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1956-04-26 第24回国会 衆議院 社会労働委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十六日(木曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 佐々木秀世君    理事 大坪 保雄君 理事 中川 俊思君    理事 野澤 清人君 理事 岡  良一君    理事 滝井 義高君       植村 武一君    加藤鐐五郎君       亀山 孝一君    草野一郎平君       熊谷 憲一君    小島 徹三君       小林  郁君    田中 正巳君       田子 一民君    仲川房次郎君       中村三之丞君    林   博君       岡本 隆一君    栗原 俊夫君       堂森 芳夫君    森本  靖君       八木 一男君    山口シヅエ君       中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         厚生政務次官  山下 春江君         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君         厚生事務官         (児童局長)  高田 浩運君         労働事務官         (労政局長)  中西  實君  委員外出席者         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    石黒 拓爾君         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 四月二十六日  委員堂森芳夫君辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十五日  寄生虫病予防法の一部を改正する法律案(内田  常雄君外三名提出衆法第四九号) 同月二十四日  国立病院等における看護婦の産休、病休のため  の定員確保に関する請願外一件(中崎敏君紹  介)(第二〇三六号)  同(田中武夫紹介)(第二〇三七号)  同(足鹿覺紹介)(第二〇三八号)  同(石田宥全君紹介)(第二〇三九号)  同(岡良一紹介)(第二〇四〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二〇四一号)  同(三宅正一紹介)(第二〇七八号)  同(阿部五郎紹介)(第二〇八五号)  同(受田新吉紹介)(第二一一二号)  同(成田知巳紹介)(第二一一九号)  第二次世界大戦戦没者遺骨等収集に関する請  願(岡良一紹介)(第二〇四二号)  療術既得権存続に関する請願田中彰治君紹  介)(第二〇四三号)  同(小笠原三九郎君紹介)(第二〇四四号)  同外七件(纐纈彌三君紹介)(第二〇七六号)  同(徳安實藏紹介)(第二〇九一号)  同(中垣國男紹介)(第二〇九二号)  同(穗積七郎紹介)(第二一一一号)  同(佐竹晴記紹介)(第二一二〇号)  同(纐纈彌三君紹介)(第二一二一号)  同(猪俣浩三紹介)(第二一三五号)  国民健康保険法の一部改正に関する請願亀山  孝一紹介)(第二〇四五号)  教護院国営化に関する請願外二件(松野頼三  君紹介)(第二〇四六号)  在外未帰還者調査促進に関する請願並木芳  雄君紹介)(第二〇四七号)  同(濱野清吾紹介)(第二〇四八号)  同(眞鍋儀十君紹介)(第二〇四九号)  未帰還者留守家族等援護法の一部改正に関する  請願並木芳雄紹介)(第二〇五〇号)  同(濱野清吾紹介)(第二〇五一号)  同(眞鍋儀十君紹介)(第二〇五二号)  元満州開拓民及び青少年義勇隊員処遇改善に  関する請願並木芳雄紹介)(第二〇五三  号)  同(濱野清吾紹介)(第二〇五四号)  同(眞鍋儀十君紹介)(第二〇五五号)  健康保険法改正に関する請願八田貞義君紹  介)(第二〇七七号)  韓国抑留漁船乗組員家族生活援護に関する請  願(上林榮吉紹介)(第二〇七九号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正に関す  る請願田口長治郎君外九名紹介)(第二〇九  三号)  水道金融公庫設置請願井出一太郎紹介)  (第二〇九四号)  世帯更生資金貸付事業費補助金増額に関する  請願上林榮吉紹介)(第二一二二号)  事業附属寄宿舎規程の一部改正に関する請願(  淺沼稻次郎紹介)(第二一二四号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第九四号)(参議院送付)  身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一五号)  性病予防法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一一六号)  母子福祉資金貸付等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一一九号)     ―――――――――――――
  2. 佐々木秀世

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案性病予防法等の一部を改正する法律案及び母子福祉資金貸付等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題となし、審議を進めます。  質疑の続行をいたします。植村武一君。
  3. 植村武一

    植村委員 母子家庭を守るただ一つ法律であります貸付金制度ほど、母子家庭から非常に感謝を受けているものはほかにないと思うのでありますが、今度政府におきましては、かねて母子家庭から要望されておった高等学校修学資金増額、さらに住宅補修資金を新しく設けられましたことは、母子家庭のために非常に喜ばれておることだろうと思うのであります。ただ問題になりますのは、この予算を今日までどういうふうに消化されておるか、こういう問題であります。つまり予算をフルに活用されておるかどうか、こういうことが私は一つの大きな問題点だと思うのでありますが、できるなら、最近の予算執行状況について一つお知らせいただきたいと思うのであります。
  4. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問の点につきましては、かねてお手元に差し上げてあります資料の三十六ページに記載してございますが、御承知のように、現在は府県と国と半々ずつ持ちまして、それを財源にして貸し付けるという仕組みにねっておりますが、残念ながら地方財政窮迫等関連をいたしまして、府県における予算の計上が不如意でありまする関係上、年々相当額の国の予算余剰を余儀なくされておるような実情でございまして、ごらん通りに、昭和二十八年度においては国の予算としなして約五千万円、二十九年度においては約一億二千万円の余りを来たしておるような実情でございますし、三十年度においても約一億三千万円程度余剰を生ずる見込みになっております。
  5. 植村武一

    植村委員 府県の末端にいきますと、貸付金希望者が非常に多いのでありますが、それがどうも要求通り貸してもらえない。その原因は、今局長お話のような府県財政関係から、国の負担に見合う裏づけが十分でないという結果が、私は最も大きい原因だろうと思うのでありますが、しからばこういうような予算に対して、その交付額予算額に達しないというような現状をそのままにしておいて、ただ予算を計上するということは、せっかく喜ばれておる貸付金を絵に描いたもちのような形にしておくことは、非常に問題だと思うのでありますが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  6. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 ただいまお話のありましたように、この資金貸付を受けたいという希望が非常に多いのに対比いたしまして、貸付の実績は十分満足にいっていない実情は、お手元に差し上げてあります資料によってごらん通りでございますが、こういうように要望に対して十分応じきれないのは、結局いたしますところ、資金源が少いということにあります。しかしその資金源が少いということにつきましては、やはり先ほど申し上げましたように、地方財政等との関係がおもなる理由のように感ぜられるのでございますが、今日程度の消化をいたすにつきましても、実は非常なる苦心を払っておるのございまして、私どもの方から府県の方にいろいろ交渉しておりますのは、これは役所として当然のことでございますけれども地方未亡人団体等におきましては、実に惨たんたる苦心をされているのでございまして、中にはなまの県の金が出していただきにくい関係上、自分たちのところであるいは寄付金を集め、お互いの零細な金を集めて県に寄付をして、それを見返りにして国の金を出してもらう、そしてそれを元にして貸付をする。そういうような涙ぐましい努力をなさっているところも少くないと承知をいたしております。結局その点を解決をするためには国と地方との負担割合、五割々々という点がやはり一つの問題の点だと思うのでございます。私どもとしてはやはり国の負担割合を引き上げることが一つ解決の道ではないかと思いますけれども現実の問題としまして、要するに貸し付けられる資金総額をどうやってふやすかということが問題の焦点になるわけでございますので、その関係から結局予算とのにらみ合せになると思うのでございまして、予算が一定にきまっておりまして、それを国が半分持つ場合と国が三分の二持つ場合とでは、おのずからそこに生ずる資金総額は違ってきますので、その辺のところをにらみ合せながら、今後どう対処していくかということが問題の焦点になるのではないかと思います。私どもも今の点を十分御質問趣旨もくんで今後努力いたしたいと考えております。
  7. 植村武一

    植村委員 もう一つ伺っておきたいのは、この貸付金償還パーセンティジといいますか、それもここに出ているかもしれませんが、一応お聞かせいただきたいと思います。
  8. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 ただいまお話の点については、私ども承知しております範囲では、ほかの資金に比べますと、償還の率が非常に成績がよいように聞いておりますが、これはこの貸付を受ける母子家庭がこの資金中心にしてまじめに更生をし、そして少しでも早くこの資金を返して、ほかのさらに困る人たちがこれを借り受けて更生の実をあげるようにという、そういう熱意の現われであると考えているのでございますが、その率につきましては、お手元に差し上げてあります資料の四十五ページに書いてあるのでございますが、二十八年度においては八一・五%、二十九年度においては七八・七%ということになっておりまして、大体八〇%見当と御承知いただけばけっこうかと思います。その率と申しますのは、償還の計画に対して実際に償還済みになったものの比率でございます。
  9. 植村武一

    植村委員 貸付金償還額が非常にパーセンティジがいいということを今承知いたしたのでありますが、これは貸し付けられる対象者が非常にまじめで良心的であるということも一つ原因であろうかと思いますが、もう一つは、あまりに貸し付けする対象者を厳選し過ぎて、それがためにこういうような。パーセンテージが出ているのだということも考えられる。ほんとうに困っている人に広く貸し付ける状態が私はむしろ望ましいのじゃないかと思うのでありますが、この問題に対してどうお考えですか。
  10. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 ただいまお話のような点が絶無とは申せないと思うのでございます。しかしやはりこれは母子家庭全体として非常にまじめに考えてまじめに更生したいという意欲が非常に強い一つの現われと考えるのが私は大体の見方としては適当じゃないかと思うのでございます。もちろんこれはいわば貸付でございまして、償還されるということがやはり一つの本質的な性格としてついているものでございまして、いわば金を与えてしまうという性質のものではなしに、やはり貸して、そうして更生していただいて、償還をしていただいて、その金をさらに元としてほかの方々に貸し付けをしてまたそこで役立ててもらう、というのがこの資金の本質でございますので、やはり貸し付ける場合には相当程度償還可能性という問題も一応検討した上で貸すのが自然の成り行きだと思うのでございます。もちろんそのこと自体には相当弾力性のある問題だとは思いますけれども、一応そういうことを念頭に置いてこの貸付云々ということをきめていく場合の一つの判断の基準にするということはいわば普通のあり方だと思うのでございます。その意味においてあるいはお話のような御心配が全然ないとはいえないと思いますけれども、やはりまじめに一生懸命にやっていただいた結果がこういう償還になって現われているというように考えたいと思うのでございます。
  11. 植村武一

    植村委員 さらに伺っておきたいのは、今度の住宅補修資金でありますが、これはどういう住宅補修に使うべきかということを具体的に一つお話を願いたい。
  12. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 確かに御質問のように住宅補修と申しましても、俗っぽい言葉で申し上げますればピンからキリまであるわけでございまして、これを野放図にやりますというと、限りある資金であります関係上、ほかの貸付資金を圧迫する結果になりかねないと思うのでございまして、これが運用についてはその辺のところを十分考えてやらなければならぬと思っているのでございます。そこで私どもとしましては生業資金とかあるいは生活資金とか、そのほかの資金との関連考えまして、少くとも今年度におきましてはこれは特別に緊要なものに限っていきたい。と申しますのは、これは初めて設けられる資金でございますので、その資金需要がどういう姿になるか正確に把握することはできかねますので、少くとも出発点におきましては手固く行くべきものと考えますので、まずやはり屋根を修繕する、雨漏りを直すということ、あるいは土台を直すこと、そういった家としての基本的な構造部門と申しますか、そういった点に集約をいたしまして、なかんずく極端に申し上げれば、ことしは少くとも屋根だけを一つやっていこうじゃないか。そんなような気持運用をいたしたいと考えているのでございます。
  13. 植村武一

    植村委員 大体わかりましたが、いずれにしましても二十九年以来一億円以上の予算を余らしているということは、先ほど申し上げましたように、せっかく喜ばれている貸付金制度をフルに動かしておるということは何としても言えない。これは地方財政関係から、地方負担金を出し渋るのがその原因であることは明瞭なのでありますから、今後の予算執行に当っては、特にこの負担率半々ということを国が三分の二ぐらいは少くとも持つということの御努力を私はぜひされるように要望いたしまして、私の質問を終ります。
  14. 佐々木秀世

  15. 岡本隆一

    岡本委員 法案の質問に入る前に、一般的な問題について局長にお伺いしたいと思います。  母子福祉対策方針の基本的な問題でございますけれども、どうも今の政府母子福祉対策というものを見ておりますと、生活に困っておる母子にとにかく独立自営の生計を営ませる、そうして子女の教育をやらせる、それをもって事足れりとしている、こういうふうに私には思えてならない。しかし私は少くも子供をかかえた未亡人にとって、それはやはり基本的な人権の無視だと思う。私どもはよく未亡人会とかそういう団体集まりなんかに、参って話し合いますと、こういう集まりほど涙もろい集まりはないのです、何か話をするとすぐ目に涙を浮べて涙ぐむのです。私はその姿を見るたびに、そういう未亡人がどんなに心細い思いで日々を送っているかということを、しみじみ胸打たれるわけです。子供に対する大きな責任しかもだれも相談する人もない、こういうしみじみとしたさびしさを思うときに、やはり未亡人対策というものは、その未亡人に夫を持たせる、こういうことだと私は思うのですが、そういうような点が今の母子福祉対策の中にあまり盛り込まれておらない、そういう積極的な努力が払われておらない、私はこういうふうに思うのですが、それについてどういうふうな基本的な方針を持っておられるのか、またどういうふうな方針を将来打ち立てていきたいと思っておられるか、そういうことについてまずお伺いいたしたいと思います。
  16. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 ただいまお話がありましたように、今日まで子供をかかえた未亡人が非常な荒波の中を苦心惨たんしてこぎつけてこられましたこの経過を聞くだけでも、何と申しますか非常に涙ぐましい点が多々あることは今お話通りでございまして、これはいわば日本社会におきまして、母子家庭というものが社会的に経済的に――中にはそれは例外もございましょうけれども、一般的にいえばなかなか苦労の多いものであるということに基くと考えられるのでありまして、やはり最も自然な形としては夫妻そろって子供を育てていくということが自然な形であるし、また経済的にいっても妥当な姿であることは言うまでもないのでございまして、私どもとしましては不幸にして夫と別れ、あるいは夫を失われました家庭におきましても、適当な縁を得て再び夫を加えたりっぱな家庭を持っていかれることが望ましい姿だとは思っておりますけれども役所としてそこまで立ち入っていろいろお世話をするということにつきましては、これはいろいろな見方もあろうと思いますが、現在のところ実はそこまでは立ち入っていないわけでございます。従って現実のいわゆる母子福祉対策としてはあるがまま母子福祉の姿を前提として、あるいは資金の問題でありますとか、あるいは住宅の問題でありますとか、あるいは子供就職の問題でありますとか、あるいはお母さんの内職の問題でありますとか、そういった個々の問題について適切な手を打っていく、そういうような考え方で処理をいたして参っておるのでございます。そういう意味におきまして、住宅の問題につきましても、あるいは子弟の就職の問題につきましても、役所役所なりに努力をいたしておることは言うまでもございませんが、何しろこれは社会的にも非常に問題の多いところでございますので、十全でないことは認めざるを得ないと思うのでございますが、今後ともそういった個々施策については努力を強化して参りたいと考えておる次第でございます。
  17. 岡本隆一

    岡本委員 今のお答えでありますと、これは単にあるがまま母子世帯をどうして自活をさしていくか、一本立ちに暮らせるよう、にしていくかというふうな点以上に何らお考えがないと思います。しかし現在の未亡人の姿を見るときに、女手でもって子供を育てるということはなかなか容易じゃない。さらにまた三十過ぎた未亡人が、子供をかかえて再婚なんてちょっと考えられない。それはやはり日本のことに男性を中心にした封建的な制度、ものの考え方、そういうものが一そうそういうふうな習慣を形づくっていると思う。しかし女性といえども人間であるから、この世に生まれてきて、三十、三十五で夫を失って、そのまますぼんだ花として終ってしまうというふうなことはやはりかわいそうだと思います。そういう人たちももう一度明るい夫婦そろった家庭の団らんというものが味わえるように私はしてやりたい。そういう心づかいがなくちゃいけない。個々の一人々々についてそういうめんどうを見よというのではないのです。しかしながら少くとも国の母子福祉対策をあずかる当局としたら、夫への追憶だけを一つの綱に心細く生きていこうとする、封建的なからの中にみずから閉じこもろうとする未亡人気持をほぐすような考え方指導というものはなくちゃならない。また夫を失った妻が再婚することが間違いだというふうな封建的なものの考え方を打破する、そういう新しい考え方運動――新生活運動を厚生省はやっておられるのですが、それと同じように未亡人にもう一度一花咲かせましょう、こういうふうな考え方、世論の指導というもの、これは私はやはり政府として当然やっていただくべき筋合いのものだらうと思うのですが、どうお考えになりますか。
  18. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 先年来毎年母子家庭を明るくする運動というものを関係団体の御協力を得まして実施をいたしておりますし、これはその意味においては大へんに実効を上げている運動一つかと考えておるのでございますが、この運動自体は、さらに突き詰めて分析をすれば、やはり母子家庭それ自体を明るくしようという一つ努力ということがあるいは出発点であったかもしれませんけれども、しかし現象的にはやはりそのからを破って、母子家庭というものを今お話しのような線に沿って押し出す意味合いにおいて、多少なりとも役割を果している点が私はあるのじゃないかと思うのでございまして、その辺は理論でどちらにどうといって割り切るべき性質のものではないと思いますけれども、そういった運動を契機といたしまして、さらにまた御趣旨のような線に沿って私たちも心がけて努力をいたしたいと考えております。
  19. 岡本隆一

    岡本委員 今後そういうふうな努力を大いにお願いいたしたいと思うのでありますが、そこで、全国母子世帯調査の結果によりますと、今のわが国で六十七万の母子世帯がある。そのうち八〇%が一万円以下の低額収入世帯であるというふうな調査の報告を見ておるのであります。これから先は社会局長関係のある面でありますので、社会局長にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、母子世帯保護指導の道をそういうところへ求めていくといたしますと、母子世帯の中には生活保護法適用を受けている家庭が相当あるのであります。そういう未亡人再婚いたしまして夫を得た場合に、ときとすると――例のあなたの方の積算基礎がございますね。その保護積算基礎範囲をこえて、少し上回るような収入があると、生活保護適用を、ことに子供に対する適用を打ち切られることになるのじじゃないかと思うのですが、そうじゃございませんでしょうか。
  20. 安田巖

    安田(巖)政府委員 お答え申し上げます。母子世帯生活保護を受けております世帯の中で何世帝ございますか、今はっきりと覚えておりませんけれども、大体六十四万世帯程度生活保護を受けておる世帯の中で、女の世帯が四八%くらいでございます。四八%のうち何世帯母子世帯になるかということでございますけれども、そのうちで相当大きな部分を占めるだろうということは想像にかたくないわけでございます。そこで再婚をいたしましてその人の生活状況が変るということになりますと、今度新しい環境における御主人も含めました所得、資産を新たに算定し直すわけでございますから、新しい世帯におきましてお金が相当あるということでございましたら当然打ち切らなければならぬ、こういうことに必然なってくるわけであります。
  21. 岡本隆一

    岡本委員 私はそこが問題だと思うのです。結婚というものはもちろん愛情基礎にならなければならない。しかしながら今の日本では愛情もしくは恋愛のみを基礎とした出発点結婚生活に入るというケースは少い。従って母子世帯の場合といえども未亡人の場合といえども、やはり同じだろうと思うのです。結ばれるまではやはりある程度一つの取引的な傾向がある。そこで多少ゆとりのある人が妻を失って、未亡人をめとろうとする場合に、やはり子供があると頭から遠慮してしまうのですね。自分子供がかりに一人・二人ある、相手の未亡人に一人・二人子供がある、私はそういう二人が結ばれて、三人、四人の子供を持って仕合せに暮すことができたら、それは非常にいい結ばれ方だと思うのです。ところがそういう場合に、やはり先方の子供を扶養の義務があるというとになると、結婚対象となる人も考えると思うのです。そういう場合に、生活保護法適用を受けておった子供に、その未亡人結婚しなければやはりずっと生活保護保護費を出さなければならないのだから、結婚した場合にもその子供には引き続いて保護費を出してやる、そういうあたたかい心添えがあれば、未亡人もやはり幾らかでも結婚難が緩和される。また国がそういうあたたかい心づかいをすることによって切め未亡人子供を連れて新しい結婚生活に入って仕合せな生涯を送るべきだという考え方国自体が持って、国の施策としてこれを奨励しているということになると思う。やはり予算的な裏づけをもってもらうことの中にそういう機運がだんだん醸成されていく、私はこう思うのですが、もちろんそれを野放しに、非常に裕福なところへかたづいたが、それでも出せという意味ではありません。しかしながらそれにはやはりある程度の適当な基準を考えられて、そういった保護の道を与えて未亡人結婚を奨励する、それはまた子供の仕合せのためであると思うのでありますが、そういう施策をとるべきだと思うのでありますが、一つ社会局長のお考えを承わりたいと思います。
  22. 安田巖

    安田(巖)政府委員 未亡人再婚さすためには、今岡本先生のおっしゃいましたようなこと、まことに私機微に触れた問題だと思うのでございます。同感なのでございますけれども、ただ未亡人が、かりに扶助料のような恩給をもらっておりましても、これは権利でございますけれども、そういうものをもらっておりましても、再婚いたしますとたしかそれがなくなるのではないかと思っておるのでありますが、そういうことを考え合せますと、生活保護を現在受けておるということも、権利ではないという考え方でございますので、それが新しい環境にいけば当然新しい環境で物事を考え直さなければいかぬということになってくるわけでございます。その辺は現実の問題と大へん行き違った点があるのでございますけれども、なおまた児童局長とも十分相談いたしまして勉強させていただきたいと思います。
  23. 岡本隆一

    岡本委員 未亡人が失格しても、扶助料というものは子供にはいくと思うのです。従って未亡人自体が夫に扶養されるべきものという考え方の上に立って、保護を受けられなくても、親を失った子供保護する児童保護意味においてそういうことは当然考えていただかなければならないと思います。なおこれは新しい問題の提起かもしれませんから、一つ厚生省全体でよく考えていただきまして、何らかの芽を出していただくようにお願いいたします。  次に住宅補修資金の問題についお伺いしたいと思いますが、先ほど植村さんの御質問で相当尽されているのでありますけれども、この参考資料の六十一ページを見ますと、三十一年度の貸付予定額というのがございますが、この中に住宅補修資金の金額が載っていないのですが、どこにあるのでしょうか。
  24. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 御指摘のように、これは印刷の誤まりでございまして、一番初め、予算編成の当初、住宅補修の問題については十分話し合いができませんでしたので、こういう姿になっておりますが、これを変えまして、住宅補修につきましては、約二千万円程度の金を予定いたしております。
  25. 岡本隆一

    岡本委員 この表を見て参りますと、ことしの貸付の総額、三十一年度の分は行が間違うていますね。修業資金と合計のところが行が繰り変わるのでしょう。
  26. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 お話通りであります。
  27. 岡本隆一

    岡本委員 そういたしますと、昨年とことしと、貸付総額はほとんど同じでございますね。
  28. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 そうです。
  29. 岡本隆一

    岡本委員 住宅補修貸付制度というのができたのは非常にけっこうです。ところで、特にそれができたからといって、予算額があまりふえてないということになると、結局新しい制度ができたが、それが割り込んでいる。結局そのしわ寄せはほかへ行って、ほかの貸付を圧迫する。こういうことでは、住宅補修できるようにあなた方にしてあげましたよ、こう大きな声であまり言うてもろうても、これは片腹痛いということになるのです。やはりこういうものができた限り、その分として別な予算を計上していただかなければならない。ことに話し合いができないままで前年度の予算をほとんど踏襲した。それじゃ今度そういうもので話し合いがついたら、それだけやはりおもちをちぎって、そこへ持ってきてつけてもらわなければ、意味がないと思うのですが、その辺についてはどういうことなんでしょうか。
  30. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 お話の点は全くその通りでございますが、ただ実情を申し上げますれば、母子福祉資金予算の編成につきましては、五億でありますとか、あるいは四億五千万円であるとか、そういろ金額で実は参るわけでございまして、しからばこれが実際の末端におきまする資金の需要、貸付を受けたいという申し込みとにらみ合せて、ぴったり当てはまる数字であるかどうかということになりますと、この資料全体をごらんいただいておわかりの通りに、相当開きのあるものでございまして、その意味においては、この程度資金では、なかなか実際の需要に応じ切ることについてははるかに遠いような実情であるわけでございまして、その意味においていずれの資金についても不満があることは、これはもう御指摘の通りでございます。従いまして、実際のやり方といたしましては、その範囲内において全体の均衡をにらみ合せながら運営をしていくということに結果としてならざるを得ないことになるわけでございます。そういう意味において、住宅補修につきましては、先ほど来申し上げておりますように、きわめて緊要のものだけに限っていきたい、そういうような考え方で運営したいと考えております。
  31. 岡本隆一

    岡本委員 先ほど、一回について三万円といろ基礎をどこにおいたかというふうな御質問がありましたが、京都でもって東都市未亡人連合会というのが母子世帯実態調査報告書というものを作っていますが、それを見ますと、母子世帯八千三百二十世帯なんですが、その中で、生活に余裕があるというのは一%、どうにか生活しているというのが四四%、合せて四五%がどうにか暮しているというもの以上、従って残りの五五%というのは、生活が非常に苦しい、あるいは生活保護適用を受けているというふうな家庭なんです。そういうふうな状況のもとにあって、自分の持ち家であろうと、また貸家であろうと、戦後住宅というものの補修は全然手をつけておられない、これが実情です。といがいたんでも直していない。といなんて、貧しい家だったらほとんどないのです。かわらが割れて雨が漏って、屋根裏どころか、天井板まで腐ってきている、こういうような家が相当ある。こういう家でも、今手を加えてやればそのまま住めるのです。しかしながら、それをさらに数年放置しておけば、住むに住めなくなる。従ってこれはどうしても手をつけなければならぬというふうな家がたくさんあると思う。ところが、そういうものを手をつけますと、このごろは非常に建築資材が高いから、三万や五万ではなかなか追っつかない。だからそういう点について三万というのはちょっと少いと思うのですが、特に状況を調べて、金のかかるというものについてはもう少し気ばってやるというふうな制度を、今年はできなくても来年は考えていただけるかどうか、その辺のところをお伺いしたいと思う。
  32. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 ただいまお話のように、家屋の修理というものは、一方に手をつければ、次から次となかなか簡単には済まない面が多いことは、お話通りでございますし、終戦後なかなか補修も意のままにならない現状においては特にその状況が多いと思います。しかしこの資金性質上と申しますか、あるいは資金の金額上と申しますか、なるべく切り詰めた運営の仕方をいたしませんと、先ほどお話のようにほかの資金との関連がございますので、そういった点を勘案いたしまして、屋根でありますとか、土台でありますとか、そういった屋根のかわらをふきかえるときには坪幾ら、土台の場合に幾らという単価を計算いたしまして、大体この程度であれば小さいうちなら修繕できるというような措置を一応の目安にしまして、三万円という金額を決定いたしたのであります。この金額が多いことがいいことは、まさしくお話通りだと思いますが、そういった意味合いにおきまして一応これでやらせて、実績を見た上で今後の問題として考えなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  33. 岡本隆一

    岡本委員 今後なお一そうそういう点について御努力をお願いしたいと思うのですが、次に第十三条、参考資料の二十八ページですが、国は都道府県貸付金の財源として特別会計に繰り入れる金額と同額の金額を無利子で都道府県に貸し付けるものとする、貸付状況がそれぞれ都道府県の自主性にまかされておるということなんです。そこで植村さんが先ほど言われた消化困難な問題が地方財政の窮乏とともに出てきている。昭和二十八年の消化の状況を見ますと、参考資料四十三ページですが、修学資金に例をとってみますときに、二十八年度にあっては、高等学校が申し込み人員において七九%、金額においては七五%より貸し付けられてないのです。大学になりますとそれがさらに落ちまして、申し込み人員が六二%、金額において五七%より貸し付けられてない、私はここに大きな問題があると思うのです。未亡人が今生きている望みというのはただ子供だけなんです。再婚するという何も今はない、従って生きる喜びというものは、子供の育つ姿、子供の伸びる姿だけが未亡人にとっては生きる喜びだ。そのためには食べたいものも食べないで、自分のなりふりもかまわずに子供のために尽していく。私はこの修学資金というものが、これこそそういう未亡人にとっての光だと思うのです。ところがこの光がこのようにもやもや風にゆらいで消えそうになっておるというふうな状態であっては、これは非常に遺憾なことだと思うのです。ほかにいろいろ何もあろうと思う。しかし修学資金というものについては相当要望があれば、これこそむだなお金じゃないのだから、要望があればできるだけ貸付が行われなければならないと思うのですが、それに対してこのように消化が悪いということ、これは地方財政が何だから仕方がないというふうなことで、今まで二十八年もそうなら二十九年もそう、さらに三十年も一そうそうだというふうなことでそれをそのままほっておいて、予算が余っておるのに見のがしてきたというふうなことについては、私は厚生当局に相当な責任があると思うのです。これを、もしも予算が余っておるくらいならば、かりに地方の金が出なくても国の金だけでも、その半額でも希望額の半額になるわけですが、国の金を全部ほうり出して、そうしてそういう特別な措置をやっていくというふうな工夫が講じられなかったものかと私は思うのですが、山下次官はことに女性であられますから、そういう点について、今後とも地方で消化し切れない場合には、国でもって何らかの措置を講じて、この貸付金を少しでも消化させていくというふうな努力をやっていただきたい、こう私は思いますが、一つ考えを聞かせていただきたい。
  34. 山下春江

    ○山下(春)政府委員 遅刻いたしまして植村先生の御質問を聞いておりませんでしたが、岡本先生と多分同意見であったろうと思いますが、これは御指摘の通りども微力でございまして、その実態をよく知っておりながら三十一年度も同様の格好の予算を組みましたことを申しわけなく思っております。先ほど岡本先生は未亡人結婚問題についてお話になりましたが、今後段でおっしゃったもう子供を光として、子供の育つ姿に身も心もささげ尽しておるのが未亡人の実態だということ、これは私もその通りだと思います。それで再婚ということもうまく参りませんで、やはり子供の育つ姿に生命を賭しておるというのが未亡人の実態だと思います。その実態に対して私どもが突つかい棒をすることにはなはだ微力で、些少であったことを私としては申しわけなく思っております。高等学校だけでもせめて百パーセント需要を満たすべきであると固く信じております。従いまして、今回の予算の折衝に当りまして、実はその点は微力ながら最善の努力を傾けて参りました。事務当局も非常に粘り強くこれには食い下って戦いましたが、地方財政の一番苦しかった二十九年度、三十年度だったものですから、国が出しました五億を消化し得なかったという実績がある、そのためにたださえ少い五億を今年は四億五千万円というような非常に遺憾な予算をとって提出いたしましたことを残念に思います。私は地方の知事さん方にお目にかかるつど、地方予算をお組みになるときにこの一番弱い、そうして国民全体が何とかして明るく暮さしてやりたいという母子世帯に対する予算が一番あとで、黙っておるものには予算が少くいくというような組み方をなさる県は、社会保障というものを全く理解しない県知事さんと、私の方では認定いたしますよと知事さんたちに申し上げておりますけれども、遺憾ながらやはり地方予算を組みますときに、力のないこの予算というものを後回しにするというようなことがまだ直っていないようでございます。従いまして、来年度におきましてはあらゆる努力を傾けまして、国の持ち分をもう少し多くいたしまして、百パーセントフルに運営されるようにして母子世帯の暗い生活に明るさを与えたいということを私は固く決意して、今から用意をいたしておる次第でございます。
  35. 岡本隆一

    岡本委員 山下次官は女性であられますから、特に御理解深いと思うのですが、今後格段の御努力をお願いしたいと思うのです。京都市が作りました先ほどの調査報告によりますと、母子世帯の中で子供の問題について一番どういう点が問題になるかという問いに対して、養育費が足りないという答えが二四%それから教育費が足りないという答えが四三%、合せますと、子供に対してのものが六七%であり子供を育てるということについて、いかにそれを第一義的に考え、いかにその生活の張りとし、支えとしているかということが見られるのであります。ところでその子供を育て上げるために必要ないろいろの制度ですね。修学資金のほかに、たとえば修業資金であるとか、支度資金であるとか、いろいろな制度があるのはまことにけっこうなんですが、それを借りますときに、その子供が連帯の責任の借主になる、これはわかる。ところが保証人が要るということですね。もちろん貸す方としては保証人をとらなければお困りでしょうから、それもやむを得ないと思います。ところで、減免の制度というのが今度できましたね。あるいはまた猶予の制度ですね。ことに病気または負傷のために返せなくなった場合には負けてやろうという制度ができたんでありますが、しかしながら保証人がとってあれば負けてやるということにはならないと思う。そこで善意に基いて、どうしても返すことができなくなったというような場合には、保証人は連帯保証の責任がなくなるのかなくならないのかということを一つお聞かせ願いたいと思う。という意味は、どういうことかと申しますと、たとえば母子世帯で母親が病気になり、今まで働いて子供を育てておった、勉強させておった母親がなくなる、あるいは脳溢血のような病気にかかって働けなくなり、寝込んでしまった。子供は母親の苦労のおかげで大学にやってもらった。月三千円ずつ借りるわけですが、もう二年借りてきた。ところでその子供が、結核その他の病気になってもう学業が続けられないというようなことになりますと、その子供はもうそのお金を返す能力はまず生涯なくなると思うんですね。そうすると、これは当然保証人に返済の義務が出てくる。そういうような具体的な例の場合に、やはり連帯保証人だから保証人に返してもらわなければならぬというようにお考えなのか。そういうような善意に基いて、その母子に返済の能力がなくなってしまったというふうな場合には、減免は、保証人の連帯の責任をも免除されるのか、その辺のところをお伺いしたい。
  36. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 この法律問題点と申しますか、そういった点について御質問がありまして、大へん恐縮いたしておるのでございますが、確かに今お話のように、この保証人という制度があるからには、現実の問題として具体的に非常に気の毒な場合が起ることが考えられますし、私どももその辺を実は苦慮をしておるのでございますが、法律自体に現在保証人の制度が設けられておりますし、従って保証人としての法律で定められた義務を遂行しなければならない状況に置かれておることは、これは法律の建前上やむを得ないことだと思うのでございます。ところで、今お話修学資金の場合におきましては、母と子がいわば連帯して債務を負担するという格好になりまして、それに別に保証人が要るということになるわけであります。それで今度の新しく設けられました法律の条文によりまして、母なり子なりが、すなわち債務を負担した当事者が、あるいはなくなられたり、あるいは不具廃疾になられました場合におきましては、それがどちらの方に原因があるにいたしましても、減免の一応の対象になり得るということになるわけでございまして、ただその場合に、保証人の償還義務はやはり依然として残るわけでございます。この辺の法律の書き方等につきましては、実は事務的にもいろいろ折衝もし、相当苦心もしたわけでございます。これを普通の冷酷な債権債務の関係保証人の義務というように考えていきますと、この資金性質上非常に実情にそぐわない場合が出てくることを私どもは非常に心配をしたのでございまして、気持としてはやはりそれと多少違った気持で運営をしなくちゃならぬのじゃないか。そういった意味で、ただ単に保証人に財産上の償還能力がある、プラス、マイナスの、バランス・シートの上での償還のプラスの財産が多くて、能力があるということだけで、その辺の保証人の償還能力を判断をするということは、これはやはり適当ではないんじゃないか。そのほかの諸種の条件も勘案をして、客観的に保証人が返せるということが認められる場合においては、これは返してもらわなくちやならぬ。これは実際の運用の面としては確かにデリケートな問題であって、必ずしもその一つ気持で通せるかどうか、その辺は疑問があると思いますけれども、実はそういった気持で運営していきたいというような意味で、その意味法律の条文をごらんいただけば、必ずしも法律らしくない表現も使ってあるような次第でございまして、その辺の気持の存することをお含みおきをいただきたいと思います。  ただ一つ申し上げておきたいと思いますのは、これは普通の単純なる民法上の債権債務の関係とは実は違って考えなくちゃならぬと思うのでございます。と申しますのは、普通の場合であれば、金を借りたいわゆる債務者の方としては、延ばせるだけ延ばす、返さないで済むならなるべく返さないというのが、債務者の利益に形式的には合致することだと思うのでございますけれども、この資金についてはそうばかりも言えない面があるように考えられますのは、結局償還をしていただきまして、その金はそっくりそのままほかのさらに困った人たちに貸し付けられて役立つわけでございまして、その意味においては、やはり特定の債務者が自分原因だけに基きましてあまりがんばりますと、それはほかの未亡人の利益を害する結果になる場合があるのじゃないかと思うのでございまして、そういう意味において、この資金の貸借関係というのはいわば共済組合みたいな格好になるわけであります。従ってその償還の免除あるいは猶予の制度というのも甘からず辛からず、その辺のところをよく心得てやりませんと、その辺の運用をあまりにも情に流れまして緩にいたしますと、償還の意欲にあるいは支障を来たし、その結果としてほかの未亡人の借りるという可能性の利益を害する結果になりまして、全体の運営上は決して好ましくない格好になると思いますので、今申し上げましたその辺の具体的な気の毒な実情と、実際の制度の運営全般をにらみ合せまして、いわば情に流れず、理に走らず、運営の妙を発揮しなければならぬと考えております。
  37. 岡本隆一

    岡本委員 御答弁の御苦心のほど、以心伝心でよくわかりました。保証人に最後的な責任をとらすということであると、これは減免の制度ができたことが有名無実になる。だからそこはそのケース、ケースによって適当によろしくやっていくという御答弁のように承わりました。それで私もけっこうだと思うのです。非常に裕福な保証人であれば、もろんそれは社会事業への奉仕のつもりで出せばいいし、また多数の子供をかかえて、おそらくそういうなにが多いと思うのですが、母子世帯でやっと子供を学校へやるというような人が保証人になる。親戚とか、そういう人たちはやはり償還能力は乏しいと思う。それに対してあまり鋭い追及をされるということは、逆に借りるときに保証をたのむときにたのみにくくなる。保証が受けられにくいと思う。そういう点について政府の方もよく考えてやっていただきたいと思う。  次に、この母子福祉貸付制度と別ではございますが、世帯更生資金という貸付制度がございます。社会局長にお尋ねしたいのですが、昨年だろうと思うのですが、推薦の言葉として局長のお書きにねったこういうしおりが出ておりますが、御存じですか。これでもって、世帯更生資金ができた、世帯更生運動をやりましょう、貧しい人には金を貸して一つみな独立自営で暮せるようになってもらいましょうというふうなことで、大々的なことというと、ちょっと大げさかもしれませんが、民生委員の中では最初は相当センセーショナルに受け取って、どんなものが出てくるのかと思って、大いに期待しておりました。ところがきてみると、さっぱりどうにもならぬというふうな現象だったようでございます。これは大山鳴動ネズミ一匹ということになると思うのですが、たとえば京都市の例をとってみますときに、人口十万ほどある私の行政区そこにきたのが七件、とにかく七口だけ貸せるというのです。それでどうにもならぬものだから、一般に公募しないで、民生委員長は各通学区の民生委員が一人ずつ候補者を持ち寄ることにして、それで貸すことにしようじゃないか、こういうことでぼしょぼしょとまるで焼け石に水のように消えてなくなったというのです。それも焼け石に水でも、焼け石にさっと一降り来た水がじゅつと消えたのならまだ話がわかるのですが、二、三滴の雨粒が焼け石にかかったような状態のもののように私思うのですが、これはもしこういうものまで発行して大々的な宣伝をやられるならそれだけの予算を組まなければならないし、また非常に金額が少いなら少いでそれなみの前触れにしておいていただかなければならぬと思うのですが、その辺についてのいきさつを一つ御説明願いたいと思います。
  38. 安田巖

    安田(巖)政府委員 お答えいたします。世帯更生資金の額が非常に少いということでございまして、大山鳴動してネズミ一匹じゃないかというお話なんでございますが、十万人に七人というと少し大げさになりますけれども、その中で生活に困りまた更生可能な世帯というものを対象にして貸し出すわけでございます。当初三十年度から始めまして、昨年五億を要求して一億になった。それから本年も五億を要求いたしまして一億でございますが、これを、先ほどからいろいろ御批判がございます母子世帯資金と同じように、同額を府県が持って二億の金が全国に行き渡るわけでございます。なるほど少いといえば大へん少いのでございます。今後これをふやすことに私ども努力をいたします。またいろいろ御指導願いたいと思っております。それで貸付の方法でございますけれども、これは実は民生委員自分の受け持ちを持っておりますけれども、受け持ちの区域内でいろいろケース・ワークをやるわけでございます。保護を受けている世帯もございましょう、あるいはボーダーライン層の、保護は受けられないけれども非常に生活が苦しいというところもあるわけでございます。そういう世帯更生させようじゃないか、一人が毎年一世帯更生させたいという運動が、昭和二十七年ごろに民生委員の自主的な運動として始まってきたわけでございまして、その運動の結果得ました一つの結論といたしまして、何か更生資金がありますと、これは更生できるのだ、もう一押しだというようなときに一番困るのが資金だ、こういう話になってきたわけであります。そこで政府の方でこういった金を出しまして、民生委員の方々がいろいろ指導援護していただく場合に、それを一つの道具として使うならば、もっと効果が上るだろうという考え方になっているわけでございます。そこでやたらにだれにでもこれを公募いたしましたのでは、金額も少いのでございますし、またむだになる場合が多いのでございます。そこでどうしても生活できないものは生活保護法に当然かければいいのだし、また生活保護法の中でも世帯更生資金もございます。そこでそれらの世帯の中で、ほんとにこれは自分たちがいろいろ援護し、指導し、そしてこれだけの金があれば何とか更生できる、必ず成功するだろうという世帯を持ち寄りまして、その中で選ぶ。こういうやり方をいたしておりますので、今御指摘のような事実になって現われているわけでございます。
  39. 岡本隆一

    岡本委員 盛り上る運動として始まってきたので、それに対して政府も知らぬ顔できないから、ちょっとやったということだろうと思うのですが、御趣旨よくわかりました。今後もちょっとでなしに、うんとそれを盛り上げていただくようにお願いしたいと思います。そこでこの書物でございますが、一部五十円と書いてございますが、これが全部無料で民生委員の方へ配付されておる。そうしますと全国的に見て相当な経費になる。なるほどこういうものは民生委員によく理解さすために必要であろうと思うのですが、そういう金がどこから出たか。あるいはそういう一部の金か、あるいは共同募金の金か何か存じませんが、そういうふうなものが相当事務費として出ているのじゃないか、そういう点が一部では、こんな本が何の金でできたのだろうというふうな疑惑のなにがありますので、一つそれを御説明願いたいと思います。
  40. 安田巖

    安田(巖)政府委員 お答えいたします。世帯更生資金は一億でございまして、これはまるまる資金として使われるのでございます。これを府県でまた一億出しまして、二億にいたしまして、それを各都道府県社会福祉協議会で使うわけであります。これには実は事務費も何もついていないのでありまして、各地の社会福祉協議会では実はその点について非常に困っていると思います。しかしこれはあくまで今おっしゃったように大へん貴重な金でありますので、資金そのものには一銭も手を触れていないわけでございます。ただ若干の利子がございますが、これは府県の事務費といたしまして協議会の事務費として使うことを許しているわけであります。その金は実は民生委員指導、訓練の費用が若干その中にございまして、それで手帳を作って民生委員に渡したりしておりますが、手帳につきましてもいろいろ批判がございまして、あんまりちゃちなものをもらっても大して意味がないじゃないかというような声もございましたので、たしかその方の金を若干さいて作って無料でお配りしたように私記憶いたしております。
  41. 岡本隆一

    岡本委員 さらにもう一度住宅問題に立ち返るわけでありますが、母子寮に住んでいるその家庭子供が成年に達しますと母子寮を出ていかなければならない。それについては従来住み込みの就職口をどこか世話するというふうな努力が払われているようでございますけれども、しかしながら個々の場合、本人の希望その他でもって必ずしもそうはいかない。そういうような場合に母子寮を出てその母子が適当な住居を見つけられるための一やはり住宅を求めるためにはある程度の権利金、敷金というようなものが要ると思うのでありますが、そういう点についての融資が考えられておるでしょうか。あるいはその他のいろいろな、たとえば支度資金あるいは生業資金というような面でそのめんどうを見ていこう、こういうお考えなんでしょうか、その辺承わりたいと思います。
  42. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 母子家庭住宅の問題は、ただいまお話のように非常に重大な問題でございまして、今の御質問とはちょっとそれると思いますけれども、去年来いわゆる母子住宅の建設について政府として力を入れておりまして、去年、ことしとも予算に計上して推進をいたしておるのでございます。従って母子家庭住宅対策としてはこの面を政府としては大いに強化して、それによって救って参りたい、かように考えておるわけでございますが、母子家庭から出てそのほかの敷金等を要するうちに住み込む場合の金の手当でございますが、これについては従って今のところ特別の考慮を実は払っていないのでございまして、むしろそれよりも公営住宅の拡充という線で進んで参りたい、かような考え方をいたしております。
  43. 岡本隆一

    岡本委員 公営住宅の拡充という点は、母子家庭に優先的な措置があるのですか。
  44. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 この制度と申しますか、やり方を始めました出発点は、母子家庭に対する住宅の供与ということが政府施策としてそれがきっかけになったわけでございますけれども、しかし実情としましては、末端等において必ずしもその意図が徹底していないうらみがあって、多少経緯のあったところもなきにしもあらずのように考えられましたので、その後建設省の方と打ち合せまして、母子家庭を優先するように両方話がまとまりまして、通知を出したような次第でございます。
  45. 岡本隆一

    岡本委員 母子家庭と非常に密接な関係のあるのは、子供の保育の問題だと思うのですが、保育所の入園と申しますか、入所措置基準というのを私見たのでありますけれども、去年よりもだんだん保護者の負担が増していくような傾向が出てきておる。従って保育所はこのごろでは1今までは押すな押すなだった保育所がだんだん定員が余ってきておるのです。またたとえば京都市の例を見ますと、頭からそういうことをやっているのじゃないと思うのですが、措置する子供は大体八割程度というふうな方針でやっているのかといって民生局で聞いたのです。そうすると、いやそうじゃない、偶然そうなっておるのだ、平均がそうなんだからそういろ数字が出るのだ、こういうようなことでありますが、しかし保育所側からの意見を聞きますと、民生安定所の方で大体八割までは見てやろう、それ以上は措置できないというふうな意向を示してきておるということなんです。そういうふうな方針のためにだんだん保育所では随意の子供をとってきておる。従って保育所と幼稚園とがチャンポンというような傾向が出てきておるわけです。そうして貧しい家庭でありまして、先ほど申しましたように一万円以下の母子家庭、たとえば八千円程度収入のある親一人子一人の家庭でありますと、七、八百円の弁償金を出さなければならないのです。しかも母親がどこかの工場へ勤めているというような場合には、税金はかからないでしょうが、社会保険料であるとか、そういうようなものを差し引いた実収入からでなくて、名目収入からそれだけのものが出させられるということなんです。だからだんだん負担が重くなって、非常に不満の声が出てきておるのでありますが、せめてこれを名目収入でなくて、実収入に直す。社会保険なんかは税金と一緒なんですから、実収入から見て弁償金を取るというようなところまでぐらいの緩和はできないものでしょうか。
  46. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 保育所の運営につきましては、ただいま御指摘のように、大へん多くの問題を含んでおることでございまして、私どももこの解決については苦慮をし、また努力もいたしておるわけでございます。ただいまお話の点は、いわゆる徴収基準と私どもの方では申しておることでございますが、これは実は一昨年の夏きまりまして、その後種々高過ぎるとか適当でないとか、いろいろ議論がありました。その辺のところをしんしゃくをして、去年の七月にそれを改訂をいたしましてそれに基いて現在実施をしておる状況でございます。従いましてさしあたってといたしましては、この改訂をいたしましたこれは、その前の一昨年のに比べると相当緩和しておるものと承知をいたしておるのでございます。その改訂されたものに基いてさしあたっては実施をして参りたいという心づもりでおりますが、もともと保育所につきましては、御承知のように法律で労働または疾病等のために保育のできないものを保育所に措置して入れるということになっておるわけでございますし、そしてその家庭に金を出し得る能力がある場合にはそれから金を徴収をする、その基準はこうする、そういうふうになっておるわけでございますが、実際に地方実情を調べてみますとなかなかその法律通り行われてない面が非常にあるように考えられますし、その辺のところをやはり法律に即して運営されるようにいたしませんとただいまお話のように幼稚園との関係でありますとかあるいは社会保障の本質、従って補助率の関係でありますとかそういう問題とからんで非常にめんどうな事態になることも考えられますので、私どもの方としてはできるだけ厳正にこれが運営が行われるように努力をしている実情でございますが、その辺、その保育所が今日まで伸びてきました経緯とからんで考えれば、いろいろその間にめんどうなこともなきにしもあらずと思いますけれども、保育所全体をどう持っていくかということとも関連をいたしまして、そういう線で解決努力をいたしておる次第でございます。
  47. 岡本隆一

    岡本委員 法律範囲でできるだけ厳正にやっていくというようなお言葉でございますけれども、実は私そういうこと等と児童福祉法の精神あるいは保育所がなぜ作られているかという精神について、一つ山下次官にお伺いしたいと思います。私はとにかく子供には天の恵みは平等に与えられなければならない。少くも光と風とは平等に与えられなければならない。こういう精神というものは見のがすことができない大きなものだと思うのです。路地裏で風の通らないじめじめしたところで子供が遊んでおる、そういうような子供を保育所の中へ抱きとってやって、暖かい日の光の中で、また気持のいい風の中で幼年期を過させる、そういうふうな機関が保育所である。そういうふうな機関としての保育所というものの使命を考えるときに、できるだけ多くの細民街に住む子供をその保育所の中へ収容して、そこではぐくみ育てようという国のあたたかい心使いというものがなくちゃならぬと思うのですが、山下次官も私はおそらく同感だろうと思うのですが、どうお思いになるか、伺いたい。
  48. 山下春江

    ○山下(春)政府委員 岡本先生の御説全く同感でございまして基準とかいろいろなワクがあるということ自体を私どもは遺憾に存じておりまして、幼児期には貧富の差だとかいろいろなことが子供心に感じられるような環境に育てることはよくないことだと思います。しかしながら思うにまかせないために御指摘のような面もあろうと思いますけれども、本質的には私は全く同感でございまして、措置すべき児童が薄暗いところに投げ出されておるというようなことのないように、この面は全力を傾けて目的を達成いたしたいと念願いたしております。
  49. 岡本隆一

    岡本委員 今の次官のお言葉でございますが、そういう次官のお言葉を方針として立てていくときに局長これから一つどうやっていかれますか、とにかく措置費がだんだん高くなってきた、措置費が高くなってきたからほんとうに措置してもらわなければならぬような子供は去っていくのです。そうして定員の足りないところを、措置しなくてもいい子供へ働きかけて入れていく、そうすると今度は幼稚園と保育所がちやんぽんになりますから、そうするとそういうふうな子供は割合に美しい身なりをしていく、こっちは鼻ったらしでぼろぼろの着物を着ておる。母親が今度は保育所をきらうようになる、そうして生活保護を受けておるような家庭では保育所をきらうようになる。また保護者会があってもきれいな奥さんと一緒に、よれよれの着物を着てすわるのもはずかしいからというようなことで、だんだん保育所にそっぽを向くようになる。そうするとこれは保育所本来の使命というものがゆがんだ方へ押し曲げられていく、そういう点について保育所はほんとうに保育を要する、措置を要するあるいはまたそういう環境の悪い子供、そういうものをできるだけ集めて、そうして幼稚園は幼稚園としてもし足りなければ国の手ででもまた何か考えていただくというような点で、本来の使命を果すようにしていただきたいと思うのですが、局長からこれからの運営方針について、一つ山下次官のお言葉を前提として承わりたいと思います。
  50. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 ただいま政務次官からお話がありましたように、措置すべき児童につきましては全部保育所に収容をして保育をしていく、そういうようなことを念願として、施設の管理運営に努力して参りたいと思っております。それでこの保育所につきましては、ただいま御指摘のようにいろいろ問題がございますし、実は児童福祉審議会にもこの問題の御審議をお願いしまして、先般来非常に熱心に御検討をいただいておるのでございまするが、その方と協力をいたしまして、将来の運営の万全を期していきたいと考えております。
  51. 岡本隆一

    岡本委員 次にこういういろいろな社会事業と関係のある共同募金の問題について、社会局長にお伺いしたいと思います。赤い羽根の運動というものは、これは国民がみんなで助け合おうじゃないかという美しい精神であり、またそういう精神を発揚させるための運動でありまして、その金そのものでもって社会事業をやっていく、これは元来こういうようないろいろな社会福祉事業というものは、国の手でやらなければならぬ。少くも福祉国家と名乗る限り、国の手によってやらなければねらぬ、しかしながら国民全部がお互いに助け合って仲よく暮そうじゃないかという美しい気持をもって、今のけわしいとげとげした社会を、なごやかな明るい社会にしようというふうな運動だと私は思うのです。従ってそれに伴うところの、それに従事する人たち、これはやはりきわめて清い、美しい心で従事してもらわなければならないと私思うのです。ところで、最近京都府会で共同募金の経費の使途の問題が取り上げられて、相当大きな問題になっておるのですが、局長御存じでしょうか。
  52. 安田巖

    安田(巖)政府委員 京都の府会で問題になっておりますことは府の当局から聞いております。
  53. 岡本隆一

    岡本委員 どういうふうにお聞きになっていらっしゃいますか。
  54. 安田巖

    安田(巖)政府委員 私もここで詳し 申し上げるほど記憶しておりませんけれども、府会で府会議員の方が、京都の共同募金会の金の使い方に不正があるというようなお話を盛んにやっておられるように聞いております。
  55. 岡本隆一

    岡本委員 私それは不正というよりも、使い方がルーズであるという指摘であるように思います。私その会議録を読んでみたのです。会議録を見ますと、二十八年度の募金の決算書でありますが、二千七百五十四万募金額が集まっている。その二千七百五十四万集まった赤い羽根の募金が、事務費として五百七十一万それから地区活動費という名目で二百二十七万、それから中央分担金として五十三万、合せて八百五十万というのが募金に要する費用として支出されている。そういたしますと、それは募金額の三割強になるのです。私はみんなが美しい心でもって、この金で悲しい人が救われるのだ、ほんとうに窮迫している人が救われるのだ、あるいはまた身寄り頼りのない子供がそれぞれの施設において多少なり恵まれるのだ、こういう気持で募金していると思うのです。それは募金には金もかかりますよ。だけれども途中でもってその募金額の三分の一がなくなって、三分の二より行き先へ着かないのだということになると、これはだいぶみんなの気持が違うと思うのです。だからこういうふうな募金に使われる費用というものはもっと切り詰められなければならない。みんなが美しい心でできるだけ労力奉仕をして、サービスして――こういうふうな事務費に三割も、こんなに八百五十万も使われるということは、やはり募金に従事するすべての人の心の持ち方というものに私はあると思うのですが、その辺について局長はどうお考えになるでしょうか。
  56. 安田巖

    安田(巖)政府委員 京都の共同募金会のことにつきまして、私どもは実は監査をいたしております。私どもが監査をいたしました限りにおきましては、京都府会でいわれるような不正というようなことは私どもないものだというふうに考えております。それから今の事務費の点でございますけれども、私確実な数字は今持ち合せておりませんけれども、大体私ども事務費といたしましては一割くらいが適当であろうという通知を出しておるわけでございまして、京都の場合に一割を少しこえておるような報告がございました。これは共同募金会の事務費のうちで、主として人件費が相当かかるわけでございますが、そういう金、それから今お話しの地区の活動費でございますが、これも非常にむずかしい問題がございまして、今岡本先生がおっしゃいましたような原則的な使い方につきましては私ども毛頭反対はないのでございまして、それが雑費とか事務的なことに使われるのは極力圧縮すべきだという方針は堅持いたしております。共同募金を集める場合に、市町村の社会福祉協議会を単位に募金をやっておるわけでございますが、その方に若干事務費が要るのであります。その際に協議会の活動費として施設にこれを還元するのがいいという考え方もございますけれども、協議会がいろいろ地域内の社会福祉活動をいたします場合の費用、たとえばボーダー・ライン層に対する活動費でありますとか、あるいはその他各界の人が集まりまして、保育所をどうするとか地区における児童の福祉の問題をどうするとかいうことをいろいろ協議して相談することが実は社会福祉協議会の任務になっておりますので、そういう金を全然使ってはいかぬということになると、今度は地区の社会福祉協議会が全然動けないということになりまして、その辺大へん微妙な問題がございますけれども、そういった地区の活動費を全然出してはいかぬというところまでは私ども言い切れぬような点もあるわけであります。いずれにいたしましても岡本先生のおっしゃいましたような使い方につきましては十分気をつけなければいかぬ。しかし府会でおっしやるような事実は私どもの調べました範囲ではないのではないかと思っております。
  57. 岡本隆一

    岡本委員 今の局長のお言葉でございますけれども、一割強になっておるというふうな数字はどういうところから出ておりますか。
  58. 安田巖

    安田(巖)政府委員 今私申しましたのは、いわゆる共同募金会として使っております事務費でございます。大体人件費が主たるものでございますけれども、たしか四百何万円と聞いておりましたが、今ちょっと数字を持ち会せません。そのほか地区の方に地域の社会福祉協議会の活動費として出しているものを先生の方で事務費というふうにおっしゃっておるのか、その辺が数字のつかみ方に多少違いがあるのではないかと思います。
  59. 岡本隆一

    岡本委員 局長にもう一度報告書をごらん願いたい。私が見た資料によりますと、事務費として五百七十一万、二千七百五十四万に対する五百七十一万でありますから、直接募金会が使っている事務費だけでも二割、それに地区活動費その他がついて三割になっております。従ってこの数字を見ましても、不正があるとかないとかいう問題を離れて、私はやはり募金の使い方についてもう少し慎重な態度をもって臨んでいただかなければならないと思います。  それから監査については間違いないという御意見でございました。監査の模様を私聞きました。しかしながら、監査のことはここでは私申しませんが、監査について詳しく聞いた具体的内容というものは、厚生省の方も大きく監査をやったから間違いはないというようなことをおっしゃっていただけるような監査はできておらないと思っております。それは思っているから何だというのなら、私はまたそれは詳しくそのときの状況も申し上げますが、そういうことはこの程度にしておいた方がいいと思うのです。だから、今までのことはもう別として、今後これについては厚生省の方でもっと厳重な態度をとって厳重な監査を願い、適当な指導をやっていただくようにお願いしたいと思います。  さらに二十九年度のものを見て参りますときに、三千四百二十一万に対して啓蒙宣伝費として二百五十万、地区活動費として二百七十万、それから次年度募金準備金として百十万、連絡調整費として二百五十六万、計八百八十六万になっている。これもやはり二割五分になる。二割五分というものがそういうふうな費目になっている。これは募金委員会の出している決算書ですから間違いない。そういうふうな形でもって出ているということは、やはり大いに考えなければならないことだと思います。さらに問題になっている点は、小地区福祉費として九百一万という金が出ている。これが大きく問題になっていると思いますけれども、これは施設へ配分されないで各行政学区で集めて、福祉事務所その他行政学区の民生安定所へ還元されて、そこでもち代その他として貧しい人に配分されているということになっていますけれども、そういうふうな使い方というもの一は、共同募金のお金の使い方として、それで間違いないのでしょうか。その辺どういうふうな指導をしておられましょうか。方針一つ聞かしていただきたいと思います。
  60. 安田巖

    安田(巖)政府委員 お答えいたします。二十九年度は、たしか事業費というものが百何十万円だというふうに私聞いておるのでございますが、そのうちに共同募金をやります場合の資材費というものが四十数万円ございます。それから宣伝費が同時にまた四十何万円というふうな金であったと思います。これらは一つ先生に資料をいただきまして御説明してもいいと思うのでありますけれども、私どもの方でもなおよく調べてみたいと思います。  それから共同募金の分け方につきましては、先ほどちょっとその点触れたのでありますが、集まったものを全部施設にやらなければならぬか、あるいは現在共同募金と同時にそれとうらはらになって活動いたしておりますところの小地域の社会福祉協議会の活動費としてそれを出すことがどうであるかという問題があるわけであります。そのときに、私先ほど申し上げたのでありますけれども、ただそれを地域の社会福祉協議会が漫然と使うということでは、私どもは困るわけでございますが、地域社会福祉協議会の活動としてこういうふうな計画で、こういうふうな仕事をしたいということに対して配分をいたすものまでも、実は禁止をいたしておらないのであります。その辺にまたいろいろ御批判があるかと思うのでありますが、現在の地域社会福祉協議会というものは、これは市なり町村なりにおけるところの福祉事業全体の元締めになって、そして連絡調整もし、いろいろ企画もし、そしてまたそういったボーダー・ライン層に対する民生委員の活動のもとになっているわけでありますが、それに対する財源の確保というものは全然ございません。そこで施設に行って、そして施設の中に入っております不仕合せな人たちなり、あるいは子供たちのために使うということも、これはきわめて募金者の希望にかなうものであると思いますし、同時にまた今私が申し上げましたような地域の社会福祉協議会の中で使う場合も、またより切実な問題に対して使われる場合もあり得る。しかしくれぐれも注意しなければならぬことは、それが地域における還元金であるとか、あるいは漫然とこれはお前のところにこれだけやるから仕事をしろということではいけない。やはりそれについては計画を出しまして、この計画に対してこれだけやることが至当であるということのちゃんと判断をして出すようにということを、実は指導いたしております。
  61. 岡本隆一

    岡本委員 御趣旨よくわかりましたが、局長のお答えと私の持っている資料とでは、数字の違いがございますので、私ももう一度よく調べたいと思いますが、局長の方もよくお調べ願いたいと思います。そこで京都府だけがこんなに多いのか、他の府県も同じようにそれだけかかるのか、一つ府県状況も、全部でなくてもいいですが、ある程度の他の府県状況を、どういうような費目でどういうように出しているかということをお教え願いたい。京都府会で問題になっておりますのは、この小地区福祉費として各地区へ出ているところの九百一万という金が相当ルーズに使われた。これは今度初めて出たものでございますから、勢いそういうようなことが出て参ったのかしれませんが、他の費用に相当ルーズに使われたということを指摘しているのです。そういう点については、できたことはもう追及しても――原則的にいえば追及すべきであろうが、追及してもこれは戻ってくることでありませんが、しかしながら今後もしもそういうような施設の中にいる人たちに対する福祉以外に、やはり地域々々の貧しい人たちが平均に恩恵をこうむらなければならないという局長の御意見であれば、それはなるほど、私はそれもそうだと思います。ただそういうような場合にはやはりそのようにその使い方については、ばく然と福祉協議会に渡してしまって、そうしてでたらめに使われている、全くでたらめというのではありませんが、そういうことでなく、たといわずかの金といえども不自然な方向へ流れないように指導監督を厳重に一つやっていただかなければならないと思います。  なおこの社会福祉事業法第六十五条に「都道府県知事は、この法律の目的を達成するため、社会福祉事業を経営する者に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員をして、施設、帳簿、書類等を検査し、その他事業経営の状況調査させることができる。」というふうなことがございますが、厚生省でなくて都道府県知事でもその社会福祉事業が公正に行われておらないというような疑点を持った場合には、知事にそれを調査する権限があるのでしょうか。
  62. 安田巖

    安田(巖)政府委員 お答えいたします。手元に条文を持っておりませんから多少不正確かとも存じますけれども、都道府県知事が自分の管内におけるところの社会福祉事業につきまして、今申されたような監督権は当然あるわけでございまして、帳簿をとるとか、あるいは中に入って調査するという権限がありまして、それを拒んだりいたしますと、それに対するまた対策があるわけであります。極端な場合は事業停止を命ずることまでできる権限がたしかあったと思います。この機会にちょっと申し上げたいのでありますけれども、よく社会福祉法人に対しては知事が監督権がないのではないかというような議論があるのでありますが、法人そのものに対して監督する場合には、これは厚生大臣が最後の解散権を握っている形になっております。これは社会福祉事業法ができたときのいきさつ、参議院等におきますところの審議の状況などを拝見いたしますと、やはりそういったものは知事さんにまかしておくといろいろ弊害が起りはしないか、それで厚生大臣が最後の解散権は持つ、しかしその前提になる資料その他につきましては、当然府県知事が責任を負って、そして資料なんかを出す権限はある、こういう考え方なんでございます。従いまして、多くの場合は、社会福祉法人というものに対しては、そういうふうな状態でありましても、社会福祉法人は社会福祉事業をやっておりますから、事業の面から当然監督権がある。こういうふうに考えております。
  63. 岡本隆一

    岡本委員 よくわかりました。少くも赤い羽根というものが美しい心でもって集まった浄財であるという点、どうも、各地の募金運動、ことにこれからまた白い羽根も始まると思うのですが、そういう募金運動について間々風説を聞くのですが、少くもそういう風説が出ないように、一つ努力を願いたいと思うのです。  なお、この前私ここで質問いたしまして、京都の日赤について一ぺん御調査願いたいということをお願いしておいたのですが、もう御調査願ったのでしょうか。
  64. 安田巖

    安田(巖)政府委員 この前御質問がありまして、実はさっそく調査して、私の手元にはその調査資料があったのでございますが、その後当委員会に出席いたす機会がございませんで、つい延引いたしまして大へん失礼いたしました。  ここに大へん詳しく書いてございますが、まず第一に、十三号台風に当って被災者以外に手ぬぐいを配ったということであるが、ということがございました。これに対してお答えいたします。これは日赤の方を調べさしたのでありますけれども昭和二十八年九月二十五日の十三号台風の際、指摘されたような手ぬぐいを配付したことはないということでございました。それから同年八月十五日に南山城の水害に当って、罹災者に対して、罹災見舞として手ぬぐいを配付したが、その配付に当っては、京都府発表にかかる八月十九日十九時現在の被害状況調べに基いて、罹災戸数四千八百二十七戸に対して、四千八百六十五枚の手ぬぐいを配付した。京都府の被害状況の調べによりますと、最終の罹災戸数は五千六百三十三戸でありますから、手ぬぐいの数量から申しますと、手持ちの手ぬぐいの関係でございますけれども、全罹災者にも実は及ばなかったということで、御指摘のような事実は数字の上からもないということでございます。それから配付に当っては、町村長に依頼いたしまして、町村内における罹災者の実情に応じて配付したということでございます。  それから白い羽根募金の使途に不正があるということの御質問があったように記憶いたしておりますが、結論から申しますと、これらの不正の事実はないということでございます。八月十六日に厚生省の係官の監査を受け、その後さらに九月二十日から三日間にわたり、京都府の係官の詳細にわたっての監査を受けたが、不正な事実は指摘されていない。なおまた京都府の係官に、こういう御質問があったのであらためてただしたが、京都府支部に関する不正のあった事実はないという言明を得た、こういうふうなことを言っているわけでございます。  それから第三番目は、政党支部の結成等に支部長が日赤の自動車を乗り回したことがあるかどうかということでございますが、昭和二十九年の四月の知事選挙、三十年の府会議員選挙があったけれども、これに関連して御質問があったというふうに理解しているが、そういう事実はない。自動車は期間中車庫に格納されておったということでございます。支部の自動車の使用については、社の用以外には使わないように十分留意しておるという話でございました。この点もう少し私どもの方でも注意いたしておきたいと思うのでございます。  それから地区分区長を集めてごちそうしたじゃないかということがあったのですが、これは町村長たる地区分区長を特別に接待したような例はないということがありまして、社員募集あるいは募金会のために郡市地区長・支部の地区長を招集して、京都府の支部の建物内で打ち合せ会を開いた。その際に赤十字運動に御協力をお願いする意味と、平素の地区長としての労を謝す意味において、会議の後に、その席上において簡単な食事を出したことはある、こういうふうな回答でございます。  大へんおくれて申しわけございませんが、この際あわせて御回答申し上げます。
  65. 岡本隆一

    岡本委員 本会議が始まりましたので、もう終りたいと思います。多少私どもの知っていることと違いますが、日赤について特に厚生省に御注意願わなければなりませんことは、万国赤十字精神に基いて出たもので、これは全く人類愛、ヒューマニズムの立場に立って災害の救助その他活動をやっていこうという機関でなければならないのであります。こういう機関の責任の地位に立っておる人が、公職選挙法の選挙を何回か繰り返してやるというふうなことになりますと、やはりいろいろ誤解を受けると思うのです。それから誤解を受けるだけでなしに、また日赤そのものがいつか政争の舞台に巻き込まれる心配があると思うのです。だから日赤を本来の使命に純粋に動かそうとする場合には、その日赤の支部長たる者はやはり、公職選挙法の選挙に立候補する場合には辞職してでなければならないと思う。何回か選挙をやり、依然として支部長を勤めておるというようなことになって参りますと、もちろんそれじゃ知事がやっているじゃないかということですが、しかしながら知事は、これはもう知事たることをやめたとき、同時にやめるんです。そうしてまた知事に当選すれば支部長になるでしょうけれども、落選すれば支部長にならない。それを特定の人が何回か選挙を繰り返し、その間なおずっと引き続いて支部長をやっておる。しかもその支部長選任についてもとかくのうわさもあるんですが、ともかく私はそういう日赤というような機関、しかも人道主義に基いて、美しい心でもって白い羽根の募金運動をやったりする、またその配分をやっていくというような機関の支部長が、そういう公職選挙法の選挙を何回か繰り返すというようなことであっては、誤解と疑惑ができ、それがまた政争の具になり、政争の舞台になって、日赤の存在をゆがめていくと思う。だから厚生省としてはそういう点について、やはり監査監督の責任もあり、またその権限もあるのですから、そういう点については、私情とは別に公けの立場に立ってやっていただかぬと、私は将来全国各地で日赤にそういうふうないろいろな問題が出てくると思う。ことにこれからの政争というものは、旧政友会、民政党というふうな間の政争でなくして、少くとも二大政党の対立ということになって参りますと、これは明らかに階級闘争です。階級闘争の場に日赤が入ってくるということ、そういう公的機関を政争の中へ入れるということは非常に好ましくない。だからそういう点について私は特に厚生省の方でも万全の措置を考えていただくようにお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  66. 佐々木秀世

    佐々木委員長 午前中はこの程度にとどめ、本会議散会後まで休憩いたします。     午後一時二十分休憩      ――――◇―――――     午後三時五十八分開議
  67. 佐々木秀世

    佐々木委員長 休憩前に引き続き再開いたします。  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。発言の通告がありますので、順次これを許します。森本君。
  68. 森本靖

    ○森本委員 まず最初に、この公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案における大臣の提案理由の説明の中で最初の方に、この法律昭和二十三年に制定された法律であって、周知のごとく占領下早急の間に立法されたものであるという説明があるわけでありますが、この公共企業体等労働関係法が制定されたときのいきさつについて、御承知であるならば簡単に御説明を願いたいと思います。
  69. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 現行法が制定されます当時は御承知のようにまだ占領中でありまして、いわゆる二・一ストという問題のありました当時、公けに奉ずる国家が経営している企業体は別にして、公共企業体という形を作って、そうして現行法のような法律でその職員の行動を規制した方がよい、こういう考え方になりまして本法が立案されることになってきたのでありますが、その当時は御承知のように、衆議院の労働委員会でも私どももその審議に当ったのでありますが、公共企業体というものが日本でもきわめて珍しい形でありまして、そういうものに従事する職員の労働関係というようなものについてもあまりお互いが知識を持っておりませんで、当時の実情は司令部側と国会側とが意見の交換をして、そして本法が立案されて制定されることになった、こいういきさつでございます。
  70. 森本靖

    ○森本委員 そのいきさつはこれはあくまでも表面的ないきさつでございまして、この公共企業体等労働関係法が施行されるときにおきましても、そのときにはまず最初に国鉄と専売が適用されたわけでございますが、当時これと同じような事業関係にありましたところの今日の電電公社、あるいは郵政事業、さらにアルコール事業、あるいはまた営林局の山の方の仕事、こういうふうにいろいろあったわけでありますが、その間においてなぜ国鉄と専売だけがこれを切り離されて、こういうふうな公共企業体等労働関係法適用になったか、そういうことのいきさつをお聞きするわけであります。
  71. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御承知のように、いわゆる五現業につきましては当時この法によって労働関係を律するという考え方はありませんで、いわゆる公共企業体というものは今御指摘のように専売と国鉄でありまして、この二つに特別なる労働関係法を適用しよう、こういうことであります。
  72. 森本靖

    ○森本委員 そこで、そのときにそういう二つに適用されるというようになった経過であります。それまでは要するにこの五現業並びに今日の三公社というものは、すべて一般の労働組合法が適用されておりました。ところが当時いわゆるマッカーサー司令部の指令によりますところの、たしか政令二百一号であったと思いますが、これによって公務員のいわゆる争議権が剥奪されて、それからほどなくこの公共企業体等労働関係法が施行される、こういうことになったと私は記憶しておるわけでありますが、同じような企業体でありながら、国鉄とそれから専売というものにこの関係法が適用されて、その他のものが適用されないということになったことについてのいきさつを、もし御承知なればということでお伺いするわけであります。
  73. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 当時私どもの間で問題になりましたのは、今申し上げました公共企業体という特殊な経営体の労働関係のために本法を作ろうじゃないか、こういうことでありまして、現在この法の適用を受けておる公務員のうちの五現業、これについてはその当時は別段問題にはなっておらなかったのでございます。
  74. 森本靖

    ○森本委員 その当時私も労働組合に関係をいたしておりまして、司令部との間のこの間のいきさつも若干は承知をしておるわけであります。当時国鉄と専売とそれから当時の全逓、そういうところの労働組合はほとんど同一である。ところが当時の情勢においては、極端にいうならば全逓は非常に左翼的な傾向が激しい、国鉄、専売等についてはこれよりは若干ましである、こういうところから当時の司令部から強硬な意見が出まして、国鉄と専売だけは公共企業体にして、そして公共企業体等労働関係法というものを適用して、これについては政治活動と団体交渉権を許して、その他の面は一切これは国家公務員法を適用する、そういう面で当時の全逓の戦闘力を拒む、こういうような基本的な、根本的な考え方によって、占領軍当局が当時の日本政府にそういうふうなことを指令をしたというようなことを聞いておりますけれども、そういうことについての御記憶はないのでありますか。
  75. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私ども公共企業体というものにつきまして特別な考え方を持つようになりましたのは、国鉄も専売もいわゆる企業体でありまして、論者によっては、国鉄のごときは諸外国の例のようにやはりこれは民営に移す方がよろしい、それから専売事業などについても、タバコなどはもちろん民営の方がいいのだというような論者も当時ありました。しかしそれを実行に移すという意見はその当時は多数ではありませんで、ただしかし国家の経営いたしておるこの二つのものも、やはり独立採算で企業体として経営をいたしていく方がきわめて妥当であるということで、公共企業体というものができました。従ってそういう特別な企業体であるからして、一般公務員とは違う労働関係法を作ってこれに適用する方がいいではないか、こういうことでありまして、当時は今日公労法の適用を受けております五現業につきましては、当時の国会における論戦をお調べ下さってもあります通りに、公労法を適用すべきだという議論は、当時私どもの間でほとんど行われておりませんでした。
  76. 森本靖

    ○森本委員 その当時、国鉄と専売は公共企業体として、これはこういうふうな形の企業体に切り離すということは、今の大臣がおっしゃられたような論法でなったと思いますが、当時においてすでに電信電話事業についても、これと同じようにすべきだという意見がたしかあったはずであります。ところがその電信電話事業というものは、当時はその当時の逓信省の中において郵政事業と一つになっておった関係で、そこでその労働組合は全逓信労働組合であって、日本において当時一番左翼的な労働組合である。そういうところから、この企業体というものを国鉄、専売と同じように、いわゆる公共企業体等労働関係法適用して、これに対して団体交渉権、さらに政治活動の自由を許すということは、当時の労働関係では非常にむずかしい、こういうところの当時のGHQの考え方に基いて、国鉄と専売だけをとりあえずやろう、将来この労働関係というものが是正されるならば電信電話事業についても考えていこう、こういうふうなGHQ当局の考え方に基いてこういうようになったんではないかということをお聞きしておるのであります。当時私たちは労働組合の中におりましたけれども、そういうサゼスチョンなり意向というものを、しばしば占領軍当局から聞いたわけでありまして、これを極端にいいますれば、全逓が態度を変えるならば国鉄、専売と同じような格好にしてもよろしいというふうな、そういう極端な言い方ではないけれども、そういうふうな言い回しをもってわれわれ労働組合に対処してきたということも、私は記憶しておるわけでありまして、そういうふうないきさつを大臣としては御承知がないかどうかということをお聞きするわけであります。
  77. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 この法律法律案でありました当時に、やはり英文で書いたものを先方から示されたりいたしまして、そういうようなものも審議過程においてわれわれは議論いたしたのでありますが、しかしながら公共企業体というものを国鉄と専売に一応しておいて、これは特殊な企業体であるからそういうふうにしよう、こういうこともわれわれ国会の中で納得をいたしましたし、同時にまた、それにこの公共企業体等労働関係法適用するのだということも、われわれが自主的に決定いたしたのであります。なるほど公共企業体という形にして、そして労働関係はこういうふうな方向に持っていくべきではないかということで、アメリカのTVAの組織や、それに従事いたしておる労働組合に対する法律ども参考にいたしたことは事実でありますが、この法律適用する企業体がこの二つであって、同時にこの二つにこういう法律適用するのだということは、私ども国会がやはり自主的に納得をいたし、そして賛成をいたしたということでありまして、今のお話のように全逓が非常に左翼的であったから、こういうものは除外いたした方がいいといったようなことは、私ども国会の審議中には議論は出ませんでしたし、それから私も立法当時にしばしばGHQと協議をいたしましたが、先方から今御指摘のような意見は一度も聞いたことはありませんでした。
  78. 森本靖

    ○森本委員 そこでこの立法当時にさかのぼって、当時この法律を制定するときの政府当局の責任者と、それから当時の占領軍当局との間においていろいろ問答が取りかわされましたし、また向うからもいろいろなサゼスチョンがあったと思いますが、そういうふうないわゆる書類というものは今日全然残っておりませんか。
  79. 中西實

    ○中西政府委員 当時はしょっちゅう関係者が司令部に呼び出されまして、主として口頭でいろいろと向うの指示を受け、それによって案を進めていったというふうなことで、あるいは若干あるかと思いますけれども、主としては口頭の関係で事が運んだというふうに考えております。
  80. 森本靖

    ○森本委員 大臣の方の答弁になりますと、ほとんど国会の論戦の内容の答弁になりますので、私が特にこの法律制定のときのいきさつでお聞きをいたしたいのは、いわゆるGHQから陰のサゼスチョンにおいてかなり強力なものがあった、その内容というものをこの際明らかにしたいというのが私の目的でありますが、そこで現在の労働省の中にこの当時に占領軍当局と事務的に折衝した方がどなたかおられるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  81. 中西實

    ○中西政府委員 ただいま出ております中にはございませんが、労働省にはまだ一、二当時の関係者がおります。
  82. 森本靖

    ○森本委員 その当時の関係者で、今日国会で一応答弁ができるという課長以上の方が何人ぐらいおられますか、この問題に関連して……。
  83. 中西實

    ○中西政府委員 他の局の課長をしておりますのが一人、当時事務官でこの方の担当をいたしておりました。
  84. 森本靖

    ○森本委員 それでは後日そういう方たちに来ていただきまして、その間の経緯を一つ明らかにしたいと思います。そうしないと、この法律の根本的な審議に入っていくのにやはりなかなかむずかしいのじゃないかという点が考えられるわけであります。と申しますのは、これは大臣の説明にもありますように、明らかにこの法律というものは翻訳立法である。そこでその翻訳立法になったときの当時にさかのぼって、どういういきさつにおいて、どういう原因と将来の見通しに立ってこの法が制定されたかということについて明らかにしなければ、この問題の肝心なところの焦点がぼやけてくるわけであります。大臣は大体その当時の国会内部の問題を論ぜられておりますし、私が申し上げておりますのは当時のGHQとの関係でありますので、後日この問題については明らかにしたいと思います。  ただ資料として要求をしておきたいことは、先ほどこの問題に関連をして若干そういう証拠書類が労働省に残っておるということでありますが、その残っております書類を差しつかえなくば参考資料として一つ御配付を願いたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  85. 中西實

    ○中西政府委員 私も当時の書類でどの程度のものが残っておりますかつまびらかにしておりません。ただ最終案になるまでに案が相当往復したと思います。そういうものがあるのじゃなかろうかと思いますので、いずれ調査いたしまして御返事したいと思います。
  86. 森本靖

    ○森本委員 それではこの立法当時の問題が私にとりましては一番重要な問題でありますけれども、本日はこの問題についての質問はこのくらいにしておきまして、後日当面それに当った人が来た場合にさらに詳細な御質問を申し上げたいと思います。  そこでこれは来週でも逐条的に質問に入りたいと思いますが、きょうは簡単に総括的に御質問を申し上げたいと思います。この提案理由の一説明の中で、「三公社五現業のあり方そのものの検討が必要であり、他面労働法体系全般」云々というふうに大臣は説明をせられておりますが、この「三公社五現業のあり方そのものの検討が必要であり、」ということは、一体どういうことを具体的に検討することが必要であるかということについての御説明を願いたいと思うわけであります。
  87. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 現在の三公社につきまして私どもは個人的にはいろいろな意見を持っておりますし、また国会議員の中にもいろいろなこれに対する意見を持っておられる方がたくさんおります。たとえば現在の日本の公共企業体である国鉄、専売、電電公社などは極度に民営の弊害と官業の弊害ばかりをプラスしたような経営体であって、実際に独立採算制で経営していくという立場から考えれば、非常にうまくない経営体であるという有力な意見が世の中にありますことは御承知通りであります。こういうことにつきましては吉田内閣時代も公共企業体についての研究審議会みたいなものを設けまして、その答申も出ましたが、さらに私どもも、この三公社の経営機能については政府部内においても考えておる者もおりますので、なお将来こういうことについて根本的な研究を続けたい、こういうふうに思っております。
  88. 森本靖

    ○森本委員 もう一つその説明のすぐ次に、「他面労働法体系全般との関連において考えられなければならない」という点があるわけでありますが、この点についての御説明を願いたいと思います。これだけの説明ではちょっとわかりませんので、この公共企業体等労働関係法、さらに労働組合法、また他面国家公務員法の一部において、大体今日の労働関係についてはこの三つが主要な役割を果しておるわけでありますが、この三つの関連において考えなければならない点があるというのは、一体どういう点かということを伺いたい。
  89. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 他の労働関係法につきましても、施行後今日まで数年間の経験にかんがみまして、法律についていろいろな批判と検討が行われております。そこで公共企業体等労働関係法というようなものを法体系を整備するために労働組合法と一緒にして、そして労働関係法というものの体系を整備する方がいいではないかという意見もありますので、そういうことを申したわけであります。
  90. 森本靖

    ○森本委員 そこでその問題になってきますと非常に重要な問題でありますが、先ほどの質疑応答の中にもありましたように、もともと二十三年の政令二〇一号が出るまでは、御承知のように国家公務員であれ、あるいはまた一般の労働組合員であれ、すべて一般の労働組合法が適用されておったわけであります。ところがその当時の労働関係と政治情勢と占領軍の関係においてこういう法律ができ上って、非常にややこしい法体系になったわけでありまして、そういう点、確かに労働大臣が今言われましたように、今日の複雑な労働立法というものを労働組合法、本に、二十三年以前のようにまとめ上げるということは、非常にけっこうなことであります。そういうことの基本的な考え方については、今日の労働省当局としても、今の公共企業体等労働関係法、さらに国家公務員法というようなところの、労働関係関係しておるところの立法というものを一応整理をして、昔のように労働組合法一本にまとめるということがやはり基本的によろしいというふうに考えて、そういう方向に検討したい、こういう意味でございますか。
  91. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 国家公務員法につきましては、公務員制度調査会の答申がございまして、この答申に基いて、目下政府ではなるべく早く法体系を整備して、これは国会の御審議を願うように努力をいたしておりますが、国家公務員法を労働組合法と一緒にするというふうな考えはございません。  そこで、労働組合法と公共企業体等労働関係法を一本にするというふうなために労働関係法を改正する方針かというお尋ねでございますが、このたびの本法の改正案の提案の際にも申し上げましたように、そこまで私どもは現在は考えていませんで、公共企業体等労働関係法を私ども考えのように改正をいたしたい、他の労働関係法につきましては、目下政府は慎重に勉強をいたしておる、こういうことであります。
  92. 森本靖

    ○森本委員 私がお聞きしておりますのは、その国家公務員法全体の問題というよりも、たとえば公共企業体等労働関係法適用されておりますところの五現業、さらにこの公共企業体等労働関係法の三公社、こういういわゆる俗に言われておりますところの現業官庁の労働関係というものと、それから一般の労働関係、民間産業の労働関係というものと、これは少くとも労働組合法一本にしぼるということが正しいというふうに基本的にお考えの上そういう方向に検討を進めておる、こういうふうに今の大臣の答弁では考えられるわけでありますが、そういうふうに解釈をしてよろしゅうございますか。
  93. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 現在のところでは、三公社五現業に適用いたしておりますいわゆる公労法につきましては、今御審議を願っております法の整備の程度にとどめておきたい、他の労働組合法及び労働関係調整法については別途研究中でありますと、こういうことであります。
  94. 森本靖

    ○森本委員 それでは、この公共企業体等労働関係法がとりあえずこういうふうな改正である、それから基本的には、しかしその他のいわゆる三公社五現業の経営のあり方等からいたしまして、一応そういう労働関係の立法については研究を進めておる、こう解釈をしてよろしゅうございますか。
  95. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 三公社五現業のうち、今三公社の経営体について別なものが出て参りますれば、従って法律にも影響いたして参りますが、現在の公労法を三公社五現業に適用するという考え方については、現在のところは変っておりません。
  96. 森本靖

    ○森本委員 私がお聞きをしておりますのは、大臣がこの提案理由の説明として考えておるところの「政府としてはこれらの問題については常時真剣な検討を重ねている」というふうに提案理由で説明されたわけであります。その常時真剣な検討というのは、三公社五現業のあり方の基本的な検討、さらに他面労働法の体系全般との関連、こういう問題について真剣な検討を重ねておるというわけでありますから、この三公社五現業の経営のあり方についての検討を進めておるということについては、先ほどの答弁でわかったわけであります。ところが、他面労働法体系全般との関連において検討を進めておるということは、一体具体的にいうとどういうふうに関連をした検討を進めておるのか、こういう点をお聞きしておるわけであります。
  97. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 労働関係法はその及ぼすところの影響がきわめて甚大でございますので、軽率に判断をいたして参るわけにはいかないと思います。ことに私は就任当時にも申し上げております通りに、労働関係法というものはいたずらに法律、規則を作り上げて、それで拘束をするというよりも、むしろよい労働慣行を育成していくことの方がより重要なる労働政策である。これは私ばかりではありません、政府はそういう考えでおります。しかしながら先ほど申し上げましたように、終戦後作られましてこの十年間の経験で、労働組合法、労働関係法その他のものはやはり根本的に常時検討して、よい法律を持つことの方が必要ではないかということで研究を続けておりますと、こういうことであります。
  98. 森本靖

    ○森本委員 こういう労働関係というものは、労働立法というようなことで縛らずして、よき労働慣行によって発展をさしていきたいということについては、これは私も全く同感であります。ところが今日の労働情勢を見てみますると、労働者にとってよい労働慣行というものは、向うさんはほとんど踏み破ってしまっている。今日労働者側にとってのよい労働慣行というものは、ほとんど踏み破られているというのが今の現状でありますが、そういうことになって参りますと、やはり労働立法ということが一番重要な問題になってくるわけであります。  そこで、大臣は今研究をせられておるというふうに言われましたけれども、この問題については常時真剣な検討を重ねておるというように言われますので、検討でも研究でも一緒でありますけれども、たとえばその検討なり研究をされておるということは、具体的にどういうところを研究し検討されておるかということをお聞きをしておるわけであります。
  99. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私どもは経営側と働く方の側との利害は常に一致いたしておるのだ、そういう見地に立っておるわけでありまして、これは人によっていろいろ御意見が違うでありましょうが、階級的対立でお互いが相手方を敵視するような考え方では、とうてい日本の産業復興は不可能だ、こういう建前でありますから、なるべくあらゆる機会を設けて話し合いをしていきたい、こういうので、労働省には労働問題懇談会を設けまして、ここには労働組合代表それから公益側の立場に立っておられる方、言論界の方といったような人々を網羅いたしまして、こういうところでそういう基本的な問題を御検討願うことにいたしております。国会で非常に忙しいので私が列席いたすことは不可能でございますけれども、なるべくこういう機会を設けて、そしてここで基本的な労働政策について検討してもらう。それと同時に、私どもといたしましては部内においても検討いたしておりますが、それはどういう方向という初めから私どもの先入主で方向づけをしておいて、その方向に乗ってくるような指導をいたしまして機会を設けるということは、およそ無意味なことでございますから、十分にそういう学識経験者の方々の御意見を承わって、そして理想的な法体系を整備いたしたいということで、各般の情勢を総合して検討しておると、こういうわけであります。
  100. 森本靖

    ○森本委員 それは検討しておるというその検討のありさまを具体的に今大臣は言われたのであって、私がお聞きをしておりまするのは、そういうふうに検討しておるというものの内容は一体どういうところをどういうふうに検討しておられるかということを具体的にお聞きをしたわけであります。と申しますのは、大臣の説明の中に、「政府としてはこれらの問題については常時真剣な検討を重ねているのであります」とこうあるわけでありますから、政府は常時真剣な検討というのは、どことどことどういうところをどういう工合に検討しておるかということを具体的に御説明を願いたい、こう言っておるわけであります。
  101. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 たとえば基準法につきましては、非常に世の中に御意見が多うございます。今日の基準法があったのでは、とうてい日本の中小企業は成り立たないという御意見を持たれる方もございます。また中小企業に定められた基準法を守らなくて困るという苦情の申し出もあります。そういうようなことでございますので、政府は慎重にやって、私どもだけの独断で判断をいたしてはいけないというので、前内閣の時代に臨時労働基準法調査会というものを設けて、これにも有能な方々を御依頼して目下検討を続けておられる。この答申が出れば、その答申の精神を尊重して政府としても善処をしていきたい。また労働組合法及び労働関係調整法につきましても、各方面からいろいろな御意見がありますが、それらのいろいろな御意見は、一応御意見として拝聴いたしますが、従ってその御意見が出てくるゆえんのものは、日本の現在施行されておる労働組合法及び労働関係調整法について、どこにそういう御異論の出る欠陥があるかというようなことについて検討しなければならないわけでありまして、今どことどこをどういう方向で検討しておるかと言われましても、一々申し上げることはなかなか困難でありまして、各般にわたって勉強を続けておるわけであります。
  102. 森本靖

    ○森本委員 今具体的に労働基準法の問題を大臣から説明されましたけれども、大臣が提案理由の中で言われておることは、その労働基準法の問題ではないと思う。一般の労働組合法、さらに国家公務員法、それから公共企業体等労働関係法、この三者の関連事項を検討しておるというふうに、この提案理由の説明では受け取るわけです。そこで、ここでは公共企業体等労働関係法の一部改正に関する審議を行なっておるわけでありますので、この公共企業体等労働関係法関連をするところの労働組合法、さらには国家公務員法というようなこの三者の内容において、この公共企業体労働関係法に関連する問題についてはどういうところを具体的、基本的に検討しておられるのかということをお聞きしておるわけであります。
  103. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 その点は、先ほど申し上げましたように、現在は公共企業体等労働関係法改正案を御審議を願うために提案をいたしました。その程度でありまして、先ほどのお話のように法体系を将来整備して、労働組合法一本にすべきだという御意見もあります。そういうことについても検討はいたしております。続けて勉強しておりますが、現在の段階では公共企業体等労働関係法を三公社五現業に適用する。その範囲内においては、現行法よりも今度の改正案の方がより理想的であると思いますので、御審議を願っておるわけであります。
  104. 森本靖

    ○森本委員 今の大臣の答弁は、この提案理由の説明の後者の方にその通り書いてあるわけであります。私の言っておるのはそうじゃないのです。この提案理由の説明の中にも、「三公社五現業のあり方そのものの検討が必要であり、他面労働法体系全般との関連において考えられなければならない点のあることは、もちろんであります。政府としてはこれらの問題については常時真剣な検討を重ねている」云々とあるわけです。そのあとに大臣が今言われたように、こういう基本的な問題を直ちに解決することは困難であるので、とりあえずこういう改正案を提案をしたという説明があるわけであります。そこで今日の段階において、そういう公共企業体等労働関係法と他の労働関係法との関連の真剣な検討ということは、具体的にどういうことを検討しておられるのかということをお聞きしておるわけであります。
  105. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いろいろございますが、たとえば公務員制度調査会の答申の中にも、五現業に従事いたしておる公務員の身分的取扱いのことについても言及されておるのでありまして、そういうようなものもやはり資料として、将来の問題として検討をいたしておる、一例を申せばそういうことであります。
  106. 森本靖

    ○森本委員 一つの問題だけがここに提起されましたので、その具体的に検討する中に、むろん公務員の五現業の身分ということも検討せられておることは当然であります。ところがそれ以外にいろいろの問題があろうと思いますので、またさらに真剣に検討しておるという大体の筋道だけでもいいわけでありますが、どういう問題をどういうふうに検討しておられるかということをお聞きしておるわけであります。それを具体的に御説明を願いたい。大臣の方で説明がしにくかったら事務当局でもけっこうでありますが、労働省当局としては具体的にどういう面を検討しておられるかということをお聞きするわけです。
  107. 中西實

    ○中西政府委員 ただいまの大臣からの御説明で大体おわかりだと思いますけれども、体系としまして法を一本にするというようなことは、法律はできるだけ簡素化され、簡明になることが望ましいことでございます。しかし問題は内容でございます。そこで労働関係の問題につきましては、結局対象になるいわゆる労働者といいますか、これの種類、それから内容的には俗にいわれております団結権・団体交渉権・スト権というような労働三権を、その内容によってどういうふうに規制していくかが問題でございます。そこでそれぞれの対象によりまして、その三権について比較考量して公正なバランスをとっていく必要があるわけであります。従って先ほど大臣も言われましたように、公務員制度調査会の答申にもございますように、今は公務員ということにきちっとして三権が相当に制限されておるものの中でも、あるいは場合によっては相当ゆるやかにしていいものもある。それからまたさらにそれを一そうきつくする必要のあるものもございましょう。具体的にはそれぞれその内容によって違ってくると思います。そういうことを総合的に常時われわれの方としましても検討しておるという意味でございます。
  108. 森本靖

    ○森本委員 それではその一応検討する点を復習したいと思います。法を一本化するということについては基本的に労働省当局としては賛成である。他面またいろいろ小さい問題あるいはまたそれぞれの問題はあろうけれども、法体系としては法を一本化して整理をしていくということについては賛成である、こういう考え方ですね。
  109. 中西實

    ○中西政府委員 先ほども申しましたごとく、法体系はなるべく簡明、簡素化で一般にわかりいいというのがいいのでございます。ただ問題は内容でございまして、単に二つの法律一つに合せたというだけでは決して簡素化にもならない。従って内容に問題があるわけでございますが、簡素化する、わかりやすくするということにつきましては、もちろん賛成でございます。
  110. 森本靖

    ○森本委員 その内容をここで云々したところで始まりませんが、私が言っておりますのは、こういうふうに三つも四つも労働関係がいろいろ分れておるということは非常に不便であるし、またややこしい。そういう点はでき得る限り法体系を一本化するということが望ましい。こういうふうに労働省当局としては考えていると解釈をしてよろしいかということを念のためにお聞きをしておるわけであります。
  111. 中西實

    ○中西政府委員 一本化して、それで内容もはっきり出ますれば、これに越したことはございません。しかしながら一本化してかえってわかりにくくなる、分けておいた方がわかりいいという場合もございますので、それは結局は内容の問題かというふうに考えます。
  112. 森本靖

    ○森本委員 これ以上その問題について質問をいたしましても、事務当局としてはなかなか返答がしにくいと思いますが、とにかく内容がよくなって、昔は一般労働組合法一本でいって一つも弊害がなかったわけであります。これは来週の論議になりますけれども、たまたまGHQの命令によってこういうものができたのであって、日本の方としては、別に一般の労働組合法が全部に適用されても何ら不都合はなかったわけであります。占領政策によって、あれが不都合であるからということによって、こういうややこしい労働法体系が出てきたのであって、そういう内容はともかくとして、一応労働法の体系というものを一本にまとめるということは望ましい、こう解釈をしてよろしゅうございますか。
  113. 中西實

    ○中西政府委員 それは法典の体裁の問題でございまして、今の体系でも、公労法は一応労働法の特別法ということになっております。従ってこれを二つのものにしておくか、あるいは一つにするか、これは立法技術の問題かというふうに考えております。
  114. 森本靖

    ○森本委員 この問題は、いずれ各条項をやります場合に具体的にお聞きをしたいと思いますが、まずその具体的な検討というのは、その法を一本化するということについても具体的に検討しておる。それからさらに検討しておるということは、公務員の、特に五現業の公務員の身分的な扱い、さらにこの労働三権、団結権と団体交渉権と罷業権、この三つのあり方について検討しておる。今真剣に検討しておるというのは、大体これだけでありますか。それ以外に真剣に検討しておる条項がありますか。
  115. 中西實

    ○中西政府委員 先ほど申しましたごとく、それぞれの勤労者に種類がございますので、その種類と今の三権との関連考えておる、こういうことであります。
  116. 森本靖

    ○森本委員 それは先ほど聞きましたのでよくわかりましたが、ここに大臣が提案理由で説明された、常時真剣に労働省当局としては検討しておるということは、今のことだけか、これ以外に検討しておる問題があるかどうかということをお聞きするわけであります。
  117. 中西實

    ○中西政府委員 ただいま申しました問題に関連する問題が多々ありますので、大筋としましては、ただいま申しましたことにすべて含まれるかというふうに考えております。
  118. 森本靖

    ○森本委員 委員長の方から五時までにやめてもらいたいということでありますので先を急ぎます。まだ総括的にお聞きしたいことはありますけれども、私のお聞きしたい要点を尋ねるわけでありますが、この公共企業体等労働関係法におきまして、三公社と五現業は、労働関係については一つになっております。ところがたとえば政治活動の問題等については、これは三公社と五現業とが明らかに分れておるわけであります。一方の方はよろしい、一方の方はいけない、こういう格好になっておりますが、たとえばこの公共企業体等労働関係法の第四十条に、国家公務員法の百二条の適用除外ということを簡単に入れれば、これは三公社と五現業が一緒になるわけであります。これはどういうわけでこういうことになっておるか、大臣の方から御答弁を願いたいと思うわけであります。
  119. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 三公社は、御承知のように政府機関でありますけれども、これは企業体という別な取扱いをいたしておりますから、なるべくそれに従事いたしておる職員はゆるやかに今の法律程度にやっておくことがよかろう。五現業は少し三公社と違いまして、御承知のように一般公務員であります。従って一般公務員は、公共に奉仕する、こういう建前である国家公務員でありますから、そういう人々はやはり政治の中立性を維持し、政治活動をさせない方が妥当ではないか、こういうことでいたしておるわけであります。
  120. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、この政治活動というのは、労働関係というものは一緒であるけれども、その片一方は公共企業体の、公社の職員・一方は国家公務員ということであって、身分的に違うので、これは一方は許す、一方は許すわけには参らない、こういうことございますか。
  121. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 公務員は、御承知のように国家に奉仕する、公けに奉仕するという特別な立場を持っておるものでありますから、この人々が団体行動権などを制限されるのは当然ではないか、公けに奉公をしておる者が公けに向って、国民全体に向って罷業行為などをすべきではない、こういう建前から、現在のような制限を加えておる、こういうふうに解釈しております。
  122. 森本靖

    ○森本委員 私がお聞きしておりますのは罷業権の問題ではございません。この罷業権の問題については、先ほどのこの立法化にさかのぼって論議しなければならない問題でありますので、それは後日あらためて行いますが、政治活動の制限を今お聞きしているわけです。政治活動の制限の問題については同じように公共企業体等労働関係法適用されて、労働関係は一緒である。ところが政治活動については、これは三公社と五現業が全然別である。公共企業体等労働関係法の第四十条の中に、国家公務員法の百二条は適用しない――それ以外に、適用しないという国家公務員の関連条項があの条項の中にたくさんありますから、それと同じように、百二条を適用しないということを入れれば、簡単に済むわけです。それを今回三公社と五現業というものを区別しているのは、これは一方は公社の職員であり、一方は国家公務員という身分です。そこで身分的な違いによってこの差をつけている、こういうふうな解釈ですかということをお聞きしているわけであります。
  123. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 大体そういうことであります。
  124. 森本靖

    ○森本委員 それは内閣の統一した見解でありますか。
  125. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 その通りであります。
  126. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、労働大臣はむろん自由民主党のいわゆる党員として自由民主党から出ております閣僚でありますが、今回問題になっておりますところの、これはなるほど政府提案ではございませんけれども、自由民主党の政調会においてもしばしばかかり、最終的に政調会において論議をいたしましてこの法案を出すということを決定いたしまして、過日本院に提案されました国家公務員法の一部を改正する法律案、並びに特定郵便局長の任免等に関する問題について、その国家公務員である特定郵便局長だけに政治活動を許すという法律案が出ているわけでありますが、これについて労働大臣としては、統一ある労働関係というものがこれによって乱されるというふうにはお考えではないわけでございますか。
  127. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 現在の特定郵便局が、昔のように請負制度のいわゆる三等郵便局長というふうな時代ならば、これは私は身分的にも別に取り扱われることが非常に妥当であると存じますが、現在のような状況における特定郵便局の局長だけに特にこれを特別職にして、そうして政治活動の自由を許すということにつきましては、自由民主党内にもいろいろ御意見があるかもしれませんが、政府としては今にわかにそういうことをやる必要はないではないか、私どもの所見は、今そういうことを急いでやってもらうことはその時期ではないではないかという考えを持っております。
  128. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、今日の段階においては、あの法案というものは、この法体系を乱すことは明らかである、政府はああいう法案については好ましくない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  129. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 特定郵便局長になっておられる方の大多数の地方における従来のお立場、経歴などから見まして、この人たちがやはり特別職になって、そうして地方公共のためにその腕をふるっていただく方がいいのだということについては傾聴すべき御議論であると思いますが、政府は今申し上げましたような考え方で、今にわかにそういう特別な取り扱いをすることには、政府として積極的に賛意を表するわけにいかない。しかしあなたのおっしゃったような法体系を乱るからという、その法体系の問題になりますと、これは国家最高の機関である国会において法律改正されて特別職になられるということであるならば、法体系の混乱にはならないと思います。
  130. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、この特定郵便局長だけを特別職にして、国家公務員の中から政治活動を許すということについては、政府としてはこれは好ましくない、こういうことはやらない方がよろしい、こういうふうに統一ある回答であるというふうに考えてもよろしゅうございますか。
  131. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 今申し上げました通りであります。
  132. 森本靖

    ○森本委員 その申されたことを私が復唱して念を押しておるわけでありまして、私が今言ったように解釈をしてよろしいかどうかということをお聞きしておるわけであります。
  133. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私が先ほど御説明申し上げましたような趣旨で、政府としては今にわかにこういうことを特におやりになっていただく時期ではないのではないか、こういう考え方であります。
  134. 森本靖

    ○森本委員 そうするとこの問題については特定郵便局長の問題だけをこういうように取り出してやるということはかんばしくないけれども、たとえば公共企業体労働関係法の改正に当って、先ほど私が言いましたように条文的にはきわめて簡単な条文であるこの五現業の問題を、この際に三公社と同じように解決づけるためには、先ほど言ったように百二条の適用除外を条文にすれば問題は終るわけであります。そういうふうな考え方は今日ございませんか。
  135. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 現在ではありません。
  136. 森本靖

    ○森本委員 政府としては非常に好ましくないけれども、先ほど言った特定郵便局長の法案、これはあなた方が出ておられるところの与党の方の政調会にかかって、与党の諸君全員の賛成という形において提案をされているわけであります。むろん議員の立法権と発議権は法律において保障されておりますので、これを正式に制約するということでなしに、同じ党内においてこういう法案が提案をされておるということについて、政府としては党内において何らかの処置をとるということはおやりになりませんか。
  137. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 党内の問題についてはここで申し上げることを遠慮いたします。ただ政府としての見解は先ほど申し上げました通りであります。
  138. 森本靖

    ○森本委員 党内の問題は党にまかして、政府としてはこうだといえばそれまでであります。しかし今の政党内閣の建前からするならば、そういうふうな問題についてはそれぞれ与党の政調会内部において論議されてこれが提案をされておるわけでありまして、そういう問題について政府と与党の行き方が相反する方向にいくことは、政党政治の建前からしても非常におかしげな格好になるわけであります。しかも当面の労働関係についての責任者であります労働大臣としては、そういう問題についての調和をはかるような措置をとるお考えはないかということをお聞きしておるわけであります。
  139. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 政府考え方につきましては与党である自由民主党にも申し入れてあります。しかしあなたも御存じのように、それぞれの政党内部にはやはりいろんな機関がありまして、そこで発議せられましたものが種々の機関を経て検討され、これが党議として決定されて上程されるということ、民主主義のルールで多数が賛成であるならばやむを得ないと思いますが、政府としては先ほど申し上げましたように、今急いでそういうことをおやりになることはないではないか、こういう考え方であります。これが通過するようになればどうかというようなお言葉でございますが、国家最高の機関である国会において多数決で決議されるということになれば、これはいたし方ないことでありまして、政府が好ましくなくても現にこの間薪炭手当の法律案提出され、これは自由民主党はもちろんのこと、社会党も全員御賛成のようでありまして、衆参両院から提案されましておそらく全国会議員一人の異議がなくて可決されるのではないかと私どもは思っておりますが、これは政府は明らかに反対の意向でありまして、先ほど申し上げましたように、国家公務員法の改正のときにそういう問題も体系づけていこうというやさきであるから、そういうものだけを引き抜いて法律にされることは政府としては好ましくない、こういう立場は依然として変っておらないのであります。
  140. 森本靖

    ○森本委員 薪炭手当の場合とこの場合とはこれは非常に意味が違うわけであって、一応私が言っておりますのは、筋の通る法律ならばこれは国会が最高の機関でありますので、それはよいとして、いかに最高機関であっても、何でもかんでも多数であれば通してよろしいということには私はならぬと思います。少くとも法律というものを制定するに際しては理論的に、体系的に、今日の情勢にマッチするような法案でなければならぬと思います。そういう場合に政府はのんべんだらりとわが輩の方は反対であるけれども、与党の方が出すならばこれは政府と党が違うので、やむを得ない、そういう格好に置いておくということについても私は疑問なわけでありまして、薪炭手当の場合とこの特定郵便局長の特別職の問題とはおのずから私は別個であると思います。そういう考え方からいきますならば、少くともまたちょうど公共企業体労働関係法というものの改正が今かかっておる今日において、一方においてああいう法案が上程されるということは全くこれは法体系としては筋の通らぬ話でありまして、そういう問題についてはすべからく政府の方としては与党との間の調整をとって、そうしてこういう法案についての説明をするのが私は至当であるというふうに考えるわけであります。そういう点は大臣としてはそういうふうな方向における措置をとられるのが私としては最も妥当であり、至当であるというふうに考えるわけであります。大臣としては重ねてお尋ねいたしますが、この問題についてそういう措置をおとりになる意思があるかどうか。なぜそういうことを具体的に言うかというと、ちょうど公共企業体労働関係法の改正がかかっておるわけであります。かかっておる法案については一言半句も触れてない、一方においてはそういう法案が突如として出されておる。こういうことについての矛盾撞着については政府はただ好ましくない、反対であるといろ態度をとるよりも、これを調整するという方向になぜ出ていかないかということを私たちは非常に疑問に思っておるわけでありまして、そういう点について大臣としては何らかの措置をおとりになるお考えはないか、こういうことをお聞きしている。
  141. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 党内の問題は私がここで申し上げることを遠慮いたしますが、政府としては国会にすでに議員立法の形で提案されてしまったのでありますから、私ども政府の見解はそういうことを今やっていただきたくない、こういうことが統一されたる政府の意向、従って私は国会において政府の意見が通るように希望いたしておるのであります。それ以上は政府の力ではどうにもなりません。
  142. 森本靖

    ○森本委員 まだこれ以外に私はいろいろ罷業権その他の大綱的の質問がありますけれども委員長が先ほど五時になったらやめてもらいたいということでありましたので、ちょうど五時でありますから、本日の質問はこれで終ります。
  143. 佐々木秀世

    佐々木委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後四時五十八分散会