○小平(忠)委員 午前中の時間もだいぶ経過いたしておりますし、
北海道の
開道以来の
冷害、
凶作につきまして
永井委員からきわめて適切なる意見を加えた
質問がありまして、大体の要点は尽きておりますけれ
ども、あなたが火曜日にお立ちになるので、私二、三点御指摘申し
上げて、ぜひ善処を願いたい、こう思いますので、あえて
質問をいたしたいと思います。
今次の
北海道の
冷害、
凶作はまことに深刻であります。従ってこれは農林大臣にぜひおいでを願いたいと思っておりました。私もそれを申し
上げておったわけでありますが、農林大臣にかわって、とりあえず
経済局長のあなたを呼んだのであります。ただ遺憾なことは、農林大臣がきょうから月曜日にかけて四国に行く、どんな重要な用事があるかわからぬのでありますが、
北海道の
実情を
考えてみますならば、四国へおいでになる余裕があるならば、なぜ
北海道においで願えなかったかという点において、まことに遺憾であります。このことをあなたに申し
上げても、どうもなりませんが、そこで先ほど
永井委員から指摘されましたように、
北海道の
開道以来の
冷害、
凶作は、まさに私はそうであると確信いたします。特に北見、十勝、根釧、天北は最も
被害が甚大であり、特にオホーツク海沿岸は
収穫皆無と申し
上げても過言でないと思います。ところがそういった東道、道北の畑作
地帯の
被害の激甚に対比して、
道南から石狩、空知、上川の米作
地帯におきましても、まさに四十年来の
凶作であるということを御
認識いただきたいのであります。私、先般農林水産、委員の一行のお供をいたしまして、全行程は回らなかったけれ
ども、見ました。さらに私は特に米作
地帯の
被害の甚大な
関係上、五日間つぶさに水田
地帯を見て回りました。ことしの
冷害の
現状は、特に畑作
地帯についてはもう議論が尽きておりますが、米作
地帯については、大正二年の
凶作の場合にも例を見ないということなのであります。というのは、稲の最も成育に大事なとき、すなわち幼穂形成期といえば七月下旬であります。さらに出穂期、開花期といえば
北海道は八月に入ります。その時期に最低気温十度以下に下るということは、完全に稲の成育に一大障害を与えておるわけであります。ところが四十年も五十年もそういう経験がないために、穂が出て、若干花が咲いて、花粉が多い少いなどということは、
農家は相当研究いたしておりましても、過去にそういう例がないものだから、何とかとれるという期待を今ひまで依然として持っておったわけであります。ところが、もう今日の
状態では、八月の気温が逆に九月になって高まってきたけれ
ども、これは決定的なものであります。そういうことから、今までどんな
冷害の場合でも、五分作より以下のことがないような
地帯においても、二分作、三分作という
状態であります。
北海道で八月二十五日現在の田畑合せましての
被害の集計は、五分四厘作と見まして三百五十九億でありますから、今日はもちろん道庁の方の数字もそれを上回っておると思います。道自体が
調査した数字は、九月十五日現在で目下その数字をまとめておりますけれ
ども、その
被害の
程度はもっと上回りまして、おそらく全道的に見て、四分作を下回るのでしょうが、そういうことになりますと、
被害総額においても五百億に近いという大
被害をこうむるわけであります。そういう観点かし、
一つ局長は火曜日にお立ちになるのでありますから、相当な腹がまえと同時に
——大臣が見に行って、大臣が政治的な
答弁をされる場合と、
局長とでは違いますよ。相当つつ込んだ
質問もされ、問われますから、ある
程度大臣とも打ち合されまして、相当な腹がまえを持っていってもらいたい、これが第一点であります。
そこできわめて具体的な問題を二、三点お伺いいたしまして、私はあなたの
北海道においでになる参考に願いたいと思いますが、問題は先ほどから議論されておりますように、緊急
対策と
恒久対策に分れるでありましょう。
恒久対策の問題につきましては、先ほどからいろいろ議論されているように、北方農業、寒地農業という見地に立って、これは寒地という場合でも、
凶作のない農業経営のあり方をやはり根本的に
考えなければならぬと思うのでありますが、当面の問題は、やはりこの甚大な
被害をこうむった
被害農家をいかにしてことしの冬越しをさせるか、来年の再生産をいかにしてさせるかという問題にきております。その際に、従来の負債の繰り延べでありますとか、来年の
営農資金あるいは
共済金の早期
支払い問題等々は当然でありますが、一番困っておりますのは、ことしの冬越しをするために、
農家に就労によりまして、現金収入の道を得せしめる
救農土木事業であります。これは従来の行き方から参りますと、かりに道路の改修あるいは砂利敷等々の問題も、市町村道はいけないの、道道はいけないの、農道はいけないのというような
ワクをはめられると、
被害農家にまんべんなく均霑した施策がとれませんから、
北海道のことしの場合には、そういう
ワクを拡大して、はずすということが絶対必要であります。同時に、土地改良の場合におきしましても、実際可能な問題は、暗渠排水あるいは馬そり客土、馬搬客土、こういう問題も、従来のように三十町歩以上の団地でなければだめだということをやりますと、
被害農家に均霑することができませんから、これはかりに五町歩でも、十町歩でも、客土であった場合にけ、その対象にするということを絶対お
考え願わなければならない。現実に
北海道、十万
農家のうち、
救農土木事業によって現金収入を得せしめなければならぬ
農家は、私は七割と見ている。そうすると、十二月から四月までの五ヵ月問、大体どんな
農家でも、この冬越しに、月一万円くらいのものはどうしても与えなければならぬ。そうすると、五ヵ月と見ると、五万円であります。二十万戸
農家のうちの七割を対象にして十四万戸の五万円となれば、これは七十億という
予算が伴います。しかしこれくらいのことは
局長も腹をきめて行ってもらわないと、一万や、二万の
救農土木事業を与えたって、焼け石に水です。本年は本州におきましては九号台風、十二号台風等の
被害は激甚でありますが、幸いに本
年度は予備金も相当残っております。ですから、
一つ十分に腹を据えられまして、納得できて、安心できる
答弁を御
用意なすって向うへおいで願いたい、この点が第一点、
救農土木事業についてどうお
考えか、お伺いいたしたいと思います。