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1956-09-26 第24回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年九月二十六日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長代理理事 松田 鐵藏君    理事 川村善八郎君 理事 薄田 美朝君    理事 竹谷源太郎君 理事 渡辺 惣蔵君       相川 勝六君    五十嵐吉藏君       林  唯義君    坊  秀男君       本名  武君    北山 愛郎君       小平  忠君    岡田 春夫君  委員外出席者         北海道開発庁次         長       田上 辰雄君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君         文部事務官         (大学学術局庶         務課長)    前田 充明君         農林事務官         (大臣官房長) 永野 正二君         農林事務官         (振興局参事         官)      庄野五一郎君         林野庁長官   石谷 憲男君         通商産業事務官         (大臣官房総務         課長)     中野 正一君         通商産業事務官         (大臣官房物資         調整課長)   石井 秀平君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建設事務官         (河川局次長) 美馬 郁夫君         建 設 技 官         (道路局国道課         長)      河北 正治君         建 設 技 官         (道路局地方道         課長)     大串 満馬君     ――――――――――――― 九月二十六日  委員伊藤郷一君、植木庚子郎君及び瀬戸山三男  君辞任につき、その補欠として坊秀男君、五十  嵐吉藏君及び相川勝六君が議長の指名で委員に  選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  派遣委員より報告聴取  国土総合開発に関する件     ―――――――――――――
  2. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 これより会議を開きます。  本日も廣川委員長は病気のため出席されておりませんので、私が委員長の職務を行いますから、さよう御了承願います。  これより国土総合開発に関する件について議事を進めます。  さき東北北海道委員を派遣し、それぞれ実情調査をして参ったのでありますが、この際派遣委員より報告を聴取いたします。まず、東北地方について竹谷源太郎君。
  3. 竹谷源太郎

    竹谷委員 廣川委員長外ども委員東北地方実地調査をいたしましたその状況を御報告申し上げます。  今回の実地調査は八月一日より五日まで五日間にわたり行われましたが、時日が短期間に限られました関係上、視察いたしました県は福島宮城岩手青森の四県にとどまり、また国土総合開発法の規定による指定地域によって申し上げますならば、主として北上特定地域常磐調査地域仙塩調査地域北奥羽調査地域が中心であったのでありますが、この地域において、できるだけ個々に多くの地点を視察するとともに、各県庁において総括的な報告並びに意見を聴取することに努力を払ったのであります。  参考までに視察地点のおもなるものを申し上げますと、福島県において常磐炭曠磐城曠業所日本水素工業小名浜工場小名浜港、磐城セメントツ倉工場安積疎水秋元発電所、高田、坂下、塩川町水害地等宮城県において阿武隈川及び名取川改修工事現場、塩釜港、石巻港東北パルプ石巻工場北上川改修工事現場等岩手県において岩手山麓開墾事業県種畜場九戸高原開拓地、久慈港、川崎製鉄久慈工場等青森県において八戸港、日本高周波鋼業八戸工場及び淋代鉱区日東化学工業八戸工場三本木開拓地上北開拓地等であります。  まず基本的な問題について最初に申し上げます。東北地方人口密度国民所得産業構造生産指数文化水準等から見ましても、全国平均をはるかに下回る現状にあり、かつ、その有する豊富な各種資源は未開発のまま眠っている状態にあります。かかる未開発資源を有機的に開発し、原料資源として活用することによって雇用の増大をはかることは、単にこの地方経済発展のためのみならず、わが国経済再建のために、重要な役割を果すものであります。政府は三十、三十一両年度にわたり、それぞれ一千万円の東北地方総合開発調査費を計上して、各種の調査を実施しておりますが、さらに三十二年度の予算編成に際しては、まずこれらの認識の上に立って初年度としての抜本的施策を講ずるとともに、その能率的、合理的な事業運営方法もあわせて慎重に検討すべきであります。  また地元各県においては、東北開発についての一連の立法措置を熱望しており、また多額の開発資金の調達のための金融方式についても強い要望があったのでありますが、これまた今後十分検討を要する問題点であります。  それでは各項目別に概要を申し上げたいと存じます。まず農業関係について申し上げます。  農業は本地方における最も主要な産業であると同時に、穀倉地帯としてわが国食糧供給上大きな比重を持っております。今後の農業生産をさらに増大せしめていくためには、国の直轄工事による農地改良を早急に行うとともに、未開拓地については大規模機械開墾を行なって農地を造成し、積極的に有畜酪農を振興することが期待されております。  視察個所のおもなるものについて若干申し上げますと、ます福島県の安積疎水でありますが、これは御承知通り猪前代湖を水源として、いわゆる安積平野の灌漑に供し、八千町歩の水田を潤しているのであります。目下新安積工事農林省直轄で行われておりますが、末端の水路等はすでに相当の進捗を見ておりなから、いまだ幹線水路となる隧道工事が残されております。これは本年度より着工の予定でありますが、早急に完成しなければ効果が上ってこないので、早川完成の必要を痛感いたしたのであります。次に岩手山麓開拓地でありますが、現在までに未墾地政府買収は約九千六百町歩、入植増反約二千五百戸に達しておりますが、特に水田開発が前提となっておりますので、その水源としての岩洞貯水池早期完成が切望されております。  次に岩手県九戸、二戸高原の開拓地でありますが、この地方は、一般にほとんど末利用地であり、かつ土地の生産力は低く、その生活状態も想像に絶するものがあります。これに対しては大規模開墾により農地を造成するとともに、集団的に大量の乳牛を導入して、酪農と結びつけた集約農業を確立すべきでありますが、両地域集約酪農地域指定候補地となっており、また世界銀行の有力な融資対象地区となっておりますので、将来が大いに期待されております。なお酪農の基盤たる草地改良については、県当局よりこの際ぜひとも造成補助予算を復活してほしい旨の要望がありました。  次に、青森県の三本木開拓建設事業並びに上北地区開墾事業でありますが、三本木開拓事業につきましては、天間林三本木、沼崎、谷地頭、四工区のうち、すでに天間林三本木二工区はほとんど工事を完了しておりますが、なお五億円余の事業費を要しますので、早期完了には年次別事業費の増額が望まれております。  また、上北地区機械開墾事業につきましては、当地区全国的にも有望な未開墾地であり、世界銀行及び余剰農産物見返り資金資金源として機械開墾を実施しているのでありまして、これに伴って家畜を導入し、五年ないし七年で営農を確立し、農地開発を促進しようとするものであります。目下機械公団より機械の貸与を受けておりますが、事業単価が高く、開墾事業に支障を来たしておるようであります。この地区機械開墾モデル地区となっておりますので、特に機械公団の運営には十分考慮する必要があろうと思います。またこの地区では、幹線道路の開設のおくれか目立っており、入植者はすでに入植準備を完了しておりますが、いまだ開拓地に入れない状態にありました。これらの点は早急に何らかの措置を必要とするものと考えます。なお事業費としては、建設工事及び開墾その他を含めて十九億二千万円余り、このうち入植者負担は六億八千万円余り国庫負担は十一億六千万円余りとなっており、特に入植者には過重負担となっているように思われます。  次に、各県において試作中のテンサイについて述べたいと存じます。テンサイ栽培については、福島県、宮城県においてそれぞれその権威者から詳細な説明を聞くとともに、青森県においては、フジ精糖試作地を見て参ったのであります。テンサイは御承知通り高い含糖率を持ち、良質の糖分として珍重されるばかりでなく、テンサイより糖分をしぼったかす、すなわちビート・パルプは、これまた最優良飼料でありまして、テンサイ糖業酪農を結びつけるならば、理想的な農業経営をもたらすことができるのであります。東北各県においては、それぞれ県立試験場において、あるいは民間委託調査等により、熱心にこの試作研究を行なっており、好成績をおさめております。将来は、福島県においては阿武隈、那須、奥羽山系に、宮城県においては蔵王地区に、君手県においては久慈高原に、青森県においては上北郡に、それぞれ栽培が行われることになると思いますが、政府は、本年の実績を見て、明年度より本腰を入れてテンサイ糖業の育成に当るべきであります。なお、各地に工場設置要望がありましたが、将来は少くとも東北二つ製糖工場の設置は必要であろうと思います。  なお、東北地方集約酪農地域は、現在七地域となっておりますが、他に多数の有望な候補地がありますので、できるだけ早い機会に集約酪農地域の設定を行い、酪農の振興をはかるべきであります。  次に、林業関係について申し上げます。東北地方の、森林資源は、北海道に次いで恵まれております。その森林面積及び蓄積量は、全国の約二〇%を占め、しかも、その国有林の面積が大きいのと、広葉樹林の占める割合が多いのが特徴であります。その分布状況について見れば、交通施設が不備なため、奥地林蓄積量が大きな比重を占めている状態でありますので、すみやかに奥地林道整備を促進するとともに、広葉樹林合理的開発を行い、木材の総合的利用工業を振興させる必要があります。なお現地においては国有林払い下げ促進等についての特別な措置要望しておりました。  次に、水産関係について申し上げます。東北地方三陸沿岸に豊富な漁場を持ち、かつ太平洋沿岸リヤス式海岸であるため、自然の良港に恵まれていますが、漁港整備その他漁業施設の立ちおくれが目立っております。さしあたり遠洋漁業の態勢を整えるため、三種、四種漁港の整備拡充を急がれておりますが、さらに背後地輸送施設冷凍庫設備等漁港機能施設整備もあわせて促進する必要があります。ことに漁港関係冷凍庫冷蔵能力現状について申し上げると、前年度において冷蔵能力五千立坪以上のもの一港、四千立坪以上のもの一港、三千立坪以上のもの二港、二千立坪以上のもの二港、千立坪以上のもの六港という現状であり、冷凍設備の貧弱さを物語っております。冷凍設備水産加工施設の強化のために、現地では農林漁業金融公庫の積極的な融資ワク拡大等措置を切に望んでおり、また漁船の建造に対する長期低利資金の融資、零細漁民に対する保護育成に関し、要望がありました。  次に、鉱業関係でありますが、東北地方においては、多種多量地下資源埋蔵量を持ち、その生産量も石油、天然ガスチタン全国生産量の大半を占め、硫黄、鉄等は全国生産量のほぼ二分の一近いものを生産し、その他硫化鉱、銅、二酸化マンガン、鉛等も多く産出しておりますが、いまだ開発されざる資源も多く、鉱山道路整備と未利用資源調査の促進が望まれております。ことに鉱山道路の未整備は、東北地方の鉱業の開発がおくれている最大の原因でありまして、全国有数地下資源を持ちながら、探鉱や試掘が困難であるため放置されているものも多く、また既設鉱山においても、鉱石あるいは物資の搬出がきわめて困難であるため、産出がはばまれていることも各地に見聞して参ったのであります。この方面には国の特別の措置が必要であろうと存じます。  おもなる視察個所について若干申し上げますと、ます常磐炭鉱でありますが、御承知通りここは低品位炭の出炭も相当多く、この活用については特に意を用いているようであります。すなわち現在、平、湯本にある自家用火力発電あるいは目下勿来建設中の出力七万キロワットの常磐共同火力は、それぞれ低品位炭を利用したものであり、また将来の問題として、平、東京間に約二百キロにわたるパイプ・ライン施設を作り、都市ガスに活用する計画も進められております。なお、日本水素工業小名浜工場では、昨年コッパース式ガス化炉を設置いたしまして、これまた常磐低品位炭を利用して原料ガス源に使い、大幅な硫安のコスト引き下げをはかっており、各方面より注目されております。  次に、青森県東部の砂鉄でありますが、青森県下北郡、上北郡等の埋蔵量は、全国砂鉄埋蔵量のほぼ五〇%に相当する四千五百万トンに達するといわれておりますが、いまだ調査の及ばない地区においても相当量砂鉄の賦存が想定されており、十分な調査が実施されていない状態であります。砂鉄わが国重要鉄資源であるばかりでなく、唯一のチタン資源でありますので、調査関係予算の増額はぜひとも必要であろうと存じます。  なお、岩手県においては、地質調査専門家より、県下の地下資源分布状況等について詳細な説明を聴取する機会を得ましたが、特にその隘路として、一、鉱山開発道路整備されていないこと、二、中小鉱山が多く、金融面において行き詰まっていること、三、鉱山技術者が少いこと、四、機械力に欠けていること、等があげられておりました。  次に、工業及びその立地条件、並びに港湾関係について申し上げます。東北地方においては工業部門の立ちおくれが目立ち、工業生産額全国の約五・一%といわれております。既存の工業地帯の大部分は一、二種の単一工業を、主体として分散し、重要港に指定された港湾を擁しておりますので、これらの港湾整備拡充等工業立地条件整備背後地資源合理的利用によって、将来臨海工業地帯として発展する可能性を持ったところが少くないのであります。立地条件としては、工業用水工業用地交通網整備並びに港湾修築等が重要な要素となっておりますので、ことに総合的、有機的な開発計画が必要であります。なお新規工業として、砂鉄利用工業、低品位炭利用工業天然ガス利用工業木材総合利用工業海水利用工業等が研究されつつありますので、これらに対する育成指導には、特に重点を置く必要があります。  視察個所のおもなるものについて若干申し上げます。  まず平市と小名浜港中心とする常磐地区でありますが、この地区常磐海岸唯一の良港たる小名浜港を擁し、背後に豊富な地下資源があり、戦後只見川電源開発か本格的に着工されるに伴って、地区内各地工場の新増設が行われ、さらに今後も化学工業の進出が見込まれております。  小名浜港は、現在大型係船施設としては、三千トン岸壁バースを有しておりますが、将来の鉱工業の伸張に備え、一万トン岸壁バース、八千トン岸壁バース、六千トン岸壁ニバース、三千トン岸壁ニバース等拡充計画により、目下鋭意実施中であり、なかんずく一万トン岸壁は、工事費一億円をもって、県担事業として二十九年度より着工され、近く完成の運びとなる予定でありますが、この県並びに地元の熱意は、賞讃に値するものであります。次に工業用地でありますが、この地方の地盤は砂地であり、工場建設には適当であって、約八十三万坪の工場適地があるとされています。しかし農地の壊廃を伴う場合には、地価が高騰することか予想されるので、県当局としては、海岸埋め立てを促進するとともに、二十一億円の巨費を投じて、二百万坪の整地を行わんとしております。なお工業用水は、この地区の難点であり、一部工場ではやむを得ず海水で代替しているところもあるようです。従来用水は水源を鮫川及び好間川に求めているが、専用水路を持たず、わずかに農業用水と共用している状態でありまして、その必要量の確保は望むべくもありません。県当局としては、十億の工事費を投じ、鮫川の水を磐城市に引き込む工業用水路建設計画しておりますが、抜本的には湛水湖の造成等を考慮すべきであります。  次に、仙台市と塩釜港を中心とする仙塩地区でありますが、現在周辺に工業の見るべきものはないが、この地区の門戸たる塩釜港は、外国貿易内国貿易において、発展する種々の要件を備えており、工業立地条件整備に伴い、将来を期待されております。現在塩総港は、大型係船施設としては三千トン岸壁バース、一千トン岸壁バースを持っておりますが、昭和三十四年度までの一期計画として、一万トン岸壁バース、三千トン岸壁バース等を実施中であります。工業用地につきましては約一千三百万平方メートルの工場適地がありますが、昨今石油工業を初め諸工業の進出が目ざましく、一日も早く工業川地の造成をはからなければ、時期を失する結果となると思います。工業用水はもっぱら地下水によってまかなわれておりますが、将来はやはり工業用水の不足が難点となるのでありまして、大倉ダムを早急に完成しなければ、抜本的解決策はないように思われます。なお県当局としては、この地区に主として機械工業工場建設を行い、東北地方力全般の諸工業の基地たらしめようと期待しておりますが、単に機械工業のみならず、さらに多角的に諸工業の誘致を考慮すべきものと考えます。  次に、石巻地区について申し上げます。この地区は河口港たる石巻港を擁し、豊富な水産資源森林資源に恵まれておりますが、企業としては見るべきものが少く、東北パルプが唯一の大企業であります。石巻港について申し上げますと、北上川の流砂と港口の侵入漂砂のため、航路及び港口の埋没が著しく、現状においてはせいぜい三百トン級から五百トン級の船舶しか入港できない状況であります。現在恒久的な水深維持をはかるため、導流堤延長工事を実施しておりますが、将来はむしろ工業港として、東北パルプの前面に考えられている新しい堀制式の築港の実現をはかるべきであろうと思います。また当地区では、目下日本大学研究所に委嘱して、工業開発基礎的研究を行なっておりますが、計画の一つとして、将来東北パルプと並んで木材糖化工場を誘致すべく研究を進められているようであります。  次に、八戸地区でありますが、背後に大規模な工業が起りつつあり、将来は有望な地点であります。八戸港は地理的条件に恵まれ、北海道に最も近い工業地帯でありまして、ことに北海道から直接機帆船が入れることがこの港の発展をもたらしめたものと思われます。現在大型係船施設としては、三千トン岸壁バースと、物揚場千メートルがあるのみであり、荷役はほとんど沖荷役にたよっている現状でありますが、荷役量は逐年増加の傾向にあり、現在田の直轄工手により一万トン岸壁建設が行われております。なお日曹製鋼砂鉄工場及び東北電力火力発電所建設計画が具体化されましたので、目下約十八万坪の工業用地造成と、千トン岸壁バース、船舶の航路浚渫工事が急がれております。  なお東北興業株式会社セメント工場建設について申し上げます。東北興業事業運営状況については、福島県庁において副総裁より詳細な説明を聴取したのでありますが、ことに新規事業としてのセメント工場建設については、明年三月完成を目標に着々準備を進めているとのことでありました。すなわち工場岩手県東磐井郡東山村に置き、工場敷地約三万坪に工場建物約二千坪を建設し、いわゆるシャフト・キルン方式により、所要資金十四億円をもって、月二万トンの生産を行う予定であります。すでに資金関係敷地関係等の基礎的諸準備は完了しております。申すまでもなくセメント東北開発のための第一次的重要資材であり、できるだけ安いコスト生産し、供給されることが望ましいのでありまして、セメントを出産する各社の協力が必要であります。  次に、電力関係でありますが、東北地方は完全な水力地帯であって、包蔵水力は約六百万キロワット余りで、全国の二六・六%を占めており、そのうち既開発は約二百万キロワット余りであります。消費は三十年度において五十一億キロワットで、東京電力からの受電あるいは火力発電により補っても不足は解消しない現状にあり、奥只見、北上、十和田等電源開発が逐次進むにつれて若干緩和されることと思いますが、最近特に需要の伸びが著しく、地元側には水火力電源開発と、送電施設整備強化について切なる要望がありました。この際一言しておきたいことは、現行電気料金制度改正等特別措置を望む陳情が多かったのであります。種々問題はあろうかと思いますが、今後十分検討を要すべきものと存じます。  次に、交通関係について申し上げます。東北地方後進性の要因の一つは交通網が貧弱であることにあります。鉄道は延長四千キロ余り道路は三メートル六十以上のもの三万キロ余りであり、全国平均に比し著しく低水準にあります。鉄道においては新線建設要望は各所にありましたが、既設鉄道輸送力増強とあわせて、積極的に推進すべきであります。道路につきましても特に一級国道並びに東西横断幹線道路の改修、産業開発道路整備山岳部縦貫道路調査を促進する等、積極的な措置を講じなければなりません。なかんずく鉱山道路開設整備が強く要望されていることは、さきに申し上げた通りであります。  次に、視察を行いました福島県下の水害地について申し上げますと、御承知通り去る七月未曽有の豪雨により、会津地方各河川ははんらんし、猪苗代等湖水面は上昇を来たし、各所に山くずれ、河川の決壊を生じまして、県下百七十六名の死傷者を出すとともに、農林、水産、土木部門等に約二十六億円に達する被害を及ぼしたのであります。これに対しては、すみやかに補助金を交付するとともに、低利資金融資等、万遺憾なき応急措置を講ずべきでありますが、将来の恒久対策十分検討がなされなければなりません。ことに日橋用流域の災害につきましては、豪雨時に際し、猪苗代湖十六橋水門の管理に種々問題があったやに聞いたのでありますが、各湖水の洪水調節、あるいは発電用貯水池水位調整等根本対策を考慮するとともに、気象施設等整備し、各関係者緊密一体となって、災害を未然に防止しなければなりません。この種の問題は、単にこの地方ばかりでなく、各所に起る可能性があります。ことに多目的ダムの管理には常にその対策を確立しておかなければなりません。  次に、北上川河川統制事業に触れておきたいと存じます。北上川には毎秒六千三百立方メートルの水量しか流れない狐禅寺狭窄部があり、キャスリン、アイオン台風の際には、毎秒約九千立方メートルの水が押し寄せ、上流一帯に大被害を及ぼしたことは御承知通りであります。この対策として五大ダム、すなわち四十四田ダム御所ダム出瀬ダム湯田ダム石渕ダム計画されたのでありますが、このうち右渕、田瀬両ダムは完成し、目下湯田ダム建設工事を実施中であります。湯田ダム北上川洪水調節総量の約三三・七%を占める重要なダムであり、かつ、このダムが完成すれば、発電により最大出力三万四千キロワットを得られ、また農業水利にも利用されるので、一日も早く工事を完成することを期待されております。なお残された四十四田ダム御所ダムについても、その災害防除その他多目的を有しておりますので、あわせて早期着工をはかるべきであります。  最後に、財政金融関係について申し上げますが、何と申しましても県当局財政基礎が薄弱であります。これがためには、あとうる限りの措置が必要であります。たとえば公共事業費の補助の問題にいたしましても、種々問題はあろうかと存じますが、補助率については、この際思い切った措置が強く望まれているのであります。また地方交付税の算定基準の再検討、地方自治体の財政再建促進特別措置法の適用を受けた場合の公共事業の指定事業量の特例、その他長期低利資金の確保、税制上の優遇措置等についても、今後の研究課題であります。  以上で報告を終りますが、今回の実情調査が予定通り所期の目的を達成し、十分な成果をおさめることができましたことは、関係各県、会社、地元当局の御協力に負うところが大きいのであります。この際各方面より寄せられました御協力に対し、感謝の意を表するとともに、今回視察できませんでした各地、各県に対しましても、別の機会にぜひとも委員を派遣せられるよう要望する次第であります。  なお冒頭に申し上げましたごとく、本年こそは、東北開発の最大のチャンスであり、政官民一体となって開発の第一歩を踏み出すならば、相当の成果を得られるものと確信いたします。政府当局におきましても、いよいよ本腰を入れて事業の推進に努力せられんことを切望いたしまして、私の報告を終る次第であります。
  4. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 北海道地方については渡辺惣蔵君。
  5. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 北海道地方調査について、以下既略御報告申し上げます。  北海道班は、去る八月六日午前函館市の北海道庁渡島支庁に集合いたしまして、八日間にわたって調査を行い、まず道南地方以後、後志、空知、上川地区を経て網走地区に入り、最後に十勝地区に至り、八月十四日帯広にて解散し、日程通りここに調査を滞りなく終了いたした次第であります。  以下、産業振興開発、おもに農業、水産業及び鉱業さらに交通、主として道路鉄道等について、事項、別に順次申し上げることといたします。  第一に、まず農業関係について申し上げますと、北海道農業は、いまだ気象や土性等に恵まれない劣悪な自然条件下にあって、しばしば冷災害等を受け、その進展をはばまれておりまして、その対策としては、泥炭地等、特殊土壌地帯の開発及び特殊気象地帯に適した有畜農業経営方式を強力に推進しなければならないのであります。開発、土地改良のおもなものをあげますと、次のものがありました。  一、道南地方開発としましては、イ、灌漑事業、湯川、大町、松前、北檜山地区であります。口、小団地開発、木古内、知内、天ノ川、乙部元和地区その他。二、積丹半島背後地開発。三、共和村灌漑事業。四、篠津地域開発事業。五、美唄地区(桂沢ダム)土地改良事業。六、美唄地区索道客土事業。七、七里原野地区土地改良。八、小清水町、濤沸湖周辺の草地改良。九、居辺無水地帯の開発。  次に、集約酪農地区の指定を要望するものとしましては、八雲町、羊蹄山麓地帯、遠軽、北見、斜網地区等がありました。なお八雲町は土地利用区分確定調査を望んでおり、またビート工場誘致を望むものとしては、道南地方、斜里町、その他がありましたことを申し添えておきます。  さらに国有林等の開放等について要望のあったおもな個所について申し上げますと、一、藻琴山麓地区国有林約四千町歩余の開放をここ数年来要望されていたのですが、これらの国有林は既入植地と地続きであり、土壌等から見ておおむね開拓適地と認められますので、食糧対策とともに、入植及び農業の次三男対策にもあわせて大いに寄与すると思われるので、営林当局はすみやかにこれが措置を急ぐよう、特に要望して参った次第であります。二、足寄地区、九州大学演習林約四千町歩の開放促進についてでありますが、これも文部省、林野庁当局間の協議の後、適切なる措置をすみやかにされるよう要望するものであります。三、またその他十勝地区上士幌町、網走地区生田原町、道南、後志地区等において福島町、上ノ国村及びその他小団地開墾に伴い、放牧その他のために国有林の開放を望む声をしばしば耳にしたのであります。四、また網走刑務所を移設し、その敷地二千町歩、耕地六百町歩の開放を切望する陳情を受けたのでありますが、刑務所を移設するについて、その適正なる代替地の資料を本委員会に提出されるよう申して参りました。これらの国有林等の開放問題等については、地元側関係当局の話し合いを一そう積極的に進め、未解状のまま放置することなく、すみやかに円満なる解決を望むものであります。  小団地開発について申しますと、道南、後志地方等の漁民は、漁場の狭小化と資源の枯渇等の理由から今日の窮乏を招いており、これら零組漁民の救済保護には、まず農耕地を与え、多角経営方式を取り入れるような対策が強力に推進されなければならないのでありまして、小団地及び背後地開発には人道的、社会的見地に立脚して、特にカを注いでこれが開発に当ることが肝要であります。この立地条件に恵まれない小団地地帯には、特に小団地を対象とした開発整備事業の補助率の引き上げの特別の措置を考慮し、狭小なる小団地も見捨てることのないよう、留意することがきわめて必要なことと思われました。  次に開拓者の問題について申し述べますと、入植者の安定、確立をはかるためには、基礎工事のおくれをすみやかに取り戻すとともに、営農資金を十分に確保することが必要でありまして、困難な問題が多いとは言え、日夜不利な自然的条件と取り組んでいる開拓者諸君に思いをいたして、零細漁民の救済保護と同様、人道的、社会的見地から、強力な措置をとるよう強く要望するところであります。  さらに冷害凶作の問題について申しますと、網走地区においては水稲が皆無、平均三分作強といわれ、著しい不作が予想されておりますが、この際ビート、ハッカ、バレイショ等の寒冷作物への転換が望ましく、特にビートの増産により有畜化経営の発展を促し、あわせて土壌改良に役立たせることが肝要であると思われました。十勝地区においては特に菜豆類の被害が著しい点を思いますと、投機的営農観念を払拭し、家畜の導入等による多角経営方式に移行し、耕土改良、地方培養が先決問題でありまして、その地味に合う作付転換を行うことが必要であることを痛感いたしたのであります。また開墾川の機械、ブルドーザー、ダンプカー、トラック等を貸し付けてもらえば、地元の自力で開発は容易に推進することができるとの意見を各地において伺ったのでありますが、機械公団というようなものを設立し、この要望にこたえることはきわめて有効な措置であることを痛感いたしました。  第二に、水産業関係、おもに漁港整備等について申し述べます。視察して参りました港湾及び湖水のおもなものをあげますと、道南後志地区では函館、福島、松前、江差、熊石、久遠、瀬棚、岩内、神惠内、余別、古平、余市港、網走地区ではサロマ湖、能取湖、網走港等を見て参りました。  北海道の水産業は漁場の狭小化と戦時戦後を通じての漁獲による資源の枯渇などの理由から、今日の窮乏を招いているのでありますが、特に道南、後志地区の漁民の窮乏は著しいものがありました。  漁業振興対策としては、漁業生産の増大と漁家経済の安定がはかられねばならないのでありまして、生産増大のためには遠洋、沖合い漁業の振興のために漁船、漁具の改良はもとよりのこと、まず漁港整備、浅海増殖等が強力に推進されねばならず、また漁家経済の安定のためには、努めて多角経営を可能ならしめるための諸対策がなされ、処理加工、保蔵施設の整備等によって、水産物価格の安定をはかることに重点が向けられねばならないのであります。  一つには、まず漁港の新設、整備等について申しますと、漁港は現在北海道海岸線約二千八百キロの周辺にわずか七十港しかなく、それも大半が拡張または改良を切望している実情でありまして、その内容の詳細についてはここでは省略いたしますが、一例としてあげれば後志地区の泊漁港のごときは三十年前築堤されたもので、近時の沖合い漁業の急速なる発展のため、漁船の大型化と数の増加のため、在籍船すら収容できず、荒天の都度、大半が他港に避難する状態であり、しかも山岳が直ちに接している地勢のため、漁業以外に生計の道もなく、全く同情にたえない実情でありました。窮乏している零細漁民の救済、保護の立場から、地方港湾費等の大幅増額によって、これらの切実なる要望にこたえることがきわめて肝要なことであることを痛感して参った次第であります。  この際、一言付言いたしますと、漁港の新設は一部落のためというのではなく、全体の経済圏から慎重に検討を加える必要があり、また着工以来長期間を要して完成した漁港が、そのとたんに水深、規模等の問題から、その使用に耐えず、直ちに改良する必要に迫られるといったことのないように十分留意し、経済効率を上げ得る万般の対策措置をなすことが必要であることを申し述べておきます。  次に、浅海増殖について申しますと、投石、コンクリート礁、岩礁爆破、岩面掻破等により、沿岸魚族、ノリ、コンブ、貝、カキ等の増殖をはかるものでありますが、これはすでに瀬戸内海その他の地域において好成績をおさめている事実を思いあわせて、格段の創意、研究により、急速に飛躍的発展を期したいものでありまして、湖水利用等による増殖、孵化放流等の振興と相待って、この発展育成のために国家補助並びに資金融通の面について特別の措置を払うべく、異常な意欲を感じて参ったのであります。また処理、加工、保蔵施設として、冷蔵庫、製氷工場等の施設が整備されることが必要と考えられました。以上の振興対策と相待って、新式漁法を具備した大型漁船の沿岸沖合いへの侵入を防ぐ方途も、あわせて考慮する必要があると思われました。  なおまた、後志地区において漁業組合の分裂並びに対立があり、ひいては市町村行政と調和を欠く傾向すら生じておるところがあることを耳にいたしたのでありますが、組合の整備統合がすみやかになされ、強力な機能を発揮できるよう、関係者の一そうの努力を期待する次第であります。  また一方貸付の対象を従来の組合のみに限定することなく、市町村にも拡大し、むしろ市町村の責任において適正に調整をはかりたいとの意見も申し述べていたのは、注目すべきことでありました。  第三に、鉱業、特に地下資源開発等について申し述べますと、視察をして参った鉱山は、住友余市鉱山、銅、鉛、亜鉛、硫化鉄等であります。三井砂川鉱山(石炭)及び国力鉱山(鉄、マンガン)等でありまして、また長万部町内に噴出している天然ガスの利用状況等を見て参りました。  北海道は積丹半島、十勝川上流トムラウシ地帯を初めといたしまして、各所において各種の鉱産に富み、たとえば石炭は全国対比四八%を産し、水銀、石綿のごとく北海道のみのものもあって、金、銀、銅その他地下資源はきわめて豊富であるにかかわらず、実情は地下資源調査の立ちおくれのため、また一方鉱山の多くが山間僻地にあり、加えて積雪、寒冷の悪条件のもとに、鉱山道路、輸送力の不備のために、鉱業開発振興をはばんでおり、眠れる宝庫は依然としてそのまま放置されていることは、きわめて遺憾なことであります。従って、鉱業振興開発は、地下資源の基本的調査が徹底的になされることが、要諦でありまして、あわせて立地条件の改善のために鉄道、鉱山、道路等の建設促進されなければならないところであります。これらの具体的な対策として考えられることは、政府投資によるボーリング会社というようなものを設立して、個人等が私有している鉱区を積極的に開発する方法を真剣に考慮すべき必要を痛感いたした次第であります。  なお採鉱または天然ガス等の採掘に伴い、地元にそれらの関連産業等があまり発展していないのは遺憾な点でありまして、その点に関して格段の研究努力が必要であると思われたのであります。  以上で、産業振興として農業、水産業及び鉱工業等に関係することを申し述べたのでありますが、総合開発を推進するに当っては、試験所、測候所等の試験、研究機関の整備、陣容の充実をはかることが必須要件であることを申し述べておきます。  第四に、交通施設について申し述べます。交通網整備産業活動における動脈であり、施設の整備開発に先行してなされなければならないものでありますが、北海道における道路鉄道港湾、その他の交通諸施設は、遺憾ながら今日なお相当立ちおくれの状態にあるものと言わざるを得ないのであります。  まず道路について申し述べますと、いずれの各地においても道路の新設、補修、改良に対する切実なる要望を伺って参ったのでありますが、以下そのおもなるものを申し上げますと、古部―椴法華間の海岸道路、知内―福島―松前間海岸通路、久遠―太櫓間海岸道路、瀬棚―持田岬間海岸道路、長万部―島牧間、磯谷―岩内問海岸道路、積丹半島迂回海岸道路(神恵内―余別)、積丹半島横断道路(神恵内―古平)、上砂川―西芦別問(鉱山道路)、幾春別―芦別間、層雲峡―武華間、滝上―朝日間、端野―仁頃―若佐間、斜里―ウトロ間、糠平―然別湖間(林道)、足寄―オンネトー湖―雌阿寒温泉間(林道)、糠平―三段―層雲峡間(林道)、足寄、芽登坂(急坂勾配引き下げ)改良等がありました。  近時の自動車輸送量の増大に対処して、幹線道路の舗装等も必要なことではありますが、特に橋梁につきましては、各地において要望のあったごとく、可及的すみやかに永久橋に切りかえていくことが、きわめて有効な措置であることを確信いたしました。北海道の海岸線環状道路完成は、経済文化の面からきわめて重視されているところでありまして、特に開発が進んでいない道南、後志地区の海岸線道路は、隧道を設けるなど難工事を予想される個所もあるのでありますが、一刻も早く陸の孤島を救出する意味においても、人道的見地に立脚して強力に推進すべきものであると思われたのであります。また鉱山道路について一言いたしますと、鉱山道路の新設、整備は、開発、開拓道路に比してきわめておくれていることは遺憾な点でありまして、積極的な措置がとられるよう特に切望してやまないところであります。  次に、鉄道の新線敷設のおもなものをあげますと、五稜郭―戸井問、松前―原口―瀬棚間、後志西海岸鉄道(黒松内―岩内)、定山渓―豊浦間、深川―付近―芦別間、美深―北見枝幸間、上川―十勝二段間、旭川―石狩沼田間、朱鞠内―羽幌間、斜里―標津間、北見相生―釧路間、雄武―北見枝幸観、足寄―白糖間、新得―千歳間、清水―日高―辺富内間等でありまして、路床に軌条を敷設するのみとなっており、完成にはさほど費用を要しないものもあることを申し述べておきます。  この際、青函トンネルについて申しますと、すでに予定線として取り上げられている書函トンネルの開通実現は、本州との交流は言うに及ばず、北海道資源開発産業振興のために寄与するところが非常に大きいものがあると思われるので、早期実現を期したいものであります。  なお檜山地区各所において、交通機関確保のため、国鉄バスの運行を切望する声がきわめて大きかったことを申し添えておきます。  次に、港湾の問題がありますがすでに漁港整備の問題として大略述べましたので、ここでは簡略に補足する程度にとどめます。  避難港として整備を望むものとしては、岩内、松前、江差、日司、川白、八雲、ウトロ港等多くあったのであります。また航路の安全航行に必要な燈台の新設を望むものとして帆起岬、知床岬、石崎港かあり、岩内港、日司港、寿都港、広尾港等は、その改修整備を望み、また岩内港は警備救難署設置を望んでおりました。  なお、この際付言いたしますが、たとえば江差港のごとく坤頭、築堤工事がおくれているため、マンガン等の地下資源、あるいは山村資源等の滞貨が山をなしている状態や、また瀬棚港も同じく設備未完成のため、農水産物中、特に種バレイショを内地輸送するに当ってやむなく陸路輸送するのでありますが、季節的に配車の不円滑等から三割余の凍結を生じ、莫大な損失をこうむっている実情や、さらに檜山、後志その他の地区において荷役、積荷等の設備がないため、ブナ材等は浜辺にさらしたまま放置されておる状態で、沖合いで船に積載するまでのロスは、約二割以上に及ぶといわれている状況各所において見て参りましたが、この面の施設の整備もゆるがせにできない問題であります。また、積丹半島の一部にも見られる通り、まだ道路も通じていない全く文字通りの陸の孤島、その他僻地、離島を結ぶ重要交通機関である離島僻地航路就航船に対する補助その他の特別措置も忘れてはならないものであることを申し添えておきます。  その他道内航空路の整備のため、空港の新設を要望するものとして函館、旭川、帯広等があり、女満別のごとき、その拡充を望んでおりました以上、交通について申し述べましたが、交通施設整備により、経済、文化の交流が容易となり、産業の飛躍的発展が予想されるところでありまして、これらの早期完成を切に待望するものであります。  第五に、大学の新設、昇格、拡充等の問題について申し述べますと、函館、旭川、網走、帯広等の各地において新しい大学設置の強い要望を伺ったのであります。北海道の広大なる地域の特異性等によって、この問題は内地におけるこの種の大学の問題と同一に論ずべきではなく、それらの要望の趣意は十分了解できるのでありますが、いたずらに総合大学などという名に拘泥することなく、各地方独特の特色を十分盛り込み、実業にマッチしたものを作り上げ、開発の衝に当る人材の素質の向上に意を注ぐことが望ましいものと思われました。  以上、事項別に申し述べましたが、この際気づいた点を二、三申しますと、たとえば観光地唐突峡下流付近に、風倒木が放置されたままになっており、また工場等の汚水が化学的処置をなされずに放水され、いずれも与える影響について十分検討を加えられずに多年放置されたままになっており、ダム工事完成とともに、地元民との間に種々のあつれきを惹起している等の問題を見聞したのでありますが、これらの解決には、事前事後の時宜に適した対策処理に当って、関係者の格別なる熱意と努力によって、すみやかに適切なる措置がなされることを特に期待するところであります。  最後に、北海道総合開発をより一そう強力かつ効果的に推進するためには、まず第一に北海道開発関係費の大幅増額により、これまで未解決の基本的問題を解決し、なかんずく零細漁民及び入植者の救済保護を優先的に取り上げることがきわめて肝要なことであります。他面、北海道後進性その他の特異性から、免税措置等も考慮されるべき点であると考えられるのであります。第二としては、北海道開発公庫その他政府関係金融機関の資本金の増額により、長期にしてかつ低利の投融資を確保し、さらに貸付の対象を地方自治体にまで拡大する措置をとることが必要であると考えられたのであります。  以上をもって北海道調査について概略御報告申し上げたのでありますが、酷暑の間、八日間にわたり、約千七百キロ余の行程を早期より夜おそくまで調査をいたしましたのに対し、関係各機関が非常に協力していただいたことを深く御礼を申し述べるものでございます。また今日の調査報告に触れなかった多くの地区状況についても、できるだけその要望に沿うよう努力し、日程の都合で今回視察できなかった地方につきましては、次の機会において調査に参ることにいたしたいと思います。  最後に、調査の結果得た結論等につきましては、これは早期実現できますよう政府当局、特に本日御列席の農林省、建設省、通産省、文部省、北海道開発庁等の関係各機関の御協力を要望して、報告を終る次第であります。
  6. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 この際、私から廣川委員長の簡単な報告を代理して申し上げます。  廣川委員長は、帯広にて解散後、帰途、網走、上川地区等を経て、八月十七日道庁にて北海道知事と調査事項に基く対策等について協議し、十八日帰京いたしました。     〔「なぜ報告するのか」と呼び、その他発言する者あり〕
  7. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 それじゃ委員長が来たときに、また諮ってからやらせるようにします。それを抹消しておいて下さい。
  8. 岡田春夫

    ○岡田委員 その扱いは違う。委員長が勝手に発言を求めて、そうして勝手に抹殺して下さいというのは、どういう意味なんだ。君自身が発言を求めたのに対して、われわれが了解して、委員長として委員会に報告があるならば、それは附こうというので、われわれは聞いた。しかし、それは委員長の個人的な発言を速記に載せて、勝手に速記を取り消してくれというようなことをやるということは、委員長の扱いは専断だよ。それは国会法のどういう規定にあるのか。
  9. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 それじゃ、委員長が参りましたとき御相談申し上げて、それから報告なり何なりさせますから、さように御了承願います。     ―――――――――――――
  10. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 次に、本日の出席政府委員は、前田大学学術局庶務課長農林省永野官房長、石谷林野庁長官、通産省中野総務課長、石井物資調整課長建設省山本河川局長、美馬河川局次長、河北国道課長、具島地方課長、運輸省天埜港湾局長農林振興局参事官庄野五一郎、開発庁は田土次長、長官はまだ来ていません。以上でございます。  そこで林唯義君から発言を求められております。これを許します。
  11. 林唯義

    ○林(唯)委員 振興局長の御出席がないので、かわって適当な方から御答弁を願います。
  12. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 林君、官房長と振興局の参事官が来ておりますから……。
  13. 林唯義

    ○林(唯)委員 私は冷害対策一般に関して多少の所見を持ち、御質問を申し上げたいと思っておりましたが、これは別の機会にいたします。  とりあえず、昨年来問題になっておりまする北海道農業研究所の研究にかかる北研一号及び十号の問題についてお尋ねいたしたいと思います。委員長の許可を得て見本を持参いたしたのですが、これが北海道空知郡上富良野町における本年の稲の実情であります。それから、これがその付近における北海道おいて最も多く作られている豊光というもののことしの実情であります。不稔の多い点をごらん願いたいと思います。ただ本年の上富良野町の実情は、移植時期の一般農家より適期であったために、同じ豊光でありながら、この程度のものができております。これは多少いい。しかし同じ農業試験場において、この程度にできている豊光、しかも、これは北海道一般に作られている品種なのでありますが、その同じ試験場における北研第一号、第十号とを数字の上で見ますれば、大体本年度の豊光の粒数が八十くらいでしょう、平年なら百十粒くらい、しかもその中の四割ないし五割不稔というのが、本年度北海道の水稲の実情であります。それに対してこの北研一号及び十号は、最低百五十から二百二十に至る粒数を示しているのであります。この点を一つ御記憶願いたいと思う。分けつは普通の品種に比較して約一割少いのであります。これは常に少い、本年のみではありません。しかし一割少いということは、同時に日射の程度を深めるために、病害その他に対する抵抗力を深めるという特性がある。なお不稔はごらんの通り一割程度しかありません。なお、これは中富良野村で、私の多少縁戚になっております安井信保という人が経営しておる水田を見ますると、あぜ一つ離れた隣まではいもちが発生しております。ほとんど収穫皆無にまでいもちが発生しておる。しかし北研一号を植えつけたそのあぜの中では、いもちが一つも出ておらぬ。これは農家の常識に待つまでもなく、これが耐病性の強いということの確証に相なるのであります。従って本年度における収穫予想は、大体この研究所内の試験田においてやったことはさておき、全道にわたって約四十二カ所の委託を本年は行なったのでありますが、その四十二カ所の中の、ここに報告のありましたところの、たとえば中冨良野村においては本年北研十号というものが反当収量十俵になっておる、しかも普通農家における反当収量は、普通品種はどうかと言えば一俵内外ということに報告は相なっております。同じように農家が作ったもので、東川村上川支場においては、この北研十号というものはやはり九俵という成績を見せておる。ほかのものは同様一俵です。また東神楽村においては北町十号が九俵半、ほかの品種は一俵であります。比布村という同じく付近の村においては、北研十号は十俵の収穫予想を示しておるのに、ほかの品種は一俵、こういうような格段の開きが出ておる。これがこのたびの全道にわたるところの実績の一端であります。こういう工合にして、本年度においては、ともあれ北海道においては北研一号及び北研十号は異数な成績を上げておるということは、何人も目の前に見て争えないところの事実であります。また農林委員を勤めておられる同僚の本名君は、先般農林委員会から現地視察されて、私と感慨を同じゅうして、その視察については、関連質問としてあとから御説明に相なるはずだと思うのであります。かようにして、現実にこれがかような成績を示した。しかるに昨年度においては、たまたまいろいろな感情のいきさつもあったでありましょうが、その他で、北海道の品種協議会では、これがいまだ固定しておらぬということに相なっているということで、諸般の話題を呼んだのは御承知通りであります。これは申すまでもなくあなたの方が御専門でありまするけれども、固定というものは、茎の長さ、出穂の時期または粒数、分けつ、穂の長さ、毛及び色などがすべて平均いたした状態に相なって、これが固定いたしたということに相なるのでありまするが、試験用は申すに及ばず、四十二ヵ所の委託の場所及び自然に横流れいたして、各農家で作ったものは、およそこれらについては平均した形を呈しておることは私も認め、かつ本名君も今般の視察において親しく目にされたところであります。かようにして、ともあれ大きな結果を及ぼしておるという事実は間違いがない。従って、これらに対して農林省としては今後育成をお考え下さるかどうか。また本年度のような寒冷の時期においてかような収穫を示したということは、とりもなおさず、これは耐冷の限度と申しまするか、それが非常に強いということを表わす、こういう点から見て、今般の冷害その他から考えて、かようなる品種を今後十分に時期をかされて、育成に努められるというお気持があるかいなかという点を伺いたいと思います。
  14. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 お答え申し上げます。松村研究所で有望な育種がされているということは、昨年から承知いたしております。今林先生からお話がありましたように、この品種は、御承知通り風連坊主というのと、在来種と、それから農林三十四号との交配によってできたものでございます。たしか二十六年に松村技師が上川支場におるときに、交配されて育成されたものであります。昨年松村技師は事情あって退職されたのであります。それで松村研究所で続けておられるということであります。それで道といたしまして、上川支場においては、松村技師が在職中に有種された系統のものをそのまま松村技師から引き継ぎまして、現在においてもその育成と、それから特性の検定、それからこれの系統適応性といいますか、そういうものを上川支場においては同様に、昨年退職されるときにその系統を全部引き継いでやっておるわけであります。松村技師もその系統をお持ちになって研究所でやっておられる、こういうふうに私、承知いたしております。それで、これについては本年の報告は、まだ私の方に道を通じて北海道農林省の試験場から参っておりません。今至急求めている段階でございますが、上川支場においてはこういう成績が出ている。しかし二十六年ごろからでございますので、五年ないし六年を経過し、幾種かの系統が出ているわけであります。大体御承知のように、今非常に詳しく御専門的にお話になりましたが、新品種は、大体最低七年から十年の間に固定いたしまして、それぞれの適応性と、それから耐冷とか耐痛とか、そういった特性検定が終って、それであと原種決定試験というものをやりまして、これを奨励品種として農民の方の栽培に向けるということになり、少くとも十年を経過してからやるのであります。というのは、この品種というものは、場所により、土壌により、それから自然条件によって適応性が違って、非常に問題がある。今先生から四十二ヵ所において非常に好成績だ、こういうお話も聞いておって、われわれも十分参考にいたしたいと思っておりますが、品種の問題はそういうふうで、その年々の自然風土によって非常に左右されるので、慎重にこれをやらなくちゃならぬということで、われわれもそういった系統適応性、特性検定、それから原種決定試験というものを経て、初めて農民の耕作栽培に移す、そういうような段階を経ているわけでありますので、その問題については、昨年も北大の永尾教授なり、あるいは当時の国立農業試験場の吉野部長なりにいろいろ話を聞いて、非常に有望であるが、まだ十分固定段階に立ち至っていないということの報告が昨年きておりまして、われわれとしては非常に有望品種として注目いたしておる次第であります。これが固定いたしますれば、やはり道において奨励品種の審議会がございまして、これは国なり、そういう北大の先生なり、非常に中正なものでありますので、それにお願いするという話をわれわれはいたしているわけであります。それを昨年は何か予備調査的におやりになったそうでございますけれども、何か刈り取る時期を越されたとかで、十分な調査目的を達せられなかったということを聞いているわけであります。われわれとしては、この品種については非常に有望だということをそういう専門家から報告がきておりまして、かねがね注目いたしており、それから道を通じて、上川支場において松村技師が残されたものについての試験は十分力を入れて継続するように、それから松村技師の後任者も非常に技術のある人を配置がえして持ってきてそれを受け継がせる、そういうような状態で、その育種の固定化に努めている次第でありますので、御承知願いたいと思います。
  15. 林唯義

    ○林(唯)委員 私は北海道の稲を作る農家に生まれたものです。そこで北海道における水稲が今日に相なった事実をずっと見てきますと、農事試験場が奨励したからといって、北海道の収穫が大きくなったわけではなかった。農民が自然に自分の努力と研さんによって品種を発見し、適応するものを作り上げていったということが、北海道の限界農業を今日まで発展せしめた原因なのであります。そこを一つあなたに強く御注目願いたい。およそ水稲を作るくろうとからいえば、農事試験場で十年の歳月を経てそれを一般に推奨するときには、すでに稲の退化現象が始まっておる。北海道水田は、その退化現象の始まらぬ前に、それらの完成途上にあるものを持ってきて、自分の畑で自分の努力でもって今日のごとく相なったのであります。言いかえれば、役所のデスク・プランで今日の水稲が育成されたのではない、あらゆる品種を農民の努力と創意によって育成しながら、今日の増産が期せられた。しかも限界農業の危険を冒して今日の発展をおさめたという事実を御認識になられたい。増産々々と申しますが、北海道において年々一割どころか三%ずつ増産しても、これは大したものです。私、子供のときには反当三俵、今やそれが七俵、ここまで達したのには、実に四十年にわたるところの労苦が刻み込まれておる。従って、何割という数字にとらわれずして、たゆまざるさような努力が増産をもたらした原因になっておるということを、第二に頭の中にお入れいただきたい。そこで北海道におけるさような農民の努力によって、むしろ国の指導をまたずして、農民自身の創意によって農業が行われるとするならば、しからば今日北海道の農民は、この北研一号ないし十号をどういう感じをもって受け取ったか。たとえば、これは新聞から拾い出すのでありまするが、上富良野高津部落における太山栄さんのところでは、分けつ二十二本で、主程粒数二百十五、また風連町――この地帯はもう冷害で一時被害の多いところであります。川原忠雄さんのところの品種は、やはり同じようなやり方をして、同じような結果を示しておる。比布村においても同様、妹背牛の松尾松太郎さんなどは耕作者の声として、これにはすっかりほれ込んでしまった、付近の人たちも目をまるくしておる。また多度志村においても、岡田健次郎さんは同じようなことを言っておるのです。秩父別村においても、同様なことを言っておる。また東鷹栖村の佐藤良作さんもこの点について、どうしても松村新種でなければならぬと言っておる。農民の声がここに向いておる。そうすると、農民の声が今日ここに向いておるとするならば、北海道の水稲の実績が、農事試験場の試験の方法の完成を待って発展したものじゃない、むしろ農民がその途上において完成して発展してきたという事実を見ると、今日の農民の待望しておること、かような実績を目の前に示しておるということは、十分取り上げてくれなければ困ると私は思うのであります。先ほど申したように、稲というものは十年たてば退化現象が始まるといわれておる。その前にその事実を北海道の農民が取り上げておるという事実から見れば、ただに永山におけるところの農事試験場の試験だけでは完璧は期せられない、それどころか、むしろ農民自体の結集によってなったかような研究こそが、私はとうといと思うのです。この力が実際大地に触れて増産の成果を上げるのだと私は思う。そこであなたの先ほどのお話を承わると、松村新種のことは間接に承わっておる、私どもは永山町農事試験場から伺うと言いますが、その考えの根本が間違っておる。農事試験場の研究はもとよりけっこうであります。とともに農家の庭において創意を加えながら育成するというこの不実、しかも、これが増産をさらにすみやかならしめていく道であるとするならば、農事試験場だけではなしに、民間の農民の手によるところのかようなものに対しても格段の育成をはかることが、日本の血糊問題解決の一つの道であると私は確信いたします。あなたにお伺いいたしたいのですが、農林省はあなたのお手元の――しかも十年たって稲の退化現象が始まる、これは冗談ごとじゃありませんよ。しからばあなた方は、農事試験場で御推薦になった品種が、ことごとく北海道の農民に使われておるかどうかをお考え願いたい。道一が推奨されたもののうちで、農民の食いつくものは一つです。農事試験場がいかに努力研究しようとも、自分の体験の上で信頼できるものでなければ食いついておらぬことは、今までの研究の経過で明らかである。従ってあなたがあくまで永山の農事試験場だけの報告を基準としてお考えになるならば、またそれも同じように尊重するが、同時に民間におけるかような努力に対しても深い敬意を払い、これを参考にし、育成するという点にお考えを及ぼされないのか、その点を私はもう一度あらためて承わりたいと思います。
  16. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 永山試験地においていたしておりますのは、試験地だけでやっておるようにお話があったようでありますが、木場のみならず、この品種の育成段階における試験は、やはり各地の農家に委託していたしておるわけでございまして、必ずしも永山一カ所だけではございません。やはり松村研究所で四十二ヵ所に委託しておられると同じような考え方で――あるいは重複しておるところがあるのではないかと思いますけれども、各地の土壌の違うところ、気候の違うところ、それから病虫害の発生しやすいところ、あるいはそうでないところ、そういったいろいろな土地条件の違うところの農家に委託して、やはり試験場の育種もいたしておるわけでございます。その点は一つ御了承願いたいと思います。
  17. 林唯義

    ○林(唯)委員 私が聞いているのは、それも御尊重なさい、しかし民間の努力でやっている方は御尊重になるということが、あなたの考慮のうちの十分な部分を占めておらないとおっしゃるのか、その点はどうなのか、また考慮において占めるというならば、どういう工合にお扱いになるか、それを伺っておるのです。
  18. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 答弁中でございましたのですけれども、そういうような試験をいたしておりますので、この品種というものについては非常に当りますれば工合がいいのでございますが、当らないといいますか、当りはずれが、この育種段階においてはあるわけであります。農林省の考え方といたしますれば、これが非常にいい品種であるということが確定いたしますまでは、国なり道の補助事業なり、そういった試験研究機関においてやるということが農民に無用の犠牲をかけない、これが当らないときにおける農民の犠牲というものはないようにしていくのが、第一のわれわれの考え方でございます。そういう意味から、国の事業なり県に対する補助事業なりとしてやってきておるわけであります。北海道においてこの品種は有望であって、民間におけるそういうものが現地における報告で非常にいいということになりますれば、一方において、われわれの方の試験もあわせて同じことをやっておるわけでありますから、当然有望な試験としてわれわれの方にもわかってくるものと期待しておるわけであります。すぐ民間のやつをただいまの系統なり組織において国が補助する、そういった段階には立ち至らないと思いますけれども、府県なり、あるいは国の試験場の専門家が入っております北海道のそういう奨励品種を決定する委員会では、データがあれば十分取り上げられる、そうして奨励品種として、来年あたりから、七年ぐらいたちますから、大体その段階に達するのではないかと思います。なお、この品種というものは固定が相当問題でございまして、退化といいますか、固定するまでに相当年限がたつわけであります。固定いたしましてから、お話のようにいろいろ次の品種が出てくるわけであります。今までの実例がら見ますと、大体農家に入りましてから十年で最高に達して、それから徐々に下って次の品種が――大体一品種十年の生命で普及して、そうして次の品種が出てくる、そういったような波であります。必ずしも十年で退化するということでなしに、次のいい品種が発見されて、それがそれに置き変ってくる、そういったような傾向であります。その点は一つ御了承願いたいと思います。
  19. 林唯義

    ○林(唯)委員 あと一つだけ。その事実は何ものにも増して雄弁だと僕は思うのです。あなたは先入観で、国立農事試験場の権威だけを相当重くお考えになっておる。またその試験の結果のみが、ひとり北海道の米作に寄与するようにお思いになっておるが、あなたのお考えはあなたのお考えだから、それはかまわぬ。そこで事実は何よりも雄弁なのでありますから、委員長に御注文いたしたい。というのは、何でも最近農林省から、この委員会の要望をいれてだと思うのでありますが、冷害現地視察をされる趣きであります。従ってその視察のうちにおいて、少くとも北海道の今後の水稲業の運命を左右すると思われるこの問題に対しては、特に重点を置いて視察をされて、しかも、公平な目で見た結果によって物事を判断されたいと思うのであります。従って、まずこのことを強く委員長要望いたしまして、私の質問は一応これで打ちとめたいと思います。
  20. 本名武

    ○本名委員 今の林委員の質問に関連してちょっとお伺いしますが、本件は実は十四、五日前に農林委員会で取り上げた問題であります。従いまして、たまたま北海道農業事情並びに冷害状況調査農林委員会が出ますときに、この件につきまして委員会においてあわせて調査をするということになって、調査をして参りました。従いまして、私は農林委員会においてこの話を具体的に申し上げたいと思いますが、たまたま今林さんからお話がありましたので、二点だけ聞いておきたいと思います。そのほかに実は開発庁長官にこれに関連してお伺いしたいと思ったのですが、きょう出ておられないので、後日にします。  まず第一に、私ども調査に行って不思議に思ったことが一つあります。大体この松村品種の内容については、今林先生からお話があった通り、大体私も同感でございます。現地に行ってみますと、農事試験場関係の人、場長初め技師あるいは学者の方、ことごとくこの品種に賛意を表しない、むしろ言葉によっては反対をしておられる現象があったのであります。それをずっと突っ込んで開いてみますと、品種そのものの批判よりも、別な問題が伏在しているということが発見されたのであります。従って、ここでその別な問題を取り上げて、批判をいただくことの方が話を進めるのに都合がいいのですが、これはいろいろな事情がありますので、いずれ農林委員会でまた話したいと思います。それでその場合、そういった専門家、技術者が、今参事官がお話になったように、国あるいは道の試験場において積極的にこれにかわる品種改良をやっているというにもかかわらず、松村品種になぜ賛成しないのか、これが不思議の一点です。さらにまた、農民はどうかというと、私はこの品種をことし植えた十一人の農民に会って直接話を聞いたのですが、ことごとくこれはほかの品種に比較して非常にいいものだ、ぜひこれを奨励するように仕向けてくれということを懇願されたのであります。そこで私のお伺いしたいのは、今日まで農林省は、品種改良についてお手元の研究試験機関だけを利用し、あるいはそれにつながるところの地方の団体の研究機関だけを育成助成をし、さらにその品種改良の慫慂をしているが、民間研究に対してどういう方法をとられていたか。この品種に限らず、今日まで幾多の農作物に対する品種改良の試験研究に対して、農林省はどういう方法をとられたかということをまず一つお伺いしたい。
  21. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 松村技師に対するいろいろな問題については、十分私たちも承知はいたしておりますが、その品種の問題として昨年あたり技術者間において問題になりましたことは、やはりまだ固定段階であるということが一番問題で、当呼の国の試験場の北海道の稲の一番権威でございます吉野部長あたりは、非常に有望なもので着目はしておるのだが、まだ十分固定していないので、今すぐこれをどうするというふうにはいかない、こういうふうに私たちは報告を聞いておるわけでございます。特にこれについては、あるいは上川支場あたりで問題があったかと思いますけれども、国といたしまして、特に北大等といたしましては、別にそういう感情にとらわれてどうということはないように私は承知いたしております。これはやはり育種という問題について、先ほどから申しましたように、一つの学問的な固定の段階がありますので、そういう点からいろいろ批判されたように私は承知して、従来この品種は、毎年やはりデータをとって検討するように北海道の国の試験場にも申し伝えております。これについては、やはり松村の本場の試験ばかりでなしに、各地に分散して農家に委託して作られておりますものの試験データもあわせて出されないと、検討の材料にはならない、こういう点もありまして、昨年は十分その資料が得られなかったのではないかというふうに聞いておりますが、ことしは林先生もお話のように、そういうふうに各地栽培されますれば、そういうデータ等は十分取り上げて調査の対象になるのではないか、こういうふうに思っております。これはやはり統計的処理をやらないといけないように私どもは聞いておりますが、資料が相当分散して多く出るということが望ましいので、昨年はまだそこまでいっていなかったのではないかと私は承知しております。ことしはそういうふうに非常にいい成績が出ておれば、そういう点は十分考慮して審査をしなければならぬ、こう思っております。  それから民間育種についてでございますが、これについては登録制度等で、ただいまのところは奨励なりをいたしておるわけであります。奨励品種にするとか、あるいはそれを登録して品名をほかの稲につけないようにするとかいった点でございまして、育種段階における助成といった点は、ただいまのところは国から直接はなされておりません。
  22. 本名武

    ○本名委員 そうしますと、試験研究育種については直接何ら手を加えていないということですが、実は今度見てきてちょっと心配になったことは、農民間に非常に評判がよくて、一方今お話があったように、試験場その他はこれに対して非常に消極的な態度をとっているということに問題がある。私はおそらく来年はこの種もみの争奪戦が起きはせぬか――まあ、極端な言葉ですが、これをどんどん植えたがる。その場合は、農林省はまだ登録もしていない、あるいは普及もしていない、普及する責任も持っていないとすれば、これがどんどん蔓延した場合、はたして今日までの道なりあるいは国の試験研究機関はそのまま放置しておかれるかどうか、それからまた放置しておいていいとお考えになるかどうか。それによって今後この松村品種のあの研究所の行き方というものが変ってくると思います。それらについてちょっとお伺いします。
  23. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 先ほど林委員からのお話もありましたように、ただいまこちらからも調査に参っておりますので、松村品種等についても十分視察してくると思います。それから昨年来この品種についていろいろ農民からの要望等もありまして、われわれとしては注目して資料を集めております。本年の成績については、私のところに稲の穂はきておりますが、まだデータは何にも参っておらないのであります。しかし、まとまった統計的処理のできる範囲における資料としては、まだことしの分は検討してございませんので、そういう点は十分処理が済みましてから慎重に検討いたしたい、こう思っております。今のところ、すぐそういうようにしていいかどうか、そういった点については、ここでは私の口から申し上げる段階に現在のところないのではないか、資料を十分集めまして十分検討いたしたい、こう思っておりますから、御了承願いたいと思います。
  24. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 北山君。
  25. 北山愛郎

    ○北山委員 私、今国土開発推進に非常にじゃまになっておる地方財政促進法の問題について事業官庁のお考えを簡単に聞いておきたいのです。先ほどの視察報告の中にもありましたが、今多くの府県、市町村が財政再建の団体になっておりますけれども、その団体は、この再建計画を承認される場合に、御承知のように、従来の三カ年の公共事業等の実績から二割五分下廻る七五%しか事業を認められない、こういうことに今なっておるわけです。そこで、これは府県の方が一番関係するのですが、今再建の申請をいたしております十七の府県の大半は後進県であって、いろいろな直轄事業もあるいは県営事業もやらなければならぬ団体が大部分だと思うのです。ところがその再建計画のわくの中にはめられて、今後数年間は総合開発の事業等がやれない、こういう問題が今起っておるわけであります。この問題については、御承知のように自治庁と大蔵省との間で今協議折衝をいたしておりますが、やはり建設省やあるいは農林省等も、開発事業について関係の深い団体は当然この問題について重大な関心を持たなければならぬのじゃないか。そうでないと、せっかく総合開発計画を作ったり、あるいは河川の改良の計画を作っても、やらなければならぬという地帯に、そういう事業がやれない、再建法のワクの中でしかやれないということになるわけでありますから、この問題は、地財再建法を作った当時から当然問題にしなければならぬ基本的なことでありますが、事業官庁としてはどういうふうにお考えになるか。きょうは河川局長その他お見えになっておるようでありますが、建設省の河川局あるいは農林省の林野庁としては、この問題についてどういうふうに考え、どういうふうに措置しておるのか、伺っておきたいと思います。
  26. 山本三郎

    ○山本説明員 ただいまの問題につきまして、河川局として考えておる点を御答弁申し上げます。今お話のありましたように、私どもが考えております計画は、特に開発がおくれている地帯とか、あるいは事業が今まで行われなかった地帯で、非常に災害が多いという地帯についての事業が多いのでありまして、お説のように七五%のワクの中にはめられますと、現在の県等に配分しております予算を、厳格にやりますと、返さなければならぬという事態になるわけであります。そういう結果になりますと、われわれの考えております事業もできないのでございますから、自治庁長官の指定する事業については、特別に七五%のワクから除外するという規定がございますので、われわれの事業についても、特にそのワク外の処置を認めていただくように、関係方面に強力に折衝しておるところでございます。
  27. 北山愛郎

    ○北山委員 たとえば直轄事業等について、自治庁においてもやはりワク外にしたいということで折衝しておるけれども、大蔵省は言うことを聞かないということが現実なんです。そうすると、この問題は自治庁と大蔵省だけできめるべきものじゃなくて、やはり関係の事業官庁がみな一緒になってきめなければならぬのじゃないか。事業官庁はただその折衝をわきの方から見ておるというのでは、仕事にならぬのです。ですから、これは今の一番大きな問題だと思うのです。一体どういうふうな折衝を農林省はやっておるか。ただそういう考え方だけではいけないような大きな問題じゃないかと思う。というのは、たとえば東北六県でもこの問題であわを食っておるわけです。岩手県でも十億ぐらいの事業ができない、はみ出してしまう。宮城県も十五億ぐらいはみ出す。あるいは長野県においても、農業水利その他の事業が半分くらいになってしまう。こういうふうな再建団体は事業をやれないという事態が迫っておるのですから、これについては今のような、ただ、ばくとしたことではなくて、具体的にどういう折衝を、今自治庁ないし大蔵省とやつておるか、もう少し具体的な経過状況をお知らせ願いたい、農林省についても関連があると思うので、農林省の方からも御答弁願いたいのです。
  28. 石谷憲男

    ○石谷説明員 ただいま建設省から御答弁のありましたような範囲を出ておらぬと思いますが、特に森林関係開発事業を今後強力にやって参らなければならぬような地域は、御承知のように、また逆に再建団体に指定されておるような県に多いということで、問題が非常にあるわけでございます。ただいま具体的に御指摘になりました岩手県等につきましては、顕著にそういう状況が出ておるわけでありまして、県側といたしましては、そういった七五%のワクで縛られるのだけれども、そういった種類の仕事については、むしろぜひともやりたいのだ、県側の負担も、それに対してはするように計上いたしたいのだということでございますけれども、一応七五%のワクという問題に押えられて、それも計上することができない、こういう実情に当面しておるような状況であります。従いまして、要するにワク外といったようなものを、個々のケースにつきましては、具体的に折衝するという運び方が現段階までにおける私どもの自治庁あるいは大蔵省に対する折衝である、かように申し上げる段階でございます。
  29. 北山愛郎

    ○北山委員 私ども地財再建法を地方行政の委員会で昨年やったのですが、その段階では、あれは何条でありましたか、規定の中では、事業を圧縮するというような規定にはなっておらぬのです。要するに赤字が出て再建団体になるというような団体については、一定の条件のもとで補助率を高めるということはあるけれども、事業を減らすということには規定の精神がなっておらない。それを勝手に、補助率は上げるが、事業は七五%にするということを政令の方で、やったのであって、再建法の規定の精神を逸脱するのじゃないか、私どもはそう思う。そういう点については事業官庁としてはどうなんです。そういう政令を一体のんだのですか。のむということになれば、公共事業が減ることを覚悟してのんだに違いないのですから、仕事をしなくてもいいということになってしまうのじゃないか。その政令の規定をのんでから、あとで今度は自治庁長官の指定の範囲を拡大しようと思っても、これは気のきかない話であって、やはり規定の精神に戻って、補助率は上げるが、事業の範囲は縮小しないのだというところまで押していくようなお気持はないのかどうか。そこまでやらなければ、だめだと私は思うのです。建設省あるいは農林省はどうなんです。
  30. 山本三郎

    ○山本説明員 ただいまのお話は、政令にはたしかそういうふうに規定されておりまして、お話の点もごもっともだと思いますが、現在の段階におきましては、先般も閣議でも問題になったということを聞いておりますけれども、具体的に各省の意見をよく聞こうということになっておりますので、私どもといたしましても、特に困る問題につきましては、今後におきましても強力に七五%のワクに縛られないように努力したい、こういうふうに考えておるわけです。
  31. 北山愛郎

    ○北山委員 これは非常に大きな政治的な問題でもありますから、あとでまたいずれ別な機会に担当の大臣なりおいでのときにお伺いをしますが、しかし、こういうことで再建法のワクの中で事業を大幅に圧縮をしなければならぬことは、これ自体非常な矛盾であります。事業官庁としては無視し得ないと思う。開発事業はやらなければならぬ、ところが、財政の赤字のために仕事を大幅に切らなければならぬということを、黙って見のがすわけにはいかぬと思う。そういうふうな大きな問題でありますから、ただ自治庁と大蔵省の折衝にまかせないで各事業官庁としても特別な関心を持ち、そして事業が地方団体の赤字のために圧縮されて、国土の開発が進まないというようなことのないように皆さんの方にも御努力をお願いして、また別な機会に質問したいと思います。
  32. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 小平君。
  33. 小平忠

    ○小平(忠)委員 北海道の冷害凶作問題につきまして、きわめて重要な点を一、二点お伺いしたいと思うのです。具体的な問題は、二十九日開会予定農林水産委員会で、大臣以下政府当局にお伺いしたいと思っておりますが、秋の収穫を目前に控えまして、大事な時期でありますから、農林省から官房長、北海道開発庁から次長が見えておりますので、所見を承わっておきたいと思います。  過日の本委員会においても、北海道総合開発の上に重大な支障を及ぼすような大正二年以来の大凶作に見舞われております現状につきまして、私は特に冷害、凶作という面から、主務官庁は農林省であり、主務大臣は農林大臣でありますが、過去の国におきまする各種災害におきまして、それ、大火があった、あるいは台風災害を受けたという場合には、いち早く主務大臣が飛んでいって現状を見るというのは、これは少くとも行政府たる国の責任であります。今回の未曽有の開道以来の冷害凶作に対しまして、北海道知事もたびたび上京してその実情を訴え、また、われわれもあらゆる機会にこれを訴えております。しかるに、過日農林大臣は四国方面に御旅行されている。農林大臣の現在の立場は、よく新聞などでは総理兼外務あるいは幹事長といったような、きわめて政務多端のおからだであらせられるようにわれわれは承わるわけでありますけれども、しかし事、今次の災害につきましては、四国に旅行する余裕がありますならば、今日日航機もあるのでありまして、長期間の旅行日数、調査日数、視察日数は要しないでも、これはなし得るのであります。いかなる理由で、この北海道民の切なる要請に農林大臣はこたえられないのか。実は本日も農林大臣の出席を求めておるわけでありますが、お見えになっておりませんことは、まことに遺憾であります。幸い官房長がお見えになっておりますから、官房長から、どういう理由で今日まで行かれなかったか、あるいは今後行く予定であるのかないのか、まずお伺いしたいと思います。
  34. 永野正二

    ○永野説明員 本年、全国的には相当いい作況を示しておりますにもかかわりませず、北海道は稲作、畑作その他におきまして、非常に深刻な冷害の影響を受けておることは、私どもといたしましては、農民諸君の御困窮を思いまして、これが対策を十分いたさねばならぬと考えておるわけでございます。この問題が起りました当初、農林省といたしましては、振興局の農産関係の技術官をいち早く派遣いたしまして、各種の実情を技術的に見て参ったのでございます。しかしながら、その影響が非常に深刻であって、その対策としても、単に技術的な面でなく、たとえば飯米対策、あるいは来年の種子の問題、あるいは金融、あるいは救農土木事業というような、早急な対策を必要とする点があるということに相なりましたので、実は農林経済局長を班長といたしまして、これに二、三名の課長クラスをおのおのの専門に応じまして班を組織いたしまして、目下北海道現地調査いたしておりまして、帰って参り次第、先ほど申し上げましたような早急に対策を講ずべき事項について対策を講じたい、こう思っているわけでございます。私どもといたしましては、現地の実情を経済局長以下各専門の係官の見ましたところによりまして、早急な対策を立てたい、こう考えている次第であります。
  35. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私の質問の趣旨に少しはずれております。災害の場合に、担当の局長なり係官が現地に行ってみるのは当然でありまして、今次の災害は、農林統計調査部なり、あるいは北海道被害現状を最も適正に調査をいたしておりますが、大体今日九月十五日現在の推定は、三百九十億を上回る四百億に近い大被害であります。口で四百億と言いますが、これは国家としましても大なる損失であります。そういう膨大なる被害を受けております際に、農林大臣が主務大臣としてこの被害現状をつぶさに見てくる――かりにつぶさに見ることができなくても、被害地の最もはなはだしいところに行ってみてくるということは当然であります。そのことについて、なぜ今日まで大臣が行かれないのか、あるいは今後行く予定になっているかどうかということを承わりたい。それから同時に、この際官房長は、そういうただいまあなたの御指摘のような見解であるならば、大臣にこのことについて御相談されたことがあるのかないのか、承わりたいと思います。
  36. 永野正二

    ○永野説明員 具体的に早急な対策を立てなければならぬと思いましたのに、先ほどのような対策を講じたのでございます。ただいまお述べになりましたような、農林大臣として現地状況視察してしかるべきではないかという御意見がございましたが、この点につきましては、私どもといたしましてよく大臣に申し上げまして、御意見の趣旨を伝えたいと思います。
  37. 小平忠

    ○小平(忠)委員 まことに遺憾であります。今あなたの最後の御答弁によりますと、大臣の北海道に行く問題については、まだ相談されていないようであります。このことを大臣に申し上げてなるべくそのようにいたしたい、こういうことでありますが、(発言する者あり)これは冗談ごとじゃないぞ、笑いごとじゃないぞ、あまり茶々を入れるな。大体の被害現状というものは、台風によって大きな災害を受けて、港湾が大被害を受けたとか、あるいは家屋が破壊、倒壊をしたとかいう場合には、ある程度そのままの原形というものは見ることができる。しかし、すでに北海道の場合には、いかに棒立ちの稲といえども、全然実のついていない雑穀類にしましても、これを田畑にそのまま放置するわけに参らないのであります。不稔粒の、全然実らない稲を放置するわけにいかない。それをやはり刈り取って、普通と同じ農作業というものはやらなければならない。刈り取ってしまってからでは、だれもわからないのです。ですから、やはり時間的にもこれは急がなければならぬ。こういう現状から見まして、具体的な問題は二十九日の農林水産委員会でお伺いするといたしましても、やはり一日も早くそういう措置をとってもらうことが、国の主務官庁として当然であると考えます。そういう見地から、どうぞ官房長から、どうしても一つ万難を排して、かりに一日でも二日でもいいから、北海道現地調査をされるように、大臣によくお話を願いたい、そのことを一つ確約していただくことを私は期待いたします。
  38. 永野正二

    ○永野説明員 先ほど私、申し述べましたのは、農林大臣にはこの問題のいろいろの統計的な被害状況なり、現地から参りましたいろいろな話なりは、逐一お伝えしてあるのであります。決して全然それを怠っておるわけではございません。大臣といたしましても、現地のいろいろな状況が判明いたし次第、それについて必要な対策を講じなければならないと、こういうお話であるのでございます。本日の小平委員のお話はまたよく私から大臣にお伝えをいたしたいと思います。
  39. 小平忠

    ○小平(忠)委員 どうか一つ農林大臣に、あなたからただいま仰せられたよりに、十分にお話をされて、一日も早く行かれるようにお願いいたします。具体的な対策というものは、係官を通じて聞いたところの対策と、責任者である大臣がみずから現地を見てきたものの見方による対策の考え方とは、おのずから違いますから、その点はぜひお願いをいたします。  さらに北海道災害は、応急措置と同時に、恒久対策も講じなければならぬ。北海道総合開発の一環として、北方農業開発をどう考えるかという見地から、これは開発庁といたしましても、過日の北海道開発審議会においてこの問題が論議せられて、それで特別にこのために審議会を持とう、長官である正力さんもぜひ行くべきであるということは、これは審議会で議決いたしたものであります。ところが今日におきましては、正力長官があのときは、何とか参りましょうということを答弁されておりましたが、どうも行く気配がなくて、またこれも富山県に旅行しておるということをわれわれは聞きましたけれども、この点は一体どうなったのか、どうされるのか、次長さんがお見えになっておりますから、次長さんからいきさつを伺いたいと思います。
  40. 田上辰雄

    ○田上説明員 このたびの北海道の冷害は、おそらく未曽有の大被害を受けたものであろう。そして今日まで承わっておるところによりますと、ただいま小小委員のお話にありました通りに、大体四百億に達するような非常に被害のはなはだしいものであるということも承わっておるのであります。北海道開発庁長官としまして、正力大臣もその点を非常に憂慮しておられるのであります。先ほど小平委員のお話にもありました通りに、実はこの問題は北海道開発審議会におきまして早く取り上げられまして、たしか、ただいま御発言になりました小平委員の緊急動議によってこの問題は取り上げられたと記憶いたしますが、その際も、これが単にさしあたりの応急措置だけではなくて、恒久的な対策がきわめて緊急であるという強い意見が出たのでございます。ちょうど北海道開発審議会は五カ年計画の案件につきまして、審議会に検討を願っておりました際でもありましたので、その御意見は直ちに北海道開発第二次五カ年計画にも取り入れられたのであります。のみならず、応急の措置といたしましても、北海道開発庁としましては、いわゆる救農土木といいますか、道路その他の公共施設に、被害を受けました農民を関与させまして、そしてその手当なり、収入をはかって救済をするというこの処置につきましては、重大なる関係がございます。これにつきましても、幸い北海道開発審議会に早くこの問題が取り上げられたので、現地北海道開発局におきまして、その具体的な対策準備をつとにいたしたのであります。今日すでに相当各市町村にわたる具体的の資料が現地におきましてはでき上っておるはずでございます。従って、被害の内容等がはっきりいたしましたならば、それに応じた具体的な土木関係の救済対策というものは、局によってすぐ応じられるような態勢をいたしております。  なお、開発庁長官がこの大被害に対して現地視察に参るべきだという御意見も、ごもっともでございます。今お話がありました通りに、審議会の席上におきましても、正力大臣はその点につきまして十分考慮をいたす、しかし自分が行けなかった場合には、次長を派遣するということをお答えしておるのでございますが、その直後に相談をいたしました結果、大臣は自分が処置しなければならないという性質のいろいろ重要な仕事が非常に重なっておりますので、私が数日中といいますか、おそらく明後日出発をいたしまして、約十日間にわたりまして全道の被害のはなはだしい個所をできるだけ広く視察をいたし、さらに将来にわたる対策の樹立に重変な資料を獲得して参りたい、こう考えております。さよう御了承いただきたいと思います。
  41. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これで私やめますが、正力長官が行かれないために、田上次長がかわって行く、けっこうでございましょう。農林大臣や開発庁長官が行くことによって、これが直ちにどうなるという問題ではなくて、道民はやはりおぼれる者はわらをもつかむというその気持です。同時に、全国的に見ますならば、本年は豊作であります。そういう環境の中にありまして、大正二年以来、いな、その大正二年以上の凶作であるというこの大問題を、やはり国として処置するためには、閣議におきましても全閣僚に認識を持ってもらわなければならぬという意味から、私は大臣にかわるべき次長なり局長が行かれることよりも、大臣みずからいかれることがよろしい、また道民もそれを期待しておるということで強くそれを申し上げるのでありますから、さらに農林大臣については、官房長からぜひ行ってもらうように今日直ちに話をしてもらいたいと思います。のっぴきならぬ用件が正力長官にもあろうかと思いますが、しかし、これも長時日を要しない日程で行かれることが不可能ではございません。あなたが行かれることはけっこうであります。同時に、長官にもぜひ行かれるようにお話をしていただきまして、今次の災害についての万遺憾なき対策を急速に講じてもらいたいことを私は強く要求いたしまして、私の今日の質問を終ります。     ―――――――――――――
  42. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 田上次長から三十二年度の予算説明を……。
  43. 田上辰雄

    ○田上説明員 それでは委員長からの要請によりまして、北海道開発庁の三十二年度の予算の概要を申し上げたいと思います。  北海道開発につきましては、御承知通り第一次五カ年計画が本年度をもって終了いたしまして、三十二年度から向う五カ年問に新たな第二次五カ年計画を樹立しつつあるのであります。この第二次五カ年計画の第一年度として三十二年度の予算を編成いたしまして、大蔵省に御提示をいたしておるのでありまするが、これは、本来ならば第二次五カ年計画を御説明いたすべきであろうかと思うのであります。しかしながら、時間の関係もございますし、委員長から特に三十二年度の予算に限ってというお話でございますので、残念ながら第二次五カ年計画の大綱も省略いたしまして、いきなり三十二年度の予算の要求をいたしておりますことのみを、その内容の概略を申し上げたいと思います。  大体五カ年計画の第一年でありますので、その五分の一の計画を盛るべきでありますが、事業の本質上必ずしもそういかないのでありまして、あるものについては、初年度であるから小さく出発をするというものもあり、またあるものについては、たとえば機械のごとき、初年度において一度に買い入れることが必要だというものもございます。そういう事情でありまして、必ずしも数字的に五分の一ずつ割るというわけにはいかないのでありまするが、大体ただいま要求をいたしておりまする北海道開発庁の三十二年度の予算総額は四百二十二億ということでございます。このほかに、いわゆる正力構想に基きまする北海道交通開発株式会社の案があるのでありますが、これは取りはずしまして、なお北海道開発審議会に継続審議中でございますけれども、これが確定いたしますと、追つかけて要求をするということにいたしております。この数字は、従ってただいま申し上げました四百二十二億のうちには入っておりません。昨年度の予算要求総額はやはり四百二十二億でございます。このほかに要求といたしましては、北海道開発公庫の関係で五十億があったわけでありますが、これを除きますると、大体昨年度の要求総額と似たような数字を要求しておるということに相なるのであります。  この内容を総括的に分けまして説明いたしますと、北海道開発事業に必要な経費は、その四百二十二億のうち三百九十五億でございます。これは河川等の事業費あるいは幾春別川の総合開発事業費、砂防事業費、治山、造林、林道各事業費、あるいは漁港施設、道路事業、海湾事業その他公共事業として取り扱われておるものが、これに属するのであります。もちろん土地改良等の事業あるいは開拓事業等も、こういう中に入っております。このほかに、総会品開発計画調査に必要な経費といたしまして、今回要求いたしておりますのは、一億七千三百万円ございます。それと、人件、事務費等に必要な経費が二十四億八千九百万円、これを合計いたしまして、先ほど申し上げました四百二十二億に相なるのであります。今後、先ほどちょっと申し上げましたように、これに北海道交通開発株式会社の要求額、ただいまのところではこの株式会社の資本総額は三百六十億でありまして、その半分の百八十億を政府出資に期待をいたすことになっております。このうち三十二年度は、もし現在の案で進みますならば、大体四十五億程度の予算の要求ということになろうかと考えております。  きわめて簡単でございますが、三十二年度予算の要求内容の概要を申し上げた次第であります。
  44. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員長代理 報告が終りましたので、本日はこの程度で散会いたします。     午後零時四十五分散会