまぜる手数だけを加えればいいのですから、そこら当りまでのものを出していただければ問題の所在はビタミンB1についてははっきりしてくると思うのです。それはできるでしょう。
  39. 森本潔

    森本政府委員 これは現在正式に法律上の根拠をもって聴取ずることはできないのであります。会社の方にこちらが話しまして、出した資料をそのまま御提出申し上げるということになるかと思いますが、一応さような方法で集めてみることにいたします。
  40. 滝井義高

    滝井委員 私はそこらあたりが、業者を信用しないというわけではないのですが、現在石炭なんかの生産原価というものは正確に石炭局で出てきておるのです。それは石炭の合理化計画を立てる上において、石炭の格価というものを、たとえば一カロリーというものをどのくらいに見るか、六十銭に見るのか幾らに見るのかという、非常に詳しいデータが石炭局から出てきております。トン当りたとえば四千六百円なら四千六百円というような非常に正確なデータを、おそらく石炭局は業者の中からとっておると思うのですが、正確に出てきておるのです。それでまた業者も、それぞれ自分の会社はどの程度今年は生産量があったのだということは、みな石炭局に報告してきておるわけです。私きょうは予算書を持ってきておりませんが、この前も予算書の中にありましたように、それぞれ奨励的な補助金的なものがあるようであります。それから動態調査をやられる予算もとられておりますから、やはりそこらあたりまでは業者も協力してもらって、正直なところを出してもらうということもいいが、あなた方もやはり——行って調べる権限というものはどういう法律上の根拠からないのですか。
  41. 森本潔

    森本政府委員 これはさような立ち入り検査、それからそういう企業内容の報告を聴取する、かような法律の根拠はないわけであります。おそらく今お話しの石炭につきましては、何かそういう法律の根拠があるのではないかと思います。これはそれだからできるのだと思います。従いましてもしそれがない場合には、結局業者の協力を求めるという方法しかないわけであります。薬につきましてはさような根拠はございませんので、こちらから審査をする、立ち入って帳簿を調べるとか、さようなことは実はできないのであります。従いまして一応提出したものを、あるいは変なものがあればその意見をつけて申し上げますが、それ以上のことをすることは適当でないと考えておりますので、今言ったような慎重なお答えをしたようなわけであります。
  42. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと国の機関から金を借りておる会社、これは当然調査をする権限があるのではないですか。たとえば開発銀行から融資を受ける、するとその融資を受けた会社について、その金が正当に融資の目的通り使われておるかどうかということを調べる権限は、官庁にないのですか。
  43. 森本潔

    森本政府委員 その点ここで間違ったことをお答えしてもなりませんが、あるいは開発銀行が金を貸しておると思うのであります。貸した場合に貸付の条件その他に従って、おそらく何かのことがあろうかと思いますが、それは開発銀行でありますれば、開発銀行対その会社関係でありまして、関係のない官庁としてはそれは当然さような検査権と申しますか、報告聴取権と申しますか、それは出てこないのだろうと思います。ただ融資を受けたことがどういう条件で受けておるか、その点のことをつまびらかにいたしませんと、これもその辺の状況を調べてからでないと、何とも申し上げかねます。
  44. 野澤清人

    野澤委員 今の滝井君の要求ですが、これは局長そんなにおそれずに、メーカーの方に話をすれば、これは好意的に参考資料として提出すると思います。ただ提出したものについてどこまで責任を持たせるかということは、いわゆる国税庁あたりの権限のように、それを出してきたら利益を追求して過怠金をかけるとか、税金を徴収するという目的であれば、それはちゅうちょすると思いますが、あくまでもこの小委員会としては参考資料として提出してもらうということなら可能だと思うのです。ただそれを要求される際の態度ですが、たとえばビタミン末ならビタミン末を製造しておる、あるいは注射薬を製造しておるところというように、単純なメーカーに依頼したのでははっきりした数字は出ないので、少なくとも結晶から原末、注射薬までの総合工場に依頼しまして、そうしてできることならば原価計算の様式は、段階的に提出してもらうと一番いいと思うんです。製造工場の生産原価と、その工場管理をする上においての管理費の負担と、さらに営業費を負担させたもの、さらにまた研究費をそれにプラスしたもの、というふうに段階的にこれを出してもらえばしろうとにもわかるんじゃないか。総体的な企業経理から出発した原価計算になってきますと、かっての軍でとっておったようね総合経理になって、しろうとが見てもこれは判定がつきません。従って武長でもどこへでもお願いする場合に、局長の方からこういう目的なんだということで段階的におっしゃっていただけば、おそらく協力してくれると思いますが、そういう意味で一つお願いしたいと思います。
  45. 森本潔

    森本政府委員 少し私の申し方に誤解があったようでございますが、私は他の権限を持った者と違いますので、責任の持てるむのを強制的に取り得るということはできませんということを申し上げたのであります。おそらく協力してくれると思います。そういう意味におきまして御提出申し上げたいと考えております。それからなお御注意の点も参考にしますが、先ほど申しましたのは、協力してくれるだろうという前提で申し上げたのでありますが、強制的なもの、あるいは立ち入り審査等をしまして間違いがないものを出すかどうかという点については、これは困難である、そういう意味で申し上げたのでありますから一つ御了承を願います。
  46. 滝井義高

    滝井委員 ちょっと法律上の点も同時に調べてもらいたいんです。国が全然補助金も何も出していないところの私企業に行って調査するのは、なかなかできかねると思います。そうでなくて、たとえば開発銀行から融資を受けているような会社について、資料の正確を期し、信憑性を高めるために国が積極的に調査することができるかできぬか。できるとすればその法律上の根拠は、どういうところからできるかというのを一つ調べていただきたい。  それからいま一つお願いしたいのは、厚生省には衛生試験所や何かの医療の試験所がたくさんありますね。そういうところでビタミン抗生物質等をもっぱらお作りになっておるところはありませんか。実はブドウ糖ならブドウ糖を末から作るという過程は、すぐ私らしろうとでも計算できるんです。ずいぶん安くできる。これはわれわれ同僚の病院へ行って調べても、原価どのくらいでできるかすぐわかる。あとはアンプルに詰める手数料と、ガラスの代とを見積ってみれば大よそのところは出る。ところが原末を作るまでの過程は、なかなかこれはちょっとわかりかねるのです。そこで厚生省あたりでも衛生試験所か何かで作っているようなところはないんですか。
  47. 森本潔

    森本政府委員 最初の開銀融資に対する調査の根拠でございますが、これは先ほど申したような考え方をただいまは持っておりますが、なお調査してお答えいたします。  それから国立の施設におきましてビタミンあるいはその他のものを製造しておるかどうか。あるいは試験制度と申しますか、があるかどうかということでございますが、大体考えますのは国立の衛生試験所くらいだと思いますが、ここでは製品の分析、検査が主たる仕事になっておりまして、あるいは研究的に一部やったことがあるかもしれませんが、おそらく人員の点それから仕事の性質上から申しまして、やっておらぬと思います。
  48. 滝井義高

    滝井委員 やっていないそうですからやむを得ません。  そこでこれは今出していただいた資料とはちょっと別なことになりますが、流通機構の問題です。この流通機構は非常にセーマチッシュに出てきているわけですが、どうもこういうものではないようでございます。最近は一般商品と同様に、非常に商業主義が支配していることは、もうすでに多くの医療関係を論議する人々の間でも、製薬企業の商業主義というのはみんな認めてきているわけです。さいぜんここで話しておったように、自転車やいろいろな商品がやっておると同じような景品付の売り出しもやっておりますし、薬価もビタミンのように値下りもしないというようなものもあり、過大な広告をやっているのですが、全国の薬品の販売に当っておる、あるいは調剤に当っておる薬局の数は、一万八千六百二十二と出ておるわけですが、その前の段階の卸業者と申しますか、そういうものの数を知りたいのです。そしてそこにおける従業員の数もわれわれは一応知っておきたいのですが、そういうものは大体分っておりますか。
  49. 森本潔

    森本政府委員 この流通系統の図面を書いて申し上げたのでございますが、これは一応基本的な形でありまして、万事がこの通りいっておるかどうかというと、いっておりませんし、またこの通りいかねばならぬのかというと、そういうことはございませんで、卸業者も小売を同時にやってもよろしいし、メーカーが販売業の登録を受ければ販売をやってもよろしいようでございまして、この通りいかなければならぬのか、あるいはいくべきであるかということは、これは全然別でございます。一般の商品におきましても多くこういう形をとっておりますので、医薬品についても典型的な形はこういうことである、しかし実情はこの通りでは決してない。またこの通でなければならぬということもないのでございます。これは一般の商品と同じようなものであるということを、一つ御了承願いたいと思います。  それから元卸の数はどのくらい、あるいは地方卸の数はどのくらいというお話でございますが、これは今言ったようなことで、純粋の元卸をやっておる、あるいは純粋の地方卸をやっておるというものは非常に少かろうと思うのでございます。小売的なこともやっておりますので、純粋なものというのは非常に少かろうと思います。さような調べをしたこともないのでございますが、一応推定されますのは、戦争中におきまして配給統制をやったことがございます。これはもう当時のことでございますから元卸になったもの、地方卸になったものは、きめられた業務のこと以外はやってはいかぬということになっておりますので、この当時におきましては、はっきりした数はあったわけでございます。一応その当時の数字を申し上げておきますと、元卸と指定しましたものが八五、それから地方卸として指定しましたものが千六百六十五、これは昭和二十五年ごろの数字でございますが、こういう数字がございます。当時におきましては元卸、地方卸はその業務しかやってはならぬということでございました。しかしながら今はそういうことはないのでありますが、主として元卸、地方卸的な業務をやっているところと申しますと、今申しました数字に近いものがあるのじゃなかろうかということが考えられます。  それからこれに従事しておる者、これも格別調べる必要もないので調べてはおりませんが、いずれも中小企業でございますので、薬局、小売等になりますれば、これは主人が一人、手伝いがあるかないかということ、それから地方卸にいたしましても、これも二、三人でやっておる。元卸にいたしましてもこれもせいぜい十人以下だろうというようね数字で、一応お考えになってけっこうかと思います。
  50. 滝井義高

    滝井委員 大体元卸、地方卸合せて二千以下であるというところの実態かわかりました。  そこでその次にお伺いしたいのは、国民一人当りの薬品の消費量、あるいは一人当りの薬品の生産量とでも申しますか、生産量ということは、輸出が多いですから、即消費量にはならぬわけですが、これを一つお知らせ願いたいと思うのです。と申しますのは、しょっちゅうここで私が申しますように、八百億前後の生産者価格として薬が作られておるわけですが、そのうち明白にわれわれが把握できるのは、五百億前後だ。あとの五百億というものの運命というものがはっ選りしないのです。そこで国民一人当りの薬品の消費量というものを何らかの形で出したい、大体こういうことなんです。国民の保健衛生費というようなものを、いろいろ統計年鑑等から見てみますと、最近における国民生活の安定のために、保健衛生費というものは、ある程度上ってきておるということは事実なんです。いわゆるエンゲル係数というものがだんだん五十以下に下ってくる。そうしますと、必ず今度はその残った所得というものは、何か文化的ねものに回るということは、同時にそれが保健衛生費等にむ回ってきていることを意味するわけなんです。そういう保健衛生費の中にどの程度の薬というものが買われたかというようなことが、どうもはっきりしないのです。何か国民医療調査ですか、何かああいう調査で医務局から出たのを見ると、百五十億から百七十億くらいしか出ていないのです。そういうものを合してもなお五百億というものがどこに行ったかわからぬ。こういうことでは、今後われわれが薬務行政をほんとにうまくやっていくというためには、これは何といっても資料不足だといううらみをまぬがれないと思うのです。そこで生産金額というものをきちっと八百億とらえたならば、そういうものがどういう過程を通って外国に出て行き、どういう過程を通って国民生活の中に浸透していくかということは、この際明白にずる必要があると思うのです。われわれは今医療機関における面については、水も漏らさぬ形で把握しようとしているのですが、やはり当然これはいま一つ左の手を伸ばして、国民生活の中にどういう方向でいっているかということを、右の手、医療機関のものをそっくりすくうようにやっておるわけですから、やはり薬局を通じあるいは売薬を通じ、配置薬を通じていっているものむ、この際明白にしておく必要がある。そういうことの全貌が明白になれば、薬剤師の技術料、それから医師の技術料、同時に製薬の利潤をどの程度に確保しなければねらぬか。日本製薬企業をほんとに発展させて、外国との競争に勝つためには、どういう施策が必要かということが、はっきり出てくると思うのです。今のような状態では、私らは製薬企業にはまるで五里霧中です。あなた方も、聞いてみるとますますどうもあなた方自身がやはり深い霧の中にあると同じ状態なんです。霧を通して見ているのです。それじゃどうも困るんで、もっと一つ霧を払いのけて、青空を見てもらいたいと思うのです。そういう点で、国民一人当りの薬品の消費量というものの把握に努力してみると、案外それから逆に押してくればわかると思うのです。製造元から今度卸を押していく。国民消費量の方から今度小売り、卸と押し上げて、両方の押し上げがぴったり合いさえすれば、これは問題は割に単純な形で解決できるんじゃないかという感じがするのです。そういう点わかっておるかどうか伺いたい。
  51. 森本潔

    森本政府委員 これは国民一人当りの薬品の使用料は幾らかという問題であります。これは非常にむずかしいことだと思うのであります。これは結論から申しますならば、正確な数字といたしましては、最終製品として生産されました数字は、前から申しますような指定統計を取ったものがあります。これは比較的そういう対象も少いしいたしますので、ほぼ正確なものができる。ところがその数字を小売価格に戻しまして、これを人口で割れば、一人当りの消費量が出てくる。これが大よその見通しだろうと思います。それは見通しとしてわかるけれども、さてほんとに何ぼ使っているのかということになりますと、これは逆の面から見まして、極端に申すならば、各家庭におきまして、各個人におきまして、どんな薬を何月何日に作ってどうして使ったということを記帳させまして、それを一年間トータルしなければできないということになると思います。そうしますと、ちょうど生産統計に見合います消費統計が出てくるのであります。しかしこういうことは、おそらく私は不可能じゃなかろうかと思うのであります。生産統計におきましては、会社でございますので、日々の生産量並びに金額をやります。ところが各個人の家庭におきまして、さような調査をさせることができるかどうか。またそんなことをさしてみることが適当かどうかということになろうと思います。だからそういうことは、おそらくはできないじゃないだろうか、またすべきじゃなかろうと考えます。それで一つ方法だと考えられますのは、医療調査におきまして、抜き取り調査をやって、他の調査とあわせてやったものがあるわけでございます。ところがこの調査にいたしましても、おそらく先生のおっしゃいますのは、家庭薬等の使用については少し数字がおかしいじゃないかとおっしゃることだと思います。私もさような感じがいたします。しかしこの種の調査において正確な数字を求めるということは、非常に困難であります。現にやりました指定統計基準の方でやった結果がすでにそういう欠陥を暴露しているわけであります。従いましてこれ以上の調査をやることが適当かどうか、可能かどうかという問題もあると思いますので、さようなことは非常に困難であろうと思います。それからその流通過程、どうかという問題、これは簡単に申しますならば、昔のように配給統制をやれば一番わかるのでございますが、そんなことは考えられない。また各流通機関から何ぼどこへ売ったという報告をさせるということが一つあるのですが、これも前に申しましたようなことでございまして、各個人に対する調査とほぼ同じわけでございます。そういうめんどうなことを強制することが適当かどうかという問題になると思います。結局こういう問題は、別に薬に限りませすに、すべての商品について同様だと思います。おそらく正確な数字を求めるということは、薬といわず何といわず困難であると考えます。従いましてそういう意味の正確なものを出すということは期待できない、またすべきでもなかろうという感じがいたします。それからこれに関連しまして、医療の方においては、どういう手術をしたとびどういう処置をしたということが、比較的明瞭でございます。これはその限度におきましては、保険の支払いという一つの支払いの方法がございますので、その限度において、これは薬の方においても取れているわけでございます。その点は一般の医療、薬とも同様でございます。医療におきましても、保険に入っておらぬ、あるいは公的医療でないものにつきましては、これが調査もできておりませんければわかりもしないという問題、これは薬品についても同様でございます。これは非常に困難である。保険でありますれば、何かそういう支払いのあったもので調べるのがせいぜいじゃなかろうか。これは国民皆保険でもありますれば、ほとんど大部分はそれで調べることができると思いますが、そういう時期まで待つべきものじゃなかろうかという感じがいたします。それから今申しましたように、医薬品調査というものは非常に困難でございます。でございますので、家庭薬を百五十億しか使っていないのだということになると、これは結局調査の不完全と申しますか、困難と申しますか、困難性をなまのままに出したところの結論じゃないか。それでその数字をもってきまして生産量消費量が合わぬじゃないかということになれば、これは確かに合わぬと思います。その辺にいろいろ問題があると思いますが、結論として申しますれば、多くのメーカー並びに流通過程におきましてどこへいったかわからぬと言いますが、これはわれわれの方としてはわからぬのでございまして、各関係者としてはわかっておるわけでございます。そいつがどこかえ捨ててしまうとか、焼き捨てるとかいうようなことがあれば、これは変なことになっておるというわけでございますが、さようなこともほとんど聞きませんし、いたしませんし、ともかく生産されたものは在庫でしばらく寝ておるかもしれませんが、しかし一年あるいは半年後には消費されておるということでございまして、どこへいったかわからぬというのは、わからぬといえばわからぬのでございますが、結局国民のだれかに医療機関等において消費されておることは確かでございますので、その辺は大局観察でいくより仕方がなかろうという感じがいたしますが、なおできればそういうものはあるのが望ましいと思いますので、一つ専門家とも検討いたしてみたいと思います。
  52. 滝井義高

    滝井委員 どうも局長さん、少し認識不足じゃないかと私は思うのですが、関係者でわかっておるのですから、わかっておる関係者からわれわれは聞かなければいかぬと思うのです。その前に、国民一人当りの薬品の消費量というものがなぜわれわれは必要かというと、少くとむ今自民党の政府においては経済五カ年計画というものを立てておる、その五カ年計画をごらんになると、相当詳細な一人当りの国民所得から何から出てきているのです。米あたりにしても使用する量まで、失業者も五年後には四十五万になるというように、ぴちっと出てきてしまっておるのです。これは少くとも医療保障五カ年計画を内閣がやろうとするなら、薬品の使用量というものがわからぬことには薬品の計画は立たぬのです。しかも製薬企業というものを安定せしめて輸出を順調に伸ばし、外貨を獲得するためには国内消費量というものをぴちっとつかんで、その価格もどの程度に定めて、外国にはしからばどの程度に安くすればこの企業は採算がとれるかと言うことは当然なんです。今国民一人当りの薬品消費量というものはできもしないし、そんなことはやっても意義がないという意味の御答弁があったが、社会保障制度審議会でこれを要求している。社会保障制度審議には、もうこの資料は多分出ておるのじゃないですか。社会保障制度審議会の第三部会、今井さんのところでは、おそらく資料が出ておるのではないですか。これは国民消費量がわからなければ、日本製薬企業の計画的なあれは立たぬと私は思うのです。国民はどのくらい使うか何もわからぬ、五百億というのは関係者はわかっておるけれども官庁にもわからぬのだ、通産省にもわからぬのだということでは、製薬企業計画は五里霧中で、立て方がないと思う。だから当然これは、ある程度立てなければならぬと思う。私はこの資料は、けさ社会保障制度審議会の第三部会のを読んだ。そうしたらその中に資料として要求か何かされておる。局長さんは今そういう資料要求しても何も役に立たぬとおっしっしゃるけれども、社会保障制度審議会も必要だと言うし、私も必要だと思って何かないかと思ってけさ見たところが、社会保障制度審議会の今井さんの第三部会でもこれを要求しておるのですよ。
  53. 森本潔

    森本政府委員 私が申しましたのは生産と最後の消費者の見合うような正確なもの、間違いないものがとれるかどうか、こういうようなお尋ねに聞いたものですから、そういうことで申し上げたわけであります。それで今第三部会へ出した資料があるというお話でございました。一つは出したのがあるようでございまして、国民一人当りの薬品の生産額を出しております。それからその他おもな製品数量、それから指数、それから薬品消費額の推計というのを出しておるようでございますが、これも先ほど申しましたような意味のほんとうの推計のものでございます。それともう一つは、医薬品生産金額医薬品消費金額との相違、これは今お話しになりましたような生産額と合わぬではないか、その合わぬという実情を書いたものを出しております。しかしこれは先ほど申しましたように、現在の資料そのままであればそういうあれがございます。あとはまたこの資料の誤まり等、あるいは正確性がないというような点も御説明いたしたわけでございます。
  54. 滝井義高

    滝井委員 その出した資料国民人当りの生産高ですか、それと国民一人当りの消費量の推定、そこをちょっと数字を教えてくれませんか。
  55. 森本潔

    森本政府委員 これは私前に出た資料ですので見ておりませんが、ちょっと申し上げます。国民一人当りの薬品の生産額でございますが、昭和二十年が一人当り二百十一円十四銭、ずっと年を経て参りまして、——毎年書いてございますが中間を省略いたしまして、昭和二十五年が三百八十三円六十一銭、それから二十九年が八百八十円七十九銭、これが一当りの生産額でございます。それから消費の方は、これは昭和二十七年の推計ということになっておりますが、このやり方は一当りではございません。昭和二十七年が全部書いてありますので昭和二十七年を申し上げますと、生産額が五百八十五億——億以下は切り捨てます。それから輸入額が三十三億、輸出額が十五億、差引国内の供給額が六百三億、それから消費額としまして総額四百三億。以上のような数字でございまして、一人当りの数字は出ておりません。これは私の方から出したのではないようでございまして、別の所管のところから出しておるようでございますが、一応これは生産統計の生産額、それから輸入輸出の額のきまった数字というのを出しておるようでございます。それからこれは今も聞きますと、生産額等についても若干誤った数字があるようでございますので、私の方からこれはちょっと御説明申し上げるわけには参りませんのでございます。
  56. 滝井義高

    滝井委員 どうも要領を得ないのですが、そうしますとさいぜん医薬品、の生産金額と消資金額とが違うということを再々にわたって指摘したのですが、その違う理由は今のではどういうことになっておりますか。
  57. 森本潔

    森本政府委員 これの違いは事項別に申し上げますと、一つの大きな原因はこういうところにあると思うのでございます。生産額の中には殺虫剤でございますとかあるいは薬用の歯みがき、絆創膏あるいは防腐剤、防臭剤、殺鼠剤あるいは薬効を表示しております化粧品、こういうものが生産総額に入っております。ところが実際の各家庭で調査をいたしまして報告をいたしますと、おそらくそういう場合におきましては、殺虫剤でありますとか、薬用歯みがき等のようなものは、これは薬品として報告をしていないのではないだろうか。これも想像でございますが、こういうことが一つの大きな原因ではないか。これも生産総額で調べますと、百十八億ぐらいになります。相当大きな数字でございますが、これに見合う消費というのはおそらく医療調査では出ておらぬのではないだろうかということが、これは想像ですが、されます。  それからそのほかに、この途中の流通過程における在庫、これが相当あります。ちょっと数字は忘れましたが、二カ月分か三カ月分の数量をそれぞれの流通過程において持っておるようでございますが、これが最後の末端までは出ておらぬのじゃないかと考えるのであります。まあこの二つが大きな原因じゃなかうろかと考えます。大きな原因は生産額を消費額に引き伸ばした場合の数学と医療調査の結果が違うというところに出て参っておるのじゃないか、かように考えておるのでございます。  それから医療機関の方につきましても、保険の方の数字は明らかでありますが、保険以外のものにつきましては、同様な記載されないものが相当あるのじゃないだろうか。そのような点で調査の方式あるいはこういうのが伴うところの相違が出てくるのじゃないか。こういうのを合せますと、二、三百億の数字になるのじゃないか、かように考えております。ただいまのところこれ以上の説明は困難でありますが、これは当らずといえども遠からずと考えます。
  58. 滝井義高

    滝井委員 今の説明である程度納得がいきましたが、しかし薬というのは絶えず循環をするものなので、在庫になったり、保険以外に使用したり、あるいは純粋の医薬品以外の殺鼠剤とか歯みがき、化粧品、防臭剤、防腐剤というようなものがその年のものがその年にたくわえられるということじゃなくて、やはり循環をして使われていくので、一年間消費量がどの程度あるかということはやはりある程度正確に何らかの形で把握する必要があると思うのです。現在は把握できていないけれども、それを把握することによって日本国内製薬企業の計画が私は立つと思うのです。今のようにまるきり何かわからぬということで、計画が立たぬのに品物を作っていくということになれば、これは製薬業自身が中小企業であり、不安定なその場限りの出たとこ勝負ということになりかねない。まあそれはそれとしていずれ専門家からもう少し聞きたいと思います。今の卸業者のことをさいぜんお聞きして、そういうところまで入っていったのですが、このほかに二号業者、三号業者と申しますか、薬種商みたいなものですか、そういうものが相当国民医療に必要な薬を扱っておるわけなのです。そういう業者の数は、これはこの統計の中には、医薬品の販売業者というものの中のどの項に入っておるのですか。入っていないのですか。
  59. 森本潔

    森本政府委員 先ほど調査のことについてお話がございましたが、供給量と消費量の在庫の突き合せでございます。これは米のように、国で買い上げる、あるいは生産数量、輸入数量はわかっております。それによって結局供給量はこれだから一人当りの消費量がこれだけだということになっておると思います。そういう意味において、各個人の一人々々が米を日に何ぼ食べたということを集めまして消費量幾らという計算じゃなかろうと思うのでございます。そういう意味で申しますと、薬の方の生産額を押えましてそれを人口で割るという行き方は米の場合と同様であろうと考えます。おそらく経済五カ年計画とかその他において一入当りの消費量というものは出ておると思いますが、それを末端から調べ上げまして、そのトータルがこうだという方式はとらずに、生産額から押えてとつたものであろうと考えます。  それから二号業者その他はどれかということでございますが、この前差し上げた表に医薬品販売業者の概況というのが六番目にございます。これで指定医薬品以外の品目を売る業者が一万三千二百七十七、これは通常二号業者とみておるわけでございます。その表の見方としましては、6の表と7の表とはこれは少くとも元卸業から小売業者までの間でございますが、これについては入りまじっておるわけでございます。と申しますのは、全品目の医薬品の販売の量の登録を受けておる。それは同時にこちらの表で見ますれば元卸業者であったり卸業者であったりということでございまして、この表は両方突き合せてごらん願う、こういうことに御承知願いたいと思います。
  60. 野澤清人

    野澤委員 前会のと巻にちょっと指摘しておいたのですが、薬価基準の定め方について二、三御質問をいたしました際に、大きな矛盾があるのじゃないかというような考え方、それときめ方自体に相当独善的なものがあるのじゃないかということを私指摘しておいたのですが、きょうはその具体的な内容について、どういうふうに厚生省当局として考えられておるのか。薬価基準の根本的な定め方について伺いたいと思うのです。それは現在医薬品種類としまして薬価基準に、載っておりますものが約三千三百種前後あるわけですが、その製価基準に収載されています品目をずっと一品ずつ当っていってみますと、日本薬局方に収載されているものであって薬価基準に収載されないものが相当あるということです。たとえてみますと成分的に指摘されていないものが大体百六十七種類あります。それから剤型的に収載されていないものが七十四種類、それから今度国民医薬品集に収載されておってしかも薬価基準に載っていないものが百四十七種類、これは成分上からの問題です。それから剤型的に指摘しますと、未収載のものが百十二種類ある。これは現在実際に使われないというものもあるかもしれませんが、少くとも医薬の進歩過程から見ますと、日本薬局方というものは国民の医療を対象にした相当権威あるものだと思うのです。しかもこれに対して厚生省が多年の経験と多額の費用とを投じて薬局方を制定され、この基準によって製薬業者製造に従事していく、こういう建前であって、しかもその品種を分類した統計表等もあなたの方から出しております。医薬品の品目数というのが参考資料の三に載っておりますが、日本薬局方収載医薬品種類として六百二十七、品目で四千二百六十七、国民医薬品集収載医薬品は四百七十二種類、八百八十一品目、こうして資料が出ておりますけれども、選定の基準をどういうところに置いておるのか。結果から見ると、基本となるべき繁用製品というものをむしろ落しておって、いわゆる流行の新薬新製剤にひとしいような新しい薬に重点が指向されていくのじゃないか。医薬品価格によって医療費の増高を来たすというようなことを、しばしば国会で指摘されておりますけれども、これらに対して厚生省当局として、今日まで薬価基準をきめられる場合の態度として、どういう基本的な考え方で選定されてきたか、この点について伺いたいと思うのです。
  61. 館林宣夫

    館林説明員 薬価基準の、ことに第一類には、ただいまお話のございました日本薬局方収載医薬品並びに国民医薬品集収載医薬品は一応入る方針で定めてございますけれども、それらの中には御承知のように試薬類あるいは生薬のようなむのがあるわけでございます。それでもともとこの薬価基準設定の根拠が現在では保険の点数表の投薬あるいは注射の項で薬価基準に基いて算定するという取扱いになっおりますので、実質的に医師が投薬ないしは注射で用いないような薬品についての収載をする必要性がないというところから、またいま一つは、薬価基準を定めます場合の根拠は、実際病院、診療所等において購入した価格が基礎になって設定されておるわけでございますが、その意味合いからしましても、一般医療の際に用いられる薬品についてのそれぞれの購入価格に基いて薬価基準が設定されておりますので、それらの意味合いから投薬、注射等に用いられないような薬品についての収載がないわけであります。ただこの点は、ただいま野澤先生御指摘のように、現在薬価基準の根拠は健康保険の点数表でございましても、薬価基準そのものの取扱われ方と申しますか、世間のこれに対する感覚はむしろ重要医薬品という感覚でございますので、たとい投薬、注射に用いなくても、たとえば消毒薬とかあるいは試薬類等をこれに載せる必要があるのではないかというような検討は、私どもは実はいたしておるわけでございまして、ことに新しい点数表等になりますと、検査用の試薬等もやはり算定の必要が生じて参るわけであります。それらの点については今後十分検討を要すると私ども自身も考えております。
  62. 野澤清人

    野澤委員 今私が指摘いたしましたのは、局方やそれから医薬品集の中で内服用のものばかりを指摘してそれだけの数になるのです。外用のものはまた別に調査してありますが、従って試薬類とか検査用薬品というような面からの指摘ではないのであります。今の御説明によりますと、重要な薬品を一応品目を選定して薬価基準をきめた、その薬価基準をきめること自体に私は意見を申し上げておるのではなくして、品目選定の方針というものが単に羅列式ではないか。要するに重要だと判定するのはだれが重要だと判定するのか。単に厚生省内で、大臣の名において厚生官僚だけが重要として判定するということであれば、それで一応了解はつく。けれども全般的な医療体系から見て、少くとも消費者である医者の立場、あるいは生産を課せられておるところの薬剤師の立場、こういう面から客観情勢というものが少しも加味されない。現実的にはこれは厚生省自体がいろいろな資料をとっておりますから何ら差しつかえありませんが、こうした面でこの前もお話ししたように、二千百十四枚の処方せんを調べてみると、全体で四百三十九種類しか便っておらぬ。しかもそのうちで社会保険に使ったものが百八十三種類しかない。こういうふうな現状から見て、現在の薬価基準に収載されておりまする品目の選定の様式というものは、単に多数品目を重要だと厚生省が認めて羅列しておるように考えられる。それには注射薬にしても収載されただけで、三年も五年もほとんど使用されないものが相当あります。これらの資料については今どんどん整理させてありますから、近いうちに資料として私の方からも提出いたします。  そこであなたの方に伺いたいことは、この薬価基準をきめて収載する品目の多いということが好ましい状態かどうか、また完全な社会保険の医療を完遂する上においては、もっと限定する必要があるのではないか。こういう点について多少でも矛盾を感じておる、あるいは改善すべきだ、こういうお考えがあるかどうか承わりたいと思います。
  63. 館林宣夫

    館林説明員 薬価基準の品目に対しまする考え方は、二様にあると思うのであります。それは広く製薬許可を得ております薬品について、医師がどのような薬でも医療の目的上必要と考えれば使い得るというような状態にしておくということも、一つ考え方であろうかと思います。この品目をあまりに極端に制限しますと、医師が自由に必要な医療を行うことにあるいは支障になるという面が一面あるかと存ずるのでございます。また一面から申しますれば、ただいま野澤先生の御指摘の通り、大部分の医師は必ずしも多数の医薬品にわたって使用しておるものではございませんし、社会保険のあり方から申しましても、大部分の医師が使い得る状態のものを収載しておけば、一応社会保険の目的上は支障がないという意味合いから、大部分の医師が使われるものはほとんど全部収載するというような程度の方向でこれを収載することが、またその薬価基準の目的から申しましても妥当じゃないか、そのためには必ずしも三千数百品目というような品目が実際上必要ではなくて、多くの公的機関等においてさえもその何分の一かの使用の品目内容であるところからも、必ずしもこれらの多数の品目を必要としないのじゃないかというような両面がございまして、その二つの面の調和をどの点でとるかということは、なかなか検討を要する問題だと存ずるわけでございます。従来それらの両者の振り合いを考えまして、大体今日採用いたしております品目程度を収載いたして参ってきたわけでございますけれども、ただ実態上考えて、果してこれだけの収載品目が妥当であるかということに関しましては、なお十分検討を必要とすると思われる点もあるわけでございます。
  64. 野澤清人

    野澤委員 きわめて不得要領な解説で困るのですが、二つの見方については私もそう考えます。またこのためにせっかくの医療技術というものを圧迫して、制限診療になっても困ると思う。しかし現実日本の保険財政から見て、また医学薬学のこの学問の発展過程から見て、野放しに重要だ、重要だというて品目をふやして羅列するということ自体に反省の余地はないかどうか。今のような御議論でいきますと、多くを必要としないようにも感じられるが、並べたんだからしようがないというのは、まるで大道のちゃわん売りみたいなもので、こういう厚生省自体考え方がきわめて進歩的じゃないと思うのです。たとえば医療の実態から考えてみると、保険薬物としてたとえば三百種なり五百種というものの一応筋を立ててこれを拾ってみる。そらしましてさらにまた医者の方ではどれでも使えるという、今のような基準でいくならば、第二類なり第三類というものを三千種でも五千種でも私はいいと思う。ただしこのものについては、保険財政から支払わないで患者負担なら患者負担にしていくという行き方もあると思うのです。要するに医療の実態というものは圧迫しない、制限診療にしない。しかも保険医療というものの基準は、確固不動の範囲の医薬物を並べるのが至当じゃないか。こういう感じでたびたび局長にもお話しているのですが、保険局長としてはなるべく限定したい、ただし制限診療になってはならぬ、こういう考え方、この薬務局長の方でいくと、製薬企業の実態というものから考えてみて、品目を限定されることは製薬業の圧迫になる、こういう相反した理論が成立するのでありますが、この点についてなかなかむずかしい問題だというて投げてしまうか、厚生省自体として保険局も薬務局もあるいは医務局も、各局が協力してこれを合理化していく、そうして国民の納得のいくようにする、またお医者さんの使いやすいようにしていく、こういう御意思があるかどうか、また努力する気持があるかどうか、この点伺いたいと思います。
  65. 館林宣夫

    館林説明員 方向としては、医療に差しつかえない限り、品目を整理していくべきものと私どもも考えている次第であります。ただ薬価基準登載品目以外は絶対に保険診療上、使ってはならないという取扱いをする場合には、その品目には相当十分な検討が必要になってくるわけでございます。ただ、ただいま野沢先生が触れられましたように、薬価基準の登載品目というものは、大部分の場合に使われる品目である。これに登載されない品目の使用については、その使用に際して十分な配慮が望ましいし、また基金の審査等においても十分な検討を必要とするというような配慮から、この登載品目の整理等を今後その方向で考えていくというような、品目の整理の方法、その他登載方法等について、検討の余地は十分あり得ると思うのでございます。
  66. 野澤清人

    野澤委員 そこまでは満足ですが、それでそういう方向で一応検討してみる御意思がありますか。
  67. 館林宣夫

    館林説明員 その方向で実は昨年来検討して参っているわけでございます。今日三種類に分けましたゆえんのものも、第一類と称しますものは医療上絶対に必要で、また使用頻度もきわめて多かろうと思われるものを収載してございます。第二類はそれに次ぐもので、第三類はその次に位するものという配慮もあったわけ、でございます。今後ともその方法で検討して参りたいと思います。
  68. 野澤清人

    野澤委員 そこでこれはお尋ねでなしに、私の方から具体的に申し上げますが、三年前から開業医並びに相当の大きな病院、診療所等のいわゆる備蓄してあります調剤用の薬品の品種の調査を民間の方で一応やりました。それによりますと、全国的な統計から見て、一番少い開業医の方の手持薬品が三十四種類です。それから開業医で比較的多い数が百四十種から百八十種の間です。最高が二百三十六種類だと記憶いたしております。診療所等で一番多く持っておったのが四百二十数種であります。こういう実態から見ますと、平均して百種類前後から百五、六十種類が妥当な線ではねいか、これは相当盛る医者であります。こういう観点から見て、しかも本年の四月一日から医薬分業が実施されて薬局の整備が強行されておりますけれども、薬局自体の整備状況から見ますと、三千三百種のうち、たとえば千六百種が注射薬だとすると千五、六百種類というものは、やはり一応薬局に整備しなければならない、こういう工合になる。国家の制度そのものが改善されて、新しい医薬制度に持っていったにもかかわらず、制度そのものは野放しにした羅列式でいく、しかも薬局自体としては、どこまで整備したらよろしいかというと、第一類、第二類、第三類とありますが、第一類だけでよろしいということであっても一これでは急場の役に立たない。こういう矛盾した関係から、一応これは早急に具体的に検討をする必要があるのではないか、一応限定したからというて、私は医療の制限になるように、使ってはならぬという考え方ではなしに、使い得るような方策があるのではないか。この前も話したのですが、たとえば第一類は、これは完全に常備しておかなければならない薬品だ、しかもそのものが処方されたときには、これは当然基金払いになっていく。第二類で登載されたものは地方色が相当あると思う。その土地の大学の先生の意向によって、第二類に登載されたもののうちでも何種類か使いたい、こういう届出があった場合には、都道府県の知事なら知事が許可した場合には、第一類と同じように、その中から選定ができる、そうしてそれは基金払いになる。こういう工合に協定品目というか、選定品目というか、そういうものは自発的に医師会、歯科医師会、薬剤師会というものにまかして、その土地々々の必要な最小限度の品目をきめて、基金払いにでき得るような方法もあるのではないか。さらに残ったものについては、万やむを得ない場合には、これは患者負担で計算をしていく、今の診察料の一部負担というような考え方よりも、物を与えて金をとるという方が正確なんですから、架空なもので医者に金をとらせるよりも、むしろ一部負担というものを強行していくという厚生省の考え方ならば、そうした面で一部負担の面をのぞかしていく、これも一つ方法ですから、これはたとえばの話で、私はそうしたいというのではないが、そういう行き方も考えられるのではないかということで、ぜひこれはまじめに御検討願いたいという希望であります。  第二点は、薬務局長にお尋ねしたいのですが、こうした保険薬物というものは非常に広範に収載されておりますために、薬局自体としての整備あるいは、医師自体の処方せんの傾向からみて、非常に薬品が多いために、選定にお互いに苦しんでいく、この隘路を縮めていくためにも、やはり一応の行政上の措置が必要なのじゃないかということから、現在のこの医薬品の分類の仕方について再考をする必要があるのじゃないか。戦前のように新薬とか新製剤とかあるいは売薬、売薬部外品、こういうふうにこまかく分類されていた当時というものは、はっきりとその動向がわかるわけであります。従って七人委員会等で医薬品と通称いわれるものの広告費などが指摘されて、いわゆる保険財政に大きなマイナスをとるというような指摘の行き方や、あるいは日刊紙に対する広告の比重等も、案外医薬品というよりも家庭薬に類するものの広告が非常に多くなってきているのじゃないか。そういうものを分類して今計算してみようと思っても、会社自体の総体の経理から見れば七%くらいしか広告費は使っておらぬ。厚生省が勧告をしても、むしろメーカーや販売業者としてはそんなばかなことはないというて抗弁をしてくる。ここにはやはり薬品の分類の仕方について、あまりにも戦争後大ざっぱにこれを分類したために、こうした結果が生まれてきたのじゃないか。同時にまた現在分業になって一番私の方で——私の方といいますか、薬剤師の方で困っておるのは、開局薬剤師と二号業者との分類ができないということです。どれも同じような格好をしておりますから、患者が二号業者の方へ処方せんを持っていってしまう、そうして頼んでみると、うちは調剤できないと言われる。軒も三軒も歩かなければ調剤できないという現在の状況も実際不自然だと思います。これらについても具体的に対策を講ずる必要ありと私は見るのですが、厚生当局としてはどういうお考えか。いわゆる薬品の分類の仕方、取扱い業者の指定、同時に今のこの二号業者との区分、こうした点について一応伺いたいと思います。
  69. 森本潔

    森本政府委員 最初の医薬品の分類でございますが、これは昭和十九年の薬事法の改正以後、従来の局方薬、それから新薬、新製剤、それから売薬、売薬部外品という四つの種別があったのでありますが、これが昭和十九年の薬事法の改正によりまして一括した取扱いになっております。そうして現在に及んでおるのでございますが、これをしさいに検討いたしますと、その取扱い、それからただいまお話のございましたような広告の問題、それから薬品としての扱い方の問題、相当差別があるように考えられるわけでございます。これは法律の改正を要する点でございますが、これも成案を得ておるわけではございませんが、実際にそういうような扱い上の区別があるとすれば、何かの分類をつけた方がいいのじゃないか。これは昔に逆戻りいたしますけれども、あるいはその方がいいのじゃないかという感じを持ちまして検討いたしておりまして、法律改正の機会には具体的に検討してみたい・かように考えております。  なお実際におきまして、成分構造等から医師向きあるいは家庭向きでありますとか、あるいは新薬であるとかというような区別はできるわけでございますけれども、これも扱いの上でございますから、法律上もある程度の区別をつけたらどうか、かように考えて検討したいと思っております。  それからただいま第二点の、調剤する薬局と二号業者との関係でございますが、確かにその辺に患者と申しますか、国民にとりましてはわかりにくい点があろうかと考えております。法律上の区別ははっきりしておるのでございますが、現実に区別が表示されておらぬという点がありますので、これは一つ行政指導によりまして表示の方法あるいは名称の問題等で指導していけるのじゃないかと考えております。具体的に検討したいと考えております。
  70. 野澤清人

    野澤委員 四月一日から三十日まで一カ月の処方せんのでき工合を見ますと、三月分と四月分とを比較しまして約六・八倍処方せんが余分に出ておるわけです。その処方せんを受け取った薬局の申し出によりますと、二軒目だとか三軒目だとかいうてまごついてます。これはすみやかに各地方に対して一つ御指示を願って、まぎらわしくないように御指導が願いたい。同時にこの問題につきましては、今後あなたの方で法律改正もするのだという御意思でありますが、これはすみやかに薬事法の改正をおやりになる御意思があるのかどうか、その点をはっきりさしいただきたいと思います。
  71. 森本潔

    森本政府委員 ただいまこの改正の目途をもって検討いたしておりますが時期といたしまして来国会になるのか、あるいは次の国会になるのか、確たる見通しはまだ申し上げるわけに参りませんが、ともかくなるべく早い機会に成案を得まして法律改正をいたしたい、かようなつもりで検討いたしております。
  72. 野澤清人

    野澤委員 薬事法の改正は焦眉の急だと思いますので、これは再来国会なんということでなしに、来国会に提出できますように早急に一つ御検討を願いたいと思うのであります。次にもう一点伺いたいのですが、先ほど滝井委員質問にお答えになって、元売り、それから地方卸というような、あなたの方で提出されたものについての御解説がありましたが、およそ生産と販売機構いわゆる流通形態で、このくらい複雑怪奇な業態はないのです。統制経済ならばいざ知らず現況ではいかんともしがたい、非常にむずかしい、こういう御説明でありますが、生産指導をされている薬務局として、この流通形態というものを現状のままでやむを得ないとお考えになっているのか、あるいは強制力は持たなくとも一応整理して、正常な道にこれを誘導する方が望ましいとお考えになっているのか、この辺のところ伺いたいと思います。
  73. 森本潔

    森本政府委員 この点は法律上どうこうするわけには参らないのでありますが、実際の医薬品の流れを考えまずと、一応かような経過を通るのが普通であって、むしろこういう姿の方が自然姿ではないだろうかという考えをいたしております。これに関連いたしまして、メーカーの直売でございますとか特売でありますとか、いろいろ問題が起っておりますが、企業的に見ました場合に、それに伴いまして中小企業でございますところの販旅業者が問題を起しておるという実情がございます。やはりこの自然に流れていく姿、これが一応の姿ではないかと思います。積極的にそれを指導いたすかどうかという点につきましてはまだ確たる自信は持っておりませんが、かような形で流れていくのが普通の形で、自然な姿でないか、かような考えでございます。
  74. 野澤清人

    野澤委員 かような考え方、かような流れ方と、かようかようで終ってしまったんですが、そのかような形というものが実際不可解なのです。そこでこれはよくこの国会で指摘されます早期診断、早期治療、早期発見というような建前から考えると、法的な措置ができないと初めから考えていくよりも、やむを得ないならば重要な医薬品については法的措置をしても正規なルートにこれは持っていくべきじゃないか。そういう理由は、最近生活協同組合や消費組合等に対する医薬品の流れ方です。これは滝井さんの郷里の福岡なんかはきわめて強い傾向で、まるで大問屋ができたように協同組合がりっぱな店舗を構えて廉売をしていく。そうしてその品物というものはどうかというと、薬局と同一の品物を扱っておって、しかも価格は普通の売価の三分の一にも満たない価格でいく、これは医者の指図によってそういうものを買って組合員が飲んでいるならまだいい。ところが実際に国保、建保というような社会保険制度というものがきわめて普及している土地であっても、そうした廉売形式というものがとられていく。これに対して何ら強制力がない。しかもそこで売られているものは、ちょうど出血輸出と同じように・ほとんど市価の三分の一程度、半分以下でもうほとんど大半が売られている。このしわ寄せがどこへいくかというと——それでもほかでもうかっているのじゃないかというさっきの滝井さんの輸出品に対する御質問と同じように、問屋自体に、あるいはメーカー自体にそういう質問をしますと、これは破格のサービスだということになる。その経済的な根拠というものは、追及していっても、これはおそらく五十歩百歩だと思うけれども、そういうふうに医薬品自体の流通形態というものを野放しにしておいて、そうして単に消費家庭というものを対象にして強壮剤とか何かそういうふう血ものを安く売っていく、予防薬を安く売るというのならこれはりくつに合いますが、治療薬にひとしいものあるいは激毒薬にひとしいものまでそこで廉売をしていくということは、健全な医薬の道というものを根底から破壊するのではないか。それでもかようなことはというので、かよう、かようで終ってしまったのでは正しい医薬制度の確立はできないと思う。これらに関して、せっかく薬事法の改正まで企図されるということであれば、メーカー、元売りあるいは地方卸等の性格についても、ある程度までの確固たる指導をすべきじゃないか。それで、自民党の政策は社会党の政策と全く違いまして、自由主義経済で、生産は野放し、販売は野放し、どれだけ生産過剰になろうと、どれだけ不足しようと、企業者の自由意思にまかせるというような放任された形態ですが、一般医療についてはそれでもいいと思うのです。けれども、少くともこれは保険局自体が、社会保険医療の実体を確立するということになりますと、消費基数と生産基数というものをある程度までは押えてこなければならぬ。それを初めからある程度押えてかかったいわゆる全体主義的な機構下における生産配給の面とするか、自然発生的な一応の消費基数と生産基数というものを基本にした指導を厚生省が行うか、こういうことで、上から考えるか下から考えるかによって議論の余地はあると思います。従って、この問題について局長、課長と議論しようという考えは私の方では持っておりません。ただ現況から見て、少くとも今度薬価基準の小委員会というものを設けられた以上は、その基本となる生産に付帯して配給機構、いわゆる流通形態というものを確立しないことには、保険経済の基本となる薬価基準というものが何ら意味をなさなくなる。また医療の実態というものも、国民皆保険だというて、もう国民的な世論になってきているこういう時代に、何もかにも野放しで、複雑怪奇で、しかもかよう  かようでやむを得ないという施策であったのでは、日本の厚生行政はむしろ退歩してくるのではないか、こういう考え方、で、この流通形態に対するしっかりした積極的な指導面というものも必要になってくるのじゃないか。輸出品の価格にしましても、私たち民間にありましてこの国内品と輸出品との価格のバランス等を考えてみますと、たいてい競争入札で、台湾、フィリピン等の入札をやります際には、生産価格すれすれ、または多少損する場合があります。ただし流れ作業至ありますから、一カ月一トン作っていた工場が、同一人員で二トン作り得る機構を持っておりますと、実際に原料代と工賃だけとれればよろしいというような販売の仕方をする。ここに滝井君が指摘されたような価格の差というものが生まれてくると思うのですが、その現象が、単に輸出貿易にだけ影響してくるうちは何でもないのです。大量消費者として生活協同組合のようなもの、あるいは婦人会のような組織の中に、どんどん新生活運動や何かと一緒に流れ込んでいくということになっていきますと、もう出血生産出血販売というものが常識になってくる。これではいくら企業家、生産者の保護育成というものを考えていっても、医薬品の正常な消費対象というものは生まれてこないではないか。今度のこの委員会として、薬価基準を中心にした考え方としては、何といっても流通形態というものを大きく取り上げなければならぬ。むずかしいということでなしに、検討されたら、先ほどの例のように、元売りが何軒、あるいは地方卸が千六百というような数の押え方も大体できると思います。地方卸そのものに対する押え方よりも、元売りとか卸問屋とかいうような複雑な業態の分析をして、そうしてその指導について十分の対策を講ずることが必要だと思いますが、この点に関して薬務局長としては、そうした行き方を強力に打ち出すことが現況に即した最も好ましい行き方かどうか、またそのくらいの勇気を持っておられるかどうか、この点をお尋ねしておきます。
  75. 森本潔

    森本政府委員 ここに書いてありますような行き方をします場合に、二つの問題があると思うのであります。一つは保健衛生上重要な関係にございます医薬品でありますので、保健衛生上の取締りが十分できるかどうかというような、保健衛生上の確保をする面と、それからもう一つは、企業的な面として、多くは中小企業でありますが、その企業者の保護育成、この二つの面があると思います。第一の保健衛生の面につきましては、現行薬事法において厳重に取締りをいたしております。従って残る問題としては、中小企業の保護育成をどうするかという問題になってくるのではないかと思うのであります。この点になりますと、実はむずかしい問題があると思います。ただいま例をおあげになりましたような大口購入者、農協、生活協同組合、あるいはその他の会社の購買組合というものがございますが、これは消費者の側として見ますれば、簡単に申しますれば、安く買えた方がいいのであります。その限りにおきましては、農協におきましてもあるいは生協におきましても、その設置されました趣旨は、おそらく安く買うというのが目的であると思います、さような目的において作られた制度なり組織は、それ自体は否定さるべきものではないのだ、また他の一面におきましては、ここにございますように、全国で十万近い、医薬品を扱っておる関係業者があるわけであります。それが営業をすることが困難である、むずかしいということになりますれば、またその面からも一つ問題があると思います。保健衛生の点につきましては別にいたしまして、企業的にいいました場合には、特に医薬品に限らず、他の商品においても同様の問題があろうと考えます。それらの点、業者の調整をどうするか、二つの考え方をどういうふうに調整していくかということでありまして、医薬品のみならず他の一般の日常消費物資についても同様でございますが、これはよほど検討せねばならぬ問題である。かりに何かの方策を購ずるといたしましても、現状を一時に変革するような方向も考えられぬことと思いますので、この点はもう少し他のものとの比較におきましても、あるいは医薬品自体についての問題といたしましても、二つの考え方を調整していくという必要がございますので、検討していきたいと考えます。
  76. 野澤清人

    野澤委員 もう一点お尋ねいたしますが、そうしますと、生活協同組合とか農協等で、今後大口消費者という立場から医薬品の購入を放任しておくというふうに聞こえるのです。仁丹だとか胃散だとかいうものの品目による限定があってしかるべきじゃないか、はなはだしいのはビタミンB1、ビタミンCというような注射薬等までその機関で販売している。しかもその組合員というものはほとんど健康保険の組合員になっている。こういうふうになってきますと、しろうと注射とかしろうと医療というものを、むしろ厚生省自体が放任して助成する形になっているのではないか。こういう面について、もう少し強力に打ち出す必要があると思うのです。一概に改革しろというのではなしに、こういった大口消費者に対しては、医学、薬学の知識を基本にした行き方をとれば、おのずと道が開くのではないか。それを生産管理の立場で、どうも手がつけにくいからということが放任しておくことは、時代逆行だと思いますが、この点については、今直ちに回答をどうせい、こうせいというのではなく、一応齢考え願いたい。  最後に調査資料一つお願いしておきたいのですが、これはできるだけ早くでけっこうですから、広範な配置売薬年間生産量と、もしできましたならば、配置売薬の回収率について資料ができたらほしいと思うのです。もし資料ができないとすれば、生産量と同時に生産コスト、それから配置しました場合の販売価格、その総量だけでもけっこうですが、府県別でもけっこうですし、全体を一本にしていただいてもけっこうです。それから配置売薬として登録されている品目がどのくらいの種類に上るものか、急がなくてもけっこうですが、できるだけ早くこの資料がほしいと思いますから、お願いいたしまして、私の質問を終ります。
  77. 滝井義高

    滝井委員 実は、きょう説明できれば簡単に説明してもらいたいし、それでなければ資料で出していただきたいのですが、きょういただいた資料の中に、貸借対照表損益計算書が出たのですが、こういう数字の羅列だけではなかなか企業の実態というものは、よく見きわめることができぬと思いますので、そこで一つの指標として、今問題になっております医薬品広告の現状について、御説明できれば簡単に御説明していただきたい。あといろいろ数字のことは資料でけっこうです。というのは、いろいろ医薬品について公開録音等も行われてきておるという現状もございますし、われわれが医薬品問題を取り上げるのに一番重要な問題の一つになると思いますので、できれば簡単にでも、現状を御説明いただいて、あと詳しい、生産者価格に対する広告の費用というものがどのくらいかかっているものか、そのうち医師側向けの広告はどのくらい、あるいは家庭向けの広告がどのくらいという詳しいことはあとでけっこうです。
  78. 森本潔

    森本政府委員 ただいま手持ちの資料はございません。大体今申し上げるようなことが資料結論でございますので、申し上げます。昭和二十九年の状況を申し上げます。広告費の総額、これが新聞とラジオを合せまして六十二億でございます。これは電通の調査でございます。それから医薬品生産額七百八十四億・従いまして生産額に対するところの広告費の率は七・九%。それから六十二億の内訳でありますが、新聞が四十七億、ラジオが十五億。そうしてその新聞の四十七億を分けますと医師向けと考えられますものが九億四千万円、家庭薬と考えられますものが三十七億六千万円。生産額に対するところの比率は医師向けの九億四千万円が丁二%、それから家庭薬が四・八%、合せまして、新聞によるところの広告費が生産額の六%でございます。次にラジオでございますが、これが総額十五億、これはほとんど全部が家庭薬と考えれます。そうしてその十五億という数字生産額に対して一・九%でございます。それで今の数字をまとめてもう一度申し上げますと、パーセントで申しますと、新聞によるものが六%、ラジオによるものが一・九%、これが七・九%の内訳になります。それから別の見方をいたしまして、医師向けのもののパーセントが一・二%、家庭薬の広告が六・七%という状況でございます。従いましてここで申せますことは、広告費は生産額の七・九%ということが一つ。それからもう一つは広告の大部分は家庭薬であるということでございます。それから医師向けの一・二%というのは、これは大部分が新しく発売されますところの新製剤でございまして、すでに知られているもの等につきましてはほとんど出ておらない、ほとんど大部分が新しく発売されるものの広告である、かように御了承願ってけっこうでございます。
  79. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この三十年下期の製薬三社の貸借対照表及び損益計算書の項目で行きますと、今申しました広告費の七・九%に当るものはどの項に入るのかということが一つ。それからラジオの中にはテレビも入っているのかどうか……。
  80. 森本潔

    森本政府委員 この表で見ますと、損益計算書というのが一番下にございます。そこで中ほどに一般管理販売費というものがございます。この中に入っているはずでございます。多分この中に整理される性質のものでございます。  二十九年にテレビの広告があったかどうかということでございますが、これはほとんどなかったように考えます。と申しますことは、まだ業者がこれを利用するような時期に達しておりませんので、最近ぼつぼつ出ておりますが、当時におきましては、統計上は出ておりません。
  81. 滝井義高

    滝井委員 詳しい質問は、いずれもう少し詳しい資料があればいただいた後にしたいと思うのですが、そうしますと、一般管理販売費の中に広告費が入っているということですが、広告というのは実質的に貸借対照表損益計算書に出てくるときに、名目は一般管理販売費になって陥りますし、それから今の御説明では、広告とは、新聞とラジオで六十二億、こう出たわけなんですが、そのほかに研究費やら、学術部費とか、宣伝費というものの中に、相当広告費が入っておる。たとえばサンプルなんか相当大量に出るわけです。それも一つの広告費の中に私は入ってきておると思うのです。新聞、ラジオじゃなくて、サンプルという現品をつけて、相当りっぱな印刷物のものが手元に来るわけなんです。そういうものが当然入ってくると思う。それと、教科書の販売ではないけれども、たとえば臨床実験をやったその大学の教授を一緒に連れて、今度は医師会なんかに講演に来る。これも明らかに宣伝費です。ところが、これは新聞、ラジオではない。ちょうど教科書会社がそれぞれの学校に行って教科書の販売をやるときに、展示会の前後に、その教科書はこういろ特長があるんだということを暗に言うために、具体的にその教科書について書いた教授が来て教え方を教えるということと同じようなことがやはり行われているわけです。そういうものも当然これは一種の広告費、宣伝費だと私は思うのです。新聞やラジオの広告費じゃなくて、いわゆる広義のプロパンガスに含まれるものはどの程度になるかというと、おそらくこれは七・九%にプラス・アルファとして出てくるものがなくてはならぬのじゃないかと思うのです。そういうものに対する見解はどうですか。
  82. 森本潔

    森本政府委員 今お話のような、たとえばいわゆるプロパーと申しておりますが、専門の知識を持った者が、医師なり薬局なりへ行って説明をする、あるいは文書をもって供試品等を送るということ、これも広告宣伝の一種でございます。  それから研究ということは、これは別の問題であろうと考えます。こういうメーカーとしましては、どこのメーカーも、むしろ研究というのは、広告とは別の性格を持っているものでございますので、これは別でございますが、大体今のお話のプロパーによる宣伝、あるいは文書によるところの個別的な宣伝、あるいはそのほかに電柱広告であるとか、看板でございますとかもありますが、これらはいずれも広告でございます。その数字はただいま申した中には含まれておらぬのでありますが、これは実際は集計が困難であろうと思います。各社それぞれの方法でやっておる、これは集計する方法がございませんので、ちょっと困難かと思います。  それから日本外国との広告の差異でございますが、アメリカ等におきますところの広告費の主力は何かと申しますと、これは文書、それからプロパーによるもの、日本におきましては新聞広告であるとか、こういう違いがございます。これは大体そういう慣習があるようでございまして、どちらの方法がより安く、有効な宣伝価値があるかどうか、あるいは国情なり国民性に照らしましてどちらが普及力があるかということによりまして、新聞、ラジオに重点を置くか、あるいはプロパーなり、今申した文書の送付によるかという差があるようでございますが、これは各会社により、また各国によりまして宣伝法が違っておるように聞いております。
  83. 滝井義高

    滝井委員 この一般管理販売費の中に広告が入っておるということになりますが、問題はこの一般管理販売費の内訳なんです。これはどういうものが一般管理販売費の中に入っておるかということなんです。この表で見ますと、A社の分を見ますと、売り上げ原価が二十三億なんです。そうすると、この二十三億に比べて、一般管理販売費というのは九億三千五百四万八千円あるわけなんです。原価の少くとも四割あるわけです。そうすると問題は、その一般管理販売費の中に入っておるものは、一体どういうものが一般管理販売費の中に入っておるかということなんです。広告費のほかにどういうものがあるのか、その内訳を見ていくとこれは大体実態がはっきりわかってくると思うのですが、そこまではわかりませんか。
  84. 森本潔

    森本政府委員 この一般管理販売費と申しますのは、早く申しますと、大部分は、いわゆる本社の営業費、こういうふうにお考え願ったらどうかと思うのでございます。その中には、当然本社が直接やりますところの広告宣伝費等が含まれているわけでありますが、広い意味の営業費というようにお考えになっていただきたいと思います。
  85. 滝井義高

    滝井委員 営業費はわかるのですが、その中にどういう項目が含まれているか、その内容なんですが……。
  86. 森本潔

    森本政府委員 これは一口に申せません。今申しましたようなことでございまして、中には人件費、あるいは通信費、あるいは土地を借りておれば土地の使用料、その他いろいろございますが、とにかく営業するに必要な費用は全部入っているわけでございます。これは各社によって違うと思いますけれども、常識的にさようにお考え願いたいと思います。これは各社によっていろいろ分類したものは違うかと思いますけれども、一応大づかみにさようにお考え願ってけっこうでございます。
  87. 滝井義高

    滝井委員 こまかいことは、時間が来ましたからやめにしまして、日本製薬企業の広告に関する現状で、もう少し詳しい統計的血ものがあれば、今御説明いただきました統計と一緒に次会までに印刷にしていただきたいと思います。なければ、今のものを印刷していただけばいいのですが、もうちょっと詳しくできると思います。というのは、「民間放送」というのがわれわれのところに来るのですが、これを見てみますと、業者ですか、「厚生省では健康保険の赤字解消問題を契機として、当面立法措置を必要としない医薬品適正広告基準の改正をもくろんでいる模様で、その内容について十七日、薬務局大熊監視課長は酒井民放連事務局長と厚生省において懇談した」ということで、その広告媒体に関する具体的取締り条項をいろいろ検討しているものが出ているのです。これを見ると、「薬品を公開録音等で景品として取扱うことの可否」「放送局直属のアナウンサー以外のもの、例えばタレント・有名人等が薬効のCMについて放送することの禁止」こういうのについてなかなか検討しているのです。こういうところまで具体的にお宅の方でやられているということになれば、もう少しく公開録音等をやっている実情、それから景品等でどういうふうに金を使っているかということがわからなければ、こういうことの検討はできないのです。だからそういうところを、業者と話し合っているのですから、もう少しく資料を出していただきたい。それから同時に、そのところで日薬連が、電波料金の値上げの問題なんかも出てきて、反対だということも出ているのです。こういうところから見ると、新聞、ラジオ、テレビ等のマスプロダクションを通じてやる広告というものは、お宅の方は相当具体的に把握しているんじゃないかと思う。そこでできればこういう資料を、わかるところまででけっこうですから、次に出してもらいたいと思うのです。
  88. 森本潔

    森本政府委員 広告関係の経費の資料でございますが、ただいま申し上げましたほかになお資料がございますならば、付加して提出したいと思います。これは特にこちらで調査したわけではありませんで、既存の資料を集めたものであります。  それからもう一つ、広告基準について今いろいろ検討しておるという話でございますが、これは全然別の問題でございまして、広告の取締りは、法律上虚偽に誇大でありますとか、それから暗示的効果を与えるとか、いろいろの禁止事項が三つほど上っております。それを取り締るわけでございますが、ところがこれの判断の基準は非常にむずかしいのでございます。よく薬の広告はうそをいって大きなことばかりいっておるということを聞くのでございますが、これをだんだん検討しますと、果してそれが誇大になるかどうかという点が非常にむずかしいのでございます。その辺の取締りの基準でございますが、こういうやり方は虚偽に誇大ではないか、自粛されてはどうであろうかという点について検討しておるわけでありまして、広告自体をどうこう、あるいは広告費が多いからどう、少いからどうという問題ではないので、別の観点から調査をしておるわけでございます。
  89. 長谷川保

    ○長谷川(保)小委員 出していただきました資料貸借対照表損益計算書のA、B、Cですが、これはどういうところから出てきておりますか。きのうお願いしたのは、この間いただきました資料のうちの比較的大きな企業の三種類ばかりの中で、成績のいいのと中間と悪いものを出していただきたいというようにお願いしたのですが、A、B、Cはどういうようになっておりますか。
  90. 森本潔

    森本政府委員 これは通称製薬大手筋十社というのがいわれておりますが、その中でAが配当率の一番いいもの・Bが平均的なもの、Cが一番悪いもの、一応こういうふうにしてあります。
  91. 熊谷憲一

    熊谷委員長 次会は六月二日午後一時三十分より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会