○
高田(浩)
政府委員 この
法律の
問題点と申しますか、そういった点について御
質問がありまして、大へん恐縮いたしておるのでございますが、確かに今
お話のように、この保証人という
制度があるからには、
現実の問題として具体的に非常に気の毒な場合が起ることが
考えられますし、私
どももその辺を実は苦慮をしておるのでございますが、
法律自体に現在保証人の
制度が設けられておりますし、従って保証人としての
法律で定められた義務を遂行しなければならない
状況に置かれておることは、これは
法律の建前上やむを得ないことだと思うのでございます。ところで、今
お話の
修学資金の場合におきましては、母と子がいわば連帯して債務を
負担するという格好になりまして、それに別に保証人が要るということになるわけであります。それで今度の新しく設けられました
法律の条文によりまして、母なり子なりが、すなわち債務を
負担した当事者が、あるいはなくなられたり、あるいは不具廃疾になられました場合におきましては、それがどちらの方に
原因があるにいたしましても、減免の一応の
対象になり得るということになるわけでございまして、ただその場合に、保証人の
償還義務はやはり依然として残るわけでございます。この辺の
法律の書き方等につきましては、実は事務的にもいろいろ折衝もし、相当
苦心もしたわけでございます。これを普通の冷酷な債権債務の
関係保証人の義務というように
考えていきますと、この
資金の
性質上非常に
実情にそぐわない場合が出てくることを私
どもは非常に心配をしたのでございまして、
気持としてはやはりそれと多少違った
気持で運営をしなくちゃならぬのじゃないか。そういった
意味で、ただ単に保証人に財産上の
償還能力がある、プラス、マイナスの、バランス・シートの上での
償還のプラスの財産が多くて、能力があるということだけで、その辺の保証人の
償還能力を判断をするということは、これはやはり適当ではないんじゃないか。そのほかの諸種の条件も勘案をして、客観的に保証人が返せるということが認められる場合においては、これは返してもらわなくちやならぬ。これは実際の
運用の面としては確かにデリケートな問題であって、必ずしもその
一つの
気持で通せるかどうか、その辺は疑問があると思いますけれ
ども、実はそういった
気持で運営していきたいというような
意味で、その
意味で
法律の条文を
ごらんいただけば、必ずしも
法律らしくない表現も使ってあるような次第でございまして、その辺の
気持の存することをお含みおきをいただきたいと思います。
ただ一つ申し上げておきたいと思いますのは、これは普通の単純なる民法上の債権債務の
関係とは実は違って
考えなくちゃならぬと思うのでございます。と申しますのは、普通の場合であれば、金を借りたいわゆる債務者の方としては、延ばせるだけ延ばす、返さないで済むならなるべく返さないというのが、債務者の利益に形式的には合致することだと思うのでございますけれ
ども、この
資金についてはそうばかりも言えない面があるように
考えられますのは、結局
償還をしていただきまして、その金はそっくりその
ままほかのさらに困った
人たちに貸し付けられて役立つわけでございまして、その
意味においては、やはり特定の債務者が
自分の
原因だけに基きましてあまりがんばりますと、それはほかの
未亡人の利益を害する結果になる場合があるのじゃないかと思うのでございまして、そういう
意味において、この
資金の貸借
関係というのはいわば共済組合みたいな格好になるわけであります。従ってその
償還の免除あるいは猶予の
制度というのも甘からず辛からず、その辺のところをよく心得てやりませんと、その辺の
運用をあまりにも情に流れまして緩にいたしますと、
償還の意欲にあるいは支障を来たし、その結果としてほかの
未亡人の借りるという
可能性の利益を害する結果になりまして、全体の運営上は決して好ましくない格好になると思いますので、今申し上げましたその辺の具体的な気の毒な
実情と、実際の
制度の運営全般をにらみ合せまして、いわば情に流れず、理に走らず、運営の妙を発揮しなければならぬと
考えております。