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1956-04-02 第24回国会 衆議院 社会労働委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二日(月曜日)     午後三時四分開議  出席委員    委員長代理 理事 大坪 保雄君    理事 中川 俊思君 理事 野澤 清人君    理事 藤本 捨助君 理事 岡  良一君    理事 滝井 義高君       大橋 武夫君    加藤鐐五郎君       亀山 孝一君    草野一郎平君       熊谷 憲一君    小島 徹三君       田中 正巳君    田子 一民君       中村三之丞君    仲川房次郎君       八田 貞義君    林   博君       古川 丈吉君    亘  四郎君       井堀 繁雄君    栗原 俊夫君       堂森 芳夫君    長谷川 保君       八木 一男君    柳田 秀一君       中原 健次君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      海老塚政治君         厚生事務官         (保険局長)  高田 正巳君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局健康保         険課長)    小沢 辰男君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 四月二日  委員久野忠治君辞任につき、その補欠として草  野一郎平君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出第七八号)  厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第七九号)  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第八五号)     —————————————
  2. 大坪保雄

    大坪委員長代理 これより会議を開きます。  内閣提出健康保険法等の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び般員保険法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 調達庁がまだお見えになっておりませんので、厚生省にお尋ねいたします。  この前、この法律改正によって継続給付で打ち切られる実績を御説明願いたいということを言っておきましたが、もし知っておらなければ資料でもあとで御提出を願ってもいいのですが、もしあればあと一つ説明を願います。  本日は主として基金並びに審査機構について御説明を願いたいと思う。それは、現在基金というものが、この健康保険法改正あるいは医薬分業に伴うところの点数の算定案の改訂によって、事務的にも現在の機構のままでやっていけるかどうかという検討をしなければならない状態になってきておると思います。従ってその基金の問題についてお尋ねをしなければならぬと思います。  まず第一に、基金診療報酬支払い状況についてお尋ねをいたしたいと思います。どういう工合に現在基金支払いを実行しておるか、たとえば、一カ月の取扱い件数がどれくらいで、どれだけのお金になっているか、そういう点から一つ説明を願いたいと思います。
  4. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えをいたします。お手元資料がお配りしてあるはずでございますが、新旧条文とかいろいろとしてあります資料の百六ページでございます。それで申し上げますると、昭和二十六年度が件数といたしまして五千二百二十八万一千五百五十一件、金額といたしまして二百九十二億五千二百四十七万円になります。昭和二十七年度が件数といたしまして六千四百八十一万三千百五件、金額にいたしまして四百三十五億一千四百二万三千円、それから二十八年度が七千六百八十四万二千三百三十三件、金額が六百八十五億一千六百八十二万八千円、昭和二十九年度が、九千四十七万四千二百二十九件、金額といたしまして九百三十二億一千二百二十七万九千円ということに相なっております。三十年度につきましては、まだ年間でございますので、統計が出ておりません。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、基金は少くとも二十九年の実績におきましては、年間九百三十二億、一カ月に約八十億から八十五、六億くらいの金を平均して払っている、こういうことなんでございます。そうしますと、現在はこれだけ大きな一千億になんなんとする金が動くのですから、これはおそらく相当の未払いが出ておるのじゃないかと思うのですが、大体診療報酬未払い額は三月現在で、どの程度ありますか。
  6. 高田正巳

    高田(正)政府委員 未払い額仰せになります意味が、よく受け取れないのでございますが、大体の状況を申し上げてみますと、たとえば今月分、四月分の診療が行われました場合には、四月の末に診療担当者の方で整理をいたされまして、五月に請求をされるわけでございます。それで六月一ぱいに四月分をお払いすることを目途に努力をいたしております。それで政府管掌か非常な大赤字を過去において出しておりますので、その関係でこの支払いか今の翌々月終りまでに全部完了しなかった時代がございます。さような事態につきましては国庫余裕金を借り入れましたり、一時昨年中には百億近い国庫余裕金を借り入れておったわけでございます。そうして基金の方に政府管掌の方から払いまして、できるだけ今の翌々月の間に全部支払いをいたすように努力をいたしておるわけでございます。大体さような状況でございます。
  7. 滝井義高

    滝井委員 実はその状況は私もよく知っておるわけです。すなわち四月のものは六月の末までに支払わなければならない。現在それが実行できておるかどうかということなんでございます。従って私の未払いという意味は、四月のものが六月末までに支払われておるならば、一応これは未払いはない、私はこういう解釈をとりたいと思います、従って四月のものが六月末に支払われていない額というものを、一応未払い額とするならば、どの程度あるかということなんです。なぜ私がそういう質問をするかと申しますと、少くとも現在の健康保険会計というものは赤字で苦しんでおります。赤字で苦しんでおるその健康保険会計が、いわゆる長期借り入れの六十億に、ない金の中から三千万円の利子をつけて、六十億三千万円をお払いになっておるということが、これは予算上出てきておるわけなんです。そうしますと年度末の苦しいときに、借入金というものを一時払っておるのですから、従ってこれはおそらく財政的にも非常にやりくりが苦しかったろうと思うんですが、そういう意味で私はどの程度未払いがあるかということをお聞きしておるわけです。
  8. 高田正巳

    高田(正)政府委員 政府管掌健康保険は、御存じのように、赤字続きでございましたので、基金に対する支払いが実は最近非常に悪いのでございます。しかし先ほど申し上げましたように、昨年の末等におきましては、たしかこれは私の記憶でも百億近い国庫余裕金を一時借り入れまして、これを基金に払っております。さようなわけで、基金といたしましては、最近の状況では政府管掌が一番基金に対する支払いが悪いので、基金としてもいろいろ文句を私の方に言ってくるわけでございます。基金全体といたしましては、先ほど申し上げました翌々月払いということを実施いたしておると私は承知をいたしております。と申しますのは、もう少し突っ込んで言いますと、組合管掌とかその他のものに預託金の制度がございまして、結局そちらの方でもある程度カバーされておる。そこへ政府管掌の方も努力をいたしまして、国庫余裕金等を借り入れて、基金払い込みましたので、そういう関係で彼此相まちまして、二カ月おくれということになりますか、翌々月終りまでの支払いは、大体その通りに最近におきましては実施いたしておると承知をいたしております。
  9. 滝井義高

    滝井委員 局長さん、たとえば四月のものは六月末に支払いが完了するように多分実施されているだろうと思うではなくして、あなたは監督官庁なんだから、療養担当者に、これほどの締め上げる法律を作られたからには、少くともその支払い期日が厳重でなければ、これは顧みて他を言うことはできませんよ。だから私はそれを今お聞きしている。あなたは今御答弁ができなければ、あとでその状況一つお聞きしますが、私の調べたところでは三十年の二月では百億くらいの未払いがある。ことしのものはまだ私の手元には出てきておりませんので、お聞きしているわけです。  そこで未払いの額はあとでお聞きするとして、あなたの方は、この社会保険診療報酬支払基金法の一部を次のように御改正になっておる。こういうように保険医の登録とか指定というようなものに厳重に二年というような期間を定められて、しかもこの取り消しが復活をするためにも、二年というような期限を設けられておられます。そうすると当然あなた方は、この法律の中に支払い期日というものをうたわなければならぬと思うのです。これがどうしてうたわれなかったのですか。これはいろいろ経済事情があるかもしれませんけれども、医者も、療養担当者経済事情があって、金を借りて薬を買っている。税金源泉徴収でびしびしとられておる。そうしますと、あなたの方は支払い期日を明記せずに、翌々月までに支払うというようなことは、法律にはない、いわゆる慣行的に行われておることであって、その慣行が実施されなければ、それまでである。当然これは法律に少くとも翌々月末までには支払わなければならぬということを入れなければならぬ。もしそういう支払いをしないような保険者は、この際保険者としての資格がないから、首を切る、罰するという罰則を入れなければならない。こういう点が手抜かりなんですが、なぜ支払い期日を入れなかったか。
  10. 高田正巳

    高田(正)政府委員 昨年の二月のことを先生は今申されておりまするが、これは御存じのように、二十九年度は医料費が二割五分から三割くらいふえて、大赤字を出した年でございます。最近はきちっといっておるはずでございますが、もう一年念のために取り調べてみます。  それから期限を入れなかったのはどういうわけだという御質問でございますが、一応ごもっともな御質問と私も承わるわけでございます。ただ基金は、自分で金を持っておる団体ではございませんで、それぞれの保険者から基金払い込みをいたしまして、基金の方でそれを診療担当者にお支払いをするというシステムになっておるわけでございます。従いまして基金の方で幾ら支払い期日法律で定めましても、保険者支払いません。支払わなければここでおのずから基金としては借入金をいたしましたり、いろいろなことをしなければならない。基金としてはさようなことをいたすような、性格に変更をいたしますることは、基金の根本的な性格の改変になるわでございまして、これは将来の研究問題にいたしたい。当面はとにかく一番困っておりまする、しかも支払いの悪いのが政府管掌でございますので、この政府管掌財政を立て直すためにこの法律案も御提案を申し上げたような次第でございます。この保険者財政が立ち直りまするならば、おのずから基金支払いもきちんきちんと行われる、かように相なってくるわけでございます。
  11. 滝井義高

    滝井委員 基金法の十三条には「基金は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。一各保険者から、毎月、その保険者が過去三箇月において最高額の費用を要した月の診療報酬のおおむね一箇月半分に相当する金額委託を受けること。」と書いてある。もしこれが政府みずからが破っておるならば、あなたは首です。それはこの法律をごらんなさい。医者が初診料を、ちょっと不正なことがあってもこれは首ですよ。罰金一万円ですよ。しかもあなたの方が支払いがおくれたために医者経済的に困難になって、そうして不正を働いたというようなことがあり得るわけなんです。税金を払わなければならぬ、ところが税金は払わなければ追徴金を取られますよ。基金の金は何カ月と言ったってこれは利子はつきませんよ。しかも法律にはちゃんと一カ月半分というものを積まなければならぬことになっておるのに、政府がもしそういうことをしていないということになければ、これは当然そういう保険者というものは断固罰則を加えなければならぬじゃありませんか。こういう政府みずからが保険者であり、しかも監督者の立場にあるそのものが、みずからがこの法律違反しておるということになれば大へんじゃありませんか。
  12. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。基金法の十三条のきめておりますることは、そういう預託金というようなものを基金が取り扱うことができるということをきめておるにすぎないのでございます。たとえば基金法一条等におきましてもいろいろなことが書いてございますが、そういうことは基金ができるということを書いてあるわけでございます。実際はそれに基きまして各保険者基金とは契約を結んでおるわけでございます。その契約内容によってそれぞれの保険者の義務がきまってくるわけでございます。それで政府管掌の場合におきましては会計法関係等もございまするので、この預託金政府管掌が納めるということは契約内容になっておらないのでございます。ただ政府管掌といたしましては、財政が豊かであれば概算払いをするというふうな、過去におきましてはそういうことをやりまして、むしろ他の保険者の方が基金に対する払い込みが悪くて、政府管掌が他の保険をカバーしたような時代もあるわけでございます。しかし最近は財政が豊かでございませんので、その概算払いというようなことも現実には行われておらない。概算払いというような方法会計法上許されておるのであるから、政府管掌との契約におきましては預託金の項目がないわけでございます。さようなことになっておるのでございまするから、別に法律違反を犯しておるという解釈には私はならないものと考えておる次第でございます。
  13. 滝井義高

    滝井委員 きょうは盛んに言いわけになっておるのですが、大体あなたは今のような御答弁でこの法律の建前でこちらが診療報酬請求書を出したら、その出した請求書が間違っておったりあるいは立ち入り検査をして、拒否をされたり、それは非常なひどい目に会わせるけれども、支払いの側というものはそれではまるでなっておらぬじゃありませんか。なぜきちっと何月何日までに出た診療報酬請求書には何月何日までに支払います、これはそれだけの現状にしてこそ初めて他人が悪いことをしたら、立ち入り検査ができて、強権を発動することができるのですよ。自分の方の支払いの方についてはしりが抜けておって、顧みて他のことばかり言うような法律の立法だから、私がこれを保険者奴隷法案と言うのはそこなんです。この点はあなた方が少し良心を持っておるなら反省しなければいけません。どうですか。これは今からでもおそくない。政府みずからが修正しますか。当然これは修正をしなければいけませんよ。出た月のものは何月何日までに払うということを書かなければ……。それを政府みずからがやらずして、こんな法律を作ってはいけません。それを一つ、あなた方がやるだけの良心があるかないか、それをまず先にお聞きしましょう。
  14. 小沢辰男

    小沢説明員 お答えいたしますが、基金は各診療担当者から、いわば保険者に対して診療報酬保険者から受け取るという受け取りの委任をいただいておりまして、その委任に基いて基金保険者——基金法の十三条の一番末項でございますが、「それぞれ契約を締結するものとする。」という条項に基いて基金保険者契約をやっているので、現実支払い及び審査事務をやっている期間からいいますと、どうしてもその月の分は翌月の十日まで請求書を出していただきまして、その十日かう月末までの間に事務的ないろいろな審査なりあるいは支払い事務に必要なことを進めて参りまして、それを翌月に今度は個々にずっと診療担当者の方へ入るように支払い事務を進めて参るわけでございますので、どうしても四月分が六月に払われるということが、一応これは事務的に見ても最短のものと考えられておるのでございます。ただ現実政府管掌財政が悪いために、政府管掌健康保険につきましては、去年あたりからそうした基金に対する保険者としての政府からの支払いがおくれていますが、全体のそうした基金診療担当者に対します支払い円滑化を欠かないように、こうした第十三条第一項の第一号の規定で委託金を取り扱うということを考えておりまして、それで健康保険組合あるいは共済保険というようなところから委託金として大体現在は一カ月分程度委託金基金が扱っておるのでございます。それによって全体を支障のないように工夫してやっていけるわけでございますが、なお政府管掌も将来は概算払いというような方法を考えまして、組合あるいは共済組合と資金的に均衡を失しないような取扱いを進めて参りたいということで、せっかく財政健全化あるいは資金繰りの容易になるような努力をいたしておるような次第でございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 何も私は保険者基金契約を尋ねているのではない。保険者基金契約は御自由でございます。だからその契約はいかにあろうと、少くとも健康保険法の中に、療養担当者が悪いことをしたときには非常に厳重にきているから、保険者がそういう支払いの遅延をやるならば、そういう保険者の首をお切りなさいと言う。だからこの法律の中に、保険者診療報酬請求というものは翌々月末までには支払わなければならぬという一項をお入れなさいと言う。しかもその規則に違反をした保険者は一万円の罰金を課す、一年の懲役にするとやったらいい。それで問題は解決します。なぜそれができないかということです。療養担当者にはそれができている。療養担当者にもこれは契約でしょう。療養担当者保険者とは契約、その契約を結んでいる人には、やはり政府監督者としてやっている。ところが監督者である政府自身支払いを延期をしておくれておりながら、みずからがきぜんとして顧みて他を言っている、こういうことなんですよ。これはいけない。だから少くとも保険者というものは翌々月末までには支払うべし、支払わなければならない、こういう一項を入れたらいい。私は何も保険者基金との話を聞いておるのじゃない、その法律をお入れなさい、入れることができるかと言うんです。それを入れることができなければこの法律というものは片手落ちです。一方的です。
  16. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えします。法律に入れないでも、今日では現実的に基金との契約で、私どもとしましては基金から翌々月にお支払いができるように措置をいたしておるつもりでございます。今の滝井先生の御意見によれば、支払いは何日までに保険者がしろ、それに違反した場合には保険者の首を切るようにしろ、こういうふうな法律を入れろという仰せでございますけれども、保険者の首を切れといっても保険者がつぶれたら保険もつぶれますので、保険者を切るわけにもいきません。それは個人の私なら私、厚生大臣なら厚生大臣責任ということになると思いますが、もしさように赤を出して、そうして運用に全きを得なかったということでありますれば、これは公務員法上それぞれの監督権限に基いて責任をとるということでしかるべきものであろうと存じます。
  17. 八田貞義

    八田委員 今の滝井委員質問に関連しまして、支払基金から支払いがなされているということですけれども、その場合支払基金から銀行を通して医療担当者に支払っておるわけです。局長は今日支払基金一体どの銀行契約しているか、その点について御認識がありますか、それをお伺いしたい。それは全国でなくてもいいです。東京都の場合でけっこうでございますからお知らせいただきたい。
  18. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えをいたします。基金銀行を通じてという仰せでございますが、これは銀行診療担当者口座に振り込んでおる。従ってお受け取りになる方も銀行を通じてお受け取りになるという格好になっておることは私も承知をいたしております。それでこの基金がその支払い業務委任といいますか、その事務を実際にやらしております銀行は各府県数行ずつあるように私は聞いております。診療担当者が比較的口座をたくさんお持ちで便宜のあるような銀行というわけで、府県によって、これは大小によって違いますけれども、それぞれその実情に即した銀行数を選んでおる。なおその場合には銀行支店網がどの程度に発達をしておるかというふうなことも考慮の上で、それぞれその業務を取り扱わせておるというように、私は概括的に承知をいたしております。
  19. 八田貞義

    八田委員 局長がそういうように了解されておる点、これについて私は局長一つ教えていただきたい。というのは前の二十二国会において前局長久下さんにも質問したのであります。久下さんの場合も数行銀行契約してある、こういうような答弁があったのでありますが、現在東京都におきましては富士銀行三菱銀行の二行しかないのですよ。その点はよくお調べ下さい。しかもこの医療給付費について、一体東京都の場合一カ月にどれくらい払われておるかと申しますと、過去の実績から申しますと十億くらいずつ月々支払われておる。しかも医療担当者に対して、口座三菱銀行富士銀行のいずれかにやってくれということを支払基金から出しておる。しかも十億という金です。局長、その点よくお考え下さい。この十億という金がどういうふうにして医療担当者の手に入るかと申しますと、日本銀行で小切手を切って支払基金に行く、支払基金から富士銀行本店に参ります、本店から支店まで一日で行きます。ところが支店長は月末の預金高が高ければ高いほどいいものですから、すぐには支払わないで一週間くらい延ばしておくのです。一体その間の十億の利子はどういうふうになっておりますか。局長、あなた方はこの点について監督されておるのですから、正しい運営でなければならないのですが、たった二つの銀行でもって支払いをやっておる、口座一つです。なぜもっと多数の銀行に許さないのですか。それを私は前局長久下さんにも話し、久下さんは必ずやりますということを言っておる。ところが支払基金はやっていない。国会でいいかげんな答弁をされては困る。局長、それに対してはっきりおっしゃって下さい。しかも富士銀行全国にやっておる。その金はどれくらいですか、その点についてお調べ願いたい。その金を暖めておる期間は一週間から三週間くらいある。その利子がその間においてどれくらいになるかということを計算されたならば、私はここに局長として、監督はどうあるべきかということをお考えになるべきだと思うのですが、いかがですか。
  20. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。基金支払い業務に関連をいたしまして銀行にその仕事をやらしておる。これらのことにつきましてかりに不適当なことがありといたしますれば、これは私も十分に監督をいたさなければならないと思います。今のお話でございますが、私どこの府県が何銀行、何銀行というふろにそれぞれ二、三行ずつ選定をしてやっておると思うのであります。一々承知はいたしておりませんが、これらはすべて基金理事会にかけて、基金理事会でものをきめて基金は動いておると思います。御承知のように、基金執行機関は・たしか理事会の互選か何かという格好になっておると思います。この理事会は、保険者代表とか、あるいは被保険者代表とか、診療担当者代表とか、それぞれの代表者によって構成されておるものでございます。私もその理事会政府管掌を代表いたします理事の一人でありますが、理事会運営は民主的に運営されておるものと私は承知いたしております。従いまして、基金の一理事長がかような問題をどうこういたそうといたしましても、それはできないような組織に基金というものはなっておるわけであります。従いまして一応基金理事会にかけて、それぞれのことをやっておりますので、私としましては非常に不当なことをやっておるというふうには考えませんけれども、しかしなお十分に調査をいたしまして、さような点がかりにありといたしますならば、これは私理事としてではなく、監督官庁といたしまして十分にそれらの点は是正せしめたい、かように存じております。
  21. 八田貞義

    八田委員 実態がよくわからないというようにおっしゃられますが、あなたは支払基金理事なんです。また監督官でもある。しかるにその支払い一体どんなふうにやられておるかということについて、私が質問したのに対して、そういうこともあるかもしれぬというような態度では、はなはだ了解しがたい。必ず調査されて実行する、十億の金を動かす場合にたった二つの銀行にやらしたということはおかしいですよ。それは何かあるというふうに言われても仕方がないのですよ。多数の六大銀行、八大銀行全部でやったらどうですか。何もお医者さんは三菱銀行富士銀行だけではありません。いろいろなところと取引をしている。この点二つに限定されておる理由というものは全然ないのですね。理由があればおっしゃって下さい。二つということに理由はないでしょう。それならば調査の上多数の銀行支払いを頼むのだ、こういうふうにされたらどうですか。そういうふうに二つでやっていくということが非常に疑惑を持つ理由なんです。この際広く銀行支払い事務を頼む、これでけっこうじゃありませんか。たった二つに限局していろいろなふうに疑惑を持たれることはやめた方がいい。十億という金は非常に大きな金です。しかも年末になると時には二十億くらい動く。それをたった二つの銀行でやるということは私は非常にいかぬと思う。もしもそれが簡単に理事会でもってできないとおっしゃるならば、私は金融資本家の圧迫と思うので、これははっきり多数の銀行にゆだねますという答弁をぜひともお願いしたいのですが、いかがですか。
  22. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。取扱い銀行が多くなれば、それだけ基金事務はふえてることになると思います。(「同じだ」と呼ぶ者あり)それは送り先が多くなるわけでございますから、事務がふえるわけでございます。従いまして私は十分に今後研究をしてみたいと思ますいが、先ほど八田先生のお話の中に、診療担当者口座もなるべく二行に限定しろというふうなことを言っておるということでございますが、銀行自分の預金獲得のためにさようなことを申しておるかもしれませんけれども、診療担当者が別の銀行口座を持っておられましょうとも、その銀行支払い銀行との銀行業務関係で処理されるわけでございますから、決してさような必要はないわけでございます。私の聞いておりますのでは、銀行側からいろいろ取扱いを広くしてくれというような陳情が基金にだいぶ参っておるそうでございます。しかし基金といたしましては、支店の数とか一応の基準を設けて今の制度をやっておるわけでございまして、これを広げますと、どこそこまでを広げてどこそこを断わるということは非常に困難である。従いましてまたそれが野放図に広がりますれば基金事務は非常に増してくるということで、今日までその取扱い銀行をあまり広げておらないということを私も聞いております。診療担当者の側からの非常に不便であるからというふうな声は、私どもの耳にはあまり入っておりません。ただ都道府県の医師会等で、地方の銀行が医師会にお願いをしまして、一つ自分の方でその口座事務を取り扱いたいのであるけれども、あなた方も応援をしてくれというようなことで、その反対的なあれとして融資をいたしますというふうなことを申して、医師会のしり押しで、あるいは診療担当者のしり押しで銀行が陳情をいたしておるということはだいぶ聞いておりますが、診療担当者直接に非常に不便であるというふうな声は、あるいはあるのかもしれませんけれども、あまり銀行側の陳情ほど耳に入っておりません。しかしこの問題につきましては先生方の重ね重ねの御注意がございますから、私どもといたしましても実情をもう少しよく検討いたしまして、できるものをできないように基金がやっておるといたしますれば、これは十分に改めさせなければならない、かように存じておるわけでございます。
  23. 滝井義高

    滝井委員 どうも私が質問をしようとすると先へ行くので工合が悪いのですが、実はきようの質問の主たる目的は、基金が伏魔殿であるということをつくためにやっておるわけなんです。しかもその中には今言った銀行があるのです。これはおもなところは八田君から御質問がありましたが、私もいずれもう少しやりたいと思います。そうしてなお私は、何億という金を動かす伏魔殿である基金の調査委員会を作ってもらいたいということをあと委員長にお願いをします。小さい診療所にメスを入れる前にこういう大きいところにメスを入れることが先決です。  そこでさいぜんの御答弁をまだいただかないのですが、どうですか、保険者翌々月までには支払わなければならぬという支払い期日の条項をこの法律に入れるわけには参りませんか。あなた方が良心があるなら入れることが当然です。できるできないだけでけっこうです。いろいろな言いわけは私は全部知っておるのですから、私はただ欠陥だけを申し上げた。少くとも療養担当者、被保険者が悪いことをしたらとにかくはげしいものをもってやる。一番大事なお金の支払いについて保険者がルーズであったときに何もしない、野放しというわけには参りませんから、翌々月までには支払わなければならぬ、これをびしっと法律に入れることが政府みずからできるかできぬか、イエスかノーでけっこうです。
  24. 高田正巳

    高田(正)政府委員 不正請求やいろいろな悪いことがあった場合にどうこうするという問題と、財政自分が支払えないから支払い期日が延びたという問題とは、これは同一には議論するわけには参らぬと思います。ただいまのところさような期日を入れる意思は私にはございません。
  25. 滝井義高

    滝井委員 あなたは財政上どうも支払いがおくれるのはやむを得ぬとおっしゃいますが、実は先般ここに出てきた健保連の宮尾さんは何と言ったか、保険医の総辞退に対して反対声明をして、一医師当り平均九百四、五十人の患者と申しますか被保険者、すなわち国民を持つんだが、実際は都市に集中するために五百か六百そこらしか持てないから収入が減る。だから医者が悪いことをするとおっしゃっておるじゃありませんか。そういうことを保険者みずからが言っておきながら、保険者支払いがおくれ、保険者みずからが経済的に追い込んでいる。春秋の筆法をもってすればそうなる。しかもそのおくれるために、たくさんの従業員をかかえておるので銀行から金を借りなければならぬ。ところが金を借りようとしても取引の銀行の窓口が狭められて一行か二行であるためになかなか金を貸さないのですよ。だから私はそこを言っておる。これは銀行関係がないのじゃない。私はそこから銀行問題に入りたい。関係があるのです。大きな病院はみんな金を借りておる。あなた方は保険者利子を払うと言明して下さい。それならば書く必要はありません。そういう支払いが延びたときにはちょうど国税と同じように、日歩二銭か三銭あるいは五銭という追徴金を政府責任を持つという御言明を下さい。税金支払いが延びれば追徴金と加算がとれるんだから、その点政府期日を入れるか、しからざれば延ばす場合には追徴金を出す、これをどっちかやらなければいけないと思うのです。この点一つ御言明を願いたい。できないならできないでけっこうです。
  26. 高田正巳

    高田(正)政府委員 私としましては支払いが延びないように最善の努力をいたすつもりでございます。期日法律に書きましたりあるいは支払いがおくれた場合の、何と申しますか、延滞利子の逆のようなものを支払うというふうな法律にいたす意思はいずれもございません。
  27. 滝井義高

    滝井委員 いいですか局長さん、今は資本主義の世の中であるということは、あなたはお認めになるでしょうな。資本主義の世の中であなたが掛で物を買ってごらんなさい。現金で買うよりか安いですか、高いですか。
  28. 高田正巳

    高田(正)政府委員 現金で買う方が安いと思います。
  29. 滝井義高

    滝井委員 その通りでしょう。そうしますと、今の日本の制度の中で、一枚の保険証という紙切れを持ってきて、そうしてしかも自分が買った薬品は現金主義ですよ、しかもそれには何らの金利もついていないのですよ。それが患者に与えて三カ月後にしか支払われぬということになったら、一体どうなるのですか。そういう制度が一体日本にほかにありますか。一枚の保険証という紙切れを持ってきたならば、一カ月間は無料で診療してあげて、その診療に要する薬代その他一切の人件費は医者自分持ちでやって、その支払いがしかも三カ月も確実に保障されないというような制度が、今の日本においてほかにあるか、一つお教えを願いたいと思います。
  30. 高田正巳

    高田(正)政府委員 診療機関が全部薬を現金でお買いになっているとは私は思いません。従って現金でお買いになることは、薬価基準よりはずっと安くお買いになっているのではないかと思います。それをそういうふうな制度にいたしまするには、二カ月ぐらいはどうしてもかかるのでございまして、今保険課長からお答えをいたしましたように、一カ月分の診療請求書を翌月の十日ぐらいまでに出していただきまして、それをいろいろ審査とかなんとか事務的な手続をいたしまして、翌月はつぶれるのであります。そうして翌々月になって、これをそれぞれお支払いをするという段取りになるわけでございまして、これはこういうシステムでやっております以上は、この程度の日数がかかるのはやむを得ないと思うのでございます。もしこれをさようなことではいけないということであるならば、保険の全体のしかけを全部療養費払いにでもしてやるより以外に、現金で入ることにはなるまい、かように私は考えておるわけでございます。
  31. 滝井義高

    滝井委員 あなたは実情を知らないから、そうおっしゃる。日本の今の医療というものは中小企業ですよ。その中小企業が三カ月も四カ月も支払いを延ばされたら大へんでしょう。国民保険なんかも、半年も支払いが延びておるものが最近は多いのです。そういう点で、予算の関係で延びておるそういう面については、政府は何らの対策もなくして、一方的にこういう自分たちの都合のいいところばかり法律改正をやるというところに不満があるのです。こういう見えざる不満があるということを知っておいていただきたいと思うのです。  そこでそれならば、あなたが今言われるように、期日も明記はできぬ、それからそういう支払いについても利子も払えぬとおっしゃるならば、政府契約の支払遅延防止等に関する法律というのがあるのです。これは大体適用ができぬものなのですか。
  32. 高田正巳

    高田(正)政府委員 従来この法律は、この関係におきましては、適用がないと解されておると私は承知をいたしておりますが、その法律的なつめ方につきましては、研究をいたしまして、後日お答えをいたします。
  33. 滝井義高

    滝井委員 おそらく政府契約している請負師に金の支払いがおくれたというときは、この法律を適用しているのですね、災害等、土木請負等で。そうしますと、保険医もやはり同じなんです。今までこの法律は適用できないと言っているが、それを適用できるようにすれば、今のような心配はなくなる。そういう点であなた方がもう少し保険医療養担当者を育てようという愛情があり、熱意があるならば、当然こういうことは早くから問題になっているはずなんです。できるのかできぬのか、今のような何が何やらわからぬような答弁は、保険担当の局長としては実に不見識なんですよ。だからいかにあなた方が現在保険医というものに対して熱意がないか、わかるのです。だからこの前から私は招かれざる客と言うのはそのためなんです。この点をもう少しあなた方は熱意を持ってもらわなければならぬ、こういうことだけを、どうもはっきり御研究もないようでありますから、申し述べておきます。  それからさいぜんお話がございましたが、今政府は一カ月半の預託金をされていないということでございました。組合は、さいぜん課長さんの御答弁では、一カ月くらいだということでございましたが、この法律の通りに、一カ月半でないんですか、その点はどうしてそういうことになり得るんですか。
  34. 小沢辰男

    小沢説明員 法律の十三条の一項一号の一カ月半分の委託を受けることができるというのは、それは必ずしも一カ月半分を欠けてはいかぬという規定とは考えられない、基金との間の契約で、現在は一カ月分相当額の契約をやっておる、そういう意味でございます。
  35. 滝井義高

    滝井委員 局長はこの理事でもありますし、監督者でもある。そうしますと、法律に書いてあるように、保険料は千分の六十であったものを、保険経済が苦しいといって、六十五おとりになった。それならばやはり療養担当者も、保険経済が苦しいように、苦しい、医療費体系で赤字であることははっきりしている。そうだとすれば、やはり保険者から六十五納めさして、早く支払ってやるように、あなた自身が、理事者であり、しかも監督者である二重人格であるから、その努力はされなければいけない。ところがそっちの方は一カ月でよろしいというきわめてルーズな取扱いをされている、こういうことなんです。こういう答弁をだんだん聞いておると、支払いの問題についてはきわめてどうもあなた方研究不足です。もう少し審査とか監査とかに熱心になるように、支払いの問題についても熱心になっていただかなければならぬ、私はこう思う。  そこで支払い銀行の問題に移りたいんですが、今、八田さんから銀行の問題が出ました。あなたは基金事務が非常に複雑になるんだ、こういうことでございました。現在銀行も望んでいるでしょう、しかもほとんどすべての療養担当者は窓口を——現在基金は窓口は二つしかない、東京は富士と三菱しかない。われわれ福岡県は福岡銀行一つですよ、数行はございません。そうしますと、地方は一つでいいですが、東京、大阪、京都というような大都市は一つか二つではだめなんです。あなた方は事務が複雑になると言うけれども、事務は複雑にはならぬ。基金理事長が小切手を書いて振り込んでやれば、それで済む、簡単なものです、複雑にはなりません。それからたとい事務が少し複雑になっても、基金のできた本来の目的は、支払いを迅速化するためのサービス機関である。それならば、私はまず窓口を拡大すべきだと思う。基金銀行とのくされ縁というものは周知の事実である。私の聞くところによれば、ある幹事長というか、理事長は家が建ったとさえ聞いている。ここに基金の伏魔殿的な性格がある。実は私はこれはいずれメスを入れなければならぬと思っております。一千億の金を扱って、どんなことをやっているかわからぬところがある。たとえば私たちが請求書を出します。そうしますと、本人の請求書を出しておって、半額の家族の支払いが来る。そうすると、私なら私、療養担当者が、それを気づいて、私の支払いは本人の請求書を出したのに、家族の支払いの半額しかこなかったという請求をやらない限りは、基金はそのままなんです。請求をして初めてあれは過誤でしたと翌々日ぐらいに金が来る。しなければそのままなんです。一体そういう金はどこへ行っているか、おそらく基金の雑費かなんかに繰り入れられているだろうとは思いますが、銀行利子と一緒に繰り入れられている。私自身経験炉ある。これは何といっても私が経験があるのだからだめですよ。そういう事態なんです。何が行われているかわからない。公的医療機関に対する支払いなんというものは無視されておる。こういう点は、あなた方は事務が複雑だとかなんとかおっしゃるけれども、そういう抜けるところは大きく抜けておる。そうしてわずかに零細な一万一千の標準報酬しか持たない、大衆から集まったその金を、理事長一体何ぼの給料を取っておりますか。しかも基金で働いておる人はみんな——久下さんもそうでしょう。銀行から入った銀行の古手ではありませんか。一体この事態というものは、あなた方ほんとうに日本の大衆のために医療を守り、ほんとうにこの保険の金を大事にしようとするならば、あそこに入る理事長なんというものは、お金を守るだけならば二万か三万でけっこうなんです。それを莫大な金を与え、そうしてしかも銀行とはよろしくやっておる。こういう事態こそは基金が伏魔殿だといわれるゆえんなんです。だからこれはメスを入れなければならぬ。なぜ窓口を拡充できないかということなんです。これはサービス機関としてできたものなんです。だから三菱銀行富士銀行である必要は何もない。私は十も二十にもせいなどとは言いません。少くとも五つくらいは大都市にはやってもいいのです。大阪あたりでは療養担当者はみな言っておる。そうしますと、銀行も今言ったように、一週間も十日も支払がきても、なかなか払わぬということはなくなる。われわれのところにも支払いの通知は来ますよ。その来た支払い請求書を持って銀行に金を取りに行っても、まだ私の支店には来ませんというようなことは再々ある。これは私は現実の問題として言っている。従ってサービス機関としてできたものが、サービスをやらずに今や権力者に変っておるじゃありませんか。これはあなたも理事、しかもあなたは監督者なんですが、どうもあなたは知らないようである。結局これはだれがやっておるかというと、元の保険局長久下さんが独裁的にやっておることになる。それは私もよく調べております。少くとも銀行をもっと拡大していけと言ったら、久下さんが一人で反対している。銀行もみんなやってもらいたいと要望している。それはあるいは銀行もうしろを押したかもしれませんが、銀行もいいし、それから療養担当者もいいからこそ一緒になって言っておる。それならばサービスをよりよくさせるためには競争させる方がいい。あなた方は製薬企業については、なかなかうんと一般にしなければならぬというけれども、一方銀行のような金融資本というものについては、できるだけ狭くしようという心はいけません。広く門戸を一般に開放すべし。そうすればここには何もスキャンダルもなくなるし、銀行基金の幹事長や理事長のために家を建ててやることもなくなる。だから銀行は競争にする方がいいのです。大いに競争させるならば支払いを早くするのです。だから事務的には理事長が小切手を切って振り込んでやればいいのです。その事務なんというものは今度二・二点になったが、薬剤師諸君の点数の請求書提出する事務の複雑さに比べれば九牛の一毛です。それは何も調査するとかなんとかいう必要はないのです。あなたは理事ですから御存じのはずなんです。銀行の窓口を拡大するか、基金の窓口を拡大するか、速急に御答弁を願いたい。私は速急ですから、あなたは専任の局長であって、みずから理事に出ているものならば、研究するとかなんとか言う必要はないのです。監督官庁としてこういう国会の要望があったならば、きっとやるべきです。
  36. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えをいたします。私は別に銀行の数を少くすることの方針を持っておるのだということを、先ほどからお答え申し上げておるわけではない。銀行側からいろいろやらしてくれという要望があることは十分聞いておる。しかし基金としましては、今基金の一常務理事が専断でそれをどうのこうのというお話がございましたが、基金の運用はさようなことにはなっておりません。診療担当者の代表も数名理事として入っております。いろいろな人が入っているのです。この理事会で重要なことはみな決定するわけでございますから、基金の一執行機関がこれをどうのこうのといってやっておるとは私は考えないわけでございます。従いまして御趣旨につきましては私もわからないのではございませんで、少くしろということを方針にしておるわけじゃございませんから、実状に即したように私は十分に基金にその検討を命じたい、かように考えております。
  37. 滝井義高

    滝井委員 一つ早急にその検討をやっていただかなければならぬと思います。そうしなければ、ここは疑惑の目をもって現在でも見られておる。しかも基金の中には相当銀行の古手の人たちが入っておることも事実のようでございますから、そういう点も一つよくメスを入れて粛正をしなければいかぬと思うのです。こういうように法を出すからには、すべてのことが裸になってきれいになっていかなければいかぬと私は思う。  それで次に移りますが、今度は審査の問題でございます。今度この基金法の一部改正によりまして、今までの審査会というものが少しく形が変ってきて、審査協議会というようなものができるようでございます。それからそのほかに審査委員会ができるようでございます。しかもその審査協議会は諮問機関になるようにこれではなっておるようでございますが、一体、今までの審査機構でどういう点が悪かったからこういうような審査協議会という諮問機関になって、そうして、おそらくこれは専任審査委員になるのじゃないかと思うのですが、なぜ変えなければならなかったかということと、この審査委員というものは、今度は幹事長が地方査審協議会の意見を聞いて選任することになっておりますが、これは専任の審査委員になるのか、この二点をまず一つ説明を願いたい。
  38. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。従来の審査委員会というものは実際にお仕事を持っておられる方々が一カ月のうちに四、五日なり集まって御審査をいただくという格好になっておるわけであります。ところがこれでは非常に膨大になました請求書審査をいたしますのに、非常に不都合がございまするので、まず専任の審査委員を置きまして、ゆっくり時間をかけて丁寧に見たい、こういうことがそのねらいでございます。(「ゆっくりやれば、それだけ延びるじゃないか」と呼ぶ者あり)ゆっくりやったらそれだけ延びるじゃないかという点、若干補足させていただきます。それは先ほど申し述べましたように、月末に払います場合に一週間くらいで一時にばたばたとやってしまうわけであります。ところが専任の者がおりますれば、請求が出て来たものから時間をかけて処理をしまして、最終の審査が完了するのは、最終の日時は従来のやり方と変らないようになす、こういう意味でございまして、今回の審査制度の改革のために、審査に時間を要しまして支払いが延びるというふうなことがございましては、これは大へんでございますから、さような取扱いには相ならないものと存じております。
  39. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、前の第一点に対する答えは、事務が非常に膨大になったので今までの審査機構ではいけない、こういうことで専任審査委員を置く、そういうことできめられたのですか。理由はそういうことだけですか。今そういう答弁だったのですが……。
  40. 高田正巳

    高田(正)政府委員 審査をゆっくり時間をかけて丁寧にやるというのが、この制度の改正の趣旨でございます。
  41. 滝井義高

    滝井委員 今までの審査機構というものを改め、審査委員を置いた、それだけの理由ですか、そう言っておるのです。それだけでございますね。——そうすると、ゆっくり丁寧にやるために審査委員を幹事長が選任する形になったそうでございます。そこで一体そういう専任審査委員が現在の状態で得られますか。
  42. 高田正巳

    高田(正)政府委員 全部が常勤というわけにはなかなか参らないと思います。常勤と非常勤の審査委員ということに相なると思います。
  43. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、私がお尋ねしたいのは、常勤と非常勤の割合、審査委員の数は診療報酬請求書の数が多いか少いかによって違うのです。そうすると、常勤と非常勤の割合はどういうことになるのですか。
  44. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。現在は審査委員の定数が千二百八十七名でございますが、この法律案を御審議いただきまして御決定をいただきますれば、これを八百二十九名という予定でございます。うち常勤の審査委員が……。
  45. 滝井義高

    滝井委員 八百二十九名ふえるのですね。
  46. 高田正巳

    高田(正)政府委員 八百二十九名に減るわけであります。全般的にはそれで常勤が二百四十九名、それから非常勤が五百八十名という予定でございます。常勤は一カ月のうち十七、八日くらい専任審査に当る、それから非常勤は十日間くらいということを予定いたしております。
  47. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、現在二百四十九名とあなた方がこの法律が通ってから予定せられております常勤は、現在どのくらいおるのですか。
  48. 高田正巳

    高田(正)政府委員 常勤の審査委員というものは現在はありません。  それからなお先ほどの非常勤十日程度と申しましたが、非常勤でありますので、これは十日のうちそれぞれ半日くらいずつ御審査を願う、大体こういう予定にしております。
  49. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、問題はそこです。非常勤の五百八十人ばかりは現在やられておる審査委員から選ばれることは可能だと思います。そうしますと、二百四十九人の常勤です、これが得られる見通しがありますか。課長さんあなたでいいです。
  50. 小沢辰男

    小沢説明員 実は現在審査委員会というのは御承知の通り三者構成になっておるわけでございます。こうした三者構成、利害関係人が相集まってみずから審査をするというようなことよりも、やはり審査というものは、そうしたいわば自分請求自分審査するような形、形式上はそういうふうになるわけでございますので、それはやはりはっきりと審査審査として基金の方で責任を持ってやるという形式はあくまでも貫いた方がよかろうというようなことも一つの理由でございます。現在そうしたいわゆる利害関係人としての三者構成になっております審査委員会の定数は、先ほど局長が申しました千二百八十七名のうち千百一名ございます。そのほかにこれらの委員会のいわば、補佐として審査の実務に当っておられる人が百八十六名おるのでございます。それを合せまして千二百八十七名と先ほど申し上げたわけでございますが、今度の常勤の二百四十九名は、従いまして百八十六名の方にプラス不足分の六十三名の人を全国的に常勤としてお願いすれば、先ほど申し上げました常勤審査委員二百四十九名が埋まるわけでございますので、全国的に六十三名の審査委員を得ることは十分私どもできると思っております。なおこれは法律にもありますように、審査協議会の意見を聞いて選任することになっております。事実問題として診療の経験のある方を、いろいろと地方で、そうした審査委員会は当然医師会の代表あるいはその他従来の三者構成の委員会でやっておられますそれらの方の意見を聞いて、それらの六十三名の採用はいたしたい、かように考えております。
  51. 滝井義高

    滝井委員 百八十六名の現在実務に当っておる人は医者ですか。
  52. 小沢辰男

    小沢説明員 その通りでございます。
  53. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと百八十六名というものは実務に当っておるというが必ずしも臨床の経験があるとは限らない。それから新たに六十三名を選ぶと申しますけれども、実は現在各地において審査委員を選ぶのに基金は非常に苦労しております。なぜならば審査委員というものは内科なら内科だけを選んではいけない。内科も必要だし眼科も必要だし婦人科も必要なんです。しかもそれぞれ各科にわたって臨床経験があり、この健康保険法の点数その他について精通をしておる人でなくちゃならぬのですよ。だれでもでは審査はできない。ところが各基金ではこの審査委員が欠員になったとき、その後任を探すのにかねや太鼓で探して回っている。それで得られない。ところがこの五月一日からこの法律が施行されれば、この一カ月の間に選んできめなければならない。これは私は太鼓判を押すが、とうていできない。一人の専任審査委員を探すのに非常に苦労しておる。しかもその専任審査委員は実務に携わる人を探すのに苦労しておるのだが、今までのように半日いく三者構成のときの審査委員でさえもなかなかなんです。その人を得るか得ないかによってずいぶん審査が違うのです。しかもこの審査委員がそのよろしきを得ないということになると大へんなことになる。私も戦争中に審査委員をしておりました。そうするとその審査委員が開業の経験があるか、あるいは役人上りか、あるいは病院ばかり勤めたいわゆるサラリーマンの医師かによって、審査の基準というものが非常に違ってくるのです。まちまちなんです。だからたとえば役人上りの人の審査を受ける郡なんかは大へんなんです。ぼすぼす削られていきます。ところが今度は開業医上りの審査委員になりますと非常に経験が豊かなために審査はゆるやかになってくる。その審査委員によってずいぶん違う。むしろ雲泥の差があると言っていいくらいの実情なんです。これは私自身が審査委員をやっておるからよく知っています。こういう実情があるときに——実際に担当するのは二百四十九名としてのが専任の形でやることになるのでしょう、あとは非常勤の形になるのでしょうが、これはあなた方はとても今から五月一日までには得られない。しかも得るについて内科なら内科、小児科なら小児科を選ぶということになると大へんです。現在局長御存じのように全国の保健所は医者が不足です。しかも、これはそういうことを言っては失礼でございますが、全国の保健所に集まっている医者は優秀かどうかということは、じっと胸に手を当ててお考えになればわかる。そうしますと審査委員で今専任になっても、まさかあなた方はあなた方局長よりか上の給料は出さぬでしょう。保健所と同じように役人にはそれぞれ号俸がございます。そうしますとこれは安い給料ではいい人がきません。安い給料ならろくな審査委員はこない。そういう実情があるということを御考慮の上でこれはやっておると私は思う。私は今後の社会保険がうまくいくかいかぬかのポイントというものはここにあるとにんらでいる。そこで六十三名というものはそれぞれ各科の経験のあるバラエテイに富んだ審査委員でなくてはならぬことになる。そういうことがここ一カ月の間にあなた方は大丈夫、滝井さん御心配要らぬと胸をたたいて御答弁ができるかどうか、できれば私はそれで引き下りたいと思います。
  54. 高田正巳

    高田(正)政府委員 附則の十一条に経過規定がございまして、別に五月一日までにやらなくてもいいようになっておりますから、その点は十分なる期間の余裕はあるものと私は解します。  それから滝井先生御指摘のように、確かに審査委員の選任につきましては、十分人を得なければうまく参りません。従いまして特に審査協議会、これは従来の三者構成のものでございますが、選任に当りましては基金の側で自分勝手に行うのではなくて、審査協議会の意見を聞いて行うという法律的な保障もつけたわけでございます。  なお各科の専門家という御指摘でございまするが、これはもちろん今医学が発達をいたしまして、各科というものは非常に分れておりまするので、これらは主として非常勤の先生方に常勤の審査委員として、従来の各科のそれぞれの部門の先生方にお願いを申し上げるということが実際上の運用に相なっていくであろう、かように私は考えまするので、この制度によりまして、別に審査について従来よりはなはだしく支障がくるというふうなことはない、むしろかような制度の方が審査が適正妥当に行われるもの、かような意味合いで御提案を申し上げているわけでございます。
  55. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、各科の方は非常勤の人にやらせる、専任審査委員一体何をするのですか。
  56. 高田正巳

    高田(正)政府委員 もちろん専任審査委員でございまして、従来の審査委員のように利害関係人の代表ということではなくして、その方々が基金の専任審査委員になっていただくわけであります。しかしながらその中に常勤として毎日フルタイムに審査に従事をしていただく方と、そうでない方いわゆる非常勤とございます。従いまして非常勤としてお願いをしまする場合に、ほかにたとえば開業しておられましょうとも、お仕事を持っておられましょうとも、そういう方も非常勤としてお願いできるわけでございます。常勤の審査委員につきまして、各科の専門家を入れないという意味じゃございません。今申し上げましたように二百何十名かの定員でございまするので、各府県に割りますると数はおのずから制限されて参ります。非常に発達をしてバラエティに富んだ現在の医学の各科の専門家を全部常勤として得ることは、これは先生御指摘のようになかなか至難であろう。しかしそこは従来とあまり変らないような非常勤の先生方をお願いをすることによりまして、各科の専門家の知能を審査の中に入れていくということは従来と何ら変りなく運用ができるであろう、そういう運用がまたわれわれの予想いたしておるような運用であるということを申し上げているわけでございます。
  57. 滝井義高

    滝井委員 この点は二百四十九人というと、少くとも一府県六人当りということになるわけなのです。これは相当かねや太鼓で集めてもらわなければいい人は集まらない。それは現在の保健所の所長でさえもがなかなかいい人が得られぬので、日本の予防行政というものがそこで一つの壁にぶち当っていることは現実なんです。そこでしからばこの専任審査委員の給料は大体幾らくらいお出しになるのですか。
  58. 小沢辰男

    小沢説明員 大体現在、先ほど申し上げました百八十六名の専任といいますか、専従の審査委員業務審査委員会がお手伝して審査をやっておられるそうでありますが、いわば専任審査委員でございますけれども、それらの人たちが現在三万四千五百円くらいであります。私どもは今度の審査の常勤非常勤の人数を減らしまして、しかし日にちをゆっくりかける、その結果常勤の者は大体五万七千円見当の給料にし得る見込みを持っておるのでございまして、これであと足らない分の六十三人でございますが、これは各県別にしますとわずかの数でございますので、十分医師会その他の関係の機関あるいは審査協議会の協力を得まして選任でき得るものと考えておるのでございますが、なお先ほどちょっと先生から、診療の経験のある人は妥当な審査をして、そうでない者は出身別によってぼつぼつ切れというお話がございましたが、しかし法律にもありますように、審査委員が個々に審査をやっていくのでございませんので、合議体をもって審査をやるようになっておるのでありまして、そういう点については支障のないようにいたしておるつもりでございます。
  59. 八田貞義

    八田委員 今の審査委員の問題ですが、審査委員というのは公務員ですかどうですか。
  60. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。基金の職員でございますので公務員ではございません。
  61. 八田貞義

    八田委員 そうしますと業務上の機密保持ということにつきましてはどういうことになりますか。
  62. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。基金法業務上の機密保持は規定はしてございます。
  63. 八田貞義

    八田委員 第何条ですか。
  64. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えをいたします。十四条の五「審査委員若しくは幹事又はこれらの職にあった者は、診療報酬請求書審査に関して知得した医師若しくは歯科医師の業務上の秘密又は個人の秘密を漏らしてはならない。」
  65. 滝井義高

    滝井委員 今のは基金の職員でございます。そこで実は専任審査委員を雇うときには、七万円給料を出すから来てくれと言って雇うわけなんです。そうしますと、実際に行ってみると、今言ったように給料は三万四千五百円くらいしかくれないのです。国家公務員ならばこれはとても、保健所の所長がそうであるように、初めうんと金をやると言ったって、役人だから号俸がきまっておるからなかなかだまされないのです。ところが基金はそうじゃないのです。だから七万円やるから来てくれと言っても、行ってみると今言った三万四千五百円という給料をもらっておる。それで今課長さんはいずれ人間を減らしてゆっくり審査をしていただく、そのかわり俸給は五万七千円にしますと常套手段を言われておるのですが、これは実際になかなかそうはいかないのです。今言われたように、基金というものは支払いに追われて、本家本元の監督者政府でさえもよく金を払い込まないのです。そうすると五万七千円の給料を払うということは、これは一体どこの金を払うかというと、一点当り去年までは十二円五十銭だったですか、ことしは十三円になるのですか、この中から払うのです。いわゆる零細な被保険者の金が積り積って、基金の総支出金が幾らになるか知りませんが、十三億か十五億、そこらあたりになるのでしょう、その中から基金の職員に払っていくのでしょう。問題はここなんですよ。今基金は多分全国で二千人くらいおるんじゃないんですか。それだけの莫大な人件費をかけて審査をして、審査だけの金が出ておるかどうかということなんです。  実はドイツでは電車が無車掌なんです。そこで広島の医師会長が、それで引き合いましょうかという質問をした。ところが車掌の人件費と、ただ乗り——薩摩守とを比べてみると、人件費の方が高くつくというんです。私は社会保険診療もそうだと思います。二千人の人件費をかけて十三億の金を費して、これは失業救済みたいなものだ。むしろそれなら日本医師会や、薬剤師会や、歯科医師会を強化して、一つ一億金をやるから審査をきちっとやってくれ、と言った方がもっとスムーズにうまくいきますよ。そしてそういう金があるならば、もっと基金のサービスをよくした方がいいんです。あなた方は頭のいい方ばかりなんだから、どうしてそのことを考えつかぬかと私は思うのです。人間をどんどんふやしていって、そうして紙の上の審査なんですから、それならもっと十万の薬剤師も含めた療養担当者を信頼して、その団体にやらしてみたらいいでしょう。やりなさい。監督だけに回る人を作ってみたらいいんです。その審査をやる場所の監督だけやったらいい。そうして十三億の金の中から、医師会、薬剤師会、歯科医師会に一億ずつやってごらんなさいよ。喜んで協力してやってくれますよ。そのくらいのことをやるだけの雅量と大胆な行政を行わなければ、もはや日本の社会保険というものは、病膏肓に入ってできないですよ。局長さん、一つそのくらいの大胆さを持ったらどうですか。ドイツだって車掌さんがおらぬ。それでもけっこう電車は採算が伴っていってるんです。無賃乗車をする人の方が少くなっている。ドイツは国民でさえもそれだけの信頼を置いているのに、大学の教育を受け、国家試験を受けて医師なり薬剤師なり歯科医師になった諸君を、信頼できぬということは国辱だと私は思うんですよ。こういう人を疑う前に、それだけの大胆さを示す行政というものを一ぺんやってみるべきだと思うんです。どうですかね。こういう審査委員を置いて、莫大な金をかけてやるよりか、一つそれだけの思い切った行政はできませんか。
  66. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。基金というものがありませんと、各保険者自分審査をして支払いをすることになるわけです。それは各保険者がやりました場合には、たとえば政府管掌でありますれば、私の方の保険官署でやるわけでありますから、これらが自分で個々ばらばらにやります場合には、今の人員ではとうていできないわけでございます。従いましてこれらが個々ばらばらにやるよりは、まとめてやった方が効率的であるということで、基金というものができてきたわけでございます。基金をやめれば、そのままで保険支払いが円滑に参るという理屈のものではないと存じます。  それから第二点の御質問の、診療担当者の団体にさような仕事をまかしたらどうかという御質問でございますが、これは十分傾聴に値する御意見だと存じます。ただ、今の診療担当者の団体といたしましては、この団体の性格が今日のような、法律的にも純然たる任意団体でございまして、会員以外の方もたくさんあり得るという形になっておりますので、このままでさようなことをいたし得るかどうかということにつきましては疑問がございますけれども、しかし将来これらの団体の性格なり何なりが変って参ることも十分考えられますので、さようなこととあわせ考えまして、将来の研究問題として残して参りたいと考えております。
  67. 滝井義高

    滝井委員 実は私は基金を廃止せよとは申しておりません。基金支払い円滑化を期することと審査と二つの業務を持っておる。その支払い業務をやるものの中に今度は審査という業務を入れていたずらに人件費を食うよりかは、現実に国民保険というものは府県によっては自主的にやらしているのです。やっておるところを保険者監督だけにいったらいいのです。それで済むのです。何も専任審査委員を二千人も三千人も置いて金を食う必要はないのです。  そこでお尋ねいたしますが、一応あなた方は今基金でやる建前をとっているのですが、基金審査をして、その審査に不平があったときには——これは金の問題でございますから、当然苦情処理機関を作っておかなければならぬと思うのですが、どうしてあなた方は苦情処理機関をお考えにならなかったのですか。これは重大な人間の生命にかかわる診療をやったものなんです。従って基金審査委員のやった審査について不平がある場合には、やはり別に第三者で作った苦情の処理機関が必要だと思うのです。そういうものがないようでございますが、こういうものをどうして作らなかったのですか。
  68. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えをいたします。この苦情の処理機関を正式に法律上の不服処理機関のように設けます。と、たとえばほかの保険給付に関する問題とか、保険料に関する問題とか、審査官とか、審査委員会とかいうものが別個の系統として法律が一本ございまして設けてございますが、かようなことをやりますとだれが苦情を申してくるかわかりませんから、支払いがそれだけ遅延するようなことになりはしないだろうか、というふうな点を私どもは顧慮いたしたのでございます。従いまして、私どもとしましては、従来の利害関係者の代表でもって組織しておりました審査委員会というものは廃止いたしますけれども、それと同じような構成で審査協議会というものを今回設けたわけでございます。この審査協議会におきまして、審査委員がやります審査の方針というか、その大綱というか、そういうふうな点をそこで御審議を願って、個々の審査審査委員が職員として行う。しかもそれは個々の審査委員が個人々々で行うのではなくて、合議体で審査委員会というものを作って行うというふうな法律の建前にいたしたわけでございますから、その審査の大綱等について協議をいたしますその地方の審査協議会に、現実の問題としましてはそこに文句を言ってきて、そうしてその審査協議会で審査委員を呼び出して、個々の具体的な問題について調査をし、あるいは審査委員取扱いに不適当なところがあれば、これを審査協議会の方から正式に幹事長に対して勧告をするというふうなしかけを考えておるわけでございます。  地方審査協議会というものの性格につきましては、いわゆる裁判所、あるいは正規の保険審査官とかなんとかいうふうな不服処理機関の明確な法律上の形をとりませんでございましたが、実際の運用といたしましてはさような運用をいたすつもりで、そのことは明確に施行の基本的な通牒の中に書いて、これを地方に徹底させるつもりでおる次第でございます。
  69. 滝井義高

    滝井委員 実は中央審査協議会にしても、地方審査協議会にしても、これは審査に関する重要な事項について理事長に勧告をするのであって、立法の趣旨から見てそういう苦情処理的な性格ではないのです。局長はどうも苦情処理が主たる目的のようにおっしゃるけれども、これは立法の趣旨からいってもそういうものではない。としますと、療養担当者がこういうところに行って、どうもおれの今月の請求書は一割削られておる、これは不当だと言うてみたところで、これは諮問機関でありますから、そうはいかないのですよ。だからやっぱりこれはあなた方がこういう法律をお作りになるならば当然やらなければならぬ。たとえば東京都あたりの状態を見ても、私の一、二調べたところでは、もう毎月常習的に一割か一割五分削られておる機関がある。これは何万点か請求するところにそういうことが多いのです。そうなりますと、どういう現象が起ってくるかというと、もう毎月おれの出した診療請求書は一割五分削られるのだ、こういう頭になりますと、悪いことをすることになる。どうせ一割五分削られるから一割五分の水増しをやる、そういうことになる。笑っているけれども、これはそうです。私は心理学者じゃないけれども、人間の心理から見てそういうことになると見ておる。一割五分削られたというのは、水増しをしないものが削られるのですから、どうせ自分が注射をしたり、投薬したりしたものが削られるのだから損になる。そうなると、損を見込んで一割五分水増ししておくのが人間の心理なんですよ。ちょうど実業家がアダム・スミスの見えざる手によって利潤を追うように、これはやはり人間だからそういうことになる。われわれはそういう変な見えざる手に——アダム・スミスの見えざる手ならいいかもしれませんが、そんな悪い方の変な手に導かれるような制度、そういうならわしというものを切るためには、何か切るような制度というものを見つけてやる必要がある。それが苦情処理機関なんです。そうすると一割五分削られたら、なぜ切ったのかということを堂々と持っていくところがある。今はそれがない。だから私が封建的の切り捨てごめんの思想があるというのはここです。ところがあなた方の方では、保険療養担当者が悪いことをしたとなると、患者のところに行って調べて、あなたは何月何日にどういう注射をしたか、ここに打ったか、静脈に打ったか、皮下かということをいろいろ調べ、そうして詳細に書いて判を押させて、今度はその判を押した紙きれを持って、医者のうちに上り込んでやる、こういうことまでやらっしゃるのですから、これはやはり苦情処理機関というものを設けてやらなければいかぬのです。これは当然なんです。やはり立法の趣旨からいっても、この審査協議会がそういうものだというなら、審査協議会は苦情処理に当るということをここに一項——二十八ページの「社会保険診療報酬支払基金法の一部を次のように改正する。」という四項のところに、中央審左協議会は、審査に関する重要事項並びに審査に関する苦情の処理について理事長に対して勧告することができるとかなんとか書かなければいけないのです。法律というものは、わかりやすく、民衆がこれを読めば一読してわかる姿を作ってくれないと、あなた方が今度、それは私の方は通達で厳重にやりますと言うたところで、これはやるかやらぬかわからないことであって、やはり法律に書いておいてもらわないと工合が悪い。だからそれはぜひ一つ民自党さんが修正をなさるならば、この機関も、今局長さんたちは苦情処理をやるのだとおっしゃった、苦情処理の性格一つ入れてもらわなければいかぬ。こう思うのです。  そこはそのくらいにしておいて、次の健康保険業務勘定と基金との関係、これは一体どうなるかということです。一件当り審査を頼めば十三円ですかことしは出さなければならぬ。それは予算の関係はどうなっておるのですか。
  70. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。業務勘定と基金との関係は全然ありません。基金事務支払い事務並びに審査事務委託しておりまするその手数料は、健康勘定から出すわけでございます。
  71. 滝井義高

    滝井委員 そうしますると、基金事務費は健康勘定から出るそうでございますが、大体幾らくらいそれは基金払い込むのですか。予算のどこにあるかそれをちょっと教えてくれませんか。わからなければあとでけっこうです。
  72. 小沢辰男

    小沢説明員 それは医療給付費の中に一件当り十三円の予算として組んでございます。
  73. 滝井義高

    滝井委員 その予算額は幾ら基金にお払い込みになる予定になっておるのですか。その予定があるはずです。そうしなければ基金の予算が組めない。
  74. 小沢辰男

    小沢説明員 この医療給付費の予算だと思いますが、資料の一番うしろに予算書が載っておりますが、九十一ページに四百四十三億という医療費炉あります。その医療費の中に五億九千万だけその金が入っておるわけでございます。医療費の支払い並びに審査に要する経費として五億九千万入っております。
  75. 滝井義高

    滝井委員 五億九千万円というと、ちょうど標準報酬を上げた額と同じ額が使われることになるわけですが、莫大な額なんです。そこでそれが健康勘定に入っておるということになれば、業務勘定の中における歳出の、あなた方の厚生省所管の予算要求額事項別調、これの業務勘定、十一ぺージにあります特別会計、そこの中の歳出に健康保険、厚生年金保険及び日雇い健康保険事務取扱いに必要な経費として、昭和三十一年度には十九億二千九百七十三万一千円あるわけです。そこでこの経費を見てみますと、そこに摘要の欄で三十一年度の人員要求五千百四十六人、前年度は四千八百四十六人、従ってここに昨年に比べて今年は三百人の人員増になっている。それから常勤労務者が千七百六十五人、前年度千六百二十人ですから、百四十五人増加しているのです。これは一体どういうところの増加なんですか。社会保険出張所の人員の増加なんですか。
  76. 高田正巳

    高田(正)政府委員 これは今仰せの通り、保険官署の人員の増でございます。これらは主として、視察委員制度というものが昔あったのでございますが、これを復活いたしたい、かように考えておるわけでございます。それでこれらが復活をいたしまして事業所等を回りますことによりまして、一例をあげますれば、標準報酬の的確把握というふうなことをこれでねらっておるわけでございます。予算といたしましては、一万二千二百幾らという平均標準報酬の予算を組んでおりまするが、このうちのたしか七百九十円が、三十一年度に三十年度よりは平均標準報酬を上げたいという数字でございます。そのうちの五十八円はこれらの行政努力によりまして、標準報酬をより的確につかみたい、こういう予算になっておりますが、それらに寄与いたします制度といたしまして、保険官署の人員を今御指摘になりました程度、増員をいたしたい、こういうことでございます。  なおこれは蛇足でございますが、この業務勘定の予算はここのこういう人件費等はすべて一般会計からの繰り入れてございますことを申し添えておきます。
  77. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この人員の増は合せますと四百四十五人になるわけですが、四百四十五人全部炉視察員なんですか。
  78. 小沢辰男

    小沢説明員 ただいま正確なる内訳を持っておりませんが、大体三百人程度が視察員の関係でございます。それ方らそのほかは全部非常勤の労務者の経費になっておりますが、これはその他の徴収関係とかあるいは視察員以外のことで保険料の収納関係に役立つための人員でございます。なお詳しく人員別には今手元にありませんので、さっそく取り寄せます。
  79. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、また一つ新しい制度が実は出てきたのです。視察員というのですね。これは社会局の生活保護関係にもこういう制度が多分昨年度か何かに私記憶があるのですが、あったと思うのです。こうしてコーリン・クラークの言葉じゃないけれども、中央集権化してくると、だんだん人件費も含めた事務費が非常に膨大になってくる。これは一般会計かもしれませんけれども、やはりわれわれの血税です、そうすると、そういう視察員が出て——これは視察員ですから、おそらく医者の家へ行くばかりじゃなくて、おもに事業場に行くでしょう。同時に事業場関係を見て不正があれば診療所にも行って傷病手当金の関係とか聞いておりますが、どうも問題炉あると思うのです。この十九億二千九百七十三万一千円のうちで人件費的なものが、詳細な予算書を見ると、十億をこえている。この中に年金台帳を作るものがあります。あるいはこれはあとで御質問いたしますが、官求請求明細書等があります。こういう視察員制度まで作ってやらなければ日本の社会保障というものがうまくいかない。こういうことは日本の社会保険自体が、制度的にも大きな欠陥がきておると思うのです。この際政府はこういうこそく的な、私に言わせれば、これはある意味ではこそく的、ある意味では大改正なんですが、こういう大改正をやるならばあなた方に都合のいいことだけのこそく的な改正ではなくして、制度自体にもっとメスを入れる必要があると思う。あなた方は医療保障のための五カ年計画を作り、五人委員会をお作りになっておるとおっしゃいますけれども、それならばこういう法律を出さずにそれまで待って精力的にことし一年くらいをやって根本的に今の健康保険を変えなければいかぬと思うのです。そうしなければだんだん中央集権化の傾向をたどっていく。事務費ばかりが多くなって診療内容の充実に持っていく金がだんだん食われていく。それが具体的にすぐ現われてきておる。基金審査委員は専任にする。そして給料は三万円も五万円もやらなければならぬ。こういう形になってくるけれども、私はそういう点で納得のいかないところが多い。事業場を、三百人も四百人も人を置いて視察しなければ、事業主がまじめに保険料を納めないのだということになると、宮尾さんがこの前大きなことを言っておったけれども、宮尾さんに断固たる通知を出すべきです。保険者の団体に、おれの方は三百人も置かなければうそを言うものだということをやはりやらなければいけません。私は正直に予算を見ておったから、これは年金台帳や何かで、簡単に今度薬剤師諸君も保険に入るからふえるのだと思っておったけれども、視察員制度だと聞いて実は驚いたのです。そこで問題は基金運営でございますが、しからばそういう視察員制度まで作ってその基金に集まってくる零細な保険料というものでいよいよ専任審査委員を置いて審査をやるということになりますが、今度の暫定案で非常に複雑になってきました。それから全国五万の薬剤師諸君から請求書が五日一日から出てくることになる。これは暫定措置をいろいろ講ずるでしょうが、究極的には出てくることになる。それから一部負担をとることになるので、一部負担の分が事務的に複雑になってきます。そこで一体現在の基金の陣容でその審査のさばきあるいは金の支払い等が現在のようにあなた方の目標である翌々月までに支払える状態でいけるかどうかということです。これはすぐ五日一日から問題でございますから明白に一つ答弁を願いたい。
  80. 高田正巳

    高田(正)政府委員 前半の御質問でございますが、私視察員制度というふうなぎょうぎょうしい言葉を使いましたけれども、特別に制度というようなことはございませんので、従来とも標準報酬の定時改訂の際におきましては、保険官署が実際に事業場に参りまして、事業場の賃金台帳とかその他のものを拝見をして適格であるかどうかという実調をいたすべく実は努力をいたしております。三十年度におきましても、大いに馬力をかけまして相当なパーセンテージ実調いたしたわけでございますが、しかしなかなかそれが全部には行き届きません。それでそういうふうなことを常時見て歩く人間を置きたいという意味でございまして、これは特別に制度とか何とかいうことではございません。なお御存じのように、これは当委員会でも他の委員の方々から御指摘がございました炉、政府管掌については標準報酬の的確な把握等について、その他にもいろいろあるけれども、運営よろしきを得ないところがある、もう少し行政努力をすべきであるという御意見もたびたび出ておったのでございます。先ほど宮尾会長のお話がございました炉、これは組合管掌でございますので、実は標準報酬は大体的確に把握しておるわけでございます。政府管掌は二十三万くらいの事業場でございまして、非常に零細な事業場でございます。これを百幾つの保険官署が担当いたしておるわけでございますから、やはり的確に把握をいたしますには、標準報酬の的確把握その他いろいろなことがございますから、保険運営ということをむだなく的確に行いますには、こういうふうに見回る人間を設けた方がより的確に相なるであろう。それで人員の増加をいたしたわけでございます。  それから基金事務は、一部負担の制度、あるいは今回点数表が変りましたようなことにつきまして現在の陣容で私は従来通り処理いたすことができるものと考え、別にそのために人を増員したり、その他の措置を講ずることは考えておりません。また十分にそれが可能なものと私は存じております。
  81. 滝井義高

    滝井委員 あなたは基金が可能だと言っておりますが、久下さんあたりは六百人くらいは増員しなければできぬとおっしゃっておるらしい。私のところに広島県がありますが、ここにおいても療養担当者もこれは事務費が増加をすると言っております。それはおそらく薬剤師諸君なんか、今度は処方せんがたくさん出ていけば月末はとても大へんです。また医者においても、私はこの前病院の窓口のことをお話ししましたが、窓口はさらに輻湊します。従ってそこに人員をふやさなければなりません。そうしますと、総医療費に変化を来たします。収入が減ります。あなた方は総医療費に変化を来たさないという建前であったが、総医療費に大いに変化がくる。個々の医療機関の収入が減るのです。支払う額よりも支出が増加するから、結果的には収入が減ることになります。実は私は大きな病院を調べてみましたが、病院なんかは請求書を書く事務員を二人も三人もふやさなければできないと言っております。第一窓口は本人から一部負担をとるために本人が殺到するので、この事業所保険の病院というのは、一部負担をとるだけの事務で二人もふやさなければならないと言っておる。しかも一部負担をしたために、今度は月末にその請求書の計算を間違わないようにするためには実に莫大な経費の増加だと言っておる。しかもその請求書を書く方の側が事務的な人件費が増加するから、当然その請求書を出してそれを審査する基金においても増加をしなければならない。だから、全国的に見たら六百人くらい増加しなければならぬと言っておる。あなたの方は今視察員制度などと大げさに申されましたが、この法律改正によって、保険料を正確にとるために、標準報酬を正確化するためには四百五十人も人間をふやさなければなりません。ところが一方基金事務がふえても今のままでやれるということになると、これは矛盾なんです。健康保険法改正につれてそれだけ事務量が多くなってくるのだから、当然基金も人数もふやさなければならぬということになってくる。これはここに言っておる。このことは、基金の当事者も、広島県あたりはみな専務が実行不可能であるということを認めております。あなたは基金の大元締めの理事者としてできるとおっしゃるが、久下さんなんかふやさなければならない、とてもできないとおっしゃっているらしい。私医師会に行って聞いたらそう言っております。基金には医師会からも理事が出ています。従って、そのために今度は支払いがおくれるということになると、さいぜんあなたが予防線を張ったように、支払いは欠くわけにはいかないということと表裏が合ってくる。だから私は、あなた方がこの基金の人数をふやしてどんどんやってくれるということになれば、それは今まで通りの言で信用ができます。しかし今言ったように、私の経験では、一部負担とそれからコンマ二というような端数がついて、しかも十一円五十銭というものをかけていくと、厘の位が出るのですから、非常に計算はめんどうくさくなる。それだけ事務がふえてくる。そうすれば、基金だけは今まで通りやれるという倫理はどこからも出てきません。それは超過勤務をうんと出せば今までの人員でできるかもしれませんよ。しかしそれは一件当り十三円の金を食うということになるのです。だから、その点でもう少し——これは支払いは重大ですから、基金の調査委員会を作るとともに、この法律が上る前に一日日にちをとって、基金事務機構でできるかどうかを聞くために、何ならこの委員会に参考人を委員長呼んでもらいたいと思います。久下さんが出て来てここにすわって答弁ができるならばしてもらえば一番いいと思いますけれども、もう政府委員でないから参考人として呼ばなければしようがないんですが、これは二、三十分でもかまわないですから機会を作っていただきたいと思います。
  82. 大坪保雄

    大坪委員長代理 滝井君に申し上げますが、それは理事会で相談しましょう。
  83. 滝井義高

    滝井委員 その前にもう一ぺん政府答弁を求めて、この人員で大丈夫だとおっしゃるならば、その言質をいただいてから聞きたいと思います。
  84. 高田正巳

    高田(正)政府委員 基金ともこの法律を立案いたしまする際には十分打ち合せをいたしております。ただ基金としましてはいろいろな希望も若干はございましょうけれども、しかし私どもはこのために基金の手数料を上げたりなんかするということは全然考えておりませんし、また基金としましても、これで一つやろう、こういうことでこの提案をいたしておるわけございまして、特別にそのために手数料の増額を考える等のことは今後もいたさないつもりでございます。
  85. 滝井義高

    滝井委員 基金はそれでやろうとおっしゃっていますが、そのかわり支払いもおくれないという言明を一つ同時にいただいておかなければならないと思います。
  86. 高田正巳

    高田(正)政府委員 一部負担というような制度をとったり、あるいは点数表の改正を暫定案的なものをやったことによって支払いはそのためにはおくれないと申し上げて私ははばからないと思います。
  87. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。一応政府当局の御答弁は、一部負担その他事務的な複雑化が行われておりますが、基金支払いはおくれない、今まで通りだ、これは了承いたしました。同時に、基金においても、一件当り十三円の費用を上げることもないし、また基金の人員の増加もない、こういう言質を得ているので、いずれこれは後刻基金関係理事二、三人——基金理事は、保険者、被保険者診療担当者、公益の四者構成になっておりますので、それぞれ一人々々来てもらって意見を聞かしていただきたいと思います。  そこで次にさいぜん問題になりました業務勘定の十九億二千九百七十三万一千円のうちには三千七百八万八千円の世に言っている官給診療請求明細書の予算が入っているわけです。そこで今後の基金事務は今まで通り人件費もふやさなければ、支払いも遅延をしないという言質を得ましたので、私はまず官給診療請求明細書の様式を一ついただきたいと思います。もうできているはずだと思います。
  88. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えをいたします。いわゆる官給明細書と呼ばれておりますが、これは政府管掌ならば官給という形になりますが、正確には保険者が発行する請求明細書ということでございます。これにつきましては、いつかの委員会でもお答えをいたしたように存じますが、実施の具体的な方法を目下実際の現場の仕事を知っている人たちに検討してもらっております。一々さようなものを事前に事業所に取りに行って、そうしてお医者様にかからなければならぬというようなことでありましては、被保険者の迷惑が非常に大きくなりますので、さようなことも避けたい。それからなおさような用紙を——七人委員会が御提案になっておりますように、保険管署から事業主、被保険者、医師、それから基金と、最後に保険官署に帰ってくるわけでありますが、さような請求書自体を回すというようなことでありましては、実際に何万何千とこれを扱いまする際には、その間に折り畳みをしたりなんかするというようなことによって事務能率が非常に落ちてくるというふうなことも考えなければなりませんので、請求書自体を印刷をして回したがいいか、あるいは請求書は従来通りにしておいて、別個なものをさようなるルートを通じて回して、それを請求書に張りつけるとかなんとかいうふうな方法がいいか、そこいらの点も目下研究中でございます。従いまして、ただいまその様式はでき上っておりませんことを御了承いただきたいと存じます。
  89. 滝井義高

    滝井委員 それは政府の怠慢です。少くとも健康保険法は、それができるまで法律の審議を中止しますよ。この法律は、健康保険のこの官給請求明細書だけでも、これが実施をされるかされないかによって違う。これが実施されるだけでも、ほかの法律はなくても、これは赤字は解消します。断言してはばかりません。今になってできないのは、あなたの怠慢です。あなたはこの官給請求明細書を作る第一の目的は、現在保険者、被保険者療養担当者がつながれていないので、これをつなぐのが目的だと言ったはずです。そうしますと、これはこの法律ができることによって、それが実施されることは予算にも組んでいる。もうこの予算は衆議院を通過している。その通過しているのに、まだ様式さえもできぬというならば、われわれはこの審議を様式ができるまで待たなければならぬ。これはこの前もわれわれは早く作れということで請求している。それをできないとはけしからぬ。官給請求明細書というのは薬剤師の分も医者の分も要りますよ。だからその様式があなた方が今までできぬというのはおかしいじゃありませんか。
  90. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えをいたします。いわゆる官給明細書というものは、それをやるかどうかということは法律改正には関係ございません。
  91. 滝井義高

    滝井委員 予算が通っている。
  92. 高田正巳

    高田(正)政府委員 予算はこれは何になっておりますか、いろんなものに含まれて科目にも何にもなっていない。何か加えてあるかもしれませんが、その程度国会で御審議をいただくような大きな項目には、これはなってないと私は存じます。さようなわけ合いでございまして、私どもといたしましては、これは実施上の何と申しますか、手続という問題でございまするので、かような点は今後研究をいたしましても、一向別にどうということはない。それよりはやるといたしますれば、被保険者に対する迷惑が最小限度にとどまるように、しかもその制度のねらっておりまする効果を十分に発揮するように、さような点をむしろ重大に考えてそのことを処理いたすべきものであって、ただいまそれがないからと申しまして、それよりはそちらの方をより慎重に検討いたすべきことの方がわれわれの任務であろう、かように考えておるわけでございます。
  93. 滝井義高

    滝井委員 今ごろになってそんな遁辞をしてはいけません。少くとも今度の健康保険法改正と関連をして、一貫となって、あなた方が金科玉条として掲げてある行政措置は、この官給請求明細書であったはずです。それを今になってどうも与党の内部からこれを削除するというような論が出たために、今局長はきわめて弱腰の答弁をされておるけれども、あなたがやられるということをきめられたからには、少くともここで様式がなければいかぬと思うのです。そして今予算にはないとおっしゃいましたが、ごらんなさい、あります。
  94. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします、いわゆる官給明細書についての私のお答えは、初めから一貫をしております。最近特に変ったわけではございません。これはいつの委員会でございましたか、大臣も出席をいたしておりまして、そうして大臣がその実施の時期方法等についてまだ研究中である、こういう御答弁がございました。なお私はどういう点を研究しているかというようなことを敷衍してお答えをしたようなわけでございまして、最初から私のこれに対するお答えは変っておらないと存じます。なおこの予算は、これは予算の説明書で予算書そのものではないと思います。
  95. 滝井義高

    滝井委員 予算の説明書だと今ごろになって逃げてもだめですよ。それは国会を通って、予算は使っていくじゃないか。それなら、その説明書は全部うそですか。今ごろそんな詭弁を言ってはいけませんよ。あなた方は、これを作るのについては、私はちゃんとあなたの答弁したのを書いているが、保険者と被保険者と担当者とつなぐ方法がないからこれをつながなければならぬというのがあなたの答弁である。そしてそれを具体的にどうするかという方法は研究中であると言っておる。それは一カ月くらい前のことである。もう予算は参議院も通過している。五月一日からこの法律が動こうとしている。それならば、当然その具体的な様式というものが出てこなければならぬ。だから様式が出てくれば、それは薬剤師の様式はどういう様式、医師の様式はどういう様式——なぜならばこれは四十三条のあなた方の罰則と非常に関係があるから、私は言うのです。だからこの様式が出てこなければ、この法律の四十三条に対する私たちの見解は違ってくるから、私はストップします。
  96. 大坪保雄

    大坪委員長代理 滝井君に申しますが、今の点は検討の余地があれば保留して、ほかの質問をしたらどうですか。
  97. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えをいたします。先ほどからお答えを申し上げておりますように、その時期、方法等については検討をすると申しているわけでございます。ただいま早急にその様式を御提出することはできない。検討中でございますから、まだ成案がございませんということを、お答え申し上げているわけでございます。
  98. 滝井義高

    滝井委員 成案がないと言ったって、あなた方が保険者と被保険者とつなぐ方法がないから、これが唯一の方法だと言って説明をされて、しかも予算では官給請求明細書は一体予算のどこにあるかと言ったら、会計課長がここに来て、それはさいぜん申しました業務勘定の歳出の四の中に入っておりますということです。しかもその額は幾らだ。三千七百八万八千円だということをちゃんと説明している。そうしてこれは今度の実施と同時に実行するということを言っている。(「間に合えばいい」と呼ぶ者あり)だから間に合うためには、これは四十三条のもろもろの診療録その他の検査と重要な関係があるから、私はこの法案が衆議院を通るまでに出して下さいと言っているのです。無理じゃないでしょう。この要求が無理ならば、私は言いません。だから通るまでにあなたが出してくれれば、私はきょうの審議を進めます。しかしあなたが、そういうものは実施の時期がいつかわかりませんと言うならば、予算を返上しなさい。予算にちゃんと載っている。私がなぜそう言うかというと、これは薬剤師にも関係がある。医者にも関係がある。歯科医師にも関係がある。みな様式が違う。だからあなた方が四十三条の、いろいろとあなた方が帳簿や診療録の検査をするということは、その帳簿や診療録とともに、われわれはその帳簿や診療録のものを請求書に写していくわけだ。そうすると、その請求書がどういう様式になるかということによっては、われわれの事務費その他も非常に変化してくる。非常に簡素なものになるか複雑なものになるか。その請求書が非常に複雑なものだと、四十三条の関係から考えても、あるいは審査事務の上から考えても、あなたが今審査事務というものは何も必要はないとおっしゃるけれども、これが複雑だったらそうはいかぬ。そこらあたりが何もわからぬで——手のうちを示さなくて、審査の人員は今のままでもようございますとか、基金の人員は今のままでもようございますとか、支払いはおくれませんといったって、これは机上の空論です。具体的に診療報酬請求書というものがどういう工合になるかによって基金事務費も違ってくるのです。だからあなた方が違わないというならば、違わないだけの具体的な証拠を出してもらわなければいかぬ。たとえばあなた方は医療機関が悪いことをした場合に、その責めを免れるためには医療機関自身が証拠を立てよ、こうおっしゃっている。だから一つあなた方も、基金事務費が増加しないというなら、その増加しない証拠——一番大事なものは請求書なんです。あの一枚の請求書が積り積って基金というものが十何億かの金を使うことになったのだから、そのもとの、一番眼目の請求書がわからぬじゃしようがない。また簡単な様式でしょう。頭をひねって、考えるとか何とか言わずに、お出しなさいよ。この前、医療費体系のときも出した。昭和二十九年、医療費体系をするときに、医療費の新しい請求書はどうなるかということで、あのときも私が言ったら出してきた。今度はそれが、今になって出らぬとは言わせませんよ。出らぬはずはない。簡単な様式です。今の様式とどういう点が違うか。薬剤師諸君の請求書はどういう点が違うかということ、これは今後の事務の上で一番大事な点ですよ。あなた方は法律だけ通せば、あとの始末は野となれ山となれというものではない。医療がほんとうにうまく動いていくためには、療養担当者の技術と同時に、その技術の成果、結果を請求する請求書の様式によってこれは左右されてくる。その様式がわからぬということでは、どうにもならぬ。だからあなたの方が、それをあすでもお出しいただくということになれば、そこらの質問だけはやめて、私は先に進みたい。あすまでに出しますか。
  99. 高田正巳

    高田(正)政府委員 これは先ほど来申し上げておりまするように、法律改正には関係がございません。現行法でもやろうとすればできることでございます。従いまして様式が出てこないと、法律の審議はできないということではあるまい、私はかように考えております。それから先ほど来私申し上げておりますように、請求書そのものを印刷してやるか、あるいはそうでない、請求書はそのままにしておいて、私が先ほど申したと御指摘になっておりまする、関係者のつながりをつけるために別個な、まあ一口に言ってみれば切手みたいなものを回すか、そういうこともあわせて研究中でございます。従いまして私が官給明細書について、これをやりたいといって御説明をいたしましたときに申し上げました理由、すなわちつながりをつけるという意味では、様式は今の請求書のままでもいいわけでございます。かりに請求書自体をずっと回すといたしますれば、今の請求書の様式のままでもいいわけでございます。その目的は達し得るわけでございます。従いまして、その請求書の様式は、どうこれをやりまするか、今のところはその成案を持っておりませんので、明日までに御提出をいたすことは、まだ成案がございませんので、できませんことを御了承いただきたいとお願い申し上げておるわけであります。
  100. 滝井義高

    滝井委員 あなたはお願いかもしれぬが、そのお願いは実は聞くわけにはいかない。今申しましたように、この法律の、今言った基金法改正、あるいは今後医者審査、監査を受ける上において、請求書というものが唯一のたよりなんです。どういう形の請求書が出るかという、その請求書の様式もわからずして、この法律を通すわけには参りません。いわば竜を描いて眼を点ずるというのがこの請求明細書です。画竜点睛を欠くものなんです。小島君は笑っておりますが、そうなんです。だからあなたの方がやめるならやめると御言明いただけば、これ以上追及いたしませんよ。しかしそれが出ない限りは、社会党としてはこれが出るまでは、この健康保険法の審議はストップします。(「どの分をストップするのだ」と呼ぶ者あり)健康保険法の審議はストップする。(「審議権を放棄するのだな」と呼ぶ者あり)放棄しない。あすでも、それが出てきたら始めます。委員長、そういうことで……。
  101. 大坪保雄

    大坪委員長代理 滝井君に申し上げますが、今の点を保留しておいて、ほかの事項の質問を続けるわけにいきませんか。
  102. 滝井義高

    滝井委員 診療報酬請求書というものは簡単な様式でございます。だから政府が出すか出さぬか、それをやめるならやめると言って下さい。
  103. 大坪保雄

    大坪委員長代理 しかしそこは滝井君、その点を除いてほかの事項の質問を続けるわけにはいきませんか。それをあなたにお尋ねしているのです。   〔発言する者あり〕
  104. 滝井義高

    滝井委員 与党の諸君がそう言うなら、おれはやらぬ。勝手にあなた方だけでやれるなら、やってごらんなさい。
  105. 大坪保雄

    大坪委員長代理 滝井君にお尋ねしますが、先刻私がお尋ねした点はどうなんですか。その点だけ保留しておいて、他の点の質問を続けるわけにはいきませんか。
  106. 滝井義高

    滝井委員 政府の方が何日までに出すということを言いさえすれば、私は審議を続けます。しかし政府が、それは何もありません、こういうことになれば、これは一番大事なところなんです。
  107. 大坪保雄

    大坪委員長代理 それは今研究中だから、明日は出せませんと言っておるけれども、あさって出すかもわからない。しかし研究中で、検討を要するからと言っておるのであるから、明日出せないからといって、出さないとはっきり決まったわけでもなかろうと私は思う。
  108. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。それならば、この法律が衆議院を通過するまでに出していただく……。
  109. 大坪保雄

    大坪委員長代理 やるとすれば……。
  110. 滝井義高

    滝井委員 もちろん、それはそういうことです。
  111. 大坪保雄

    大坪委員長代理 それで政府はいいですか。ではそう了承して本日続けますか。——それでは滝井君に申し上げますが、そういうことに政府も了承することにして、お続け下さるならば、質問を他の事項についてお続け下さい。
  112. 滝井義高

    滝井委員 では確認いたしておきます。本法律案が通るまでに官給請求明細書を、実施する場合には、その様式を出す。実施しないということになれば、それはありませんから、現行の請求書でいくことになるわけです。それは当然そうなるわけです。そう確認して差しつかえありませんか、政府は。何か不服そうな顔をしておるが……。
  113. 大坪保雄

    大坪委員長代理 この法案が通るまでにということで、政府の方に委員長からも話をすることにいたします。(「それが出ないとこの法案は審議することができぬ、この法案は通せぬ」と呼ぶ者あり)
  114. 滝井義高

    滝井委員 そういうことです。   〔「審議を打ち切るということは困る」と呼び、その他発言する者多し〕
  115. 大坪保雄

    大坪委員長代理 この際暫時休憩いたします。    午後五時二十八分休憩      ————◇—————    午後五時三十六分開議
  116. 大坪保雄

    大坪委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。滝井君。
  117. 滝井義高

    滝井委員 診療報酬請求明細書の問題は、いずれそれがはっきり出るようになってから、その質問をやることにいたしまして、これはあと回しにしておきます。その前にもう一つだけ言っておきたいことは、入院患者の事前審査というものを、今度は厚生省はおやりになるのですか。
  118. 高田正巳

    高田(正)政府委員 お答えいたします。従来の健康保険法の規定におきましても、第四十三条で、「前項第四号乃至第六号ノ給付ハ保険者ガ必要アリト認ムル場合ニ於テ為スモノニ限ル」こういうことになっておりまして、入院は四号に当っておりまするので、規定の上におきましてはその事前に審査ができる建前になっております。しかし現実には入院したあとの届出をお願いをしておるわけでございまして、特別に事前に審査ということはいたしておりません。今後とも事前審査ということはいたさないつもりでおります。
  119. 滝井義高

    滝井委員 実はその質問をしたのは、診療報酬請求明細書と事前審査とが非常に関係があるからであります。その点で実は私は質問したわけですが、それはやらないそうでございます。  そこで今度は調達庁の海老塚労務部長さん、どうも長らくお待たせいたして恐縮に存じますが、実は先日課長さんに来ていただきまして、いろいろ御質問いたしましたところ、どうも課長さんでは責任の持てる御答弁がいただけなかった。そこでもう一回繰り返したいと思いますが、時間がありませんので、要点だけを申し上げます。今回健康保険法改正で、継続給付の資格制限が行われることになりました。六カ月で被保険者であれば継続給付の資格ができたものが、一年になることになった。この点について駐留軍労務者の特殊性から、駐留軍労務者諸君には、現在駐留軍自体のいろいろの軍の都合によって、多くの首を切られる人ができた。昨年一カ年間実績を見ても、勤続一年未満で健康保険の資格喪失をする者が一万三千四百三十三人、こういう多くの数になるわけなんです。従ってこれは今回の改正に当っては、この健康保険法改正をそのまま駐留軍の健康保険組合の被保険者諸君に適用するということになれば、これは非常に大へんなんです。そこでこれは当然駐留軍というその労務の特殊性からいって、しかもこれは全く政府がアメリカ軍に来てもらって、日本の防衛をやってもらっておるという建前等から考えても、その恩恵に今まで六カ月で浴しておった労務者諸君が、一年でなければだめだということになると、これは非常にお気の毒なので、その分を除外規定か何かをこの法の中に設けたらどうかと言うけれども、厚生省の保険局当局はそういう例外を認めることはできませんという御答弁なのです。そうだとするならば、あなたの方の調達庁と労務者とが駐留軍の健康保険組合を作って運営をしておるわけなのですが、従って当然これは組合会を組織しておる一員としての調達庁当局、すなわち労務担当の方におかれても、何かそこに対策がなくちゃならぬと思うのです。たとえば今までの六カ月までのものを、一年になったのだからその差額と申しますか、そういう資格を喪失するものについては、国でも何か見てやろうという温情がなければならぬと思うのです。そういう点について何かあなたの方で確固たる——当然これはこういう改正の御相談があってのはずです。何もあなたの方で対策がなく、賛成したとは思えません。何かそこに確固たる御対策があると思うのですが、ここで一つお知らせ願いたいと思います。
  120. 海老塚政治

    ○海老塚政府委員 お答え申し上げます。昨年三月の調査によりますと、法五十五条該当者の数は、駐留軍労務者の数は六千三百八十五名でございますが、そのうち被保険者期間が一年未満のものが五百四十六名ということになっております。当然この数は半年以上一年未満の被保険者の数ということになるわけでございます。駐留軍労務者全体で現在十五万五千人おりますが、このたびの改正によりましてこの程度の数の方々が五十五条の保護を受けられなくなるという点につきましては、はなはだお気の毒なこととなるわけでございまするが、全体といたしましてはそれほどの数ではないわけでございます。実は駐留軍労務者につきましては、お話の通り毎年々々駐留軍の撤退に伴いまして労務者の数が減少いたしているのでございますが、その解雇の仕方は特別の方法、すなわち勤務期間の短かい者から解雇をするというやり方をとっているわけでございます。そのために、また同時に新規採用者は年々少くなっているということがこの数年間続きましたので、最近におきましては勤務期間の短かい者ははなはだ少くなってきた。平均いたしますると、駐留軍労務者の勤務期間は四年近くになるというような現在は状況になっております。私どもといたしまして、政府といたしまして特別の措置をとるということは現在のところ考えておりませんですが、全体の労務者の情勢がさような状況になっておりますので、こういう点十分考えて処置いたしたいと思います。
  121. 滝井義高

    滝井委員 労務部長さん、具体的に政府がどういう対策をとるかということを実はお聞きしておるのです。抽象的なお答えでは、どうも工合が悪いのですよ。これが人間の生命に関する問題でなければ抽象的なお答えでお茶を濁してもいいと思うのですが、これは人間の生命に関する問題なのです。現在駐留軍は非常に人員整理中であるということなんです。非常に人の出入りが激しいということなんです。それから空軍の基地の移動というものがどんどん行われている、それから季節労務者の採用というものが非常に多いということなんです。こういう四つのものから資格喪失者というものが非常に多く出ている。これは他の産業に見られない特殊性がある。しかもこういう職業的な移動の特殊性があるばかりでなくして、その職業自体にも他の日本の一般産業とは非常に違った特殊性を持っているということになれば、やはりこれはこういう法律改正によって受けるそのしわ寄せというものが、一挙にここに寄ってきてしまっておるということなんです。これは当然政府としては何らかの対策というものを−五月一日からなんですから、具体的に考えておかなければならぬと思う。だからこの前課長さんではいけないということで、きょうは部長さんに来ていただいたわけなんですから、もう少し明確にそれに対する対策をきょうはお聞かせ願いたいと思うのです。こういうようにしてそれを救うのだという対策がなければいかぬ。それは駐留軍は何と申しますか、私がAという基地に勤めておって、今度Aという基地がなくなって私がBという基地へ行って勤めても、これを継いでくれればいいのですよ。ところが今継がないでしょう。全部新規採用になってしまう。そういう特殊性もあるわけなんです。これは任意の継続被保険者になって、たとえば九カ月で首になった、あと三カ月くらい保険料をかければ、今度一年以上になって継続給付の資格ができるということになっておればいいが、それは法律でだめになっていて救済できない、どうしてもこれは他の一般産業と違う駐留軍労務者の特殊性から考えて、私は政府に何らかの対策を講じてもらわなければならぬと思うのです。これはほかの産業の首切りとは違うのです。アメリカ軍の一方的な意思によって、日本政府がどうもしようのないものなんです。しかもそれは日本政府が日本の防衛をするためにお願いをしておるアメリカ軍のやることなんでしょう。だからそのアメリカ軍の意思によってそういう犠牲者が出たならば、これは日本政府が何らかの形でカバーしてやるのが当然だと思う。理論的に言っても筋が立っておると思う。それが累が他の産業に及ぶことはないと思う。実は厚生省はきわめて冷淡、それは私たちは知りませんと言うておる。だからあなたの方で何とかしてもらわなければしょうがないと思うのです。あなた方自身も、この改正の一部負担などについて反対だということを組合会では調達庁も一緒にやられておるはずであります。当然こういう問題についてはお考えになっているはずだと思いますが、もう少し具体的に、時間もありませんし、もう一点質問しなければならぬ点もありますから、簡単に言っていただきたいと思います。
  122. 海老塚政治

    ○海老塚政府委員 駐留軍の移動が頻繁であることも御指摘の通りであります。しかし先ほど御説明申し上げました通り最近におきましては勤務期間の短かい者の数というのは、特別な人員整理の順序ということのために比較的昔に比べて少くなってきておりまして、全体的な労務者の構成から申しますと、割合に低い比率を占めるようになっておる。五十五条の該当者も、先ほど申し上げましたように昨年三月現在では五百数十名の数というふうな状況になっておることは申し上げた通りでございます。もう一つは、実は健保の駐留軍関係組合財政状態というものが、駐留軍労務者の人員の縮減に伴いまして非常に困難な状況になっておることも事実でございます。私ども米軍と折衝いたしまして、できるだけこの健康保険組合を存続させますのに必要な保険料を確保できますように努力いたしておるのでございますが、保険料の引き上げということは同時に労務者の負担にもなることでございますので、両々相考えて処置しなければならないような状況になっております。御指摘のように組合会の決議におきましてはおっしゃるような趣旨の決議がなされたのでございますが、事業主側といたしましてはそういうような組合財政の見地もございますので、少数のため敗れましたけれども、健保の改正につきましては留保——改正反対という組合会の決議につきましては留保という態度をとったわけでございますが、組合財政の点も考えなければなりません。調達庁も、政府ということにはなっておりますが、駐留軍労務者の健康保険組合に関する限りは、事業主という立場で、組合会の一部といたしまして参加いたしているわけでありますので、それ以上にどうする、こうするということもできないような状態になっている点を御了承願いたいと思います。
  123. 滝井義高

    滝井委員 どうも答弁が回りくどくて頭が悪くてよくわからぬのですが、結局そうすると、あなたの方では、もうやむを得ぬ、今まで六カ月であったものが一年になって、そこで多くの犠牲者が出るけれども、それはやむを得ぬということですか。
  124. 海老塚政治

    ○海老塚政府委員 ただいま申し上げましたように、非常に少い数の者がこのたびの改正によって影響を受けるという点はありますが、一つ調達庁は、この被保険者の駐留軍労務者の保護ということにつきましては、健康保険組合を通じてそれに参画しているわけでございますが、それ以上に特別の措置を講ずることができないような状況になっている、こう申し上げわけであります。
  125. 滝井義高

    滝井委員 健康保険組合を通じてやると申しますけれども、労務者がそういう苦しい状態にあるとき見殺しするということはどうかと思う。そこで今度は高田さんにお尋ねします。政府管掌の、この前私お尋ねしておいて、数字が出てきていない分ですが、継続給付実績と、今後は六カ月を一年にした場合の犠牲者、これはどういう関係になっているか、それを御説明願いたい。
  126. 小沢辰男

    小沢説明員 ただいまのお尋ねでございますが、二十九年の十月に若干の例をとりまして、実態調査をいたしました結果から申しますと、件数にいたしまして本人分の一年以上というのは三・一一%でございます。家族分が約一・七%でございます。来年の件数の総計をそれでいたしてみますと、現在より条件が一年に延びることによりまして、大体年間を通じて平年度では四十六万件ばかりになるかと思います。しかしながら三十一年度の関係といたしましては、これが継続給付期間が三年でございますので、私ども一応この三分の一程度を見込んであるわけでございます。
  127. 滝井義高

    滝井委員 四十六万件というのは、四十六万人という人数でしてもいいことになるのですね。家族と本人を合せたのでしょう。
  128. 小沢辰男

    小沢説明員 これはレセット一枚が一件ということになりますので、四十六万人ということではないのでございます。
  129. 滝井義高

    滝井委員 実は私はいかに駐留軍の方が多いかということを政府管掌と比較したかったのです。駐留軍のは、レセット一枚ということになると、結核患者が多いわけですから、おそらく非常に多くなってくる。ですから比較するためには人数で出てこないと比較はしにくいのです。四十六万件というものは人数にしたらどうなってくるか、駐留軍の五百四十六万人は本人だけだと思う。駐留軍には三十万の家族がおる。こういう点で片一方は件数、片方は人数で出たために比較しにくいのですが、駐留軍が非常に多いことは事実なんです。そういう点でなお調達庁当局は冷淡な御答弁をされましたが、私はこの法律改正で、この継続給付の資格期間を延長するということで一番被害を受けるのは駐留軍だと思う。これは課長さんの方には私が一ぺん陳情申し上げましたが、あなた方はこの法律を作る場合にお気づきにならなかった点だ。なおこれは今後御検討いただかねばならぬ点だと思う。これはお願いしておきますから、ぜひ御検討をいただきたい。  次に、現在駐留軍労務者の健康保険組合は、一億五千六百四十八万五千円くらいの赤字を持っている。昨年四月一日に組合会では、千分の五十から千分の五十八に保険料を上げるから早く認可してくれということであった。ところが厚生当局は、認可権を持っているにもかかわらず認可をしなかった。先日高田さんから、認可をしなかったのは、保険料が入るか入らないかわからないから認可しなかったという御答弁があったのでありますが、当時の御答弁はそうではなかった。これは保険料が入るという見通しがあったからこそ、組合会構成員の一人である調達庁当局も賛成したはずだ。ところがそれがじんぜん日を過して十月になって認可された。その間保険料を千分の五十から五十八に上げることができなかった。八だけをとることができなかったために、赤字が累積してきた。そうしてその累積した赤字を埋めるために、法定準備金を食ったりいろいろしてとにかく赤字を埋めて、現在一億五千六百四十八万五千円の赤字があるわけだ。ところが全くあの当時政府が認可をしなかったから、こういう赤字が出た。これは何らかの形で政府が考えてやらなければならぬ。現在私は組合に尋ねてみましたが、組合は、被保険者として、この一億五千万円の赤字については、なるほど厚生当局が認可をしてくれなかった点においては政府にも責任炉あるけれども、これはやはり自分たちの健康保険組合だから、私たちも幾分か金を持ちますということを言っている。そこで駐留軍労務者という不安定な労務者が作っている健康保険組合を健全なものにするためには、組合会に所属する労務者が何ぼか持つというなら、政府としても、この赤字を解消するために何らかの措置をしてやらなければならぬ。率直に言うと、一体政府はこれを何ぼか持つか持たぬかということです。当然何らかしてやらなければならぬ。現在の状態ではなかなか大へんです。どうするかということです。
  130. 海老塚政治

    ○海老塚政府委員 料率引き上げのことにつきましては滝井先生御存じのことと思いますが、私ども組合財政状況にかんがみまして、昨年の四月以来新料率でいきたいというつもりで、一昨年の秋以来アメリカ軍当局と折衝いたしたのであります。組合会で決議いたしましたことも同様でございます。アメリカ軍の当初の考え方は、断じて料率引き上げの必要はないという考え方でございまして、私どもといたしましては、何とかこれを実現いたしたい、そのためにはアメリカ軍と折衝の過程ではあるけれども、われわれの決意を示す意味からいっても、組合会の決議に事業主側も賛成するというふうにした方がこの問題を実現するために一番いい唯一の方法であると考えまして、組合会の決議を見たわけでございます。しかしその後もアメリカ軍の了解を得られず、非常な難航を重ねたのでございますが、ようやく健保の実態も軍の了承するところとなりまして、昨年の十月実施を見たのでありまして、この点は先生のお話にございましたけれども、私どもといたしましては、厚生当局の御援助もあずかって大いに力があるのでございますが、大きな仕事をなし遂げたというくらいの気持でいるわけでございます。  またアメリカ軍に対しまして、同時に健保の内容がどういう状況にあるかという点も、十分理解させ得たと考えているわけでございます。一方健康保険組合の経費に限らず、駐留軍関係経費につきましては、日本政府法律上の責任者として費用は払っておりますが、アメリカ側からそれの償還を求めることになっております。アメリカ側の償還の約束があって、初めて政府側の支払いができるわけでございますので、すべて軍との折衝及び協定を経なければ、支払いをすることができないわけでございます。この保険料につきまして、過去の保険料の未払いをもう一回払えというようなことは、ただいま申し上げましたようないきさつからいって、とうてい不可能なことでございます。私どもといたしましては、今後も常時健保の財政状況、経営状況、所要経費その他につきまして、絶えず軍側に了解を求め得るように連絡をとって、駐留軍健保が健全な運営をいたしまするために必要な経費を確保するという点につきまして、遺憾のないようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。具体的に申しますれば、将来健保の運営に必要な場合に、保険料率の引き上げが問題となるということもあれば、この点につきましてさらにアメリカ軍と折衝をする。また御指摘がありました一億数千万円の赤字等につきましても、それの償還につきまして必要な場合に、健保の料率の引き上げをするということによりまして、健保の健全な運営に必要な経費の確保に努めるようにいたしたい。こういうふうに私としては考えている次第でございます。
  131. 滝井義高

    滝井委員 実は現実の一億五千万円はどうするか、どうして処理するかということなんです。将来の問題はそれでいいんです。将来も、私は駐留軍の実態から考えて、健康保険というものはなお赤字が出ていくと思うのですが、現在の一億五千万をどうするかということなんです。実は法定準備金が三億くらいあるはずなんです。その中からこの一億五千万円くらい出したいといっているけれども、これは厚生省当局が六千万円しか出していない。これは私は厚生省に責任があると見ている。川崎厚生大臣の当時、七月か八月には認可するというのがだんだんおくれたんです。認可しますと川崎厚生大臣はこの委員会に答弁している。それがおくれたんです。それはアメリカのいわゆる日米合同委員会のもとにおける、サブコミティか何か分科会でごたごたしているうちにおくれてきた。見通しを誤ったのです。すぐしてくれると思っておった。だからこれは調達庁にも、組合会として議決しておって、見通しの誤まりがある。厚生省にも責任がある。だからこの一億五千万円の赤字については、組合の方も何とかわれわれの必要な持ち分を持とうといっているから、これは少くとも調達庁監督官庁のあなたの方が、認可をしなかったという責任もあるのですから、何らかこれは御協議を願って、急速に私は解決してもらう必要があると思うのです。それをおできになりますか。その点何らかの形でこれは解決しなければならぬ。たとえば法定準備金を全部出させるということも一つ方法かもしれませんが、何か具体的にこれを解決してもらわなければならぬ。このままでは、健康保険組合はますます不健全になってくるのです。どうしますか。何か具体的な方法があるのですか。
  132. 海老塚政治

    ○海老塚政府委員 ただいまの一億五千万円というのは、四月から保険料が新しい料率で徴収されるならば入ったであろう収入よりも、現実に厚生省が認可いたしました組合の予算に従った予算における収入、すなわち十月から新料率、それ以前は旧料率ということで、実際に認可された予算によった場合には一億五千万円少くなったということであろうと思うのでございますが、その点はいかがでございましょう。
  133. 滝井義高

    滝井委員 実質的にはこれはそうではないかもしれません。しかし現実には赤字で出ていることは間違いないわけですね。しかもその赤字の原因の一半の中には、認可がおくれたということがあるわけです。千分の五十から千分の五十八に引き上げるというのは四月一日からやりますと言っている。普通日本の健康保険なら、組合会で決定してくれば厚生省はどんどん認可をしているのです。ところが駐留軍に限っておくれているのです。これは事実なんです。しかもそれは、厚生大臣がすぐにやりますと言っておったにもかかわらずだんだんおくれて、多分あの言明をしてからも二カ月か三カ月おくれている。それよりかもっと前に厚生省は、日本政府責任において——日本政府の管理下にあるところの健康保険組合だから権限があるわけです。ところがアメリカの圧力のもとにだんだん引きずられたのです。引きずられたということは日本政府責任です。それだけの政治力がなかったわけです。だからその分については全部を政府に見てくれとは組合も言っていない。一億五千万円の中については組合も応分の負担をしますから、一つ政府も何とかしてくれ、こういうことです。これは話の筋が通っていると思う。それについては一つ、ここで御言明ができなければ、監督官庁の厚生省当局と調達庁の方と、十分御懇談を願って、この赤字解消の具体的な方策を講じていただく、それについては組合の方も何ぼか金を出すというなら、労務者の方も何ぼか持とうという意見があるわけです。赤字をほうっておいてそのまま健康保険組合の健全な合理化をすることはできないわけです。私はその点をお尋ねしている。これは厚生省にも責任があるのですよ。
  134. 高田正巳

    高田(正)政府委員 駐留軍労務者健康保険組合の料率引き上げの認可がおくれましたことは、滝井先生御指摘の通りです。なぜ私の方で認可が出せなかったかといいますと、被保険者側は、これは料率を引き上げてそれだけの保険料を納めるにつきましては、組合会で同意をいたしておりますので、これは入ってくる十分の見通しがある。ところがこの場合には事業主側の調達庁の方がその米軍との話し合いがつかなければ払い込みができないという建前になっております。従いましてその明らかに払い込みのできないような予算、明らかに歳入欠陥を来たすような予算を私の方としては認可できない。認可したとしましても、それだけの歳入欠陥が起きてくるわけです。従ってこの問題は、一億五千万円という数字が、先ほど海老塚部長が言われたように、認可ありたるものと仮定して、その差額という意味でございますか、あるいは現実赤字という意味でございますか、そこはわかりませんけれども、かりに現実赤字であるとすれば、これは今回船員保険法がとっておりますように、赤字償還財源として料率を引き上げるかというような問題に相なってくると思うのであります。そういう線でこれは解決さるべき問題であろう。その場合にも使用主側といたしましては、うしろに実質的な使用主の米軍が控えているわけでございますから、これとの話し合いが要るということに相なってくるかと思うのでございます。
  135. 滝井義高

    滝井委員 実は私が申し上げているのは、方法はいろいろあると思う、今すぐに方法をお出しなさいということもなかなかむずかしいでしょう。だから少くとも一億五千万円というものは、正確かどうかわかりませんが、私の持ってきている資料では、三十年九月、いわゆる上半期における歳入欠陥になっております。その後またこれがふえておるか、減っておるかわかりませんが、九月現在の話を私はしておるわけですが、現実にそれだけあるらしいということは大体確実なようである。しかもそれが全部政府が認可しなかったために起ったかどうかということはなお疑問があります。しかし一億五千万円の赤字があるということは大体確実なようである。そうしますと、それについて何か対策を講じなければならぬその一半の責任というものは、認可をしなかった政府にもあるのだ、こういうことを言っておる。それは当時、今局長が御説明になったようなことは、川崎厚生大臣も、一言半句も言わなかった。久下局長も言わなかった。そういうことがあれば問題はなかったのです。当時の速記録を見てごらんなさい。川崎さんが、これは必ず認可します、こう言ったのです。認可をするということは、明らかに調達庁の方も組合会に入って議決をしておるのですから、組合会に調達庁も入って議決さえしておけば、アメリカ軍が言うことをきくだろうという一つの戦術で議決したということは、あの当時は一言半句もなかったのです。今になってあなた方は、戦術でそうやったと言われるように結論的になるようでありますが、これ以上は時間がありませんから、私はくどく申しません。そこでこれは方法はいろいろあると思いますから、よく駐留軍労務者の諸君と、厚生省、それから労務担当の部長さんの方で十分御懇談になって、彼らに納得させていく線でこの問題を解決していただきたい、こう思うのです。これはどういう形で解決するにせよ、そういうことにしていただきたいという希望を述べたいのですが、そういうことをやっていただけますか。
  136. 海老塚政治

    ○海老塚政府委員 答弁を繰り返すようで恐縮でございますが、駐留軍健康保険組合が今後とも存続いたすに必要な経費は確保するということを十分アメリカ側に連絡しまして、現在予定の積立金をくずしたりしているようなことも十分アメリカ側に了解させまして、組合員の方でも必要とあれば保険料の引き上げということについて異見がないというような先生からのお話もございましたが、そういう点も軍の方に申し上げまして、組合側の収入を十分アメリカ側に連絡しまして、保険料率の引き上げでありますとか、そういうことによりまして、今般生じました予定収入を得らなかったための組合財産の減少という点につきまして、だんだんとそれが穴埋めすることが可能でありますように努力をいたしたいと考えております。
  137. 滝井義高

    滝井委員 ぜひそうお願いいたしたいと思います。  あと薬価の問題と官給明細書の問題だけを残して、大体これで終りました。長いこと質問させていただいてどうもありがとうございました。
  138. 大坪保雄

    大坪委員長代理 次会は明三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十四分散会