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1956-03-03 第24回国会 衆議院 社会労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月三日(土曜日)    午後一時五十六分開議  出席委員    委員長 佐々木秀世君    理事 中川 俊思君 理事 野澤 清人君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君       植村 武一君    加藤鐐五郎君       亀山 孝一君    熊谷 憲一君       高橋  等君    田中 正巳君       田子 一民君    中村三之丞君       中山 マサ君    八田 貞義君       亘  四郎君    阿部 五郎君       井堀 繁雄君    岡  良一君       堂森 芳夫君    長谷川 保君       中原 健次君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 英三君  出席政府委員         厚生政務次官  山下 春江君         厚 生 技 官         (医務局長)  曾田 長宗君         厚生事務官         (保険局長)  高田 正巳君  委員外の出席者         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 二月二十一日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として井  堀繁雄君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十二日  委員阿部五郎君及び井堀繁雄君辞任につき、そ  の補欠として古屋貞雄君及び田中武夫君が議長  の指名で委員に選任された。 同日  委員田中武夫君及び古屋貞雄君辞任につき、そ  の補欠として井堀繁雄君及び阿部五郎君が議長  の指名で委員に選任された。 同月二十三日  委員岡本隆一君辞任につき、その補欠として辻  原弘市君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として岡  本隆一君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十四日  委員田子一民君辞任につき、その補欠として戸  塚九一郎君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員戸塚九一郎君辞任につき、その補欠として  田子一民君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十五日  委員赤松勇君辞任につき、その補欠として水谷  長三郎君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十七日  委員水谷長三郎君辞任につき、その補欠として  赤松勇君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十八日  委員小坂善太郎君、赤松勇君及び岡良一君辞任  につき、その補欠として八田貞義君、小松幹君  及び田原春次君が議長の指名で委員に選任され  た。 同日  委員小松幹君及び田原春次君辞任につき、その  補欠として赤松勇君及び岡良一君が議長の指名  で委員に選任された。 三月二日  委員田中正巳君及び滝井義高君辞任につき、そ  の補欠として伊藤郷一君及び八木昇君が議長の  指名で委員に選任された。 同月三日  委員伊藤郷一君及び八木昇君辞任につき、その  補欠として田中正巳君及び滝井義高君が議長の  指名で委員に選任された。 同日  理事赤松勇君二月二十五日委員辞任につき、そ  の補欠として滝井義高君が理事に当選した。 同日  理事岡良一君二月二十八日委員辞任につき、そ  の補欠として八木一男君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月二十四日  日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案  (八木一男君外十二名提出、衆法第四号) 同月二十七日  厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出第七九号) 同月二十九日  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第八五号) 三月一日  健康保険法等の一部を改正する法律案岡良一  君外十二名提出、衆法第二号)  健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提  出第七八号) 二月二十三日  国立療養所付添廃止反対に関する請願(石山  權作君紹介)(第八二八号)  同(島上善五郎君外四名紹介)(第九〇二号)  同(野原覺君紹介)(第九〇三号)  日本赤十字社法の改正に関する請願(門司亮君  紹介)(第八二九号)  健康保険法による被保険者負担反対に関する請  願(河野正君紹介)(第八三〇号)  同(帆足計君紹介)(第八九八号)  健康保険法改正反対に関する請願(中村時雄  君紹介)(第八三一号)  同(中村英男君紹介)(第八九九号)  同(野原覺君紹介)(第九〇〇号)  同(島上善五郎君紹介)(第九〇一号)  療術既得権存続に関する請願(小澤佐重喜君紹  介)(第八三二号)  同(南好雄君紹介)(第八三三号)  同(伊藤郷一君紹介)(第八五六号)  同(古屋貞雄君紹介)(第八九七号)  原爆被害者治療費国庫補助に関する請願(中  村時雄君紹介)(第八三四号)  衛生検査技師身分法制定に関する請願(小金  義照君紹介)(第八五五号)  美容師法制定に関する請願(櫻内義雄君紹介)  (第八七四号)  あん摩師はり師、きゆう師及び柔道整復師法  の一部改正に関する請願(楢橋渡君紹介)(第  八七五号)  未帰還者留守家族処遇改善に関する請願(小  川半次君紹介)(第八七六号)  南方関係元軍人の処遇改善に関する請願(小川  半次君紹介)(第八七七号)  元満州開拓民及び青少年義勇隊員処遇改善に  関する請願(小川半次君紹介)(第八七八号)  地方公営企業職員労働者災害補償保険法適用  除外の請願(井岡大治君紹介)(第九〇四号) 同月二十九日  美容師法制定反対に関する請願(田中伊三次君  紹介)(第九三七号)  あん摩師はり師、きゆう師及び柔道整復師法  の一部改正に関する請願(加藤高藏君紹介)(  第九三八号)  同(眞崎勝次君紹介)(第九三九号)  同(唐澤俊樹君紹介)(第九八一号)  同(山下榮二君紹介)(第九八二号)  衛生検査技師身分法制定に関する請願(八田  貞義君紹介)(第九四〇号)  未帰還者留守家族等援護法の一部改正に関する  請願(安藤覺君外一名紹介)(第九四一号)  元満州開拓民及び青少年義勇隊員処遇改善に  関する請願(安藤覺君外一名紹介)(第九四二  号)  健康保険法改正反対に関する請願(南好雄君  紹介)(第九四三号)  同(猪俣浩三君紹介)(第九四四号)  同(中崎敏君紹介)(第九四五号)  同(岡崎英城君紹介)(第九四六号)  同(小林信一君紹介)(第九五六号)  同(中原健次君紹介)(第九五七号)  同(川上貫一君紹介)(第九五八号)  同外四件(福田篤泰君紹介)(第九五九号)  同外一件(三鍋義三君紹介)(第九六〇号)  同(堂森芳夫君紹介)(第九六一号)  同(正木清君紹介)(第九六二号)  同外二件(帆足計君紹介)(第九六三号)  同(成田知巳君紹介)(第九六四号)  同(田中武夫君紹介)(第九六五号)  同外六件(飛鳥田一雄君紹介)(第九六六号)  健康保険法による被保険者負担反対に関する請  願(田中稔男君紹介)(第九六七号)  同(福田昌子君紹介)(第九六八号)  国立療養所付添廃止反対に関する請願(帆足  計君紹介)(第九六九号)  生活保護法最低生活基準額引上げ等に関する  請願(帆足計君紹介)(第九七〇号)  国民健康保険完全実施に関する請願(野田卯  一君紹介)(第九七一号)  戦傷病者再発診療費全額国庫負担に関する請  願(野田卯一君紹介)(第九七二号)  日本赤十字社法の改正に関する請願(岡良一君  紹介)(第九七三号)  同(石村英雄君紹介)(第九七四号)  療術既得権存続に関する請願外一件(古川丈吉  君紹介)(第九七五号)  同(淺香忠雄君紹介)(第九七六号)  同(高岡大輔君紹介)(第九七七号)  同(河野金昇君紹介)(第九七八号)  同(石田宥全君紹介)(第九七九号)  同(井谷正吉君紹介)(第九八〇号) 一月一日  日本赤十字社法の改正に関する請願(柳田秀一  君紹介)(第一〇三一号)  同(赤松勇君紹介)(第一一一〇号)  美容師法制定に関する請願(岡崎英城君紹介)  (第一〇三二号)  美容師法に関する美容行政連盟案の一部反対に  関する請願(岡崎英城君紹介)(第一〇三三  号)  療術既得権存続に関する請願(田子一民君紹  介)(第一〇三四号)  同(中村梅吉君紹介)(第一〇三五号)  同(小金義照君紹介)(第一〇三六号)  同(受田新吉君紹介)(第一〇三七号)  同(西尾末廣君紹介)(第一〇三八号)  同(田子一民君紹介)(第一〇八一号)  同(菊池義郎君紹介)(第一〇八二号)  同(瀬戸山三男君紹介)(第一〇八三号)  同(戸塚九一郎君紹介)(第一一〇六号)  同(山口シヅエ君紹介)(第一一〇七号)  同(勝間田清一君紹介)(第一一〇八号)  同(淺沼稻次郎君紹介)(第一一〇九号)  衛生検査技師身分法制定に関する請願(加藤  鐐五郎君紹介)(第一〇三九号)  健康保険法改正反対等に関する請願(神近市  子君紹介)(第一〇四〇号)  同外二件(塚原俊郎君紹介)(第一〇七八号)  健康保険法改正反対に関する請願外八件(三  輪壽壯君紹介)(第一〇四一号)  同(西村彰一君紹介)(第一〇四二号)  同(河野密君紹介)(第一〇四三号)  同(帆足計君紹介)(第一〇四四号)  同(島上善五郎君紹介)(第一〇四五号)  同(古井喜實君紹介)(第一〇四六号)  同(岡崎英城君紹介)(第一〇四七号)  同(石野久男君紹介)(第一〇四八号)  同(小山亮君紹介)(第一〇四九号)  同外一件(山花秀雄君紹介)(第一〇五〇号)  同(塚原俊郎君紹介)(第一〇七九号)  同(赤澤正道君紹介)(第一〇八〇号)  同(徳安實藏君紹介)(第一一一五号)  同(多賀谷真稔君紹介)(第一一一六号)  同(山花秀雄君紹介)(第一一一七号)  同外一件(赤松勇君紹介)(第一一一八号)  同(池田禎治君紹介)(第一一一九号)  同(吉川兼光君紹介)(第一一二〇号)  同(柳田秀一君紹介)(第一一二一号)  同(井出一太郎君紹介)(第一一二二号)  同外五件(栗原俊夫君外二名紹介)(第一一二  三号)  国立療養所付添廃止反対に関する請願(山花  秀雄君紹介)(第一〇五一号)  同外一件(栗原俊夫君外二名紹介)(第一一三  一号)  国立療養所給食費増額に関する請願(山花秀  雄君紹介)(第一〇五二号)  同(栗原俊夫君外二名紹介)(第一一二四号)  結核回復者更生措置に関する請願(山花秀雄  君紹介)(第一〇五三号)  同(栗原俊夫君外二名紹介)(第一一三二号)  生活保護法最低生活基準額引上げに関する請  願(山花秀雄君紹介)(第一〇五四号)  同(岡崎英城君紹介)(第一〇五五号)  同(栗原俊夫君外二名紹介)(第一一二六号)  生活保護法最低生活基準額引上げ等に関する  請願(花村四郎君紹介)(第一〇五六号)  同外一件(栗原俊夫君外二名紹介)(第一一二  七号)  国立岩手療養所付添婦常勤化等に関する請願  (北山愛郎君紹介)(第一〇五七号)  教護院の国営化に関する請願(岡本隆一君紹  介)(第一〇五八号)  同(松前重義君紹介)(第一一一一号)  あん摩師はり師、きゆう師及び柔道整復師法  の一部改正に関する請願(村上勇君紹介)(第  一〇七六号)  理容師美容師法の一部改正反対に関する請願(  唐澤俊樹君紹介)(第一〇七七号)  健康保険における医療給付費の二割国庫負担に  関する請願(神近市子君紹介)(第一一一二  号)  同(小牧次生君紹介)(第一一一三号)  同(中居英太郎君紹介)(第一一一四号)  アフター・ケア施設費国庫補助増額に関する請  願(栗原俊夫君外二名紹介)(第一一二五号)  社会保障費増額に関する請願外二件(栗原俊夫  君外二名紹介)(第一一二八号)  健康保険法による被保険者負担反対に関する請  願(栗原俊夫君外二名紹介)(第一一二九号)  健康保険法による被保険者負担反対等に関する  請願(栗原俊夫君外二名紹介)(第一一三〇  号) の審査を本委員会に付託された。 同月二日  新医療費体系反対に関する陳情書外三件  (第二一九号)  コールドパーマ液製造基準設定に関する陳情  書(第二二四号)  新医療費体系反対等に関する陳情書外一件  (第二三五号)  同外一件  (第二五五号)  療術既得権存続に関する陳情書  (第二三  六号)  村会医療保険制度改正反対に関する陳情書  (第二五四号)  同(第二七七号)  同  (第三一八号)  美容師法制定に関する陳情書外七十二件  (第二七六  号)  地方衛生研究所の法制化に関する陳情書  (第二七八号)  健康保険国庫負担金増額に関する陳情書外一  件  (第二八〇号)  蚊、はえの撲滅費国庫補助に関する陳情書  (第二八一号)  旧豊川海軍工廠における戦没動員学徒等の遺家  族援護に関する陳情書  (第三一七号)  多良岳、大村湾を国立公園に指定の陳情書  (第三一九号)  簡易水道新設事業促進に関する陳情書  (第三三三号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提  出第七八号)  厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出第七九号)  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第八五号)  健康保険法等の一部を改正する法律案岡良一  君外十二名提出、衆法第二号)     ―――――――――――――
  2. 佐々木秀世

    佐々木委員長 これより会議を始めます。  この際理事補欠選任の件についてお諮りいたします。去る二月二十五日に赤松勇君、同月二十八日に岡良一君がそれぞれ委員辞任されましたので、それに伴いまして理事の欠員を生じましたので、その補欠選任を行いたいと存じます。  選挙の手続を省略し、委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木秀世

    佐々木委員長 御異議なしと認め、理事滝井義高君及び八木一男君を指名いたします。
  4. 佐々木秀世

    佐々木委員長 内閣提出健康保険法等の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の三法案を一括議題とし審査に入ります。  趣旨の説明を聴取いたします。小林厚生大臣
  5. 小林英三

    小林国務大臣 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案並びに船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。  まず健康保険法等の一部を改正する法律案でございますが、健康保険制度は、昭和二年実施以来、今日まで約三十年間労働者疾病負傷時における生活保障を行う制度として親しまれて参りまして、今や我国社会保障制度一大支柱をなす制度として、その給付内容も逐年充実を重ね、特に近年においては、日々に進歩する近代医学の成果をそのつど取り入れ、必要とされる適正なる医療を実施して今日に及んでおりますが、その結果、医療費は逐年増属し、特に賃金水準の低い中小企業を対象とした政府管掌健康保険においては、昭和二十八年末に至り給付費がついに保険料収入を上回るに至り、保険経済はきわめて困難なる事態に立ち至ったのであります。この情勢に対処して政府昭和二十九年秋以来、被保険者報酬実態把握不正請求不正受給の排除、保険料収納率向上等各種行政措置を講じ、財政健全化をはかる一方、昭和三十年度予算の編成に際しましては、前年度四十億円、当年度六十億円の収入不足見込みに対し、七十億円の政府資金融資をはかり、向後七年間毎年十億円あて一般会計負担において返済するものとしたほか保険料率を千分の五引き上げて二十五億円の増収を行い、収支均衡をはかって参ったのでありますが、引き続く医療費増高の結果は、昭和三十一年度におきましては再び六十六億円余の収入不足を生ずる見込みとなったのであります。近代医学の進歩と国民の衛生思想の普及に伴い、医療費が年々増加いたしますることは、やむを得ざることではありますが、保険財政におきましては、問題はこの医療費をいかにしてまかなうかということになって参るわけであります。健康保険の仕組みの中において、この医療費増高をまかなうに足る保険料収入が確保できるならば問題は簡単でありますが、今日の情勢といたしましては、すでに昨年におきまして保険料率現行法で認められている最高限度まで引き上げられておるのでありまして、これを再びさらに引き上げるということは、現実には、ほとんど不可能と考えられるのであります。それゆえ健康保険事業の恒久的かつ健全な発展を期するためには、この際本制度の根本的な改革が必要とされるのであります。このような見地から、政府社会保険審議会並びに社会保障制度審議会の答申を慎重に検討するとともに、医療保障に関する与党の方針にのっとって、今回の改正案を立案いたしたのでありますが、まず、第一に、社会保障制度の確立を促進する意味において、政府管掌健康保険事業発達をはかるため、国庫より財政援助を行うことを法律上明文化し、昭和三十一年度におきましては三十億円を一般会計より受け入れることといたしたのであります。第二に、将来にわたって健康保険の健全なる発達をはかるため、療養給付を受ける者に対する一部負担金範囲を広げ、これによって昭和三十一年度において約二十三億五千万円の給付費の節減をはかったのであります。さらに標準報酬等級区分の改訂、行政対策強化等を行うことといたし、これらの諸措置によりまして収支均衡をはかることといたしたのであります。  なお一方におきまして保険機構整備をはかるため、保険医保険薬剤師制度を改め、我国医療の実態に応じた機関指定方式を採用することといたし、また、社会保険診療報酬支払い基金における診療報酬請求書審査につきましてその公平正確を期するため審査機構整備いたすこととしたのであります。  以上申し述べましたように、これら諸改革は単に健康保険財政対策というような狭い意味のものではなく、社会保障制度特に全国民を対象とする医療保障制度完全実施を前提としつつその一環として実施するものでありまして、我国医療保障制度が今後急速に健全に発達して参る上において一転期を画すべきものと考えております。  この法律案は右の趣旨に基き提案いたしたのでありますが、なおそのほか改正を機会に、従来から問題のありました点について制度の不備を是正し、その他制度合理化をはかるために若干の改正をもあわせて行わんといたしております。  次に改正案内容を要約いたしますと、  第一に国庫予算範囲内において政府管掌健康保険事業の執行に要する費用の一部を補助するものとすること。第二に標準報酬等級区分最低四千円から最高五万二千円の二十四等級とすること。第三に療養給付を受ける者の負担すべき一部負担金範囲を拡張すること。第四に保険医療制度について個人指定方式の長所をとり入れた機関指定方式を採用すること。第五に継続給付受給資格期間を一年に延長すること。第六に不正受給者に対して損失を補てんさせる措置を講ずること。第七に被扶養者範囲を明確化すること。第八に厚生大臣または都道府県知事検査に関する規定整備すること。第九に社会保険診療報酬支払基金における診療報酬請求書審査機構整備すること等であります。  以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  この法律案厚生年金保険標準報酬最低を引き上げるとともに現行厚生年金保険法施行前に被保険者資格を喪失した女子に対する脱退手当金支給条件を緩和し、あわせて規定整備を行いますことを内容としているものであります。  すなわち、改正点の第一は、健康保険法改正と歩調を合せて、標準報酬最低現行の月額三千円から月額四千円に引き上げることであります。これによって、厚生年金保険健康保険に関する事業主その他関係者の事務は簡素化される結果となると存じます。  その第二は、現行厚生年金保険法施行前に被保険者資格を喪失した女子の一部に対しても脱退手当金を支給し得るような規定を設けようとするものであります。すなわち同様の事情にある男子に対しましては現行厚生年金保険法により支給できるようになっておりますので、これと均衡をとりまして、女子に対しても脱退手当金を支給し得る根拠規定を設けようとするものであります。  その第三は、規定整備を行うことであります。現行厚生年金保険法は、その施行より一年十カ月になりますが、この間の経過を検討いたしますに、多少規定の明確を欠く面がありますので、これを明らかにし、解釈上の問題が起ることを避けますため、所要の規定整備を行うものであります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  船員保険制度船員の疾病、老齢、死亡、失業等の各部門にわたる総合的社会保険として、海上労働者の福祉の向上のために重大な役割を果してきたものでありまして、この制度は、我が国海運業及び水産業の発展のためにも重要な基盤となっているものであります。  ところで最近数年来医療費等支出増加のため、その医療給付部門におきまして収支の不均衡を生じましたので、これに対処するため標準報酬適正把握保険料収納率の向上、不正受給排除等各種行政措置を講じて参ったのでありますが、給付費の支出は増加の一途をたどり、財政の実情は、依然として深刻なものがあったのであります。  このため、昭和三十年度においては、赤字処理のための応急的対策として保険料率の引き上げ、標準報酬等級の改訂、給付適正化等を含む法律改正案を第二十二回国会に提出するとともに、健康保険と同様に既往の赤字を補てんするため、一般会計より一億五千万円を六年間にわたって分割繰り入れするの措置を講じたのであります一が、法律改正案審議未了となり、その結果昭和三十年度末においては、約一億九千万円程度の赤字を生ずる見込みとなり、また、昭和三十一年度には、このまま推移すれば約四億円程度の財源不足を生ずるものと見込まれるに至ったのであります。しかもこの赤字は、昭和三十一年度における疾病保険給付費の約十四%に相当し、被保険者一人当りにして約二千二百円余となりますので、その保険財政に及ぼす影響はまことに深刻でありまして、一時的弥縫的な対策をもってしては、この危機を克服することができない事態となっているのであります。このような見地から、政府社会保険審議会並びに社会保障制度審議会の答申を慎重に検討して現行制度の不備を是正しその合理化を行うため本法の改正を今国会に提案することといたしたのであります。  次に改正案内容の要点について説明しますと、  第一に国庫予算範囲内において、船員法災害補償に相当する給付に要する費用を除き、船員保険の執行に要する費用の一部を補助するものとする旨の規定を設けることでありまして、その結果昭和三十一年度においては一億円を一般会計より補助することといたしております。  第二に、将来にわたって船員保険の健全な発達を確保するため、新たに一部負担制度を設けることであります。その実施内容につきましては、船員保険特殊事情を十分考慮して初診の際に定額を被保険者保険医療機関に支払うこととし、船員法規定する災害補償に相当する療養給付につきましては、船主が補てんの責に任ずることといたしたいのであります。  第三に、保険料率につきましては、失業保険の適用を受けるものについては千分の五、失業保険の適用を受けないものについては千分の七を引き上げんとするものであります。  以上のほか、第四に標準報酬等級の区分を改め、最低を五千円とすること。  第五に、報酬が歩合によって支払われる場合の報酬月領の算定方法を改め、前年度における実績を基準として算定するものとすること。  第六に、職務外傷病に対する資格喪失後における療養給付等につき原則として一年につき三月の資格期間を設けること。  第七に、独身入院者の職務外の事由による傷病手当金の支給額を百分の五十とすることのほか、健康保険法改正に準じ被扶養者範囲の明確化、保険医療制度整備等各般の改正を行わんとするものであります。  以上が、この法律案を提案する理由並びに法律案の要旨であります。  何とぞ慎重審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。
  6. 佐々木秀世

    佐々木委員長 以上で説明は終りました。本三法案に対する質疑その他につきましては後日に譲ることといたします。     —————————————
  7. 佐々木秀世

    佐々木委員長 次に岡良一君外十二名提出健康保険法等の一部を改正する法律案議題とし審査に入ります。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。滝井義高君。
  8. 滝井義高

    滝井委員 このたび提出いたしました健康保険法等の一部を改正する法律案について提案理由を申し上げたいと存じます。  御承知のごとく、健康保険制度昭和二年実施以来今日に至るまで三十年にわたって発展を続け、社会保障制度の中核として国民医療保障国民生活の安定に大きな役割を果してきているのであります。現在健康保険は、国家の基幹産業を中心に、労働人口の大半に適用され、国が直接管理している政府管掌健康保険には五百十二万、組合管掌のそれには三百五十万の労働者が加入し、扶養家族を加えて実に二千五百万に達せんとしているのであります。しかもその保険給付に要する費用は、すべて事業主と被保険者の醵出する保険料によってまかなわれており、国は今日までのところ事業運営のための事務費のみを負担しているにすぎないのであります。しかしながら社会保障制度の一環として、強制加入の建前のもとに国がみずから管理に当っている制度である以上、国が社会保障に対する責任を分担する意味において、保険の本体である給付費について国庫負担を行うことは当然であり、特に制度そのものが崩壊せんとしている今日においては、その危機を未然に防ぎとめ、医療保障の一そうの推進をはかるために格段の財政的配慮が必要であると考えられるのであります。  健康保険等については、その給付費の二割以上を国庫負担すべしとの声は関係各団体の年来の世論でありました。ところが治療医学の進歩や、利用度の向上とともに、医療給付費は逐年急速に増大をいたしまして、そのため健保を初め各種の医療保険財政は深刻なる危機に見舞われるに至りました。たとえば政府管掌健康保険医療給付費は、昭和二十六年度において百三十七億円余、これが昭和二十九年度には三百五十億円余、昭和三十年度には約四百二億円、昭和三十一年度には四百四十二億円余と急ピッチで増大し、その結果昭和二十九年度には五十九億円余、昭和三十年度には約九十億円、昭和三十一年度には六十六億円の赤字が見込まれるに至ったのであります。  健康保険制度は各種社会保険のうちでも最も長い歴史と伝統を有し、実にわが国社会保障制度の根幹というべきものであります。しかも現行健康保険保険料率は世界的にもきわめて高率なものであり、従って保険料率を引き上げる余地も乏しく、さりとて旧態に逆行して患者の一部負担を強行することも適当ではないと信じます。すなわちこの際保険給付費については当然相当程度国庫負担をなすべき旨を明らかにする必要があろうと信じて所要の改正を試みたのであります。  すなわち健康保険については、原則として保険給付の百分の二十を国庫負担とし、船員保険についても同様趣旨改正をいたしました。百分の二十といたしました趣旨は、逐年の保険財政の実情とともに、すでに国民健康保険においてこれが実施を見ているところであり、かつまた医療給付費の四割が結核療養費であるところよりその半額程度を国の負担といたすことを妥当といたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  9. 佐々木秀世

    佐々木委員長 以上で説明は終りました。本案に対する質疑その他については後日に譲ることといたします。
  10. 滝井義高

    滝井委員 議事進行についてちょっと発言させていただきたいと思います。それは、健康保険法実施は五月一日からでございます。御存じのように、四月一日から医薬分業が実施をせられます。医薬分業が実施をせられることになりますれば——十九国会以来私たちが審議をいたしておりました医療費体系は医薬分業と不可分の関係にあることはすでに再三にわたって大臣が予算委員会においても参議院においても御言明の通りであります。従って四月一日から医薬分業を実施するとするならば、医薬分業の歴史的な過程から考えて、当然十九国会以来問題となっておりました医療費体系というものが出されなければなりません。少くとも医療費体系というものが出てこなければ、医薬分業というものが実施できないという重大な事態にも直面すると思うのでございます。そこで私は、政府はすみやかに健康保険法審議中に医療費体系を出すことを要望いたして、議事進行の発言を終りたいと思います。
  11. 小林英三

    小林国務大臣 ただいまお話しの新医療費体系というものは、これは医療費のあり方でございまして、従いまして新医療費体系というものは、先般お配りいたしました点数表の中にその考え方が含まれているものと私どもは考えております。
  12. 滝井義高

    滝井委員 もしそういう御趣旨であれば本日同時に御説明を願わなければならぬと思うのですが、私は出ていなかったので、実はきょうの理事会ではそういうことを問題にしなかったわけです。それは先般当委員会で大臣からいつでもお出しできますから出します、こういう御発言があった。私たちが今いただいているのは新医療費体系に基く健康保険及び船員保険の点数表なのです。そこで私たちはその新医療費体系に基くという、その基いた新医療費体系を実は出していただきたい。これは国会昭和二十九年の意思なんです。その国会の意思を無視せられて、大臣の方で勝手にあれは点数表だ、こう言われることになると、これは重大問題なんです。その点私は大臣に誤解があると思われますので、この点を一つ、もし医療費体系がなければないという御言明をいただければけっこうだと思うのです。あればこれをきょう御説明願いたい。あれが医療体系だとおっしゃれば、その説明はもう資料をいただいてありますから同時にしていただかなければならない。あるいはそれはこの次の理事会のあとにしてもらってもかまわぬと思うのですが、その点もう少し明白にしておいていただかないと、これは重大な関係があるのです。
  13. 小林英三

    小林国務大臣 私は今申し上げましたように、新医療費体系というのは、御承知のように、技術と品物を分けて考える問題でございまして、医療費のあり方を示すものでございます。従いまして新医療費体系というものに関しまする問題は、先般お配りしておりまする点数表の説明の中に含まれておる、こういうふうに考えております。
  14. 佐々木秀世

    佐々木委員長 次会は明後五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十二分散会