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1956-04-04 第24回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月四日(水曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 廣川 弘禪君    理事 志賀健次郎君 理事 薄田 美朝君    理事 松浦周太郎君 理事 松田 鐵藏君       伊藤 郷一君    植木庚子郎君       川村善八郎君    笹山茂太郎君       瀬戸山三男君    南條 徳男君       本名  武君    小平  忠君       永井勝次郎君    芳賀  貢君       岡田 春夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         北海道開発政務         次官      白波瀬米吉君         北海道開発庁次         長       田上 辰雄君         総理府事務官         (北海道開発庁         企画室主幹)  柏原益太郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君         農林政務次官  大石 武一君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         建設政務次官  堀川 恭平君  委員外出席者         総理府事務官         (北海道開発庁         企画室主幹) 桑原 幸信君     ————————————— 四月三日  委員大橋忠一君、北れい吉君及び田中正巳君辞  任につき、その補欠として林唯義君、渡邊良夫  君及び橋本龍伍君が議長指名委員に選任さ  れた。 同月四日  委員渡邊良夫君辞任につき、その補欠として伊  藤郷一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道開発公庫法案内閣提出第六三号)     —————————————
  2. 廣川弘禪

    廣川委員長 これより会議を開きます。  この際、きのうの理事会において決定を見ました事項を御報告申し上げます。北海道開発公庫法案についての今後の本委員会審査日程につきましては、本法案質疑は本日及び明後日の二日間にわたりこれを行い、本案の採決は来たる七日に行うことになりましたので、御了承を願うとともに、各位の御協力を切にお願いいたします。  北海道開発公庫法案を議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。なお質疑は、理事会において御協議を願った通り、管理委員会及び投融資計画等について重点的にお願いします。質疑通告順にこれを許します。松田委員
  3. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 銀行局長に御意見をお伺いします。さきに北海道開発審議会決定に基いて、この法案を作った当時においては、管理委員会またはそれに類似した委員会を置くというように、答申に合った法律を作るつもりだったのでありますが、その必要がないという開発庁の先日来の答弁であったのであります。参考人もまたそのような趣旨の話をされましたが、これに対して社会党では、当然置くのが至当でないかという意見もあり、また私どもとしても、そうあるべきであろうという考え方を持ったのでありますし、審議会委員をしておる私の立場からいっても、それが当然じゃないかという考えを持ったのでございます。これに対して当局として、どういう理由によって、この管理委員会なりそれに類似した委員会というものがなくてよいのだという御意見なのであるか、それをはっきりここで伺っておかなければ、私ども審議の過程において非常に支障を来たすのでありまして、この点をお伺いしたいと思います。
  4. 東條猛猪

    東條政府委員 松田先生から、今回御審議になっておりまする北海道開発公庫の機構といたしまして、経営委員会ないしは管理委員会のような制度を置くことが、むしろ適当ではなかろうかという考え方があるのだが、政府として、あるいは大蔵省としては、どういうふうに考えるのだというお尋ねと拝聴いたします。この点につきましては、私どももいろいろと十分検討をいたしたのでございますが、この北海道開発公庫というような公庫におきましては、経営委員会でございますとか、管理委員会のような制度を設けますことは、かえって責任所在を不明確ならしめるようなおそれもありますし、かつまた、北海道開発公庫はただいまのところ国がその全額出資する建前に相なっておる次第もありまして、政府監督によりまして、政策目的を達成するのに十分遺憾なき措置がとれる、つまり主務大臣監督下におきまして、公庫理事長以下の責任者がどういう方面に投資ないしは融資をいたすべきか、その責任におきまして、最も国策にも沿い、適当であるという判断のもとに、今後の公庫運営に当るという体制の方が適当である。また、ほかの現に設けられております公庫の例から考えましても、経営委員会あるいは管理委員会が、公庫におきまして設けられておる事例もございませんが、私どもの見ますところでは、経営の面あるいは制度の面におきまして、それで支障なく動いておる。これらいろいろの点を考えまして、今回の北海道開発公庫におきましても主務大臣監督のもとに、経営責任者責任を持って事に当るという態勢の方が適当でありまして、経営委員会あるいは管理委員会という制度を設けることはむしろ不適当である。かように考えておる次第であります。
  5. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 この公庫に対する資本金は、全額国出資することは法文にも現われておりますし、その他この法律からいきますと、債券を承認を得て出資金の二十倍発行できるようになっております。国の出資金の二十倍ということになると、たとえば、今年は十億でありますから、二百億まで債券発行できる。これが国の出資金が将来百億になった場合においては、二千億発行できるという形になっておる。こういう場合においても、その管理委員会なり審議会なりというものを置く必要がないかという点が出てくるのでありますが、こういう場合における考え方は、どのようにお考えになっておりますか。
  6. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいま仰せのように、今後北海道開発公庫は、いろいろの国策的な目的に即応いたしまして、十分に機能を発揮いたさなければなりませんし、それに必要な資金量の増大ということも、必要に応じまして十分考慮いたさなければならないと考えております。仰せのように、資本金の二十倍を限度といたしまして債券発行の道を開いておきまして、これもそのときどきの財政事情あるいは金融情勢に即応いたしまして、債券消化に努めなければならないのでありますが、私ども考え方におきましては、さような債券消化に当り、債券消化を必要とする事態におきましても、やはり責任所在を明確ならしめまして、公庫投資あるいは融資というものについては、理事長以下の責任者が、主務大臣監督のもとに、自主的に責任を持って事に当ることが、必要でもありますし、またその態勢はぜひ作る必要があるわけでありまして、業務が非常に大きくなり、債券発行をますます必要とするということに桁なりましても、経営委員会あるいは管理委員会の存在を、そのゆえに必要とするということには相なるまい、私はさように考えております。
  7. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 大臣がおいでになったので、もう一つ簡単にお伺いいたしますが、昨日も非常に議論になったことでありますけれども、この公庫に対する事業計画が不明確である、事業計画の不明確なこの法案というものは、どうも意味をなさぬというような議論が出ておったのであります。この点に対して大蔵省はどのようにお考えでありますか。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまのところ、まだ事業計画は明確になっておりませんが、今後事業計画もむろん出てこようと思っております。私はそれで十分いいだろうと思います。ただ、今日北海道開発については、この前も申し上げましたように、長期資金の供給ということが、どうしても、だれが考えても不足である。ですから、まずこういうような公庫ができるということは、少しも早過ぎることはないと私は考えております。
  9. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 まだ聞きたいこともありますけれども、大体様子がわかりました。社会党の方の質問があるそうですから、野党に対して敬意を表する意味において、これを譲りまして、私の質問は終ります。
  10. 廣川弘禪

    廣川委員長 永井さん、一萬田君はほかの委員会出席も要求されておりますので、そう長い時間はないようでありますから、簡潔に願います。大体十五分程度でお願いいたします。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 この公庫は、大臣一つの単なる金融機関、こういうような性格にお考えなのか、あるいは、単なるコマシャール・ベースに乗せて運用するところの金融機関ではなくして、もっとほかの投資機関であるという性格でこれを生み出そうと、こういうふうにお考えになっておるのか、この公庫性格をはっきり伺いたい。
  12. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この開発公庫性格は、やはりしさいに検討を加えると、相当複雑な性格だと思っております。そう簡単に割り切るわけにも、実際問題としていかぬのではないか、ただ、これが北海道開発ということに、設立もその趣旨でできておりますから、関連を持っておるということは、いうまでもない。そうしてこの出資政府出資になっておるというような点、従って北海道開発という目的に向ってこの公庫資金が流れていく、かように御了解願ってよいのであります。北海道開発なるがゆえに、すべてこれがペイせぬわけでも何でもないのでありまして、やはりできるだけ採算ベーシスを持たないところの資金の調達は——民間資金にも依存しておる点もありますから、そういうことをいろいろ勘案して、調整をやっていくべきだと考えております。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 なかなか内容としては複雑な性格を持っておるということでありますが、そういたしますと、たとえば、現在は十億の政府出資、それから七十億の融資、こういう内訳です。従って現在の段階では、資金の質と、それから内容としての資金源の量の面から見て、これは金融機関としての性格が強い。これが将来政府投資がふえていきますと、その内容資金の質と量によって、性格が順次変ってくることがあり得る、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  14. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 資金の量が変れば、質が変るというような結果も起るわけでありますが、しかし私は、これは当初から公庫性格をもちまして、北海道開発に専念する金融機関、こういうふうに考えていいのじゃないかと思います。ただ、その分量が今後ふえていき、北海道開発に対して金融的に力を注ぐ機関である、かようにお考え願えればいいんじゃないかと思います。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 単に、資金不足だから金融的にこれを疎通せるのだ、こういう意味であるならば、一般民間金融銀行金融、その他の開発銀行等においても十分ではないか、それを特にローカル的なこういう公庫を設けなければならないというのには、それだけの理由がなければならない、こう思うのであります。そういう点で、単なるコマーシャルベースに乗せた金融をするのだ、特にこれだけのワク北海道になにするのだという地域的な条件以外に、国の全体から見た金融政策の中で、特にこれを設けなければならないということが、私はただいまの大臣説明では少しく理解しがたいのであります。さらに一つ私が納得できるような御答弁を願えれば、幸いだと思います。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、事柄はきわめて明白なのでありますけれども、私の説明の仕方が悪いために、御理解が願えないので恐縮ですが、北海道開発ということ自体が、なかなかやはりいろいろな面を持っておるのであります。単なる普通金融機関だけでこれがやれるとは、おそらくだれも考えていないだろう。同時に、普通金融機関北海道開発に何ら協力しないとか、それに資金を出さぬとか、そういうことを考える人も私はむろんないと思います。従いまして、普通金融機関がそういう北海道開発に力を注ぐ、それが今お話のように不十分な点がある。あるいはまたやりにくい点がある。そういうような面において、必要な資金を補完的に出していく、あるいはまた、この公庫があるために、これと協調的に融資をすることによって、開発融資一般金融機関よりも円滑にいく。こういうふうなことが私は当然考えられていく、かように考えているわけです。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、一般金融の補完的な役割をする機関である、かように理解してよろしゅうございますか。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 一面から見れば、さよう考えられる点もあるのでございます。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど大臣は、北海道開発について資金不足だ、こういうことをおっしゃられたのでありますが、これは一般金融機関コマーシャルベースの線で運用する限りにおいて、有利な条件があれば、これは自然の形において資金は流れてくるわけであります。なぜ北海道資金不足を告げておるかといえば、そこには産業の立地的諸条件金融機関から見たコマーシャルベース、こういうものが不足しておるから、従ってここには資金が流れてこない、こういう経済上の原則に基く理由があると思うのであります。従って八十億の資金で現在発足するこの公庫が、どのようにさか立ちしてみても、八十億の資金ワク以上の機能は達成できないわけでありますが、北海道の現状は、八十億では非常に不足なのであります。もちろん、これはスズメの涙ほどのものである。従って、資金北海道融資する前提条件となるもの、基礎的条件となるものは、コマーシャルベースに乗るように、企業の諸条件を整備するということが先決条件ではないか、こう思うのであります。金融機関に多年携わられた大臣が、その窓からごらんになりまして、北海道として当面急がなければならないものは、そうした企業基礎的条件金融が当然コマーシャルベースに乗って流れてくるような、そういう条件を早く整備するということが、先決条件ではないかと思うのであります。ところが、その方の計画なり、その方の施策というものは、非常に後進的だ、おくれておる。そしてこのわずかな八十億というようなワクだけが、特別なワク北海道考えられておる。聞くところによると、このワクに対して、すでに日本経済的な条件、あらゆる国際的な状況とは切り離された、独立した形で、さあ木材への投資だ、これだけの資金が予定されておるからというので、もう企業会社創立にあっちこっちで乗り出す、それがあっちでもこっちでも競争的な形になろうとしておる。また製糖工場があっちこっちにできて、原料としてのビートの生産の実態というものはそっちのけにして、工場だけを作ろうという競争が起っておる。もうすでに、こういうふうにして、おれの方でこれだけ金融をつけてやるからという、ひもつきで、会社創立を刺激しておる。こういうことが現在起ってきておるわけであります。こういうような混乱が起るということは、先ほど申し上げました北海道開発についての基礎的な、こういう前提条件が何も整備していないのに、この金融公庫だけが独走しようとするところに、原因があるのではないかと思うのであります。この対症療法として、公庫のこれらの北海道における基礎的な条件、及び現在提起されておるところの諸現象、こういうものを一つ正確に把握されて、この実情に対処するところの運用というものを、大臣はどういうふうにお考えになっておられるか。これは単なる答弁だけでなしに、これらのまじめな北海道開発を、効果的に振興させるという立場において、一つ明確にお答えを願いたいと思うのであります。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 北海道開発必要性が従来から切実に認められていたにもかかわらず、必ずしも具体的に十分進んでいなかったというような点は、私も別に反対はいたしません。しかし今度ほんとう北海道開発をやろうという場合に、やはり事業計画が伴っていないという点が、非常に御不満のようでありますが、事業計画をいたすにいたしましても、金融という見通しが立たないと、事業計画も立たない。金融事業計画というものは、自然相並んでいくのであります。今度、金融面において公庫というものができて、将来の見通しが立てば、これらとマッチした事業計画も現われてくる。それが両方相結んで、着々実施に移されていく、かように私は相なると思っておるのであります。北海道には、最近北海道銀行というものができたのでありますが、拓殖銀行債券発行能力が今ありませんから、発行しておりません。従いまして長期資金にやはり事を欠く、北海道開発ということが現実に取り上げられる場合には、北海道にそういう長期資金を供給する機関がぜひとも必要であろう、こういうふうに考えております。こういうものがないと、事業計画を立てても空に終るのであります。そういう意味におきまして、この公庫が今誕生しようということは、少しも差しつかえないどころではない、むしろ歓迎さるべきことではないか。それがために、これができるからといって、いろいろな事業があれやこれや起りつつあるというのは、私はうなずけないのでありまして、それは別に、公庫がこういう規模においてできるであろうというその結果、あの事業もしよう、この事業もしようというのではないと私は思う。もしも、そうであるといたしますれば——そうであるという意味は、事業が今お話のように、あれこれ起りつつあるとすれば、それはむしろ公庫とは関係なくしても、北海道の今日の経済情勢からして、やはり起ることではなかろうか。これに対しては、金融全体として、その健全なる発達をするように融資していく。ひとり公庫の問題ではないのでありまして、これは金融全体の問題として慎重に考慮すべきことだ、かように考えておるわけであります。
  21. 永井勝次郎

    永井委員 大へん制限を受けましたから、簡単に御質問したいと思います。私はこの公庫発足するに当り、現在は資金源が少いけれども、これがほんとう効果的に機能を発揮して、八十億の投資でこれだけの効果があった、さらにこれに資金を増していかなければ、という非常に明るい希望を持って、この公庫の将来を発展せしめなければならないと思う。その発展せしめるためには、現在起っておるような、これに過大な期待をするとか、あるいは間違った期待をするというような、いろいろな条件というものは、できるだけこれをチェックして、健全な形でこれを発達せしめなければいけない。こういう前提に立って、私はお尋ねをいたしておるわけであります。いうまでもなく、この日本の国の産業の形態を大別すれば、本州の方は、過剰な労働力のところに企業というものが指向しておる。北海道はどうかといえば、北海道原料のあるところに企業が指向しておる。木材のあるところに木材加工水産のあるところに水産加工、農産物のあるところに農産加工、こういうような形で指向しておる。そして、その企業の成立する条件としての労働条件というものは、非常に不備である。労働力がないから、わざわざ特別にその企業だけに向けるべき労働力というものをそこに集中して、企業以外の宿舎であるとか、学校であるとか、そういういろいろな生活条件というものをそこに整備しなければ、企業を成り立たしめることができないというような、二次的、三次的な、いろいろな負担をしょっていかなければならない。さらに交通機関関係から、あるいは文化的な施設から、そういうものが、これにふぞろいな形で起っておるわけでありますから、そういう北海道総合開発計画というものの中で、道路あるいは河川改修港湾、こういうものが単独の形で工事されるものではなくて、そういうものを整備する、道路を作る、港湾を作る、その上に、ここにはどういう企業というものを大体展望できるかというような、その次の段階考えて総合的にやっていかなければいけない。そういうふうに、すべて総合的に考えなければならない。そうでなければ、金融だけの関係では効果を上げることはできないのだ。もしここで、八十億の資金を投下したが、効果が上らない、北海道にはこれだけの金を入れても効果が上らないということになれば、第二次、第三次の増資というものがここに起ってこない、チェックされる条件がある。従って、この公庫発足に当っても、当局は十分そういう点は考えていただくとともに、これを受けて、これを効果あらしめるところの北海道の道民の側においても、厳にこれを自粛して、いやしくも復金二の舞であるとか、あるいは造船疑獄二の舞を起すようなことのないように、ほんとうにこの運営に当っていかなければならないと考えるわけであります。従ってそういうことをするためには、ただ信念的に、主観的に、大臣がこういう考えだ、ああいう考えだと言ってもだめなんで、そういうことが可能なような、客観的なシステムなり、あるいはそういう運用なり、そういうものを組織的に確立させて、こういう組織でいけば、従来の欠陥というものが是正されるではないか、八十億の経済的効果最大限度期待できる、そういう基礎条件が成立しているではないかという、万般の前提条件を整備して、私はこの公庫発足せしめたい、こういうのが一つのねらいであります。その意味において、公共事業費北海道に持っていって、これだけの予算が使われても、経済効果は少しも上っていないではないか。たとえば港湾関係では、現在六十二からの港湾を、ネズミの食いかじりのようにやって、十年も十五年もたたなければ完成できない。完成しないうちに、災害を受けて、つぶれていっている。こういうようなばかな金の使い方をしたら、これはちっとも効果は上ってこない。こういう実例がたくさんあるのでありますから、私は、主観的に期待を非常に多く公庫にかけるというようなことなしに、そういう条件というものを整備してかかる必要がある、こういうので、申し上げておるわけであります。先ほど大臣は、この発足に当って企業が起るのは、公庫と別個に起っておるというのでありますが、そうでなくて、金はあるのだから、貸してやるのだから、ということで、受け入れ体制発足せしめておるというような、ばかげたことが起っておるわけでありますから、私は申し上げたのであります。大臣のこれに対する考え方、及び今後の善処の方針というものを承わりたいと思います。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大へんいい御意見と存じます。なるべく御趣旨に沿うように努力をいたします。
  23. 廣川弘禪

  24. 芳賀貢

    芳賀委員 大蔵大臣お尋ねします。第一の点は、北海道開発公庫を、しかも北海道に本拠を置いてこれを運用するということでありますが、その場合、政府機関としての投融資機関、あるいは特別会計がいろいろあるわけですが、この政府機関の中における開発公庫と、その他の公庫あるいは特別会計との関連、あるいは調節なるものは、いかようになされておるかという点であります。これはこの開発公庫の持つ使命が、北海道における今後の産業開発後進性を打破して、北海道産業開発に寄与する呼び水的な役割を果すのだということになると、従来の北海道に対する財政的な投融資に対して、さらにこの公庫がプラス・アルファとしての役割を果すというところにも、私は特質があると思うわけであります。そういう意味において、この政府機関としての各公庫あるいは特別会計との間における調整、あるいは今後の有機的な活用の点に対して、これは主務大臣としての大蔵大臣から御説明を伺いたいわけであります。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今お説のように、十分そういうふうな関係調整して、最も効果が上るようにやっていきたい、かように考えます、
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 今後効果が上るというのでなくて、この法案を出されるからには、そういう調整等は完全に作業が終っておらなければ、こういう法案は出せないのです。そうでしょう。ですから、それがいかなる形において作業が行われたかという、その経過的なものでもいいですから、それをお伺いしたい。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御承知のように、この公庫資本金十億、それに資金運用部資金から三十億借り入れ、債券四十億、年度内に約八十億程度長期資金を用意する、この点を考慮いたしまして、これが、今後の北海道開発が計画的に行われる上にも寄与するであろう、こういうふうに、むしろ、これはプラス・アルファにおいて考えておるわけであります。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 プラス・アルファに考えておるというからには、これは同一産業企業が、設備資金等を二重に投融資を受けることが可能であるということでなければ、プラス・アルファということは言えないと思うのですが、その点はいかがですか。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、従来財政からする直接の投融資、あるいはまた北海道に対する公正事業、こういうような資金が、必ずしも予算の面が十分でないと私は思います。それでこの資金がプラス・アルファになるということは、他面これを使ってやる事業北海道には多々ある。こういうふうに私は考えておるわけであります。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは具体的にお尋ねします。第一はこれと競合すると思われるような融資形態、一つ開発銀行の融資、それから、たとえば農林漁業金融公庫、さらに中小企業金融公庫、これらの融資形態は、現在までも北海道企業面に対して融資が継続して行われておった。しかも、ある場合においては、北海道の特殊性というものを考慮に入れて、ある程度重点的な考慮が払われておったということも言えるわけです。ですから、それらの融資一つの系列の中において、これがいかなる形態によってプラス・アルファになる、たとえば開銀の資金も借りられるし、また同じように、その企業がこの公庫融資も受けることが可能であるかどうか、そういう具体的な事実の上に立った場合の解釈は、どういうことになりますか。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 少くとも従来政府関係等の機関、たとえば開発銀行等から資金を出す、それはそれでよろしいので、それをとめて、これから出すというわけではありません。また、そういうものに対する融資というものは、原則としてこれを出さない、分野を異にしてやるつもりでいたしております。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことになると、結局開銀とか、あるいは農林漁業金融公雄とか、それらの政府機関融資が、実績においても、北海道分にはこのくらい流れるということを予想された一定額があるわけです。それらのものをそこでストップさせて、これを公庫融資に切りかえるということであれば、この公庫が特別に生まれても、それほど大きな寄与をするということにならぬじゃないですか。一つの事実が北海道開発機構の中にもあるわけです。第一次の北海道開発計画は、主として公共事業を電点として今日まで行われてきたわけです。しかし北海道開発の予算なるものが、果して特別にそれだけプラス・アルファになっておったかどうかということは、明確に指摘できると思う。あるいは、農林、建設とか各省の北海道分なるものの公共事業費を全部集めたものが、北海道開発予算の総額であった。これでは、何も特別に北海道開発の促進とか、北海道産業開発の呼び水になるということにはならぬじゃないですか。どこにプラス・アルファとしての特質があるかということを、もう少し事例をあげて大蔵大臣説明なさった方がいいと思います。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 従来の財政負担でやるということは、たとえば公共事業においては従来通りにやる、それから開発銀行でやるのは、それは開発銀行で従来通りやる、そのほかにまた公庫の金が出る、こういうわけであります。だから、プラス・アルファになるということです。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 これは大蔵大臣、重大な発言です。各政府機関から融資を受けると同時に、その企業はさらに北海道開発公庫融資を受け得る、この間資料として出された業務方法書等によると、そういうことはやらないということが明らかになっておる。大蔵大臣がそういうことをやるということであれば、非常に仕合せであります。ぜひ、そういうことでいかなければならぬというふうに、われわれは考えておるのでありますが、主務大臣としてそういう方針でありとすれば、当委員会質疑を通じて、今後の運営に当っては、その点を明確にされる必要があると思います。もう一皮確認する意味において、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 別に重大な発言でも何でもない。きわめて普通の常識であります。開発銀行なら開発銀行が今まで北海道融資しておった、それをやめさせて、新たにこれを作って、これからやらせる、そんなことをする必要は全然ないので、そんなものは作らぬでもいいのです。開発銀行でやるのはやってよろしい。それから公共事業は、財政の許す範囲において、またよそとの振り合いの上において、北海道にこれだけを向ければそれでよろしい。そのほかにこれを作る。なぜそういうことになるかといえば、北海道開発ということをいやしくも取り上げる以上は、資金最に比べてやはり事業量が多いのです。いわゆる資金不足しているというところに、やはり今日この公庫を作る問題点があると私はかように考えております。それで御了解願えると思います。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 これは大蔵大臣は軽い問題だと言っているけれども、今までの政府金融政策上から政府機関が同一の企業とか産業に対して、二重の投融資を行なっているという事例はほとんどないのですよ。あなたは、今度はその道を開くのだということを言っているけれども、これは政策上から見ても軽々しい問題でありません。いいですか、北海道全体に対して、北海道というものを抽象的に対象にして、この公庫ができたから、開銀の金を貸すとか貸さぬという問題ではないのですよ。この融資を受け得る一つの具体的な企業体は、公庫融資を受けると同町に、開銀の融資も受けられるという、そういう事実が果して今後の運用の由に行われるかどうかということを、私は聞いておるわけです。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今お話のようなことが、かりに起るとすれば、それは北海道は非常に資金が豊富だということを意味するのです。たとえば、開発銀行なら開発銀行からある企業が金を借って、またその上にこの企業が公簿から借る、こういうようなことを御想像になるが、そういうふうに御想像なさることはごうもない。もう少し平面的に、ここに開発銀行があるけれども開発銀行から金の出ていない部面がある。そこに公庫の金を持っていく。そうしてこの公庫の金は、四半期ごとに事業計画を作って、そうしてこういうものに貸すということにしまして、大蔵大臣の認可も受けるのでありますから、そういうむだになるようなことは、決して私は今後やらせません。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、重複した投融資が行われないということじゃないですか。そうでしょう。そこをはっきりしなければいかぬですよ。自分だけがわかっておっても、この委員会全体を通じては、全然わからぬではないですか。同一企業体に対して、二重の投融資をやるのか、やらぬのかということです。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、同じ企業に対して二重投資をするということは、一度も言ったことはない。速記録をお読みになればわかりますが、そういうことを言った覚えは絶対ありません。速記録をお調べになって、そういうことがあれば、つつしんで取り消します。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 それではお尋ねしますが、先般出された公庫の三十一年度の投融資計画案なるものを見ると、この中に、たとえばテンサイ糖工業に対して、これを融資の対象にするということが具体的に出ておる。ところがもう一つ北海道のテンサイ糖工業に対して、昭和三十一年度にはおよそ七億五千万の融資を行うということが、余剰農産物の特別会計融資計画の中に出ておるわけです。いいですか、そうするとこの公庫政府機関ですね。明らかに公庫からも、今後の北海道のテンサイ糖工業に対しては融資の対象にしておるわけです。余剰農産物の特別会計からも、すでにもう七億五千万というものを予定して、これは予算の説明の中にも出して、大蔵大臣説明しておられる。そういう事例が具体的に現われておるわけなんです。ですから、この点は先般当委員会において正力国務大臣にただしたわけであります。最初は正力大臣は、いや、そういうことは絶対しませんということでありましたが、その後政府委員に知恵をつけられて、原則としてはしないけれども、しかし運用上においては、やるようになるかもしれぬという、非常にあいまいな答弁をしておる。それで、この点に対しては主務大臣である大蔵大臣から明らかにしてもらうということで、今日まで保留されておるわけですが、これらの関係はどういうように考えておるのですか。
  41. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点につきましては、きのうでしたか、当委員会にまかり出まして御答弁をしたのですが、北海道開発庁の三十一年度の公庫業種別投融資計画試案、これは試案となっておりますから別に私は何もかれこれ言う余地はありませんけれども、これらは何もまだ相談を受けておりません。従いまして、もしテンサイ糖というのがかりにありましても、これは私今かれこれ申し上げる余地はありませんが、こういうふうな計画で、これは公庫からまた事業計画大蔵大臣に提出してきます。そのときに、今お話のように総合的に十分調整を加えまして、むだのないように、公庫の金が最も有効に使われるようにいたしたいと考えておるわけであります。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 私はこの試案を云々しておるわけじゃありません。大臣の先ほどの明快な答弁によると、二重の投融資は絶対にしないということを確信しておるでしょう。その場合において、一つは余剰農産物の資金融通特別会計からテンサイ糖工業に対して、今年度七億五千万円なりを融資するという計画がきまっておる。としたならば、さらに開発公庫からもこれを対象にして融資するということになれば、これは明らかに二重の融資であるということが言えるわけです。こういう具体的な事例の上に立った場合において、あなたは、これは試案だからよくわからぬと言われるが、そういうことでなくて、基本的に原則的な問題として、そういう場合にはやるか、やらぬか、ということを明らかにしてもらえばいいわけです。
  43. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この公庫の金は、大蔵大臣があそこに使え、ここに使えという性質のものでありませんで、公庫の方から事業計画を立て、かように融資したいということで認可を受けてくる、そのときに大蔵大臣がよく見まして、今お話のような二重の融資がないように、最も有効に金が使われるということを認定した上で、認可をすることにいたしたいと考えておるわけであります。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 それは出てきたときじゃないのです。あなたは公庫に対しては主務大臣でしょう。ですから、業務方法書とか、あるいは政令等を作る場合においては、あなたがこれを確認しなければ、そういうものは効力を持たないということも言えるわけです。ですから、具体的な問題として、そういうものが出てきてから、そんなものはいけないというよりも、事前にそれらの点は明らかにしておく必要があるのです。そういう二重投資はやらないのだということが明確になれば、もうまぎらわしくないわけです。ですから、これは派生的な問題としてでなくて、むしろ原則的な問題として、そういう取扱いをするのかしないのかという、先ほどあなたが確認された点とあわせて、もう一度明快にお答えになっていただきたいのです。
  45. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 二重という意味ですが、むだに重複して融資をするというようなことがあれば、むろんこれは認可しません。これは申し上げるまでもありません。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 その次にお尋ねしたい点は、今度の公庫投融資計画を見ると、これは第二次産業の面に対して重点が置かれておることは当然ですが、この場合に、北海道の今後の開発との関連の上に立って、やはり第一次産業との関連の上に立った今後の第二次産業の発展、あるいは振興ということを考える必要がある。そういたしますと、これは当然、第一次産業との関連の上に立った公庫運用というものが考えられなければならぬと思うわけです。特にそれは農林、畜産、水産業等の面に対して思うわけです。ところが、これに対しては、今までの政府当局からの説明によると、農業協同組合あるいは連合会、それらの農民出資によるところの農業団体等の法人に対しては、投融資の対象にしないということになっておるという説明を得ておるわけです。こういうことになると、そうした一番北海道開発の基本的な役割を占めておるところの第一次産業に携わるそういう法人が、この公庫融資を全然受けることができないということになる。あなたは先ほど、公庫北海道の後進的な産業発展のために、これはプラス・アルファとしての役割を果すための融資を行う、ということを言っておる。そういう場合においては、私が指摘したこういう農民出資によるところのこれらの法人に対しては、この公庫はいかなる形をもってプラス・アルファが実証されるような融資を行わんとするか。その点はどう考えていますか。
  47. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この公庫といたしまして、おもな事業というものは、第三章業務の十九条に、一、二、三、四、五として列挙してありますが、大体この方面に主力を注ぐ。しかし、これは経済的なことですから、みな有機的な関連を持ちますので、農林漁業金融というものについても、これは農林漁業金融公庫というものがありまして、特にそういう方面に力をいたしておりますが、しかしまた、関係するところにおいては、こういうものに全然融資をしないということも考えていない、そうして、こういうものを基本にして、北海道開発をいかにすべきかというふうな事業計画、そういうものにのっとって、この公庫は四半期ごとにこういう事業計画融資をしたいというようなものが、今後策定されてくるだろう、かように考えておるわけです。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、大蔵大臣のお考えによると、たとえば農民出資の法人に対しても、現在は全国的な規模において農林漁業金融公庫というような機関はあるけれども、さらにこれらの法人格に対しても、この開発公庫融資が行えるということにすべきである、というふうに考えておるのですか。
  49. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今申しましたように、こういうふうに一、二、三、四、五と第十九条に書いてございまして、これは扱い面については、中小企業金融公庫とか、日本開発銀行とか、あるいはまた農林漁業金融公庫、こういうものの融資対象になるものについては、この融資はしないということになっておりますから、それぞれの業務分野をなるべく——これは資金量がそれほどでもありませんから一応そういうふうな考え方運営をしていきたい、こういうふうに考えております。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 どうも説明が不明確なんですが、繰り返して言うようですけれども公庫は農民出資の公益的な法人に対しては——これらの法人は、農林漁業金融公庫資金を受け入れる資格を持っておる。そういう有資格の法人は、今後公庫融資を受けることができない、融資しないということなんですか。そういうふうに解釈していいのですか。
  51. 東條猛猪

    東條政府委員 先ほど来大臣から御答弁申し上げておる通りでありまして、この公庫は、日本開発銀行あるいは中小企業金融公庫、そういうような既存の政府関係機関融資しておるものにつきましては、原則として融資は行わない。また、ただいまお尋ねがありました農業協同組合でありまして、すでに現在農林漁業金融公庫融資の対象になっております業種につきましては、今日におきましては融資を行わないということで出発をいたしまして、今後のいろいろの状況も十分勘案してきめたい、こう思っております。が、先ほど来大臣が申し上げておりますように、資金量といたしましても、今年八十億程度のことでもありますし、ともかく業務分野を明瞭にいたしまして実行に着手したい、かようなことに相なっておるわけであります。従いまして、くどく申し上げますが、農林漁業金融公庫の現在融資対象になっております業種につきましては、原則としてこの公庫は取扱いをいたさない、かように御了解いただきたいのでございます。
  52. 廣川弘禪

    廣川委員長 芳賀君、もう時間がないですから、簡潔に願います。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員 今銀行局長が言われたことは、われわれ知っている。そこに問題がある。なぜ公益的なそういう法人格に対しては、これは農林漁業金融公庫融資対象になる法人格だから融資しないのだ、ということで限定して、それ以外の利潤追求のそれらの株式会社等の企業に対しては、これは普遍的に一応対象にするわけです。しかも、開銀筆の融資を受ける能力の乏しいものを特に対象にするということになると、農業資本等によって、今後の第一次産業の、そのみずからの力を高めていかなければならない一番大事なこの法人が、全然融資を受けることができないのです。しかも、これらの行わんとする事業と競合するがごとき私企業が、こういうような有利な条件資金融通を受けて、同一分野の中で競合するような事態も、決して起きないとは言えないわけなんです。ですから、北海道におけるところの産業開発資金的なプラス・アルファになるという場合においては、やはりこれは同列に——農林漁業金融公庫資金源も今日乏しいことは、おわかりの通りであります。それが十分でないのでありまするから、やはり同じような角度から、そういうような一つ産業が、法人の力によって発展していくような点に対して力沿えをするということが、最初から配慮されなければならぬ点じゃないか。それをあえてやらないというのは、どういう理由なんですか。
  54. 東條猛猪

    東條政府委員 先ほど来申し上げておりまするように、現在の北海道開発の状況、またただいま御審議を仰いでおりまする公庫の初年度の資金量、いろいろの状況を勘案いたしますると、政府といたしまして、従来御説明申し上げておりまするような方針によって、とりあえず公庫融資をいたして参るということが、現在の北海道を重点的に開発するという観点から、最も適当な方針である、かように考えまして、政府考え方を御説明申し上げて、御了解を得たいと存じておる次第でございます。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 政府はこれを提案される場合に、北海道の農林水産のごとき原始産業がいかなる地位に置かれておるかという分析が、全然なされていないのです。北海道の農業にしても、水産業にしても、非常な後進性と劣悪な条件の中に、今日経営が持続されておるわけなんです。ですから、これらの条件を融和して、さらに経済的な一つの優位性をここから育成させるためには、どうしても財政的な、資金的な助力というものが必要になるわけなんです。ですから、特にこれを行おうとする場合においては、そういう非常に力の弱い、劣悪な条件の中におるところの第一次産業の面に対しても、しかも農民みずからの経済力によって産業を発展しようというような意欲がある面に対しては、やはりこの公庫が十分なる配慮を行うということが、法律の中に明らかにされており、また配慮されていなければならぬと思うのですが、今の答弁によると、全然そういうことが考えられておらぬ。これはもちろん、今の政府が資本主義的な考え方の上にのみ立っておるから、そういう広範な、農林水産業に従事する人たちのことは考えておらぬのだと割り切れば、それまでであるけれども、しかし国の費用をこれに投じて、こういう公庫を起そうとする場合においては、十分なる考慮とか熱意を持った取扱いというものが必要であると思いますが、この点に対して大蔵大臣はどういうふうに考えておりますか。
  56. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま銀行局長から答弁をいたしましたが、これは結局、今後の北海道開発ということの具体的な計画、さらにその後における発展、あるいはまた、この公庫資金の今後における状況等々から勘案しまして、私は必ずしもそうしゃくし定木に考えなくても私の気持としては、ほんとう北海道開発ということに役立てば、そうやかましく言うことはない。要するに、北海道開発ができればいいので、それを最も有効にするのには、どうすればいいのか。これはほかのいろいろな事業もありましょうし、あるいはほかの金庫等の関係もありますから、それらを十分勘案して、うまくやていこう、こういうような考え方にすぎないと思っております。お説の点は、十分今後の運営の面において考えることにいたします。
  57. 廣川弘禪

    廣川委員長 岡田君。
  58. 岡田春夫

    ○岡田委員 簡単に一、二点だけ伺います。  まず第一点は、先日の大蔵委員会だというように私は記憶しているのですが、大臣は何か近いうちに日銀関係の機構改革をやって、政策委員会を廃止したい考えがあるというような御答弁をされた記憶があるのでありますけれども、そういう事実があるのでありますか。
  59. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうふうな意味のことを言ったことはあります。それは、こういうことなんです。今度法律金融制度調査会というものを作ります。そうすると、やはりまず第一に取り上げられるのが、日本銀行法の改正です。いやしくも日本銀行法を改正する場合に、日本銀行の意思を最終的に決定する最高機関がどうあるべきかということに検討を加えること、これはもう当然です。ところが、今はその最高機関政策委員会です。しかもこれは戦時中の産物なので、これが果して日本に妥当するやいなやということを考えるのは、当然のことだと思います。そのことを私は申したのです。
  60. 岡田春夫

    ○岡田委員 ただいま戦時中というお話であったのですが、これはきわめて重大なんで、日本の国が敗戦になってからも、戦時中という名称をお使いになるのでありますか。どうなんでありますか。
  61. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それはいわゆる戦時中じゃございません。占領中です。
  62. 岡田春夫

    ○岡田委員 御承知のように政策委員会を設けたというのは、日本経済の民主化をはかるために、日本の財閥の解体、あるいは独占禁止をしていく、これの一連の措置として、当時のいわゆる極東委員会の措置としてこれが行われた。従って、言葉をかえて言うならば、日本金融機関の民主化という点が問題になってくる。金融機関が保守的であるだけに、その民主化をはかるという意味で、政策委員会を設けるということになったのでありますが、その当時は、たしか大蔵大臣は日銀総裁をやっておられたはずなんです。今日の段階として、政策委員会はもはや必要はないというお話であるとするならば、その当時からも、そのようにかねがねお考えになっておったのであるか、あるいはその後において急にそのようなことをお考えになるようになったのであるか。と申しますことは、実はこれは御承知だろうと思うが、大蔵省政策委員会を設けるということは、あの当時から反対しておったので、長い間の宿望を達成して、今廃止をしようというような動きになりつつあるんだけれども、そのような官僚諸君の意見に屈服して、政策委員会を廃止しようというような考えに、最近になっておなりになったのではないか。この点をお伺いいたします。
  63. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 非常に誤解されておる。何も私は廃止するなんて考えておらないので、一番最初、金融制度調査会で、そういう日本銀行の意思を決定する最高機関がどうあるべきかということは、新しい角度でこの際やはり検討は加えてみたい。日銭政策委員会を存置すべし、それがよいとなれば、それも傾聴しなければならぬ。そういうわけであります。御意見は十分拝聴いたしました。
  64. 岡田春夫

    ○岡田委員 大体よくわかりました。金融制度調査会の意見をできるだけ尊重してやろう、こういう御趣旨であって、廃止するという考えを今持っておるわけではない。こういう見方だろうと思います。  そこでこの公庫法に関係するのですが、この公庫の中に、経営委員会あるいは管理委員会、名前はいろいろの名前が使われております。そういういわゆる管理機構というものが設けられるに当っては、これは実は開発審議会の再三の審議の過程において、この公庫の公益性を守るために、もう一つは経常の民主化をはかるために、この管理委員会を設けるんだ、このような趣旨で設けることになっております。とするならば、ただいまお話のように、日本銀行の場合においても、経営の民主化という観点に立って政策委員会が設けられるとするならば、あなた御自身の意見として、当然この開発公庫法においても、経営の民主化をはかる、公益性を守るという意味において、管理委員会を設けるという考えになるべきだと考えるのであります。この点は全然別な趣旨がおありなんでありますか。
  65. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今、省としましては管理委員会をここに設けるということは考えておりません。むろん、そういうことのあるなしにかかわらず、銀行経営の民主化ということもいいことでありましょう。公平に、資金北海道開発に最も役立つように持っていく、こういうことを経営の基本方針とすべきだと私は考えております。
  66. 岡田春夫

    ○岡田委員 時間がないから進めますが、先ほどから芳賀君の話を聞いておっても、プラス・アルファの役割を果すのだ、これは観念的にはそういうことが言えるだろうと思う。しかし大蔵大臣ですから、計数の上においても日本政府においては一番明るい人でなくちゃならぬのだが、具体的な数字の上においても、プラス・アルファの役割を果すのだということの具体的な御答弁がないから、先ほどから長い間みんなが聞いておるわけです。あるいはこれは大臣御存じなければ、局長から御答弁いただいてもいいのだが、今度の業務方法書を見るとた投資の場合には資本金五千万円以上、それから融資の場合には一千万円以上の会社に限ってのみ投融資が行われる。それからもう一つは、政府金融機関、先ほどのお話のような、こういう金融機関からすでに投融資の行われたもの——主として融資でありますが、融資の行われたものは、投融資の対象にならないという規定がある。とすれば、一千万円以上の会社で、投融資の対象になる会社が一体どれくらいありますか。私の調べた限りにおいては、ほとんどないといっていいくらいだと私は考えておる。というのは、第二次産業の場合においては、大体一千万円以上の会社というのは、北海道を通じて二百五十社ぐらいです。しかし、この二百五十社のうちで、開銀その他から投融資をやっておるのが大半なんです。そうすると、もうほとんどないということになるじゃないですか。具体的に、計数的にお答えいただかなければ、納得がいかないということになるのですが、いかがですか。
  67. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいま岡田委員から業務方法書に関連してのお尋ねでありますが、実は業務方法書は、この法律にもございます通り、いずれ法律の通りに公庫ができまして、責任者が業務方法書の案を作りまして主務大臣の認可を得る、かような手続になっておりますことは御承知の通りでありまして、いろいろとそういう案も御研究の向きもあると思いますが、私どもといたしましては、まだこの業務方法書に立脚しての御答弁がちょっといたしかねる段階にあるかと存じます。  それから計数的にという仰せでございますが、先ほど来大臣が申し上げておりますように、既存の政府の財政資金なり、あるいは現存の政府関係金融機関、あるいは市中金融機関資金は現在の通りの姿で出るのでありまして、それの及ばないところへ、補完作用として、今回の公庫の八十億の金が出るわけでありますから、これは計数の問題としても、プラス・アルファだということが御了解願えるかと私は存じます。
  68. 岡田春夫

    ○岡田委員 どうも局長、そういう言葉でのがれてはいけないですよ。あなたはこの委員会の速記録を読んでいますか。速記録を見ればわかるんだ。これは業務方法書とは別に、一千万円以上の投融資についてはやるかやらないかという質疑応答があって、政府委員から正式に一千万円以上ですとはっきり言っている。それが具体的には業務方法書に別に出ている。業務方法書でなくてもいいですよ。質疑応答で聞いてもいいのです。そういう一千万円以上という制限を加えているのは事実なんです。それを加えているのに、それなら、その会社が幾らあるかと言ったら、開発庁はそのときはわからなかった。大体私が通産局関係で調べたのは、二百五十社ぐらいなんです。その中で、開銀その他の政府金融機関からもらっているものを見ると、そのほかには、ほとんどない。そういう実情であるということを申し上げておるのに、プラス・アルファ——そういう言葉じりをつかむと、いろいろあるが、さっきの大臣の言葉で言うと、まだまだたくさんあるはずでありますなんというような、きわめてわけのわからない答弁をしているのです。  それでは、大臣お急ぎのようですから、一点だけ伺っておきますが、先ほどからあなたが言っておられるように、この開発公庫というのは、開発上必要な面に使うのだ、こういうお話でした。開発上必要な面にお使いになるのだとすれば、たとい私は五百万円の会社でもいいのじゃないかと思う。あるいは六百万円でも、三百万円でもいいのじゃないかと考える。そういう面において、ほんとうに必要だということを考えるとするならば、その方面についての投融資を行うべきであって、このような制限を設けることは、適当でないと私は考える。大臣の、開発上必要なものであるならば、というお話を正直に受け取るならば、そういうことになるのだが、そういう点について制限を設けた方がいいのか、いけないのか。この点について一点だけ伺ってて、あとは局長に伺います。
  69. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、私、北海道関係とも開発庁あるいは関係の人とも相談をいたしまして、どういうところにするのが一番いいのか。これは実際に合うようにするのが一番いいと思います。そんなにこだわることはない。ただ、従来中小企業金融公庫あたりが融資対象一千万円にしておるというようなことから、やはり若干そういうふうな考え方が出ておるのだろうと思っておりますが、私はそういうことにあまりとらわれませんです。実効が上るようにしていく、こういうふうに御了承願います。
  70. 岡田春夫

    ○岡田委員 それでは実効が上るという意味は、そういうようなことさらの基準を設けないという意味に解してもよろしゅうございますか。一千万円という基準は設けない、こういう意味に解釈してもようございますか。
  71. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは検討を加えて、設けるか、設けないか、設けないと、非常に乱雑になるおそれもありますから、ただ、どういうところに設けることがいいかという点を特に検討を加える、かように御了承願った方がいいと思います。
  72. 廣川弘禪

    廣川委員長 大蔵大臣は退席いたしますが、他の政府委員もおりますから、続行願います。
  73. 岡田春夫

    ○岡田委員 それでは局長に伺いましょう。今の問題いかがですか。一千万円以上の制限があるはずなんだが、今大臣はきわめて政治的な答弁をして行ってしまったのだけれども、あなたのお考えとして率直に——たとえば二百五十社しかない、従って既存の金融機関がすでに融投資をしたような企業体があるとするならば、もうほとんど大半がやっております。中小企業金融公庫まで入れれば、大半がやっておるとするならば、投融資の対象になるような会社があるかどうか。この点をお調べになったことがあるかどうか。この点を伺いたい。
  74. 東條猛猪

    東條政府委員 すでにもう岡田委員も御発言でありますが、先ほども申し上げましたように、この北海道開発公庫は、やはり現在の金融機構の及ばないところへ、補完的作用をするというところに重点を置いて参ったことは、御承知の通りであります。中小企業金融公庫の現在の業務範囲には、これも御了承の通りに——一千万円以上と申しましたが、これは言い違いで、以下であります。中小企業金融公庫は一千万円以下の中小企業融資の重点を置いておることは、御承知の通りであります。それで、北海道開発公庫の補完的作用という観点と、既存の金融機関との業務分野を一応はっきりしておこうじゃないかという観点からいたしまして、両方かみ合せますとこれは別の省の政府委員から御答弁申し上げたように、やはり業務分野の調整という観点から見れば、中小企業金融公庫の行う業務分野というものは、スタートとして避けようということが、一応結論として事務的に出て参るわけでありまして、そこのところを申し上げたのかと思います。それからはなはだ恐縮でございますけれども北海道におけるさような事業、あるいは会社資本金でありますとか、あるいは資金量でありますとか、そういう分布の統計につきましては、ただいま私持ち合せがございませんので、ほかの適当な政府委員からの御答弁で御了承願いたいと思います。
  75. 岡田春夫

    ○岡田委員 そういうことを、この法案を出す前にお調べになった事実がありますかどうですか、という点を一点伺いたい。それから、開発庁にこの前私はこういう質問をいたしたのです。北海道開発のために一年間にどれだけの資金がいるか、これは政府投融資も含めてですが、その中で、たとえば財政投融資にはこれだけ、民間の金融機関はこれだけ、この公庫が八十億、こういうことになって、切めてこの公庫役割が果し得る、どういう地位を占めるかということが明らかになってくるのだ。従って最初のこの資金計画というものはあるのだろう、これを出す限りにおいてあるのだろうと言ったら、開発庁はないと言う。どこにあるのだ、大蔵省にあると言う。あなたのところにあると思う。あなたのところにあるのか、ないのか、その点を、特殊金融課長がそのとき見えておりましたので、聞いたら、いや、よくわからぬのですがという意見だった。しかし、おそらくあるのだろうと思うが、その資料がいまだに出ておりません。そういうものがなければ、この役割、地位というものが明らかになってこない。この点についてそういうものをお作りになったことがあるのか。というのは、これは作れるはずです。国の予算の全体としての資金計画、財政計画もできるわけですから、そういうものは大体の計数として出し得るわけなのです。そういうものをお作りになったことがあるのかどうか。いまだに資料として出ておりませんが、お出しになるお考えがあるかどうか、前の点と二つだけまず伺いたい。
  76. 東條猛猪

    東條政府委員 北海道開発公庫の業務の内容、あるいは資金量を御検討いただきます場合に、今岡田委員の御発言のように、全体の資金量北海道の今後の開発のために幾ら資金量がいるのだ、そのうち既存の金融機関が大体幾ら出せるだろうか、従って残りは開発公庫が出せる、というようなアプローチの仕方もあると思います。しかし、そういう問題の取り上げ方のほかに、これも私ども立場として申し上げておりますように、この北海道開発公庫というものができまして、責任のある理事長以下責任者がここにきまりまして、いろいろの観点から考え——もちろん、これは北海道総合開発という観点に根ざしたものでなければならないのでありますが、そういう全体の開発計画のことも考え、また具体的な事業計画その他のことも考えて、具体的に四半期ごとにこの事業計画なり、あるいはそれに即応した資金計画というものができまして、主務大臣の認可を求める。つまり全体的ないろいろ総合勘案した計画と、公庫の実際の運営の要領、運営の具体的な計画というものを、両方並行的に進めて参る。こういう実際的な考え方が二つあると思います。もちろん全般的な総合開発につきましても、私どもといたしましても常に検討を怠りなく、政府全体としていたすべきでありますが、この開発公庫を作るか、作らざるかということを御審議いただきます場合に、そういう前者の立場でなければ、この開発公庫北海道開発に占めるウエートはわからないとか、あるいはその重要性はどうであろうか疑問であるというふうに、必ずしもお考え願いませんでも、そういう総合的な計画と具体的な金庫の運営計画というものが相待って、しかも同時に並行的に進んでいくのだということが、当然考えられると思います。そして今御質問の、大蔵省の銀行局あるいは特殊金融課長というお話がありましたが、今そういう全体の総合資金計画との関連において、公庫事業計画がどうなっておる、あるいは財政資金がどうなっておる、民間の金融機関による計画はどうか、従って北海道開発公庫資金の占めるポジションいかん、さような資料は、はなはだ恐縮でありますが、ただいま提出の用意をいたしておりません。
  77. 岡田春夫

    ○岡田委員 私はあなたの御意見を伺っておると、きわめて一方的だと思う。どうしてかというと、あなたの言われるケースはあると思いますよ。いわゆるこの金融機関の中の金をどのように使うかという問題です。これはあるでしょう。あるだろうが、これは限られたお金をどのように効果的に使うかという問題であって、北海道全体の開発計画の中で、この八十億というものがどのような役割を果すかというのが、その前段でなければならない。この二つが十全の役割を果して——私は前の方だけはいいのだと言っておるのじゃない。この前の委員会質問でも、両方やっているのです。その前段の方が、あなたに関係するから言っておるのであって、両方が安全な形をとっておらなければ、ほんとう開発の計画のために役に立つか、立たないか、わからぬじゃないかということを言っておるのです。だから、あなたの御意見その他を承わっておると、こういう点を私は伺いたくなる。どういう点を伺うかというと、初めの公庫法案だったら、資本金百億なのです。そしてその他合せて三百億まで出せることになっておった。それから今度の場合は十億で、債券発行その他を入れて八十億まで運用できる、こういうことになっておる。そうすると、この百億から十億に切り下げた、これは一体どういう基準に基いて十億にしたのですか。予算上の措置に基いて、予算上許し得る限度というものを理由として、十億に切り下げたのですか。何か別な理由があったのですか。
  78. 東條猛猪

    東條政府委員 先ほどあるいは私の申し上げ方が足りなかったかと思いますが、先ほど申し上げました全貌の話を一応別といたしますれば、たとえば通産省方面では、この五カ年計画の試案に基きまして、北海道の水産業その他においてどのくらいの資金量が要るかというような推算は、もちろんいたしております。それからおそらく御列席の北海道開発庁の方からも、開発庁独自の研究案がおありと思います。ただ私の申し上げましたことは、大蔵省の銀行局において岡田委員お示しのような、そういう資金の全貌、あるいは開発公庫の占めるポジションというような資料があるかという点につきましては、ただいまごらんをいただくようなものはありません。かような趣旨を申し上げたわけでありますから、念のために申し上げておきます。  それから資金産業投資特別会計からの出資の十億円、これについて、いわばどういう観点からきまったものであるかという御趣旨お尋ねと拝聴いたしますが、これはやはりいろいろの観点から——もちろん北海道開発公庫資金量を大きくしたいという観点から、この問題を取り上げますならば、十億円でなくて、もっと多くの出資がほしいという立場も当然あるわけでありまして、また私どもも、そういう考え方はごもっともに存ずるわけでありますが、三十一年度の産業投資特別会計資金の状況あるいは財政投融資全体の数字からいたしまして、不十分ではあるが、十億円程度でもってとにかくスタートしてもらいたいという、財政資金あるいは投資計画の立場もあるわけであります。そういういろいろの観点から、政府部内でも慎重に話し合いをいたしました結果、とりあえず三十一年度は十億円ということでおわかりいただいて、さように相なったわけであります。
  79. 岡田春夫

    ○岡田委員 いろいろな見地というお話ですが、百億という資金を十億円、十分の一にしたということは、いろいろなというよりも、主として予算上の措置、財政投融資の中では大体どのくらい割り振れるかという意味で十億にしぼった、こういうことが大体の趣旨ではございませんか
  80. 東條猛猪

    東條政府委員 申し上げるまでもなく、資本金は十億円でありますが、ほかに資金運用部から三十億円ということでございまして、百億円と頭に置いて岡田委員にお考えをいただきますれば、十億円と御理解願うのが正しいのか、あるいは四十億円と御記憶願うのが正しいのか、あるいは私どもは、このほかに何とか民間資金の活用をやりまして、あと四十億円ということを考えておりまして、合計八十億円ということに相なるわけであります。私どもといたしましても、単に産投特別会計からの出資ということだけでなくして、いろいろの観点から公庫資金の充足については努力しているということを、御了承願いたいと思います。
  81. 岡田春夫

    ○岡田委員 私はそんなことを聞いているのではない。百億と比べるのはおかしいですよ。あなたはあの当時の予算の査定を知っているでしょう。三百億ですよ。百億というのは資本金で、第二年次は資金運用部の資金その他二百億使われるのです。少くとも三百億円と比べるべきですよ。そのほかに比べる道はあるけれども、百億と八十億ではあまり開きはないではないかという答弁程度では、私はごまかされません。三百億と八十億の違いという問題になってくる。こういう点は、いわゆる予算上の措置として言われたものではありませんか。私はその比較論を伺っているのではなくて、どのような理由か、予算上の措置ではないかということを伺っているので、その比較論を先に伺おうなどとは思っておりません。その理由は何ですか。
  82. 東條猛猪

    東條政府委員 産業投資特別会計十億円、これはすでに国会においていろいろ御審議を仰いで、議決をいただきました予算できまった問題でありまして、従って国会の御意思も、産投十億円ということであると承知いたしております。
  83. 岡田春夫

    ○岡田委員 国会が承認したか、しないかということは、あなたの方がどういうふうにしぼったかということとは別問題です。私の伺ったのは、財政的な措置としてできなかったから、十億しかないのではないか——それでは十億というのは腰だめですか、目見当でこういうことをやったのですか。何か計画があったのですか。
  84. 東條猛猪

    東條政府委員 もちろん開発庁の方では、いろいろの計画——公庫ができました場合には、どうしようか、また、どういう計画でいこうかというプランをお持ちになっての政府部内の相談でありまして、大蔵省は、もちろんそういう計画は、御相談を受けた上できまったものでございます。
  85. 岡田春夫

    ○岡田委員 いつまでやっていてもしようがないから進みますが、問題は、あなた自身の方では北海道における資金計画もない、そうすると、この十億というものがどのようなウエートを占めるかわからない。少くとも科学的な根拠に立ったものではない。こういうふうに十億にしぼったとするならば、何か理由があるはずなんです。その理由は、さっき申し上げたように、予算上これ以上出せないから十億しかやれないのだ、ということは、簡単に言えば腰だめで、目見当で、科学的な根拠がない、だから、こういうものは腰だめだと言わざるを得ない。  私は話を先へ進めますが、そうすれば、この十億円というのは、北海道開発計画とはあまり関係のないもの、少くとも有機的関連のないものと言わざるを得ない。北海道開発五カ年計画をどういうように作っていく、その中で、資金の需要計画はどれだけだ、それに基いて公庫の予算はこれだけなければならないという科学的な根拠があって、初めてできることであるにもかかわらず、そのこと自体がない——北海道の道庁ではその資金計画なるものがあります。三十六年までの計画がある。その計画があって——その計画が正しいか、正しくないかは別ですよ、その計画というものがあって、これに対して公庫がどういうような役割を果すかということで、初めてこの公庫開発上における役割があるのだが、今までのあなたの御答弁を聞いていると、大体まあプラス・アルファになるんじゃありませんか、そんなところじゃありませんか、という程度のおそらく話なんでしょう。私は実はマイナスだと思う。これが第一点です。  第二の点は、こういうような形で投融資をしてごらんなさい、五千万円以上の会社で、半額政府出資会社なんていうのは、北海道にはほとんどないですよ。ないと、どうなるかというと、こういうことをやる。開発庁はないと、予算を使わなければ困るから、何でもいいから作れということになる。何でもいいから作っていく。たとえば私の聞いているのでは、苫小牧の埋立会社というものがあるそうだ。あるいはその他いろいろそういうインチキ会社を作って、金を使っていこうという、こういうことでは、開発意味をなさない。ほんとうに重要なことのために使われないで、行政機構として、何かやらなければならないから、といって使うようなことでは、意味をなさない、プラスにはならないと私は考えている。そういう点について、私は一般的な抽象論を伺っているのではない。あなたがこれをお出しになったのなら、実際に具体的な計数の上に立ってお話を願わなければ困る。少くともこの公庫法案というのは、開発計画とは縁もゆかりもないものとして、現在の政治的な腰だめによって出されたものとしか解釈できないと思います。その点について、やや抽象的な質問になりましたけれども、いかがお考えになっておりますか。
  86. 東條猛猪

    東條政府委員 今後開発公庫から、四半期ごとに事業計画あるいはそれに伴います資金計画が提出されます場合におきましては、関係方面といろいろ考え、また練っておりまする北海道開発計画に、十分即応しました裏づけのあるものであると私どもは存じております。また公庫資金は、今いろいろと例示的にお話がありましたが、ほんとう北海道開発が促進されますような、真に有効な、また経済的効果のある事業、その他の方面にこの資金は使われるべきものであるし、またそういう運営方法で考えたいと思っております。
  87. 岡田春夫

    ○岡田委員 最後に一点、これで終ります。あなたの方で、ないしょにしておられる業務方法書ですが、これは幾つかの変遷があるわけです。最初の業務方法書では年利九分だった。最近の業務方法書の内容によると、年利一割以内となっておる。ところがあなたも十分御承知のように、最近は金利がどんどん下っている傾向にある。開発銀行の金利でも御承知の通り年利九分である。たしかそうだと思います。(東條政府委員「違いますが、あとで……」と呼ぶ)そうすると開発公庫の場合には、それよりも安い金利のものをできるだけ使わせるということが、北海道開発のためにいいのだと私は思うのですが、この金利はどういうような状態になっておりますか。その一点だけ伺って、終りにします。
  88. 東條猛猪

    東條政府委員 先ほども申し上げて、実はおしかりを受けたのでありますが、業務方法書というのは、法律案に書いてございますように、公庫ができまして、その責任者がおのれが是と考える案を作りまして、主務大臣の認可を得るわけであります。従いまして、私ども大蔵省におきましては、業務方法書というものは実は承知をいたしておりません。  次に金利の問題でありますが、現在の開発銀行の金利はいろいろございますが、原則は、先ほど岡田委員お話のように九分です。そこで、今後具体的な業務方法書の問題になって参りました場合におきましては、十分内部で検討もいたしまするし、また関係銀行あたりとの権衡も十分考えまして、北海道の重点的な開発ということを目的といたします北海道開発公庫の性質にふさわしいような業務方法書を定めなければならぬ。従って、金利もまたそういう考え方でもって、今後具体的に責任者がきまりましてから、政府でも十分検討してきめたいと考えております。
  89. 廣川弘禪

    廣川委員長 出席要求のありました建設、農林、通産各政務次官が出席しておりますので、それぞれ質疑を願います。他に質疑はありませんか。——質疑の通告もありませんので、建設、農林、通産各政務次官に対する質疑はないものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十六分散会